04/08/06 社会保障審議会障害者部会(第16回)の議事録             第16回社会保障審議会障害者部会 日時  :平成16年8月6日(金)15:05〜16:40 場所  :厚生労働省5F共用第7会議室 出席委員:京極部会長、嵐谷委員、安藤委員、猪俣委員、江上委員、岡谷委員、      亀井委員、北岡委員、小板委員、君塚委員、古畑委員、小林委員、斉藤委員、      笹川委員、新保委員、高橋(清)委員、高橋(紘)委員、武田委員、      丹下委員、妻屋委員、堂本委員、徳川委員、長尾委員、野中委員、広田委員、      福島委員、町野委員、松友委員 ○京極部会長  それでは定刻がちょっと過ぎました。二、三、遅れて来る方がいらっしゃると思いま すが、ただいまから第16回、社会保障審議会障害者部会を開催させていただきます。  委員の皆様におかれましては、お忙しい中、また暑い中、また休日の方もいらっしゃ ると思いますけれども、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。そ れでは事務局から職員の紹介、委員の出欠、並びに資料についてご説明をお願いしま す。 ○間企画課長補佐  はい。まず、この7月23日付けで厚生労働省内で人事異動がありましたので、新たに 障害保健福祉部に着任した職員をご紹介させていただきます。まず障害福祉課長の松嶋 賢でございます。 ○松嶋障害福祉課長  松嶋でございます。よろしくお願いいたします。 ○間企画課長補佐  続きまして企画官の伊原和人でございます。 ○伊原企画官  伊原でございます。よろしくお願いいたします。 ○間企画課長補佐  続きまして委員の出欠状況ですが、本日は北岡委員、斎藤委員から欠席とのご連絡を いただいております。また、猪俣委員、岡谷委員、新保委員、堂本委員、永井委員、広 田委員、町野委員、松友委員が遅れておられるようでございます。  続きまして資料のご確認をお願いいたします。お手許に配付させていただいておりま す資料が幾つかございますが、まず資料ナンバー1番、「今後の障害保健福祉施策につ いて(中間的なとりまとめ)」。前回、おまとめいただいて、座長の一任をいただき、 修正したあとのものでございます。  そして資料2。「介護保険制度の見直しに関する意見」。特に被保険者・受給者の範 囲の関係の抜粋のものでございます。介護保険部会の意見ということでございます。  それから資料3。「障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会について」 というものでございます。そして資料番号は付いてございませんけれども、それの整理 のポイントという、紙が4枚ほどの資料をお付けしているところでございます。  それから資料4。「精神障害者の地域生活支援の在り方に関する検討会について」と いう資料がございます。そして資料番号5番、「精神病床等に関する検討会について」 という資料も用意させていただいております。  そして最後に、資料番号は付いておりませんけれども、右上に「第5回社会保障審議 会障害者部会において提出された資料」という、障害者部会の審議事項について」とい う資料をお配りしているところでございます。  そして委員の皆様の机の上には前々回と前回の議事録を置かせていただいておりま す。ご発言内容等に誤りなどがございましたら、8月27日、金曜日までに事務局までお 知らせいただきたいと存じます。また、資料の不足がございましたら、ご指摘をいただ きたいと存じます。以上でございます。 ○京極部会長  それでは議事に入ります。それから、また先ほど「二、三」と申しましたけれども、 8人、遅れているということで訂正いたします。障害者部会では今まで、今後の障害者 施策の体系や制度の方向性について議論をしてまいりましたけれども、そしていろいろ な議論の結果、前回の障害者部会におきまして今後の障害保健福祉施策について中間ま とめをご了承いただいたところでございます。  今回は初めにこの中間まとめを提示し、議論がなされている介護保険部会の審議状況 の報告を事務局からさせていただきます。その後、障害者(児)の地域生活支援の在り 方に関する検討会をはじめとする3つの検討会がございますけれども、この報告をして いただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。 ○渡辺企画官  老健局の企画官をしております渡辺と申します。よろしくお願いいたします。それで はまず私のほうから資料2に沿いまして、7月30日にまとめられました社会保障審議会 介護保険部会の報告につきまして、特に本部会と関係の深い被保険者・受給者の範囲の 部分につきまして、簡単にご説明をさせていただきたいと思います。  まず、社会保障審議会の介護保険部会の審議状況でございますが、介護保険部会は昨 年5月に設置をされまして、これまで16回にわたり審議を重ねてまいりまして、去る7 月30日に報告をとりまとめたものでございます。  資料2を1枚おめくりいただきまして目次があるかと思いますが、これが7月30日に とりまとめられました介護保険部会報告の全体像でございまして、全体として第1、第 2、第3という3部構成になってございます。  介護保険部会におきましては大きく3つの視点から検討を重ねてまいりました。  まず1点目は介護保険の基本理念ということを軸に、これまでの施行状況を踏まえ て、基本理念として徹底していくべきところはどこかといった点の検討が1つ。  もう1つは、今後、10年ぐらいを展望いたしまして生じてくる新たな課題にどのよう に対応していくかということ。  それから3点目がまさにこの本部会との関わりの深いことでございますが、介護保険 制度創設時から積み残しの課題ということでございまして、特にその中でも大きな被保 険者・受給者の範囲をどう考えるか。この3つの視点から検討をしてまいりました。  第3の被保険者・受給者の範囲につきましては、介護保険部会におきましても4月26 日の第12回の部会、それから7月16日の第15回の部会におきまして審議を行いまして、 その中でこの障害者部会が7月13日にとりまめられました中間とりまとめについても提 示しながら議論をしてまいりました。  結論から申しますと、今回のこの報告におきましては、この被保険者・受給者の範囲 の部分につきましては、介護保険部会として一定の方向性をとりまとめるというところ には至りませんでした。  そして先に結論を申し上げますと、9月以降、引き続きこの介護保険部会においてこ の被保険者・受給者の範囲に絞って、引き続き審議をするということになってございま す。 従いまして、今回のこの報告におきましては、この被保険者・受給者の範囲につ きましてはこの問題を巡る大きな論点、さらに介護保険部会におきます審議の中で各委 員から示されましたこの問題についての考え方、論点をとりまとめてお示しし、また国 民の皆様方の議論の素材にしていただくということになっております。  それでは、全体、ちょっと長うございますので、ポイントのところだけご説明したい と思います。この資料2の6頁をご覧いただきたいと思います。この6頁からはこの被 保険者・受給者の範囲の問題をどのような観点から考えるべきかということを、介護保 険制度との関わりにおける観点から捉えてどうかということ。それからもう1つは、障 害者施策との関わりからみてどうかということで整理をしているものでございます。  まず、介護保険制度との関わりにおける課題ということでございますが、今回のこの 見直しで問われている問題と申しますのは、現行制度ではご案内のとおり、介護保険は 40歳以上が被保険者となっているわけでございますが、この被保険者、さらに受給者の 対象年齢を引き下げるべきかどうかという問題が、介護保険制度からみた場合のこの問 題の捉え方ということでございます。  その2つ目の○にございますが、この被保険者の問題、それから受給者の問題は厳密 な意味ではそれぞれ別の問題でございますが、介護保険制度におきましては被保険者、 つまり支え手としての負担、それから受給者としての給付は連動することが基本となり ますことから、この給付と負担は表裏の関係で考える。  従いまして、仮りに被保険者の対象年齢を引き下げることにするなら、受給者の対象 年齢も同様に引き下げていくことがまず基本の前提であろうということで、この問題を 立てております。  その場合、この介護保険制度にとってこの問題がどういう意味を持つかということ が、この6頁の3つ目の○でございますが、現行の介護保険制度は介護保険ということ でございますが、実際にはそこの○のところにもございますように、「老化に伴う介護 ニーズへの対応」ということで、基本的には高齢者介護保険という性格を持ってござい ます。  従いまして、現在、40歳から64歳の方の2号被保険者につきましては「老化に伴う介 護ニーズに」ということに限定しておりまして、特定疾病という15の疾病によって介護 が必要になった場合に限られている。  従いまして、例えば交通事故、あるいは高次脳機能障害などで介護が必要になった場 合は、この2号の方は介護保険によるサービスを利用できないという状況にございま す。  こういった中でこの被保険者・受給者の対象年齢を見直すことは、まさに介護保険制 度にとりましてはこうした介護の原因に関する制限を見直す、普遍的な制度にしていく ということになるということでございます。  次の7頁でございますが、さらに介護保険制度の側からみますと、保険財政、あるい は負担の面ということではこの被保険者の年齢を引き下げることは制度の支え手の在り 方ということにも関わってまいります。  その被保険者年齢を引き下げることは、即ち、支え手の拡大になりますので、財政的 な安定性という面では特に長期的に見ればプラスに作用する。