04/02/23 薬事・食品衛生審議会平成16年2月23日(月)生物由来技術部会議事録          薬事・食品衛生審議会 生物由来技術部会 議事録 1.日時及び場所   平成16年2月23日(月) 13:30〜   KKRホテル東京 孔雀の間 2.出席委員(12名)五十音順   入村 達朗、 甲斐 知恵子、○堺  春美、 澤田 純一、   珠玖  洋、 島田  隆、  土屋 利江、 西島 正弘、  ◎早川 堯夫、 山口 照英、  吉倉  廣、 渡邉  信   (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(4名)五十音順   小澤 敬也、 清水 慶彦、  星  北斗、 山口 成夫 3.行政機関出席者   鶴田 康則(大臣官房審議官)、岸田 修一(審査管理課長)、   平山 佳伸(安全対策課長)、 北條 泰輔(医療機器審査管理室長)、   関野 秀人  他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○審査管理課長  それでは御出席予定の先生方が全員そろいましたので、ただいまから薬事・食品衛生 審議会生物由来技術部会を開催させていただきたいと思います。本日はお忙しいところ 御出席いただきましてありがとうございます。  まず始めに新しい委員を御紹介申し上げたいと思います。前回御了承いただきました が、当部会におきましてカルタヘナ法の審議を行うことになりましたので、新たに2人 の先生を委員として任命いたしまして、本日の部会から御出席をお願いしております。 まず、国立感染症研究所の吉倉委員でございます。それから独立行政法人国立環境研究 所の渡邉委員です。どうぞよろしくお願いいたします。  本日の委員数は16名のうち12名の御出席でございますので、定足数に達しております ことを御報告申し上げます。  本日の議題は審議事項が1件でございます。以後の進行を部会長にお願いいたしたい と思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○早川部会長  委員の先生方には大変御多用の中本部会にお集まりいただきまして、誠にありがとう ございます。それではまず資料の確認をしたいと思いますので、事務局の方からお願い いたします。 ○事務局  本日の資料でございますが、お手元に資料1-1の「諮問書」、資料1-2の「伝達性海綿 状脳症対策調査会の議論について」、あと参考資料といたしましてこれに関連する行政 の通知が配付されてございます。資料1-2については事前に先生方にお送りした資料か ら差し替えがございますので、本日机上に配付させていただいた資料1-2を改めて御覧 いただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○早川部会長  資料の方はよろしゅうございますでしょうか。それでは本日の審議に入りたいと思い ます。審議事項といたしましては、議題1の「生物由来原料基準の一部改正について」 の1件でございます。これについて、まず事務局より御説明をお願いしたいと思いま す。 ○事務局  本日の議題は「生物由来原料基準の一部改正について」でございます。まずお手元の 資料1-1でございますけれども、「諮問書」という一枚紙がございます。こちらに生物 由来原料基準の今回の改正点に関する諮問事項が述べられておりますけれども、今回の 改正は反芻動物由来原料基準、すなわちBSEに関する部分での基準改正ということで ございます。この生物由来原料基準と申しますのは医薬品、医薬部外品、化粧品、医療 用具に関する原材料の適切性を確保するために作られまして、昨年の薬事法改正施行か らこの基準が利用されているというものでございます。  1ページおめくりいただければと思います。ここの「生物由来原料基準」というとこ ろに、「第4 動物由来製品原料総則」の「1 反芻動物由来原料基準」がございます。 この反芻動物由来原料基準と申しますのが、いわゆる反芻動物であるウシ等に由来する 原料をお使いになる場合にお守りいただくべき基準ということでございます。基本的に この基準は二つの部分から成っております。