04/10/22 医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等に関する専門委員会の 第1回議事録 厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会     第1回 医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等に関する専門委員会      日時 : 平成16年10月22日(金)14:00〜16:00      場所 : ホテル ヴィラフォンテーヌ汐留           コンファレンスセンター 会議室1〜3      出席者: 安部 好弘 委員  井村 伸正 委員           荻原 幸夫 委員  埜中 征哉 委員           林  正弘 委員  細谷 龍男 委員           望月 眞弓 委員      議題 : 1.医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等について           2.専門委員会の検討スケジュールについて 事務局  定刻になりましたので、ただいまから、第1回厚生科学審議会医薬品販売制度改正検 討部会「医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容に関する専門委員会」を開催さ せていただきます。  開会に当たりまして、大臣官房審議官医薬担当の黒川審議官からごあいさつを申し上 げます。 黒川審議官  大臣官房審議官医薬担当の黒川でございます。  専門委員会の開催にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。  まず、委員会の委員の皆様方におかれましては、ご多忙にもかかわらず、本委員会の 委員にご就任いただくことをご快諾いただき、心より御礼申し上げます。  近年、急速な高齢化の進展や生活習慣病の増加などに伴い、自分の健康に強い関心を 持つ国民が増えている中で、軽い身体の不調については身近な一般用医薬品を利用す る、いわゆるセルフメディケーションの考え方が広がるなど、医薬品に関する国民の意 識が変化してきております。  また、医薬分業についても急速な進展が図られているとともに、ドラッグストアの進 出や、情報通信技術の普及・進展に伴い、テレビ電話を活用した医薬品販売が実施され るなど、一般用医薬品を取り巻く環境が大きく変化しているところであります。  こうした中、医薬品販売について規定している薬事法は、薬剤師等の薬局・薬店への 配置により情報提供を行うことを求めておりますが、販売時に薬剤師がいなかった店舗 が約16%あるなど、必ずしも十分に行われていない実態があります。  また、薬学教育6年制の導入に係る法律が成立し、平成18年度から施行されること となっており、今後は薬剤師の専門性が一層高まるものと考えられます。  これらの状況を踏まえ、厚生労働省としては、今般、医薬品販売制度を抜本的に見直 し、一般用医薬品のリスクの程度に応じて、専門家が関与し、適切な情報提供等がなさ れる実効性のある制度を構築することが必要であると考え、医薬品販売制度改正検討部 会が設置され、現在議論を進めているところでございます。  同部会では、数多くの論点が提示されているところでありますが、まずは、医薬品の リスクの程度の評価と情報提供の内容等について議論がなされており、様々なご意見を いただくとともに、この内容をより掘り下げた検討・整理が必要ということで、本専門 委員会が設置されることとなりました。  このため、本委員会では、部会での議論に資するよう、一般用医薬品のリスクの程度 の評価と、それぞれに必要な情報提供の内容等について、専門家の立場からご意見をい ただきたいと考えております。  薬事法は、医薬品の販売に関し、昭和35年の制定以来今日まで大きな見直しが行わ れておりません。今回の見直しは、医薬品販売制度に関する戦後初の大改正を目指すも のであり、大変難しい課題でありますが、国民の関心も非常に高い事項でございます。 委員の皆様方におかれましては、それぞれの専門分野における高いご見識に基づき、ご 検討いただきますよう宜しくお願い申し上げます。  簡単ではございますが、私の挨拶とさせていただきます。 事務局  本委員会には、上の組織として改正検討部会というのがございまして、こちらの部会 長を務めていただいております井村先生からも一言いただきたいと思います。 井村委員  井村でございます。よろしくお願いいたします。部会は既に6回開かれておりまし て、短期間にかなりの回数で、集中的に審議をしてきたのですが、今日、皆様方に考え ていただきます医薬品のリスクについては必ずしも十分に検討が行われてはおりませ ん。医薬品の専門家がほとんどでありますこの委員会では、そのへんにつきまして深く 考察をしていただきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。 事務局  ありがとうございました。  それでは、本委員会の委員長の件ですが、厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部 会の運営細則の中で、部会長が委員長を指名することになっております。あらかじめ部 会長から、埜中先生にお願いする旨のお考えをいただいており、本日、あらかじめ委員 長席にお座りいただいております。その旨ご報告させていただきますので、よろしくお 願いいたします。  それでは、本日は第1回目の委員会でございますので、委員の御紹介をさせていただ きます。資料1に委員名簿がありますが、五十音順に私からお名前を申し上げます。  安部好弘委員でございます。  ただいまごあいさつをいただきました井村伸正委員でございます。  荻原幸夫委員でございます。  林正弘委員でございます。  細谷龍男委員でございます。  望月眞弓委員でございます。望月先生は部会の委員でもございます。  そのほか、本日は御欠席ですが、高橋孝雄先生、部会の部会長代理であります松本恒 雄先生、溝口昌子先生にもこの委員会のメンバーになっていただいております。  また、部会の委員におかれましては、本委員会オブザーバーという形でこの委員会に 出席いただくことになっておりまして、本日は4名の方に御出席いただいております。 発言も自由にしていただいて構わないという整理になっております。御紹介させていた だきます。  青井委員、鎌田委員、児玉委員、増山委員でございます。  引き続き、事務局の紹介をさせていただきます。  先ほどごあいさつをいたしました大臣官房審議官医薬担当の黒川審議官でございま す。  医薬食品局総務課の石井課長でございます。  審査管理課の川原課長でございます。  安全対策課の平山課長でございます。よろしくお願いいたします。  このあとの議事進行につきましては埜中委員長にお願いしたいと思います。 埜中委員長  ただいま御紹介にあずかりました埜中と申します。本専門部会の委員長を仰せつかり まして、責任の重さで身の引き締まる思いがしております。先ほど黒川審議官や井村部 会長からお話がありましたように、国民の方々は病気になった時、あるいは健康を保つ 上でいろいろと薬を必要とする時、あるいは緊急に健康を害された時に安心して薬が手 に入るように、そういうことを目指しての会だと思います。あくまでも国民の皆さんの 利便を図る、間違いのないように安全に提供する、そういうことを基本にして検討して いく会だろうと解釈しております。  この委員会は公開ですが、言いたいことはなんでも言ってしまうという気楽な会にし ていきたいと思いますので、肩の力を抜いて、皆さんの御協力をお願いしたいと思いま す。どうぞよろしくお願いいたします。  