04/06/04 社会保障審議会障害者部会(第12回)の議事録             第12回社会保障審議会障害者部会  日時  :平成16年6月4日(金)15:00〜17:15  場所  :厚生労働省9F省議室  出席委員:京極部会長、安藤委員、猪俣委員、江上委員、岡田委員、岡谷委員、       加藤委員、北岡委員、古畑委員、古畑委員、小林委員、笹川委員、       高橋(清)委員、高橋(紘)委員、武田委員、丹下委員、長尾委員、       妻屋委員、徳川委員、野中委員、広田委員、福島委員、町野委員、松友委員 ○京極部会長  ただいまから第12回社会保障審議会障害者部会を開催させていただきます。委員の皆 様におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきましてまことにありがとうござい ます。  本日は、第一線で障害者保健福祉行政に御尽力をいただいている立場から、第10回の 部会で御都合により伺うことのできなかった全国市長会の御意見を伺いたいと思いま す。それでは事務局から全国市長会の御出席者の御紹介と、委員の交替、委員の出席状 況及び資料について御説明をお願いいたします。 ○間企画課長補佐  本日御出席をいただいておりますのは、全国市長会より社会文教委員会委員長の坂出 市長の松浦稔明様でございます。続きまして委員の交替でございますが、日本医師会の 西島委員が都合により委員を御辞退されました。その後任者といたしまして、本日付で 社会保障審議会臨時委員になられました日本医師会常任理事の野中博様でございます。  また、本日の委員の出欠状況ですが、嵐谷委員、亀井委員、君塚委員、斎藤委員、新 保委員、末安委員、堂本委員、永井委員から欠席との御連絡をいただいております。ま た長尾委員、町野委員、松友委員が遅れておられるようでございます。  続きまして資料の御確認をお願いいたします。お手元に配布させていただいておりま す資料は、資料1として論点整理という1枚紙でございます。続きまして資料2とし て、前回迄の議事概要というやや厚めの資料がございます。そして資料3として、障害 者基本法の一部を改正する法律の概要という資料がございます。そして資料4として、 経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004(骨太方針2004)抜粋という、資料番号 の入った紙と、そしてもう1枚、同じような表題でございますが、資料番号の入ってい ない1枚の紙をお手元にお配りさせていただいているかと思います。  それから高橋清久委員、岡田委員、高橋紘士委員から御提出をいただきました6枚ほ どの資料がございます。表題が「障害者福祉を確実・安定的に支えていくために」と題 された資料が用意されているかと思います。そして最後になりますが、加藤委員から御 提出をいただいている資料がございます。以上でございますが、資料の不足がございま したら御指摘をいただきたいと存じます。なお、前回の議事録につきましてはまだ完成 しておりませんので、次回の障害者部会におきましてお配りをさせていただきたいとい うふうに考えております。以上でございます。 ○京極部会長  それでは議事に入ります。前回は4時間と長丁場でございましたが、今日は2時間と いう短時間でございますので、よろしく御協力をお願いいたします。  それでは前回の最後に御相談いたしました今後の進め方に従いまして、全国市長会の ヒアリングを行ない、そのあとに、私から指名させていただいた3人の委員の方が短期 間で御整理いただきました考え方に基づいて、今後の障害者保健福祉に関わる制度の在 り方を中心に御議論をいただきたいと思います。  それではまず松浦市長に御意見を発表していただき、その後、質疑とさせていただき ます。よろしくお願いいたします。 ○松浦市長  前回は欠席をいたしまして申し訳ありませんでした。それで前回は全国市長会の社会 文教部長がまいりまして、ここでデータについて御説明を申し上げたと思います。私が 一番最初にまいりました時に私見を申し上げさせていただきましたが、今回は一応アン ケートをとっておりますので、大体市長会の考え方ということでお話をさせていただこ うかと思います。  社会文教部長が御説明申し上げましたように、介護保険と障害者施策を統合すべきで ないという意見が22.5%、もう少し時間をかけて慎重に議論をすべきだという意見が54 %、これを合わせますと70%を超えてまいります。それでやはり全国市長会の意見とし てまとめましたのは、とにかく慎重に議論すべきであるという、結果としてこういうこ とになったわけであります。  私は福祉の部門が格別詳しいというわけではありませんので、それで私見も交えます が、多少全国市長会の皆様方と考え方が違う点もあるかと思いますが、今日、時事通信 のインターネットに、支援費制度改革の方向として介護保険制度に組み入れることを有 力な選択肢とし統合すべきだとの考え方を打ち出したと、こういう今インターネットの コピーを私はもらいました。私は一般的な今の流れと少し違った考え方をもともと持っ ておりまして、いわゆる地方分権ということ、補助金を廃止するという方向の流れとい うのが、これが本当にいいのかということについて非常に疑問を持っております。  私どもがやっておりますまちづくりは、もう一つ範囲を広げますと、県づくりであり まして、それからもう少し広げますと、国づくりの一部でもあります。そういう中で大 事な事業をやる時に、そのパイプをつなぐ役としてこの補助金という制度は私は非常に 有益な制度であると思っておりました。この補助金がダメだダメだと言われるようにな りまして、私も去年の秋口でしたか、総務大臣にも意見を申し上げたんですが、大臣は 一般的な感覚として「補助金は頭を下げる補助金だからダメだ」と、こういうようなこ とが言われておるんです。  これは私は非常に情けない考え方だと思いまして、頭を下げる補助金というのは、今 我々が取り扱っているお金が、市民、国民の税金であるという認識に欠けておるからそ ういうことになる、そうでなければ皆さんがきちんと国民の税であるという認識を持っ てやれば頭を下げてもらいに行くとか、そしてくれてやるとか、そういうような感覚は なくなるのではないかと私は反論をさせていただいておるんです。  それでこの障害者の福祉といいますのは、これは前回申し上げましたが、ノーマライ ゼーションという理念が国民の中に本当に浸透しきっているかどうかと、こういうこと になりますと、国家の理想として掲げておることと現実との間は私はかなり差があるよ うに思います。ということは国としても非常に大事な政策としてこれは国家をあげて取 り組んでいかなきゃあならなん、そういう政策であると思っております。したがってこ れは補助金という形で残して、いろいろ問題は指摘されておりますが、介護保険という 形でこれをやりますと、それはおそらく地域によって格差が出てくると思います。  現実に今介護保険でも介護保険料が低いところと高いところでは相当の開きが出てお りますので、そういった点から考えますと、私は国がこの制度はやはり自分できちんと 地域づくり、県づくり、国づくりという観点から、この障害者福祉というものの補助金 は制度として残して、そして国、地方が相談をしながら協議をしながらやっていくべき ことであると、そういうふうに考えております。  今、私はノーマライゼーションという理念が理想とするところと現実とはかなり差が あると申し上げますのは、地域によって障害者に対する福祉に差が出ますと、どうして も厚いところと薄いところ、そこにギャップがあるということは、それだけ施策の重点 度が違うわけですから、特にグループホーム等で地域の中に入って障害者の皆さんに支 援をしているということになりました時に、支援費制度というのはまだ1年しか経って おりませんが、この支援費制度によって相当財源も円滑にいかなくなった、そういうよ うなことになってきておりますから、我々行政は360度目を向けておりますので、それが 他のことを犠牲にしてもやらなきゃあならなん。  このノーマライゼーションの本当に理想的なことというのは、障害者がやはり一人前 の我々として、我々と同じようにつきあっていける、そういうことをやはり理想とする わけですから、まずそこのヘルプサービスはしなきゃあいけない。そうするとこの制度 というのは存分に使う人と、それから遠慮がちに使う人と、普通に使う人と、これはい ろいろありまして、それを制度を思い切って目一杯徹底的に使ってしまうというような ことが目立ちますと、それはやはり一つの妬み意識にもつながっていく可能性も出てく る、そういうようなことも私は心配をいたしております。  したがってこの制度が国によって補助金として顕示をしていくと同時に、これからい わゆる障害者、それからノーマライゼーション、これを一般の市民の皆さんにいかにし て教育啓発を図っていくか、こういうことの施策も合わせてとっていかないとうまくい かないだろう。こういうふうに私は考えてこの全国市長会の障害者サービスとの統合を セットで考えるべきではないという、こういうふうに実は私も○をつけたのでありま す。私もこの分野があまり専門ではありませんので、質問を受けてどう考えているか、 私の考え方がまとまっている範囲でお答えを申し上げたいと思います。 ○京極部会長  ありがとうございました。ただいまの松浦市長の御発表について御質問等がございま したら順次御発言を願います。 ○妻屋委員  二つあるのですが、一つは現在市町村は介護保険制度の財政は本当のところはどうい う状況なんでしょうか、現在の状況と、それからこれから見込まれるというか、財政が だんだん膨らんでいって赤字になるのかならないのかということをちょっと聞きたいの です。今はどうかということと、これからどういう見通しなのかということを聞きたい と思います。  それからもう一つは、一般財源化の話は今反対をされているというふうにおっしゃい ましたが、私も今の話を聞いていまして、全国の市町村の各首長が福祉に詳しい人だっ たら、要するに一般財源化しても、福祉に詳しい市長さんだったらその地域の福祉は向 上しますけれども、私はあまり詳しくないとおっしゃいましたが、そういったところで はどうすればいいかわからないわけですから、そういったところは多いということを、 さっき70%とおっしゃいましたかね、それを示していると思うんですね。  私たちは障害当事者として各市長さんが本当に福祉に熱心だとか詳しいだとかいう人 を求めているのですが、それはなかなか難しいことでありまして、やはり私もそういっ た意味では詳しくない場合はやっぱり補助金行政でずっとやっていくのが正しいんだと 私も思いますが、その点はいかがでしょうか、その二点なんですが。 ○松浦市長  まず初めの介護保険の見通しですが、これは3年毎に保険料を見直しますから、私の ところは保険料をもうすでに上げました。おそらく上がっていって、極端な赤字は出せ ませんから、ですからそういうことでカバーしていくと思います。これが普通の民間の 会社ですと、赤字は累積赤字になっていって倒産ということがありますが、公共はそう いうことがありませんので、ですからそれは保険料をアップしていく。  ただ、それが厚労省の見通しとしてですか、何の数字だったか私は忘れましたが、 2025年には20兆円ぐらいになる、今5兆円ですか、ということはこれは相当な勢いで伸 びていく、一般の市民の皆さんの保険料の負担が増えるか、あるいは介護の給付の割合 を下げていくか、そういうようなことになるんだろうと思います。あるいは消費税をア ップするか、そういうようなことだろうと思っております。  それから手厚くする市長が、我々は税を扱っていますので、税というのはやはりいろ んな方から徴集いたしますから、ですから何が公平かというのは非常に難しいんです。 