また保険料負担という趣 旨につきましても、現在は、先ほど申しました40歳から64歳の2号というのは基本的に は給付は限られて、限定されておりますので、むしろこの2号の保険料は自らの親を初 めとした高齢者世代を支える世代間扶養的な要素が強いということになりますが。仮り に年齢を引き下げ、特に若年の障害者の方々にも仮りに適用するとするならば、特にこ の制度的な意味としましてはこの保険料は同世代間の支援という色彩が強くなってくる ということでございます。  一方、この問題を障害者施策との関わりで、特に制度的な面からみてどうかというの を整理したのが、7頁の(2)からでございます。現行の介護保険制度と障害者施策と の適用関係でございますが、これは特に65歳以上の高齢の障害者の方の場合につきまし てはご案内のとおり、現在、介護ニーズに関してはまず一般制度であるこの介護保険制 度を先に適用する仕組みになってございます。  そしてそれにこういった介護保険の対象でないサービスですとか、それ以外の部分に つきましては障害者施策で適用するということで、言わば両者を組み合わせたような制 度になっているわけでございます。  こういった保険優先の考え方は7頁の下にもございますように、現行の医療保険制 度、あるいは年金制度の中でもこういった制度が採られているということでございま す。  ですので、仮りにこの被保険者・受給者の年齢を下げることになりますと、65歳以上 の高齢障害者のところで、今、介護保険制度と障害者施策との間での制度的な適用関係 を若年層にも適用することをどう考えるかという問題になっていくわけでございます。  次の8頁でございますが、このように組み合わせるという場合になるとしましても、 一番上の○ですが、介護保険制度の対象とならない障害者ニーズに対応する仕組みは当 然必要になってまいります。現行でも、先ほど申しましたように、両者を組み合わせた 仕組みということになってまいります。  そうしますと、若年者に拡大することになりますと、特に若年障害者が介護以外の就 労支援とか社会参加支援等のサービスをできるようにするためにどう考えるかというこ と。あるいは長時間の介護を必要として介護保険の支給限度額内で十分対応できないよ うな、こういったケースにどう対応していくかというあたりが論点になってくるという ことでございます。  さらにサービス自体につきましても、その次の2つ目の○のところでございますが、 介護保険制度につきましては、今日はお持ちしておりませんが、その前の段階で「今 後、目指すべき大きな方向性」として、やはり高齢者が地域の中で生活を継続できるよ うな地域ケアということを目指していくということが1つの大きな方向性として示され ておりまして、これは障害者福祉サービスにも共通していくものであろうと言っており ます。  その上で障害者の特性に対応した介護サービスの内容、あるいはケアマネジメントの 在り方といったものが具体的な論点になってくるということで、特にケアマネジメント につきましては非常に重要な課題であり、早急な検討が望まれるということで書いてご ざいます。  また具体的なサービスにつきましても、今の障害者福祉サービスのなかには例えば授 産施設のように介護と就労支援といった双方のニーズに対応するサービスがあるという ことで、こういったものが地域において十分に展開されるように給付メニュー等をどう 考えるかということも論点になってまいります。  さらに入り口のところの要介護認定につきましても、知的障害者、あるいは精神障害 者の方々等について、現行の要介護認定によって介護の必要性ということが適切に捉え られるかどうかということを検証して、その結果を踏まえた検討を行う必要がある。そ ういうことで、以上のような形で双方の制度から見た論点を整理しております。  その上で、9頁からでございますが、冒頭、申し上げましたように、この介護保険部 会の今回の7月30日までの議論の中では積極的な考え方と、この問題については慎重な 考え方ということで、部会としての一定の方向性というところには現段階では至ってお りません。  ただ、この問題は国民負担に関わる重要な問題でもございますし、市町村、あるいは 国民各層、あるいは障害者の当事者の方々、皆様方の十分な理解と合意を得ながら進め ていくことが重要であるということで、これまでの部会で出された考え方、論点をそれ ぞれ整理をしてご紹介するという形にしております。  簡単にご紹介をいたしますと、まずこの被保険者・受給者の範囲を見直すことについ ての積極的な考え方については、大きく4つの視点からご意見が出されております。  まず1点目は介護ニーズの普遍性ということでございまして、そもそも介護ニーズは 高齢者だけではないということで、年齢や原因に関わらず介護を必要とするすべての方 が年齢や原因、障害の種別如何等々を問わず、公平に介護サービスを利用できる。そう した普遍的な仕組みへの発展を目指すべきであるという観点からのご意見がございまし た。  次の10頁でございますが、2つ目の視点として地域ケアの展開の観点ということで、 先ほども申しましたように、これからの高齢者の介護の目指すべき方向として地域で高 齢者が生活を継続できるような地域ケアということがキーワードになってくるわけでご ざいますけれども、そういった観点から考えますと、年齢や障害種別によってサービス が分断されることがあってはならない。現に現状でもいろいろな地域で制度の縦割りを 超えた動きが拡がっている中で「こうした地域ケアの展開という観点からこの問題につ いては積極的に考えるべき」というご意見がございました。  3点目は介護保険の財政という面からみますと、やはり「被保険者の範囲を拡大する ことは、長期的にみれば、制度の支え手を拡大し、財政の安定化にもつながるという観 点から積極的に考えるべき」ということもございます。  次の11頁でございますが、障害者施策の推進という観点から、短期的には現行の支援 費制度の下での予算不足が懸念される障害者福祉サービスにつきまして、安定的な財源 が確保されるのではないかということ。それからサービスの利用についても介護保険が できましてから、大変、サービスの量も不得手ございますし、また地域や個人によるサ ービス利用の格差も縮小しております。そういう意味でのサービス量の拡大、あるいは サービスの均てん化、平準化等が進んでいくという観点から、この点については積極的 に考えるべきというご意見がございました。  一方でこの問題についてはやはり慎重に考えるべきというご意見もございます。これ につきましても、大きく4つの視点からここでは整理をさせていただいております。  まず1点目は、そもそもこの介護保険という保険システムとの関係からどうかという ご意見でございまして、そもそも障害者施策は公の責任として全額公費による施策を基 本とすべきということ。あるいは若年の方が障害者となり、あるいは要介護状態となる 確率は低いということから考えますと、そもそもこの部分については保険システムには 馴染まないのではないかというご意見。  あるいは保険料負担の納得感という観点から、今の2号被保険者、40歳以上というこ とになりますと親の世代ということの介護負担の軽減があるわけでございますが、ここ を拡げることについて納得感が得られるか。そういう観点から慎重であるべきというご 意見。 あるいは現在の介護保険は市町村を保険者としまして、給付と負担が地域単位 で連動する形になっておるわけでございますが、この被保険者年齢を拡大することによ って、こういった給付と負担の連動が図られるのかといった観点から慎重であるべきと いうご意見もございました。  次の12頁でございますが、慎重なご意見の2点目の観点としましては、若年層、被保 険者範囲を拡げることは若年層にとっては新たな負担が課されるということで、特に介 護保険料、あるいは国保の未納や滞納が増えるのではないかといった問題。あるいはこ れまで税で賄われてきた福祉サービスを保険方式に切り換えることが企業への負担の転 嫁ではないかといった観点。あるいは財政的な観点から、本当に適切な費用管理ができ るのかといったようなことについての懸念といった観点から慎重であるべきというご意 見もございました。  それから現行サービス水準の低下不安という観点からということでございますが、こ れは、今、現に支援費サービスを利用している障害者の方々にとってこの介護保険制度 を適用するということで、今のサービス量の水準が保てるのかといった懸念の観点から 慎重に考えるべきというご意見もあります。  それから4点目としましては、時期尚早であるという観点で、支援費制度につきまし てはまだ導入から1年余りであり、まずこの支援費制度のこれまでの検証ですとか、あ るいはそれを踏まえた改善策の検討が優先されるべきではないか。あるいは具体的なサ ービスの問題、あるいはケアマネジメントの問題等々も含めても、やはりこれは非常に 時間を要するということでもあり、受け皿が十分でない現状では時期尚早ではないかと いった観点から慎重に考えるべきというご意見がございました。  次の13頁でございますが、以上、申し上げましたように、冒頭も申しましたが、現時 点では介護保険部会としては一定の結論を得るには至らなかったということでございま す。ただ、この部会の審議、部会での本件についての審議につきましては、先ほど申し ましたように、実質2回程度の審議ということもございますし、非常に時間の面、ある いは、もう少し具体的な検討が必要ではないか、方向を見極めるために具体的な資料も 含めてそういった議論が必要ではないか等の意見も出されたこともございまして、これ につきましては、冒頭、申しましたように、9月以降、引き続き、この介護保険部会で 本件に焦点を絞って議論を積み重ねていくことにしております。以上でございます。 ○京極部会長  ありがとうございます。ただいまの事務局からの報告について、ご質問などがござい ましたら、あるいはご意見がございましたら、順次、ご発言いただきたいと思います。 どうぞ、徳川委員。 ○徳川委員  介護保険部会の今の経過を聞かせていただいて、1つ感じたのは、「まさにこういっ た議論を私達がもっとしておかなければならなかったのではないか」という気がしま す。というのは、我々、障害者部会で討議したのは非常にまだまだ薄くて、むしろこの 介護部会でやった、非常に多面にわたった慎重論と積極論の両方を、私達ももっと考え ておくべきだったのではないかという1つの私の印象でございます。  もう1つ、伺いたいのは医療の問題があまり出ていない。高齢者に医療の問題はもち ろん必要でありますけれども、障害者の福祉においてはいろいろな医療の問題がもっと 高度な、専門的な医療が必要だと思っているのですが、そういった問題についてまった く触れていないように思うのですが、これについてどうでしょうか。伺いたいと思いま す。以上です。 ○京極部会長  今日は被保険者の範囲を中心としまして、本文には書いてありますが、ちょっと、ご 説明をお願いします。 ○渡辺企画官  今、部会長からもお話がございましたように、この全体の報告書の中の第2の部分で 医療と介護の関係については言及をしております。ただ、この医療の問題につきまして は、一方で、今、お話のありました高齢者医療の問題等々もございますし、また具体的 な、例えば報酬ということになりますと介護報酬と診療報酬との関係といったこともご ざいますので、この介護保険部会の報告書ですべて網羅しているということではござい ませんが、一定の方向性はこの中で出されております。  ただ、障害者の医療につきましては、まだこの被保険者・受給者の範囲、今、ご報告 いたしましたように、まさに入り口の部分でございまして、具体的なそのサービスの内 容とかそういったところまで議論を深める段階までは至っておりませんので、介護保険 部会の中でそこまでの議論は、障害者の医療についての議論まではなされていないのが 現状でございます。 ○京極部会長  ほかにどうでしょうか。はい、笹川委員。 ○笹川委員  この加入者の年齢を20歳まで引き下げたとしても、障害児の問題はどう扱われるの か、そのへん、お聞かせいただきたいのですが。 ○京極部会長  事務局からお願いいたします。 ○渡辺企画官  そこがまさにこれからの議論ということになろうかと思います。具体的に先ほど申し ましたように、被保険者と受給者は基本的には被保険者の年齢を下げていった場合に は、受給者の年齢も下げていくという、給付と負担の連動ということが基本になること は現状で事実でございますが、その場合、具体的に受給者というものをどこから考える のかということも、これは1つの論点であろうと思います。  医療保険の場合のように、実際にその扶養という形で0歳から対象にすることもあり ますし、諸外国の例をみましても、ドイツの介護保険などでは0歳から対象にしてい る。そこらへんはどう考えるかというのはまだまだこの介護保険部会で具体的な議論ま で至っておりません。 ○京極部会長  非常に重要な論点の1つだと思います。では、安藤委員。その次、広田委員というこ とで。 ○安藤委員  これからを展望した場合、9頁の「介護ニーズの普遍性」が基本になるのではないか と思うのですが、介護保険部会で具体的な内容の議論は可能ですけれども、より高いレ ベルの、政府全体としての方向付けが必要になるべきです。この「介護の普遍性」を撮 り損なったら、介護保険とか障害者施策の枠を超えた国全体の方向とかが必要になるべ きです。そうすると、新聞に報道されましたけれども、官房長官の諮問機関の社会保障 の在り方の懇談会、あのようなところで我が国の高齢者とか障害者全体の福祉の在り方 というものを、そのまとめができてこそ、この障害者部会とか介護保険部会での討論が できるのではないかと思うのですが、その方向付けの観点をどのように考えているのか お伺いしたいと思います。 ○京極部会長  では、企画課長からお願いいたします。 ○村木企画課長  ご指摘のとおり、官房長官のところでも医療、年金、福祉全体を議論する、社会保障 全体を議論する会合ができたということでございます。当然、その大きな議論の流れは 片方で見ていかなければいけないと思いますが、「介護ニーズの普遍性」ということに ついては、厚生労働省の中で十分に議論ができるテーマでございますし、それからその 部分については、我々としてきちんと議論をしながら介護保険制度、それから障害者福 祉制度については議論をする。それからこれは所得保障、年金、医療、そういったもの と含めての議論ということはまた政府全体の大きな議論をやっていくということで、当 面、並行してやっていく必要があると思います。  国全体の大きな流れのところを待っておりますと、目の前の制度改革ができませんの で、全体の流れも十分見ながら、それから私どもの個別の議論をきちんとそういう大き な議論の場に反映をさせながら、一緒に議論をしていくという流れになろうかと思いま す。 ○広田委員  老健局の方にお聞きしたいのですが、私は精神障害者ですが、34万5,000人が入院し ていまして、かなりの数の社会的入院の患者がいるわけです。そういう人が退院してく るためにも、また地域の中で誰もが精神障害者になっても安心して暮らせるためにも、 今、公的資金を、精神障害者の場合、支援費がありませんから、いわゆる補助金だけで やっているわけです。そのことについて、介護保険に入ることについて、精神障害者本 人が危惧している仲間もたくさんいます。私は「1つのサービスが増えるのかな」とい う形で、慎重ではあるけれども、前向きな考えを持っています。  そこで、ここの部会でよく語られていたのは「障害者にとってメリットがあるか、デ メリットがあるか」という話ばかりでしたが、年間、大学にかなり講演に行っていまし て、学生達に「もし、介護保険が導入されて、20歳ぐらいから被保険者になったときに はどうなのでしょうか。自分が障害者になったことを含めて考えていただきたい」と言 いますと、かなりの数が「払ってもいい」と、その手が挙がるのです。  それは私の話し方が上手なのか、学生の問題意識が高いのか、そこはちょっとわかり ませんけれども、お聞きしたいのは、要するにここの障害者部会の意見が「行ってもら いたい」という意見が大勢を占めたら、介護保険は行きやすくて、ここが慎重論、反対 論が多かったら、そちら側の介護保険が足留めをするのかということをお聞きしておき たいと思うのです。 ○渡辺企画官  介護保険部会の中でも最初に4月の段階でこの問題を議論したときには、やはりまず 介護保険の目から見ますと、被保険者・受給者の範囲を拡大することは、当然若年の要 介護の方はすべて対象にすることになりますので、当然、支援費制度の対象になってい ない方々、あるいはまさに制度の谷間の方々、今、何も施策がない方々も、当然、視野 に入ったことになると思いますが、その4月の議論の際には、そうはいっても大層はや はり障害者の方々が占めるので、そういう障害者の方々の入っていらっしゃる障害者部 会のご意見はまず出発点であるということもありまして、ここでの部会の7月13日のご 報告も待って、また再度、介護保険部会で議論したということでございますので、まず ここでのご意見と言いますか、それは非常に検討の際の基本になる。そういうことには なると思います。  ただ、介護保険制度はまた一方でいろいろな多くの方が関わっておりますので、そう いった中で運営主体である市町村、あるいは制度を支える国民や企業の方々も含めて、 「どうあるか」ということはまた議論をしていくことになろうかと思います。 ○京極部会長  それではあとはご意見は。はい、どうぞ。 ○末安委員  2つ、質問をしたいのですが、両方とも8頁です。ほかの部分に出ていて今日は省略 されているだけかもしれませんが、ここで言っている地域ケアが今まで言われてきまし た高齢者保健福祉サービスと同一で捉えていいのか、もう少し違う意味が籠められてい るのかということが1つ。  8頁の下から3行ですけれども、「知的障害者や精神障害者等について、現行の要介 護認定によって介護の必要性を適切にとらえることができるかどうかを検証し、その結 果を踏まえた検討を行う必要がある」。  「現行の要介護認定によって」と書いてありますけれども、これは今の高齢者の介護 認定の方式でやられるということになりますか。その場合、3障害はケアマネジメント を強力に推進するべく、国も指針を示されて、我々もその立場で活動をしています。介 護認定とケアマネをイコールとして考えるつもりはありませんが、やはり障害のサービ スを担当している者達から見ると、今あるケアマネジメントを前提として要介護認定を イメージしているわけです。そうすると、少し混乱が起きるのではないかなと。  つまり現場的には高齢者の要介護認定のシステムでやられることが現場の混乱を招か ないかなという危惧があるのです。それについてはどうお考えになっているのでしょう か。 ○渡辺企画官  今の前段の部分でございますけれども、この地域ケアということにつきましては、こ れも本日、抜粋でございますので、載せてございませんが、そもそもの問題意識としま しては、第2の部分でございますけれども、今後10年ぐらいの将来展望を踏まえた新た な課題への対応という中で、特にこれから2015年ぐらいを視野に入れますと、高齢者の 独り暮らしの方が大変増えてくる。2015年には570万世帯ぐらいになると言われており ます。  また、高齢夫婦のみの世帯も増えていくということで、合わせると1,000万世帯とい う中で、こういった方々をできるだけ地域の中で支えていくためには、当然、今までの サービスだけではなくて、もう少し身近なところで、特に独り暮らしということになり ますと夜間、緊急時の対応、そういったことも含めた新しいサービスの体系を創ってい く、あるいは新しいサービスの内容を創っていくことも含めてこの地域ケアを展開して いく必要があると言われておりまして、そういった観点に立って、これからまた具体的 な内容については詰めていくことになろうかと思います。