部会の規程によって、委員長が委員長代理を指名することになっております。僣越な がら林委員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。こちらの席に お移りになって、一言ごあいさつをお願いいたします。 林委員長代理  委員長代理に御指名いただきました林でございます。私の専門は薬剤学の薬物動態学 という分野でございまして、今回の医薬品のリスクの評価と情報提供ということになり ますと、どこまでお役に立つかわかりませんが、専門的知識も使えるかなと思っており ます。どういうことをやっていくのか、私も勉強しなくてはいけないと思っておりま す。行き届かない点もあるかと思いますが、委員長を少しでもお助けできるようにがん ばりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。 埜中委員長  ありがとうございました。  それでは、具体的な検討に入ります前に、事務局から資料の確認をお願いします。 事務局  お手元に資料がだいぶ重ねて置いてありますが、一番上に議事次第があるかと思いま す。その下に参考資料という1枚紙がありまして、その下に資料がございます。  資料1、本専門委員会の委員名簿  資料2、医薬品販売制度に関する論点の整理  資料3、医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等について  資料4、医療用薬品と一般用医薬品の比較について  資料5−(1)、一般用薬品の製品群と主な製品等  資料5−(2)、一般用医薬品であって指定医薬品であるもの  資料5−(3)、配置販売品目の製品群と主な製品  資料5−(4)、特例販売業者が取り扱う品目について  資料6−(1)、製造(輸入)承認基準の制定されている14薬効群の使用上の注意  資料6−(2)、製造(輸入)承認基準の制定されていない22薬効群の使用上の注意  資料7、専門委員会における今後の検討スケジュール(案)という1枚紙がございま す。ここまでが配付資料でして、続きまして参考資料がございます。  参考資料1、医薬品販売制度改正検討部会について  参考資料2、厚生科学審議会関係規程等について  参考資料3、医薬品販売制度の現状と課題について  本日の配付資料は以上ですが、不足等ございましたら事務局までお申し出いただきた いと思います。 埜中委員長  それでは議事に入りたいと思います。本日は最初の委員会ですので、今までの経緯を 私たちはよく存じておりません。これまでの経緯、現行制度の概要について、今まで討 議されたことを事務局から説明していただけますか。 事務局  医薬食品局総務課の樋口と申します。参考資料1から3を用いまして、販売制度改正 に至った経緯と現行制度の概要等につきまして説明させていただきます。  まず参考資料1をご覧いただきたいと思います。  1ページは「厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会の設置について」という資 料です。この4月から販売制度改正の議論がスタートしておりますが、設置の趣旨が記 載されております。  1番で設置の趣旨を述べています。近年、国民意識の変化、医薬分業の進展等、一般 用医薬品を取り巻く環境が大きく変化しています。昭和35年に制定された薬事法におい て、薬剤師等の店舗への配置により情報提供を行うことを求めていますが、必ずしも十 分に行われていない実態があります。  一方、リスクの低いものまでリスクの高いものと一律の情報提供体制を求める必要は ないのではないかという指摘もいただいております。  また、先の通常国会において学校教育法と薬剤師法が改正されまして、薬学教育6年 制が導入されました。これに伴って薬剤師の専門性が非常に高まるという環境の変化も あります。そういうことで、OTC販売における薬剤師の役割についても再検討が求め られております。  一般用医薬品についても、人体に直接作用するものであり一般の商品とは異なるもの ですので、販売に際して何らかの専門家の関与が必要であると考えられます。このよう な背景から医薬品販売制度改正検討部会を設けまして、リスクの程度が様々である一般 用医薬品をリスクの程度に応じて専門家が関与して適切な情報提供がなされるような実 効性のある制度を構築するため、医薬品販売制度のあり方全般の見直しの議論が行われ ております。  2番に部会の当初の検討事項が記載されています。医薬品のリスク等に応じた区分、 必要な情報提供の内容、医薬品販売に従事する者の資質とその確保、情報提供の手法な どが検討されています。  その後、医薬品販売制度改正部会で論点の整理ということで検討事項を改めて議論さ れまして、このほか消費者への医薬品に関する情報の普及啓発、医薬品販売に関する責 任、医薬品の管理のあり方などの論点も入ってきております。  2ページに販売制度部会の委員名簿を掲載しております。  3ページは部会の議論のスケジュールですが、点線の上は既に終わっております。4 月から議論が開始されておりまして、7月に販売制度改正に関する論点が整理されてい ます。現在、この論点に沿って議論がなされておりまして、当専門委員会の議論の内容 になります医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等の審議というのが部会でも 9月に2回行われています。  10月以降、本日になりましたが、専門委員会を設置して検討を開始するということで す。11月に第7回の部会が予定されておりまして、専門委員会のそこまでの検討状況を 部会に報告して審議をする予定になっております。12月には第8回部会の開催が予定さ れておりまして、専門部会における議論を取りまとめて部会に報告して議論をする予定 です。その後の専門委員会の予定につきましては、そこまでの作業の進捗状況や第8回 部会の審議状況等を踏まえて検討することになっております。  部会全体の議論としては、来年の秋までに制度改正について意見を取りまとめ、再来 年の通常国会に必要な法案を提出するという予定で進めさせていただいております。  続きまして参考資料2ですが、審議会を運営していくに当たってのルールでして、1 ページから5ページまでは部会の運営規則ですので、省略させていただきます。  6ページは部会運営細則ですが、専門委員会設置の根拠とか、専門委員会の運営のル ールとして、会議は原則公開、議事録も原則公開という形でやらせていただきますとい うことが記載されています。  8ページは、9月の販売制度改正検討部会で議論が行われました専門委員会設置につ いての資料です。  2.専門委員会の構成ですが、専門委員会は厚生科学審議会の中から選定されて構成 されています。販売制度部会の委員についてもオブザーバーという形で御出席いただい ております。オブザーバーの皆様に関しては決定には加わらないという形になっており ますが、御自由に御発言いただけるという点では専門委員会の委員と何ら変わりはござ いません。  5.その他の事項につきましては、専門委員会の委員長が必要に応じて部会長の意見 を聞いて定めるという形になっております。  次に参考資料3ですが、一般用医薬品販売の現行制度を整理したものです。  2ページは一般用医薬品の販売制度の概要です。一般用医薬品については許可制とい うことで、許可を受けた者でなければ業として販売、授与を行ってならないという形に なっております。  販売業の許可は、一般販売業、薬種商販売業、配置販売業、特例販売業の許可の4種 類に分けられています。このほか薬局がございます。  作用が緩和とされている医薬部外品については、コンビニ、スーパー等の一般小売店 でも販売可能となっています。  下の表で種類ごとに説明を加えています。  