福祉に手厚くする福祉というのは、例えば障害者の皆さんにたくさんお金を差し上げる ということが、それじゃあそれが公平なのかということになりますと、特に昨今のよう にこれだけ失業者が出てきますと、俺たちは明日の飯を食いかねるのにそこから金をと るのかということにもなりかねませんので、その辺のバランスが非常に難しい。そこの ところで各首長さんもお悩みになっておると思います。 ○妻屋委員  したがって補助金の方がやりやすいということですか。 ○松浦市長  一つの国として取り組むんだという方向を明確に示すということは、私は地方の主権 を侵すものでも何でもないと思いますね。こういう大事な問題ですから。やはり障害者 もとかく下手をやると差別の対象になりかねませんから、ですからそういう危険性をは らんだ問題ですので、ですからそのバランスを考えながら、やはり全国を見ながら、こ っちへ行ったら手厚い、こっち行ったらダメだというようなことではなくてやるのがい いのではないかという考え方を持っています。 ○京極部会長  他にどうでしょうか。 ○高橋(紘)委員  全国市長会が、あれは昨年でしたか、身体障害者関係費用を一般財源にすべしとい う、そういう御提言をお出しになっているということを、これは何回も事務局あるいは 私も報告をいただいております。そういう意味ではそれは全国市長会の御意思であると いうふうに私は伺っておりますが、そういう御立場について、すると松浦市長はそれに 積極的に御反対をなさったというふうに理解してよろしいんでしょうか。 ○松浦市長  そうですね。意見としては私も終始一貫そういう意見を申し上げております。 ○高橋(紘)委員  ということは逆に言うと、それは松浦市長をはじめ反対なさる方は非常に少数であっ たというふうに理解してよろしいわけですか。 ○松浦市長  それがこのアンケートをとってみますと、全国市長会の意見と必ずしも一致しない結 果のように思うんです。ですから個別の各論に入ってきますと、補助金をやめて、今と にかく頭を下げる補助金だからと、こういうことですから、だからそういうイメージを 持ってらっしゃるうちには、これは補助金というのは非常に悪い制度だという考え方が 強くなると思います。  私もこの補助金について、例えばこれは残してくれ、残してくれるというよりも充実 させてくれというような意見を現に私はいろいろな市長さんからも聞いて、そして私が もともとの補助金論者ですから、私が中央の省庁に対して陳情に行ったこともあるんで すね。ですから私は一般的な流れの中には非常に複雑な、単純にはスパッといかない、 今は国の三位一体改革というのがありますが、これも単純にそれじゃあ皆さんが賛成な のかどうなのかというと、私は非常に疑問だと思います。 ○高橋(紘)委員  そうしますと松浦市長のお考えは、福祉行政については法定受託義務に戻せという、 そういう御意見だというふうに理解してよろしいのでしょうか。 ○松浦市長  その法定受託義務とかというような言葉になりますと、私はあまり専門的に詳しくな いものですから、とにかく今の補助金の制度として残して、その補助金を通じていろん な意見が出て来るはずですから、だからそういうようなパイプとしてやはり残しておく のがいいんじゃないかというのが私の意見です。 ○京極部会長  では笹川委員、お願いします。 ○笹川委員  大変貴重な御意見をありがとうございました。市長会全体としては慎重派を含めると 76%、かなりの比率で統合には反対というようなことですが、一方、知事会の方は三位 一体賛成という、そういう方向が出ているようです。実際に仕事をされるのは各自治体 なので、主体はやはり市町村だと思うんですが、その知事会との見解の違いというのは どの辺にあるんでしょうか。 ○松浦市長  その知事さんとの見解の違いというのは、私もよくわかりませんが、昨日議事録を送 ってきまして、ちょっと読んできたのですが、そこではああこの辺かなというところが あったのですが、ちょっとそれを忘れましたので、今もう一回読み直さないといけな い、そんな時間がありませんから、どの辺が違うのかと言っても、私は一つは直接我々 はタッチしていますし、そして一つはワンクッションを置いてですから、その辺の感覚 の違いがあるのかをという気はしなくもないんですかね。  ただ、我々の中でもいわゆる6団体というのがありますが、例えば知事会と市長会の 意見が一致しなきゃあいかんという考え方もあります。ありますが、私はそんなことは 必要ない、部分と全体とが対立するのは当然の話であって、むしろ完全にみんなが一致 して足並みを揃えていくのはおかしいというのが私の持論なんですけれど。 ○京極部会長  では私の方から質問させていただきます。慎重が54%ですが、中身がまだプラスマイ ナスよくわからないというのか、それから一般財源化が本当に起こるのかどうか、今補 助金とおっしゃったが、それは御意見であって、実際に国の方が補助金カットになった 場合は、どうにもならないわけですから、一般財源でやらざるを得ないということにな ると、その動きがまだ見えてないということだとか、いくつか慎重派というか、政党で いうと所属政党なしということなんですが、そういう方が一番多いということは、市長 さんの中でいろいろまだ決めかねているということだと思いますが、その中でどんな意 見が強いんでしょうか。 ○松浦市長  政党を支持するというようなことにはつながらないと思います。ただ、今三位一体の 流れがずっと走っているというのは、これはみんな理解はしておるのですが、実際に起 こっていることというのは、私どもも国地方合わせて700兆円の借金があるという、こ ういうことからもう6年間ずっと減額予算を組み続けているわけです。そしてこの3年 間では毎年10億ずつ減らしておるわけです。これは250億ぐらいの規模の町ですから、 だからそういうような状況の中で、まだ今年の予算については全然見えないものですか ら、ですから基金から6億取り崩すと、こういうこともやっておるんです。  ですから三位一体の改革というのは、このままの流れでいっても結構だという首長は おそらくなかなかいないと思います。来年、再来年になったらまず地方行政はパンクす ることは間違いないので、、そういう中での話ですから、ただ我々も政治をやっている わけですから、とことこん反対してぶちめいでしまうというようなことは考えていませ んので、もう少し介護保険と統合をさすのであれば、どういうことをやらなきゃあいか んというのは、これもあまり見えてないというのが、これはやっぱり慎重論、反対論の 中にはあると思います。  実際反対がいい、もう統合しない方がいいと言っても、これは政治の世界ですから、 やはり行政はやっていかなきゃあいけませんから、ですからこういうやり方があるじゃ ないかという具体的な話になってきますと、この数字はあるいは変わってくるかもわか りませんね。私は何が何でも持論を貫いて原理一辺倒でいくという考え方も持っており ませんが、今の時点で聞かれますと、今私が申し上げたようなことを言わざるを得ない ということです。 ○京極部会長  ありがとうございました。他にどうでしょうか。 ○安藤委員  貴重な意見をありがとうございました。松浦市長さんのお話を聞いて何だか勇気づけ られたような感じがします。ただ、確認したいことですが、介護保険と障害者福祉の統 合について反対と慎重な意見が76%ということですが、それは介護福祉とか障害者福祉 の理念とかサポートの内容を細かく分析した上での意見なのか、それとも市町村の皆さ んの何か行政的な手続き等か、業務内容の対応がはっきりしないので、それに対する消 極的な意見での反対か、または慎重論なのか、そうするところをお聴きしたいのです が、私どもとしては障害者福祉は保険には馴染まない、やはりそれは国とか行政の責任 において行なわれるという考え方があるのですが、そういう面で慎重になって欲しいと 思うんですが、市長会の慎重論というのは行政手続きとか対応論によるものなのか、そ ういう点をお聴きしたいのですが、どうでしょうか。 ○松浦市長  私はその辺の考え方を整理する時に、前回の原稿を読ませてもらいましたら、宮城県 の知事さんがこの介護保険で障害者福祉を扱った方が連帯感が強まるんだという、こう いうことをおっしゃっておったと思います。そのことは両面私はあると思うんですね。  連帯感というのは、障害者の皆さんに対する理解が非常に深まる場合と、あるいは私 は先程申し上げましたように、制度ができますと目一杯使おうとする人、それから本当 に適正に使おうとする人、それから遠慮がちに使おうとする人と、こういうことになっ てくると思いますので、とにかく目一杯使うんだといってどんどん使われますと、これ はやっぱり一つの連帯感という、地域連帯は地域に密着しておるだけに、一つのやはり 妬み意識、どうしてだと、こういうようなことにもつながりかねません。ですからその 辺はやはり慎重に、どちらになっても慎重にやっていかなきゃあいかんのじゃないか。 やはりもとになるは税金ですから、そのことだけはいかなる場合でも頭に入れて理解を しておくということが大事じゃないかと思いますけどね。答えになったかどうかわかり ませんが。 ○京極部会長  それでは時間もございますので、松浦市長におかれましては、大変お忙しい中を御出 席いただきまして恐縮しております。大変貴重な御意見をいただきましてありがとうご ざいました。  それではここからは今後の障害保健福祉に関わる制度の在り方について御議論をいた だきたいと思います。最初に事務局から報告事項があるようですので、簡潔にお願いい たします。 ○村木課長  それでは事務局の方から説明をさせていただきます。まずお手元の資料3を御覧いた だきたいと思います。障害者福祉をめぐっていくつか大きな動きがございましたのが、 その一つでございます。お手元の資料3ですが、障害者基本法の改正法が国会で5月28 日に成立、6月4日、本日に公布施行されたところでございます。御承知のように先の 通常国会に提出されて廃案になっておりましたが、今国会で議員立法の形で提案をされ まして、全党一致で成立をしたところでございます。  特に大きな改正事項といたしましては、1の(1)で基本理念のところに障害者の差別 禁止の考え方を明示したことでございますとか、それから1頁目の3ですが、都道府県 の障害者計画の策定について、これまで努力義務規定であったものが義務規定に改めら れたこと、それから2頁目をお開きいただきたいと思いますが、4の(1)のところで教 育の分野で共同学習といった新しい概念が入ってきておりますし、それから(2)で障害 者の地域における作業活動の場等々について必要な費用の助成、その他、必要な施策を 講じる必要があるというようなことで、小規模作業所等々の位置づけが基本法になされ たというようなことでございます。こういったことでこの法案が本日から施行されたと いうことでございます。これが報告の第一点目でございます。  もう一つ報告事項がございます。経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004とい う表題の資料4と書いた1枚紙と、もう一つ資料番号が入っておりませんが、同じ表題 の紙がございますので、両方御覧をいただきたいと思います。これも本日の朝の閣議で 来年度の予算編成等に関わります、いわゆる骨太方針2004が閣議決定をされておりま す。  資料番号がふってある方の資料4の紙を御覧をいただきたいと思います。この骨太方 針の第1部の4.「人間力」の抜本的強化というところに、障害者関係についての記述 が入っております。