04/01/26 薬事・食品衛生審議会平成16年1月26日(月)血液事業部会議事録           薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録 1.日時及び場所   平成16年1月26日(月) 15:00〜   厚生労働省専用第18〜20会議室 2.出席委員(17名)五十音順   池田 康夫、 大平 勝美、 岡田 義昭、 川西  徹、   倉田  毅、 櫻井 秀也、 清水  勝、 白幡  聡、   高橋 孝喜、 田中  滋、 中村 雅美、 花井 十伍、   比留間 潔、 幕内 雅敏、◎溝口 秀昭、 三星  勲、   吉澤 浩司   (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(5名)五十音順   小幡 純子、 平澤 博之、○水柿 道直、 宮崎 久義、   森  眞由美  他参考人2名 3.行政機関出席者   平山 佳伸(安全対策課長)、 金井 将利(血液対策課長)、   浦山 隆雄(血液対策企画官)、千葉 信雄、 田中 克平、   渡辺 喜久彦、 関根  豊、 田中 一成、 石橋 牧代  他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○血液対策課長  まだお見えになられていない委員もいらっしゃいますが、定刻となりましたので、た だいまから平成15年度第4回血液事業部会を開催させていただきます。なお、本日も公 開で行うこととさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。  本日は委員22名中14名の御出席を頂き、定足数に達しておりまして、薬事・食品衛生 審議会令第九条第1項及び第3項により本部会が成立しましたことを御報告申し上げま す。この後につきましては、溝口部会長よろしくお願い申し上げます。 ○溝口部会長  それでは議事に入らせていただきたいと思います。今日は大分議題が多うございます ので、議事の進行に御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。  では始めさせていただきますが、議題1は「運営委員会の委員の指名について」でご ざいます。昨年12月に開かれた第4回運営委員会におきまして、昨年7月に始まった感 染症定期報告のうち、血液製剤関係で11月までに報告があったものについて審議が行わ れております。その後運営委員会委員長の清水委員から、感染症定期報告に関する審議 の実効性を高めるために運営委員会に輸血の専門家の委員を加えてほしいという御要望 がございました。これを受けまして、資料Bとしてお配りしております運営委員会規程 第3条第1項により、橋孝喜委員を新たに運営委員会の委員に指名いたしましたの で、第3項に基づき御報告いたします。議題1は以上でございます。  それでは次に移らせていただきます。議題2は「血液製剤の安全性の向上及び安定供 給の確保を図るための基本的な方針の一部改正(案)について」です。それでは事務局の 方から御説明お願いします。 ○血液対策企画官  それでは御説明申し上げます。資料Cでございます。表紙をめくっていただきますと 1ページに諮問書がございます。内容については2ページに書いてございますが、血液 製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図るための基本的な方針について、一部改正 を御審議いただきたいと思います。  この基本的な方針は昨年5月に告示され7月30日から適用されておりますが、今回の 改正は独立行政法人医薬品医療機器総合機構法が4月1日から施行されますので、それ に伴い薬事法の条文が多少変わります。それによる変更でございまして、本質的な中身 というよりは字句の問題でございます。概要がここに書いてございますが、対照表を御 覧いただいた方が分かりやすいと思いますので、4ページを御覧いただきたいと思いま す。「改正案」が上覧に「現行」が下欄にございますが、一つは「第六 血液製剤の安全 性の向上に関する事項」の中の一号のところで、感染症定期報告を厚生労働大臣に報告 すると規定されております。これは医薬品医療機器総合機構ができた後はそちらの方に 情報整理を行わせることになり、そちらに提出していただくことになりますので、改正 案のように「厚生労働大臣」の後に括弧書でその旨を追加したいと思います。  それからもう一つは三号でございますが、「薬事法第六十九条の二」と書いてありま すけれども、これも「薬事法第六十九条の三」に改正されますので、それに伴いこのよ うに変更するということでございます。内容は以上でございます。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。一応薬事法の改正に伴う字句の訂正ということでご ざいますが、何か御意見ございますでしょうか。なければ今後法令的な観点から審査を 経まして、次回の薬事分科会に上程したいと存じます。どうぞ、大平委員。 ○大平委員  ちょっとお伺いしたいのですが、この機構の方に報告されてその後血液事業部会等に 集約的に報告されてくるというのは、機構の方から報告されるということでよろしいの ですか。それとも厚生労働省の方からの報告になるのでしょうか。 ○血液対策企画官  そこら辺は実際に動いてからということになりますけれども、一応我々がここの部会 にお諮りする分については従来どおり…、システムがどうなるかは今後の問題でござい ますけれども、実際的には従来どおり変わらないことになるかと思います。細かい点に ついては、実際に機構が動き出すときのいろいろな政省令の問題もございますので、ま たその都度御報告したいと思います。 ○溝口部会長  よろしいですか。一応「厚生労働大臣に」というところが残っていますからよろしい のではないかと思いますが、いかがですか。 ○大平委員  実質的に報告されるのが、どこから部会に報告されるのかなと伺った次第です。 ○溝口部会長  今の御返事で御了解願いたいと思います。それでは次に移らせていただきます。議題 3、4がちょっと大きい問題のようですが、議題3は「平成16年度の献血の推進に関す る計画(案)について」であります。これは血液法の規定により厚生労働大臣の諮問を受 けて策定されたものであります。委員の皆様には事前に事務局から御意見の照会があり ましたが、改めてこの場で皆様の御意見を伺い部会の意見として取りまとめたいと存じ ます。なお、この件に関しましては参考人として、日本赤十字社事業局技監の田所憲司 さんと日本赤十字社血液事業部血液安全課長の日野学さんをお呼びしておりますので、 よろしくお願い申し上げます。それではまず事務局から御説明願いたいと思います。 ○事務局  それでは資料Dを御覧いただきたいと存じます。平成16年度の献血の推進に関する計 画(案)について御説明したいと思います。まず献血推進に関する計画については血液法 第10条第1項の規定に基づき、厚生労働大臣は毎年度翌年度の計画を定めるとされてお ります。まず1ページをめくっていただきまして、血液法第9条第4項の規定に基づき 厚生労働大臣はあらかじめ薬事・食品衛生審議会の意見を聴くものとされており、こち らが諮問書になっております。平成16年度の献血の推進に関する計画については事務局 案を作成いたしまして、昨年の12月24日から本年の1月14日までの間厚生労働省のホー ムページに掲載し、広く一般の方々から御意見を募集したところでございます。その結 果、6人の方々から18件の御意見を頂きました。11ページを御覧いただきたいと思いま すが、提出がありました意見、及びそれに対する事務局の考え方についてはここに書い てあるとおりでございます。この件については、委員の先生方には事前に資料を御覧い ただいておりますので、時間の関係でここでは主な意見について御紹介したいと思いま す。  まずは11ページ、第1節の「平成16年度に献血により確保すべき血液の目標量」につ いてでございます。主な意見としましては、この内容等に全血として供給すべき血液の 目標量の記入をお願いしたい。また、血液製剤の適正使用を推進し、使用量を制限し、 採血量を最低限に抑える。それから、小さな自治体ほど献血量の割当て確保のため高校 生への集団献血を強制しているが、確保等については高校生を対象とせず、成人を対象 とした方法などの指導を自治体に対して行っていただきたいなど、これには3件の意見 が寄せられております。  次に13ページを御覧いただきたいと思います。第2節の(1)の「(2)献血運動推進全 国大会の開催等」についてですが、この中で「表彰」という形で献血回数や献血量を競 わせることが多いのではないかという意見が1件出ております。次に一番下の「(5)若 年層の献血への理解を深めるための普及啓発」についてですが、まずここに「(5件)」 と書いてありますけれども「(4件)」の誤りですので、訂正をお願いいたします。こ れについては内容的には、高校生に対する集団献血は強制につながりかねないので廃止 を求めるという意見と、ボランティア活動である献血については、血液は臓器であり献 血は臓器移植にも匹敵する行為であり、単なるボランティア活動としてとらえることは できないのではないかという意見がありました。それから、自分の健康が献血検査で手 軽に分かるということで献血を進めている状況が見受けられるけれども、献血をエイズ 検査に利用されている傾向があると。献血検査の本来の目的をしっかりと知らせて、献 血への理解を深めることが一番重要なのではないかということなど、これに関しては4 件の意見がありました。  次に16ページでございますけれども、(2)の「(1)献血者が安心して献血できる環境 の整備」についての意見でございます。学校では採血後のふらつきによる転倒での負傷 や内出血による腫脹、疼痛、手指の麻痺などを日赤に報告しているけれども、学校にお ける事故は皆無とされているという意見があります。また、学校内の献血では採血時の 気分不良や貧血、採血部位のはれや内出血、指先のしびれなどの事例があるけれども、 採血者の技術の向上と安全とゆとりを持って献血できる体制を求めるという意見があり ます。それから、成分献血において採血バッグに接続する塩化ビニール製チューブを血 液が往復することにより、フタル酸エステルが献血者の体内に注入・蓄積される危険性 があるとのことですが、やはり安全な採血バッグの開発と使用に一日も早く切り替えて ほしいということなど、これについては3件の意見がありました。  続きまして18ページ、「(7)採血基準の在り方の検討」についてでございます。現在 の採血基準の見直しを求めるということで、採血可能な体重の基準値は拒食症のために 治療中でありながらも採血可能になってしまうということ。また、現在の基準について は女性の標準値であって、男性の貧血者でも採血されてしまうということ。それから高 校生の体は成長発達途上で、発育には大きな個人差、性差があり、同じ高校生でも著し く違うということで、16歳からの献血を廃止して18歳からに引き上げることを求めると いう意見が3件ほど出されております。  次に20ページ、「(8)検査目的の献血を防止するための対策の検討」についてでござ います。これについては血液製剤の安全性を確保し、若しくは遡及調査等に必要な場 合、献血者への検査等の協力のお願いを盛り込むべきではないかという意見がありまし た。