04/01/26 第8回社会保障審議会介護保険部会議事録          社会保障審議会 第8回介護保険部会議事録 1 日時及び場所 : 平成16年1月26日(月) 13時から15時           厚生労働省省議室 2 出席委員:貝塚、上田、青井、市川、漆原、小川、木村、見坊、下村、田近、        永島、中田、秦、花井、山崎、喜多、京極、山本の各委員        大村、潮谷、矢野の各委員は欠席 3 議題:給付の在り方 ※山崎総務課長より開会の挨拶 (中村老健局長)  介護保険制度改革に省を挙げて取り組むべく、1月8日に介護制度改革本部を設置し た。本部会に審議をお願いしているが、我々も鋭意準備を進めながら、部会の審議を受 け、成案を取りまとめてまいりたい。制度見直しについて様々な報道がされており、一 部の報道の中には、内容があたかも固まったかのような報道ぶりも見受けられ、部会長 をはじめ委員の皆様、市町村の方にはいろいろな意味で御心配をおかけした。おわび申 し上げたい。  部会の審議を踏まえた上で厚生労働省としての案を取りまとめていきたいという方針 に変わりはない。できれば3月以降取りまとめの方向で審議いただき、夏前に取りまと めていただけたらありがたい。混乱が生じないよう、事実と異なる報道があればその都 度、老健局としてもコメントを発表しており、この場を借りて御報告させていただきた い。 (青井委員)  今回の新聞報道は極めて意図的というか、問題がある報道だと思う。制度の見直しに ついて本部会で議論しているにもかかわらず、議論の俎上にあがっていないことが報道 されることは、本部会を軽視したものであり、委員として大変残念。財務省の意見とし て負担を2割、3割にするという報道があり、利用者から「ケアマネジャーから、今の うちに認定を受けて福祉用具を借りておいた方がいいですよと言われているが、2割、 3割負担の報道は本当なのか。日本医師会として承認したのか。」という質問があっ た。このような国民を不安に陥れるような報道は行ってもらっては困る。医療保険で は、中医協で議論されていないうちに5%マイナスの報道が財務省から出たが、民意を 誘導したのではないかと危惧している。民意を誘導するようなことのないよう気をつけ て欲しい。 (貝塚部会長)  本部会は公開しており、たくさんの人が聞いている。ここで議論をされていること以 外は、本部会は関知しないということであって、そういうものと理解している。 ※渡辺企画官より資料2、資料3、資料4に沿って説明 (永島委員)  痴呆は、施設で重い介護度を持っている人たちのイメージが強いと思うが、多くは居 宅で家族の介護を受けている。その割に、家族を含めて世間一般では痴呆のことがよく 理解されていない、適切なケアの方法を知らない、というのが現状ではないか。  痴呆における障害は、1つは生きる機能の障害、2つ目が人間らしく生きる機能の障 害、3つ目が自分らしく生きる機能の障害である。いわば、人間の基本的な精神機能に 関わる障害である、という認識を持つことが痴呆を理解する大前提である。  痴呆は、健常に成長した人として備わった知的な機能が、痴呆という病気によって失 われていくことが特徴である。今まで普通の生活をしていた人が、日常生活にも支障が 起こるほどの物忘れや事柄の認識ができないことが起こるのは、家族や周囲にとっては 信じられない出来事だ。介護保険の給付でも、身体機能の障害を持つ人とはメニューが 違って当然と言えるのではないか。要介護認定の仕方も変更されるべきと考える。  痴呆の場合、家族や周りの人を含む社会一般が痴呆の人の日常生活を理解し、本人の 不安な気持ちや混乱状態をなだめることが、痴呆の介護予防だと思う。今まで論議され ていたような身体介護の介護予防とは別立てで考える必要がある。また、本人の判断や 記憶をサポートし、頭の代わりをする介護が長期に必要であり、見守り支援のサービス メニューは是非欲しい。不適応な対応による暴力やパニック、御飯が食べられなくなる などの急な変化で介護者がギブアップしてしまう。このような緊急時に対応できるショ ートステイが必要である。耐えられないから施設にお願いする現状があるが、ここをし のげばまた在宅で生活できる。家族は、ケアは専門職にお願いしても、精神的には家族 としてのつながりを持ち続けたい。家族がグループホームに出入り自由といった意識改 革をしていけば、大きな施設のケアにも影響を及ぼすと期待している。グループホーム での終末介護を望む声が看護の方からも出ている。訪問看護の活用を含めて、是非検討 いただきたい。 (小川委員)  ケアマネジャーの担当件数は、40人程度として欲しい。事業者として自立できる条件 整備を図っていただきたい。事業所の管理者が介護支援専門員の資格を有するようにし て欲しい。