04/05/14第1回厚生労働審議会医薬品制度改正検討部会議事録         第1回厚生科学審議会 医薬品販売制度改正検討部会                    議事録             日時: 平成16年5月14日(金)                   16:00〜18:05             場所: 厚生労働省共用第8会議室               出席者: 井村 伸正 委員                    大山 永昭 委員                    鎌田 伊佐緒 委員                    吉川 肇子 委員                    児玉 孝 委員                    高橋 孝雄 委員                    田島 知行 委員                    谷川原 裕介 委員                    堀井 秀之 委員                    増山 ゆかり 委員                    松本 恒雄 委員                    溝口 秀昭 委員                    望月 眞弓 委員                    森 由子 委員                    安田 博 委員          議題:1.部会長選出及び部会長代理指名について             2.医薬品販売制度の現状と課題等について 吉岡総務課長  それでは定刻となりましたので、ただ今から医薬品販売制度改正検討部会を開催させ ていただきます。  本日は各委員の先生方におかれましては、ご多忙のところご出席をいただきまして誠 にありがとうございます。私は医薬食品局総務課長の吉岡でございます。部会長が選任 されるまでの間、進行役を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いしま す。  現在、本部会の委員20名のうち、15名のご出席をいただいております。厚生科学審議 会令の規程によりまして定足数に達しており、本会議が成立いたしておりますことをご 報告申し上げます。  はじめに、阿曽沼医薬食品局長からごあいさつを申し上げます。 阿曽沼医薬食品局長  医薬食品局長の阿曽沼でございます。今日は大変お忙しいところお集まりいただきま して、また各分野それぞれ違う先生方にお集まりいただきまして、これから厚生科学審 議会の中の部会として、医薬品の販売制度の改正検討部会ということで検討をお願いす ることになりました。  実はこの部会の設置に至るまでの経緯でございますが、ご承知のように昨年の6月ぐ らいから一般の小売店、あるいはコンビニなどで医薬品が売れないかという話がござい ました。それで、相当議論がございましたが、最終的には今の一般用医薬品のうち350 品目程度を医薬部外品に移行して、今年の夏からそれを部外品という形で販売するとい うことで最終決着をみました。その過程で私どもも専門家の先生方にいろいろお集まり いただきまして、一般用医薬品の中を洗い直すという作業をお願いしたりいたしまし た。  また一方、深夜・早朝に一般用医薬品を薬剤師さんがいなくてもテレビ電話で販売し てもいいじゃないかという議論がございまして、これも大変世の中の関心を集めまし て、深夜・早朝における一般用医薬品の販売はどうあるべきかという議論が一方にござ いました。   そういう議論を重ねていく過程で、深夜・早朝の議論はともかく、あるいは一般の 小売店なりコンビニで薬が売れるかどうかということはともかくとして、そもそも今現 在、薬局・薬店、あるいはいろいろ配置薬もございますし、いろいろな販売形態がござ いますが、そういう中にあって現実にどういう薬の売られ方をしているかということを 問い直すべきではないか、という問いかけをいただきました。これは委員の先生方から もいただきましたし、一般の国民の方々からもいただきまして、そもそも一般用医薬品 の販売のあり方自体見直さない限りだめなんじゃないかというような感じを国民の皆さ んも持っておりまして、私どもとしてもその反省に立って、反省というか、もう一回原 点に返って医薬品の販売のことを考えるべきではないかということで、この部会を開催 してはどうかということに決断をいたしました。  昭和35年に薬事法ができまして以来、一般用医薬品の販売については改正はほとんど 行われておりません。したがいまして、戦後、もっと言えば昭和35年の薬事法というの も戦後の旧薬事法を引き継いだだけでございますから、基本的には戦後一回も見直しが 行われていないという分野でございます。そういう意味では大変難しい分野でございま すし、過去何十年もやられていない分野の見直しをするということでございますから、 私どもとしてもそれなりの覚悟を持って臨んでおります。つきましては、先生方の英知 を出していただきまして、忌憚のないご意見をいただいて、日本の国民にとっていい制 度をつくっていきたいというように思っております。  現実を考えますと、実態と法律の建前の間に乖離があるではないか、という指摘が私 どもにとって大変痛い指摘でございまして、実態と法律の乖離をどのように埋めていく か、それが我々に課せられた課題でもあるし、どういう形でやれば本当に実効性のある 医薬品に関しての情報提供が販売時になされるか、それをもう一回原点に返って議論し ていただきまして、その成果をぜひ制度改正につなげていきたいというように思ってお ります。医薬品に直接関係ない分野の先生方にも入っていただくことにしました。した がいまして、そこらへんはご自由に医薬品に限らず、通常の商品と同じ面と、通常の商 品とは違う面がございますし、あるいは流通段階、製造段階、消費段階それぞれいろい ろな段階を考えて議論をしていかなければならないということもございますし、もちろ ん医薬品の特性として判断しなければいけない部分も当然ございます。かなり広汎な分 野でございますので、非常に議論の進め方も難しい面がございますが、やはり国民の関 心が非常に高い分野でございますし、また関心が高いだけでなく、生命・健康・身体に 係わる問題、また精神にも係わる問題でございますので、あるいは広く言えば日本の国 の国情をどう考えるかという問題でもございますので、そういう意味で高い見地から忌 憚のないご意見をいただければ幸いだと思います。  簡単でございますが、こういう会を創設した経緯を含めてご説明申し上げました。 吉岡総務課長  それでは本日は第1回目の部会でございますので、私のほうから本日ご出席の委員を 五十音順でご紹介申し上げます。  はじめに、井村伸正委員でございます。大山永昭委員でございます。鎌田伊佐緒委員 でございます。吉川肇子委員でございます。児玉 孝 委員でございます。高橋孝雄委員 でございます。田島知行委員でございます。谷川原裕介委員でございます。堀井秀之委 員でございます。増山ゆかり委員でございます。松本恒雄委員でございます。溝口秀昭 委員でございます。望月眞弓委員でございます。森 由子委員でございます。安田 博 委員でございます。なお、この他に神田敏子委員につきましては、少し遅れてご出席と のご連絡を頂戴しております。  また、本日の部会にはご欠席でございますが、青井倫一委員、上原 明 委員、三村優 美子委員、宗像 守 委員にもこの部会にご参画いただいておるところでございます。  引き続き事務局の紹介をさせていただきます。先ほどごあいさつ申し上げました医薬 食品局長の阿曽沼でございます。それから大臣官房審議官医薬担当の鶴田でございま す。以上、よろしくお願いします。  それでは早速でございますが、議事次第に従いまして議事に入らせていただきます。  まず最初に、議題1の本部会の部会長選出及び部会長代理指名についてでございま す。厚生科学審議会令では部会長は委員の互選により選任するとされております。どな たか部会長につきましてご推薦等ございませんか。はい、溝口委員。 溝口委員  井村委員を部会長に推薦させていただきたいと思います。井村委員はご存知のように 薬学のご専門でございますし、薬事・食品衛生審議会の会長もお務めでございますの で、まさに適任だと存じます。以上、そういう理由で推薦させていただきます。 吉岡総務課長  ありがとうございました。ただ今、溝口委員から本部会の部会長に井村委員をご推薦 との声がございましたが、いかがでございましょうか。              (「異議なし。」と声あり。) 吉岡総務課長  よろしゅうございますか。ありがとうございます。それでは井村委員に本部会の部会 長をお願いしたいと存じます。井村委員には部会長席のほうにご移動を願えればと思い ます。  それではこれ以降の進行につきましては井村部会長にお願いします。 井村部会長  この部会の経緯を先ほど拝聴しておりますと、非常に責任が重大である部会であると いうように認識せざるを得ません。できるだけ皆様方のご協力をいただきましていい成 果を出したいと存じておりますので、なにとぞよろしくお願い申し上げます。  では座らせていただきまして、進行係を務めさせていただきます。  では、部会長代理の選出を行いたいと存じます。厚生科学審議会令の規程によります と、部会長代理は部会長が指名するということになっております。それでこの部会の検 討事項が法律改正に係わる内容でございますので、法律の専門家でありまして厚生科学 審議会の総会の委員でもあります松本委員にお願いしたいと思うのでございますが、い かがでございましょうか。              (「異議なし。」と声あり。)  それでは恐れ入りますが、松本委員にはこちらの部会長代理の席のほうにお移りいた だきまして。恐れ入りますが、一言ごあいさつをお願いします。 松本部会長代理  国民の関心を非常に集めておりますこのテーマにつきまして、部会長代理という非常 に責任のある地位に指名されまして緊張いたしております。法律家としまして積極的に 貢献していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。 井村部会長  ありがとうございました。それでは次に議題2に入りまして、「医薬品販売制度の現 状と課題について」ということで、事務局のほうからご説明をお願いしたいと思いま す。よろしくお願いします。 事務局  それではお手元に配布させていただいております配布資料の確認をさせていただきた いと思います。  まず、資料1〜7までをまとめたものをお配りいたしております。内容を確認させて いただきますと、資料1としまして、本部会の委員名簿。資料2としまして、厚生科学 審議会医薬品販売制度改正検討部会の設置について。資料3としまして、厚生科学審議 会の構成について。資料4としまして、医薬品販売制度の現状と課題について。資料5 としまして、医薬品販売制度改正検討部会における検討事項(案)。資料6としまし て、今後の検討の進め方等(案)。最後に資料7としまして、第2回医薬品販売制度改 正検討部会の進め方について(案)をお付けいたしております。  次に、参考資料としまして、厚生科学審議会関係規程。参考資料2-1としまして、 一般用医薬品の販売規制の概要。参考資料2-2としまして、各医薬品販売業の取り扱 う医薬品の範囲等。参考資料2-3としまして、薬局及び各医薬品販売業の概要。参考 資料3としまして、薬剤師の店舗への「常時配置」についての現在の考え方。参考資料 4としまして、医薬品販売業に関する各種データ等。参考資料5としまして、薬学教育 制度および薬剤師国家試験制度の見直しについて。参考資料6としまして、医薬品の一 般小売店における販売について。参考資料7としまして、一般用医薬品によるものと疑 われる副作用について。参考資料8としまして、深夜・早朝におけるテレビ電話等の活 用による医薬品販売について。