04/09/03 第20回社会保障審議会児童部会議事録                社会保障審議会児童部会                  第20回議事録               平成16年9月3日(金)            第20回社会保障審議会児童部会 議事録 日時 :平成16年9月3日(金)13:30〜15:26 場所 :経済産業省別館 1028号会議室 出席者:岩男部会長、阿藤部会長代理、網野委員、遠藤委員、小笠原委員     柏女委員、中村委員、堀委員、前田委員、吉田委員、渡辺委員     伍藤雇用均等・児童家庭局長、北井審議官、高井総務課長、     尾崎保育課長、長田総務課長補佐 議事 :1.開会     2.「就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設」の        中間まとめについて     3.平成17年度雇用均等・児童家庭局予算概要要求について     4.三位一体改革について     5.閉会 ○岩男部会長  定刻になりましたので、ただいまから第20回児童家庭部会を開会させていただきま す。本日は、お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。  まず、本日の出席状況について、事務局から御報告をお願いいたします。 ○高井総務課長  本日は、大日向委員、津崎委員、服部委員、松原委員、無藤委員、山縣委員、山崎委 員が所用により欠席となっております。渡辺委員は、間もなく見えられると思います。 ○岩男部会長  それでは、議事に移りたいと思います。  これまで3回にわたって行われてきました中央教育審議会初等中等教育分科会幼児教 育部会と当部会との合同の検討会議による議論を受けまして、去る8月25日に、「就学 前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設」について中間まとめが取りまと められました。本日はまず、この中間まとめを議題としたいと思いますが、事務局から 御説明をいただきたいと思います。  それから、その後で、私から若干、会合の雰囲気その他についてコメントをさせてい ただきたいと思っております。  それでは、お願いいたします。 ○尾崎保育課長  保育課長でございます。お手元の資料1−1、資料1−2を御覧いただきながら御説 明をさせていただきたいと思います。  資料1−1が、今お話がございました合同会議の中間まとめのポイントでございま す。表裏の印刷になっている1枚でございます。資料1−2が、中間まとめの本体でご ざいます。この資料1−2の本体を御覧いただきたいと思います。  この合同会議の中間まとめですけれども、最初の前文のところにございますが、これ まで5月以来3回にわたる議論を踏まえてまとめたものでございまして、本年11月ごろ を目途に最終的なとりまとめを行う予定ということで、当初、7月ぐらいにまとめられ ればという話がこの会議でも出ていたかと思いますけれども、11月を目指して、まだ合 同会議で議論を重ねることになっております。  1ページの1ですが、「就学前の教育・保育をめぐる現状と課題」ということで、6 点にわたって整理されております。その見出しだけをかいつまんで見ていただければと 思います。まず、子どもを取り巻く環境の変化と子どもの育ちの課題があります。2番 目として、集団活動や異年齢交流の機会の不足という課題があります。それから、ライ フスタイルの多様化などと相まって保育ニーズが多様化している。それから、幼稚園教 育も地域偏在がある。そういった課題があるということでございます。2ページでござ いますが、一番上でございます。子育てを取り巻く環境が変化し、家庭や地域の子育て 力が低下しているという課題があります。それから、仕事・子育ての両立支援というこ とが大きな課題となってきている。それから、幼稚園や保育所をめぐる諸課題があると いうことで整理されております。  2として、総合施設の「意義・理念」です。こういう課題を踏まえて、総合施設のあ り方につきましては、1つ目の○印の2行目以下ですが、子どもの視点に立って、まず は幼児教育の観点、もう一つは、社会全体で次代を担う子どもの育ちを支える次世代育 成支援の観点から検討を進めることが必要であるということを基本の考え方としており ます。  2つ目の○印にありますけれども、地域によって幼稚園や保育所という既存の枠組み だけでは、必ずしも多様化するニーズに対応できにくい状況がある。そういうことを踏 まえて、3ページの一番上に、地域が自主性を持って、地域の実情や親の幼児教育・保 育のニーズに適切かつ柔軟に対応することができるようにするための新たなサービス提 供の枠組みを提示しようとするものであること、これが非常に重要な点かと思います。  次の段落ですが、したがいまして、既存施設からの転換、既存施設相互の連携を含め て、可能な限り柔軟な制度とする方向で検討をすべきであって、積極的に、いわゆる箱 ものづくりといいましょうか、施設の新設を意図するものではないと整理されておりま す。  また、次の○印ですけれども、こういう総合施設という新たな選択肢が生まれること によって、幼児教育の機会の拡大、あるいは、地域の子育て家庭に対する支援の充実、 幼稚園と保育所をめぐる諸課題や待機児童の解消につながることが期待されます。  次の○印ですけれども、この総合施設の名称につきましてはあくまでも仮称であっ て、その理念・機能を踏まえて適切なものにする必要があるということでございます。  次に、3の「基本的機能」でございます。1つ目の○印のところで、親の就労の有無 ・形態などで区別することなく、言い換えますと、子育て家庭を全部包括的に捉えよう ということで、共働きの家庭、専業主婦の家庭、すべてを視野に入れようということで ございます。そして、就学前の子どもに適切な幼児教育、保育の機会を提供し、その時 期にふさわしい成長を促す機能を備えることを基本とするということであります。  次の○印ですが、このような基本的な機能に加えまして、地域の実情に応じて、在宅 を含め地域の子育て家庭に対して、子育てに関する必要な相談・助言・支援、それか ら、地域の親子が誰でも交流できる場を提供することが重要であると整理されておりま す。  次のページです。4「対象者と利用形態」ということです。1つ目の○印。先ほどの 基本理念を踏まえまして、就学前の子どもの育ちを一貫して支える観点から、0歳から 就学前の子ども、その保護者を一体として捉える。ただ、この場合に、例えば0〜2歳 児につきましては、親子の交流の場の提供などを通じた親子の利用に供する。こういっ たスタイルも可能としようということで、地域の実情やニーズに柔軟に対応できる多様 な形態も認めていこうということが記されております。  また、次の○印ですが、利用形態につきましては、利用者と施設の直接契約が望まし い。ただ、その場合に、配慮が必要な家庭が排除されないような何らかの仕組みを検討 する必要があるし、障害児の利用についても配慮することが適当であるとされておりま す。  以下5から11まで各論が続きますが、これまでの3回の会議では必ずしも十分に詰ま りきっていません。ただ、これまでの会議で可能な限りの方向性が示されておりまし て、要点をかいつまんで申し上げたいと思います。  5「教育・保育の内容」でございます。幼稚園教育要領と保育所保育指針を踏まえ て、子どもの発達段階に応じた共通の時間・内容を確保しつつ、きめ細かな対応に特に 留意して、来年度に実施される試行事業も含めて引き続き検討していくことが適当であ る。ここで、来年度に実施される試行事業という言葉がございますが、これはまだ概算 要求で打ち出したばかりですけれども、政府の閣議決定によりまして、この総合施設に つきましては、来年度は試行事業を行うことが基本方針として定められております。こ れを受けまして、厚生労働省と文部科学省の方で相談いたしまして、来年度、公と私立 をあわせてということになろうと思いますけれども、30か所程度で試行事業を行いたい ということで、今、概算要求をいたしております。こういう試行事業も含めて引き続き 検討していくことが適当であるということでございます。  5ページでございます。6「職員配置・施設設備」につきましては、経営の効率性の みを重視するのではなく、子どもの健やかな育ちを中心に置いて、地域の実情に応じて 柔軟な対応が可能となるよう、ここでも試行事業を含めて検討する必要があるとされて おります。  7「職員資格等」でございます。一定の教育・保育の質を確保する観点から、保育士 資格と幼稚園教諭免許の併有が望ましいけれども、例えば低年齢児には一定数の保育 士、3〜5歳児については一定数の幼稚園教諭免許保持者を置くとか、あるいは研修と か、そういったことを通じて一定の教育・保育の質を担保しつつ、いずれかの資格を有 する者でも可という弾力的な職員資格のあり方についても検討することが必要だという ことでございます。  次の○印ですけれども、研修の機会、その内容のあり方についても、その重要性にか んがみ引き続き検討していくことが重要であるということでございます。  次に8の「設置主体・管理運営」ですけれども、総合施設のあり方につきましては、 安定性、継続性、質の確保の仕組みを整えた上で、可能な限り弾力的になるよう配慮せ よということ。また、定期的な自己点検・評価、第三者評価、情報公開が重要であると いうことが押さえられております。  次に6ページでございます。9「利用料・保育料」については、1つ目の○印の最後 の方に書いてございますけれども、幼稚園と保育所、同じ幼稚園でも公立と私立、それ ぞれ利用者負担あるいは水準に相当の違いがあるということで、こういう違いを踏まえ て、利用者負担の両者の相違を踏まえながら、サービスに応じた負担、負担能力に応じ た負担、あるいは、地域における類似施設、これは保育所や幼稚園を指すものだと思い ますけれども、その負担との均衡、そういったものに配慮したものとすることが適当で あるということでございます。  それから、10の「財政措置等」は、利用者からの利用料だけではなく、社会全体が負 担する仕組みとしていくことが必要。それから、2つ目の○印の最後ですけれども、費 用負担の仕組みも、幼稚園や保育所でそれぞれ仕組みが異なっておりますけれども、今 後、総合施設の意義・理念に照らして、新たな枠組みにふさわしい費用負担の仕組みを 検討していくことが必要であるということで、これはまだ詰まっていません。  次に11ですけれども、「地方公共団体における設置等の認可・監督の体制」というこ とで、2つ目の○印を御覧いただければと思います。事務の簡素化、効率化が図られる など、行政の縦割り弊害を是正するような、地域の実情に応じた柔軟な対応が可能とな るようにすべきであるということでございます。  最後に、7ページですけれども、12「幼稚園及び保育所との関係」ということで、こ こは、1つ目の○印の最後の4行を御覧いただければと思います。