事業所の管理者が介護支援専門員の仕事に理解がなく、ケアマネジャーが自 分の管理者に配慮してサービスを多く組み込まなければいけないのは本末転倒である。 運営基準を見直して、業務範囲の明確化と業務作業量を効率化して欲しい。  ケアマネジャーの質を高める方法として、国家資格として専門性を確立し、職種とし ての社会的地位を位置づけて欲しい。レベルの格差が非常にあるので、レベルを高める モチベーションとなる条件を作って欲しい。ケアマネジャーにも賛否両論あったが、件 数をいっぱい持たないと自立できない、これで利用者本位のケアマネジメントができる のか疑問があるので、居宅介護支援の費用を介護保険の財源から充てることがいいのか どうか考えなければいけない。減算してサービスを高めようとするのでは事業者の元気 は出てこないので、ポジティブな評価をお願いしたい。  養護老人ホームの機能は重要であり、施設の機能や役割の見直しを図っていただきた い。  保険者である市町村の権限を拡大して欲しい。地域を尊重する利用者のための保険と して機能することを強く要望したい。日本の福祉を整備するに当たって、財源の配分に ついて、国、都道府県、市町村の中間組織的な機能である社協、福祉公社、社会福祉法 人が今の時代にマッチしているのかどうか、特に社協の在り方は見直すべきである。  痴呆ではない人や痴呆の軽い人へのサービスが足りない。ヘルパーが予防介護や痴呆 の入り口の人への介護に携わっている。 (中田委員)  特別養護老人ホームは、7割近くが家庭外の介護保険施設や病院・診療所から入所さ れている。この傾向はこれからも拡大していくだろう。退所の66.3%が死亡であり、他 の介護保険施設に比べて圧倒的に多い。このような状況を踏まえて要望する。  ターミナルケアを特養で行う場合の医療との連携や体制確保の在り方など条件整備を 進めていただきたい。4人部屋・大きな食堂などの環境は入所者にとって在宅での暮ら しとの落差が大きい、という表現が資料にあるが、入所者の実態は家庭からは3割であ り、ほとんどが施設、病院・診療所からきている。これからは特別養護老人ホームの施 設整備は個室ユニットを基本にすることがうたわれているが、実態と合わないのではな いか。  一昨年10月からは優先入所という形で、入所者は要介護4、5といった重度者が多く なった。この現状を踏まえ、これからの施設整備が小規模生活単位型一本でいいのか疑 問を持っている。既に先行している小規模生活単位型の施設の方から、緊急時の対応や 病状急変時の対応が非常に難しいとか、通院介護がなかなかできないとか、職員の勤務 条件や労働条件が非常に厳しいという問題が提起されている。個別ケアへの取組を否定 しないが、そうした条件整備も十分踏まえた上で進めていかなければいけない。  通所介護は、集団でのレクリエーション活動が中心という指摘がある。OT・PTを 配置して個別リハビリをしても評価されないので、運営基準や報酬評価を見直して欲し い。  養護老人ホームは要介護者の入所割合が非常に多いが、養護老人ホームの場合、要介 護者が保険料を払いながら介護サービスを受けられないという問題があり、前向きに取 り扱っていただきたい。また、あわせて住所地特例を養護老人ホームにも適用して欲し い。 (京極委員)  養護老人ホームは生活保護施設から独立して老人ホームになり、措置制度の下にあっ て介護保険から取り残された部分である。介護予防や軽度の介護給付ということを考え た場合、介護施設に準ずるという考え方もあり得るのではないか。  給付の在り方については、給付側の努力として事業者はいろいろやらなくてはいけな いが、サービスを受ける側の国民も、なるべく要支援、要介護にならないとか、介護度 が軽くなるように努力するとか、精神的なことを謳わなければいけないのではないか。  在宅介護に障害者が将来入ってくることも考えられるが、住宅改修や福祉用具の積極 的な活用ということで、ハードケアマネの確立を考えていくべきだと思う。  配食サービス等の保険外のサービスとの連携について、地域でいろいろな取組をやっ ており、市町村の努力は大変なものがある。介護保険の給付対象にするかどうかは別の 議論だが、法的な位置付けをきちんとしておいた方がいいのではないか。 (山崎委員)  本会の調査において点滴などの医療処置が必要な人は老人福祉施設の6割くらいいる というデータもあり、医療処置が必要な入所者が増えている。福祉施設における医療と の連携についてきちんと議論いただきたい。  軽度の人への生活援助の問題は、ケアマネジメントに課題がある。島根県での研究員 の研究では、要介護度の軽い人は、立ち上がりや下肢の機能から落ちていく。家事援助 だけが使われていたのでは、ちっとも介護予防にはならない。