参考資料9としまして、医薬品販売制度関係条文。最後 に参考資料10としまして、医薬品販売制度関係通知をお付けしております。  なお、カメラ撮りはこの時点までとさせていただきますので、ご了承願います。ま た、ご発言の際にはお手元のマイクをご自分のほうにお向けくださいませ。以上でござ います。 井村部会長  ありがとうございました。皆様方のお手元に資料は行っておりますか。欠落がありま したらお申出いただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。  それでは議題についてのご説明をお願いします。 事務局  それでは医薬品販売制度の現状と課題等について資料を用いてご説明させていただき ます。資料4をお開きくださいませ。「医薬品販売制度の現状と課題について」という ことで、医薬品に関する情報提供の現状と問題点につきましてご説明させていただきま す。  現行法では、薬剤師等の専門家の薬局・店舗への常時配置の下、原則的に、当該専門 家がすべての医薬品について必要かつ適切な情報提供を行うことを求めております。参 考資料2-1をまずお開きくださいませ。「一般用医薬品の販売規制の概要」と、この ようになっております。  薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ、医薬品の販売、授与等 をしてはならないということが定められております。また、医薬品の販売業の許可につ きましては、一般販売業、薬種商販売業、配置販売業、特例販売業の4種類の許可に分 けられております。医薬部外品につきましては、それが不良品の販売等である場合を除 き、販売に関する規制はございませんので、コンビニエンスストア等の一般小売店でも 販売可能でございます。  ご覧の表にもございますように、薬局、一般販売業、薬種商販売業、通常は「薬店」 と呼ばれているものは、薬事法上は一般販売業と薬種商販売業に分かれます。それから 配置販売業、特例販売業とございます。薬局におきましては、すべての医薬品が販売可 能でございます。専門家につきましては薬剤師さんが必須と。平成14年度末、全国で約 4万9千ございます。一般販売業につきましては、すべての医薬品について販売が可能 でございまして、専門家としましては薬剤師、その業態数は約1万2千。薬種商販売業 につきましては、指定医薬品、これにつきましては後ほどご説明申し上げますが、指定 医薬品以外の医薬品について販売が可能ということで、専門家につきましては薬種商販 売業者と、このようになっております。業態数につきましては、約1万5千ございま す。それから富山の置き薬等で有名でございますが、配置販売業につきましては一定の 品目を。これにつきましては後ほどご説明申し上げますが、配置販売業者ということが 専門家の配置とされておりまして、業態数は11,600。それから、特例販売業としまし て、過疎地や離島等での店舗販売ということで、限定的な品目、薬事法上専門家の配置 はございません。業態数は約9,900でございます。  次に参考資料2-2、各医薬品販売業の取り扱う医薬品の範囲等についてご説明しま す。ただ今ご説明申し上げましたように、医薬品の販売には薬局、一般販売業、薬種 商、配置販売業、特例販売業の5種類がございます。これらにつきましてその関係をご 説明しますと、薬局につきましてはすべての医薬品に加え、その調剤が可能であると。 一般販売業は、すべての一般用医薬品。薬種商につきましては、指定医薬品が販売でき ないということになっております。指定医薬品と申しますのは、薬事法第29条で定めら れておりまして、特にその取扱いについて高度な薬学の知識を必要とする医薬品である ということで、例えば薬理作用が非常に激しく使用方法の難しいもの、その医薬品のも つ化学的性質、薬理的性質を十分に知らなければ危険性の大きいもの等、薬剤師以外の 者に取り扱わせることによって保健衛生上危害を生ずる恐れがある医薬品、このように されております。  典型的な例としまして、スイッチOTCでございます。いわゆるスイッチOTCと は、医療用医薬品の中で一定期間使用の結果、その薬効と副作用及び有効性などに安定 した評価が得られたものについて、その成分を一般用医薬品にスイッチした、転用した ものでございます。このようなものが指定医薬品とされておりまして、薬種商販売業で は販売することができないと、このように定められております。配置販売業におきまし ては、配置品目が販売されることになっております。  2頁にまいりたいと思いますが、薬種商販売業が販売できる医薬品の範囲と申します と、今ご説明いたしました。配置販売業が販売できる医薬品につきましては、配置販売 業品目指定基準に従い、一般用医薬品のうち都道府県知事が指定した品目でございま す。都道府県ごとに違うと、このようになります。  その配置販売業品目指定基準でございますが、薬理作用が緩和であり、かつ蓄積性ま たは習慣性がないこと。経時変化が起こりやすくないこと。剤型、用法、容量等からみ て、その使用方法が簡易であること。容器または被包が壊れやすく、または破れやすい ものでないことでございます。  引き続き特例販売業の方が販売できる特例品目についてご説明します。都道府県知事 がその特例販売業の店舗ごとに指定した医薬品ということで、その指定につきまして は、「薬事法の施行について」の別表第3の基準に該当する品目のうち、その店舗にお いて取り扱うことが必要と認められる最小限のものに限るとされております。例えば歯 科用医薬品、医療用酸素等、通常薬局等で購入し難いものや、緩和な内用剤に限ると、 このようにされております。  次に参考資料2-3を用いまして薬局及び各医薬品販売業の概要についてご説明させ ていただきます。  まず薬局でございます。薬局とは、薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務を行う 場所をいうと定義されておりまして、調剤を行う場所のほかに、薬局開設者が当該場所 で医薬品の販売業をあわせて行う場合もあり、その場合は販売に必要な場所も薬局に含 まれると、このようにされております。許可につきましては、都道府県知事が許可を与 えます。品目につきましては、すべての一般用医薬品も販売が可能であるということで ございます。申請者につきましては、薬剤師又は薬剤師以外の者と、このようにされて おります。  その管理につきましては、薬局開設者が薬剤師でないときは、その薬局で薬事に関す る実務に従事する薬剤師の中から管理薬剤師を指定し、実地に管理させなくてはならな いということでございます。管理者は、その義務として、保健衛生上支障を生ずるおそ れがないよう、勤務薬剤師等の監督、薬局の構造設備及び医薬品等の物品の管理、その 他の必要な注意をしなければならないと、このように定められております。  人員でございますが、薬局において薬事に従事する薬剤師の員数は、その薬局が取り 扱う1日平均処方せん数により定められており、40枚までは1人、それ以上40又はその端 数を増すごとに1人ずつ増やしていくと、このように定められております。  次の頁で一般販売業についてご説明します。  一般販売業でございますが、全ての医薬品を販売等することができる医薬品の販売業 でございまして、薬局と異なり調剤業務は行えません。申請者につきましては、薬剤師 又は薬剤師以外の者。申請者が薬剤師でないときは、その販売業者で薬事に関する実務 に従事する薬剤師の中から管理薬剤師を指定し実地に管理させなくてはならないと、こ のように定められております。人員につきましては、店舗において、薬事に関する実務 に従事する薬剤師の員数は1名以上でなければならないと、このように定められており ます。  次に薬種商販売業についてご説明します。頁をおめくりくださいませ。  薬種商販売業、店舗形態で医薬品を販売等する販売業であって、厚生労働大臣の指定 する医薬品(指定医薬品)以外の医薬品を販売することができるものということで、品 目につきましては、指定医薬品を取り扱ってはならないということでございます。  申請者につきましては、必要な知識経験を有する者として政令で定める基準に該当す る場合を除き、薬種商として必要な知識経験を有するかどうかについて都道府県が試験 を行った上、合格者に販売業の許可を与えると、このようにされております。  薬種商受験資格としましては、高校又はこれと同等の学校を卒業した後、3年以上薬 局・一般販売業・薬種商販売業の実務に従事した者。もしくは、それと同等以上の知識 経験を有すると都道府県知事が認めた者。それから、薬種商試験を行わずに許可を与え ることができる者としましては、大学において薬学に関する専門の課程を修了した者。 現行法の薬種商試験に一度合格した者。8年以上薬種商販売業の業務を行っていた者で あって、都道府県知事が適当と認めた者と、このようにされております。  管理につきましては、実地に店舗の構造設備及び医薬品等の物品を管理し、その他薬 種商販売業の業務につき保健衛生上支障を生ずるおそれがないようにしなければならな い。このようにされております。薬種商は、自ら店舗にいて、直接又は直接の指導の下 に医薬品の保管、取扱いを行うよう指導が行われています。  次に、配置販売業についてご説明します。頁をおめくりくださいませ。  各家庭に医薬品を置いておき、それが使用された段階で代金請求権が発生する形態の 医薬品の販売業でございます。配置以外の方法で医薬品の販売等を行ってはならない と、このようにされております。配置しようとする区域ごとに都道府県知事が許可をし ます。品目につきましては、厚生労働大臣が定める配置販売品目指定基準に従って、販 売し得る品目を都道府県知事が指定をすると、このようになっております。申請者につ きましては、配置販売の業務を行うにつき、必要な知識経験を有することが必要と。こ の知識経験を有する者とは、大学等で薬学の課程を修了した者。高校等で薬学の課程を 修了した後、3年以上配置販売の実務に従事した者。5年以上配置販売の実務に従事し た者であって、知事が適当と判断した者とされております。  管理につきましては、保健衛生上支障を生ずるおそれがないよう、配置販売の業務に 関してその配置員を指導し、監督しなければならないと、配置販売業者に求めておりま す。  続きまして特例販売業についてご説明します。頁をおめくりくださいませ。  特例販売業でございます。過疎地や離島等で薬局等の普及が十分でない場合や、特殊 な品目(歯科用医薬品、医療用酸素等)を扱う等必要がある場合に、都道府県知事等が 店舗ごとに品目を指定して許可を与える販売業でございます。なお、当該許可に係る 「薬局及び医薬品販売業の普及が十分でない場合」の認定は、地域の人口、面積、地 勢、交通、住民の保健衛生上の必要性等を総合的に勘案して行い、また「その他特に必 要がある場合」とは、駅の構内等特殊の場合であって、薬局等を利用しがたい場合、及 び歯科用医薬品、酸素ボンベ等通常薬局等において購入し難いものを取り扱う場合をい うものであるとされています。  品目につきましては、先ほどご説明しましたように、取り扱うことが必要と認められ る最小限度のものを、定められた範囲の中から都道府県知事等が店舗ごとに指定する と、このようになっております。申請者につきましては、人的要件等は定められており ません。あくまで特例的に許可が与えられるものであり、その判断は都道府県知事等の 裁量によると、このようにされております。なお、歯科用医薬品、酸素等を取り扱う特 例販売業の許可は、それらのものの特殊性に鑑み、それらの取り扱いに関し十分な知識 及び経験を有する者に限り与えることとされています。  次に参考資料3を用いて、常時配置についてご説明します。