04/11/26 独立行政法人評価委員会国立病院部会第5回議事録      厚生労働省独立行政法人評価委員会 国立病院部会(第5回)議事録                             平成16年11月26日(金)                                 16:58〜18:52                              厚生労働省9階省議室 出席者:井伊委員、開原委員、住田委員、夏目委員、山田委員 1.開会 ○部会長代理  ちょっと早いかもしれませんけれども、皆様お集まりでございますので、第5回独立 行政法人評価委員会国立病院部会を開催したいと思います。委員の皆様におかれまして はお忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございました。本日は黒川 部会長が御都合で御欠席ということですので、急遽私が代わりまして部会長代理として 議事を進めさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  本日は大道委員、渡辺委員、辻本委員が御欠席でございますので、きょうは5名の出 席ということで、ちょっとこの会場が広過ぎるようでございますけれども、どうぞよろ しくお願いいたします。  それでは事務局から本日の議事につきまして簡単に御説明をお願いいたします。 ○政策評価官  本日の議事について御説明申し上げます。議事の1は、国立病院機構の重要な財産の 譲渡の件につきまして、国立病院部会からの御意見をいただきたいということでござい ます。また、議事の2としまして、独立行政法人設立から半年余り経過した現段階にお きまして、法人の状況などについて機構から報告をいただきまして、委員の皆様方から の御質疑、御意見をいただきたいと考えております。今回いただきました意見について は、今後の国立病院機構の評価の基準細則あるいは評価の視点の策定などに活用させて いただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。以上でございま す。 ○部会長代理  ありがとうございました。特にお手元の資料の確認はいいですかね。きちんと番号が ついておりますので、おわかりいただけると思いますので、早速議事の方に入らせてい ただきたいと思います。 2.議事 (1)重要な財産の譲渡について ○部会長代理  今回、国立病院機構におきましては2件の重要な財産の譲渡を予定しているというこ とでありまして、これにつきましては11月25日付で国立病院機構から厚生労働大臣あて に申請があったところであります。このような重要な財産の譲渡等については、独立行 政法人評価委員会の意見を聴いた上で厚生労働大臣が認可を行うこととされておりま す。今回はその内容について、法人及び法人担当課に御説明をお願いして、その上で委 員の皆様の御意見を伺いたいというわけであります。  それでは、まず担当課から御説明をお願いいたします。 ○国立病院機構理事  国立病院機構の理財担当の理事をしております白石でございます。よろしくお願いし ます。具体的な議題の御説明に先立ちまして、一言私の方からごあいさつを申し上げま す。  本委員会の皆様方には、日ごろから国立病院機構の運営につきましていろいろと御指 導いただいているところでございます。この機会に改めて御礼を申し上げたいと思いま す。  本日の御説明事項につきましては後ほど各担当部長の方から詳細を申し上げたいと考 えておりますが、1つは国立病院機構の重要な財産の譲渡に関する案件としまして、奈 良病院及び旧秋田病院の財産処分に関係して御審議をお願い申し上げたいと思います。 また、この機会をいただきまして、国立病院機構発足後半年以上経過しているというと ころですので、現在までの運営状況について御報告申し上げたいと考えております。  運営状況としましては、収支状況等の経営状況とともに、医療面、研究面における私 どもの活動状況について御説明申し上げたいと考えておりますし、また、国立病院機構 としての今後の方向づけ、あり方、そういったことにつきましては議論、検討を重ねて きているところでございまして、その状況としまして、旧療養所型病院の活性化に関す る検討会及び病院建築標準仕様等の策定に関する検討会の検討状況につきましても、そ の中間まとめ等をしておりますので、これについても御説明させていただきたいと思っ ております。  国立病院機構も本年4月に発足しまして半年以上経過し、そろそろ8カ月を迎えると ころでございます。従来の国立病院特別会計における直轄運営体制から、各病院施設が それぞれの責任と判断を基礎にして運営を行っていく体制に切り替わったということで ございますが、新しい体制のもとで経営基盤の強化を図るとともに、国民の皆様方に満 足いただける質の高い医療を提供していくという役割を果たすことを目標に、現在歩み を進めているところでございます。  経営面におきましては、経理方式が官庁会計から企業会計方式に変わったということ でございまして、各施設の経営情報がより正確に把握できるようになってきたというこ とでございますし、また、月次決算等の制度を取り入れて毎月チェックを行うなどし て、経営の改善合理化に努めてきているところでございます。  一方で、良質の医療を提供していくという役割をしっかり果たすことが必要でござい まして、そのための基盤を固めていくということで、医師を初めとする人的体制の整備 ということ、あるいは老朽化している施設をどう整備していくかという課題も抱えてい るというところでございまして、そのための努力や工夫にも心を砕いているというとこ ろでございますが、さらにその努力を進めていく必要があると考えております。  こうした中で、各病院の自主的な判断に委ねられる範囲が広がったことを背景としま して、各病院、施設の意識も変わってきていると考えておりまして、今後さらに各病 院、施設の努力を基盤にしながら、国立病院機構全体として力を尽くして改善の実を上 げていきたいと考えております。  本日これから各担当部長の方から議題について詳細に御説明申し上げたいと考えてお りますが、よろしく御審議をいただきたいと考えますとともに、今後とも私どもの病院 につきまして御指導、御意見を賜りますよう、よろしくお願い申し上げまして、最初の 私からの挨拶にかえさせていただきます。よろしくお願いいたします。 ○医政局国立病院機構管理室長  国立病院機構管理室長をしています池永と申します。最初の議題でございますが、重 要な財産の譲渡ということでお諮りしてございます。独立行政法人通則法に基づきまし て、重要な財産を処分する場合は主務大臣の認可が必要になりますが、その際、評価委 員会の意見を聞くこととされております。機構の場合には重要な財産の処分というのは 3億円以上と定められておりますので、今回の奈良病院、秋田病院、いずれも機構が引 き継いでおります再編成の業務にかかわるものでございますが、この2件につきまして お諮りするということでございます。具体的な説明は機構の方からいたしたいと思いま すので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○国立病院機構財務部長  国立病院機構財務部長の古都でございます。国立奈良病院の譲渡と旧秋田病院跡地の 譲渡に係る申請について御説明いたします。資料1−1が奈良病院関係の資料でござい ます。当機構からの申請書、関係条文、地図、出資時の不動産鑑定概要、奈良市におけ る固定資産譲渡申請書が添付されております。旧秋田病院につきましては資料1−2、 当機構からの申請書、関係条文、地図、不動産鑑定評価、本荘市からの要望書がついて おります。一括して説明させていただきたいと思います。  この2件はいずれも国の時代に行われた国立病院・療養所の再編成計画に関係するも のであります。国立病院機構の中期目標において厚生労働大臣から、再編成計画につい ては引き続ききちんとやるようにということになっておりますので、国立病院機構の中 期計画においても国の再編成計画に沿って引き続きやっていくということになっており ます。再編成につきましては今年度中に5カ所が予定されております。既に10月1日に 甲府・西甲府を統合いたしました。12月1日に奈良・西奈良、それから大牟田・筑後、 17年の3月になりますけれども、長良・岐阜、豊橋東・豊橋、この5カ所が統合される 予定になっております。そのうち奈良・西奈良につきましては後医療の引き受けが奈良 市によって行われるということですので、奈良病院について奈良市の方から譲渡申請が 上がってまいりまして、これを国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律の経過 措置を適用して、今回譲渡したいというものでございます。  申請書を1枚めくっていただきますと概要がついています。場所は奈良市内で、2万 平米余りでございます。建物は病棟等延べ約1万9000平米ほどでございます。この委員 会にお諮りする内容は、取得価格が3億円以上という政令の規定がありますので、4月 時点における評価額が、土地18億4381万円、建物が17億9358万7592円という評価額でご ざいますので、本日、掲げさせていただいております。  なお、実際には12月1日時点で譲渡されますので、現時点での評価額ということにな ります。