04/12/14 社会保障審議会障害者部会(第22回)の議事録について             第22回社会保障審議会障害者部会  日時  :平成16年12月14日(火)10:30〜12:00  場所  :厚生労働省9階 省会議室  出席委員:京極部会長、嵐谷委員、安藤委員、猪俣委員、江上委員、大濱委員       岡田委員、岡谷委員、北岡委員、君塚委員、小板委員、古畑委員、小林委員       斎藤委員、笹川委員、新保委員、末安委員、高橋(清)委員、武田委員       丹下委員、徳川委員、長尾委員、野中委員、広田委員、福島委員、松友委員 ○京極部会長  それでは定刻となりましたので、ただ今から第22回「社会保障審議会障害者部会」を 開催させていただきます。  委員の皆様方におかれましては、お忙しいところお集まりいただきまして誠にありが とうございます。  それでは事務局から委員の出欠状況、並びに資料についてご説明をお願いします。 ○間企画課長補佐  はい、まず委員の皆様の出欠状況ですが、本日は亀井委員、高橋紘士委員、堂本委 員、永井委員、町野委員から欠席とのご連絡をいただいております。また、岡谷委員、 松友委員が遅れておられるようでございます。  傍聴の関係でございますが、多数のご応募をいただいておりまして、今回やむなく抽 選をさせていただいておりますことをご報告申し上げます。  続きまして資料のご確認をお願いします。まずお手元に配布させていただいておりま す資料は、資料番号1番、「障害保健福祉施策の改革」というものでございます。そし て資料番号2番、「障害福祉サービスに係る利用者負担の見直し」という横の資料を用 意させていただいております。そして資料番号3番、「障害に係る公費負担医療の利用 者負担の見直し」という表題のものを用意させていただいております。それから資料番 号はございませんが、本日大濱委員と福島委員からご意見を記された書類をいただいて おりますので配布させていただいております。  これらの資料と併せまして、委員の皆様の机の上には前回の議事録を配布させていた だいております。ご発言内容に誤りなどがございましたら、12月27日、月曜日までに事 務局までお知らせをいただきたいと存じます。また、資料の不足がございましたらご指 摘いただきたいと存じます。  なお、本日12時より自由民主党の厚生労働部会が開かれまして、このグランドデザイ ン案、とりわけ利用者負担についての議論がなされることになっております。そちらへ の出席を求められております関係上、部長あるいは課長が途中退席をさせていただかざ るを得ません。予めお許しいただきたいと存じます。以上でございます。 ○京極部会長  それでは議事に入ります。改革のグランドデザイン案については、これまでの部会に おいて大きな方向性について評価する意見が出ておりますが、前回いろいろ議論の積み 残しがあると思います。今日は今後法改正を進めるに当たって、詰めるべき論点につい て深めていきたいと思います。  まず、本日の議論の進め方ですが、前回時間の関係で議論をいただけなかった方にぜ ひご発言いただきたいと思います。特に利用者負担についての考え方、もう一度ご議論 いただきたいと思います。また新しい資料も出ておりますので、まず事務局に資料の説 明をお願いした後で討論に入りたいと思います。よろしくお願いします。 ○北川企画官  それでは私の方から資料に基づきましてご説明をさせていただきたいと思います。  本日お示ししている資料の、特に2〜3につきましては、平成17年度予算に係る事項 と。それで法律自体も予算関連法案で提出をしたいということで、現在財務省等と折衝 している最中でございますが、その内容等を簡単にまとめたものでございます。したが いまして、本日は資料1はこれまでご議論いただいたところの概要をご説明していると ころでございますので、特段ご説明の必要はないかと思いますが、資料2、資料3につ きましてご説明をさせていただきたいと思います。  まず資料2でございます。一枚お捲りいただきまして2頁目でございますが、現在の 費用徴収の仕組みをお示ししてございます。支援費制度、それから児童入所施設という ことでお示しをしてございます。ここで実質的な負担率ということをそれぞれの制度で お示ししてございますが、ホームヘルプにつきましては約1%、実際に費用の負担をさ れている方は5%程度。入所・通所施設につきましては、入所につきましては約10%の 負担率、通所につきましては1%程度、児童入所施設につきましては6%でございま す。それぞれ費用負担されている方、入所施設であれば約9割の方がご負担いただいて おりますが、通所施設につきましては下にございますように、月額13万円を超える程度 の費用の部分に着目してご負担を求めているということになっておりますので、実際上 は5%程度の方しかご負担をされていないと。この13万というのは地域によりまして少 しバラつきが出てきますが、こういう前後の数値になってございます。それから児童入 所施設につきましては約6割ぐらいの方がご負担をいただいているというような形で、 現在の公費医療負担の構造になっているところでございます。  こういうような仕組みをごらんいただきますと、それぞれサービス別、施設別、いろ いろな基準がばらばらになっていると。精神の関係の入所施設はここにお示ししており ませんが、ここは実費の関係はすべて全額ご自分でご負担いただいているといったよう な仕組みの違いがあるということで、今回3つのそれぞれの制度を一つにしていく上で どういうような負担の仕組みにしていくのかと、こういうような考え方を整理したのが 3頁目の資料でございます。  それぞれの負担の制度というのを、基本的には実費をご負担いただくということと、 さらに人的なサービスというものにつきまして、サービス量と所得に着目した負担とい う仕組みを組み合わせたような仕組みに変えていきたいというのが考え方でございま す。居宅につきましては、実費等は当然ご自分の世界で生活をされているということ で、特段のご負担は発生しているところでございますので、居宅における人的なサービ ス部分についてサービス量と所得に着目して負担を求めていきたいと。通所につきまし ては、日中の1食分の食費ということでサービスが提供されております。そういう部分 についてはご自分でご負担をいただくという、実費分のご負担をいただくとともに人的 なサービス部分についてサービス量と所得に応じてご負担をいただきたいと。それで入 所施設につきましても同じように、食費、光熱費等についてサービス量と所得に着目し た負担を求めて行くという、負担の組み合わせという形でお願いをしたいということで ございます。  4頁目でございます。この表はお示ししておりますが、これまでサービス量と所得と いうことに着目した負担に係る毎月の負担上限額ということで、これについては他制度 と均衡のとれたものにしていきたいということで、月額生活保護については0、市町村 民税非課税世帯の中を2つに分けて15,000円と24,600円。その他のところの区分につい ては40,200円といったような区分でいきたいということでございます。  5頁目でございますが、今申し上げましたようなサービス量と所得に着目した部分の 費用の組み合わせの考え方でございます。月額負担上限、先ほど申し上げましたように 負担能力に応じまして0〜40,200円というような考え方、所得に応じた負担上下を設定 すると。それで現実にサービス量を使われている方の世帯に応じて、その負担上限まで 一定のご負担をいただくというこういう考え方でございます。いわば、従来の応能負担 というものと応益負担といったものを組み合わせたような仕組みである、というように ご理解いただければ一番正しいご理解なのではないかと思っております。  それで2枚お捲りいただきたいと思います。当初お示しした程度のご負担が増えてい くということの大雑把なマクロの試算をしたわけでございますが、そのときの前提とし たものでそれぞれのモデル的な利用者の負担がどのようになっていくのかというものを お示ししているものでございます。  例えばモデル1でございますが、在宅でホームヘルプを利用する身体障害者の方でご ざいます。利用額は月額84,000円でございます。それで先ほど申し上げました基準で考 えますと、1割負担ということで生活保護の方は0、その他の方については8,400円と いうようなご負担を求めます。平均の負担率、先ほど申し上げましたように1%程度が 約5.9%と。10%にならないのは生活保護の方が多数いらっしゃるというようなことで 5.9%になるわけでございます。因みに、居宅のホームヘルプサービスは支援費移行で は平均負担率は4%であったという実績もございます。  それからモデル2でございます。グループホームで生活しつつ、知的通所施設に通う 知的障害者の方でございます。グループホームの利用者の約2割がこういう方に対象し ております。現在の費用でございますが、グループホームで約月66,000円、通所施設で 月149,000円。これも地域でバラつきがございます。食費を除いた金額。それで22日通 われると。ほぼ毎日通われる、土日を除いてという設定で、これは仮定計算してござい ます。現在国の基準による食費というのが一日650円ずつ支払われています。1食分と いうことで。それで、それを前提に考えますと、生活保護、食費の世界では約22日通い ますので、14,300円と。それで定率負担は1割負担でございますが、生活保護の方は 0、それから低所得1の方は合計額、215,000円の1割ですと、下の21,500円になるわ けですが、上限の15,000円ということで15,000円と。低所得2、一般の方はそれぞれ 21,500円ということで、合計した額は一番右側に書いてある額でございます。  平均の現在の負担率、先ほど申し上げましたように、通所のところは10万円を越えた ような収入のところのみに着目して負担を求めております関係上、負担されている方が ほとんどいらっしゃないということになりますが、今回は食費ということに対して1食 分はいただきたいと。さらにそれぞれの方に一定率のご負担を求めるということになり ますので、結果的には食費+8%対給付費に対してご負担を求めるというマクロ上の変 化が生じるということでございます。ご負担いただく方のベースが基本的には全員に広 がるということで、5%しかご負担いただかなかった方、生保の方以外は基本的にご負 担をいただくとマクロベースの負担を広がるというようなことでこのような変化が生じ るというようにご理解いただきたいと思います。  それから入所施設に入所されている身体障害者、障害児の方でございます。大人の施 設の場合は現在も平均して約35,000円ぐらいご負担いただいております。これは0の場 合もございますし、費用全額をいただいている場合も、両方あり得るという中での平均 でございます。それを今回実費負担等を中心としたご負担を求めることで約60,000円ぐ らいのご負担ということで試算してございます。児童についても、先ほど見ていただき ましたように、大人と異なる非常に低い負担の水準になっておりますし、負担をしてい ない方も多いというようなこともございまして、平均すると約1万円でございますが、 大人と同じような負担をルールを適用すると6万円ぐらいになると、こういう仮定の試 算をしたところでございます。  8〜10はそれぞれ平均的な利用額を前提とした場合はどういうような金額が変化する のかということを階層別にお示ししているものでございますので、後ほどお時間があっ たときにごらんいただければと思います。  11頁目でございます。今申し上げましたように、障害者の関係の給付費に対してどう いうようなマクロ財政に影響があるのかということでございます。上段の18年4月に見 直しを行った場合、総事業費は変動しないと。