04/10/25 社会保障審議会障害者部会(第19回)の議事録             第19回社会保障審議会障害者部会  日時  :平成16年10月25日(金)10:00〜12:30  場所  :厚生労働省7F専用第15会議室  出席委員:京極部会長、嵐谷委員、安藤委員、猪俣委員、江上委員、大濱委員       岡谷委員、亀井委員、北岡委員、君塚委員、小板委員、古畑委員、小林委員、       斎藤委員、笹川委員、新保委員、末安委員、高橋(清)委員、高橋(紘)委員、       武田委員、丹下委員、徳川委員、長尾委員、広田委員、福島委員、町野委員       松友委員 ○京極部会長  定刻になりましたので、ただいまから第19回社会保障審議会障害者部会を開催させて いただきます。委員の皆様方におかれましてはお忙しい中をお集まりいただきまして誠 にありがとうございます。  それでは事務局から委員の出欠席並びに資料についてご説明をお願いいたします。 ○間企画課長補佐  まず、委員の皆様の出欠状況ですが、本日は、岡田委員、堂本委員、永井委員、野中 委員から欠席とのご連絡を頂戴しております。  また、新保委員、高橋紘士委員から少し遅れるとのご連絡をいただいております。  続きまして、資料のご確認をお願いいたします。  お手元に配布させていただいております資料、資料1から3までは前回と同様でござ います。資料1:今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン案)【概 要】、資料2:今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン案)【説明 資料】、資料3:今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン案)特に それ以降書いてございません、これが本体の資料でございます。また、資料4:今後の 障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン案)【正誤表】は、前回お配りい たしました本体資料について、参考となる数字に一部誤りがございました、正誤表と修 正後の説明資料等でございます。お詫びして訂正させていただきます。  そして、資料5は、新たな障害保健福祉施策と介護保険との関係整理でございます。  これらの資料とあわせて、委員の皆様には前回の議事録を配布しておりますので、ご 発言内容に誤り等ございましたら11月12日(金)までに事務局までお知らせいただきた いと存じます。  また、本日はマイクが2本しか用意できておりません。申し訳ございませんが、ご発 言の際には職員がマイクをお持ちいたしますので、マイクが届きましてからご発言いた だきますよう、よろしくお願いいたします。  資料の不足がございましたら、お知らせください。以上でございます。 ○京極部会長  それでは議事に入ります。本日の議論の進め方ですが、前回の部会におきまして、事 務局から示されました今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン案) のうち、1つ目の「現行の制度的解決を図るための政策群」についてご議論をいただき ました。  今回は2つ目の「新たな障害保健福祉施策体系を構築するための政策群」について、 事務局に説明を求め、その後ご議論いただきたいと思います。  なお、本日事務局から提出されている資料5、最後の資料ですが、「新たな障害保健 福祉施策と介護保険との関係整理」については、今回の部会では最後に事務局から説明 を求めることにし、具体的な議論については、時間の関係で次回に行うこともあるかと 思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、事務局から「新たな障害保健福祉施策体系の構築」について、説明をお願 いします。 ○北川企画官  それではお手元の資料2、及び3に基づきましてご説明をさせていただきます。まず 資料3の1ページをお開きいただきたいと思います。  資料3の3ページは、今回のグランドデザインの全体をお示ししている目次です。  前回、ご説明させていただきましたのは、前半の、現行の制度的課題を解決する、と いうことで、1.市町村を中心とするサービス提供体制の確立 2.効果的・効率的な サービス利用の促進 3.公平な費用負担と配分の確保 ということで、制度の基礎的 な問題について解決していくというようなことについてご意見をいただきました。  本日は後半の、新たな障害保健福祉施策体系を構築する、ということで、3つテーマ がございまして、1.障害保健福祉サービス体系の再編 2.ライフステージに応じた サービス提供 3.良質な精神医療の効率的な提供 ということで、それぞれ共通して いえますのは、確固たる基盤の上にどのような良質のサービスを効果的に提供していく か、というサービス提供論にかかわる共通する課題というふうにご理解いただければよ ろしいかと思います。  以下、本来であれば、本文にしたがってご説明するところだと思いますが、時間もご ざいますので、資料2の11ページ以降についてご説明させていただければと思います 。 (1)障害保健福祉サービス体系の再編 です。  基本的な政策目標ないしは現状認識というところから始まっているわけですが、現行 のシステムは本来果たすべき機能を十分に果たしているのだろうか、という現状に対す る検証ということ始めています。  ○既存の施設や事業が、ニーズに必ずしも適合した体系となっていないこと、その他   の理由から、結果的にいわゆる通過施設等において障害程度や適性に関係なく「滞   留」が常態化している部分があるのではないか。  ○さらには、制度自体が身体、知的、精神、それぞれの障害別に対応されていること   から、例えば、重度の高次脳機能障害等のいわゆる「障害種別の狭間」といった問   題も顕在化している。  こういう認識を持っています。  そういう観点から、現行の仕組みを見直して、総合的な自立支援システムを構築して いくことが必要ではないか。具体的には、障害関係制度の政策効果・効率性の向上を図 っていくという考え方に基づいて新しいシステムがつくれないかということです。  その時の視点としては3点、大きく言えば2点です。  1つは、給付体系等の見直しということです。現在、支援費であれば、施設支援費、 居宅支援費という2分法に基づいて給付を行っているところを、それぞれの給付の目的 に応じて、○障害者介護給付 ○障害者自立支援給付 ○障害者地域生活支援事業 と いったような個別給付及び市町村事業という形で給付体系を大きく見直せないだろうか という点が一点です。  2点目の考え方が、それと対応しつつ、施設・事業体系を見直していけないだろうか ということです。○通所、入所施設等の再編:日中活動的な部分の機能に着目して施設 を再編する。さらに住まいがいろんな障害に共通して問題になっていますが、○居住を 支援するサービスを再編していけないか。○権利擁護の推進とサービスの質の評価を施 設事業体系と併せて進めていけないか。こういう考え方であります。  それをつなぐものとして、報酬体系というものの見直しをしていく。  このような見直しの中で、障害者のライフステージに応じて、ニーズや適性を踏ま え、個別に自立支援する。こういう仕組みができないだろうかということです。  1枚めくって12ページは、新しい給付の体系をどう考えるかということです。先ほ ど申し上げたように、大きく、障害者介護給付、障害者自立支援給付、地域生活支援事 業の3つで構成するということです。  障害者介護給付については、資料にありますように、もともと事業に関係しますが、 訪問介護、通所介護、短期入所、重度障害者包括サービス、ケア付き居住支援といった ものが給付されます。  障害者自立支援給付は、給付の目的として、自立訓練、内容的には機能訓練的なも の、生活訓練的なもの。そして、就労移行支援、福祉工場を再編したものを念頭におい ていますが、支援をつけながら障害者の雇用を継続する給付、そして、いまのものに付 随する居住支援、それから補装具について、自立支援給付とできないだろうか、という ことです。  さらに、基本的なサービスはあるんですが、個別給付で行うよりは、利用形態から見 ても効果的に使える、障害者の方自身も公共的な対応とマッチングが可能になるといっ たようなサービスについて、地域生活支援事業としています。これは、市町村が行う事 業と、都道府県が市町村事業を支援するための事業の2つに大きく分かれています。  市町村の基本事業については、地域相談支援事業、移動支援事業、コミュニケーショ ン支援事業、居住支援事業、日常生活用具給付事業といったものを掲げています。  そして、都道府県が行う事業としては、それぞれの基本事業、個別給付等を担う人材 の育成を行っていく事業、さらに前回少しお話いたしましたが、広域連合の対応が必要 になる場合が出てきますので、そういうことを市町村とともに進めていくための広域支 援事業といった内容で構成させていただくということです。  後ほど、事業の話をさせていただいた後に、給付と事業はどういう関係になっている のかをさらにご説明をさせていただきますが、ここでは給付の枠組みとしてこういうこ とが考えられるという点が一点目です。  続いて、給付の見直しに対応して、障害者の施設、事業体系や設置者、事業者要件の 見直していこうということが基本的に考えられます。  見直しの基本的な方針ですが、地域生活支援、就労支援といった新たな課題への対応 を図っていくために、自立訓練や就労移行支援等の地域生活への移行に資する機能を強 化する、といったような事業を実施していこう。  さらに、入所期間の長期化など本来の施設の機能と入所者の実態の乖離を解消するた め、サービス体系を機能に着目して再編し、効果的・効率的にサービスが提供できる体 系を確立できないだろうか、ということです。  その下の絵、これは大人の障害者を念頭においています。左はどういうところに大人 の障害者の方がいらっしゃるかということを整理したものですが、例えば、重症心身障 害児施設に入っていらっしゃる方が非常に多く、9割くらいいらっしゃる。それから、 医療機関には進行性筋萎縮症療養等給付事業ということで、一定の福祉的な給付を受け ながら、障害者の方がいらっしゃる。また、同じような方も含めて、身体障害者療護施 設に重度身体障害者の方がいらっしゃる。そして、身体、知的両方の更生施設にそれぞ れ重度の方から一定の訓練を受けて地域に出られる方も、いろいろな方が入所されてい る。  以下ありますように、障害種別ごとに共通してある。  そういうものの全体的なイメージとしては、概ね5年程度かけて新体系へ移行してい く。各種支援をした上で、移行できる施設については移行し、住居が変わるものについ ては5年以内で進めていただく。こういった考え方で移行していくということです。  その中での大きな見直しの枠組みですが、まず、日中活動の場と住まいの2つに分け て、それぞれ分化、再編をしていけないだろうかということです。  入所施設であれは住まいということがありますが、通所施設であれば住まいは別とい うことです。  まず、日中活動の場ですが、求めるニーズないしは提供する機能といった観点から、 ここに書いてあるように区分できないかということです。  重度障害者の方を念頭においた事業として、生活療養事業、生活福祉事業の2つを考 えています。生活療養事業というのは、書いてありますように、医療施設等で行われる 医療型の事業を、生活福祉事業は福祉施設の中で行われている事業を念頭においたもの です。  2つ目の類型として、通過型と書いていますが、自立訓練事業、就労移行支援事業と いった事業形態、自立訓練事業の中には、身体的な機能訓練と生活訓練、両方のタイプ を考えていこうという考え方です。  3つ目の類型として、要支援者雇用事業、就労継続支援といえるのではないかと思い ますが、現在の福祉工場を再編して雇用を確保するという観点からの事業を念頭におい た事業です。  さらに、4つ目に、生きがいとかいこいといったものを念頭においた念頭においたデ イサービス事業といったものを考えています。これは具体的には後ほど対比表を出しま すが、個別給付というよりは地域生活支援事業の中のものとするということで、上の5 つの事業は個別給付の給付対象にするという考え方をとっているものです。  次に、住まいの場ですが、住まいの場については、障害者支援施設という形態と、居 住支援サービス、これは後ほど、ケアホーム、グループホーム等の類型を申し上げます が、いずれかに分化されるという考え方です。  障害者支援施設については、他の日中活動の場と違って、第1種社会福祉事業として 位置付ける。その他の事業は第2種社会福祉事業として位置付けるということを念頭に おいてございますので、そういう意味では、社会福祉法人以外、NPOその他の方が第 2種に当たるという考え方です。大きな理屈の区分としてはこういうふうに考えてうえ で、さらに13ページの上半分にイメージ図で多機能型というのを考えています。  具体的には、ここにありますように、人口規模の小さい市町村等での対応のため、地 域特性を踏まえた柔軟な運営が可能となるよう、複数の機能のサービスを実施する多機 能型を認める。1施設、1事業で20名を同じ目的にとらえることが難しいといったよう な場合に、複数の地域で1つの共同事業を起こすことを認めていこうということでござ います。  下の絵をご覧いただきますと、例えば、人口の少ないある地域に既存施設がある。