薬局については店頭販売と調剤ができるということで、薬剤師がいるという形になっ ています。  薬店には2種類ありまして、一般販売業は薬剤師が配置されていまして、調剤はでき ないんですが、OTCのすべての医薬品を販売できるというものです。薬種商販売業に ついては指定医薬品以外の医薬品、多くはスイッチOTCが該当しますが、それ以外の OTCを販売できるということで、都道府県の試験に合格した薬種商販売業者が配置さ れています。受験資格等については次のページにありますが、薬種商販売業者につきま しては高校卒業後3年間の実務経験を有する者といった要件があります。  配置販売業というのは富山の薬売りなどですが、これも配置販売業者ということで、 5年間の実務経験を経て、都道府県知事から適当と認められた者が家庭を訪問して販売 するという形態です。取り扱える医薬品の範囲としては、一定の要件のもと、都道府県 知事が指定した品目ということで、各家庭に販売する配置員についての要件は必ずしも ないということです。  特例販売業というのは過疎地や離島等、周りに薬局・薬店がない場合に特例的に認め られた販売形態ということで、店舗ごとに知事が指定した品目のみを販売できるという 専門家がいない形態です。薬事法制定時には約10万店舗ありましたが、現在は約1万店 舗となっています。この中には医療用ガスや歯科用医薬品など特殊な品目のみ取り扱う 店舗も相当数ありまして、一般的なOTCを取り扱っている店舗は半数ぐらいです。  4ページは各医薬品販売業の取り扱う医薬品の範囲を記載しています。  先ほど薬種商販売業のところで説明しましたが、指定医薬品という薬種商につきまし ては取り扱えないOTCがあります。指定医薬品の範囲としては、高度な薬学の知識を 必要とする医薬品であり、例えば薬理作用が非常に激しく使用方法が難しいもの、その 医薬品の持つ化学的性質、薬理的性質を十分に知らなければ危険性の大きいものなど薬 剤師以外の者に取り扱わせることによって問題があると思われる医薬品で、多くはスイ ッチOTCがこれに該当します。  配置販売業が販売できる医薬品の範囲は都道府県知事が指定した品目ですが、指定の 基準が(1)から(4)まで5ページに記載してあります。薬理作用が緩和である、経時変化 が起こりやすくない、容器や包装が壊れやすくない等の要件が定められていますが、多 様な品目が指定されています。  特例販売業が対象とできる品目の範囲は、その店舗において取り扱うことが必要と認 められている最小限のものとなっていまして、歯科用医薬品、医療用酸素など特殊なも のもありますが、基本的には緩和な内用剤等となっています。その品目の例も記載して います。  9ページは薬学6年制についてまとめた資料です。  医療技術の高度化、医薬分業の進展等により、医療の担い手として質の高い薬剤師が 求められています。教養教育、医療薬学、実務実習を充実した教育課程を編成し、臨床 に係る実践的な能力を培うことが必要である。そのためには、現行の4年間の大学にお ける教育では十分でなく、6年間の教育が必要ということで、先の通常国会で学校教育 法と薬剤師法の改正が行われ、6年間の薬学教育を経た者に薬剤師国家試験の受験資格 を与えるということになっています。施行平成18年4月1日からです。  11ページは、医薬品のコンビニ販売という議論が昨年ありまして、それについてまと めているものです。平成11年にドリンク剤等15製品群が医薬部会品に移行して規制緩和 されましたが、昨年さらに議論がありまして、大臣折衝や小泉総理の裁定を経て、夏に 閣議決定で、安全上特に問題はないという結論に至った医薬品については薬局、薬店に 限らず、一般小売店で販売できるようにするという方針が出ました。これに基づいて品 目の選定を医学・薬学の見地から行われました。  12ページに基準を記載していますが、薬事作用等からみて人体への作用が緩和か否 か、販売に当たって、専門家による情報提供が必要か否か、この2店の観点から「安全 上特に問題がない」ものの選定が行われました。  12月に15製品群が選定されまして、そのリストを表示しておりますが、最終的に選定 された371品目が医薬部外品に移行されまして、本年7月30日から施行されています。  13ページは、一般用医薬品によるものと疑われる副作用の件数をまとめた資料です。  2の(1)の表は、厚生労働省にあがってきた副作用報告を薬効分類ごとに整理したも のですが、4年間で約950件になっています。(2)にありますように、3年間で10件程度 の死亡事例の報告もあがってきています。  15ページは、深夜・早朝におけるテレビ電話等の活用による医薬品販売についてまと めています。ITの普及に伴い、一般販売業者が店舗とは別の場所のセンターに薬剤師 を配置して、深夜・早朝の時間帯に、センターの薬剤師と各薬店をテレビ電話で結び、 テレビ電話を用いて消費者に情報提供を行う販売形態があります。これについて「有識 者会議」で議論がなされ、その報告書を踏まえ、本年4月1日から省令等が施行され、 一定の要件が記載されていますが、その要件を満たした場合はこういった形態も可能と なっています。  要件としては、午後10時から翌日午前6時までの時間帯であること、情報通信設備を 使用すること、対象となる医薬品は指定医薬品を除くものとするなど様々な要件が定め られまして、この要件を満たした場合は許可されているという状況です。  18ページですが、インターネット販売やカタログ販売というOTCの販売形態も一定 の要件のもとに認められています。許可を受けた薬局・薬店が行うものですが、インタ ーネット、カタログ等で注文を受け、郵送等で顧客に医薬品を送って販売するという形 態です。  行政指導として求めていた対面販売の趣旨が確保されないおそれがありますので、最 小限遵守されなければならない事項を示していまして、それに基づいて、インターネッ トによる通信販売においても一定程度のものが認められています。  これについて本年9月3日に各自治体に出した通知ですが、一定の要件を逸脱した事 例がありましたので、監視指導の徹底を図るよう求めています。  19ページ、20ページに、元となるカタログ販売、インターネット販売の取り扱いを示 した通知があります。19ページの2つ目のパラグラフの4行目に「従来より、一般消費 者に対し薬剤師等が直接に効能効果、副作用、使用取り扱い上の注意事項を告げて販売 する医薬品の対面販売を指導してきたところである」とありますが、カタログ販売はこ うした対面販売の趣旨が確保されないおそれがあり、一般的には好ましくないという位 置付けです。  ただし、一定の要件を満たした上で一定程度認められていまして、20ページに要件が 記載されています。医薬品に関する消費者からの問い合わせに応ずるための当該店舗に おける必要数の電話の設置及び人員の配置がなされているか、取り扱う医薬品の範囲 は、容器又は被包が破損しやすいものでなく、経時変化が起こりにくく、副作用のおそ れが少ないものであること、一般消費者の自主的判断に基づいて服用されても安全性か らみて問題性が少ないものなど、表に示されているように、限定的な品目のみになって います。  以上、販売制度の改正に至った経緯と現行制度の現状について説明させていただきま した。以上です。 埜中委員長  ありがとうございました。いろいろと説明していただきましたが、わからない点があ ると思いますので、質問等がございましたらお願いします。今回は初回ですので、基本 的なことでもよろしいですし、なんでも結構ですので、疑問に思われたことをお願いし たいと思います。  今回は医薬品のリスクの評価と情報提供の委員会ですから、専門委員の役割としては そういうことですが、もうちょっと具体的にお話しいただくと、新しい委員の方もわか りやすいのではないかと思うんですが。 事務局  その点については後ほど資料の説明がありますが、簡単に御説明いたします。