約9,700億円で1千億ぐらい利用者負担 の増がありますというお示しを前回はしました。その中で約6割が入所、4割が通所に なるわけでございますが、内訳をさらに分解してお示ししますと、実費、食費・光熱費 の関係が約8割ございます。定率の影響が約2割ということになります。さらに通所・ 在宅の中を2つに分けてみますと、通所施設は先ほど申し上げましたように、定率とい うことの影響と食費という影響が二重に出てまいります。そういう関係で居宅関係で 250億円ぐらいの影響を示すと。それで居宅のみで生活されている、通所に通わないと いうような生活の場合には約90億円といったような負担の構成になるところでございま す。全体としては実費でご負担を求める影響というのが非常に大きいということで、大 きな金額を示しているのはほとんど入所施設での約650億円程度というような問題がマ クロ的な対応になっているところでございます。  それで2枚めくっていただきまして、施設における特に通所・入所、全体の費用の8 割財政影響を占めるわけでございますが、そういう部分でどのような経過措置を設けて いくのかと。やはり急激に大きな変化を求めるというのは現実上なかなか難しいという ことでございまして、3点あるんだろうと思っております。  まず1点目は、施設、通所・入所双方における食費等の実費負担というものを円滑に 実施していくための経過措置というのを、一定程度講じることが必要なのではないか と。2点目に、先ほど申し上げましたように、現行の負担水準が低い児童福祉施設に関 して、それでもいきなり6倍という水準の変更はないのではないかということで、円滑 な実施のための経過措置を講じることが必要であろうと。それで3点目に、利用者の実 費負担の軽減を図るということで、食事提供に係る規制緩和を進め、国の基準は先ほど 650円と申し上げましたが、実勢の市場価格から見ると高いというように思われますの で、いろいろな規制緩和を進め食費に係るコストの効率化ということを図っていくこと が必要ではないかと。一方では施設入所者の中には栄養管理等、極めて慎重な管理が必 要な方もいらっしゃいますので、そういう方に対する対応というのを18年度の施設事業 体系の報酬設定の際に評価を考えるということも必要なのではないかというように考え ております。以上が8割の食費の関係の経過措置でございます。  それで2点目の問題としているのは、応益負担、いわゆる定率負担を求める中で、個 別の事情に応じた減免措置というのが必要になってくるのではないかということでござ います。まず1点目は、地域生活・入所施設を通じまして今回の利用者負担の見直しに より生活保護等へ移行することがないように、最終的な負担軽減措置というのを講じて いくことが当然必要になるのではないかと。2点目に、現行年金水準で障害基礎年金2 級ということで、グループホーム、入所施設での生活が可能となるような個別の対応と いうことを考えていくことが必要なのではないかと。こういうグループホーム入所施設 というのは住居提供、食事ということについて事業者側が提供するということになって ございますので、そういう点に着目して何らかの措置が必要なのではないかと、こうい うことでございます。 14頁目でございます。そういう中でどういうものを尺度に費用 負担というのを考えていくのかというようなことで、それぞれの支出の実態の数値をお 示ししてございます。一般家計、グループホーム、入所施設というようなことでお示し してございます。  一般の家計でございますが、全世帯平均、これは家計庁の基の数値でございますが、 一人あたりの家計は94,000円の支出でございまして、食費、外食込みで22,000円程度。 居住費ということで13,000円、その他生活費が約60,000円と。これは遊興費その他を含 んでいる額でございます。年収200万円ぐらいの世帯になりますと、食費が16,000円と 一人当たりで減りまして、居住費はあまり変わらないと。その他生活費が21,000円に減 ってくるというこういうところでございます。年収200万円と申しますと、今回低所得 者の2といったような水準で、大体住民税非課税ということが想定されるラインという ことになるのではないかというように考えてございます。  それで現状のグループホームの費用負担の、これは知的障害者のグループホームの場 合でありますが、一人あたり約52,000円、これは食費と居住費のみを見たときでござい ます。食費が24,000円、居住費が28,000円でございますが、少し飛びまして24頁をお開 きいただけますでしょうか。  現在のグループホームの費用負担の状況でございます。先ほど申し上げました数字は あくまで平均でございまして、それぞれ分布がございます。例えば食費であれば20,000 円未満とか、20,000〜25,000円。大体一般家計の食費に近いような数字でやられている ところが約6割。月25,000円以上、なかには40,000円以上の食費をとっているところも あるという中での平均の24,000円でございます。したがって、40,000円以上食費を支払 える方というのは一定の実は負担能力がある方であろうという推測がされるわけでござ います。家賃につきましてはいろいろなバラつきがありますが、これはどちらかと言う と地域差みたいなところが反映しているのではないかと。共益費についても5,000円〜 25,000円、この内容はさすがに分析不能でございますが、もう少し中身を見ていきたい と思っておりますが、こういう中でいろいろなバラつきがある中での平均的な数値が 52,000円であるというようにご理解いただければいいかと思います。  それで14頁に戻っていただきまして、入所施設に入所される身体障害者の方の今の応 能負担での水準額でございます。基礎年金2級66,000円の場合に大体応能負担で19,000 円、これは食費、居住費、サービスというサービスのすべてを提供されている上での応 能負担19,000円でございまして、他の家計の支出に比べても非常に低い。その他自由に とまでは申しませんが、手元に残って自分の判断でなされる費用というのが約47,000円 程度残っているというのが状況でございます。1級の場合でも同じく手元に約49,000円 ぐらいの金額が残っているというところでございます。  これも飛ばしていただきまして25頁まで行っていただきますと、25頁の下の資料、先 ほどのグループホームのいろいろなデータの次の頁でございます。2級でそれぞれ身体 障害者の施設だけご説明しましたが、例えば知的入所の更生施設であれば日用品費は施 設側が提供するということで応能負担の額が増えております。それでその他の生活費と いうことで手元に残る金が26,000円ぐらいという違いもございます。精神の生活訓練施 設でございますが、基本的には全部実費でご負担いただいております。平均額でござい ますが、いろいろなバラ付きがあろうかと思いますが、食費、光熱費、住居費というの を足し合わせると約47,000円ぐらいになるんでしょうか。それで手元に年金の対応であ れば19,000円ぐらいのお金が手元に残ると。これはそれぞれ施設によって費用の手元の 残り方が違っているというのが現状でございます。  それで、15頁をお開きいただきたいと思います。そういう中で今回制度改正案に係る 経過措置というのをどのように講じようかというのが15頁目でございます。これは予算 関連で今財務省と折衝している具体的な内容ということでございます。1点目が、地域 生活関係の経過措置ということで、通所施設の食費負担に係る減額ができないだろう か。特に低所得者の方を中心に生活保護、低所得1ということを対象に考えていけない かと。具体的には食費負担について人件費相当分を給付していきたいと。したがって月 額5,000円程度、国の基準であれば本来の負担の1/3程度ということに、3年間は軽減 し円滑な移行が図れないだろうかということでございます。  それからグループホームの応益負担に係る個別の減免ということで、低所得1、2の 方を対象に考えられないだろうかと。応益負担につきまして一定額以下の預貯金しかな い方を対象に、一定の基準で算出した生活費、後ほどご説明しますが、障害基礎年金2 級相当と本人の収入を比較して負担が困難な方に対しては個別に減免していくという仕 組みを施行後3年間導入しまして、継続の必要性についてはその時点で実態調査に基づ き再検討していくというような仕組みがとれないだろうかということでございます。  それから2点目が、入所施設関係の経過措置ということで、一点目は20歳以上の入所 者に係る負担の経過措置ということで、食費負担につきまして食費や居住費以外のその 他生活費として一定の額、試算の前提では1.5万円というのが前提で行っておりました が、18年からはまず2.5万円、21年には2.1万円ということが残るようにした上で、収入 の範囲内で食費等の実費をご負担していただこうと、段階的な見直しを図りたいと。さ らに応益負担については、グループホームと同様の個別の減免ということを同じ期間実 施していくと、もちろん見直しも考えていこうということでございます。それから20歳 未満の入所者に対する負担の経過措置でございますが、収入のない20歳未満の方につい ては年金を尺度にするということができないということで、地域生活をしていれば通常 掛かる程度の費用というものにつきまして、その範囲内で親御さんにご負担を求めると いうような形で対応していきたいということでございます。  さらに3点目に、地域生活入所施設を通じました個別の特別減額制度ということで、 より低い月額負担上限を適用すれば、生活保護を要しなくなるような方について個別の 申請に基づきまして減額制度を設けるとこういう考え方、大きく3つの柱で行っていき たいということでございます。  具体的な仕組みは次の頁から3点ございます。まず1点目ですが、地域生活関係でご ざいますが、通所施設の食費負担、原則は利用者の実費負担で、実費の額は施設ごとに 決めるということでございます。契約でございますからいろいろ高いところ、安いとこ ろと出てくると思いますが、実費は施設が決めると。それで制度施行後3年間は生活保 護、低所得1の方に対して人件費月分を給付として支給するということでございます。  それから下のところがおおむね1日あたり、1月あたりの合計額でございますが、1 点間違いがございます。1月合計の食費の生保・低所得1、「0.5千円」と書いてござ いますが、「0.5万円」の間違いでございます。夜中につくっておりましたので間違え てしまいました。失礼しました。それで右側でございますが、グループホーム利用者に 係る個別減免、低所得1、2の対象でございますが、制度施行後3年間個別の減免制度 を設けると。それで、現在障害基礎年金2級のみで生活している方がいるという前提で 基本的な費用構成を尺度としまして、いわゆる年金を尺度として本人の収入と比較し応 益負担の個別減免の範囲を定めたい。下の絵のような形で、収入と費用尺度を比べて個 別に負担を求める減免をすると。こういうやり方をやっていきたいということでありま す。  それで費用構成の各事項の額というのは、年金の額66,000円の範囲内で家計調査等を 踏まえて施行時までに検討していきたいと。障害基礎年金等の方ですと、1級の方とか 一定の高齢者の方については、一定の生活上のコストがさらに掛かる場合もあるという ことで加算して計算をしようと。さらに、それ以外の方については、工賃等の収入から 3,000円を基礎控除するということをお示しして、さらにその他の収入をどういうよう に収入認定して家計比べをしていくかということについては引き続き検討していきたい というように考えているところでございます。地域生活が実施できるようにすべて負担 を求めるというようなことは考えずに、どの程度の水準で求めていくかということは施 行まで考えていきたいと、こういう趣旨でございます。  