04/12/16 第6回厚生科学審議会感染症分科会感染症部会議事録         第六回厚生科学審議会感染症分科会感染症部会議事録 1.日時  平成16年12月16日(木)15:00〜17:00 2.場所  厚生労働省共用第8会議室(6F) 3.出席者 (委員) 青木 節子、稲松 孝思、植田 和子、岡部 信彦、            神谷 齊、木原 正博、倉田 毅、島田 馨、竹内 勤、            丹野 瑳喜子、廣田 良夫、藤岡 正信、南 砂、            山川 洋一郎、山田 洋、雪下 國雄、吉川 泰弘、            吉澤 浩司(以上18名、敬称略)       (厚生労働省)田中健康局長、岡島審議官、瀬上参事官、石井総務課長、              牛尾結核感染症課長、滝本感染症情報管理室長、              塚本課長補佐、前田課長補佐、新課長補佐、江崎課長補佐他 4.議題 1)厚生科学審議会感染症分科会感染症部会長及びSARS対策専門委員        会委員長の選任について      2)感染症の予防の総合的な推進を図るための基本的な指針の改正につい        て      3)インフルエンザに関する特定感染症予防指針の改正について      4)その他 5.内容 (照会先)健康局結核感染症課 電話:03−5253−1111(内線2373,2379) ○事務局  定刻になりましたので、ただいまから第6回厚生科学審議会感染症分科会感染症部会 を開催させていただきます。  出席予定の委員の方、何名かまだ到着されておりませんが、定数に達しておりますの で開催させていただきます。  委員の皆様には、御多用中のところ出席をいただきまして、誠にありがとうございま す。  本日の部会でございますが、前吉倉感染症部会長の感染症研究所長御退官による厚生 科学審議会委員の辞任に伴いまして、感染症部会長が未選任となっております。したが いまして、本日の部会で部会長が選任されるまで、事務局の方で本部会の議事の運営を させていただきます。  感染症部会の開催に当たりまして、田中健康局長よりごあいさつさせていただきま す。 ○田中健康局長  健康局長の田中でございます。  大変お忙しいところ、年末大変御多用だと思いますけれども、御参集いただきまして ありがとうございます。  本年1月に鳥インフルエンザが国内で80年ぶりということで発生いたしまして、少し あたふたといいますか、ドタバタしたわけでございますけれども、それも一応、人に対 する影響という意味では余り大したことがなかったということで、大事に至らずに済ん だということが今年はございました。  また、去年のインフルエンザは余り大きく流行はなかったわけですけれども、今年も どうなりますか、まだ不確定の要素はありますが、一応ワクチンの方はかなりきちんと 用意させていただきましたので、そこそこ大混乱にはなっていないのではないかと感じ ているところでございます。  しかし、今でも東南アジアの方では鳥インフルエンザが終息に至っておりませんの で、私ども十分注意をして、特に新型インフルエンザに対する備えということを怠って はいけないと考えているところでございます。  今日の会議でございますけれども、その新型インフルエンザに関しましては、8月に 検討小委員会から報告書をいただきました。それをここで御報告させていただいて、対 策についていろいろ御議論いただきたいということが第1点と、それから、感染症動向 調査を充実させまして、感染症対策の広域的対応を進めていくために、感染症予防の総 合的な推進を図るための基本的な指針、更にはインフルエンザに関する特定感染症予防 指針、この改正案というのを御審議いただくということになると思いますので、よろし くお願いいたします。  また、今後、感染症サーベイランスの見直し、あるいはエイズ・性感染症に関します 施策について検討していただくために、ワーキンググループを動かしていきたいと思っ ておりますので、これも御報告させていただきたいと思います。  最後になりましたけれども、感染症対策の推進に今後ともよろしく御協力いただきた いということをお願いいたしまして、ごあいさつに代えさせていただきます。ありがと うございます。 ○事務局  それでは、議事に入る前に資料の確認を簡単にさせていただきます。  お手元の資料を御確認願います。  まず、1枚目でございますが、議事次第がございます。  めくっていただきますと2枚目に感染症部会の委員の名簿が1枚ございます。  もう一枚めくっていただきますと、SARS対策専門委員会の名簿がございます。  その次からは資料になるわけですが、資料1といたしまして1〜18ページまで。  資料2としまして19ページ1枚。  資料3でございますが、20、21ページの2枚でございます。  資料4でございますが、22ページ1枚のみ。  資料5が23ページ1枚のみ。  資料6が24、25ページの2枚となっております。  その後は参考資料となりますが、参考資料1としまして1〜7ページまで。  参考資料2としまして8〜29ページまで。  参考資料3といたしまして30〜36ページまで。  参考資料4といたしまして、新型インフルエンザ対策報告書別冊でございますが、添 付させていただいております。  不足等がございましたら、事務局の方へお申し付け願います。不足等ございませんで しょうか。  それでは、本日の部会の議題の1番目でございますが、感染症部会長、それから、感 染症部会に設置されております重症急性呼吸器症候群(SARS)対策専門委員会の委員長 の選任をいたしたいと思います。吉倉前感染症部会長及びSARS対策専門委員会委員長の 後任といたしまして、感染症部会委員となられました感染症研究所長の倉田委員に、感 染症部会長及び重症急性呼吸器症候群(SARS)対策専門委員会の委員長に御就任をいた だくことにつきまして、厚生科学審議会令の規定に基づきまして、部会の委員の皆様に お諮りをいたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。                   (拍手) ○事務局  委員の皆様の御承認をいただきましたので、倉田委員には感染症部会長並びに重症急 性呼吸器症候群(SARS)対策専門委員長への御就任をお願いいたします。御足労でござ いますが、部会長席へ御移動願います。               (倉田委員、部会長席へ) ○事務局  それでは倉田部会長、当部会のこれより後の議事の運営につきまして、よろしくお願 いいたします。 ○倉田部会長  感染研の所長を吉倉先生から引き継ぎました倉田でございます。  全く新しいというわけではございませんが、内容につきましては更に行政的な面も含 めた勉強をきちんとして、皆さんの御協力で、我が国のこういう問題についてのトラブ ルが発生しないで、いろいろ問題解決ができるように努力したいと思いますので、よろ しくお願いします。  それでは、本日の議題の2からになりますが、感染症の予防の総合的な推進を図るた めの基本的な指針の改正についての議論に入りたいと思います。関連があるので、3の インフルエンザに関する特定感染症の予防指針の改正を一括して議論したいと思いま す。  それでは、資料の説明をお願いします。 ○事務局  結核感染症課の課長補佐をしております前田と申します。では、座って説明をさせて いただきます。  この議題2の感染症の予防の総合的な推進を図るための基本的な指針、基本指針とい うふうに呼ばせていただきますが、その改正とインフルエンザの特定指針の件でござい ます。本日お配りしております参考資料の4点目としまして、別冊で新型インフルエン ザ対策報告書が、本年8月末に廣田委員を座長といたします小委員会で御議論いただき ました結果、まとめられているところでございます。こちらの内容をまず簡単に説明さ せていただきたいと思います。  まず、1ページ目の「はじめに」というところでございます。この新型インフルエン ザ対策につきましては、平成9年に検討会が設置されまして、事前の準備ですとか、出 現した場合の対応について報告書としてまとめられたところでございますが、それから 7年経ちまして、感染症法という法律が伝染病予防法から改正されたということ、それ から、インフルエンザワクチンの生産・接種体制が整備されたということ、そして、イ ンフルエンザの迅速診断キットですとか、抗インフルエンザウイルス薬の開発・普及が されたということ、そして、インフルエンザに関するサーベイランス体制の整備など、 さまざまな研究の成果が出てきたという科学技術の進歩を踏まえまして、あと法的な制 度、医薬医療体制の整備というものを踏まえて、現在の新型インフルエンザ対策につい て御議論をいただいたところでございます。  