そ の地域にある施設の中の障害者の状況を見ると、例えば、常時保護を要する重度の障害 者の方とか、地域生活に移行するために訓練が必要な方とか、適切な訓練により一般企 業等への就労移行が可能な方とかが混在していて、一種の混合処遇的な状況にある。  そういう中で、多機能型ということで、先ほど申し上げたような、重度の方には最低 単位を考えますけど、生活福祉事業といったもの。地域への移行が考えられる方には自 立支援事業、さらには就労移行支援事業といったようなニーズ等に応じた事業を区分を する。これにより、サービスの質の確保を図ることを目指し、さらに、共通のカリキュ ラムを除いて、原則として事業単位、ユニット単位でサービスを提供する、ということ を考えています。ということで、人口の少ない地域においても既存の施設の有効活用が 可能になり、現在ある施設の新しい移行を目指す中で柔軟な対応が可能である、と考え ているところです。  続いて、障害者支援施設はどういう報酬体系になっているか。これも粗々のイメージ でございます。先ほど申し上げましたように、日中活動、住まいといったような面で評 価を分けるということに対応しまして、報酬体系についても13ページの下にありますよ うに、日中、夜間に分けています。さらに、横の方にありますように、事業ごとにその 特性に応じて指標を加えるという考え方です。例えば、生活療養事業、生活福祉事業と いうことですが、これは住まいの面、夜間の介護を含めて、障害程度に応じた評価を し、日中活動についても障害程度に応じた評価をする。自立訓練事業については、夜間 介護は障害程度に応じた評価、日中活動面の評価については、障害程度に応じた評価の 部分と個々の施設の実績の評価を組み合わせた評価が必要になると思われます。  さらに、要支援障害者雇用事業、就労移行支援事業については、入所施設であれば、 障害程度に応じた評価ですが、要支援障害者雇用事業の形態は今後考える必要はないか ということで、ここに限っていえば、就労移行支援事業を中心とした施設ということ で、障害程度に応じた評価を行う。日中活動面の評価ということになると働くというこ とが中心になってきますので、労働能力に応じた評価とか、個々の実績に応じた評価を 組み合わせた評価ということになるのではないかと思っております。  さらに、先ほど申し上げました個別の給付、障害者介護給付、障害者自立支援給付と いうこと関係でいけば、少し複雑になって申し訳ございませんが、斜線が入っているの と、入っていないのということで、同じ施設の中でも場合によっては、介護給付と自立 支援給付を併用する場合と、例えば、療養事業、福祉事業に介護給付という形が念頭に 置かれるのではないか、と考えているところでございます。  こういう形で報酬を念頭に置いておりますのは、いろんな訓練事業、また障害の程度 に応じで手間のかかり具合は違う。そうはいっても訓練の評価というのは、本来障害程 度とは関係なく、努力した施設は別の観点で評価されるべきなのではないか。こういっ た2つの考え方を同時に表わすものとしてこういう報酬体系がつくられる、という考え 方を採用しているところです。  この点については、さらに制度改正がなされれば、その後引き続き検討していくべき 事項と考えているところでございます。  14ページは、住まいという観点で、どういうふうなサービスを再編していくかという ことでございます。障害者支援施設というものを除いた部分での再編ということで整理 をしてございます。  現在の居住関係のサービスについては、グループホームでは、世話人が1人置かれて おりまして、知的障害、精神障害でヘルパーの利用状態に差異がある。通勤寮、生活訓 練施設といった、1ヵ所20名程度の施設がある。そして、福祉ホームということで、身 体、知的、精神については、介護的なケア付のB型もある。  こういうふうにそれぞれの障害別に歴史が違うということもあり、サービスのメニュ ーがそれぞれ違っているという状況にございます。  そういうものを、できるだけニーズに応じて共通のものを考えていこうということ で、右にありますように、大きく4つの類型に再編できないか。これは精神障害者支援 施設も入れると、そういう意味では5つになるということでございます。  まず、ケアホームです。まだこなれた言葉ではなく、さらに検討が必要かと思います が、共同生活介護ということで、介護を要する知的障害者や精神障害者の方を対象に、 平日の日中は外部の先ほど申し上げたようないろんな事業を活用していただく。入浴、 排泄、食事等の介護その他の日常生活上の世話を提供し、日中活動を含めた生活プログ ラムを策定する。具体的には、夜間ないしは個別のケアが中心、という考え方です。  グループホームについては、共同生活援助ということで、就労又は自立訓練、就労移 行支援等を受けている知的障害者・精神障害者が対象で、食事提供その他の日常生活上 の世話を提供するという考え方です。  福祉ホームについては、住居提供ということになります。  さらに、新しいサービスとして、居住サポート事業というものを障害保健福祉圏域ご とに体制を確保していくことが必要になるのではないか。具体的には、一般の住宅の中 に住まいを確保できるようなサポート事業を進めていくという考え方です。  それぞれが粗々ですが、障害程度に応じて利用でき、さらに個別給付と地域生活支援 事業といった形で給付体系、事業体系を分けるという考え方を採用してはどうか、と考 えているところでございます。  先ほど申し上げた居住サポート事業のイメージとしては、下に書いてありますよう に、前回申し上げた、障害保健福祉圏域ごとの相談支援事業者、具体的には都道府県が 委託をしている事業者ということになろうかと思いますが、そこが中心になって一般の 不動産業者とか、住宅提供者、いわゆる家主等にアプローチをして、家主の立場から見 ると、何かあったときに不安だから貸せないといったような問題に対して、24時間いつ でも相談に応じるといった中で住居提供の心理的衝撃をサポートしていくという事業が できないかということです。さらに、万が一、何かトラブルがあったときでも支援事業 者自らがアプローチをしたり、場合に応じて医療機関、精神障害者支援施設等から必要 なサービスを提供していくというネットワークも組んでいく。  こういった仕組みを障害保健福祉圏域に設けることによって、ケアホーム、グループ ホーム、福祉ホーム、以外の住まいの場を拡大していけないか、こういうことを考えて いるところでございます。  以上が、障害保健福祉サービスの大きな給付体系、事業体系、報酬体系再編の考え方 でございます。  15ページになります。(2)ライフステージに応じたサービス提供、まず1点目が就 労関係でございます。  就労関係、先ほど申し上げましたように、既存の授産施設、更生施設等を、就労移行 支援事業、要支援障害者雇用事業等に再編していくということを考えていこうというこ とでございます。  雇用施策との連携を地域で強化していく。下の絵にございますように、ハローワーク 等、市町村等の連携を強化していくことによりまして、障害者の意欲と能力に応じて職 業生活を設計・選択できるような支援体制を確立していく、という考え方でございます 。  具体的には、まず地域でのサービスマネジメント体制が就労支援にかかるものとし て、ハローワークを核として、地域障害者就労支援チームといったものと、市町村単位 で行われますケアマネジメントのサービス調整会議が連携をして、就労に移行できる方 についてはできるだけ移行を促していく、というような枠組みを地域単位でつくってい くという考え方でございます。  さらにその中で2つ大きな柱があるうちの1つですが、就労移行支援事業を例示させ ていただきました。ここで書いてあるものですが、ページを戻っていただきまして、11 ページの下をご覧いただきますと、支援事業で成功している授産施設の退所状況を例示 で挙げさせていただいています。この表の見方ですが、下に退所率というのが、54.8% とか41.7%とありますが、こういう数字は1年間で利用されている方の何割が退所した かということで、ここにあるA.B.C.Dという施設であれば、概ね2年で1回退所 しているというふうに見ていただければよろしいと思います。  さらに、退所した方の中で何割の方が就労、就職に結びついているかというデータで ございまして、成功しているというところをピックアップしていますので、6割以上の 方が就労に結びついていると。退所する方も多く、その中で就労されている方も非常に 多い、こういうふうなことになっております。  こういう施設をいろいろ分析してみますと、先ほど少し見ていただいた15ページのよ うな機能を有しているということでございまして、こういうのを普遍化できないかとい う考え方でございます。  就労移行支援事業の内容として大きく2つの機能を持つということで、1つは作業訓 練という機能、1つはマッチング機能、企業との組み合わせ、さらにはフォローを行っ ていく、2つの機能で構成できないかという考え方でございます。  作業訓練機能も単に施設の中だけでいろいろ作業をするということではなく、ここに ありますように、施設内授産とか、体験実習といったような内部でのいろいろな取り組 みをすることによって障害者ご本人の意欲を高める意欲を高めるということとか、企業 側の安心度を高めていくといったような取り組みも進めていく。さらに、マッチングと いうような機能の中で企業と利用者をつなぐということで職場開拓とか適性に合った職 場探しを援助していく。さらに、就職後におきましても支援をするということで、これ は障害者ご本人への助言、相談のほか、就職後の事業所にも助言、相談にのっていくと いった機能を果たしていくことで、障害者の企業等への就労の円滑な移行を促していく という枠組みをつくりたいということでございます。  こういうものにつきましては、個別の支援プログラムに基づき、段階的に支援してい く。こういう取り組みを通じて、退所の促進、就労への移行を高めていきたいというふ うに考えているところでございます。  16ページですが、極めて重度の障害者に対するサービスの確保、という点でございま す。  基本的な枠組みでございますが、一定の要件を満たす、極めて重度の方が自立支援計 画に基づき複数のサービスを適切に確保する仕組みを確保していけないだろうかという ことです。  具体的には下にありますように、重度の障害者の方が、市町村等に申請をする通常の 利用決定のプロセスの中で、特別に包括報酬というような形で利用決定がされるという ことです。その一定の要件を満たす利用者が受けるということになりますが、具体的に はサービス調整ですとか、24時間の連絡・対応体制。自らまたは他の施設を使ってサー ビスが提供できる。  このメリットしては、基本的な考え方の3つ目にありますように、いまの支給決定は 個別のサービスを決定していくわけですが、そういうのをこえてサービスの種類や量に かかわらず、一定額の報酬を支払うという仕組みの中で、各種サービスの単価設定や利 用サービスの種類や量を自由に設定できる、仕組みとしていこうという考えでございま す。  対象者の方のイメージとしては、身体障害であれば、ALS等の極めて重度の障害 者、知的障害者の方の中でも特に強度の行動障害を持っておられる方。精神障害であれ ば同じように極めて重度の障害者であって地域で暮している方。といったような方を念 頭においた包括的なサービス体制を考えているということでございます。  3点目が、障害児施設、事業のサービス体系の見直しの関係でございます。  この件については、先ほど大人の方で申し上げた点と基本的に変わるところはござい ません。ただ、日中活動の場ということで、就労ということは基本的には出て参りませ んで、逆に子育て支援といったような問題とか、虐待に対応した要保護といったような 点が児童特有の問題としてあると理解しているところでございます。  ただ、この件につきましては、前回もご説明しましたように、障害児の関係の措置権 をどういうふうに処理をしていくかということについては、概ね5年後施行を目途に3 年以内に結論を得るということにしておりますので、それと併せて見直しを進めてい く、というふうに考えていこうということで、大枠としてはこういう大枠でさらに問題 を詰めていきたいということを考えているところでございます。  最後ですが、良質な精神医療の効率的な提供、でございます。  この件につきましては、いくつかの検討会を実施して参りましたし、さらには、9月 上旬には厚生労働省として精神保健医療福祉の改革ビジョンということで進めるべき事 項について方針を決めてございます。基本的にはそのエッセンスが書かれているという ふうにご理解をいただければいいかと思います。  考え方としては、現行の精神医療体制というのはニーズ等に対して十分に機能してい ないのではないかということでございます。その1つの事例として「受入条件が整えば 退院可能な者」が約7万人存在している。ただ、それはすべての方が長期ではなくて、 新規発生群と長期化群に分かれる。都道府県ごとの退院率、病床数について、大きな地 域差がある。といった問題がある。  そういうことを踏まえまして、目標設定による総合的対策を都道府県単位で展開して いきたいということにしています。  数値目標として掲げてございますのは、概ね10年間で全国3位等の平均値を全都道府 県で達成することを目標としたい、ということです。  内容としては、新規入院群への対応ということと、長期入院群への対応ということ で、新規入院群については、できる限り1年以内での速やかな退院を目指して、病床の 機能分化とか、救急等の地域医療体制の整備するということを中核に考える。