17頁目でございます。入所施設の関係の経過措置の概要でございます。まず20歳以上 と20歳未満に分けてございますが、20歳以上の方につきましては年金収入から一定の生 活費を控除した上で、食費、光熱水費の実費を優先的にご負担いただきたいということ でございます。当該実費が年金収入等を上回るような場合には、実費の基準の範囲内で 補足的な給付を実施するということでございます。具体的には下の絵にございますよう に、その他の生活費、先ほど申し上げましたように18年度には25,000円を手元に置くと いうことで、食費、光熱水費は現在の水準からいきますと58,000円程度と。そのうち食 費が48,000円、光熱水費が10,000円と。さらに申し上げますと、48,000円のうち材料費 が20,000円で人件費が2.8万円と、こういう構成でございます。それを年金2級と比べ ますと、17,000円の差が出るということで補足給付は17,000円支給すると、こういうよ うな形を考えていこうということでございます。さらに応益負担分、年金2級であれば たぶん15,000円、低所得1ということになろうかと思いますので、そういうものの先ほ どのグループホームと同じような考え方で補足給付を足した分と応益負担の比較をする というようなことを行い、さらに収入・預貯金等に基づいて減免措置を考えていくと。 一定の預貯金のある方については預貯金から支払いただきたいと。こういうような考え 方の個別措置を講じたいということでございます。  20歳未満の方につきましては、下の絵だけでご説明をしますが、一点違っているの は、まず収入面で個々の世帯の収入というのは親御さんの収入は全部捕捉できません し、子どものためだけに使っているわけではございませんから、家計調査を基に考えた 低所得世帯における一人あたりの平均的な支出50,000円程度と。先ほど見ていただきま した200万円未満の収入の世帯の方の支出でございますが、それとの範囲内でご負担い ただけないかと。さらにコストの面の費用基準につきましては、18歳未満の方について は教育費ということで加算をしようということで4,000円の加算をし、そしてその差額 分のコストになるということで、具体的に申し上げますと約21,000円ぐらいのご負担を 求めると。50,000円からその他の生活費25,000円、教育費の4,000円を引いて、食費、 光熱水費分として21,000円程度ご負担を求める結果となると。それ以上のところについ ては補足的な給付を行おうということでございます。応益負担についても、ご本人は当 然18歳未満でございますから、通常考えれば預貯金もないというように考えております ので、そこについては給付ということで負担を行おうということでございます。  18頁目でございますが、これは地域生活・入所施設共通のものとしてそれぞれ負担上 限を、生活保護の基準を用いながら生活保護の基準に適用される場合には、より低い負 担上限、基準を適用していくと。24,600円が15,000円に、15,000円を0に。0より下と いうのは当然ないわけでございますが、そのような仕組みとしていきたいということで ございます。  以上の結果でございます。それを戻して19頁でございますが、そういうような経過措 置を行ったとした場合でございます。一番右側にありますように、特別減額制度という のは地域生活、入所施設全体に係る仕組みでございます。それを中で、特に変わってい くところでございますが、モデル2のグループホームで生活し通所施設に通う知的障害 者の場合でございます。赤字で書いてあるところとブルーのところが変わっているとこ ろでございますが、赤字は食費の関係の経過措置でございます。それでブルーの関係が 個別減免での変化を示すものでございます。  低所得者1の方であれば、5,000円に15,000円の個別減免の上限を受けて、場合によ って食費だけの5,000円から個別減免を受けない場合の20,000円まで範囲がございます と。低所得2の方であれば、食費の変動はございませんが、個別減免の影響で食費の 14,300円から35,800円の範囲内で変化が起きると。こういうような仕組みでございま す。それで低所得1の方が全員個別に定率負担が免除されたという場合を前提に考える と、食費についてはマクロで大体負担増で大体2割ぐらいが軽減され、定率については 5%程度、ホームヘルプを利用されている方と身体障害者のマクロの率と同じぐらいま で変化するということでございます。  それでモデル3にありますような施設につきましても、大人の場合は60,000円ぐらい が48,000円、約8割ぐらい減りまして、さらにあとは個別の預貯金の状況でご負担をい ただく場合があり得ると。さらに児童の場合については、年齢で少し違いが出ますが、 おおむね上昇分の半分ぐらい、50,000円ぐらい上昇するところを25,000円ぐらいの上昇 ということで経過的な措置を行っていく、こういう仕組みをしてございます。  20頁がさらに全体のマクロ的な変化を整理したものでございます。ホームヘルプサー ビスでございますが、先ほど申し上げましたように1〜7%、この7%というのは知的 障害、障害児、精神障害の方を全部足し併せた数字でございますから、他の身体障害の 方より生活保護の率が低いというようなこともありまして、全体としては7%程度の数 字になっているということでございます。  さらに下に行きますが、入所施設でございます。今現在10%程度ご負担いただいてい るものが、経過措置として約16%、ホームヘルプサービスの上昇率と同じような上昇率 になっているということでございます。これは経過措置でございますので、基礎額が変 わっていけば21年には52,000円ということでベースが変化すると、こういう考え方でご ざいます。さらに、入所施設の中でも大人と子どもの変更でございますが、右側の下で ございますが、大体5%程度の負担のものを18歳未満の方の場合には14%程度、9%程 度の上昇と。できあがりの負担率の世界でみれば、大体大人の世界よりはいくぶん低い 数値としてセットできないかということで考えてございます。さらに通所施設につきま しては、食費の軽減等を行っても1〜16%ということで、15%程度の上昇と。これは定 率分、それから食費分と両方の制度の負担の見直しが両方効いてくる部分でございます ので、どうしてもこういう高い率になっているということでございます。ただ、現状先 ほど申し上げましたように、一番下に書いてございますが、現在の費用負担の仕組み上 どうしても高い費用の方までも費用を求めないという仕組みになっている以上、やむを 得ない面もあるのではないかというように考えているところでございます。  それ以降の資料につきましては、今申し上げましたような個別の仕組みをそれぞれご 説明しているものでございますので、後ほどごらんいただく時間があればごらんいただ ければと思います。  続きまして公費負担医療関係の利用者負担の見直しでございます。2頁目でございま す。これは現在の仕組みを整理しているものでございまして、平均的な医療費について は、精神については30,000円、更生医療・育成医療はそれぞれ入院があるということで 平均40万円程度になっているというところでございます。それから課税世帯の割合です が、これはあくまでも推計でございますが、精神については1〜2割ぐらいではなかろ うかと。厚生医療・育成医療につきましては、これは費用徴収でデータがとれておりま すので、大半が一般の平均的な世帯ということになってきているということでございま す。  3頁目でございます。現在の費用負担の仕組み、軽減措置の課題ということで整理し ているものでございます。下の方にございますように、精神通院公費は完全に医療費に 応じた応益負担でございますので、低所得者であっても高額な医療費の場合には高い負 担を求められると。それで更生医療・育成医療というのは逆に一定の高い医療費であっ ても同じ負担額にガチッとなってきます。先ほど見ていただきましたように、通常の課 税世帯、サラリーマン世帯が非常に増えてきているにも係わらず医療費にあまり連動し ないような負担になっている、ということについていろいろな見方がされるようになっ ているのではないかと、こういう考え方でございます。  それで4頁目でございます。今回、公費負担医療の利用者負担の見直しとしまして、 まず対象者の重点化を図りたいということでございます。所得の別に一定の負担能力の ないグループ、それから一定の負担能力があると認められるグループ、それから中間層 ということで3つ大きくグループを分けて、さらに中間層の中を重度かつ継続的に医療 費負担が発生する方とその他の方というように分けて、この中の負担能力の乏しい世帯 については継続的に給付対象にしていこうと。それで重度かつ継続の方についても、そ の状態が続く限り継続的に給付対象にしていこうと。一定の負担能力の高い方について は医療保険で対応していただきたいと。それで残った中間層のその他の方については、 再認定の要件というのを明確化して1年ごとにその必要性についてきちんとチェックし ていくと、こういうような仕組みを入れていきたいということを考えてございます。  それで5頁目でございますが、5頁目はそういう重点化と併せて負担の仕組みという ものを医療費と所得に着目したプランにしていきたいということでございます。負担上 限については、負担能力の乏しい方は0〜5,000円、重度かつ継続、これは中間層のあ る程度負担能力のある方でございますから5,000円〜10,000円。その他の類型の方につ いては1割負担の形にしますが、上下は医療保険と同じと。それで、30万以上の所得税 を払っている方については、医療保険で黒い線に従ってやっていただきたいと、こうい う考え方でございます。それで入院時の食費については、入所施設等福祉のサービスと 同じように自己負担、いわゆる日額780円程度ご負担を求めていきたいということでご ざいます。  それで7頁目でございます。そういう試算を前提に一定の試算を行ったときの費用の 前提でございます。これはまず通院からでございますが、平均的な医療費は精神が 30,000円、育成医療20,000円に比べて更生医療は透析は約30万円、それ以外が12万5千 円というように高くなってございます。それを今回の仕組みに当てはめますと、大体改 正前後で1〜2%ぐらいの負担率、医療費に対して、変化になってくるということでご ざいますので、マクロ平均について見ればそれほど大きな違いの変化は生じていない と。これはあくまでの平均的な医療費の場合でございます。  8頁目でございます。更生医療、育成医療の入院でございます。大体約90万〜80万ぐ らいの平均的な医療費が掛かっているわけでございますが、改正前後で見ますと更生医 療が約3%増に対しまして、育成医療は約6%ぐらいの増ということで、これはサラリ ーマン世帯の方が非常に多いということと、短期間に医療費が発生する場合が多いとい うことも事情になっているわけでございますが、倍ぐらいの上昇率をしているというこ とで、ここには何らかの措置が必要なのかもしれないということが見えてくるわけでご ざいます。 それで9頁目が、精神通院公費の医療費を示しております。公費負担医療 の大半は精神通院公費が占めてございますので、それを分布を特にお示ししてございま す。大体平均以下の医療費の方が約9割ぐらいの変化を占めているということで、一定 の高い医療費の方が平均額を引っ張って上げているというのが現状でございます。  それで10頁目でございます。どういうような利用者負担の変化が生じるかということ でございます。モデル1ということでお示ししているのが、病名はそれほど意味がござ いません。月額医療費1万円ぐらいと、月一回ぐらい受診すると1万円の医療費が掛か ると、こういう感じで思っていただければ結構でございます。