一つはこの1ページの(2)以降の部分でご ざいますけれども、いわゆる医薬品などに使用できる原材料の部位を指定するもので、 ここに書いてございます「下垂体」から始まっている部位については、あらゆる医薬品 や医療機器などの原料において使用してはならない部位を規定しております。これは御 案内のとおり、ウシ等の反芻動物の原料において比較的リスクが高い部位という形で、 この基準に指定されております。  1ページおめくりいただきますと、2ページに(3)という部分がございます。ここは 国を指定した部分でございます。反芻動物由来原料基準においては、1ページの部位と いう部分と国という部分の両方から規制をしておりまして、BSE関係のウシ等由来原 料の適切性を確保するような基準になっていると。この(3)については、ここに書いて ある国を原産国とするもののみが原材料として使用できるという格好になっておりま す。ここにアから次のページのヌまで書かれてございますけれども、これらの国におい ては基本的に欧州委員会の地理的リスク評価で4段階評価のうち1段階目と2段階目、 リスクが低いとして指定された国をここにリストアップしているという構成になってお ります。基本的には先ほどの反芻動物由来原料基準の中の部位に係る規制は、いわゆる 原産国のいかんにかかわらずかけるものでございまして、この原産国の国レベルでの規 制と部位のレベルの規制の両方が一体となって、BSEの規制という格好になっており ます。  本日のBSE関係の基準改正のポイントと申しますのは、一つは米国でのBSEの発 生を受けた米国という部分での使用規制、もう一点は今度は部位の方に関係しておりま すけれども、この部位のところに線を引いてございます。脊柱や脊柱に付着しているい わゆる神経節に関する使用の禁止という二つのポイントがございます。  参考までに資料1-2を御覧いただければと思います。まず最初の1ページに、「1 米 国産のウシ等由来原材料の使用に係る件」という部分がございます。昨年末に米国での BSE発生の確認を受けまして、これまでも医薬品のBSEの規制に関して調査をして きたところでございますけれども、基本的に今回の基準改正においてはウシ等由来原料 として使用できる原産国から米国を削除するという改正を、この案として予定させてい ただいております。しかしながら、これまでもBSE対策においてはこの法42条基準を 含めまして、先ほどのリスクの高い14部位に対しては使用を禁止しているということが ございまして、現状の医薬品、医療機器等において直ちに保健衛生上のリスクがあるも のではないというところでございます。  この米国産について、いわゆる米国を原材料として禁止国のカテゴリーにするという ことについては、伝達性海綿状脳症対策調査会という薬事・食品衛生審議会の別の調査 会がございまして、こちらで先々週の2月13日に御議論いただいております。基本的に は本日の諮問書の御提案のとおり、米国を原産国として使用を禁止するということでご ざいますけれども、資料1-2の「(1)前提」に書いてありますように、相当な数量の米 国産の原材料を用いた医薬品等が市場にあるという状況がございます。また、もともと 危険部位を除去していたという状況から見ましても、この原材料の切替えに伴う医療上 の影響を最小限にしながら、速やかな原産国、原料の切替え等を行わせることが適当と いうことがございます。もともと危険部位規制をやっている上での上乗せ的な、予防的 な措置ということで、この「(3)対策案」にございますようにリスク評価に応じて区分 を設けて、この米国規制については区分A、B、Cという形で一定の経過措置期間を置 かせていただくというのが、こちらの調査会での議論でございます。  具体的にこの区分A、B、Cでの区分けは、お手持ちの資料1-2の6ページにござい ますが、製品中でのいわゆるウシ等由来原材料の使用形態によりまして、リスクの目安 として感染動物の危険部位を1というふうに、相対的に書いておりますけれども、その 相対リスクを評価して三つの区分けをしております。そういう中でここに書いてありま すような区分A、B、Cについての一定の経過措置を設けると。区分Aについては原則 的に半年以内に切り替える。区分Bについては1年以内に切り替える。区分Cについて は当分の間は使用できるということで、期限を限定しない形での経過措置が提案されて きているという状況でございます。