それから集団献血の廃止を求めるということで、医師の個人面接による問診を重視 した丁寧な聞き取りをして、献血による感染症被害の防止を図るという意見でございま す。また、HIV等感染の有無を献血者に報告するのであれば医師による個人面接を重 視して、感染症の有無を検査目的として献血する人に対しては検査方法や指導、感染し ている場合にはその指導まで実施しなければならないのではないかと。あと、日本の検 診体制の貧困さゆえに、献血時に無償の検診ができるメリットの反面が性感染症を確認 する手段として危険な血液製剤を生み出すこととなっていると。これは日本赤十字社が 請け負うべき検査ではなく、各自治体が住民の健康管理、感染症の蔓延防止、早期治療 につなげていくことこそ本当の健康管理ではないかという4件ほどの意見がありまし た。  以上、これらの意見を踏まえて修正しました「平成16年度献血推進計画(案)」につい て、3ページに作成したものがございます。なお、平成15年度の献血推進についての実 施報告については、31ページ以降に一覧表を掲載しております。以上でございます。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。委員の方々の御意見を聴く前に、この件に関する日 本赤十字社の取組について参考人から説明をお願いしたいと思います。10分程度で手短 によろしくお願いいたします。 ○参考人  部会長が今御諮問されたのはどのことですか。今の推進計画についての…。 ○溝口部会長  そうです。 ○参考人  それでは25ページですけれども、関連した項目の中で全血製剤の供給に関する御意見 がございましたが、平成15年度全血が供給されたのは全国で1単位製剤が3,930本、2 単位製剤が4,595本で、赤血球含有製剤の供給量における割合は0.25%と大変少のうご ざいます。15年度において血漿製剤と赤血球製剤を供給した事例の件数ですけれども、 東京と大阪の二つで調べられておりますが、全血の要請があったのは1,991件でありま した。それらのところでは要請された全血製剤で供給を行っておりまして、それを血漿 製剤と赤血球製剤で分けて対応したという回答は頂いておりません。ですから、(3)に ついては該当事例があればということですが、二つのセンターで聞き取り調査をした限 りではなかったと。  (4)の全血製剤、血漿製剤、赤血球製剤の価格はほぼ同一なので、全血製剤を必要と する場合に両者を別々に供給すると患者負担が2倍になるということについては、結果 としては2倍でございますけれども、2倍になることから赤十字社として意図的に血漿 製剤と赤血球製剤を供給するということはしておりませんで、全血製剤の供給要請があ ればそのようにおこたえしているということになると思います。それから全血製剤をど ういうときに使うべきかという問題については、厚生労働省が出している「血液製剤の 使用指針」に基づいて医療機関の方から出されているだろうということで、それの要請 があった場合にはおこたえしているということでございます。  続いて(5)の日赤は独占企業であるから使用者の要請に応じて血液を供給する義務が あるはずであるということについては、現状供給されているのは全血液関連製剤の中で 0.25%と非常に少ないということで、実際の供給要請は都内でもかなり少ないというこ とがあります。そういう少ない状況で突然要請があった場合には、手持ちが少ないです ので「需給調整」と言いまして他センターから調整してお送りするということがありま す。その際には時間が必要な場合もありますので、そういうことをお話しして供給させ ていただいているという状況もございます。ですから、全血の使用というのはもうガイ ドラインからは外れて、非常に例外的なものと考えられておりますので、できるだけ早 めに御連絡いただけるようお願いしているところですし、予約分については供給できる ように努めているところでございます。  それから第2の学校献血における健康被害について、「学校における事故は皆無とし た」との意見があるがということですが、皆無というお答えをしたことはないだろうと 思います。29ページにもありますように、「献血してくださる皆様へ」という文書の中 で(7)の下線を引いたところにありますように、「採血に伴う主な副作用の年間発生率 は次のとおりです」ということで、「・血管迷走神経反応(VVR)は約0.7%、皮下出 血は約0.2%、神経損傷類似症状は約0.01%」ということをお書きしております。これ は献血してくださる皆様に見ていただいているところです。ちなみに高校生ではどうか ということについては28ページに記載してありますが、医療機関で受診した採血副作用 ということで、比較的重篤なものが平成14年度で845件ありますけれども、そのうち高 校生が関連したのは49例でございまして、次に「(23/26)」という男女比が書いてござ います。このように実際に高校生でもありますし、VVRについて言うと初回の方は多 いということで、高校生の中でもないわけではありませんし、初回の方での発生率は比 較的高うございます。そうした内容についてもきちんと報告しているところでございま す。一応そこまでです。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。それでは引き続きまして、献血の推進に関して三星 委員から資料の提出がございましたので、御説明願いたいと思います。よろしくお願い いたします。 ○三星委員  お手元に資料が入っていると思いますが、現在ウイルスの除去や不活化、いろいろな 血液の問題で安全対策の確認のために皆様に大変お骨折りいただいております。 善意 ある国民の皆さんからの貴い献血血液でございますから、安心して患者さんにお使いい ただくために今国も日赤も真剣にいろいろな問題に努力していってくれているわけでご ざいます。  血液事業というのは、善意ある国民の皆様方の献血があって初めて成り立つことでご ざいますので、私どもライオンズメンバーとしては1966年より本日まで38年にわたり、 各クラブの献血委員会が全国的なボランティア活動を行っているわけでございます。現 在現場サイドでは血液センターの職員の皆様方、我々も一生懸命努力を重ねております が、残念なことに毎月採血量は減少の方向にあります。さらにこのような問題から血液 の不足などが起きては大変なことだと思いまして、この際ライオンズクラブとしまして は献血推進のためのボランティアとしての資格、我々自身がもっときちんと勉強して対 応していくべきではないかという意見がたくさん出ましたので、資格認定制度を一応設 けたわけでございます。献血基準や血液の管理・用途、献血方法等の知識を我々自身が 十分勉強した上で献血者への対応をしっかりしていくべきではないかということで、努 力するつもりでございます。  また、ライオンズクラブとしてはほかに薬物乱用防止の認定講師の問題、骨髄移植で もドナー登録の説明員などいろいろな資格制度を作って活躍しておりますので、献血奉 仕活動についてもそれに準じて十分なる活動を行っていきたいということで、次のペー ジにあるような認定制度を設けました。ライオンズクラブは毎年7〜6月の年度でござ いますので、全般的に動き出すのは7月以降だと思いますが、もう既にこの問題につい て勉強いたしておりますので、検討がつき次第いろいろな細かい点について我々自身も 一生懸命勉強していこうと思っているわけでございます。このような問題を一つの契機 として、我々が国家事業としてとらえている献血の量が減っていくことが絶対にないよ うに御協力していただきたいというのが大きな趣旨でございますので、よろしく御検討 願いたいと思います。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。それでは今16年度の献血の推進に関する計画(案)に ついて事務局、日本赤十字社から、また献血について三星委員から御説明がございまし たけれども、これらについて委員の御意見、御質問を受けたいと思いますが、よろしく お願いいたします。幕内先生、よろしいですか。 ○幕内委員  先ほどのことですか。 ○溝口部会長  いえ、全部含めてですが。 ○幕内委員  参考人のおっしゃったことは私は信用できないというか、はっきり申し上げて極めて 不愉快です。というのは、もう10年来全血が手に入らないという状況にあったわけで、 例えば私たちが10L、20Lの血液を失ったときに、そのほとんどは赤血球濃厚液と凍結 血漿で補っているのが現状であってその調査なしに全血の需要が少ないと結論付けるわ けにはまいりません。1人の患者にFFPと濃厚赤血球が入れられた症例の統計をとる べきであって、現状でどのぐらい使用されており非常に少ないと言っても、実際には頼 んでも手に入らないのが現状です。そういう状態が10年続いた結果0.25%まで落ちたの であって、参考人の認識が本質的に間違っていると私は思います。 ○溝口部会長  ほかにどなたか…、参考人何かありますか。             ── 中村委員、櫻井委員着席 ── ○参考人  先ほど実際要請があったということですが、どういう例で必要であって、その場合に どういう要請をされたのかもう少しはっきりしてほしいと思います。全血としては、厚 生労働省の輸血量のガイドラインでも現状においてその中に記すべきほどのはっきりし た適用というのはなく、かつその頻度は高くないので、ガイドラインとしては示されて いないと思うのです。しかし、そういう人たちが実際に必要の場合があるとすれば、具 体的にどういう例で必要であるということを院内の輸血の中で是非御検討いただきたい と思いますし、そういうことで必要だということであれば、事前に言っていただければ それは十分確保していきたいと思います。ただ、確かに在庫量は少ないので、そのため に結果的には普段から使わなくなるかもしれないものを大量に保持していくというの は、献血者の方の意図を必ずしもいかす道でもないということからなかなか難しいと。 できましたらいろいろな適用も決めていただいて、事前に御連絡いただければと思いま す。 ○溝口部会長  ほかに何かございますか。 ○幕内委員  臨床の場合は事前に御連絡できる場合もあるし、緊急にお願いする場合も十分あるわ けで、それに対応できるだけの体制を日赤は整えるべきであって、採ったらすべて遠沈 してしまうというのでは市場の要請にこたえられないのであって、そういう状態が10年 以上も続いてきたわけです。ですから頼んでも来ないわけなので、FFPと濃厚血球で 対応せざるを得ない。では先生にお伺いしますけれども、例えば20Lの血液を失ったと きにそれをどういうふうに患者さんに入れるのが適切なのでしょうか。 ○参考人  現実に入手できるものとできないものがありますから、それも考慮した上でどうする かということがあろうかと思いますし、血液として必要なものと赤血球として酸素運搬 に必要なもの、それから凝固因子として必要なものと多分両方出てくるだろうと思うの です。全血として補充するといった場合に、凝固因子系も含めて本当にそれで全部替え ることができるかというとなかなか難しい問題もあろうと思いますので、そこではまた 場合によっては組合せをした方が有効であるということもあると思います。 ○幕内委員  それはそうですね。