03/12/19 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会表示・新開発食品調査合同部会議事録             薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会             表示・新開発食品調査合同部会議事録 1.日時 : 平成15年12月19日 (金)   午前11時00分〜12時47分 2.場所 : 経済産業省別館 1028会議室 (10階) 3.議事  (1)栄養機能食品の栄養成分の追加について   (2)その他 4.出席者  (委員)五十嵐委員、板倉委員、小沢委員、合志委員、豊田委員、長尾委員、      丸井委員、村上委員、和田委員、池上委員、池田委員、石綿委員、      井藤委員、大野委員、清水委員、斎藤委員、      田中委員、中澤委員、中村委員、米谷委員、山田委員  (事務局)尾形新開発食品保健対策室長 5.議事内容 ○事務局  それでは、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会表示・新開発食品調査合同部会を開 催致します。  本日は、お忙しいところ、御参集頂き、厚くお礼申し上げます。  本日は、海老沢委員、垣添委員、熊谷委員が欠席でございますが、過半数に達してお りますので、本日の合同部会が成立致しますことを御報告致します。  本日の議題でございますが、「栄養機能食品の栄養成分の追加について」、御審議を お願い致したいと考えております。栄養機能食品制度は、栄養成分の機能の表示に関す る制度でございまして、表示部会・新開発食品調査部会、双方の所掌にまたがるもので あることから、今回、同制度の対象となる栄養成分の追加に当たり、合同部会の形で御 審議頂くこととさせて頂きます。  それでは、まず資料の2枚目の方を御覧下さい。ここに表示部会・新開発食品調査部 会の委員の一覧がございます。薬事・食品衛生審議会が発足して初めての合同部会とな りますので、恐縮でございますが、事務局より委員の御紹介をさせて頂きます。お名前 の方をお呼びするだけで御紹介とさせて頂きますので、よろしくお願い致します。  それでは、表示部会の方から丸井部会長、五十嵐委員、板倉委員、小沢委員、合志委 員、豊田委員、長尾委員、村上委員、和田委員でございます。  続きまして、新開発食品調査部会の方でございますが、田中部会長、池上委員、池田 委員、石綿委員、井藤委員、大野委員、斎藤委員、清水委員、中澤委員、中村委員、米 谷委員、山田委員でございます。  本日の合同部会につきましては、事務局からの提案で恐縮でございますが、座長を新 開発食品調査部会長であります田中委員にお願いするということでいかがでございまし ょうか。                  ( 拍手 ) ○事務局  ありがとうございます。それでは、田中委員、以後の進行につきまして、座長として よろしくお願い致します。 ○田中座長  国立健康・栄養研究所の田中でございます。私がこの合同部会の座長を務めさせて頂 きます。  それでは、これより合同部会の議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとして下 さい。報道関係の方は傍聴席にお移り頂くようお願い致します。  各委員の御協力を得まして、円滑に議事を進行致したいと存じます。  それでは、早速ですが、事務局から配付資料の確認をお願い致します。 ○事務局  それでは、配付資料の確認をさせて頂きます。  本日の資料として、1枚紙でございますが、「栄養機能食品の栄養成分の追加につい て(案)」という横書きのものがございます。参考と致しまして、以下、関連条文、そ れと薬食審の報告書、そして、食品安全委員会からの回答と保健機能食品制度について のパンフレットがございます。それと、当委員会への諮問書ということでございます。  以上でございます。 ○田中座長  ありがとうございました。先生方、今の資料、揃ってございますでしょうか。もしな ければ、審議の間でも事務局に申し出て頂きたいと思います。  それでは、審議に入らせて頂きます。  まず、資料について事務局より説明をお願い致します。 ○事務局  それでは、参考1の関連条文の1ページ目をお開き頂いて御覧下さい。  今回の合同部会は、ここに書いてございます食品衛生法の第11条に基づきまして、販 売の用に供する食品などの規格・基準が定められた容器・包装に関する表示につき、必 要な基準を定めるときは、薬事・食品衛生審議会の意見を聞くということとされており ます。そして、食品衛生法施行規則第5条において、販売の用に供するものの表示の基 準として定めるものとして、2段目のほうに書いてございますシという部分に、栄養機 能食品について、定義とその表示の内容について定められているわけでございます。更 に、3段目にある栄養機能食品の表示に関する基準の告示において、この第1条から第 4条に栄養機能食品のそれぞれ栄養成分の機能の表示、1日当たりの摂取目安量の表 示、そして注意事項と表示の制限などを定めて、なお第1〜3条につきましては、参考 資料の3、4、5ページの別表の中に示されているわけでございます。今回は、これら のことについての追加というものとなっております。  そして、栄養機能食品制度の今回の追加についての経緯でございますが、参考2の方 を御覧頂けますでしょうか。ここに書いてございますが、この栄養機能食品制度は、平 成13年の4月から施行されております保健機能食品制度にのっとって行っているもので ございます。この参考2の資料にある○の2つ目でございますが、栄養機能食品の対象 となり得る成分として、当面検討すべきものとして、ここに書いてございます、平成11 年に第6次改定が行われた日本人の栄養所要量で取り上げられております25群のビタミ ン、ミネラルを優先して取り上げることとされております。  