読ませていただきますと、障害者の雇用・就業、自立を支援するた め、在宅就労や地域における就労の支援、精神障害者の雇用促進、地域生活支援のため のハード・ソフトを含めた基盤整備等の施策について法的整備を含め充実強化を図ると いうことで、実は骨太方針につきまして、障害者について雇用の関係は今まで記述があ ったことがございますが、障害者福祉につきまして骨太に記述がされましたのは今回初 めてでございます。地域生活支援のためのハード・ソフトを含めた基盤整備の施策につ いて法的整備を含め充実強化という、非常に広範な書き方をしていただくことができた というところでございます。  それからもう1枚の資料番号が入ってない方の紙を見ていただきたいと思います。同 じく骨太方針でございますが、この中で第1部の1.「官から民へ」、「国から地方へ 」の徹底というところで、(3)地域の真の自立ということで、三位一体改革について記述 がされております。特に大事なところについて下線が引いておりますので、そこを御覧 をいただきたいと思います。  地方が自らの支出を自らの権限・責任・財源で賄う割合を増やすとともに、国と地方 を通じた簡素で効率的な行財政システムの構築につながるよう、平成18年度迄の三位一 体の改革の全体像を平成16年秋に明らかにし、年内に決定する。三位一体でいわゆる4 兆円の改革が16、17、18年度の、3年間でやるということになってましたが、残りの2 年分、17、18年度について今年の秋に全体像を明らかにし、年内に決定をするという記 述でございます。その際、地方の意見に十分耳を傾けるとともに、国民へのわかりやす い説明に配意をするということで、地方からの意見を尊重して方針に決めるということ が書いてあります。  そのあと、さらに具体的な記述として、17年度、18年度に行なう3兆円分の国庫補助 負担金改革の工程表、財源移譲の内容及び交付税改革の方向を一体的に盛り込む。その ため、税源移譲は概ね3兆円を目指す。これまでは廃止をする国庫補助負担金が残り3 兆円だというふうに私どもは理解をしてまいりましたが、今回の骨太方針では税源移譲 が概ね3兆円規模というふうになったわけでございます。  そういった意味ではこの税源移譲の3兆円に見合う分として国庫補助負担金の廃止と いうのはさらに大きくなる可能性が出てきたということになるのだろうというふうに想 像をしております。また、その前提として、地方公共団体に対して国庫補助負担金改革 の具体案をとりまとめるよう要請し、これをふまえ検討をするということで、ここでも 自治体の意向が非常に大きな鍵になるということが記述をされているところでございま す。以上でございます。 ○京極部会長  政府の大方針に障害者施策が入ったということは大変大きな画期的なことだと思いま す。大きな波が来ていると思います。今後は具体的な政策に本部会の議論が十分反映さ れるように厚生労働省にその取組を御努力をお願いしたいと思います。  それでは本題に戻ります。前回御提案し御了承いただきましたように、今回は障害保 健福祉制度の在り方について、高橋清久委員、岡田喜篤委員、高橋紘士委員に考え方を 整理していただき、それをもとに議論することとしておりました。大変短時間に精力的 におまとめいただきましたので、3人の委員の方には私からも深く感謝申し上げます。 時間の関係もありますので、ただいまの件については後ほど発言の時間を設けたいと思 います。代表して高橋清久委員から御説明をいただきたいと思います。 ○高橋清久委員  私どもは5月31日に第11回の障害者部会におきまして部会長からの委嘱を受け、短期 間ではありましたが、今後の障害者福祉への方向づけについて、鋭意検討を行ない、意 見をとりまとめたので御報告をいたします。この障害者福祉を確実・安定的に支えてい くために、支援費制度と介護保険制度をめぐる論点の整理と対応の方向性ということで 御報告いたします。最初に前文といいますか、私どもの基本的な考え方を最初の頁にま とめてございます。この書いてあるものにそってお話をさせていただきます。  何らかの障害によって社会的支援を必要とする状態が全ての国民に共通の可能性とし て起こり得るという事実に鑑みまして、障害者福祉を全ての国民の理解と協力を得て推 進するということが必要となっております。このような認識に基づいて、障害を有する 状態におかれた場合に、その尊厳が確保できるような支援の仕組みを構築することが重 要であると考えました。すなわち誰でも障害になり得る、どんな人間でもなり得るとい う、そういうことを前提に考えているわけでございます。  その中で重要なことは、障害を有する人々がその自己決定に基づいて、必要な福祉サ ービスを活用して地域で生活を営むことができるような支援の制度を、良質かつ適切な サービスが提供できる持続可能な安定した制度として確立することが緊急の課題である と考えます。  こういったことは国、地方自治体、地方公共団体の責務であると同時に、このような 制度の確立にあたって、障害者当事者はいうまでもありませんが、広く国民各層の理解 と協力と参加によって具体化することが望まれると思います。  また、支援費制度におきましては、身体障害者や知的障害者の生活を支援する仕組み として高い期待をもって発足したものでありまして、その制度的な成熟は今後に委ねら れているところであります。本来ならば数年の経過を見て現実的な評価と今後の展望を 明らかにすべきところであります。しかしながら、様々な状況の変化や制度的な課題を 勘案する時、発足したばかりとはいいましても、支援費制度の将来について速やかにそ の見通しをたてる必要があると思われます。そして確実、かつ安定的な仕組みを模索す ることが重要であると考えております。  そもそも障害者福祉は、これまで障害種別の対策が縦割りになっておりまして、その 縦割りの制度の中で、支援に格差が生じたり、縦割りの制度のために障害の状態にあっ ても適切なサービスが活用することができにくいという状況におかれたりすることもご ざいまして、今もって解消されているとはいえない状況にあるかと思います。  今後の障害者福祉制度の再構築にあたりましては、このような事態を打開して、全て の障害を有する国民が利用できる普遍的な制度であると同時に、支援が必要な障害の状 態と程度に応じて必要なサービスを活用して、地域での生活ができるような、地域での 生活を送れるような個別的な対応も可能となるような制度構築が重要であると考えま す。  こういった考え方をもとにいたしまして、以下に障害者福祉制度の経緯を整理して、 介護保険制度との関連も含めて、その問題点と課題を明らかにした上で、今後の方向性 について提案を行なうことといたしました。  結論といたしましては、年齢や種別を超えて介護を必要とする障害者への介護サービ スを介護保険制度に組み入れる方向の選択が有力な選択肢であろうという点で意見が一 致しておりますが、そういうことでお聴きいただきたいと思います。 ○京極部会長  今日は視覚障害の方もいらっしゃいますので、今は前文の御説明ということで、あと 1と2の柱がございますが、これを読んでいただいて、コメントをつけていただくとい う方がよろしいかと思います。 ○高橋清久委員  それでは以下検討した内容について項目別にお話をいたします。一応読ませていただ きます。まず1としまして、障害者福祉制度と介護保険制度の経緯ということでござい ます。(1)と(2)に分かれておりますが、(1)介護保険制度における障害者の位置づけ、 その中に二つ○がございますが、介護保険制度創設の当初から、若年の障害者を対象と するかどうかは、法律上も今後の検討課題として積み残されていたものである。そして 介護を要するに高齢の障害者は介護保険をすでに利用しているということです。  この(1)の○に関しましては、お手元に審議会等における議論の経緯の中に、身体障 害者福祉審議会の意見具申もございますが、こういったことを理由に先送りされたとい うことがございます。  次に(2)ですが、契約制度に転換した支援費制度の財政方式のあり方として、福祉サ ービスの利用については、大きな流れとして、自己決定の尊重や利用者本位の理念に立 って措置制度から契約制度に転換してきております。そして障害者福祉は支援費制度に よって措置制度から契約制度となり、高齢者福祉は介護保険制度によって措置制度から 契約制度となりました。また、契約制度のもとで、その理念を活かし維持していくため には、税方式による制度と、国民の共同連帯(支えあい)の考え方に基づく社会方式の いずれがより望ましいかということが問題となるということでございます。  次に2として、支援費制度をめぐって現在いろいろな状況が変化してございますが、 その状況の変化ということでございます。二点ございます。(1)として、まず一つはサ ービスの利用の伸びということです。その中の一つ目、平成15年4月からの支援費制度 の導入により、ホームヘルプサービスやグループホーム等のサービス利用が急速に伸び てきています。今後、さらに利用者が増え、利用が急速に伸びることも予想されます が、これに確実に対応していく必要があります。そして支援費制度のもとでは、サービ スの利用状況に大きな地域差が見られ、この地域差を縮小していくことも一つの課題で あるということでございます。  そして(2)として、もう一つの状況の変化の特徴としては、三位一体改革による地方 分権の推進ということです。政府として地方分権を推進し、住民に身近な自治体が地域 の実情にあった形で責任をもって行政を推進するため、平成16年度からの3年間で4兆 円の国庫補助負担金を削減し、権限と財源を地方に移譲する方向が打ち出されたという ことです。そして障害者福祉をはじめ福祉施設の国庫補助負担金について、全国市長会 等から一般財源化が求められています。こういう支援費制度をめぐる状況の変化がある と分析したわけでございます。  次に3として制度的な課題ということを検討いたしました。これは8つの課題として 記載してございますが、まず1番目に、精神障害者、障害児(施設サービス)は、支援 費制度の対象に含まれておらず、別立ての制度になっています。そういう課題です。  そして2番目として、税方式を基本としたままでは、障害者問題が国民的な議論の対 象となりにくく、結果として地域生活支援の展開が図りにくいという課題です。  3番目には、支給量の決定についての詳細な基準がなく、これも地域差の原因となっ ていると考えられること。  4番目として、障害の程度や状況に応じて、適切なサービス利用を促進し、利用者の 自己決定を支援するためのケアマネジメントが制度化されていないという課題です。  5番目には、障害種別や年齢によって福祉制度が縦割りになっていて、身近なところ でサービス提供をするための高齢者介護サービス資源等の有効活用が難しいという課題 です。  6番目には、安定的な財源が確保されておらず、サービスの伸びに確実かつ計画的に 対応することが難しい点です。  7番目に、また契約制度を支える上で必要な権利擁護の仕組みが十分とは言えないと いうこと。  そして最後の課題として、措置制度時代からの課題である地域生活の保障や就労支 援、重度名障害者への対応などが進んでいない。この8つの制度的な課題を取り上げま した。 それで次に4として、支援費制度の改革の方向性ということです。これは以上 申し上げましたような8つの課題を解決していくためには、今後、客観的な制度上の基 準や手続きを定めるとともに、安定的な財源確保を図ることができるようにした上で、 ケアマネジメント制度を導入し、精神障害者や障害児等を対象とすること、計画的なサ ービス提供体制を整備すること、そして政策課題への対応をすること、そういったこと を進めていく必要があるということです。そういう方向性を示させていただきました。  次の頁では5として、介護保険制度との関係ということで議論をいたしました。以下 のようにまとめております。