この報告書の内容でございますが、大きな特徴といたしまして、状況別対応というも のをきちんと定めたという点でございます。この冊子の49ページになりますが、表1と いうことでございます。新型インフルエンザに対する状況別対応ということで、平常時 のAというところから大規模発生時のFという6段階に分けた状況別の対応ということ で、主な対応を記載していただいてございます。平常時がA、そして、鳥インフルエン ザが海外で発生した場合がB、国内で発生した場合がC、そして、新型インフルエンザ につきまして海外で発生した場合がD、国内で少数限局的に発生した場合がE、そし て、国内で大量、拡大しているという場合がFということで、主な対応といたしまし て、平常時としてはインフルエンザのサーベイランスとかワクチンの接種の推進。そし て、Bといたしましては情報収集・分析、そして、流行している地域への専門家の派 遣。そして、Cといたしましては、家禽等の殺処分、従事者等への感染防御の指導、感 染患者への医療提供などがございます。Dといたしましては、新型インフルエンザにつ いてのワクチンの開発が必要ということですとか、指定感染症検疫法を準用する感染症 への指定などが検討対象となっているところでございます。それから、Eといたしまし ては、国内で発生した場合につきましては、海外に向けた積極的な情報提供とか感染症 法に基づく入院勧告、疫学調査などがございます。Fの大規模に発生した場合は、医療 資源や社会資源の有効活用、集会の自粛等の措置が考えられるということでございまし て、こういう主な対応を状況別にシミュレーションをしているという点が1点目でござ います。  それから、もう一つの報告書の特徴といたしまして50ページにございますが、アメリ カの疾病管理センター、CDCのモデルによります新型インフルエンザ患者数の試算と いうものがされておりまして、全人口の25%が罹患すると想定した場合、医療機関を受 診する患者数が1,700万人、そして、死亡者数としても10万人、最大16万7,000人という 推計をしていただいているという点が特徴的な点でございます。  そして、この新型インフルエンザの発生に備えて現在どういうことを行っていくべき かということについて、この報告書の中に記載されているところでございます。  まず、1点目が、この報告書の33ページにございますが、新型インフルエンザのワク チンということでございます。このワクチンの現在の生産技術を使用したワクチンの生 産ですとか、新たな技術を用いた新型インフルエンザワクチンの生産、そして、34ペー ジには、その具体的な新しい技術の例示などがされているところでございます。  それから、もう一点は、インフルエンザに対応する薬の備蓄ということでございまし て、29ページでございますが、抗インフルエンザウイルス薬、治療薬でございますが、 ノイラミニダーゼ阻害剤、リン酸オセルタミビルなどが記載されてございますが、そう いった抗インフルエンザウイルス薬の備蓄を、国と県が適切な役割分担のもとで行って いくというようなことについて記載がされているところで、30ページの上の方でござい ますが、政府としては官民合わせて2,500万人分を確保することが選択肢として挙げら れるというような表現がされているところでございます。  こういった報告書を受けまして、この基本指針の内容の検討を事務局の方でさせてい ただいたところでございますが、そちらが本日の資料1の1ページ目でございます。こ の基本指針とインフルエンザの特定指針の改正についてということで記載させていただ いてございますが、1番「新型インフルエンザ対策の充実」ということで基本的な考え 方として、以前よりも新型インフルエンザウイルスの出現の危険性が高まってきている と。これはそのとおり、インフルエンザが東南アジア地域を中心に発生していることな どが挙げられているところでございます。  そして、発生状況等に応じて、とるべき対応方針を決定する必要があるということが 基本的な考え方でございます。  (2)といたしまして、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄または確保ということで、 医療教育体制を確保するとともに、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄または確保を事 前に行う必要があるということでございます。  確保の主体といたしましては、適切な役割分担のもとで国及び都道府県が、その備蓄 または確保を行うと。  そして、現在各県で策定していただいております都道府県感染症予防計画でございま すが、その中に大規模な感染症の発生に対応するための医薬品の備蓄または確保に関す る事項というものも定めていただこうと考えているところでございます。  それから、(3)でございます。迅速な情報入手システムの確立ということで、都道府 県の役割としましては、インフルエンザが流行したときにウイルスの分離検査、そし て、ウイルスの抗原検査を行うということ。  そして、新型インフルエンザが疑われる場合に、速やかな亜型の確認を行うというこ とが、システム確立として必要ではないかということでございます。  そして、(4)のワクチンの点でございますが、出現が予測される新型インフルエンザ に対するワクチン株の準備を行うということ。  そして、インフルエンザワクチンの生産や供給が安全かつ迅速に行われるための体制 の確保を着実に実施するということが必要ということでございます。  あとは、国内のワクチン製造業者におかれましては、新型インフルエンザを想定した ワクチンの開発を行うということ。  国は製剤化、非臨床試験、臨床試験に対して開発支援を行うということ。  国は可能な限り迅速に薬事法に基づく承認審査を行うということが、従前の準備とし て挙げられているところでございます。  (5)の先進国相互間の支援体制の強化ということでございますが、国立感染症研究所 が国外の情報等の分析を行いますとともに、国立国際医療センター、大学等の研究機関 と連携するということ。それから、アジア周辺諸国に対し、積極的に国際協力に取り組 むということを主な内容として盛り込みたいと、この新型インフルエンザ対策の充実に 記載されている内容につきまして、基本指針及びインフルエンザ特定指針の方に改正案 として、後ほど新旧対照表の説明をさせていただきますが、盛り込みたいと考えている ところでございます。  それから、その次の2ページ目でございます。「発生動向調査の充実・強化」という ことでございますが、感染症法に基づきます医師の届出、そして、それに伴う積極的疫 学調査などがされているところでございますが、(1)感染症の発生の予防という点でご ざいますが、最新の医学的知見に基づきまして、発生動向調査の実施方法を定期的に見 直す必要があるのではないかという点でございます。  それから、病原体の調査ということでございますが、現在も病原体サーベイランスと いう形で行われているところでございますが、各都道府県での検査と同様に、国立感染 症研究所にも検体を送っていただく調査というものも整備していく必要があるのではな いかということでございます。  あと、獣医師の関係でございますが、獣医師の届出を受けました都道府県知事等が動 物等取扱業者に助言・指導等を行う機関と連携いたしまして、積極的な疫学調査を行う ということ。  そして、地方衛生研究所におかれましては、分析いたしました病原体について、その 情報を提供していくということを盛り込みたいと考えております。  (2)の「感染症のまん延の防止」ということでございます。こちらにつきましても、 海外から帰国された方が、同じ機内の食事等が原因で感染症を発症する事例などもござ いますので、そういう国際交流の進展に対応いたしまして、より一層その内容を充実さ せることが必要ではないかということでございます。  それから、感染症法の第15条に基づきます積極的疫学調査が行われる場合ということ でございますが、現在の基本指針においては一類〜四類の感染症の患者が発生した場合 という形になってございますが、それを現在、感染症法の実態といたしましては、疑い がある場合についても疫学調査を行っているケースがあるという点もございます。  