そういう方は現在500円 のご負担をいただいておりますが、今回の負担の仕組みでは生活保護の方は500円、一 定所得以上の方は3,000円、医療保険の対応です。それ以外の方は1,000円ということ で、500円程度のご負担の上積みをお求めしたいと。一方、月額医療費15万円ぐらい、 デイケア等で通われているような方の場合には、今現在のご負担は7,500円いただいて いるわけでございますが、見直しの案では生活保護の方は0、低所得1の方は2,500円、 市町村民税非課税世帯の方については5,000円と。所得税課税の通常世帯の方は1万円、 一定所得以上の方は4.5万円ということで、ここは相当ご負担が増えるなというのが数 字としては気になる点でございます。  それから11頁目でございます。更生医療:腎疾患、通院で人工透析を実施される、最 近の実態は透析や通院の方が増えてきておりますので、月額の医療費は約28万円と掛か っております。そうしますと、今の負担ですと低所得2までの方は0円でございます が、所得税課税の方は1万円までの負担になっている。今回の案では、低所得1、2の 方に最低2,500円、5,000円のご負担をお求めしたいということで、それ以外の方につい ては大きな負担の変動はございません。  それからモデル4の育成医療でございますが、月額医療費約150万ぐらい掛かると。 今の平均一件あたりをみますとそれぐらいでございます。それで、低所得、ここの変化 は非常に複雑でございますが、一つは負担の見直しと入院ですから食費の見直しという のが両方掛かってくるということでございます。そういう目で見たときに、食費のご負 担というのはもうお願いしたいということでございますが、気になるのは所得税課税の ところで6,900円から44,000円程度のものが85,000円で780円ということで、ここの上が りが激しいかなということで考えられるのではないかなということでございます。これ が先ほど申し上げました全体の比率を、平均的な負担率を大きく引き上げている理由に なっているところの部分でございます。  13頁をお開きいただきたいと思います。そういう意味で今回の利用者負担の見直しに 係る論点として3点あるのではないかというように考えております。一つは、重度かつ 継続の具体的な範囲をどういうようにしていくかということが一点。それから2点目 が、重度かつ継続でありますが、一定所得以上の方に掛かる円滑な移行措置というのを どう考えるのかと。例えば先ほどの例であれば、7,500円が45,000円に上がるという点 でございます。さらに、今回の見直しで平均的な負担率が急上昇する育成医療に係る措 置というのが必要になってくるのではないかということで、理由は先ほど口答で申し上 げたようなブルーで書いたところでございます。  具体的には14頁にありますように、こういう措置を講じたいというように考えている わけでございます。一つは、「重度かつ継続」の範囲というものを実証的な研究を踏ま えて2年以内に見直しをするということで、当面の措置としては次の頁の下をごらんい ただきたいと思います。疾病症状等から対象となる方として、精神については統合失調 症、躁鬱病、これは狭義の躁鬱病を念頭に置いています。それと難治性てんかん。それ と更生医療、育成医療については腎臓機能・小腸機能・免疫機能障害ということを対象 にしたいと。それから疾病に係らず高額費用の場合については対象とするということ で、医療保険の多数該当の者という事例を出してございます。これについては2年以内 にいろいろな研究者の方、検討会等を設けて範囲について確定していきたいというよう に考えているわけでございます。  それと2点目は、重度かつ継続であって、一定所得以上の方に対する経過措置でござ います。15頁をお開きいただければわかりやすいかと思いますが、右側の下、所得は高 いけど重度かつ継続というような方に対しては、新制度施行時は経過的に給付対象にし たいということで、制度施行3年の段階で見直しをするということを考えてございま す。対象については隣の対象と同じようなものでということ。負担については一定程 度、2万円程度というご負担を考えていきたいということでございます。  それから3点目は、育成医療の中間層への対応でございます。15頁の絵の上の真ん中 でございます。こういう部分については一時的な高額医療費発生の場合への経過措置と いうことで、新制度施行時はおおむね300万程度の医療費について給付対象となるよう 経過措置を実施したいということを考えていこうということを考えております。こうい うような3点の経過措置を講じたいというように思っております。  16頁は因みに育成医療の若い世帯への経過措置の概要をお示ししているものでござい ますが、こういうようなことを具体的にやりたいということで、段階的には縮小を図っ ていこうということを考えているものでございます。  それで最後に、こういうような経過措置を講じることによってどうなるかということ が最後の頁にございます。モデル2の方が、先ほどは45,000円ということで負担が上が ったところを経過措置で給付の対象とし、20,000円の上限には掛かりませんので15,000 円という給付対象になったと。それから育成医療の場合の所得税課税の84,900円+食費 というところが58,000円+食費ということで、27,000円程度の給付が出るような仕組み になっている。これは医療費によって大きさは変わりますのでいろいろな数字が出てま いりますが、このような経過措置を講じたということでございます。  ちょっと長くなりましたが、資料説明は以上でございます。 ○京極部会長  どうもありがとうございました。大変詳しい資料なので時間が掛かってもしょうがな いと思います。それでご質問がありましたらぜひ順次お願いしたいと思います。特に前 回ご発言いただいていない方は優先的にお願いします。まず、本日資料をいただいてお ります福島委員、いかがでしょうか。 ○福島委員  事務局からのご報告を伺って、私自身通訳を受けながらですので細かい数字のところ まではきちんと把握できていない部分もありますが、北川さんがおっしゃっていたよう に応益負担と応能負担を折衷したような部分があったり、あるいは経過措置を設けたり していろいろご苦労や工夫をなさった跡はあるかと存じます。ただ、最終的にはこうい う金額の問題、給付の量とか負担金額の問題というところにぎりぎりの線では来るのか もしれませんが、私は非常に議論のされ方、進め方に違和感をもっております。  つまり、そもそもこの審議会には法案提出の権限はありませんし、決定権もないわけ ですね。政府で一つの法案化、議員立法しかなくて、もちろん議決するのも議員の先生 方の権限なので、私たちにはそれはない。私たちは何をするのかというと、それは議論 をすることだろうと思います。それで福祉制度、財源ということも含めて、もちろんテ ーマには入るわけですが、私の意見では議論の順番は最初に理念があって、理念ないし 哲学ないし基本的な考え方があって、それに基づく具体的な自然のあり方、障害者のニ ーズという部分の議論があって、次の第二段階として制度がある。そしてニーズや理念 を実現化する制度がある。どんな制度がいいか。それから次に財源があるという順番が 本来だろうと思います。もちろん財源は有限ですから、その財源の限りある有限性から 今度は制度やニーズの方にフィードバックしていってまた調整するという往復運動が必 要なんですが、どうも最初に財源の枠がある。さらには最初に制度があるという議論の 持って行き方が非常に違和感をもっております。せめて、この審議会では障害者の、私 は障害者の傍にいる人たちの立場に立ってのニーズはどうなのか、基本的な理念はどう なのかということを考えるべきではないかなと。決定権は私たちにはないけれども、さ まざまなことを考えるのが我々の役割ではないかなと思っております。  その前提で私見を述べさせていただこうと思います。今日はペーパーをお配りしてい るんですが、私は10月の段階でグランドデザイン案が出たときから、応益負担の問題に ついては非常に問題だと思っておりました。それで、私自身でもなぜ応益負担が問題な のかということを整理してみましたので、今日のペーパーはそういう中身になっており ます。 先取りして結論を申し上げると、現状で応益負担を導入することは理念的に適 切ではないだろうと思っております。金額がどう、利用料がどうという金額の問題では なくて、基本的な考え方として現状では適切ではないだろうというのが私の意見で、さ らにこのグランドデザイン案が障害福祉サービス法案が非常に唐突な形で出されてき た。もちろん短い間に先ほどご報告があったようなさまざまな給付水準なども含めて次 々と計画を立てていただいてご苦労なさっていると思いますが、いかにも急いで作業が 進められている。私たち審議会のメンバーも議論の過程には加わっていないという状況 があるかなと思いますので、一旦原点に立ち返って本当に今このタイミングで応益負担 が必要なのかということをぎりぎりいっぱい考える必要があるのではないかなと。その 上でどんな制度が、その上でどういう料金かという話ではないのかなと思っておりま す。議論の順番が逆転するかなと。 それで今日のペーパーなんですが、問題をクリア にすることを目標にちょっとセンセーショナルなタイトルにしているんですが、「障害 者福祉への応益負担導入は保釈金の徴収だ」と書いているんですが、中身としてはグラ ンドデザインで示されたいくつかの基本的な方針には私も賛同しているんですね。例え ば障害者施策に係る個別給付の部分が、国の義務的経費化されるという明記があった り、あるいは地域生活へのシフトを重視したり、3つの障害種別を横断的に考えていこ うという姿勢が出てきたり、さらにもっと大きな問題としては将来を見通したときに、 財源を保険にするのか税にするのかという議論がありますが、医療や介護やあるいは福 祉というものを全年齢のすべての国民の基本的な生活支援を行う包括的なサポートシス テム、そういうものに包含・統一していくという方向性がおそらくこのデザインの根底 に流れていると思いますので、それ自体は正しいと私も思っております。しかしなが ら、現状ではやはり今の議論が尽くされていないこのタイミングで応益負担を導入する ということは、非常にさまざまな問題があるだろうなと思っていますので、もちろんグ ランドデザインがほかにもいろいろな論点がありますが、私は応益負担のことだけに絞 って考えてみたいと思います。  一番として、この「応益負担は無実の罪で収監された刑務所からの保釈金の徴収に等 しい」と書いているんですが、これは誤解のないようにまずお断りしますが、これは私 も書きながら反発を買うかもしれないなと思いながら。つまり、これを書くと障害者の 皆さんからも、あるいは刑務所に入っている皆さんからもどちらからもお叱りを受ける かもしれないなと思いながら書いたんですが、あくまでも比喩、例えですので。それ で、刑事訴訟法上は保釈金が適用されるのは刑務所ではなく拘置所、刑が確定していな い被告人の拘置所だそうですが、ここは法律論を語るのが目的ではないので、そのへん の厳密はご容赦いただきます。  私が考える国が取り組む最も重要な役割というのは、国や社会や一人々の国民の安全 を守ることだと思っております。その意味で、重度障害者の多くはいわば個人レベルで の安全保障が脅かされている存在ではないかなと。例えばトイレや風呂、食事といった 日常生活・動作における支援へのニーズはまさに命に直結するもので、それだけでなく 他者とのコミュニケーションとか自由な外出ができなければ、例え人は物理的に生きら れていたとしても心理的に魂の面で生き辛くなる。最悪の場合は魂が生きる力を失って しまうということだと思います。これは私自身がかつて体験したことがありますので、 ややナイーブな表現になっていますが、本当に物理的に生きられるだけでは生きていけ ないと思っております。  