04/09/21 第11回障害者雇用分科会議事録          第11回 労働政策審議会障害者雇用分科会 議事録 1 日時   平成16年9月21日(火) 10:00〜12:00 2 場所   経済産業省別館1020号会議室(10階)   東京都千代田区霞が関1−3−1 経済産業省別館内 3 出席者 ○ 委員 (公益 代表)諏訪会長、佐藤(徳)委員、都村委員、寺山委員、松矢委員、        村田委員、渡辺委員 (労働者代表)中村委員、池田委員代理(吉原氏)、添田委員代理(長谷川氏) (使用者代表)西嶋委員、畠山委員、輪島委員 (障害者代表)笹川委員、舘委員、藤原委員 ○ 事務局   青木職業安定局長、金子高齢・障害者雇用対策部長、宮川企画課長、   土屋障害者雇用対策課長、今井障害者雇用対策課調査官 4 議題  (1) 障害者雇用をめぐる現状と課題について  (2) 検討項目及びスケジュールについて  (3) 精神障害者の雇用支援策の充実について 5 配付資料  資料1 障害者雇用をめぐる現状  資料2 「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」(抄)  資料3 障害者基本法の一部改正に係る附帯決議等  資料4 「障害者雇用問題研究会」報告書  資料5 「精神障害者の雇用の促進等に関する研究会」報告書  資料6 「障害者の在宅就業に関する研究会」報告書  資料7 平成17年度障害者雇用施策関係予算概算要求の主要事項  資料8 検討項目(案)  資料9 今後のスケジュール(案)  資料10 精神障害者の現況  資料11 精神障害者に対する雇用支援策  資料12 関係者からのヒアリングの実施について(案)  参考資料1 障害者の就労支援に関する今後の施策の方向性  参考資料2 今後の障害保健福祉施策について  参考資料3 障害者基本計画(抄)  参考資料4 規制改革・民間開放推進3か年計画 6 議事経緯 ○障害者雇用対策課長  それでは、定刻となりましたので、第11回労働政策審議会障害者雇用分科会を開催い たしたいと存じます。  委員の皆様方にはお忙しいところご参集いただきまして誠にありがとうございます。 議事に入ります前に、分科会委員の交代のご報告などを行わせていただきたいと思いま す。これまで分科会会長をお願いしておりました保原委員が当分科会員を辞任されまし たので、その後任といたしまして諏訪委員にご就任をいただきました。また、障害者代 表の石井委員が辞任されましたので、その後任として館委員にご就任をいただきまし た。諏訪委員、館委員、よろしくお願い申し上げます。なお、事務局につきましても、 7月に異動がありましたのでご紹介申し上げます。高齢・障害者雇用対策部長の金子で ございます。企画課長の宮川でございます。私、障害者雇用対策課長の土屋でございま す。どうぞよろしくお願いいたします。  次に、保原前分科会長が辞任されたことに伴いまして、分科会長を選任することとな りますが、労働政策審議会令第6条第6項の規程に基づき、分科会長は本分科会に属す る公益を代表する労働政策審議会本審議会員の中から選出することとなります。労働政 策審議会の公益代表委員でいらっしゃいますのは本分科会におきましては諏訪委員のみ ということになっておりますので、諏訪委員に分科会長にご就任をお願いいただきたい と存じますが、いかがでしょうか。     (「異議なし。」の声)  異議がございませんようですので、分科会長に諏訪委員にご就任をいただきたいと存 じます。以後、分科会長に進行をお願いしたいと思います。諏訪分科会長よろしくお願 い申し上げます。 ○会長  諏訪でございます。保原先生におかれましては止むを得ない事情によりまして委員を 辞任されましたので、私がピンチヒッターとして代役を務めさせていただくことになり ました。大変ふつつかではございますが、皆様のご助力を得まして、できるだけいい選 択ができるように政策を形成することができますよう議論を尽くしたいと思いますの で、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、早速でございますが、本分科会におきましては、現在分科会長代理が選任 されていない状況にございます。従いまして、分科会長代理を選任させていただきたい と存じます。労働政策審議会令第6条第8項の規程に基づきますと、分科会長代理は公 益を代表する委員又は臨時委員のうちから分科会長が指名することになっておりますの で、私の方から指名させていただきます。  そこで、分科会長代理につきましては、佐藤徳太郎委員を指名させていただきます。 皆様よろしゅうございますでしょうか。     (「異議なし。」の声)  ありがとうございます。それでは、佐藤徳太郎委員に分科会長代理をお願いすること といたします。どうぞよろしくお願いいたします。     (委員の出欠状況報告)  では、議事に入ります。まず、本日は青木職業安定局長にご出席いただいております ので、一言ご挨拶をいただきたいと思います。 ○職業安定局長  ただ今ご紹介を賜りました職業安定局長の青木でございます。当審議会障害者雇用分 科会の開催に当たりまして一言ご挨拶を申し上げたいと思います。  委員の皆様方には日頃から障害者雇用施策の推進に関する貴重なご意見、ご指導を賜 りまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。障害者の雇用問題は大きな課題でござ いますけれども、実雇用率はここ数年横這い傾向ということでございまして、15年度も 1.48%と、雇用失業情勢は少し良くなってきたものの依然として厳しい状況にあります が、障害者の方々の皆様を取り巻く雇用環境も依然として厳しい環境にあると考えてお ります。ハローワークにおきましては、昨年度、3万件を超える障害者の方々の就職の 実現を図りましたが、これについても一層力を注いでいくという決意を申し上げたいと 思います。就職件数も伸びておりますけれども、意欲と力を持って雇用に就こうとする 障害者の皆さんもたくさん増えてきており、この期待に応えるのが私たちの使命である と考えております。  一方、このような中で、一昨年12月に障害者基本計画が策定されました。その中で、 雇用・就業は障害者の自立、社会参加のための重要な柱であると位置づけられており、 今年6月に策定されました政府のいわゆる「骨太方針2004」におきましても、障害者の 雇用・就業、自立を支援するため、法的整備を含め施策の充実強化を図るとうたわれて いるところでございます。また、障害者福祉施策につきましても、社会保障審議会等に おきまして、福祉施設のあり方、あるいは精神障害者の地域生活支援のあり方等につい て大幅な見直しが検討されているというふうに承知をしております。  雇用施策につきましては、一昨年来、精神障害者の雇用促進、障害者の在宅就業の推 進等につきまして、専門家の方々のご参集をいただきまして検討を重ね、それぞれの検 討成果を障害者雇用問題研究会におきましてさらに検討を加え、先月報告書を取りまと めていただきました。この報告書につきましては、後ほど事務局からご説明を申し上げ ますが、障害者雇用に関する制度の見直しを含む幅広い見地からの内容が提言されてお りまして、私ども厚生労働省といたしましては、これを具体化していくことが必要では ないかと考えておるところでございます。  今般、当分科会におきまして障害者雇用に関する制度の見直しのご検討をお願いいた したいと考えておりますが、その前提として今までの研究成果を前提に、今後の制度見 直しにつきまして、十分なご議論を賜れば幸いであると考えております。そして、当分 科会での審議成果を障害者雇用促進法の改正を含めまして、様々な新たな施策展開に役 立ててまいりたいと考えておりますので、どうか熱心・活発なご議論を賜りまして、政 策提言をいただくことを期待しておりますのでよろしくお願い申し上げます。 ○会長  ありがとうございました。それでは、議事に入りますが、本日、青木局長は他に公務 がございまして、ここでご退席いただくということでございます。  それでは、本日の議題に入ります。「障害者雇用をめぐる現状と課題について」、そ れから「検討項目及びスケジュールについて」、さらに「精神障害者の雇用支援策の充 実について」という三点の議題となっておりますが、まず議題1につきまして、事務局 から資料に基づいてご説明をお願いしたいと思います。 ○調査官  調査官の今井でございます。それでは資料に基づきましてご説明申し上げたいと思い ます。  議題の1の説明に入ります前に、本日配布しております資料につきまして、項目を簡 単にご紹介したいと思います。資料1から資料7までが議題1の関連でございます。資 料1が障害者雇用をめぐる現状ということで、雇用をめぐる統計数字等でございます。 資料の2と3は政府における基本方針、国会附帯決議等でございます。資料の4、5、 6は審議会に至るまでのこれまでの検討の積み重ねということで、研究会報告でござい ます。資料7は8月末にとりまとめました平成17年度予算概算要求でございます。資料 の8と9は議題の2の関係で、検討項目と今後のスケジュールです。資料の10、11 が議題3の精神障害者の雇用支援策の関係でございます。資料12は第2回に予定して おりますヒアリングの関係でございます。参考資料が4点ございまして、参考資料1が 障害者の就労支援に関する今後の施策の方向性、省内検討会議のとりまとめでございま す。参考資料2として、障害保健福祉施策の動向ということで社会保障審議会障害者部 会の中間的な取りまとめもつけさせていただきました。参考資料3が障害者基本計画、 参考資料4が規制改革・民間開放推進3カ年計画でございます。参考資料に関しては、 時間の都合もございますので、必要に応じて適宜引用させていただくということで、説 明は割愛させていただきたいと思っております。  それでは、障害者雇用の現状と課題ということで、資料1をご覧いただきたいと思い ます。まずは、障害者雇用に関する数字についてご説明をしたいと思います。折れ線グ ラフと棒グラフがございますが、折れ線グラフが実雇用率の年次推移で、棒グラフが雇 用率の適用対象となっている雇用障害者数です。折れ線グラフの右端を見ていただきま すと、最近の動向として、平成13年から14年にかけて非常に厳しい雇用情勢でございま して、雇用率が1.49から0.02ポイント下がりまして1.47となっておりますが、15年度に は若干持ち直して1.48となってございます。棒グラフの雇用障害者数は雇用率が適用さ れる企業における障害者数で、重度障害者についてはダブルカウントしております。実 態としてどのぐらい雇用障害者数があるかということについては、雇用実態調査という ことで従業員5人以上の規模の企業に対する調査で把握しており、下の2に、障害別に 数字を掲載してございます。身体障害者39万6千人、知的障害者6万9千人、精神障害 者5万1千人、合計51万6千人ということでございます。  次のページをめくっていただきまして、3番目として、障害者の職業紹介状況でござ います。