むしろ通所や社会性を拡 大するようなサービスが軽度の人には必要だ。一方、重度化では、摂食や排泄など内臓 的機能から落ちていく。具体的にどういう機能から落ちていくかが検証されているのだ から、ケアマネジメントとケアプランを科学的なエビデンスに基づいてきっちり検証す る仕組みにしないと、単にケアマネジャーの資質向上といっても無理である。  訪問看護サービスの伸び悩みが全国で大きな課題になっている。実際には在宅でも医 療処置の必要な利用者が増えており、重度化対応のためにも、訪問看護が24時間利用で きる仕組みが報酬的にも必要ではないか。本会で調査した速報では、訪問看護ステーシ ョンの78%が緊急時訪問看護加算を取っているが、02年9月と03年9月の収支を見ると マイナス5.6%であり報酬改定後、経営が非常に厳しくなっているので、ぜひ見直して 欲しい。  家族支援については、ケアマネジャーが担当する人数の上限見直しが必要だろう。ケ アマネジャーが相談に答えられない分を訪問看護や訪問介護のスタッフが対応している こともある。家族形態でサービスに違いがないとか、家族支援はレスパイトだけでいい のか、といったことの見直しも必要ではないか。  障害者の問題は、支援費がまだ1年たっていない中、財源論からだけでドッキングす ることが本当に良いのかと感じる。支援費制度に変わるときの国会の議論で、国が負担 しなければならない役割から、補助できるという規定に変わることで、国の役割が後退 するのではないかという意見もあったように記憶している。もう少しきちんとした議論 が必要なのではないか。改革本部が設置されたが、事務方の準備が進められ、我々が追 認するだけであれば、本部会の使命は何なのか。制度見直しの議論が財政的な動機のま ま進められることは、利用者本位という介護保険の本則にも関わるものであり心配して いる。 (青井委員)  施設利用者の重度化の問題については、医療保険では医療機関が機能分担化されてお り、その流れに沿った形で介護保険も考え直す必要があるのではないか。 (木村委員)  グループホームは、介護保険事業計画で施設数、ベッド数を規定されていない。地元 の青森県は、長崎県に次いで人口当たりのグループホーム配置が進んでおり、次回の保 険料改定では、これがきっかけで大幅に保険料が上がるだろう。ケア会議で痴呆がある からグループホームの入所を断られたと言われたという事例すらある。営利法人がアパ ート経営の感覚でどんどん地主さんにやらせている。都道府県か市町村が適正な配置と いうことでセーブしていかないと保険料との関係で大変なことになるのではないか。  配食センターについてアイデアを出したい。学童数が減って、小中学校の給食センタ ーが空き状況になっている。そこで調理して、配送するシステムにすれば、食をつくる ところの再投資のお金が少なくて済むのではないか。小規模多機能型とも関係するが、 空きアパートなどを利用して、ショートステイ単独の事業ができるようにし、できるだ けショートステイを計画的にも緊急的にも対応できるようにする必要性を感じた。  全国介護支援専門員連絡協議会で個人介護支援専門員に実務実態のアンケート調査を し、1871例回収された。次回詳細を報告する。 (漆原委員)  在宅と施設のバランスは何度も議論になっており、おおむね生活に関わる費用は施設 サービスでも負担いただくという議論がされている。私たち施設側としてもおおむね賛 同できる。施設利用を重介護の人に限定する意見があるが、老健施設の場合、他の施設 サービスと異なった立場で運営してきた経緯がある。単独世帯や老老介護などの実態も 進行しており、一律に施設入所が重介護の人に限定するという流れは再考いただきた い。  施設から在宅にお帰しするときに、食事の問題は非常に大きな課題になる。同居家族 がいても、3回3回食事を提供することは在宅生活への大きな阻害因子になっている。  ショートステイは在宅サービスの一つとして利用され、福祉施設はショートステイベ ッドが確保されるが、老健施設は入所ベッドとショートステイベッドの基準の仕切りが ない。ショートステイを短期の入所と扱っていただけると非常にやりやすい。入所者の サービスとショートステイのメニューが少し変わっているので、整理いただければあり がたい。 (見坊委員)  介護保険制度が第2期に入ったが、その実態はよく見えないことが多い。県より市町 村の介護保険の担当者に、審議会で問題になっていることについてどう考えるかを随分 尋ねる。一番分かりやすく実態がはっきり見える人口規模は、2万人から3万人くらい の町と市であり、予算規模は介護保険で9億円とか10億円であるが、そうした町と市に 聞いてみると、私と同様のことを思っているので申し上げたい。  