既存の幼稚園や保育 所の昨日の拡充、組み合わせ、連携の強化、こういった形で、地域の幼児教育・保育の ニーズにこたえるやり方もあるし、あるいは、そういったことを基盤としながらも、さ らに、この総合施設という新たな枠組みを組み合わせるとか、そういう対応は地域の実 情に応じて、地域地域で判断されるべきものだという考え方でございます。  最後の○印ですが、総合施設の制度化は、既存の幼稚園や保育所の意義・役割を大切 にしながら、幼稚園や保育所と総合施設がそれぞれ相まって子どもの健やかな成長を支 える役割を担うことを意図するものだと。そういう意味で、既存施設のあり方につきま しても、例えば総合施設の制度化と並行して、その改善に向けた検討が必要であろうと いうことが記されております。  以上、駆け足ですけれども、総合施設のあり方についての合同会議の中間まとめの要 点でございます。 ○岩男部会長  ありがとうございました。  それでは、中間まとめの概要につきましては、ただいま尾崎保育課長から御説明があ ったとおりですけれども、私からも、この総合施設に関する中央教育審議会幼児教育部 会と当部会との合同検討会において、特にどういう点が議論になったかというようなこ とについて、少しコメントさせていただきます。  まず、中間まとめの経緯ですけれども、5月に第1回会合を開きまして、ここでは、 幼児教育部会と当部会において、それまでの議論をお互いに紹介することを中心にいた しました。それから、6月の第2回会議では、関係団体の意見を紹介して、さらに議論 を深めるということをいたしました。そして、7月の第3回会議では、それまで2回の 会議を踏まえた議論の整理をいたしまして、その上で中間まとめ案の起草について、私 と、幼児部会の田村部会長、両部会の委員を兼ねておられる無藤委員にゆだねていただ くことを御決定いただきました。その後、この3名で中間まとめ案の起草を行い、参加 委員に御確認をいただいた上で先月の25日に公表させていただくという運びになりまし た。  児童部会から参加いただきました委員の皆様方には、大変お忙しい中を議論に加わっ ていただきまして、大変ありがとうございました。  それでは、会議において特に議論があった点を中心にコメントさせていただきます。  まず、第2の「意義・理念」のところですけれども、子どもの視点に立つということ は、ある意味では、当部会では当然のことと考えていて、これを改めて強く述べるまで もないような感じで考えておりましたけれども、幼児教育部会から、明示的にこれに立 つべきであるとの意見が出されました。それにはもちろん全く異論がないわけで、「子 どもの最善の利益」を第一に考えるということで、この「最善の利益」という言葉がち ょっとこなれないのですけれども、これは子どもの権利条約の中で、「best interests of children」という使い方をされているものがこういう訳になっているということで すので、鍵括弧に入れて、それをそのまま使わせていただいております。  次に強調されたのが、地域の子育て力が高まるという、「地域」を十分に視野に入れ て考えるということだと思います。その際に、私も個人的に強く主張したのは、地域に 開かれたものとして、地域の様々な人々が参加することができるものであるべきであ る。ですから、そこに子どもを預けている人だけのものではもちろんないということで す。社会全体として子育てに喜びを実感できるような社会を形成するためのものであ る、こういう基本的な認識に立つべきであるという考え方でございます。  それから、総合施設を、地域が自主性を持って、地域の実情や親の幼児教育や保育の ニーズに適切かつ柔軟に対応できるようにするための新たなサービス提供の枠組みを提 示するものという位置づけで、これまでいろいろ長い歴史があると思いますけれども、 幼稚園と保育園の共通項で2つをくっつけたようなものを考えているのではなくて、今 日の社会あるいはこれからの子育てにふさわしい、新しいものを想像していくという視 点だと考えたらよろしいのではなかいと思っております。  先ほども課長から御指摘がございましたけれども、「総合施設」という言葉が、新し い箱ものを全国津々浦々につくるような感じで受けとめられることを懸念する声がたび たび上がりました。これは、この部会でも既に明らかにされましたように、決して新し い施設をつくることが目的ではなく、もちろん、施設が老朽化して新しいものをつくる ようなニーズがあるところはそういうことにもなりましょうけれども、様々な既存施設 からの転換を含めて、可能な限り柔軟な制度とすべきであって、積極的に施設の新設を 意図するもとではないことが明確にされている次第です。  次に、3の「基本的機能」ですけれども、これは、親の就労の有無や形態で区別する ことはなく、就学前の子どもに適切な幼児教育・保育の機会を提供することを基本とし た上で、地域の子育て家庭に対して、子育てに関する必要な相談、助言・支援を行うと ともに、地域の親子が誰でも交流できる場を提供することが重要であるといたしまし た。その中には、当然のことながら、母親だけではなくて、子育てについて自信がなく て、かかわりたくてもなかなかうまくいかないというような父親も当然のことながら視 野に入れておりますし、あるいは、その祖父母のことも視野に入れております。そのあ たりは両部会に共通していたと思います。  次に、4の「対象者と利用形態」ですけれども、当部会では、0歳から5歳児まで、 要するに、就学前の子どもすべてと考えておりました。そこのところが当初、若干、2 つの部会で異なるところで、幼児教育部会では3〜5歳という御意見が強かったように 思いますけれども、最終的には、0歳から就学前の子どもすべてとその保護者、子ども の育ちを支えるということで落ち着いております。  5の「教育・保育の内容」や6の「職員配置・施設整備」については、先ほど御説明 があった試行事業を含め引き続き検討していくことが適当であるということですけれど も、職員配置や施設設備等につきましては、やはり子どもの視点が極めて重要でありま して、経営の効率性だけを重視することにならないように十分な配慮をすべきであると いうことでございます。  それから、「職員の資格等」につきましては、先ほど課長から御説明があったとおり で、弾力的な職員資格のあり方を検討し、また、研修等で必要なことを補っていく。そ のようなことで考えられております。  8の「設置主体・管理運営」につきましては、これもやはり可能な限り弾力的なもの にするように配慮することが適当としておりますが、同時に、教育あるいは保育活動や 総合施設の運営状況等につきまして、自己点検あるいは第三者評価、また、その結果の 公表が必要であるということが加えられております。  それから、9の「利用料・保育料」、10の「財政措置等」、11の「地方公共団体にお ける設置等の認可・監督等の体制」などにつきましては、現在の仕組みが幼稚園と保育 所で、また公立と私立では異なっておりますので、新たな枠組みにふさわしい仕組みを 検討していく必要があると考えられております。  最後に、12の「幼稚園及び保育所との関係」については、これも繰り返しになります けれども、地域のニーズに対して既存の幼稚園や保育所の連携によって対応するのか、 あるいは、こうした対応を基盤としながら、さらに新しい枠組みである総合施設を組み 合わせて対応するのか、それは地域の実情に応じて判断されるべきであるとなっており ます。  基本的には、率直に言いまして、私もいろいろと知らないことを大変勉強させていた だく機会にもなりました。と申しますのは、私は、これまで幼稚園あるいは保育所につ いて直接的にかかわってきた者ではないものですから、幼児教育ということも、幼児に 対して一体何を教育するのかというあたりに、個人的には素朴な疑問を持っていたりす るものですから、人間の長い生涯の発達という中で、こういう問題をどう位置づけてい くのか、そのあたりの疑問が個人的には常に残っていましたけれども、新しくいろいろ と勉強させていただいた結果、幼児教育を中心に考える方と、保育を中心に考える方と では、視点が少し違うことは大変よくわかりました。結果として、この総合施設をつく ることによって、両者がお互いに刺激をし合い、触発し合って、新しいものができてい く、そういう方向に発展すればいいと、個人的にはそのように考えております。  正直に言って、途中ではいささかびっくりするような御発言もなかったわけではあり ませんけれども、それは私が知らなかっただけのことでありまして、いろいろと勉強さ せていただきました。  御参加くださいました委員の方で、何か特段の御発言がありましたら、どうぞ。私の 説明では不十分なところもあると思いますので、補足していただければと思います。  よろしゅうございますか。 ○小笠原委員  一つお尋ねを申し上げたいと思います。私の勉強不足で大変申し訳ないのですけれど も、この資料1−2の2ページの「意義・理念」の「子どもの視点に立ち」の次の行で すが、「生涯学習の始まり」というのは、私が理解するのは、恐らく今までの経緯から いきますと、0歳児から3歳未満を含めた形で、生涯学習の始まりである、との見解か らこのような表現になったのだろうと思います。大した問題ではないとは思いますが、 「生涯学習」の意味が、私たちが捉えている「生涯学習」とは、「生涯学習振興法」と の関係で捉えており、義務教育を終え、成人を過ぎてから主体的に学習していくことと 思っていますが、不勉強なのですが、この言葉の使い方はこれでよろしいのかどうかと いうことを、ちょっとお尋ね申し上げます。 ○岩男部会長  私も、今、御指摘があって初めて、ここは「生涯学習の始まり」ではなくて「生涯発 達の始まり」ではないかと思います。それが「生涯学習」となっていて、私も迂闊でお わび申し上げます。  確かに、「生涯学習の始まり」だと後にうまく続かないんですね。私は普通の使い方 でそのように思いますので、また最終の取りまとめのときには訂正させていただくとい うことで御了解いただければと思います。 ○小笠原委員  もう一つよろしゅうございますか。 ○岩男部会長  どうぞ。 ○小笠原委員  保育をあずかる者としては、子どもの発達を保障していくというナショナルミニマム が児童福祉法で定められていることが、全国各地においても均質な行政指導監査や外部 監査、内部の監事監査の中で、子どもの保育の質を担保するということで意義があり、 大事であると思うのです。実は、6ページの10「財政措置等」の2つ目の○印のところ で、『今後、総合施設の意義・理念に照らして、新たな枠組みにふさわしい費用負担の 仕組みを検討していくことが必要である』は、これは中間まとめなので余り神経質にな る必要はないと、私は、柔軟にと、自分に言い聞かせながら納得しているところがある のですが、この『新たな枠組みにふさわしい費用負担の仕組み』については、記述され ているように、公立幼稚園と私立幼稚園の費用負担の仕組みの違いであるとか、社会福 祉法人の保育所と公立の保育所の場合も運営費の仕組みが違うわけです。