10年度から15年度までの各年度の合計の新規求職申し込み件数、有効求職者 数、就職件数、就職率を掲載させていただいております。下の方は月次のデータになっ ておりますので、平成14年7月、8月という月次のデータは捨象して見ていただきたい のですが、特徴としては新規の求職申込件数も就職件数も増加傾向にあるということで ございます。特に就職件数に関してはここ10年、2万6千から2万8千件ぐらいの間を 横這いで推移していたところでございますが、平成15年度は32,885件ということで、前 年度が28,354件でございましたので、非常に大幅な伸びが見られます。  下の4番の棒グラフは障害者の解雇者数の推移です。平成13年度が非常に厳しく、数 字を取り始めて最大の4千人の解雇者を出しました。その後、14年度には3千人、15年 度には2千人ということで、徐々に解雇者数も少なくなってきているところでございま す。  以上をまとめますと、雇用環境は非常に厳しく、実雇用率も1.48と法定雇用率との間 に未だ乖離がございますが、就職件数が伸びるなど一定の改善傾向は見られるというと ころであろうかと思います。  3枚目は参考として、身体障害者・児、知的障害者・児、それから精神疾患患者数と いうことで、全体の数字を掲載しております。  次に資料2でございます。先ほどの局長の挨拶にもありましたが、障害者の雇用・就 業施策は政府全体の主要施策としても位置づけられております。「経済財政運営と構造 改革に関する方針2004」(骨太方針)がございまして、「障害者の雇用・就業、自立を支 援するため、在宅就労や地域における就労の支援、精神障害者の雇用促進、地域生活支 援のためのハード・ソフトを含めた基盤整備等の施策について法的整備を含め充実強化 を図る。」とされております。  資料3をご覧ください。立法府からも障害者の雇用・就業施策について充実強化の要 請がなされております。一番は、障害者基本法の一部改正に係るもので、今年の6月で ございますが、参議院の附帯決議がなされております。これも「骨太方針」とほぼ同様 の形で、「法的整備を含め充実強化を図ること」とされております。二番と三番は、既 にこの分科会でもご紹介申し上げたところでございますが、平成14年の障害者雇用促進 法改正の際の衆参両院の附帯決議でございます。精神障害者の雇用率制度について、課 題を早期に解決し、実施されるよう努めることとされております。  次に資料4をご覧いただきたいと思います。この分科会にお諮りをする前段階として の議論の積み重ねということで、今年の6月から8月にかけて「障害者雇用問題研究会 」を開催いたしました。そして、障害者雇用・就業に関する当面の課題について、具体 的な制度改正のあり方を含めて検討を行い、取りまとめをいただいたところでございま す。この研究会のご提言は大きく三つの柱からなっております。後ほど議題の2の方で お示しいたしますが、この分科会での検討項目案もこの三つの柱立ての整理にほぼ沿っ たものになっております。障害者雇用問題研究会の前に、精神障害者の雇用率問題、障 害者の在宅就業の関係について2年間ほどの研究会を開催しておりますので、そちらの 方を先にご紹介したいと思います。  資料5が「精神障害者の雇用の促進等に関する研究会」報告書でございます。精神障 害者の雇用促進に関しましては、先ほどの附帯決議等でも指摘を受けていたところでご ざいます。平成14年7月に研究会を開催し、15回にわたり、実態調査やヒアリングを行 い、これを踏まえて検討を積み重ねていただきました。この資料の最後に委員の顔ぶれ が出ておりますが、高橋清久国立精神・神経センター名誉総長をはじめ医療関係者、当 事者、家族団体、それから労使関係者、就労支援の専門家など、学識経験を有する19名 の方にご検討いただき、ご報告を取りまとめていただいております。  障害者の在宅就業の関係につきましては、資料の6にございます「障害者の在宅就業 に関する研究会」を、平成14年8月から開催いたしましてご議論をいただきました。資 料6の最後に委員名簿がございますが、諏訪先生に座長をしていただきまして、当事者 団体、企業、在宅就業支援団体、学識経験者といった方にご検討をいただきまして、報 告書を取りまとめていただいております。  そうした議論の積み重ねを元に、資料の4に戻りますが、障害者雇用問題研究会報告 書を取りまとめていただいたわけです。研究会メンバーですが、これも資料4の最後の ページをご覧いただきたいと思います。諏訪先生に座長をお願いいたしまして、労働法 制、医療や就労支援関係者、それから労使、学識経験者の方々からなっておりまして、 主に制度論を中心にご検討をいただきました。研究会報告書の概要は資料4の一枚目と 二枚目でございまして、これに基づいて概略をご説明申し上げます。  先ほど申し上げましたように、大きな柱立てとして三点ございます。(1)精神障害者 の雇用率の適用と雇用支援策の充実、(2)在宅就業と多様な就業形態に対する支援策、 (3)地域における協働による障害者雇用の支援、ということでございます。  まず、一つ目に「精神障害者の雇用率の適用と雇用支援策の充実」についてご提言い ただいております。雇用率の適用につきましては、「精神障害者についても、将来的に は、雇用義務制度の対象とすることが考えられるが、現段階では、精神障害者を実雇用 率に算定すること等により、採用後精神障害者を含め、精神障害者を雇用している事業 主の努力を評価する制度を整備することが適当である。」というご提言をいただきまし た。具体的には、現行の法定雇用率をそのままに、精神障害者保健福祉手帳の所持者に 対して雇用率を適用する、ただ、それに当たっては、解決すべき課題として、「プライ バシーに配慮した対象者の把握・確認のあり方について、企業にとって参考になるもの を示す」こと等のご指摘をいただいております。また、併せて雇用支援策の充実も重要 であるということで、「在職精神障害者に対する支援」、それから「新規雇用に対する 支援」という二点についてご指摘いただいております。在職精神障害者に対する支援に 関しましては、特に精神障害者の職場復帰支援事業をさらに発展させるということにつ いてご提言をいただくなど、休職者の復職支援について充実強化を図るべきというご指 摘をいただいております。新規雇用に対する支援に関しましては、実際の企業で働く経 験を持つ機会を提供するということで、委託訓練の活用ですとか、障害者試行雇用事 業、いわゆるトライアル雇用の充実に努める必要があるということ、それから週20時間 労働から雇用率を0.5カウントで適用していく等の短時間労働の支援策の充実について ご提言をいただいております。  柱の二つ目として、次のページですが、(2)在宅就業と多様な就業形態に対する支援 策でございます。まず、(1)在宅就業に対する支援策については、先ほど資料6でご紹 介しました「障害者の在宅就業に関する研究会」では、企業が障害者に仕事を発注した 場合に、障害者雇用促進法上何らかのインセンティブを与えるべきということで、この (1)のアのA、B、Cとある三つの理論的な選択肢をお示しいただきました。そして、 「障害者雇用問題研究会」において、そのうちBの案が適当であると考えられる、すな わち、企業が在宅就業障害者に仕事を発注した場合に、雇用率未達成企業が支払うべき 納付金を減額したり、雇用率達成企業等が受け取る調整金・報奨金に加算を行うのが適 当であるということでご提言をいただきました。それから、在宅就業支援団体の育成に ついても重要であるということで、法律上位置付けることでありますとか、全国各地で これを育成していくことの必要性についてご提言をいただいております。また、在宅勤 務については、在宅であっても雇用支援策を第一に進めるべきであるとの認識の下、在 宅勤務の環境整備のために支援を行う必要があるというご提言もいただいております。  (2)の短時間労働と雇用率についても、多様な就業形態ということで問題提起をいた だいております。重度以外の身体障害者、知的障害者の短時間労働については、現在雇 用率は適用になっておりませんが、これも法定雇用率に算定することも考えられるとい う問題提起をいただいております。  柱の三つ目の(3)は、地域における協働による障害者雇用の支援ということでござい ます。(1)関係機関の連携による福祉施設から雇用への移行の促進、ということで、こ れはいわゆる授産施設や作業所の福祉的な就労から雇用への移行の促進ということでご ざいます。ご提言いただいておりますのは、雇用施策として行うべきことについてとい うことで、ハローワークが事務局役となって、福祉施設、地域障害者職業センター等の 関係者からなる就業支援のためのチームをつくって、一人ひとりを評価して支援のため のプログラムをつくり、就業支援のいろいろなサービスメニューを組み合わせて、就労 に結び付け、就職後もフォローアップを行っていくという内容でございます。これにつ きましては、福祉施策と一体となって全体として福祉的就労から企業での雇用を進めて いく必要があるということでございまして、福祉施策も含めた全体の見取り図として、 参考資料の1をご覧いただきたいと思います。参考資料の1は「障害者の就労支援に関 する省内検討会議」の報告でございます。障害者の就労支援について、福祉部局と雇用 部局が一体となって省内で春から検討した結果でございます。障害者の地域生活を支え る上で就労支援は重要な柱であるという認識の下、「福祉部門と雇用部門の連続性を確 保し、福祉部門から一般就労への移行を円滑に行えるようにするとともに、障害者が自 らの職業生活を設計・選択、キャリア形成を図ること」ができるようにするというもの でございます。そして、特に授産施設、作業所の施設体系の見直しというのが非常に大 きな柱になっておりまして、この資料の4ページをご覧いただきたいと思います。現 在、授産施設から一般就労への移行率は1%程度ということでございまして、学校を出 てから授産施設に行くか、あるいは就職をするかということについて、学校を出てから の進路選択によってその方の行く末が決まってしまうというようなことが言われており ます。働く意欲と能力のある方については一般就労に移行していただくということで、 現在ございます授産施設等の施設体系を機能別に三つに分けるという考え方がございま す。日中活動の場としてのデイアクティビティタイプ、それから就労に移行することを 支援する訓練の場としての施設、支援を受けながらの継続的な就労としての継続的就労 タイプという三つの施設機能に分化した形で施設体系の見直しというものも検討してい るわけでございます。障害保健福祉施策の関係につきましては、この他にもケアマネジ メント体制の制度化ですとか、何より支援費制度と介護保険の関わりなど制度改正にか かわる検討事項がございます。  先ほどの資料4に戻っていただきまして、最後に(3)(2)として「工業団地等におけ る障害者雇用の推進」についてご提言をいただいております。個別の企業ではなかなか 一人分の雇用に結びつかなくても、仕事を出し合うことによって雇用に結び付けていく というアイディアについて、こういうことも奨励していくべきというご提言もいただい ております。  