また、国内で発生していない感染症であっても、国外で蔓延しているものが発生して いる場合というふうに、かなり限定的な解釈もございましたが、そのおそれがある場合 についても、疫学調査の対象としていこうということと、あと、動物由来感染症につき ましても、その発生のおそれがある場合ということで、疑いとかおそれということで積 極的疫学調査を迅速に行えるような体制整備を、この基本指針の改正で行っていきたい と考えているところでございます。  それから、また、動物等取扱業者に助言・指導等を行う機関におきましても、流行状 況の把握、感染経路の究明を進めていくというような形で、動物由来感染症対策につい て調査を進めていきたいという内容の改正でございまして、この2番目につきまして は、感染症の基本指針の改正という点で現在、案を考えているところでございます。  それから、3ページ目の「感染症対策の広域的対応等」ということでございます。こ ちらにつきましては、幾つかの論点がございまして、5つに分けてございます。  まず、(1)が「感染症の発生の予防」という点でございます。こちらについては現在、 北米大陸を中心にウエストナイル熱がかなり流行しております。こちらにつきまして は、蚊を媒介するケースが多いということで、もし、日本に入ってきた場合には、蚊を 媒介する疾患というのは、なかなか駆除が難しいというふうな状況でございますので、 事前の対策といたしまして、蚊が発生しないような環境の整備、そして、蚊に刺されな いようにするという普及啓発、そして、蚊の発生動向調査とか捕獲による調査といった ものを充実させていこうということが1点目でございます。  それから、(2)「感染症のまん延の防止」ということでございます。こちらにつきま しては、昨年の4月ごろにSARSが東南アジアで流行した時点でございますが、各都道府 県におきまして、SARSの行動計画というものを策定していただいているところでござい ます。それは内容としまして、具体的な事例を想定した搬送体制、医療提供体制につい て策定していただいているものでございますが、そらちにつきましても、この基本指針 に位置付けるということで、感染力の強い感染症が発生した場合に、県が行動計画を策 定するというふうな内容を追加したいと考えているところでございます。  それから、(3)の医療の提供体制の点でございます。こちらにつきましては現在、一 類感染症に対応する医療機関として、第一種感染症指定医療機関が各都道府県で整備が 進められているところでございます。現在19都道府県で36床程度ということでございま すが、これをより一層、全都道府県において整備していただきたいというのは、折に触 れて各県の担当者に申しているところでございます。  そして、その一つの支援策といたしまして、1つの県ごとに今2床ずつを基本に整備 していただいてございますが、複数の県で、例えば3つの県が1つの病院に6床確保す るというふうな、複数の都道府県による医療機関の確保が効率的である場合には、そう いうことを確保することができないかということが1点目でございます。  それから、同様に、第二種の感染症指定医療機関という主に二類感染症、赤痢とかコ レラに対応する医療機関でございますが、こちらにつきましても、複数の二次医療圏、 これは二次医療圏ごとに4床とか6床を現在確保していただいております。こちらにつ いても、3つの二次医療圏で12床を確保するというようなこともできるような要件を追 加したいと考えているところでございます。  それから、(4)が検査の実施体制の点でございます。こちらにつきましても、一部の ブロックにおきましては複数の県が相互の応援協定というものを定めまして、大規模な 感染症が発生した場合に、地方衛生研究所が相互に応援するというような体制を組んで いるところでございますので、そういう広域的な対応という意味も踏まえまして、必要 な対応をあらかじめ定めておくことを追加しているところでございます。  あと、二〜五類感染症につきましては、地方衛生研究所において現在、人の血液とか 便についての検査はかなりレベルとしてはできるところでございますが、環境中の病原 体ですとか、動物に由来する病原体についても、地方衛生研究所においてその検出が可 能となるよう、人材の養成や必要な資器材の確保を行うことが重要であるという点につ いても追加したいと考えているところでございます。  それから、(5)の「緊急時における感染症の発生の予防及びまん延の防止並びに医療 の提供のための施策」ということでございます。こちらの項目につきましては、昨年の 感染症法の改正を踏まえて、この基本指針の項目として盛り込まれたものでございます が、都道府県の感染症予防計画の記載事項というのが、まだ具体的に定められていなか ったところでございますので、この記載事項の1点目として、国または他の地方公共団 体から派遣されました職員もしくは専門家の受入れに関する事項。  2点目としまして、感染症の蔓延を防止するため、必要な情報の収集・公表に関する 事項。  3点目として、緊急時の指揮命令系統に関する事項。  4点目の対策本部の設置及び解散に関する事項、そういった点について、県の感染症 予防計画の中に記載していただいて、緊急時の対応をあらかじめ定めておいていただく というようなことについて、追加をしたいと考えているところでございます。  この大きな3番の感染症対策の広域的対応等につきましては、感染症法の基本指針の 改正ということで現在、案として考えているところでございます。  この1〜3ページの考え方に基づきまして、4ページから新旧対照表の案で考えてい るところでございますが、これも簡単に説明させていただきますと、1ページ目の医療 提供の確保に関する事項につきましては、国と県における医薬品の備蓄または確保に努 めるという内容をつけ加えているという改正案でございます。  2ページ目でございますが、県の策定する予防計画に医薬品の備蓄または確保に関す る事項というのを4項目目に入れる案を策定しているところでございます。  それから、2ページの下の段の第六の部分でございますが、医薬品の研究開発の推進 ということで、新型インフルエンザに対するワクチン株の準備、生産や教育、安全かつ 迅速に行うための体制の確保を着実に実施という点を盛り込む案を入れさせていただい ているところでございます。  6ページでございますが、左の部分でございますが、国内のワクチン製造業者が新型 インフルエンザを想定したワクチン開発を行う。国が迅速な薬事法に基づく承認審査を 行うということでございます。  それから、その次のページでございますが、通し番号でいきますと7ページ目になり ますが、インフルエンザに関する特定感染症予防指針の改正の基本的な考え方というこ とで、東南アジアにおいて鳥インフルエンザが人へも感染しているということで、新型 インフルエンザウイルスの発生を懸念させるものであると。出現の危険性は高まってい るというような現状認識。そして、医療教育体制の確保や抗インフルエンザウイルス薬 の備蓄または確保を事前に対応していくべき。それから、発生状況等に応じてとるべき 対応方針を決定すべきというふうな点が、基本的な考え方に盛り込まれているところで ございます。  その次の通し番号の8ページ目でございますが、迅速な情報入手システムの確立とい うことで都道府県等、これは都道府県、保健所設置市のことでございますが、毎年のイ ンフルエンザの流行時にウイルス分離検査、ウイルス抗原検査を行うと。新型インフル エンザが疑われる場合には、速やかに亜型の確認を行うという点でございます。  下の三といたしましては、ワクチンの製造業者、国の役割というのを記載させていた だいているところでございます。  次の通し番号9ページ目でございますが、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄または 確保、これもインフルエンザ特定指針の中の案でございます。  それから、あと五の先進国相互間の支援体制の強化ということで、WHOと連携の上 に情報収集する。そして、感染研においても情報の分析、国際医療センター、大学等の 研究機関との連携。そして、アジア周辺諸国が発生源となる可能性が高いことから、積 極的に国際協力に取り組むという点を盛り込む案でございます。  それから、10ページ目が「発生動向調査の充実・強化」ということでございます。