04/11/29 第20回社会保障審議会介護保険部会議事録          社会保障審議会 第20回介護保険部会 議事録 1 日時及び場所:平成16年11月29日(月) 15:00〜17:00          霞が関東京會舘 ゴールドスタールーム 2 出席委員:貝塚、上田、市川、小川、喜多、木村、京極、見坊、潮谷、田近、        対馬、永島、中田、野中、秦、花井、矢野、山崎、山本の各委員        漆原、大村の各委員は欠席 3 議題  :取りまとめに向けての議論 ○貝塚部会長  本日は、前回の議論を踏まえ、事務局に制度設計に関する具体的な論点について整理 させたので、これに沿って議論を進めたい。本日の資料について事務局より説明願いた い。 ○渡辺企画官より資料1及び資料2に沿って説明 ○京極委員  障害者部会では、障害者施策の在り方について広い展望に立って検討を進め、介護保 険の活用も現実的な選択肢の一つとして検討してきた。特に最近の1週間で、身体障害 や精神障害の団体が介護保険の活用について立場を明らかにするなど、急速に各団体が まとまりつつある。  そこで、審議を尽くす一環として、障害者団体の声を直に聞く機会を設けていただく ようお願いしたい。 ○矢野委員  厚生労働省の資料の作り方は極めて誘導的である。賛否があるのに、被保険者の範囲 拡大を前提としている事務局は是非公正・中立であって欲しい。  年齢引下げについて、私どもの姿勢は極めて慎重で、現行の基準を維持すべきである という考え方を持っている。日本経団連の意見でもあり、商工会議所や同友会などほか の全国的な経済団体も同じである。  普遍性を持たせるということが多数意見であるかのようにここには書かれているが、 何千万の従業員を抱える企業の意見が、果たして少数意見かと言いたい。  外国との比較論もされているが、少子高齢化は日本が世界最高速なので、これから日 本が高齢者を大事にしてサービスを行っていくスタンスを維持していくことは、私はむ しろ世界のモデルになると思っている。  普遍性を持たせるということがこの部会の総意になっているとは思っていないし、現 実に国民の世論を考えると同意できない。  障害者団体の考えについては、今まで賛否両論あると伺っていたが、ここに来てほと んど賛成論になったという理解で良いのかどうか、よく分からないので説明して欲し い。  障害者に対する福祉は国全体として重要なので、意味ある制度にしていくことは大事 だが、それを社会保険の中に持ってくるのが良いのか、税方式が良いのかという問題に ついては、ほとんどこの部会では議論されていない。むしろ私は、国民全体が税という 形で負担することがふさわしいと思っている。  段階論というのは、やろうと決まってからすれば良い議論である。まだ、入り口のこ とも議論し切れていない。また、資料の中で、年齢区分を設けて保険料負担も差を付け る云々という議論があったとあるが、これはむしろ事務局が出した案であり、説明の不 自然さを感じる。 ○京極委員  現行の障害者施策では、40歳から64歳までの障害者は介護保険料を払っていながら制 度の適用にならず、税による支援費制度でやっている。一方、65歳以上の障害者は介護 保険を適用した上で更に障害者施策をプラスアルファで乗せる形になっており、これで 良いのかという認識が徐々に委員の中に広がっていったのではないか。  もう一つは、既存の障害者施策の全てを介護保険でカバー出来るわけがないのに、障 害者施策の在り方論を議論しないで、統合、統合という議論が先に進み過ぎたため、ど うも今まで足並みが揃わなかったのではないか。今回、障害者施策のグランドデザイン で打ち出された「障害福祉サービス法」において、介護給付と自立支援給付と地域生活 支援事業の3つに分けたが、こうすると、介護給付に関しては介護保険を活用し、他の 部分は税でやるという組み合わせによる仕組みはどうかという議論が出てきて、かなり 意見がまとまってきた。障害者施策の在り方論からすると、どうも介護保険の活用とい うものはそれなりに意味があるのではないかということになり、そこで急速に議論が進 んできた。 ○田近委員  この介護保険に突き付けられている問題、我々の仕事というのは、2000年度から始ま った介護保険を、5年経ったところで持続可能な制度とすることを国民に示すことだ。  障害者の問題については、保険ではケアが成り立たないだろうと思う。  今日の説明では、障害者団体の方が、支援費制度では財政的に永続性と発展が不安で す、昨年度から始まった支援費制度はわずか2か月で財政破綻状態に陥りました、と歯 切れの良い言い方ではっきりと言っている。  