まず、今申し上げましたような支援費制度の改革の方向性 を考えた場合、二つの方向性があります。まず(1)として支援費制度をこのまま継続す る方向性、(2)として介護のサービスを介護保険制度に組み入れるという方向性、この 二つがございますが、自己決定の尊重などの理念を堅持しつつ、そういう制度的な諸課 題を着実に解決していくためには、支援費施行後の状況の変化を勘案すると(2)が、す なわち介護のサービスを介護保険制度に組み入れる方向が有力な選択肢であろうという ふうに考えました。  この場合、介護保険制度の枠組みを活用する障害者施策の範囲をどのように考えるか につきましては、介護保険制度で対応する「介護」の範囲を整理するとともに、この 「介護」の範囲に収まらないいろいろな施策については、介護保険制度とは別立ての施 策体系を構築し、両者があいまって、障害特性をふまえた障害者福祉の制度体系を構成 する必要があるということです。  その内容につきましてはここに図が書いてございます。障害者福祉全体を二つに分け て、二階建てといいますか、あるいは両輪といいますか、片や介護保険による施策、そ こには年齢や障害を問わない介護サービス、要支援から要介護度5までの段階に分けら れますが、そういった介護保険による施策、その一方でもう一つには保険外の諸施策、 その中には介護保険によるものではカバーしきれない、それの上乗せサービス、例とし ては重症な方の場合等も入るかと思いますが、それと「介護」以外のサービス、こうい ったものは保険外の障害者施策として行なうということでございます。  こういった制度設計に際して、いろいろ検討しなければならない点がございます。例 えば、まず現行の要介護認定基準で知的障害者や精神障害者等についての介護の必要度 が適切に反映されるのかといった問題があります。  2番目には、支給限度額内では必要なサービス給付を賄えない場合の対応をどうする か、例えば施設から地域に移行する人の生活を保障する方策をどのように構築するか、 という問題があります。  3番目には、介護保険制度ではサービス利用時に応益負担が原則になりますが、低所 得者についての対応をどうするか、また扶養義務者の負担をどう考えるか、こういった 問題がございます。  次の問題として、介護と介護以外の分野を通じた障害者の生活全般にわたり、かつ適 切な内容のケアマネジメントをどのように利用者に保証していくか。  次の問題として、契約制度が実効あるものとして機能するための権利擁護の仕組みや 成年後見制度の活用の在り方、及び契約制度が機能しない場合の制度の在り方、こうい った点を検証・議論し、適切な結論を得る必要があるということです。  こういった改革を進めるにあたっては、介護保険制度を年齢、障害の種別、あるいは 疾病の種類等を問わずに、介護を必要とする人を国民全体で支え合うユニバーサルな普 遍的な仕組みとすることができるというメリットがございます。  このような仕組みのもとでは、サービスを必要とする人が確実に利用できるようにな るだけではなく、「障害」を国民にとってより身近な存在として、共生社会へ近づける ことにつながるものである。すなわちノーマライゼーションが実現しやすくなるという ことです。  次にこうした制度改革の過程において、自己決定の尊重と自立した日常生活の支援と いう、介護保険制度が元来有する理念の確認と一層の決定が求められるということで す。  尚書きとしまして、こういった今まで述べましたような障害者福祉制度のあり方とと もに、保健医療、住宅や所得保障、就労支援、バリアフリーの推進等の総合的施策の推 進が必要なのはいうまでもないことです。この点については、今後、そのあり方につい て本部会で議論を深めるとともに、それぞれの場での検討が深められ、総合的な障害者 施策体系の再構築が進むことを期待したい。これが私ども3委員がまとめました内容で ございます。以上でございます。 ○京極部会長  ありがとうございました。岡田委員、高橋紘士委員、補足することがございましたら どうぞ御発言ください。 ○岡田委員  私からあえて内容的なものに付け加えるものはございませんが、強調すべき点につい て私なりの御説明をさせていただきたいと思います。今回こういう事柄が起こった時 に、私自身も真っ先に発足したばかりの制度についてなぜそのようなことをしなければ ならないのかということを強く疑問に思いましたが、実はその背景を考えてみますと、 今回、この支援費制度がスタートして著しく予想に反する結果をもたらしたのは知的障 害者の部分でございました。御存知のように、どこの自治体に伺いましても、知的障害 に関係する居宅サービスの著しい規模の拡大ということでございました。  実はこれについては私自身個人的なことながらある種の責任がございます。それは私 自身が知的障害の分野を担う委員としてここに選ばれているわけでございますが、実は 知的障害者の数が45万5,500人、通称46万人とされておりますが、これは私どもの学問 的な常識から見てあり得ない数字でございます。これはもっと多い、もっと詳しくお話 しすることは時間がありませんのでできませんが、46万人というのは一般人口に対する 0.36%であります。諸外国は知的障害児(者)は1.5〜2%というのが固定した数字で ございます。我が国だけがこのような低い数字であることは本来おかしいわけでござい ますが、それについては今まで私どもも声を大にして指摘して来なかった、それが今日 ようやく事実として明らかになってきたということを感じまして、私は責任を感じてい るわけでございます。  それからもう一つは、すでに高橋先生がおっしゃいましたように、今後のことを考え ます時に、障害児に関する施設入所を利用契約制度化していかなければならない時期が やがては必ず来るでありましょうし、それよりも重要なことは、精神障害の方々に対す る福祉的な対応は歴史的にも実態的にも著しくまだ不備でございます。こういうものを 今後急速に充実するためには、どうしても財源の外枠の拡大は避けられないと、私はそ のように認識をいたしました。  そこで今回のような報告になったわけでございますが、私から特に強調させていただ きましたのは、支援費制度の示した思想性を絶対に失わないということ、それから介護 保険そのものの成熟とともにこの問題は解決されていかなければならないということで ございました。  それから最後にもう一つ申し上げるならば、これは高橋紘士委員から教えられ、私も 強く再認識させられたわけでございますが、こういったものができた暁に、改めて公共 の責任体制の明確化という意味での本来的な措置の在り方、これは例えば老人の虐待の 問題であったり、障害児の虐待の問題であったりした時に、行政が速やかに責任をもっ て権限を発動することができるような仕組みも同時にこれから考えていかなければなら ないということを教えられましたが、同感した次第であります。以上です。 ○高橋紘士委員  私からは二点ほど申し上げたいと思います。私はこの間といいましょうか、この御指 名を受ける前からも、障害の当事者、もちろんリーダーの皆さん達もいらっしゃいます が、とりわけ現場で地域生活をしておられる、そういう方々から、現状の介護保険では 地域生活の継続は困難である、我々をまた施設に戻すのかという、そういう非常に強い 懸念と不安の言葉を私も直接伺う機会を持っております。  そういう意味で、私はその重みと、それがあるがゆえに介護保険と支援費制度の統合 に反対であるという、そういう御意見の重みと現状については深く認識をしているつも りでございますが、私はつらつら考えてまいりますと、むしろ支援費を継続することが その可能性を奪う、そういう結果を近い将来もたらすであろうということを大変強く危 惧をしております。  これは先程の松浦市長の御判断とは私は全く逆でございます。やはり先程村木課長か らお話がございましたような、三位一体改革の流れは、そして我が国の財政の悪化の流 れは滔々としてこのような支援費の可能性を奪い始めてきているのではないか、これが 昨年の100億円、128億円の財源不足がそれを先取りして象徴しているというふうに私は そういうふうに認識をしております。  そういう意味で安定的な財源確保、これも松浦市長の現実との御判断とは別でござい ます。介護保険は地域格差を確実に縮小いたしました。とりわけ財源が困難であると言 われている高齢地域、いわゆる過疎地域の多い地域で介護サービスの利用者を伸ばして まいりました。  そういう制度的な特性を十分ふまえた上で、介護サービス部門については、介護保険 を適切に活用するということが現在の段階での政策選択としてはセカンドベストという ふうに言いましょうか、次善、要するに最良選択はそもそもなかなかあり得ません。様 々な選択肢の中で最も現実的な選択肢であるというふうに考えました。  それから二点目、介護保険と上乗せ及び介護外のサービスを組み合わせる二本立ての 仕組みにするという提案を申し上げました。これに対して一般財源化の流れでもう一本 の仕組みはやがて縮小して介護保険だけが残るのではないか、そういう非常に強い懸念 と批判をいただいております。これは私はそうはならないというふうに御理解をいただ きたいと思います。  逆に介護保険とは半額を税金で、25%を国費、12.5%を都道府県、12.5%を市町村が 負担するという仕組みでございますが、そのような仕組みと保険料が合わさった仕組み といいましょうか、そういうものはある意味では地方分権型の仕組みなんですが、そう いうものが確立いたしますと、相対的にそのような仕組みのゆえにそれを補完する別立 ての制度というのが単なる一般財源化の対象になるということはならないという、そこ らへんのことはやや委曲を尽くして御説明をしなければいけませんので、この程度に控 えさせていただきますが、そういうふうに考えております。  そしてその中で、しかし現行の介護保険は高齢者介護保険として動いておりますの で、いろいろな方の御指摘の通り、障害特性に合わせた仕組みにはなっていないという ことも現実でございますから、これはいくつか指摘をしてございますが、今後、様々な 検討の中で積極的にそこらへんの検討を進めながら、先程申しました現在地域で生活し ている人をもはや施設に後戻りさせないような、そして精神病院等で72,000人という数 字が出ておりますが、障害をお持ちの知的障害の方々もそうですし、そういう方々が地 域生活をこれから維持できるような、そして社会福祉法に規定されているような尊厳を 旨としてと書いてございますが、そういうことができるような制度的な仕組みというの はまさにこれから様々な皆様方との協働の中で作り上げていくべきものですし、それに ついて厚生労働省としての担当部局が政策的責任を持つ、やはり支援費の問題はややそ こらへんに非常に問題があったというふうに私は認識をしておりますが、政策的に責任 のもてる仕組みを構築をしていくということが大変重要であるというふうに考えており ます。やや長い時間をいただきましたが、私の考え方を申し述べさせていただきまし た。 ○京極部会長  ありがとうございました。3人の委員の先生には本当に御苦労だったと思います。今 まで我々が議論してきたことの中で様々な議論の経緯、そして課題、方向性について大 きな視点から整理していただいたと思います。  ここで確認したいことですが、この社会保障審議会には本部会と介護保険部会がござ いまして、この関係はいわばピッチャーとキャッチャーの関係だというふうにいえるか と思います。障害者部会がピッチャー役で、ボールを投げない限りキャッチャーの介護 保険部会はなかなか受け止めてくれない。ここでの議論が煮詰まりますと介護保険部会 も本格的に議論をするということでございます。試合開始というのはサイレンが鳴らな いということになってしまいますので、議論すらなかなか始まりにくいという状況もあ ります。  