「薬剤師の店舗への「常 時配置」についての現在の考え方」でございます。  薬剤師の店舗への常時配置についての現在の考え方としましては、薬局の許可の基準 につきまして、薬事法第6条では、薬局において薬事に関する実務に従事する薬剤師が 厚生労働省令で定める員数に達しない場合には許可を与えないことができると、このよ うにされております。これは先ほどご紹介しました処方せん枚数による薬剤師の員数で ございます。  それで薬局の管理につきましては、第8条で、許可を受けた者が薬剤師であるとき は、自らその薬局を実地に管理しなければならない。また、その薬局において薬事に関 する実務に従事する他の薬剤師のうちから薬局の管理者を指定して、その薬局を実地に 管理させるときにはこの限りでないということで、いずれにしましても薬剤師は実地に 管理するということを薬事法では求めております。  その管理者の義務でございますが、第9条におきまして、薬局の管理者は保健衛生上 支障を生ずるおそれがないように、その薬局に勤務する薬剤師その他の従業者を監督 し、その薬局の構造設備及び医薬品その他の物品を管理し、その他その薬局の業務につ き、必要な注意をしなければならないと、このようにされております。  一般販売業の許可につきましても同様でございますが、員数につきましては先ほどご 説明しましたように、1名以上となっております。  次頁をお開きくださいませ。3頁でございますが、平成10年12月2日、医薬発第1043 号の各都道府県知事等宛の医薬安全局長通知が発出されておりまして、薬局、一般販売 業の店舗については、その開局中又は開店中は、薬剤師を薬局等に常時配置するよう指 導してきているところであるが、今般、首都圏において一般販売業を中心にチェーン展 開を行っている施設について立入検査が行われたところ、薬剤師が不在であった多数の 施設が判明したところである。また、医薬品を一般に購入し、又は使用する者に対する 情報提供については、平成8年の薬事法改正により薬局開設者及び医薬品販売業者の努 力義務とされ、昨年4月より、これは平成9年4月より施行されたところでございます が、その販売に際して薬剤師による情報提供が特に求められている医療用医薬品からの 転用成分を含有する新一般用医薬品(いわゆるスイッチOTC薬)について、薬局等に おける情報提供等が十分行われていない場合があるとの指摘がなされていると、このよ うなことが指摘されておりまして、薬局開設者の遵守すべき事項等として下記の周知徹 底をお願いするとなっております。  1としまして、薬局等においては薬剤師である管理者を置き、当該管理者は保健衛生 上の支障を生ずるおそれがないよう、その薬局等の管理に遺憾なきを期すこと。  2としまして、薬局等の開局中又は開店中は、薬剤師を薬局等に常時配置し、医薬品 の販売に当たり、購入者等に対し医薬品の適正な使用のために必要な情報を提供するこ と。このような通知が発出されております。  1頁お戻りくださいませ。この常時配置ということに関しまして、茨城県から問い合 わせが来ておりまして、省令の「薬事に関する実務に従事する薬剤師の員数は、一とす る。」というものについては、その薬店が開店しているとき常時必要な員数と解釈して よろしいですかという問い合わせに対して、そのとおりであるということでございま す。つまり、開店している間は常時その人数が必要であると、こういうわけでありま す。  それで次に参考資料4に。ただ今の通知の発出の根拠となりましたその薬事監視の際 に薬剤師等がいなかったと、この件につきまして参考資料4、医薬品販売業に関する各 種データ等、その1を用いてご説明させていただきます。参考資料4の1頁をお開きく ださいませ。薬局等における薬剤師等につきましては、薬事監視をしたところのデータ でございます。  平成9年から調べられておりまして、平成14年時点で薬局につきましては1.55%、 ( )内の数字でございますが、調査実施時に薬剤師等が不在であり、かつ薬剤師等不 在時に医薬品を販売する等不在時の対応が不適切であった施設の割合。つまり、薬剤師 がいなくても、その時に例えば医薬品を販売していないということであれば問題はなか ったわけでありますが、薬剤師不在のまま医薬品を販売する等の不在時の対応が不適切 であったものの割合でございますが、薬局につきましては平成14年度で1.55%。一般販 売業につきましては15.81%、薬種商販売業につきましては5.67%と、このような報告 がなされております。  つまり、消費者が医薬品を購入する際に薬剤師等から必要な情報提供が行われない場 合があるということ。それから販売時に薬剤師がいなかった一般販売業の店舗数は16% あるというような現状から、一般の商品と異なる医薬品の安全確保の必要性が国民に十 分に理解されていないということが考えられるわけであります。また、リスクの低い医 薬品についてまでリスクの高いものと一律の情報提供体制、薬剤師の常時配置を求める 必要がないとの指摘も同時にあるところでございます。これが医薬品に関する情報提供 の現状と問題点でございます。  なお、参考資料につきましてはその他のデータも添付されておりまして、項目だけ紹 介させていただきますと、薬局・医薬品販売業の業態数年次推移、医薬分業率等の年次 推移、ドラッグストアにおける店舗数・売上高等の年次推移、一般用医薬品の生産金額 の推移、最近のスイッチOTC薬等の承認について、一般用医薬品等に関する経緯、薬 事法改正経緯でございます。  このような医薬品に関する情報提供の現状と問題点、これも医薬品販売制度の現状と 課題の一つでございますが、もう一つ大きな課題としまして、現在国会で審議されてお ります薬学教育6年制の導入に伴う薬剤師の今後の役割でございます。参考資料5をお 開きくださいませ。「薬学教育制度及び薬剤師国家試験制度の見直しについて」という ものでございます。  背景でございますが、医療技術の高度化、医薬分業の進展等に伴う医薬品の安全使用 といった社会的要請に応え、医療の担い手として質の高い薬剤師が求められておりま す。この社会的要請に応えるためには、大学の薬剤師養成のための薬学教育において、 教養教育、医療薬学、実務実習を充実した教育課程の編成により、臨床に係る実践的な 能力を培うことが必要である。そのためには、現行の4年間の大学における薬学教育で は十分ではなく、6年間の教育が必要と、このようにされております。  制度見直しのポイントとしましては、まず学校教育法の改正がございまして、大学の 薬学を履修する課程のうち、薬剤師の養成を目的として、臨床に係る実践的な能力を培 うことを主たる目的とする課程については、その修業年限を6年とすると、このような 法改正でございます。これらが文部科学省の方より提出されております。  また厚生労働省より薬剤師法の改正を提案しておりまして、学校教育法の改正に伴 い、修業年限6年の大学の薬学を履修する課程を修めて、卒業した者に薬剤師国家試験 受験資格を与えると、このような法改正でございます。現在、両法案は国会において審 議中でございます。  制度の導入でございますが、平成18年4月1日ということを予定されております。  それでは資料4にお戻りくださいませ。  医薬品に関する情報提供の現状と問題点、薬学教育の6年制の導入に伴う薬剤師の今 後の役割というものについてご紹介させていただきました。もう一つポイントがござい まして、専門家による実効性のある情報提供体制の必要性ということでございます。こ れまで医薬品販売の際の専門家の関与を不要とする、いわゆる「コンビニ問題」のよう な主張もなされてまいりました。冒頭、局長よりごあいさつがあったところでございま す。しかし、医薬品は、人体に直接作用するものであることから、その販売に当たって は、新たな情報通信技術の活用を含め、何らかの形で専門家が関与することにより安全 確保を図る体制が必要であると事務局では考えております。  最近問題となった事例につきましてご紹介させていただきます。参考資料6をお開き いただけますでしょうか。「医薬品の一般小売店における販売について」ということ で、1頁をおめくりいただけますでしょうか。  (1)規制緩和推進計画、平成9年3月の閣議決定でございますが、これを踏まえま して平成11年3月、ビタミン含有保健剤、健胃清涼剤等15製品群を医薬品から医薬部外 品に移行しました。その後、(2)でございますが、規制改革の推進に関する第二次答 申、平成14年の総合規制改革会議でまたさらなる議論が始まりました。それで(5)で ございますが、平成15年6月、基本方針2003というものが閣議決定されました。経済財 政運営と構造改革に関する基本方針2003の抜粋でございますが、「医薬品販売体制の拡 充」という項目におきまして、医薬品の一般小売店における販売については、利用者の 利便と安全の確保について平成15年中に十分な検討を行い、安全上特に問題がないとの 結論に至った医薬品すべてについて、薬局・薬店に限らず販売できるようにするという ことでございます。これがいわゆるコンビニ医薬品問題でございます。  次の頁をおめくりくださいませ。この閣議決定を受けまして、(6)でございます が、平成15年9月に医学・薬学の専門家で構成する「医薬品のうち安全上特に問題がな いものの選定に関する検討会」というものを設置しまして、各製品ごとに薬理作用等、 副作用、習慣性等からみて人体への作用が緩和か否か、販売にあたって専門家による情 報提供が必要か否かの観点から、すべての一般用医薬品1万31千品目、85製品群のう ち、安全上特に問題がないというものがあるかどうかの選定を行いました。  具体的な選定作業を行うためにワーキンググループが設置されまして13回にわたり検 討が行われ、その結果、最終的に15製品群、350品目について選定されました。(注) にございますように、かぜ薬(内用)、それから解熱鎮痛剤等については、相当数の重 篤な副作用報告がなされている等の理由により選定はされませんでした。これらにつき ましては今後注意事項を外箱に表示すること等を条件に、医薬部外品に移行して一般小 売店での販売を認める予定でございます。  次に参考資料7を用いて、一般用医薬品によるものと疑われる副作用についてご説明 させていただきたいと思います。「一般用医薬品によるものと疑われる副作用について 」でございます。  医薬品は病気を治すなどの効能・効果を有する一方で、健康を害するさまざまな副作 用が生じる。副作用の問題は一般用医薬品でも発生し得るものであり、市販のかぜ薬等 においても体調等により副作用が発生しやすくなる他、他の医薬品との相互作用等によ る副作用が生じる恐れがある。場合によっては呼吸困難、肝機能障害等の重篤な副作用 が生じ、さらには死亡に至る可能性もあるということでございます。  副作用症例の概要でございますが、薬事法第77条の4、第1項に基づきまして製薬企 業は厚生労働大臣に副作用によるものと疑われる疾病の発生を知った場合には報告しな ければならないと。また、医薬関係者からも医薬品の副作用によるものと疑われる疾病 等の発生について報告を求めております。  その具体例でございますが、平成10年度〜14年度、例えばかぜ薬ではアナフィラキシ ー・ショック、スティーブンス・ジョンソン症候群、解熱鎮痛剤についても同様でござ います。滋養強壮保健薬、それから漢方製剤につきましても、例えば間質性肺炎等が紹 介されております。なお、症例数は薬事法に基づく副作用報告の対象となっている重篤 症例、及び中程度の症例のみでございます。  また死亡事例の状況でございますが、平成12年4月〜平成15年5月につきまして、か ぜ薬で3例等の死亡例が報告されております。  次に参考資料8を用いて、深夜・早朝におけるテレビ電話等の活用による医薬品の販 売についてご説明します。  