多量に血液を失った場合は、大体その7〜8割を全血で入れて残 りをFFPで入れるのが適切かと思います。それは先生の御指摘のとおりだと思いま す。しかしながら、最初から手に入らないという状況において、例えば20Lという血液 を失った場合だと、大体全血を40L入れたのと同じだけ患者さんはお金を払わなければ いけないし、感染の危険が2倍になるわけです。ですから、やはり日赤としてはそうい う体制を至急整えるべきであって、ある程度の備蓄を持って臨むべきではないでしょう か。やはりある程度保存しておいても期限が切れる前にいろいろな処分の仕方があっ て、100%ではないけれども原料血漿としてある程度は使えるわけです。そういう使い 方もいろいろあるわけですから、それは先生の方でお考えいただいて、これが1、2% にはなるようにしていただきたいというのが私の考えです。 ○参考人  ただ一言だけ、そういう出血の可能性がある手術をされるというのでしたら、できた ら院内でもそうした準備を整えていただいて、輸血部等でも協議していただければと思 います。現状使われているのは0.25%ですけれども、保持している量は血液製剤の中の 0.81%ということで、実際に使われているよりは少し多めに持っている状況でありま す。 ○溝口部会長  事情はよく分かりましたから、その辺はよく両者で御検討いただきたいと思います し、やはり適正使用の基準がありますから、あれに従った格好でどちらが妥当かという 判断が必要かと思います。あの適正使用の基準の改正のときに、またその辺を含んだ格 好で改正していただければいいと思います。今の現状ではお二人の議論は平行線になり ますが、参考人のおっしゃる方が適正使用の基準に従った対応であるということのよう に思います。 ○幕内委員  先生、それは違っていて、多量出血は輸血のガイドラインでも全血を入れていいとい うことになっているはずです。少量の出血液は先生のおっしゃるようなことだと思いま すけれども、20Lを全血ではなくてFFPと血漿で入れると先ほど申し上げたようなこ とになるわけです。ですからやはりそれはお考えいただかないと、感染防御というこれ から議論になる点も非常に危険度が増えるわけですから。 ○溝口部会長  その辺はよくお話合いを…、後の問題として考えていただこうと思いますが、事務局 何かありますか。 ○血液対策課長  この問題が適正使用ということに合致するのでしたら、いずれ近いうちに適正使用調 査会も開催いたしますので、そこでまた先生方の御意見、あるいは各関係する学会の先 生方からも御意見を伺って、我々としても考えてみたいと思います。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。ほかの件で何か御意見ありますか。どうぞ、大平委 員。 ○大平委員  献血の副作用報告ですが、事例としては結構上げられていて、その中で現に日赤の方 で被害救済等といった具体的な救済を行った事例というのはあるのでしょうか、ないの でしょうか。  それからもう一点は今のお話ですが、適正使用の問題もあると思いますけれども、も し臨床の現場でそういう必要性があるのでしたら、日赤側のリクルートというのでしょ うか、市場調査もきちんとして、どういった問題点があるのかということを把握してい ただきたい。多分これは前に部会でも議論になったお話だと思うのですが、その懸案が 解決されていないのかというのがとても残念な話です。  あともう一点は、三星委員から御指摘がありました献血のためのボランティアの組織 化ですが、資格認定制度の概要というところですけれども、献血推進講師といったもの を推奨していくことは大変いいことだと思いますけれども、特定の団体、また日本赤十 字社がどういった資格でこういったものを認定するかというところは、御一考あってし かるべきかと思います。 ○溝口部会長  全血の件は先ほどの課長の御返事で、それ以上はよろしいかと思いますが、健康被害 の問題について、参考人何かございますか。何かデータがあればあるで、なければ今後 調査なりして…。 ○参考人  献血者の事故が発生した場合には、治療費、あるいは休業した分についての献血者事 故見舞金制度というものがありまして、それに基づいてお支払いしているということが ございます。今回の血液事業法の成立過程で議論されたことと思いますが、受血者の救 済については今年4月から発足しますけれども、今後は献血者の救済制度についても検 討することになっておりますので、そうした制度の確立を望みたいと思っております。 ○溝口部会長  あともう一つ、三星委員の…。 ○大平委員  救済に関する今の具体的なケースがどのくらいあるかないかというところが分からな いと、救済制度をつくっていく方法のインセンティブが働かないと思うのです。ですか ら、具体的な医療事故のケース、被害救済のような形で日赤の方でそういう見舞金を払 ったケースがどのくらいあるのかということをちょっとお尋ねしたかったのですが。 ○溝口部会長  手元になければまた後ほどもいいですか。今何かありますか。 ○参考人  すみません。今は用意しておりません。 ○溝口部会長  ではよろしいですか。それから三星委員は大平委員の御質問に対して何かコメントは ありますか。 ○三星委員  献血推進をボランティアとしてやるために我々として努力をしようということですか ら、事故とかそういうものは全然関係ないわけです。我々はオープンの献血であり、ま た街頭の献血であり、そういうものに対して奉仕するライオンズメンバーが、やはり献 血というのはこういういろいろな問題があるのだということをきちんと知って勉強しな がらお手伝いを推進していこうということでございますから、よくお読みいただければ お分かりいただけると思います。 ○大平委員  被害の問題ではなくて、そうした認定制度をライオンズクラブのみで作られるのか …。 ○三星委員  取りあえずライオンズでやっていくつもりです。 ○大平委員  それが全国的な規模で行われるのですか。 ○三星委員  御存じのとおりライオンズクラブは全国的なもので、現在13万人ぐらいメンバーがお りますから、各地域で各々がいろいろなアクティビティーをやっておりますけれども、 献血は比較的各クラブが大いにやっております。ですから、そういうことに対して血液 不足などが起きないように我々としても真剣に考えながら、結論は日赤のためというよ りは、病気になり血液が必要な方がお困りにならないような対策を十分講じていこうと いうことです。 ○溝口部会長  分かりました。課長、今の大平委員の質問に対して、ライオンズ以外の組織でもこう いうものを広げていく必要があるかどうか。ライオンズとしてはライオンズでやるとお っしゃったのですが、その辺は事務局はいかがですか。 ○血液対策課長  この認定制度の概要を見させていただきますと、資格認定者として取りあえずライオ ンズクラブと日赤が連名で認定をし資格証を発行すると。当面こういった動きは我々と しても注視させていただきたいと思いますし、国家資格とかそういうことは無理だと思 いますが、また何か支援することがあれば考えてみたいと思います。 ○溝口部会長  よろしいですか。ほかに何かございますか。それでは一応いろいろ御意見が出ました けれども、その修正に関しては部会長に御一任いただきたいと思っております。今後平 成16年度の献血推進計画を告示するに当たり、法令的な観点から審査を経ることになり ます。そこでの修正については部会長に御一任いただければと思っております。以上で 議題3を終わらせていただきます。  続きまして次の議題に移らせていただきますが、議題4は「輸血医療の安全性確保の ための総合対策に係る検討項目について」でございます。これについては先生方は新聞 でも御覧になったかと思いますが、先週の23日金曜日に大臣から事務局に指示があった とのことでございます。それでは御説明願いたいと思います。 ○事務局  それでは資料Eを御覧いただきたいと思います。新聞その他報道でも御案内のとお り、先週の23日金曜日に坂口厚生労働大臣より御指示があった案件でございます。表題 にもありますように、輸血医療の安全性確保のための総合対策ということで今後検討し ていきたいと考えております。  御案内のとおり、現在日本赤十字社においては昨年来すり抜け事例等を受けまして、 NATの精度向上、あるいは白血球除去など7項目の安全対策に今後全力を尽くしてい くということで、現在対応いただいているところでございます。輸血医療そのものの安 全性を確保していく観点からは、運営委員会等でも花井委員、大平委員の方から御意見 がありましたように、やはり社会全体の中で考えていくべき問題もある、また医療機関 の方においても対策を実施していく必要があると。やはり前後において対策を総合的に 進めていかないと、日本赤十字社のみに血液の安全性の問題を帰着させることは不適当 ではないかという御意見が相次いだところでございます。  こういった現状を受けまして今般坂口厚生労働大臣の方から、単に医薬食品局の問題 としてではなく厚生労働省の問題として、また必要があれば他省庁においても採るべき 対策があるかどうか、そういった点について総合対策としてまとめるようにという指示 が出たところでございます。具体的には、「1.健康な献血者の確保の推進」、「2.検 査目的献血の防止」、「3.血液製剤の検査・製造体制等の充実」、「4.医療現場にお ける適正使用等の推進」、「5.輸血後感染症対策の推進」と、主にこの5項目の柱を 御指示いただきまして、今後まずこの柱ごとに漏れなく対策を検討し、今年度中に大枠 を作っていきたいと考えております。この個別の対策については、やはり早期に実現可 能なものもあれば比較的中長期的な見通しの下に体制を整備していかなければできない もの、様々なものがあると思いますので、各対策案のフレームワークがまとまった段階 から個別にそれぞれの対策を実現化していくためにはどうすればいいのか、またそうい った点について御意見を頂ければと思っております。したがいまして、現段階において まず目標といたしますのは、本日いろいろと御意見を頂きつつ、今年度中の部会の中で この大枠を決めていきたいと考えておりますので、御意見を頂ければと考えておりま す。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。それでは続きまして本件に関する日本赤十字社の取 組について、参考人から説明をお願いいたします。やはり10分程度で手短にお願いした いと思います。 ○参考人  日本赤十字社の安全対策に対する取組でございますが、資料F-2の26ページで触れ てございます。「1.遡及調査自主ガイドライン作成」については、昨年末遡及調査の ガイドラインの素案を作成いたしました。安全技術調査会でも御審議いただき、今後継 続して御審議いただけるということですので、どうぞよろしくお願いしたいと思いま す。  「2.新鮮凍結血漿(FFP)の貯留保管」については、この1月30日から2か月間貯 留した分を供給するようにいたします。最終的には平成17年10月には6か月間の貯留保 管を実施いたします。しかし、やろうとすると2年間で約14万L、約60万人程度、つま り献血者でいうと数パーセント以上年々増加させなければいけないということでござい ますので、献血者の方の御協力がどうしても必要になると。