そこで、6次改定の日本人の栄養所要量というものを御説明致しますと、この栄養所 要量を平成12年度から16年度に使用するというものでございます。その内容は、日本人 の栄養所要量については、健康人を対象として、国民の健康の保持・増進、生活習慣病 予防のために、標準となるエネルギー及び各栄養素の摂取量を示したものでございま す。そういったことを念頭に置きまして、この部分について今回、作業を進めていくと いうものでございます。  そこで、当初におきましては、お配りしたパンフレットを御覧頂ければと思います が、このパンフレットに既存の14成分を決めた内容が出ているわけでございます。見開 きの中身を開いて頂きまして、右側が特定保健用食品、左側が栄養機能食品ということ になっております。栄養機能食品につきましては、ここに「販売のための要件」と紹介 させて頂いておりますが、1日当たりの摂取目安量に含まれる当該栄養成分量が上・下 限値の範囲内にある必要があるというものでございます。栄養機能表示だけでなく、注 意喚起表示も表示することが必要であるという製品でございます。そして、栄養機能食 品を販売しようとする際には、国への許可申請などの届出は必要ないという栄養機能食 品でございます。  それで、平成13年の報告の中でも申し上げているとおり、栄養機能食品の表示対象に ついては、現在、ミネラル類が2種類、ビタミン類が12種類、合計で14種類とこの中で 運用しているわけでございます。この中の鉄などを例に申し上げますと、例えば上限値 が4mg〜10mg、そして機能としては、鉄は赤血球を作るのに必要な栄養素ですというも のです。それと併せて、ここに書いてあるとおり、注意事項「本品は多量摂取により疾 病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。1日の摂取目安量を守って 下さい」等、それぞれその栄養成分に見合った内容、機能、それと注意事項などを併せ て表示する制度ということでございます。  この機能につきましては、いわゆる教科書的な部分で皆様が周知されて御存知、また は一般的に多く知られているものを中心に機能として表示することが出来るという制度 となっております。  さらに、左隅の方を御覧頂きたいと思いますが、「栄養機能食品のパッケージの表示 例」という部分でございますが、こういう機能の表示をするに当たりましては、こうい った★印の部分は必須の表示事項として容器・包装に表示して販売するというようなも のでございます。それぞれ最初に、これは保健機能食品(栄養機能食品)であるという ことで表示してございます。それと、機能について、そのほか栄養成分表示。これは、 栄養成分表示制度の中の1つの機能表示ができる制度となっておりますので、栄養成分 表示を順番に表示するということでございます。そして、1日当たりの摂取目安量、あ と、先ほど申し上げた注意事項。もう1点は、1日当たりの栄養所要量に対し、これを 摂ることによってどのぐらいの量が充足されるのかというもの。一般の食品でございま すので、調理または保存方法ということと、最後に「本品は、特定保健用食品と異な り、厚生労働省に個別審査を受けたものではございません」ということで、あくまで自 己認証制度になっておりますので、特定保健用食品ではないですよというような注意書 きを入れております。  現在のところ、栄養機能食品においては色々な形態がございまして、錠剤形タイプの チュアブルみたいなものもございます。また、胚芽油みたいなカプセルの状況で売られ るものもございます。または、粉末などにおいては、よくあるのはパウダーカルシウム というような形で売られるものもあります。また、果汁については、鉄分などを入れて 栄養機能食品というような形で売られる様々な形態、または、ビスケットの中に入れ て、ビスケットを摂取することによって栄養機能食品の形をとっているものもございま す。現在、様々な形で栄養機能食品というものが売られております。自己認証制度とい うことでございますので、当室と致しましても、適切な表示が行われているかというこ とを年に1回は収去致しまして、監視しているという状況にあります。今回の御審議頂 く内容につきましては、そういった中で、14成分の次の成分の追加という作業、いわゆ る宿題のような形でございますが、そういう形を今回御審議頂くということになりま す。  続きまして、本日の資料の方を御説明させて頂きたいと思います。  今回追加する成分でございますが、マグネシウム、銅、亜鉛というふうにこの中で掲 載させて頂いております。これは平成13年の国民栄養調査結果によりまして、初めてこ の成分について国民の摂取状況が明らかになったわけでございます。国民栄養調査とい うものでございますが、これは現在、健康増進法という形になっておりますが、当時は 栄養改善法に基づきまして厚生労働省が実施した調査でございます。内容は、国民の健 康状態などと、もう1点、ここに利用させて頂いた栄養素などの摂取状況を的確に把握 するという目的でございます。こういった調査の中で、明らかにされた摂取状況の栄養 成分が、今回、マグネシウム、銅、亜鉛というふうになっております。こういった成分 が分かることによりまして、上限値の設定の資料がより充実されたことから、上限値の 設定が可能になったというわけでございます。また、こういった成分を追加すること で、販売者などの一方的な都合のよい表示を防ぎまして、消費者への適正な情報提供を 行うとともに、栄養成分の正しい理解を普及するという目的でございます。  資料の方を御覧頂きまして、順番にマグネシウム、銅、亜鉛につきまして、機能の表 示の方を読み上げさせて頂きます。  