04/12/10 薬事・食品衛生審議会一般用医薬品部会 平成16年12月10日議事録 薬事・食品衛生審議会 一般用医薬品部会 議事録 1.日時及び場所   平成16年12月10日   10:00〜 厚生労働省第8会議室 2.出席委員(10名)五十音順   青 柳 伸 男、 板 倉 ゆか子、 荻 原 幸 夫、 長 尾   拓、   野 中   博、◎松 尾 宣 武、 松 木 則 夫、 望 月 眞 弓、   山 本 信 夫、 山 元   弘 (注) ◎部会長   欠席委員(5名)五十音順   岩 月   進、 太 田   宏、 小宮山 貴 子、 武 政 文 彦、   桃 井 真里子 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、    川 原   章(審査管理課長)、 平 山 佳 伸(安全対策課長)   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長) 、   古 澤 康 秀(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)  他 森   和 彦(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長) 坂 本   純(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)   牧 野 ゆり子(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)   池 田 年 仁(独立行政法人医薬品医療機器総合機構一般薬等審査部長)   伏 見   環(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全部長)    他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻になりまして先生方おそろいでございますので、ただいまから一 般用医薬品部会を開催させていただきたいと思います。本日はお忙しい中お集まりいた だきまして誠にありがとうございます。当部会委員数16名のうち現在10名に御出席い ただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。御欠席の 委員は岩月委員、太田委員、小宮山委員、武政委員、桃井委員でございます。  審議に入ります前に、部会長の交替について御連絡いたします。部会長をお務めいた だいておりました石橋委員が審議会委員を御退任されました。薬事・食品衛生審議会令 第七条第3項の規定により、本部会の委員の互選によって部会長が選任されることとな っております。どなたか御推薦いただけますでしょうか。どうぞ、望月先生。 ○望月委員 国立成育医療センター名誉総長の松尾宣武先生を御推薦申し上げたいと思 います。 ○審査管理課長 どうもありがとうございます。ただいま松尾委員を御推薦いただきま したが、いかがでございましょうか。 ── 拍手 ── ○審査管理課長 どうもありがとうございます。それでは松尾先生、部会長席へ御着席 いただきまして、ごあいさつをお願いいたします。 ── 松尾委員、部会長席へ移動 ── ○松尾部会長 御推薦いただきまして大変光栄に存じております。諸先生方の御協力、 御指導を頂きながら務めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたし ます。 ○審査管理課長 それでは松尾先生、以後の進行をよろしくお願いいたします。 ○松尾部会長 それでは早速審議に入りたいと思います。今日はたくさんの議題がござ いますので、御発言は是非十分にしていただきたいと思いますけれども、的確・簡潔に お願いしたいと思います。初めに事務局より資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 それでは配付資料の確認をさせていただきたいと思います。本日の資料とい たしましては、事前に先生方の方に送付させていただいております資料1〜11までと当 日配付資料としまして3枚の一枚紙、議事次第、座席表、委員名簿がございます。それ から事前にお送りしております資料として、資料1、2、3、4、5-1、5-2、6-1〜6-3 までが本日の審議事項、資料7〜11は本日の報告事項でございます。そのほかに資料0 といたしまして本日審議、報告いたします品目の一覧をお配りしておりますので、御確 認いただければと思います。以上が本日の資料でございます。過不足等ございませんで しょうか。それでは以下の進行を部会長の方からよろしくお願いいたします。 ○松尾部会長 資料は皆様のお手元に届いているということでよろしいでしょうか。で は資料1、議題1につきまして事務局より説明をお願いいたします。 ○機構 総合機構一般薬審査部でございます。資料1及び資料2はどちらもH2ブロッ カーのスイッチOTCでございますので、こちらにつきましては併せて御説明させてい ただきたいと存じますが、よろしいでしょうか。 ○松尾部会長 どうぞよろしくお願いします。 ○機構 それでは資料1、医薬品アルタットA、サクロックス、ザ・ガードコーワ、イ ノセアワンブロック、イノンワンブロック、ライフィックスH2胃腸薬(一般的名称:塩 酸ロキサチジンアセタート)の製造承認の可否についてでございます。  こちらの品目は帝国臓器製薬株式会社より申請されたH2ブロッカーの胃腸薬でござ いまして、剤型・含量、申請時の効能・効果、用法・用量につきましては資料1の審査 報告書の「1.品目の概要」に記載している内容のとおりでございます。本品目につきま しては一般用医薬品調査会におきまして御審議いただき、さらに専門協議における専門 委員の先生方の御議論を踏まえまして、審査センター並びに総合機構において審査がな されております。  続きまして2ページから簡単に本品目の内容を御説明させていただきます。本品はヒ スタミンH2受容体拮抗剤である塩酸ロキサチジンアセタートを一般用医薬品の有効成 分として初めて含有するスイッチOTCの胃腸薬でございます。1カプセル中に塩酸ロ キサチジンアセタートを75mg含有する徐放性製剤です。  塩酸ロキサチジンアセタートは本邦において1986年7月に消化性潰瘍等を適応とし て既に承認されておりまして、1994年9月に再審査結果が通知され、効能・効果及び用 法・用量に変更はなかったとされております。また1993年6月に1回75mg1日1回の 用法・用量で急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期を適応とする効能・効果が承認されてご ざいます。海外では現在イタリア、オランダ、韓国、タイ等12か国におきまして医療用 医薬品として販売されておりますが、一般用医薬品としての販売実績はございません。  続きまして物理的化学的性質並びに規格及び試験方法に関する資料でございます。  今回の申請品目6品目は、既承認の医療用塩酸ロキサチジンアセタート製剤と同一処 方、同一剤型の製剤でございまして、医療用と同じ徐放性製剤を充てんしたカプセル剤 でございます。ただし製剤によってカプセルのキャップ及びボディー部分の色が異なっ ております。  本品の規格及び試験方法につきましては、3ロット3回の試験結果に基づいて設定さ れております。調査会におきまして製剤の溶出試験については溶出曲線を用いてその挙 動を説明することの御指摘を頂き、申請者は医療用製剤と比較した結果、本品の溶出挙 動の妥当性が検証されたと説明し、調査会ではその回答を了承してございます。そのほ か有効成分の規格を日本薬局方外規格に変更すること、さらに申請書の記載表現を十四 局の日局に準拠して改めること、並びにウシ等由来原材料に関する記載の整備がなされ ております。  安定性につきましては、申請者は本品6品目の安定性に差がないと考えまして、アル タットAを用いて加速試験を実施し本品目が3年間は安定であると推定しております。  続きまして3ページの吸収、分布、代謝、排泄に関する資料でございます。イヌにおき まして各種の薬物相互作用が検討されました。申請者は承認申請後に臭化ブチルスコポ ラミン併用時の薬物動態パラメータのデータ処理に誤りがあったことを審査センターに 報告し、すべての併用例について再検討いたしました。申請者は、塩酸ロキサチジンア セタート単独投与時と比較しまして、他の併用時すべてにおいてCmax及びAUCは有 意差を認めなかったことを示し、これらの経緯に基づきまして、「ヘ」項に関する資料 を参考資料に変更すると説明いたしました。参考資料に変更する場合の安全性について は問題ないと考察いたしまして、審査センターは以上の説明を了承してございます。  続きまして臨床試験に関する資料でございますが、申請者は医療用製剤の胃炎を対象 とした臨床試験3試験及び市販後調査を再解析するとともに、本品の臨床試験を新たに 実施してございます。まず胃炎を対象とした用量設定試験では、一般用医薬品としての 至適用量を検討するため、1日1回37.5mg、75mg及び150mgの3群用量設定試験につ きまして重症度が軽度及び中等度の症例を胃炎症状について再解析いたしました。その 結果、申請者は一般用医薬品として1回75mg、1日1回の用量が望ましいと判断してご ざいます。同様に医療用第III相二重盲検試験及び第III相一般臨床試験から、それぞれ一 般用医薬品として1日1回75mgの用法・用量とすることが適当であると判断しておりま す。また使用成績調査では1,908例を有効性の解析対象としまして、自他覚症状の改善 率が1週後で82.5%という高成績が得られております。  さらに申請者は、一般用医薬品としての有効性、安全性及び有用性を検討することを 目的として新たに臨床試験を実施してございます。有効性につきましては、自覚症状総 合判定の改善以上の改善率が1週後で85.5%でございました。そのほか自他覚症状総合 判定、患者の印象を勘案した全般改善度の判定も1週後で80%以上でございました。副 作用につきましては頭痛が1例認められておりますけれども、こちらは投与中止後に消 失し、重篤なものではないとされております。  これら医療用試験の再解析及び追加臨床試験の結果より、申請者は本品は1日1回75 mgの服用で十分な安全性と有効性が認められ、一般用医薬品として有用であると考察し ております。  安全性のまとめでございますが、胃炎を対象とした臨床試験のほかに使用成績調査等 をまとめ結果からも、申請者は本剤は一般用医薬品として特定の疾患を合併した患者及 び高齢者への投与は注意を要するが、それ以外の一般の使用者における安全性に問題は ないと考察してございます。  続きまして一般用医薬品調査会における審議経過を御説明いたします。調査会では、 本品の臨床試験の自覚症状の結果から本品を一般用医薬品として使用することで胃癌等 の重篤な疾病を隠ぺいすることがないか考察することと指示しております。申請者は、 重篤な疾病が隠ぺいされることを避けるために兆候がある場合には医療機関を早めに受 診すること、さらにその服用期間を短くすることが重要であるということから、審査報 告書の(1)〜(3)に挙げる方策を実施することで胃癌等の重篤な疾病の発見が遅れる可能性 は低いと考察してございます。また、既に一般用医薬品とされております他のH2ブロ ッカーの臨床試験と比較いたしまして、改善効果は早めに発現するが、その効果は同程 度であると考察しております。  さらに調査会は、本品の1日1回、1回75mgの用法・用量につきまして、一般用医薬 品の用法として、また頓服的用法として適当かなど、審査報告書の(1)〜(4)に記載し ております観点から考察することを求めてございます。また、既承認のH2ブロッカー と比較して考察することも併せて指示しております。申請者の回答を簡単に御説明いた します。本品の臨床試験とシメチジン(1日3回)とを比較しますと、本品は1日1回服 用で十分な効果が期待でき、複数回服用する必要はないと考察しております。また、H 2ブロッカーの頓服的な用法といたしまして、「症状を速やかに緩和させるために症状 が現れたときに服用すること」と位置付けて考察をしております。本品は臨床試験の服 用時期の調査等から、昼夜いずれの投与時期においても有効な成績が出ると評価して、 症状が発現したときにいつでも使用できるものであり、1日1回の用法は一般用医薬品 として、また頓服的用法で適当だと申請者は考察してございます。  (3)、(4)の指摘につきましても申請者は考察しておりますが、これらの回答に関連 いたしまして、申請時の用法・用量の「服用後、翌日になっても症状が治まらない場合 は、もう1カプセル服用してください」というところの「翌日」の記載については削除 しております。また、「1日1回(1カプセル)を超えて服用してはいけません」の記載 につきましては、一般用医薬品の解熱鎮痛剤における服用の記載例を参考にいたしまし て、「1回1カプセル、1日1回を限度として服用してください」に修正すると説明し てございます。  以上の回答に対し、調査会は本品の用法・用量につきまして既承認のヒスタミンH2 受容体拮抗剤の用法と比較した上で、(1)及び(2)に挙げます内容を考察することを指 示しております。  本品の安全性につきまして、申請者は全般的な安全性及び誤用時に対する安全性の観 点から考察いたしております。全般的な安全性では、塩酸ロキサチジンアセタートの医 療用製剤はこれまでに約1,500万人に使用されていると推定し、その副作用症状あるい はその発現頻度等から他のH2ブロッカーと同様で本剤に特有なものは認められず、一 般用医薬品としての安全性は高いと考察してございます。また誤用に対する安全性につ きましては、1日75mg以上の投与量別に副作用症状の発現率及び副作用と臨床検査値異 常を合わせた副作用発現率の集計結果及びこれまで大量服用として1回に75mgカプセ ルを10カプセル服用した1症例について、特に問題になる事象はなかったということで ございます。以上の考察を含めまして、申請者は3カプセルに相当する225mgまでの誤 用があった場合でも安全性に問題はないと考察した上で、本品の誤用防止策として審査 報告書の(1)〜(3)の内容を再度説明しております。  本品の包装につきましては、先生方のお手元にサンプルをお配りしてございます。