一般用 医薬品を中心とした販売の仕方について最終的に部会で議論されていくと思いますが、 だれが、どのような品目を販売する時に、どのような情報を、どのような方法で提供す るかという分け方になると思います。その4つのパートに分けた時に、どのような品目 を販売する時にどのような情報が必要かというところが当専門委員会で主に扱っていた だく部分ではないかと思います。  そこまでが整理されて、伝えるべき情報が整理されてきた中で、これをどのような方 法でどのような体制でどのような形態で伝えていくかというところは部会でもご議論い ただきますし、そのような体制なり伝え方をするにはどのような人に、どういった要件 が課せられてくるかといったところも部会での議論になるかと思いますので、品目に応 じてどのような情報が販売の際に必要かというところを濃いめにこの委員会の中で議論 されるのではないかと考えております。 事務局  事務局から補足させていただきます。販売制度部会の中で論点を整理して議論してい ただいていますが、リスクの評価と情報提供の内容は専門性が高いこともありまして、 より掘り下げた議論が必要ということで、ここにお集まりの皆様に検討をお願いすると いうことです。すべての論点について部会を中心に議論を進めていくことにしておりま して、専門委員会の議論を途中の段階でも部会に報告していただいて、部会でも議論を していただくことになっております。 埜中委員長  ほかに何かございませんか。ないようでしたら、先に進ませていただきまして、次の 議題について事務局から説明をお願いします。 事務局  それでは、資料2から資料6まで説明させていただきます。  まず資料2は「医薬品販売制度改正に関する論点の整理」ということで、部会でまと められた資料です。検討項目は全部で8つありますが、本専門委員会で議論すべき点を ご紹介したいと思います。  1ページに表がありまして、左端に「検討項目」という欄がありますが、1.医薬品 のリスクの程度の評価というのが1つです。右側の「論点」の欄に(1)から(4)まで内容 が記述されています。(1)医薬品のリスクの内容及びその程度の評価・分析のあり方に ついて、どう考えるか。(2)リスクの程度の評価・分析に当たっては、薬理作用だけで なく、適正使用のために必要な情報提供の内容や、消費者の状況について、どう考える か。このあたりについて具体的な作業を行うことになるかと思います。  2.医薬品の販売に当たっての必要な情報提供等ということで、(1)から(4)まであり ますが、(1)情報提供の内容のうち、(1)どのような場面で、どのような情報提供が必要 となるか。(2)情報提供のあり方については、副作用の発現の態様等、医薬品のリスク の程度に応じて検討すべきではないか。このへんが関連の深い部分ではないかと考えて おります。  (2)情報提供の手法、(3)販売後の副作用発生時等への対応という項目がありますが、 販売員はどういう情報を消費者に伝えるかということと関連しますので、このあたりも 本委員会でご議論いただければと考えております。  いま申し上げたところが当委員会の主な守備範囲になるかと思いますが、そのほかの 項目も参考までにご紹介しますと、(4)医薬品の管理の問題、3.医薬品販売に従事す る者の資質とその確保、4.医薬品販売に関する責任、5.消費者への周知等、6.情 報通信技術の活用、7.法令上の措置、8.その他となっており、これらについて部会 全体の中でこれから議論していくことになります。  次に資料3をご覧いただきたいと思います。医薬品のリスクの程度と評価と情報提供 の内容等について部会で議論されまして、その中であがってきた意見を整理したもので す。当委員会では、部会における意見を念頭に置きながら作業をしていくことになるか と思いますので、資料として用意させていただきました。  1ページは「リスク」の捉え方ですが、これは非常に難しい問題として部会でも議論 されたかと思います。いくつかご紹介いたします。 「リスク」の捉え方として、頻度 と危害の大きさの積で捉えるというのは非常に重要な考え方であるという意見がありま した。4ページから8ページまで部会で使った資料をつけておりますが、これは8ペー ジの図をご覧になりながらいただいた意見だと思います。リスクの図にある面積が等し ければ同じように扱えればいいかというとそうではなく、危害が高くて頻度が少ないも のと、頻度が大きくて危害が少ないものとでは当然対処の仕方が違うという意見も出さ れています。また、物性によるリスク分類は順番に並べることができるが、そこに個体 差が加わると、確率は0.1%であってもその人にとっては100%になるという意見もあり ました。上記の意見が、全体として整合性を持っているかどうかというチェックを行う ことが必要ではないかという意見もありました。  リスクという言葉の捉え方はいろいろあるかと思いますが、部会の中ではこういった 御意見があったという御紹介です。  2ページですが、上の項目は飛ばしまして、その下にあります〔検討・作業の進め方 〕のところをご覧いただきたいと思います。リスクに関連する意見がありますので、こ れを紹介させていただきます。  「リスク」という言葉や定義にとらわれることなく、リスクファクターをリストアッ プし、それぞれの薬でそれぞれの因子がどの程度のものかを整理してみてはどうか。こ れは4ページにあります「リスク」の資料を見ながらいただいた意見ということになる かと思います。検討・作業の進め方に関連した意見としては、定量化するのは難しいの ではないかという意見とともに、評価の根拠は明示・記録をしてきちんと残していくべ きだろうという意見がありました。健康食品や医療用医薬品等と一般用医薬品との関係 がどうなのかということを意識して検討してほしいという意見もありました。  順序が逆になって申し訳ございませんが、2ページの一番上の〔資料「医薬品のリス クの程度の評価と情報提供の内容等に関する留意事項」について〕に関する意見を紹介 いたします。まず、9ページをご覧いただきたいと思います。(別添2)として横の図 がつけてあります。  大きく3つの項目からなっておりまして、左からリスクの程度の評価、提供する情 報、情報提供の方法、その他の対応となっています。これはリスクについて議論をして いく中で項目として整理されたものです。  リスクの程度に評価としては、薬理作用、相互作用、重篤な副作用のおそれ、乱用の おそれ、患者背景、効能・効果(症状の悪化につながるおそれ)、使用方法(誤使用の おそれ)、スイッチ化等に伴う使用環境の変化などです。こういった項目に着目してリ スクの程度の評価をしていただくということかと思います。  提供する情報としては、適応禁忌、重篤な副作用が起こり得ること、使用前に医師等 に相談する場合、長期服用に関する注意、使用方法、受診勧奨、相談対応などです。  左側の2つを結びつけることが、これから当委員会で作業していくところになろうか と思います。この2つが整理された上で、情報提供についてどういう方法が必要か、ど ういう対応が求められるかということが整理されていく、そういう見方をしていただけ ればと思います。  2ページに戻りますが、この資料を部会で御紹介した時に3つの意見をいただいてお ります。情報提供という表現が多く出てくるが、企業から消費者や販売業者への情報提 供もすべきであり、「企業からの情報提供」という言葉が入ってもいいのではないか。 「企業への情報提供」、「国への報告」という情報の収集が論点に入っているが、既知 の副作用であっても、いかに早く収集するかについて、考え方の整理をやっていただき たい。消費者が薬を選ぶお手伝いとしてアドバイスが必要。その意味で、「症状から見 た薬の選び方」が「情報提供の方法等」の部分に必要ではないか。