マグネシウムにつきましては、「マグネシウムは骨や歯の形成に必要な栄養素です。 マグネシウムは、多くの体内酵素の正常な働きとエネルギー産生を助けるとともに、血 液循環を正常に保つのに必要な栄養素です」という機能表示でございます。  続きまして、銅です。「銅は、赤血球の形成を助ける栄養素です。銅は、多くの体内 酵素の正常な働きと骨の形成を助ける栄養素です」。  亜鉛。「亜鉛は、味覚を正常に保つのに必要な栄養素です。亜鉛は、皮膚や粘膜の健 康維持を助ける栄養素です。亜鉛は、たんぱく質・核酸の代謝に関与して、健康の維持 に役立つ栄養素です」という機能表示でございます。  これらの機能表示につきましては、先ほど御紹介させて頂きました日本人の栄養所要 量についての記述や、また、栄養学、医学などで教科書的に使用されている本、または 日本の栄養学、医学系の辞典、さらに諸外国の栄養学、医学などの教科書的な本などに 複数掲載されているものを採用致しました。  続きまして、注意事項でございます。マグネシウム、銅、亜鉛の順でございますが、 マグネシウムについては、「本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増 進するものではありません。多量に摂取すると軟便になることがあります。1日の摂取 目安量を守って下さい。乳幼児・小児は本品の摂取を控えて下さい」と書いてございま す。  以下、銅につきましても、多量摂取についての注意事項。あと、多く摂取しても健康 が増進するものではございませんということと、同様に、乳幼児・小児は本品の摂取を 控えて下さいということを銅に入れてあります。  亜鉛につきましては、多量摂取についてと、亜鉛の摂り過ぎは銅の吸収を阻害するお それがある。過剰摂取にならないよう注意して下さいという注意書きなどを今回、機能 表示とともに表示するようになっております。  今回は、マグネシウムと銅につきまして、「乳幼児・小児は本品の摂取を控えて下さ い」という表示が今までにない追加表示となっております。このことは、アメリカの食 事摂取基準、日本で申し上げますと、先ほどお話しした栄養所要量に当たるものでござ いますが、その食事摂取基準によりまして、マグネシウム、銅につきましては、乳幼児 ・小児におけるサプリメントなどによる摂取に関するデータが十分ないということか ら、「乳幼児・小児は通常の食事で摂取すべきである」と明記されております。そうい うことを受けまして、今回、注意事項に加えたわけでございます。更に、マグネシウム につきましては、参考3にございます、安全委員会から添加物の評価を受けたときに、 このような形で過剰摂取には注意喚起をしなさいというような回答を受けております。 そういうものも合わせまして、マグネシウムについてはこういう表示をしたということ でございます。  次に、上限量・下限量についてお話しさせて頂きます。先ほどの参考2の3ページの ほうでございますが、この別紙2に上限量・下限量についての考えが書いてあります。 この従前の考えにのっとりまして、銅、亜鉛の上限量は許容上限値から最大摂取量を引 いた数とさせて頂いております。この場合の許容上限摂取量の設定は、何度も申し上げ ておりますが、第6次改定の日本人の栄養所要量に定める数値を用いております。そし て、最大摂取量ということでございますが、これは先ほど紹介しました国民栄養調査結 果の平均摂取量の2SDの数値と、その他摂取量調査の文献を調べた結果、大きい方の 最大値を比べて、高い方の数値を採用して計算した値でございます。従いまして、銅、 亜鉛につきましては、簡単に言いますと、通常よりも多く摂取している人を想定した 値、恐らく上限値に近い非常に多く摂取した人を想定した値をもとに引いて上限量を今 回設定したという経緯がございます。  一方、マグネシウムにつきましては、同様な考えではなく、この中では、通常の食事 による摂取において、過剰摂取による健康影響の報告が文献を調べたところございませ ん。アメリカでは、サプリメントや薬品による摂取したのみの健康影響が報告されてい るというものでございます。即ち、通常の食事でどんなに摂取していても、そういう健 康影響がうかがえないということになります。そういうことから、これらのアメリカの データにある許容上限値を採用いたしまして、アメリカ人の体重を日本人の体重に換算 し修正した数値を今回採用したわけでございます。それぞれマグネシウム、銅、亜鉛に ついての上限量は、マグネシウムは 300mg、銅は5mg、亜鉛は15mgというような形で設 定をさせて頂きました。  下限量につきましては、先ほどの資料にもございましたとおり、従前の考えに従いま して、栄養所要量の3分の1としたものでございます。  以上でございますが、この資料について御審議のほど、よろしくお願い致します。 ○田中座長  ありがとうございました。  なお、この事務局案の作成に当たりましては、特に科学的根拠の面の検討を私どもの 国立健康・栄養研究所と、その他研究所外の大学・研究機関の研究者とが一緒になって 検討したものでございます。そのいわば班長という役割を国立健康・栄養研究所の食品 表示分析・規格研究部長の山田和彦先生にお願いしましたので、山田委員からただ今の 説明について補足をして頂きたいと思います。 ○山田委員  国立健康・栄養研究所の山田でございます。若干の補足をさせて頂きたいと思いま す。  当初、約2年ぐらいになるのですが、新たな栄養機能食品の追加ということを考える に当たって、どのような科学的なデータなりをサーチするべきかということを言われま して、そのときには、先ほど□□□が言われたように、主にビタミン、ミネラルを中心 に比べましょうと。そして、ビタミンとしてはビタミンKというものを1つ。