後段につきましては、介護制 度改革本部次長を兼務しております大島のほうから。 ○大島企画官  要介護認定のほうのお尋ねの件につきましては、もともと今の介護保険の要介護認定 を創る際にかなり年月をかけまして、それぞれの対象者の方の1分間のケアの内容を分 析してやっておりますので、恐らく障害の要介護認定をここから考えるとすれば、恐ら く同じような段取りで、相当、年月がかかると予想されます。  それでまずは現行の高齢者の要介護認定の適用状況と言いますか、それを仮りにその まま使った場合にどういう形になるのか、その場合の問題点は何なのかという現状の要 介護認定と、本来あるべき障害者の要介護認定のずれの議論の素材となるものをまず調 べる必要があるのではないかと考えておりまして、そういう意味で現行の要介護認定の 状況の分析をまずスタート台にしまして、短期的な対応と中長期の対応とを分けて考え るのが現実的かなと考えております。  それとケアマネジメントもですけれども、これは同じ言葉が使われますので、その概 念の整理をしないといけないと思うのですが、この文章の中でも「介護サービスと介護 以外の就労支援のサービスをいかに一体的に」という観点の流れの中で「ケアマネジメ ント」という言葉を使ってありまして、そういう意味で、やはり広い意味のサービスの マネジメントというイメージで、このところは書いてあると思います。  そういった前提で障害者の広い意味のマネジメントの中に、当然、介護部分は介護保 険の要介護認定をベースにした介護のケアマネジメントもその中に包含されるという趣 旨が前提になっていると思いますが、そこはいずれにしても障害者のケアマネジメント の仕組みをどう考えるかということの中で、介護との関わりを改めてまた整理していく 必要があるのではないかということだと思います。 ○末安委員  よくわかりました。ドイツの介護保険がスタートするときもかなり年月を立てて認定 のシステムを創られたと思いますけれども、そのときも実際に実施してみたら精神障害 者の方達だけが予想に反して要介護度が低く出た。それですぐ法律を改正したことはご 存じだと思いますけれども、事前にいろいろ準備をしていても、実施の段階でそういう ことが起こると思いますので、その点、ご存じだと思いますけれども、十分考慮をした 上でこの調査なども進めていただきたいと思います。 ○京極部会長  よろしいでしょうか。妻屋委員。 ○妻屋委員  両論併記のような結果がここでわかるわけですが、今後のスケジュールとしまして、 その両論併記からあともう少し議論をして、スケジュールから行くと11月、12月にもう 制度をまとめるというその法案を作る準備に入るわけでしょうか。そのへんをちょっと お聞きしたいと思います。それで「来年度の国会に提出する予定なのでしょうか」とい うことを聞きたいと思います。 ○渡辺企画官  今回の介護保険制度改革につきましては、来年、平成17年の次期通常国会に改正の法 案を出すということで全体としては作業を進めていきたいと、私ども事務局のほうでは 思っております。そういうこともありますので、遅くとも年末までにはこの問題も含め て一定の方向性ということは必要であろうかと思います。  ただ、この介護保険制度全体の改革についてそうでございますが、今日、ご紹介しな かった部分も含めまして、かなり今回のこの意見書の中で提言されております内容は多 岐にわたりますので、実際にいつの時点からどうやっていくかということは、例えばい ろいろなサービスを創っていくものにつきましてはそういった基盤整備の状況に応じて ということもありますので、改正法案としては来年の通常国会に出したいと考えており ますが、実際のその実施の時期はそういった実現可能性も踏まえてよく詰めていくべき ということがこの前段の部分の意見書の中でも指摘をされているところでございます。 ○京極部会長  この障害者部会と介護保険部会の審議状況を親審議会と言いますか、社会保障審議会 のほうに報告するということがまず差し当たって手続きとしては必要で、そこでもまた 議論がされるということでございますけれども、あと秋以降、やはり皆さんからご要望 がありましたように、この障害者部会でも個別検討事項、例えば精神障害者の問題点と かいろいろと重要案件がありますので、それを議論しつつ、やはり継続的な審議をして いく必要があると思っております。  恐らく介護保険部会においても同様に継続的な審議をするという形で、しばらくは並 行して議論をする。キャッチボールはしたいのですが、今のところ、介護保険部会から は積極的な意見、考え方と消極的な意見が返ってきたということで、こちらの議論がま た進めば、向こうにもさらにもう一回投げて反応を見ることもできるかと思います。  あとは審議の世界は我々はできる限りやりますけれども、政治も絡みますし、どうい う動きになるかはちょっと目に見えませんが、法律の案としては厚生労働省の事務方と してはさっきお話ししたような日程で進めたいということだと思います。  ほかにどうでしょうか。差し当たり、この問題はここでとりあえず打ち切らせていた だきまして、このほかに昨年度からずっと継続して開催されてきました3つの検討会が ございます。「障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会」「精神病床等に 関する検討会」「精神障害者の地域生活支援の在り方に関する検討会」の報告を、順 次、事務局からさせていただきます。それでは事務局からよろしくご説明をお願いいた します。 ○伊原企画官  障害福祉課の伊原でございます。座ってご説明をさせていただきます。お手許に資料 3ということで、「障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会について」と いうものがございます。これは、今、部会長からお話がございましたように、昨年5月 から19回にわたりまして支援費の問題、その中でも国庫補助の在り方をどうするかとい う議論がございましたけれども、議論を重ねてまいりまして、先般、議論の整理という 形でまとめていただいたものでございます。  時間も限られておりますので、事務局のほうで要約させていただきました整理のポイ ントがお手許にあると思いますので、内容につきましてこれで簡単にご説明をさせてい ただきたいと思います。本文のほうが内容でございます。ポイントのほうは事務局のほ うで一応整理をさせていただいたというものでございます。  4頁からになりますが、この議論の整理のポイントは大きく2つの部分から成ってお ります。1つが「地域生活支援の在り方に関する議論の整理」。それから3頁目になり ますけれども、「国庫補助基準及び長時間利用サービスの在り方に関する議論の整理 」。このように大きく2つのパーツから成っておりまして、まず先に地域生活支援、こ れをどう考えていくのかという点について申し上げたいと思います。  まず、一番最初に地域生活を支える体系の在り方という基本的な整理がなされており まして、障害のある方もない方も地域で共に暮らし、共に働く社会を目指すべきであ る。次にまいりまして、特に非常にニーズが広範でありますから、施設の在り方も含 め、サービス体系全体を再検討していく。障害者が地域で暮らす際のニーズを踏まえて 在り方を見直していく。こういうことが言われております。  ○の3つ目になりますが、特に入所施設サービスから地域生活支援サービスへと、財 源の比重を移すことが必要である。このようなご指摘をいただいております。  2番目に住居支援ということでございまして、障害者や家主に対して緊急時に対応で きる地域の支援体制を推進していくということが挙げられておりますし、合わせて障害 の程度やライフステージに応じて必要なサービスが提供できる新しいタイプのグループ ホームの類型を検討していくべきである。このようなご指摘もございます。  3番目に居宅生活支援ということでございまして、大きくホームヘルプ、ガイドヘル プ、それから視覚・聴覚障害者等にたいする情報・コミュニケーション支援。そして4 番目に就労支援が挙がっておりまして、ホームヘルプに関してはまずそのサービスの底 上げを図っていくことが必要だ。それからガイドヘルパーにつきましては事前に支給決 定が必要な支援費制度では臨機応変に対応が難しいという点もありますので、社会参加 を支援する事業者等を活用するなど、柔軟な仕組みを検討する。こういうご指摘をいた だいております。  それからコミュニケーション支援ということでは、手話等の支援の拡充や人材の育成 ・確保が重要である。あるいは就労支援に関しましては授産施設等から企業等への就労 の円滑な移行が可能となるように、地域における就労支援機能の充実など、一連の就労 支援システムの構築を進めていく検討をしていくべきだ。このように指摘をされており ます。  次に具体的に地域生活支援を進めていく上でのサービスを提供する在り方、システム の在り方でございまして、1つがケアマネジメントでございます。ここでは地域生活を 総合的に支援するため、ケアマネジメントの制度化の方向で検討をするべきである。も ちろん、その中で利用の強制とか、そういうことはあってはならない。こういう記述も ございます。また、合わせましてセルフケアマネジメントといった仕組みも導入すべき だとされております。  それから権利擁護等につきましては、地域福祉権利擁護事業や成年後見制度等を活用 していく。それから、障害者の虐待等、権利侵害に対する防止や救済の仕組みを検討し ていく。このようなご指摘がございます。  3番目にこうしたシステムを支える基盤整備、基盤の在り方ということで、人材の問 題そして財源・利用者負担の在り方というご指摘がありまして、人材の育成・確保に関 しては第三者評価や苦情解決の仕組みを強化していくということを指摘されておりま す。  