04/10/07 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会平成16年10月7日議事録         薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会議事録 【日時】 平成16年10月7日(木) 午前9時55分〜午前11時25分 【場所】 中央合同庁舎第5号館 共用第8会議室 【出席委員】(敬称略)      小沢 理恵子、鈴木 久乃、長尾美奈子(部会長)、中澤 裕之、成田 弘子、      米谷 民雄、山添 康、山川 隆、四方田 千佳子 【事務局】中垣基準審査課長、蛭田課長補佐 【議題】(1)亜塩素酸ナトリウムの使用基準の改正について      (2) その他 ○事務局  それでは、定刻になっておりませんが、先生方お揃いでございますので、ただいまか ら薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会を開催させていただきます。本日は 御多忙のところ御参集いただき、誠にありがとうございます。  本日は、工藤委員、棚元委員、西島委員、吉池委員より欠席との御連絡を事前に受け ているところでございます。現在、添加物部会の委員総数13名中、9名の先生方に御出 席いただいておりますので、本日の添加物部会が成立いたしますことを御報告申し上げ ます。  本日、食品安全部長の外口より御挨拶申し上げる予定でございましたが、急用にて、 欠席させていただきますことを御報告させていただきます。  まず初めに、中垣基準審査課長から御挨拶申し上げます。 ○中垣基準審査課長  おはようございます。委員の先生方におかれましては、日頃より添加物行政に御協力 賜りましてありがとうございます。また、本日は朝早くからこの部会に御出席賜りまし てありがとうございます。  本日御審議いただく予定としております食品添加物亜塩素酸ナトリウムでございます けれども、昭和38年に指定がなされ、現在、かんきつ類等の果皮、あるいは生食野菜等 に使用が認められているところでございます。今般、企業より使用基準の対象食品に味 付けカズノコを追加したいという要請がございましたことから、その検討をお願いする ところでございます。  食品安全委員会におきましては、添加物専門調査会において、食品健康影響評価、リ スク評価が実施され、現在その報告書案についてパブリックコメントが実施されている ところでございます。食品安全委員会の最終決定までにはまだ時間を要するものと考え ておりますけれども、並行いたしまして、本日は食品安全委員会の報告書案に基づきま して御審議をいただきたいというふうに考えております。さらに報告事項といたしまし て、国際的に安全性が確認され、かつ汎用されている添加物について、国が主体的にそ の検討を行っていくようにと平成14年の夏に審議会から御意見を賜っておりますけれど も、この内、香料に関する作業予定について御報告をしたいと考えております。よろし く御検討いただき、活発な御議論をお願いしたいと考えております。  ありがとうございました。 ○事務局  それでは、座長を長尾添加物部会長にお願いいたします。どうぞよろしくお願いいた します。 ○長尾部会長  それでは、最初に配布資料の確認を事務局よりお願いいたします。 ○事務局  御説明いたします。  本日、先生方のお手元に配布させていただきました資料でございますが、議事次第、 委員名簿、資料一覧、座席表を配布させていただきました。本日御審議いただきます議 題1に係る資料といたしまして、資料1、亜塩素酸ナトリウムの使用基準改正に関する 諮問書の写しでございます。1ページめくっていただきますと2ページでございます が、資料2、食品安全委員会添加物専門調査会の報告書(案)でございます。現在、食 品安全委員会においてパブリックコメントを実施している資料でございます。さらに資 料3でございます。ページで申しますと17ページでございますが、資料3、亜塩素酸ナ トリウムの使用基準改正に関する添加物部会の報告書(案)でございます。さらに、こ れに関連する資料といたしまして資料4でございますが、23ページでございます。こち らにつきましては、国立医薬品食品衛生研究所の方から報告いただきました味付けカズ ノコの分析法に関する資料をとりまとめさせていただいております。さらに26ページで ございますが、厚生労働省が公示しております、第2版「食品中の食品添加物分析法」 の亜塩素酸の部分を掲載させていただきました。参考資料でございます。議題2「その 他」係る資料といたしまして、30ページでございますが、報告資料「国際的に安全性が 確認され、かつ汎用されている未指定香料の指定について」でございます。  本日お手元にお配りしております資料は以上でございます。過不足等ございましたら お申し出いただきたいと思います。 ○長尾部会長  皆さん、資料は揃っていますでしょうか。よろしければ審議に入りたいと思います。  それでは、最初に議題1の亜塩素酸ナトリウムの使用基準の改正について審議を行い たいと思います。事務局より資料の御説明をお願いいたします。 ○事務局  御説明いたします。  まず背景から御説明いたしますと、本件のこれまでの審議経過でございますが、平成 15年4月21日付けで厚生労働大臣より薬事・食品衛生審議会に諮問が行われておりまし て、平成15年5月19日に当時の食品添加物調査会で審議が行われております。その後平 成15年7月の食品安全委員会の設置に伴いまして、一度諮問を取り下げさせていただき まして、再度資料を整理した後、平成15年10月20日でございますが、食品安全委員会へ 食品健康影響評価を依頼したところでございます。本年9月8日に開催されました添加 物専門調査会における審議を踏まえまして、まとめられました報告書案につきまして、 現在、食品安全委員会においてパブリックコメントが実施されているところでございま す。  本日お配りしている資料を基に御説明いたします。資料1の1ページでございます が、先ほど御説明したとおり、諮問書の写しでございます。  資料2でございます。2ページでございますが、ここから御説明をしたいと思いま す。こちらは食品安全委員会で現在パブリックコメントが実施されている原案でござい ます。まず、「はじめに」というところでございますけれども、亜塩素酸ナトリウム は、先ほど課長から御説明申し上げたとおり、現在、食品衛生法に基づきまして使用が 認められておりますが、使用基準が定められておりまして、かんきつ類の果皮、さくら んぼ、生食用野菜類、卵、こちらは卵殻に限るとなっております、ふき、ぶどう、もも 以外の食品に使用してはならないとなっております。さらにその使用量でございます が、生食用野菜及び卵類にあっては、漬け込み液1kgにつき、0.50g以下でなければな らないと。さらに、使用した亜塩素酸ナトリウムは、最終食品の完成前に分解し、又は 除去しなければならないという規定がなされております。  米国の状況でございますけれども、殺菌料といたしまして、亜塩素酸ナトリウム溶液 と一般に安全とされる酸、GRAS(グラス)と言っておりますけれども、これを混合 させました酸性化亜塩素酸ナトリウム溶液の畜肉・畜肉製品、農産物等への使用が認め られております。また、二酸化塩素につきましても使用が認められております。EUに おいては、これらの使用は許可されていないという状況でございます。また、FAO/ WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)において、本物質の評価は行われてお りません。  