あとは、 長くなりますが、リン、マグネシウム、カリウム、銅、ヨウ素、マンガン、セレン、亜 鉛、クロム、モリブデンといったようなもの。また、ビタミン、ミネラルではありませ んが、たんぱく質、必須脂肪酸というようなものを選びました。もう1つ、ハーブ類と いうこともあって、これが栄養機能食品に可能性としてなり得るかどうか。あるいは、 どういう点をクリアすればそういうことになるだろうかというような点を含めて、ジェ ネラルに十数名のそれぞれの担当の皆さんで調べてまいりました。その中間的な発表は 昨年の夏に行いましたが、そのときに、色々な団体、あるいは先生方の貴重な御意見を 伺い、そういう御意見もあるということを念頭に置きながらまとめてまいりました。  まず、どのようなサーチの仕方をしたかと申しますと、それぞれの先生の専門分野か らして、データをレビューして下さいと。特に、私どもの場合には、栄養成分ですか ら、多くの国々、あるいは国際機関、例えばWHO、FAOのヒューマン・リクワイア メントのデータベースが出ております。それから、イギリスのアッパーセーフティリミ ットというようなもの、それから、ヨーロピアン・コミッションが出しています、まだ 全てが完成したわけではございませんが、そういったもの。それから、日本の栄養所要 量。それから、アメリカのDRIのデータ等を参考にしながら、上限値の問題を考えて まいりました。また、機能という点については、なるべく色々な機能があると言われる ということを拾ったつもりでございます。その中で、国民が理解しやすい、また、その 担保といったものがどの程度まであるかということを調べながら、栄養機能というもの をピックアップしてまいりました。  その中で、現状のところ、なぜこの3つを選んだかということは本日は細かくは申し ませんが、先ほど□□□が言われましたように、国民栄養調査で国民の摂取量が把握で きるもの。それから、既にこれはなかなかコントロールが難しいであろうというような もの。それから、栄養機能食品としてはそぐわない部分ではないかという議論を致しま して、この3つを現時点では選んだということでございます。  上限値に対しましては、先ほど□□□が説明されたように、幾つかの考え方の中で安 全性を最優先した。そして、注意喚起もそのように行ったということでございます。ま た、下限量の3分の1というものも、現在、私どもはCODEXに参加しているわけで すが、ダイエタリーのミネラル、ビタミンサプリメントの下限値の問題は議論が現在進 行中です。まだステップ3という状況で、色々決まっていないのですが、それぞれの業 界、あるいは科学者の範囲から議論が出ております。前回、栄養機能食品で所要量の3 分の1ということを見ますと、2000年にCODEXの特別栄養部会でアメリカ、EU、 ブラジルといったドラフト案が出ております。そのときに、下限値というものをどうし たらいいかというときには、15%、30%という2つの案が出ておりました。それは、今 でもCODEXのラベリングのところに出ておりますが、ある食品のソースというこ と、入っている旨というのは、主に1985年にWHO、FAOが出しましたNRVの15% である、そこを言いましょうと。highという言葉を言うならば、30%としましょうとい う案が出ております。その見直しももちろんありますし、FAOが出しているNRVの 科学的な根拠性というのは、長年かかって色々な部分で積み上げた結果でありまして、 その見直しもしなくてはならないのではないかというような現状でもあります。そうは 申しましても、一応30%というのがニュートリション・ファンクション・クレームを言 うには必要であろうということで、なぜ30%にしなかった、そこら辺は私も覚えており ませんが、一応、33%というのは、ことさら科学的な意味が違うわけではないというこ とで、下限値の33%。今回も、下限値を言う場合にはそれを踏襲したという経緯がござ います。  後は、その他にどのような栄養機能をピックアップするかという場合には、先ほど言 われたように、やさしく、そして第一義的、第二義的な栄養機能としての役割を持って いるものを挙げていこうと、こういう観点から機能表示の案として作成したわけでござ います。  簡単な説明ですが、以上、補足と致します。 ○田中座長  ありがとうございました。これまでの説明について、御質問、御意見等を頂きたいと 思います。ございませんでしょうか。 ○長尾委員  今、説明頂いた資料のところで、機能表示はいいのですが、注意事項では「乳幼児・ 小児は摂取を控えて下さい」ということです。下の計算は基本的には大人ですか。それ とも、体重が非常に少ない人とか、あるいは小さい子でも、特にその場合は3番も関係 するのですが、そういうところですか。普通の大人の量ということでしょうか。 ○田中座長  一応、成人のものがここで採用されています。もちろん、性、年齢を考慮して、いわ ゆる所要量、あるいは許容上限摂取量は決められてはおりますが、ここでの数値の根拠 は成人であります。  ただ、マグネシウムの場合は、先ほど説明がありましたように、参考3の2枚目を見 て頂きたいと思います。「栄養強化の目的でマグネシウム塩類を添加した場合には、乳 幼児〜小児がマグネシウムを過剰に摂取することがないよう、注意喚起の表示を行う 等、適切な措置が講じられるべきである」ということを食品安全委員会から頂戴してお りますので、あえて付けさせて頂きました。このことについての科学的根拠についても 研究班で種々調べて頂いたわけでありますが、必ずしも十分なデータがあるとは言えま せん。通常の食品からマグネシウムは摂るべきであろうというような記載が一番正しい と山田委員は考えられました。  同様に、銅もそのような見解がとられておりますので、あえてこの2つについては 「乳幼児・小児は本品の摂取を控えて下さい」という記載をした経緯がございます。