あくまでも中 間まとめですので、過剰な心配は無用かと思うのですが、『新たな枠組みにふさわしい 費用負担の仕組みを検討していくことが必要である』という書き方は、一般財源化を意 味するものではないかと心配しておりまして、総合施設をせっかく造りまして、仮に、 職員の配置基準が決まりましても、このような表現のところで、地方六団体とか国会議 員の先生方が読まれて、『新たな枠組み』を一般財源化だと理解されると困るな、とい うところです。ここは神経質になっております。  繰り返しますが、仮にせっかく苦労して総合施設のあり方を最終的にまとめたとし て、7ページの「12幼稚園及び保育所との関係」の一つ目の○印の最後の行で、地方 にとって運営しやすいもの、地域の実情に応じて判断されるべきもの、という意味はわ かりますが、それは勢い、一般財源化とリンクしていくことになるのではないかと危惧 するのです。  まだ中間まとめですので、早計かもしれませんが、文字表現についてそこだけは大変 心配しております。  以上でございます。 ○岩男部会長  御懸念の点は十分わかりました。先ほども申し上げましたように、この税制措置等に ついては、議論は今後ですので、そのように受けとめていただければと思います。  それでは、ほかによろしゅうございますか。  それでは、今後、さらにこの中間まとめをベースに議論を深めていくことになります ので、ぜひ委員の皆様から御意見、御質問等をちょうだいしたいと思いますので、どう ぞよろしくお願いいたします。  また、本日は御欠席の山縣委員から資料を御提出していただいておりますので、その 概略を御紹介いただいた上で議論を進めたいと思います。 ○尾崎保育課長  山縣委員の御提出資料ですが、参考資料1でございます。タイトルは「総合施設への 展望−幼保一元化施設か新規施設か−」となっております。要点をかいつまんで御紹介 させていただきます。  まず第1章ですが、「就学前の子どもを対象とする施策の課題」ということで、4つ の課題があることを御紹介いただいております。まず第1は、保育所待機児の解消の課 題ということで、まだ多くの待機児童が存在するという御指摘でございます。下の段で すが、第2として、地域子育て支援の課題。家庭で母親の世話を受けている子どもが多 いわけですが、そういう親子に対する社会的な支援の必要性が明らかになっているとい う御指摘でございます。  ページをおめくりいただきまして、2ページの上の段でございます。第3の課題とし て、幼稚園と保育所との関係の整理ということですけれども、ここ10年ぐらいの間で見 ると、両者の関係を整理したり、あるいは、新たな展開を考えたいという市町村が増え ているのではないかという御指摘でした。第4の課題として、上の段の一番最後の行か らですが、次世代育成支援対策推進法によりまして、すべての市町村に、向こう10年間 を視野に入れて市町村行動計画の策定が義務づけられているという新たな状況が生じて いるという御指摘でございます。  第2章ですけれども、この4つの課題を克服する一つの方法として総合施設では考え られるのではないかということで、3ページの上の段に、むしろ、地域子育て支援機能 が総合施設に最も求められる機能ではないかというお考えでございます。それから、上 の段の最後の段落、「一方」から始まるところですが、少子化で、保育所・幼稚園の双 方を維持していくことが厳しくなっているところが増えていると。下の段に移りまし て、経営面の問題が深刻化してきており、こうしたものに対して総合施設が考え方とし て資するのではないかという御指摘でございます。  左のページですけれども、第3章として「総合施設に期待するもの」ということで、 それぞれの家庭の生活状況に応じながらも、できるだけ等しく発達の機会を保障するこ とが望ましいという基本的なお考えを提示していただいた上で、最後の段落で、本稿の サブタイトルは「幼保一元化施設か新規施設か」としている。議論が起こってきた経緯 からして、一般には幼保一元化施設の試行事業のように捉えられているが、筆者自身 は、むしろ、就学前施策の三元化時代と受けとめているという御指摘でございます。  最後に、4ページの上の段の第2段落のところですが、こう考えてみると、総合施設 の中心的機能は、狭義の保育や幼児教育ではなくて、子育て支援を第一義的なものとす ることが望ましいのではないか。そうすると、保育機能や幼児教育機能というのは、選 択的に利用する考え方に立つことになります。そのためには、子育て支援にかかわる職 員を基盤として、保育士、幼稚園教諭は、機能的には核としないというお考えです。  左側の第4章ですけれども、こういう三元化の考え方に立つと、御自身でおっしゃっ ていることですけれども、第1段落の最後のところに、こういう考え方に立つと、中期 的には、民間保育所と公私の総合施設という新たな二元化となってしまう可能性がある と。筆者自身は、総合施設による一元化を目指すべきであると基本的には考えているの で、ある意味ではアンビバレントな話ですけれども、こういうことでさらなる公平な議 論を展開していく必要があるという結びになっております。  以上、簡単でございますが、御紹介でございます。 ○岩男部会長  ありがとうございました。  それでは、今後の最終まとめに向けていろいろと議論を深めていく必要がありますの で、30分程度、自由討議の時間を取りたいと思いますので、どうぞ御自由に御発言をい ただきたいと思います。 ○網野委員  両審議会の合同会議ということで、短期的に中間のまとめ、ここまで精力的にまとめ られたことに、まず敬意を表したいと思います。今日御報告いただいた主旨、あるい は、山縣委員のお話とも関連して、一番のポイントは、総合施設とは何か、役割は何か ということだと思いますが、これからさらに議論が深まるかと思います。  その中で、まず第1に、「意義・理念」のところ、あるいは、それぞれのところでい ろいろ述べられているポイントを私なりに見ていきますと、どうも最初のスタート時点 で、幼保のこだわりがあったことは言うまでもないと思いますが、子どもの育ちとか発 達、教育にウエートを置くのか、それとも、広く子育て支援かという、これを対立とい いますか、そういう部分で議論されていた経過が少し伺われるような気がします。  「子どもの最善の利益」を最優先することは、理念としては言うまでもないことかと 思いますけれども、例えば、「生涯学習」という言葉が出たのも、生まれてから教育が 始まっていると。乳児にとっても、幼児にとっても、学ぶこと、学習ということに視点 を置いた場合、生涯にわたる学習、その出発点がここにもう含まれているのだと。つま り、子どもを教育するというよりも、子どもが育つという上での、教育を受ける側の主 体的な側面から見ると、学ぶとか学習だという趣旨で私は受けとめました。だから、そ ういう面で言えば、これも確かに子どもを大切に、子どもを基本にという部分もあるか と思います。  そのことは、保護者の保育ニーズに対立するのか、様々な子育て支援を行うことと対 立するのか、矛盾するのかということで、議論がすすんだ面がないでしょうか。できま したら、もう少し検討を深めて、私は、対立はしないのではないかと思います。そうい う意味で、総合施設の新しい枠組みなり、一つの機能なり、そのようなものをさらにも う一歩深めた形で明確に示すことができる部分が可能なのかどうか。このことは私も関 心を持って受けとめております。  したがって、「新たなサービス提供の枠組み」ということをどのように進めていくの か。例えば、具体的には、保育園にしても、幼稚園にしても、日課とかカリキュラムが ありますが、中間のまとめにある「教育・保育の内容」にどこまで踏み込むのかもかか わってくるかと思います。あるいは、子育て支援という保護者とのかかわり。特に、0 歳、1歳、2歳ぐらいまでの場合は、0〜2歳の通常保育も基本的に常に含んでいるの かどうか。そうではなくて、親子がともに通い合って、広く地域の子育て支援としての 機能を十分に発揮することにもっぱらウエートを置くのか。これも単にいろいろな試行 がある、モデルがある、パターンがあるというだけではなくて、もう少し深めておいた 方がよろしいかなと思います。  そういう意味では、恐らく、全国で幾つかもの試行が始まるかと思いますが、そのと きに、この意義・理念というものは最低限共通に考えていく方向が出てくることが望ま しいと思っておりますし、さらに、職員に関しても、総合施設という機能に見合った専 門職ということを、確かに山縣先生もおっしゃっていますが、保育士あるいは幼稚園教 諭だけでいいのかどうかもこれに絡んでくるかと思います。むしろ、これからの最終的 なまとめということで期待を含めて申し上げました。 ○岩男部会長  ありがとうございました。  私ばかり発言して恐縮ですけれども、やはり今の御指摘を聞いていて、先ほどの「生 涯学習の始まりとして」という小笠原委員からの御指摘の部分は、私がうかつに見過ご していたのではなくて、きちんと意図があってこう書かれていると解釈すべきだろうと 思います。つまり、2つの部会で、それぞれの寄って立つところといいますか、ウエー トの置き方がちょっと違うわけで、それがここにまさに反映されている。私は、私が日 ごろ考えていることから、これは生涯学習ではなくて発達と言ってしまいましたけれど も、それは私の個人的な考え方で、先ほどのことは私の間違いであったと申し上げてお いた方がいいように思います。  先生がおっしゃるように、どちらかということで、両立ができないものであるという 意見は全くなかったのではないかと思います。ただ、ウエートの置き方が違う。という のは、これまでの経緯が違うものですから、どうしても違いが出てきたということは、 それは鮮明にあったと言ってもよろしいかと思います。このあたりは、総合施設にふさ わしい新たな理念というものは、もちろんこれからも深めていかなければいけないと思 いますけれども、そのあたりもまた今後いろいろ御意見をおっしゃっていただければあ りがたいと思います。  現在の段階では、それ以上は私からは申し上げられないと思います。  ほかにどうぞ。 ○前田委員  今の網野先生の発言に関連したことで申し上げたいと思います。  行政の現場で子育て支援を担当している者、かつ、待機児が非常に多い状況の自治体 にいる者としましては、やはりこの総合施設は、3歳からではなくて0歳からになった ことは大変よかったと思っております。これは、保育園の待機児童対策でやるのかとい うことではなくて、率直に申し上げますと、専業主婦のお母さんたち、0・1・2歳児 を持っているお母さんでも、もちろん毎日とは言いませんけれども、週に1回か2回預 かってほしいというニーズが多い。実際に、保育園に預けている親御さんの中には、必 ずしも、毎日預ける必要はないけれども、保育園に預けて子どもと離れた時間を取りた いために就労なさって子どもを預けている方もいるということが、保育園からの聞き取 りで出ておりますので、就労状態にかかわらず、1週間に1回か2回か適切な回数はわ かりませんけれども、子どもとお母さんが離れる、かつ、子どもが大人の介在しない世 界で、同年齢もしくは異年齢の子ども集団の中で遊ぶチャンスを持ってもらうことが必 要かなと思っております。  