一方、私たちの社会は犯罪者を拘置所とか刑務所とかに収監するという制度をとって います。そして、そこで行動の自由や、コミュニケーションとか、情報へのアクセスの 自由を奪って制限するという法制度をもっているわけですね。こうしたあり方の内実の 是非は議論があると思いますが、こうしたことが罪の償いになると考えられているとい うことは、すなわち人が生きる上でこれらの自由の制限がその人に大変な苦痛を与える と私たちが考えているからだろうと思います。そう考えると、比喩的に言えば障害者は 行動の自由やコミュニケーションの自由が奪われているという意味で、いわば目に見え ない透明な壁に囲まれた刑務所に、しかも無実の罪で収監されてしまっているそういう 存在だと言えるのではないかと、そう思っています。  そしてその透明な壁から抜け出して解放・釈放されるためには、人的なサポートを含 めたさまざまな支援が必要です。障害者がこの透明な壁の刑務所に入ったのは、むろん 罪を犯したからではなくて、生まれながらの運命だったり不慮の事故だったりするわけ で、いわば自然災害と同様の個人の力や責任のレベルを超えたところで想定不能な事態 だと思います。こうした個人の責任を超えた困難な状況を社会全体で支援しようとする のが本来の福祉施策なのではないか。もしそうなら、こうして生きる上での基本的な自 由を保障するための支援に利用料を求めるということは、それが仮に定額であっても、 それはすなわち  障害者が無実の罪で閉じ込められたこの透明な壁の刑務所から解放されるための保釈 金を支払うのに、本人が家族に求めていることと同じなのではないかと。しかも一回だ けではなくて、支援を必要とする限り毎日でも保釈金を本人や家族から繰返し支払わな ければならないというのと同じではないか。例えばこういうように考えられるのではな いかと思っています。  2番以降、「です・ます」で読んでいると時間が掛かりますので、このままやや議論 が複雑なので読ませていただきますが、障害者施策に応益負担を導入しほかの制度と平 等にするなら、障害者への対応全般を被障害者と平等にする必要がある。なぜ障害者だ けが特別なのかという議論がある。介護保険を必要とする高齢者も、医療保険を利用す る病気の人も、障害者も同じなのではないかと言われる。そして、もしそうなら障害者 のサービスも医療保険のように応益負担を導入すべきだという議論がある。私も障害者 だけが特別に取扱われるのは適切ではないという意見には賛同する。高齢者も病気の人 も障害者も区別なく、国民すべてに生存に不可欠な資源や自由が保障され、安全・安心 に暮らせる社会を生みだすべきだと思う。しかし、現実の法制度はそうなっていない。 例えば重度障害者が働く作業所などでは、最低賃金法が適用されていない。そして、障 害者の失業率は国民全体のそれよりもはるかに高い。これは厳密な統計は出ていないよ うですが、いくつかのデータから推測して圧倒的に高いと思われます。  こうしたことに代表されるように、障害者に対する差別的な取扱いや仕組みが厳然と 残っている。さらに日本の障害者施策全体は個人のニーズを基本としているのではな く、画一的な障害認定制度を中核とする特別な枠組みでの取扱いを基本としている。こ うした現状を温存する一方で、サービスの負担の部分だけ皆平等だというのは理念的な 一貫性に欠けるのではないか。  次に、過剰なサービス給付は応益負担導入でしか防げないのかという問題ですが、そ れでもどうしても課題が残る面は確かにあるだろう。例えば障害者の側はもともと支援 サービスが多ければ多いほど幸福だというわけではないので、過剰なサービス給付を求 める動機は倫理的に存在しない。しかし、サービスの供給側が公的機関でない場合、利 潤追求のために必要以上のサービスを供給しようとする不正な動機が供給側に生じる可 能性は否定できない。そうした問題を防ぐための一つの手段として、一定のルールに基 づく応益負担を課すという選択肢もあるだろう。しかしそれはほかの方法は別の仕組 み、工夫でもさまざまに対応が可能なはずだし、それがまず目指すべきなのではない か。  なお、財源確保と供給の抑制を同時に目的としていると想定される本人所得が低い場 合の同一生計の家族による負担という仕組みの導入にも賛成できない。もとより、どの ような公的支援制度が導入されたとしても、家族と同居する障害者はその障害ゆえに有 形・無形の支援を家族から受けているものであり、本来そうした家族による支援を社会 的労働として認定するのが適切であるはずだ。ところが、現在の家族への手当は障害者 特別控除など税制面での間接的なもので、額も実質的に大きいとは言えない。そこに新 たな家族の経費負担を導入すれば、障害者との同居で発生する有形・無形の特別な負担 にさらに新たな経済的負担が加算されることとなり、制度利用が不適切に抑制され、結 果的に障害者の自立や社会参加はますます困難になりかねない。確かに多くの場合、家 族は同居する障害者を家族の一員として愛しているだろう。だからこの制度を導入して も必要な経費負担を忌避する家族はそれほど多くはないかもしれない。しかし、仮にそ うであったとしても、これは公正な制度なのだろうか。これは障害者のニーズを社会全 体で支援しようという発想ではなく、本来家族で面倒みるべきもの、それが社会が一部 手伝うのだから、その見返りに家族が費用を負担せよ。それが障害者を家族に持ってし まったあなた方の運命だと言っていることと同じであり、家族の連帯意識や愛情を逆手 にとった財政削減の巧妙な仕掛けに思える。  給付は青天井なのか。応益負担議論の根底には障害者のニーズに十分に応えようとす れば切りがなく、社会的コストが果てしなく増えていくのではないかという不安が暗黙 裡に存在するように思われる。しかし、果たしてそうか。障害者のニーズ、とりわけ人 的支援のニーズには自ずから限度があり、同時に支援を求める障害者の人数にも限りが あるため、一定の水準内には必ず収まる。今利用が伸びているのは、これまでニーズが 隠されていた、つまり本人が、周囲が犠牲になっていたからであり、利用の伸びは本来 は望ましいことであり、やがて一定の水準でおおむね固定されるはずだ。ところが、そ れなのに制度利用の拡大がなにか悪いことのように、とんでもなく不適切な状況である かのように語られるのはおかしいのではないか。  また社会全体の負担の総量はこれまでと同じか、むしろ少なくなるだろう。なぜな ら、これまで障害者のニーズは潜在していて顕在化していなかった。それはなにを意味 するかと言うと、本人が我慢していたこと。つまり、本人が自立や社会参加や就労が果 たせずにいたことと同時に、家族や周囲の人、特に女性が犠牲になって支援をしていた ことを意味するのではないか。障害者支援の自立は社会を活性化するための投資だ。障 害者への公的な支援が伸びれば、一見コストが嵩み社会の負担が重くなるかのように思 えるけど、そうではないだろう。なぜなら、障害者自身の社会参加が進むことで経済的 効果の側面があるだけなく、より本質的にはこの日本という国と社会がどのような条件 の人の尊厳や基本的自由をも大切にする国であり社会なのだ、と国民が具体的に身近に 実感できることで、国民の広い意味での心理的な安定・安心、豊かさの実感へと波及し ていくだろうと思われるからだ。  さらに、これまで家族として無償労働での支援を強いられているがゆえに、社会への 参画が制約され働く機会が事実上制限されていた人、主に女性が新たな労働力として社 会に参加することで経済的な効果も含め、社会全体を活性化させるという中長期的なプ ラスの側面もあることを忘れてはならないだろう。それでも導入するのなら、極めて慎 重な対処を。  以上のことから結論として、障害者福祉施策における応益負担は本来望ましくなく、 できる限り避けるべきだと私は思う。なぜなら、そもそも応益負担の域という言葉自体 が不適切だと思うから。求められているのは利益なのではなく、生きる上で最低限必要 な身体動作、移動、コミュニケーション等に関する基本的な自由の保障なのである。そ して、それでもなおどうしても導入せざるを得ないのなら、極めて慎重な対処を求めた い。すなわち、それは必ず障害者本人の所得保障や雇用機会の拡大とセットにすべきで あり、同時に制度設計運用への利用者の参画や、現在のサービス給付量を低下させない など、厳格な条件を前提とすべきである。  また、過剰は不正供給を抑制するための方策も、応益負担や家族負担に頼るのではな く、ほかにもさまざまな工夫がなされるべきだ。現在の日本では人口20人に一人が障害 者と認定される。言い換えれば、1/20の確率で障害という心身の条件は人生のいずれか のタイミングで誰にも必ず生じ得る。障害者も税金を納める、医療保険も介護保険も障 害者は保険料を納入する。しかし、「障害者」という役割に伴う有形・無形の負担や不 利益は当然のことながら障害者しか引き受けておらず、経験していない。こうした役割 を生きている障害者にその状態ゆえに必然的に生じる最低限の支援の必要を抑え、社会 は応益負担をせよと言うものだろうか。社会とはなにか、福祉とはなにかを再考したい と。 ○京極部会長  なるべく文書で出している方は要点だけを話していただいて、読み上げると皆さんの 発言時間を奪ってしまいますので、以後よろしくお願いします。  いろいろ議論があるところでありますが、事実認識もきちんとさせていただきたいと 思いますが、グランドデザインはこれは審議会の委員の中から、ぜひ出せという意見が あって、それを事務局が受けたという経緯もありますし。それから2年前の平成14年の 12月24日、新しい障害者基本計画の中でも言葉は使っておりませんが、今の障害福祉サ ービス法についての大まかなデッサンというか、考え方は述べておりますので、唐突に 出てきたものでは決してないと思っています。  応能負担についてはいろいろ議論がありますが、財源方式で税か社会保険かというこ とにも関係して、負担方式だけ一人歩きするということではなくて、措置制度とか支援 費制度は税方式をとっている限りは応能負担方式をとらざるを得ないという問題もあり ますので、負担方式だけを議論するというのはなかなかそこだけ議論しても、財源がど うなっているかということと関係してきますので、財源方式も含めて議論を行っていき たいと思います。  それから大濱委員が前回ちょっと時間の関係で発言できなかったので、まず優先的に お願いします。 ○大濱委員  私たちの団体のペーパーが提出されていますので、ポイントだけを説明させていただ きたいと思います。  私どもの団体は昨日役員会を開きまして、急遽今日に提出するということで、文章の 差し替え等があります。委員の方には差し替えた文章を配っていただいております。私 たちの団体としては基本的には、「すべての障害者が安心して普通に地域で生活できる か否か」という視点に重きをおいて考えております。したがって、従来から財源の問題 がいろいろ言われておりますが、これに保険活用か公費かという議論は、いかに地域で 安定した生活ができるかということを重点的に考えているということで、この視点から 私たちのペーパーを出しております。  それでこのグランドデザインにつきましてはいろいろな問題がありますが、基本的に は3障害を統一したということと、義務的経費化したということについて私たちは評価 しております。ただ、谷間に置かれた障害者の方たちをどう取扱うのか。この点は緊急 に具体的な盛り込みが必要なのではないかと思われます。  それと先ほど福島委員が言われました応益の理念の問題ですが、私どもは高齢者の介 護保険の場合の理念と障害者の理念とは違う。ようするに高齢者の場合は、それまで自 分の子どもを育ててきたその高齢者で自分たちの子どもに応益的な負担を求める。