使用基準の改正の概要でございますけれども、亜塩素酸ナトリウムをカズノコの殺菌 料として使用できるように現行の使用基準の対象食品に「カズノコ(調味加工品に限る )」というものを追加し、使用される漬け込み液については、先ほどの現行の基準と同 様、1kgにつき0.50g 以下との規定を適用するよう、使用基準を改正しようとするもの でございます。  3ページに行っていただきますと、名称につきましては、そこに記載されているとお りでございます。5から安全性に関する検討が行われておりますが、1)におきまし て、体内動態及び代謝ということで検討されておりますけれども、直ちに吸収され、各 組織に分布しと、さらに、亜塩素酸は体内で主に塩化物になって、排泄は主に尿を介 し、糞中にも排泄されたということが記載されております。  毒性につきましては、急性毒性試験、短期毒性試験ということで、13種の試験であり ますとか、30日から90日の飲水投与の試験でありますとか、4ページに行っていただき ますと、長期の毒性試験ということで、ラットを用いました2年間の飲水投与等の試験 が実施されております。  多数の試験が評価の対象と挙げられておりまして、(4)でございますけれども、生殖 ・発生毒性試験、これも多数の試験が実施されておりますが、5ページに行っていただ きますと、5ページの3パラ目でございますが、ラットを用いました亜塩素酸ナトリウ ムの飲水投与による二世代繁殖試験という記載が中頃から最後のところまで掲載されて おりますけれども、こちらの試験につきましては、WHOでありますとか、米国EPA 等において設定しておりますADI、TDI等の根拠となっている試験でございまし て、後ほど御説明いたしますが、食品安全委員会の評価においても、この試験が重要視 されているところでございます。6ページに移っていただきますと、(5)で発がん性試 験ということでございますけれども、発がん性は、腫瘍の増加は認められていないとい う結論が示されております。  遺伝毒性でございますけれども、こちらも多数の試験が実施されておりまして、陽性 の所見であるとか陰性の所見、たくさん報告がされておられるわけでございますが、7 ページの「ヒトへの影響」の前のところでございますけれども、食品安全委員会の評価 としては、本物質の遺伝毒性は陽性を示すものの、弱いものと考えられる。腹腔内投与 における小核試験において陽性との報告があるが、さらに高用量で行われている経口投 与では陰性であって、生体にとって特段問題となるものとは考えられないという考え方 を示しております。ヒトヘの影響についても、ボランティアを用いた試験が複数実施さ れております。  6でございますが、国際機関における評価、こちらにおいても先ほどのとおり、JE CFAにおいては、安全性の評価が行われておりませんけれども、IARC(国際がん 機関)において、ヒトへの発がん性については分類できないという評価がされていると いうことでございます。また、7ページの最後から記述されておりますが、飲料水の関 係の評価が国際的な機関で実施されております。  8ページでございますが、WHO、米国EPA、FDAにおいて評価がなされており まして、TDI、参照用量について規定がなされているところでございます。  1日摂取量の推定等ということでございますけれども、こちらにつきましては、平成 13年度の統計局の食糧需給表という数字を根拠といたしまして、こちらの果実、野菜と いうところの値をもとに推定しております。カズノコについては、国内生産量をもとに 推定をしております。そうしましたところ、対象食品に1日摂取量については398g/日 と推定しております。こちらにつきましては、日本人の平均体重50kgとして、対象食品 に現状の公定法における検出限界(1ppm )程度の亜塩素酸ナトリウムが含まれていた と仮定すると、1日に摂取される亜塩素酸ナトリウムの量は0.00796mg/kg/体重/日とい うふうに推定しております。  一方、9ページにおきましては、関連する物質といたしまして、二酸化塩素というも のがございまして、先ほど米国において、亜塩素酸ナトリウムの酸性化水溶液と二酸化 塩素の使用が認められているという御説明をいたしましたが、この亜塩素酸イオンとい うものは、二酸化塩素が水溶液中で急速に加水分解された際に生成する主要な分子種と いうふうに考えられているということでございます。したがいまして、この二酸化塩素 につきましても、食品安全委員会の方で多数のデータを評価の対象として挙げられてい るところでございます。  10ページでございます。最終的な現時点での評価結果案でございますが、亜塩素酸ナ トリウムの各種動物試験データを評価した結果、本物質の摂取による最も一般的で主要 な影響は酸化的ストレスによる赤血球の変化と考えられ、また生体にとって特段問題と なる遺伝毒性を有するとは考えらず、発がん性も認められないと。亜塩素酸ナトリウム のNOAEL につきましては、ラットを用いました二世代繁殖試験の結果に基づきまして、 NOAEL でございますが、亜塩素酸イオンとして2.9mg/kg/ 体重/ 日としております。従 って、ADIを0.029mg/kg/ 体重/ 日と評価しているところでございます。  ちなみに、先ほどの1日摂取量でございますけれども、対ADI比という観点から御 説明すると、大体27%程度になっております。  次に資料の3でございます。17ページを御覧になっていただけますでしょうか。こち らは「亜塩素酸ナトリウムの使用基準改正に関する添加物部会報告書(案)」というこ とでございます。  はじめに、2.の「使用基準改正の概要」、「諸外国における使用状況」について は、先ほどの食品安全委員会と同様の記載でございます。一点だけ誤植がございます。 「はじめに」というところでございますが、下から3行目から一番下まででございます が、「わが国において認可されているその他の塩素系の食品添加物は亜塩素酸ナトリウ ム、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム」ということで、「亜塩素酸ナトリウ ム」が2回出ておりますが、いずれも、その他の添加物ということでございますから、 亜塩素酸ナトリウムの2つの記載は消去していただければと思います。  有効性について御説明をさせていただきます。食品添加物としての有効性でございま すが、殺菌剤でございますので、殺菌効果について評価がなされております。まず大腸 菌群等への殺菌効果についてということで、要請者からデータが提出されております。 それによりますと、大腸菌群数は、対照群が24時間後に初発菌数に比べて約10倍増加し たのに対して、次亜塩素酸ナトリウム処理群は6時間後に減少しておりますが、24時間 後までそれ以降変化はなかったとされております。一方、亜塩素酸ナトリウムの処理群 につきましては、6時間後、24時間後とそれぞれ減少傾向を示しているというものでご ざいます。具体的には18ページの表1でございますが、大腸菌群及びpHの変化というこ とで掲載しております。対照群については菌数が増加しておりますが、亜塩素酸ナトリ ウム群500ppmでございますが、これについては時間を追うごとに、最初100 分の1、10 分の1程度の減少が認められています。次亜塩素酸ナトリウムについては初期に効果が ございますが、その効果というのは時間が経っても変わらないものであったというもの でございます。ちなみに、一般細菌数についても試験結果が提出されておりますが、こ れにつきましては、大腸菌群への殺菌効果と同様の傾向が示されておりました。  18ページでございますけれども、殺菌工程中の濃度の変化についてということでデー タが提出されております。それによりますと、次亜塩素酸ナトリウムについては卵中の 血液や汚れに反応して分解し、24時間後には濃度が減少することを確認しているという まとめがなされております。 