それから、0・1・2歳の保育や子育て支援で親子ともども支えるという視点もある と思いますが、意味があるなと思うのは、今の乳児院の状況からみてのことですが乳児 院というのは、0・1・2歳の子どもが、親が養育できないために措置される施設です が、最近では3〜4割がお母さんの精神疾患が原因です。ものすごい比率で上がってい ます。これは、出産前から精神疾患の要因をお持ちだった場合もありますが、比較的考 えられるケースは、マタニティブルーや育児ノイローゼが深刻化して、「わがままであ る」とか、「どうして育てられないのか」とかと批判され、周りの適切な援助が得られ ないうちに核家族の中で問題が深刻化してしまう、児相なり保健所が調査に入ったとき には、既に適切な養育ができる状態ではないといいますか、はっきり言って、家庭に置 いておくと子どもの命が危ないような状態ですので引き離します。  ちゃんとお父さんとお母さんがおられる健全な家庭で、このように何らかの要因で養 護できなくなっているお子さんがすごい比率で上がってきていますので、養育に問題を かかえる親子を早期発見することも重要ですが、早期発見して、かつ、お母さんが定期 的に親子で、0〜2歳児のところに行って一緒に育児を学ぶとか、お母さんをある程度 子どもと引き離して、自分の精神状態のバランスを戻すとか、そういうことが必要で す。実際には保育園にも、お母さんの育児ノイローゼや精神疾患の要因で措置されてい る子が増えています。しかし、働いている人で満杯な状態では、すぐに措置できる状態 ではありません。0〜2歳児を、親子も含めて、定期的に通える場所が増えることは非 常にいいと思っています。  親の養育力がなくなるとか、いろいろな議論があると思いますけれども、現実には、 養育力がなくて子どもが乳児院に措置される状態までに行き着いている。本当に高学歴 で、ちゃんとした家庭の親子にそういう問題が発生してきています。これはやはり何ら かの助けが必要で、きれいごとではなく、そういう場が必要だと思います。  それから、今朝、私が市役所で議論していたのは、皆様も御存じだと思いますが、今 度、障害児の数が増えています。医療の発達によって重度心身障害者の子も発症率が上 がってきております。一方で、LDとかADHDとか議論があって、今までは発見され ていなかったのか、本当に増えているのかは議論があるところですけれども、軽度発達 障害の子どもたちが非常に増えております。その子たちは、日本の場合はすぐれた健診 システムがありますので、早い段階では1歳6か月健診で発見されます。軽度発達障害 があるという子どもたちを、お母さんたちは、発達障害があることを認めたがらないお 母さんも多いですし、すぐに何らかの対応を求めるお母さんたちも多いのですけれど も、そういう軽度発達障害のお子さんを抱えたお母さんたちは、特に0〜2歳児は行き 場がない。  今、横浜市では、幼稚園でも障害児を受け入れたためにいろいろケアをしています。 やはりこの0〜2歳児のお母さんたちが、子どもがどういう状態であれ、子どもを産ん でよかった、この子に出会えてよかった、この子と一緒に生きていこうという力を持つ ために、お母さんに何らかのバックアップが必要ですので、この総合施設がうまい形に なれば役割を果たせないかなと思います。  横浜市のデータを今朝も見たのですが、いわゆる重度心身障害者も含めて軽度発達障 害を含めますと、約 6.5%の子に何らかのケアが必要と考えられます。横浜には、療育 センターといいまして、就学前の発達障害や障害がある子たちを総合的にケアする施設 が6あか所ありますが、ここが今満杯状態です。やはり役割分担としても、療育センタ ーという、小児精神科医とがいて専門的なケアを受けられる、医療的ケアも受けられる ところは重度の障害児に特化して、軽度発達障害の子たちには、別の通園なり受け入れ る場が必要ではないかという議論が、ちょうど横浜市でも始まっているところですの で、この総合施設なども、そういう軽度発達障害の就学前の子どもたちの、特に0〜2 歳児の通園の場所、また、親子が一緒に来て、どのように養育するかといったことを一 緒に考えていけるような場になれば、選択肢が広がって、いいのではないかと思いま す。  以上です。 ○岩男部会長  ありがとうございました。  堀委員、どうぞ。 ○堀委員  今の話とも関連するのですが、総合施設の性格とか役割に関連して、待機児対策とい うことも一つはあったと思います。この施設をつくれば、結果として待機児対策になる ことは言うまでもないと思います。しかし、3ページの「基本的機能」の最初の○印の ところで、「親の就労の有無・形態等で区別することなく」と書かれると、地方公共団 体が待機児対策としてこの施設を使うことができなくなる。それは、保育所で対応すべ きだということになると思いますが、そういうことなのかどうか、ちょっとお伺いした いと思います。  それから、4ページの4の最初の○印のところですが、0〜2歳児と3〜5歳児と書 いてあります。総合施設は学童保育の場としても活用できないかということを、前に言 いました。このような書き方だと、それがどうなるのかなという感じを受けておりま す。 ○岩男部会長  後の方から申し上げますと、学童保育の議論は、対象年齢が越えていることもあり、 まだ出てきておりません。ですから、これを検討するとすれば今後の検討の中に含める ことだと思います。  それから、待機児童ゼロ作戦というか、待機児童の話は、あえてそういう言葉では書 いていないといいますか、今、堀委員がおっしゃったように、結果として待機児童の解 消に当然この総合施設も寄与すると考えられているわけです。これは若干の誤解もある のかと思いますけれども、幼児教育部会の先生方の中には、ニーズにこたえるという形 の様々な手当は必ずしも好ましくないというお考えがあるわけです。ですから、待機児 童解消のための施策もそういうことであって、かえって子育て支援は子捨て支援につな がるというような、極端な言い方をすればそういうお考えがあるわけです。そこら辺 は、もちろん誤解も当然あると思っておりますけれども、そのような誤解を生じないよ うな形でまとめるということであると思っております。  ほかに御意見をどうぞ。 ○阿藤部会長代理  先ほど、網野委員の御発言、山縣委員の文章にあると思いますが、長い目、大きい目 で見て、いわゆる幼保一元化、そういうものを見据えて考えたときに、全体の文書が当 面の制約条件の中で、幼稚園と保育所の今までの基盤をいかに守りながら、しかし、新 しいものを何とか妥協案としてつくっていく、そういうニュアンスが幾分か強いような 感じがしないではないです。  特に、これからの議論でしょうけれども、5番の「教育・保育の内容」は、先ほどち ょっと網野委員からもありましたが、いわゆる幼稚園教育要領と保育所保育指針を踏ま えて、それぞれ別々のものをそのまま置いておいて、そして何か新しいものをつくろう といっても、なかなかそういうわけにもいかないのではないかと思います。むしろ、こ こは、もう一歩進んで、そういう一元化したときにどういう指針が可能なのかというこ とまで視野に入れて議論していってはどうかなという感じがします。  同じことは、7の「職員資格等」もそうです。今は、そういう資格をそれぞれ持って いる方がいらして、そういう方を活用していくことはもちろんですけれども、もう少し 長い目で見て、本当に一元化の方向で行くとすれば、両方を踏まえたような資格づく り、さらにそれが人材養成機関である大学の教育カリキュラムとかそういうところにま でかかわってくると思いますが、そういうところまで議論が行けばと願っております。 ○岩男部会長  いかがでございましょうか。ほかに何か御発言ございませんか。 ○中村委員  子育て支援のお話ですけれども、現実に子育て支援センターを運営していますと、本 当に、直接的に見ると、子育て支援は親のためのものという捉えられ方が一般的だと思 いますが、親を元気にすることが、間接的に子どもにとって本当にいい状態になるとい うことを実感しております。  家庭の中で閉じこもっていると、子どもに対してつらく当たったり、ストレスがたま ったりということが多くなりますので、子どもを連れていろいろな場所へ出てくること によって、親子で友達ができる、社会性ができるという観点からすると、見ています と、こういった場所があったから私は次の子を産もうと思ったという声がたくさんあり ます。支援センターの園庭解放だけを見ていると、2人の子を連れて、まだおなかが大 きいという状態を多々見るわけで、こういう状況からすると、少子化対策にも貢献して いるのではないかと思います。  生まれてからのことは、あとは社会とか地域がみんなで力をあわせて育ててあげる、 協力してあげるという方向に持っていけばいいのであって、先ほど、子育て支援は子捨 て支援につながるということがありましたが、合同部会でもちょっと出ましたが、決し てそうではないことを現場の立場で強く申し上げたいと思います。  以上です。 ○岩男部会長  ありがとうございました。  柏女委員、どうぞ。 ○柏女委員  合同部会に参加させていただいた者として、1点だけ、どうしても申し上げておきた いことがあります。  一つは、総合施設の行方を考えるときに、今いろいろな機能をこの総合施設にあまり 求めすぎることは危険なのではないかと思っています。特に、子育て支援機能を中核と するという形は、将来的な一元化の方向としてはあり得ても、当面の方向としては、そ れは危険ではないかと思っています。  なぜかと申しますと、今現在、ちょうど、次世代育成支援地域行動計画が全市町村で 策定されていて、特に0〜2歳児の専業主婦層の子育て支援の場がない、機能がないと いうところで、例えば広場事業とか、そうしたものを飛躍的に増やしていかなければな らないこの時期に、総合施設があたかもその機能を果たすのだという論をここで展開す ることは、総合施設にそれをゆだねてしまう。広場事業は、例えば各市町村に数か所程 度という形になってしまう危険性を強く危惧しています。  そういう意味では、将来的なことはともかく、今は、0〜2歳の親子の支援の場、あ るいは、先ほど前田委員もおっしゃいましたけれども、一時保育の場が圧倒的に少ない わけですから、まずそこを増やしていくことが大切なのではないかと思っています。そ の上で、総合施設は、それぞれの地方自治体では足りない部分を機能として持ってい く、付加的に持つことはあり得るだろうと思いますけれども、そうしたことを少し注意 していかなければならないのではないかと思います。そんなところが気になりました。 もちろん、当面、将来的に、幼保の一元化、いわゆる総合施設の方に一元化していくこ とを私は否定しているわけではなく、それを目指すべきだと思っておりますが、当面の 論としては、やはり0〜2歳までの子育て支援の場を幅広く整備すべきことをまず挙げ るべきだと思っております。 ○吉田委員  今の柏女先生のお話に関連しまして、私もこの意見は多分言ったと思いますが、総合 施設だからと、いろいろな機能を全部抱え込んで自前でやるのではなくて、例えばつど いの広場とネットワークを組むとか、まさにおっしゃったような開かれた機能を持つ。 