現在の時価は、複数者から土地、立木竹、建物、工作物等の評価をしておりま して、国の時代にならい、概ねその平均をとらせていただいて奈良市に説明させていた だく形になろうかと思います。この鑑定価格に基づいて平均した額を12月1日時点の時 価額という扱いにしたいと考えております。  処分後につきましては、国立病院機構奈良病院は、奈良市が市立奈良病院として医療 機関の用に供されるということでございます。これについては資料1−1−4をごらん いただきますと、固定資産譲渡申請書の2枚目に奈良市の方から国立病院機構奈良病院 跡地利用計画書というものが出ておりまして、奈良病院の基本方針、主たる機能、現在 国立奈良病院が担っている医療水準を確保する、あるいは役割も引き継ぐ、その上でさ らに市民に信頼される病院として運営していくということが明らかにされております。 これらすべての資産を医療用に供するということですので、これは国の時代に策定して おりました再編成計画に合致するものと理解しております。  国の時代には医療機関として利用する面積あるいは職員の引き受け割合によりまし て、どの程度の額で引き継いでいただくかを決めておりますが、資料1−1の4ページ をごらんいただきますと、通常、減額の対象とする面積は必要とする医療の用に供する 面積の6倍までという運用をしてまいりました。今回は奈良病院がお使いになる面積が すべて医療にお使いになるということで、対象面積が3万3000平米ということになり、 譲渡対象面積を超えることからすべて無償譲渡の対象になるということでございます。 さらに、職員の採用につきましても、16年3月31日時点での定数198人のうち過半数を 超える方々が市立奈良病院に移られるということですので、以上をもちまして奈良病院 については国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律の経過措置に基づく運用か らみて、無償譲渡に該当いたしますので、その旨取扱いたいと考えております。機構と しましても、中期計画に定める計画の着実な実施ということでございますので、何ら支 障がないと考えておりますので、この旨よろしく御了承いただければと考えておりま す。  続きまして、旧秋田病院の跡地でございます。旧秋田病院につきましては、簡単に経 緯にふれさせていただきます。旧国立療養所秋田病院というのは昭和63年に再編成計画 を設けた段階で地方公共団体に移譲し、秋田病院自体は道川病院と統合するという計画 でございました。しかし、地元での存続要望ですとか、さまざまな問題、後医療を引き 受ける機関もなかなか見つからないなどの事情もございまして、再編成計画を見直した 結果、秋田病院と道川病院の統合は行うものの、秋田病院そのものは引き受け機関がな いということで廃止の取り扱いとするということとし、15年12月1日に統合され、廃止 されたという経過になっております。  しかしながら、地元本荘市におきましては病院の存続を希望していたということです が、廃止の場合は跡地の活用をしたいということがございます。その際、旧秋田病院跡 地のうち10万平米余りは昭和17年に本荘市、当時は本荘町と石脇財産区からの寄附地で ありまして、機構移行以前より国に対して、跡地の取得に当たっては特段の配慮を要望 していた経過がございます。資料1−2−4をご覧いただきますと、ここに要望の趣旨 がございますように、この病院自体が昭和14年に傷痍軍人病院としての用地取得に際 し、無償で寄附をしたというものでございます。地元においては公用廃止の際にはぜひ 返してほしいという議決をされていたようですけれども、その議決は結果的に取り下げ られ、そのかわり軍事保護院総裁から公用廃止の場合はお返ししますといったお礼状が 出されています。このお礼状自体に、法律的な意味は今日的にはございませんけれど も、こうした経過もございまして、本荘市としては過去の経過、住民感情、あるいは引 き受ける際の経費負担も踏まえ、できるだけ譲渡については配慮をしてほしいというこ とが要望されております。  2ページに戻りまして、国としてもこれについては種々配慮をしてきたということで ありまして、国会答弁等でもこれらについては十分配慮するということもいわれてきた 経過もございます。そういうこともありまして、この跡地を本荘市がぜひ公益目的で利 用したいということでございますので、国の時代の再編成計画と強く関連するという経 緯を尊重し、機構としては減額譲渡により処分するという方法をとらせていただきたい と考えております。  3ページにありますように、対象となるのは資料1−2−2の2枚目、黄色とピンク とブルーで分けたところがございますけれども、黄色いところとブルーのところが寄附 地でございまして、ピンクのところが後に国が購入した土地でございます。大半が寄附 地でございます。購入したところにつきましては時価でということにし、それ以外は減 額するという形で今後本荘市と交渉していこうという段取りでございます。本荘市の方 は今後議会にかけられるということでございますので、こちらの方で譲渡という方向が 了解を得られれば具体的な手続を議会でとりたいということでございます。  この用地につきましては、将来の災害拠点等に使用したいと考えていたわけでござい ますが、本荘市からも防災施設であるとか保健福祉施設、教育施設として有効活用した いということですので、むしろ私どもの計画以上の内容があるのではないかと受けとめ ておりますので、これについては過去の経過を十分配慮し、5割減額での処分というこ とで御了承いただければと思います。以上でございます。 ○医政局国立病院機構管理室長  資料の取り扱いにつきましてお願いしたいと思います。ただいま御説明しました秋田 病院跡地の関係でございますが、こちらは本荘市の方が議会等の手続があるという関係 から、先方の御要望ということもあり、議会等の手続が完了するまでの間、この資料に ついては委員限りとさせていただければと思っております。 (※当該案件については、平成17年1月27日、本荘市議会において議決があったとこ ろ。) ○部会長代理  それでは、ただいま御説明いただいたとおりでございますけれども、2件の重要な財 産の処分について、何か御意見等ございましたら、どうぞお願いいたします。まず奈良 病院の方ですが、これは従来の流れの中で無償譲渡ということになるということです が。はい、どうぞ。 ○山田委員  この建物はいつごろ建った建物なんでしょうか。何年ぐらいたっているんですか。 ○国立病院機構財務部長  これは譲渡する際に必要な改修をすべて行って、それから譲渡するということでござ いますので、にわかに時期は出てまいりませんが、十分使える状態にしてから譲渡する ということで、国の時代から整備しております。 ○部会長代理  ほかに何か御意見ございますか。はい、どうぞ。 ○夏目委員  職員の採用で、過半数99名を超えるということですが、これは過半数を超えれば無 償、過半数以下であれば減額という定めになっているんですか。 ○国立病院機構財務部長  はい。基本的に地方公共団体の場合、過半数を超えると無償でありまして、過半数を 超えない場合で、3分の1から2分の1の引き受けの場合は8割引ということですか ら、2割で譲渡するという形で国の時代から運用しておりました。 ○夏目委員  無償になる条件というのは、職員が過半数以上移籍するということだけなんですか。 同じ機能が継続されるということも無償の条件になるんでしょうか。 ○国立病院機構財務部長  もちろん第一には後医療をやっていただくということで、医療をやっていただくのが 大前提でございます。例えばこれを更地にして全然違うものに使いたいという場合は対 象にならないということでございます。ただ、医療に関連するもの、例えば特別養護老 人ホームですとかケアハウスですとか老健施設、こういうものは認めるということでご ざいます。 ○部会長代理  よろしゅうございますか。これは国の時代からずっとやってきたことと同じでござい ますので、後でまた一括してお諮りしたいと思います。今度は秋田病院の方について、 何か御意見ございますでしょうか。これは無償ではないわけですけど、いかがでしょう か。 ○山田委員  資料1−2−4の文章の中に、本庄男爵が「公用廃止の場合は無償譲与せられる様取 り計らいたく存じ候」と書かれた文書があるとあるんですが、法的な効力はないとおっ しゃっていましたけど、無償で返すと言っていたことに対して金をとることに関して は、何も道義的な問題はないんでしょうか。 ○国立病院機構財務部長  私どもも厳しい経営を強いられております。その一方で、これもお礼状だったという ことで、法的効果があるかどうかを法務局等と十分相談したところ、これ自体に法的拘 束性がないということが出ておりますのと、同じように寄附地であった病院が国の時代 にもございまして、そちらは5割減額という取り扱いで地方自治体に譲渡した経過がご ざいます。そういうところとのバランスもとらせていただいたところでございます。 ○部会長代理  よろしゅうございますか。国立病院というのは結構こういうのが多いんですよね。私 も大蔵病院の院長をしていましたけど、あそこの土地も昔寄附をしてもらったらしく て、周りの人はいまだに返してほしいということを言っている人もいましたけどね。