表2でございますけれども、ロシア産、アメリカ産とい うことで記載されておりますが、亜塩素酸ナトリウムと対照の次亜塩素酸ナトリウム濃 度の推移でございますが、亜塩素酸ナトリウムについては、0から24時間までこちらも 減少しておりますけれども、対照の次塩素酸ナトリウムに比べると減少の幅が小さいと いうことが示されております。(3)でございますが、「殺菌に係る至適濃度の検討につ いて」というところでございます。こちらにつきましては、次亜塩素酸ナトリウムの至 適濃度を決めるという目的で複数の濃度を用いまして殺菌効果、一般細菌数の変化を測 定しているところでございます。対照が0がありますが、具体的に50〜1,000ppmまで振 られております。これによりますと、24時間後において250ppm以上の濃度で菌数が減少 し、濃度と漬け込みの時間に依存してカズノコに対する殺菌効果が高まる傾向が示され たとされております。また曝露中の漬け込み液のpHでございますが、5.9 までこちらの 対照が低下しておりますけれども、これにつきましては、要請者によると、カズノコ成 分由来のたんぱく質の緩衝能によるものと考察がなされているところでございます。19 ページでございますが、亜塩素酸ナトリウムの漂白作用についてデータが提出されてお ります。それによりますと、カズノコの漂白につきましては、若干起こるということで ございますが、調味工程で醤油等の調味料により色がつけられるということで、最終製 品において、その漂白がカズノコの品質に及ぼす影響はないというふうに述べられてお ります。(2)でございます。カズノコ中に残存する亜塩素酸塩についてということで データが提出されております。これは実際の製造ラインに準じまして、亜塩素酸塩の残 存量の推移について検討したデータでございます。計4回の洗浄が行われておりまし て、32時間経過したものでございます。それによりますと、この亜塩素酸ナトリウムの 残存量につきましては、換水ごとに減少いたしまして、洗浄32時間後には検出限界の1 ppm以下となります。 こちらは食品中の食品添加物分析法でございますが、現時点で公 表している分析表によりますと、そのようなデータが示されているところでございま す。一方、(2-1) でございますが、こちらにつきましては、国立医薬品食品衛生研究 所の方に、この分析法、カズノコ(調味加工品)からの亜塩素酸ナトリウムの分析法の 検討をお願いしていたものでございますが、この報告を基にまとめさせていただいてい るところでございます。それによりますと、野菜等に付着した亜塩素酸ナトリウムの分 析法については、第2版の「食品中の食品添加物分析法」に収載されておりますが、味 付けカズノコにおける亜塩素酸ナトリウムの分析につきましては、既に5%程度の食塩 を含んでいるということ、さらに魚卵のたんぱく質が溶出してくることから、妨害が多 く測定が困難であるということで、国衛研の方で分析法の改良を検討いただきまして、 具体的には限外ろ過による除蛋白であるとか、銀カラム及び陽イオン交換カートリッジ による脱塩等を行う新たな分析法を御検討いただきまして、カズノコ(調味加工品)の 分析を行っていただいたところでございます。そうしましたところ、かなりの改善が認 められたということでございますが、やはり一部依然として亜塩素酸イオンピークの近 傍に妨害ピークがあるということで、測定限界については5ppm 程度とするのが妥当で はないかということでございます。これにつきましては、亜塩素酸ナトリウムを使用し ていない味付けカズノコ等に亜塩素酸ナトリウムを添加し回収率を求めておりますが、 良好な結果が得られたということでございます。20ページでございますけれども、食品 安全委員会における評価結果案を掲載させていただいております。  6番でございます。使用基準案でございますが、現行の使用基準の中にカズノコの調 味加工品ということで提案をさせていただいているところでございます。7の摂取量の 推定というところでございますけれども、こちらも食品安全委員と同様のデータをもと に、こちらの方に記載させていただいたところでございますが、先ほどの推定の中でい いますと、カズノコにつきましては、1ppm の検出限界ということで推定をしておりま すけれども、今回の国衛研の方で改正法の検出限界5ppm 、この5ppm 程度の残存があ ると仮定いたしますと、若干カズノコに残存する亜塩素酸ナトリウム量が増えるわけで すが、最終的にこちらの0.02μg/kgというのがカズノコに由来する残存量でございます が、先の果実、野菜に由来する残存量、7.96μg と足しますと7.98μg ということにな るのですが、これを先ほどの現時点の食品安全委員会のADIの0.029mg と比較いたし ますと、対ADI比という観点からすると、27.5%程度の数字が導き出されるところで ございます。23ページでございますが、こちらにつきましては、国衛研の方から提出さ れた報告書の案でございます。25ページでございますが、この試験法によりまして導き 出されましたイオンクロマトグラムということでございます。右側に3つのグラフが並 んでおりますけれども、一番上のところが1ppm を添加したときのカズノコからの検出 ということで、この塩素の隣に小さい山が見えますけれども、これが亜塩素酸塩という ことでございます。その真ん中でございますが、これに5ppm を添加したものでござい ますけれども、少し大きな山が見えるかと思います。26ページについては、先ほど御説 明しましたとおり、現行法の資料でございます。以上でございます。 ○長尾部会長  どうもありがとうございました。それでは、この資料4について検討くださいました 国衛研の食品添加物部から追加は何かございますでしょうか。 ○四方田委員  分析法について検討いたしまして、その補足を少しさせていただきたいと思います。 資料の後ろについております27ページ、塩素酸ナトリウムの分析法は、現在このような ものが提示されています。食品に付着している塩素酸ナトリウムですので、カット野菜 なんかに使った塩素酸ナトリウムで外側に付着しているのだろうということで、特にホ モジェネートすることなく野菜を水に浸漬して、ろ紙ろ過をし、C18のカートリッジで クリーンアップをして、イオンクロマトグラフィーにかけるという方法になっていま す。前処理もちょっと改良いたしまして、これは前処理部分の改良ですが、カズノコの 場合にはタンパクが非常に多いということで、前の方に戻っていただきますと、23ペー ジです。まず試料溶液の調製のところでカズノコをそこそこ小さくしまして、亜塩素酸 ナトリウムがアルカリ性で安定だということで、9mMの炭酸ナトリウム溶液を加えて、 スターラー上で攪拌すると。ここで特にホモジェネートしないというのは、カズノコ中 のタンパクを必要以上には出してこないということにしています。それを遠心分離し、 上清を0.2 μのフィルターに通すと。それから限外ろ過をいたしまして、1万以上の大 きなタンパクを除く。それから食塩がたくさん含まれておりますので、陰イオンカラム に通しましてクロライドイオンをとってしまう。さらに遠心分離をしまして、沈殿して くる陰イオンが多少出てくる場合がありますので、それを除いた後に陽イオン交換カー トリッジで精製して流出液をイオンクロマトグラフィーに通すというものです。イオン クロマトグラフィー部分も多少違っておりまして、亜塩素酸ナトリウムの方では、検出 器として紫外部吸収検出器付きのものを使っています。紫外部の吸収の260 ナノメータ ーで測定しておりますが、カズノコの場合には多量のタンパクを含んでいまして、全く 測定することができませんでした。それで電気伝導度検出器を用いています。それから カラムに関しましても、野菜の方では、通常のイオン交換カラムを使っていますが、カ ズノコの方ではイオン交換能の高いカラムというのを使っています。