破綻した制度をどう維持するかというと、介護部分と介護以外部分を分けるというこ とで恐らく話がついたのだろう。介護保険は基本的なサービスで、それに対して上乗 せ、横出しがある。特に全身性障害者に対して上乗せをするということで、障害者の人 も安心したのだろう。  ただ、この話は合理的ではない。根幹の部分は介護保険、上乗せは補助金というので は、余りにも財政的に見て規律がないと思う。 ○喜多委員  説明を受けても、結論として何をどうしようと考えているのか分からない。  前々回までは統合という言葉を使っていて、前回はそれが影を潜めて普遍化となって いた。非常に誘導的だと私も思っている。各委員からこんな意見があったのか。もう少 し言葉が付いていたものを適当に切ってしまったのではないか。  もともと介護保険は老後に備えるということでスタートしたわけで、普遍化して低年 齢化する含みもあったであろうし、障害者の方々も入れるという含みもあったと思う が、介護保険の対象者を今、なぜ下げなければならないかという説明がない限り、なか なか理解できない。  国民的コンセンサスを得るためには、国民に対して理由を言って下げますよというP Rをしないといけないのに、低年齢化しないと保険料が6,000円になると言って、果た して国民の理解が得られるのかどうか。最初に高齢者のための制度だと言ったのだか ら、その言葉を取り消して、全国民のためにやるということに変えないと議論は前に進 まない。しかしそういう説明はなく、障害者問題だけが出てしまって、議論というより 皆がいろいろ言葉を並べてきただけだと思う。これを普遍化するための議論とするので あれば、1回、2回の議論ではなく、何年もかかると思う。 ○山本委員  今の財政状況を考えると、三位一体の財政改革でも厚生労働省が一番のターゲットと なっていたことは確かなので、どうしても障害者施策を単独で維持することが難しくな ってきていると思う。  障害者は表に出さないで、対象年齢を0歳からにするという説明の方が、理解を求め やすいと思う。0歳までの中には障害者もいるので、今さら障害者がどうだと特に強調 する必要はないと思う。  負担年齢の引下げについては、20歳にしたとすると、7割くらいは自分で払えないた め親が払うことになる。すると、一世帯当たりの負担が増加し反発を買うと思うので、 年齢を一挙に引下げるべきではないと思う。  20歳以上と書くこと自体が無理だと思う。25歳までの人たちは、恐らく、保険料を払 えない人と、払える人がいてもまだまだ自分がこの給付を受けるまでには何十年も先だ という感覚で介護保険への理解度が低いだけに、滞納が多くなってくると思う。とする と、今度は事業主の猛反発を買うことにもなりかねない。  また、障害者の認定はどこがやるか。障害者は、すでに障害者ですという認定がされ ているところに、更に介護の認定をやることになるのか。介護保険の認定基準がそのま ま適用されるのかなど、そういったことが全く分からない。  医療については、末期がんだけではなく、例えば老衰の人たちなども医療と介護と組 み合わせて提供するということもあり得る。医療の方は病名で医師が判定し、介護を受 ける場合はそこでまた認定を行う仕組みだ。もし、障害者をそう考えるならば、先に医 療と介護を結び付けるべきだと思う。その後に障害者もという話なら分かる。  いきなり障害者問題が出てきて、こうやるんだ、財源不足になるから被保険者の年齢 を下げるんだ、というのは極めて乱暴な議論だと思う。  障害者について上乗せ、横だしという言葉を使うが、それが一番悪いことだと思う。 もう少し中で詰めて欲しい。それよりも、年齢を0歳以上でやると説明した方が国民的 なコンセンサスも得ることが出来ると思うので、そのような方向転換をお願いしたい。 ○野中委員  社会保障制度は、障害や病気を持った方々がどういう助けを借りて自己実現をしてい くかということが一番大きな問題であり、その方々がどういう生活を送るかというとこ ろに焦点を当てるべきだと思う。それがこうなるから、国民がたとえ幾らの保険料を払 ってもこれを持続可能な制度にしようとなるのではないかと思う。  資料に施行スケジュールがあるが、少なくとも認定を受けられた方が、どういうサー ビスを受けられて生活がどうなるのか、3障害の方々がどうなるのかをもう少し明示す るべきで、幾ら何でもスタートの前からスケジュールを考えるというのは無謀ではない か。どういう意味かお答え頂きたい。 ○山崎総務課長  あくまでもモデルとして、仮に被保険者の範囲を拡大するとした場合に、実際に作業 に入ってどれぐらいかかるかを紹介したものである。趣旨としては、決めてすぐに出来 るものではないということである。 ○野中委員  短縮することも可能と書いてあるが、とすると、今話していることは3年、4年先の 話ということか。  いつのことを想定しているのか分からないのはおかしな話だ。今日初めてこのスケジ ュールが出て驚いている。 ○中村老健局長  スケジュールについては、仮にこの審議会等で意見がまとまり、給付年齢を0歳に拡 大しようと仮になった場合、17年に法案を出したとしても、実施できるのは早くても21 年からだろうとお示ししている。  本格的に実施するためには、要介護認定ソフトも変えなければならないし、保険料徴 収システムも変えなければならないなど、様々な問題がある。法律を変えないで準備し ておけば良いという議論もあるかも知れないが、やはり相当膨大な費用もかかるので、 国家の意思決定としてゴーサインが必要と考えており、全国の市町村にお願いして実施 するためにはそれだけの準備がかかるというのが趣旨である。  なぜ今議論するのかということについては、第5期の保険料の試算をお示ししたが、 この審議会として、年齢拡大するよりも第5期4,900円という保険料水準を選ぶと合意 するかどうか、保険者である市町村の方々を含めてどのように考えて頂くかを問題提起 したものである。  障害者のことを余り言わない方が良いとのご指摘だが、現在0歳から64歳までの障害 者は、障害者であるがために介護保険の対象外になっているのではなく、介護保険が原 則65歳以上となっているがために対象になっていない。拡大するとすれば、実際問題と してどうしても若い障害者の関連施策との関係整理が出てくるということだ。  全国民の介護を全国民で支えるという立場に立てば、介護保険が該当する方について は優先して介護保険を適用することになるので、再編分化後の障害行政と介護保険の適 用関係について資料でお示しした。 ○貝塚部会長  介護保険制度に障害者を入れるというのは、考えようによっては、介護保険制度が社 会保障システムの中で今まで持っていたよりも違う位置を占めることになるということ で、その結果として、準備期間がかかるということだと受け取った。 ○喜多委員  年齢の拡大よりも介護予防による効果の4,900円で良いという主張を私がしているか のように受け取られるのは違う。6,000円になるというのは国が決めたことであって、 このことについてはどうするのかと今まで何回も言ってきている。とても市町村は負担 に耐えかねると言ってきたが、それが障害者の統合問題ですり変わっている。  制度を拡大すると、老後に備えるという発足時の介護保険の理念が変わってしまうと 思う。したがって、現状はどうなっているか、それが本当に制度としてうまくいくかど うかを議論するのが我々の立場であって、介護保険の形を変えてしまうことまでの議論 は与えられていないと思う。去年発足した時に最初にその議論をすべきであったし、お 金のことをしっかり議論しなければ成り立たないことは以前から主張してきた。 ○潮谷委員  普遍的な仕組みにしていくという点については、大変大事な視点ではないかと考えて いる。今までのような縦割りの時代から、総合的に介護も考えていかなければならない と思うが、県の立場で言うと、上乗せ、横だしのサービスというものが国の責任におい てきちんと保証されていくのかどうか、なかなか見えてこない。今のような状態の中で 地方の超過負担が生ずるような制度設計をされると大変なことになるので、普遍的なサ ービスを考えていく時には、その辺りも明確に論議する必要があると思っている。これ 以上、県独自での超過負担は耐えられない状況にある。 ○見坊委員  理念は変わっていないが、介護保険制度の新しい方向ということで、介護というサー ビスを障害者を含めたあらゆる世代に普及する方向に皆が目を向け始めてきたと感じて いる。  介護保険部会の中で障害者問題が取り上げられてから、障害者団体は非常にこの部会 の意見に注目している。そのため、うっかり障害者の方々の考え方を先取りしてはなら ないと思い、私は慎重な発言をしてきたが、ここで各障害者団体が大きな方向付けを行 い、足並みが揃い始めてきた。この機会を失してはならないと障害者の方々も、あるい は、家族の方々も考えている。一方、反対という団体も声を鎮めていない。  それだけに難しいが、もしこの問題を全く介護保険部会で論じないとなった時にどう いう印象を与えるのか非常に心配している。時間をかけても話し合いをするべきで、よ うやく今、介護サービスを全国の障害者にもという方向が出始め、私たちも遠慮なくそ れを言える雰囲気になってきた。  特に、三位一体の改革で財政が苦しく、障害者の方々はこの機会を逃したらどうなる か、置き去りにされるのではないかという危機感を持っているのだろうと思う。  