こ れはしかし円満にいきそうですから、それはいいんだと思います。よろしゅうございま すか。それでは今のを一括して、奈良病院の場合と旧国立療養所秋田病院の重要な財産 を譲渡する件ですが、評価委員会としては特に問題がないと意見を申し上げるというこ とでよろしゅうございますでしょうか。 〔「異議なし」の声あり〕  どうもありがとうございました。そうしますと、一応事前に意見書というものが作っ てございますので、それをお配りさせていただきます。それではこれを読み上げていた だけますかね。お願いいたします。 ○事務局  読み上げさせていただきます。  厚生労働大臣尾辻秀久あて、独立行政法人評価委員会委員長・黒川清。  意見書(案)。  独立行政法人国立病院機構の重要な財産の譲渡について、独立行政法人通則法第48条 第1項の規定に基づき厚生労働大臣が認可を行うに当たっての、同条第2項の規定に基 づく独立行政法人評価委員会の意見は、下記のとおりである。  平成16年11月25日付厚生労働大臣あて申請書(国立病院機構発財第1125001号)によ る独立行政法人国立病院機構奈良病院の土地及び建物の譲渡に係る通則法第48条第1項 の規定に基づく申請を認可することについては、異存ない。  続いて読み上げさせていただきます。  厚生労働大臣尾辻秀久あて、独立行政法人評価委員会委員長・黒川清。  意見書(案)。  独立行政法人国立病院機構の重要な財産の譲渡について、独立行政法人通則法第48条 第1項の規定に基づき厚生労働大臣が認可を行うに当たっての、同条第2項の規定に基 づく独立行政法人評価委員会の意見は、下記のとおりである。  平成16年11月25日付厚生労働大臣あて申請書(国立病院機構発財第1125002号)によ る旧国立療養所秋田病院の土地の譲渡に係る通則法第48条第1項の規定に基づく申請を 認可することについては、異存ない。  以上でございます。 ○部会長代理  それでは、ただいま御意見としては認めてよろしいということでしたので、あとはこ の書類の問題でございますが、ただいま読み上げていただいたような意見書を厚生労働 大臣の方に黒川委員長の名前で提出するということでよろしゅうございますね。どうも ありがとうございました。それでは議題の1番目、重要な財産の譲渡についてはこれで 終わらせていただきます。 (2)独立行政法人設立から半年を経過した段階における法人運営等の状況について (報告) ○部会長代理  議事の2でございますけれども、独立行政法人設立から半年を経過した段階における 法人運営等の状況についてということで、これは御審議いただくということではなく て、御報告をいただいた上で御意見をいただきたいということですが、いずれにして も、この4月に機構が設立されてから半年余り経過したところで、私どももその運営に は関心があるところでございますので、いろいろ御説明いただければありがたいと思い ます。それではよろしくお願いいたします。 ○国立病院機構企画経営部長  企画経営部長をしております深田でございます。資料2ですが、半年を経過した段階 で、これまでの法人運営の状況等について御説明させていただきたいと思います。  資料2−1でございます。16年度の収支状況でございます。機構全体で見たときの数 字ということでございますが、当初計画というのは、年度初めに本年度の年度計画とし て作成した計画の数字でございまして、総収益が7554億円に対して総費用が7665億円と いうことで、総収支差を111億円のマイナスと計画を立てたところでございます。これ について2点ほど変更がございます。1点目は、減価償却費104億円ほど増加が生じる ということでございます。主な内容は、資産評価をしていく過程において残存期間が0 年とか1年となっているものがございまして、それを2年に統一して減価償却していく ということでやらなくてはいけないということで、大きな額に膨らんでまいりました。 資産評価の数字を細かくやっていかないと資産の評価を確定させることができませんの で、そういう作業をしていた過程でどうしても減価償却費が大きく出てまいります。 104億円のうち98億円が残存期間0年とされているものを2年で償却することに伴うも のでございます。残りの6億円は、資産評価された結果、評価額の変動に伴ったもので ございます。ということで、経常費用の方で7605億円ということで104億円の増という ことであります。  次のページですが、今後の費用増であります。半年たつうちに少しずつ変更が生じて おります。1つは臨時損失でありますが、大きな臨時損失が生じております。1つは医 療賠償でありまして、1ページ戻っていただいて減価償却費でありますが、これは当初 計画に盛り込まなければならなかったことで、後で額が確定したということでございま すので、資料2−3にございますように、当初計画を104億円修正させていただきたい ということであります。この費用の部のところに見直し後計画Bとありますが、この減 価償却費の部分を103億8300万円、これが増額になる部分でございますが、これを計上 させていただきまして、私どもの方から厚生労働省に届け出をさせていただいたという ことでありまして、その分を変更させていただくということにしております。それか ら、医療賠償につきましては年度計画に見込むことができないということで、平均5億 6500万円ぐらいというのが過去の予算の数字でございました。資料2−1の2枚目に戻 っていただきまして、今後の費用増の中でも医療賠償についてはことし30億円弱でござ いますが、それぐらいの医療賠償が、国時代のものが大半でございますけれども、その 分の処理をしなければならないということ。それから、固定資産の除却が出てまいりま す。再編成をした後の土地の除却であるとか、機械を入れ替えた後の除却をするという ものがございまして、臨時損失で約81億円。  それから経常費用の関係でございますが、今年に入って法人としての投資をどうして いくかということでございます。新しい医療機器を買うことに伴う、あるいは建物が開 棟するという関係の減価償却費が生じる分がございます。退職給付引当金につきまして も、4月1日時点で再度計算し直したときに発生したお金。先ほどの奈良病院ですが、 奈良病院の職員が新しい法人に移っていかれるわけですが、その際に機構から退職金を 支払いますけれども、その割増分であります。あと、遺跡調査なり医療廃棄物の処理な どの管財関係の費用などが発生しておりまして、これが大体31億円ぐらいになるという ことであり、総費用が大体112億円程度増額になるということであります。経常収支に ついては、当初計画から今後出る費用を積み上げたところ、7636億円。収益は7405億円 ということが予想される姿だと思いますけれども、実際に9月まで運営したことを踏ま えまして年度見込みを立ててみたというのが4番であります。  最初に、全体でいいますと250億円程度の縮減あるいは改善が可能ではないかと考え ておりまして、1つは経常収益であります。7405億円ぐらいの計画のところを7500億円 強の数字まで増収が図れるのではないかと考えております。主な内容ですが、収益増に ついては平均在院日数の短縮をしましたり、医療スタッフを増員したりということも今 年も行っておりまして、基本料については上位基準が取得できるようになっているとい うことがございます。あるいは、国時代に未請求だった部分がございまして、それが公 費負担医療などが関係している場合は、公費負担の番号が決まらないと請求できないと いうものがあります。これが年度を越してきた関係もございまして、それが大体70億円 ぐらいあるということで、足して100億円強の増収が図れるのではないかと考えており ます。  また、経常費用でございますが、7636億円ぐらいの費用見込みですけれども、実際は 7500億円弱の数字までいくのではないかということであります。主な内容ですが、大体 140億円弱の縮減が図れるのではないかと見込んでおりまして、1つは人件費でありま す。国時代よりも多くの職員を雇えるようになってきているところですけれども、実際 のところ医師、看護師についても十分雇い切れていない面がございまして、そういった 人件費の節減。あるいは、今までは超過勤務手当で対応していた部分をできるだけ圧縮 して、休日についても振り替えを実施することによって費用を縮減する努力をしている ところであります。  また、経費の面につきましても、医薬品について、例えば共同入札をブロック単位に 7月ごろから開始しました。10月からは本州地区については機構本部で一括して共同入 札を実施するという対応もしまして、できるだけ経費の節減を図ってきているところで あります。その他、各施設ではいろいろ経費節減を自ら工夫してやっているところでご ざいます。こういったものを合わせますと、大体7500億円弱の数字になるのではないか と予想を立てているところであります。  総収支差について大体91億円程度のマイナスということになりまして、はっきりと決 まった数字とはまだ言えないものではありますけれども、当初111億円マイナスの計画 のところ、何とか若干でも改善した姿になるのではないかと思います。したがって、減 価償却費の増なども今後ありますけれども、さらに費用の縮減なり収益増なりを図りな がら努力していきたいと考えているところでございます。  