パ ンフレットに示されてありますように、他のものは、栄養機能食品の方の注意事項に は、乳幼児及び小児のことについての記載はありませんが、食品安全委員会からの指示 に基づいて、マグネシウムと銅については同様の見解が述べられておることから付け加 えたということでございます。 ○板倉委員  マグネシウム、銅、どちらも注意事項の文章のところにありますが、「乳幼児・小児 は本品の摂取を控えて下さい」という書き方になっておりますが、この「控えて下さい 」というのは、意味としては、少量の摂取なら構わないという意味での「控えて下さい 」でしょうか。それとも避けるという意味なのでしょうか。「控える」という言葉は、 日本語では少量だったらいいよというニュアンスを持っておりますので、ここの表現に ついてお聞きしたいと思います。 ○新開発食品保健対策室長  「乳幼児・小児は本品の摂取を控えて下さい」の「控えて」というのは、本品の摂取 を控えてくれということでございまして、基本的には摂らないで頂きたい。通常の食生 活の中で摂られる量だけで十分であるという意味でございます。 ○板倉委員  残念ながら、「控える」という言葉はそういうニュアンスにとり切れるばかりではな いと思います。解釈のしようによっては少しならいいと。例えば「お酒は控えて下さい 」というような言葉があった場合に、実際に絶対禁止されるかというと、少量なら飲む というのが人間の常であると思いますので、「控える」ということが「避ける」という ことには意味としてはとられないのではないかと思います。 ○新開発食品保健対策室長  消費者への適切な情報提供というのがこの制度の趣旨でございますので、誤認がある ということでございましたら、その点は適切な修正を加えさせて頂きたいと思います。 例えば、これは御議論頂いた方がいいかと思いますが、「本品の摂取をしないで頂きた い」とか、「本品は摂取しないで下さい」とか、そういうような形で修正するというこ とでいかがかと思います。 ○田中座長  ちょっと付け加えますが、先ほど私が申し上げましたように、マグネシウムと銅につ きましては、通常の食事から摂るべきであると。英語文献では「should」という助動詞 が用いられています。乳幼児は「摂るべきである。」という表現がなされております。 乳幼児のサプリメント摂取につきましては、当然、根拠となるデータがありません。つ まり、「禁止」とも言えないというような意味合いもあったわけです。それから、安全 委員会の先ほどの参考3の2枚目をもう一度見ていただいたらいいと思いますが、「過 剰に摂取することがないよう注意喚起の表示を行う」という表現にもなっておるのは、 恐らく科学的根拠が必ずしも十分でないからであります。しかし、乳幼児の場合は、慎 重を期 して、安全委員会の御指示もあって、こういう表現にしたというところであります。 ○板倉委員  乳幼児・小児の場合に、上限量というのはどのぐらいで、目安量としてはどのぐらい 摂るのかというのは表示で分かるわけですか。 ○田中座長  そういうデータが十分ないということであります。それで、慎重を期してこういうこ とをやったという話です。悪いというデータもない、良いというデータも不十分であ る。そういう現状で、乳幼児に対しては慎重を期してこういう表現を入れたということ です。だから、駄目だというような根拠が十分あれば、少なくとも、日本語の表現は非 常に難しいのですが、英語で言いますと「convincing」という表現が確実です。それか ら、「probable」、これはどういう訳し方をしているのか、「恐らく」がいいのか、 「たぶん」がいいのか分かりません。「possible」も「恐らく」というように訳されて いる方もありますが、「可能性がある」ということです。少なくとも、「possible(可 能性がある)」ということであれば、表現も少しは容易になるのですが、そこまでもい けない。データがinsufficient(不十分)である。そういう状況であるところを御理解 して頂けたらと思っているわけです。 ○和田委員  折衷案ではないですが、そうしますと、1日当たりの摂取目安量という項目で書くこ とになっておりますから、これは大人の量だということをきちんとそこで書いたらいか がでしょうか。 ○新開発食品保健対策室長  この1日当たりの摂取目安量を書けということは、省令に記述があることでございま して義務付けられているわけですが、そうすると、この制度全体について直すべきだと いうことになるわけでございますね。マグネシウムだけでなく、既に定められている14 種類も含めて、全て1日当たりの摂取目安量というのは大人を基準にした目安であると いうことを明記すべきであると、こういう御指摘と受けとめてよろしいのでしょうか。 ○和田委員  私、後で表示の方法について質問したいと思っているので、それの関係があるのです が、この注意事項というのがきちんと表現され、それが情報として十分に消費者に伝達 できればいいのですが、活字のポイントとか、色々ございますので、そうなると人が絶 対見るというのは1日当たりの摂取目安量はやはり見ると思うので、そこに乳幼児が飲 まないようにというような喚起が注意できるような表示があればいいのかなと思っただ けです。 ○田中座長  今の和田委員の御指摘は、消費者側から出てくるのは当然だと思います。しかし、こ れは栄養機能食品全体に関わってまいりますね、ここにも書いてありますので。これ は、今、制度に関する検討会も開かれておりますので、そこでも提言していかなければ ならないと思います。栄養機能食品は色々検討していくべきであるという意見も出てお りますので、やはりそこでも取り上げてみたいとは思っております。検討していきたい と思います。 ○池田委員  委員の池田です。ただ今の御発言もごもっともと捉えられがちですが、要するに、小 児にしても乳幼児にしても、子どもを育てているお父さん、お母さん、あるいはそれを 取り巻く人たちがいるわけで、あまり過保護な注意事項というものを、これまでは確か にそういう方向性はあったと思うのですが、もっと消費者は勉強して、子どもにも適切 な対応が出来るということにすべきであって、これは食品ですから、注意事項等を多く するのは余りふさわしくない、これが基本的な考えです。  消費者サイドのそういうことに関する御発言というのは、せっかく出来上がってきて いる制度を非常に使いにくくするとか、かえって内容を分かりにくくするとか、そうい うことがどうも多いように思うので、私はそのような御発言に関しては非常に消極的に 捉えたいというふうに思います。 ○和田委員  せっかくいいチャンスなので申し上げたいと思います。□□□の方から、ただ今も栄 養機能食品の基本的な表示の考え方ということの中に、多分、消費者への適切な情報提 供の観点から、理解しやすく、正しい文章及び用語を使い明瞭なものであることという 御説明があったかと思います。それから、今回、7月1日から食品安全基本法の18条の 中にも、表示制度の適切な運用の確保ということで、これが消費者にきちんと分かるよ うにということがうたってございます。  それで、私が申し上げたいのは、せっかく栄養機能食品にしても、特保の食品にして も、こういう表示の例をひな形をきちんとお作り頂いて、行政の方も「これを守るとい いよ」、事業者も「それではこれを守りましょう」と、そこまでは 100%です。それが 消費者の方にきちんと伝わるようでなくてはいけない。これがこのとおり伝わればいい のですが、私は参考までに手元にあったものを持ってまいりましたが、この表示を見て 頂きますと、これは虫めがねで見ないと分かりません。表示の項目は全部網羅してあり ます。ただし、 2.0ぐらいの目の人でないと読めないと思います。  それから、キシリトールのチューインガムも特保の食品です。これは、グリーンに黒 で書いてあります。これは全然読めません。書きなさい、書きましたよ、ここまでは 100%。その情報が私どもに伝わらなくてはいけないということが基本法に書いてある にもかかわらず、情報がきちんと伝わらないということであれば、これは消費者のエゴ でも何でもございません。以上です。 ○田中座長  文字の小さいのは、商品が非常に小さいからかもしれません。そういうところもなか なか大変ですが。 ○和田委員  だから、今後は何とか方法を考えていって欲しいというのが私の本当の提案です。 ○小沢委員  先ほどの「控える」ということに私まだこだわりたいと思うのですが、池田先生のお っしゃる趣旨もよく分かります。それから、実際にデータがないということもよく分か るのですが、現実に私どもは消費者の、特に若いお母さんたちから始終お電話を頂い て、何粒食べさせたらいいのか、そういう量の問題について迷っていらっしゃる実態が 非常によくあって、先ほど板倉委員がおっしゃったように、「控える」というのは本当 に摂らない方がいいのですかということと、量的なもので少しは摂っていいのか。この ままだと、量的なもので控えるのだったら、一体うちの子にはどのぐらい食べさせたら いいのですかというお問い合わせがあるのが現実です。ですから、その辺で、とても表 現は難しいと思うのですが、普通の食事で賄えるというか、摂るようにしろというふう に、ちょっと難しいと思うのですが、何か別の文言で表現をした方がより正確な伝わり 方をすると思います。 ○田中座長  なかなか日本語の表現が難しいようですが、例えばどういう表現を小沢委員は期待さ れますか。 ○小沢委員  例えばですが、「乳幼児・小児はふだんの食事から摂るようにする」。でも、これは あくまでも食品のことですので、どういうふうにするのか難しいのですが、端的に言う のだったら、やはり「お避け下さい」の方がよろしいかと思います。 ○田中座長  「避けて下さい」ですね。 ○新開発食品保健対策室長  今の小沢委員の御指摘への答えではなくて、その前の和田委員の御質問へのお答えの 1つですが、実は字が小さ過ぎるという御指摘については、我が方で通知を出させて頂 いていまして、基本的に8ポイント以上の活字で記載しろということでございます。8 ポイントというのは、具体的にイメージして頂きますと、今お配りしている関連条文ぐ らいの字がたしか8ポイントだったかと思います。ただ、この字ではとても書き切れな いというような小さい表示面積のものについては、例外的に 5.5ポイント以上という基 準になっておりまして、多分、そちらにお持ちのキリシトールガムなどは、この 5.5ポ イントというのを守ってギリギリでやっているのではないかと思います。ちょっと補足 的に御説明させて頂きました。 ○田中座長  他にございませんか。 ○山田委員  ジェネラルな私の考えですが、どれだけ摂ったらいいでしょうかという質問がたくさ ん色々なところにきていると。これは、言ってしまえば、私ども専門家は栄養のことに ついてはある程度把握できているのですが、一般の人々はいかに栄養のことが小学校・ 中学校レベルで終わってしまって知らないか、はたまた、大学にしても、医科大学にし ても栄養の講義はない。生化学はあっても、ジェネラルに食事からどれだけ摂ったらい いかという講義もない。そういう状況で、現在はこういう加工食品がたくさんできて、 特にサプリメントというようなものができている中で、どう対処していいかが社会とし て難しい状況であろう。  そういうことから、厚生労働省も、こういう特にヘルスクレームを言うような食品に 関しては、消費者側に立った説明者を養成して下さいということで、多くの団体がそう いう状況を、もちろん薬剤師、栄養士を含めて始めているところでございます。