この部会が始まった段階で、不正請求の問題を申し上げた。介護保険が不正だらけで あるように見えてしまっては信頼を失うことになりかねないと思い、発言には注意して いるが、実際には水増し請求と言った方がいいような感じがする。東京、京都といった 大都市では、はっきり悪質な確信犯の不正請求がある。制度の盲点を突いてやってお り、何としても排除しなくてはいけない。厳しくチェックすると請求額が全体として減 るという。ホームヘルパーが訪問する家庭に端末機を置いて、ホームヘルパーが行った ときに持っているカードを通すというシステムを導入した自治体では、請求額が2割減 った。原因は正確には追求できないが、はっきりデータとして現れている自治体があ る。  制度創設の議論のときに、そこを問題にした。善意に基づいた仕組みだから、チェッ クのしようがない。ないから不正の業者も出るが、若干の水増しをやっていてそれが膨 れ上がる場合がある。  高齢者自身も不勉強で、事業者も「あなたは1割の負担でこれだけのベッドが借りら れるんですよ」という言い方をする。立派な30万円のベッドがわずか1割の負担でい い。しかし、あとの9割は他の人が払っている保険料なわけです。そこを問題意識とし て持たなければいけない。介護保険は皆1割負担で大変結構だというふうに思わせては いけないし、この貴重な財源を大事に使って制度疲労を起こさないようにしなければい けない。人口2万ちょっとのところに聞いたときも同じことを言っていた。制度の見直 しの際、この制度を信頼するに足るちゃんとチェックできる制度にしてほしい。  介護保険についてどんなパンフレットやPR資料を作って住民に配布しているかを聞 くと、きちんと作っているところは必ずしも多くない。自分の町の国民健康保険の実態 について、何人高齢者がいて医療費がどのくらいかかっているか、県全体の平均や全国 平均と比較して我が町はこうですと書いているところもある。介護保険も同じように作 ることが望ましいわけで、私が聞いたところはちゃんとやっていた。介護保険の基準額 は幾らから幾らになった、その理由は何か、サービスの事業ごとに何に向けて、平成17 年にはこのくらいの段階に入ります、だから保険料はこう決まりました、ということを やっている。  私が大変いいと思ったのは、介護保険のPR資料の中に、我が町は独自のサービスで こういうことをやっている、だから介護保険だけで解決しないと思わないで欲しい、と いうことをきちんと示していることである。介護保険が万能じゃない。介護保険は最小 限度貴重な財源を使って、必要で専門性のある介護の社会化のサービスにシフトする、 第2期はそれをしっかりやろうということで、福祉サービスとして配食やおむつの支 給、病院に行く場合の移送や生きがい活動の支援事業、ミニデイサービス、NPOも利 用できます、ということを書いて、自分たちの町の福祉サービスをきちんと示してい る。  ある程度のサービスの重点化は必要だと思う。限りある財源と保険料でやるのであれ ば、自分の努力でできることは自分でやる、どうしても専門家の手を借りなくてはなら ないところを介護保険にお願いする。福祉タクシーのことも慎重にやってほしい。何で もかんでも介護保険に入れればいいのではなく、まず介護保険で定着できるサービスに 仕上げた上で、第3期に向かって見直しをやっていただきたい。 (下村委員)    マスコミでいろいろ予測した形で報道されるのは止められないと思う。青井委員の意 見はよく分かるが、本部会の議論が一般の予想より遅れぎみなので、マスコミは待てな くて先に書いてしまうことが起こるのだと思う。  介護保険料の決定は国民の重大な権利義務に関連するので、本部会の議論が尊重され ないことがあってはならないし、この近代国家で保険料が国民と全く無関係な形で自動 的に毎年上がるなどということが、本当に許されるのかを聞きたい。健保組合は16年度 の予算編成をやっており、医療の保険料は診療報酬改定もありそれほど下がっていない ようだが、改定引上げはないが、介護の保険料が1割くらい上がりそうだということで 大変驚いた。デフレだから賃金があまり上がってない組合が多く、介護保険料が1割上 がるのはかなりこたえる。  介護保険は善意に依存しているところがある。一度利用すれば便利であることに気づ くと思うし、確かに評判はいい。しかし、そこは本当はケアマネジャーなどがしっかり やってもらわなければいけないのだが、ケアマネの質をどうやって上げるのかについて 具体的に詰めた議論がない。質を上げなければいけないことは誰でも認識しており、小 川委員には悪いが、現場でいろいろ発言されるのならもう少し具体的な提案が欲しい。  重度とか重症とかで本当に困ったときに介護保険が助けてくれるのが良いと思ってい る人が多いことは確かなようだ。