ただ、その中で、つどいの広場のスタッフの育成研修は総合施設が少しお手伝いすると か、在宅家庭の支援を保育ママがやっている場合は、保育ママの資質向上のトレーニン グの場にするとか、間接的な支援で結果的にネットワークとしてそこをカバーできれば いいのであって、今おっしゃったように、総合施設が何でもかんでも機能を抱え込むと いうよりは、むしろ、地域の社会資源や機能と、どう双方向でネットワークをつくって いくか、その視点をもう少し強調してほしかったなという気がします。 ○岩男部会長  連携の話は、この部会でもたびたび出てきておりまして、言葉として十分に中間まと めに反映していなかったかもしれませんので、それは最終まとめに向けて留意していき たいと思います。  それでは、遠藤委員、どうぞ。 ○遠藤委員  私もこの議論にずっと参加しておりまして、やはり子育て支援を核に置きながら、現 状もかなり、保育所並びに幼稚園等で子育て支援の機能は確かにしていらっしゃるので すが、現実的は、設置者の努力という形でもっているのが正直な話ではないかと思いま す。やはりここできちんと子育て支援を位置づけるためにも、先ほど吉田委員がおっし ゃられましたようなネットワークとか、後方支援ができるような機能までつくってみる ところに、言ってみれば、当面は第三の施設ということになってしまうでしょうけれど も必要なわけです。この時期に、先ほど前田委員がおっしゃられたように、私ども現場 にいる者にとってみれば、毎日毎日が、実際に虐待数も増えておりますし、どうにかす れば助かったケースとか、子育てをもっと楽しくできるのに、次の子どもも産めたのに と、そういう方に会うわけです。幼保の一元化の問題は、本当に教育と保育がばらばら なのかという議論は、もっともっと本当にしなければならない議論で、私も、ばらばら であるはずはないだろうと思うところもあるのです。閣議決定で、非常に速い進捗の中 で進められております。総合施設以上のすごく大きな議論だろうと思いますので、現実 的には、単なる妥協案ではなく、先を見つめながら、モデルといいますか、試行案のと ころでうまいプランを出していく状況になのかなということを考えております。 ○堀委員  こういう総合施設のあり方を検討する以上、いろいろな項目を立てて枠組みをきちん と検討する必要があると思います。それは必要だと思いますが、実際に地域のニーズを よく知っているのは市町村なので、上から枠でくくってやるよりも、もう少し市町村が やりやすいような形でこういうものをつくっていくべきではないかと考えます。これは ある意味では暴論かもわかりませんけれども。これを実際に検討した後では、できるだ けそういう市町村の考え、判断が反映されるような形でやったらいいなと思います。 ○岩男部会長  地域のニーズに即した形でということは、かなり強く強調されていると私は思ってお ります。細かい財源その他につきましては、今後の議論になっていくと思いますけれど も。 ○堀委員  親の就労の有無・形態で区別することなくという切り方自体がどうかということで す。 ○岩男部会長  一つのキーワードとして、多分、柔軟性、弾力的なものにする、そういうことだろう と思います。ですから、できるだけ柔軟性を制限するような書き方をしないようにと心 してまとめたつもりですけれども、また改めて検討し直していきたいと思います。  それでは、ほかにも議題がございますので、この件につきましては、議論はこの程度 とさせていただきます。  今後の進め方につきまして、事務局から御説明をお願いしたいと思います。 ○尾崎保育課長  先ほど既に申し上げましたけれども、この中間まとめの冒頭にありますように、この 合同会議としては、本年11月ごろを目途に最終的な取りまとめを行う予定であるという ことで、合同会議の方がまた議論が進められることになろうと思います。また機会を捉 えての御報告を心がけていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○岩男部会長  それでは、続きまして、「平成17年度雇用均等・児童家庭局予算概算要求について」 と「三位一体改革について」を一括して議題として、事務局から御報告をお願いしま す。 ○高井総務課長  資料2を御覧いただきたいと存じます。来年度の予算概算要求でございます。まだ概 算要求段階ですので、ポイントを絞って説明をさせていただきたいと存じます。  資料2の1ページの冒頭に書いてございますように、来年度予算の内容としては、新 エンゼルプランに代わる新たなプランを策定することが今年6月に策定されました「少 子化社会対策大綱」で決まっております。これをにらんだ概算要求しているというの が、この内容の中心でございます。  主な事項としては1ページにありますが、2ページを御覧いただきますと、概算要求 の額が載っております。17年度概算要求額としては1兆 1,082億円ということで、大き く児童福祉関係が1兆 971億円、労働関係が 111億円という内容でございます。  3ページ以降が柱建てでございます。「地域における子育て支援対策の充実」という ことで、子育て支援関係を順に御覧いただきますと、「つどいの広場事業の推進」とい うことで、来年度は 1,000か所の要求をしております。それから、「地域子育て支援セ ンターの整備」として 300か所増の要求をしております。今年度スタートした3番目の 「育児支援家庭訪問事業の推進」についても、引き続き実施していきます。「乳幼児健 康支援一時預かり事業」についても充実する予定でございます。   (2)の放課後児童クラブの関係ですけれども、これまでの実績を踏まえまして 900か 所増の要求をするとともに、ボランティア派遣事業の充実、障害児の受入れ環境改善事 業を創設する内容になっております。  4ページの (3)の「ファミリー・サポート・センター事業の拡充」も引き続き充実す ることで、か所数の増を要求しております。  (4)の「児童手当国庫負担金」ですけれども、今年、児童手当法の改正が行われまし て、小学校の第3学年修了まで引き上げるということですので、来年度は残りの部分が ありますので、その部分を含めて要求して、来年度には完全に支給が行われるというこ とでございます。  5ページが「多様な保育サービスの推進」ということで、保育関係でございます。 (1)が「待機児童解消に向けた保育所の受入れ児童数の拡大」ということで、約5万人 の受入れ児童数の関係の要求をしております。また、 (2)「多様な保育サービスの提供 」ということで、延長保育の推進、か所数を大幅に増やす。一時・特定保育の推進、休 日・夜間保育の推進につきましても、これまでの実績を踏まえて要求をしております。 (3)の「総合施設モデル事業の実施」ですが、先ほど、試行事業として出ていましたけ れども、か所数としては、公私あわせて30か所の要求をいたしております。また、厚生 労働省はこの5億 5,100万円ですけれども、文部科学省においてもこれに合わせた形で 要求をしている状況でございます。  次の6ページでございます。3の「子育て生活に配慮した働き方の改革」ということ で、 (1)「子育てと両立する働き方の実現」ということで、これまでいろいろな施策を 進めておりますけれども、今回、この (1)として、地方自治体でそうした仕事や家庭の 両立を行う事業主、労働者に対していろいろな働きかけ、支援をしていただこうと。そ ういう取り組みをバックアップしていってはどうかということで、こうした事業主等に 働きかける自治体の支援費用を新しく組んだものであります。これまでは、働き方につ いては、どちらかといえば、地方の労働局という国の機関が中心になって進めていた面 があるかと思いますけれども、自治体にも、今回の合同計画策定を機にいろいろ取り組 みをお願いしたいという内容でございます。  (2)が「男性も育児参加できる職場環境の実現」ということで、いろいろな取組みを 入れております。 (3)は「次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画策定 ・実施の支援」でございます。  4「児童虐待への対応など要保護児童対策等の充実」ですけれども、6ページの (1) の一番下にございますように、児童相談所の機能強化ということで、24時間 365日体 制、児童相談所における対応ができるように、各県1か所の児童相談所にこういう対応 ができるような体制をとっていこうということで予算をお願いしています。それから、 児童福祉法の改正は現在継続審議になっておりますけれども、児童福祉法の資格取得が 変わってまいりますので、そのための研修の費用を要求しております。  7ページでございます。児童家庭支援センターの拡充、施設の小規模化の推進、里親 支援の推進、自立援助ホームのか所数増等のこうした予算を引き続き増要求いたしてい るところでございます。  8ページでございますけれども、「子どもの健康確保と母子保険医療体制の充実」の 関係でございます。少し飛ばしますけれども、真ん中辺にあります (2)の「小児慢性特 定疾患対策の推進」は、今年度から装いを新たにしておりますけれども、引き続き来年 度もそれを受けて進める。あるいは、 (4)の不妊治療につきましても引き続き実施しよ うということで要求をいたしております。  9ページでございます。「母子家庭等自立支援対策の推進」でございます。 (1)の一 つ目の○印に「新」と書いてありますけれども、「母子家庭の母等に対する職業訓練機 会の拡大」ということで、1行目から2行目に書いてありますように、公共職業訓練の 枠を拡充して就業支援の推進をより進めようではないかということであります。そうい う内容を見込んでおります。  そのほか、ここに書いてある内容ですが、引き続き充実していこうということでござ います。  ちょっと飛ばせていただいて、11ページですが、こうした関係は、先ほど申し上げま したように、少子化社会対策大綱に基づいて新新エンゼルプランを今年度中に策定する ということでございます。今後、この概算要求とともにいろいろな要素、2つ目の○印 にありますけれども、働き方の見直し等の分野も含めて、社会全体で、今後5年間で達 成すべき目標等について幅広く検討して、年末に新しいプランを策定したいと考えてお ります。  この11ページの下の表ですけれども、この予算要求の中でも幾つか新しい取組みとい うか要素を入れておりまして、左側に黒い●印が5つ見えているかと思いますが、1つ 目の●が「就学前児童の教育・保育の充実」ということで、保育関係を中心にした施策 でございます。詳しくは申し上げませんけれども、いずれもこの新エンゼルプランの目 標を達成し、さらにそれを越えて進めていこうという基本的な内容になっております。 次の●の放課後対策についても、さらにこれを進めていこうということでございます。  今回、3つ目、4つ目の●にありますように、一つ大きく立てていこうということ で、「地域における子育て支援の充実」と。これは、その次の項目が「つどいの広場事 業の推進」で、これまでは目標としてはなかったのですけれども、これを入れていって はどうかということです。地域子育て支援センターやファミリー・サポート・センター は、これまでもありましたけれども、これをくくって進めていこうということ。  