深夜・早朝における社会経済活動の増加や、情報通信技術の普及といった新たな事態 が生じていることを考慮して、深夜・早朝における医薬品の供給確保のあり方等につい て検討することを目的としまして昨年10月、「深夜・早朝における医薬品の供給確保の あり方等に関する有識者会議」というものが設置されました。そこでご議論いただきま して、その報告書等を踏まえまして、一般販売業者が深夜・早朝の時間帯に、その店舗 以外の複数の店舗と共同してセンターに薬剤師を置いて、テレビ電話を用いた医薬品販 売を行う場合の要件というものが定められました。これにつきましては先月の4月1日 に省令等を公布し、施行されております。  主な要件でございますが、深夜・早朝というものにつきましては、午後10時から翌日 午前6時まで。それから購入者に対して医薬品を販売するに当たって、必ずその都度、 センターの薬剤師がテレビ電話等の情報通信設備を使用し、必要な情報提供・収集を行 うことということを求めております。  事業の区域でございますが、当該店舗はセンターが所在する都道府県と同一の都道府 県又はこれに隣接する都道府県の区域内に所在することと。それから、センターの薬剤 師の店舗勤務でございますが、センターに置かれる薬剤師につきましては毎週1回以上 通常の営業時間に当該店舗において、薬事に関する実務に従事することを求めておりま す。対象となる医薬品につきましては、指定医薬品以外の一般用医薬品でございます。 また、このような情報通信技術を用いた医薬品販売を行う店舗につきましては、通常の 営業時間を通じて薬剤師が管理を行うことと、このようなことを求めております。  資料4にお戻りくださいませ。  このような3件の事例についてご紹介しましたが、今回すべての医薬品についてリス クの程度に応じた適切な情報提供等のあり方を検討すると。このために薬剤師の専門性 を踏まえつつ、医薬品販売に従事する者に求められる資質と、その確保に関するあり方 についてご検討をいただこうということでございます。  具体的には次の資料5でございますが、事務局で考えました本検討部会におきます検 討事項の案でございますが、ご紹介させていただきたいと思います。  医薬品の区分につきまして、例えば医薬品のリスク等に応じたどのような医薬品の区 分とすべきか、どうか。2としまして、医薬品の販売に当たっての情報提供ということ で、例えば必要な情報提供の内容、どのような場面で、どのような情報提供が必要とな るのか。医薬品を選択する際にアドバイスするとか、例えば、こういう使用上の注意が ございますよというような注意喚起を行っていただくと。どういう情報提供の内容が必 要か。  次に医薬品販売に従事する者の資質とその確保でございますが、薬剤師や薬種商とい った医薬品販売に従事する者に求められる資質とその確保をどうするのかということ、 そういうことについてもご議論いただきたいと思います。  また、情報提供の手法でございます。先ほどテレビ電話の件をご紹介申し上げました が、販売に際し、店舗において消費者が専門家から使用上の注意など必要な情報を得る ため、どのように情報提供のための機会を確保すべきかどうかと。それから、新たな情 報通信技術を活用できるかどうかということでございます。  3としまして、販売後の副作用発生時等への対応ということで、医薬品の販売後にお ける消費者からの使用方法等についての問合せ、副作用発生時への対応などのあり方。 これらを法令上どのように位置付けるかということで、医薬品の定義規定や確実に情報 提供がなされるための法令上の措置など、どのように法令上位置付けてその実行を確保 するかどうかをご議論いただきたいと思います。  その他としまして、例えば特例販売業のあり方等につきましてもご議論いただければ と思います。  以上、簡単でございますが、紹介させていただきました。 井村部会長  どうも詳細なご説明をありがとうございました。それではただ今の事務局からの説明 につきまして、ご質問がございましたらぜひお願いしたいと思います。また、日ごろ医 薬品販売制度に関しまして疑問を抱いておられましたり、ご意見があるというようなこ とでも結構ではないかと思います。それからまた、これは第1回の部会でもございます し、我々は専門が違うわけでございますので、ご自分で初歩的な質問ではないかと思わ れましても、どうぞ躊躇なくご発言をいただければよろしいかと思います。どうぞ。 児玉委員  日本薬剤師会の児玉でございます。今、縷縷いろいろとお聞きいたしました。それで 先ほど阿曽沼医薬食品局長のほうから冒頭、この本会議の検討の趣旨というものをご説 明いただきました。  それで、私ども薬剤師の立場から申し上げますと、いわゆる昨年の一般用医薬品の販 売に係わる規制緩和の問題、本検討会の切っ掛けとおっしゃったわけでありますが、ま さに私どもも昨年のあの議論というもの、またその中で特に国民・社会から今の一般用 医薬品の供給体制は本当にこれでいいのか、安心して薬が飲めるのか、大変大きな疑問 を投げかけられました。それで私どもは専門家の集団であります薬剤師会として、その 昨年の国民の声を大変真摯に受け取りまして、そして非常に責任ある立場として反省も しながら昨年来いろいろとその対応策をやってまいりました。  その中でやはり本当におっしゃったように、今の医薬品のこの分類も含め、また供給 体制も含め、本当に国民にとっての体制はどうあるべきか、これを考え直す時期に来て いるとおっしゃいました。まったくその通りでありまして、私どももそのことも昨年の その反省に基づいて我々もどうあるべきか考えなければいけないと、そう思っていた時 期でございます。したがいまして、私が申し上げたかったのは、そういう時期にこのよ うな検討会を設置いただいたこと、心よりまずは感謝申し上げたいと、そのように思っ ております。 それで今後はこの議論が始まるわけでありまして、今日はその説明を詳 細にいただきました。  それで、これからでありますからいろいろな議論があると思いますが、まず3点ほど 私ども考えていることがございまして、1点はこれも先ほど阿曽沼医薬食品局長がおっ しゃったように、相当長年に亘っていろいろ複雑な現状と、そして法律の乖離とおっし ゃいました。したがいまして、その観点に立てばやはりまず最初に、その現状が大変多 岐に亘っておりますね。医薬品の供給体制は今もIT化もあってインターネットを使っ てみたり、また週刊誌で売られたり、果てはいったい医薬品なのか、薬なのか、食品な のか、国民の立場に立てば本当によく分らない。ましてやその一方で、分らないうちに 数年前に不幸にも中国茶で、食品で亡くなられた方もある。本当にこれは国民の立場か らすれば堪らないことでありますね。そういう現状をやはりしっかりとまず確認する、 この作業は私は一番やるべきことかなという気がします。  それで先ほどおっしゃったように、大事なことだけに概念的には今の供給体制、今の 医薬品のあり方がどうあるべきかというのは、概念的にはこれはおかしい、これは問題 だというのが皆さんおそらくお分かりだと思うんですね。しかしながら、本当にそれを 国民のためにどうあるべきかとなると、だったらこの機会にこの検討会で本当にどこが 何のどの部分がいったいまずいのか、どこが制度としておかしいのか、やはりそこを徹 底的にまず議論をお願いしたいなと。私はまずこれが第一点でございます。  それから2つ目が、いわゆるこの資料を見ていまして、一般用医薬品のことが多く出 ておりました。確かに昨年問題になったのがそれでありますから、私はそれもよく理解 できるわけでありますが、しかしながら現実論として先ほど少し申し上げましたよう に、国民の視点に立った場合には、「薬」という概念から言えば、一般用医薬品であろ うと医療用医薬品であろうと分らないんですね。これは皆同じだと思うんですよ。お医 者さんから貰った薬も、やはりこれは「薬」でありますし、そしていろいろな供給から 受けるものも全部「薬」であります。したがって、私は今後の議論の中で特にリスクと か分類とか情報提供という議論がいろいろ書いてありますので、であれば一般用医薬品 もさることながら、やはり医療用の医薬品も含めたすべての医薬品に関してもぜひ議論 をお願いしたいなと、そのように思うわけであります。これはやはり国民にとっては同 じことでありますから、そういう視点でそのことが大事かなという気がします。  それからもう一つ、お話をお聞きしながらふと思ったのが、昨年のいろいろな国民の 指摘の中で今回のこういう問題についての中で、特に利便性と安全性という議論があり ましたね。私は薬剤師の立場から昨年の議論を聞いておりまして、利便性・安全性、こ れは当然医薬品でありますから、局長がおっしゃったように医薬品には特性がありまし て、当然この有効性と安全性をどう担保しながら供給していくか、これは当然普通の商 品とは違いますから当たり前のことでありまして、そうするとその中で安全性はよく分 かるんですが、利便性とは一体何だろうかと。本当に消費者・国民にとっての医薬品の 供給の利便性というのは何だろうか。これはやはり私は真剣にここで議論される材料で もあるのかなと、そのように思うわけであります。やはりコマーシャリズムに乗ったそ ういうような利便性ではなくて、本当の国民の視点に立った利便性は何だろうかと。私 はこのようなことを考えつつ今ずっとお話をお伺いしておりました。どうぞ、そのへん あたりもよろしくお願いしたいと思います。冒頭からどうも申し訳ございません。 井村部会長  ありがとうございます。他にどうぞ。森 委員、どうぞ。 森 委員  東京都の森でございます。ちょっと基本的な検討の方向と資料について確認させてい ただきたいんですが、今、児玉委員からもお話がありましたように、一般用医薬品と医 療用医薬品の区別というのは、阿曽沼医薬食品局長からは一般用医薬品の販売のあり方 についてということでお話があったかと思います。それで、参考資料2-1、「一般用 医薬品の販売規制の概要」というようになっておりますが、特例販売業の医療用ガスと か歯科用医薬品というのは一般用医薬品ではないわけですね。それも含めて業態数とし て9,905があるというような形で資料をおつくりになっておりますので、できれば医療 用ガス等の医療用のものは切り離して資料をおつくりいただきたいなというのが1点で ございます。特に特例販売業についてはそこの部分がちょっと気になるというのが1点 と。  それから17年4月1日施行予定薬事法改正の中で、医薬品の区分を見直すというよう に伺っておりますので、それと今回のリスクに応じた医薬品の区分のあり方の検討の関 係がどのようになっているのか。あれはあれで17年4月1日で動いていくものとして、 これは18年以降の別の区分なんだということなのかどうか。これはちょっと論点を整理 しておいていただいたほうが今後の混乱がないのではないかなと思っております。その 2点だけちょっと確認させてください。 井村部会長  かしこまりました。事務局、ただ今の点につきましていかがでございましょうか。 事務局  まず児玉委員からの指摘でございましたが、食品のことでございますが、確かに健康 食品等で問題となる事例等もございます。それで今般の見直しということは、一般用医 薬品を取り巻く環境の変化、それから一般用医薬品の販売に関する制度と実態の乖離、 それから薬学6年制の導入に伴う薬剤師の専門性の向上等を踏まえて、一般用医薬品の 販売のあり方について検討するということを念頭に置いて設置されたものでございま す。  具体的には、一般用医薬品のリスク等に応じた適切な情報提供等を行うための実効性 のある制度を構築することについて幅広にご議論いただきたいと考えておりまして、そ のために薬事法に基づく医薬品に該当するものでないのは、健康食品等は議論の対象に するということは考えておりませんが、なおこのような健康食品の制度につきまして は、その安全対策も含めまして別途「健康食品に係る制度のあり方に関する検討会」と いうところで、これは同じ医薬食品局の食品安全部でございますが、そちらのほうで検 討されております。  