こ ちらのサンプルは先生方にお送りしております資料の「PTPシート表示例」という写 真と全く同じものでございます。一応連続性をできるだけ断ち切るようなPTPの包装 にするという回答でございます。  以上の回答を専門協議において議論いたしました結果、総合機構はその回答を了承し、 回答の内容を資料概要に適切に反映させることを指示いたしました。また調査会では、 医療用製剤の市販後調査について副作用発現の患者背景、合併の内容等を解析し、本品 を一般用医薬品として使用する場合の安全性について使用上の注意等に反映させること を指示いたしました。申請者はこれについて考察し、その内容を適切に使用上の注意に 反映させると回答いたしました。専門協議において議論した結果、総合機構は了承いた しております。  続きまして、本剤の効能・効果、用法・用量、添付文書に記載する事項及びその設定 根拠でございます。効能・効果につきましては他のH2ブロッカー、シメチジン、塩酸 ラニチジン、ファモチジンと同様に、「『胃痛、胸やけ、もたれ、むかつき』(本剤は、 胃のヒスタミンH2受容体に拮抗する薬を含んでいます)」と設定されてございます。ま た用法・用量でございますが、こちらにつきまして申請者は一般用医薬品として「1回 75mg、1日1回」が至適である判断いたしました。さらに症状が現れたときに服用し、 投与期間の目安として服薬指導の基準を3日間、それから漫然と長期服用されることを 防止するために2週間を超えて続けて服用しないこと、対象は成人(15歳以上)というふ うに限定してございます。  調査会は本品で実施した臨床試験の各評価判定が1週後に行われていることを踏まえ まして、続けて服用する期間の上限を2週間とすることが妥当か考察するよう求めまし た。申請者は、本品で実施した臨床試験は服用期間原則1週間、ただし2週間までの服 用も可といたしました。69例中5例で2週間の服用がございましたが、2週間服用の全 般安全度も全例で問題なしとされてございます。さらに医療用の再解析のデータの考察 も含めまして、本品は1週で一般用医薬品として十分な効果を有し、既承認のH2ブロ ッカーと比較して同等の有効性を示すということと、安全性につきましては2週間の服 用でも高い安全性を示しており、1週間の服用期間中の安全性も十分に保証されるもの と申請者は考察し、以上より本剤の服用期間の限度を1週間とすると回答してございま す。また15歳以上とすることの妥当性につきましては、使用成績調査及び臨床試験にお いて胃炎に対する1日1回75mgを投与した15〜19歳までの39例の成績がございます が、これにつきまして有効性の自他覚症状判定は改善率が91%、さらに副作用発現率は 2.02%でございました。重篤な副作用としては横紋筋融解症が1例報告されておりまし たけれども、これは処置医師のコメントからインフルエンザ等により発症した可能性も 高いと考察されております。これらの安全性、有効性の解析から、申請者は本品の対象 年齢を15歳以上とすることに問題はないと考察してございます。  そのほか、使用上の注意及びその設定根拠について医療用の内容を基に詳しく説明す ることという指示が調査会より出されました。申請者はその内容を修正するということ で、その回答を専門協議で議論し、総合機構は了承いたしております。  以上の調査会での審議結果及び専門協議の結果により、総合機構は提出された申請内 容につきまして以下の効能・効果、用法・用量で本品を承認して差し支えないとし、本 部会において審議されることが適当であると判断いたしました。なお、市販後少なくと も3年間の安全性に関する市販後調査を実施することという承認条件を付すことが適当 であると判断しております。 ○事務局 続きまして資料2、ゼリアH2ブロッカーほかの承認の可否につきまして説 明させていただきます。医薬品ゼリア胃腸薬H2ブロッカー、ゼリア胃腸薬H2、ゼリ ア胃腸薬AR、アシノンZ、アシノンブロック、アベラティH2ブロッカー、ニザット H2ブロッカー(一般的名称:ニザチジン)の製造承認の可否についてでございます。  本品はゼリア新薬株式会社より申請されたものでございまして、審査報告に記載して ございます剤型・含量、申請時の効能・効果、用法・用量の内容におきまして申請され ております。本品目につきましても一般用医薬品調査会において審議され、また専門協 議における専門委員の議論も踏まえまして審査センター及び総合機構において審査がな されております。  まず、起源又は発見の経緯及び外国における使用状況等に関する資料でございます。 ニザチジン製剤は本邦におきまして1990年6月に医療用医薬品として承認されてござ いまして、1998年3月に再審査結果が通知されております。また1996年11月に胃炎に 対する1回75mg、1日2回投与の用法・用量が承認されてございます。なお胃炎効能に 関する使用成績調査は実施されてございません。  ニザチジンの一般用医薬品は1996年にアメリカにおいて承認されております。またカ ナダ、英国、スウェーデン等で承認されておりますが、販売は現時点で未定となってご ざいます。  続きまして一般用医薬品調査会及び審査センターにおける審査の経過を御説明申し上 げます。調査会はニザチジンの医療用製剤において報告されている高カリウム血症に関 する副作用につきまして、類薬で同様の報告がなされているか調査した上で比較し、本 品の安全性について考察することを求めております。申請者はニザチジンの服用で高カ リウム血症が認められた3例では用法・用量が1回150mg、1日2回投与であり、その 投与期間も長期間であること、さらに他のH2ブロッカーで文献調査等をいたしました ところ、他剤でもやはり同様の高カリウム血症あるいは血清カリウム上昇の副作用が報 告されているという内容も比較しまして、この高カリウム血症等がニザチジンに特異な 副作用とは考えられないと考察いたしました。その上でこれらの副作用に関する注意喚 起としまして、使用上の注意に使用期間を2週間に限定することと、「してはいけない こと」に「腎臓・肝臓の病気」ということを記載して、高カリウム血症が発現しやすい と思われる患者への投与を防止すると説明いたしました。  以上の回答に対して、総合機構は一部ニザチジンの服用期間に関する説明に誤りがあ ることを指摘した上で、高カリウム血症に対する安全性の考察を再度求めました。申請 者は薬剤投与から発現までの期間の説明で1症例に誤りがあったということを認めると ともに、安全性について再度考察をいたしております。高カリウム血症、血清カリウム 血症が報告された3症例では主要な臨床症状は報告されておらず、比較的短い23日目に 発現症状が見られた症例はアルコール性肝障害を合併した患者であり、担当医師も副作 用とすべきか疑問とし、本剤との関係が不明とされました。また胃炎を対象とした医療 用製剤の臨床試験あるいは海外のニザチジンの医療用、一般用製剤におきまして高カリ ウム血症等の副作用は報告されていないことを考慮し、申請者は本品で高カリウム血症 等の副作用が発現する可能性は低いと考察いたしました。その上で、本品の販売に当た り適正使用、副作用防止の観点から服薬指導を徹底し、用法・用量を厳守するために情 報提供に努めると回答しております。  審査センターは、休薬を繰り返すことによる長期間の使用を防止するための対応策と 市販後の安全対策を説明することを求めてございます。申請者の回答といたしましては、 類薬の一般用H2ブロッカーの市販後調査において長期間服用している例がやや認めら れたことから、本品の発売に当たっては安全確保のため薬局・薬店の薬剤師及び消費者 に対する情報提供に努めると説明してございます。薬局・薬店につきましては、情報提 供や販売のための助言を定期的・継続的に行うと説明してございます。以上の回答につ きまして、専門協議における議論を踏まえて総合機構は回答を了承し、その内容を資料 概要に反映させることを指示いたしております。  物理的化学的性質並びに規格及び試験方法等に関する資料と安定性に関する資料です が、本品はカプセルの色調を除きまして医療用製剤と同一であります。また、製剤の規 格及び試験方法の性状の項の規定以外は医療用製剤と同一の内容とされております。調 査会では本品の溶出挙動について説明を求め、申請者は局外規第三部に収載されている ニザチジンカプセルの溶出試験に基づいて試験を実施して適合したと回答し、さらにこ の結果を規格及び試験方法に反映させると回答いたしました。そのほかニザチジンの規 格を局外規に変更すること等の変更がなされ、総合機構は了解してございます。安定性 につきましては、本品をPTP包装して紙箱に入れて新たに加速試験を実施し、本品が 通常の流通過程において十分に保証し得ると説明してございます。  毒性、薬理、吸収、分布、代謝、排泄でございますが、こちらは新たな資料は提出さ れてございません。  続きまして臨床試験に関する資料でございます。申請者は胃炎を対象とした医療用75 mg製剤の臨床試験を本品の臨床試験に代用することが可能であると判断いたしまして、 新たな臨床試験は実施しておりません。有効性の解析に当たりましては臨床試験におけ る自他覚症状を選択し、さらに一般用医薬品として重症度が高度な症例は不適当と考え まして、軽度及び中等度の患者を有効性及び安全性の解析対象としてございます。  用量設定試験からは、75mg製剤の試験結果、さらに副作用は全例で見られなかったと いうことで、1回75mg、1日2回の投与が適当であると判断してございます。さらに二 重盲検比較試験、一般臨床試験の成績からも同様に1日75mg、2回投与が適当であると 判断しております。  また安全性につきましては、これら3種の臨床試験のほかに150mg製剤の臨床試験、 更に市販後使用成績調査も対象として考察してございます。  これらの成績につきまして、一般用医薬品調査会及び審査センターにおける審査の経 緯を説明いたします。調査会は、医療用製剤において報告されている副作用全般につい て、本品の用法・用量、効能・効果、使用上の注意の範囲内で服用した場合と逸脱して いる場合とに分けて整理し、本品の一般用医薬品としての安全性について考察すること を求めてございます。医療用75mg製剤の臨床試験におきまして、本品の申請の用法・用 量、効能・効果、使用上の注意の範囲内で服用した236例については副作用は1例も認 められておりません。一方、本品の申請の用法・用量と異なる服用例としては高用量(150 mg×2)55例と低用量(37.5mg×2)48例がございますが、いずれも副作用等は認められ ておりません。以上の結果から、申請者は一般の人が自らの判断で本品の用法・用量、 効能・効果、使用上の注意に従い服用する場合において、一般用医薬品としての安全性 は高いと考察してございます。  以上の回答につきまして、審査センターは75mg製剤の胃炎患者における市販後の安全 性を治験時と比較して説明することを求めてございますが、本品の胃炎適応の75mg製剤 につきましては使用成績調査が実施されておりませんので、申請者は自発報告例50例 70件について解析をしてございます。その結果、申請者は医療用75mg製剤の副作用発 現率は、医療用150mg製剤の使用成績調査の副作用発現率と同等若しくはそれより低い ものと推察してございます。  また、審査センターは投与量に関連する安全性プロファイルを他のH2ブロッカーと 比較して考察することを求めております。申請者は類薬の治験における副作用発現状況 においてニザチジンと比較し、やはり他のH2ブロッカーでも服用量が増えると副作用 発現率が高くなる傾向が見られるということで、ニザチジンと類薬は同じような安全性 プロファイルを有していると考察してございます。さらに誤用による過量投与への注意 喚起といたしまして、「〈用法及び用量に関連する注意〉」のところに「定められた用 法・用量を厳守すること」と記載するとともに、情報提供関連資料により適正使用の推 進に努めると説明しております。  続きまして効能・効果、用法・用量、添付文書等に関する記載事項及びその設定根拠 でございます。効能・効果につきましては既承認のH2ブロッカーと同様の内容になっ ております。また用法・用量につきましては、先ほどの塩酸ロキサチジンアセタートの 場合と同様に症状が発現した場合に服用する頓用の医薬品と位置付け、1日2回と画一 的な服用で漫然と使用することを避けるために最大服用回数を1日2回とするととも に、症状が治まった場合には服用を終了するとしてございます。  審査センターは服用間隔の6時間について類薬と比較して説明することを求めまし た。申請者は1回服用量及び1日服用回数が医療用の胃炎の用法・用量と同じ内容で承 認されたファモチジン含有医薬品と比較いたしまして、それと同じ服用間隔である8時 間にすると回答いたしました。審査センターは以上の回答を了承してございます。  そのほか調査会では使用上の注意の設定根拠について説明が不適当な部分が考えられ るということで、その部分を再度検討することを求め、適切に回答がなされております。  また申請者から、本品の申請後、医療用医薬品におきましてその使用上の注意の「そ の他の副作用 精神神経系」の項に「しびれ」が追加されたことから、本品の使用上の注 意にもこれに対応させて「しびれ」を記載するという自発的な申出がありまして、総合 機構は以上の説明を了承してございます。  以上の調査会審議結果及び専門協議の結果より、総合機構は提出された内容について こちらに記載してございます効能・効果及び用法・用量で本品を承認して差し支えない とし、本部会において審議されることが適当であると判断いたしました。なお、承認条 件として市販後少なくとも3年間の安全性等に関する市販後調査の実施を課することが 適当であると判断してございます。以上、2品目の説明でございます。 ○松尾部会長 どうもありがとうございました。それでは資料1、2を併せまして御意 見、御質問を頂きたいと思います。どうぞ。 ○野中委員 一つお聞きしたいのは大量服用の例についてです。1回75mgカプセルを 10カプセル服用したものが1症例あったということですけれども、それはなぜ10カプ セル服用したのですか。 ○機構 そちらの背景といいますか、10カプセルを服用した理由まではこちらでは調べ ておりません。 ○野中委員 私がなぜそれをお聞きしたかというと、このスイッチOTCはある面では セルフメディケーションということで売られるわけですから、消費者の方がそういう様 々な行動をされることを認識することがセルフメディケーションでは大事だと思うので す。先ほどの説明の中にありましたけれども、症状がいいからといって飲み続ける方が おられるというような行動パターンは検討されていましたが、例えば消炎鎮痛剤でも効 かないからといってたくさん飲む方もおられることは事実です。ですから、セルフメデ ィケーションでは消費者の行動パターンをよく認識しなければ利用者さんの安全は確保 できないため、私はお聞きしたのです。そのことが調査されていないとなると、そうい う行動パターンは正に特異な例として考えていいのかどうかと思うのです。確かに1例 であり、そのほかには報告されていないのであればそうかもしれませんが、それは報告 されていないだけであってやはりある。ですからなぜこれが問題か、確かに蓄積するこ とによって高齢者と腎機能が悪い方たちにいろいろな…。今回はこの問題では精神錯乱 は出ていないけれども、本来H2ブロッカーはそういう部分があるわけですから、それ をどう考えるかということがセルフメディケーションには必要だろうと思うので、その ことに関しては調査を続けていただきたいと思います。  それからもう一つ、これは前の議論からずっと継続していることです。6ページに「重 篤な疾病が隠ぺいされることを避けるために」という部分がありますけれども、医師が 使う医薬品の中にそれが書いてあるわけですから、それに対してどう考えるかが必要で す。隠ぺいされることを避けるために兆候がある場合には早期に受診することうんぬん からいろいろ書いてありますが、いわゆるセルフメディケーションで買う人たちのとこ ろの文書に、例えばこれは症状を隠ぺいすることがあるので不安があれば医療機関を早 期に受診することなどがなぜ表現できないのですか。例えば症状の改善が見られないと きには医療機関を受診しろと書いてあるけれども、隠ぺいすることがあるので使用につ いては注意することは本来そういう意味ではないのではないですか。今回の薬ではなく、 テレビ等では医師が使っている薬を皆さん方が買えますという宣伝文句で売っている場 合もあります。そのことがどういう意味か考えたときには、患者さんがこの薬の特性を とらえてどう考えるかを販売者が的確に指導することも確かに大事ですけれども、指導 を受けたことを利用者さんがすべて的確に守るのかといったらそうではないだろうと思 うのです。そうしたら、症状とか悪性腫瘍を隠ぺいすることがあるということをなぜ一 般用の添付文書、いわゆる今回のOTCの中にも書けないのですか。 ○事務局 事務局の方より御説明いたします。まず最初に御質問いただいておりました 誤用の話でございます。この例が意図的なのか誤ってなのかは分かりませんけれども、 医療用の方であれば10錠なり14錠なりの1シートになっていますのでそういったおそ れがあるということで、一般用の方では今回の場合であれば3カプセルで一つの箱にし てあるということでございます。また、まとめ買いをするような場合には販売時に御注 意いただくということで、ある程度抑えていただくということかと思います。 ○野中委員 ではなぜ10錠飲んだのでしょうか。 ○事務局 ですからそちらは医療用の経験の方で、調査は引き続きこちらの方で行いま す。 ○野中委員 ではこの10錠飲んだというのは医療用のケースの方なのですか。 ○事務局 そうでございます。 ○野中委員 そういう医療用では確かに30日分とか出すケースがあるからですけれど も、では1パックが少ないからといってそれが守られるかどうか。例えば販売するとこ ろでは1パックしか買えないかもしれませんが、まとめ買いするかとか1医療機関では なくほかのところで買うかもしれない。  それからもう一つは、一般消費者の方々がスイッチOTCなどの中で一番のことは、 この薬を飲むと調子がいいからということで飲み続ける方がおられるわけです。そうす ると、そういう症状の隠ぺいに対してどう理解するかという問題は今の短期のパッケー ジだけでは解決できないのではないですか。 ○事務局 ですから、まずは一つの手段としてパッケージの小包装化を行ったと。それ だけですべて片付くわけではありませんので、その後の注意喚起は引き続き行っていく ということかと思います。  それからもう一つの疾病の隠ぺいの方でございます。箱の直接の表記の方には書いて いないのですけれども、添付文書には「3日間服用しても症状の改善が見られない場合」 と併せまして、「(重篤な消化器疾患を見過ごすおそれがありますので、医師の診断を受 けてください)」という記載はございますので、そちらの方で一応注意喚起はしていると。 ○野中委員 ある面では昔より大分改善されたのは十分認めます。ただその書き方とし て、やはり乱用とか適正使用をしてもそういうことがあるというのが一般用医薬品の「そ の他」に書いてあることの意味だと私は思うのです。そのことを消費者に的確に知らせ るという意味でこれはやはり必要だと思うので、今の文章の書き方だけでは私はまだ足 りないと思います。後で山本先生からいろいろお話があると思いますけれども、最初に H2ブロッカーが売られたときに薬剤師の先生方とお話ししていて、なぜ症状がよくな ったのに医療機関に行かなければいけないのですかとよく聞かれました。私は、症状が よくなったからこそ行かなければならないことだってありますよと説明したのです。そ のことの意味は当時は理解されなかったわけですけれども、薬剤師の先生方もその辺を 理解されなかったということは、正に使用者の人たちがそのことを正しく理解できるか ということです。そのことに関しては、表現の仕方の中でもうちょっと的確に検討すべ きだろうと私は思っていますので、是非その辺のことを御検討いただきたいと思います。 ○事務局 今野中委員の方から御指摘いただいたことにつきましては、今後も引き続き 検討させていただければと思います。 ○山本委員 実際に販売する立場からの意見です。例えば野中先生から御指摘があった 部分ですが、前回のH2ブロッカーがOTCにシフトしたときにはかなり時間を掛けて 説明会ないし研修会を開いたわけであります。大半の店舗では薬剤師がきちんと関与し て販売されていたという実態がございますし、大きな問題が起きたわけではないのです が、一部で薬剤師がかかわらずに販売したというケースが幾つか上がっております。そ の後も度々折に触れて研修会を開いてまいりましたので、ただいま先生が御指摘された ようなことにつきましては私どもも十分に理解しているつもりであります。  同時に外箱の件で言えば、アルタットにしてもアシノンにしても「してはいけないこ と」がきっときちんとあるはずなのですが、箱を開けないと添付文書は見られません。 そこの書き方については、私も同様に一目見てこれは危ないぞと分かるような表示を外 箱の中で是非していただきたいと思います。そういうことが法律的にできるかどうかは また別問題なのですけれども、やはりそういうことをきちんと書いていただければ大変 有り難い。  実際に薬剤師としてこうしたものを販売している中で、日本薬剤師会では昨年の10 月に全国統一事業として相談事例の収集をいたしました。昨年の調査ですからちょっと 古くなりますが、その数字は大変な数になっているわけでありまして、H2ブロッカー についても相当数の問い合わせがありました。その例を集めてみますと、先生御指摘の 放っておくと症状が隠ぺいされてかなりひどい状況になるようなケースを事前に捕まえ ているケースもございました。したがって、今まで薬剤師がきちんと関与してきていた ためにそうしたことが起こらずに適切に受診を勧めている、あるいはひどい状況になら ずに済んだという事例が幾つかございました。相談を受けた薬剤師が医療機関への受診 を勧めたところ、中にはかなり早い時期に胃癌を発見した、あるいは胃穿孔の手前の状 態まで進んでいたという結果も出ております。そうした意味では、このH2ブロッカー に限らず効き目のいい薬と言いますか、スイッチしたものが販売される場合には、今後 とも私どもとしても十分な対応を採ってまいりたいと考えております。また逆に、今回 必要であれば改めてアルタット、アシノンについても十分なメーカーの説明会等を開い ていただいて、新たな問題点を把握した上で販売したいと思っております。  ただ頂いた資料を拝見すると、また別の委員の方もおっしゃるかもしれませんが、似 たような試験をし、似たような症状を相手にし、似たような効果を出しているわけであ ります。添付文書もそうですけれども、患者向けの説明書あるいは薬剤師向けの説明書 に多少ばらつきがあるので、実はどれがスタンダードになるのかというのがちょっと見 にくいところがあります。ですからもし可能であればその辺りの整理が要るのではない かという気がいたしました。それも含めてこうしたものがスイッチされた後については 改めて周知を進めたいと思います。現在も薬剤師がかかわって販売されているという中 では、野中委員の御心配の部分につきましては十分に対応できるであろうと考えていま す。 ○松尾部会長 どうもありがとうございました。 ○野中委員 しつこくて申し訳ありません。確かにこのお客様用小冊子の中には一番下 に「(重篤な消化器疾患を見過ごすおそれがあるので、医師の診療を受けてください)」 と書いてあるのですけれども、なぜこれが「・」でできないのですか。それからなぜこ れを一般用の箱の裏にある使用上の注意の中に入れることができないのですか。 ○事務局 特にできないというわけではございません。ただ既存のものとの横並びの話 もありますけれども、少なくともこれにつきましては記載について検討させていただけ ればと思います。 ○野中委員 申し訳ありません。医療用の添付文書の「その他」というところにきちん と書いてあるわけですから、私はそのことがこのH2ブロッカーがいわゆる患者さんた ちに対して適切に使われることの重要な部分の一つだと思います。確かに横並びの部分 はありますけれども、それを認識されるのでしたらこの辺の部分は是非今後とも検討し ていただきたいと思います。要は適切に、使えば安全ですから安全に使うということを どうやって患者さんに指導するかが大事なので、それを御検討いただきたいということ です。よろしくお願いいたします。 ○松尾部会長 事務局は何か御意見ありますか。どうぞ、板倉先生。 ○板倉委員 今の件に関してです。この二つの薬の説明書を見ますと、片方は「1週間 を超えて続けて服用しないでください」、もう片方は「2週間を超えて続けて服用しな いでください」と書いてあります。そうすると薬そのものの作用として比較したときに、 消費者の方は単純に片方は1週間超えたら何か危険があって、もう片方は2週間までは 大丈夫なのかなというふうに読み取ってしまうような感じもあります。それからちょっ と休薬期間を取ればまた続けられるのかなというようにも読み取ってしまう…、中にも 書いてありますので御存じだと思いますが。ですから、改善されていても一週間を超え て続けたりしているとこういうことがあるというような意味合い、「1週間を超えて続 けて服用しないでください」というのがなぜなのかということがもう少し分かるような 形で…。それから比較するときには中の添付文書を見るわけではないので、手に取って 見たときに両方のものが比較できるような状況になっていてほしいと思っています。  それから、これと関係ないことでもう一点よろしいでしょうか。片方は添加物として 全部書いてありまして、もう片方は「その他3成分を含有します」というような形にな っています。別に添加物が危険だというわけではありませんが、書いていないとやはり 「その他3成分」とは何だろうかということで、多分消費者の方からかなり質問が出て くるのではないかという気がします。ここのところはなぜ「その他3成分」にしてある のかということがもし分かりましたら教えていただければと思います。 ○機構 総合機構からお答えいたします。先生の御指摘はアルタットについてかと思い ます。こちらは徐放性製剤となっておりまして、メーカーとしては徐放化機構にかかわ る3成分は企業情報なので表に出したくないという希望がありました。それを除いた成 分、添加剤につきましては記載しているのですけれども、徐放化にかかわる3成分だけ は示したくないという希望でございます。 ○松尾部会長 よろしいでしょうか。ほかにございますか。 ○荻原委員 今のことについて重箱の隅をつつくようで申し訳ないのですが、その秘密 の3成分というのは機構等の監督官庁ではきちんとつかんでいるのですね。 ○機構 申請書の成分・分量欄にすべて書いてございますので、どのような成分が入っ ているかということは分かってございます。 ○荻原委員 私は漢方薬とか中国直輸入の生薬製剤に深い関心を持っているのですが、 中国の場合、それは秘密ですというのが入っており高い確率でステロイド剤とか抗生物 質などが「その他」なのです。ですからそういうおそれは絶対ないということはつかん でいるわけですね。  それから今年度版の薬が分かる本というのを見ますと、ロキサチジンアセタートとい うのは海外評価がゼロ点です。ほかのものはきちんと5.5あるのですけれども、これだ けゼロ点というのはどういうことですか。 ○機構 資料概要の方でも説明させていただきましたけれども、塩酸ロキサチジンアセ タートはもともと帝国臓器製薬が自社で開発した成分でございまして、海外でも主要国 では販売されていないということです。またドイツで一時期販売されておりましたが、 それも2002年末に中止されておりまして、余り海外での実績がないということでござい ます。 ○荻原委員 この辞書だけを見ると何か余り効かないのかなとつい思ってしまったもの ですから。 ○望月委員 三点ほど申し上げます。一点目は先ほど板倉委員の方から御質問のあった 添加物の件です。先ほどのアナフィラキシーショック様の症状が起こったという例は多 分トウモロコシデンプンが原因だろうということなのですが、添加物が原因で起こる例 というのは結構あるのではないかと思うのです。確かに企業の製剤上の機密に関する事 項というのはあると思うのですが、量的な配合の割合は無理でもせめて薬剤師向けの説 明文書に添加物の内容等が明示されると、多分いい情報を提供できる形になるのではな いかと思います。これはすぐに取り入れられないかもしれませんが、意見として申し上 げておきます。  それから二点目は先ほど山本委員がおっしゃっていた件です。