このような御意見が ありました。  部会での議論を紹介しましたので、それを踏まえて、これから当委員会でどういう作 業を進めていくかということを後ほど議論していただければと考えております。  12ページの(別添5)は、リスクの程度に基づく作業のイメージ図を示しています。 一般用医薬品がいろいろな品目が流通していますが、リスクの大小に着目した中での相 対的な評価と、どういう情報が必要かということを検討する際のイメージとして用意し たものですので、参考にしていただければと思います。  次に資料4ですが、医療用医薬品と一般用医薬品を比較したものです。1ページの 「考え方」の中にありますが、一般用医薬品は、一般の人が薬局等で購入し、自らの判 断で使用する医薬品であるということです。これは後ほどご覧いただければと思いま す。  資料5−(1)に移らせていただきます。これから作業を行っていく対象であります一 般用医薬品はどういう範囲のものであるがあるかということを御紹介するための資料で す。  最初の2ページは製品分類です。精神神経用薬であるかぜ薬から始まりまして、2ペ ージのその他まで85種類に分かれます。これは市販されている本の分類に従って整理し たものです。  3ページからは製品例として、85の製品群の有効成分、効能・効果、主な品目をお示 ししたものです。これも今後必要に応じて使っていく資料になるかと思います。  資料5−(2)ですが、一般用医薬品の中には指定医薬品がありまして、販売する側が 一定の制限を受けている品目が掲げられています。  資料5−(3)は配置販売が可能な品目の製品群の種類について、効能・効果、具体的 な品目を掲げた資料です。  資料5−(4)は特例販売業者が扱える品目について整理したものです。これも作業を していく上で、必要に応じて使う場合のためにお配りしております。  資料6は2つに分かれています。私どもで一般用医薬品を承認する際に一定の基準を 設けておりまして、どういった成分がどのくらい入っていれば一般用医薬品と認めると いうことを示したものです。承認審査の基準を示すと同時に、使用上の注意の書き方も 標準的なものを用意しておりまして、それを6−(1)としています。表紙にありますよ うに、承認基準の制定されている14薬効群の使用上の注意の書き方も標準形を示してい ますが、今後、作業をする上で必要ではないかと思いまして、用意させていただきまし た。  含まれる成分の種類によって書き方が若干違ってきますが、どういう成分を含む場合 にはどのように記載するかということが具体的に書かれていますので、具体的な話にな りましたら、その都度、御紹介できると思います。  資料6−(2)は承認基準が制定されていない22薬効群の使用上の注意の書き方につい て記載しています。業界等の自主基準等によって、使用上の注意の記載が一定の範囲で 整備されていますが、標準的な使用上の注意の書き方の参考になるということでお配り した資料です。  いま説明いたしました資料4以降については、これから議論していく中で使っていく 資料でして、これから作業を進めていく上での進め方に関しては資料3を中心に、この あと御議論いただければと思います。以上です。 埜中委員長  ありがとうございました。ただいま事務局からいろいろ説明されましたが、質問等を いただきたいと思います。 児玉部会委員  ただいま事務局から御説明いただいたのですが、私は部会におりまして、部会で議論 があったことが今の議論と大きく関係しますので、ちょっと申し上げたいと思います。 資料3の9ページの(別添2)ですが、左端に「リスクの程度の評価」という項目があ りまして、下から2番目に使用方法(誤使用のおそれ)というのがあります。病院や診 療所でしたら医師の指導のもとに薬が使われますが、一般用医薬品は専門家の関与が少 なくて、使用者の自己判断が大きいわけです。ここに書かれているように使用環境が違 うものですから、自己判断の間違いによる誤使用、用法・用量を自分で判断して、必要 以上に回数を増やしたりする。そのための副作用というのがけっこう多いわけでして、 そういう意味だということをおわかりいただきたいと思います。 埜中委員長  誤使用のおそれというところについて詳しくお話しいただきました。ほかにいかがで しょうか。 増山部会委員  参考資料3の1ページの上から3つ目の○に「一方、リスクの低い医薬品についてま でリスクの高いものと一律の情報提供体制(薬剤師の常時配置)を求める必要はないと の指摘もある」と書かれていますが、これは1回目か2回目の時に出された資料ではな いかと思うんです。  資料3では、薬剤師の常時配置を求める必要はないという指摘はなくて、リスクの程 度の評価をし、そこで情報提供の内容としてどのようなものが必要なのかというところ を詰めていくという流れにきているので、部会での結論としては、薬剤師の常時配置を 求める必要はないという考えはないということを確認させていただけたらと思うんで す。おわかりになりましたでしょうか。 埜中委員長  参考資料3の1ページですね。 増山部会委員  1ページの「医薬品販売制度の現状と課題について」のところです。この項目は議論 が始まる前に提出された資料なので、現状はこういう指摘もあるんじゃないかというふ うに書かれていますが、部会の中では薬剤師の常時配置は必要ないという指摘は出てな かったので、議論される時は、そこはまっさらなところでお考えになっていただきたい ということです。 事務局  事務局から補足させていただきます。用意させていただいた資料の位置付けがわかり にくくて申し訳ありません。増山委員がおっしゃったように、これは部会の議論の最初 のところで提出させていただいたものでして、こういう指摘もあるということで、部会 の中の議論としては、論点として、薬剤師の同時配置、専門家の常時配置のあり方も検 討の対象になるということになっておりますが、結論は出ておりません。専門家の関与 を前提として支援していくということで、増山委員がおっしゃったとおりでございま す。 望月委員  先ほど児玉委員から誤使用について説明がありました。誤使用の件については部会に おいても何人かの委員が、そのこともリスクの評価に入れるべきであるという指摘をし まして、重要なことだと思います。児玉委員ご指摘の用法・用量を間違って2倍、3 倍、4倍と飲んでしまう可能性があるという観点からの誤使用というのは非常に重要だ と思いますが、もう一つ、外用するべきものを飲んでしまうとか、そういった意味での 誤使用もリスクの上での評価をしておいたほうがいいだろうと思います。 安部委員  この委員会では種類別に薬のリスクを評価しながら、どのような情報提供が必要かと いうことを考えるわけですが、その際に、どのような副作用があったかというのは大変 大切なファクターになってくると思うんですね。参考資料の13ページに提示されている 副作用報告では、かぜ薬は341件、アナフィラキシー・ショックスと書いてあります。私 は毎日、街の中の薬局で仕事をしておりますと、かぜ薬、解熱鎮痛剤などではアナフィ ラキシン・ショックとかスティーブン・ジョンソン症候群というのはドラスティックに 起きますが、例数的には非常に少なくて、数万件に1例だと思います。そのほかに急性 の胃腸障害、腎障害などは、現場で患者さんの声をお聞きしたり、過去の履歴をお聞き したりしていると、実際にはもっともっとたくさんあるだろう。  抗コリン作用をもつ医薬品などで緑内障や前立腺肥大が悪化すると言われます。そう いったものの副作用はここには記載されてないんですが、添付文書等には載っているわ けです。これからリスクを把握しながら、どのような情報提供をするかという議論をす る時に、ここにいただいた材料では評価するのは難しいのではないかと思いまして、 341例の内容はどうだったのかとか、そのほかの副作用はどうだったのか、企業のデー ターや副作用の項目の詳細なものはこの委員会の中で公表されるのでしょうか。