それから、4つ目の「児童虐待防止対策の推進」は、プランとしては、すべてこれま ではなかったものです。「・」がプランとしては新しい項目でありまして、育児支援家 庭訪問事業の推進、児童家庭支援センター、子育て短期支援事業等々入れて進めてはど うかという内容でございます。  12ページは、「公正かつ多様な働き方の実現」ということで、1は「多様な働き方を 選択できる環境整備」ということで、パートタイム労働と正社員との均衡処遇、在宅就 業の推進、短時間正社員等の多様就業型ワークシェアリングに関する予算を要求してお ります。2では「男女雇用機会均等確保対策の推進」の関連の予算を要求しているとこ ろでございます。  予算関連は以上でございます。  そから、2つ目のテーマの三位一体の関係でございますが、資料3−1を御覧いただ きたいと思います。3−1の見出しに「地方六団体の提案の概要」となっております。 国庫補助負担金等の改革の提案、いわゆる三位一体の改革の提案ですけれども、御案内 のとおり、補助負担金を廃止して改革していこうと。また、それに合わせて税源移譲を しよう、地方交付税改革を行うことが三位一体の改革ですけれども、今回、地方六団体 から出ているものは、補助負担金の廃止のリストが中心になって出ております。  1ページの上の (1)にありますように、今回、廃止対象補助金が合計 3.2兆円、税源 移譲額が3兆円という内容でございます。 (2)にありますように、その内訳が、社会保 障関係が 9.400億円、文教・科学振興が1兆 1,000億円、公共事業が約1兆円という内 容になっております。  3ページからが、その具体的な金額であるとか事業が書いてあります。3ページは厚 生労働省関係の廃止すべき補助負担金の内容でございます。4ページが、それを分野ご とに見たものでありまして、4ページ、5ページと御覧いただきますと、高齢者関係、 障害者関係、児童福祉関係が上がっております。  まず全体を御覧いただくという意味で、7ページをお開きいただきますと円グラフが ございます。地方公共団体向けの厚生労働省の国庫補助負担金の円グラフでございま す。合計11兆 9,288億円と書いてございますけれども、今回提案があるものが右側の箱 にございますように、 9,444億円の廃止が提案されております。大きく左の円グラフを 御覧いただきますと、黒く塗ってあるものについては、下にありますように、今回の対 象としないということで位置づけられているものでありまして、国民健康保険や老人医 療の医療分野、生活保護、児童手当、児童扶養手当、介護というものが薄く塗ってあり ますように、今回の提案には入っていないものです。  左上の「その他の負担金・委託費」、「その他補助金」として約1兆 8,000億円あり ますけれども、そのうち、右側にある約半分のものが廃止の対象になっているというこ とで、施設整備費関係、運営費・事業費関係が見えているかと思います。民間保育所の 運営費、少子化対策、児童虐待、不妊治療、乳幼児健診などが見えているかと思いま す。  この辺をもう少しまとめたものが、次の資料の3−2でございます。「地方六団体の 提案の概要(児童関係)」ですけれども、先ほど御覧いただきました厚生労働省関係 9,400億円余の廃止対象のうち、児童関係が 4,475億円上がっております。内訳としま しては、その下にありますけれども、まず保育所関係として、私立保育所の運営費 2,665億円、特別保育関連の延長保育や休日保育関係の 454億円、保育初頭の施設整備 費 240億円ということで、保育所関係はすべて廃止という提案になっております。  それから、次の箱で、児童養護施設等の措置費ということで、児童養護施設や母子生 活支援施設、乳児院の入所関係の措置費はすべて対象となります。次の児童虐待対策の 106億円ですけれども、里親の支援ですとか自立援助ホーム、あるいは小規模のグルー プケアなどの費用がすべて上がっております。それから、母子家庭の自立支援事業とし て49億円ということで、母子家庭の生活支援、就業支援のすべてが入っています。  右上ですけれども、子育て支援が 260億円ということで、つどいの広場や地域子育て 支援センター、ファミリー・サポート・センターが入っております。それから、売防 法、DV法に基づく女性保護、婦人相談所の運営費関係の26億円。あるいは、不妊治 療、周産期医療ネットワーク、1歳6か月児・3歳児の健診費が上がっておりまして、 これを合計すると 4,475億円です。  下の3行に※印がついておりますけれども、対象となっていないものです。この児童 関係ですと、先ほども御覧いただきましたけれども、児童手当の国庫負担金、児童扶養 手当給付諸費、小児慢性特定疾患治療研究費、未熟児養育負担金ということで、医療関 係が対象になっていません。それから、母子寡婦福祉貸付金についても対象になってい ません。それ以外については、廃止対象補助金として提案になっております。  以上ですけれども、当面、これから関係者と協議をしていきますけれども、国の基本 施策として、これから新新エンゼルプランをつくって進めていこうというときに、必要 なサービスがこういう形で確保できるのかどうか、関係者と十分議論していく必要があ ると思っているところでございます。  最後に、参考資料2について私から御説明をさせていただきます。1枚紙でございま す。「保育所の状況 平成16年4月1日について」というものでございます。今年の4 月1日の保育所入所状況についてまとめたものです。二重線の箱のところを御覧いただ きますと、保育所の利用児童数は、対前年で4万 6,000人増加して 196万 7,000人。待 機児童数は、今年4月においては 2,000人減少して2万 4,000人となっております。ま た、次の○印ですけれども、昨年の児童福祉法改正によりまして、待機児童が50人以上 いる市区町村においては保育計画をつくっていただくことになっております。来年4月 からこの計画を動かしていただくということですけれども、95市区町村が該当している 状況です。  以上でございます。 ○岩男部会長  ありがとうございました。  ただいまの御説明につきまして、御質問あるいは御意見等がございましたら、どうぞ 御発言をいただきたいと思います。 ○阿藤部会長代理  非常に一般的な質問で、行政の方にとっては当たり前のことかもしれませんけれど も、新新エンゼルプランで、何か所から何か所へというきりのいい数字が挙がっていま すが、これは、あるニーズの総量みたいなものが行政の方で計量されていて、そのニー ズに対して、今年は何%達成するとかいう形で予算が計上されているのか、その辺、ど ういう関連でこういう数字が出てくるのかを伺いたいと思います。 ○高井総務課長  数字の多くは、予算ですし、各市町村が実施するものですから、これまでのそれぞれ の事業の推移が実績として積み上がってきて、それぞれの地域でどれだけのニーズがあ って増えていくものですから、そういう地域でのニーズを各市町村や都道府県から集計 して、来年は何か所増する必要があるだろうと。そういう地域のニーズを踏まえて考え ていくものが中心でございます。  もちろん、ものによっては、新新プランですから、これから、中学校区、小学校区に 1か所つくっていこうということで政策的に増やしていきたいものも出てくると思いま すけれども、今、この予算では、多くは、そうしたこれまでの市町村での実績を踏まえ て、それがニーズの反映になっていると思いますので、それを踏まえて来年度は要求し ているものが多うございます。 ○堀委員  総合モデル事業ですが、これは厚労省と文科省で全く同じ事業を、両省が別々に行う ということでしょうか。 ○尾崎保育課長  具体の事業のやり方は、まだ概算要求の段階ですから今後詰めなければなりませんけ れども、公私の幼稚園・保育所それぞれで衣替えをしてといいましょうか、実験してい ただくことになろうと思いますので、両省と相談して行っていくことになろうと思いま す。役割分担はそれぞれあろうと思いますけれども、重複とかむだがないような形で、 合理的な試行ができればと思っております。 ○柏女委員  地方六団体から提案されている移管の主な事務事業で、ちょっと質問ですが、これは 高齢者の介護保険に付随する国庫補助金は除外するということと理解してよろしいので しょうか。 ○高井総務課長  介護保険の方は、介護保険の、例えば国庫負担については対象になっていませんけれ ども、それ以外の、資料にありますように、補助負担金で若干入っているものがあると いうことで、例えば3−1の4ページの上の方にあります高齢者対策で、特別養護老人 ホームの施設整備費とか、介護予防事業関係、老人保健法に基づく保険事業は対象にな っております。 ○柏女委員  介護保険の国庫負担分は対象外。そうすると、支援費の方はどうなっているのでしょ うか。これは入っていないように思いますが。 ○高井総務課長  すみませんが、支援費については、資料の説明を落としておりますけれども、6ペー ジでございまして、対象になっておりません。6ページを御覧いただきますと、いろい ろな補助負担金が、対象にならないものをこちらで整理いたしましたけれども、障害者 対策のところの1番目に上がっていますように、支援費は提案の中に入っていません。 ○柏女委員  支援費は、そこにあるように、今後、制度全般の見直しの中で検討すべきものに入っ ているということですね。 ○高井総務課長  私も詳しくは存じないのですが、恐らくそうだと思います。 ○柏女委員  わかりました。 ○渡辺委員  税金を本当に必要なところに重点的に入れて、必要ではないところは省いていくこと はもちろん必要ですけれども、例えば5ページの「延長保育の推進」のところで、11時 間の開所時間を超えて実施する延長保育を推進する、例えばか所を増やすという項目が ありますね。これは、例えば、現実に母子家庭は増えておりますし、母子家庭の場合 は、お母さんの仕事に合わせて子どもたちが長く延長保育できる保育システムがなけれ ば、その子どもたちはたらい回しになって、あちこちに預けられるということがあるか ら、そういう視点では、これは母子家庭などにはありがたいと思います。  もう一方では、各企業が、より子育てしやすい社会をつくることに協力していただく 方向も打ち出しているわけですから、例えば、この延長保育の推進の背景にあるコンセ プトが、企業が使いやすい、労働力を確保しやすいためにやるのであれば、これは子ど ものベネフィットではなくて、経済的に困っている親たちのベネフィットであるけれど も、それは、結局は、その子どもたちが質の低い幼児期を送り、しかも、保育園自体 も、その延長保育の時間というのは大体、例えば延長保育用のパートの方が誰か主任さ んと一緒に過ごしてということで、プログラムのない、盛り上がらない状態をつくって いるわけです。ですから、そういったことをむしろ行わないために、例えば延長保育を 増やすけれども、それはどういう対象に対しては絶対に延長保育をした方が社会にとっ ても、その親子にとってもいいのだというあたりの議論がなくてやりますと、一方で、 先ほど出てきたように、子捨て保育みたいなことが言われてしまうと思います。  乳幼児期の11時間以上の保育は無理だと思います。