今回の薬局向けの説明 文書と患者さん向けの説明文書について、たまたま2剤のH2ブロッカーが出ておりま したので比較することができました。見てみますとかなり書きぶりが違うのです。薬局 できちんと適切な患者さんを選んでH2ブロッカーを販売する、また販売して飲んでい ただいた後の使用上の注意を適切に御説明申し上げるという意味で、双方それぞれがい い部分と悪い部分があります。その辺がちょっと整合性がとれていない感じがします。 また、使用上の注意のなぜそういう注意を設定したかという理由の説明文もかなり食い 違いがございます。もし今後セルフメディケーションの時代としてスイッチOTCを適 切に販売していくことを考えていくならば、こういった薬剤師向けの説明書もある程度 統一性をとっていっていただいて、必要なものがきちんと盛り込まれるような形にして いただいた方がいいかと思います。  それから三点目です。これは質問になるのですが、重大な副作用の記載のところにな ります。一般用の医薬品にも重篤な副作用の兆候ということで重大な副作用に関する記 載があるのですけれども、医療用医薬品の添付文書との整合性はどのようにとるのだろ うかということです。例えばアルタットの方ですと、先ほど一般臨床試験で横紋筋融解 症が1例出たと。これはインフルエンザとの関係の方が強いのでという御説明がありま したけれども、医療用の添付文書には明らかにきちんと重大な副作用として「横紋筋融 解症」が書かれているのです。一方アシノンの方になりますと、逆に類薬で起こったス ティーブンス・ジョンソン症候群、ライエル症候群だけをアシノンの重大な副作用とし て書いてあるものにプラスアルファとして入れて、一般用医薬品の重篤な副作用の兆候 が構成されているのです。ここが整合性がとれていないような気がいたします。この辺 に関してはどのようなお考えで書かせるような指導をしていらっしゃるのですか。 ○機構 横紋筋融解症の件について具体的に説明させていただきます。アルタットAの 資料概要の202ページを御覧ください。そちらの「次の場合は、直ちに服用を中止し」 という記載の(1)の「その他」のところに「筋肉痛、関節痛」、それからその上の「腎 臓」のところに「赤褐色の尿」という記載がございます。こちらは203ページの「[設 定の根拠]」の(1)の三つ目でございますが、「・本品服用により、横紋筋融解症発現 の可能性があることを踏まえて」…、ただ「横紋筋融解症」と書いても一般の方にはな かなか御理解いただけないかということで、横紋筋融解症の一般的な初期症状と思われ る「筋肉痛、関節痛、だるくなる、赤褐色の尿」を記載するということでアルタットの 方は対応してございます。 ○事務局 一般的な医療用医薬品と一般用OTCの添付文書の重大な副作用の記載要項 についての考え方でございますが、一般用医薬品の重大な副作用に書いてある項をすべ てOTCに書くかと言いますと、そうではございません。一般用医薬品の使用状況に合 わせて用量及び期間等を総合的に判断し、医療用に書いている重大な副作用のうち一般 用の状況で服用したとしても起こるものについて、一般用に記載しているという状況で ございます。今回の場合のように使用期間が通常3日、長くて1週間ないしは2週間、 また用量につきましても一般用の胃炎の用量で起きているような副作用については記載 しております。それ以外の医療用の方で起こる長期のものないしは用量が違うものにつ いては、そういう状況が起こったときにまた検討するという形で医療用と一般用の記載 について書き分けているところでございます。 ○審査管理課長 一部こちらの方からのお答え漏れがございますので、ちょっと補足さ せていただきます。板倉先生と望月先生からも御指摘いただきました添加物の関係でご ざいますが、ここでの議論を企業の方にも伝えまして検討してもらうようにしたいと思 います。それから患者向け文書の書きぶりの関係についてもっと整合化を図るべきだと いう御指摘を頂きましたので、これもその方向で検討させていただきたいと思います。 また服用限度を設定している理由として、改善していても悪性の部分を隠ぺいすること があるということで、背景などをきちんと書くなりちょっと書きぶりを変えないとなぜ そういうふうな記載になっているのか分かりにくいという板倉先生の方から御指摘でご ざいます。これにつきましては先ほど野中先生から御指摘があった際に冒頭のところを 少し書き改める方向で検討すると申し上げましので、それと併せて検討させていただき たいと思います。以上でございます。 ○松尾部会長 そろそろまとめたいと思います。どうぞ。 ○板倉委員 先ほどの「その他3成分」の表現のところですが、消費者の方は相変わら ずいわゆる保存料とか着色料といったものではないかと推察される場合があります。で すから具体的な名前は挙げられないにしても、例えば「薬を徐々に出すために使われる 3成分」などといった言葉でもかなり違ってくると思うのです。ですからそういうこと も含めてお考えいただければと思います。 ○青柳委員 承認の可否に関する本質的な問題ではないのですけれども、ちょっと御質 問いたします。このアルタットの場合、徐放剤になっていますね。ところが表面上はど こにも「徐放剤」とは読めないと。多分承認区分で新有効成分として承認したもので「徐 放剤」という名前が付いていないと思うのですけれども、普通は大抵後から徐放すると 「徐放剤」と付いているということで、ちょっとそれが分からなくていいのかという問 題が一つ。  それからもう一つ、徐放製剤について一応溶出試験の規格を付けていますので、崩壊 試験は多分要らないだろうと思います。  それから説明のところで理解できないのは、この医薬品はその徐放製剤で通しており ますので多分イヌで実験した場合かなり胃の中にとどまっている時間が吸収に影響して きます。申請者は臭化ブチルスコポラミンの併用で吸収が上がったのは本来の医薬品の 吸収自体がいいので問題がないと説明しているのですけれども、臭化ブチルスコポラミ ンで上がったのは多分徐放性製剤だからという理由だと思います。ですからなぜ吸収性 がいいということを議論しているのかという問題がありまして、吸収性がいい悪いとい うのは原薬の問題であって、全体とした場合には徐放性製剤特有の理由があると思うの です。ですからその説明に一貫性がない。  それからもう一つよく分からないのは、この医薬品は非常に加水分解を受けやすいと 言っていますが、一方初回通過を受けにくいと言っておりまして、この整合性はどうな のかというところがあります。ですからその辺のところをもうちょっと学問的に整理し て説明していただければと思います。 ○審査管理課長 御指摘の部分につきましては、少し検討させたいと思います。 ○松尾部会長 各委員の先生方から大変重要な御指摘を頂きました。2種類の問題提起 がございまして、一つは消費者の安全性をどうやって担保するかということについて、 もう少し工夫ができないかという問題。それから情報提供の分かりやすさと言いますか、 整合性あるいは透明性についてもう少し検討の余地はないかということでございます。 今審査管理課長から検討できるものは検討して対応するというお返事を頂きました。す べて具体化することはできないと思いますが、そういう方向で調整していただくという ことで、取りあえずこの2品目についてはこれで議論を終わらせていただきたいと思い ます。もし御承認いただけましたら、当部会で御了承いただいたということで薬事分科 会に報告させていただきたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。どうもあ りがとうございました。それでは次の議題3につきまして事務局から御説明をお願いい たします。 ○機構 それでは資料3、アゼナ鼻炎スプレー及びビエナール鼻炎スプレーについて説 明させていただきます。審査報告書を御覧いただきますよう、お願いいたします。本品 目は日本チバガイギー株式会社から申請されたもので、医療用医薬品としてアレルギー 性鼻炎に広く用いられてきたフマル酸ケトチフェンを有効成分とするスイッチOTCで あります。成分・分量といたしましては、100mL中フマル酸ケトチフェンを75.6mg含み、 効能・効果は「花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような鼻のアレルギー症状 の緩和:くしゃみ、鼻水(鼻汁過多)、鼻づまり」であります。用法・用量は「成人(15 歳以上)及び7歳以上の小児:1回に1度ずつ、1日4回(朝・昼・夕方及び就寝前)両鼻 腔内に噴霧してください(1噴霧でケトチフェンとして0.05mg)」。本剤は我が国では医 療用として平成3年に「ザジテン点鼻薬」の販売名で承認され、平成9年の再審査結果 で用法・用量、効能・効果の変更はなされませんでした。  また外国での承認状況といたしましては、経口剤として1977年にスイスで承認されま した。そこから現在135か国ほどで承認されております。すべて経口剤でございます。 審査センター及び医薬品医療機器総合機構におきまして、海外では点鼻薬としての承認 がない理由について照会いたしました。申請者からは、外国においては本剤よりも即効 性がある新しい抗ヒスタミン薬あるいはステロイド剤の局所適応が治療の主流になって いたことなどにより本剤の市場シェアが伸びず、内服薬以外の他の剤型の開発が進まな かったとの回答がなされております。  各項目の添付資料ですが、既に医療用製剤として承認されておりますことより、本申 請時に新たな資料の提出はなされておりません。審査センター及び医薬品総合機構は、 品質、毒性、薬理、吸収・分布・代謝・排泄につきましては大きな問題がないと判断し ております。  臨床試験に関する資料につきましても新たな試験は行われておらず、医療用医薬品申 請時及び市販後の使用成績調査などにより一般用医薬品としての妥当性が説明されてお ります。まず有効性につきましては、例えば医療用申請時の一般臨床試験結果では「中 等度改善」以上の改善率が60.6%、「軽度改善」以上の改善率は91.5%など、その他の 試験におきましても有効性が確認されております。また安全性につきましても、代表的 なものとして解析対象6,240例の使用成績調査においても各年次における副作用発現症 例率が1.04〜1.42%でありました。主なものは眠気56件、鼻刺激感15件など副作用の 報告数は少なく、またいずれも重篤ではなかったことにより、一般用医薬品としての安 全性に問題はないとされております。  審査センター及び総合機構におきまして、本剤は他の既承認一般用医薬品と異なり血 管収縮剤が含まれていないため、1日4回という用法をより正しく守らないと効能・効 果が期待できないと考える点についてどのような対応をするのかという照会をいたしま したところ、使用上の注意及び薬局向け説明文書に用法・用量を必ず守るように記載し、 注意喚起を行うという回答がございました。さらに、使用者に分かりやすいように有効 成分量、使用回数などを表示するように照会いたしましたところ、使用上の注意などに 記載をし、特に外箱には使用回数も記載するという回答がありました。また、申請書の 用法・用量欄にも1噴射当たりの有効成分量が記載されました。その他の照会に対する 回答につきましても了承いたしております。  以上、総合機構は本品目について、この効能・効果、用法・用量で一般用医薬品とし て承認して差し支えないとし、一般用医薬品部会において審議されることが適当である と判断いたしました。なお承認条件といたしましては、市販後少なくとも3年間の安全 性等に関する市販後調査の実施を付すことが適当であると判断しております。以上です。 御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○松尾部会長 どうもありがとうございました。それでは、この議題につきまして御意 見、御質問ございますでしょうか。どうぞ。 ○板倉委員 1日に使用回数が4回ということはあるのですけれども、こういった商品 の場合にはどうしても間隔が短くなったり回数が増えたりということがあると思うので す。その場合の安全性はどの程度のものなのかということが分かれば教えていただきた いのですが。というのは、使い過ぎということで結構問題が起きる場合があるような感 じもいたしまして、定められた用法・用量、必ず1日4回というのがどういう意味なの か分からないものですから。結局効果のために4回と言っているのか、あるいはそれ以 上に過剰にやってはいけないという意味で言っているのかが、消費者は添付文書からは ちょっと読み取れないのではないかと思いましたので、御質問させていただきました。 ○松尾部会長 いかがでしょうか。 ○機構 基本的に1日に4回用いていただければ効能・効果が発揮できるかと思います。 毒性につきましても物自体はそう危険なものではありませんので、程度にもよりますが、 多少過剰に投与されたとしても安全性には問題ないと思います。1日4回を守るように ということは添付文書及び薬局での説明で十分指導させていただきたいと思います。 ○審査管理課長 ちょっと追加で申し上げます。審査報告書の2ページでございます。 これはもう長年使われているのですけれども、既承認の一般用医薬品の鼻炎用点鼻薬の 方にはナファゾリンなどといった血管収縮薬が配合されております。そのものでは先ほ ど板倉先生がおっしゃった御指摘の部分でちょっと懸念される点があるのですけれど も、この製品の場合にはそこの部分のリスクは低いのではないかということかと思いま す。 ○望月委員 添付文書の「相談すること」で、「2.次の場合は、直ちに使用を中止し、 この文書を持って医師又は薬剤師に相談してください」の「(2)1週間くらい使用して も症状がよくならない場合」の書き方のところです。資料概要の59ページと64ページ に効果発現時期が表になって出ているのですが、こちらを見ますと大体1週間以内まで に効果の発現する人が50%前後、2週間以内に効果が発現する人がそれに上乗せで20 〜30%いるということになっています。このデータからだと1週間で症状がよくならな い場合に消費者の方が効果判定まで十分至っているのかというのが若干疑問になるので すが、それは安全性の面等から考えて、やはり1週間で判断するべきであるというよう なことなのでしょうか。 ○機構 実は一般用医薬品にほとんど共通しているのですが、注意することのところで 3日間ほど使用して効能・効果が出ない場合には、医師又は薬剤師に相談してください という項目がございます。実はこの品目も始めは「3日間」と書いていたのですけれど も、効果が出てくるのが遅いということ、また3日で効果が出るというような資料がご ざいませんでした。そのため専門協議で1週間ぐらい様子を見てから判断すればどうか という意見が出ましたので、そのようにさせていただきました。  資料概要の10ページに1週間ぐらい使用しても症状がよくならない場合の根拠につ いて書いてございます。これにつきまして、3大主徴においては大体65%ほどが何らか の症状で改善が認められたということになってございます。一般臨床試験7試験でも70 %を超えるということです。取りあえず1週間使ってみて効果を見て、それで出ないよ うであれば何か別の疾患ということも考えられますので、医師及び薬剤師に相談してい ただくということでよいのではないかということでございます。 ○事務局 ちょっと補足させていただきます。先ほど御指摘いただきました59ページ、 64ページの医療用の試験結果の方です。こちらの効果発現時期というのは、いわゆる臨 床試験としての改善が認められた時期ということで記載しております。ですから各症状 別の改善ではなくて、その医師の全般改善度としての改善がこちらに書いてあります。 資料概要の77〜78ページの方に今回の根拠が書いてあるのですけれども、こちらの方は 全般改善度ではなく、同じ試験における各症状ごとの改善時期でございます。この三つ のうちどれかが改善が認められた時期ということで、先ほど御説明いたしました65%な り70%という数字がございます。ですから今回患者さん御自身が判断することですの で、全体としての改善というよりはどれかの症状が治った時期ということで、目安とし て1週間と記載したところでございます。 ○望月委員 御説明は分かりました。ただ医療用の点鼻薬に関して、一般的には2週間 程度様子を見てくださいという説明をされているケースが多いと思います。やはり先ほ どの全般改善度の公表されている論文が根拠になっていると思いますけれども、同じ内 容のものを使われたときにずれがあるというところは、ひょっとしたら若干患者さんが 不審に思う部分につながるかと思いました。これは意見です。 ○野中委員 審査を受けたらそれを適切に判断して、売りたいと言ったものに対してあ る程度許可しなければならないのは十分よく分かるのですが、これを聞いていると、な ぜ海外では余り速攻の効果がないというものを売るのかなという印象を受けることも事 実です。それから、医療機関でもそうですけれども、大事なことは少なくとも使ったと きに効果が出るのに1〜2週間掛かるのだということを患者さんによく理解してもらう ことです。この添付文書に関しては、「すみやかに」というとやはりこれは効かないの だということを前提に売るようなものです。ですから、大事なことはこういうものを使 っても効果が出るのに1〜2週間掛かるのだということを一番メインに表示することで すが、売るとなるとどうしてこういうふうに即効性と言いながら安全性と有効性の話を すると1週間、2週間ということになってきて…。最終的には、なぜ海外で売れないの かというと海外のものの方が即効性があるから売れないという話が出てきて、何か全く 効かないものをだまして売るのに荷担しているような気がしないでもありません。やは り速やかに、適切に消費者さんに使っていただくことが大事なので、正しいことをきち んと言うということを基本に、適切に使ってこうなるということの姿勢を見せるのが大 事ではないでしょうか。その辺をどうぞ検討していただきたいと思います。 ○事務局 今添付文書等に「速やかに」というところが何か所かございますので、そち らの記載については申請者の方と相談いたしまして、検討させていただければと思いま す。 ○松尾部会長 ほかにございますでしょうか。これは先ほどの御質問にも関係があるの ですけれども、局所的にこれを繰り返し投与した場合にアレルギーが起きないかという 問題はどこかで検討されたのでしょうか。小児科学のスタンダードの教科書「Nelson TEXTBOOK OF PEDIATRICS」には、抗ヒスタミン剤軟膏を局所に繰り返し投与することは 催アレルギー性の可能性を考慮して避けるべきであるという記載がありました。海外で 使われないという理由について検討はされているのでしょうか。  ○機構 申し訳ありませんが、そこまで検討はしておりません。先ほどの野中先生の御 質問とも関連するかもしれませんが、日本というのはステロイドは一般薬でも余りあり ませんし、鼻炎も当然ありませんので、海外ではそちらの方が主流になってしまったけ れども、日本ではまだまだこういうものが市場として要望があるというようなお話がご ざいました。ただ、外国でそういうものが余り用いられないというところにつきまして は申請者に聞いてみたいと思います。 ○審査管理課長 資料概要の76ページ辺りに副作用の関係がございますが、この中では 眠気が0.90%、鼻刺激感が0.24%…。この辺は刺激感ですので、アレルギー的なものと はちょっと違うように思いますけれども、そのほかには鼻乾燥感といったものがござい ます。特にアレルギー的なものは記載がないように思われます。 ○松尾部会長 どうもありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。幾つ かの問題を御指摘いただきましたが、当委員会としてこれを了承するということでよろ しゅうございますでしょうか。それでは同様にこれも審査会に報告させていただきたい と思います。次に議題4、リアップレディにつきまして御説明をお願いいたします。 ○機構 総合機構から医薬品リアップレディ、リアップL、ミノキシドL、タイショウ MX-1L(一般的名称:ミノキシジル)の製造承認の可否並びに再審査期間の指定について御 説明させていただきます。審査報告の1ページから順に御説明いたします。本品は有効 成分ミノキシジルを含有する外用毛髪用薬の一般用医薬品でございます。既に1999年2 月に男性の壮年性脱毛症を対象としたリアップが新有効成分含有一般用医薬品、いわゆ るダイレクトOTCとして承認されてございます。本品は成人女性(20歳以上)を対象と した新用法・用量で、リアップの再審査期間中に申請されたものでございます。  海外では1996年に米国におきまして男性用、女性用のスイッチOTCがミノキシジル 2%製剤として承認されてございます。現在世界94か国で承認されておりまして、その うち86か国で女性の適応が認められてございます。また、一般用医薬品として女性の適 応が認められているのは37か国でございます。  1998年の一般用医薬品特別部会におけるリアップの審議の過程で、本邦での女性の壮 年性脱毛症に対する使用を検討することとの意見が提出されてございます。このような 経緯を踏まえまして、申請者は女性の壮年性脱毛症を対象とした臨床試験を実施し、ミ ノキシジル1%製剤の有効性が検証されたということでございます。また安全性につき まして、副作用の種類、頻度、程度がプラセボと同様であるということで今回の申請に 至ったものでございます。  続きまして、審査の概略を御説明いたします。総合機構では、女性の壮年性脱毛症と それ以外の休止期毛性脱毛症とをどのように区別するのかということについて説明を求 めました。申請者の回答は、女性に対する壮年性脱毛症では、脱毛部位が頭部全体ある いは前頭から頭頂に限られるということを肉眼的に確認するだけでも他の休止期毛性脱 毛症との判断が可能であるということで、ほぼ確実に対象疾患以外の休止期毛性脱毛症 を区別することができると説明してございます。その上で、今回の資料に添付している 5種類の情報提供関連資料を用いることによって、一般の方が的確に他の休止期毛性脱 毛症との区別を行えると回答いたしております。総合機構は以上の回答を了承いたしま して、本品の販売時におけるセルフチェックシート等の資料の整備を求めてございます。  物理的化学的性質並びに規格及び試験方法から薬物動態までを簡単に御説明いたしま す。規格及び試験方法につきましては、本剤はリアップと□□□□□、□□□□、□□、 □□□□□□□□□□□□□□□□でございますが、□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□するなど、申請書の記載整備がなされてございます。  安定性につきましては、今回新たに実施した安定性試験はなく、リアップの承認申請 時の資料に基づき遮光条件下で3年間安定であると述べてございます。  また毒性につきましては、既承認のリアップの承認申請時に実施された各種試験のデ ータの見直しが行われ、女性特有の毒性の発現がないかが検討されて特段問題はないと 結論付けられております。  薬理作用でございますが、今回新たに実施した薬理試験はございません。壮年性脱毛 症の発毛機序並びにミノキシジルの作用機序の観点から改めて女性の有効性について検 討されておりますが、本薬は女性の壮年性脱毛症に対しても男性と同様に有効性を示す と結論付けられております。  薬物動態でございますが、これも今回新たに実施した薬物動態試験はございません。 申請者は、既に実施した薬物動態試験の結果に基づき、日本人女性におけるミノキシジ ル1%製剤塗布後の経皮吸収は日本人男性と大差はないと考察しております。  続きまして臨床試験成績でございます。ミノキシジル1%製剤の、女性における壮年 性脱毛症に対する二重盲検比較試験が実施されてございます。申請者は治験相談におけ る助言を基に、女性における壮年性脱毛症の患者を対象に客観的な指標として毛髪数を 採用し、1%製剤とプラセボとの比較臨床試験を行っております。20歳以上の女性を対 象とし、脱毛の程度については海外で使用されておりますLudwigの分類を採用してござ います。また製剤の形態でございますが、ミノキシジル製剤とプラセボとは外見上識別 不能としております。  まず有効性でございますが、主要変数の非軟毛数の変化ではミノキシジル群とプラセ ボ群でミノキシジル群が有意に勝るという結果が得られております。また副解析集団に おきましても同様に両群間に有意差が認められてございます。その他毛髪数の変化、総 毛数の変化につきましても、やはりミノキシジル群がプラセボ群に有意に勝るという結 果を得られてございます。  臨床試験の被験者の印象では、発毛に対する効果及び抜け毛に対する効果が評価され ております。発毛に対する効果では、主要評価である「少しよくなった」以上でミノキ シジル群とプラセボ群との間に有意差が認められてございます。また抜け毛に対する効 果では、「よくなった」以上の率はミノキシジル群とプラセボ群で有意差が認められて おりません。  続きまして安全性でございます。副作用発現率はミノキシジル群、プラセボ群とも同 様でありまして、その内容もほぼ同様でございました。また、臨床検査値異常の種類、 発現頻度についてもいずれも軽度でありまして、治験薬との因果関係は「多分関連なし」 と判定されております。  審査センターでは、臨床試験において同じ部位で評価していることの確認方法につい て申請者に説明を求めました。申請者は、医療機関において撮影した画像を1か所の毛 髪数計測機関において処理し、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□を確認していると回答いたしました。また「毛髪数の測定」の再現性について申 請者にただしましたところ、申請者の回答は、毛髪の測定は事前にトレーニングを経た 毛髪従事者が行っているため再現性が確保できているということでございました。また 審査センターでは、臨床試験の成績につきまして、治療時の医師の評価ではプラセボ群 と本ミノキシジル群で有意差が認められないにもかかわらず主要エンドポイントである 「毛髪数の測定」ではプラセボとの間に有意差が認められる理由について考察を求めま した。医師の評価におきましては、女性ではヘアスタイルとして髪の毛の長い場合が多 いため、髪の分け方のわずかな違い、あるいは例えば髪の伸び具合等の治験中の自然な 変化により、髪の状態などの変化による違いを他覚的に見極めにくいことから有意差が 認められなくなったと申請者は説明してございます。一方、毛髪数の計測は髪の毛を短 くカットするため、このような条件に影響されることはなく適切に再現性が検証された という回答でございます。  また本品を長期使用した場合の安全性につきまして説明を求めました。申請者の回答 では、本臨床試験は24週、6か月の塗布期間で実施されましたが、その中で例えば投与 期間が長くなるにつれて副作用の頻度が増す、あるいは特定の症状が多くなるというこ とはなく、したがって副作用発現率、副作用の種類への影響はないというふうに考察し てございます。  効能・効果、用法・用量、使用上の注意の設定根拠の説明でございます。効能・効果 につきましては男性用製剤リアップ等、□□□□□□□を用いていることも踏まえまし て、男性用製剤と同じ効能・効果を設定すると説明されてございます。審査センターで は、被験者の印象の抜け毛に対する効果で本品とプラセボとの間に有意差が認められて いないことから、効能・効果の「壮年性脱毛症における脱毛(抜け毛)の進行予防」の妥 当性について説明することを求めました。申請者の回答は以下のとおりでございます。 本品の臨床試験では抜け毛に対する効果を被験者の印象によって評価しているが、すべ ての抜け毛を把握することは不可能であり、実際には特に黒く長い硬毛の抜け毛が注目 されてしまい、壮年性脱毛症で多く見られる細く短い軟毛の抜け毛が見逃されている可 能性が高い。したがって、抜け毛の被験者の印象では硬毛の抜け毛の印象に近い評価に なっていると推察されて、細く短い毛の抜けた量をとらえていればより適切に判断でき たであろうと考察してございます。なお本臨床試験の主要変数である非軟毛では本品は プラセボに対して有意に増加していることから、毛周期を考慮すると軟毛が非軟毛に移 行していると判断でき、これまで軟毛の状態で抜け落ちていたものが非軟毛となるとと もに抜けずに維持され、軟毛の抜け毛が減少していると判断できると説明してございま す。以上より非軟毛を含めた抜け毛全体に対しては効果があったと判断できることから、 進行予防の効能・効果は適当であると判断してございます。