具体的な制度設計の細かいことは議論が始まってからやることも多々ありまして、皆 様御記憶だと思いますが、介護保険制度は西暦2000年にスタートいたしましたが、法律 はその3年前の1997年にできておりますので、3年間様々な制度設計の細かい議論があ ってスタートしたわけでございます。そういった議論はまたこれからするとしても、方 向性についてはどうするかということを御議論願えればと思っております。  特に3人の先生方が示された考え方の中で私の印象が深いのは、ユニバーサルな仕組 みということで、介護保険はもともとは介護サービスの保険であって、もともと高齢者 だけを構築して介護保険制度を作ったわけではないのですが、さしあたりが高齢者介護 を中心として設計された、40才以上は特定疾病の方のみがサービスをできるという形に なったんですが、今後はこういった障害者はもちろんのこと、これまで谷間に落ちてい たような方も含めて、一定の基準を満たせば利用可能な統一的な仕組みという考え方、 積極的な考え方が示されたわけであります。バリアフリー型の介護保険からユニバーサ ルデザイン型の介護保険といってもいいかもわかりませんが、そういったような新しい 考え方を出されています。  ここからはこのような考え方の整理について、委員の皆様方の御意見をいただきまし て、これをたたき台にまた各分野でも御議論を進めていっていただきたいと思います。 まず、さしあたり資料を提供していただいている加藤委員に前回予告していただいてお りますので、冒頭に御発言をいただきたいと思います。 ○加藤委員  貴重な時間をありがとうございます。今日は資料として財団法人日本知的障害者福祉 協会として今回のテーマであります支援費制度と介護保険制度の統合に関する検討を協 会としてしてきた経緯がございます。これがつい先月末に機関決定を得ましたので、皆 さんに御紹介をさせていただいて、今後の検討の参考になればという思いで、今日は若 干の時間をいただいて説明をさせていただきたいと思います。  要するに知的障害を守備範囲とする福祉協会としましては、先の新障害者基本計画と か、あるいは昨年度からスタートしました利用計画制度に基づく支援費制度、この理念 については基本的には全く賛成をし、この理念が1日も早く地域に確実に定着していく ことを強く期待するものであります。ただ、昨今のこうした状況の中で、理念的にも、 あるいは財政的にもいろんな意味で検討を必要とする、とりわけ介護保険との統合化絡 みで検討が必要であろうという認識に立ちまして、協会では時間をかけて検討をさせて いただきました。  最終的には結論を先に申し上げますと、統合化についてはある程度やむを得ないであ ろうということでございますが、ただ、今のこの3人の先生方の提案の中にもございま すように、介護というテーマと障害のある方たちの地域への積極的な進出参加、自立と いう中身とが必ずしも同じとは考えにくいということであります。  そういう意味では今お示しいただいた5頁の障害者施策のイメージ図ですが、私に言 わせれば介護保険による施策の台形と、この斜の入った介護以外のサービスというもの の面積の比がこういう形になって、介護の方が大きくなっていますが、これは逆じゃな いかと私は思ったりします。その面積が何を意味するかということにもよるかと思いま すが、私たちとしてはむしろその介護保険絡みの介護のカバーする領域以上に、やはり 障害固有の様々な違いに根ざした特有のといいますか、特化された様々な支援サービス がいろんな意味で考慮されなければいけないだろうというふうに思われます。  例えば認定基準の問題、程度区分の問題、あるいはサービスの中身の問題、あるいは 施設サービスの種別の問題、規模の問題、あるいは利用者負担の問題等々、その違いと いうのは多岐にわたり非常に大きなものがあろうかと思います。そういう意味ではぜひ その辺の違いについてしっかり裏打ちした検討をしていただきたいということで、そう いう条件つきのということで統合化やむを得なしという結論を得ております。  とりわけ、先程岡田先生からも御指摘いただきましたが、1億3,000万の人口の中に 46万人という知的障害の数が言われているわけですが、これはどう考えても現実的では ないわけで、しかし実際施策はその46万という数で動いているようなところがありま す。そういう意味では障害というマイナー、さらにはその中で知的障害というマイナー という中で、その知的障害の方たちの今後の地域での生活、あるいは人生が不利になら ないようにきちっとした対応を今後検討していっていただきたいという、そういうこと を前提にしてやむを得なしということに至っております。よろしくお願いいたします。 ありがとうございました。 ○京極部会長  ありがとうございました。10点ほどの具体的な御提案が書いてありますが、これにつ いては後で御覧いただきたいと思います。それでは皆様に順次御発言をいただきたいと 思います。どうぞお手を挙げてよろしくお願いします。 ○徳川委員  3人の先生方本当に御苦労様でございました。中3日という間にこんなものを作って いただいて本当に感謝でございます。この前文について私は全く賛成でございますが、 4頁以降にいくつか問題点がございますのでお伺いしたいと思います。この4頁の最初 のところにございますが、支援費の支給量等の決定について詳細な基準がなくというふ うに書いてありますが、基準があるわけでありまして、これをなくというふうに限定し てしまって、しかもそのために地域差があるという表現は如何なものかというふうに思 っております。  その下でございますが、ケアマネジメントの制度化がされていないというのですが、 高齢者のケアマネジメントと障害者のケアマネジメントは全く内容は異なっておりま す。高齢者の場合は介護の内容を決めるためのケアマネジメントというふうに我々は理 解しておりますが、障害者の部分は教育から雇用全てを含んだ生涯の構築のためのケア マネジメントでありまして、これはまだ制度化されていないわけではありますが、これ が即問題になってくるのか、これは今後の問題であると思います。むしろ介護保険のよ うなケアマネジメントだけでは我々は足りないんだというふうに考えております。  それから二つ飛びまして、また契約制度を支える上で必要な権利擁護の仕組みは十分 とはいえないということでありますが、これは保険制度になったから権利擁護の仕組み が十分になるかということでしょうか。むしろこれは保険化、支援化ということを抜き にして、権利擁護の仕組みが必要ではないか。支援費だからこの仕組みがないというふ うにはとれないと思っております。  その下のところも、地域生活の保障とか就労支援、これも保険だからそうなるのか、 支援費だからならないのかという話ではなくて、別の問題ではないかというふうに思い ますが、如何でございましょうか。  次の頁ですが、これは先程加藤さんがおっしゃったように、この二階建てという考 え、これも一つの選択肢であると思いますが、前回、我々身障施設協議会の方から申し 上げたのはそれではなくて、全く新しい保険制度ということの選択肢もあるんじゃない かというふうに思っております。この(1)と(2)だけではなくて、(3)の全く新しい制度 ということも視野に入れていくべきではないかと思っているわけでございます。したが いましてこの二階建てということに対しては、我々若干問題を感じております。  次は6頁の下から二番目の○ですが、自己決定の尊重と自立した日常生活の支援とい うことがはたして支援費では行なわれていないのか。介護保険だったらこれができるん だというふうに文面的に受け止めるんですが、これは全てにおいて支援費についてもう 少し正確な見方をしていただいた方がいいのではないか。私は前回申し上げたように介 護保険に統合されることには全く反対ではないし、協議会はむしろ積極的に取り組んで いるわけでありますが、そのためにもこの支援費についてもう少し正確な情報に基づい た論文をお書きいただいた方がいいのではないかなと思っております。  そして先程も加藤さんがちょっと触れたのですが、やはり我々が先生方に一番お願い したかったのは、思想的な面、理念的な面でありまして、メリット・デメリットももち ろん大事でありますが、それをこえた一つの思想的な問題として障害者の部分でどうあ るべきかということをもう少し掘り下げて教えていただきたいなというふうに思ってい る次第でございます。以上でございます。 ○京極部会長  たくさんの御質問が出ましたが、では3人の先生方でお答えしたことは次の方が重複 しない形でお願いできればと思います。 ○高橋清久委員  それでは最初の支給量の決定についての詳細な基準がなくということでありますが、 たしかに支給の基準というのは決まっているにしても、やはり地域差を生ずるような細 かいところではまだまだ十分に整理されてない点があるだろうと思います。これは私の 私見でございますが、そんなふうに考えます。  それからケアマネジメントが制度化されていない、もちろん支援費ではされているわ けでありますが、やはり障害者のケアマネジメントを考えた場合、現在、手法としてそ れは使われていて、ある面では有効な機能を発揮しておりますが、例えば精神障害の分 野ではやはりこれも制度化されないゆえにそれが使えないという現状が多くて、普及さ れてないという実情がございます。さらにケアマネジメントを有効に使うための財政的 な問題がございまして、そのために十分な機能を発揮していない、せっかくいい機能が 十分に活用されてないということがあるかと思います。  それから権利擁護の仕組みということでございますが、これは一応できているとして も、まだまだ内容的にはいろんな事例を見ますと問題がある、実際的な現場での問題が まだ多分に残されている、そのような理解をしております。  それから措置制度時代からの課題であります地域生活の保障とか就労支援、重度な障 害者の対応、これはやはり現実を見ますと地域での支援の状況、それから就労に関しま しては就労希望者が非常に多いにも関わらず、実際に就労しているものの数が少ないと いったこととか、それから重度の障害者、精神疾患の場合ですが、それの十分なサポー トシステム、救急の状況なども含めてですが、まだ十分に対応がなされてないというふ うに私は理解しております。 ○高橋紘士委員  いくつかお答えを申し上げたいと思いますが、やや誤解を招くような配置もあるかも しれないなと思いながら徳川先生の御質問を伺っておりましたが、いずれにしろ支援費 支給の段階に入っても、支援費制度の中でも権利擁護というのは契約制度でございます から、当然のことながら契約当事者の立場に立ってその意思能力等が不十分な場合にそ れを支援する仕組みというのが必要でございます。  社会福祉基礎構造改革の中では、福祉サービス利用援助事業というのが制度化され、 地域福祉権利擁護事業というものが作られておりますし、介護保険と同時に成年後見制 度が大改正をされましたが、そういうものを十分活用するような仕組みがうまくいかな いままに、いわゆる第三者契約等を容認するような形で運用されてきたという、そうい うことがずいぶん問題ではないかという、そういう認識で権利擁護の問題を取り上げた わけでございます。  それからケアマネジメントについては、徳川先生の認識と私は同じでございまして、 我々はここでは介護保険のケアマネジメントといっては正確ではございません、介護保 険では居宅支援事業という、そういう制度概念がありますが、介護支援専門員が行ない ます居宅介護支援事業で、一部ケアマネジメントというものが使われているという、そ ういう認識でございまして、そういう意味ではまさにここでは利用者の自己決定を支援 するためのケアマネジメントという書き方をいたしまして、高齢者のための介護保険の 中にもそういう理念はあるわけでございますが、これを識別してケアマネジメントとい う用語を使わせていただいているというふうに御理解をいただけたらと思います。  