それから財源・利用者負担等につきましては、まず最初にどのような支援が必要で、 そのためにはどのくらいの費用が必要なのかについての社会的な合意を得ていくことが 必要であるとした上で、支援費制度の運営状態を踏まえた上で利用条件や単価設定を見 直し、より効率的にサービスが提供できる仕組みを検討していく。  さらに利用者負担に関しましては、扶養義務者の負担の在り方を見直していく。それ から現行の基礎年金等の給付水準等、障害者の負担能力を考えながら、施設入所の場合 と在宅とのバランス、それから受けたサービス量とのバランスを踏まえた適正な負担の 在り方を、今後、検討していくべきである。このように言われております。  3頁目にまいりまして、国庫補助基準などの問題でございます。一番最初に「ホーム ヘルプサービスに係る国庫補助基準について」ということでございます。まず最初にあ りますが、国として必要なホームヘルプサービスを確保するためには十分な財源確保を 図る責務が国にはあるけれども、今日の厳しい財政状況の下ではサービス水準の低い地 域の底上げを図る観点から、サービスの進んでいない市区町村に国庫補助金を手厚く配 分することは止むを得ない。こういう指摘がございます。  これにつきましては、他方、「地域生活支援の充実」とか「施設から地域へ」という 理念に反しており、納得できないというご意見も合わせて付記されております。ここに 関しましては国庫補助基準に連動するその障害種別等について、よりきめ細かな区分の 在り方などを速やかにもっと見直して進めていくべきだというご指摘がございました。  次に長時間利用のホームヘルプサービスにつきましては、大きく17年度の対応と、そ の後の長時間利用サービスの在り方についてというご指摘がございますが、最初の17年 度の対応についてですけれども、費用について一定の制約を考慮しながら、障害者が地 域でクラスために必要なサービスの質と量を確保する観点からの検討が必要である。  その具体的な例示としまして、例えば1カ月あたり相当量を超えるサービス提供につ いては、包括的な報酬体系の導入という選択肢が考えられる。ただ、現時点では判断で きないので、今後、具体的な内容を吟味しながら、その導入の是非を含めて検討してい く。このようなまとめがなされております。  それから長時間利用サービスの今後の在り方ということでございまして、長時間利用 サービスを必要とする障害者について、その特性に応じたきめ細かなサービスを提供す ることが必要であるという基本的な考え方を示した上で、その1つの例としまして現在 の利用者の障害者の状況を大別すると、以下の2つのような類型になるのではないかと いうことで4頁になりますが、挙げられております。  1つは生命・身体の維持等に重大な支障が生じるため、長時間の継続したサービスを 利用する者。それからこれ以外の長時間サービスを利用している者。2つの類型が示さ れておりまして、1の類型に関しては生命・身体の維持に必要な医療・介護などのサー ビスが一体的に提供されるサービスの在り方。あるいは、日々、そういう方々のサービ スの内容や量が変動しておりますけれども、これが一定の範囲の費用で賄われるような 報酬の在り方について検討をする。  2の類型につきましては、事前に支給決定が必要な支援費制度では臨機応変に応えら れない面があることを踏まえて、社会参加を支援するような事業者等の活用などによっ て、柔軟な仕組みを考えられないか。そういうことを検討してはどうか。こういうご指 摘がございます。  以上、簡単ではございますけれども、この十数頁にわたる報告書、議論の整理とポイ ントという形でご説明をさせていただきました。 ○矢島精神保健福祉課長  引き続きまして資料4、資料5につきましてご説明をさせていただきます。精神保健 福祉関係でございますが、精神保健福祉施策につきましては「入院医療中心から地域生 活中心へ」という基本的な方策を推し進めていくため、当事者の方、それから当事者家 族の方も含めた国民各層が精神疾患や精神障害者の方について正しく理解を深める取組 みを進めていくとともに、精神医療の質の向上や地域生活支援の充実等の対策を総合的 に行うことが大切であるという観点でございます。  こうした観点から、昨年秋以降、精神障害者の地域生活支援の在り方に関する検討 会、及び精神病床等に関する検討会におきまして、退院後等における地域生活を継続で きる体制づくりや、良質かつ適切な医療を効率的に提供し、退院を促進する体制づくり について現状分析等を行いつつ、地域生活支援の在り方について検討を行ってきまし た。  一応、このそれぞれの報告書、結構、量がありますので、最初の1枚めくっていただ きますと「最終まとめのポイント」という紙が入っております。まず資料4を1枚めく っていただきまして、「地域生活支援の在り方に関する検討会」、この「最終まとめの ポイント」を使いまして簡単にご説明をさせていただきます。  この報告書をもう1枚めくっていただきますと、「最終まとめ」ということで本文が 13頁ありまして、そのあとに資料がございますが、まずこの項立てといたしましては 「はじめに」ということと現状分析をしておりまして、3番目に「今後の方向性」とい うことで総論としての基本的な考え方が(1)にございます。  (2)としまして「今後の施策体系の在り方」ということで各論を示させていただき まして、4番目といたしまして「おわりに(実現に向けた道筋等)」という形で章立て を行っているものでございます。  基本的に3番の「今後の方向性」のところが一番大事でございますので、このところ についてご説明をさせていただきます。「基本的な考え方(総論)」でございますが、 ライフステージに応じた住・生活・活動等の支援体系の再編でございまして、障害者の 状態等と社会資源とをどう結び付けるのか。自立に向けて必要な能力を向上するための 機能は何かといった視点から、システムの再編を図ることが必要であるということで、 この本文のあと、13頁の次に横長の「別紙」という資料が、頁が図のほうで1頁になっ ていますが、本文のあとでございます。  「再編後の住・生活・活動支援体系」、このところをご覧をいただければと思いま す。ここには日中活動の場の機能とか住まいの機能とか、いろいろな居宅生活支援と か、そういうものがここに体系付けられておりまして、こういう自立に必要な支援、機 能をライフステージ等に応じて整理の上、既存の施設やサービスを機能面から再整理す ることが必要であるという形で、一応、こういうイメージを考えておるところでござい ます。  それぞれの障害の特性を踏まえつつも、3障害に共通した問題については障害の枠を 超えた支援を行っていくことが必要であるという形で、このへんのところの体系をまと めさせていただいております。  また、先ほどの「最終まとめのポイント」に戻っていただきたいと思います。次の2 番目でございますが、(2)重層的な相談支援体制の確立。就労、教育面も含め、障害者 の地域生活を包括的に支援する重層的な相談支援体制の確立が必要だということで、こ れも先ほどの別紙でございますが、別紙の5のところをご覧いただければと思います。 5頁です。横長の資料のあとの5頁のところ、これは縦長になっていますが、障害者の 相談支援、ケアマネジメント体制の案という形で示させていただいております。  ケアマネジメント等により障害者の状態や必要性に応じ、各社会資源を効果的に活用 した、総合的に提供されることが必要であるということでございまして、障害者の地域 生活を支援する上で権利擁護を必要とするケースについて対応できるような枠組みの整 備が必要であるということで、ここにありますような形で都道府県、それから障害保健 福祉圏域とか市町村とか生活圏域という形で重層的にこういう支援をしていく。そうい う体制。こういうものを、重層的な相談支援体制を確立していくことが大事ではないか ということがここにまとめられております。  また最初の「最終まとめのポイント」にお戻りいただきたいと思います。(3)市町村 を中心とした計画的なサービス提供体制の整備ということで、身体・知的と同様、精神 保健福祉、これは在宅・施設でございますが、については市町村を実施主体とすること を基本として、その提供体制の整備を進めることが必要であるということでございま す。  市町村に対する都道府県や国のバックアップにより、知識の蓄積、アウトソーシング の推進等の段階的に環境整備を進めていくことが重要である。それから介護保険と同 様、精神保健福祉分野でも市町村、都道府県、国が事業計画を定め、地域差を解消しつ つ、計画的に取り組む必要があるということでございます。  それから本文のところでこれらの財源の在り方についての議論がありました。ちょっ と本文の11頁をご覧いただければと思います。これらの施策を推進していくためには、 もちろん、財源がすごく重要な問題になってきまして、この財源の問題でございます が、財源の在り方といたしまして、11頁の一番最後のマルのところですが、現下の経済 状況において新規財源を確保することが難しい状況ではあるが、既存の精神保健福祉施 策において医療・福祉双方で重点化・効率化を行いつつ、また、どのような支援が障害 者には必要で、そのためにはどれぐらい費用が必要なのかなど、国民が納得し得るもの を示しながら財源確保について社会的合意を得る取組みが必要であるというご指摘もい ただいています。  それから精神におきます配分は入院のほうが、先ほど施設の関係、地域生活中心でと いう話をさせていただきましたが、やはり入院のところに振り分けられている割合が8 割あるわけでございまして、そういう意味ではこのへんのところもやはりその財源のと ころについて、いろいろ検討していく必要があるのではないかというご議論がありまし た。  それから通院公費負担につきましても、ここにありますようないろいろな点を踏まえ つつ、医療提供の実態、利用者の状況、経済状況、地域格差等について分析を進めなが ら、その在り方についても引き続き検討することが必要であるというご意見。