この点につきましては一般 の方がよりその効果を判断できるよう分かりやすく解説することを求めまして、使用上 の注意の修正がなされてございます。用法・用量につきましては、やはり男性用製剤と 同一の用法・用量に設定されてございます。  使用上の注意の設定根拠でございますが、男性用製剤とアメリカの女性用製剤の使用 上の注意を参考にして設定されております。この中の「効果が分かるようになるまで少 なくとも6か月間毎日使用」という記載につきまして、使用を中止する時期について再 考を求めました。申請者は当初男性用製剤と同様に1年という設定であったが、最終的 に今回の臨床試験の投与期間である6か月を中止時期の判断とすると回答し、審査セン ターも回答を了解しております。  また、本品が壮年性脱毛症以外の脱毛症に使用されることで、その治療時期(医療機関 への受診時期)を遅らせる懸念がないか考察することを求めました。申請者は使用上の注 意並びにチェックシート等の一連の情報関連資料を用いることによって、そのような一 般の方を極力排除する方策を採ることができると回答し、総合機構は了解しております。  医薬品機構における資料適合性調査結果及び審査センターの判断でございますが、医 薬品機構により薬事法第14条に規定する書面による調査を実施した結果、特に重大な違 反は認められなかったことから、提出した資料に基づき審査を行うことについては支障 がないものとセンターは判断しております。  以上の審査センター及び総合機構における審査の結果、総合機構は提出された資料内 容についてここに記載してございます効能・効果及び用法・用量において承認して差し 支えないとし、一般用医薬品部会において審議されることが適当であると判断いたしま した。なお本品は成人女性20歳以上を対象とした新用法・用量による申請でございまし て、女性における壮年性脱毛症の外観的分類と進行は既承認の男性における壮年性脱毛 症の場合と異なることを踏まえ、再審査期間は4年とすることが適当であると考えてご ざいます。以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○松尾部会長 どうもありがとうございました。それではこの件について御意見を頂き ます。どうぞ。 ○松木委員 男性用で既に発売されているものと全く同じ成分のものを女性用の「リア ップレディ」として売るということで、専門協議で二つのストーリーが問題になりまし た。一つは、これが化粧品のイメージで販売されるのではないだろうかということです。 当初示された容器は真ん中がくびれていて非常に化粧品ぽかったのですが、今日見たら 少し男性用っぽくなっているので、その辺は改善されたかなというところです。それか ら添付文書の「してはいけないこと」の一番最初に「男性」と書いてあったのですけれ ども、別に男性が使っても何ら問題はありません。ですからこの添付文書では一番最後 になったのはいいのです。ただ「セルフチェックシート〈女性用〉」というところで、 やはり一番最初に「男性」と書いてあるのです。つまりこれは男性用ではなく女性用で あるということで、やはり化粧品のイメージで販売してしまうのではないか。男から見 たひがみかもしれませんが、そのようなイメージで販売されるとなかなか効果が分から なくても女性は使ってしまうのではないだろうかという意識があるわけです。  それから逆に、これは科学的にチェックをしていますが、効果は非常にわずかなもの で、ヘアスタイルなどで分からなくなってしまう程度ですから、過剰に期待した消費者 はすぐに買わなくなるのではないのかということです。  以上の二つのストーリーを専門協議で考えたのですが、どちらになるかはよく分かり ません。少なくとも女性用と書いてあるのだから、このセルフチェックシートで一番最 初に「男性」が出てくる必要はないのではないかと思います。 ○機構 総合機構の方からお答えいたします。このセルフチェックシートの一つの目的 に女性用で多く見られる甲状腺機能障害等の方を排除していくということがございまし たことから、専門協議でもお示ししましたように冒頭に「男性」を除くという内容が適 当とさせていただきました。先生の御指摘を踏まえまして、もう一度メーカー側と対応 を協議させていただきたいと思います。 ○松尾部会長 ほかにございませんでしょうか。どうぞ。 ○板倉委員 販売名が幾つもあるのですが、この違いがどこにあるのかということです。 「リアップ」があって「リアップレディ」というのは分かるのですが、それ以外の販売 名のところで「リアップ」が出てきますので、どのような売られ方をするかについて教 えていただければと思います。 ○審査管理課長 恐縮でございますが、私の方から一般論でお答えいたします。このケ ースでの詳細はちょっと承知しておりませんけれども、一般薬の場合は一物多名称を禁 止しておりませんので、販売ルートですとか実際に販売する前に再度どの名前がいいか ということで、承認のときにはこういう形で幾つかの販売名を取得するということはご ざいます。医療用の場合は保険診療などで使われることから一物一名称が原則でござい ますけれども、一般薬の場合はこういう形になっているということでございます。これ は一般論でございますが、このケースで特に何かありますか。 ○機構 「リアップレディ」と「リアップL」は同じようなものかと思いますけれども、 「ミノキシド」と「タイショウMX-1」はそれぞれ男性用でこの販売名で承認を取得して おりまして、その後に「L」を付けて男性用と同じようにされてございます。 ○板倉委員 そうすると、ここの「男性用のリアップと」というところは「タイショウ MX-1と」というように変わるということですか。そこがちょっとよく分かりませんでし た。「リアップ」は消費者の知名度が非常に高いわけですが、それ以外の「タイショウ MX-1」等についてはあるかどうかも含めて知らないわけです。それで比較するときには 「リアップについて」ということでは男性用だったけれども、女性用にという説明がそ れぞれに付いているようだったものですから、お尋ねしたわけでございます。 ○機構 もしこの幾つかの販売名で販売されるとすれば、情報提供資料でそこはこの具 体的販売名に変わるということでございます。 ○松尾部会長 ほかにございませんでしょうか。特に御意見もございませんようですの で、本部会の了承を得られたとして薬事分科会へ報告させていただきたいと思います。 ○機構 審査報告書の最後にも書かせていただきましたとおり、本品は再審査期間4年 を付すということにさせていただきましたけれども、そちらは御了解いただけるという ことでよろしいでしょうか。 ○松尾部会長 それを含めてよろしゅうございますか。御了承いただいたと思います。 それでは議題5につきまして事務局から御説明をお願いいたします。 ○機構 それでは総合機構の方から議題5、医薬品ジフェチアロン原体ほか4品目の審 査の概要について御報告いたします。議題5の品目はいずれもネズミの駆除を目的とし て開発された新規の有効成分ジフェチアロールを配合しております。ジフェチアロン原 体はジフェチアロールの原薬でございまして、ジフェチアロンMUPは製造用のために 原薬を溶剤である□□□□□□□□□□で約□□□□□倍に希釈したものでございま す。デスモアD1、D2、D3は原薬を□□□□□倍に希釈した濃度で設計された製剤 でございます。それでは資料5-1のジフェチアロン原体、ジフェチアロンMUPの審査 報告書に沿って説明いたします。審査報告書の4ページをお開き願います。起源又は発 見の経緯及び外国における使用状況等で記載しておりますが、従来から殺そ剤には抗血 液凝固作用のあるワルファリン、クマフリル、クマテトラリル等のクマリン系のものが 使用されております。しかし長年にわたる使用によって耐性が生じているという実態が ございまして、これらのものでは駆除が困難となっている状況でございます。欧米の方 では耐性を獲得したネズミにも有効性を示す第二世代が開発されました。この第二世代 のクマリン系殺そ剤としてフランスのリファー社が開発したのが本成分でございまし て、これを国内に導入しようとする申請でございます。  外国における使用状況につきましては、ポーランド、ベルギー、米国辺りで早くから 承認されております。そのほかフランス、ドイツ、イタリア、スペイン等15か国で承認 又は登録という形で家庭用並びに害虫業者用として広く販売されているということでご ざいます。  6ページを御覧ください。毒性について御説明いたします。7行目に記載しておりま すが、ジフェチアロン原体につきましては、単回投与毒性試験において特にラットの経 口投与における概略の致死量(最小致死量)が雌雄とも0.48mg/kgという高い毒性を示し ております。この結果から本成分は毒薬に該当するものと判断しております。「毒薬に 該当する」と言いますのは、毒薬・劇薬の分類がございまして、毒性の分類から考えて 毒薬に該当するということでございます。そのほか遺伝毒性については陰性と評価され ております。次のページでございます。生殖発生毒性につきましては、従来のクマリン 系殺そ剤が抗血液凝固作用を有するということで、生殖発生毒性はあると判断されてお ります。続きまして皮膚一次刺激性、眼刺激性はなしと判断されております。感作性試 験については、このものが微量で毒性を示すことから検出限界付近での投与でほとんど のネズミが死亡したということがございまして、評価不能となっております。後ほど製 剤の方で御説明しますが、製剤のデスモアで行いました感作性試験では陰性という結果 が出ております。  次にジフェチアロンMUPの毒性でございます。単回投与毒性試験におきまして、ラ ット経口投与の概略の致死量が雄で500mg/kg、雌が700mg/kgとなっております。この 結果からジフェチアロンMUPの有効成分濃度、100mL中0.12gを毒薬と劇薬の境界、 すなわち100mL中0.12g以下を劇薬、それを超えるものは毒薬と指定することが妥当と 判断しております。  次に効能又は効果に関する資料でございます。単独配置による製剤濃度設定試験、ま たジフェチアロールを配合しない製剤と比較した二皿選択法で喫食性の確認がなされて おります。有効性を確認するための単独配置試験が行われておりまして、本成分の喫食 性は良好でございます。濃度につきましては25ppm辺りが有効であるということが認め られております。  また10ページの吸収・分布・代謝・排泄に関する資料についてでございます。0.5mg /kgと5mg/kgで評価されており、それぞれの投与におきまして臓器内濃度と血漿中濃度 が測定されておりますが、5mg/kg投与では血漿中濃度が約30倍という高い値を示して おります。これにつきましては申請者とかなりやり取りをしたのですけれども、最終的 には0.5mg/kg投与付近で臓器内濃度が飽和状態になり、それ以上臓器がジフェチアロ ールを包含できない状態になったということで、その分血漿中にジフェチアロールが回 って濃度が高まったものという推定になっておりまして、これを了承しております。  12ページでございます。本成分の生活環境中への影響について申請者に見解を求めま したところ、ジフェチアロールは揮発性が低く難水溶性であることから水系への汚染の 可能性はほとんどないと考えられること。さらに製剤については固形のえさとして製品 化されるため、蒸散あるいは揮散の可能性は少ない。また農薬等の使用法と異なり穀物 や土壌等に使用される可能性もないことから、残留による可能性は少ないと考える旨の 回答を得ております。またそこには記載しておりませんが、土壌においても微生物によ り分解されるため残留はしないという試験成績が見られております。  次に資料5-2、デスモアD1、D2、D3について御説明いたします。審査報告書の 3ページをお開き願います。剤型・含量のところでございますが、デスモアD1は100 g中にジフェチアロンMUPを□.□□□g、ジフェチアロールとして0.0025g配合す るものでございます。デスモアD2というのはこれにネズミに対して誘引効果のある□ □□□□を配合したもので、D3は更に誘引効果を高めるために□□□□□□□を別包 として添付し、使用時に振りかけるというものでございます。  5ページをお開きください。5ページの末尾から6ページにかけて記載しております が、単回投与での概略の致死量でございます。原体が極めて高い毒性を示しますので、 製剤における毒性は十分に留意しなければいけないものでございますが、この場合ラッ ト、マウス共に5,000mg/kg以上となっております。安全性は高いと考えております。  抗原性試験でございますが、先ほど原体では判断不能という結果でしたけれども、こ の製剤においては陰性でございます。  また局所刺激性については皮膚一次刺激性はなし。眼粘膜刺激性につきましては、溶 媒の影響と思いますが、ごく軽度の刺激ありと判断されております。  効力を裏付ける試験につきましては基礎効力試験と実地効力試験でございます。実地 効力試験は農業を営む民家あるいは納屋や都市部の住宅地において実際に使ってみて効 力を調べるという試験でございます。いずれも良好な結果が得られております。  続きまして使用上の注意(案)についてでございます。ピンク色のタグをお開きくださ い。通常こういったものを湖や川に捨てることはないと思われますし、このものについ ては難水溶性ということで、湖沼に廃棄することによって必ずしも汚染が広がる心配は ございません。しかし魚を使った試験において低用量で死亡するものが出たこともござ いまして、一応「してはいけないこと」の欄に「魚に対する毒性もありますので、本品 の薬剤を湖沼、河川及び池などに流さないでください」と記載してございます。さらに 「保管及び取扱い上の注意」の欄に、「使用後残った本品(薬剤部分)は可燃物として、 容器部分は自治体の指示に従って廃棄してください」と記載しております。また中毒の 場合の措置として、「相談すること」の欄に「医師、獣医師の診療を受ける際には、本 品が抗血液凝固作用のあるクマリン系のジフェチアロールを含有することを告げてくだ さい。治療剤としては、ビタミンK1が有効です。」と記載しております。  なお有効成分が生殖発生毒性を有する問題についてですが、本製剤につきましては誤 って人が口にしてしまった場合Mすぐに吐き出すように苦みを有する□□□□□□□□ □□というものが配合されております。