それから支給量等の決定、これは先程様々な地域差が現れておりまして、もちろん基 準はあるわけです。勘案事項、障害程度区分等の認定の仕方がございますが、これがど うも3千数百の自治体の中で運用のあり方が必ずしも斉一的に行なわれていないのでは ないかという判断を私どもはいたしまして、ここについていろいろもう一度再検討をす る必要があるのではないかという、そういう認識でございます。  それから徳川委員、加藤委員からも重要な御指摘をいただきました。新しい保険制度 の構想という、そういう議論が必要ではないかというのは、私は個人的には全く同感で ございます。そういう意味では介護保険から支援保険へという、そういう提起も過日ア メニティフォーラムの中で行なわれたということも承知しておりますし、しかしながら 現在の時点でそのような事柄をここに書き入れることについては私は躊躇をしたという のが現実でございまして、少なくとも現実的な現在での政策判断としてはこのような形 で考えたい、そういう意味ではこれは足し算なのか、それから面積の話が出ましたが、 介護保険施策が非常に大きく書いてあって、保険外が小さく書いてある、これはたまた まの絵の書き方の問題でございますので、理念的にそこらへんはぜひこれから詰めてい きたいというに考えております。  それから制度の仕組み方の中でも詰めていきたいと思いますし、できるだけ一体的か つ補完的といいましょうか、そういうものとしてお互いに補完しあうような適切な関 係、そしてもちろん最後の方で私どもが指摘したように、障害者の生活支援は障害者福 祉だけでは実現しないのであります。これも私の私見でございますが、かねがね日本で はやはり所得保障制度、とりわけ障害者についての所得保障制度が非常に不十分である という認識を持っております。  あるいは地域生活を支えるべき非常に重要な論点、例えば公的住宅手当というのは、 ヨーロッパ等の国々ではございますが、我が国では残念ながら制度化されておりません から、これは唯一生活保護の住宅扶助を使わざるを得ないという、一部自治体ではそう いう施策をされておりますが、そういうことを含めまして障害者福祉でできることと、 それからそれ以外の総合的な施策を組み合わせるということの視点が、これからこの議 論を進めていく上で改めて浮き彫りになっていくというふうに私は考えております。  それから最後の方の徳川先生の御指摘の、介護保険制度が元来有する理念の確認と一 層の徹底ということ、これはここの書き方は高齢者介護保険の方に向けて発信をしてい るのでございます。要するに高齢者介護保険も自立支援と選択という趣旨ではないか、 あるいは在宅を優先するような、そういう仕組みとして言われているのではないか。  しかし、現実には施設入所等がという、これは私が参加した高齢者介護研究会の中で はそういう意味では在宅ということがまだ不十分である、そういうことを受けまして先 般の論点の整理の中で介護保険部会の中では一人暮らし老人を在宅で支えるモデルを考 えよという、従来は家族介護を補完するものとして考えてきたけれども、一人暮らし、 単身の高齢者を支援するような介護保険のモデルを考えようという形で非常にはっきり 論点の整理の中で書かれましたが、そういうところの中で考えるべきであるという、そ ういう見解を表明させていただいた。なお御指摘の通り、誤解を招きやすいようなとこ ろもあるなと思いまして、これはぜひ御意見をふまえて、より工夫をさせていただく必 要があるというふうに痛感をしておりますので、ありがとうございました。 ○岡田委員  私から加えるものは原則的にはないのかもしれませんが、あえて申し上げさせていた だきます。徳川委員の御指摘、私は本当に嬉しく思いました。それはまず第一に思想性 をちゃんと明確にしろと言われたことについてであります。私も先程申し上げましたよ うに、今回のこの報告書を作る中では、少なくとも支援費制度であれだけ高らかに歌わ れた思想性を、こういった制度の変更によって失うことがないようにということを大前 提としたいということは申し上げまして、それぞれの委員からも御賛同をいただいたよ うに私は理解をしております。  それから具体的な指摘でございますが、その4頁の一番上の詳細な基準がないとい う、これは取り方ではあろうと思いますが、実は知的障害や重症身心などではこういう 事例がたくさん起こっております。東京都下のある市では、私はショートステイを3日 しか認めてもらえなかった、ところが隣の市へ行ったら全員が1カ月間認めてもらいま した、こういったことがたくさんございまして、やはり支給量の決定その他については もう少し細かな、そして共通理解に基づいた基準というものを模索する必要があるので はないかということを考えた次第であります。  ケアマネジメントについては、高橋紘士委員がおっしゃった通りでございまして、私 もこの制度化という言葉に非常にこだわりました。全国の知事さんとか、その他で言わ れておりますケアマネジメント制度化というのは、どうも介護保険のケアマネジメント に早くこれを入れなさいと言ってるように見えるけれども、これは私としては納得でき ないというふうに申し上げましたが、高橋先生もその通りである、むしろこれは本来だ ったらソーシャルワークというものであって、そういうもので位置づけなければいけな いので、これはぜひ今後こういった議論を高めるべきだというふうに委員の中でも認識 したところでございます。  それから権利擁護の仕組み、これについても実は今の支援費制度の中で私どもは非常 に奇妙な気持ちを持っております。それは知的障害者については、自己決定できないも のについては代理でよろしいと簡単に書いてあるんです。しかし支援費制度というのは 自己決定に基づくことを最大の売り物として登場したはずでありますが、そんなことを 簡単に代理でいいという、それはどういう基準に基づいて代理でなければいけないの か、代理にする時には誰がやるのか、こういったことも決めてないままにこれがスター トしているという意味で、これは十分とは言えないというふうな認識をいたしました。  それから地域生活の保障や就労という問題でございますが、一体地域生活とは何なの かということについて語られないままに、グループホームに移れば地域生活だというよ うな理解が今浸透していることについて非常に懸念を持っております。  それから5頁の図については、加藤委員、あるいは徳川委員がおっしゃったことはそ の通りでございます。これは本当にどちらの絵を大きくするかしないかという問題でな くて、むしろ議論の上でこれは徹底的にやはり明らかにしていくべき性格のものだとい うふうに思います。  それから第三の保険については、私も理念的には考えたんですが、今日この国民的な 認識の中で第三の保険を持ち出すことがどれだけ現実的な問題として理解されるだろう かといった時に、ややためらいを覚えました。  それから最後になりますが、自己決定の尊重と自立した日常生活ということでござい ますが、先程言ったように知的障害や、あるいは実際の精神的な状況によっては、自己 選択、自己決定ができない人がたくさんおりまして、それを今簡単に、例えば成年後見 制度でやればいいという人はいますが、成年後見制度は意思能力が失われた人が使う場 合には、それはいいかもしれませんが、しかし一旦あれを使えば、その本人のいかなる 意思も後見人もしくは補佐人によって決定されなければならなくなってしまいますの で、そういったことについては非常にまだ慎重であるべきだというふうに考えておりま す。  それからもう一つ、我が国では自立という言葉を非常に便利に、かつ曖昧に使ってい るように思います。今日自立といった時には、従来の自らが営むという意味での自立の 他に、自立生活運動で歌われた自立の意味が強いはずであります。それはどんな援助を 受けていても差し支えなく、どんな介護を受けていても差し支えないけれども、自分の 生活内容は自ら決めるという、その主体的に生きることを自立というふうに言っている はずであります。  その自立支援と言った時には、それをいかにも文脈では自分ができるように仕向ける 支援というように受け取られているように思いますが、これは誤りだと私は思います。 主体的に生きることを我々が支援をするということが徹底されなければなりません。そ ういう意味でここで使われている言葉については、今後の概念を深めていかなければい けない課題がたくさんあるというふうに思います。 ○京極部会長  ありがとうございました。御質問がございましたらどうぞ。 ○松友委員  基本的なところを読みきれないところがあるので確認をしたいのですが、5頁目の一 番メインのところになる介護保険制度との関係になるわけですが、これを読みますと、 特に上の(2)のところで介護のサービスを介護保険制度に組み入れる方向、これを有力な 選択肢であるということでずっとつながっているわけで、そこでやっぱり問題は介護の 範囲をどうするかという話が出て来るわけですが、私の質問は先程も若干あったので重 複かもわかりませんが、ここで議論されている、いわゆる統合というか、組み入れとい うか、介護保険制度は現在の介護保険制度をどのように手直しするか、全くしないか、 そこはどうなんでしょうか。  もっとも第三の、全く全然違うものをドラスティックに作るというのは相手があるこ とですから、それは無理ですが、私たちの方でも条件つきではないのですが、いろいろ 議論がありますが、その一つは、介護という表現に馴染まないというか、やっぱり知的 障害の場合、従来ということを場面では使ったこともないし、かつて障害分野は介助と いう表現がいいのではないかとか、そういう議論もあったやに記憶しております。  ですから名称自体を変えて欲しいというのがうちの会の今明らかにしている希望であ りまして、少なくとも介護・支援保険とか何かしないと、それは単に名前を変えるだけ ではなくて、やはりその中で今の制度のある程度の拡大ないしは変化を前提にしない と、今のはそのままにして、この部分に入る部分だけ入れて、入らない部分はプラス別 立てということなのか、いややっぱり入れる時に、まあ相手があることですから何とも 言えませんが、今の保険も少しこういうふうに変えた上で、やっぱりそれでも入らない 部分は右にするんだという、どちらを想定でこれは書かれているのか教えていただけれ ばと思います。よろしくお願いします。 ○高橋清久委員  それは当然、中を変えて、そして全体を構築するという考え方だと思います。突き詰 めて議論したわけではありませんので、今後の議論に待たなければならない部分が多い と思いますが、障害者への施策の内容を考えますと、やはり現在の介護保険をそのまま 当てはめるということは非常に無理があるのではないかと私自身は考えます。ですから 今後の議論の中でどのような内容にしていくか、それが行なわれて、その結果として介 護という言葉だけでは不十分だというようなことがあれば、新しい言葉も考えなければ いけないと私はそんなふうに考えております。 ○高橋紘士委員  これは一つのやっぱりステージを想定する必要があるな、段階を考えた方がいいなと いうふうに私は思っております。そういう意味で言えば第1ステージ、第2ステージ、 第3ステージというのがあるのかなというふうに思っております。例えば障害特性に応 じた給付というのは何であろうかという疑問が深まって、そして介護保険という仕組み にそこに組み入れていくという、そういう考え方等々がございますので、しかしその中 で自ずから介護保険が支援保険に変わっていく、そういう長期的な見取り図が書けるの ではないかというふうに思っております。  