それから溶液も若 干違っております。ということで、電気伝導度検出器を使いましたイオンクロマトグラ フィーで測定するということにしています。  チャートの方を見ていただきますと、かなりいろんな妨害物質が出てきまして、亜塩 素酸ナトリウムの前部分に大きなピークがありますが、これは恐らく有機酸、酢酸のよ うな有機酸類だと思われます。後ろにクロルのイオンが出てきまして、これは銀カラム で除去しても、この程度は残存するということになっております。以上です。 ○長尾部会長  どうもありがとうございました。それでは御意見等をお願いしたいのですが、最初に ちょっと私から質問させてください。今回、調理加工用カズノコ、味付けカズノコにつ いて申請があったというお話ですが、要するに味付けカズノコのことだけを考えればよ ろしいのですか。そこをちょっと説明していただきたいのですが。 ○事務局  御質問の趣旨としては、例えば塩漬けカズノコであるとか、そういったものは入らな いということで御確認いただいているということでしょうか。今回の要請としては、そ ういった塩漬けカズノコ等を除く、いわゆる調味加工品です。 ○長尾部会長  調味加工品といったときに、ここでは味付けカズノコのことが挙がっていまして、そ れに使いたいという申請があって、それで測定に関しても、味付けカズノコについて測 定されていますよね。味付けカズノコのことだけを考えればよろしいのですか。例え ば、味付けカズノコを使った調味加工品が出た場合に、残存している濃度を測定するわ けですよね。それはどういうふうに考えればいいのかが、そこよくわからないので、要 するに、カズノコに残っているのが5ppm であればいいということがつかまえられれ ば、それでいいのかどうかがちょっとよくわからないですね、理解できないのです。 ○事務局  調味加工した味付けカズノコを用いて二次的に加工品をつくったようなものを想定さ れているということでよろしいでしょうか。 ○長尾部会長  一旦味付けカズノコというものをつくってから、ほかの調理加工品ができるのだった らばそれでよろしいのですが、いきなり亜塩素酸で処理したものがあらわれるのが、直 接カズノコを一部に含んだ食品みたいなものが調理加工品として出てきて、その残存し ている量をつかまえる時点で、既にカズノコが薄まっていたらどうなのかなと、そうい う疑問なのです。そういうことはないというのでしたらばよろしいのですが。質問の意 味わかりませんか。 ○事務局  要は味付けカズノコが単純に漬け込み液から出されたものではなくて、ほかの食品に そういった味付けカズノコ、その処理をされたカズノコが使われていて、その使われた 最終食品上のカズノコにおいては、亜塩素酸の濃度が薄まっているのではないかという ことでしょうか。 ○長尾部会長  そうです。その味付けカズノコの段階で、その濃度をチェックできるのだったらばよ ろしいのですが、その生産のプロセスとして、それが流れてそこのところでストップし ないのだったらば、味付けカズノコという段階を経ないのだったら、そういう処理をし て、調味加工品であれば、これは許可しようという話ですよね。味付けカズノコだった ら許可しようという話ではないですよね。その調味加工品の中に味付けカズノコがある と考えたらよろしいのですか。そこがちょっとよくわからないのです。何か誤解して… …。 ○事務局  調味加工品というものの中に味付けカズノコがあるというふうにお考えいただければ と思います。したがいまして、最終的な食品に存在している味付けカズノコ、カズノコ の調味加工された部分について測定していただいて、検出されなければよいというよう な考え方になるかと思います。 ○長尾部会長  要するに味付けカズノコというプロセスをみんな一旦は必ず通るという話ですね。味 付けカズノコという商品となって、それからさらに利用されるのですと、この味付けカ ズノコに残存している量というのはチェックできますよね。そうだったらよろしいので す。 ○事務局  基本的にはそのような流通をしているというふうに聞いております。 ○長尾部会長  そうですか、わかりました。この点に関してはほかの先生方、何か御意見や質問はご ざいますか。 ○中澤委員  ちょっと確認です。例えば北海道に行くと、松前漬みたいなものが売っています。あ の中にはいろんなものが入って、その中にカズノコが入っていると。そのカズノコの部 分だけを取り出して、その中に亜塩素酸ナトリウムがどのくらいあるかという考え方で 評価していいかということですね。要するに、松前漬全部を分析するのではなくて、そ の中に入っている、味付けされたカズノコだけを引っ張り出してきて、それがこの基準 に合うかどうかという評価をすればいいという考えでしょうか。部会長がおっしゃって いることは。 ○長尾部会長  いいえ、それはやっぱりつくった後しみ出していると思うのですね。 ○中澤委員  その周りにでしょうか。 ○長尾部会長  ええ。だから、カズノコだけ拾って、それで分析すればいいというわけにはいかない のじゃないかと私は思うものですから。 ○中澤委員  ただ、ここの文言を見ていると、カズノコ本体にどのぐらい残っているかという見方 をするのかと私は思ったのです。ですから、例えばワサビ漬の中にもカズノコが入って いるようなものがあると思うのですけれども、ワサビ漬に入った全体を分析するのでは なくて、そこに入っているカズノコだけを引っ張り出してきて、それを分析したらどの くらいあるかという話なのかなというふうに考えたのですが、そうではないのでしょ う。それによって結局、後で引っかかると思うのですが、分析法がかなり影響を受ける ことになります。今の四方田先生のお話を聞いていて説得力あったと思います。カズノ コを分析するなら、今の四方田先生の方でやられた方法で対応できると思うのですが、 食品全体をこの方法で行うとなると、そのデータはあるのかもしれませんけど、私は、 かなり分析化学的には厳しいのではないかと思います。 ○長尾部会長  厳しいのじゃないかと思うのですけれども……。 ○中澤委員  ほとんど不可能に近いと思います。 ○長尾部会長  もしそうでしたらば、ですから、実際にどういうふうにしたらいいのかよくわからな いのですけれども、先生のおっしゃる……。 ○中澤委員  今、質問されたことはそういうことかなと私は思ったのです。 ○長尾部会長  だから、私は、カズノコは亜塩素酸処理した後、これは味付けカズノコですとか、何 とかカズノコ、調味加工したカズノコだというふうになれば、そこでチェックできます よね。それを使うのは自由に使ったらいいと思うのですね。先生がおっしゃったよう に、でき上がったものをそうやってやるのだとすると、カズノコを拾ってカズノコだけ 分析すればというふうには、それでいいのだというデータがあればそれでもいいのです けど、データがない限り、それでいいという話に……。洗えば出ていくというのに、カ ズノコだけ拾って、それでやればいいという話にはちょっといかないのじゃないかなと 思ったものですから。 ○中澤委員  先生のお考えですと、食品全体を分析して、その中にどのくらいあるかという評価に なります。 ○長尾部会長  もし途中のステップでつかまえないのだったらば、最終のところが対象になるのじゃ ないかと。途中のところでそれはつかまえられるという話だったら、今あるデータでい いのだと思ったものですから、そこの点を最初にクリアにしたらと思いまして。 ○中澤委員  その点をはっきりしていただかないと、この先の議論は多分難しいかなと思います。 ○事務局  データ的な裏づけというのは今提出されておりませんけれども、この亜塩素酸イオン として実際に検出されるもの、実際に検出されてくるものという観点からすると、漬け 込み液に由来する、漬け込み液に残存している塩素がかなりの部分を占めているのでは ないかというようなお話があります。 ○中垣基準審査課長  申し訳ありません。私がスーパーに行って味付けカズノコを見ると、袋に入って醤油 漬けされたカズノコと、その液が当然のことながら入っておるわけですね。先生方の御 質問というのは、私がもし間違っていたら教えていただきたいのですが、カズノコだけ をとってきて測定をするのか、この調味液、醤油を中心とするみりんも入っている、お 酒も入っているのだろうと思いますが調味液を含めて分析をするのかどちらかなのかと いうのが1つ。  2番目には、今のは味付けカズノコそのものですけれども、松前漬を売っています ね。松前漬も同じように袋に入って昆布であるとか、スルメであるとか、カズノコの小 さいものであるとか入っている。このときにカズノコだけとってくるのか、それとも、 ここにある調味液も含めて全部を分析対象にするのかという御質問だと考えればよろし いわけですか。 ○長尾部会長  はい。 ○中垣基準審査課長  だとすると、この提出された試験結果、すなわち、例えば19ページにございます表4 の測定の対象というのがカズノコだけなのか、カズノコに調味液を含めた形なのかとい うのが一つの議論の対象になるでしょうし、さらには国衛研で分析していただいたもの が同じようにカズノコだけなのか、もっと言うとカズノコだけとってくると周りに調味 液がついていますが、これをどうしたのかという複雑な議論も出てくるかもしれません が、そこまで言わなくても、カズノコだけなのかということをまず教えていただいてと いうのが先生方の直接の疑問に答えるのが1番目。  2番目としては、どうも国衛研の御報告と、(2)であります要請者から出た報告とい うのが科学的にどう考えればいいのか。その測定対象の問題なのかどう考えればいいの か、そこは2番目のディスカッションとして必要なのかなと思いますが、まずは、国衛 研の側でどういうものを測定していただいたのか教えていただけばと思います。 ○四方田委員  食品中の食品添加物を分析する場合は、実際に食べる部分を測定しようというのが原 則になっておりますね。例えばたくあん漬だと、ふすまは食べるのか食べないのかと か、そういうことがしばしば議論になるのですけれども、カズノコの場合には、漬け液 を飲むことはあんまりないのだろうと思うのですね。ですので、漬け液に漬かっている カズノコを取り出したものを、ある程度の調味液がついた状態のものを測定するという ことでやっています。恐らく要請者の方もそのようにされているのだと思います。  では松前漬の場合はどうするかということなのですけれども、比率の問題なのです ね。カズノコに松前漬のかすがどのぐらいついていればいいのだとか、そういうことに なるかもしれないのですけれども、やはり、かすはついた状態で測るということになる と思うのですけど、難しいところですね。数が非常に多いカズノコの場合はそれをどの ぐらいとるかとか、そういうことになると思うのですね。  たくあんの場合も、ふすまを食べる地方があるところはふすまもとって測ると、そう いう話もあるということになりますと、松前漬の場合は、やはり周りの調味部分も多少 はとって、比率として適当な比率をとって測るというのが筋かなとは思います。 ○中垣基準審査課長  今の四方田委員の御説明というのは、調味液が入ったカズノコがある。それを皿に移 すのか、私みたいにパックからそのままとるのかは別問題として、仮にお皿に移したと すれば、そのカズノコをつまんでお皿に移す。そこについている調味液までは測定対象 とするという御説明だと思うのですね。松前漬であれば、松前漬をひとつまみなのか、 スプーンでとるかは別問題として、ひとつまみとってこちらに移すと、そこに当然のこ とながら一定の調味液が入ってくると。残った調味液をがばっと飲む人がいるじゃない かというようなところは、ちょっと一般常識の問題として、そこまでは考えていないと いうことなのだろうと思いますが、この添加物につきましては、実はすべてがそうじゃ ないのですけれども、この亜塩素酸につきましては、使用段階と残留段階と2つ縛って おります。ですから、少なくとも国内、カズノコの調味加工品の多くというのは国内で 製造されるかと思いますけれども、国内で製造されるものには使用段階を押さえられま すから、そういう意味では2段階の規制ということでもう一つの対応がとれているとい うことなのだろうと思います。今、出口、後者の残留の方だけを議論しておるわけです が、規制の仕組みとしては2段階になっておって、使用量も押さえられるし、残留段階 も押さえられるということだろうと思います。 ○長尾部会長  松前漬のときには、カズノコを測ればいいのですか。浸出して周りに液が、松前漬を 漬けて、それで亜塩素酸がしみ出てほかの食物にもくっつくという、その量は非常に少 ないと考えて、残っているカズノコだけを測定すればいいのか、そこですね。そこがク リアになれば、この方法の方に入れると思うのですが。 ○中澤委員  そこがはっきりすれば、要するに、いろんなものをまた別に測らなくて、共存物質の 影響を受けなくて、測定法を考えればいいので、次の議論に影響します。 ○山添委員  19ページのところの(2) のところに、「カズノコ中に残存する亜塩素酸塩について」 というところがあって、この製造ラインのところの洗浄のデータが記載されています ね。この扱いなのですけれども、実際に製造する際にこういう工程を経るならば、現実 問題、先ほど長尾先生がおっしゃったような心配をすることはないのじゃないかと思う のです。ですから、ここの洗浄のラインの取り扱いをどうするかということが結果的に 大きな影響をするような気がするのですが。 ○鈴木委員  それと関連して質問ですが、いわゆるカズノコについて、塩蔵品以外はともかくこの ような処理をするということを前提で申請がされた。そのときに、今、課長のおっしゃ ったように、いわゆる使用段階の濃度のチェックと、残存するものと両方チェックすれ ばという形でおっしゃったのですが、現在の段階で調理カズノコというものについて、 国内だけで生産されているのですか。実際に国内でもって使われている場合には、その 辺の形で指導なり規制ができるかと思いますが、それらのものが特にカズノコというの は、今どこでつくられているのかということも含めまして。もう一つは、これまでこう いったカズノコはどのように処理されていたのですか、ただ、水だけで洗っていたとい うような状況でやっていて、何か問題があったのですか、あるいは保存期間が短くなっ たとか、調味液を濃くしなきゃならなくなったとか等々といったことがあって、こうい うようなことを処理したいという何か現実の問題があったのかということも含めまし て。 ○中垣基準審査課長  2つ質問をいただいたのですが、前者についてお答えしますと、業者から聞いている 限りで申し上げますと、もちろんカズノコ自体というのは、ロシアであるとか、カナダ であるとかいろんなところから持ってきているわけでございますが、調味加工品を北海 道で製造したいのだという話を聞いております。ただ、将来的にもそれが担保できるか どうかについては私も確たる見通しを言えるわけではございません。後者の御質問につ いては担当から説明します。 ○事務局  要請者の資料でございますが、資料2の2ページの安全委員会の方の資料でございま すけれども、カズノコは加熱等の殺菌処理を行うことは困難であることから、現在、味 付けカズノコは加工段階で特別な殺菌処理を施すことなく生産されており、今般、亜塩 素酸ナトリウムをカズノコの殺菌料として使用できるよう、要請があったという記載が ございます。