以上がこの分科会にお諮りする土台となります障害者雇用問題研究会の報告書の概要 でございます。  続きまして、資料5と6は飛ばさせていただきまして、資料7でございます。平成17 年度に向けての概算要求については8月に取りまとめをいたしましたが、障害者雇用施 策関係予算についてご説明をいたしたいと思います。ここには、今申し上げました三つ の柱の関係と、能力開発関係の予算も含まれております。「I 精神障害者に対する雇 用対策の強化」につきましては、本日の議題3で詳しくご説明申し上げたいと思います ので、2ページの「II 多様な就業形態による障害者の就業機会の拡大」からお話しし たいと思います。1番目、ITを活用した重度障害者の就労への支援については、先ほど の障害者雇用問題研究会報告書においても在宅就業支援団体を全国各地で育成していく べきというご指摘をいただいております。私どもでは従来より重度障害者在宅就業推進 事業ということで、全国9カ所の支援団体を指定して事業をお願いしてきているところ ですが、障害保健福祉部において在宅就業を支援する事業者に対して新たに補助事業を 創設するということを検討しており、こうした新しい支援事業者に対して、私どもも既 存の9団体が技術的な面から指導するというような予算要求をしております。  2番目の障害者試行雇用事業、いわゆるトライアル雇用については、各方面からご好 評をいただいており、概算要求では現状の4,200人から2,000人増の6,200人の対象人員 増を要求してございます。3番目のジョブコーチ事業については、精神障害者の支援を 念頭に対象人員の増を図っております。四番目の発達障害に関しましては、議員立法等 の動きがある中で、私どもとしては来年度、雇用促進のためのマニュアルの開発の予算 を要求しております。  それから「III 雇用と福祉の連携による障害者対策の推進」ということについては、 一番として、地域における福祉的就労から一般就労への移行の促進ということで、先ほ どご紹介しました研究会でのご提言を受け、ハローワークが事務局役となってチームを つくって一般雇用に結び付けていく、あるいは福祉施設に対して研修を行ったり、企業 の方にお願いをして指導・助言に当たっていただくという内容の予算でございます。二 番目の障害者就業・生活支援センター事業については、来年度は現状の80カ所から120 カ所へと、40カ所のカ所数増を要求しております。  IVは能力開発に関してでございます。職業能力開発局におきましては、今年度から障 害者の能力開発校が設置されていない地域において一般の訓練校に障害者のためのコー スを設置するという取組みをしており、来年度は実施県を15県増やして30県にするとい う要求をしております。二番目として、多様なニーズに対応した委託訓練の拡充とあり ますが、今年度から特例子会社や重度障害者多数雇用事業所あるいは福祉施設等に訓練 を委託して、3ヶ月間の訓練を行うもので、対象者数について増要求をしております。 その他、ITスキルの付与ですとか、能力開発プランの策定の委員会経費等を要求してい るところでございます。概算要求についての説明は以上です。議題1に関する関連資料 の説明は以上でございます。 ○会長  どうもご苦労様でした。それでは、ただ今の事務局のご説明について、ご質問、ご意 見等がありましたらご自由にお出しください。 ○輪島委員  少しお伺いしたい点を申し上げます。まず、参考資料1の省内検討会議の件です。こ れは省内で一緒にやってきているわけだから障害者雇用対策という視点から、施設の機 能分化という点について、障害者雇用対策の面からみるとどういうふうに今後フォロー していくのかということです。これはこの分科会での今後の法改正の議論につながって いくのだと思いますので、その目標設定をどうするのかということに少し関心を持って いるところです。  それから二点目は、資料7の概算要求のトライアル雇用について6,200人に増やして いただき、着実に実施をしていただきたいと思っているところです。なお数としては少 し足りないのかなと思っております。企業の方としましても、この制度は大変有益だと 思っております。それはお互いのお見合いの場、働く方も雇用する方も双方で、仕事の 中身とか職場の雰囲気を確認できるということですので、その点からすると、6,200人 とは別の新たなやり方というようなものが必要なのではないか、予算の枠以外のやり方 というようなものも少しご検討いただきたいと思っているところです。  それから三点目は、委託訓練についてです。これも大変意欲的なことで予算を付けて いただいて本年度から始まっており、もうそろそろ半年経つわけですが、まだ現場では 定着してきていないということがあるようです。数はようやく出始めましたけれども、 まだまだ情報がうまく行きわたっていなくて、実際にやりたいという人と実施する方と のミスコミュニケーションが多いようです。これは能力開発局の方なのかもしれません が、しっかりやっていただきたいと思っているところです。以上です。 ○会長  それでは今の三点について、雇用対策課長どうぞ。 ○障害者雇用対策課長  それでは、今の三点について、私の方から答えさせていただきたいと思います。まず 第一点目の、福祉と雇用の連携の中で、特に雇用の場に出してくる目標設定というお話 でございますが、先ほどの説明の中で申し上げましたように、私どもで承知している数 字では、現在、授産施設から雇用の方に結びついている方というのは年間1%に過ぎな いという非常にわずかな数字になっております。そういった現状を少しでもといいます か、大幅に変えていけるようにということで、福祉部局の方では施設体系の見直し、私 どもの方の予算要求としては、先ほど申し上げましたように、ハローワークに事務局を 置いてのチームづくりというのを中心とした事業を組んでいるところでございます。こ の1%という数字はわずかだということを考えますと、それを少しでも多くしていくこ とが、この事業の最大の眼目になろうかと思います。その具体的な数字の設定といいま すか、目標については、これから福祉施設体系の見直しが議論されていく、それから私 どもの予算要求の査定もあるというような状況の中で、そういったものを見極めなが ら、また、皆様にもご議論をいただき、少しでも大きな目標を掲げることができればと 思っております。  それから、トライアル雇用ですが、これは企業に対して障害者雇用のきっかけをつく っていただくという趣旨でやっている事業です。そういう意味で、まだ障害者を雇った ことのないような企業を主なターゲットとして、予算上も一般会計の中でこの事業をや らせていただいております。先ほど申し上げましたように、事業そのものも非常に好評 でたくさん使っていただいていて、なおかつ8割ぐらい常用雇用に繋がっています。そ の意味でも、非常に有意義な事業だろうと思いまして、今回も一般会計の予算は非常に 厳しい折ではございますが、大幅な増額の要求をしているところでございます。今、輪 島委員からお話がございました、そういった予算の枠にとらわれない新しいトライアル のやり方、例えば、既に雇用経験のあるようなところでこういうような取組みができな いのかどうかというような点につきましては、私どももそういったお話を踏まえて検討 しております。この問題についても、この場でも熱心なご議論をいただければ大変あり がたいと思っているところです。  それから、委託訓練についてはお話があったとおり、なかなか現場で浸透していない といいますか、まだ緒に付いたばかりという状況だと伺っております。先日、全国の労 働局職業安定部長会議がございましたので、それを契機といたしまして、私どもの局と 職業能力開発局と連名で、労働局と都道府県に宛てて、この制度のより一層の活用を図 るための連携を密にするようにという指示を流し、また、その会議の場で、私からもそ ういった指示を各部長にしたところです。これをきっかけとして、現場での取組みが進 めばと思っておりますので、それぞれの立場からもご支援をいただければ大変ありがた いと思っております。 ○輪島委員  納付金のことですが、雇用が足りないと月5万円払うことになっており、1年は12ヶ 月ですから60万円ということになるわけです。伺ったところによると、納付金の会計と いうのは大体180億から240億という金額が毎年プールされるわけです。60万円で割る と、301人以上の企業は何人不足しているかというと、単年度では3万人から4万人足 りないということだと思うのです。職業安定所に求人・求職登録をしている方が約15万 人ですから、15万人の方がマッチングすれば、それは十分雇用率が達成できる数字だと 思うのですが、何となく見ていて、体感的な話ですが、安定所にご登録の方の1割ぐら いが即戦力になる、明日からすぐにでも働けるという方はそれぐらいだと思います。そ うすると、残りの15,000人から25,000人はどこからか人材を出してきていただかない と、1.8%をクリアするのは難しいと思っております。その数値目標は15,000人から 25,000人になるのではないかと思いますので、できれば障害者雇用の方からは、マンパ ワーの供給というような意味合い、人材の供給ということを意識したメッセージが必要 かなと思っているところです。以上です。 ○会長  他にご質問、ご意見はいかがでしょうか。 ○笹川委員  雇用率がアップしてきたということは我々としては大変喜ぶべきことですけれども、 特に15年度において3万人以上が雇用されたということですが、できましたら、その中 身をもう少し詳しく、例えば障害種別ですとか、等級別というような資料があったら、 示していただきたいと思います。ただ数だけで提示されても内容が全然把握できません ので、よろしくお願いします。  それから、概算要求の中で、多様な形態による障害者の就業というところで、ITを活 用したというところがございます。在宅就労という点では、我々は大変関心を持ってい るわけですが、ITだけに限定するということなのでしょうか。IT以外にも在宅就労の可 能性のあるものはいくらもあると思うのです。あえてこのITに限定するという理由は何 かあるのでしょうか。以上、二点お尋ねいたします。 ○調査官  一点目の就職件数の内訳ですが、32,885件のうち身体障害者が22,000件です。それか ら、知的障害者が8,249件、精神障害者が2,493件ということでございます。どの障害種 別も前年度と比べて伸びており、特に最近の傾向としては、精神障害者の伸びが大きい わけですが、どの障害種別も全体で32,885件、16%増ということで伸びております。  在宅就業の対象の範囲については、障害者雇用問題研究会においても検討が行われま した。在宅就業が注目されるきっかけというのは、ITを活用した在宅の就業形態という ものが障害者の就業機会の拡大に資するのではないかという背景があったわけですが、 対象業務につきましては、ITが主たるものではあるけれども、他のものも考えられるの ではないかというようなご議論も確かにございまして、この点につきましては、また個 別の議題の中でご審議をいただくことになろうかと考えております。 ○笹川委員  その身体障害者の中にも種別があるわけですけれども、その種別での数字というのは 出ているのでしょうか。視覚、聴覚、肢体というような形での数字です。 ○調査官  障害種別では、身体障害者、知的障害者、精神障害者で、身体障害者、知的障害者の うち重度という形で業務統計を取っておりますが、その内訳については今は分かりませ ん。 ○笹川委員  障害種別が出ていませんと、例えば、その2万人の身体障害者の中で、視覚障害者が 何人雇用されたかという実態が全く把握できないのですね。私はいつもこの会議で、そ の障害種別、等級別ということを言うのですけれども、それを出すことは不可能なんで しょうか。 ○調査官  さらに細かい区分につきましては確認をいたしまして、お示しできるものであれば、 次回ご提示をいたしたいと思います。 ○会長  それでは、渡辺委員から先ほど手が挙がっておりましたので、お願いします。 ○渡辺委員  少し教えていただきたいのですが、障害者の就労支援の今後の施策の中で、福祉部門 から一般就労への移行というのは、これは非常に重要な課題で、私も前から関心があり ましたので、是非この方向を促進していただきたいと思います。その時に、先ほどのマ ンパワー、能力開発のこともちょっと絡めて考えますと、参考資料1の4ページの現行 のところで、盲・ろう・養護学校の高等部の卒業生の進路の話が出ておりますが、確か に福祉から一般就労へということもとても重要な緊急課題ですけれども、さらに進めて いくと、これは教育からという部分も同時に考えておかないと、どうも今の養護学校の 中での職業指導、ここに、まさにキャリア形成を図るとありますけれども、その部分が ちょっとまだ不十分なような気がするのです。その辺りの議論はいただいたのかどうな のか、ちょっと教えていただけたらと思います。 ○障害者雇用対策課長  その辺りのご指摘の点も大変重要なことだと私どもも思っております。この省内検討 会議そのものは福祉施設の体系の見直しということを中心に議論をしたと承知しており ますので、この中で今お話があった点が議論されたかどうかは、今ちょっと手元に資料 がございません。ただ、一番直近の数字で、養護学校からの就職率が2割を切ったとい うふうに承知をしております。これは非常に深刻な状況だと思っておりまして、今、既 存のいろいろな取組みの中でも、養護学校とハローワークの連携の中で、職業実習とか 職業講習的なものを積極的にやっていくという取組みをしております。それを一層強化 して、なるべく健常者の方と同じように、学卒の段階から社会に出るきっかけをつかん でいただくということに重点を置きながら取り組んでいきたいと思っております。その 点につきましても、この場でご議論をいただければ大変ありがたいと思います。 ○藤原委員  渡辺委員のご発言に関して、私は親の立場なのですが、非常に残念なことなのです が、福祉施策が充実しまして、親の方が労働よりも福祉の方を願って、一生そちらにい たいというような事例があります。学校の先生も、就業よりも福祉の方へということが あります。私自身は働き甲斐と生き甲斐はイコールだと思うのですが、私たちの仲間う ちで話をしますと、すぐに働き甲斐よりも生き甲斐論が出てきまして、福祉の方に行く ということです。働くには旬があり、新卒ないしは福祉施設に行きましても3年以内、 せいぜい大学と同じ4年、僕は22歳までだと思っています。22歳までに企業就労の方に 入らなかったら、福祉施設で安定してしまう。福祉施設では1時間立ったらその後座っ たりとか、いろいろな配慮があり、知的障害者の単純労働で長時間の立ち仕事というの は難しくなります。それぐらいの時にやらなかったら、もう一生、なかなか一般企業に 入れないと思います。本当に渡辺委員の言われたように、学齢期に学校の先生と保護 者、本人、この三者に対して、自立ということをテーマにしたような子育て・教育シス テムができなかったら、なかなか企業就労にいけないのではないか、そんなふうに思い ます。 ○西嶋委員  同じ件なのですが、いま中教審の方で、特別支援教育の特別委員会が開かれていま す。藤原委員も私もそこに出ているのですが、ちょうどそこの委員会で提案をまとめよ うとしていますので、是非、厚生労働省として文部科学省の方にそういうニーズがある という働きかけをしていただきたいと思います。必要なデータ等を出していただいて、 やはり、就業に向けての問題点というのを出していただくのにはとてもいいチャンスだ と思いますので、是非お願いいたします。 ○館委員  ちょっと細かいことなのですが、省内検討会議の中で精神障害者社会適応訓練事業の 見直しというのがあります。精神障害者の就業支援策というのは、かつてはこの「社適 」というのがあって、いわゆる職親制度、それが中心的存在でした。旧労働省のいろい ろな施策が出てくる中で、だんだん陰に隠れてきておりますけれども、まだ実態的には 私は非常に影響を持っている事業だと思っておりますし、大体2割ぐらいの人がそれを 経由して一般就労しているという事実もございます。やはり、どうしても旧厚生省と旧 労働省の縦割りの中で、精神障害者の方々の就労支援というのがうまく整理されていな くて、まだ二本立てになっているということがあります。いろんなスキームが書いてあ りますけれども、その中に「社適」を取り入れるなど、何かそういう形で、今後精神障 害者の雇用促進ということが大きくクローズアップされてくるわけですので、もっと積 極的にそのようにしていただけないかなというのが一つお願いです。所管が違いますの で、障対課さんと精神保健福祉課さんの方でいろいろ話をしていただいて、場合によっ ては、こういうような会議の中で検討していただくということも必要かなと思います。  それからもう一つ、概算要求について、当事者団体と連携した障害者の職業自立等啓 発事業の実施ということですが、今年度、精神障害者の職業自立啓発事業を9月16、17 日に幕張で行いました。お陰様ですごく盛況だったのですが、啓発事業はとても大事だ と思います。ご本人・家族はもちろんのこと、事業所の方々に対する啓発事業というの はとても大事でございます。今年度200万予算が減っておりまして、いろいろお願いし たところが、また来年度はアップしてくださると早速反応していただきまして、心より 御礼申し上げます。以上です。 ○松矢委員  教育との関連も出ておりますので、私は学校教育の進路指導の関係で現場の先生方と 一緒に仕事をしており、第1回ですので、教育・福祉・労働の連携ということについて 少し考え方を述べさせていただきます。ほぼ毎年、養護学校、知的障害養護学校の高等 部の生徒が通所しておりまして、やってきておりますが、盲・ろう・養護学校全部で 12,000人から13,000人ぐらいの生徒が毎年卒業していると思います。ここに書かれて いるように、毎年その2割、あるいは地域によっては3割が企業就労ということなので すが、私たちの進路支援という観点でいきますと、自分の卒業後の進路がちゃんと保障 される、つまり、在宅状態に戻ってしまうようなことが絶対にあってはいけないという 考え方を持っているわけです。ここのところ、地方公共団体の財政がかなり厳しいの で、卒業後の進路がないという状況も生まれてきています。ですから、私たちは教育・ 福祉・労働の連携について、そういうことがあってはならないように求めているわけで す。福祉から企業への移行という点についても、卒業生の進路が本人の主体的な卒業後 の生き方に基づいて選択できるような状況が、経済不況という状況にあっても可能なよ うにあるべきだという、そういう原則で我々は努力しなければいけないと考えておりま す。  そういう中で、文部科学省の方では平成8年から就業促進の研究で、各都道府県でネ ットワークをつくり、学校から企業就労へというようなことを奨励する研究も進んでき ております。そして、今、中教審でも西嶋委員がご指摘のように議論が進んでいまし て、そこでは個別の教育支援計画ということで、就学前から卒業後までの個別支援のプ ログラムを組んでいくということがあります。企業就労も非常に重要なターゲットにな って研究が進められていくということがあります。  そこで、厚生労働省の中では障害福祉部門とこの雇用対策課の二つがあるわけですけ れども、そこの選択をできるようきちっと連携していただきたいというのが、私たちの 進路の支援の観点なのです。そのように考えますと、今日資料が出ております施設体系 の見直しですが、理論的にみればこの三つのタイプが出てくるのですが、移行型のタイ プ、移行支援タイプの施設というのは、成功しているのは、人的な配置をきちんとして いるところなんです。95%以上の企業就職ということで、例えば、東京における世田谷 区立の「スキップ」などがそうでありますが、授産施設ですが、就労支援の人的配置を しっかりしていて、そういうことがやはり実績が上がっていくということであります。 ですから、この点は障害福祉の部門で議論されていくのだろうと思いますが、やはりタ イプ分けをする場合は、マンパワーの配置というのが非常に大きいので、そのことをお 願いしたいということであります。  それから雇用対策の方では、今回の概算要求で知的障害者等の能力開発校のコースを つくっていくのを15県から30県とありまして、これは大歓迎であります。その場合、能 力開発校の整備ということと移行型の整備というのはきちっと関連を持っていかなけれ ばいけないだろうと思います。能力開発校の多くは1年の訓練課程です。一方この移行 型というのは、さっき言いました世田谷区立の「スキップ」でいきますと、3年の移行 なのです。3年の方がより就業と生活を一体化した能力開発になっておりますので、職 業訓練校における能力開発と、こういう福祉体系における能力開発というのは、それを 利用する人の実態に応じて選択できるようになっていかないといけないわけです。そう いう関連をもって雇用対策課と障害福祉課の施策がきちっといかなければいけないと思 っております。移行は今1.1%ですけれども、この「スキップ」等でも実績が上がって いくというのは、トライアル雇用というような新しいシステムができてきて非常に効果 を発揮するわけですから、そういう全体的な移行に必要な条件整備とか基盤整備はどう なのかということを、雇用対策課だけではなくて厚生労働省の中でしっかり考えて、議 論していけるようにしていただきたいと考えます。以上です。 ○藤原委員  二点申し上げます。今の松矢委員のご発言に関連しまして、福祉の方で話しておりま すと、この三タイプは人間を能力で分けるということで差別であるというような議論が 出るということを知っていただきたいということです。福祉の方では重度の方が人が要 るという意見もあったりしまして、私はどちらかというと、大人は働くと思っています から、そちらの方で取り上げていますが、福祉の多くは、今松矢先生が言われたような ことがなかなか進みにくいということが一つあります。  もう一つ、雇用率については精神障害者の方を入れても上げないというような感じの お話が事務局からありましたが、前回、知的障害者を入れた時には0.6から0.8になった と思うのです。