これは本当は無理ですけれども、 やむを得ず、お母さんの就労体制のために、それしかない方たちというのは現実にたく さん増えておりますので、私は、この延長保育のか所数が増えることは必要だと思いま すけれども、一方では、延長保育などせずに、お父さんとお母さんがちゃんと帰れるよ うな方向を押し進めていくという連動の中でなされていないと、このサービスは誰のた めのサービスなのかなとなってしまって。やはり本質がぼやけてしまうのではないかと 思います。 ○高井総務課長  お答えになるかどうかわかりませんけれども、確かに、延長保育の必要な方のために 延長保育を進める必要がある一方で、やはり働き方が大事だということで、私が申し上 げるまでもなく、昨年法律を改正して、企業にも行動計画をつくっていただいて、働き 方を見直していこうという動きを少子化対策として大きく位置づけているわけです。  先ほどの予算でも、若干のそうした支援の予算を組んでおりますけれども、両面で進 めていく必要が、改めてですけれども、必要があると思っております。 ○阿藤部会長代理  先ほどの質問とも関連するのですが、ニーズに即してそういう計画をつくっていくこ とは当然だと思いますが、その点で言うと、いわゆる待機児童はある種小泉内閣がゼロ 作戦を何年か前に宣言して、しかし、その後、毎年2万何千人の待機児童がいることが 続いているような印象があります。そこらあたりは、この少子化の時代に、内閣がそこ まで宣言して、ゼロを目標にということにしては、なぜそこがうまく進んでいかないの か。もっと予算を大きく要求して、一挙に保育所をつくってしまうとか、サービスを拡 充することはとても無理なのでしょうか。 ○尾崎保育課長  先ほど総務課長から御説明しました参考資料2で、実は、待機児童ゼロ作戦は、今年 度が最終年度になっているわけですけれども、今年度も予算措置によって保育所の受入 れ枠を増やしています。この成果は、来年4月1日を見ていただかなければわからない ということです。ただ、2年目までの成果として、先ほどの参考資料2で御覧いただき ましたとおり、まだ2万 4,000人残っておりますけれども、初めて減少に転じました。 今年度もまた受入れ枠を増やしておりますし、概算要求でも受入れ枠を増やしています ので、その辺の様子は見極めつつ、さらに力を入れていきたいと思っております。  それから、50人以上の待機児童がいる市町村に保育計画をつくっていただいていると ころですけれども、そういったところを中心に、また重点的なきめ細かな対策がどのよ うに進められるのか、ヒアリング等を通じて、きめ細かな対策にさらに力を入れていき たいと思っております。 ○網野委員  先ほども地方六団体の提案のことで質問がありましたが、私は、この内容というより も、この趣旨について、本当に初歩的な質問で恐縮ですが、今回の地方六団体の提案の 重みといいますか、実効性と言ったらいいでしょうか、これは、つまり三位一体で国庫 補助を廃止していく、税源を移譲していく、地方交付税を運用していく、この3つの枠 組みの改革としての極めて重要な部分の提案だと思います。これを最終的に決定するの はどういう手続きで、どうなるのでしょうか。  つまり、例えば、今ここの審議会でいろいろ検討されている、保育ということに関し て、あるいは、虐待の対応とかに関して、制度そのものはもちろん変わらないわけで、 財源をどうするかということで受けとめる。必ずしもそれだけではなくて、当然、それ は自治体の姿勢とかいろいろなことで影響してくると思いますが、例えば地方六団体が 提案しているものは、かなり具体的な中身は、今後の17年度、18年度で、この方向にな るという意味で受けとめてよろしいでしょうか。それとも、国の対応としては、これは 一つの参考として提示したということになるのでしょうか。教えていただきたいと思い ます。 ○高井総務課長  まず事実関係ですけれども、三位一体改革を進めようということが政府の大きな方針 になっております。それは閣議決定されている、毎年決める基本方針にうたわれており まして、そこにおいては、例えば今年6月に決まりました基本方針においては、17年 度、18年度の三位一体改革を今年の秋に明らかにして、年内に最終決定することになっ ておりますので、そういう動きをしていると。そのために、地方六団体に意見を求めよ うということも閣議決定されておりまして、その意見を求めた結果、この六団体からこ のような意見が出てきたということであります。  政府としては、3兆円オーダーの補助金を廃止し、あるいは税源移譲をするという、 大雑把ですけれども、方針が決まっていますので、この提案を受けて、これから最終的 な決定に向けて詰めていくということでありますが、地方六団体がこのような意見を出 していただいていることは大変大きな重みを持っていると思います。  一方で、我々としては、先ほど申しましたように、少子化対策を進めていく上で、こ のような方向が、いろいろな課題がないのだろうかという点では議論していかなければ いけないということでございまして、さっきのほとんどの補助負担金が対象になってお りまして、もう廃止だということですので、今後の少子化対策の拡充、推進にどのよう な影響があるかは議論していかないと思っております。  もう少し言えば、これまでエンゼルプラン、新エンゼルプランで、相当少子化対策を 拡充してきたわけですので、それが今後さらに、この税源移譲という形のもとでも進め られるのかどうかもいろいろ御議論しなければいけないのではないかと思っておりま す。 ○岩男部会長  それでは、吉田委員、堀委員の順番でお願いします。 ○吉田委員  三位一体改革は、この部会でどういう議論というか、どういうことができるのかよく わかりませんが、今の御説明を伺って、文教の方でも私立幼稚園の経常費補助と、それ から、公私立共通ですけれども、就園奨励費補助もリストに載っておりまして、要する に、就学前の子どもは全部、教育・保育を問わずに載っている。今お話があったよう に、まさに少子化社会対策基本法とか次世代育成支援対策推進法ができている中で、な ぜか、むしろ、障害や高齢以上に子どもの方が全部行ってしまったということが個人的 には解せないのですけれども。  今日の議論でもあった総合施設にもこれは影響が出てくるなと思っていまして、公立 保育所については既に一般財源化されているし、公立幼稚園はもともと一般財源化で、 これに加えて私立の保育所と幼稚園が一般財源化となると、そのほとんどが地方自治体 の裁量で、裁量が増えること自体はいいのですが、恐らく、今の少子化とか地方自治体 の財政難、公私幼保の偏在を考えると、その公私幼保の再編等にかなり拍車がかかるの ではないか。それがプラスの方向に行けばいいのですが、どうも、財政難というバック ボーンの中では、マイナスの方向で公私幼保の再編が進む可能性が実際にあるのではな いかと思っています。そのときにこの総合施設構想が出てきていますから、そっちに下 手に利用されてしまうと、我々が議論してきた「子どもの最善の利益」とか、これから いろいろと新しい枠組み、システムという部分で、こちらの思いとは違う方向に結果的 に自治体が使っていく懸念が、正直言ってかなりあると思います。そういう意味では、 この総合施設の議論の中でも、この三位一体は相当かかわりがあるものですから、どう いう議論をし、どういう対応をすればいいのかはよくわかりませんが、このことは相当 考えるべきだろうというのが1点です。  それはリスクマイナスを避けたいという意味ですが、もう一つは、もっと前向きの意 味で、私は合同会議でも一度申し上げたかと思いますが、イギリス版の総合施設のお話 のときに、ユニバーサル・チャイルド・ケアという発想で、バックボーンにはソーシャ ル・イン・クルージョンという、社会的に排除される人を出さないために地域づくりか らやっていく。それは子どもの部分から、家庭の部分からということがあったわけで す。そのためには、地域コミュニティをどうするかということで、地方分権というのは 地域差もあっていいという前提で、それもいいのですが、余り下の方の差が出てはまず いので、子ども、子育て家庭も含めた地域づくり、コミュニティづくりという視点で、 ソーシャル・イン・クルージョンのような発想で、もう一つ新しいデザインの仕方がな いかなと思います。 ○岩男部会長  それでは、堀委員、お願いします。 ○堀委員  予算の資料12ページに「公正かつ多様な働き方の実現」とあります。最近読んだもの の中に、次のような話がありました。デンマークの合計特殊出生率が 1.5に下がったと いうことで、労使、政府が協議して、労働を午後4時までにしようと決め、それを実行 に移した。その結果、出生率が1.85に上がったと書いてありました。その真偽はわかり ませんけれども、労働時間というのは、少子化とか、あるいは、子育て自体にかかわり ます。午後4時に終われば、子育てに参加できるという意味で関係があると思います。 前に労働時間の問題について発言したことがあります。労働時間の問題はこの局の問題 ではないということで資料がなかなか出ていないと思うのですが、過労死とかの問題も 子育てにも関係があるので、その問題は重要だと思います。そういうものは予算には関 係ないと思いますが、一度はこの部会に資料か何かを提出していただければありがたい と思っています。 ○岩男部会長  柏女委員、お願いします。 ○柏女委員  今の吉田委員の発言に関連してですが、地方六団体の提案を今つぶさに見させていた だいて、これは、人間の一生ということで考えたときに一番問題なのは、トータルで見 るべき人間の一生、その中での健康と安心の保障というものがライフステージで分断さ れてしまうことが一番大きな問題ではないかと思います。  つまり、人間の一生を入り口と出口にたとえるのは不謹慎かもしれませんけれども、 生まれてくるとき、あるいは、子どもが生まれて育っていく、ここは地方が担うという 考え方だろうと思います。つまり、子どもの幸せは地方が決めていくという考え方にな るのではないかと思いますが、それが、その人が高齢になったときには、国も負担し、 あるいは、介護保険という仕組みで国民すべてが一定の負担をする、社会連帯の仕組み で、あるいは、国、都道府県、市町村が一定割合で財源負担をしていく。こういう仕組 み。そして、障害の問題についても今はペンディングになっているということ。誰がど のように、健康、暮らし、安心を守っていくのかということが、ライフステージで分断 されてしまうことがすごく大きな問題を持つのではないかと思います。  例えば、これは極論かもしれませんが、この仕組みで、もし自治体で子育て支援サー ビスに財源を回して、熱心に子育て支援を展開した自治体、その自治体で育ったたくさ んの子どもが成人したときに、子育て支援サービスに冷淡で、つまり、3歳までは家庭 で母親が育てるべきだという形で自助努力のみを強調した子どもの少ない自治体の高齢 者の扶養をすることになるわけですね。これって本当にいいのだろうか。  今は極論を言っていますけれども、こういう仕組みの中で、自治体に子どもが生まれ 育つ環境づくりを積極的に進めていくインセンティブが働くのだろうかという感じがし てなりません。