こ ちらにつきましては、感染症発生動向調査の記載ということで、最新の医学的知見に基 づく発生動向調査の実施方法の見直し、病原体調査等の整備について検討するというこ とでございます。  その下の4番ですが、法律の第13条、これは獣医師による届出ということで、サルの 細菌性赤痢とか、ウエストナイル熱について獣医師の届出規定が設けられているところ でございますが、保健所、地方衛生研究所に加えまして、動物等取扱業者に助言・指導 等を行う機関とも協力・連携して、積極的疫学調査を行うという点でございます。  それから、通し番号の11ページ目でございますが、上の方はちょっと見づらいところ がございますが、下から4行目のところです。地方衛生研究所が情報を提供するという 「提供」の文言を入れさせていだたいているところでございます。  それから、第三の部分でございますがけれども、この積極的疫学調査について、国際 交流の進展に対応して、より一層、内容を充実させることが求められているという文言 に変更させていただいているところでございます。  12ページでございますが、この積極的疫学調査の対象として、従来から対象を少し広 げるということで(1)〜(5)ということで変更案を考えているところでございます。  その次の13ページでございますが、「感染症対策の広域的対応」ということでござい ます。蚊によって媒介される感染症の発生が懸念されるということで、発生しにくい環 境の確保、そして、普及啓発、情報の提供、あとカラス等の死亡鳥類数の調査、こうい ったものも行っていくことが重要ということでございます。  それから、五でございますが、昆虫等のウイルス保有検査、蚊の発生動向調査、それ から、航空会社に対する自主的な媒介蚊対策の要請、あと、蚊の捕獲ということを盛り 込ませていただいているところでございます。  その次の14ページ目でございますが、感染症の蔓延防止のための施策に関する事項と いうことで、SARS、痘そう等の感染力の強い感染症について、具体的な事例を想定した 行動計画を策定するという文言を加えさせていただいているところでございます。  その次の15ページ目でございますが、第一種感染症指定医療機関についてでございま すけれども、一都道府県当たり2床を下回らない範囲において、複数の都道府県に係る 第一種感染症指定医療機関として所在地の都道府県知事が指定することができるという ことを記載しているところでございます。  それから、16ページでございますが、こちら第二種感染症指定医療機関についても、 複数の二次医療機関、それぞれの人口を勘案して必要と認める病床数の総和を下回らな い範囲において、これによらないで指定することができるというふうな表現にしている ところでございます。  それから、17ページ目でございますが、検査の広域化という点でございますが、各ブ ロック単位で相互の応援協定の話、それから、二〜五類については環境中の病原体、動 物に由来する病原体の検出を可能とするような人材養成、必要な資器材の確保というこ とで考えているところでございます。  あと、18ページ目が最後のページになりますが、第十とした緊急時の感染症の対策で ございます。予防計画を策定するに当たっての留意点といたしまして、国や他の地方公 共団体から派遣された職員の受入れの事項、感染症の蔓延防止のための情報の収集・公 表の事項、緊急時の指揮命令系統、そして、対策本部の設置・解散、そういった事項に ついて具体的に盛り込むという内容を案として考えているところでございます。  こちらにつきましては現在、新旧対照表ということで考えてございますが、今後は法 制面での調整など文言修正などがございますが、基本的な考え方としてはこういう表現 で現在、検討を進めているところでございますので、よろしく御検討いただければと思 います。  以上でございます。 ○倉田部会長  ありがとうございました。  大分厚いですが、今の御説明について、何か質問あるいは御意見等ありましたら、ど うぞ。いかがですか。 ○雪下委員  さっきの第一種感染症指定医療機関、これは各県に1個つくるということが依然とし て進まないで、現在今の報告では19県、36床できているということですが、これを県に またがってつくることができるということだとすると、予算はどういうことになるんで しょうか。国の予算は例えば、2県合同でやるという場合には、2県分予算が出るとい うふうに考えればよろしいのでしょうか。今まで予算の面でできにくかったということ から、多県にまたがるとできやすくなると考えておられるのかどうか、その辺のところ を教えていただきたい。 ○事務局  今の予算の仕組みにつきましては、1床当たり幾らという補助を出しております。で すから、今、前田の方から申し上げたとおり、例えば3県で合同でやる場合は、1県2 床ですから6床を下回らない病院をつくっていただくと。そうすると6床分の予算は補 助できるということになります。ただ、このときに、これからちょっと細部は検討しな くてはいけませんが、出し方について例えばまとめてA県ならA県に予算を出すのか、 共同でつくるというか、A、B、C3県の共同のものということになれば、A、B、C 3県に分担してお金を出すのか、ここがちょっとまた予算の仕組みで少し考えなければ いけませんが、少なくとも6床分つくっていただければ、6床分のお金はちゃんと補助 するということになります。 ○倉田部会長  よろしいでしょうか。 ○雪下委員  それによって、第一種感染症指定医療機関の設置が推進されると考えておられるので しょうか。 ○事務局  これは、さすがに各都道府県の方にこちらからお願いしておりますけれども、やはり 県内に引き受ける病院がなかなか見つからないというところもやはりございます。その 場合、例えば地理的に同じような条件で、A県の病院はうちは2床でなくても、4床で も6床でもいいよと言ったときに、地理的な条件は勿論ございますが、その中で共同で 使えれば、1つの病院の中で使うということで構想を持っている県もあるやに聞いてお りますので、そういうところは、こういうやり方で推進が図られるのではないかと思っ ております。 ○倉田部会長  雪下先生、よろしいですか。  では、丹野先生、どうぞ。 ○丹野委員  一番最後のところの第七で……。 ○倉田部会長  すみません、ページを言ってください。 ○丹野委員  通し番号で17ページです。地方衛生研究所の病原検査のところなんですけれども、こ の文言につきまして、これは多分、去年のSARSであるとか鳥インフルエンザをイメージ していると思いますので、これは集団にたくさん発生して、多くの検体が入るから病原 体解明が滞るということではなくて、逆に言うと、複数の都道府県等にまたがって感染 症が集団発生した場合においては、やはり地方衛生研究所間における病原体解明に対す る格差が出る可能性があるということだと思うんですね。だから、そういう形で書いて いただいて、このブロックというのは多分、ここに唐突に出てきてもなかなか理解しに くいのかなと思いますので、協定書ということを盛り込むのであれば「近隣の都道府県 等においては連携強化を図るとともに、必要な対応についてあらかじめ協定書等を定め ておくことが重要である」と、その方が……。 ○事務局  ここは、応援協定を定めるなどということで、必ずしもすべての都道府県地域ブロッ クで協定書をつくってくださいということではなくて、協定が1つの例示ということで 前の方に書いているところでございます。  それから、あと前段の感染症集団発生した場合、ここで想定したのは、1つの県での 検査が非常に検体が多く、1つの地衛研さんなどで検査ができないということで、例え ば、近隣の県に検体を送って検査をしていただくとか、あと、近隣の県の地衛研の職員 に来ていただいて検査を行うとか手伝っていただくとか、そういうことを想定している ものでございますが、実態として複数の県にまたがって感染症が発生する場合について も読めるような形で、また考えていきたいとは思います。 ○倉田部会長  丹野先生、いかがですか。 ○丹野委員  できれば、文言は変えていただけたらと思います。 ○倉田部会長  先生が先ほど言われたことをもう一度言ってくださいますか。ちょっと書き留めてお いてください。 ○丹野委員  「複数の都道府県等にまたがる感染症が集団発生した場合は、地方衛生研究所間にお ける病原体解明に格差が出る可能性があるため、近隣の都道府県等においては連携強化 を図るとともに、必要な対応についてあらかじめ協定書等を定めておくことが重要であ る」ということです。