今も乖離がありますので、それでいいかなと思うのですが、在職の精神 障害者の方を入れると、すぐに1.8になるのではないかと思いますので、本来的には精 神障害の方を入れたら経済界の方からはきついというご意見も出るかもしれませんが、 理論的にはやはり0.1でも本当は増やすべきではないかと考えます。以上です。 ○畠山委員  二点ございまして、一つは先ほどの養護学校からの卒業生についてなのですが、この 頃よく耳にしますのは、養護学校の校長先生の評価ということからいきますと、一般就 労に何人行ったかという数字で評価される傾向がだいぶ出てきているようだと言われて います。ところが実際には、その後退職してしまう生徒さんが非常に多いとも言われて います。ですから、単に一般企業に就労させるということだけが目標のようになってし まいますと、本当の意味で定着しないんですね。それでは全く意味がありませんので、 やはり学校における教育で、仕事に就くための心構えをきちんと教えるとか、そういう ことができる先生方をきちんと配置していくということがないと、数字だけが一人歩き して、中身がないということになりかねないというところを私は非常に心配していま す。  もう一つは、先ほど、最初の方で出ておりましたトライアル雇用の件で、土屋課長が おっしゃっていましたが、従来は障害のある人の雇用経験がないところを優先というこ とで、事実そのようにされてきたと思うのですが、ハローワークを個別にみると、その 時期によって多少まだ予算に余裕があるという時に、雇用経験のあるところにもトライ アルを認めてきたということも実際にあり、その結果めでたく採用されている人も多い わけです。ですから、これからは、経験のないところということはあまり強調すること なく、精神障害者もこれから取り上げていく時代になってきますし、雇用経験があると いいましても、障害の種類、程度によって、そのような人の経験は実はないというケー スもあるわけですので、雇用経験のないところを優先ということにはこだわらない運用 を是非お願いしたいと思います。以上でございます。 ○会長  それでは、以上をまとめて障対課長お願いします。 ○障害者雇用対策課長  様々なご意見をいただきましたので、私どもとしても受け止めて、特に教育との連携 についても十分に重視をしてまいりたいと思っております。ただ、一点だけ、藤原委員 からお話がございました今回のテーマにしていただこうと思っておりますところの精神 障害者への雇用率の適用の問題でございます。先ほど簡単にご説明申し上げたかと思う のですが、この研究会の報告書の中では、当面は企業に雇用を促進していただくという 観点から実雇用率にカウントをするという、今の知的・身体の雇用にみなす形で実雇用 率を計算する時には算入をしていただくということでどうかという提言をいただいてい るところでございます。その前提に立ちますと、今の1.8という法定雇用率を変更する 必要はないというご説明を申し上げたかと思っております。知的障害者についても、こ れまでの経緯を踏まえますと、やはり同じように実雇用率カウントをして、その後、平 成10年の改正で法定雇用率、つまり雇用義務の中に入れるという改正を行った際に、 1.6%を1.8%にということで、法定雇用率自体を見直したという経緯がございます。 その意味では、精神障害者の場合にも、仮に雇用義務化というようなことになります と、そこの数字が動く可能性があるといいますか、必ず動くだろうということになろう かと思います。ただ、いずれにいたしましても、雇用率の適用につきましては、この障 害者雇用促進法の法改正に及ぶような制度の見直しに係る事項でございますので、先般 の研究会の報告書を踏まえつつ、この場でまた制度論につきまして、一からご議論をい ただければありがたいと思っているところでございます。どうぞよろしくお願いいたし ます。 ○会長  それでは、まだいろいろご質問、ご意見等あろうかと思います。第1回なので当然だ ろうと思うのですが、議題があと二つ残っておりますので、ここで次の議題の方に進ま せていただきます。  議題の2は、検討項目及びスケジュールについてでございます。事務局から資料8と 資料9が配布されておりますので、これらについてご説明をお願いしたいと思います。 ○障害者雇用対策課長  それでは資料8と9に基づきまして、今般の分科会でご議論いただく検討項目等につ いてご説明をさせていただきたいと思います。まず資料の8でございますが、当分科会 における検討項目の案ということで、事務局としての整理を提示させていただいている ところでございます。冒頭の局長からのご挨拶でも申し上げましたように、一つは、先 ほど資料2でご覧いただきましたように、政府部内でも、いわゆる「骨太方針」の中で 一定の方向性が示されているということを踏まえまして、また、資料4でご覧いただき ましたように、先般の障害者雇用問題研究会の報告書の中でも様々な制度見直しにわた る事項が整理をされ、提言をされているところでございますので、こういったことを踏 まえて、今般事務局としてこの場でご議論いただければと思っている事項を列挙させて いただきましたのが資料8でございます。  順番に簡単にご紹介申し上げますと、まず一つ目の柱として、精神障害者に対する雇 用対策の強化ということで、内容的には二つのものを掲げております。まず一つ目は、 精神障害者への雇用率の適用についてでございます。これは先ほど藤原委員からもご指 摘のあった件に関わるわけでございますが、精神障害者は現在、雇用義務ないし雇用率 の対象になっておりません。そこで、今後どのように対応していくかということにつき まして、適用の仕組み、それから対象者の把握・確認方法などにつきましてご議論いた だければということでございます。併せまして、雇用率の適用、雇用促進ということに つきましては、当然そういった制度的な対応だけではなくて、雇用支援策の充実が必要 であろうということで、これが二番目でございます。精神障害者の場合、在職中にこう いった状態になるということも多々ございまして、そういう意味での復職支援の問題、 それから、新規の雇用促進の問題、それから、雇用継続に関わる支援の問題と、大きく 三つの場面が想定されるかと思いますので、そういった整理をさせていただいておりま すが、この部分につきましては、今日三つ目の議題としてご議論いただければと思って おります。  それから、二つ目の大きな柱が多様な形態による障害者の就業機会の拡大ということ で、一つ目が在宅就業に対する支援策でございまして、先般の研究会報告書にも載って おりましたような在宅就業への発注に対する奨励策をどのように考えていくか、在宅就 業を支援する団体というものについてどのように育成していくかという点でございま す。二番目としては、在宅勤務、雇用形態による在宅での働き方ということでございま すが、これに対する支援策についてもご検討いただければと思います。併せて、短時間 労働者の取扱い、特に身体、知的の重度以外の方の短時間労働者を制度的にどのように 扱っていくかという点をご議論いただければと思っております。なお、先ほど使用者側 の委員からもご指摘ございましたトライアル雇用の活用の方法につきましても、この部 分で併せてご議論いただければと思っております。  それから、三つ目の大きな柱としては、雇用と福祉の連携による障害者対策の推進と いうことで、地域における福祉的就労から雇用への移行の促進について、ということで ございますが、ここの部分で併せて先ほどご意見のございました教育分野との連携につ いてもご議論いただければと思っております。  それから、最後にその他ということで掲げておりますが、特例子会社に関する調整金 の支給方法について、ということでございます。本日の資料の一番最後に付けてござい ます参考資料4をご覧ください。規制改革・民間開放推進3カ年計画、今年の3月に閣 議決定された政府の計画でございますが、この中で、障害者雇用調整金・報奨金の授受 の方法の拡大ということで、特例子会社の制度がある場合には、親会社が受け取るとい うことではなくて、グループ内の会社の一つ、例えば特例子会社自体が直接この調整金 を受け取るというような方法について検討してはどうかという点が、規制改革要望を踏 まえまして掲げられているところでございます。この点も制度の見直しにわたる事項と いうことでございますので、この場でご議論いただければと思っている次第でございま す。  なお、以上検討項目の案をご説明申し上げましたが、これは最初に申し上げましたよ うに、事務局としての整理を掲げさせていただいたところでございますので、今般のご 議論をいただく際に、この項目も是非というお話が各委員からもあろうかと思っており ます。その点については、適宜追加をしながらご議論をいただくということでお願いで きればと思っております。  次に、資料9でございますが、今の検討項目を踏まえた検討スケジュールの案でござ います。これも事務局としてのご提案ということでございますが、既に事務局からの日 程調整で4回目までの具体的なご日程をいただいているところでございます。本日が第 1回目でございますが、第2回目の10月13日には、関係者からのヒアリングをこの分科 会において行ってはいかがかということでございます。これについては、後ほど次回の 日程をお諮りする時にご検討いただければと思っております。それから、3回目以降、 各論点についてのご議論をいただいた上で、私どもとしては年内に意見書を取りまとめ るということでご議論を深めていただければ大変ありがたいと思う次第でございます。 この意見書を踏まえて、私どもとしては、来年1月に始まります次期通常国会に障害者 雇用促進法の改正法案を提出するというような形で進めることができればと思っており まして、それに向けて年内の取りまとめをお願いできればという提案とさせていただい ているところでございます。以上でございます。 ○会長  ありがとうございました。それでは、ただ今の事務局からの説明につきまして何かご 質問、ご意見ございますでしょうか。 ○輪島委員  一点質問させていただきます。資料8の「その他」で、特例子会社に係る調整金の支 給方法ですが、これは基本的には法律改正が必要なのでしょうか。それとも、現行の中 でも変えられるのではないかと思うのですが、そこの点を伺いたいと思います。 ○障害者雇用対策課長  これは事務的にも検討しているところでございますが、委員ご指摘のように、法律改 正にまで及ばずに済むのではないかと思って検討しているところでございます。ただ、 場合によっては、法律にきちっとした規定を整備した上でないと、という結論になるか もしれません。そこはちょっと未確定な状況でございます。 ○輪島委員  ありがとうございます。意見ですが、よろしいでしょうか。二つ目のテーマになると 思いますが、多様な形態による障害者の就業機会の拡大というところに是非入れていた だきたいと思っている点がございまして、労働者派遣事業を行っている会社をどのよう にするのかということでございます。