長期入院 群への対応については、本人の病状や意向を重視しつつ、医療と地域生活支援体制の協 働ということで、先ほど申し上げたような3障害共通の自立支援システムを強化する中 で、地域の拠点を整備していく。こういう考え方です。  その結果、精神保健医療福祉の改革ビジョンで示しているように、今後10年間で約7 万床相当の病床数の減少を促す。こういう考え方でございます。  次の18ページですが、基本的には患者の病態に応じた精神病床の機能分化の促進と地 域医療体制の整備を行うということで、基本的な考え方は先ほどの福祉関係の節でもお 話をしましたように、利用者の方のニーズと病態に応じた機能に応じて分化していくこ とと考え方を一にするものです。  入院患者の早期退院を促し、地域の目標値を達成するため、急性期、社会復帰リハ、 重度療養等、大きく3つぐらいに分化することが必要だろうということで、1つは、急 性期医療を担う専門的な体制整備ということが必要。いまでも大体33万人、新規に入院 されて約半数は3ヵ月ぐらいで退院し、1年で大体85%ぐらいの方が退院されています が、そのスピードをより速くする。こういう考え方です。  さらに、一定期間、例えば3ヵ月ぐらい、急性期を過ぎて、このままであれば長期入 院になるような予備軍について、集中的な社会復帰リハビリテーションを行うことによ って社会的入院群の退院を促進していくという2つ目の取り組みが非常に重要になって いるわけです。  さらに、どうしても持続的に不安定な方がいらっしゃるということで、そういう方に 対応した適切な人員配置を持った新しい重度の療養タイプも考える。  このような3つの群を考えることによって、病床の機能の強化を図り、良質な医療を 効率的に提供できる体制の整備を進めるということです。  さらに、地域の受け皿のひとつとして、精神科救急を強化していくことが必要という ことです。下の絵にありますように、一般救急と比較すると、三次医療という観点での 先端的な機能が現在、精神医療にはございません。そういうものの枠組みを整備して、 地域で暮らしていける条件をさらに整備していくことが必要だということで、そういう ことも併せて進めていくということです。  最後に「法改正に向けて」という言葉が19ページにあります。  以上、特に今申し上げたような各障害者共通の自立支援のための給付・サービス体 系、それを裏打ちするような利用者負担体系、財政システムというものについての整 備、そのほか、各障害別課題に対応するために、次期通常国会に法案を提出する。  その中で、特に今日、ご説明申し上げた給付等の体系、施設サービス体系論、それか ら、前回と連動します、3つ目の話題であった利用者負担、国・都道府県の補助程度の 枠組みといったものについては、各省共通の機構になりますから、そういうものを共通 の法的枠組みを導入する可能性について検討したいということでございます。  さらに、個別の事項についてはそれぞれの個別法によってさらに改正の検討をしてい く。仮に共通法ができれば、その中で介護保険との優先適用関係をどう整理していくか ということが次なる課題となる。こういう考え方をとっているところでございます。  以上、詳しくは説明できませんでしたけれども、説明資料に従いまして本日の中心的 な議題であります新たな精神保健福祉体系のサービス論についてご説明申し上げました 。 ○京極部会長  ありがとうございます。ただいま事務局よりご説明がございましたが、ご質問等含め ましてご意見がございましたら、順次ご発言いただきたいと思います。 ○徳川委員  今度の改正案、グランドデザインについて私たちは組織的にも検討いたしまして、大 枠で問題はない、むしろいいと思いますが、1つだけ問題は、現行のシステムに不備が あったから新しい取り組みをするというふうにおっしゃったんですが、確かに、今のシ ステムには不備もあるんですが、それだけではなく、今のシステムを実施することに不 備があったために、いろんな社会的入所があったりして機能していなかったということ があったと思うんですね。ですから、今度新しい制度または体系で進んだとしても、そ れを実施するときに不備があれば、また同じような問題が起こってくるんじゃないかと 思います。今までのシステムが悪かったから新しくするというと同時に、システムの実 施についてに不備があったからということも念頭においていただきたいと思います。こ れは前段でございます。  以下4つぐらい質問とお願いを申し上げます。1つは、生活療養事業と生活福祉事業 というふうに分けてあるわけですが、1つ確認として、これは両方とも重い障害者の方 が利用できるということを念頭にしていらっしゃるのか。ただ気になるのは、生活療養 事業のところに※があって、下にこれを医療施設で行うと書いてあるんですが、生活療 養事業の対象者を医療だけで対応するということになると、この方々のもっと広い福祉 的な面、例えば、社会参加とかリハビリテーションとかはどうなるのだろう。例えば、 私たち療護施設をやっておりますが、療護施設のほとんどが医療にかかわった人である 。しかも、その方々に対して私たちはレクリエーション、リハビリテーション、創造的 活動も行っていますが、もしこれを医療事業だけに絞ってしまった場合に、重い方が医 療だけに限られてしまうのでないか、ということが不安でございます。どんなに重いA LS患者の方でも、社会参加なり、レクリエーションなり、創造的活動ができるという ことは必要です。まれな例かもしれませんが、英国のホーキンズ博士はALSの非常に 重症な方であるけれども、天文学で活躍していらっしゃいます。したがいまして、生活 療養事業に限らないで、生活福祉を併せたものとしてシステムを考えていただけないだ ろうか。ただ、医療的看護だけではなくて、リハビリテーション、レクリエーションを 含んだものとして療養事業と福祉事業をある程度併せたものを考えていく必要がないの だろうか。そのへんをどういうふうにお考えになっているかということを伺いたいと思 います。  まさに総合的サービスということになっておりますので、利用者の方が総合的にサー ビスを選べるシステムをどう構築していくのかというふうにお考えをいただきたいと思 っております。これが1点でございます。  2点目は、グループホームの件でありますが、グループホームの利用を療護の対象者 も望んでおりますが、グループホームが知的障害者と精神障害者だけに限られて、身体 障害者のグループホームというのは考えられていない。これについては、身体障害者の 方も、重い方であっても、グループホームなり、またはケアホームで対応できるという ことを是非考えていただきたい、というのが2点目でございます。  次に3点目ですが、ケアマネジメントのことですが、これはおそらく老人のケアマネ ジメントとは違う形で考えていらっしゃると思いますけれども、老人の場合はどちらか というと、介護保険の給付についてのケアマネジメントでありますが、障害者の場合は 生活、生涯全体のケアマネジメントでございます。このへんの違いをどう考えていらっ しゃるかということを伺いたい。  最後に4点目ですが、就労ということは人間にとって非常に重要でありますが、同時 に私は以前から申し上げたように、結婚の問題、育児の問題、これも人間にとって大き な選択肢の一つであると思います。障害者の福祉の最終的に大きな問題は就労と結婚と いわれておりますが、この結婚と育児をどこにはめ込んでいらっしゃるのか。または、 できたらこれも一つ柱として置いていただかなければならない問題でないかと思ってお ります。特に大きな問題は、生活療養事業と生活福祉事業を併せ持つ体系というものを 考えていただきたいということを申し上げたいと思います。 ○京極部会長  いまのご質問について、事務局からお願いいたします。 ○北川企画官  まず最初の、制度改正をやっても、そのあとの運営がちゃんとやらなければうまくい かないのではないかというご指摘は、全くそのとおりだと思います。今回の見直しとい うのは、枠組みがいいだけではだめで、それを現実的にどういうふうにちゃんとしたも のにしていくのか、そこのところが一番大事なのではないか、ということについては我 々も非常に強く感じているところでございます。  その上で、ご質問にお答えできる範囲でお答えさせていただきたいと思います。  まず、生活療養事業と生活福祉事業の関係でございます。基本的にはいずれも重度の 方が利用することを念頭においているというものです。特に、生活療養事業が念頭にお いていますのは、具体的に申し上げれば、医療機関でいえば、筋ジストロフィーの方で うとか、委託をして医療保険の費用をベースに、公費を一部投入してリハビリテーショ ン等をお願いしているという事業形態がございます。そういった、医療にベースを置き ながら、委員からお話のあったような、リハビリテーションというようなところを強化 していくという観点で公費を併せて、一種の共同事業的に行っている事業形態もござい ますので、そういうものを念頭においているということです。  個々人の方が医療が必要かどうかというような視点というよりは、もちろん福祉事業 の方でも医療を必要とされる方、たくさんいらっしゃるんだろうと思いますが、サービ スが提供される形態として、今の現実から見ると2つぐらいの形態がないと費用という 面でうまく配分できないのではないか。そういう考え方にのっとっているものです。  そういう意味では、サービスの中身、共通してリハビリテーションが重要になってく るということについては何ら変わることはない、というふうに考えておるところでござ います。  それから、身体障害の方のケアホーム等のお話でございます。基本的にはここでのご 提案は確かに、知的、精神という2つの障害をベースに置いておるものでございます が、身体障害者については、ケアホーム、グループホームをどうするかということにつ いては、現在検討中でございます。ただ、委員のお話のように、必要とするという意見 もございます一方、むしろ、自宅やアパートでの暮らしを推進すべきだという観点か ら、割とネガティブにおっしゃるような意見も、両方あるようでございます。  そういう中で、身体障害者の方と居住支援をどういうふうにやっていくかというのは 検討していきたいと考えているところでございます。  それから、ケアマネジメント、相談、支援の範囲というご指摘ございました。おっし ゃるとおりでございまして、高齢者の方のケアマネジメントというよりは、前半部分で も少し記載させていただいておりますが、就労ですとか、教育ですとか、さらにご指摘 のあったように、育児、結婚といったような生活全般にかかわるもの、各年齢層、広く 障害者の方にわたっていますので、そういう意味では、相談支援体制の中で就労以外の ことも含めて広い範囲でサービスを提供していくことが必要である、ということは我々 も承知をしておりますので、そういう中で、都道府県ないしは市町村に進めていただく 相談支援事業をできるだけ効率的なものになるように国としても進めていきたい、こう いうふうに考えております。 ○京極部会長  最後の、結婚とかそういう問題は。 ○北川企画官  結婚についても、たぶん相談支援事業の一環として対応されていくことになるんじゃ ないか。個別の事業としてはいろいろ、紹介をするとか、そういうのはなかなか難しい とは思いますが、生活面の支援の一環として必要に応じやっていくということになるの ではないかと思います。 ○京極部会長  よろしいでしょうか。現状では重心なんかの場合は病院で対応しているのもあるし、 療護施設のように福祉サイドの場合もあるし、軸足がどちらにあるかでそれぞれ規制が あるんじゃないか。財政的にも福祉の予算だけでカバーできない分野はたくさんありま すので、そういう現状を踏まえた仕分けになると思います。  福島委員から質問が出ておりますので、よろしくお願いします。 ○福島委員  まず確認の質問をさせていただいて、その上で、そのお答えによってまた質問させて いただこうと思っていますが、とにかく、前回から今回にかけて、非常に広範なテー マ、さまざまなテーマ、それは種類が違うというだけではなくて、水準や次元の違う問 題がたくさん出ておりますので、どこに焦点を絞って議論するかが重要だろうと思って います。  私自身が一番気になりましたのは、やはり財源の問題です。制度の中身だとか運用に ついては、今後さまざまに検討していいかもしれませんけれども、要するに元となる予 算が確保できなければ話が進まないので、そこが一番気になっていたんですね。介護保 険の問題は後で議論することなので、ここでは触れないんですが、本日の資料ではこの ことはおっしゃっていなかったようですけれども、10ページになりますか、義務的経費 の問題で、国や都道府県の財政の義務負担化という表現が出てきましたよね。前回、課 長が説明された資料の方でもあるかと思いますが、この義務経費化、財政の義務負担化 というのは非常に重要な話で、というのは、障害者サイドとして利用者サイドとして一 番気になるのは、障害者福祉の予算が一般財源化されてしまって、ほかのものとごっち ゃにされて、だんだんじり貧になってしまうのではないのか。それが一番の心配なわけ です。  それに対して、財政の義務負担化ということを明確に打ち出してもらえることは評価 できると思っていますが、果たして本当にできるのかという疑いの面もあります。これ までそれは相当難しいということが繰り返し言われてきたわけで、そこで初めのお尋ね ですが、財政の義務負担化ということを、現下の厳しい財政状況の中でクリアしていく ために何が一番のハードルと考えておられるのか。つまり、どういう状態がクリアされ たら、少なくとも、財政の義務負担化といったことが実現する可能性が高まると考えて おられるのか、そこをまずお尋ねしたいと思っております。よろしくお願いします。 ○北川企画官  まず、このグランドデザインについては、前回もお話をさせていただきましたが、財 務省その他関係省庁との協議についてはこれから、ということでございまして、ここに 書いてあるからできるという現状ではない。逆にいうと厚生労働省が各省に、こういう ことをやるからこういう義務負担化をぜひやってほしいという形で協議を進めていくた めの素材である。こういうふうに理解していただければと思います。そういう中で、我 々としても、当然お願いするだけでは実現はできないと考えていますので、いくつかあ って、トータルのものとして考えているということです。  その中のまず1点目ですが、1つは、計画的かつニーズに基づく計画を各自治体で策 定していただき、さらに整備を進めていくということが1つの要素になるのでないか。 2つ目は、他制度と比べて、やはりケアマネジメント制度をきっちり導入をし、利用決 定プロセスを透明化していく。それは尺度の透明化も含めて、といったような制度運営 の透明化をしていくこと。さらに、利用者負担の問題についても応益的な負担とか、地 域と施設との関係の負担の均衡、さらには他制度との均衡も図った負担の仕組みを導入 していくというようなこと。こういった、大きく3つぐらい、とあわせて、国の負担制 度を義務化できないだろうか。こういう形で提案させていただいているというのが我々 の考え方です。  ただ、これで本当にできるのかと質問されると、財務省その他、もっと厳しい条件を つけてくるということも当然あり得るというふうに考えておりますので、そういう条件 が提示された中でさらにできること、できないことを精査していくことが必要になって いく、こういうふうに考えているところでございます。 ○福島委員  いま3つのパッケージとおっしゃっていましたが、これは可能的なもの、そして義務 化ができるかどうか、わからないにしても、少なくとも、計画的に進めるということ と、もう一つは運営の透明性、そして、自己負担、こういうふうに並べると、一番のネ ックとなるのは、3つ目の自己負担かなあと思うんです。つまり、計画的に進めていく というとは、地方自治体も障害者計画をしっかりつくっていく。運営も利用者の参画も 含めて透明性を図るといったシナリオも考えられますし、このあたりは大方の賛成を得 られると思っていますが、3つ目の自己負担、さらっと終わった感じですが、そこが一 番重大な問題で、要するに、応益負担ということで、これが議論の大きな的だと思いま すので、議論をする上の前提として、僣越ですが、私は前から考えていることをお話し たいと思います。  これは委員という立場と同時に、さまざまな福祉制度を利用してきた障害を持った当 事者の立場を含めてのことですが、まず、応益負担ということを考えるときに、福祉サ ービスを受けながら、何も払わない、どんなに高所得であっても障害者だから全然何も 料金を払わないというのはおかしいじゃないかという発想があったり、あるいは、応益 負担の制度を設けないとどんどんコストがかさんでしまって青天井になってしまうとい う不安があるのだろうと思うんです。ですが、またそうしたことを考える前提として、 そもそも応益負担とは何なのかということ。それから、福祉サービスとか介護や支援と いったものは、多ければ多いほど利用者にとって有り難いものなのかどうかというこ と、このあたりの基本を押さえないと、今後の議論において話がずれてくると思うんで すね。例えば、応益負担といった場合、応益の益、利益というのは何なのか。あるい は、福祉サービスのサービスとは何なのか。私たちは見えなくて、聞こえないという障 害を持っています。ほかにも、手足に障害のある人や、さまざまな機能障害の人、精神 的な障害の人等、さまざまなニーズがあるわけですが、物すごく大ざっぱに要約してし まえば、ニーズは3つぐらいになるんじゃないかと思っています。1つは、外を歩く、 家の外を移動するということ。もう1つは、家の中で動くこと。身体を動かして風呂に 入ったり、トイレに行ったりする、動作の問題。3つ目は、コミュニケーション。情報 を得たりすることも広い意味のコミュニケーションです。外の移動、家の中での動作、 そしてコミュニケーションの3つがおそらく最大公約数のニーズかなと。  こういう例で考えたときに、例えば、外の道路を歩く。これにはお金は要らないんで すね。もちろん、道路は税金で作っているんですけど、税金は国民みんなで所得に応じ て出していますので、そこでお金を払っているわけですが、道路を歩くときには歩行料 金みたいなものはないわけです。だけど、障害者が歩こうとすると、障害故にサポート に金が必要だといわれる。そのおかしさです。  じゃあ、家の中ではどうか。家の中の動作で、お風呂に入る、トイレに行くことを考 えたときどうか。自分の家の風呂やトイレでも、水道代がかかるし、ガス代はかかる。 トイレットペーパーも買わなければいけない。これは障害があってもなくてもかかるん だけれども、障害を持っている人の中には自分で風呂に入れないから介助が必要な人が いる。その人は、それはサービスなんだ、応益なんだといわれて費用をとられることの おかしさ。自分の家の風呂に入るのに、なぜ銭湯のように金を払わなければいけないの か。生まれつきの障害とか、自分ではどうにもならない理由で障害者になっているの に、障害を持っているが故に風呂やトイレに行くのに、一般人と違って余分にお金を払 わなといけない不自然さです。  これはコミュニケーションについても同じで、例えば、遠方の人に連絡する場合、電 話を使います。これは一般人も障害者も、電話代を払うのは同じこと。だけど、耳が聞 こないと通訳者が必要です。耳が聞こえないがために電話代以外に通訳者に金を払わな いといけないのか。もっとはっきりするのは、電話ではなくて、目の前にいる人と話を する場合、一般の人は金を払うのか。払いません。だけど、障害を持っているから払わ ないといけない。これはサービスだといわれる。応益負担だといわれることの感覚的な 理不尽さ。サービスといっても、贅沢なことを求めているならわかります。誰かコンパ ニオンみたいな人が来てお酌をしてくれるとかいうならそういうふうに言われるのはわ かりますけど、道を歩いて、必要なことをするという、基本的な、人生の最低限のイン フラを整備してほしいといっている。障害というどうにもならない理由でそういう状況 ができてしまっている。だから、サービスが欲しいんだといっているだけで、そこにサ ービスの応益負担を求めるという言葉が出てくることの感覚的な違和感というものをま ずご理解いただきたい。それが伝わらないと、議論はどこまで行っても平行線だと思い ます。  もう一つは、こういう介護サービス、介助サービスというのは多ければ多いほどうれ しいかということです。確かに、1日24時間介助が必要な人もいらっしゃいますけれど も、逆にいえば、1日24時間より長い時間はないわけで、青天井ではないんです。天井 はあるんです。しかも、24時間必要な人はそんなにたくさんはいらっしゃらない。大体 の人はもっと少ない時間で済みます。そして、10時間介助を受ける人と、5時間介助を 受ける人がいて、10時間介助を受ける人のほうが幸福かというと、そうではないんです ね。たくさん介助を受けるからうれしいのか。1日中トイレや風呂にいたいと思う人は いないわけで、必要だから行く、必要なものをもらうんです。これは医療費における薬 を無駄に使うというのとは話は違うと思うんですね。薬の場合、中にはたくさんもらっ て家にためておけば、と考えている人もいるかもしれない。だけど、介助というのは、 たくさん介助してもらえば得だ、という性質のものではなくて、必要だから出てくるわ けで、おのずと水準点が出てくるものだと思います。  そして、財政の義務負担化は非常に重要なことで、障害者にとっても大事なことなの で、それはぜひ実現したいけれども、それとセットで応益負担ということになるとすれ ば、それは受け入れざるを得ないと思います。だけれども、そもそもなぜ応益負担が必 要なのか。青天井というと、何か危機感をあおるようですが、そもそも青天井というこ とは論理的にあり得ないということ。お金そのものをもっとほしいと言うのではないん だということ。基礎的な自由、外を歩く、トイレに行く、話しをするということを保障 してほしいと言っているのだということ。そこを押さえた上で、今後の応益負担の議論 をしていただければ、おのずと水準も落ちついていくだろうし、行政も納得のいく水準 が見えて来るんじゃないかと思っております。以上です。 ○京極部会長  これはどうでしょう。 ○北川企画官  まず、利用者負担の問題については、さらに今後議論していく必要があろうと思って いますが、ただ、こちら側の考えを申し上げさせていただきますと、一つは、新しい給 付の体系の話をさせていただきました。個別給付と地域生活支援事業ということで、基 本的に義務的経費、さらには応益負担といったものが対象になるのは個別給付の世界を 念頭においていて、地域生活支援事業については市町村に基本的に行っていただくべき 事業だというふうには思っておりますけれども、費用負担等については個々の市町村に おいて個別に判断していただくというふうな仕組みを念頭においている、ということが 一点ございます。  それから、利用者負担、応益負担という問題、いま委員からは障害のある人とない人 という意味で益があるのかという議論でございましたが、一方では、現状で障害のある 人の中でもサービスを非常に長時間利用されている方と利用していない方、同じような 障害程度の中でも利用している人、していない人に分かれている。それは同じ地域の中 でもありますし、地域の整備状況にも差があるといった問題も出てくる。そういった意 味での公平性といったような視点も大事になってくるのではないかと思っております。  さらに、前回ご説明をさせていただきましたように、居宅の支援、例えば、ホームヘ ルプについては、利用者の数も増えておりますけれども、1人当たりのお使いになって いる額も急速に、1割から6割ぐらい伸びているという現状でございます。そういう現 状というのは、もちろん、今までなかったサービスができたからという面もあろうかと 思いますけれども、ほかの制度から見ると非常に高い伸びを示している。そういう額の ところが果たして今、委員がおっしゃったように、おのずと上限が決まるんだというラ インとはどうも違う動きをしているのではないか、というようにも見えるという面もご ざいますので、そういうことも含めて、利用者負担の問題についてはよく考えていきた いというふうに考えております。 ○京極部会長  なお、利用者負担につきましては、私は福祉財政学をやっているので、社会福祉サー ビスにおける利用者負担というのは、応能負担にしても、応益負担にしても、全額市場 ベースのコストを負担しているわけではなくて、その一部をどういう考え方で負担させ るかということであって、福島委員の言うように全部負担させているわけではなくて、 その一部を能力に応じて負担させる場合と、実際に使った分に対して介護保険のように その一割を負担するという2つになっていて、負担については必ずしも、財政的に金が ないから利用者に負担させるということではなくて、モラルハザードを防いだり、ある いは、若干の負担をしたほうが使いやすいという利用者の気持ちを忖度したり、いろん な機能があるわけで、そういうことを総合的に考えて、例えば、介護保険の場合は応益 負担にしたわけで、それまでは措置制度の下でしたので応能負担だったということで、 所得の低い方はたくさん使ってもモラルハザードがないということだったので、それで いいのか。逆に、所得の高い人は応能負担で多額納税者でありながらたくさんの負担を している。そういう問題をクリアしたわけで、今後どうするか。障害施策の将来展望と の関係、そして、義務的経費化の問題でも、果たして青天井を、どういうところで水準 をつくってやれるかというようなことも次回以降詰めて議論したいと思いますので、こ れぐらいにしたいと思います。 ○安藤委員  まず、細かいことを確認したいのですが、サービスに関する費用についても原則とし てサービス量に応じた負担をするということで、原則という言葉が使われていますけれ ど、非常に所得が低い方をどうするかについては後で論議されると思いますが、説明資 料の12ページの総合的な自立支援システムの構築ということで、介護給付、地域生活支 援事業などがありますが、このシステム全体の中で原則的なものがあるのかどうか、そ こが見えないのでわからないんです。原則という言葉が使われるということは、原則外 もあるのではないかとイメージするわけですが、それがあるのかどうかお伺いしたい。  2番目に、この改革案の財政的な受け皿として、市町村の責任とか、実施体制がいわ れていますが、私の聞くところでは、介護保険と支援費制度の統合については、市町村 自身が非常に懸念を持っています。この改革案で一番大事なことは、財務省とかほかの 省とは別に、市町村がこの改革案でよしとする場合、市町村のインフラ整備をどのよう に考えているのかということが非常に大事だと思います。市町村の意向とか、インフラ 整備について、具体的にどのようになっていくのかをお聞きしたいと思います。  3番目に、このグランドデザインは、介護保険との統合の可能性が高いと思うんです が、法改正をすれば進められるかと思いますが、制度改革で一番問題なのは、事業を進 めるには先行投資が必要だと思いますし、財政的な問題ではないかと思いますが、それ について具体的にどう進めていくのか、お聞かせいただきたいと思います。 ○北川企画官  まず1点目は、給付の体系と利用者負担についてご質問だったというふうに理解しま した。