これがアメリカ産に対応する部分でございます。  2ページをお開きいただきたいと思います。この真ん中のところに「2 脊柱骨等を 新たにリスクの高い部位に指定する件」がありますが、これが二番目でございます。 「(1)前提」といたしましては、食品分野において脊柱骨等が危険部位に指定された と。これは本年2月16日から施行の規制でございますけれども、それに伴いまして医薬 品、医療機器等についても脊柱骨を使用してはならない部位とするということでござい ます。  「(2)ウシ等の骨の使用状況・規制等」と書いてございますけれども、ウシの骨はゼ ラチンカプセル、ハードカプセルの原料として非常に多く使われているという現状があ ります。それから、この骨由来のゼラチンについてはほとんど外国からの輸入に依存し ておりまして、オーストラリア、ニュージーランド等が全体の30%程度の供給国になっ ているという状況もございます。  一番下の「(3)医薬品、医療機器等における脊柱骨等の規制案」でございますが、こ の脊柱骨と関連する三叉神経節、背根神経節等について今回新たに使用禁止部位に定め るというのが、この生物由来原料基準案でございます。資料1-1の部位のところに下線 の引いてある「エ」、「キ」、「ケ」、「ス」については、新しいルールにおいても食 品と同様に、基本的には速やかに医薬品等の原材料として使用を禁止するという考え方 ではございますが、これについても一定の経過措置を付ける対応がございまして、そこ が資料1-2の方の3ページに記載しております。  基本的にゼラチンを製造する場合、背骨を抜いた後新たにゼラチンを造っていくとい う製造に要する期間等も考慮いたしまして、経過措置を設けるということでございま す。まず(2)の豪州、ニュージーランド等、欧州委員会の地理的リスク評価において最 もリスクが低いと評価されているグループの国を原産国とするようなウシ原材料を用い たゼラチンについては、当分の間脊柱骨の除去を猶予すると。また、この欧州委員会の 二番目の評価であるインド等の国においては、骨原料を用いたゼラチンについては1年 6か月脊柱骨の除去を猶予するという経過措置を付けております。こういう経過措置を 設けさせていただいておりますのも、基本的に今のBSE規制の基準のルールからいき ますと、本来この部位の規制は国にかかわらず設定するものでございまして、そういう 点から申し上げると本来はオーストラリア、ニュージーランド、インド等すべての国に 対して脊柱骨除去等の規制をかけるということでございます。しかし外国当局において も、オーストラリア、ニュージーランド等については脊柱骨の除去を求めているという 事例もございませんし、そういう外国との規制の整合性という観点からも、このような 形の経過措置を設けているということでございます。  あと脊柱骨除去に関しては、「(4)ゼラチンのリスク評価」と「(5)米国産のゼラチ ンの取扱い」という部分がございますけれども、米国産のゼラチンについては基本的に 先ほど御紹介申し上げた米国産の経過措置のルールに従うということで、区分Bの経過 措置1年ということで調査会の方では御評価いただいていると。と申しますのも、ゼラ チンについては2003年の欧州委員会での報告の中で、いわゆるプリオンのリスクのクリ アランスに関するデータがあるというところで、製品におけるリスクはわずかであると いう結論に基づいてこういう結果になっております。  その他の事項でございますけれども、ゼラチンに関しましては今まで骨由来と皮由来 と両方規制していたわけでございますが、今回骨に対する規制の強化がなされたという 時点において、一方で皮に関してはゼラチンの原産国規制の対象からは除外するという 取扱いをさせていただくということが書いてございます。大ざっぱでございますが、ア メリカ産の原材料に関する禁止とその経過措置、それから脊柱骨等における使用禁止の 措置とその経過措置について、伝達性海綿状脳症対策調査会の議論も踏まえて御紹介申 し上げました。事務局からは以上でございます。 ○早川部会長  ありがとうございました。それではただいまの御説明に関して何か御質問、コメント 等ございますでしょうか。ここに諮問されていることは生物由来原料基準の改正案とい うことで、部位にかかわる規制に関して3か所の部位が新たに追加されたということ と、アメリカにおけるBSE発生を受けて国のレベルでの規制で米国が削除されると。 