今般3月1日の改正を受けまして、業界、業態と しては大変大きくなるわけですけれども、多分派遣先の方で障害をお持ちの方を受け入 れることがないと、どうも雇用率を達成するという観点からいうと、大変難しい状況に あるのかなと思いますので、何か派遣先が障害をお持ちの方を受け入れるメリットみた いなものについて、何かアイディアがないかなと思っている次第なので、一応ご検討い ただければ大変ありがたいと思っている次第です。 ○会長  他にご質問、ご意見ございますでしょうか。 ○中村委員  この資料8の検討項目案で、いわゆる精神障害者に対する雇用対策の強化ということ がありますが、この項目は非常に重要なことだと思っていますが、もう一つ重要だと考 えているのは、やはり、障害者の再就職に関わる支援です。さきほどの資料にあったよ うに、平成13年度に解雇者数が大幅に増加して、その後いくつかの施策がとられてきた というふうに思います。全体として、学校、地域を含めて、キャリア形成も含めて個別 支援的なものをやるということの一方で、解雇された人たちが再度再就職をやっていく ということの部分の手当てについても、やはりもう少し、単に助成金の効率的活用とか そういう話だけではないような気がします。また、景気のサイクルの波が今後あると思 います。この間の解雇の出方は異常だろうというような気もしますから、先ほど輪島委 員の方からも派遣先の、使う使用者のあり方というか、責任を含めた部分のところはも う少し実態も含めてきちっと詰めて検討してみる必要があるのではないかと感じており ます。もちろん、時間との関係もありますけれども、テーマは重要だというのは分かる のですが、どうもこれだけを見ると、全体からの目配りがちょっと、分科会として検討 する際に、そういうところをきちんと押さえておく必要があるのではないかと感じま す。 ○会長  他にご質問、ご意見ございますか。 ○寺山委員  この雇用と福祉の連携による障害者対策の推進と一番上の精神障害者の問題に関わる わけですけれども、精神障害者の場合にはいわゆる医療機関ですね。入院、外来を問わ ずデイケアも含めて、医療機関に常に通っていたり、時々悪くなってまた入ったりと、 いろいろな形があります。それから、入院のいわゆる7万人を世の中に、地域支援の方 向にという傾向の中でそういう問題があります。他の、症状が安定した身体障害だとか 知的障害だとかとはまた違った問題がありまして、そういう点から、この移行の問題が あります。先ほど養護学校などの教育と雇用の連携によるということが言われましたけ れども、精神障害者の場合には、今度はヒアリングで多分高橋先生がお述べになるのか もしれませんけれども、医療機関との連携ですね。主治医の問題なんか非常にクローズ アップされておりますし、そういう面からも、医療機関も射程距離に置いて連携の対象 にして、是非ご議論をいただきたいと思います。 ○西嶋委員  検討項目についてかなりいろいろな項目があるので、含めていただけるかどうか分か らないのですけれども、以前から一つ気になっていた問題ということで提案をさせてい ただきます。雇用率の適用については、企業の統合だとか分割だとかいろいろな形での 再編成の動きがある中で、せっかく雇用を進め達成できていたのが難しくなるような状 況等も出てくるわけですね。そういうところがあまり問題にならないような形で、企業 の雇用率のグループ適用というのを考えていただきたいと思います。前にこれをお願い した時に、とりあえずは特例子会社を持っていればグループ適用ができるようにしまし ょうということで、一つの解決案は出させていただき、それで進んでいるのですが、特 例子会社を持たなくても雇用をうまく進めている企業もありますので、そういう中での 問題が起こらないように柔軟な雇用率の適用ということを、是非雇用促進という観点か らお考えいただきたいと思っています。  それからもう一つ、同じように雇用促進という観点からは、これまでちょっとないこ となのですが、この前の研究会の中に少し触れられていましたけれども、例えば地域の 工業団地のようなところで何社かが一緒になれば、一つの働く場が提供できるというよ うなことがやはり実際にあるわけですね。ですから、雇用率に反映させるかどうかは別 としても、そういう形での雇用促進ができるような、少し今までとは違った形ででも地 域で雇用が進むような形というのが、これからは必要だと思っていますので、是非そう いう支援策みたいなものもご検討いただきたいと思っています。以上です。 ○会長  それでは、ただ今いくつかご提案もございましたので、こうしたご提案も事務局で整 理していただきまして、今後の検討項目あるいは検討内容にご配慮をいただければと思 っております。  では、時間の関係もありますので、次の議題3、精神障害者の雇用支援策の充実につ いてに進ませていただきます。まず事務局から資料10及び資料11についてご説明をいた だきたいと思いますが、本日ご議論を予定しておりましたが、今日は時間の関係もござ いますから、とりあえず資料の説明をしていただき、その後少し議論をしていただい て、その先十分尽くせない部分は次回に持ち越しをさせていただこうと思っております ので、どうぞ予めこの点お含み置き願いたいと思います。では、事務局からの説明をお 願いいたします。 ○調査官  資料10をご覧ください。ここではまず現況について、資料11では雇用支援策の強化と いうことをご説明申し上げたいと思います。  資料10の障害者の現状ですが、まず精神疾患患者数でございます。疾病の大きな括り 毎に、総患者数、入院、外来、15歳から64歳という区分でお示しさせていただきまし た。総患者数は250万人でございます。一番多いのが精神分裂病、分裂病型障害及び妄 想性障害の73.4万人、それから気分障害71.1万人、次いで神経症等となっております。 この患者調査は平成14年度の調査ですが、その前の平成11年度の調査では総患者数は 202万人ですので、約50万人弱患者が増えてございます。内訳を見ますと、特に気分障 害の患者が33万人増えております。一方、働くということに関しますと、やはり外来の 中でも15歳から64歳の区分がどうかということになってくるわけですが、こちらは合計 で151万人ということで、平成11年と比べますと約35万人増えております。特に増えて いるのが気分障害の関係で、20万人ぐらい増えていて、46.4万人ということで、平成11 年は、この15歳から64歳までの区分でいきますと、気分障害は統合失調、神経症に次い で三番目に多かったわけですが、今回は一番多いという結果になっております。精神疾 患患者数全体として増えているということでございます。  二番目が精神障害者保健福祉手帳交付者数の推移でございます。平成7年の制度創設 以来普及の途上にあるということが言えようかと思いますが、一番左の端、平成15年度 の数字は312,794人で、前年度と比べまして約57,000人増え、手帳の普及がかなりの勢 いで進んでいるということが言えるかと思います。  次のページをご覧いただきますと、障害者雇用促進法における精神障害者の定義とい うことでございます。特に精神疾患と障害との関係というものを図で表してございま す。障害者とは、この第2条の第1項の定義にございますように、「身体障害、知的障 害又は精神障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当な制限を受け、又は職業生 活を営むことが著しく困難な者をいう」とされ、施行規則において、「次に掲げる者で あって、症状が安定し、就労可能な状態にあるものとする」ということで、その次に掲 げる者というのは、手帳の所持者と、それから、統合失調症、躁うつ病、てんかんにか かっている者となっております。これを図に表したものが下の図でございます。精神疾 患を有する者の中でも手帳の所持者と、それから統合失調、躁うつ、てんかんの三疾患 にかかっている者のうち、先ほどの長期にわたり職業生活に相当の制限を受け、職業生 活を営むことが著しく困難であり、かつ、症状が安定し就労が可能な状態にある者とい う括りの中にあるということで、黒く塗った部分が精神障害者ということになるわけで ございます。  資料11をご覧いただきたいと思います。雇用支援策ということで、これは就職前の段 階から就職後のフォローまでの各段階に応じた就業支援策、職業リハビリテーションの サービスを順を追って並べたものです。特に精神障害者に対しては、求職の準備段階に おける支援ということで、医療機関等あるいは福祉施設等に対して就職ガイダンスとい うことをやってございます。先ほど、寺山委員からもご指摘があったこととも関連する わけですが、そういう求職の準備段階におけるガイダンスとか支援というものも非常に 大事であるということでございます。それから、二番目に、ハローワークに求職登録を していただくわけですが、ハローワークにおいてはジョブカウンセラーでありますと か、あるいは職業相談員というものが配置されて、相談支援に当たっております。三番 目、基本的な労働習慣の体得や仕事への適性を見極めるための支援ということで、基本 的な作業持続性とか対人技能、あるいは模擬的な職場での作業支援という、準備性を身 に付ける段階と、実際に企業で働く機会を得るということで、その意味では職場実習あ るいは職場適応訓練、トライアル雇用といったような機会が設けられております。そう した過程においてはジョブコーチの支援というものも行われているところでございま す。四番目、雇い入れ以降ということで、各種の助成がございます。特に賃金助成は障 害種別と程度等に応じまして1年から1年半の間賃金助成がございますし、個別の事業 主の障害者雇用に伴う負担、例えば精神障害者の場合であれば介助者等がこれに当たる わけですが、そういう場合には、障害者雇用納付金より助成金が支給されております。 五番目の段階、特に精神障害者の場合は、病気とおつき合いをして働き続けるという点 から就職後のフォローは大変重要になってくるわけで、就職後のジョブコーチですと か、就業・生活面における一体的な支援ということで就業・生活支援センター事業とい ったものが重要になってくるわけです。また、復職支援を行うリワーク事業が今年から 六つの地域障害者職業センターで実施されておりますが、復職支援というものも充実が 求められるということでございます。能力開発のための支援も各ステージに応じて、障 害者の就業機会、能力開発の機会の提供が図られているところです。  次のページをご覧いただきたいと思います。今申し上げたような事業メニューについ て、それぞれいつから始まったかということで、棒グラフの形で示させていただきまし た。一番右の端が平成16年ということで、長いものほど昔から始まっているということ であります。黒く塗ってあるのが特に精神障害者向けの、もっぱら精神障害者を対象と した事業でございます。ぱっと見ていただきまして、特に最近、平成14年の改正前後以 降、事業メニューとしてはかなり増えてきているということが言えるかと思います。そ ういうことで、事業メニュー自体は充実してきているわけですが、先ほどご説明しまし た障害者雇用問題研究会では、特に在職精神障害者対策をはじめとする精神障害者対策 全般について、さらに充実を図る必要があるとのご提言をいただいたわけです。