従来の単純な訴えかけでは なくて、より広いキャンペーンを国、あるいは地方自治体にもお願いしながら、より早 期の実現を目指したいと思っております。  「3.輸血用血液の感染性因子の不活化技術の導入」ですが、これについては細菌、 ウイルスなどの感染因子を一挙に不活化するものとして期待される方法ですけれども、 これは製剤によって方法が異なります。そのうち、血小板について不活化法の一つが比 較的安全といいますか、今後広く使われるのではないかという方法がございますので、 それについて必要な機器とキットを国内に搬入し、in vitroでの評価試験を今年度中に 行いまして、今後はこの評価試験を基に製造承認申請ができるような体制の中での検討 に移っていきたいと考えております。また、この不活化法技術一般については薬剤を加 えるということから、安全性の問題についても最終的な確認はまだされていないという 現状もございますので、最良なものを目指して他のものについても検討していきたいと 考えております。  それから「4.NATの精度向上」ですが、これについては現行50検体をプールして 検査を行っておりますが、より感度を上げるということから20プールでのスクリーニン グを考えております。この20プールというのは現状の3施設を最大限に活用しまして、 検査機器や試薬の製造、検査設備の整備期間を最も最短にできる方法ということで20検 体プールを選定し、その実現に向けて努力しようということにしております。当面それ に要する期間は約8か月と考えております。それ以外に核酸増幅検査、NATの精度を 向上させる方法としては、検体用量を増やす一つの方法としてウイルスを濃縮する方法 を考えておりますし、同時に世界的な試薬メーカーが次世代の試薬として開発している ものについて平成16年度第1四半期より評価を開始して、入手可能になり次第順次他の メーカーについても検討し、その導入の可能性について検討してまいりたいと思ってお ります。  「5.医療機関での輸血後感染症に関する全数調査」ですが、これについては全国の うち数か所の医療機関にお願いし、その医療機関で輸血されたすべての血液について輸 血前後で検査を行って、輸血の感染症に関する安全性を評価するものでございます。こ れは既に1月から実施しております。  「6.E型肝炎ウイルス(HEV)の疫学調査について」は、肝機能で異常になったけ れどもほかの肝炎マーカーが正常であるものについて検体を全国的に収集し、E型肝炎 ウイルスを持っている方、あるいは抗体を持っておられる方などの頻度を調べ、今後血 液事業の中でこの問題にどのように取り組んでいくのかを考えていく一つの資料にして いきたいと考えております。  次に「7.保存前白血球除去の開始」については、製剤ごとに導入できる時期が異な りますが、できるものから始めていきたいと考えております。成分採血由来の血小板に ついては、現在フィルターがなくても白血球が除去され既に出されているものもありま すし、フィルターが付いて白血球除去されている製剤も既に出ているわけです。しか し、まだできていない、白血球除去フィルターが付いていないものもございまして、そ のものについては現在フィルター付きのキットを生産していただくことをお願いしてお りまして、4月からはフィルターが付いた採血キットの供給が開始されますので、最終 的には白血球が除去されていることを評価、確認されたものを今年7月からはお出しす ると。次いで全血、あるいは血漿についてですが、成分採血由来血漿については平成17 年度、全血採血については平成18年度を予定に導入してまいりたいと思います。白血球 除去した全血製剤については新たな採血キットが必要となりますので、その周辺機器も 必要となります。その検討も併せて始めておりますし、同時にその仕様について、白血 球を除去することによって血漿量なども多少変わったりしますので、どのような血漿量 にするのか今後の製剤の在り方についても検討したいと考えております。  それから「8.献血受付時の本人確認の実施について」でございますが、先年核酸増 幅検査のスクリーニングが導入されて以来初めてのHIV感染例が見付かりましたけれ ども、そのときも原因となったのはウインドウ期の献血と思われる血液でした。残念な がら問診の中ではそういうリスクがあるということは言っていただけなかったわけです ので、検査目的と言いますか、少なくともそういうことを言っていただけなかったとい うことがございます。今後検査目的の献血を防止していくということで、そのこと自体 は直接的な防止効果はないかもしれませんけれども、患者さんをおもんぱかった安全な 責任ある献血という考え方を広めていく上で、御本人にも責任を持っていただくという ことから御本人の確認をさせていただくということを考えていきたいと思います。  ただこれを導入するに当たっては、せっかく献血に来たのに身分証明書を持っていな いためにできなかったといったことによるトラブルなどが起きては献血者数が減ってし まうということもありますので、その辺についてはまず試行的に実施するセンターで十 分な検討をしていただいた上で、全国的な展開を図っていきたいと考えております。こ れについては先ほど厚生労働省からの御報告にもございましたように、献血の場だけで は大変難しく、広報、教育の段階でも患者をおもんぱかって、何らかのリスクがあると 思うときは献血をしないという広報が必要だと思っております。同時に、血液センター に来なくて済むような保健所あるいは新たな無料検査所の設立によって、献血者の方が 献血の場でHIV等の検査をしたくなるような状況を是非防いでいっていただければと 思いますし、厚生労働省がそういう方針で総合的な対策を打ち出していただいたことに 大変感謝を表明したいと思います。以上です。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。それでは事務局と参考人の説明について、御意見、 御質問のある方はお願いいたします。どうぞ、岡田委員。 ○岡田委員  FFPの6か月の貯留保管のことですが、受血者が実際に感染したときの情報などが 厚生労働省、若しくは日赤まで上がってくるのに結構時間が掛かるということが危惧さ れます。しかも6か月間ためておかなければいけないということで、その間ドナーの方 にはその分の血漿を供血していただかなくてはいけないのですが、例えば献血のリピー ターの方に2か月後くらいに検査だけに来てくれるようにお願いをして、その時点で陰 性であればためておいた血漿を医療機関に供給するという、アクティブクアランチンと いうような試みを考えた方がいいと思うのです。そうすれば、6か月間ためなくても数 か月の貯留である程度カバーできると思うのです。ただ、これには供血者の協力が必要 ですのですぐには無理かもしれませんが、例えば今FFPの必要量は全体の分画の血漿 量に比べれば4分の1とか5分の1ですので、極端なことを言えば5分の1の人がこれ に協力してくれればかなりカバーできるのではないかと思うのです。こういう献血をさ れる方にお願いをして検査をするという試みは今までなかなか行われていなかったので すが、実施はなかなか難しいかと思いますけれども、そういうアクティブなことを考え る時期に来ているのではないかと思っています。 ○溝口部会長  いかがですか、参考人。 ○参考人  世界の中でもやられているところがないわけではないのですが、現状日本において6 か月を経てもう一回献血に来ておられる方というのは、新鮮凍結血漿あるいは血小板だ と70%ぐらいです。全血ですと30%を切る20何%という状況です。そういう中で今全血 でも新鮮凍結血漿に頼っているところがありまして、医療機関はこの2単位のものを非 常に欲しがっているという状況から考えますと、6か月たってそのアクティブなもの、 もう一回検査したものを出そうというのは、なかなか難しい現状であるのが一つ。  それからその遡及、例えば2回目を2週間後に来たら前のは大丈夫かというと、ウイ ンドウ期の問題がありますから、2週間前に来たからもう出していいということではな くて、HCVのように200日ぐらいたたないとそこの安全性が確認されないというもの もあります。そうすると、有効利用期間というのは結構短くなってしまいます。世界的 に見ると、例えばフランスなどはそれを法律で決めたのですが、現実にはそれはできな いということで放棄しております。それは費用的にもできないし、無駄な血液が大量に 出るというようなことから実際には行われていない…、小規模なところでは行われてお りますけれども、現状ではそういう問題が多々あるので、我々も方法としては十分考慮 しているのですが、日本においてすぐの導入というのは難しいかと考えております。 ○溝口部会長  申し訳ないのですが、大平委員と花井委員が意見書を御提出になっておりましたの で、それを御説明いただいてからまた議論に戻らせていただきたいと思います。よろし くお願いいたします。資料はどれですか。 ○大平委員  資料番号の付いていないものです。輸血医療の安全確保のための総合対策の問題につ いて坂口大臣から発表されたということで、それに関連して私たちの意見を少し述べさ せていただきたいと思います。大臣からの発表については、やはり輸血医療の安全性の 問題について省の中だけではなく国を挙げて一つの対策を採っていただいたということ で、私たちも大変評価しております。その中でやはり一つは、ここに流れをちょっと書 かせていただいたのですが、輸血医療の意義と安全性の確保を社会の方々にきちんと分 かっていただきたいということと、安全確保のためのいろいろな対策、それから被害再 発防止のための救済ということでございます。やはり輸血医療の必要性をきちんと分か っていただくことが、献血の意義につながるのではないかと思っております。それか ら、感染症発生等の危険情報の開示が迅速に採られることが大変重要だと考えておりま す。また、輸血医療に関して、安全な献血血液の確保と献血者の方々の責任ある行動が やはり重要な点になるかと思います。それに関して、検査目的献血の防止策を省を挙げ て、また国を挙げて採っていただきたいと考えております。それから採血時の事故防 止、検査等の信頼性の確保、その後献血血液による血液製剤製造工程における安全性の 確保、病原性因子検査や不活化の更なる技術開発に取り組んでいただきたいこと。ま た、医療現場における輸血医療体制の整備、これはやはりインフォームド・コンセント 又は適正使用の問題もありますが、検体・記録保管、これは供血を受ける前の問題です が、採血前・後での病院内検査体制ができていることによって、最後に輸血後感染症の 早期発見やいろいろな救済に結び付き、それが遡及調査の徹底につながると考えまし た。  こうした問題を九つぐらいのテーマで書かせていただきました。1はやはり献血の意 義、それから健康と公衆衛生の側面から公教育・社会倫理等を通して国の教育・啓発の 基本としていただきたいということ。たしか献血の推進計画の中に集団献血や高校生の 献血に対していろいろ危惧が寄せられていましたけれども、それ以前にもっと献血の問 題について小さいころから公衆衛生的な側面、健康の問題とかそういう面から、献血の 意義を文部科学省の教育の中できちんと取り上げていっていただきたいと思っておりま す。  2については、感染症の発生等、危険情報の早期伝達・開示を速やかに行っていただ きたいこと。これがリスクの回避につながるので、問題として重要だと思います。  