これ以 外にいろんな副作用の資料をお持ちなんでしょうか。 平山課長  安全対策課長の平山でございます。医療用、一般用を合わせまして副作用報告を受け ております。医療用につきましては医療現場で使われておりますので、副作用があれば すぐに診察が行われて、それなりの情報が集まってきますが、OTC薬については主に は患者さんがこういう症状があったという苦情をメーカーに出されるとか、そういうこ とがきっかけで見つかることがあります。かなり重症な方であれば病院へ行かれて、副 作用の症状に対して診断を受ける。その時にOTCを服用したということがわかって、 その医療機関から報告があるというルートをたどってきます。  患者さんの申し立てだけで判断すると因果関係がはっきりしない症例もありまして、 必ずしも報告された症状イコール、その薬で起こったかどうかの判定は容易ではないと いうのが現状です。報告件数については医薬品の安全部会に定期的に報告しております し、中身についても、個別のこの薬でこういう報告が何件ぐらいあったというのは既に 整理しておりますので、それは提出することもできますが、そういう話があったという ことであって、この薬と副作用との因果関係がどのくらい強いかというところまでは判 断されておりません。  そのへんの情報をすべて集めまして、その集積具合を見ながら、関係がありそうだと いうのを専門家の先生と御相談して、必要があれば添付文書の中身を変えていく。新た な副作用が見つかった場合は添付文書の中身を変えていくことにしておりますので、基 本的には添付文書の中身を見ていただければ、今の時点でこういう副作用が起こる可能 性が大きいというリストになるかと思います。生の情報では評価が十分にされておりま せんので、それだけをもって判断されると間違いが起こる可能性があります。我々の安 全対策の評価を経た内容というのは添付文書の中に書かれていると考えていただければ いいかと思います。 増山部会委員  今の安部委員の指摘は第3回目だったと思うんですが、ヒアリングを行った時にも同 じことが指摘されていたと思うんですね。国民生活センターの方がお見えになって、苦 情や問い合わせの内容の中で医薬品に関連するものが多く寄せられているという話があ りまして、実際に一般用医薬品に関しては消費者自身が何か自分の身に起きた時に副作 用だということに気がつかないと情報が収集できないので、現状は、報告されているよ りも何倍かあるのではないかという指摘がありました。その場でいろいろ議論したとこ ろ、情報提供が義務づけられていたり、情報収集を行うためのシステムが整備されてい たりしないと、実際の件数を把握するのは難しいのではないかという話がありました。 安部委員  副作用の話で、例えば非ステロイド系の消炎鎮痛剤を連用して、胃潰瘍なり十二指腸 潰瘍ができてしまった。急におなかが痛くなって病院に駆け込むと、「あなたは胃潰瘍 になっていますよ」。原因は非ステロイド系の消炎鎮痛剤を飲み続けたことによって副 作用で起きたわけですが、診察したドクターは原因がNSAIDsであって、副作用が NSAIDsという捉え方はしないのではないか。NSAIDsを飲み続ければこうな るのは当たり前だということになると、そこから副作用報告が出てくることはまれでは ないか。  ここでは副作用報告の方法論について云々する必要はないと思うんですが、私が言い たいのは、起きている副作用の実態が必ずしもきちんと把握されていない。ここでリス クについてきちんとした評価をしなさいといった時に、私としては自分が毎日の業務で 行っていることと添付文書の間に多少のずれを感じておりますので、そういうずれの部 分について意見を述べさせていただきたいと思っております。 埜中委員長  それは大いにありがたいことで、安部委員のように現場の人の声が大切だと思いま す。我々医療側としては、薬を飲んで副作用があって来られた場合、初めてそこで因果 関係があるのかどうかということを検査して、あれば報告するという立場ですので、細 かいところはなかなかピックアップできないというのが現状だろうと思います。事務局 の方が言われたように、一般薬で副作用があっても、使用者は報告しませんよね。私は かぜ薬を飲んだら必ず胃がおかしくなるんですけど、おかしくなりましたという報告は しておりません。安部委員のように販売している人に、あの薬を飲んだら胃がおかしく なりました、とか言うと思いますので、そういう現場の声がこれからの議論で反映され ればありがたいことだと思います。 鎌田部会委員  私は薬種商ですが、毎日、店頭で消費者の言うことに対応しております。日本の大衆 薬のほとんどは複合剤ですね。私どもの店頭に来る高齢者はほとんどお医者さんにかか っていますから、医療用医薬品を飲んでいるわけです。我々の情報提供の仕方によって リスクというのはかなり違ってくると思うんです。医療用医薬品を無視して、一般用医 薬品のリスクだけでいいかどうかということも絡んでくると思います。だれがどのよう な役割で、どういうふうにきちんと情報提供する、消費者からどういうふうに情報提供 を受けるかという方法論も大事になってくると思いますので、よろしくお願いしたいと 思います。 埜中委員長  この委員会の検討の中で情報提供というのは重点項目ですので、ぜひそれは検討した いと思います。 望月委員  先ほどの安部委員からの質問に対する平山課長のお答えについて確認させていただき たいんですが、先ほどの説明ですと、資料6の(1)、(2)にある一般用医薬品の添付文書 というのが今回検討していく上でかなり重要な資料で、副作用と因果関係がありそうだ ということになった時に、それは添付文書に反映されるということでした。それは非常 にいいことだなと思っていたんですが、そこでちょっと気になったのは、今のお話にも ありましたように、一般用医薬品というのは配合剤になっておりまして、いろんな成分 が混ざっているんですね。同じ総合感冒薬といっても、混ざっている成分がメーカー間 で微妙に異なっています。ある成分で問題となる副作用が出た場合は、その成分を含む 全ての商品について添付文書の変更が行われると考えてよいでしょうか。ある商品の添 付文書だけに副作用のことが反映されて、ほかの類似の総合感冒薬は反映されないでは ないか、そこをどういうふうに捉えたらいいのかなというのが心配だったんですけど、 そのあたりはどうなんでしょうか。 平山課長  基本的にOTCで発生する副作用というのは、その前に医療用で用法・用量も高濃度 のものが医療で使われておりまして、その時点で起こっている副作用を再現したような 副作用が多いわけです。配合剤だからといって別の副作用が増えているというのは理論 的にはあり得る話ではありますが、今の時点では見られておりません。  配合剤の種類によって副作用が変わってくるのではないかということですが、仮に、 あるOTCの薬で副作用が見られたとして、配合剤のうちの何が原因かということは考 えられるべきです。その中で関係しそうなものが他の薬でも配合されていれば、そちら まで広げて、副作用の報告事例も調べてみるという作業をして、同じような事象が報告 されていれば一緒に改定いたします。事象が見られないとしても可能性があるんだった ら、可能性ありという形で注意喚起をしていくことになるかと思います。  我々としては副作用というのは重篤とか中等度というものであって、軽微なものは報 告制度の中に載っておりませんで、大きな実害が起こりそうなものという範ちゅうでや っておりますから、その範囲であれば対応ができます。出てきた事象を見れば、これは 配合されているNSAIDsによるのかとか、あるいはコリン剤によるのかとか、そのあたり は類推がつきますので、ほぼ対応することができると考えております。