これから少子化対策を進めていく大事なときに、そのインセンティブが 働かないような仕組みにしていくというのは、一体どういうことなのだろうかというこ とを思っています。少なくとも、高齢者の方で、国も含む国民みんなで保障する仕組み を続ける以上、今、入り口というか、子どもが生まれ育つところも同じようを仕組みに して、少なくとも国が財源においても一定の責任を果たす仕組みにすべきではないかと 思います。  ただ、今申し上げたような形にしていくためには、この部会で一体何ができるのかと いう議論が吉田委員からありましたけれども、やはり子どもを育てていくための仕組み を一体どのような財源でやっていったらいいのか、あるいは、どのようなサービスを用 意したらいいのか、そして、それをどのような提供方法で、利用方法でやっていったら いいのか、それらを抜本的にここで議論すべきではないかと思います。  支援費制度については、少なくとも保険という仕組みを導入すべきではないかといっ た議論が行われていたということで、いわば今後の制度検討に待つ形になってしまった わけですけれども、児童の方はそれすらなされていなかった。言ってみれば、現状がい いということであれば別ですけれども、そうでなければ、やはり児童部会が我々の問題 として肝に銘ずることではないかと思っています。  そういう意味では、早くここの部会なり、あるいは、人間の一生をどのような仕組み で整合性を持って支えていくかとなると、社会保障審議会全体の議論という形にもなり ますけれども、少なくとも児童分野でどのようしていったらいいのか。それらは、ここ で議論すべきなのではないかと思います。  もう一つは、税だけをとっても、ここの一般財源化するもの、補助金をとっても、県 が負担しているものと、市町村が負担しているものと、ここも子育て支援と要保護分野 では分かれているわけですね。要保護分野は市町村は負担していません。児童養護施設 に入れば市町村は一銭も負担しない仕組みになっているわけで、それが本当にいいのだ ろうかという議論もここでしていかなければいけないのではないかと思います。  もう1点は、以前、私は、今年の初めごろでしょうか、子育てに対する社会的な評価 の低さ、あるいは、高齢者に偏った社会保障の配分の見直し、そういうことを児童部会 として何らのアピールをした方がいいのではないかということを申し上げました。そし て、部会長の方で、事務局とも検討するというお話をいただいたことを覚えています。  ぜひ、こうしたときに、私たちの部会として、やはり子どもたちの問題、子育ての問 題を、もう少し人間の一生をトータルに考えていく必要があるのではないか。それらに ついて一定の提言なりをこの部会として行っていった方がいいのではないか。それは単 に、もちろん天につばする話ですね。我々がやらなければいけない部分も当然あるわけ ですけれども、社会に訴えかけると同時に、私たちもそういう動きをしていくことが必 要なのではないかということを強く感じましたので、ちょっと意見を出させていただき ました。 ○岩男部会長  ありがとうございました。大変大事な御指摘だと思います。特に後者の部分につきま しては、総合施設の検討にかまけていてというか、そのままになっておりました。社会 保障審議会では、社会保障費の中に占める児童に充てられる部分が余りにも小さいとい うことは、私も発言をしており、これは記録にも残っております。それを含めて、ここ できちんと議論し、意見を集約することは大事なことではないかと個人的には思ってお ります。また事務局と御相談して運びたいと思います。  では、前田委員、どうぞ。 ○前田委員  地方に子どもを任せると危ないみたいなことを言われてしまったので。  六団体の代表ではないですし、個人的に、今、自治体の現場に出た者としてどう思っ ているかといいますと、一つには、先生がおっしゃったとおり、三位一体はいろいろせ めぎ合いがあります。自治体によっては、特に、東京23区のように財政力があるところ と、地方で子どもが少なくなっているところでは、出産祝い金や児童手当を独自に補て んして出すとか、小児医療費の無料化とかいろいろ行っているのですけれども、私は、 子どもたちが、生まれた地域の財政力によって基本的な生活保障といいますか、経済的 な生活保障に差がつくのはおかしいので、児童手当とか小児医療の扱いは、国でちゃん とした基準をつくるべきだと思います。  ただし、現物給付に関しては、横浜市は 355万人もいる基礎自治体で、基礎自治体と しての規模が適正かどうかという議論もありますが、それでも少なくとも国よりは現場 の状況がどうであるかはわかっています。こまめに、現実に即した現物給付をどう機動 的に行うかは、やはり自治体の方が知っているのではないかと思います。その面では、 現在の補助金は、いい面だけではなくて弊害もありまして、細かいルールで細分化して 出されて現場の裁量が効きにくいとか、補助金の使い勝手が悪いものもありますし、例 えば施設整備などでも、今回も補正とかいろいろあって、国の動向が決まらないと、自 治体の計画策定もぎりぎりまでできません。こんなことを言うと申し訳ないのですけれ ども、自治体現場独自の計画しても、最終的に達成目標は国の補助金の動向で左右され ることは、現場の担当者はものすごくあつれきを感じています。その意味でも、私は、 一般論としては一般財源化に賛成です。  それとともに、自治体では足りないところもありまして、私は、医療も福祉も全部担 当しているのですが、国の補助金がこうなっているからこういうやり方がいいという風 に、自治体の担当者もしつけられてきています。そうではなくて、本当に自分が現実を 見たときに「何がいいか」ということの考え方や独自の政策を自分たちで作っていく訓 練をしないといけない。これは、ニワトリが先か卵が先かということがありますが、そ ういうチャンスがなかったから考えてこなかったかなと思います。そういう訓練も自治 体はしないといけないと思っております。  3点目は、じゃ、一般財源化して国の役割がなくなったかというと、そうではありま せんで、同じ日本人の子どもとしての生活基盤安定をどうするかみたいな基準作成とか はやはり国がやるべきだと思います。例えば、先ほども労働時間の話が出ましたけれど も、次世代育成計画で、横浜市は市内企業につくってもらうことになっているのですけ れども、横浜市が労働時間を短縮しろとか言っても何の強制力もないわけです。  ですから、そういう意味で、労働環境の整備、残業のときの割増賃金のあり方、その ような法整備の役割は、国としてはますます重要な役割を果たすと思います。一般財源 化の波の中で、ただ枠が3兆円だからこれをということではなく、もう一度、国が果た すべき役割、自治体が果たすべき役割を確認するだけでなく、一般財源化を通してさら にもっといいサービスをするためには何がいいのかということを、もっと実質的に意見 交換をする責務があると思います。  5番目は、これは柏女先生と意見が通じているのですけれども、横浜市は、税収は 6,500億円ぐらいしかありません。この5年毎年毎年、税収が 250億円も落ち込んでお りまして、来年度も落ち込んでいる。一般会計の予算規模はもっと大きくて1兆 3,000 億円ぐらいありますが、予算がものすごく落ち込んでいる中で、横浜市は子育て事業本 部というものをつくって、保育所も今年だけで43か所つくりますし、定員を 2,700人増 やします。それでも待機が減らないんです。さらに、学童クラブもたくさんつくろうと しているのですけれども、どういうことが起こっているかというと、予算が毎年 250億 円規模で縮小している中で、一年間に保育所を40か所もつくるということは、その運営 費だけで50億円や60億円が積み上がりますので、今は高齢者が手厚くなっていると言う と怒られますが、高齢者福祉など、いろいろな部分を削って、児童福祉の部分に投入し ています。そうすると、新しくサービスが増えた人は当たり前だと思うから、誰もあり がとうとは言ってくれないのですけれども、削られた方の人たちからはものすごい反発 があります。  横浜市は子育て事業本部を立ち上げましたし、一般財源化の中でも、保育所サービス を落とすということはあり得ないといいますか、一度みんな見てみたものはそれ以上の ものを求めますから、必ずやることになると思います。しかし、例えば先ほど申し上げ ましたように、軽度発達障害の子たちのケアをどうするかとか、乳児院の問題とか次世 代育成という中では今までになかったものを新たにつくらざるを得ないわけです。今の サービスを前提に一般財源化する中でさらに新たに次世代育成のための事業をするとい うと、それぞれの自治体が苦しくなることは確かです。  私としては、少子化は日本の国家的危機だと思います。子どもは生まれないし、せっ かく生まれた子どもも親が育てられないというのは社会の危機だと思いますし、出生率 が下がり、次世代育成が出ている中で、国を挙げて次世代育成、子どもたちに資源を投 入して、子どもたちを守り育てるという姿勢を示すことが必要だと思います。構造的に もう少し、子どもにお金が行くし改革が必要だと思っています。それは、自治体にとっ ては、お金がたくさん来て、使う側から見れば言うまでもなくうれしいのですけれど も、やはり社会保障関係の配分で、ある程度の見直しをし、財源をどこに確保するかと いうことの議論は避けられないと思っております。  以上です。 ○岩男部会長  ありがとうございました。  この問題は非常に重要な問題で、次世代育成支援の推進という点において大変大きな 影響がある問題ですので、今日は大変貴重な御意見をいろいろ伺いましたので、それを また事務局の方で整理をしていただき、引き続き議論を深めていきたいと思います。ま た、世の中の動きにも注目しながら議論をしていきたいと考えております。  まだ御意見がおありだと思いますけれども、時間が来てしまいましたのでここまでと させていただきまして、今申し上げたような形で、引き続きということにさせていただ きたいと思います。  それでは、最後に、次回以降の日程につきまして、事務局から御説明をいただきたい と思います。 ○長田総務課長補佐  次回以降の日程でございますけれども、ただいま部会長から御提案をいただいた点等 も踏まえまして、部会長と十分相談させていただきまして、追って御連絡をさせていた だきたいと存じます。  なお、この三位一体の話に加えまして、先般、報道等でも御案内のことかと思います けれども、法務省の方で、少年非行法制の見直しといったこともテーマに上がってくる ようですので、こういった点についてもまた児童福祉の観点からいろいろと御議論、御 示唆もいただく必要があろうかと思っておりますので、そういった内容の報告も合わせ まして、またお願いしたいと存じます。追って御連絡をさせていただきたいと思いま す。 ○岩男部会長  それでは、本日はこれをもって閉会とさせていただきます。どうもありがとうござい ました。                   (照会先)                    雇用均等・児童家庭局総務課 (担当)水口                    03−5253−1111(内線7823)