3については、献血者の方々に献血に責任を持った行動をとっていただくために、い ろいろな献血システムに関しての検討をこれから早急に行っていただきたいこと。  それから4の検査目的献血の防止についてはいろいろな例示を書きましたけれども、 献血の際の身分証明書、あるいはリピートドナーに対しての「献血IDカード」といっ たものがきちんと公のものとして発行されることによって、安全確認の情報提供は献血 責任としてきちんと認められてほしいと思っております。また、初回時の採血は健康チ ェックとして検査内容に問題がない場合2回目から献血してもらうなど、今後いろいろ な対応を検討していく必要があるのではないかと思います。それからこれは血液対策課 より疾病対策課などとの連携だと思いますけれども、保健福祉センターのいろいろな活 用の方法、また特定病院の検査室などの24時間対応など、いろいろな検査の対応の採り 方をもう少しニーズに沿った形にしていただけたら有り難いと思っております。  5の採血施設・対応についても、先ほどのアンケートにありましたようにいろいろな 不安がないように今後事故防止のための徹底管理と公的な救済措置を設けて、安全に安 心して献血が受けられるような体制を採っていただきたいと考えています。  6の献血血液による血液製剤の安全性の確保については、ここに書いてありますよう に、工程の徹底管理を行っていただきたいということ。  7については医療現場における輸血医療の体制ですが、これは多分文部科学省にもか かわる問題だと思いますけれども、輸血医療に対して適切な病院・診療所等を定めて記 録保管等をきちんとしていただきたいこと。またそれに対する保険診療上のいろいろな 対応も必要ですし財源のこともかかわってくると思いますので、そうした整備も長期的 には対応していかないと、それを負託していただける病院も少なくなっていくのではな いかと思っています。  8については輸血後感染症等の早期発見と情報公開、9については遡及調査の徹底、 再発防止のための安全対策、これは相対的なのですが、国を挙げて再度取り組んでいた だく方向性を打ち出していただければ有り難いと思っております。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。厚生労働大臣から出された総合対策を更に深く突っ 込んだ御意見だと思いますが、総合対策及び今の大平委員からの御発言を含めて御意見 をお伺いしたいと思います。どうぞ、吉澤委員。 ○吉澤委員  資料Eの1のところの日本語ですが、「献血者が、AIDSやウイルス肝炎等の感染 症に罹患しないような社会環境の整備を促進する」というのは具体的にどういうことを 意味しているのか、ちょっとここからは読み取りにくいのですが。私たちは肝炎の疫学 をやっていまして、予防についてはこれまでに最大限のことをやってきております。も ちろんまだ完璧ではありませんが、そういうことを求めている文章なのか、これはよく 分からないのですが。 ○溝口部会長  どうぞ、事務局。 ○事務局  この文章については、特に昨年末のHIVすり抜け事例の発生時に運営委員会の方で もかなり議論になったのですが、HIVの感染者、あるいはエイズの患者さんといった 方が現状我が国においてはまだまだ増加傾向にあると。こういった件については、感染 者の数、患者の数をもう少し減らすような社会環境の整備を併せて実施していかない と、献血血液の安全性確保ということで日赤、医療機関において幾ら努力をいたしまし ても、やはりそういった現状を置いたままでそういう対策を採ってもいかがなものか と。したがいまして、現在関係者においては努力されていることは重々認識してはおり ますが、やはり今後なお一層のということは含みとしてございますので、御理解いただ きたいと思います。 ○溝口部会長  よろしいですか。 ○吉澤委員  ちょっと足してよろしいですか。少なくとも肝炎に関しては、それ以外の感染ルート がなくなったことによって、現状の日本では性感染症としての側面が大きいわけです。 それについて増えつつあるというのは確かにエイズと同じです。ですから、ここに書か れている二つの社会環境の整備というのは、現時点では、主として性感染症の側面を持 つこの疾病についてどう対応するかということと理解してよろしいですね。ついでに申 し上げますと、エイズも今度は新感染症法の5類に分類されております。結局何で検査 のために献血に来るかというと検査が受けにくいわけです。B型肝炎についても70年 代、80年代は現在のエイズと全く同じ状態だったわけです。どこでも検査ができない、 検査をして陽性になると差別、排除の機構が働く。そういうところを改善して、エイズ に関してもちょうど現在の肝炎と同じように一般の病院でどこでも検査ができるという 社会的な風土を醸成していくようなことを是非推進していただきたい。保健所の検査 は、これは到底用をなしていないのが現状だということをよく認識していただいた方が いいと思います。 ○溝口部会長  そういうことでよろしいですね。確かに幾ら声を大にしても献血に検査目的で来られ る方が多いわけで、その辺はやはり行動科学的な研究が必要なので、例えば日赤で幾ら 考えてもなかなか難しいのではないかと。研究班があるようですが、そういうところで やはりもう少し幅広い人たちを入れて献血者の行動を変えるような施策を採らなければ いけないのではないかと私は感じています。どうぞ。 ○清水委員  今いろいろお話があって範囲が非常に広くなってしまったのですが、私は今日の議論 はポイントを絞って、今吉澤委員からもありましたように2の「検査目的献血の防止」 に焦点を絞りたいと思うのです。そのためには一つはID、身分証の提示ということが 重要なポイントだと思いますし、それからもう一つ今まで議論に出てこなかったのは、 やはりHIVに感染していることを通知するということを全面的に打ち出して、それを どのようにやるかではないかと思うのです。この通知をするときには、今お話があった ように血液センター以外での検査を受けやすくするような検査所の確立がやはり前提に ならざるを得ないのではないかと。こういうことが絡んでくるものですから、IDの提 示というのは余りそう大きな問題はないかと思いますが、通知するということ…。例え ば前回のHIVの感染例のときにも一部で議論がありましたように、通知しないとして いることにそういう献血者の追跡調査をやることが果たして妥当なのかという議論もあ ったわけでございます。そうなりますと、感染源と感染経路を追求するというのは感染 症予防のイロハと言ってもいいかと思うのですが、その一つが途切れてしまうという問 題があります。そういうことで、遡及調査も十分に行い得ないという問題にもつながっ てきますから、身分証の提示と通知と血液センター以外での検査所の確立という三つを セットにした対策を考える必要があるだろうと。  それにさらに先ほどの赤十字からのいわゆる貯留保管の問題ですが、この貯留保管に はどうも二つの考え方があるようでございます。一つはいわゆるクアランチンというも ので、1回献血をしたらそれから何か月かたった後で献血して、それも陰性であったら 前の献血された血漿を出すということで、これが非常に望ましいスタイルだろうと思い ます。その一つの方法として、2、3か月後でもいいから検査だけでも来てもらえるよ うな対策も考えたらどうだという御提案もあったのですが、私はやはりそれを前向きに 考えて対応を採るべきではないかなと思うわけです。したがいまして、そういうところ を総合的にやっていくと、まずはここに焦点を合わせた対策を積極的に講ずるというこ とを是非議論してもらいたいと思います。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。今回運営委員会でHIVの血液混入の件で大分御苦 労なさったので今の御意見があるのではないかと思いますが、何か御意見ありますか。 どうぞ、橋先生。 ○橋委員  清水先生の御提案の2に関して主に議論するということも分かるのですが、一方で今 大平委員から言われたようなこと、あるいは厚生労働省の方が御説明になったこと、日 本赤十字が考えていること、そういうことを踏まえますと、いずれもあるグループが対 応すれば済むということではなくて、社会全体に輸血の安全性確保のためにはこういう 事柄が必要だという広報活動といいましょうか、そういうことが大変大事なのだろうと 思うのです。  ちょっと表現は整理しなければいけませんが、1の感染症罹患者の拡大をどう防ぐか ということをまず相当アピールしていかなければいけないし、それから検査目的献血の 防止に関しても、日赤がこういう方式を導入したというだけではなく、国の方式として こういう検査目的献血を防ぐにはIDの提示を求めると、それに従って皆さん納得して くださいというような相当の説明をしていかないといけないのではないかと思います。 先ほど吉澤委員から保健所の検査は用をなしていないという御意見もございましたけれ ども、現実に血液センターに検査目的の方が来られるとなればはっきり窓口を二つにし て、IDを提示して献血をやりたいという方と正直検査目的だという方と分けてやると いうことも場合によっては考えられるのではないかと。要は問題を解決するために必要 な事項を広く議論して、またそれを国民全体に訴えてのっぴきならない事態にまで来て いるので、こういう協力体制でやってほしいということを訴えるのが非常に大事なよう な気がいたします。  もちろん役所を越えるというのは当然のことで、輸血あるいは献血に関しての社会一 般の情報が余りにも少ない、高校生の献血に関して危惧を述べる意見があるけれども、 ではそういう方々は将来的に献血者を確保できるどういう方策を持っているかというこ とがございますので、やはりうまくそこら辺を整理して問題の所在を明らかにして、そ れに対する解決策を提示していくことが大事かと思います。 ○溝口部会長  大分貴重な御意見をありがとうございます。どうぞ、花井委員。 ○花井委員  今までの御意見は何度も出てきていたと思うのです。今回特出すべきことは、大臣が このように打ち出したということです。今まで検査目的の献血を防止するためにどうし たらいいかというアイデアは言っておきながら全然実現しなかったと、指摘はするけれ ども全然何も変わらなかったということがあると思うのです。ここはちょっと確認して おきたいのですけれども、この資料Eに出ている大臣が打ち出したことについて、細目 についてはどこの部署が責任を担当してまとめるのかということをまずお聞きしたいの ですが。 ○事務局  取りまとめについては、医薬食品局血液対策課の方でさせていただきたいと考えてお ります。 ○花井委員  そうなりますと、ここでやっている範囲のこと、例えば保健所の検査の在り方の問題 点というのは別の部署が予防の部分でさんざんやっているわけです。それでなかなか保 健所に検査に来ないとかいう話はいろいろな研究班を立てて、いろいろなことをやって いるわけです。そうすると、そういったところについてもこちらから強く言って協力し てもらうということはどちらにしろ横並びなので、もしここで決めて協力連携をとると いう話だと今までと何ら変わらなくて、大臣が打ち出した意味が実はないわけです。で すからそういう意味では、やるべきことをここで何らかの形でまとめたのであれば、あ る程度そちらの担当者も出てきて、これはできるのかできないのか…。