また、資料2の方でございますが、これは診療活動の姿ということで、点数なり平均 患者数なりを載せさせていただいているものであります。上が入院の1日1人当たりの 点数。横が患者数。下が外来の分であります。1日1人当たりの点数につきましては、 上位基準の取得なども積極的に行っているところでありまして、例年に比べて高い点数 を確保できているところであります。9月現在で平均3200点を超える点数となっており まして、15年度の同時期に比べて約200点の増ということであります。平均患者数につ いては、平均在院日数を短くするように努力していることもありまして、患者数自体は 見かけ上少なくなってきている。両方掛け算して収益を出しますと計画よりもプラスの 結果が出ているというところでございます。  以上で収益の関係を終わります。 ○医政局国立病院機構管理室長  お手元の資料2−4をご覧いただきたいと思います。私の方からは、機構が発足する に当たって国から資産を承継してスタートしているわけですが、その価格が確定したこ とに伴って、発足当初の貸借対照表が確定したということを簡単に御報告させていただ きたいと思います。  2ページをご覧いただきたいと思います。国から資産を承継しているわけですが、そ の資産のうち国からの出資にかかる資産の価額につきましては時価を基準として計上す ることになっておりますが、その際、資産評価委員会というものを設けまして、そこに 諮った上で額を確定させるという手続を踏むことになってございます。この11月24日、 資産評価委員会に諮りまして、国から機構に出資した資産について、流動資産、固定資 産、土地・建物を中心としまして、こういう形で額を確定いたしました。その結果、合 計で9300億を超える額ということになっております。機構は国から特別会計の剰余金、 積立金の一部を承継することになってございます。これは国の決算の手続の関係上、7 月30日の時点で承継したものでございます。この現金が別途230億を超える額がござい ます。これらが国からの出資にかかる資産ということになってございます。こういう形 の手続が完了いたしましたので、結果としては1ページにありますような形で貸借対照 表が確定したということになってございます。一方で負債、長期借入金が7600億を超え ますので、結果として見ますと資本金は1477億を超える額となっております。総資産規 模が1兆を超える額という形で貸借対照表が確定したということを御報告させていただ きたいと思います。 ○国立病院機構企画経営部長  次に資料2−5から順に、これまでの活動状況などについて、幾つか大きなテーマが ございますので、御説明させていただきたいと思います。  10月23日に発生しました新潟県中越地震の対応でございます。これにつきましては発 生直後から災害医療センターを初めとして、各病院から医療班を派遣し、被災地におけ る診療活動、あるいは東京都からの出動要請などにも対応して、医師、看護師の派遣を 行っております。10月23日の18時ごろに地震が発生しておりますが、災害医療センター は19時時点で3班の医療班を整備するように指示しておりまして、21時前には派遣先を 決めて2班を出発させております。24日には災害医療センターの医療班が6時からJA新 潟厚生連魚沼病院に到着して診療活動を開始ということで、早い段階から対応できたと 考えております。また2班目も12時前には魚沼病院から小千谷総合病院に移動して外来 患者の診療活動に当たり、第3班が東京都の要請に基づいて医師1人、看護師2人、小 国町の方に駆けつけております。23日は土曜日ということもございましたので、本部の 関係する担当職員が決まっておりますので、その職員を中心に連絡を取り合い、あるい は幹部にも報告しながら対応、指示をしてまいりましたが、25日は復旧あるいは支援に 長期間必要だろうということで、本部の中に災害対策本部を設置いたしまして、各病院 に交替で医療班を派遣するということで計画を立てて要請し、これまで継続して派遣し てきたところでございます。  次の2ページ目でありますが、11月26日までの活動状況について御説明したいと思い ます。派遣先は小千谷市、川口町がメインでございまして、小千谷市については小千谷 総合体育館や東小千谷小学校などでの活動をしておりまして、長野病院の医療班が活動 して以降、11月14日まで19の医療班が継続的に活動を行っているところであります。ま た、10月26日は西新潟中央病院の医療班が小学校で活動しまして、以降11月14日までは 同医療班が継続的に活動を行っている。子供の健康ということで、新潟病院のチームが 小千谷の保健センターでの活動をしているということであります。次に川口町ですが、 10月26日には仙台医療センターの医療班が活動を開始し、11月23日まで20病院24医療班 が継続的に活動を行っているところであります。  資料2−5−1は関係資料ということで、医療班の活動状況の写真、現地の活動状 況、記者発表した資料、どういうスケジュールで派遣してきたかというものをまとめた ものでございます。広く北海道東北ブロックの仙台医療センター、関東信越では災害医 療センターを中心に東京医療センターなど、数多くの病院から順番にスケジュールを立 てて活動しているところであります。近畿は阪神淡路の経験がございますので、その経 験を生かして大阪や京都、神戸といった病院からも活動していただいているということ であります。11月23日の時点で地元の医療機関も川口町については復旧して診療活動を 再開されたということですので、その時点で一応支援活動は終了させていただいている ところであります。  次に資料2−6です。国立病院機構におきましては、治験につきましても力を入れて やっていくということで、中期計画あるいは年度計画に盛り込ませていただいたところ であります。具体的な受託研究についての進め方ですけれども、本年4月に本部に中央 治験支援室を設置しまして、治験等の受託研究について病院に対する活動支援、あるい は依頼者への総合的窓口業務なども開始したところであります。後ろの方にパンフレッ トがございます。本部中央治験支援室が作成しているパンフレットですが、これを見て いただきますと、治験は積極的に進めるということで、例えば見開いた2枚目のとこ ろ、本部依頼の今後の治験の進め方ということで、従来、依頼者については個々の病院 で対応していただいていたところですが、機構本部の方で一括して窓口業務を行う形に して、できるだけスムーズに早い段階で質のいいデータが集められる体制ということで 進めているところでございます。治験の取り組みにつきましては、依頼者向けの説明会 を東京と大阪で実施しておりまして、延べ740人以上の方々の御参加をいただいて盛況 に開催させていただきました。また、治験相談や受託研究の開始もしておりまして、7 月以降11月までの間に相談数で14件、受託照会をした数で10件ほどの活動を行っている ところでございます。また、各病院での実施体制を整備していかなくてはならないとい うことで、各病院では幹部の方あるいは担当者の方を対象とした講習会を開催し、治験 コーディネーターを対象とする研修会も延べ88人の方を対象に実施したところでござい ます。  以上でございます。 ○国立病院機構財務部長  私の方から資料2−7と2−8について、2つの検討会の中間まとめ報告について簡 単に御説明させていただきたいと思います。既に委員の皆様には一度お送りさせていた だいたと思いますが、私どもが本年4月1日に独立行政法人へ移行するまでに154病院 全体について共通の基本ルールを定め、組織体制をつくり、移行してきたわけですけれ ども、それですべて改革が終わったわけではないと認識しております。本年に入りまし てからはそれらの改革の内容の運用とともに、新たに各論についてさまざまな改革を行 っていく必要がある、そうしなければ中期目標の達成、あるいは私どもの使命の達成が 困難であるということから、折々にさまざまな方策を打ち出しているものでございま す。  その中で2点御紹介させていただきますと、1つは旧療養所型病院の活性化方策に関 する検討会の中間まとめでございます。国立病院・療養所には、いわゆる急性期型に近 い国立病院と、結核や精神、重心・筋ジスといった長期療養型の病院と2つの種類の病 院がありますが、特に収支相償を国立病院機構全体で目指す、かつ個々の病院において も収支相償を目指していくということになりますと、旧国立療養所でありました病院に ついては、民間医療機関では必ずしも積極的に実施することのない医療に取り組んでい るなど、さまざまな構造問題を抱えていることから、現状のままでは医療の質の向上 や、収支相償を目指した自立経営は単独では困難ではないかということで、旧療養所型 病院について見直しを検討したものでございます。  6月に理事長を委員長として、各病院長など現場参加型の検討会をつくりました。お よそ40名の病院長に入っていただきまして、全体的な問題を討議する総合委員会と結核 部会、精神部会、重心・筋ジス部会、さらには部会にワーキンググループをつくるなど しまして、およそ2カ月間で12回にわたる熱心な議論をいただきまして、今後の旧療養 所型病院の活性化を議論していただき、中間的にまとめたものがこの報告書でありま す。  既にこれを踏まえて実施に移している点も何点かございます。