よう するに所帯主というのは自分の子どもになるわけですから、子どもが高齢者を支えると いうのはそれは理に適っているのではないかと。それに対して障害者というのはそうい う立場にはなくて、小さい頃から障害をもったり、中途障害をもっているということ で、自分としての世帯を支えているそういう世帯主ということではないわけです。高齢 者の場合は自分たちが育てた子どもたちに支えられている。そういうところで応益とい うのは理解できますが、障害者の場合の応益とはそこは理念的には違うのではないかと いうことをここで一点申し上げたいと思います。  それと、最後に添付書類をつけておりますが、これは財源問題の、参考資料です。財 源の問題、これについて非常に言われていますが、日本のこれは国立社会保障人口問題 研究のホームページからの資料ですが、ここではっきり見られますように、参考資料 1-2というのを見ていただければわかりますが、日本の場合は非常に障害者に対する 費用の負担の割合が国際的にも低い。はっきり言って0.9%、1%未満なんです。これ に比べて次に低いアメリカでも1.5%、非常に高いスウェーデンでは国民一人に対する 比率が8%ということになっているわけです。日本の財源に占める障害者を含めた弱者 に対する負担が非常に低いというのは、この統計資料ではっきり出ているわけです。や はり障害者が地域で生活するため、または施設で生活するためこの費用が伸びていく、 これは当然のことでして、あまりにも低すぎるというのが日本の現状であります。今後 は最低限アメリカの1.5%程度まで、国民所得の割合に対する障害分野に対する比率が 増える。将来的にはその水準までは増え続けるというのは当然のことで、そこらへんは 国の責任であるというのが私たちの考えです。以上です。 ○京極部会長  ありがとうございました。長尾委員。 ○長尾委員  3点ほどですが、一つは通院公費負担の件につきましては、前回の資料で出されまし たGAFから統合失調症、躁鬱病等の疾患が出たということで、それからまた高所得の 部分の経過措置が盛り込まれたということについては評価したいと思いますが、やはり まだ「重度かつ継続」ということは今後の検討課題となっているということで、これに ついてはまだこれ以外の疾患についても相当継続しなければいけない人たちがいるの で、これらについては十分に検討を今後していただきたいと。  それから、この3障害が一緒になるということでの負担の問題と、もともとの精神の 通院公費負担が入ってきた経過ということ、これはライシャワー事件から入ってきたと いうことですが、こういう入ってきた趣旨をきちんと踏まえるということ。今後もやは り継続してそういう趣旨というものを踏まえて続けていただきたい。  それから、医療のことに関して今後の居宅サービス等々のことがこれから議論される わけですが、現在介護保険等では介護と医療というものが両立しない部分もありますの で、そういう精神の場合にはやはり福祉も医療というのが疾病と障害が並存するという ことで、これは必ず医療というのをきちんと担保できる状態を今後も検討していただき たいと。  それから、ちょっと今日の部分とは外れますが、このグランドデザインの方から確か に自立支援ということでの方向というのはいいわけですが、やはり自立・就労に関する 事業プログラムというのに非常に重点が置かれていると。これについてやはり、そうで ない部分の人たちにもきちんと、そこまで至らない人たちにも十分保護が保障されると いうことをやっていかなければいけないということ。それと、こういう事業についても いわゆる成果主義でそういうなんらかの成果を求めないとプラスされないということで あってはいけないので、そういうことをきちんと踏まえて今後検討していただきたい。  それともう一点は、それに伴って施設体系とか事業体系の見直しの中で、障害者支援 施設と生活福祉事業というのがあるわけですが、これにつきましては今精神の部分でこ れに該当する部分がない。それで今回3障害が一緒になるということでの中で、やはり こういう部分も精神も考えられるべきではないかという3点についてちょっと意見とコ メントを申し上げます。 ○京極部会長  ありがとうございました。ちょっと私の席順で左右が見にくいので、いつも手を挙げ ていてなかなか発言できない方がいらっしゃるので、斎藤委員。 ○斎藤委員  まず今説明を受けました資料の2の16頁、これをちょっとお訊ねしたいんですが。今 回いろいろ数字を出されておりますが、このベースになっている数字がこの16頁の右の 下の「※」のところに、費用構成の各事項の額が家計調査を踏まえてなっているという ことですが、そういう捉え方でよろしいんですか。 ○京極部会長  はい、事務局からお答えをお願いします。  ○北川企画官  すべてを家計調査に頼っているというわけではございませんが、どういうような費用 の先ほど申し上げました支出実態という尺度をどういう形で求めていくかということで ございますので、あくまで家計調査は一つの事例でございますから、ほかの今の現状の データというのももちろん尺度として使っていくことも当然あり得ると、こういうこと でございます。 ○斎藤委員  この家計調査の中身がよくわからないので、ちょっと間違った質問になるかもしれま せんが、これは一つの家庭など、一人の国民が支出している額がここに縷縷羅列されて おります。しかし、我が国の国民の中には多くは漁業とか農業とか携わっている人たち がいるわけですが、自分で米をつくったり野菜をつくったと。または魚を獲ってきた と。これには金は払わないで食卓に乗るわけですね。そういう部分がかなり僕はこの数 字をまだまだ押し上げていくのではないかと。そういうものがこの家計調査の中に含ま れているのかどうか。これによってこの数字の構成が相当変わるのではないかと思いま すが、いかがでしょうか。 ○北川企画官  家計調査全体のデータが今手元にないのですぐにお答えできませんが、まず全体的な おっしゃったような自家消費型のものだと経済的にどれぐらいのウエイトを占めている のかということだと思います。全体での家計調査はマクロで動いているものをミクロの 世界に落として実際に消費はどう動いているのかということですから、マクロ経済の中 でもし自家消費型の比率が、例えば途上国のように非常に高くて現金化されていないと いうことがあれば、先生がおっしゃったように相当な金額ベースで動くかもしれません が、あくまでもこれは家計調査、母数をとって平均化した形で数字を抽出してやってい ますので、通常考えるにこれが例えば1万、2万これで支出が上がるとか、自家消費の ために、そういうようなことはあまり考えにくいんじゃないかと。全体の中で自営業の 中で自分で食っている部分がどれぐらいの経済に占めている比率があるか、という程度 の比率の影響しかないんじゃないかなと思います。具体的な数字は次回の審議会までに 少し用意してご説明したいと思っております。 ○斎藤委員  それから、これまでの審議会で何回か同じようなことをお願いしてきましたが、身体 障害者の生活の場が福祉ホームしか今はないわけでして、この福祉ホームは長年の歴史 で今62ヶ所しかつくられていない。今回、3障害者統合というような意味合いからいき ますと、ケアホームなりグループホームなりの身体障害者を入れていただきたいと。こ のことをお願い申し上げます。 ○京極部会長  ありがとうございました。後でまとめてお答えを、厚労省からお話を伺うことにし て、なるべく短い時間でございますので委員の発言を優先したいと思います。ではこち らの列から岡谷さん、北岡さんの順番で。 ○岡谷委員  私は何回か欠席をしておりまして意見を言うチャンスがなかったんですが、少し今日 の特に費用の負担のこと以外にちょっと意見を申し上げたいことがございます。  グランドデザイン案につきまして、その中で先ほどもうご指摘がありましたが、特に 今回3障害が一緒になって一つの施策としてつくられていくわけですが、総合的な自立 支援システムということなんですが、その中にやはり「訪問看護」という視点が非常に 抜けているような状況がございます。やはり障害者の方の中に精神障害者なんか特にそ うなんですが、病気ということを抱えながらそれが生活の障害を起してきているという ことがたくさんございますので、やはりそういう視点から医療と介護ということの統合 的なサービスということを考えていったときに、やはり訪問看護ということの視点も入 れていただきたいなと。それで中を見ますとほとんど「訪問看護」という言葉が入って いないので、このグランドデザインですからぜひ訪問看護ということをもう少しきちん とシステムの中に入れていただきたいなということを一点だけ申し上げたいと思いま す。 ○北岡委員  たくさんの資料なので十分に自分自身が把握しているのかどうかわからないんです が、私が日頃から知的障害のある人の地域生活を支える仕事の立場から、印象から申し 上げまして、これは2級年金の66,000円をベースにグループホームで暮らしながら通所 施設を利用するという方々について、結論から申し上げますと非常に厳しいというか、 生活できる実態のイメージが湧いてこないというのが正直なところでして。  私たちの仕事の背景からすると、やはり家賃とか光熱費、食費などで52,000円とかし て、生活諸費という部分で25,000円ぐらい掛かると。これに加えて通所施設に通う場合 には食費などが掛かってくると、非常に。例えば2級年金66,000円をベースで暮らす人 たちの生活のイメージが湧いてこないというのが一つです。もちろん1級の年金を取ら れた方は、それは利用料としてやはり2級年金のベースの中の暮らしということになっ てくるんでしょうから、働く方の就労向上の問題などもいろいろと議論をしなければい けない部分もあるのかなと思いますが、このままでは、いろいろな暮らしがあるんでし ょうが、私の実感からして今既にグループホームで暮らしながら通所・授産を利用して いる人は生活保護に流れざるを得ないという感じが正直言ってします。それか、施設に 戻ると。または地域移行になかなか進まないんじゃないかという感じがしまして、グラ ンドデザインの基本である保護から自立支援という部分について、ここが実はもう少し イメージがもてるように、たぶんいろいろな制度との整合性やその他いろいろ事務局の 方でご苦労されたんだろうと思いますが、ちょっと地域生活を支えている実感からして 非常にイメージが脆弱になってしまうという、そういう意見を持っております。  もし、私の今の話などで詳しい、例えばこの知的障害者福祉協会がお出しになったデ ータが、もう少し詳しいものを見てみないと何とも言えないんでしょうが、少しこの実 態も改めて急いで調べてみて、私が今発言した内容と違いがあるのかどうかというよう なことを、そう思っております。たぶん都市部、どこを指して「都市部」というのかわ かりませんが、都市部の方はもっとこれは厳しい状況になるんじゃないかと思います。 ○京極部会長  ありがとうございました。今後ちょっと詰めて議論したいところでございます。では 君塚委員。  ○君塚委員  障害児については白紙であり、3年かけて結論を得るという話だったと思いますが、 そういうことなしに今日こういう形で負担が突然出てきたということがまず問題で、特 に障害児の負担の大きさというものはあまりにもショックであります。それで3年掛け てということであったし、そういう原則のままで行くのであれば障害児のためにも私は この部会員を辞めなければいけないぐらいに思っています。  それで、いくつかの中で試算のやり方についての問題点を感じた部分を指摘させても らいます。障害児が入所した場合には特別児童扶養手当は家庭には入らなくなります。 そういう面で在宅と入所とのバランスというのがとられているわけですが、そういうこ とも考慮なしにまず入所の負担を大きくしていると。そういうことが一つあります。  