それで2つ目ですが、先ほどご説明しましたように、一般用医薬品の環境の変化等を 踏まえて一般用医薬品のあり方、販売のあり方について検討するということを念頭に置 いておりますので、主として一般用医薬品について検討していただきたいということを 考えております。この検討の中で必要があれば、医療用医薬品と一般用医薬品の区分な どに関連する事項についてもご議論いただくことになるのではないかと考えておりま す。  それから、森委員よりご指摘がございました17年4月施行の議論についてですが、そ れにつきましてはいわゆる平成14年の薬事法改正に基づいてそれまでに議論を行うとい うことになっておりますので、それは作業を別途進めさせていただきます。なお、特例 販売業のところで医療用医薬品の例を申し上げましたが、現在、特例販売業については 昭和35年にその制度ができましたときには約10万件ございました。それで、例外的であ るということで必要性に応じて許可を認めるという方針の下、現在では先ほどご紹介し ましたように1万件を切るところまでまいりました。それで事実上、歯科用医薬品、そ れから酸素ボンベ、これがほとんど業態の大半を占めております。ただ、いわゆるコン ビニ販売医薬品の議論、総合規制改革会議のほうで、例えば特例販売業のほうで情報提 供が行われていないじゃないかというような形の議論もございましたので、販売業全体 の見直しをする際に併せてご紹介をしました。  それで例として大半を占める歯科用の医薬品、これは確かに医療用医薬品でございま すが、歯科用の例えばキシロカインカートリッジのようなものとか、酸素ボンベとかご ざいますので、確かに具体例としてはよくない例でございますが、実態としては大半を 占めているということでご紹介させていただきました。 井村部会長  ありがとうございました。他にご意見、ご質問はございますか。どうぞ。 神田委員  今のやり取りとダブるかなと思いますが、検討の必要性ということで、今資料4を見 てお話をしておりますが、検討の必要性ということがこの資料の範囲から言いますとち ょっとピンと来ないところがございます。  というのは、現状と問題点という形で1に3点挙げられておりますが、これからこの 範囲で見ますと何と言いましょうか、現在の現行法からすると現行法ですべてのところ に薬剤師を配置しなければいけないということが果たされていないとか、そういうこと はつかめるんですが、ここで示している問題点は薬剤師のレベルを問題にしているので はなくて、配置がされていないとかそういうことの問題点の指摘になっているわけで、 そういうことがあって2のところで「6年制の導入に伴う薬剤師の今後の役割」という ことでドーンと行くその関係が、現状の中で4年制の中でなにか解決がこの1から行く とできるんじゃないかなというように思ってしまうんですね。ですから、問題点がいま いち分かりにくいというか、まだここに加えるものがあるのかなというように思うの と。  それから先ほどの方がおっしゃった、医薬品の区分が今後どうなっていくのか。もっ と難しいリスクの高い医薬品を一般用医薬品としてもっとたくさん増やしていく方向が あってこういう体制を考えているのかなということがあって、そのへんが見えないもの ですから、この問題点というだけですと2のほうになかなかつながっていかないなと思 いました。  ちょっと説明ができないんですが、そういう感じがしました。 井村部会長  よろしゅうございますか。事務局どうぞ。 吉岡総務課長  ただ今のご指摘の点でございますが、今日は第1回の部会ということでございまし て、私どもがご準備している資料、ようするにこの制度のこの部会におけます検討の背 景について今日は十分な資料をご提供できるとは思っていません。ただ冒頭、局長が申 し上げましたように、この1〜2年いわゆる規制緩和という観点から、特にOTC、一 般用医薬品の販売についてどこまで専門家の関与が必要かと。これは裏返して言います と、先ほど資料の紹介にもございましたように、現在薬事法が求めている専門家、特に 薬剤師の配置が完璧ではないという現状があるわけでございまして、これはいろいろな 背景があると思います。  一つは薬剤師の地域的な偏在、あるいは不足という問題がございますが、一方では実 際に薬剤師が配置されていてもそれぞれの販売ごとに情報が提供されていないのではな いかと。だから薬剤師はいなくてもいいんじゃないかということが、どうも国民の間に もそういう誤解というか、そういう考え方が広まっているんじゃないかと。これは薬剤 師が本来いれば薬剤師が必要な医薬品についての情報提供をするという建前で薬事法が 定められているわけですから、制度との乖離というのは単に薬剤師を置かないというこ とだけではなくて、その背景にある考え方、OTCと専門家の情報提供はどうあるべき かというところ、そういうレベルからぜひこの部会でご議論いただきたいと思っている ところでございます。  それに関しましては、先ほど児玉委員からもご質問がございましたが、例えば医療用 医薬品と一般用医薬品の関係についても議論するかどうかがございましたが、現在、医 療用医薬品というのはこれは薬局において薬剤師が、これは薬剤師の仕事のうち調剤業 務はいわゆる業務独占でございまして、薬剤師の資格がなければできないということで すから、医療用医薬品は必ず薬剤師が関与して国民に提供するというようになっており ますので、この制度は当然の前提でございます。そういう意味で、先ほど冒頭、局長か ら申し上げている昨今の医薬品販売における問題点というのは、これは主として一般用 医薬品、OTCに係わる問題だというように私どもは認識しております。  そういう意味でこの本部会におけますご議論は、医療用医薬品以外のOTCについて まず専門家の関与と販売のあり方についてご議論いただくというように考えております が、当然国民の目から見ればおっしゃっているとおり、どれが医療用医薬品でどれが一 般用医薬品かよく分らないという視点もございますので、OTCの販売の問題について ご議論いただきながら必要に応じてまたそういう観点からもご議論いただきたいという ように考えております。 井村部会長  今のお答えでよろしゅうございますか。神田委員。 神田委員  はい、OTCの問題をということで、私が言いたかったこの1の問題点の指摘だけで すと分かりにくいということがあったものですから申し上げましたが、そういう趣旨だ ということは分かりました。 井村部会長  ありがとうございました。他にご意見、ご質問はございませんか。 増山委員  全国薬害被害者団体連絡協議会の増山と申します。よろしくお願いします。  話をする前にぜひ今日、資料として追加していただきたいものがありますので、ここ で配布をお願いしたいんですが、よろしいでしょうか。 井村部会長  事務局はご用意してありますか。よろしゅうございますか。お配りください。 増山委員  今、お手元に意見書と、2枚目はこれまでの薬害裁判によって和解が成立したときの 和解確認書の中に書かれていた薬事法関連の部分を抜粋してこちらにまとめさせていた だきました。それでまだ議論がこれからということで、これをお配りしたのはぜひこう いうことを踏まえて議論に入っていただきたいという、そういう気持ちがあるからで す。  それで、今回薬害被害を受けた一人としてこういう薬事法改正という大きな節目にな る審議会に出席できるということは大変喜ばしいと思うと共に、やはりサリドマイドが 始まってこの40年来薬害が続いてきたということを食い止めることができなかったとい う、それが証でもあるかというように感じておりますので、ぜひこれまでの薬害が起き てその拡大を防ぐことができなかったということを踏まえた上で、それを教訓としてこ の改正を見ていただきたいというように思っております。  それで、サリドマイドは例えば私は当事者でありますが、この40年前のことになりま すと正直言いますと、当事者にとっても当時の危機感というか混乱ぶりというのは記憶 としてはちょっと薄らぎつつあることではありますが、実際にこのサリドマイドは医療 用医薬品としても一般用医薬品としても売られた薬で、しかも当時は死亡率50%の大変 重篤な副作用を起こした医薬品です。私はもちろん薬害と副作用の違いというのは自分 でもっていて、やはり薬害というのは何らかの人為的な処理がうまくいかなかったとい う、そういう部分が被害を拡大させたというそういうプロセスがその中にあったり、あ るいは薬そのものに何らかの問題があったということが薬害であるというように感じて いますが、ただその薬害というのはやはりある種医療現場の問題点を表している、表面 化しているという形でもあると思うんです。  そこで、ぜひここに今日は資料として追加させていただきました和解書の中の抜粋部 分、たぶん皆さんほとんど目にすることはないと思いますが、今一度読んでいただい て、本来ここの中には医薬品を使用するに当たってどんなことが守られなければいけな いのかということが、その気持ちが集約されていると思うんです。もちろん具体的な内 容ではないのでこれを参考にと言ってもとても難しいところがあるかと思いますが、本 当に医薬品は普通の商品と違って健康を損なってはじめてその商品の欠陥が分かるとい うそういう品物であるということを今一度確認して、今後検討の中で情報提供がどうあ るべきか、あるいは一般用医薬品の販売のあり方がどうあらなければならないかという ことを、ぜひ悲惨な薬害のこういうことを踏まえて審議していただきたいというのが、 やはり私は薬害を受けた一人として皆さんにぜひともここはお願いしたいと思うところ であります。以上です。 井村部会長  ありがとうございました。もちろん委員一同その点に関しましても心して議論してい かなければならないと思っていますので。他にご意見はございますか。あるいはご質問 なり。どうぞ溝口委員。 溝口委員  インターネットを調べていましたら、「深夜・早朝における医薬品の供給確保のあり 方について」という報告書が今年の1月22日付けで出ておりましたが、これが既に省令 で今日のお話を聞くと認められているということですが、この問題も含めて法律にす る、いわゆる薬事法の改正の中にこの問題も含めた法律の改正をこの委員会では議論す るのですか。 井村部会長  その点につきましてどうでしょうか、省令と法律の関係について。 吉岡総務課長  今、お訊ねの深夜・早朝問題というのは、先ほど説明しましたように、現行法は薬剤 師あるいは専門家が実地に管理した上でOTCの販売をしなければいけないと。若干は 解釈による部分もございますが、現行の薬事法の考え方はそのようになっておりまし て、それに対する例外という意味で深夜・早朝を、最近は特に都市部を中心に非常に人 手が残っている状況を踏まえて、そういうときにもOTCの需要があるのではないかと いう問題意識から、これは都内の総合雑貨店がある意味では問題提起したというか、大 きく議論したんですが、これはあくまで現在の薬事法の、先ほど申し上げました薬剤師 の実地管理、具体的には常時配置ということの例外としてそういうIT技術を、特にテ レビ電話などを使ってどこまでそれが安全性を確保しながら代替できるかということ で、これは昨年の10月から今年の1月にかけましてご議論をいただいた結果、4月1日 から省令を、これは現行の薬事法に基づく省令告示。もっと端的に申し上げますと、現 行の薬事法の例外的措置としてどこまで認められるか、その範囲内で省令告示を公布し たものでございます。  