その以下のことについては大変重要だと思いますので、そのまま で結構だと思います。 ○倉田部会長  格差が出るというのは、地方衛生研究所間の微生物関係の担当者のマンパワーに大分 ばらつきがありますよね。そういうことを先生は想定されておっしゃっているわけでし ょう。 ○丹野委員  そうです。それぞれのところで人も、それから、設備も、地理的な状況も違うと思い ますので、できれば今のような形で書いていただけるとありがたいと思います。 ○倉田部会長  事務局、いかがですか。 ○事務局  文言の詳細につきましては、また、事務局の方で検討させていただきます。 ○倉田部会長  それでは、この点について、ほかの先生方、何か御意見ございますか。  岡部さん、情報センターでいろいろな情報が入ってくるときに、こういうような点で 何かお気付きのことはありますか。 ○岡部委員  今のところでは、特にこの中ではありません。 ○倉田部会長  それでは、ほかに。どこでもいいんですが、事務局の説明があった部分について、全 体を通して何かありましたら指摘してください。よろしいですか。もし、なければ次に 進んで、また後で気がついたことがあれば、最後に指摘してもらうことにいたします。  それでは、議題の4、その他のところですが、資料の説明をお願いします。 ○事務局  それでは、資料の通し番号19ページ目の資料2でございます。その他といたしまして 2点用意いたしておりますが、本部会の下に感染症技術ワーキンググループを現在も設 置しておりますが、そこで感染症サーベイランスの見直しを行いたいという内容が1点 目でございます。  まず、見直しの背景といたしまして、平成11年の感染症法の制定時に現在のサーベイ ランスシステムができ上がって以降、既に5年を経過しているということで、新たな科 学的知見に基づいて見直しの必要性が生じてきているという点が背景でございます。  検討の進め方といたしまして、現行の疾患は86の届出疾患がございますが、そちらに つきましての症例の定義、そして、届出の基準と届出事項、そして、届出の様式につき まして、検討をいただきたいと考えているところでございます。  その見直しの素案につきましては、当結核感染症課と国立感染症研究所の情報センタ ーで素案を策定していきたいと考えております。  この検討結果につきましては、来年3月を目途にこの感染症技術ワーキンググループ より本部会に報告していただきたいと考えているところでございます。  ワーキンググループのメンバーといたしましては、法令で規定するすべての感染症の 症例定義の見直し等詳細な検討を要するということですので、既に任命させていただい ている委員の方々に加えまして、感染症の分野に応じた委員を追加した形でメンバーの 選定を行っていきたいと考えているところでございます。  それから、次の資料3、20ページ目でございます。こちらもワーキンググループの内 容でございますが、本部会の下のエイズ・性感染症ワーキンググループにおきます特定 感染症予防指針の検討についてということでございます。本日、先ほどお諮りいただき ましたインフルエンザの特定感染症予防指針というのが1つございますが、それ以外に も特定感染症予防指針というのが後天性免疫不全症候群の予防指針と性感染症について の予防指針と3つございます。  この検討の背景でございますが、感染症法第11条に基づいてインフルエンザ、後天性 免疫不全症候群、性感染症について、特に総合的に予防のための施策を推進する必要が あるものということから、特定感染症予防指針が定められているところでございます。 いずれも、少なくとも5年ごとに再検討を加えることとされておりますが、後天性免疫 不全症候群の指針につきましては平成11年10月、性感染症の予防指針につきましては平 成12年2月に策定されているところでございますので、再検討の時期に来ているという ことでございます。  検討の進め方といたしましては、後天性免疫不全症候群及び性感染症の発生の動向、 若年者の行動様式の変化等を踏まえた再検討を行っていただきたいと考えております。 その見直しのための素案は、後天性免疫不全症候群につきましては疾病対策課が、性感 染症の予防指針につきましては結核感染症課が作成するということで考えております。  それから、21ページ目でございますが、(3)といたしましてワーキンググループにお ける検討結果につきましては、来年5月を目途に本ワーキンググループから本部会に報 告すると。  そのメンバーといたしましては、エイズ及び性感染症につきまして、最近の動向を踏 まえて総合的な検討を要することから、今の任命委員に加えまして、感染症の分野に応 じた委員を追加したいと考えているところでございます。  以上でございます。 ○倉田部会長  ありがとうございました。  この点、エイズ・性感染症とこの問題、幾つか御指摘を受けるようなところがあるか もしれませんが、何か御意見ございますか。あるいは質問。  木原先生、いかがですか。 ○木原委員  特にございません。 ○倉田部会長  岡部さんは。 ○岡部委員  ある程度進めている部分もありますので、結構です。 ○倉田部会長  ほかに、どなたか質問あるいはコメントがありましたら、どうぞ。  ちょっと余計なことを言いますが、予防ということでいきますと、日本のエイズが若 年層にすごい勢いで、Y=Xよりもグラフが上がってきたということと、STDの発生 が若年化している、12〜13歳まで落ちてきているということになりますと、これは何か ラボの研究の問題よりも、教育の問題そのものだという気がしないでもないんですが、 是非そういうようなことを、どうやるかということも、このワーキンググループでやっ ていただくといいのではないかと、これは倉田私見ですが、是非よろしくお願いしま す。  ほかに何かありますか。 ○吉澤委員  検査の体制も是非とも検討の項目に入れていただけたらと思います。検査の受けやす さということを、もう少し推進していただけたらと思います。 ○倉田部会長  今、吉澤さんがおっしゃったのは、STD学会でも毎年毎年いかに受けやすくするか ということが問題になっていますが、事務局はどうお考えですか。 ○事務局  現在、保健所におきましてエイズの無料匿名の検査、あと、それに併せまして性感染 症についてクラミジア、ヘルペス、梅毒、淋病などの検査も行っているところでござい ます。そちらにつきまして、今、保健所の機能として進めているところでございます が、そこの検査体制の強化についても、例えば、最近ですと夜間でも受けられる、それ から、休日でも受けられるような取り組みについて国としても支援しているところでご ざいますが、その在り方につきましても、また、この中で検討していきたいと考えてお ります。 ○木原委員  予防指針の作文を起こしていくのはある程度方向が見えるんですけれども、実際に今 までいろいろ予防対策をやってまいりますと、どうしても例えば、今、部会長がおっし ゃったような教育の問題にぶつかってまいりまして、本当に実質的に予防指針をつくっ て具体的に予防が進んでいくためには、その辺の連携が本当にうまくいくという保障が ないと、本当に予防指針をつくっても、また5年後に同じようなことになりかねないと いうことがございますので、その辺は予防指針をつくる作業に並行して、実質的な連携 ができるような仕組みもつくっていただきたいということがあります。  もう一つ、検査のことでおっしゃいました点に1つ加えますと、保健所の検査も大事 でございますけれども、例えば、泌尿器科の先生に聞きますと、やはり保険が使いがた いので検査が必要かと思っても勧めがたいと。実際には通知があって、保険適用を進め るようにという措置はされているんですけれども、やはり現場のお医者さんに聞きます と、審査で落ちてしまうとか、そういう経験を一遍いたしますと、もう怖くて進められ ないとかそういうことがありますので、検査を勧める上では保険の充実もプラス、そう いう医療機関での検査を進める必要がありますけれども、そこがスムーズにできるよう に、その辺もやはり体制をしっかり整えていきませんと、予防指針をつくっても検査が 進まないということになると思いますので、よろしくお願いします。 ○倉田部会長  ありがとうございました。  ほかに何か。 ○吉澤委員  各都道府県には拠点病院がありますね。拠点病院の検査体制を活用することも考慮し ていただくことも必要だと思います。