しかしながら、それに関して医療上のデメリット等、それからその区分といいますか、 危険性も考慮してある種の経過措置が採られたと。ポイントは大体こういうことかなと 思います。TSE調査会の吉倉先生、何かございますでしょうか。 ○吉倉委員  特にありません。今の説明で十分だと思います。 ○早川部会長  ありがとうございます。先生方、ほかに何かございますでしょうか。諮問書が資料1-1 でございますが、改正案ということで生物由来原料基準に関する今の部位の件と国の 件、それから3〜4ページに経過措置ということで、これは日付が1年であるとか、6 か月であるとか、1年6か月であるとか、いろいろな角度からのバリエーションがござ いますけれども…。この経過措置というのは国のレベルということと、それから製法や 物の特徴を考慮したリスク分類というのでしょうか、要するにカテゴリーに分けていま すよね。その両面から経過措置はあるのですが、先ほどのゼラチンの話はアメリカでは こうで、ニュージーランドやオーストラリアではこうで、インドではこうでというよう な話なのですが、4ページの「第4」のところで「アメリカ合衆国の削除に係る改正 は、以下の区分に応じ、それぞれの区分に定める期日まで適用しない」と。ここはそれ 以降が経過措置で、この中身がいわゆる先ほどの区分A、B、Cというカテゴリーとい うのですか、それとの関係なのですが、これはアメリカ産のものに関してこうだという 理解でよろしいでしょうか。 ○事務局  結構でございます。 ○早川部会長  どなたかございますでしょうか。入村委員、どうぞ。 ○入村委員  簡単な質問なのですが、これは原材料にかかわるもので、例えばカプセルがアメリカ で造られた医薬品は当然アメリカ産のウシを原料に使っている可能性が高いですね。そ ういうものの輸入にはかかわらないのですか。 ○事務局  お答えいたします。この生物由来原料基準自体は実は国内製造も外国からの輸入もか かわりなく、ダブルスタンダードということではなくて同様の基準をかけているもので ございますので、米国内で製造される医薬品に使われるカプセルに対しても同じ規制が かかるということでございます。 ○入村委員  そうするとこれは輸入の規制になるということですね。 ○早川部会長  よろしいですか。ほかにございますでしょうか。先ほどの区分A、B、Cというもの がございますよね。これで資料1-2の後ろの方でしたか、例えば6〜11ページ辺りに実 例が載っていますね。これは既にこういう分け方でやりますということが、どこかでオ ーソライズされているものでしょうか。 ○事務局  そもそもこの資料1-2のつづりがそうでございますけれども、こちらのリスク分類に つきましては、2月13日に開催いたしました伝達性海綿状脳症調査会の中で議論された 分類ということでございます。こういう規制はできるだけ早めに製造業者等の方に対し ても周知した方がよかろうということで、本日の部会の前で申し訳ないのですが、一応 こういう議論があったという中身については、行政の通知ということで製造業者等にも 周知させていただいている次第でございます。 ○早川部会長  ということで、ここで議論すべきことではないのかもしれませんが、経過措置に絡ん でこれが多少関係してくるかと思うのです。例えば6ページの「4 医薬品等のリスク 分類」で、「区分A」が71品目、「遺伝子組換え品」から「植え込み用具」まで三つあ って、一番左側が物ですね。次が添加剤とかそういうもので、例えば「インスリン等」 と書いてありますね。このインスリンはウシ由来のインスリンだという整理です。例え ばウシ由来のインスリンが、血清もそうですけれども、必ずしも危険部位ではないとこ ろから来ているのですが、その辺をどういう評価でA、B、Cにしているのか。  それからもちろん8ページはちょっと違うのですが、9ページでまた区分Aの具体的 な例が出ているのですけれども、この中で例えば「インスリン(遺伝子組換え)」がござ います。これが一応区分Aということで、大腸菌由来のインスリンの遺伝子組換えがリ スク的に区分Aというのはどのような理由によるのか、いろいろなバックグラウンドが あるのだろうと思うのですが。