なお、これにつきましては省令自身に初めて導入する措置でもございますので、4月 1日から施行半年後にもう一度その条件について見直しをするということは、これは別 途その方法についてはまた改めて私どもも考えておりますが、この場でこれについては ご議論いただくことは考えておりません。ただ、折に触れて共通する点もございますの で、ご関心があったり、あるいは現状はどうかということについては対応させていただ きます。この部会は現行の薬事法からはとりあえず離れて、ある意味では白地でOTC 販売についてどういう制度が本当に、他の商品とは異なる医薬品について、特にOTC についてどういう販売体制があるべきか。特に安全面に配慮してどういう体制があるべ きか。特に実際に実効性のある制度でなければならないという観点から、薬事法の現在 の考え方に捉われずに国民のためのOTC販売を、ある意味で白地でご議論をいただく 場でございます。そういう意味で薬事法の改正をある意味では前提というか、そういう ことでご議論いただくということで。  整理しますと深夜・早朝のほうは現行の薬事法の例外措置として省令告示で動き出し ておりますが、この場におきましては薬事法そのものの現在のOTC販売についての制 度がこれでいいのかどうか、なにか新しい提案はないのかということをご議論いただこ うというようにご理解いただきたいと思います。 井村部会長  分かりました。よろしゅうございますね。他にご質問、ご意見ございますか。 堀井委員  私は工学がバックグラウンドでして、薬についてはまったくの素人ですので、一般の 国民の立場で質問させていただきたいと思います。  参考資料7のほうに、一般用医薬品による副作用に関する資料がございますが、かな りの数の副作用があったということが報告されているわけですが、これが薬剤師がちゃ んと情報提供していれば防ぐことができた副作用なのか、あるいはそういうことではな いのか。いったいどういう状況でこの副作用の発生、あるいは死亡に至ったかというよ うなことがある程度情報としてないと、どうあるべきかということも考えにくいかな と。  それで、これからご議論いただく内容でちょっと先走っているのかもしれませんが、 資料7のほうに今後の進め方で、関係者に対してヒアリングするというようなことがあ って、先ほどちょっと見ていたんですが、果たしてこのヒアリングをして本当に判断す る上で必要な情報がこれで十分に得られるかどうかということについてはちょっと疑問 な部分もあり、もう少し私が指摘したような観点で少し必要な情報を抽出するというよ うなことをご検討いただけないかなと思いました。 井村部会長  分かりました。2番目のヒアリング等につきましてもご質問に関しては、後ほどまた 「今後の進め方」のところでご議論いただきたいと思いますが、まず最初のご質問につ いて事務局のほうから説明がございますか。 事務局  この症例の中で、例えば本来服用すべきではない、つまり専門家から十分な情報提供 があって、こういう方は飲まないでくださいということが遵守されていれば回避できた 副作用も入っていると、このように聞いております。 松本部会長代理  これは薬事法の規定を守った販売が行われていたにもかかわらず生じた副作用なの か、薬事法の規定を守らない売り方がされていて、薬剤師がまったく関与しない、情報 提供しないで売った結果生じたことなのかというところは、数字で分かるんですか。 事務局  そこまで詳細には分かりません。ですから、十分な情報提供が行われて、患者さんが それを遵守しているかどうかということも、両方いろいろな条件があるということで、 ちょっと詳細なそこまで分らないと思いますが、もし補うことができましたら次回にで も。 松本部会長代理  つまり、薬剤師がきちんと関与していれば防げるという前提の下に関与していないと いうことであれば、関与する方向で法律をもっと強化すべきであると、安全確保という 観点からはなるんでしょうし、例え関与していてもアナフィラキーショックなんていう のは確率的にいって起こるんだということであれば、そこだけいくら強化しても一定数 の副作用は防げないという話なのかというところはかなり重要だと思います。 井村部会長  どうぞ、局長。 阿曽沼医薬食品局長  昨日の国会でも議論があったところなんですが、これはそういうことをはっきりしな い、とにかく疑わしい事例が挙がっているということなので、薬剤師の関与の程度とい うのははっきりしません。  それから関与していたとしたら防げる分がどれぐらいあったかというご質問があった んですが、それはちょっと整理しないと分かりませんから、一度整理したいと思ってい ます。  それで先ほど来議論に出ておりますが、私ども今回のこういう部会を立ち上げた最大 の理由は、今の薬事法の体系というのはある意味では、非常にシンプルに言いますと、 薬店なり薬局だけで考えますと、薬剤師が常時配置していて、実地に管理していて情報 提供するはずだということになっていますね。したがって、ある意味では法律的に考え ればかなりパーフェクトな専門家の関与が完全にあるという前提に立った制度になって いるんですね。ところが実態は、では私自身が例えばかぜ薬を買いにいくときどうなっ ているかというと、いちいち情報提供されているわけではありませんし、実際問題とし て自分でいつも使っているかぜ薬を買うという実態になっていますから、そうしますと 法律が予定している状態と今国民が置かれている状態とその間に大幅に乖離があるとい うのが現実だと思うんです。  問題は、それを実態を法律に合わせていくべきか、法律を実態に合わせるべきかとい う議論をしてもしょうがないので、本来あるべき姿をもう一回白地で議論して、そこに 実態をもっていくようにすべきではないかと。となると、一番大事なことは実効性があ るということなんですね。今回、私どもが提案しております実効性のあるやり方で、本 当の意味で大事な情報提供が国民にされると。それを確保するためには建前ではなく、 実効性がない限りはいくら良い絵を描いてもしょうがないわけですから、そこのところ をいかにつくっていくかということだと思うんです。  そういう意味では残念ながら私ども自身の努力不足もありますが、今の仕組は法律的 にみればある意味では完全な仕組みになっているんですが、実効性がないんですね。な ぜかと言うと無理があるんですね。やっぱりいろいろなビジネスの問題で無理があるで しょうし、あるいは勤務形態の問題で無理があるでしょうし、あるいは新しい技術革新 に対応できていないということもあるでしょうし、いろいろな意味で法律の仕組自体が 情報提供が本来なされているかどうかということに着目しても、かなりうまく動いてい ないという面があるのではないかというように私どもは反省しているし、そういう実態 をいかに確保するかという観点から、逆に制度をもう一回白地で議論しようと、そうい う意味でございます。  したがって、当然行政庁ですと今の現行の薬事法を本来この議論が進む過程の間も本 来は情報提供はなされるべきだと。現行法がちゃんと実態に即応するようにすべきだと いうことについては努力したいと思っていますが、自ずからできるだけ早く新しいシス テムを構築していかないと、そちらに移行できるような形で行政自体も連続性を考えて いかないといけないわけですから、どうか「実効性のある」というところに着目してい ただいて率直なご議論をいただきたいということでございます。 谷川原委員  慶応大学の谷川原ですが、先ほどの副作用のことについて意見を述べさせていただき ます。  医薬品は生体に作用する何がしかの薬理作用がありますから、副作用が絶対にない医 薬品というのはあり得ないわけです。ですから、薬剤師が関与していようが、いまい が、ある確率で起こるということは避けられない。ただ、それが電化製品とか自動車の 不具合と違いまして、早期に発見して軽微な状態で処置をすれば大事に至らないことが あるわけです。ここに挙げられていますスティーブンス・ジョンソン症候群にしても間 質性肺炎等にしても、使用者に対してそういう情報提供がされていれば、もしそういう 兆候が現れたときに早期に医療機関を受診して、早期に処置すれば大事に至らないので すが、その知識がないと、時間が経つにつれて重篤化し結果として非常に不幸なことに 到るということもあります。  ですから起こった・起こらないという議論ではなくて、もし起こったときにそれがど ういうような形で使用者を守れるかという、そこの仕組みが大事ではないかと思いま す。そこに薬剤師の情報提供の必要性というのがあると考えます。 井村部会長  はい、先に議論を進めさせていただきたいと思います。他にどうぞ。 増山委員  私も今同じようなことを考えていたんですが、やはり副作用というのは起こるものと いうか、それが主作用として起こるのか、副作用として起こるのかで、その起こり方が どう自分にとってプラスかマイナスかということだと思うんです。だから、副作用を防 止するというよりは、副作用の拡大を防止するということではないかと思うんです。先 ほどの副作用を防ぐという話は、そういうように感じていたので発言しました。  それからもう一つは、この資料にある一般用医薬品によるものと疑われる副作用につ いてというところの、1番のところに、「医薬品は病気を治すなどの効能・効果を有す る一方で」というように最初に出ていますが、もしここが一般用医薬品について述べて いるものであれば、病気を治すというよりは症状を緩和するというような言い方のほう が適切ではないかなと思います。というのは、私の理解では医療用医薬品というのはも ちろん病気を治す治療薬であると思いますが、一般用医薬品に関してはあくまでも症状 の緩和ということが目的としたものであるというように考えています。 井村部会長  おっしゃるとおりだと思います。ありがとうございました。他に。 望月委員  2点ほどお聞きしたいんですが、今回の部会における検討事項の案という中で、資料 5になりますが、「医薬品の区分」というのを最初に挙げていらっしゃるんですが、今 回の目的等は先ほどの議論でだいたい分ってきたんですが、この「医薬品のリスク等に 応じた区分」というのが何を最終的な目的としてこの区分をしていくのか。つまり、先 ほど構造改革の規制緩和の中で、利便性と安全性が確保されるものであれば小売店でも 販売できるみたいな話がある一方、今のようないろいろな対策を講じなければいけない ようなものもあるという中で、このリスクによる区分というのを一気に構造改革のほう まで用いられるのかどうかも含めて、ここは何を目的に区分されていくのかという確認 をさせていただきたいんですが。 井村部会長  はい、リスクの程度というだけではご納得いただけないようですが、事務局のほうで どういうお考えか。 吉岡総務課長  まず、根本から言いますと、薬におけるリスクとは何かということも含めておそらく はこの部会でご議論いただかなければいけないと思いますが、先ほど副作用のほうで提 供しました資料は、これは現在副作用救済制度の対象になる程度の被害というか、作用 が出たものに限っております。おそらくこの被害には、それほど報告するほどの事例で はないけど、不快感が出たり、あるいはオヤッと思うような症状が出たり、そういうの は膨大な数があると思っておりますので、そういうのも広い意味では国民の健康に係っ て起こり得るリスクということを考えると、このリスクについてまずいろいろ考える必 要があると思います。  それと、このリスクの考え方ですが、一つ今回の部会の一つの目標でございます私ど もとしては期待している目標がございますのは、実効性のある制度ということは再々申 し上げているわけでして、もちろん薬剤師さんは調剤もしますし薬のエキスパートとい うことで、オールマイティのポジションにあるわけで、現行の薬事法は原則としては薬 剤師さんの関与の下にOTC販売も行うと。