採血の場所はSTDクリニックでしてよろしいん ですが、保健所での検査の問題点というのは、御承知のように、採血してから答えが出 るまでに時間が掛かるということ、それから、検査の日時の指定があって、なかなか行 きにくいなどの幾つもの問題点があります。それから、最悪見つかった場合でも後のア フターケアがなかなかうまくいかない。みんな一生懸命やっているのはわかるんです が、拠点病院ですとそれが既にセットでできていますね。そういうことも含めて体制を 少し考えていただけると、もう少し受けやすくなるのではないか。それが、エイズだけ ではなく、それ以外の感染症の蔓延を防ぐ上でも極めて大事なことだと思いますので、 よろしく御検討いただけたらと思います。 ○倉田部会長  ありがとうございました。  ほかに、いかがでしょう。 ○岡部委員  STDの方なんですけれども、発生動向をとらえるに当たっての現データになるST Dサーベイランスそのものについて、なかなかほかの急性疾患とうまくいかないところ があります。このサーベイランスシステムそのものを、今回は大きい改正ではないけれ ども、既に法律は変わっているので根本的なところまではいかないのだと思いますが、 サーベイランスシステムをどこが検討するかというのは、ちょっと決めておいていただ いた方がいいと思うんです。  例えば、感染症の技術ワーキンググループでは、なかなかタッチできないというか実 際の部分について討論が十分できていない、あるいはエイズ・STDの方では、サーベ イランスシステムはやはり触りにくいといったような問題がありますので、どちら側が 中心になってやるかというようなことは一応決めておいていただいた方がいいと思うん です。感染症ワーキンググループの方には、STDのエキスパートはそんなに入ってい ないというのがありますので。 ○倉田部会長  その点いかがですか。何か御意見ある方はいますか。 ○神谷委員  STDの定点のことなんですけれども、産婦人科と泌尿器科とありまして、かなり前 に決めたままになっている件がかなりたくさんあるんです。したがって、現状の実態 で、特に若い子などが行きやすいクリニックと、そうでないところとあるので、これを やるときには定点の見直しをもう一遍きちんとやらないと、正確なデータが出てこない んじゃないかと思いますので、その点、よろしくお願いいたします。 ○倉田部会長  事務局、何かありますか。 ○事務局  まず、定点についてでございますが、感染症の発生動向調査事業の中で、STD定点 につきましては保健所の管内人口が7万5,000人未満のところは定点ゼロ、7万5,000人 を超える保健所管内においては1つか、あと7万5,000人を超えるごとに増やしていく という形で定点を設定して、各都道府県に指定をしていただいているところでございま す。この辺りにつきましても、定点をいじると今までの調査との継続性の話もございま すが、その辺りも踏まえて御検討いただこうと考えております。  それから、あと、定点として以前の性病予防法のころは産婦人科が定点の対象ではな くて、この感染症予防法になってから産婦人科が加わったというふうも伺っているとこ ろではございますが、そういう点で今後、集まるところを定点にすると、今までとの継 続性という点もございますが、やはり実態をきちんと把握していくという観点から、ま た御議論いただこうかと考えております。  それから、岡部先生から御指摘のありましたSTDのワーキングについて、例えば感 染症技術ワーキンググループにSTDの専門家に入っていただくのがいいのか、それと もエイズ・STDのワーキンググループの方でサーベイランスについて議論していくの かということについても、また事務局の方で委員を検討していく際に検討させていただ きたいと思いますが、岡部先生としてはエイズ・性感染症ワーキングの中での方がいい というお考えでございますか。 ○岡部委員  私自身は、その方がいいと思うんです。そこで中心になって、サーベイランスの人が そっちに行って相談をしているという形の方がやりやすいように思います。 ○倉田部会長  私がちょっと余計なことを言いましたが、先ほど若年化のそういう人たちの予防対策 というのは、どなたがメンバーになっているかちょっと見当つきませんが、それでどの ような取り組みができそうかなと、その辺については木原先生いかがですか。 ○木原委員  HIVの流行ですけれども、2010年という今から本当に4〜5年先ですが、今後、中 国での流行爆発というような予測がされておりますので、それは日本にやってくるとい うことを想定しなければいけないですね。ですから、今回つくる予防指針は、かなり大 事な地点だと思います。ここから5年、10年もし時期をうまくできませんと、かなり大 きな流行を日本に呼び込んでしまうという可能性がありますので、そういう意味で、今 回つくる指針は、やはり相当強力に予防対策が進められるような体制を整えていくとい うことをきちんとできるような体制をとっていく必要があると思います。省庁を横断し た、かなり強力な体制を組んでいきませんと、どこの国でも予防できずに流行が次々に 広がっているわけですから、そういう意味で日本でもかなり強力な体制をつくっていき ませんと、この流行を予防できないだろうと思います。  先ほどおっしゃいました若い人の問題ですけれども、やはり予防研究という形でいろ いろな学校とかかわらせていただいておりますが、やはり若い人の現状に対する認識が 学校関係者の中にも余り広まっておりません。それは、学校のメカニズムに関係してい まして、学校の中でそういう若者を知っているのは養護の先生、保健体育の先生に限定 されているんですね。ですから、毎日生徒を見ているようですけれども、管理職の方と かあるいは一般教科の先生方は余り御存じではないと。そういう意味で、学校の中で対 策をやろうという動きが出てこないんですね。それが全国に広がっていますので、そう いう体制を打ち破っていきませんと、学校の中で必要な教育を広げていくということが うまくできないんですね。その辺を取り払っていければ、若い人の予防教育もかなり進 むと思うんですが。そう思います。 ○倉田部会長  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。  先週、日米の医学協力の問題で日米が集まったときに、かつて米国側のエイズ対策関 係の委員長だったハース先生といろいろな話をしました。その折り、最後は何だと聞い たら、薬もかなり限界がある、ワクチンはまだ全然、アメリカかでも幾つか試されてい るけれども使えそうなものはないと。結局何だと聞くと、現在エデュケーション以外に は何もないと非常にはっきりと申されまして、アメリカは最初のときに増えてしまった のである程度までいってしまったんだけれども、今は総体として非常に減ってきて、か なりみんなこの問題に関して警戒感が高くなっているといいますか、神経質になってい るということで、現在はエデュケーション以外何もないと。だから、それを子どものと きからわかるような教育をしないとという問題を指摘されておりました。そういうこと で話はこれで終わりにしますが、是非かかわる先生方、予防のところをどうやってやる かということを、私としては是非考えていただければということだけ余計なことを言っ ておきます。 ○吉澤委員  検査の問題とリンクするんですが、この病気をいっぱいある感染症の1つであるとい う認識を世の中にもう少し広める必要があるのではないかと思います。この病気が特殊 な病気であるというこれまでの位置づけが検査を、そしてエデュケーションを阻害する 要因になってきたと思います。ですから、広く存在する感染症の1つであるという当た り前の考え方を普及、啓発するということを考慮に入れていただくと、いろいろな対策 がやりやすくなると思います。是非、御検討いただきたいと思います。 ○倉田部会長  ありがとうございました。非常に大事な御指摘ですので、この中のメンバーからも委 員になる先生方がおられると思いますが、是非、今言われた議論を推進されるよう、事 務局もよろしくお願いします。  先に行ってよろしいですか。それでは、次の説明をお願いします。 ○事務局  では、お手元の資料の22ページの資料4から25ページの資料6まで説明をさせていた だきます。  まず、資料4でございますが、新潟県を発端といたしました東北・北陸地域における 急性脳症についての御報告でございます。