例えば輸血前検 査、輸血後検査は保険局医療課だと思うのですが、これでは保険がどうなのかとかいう ように、総合対策の上で必要な各課との連携はそちらがプロだと思うのですけれども、 それを含めてここでバンと打ち出して、全体としてそれができるのかできないのか、何 が障害なのかということをきちんとやって具体化していくところに踏み込む必要があり ます。これはまたここでいろいろ意見を言ったので大臣も言っていただいたのですが、 今いろいろなところであっちに頭をぶつけ、こっちに頭をぶつけということをやってい ますと、またしてもこれは具体化しないということになりかねません。ですので、そこ はどのような計画で進めていくかということ、実はこれが一番重要ではないかと思うの です。いわゆる検査目的の献血の防止についての施策もそうですし、それから検査体制 など全部についてそれは言えることで、これまでの議論の中で論点はすべて出ている し、実は何をやるべきかということも出ている話ばかりなので、いかにして具体化する かが今までなかったということに尽きるわけです。ですから、今回大臣の一声によって いかに具体化するかということをやはり考えていただきたいと思うのです。 ○溝口部会長  課長、何かありますか。部署を越えてこの対策を練れるかという問題ですが。 ○血液対策課長  御指摘のとおり、やはり今度の総合対策については具体化させなければいけないとい うことは事務局も思っていますし、関係部局もそういうふうに考えていると私は思って いるところでございます。これからの手順でございますが、今日大きな御意見を頂きま して、それに合わせてこれから安全技術調査会なり適正使用調査会の方で御意見を頂き まして、3月には大枠をこの部会で定めていただきたいと考えております。大枠でござ いますので、4月以降すぐにできるもの、それからまた検討しなければいけないものと いろいろ分かれると思いますが、そういった中で今考えておりますのは、安全技術調査 会の前に例えば健康局と十分意見をすり合わせてそれを事務局の考え方として御提案さ せていただければいいなと考えております。花井委員御指摘の点を肝に銘じまして、私 どもも頑張りたいと思います。 ○溝口部会長  何かございますか。非常に大事なことで、基本的なことはこの部会あるいは血液対策 課が中心になって検討するけれども、先ほどの大平委員、花井委員からの御提案を見ま すと、確かに献血前のことから輸血を受けた後のことまでとなると、血液対策課だけで は収まらない問題が山ほどあるようでございますので、その辺も含めて血液対策課で検 討いただいて、その前にいろいろ事業部会がありますけれども、そして厚生労働省全体 に提案を広げていただきたいと考えております。ほかに何かございますか。どうぞ、吉 澤委員。 ○吉澤委員  この本人確認の件は確かにおっしゃるとおりで大事なことだと思うのですが、実はこ れは買血をやっている国のシステムそのものなのです。日本の国は献血で賄っているわ けで、買血によっている国とは違うというところも勘案しながらこの問題について慎重 に取り扱っていただく必要があるのではないかと思います。そうしませんと、ここは東 京ですからいいのですが、私たち地方にいますと献血本数の絶対数がもう既に減ってき ているという現状にあって、さらに今度安全のことだけを肥大化して考えて採血する側 の理論だけでこれを進行させますと、献血血液の本数が減ってくるという現象にもっと 拍車がかかるかもしれない。そこのバランスをとりながらここの問題を考えていただく 必要があるのではないかと思います。反対ではないのですが、そういうことも考えなが ら進めることが大事なことではないかと思いました。 ○溝口部会長  先ほど申し上げたようにやはり献血行動とも関係することで、この場合行動科学的な 検討が非常に大事になってくると思います。その辺はやはり専門家を入れた議論が必要 ではないかと感じております。ほかにどなたかいらっしゃいますか。どうぞ、比留間委 員。 ○比留間委員  先ほどの血液センターが出された八つのことに関してでもよろしいですか。保存前白 血球除去のところで前にも申し上げたのですが、やはり今血小板製剤はかなり白血球が 低減化されていて、1×106を満たさなくてもほとんどが1×107以下ぐらいになってい て、片や赤血球MAPの方は108から109くらいあります。ですから、血小板を入れても ほとんど導入されたとは言えないと思いますので、やはり赤血球製剤を早く導入しても らいたいと思います。この平成18年度予定としているのは、平成18年4月に導入される と考えていいのかということ。  それからもう一つは、保存前白血球除去を導入するときにはかなりコストベネフィッ トの問題が議論されたと思うのですが、今回打ち出されているいろいろな対策の中で は、例えばこの貯留保管の問題一つ取っても、6か月間保存するには相当の金額が掛か るのではないかと思うのです。ただ、今までの議論を聞きますと、いわゆる貯留保管と いうよりもただ置いておくだけという感じの保管体制なので、それだけお金を掛けて6 か月間置いておくメリットがどのくらいあるのか。つまりもう既にウイルス性の感染に 関しては100万分の1とかそのくらいの確率に低減化されてきたものを、この6か月間 ただ置いておくだけでどのくらい低減化されるのかどうかということも考えてもらいた いということ。  それから不活化技術の問題、これも相当な金額が掛かるだろうと思います。NATに おいても50プールを20プールにすることで相当な金額が掛かると思います。片や臨床現 場を見ますと、確かにウイルス性の感染は拡大被害の問題から依然として重要な問題で ありますけれども、頻度の面からいきますとやはり免疫性の副作用が非常に多いという こと。また、感染症に関しましては細菌感染が問題であるということ。今回フランスの ヘモビジランスのデータでは、保存前白血球除去をすることによって明らかに免疫性の 副作用が低減化し、細菌性の感染も統計学的な有意差は出ないものの明らかに低減傾向 があったということを考えると、現時点におけるコストベネフィットの最も高い安全施 策は保存前白血球除去ではないかと思いますので、やはりこれを早く導入していただき たいということを改めて申したいと思います。 ○溝口部会長  先生、血漿分画製剤より輸血用血液製剤が大事だということでしょうか。 ○比留間委員  そう言うと乱暴な言い方になるので、いずれも大事だとは思いますけれども、優先順 位を付けたらどちらかなということを提言したいと。 ○溝口部会長  血漿分画製剤はいろいろな方法で安全性を保つ努力がされていますけれども、輸血用 血液製剤は何か非常に危ない状態に置かれているということでしょうか。どうですか、 参考人。優先順位の問題ですが、いつまでに何をするかということはやはり大事だと思 うのです。無限の先にやるのでは余り意味がない…。 ○参考人  いつまでにやるかということについてはこの中でも触れているつもりですけれども、 白血球除去について平成18年4月かと言われると、まだそこまで明確にはお答えできま せん。仕様の変更ですが、フィルターを入れることでFFPの容量等を含めて幾つかの 変更もしなければいけませんので、それの製剤としての基準も変えなければいけなくな る可能性があります。それと周辺機器の改善もしなければいけないということ、かつそ れに基づいて製造体制を作っていただくということもありますので、ある程度時間は掛 からざるを得ないかと考えております。ただ、御要望がありましたし、この処理自体に は副作用はないのではないかと、国民負担は増えるかもしれませんけれども、それ以上 の費用の負担ではないということでありますので、最大限努力してまいりたいと思いま す。  ちなみに、貯留保管は余り意味がないのではないかということでありますが、少し意 味を付けていただくためには、一応ガイドラインでは2、3か月後に感染症マーカーを 調べましょうということになっておりますので、医療機関において輸血後に検査をして いただければその分いろいろな情報も入りますし、片割れの血液については救われると いうこともありますので是非…。検査した後に前の製剤を使うということですが、現状 ではすぐというのは難しい側面がございます。献血者の方の協力、あるいは先ほど言い ましたようにウインドウピリオドそのものの評価を経たものでやると、実際に使える期 間は本当に短くなってしまうということもありますので、そこら辺は十分御考慮いただ いて、医療機関において検査するということも是非やっていただければと思います。 ○溝口部会長  コストベネフィットという点で何を優先するかということにつながるわけですけれど も、今のHIVの一番の問題は輸血用血液製剤でのことが大きかったわけですが、その 辺を含めて清水先生、何か御意見ありますか。 ○清水委員  今の比留間先生の御意見ですが、一つは貯留保管の問題で、これは参考人の御意見に もあったのですけれども、たくさんの血液を使う大学病院とか大病院の患者さんの在院 期間というのは非常に短くなってきているのです。したがいまして、そういう患者さん のフォローアップをするというのは非常に難しい状況にあります。たとえそれが制度と して確立することがあったとしても、なかなかフォローが難しいのではないかと。これ は輸血後肝炎などのフォロースタディーをやった経験があればよく分かることですが、 そういう問題が一つありますので、患者さんの輸血後のフォローに余り大きな期待は持 てないのではないかと私は逆に思っているのです。  ただ、6か月間置いておいて副作用があったという報告が上がってきたらはねるとい う従来のやり方ですと、余り意味がないのではないかと。実際にすべて使った患者さん の追跡情報というのは10%か20%、恐らくその程度が来たら大ごとではないかという感 じもしなくはないのです。私は正確なデータは知りませんけれども、そういうことにな ってまいりますと、やはりそれ以外の方策、先ほどあったように検査だけのために2、 3か月後に来てもらうとかそういうことも含めたいろいろな方法を講じて、やはりクア ランチンという考え方で貯留保管ができる対策を講ずるべきではないかと思います。  それから白血球除去の問題について一点申し上げたいのは、平成18年4月といいます と今から2年3か月あるのですね。したがいまして、いろいろな事情があるのかもしれ ませんが、2年3か月というのは私は随分長い期間だと思うわけです。もしそれをもっ と短縮することに何か問題があるとするならば、何が問題なのかと。それに対して厚生 労働省等がどういうことを対策としてサポートできる部分があるのかと。やはりそうい うようなところを検討してもらう必要があるのではなかろうかと。メーカーサイドの方 の問題もあるかと思うのですが、これははっきりと国として導入すると決めれば、彼ら は彼らなりに頑張ると思うのです。その方針が明確でない限りにおいては、やはりふら ふらしていればメーカーサイドもふらふらするのは当たり前の話ですのでその辺を明確 にして、今すぐでなくてもいいですが、いつごろだったらこういう手順で導入できる と、そのための障害は何だということをやはり明確にしていただきたいと期待したいで すね。 ○溝口部会長  HBVの混入のときもバリデーションがすべての会社でオープンになっていましたの で、それに従ってこの部会では判断させていただいたわけですが、そういう形の判断が できる状況に血漿分画製剤はあるような気がします。