この論議が中断したり、後向きにならないように、事務局も慎重に資料を提出して頂 きたい。 ○花井委員  介護保険制度を作る時、20歳にするのかという議論は最後まで残り、最後の段階で40 歳となったので、決して最初から高齢者介護だったとは考えていない。さらに、法律の 中に検討課題として明記され、それを前提に介護保険部会が出発したとすれば、そのこ とに対して一定の結論を出すことが責任だと考えている。  39歳と40歳で何が違うのか。64歳で保険料を払っていても全く使えなくて、65歳以上 になれば無条件に使える。この仕組みで本当に保険制度なんだろうか。  ただし、年齢を拡大して制度をスタートするには相当時間がかかるので準備期間を設 けなければいけないと思う。また、支援費制度に対する障害者団体の不信感が根強くあ ったので、準備する段階においては十分障害者の意見を踏まえた対応をして頂きたいと 思う。 ○小川委員  この部会で7月30日に意見書を出した時、介護保険制度が一定の成果を出したことに ついては一致したと思っている。  今ここで、介護の社会化を進めていくということを更に先延ばししないで、着地だけ でも見ておきたい。大枠だけでも考えていくべきではないかと思っている。  7月30日の意見書では、施設で働く人たち、あるいは在宅のホームヘルパーを含め、 外国人労働者の問題など、労働施策が書き切れていない。また、この意見書ではまだ施 設の整備であって、住宅政策にはなっていない。これは高齢者福祉の問題ではなく、何 らかの生活支援や介護を必要とする人にとって不可欠な問題である。障害者の問題も支 援費の問題も含めた包括的な福祉施策を描いていく方向をこの部会で示さなければなら ないと思っている。  ただし、各論を議論するとなかなか着地点が見出せないので、着地を考えるべきだと 思う。このことは、結果として自治体の地域福祉計画に機能していくと思っており、自 治体が福祉施策全体と介護保険の財源だけではなく各自治体の財源も含めて見直してい く時代に入ったのではないかと思っている。 ○貝塚部会長  介護保険に関して今まで出された議論で、長期的には普遍化するということに対する 反対論はなかったと思う。  それから、介護保険制度が今まで国民の福祉にとってプラスであったということも間 違いない。ただし、良い制度であるがゆえに、徐々に逆の面である財政が大変になって きたというのが今の問題だと思っている。 ○山崎委員  質問だが、資料によると、障害者施策の新体系では18年度からいわゆる障害ケアマネ ジメントなどをしながら介護保険のような仕組みで動かすというスケジュールになって いるのか。 ○大島介護制度改革本部次長  資料に障害福祉サービス個別給付と書いてあるが、実はこの中が介護給付と自立支援 給付の2つにまた分かれる。この2つに分ける作業を平成18年からおおむね5年程度を かけてやっていくというのが今の新しい障害施策改革の将来方向となっている。 ○山崎委員  そうするとかなりスケジュールがタイトだと感じる。介護保険制度の性格を変えるよ うなことになるのであるから、もう少し時間をかけた議論が必要かと思う。  さらに、給付と負担を一致させるかについて、仮に0歳となると負担と給付は一致し ないので、当面は保険料の負担者が給付を受けることになるのかどうか。こう考える と、現在の2号被保険者も15特定疾患だけが給付されているので段階的にと考えた時 に、今まで2号の給付については具体的な議論をしてきていない。このテーブルに載っ てこなかった論点も幾つかあるので、到底あと1回くらいでこの部会で結論を出せるよ うな問題ではないと思う。 ○秦委員  制度創設以前では、障害者は別だという市民が多かったが、実際に介護保険制度の第 1期をやっていく中で、随分障害者の存在ということも受け止められてきていると思 う。  事務局の出したスケジュールについて、3年間程度いろいろ試行しながらやっていく という点では基本的に賛成する。  また、財政的に厳しい状況の中で、介護保険制度が1割負担を守っていることは立派 だと考えている。 ○対馬委員  介護保険制度の持続可能性が最大のテーマだったので、理念というか総論的なもの と、実際の具体的な事例ないしは数量的な裏付けというのは当然必要だろうと思うが、 普遍化の方向性ということだけを切り出して議論するのはいかがなものかと思う。  また、7月の報告書をもとに介護予防を重視するということで、18年度において給付 費の3%にあたる2000億円程度の事業規模で地域支援事業を考えているようだが、その 予防効果が上がるかがポイントである。