それから 一番最後でございますけれども、○の一番最後ですが、社会復帰施設、居宅支援事業に ついても利用目的・利用率等の利用実態や利用者の症状や経済状況等の分析を進めなが ら、入所施設利用者と地域で暮らす者とのバランス、受けたサービス量とのバランスも 考慮しつつ、必要な対応を検討することが必要であるというご意見がこの中に出ている ところでございます。以上が資料4の関係でございます。  それから資料5を1枚おめくりいただきたいと思います。このところにまた「最終ま とめのポイント」ということで1枚紙にまとめさせていただいております。これも先ほ どの地域生活支援と同じように章立てになっていまして、まず「はじめに」。それから 現状分析。3番目といたしまして「今後の方向性(総論)」で基本的な考え方。(2) で各論として「今後の施策体系の在り方」という構成立てになっておりまして、4番目 に(実現に向けた道筋等)ということで「終わりに」という形でまとめさせていただい ております。 ここも量が多いので、3番の「今後の方向性」のところを中心にご説明 をさせていただきます。まず「基本的考え方」の(1)でございますが、目標値を設定し た計画的な医療提供体制の再編ということでございますが、都道府県単位で地域実態を 正確に把握し、医療と福祉が連動した計画的な取組を進めるため、障害者の動態等を踏 まえた基本的な目標値を設定し、都道府県単位で計画的な取組を進めることが必要であ るということで、これではちょっとわかりにくいかと思いますので、6頁をお開きいた だきたいと思います。  入院の病床のところでございますが、入院の形態でございますが、都道府県単位で基 本的な指標を設定するに際しては精神病床に係る入院患者の現在の動態を踏まえると、 入院期間を1年で区分し、それぞれの目標となる指標として次のような数値を用いるこ とが適当であるということで、まず、アとして在院1年未満患者群。指標としては平均 残存率、これは1年以内に退院される方の曲線。この方は入院してから月が経るごとに どんどん退院されていきますので、曲線が減っていくわけですが、その囲む面積と同じ になるよう、各月の残存率を平均したもの。これは別紙1にございます。本文が終わっ たあとに別紙1が、横長の表がありますが、わかりにくくて申しわけありませんけれど も、入院してから1年の間にどんどん退院されていきます。この退院されていく曲線の 中の斜線、三角形部分のところと同じになるような面積、長方形にするようなところの 値が平均残存率でございますが、こういうものを使いまして、指標として1年未満患者 群にはこういう平均残存率を活用する。  それから、次、7頁でございますが、在院1年以上患者群につきましても先ほどのグ ラフで、別紙1のところでございますが、大変、見にくくて申しわけありませんけれど も、この1年以上、退院率につきましては1年以上群については1年以上のところの退 院率のところを使っていくという考え方で、これを1つの指標という考え方にしようと いう考え方でございます。  この目標値については、当面、目標達成の現実性ですとか、各都道府県間の公平等の 観点から次のように設定することが必要であるということで、現在、各都道府県でいろ いろとばらつきがありますが、その達成している上位3から5の都道府県で既に達成し ている数値を概ね10年後の全国一律の目標値として、都道府県ごとに各都道府県の現状 値と目標値の中間値を5年後の目標とする。特に病床数が多いところ、退院率が低いと ころの地域に加えて、そういうところの上乗せを行うということをしていこうという考 え方でございます。  8頁をお願いします。(2)のところでございますが、こういうことで目標値を反映す る算定式の在り方という形で、各都道府県ごとに設定される各目標値を反映するものと して、以下の観点を踏まえた新たな算定式を導入するということでございまして、これ は具体的にはその算定式は別紙4にございますが、こういうものを考えていくというこ とでございます。  具体的な算定式については、別紙5の式を基本としてやっていくということでござい まして、この目標達成の現実性、各都道府県間の公平性等の観点を踏まえて一定の仮 説、これは別紙6になりますが、この一定の仮説を踏まえまして、結果、少なくとも10 年間で、ここが大事ですけれども、この試算した結果、少なくとも10年間で7万床相当 の病床数の減少を促すということを目指しまして、国としては今後、平均残存率、退院 率の目標値算定式の細部の検討を早急に進め、その結論を明示することが必要であると いうことをまとめさせていただきまして、具体的にこれについて、今、検討をさせてい ただいているところでございます。  それから別紙8をご覧いただきたいと思います。そういうことを具体的にしていくた めに、退院促進をしていくために、具体的な方策といたしまして別紙8にありますよう な形、各病院の病床の機能分化、こういう機能分化をすることによって先ほど申しまし た目標を達成させていくということで、(1)のところですが、急性期医療は専門分化し、 医療体制の整備に伴って早期退院を促進していく。早く退院できる人はもっとさらに早 く退院できるような急性期の方に対する手当て。それからどうしても長くなりそうな方 々の予備軍については、長期入院の予備軍になる方々には集中的な社会復帰リハビリに よる長期入院予備軍の退院促進を図っていくような方策。  それから3番目といたしまして、やはりどうしても長くなってしまう重症の方々に対 しては、適切な人員配置の確保等、入院医療の質の向上という形で、こういうことを進 めていく。  それから痴呆についても、痴呆治療については痴呆の療養ですとか医療ですとか介護 なども活用する。それからグループホーム等もこれを活用していく方法を考えていくと いうことでございまして、(1)、(2)、(3)につきましては、従来はこれは病棟単位で専 門分化していましたが、病棟単位ではなくて、病室単位とか病床単位、そういうユニッ ト単位での分化の促進及び評価を進めていくことによって、このような病床の機能を進 めていくことによって退院をさらに促進していく。そういう仕組みを今後考えていくこ とが必要であるという形でございます。これが今のところでございまして、先ほどの 「最終まとめのポイント」に戻っていただきまして、(2)のところですが、「患者の病 態に応じた病院・病床の機能分化」が今のところでございまして、病床の機能分化を促 進し、患者の病状等に応じた適切な医療を提供できる体制を整備することが必要であ る。このため、救急・急性期、社会復帰リハ、重度療養等の機能に応じた人員配置、標 準的な治療計画について検討を進めるべきである。これは先ほど別紙8でご説明をさせ ていただいたものが、この(2)のところに書いてあるものでございます。  それから(3)といたしまして、入院形態ごとの入院期間短縮と入院患者の処遇内容の 改善ということでございますが、措置入院等の患者さんについて適切に病状等を確認 し、早期に退院等を促進するような仕組みや行動制限が必要最小限の範囲で適切に、適 正に行われることを確認できるような仕組みですとか、任意入院患者の開放処遇の原則 を徹底させるような仕組み、こういうものが必要であるということがまとめられており ます。  それから患者さんに対しまして適切に診療情報を提供するとともに、精神医療審査 会、指導監査等を通じて精神医療の質の向上を図ることが必要である。こういう方向を ここにまとめさせていただきました。そののちで各具体的な各論がここに示されている わけでございます。  これら2つの報告書に示されましたことにつきまして、実際にこの実現に向けた道筋 がすごく大事なわけでございまして、この実現に向けました道筋でございますが、精神 保健福祉法等の法律の改正が必要な事項につきましては、引き続き関係の審議会の意見 を聞きながら、国として検討をした上で、平成17年の通常国会への改正法案の提出を目 指すべきであるということがここにまとめられております。  それからまた都道府県単位で設定される目標値や算定式の細部につきましては、国と しての検討を早急に進め、平成17年度に予定されている基準病床数算定式の見直し作業 時において制度への反映を図るべきである。それから患者さんの病態に応じた病院、病 床の機能分化の在り方につきましては、次期診療報酬改定等に向けて精神科病棟におけ る患者像、医療内容に関して、専門的な検討を進め、検討結果を踏まえて病床等の機 能、患者さんの病状に応じた報酬体系の実現を図るべきであるということがこの中でま とめられておりまして、これに向けて私どもは、今、鋭意、この報告を受けまして、い ろいろと作業をさせていただいているところでございます。以上でございます。 ○京極部会長  どうもありがとうございました。ただいまの事務局からの報告について、ご質問等を 含めまして、ご意見がありましたら、順次、ご発言いただきたいと思います。はい、安 藤委員。 ○安藤委員  質問ですけれども、この資料については社会援護局長の専門検討会議で論議されたも のですけれども、この秋以降に個別の問題を論議する方向になっていますが、この内容 が論議の材料になるわけなのでしょうか。秋以降の論議の材料とこれとの関係がよくわ からないので、その点を確認したいと思うのですが。 ○京極部会長  それでは企画課長からお願いいたします。 ○村木企画課長  安藤委員がご指摘のとおり、秋以降の議論につきましては、今日、今、ご報告をさせ ていただいた3つの検討会の報告を材料にしながら、事務局でよくこなして個別の事項 について具体的な案を示しながらご議論をいただく。そういう形になろうかと思いま す。  その際にはこの審議会でとりあえずの中間とりまとめを出していただきました。そこ に基本的な方向、特に3障害共通の基本的な方向が出ておりますので、その方向に沿い ながらいろいろな検討会の材料をよくこなして案を作っていく。