もう一つは、小児医療が崩壊に瀕している中で、育成医療の月額150万円、先天性心 疾患の手術など障害児施設には入りません。それなのにそういう特殊なところから持っ てきていると。それで肢体不自由児施設なり重症心身障害児施設の医療費は月額大体平 均でおおむね60万円だと思います。それなのに150万で計算しているという形ではおか しいと思います。  さらに細かいことを言えば、食事では経管栄養、管から与える食事が多いですし、そ れから中心静脈栄養、あるいはアレルギー食、あるいは刻み食という治療に関係した食 事が多くなっています。そういう点も医療との関係で明確にされないままに、すべて一 包みにするという形で計算しているのは適当ではないと思います。  それから「重度で継続的な」とありますが、この中に最初の頃は頚椎損傷、重度の脳 性麻痺、ALSなどが入っていたんですが、今回は名前としては消えている。右の方に 高額な医療という形であるんですが、もう少し明記していただきたいと思っています。 そういう形で、3年を掛けるという形で皆と相談した中で、こういう形で障害児の実態 を知ることもなく出てきたということについては大変不満であります。以上です。 ○京極部会長  今日はあくまでも参考数字ということで事務局でつくっていただいたことと、それか ら議論の中で全体として私どもの議論の中で、医療給付と福祉給付の関係が十分に整理 されていないまま議論していますので、そのあたりももともと介護保険のときも医療と の関係について附則で出ているんですが、あまり議論が十分でないということもありま して、特に重度の障害の方については全部福祉給付でやるかどうかということも大きな 問題で、施設の場合は医療給付を7割、8割使って、福祉的な方が2割、3割ですが、 在宅になると全部医療なしでということにいきませんので、そのへんの整理もきちんと これから論点として立てて議論するべきではないかと思っています。  では、こちらの列の方。では徳川委員、野中委員という順番で。 ○徳川委員  時間がないので簡単に要点だけ。3点申し上げます。  一つは先ほど福島委員がおっしゃった、負担が一人歩きするということについては、 私も同感であります。やはり理念的なものをまず置いて考えるべきであって、負担の一 人歩きということだけを平等というのは問題があると思います。  しかし、2点目、応益負担について私はこれを賛成します。と言いますのは、やはり 一人間として社会人として必要なものに対する負担は当然だと思います。ただし、それ は食費とか住宅、または光熱水費等々、当然一般の方が払うものについて負担なさるこ とはこれは私は賛成でありますが、障害ゆえに出すべきお金については、やはりそれだ けに負担が掛かってはいけないと思います。そのために応益負担とセットであるものは やはり所得保障だと思います。その所得保障は生活保護の方が2万円あまりの手持ちと いうことで限られておりますが、果たしてこれで文化的な生活ができるのだろうか。や はり障害を持った方々が教育、文化等々で相当の生活ができるような所得保障というも のとセットにしなければ、私は応益負担は問題があると思っています。応益負担そのも のについては問題はない。ただ、これについて今一つのパイの中で考えていますが、大 濱委員がおっしゃったように、国家財政の中でもっともっと障害者に対する国家財政を 増やすということは我々は声を挙げていくというのが我々として必要だと思います。  3点目、これが施設の事業の体系でございますが、医療いわゆる生活療育事業と生活 福祉事業に分かれておりますが、おそらくALS等々がこの医療関係に入っていくと思 いますが、我々がお世話している療護関係ではほとんどが生活福祉事業に入ると思いま す。しかしそのほとんどが医療を非常に要求している方であって、事実本当に資格のな い者が吸引とか導尿等々をせざるを得ない状況に今我々は立たされて、非常に悩んでお ります。やはりこういう方が適切な医療が持てるような財源なり、または必要ならば資 格の緩和等々も考えていくべきではないかというように思っております。これは療護に 入っている方で日常生活をどうするか、いわゆるほかの支援サービスを受けるべきもの が受けられないというようなことも起こってきますので、こういういくつかの6つの事 業に分けることは非常に賛成でありますが、谷間の人が出ないようにということを一つ 検討していくべきだと思っております。以上でございます。 ○広田委員  今日一つは部長以下、途中でいらっしゃらなくなってしまったので、次回はそういう ことがないようにしていただきたいと。国会議員も国民の代表であるならば、私たち委 員も国の代表である。国民の代表であると認識しております。それで、ここに矢島精神 保健福祉課長だけが残ってしまっているんですが、残っているということは国会議員の ところで精神障害者の問題が話し合えないのかなということで、非常になんであなたは いるのと。だから今出て行ってくださいというわけではないんですが。絶えずそういう ことで日本の障害者の歴史は精神障害者が置き去りにされてきたということで、まさに それが今如実に表れているということで、私は今後もこれが続くのかと思うと、何のた めに委員をやっているのかと。矢島さんとは仲がいいから会うのはうれしいけど、あん たも行くべきではなかったのかということをまず申し上げておきたい。ぜひ部長には国 会議員のヒアリングは委員会とかち合わないようにしていただきたいと。ここで出たお 話はぜひ国会議員にお伝えしていただきたいということをまず申し上げておきたいと思 います。  それで昨日の夜中に帰りましたらファックスが届いておりまして、通院公費負担32条 につきましてはこの前意見を既に述べておりますが、こういうのが入っています。地域 で医療につなぐための社会防衛システムとしてつくり出された。そして32条利用者は、 いろいろなことが書いてありますが、我が国の精神科医療は36万床と世界的に類のない 大きな病床を持つに至っていますと。それでいろいろなことがあって、精神障害者が孤 立しないために通院公費医療制度負担は不可欠な唯一の実質的国家保障であったという ことで、これを継続してほしいというファックスが昨日の夜中に入っています。ここに 出てくる社会防衛上、精神障害者が治安の対象者にされてきた歴史から考えると、本来 は国が精神障害者の施策について謝罪をして、一からチャラにするほどの大きな出来事 だというように私は考えております。   それで、たまたま昨日読売新聞、各紙が朝日、読売、産経、毎日、東京、神奈川いろ いろな新聞を見てますが、「大奥」という男性はあまりちょっと興味はないかもしれま せんが、大奥第一章というのをテレビでやっているんですが、その中で木村多江さんと いうのが徳川家光の正妻の役をしていると。この人が役づくりをするためにインターネ ットや本を調べているうちに自分が鬱状態になったと。このぐらいにもう鬱とか何かが 流行っているんですね。そういうことを考えたときに、全家連さんが精神障害者のスポ ーツ大会を精神障害者の啓発と位置付けて応援しようとかやっているんですが、そうい う時代はとっくに超えて、まして精神障害者というのは私も含めて非常に疲れやすい と。疲れやすい中でスポーツ大会を、やりたい人はやればいいと。私も10月からフィッ トネスクラブに通いだしまして、精神障害者手帳を使って割引されていまして、水中歩 行か何かやっています。それで結果的に2キロ痩せまして、もともと体重が多すぎたと いうこともありますが、骨折したところのリハビリなり、膝と腰の負担を軽くするため に行っているんです。  それで、個々の人がそういうように、例えば近所には30分で150円のカラオケがあっ て、ドリンクが付いているから30分の間に自分の好きな歌を歌いながら、飲んでいると きには私の大好きな郷ひろみの「2億4千万の瞳」というのをかけながら聴いている と。そういういろいろな生活があるんですが、ぜひここの応益負担とかいろいろな形で 私たちのところにお金が掛かることだけでなく、もっと国全体で削減できる予算がいっ ぱいあると思います。本来ならば国体だって戦後日本が荒れ果てて道路もない、公園も ないという中でつくりましょうということで、全国一巡したら終わるはずだったけど終 わらないと。  そういうグローバルな視点で、ここには記者さんも来ておられるし、国会議員にも合 える、厚生労働省の管理職さんたち、ぜひそういうように広い目で、大きな目で見て、 これから21世紀の2005年以降を見据えたときに何が本当にこの国の国民にとって大事な のか。国体でも何でもそうだと思いますが、精神障害者のスポーツ大会をなぜ言うかと いうと、本当にやりたがっているのは精神障害者本人よりも関わる関係者なんですね。 そこに金が落ちれば利権が生じるわけですよ。一旦手にした利権というのは手放したく ないというのが人間の趨勢なんですね。ですから、なにかコトを始めるときにはお金が ない中で、人手がない中で、それこそ北川企画官にしろ、間補佐にしろ、本当に病気に なるんじゃないか、倒れるんじゃないかというぐらいやっていますから、当日しか資料 は出ないという形になっていますが、そういう中でやりますと、これからの時代にとっ て何が必要で、これまでやってきたけど、ここは淘汰するべきかということをグローバ ルな視点で話し合っていきたいというように思っております。  それで、ちょっと全家連さんには全家連再建に向けてがんばっていただきたいと。ス ポーツのことはそのほかの人に任せておけばいいんじゃないかなと。それでやりたい人 は自分でお金を出してやると。いわゆる人として暮らすためのお金を所得保障がどう出 るかということと、精神障害者にとっては本当にこれから企業の中で働いていかせてい ただくときに、精神障害者特有の障害に見合った企業の受入れ方をお願いしますという ことで終わらせていただきます。どうも矢島さん、失礼しました。 ○京極部会長  ありがとうございました。時間がちょっとオーバーしましたが、最後にまとめて事務 局の方からお答えできるところはお答えして。  また年度末ですが、異例なんですが、27日に仕事納めのときに審議会をやるというの は生まれて初めてですが、また発言の機会がございますので、今日はこれぐらいにした いと思います。 ○北川企画官  それでは私からまとめてご説明を追加する分とお答えする分をやらせていただきま す。  まずご指摘いただきましたグループホームと通所の件と児童福祉施設の件、これはま ずていねいに事実関係をご説明したいと思います。グループホームの関係でございます が、お示しした資料2の2の23頁をお開きいただきたいと思います。グループホームに 係る、利用者に係る個別減免の考え方ですが、基本的には今年金のみでお暮らしになっ ている方、特に2級の方については現状の状態を基本的に維持していこうということ で、その実態に応じて減免を考えていこうという考え方でございます。したがいまし て、年金のみで実際に地域で暮らされている方がいらっしゃるということであれば、す べて免除されて今と負担構図は何も変わらないと。こういう構図になります。  さらに、一定の収入をお持ちになっている方の場合にどうなるのかというところがた ぶん次に問題になってくるだろうと思っています。そういう意味で、先ほど委員の方か らご指摘があった件は、たぶん一定の工賃とか仕送りがあって、それがすべて自分のた めではなくて利用者負担に取られてしまうのではないかと、応益負担ということで、そ ういうことになるのではないかと。そういう意味でここではすべてを書き切ってござい ませんで、工賃の場合には3,000円基礎控除をまずすると。それから以降は全部もらう ということではなくて、さらにどういうような費用の一部をご負担いただくかというこ とについては、今後さらに決めていくことが必要だろうと。10稼いでいただくなら、そ のうちどの部分をご負担に回していただけるんだろうかという問題については、さらに 次回以降具体案を示してお示ししていただきたいと。  