そこ で、私どもとしても全体として充実を図っていくということを考えておりますが、その 中でも、来年度の新規事業ということで、二つの事業について、次のぺージからご説明 を申し上げたいと思います。  一つ目は、精神障害者に対する総合的な雇用支援の実施ということです。寺山委員か らもご指摘ありましたように、精神障害者の場合は疾患を原因とする障害ということで ございまして、服薬あるいは通院を通じて常に医療機関との関わりを持ちながら働き続 ける必要があるということです。それから、日によって波があるということはよく言わ れることです。その点において、職業リハビリテーションのサービスも主治医との連 携、医療機関との連携というものが非常に大切になってきますし、また、就職後のフォ ローということも大変に大事になってくるわけでございます。そうした観点から、精神 障害者の就労の各ステージに応じて、具体的には復職支援、それから新規の雇用促進支 援、あるいは働き続ける雇用継続の支援という各段階に応じて支援策を充実強化してい かなければならないということでございます。地域障害者職業センターでは精神障害者 向けのサービスを従来から実施しているわけでございますが、さらにこれを充実してい くということでございまして、次の横長の絵を見ていただきたいと思います。  精神障害者の先ほど申し上げましたような特性を踏まえた支援、特に事業主のいろい ろな雇用管理に伴う負担感の軽減に応えていくために、やはり各段階毎に一貫して支援 を行っていく必要があるであろうということでございます。地域障害者職業センターの 中でも、この精神障害者に対する雇用支援の体制につきましては、現在予算要求の内容 として考えておりますのは、専属の主任職業カウンセラーが一貫してこれらのステージ について統括をしながら支援を進めていくということで、職業センターの中の体制も整 備をして支援をしていきたいということでございます。  具体的なステージ毎に申し上げますと、まず復職支援の段階ということで、現在リワ ーク事業ということで6センターで事業を実施しておりますが、これをさらに発展的に 強化して、リハビリ出勤でありますとか、職場の受け入れ等の体制について強力な働き かけをしていきたいと考えております。それから、雇用の継続支援という真ん中の箱と の関係でいきますと、これは職場への働きかけといいますか、事業場への巡回指導とい うことによって、早期に支援のニーズ、定着に支障が生じるようなニーズの把握に努め るとともに、ジョブコーチなども精神障害者の支援を念頭に、対象人員を概算要求の中 で増やしているということでございます。雇用促進支援については、今回ご審議をいた だいてということになりますが、仮に精神障害者について雇用率適用がされた暁には、 事業主の雇用率達成指導とも絡んで、採用計画等のコンサルティングというものも実施 をしていく、さらに雇用促進という点では、実習段階からの先ほど申し上げたようなジ ョブコーチの派遣等も含めて体制を強化していきたいと思っております。いずれの各段 階においても先ほど申し上げました医療機関、それから事業主、障害者本人、さらに生 活面ということになりますと、福祉関係者、福祉関係機関等との連携が大変に重要にな ってくるということで、職業センターの体制も強化して、充実を図りたいと考えており ます。これが精神障害者の雇用の段階に応じた体系的支援プログラムです。  なお、右の端の方で、支援技法の開発ということについても精神障害者については未 だ途上にあるということで、常に支援技法についても幕張の職業センターで開発をして いくということでございます。  新規事業の二つ目は次のページでございますが、精神障害者雇用環境整備事業の創設 でございます。先ほどの体系的支援プログラムはどちらかというと、職業リハビリテー ションの専門的なサービスということになるわけですが、事業主が精神障害者を雇用し やすくするための諸々の環境整備を図っていく必要があり、これが精神障害者の雇用に 対する理解、ノウハウの普及につながるであろうということで、五点ほど考えてござい ます。一つ目は事業主向けの相談窓口の設置ということでございます。精神障害者を抱 えて悩む企業には、外部の資源とのつながりが必要になってくるという指摘を受けてお りまして、これは地域障害者職業センターもそうですし、産業保健センターあるいは精 神保健福祉センターといったような外部の専門機関との適切な橋渡しが必要ということ で、事業主向けの相談窓口というものを事業主団体に委託して設置することを考えてお ります。それから、二つ目に、プライバシーに配慮した精神障害者の把握・確認ガイド ライン検討委員会の設置ということでございます。これは先ほども申し上げましたよう に、研究会の方で指摘を受けておりまして、法律が成立しましたら速やかに専門家から なる検討会を設けて、ガイドラインのようなものを作成するべく予算要求してございま す。三番、四番、五番は、これは障害者雇用納付金の助成金の事業でございます。職場 適応コーディネーターということにつきましては、これは復職に取り組む企業の中で は、必ずどなたかが主治医、本人、あるいは上司、産業医等との連携を図るためにいろ いろなお骨折りをいただいているわけでございまして、そうしたスタッフを配置する場 合の助成金でございます。グループ就労への支援は、これは常用雇用の移行の過程にお いて複数の精神障害者が指導員の指導の下で、常用雇用に移行するまでの過程として就 労を行うというもので、これを支援するというものでございます。さらに週15時間労働 からの支援ということで、これは平成15年度から実施しておりますが、納付金制度に基 づく助成金では週15時間労働から助成金の対象になっており、その事業をさらに充実さ せていきたいということでございます。資料の説明は以上でございます。 ○会長  どうもありがとうございました。それでは、時間が限られておりますが、ご質問、ご 意見お願いします。 ○佐藤(徳)委員  現在、高次脳機能障害モデル事業をやっているわけでございますけれども、その際 に、例えば交通事故等で頭部外傷を受けて、そしていろんな認知障害があるけれども身 体障害がないという方が結構ございます。その際に、精神保健福祉手帳を取ってもジョ ブコーチ等のサービスが実際に受けられないので大きなメリットはないということで、 あまり手帳を取る人がなかったように思うのです。今回のこの括りですと、精神障害の 福祉手帳を持っている方も、ジョブコーチその他のサービスが受けられると理解できる のです。そうだとすると、そういう方々にメリットが多いと思うのです。脳卒中にして も、頭部外傷でも、認知障害で対人技能があり、手帳をcf取れる方は対象になるので しょうか。その点ちょっと確認させていただきたいと思います。 ○調査官  いわゆる器質性の精神障害も精神疾患の中に入ってございまして、従来から、現に手 帳を取得しているということで手帳の対象になるものであれば、精神障害者ということ で職業リハビリテーションサービスの対象になるということでございます。 ○都村委員  精神障害者に対する雇用対策を強化するに当たっては、まず雇用との関連でみた精神 障害者の現状の把握が基礎になると思います。そういう意味では、この資料10というの は重要だと思うのですが、ただ、患者調査ですから、入院している方が約33万人いらっ しゃるということですね。そうすると、その33万人のうち、条件が整えば就労が可能な 状態にある方が大体何%、何10%ぐらいかですね。特に精神分裂病系統、その方が20万 人ということで、非常に数が多くなっています。そういう方の中で症状が安定して、就 労が可能な状態にある方が何%ぐらいいらっしゃるか。それから、長期入院している方 で、高齢者の方の場合によく言われますように、家庭の状況とか住宅事情とかによって 簡単に退院できない場合がありますが、精神疾患入院患者のうち退院できて社会に参加 することができる方も含まれているのかどうか。それから、外来の方が15歳から64歳は1 52万人ぐらいいらっしゃるというのですが、その中で就労可能あるいは就労を希望して いる方がどのぐらいいらっしゃるのか。それとは別ですけれども、今度問題になる在職 の精神障害者で、社会復帰できる方がどのぐらいいるかというように、雇用との関連で みた精神障害者の実態がどうなっているのか。そういう実態を把握するのが一番の基礎 だと思うのです。今、高齢者や児童についてプランを立てる場合には、目標値を設定し て、達成目標を目指してということが最近の手法として行われるのですけれども、そう いう意味でも、やはり実態を把握するというのが大事だと思うのです。精神障害者につ いて雇用との関連でみた実態調査が近年行われているのかどうか、行われていれば、そ の結果について教えていただきたい。それから、行われていないのであれば、先ほどの 予算とも関連するのですが、是非、来年になるのでしょうが、医師の協力とか、患者さ んの協力とかを得て、就労ができるかどうか、就労希望があるかどうか、あるいは、実 際にもし就労している人数とか就労している場合には、フルタイム雇用なのか、それと も短時間雇用なのかとか、総数ではなくて、そういう少し立ち入ったところの実態を把 握することがまず基礎的に大事なのではないかと思います。社会復帰の可能性という視 点から、精神障害者の実態を把握するというのはとても難しいことだとは思うのです が、やはり必要ではないかと思いますので、もし資料がありましたら、あるいは、そう いうことが行われておりましたら、次回で結構ですから、教えていただきたいと思いま す。以上です。 ○調査官  雇用との関係の調査でいきますと、やはり雇用実態調査です。これは資料1の方でも ご説明した調査がございます。これは5年に一度の調査ですので、また、新しい数字に ついては適宜ご報告するようにいたします。精神障害者の部分で、いろいろな雇用等の 推計等についてもまたご説明していくことになると思いますが、基本的には、都村委員 が今おっしゃったように、いろいろな制約があります。やはりご本人に対する調査とい うものがなかなか難しい性格のものでもございますし、まして、企業を通じて把握する というのもなかなかしづらいものがあります。ですから、見ていただくのは、やはり雇 用実態調査と、資料1の2枚目のハローワークの業務統計です。これには精神障害者の 区分がありますので、ハローワークを経由したいわばフローの数字みたいなものは見ら れると思います。精神障害者については、身体障害者、知的障害者のように雇用率の制 度の上に乗っかって毎年6月1日の報告で上がってくるような形にまだなっていないも のですから、その辺は非常にデリケートでもあり、難しい部分であろうかなと思います が、お示しできるものはまたお示ししていきたいと思っております。 ○館委員  総合支援事業の実施というプログラムについては大変結構なことで、積極的に進めて いただきたいと思います。図を見ると、主治医が出てくるのですが、先日の自立啓発事 業のシンボジウムで主治医の方と産業医の方がお出になりまして、その時やはり一つ問 題になったのは、例えば主治医が復職支援あるいは職場の調整をする場合に、企業の方 をお呼びしてお話を聞く、あるいは助言をするという時、保険の点数に反映されないと いうことがあります。