軽い方はできるだけ自分で努力してくださいという考 え方は分かる。ただ、軽いときでも家族構成などでいろいろ困る場合も出てくるから、 必要なときに必要な人に必要なサービスを提供する、ということが保障されないと困 る。  予防については、客観的な評価基準がないと思うので、やるならば何か評価と組み合 わせたやり方を考えていくべきである。現在の介護保険は、介護のサービスを給付する のであって、予防は給付しないのではないのか。予防も給付すると法律に書いてあるの か。それとも今度拡大しようと言っているのか。そこをはっきりさせて欲しい。予防を やるのであれば、評価の問題と合わせてもっと明快で具体的な議論が必要である。  医療サービスを体系的に作ろうという考え方があり、特養に医療施設から入ってくる 人も増えている。どういう人が介護にいけばいいのかという全体としてのサービス体系 をきちんと考えていくべきである。また、それに応じた報酬の体系を考えるべきであ る。  家事援助などについて、どこまでが客観性のある必要なサービスであるのかが分から ない。その辺に介護保険は一番問題がある。できるだけ客観性のあるサービス体系や報 酬体系を作っていく必要がある。その場合にケアマネジャーがカギとなる。介護保険 は、介護サービスに必要な時間によって介護度を分けているが、この仕組みでは、軽い 人でも丁寧な介護サービスを提供すれば要介護度が上がってしまうのではないか。AD Lなどいろいろあるのだろうが、医学的な診断より確かではないと思う。業者にとって も経済的に利益があるし、利用者も我慢しなければ等級が上がって給付が増えて楽がで きる誘惑がある。そこを本当に防ぐことができるのかが分からない。そこをもっと詰め て議論すべきである。 (山崎総務課長)  介護保険法に関する質問については、第2条第2項において「保険給付は、要介護状 態の軽減若しくは悪化の防止又は要介護状態となることの予防に資するように行われる とともに、医療との連携に十分配慮して行われなければならない」とされている。ま た、要支援者に対するサービスは、法律で「予防給付」と規定されており、法制的にも 予防そのものを念頭に置いたサービス体系となっていると考えている。ただ、それが実 際に機能しているかどうかについて議論があり、この内容をどう考えるかをまさに本部 会で議論いただいていると理解している。 (下村委員)  今の議論だけでは疑問が残る。非常に重要な点だと思っており、十分議論をさせてい ただきたい。 (秦委員)  介護保険が創設された時に、介護保険は自立支援保険だと言われた。基本的にはケア マネが無駄なサービスをやめて介護度を下げるようにする。ケアマネの指導について、 もう少しはっきりしたものを出していった方がいい。ケアマネにかなり厳しい指導要領 を作り直してやった方がいい。それが上級ケアマネをやる場合にも基本になると思う。 (花井委員)  利用者ごとに訪問介護計画を作成することになっているが、サービス提供責任者とケ アマネジャーがきちんと機能しているのかが分からない。  深夜加算の請求回数が非常に少ないが、24時間体制をとっている事業者が少ないの か、それとも需要がないのか、教えていただきたい。  訪問リハで要支援の人の要介護度が改善されないということが言われているが、サー ビスの中身を検証する必要があるのではないか。  ショートステイから帰るとおむつになっているとか、骨折したまま出てきたとか、シ ョートステイの在り方やサービスの内容を検証する必要があるのではないか。  福祉用具の購入と住宅改修について、都道府県が事業者を指定すべきではないか。特 に住宅改修について、全く合わないので大変困ったという消費者センターへの相談の資 料がある。事前チェックする仕組みを入れる必要があるのではないか。  3施設の役割を明確にしていくことになると思うが、療養型を今後も続けるのであれ ば、経過措置を期限を切って撤廃することを検討すべきではないか。 (小川委員)  痴呆高齢者研修センターを出た人が都道府県に戻ってからのフィードバックが非常に 弱い。受講者が研修センターに質問しても継続性を持った答えが得られないこともあ る。研修センターの機能について、報告いただきたい。  ターミナルケアを理解している医者も少ないのではないか。グループホーム、特養ホ ームでもターミナルケアは深刻な問題になっている。 (青井委員)  医療保険の流れで切れ間ないサービスを受けられるよう、中医協で療養型の機能につ いて慢性期疾患病棟の検討やアンケート調査等しているので、そういう資料等も整えた 上で議論いただいた方がいい。軽々にここで結論を出さないようにお願いしたい。 ※ 貝塚部会長より閉会の宣言。 照会先  老健局総務課企画法令係  TEL03-5253-1111(3909)