ただ、サーベイ ランスそのものは万能ではないことは確かですが、ある程度の網を張って対応している ということです。医療用については重篤な副作用が起こる可能性が大きいですから、精 度よく拾い上げることができるようにしてあります。OTCのほうはそれより少ないリ スクになっておりますので、それに対応したシステムになっていると考えております。 増山部会委員  先ほど私が発言した内容を補足したいと思いますが、副作用の情報収集システムがま だ完全ではないのではないかということについてです。SJSになられた患者さんから 話を聞くことがあるんですが、かぜ薬など今まで飲んでいて何も問題が起きたことのな い薬で目の粘膜に症状が出ること自体が全く予想していなかったということをよくおっ しゃるんですね。自分がふだん飲んでいるかぜ薬なもんですから、そのかぜ薬でSJS になったことに気がつかないまま、全く違う新たな病気になったと思って、病院を転々 として、SJSだと診断が下るまで1年、2年を費やす方が少なくないそうです。  消費者自身が副作用だと自覚できないことが多々あると思うんです。それは何かとい うと、医薬品に対する知識が、専門家が思われている以上に消費者は不足しているから で、そういうことも含めて、情報収集をきちんと行うことができない要因の一つになっ ているということを補足したいと思います。 埜中委員長  薬によってスティーブンス・ジョンソン症候群が起こった時に、飲んだ人たちは薬に よって起こったことがわからなくて、病院を転々とするということが事象としてある。 そういう情報をどうやってピシッと取るかということですね。医療用薬品のほうの副作 用報告は医療側等から集めるシステムが確立しているけど、一般薬についてはスティー ブンス・ジョンソン症候群のような重篤なものとかアレルギーショックになった場合、 情報がうまく取れないのではないかというご意見です。今回は情報収集をどうするかと いうことが大きなテーマになっているので、一般薬について薬局の方たちがアンケート 用紙を配って収集するのかどうかとか、何か方法が講じられなくてはいけないのかと思 いますが、そのへんについてはいかがでしょうか。 児玉部会委員  今の話はこの専門委員会で検討される場合の大きな要素だと思うんですが、先ほど平 山課長のお話を伺っていますと、医療用はリスクが大きい、従って、それなりの情報収 集の体制ができている。一般用はリスクが少ないのでそれなりになっているという言い 方をされたんですね。ここがポイントなんですよ。医療用はリスクが大きい、一般用は リスクが少ない、こういう固定概念が間違いを起こす原因だと思うんです。医療用医薬 品のリスク、一般用医薬品のリスクと分けてしまうと、一般用医薬品はそれほどの副作 用はないんだということになってしまうので、それが、結局、一般用医薬品に関する 埜中委員長  一般用医薬品でもそういうリスクは十分あり得るんだという観点に立って検討する必 要があると思います。 安部委員  児玉オブザーバーが一般用医薬品は決して安全なものではないと言われましたが、医 薬品である限りはそういうことで考えなければいけない。先ほどの資料の中で、一般用 医薬品は作用が穏やかで、副作用も比較的少なく、一般の人が自分の判断で使えるとい う分類になっているわけですけど、作用が穏やかということは、その薬を服用すること によって期待できる効果も少ないわけです。副作用というのは一度起こってしまうと、 一般薬ですら胃潰瘍になったり、緑内障が悪化したりということで、副作用のほうは穏 やかではないわけですので、一般用医薬品の流通とか情報提供というのはむしろ厳しく しなくてはいけないのではないか。適切に使ってもらって、期待できる穏やかな作用が あって、なるべく副作用が起きない、そこの天秤で薬というのは使われているわけです ので、穏やかな作用を期待しているのに、重い副作用が起きないためには、きちんとし た管理が必要だということになります。 埜中委員長  まさにそのことを今回この委員会で討論するということだと思います。リスクの評価 と情報提供をどうするかというのがこの委員会の大きな目的ですから、安部先生のおっ しゃるとおりで、それを主眼にするということだと思います。 増山部会委員  私自身がサリドマイドなわけです。サリドマイドは一般用医薬品として販売されたと いう経緯がありまして、薬害スモンでも、医療用医薬品ではないもので薬害が起きたと いうこともあります。一般用医薬品の場合は専門家が関与する接点が医療用医薬品に比 べて少なくて、購入した時点でしか接点がない場合がありますよね。そうすると十分に 説明を受けないで服用することもあるわけです。薬剤は用法・用量を間違ったわけでは ないんですが、何か特徴かというと、ひとたび被害が起きた時に、医療用医薬品に比べ ると、ものすごく広範囲に大量に被害を出すという性質があるということも確認してい ただけたら、と思います。 埜中委員長  ほかに何かございませんか。今日は初回ですので、いろんなご意見をいただいて、そ れをたたき台にして次回から具体的な討論に入っていきたいと思うんですが、今日は一 般用医薬品についてのリスクの評価とか情報公開をどうするかとか、いろんな意見をい ただきました。私も医療関係で、自分たちが処方する薬についてはしょっちゅう気を使 っているんですが、一般用医薬品についてはあまり注意を払ってなかったので、これか らいろいろ勉強させていただきたいと思っております。 林部会長代理  個体差についても部会における意見として述べられておりますが、個体差はきりがな いぐらいだと私も思います。部会ではどの程度、個体差を重要視されたんでしょうか。 事務局のほうでも構いませんけど、いかがでしょうか。 事務局  個体差の議論を最初からしてしまいますと千差万別のような状態になりまして、いろ いろな評価ができなくなるのでは思っています。まず、限りある材料をもとに、この委 員会に託された作業をしていく中で、それがある程度できあがった段階で、それぞれの 製品群なり成分なりの情報に対して個体差というものを当てはめてみて、これは重要視 すべきかどうかというところを個別の判断をしていく中で多少の出し入れというか、リ スク評価の中での微修正というか再修正というか、そういうのをやっていったらいいん じゃないかと判断しています。部会の委員もいらっしゃいますので、補足していただけ ればと思います。 井村委員  個体差はあるものだということを十分に頭の中に入れておくことが必要だと思いま す。部会の中で個体差に近い格好ではっきりと問題になったのはハイリスクの人たちで す。論点整理の一番最初にリスクの程度の評価という枠があって、(2)のところに消費 者の状況というのがありますが、そういうことがかなり強くファクターとして取り上げ られているというふうに理解していただければよろしいのではないかと思います。 望月委員  先生の御専門の領域のSNPsみたいなものの個体差ではなくて、その個人が高齢で あるとか、小児であるとか、あるいはその薬物の副作用が出やすいような基礎疾患の状 態を持っているかどうかという整理の仕方のところが、部会では個体差のところで議論 に出ていたような気がします。整理の仕方としては、服用してはいけない人に相当する ような、いわゆる禁忌に当たる障害を持っている方という形になるような位置付けだろ うと思っています。 事務局  望月先生がおっしゃったような高齢者の場合の禁忌とか注意しなければならないこと がわかっている範囲であれば、個々の成分とか、初めの段階からそういったことに着目 しての作業もできるのではないかと思います。 埜中委員長  例えばアレルギー体質の人はというと、アレルギー体質とは何かという定義になっ て、この個体差を調べるのは大変なことだと思いますね。年齢とか、特定の疾患を持っ ている人とか、そういうものに限られるんでしょうね。  