ですか ら、そういうものを今後強く進めていって、消費者とプロデューサーの間を埋めるよう な情報交換を作っていくということがワン・オブ・ゼムとしての解決策ではないかと考 えております。コメントでございますが。 ○五十嵐委員  今の山田委員の説明に関してですが、この制度を立ち上げるときに、アドバイザリー 制度を作れということは答申に書いてあるわけですね。国は直接やりませんということ になっていますから、適当な団体がやるということで、現在、今、座長をやられている 田中平三先生のところの国立健康・栄養研究所がNR制度というのを立ち上げていまし て、薬剤師、あるいは管理栄養士、その他関連する人と別に、こういう制度も含めて、 きちんとニュートリションのことを分かってもらおうという教育制度を立ち上げている わけです。もちろん、これは国立健康・栄養研究所が最終的に認定しますので、試験と か、全て入りますから、そういうような教育をしていった上で、栄養機能食品もそうで すし、特定保健用食品もそうだと思いますが、そういうことに関する知識を国民に普及 していく努力が大切だと思いますから、すぐに成果は出ないと思いますが、多くの人が こういうものをきちんと理解すれば、一般の方にも分かるであろう。  それから、例えばこういうものを売るような業者さんも、単に売るだけでなくて、そ ういう説明をきちんとするようなことが重要だということが認識されるだろうと思いま す。ですから、そういう意味では、こういう制度が広く活用されることによって、国民 への浸透を国が直接はしないにしても、介してやるということで、私は将来的にはこう いうものが理解されるような制度が今動きつつあると考えています。 ○井藤委員  「本品の摂取を控えて下さい」という表現に関して、一言意見を言わせて下さい。 「摂取を控えて下さい」と書くと、マグネシウムが小児・乳幼児に悪いのかと捉える可 能性が出てきます。それで、はっきりしていることは、どういう表現をしても、こうい うサプリメントを摂っていいという根拠もないし、控えるべきだという根拠もないとい うのが現状だと思うのです。そうだとすると、乳幼児・小児は本品を云々ということで はなくて、「通常の食品から摂ることが勧められる」とか、「摂るべきである」という 表現の方が、より適切に情報を伝えられるのではないかと思います。 ○長尾委員  私も今の御意見に賛成です。 ○合志委員  私も今の御意見に賛成したいと思いますが、やはりこういう表示というのは多種類の 機能があるわけでありまして、正確な情報を国民に伝えていくということが一番大事だ と思うのです。この場合ですと、2つほど大事なことがある思うのです。量がはっきり 分からないということと、それから、多分、不足その他について深刻な例が余りきちん と出ていないということだろうと思うのです。そういうことがあるので、分かっていな いということと、通常の食事で補うようにしろという、この2つのことが入れば、十分 な情報になると思います。  なお付け加えれば、現在分かっていないということを書いておくことは、この分野の 研究が不足しているということを世間に知らせるわけでありまして、今後そういう研究 をきちんとするということの方がはるかに大事なことではないかと感じます。是非、法 の整合性云々ということ、プラス国民への適切な情報の提供という機能はここで果して いるということで少し練って頂ければと思います。 ○田中座長  その場合に、また参考3の2ページ目に戻るのですが、食品安全委員会からの栄養強 化の目的でマグネシウム塩類を添加した場合の過剰摂取ということの整合性はいかがで すか。今の通常の食品から摂るべきであるというのと、本品、いわゆるサプリメントか ら摂ることを控えようということとの整合性は法律的にどうですか。この安全委員会か らの指示ということで、要するに、直接的にはこれに束縛されて入った言葉です。 ○新開発食品保健対策室長  安全委員会の方から頂いた御指摘というのは、「乳幼児〜小児がマグネシウムを過剰 に摂取することがないよう、注意喚起の表示を行う等、適切な措置が講じられるべきで ある」ということでありまして、どう書けという具体的な決めはございません。単に目 的として、乳幼児がマグネシウムを過剰摂取しなければということでございますので、 私どもとしては、我が方で表現の内容の具体的な中身は裁量で決めさせて頂けるのでは ないかと思っています。 ○田中座長  ありがとうございました。  今、子どもの方の研究をしっかりやれというお話でしたが、世界中で過去50年にもわ たって栄養素に関する研究の歴史があって不十分だというのは、やはり人間の赤ちゃ ん、あるいは成長途上にある乳幼児、小児について、非常に表現は悪いかもしれません が、やはり人体実験はできないと思います。ですから、言うは易しです。でも、実際は そんなことは私は出来ないというような認識でありますので、そのような事情もよく御 理解頂きたいと思います。 ○大野委員  別の観点のところについて質問させて頂きたいのですが、最初のところで「本品は多 量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません」という言い 方ですね。これは、多量摂取しても特に障害は起きないという表現とも読めますよね。 ところが、銅とか、そういうものは多量摂取によって障害が起きるというのは分かって いるわけですね。ただ、その量との関係ですが、許容上限摂取量というのが、もしこれ 以上摂ったら慢性毒性の障害が起きるという値だったとしたならば、この下限量と上限 値との間の差というのは、例えば銅の場合は10倍しかないですね。マグネシウムの場合 は4倍ですし、亜鉛の場合は5倍しかない。