説明資料の12ページをお開きいただきたいと思いますが、個別給付となります、 障害者介護給付、障害者自立支援給付については、先ほど申し上げましたように、計画 的な整備の対象とし、支給決定プロセスの透明化を図り、利用者負担も応益負担として 負担条件を設けるといった形の中で国庫負担化ができないかということで今後の検討、 政府部内で詰めていきたいというふうに考えているということであります。  それから、地域生活支援事業の部分につきましては、本文資料をごらんいただいたほ うがよろしいかと思います。15ページです。総合的な自立支援システムの構築というこ とで、○が6つ並んでいますが、最後の○で「地域生活支援事業の財源については、市 町村、都道府県の創意と工夫がより活かされるとともに、地域間の取り組みの差異が調 整できるような、現行の補助制度とは異なる国費の支払制度も検討する」ということ で、例えば、いま地域生活支援事業の中にあるコミュニケーション支援的なものについ ては、法律上の根拠もなく、一般の裁量的補助金というようなことで位置付けがなされ ている。という仕組みになっているものについて、さらに位置付けを強化しつつ、実際 の自由度が高まるような仕組みはないかということを検討していきたい。というような ことで、具体的な成案があるかといわれれば、成案は検討中でございますが、従来より は枠組みを強化しつつ、使い勝手のいいものにしていく。そういう意味で、利用者負担 についても、国が一律にこうだというふうに決めるのではなく、個別の自治体の状況に 応じて判断をしていただくというようなことを前提に考えていっていいのではないかと 考えているところでございます。  なお、その1つ上の○にありますように「地域生活支援事業のうち、基本的な事業に ついては法定化をする」という意味で位置付けする、ということで考えております。  2点目、市町村のインフラ整備についてですが、市町村のインフラの関係でございま すが、基本的には市町村にお願いをするということを前提に、国とか都道府県が重層的 に支援をしていくという形です。これは前回ご説明をしたとおりでございます。その中 で、活用できるツールとして考えておりますのは、一つは広域連合という枠組み、もう 一つは、地域生活支援事業の中にあります広域支援事業、という2つ枠組みがうまく活 用されることによって、当座、市町村自らできない場合でも、広域的な対応をし、それ で力がついてくれば自立的にやってもらうというような選択肢もできるようなことでや っていきたい。さらに、人材面については、施行したからいい人材が育つということは なかなか難しいだろうと思われますから、都道府県の人材育成事業を強化し、国として 支援していく中で一定期間でサービス提供側の人材の質の向上強化を図っていく。こう いう枠組みを考えております。  さらに申し上げれば、財政的に、仮に義務的負担ということがいろんな条件とあわせ てクリアされることになれば、当然自治体の財源措置という意味では、地方交付税の世 界の中でも一定の財源確保が強化されることになりますので、逆に、国とか都道府県の 負担だけが問題ではなく、市町村としての財源も強化される。こういう効果も出てくる と考えておるところでございます。  いずれにしても、この前の15日に都道府県、政令市、中核市の方々とグランドデザイ ンについて意見交換の場を持ったところでございますが、引き続き市町村の方々の意見 を聞きながら、具体的にどんな整備支援をしていく必要があるのか、ということについ て詰めていきたいと考えております。  それから、自立支援型システムの整備でございます。このへんについても、まず、福 祉サイドとして就労移行支援、それから計画を後押しした数を拡大していくという取り 組みにあわせて、ご指摘のあったように、経済界側の支援・協力、前向きの取り組みが 必要になるということはおっしゃるとおりだと思います。そういう中で、前回お配りし た資料の中で、福祉関係者と経済関係者が集まって直接的な方針を示しているところで すが、そういう取り組みは、たぶん数年前だったら、なかなかうまく行かなかったの が、企業側の関心として出てくるようになった。という意味では大きく進んできている のではないか。さらにいろんな雇用対策等の関係もございますので、さらに強化される ものと考えております。 ○村木企画課長  ちょっと情報提供でございますが、自立支援のところは、労働政策審議会の障害者雇 用部会で、企業とか労働組合を中心にした障害者が働くことの支援策について、今検討 が進められております。大きなテーマは3つあると私ども伺っておりまして、1つが、 精神障害者の雇用について職能支援、2つ目が、在宅就労に対する支援、3つ目が、地 域レベルにおける福祉部門と連携した就労支援、ということで検討をしていただいてい るということでございます。こちらの審議会に実はこのグランドデザインも参考資料と して配っていただきまして、福祉との連携についてもそちらでもご議論いただくことに なっておりますので、福祉サイドからの取り組みと、企業ら経済界サイドからの取り組 みと、両方があいまって、うまく効果が出るように連携をしながらやっていきたいとい うふうに考えております。 ○京極部会長  それでは、笹川委員、お願いします。 ○笹川委員  何点かお尋ねをします。まず第1点、先ほどのご説明の中で「極めて重度な障害者」 という表現がありましたけれども、どういう方々を対象にしてそういう表現を使われる のか。これが第1点です。  それから、地域生活ということになりますと、当然、所得の問題がまずあるはずなん ですが、所得については全く触れられていない。この所得の問題をどう考えておられる のか。  そして、第3点は、就労の問題ですが、就労というとすぐに雇用ということになって まいります。しかし、重度の障害者の場合は、なかなか雇用にはなじまない。ほとんど 自営で仕事をしている人が多い。そういう自営で自立している人たちに対する支援をど のように考えておられるのか。雇用一本でいくのか。このへん、少し明らかにしていた だきたいと思います。  それから、福祉工場あるいは授産所等の定員が見直しになるんでしょうか。それとも 現行の基準のままなんでしょうか。この点もお尋ねします。  それから、住まいの問題ですけれども、先ほど徳川委員からもお話ありましたけれど も、例えば、町村で整備するような場合には、むしろ福祉ホームよりもグループホーム のほうがつくりやすいということもあると思います。身体障害者の場合はあくまでも福 祉ホームとするのか、また、そうであれば定員をかえるのか、このへんのところも教え ていただきたい。以上です。 ○北川企画官  1点目でございます。包括的なサービスというのがどういう方を対象に、ということ でございます。説明資料の16ページにありましたように、いろんな複数のサービスが提 供される。具体的には、介護系のサービス、ホームヘルプですとか、ショートステイ、 ケアホーム、通所介護といったようなサービスが必要となるという意味での重度の方と いうことで、念頭においている者として、ALSの方、強い行動障害のある知的障害の 方ないしは精神障害の方をとりあえず念頭においています。そういうふうな障害者の方 については専門判定機関で個別に認定を行っていただくことを念頭においていますが、 具体的な対象者についてはさらに詰めていきたいと考えております。  それから、3施設の定員はどうなるのか、というお話でございました。まず、社会福 祉法の世界からいきますと、20人ぐらいは利用者がいるということが一方にあるという ことがありますので、それは基本としながらも、先ほど申し上げたように、多機能型と いったような複数の機能を持つ中で小規模なものを組み合わせて認めていくということ が一つあります。さらに、先ほどご説明はしませんでしたけれども、資料3の後半、資 料編の29ページをお開きいただきますと、福祉工場のお話がございましたので、少しご 説明をさせていただきますと、福祉工場については、障害者の方だけで20名という要件 を見直しして、一般の障害者以外の方も含めて20名といったような形態がとれないかと いうようなことを規制緩和的な面で考えるということは現在考えているところでござい ます。  それから、働くという面で、雇用だけなのかというご指摘がございました。企画課長 からお話させていただきましたように、自宅での就労といったようなことも含めて広く 就労支援ということで考えていきたいと考えておるところでございます。  住まいの関係は先ほど申し上げましたように、身体障害の方については、いろいろな 視点でご指摘があるところでございますので、もう少し事務局として整理をしたいと考 えております。 ○京極部会長  所得保障については。 ○北川企画官  所得保障の制度の現在の制度は稼得能力の減少した部分を補填するというような考え 方で年金等が制度化されています。そういう意味で、重度で稼得能力がほとんどない、 乏しい方は1級、一定の稼得能力はあるけれども減少しているという方は2級、といっ た形で年金等が支給されるという仕組みになっていると思っております。そういう意味 で、今回の全体的な見直しは、サービスの機能を向上し、国庫、地方負担を含めた見直 しを行っていくという意味でストレートに所得保障制度を見直すという話とは連動して いないのかなというふうに考えています。  今後、年金等、所得保障のあり方については、福祉、雇用両面から見直しを行う就労 支援を進めていこうということですから、そういう施策の成果を踏まえつつ、今後さら に検討すべき事項かと考えております。 ○笹川委員  先ほど、在宅就労の話がございましたが、いま検討されている在宅就労というのは、 あくまでも雇用を前提にしているということですから、自営業者には何の恩典もない。 在宅就労ということで予算要求が出ていますけれども、雇用対策課の考え方はあくまで も雇用であって、自営業に対する恩典というのは何もない。重度障害者は通勤の問題も ありますし、職場適応の問題もありますし、なかなか一般企業にはなじまない。しか し、働く意欲もあるし、力もある。そういう自営業者に対する対応というのは当然必要 だと思います。それに対する配慮というのはないんでしょうか。 ○村木企画課長  職業安定局の方で検討している在宅就労支援は、いわゆる雇用される方ではなくて、 自宅でまさに一人親方的に働く者に対しての支援ではあるんですが、そのサポートの仕 方として、そこに発注する企業に何か恩典のあるような形でそういう自営業の人に仕事 が流れるように、という仕組みを検討されている、というふうに聞いております。ま た、詳しい検討内容は確認をしてみたいと思います。  あと、笹川委員がおっしゃる、例えば、視覚障害の方などで自営でやっておられる方 々に対するサポートという意味では、今回の中に特段いいアイディアが盛り込まれてい るわけではございません。このへんはまたいろいろご指導いただきながら勉強してまい りたいと思います。 ○京極部会長  平成14年12月24日にできた新しい障害者基本計画は、厚生労働省だけではなくて、経 済産業省とか財務省とかの対応もぜひ我々のほうから訴えていって、障害者の方々が自 営でも働きやすい条件整備を、これは一つの大きな課題だと思います。厚生労働省のこ の審議会で全部自己完結できるかどうかは別として、発信はしていかなければいけない と思います。 ○君塚委員  属人化を柱にしているということで、要望してきた内容に沿っているもの で、歓迎 しておりますけれども、全体に大変不安に思っております。主に3つの点についてお尋 ねしたいと思います。  第1に次期国会に出される法案と他の法案との関係ですが、その新しい法案の中に従 来の法案の中身を変えるということまでも含まれているかどうか を教えていただきた い。それから、医療報酬制度との整合性ということがあります。例えば、医療報酬制度 にも重度という枠組みがありますが、そのへんと整合性が取れるかどうか、ということ が懸念されます。  2番目に、専門性についてですが、市町村への移行ということで、例えば、いくつか の既に行われている移行での問題点、例として、障害児の補装具の市町村に移行した件 ですが、数年経った今も専門性が確保できずに福祉事務所の職員、利用者、施設が全部 困っています。専門性の確保はなかなか難しくて、簡単な研修という形では専門性が確 保できないと考えています。支援費に移行して、更生相談所が今暇になってきていると いう話がありますが、従来の専門性が生かされていない状況が一方にあります。  3番目に、障害児関係のことで、障害児は発達途上であり、子どもにエチケ ットを教 えるとか、友だちをつくる、心を育てる、就学相談、さまざまな社会経験等をさせる 等、たくさんのメニューがあって、これは自立支援だけでは括れないものがあると思い ます。給付の柱の中に、障害児発達支援給付という項目立てをしていただくことを要望 したいと思います。  そして、障害程度区分の判定に関する件ですけども、専門性の面から、相談支援事業 者という形では、とても無理だろうと考えています.この判定の件において、身障手 帳、あるいは療育手帳との整合性を前提として、障害程度区分の判定のときに援用する ことを提案したいと思います。  それから、障害福祉のパイを小さくしたほうが景気がよくなるとの検討がなされたと の話がマスコミに載っていましたが、これに対して例えば、水田を守っていれば目に見 えないプラスがあることが判っていますように、お金の問題だけではなくて、安心を保 障することができる価値があるというような形での理論武装をぜひお願いしたいと思い ます。 ○北川企画官  まず、法律の関係ですが、名称については、これといって確定的に決めたものではご ざいませんが、とりあえず、前回企画課長からご説明をさせていただいたように、仮称 のレベルでは「障害福祉サービス法」という形で資料ではご説明をさせていただいてお ります。内容については、先ほど、私から申し上げましたように、説明資料の19ページ にありますように、給付の体系、施設・サービス体系、それから利用者負担の体系、国 ・都道府県の補助軽度の仕組み等について、共通の内容のものにしていこうと思ってお りますが、肢体不自由児施設、障害児施設そのものについては、先ほど説明いたしまし たが、今回の改正の対象とせずに、3年以内に内容について結論を得たいということで す。  そういう意味では、事項として発達支援的な給付の位置づけができないか、というお 話でございましたが、今回は大人の方を念頭においた給付体系として整理をしていると いうことでございますが、実際上法律化をするときには、障害児について、特に居宅の サービスについては、市町村がやっておられる現実がありますので、そういうものを含 めてどういうふうに整理するかはこれからというところです。  それから、専門性ないしは重度の認定という問題、包括的な問題、いろいろありまし たが、前回ご説明をさせていただいたように、説明資料6ページの上段をご覧いただき ながらお話させていただきますと、基本的に、市町村にすべてお任せする、というふう に考えているわけではございません。市町村の相談体制をベースに都道府県の役割とし て、今、暇になっている状態とお話のあった更生相談所等について機能再編を行い、判 定の標準化を実施した上で、判定面では支援強化をする、というふうに考えております 。  さらに、都道府県の障害保健福祉圏域ごとに今ある社会資源を活用しつつ、市町村単 位のその他の事業をスーパーバイズしたり、広域的、専門的サービスを提供していくよ うな対応の機能を強化していく。こういう中で全体的な専門性を担保していきたいと考 えているところでございます。  そういう意味で、国としては、都道府県や、先ほど言った地域生活支援事業の中の都 道府県事業をさらに推進したりする中で体制の強化を図っていくことを考えていきたい と思っております。  大きくこの2点に質問が集中していたと思います。 ○京極部会長  時間が押しておりまして、また次回もございますので、なるたけ論点を絞ってお願い したい。特に今まで指摘のないところについてお願いしたいと思います。 ○丹下委員  介護保険との関わりの部分については後に議論されることになると思いますので、そ れを別といたしまして、これまでのご説明について、私としては大筋こんな方向かなと 思っておりますが、ただし、個別の部分については、いろいろこれから議論が交されな ければならないと思っております。  私はご理解いただいておりますように、雇用あるいは就労という部分について最も関 心をもっている人間でございますので、今日はこの審議会の範囲からちょっと逸脱する かもしれませんが、3点ほど、先ほど企画課長が触れられましたし、障害者雇用対策課 からも傍聴にお出でのように思いますので、お聞き取りいただきたいと思います。  まず一つは、法制化を最終目標にしてこれまでのご説明の中でいろいろ方向が出て参 りまして、私の印象としては、福祉サイドは就労あるいは雇用について積極的に考え出 していらっしゃると思うわけですが、一方、それを受けるべき雇用サイドの審議状況、 先ほど企画課長触れられましたけれども、地域レベルでの福祉部門との連携といったよ うな項目が一つございまして、審議をされているということは私も承知しておりますけ れども、精神の問題、あるいは在宅就労の問題に比べれば、なかなか具体的な審議の内 容がこちらに聞こえて来ない来ないので、こちらの片思いになるということであっては ならないだろうという気がいたします。  その意味でお尋ねいたしますけれども、例えば、一点だけ取り上げるといたします と、資料の15ページに書かれております就労支援の体制、このようなことかと思います が、この中で、私は雇用の問題はきわめて国が責任を持つべき問題であって、その意味 においてハローワークが雇用の中心の存在でなければならないというふうに思っており ますけれども、ハローワークの担当官が福祉サイドで煮詰めるであろうこれからの方向 を受け止めるときに、一体どのように受け止めるかということが、促進法の部分ではた ぶん論議されていないじゃないかと思うわけです。そこのところをこの部会に対して明 確にお示ししただきたい。私は促進法においてハローワークの位置づけを福祉との結び 付きについて明確にお決めにならない限り、安定所の職員は動きにくいという状態が続 くだろうと思っております。  2つ目は、私は企業の障害者雇用についていろいろご相談をいただくような立場での 仕事もやっておりますけれども、最近、全国の状況としては相変わらず、障害者雇用は 厳しい面が多々残っております。しかし、その中で最近感じますのは、大都市圏ではマ ッチングの難しさ、これは企業が真剣であるということの証左でもありますけれども、 その難しさも含めまして、雇用されるべき候補者の障害者がだんだん不足ぎみになって くるという傾向が見えてきているような気がするわけです。一方で、それ以外の地域で は、相変わらず雇用機会は乏しいという状況が続いているように思います。  そこで、私が申し上げたいのは、地方における雇用情報、障害者の雇用情報というの は各安定所、労働局で日の計、月の計、それぞれ把握しておられるわけですが、残念な ことにこれが雇用労働の情報という位置づけをされていないために全国的に聞こえて来 ない。ですから、例えば、大都市圏に本社が所在する企業が、地方で障害者雇用を図ろ うとするときの情報は非常に乏しい。これは解決していただかなければならないんじゃ ないだろうか、これが一つです。そのようにして、大都市圏の企業が地方の事業所等を 活用して障害者雇用を進めていくということが一方で大事であると同時に、私は障害者 の方々も可能な範囲において、という前置詞はつきますけれども、労働機会を求めて大 都市圏への移動を念頭においていただく時期が来ている、このように思っています。  そのために、先程来お話の出ております、例えばグループホームという部分にもっと 力が注がれていいんじゃないか。大都市圏に出てみえる障害者の方々が、生活拠点にす る場所がぜひ必要だろう。このような点をご考慮いただきたい。これが2点目でござい ます。  3点目は、資料2の14ページの下ですが、相談支援事業者という言葉がありますが、 私はどうもイメージがわいて来ないんです。ここに24時間いつでも相談、と書かれてい ますが、多分、私の想像では移行支援事業者が多くはこういう仕事をおやりになるので はなかろうかという気がいたしますけれども、24時間対応ということの可能性をどのよ うに考えておられるのかということをお伺いしたい。以上でございます。 ○村木企画課長  まず最初の2つについてお答えしたいと思います。いま丹下委員も言われましたとお り、障害者雇用対策課からも職員が来てこの議論を聞いていただいております。向こう の審議会で、福祉との連携施策を中心に議論をするのが11月の5日だそうでございます 。今日出ましたご意見等々も向こうの審議会に伝わって11月5日の議論の材料としてい ただきますように私どもからお伝え申し上げたいと思います。  丹下委員に、1点目のところでちょっと確認でございますが、障害者雇用促進法の中 にハローワークと福祉関係の施設の連携を明記したほうがいいのではないか、というこ とでございましょうか。 ○丹下委員  ハローワークの側で福祉関係のこういう仕組みをどのように受け止めるかということ を1行でいいから規定してほしいということです。 ○村木企画課長  わかりました。その点も含めて今日出たご意見、丹下委員のご意見だけではなくて、 就労にかかわりのあるところ、労働政策審議会へもお伝え申し上げたいと思います。 ○北川企画官  居住サポート事業の関係ですが、まず、相談支援事業者としては、福祉圏域というこ とですから、知的障害でいえば、現在の地域療育等事業とか相談事業をやっている方、 精神障害であれば、精神障害者地域生活支援センター、といった部門を強化した形でや っていただくことを念頭においております。24時間といっても、ずっとその職場に24時 間張りついているということを想定しているというよりは、いまのように通信技術が発 達した時代ですので、例えば、業務用の携帯みたいなものを所持していただいて、当番 制の中で連絡があったときに対応していく。そういうサービスというのは、私が聞いて いる限りでは、かかりつけ薬局みたいなところでも服薬の心配のときにはそういうサー ビスが提供されて、なかなかうまくまわっているという話を聞いていますので、そうい う中でまず十分な安心が確保される。現に連絡があったときの対応体制はそれぞれの連 携する組織体の中できちっとしていただく。こういうシステムを念頭においているとこ ろでございます。 ○大濱委員  法改正によって3障害のサービス体系を一つし、財源については義務的経費化すると いうことですが、それについては3つの要件をクリアしなければならないと説明があり ました。しかし私たちは支援費で大分凝りているわけです。支援費のときにすぐに財源 が大幅にふそくしたというようなことがないように、法改正については相当きちっとし ないと、また同じような混乱が起こるのではないかと懸念しています。法改正で基本的 なことを書き込んでいただくのは結構なんですが、いろんな個別の問題点がこの中に相 当含まれていると思います。先ほど、徳川委員からお話があったと思いますが、医療的 な問題、これは特別な重度障害者の場合の医療の包括の問題についてはかなり詰めてい く必要があるのではないか。それから、ケアホームについては現時点で個別にどのよう な問題があるのかわかりませんが、グループホーム、ケアつき住宅というのは身体障害 者にも必要だと考えています。  あと、利用のプロセスの透明化ということで、ケアマネのあり方でアセスの方法が必 要だということで、審査会のようなものが考えられていますが、これについても相当議 論を要するとを考えられ、法改正に向けて、という基本的な考えはいいんですが、個別 の問題は議論に相当の時間を要すると思います。従って今回の法改正に加えるのは無理 だと思われるので、次の5年後の介護保険の見直しに合わせて、もう一度組み立て直す 必要があるのではないか。現時点で充分な検討をしないで判断したら、また支援費と同 じような過ちを繰り返すのではないか。むしろ、現在の支援費を担保するような仕組み をまずこの法改正の中でやる。5年ぐらいかけてもう一回、必要なものを、介護保険と 合うのかどうかということを見直すぐらいの、それぐらい充分な期間をもたないとこの ことは議論できないのではないかと思うんですね。そのへんを非常に疑問に思っている ということです。  あと一点、重要なことは、先ほど福島委員などからも出ていましたが、前回も言われ たと思いますが、財政の問題が大きな問題としてあると思われます。障害者部会として 財政問題抜きで議論をしても、机上の、ペーパーだけのデザインになってしまいますか ら、消費税ということで福祉目的税が必要だということもある程度責任を持って言わざ るを得ないのではないか。障害者部会の中でそういうことを責任を持って言わないと、 財政抜きで何もかもやってください、ということは実際あり得ないと思う。そういうこ ともきちんと議論してもらって、これは財政諮問委員会のほうの話になるのかもしれま せんが、障害者部会としても福祉目的税が必要だということを言う必要があると思いま す。その方法については、いろんな消費税のあり方がありますから、そういうところも 考えてやらないと、先日OECDの中で日本は特別消費税が低いということが指摘され ているように、日本の税のあり方には非常に問題があるということは京極委員長はご存 じだと思いますが、世界的にも指摘されているわけです。そういうこともこの委員会で きちんと言っていかないとまずいのではないかと思います。  あと、包括的な問題、今回どこまで踏み込んでやるつもりなのか。現時点で医療も含 めて包括の問題をクリアしようということはまず無理だと思います。  もう一つ、個別の問題で質問しますが、地域生活支援事業と障害者介護給付、12ペー ジの新しい給付体系というものですが、移動支援事業というのは地域生活支援事業の中 に全部入っているわけですが、訪問介護の中の訪問移動介護というのはなくなるという 意味合いになるのですか。そういうことであれば、はっきりいって、地域生活の障害者 は社会参加もできなくなりますし、先ほど徳川委員からもあったように、ALSの特別 重度の障害者の人たちも社会参加するわけで、それには移動介護というのがあるわけ で、障害者介護給付の中で移動介護を確保してもらわないと困りますから、そのへんお 答えいただきたいと思います。  お答えいただきたいのはその2点と、財政論について、この部会で方向を出していか ないのか、委員長の考え方をお示しいただきたいと思います。 ○京極部会長  財政の問題で、私は今までこの審議会でやることは検討会並びにこの審議会で長い間 議論されてきたことをまとめて、その方向性でいろいろ出しているということだと思い ます。財政でも、福島委員等から出てきたような、義務的仕組みにするにはどうしたら いいかという議論は積極的ですけど、それを全部すっとばして消費税を導入しようとい うのは、審議会では逆に不見識なんじゃないかと思うんですね。消費税を導入するか否 かにかかわらず、あるべき財政の担保を最大限この審議会としては求めて、安定的な方 向をつくる。