G-CSFは動物細胞である場合もあるし、大腸菌であ る場合もあると思うのですけれども、そういうバックグラウンドがどこから来ている か、御説明いただければと思います。 ○事務局  では部会長から御指摘のバックグラウンドを簡単に御説明申し上げますと、まず最初 の前提として部会長がおっしゃったように、もともとのウシの原料規制においては原則 的に危険部位は既にないという状態で、危険部位以外の部分でのリスク評価ということ になってまいります。そのときに実はここで見ているのはどういうことかと言います と、仮に原材料の一番大もとに例えば1g当たり10の3乗とか4乗というオーダーで、 万が一リスクに関する部分がコンタミネーションを起こして入っていた場合に、それが 製造の中で濃縮されるようなプロセスがあるかとか、その中で除去されるようなプロセ スがあるか、またインアクティベーションされるようなプロセスがあるかというところ を、製品ごとにある程度のカテゴリーを見て評価をしていきまして、最終的に残ったリ スクを大数的に表したというのが資料1-2の8ページの分類表になります。  ここでは1g中の感染価ということでID50を用いて、感染動物のリスクの高い部位 の脳内を+7、Log7という形で仮定をしまして、実際には使っている部分に危険部位 はないわけですけれども、そこからスタートしていってどのぐらいのLog上での数字に なるかを見ているということです。例えば、この遺伝子組換え品において細胞培養を使 う場合には、大量の血清を使用するわけでございまして、もし一番最初の原料に異常プ リオンが入っていたとして、途中で何も操作をしなかった場合には、原則的に一番最初 に入っていたプリオン量が保存されるとすれば、最後にその製品中に含まれるプリオン も保存されて濃縮されるような数値になると。そういうものはあくまで相対的にです が、基本的にリスク値としてもほかのものに比べて高めに出るということでございまし て、そういう相対的なリスクを1〜11までの製品のカテゴリーにおいて計算していった ということです。  部会長から御指摘いただいたインスリンの件でございますけれども、確かにここで例 として挙げさせていただいているものは細胞培養ではなくて、細菌から造るインスリン でございます。ただ、このインスリンを造る際に製品を結晶化させるプロセスがござい まして、そこにもともとのbovine由来のインスリンを添加するという格好になっており ます。その際に結晶化のための種インスリンを造るときに、実際に使用する膵臓の量な どを計算していきますと、これは相当な濃縮がかかることになります。そういうこと で、実はこれは細胞培養ではないのですけれども、一応リスク計算上はここに当てはま るということで、特例的にここにインスリンを加えさせていただいたという次第でござ います。 ○早川部会長  つまり例えば同じインスリンでももし最終的に製法が違えば、当然ウシ等由来のもの を使う場合もあればない場合もあるということで、個別の製品ごとの製法も加味してバ リエーションはそれぞれあるということですね。こういうこともあるという理解でよろ しいですか。分かりました。吉倉委員、どうぞ。 ○吉倉委員  これは先ほど2月23日にこういうものが出てきたという事務局からの話だったのです が、ベースになるドキュメントはEUでしたか、こういうリスク評価をやっていて、計 算的にこの−6〜7ぐらいのものができるというベースのドキュメントがあった上で、 昨年か一昨年に決めたものです。その上に立ってこれが出来上がったので、2月23日に 突然出てきた話ではありません。 ○事務局  昨年7月の調査会でございます。 ○早川部会長  先生方ほかにありますか。珠玖委員、どうぞ。 ○珠玖委員  リスクの軽減からの規制という意味では非常によく理解できるのですが、実際に例え ばアメリカ等への依存度が非常に強いという数字が出ている中で、多分一言では御説明 になりづらいのでしょうけれども、医療上の影響を最小限と言っても、実際に進行して いく医療上への影響度を何かで表現するとすれば、どのようになるのでしょうか。これ ほどの依存度ですと実際にはかなり…、しかも非常に幅広いところに影響を与えますか ら、随分と大きな問題だというのはよく分かるのですが。 ○事務局  なかなか難しい御質問でございますけれども、言ってみれば例えば原材料の原産国を 米国からオーストラリア、ニュージーランド等に切り替えるというのが一つの対応方策 でありますが、新たに造っていくロットから順次新しいオーストラリア、ニュージーラ ンドの製品が市場に入っていくと。大体そのようなイメージで切替えというものを考え ていただければと思っております。 ○早川部会長  よろしゅうございますか。もし御意見がございましたらどうぞ。 ○珠玖委員  これは個々のものによって違うのでしょうけれども、経過措置があったとしても、実 際に医療上である特定のものが非常に入手しづらくなるということが、現実的に起こり 得るのではないかという気がするのですが、その点はいかがですか。 ○事務局  そのような先生の御懸念もよく理解しているわけでございまして、一応経過措置の設 定に当たってはできるだけ欠品等が起こらないような形で、いわゆる経過措置のおしり の部分を切っております。これは昨年の12月に米国でTSEが発生した時点でございま すけれども、実は資料1-2の「(1)前提」の部分に「自主点検を行わせた」というスト ーリーが書いてあります。ここで各製造業者等から実際に切り替える際にどのぐらいの 期間が必要かとか、どのぐらい困難であるかというところを調査いたしまして、そうい う2,600品目の報告結果に基づいてこういう経過措置を作ってございますので、基本的 には私どもの案で何とか欠品等を起こさずに対応できるのではないかと考えておりま す。 ○早川部会長  これはどれぐらいの予防的な措置を採らないといけないかということと、どれぐらい の現実的な医療上のデメリットを回避するかという、そのバランスシートの話かとは思 いますけれども、ほかにございますか。ちょっと繰り返しでくどいのですが、先ほど一 応類としてこういうものはこうだという区分に入っていまして、それは直接経過措置に かかわっていくことではありますけれども、物の製法によっては一くくりに何とかとい う名前を書いても、あるいは細胞培養医薬品と書いても、一個一個については相当状況 が違うし、場合によっては当てはまらないものもあるかもしれません。例えば先ほどの インスリンで、ウシのインスリンを結晶化のために使わないで、もともとできた組換え のインスリン自体を種に使うと。それはあるかどうか分かりませんけれども、例えて言 えばそういう場合はこういう区分には入らないというふうに、一応これは目安であって やはり個別に考えていく話だと理解してよろしいですか。 ○事務局  基本的にこれはすべて個別にこのカテゴリーに合わせて考えていただくものでござい ますが、お手元にあります2,600品目を振り分けていくとこういう形になると。今イン スリンの例がございましたけれども、インスリンですと区分Aの1に入るものと、実際 にはシードの部分でしか使っていないようなCの8に入るものと、その製品によってカ テゴリーが違っております。むしろ最初のAの1に入るインスリンというのは非常に特 殊な例になってくるかと思います。また、御覧いただいていますように「血栓溶解剤」 のようにAの1に入るものもあれば、Cの8に入るものもあれば、その製造工程中での ウシ原料の使い方によって当然相対的なリスクが違ってまいりますので、ここはこの指 標を目安にしていただいて、個別の製品ごとに御判断いただくということになるかと思 います。 ○吉倉委員  今の件は、一つは事務局から言った方がよかったと思うのですが、要するにウシ由来 原材料からウシ以外の原材料に転換、あるいはこういうことに関していわゆる承認申請 を優先審査にするとか、今出されたような懸念について一応調査会では十分議論された と思います。以上です。 ○早川部会長  ほかにございますか。島田委員、どうぞ。 ○島田委員  個別の製品ですけれども、免疫不全の酵素補充療法で使うADAというものがありま すね。あれは今ウシの胎盤から抽出しているわけですね。そうするとこれはすべてAに 入ってしまうわけですよね。しかし、こういうものの代替品が9月までですか、回収さ れるというのはなかなか難しいような気がするのですけれども、そういうものはどのよ うになるのでしょうか。 ○早川部会長  そこら辺は何か答えございますか。 ○事務局  今ウシの胎盤のお話をしておられましたけれども、ウシの胎盤を原材料にする薬事法 に承認された医薬品というのは、既に市場にはない格好になっておりまして、ちょっと そこについては私ども事務局の方でもよく把握できていない部分はあるかもしれません が、もう少し全般論で言いますと、当然原材料の切替えにとってはお時間が掛かるケー スもございます。例えば遺伝子組換え品においても、すぐに血清等の調達ができる場合 もあればできない場合もあるし、そういうお時間を要するようなケースも当然あるわけ でございます。  冒頭に申し上げましたように、基本的に現在危険部位は使っていないという前提があ るわけでございますので、これは予防的な措置であるという前提から申しますと、例え ば資料1-2の5ページの一番下に注釈が書いてございます。「※原料の切替えに不可避 的に時間を要する場合は、切替え時期を明示し、製品の製造工程、使用方法等に関して リスク評価を個別に行い(要一部変更承認)、また、使用者に対して情報提供と理解を求 める」ということで、実際にどういうものを使っているかという部分について、時間が 掛かるものはきちんと情報提供を頂いた上で、一定の期間そこを延ばさざるを得ないと いう部分は例外的な措置としてあり得ることは想定しております。  あと吉倉委員の方から御紹介がありました、ウシ等由来原料から別の原材料に切り替 えるような措置についても、そういうものが申請されれば一応私どもは優先的に取り扱 っていくという方針でございます。 ○島田委員  基本的にはそうなのでしょうけれども、ADAのケースに限って言うと使っている患 者さんは今日本で二人しかいないわけで、薬屋さんが間に入っているわけでもないの で、だれがその辺のことをきちんとチェックしてくれるのか。現場では混乱する可能性 があると思うのですが。 ○早川部会長  薬事法上の薬ではないのかもしれません。 ○島田委員  オーファンドラッグですけれども、薬事法ではないかもしれませんね。そうすると、 それはどうなのですか。 ○事務局  今の御質問は、非常に患者さんが少ないというケースでは、個人輸入という形で医薬 品を入れられていることもあるかもしれません。それはいわゆる薬事法に基づく製造販 売企業の承認ということではなくて入れられているケースもあるかもしれませんが、そ の場合直接的にこういう薬事法の規制がかかるものではございませんけれども、今まで も私どもの方では例えば輸入される際などに、同じような形の注意喚起を行っている状 況になっております。 ○早川部会長  いずれにしても現実的にはどうしてもそれ以外の方法がない、切替えもできないとい うことであれば、経過措置が相当先の方へ行ってしまうということなのでしょうね。 ○事務局  現実的にはいろいろ例外的なケースがある可能性もございますので、私どもの方では そういうケースについても御相談に応じるような形で、最善の対処法を一緒に考えてい きたいと思っておりますので、何か問題がありましたらまた事務局の方に御相談いただ ければと思います。 ○珠玖委員  先ほどの入村委員がお聞きになられたことにもかかわるのですが、今の御質問を含め て個人購入の場合には、そのリスクを分かっていただいた上で使用することはあり得る かもしれないし、また御相談することもあるかもしれないということが一つ。それから 薬事法の改正で、いわゆる医師主導型の治験がやっとそういう意味では走り出して、海 外で扱われているものの適応拡大が一つの大きな柱になっていると思うのですが、そう いうものについても治験となるともちろん御相談をしなければいけないわけですけれど も、やはりこの規制を受けた中でかなり困難なものも出てくるということがあり得るわ けですね。多分現時点で実際に日本の医療で薬事法の範囲で使われているものについて は、お調べになられたというのはよく分かるのですが。 ○事務局  今御指摘の例えば治験というものでございますが、医師主導治験、企業がスポンサー になっているものに限らず治験は治験でございますけれども、基本的にはこの規制は最 終的な製品に対してかかる形になっておりまして、それはいわゆる大臣が承認したもの でございますので、国としてもこの基準に対する責任があるわけです。基本的に治験の 段階というのはGCP上も明らかなように、実際に治験を実施される方といいますか、 スポンサーであり、医師主導治験であれば自ら治験を実施しようとする者ということで すけれども、その方に最終的な製品の中身について品質確保という義務がかかっており ますので、こういう42条基準でそこに対して入り込んでアウト、セーフという話ではな いかと思います。