一方、塩カズノコにつきましては、昭和56年に過酸化水素の使用が条件付 きで認められているということで、現在、塩カズノコ製造マニュアルというものを作成 して、第三者検査機関による自主検査を実施して最終製品で残存しないということを確 認して流通させているというような条項がございます。 ○長尾部会長  それで、この0.5g/kg 以下の亜塩素酸に浸出して、そしてその使用前にはよく分解ま たは除くということで、このステップがあるから、こういう規制があるから、最終的な チェックのところにどういうふうに影響してくると考えるのですか。この規制があるた めに、最終の濃度チェックに関して影響を与えないですよね、途中の規制というのは。 濃度チェックは濃度チェックできちんとできないと具合悪いのですよね。 ○事務局  ただいまの御質問でございますが、実際、最終製品のところで何からの塩素等が検出 されるというようなことがあれば、その原材料、その塩素はどこから由来しているの か、その原因について調査されるという形になると考えますので、そういった観点から すると、最終的な味付けカズノコというところで適切に処理されているということ、味 付けカズノコについて、亜塩素酸ナトリウムの使用が認められるようになれば、亜塩素 酸ナトリウムが原材料として入っていれば、当然そこのところに調査は及ぶかと思いま す。そういった観点で使用基準上の確認がなされるかというふうに考えております。 ○米谷委員  そこの「最終食品の完成前に分解し、又は除去しなければならない。」というところ なのですが、これは臭素酸カリウムのような遺伝毒性のあるものについて、よくこうい う書き方がしてあります。この亜塩素酸ナトリウムについては、以前はADIがなかっ たからこういう書き方でもよかったのですが、今回ADIが決まったわけですね。私が 現在担当しています農薬なんかですと、ADIが決まれば、それを適用作物に割り振っ て基準値を決めて、TMDI試算やEDI試算をやって80%以下におさまっていれば、 その基準値を認めるというようなプロセスを経ています。今回ADIが決まって、味付 けカズノコですか、これに適用を増やされたのですけれども、最終食品の完成前に分解 又は除去しなければならないというのが残っているのは、これは分析法の検出限界か定 量限界が低くなるためなのでしょうか。それとも若干ですが遺伝毒性が弱いけれどもあ るので、ADIは設定されているが前のままにされたのでしょうか。ADIが設定され たのに、どうして「最終食品の完成前に分解し、又は除去しなければならない。」とい う基準が残っているのかをお聞きしたいのですが。 ○中垣基準審査課長  何かの判断をしたものではなく、要請者からそういう要請が出てきたから、この場に 検討をお願いしているところでございます。一方、先ほどから議論していただいてお る、あるいは先ほどの四方田委員の国立医薬品食品衛衛生究所でやられた検査の中間報 告的なものを聞いておりますと、このような規定というのは、恐らく米谷委員も同じこ とをおっしゃられようとなさっているのだろうと思いますが、やはりちょっと曖昧模糊 ではないだろうかというふうに感じておる次第でございます。先ほど御報告しましたよ うに、食品安全委員会の報告書でも、1ppm ということを仮定して曝露摂取量の評価を やっておる。そうであれば、むしろ1ppm 以下だというふうに規定した方が、要するに はっきりと定量化した方が、それは規制としても明確ですし、量的なものをコントロー ルできるのではないかというふうに考える次第でございます。  また、先ほど四方田委員から味付けカズノコについては、定量限界は1ppm じゃなく て5ppm 程度になるのじゃないかという話でございますから、ADIとの関係でADI の中に十分入るのであれば、味付けカズノコについては、例えば5ppm であっても一向 に差し支えないのではないかと思います。いずれにいたしましても、このような分解除 去しなければならないと言っていて、一定の定量限界というのは当然あるわけでござい ますから、それがまた加える相手の食材によって策定できないとかというような、曖昧 模糊とした部分が続いていくよりは、数値化というのも一つ御検討いただいた方がよろ しいのではないかと私も感じている次第でございます。 ○長尾部会長  どうぞ。 ○米谷委員  追加なのですけれども、こういうような「分解除去しなければならない」という不検 出ですと、当然そのときには固定した分析法がついてこないといけないのです。その分 析法でやって不検出ということで、ほかの方法でやってはいけないのだと思いますけれ ども、基準値をおつくりいただくと、その基準値の10分の1が測れる方法が必要で、他 の同等以上のものを使ってもいいということで、現在、農薬とか添加物ではそういうふ うな方向で行っているかと思いますけれども、今回の分析方法の定量限界のレベルを見 させていただきますと、なかなかそこまでは行っていないという段階で、たとえ基準値 をつくったとしても、その10分の1を担保できるというようなところまではいっていな いと思いますので、分析方法の改良をお願いしたいというところが私の方の希望です。 これから先もっと定量限界を下げるような分析法をつくっていただければと思います。 ○長尾部会長  どうぞ。 ○中澤委員  19ページの表4のデータを見ていて一つ合点がいきません。先ほど四方田先生の方か らの御報告で、この食品中の食品添加物分析法、一番最後の方に参考資料として載って おりますが、これはサンプル調製をC18のカートリッジで行っています。このカートリ ッジを素通りしてきたサンプルを測るということで、当然のことながら共存物質の影響 は受けます。特に今回のようなタンパクが多いサンプルについては全く使えないのでは ないかと思います。四方田先生の先ほどの報告においても、検出限界1ppm とされてい るものは、実質妨害が多くて測定が困難であるとおっしゃっています。先生の改良され た方法の方が、私は方法論としてはいいのではないかと思うのですが、それでも測定限 界は5ppm ぐらいであるとおっしゃっています。そうすると、この表の4のところで検 出限界1ppm という要請者のデータを見ていると、3.6ppmという数値とか、こういう値 が出てくるというのは、このデータは、要するに5ppm 以下で測られていると評価でき ると思うのです。このデータは、今、登録機関制度が導入されていますので、しかるべ きところで測られたのだと思うのですが、どの程度の信頼性があるのでしょうか。 ○長尾部会長  データは出ていますか。 ○事務局  実際、この要請者から提出していただいた資料でございますけれども、事業者として 事業者の関連の研究所の方でデータをとられたというふうに聞いておりますけれども。 ○長尾部会長  一応ピークとしてちゃんと……。 ○四方田委員  安全委員会の方に提出されています要請者の情報には、一応チャートも載っているの ですけれども、カズノコを浸した溶液を100 分の1に希釈して、それに1ppm のものを 加えたチャートしか載っていないのですね。ですから、それは実際には100ppmに相当し てしまうわけですけれども、そのチャートしか見ていませんので、実際にどの程度のチ ャートを得ているのかはわかりませんが、恐らく数十ppm ならば信頼はできるのかなと いうふうに思っています。これは先ほど事務局が食品中の食品添加物分析法でやったと いうお話なのですが、そうではなくて要請者がやった方法でやっています。電気伝導度 検出器を使って比較的国衛研の方法に近い方法でお測りいただいているということで す。5ppm までほんとに測れていたのかどうかということはちょっと細かい資料がない のでわからないのですけれども、うちの方から試験法を出す場合には、やはり指定検査 機関でできる方法を出さなくてはいけないとか、後々カラムが汚れないようにしなくて はいけないとかといういろいろな経過を経て変更しているのですけれども、要請者がど れほどのピークでもって3.6 をお読みになったかということの情報は得ていないです。 ○中澤委員  四方田先生が今開発された方法は、5ppm を検出限界として、測定が担保できそうだ ということですので、この方法が先ほど議論された、例えば味付けのついた、調味液が ついたカズノコでも分析ができるというデータが追加されれば、その方法は現実の時点 としては、例えばNDが5ppm と考えると、それがADIの問題からいって特段に問題 なければ宜しいのではないでしょうか。先ほど米谷先生は、なるべく感度のいい方法を つくってというふうにおっしゃいましたけれども、私は例えば5ppm に設定して、それ 以下はNDであるという判断をして、それが適当でないというのであれば、であれば問 題ですけれども、現時点の毒性のデータ等を見ますと、それは別に5ppm であっても問 題ないのではないかと思います。そうすると、食品衛生行政上5ppm の分析法を導入し て、しかも様々なサンプルが測れるということになれば、現実的に対応できると思った のですが、いかがでしょうか。 ○長尾部会長  私も、これADIに比べて、現在の1ppm 、あるいはカズノコの場合、5ppm で十分 それを下回る量に規制できますから。 ○米谷委員  ですから、5ppm に設定して、それ以下ならNDというなら、それは不検出という今 までの方法で行くならそれでいいのですが、私が言いましたのは、もし基準値を設定し た場合には、それのかなり下まで測れるような方法を設定しないといけないということ で、今回基準値を設定されなかったのは、分析法が難しいからですかという質問をさせ ていただきました。多分5ppm までしか定量限界が下がっていないので難しいのだろう というふうに思っておりました。ですから、不検出で行くなら5ppm で切って、それで いいのかもしれない。5ppmでよければ、ですけれども。 検出方法につきましては、私が以前食品添加物部におりましたときに、臭素酸カリウム ですね、5価の臭素、今回は3価の塩素ですからちょっと違いますけれども、臭素酸カ リウムのときにパンとして、パンも食パンですから食塩がかなり入っていますけれど、 それに対して非常にいい方法を四方田先生と御一緒につくらせていただいたので、ああ いう方法が使えるのか使えないのか。使えるなら、もう既に試しておられるかもしれま せんけれども、何らかの新しい方法を考えていかれれば、もっと定量限界も下がるのじ ゃないかと思います。ですから、現段階で5ppm で線を引いて不検出とするという方向 で行くなら、この方法でもいいかと思いますけれども、ただ、この5ppmでいいのかどう かはこれからの議論だと思います。 ○中垣基準審査課長  仮に数値化をする場合を考えてみますと、5ppm という基準にしたときに、定量限界 で5ppm ということが担保されるのであれば、それは規制としては、最低条件を満たす と思います。ただ、農薬でできれば10分1、少なくとも5分の1程度まで測れるような 試験法の開発をまず考えておりますのは、例えば摂取量調査をやる。摂取量調査をやる ときに基準値までしか定量限界がないと、その下はグレーゾーンになってしまうという 問題があるので、できるのであれば、それは5分の1とか、10分の1とかまで測れる と、ほかの場面で非常に有用であるというふうに考えておるわけですが、ただ単に規制 をしていくということであれば、何も不検出の場合であろうと、数字を決めた場合であ ろうと、最低条件というのは、その数値を満足する定量限界だというふうに考えておる わけでございます。もちろん時間の問題、タイミングの問題であって、将来的に、ある いは時間をかけて別の方法に切り換えていくというのは当然だろうと思いますし、それ がまた進歩だと思うのですけれども、必要最低条件としては今申し上げたようなことな のかなというふうに思っております。 ○長尾部会長  ほかには御意見ありますでしょうか。 ○米谷委員  そのほかのことでよろしいでしょうか。 ○長尾部会長  はい。 ○米谷委員  2ページのところで、先ほどの最終食品の完成前の分解、除去のその次のところで、 アメリカにおいては、亜塩素酸ナトリウムは溶液と一般に安全とされる酸を混合した、 そういうものも使ってもいいということで、同じようなことを最近、厚労省の方から通 知されて、食品添加物を2つセットで売ってもいいようなことを通知されたようですけ れども、あれを使う場合に混ぜて使ってもいいというふうに受け取ってよろしいのでし ょうか。かなりここの話題とは離れるかもしれませんが、こういう塩素系のものです と、前の次亜塩素酸のときに同じような話がありましたけれども、販売のときと、使用 のときで……。 ○中垣基準審査課長  米谷委員がおっしゃるとおり、直接関係ありませんし、今、口頭で話しても ほかの 委員の方々は御理解願えないかと思いますから、次回にでも、その文書を出して御説明 させていただきたいと思います。 ○米谷委員  よろしくお願いします。 ○長尾部会長  私が最初に申し上げました問題がまだクリアでないのですけれども、その点につきま して、事務局で御検討いただくという形でよろしいでしょうか。 ○事務局  要は、どこまで測定するかということでしょうか。 ○長尾部会長  そういうことですね。実際にどこが規制されて、何を測定するかというポイントを、 何をというか、どういう食品ですね、食品のどのレベルで、それで例えば松前漬だった らば、カズノコだけでいいのかどうか。 ○中垣基準審査課長  それは申請者にまずはデータをとってもらわざるを得ないと思うのです。すなわち代 表的な加工食品、代表的な食品を何にするかということをもう少しディスカッションし ていただいた方がいいと思うのですが、端的に言うと、松前漬なら松前漬について、カ ズノコ以外のところに分散というのですかね、浸出がどれぐらいあるのかないのか、ま たそれが測れるのか。要するに松前漬ですと、昆布の成分であるとか、いろんな成分が 出て妨害物質が出てくると思いますから、なかなか難しい問題があるのだろうと思いま すけれども、測れるのか。仮に測れるとしたら、どれぐらい横というか、その他の食品 に拡がってゆくのかというのは、一回データを整理しないと何とも言えない。その結果 として、例えば醤油につけた状態だけしか認めないのかというようなことはまた別の議 論でやっていく必要があるのだろうと思います。さらには、先ほど来宿題となっており ます表4の問題も、もう少しクリアにする必要があるのだろうと。幾つか宿題があるの かなと思っております。 ○長尾部会長  表の4につきましては、国立衛研で今回提出された、この方法に基づいてきちんとデ ータを出していただくという形になりますか。 ○中垣基準審査課長  その方法に限定する必要はないと思います。もっといい方法があるかもしれません。 少なくとも、その方法を上回るような方法で再整理していただく、必要なチャート等も すべて出していただくようなことが必要になってくるのだと思います。 ○長尾部会長  では、そういう方法も含めて、もう少し検討していただくということで、何かほかに 御意見ございますでしょうか。 ○山添委員  17ページのところの4の「有効性」のところなのですが、これは内容的には意味はわ かるのですけれども、文章の表現のところで、「要請者より」から3行目のところ、 「次亜塩素酸ナトリウム処理群は6時間後に減少したが、24時間後まで変化が見られて いない。」というのは、菌数の減少なので、表現上の修文をちょっとお願いしたいので す。後は細かいことは個別に申し上げます。 ○長尾部会長  ほかにこの亜塩素酸に関しまして御意見ございませんでしょうか。では、意見は出尽 くしたようですので、この件に関しましてそういうことで。 ○事務局  それでは、追加のデータを要請者の方に要請したいというふうに考えます。それと、 確認でございますが、先ほど鈴木委員の方から味付けカズノコの製造であるとか、生産 国といったような御質問がありましたけれども、そういった情報も必要であれば、併せ て要請者の方に伺いたいと思いますが、よろしいでしょうか。 もう一つ確認でございますが、中澤委員の方から、第三者機関というようなお話もあっ たかと思いますが、データとしてどのようなレベルのものを要求すればよいか。 ○中垣基準審査課長  科学的に信頼できるかどうかが問題であって、誰がやるかというのは基本的に問題で ないと思っておりますので、チャートであるとか、それを保証するデータを出していた だくという形で対応させていただきたいと思いますし、今回も、国立医薬品食品衛生研 究所の食品添加物部にいろんなデータを出していただいたわけですが、引き続き四方田 委員には御協力を願いたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 ○長尾部会長  よろしくお願いします。  それでは次の議題をお願いします。 ○事務局  それでは次に、議題の2でございますが、報告事項について御説明をさせていただき たいと思います。  30ページでございます。「国際的に安全性が確認性が確認され、かつ汎用されている 未指定香料の指定について」ということでございますが、こちらにつきましては、課長 の挨拶にありましたとおり、平成17年の7月の国際的に汎用されている添加物の指定に ついての考え方というものにのっとって作業を行っているわけでございます。2.の 「指定の流れ」ということでございますけれども、対象品目の選定につきましては、J ECFAで国際的に安全性が終了して、一定の範囲で安全性が確認されているという条 件と、米国及びEU諸国で使用が広く認められているという条件、これに該当する品目 に絞って行っているわけでございます。品目が選定されるわけですが、現時点、9月の 時点におきまして、59品目、この条件に沿う香料がございます。ただ、この品目につき ましては、JECFAにおいて香料の評価というのが継続して進められておりますの で、新たに評価された香料がこの条件に該当するものが出てまいりますと、この品目自 体が順次追加されていくということになります。  検討の優先順位のつけ方でございますが、欧米における推定摂取量の多いものから順 に検討を開始しているものでございます。評価資料の作成につきましては、関連団体に おいて既存の文献等の安全性情報を収集するとともに、国衛研の専門家からなる検討会 において収集された情報を評価し、さらに必要に応じて追加の安全性を試験を実施する などして、資料をまとめているところでございます。このまとめられた資料について は、食品安全委員会における食品健康影響評価に諮られるという形になっております。  31ページでございますが、現在の進捗状況ということで表をまとめさせていただいて おります。現時点におきまして、6品目の香料につきまして、食品安全委員会にリスク 評価を依頼したところでございますが、4品目につきまして、私どもの方に回答が返っ てきております。上記の3品目につきましては、既に分科会の審議も終了いたしており まして、答申もいただいております。現時点で告示及び規則の改正等の手続を実施して いるところでございます。  プロパノールについては、食品衛生分科会での審議を待っているところ、食品安全委 員会においては、現時点でアセトアルデヒド、イソプロパノールの評価を継続して依頼 しているところでございます。  その下の段落でございますが、安全性試験を実施したものということで、14品目でご ざいますが、こちらは平成15年度までにこの14品目について安全性試験を実施しており ます。実施中の試験につきましては、それぞれ変異原性試験、反復投与毒性試験という ことで掲載をさせていただいています。  その下の段落でございますが、平成16年度に安全性試験を実施する予定の品目という ことで、14品目掲載させていただいております。右側の欄に記載される試験について実 施が行われる予定でございます。1つ誤植がございまして、一番下の16年度に実施を行 う品目のうち、上から7番目の「3−エチルピラジン」というのがございますけれど も、これは「ピリジン」の間違いでございます。修正をお願いしたいと思います。参考 でございますが、32ページに、現時点でこちらは添加物46品目の進捗状況を添付させ ていだいたところでございます。以上でございます。 ○中垣基準審査課長  申し訳ございません、非常に小さな字句の訂正を。まず表題を見てびっくりしたので すが、「未指定香料の指定について」というのは、ちょっと役所が出すものとして適当 ではなかったかなと。これは一部の方々はびっくりされるのじゃないかと思っておりま して、「国際的に安全性が確認され、かつ汎用されている香料の取扱いについて」とい うような形で柔らかくさせていただければと思いますし、一番後の行、「告示改正」と なっておりますが、法令的に言うと、省令等も改正しなきゃいけませんので、「省令等 改正」であるとか、細部の字句は、公表する際にインターネットのホームページに載せ る際にかえさせていただくということだけ御了解を願えればと思います。  今日の報告というのは、31ページの進捗状況の御報告がメインでございますので、そ れで御勘弁願いたいと思います。 ○長尾部会長  この報告事項につきまして、何か御質問等ございますか。  32ページの、これは食品添加物で食品安全委員会で審議が行われているけれども、ま だ結論が出ていないのですが、これらは。 ○事務局  失礼いたしました。下かはら2番目のステアリン酸カルシウムについては結果通知ま でいただいているところでございます。直近でございますけれども、亜酸化窒素につい ては、10月5日の添加物専門調査会で審議が行われておりまして、この審議の結果の内 容を踏まえまして、パブリックコメントの実施の手続を進めようとしていると理解して いるところでございます。それ以外の品目につきましては、現時点で継続審議中という ことでございます。 ○長尾部会長  ほかに御質問はありますか。 ○山添委員  31ページの表のところで、安全性試験を実施したものというのが14項目の上から2つ 目のところ、2,3- ジエチルピラジンがあって、16年度のところにもう一度2,3- ジメチ ルピラジンが上から2つ目に入っていますね。これは変異原性試験が継続という意味で すか。失礼しました、ジメチルとジエチルですね。わかりました。 ○長尾部会長  ほかにはよろしいでしょうか。  それではどうもありがとうございました。事務局ほかに何かございますか。 ○事務局  ほかの議題はございません。御報告でございますが、次回の添加物部会は、定例とし ております第4木曜日の10月28日木曜日の午前10時より本日と同様にこの共用第8会議 室にて開催を予定しております。よろしくお願いいたします。 ○長尾部会長  どうぞよろしくお願いいたします。本日の審議はこれで終了いたします。どうも御熱 心な御討論ありがとうございました。                ┌――――――――――――――――――――――┐                |照会先                   |                |  厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課|                |                  添加物係|                |      Tel.03-5253-1111 内線2453,2444|                └――――――――――――――――――――――┘