そういう意味では、先ほどご指摘のあったのは10稼いだら10取られてしまうんじゃな いかということではなくて、10稼いできたら例えば9残るのか、8残るのかと。それが どれぐらいの水準の世界なのかということは、さらに具体的な事例でお示しできればと いうように考えているわけでございます。そういう意味で今の生活が壊れてしまうとい うことではなくて、今の生活を基本的に維持することをベースに、どれぐらいご負担を 実際に求めることができるのかという、そういう収入認定の世界で考えていこうと、こ ういう考え方でございます。そういう意味では、今よりも少しご負担いただくことは事 実だと思いますが、それがいきなり生活を破綻させるという世界のものになっていくと いうようには考えていないようにしていきたいと、このように考えているわけでござい ます。  それから児童関係の施設の話でございます。資料の26頁をお開きいただきたいと思い ます。まず事実関係でございますが、3年間掛けて検討していくという件については、 措置権を都道府県から市町村にどう委譲していくのかとか、施設の再編というのをどの ように考えていくのかということで考えてきたということでございます。今回お話をさ せていただいている資料につきましては、26頁の上の絵は福祉型の児童福祉施設を考え ているわけでございます。考え方としては例えば18歳以上の大人の施設には18,19の方と 20以上の方がいらっしゃると。一方、児童福祉施設の中には18までの方もいらっしゃい ますが、18以上の方、半分以上20歳以上の方がいらっしゃるような施設も出てきている という実態の中で、どういうように福祉の世界で費用負担を公正にしていくことが必要 であるのか、このような考え方をとっているわけであります。  そういう意味で、先ほど特別児童扶養手当のお話がありました。ただし、基礎的な支 出の世界という目で見れば、障害がある方も、ない方も最低限の支出があって、さらに コストが掛かるということで特別児童扶養手当を利用していただいている。一方、施設 に入所された場合には、基礎的な支出というのはその家庭では発生しなくなるというこ とになりますから、その範囲内でなんとかご負担いただけないだろうかと。その代わり に特別な追加的な部分については、こういう補足給付という形で追加的にプラスαのサ ービス部分を出していこうと。そういうような考え方に立っているわけでございます。 そういう意味で、急激に変わるということではなくて、特別児童扶養手当とか大人の負 担の見直しと整合性のとれたものを福祉の世界ではつくっていこうと、こういう考え方 でございます。  さらに、医療型の児童施設のお話、公費負担医療とたぶん絡めていろいろなお話をさ れたんではないかと思いますが、医療型の児童施設については26頁の下にございますよ うに、医療費の負担軽減措置というのを併せてつくっていこうと。全部自己負担で求め るのではなくてというようなことを考えております。だから、そういう意味では重症心 身障害児施設とか、肢体不自由児施設というものにつきましては、上の絵と照らし合わ せて見ていただければわかりますように、医療費の部分というのは発生するのは入院時 食事療養費の780円、650円、500円という部分と、医療費の高額医療費の上限、例えば 50万円の医療費であれば7万とか14万とか負担の上限が発生するということになろうと 思いますので、福祉系の費用に係る応益負担分に加えて医療費の負担上限というものを 特別に設定すると。いわゆる、先ほど示させていただいた3つの公費負担医療制度に続 く4つ目の入所施設型の公費負担医療制度というのをつくっていこうと。そういう中で 負担の軽減を図っていきたいと、このように考えているわけでございます。  具体的な上限の設定というのは18年の10月からの施行になりますから、18年度予算と いうことになりますので、福祉型の施設における負担構成との均衡をとった形で進めて いきたい、こういうことでございます。いずれにしても児童関係の施設については、18 年の10月から実施ということで予定をしてございますので、もう少し説明が必要であれ ば次回以降ていねいな説明ということを資料を取り揃えてやりたいというように思って おります。  それから、あといくつかご指摘いただいた点でございますが、まず応益負担と財政責 任から財源を強くしてほしいというこういうお話がございました。思想的にはいろいろ 我々も考えるところがございますが、それは次回以降いろいろご議論したいと思います が、今回事業計画をきちんとしていこうと。それから支給決定のプロセスを審査会を含 めて透明化していこうと。それから一定の定率的な負担を求めていこうということと併 せて、なんとか財政責任の確立ということで義務的経費的な扱いをしていただくという ことで財務省と最終的な詰めをしていると。それを前提に17年度の予算の非常に厳しい 状態をなんとかクリアするために、こういう制度改正を18年の1月から実施するという ことになるわけでございます。そういう意味では障害者の方には厳しいことをお願いし ているということでございますが、財政的にもなんとかそういう問題をクリアして、こ れまでの伸びをなんとか賄えるような仕組みにしたいということが実現できそうだとい うように考えてございます。  ただ、先ほどOECDデータの比較のお話がございましたが、このデータがどういう ものを範囲にしているのかというのは少し分析をさせていただいてご報告したいと思い ますが、ベースがだいぶ違っているということもございますので、我々としての考え方 も次回以降お示ししたいというように思っております。  さらに事業関係でいろいろご意見やお考えがございました。一つは、身体障害者のグ ループホーム、ケアホームという問題、それから精神関係とか障害者支援施設といった ようなお話がございました。実際に我々が悩んでいるのは、どういうような対象者の方 の状態図を考えていくのかという基準というものがなかなか明確にすぐにつくれない と。特に精神の場合にはあるのではないかと思っておりますが、今回の考え方としては 法律上の枠組みとしてはそういうものは対象にしていくと。ただし、具体的な基準化と いうことの作業ができた段階で実際に制度に乗せていくというような二段階の対応にな るのかなと思っておりますので、それはまた年明け以降に具体的に施行を考えていく上 でいろいろご相談をさせていただければと考えているわけでございます。  それから、訪問看護のお話がございました。確かにグランドデザインでは訪問看護の ところには触れていないわけでございますが、それはあくまで公費をベースにした仕組 みというようになりますと、今は医療保険を訪問看護は財源にして行っておりますの で、なかなか書き切れないというところもありまして記載していなかったというところ でございます。したがいまして、今回の制度改正で訪問看護というのを公費の世界に持 ち込むというのはなかなか厳しゅうございますが、例えば老人の福祉法が介護保険法と 関係を強めたときに、医療から訪問看護が介護保険給付としてなったという経過と同じ ように、さらに介護保険のような活用ができれば医療と福祉の関係において訪問看護も より活用がしやすくなってくると。こういう関係になるのではないかと思っておりま す。そういう意味では、事務局としてはそういうような関係も含めて全体的な障害者行 政の発展というようなことについてより考えていきたいというように考えているわけで ございます。  あと、いくつか細かなご指摘があったと思いますが、それはまた次回以降いろいろな 資料を出しながら法律改正、施行の関係で我々の考えをお示しする中でご議論いただけ ればというように思っております。私からは以上でございます。 ○京極部会長  矢島課長、お残りになっているということで、今予算戦争の大変なときですが、一言 ご発言をお願いします。 ○矢島精神保健福祉課長  では最後にあいさつをさせていただきます。  部長が席を外さなければならない事態になりまして大変申し訳ございません。どうし ても国会の関係でこの法案の関係も、グランドデザインの関係も含めまして今呼ばれて おりまして、そちらのほうに抜けなければいけないということで、部長から「あとは矢 島に任せるから」ということで私は任されまして、すごく光栄に思っております。そう いう意味でこの場を任せていただけるということは大変光栄だと思っております。  本日皆様方からいただきましたいろいろなご意見を踏まえまして、今、北川企画官の 方からもご説明をさせていただきましたが、今後詰めるところは詰めさせていただきま すが、予算の関係だけにつきましてはもうそろそろほとんど予算の方も締め切りという か、そろそろ内示という時期になっておりますので、そういう意味で今、北川企画官か らご説明をさせていただきましたように、我々これから伸びる障害福祉のところの分を 一応考えながら、これからもサービス量が増えていくということを考えながら予算を組 んでいかなければいけないという中で、ぎりぎり一生懸命にがんばっております。そう いう意味でいろいろなご無理もお願いしておりますが、そのところについてはご理解い ただければ大変ありがたいというように思っております。それから運用面について工夫 できる点については、これからも我々は一生懸命に考えていきたいと思っておりますの で、なにとぞよろしくお願いします。  本日はどうもありがとうございました。 ○京極部会長  時間がだいぶオーバーしましたが。 ○大濱委員  一言だけよろしいですか。申し訳ございません。  今日の委員会、これは2時間ですが、実際の中身は実質1時間以上厚生労働省事務方 の説明で費やされています。これですと本当に委員会の形成が成り立たない。委員が発 言する時間がない。きちんと議論ができない。この前、与野党の方からヒアリングが私 たちの団体にありました。議員さんたちが言っているのは、サービス法について唐突に 出てきたと。それについて議員さんも内容がわからないと。今勉強中だということで、 これは非常に問題がある。外で今、障害者の人たちが寒い中抗議活動しています。これ は何でかと言うと、やはり地域生活が本当にできるのか。本当に具体的な内容は何なん だということがまったく見えないので皆騒いでいるわけです。ぜひ、この議論をしっか りと、私は委員として出席している限りは責任を全うしたい。そのためにはもっと十分 に議論できる場をつくっていただきたい。このままだと本当に厚労省の説明だけで、私 たちが発言する時間がなく、これでは委員会として成り立たない。そこらへんの整理を 早急にしていただきたい。 ○京極部会長  次回が27日にございますし、また今日の議論だけでなく、今まで審議会で出た意見を ぜひ反映させて国の法律案に生かせていただきたいと。制度設計についてはかなり詰め て議論しなければいけないところが多々ありますので、その点は国の方にもぜひ要望し たいと思っております。では、今日はどうもありがとうございました。 ○間企画課長補佐  最後に日程のことだけご連絡申し上げます。次回はただ今部会長からお話がありまし たように、予算編成などのことも含めまして報告をさせていただく予定でございます。 次回、12月27日、月曜日の10時半からを予定させていただいております。場所は厚生労 働省の6階の共用の第8会議室でございます。現時点の出欠状況がおわかりでしたらお 知らせいただければ幸いでございます。以上でございます。                                     (了) (照会先)     社会保障審議会障害者部会事務局                     厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部                       企画課 企画法令係(内線3017)