社会保障全般に当たって、いま議論されている基礎年金を1/3 から1/2 に するという、そういうことにかかわる問題はこれはこれでありますが、こと障害者政策 について、消費税をどうしても上げなければいけないなんていうことは、いまのところ ないわけでありますので、頭の中にそういう今後どうなるかということを置きながら議 論しなければいけないと思いますけれども、この部会では消費税のことにかかわらず、 あるべき姿を議論して報告書を出すということが意味があると私は思っています。 ○北川企画官  二点お話がございました。まず、重度の方の包括的なサービスということでございま す。この点については、仕組みの内容としては、先ほど申し上げたように、従来、サー ビスごとに支給決定を受けていたものを、個別の認定を受けた場合にはサービス毎の支 給決定ではなく、包括的な決定を行った上で自由度を高めた上で提供していくというこ とを念頭においているものでございまして、今回の制度改正に合わせてぜひ実現をした いと考えているところでございます。  移動介護につきましては、個別給付から地域生活支援事業に分かれて、事業仕立てに していくという考え方ですけれども、移動介護も個別給付として現在使っているわけで すけれども、あらかじめ支給決定を受けると。どれだけ利用するかわからないので、予 測的に枠をとっていくという手間が現場では難しいということですとか、複数の利用者 に対して一人の介護者が対応すれば十分なところを、個別給付ということで1対1でや らなければいけないといったような問題があったということでございます。そういう意 味で、今回の見直しについては、個別給付とせずに、地方自治体の創意と工夫で効果 的、効率的に行われるような地域生活支援事業の基本事業ということで位置づけさせて いただき、市町村の実施体制の確立を促しつつ、柔軟にニーズに応えられるような仕組 みにできないかということで提案させていただいたということでございます。  ただ、個別に見れば、例えば、行動障害により常時見守りが必要な方等の外出時の支 援といった、どうしても対応しなければいけないようなニーズが多分あるとしても、大 枠としては地域生活支援事業の中で対応して、個別のニーズを見極めて、必要な給付体 系は別途考えることは必要だというふうに考えていますので、どういうものが個別給付 として必要なものなのか、そういう見極める作業をいま事務局として進めているところ でございます。 ○大濱委員  確認しますが、個別給付として、移動介護についてもちゃんと残すという意味のこと を今はっきり言っているんですか。 ○北川企画官  全般的には地域生活支援事業として対応していくべきものだろうと考えています。た だ、利用の実態から見て、個別給付としたほうがより効果的だと思われるものもあるだ ろうとは思っていますので、そういうものがどういうものかということを明確に見極め る作業をしているというふうに理解していただければと思います。 ○大濱委員  ちょっと待ってください。より効果的という発言がありましたけど、効果的というの は何を言ってるんですか。効果的なんていうことはないんじゃないですか、生活支援の 中で。効果的とか効率的とかというのが日常生活支援の中にあるんですか。そんなおか しな言葉は使わないでほしい。日常生活支援というのは、障害者が外に出ていって生活 をするということなんですよ。その中に移動介護というのがあるわけで、そこに効率的 とか効果的ということはなくて、社会参加をするということで障害者がちゃんと生活す るわけです。そこで効率的、効果的というのは違うんじゃないですか。 ○北川企画官  先ほど申し上げましたように、複数の利用者に対して1人の介護者で十分対応できる ような場合も、個別給付の場合にはマンツーマンにならざるを得ない。こういった意味 では、もっと効率的にできる分野というのがあるのではないかと考えているということ でございます。そういう中で、先ほど申し上げたように、非常に強い行動障害があっ て、そういう方の外出等についてはマンツーマンの対応が不可欠であり、なおかつ支援 の必要性もあるんだろうと思いますから、実態としてどういうふうに使われているかを 今精査をしているということでございます。 ○大濱委員  マンツーマンの必要な特別な行動障害のない人の社会参加については、みんな地方に 移すということを言ってるんですか。 ○北川企画官  地方に移すという意味合いがどうか、個別給付であろうが行動障害支援事業であろう が、市町村の事業として個別給付でやるか、事業仕立てでやるかということでございま すから、市町村にお願いするということについては共通であるということです。 ○大濱委員  今のことも含めてですが、このような重要なことを簡単にそういう形で解決できると いうのは無理なのではないですか。はっきり言って。審査委員会の問題も、ケアマネの 問題とか、アセスの問題をいまこの時点でそういう形でやるというのは困ると思います 。これらをきちんとするには、介護はどういうものなのか、障害者のライフステー ジはそれぞれみんな違うわけですから、その人たちが社会参加するというのはどういう ものなのか。それはひとつひとつ個別の問題ですから、ケアマネの問題もアセスの問題 も別途検討する場所がないと、そんな簡単で結論は出ないと思います。そんな簡単に出 せるんですか、北川企画官。 ○北川企画官  まずご提案させていただいて、この場で議論をお願いしたいということで考えており ます。ただ、先ほど部会長からもありましたように、我々、この提案をさせていただい ている前提としては、前回もお話をしましたけれども、現在の支援費制度は制度的に破 綻をしており、財政的には関係は特にないんだという認識の下に前回ご議論させていた だいたような事項について可及的速やかに見直さない限りは、制度の存立はないのでは ないかという危機意識の下でやっているということでございます。そういう意味では、 先ほど申し上げたような自治体の取り組みの整理をして、ということとか、追加的財政 を求めていく中で同意を得る意味では透明性を高めてることも必要だと思っています し、そういうものをやっていかないかぎりは、もちろん個別の問題はあると思います が、一方で全体としてはそういうふうな同意を得ないかぎりは、制度として存立し得な いという危機感に基づいてやっているということについてもご理解いただきたいと思い ます。 ○京極部会長  介護給付をどういうふうに決定するかとか、自立支援給付をどうするか、その中身に ついての検討と、もちろん、地域生活支援事業、これは市町村のご意見も十分聞いた上 で整理していく必要があると思うので、個別の問題についてはこれからまだ議論しなけ ればいけないことなので、いまは大枠についてご議論いただきたいと思います。もちろ ん、個別のことは言っちゃいけないということではありませんが、メインの議論は大枠 の方向性についてお願いしたいと思います。  時間がだいぶ押してきましたので、簡潔に、古畑委員、お願いします。 ○古畑委員  それでは、資料3の17ページの権利擁護の推進とサービスの質の向上、というところ ですが、ほかの分野もそうですが、現状では小地域でこういった権利擁護のシステムが できるような体制づくりをしていただきたい。唯一適正化委員会がございますが、都道 府県に1ヵ所、地域的に北海道とか大きなところもありますし、神奈川は人口 800万の 中で1ヵ所ということで、地域的にも広域ですし、対象となる人の数が多すぎてしまう 。ということで、政令指定都市ではこれから、ブランチになるか、独立するかは別問題 として、そういうところにもできるとよいと思います。理想的にはもうちょっと小さ く、福祉圏に1ヵ所程度の権利擁護センターが法的に位置づけられて一定の権限を持っ たところができてほしいというのが要望です。  その中で、できましたら、成年後見制度の申立支援等を今、公的にやる機関がありま せんので、申立支援等もセンターの機能として定義していただけば、よろしいのではな いかということで、今後の検討についてお願いをさせていただきます。 ○長尾委員  先ほど、所得と応益負担の話がちょっと出ていましたので、そこについて、前回、扶 養義務者の負担廃止ということがありましたが、いわゆる同一世帯の所得の問題がどう なっているかということをお聞きしたいと思うんですが、精神障害者の無年金の人であ って、同一世帯であるがために年金がもらえない。生活保護もかからないということが あって、私の診ている患者さんでも兄さんから1日 500円もらってやっと生活している というようなこともあるんですね。その人が所得がない場合、世帯を分離して生活保護 がかかれるような形というのが考えてられているのかどうか。  それから、施設について、精神医療の場でも7万床の減少があるということで、我々 は受け皿である施設整備がきちっとできなければいけないということでお願いはしてい るわけですが、そういった施設整備というものが精神の場合は格段に遅れているわけ で、三障害が一緒になったことで、精神の施設整備がほんとにできるのか。一緒になる ことによってかえって精神が埋没してしまう危険性はないか、という話をお聞きしたい と思います。  前回の岡田委員のお話にもありましたが、自立、就労というのは言葉は非常にきれい なわけですが、自立、就労までなかなか至らない人たちがたくさんあるわけです。そう いった人たちに対してどのような支援をここに盛り込むのかということがあまり触れら れていないので、そういったことはどうするのか。  施設が十分でないと、機能、機能といっても滞留せざるを得ない状況が起こってきて いるわけなので、精神の場合も、あまり自立、就労ということになると、一見元気そう には見えても非常に脆弱なことがありますので、負荷がかかることによって再発が起こ ってくることがありますので、そういったことを十分考えていただきたい。  施設の面で、我々、精神障害、能力障害から、現行の社会福祉施設的なものがあれ ば、移行できる人、また24時間ケアのある施設があれば移行できる人というような形 で、実際にお示ししているわけですが、そういった24時間ケアの施設と、支援施設とい うのは具体的な形がよくわからないので、その部分がどうなのかということをお聞きし たいと思います。 ○北川企画官  では、手短にお答えさせていただきます。まず、権利擁護の関係については相談支援 体制が業務の一環としてどういうことになるか、そういう中で整理していきたいと思っ ています。  それから、生活保護の適用の話と理解させていただきましたが、その件については生 活保護の担当部局と整理する事項と思っています。意見交換を通じてご報告し、ご質問 があればしていただきたいと思います。  施設が不十分であるという点、ご指摘のとおりと思っております。ただ、精神障害に ついて、数が足りないということもありますが、機能が不十分だということで、そうい う意味で長尾先生にもご参加いただいた検討会等でも機能の評価ということも含めて全 体的な見直しが必要なのではないか。こういう形でこれまで議論してきたところでござ います。そういう意味で、今回お示ししているのは、一つは住まいという部分について は、できる限り地域の社会資源を活用していくというのが基本的な考え方で、さらに日 中活動の場という意味ではいろんなメニュー、いこいとか生きがいみたいなデイサービ ス事業を地域生活支援事業の中で枠組みとしては確保していこうということで考えてお りますので、それぞれのニーズに応じた社会資源をつくっていこうということでござい ます。  そういう意味では精神障害者支援施設の位置づけということですが、日中活動の場に 住まいの支援ということで、重度の方が中心となる施設になっていくのではないかと思 いますが、精神障害の中でそういうふうな障害者支援施設が施設として入所を前提とし た支援が必要な方々に、というのがどういう方々なのかということは、入院という機能 が障害とは違った方でございますので、個別によく整理すべき事項ではないかと考えて おります。 ○広田委員  2点は前回の話なんですけど、武田委員と新保委員、2人の活動に対して日頃から敬 意を感じていますが、前回の発言で、武田委員から、精神障害者本人が自分がこういう 支援をしてほしいと言える人はいいけれど、言えない人の問題をどうするか、というお 話が出たんですけど、なぜそれが言えないのかという背景を多くの精神障害者がいるわ けですから、言っていただきたいと思います。  それから、新保委員は、障害者には働く権利と働かない権利がある、というお話をさ れたんですけど、働きたいと思っている精神障害者は私のまわりにたくさんいます。で すから、そういう意味でいえば、働く権利があると言っていただくのはとても有難いこ となんですけれど、働かない権利と言い切ってしまうと、一般の方はどうなのか、誤解 を招くと思います。働けない現状や、働けない環境にある、または働けないけれどもほ かの形で社会貢献をしたいと思っている仲間もいますし、ピアヘルパー(当事者がヘル パーをやっている)コンシューマースタッフ(当事者がスタッフをしている)として働 いている仲間もいます。又は精神障害者の相互支援活動に意義を感じて生活をしている 仲間もいます。つまり、224万人の通院している精神障害者ひとりひとりが自分らし く生きられることが大事だと私は認識しております。これは前回のことです。  今日のことですが、先ほど大濱委員が、医療のことまで持ち出されて、とお話されて いましたが、精神障害者にとっての医療、私にとっての医療はごはんと同じようなもの で、薬を飲まないと眠くならない、生活ができないということで欠くべからざる問題 で、食事をぬいても薬は飲まなければ、生活が成り立たない程、今の私にとって医療は 大事だということをお伝えしたいと思います。  精神科救急医療のところ、 16、18ページで、一般救急と精神科救急の案というのが 出ています。  