ところがそれが十分に達成できていない と。その背景には、一つは薬剤師不足という地域的な背景もあるでしょうし、一方では 薬剤師がいなくても、あるいは薬剤師がいても必ずしも情報提供されていないから必要 ないんじゃないかというような議論もあるわけで、そうしますと逆に言うと、医薬品は 他の商品と違いますから、何らかの専門的なアドバイスを多少でもすればかなり大幅に 現在生じていている副作用は緩和できるのではないかという見通しもあるわけで、必ず しも薬剤師でなくてもそれに代わるような人が情報提供をワンポイントですれば、それ だけでも注意喚起になる。  ようするに、完璧な専門家がいて不十分な情報提供しかできないよりは、多少でも確 保しやすい専門家が最小限のアドバイスをすることによって全体の副作用のリスクを減 らすことができるのではないか。非常に図式的に言えばそういうことで、全体として医 薬品として実効性のある体制が確保できるのではないかと。と言いますのは、医薬品は OTCに限ってもスイッチOTCから非常にほとんど副作用の報告のないようなものま で、こういう意味ではリスクの点は非常にさまざまでございますので、リスクの程度に 応じてそのリスクにふさわしい販売時のアドバイス、あるいは副作用があったときのア ドバイスができる専門家を配置していけば、全体として効率的なシステムができるので はないかと。ただ、そのときに各リスクに応じてどの程度の情報提供をする必要がある か、そのためにはどの程度の専門的知識が必要かということも並行して考えていただき たいと思っています。そういう意味ではまだ物差しがぜんぜんできていなくて、リスク の考え方と分類の仕方と、それとそれに対応した専門家はどうあるべきかということを 同時に考えていかなければいけない。そういう意味ではちょっと複眼的にモノを見てい かなければいけないという難しさがあるんですが、リスク分類の考え方というのはそう いうところにもポイントを置いてお願いしたいと考えています。 井村部会長  望月委員、よろしゅうございますか。 望月委員  はい、もう一点お聞きしたいんですが。2番の情報提供に関してなんですが、この2 番の情報提供のところは、情報があるぞ、という前提で情報提供はどうあるべきかとい う形に検討事項としてはなっているような気がするんですが、一般用医薬品の場合には 承認審査の制度上の、仕組上の問題というか、そういう点がありまして、情報自体が十 分に整理されていないというものもかなりたくさんあるように私は認識しているんです が、その情報をつくり出すというところまで、今回この会議体で踏み込むのか、あるい はもう「情報はありき」としてその次の提供はどうあるべきかというところだけ議論し ていくのか、ちょっと確認をさせていただきたいんですが。 井村部会長  大変高度なご質問でございますが、事務局はいかがでございましょうか。 吉岡総務課長  今日は第1回ですし、いろいろご意見をいただきたいというように思っております が、情報も当初医薬品が承認されたときの範囲の情報がまず添付文書に書いてあるわけ ですが、ご案内のように追加的に副作用が新たに出たとか、あるいは使用方法について 改定すべきだという、その添付文書の改訂ということもあるわけでございます。それは 追加的な情報、これは新しく当初にプラスしてまた情報が出れば、またそれをどういう 形でユーザーに示していくかということで、必ずしも情報は固定ではないというように 考えております。ただ、まずは添付文書に書かれている情報を、これは実際に家に持ち 帰って開かないと分らないわけで、多くの方はおそらくはよくご覧になっていないとい うこともあると思いますので、まずは一般的にその医薬品についているはずの情報をユ ーザーにきちんと認識してもらう。ではどの程度認識してもらえばいいかということも 含めて考えていく必要があると思います。ただ、おっしゃるように情報自身は非常に利 用できる情報は時々刻々と変化しますし、そういう意味では幅広にお考えいただいてご 提案いただきたいと思います。 井村部会長  基本的に情報が十分かどうかという判断をするところまでは行かなくてもいいという ことなんだろうと思います。他に。どうぞ。 児玉委員  先ほど課長のほうからお話があった中に、リスクに応じた分類、これはこれから検討 していくんですが、それはそれでいいんですが、リスクに応じた専門家ということでち ょっとお聞きしたいわけでありますが。  私は先ほど冒頭で申し上げました中に、議論していただきたいという中に医療用もと いうお話を申し上げました。それはまさにその意味を込めているんですね。と言います のは、今お話があったように確かにリスクの少ない一般用医薬品、誰でもが知ってい る、その単体を見ればそのようなものがありますよ。しかしながら、ご承知のとおり医 療用医薬品との相互作用というのが必ず生じるわけですね。これは無視できないわけで すね。ですから単体で物事を見るというわけにはいかないと思うんです。そうすると情 報提供のあり方を議論するときには、単純にリスクが少ない、単体で、だからこれはこ のようにと、そういう考え方ではおそらく私はできないと思います。それは患者さんの 身になったらそうですね。ですから私は申し上げたわけで、患者さんはなにも一つだけ の薬を飲んでいるわけではないんです。いろいろな薬を飲んでいる。食品も飲んでい る。そういういろいろな総合的な、複合的な判断をしながら情報提供をしなければいけ ない。ですから、「リスクに応じた専門家」という考え方、それはちょっとおかしいと 思います。これはこれからの議論でありますから結構ですが、そういうこともぜひ議論 の中にお入れいただきたいなと思います。 井村部会長  そのことについてはこれ以上議論をしなくてもよろしいですね。では、次に何かご質 問、ご意見は。 神田委員  今日でなくてもいいんでしょうが、やはり「リスクの程度に応じた」というのは、今 回の検討の大きな基本だと思うんです。そこで先ほどお答えはいただいたんですが、リ スクの程度をどう計るのかと、物差しをつくりながらというお返事だったと思います が、その物差しをつくる材料というか、それはどういうものがあるのか。その大きな一 つは副作用の問題だろうと思いますが、その副作用の問題についてどの程度データがあ るのかとか、物差しに使えるようなデータがあるのか、そういう基本的な問題だと思い ますので、そのへんが一つ気になりました。 井村部会長  今のご質問に関してはこれからの進め方の中でも話が出てまいりますでしょうか。 吉岡総務課長  今の点はまさにこれからのご議論になるわけですが、ただ私どもはこの部会に先立ち ましていろいろ海外の様子なども調べさせていただいるところで、また時期をみて提案 させていただきますが、いろいろ薬事制度については先進国の制度などもございます。 その中でイギリスとかオーストラリアあたりでそういうリスク分類の考え方に従った運 用がされているということもいろいろ専門家から聞いておりますし、そういうのも参考 にしながら各国それぞれの国でそういう制度がうまく動いているかどうかも含めて、十 分に勉強した上で我が国における物差しはどうあるべきかということも幅広く考えてい きたいと考えております。 井村部会長  ありがとうございました。ちょうどこれからの進めかたにも絡んでくるようなご質問 が出ましたので、時間もだいぶ経ちましたので、これから先の進め方というように議論 を移してよろしゅうございますか。  それでは今後の検討の進め方につきまして事務局のほうからご説明をいただきたいと 存じますが、いかがでしょうか。 事務局  それでは資料6を用いて今後の検討の進め方について事務局案をご紹介したいと思い ます。6頁でございますが、本日は5月14日、第1回の部会でございまして、6月上旬 には第2回の医薬品販売制度改正検討部会を開催させていただければと思います。それ で関係者からのヒアリング等について実施させていただきたいと考えておりまして、夏 頃には第3回以降の部会において論点を整理させていただくと。秋頃には部会におきま して医薬品の区分や販売に当たっての情報提供の内容等に関する専門委員会を設置しま して、1年間程度ご議論いただければと思っております。結論を得ましたら、平成17年 秋でございますが、必要な制度改正につきまして部会で意見を取りまとめていただきま して、平成18年の通常国会に上記の意見を踏まえまして薬事法等の一部改正法案を提出 できればと、このように考えております。  また、次回の部会の進め方でございますが、資料7、次頁でございますが、関係者の ヒアリング等を実施させていただければと思います。医薬品販売の際の情報提供等の実 施状況等につきまして、実際に医薬品販売に携わる販売業者や消費者からヒアリングを 行えればと思います。ヒアリングの対象としましては、合計6人、薬局の開設者、一般 販売業者、薬種商販売業者、配置販売業者、消費者、医薬品等に関する相談機関、これ らの方々を考えております。  また、それぞれのヒアリング事項でございますが、薬局及び販売業者の方には販売時 に行っている具体的な情報提供の内容や手法、販売後の問い合わせや副作用に関する相 談等に対する対応状況、医薬品販売における安全上の問題点、その他現行制度の改善す べき点等について考えております。また、消費者の方からは、医薬品購入時における情 報提供の内容、医薬品販売店から情報提供を受けたい情報の内容、情報の優先順位と か。それから医薬品購入後に相談したい事項、例えば副作用等が生じた場合にどのよう にするのか、またその他現行制度の問題点や改善すべき点等について。また、相談機関 からは、一般用医薬品に関し、消費者から寄せられた苦情や相談の内容やそれへの対 応、また医薬品販売における安全上の問題点や改善すべき点等についてヒアリングを実 施させていただきたいと考えております。  また、できれば第2回の検討会におきましては、次頁でございますが、諸外国におけ る医薬品販売制度等の現況につきましても事務局で調査しましてご説明申し上げればと 考えております。現在考えておりますのは、医薬品の分類と販売業態、薬剤師等配置規 制の内容、開設者に係わる要件、業態ごとの取扱品目、副作用等が発生した場合の報告 制度等の有無、こういう点につきまして調査しましてご説明させていただきまして、ご 質疑をさせていただければと思っております。以上でございます。 井村部会長  ありがとうございました。資料6,7につきまして説明がございましたが、この点に 関しまして質問、ご意見がありましたらどうぞ出していただきたいと思います。 溝口委員  薬剤師法が改正になるということですが、そこで薬剤師の責務とか権利というものに 今までと変更があるのかどうかということをお聞きしたい。それはOTCの販売時にも 関係することではないかと思ってお聞きするわけです。例えば買いに来た人に、インタ ーネットを見ますと受診勧告というようなことがありますし、副作用が起こったときに 誰が報告するのかが問題です。医療現場ですと医師の報告義務というのが今度の薬事法 に入っていますが、そのへんが薬剤師の、いわゆるOTCを売った人たちの責務かどう かということです。今度の薬剤師法の改正で、教育期間が6年になるということです が、その内容に薬剤師の権利と義務が変わるのかどうか、ちょっとお聞きしておかない と議論がスタートできない。 井村部会長  今、先生が「薬剤師法」とおっしゃったのは、今国会で審議中の薬剤師法でございま すね。それはおそらく入らないと思います。事務局どうぞ。 吉岡総務課長  今回、今国会にご提案しております薬剤師法の改正でございますが、これは法律改正 そのものの中身としては、平成18年からいわゆる6年制の薬学教育を、これは学校教育 法の改正によりまして導入しまして、経過期間が過ぎた後は6年制の卒業者のみに現在 薬剤師法に規定されている業務を行う国家資格者としての薬剤師資格の受験資格を認め るということでございまして、改正の点はこれだけでございます。  