そういう形でむしろ品質確保義務がGCP上治験の依頼者、若しくは 治験を自ら実施する者にかかっているということは、やはりその治験を実施する際に、 例えば治験届等を受け取る際に私どもの方でチェックをさせていただいておりますが、 こういう新しいレギュレーション等に対応する事項については、こちらの方でも指導は させていただいておりますけれども、最終製品での規制に準拠していただいて、治験を 実施するかどうかというのは依頼者と自ら治験を実施する者の責務で担保していただく ということになってくるかと思います。 ○珠玖委員  今のお答えですとやはりそれは駄目だという…、製造の承認ではなくて販売承認とな るとしても、実際にそこへ行く過程で使っていくものについて、どういう製品を使って 実際に試験を行っていくかということですから、それが最終的には販売の承認にもなっ ていくというわけです。そうしますと、今のお答えをそのまま素直に受け取ると、やは り御相談に行った場合に、それはノーと言われることが非常に強いのではないかという 感じはするのですが、今日討論していただいていることは少し特殊なケースなものです から、特には踏み込みたいとは思いませんが、そのことだけはいかがですか。               ── 吉倉委員退席 ── ○事務局  あくまで治験というのは実験段階のものという状況で最終製品ではございませんの で、本当にそこはケース・バイ・ケースでの判断になるかと思います。ですから当然こ ういうルールがあるということを御承知いただくのは基本的に必須だと思いますが、使 う薬剤の特性やお使いになられる対象患者さんのリスク関係などを総合的に判断しなが ら進めていくことになってまいりますので、必ずしも一律に駄目だとかいいとかいうこ とではないだろうということです。 ○早川部会長  土屋委員、どうぞ。 ○土屋委員  もう少し理解させていただきたいもので、資料1-2の6ページに「血清」が5か所出 ているのですけれども、これはどのような違いでこれだけリスク値が違うのか教えてい ただければ…。といいますのは、このところ血清の値がかなり上がっているということ もございますし、皆さんは多分リスクが低くできるだけ値段の安いものを使いたいと思 うのです。 ○事務局  血清の種類に違いがあるわけではございません。血清の使い方の問題でございまし て、例えば区分Aで出てくる血清は細胞培養で大量培養するときに非常に大量に血清を お使いいただくようなケース、あと区分Cでお使いになるような血清は例えばセルバン クですとか、そういう非常に量が少ない部分で安定剤としてお使いになるようなケース でございます。使う量や使い方によりまして、当然最終的なリスクの期待値というのは 確率的にも違ってくるということを表したものでございます。 ○早川部会長  よろしいですか。要するに多分一番左の製品が区分A、B、Cを分けているものであ って、それに対してなぜAにしたのかということのウシ由来から来たものを今のところ に書いてあって、その使い方はいろいろだという表の理解かと思います。ほかにどなた かございますでしょうか。それでは特殊なケースでありますとか、どうしても不可避的 にあるいは医療上の問題から、必ずしもこの原則どおりにはいかないようなケースもあ るという御議論はあったわけですが、まず原則的にこの諮問書に書かれたような改正 案、生物由来原料基準について3か所を追加する、アメリカを国のリストの中から除外 する、それから経過措置について、御了承いただいたものとしてよろしゅうございます でしょうか。それでは御了承いただいたこととさせていただきたいと思います。本件は 薬事分科会に報告させていただくという次第でございます。引き続きまして、その他の 事項として事務局から何かございますでしょうか。 ○事務局  特にございません。 ○早川部会長  それでは本日の議事はこれで終わりにいたしたいと思います。どうもありがとうござ いました。                                    ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 専門官 齊藤(内線2743)