そうしますと、それが全然できな いのが輸血用血液製剤であるので、そこの安全性を白血球除去も含めて、それからNA Tのサンプル数を減らすとかいろいろなありとあらゆる方法を考え、先ほど大平委員か らも御提案がありましたようなものを考えて、やはり輸血用血液製剤を優先して考える 方がよいように思いますが。部会長が余り意見を言ってはいけないのかもしれません が、ちょっとお聞きしていると優先順位という点ではそちらかなという気がします。こ の総合対策が立てられた大きなきっかけはこの前のHIVのことではないかと感じてい ますので、こういうことを申し上げるわけです。池田先生、どうですか。 ○池田委員  花井委員も言われたように、資料Eに出ている総合対策の検討項目というのはこれま でに大分議論されてきたものばかりで、要はどういう優先順位で具体的に何をやるかと いうこと一つにかかっているだろうと思います。ですから、やはり優先順位の議論は徹 底的にやるべきだと思いますし、保存前白血球除去というのはこれまで大分長い間議論 してきてその必要性は皆さんも認めているので、これをアクセルレートするのは非常に 必要なことではないかと思います。  それと同時に、やはりこれは医療現場でのガイドラインを作ったりしてもそうです が、こういう対策を講じたときにその結果として何が変わったかという、いわゆるアウ トカムをリサーチするストラテジーも同時に考えておいてほしいと思うのです。我々も 反省しているのですが、やはり日本はガイドラインを作ってもアウトカムリサーチが系 統立ってできていないということがあるので、こういう対策を立てるときにはやはりど の時点でどういうアウトカムをもたらしたかということも同時にアセスできるところま で行ってほしいと思いますので、是非対策を実現するための…。ですから、ある対策は かなり短い期間でアウトカムを見ていかないとその先に進めない、それからやはりある 対策は少し先へでもアウトカムを見ていくというように、その対策によって変わってく るだろうと思います。したがって、私は是非そのプライオリティーとアウトカムという 二つをやってほしいと思いますし、具体的には先ほど言いましたようにやはり保存前白 血球除去はこの中では非常に大事であろうと個人的には思います。 ○溝口部会長  いろいろ御意見が出ましたけれども、議題があと幾つか残っておりますので、この辺 で議論を終わらせていただきます。事務局はただいまいろいろ出た御意見を十分念頭に 置きまして、安全技術調査会、適正使用調査会でそれぞれ御検討いただき、次回の部会 に全体のフレームワークを提示していただきますようお願い申し上げます。また参考人 におかれましては、日本赤十字社における安全対策に関する取組の実施状況を適宜御報 告願いたいと思っております。  それでは次の議題に移らせていただきます。議題5は「血液製剤に関する報告事項に ついて」でございます。これは前回の血液事業部会などで報告された事例のその後の対 応状況等をまとめたものですが、事務局から御説明願いたいと思います。 ○事務局  それではF-1に基づいて御説明させていただきます。これは昨年来の様々な血液関 係の報道等を受けまして、安全技術調査会その他でいろいろと御検討いただいたものを まとめたものでございます。  「血液製剤に関する感染が疑われた事例等について」ということで、1ページから御 覧いただきたいと思います。まず「輸血用血液製剤で肺炎球菌の感染が疑われた事例に ついて」ですが、日本赤十字社の方でいろいろと調査いたしました結果、少なくとも血 液製剤により感染が生じた可能性は否定できないということですが、一方で患者のショ ックに対して輸血との因果関係がどの程度であったかについては確認できなかったとい う結論になっております。今後問診の強化、あるいは細菌を不活化・除去する方策の検 討を進めるということで日赤の方から報告を頂いております。  次に2ページの「輸血用血液製剤で緑膿菌の感染が疑われた事例について」でござい ます。「3.状況」にございますけれども、この件については日本赤十字社から地方衛 生検査所に検査を依頼した結果、基本的には保管検体においては菌が検出されなかった という結論が報告されたということで、やはりこちらについても輸血用血液製剤と緑膿 菌感染の因果関係は確認できなかったという結論になっております。やはりこの件につ いても細菌感染が疑われたということを受けまして、より問診を強化する、細菌を除去 ・不活化する方策の検討を進めたいということで報告を頂いております。  また3ページの「輸血用血液製剤でエルシニアの感染が疑われた事例について」でご ざいますが、「3.状況」の方でお話をさせていただきますと、まず日本赤十字社の報 告によりますと地方衛生研究所等複数の機関に依頼し原料血漿の基になる保管検体で検 査をしたところ、基本的にはエルシニアは陰性であったという結論でございます。ただ 一方で医療機関からの報告によりますと、輸血バッグに残留していた血液を検査した結 果、患者さんから検出された菌と遺伝子型が一致した菌が検出されたということでござ います。このように、この件については医療機関と日赤の検査結果に乖離があったとい う状況でございますけれども、基本的には日赤の考え方とすれば今回は因果関係の確認 までには至っていないということで報告を頂いております。本件についても少なくとも 問診強化策、細菌を除去・不活化する方策の検討で今後対応していきたいというのが最 終的な日赤からの報告でございます。  続きまして4ページの「輸血用血液製剤でG型肝炎ウイルスの感染が疑われる事例に ついて」でございますが、こちらの最終的な状況といたしましては、平成16年1月19日 の日赤からの報告でございますけれども、保管検体と患者検体中で一致したウイルスが 確認できたという状況でございます。ただ、参考にもございますように、基本的にはG 型肝炎ウイルスは肝炎を起こすことがないというのが現在の世界的な見識になっており まして、この方の肝障害の原因としてG型肝炎ウイルスがどの程度影響したのかという 点については、まだ調査が必要であるという報告を受けております。  続きまして5ページの「輸血用血液製剤でHIV感染が疑われる事例について」でご ざいますが、これはサーベイランスの方で上がってきた事例について調査をしたもので ございます。こちらについても安全技術調査会等で御議論いただいたところでございま すけれども、まず基本的に本件の問題点といたしまして、輸血を受けた後の検査結果は 確かにHIV陽性ということですが、輸血前の検体については保存等がされておりませ んので、輸血との因果関係については現状においてはまだ確定されていないという状況 でございます。エイズ動向委員会等の専門家からの意見についても、HIVの感染が輸 血用血液製剤によるか追求すれば、今後いろいろと患者のプライバシーに踏み込んでい く必要があるという問題点も指摘されている状況でございます。現在この使われた血 液、この方は8人の供血者からの血液を使っていたわけですけれども、この片割れの血 液製剤を使っていた方が御本人を含めて3名おられると。この方を除く2名については 現在いずれも感染していなかったと、陽転をしていないということで報告を受けている ところでございます。また、8名の供血者のうち3名についてはその後供血に来られた ということで、陰性を確認したという状況でございます。今後当該感染者のプライバシ ー、あるいは残り5名の供血者の方についてどうしていくか、また安全技術調査会にお いて引き続き検討を続けていきたいと考えております。  続きまして、「輸血用血液製剤でパルボウイルスB19の感染が疑われる事例について 」でございます。これについては事例の方にもございますように、輸血用血液製剤によ るパルボウイルスB19の感染の疑いとして、平成14年度に3症例報告されたということ でございます。この輸血用血液製剤については、日本赤十字社において今後献血時の問 診の強化、血清学的検査を実施し、ウイルスの混入をできるだけ少なくしていくことで 対応していこうということでございます。しかし、やはり現時点では完全に除去・不活 化することが困難な情勢にあるということでございまして、今後この輸血用血液製剤の 添付文書にも記載されているとおり、重大な副作用及び感染症としてその感染のおそれ について記載をし、医療現場に対して適正使用を呼び掛けている状況だということでご ざいます。  原料血漿については、やはり個別NAT陽性の原血漿の混入という問題が同時にクロ ーズアップされてきたわけでございますけれども、このB19については脂質エンベロー プを有しないということで、現在不活化に用いられている一番強力なSD処理が効かな いという非常に厄介なウイルスでございます。これについてはエタノール処理、加熱処 理、ナノフィルターは有効であるということで、現在その不活化について検討いただい ているところでございます。本件については引き続き安全技術調査会の方において、次 回以降この個別NAT陽性のB19に感染された場合の対応等について御検討いただくと いうことで、現在製剤を分画しております各社の方から安全に関する様々な資料、所見 等を頂いておりますので、そういったものをまとめまして次回の安全技術調査会の方に お諮りしたいと考えております。  続きまして「50プールNATのHCVすり抜けが確認された事例について」ですが、 やはりこれは平成15年12月12日、今回の遡及調査に伴い個別NATでHCVが1件検出 されたということでございます。供血者の状況等についてはここに書いてあるとおりで すけれども、今回供血を受けた患者さんについては輸血前検査でHCV抗体陽性を示し ており、輸血後は特に肝機能に影響はなかったということでございます。現時点におい て原疾患の胃癌により死亡されているということで、この輸血を受けた患者さんについ てはこれ以上の検査は難しいという状況でございます。  続きまして9ページでございますが、この部会においても先ほど来話題になっており ますけれども、昨年の12月29日緊急に運営委員会を開催いたしまして御報告させていた だいた事例でございます。この件については、昨年11月16日に供血された献血者の方が 陽転をしていたのですが、前回5月に供血いただいたということで、現在日赤で行って おります遡及調査の対象となって遡及調査を行ったところ、FFPとMAP、そして原 料血漿が造られていたということでございます。MAPと原料血漿については廃棄等な されておりましたけれども、FFPが1名の患者さんに輸血されていたということ。そ してこの方の血液検査の結果、HIV陽性が確認されたというわけでございます。ただ この受血者については、この医療機関においては輸血部の常勤医師がおられたこともあ って、この方の御判断で輸血前の血液がたまたまきちんと検体として保管されていたこ とが確認されておりまして、その保管検体を調べたところ陰性であったと。そういった 意味で、輸血後に陽転したことが非常に明確に検査としてすぐ分かったものでございま す。この件については、現在日赤の方で先ほど来お話しいただいておりますような安全 対策につなげていただいているところでございます。併せて日本赤十字社の方からこの 検体の遺伝子型等の報告を頂きまして、基本的には一致をしていたということでござい ます。