それで、この場でのご議論で、薬剤師法の改正はそれだけでございますが、実際に販 売についての制度は薬事法に落とされておりますので、その中で薬剤師の義務という か、あるいは場合によっては薬局・薬店の義務というか、OTCの販売に当たってどの ようなことをすべきかということは、おそらく薬事法のほうに必要があればいろいろな 形で落とされていくということで、薬剤師法の改正では今おっしゃったようなことは入 ってございません。 溝口委員  増山委員が先ほどおっしゃった副作用の拡大を防ぐために、副作用の情報収集、報告 ということは必要だと思うのです。それで今度の薬事法には医療従事者の責務というの が入ってきていると思いますが、OTCになると、副作用報告を誰がするかというとこ ろが曖昧ですね。そのへんが今後は議論の対象になると思いますが、その中でやはり薬 局・薬店における薬剤師の権利と義務がどの程度あるかというようなこととリンクする ような気がしたので、ちょっとご質問をしました。 井村部会長  ありがとうございました。他に。 堀井委員  本来あるべき姿を考えましょうということで、実効性のある制度づくりのためにとい うことで、これは大変結構だと思いますが、そういう意味で資料7であがっているもの が、そういうあるべき姿を検討する上で十分な情報を与えるだろうかということを少し 考えながら項目を増やしていく必要があるかなと。   そのときに諸外国における現況を調べていただけるということで、これは大変あり がたいと思いますが、ぜひ薬剤師の方の責任というか、もし薬剤師の方の過誤、あるい は義務を十分に果たせなかったことによって生じた副作用または死亡事故というような ときに、どこまで責任が問われるのか。あるいは実際に裁判で争われたようなケースが あったとしたときに、何が争点になったのか、そのあたりのことも含めていただければ ありがたいと思います。 井村部会長  事務局、いかがでございましょうか。 吉岡総務課長  今日お示ししておりますのは私どもとして必要最小限これだけのことは調べたと思っ ておりますので、若干時間をいただくことを前提にいろいろご質問があれば追加的に項 目としてお出ししていきたいと思います。 井村部会長  堀井委員、先ほどご質問になりましたヒアリングに実効があるかどうかというご質問 があったような気がしますが、その点はよろしゅうございますか。 堀井委員  先ほど申し上げましたのは、せっかくヒアリング調査等をできるとすれば、過去に起 こった副作用についてもう少し詳細な情報をつかめることがあるとすれば、実際にどの ようにして起こったのか。そして、どういう制度であったとすればそれを避けることが できたか、そのあたりの情報をいただけるとあるべき姿を考える上で有益かなと、こう いうことでございます。 井村部会長  ありがとうございました。他にご意見、ご質問をどうぞ。 増山委員  やっぱりちょっと私自身、今まで聞いてみて医薬品のリスクの程度というか、何をも ってリスクが高いと言うかどうかということがちょっと不鮮明な気がするんです。とい うのは、やはり医薬品というのはもともと使用する人の医薬品に対する感受性によって 出方がすごく何倍にも違うものですから。だから、何を基準にリスクが高い・低いとい うのかということをもう少し何か具体的に定義づけできるような、根拠になるような、 そういうものがデータなり何か言葉にするなり、そういうものが必要ではないかなと思 います。結局、何をもってリスクが高い・低いというその基準によって、ヒアリングを どう聞き出していくかということが変わってくるんではないかなと思いました。  井村部会長  本当におっしゃるとおりだと思いますし、先ほど望月委員からもご質問がありました が、それもリスクの程度をどのように分けるかということにも係わっているんだと思い ます。それにつきましては専門委員会ができてその分類について考えていくときには、 当然まず最初にそれを決めなければならないことだろうと思いますが、事務局のほうか らいかがでしょうか。 吉岡総務課長  今日お諮りしております関係者のヒアリングは、まず議論の入口に立ちまして実際に 現場にいらっしゃる方が抱えている問題というのを、あらましの全体像を共通の理解に していただくという意味でございますので、具体的なリスクの区分とか考え方に際して はまた必要があればご依頼に応じまして別途ヒアリングするということも当然考えてお ります。また、質問事項は各委員から当然ご質問をいろいろな形で出していただくとい うことも併せて期待しているところでございます。 松本部会長代理  先ほど私が質問したこととの絡みなんですが、ここで出ている「副作用」というのは 医薬品を正しく服用してもなお生じるものを副作用と言っているのであれば、先ほど谷 川原先生がおっしゃったように、必ず医薬品というのはそういうものが一面にあるか ら、それが生じた場合にどう対処すべきかということをきちんと情報提供しておけば酷 い症状にならない、そこが重要なんだということですが、他方で誤った服用の仕方をし た結果として危害が出るというケースもあると思いますので、そこはより本来的な意味 での情報提供をきちんとしなければならないだろうし、本来は添付文書を読めば分かる かもしれないけど、それは見ない人もいるだろうから口頭で薬剤師がきちんとアドバイ スする必要があるんだという説明は一つ可能かと思いますが、そのへんはどちらのほう のリスクなのかによって変わってくるかなという気がします。 吉岡総務課長  私ども今回この議論は薬事法の現在の規定に係わらず根本のところからご議論いただ きたいと思っております。その一つの考え方は、医薬品は他の商品とは違うということ がまず出発点だと思っています。他の雑貨とか電気製品とは、それぞれリスクはござい ますが、そうじゃなくて人体に作用する薬品についてどういう情報提供があるべきかと いうユーザーの立場に立って、必ずしも重篤なものでなくても当然不快感を伴うものに ついてもできるだけ情報提供することは望ましいわけでございまして、そういう意味で は議論の入口としては幅広くご議論いただいて。ただ、実際にそういう制度化ができる かどうかのところは次の段階でまた絞っていただくことにして、私どもとしては幅広く ご議論いただくことが必要ではないかと考えております。 井村部会長  よろしゅうございますか。他に。 阿曽沼医薬食品局長  今の総務課長の補足をしますと、やっぱり情報提供がなされていれば防げたかどうか というのは肝心なところなんですが、残念ながら、少し私どもは時間をいただいて分析 したいと思いますが、一般用医薬品の副作用事例が詳細にそこまで分析できるかどうか というのは正直自信がないんですね。ですから少し整理してみたいと思っていますが、 その肝心なところはちょっと難しいかなという気がします。  それでリスクの定義とか物差しをどうするかというのは、またここでご議論いただけ ればいいと思っていますし。それからぜひ忘れていただきたくないのは、私どもは行政 をやっておりますから全体としてのリスクコントロールというのは最小化したいとい う、できるだけ被害の拡大を防ぎたいということがあります。それから個別のリスクも 抑えたいという、2つの目的があるんですね。そういう意味で全体のシステムリスクを 減らしたいということもあるので、そういう観点からの議論もぜひお願いしたいなと思 います。 井村部会長  よく分かりました。他にどうぞ。 堀井委員  制度を設計するということをするわけですから、制度の設計の方法論も工夫し改善で きる部分があれば改善していただきたい。つまり、新たな制度をつくったときに、その 結果としてどういうことが起こるのかという予測の精度を高めることが良い制度をつく るためには極めて重要なわけですが、そこは今までなんとなく過去の経験であるとか、 暗黙値を使ってなんとなくやっていた部分があると思いますが、そこはもう少し精緻化 していただいて、数値解析という意味ではありませんが、シミュレーションなり、シナ リオ分析なり、少しもうちょっと方法論として工夫した上で、これが国民にとって良い 制度である、ということを提示できるようなそういう制度設計の方法論というのも少し 工夫していただきたいなと思います。 吉岡総務課長  まさしくおっしゃっているとおりでございまして、医薬品はいわゆる化学的な成果の 産物でございますが、私どもは今までの医薬品についての取扱いだけを参考にする気持 ちはございません。むしろ人間に有益であるけど一方ではリスクを及ぼすいろいろなも のについて、どういうリスク管理がされているかということも十分に参考にさせていた だいて、そういう意味ではこの部会には幅広い先生方がいらっしゃいますので、ぜひそ の点もご議論いただきたいと考えております。 井村部会長  他にご意見はございますか。特にこの場で聞いておきたい、あるいは言っておきたい ということがあればどうぞ。 谷川原委員  いろいろな問題が絡んでいて難しいんですが、結局、販売制度を考える、それに関連 して販売資格者要件というものも考えるとか、それに密接に関連しているのは医薬品の リスクをどう評価して、どう分類するかということと関連していますね。  あともう一つ気になるのは、今後医療の供給体制としてセルフメディケーションのよ うな方向性に向かうのか、それとも専門家、いわゆる掛かり付け医師とか掛かり付け薬 局のような手厚い医療ネットワークを構築するのかとか、そういうことによって販売制 度のあり方が変わってきています。例えばセルフメディケーションという方向に行って 結構スイッチOTCが進んでいって、使い方の難しいものも薬店で売られるようになる なら、そこはかなりガッチリとした安全対策をとらなければいけませんし、逆にそうい うものは医療用医薬品から出ないで、いわゆる一般で売られるものは本当に低リスクの ものだけであるということなら、もう少しハードルを下げてもいいのかもしれないんで すが、そういうことを考えたほうが分かりやすいのか、それともそういうことを考えず にまず仕組を考えてうまい制度ができたらそこに合わせていったらいいのか、ちょっと そこらへんはよく分らないんですが。 井村部会長  いかがでしょうか、一緒に考えていくことになるんじゃないかと思いますが。 吉岡総務課長  できるだけ汎用性のある弾力的なシステムをご用意いただければ考えております。 増山委員  すみません、今のリスクというところでもう一つ申し上げたいのは、ただ薬の作用と いうところでリスクを見るだけでなくて、その情報が十分に提供される環境にあるの か、ないのかとか、取扱いやすい薬かどうかということも考慮した上で、その薬はリス クが高いとか低いということが言えるのではないかと思いますので、ぜひそこを考慮し ていただきたいと思います。 井村部会長  リスクの意味ですね。分かりました。他にございますか。もし、よろしければこのへ んで議論を納めさせていただきたいと思います。  それで今後の進め方につきましては、最後にご説明にありました資料6と7に沿った ような格好で進めていくことになると思います。それで次回の日程や場所等につきまし ては調整した上で、改めて事務局を通じて文書等でご連絡を申し上げるということにな ると思います。  それでは本日の議事はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございまし た。                   (照会先)                   厚生労働省医薬食品局総務課                    tel:03-5253-1111(代表 )                    担当:田中(2711)、樋口(2725)、目黒(2725)