あるいは、自分の医療機関のワーカーさんを派遣して、職場での いろいろな調整をするといった場合にも反映されない。交通費も出ないということで、 医療機関の立場としては、非常によろしくない状況であるということです。やはり、そ ういうところをうまく何とかできないだろうかというご発言がございました。  もう一つは、ここと関わるのですが、例えば、リワークを実施する場合、職業センタ ーでやることはもちろん結構なのですが、場所が県庁所在地だと思うのですが、1県1 カ所です。やはり休職している方が一番集まるところというのは、例えば精神科診療所 です。そういうところでデイケアを使ってやるのが普通は一番やりやすいのではないか と思うのですが、そういうところにもっと労働の方も目を向けていただきたいという発 言がございました。先ほど寺山委員が教育だけではなくて、医療と保健の連携とおっし ゃったわけですけれども、今は手始めということで結構だと思うのですが、そのうち量 的な拡大が必要な場合に、やはりそういうところも視野に入れて論議ができたらよろし いのではないかと思います。以上です。 ○会長  ありがとうございます。時間になりましたが、まだご意見が少しあろうかと思います ので、少しだけ延長させていただきたいと思います。 ○渡辺委員  簡単にお願いしますが、今、館委員からもあったと思いますけれども、結局、精神障 害の問題というのは知的障害とか身体障害と質的な違いがありますので、ジョブコーチ にしても、コーディネーター、ジョブカウンセラー、主任障害者職業カウンセラーにし ても、結構新しいスタッフの名前が出てきています。これは医療との絡み、医者との連 携、結構専門的な知識、それからネットワーキング、システム化、これは能力が問われ るんですね。こういう専門家をどう育てるのか。ここでは、職業センターにおける雇用 への移行の支援技法の開発とありますが、技法は開発しなくても、そういう専門家をど う育てるかという、この辺りは長期的ではなくて、短期的長期的になりますけれども、 少し議論をしていただきたいと思います。以上です。 ○西嶋委員  一つはお願いなのですが、手帳取得者のうちの少し細かい内訳がもし分かったら、疾 患によるとか、次回で結構ですので、教えていただきたいと思っております。  それから、精神障害を持った方たちの原職での復帰ということに関しては、企業側は かなり以前より対応をしていたので、復帰に関するいろんな支援策をお願いして始まっ ているところで、次の段階になるのかもしれないのですが、もう一つ問題提起をさせて いただきたいと思います。復職された時に、ご本人にとってみればフルタイムの復帰よ りは短い時間での復帰ということが最初の第一歩としては戻りやすいというのがあると 思います。企業側も本人からの希望があればそういう形で戻ってもという話になるので すが、一つは給与の観点から、フルタイムで働いている方と短い時間で働いている方と の給与の格差というのがどうしても問題として現場では出てくると思うのですね。「一 人分の給料を払っているのに」とか、「払えない」というのが出てくるかもしれない。 ご本人もやはり給与が少なくなると困るのでフルタイムで大丈夫ですと言って、本当は 短時間の方がいいのだけれども無理をしてフル復帰になられるケースとか、それを繰り 返して無理をするので症状が悪くなるということもあります。そこら辺について、ご本 人も短時間でも戻れるような、安心して現場に戻れるような形での給与の補填の仕組み というのを、雇用保険なり何かで考えられないかというふうに思っています。これは大 きな問題ですので、すぐには難しいかもしれませんが、第一歩としては、復帰するプロ グラムとしていくつかお考えいただいているのですが、給与の補填という形をご検討い ただくと、かなり企業側も無理なく、それからご本人にとっても無理なくということが できるのではないかと思いますので、ちょっと新しい視点かもしれませんがお願いした いと思っております。 ○調査官  二点ございまして、一つ目の手帳の疾患別の内訳ということでございますが、精神保 健福祉手帳は、制度上は1級、2級、3級という形で数字を把握してございますが、疾 病分類別では把握がなされていないということでございまして、どのような形で、何か できるかどうかということは、ちょっと検討させていただきたいと思います。  それから、二点目の賃金の問題ですが、賃金の管理に非常に苦労されていらっしゃる ということですね。ノーワーク・ノーペイの原則からいえば、短時間労働に対応した賃 金ということなんでしょうが、そこはなかなか難しいということであろうかと思いま す。これは賃金補填そのものではないのですが、先ほどご説明申し上げましたように、 いろいろな相談支援、環境整備事業の中で、事業主向けの相談を行ったり、あるいは、 復職支援コーディネーターというような形で、事業主の負担に対応した事業を行うとと もに、これもやはり直接的な賃金補填ということではないのですが、今ある制度の中 で、重度中途障害者の職場適応助成金というものがありまして、これは実はあまり精神 障害者については活用がなされていない部分があります。それは、皆さんに知られてい ないからということなのか、あるいは、使い勝手の点で何かあるのかということがある わけでして、そういった点についてもご指摘いただきながら既存の制度がうまく生きる ような形で検討していきたいと考えております。以上です。 ○会長  それでは、かなり時間が押してきましたが、お二方から今お手が挙がりましたので、 このお二方で今日のところは締めさせていただきます。 ○村田委員  雇用施策というのはあくまでも手帳を持った人たちを対象にした施策ということにな るわけですね。身体、知的、精神というふうに、その人たちに対して雇用をどう確保し ていくかということが基本になっているわけですね。プライバシーの問題もあってとて も難しいのかもしれませんけれども、じゃあ、手帳を取っていない人たちはどうなるの か。それから、制度の谷間に漏れている人たちはどうなるのか。発達支援法が今度の臨 時国会で通るやに聞いているのですけれども、たとえそれが通ったとしても、例えば高 機能自閉であっても、それは発達支援法の対象になるらしいのですが、手帳を持ってい なければ雇用施策の対象になってこない。精神で取っていればともかく、対象になって こないということがあるわけですね。つまり、その手帳を持っていない人たちのことを どう考えていくのか。それはもう雇用対策と全く別なことなのか、その辺がどういうふ うに理解していいのかよく分からないのです。やはり雇用対策として、そうした手帳を 持っていない人たちにも視野を広げて、何か考えていく必要があるのか。その辺をどう いうふうに考えていったらいいのか、ちょっと理解できないでいますので、ご説明いた だけたらと思います。 ○調査官  手帳を持っていないというその切り口については二つあると思います。一つは、手帳 の対象にならない場合、これにつきましては、精神障害者の各種のリハビリのサービス というのは、先ほど申し上げましたように、手帳プラス三疾患ということなので、三疾 患に該当すれば手帳を持っていない方でも、例えばジョブコーチ事業とかトライアル雇 用とか、そういった支援を受けることはできるわけでございます。知的障害者について も、個別に職業センターで判定してもらうことができます。一方で、手帳を持ちたくな いからということもあるかと思いますが、こういった支援サービスを受けるには職場の 中でオープンになる必要があるということがありまして、この点は、精神障害者の雇用 の促進等に関する研究会の中で当事者関係団体の方からも、やはり基本的にはオープン になって支援を受けられるようになるのが本人にとっても周囲にとってもいいのだ、と いうご意見をいただいております。それから、発達障害等その他の障害については、や はり、支援技法を駆使し、雇用管理ノウハウの蓄積を図ることなどによって支援してい くことになると思います。ハローワークや職業センターではいろいろなケースに個別に 対応しています。支援技法の開発も検討しているところです。 ○輪島委員  今ほど都村委員もご指摘になりましたけれども、5年に一度の障害者雇用実態調査の 中の精神障害者の中で、例えば手帳を何人ぐらいお持ちなのかというようなことを調べ て教えていただけたらと思います。私どもが最終的に関心があるのは、いずれ雇用率に 入るということなので、最終的に入れた時に何%になるのかということです。そのゴー ルが見えないところで、今のような議論をしているわけですが、実態調査とその先の将 来の予測はどうなのか、その辺りを知りたいので、その辺が分かるようにしていただけ たらと思います。 ○会長  それでは、いろいろ要望が出ましたので、次回以降にこれらの要望を取り込んで議論 できるようにしたいと思います。なお、先ほど、本日出されたことは次回にと申しまし たが、次回はヒアリングを予定しておりますので、次の次の回以降にということになり ます。それでは、次回のヒアリングの実施について事務局から説明をお願いいたしま す。 ○調査官  資料12によりご説明いたします。当分科会の今後の検討の参考に資するために行うも のですが、実施方法のヒアリング対象者というところをご覧いただきたいと思います。 お三方を考えておりまして、一人は精神障害者の病像、雇用の現状等についての専門 家、もう一方は精神障害者の雇用実績のある企業の担当者、そしてもう一方は、在宅就 業支援団体の関係者ということで、事務局で人選を進めさせていただきたいと思いま す。一人当たり質疑応答を含んで約40分という時間帯で、合計120分で考えております。 以上です。 ○会長  そのようなことでよろしいでしょうか。では、そのように事務局の方で準備を進めて いただき、次回のヒアリングを踏まえ、第13回以降、個別の論点について議論を深めて いただきたいと思います。  さて、次回分科会の会議の公開についてですが、事務局からのご説明の通り、3人か らヒアリングを行う予定ですが、3者のうち1者については、精神障害者の雇用実績の ある企業からヒアリングを行うこととしております。精神障害者の休業件数等の個別企 業に関する情報を扱うこととなり、「審議会等会合の公開に関する考え方」の「公開す ることにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合に 該当する懸念がございます。そのため、企業からのヒアリングについては、非公開で行 うことを考えております。それ以外の方々からのヒアリングについては公開で行いま す。このような変則的な公開、非公開ということになりますが、ご了承いただきたいと 思います。  それでは、皆様方大変お忙しい中とは存じますが、先ほどのスケジュールに基づき、 年末の意見書の取りまとめを目指して、鋭意検討を進めて参りたいと思いますので、ど うぞご協力のほどよろしくお願いいたします。  これをもちまして本日の分科会は閉会いたします。     (議事録署名委員の指名) 照会先:職業安定局障害者雇用対策課調整係     内線 5783