報告の概要から説明申 しますと、歴史的に民間がなかなか取り組まない結核、重心・筋ジスといった分野では 先導的な役割を果たしてまいりましたし、地域によっては多様な医療事業も展開して、 地域医療の支援も行ってきたわけでありますが、構造問題として、1つは政策医療と我 々がいっているものが入院医療での対応に偏っていたということから、在宅あるいは通 所サービス、リハビリ、生活の質の向上といった面で、患者の多様な需要にこたえてい ないのではないかというのがあります。2つ目に、政策医療と名のつくものは不採算で あってもやらざるを得ないだろうという意識が、国の時代における特別会計が収支差補 填、いわゆるどんぶり勘定でありましたので、結果的に人件費等、高コスト体質を看過 することになったということが、めぐりめぐってサービスの低下を来したということで す。3つ目は、民間医療との違いを画一的に現場に指導した面もございまして、地域の 需要になかなか応じられないということで、地域の医療需要との不整合を生じたのでは ないかということ。4番目に、地域性、あるいは診療科目によっては慢性的な医師不 足、看護師不足に悩まされていること。さらに、5番目には近年は国立病院・療養所の 再編成計画を重視したために、若干投資が偏った点もあり、旧療養所型病院のハード面 の更新が非常に遅れているということで、こういった構造問題を内部的に抱えていたわ けです。これに加えて、結核の診療報酬点数が非常に抑えられているとか、あるいは結 核病床数の算定基礎が実態に即してないなどの医療制度、医療保険制度上の問題といっ た外部的な構造問題もあって、なかなか病院単独ではうまくいかないという分析をした わけでございます。  その結果、旧療養所型病院としては、これまで培った長期療養での専門性を認識しつ つも、全体として新しい要請にも積極的に応えていこうということで、改革の要点とし て4点揚げられている。1つは、患者の需要に応じた多様なサービスの展開、質の向上 を図っていくということ。それから、政策医療のみならず、地域医療の需要にも応えて いくように提供基盤を確立していきたい。それから、150余りの病院のネットワークで あるので、臨床研究の推進、あるいは情報発信ということで我が国の医療の質の向上に も貢献していこうということ。それから、こういった取組みを旧療養所型病院でやって いくためには人件費などの高コスト構造の是正、あるいは資産の有効活用ということを 進めて、患者処遇の充実をさらに図っていきたいということがまとめられた次第でござ います。  3ページ、4ページに主な概要を書いております。医療提供の向上ということで、専 門医療の充実、高度化ですとか、あるいは人工呼吸器の標準仕様の作成、医療安全を重 視した効率的な整備、大型医療機器の共同利用、あるいは地域とのコミュニケーション を進めていきたいということ。医師等の確保についても、若手医師に来ていただけるよ うな魅力あるプログラムや育成システムを構築していきたいと考えておりますし、その ために各病院にも学会の認定がとれるような要件を満たす努力をしていただこうという ことを考えております。  4ページにございますように、旧療養所型病院といいましても重心・筋ジス以外に一 般病床を持っているところもございます。こういったところが地域ではぜひ救急をやっ てほしいといっても、なかなかやってこられなかったということもございます。あるい は、一般病床の中に長期の方も短期の方も入っているということもございますので、一 般病床をニーズに応じて見直して活用できるようにしていこうということ。それから、 業務運営の効率化ということで、ブランチラボ、給食の外部委託など、技能職業務のア ウトソーシングを推進する。私どもはもはや看護助手というものは増やさないことにし ておりますが、今後はヘルパー2級相当の資格を持ったような方で、患者さんのボディ ータッチを主として行うような、夜勤にも対応できる新たな資格職を創設して質の向上 を図っていきたい。  一方、重心・筋ジス等につきましては、これまでなかなか職員を集めにくいといった さまざまな問題もございまして給料の上乗せをやっていたわけですけれども、これらも 現在はさまざまな支障を生じる、あるいは患者の処遇の向上にも支障を与えかねないと いうことで、調整数制度を抜本的に見直して患者の処遇向上を図るということにも取り 組みたいということで方向が出たわけでございます。さらに、資産の有効活用をした り、補助金の活用も含めまして、投資を支援するということを中間まとめの緊急策とし てまとめた次第でございます。 こういった方向で現在これを具体化するための作業を 続けているところでございますが、今後はさらに医療のあり方などについて審議してい くということで考えております。なお、9ページ以降は結核部会の中間まとめが出てお りますし、15ページ以降は精神部会の中間まとめ、いずれも短期的な観点での取りまと めでございますので、医療のあり方等についてはさらに現在検討を進めています。重心 ・筋ジス部会につきましても19ページ以降に中間まとめが出ています。  23ページは、重心・筋ジス部会の中で人工呼吸器の標準化についてです。これは政策 医療らしい内容ということで若干ふれさせていただきます。筋ジストロフィーの病棟27 施設で2446床、我が国全体の8割、重心病棟は73施設7488床で5割弱を有しておりま す。さらに、神経難病患者さんの2277名を預かっているという形でございまして、かな りの方々が私どもの病院を利用されているという状況にあります。こういった方々が近 年急速に人工呼吸器を装着される方が増えてきております。使用実態を調査しましたと ころ、本年7月1日現在、短期で呼吸器を離脱しない患者さんが非常に多くおられる。 国立病院機構全体で3787台の呼吸器を有しておりますが、長期療養される筋ジスあるい は重心の方々が2055名利用されている。在宅で私どもが管理している人工呼吸器装着者 数は906名。したがって、国立病院機構全体で3000人程の方々の人工呼吸器を管理して いることになります。  しかし、国立病院時代にはばらばらに入札等で購入した経過もございまして、人工呼 吸器の種類が70種類を超えている。こうなりますと、職員が異動した際も改めて研修し なければならないという状況にもございますし、2000年以降に装着した患者さんは77% と増えているというデータが明らかになりましたので、今後人工呼吸器は毎年50〜100 台前後更新していかなければいけない流れの中で、できるだけ機種を絞り込んでいこ う、あるいは人工呼吸器を適用するのかということについても経験を蓄積していって、 指針をつくっていきたい。現在の人工呼吸器は急性期のものから発達しているものでご ざいますので、必ずしも入浴にも適していないとか外出にも適していないというさまざ まな問題がございますので、長期療養に合った人工呼吸器の開発を目指していきたいと いうことを中間まとめでまとめさせていただき、ひいては医療の質あるいは経営の改善 を図っていきたいと考えております。  資料2−8でございますけれども、国立病院機構が将来にわたって医療を適切に行っ ていく際に重要なものは、人材に加えて医療機器、建物の整備が必要でございます。そ こで、7500億余りの過去の債務を抱えているわけですが、これは中期計画にもお約束し ていますように5年間で1割借入残高を減らすこととしています。その一方で5年間で 投資を1900億ほどしたいということで考えております。特に建物整備については多額の 資金を要しますし、整備の基本構想から完成まで長い時間を要するということで、将来 を見据えた考え方が重要になるということで、白石理財担当理事を座長にしまして病院 建築標準仕様等の策定に関する検討会を設けて、従来の整備のあり方を見直して効率的 な投資方法を構築したいと考える次第でございます。  国の時代の建物整備というのはさまざまな問題がございまして、投資方針が不明確 で、各病院から本省等への陳情、要望型の整備が大半であったということがいえると思 いますし、投資回収という考え方に立った整備ではなかったといえると思います。2つ 目に、再編成を急速に実施した結果、統合新病院を整備したり、老朽化に伴う全面更新 築を短期間に集中しましたので、一部の病院に規模、機能や償還体力を超えた費用の投 入が行われまして、投資活動の不均衡が生じ、固定負債の急増があった。建物整備の積 算が官庁営繕単価が基本となっていたせいもありまして、市場単価を適切に反映してお らず、民間病院よりもかなり割高になったという面は否定できない。4番目に、整備財 源は主に財政融資資金からの借入で行われているわけですが、元利償還は国立病院特別 会計全体で行われましたので、個々の病院の償還確実性、あるいは資金調達コストが考 慮されず、償還能力に応じた整備もされていなかったという面もございましたので、必 要以上の整備も実際に存在したり、機能優先をし過ぎたという面もございました。こう いった反省を踏まえまして、民間医療機関の投資コスト削減の取り組みを見て、目標管 理をやるとか、市場価格を徹底して反映させるとか、地域の需要を十分に考慮すると か、1床当たり1500万円程度の建設コストでもやれるとか、さまざまな内容を私どもも 勉強させていただいた次第でございます。  3ページでございますが、これまで1ベッド当たり4000〜5000万の借入金でつくって おりました。