ここにおられる多くの方はご存じないと思いますが、精神科救急というのは二本あっ て、一本はいわゆる普通の救急、救急車で行く普通の救急。そして一本は、本人は入院 したくない、受診もしたくないんだけれど、現に自傷または他害行為があって、これか らも自傷、他害のおそれがある人を警察官が介入して、極めて公権力、拘束力の強い、 措置入院という入院形態につながるハード救急という救急と、二本立てであります。私 は神奈川県の現状をつぶさに、日ごろから救急隊とか警察の現場に行っていますが、一 番問題になっているのは行き先なんですね。例えば、私は今、自分の家で5ヵ月ぐらい 24歳の被害妄想がある方をお預りしていて、本当にどこに行けばいいのかしらという ことで、我が家にいますけれど、こういう活動をしながら生活していますと、あったか い毛布とあったかいスープと話を聞く人がいるだけで、それでいいという人が警察官に 助けを求めていることもたくさんあります。または、救急車で行く救急があれば、それ でいいという人もたくさん警察にいます。  しかし、それぞれのケースの行き先がないため、警察の現場、ソファで横になって警 察官に見守られていたり、ソファでの保護が無理な場合、保護室という、酔っ払った人 が保護されるところに入っているという現状があります。そこにも警察官が見守ってい ます。そういう中で、精神科救急医療センターというのが、一般救急と精神科は若干異 なるのではないか。また、私が住んでおりますような神奈川の都市部と地方部では違う と思います。千葉には立派な精神科救急医療センターがございますが、私は千葉の患者 にも話を聞いています。警察にも話を聞いています。千葉県でもベッドが空いていて、 医者がいるにもかかわらず、患者が警察の保護室に1晩いたということがあるというこ とを患者が言っていますし、警察も千葉県だって保護室を1晩使うことがありますよ、 とお話されています。  そういうことからすると、精神科救急医療のベッドをきちんと機能させていくために はもしかしたら、現行の精神科救急医療の値段が低いのではないか、というふうに私は 患者の立場で思っております。時間が押していますので、このへんにさせていただきま す。 ○斎藤委員  今後の日程をちょっと確認をしたいんですが、質問したいことは山ほどあるわけで、 今日はもう時間がないので、できませんので。次回、同じ今日の議題についてやられる んでしょうか。次回も続行で質疑が行われるというふうに解釈してよろしいでしょうか 。それから、来年秋には法案を上程するといわれていますので、いろいろ日程が詰まっ ているだろうと思いますので、そのへんを教えていただきたい。 ○京極部会長  まとめて答えていただきますので、北岡委員。 ○北岡委員  もう時間がないので、議論、次回にいくつか持ち込されると思っていますが、先ほど の財政議論の中で、義務的な負担をするという中で、大濱委員からもいくつかご指摘が ありましたが、私は、ニーズに基づいて計画を立てるというのはそうだろうと。それか らケアマネジメントのところですが、これは多分事業決定のプロセスを透明化していく ということについては、これをどういう形でやるかという問題はいろいろ議論があるん だろうと思うんですが、この件については透明化を図るということで、私自身はそうい う大きな方向感としては賛成をしています。利用者負担の問題についてはまた次回とい うことにしたいと思いますが、私自身も滋賀県の中でサービスを提供している立場にな るわけですが、同じ障害の内容の方で明らかに支給決定が違うということなどを日々感 じておりまして、これは私の地域だけではなくて、昨日、北海道から鹿児島までのサー ビスを提供している事業所の人たちと研究会、知的障害の方にサービスを提供している 人たちと研究会をやっていたんですが、おおむね同じ印象を持っています。ですから、 ここについてはもっと透明化を図ることで地域の問題として議論を積み上げていくべき だろうと思います。  ただ、ケアマネジメントについては、運用上の不信感みたいなものがこれまでのいく つかの経験の中である人たちと、例えば、私などはどちらかというと、必要量について 理解を得るために地域の中で議論を重ねてきたということから、認定審査会のあり方に ついては、議論はあるんでしょうけれども、おおむね、大まかな方向は、透明化につい ては賛成をしたいという意見を述べておきたいと思います。 ○松友委員  育成会の松友です。基本的にはやっと戦略が出てきたという形で高く評価するわけで ありますが、特に地域生活、地域福祉に明確にシフトするというところは大変評価しま すし、我々も期待するわけですが、具体的には、資料3の15ページの一番下の○、施設 の事業者要件の見直し、というところで、私たち育成会、あるいは日肢連等を含めて小 規模作業所、具体的に地域でやっている作業所が6千ヵ所以上あるわけですが、それが 要件見直しで、NPO法人等でもいいと。要するに、商業通所とか、いまの法人格のが 全然楽になるということで理解しておりましたら、16ページの4つ目の○から見ます と、先ほどもちょっと説明がありましたが、事業規模の話が、合わせて20だの、10だの というあたり、どうもイメージが見えないんですけれども、7月9日の省内検討会議の 報告書の中で全体の流れの中で、明確に小規模等もそこの流れに入れる、とうたってい るわけです。そこには運営要件等は全然なくて流れとしての図が出ているんですが、い よいよ運営要件が出たときに、この法人格の問題等を見たとき、どういう形になるの か。非常に個別的な問題で申し訳ないんですが、今日、明後日に迫っている問題で、い ろいろと問い合わせがあるものですから、この点簡単で結構ですので、ご説明いただけ ればと思います。よろしくお願いいたします。 ○京極部会長  それでは、事務局から簡潔にお答えください。 ○北川企画官  日程の件は間からお答えいたしますが、財政の関係で事務局の考え方を大きく申し上 げましたが、それですべてということではなくて、今後議論していく中でもっと厳しい 条件が出てくるということはいえると思います。そういう中で我々としては、ギリギリ ということでなんとかできないかということで考えるということをご理解いただきたい と思います。私がご説明したことが打ち出して検討するときに話が始まるのではなく て、我々が外と政府部内でやるときに、最低限そのぐらいは必要なんじゃないかという 話だということを理解していただければ有難いと思います。  それから、精神科の救急の関係については、検討会でもよく議論しましたので、より 使い勝手のいいものを地域の事情に応じて整備していくことが必要だろうと考えており ます。  小規模作業所等の問題でございますが、今回の考え方というのは、小規模作業所のい ろんな機能を実際に果たしているんだろうと思います。非常に重度の方に対応したもの から、生きがい的なもの、いこいの場的なもの、多様なものがあるというふうに感じて います。そういう中で小規模作業所ということで一律にどうするということではなく て、まず、機能に応じてどういう役割を果たしていくのか、どういう実績を持っている のかということがまず重視されるのだろうと思っています。その上で規模の要件につい ては、現時点では、であれば、社会福祉事業ということで位置づけられ、主体はいろん な主体があると思いますが、社会福祉法に基づく通所系の事業の表現として20という形 がありますので、そこをより小規模化していくというのはなかなか現状においては難し い点もあるので、いろんな多機能型ということで組み合わせた形で20という要件をクリ アするという仕組みが考えられないか。こういう考え方で考えているというところでご ざいます。 ○間企画課長補佐  次回以降の議論でございますが、前回と今回にわたりまして、改革のグランドデザイ ン案をひとあたりご説明をさせていただき、またご意見ご質問等もいただいたわけでご ざいます。このあと若干お時間をいただきまして「新たな障害保健福祉施策と介護保険 との関係整理」についてご説明をさせていただいた上で、次回以降、それらも含めて、 二巡目といいましょうか、全体について議論を深めていただければと考えています。ま た後ほど細かく申し上げますが、とりあえず委員の皆様方には次回を11月12日、そし て、次々回を11月26日にお時間を頂戴しておりまして、こういった中でご議論をお願い したいということでございます。 ○京極部会長  なかなか議論が尽きないんですけれども、次回以降、今日ご発言いただかなかった方 も含めてご発言いただきまして、議論を深めたいと思っています。  いま事務局からお話のあったように「新しい障害保健福祉施策と介護保険の関係整理 」について、資料が出ておりますので、これを長くやるとまた30分延長になってしまう ので、ごく簡便にやっていただいて、次回の冒頭に今日ご説明の足りない部分は補足し ていただくということで、よろしくお願いします。 ○北川企画官  私からごく簡単にご説明をさせていただきます。資料5でございます。  「新しい障害保健福祉施策と介護保険の関係整理」、まず2ページですが、これは現 在の障害者施策と介護保険との関係を整理しているものです。介護保険との議論はいろ いろ錯綜しているわけですが、現時点においては、一定関係が整理されているというこ とで、まず、対象者の関係ということで、年齢とか状態に応じて、被保険者ないしは受 給者という観点で既に関係がある。そして、その関係というのは、参考にありますよう に、それぞれの制度、介護保険は創設時の考え方に基づいて一定の整理がなされてい る、ということで、新しい問題というのは今でも一定の整理はされているものだという ことです。  3ページは、その中の一定の年齢問題のほかに、サービスの関係ということで、介護 保険の赤いところと、障害保健福祉施策のブルーのところの共通部分について、介護保 険の優先適用という関係になる。今の整理でいえば、居宅支援費というところは優先適 用に関係がある。逆にいいますと、施設支援費についてはない、という法律上の整理が なされているというところでございます。  ただ、現実的には、柱書きにありますように、介護保険による給付を利用できる者 (事実上65歳以上の者)が利用可能なサービスについては、障害者は、他の高齢者とは 異なり、既存の施設サービスは事実上利用できない。制度上は利用できるんですけれど も、障害ということで受け入れてもらえない等の問題もこれあるということで、居宅支 援費以外に給付が限定されているという現状があるのではないか、ということでござい ます。  そういう意味で、両制度を利用する障害者のイメージということで、共通部分は現在 ところは居宅支援費にかかる部分でありまして、それの介護保険の給付上限に係る部分 があり、非共通部分と書かれているのは、大多数は施設サービスである。そういう理解 をしていただければよろしいと思います。  4ページですが、関係整理にはいろいろな視点がございますが、事務的に考えると3 点でございまして、1つは、障害者の介護保険制度における公平をどういうふうに確保 していくか。保険料という意味では障害者でない方が負担しているわけですが、給付の 面で一定の差異があることについてどう考えていくのか。  2点目に、財政的な意味合いが当然ありますが、重点化という意味で、自立支援シス テムに財政を重点配分することの可能性はないか。  3点目は、今でもある問題ですけれども、両制度を併用する方が出ておりますので、 そういう方の手続き面、負担面での整合性を確保することが必要ではないか。  こういう切り口があるのではないかということで、5ページ以降は次回ご説明します けれども、介護保険の対象となる受給者、サービス面、という切り口での理解、それか ら、両制度を併用する場合の整合性を確保するという問題、大きく2点について、次回 以降ご議論いただければというふうに考えているところでございます。 ○京極部会長  ありがとうございました。関係整理については、今まで委員の中からもいろいろ議論 が出まして、事務局のお答えの中にも出ていましたけれども、改めて一つの整理をした ということで画期的なものでありまして、これを基礎にまた議論を深めていきたいと思 います。  最後に次回の日程について、お願いします。 ○間企画課長補佐  次回は、ただいま説明申し上げました「新たな障害保健福祉施策と介護保険との関係 」を中心に、二巡目の議論をお願いしたいというふうに考えております。  次回、11月12日(金)午後3時を予定しております。厚生労働省18階専用第22会議室 において開催させていただきたいと考えておりますので、現時点での出席状況がおわか りでしたら、お手元の出欠表にご記入を願いたいと思います。なお、詳細につきまして は後日事務局より連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。  また、開催につきましては、ご相談でございますけれども、22回目以降の障害者部会 の日程調整をさせていただくために、お手元の日程調整表にもご記入をお願いいたしま す。現時点でのご予定がご不明の場合には後日ファックスしてご送信くださるようお願 いいたします。 ○京極部会長  以上で本日の部会を終了いたします。どうもありがとうございました。                                     (了) (照会先)     社会保障審議会障害者部会事務局                     厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部                       企画課 企画法令係(内線3017)