ごく一部で実施した市町村のモデルケースだけ で、それが全体的にも効果が上がるとは言えず、個別的な課題をその方法論も含めて考 えなければならない。極めて性急である。 ○山本委員  支援費制度がうまくいかなかったから、障害者、障害者と言っているのではないか。 そうではなく、「0歳から」と説明するべきではないか。  我々の財政が現状のままでいけるのは18年までで、19年以降はわからない。18年まで は三位一体の財政改革で示されたが、市町村の財政が極めて厳しい方向へいくことだけ は間違いない。しかし、社会保障はやらなければならないので、それならば黙って「0 歳から」にしなさいと言っている。ただし、単に0歳と言っているのではなく、中身や 背景があるから言っている。  また、単に障害者を入れましょう、はい、良いですよと言ったら、今度は経営者があ あそうですかと言うかという問題もある。従って説得力の高い議論が必要だと思うが、 なぜ障害者が出てきたのか分からないまま議論しているのはおかしい。 ○中田委員  普遍的な制度を目指すべきだということは賛成だが、障害者の問題も含めた制度の効 率性、合理性、公平性などを集中議論するべきだと思う。  この機会に是非決めたいと言うが、それはどうもおかしいと思う。ここで決まってし まうと、あとは全部政省令や通知でどんどん厚生労働省の思いのままに具体的なものが 決まっていく。例えば、新予防給付の問題についても、毎月の介護保険担当課長会議で 具体案が出されている。そうではなく、もう少し議論をする場が必要だという観点か ら、こうした問題について集中審議をお願いしたいと思う。 ○木村委員  この部会で報告書を出す時に、どの程度までまとめるか教えて頂きたい。 ○貝塚部会長  現時点では、普遍化については皆さん賛成だが、現段階でどうするかというところで 意見が分かれている。障害者の話も入ってきたが、最終的にそれをどう入れ込むかは非 常に重要で頭の痛い話だ。 ○田近委員  介護保険が生まれ変わり、障害者介護を入れ、給付に対する負担という関連性を外す ような議論をするのか。  まず普遍化という言葉自身がどう定義されているのかということと、やはり介護保険 というものを保険のルールでやるのか、障害者施策という社会福祉的な要素をここに入 れ込むことにしたと言うのか、そういった大きなところが固まっていないと思う。  もし障害者を保険に入れるとしたら、負担に耐えられない人たちに対しては国が保険 料を賄う上に、上乗せ部分は更に国が払うことになる。そうすると、やはり私は障害者 という一つの塊を新たに介護保険に入れるのは保険原理に馴染まないと思う。 ○矢野委員  普遍化という言葉が一人歩きしてしまっている。一人ひとりが描いている普遍化の意 味というのは違う。大前提としての普遍化を論議した覚えはない。  従って、ここに書いてある普遍化というのは一体何であるかを一遍議論してみたらど うか。 ○貝塚部会長  保険者の範囲を拡大する話と障害者の話はもともと性格が違ったものだ。  論理的には介護保険制度の中でできる話と、新しく付け加わった部分は2つに分け て、結果的にはドッキングすることになるが、それはやむを得ずこうなったと言わざる を得ない。そういう形にいかざるを得ないのではないかと思う。 ○花井委員  この問題はそもそも介護保険における被保険者・受給者の範囲の議論だと思ってい る。  田近委員に伺いたいが、今も65歳以上の障害者は保険料を払っていて、40歳から64歳 の障害者も働いている方は保険料を払っている。そのことはどう考えるのか。 ○田近委員  そもそも我々がこの部会でやらなければならない仕事は、2000年から始めた制度を、 今後持続可能なものとするためにこうしましょう、と言うことだと思う。  それを超えて、障害全体のことについて答えるというのならば、それは最初からそう いう議論として仕組めばよくて、全体について、そもそも論をここで全部やってくださ いということを求められていたとは思っていない。 ○潮谷委員  私たちはこの部会の中で、受給対象者を年齢で区切る理由はないという点では一致し たと思っている。  ただし、これまでの支援費の対象者であった障害者の問題、医療の中の末期がん、あ るいは難病の方々など、こういった問題をもう少し整理をしていくことが大事になって きていると思っているので、私たちはもう一度整理した方が良いのではないかと思って いる。 ○貝塚部会長  時間がきたのでこれで終了する。  次回は、本部会としての取りまとめを行いたいと考えている。                                      以上 照会先  老健局総務課企画法令係   03-5253-1111(内線3919)