この点を全面的に見直しまして、まず、今後は100%借入金で病院を建て るということではなく、個々の病院が努力して十分な内部留保を有した建物整備の投資 計画をつくる必要があるとしています。当然、機能の維持に必要不可欠な整備をどうす るかということについては、内部留保にとらわれずに考慮していく必要もある。各病院 が個々に将来投資ビジョンを持ち、投資回収が確実な整備計画の立案が必要である。採 算制と目標達成に向けたコスト管理が重要であるということを整理しております。コス ト削減の具体的につきましては、中期計画に掲げる固定負債全体の1割縮減を達成する ために、機能は維持しつつも積極的に市場価格等を活用しコストを下げていく。外観に とらわれない効率的な設計、あるいは管理部門よりも診療に直接影響する部分を重視し た設計内容、社外建設コンサルタントの活用なども検討していく。例えば、一床1500万 円といった、市場価格を反映した民間病院並の建設単価を基本とした効率化を目指して いかなければいけないという方向が示されたところで、現在そのような具体的な方策を 検討している段階でございます。  いずれにしても、私どもの建物整備に対する考え方は従来とは違うという情報発信 を、この9月に建設業界に向けても出させていただいたところですし、各病院にも意識 改革をお願いしているということでございます。 ○部会長代理  以上で全部ですよね。どうもありがとうございました。半年の間に大変活発に改革が 行われているようで、大変頼もしいことだと思います。今の御報告を伺って御質問があ ったり、コメントがあったりしたら伺いたいということですけれども、最初の収支状況 は、一見悪くなったようだったら、最後の方でよくなったということで大変結構なこと だと思います。何か御質問がございますか。はい、どうぞ。 ○住田委員  表の見方を教えてもらいたいんですけどね、1ページは当初計画で減価償却費が入っ たからこれを直したということでいいですね。問題は2枚目の3と4なんですけど、4 が結論ですね。3はどういう位置づけになるんですか。つまり、今後の費用増を見込む という、今後というのは今日かもしれませんし、9月かもしれませんね。ということ は、1ページでこれだけの当初予算の修正、2ページでさらに見たら費用が増加した。 ところが最後にものすごい努力をして、費用の増加にもかかわらずすごい収益増と費用 減を努力してやって、結論的には91億の損失で終わりますと、そういうことですか。 ○国立病院機構企画経営部長  3番の今後の費用増をどう見込むかというのは、まだ実際に確定しているわけではあ りませんので、恐らくこれぐらいの費用増が生じそうだという資料であります。4番 は、何とか努力をして費用の削減と収益の改善を図れるのではないかと考えているとい うことであります。 ○住田委員  3番の今後の費用増は、4番では吸収しているわけですね。入れ込んで、さらに人件 費と他の経費の節減をしたということですね。これを見るとものすごい努力なので、ひ とつがんばってください。これは大変な努力なんですよ。これ100万円じゃないんだよ ね、億なんだよね。収益は114億増加させて経費は140億減少させるということですか ら、大変な努力だと思いますので、それだけの意気込みは評価したいと思うんですけれ ども、ちょっと見た目にはこの表がわかりにくいんだよね。最初のサマリーですから、 今度はわかるようにお願いします。 ○部会長代理  どうもありがとうございました。この部会としては、これを承認しなきゃいけないと いう話じゃないですよね。 ○政策評価官  独立行政法人の通則法の規定ですと、年度計画については主務大臣への届け出という ことになっていまして、変更についても主務大臣に届け出て公表するという手続になっ ています。当委員会として意見を言うという仕組みにはなっておりません。 ○部会長代理  位置づけとしてはそういうことだそうです。いずれにしても、いい方向へ向かってい るということは大変結構でありますけれども、ただ、人がうまく雇えなかったから収支 がよくなったというのは心配な点もないではないんですけどね。はい、どうぞ。 ○井伊委員  先月、千葉の2つの病院を見せていただいて、そのときに気がついたことも含めて意 見を述べさせていただきます。2つの病院というのは規模がそれほど違わないにもかか わらず、経常利益や経常収支はかなり大きな相違があります。相違があることは問題な いのですけれども、国立病院においてもさまざまな要因によって、ある程度病院を分類 して比較検討ができるようになれば、管理なり評価なりがしやすくなるのではないかな という印象を持っております。地方公共団体では旧自治省が分類基準を設定して、分類 された地方公共団体を毎年発表していると聞いています。類似団体では相互に情報交換 をしたり、政策などにも参考にしているということなので、先ほど療養所の話がありま したけれども、例えば千葉東病院というのは旧療養所ですし、千葉医療センターとかな り異なる内容だったように思いますので、そういう比較検討できるような形で資料を作 成していただければ評価しやすいと思いました。 ○部会長代理  どうもありがとうございました。大変重要な御指摘だと思います。国立病院はそれぞ れが違っているんだけれども、何となく幾つかのパターンに分けられるということは確 かにありますね。ぜひお考えいただくといいと思います。今日までに幾つかの病院をそ れぞれの委員が見せていただいたわけですが、そのことも含めていろいろ御意見をいた だければありがたいと思います。どうぞ。 ○夏目委員  2つばかり御質問したいんですけれども、まず収支のところなんですが、大変な努力 をされているのはよくわかるので、経常収益で収入の面で100億増になり、費用の方で 150億今後減らすということでの計画なんですが、まず収益の方ですが、グラフでは入 院の方は単価を上げる、そのために平均在院日数を減らしている、それで単価を上げる という努力をされているということはわかるんですが、外来の方はどちらかというと人 数が減って単価はそんなに上がっていないので、これでそれだけの収益増になるのかど うか、入院の方の単価が上がっていることが影響しているのかどうか、それ以外に何か 収益増に各病院で努力している点があるのかどうか。各病院の収益増は資料2−2を分 析すればすべてわかるのかどうかが第1点です。  第2点なんですが、貸借対照表が出てきております。資料2−4です。ここに流動資 産の欄がありまして、医業未収金というのが2つありまして、何も書いてないのが18 億、資本剰余金見合いが953億という巨額な未収金が計上されているんですが、これは 資本剰余金見合いだということで、その同額が資本の部の資本剰余金に計上されていま す。この医業未収金というのが何で2つに分かれているのか、どういう理解をしたらい いのか、この読み方を教えていただければと思います。 ○国立病院機構企画経営部長  最初の収益の点でございますが、入院の点数が一番の要因ではないかと考えておりま す。外来は大きな要因を占めないのではないかと思います。実は経営管理をするための 指標を我々の方もいろいろ用意しておりまして、努力して数字を見ていこうとしている んですが、申しわけございません、まだ十分に資料が揃っておりませんで、そこまで分 析し切れていないというところでございます。ただ、大きな比重を占めているのは入院 の部分でございますので、入院の大きな構造は1日1人当たりの点数が上がっているこ とが一番大きな要因だと考えております。 ○夏目委員  普通であれば収益が上がればそれに伴って費用も付随的にかかる部分がありますよ ね。そうすると、100億の収益増で費用の方が節約ということが多いんでしょうけれど も、150億も下がっているということは、やはり国立病院時代は相当のむだがあったと いうことが端的に出てきたということなんでしょうか。 ○国立病院機構企画経営部長  十分にお答えできるかどうかわかりませんが、例えば薬の購入についても国時代は高 い率でございました。民間に比べても高い値段で買っていたのは事実であります。入札 はしておりましたが高い値段になっていたということでありまして、我々の方もブロッ ク単位での入札とか、本部での共同入札などを行い、あるいは複数年にまたがる契約も 可能になったということで、いろんなものを工夫しながら努力をしたことがあらわれて いるのかなと。それから、国時代と違いますのは、電力というのも最近は競争入札も可 能になっておりまして、光熱水料自体も一律でやるということではなくて、いろんな競 争原理が働くようにもなってきております。そういった面もかなり効果があるのかなと 考えております。 ○医政局国立病院機構管理室長  もう1つの御質問の、貸借対照表の医業未収金が2種類あることについての御説明を させていただきます。約18億6400万でございますが、こちらは平成15年度期間中の診療 にかかって、患者負担なりがお払いいただけないというもので未回収の債権が約18億 6400万あるということで計上して、機構が承継するという形になってございます。一方 の医業未収金953億は、平成16年2月と3月の診療収入にかかわるものでございます。 実際に資金が入ってくるのは16年度以降になるわけでございますが、機構のP/L上は16 年度の損益計算の中の収入として入ってくるものではないものですから、こういう形で 資本剰余金見合いという形で計上しているものでございます。 ○住田委員  さっきの話の続きです。夏目委員がおっしゃった経費の削減ですけど、今のお答えの 削減というのはそんなに大したことないと思うんです。問題は人件費ですよね。人件費 をどうやって削減するかというのは非常に難しい問題だと思うんです。簡単に人件費を 削減すると書いてありますけれども。しかもこれから人件費を削減しようとしているわ けでしょ。そうじゃないんですか。 ○国立病院機構企画経営部長  今後行うということではなくて、これまでの実績を踏まえた年度見込みですので。 ○住田委員  ですよね。ですから、人件費の削減というのはそんなに削減できるものじゃない。人 件費の削減をどのように考えられていたんでしたっけ。 ○国立病院機構企画経営部長  人件費の削減につきましては、4月に独立行政法人化するに際して、国時代の賃金職 員問題というのがございまして、看護職員については正規の職員ということで採用して おります。一方、ベテランの方々については辞めていかれる方も結構出ておりまして、 そういったことで人の若返りなどもできております。正直言うと、計画した人数を十分 に採用し切れていないというのもございまして、そういった要素がある。採用できてい ないのは削減したということではなくて、計画より落ち込んだということになるわけで すけれども、そういった面があるということでございます。 ○住田委員  しかし、その削減というのは一番のポイントは人件費ですから、当初の計画から視野 に入れて計画を立てられたんじゃないんですか。そこからさらに100何十億も下がって いるということは、また新たなやり方で削減しようということじゃないんですか。当初 から人件費だけは一番大きな問題だからということで、かなり合理化を頭に置いて計画 されたと思うんですけれども、それが150億も下がっているということは、この年度内 で何かの施策を講じられたのではないかという質問なんですよ。 ○国立病院機構理事  今の点と、先ほど収益の面について患者数が必ずしも増えていないという状況の中で の、あるいは人件費が節減されている中で収益が増えていることについての御質問があ りましたけれども、その点に関して申し上げますと、基本的には人件費の削減というこ とについては、できる限りの合理化を図っていくということで対応してきた成果があら われてきていると考えているところですが、同時に、必ずしも計画どおりに、特にお医 者さんとか、そういう方が必ずしも十分に確保できていないという面もあります。結果 的にそういう点での人件費が当初の計画よりは減ってきているということは認識してお ります。  それに関連して申し上げますと、費用が節減されている中で収益が増えてきていると いうのは、入院基本料の上位基準を取得した結果がかなり多いという面もあると考えて おりまして、必ずしも患者さんが増えてきたということではない面もありますので、収 益としては上がってきておりますけれども、お客さんに来ていただいた結果として増え ているわけではない面もあると考えております。逆に言うと、結果的に収益増も図られ てきておりますし、経費も減にはなってきているということで、それは努力の結果を反 映した費用減だと認識していますが、同時に今申し上げたような問題も一方であると考 えております。これからの問題としては、特にお医者さんの確保を中心とする人的体制 の整備をどう考えていくかというのが今後の課題になっていると考えております。 ○部会長代理  私から1つ伺ってもいいですか。収益増のところで、DPC(急性期医療に係る診断群 分類別包括評価)の影響というのはありそうなのかということと、今後国立病院機構と してはDPCに対してどういうふうに対処しておられるか、その辺の方針はあるのかどう かということなんですけど。 ○国立病院機構企画経営部長  DPCにつきましては幾つかの病院で導入されております。今年から入ったところはか なり効果が出ていて、利益としては上がっているということになります。初年度はどう しても高く出るという仕組みが見られますのでそういう結果なのかなと考えておりま す。今後とも急性期病院を中心に増えていくと考えております。 ○部会長代理  機構としては積極的にそっちの方へ推進していくという姿勢はあるんですか。 ○国立病院機構企画経営部長  指令として、ぜひ取るようにがんばれという号令はかけているわけではございませ ん。ただ、個別の病院はDPCをやりたいという病院もあります。そういうところは積極 的に支援をしながらやっていきたいと思っております。 ○部会長代理  ほかにどなたでも。どうぞ。 ○山田委員  先ほどからの議論の続きなんですけれども、費用減のところで140億ぐらいの減で、 これは人件費と経費という、その内訳としてはどちらの方が多いんでしょうか。 ○国立病院機構企画経営部長  人件費の方が少し大きいのかなと思います。最後に締めてみないとわかりませんが、 人件費の割合も高いですし、経費も内訳がかなり違いまして、例えば医療消耗品あるい は備品といったものはかなり節約をやっておりまして、その積み上げの数字はかなりの 額になります。人件費と経費の割合が大体半分半分かなと思いまして、それ以外に薬だ とか消耗品なども各施設工夫しながらやっていまして、そういうところも効果が出てい るということで、単体で見ると人件費が大きいと思いますけれども、経費の内訳で見て いくと消耗品などの部分が大きいかもしれません。 ○山田委員  医薬品の共同購入については大変難しいと思って私どもはまだ手がつけられていない んですけれども、実際にブロック、本部でおやりになっているのは、各病院で共通に使 われている薬について交渉するとか、あるいは問屋単位で交渉するとか、その辺はどう いう方法でやられているんですか。 ○国立病院機構企画経営部長  医薬品の共同購入につきましては、北海道東北ブロックと九州ブロックについては年 度初めに1年間の契約が可能だったということでしたので、それはそのまま1年やって いましてそれ以外のブロックについてはなかなか妥結が難しくて交渉が難航していたと いう経緯がございます。そういうことであれば、できるだけロットを大きくして本部で やった方がいいのではないかということで、我々の方で企画させていただきました。契 約についても1年半ということでやりまして、参加は各病院に選択していただくという やり方をベースにしてやっておりまして、それぞれの病院で購入する予定のものを調べ 上げて、初年度ですので全部一遍にやるというのは難しいので、半分ぐらいの品目を本 部でやってみようと。卸さんの問題もありますので、全部を本部でやるというのは、地 場の問題もございますから、半分ぐらいを本部で一括してやるようにしましょうと。残 りはブロック単位でやっていただくということでやらせていただいております。 ○山田委員  もしわかりましたら平均在院日数がどれくらいになったとか、院内処方率がどのくら いになったとか、その辺のデータがありましたら教えていただきたいんですけれども。 ○国立病院機構企画経営部長  すいません、今は手元にデータがございませんが、病院ごとにかなり違いますので、 平均することはあまり意味がないかと思います。実際、上位基準がとれた病院の例は年 度の実績報告の場なりで御説明させていただきます。 ○夏目委員  しつこいようですが貸借対照表の質問をさせていただきたいんですが、今回は企業会 計に移行しているということが前提だし、職員は国立病院から引き継いでいるわけで、 その人たちには当然これから退職金を払うことになると思うんですが、この貸借対照表 上に退職給与引当金は一切計上されていないんですが、これをどういう形で整理するの か、国立病院で勤務した期間をどういう形で計上するのかなと思ったら、負債の部に一 切書いてないんですけれども、これはどう理解したらいいんですか。 ○国立病院機構財務部長  独立行政法人会計基準において、退職手当引当金の過去分については、一つに過去分 をすべて積み上げ負債認識するという考え方もあるわけですけれども、現実に積み上げ をした場合は大変大きな額となり、資本も何も立たないわけでありまして、私どもの場 合は国時代分については毎年一定額を国から運営費交付金で負担しますということにし ました。つまり国時代分は国が面倒見ますということです。機構になった以降について は当然自ら引き当てていきますという整理になっておりますので、国が過去分を運営費 交付金で手当てする場合には、独立行政法人会計の処理上、負債計上をしなくていいと 認められており、その結果B/Sには直接出てこないという整理でございます。 ○部会長代理  よろしゅうございますか。あとは救急とか治験とか報告書もつくっていただいており ますけれども、そういう方面についても大変変わってきているということが伺われて大 変結構だと思います。救急などは山田委員も随分一生懸命やっておられますけれども、 何かコメントございますか。 ○山田委員  非常に新潟の災害には熱心に取り組んでいただいて、大変よろしいんじゃないかと思 います。 ○部会長代理  いかがでしょうか。それでは、この間各病院を御視察いただいたことの御感想なども 伺えるとありがたいと思います。いかがでしょうか。 ○住田委員  私は井伊先生と一緒に千葉医療センターと千葉東病院に深田さんと一緒に行ったんで すけど、想像以上に前向きに積極的におやりになっていることは大変感激しました。