部会ではリスクという言葉の定義に時間を費やしたようですが、そういうことにとら われないで、リスクファクターをリストアップして、それぞれについて検討するという ことを先ほど事務局から言われたんですが、具体的にはどういうことなんでしょうか。 今後、我々が進めていく上で重要なポイントだろうと思うので、お話しいただけます か。 事務局  リスクというのはいろんな捉え方があって、概念的には面積で捉えるとか、いろんな 分野によって考え方が違います。部会での意見は、いろいろな捉え方があるけれど、定 義から入ってしまうと、いろんな視点の当て方によっていろんな定義づけがなされるの で、その先の議論が進まないところがありまして、定義づけのところからは入らないと いうことかと思います。リスクという3文字の言葉として捉えずに、リスクというもの を捉えるための着眼点をリスクファクターという呼び方をして、この委員会でリスクと いうものを捉える中で、何に着目すれば大小がつけられるかというところが、それぞれ の項目としてファクターに当たるのではないかと考えました。  資料3の9ページの図ですが、右端にあるのがそれぞれの項目ではないかということ で、この資料ができあがってきたという理解です。 埜中委員長  部会で時間を費やされたけど、リスクを点数化するとか、そういうことは非常に難し いということはよく理解できますし、今の説明でよくわかりました。これから問題にな ってくると思いますが、リスクをどういうふうに評価するかということは非常に難しい ことだと思います。その都度、委員の先生方にお話を伺って評価していかなくてはいけ ないと思います。  ほかに何かございませんか。今日は初回ということで、いろいろとお話を伺って、次 回からそれを参考にして具体的な作業を進めていきたいと思っています。時間も迫って おりますので、ご意見がなければ、事務局から何かございますか。 事務局  今日の会議で一定のご理解をいただいた部分もありますが、これから作業をしていく 中で具体的に製品群をこなしていく時に、一斉に製品群の作業にとりかかっていいもの なのか、モデルケースのような形でいくつかの製品群を選んで、事例をこなしながら、 メンバーの中で同じ認識を持っていくほうがいいか。いろんなアプローチの仕方がある と思いますので、ご意見をいただければと思います。今後の進め方にも関係してきます ので。 埜中委員長  ある特定の医薬品をピックアップして、それを事例として討議して、それを踏まえて 次々と広げていくというお考えですが、いかがですか。それが一番よろしいでしょう ね。ある事例があってこそ具体的なアイディアが浮かんでくると思うんですが、いかが ですか。よろしいですね。では、そうしてください。 事務局  次回に向けてモデルを選ばなくてはいけないので、このあたりも先生方とご相談にな りますが、どなたかにこなしていただいて、次回に持ち寄っていただくかとか、この場 でも構いませんし、終わった後でも構いませんので、確認しておきたいと思います。 埜中委員長  それでは資料7の説明をお願いします。 事務局  資料7は専門委員会における今後の検討スケジュール(案)ですが、部会を含めた全 体のスケジュールをお示したものです。作業という色彩の強い委員会ですので、頻繁に 回数を重ねたいということで、予め、先生方の予定を伺いまして、次回は11月11日、第 3回委員会は11月15日に開催したいと考えております。このあたりで専門委員会の検討 状況を部会に報告して、部会での意見をいただきたいということもありますので、11月 のしかるべきタイミングで部会を開くことにしますと、その手前までの間に専門委員会 として報告を念頭に置いた作業をお願いしたいということです。  部会で意見をいただいたあと、11〜12月に専門委員会を開催したいと考えております が、具体的な日にちは、先生方の予定を伺った上で決めていきたいと思っております。  そして12月に部会のほうに専門委員会の報告をさせていただく。そういうスケジュー ルで進めていきたいと思います。年内に成果物を部会にお示しするという段取りでござ います。 埜中委員長  今年中に結論を出そうということで、委員会が何回か行われると思いますが、なんと か時間を割いて御出席いただきたいと思います。  それでは、以上をもちまして第1回専門委員会を閉会したいと思います。短い間にた くさん討議しなくてはいけないことがあって大変だろうと思いますが、よろしくお願い いたします。 増山部会委員  一つだけわからないので、事務局の方にお聞きしたいと思います。専門委員会の中で リスクの評価に入っていくかと思うんですが、その場合の評価というのは、一般用医薬 品としてリスクが高いとか低いとかいうことでしょうか。それとも専門家が関与した場 合としない場合のリスクなんでしょうか。一般用医薬品として承認を受けて販売されて いるわけですから、その中でリスクが高くても低くても販売は認められているわけです よね。それについて評価を行うということは、どういうケースの時に評価をしなければ いけないのか、具体的にどういうモデルケースなのかということをお聞きしたいんです が。 事務局  実際の場面でどういう対応をするかというところから入るのではなくて、物に着目し て、ある医薬品を販売する時にはどういう情報が付随して必要かというところから入る 形になると思います。 増山部会委員  物というのは成分という意味でしょうか。 事務局 成分によって注意すべき事柄とか副作用に反映されるような中でこういう情報が必要だ ということがわかっていると思いますので、成分ということもあると思います。先ほど の資料3の9ページの図に書いてあるようないくつかの項目に分かれた中で、成分単位 か製品単位か、どういうやり方がいいかというのを委員の先生方と相談しながら進めて いくことになると思います。 増山部会委員  私がよく理解できないところは、今の一般用医薬品は承認されているものだから、リ スクが高いものも低いものもあったとしても、そこに問題があるということではないわ けですよね。医薬品としては問題がないから販売されているわけですから、さらにリス クについて程度の評価をして、高いとなった場合、どう考えるのか。一般用医薬品とし て適さないということになるのか、ならないのかということもあると思うんですね。そ のへんをもう少し教えていただけたらと思うんですが。 事務局 冒頭に4つに分けて申しましたが、だれが、どのような品目を販売する時に、どのよう な情報を、どのような方法で提供する必要があるか。だれがというところと、どのよう な品目を販売するかという品目の種類と、その際にどういう情報が必要かという情報の 内容の項目と、その情報を伝える時にはどうい方法なり体制でやるべきか、この4つあ ります。そのうちのだれがというところと、どういう体制でどういう使い方をするかと いうところは部会でも議論される部分だと思いますし、その手前の段階で、どの品目に どういう情報が必要かというところから作業を始めるということだと思います。2番 目、3番目のステップに当たるところが大事だと思っています。 増山部会委員  まだわからないところもあるんですが、いっぺんにわかろうとすると難しいかもしれ ないので、徐々に議論の中で理解していきたいと思います。 埜中委員長  よろしいですか。それでは、これで閉会といたします。                                     (了)                         (照会先)                         厚生労働省医薬食品局審査管理課                            TEL:03-5253-1111(代表)                           担当:紀平、山脇(2743)