また本製剤の場合、有効成分が4万倍に希釈さ れているということから、誤って接取されたとしても相当の量を反復して摂取しなけれ ば影響はないと考えられるということでございます。以上のことから、本製剤について は注意喚起は不要と判断しております。  以上のような審査の結果、総合機構は提出された申請内容につきましてジフェチアロ ン原体及びジフェチアロンMUPを殺そ剤の原料である医薬品として、またデスモアD 1、D2、D3につきましては医薬部外品の殺そ剤として承認して差し支えないものと 判断いたしました。なお原薬であるジフェチアロールについては毒薬、ジフェチアロン MUPのような100mL中0.12g以下を含有するものは劇薬、さらに製剤であるデスモア のように100g中0.0025g以下を含有するものは劇薬に該当しないとすることが適当と 判断いたしました。以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○松尾部会長 どうもありがとうございました。ただいまの御説明に何か御意見ござい ますでしょうか。どうぞ。 ○青柳委員 これも大したことはないかもしれませんが、審査報告書の11ページです。 0.5mg投与と5mg投与で、投与量が10倍、AUCが30倍ということで、先ほど議論に なったと思います。組織が飽和になってしまっているからAUCが上がってしまったの だというのは、普通ちょっと納得できない理由なのです。というのは、大抵こういう場 合のいわゆる非線形というのはほとんどがクリアランスの飽和によるものであって、臓 器にたまったから血中に増えてきているという理由はちょっと納得できません。それに ついては明解な回答があったのでしょうか。 ○機構 この成分は微量で投与したこともございますが、有効成分は放射線で標識しな いと実験ができないということで、追加試験がなかなか難しいということがございます。 したがって、どうしても推測の話になってしまいますが、出血を来した臓器もあったと いうことですので、恐らく出血作用により組織が障害を起こして有効成分の包含能力が なくなったのではないかと考えているという説明を受けております。 ○青柳委員 非常に奇妙に思うのは、こういう場合大抵非線形というのはクリアランス に起因していると思うのですけれども、その説明が全然ないというのはちょっと変な感 じがします。それだけでしたらほとんど糞中に出ているのです。ところが単純排泄がほ とんどですので、多分そこのところが飽和になってしまっているのかなと思うのですけ れども、その説明なら少しぐらい実験できそうな気がするのですが、それは全然ないで すか。 ○審査管理課長 それでは、実験までやるかどうかは別にしまして、今の先生の御意見 を申請者の方に伝達してそこをちょっと検討させていただきたいと思います。 ○松尾部会長 それは単純に不明であるという説明では承認を得る過程でまずいのでし ょうか。 ○青柳委員 本質には関係ないのですけれども、機構の説明がちょっと不十分だと思い ます。 ○板倉委員 消費者の方も使う商品として出ていくわけですけれども、使用上の注意に ついては案が載っているのですが、使い方についてはどこかに載っておりますでしょう か。というのは、どういう形で正しく使えるのかということと、どのくらいもつのかと いうことです。それからこういったものはまいて置きっぱなしになるような場合があり まして、例えばその後住む人が変わったりして前のを掘り返して食べてしまうといった ことなども含めてあり得るものなのです。回収も含めてそこら辺がきちんと使い手側に できるようになっているのかどうかということが分かりましたら、教えていただければ と思います。 ○事務局 使い方ですが、後ろに付いている「使用上の注意(案)」欄は使用上の注意だ けでありまして、使い方はデスモア製剤の審査報告書の2ページにそれぞれの用法・用 量としてあります。ここに例えばネズミのよく出る場所数か所に適量を配置するなどの 記載がございます。  ○審査管理課長 追加でございますけれども、これは医薬部外品で、今説明しました用 法・用量や効能・効果は外箱にも書かれると思いますが、恐らく中に使用説明書として 入る形になると思います。 ○板倉委員 適量とか手に付かないようにとか…、適量というのはあいまいです。それ から開封してどのくらいなら使えるのかとか、どういった場合は駄目なのかというよう な…。また、まいて効果がないときには回収あるいは場所を移動させるというのですけ れども、移動させてもその後どのくらいまでのところで効果がないと認めて廃棄につな げるのかというような部分では、やはりまきっぱなしにならないようなことも含めて使 い方のところに入れていただければと思いますので、お考えいただきたいと思います。 ○事務局 用法・用量についてでございますが、今口頭では「適量」と申し上げました けれども、実際の文書の方では「適量(約10g〜30g)」と記載しております。それから 使用上の注意の方は御指摘に従いましてより分かりやすくしたいと思いますが、いわゆ る「用法・用量」というのは承認事項としてどういうふうに使う、それ以外に注意事項 としてこういうふうにするということですので、そこは分けた形で適当に注意喚起をさ せていただければと思います。 ○板倉委員 10gとか30gというのは、例えば1箱が30gで、これの3分の1だったら 10gというような形で分かるということですね。例えばスプーン1杯などというのなら もう少し分かるのですけれども、重さで示された場合にきちんと適量まけるのかどうか ということについては考えていただければと思います。もうそうなっていれば問題あり ません。よろしくお願いいたします。 ○松尾部会長 どうもありがとうございました。どうぞ。 ○長尾委員 「使用上の注意(案)」のところです。「相談すること」に「医師、獣医師 の診療を受ける際には」とありますけれども、こういう新しいクマリン系のものが市場 に出る、あるいは出ているというような情報はこの医師や獣医師、あるいは中毒関係の 医師等にどういう形で行くのでしょうか。箱に入ったものを持っていきなさいというこ とでいいのですか。それとも別ルートで…。 ○審査管理課長 医薬部外品でございますと、特にこういう人に直接用いないものであ る場合、認可されても医師等に直接情報を提供することはないと思います。ただ、一般 的な化学物質などの中毒を起こすようなものでございますと、商品として発売されれば 例えば中毒の情報センターなどといったところにはしかるべく情報が流れるような形に なっているとは思います。 ○長尾委員 こういうことはそれほどめったにあることではないと思うのですけれど も、何らかの情報提供の手段があってもいいかなとは思います。 ○松尾部会長 ほかにございませんでしょうか。それでは今の御指摘についても少しお 考えいただて、対応していただきたいと思います。条件付きで当部会で御了承いただい たということでよろしゅうございますでしょうか。それでは次に議題6につきまして御 説明お願いいたします。 ○機構 引き続き議題6の審査概要につきまして総合機構から御報告いたします。議題 6の品目はいずれも蚊の成虫の駆除を目的として開発された新規の有効成分であるメト フルトリンを配合しております。エミネンスはメトフルトリンの原薬でございます。「ア ース殺虫ファン」、「フマキラー殺虫」とそれぞれ幾つかありますが、有効成分の配合 濃度が各々異なった製品でございます。どのようなものかと申しますと、これはフマキ ラーの製品ですが、このように有効成分をしみ込ませたビーズのようなものが入ってい ます。これをカートリッジ型にして送風機付きの器具に装着し、送風によって有効成分 を揮散させるというものでございます。  それでは審査報告書に基づきまして御説明いたします。資料6-1、エミネンスの審査 報告書の4ページを御覧ください。メトフルトリンは蚊の駆除剤として古くから使用さ れておりますピレスロイド系と言われる化合物に属しております。従来のピレスロイド 系の成分と比べて常温による揮散性を高めることで、加熱することなしに風力だけで揮 散させられるという特徴がございます。また殺虫効力と安全性を高めたというものでご ざいます。  5ページの中ほどですが、毒性に関してでございます。単回投与毒性試験におきまし て、ラットの経口投与における概略の致死量は雄が2,000mg/kg以上、雌が2,000mg/kg と判断されております。  6ページでございます。このものはくん蒸剤でありますので、重要な指標となります 反復吸入毒性試験についてでございます。その項の下から4行目に記載しておりますが、 ラット4週間反復吸入試験における無毒性量は雌雄共98.7mg/m3と判断されておりま す。製剤の審査経過につきましてはまた説明いたしますが、この無毒性量の値に基づい て製剤であるアース殺虫ファンHS、フマキラー殺虫Mの使用時の空気中濃度を比較し ました。その結果、各々1日12時間吸入し続けたとした場合の吸入量は反復吸入投与毒 性試験の無毒性量に対してアース殺虫ファンが約9,000分の1、フマキラー殺虫Mは 41,900分の1と、それぞれ極めて高い安全性を示す値となっております。  生殖発生毒性につきましては特に問題とする事項はございません。抗原性については ないと判断されております。  局所刺激性につきましては、皮膚一次刺激性が軽度の刺激あり、眼刺激性試験につい ては刺激性なし、遺伝毒性については陰性という評価でございます。魚毒性試験につい ても特段の問題はございませんでした。また、本成分は製造工程における原料や発生す る類縁物質が最終的に排除できずに5%ほど含まれております。これらについての毒性 評価も行われております。そこに示しておりますように概略の致死量はやや高い値を示 しておりますが、それぞれ含有される量が0.1〜0.3%であることと、エミネンスの毒性 評価として判断された概略の致死量2,000mg/kgを併せて考えると問題ないと判断して おります。また遺伝毒性においては陰性を示しております。  一般薬理、吸収・分布・代謝・排泄に関しては特に問題は見られませんでした。  次に10ページからの効力を裏付ける試験についてです。既承認のピレスロイド系の殺 虫成分との比較につきまして、アカイエカ、ヒトスジシマカについては既承認の成分の 2〜25倍の強さを示しております。イエバエについては逆に既承認のものより弱く、チ ャバネゴキブリについては既承認のものより強い場合もあり弱い場合もあるという混在 した結果が出ております。この成分の有効性は蚊に特定して高いということが判断され ます。  次に製剤であります資料6-2のアース殺虫ファンHS1、HS2、HS3について御 説明いたします。審査報告書の3ページをお願いいたします。「剤型・含量」の欄に記 載のとおり、本製剤はメトフルトリンの量を変えることによって、「申請時用法・用量」 欄に記載のとおり効果を持続する時間を変えたものでございます。  6ページをお願いいたします。先ほどエミネンスの反復吸入毒性試験のところで御説 明いたしましたが、「(4)室内空気中濃度験」の末尾に記載しておりますとおり、安全 係数は約9,000倍と推定されております。  次に効力に関する試験についてでございます。申請者の既に承認されている同様のフ ァン式製剤「アース殺虫ファンNK30」、「アース殺虫ファンVA」を対照として行わ れておりまして、既承認品目と同等あるいはそれ以上の有効性を示しております。  次に使用上の注意についてでございます。後ろの方のピンクのタグをお開きください。 本製剤は極めて安全性の高いものでございますが、閉めきった部屋で使用し続けるのは 好ましくないことから、念のため「(1)してはいけないこと」の項目に「閉めきった部 屋や狭い部屋で使用する場合は、時々注意して換気を行ってください」、「1日の使用 時間は12時間内とどめ、それ以上は使用しないようにしてください」、「通電中は成分 が連続して揮散するので、使用しないときは必ずスイッチを切ってください」と三つ記 載しております。アース殺虫ファンHSについては以上でございます。  続きまして資料6-3、フマキラー殺虫M2、M3、M4について御説明いたします。 審査報告書の3ページを御覧ください。これも同様でございまして、「剤型・含量」の 欄に記載のとおりメトフルトリンの量を変えることによって「申請用法・用量」欄に記 載のように効果が持続する日数を変えたものでございます。  次に7ページを御覧願います。「(6)使用後気中濃度」という項目がありますが、そ の上の3行でございます。先ほどエミネンスの反復吸入毒性試験のところでも御説明い たしましたが、これについても1日12時間暴露における安全係数は約41,900倍と推定 されております。  次に効力に関する試験についてでございます。申請者が既に承認を得ているくん蒸剤 で、ファン式ではなく加熱によってくん蒸させる「べープリキッドe2」というものを 対照として行われ、この品目と同等又はそれ以上の有効性を示しております。  続きまして使用上の注意についてでございます。「使用上の注意」のタグをお開き願 います。これもアース殺虫ファンと同様でございまして、「(してはいけないこと)」の 項目にそれぞれ同じ内容のことを記載しております。  以上のような審査の結果、総合機構は提出された申請内容につきましてエミネンスを 殺虫剤の原料である医薬品とし、アース殺虫ファンHS1、HS2、HS3、並びにフ マキラー殺虫M2、M3、M4を医薬部外品の殺虫剤として承認して差し支えないもの と判断いたしました。以上でございます。御審議お願いいたします。 ○松尾部会長 どうもありがとうございました。それでは御意見を賜りたいと思います。 どうぞ。 ○青柳委員 ちょっと教えていただきたいのですけれども、エミネンスの審査報告書の 9ページに「血中半減期52〜163時間」と書いてあります。相当半減期が長いのですけ れども、10ページの「(4)排泄」のところは、「排泄も速やかであり、投与後2日目ま でに投与量の91.5〜95.2%」ということです。ちょっと見た感じでは消失半減期が非常 に遅いのに一方で排泄が早いというのはどうなのだろうと思います。御説明お願いしま す。 ○機構 それにつきましてはまだ確認をしておりませんので、確認いたしまして御連絡 差し上げます。 ○審査管理課長 ちょっと分かりませんが、経口と吸入での違いでしょうか。今お答え しましたように細かいデータに当たって確認させていただければと思います。 ○板倉委員 私は専門ではないものですから、ちょっと教えていただきたいと思います。 ピレスロイド系の薬剤だということなのですけれども、例えば吸入刺激性は吸入毒性の ところで見られていると考えてよろしいのでしょうか。というのは、苦情ということで 以前に聞いた話では、こういうものをたいたことでのどがはれているようなお子さんの 炎症が更にひどくなって、気管支閉塞のような形で救急車で運ばれた例があるというこ とでございます。この商品がそういう心配のないものであればいいのですけれども、も しそういったことについてある程度消費者の方で使い方を考えた方がよければ、そのよ うな注意事項を入れていただいた方がいいかもしれないと思って御質問させていただき ました。 ○機構 刺激性についてお答えいたします。皮膚感作性及び皮膚局所刺激性ということ で、皮膚に対する刺激性はもちろん一般の毒性試験の中で見ております。それからこの 実験は吸入毒性試験を行っておりますので、この場合には鼻部暴露試験と全身暴露試験 というものがございます。その両方におきましても一応気道吸入という投与経路になり ますので、そのときの評価としては鼻粘膜、気道、肺の呼吸器系に関しては普通の実験 以上に慎重に見ております。  もう一つ、先ほど言われましたお子さまに対することは、物の刺激というよりはいわ ゆるアレルギー反応による場合が多いということが考えられます。この物質は感作性は ないのですが、そういう状態のときには物理的な刺激だけではなく感作性も含めて症状 が出てくることもございます。とにかく今回提出された毒性試験に関しては、今言われ たような懸念は製剤においては認められていないということでございます。 ○松尾部会長 ちょっと私の理解なのですけれども、今のような事例は文献的にも知ら ないのですが。これは従来のものと同じで、デリバーするシステムが変わったというこ とが主でございますよね。ほかに何か御意見がなければ、一応御了承いただいたという ことにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。審議事項はこ れで終わりでございます。引き続き報告事項につきまして御説明をお願いします。 ○機構 それでは報告事項について御説明申し上げます。今から御報告申し上げますも のは基本的には審査が終わっておりまして既に承認が得られているものでございます。 今までのものよりは新規性は低いものの、やや新規性が高いということで御報告させて いただきます。  資料7になります。販売名イノセアアクト及びイノセアアクト<消化薬>、申請者は佐 藤製薬株式会社でございます。成分・分量といたしましてはマレイン酸トリメブチンが 300mg、ビオヂアスターゼ2000以下二つの消化酵素が入ってございます。用法・用量と いたしましては大人(15歳以上)1回2錠、1日3回食後なるべく30分以内に服用する、 であり、効能・効果につきましては、もたれ、胃部・腹部膨満感以下のようなものとな っております。本品は一般用医薬品の有効成分として既に認められているマレイン酸ト リメブチン300mg(医療用医薬品の1日最低量と同じ)に消化酵素3種類が配合された胃 腸薬でございます。かなり長い効能・効果がございましたが、それは一般用医薬品胃腸 薬製造(輸入)承認基準にほぼ準拠した効能・効果でございます。承認申請時にはそれに □□がうたわれておりましたが、直接□□に効能・効果を持つ有効成分は配合されてい ないということで、審査の過程で削除されております。承認申請時提出の一般臨床試験 におきましては、御覧いただいておりますように有効性及び安全性について問題はない と判断しております。特に有害事象につきましては2例3件でございまして、いずれも 軽微であるということで、審査センター及び総合機構は承認して差し支えないと判断し ております。なお承認条件につきましては、市販後少なくとも3年間の安全性に関する 市販後調査を実施することを付しております。  続いて資料8になります。NFカロヤンガッシュ以下計8品目でございます。埼玉第 一製薬株式会社から申請されております。成分・分量といたしましては、塩化カルプロ ニウム水和物以下5種類の有効成分が入ってございます。用法・用量といたしましては、 「成人(15歳以上)に1日2回(朝・夕)、1回2mLを頭髪地肌にすり込み軽くマッサージ する。なお、患部の状態に応じて2mLで多い場合は適宜減量する。」であり、これは効 能・効果の方に円形脱毛症等が入っておりまして、その患部の大きさに応じて減量する ことになっております。15歳未満については使用しないということでございます。効能 ・効果は御覧のとおりでございます。本品は自社の既承認品目である「カロヤンアポジ カΣ」等(以下、前例という)の有効成分のうち、塩化カルプロニウム水和物のみ配合量 を2倍、前例が1%だったものを2%に増量してきたものでございます。承認申請時に は効能・効果の「発毛促進」のところが「発毛」となっておりましたが、ただいま御審 議いただきましたリアップのみが今まで「発毛」という効能・効果を持っておりまして、 審査の過程で前例と同じ「発毛促進」というふうに訂正されております。一般臨床試験 の内容につきましては「壮年性脱毛症」と「円形脱毛症その他」に分けまして、それぞ れ89例、86例実施されております。有効性及び安全性についても御覧のように大きな 問題はないと考えまして、承認して差し支えないと判断しております。承認条件につき ましては、同じく市販後少なくとも3年間の安全性に関する市販後調査を実施すること になっております。以上でございます。  続きまして、資料9につきまして御説明いたします。販売名はオムニード0.5%パッ プ以下でございます。この資料の6の備考欄を御覧ください。本品はインドメタシン0.5 %を配合する消炎・鎮痛のパップ剤でございまして、既に同様の製剤が平成15年1月に 承認されております。本品はそのPMS期間中に申請された品目でございまして、1枚 の大きさ・膏体重量・膏体中のインドメタシン配合量、用法・用量及び効能・効果は既 承認の品目と同様でございます。申請者は既にインドメタシン0.5%パップ剤の医療用 製剤の承認を取得しておりまして、本品の申請に当たりましてはこの医療用製剤の申請 時に実施しました各種試験に基づいて資料がまとめられ、新たな臨床試験等は実施され ておりません。承認条件といたしましては市販後安全性に関する調査を実施することで、 調査期間は既に承認が得られております東光薬品工業株式会社のものの残余期間という ことになっております。以上でございます。  続きまして資料10、販売名フマキラー殺虫A2について御報告いたします。先ほど御 審議いただきました議題6のメトフルトリンと同じピレスロイド系のd・d-T80-プラレ トリンというものを有効成分とするものでございまして、蚊成虫の駆除を効能とするエ アゾール剤でございます。従来のエアゾール剤は適量を蚊に向けて噴霧するというもの でございまして、濃度的には0.2%のものが最高濃度でございましたが、本製剤は1.5 %と濃度が高くなっております。本製剤の特長としましては、エアゾール剤ではござい ますが適量を噴霧するという用法ではなくて、一定量を噴霧させて2時間ほど室内の有 効濃度を保つということでございます。噴射する機構に一定量を噴霧するよう工夫がな されております。くん蒸剤と同じような用い方になるものでございます。本剤の最高気 中濃度から計算しました安全係数は128倍でございまして、安全性は十分に確保されて いると判断されます。次のページに使用上の注意がございますが、まだ市販されていな いということで「案」となっております。「してはいけないこと」という項目に「人体 に向かって噴射しないこと。また、噴霧気体を直接吸入しないこと」、「本剤は1回の 噴射で2時間効果があります。1度に2回以上噴射したり、2時間以内に追加して噴射 しないこと」と記載しております。以上でございます。 ○松尾部会長 どうもありがとうございました。それでは資料7〜10までで何か特別に コメントはございますでしょうか。どうぞ。 ○板倉委員 資料10でございます。用法・用量のところに「10mL入りで約30回、20mL 入りで約60回、30mL入りで約120回」とありますが、入っている内容量と回数に必ず しも比例的なものがないのはどうしてなのかということについて教えていただきたいの が一点目です。  それからもう一点は、ピレスロイドというのは魚毒性があるということを聞いており ます。これについてはエアゾール式だからということで「その他の注意」に魚毒性につ いての注意が書いてあるのだろうと思いますが、先ほど審議したものについてはそうい ったことがなかったので、ここのところの違いについて御説明いただければと思います。 ○審査管理課長 板倉先生の御質問は同じピレスロイドのものでの比較でございますよ ね。いわゆる蚊取り器のようなものについては魚毒性に関する使用上の注意がないと…。 恐らく蚊取り器の場合と濃度が相当違うのだろうと思うのですけれども、そこは今まで 横並びで、恐らく蚊取り器のようなものについては魚毒性までは書いていないのかもし れません。そこは少し検討する必要があるかなとは思います。 ○松尾部会長 もう一つ状況を把握できないのですけれども、最初の申請の段階でどう いう書類になっているのでしょうか。 ○事務局 先ほど課長の方から説明したことをもう一度繰り返させていただきます。同 じピレスロイド系ですけれども、最初のエミネンスの製剤の方はくん蒸剤ですので、空 気中に徐々に出てくるものです。ですから直接水槽等に溶け込むことは恐らくほとんど ないだろうと。一方報告のフマキラーの方は噴射剤ですので、過って水槽に向けてシュ ッと噴霧する可能性があるためこういった注意事項を書いているということだと思いま す。 ○板倉委員 今熱帯魚などを飼っていらして長期的にブクブクやりながらというような ことですと、溶け込んだりすることもあります。結構高価な熱帯魚などを飼われている 居住空間等にそういったものを置いて問題がなければ特に書く必要はないと思いますけ れども、もしそういった問題がありそうであれば使用上の注意に記載された方がよろし いかと思います。 ○審査管理課長 御指摘どうもありがとうございます。確かにそういうことも考えられ ますので、くん蒸型の蚊取り器のようなものについてもその必要性がないかどうか検討 いたします。 ○松尾部会長 それではよろしくお願いします。そのほかに何かございますでしょうか。 これは報告事項でございますけれども、皆様の御了承を頂いたということにさせていた だきます。最後に資料11について御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは資料11のジクロルボス(DDVP)くん蒸剤の安全対策及びその取 扱いについて御報告させていただきます。ジクロルボスは殺虫剤でございまして、昭和 40年代に承認を受けているものですけれども、自然蒸散型として主に使われているもの でございます。東京都の方がテストチャンバーを用いた室内濃度の測定実験を行いまし て、その結果若干高い濃度が得られたということで、こちらの方に検討が依頼されたと ころでございます。薬事・食品衛生審議会の委員の中で安全対策や殺虫剤の専門家に検 討をお願いし、対策について議論した結果、この濃度で長時間暴露した場合には安全域 を若干上回るおそれがあるということで、これまでの用法・用量や使用上の注意につい て記載の変更を依頼したということでございます。  1枚めくっていただきまして、2枚目のところでございます。まずこれまでの用法・ 用量の中で「事務室」や「食堂」というのが使用場所の中にあったのですけれども、今 回人が長時間とどまるところについては使用を禁止するということで、使用場所から「事 務室」や「食堂」を削除するとともに、「人が長時間とどまらない区域」ということを 新たに記載するように依頼いたしました。  それからもう1枚おめくりいただきまして、使用上の注意についてです。従来から飲 食物が露出している場所での使用といったことについては注意喚起をしていたのですけ れども、改めて「居室(客室、事務室、教室、病室を含む)では使用しないこと」とし、 飲食物についても再度注意喚起をするといった通知を出したところでございます。以上 でございます。 ○松尾部会長 どうもありがとうございました。何か御質問ございますでしょうか。で はこれは報告事項として承ったということでいいかと思います。全体について何かござ いますか。どうぞ。 ○山本委員 確認をしたいのですが、審議事項の中で議題1〜6とございまして、少な くとも議題1〜4については医薬品なのですけれども、これは指定薬として扱われると いう理解でよろしいのでしょうか。 ○事務局 そのとおりでございます。 ○山本委員 そうしましと、議題1、2で言えば説明文書を含めて本部会でかなり議論 があったと思います。現在もH2ブロッカーのガスターのようなものが指定薬として残 っておりますけれども、3年間ないし4年間のPMSの結果を受けた後、それがいわゆ る指定薬から外れるようなケースについて、前回も申し上げたのですが、この部会には 何の報告もなく処理されてしまっていると思うのです。現実に議題1、2については先 ほど多くの先生方から御指摘があったことを考えますと、少なくともこうした医薬品が 指定薬から外れるというケースについてはこの部会の方にも御報告いただくなりして、 十分に御議論いただいてもいいのではないかと思っております。単に販売後の安全性が 確保できたからというだけではなくて、使用上の問題も含めて現にあるわけですから、 その辺りは仕組みの問題として難しければやむを得ないと思いますけれども、御検討い ただければと思います。 ○審査管理課長 それではその件に関してはこちらの方で検討させていただきたいと思 います。 ○松尾部会長 そのほかにございませんでしょうか。それではちょっと私の不手際で時 間が少しオーバーしてしまいましたが、これで本日の部会を終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。                                   ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 上野(内線2738) - 2 -