そういう形になろうか と思います。 ○京極部会長  ほかにどうでしょうか。はい、妻屋委員。 ○妻屋委員  国庫基準、国庫補助基準及び長時間利用サービスの在り方に関する議論の整理の中 で、まず、その全身障害者等、生命・身体の維持に関わるサービスについては国の責任 において確保すべきという考え方があるわけですけれども、長時間ホームヘルプサービ ス等の在り方に関して、平成17年度の対応についてのこの2番の○ですけれども、例え ば1カ月当たりの相当量を超えるサービス提供については、包括的な報酬体系の導入と いったアイデアがこおにあるわけですけれども、「包括的な報酬体系の導入」というア イデアはここで議論されたのでしょうか。それが一つ、聞きたいと思います。  それから、例えば、今後、こういうアイデアを入れるとしたら、決定する直前にそう いうのを入れないで、十分議論をした上で決定していただきたいと思うわけであります けれども、この「包括的な報酬体系の導入」ということが本当に議論されたのでしょう か。ちょっとお聞きしたいと思います。 ○伊原企画官  17回、18回、19回と、そういう議論がなされておりまして、17回のときに委員の先生 の中から「報酬についてどういう考え方があるのか、事務局から1つのアイデアのよう なものは出せないか」というご意見があって、17回、18回、1つの試みとして「包括的 な報酬体系」という文言が議論をなされております。  しかし、具体的な中身についてはどういう内容かということが示されて議論をされた わけではなくて、むしろこの報告書にも書かれておりますように、今後、具体的な中身 を見ながらその導入の是非を含めて検討をしていく。このように整理をされておりまし て、具体的な包括報酬はどういうものなのか、それがどういう影響があり、どういう可 能性があるのかということは今後の議論であるという整理をされていると思っておりま す。 ○京極部会長  この障害者部会にも検討会のメンバーは、私も含めて高橋委員等が出ておりまして、 今、おっしゃったとおりだと思います。十分に議論をしているかどうかと言うと「十分 ではない」と言われるかもしれませんけれども、議論をした上で報告書が出ているとい うことでございます。ほかにどうでしょうか。では順番は武田委員、その次に丹下委員 という順番でお願いします。 ○武田委員  介護保険部会のほうでも今後の検討のところで、これからは予防に力を入れるという ことでしたが、精神障害という括りの中で、最近、現場にいてこれまでのように病気と いうところだけではなくて、先般も警察にお世話になると言うか、青少年の健全育成の ところとこの精神のところが壁が非常に低くなっている。どう表現していいか、ちょっ とわからないのですが、私達、地域の中で精神障害に関わっているところへの依頼が非 常に多くなってきておりますし、障害というところに予防というところがどのように関 わるのかわからないのですが、精神の場合は非常に予防というところが大きな意味合い を持っていると思うのです。  「もっと早く関わっていれば重度にならなかったかもしれない」と予測されること を、日々、現場で感じておりますし、今後の議論の中に予防という視点もぜひ採り入れ ていただけたらと思います。今の矢島課長のいろいろな報告のところでそう感じまし た。 ○京極部会長  ありがとうございました。では、続きまして丹下委員。あっ、では課長から。はい、 どうぞ。 ○矢島精神保健福祉課長  今、私がご説明をさせていただきましたのは、ちょうど1年前の精神保健福祉対策本 部の中間報告を受けた検討会の部分だけでございましたので、今、武田委員からご指摘 をいただいた予防の観点はすごく大事なことだと思いますので、これはもっと大きな議 論の中で、今後、またそういうものを議論をさせていただければと思います。 ○丹下委員  よろしいですか。 ○京極部会長  どうぞ。 ○丹下委員  資料4につきましても、資料5につきましても、平成17年度の法改正を提言しておら れるわけですけれども、この問題が今後の審議会審議等でどうなるかというところがま だまったく未知数でございますから、決定的なことはわかりにくいと思いますけれど も、ちょっとお伺いしたいと思いますのは、1つには厚生労働省としてはそういうテン ポでの法改正を可能な範囲とお考えになっていらっしゃるかどうか。これが1つです。  2つ目には身体並びに知的の両福祉法につきましても、就労との関わり等、既にその 改正を目指さなければならない問題は多々ございますから、当然、改正ということに及 ぶと思いますけれども、それらはこの精神で提唱されているような17年度に軌を一にし ておやりになるというお考えがあるのかどうか。  それからさらに3点目ですけれども、障害者雇用促進法は本来ならば平成18年度の改 定が予定されておりましたけれども、精神障害者の雇用率算定という問題を巡りまし て、ほかにもありますけれども、1年前倒しの法改正を目指して、来年の通常国会にこ れを付議したいという意向があるやに伺っております。  しかし、その中にはこの福祉分野との従来検討され、またこの中間とりまとめにも書 き込まれました福祉の問題と就労・雇用との問題の法体系の連携、これをはっきりさせ ることが促進法においても、当然、命題であるにもかかわらず、そのことが現在、促進 法の改正の議論の中ではまったく取り上げられていないという具合に私は承知しており ますけれども、これはいかなる理由なのか。そしてまたそれをおやりになるお考えがあ るのかどうかということは、ここのご担当ではお答えいただきにくいとは思いますけれ ども、おわかりになる限りでお答えいただければと思います。以上です。 ○京極部会長  3点、出ましたけれども、どうぞ、事務局のほうで。 ○村木企画課長  精神のほうは先ほど矢島課長からご報告を申し上げましたとおり、17年の通常国会で 法改正をできるものはぜひやりたいということで、やっていくつもりでおりますし、当 然、知的、身体につきましてもこれから秋の議論を踏まえて、同じ形で同じタイミング でぜひその辺をやっていきたいと思っております。  それで障害者雇用促進法のほうはちょっと私どもの所掌ではございませんが、研究会 の報告書が今日上がったということで、その報告書も私はいただいておりまして、こち らのほうも審議会がやはり恐らく秋にスタートをするのだろうと思います。  今のご提案の点も含めまして、私どもは連携をとりながらそういったことが今度の法 改正に含められるのかどうかということも一緒に検討をしながら、作業を進めてまいり たいと思います。 ○京極部会長  今のご質問、3点ありましたけれども、よろしいですか。法律の問題はちょっと私は 政治的な問題も絡むのでわかりませんけれども、障害者生活支援の一括法のような形で 担当することも場合によってはあり得るかもしれないし、個別個別やっていくこともあ り得るかもしれないし、その辺の含みは国会の状況から出てくることもあるかと思いま す。はい、どうぞ。笹川委員。 ○笹川委員  今日のこの4つの報告に共通ですけれども、問題は財源をどう確保するかということ で、これらについては国民の理解、コンセンサスが必要だと書いてあります。ところで 国際障害者年が1981年にありました。それから20年以上経ってもなおやはり障害者に対 する理解、認識はなかなか得られない。そういう現状があります。  そういう中であと5カ月ぐらいで国民のコンセンサスを得るのに、厚生労働省はどう いう方策を考えておられるのか、もしそれが得られなかったらできないということなの か、そのへんをちょっとお聞かせいただきたいのですが。 ○村木企画課長  国際障害者年以降、大変遅い歩みではあったかもしれませんけれども、この問題に関 する認識は徐々に深まっていると思います。また、これからの具体的な障害者福祉の充 実に関するその財源確保につきましては、秋に具体的な議論をしていくその審議状況を いろいろな場面で外にお伝えをしながら、例えば市町村、例えば障害者団体の方々、あ るいは経営者団体ですとか、そういったところとお話し合いを重ねながら、できるだけ その次の通常国会に法改正をぜひやって一歩進めたいと思っているわけでございますの で、その間にできる限りの努力をしていきたいと思っております。これは私ども役所だ けでできることではございませんので、また皆様方のご協力を得ながらやっていくこと だろうと思っております。 ○京極部会長  介護保険時はマスコミ等が相当取り上げて、国民の意識がすごく大きく変わった気が しますけれども、障害者問題はわりと大きく扱うことが今までなかなかなかったので、 今、笹川委員のおっしゃったことを踏まえてマスコミ対策等をいろいろ取り組まなけれ ばいけないのではないかと思います。永井委員、久しぶりにいらしたのですが、NHK で解説委員をやられて、何かご意見をいただければ。はい、どうぞ。広田委員と徳川委 員ですね。では順番に。徳川委員から。 ○徳川委員  この地域生活支援のポイントのところですが、さっき、最初に私は介護保険部のとこ ろでも医療の問題をちょっと申し上げていましたが、どうも医療の問題が薄いという印 象が強いのです。  確かにここにも、最後の4頁のところに医療という問題が出ておりますけれども、こ れは「長時間の介護を必要とする方にとって生命及び身体維持に重大な支障が生ずると きの医療」と書いてありますけれども、そうではなくて、障害を持った方々が医療に非 常に馴染みにくい。  例えば歯科の場合でも、なかなか歯科の医療を受けることができない。しかし、歯科 を放っておくとだんだんと歯が悪くなって、口腔衛生が悪くなって全身に及んでくるこ ともありますので、私は長時間の介護を要する方にとっての医療だけではなくて、全般 的に住まいとか支援というほかに、やはり障害者の方々に対する医療の問題。  