こちら新潟県から鳥取県まで現在発生してお りまして、症例数としては59例、腎機能障害のあった方が51例、スギヒラタケを摂取さ れた方が55例、死亡例が17例ということでございます。  この急性脳症の事例についてのまず結核感染症課の対応といたしまして、特に資料に はございませんが、急性脳症につきましては、昨年の法改正によりまして五類感染症と いう形で位置付けているところでございます。そして、医師が診断してから7日以内に 届け出る疾患ということでございますが、今回のこの事例を受けまして、各都道府県の 衛生主管部局長あてに、診断した場合には直ちに報告をしていただくようお願いしたと いうのが10月22日でございます。  それから、あと、実際診断するときにも、検体として採取したときには急性脳症の検 体の提出ということで、血液ですとか髄液等の検体をまず保管してくださいと、10月25 日に各都道府県に対して指示を行っているところでございます。それから、保管されて いた検体につきまして国立感染症研究所あてに送付してくださいというふうに指示する とともに、大分一段落ついてきましたので、通常どおり7日以内の届出に取扱いを戻し たのが11月9日ということで、感染症法の届出によって、この急性脳症が把握されてき たという経緯がございまして、そういう点で情報をまず迅速に入手する。そして、関係 する食品関係の部局ですとか、あとは健康危機管理の担当の課に、私どもの結核感染症 課から情報を提供させていただいたという点で、結核感染症課が役割を果たしたという ことがございます。  現在この急性脳症につきましては、厚生科学特別研究という研究費の中で研究班を組 んで、その原因の究明などについて検討が行われているというところでございます。  それが急性脳症の関係でございますが、次に23ページ目でございます。こちらは生物 テロの関係での報告事項でございます。12月10日ですので、つい先週でございますが、 内閣の官房長官を本部長としております国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部が「テ ロの未然防止に関する行動計画」というものを発表しているところでございます。その 中に、第3の「今後速やかに構ずべきテロの未然防止対策」の中の3点目といたしまし て「テロに使用されるおそれのある物資の管理の強化」。その中の8番目の事項といた しまして「生物テロに使用されるおそれのある病原性微生物等の管理体制の確立」とい う項目が盛り込まれているところでございます。  その内容でございますが、この病原性微生物と毒素を病原性微生物等と記載してござ いますが、その適正な管理体制を確立する。そして、その病原性微生物等をテロリスト が入手することを阻止することが重要ということでございます。  アメリカとかイギリス等の諸外国におきましては、そういった病原性微生物を持って いる施設に対しまして国への登録を義務付けているということでございますが、我が国 におきましては、研究者や施設管理者の自主性に委ねられているにすぎず、必ずしもす べての施設で適正な管理体制が確立しているとは限らないということでございます。  厚生労働省、経済産業省、文部科学省及び農林水産省は当面の措置として、人の生命 ・身体に危害を及ぼすおそれのあります病原性微生物を保有する施設に対しまして、そ の保有している病原性微生物等の種類や保管方法を国に対して定期的に届け出るよう指 導するということでございます。  また、厚生労働省においては、病原性微生物に関する適正な管理体制の確立というこ とで、その保有しているものに対し、国及び県に対する届出を義務付けるということ。 病原体の譲渡を規制すること。国及び都道府県による報告徴収、調査及び立入検査につ いての規定を設ける。そして、違反等に対して行政処分を行う、または罰則を科すとい うことを内容とする法改正につきまして検討を行い、感染症の予防及び感染症の患者に 対する医療に関する法律の改正案を平成18年の国会に提出することとするということを 行動計画として確定しているというところでございます。現在これを受けまして、対応 についてまた検討しているところでございます。  それから、資料6で通し番号の24ページでございます。動物由来感染症対策の強化に ついてでございます。こちらにつきましては、6月4日に感染症分科会、この部会の1 つ上の分科会の意見といたしまして、動物由来感染症対策を強化していくべきではない かという御意見をいただいてございます。  その内容としましては、その次の25ページでございますが、動物由来感染症のワーキ ンググループの検討を踏まえて、陸生哺乳類、鳥類等の届出事項、衛生証明書の内容と いう話ですとか、あと現在、地域を限定して輸入が認められているサルについては、ペ ット用の輸入は認めないこととすべきということですとか、あとは、四類感染症が獣医 師の届出対象に追加されたので、エキノコックス症とかウエストナイルなどの施策の推 進のために獣医師の届出対象疾病の追加を行うという整備。あと、海外から我が国にな い病原体を媒介する可能性のある蚊やネズミ族が侵入する危険性の高い空海港地域にお いても、進入動物対策の推進を図るべきというふうな御意見を6月4日にいただいたこ とを踏まえて、現在までの対応状況について御報告したいと思います。  それが24ページでございますが、まず、本年7月9日でございます。感染症法に関す る政令を改正いたしまして、獣医師等の届出対象の感染症及び動物といたしまして、サ ルの細菌性赤痢、鳥類に属する動物ウエストナイル熱、犬のエキノコックス症を届出の 対象として加えてございます。これは10月1日に施行しているところでございます。  それから、動物の輸入届出制度の施行日を来年の9月1日ということで規定してござ います。  それから、9月でございますが、省令の改正によりまして動物の輸入届出制度の届出 対象動物として、陸生哺乳類、鳥類及びげっ歯目及び兎目に属する動物の死体、ホルマ リン及びエタノール標本を含むというふうに規定いたしますとともに、届出事項及び衛 生証明書の記載内容を規定してございます。  また、省令を改正いたしまして、感染症法第15条に基づく積極的疫学調査の内容とし て、感染症を人に感染させるおそれがある動物、またはその死体に関する情報を入手し た際に、積極的疫学調査を行うという規定を整備しているところでございます。  それから、12月2日でございますが、ペット用サルの輸入を認めないことにつきまし て、パブリック・コメントの募集を開始しているところでございます。  報告事項といたしましては3点、以上でございます。 ○倉田部会長  ありがとうございました。  それでは、その他に行く前に、今の3つの説明に1つずつ。まず資料4、スギヒラタ ケ、急性脳症の問題につきまして、何か御質問あるいは御意見あるいは私はこういうこ とを知っているというようなことがあったら是非、御開示いただきたいと思います。 ○廣田委員  日本でこういうことが起こりますと、いわゆる共通食品として問題にするわけですけ れども、こういう事件がもし米国で起こったら、必ず症例対象研究しただろうと思うん ですね。日本では、まだまだそこまでの動きというのは期待できないんでしょうか。 ○倉田部会長  いかがですか。 ○岡部委員  疫学調査のグループが出掛けていって、これは新潟県、それから、現在は山形県に行 き、その前は秋田県に行っているんですが、ケースコントロールスタディのデザインを 今提案しているところです。それをどういうふうに動かしていくか、県と医療機関の協 力がないとできないというようなことで、おっしゃるようにスピードから言うとちょっ と遅いので、我々も何とか早くしたいなと思っています。 ○廣田委員  この表の一番下を見ますと、59例中55例、93%がスギヒラタケを摂取しているんです けれども、例えば、24時間以内に歯磨きをした人が95%以上いたとしたら、スギヒラタ ケよりも歯磨きの方が原因かと、まさにそういうエビデンスのレベルなんですよね。そ こら辺、将来的には直ちに対応するような体制づくりが必要だろうと思います。 ○岡部委員  おっしゃるとおりで、そのチームとしてはそういうようなことも提案しているところ です。 ○倉田部会長  ほかにいかがですか。よろしいですか。  これはどうして日本海側だけなんですかね。太平洋側の県のヒラタケも食べられてい ますが、そういうところでも起きていないし、我々も食べていますけれども何も起きて いないですが、これは腎障害と何か関係があるんですかね。その辺はいかがですか。 ○岡部委員  この間の研究班の中では、やはり腎障害、当初は腎透析だけに視点を置いていたよう ですけれども、腎障害という全体のところで見ると、そこには差があるというような腎 疾患関係の人たちの見解が出ています。  それから、我々の方もスギヒラタケというものに確かに疑念はあるわけですけれど も、それに特化すると今度はスギヒラタケを食べたから届出があって、食べていない脳 症は届けられないとか、そういうバイアスが掛かってくるので、なるべくそれは公平に やっていただきたいというようなことは、サーベイランスを担当している方にお願いし ているところです。 ○倉田部会長  ほかにいかがですか。  それでは、資料5の説明がございましたが、テロの未然防止に関する行動計画概要に つきまして、何かございますか。 ○青木委員  質問なんですけれども、テロに使用されるおそれのある病原性微生物等の範囲につい てです。これは、オーストラリアグループで国を越えた移転について出されているリス トが今、微生物では85〜86種類あったと思うんですけれども、その範囲と比べて広いの でしょうか、それとも狭いのでしょうか、一致するものを考えているのでしょうか。 ○倉田部会長  オーストラリアグループというのが非常に厳密にといいますか、幅広くとらえていま す。それで、WHOはオーストラリアグループの提案とCDCが昔から持っているもの にプラスしたもの。それから、カナダはアメリカのものに基づいています。それから、 EUは米国のを参考にした格好で大体WHOの線に沿ったものになっています。オース トラリアは少し多いんです。米国のセレクテイデンド・リストというのは、96年でした か、大体できまして、今回少し足されていますが、毒素も含んであります。そういう意 味では、オーストラリアグループの規制はかなり厳しいということになります。よろし いでしょうか。 ○青木委員  ありがとうございました。 ○事務局  23ページの「また」以下の厚生労働省に関する部分でございますが、感染症法の改正 案という文言がございますとおり、少なくとも今現在、感染症法の対象疾患となってい る範囲内で検討していくことになると考えてございます。 ○倉田部会長  ほかにいかがですか。よろしいですか。  先ほど説明がありましたとおり、この登録設定の問題は、以前はボランタリーだった んですがテロ以後米国も登録制を義務付けて、非常に厳しくなりました。そして、施設 を査察して基準に沿っていないときには中止を勧告するという、非常に厳しいものにな っています。  それでは、質問がなければ次にいきますが、いいですか。それでは、動物由来感染症 対策の強化につきまして、何か質問あるいは御意見がありましたら、どうぞ。吉川さ ん、何かございますか。 ○吉川委員  粛々とやってくれているようですけれども、まあ実験動物とか幾つかどうするかんだ という問題が出てきて、今日も今、ここの下か上かで説明会を開いているので、この前 の答申に沿って動いてくれていることは事実で、あと現場とのすり合わせをどうするか ということが少しずつ残っているかと思います。 ○倉田部会長  ほかにいかがですか。よろしいですか。  それでは、一応予定された内容のものは、この資料6までで終わりですが、何か全体 を通して、元に戻っていただいても結構ですが、今日の議題となった問題を含めて何か ありましたら、どうぞ。 ○木原委員  資料6の中身には関係ないんですけれども、一番最後にパブリック・コメントの募集 を開始したと書いてございますが、こういったパブリック・コメントを求めるというの はどういう場合に求めるという決まったものがあるのでしょうか。ちょっと参考に聞か せてください。 ○事務局  現在のパブリック・コメント制度は、閣議決定に基づく各省の了解事項として実施さ れておりまして、国民に対する規制の制定改廃に関しては、そういった手続を踏んで、 その意見を参酌して、職権によって必要な政省令の改正を行うというような手順になっ ております。今後、行政手続法の改正が予定されておりまして、法律に基づく更なる手 続、透明性の確保ということが図られる予定となっております。現在は、閣議決定に基 づく措置でございます。 ○倉田部会長  よろしいですか。  ほかに何かございますか。 ○雪下委員  先ほどのテロの問題に関して、これは医療関係者から、いわゆる天然痘ワクチンの接 種についていろいろ質問があるわけですが、委員会ではこの蓋然性によってのレベル1 〜3の段階を設定し、医療関係者は特にレベル2について大体接種を始めるというよう なことになっているかと思うんですけれども、それで間に合うのか、対応できるのかと いう質問が多いんですが、それについて1つ。  それから、もう一つは、日本では30歳前後以降は未接種者なのですけれども、それに 対する対策というのは、アメリカ等では一時スタートしたようですが、今いろいろ問題 があってやめているようにも聞いてますが、日本としてそういう質問に対してどう答え ておいたらいいのか、その辺のところを教えていただければと思います。 ○倉田部会長  いかがですか。 ○事務局  委員御指摘のとおり、現在、天然痘対応指針というものが改定第5版まで出てござい まして、昨年の8月版が一番最新のものでございます。そのレベル1〜3の話でござい ますが、レベル1というのが平常時、レベル2と申しますのが海外で天然痘テロが発生 したときとか、あと、国内に対しての天然痘テロが予告されたときという蓋然性が高ま ったとき、レベル3というのが、国内で天然痘テロが発生したときと、そのレベル別の 対応というのを先ほどの新型インフルエンザの報告書と同様に、天然痘対応指針の中で も定めているところでございます。  現在、それに沿って各都道府県において行動計画を策定していただくように通知でお 願いしているところでございますが、レベル2場合、テロの蓋然性が高まったときに医 療関係者等の予防接種を行うということでございまして、現在は対応指針ではそこまで しか定めていないところでございますが、具体的な行動計画について各県で定められて おり、その中で対応していただくということになっているところでございます。  ただ、それで本当に間に合うかどうかという点についても、天然痘対応指針について は定期的に見直しを行っているものでございますので、また情勢の変化によって天然痘 の技術委員会というものがございますので、そちらでまた御検討いただこうかと考えて いるところでございます。  それから、2点目の未接種者、1976年以降ですから、もうほとんどのお子さん、30歳 代以下の方は天然痘の予防接種を受けていないという状況でございますので、その免疫 がないという状況でございます。そちらにつきましても、予防接種の優先順位を考えて いく中で、また、天然痘の予防ワクチンの状況も踏まえまして、接種順位については検 討していくべきものというふうに考えているところでございますが、アメリカの状況な ども踏まえますと、一般の子どもなどについて、全数に対して予防接種を進めているか どうか、そういうことについてもアメリカの情報なども参考にしながら、また検討して きたいと考えております。  以上でございます。 ○倉田部会長  よろしいですか。ほかに何かございますか。 ○稲松委員  動物由来のもので、鳥類のサーベイランスは今どのくらい行われているんですか。ウ エストナイルとインフルエンザなんですが。 ○倉田部会長  いかがですか。 ○滝本感染症情報管理室長  インフルエンザは別にしまして、ウエストナイルにつきましては、全国の自治体の御 協力をいただきながら、130か所ぐらいの公園で公園管理者の人に御協力いただいて、死 亡したカラスを発見した場合に、その数をお知らせいただいております。それを感染研 の研究班のところにインターネットで登録していただくということで、今、情勢を見て いるというところでございます。これまでのところ、不審なカラスの死亡数の累積のよ うなウエストナイルの前兆ととらえられるような様子は観察されておりません。 ○倉田部会長  よろしいですか。ほかに何かございますか。  事務局いかがですか、いいですか。皆さんから何もなければ、これで今日の議題と資 料の説明等は全部終わるのですが、よろしいですか。  では、どうも今日は御苦労様でした。ありがとうございました。 ○事務局  事務局の方から御連絡をいたします。次回の日程につきましては、改めて委員の先生 方の日程調整をさせていただいた上で連絡をさせていただきたいと考えております。ど うぞよろしくお願いいたします。