詳細は資料F-2にございますので、また御参考にしていただきたいと思います。  続きまして12ページの「感染症定期報告制度について」ということで、これは部会の 方でも何度か御報告させていただいたところでございますが、薬事法の改正を受け生物 由来製品の製造業者等に対して感染症に関する製品との関連が否定できない症例の研究 報告についての報告を義務化したものでございます。これについては現在運営委員会の 方で御覧いただきまして、問題のある事例については安全技術調査会等で審議すること になっております。  概要については次のページ、そのまた次のページ等に大体示しておりますけれども、 今回ちょっと問題となっておりますのが16ページにございます。この症例ですが、アル ブミン製剤を用いた患者さんでC型肝炎の抗体が陽転したということで御報告がござい ました。この件についてはその後製薬メーカーの方の調査において、患者さんの血液に ついてNAT検査を行った結果陰性であるということもございます。ただ、それで終わ りということではございませんで、現在この製薬メーカーにおいて引き続きこの患者さ んのフォロー等を含めた情報収集を行っているということでございますので、またその 報告を受けた上で安全技術調査会等に結果をお諮りしたいと考えております。  そして17ページ以降でございますが、現在平成15年度の需給計画に基づいて各製薬輸 入業者等に製造輸入をしていただいているところでございますけれども、アルブミン製 剤等の月ごとの輸入製造等の状況でございます。現在需給については過不足等なく、問 題なくいっているという状況でございます。以上でございます。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。今の御説明に関しまして、参考人から何か補足する ことはございますか。 ○参考人  特にはございません。 ○溝口部会長  それでは委員の方々、何か御質問か御意見ございますでしょうか。ただいまのHIV の感染の例でFFPを6か月保存すればそれで防げるかどうか…、ぎりぎりですね。そ れからもう一つは20検体NATにすればという、いわゆる改善点をやった場合にそれを 防げたかどうかということですが、いろいろ改善点を御提案されましたね。 ○参考人  ウイルスのコピー数に関しましては50コピー/mL以下ということで、個別でもぎりぎり のところですので、20プールにしても検出はできないものだと思います。 ○溝口部会長  清水先生、さんざん議論されたようですが、何かありますか。 ○清水委員  特にございません。 ○比留間委員  一点だけいいですか。多分このケースは6か月の貯留保管をすれば防げたと思うので す。ただ、ではこの人はなぜ11月16日に来られたのか考えたら、たまたま16日に来ただ けであって、別に6か月以内に来てくださいと言われて来たわけではないので、これで 6か月間貯留保管したらこの例が救われたと考えるのはちょっと楽天的過ぎると思いま す。 ○溝口部会長  ほかに特にございませんでしょうか。なければ大分時間も押し迫っていますので、事 務局と日本赤十字社におかれましては引き続きこのような事例に関する調査と安全対策 を進め、その進捗状況を適宜報告していただきたいと思います。よろしくお願いいたし ます。  最後ですが、議題6の「供血者からの遡及調査の進捗状況について」に移らせていた だきたいと思います。これは日本赤十字社が昨年6月から厚生労働省の指導に基づき実 施しているものでございます。事務局から御説明願いたいと思います。 ○事務局  それでは私の方から資料G-1に基づきまして、御説明をさせていただきたいと思い ます。現在の進捗状況ですが、昨年6月12日の血液対策課長通知に基づき、日本赤十字 社においては遡及調査を実施しております。1月13日付けで事務連絡を発出いたしまし て、この部会の方に本日資料を御提出いただいたものでございまして、2ページ以降で 現在の進捗状況をサマライズしていただいております。10月31日現在遡及しました血液 製剤の本数ですが、まず対象期間ア.平成11年4月1日〜平成14年6月12日までのもの が17,056本、イ.平成14年6月13日〜平成15年7月21日までのものが6,419本、そして ウ.平成15年7月22日〜平成15年10月31日までのものが1,457本と、これだけのものが対 象本数として把握されております。現在日本赤十字社においては全社を挙げて取り組ん でいただいておりまして、上記のうち個別NATを実施した本数でございますけれど も、ア、イ、ウそれぞれ足したものが10,863本。そしてHBV、HCV、HIV、これ はそれぞれ重複例がございますので必ずしも合計が一致しておりませんが、16,851本分 実施しております。ただ、こちらは集計日が12月4日となっております。資料を御覧い ただきますとこれはそれぞれ集計日がバラバラでございますけれども、私どもの指示と して、現時点において日付ごとの細かい本数を1本1本縦横本数をきちんとそろえて集 計で間違いのないようにという指導を行うより、やはり現在日本赤十字社において行っ ている遡及調査を優先してやってほしいということでございます。ですから、現在にお いて多少集計日がばらばらである、あるいは縦横足して合計が一致しない点は多々ござ いますけれども、この点については最終的に遡及調査が終わった時点で正確な本数を報 告していただくことにしておりますので、そういった縦横の数字が合わないといった程 度のことについては、ちょっと御容赦いただきたいと考えております。  陽性判明本数でございますが、HBVが159本、HCVが2本、HIVが1本、合計 162本陽性が判明したということでございます。最終的にこの受血者の陽転又は非陽転 が判明した件数が4本となっておりまして、HBs抗原陽転2例、HBs抗体陽転2例 ということですが、これは集計日が4日となっておりますので先ほど申し上げたHIV すり抜け事例は含まれておりません。それを入れればプラス1ということになると思い ます。  4ページ以降については、いろいろと遡及調査対象者の前回との献血間隔等をまとめ たグラフを付けておりますけれども、これについても最終的な報告を頂いた時点でまた いろいろと御議論いただければと考えております。現在の回収状況等については11ペー ジを御覧いただきたいと思います。  それから今回問題となっておりますのは個別NAT陽性事例、あくまでも輸血用血液 製剤ということで実施していたわけでございますけれども、一部個別NAT陽性の原料 血漿が発見されたということで前回の部会でも御審議いただいたところでございます。 この部会の結論を受けまして、12ページに4課長連名の通知ということで血漿分画製剤 のウイルス安全対策をまとめさせていただいておりますが、これを受けて現在各メーカ ー等において対応していただいているということでございます。結論としましては、個 別NAT陽性が判明してもHIV、HBV、HCVについては基本的にウイルスバリデ ーション値がそれぞれ9以上のものに関しては、特に差別的な対応を採る必要はないで あろうということでございまして、現在各メーカー等においてはこのバリデーション値 が9未満の製品について、評価その他を実施していただいているところでございます。 現在多くのものについてこのバリデーション値を再度測定し直していただいておりまし て、以前の技術で造ったものは検出できるウイルス量が非常に多かったということで、 新しい技術で測り直しますと従前であれば不等号を付けていたところが正確に下限値が 下がったということで、現在の技術で測り直すだけでバリデーション値が上がっている ものが多々あるという状況でございます。そういった件についても現在各メーカーの方 で対応していただいておりますので、まとまったところでまた御報告させていただきた いと考えております。一応私の方からは以上でございます。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。それではこれに関して、参考人から何か補足するこ とはございますでしょうか。 ○参考人  遡及調査については特にございません。 ○溝口部会長  委員の皆様、何か御意見ございますでしょうか。それでは事務局は是非このような血 漿分画製剤の安全対策を徹底するよう、各社への御指導をよろしくお願いいたします。 また、日本赤十字社におかれましても引き続き遡及調査を進め、この進捗状況を適宜報 告していただきますようお願い申し上げます。  最後の議題7は「その他」ですが、何かございますか。 ○事務局  それでは議題7は参考ということで本日資料を添付させていただいておりますが、ま ずNATガイドラインの件でございます。お手元にお配りしておりますのは先週1月20 日に開催された安全技術調査会で資料Eとして配ったものでございます。これについて は安全技術調査会において提示をし、現在各委員から御意見を集め、最終的に案文とし てまとめていこうとしているものでございます。現在御意見を取りまとめ案文にする作 業を事務局の方で実施しておりまして、最終的には各企業の方にも御意見を伺う予定に しております。  続きまして「輸血用血液等の遡及調査に関するガイドライン(素案)」ということで、 これもやはり同じく前回の安全技術調査会に日赤から提出された資料でございまして、 こちらも日本赤十字社の案ということで頂き、これを安全技術調査会、最終的にはこの 部会の方にお諮りし、日本赤十字社が行う遡及調査のガイドラインとして適切なものに なるようした上で日赤の方にお返しをしようと考えております。  それからもう一つ報告でございますけれども、御案内のとおり昨年末米国においてB SEのウシが1頭発見されたということで、現在お手元に各都道府県知事あての医薬食 品局長通知が置いてあると思います。「米国産のウシ等由来物を原材料として製造され る医薬品、医療用具等の自主点検について」という資料ですが、血液製剤、特にリコン ビナント製剤については一部ウシ由来製品を使っている事例がございますので、現在メ ーカーにおいてこの自主点検をしていただき、その所見について報告を頂いたところで ございます。締切りは1月9日ということで、現在関係ある医薬品についてはすべてこ の自主点検等の報告を頂いておりますけれども、何分にもウシ等由来物を原材料として 製造される医薬品については、血液製剤に関係するもの以外にも多々ございますので、 現在担当課の方において頂いた報告に基づいて急ぎ内容を審査しているという状況でご ざいます。またこちらについても、審査状況等について逐次御報告させていただきたい と考えております。 ○溝口部会長  どうもありがとうございました。以上で準備した議題はすべて終わりですが、それで はこれで本日の部会を閉会させていただきたいと思います。皆様、御協力ありがとうご ざいました。  次の部会は3月中に開催いたしますので、事務局にはそれまでに総合対策のフレーム ワークを取りまとめていただきまして、この部会に提出していただきますようお願い申 し上げます。日程の詳細はおって御連絡申し上げます。本日はどうもありがとうござい ました。                                    ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 血液対策課 課長補佐 中山(内線2905)