地域に、施設にいればまだある程度、医療は確保できる点もありますけれども、在宅 になった場合、ほとんど訪問看護も少ないし、医療に行くことはできないということが ありますので、医療ということは非常に重要でございますので、長時間だけではなくて 医療そのものをどこかにやはり考えていく必要があるのではないかと思うのですが、そ のへん、どうお考えでしょうか。伺います。 ○伊原企画官  先生のご指摘のとおりだと思います。ただ、この障害者の地域生活支援の在り方の検 討会は支援費をどうするかというお話でございましたので、どうしても焦点が支援費制 度を中心に議論をされましたので、ご指摘のような部分についての議論がまだちょっと 十分になされていない。もちろん、今後、障害者施策を考える中でそうした議論、特に ケアマネジメントの議論とか、いろいろ考えていきたいと思います。 ○京極部会長  両審議会でも述べておりますけれども、障害者施策に介護保険を適用した場合は医療 と連携をもっと濃厚にしなければいけないと、度々、発言しておりますので、在宅医療 という点でやはり介護保険と医療保険を完全に峻別しますと、それができなくなってし まいますので、そのあたりは問題意識を持っているつもりでございます。  時間が来ました。では、広田委員。 ○広田委員  幾つかのご質問をしたいと思います。兵庫県の加古川で7人、人が殺されたというあ まりに痛ましいニュースを知ったときに、実名報道でなかったから「あら、また精神科 に入院歴や通院歴があったのかしら」と被害者の悲しみの事を思う前に反射的に思って しまった。そういう悲しい性を私は持っておりますが、あの方はまったく通院歴とか入 院歴はなかった。報道では保健所や警察に近所の方が相談に行っているということで す。きっと地域で孤立していたんだと思います。  私も警察からいろいろな相談を受けています。それはふつうの24時間精神科救急医療 システムが神奈川県内にないために、多くの患者、または医療や福祉を必要として人が 警察に行ったり、家族が相談に行っているという現状を供に目の当たりにしている。警 察官との信頼関係の中で相談を受けています。  そこでご質問ですけれども、いつも申し上げておりますように、義務教育程度でわか るような書き方をしていただきたい。この「精神病床」のほうの別紙7ですが、救急医 療システムの考え方で「三次救急医療」「二次救急医療」と書いてありますけれども、 これも私はそのたびに勉強しなければわからなくなるぐらいですから、こういうときに 「三次救急とは何なのか」「二次救急とは何なのか」をきちんと書いておくと、マスコ ミにも載りやすい。ここに来ておられる多くの傍聴者もわかりやすい。  それでご質問の1つは案として「精神科救急」と書いていますが、これがどの範囲を 指すのかということが1つです。もう1つは私自身が、今、70日ぐらい、被害妄想の高 齢者を泊めています。それは「精神病院に入院していると、昼も夜も寝る生活で足腰が 立たなくなってしまうから」ということで、数ヶ月間入院していたけれど出てきて警察 にいたのです。  我が家が広いですから「ピアサポートみなみ」と名乗っていますので、それはいいの ですが、片方で多くの相談者の御家族にお会いしている中で、この地域のほう、精神障 害者の地域生活支援の在り方に関するほうの個別の地域ケアのイメージというところで ケアマネジメントと、障害者のニーズを中心として地域生活を総合的に支援する相談支 援体制の確立と、立派な図が描いてあります。  けれども、これを見ておりまして、私が日々感じているのは本人を入院させたり、本 人をショートステイに行かせたがる家族は多い。でも、御本人に会ったり、家族に会っ てお話を伺っている中で見ていく中で、これは本人が出ていくのではなくて、家族がど こかに行って一時休息をしてくればいい、いわゆるRespite Care。「家族のために一時 休息所があればいいな」と考えておりますが、この図には入っていないのです。将来的 にそんなものを考えていただきたいということ。  それから、さっき「7万2,000床を減らしたい」というような、いかにも行政のお言 葉でしたが、「減らしていくときに年次計画のようなものはあるのでしょうか」という ことをお聞きしたい。  それから、さっきの介護保険の話ではありませんが、今日も神奈川県も横浜市もみえ ていますが、多くの自治体も注目しております。そういう中で私達は論議をしておりま すので、厚生労働省も塩田部長以下、頑張っていただきたいということで、ご質問にお 答えいただきたいと思います。 ○京極部会長  では、時間が過ぎましたので、これで最後にさせていただきます。 ○矢島精神保健福祉課長  たくさん、ご質問をいただきまして、大変、ありがとうございます。注目をされてい るということですごく感謝をしております。まず最初の救急医療につきましては、精神 病床の検討会の報告書、すみません、時間の関係ではしょってしまった部分ですが、10 頁をご覧いただきたいと思います。ここの一番上のところでございます。救急システム については現行の一般救急システムと同様に輪番制など、二次医療圏単位で救急システ ムを構築する。要するに「二次医療圏」という言葉がちょっとわかりにくくて申しわけ ないと思いますけれども、都道府県の中の郡、市のようなレベルになると思います。大 きな市ですとその市が単位になりますし、イメージとしては郡のレベルに近いかと思い ます。  町村の集まりですが、大体、人口30万人とか40万人ぐらいのイメージが近いのではな いかと思いますが、そういう場合は輪番制などで二次医療圏単位で救急システムを構築 するほか、センター機能を持つ中核的な救急医療施設を地域ごとの社会資源を活かして 整備する必要があるという形でございます。大体、イメージ的にはそういうイメージを 念頭に置いた救急のシステムということになります。  2番目の住・生活・活動支援体系についてでございますが、もちろん、重度の障害を 持った方々を地域で支えるための包括的なサービス支援でございますので、当然、その 家族に対する考え方とかそういうものもすごく重要な視点だと思っております。  これは今後どうやっていくかということは、いろいろな議論が必要かとは思いますけ れども、「3障害共通の枠組み」とは、やはりその他の障害でもいろいろとありますよ うなサービスについても念頭に置いて、今後、議論をしていく必要があるのではないか という認識を持っております。  それから最後のところの病床のところでございますが、病床のところの数値目標を反 映する算定式の在り方という形で、このような形で、今、具体的にその細部について早 急に私どもはまとめさせていただいているところでございますが、一応、ここにありま すような形で、10年の目標という形で考えておりますので、これはまた今後、都道府県 等で具体的な形になると思いますので、そこのところは一応、イメージとしてはその10 年計画という形のものが、とりあえず中間年としては5年後を置いておりますが、そう いうものをここで示させていただいたという形になります。 ○京極部会長  時間が5分オーバーいたしまして、司会の不手際で申しわけありませんけれども、一 応、ご質問についてはここで打ち切らせていただきます。最後に今後の障害者部会につ いてですが、審議状況を親審議会と言いますか、社会保障審議会に報告いたします。そ の後の審議事項については事務局からご説明をお願いいたします。 ○村木企画課長  若干、先ほどもご説明を申し上げましたが、このあとの審議の進め方でございます。 お手許に先ほど、資料でナンバーの打っていないもの、これは第5回、3月にこの審議 会にお配りをした障害者部会の審議事項でございます。これをご覧いただきたいと思い ます。  こういう審議事項を私どもの審議会は抱えております。9月以降につきましては、今 回おまとめをいただいたこの審議会の中間とりまとめ、それから、今日、報告のあった 3つの検討会の検討結果等々を踏まえまして、障害者施策に関する個別の問題について できるだけ具体的な案を出してご議論をしていただくという形にしたいと思っておりま す。  法改正につながるものにつきましては、12月を目処にご議論をいただきたいと考えて おります。  また、介護保険との関係でございますが、先ほど申し上げましたように、介護保険部 会のほうでも引き続き議論をすることになっております。その状況も見守りながら、障 害者施策との関係でこちらでもご議論をいただくことになろうかと思います。  それからもう1つ、心神喪失者医療観察法の関係で、例えば「してはならない行動制 限の事項」等々、この審議会の意見を聞いて定めることとなっておりますので、これら についてもいずれお諮りをすることになろうかと思います。  実際の開催でございますが、9月の中旬以降になると思っております。日程調整も含 めまして、今後、またご相談をさせていただきたいと思います。以上でございます。 ○京極部会長  ありがとうございました。何かご質問はありますか。それではちょっと時間をオーバ ーいたしましたけれども、夏前の障害者部会を終わりとさせていただきます。秋以降に 再開させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。本年3月より委 員の皆様方にはお忙しい中、精力的にご参加いただきまして、ありがとうございます。  今後、ますます障害者施策をどうするかについての関心が高まっていくと思います し、また、そのように我々も努力をしたいと思っておりますので、委員の皆様方におか れましては、引き続きのお力とお知恵をお貸しいただけるようにお願いいたします。  以上で本日の部会を終了いたします。どうもありがとうございました。                                     (了) (照会先)     社会保障審議会障害者部会事務局                     厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部                       企画課 企画法令係(内線3017)