そしてここではまだピッチャーでございますから、キャッチャーにユニフォームを変 えろというふうに、今の時点ではまだ言う段階ではないということで、こういう表現を しておりますが、やがては一緒のチームでやるのだったら、こういうユニフォームとこ ういうプロテクターでやって欲しいということは、ピッチャーもこれから要求するとい うことになろうかと思いますが、まだそこらへんはまだまだ不分明な段階である。そう いう意味でいえばステージを追って、これはもちろん要介護認定もそうですし、障害に 適する認定とは何であるか、そういう意味で私は障害者施策とか、障害者福祉という、 そういう言い方から、障害福祉に変わっていくのかなというふうに思っております。  様々な障害やハンディキャップについてユニバーサルに対応する、普遍的に対応する 仕組みと、そしてこういう整理というふうに、そんなこともやや脱線した表現をいたし ましたが、そういうことも含めまして時間的な経過と、それは今後の介護概念の検討の 中でどういうふうにしていくかということがあるということを私がコメントをさせてい ただきたいと思います。 ○京極部会長  今までいただいた意見も、この3先生のまとめを踏み台に、我々全体で中間まとめを していきますので、その中に盛り込めるものは盛り込んでいきたいということでござい ます。特に8つの課題とされましたが、あの中では今の介護保険で解決できるようなこ とと、今の介護保険では解決できないので新しく盛り込んでいくものと、それから介護 保険外でもう少し整理しなくちゃあいけないものと、この三つが一緒になっております ので、その辺の整理をしつつ中間まとめではやっていきたいと思います。他にどうでし ょうか。 ○妻屋委員  たくさんあるのですが、一部かいつまんで申し上げたいと思いますが、4頁の支援費 制度改革の方向性ということで、大事な項目がここに並んでいるわけですが、まず安定 的な財源を図ること、そしてケアマネジメント制度の導入、それから最も大事な精神障 害者、障害児を対象とすること、それから計画的なサービス提供体制の整備というのが あるのですが、こういった改革しなければならない方向性が出ているのにも関わらず、 選択肢として1と2としか選択肢をされていません。これはもう一個入れるわけで、支 援費制度をこのままというのではなくて、改革しなければならないことを言っているわ けですから、改革する方向も必要だと私は思うわけであります。この二つにして、2は 有力だという、ちょっとこれは誘導的な書き方になるのではないかというふうに思って おります。  それからもう一つ、誰でも一番心配していることはこの二階建ての方式なんですが、 この二階建ての分は、例えば百歩譲って介護保険制度に行くとしたら、この一階建ては 介護保険制度、二階建てはこれは税財源でやるわけでしょう。この支援費制度が始まっ て早速税財源が足りなくなったという事件がありました。これをまた税財源をやるとこ れはどういう保障になるんですか。  今、先生は私はそういう方向で間違いないというふうに、保障するとは言わなかった けれども、大丈夫だと言ったんですが、岡田先生が知的障害の見積もりを誤ったと正直 におっしゃいました。素晴らしい専門家がそうやって見間違えるわけですよ。見積もり 間違いをするわけですよ。それなのにまたここで誰が保障できるんですか。あるいはこ の制度全体でどこに誰がこれを将来的にわたって保障するんだ、この担保が見えないと いうところに、この案にちょっと欠陥的なところがあるのではないかと思います。  それからもう一つ、現在の支援費制度と介護保険制度になった時とのサービスの落差 をなくすというふうにさっきおっしゃいましたが、その保障もどこにもないわけです よ。誰がどこでどういうふうな保障をするんですか。それをやっぱり書かないと納得で きないと私は思っております。  それからもう一つ、障害者はいつでも急激な変化を非常に嫌うんです。このことを頭 に入れなきゃあいけないと私は思うんです。もういつでもそうなんです。入院していて も、さあ次は転院だと言ったら、その精神的な負担はものすごいものなんですよ。その 変化に対応できる精神力というのは、これをもうちょっと重大視してもらわなければ、 簡単にこうだから、足りないからそっちへ行くんだというふうなことを安易に考えない でもらいたいというふうに思っておるところでございます。如何でしょうか。 ○京極部会長  この御質問は、もっと国家的な考え方で対応しなければいけないことがありますの で、今の御意見に対しては起草委員だけが答えてもアレなので、他の意見の方の考えも 伺いたいと思います。では最初はまず今の御質問に対していかがですか。 ○高橋清久委員  二階建ての部分で、介護保険からはずれた部分の将来的な財政的な不安ということを お話になりましたが、これは私どももかなり議論をいたしました。介護保険だけ残っ て、それ以外のものが税で賄われる部分、それが先細りでは意味がないということは私 どもも議論いたしましたが、その保障はもちろんないわけですが、この介護保険とリン クしたということによってかなりその部分は保障されるということが考えられます。そ ういうことであれば、やはりこの方向でいっていいのではないか。もちろん全て今委員 のお話になったことのサービスの落差をなくすとか、そういったものに関しての保障と いうものはないわけですが、そういう保障が少しでも確実に先が見通せるような形を今 後の議論の中でやはり少しずつでも確保していかなければいけないだろうと、そんなふ うに私は思っております。 ○京極部会長  私からもお願いしたいのですが、保障というのは誰が保障してくれるものじゃあない んですね。やはり我々がいろいろ頑張って、国も動かして、保障を作るのであって、ど こかに求めたって何も出て来ない。支援費だって同じようなことなので、それはちょっ とスタンスをもうちょっと前向きに考えていかなくちゃあいけない。これは政治家の方 々も含めて、国民の世論も含めて考えなくちゃあいけないことなので、他の方々の御意 見も伺いたいと思います。  この二階建てとか車の両輪という見方もございますが、例えばの例で言いますと、ち ょっと比喩がぐっと落ちますが、介護サービスとかその他のサービスをお酒に例えます と、支援費制度というのは5千円なら5千円もらっていろんな種類を飲むということに なっているんですが、介護保険というのはボトルをキープしたものを飲むので、ボトル をキープしたものといっぱい好きなものを一緒に飲めるという形なので、だからそうい う形ができますと、やはり財政的にも非常にゆとりができるわけで、障害者の選択も広 がるということなのでして、それを我々が方向を決めて介護保険部会にものを投げて、 認められればそれが保障になるわけですね。だからその辺の全体像を、予算のところと も含めまして、あまり3人の委員に保障を求めてもしょうがないのでありまして、だか らそういう点ではもう少し他の人の意見も聞きたいと思います。 ○丹下委員  まず大変短時間でまとめたことに対しまして敬意を表させていただきます。一点だけ 質問をさせていただきたいのですが、拝見いたしますと、安定的な財源確保のためには 介護保険に組み入れる方向がとるべき選択肢であるという具合に読めるのですが、その ように拝見してよろしいものかどうか。  そうだといたしますと、単純に組み入れれば安定するということでは必ずしもないわ けで、やはり安定と考える所以の何か基本的なお考えが当然あるだろうと思うんです が、御議論にあたってお考えになった考え方、つまり介護保険に組み入れた場合に誰が どれほどどういう形で負担をするのか、その負担がどういう状況であれば安定と言える のかというあたりを御指摘をいただければと思います。 ○高橋紘士委員  これは介護保険制度論を講義しないといけない話なのですが、介護保険制度の決まり 方というのは、1号被保険制度の保険料は決まります。それはどういうふうにして決ま るかというと、その地域のサービス量を推計をいたします。そしてこれが大変重要なん ですが、そうなりますと17%分が介護保険、1号被保険者、第2期では18%ですね。そ して残りの半分が32%、それでその残りについてはその総額について25%が決算主義と いいますが、そういう形で出て来るという、そういう仕組みでございますから、その地 域の保険者が供給すべきサービスについて、税金というのは事後的に決定される、要す るにこれは決算主義という、そういう仕組みでございます。 ○丹下委員  御説明中ですが、私は3号被保険者をお考えになっているのかどうかということを伺 いたいわけです。 ○高橋紘士委員  3号被保険者というのは具体的に言いますと、それは当然でございます。被保険者層 をそういう形で考えるということで、これは私の非常に個人的な積算でございますが、 かりにある前提を考えれば、それだけの十分な保険というか、そういう費用が捻出でき るという、そういう計算ができておりますが、ここでは控えさせていただきますが、そ の場合に障害の問題をどう考えるかというのは重要でございまして、要するに私は国民 全てで担い合う、これは個人という意味ではなくて事業者もそうでございます。  障害がなぜ起こって、これもまたここで講義をしなければいけない話になるので差し 控えますが、やはり一部の人の問題ではなくて、社会的に我々が障害を受ける可能性を 共有しているという、そういう認識に立った時にどこでどういうふうに負担するのかと いう、そういう問題があるという、そこらへんの議論は一問一答しますと時間をとりま すので、ちょっとここは割愛させていただきます。 ○京極部会長  それでは次は長尾委員、そして続きまして猪俣委員から御質問をお願いします。 ○長尾委員  3人の委員の方々には精神のことにも触れていただいたので、外枠の拡大というとこ ろに精神も入るのかという期待を持っておるのですが、この4頁の4の支援費制度改革 の方向性のところで、精神障害者・障害児等を対象とすることというのは、これは次の 号に行く前段としてここへ入れられているんだろうと思うんですが、これは支援費制度 の中へ入れ込もうという、一度は入れ込もうという話なのか、それとも全く別で、介護 保険へ行くなら一緒のことになるのかということなのか、私はできれば求めたいのは、 精神障害者は皆さん方おっしゃられたように、基盤整備が全然遅れているわけなので、 できれば3障害同レベルに持っていくというようなことを、ちゃんとできれば盛り込ん でいただきたいということを求めたいと思います。 ○猪俣委員  私はこの制度の安定的な継続という問題と、それから今長尾先生がおっしゃった精神 障害者の福祉という問題を考えますと、この3人の先生方がおまとめていただいた考え 方に基本的に賛同したいと思います。  ただ、5頁目の障害者施策の図がありますが、やはり障害者の場合を考えた場合に、 年齢や障害を問わない介護のサービスに匹敵するのが何で、介護以外のサービスがどう いうものが必要なのかというのは、もう現在の要介護認定基準ではやはり太刀打ちでき ない部分があるだろう。ですからその辺をもう少し煮詰めて、これが例えば具体的にこ うなんですよ、こういうものがありますよというのが提示できると、もっとイメージが 共有化できるのではないかなという感じがいたしました。  それから6頁目の最初の方に、制度設計に関しての具体的な問題が何点か並んでいま すが、こういうことに関しても基本的にこの部会として、こういう考え方はあるけれ ど、こういう方法をとるのがベターではないかというところまで踏み込んでいかない と、障害者の方はやっぱり不安に思っちゃう部分があるのかしらということを感じまし たので、ぜひその辺まで今度は第二弾を出していただければというふうに感じました。 ○京極部会長  時間がだいぶ差し迫ってまいりましたが、ではまだ発言していない福島委員と広田委 員、手短にお願いします。 ○福島委員  短い期間に意欲的な資料をお作りいただきまして、まずその御苦労にお礼を申し上げ ます。その上で三つ申し上げたいと思います。一つは先程妻屋委員が誘導的という表現 を使っておられましたが、私も以前ここでも申し上げたと思うんですが、AとBという 二つの案の選択をする場合に、Aのメリットとデメリット、つまり長所と欠点、Bの長 所と欠点という四つのファクターを出さないと、フェアな選択や検討はできないだろう と申し上げたんですが、本日の案ではAの欠点、すなわち支援費の欠点と、Bである介 護保険導入の長所という二つしか主に出されていませんので、やはり支援費でいった場 合の良さ、支援費を発展させる方向性というものと、同時に介護保険に統合された時の リスク、予想されるマイナス面ということもきちんと出した上で網羅的に検討すべきだ ろうと思います。  二点目は、これは議論の最終的段階でやはり統合の方向に行くのかどうかという決断 をこの部会としてすべきなんだろうと思いますが、その際に今日も加藤委員等からも内 容についていろいろ御要望が出ております。やはり内容がどうなのかということがどう しても問題になります。しかし内容の細かいところまで全て決めていれば、時間がない し方向性が決められないという議論もあります。  しかしながら例えば国と国との国交正常化でありますとか、あるいは会社レベルの合 併などを考えてもいいと思いますが、最初に正常化ありき、合併ありきがないだろうと 思います。やはり基本的な合意点、基本的な問題のすりあわせは成典にやるのが常識的 な対応だと思いますので、方向性を決める段階でも基本的な柱、この点は譲れないとい う基本的な部分を抽出して、そこは守っていきますよという前提の上で、統合の方向を 決めるという手続きでないと、とにかく財源がないから統合した方がいいでしょうとい う議論だけではなかなか決断がしにくいだろうと思うんですね。この点を、つまり基本 的な柱をどれだけ絞っていけるのか、細かい部分は今後議論する中で決めていけばいい のですが、譲れない部分、基本的な柱をどう見い出していくかが重要なポイントだろう と思っています。  その上で三つ目として、かりに統合と決めた場合でも、例えば会社の合併でも、合併 を決めたけれども細部を詰めていく上で、あるいは実際にやっていく上で白紙撤回にな るということがあります。こちらは会社がつぶれた場合はリストラですみますが、障害 者の場合はいわば人生がリストラされる、生きていくこと自体が難しくなるわけで、生 きるか死ぬかがかかっているわけで、なおさらうまくいかないと思えば後戻りできるよ うな、そういう安全弁も考えるべきだろうと思います。  具体的にはかりに方向性を決めても、例えば実施時期を2009年度ぐらいまで先に伸ば して、その間をきちんと議論をするというふうにするとか、あるいは2006年度に試行的 に実施して、2009年度に本格的な見直しをするといった、そういった選択肢も考えてい かないと、今の段階で黒か白か、もう後の修正はできない、しかも基本的な部分の条件 も不透明だというのではおそらく決断のしようがない、ギャンブルになってしまうと思 うんですね。命はかけられませんので、やはり人生をかけている障害者一人一人の立場 になった時には、そういった基本的な条件を明示した上でどうするか判断する、そうい う議論をしていく、それが私たちの最低限のルールではないかなと思います。以上で す。 ○広田委員  前回も申し上げましたが、精神障害者の方で介護保険にいくことに対する不安はたく さんあるというふうに認識しています。でも結局ここで財源がないという話を何回も何 回もしていまして、そういう不安を一つ一つ取り除かなければいけないことは福島委員 の方からもいろんな問題が出てきましたが、そうした上で京極部会長にお聴きしたいの ですが、いわゆる私たちはピッチャーだ、そしてキャッチャーがいる、そしてピッチャ ーはいつ頃までにキャッチャーに球を投げるんでしょうかということをお聴きしたいと 思います。 ○京極部会長  これはあとでお願いしますが、中間まとめをいずれにしてもこの部会でして、それを できれば6月25日の会合でやって、そのあと28日に介護保険部会がございますので、そ こに上げたい。そういうことでありまして、今回大変ご努力をいただいたこの3人の先 生方のたたき台を皆さんの御議論によって少し盛り上げて、それを中間まとめとしたい と思っておりますので、この案がイコール投げられるということでは決してございませ んので、そこは誤解のないように。冒頭に申し上げればよかったんですが。それでは笹 川委員お願いします。 ○笹川委員  資料に出ているのだろうと思うんですが、介護保険に組み入れられない事業というの は具体的にどういうものがあるのか、もしその辺がはっきり出ていれば答えていただき たいと思います。それから18日の団体からのヒアリングというのは、どの範囲までの団 体を考えておられるのか、これは事務局の方にお聴きしたいと思います。  それから介護保険にいろいろ修正した上で投げるとしても、ただ問題点が8点ぐらい 上がっているというようなことでいいのかどうか、もっと具体的な問題を提示しなけれ ばならないのではないかと思うんですか、その辺はどうなんでしょうか。 ○京極部会長  これはここの中で本来議論するべきことと、委員の方に答えていただくのと二つあり まして、さしあたって起草委員としてこういうふうに考えているということであればい ただいて、あとは例えば介護以外のサービスはどんなものが必要かというのは、この中 で議論して、むしろ盛り上げる、そういうこともあるので、起草委員が全部細かく考え て、ここまでが介護保険、ここまでがというふうには必ずしも整理されてないかもしれ ませんので、ただ、考え方の体系をお示ししてということだと思います。 ○高橋清久委員  介護の範囲ということに関しましては、多少議論をしたわけでございますが、やはり この審議会の場でいろいろ御議論をいただく方がより明確になるのではないかというこ とでございます。  それから私どもの議論の中では、例えば介護以外のサービスとしては、自立に向けた ようないろいろなサービス、こういったものが介護と言っていいかどうか、そういった ことの議論はございました。しかしやはりその整理はきちんと将来的にはしないといけ ないと思いますが、今回の3人の検討の中ではそこまでははっきり言って煮詰められな かったというのが現状でございます。 ○京極部会長  それではちょっと物足りないというか、これから本格的な議論をするという感じにな っているのですが、時間の関係もございますし、御予定もあるでしょうから、とりあえ ずここで終りたいと思います。いろいろ御議論をいただきありがとうございました。本 日の議論は6月25日に議論する予定の障害者部会としての中間的なとりまとめ案に反映 させることにいたしたいと思います。3人の先生方には大変ありがとうございました。  この中間まとめは、今後の障害者施策から大きな方向性を示そうとするものでありま して、これまでの障害者部会の議論をふまえながら、介護保険との関係を今日は大変集 中的に議論をいただいたわけですが、それだけではなくて、ライフステージに応じたサ ービス体系、例えば住まいのあり方とか教育のあり方とか、そういうことも含めまし て、それからケアマネジメントについてはいろんな御指摘がございましたが、そういう ものにしたいと思います。  この障害者施策は福祉施策の中で最も難しい、また理論的にも思想的にもいろいろ深 めなくちゃあいけない課題が多々ある分野でございまして、3人の先生の御苦労には感 謝したいと思っております。最後に日程につきまして事務局より御説明をお願いいたし ます。 ○間企画課長補佐  次回は障害者団体の方々からのヒアリングを予定しております。ただいま笹川委員か らどこなのかという御質問がございましたが、これは前回も申し上げたところでござい ますが、改めて申し上げますと、本審議会に委員をお出しになっている、まず6つの障 害者団体の方々、具体的に申し上げますと日本身体障害者団体連合会、それから委員の アイウエオ順で恐縮でございますが、次に全日本聾唖連盟、それから全国精神障害者家 族会連合会、それから日本盲人会連合会、それから全国脊髄損傷者連合会、それから全 日本手をつなぐ育成会、この6団体の方々に加えて、福島委員がずいぶん最初の頃に御 指摘がございましたように日本障害者協議会、それからDPI日本会議、こういった方 々にお話を伺いたいというふうに考えているところでございます。正式な御連絡はこれ から依頼をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。  次回は6月18日(金)午後1時を今のところ予定をしてございます。経済産業省11F の1111号室におきまして開催をさせていただきたいと考えております。現時点での出欠 状況がおわかりでしたら、お手元にございます出欠表に御記入をいただきたいと存じま す。なお詳細につきましてはいつも通り事務局より後日連絡をさせていただきますの で、どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○京極部会長  最後に部長から一言お願いいたします。 ○塩田部長  今日は3人の起草委員の方から貴重な御提言をいただきましてありがとうございまし た。また委員からも非常に重たい意見をいただきまして、私としては重く受け止めてこ れから対応したいと思っております。いろんな意見があって、特に福島委員から言われ たような、メリット・デメリットをきちんと吟味した上でフェアな選択をすべきだとい うことですが、私も全くその通りだと思っております。  それから前から申し上げているように、6月中か、その頃に大きな方向性についてコ ンセンサスを得て欲しいということでありまして、部会長がおっしゃったように私たち はピッチャーの役割で、キャッチャーが介護保険部会ということになるのですが、これ は第1球を投げて終る試合ではなくて、それから攻撃をしたり守ったりとか、非常に長 い長い道のりの議論を、今日は坂出市長の御意見もありましたが、坂出市長の御意見が 市長会の全ての御意見ではないと思いますが、市長会にしろ町村会にしろ、経済界にし ろ、いろんな方と、当然障害者団体の方ともこれから深く深く議論をしないといけませ んが、いろんな関係者の意見を聞いた上で大きな方向性をもって、福島委員が言われた ように、私自身としては一人の落伍者もなく目的のところに到達したいと思っておりま すので、これからもよろしく御指導をお願いしたいと思います。  それから議論の途中で誰が最終的な責任を持つかということでございましたが、これ は結論を言えば新しくできる制度の法律の中でどういう規定がされるかということに尽 きていると思います。それは最終的には国会、国民の代表である国権の最高機関で決め ていただくことだと思います。ちなみに私が支援費制度について申し上げているのは、 残念ながら支援費制度は予算の範囲内で補助できるとしか書いてもらってないんですよ ね。これは非常に致命的な制度的欠陥ですので、最終的に新しい制度を法律の中でどう 具体的に書くかというのが最後の担保だと思います。今後ともよろしく御指導をお願い します。 ○京極部会長  ありがとうございました。今日はかなり時間をオーバーいたしましたが、司会の不手 際ということでお許しいただきたいと思います。お忙しいところをありがとうございま した。   (照会先)     社会保障審議会障害者部会事務局                     厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部                       企画課 企画法令係(内線3017)