新 たに自分たちの病院ということで、何とか特色を出そうとして意識改革も十分に行われ ているのではないかという感想を持っています。  具体的には、例えば千葉医療センターですと、市民の健康セミナーというようなもの を通じ、市民との対話、健康に関する相談を受け付けるとか、とても立派にやっていら っしゃると思います。建物はあまりきれいじゃないんですけど、工夫をして清潔感を出 そうとされています。ふと見たら院長が建築の何かの委員になられていますね。自分の 病院をきれいにしたいんじゃないかと思ったんですけど、非常に評価させていただきま した。  それから、千葉東病院は佐倉病院と合併したんですね。ですから新しい感覚で、とて も愉快な事務長さんだと思いましたけれども、院長も非常に真摯な方で、臓器の何かの センターになってるんですかね、非常に前向きにされていました。  ただ、個人的な感想でかわいそうに思ったんですけど、重症心身障害児がいっぱいい らして、やはりあれは民間じゃなかなか難しいなと思いました。独立行政法人国立病院 機構の収支は度外視して、そういうことにも存在性を見いだしていただきたいなという 感じで、民間じゃああいうことはできないなという感じを持ちました。  ただ、会計ということに関しますと、キャッシュフローなんかの作り方が考えを間違 ってるんじゃないかと思いますので、会計指導はやった方がいいと思うんですね。一生 懸命表を出されたんですけれども、間違ってますよとも言えませんから、よくやってま すねと言ってきたんですけど、会計指導をぜひしていただかないと正しい情報を迅速に 把握できない。そういう感じもしました。  ただ、とにかく一生懸命に新たな時代での新たな感覚、意識改革を持ってやっていら っしゃることは非常に評価させていただきたいと思います。 ○部会長代理  ありがとうございました。井伊委員、何か追加ございますか。 ○井伊委員  ほとんど住田委員と同じですが、国立病院の意義は政策医療だといわれますが、がん でも循環器病でも、精神疾患、内分泌、どれも民間の病院もやっていることだと思うの で、何が意義なのかなというのを視察のときに思いました。特に千葉東病院では、感染 症であるとか重心、難病、筋ジスの患者さんなどの治療に当たっていたので、それは大 変評価できると思います。ただ、千葉医療センターの場合、政策医療ということが強調 されていましたが、そのほとんどは民間病院でもできるのではないかなという印象を持 ちました。また、千葉市内にはいろんな開設主体の病院がありますので、そのあたりも 考えて、国立病院の中での比較ということを私は申し上げましたけれども、同じ地域内 での、なかなかそれは経済的にも経営的にも比較は難しいと思いますけれども、そのあ たりも考慮しないといけないのではないでしょうか。 ○部会長代理  夏目委員、いかがですか。 ○夏目委員  横浜医療センターと横浜南病院に行ってまいりました。横浜医療センターの方は遅れ ていきましたので開原先生がご覧になっていると思います。大病院で、とにかく救急セ ンターもあり、今問題になっている小児の救急医療も実施しているということで、地域 医療に大変大きく貢献している病院だし、経常収支も黒字で大変健闘しているし、院長 先生も独法化の意義などを十分理解して経営改善に努力しているという感じがしまし た。ただ、非常に大規模な敷地に建物が点在していて、なおかつ老朽化している。それ も、低効率の2階とか3階で使っているということなので、この辺はこれからの問題か もしれませんが、もうちょっと近代的なビルで仕事のしやすいような形にした方がさら によくなるんじゃないかなという感じがしました。  問題は横浜南病院です。これは国立療養所で結核の医療を中心にやってきた病院で、 呼吸器と消化器が中心ということで、6科しかないということで、結核病棟を入れて 300床、結核が半分、それを今一生懸命一般病床に変えようと院長さんが努力されてい るということです。コンパクトな病院なんですが、療養型病院の問題点の1つに医師不 足というのがあったように思いますが、この病院も14名しかいない中で4名お医者さん が欠員になっている。看護師さんも110名のところ8名欠員という形で、そういう意味 では苦労している病院です。ただ、平均在院日数を減らすんだということで経営努力を されていました。  経営努力をするのはいいんですが、結核型の療養所ということで、小高い丘の上にあ るわけです。また、古い40年代前半の老朽化した建物で、療養環境としてはいいのかも しれませんが、一般の外来で行くには急な坂を上っていかなければ行けないような病院 で、あそこの病院に行くのはなかなか大変じゃないかと。だから外来患者を増やすのは 大変だし、努力をして従来経常収支率80%後半のものが、16年度の数字は4月、5月で 100を超えているんです。6月はボーナスを払ったからまた下がっていますが、そうい う形で一生懸命がんばろうということは伝わってくるんですが、お医者さんもいない し、場所も高いところにあって患者さんが来づらいし、建物は古いし、御苦労が実を結 ぶのは大変だなという感じがしました。いずれにしても、両方の病院とも院長先生は非 常にやる気を持ってやっておられました。 ○部会長代理  どうもありがとうございました。横浜医療センターは私も見させていただいたんです けれども、おっしゃったとおり、非常に活発に地域医療をやっておられて、しかも急性 期病院を目指しておられて、場所はすごくいいんですけど、施設、設備は確かに老朽化 しているところがあって、その中で随分がんばっておられるなという感じがいたしまし た。逆に、地域医療をがんばればがんばるほど、昔国立病院が政策医療といっていたと ころが、一体それは何だったんだろうという感じがしないでもないので、政策医療とい うものをもう一度考え直してもいいんじゃないかなという気さえ私はして、むしろ地域 医療をやる病院を国立病院機構が抱えたって一向に構わないんじゃないかという感じは してるんですが、これは私の単なる感想です。山田委員は…… ○山田委員  申しわけありません、私は参加できませんでしたので。 ○部会長代理  そうですか。まあそんなことでございます。ほかに何か、全体を通じて御発言、御感 想ございますでしょうか。よろしゅうございますか。 3.閉会 ○国立病院機構理事  ただいま先生方の方からいろいろ御視察をいただいた御感想等もいただきまして、大 変ありがたく、ある意味では励ましもいただき、御批判もいただいたということでござ います。ありがとうございました。  今のお話を伺ってこれからいろいろ考えさせていただきたいと思っておりますが、特 に施設の老朽化について、いろいろお話をいただきました。施設の老朽化については、 国の時代というのは予算がつくと重点的にある病院に思い切って投資をするということ をやっておりまして、その結果、幅広く各病院を面倒見るということが十分できてこな かったということがございまして、かなり施設整備が遅れている病院がありまして、急 性期でがんばっている病院でもそういう病院がある。今後そういうところをどういうふ うに整備していくかというのは、大変頭の痛い問題であると同時に、何とかしていかな くてはいけないという面もあります。これからどう考えていくかというのが1つの課題 になっていると考えております。施設整備につきましては、基本的には企業会計を踏ま えた体制に変わりましたので、それぞれの施設の内部留保をベースにして施設整備をや っていこうということとしている。したがって、減価償却費プラス利益ということをベ ースにしながらやっていこうということで動き始めているということでございます。急 性期のような大きな病院が一生懸命稼いでいただければ、それなりに対応が将来に向け て希望があるという感じも持っておりますが、そういう原則で動いているということで ございます。  他方、旧療養所系となりますと、なかなか稼ぐのは難しい面もありますので、そこを どうしていくか。しかし施設整備も図っていかなくてはいけないという問題もあります ので、緊急支援策、投資支援策も打ち出しつつありますけれども、必ずしも利益が上が っていない場合でも何らかの形で面倒を見ていくということを工夫していきたいと思っ ております。いろいろまた御意見、御批判を賜りまして、お教えをいただければと思い ます。  あと、人的確保が1つの大きな課題にはなっているということでございまして、節約 をし、経費節減を図っていかなくてはいけませんし、収支改善、経営改善を図らなくて はいけないんですが、同時に施設整備なり人的確保には金がかかるということで、その 辺をどううまく調和しながら全体として経営改善を図り、中期計画の5カ年で収支相償 に向けていくのか、道は簡単ではないなと思っております。またいろいろ御指導をいた だいてやっていきたいと思っています。今日はありがとうございました。 ○部会長代理  半年の間に皆さんの御努力で随分将来に希望が持てるような形が少しずつ見えてきた ような感じもいたします。厚生労働省の国立病院課の皆様や国立病院機構の皆様の御努 力を多といたしまして、今日の委員会は終わらせていただきたいと思います。どうもあ りがとうございました。                                     (了) 照会先: 政策統括官付政策評価官室 政策評価第一係 電話 : 03−5253−1111(内線7784)