実際に栄養機能食品に加えられる量が分か りませんが、下限量も若干多いとなると、この比率というのはもっと少なくなるわけで すね。そうすると、許容上限摂取量を決めたときの根拠がはっきりしないといけない。 もしこれが毒性を発現するという意味でこれを決められたのならば、「多量摂取により 健康を損なうおそれがあります」とか、そういう表現を加えないといけないのではない かと思います。 ○田中座長  許容上限摂取量というのは、中毒学の話からはほど遠い話です。先生方の言われるよ うな薬剤の毒性というものではありません。物によって、様々なものを指標にしており ます。マグネシウムの場合は下痢を指標にしておりますし、銅の場合は確か肝障害だっ たかのように思います。ULというのは通常の毒性試験による副作用出現量よりも、か なり低いということですね。食品でありますから、あるいは栄養素でありますから、 「毒性」とか「副作用」という言葉は適切でないように思われます。例えばマグネシウ ムは下痢というよりも軟便ですから、こういった軟便ぐらいのことは副作用でない、障 害でないという意見があるのも事実です。しかし、そのような軽微なことでも慎重に取 り入れているのが食品の話でもあるわけです。 ○新開発食品保健対策室長  事務屋である私が専門家の先生を差しおいて何でございますが、この許容上限摂取量 という概念は、当時の厚生省が策定しました第6次改定の栄養所要量の中に書いてある 定義のある概念でございまして、これは基本的に安全値でございます。殆ど全ての人 が、この量であれば何も問題がない、健康上、悪影響を及ぼす懸念がないという最大量 がこの許容上限摂取量でございまして、これとは別に、最低副作用発現量(LOAEL)と 言っているものがございまして、こちらは、まさに今、大野委員のほうから御指摘があ ったような悪影響が出る最低の数値というものでございますが、これは別のものでござ いまして、この LOAELとか、あるいは副作用が発現しない量(NOAEL)、そういったもの も考慮に入れた上で許容上限摂取量というものを安全値として定めているというのがこ の考え方でございますので、補足的に御説明させて頂きました。 ○大野委員  ありがとうございます。そうすると、それぞれのマグネシウムなり、銅なり、亜鉛な りで、ものすごい下痢だとすぐ本人が分かるからいいのですが、銅の場合の肝障害と か、脳障害が起きることもあると思うのですが、そういうものの NOAELとULとの間の 比、値がどういう関係にあるかということを理解しておかないと表現を決められないと 思うのです。  例えば、 NOAELとULとの間に 100倍のセーフティファクターというか、不確実係数 をとってあるということだったら、この表現でいいと思うのです。ところが、こういう ものに関して、私もよく分かりませんが、毒性発現量とULの間の幅が狭いようなもの だとすると、もっと気をつけなくてはいけないということでございます。 ○新開発食品保健対策室長  また補足させて頂いてよろしいでしょうか。  ちなみに、御指摘の銅でございますが、インドで乳幼児の肝硬変という事件があった ようでございます。これは調理器具や飲料水からの銅過剰摂取がその一因だということ であったようですが、この場合、平均どれぐらい銅を摂取していたかということです が、1日当たり体重1kg当たり 900μg(0.9mg)の銅を摂っていたということですか ら、日本人の男の成年男子60kgで換算しますと、大体50〜60mgがこの値ではないかと思 います。許容上限摂取量というのは、同じく栄養所要量の中で9mgと定められておりま して、この数値には相当差があるということでございます。 ○大野委員  ありがとうございます。確認して頂ければ結構です。 ○田中座長  他にどなたかございませんか。 ○丸井部会長  先ほど来の議論の一部と、あともう1つ、社会的なことをお話ししたいと思います。 1つは、乳幼児・小児に関しては、過剰摂取の話ですが、先ほど事務局のほうで参考3 を読んで頂きました。この前段があって、栄養強化の目的でマグネシウム塩類を添加し た場合には過剰にならないようにということですので、添加すること自体を否定してい るわけではなく、その上で過剰にならないようにということです。先ほど来、非常に証 拠が少ないという話はもちろん前提とした上で、添加する、あるいは摂取すること自体 をここでは否定しているわけではなくて、その場合に過剰にならないようにという指摘 です。その意味では、摂取を控えるということで、若干はいいというところが含まれて いて、この安全委員会からの注意はこれで十分かというふうにも思いますが、それ以上 詳細に「避けよ」ということは、つまり添加をゼロにせよということであって、安全委 員会からのコメントどおりにいけば、今回の事務局の案ぐらいが大体ふさわしいという 感じがします。  そして、もう1つは、今回この3つを追加するわけですが、恐らく3つを追加する理 由というのはやはりあります。例えば現在、社会的に非常に使われていて、これが全く 基準あるいは表示の規制がない、このままでは困るということで、科学的根拠、あるい は科学的知見が積み重ねられたということとは別にしなければいけないという状況であ ったとすれば、このままでいくと問題があり、今回これを追加することによる影響、つ まり従来、これで問題が起こるかもしれないと思われたものが解消できるかもしれな い。あるいは、従来、マグネシウム、銅などを子どもに対しても使われていたが、これ でかなり減らす可能性があるというような、今回の追加の理由と、これによって、これ からどのような効果が期待できるのか、それを少し御説明頂ければと思います。 ○新開発食品保健対策室長  それでは、事務局の方からお答え致します。  社会状況、どれぐらい世の中に今出回っているかということでございますが、出回っ ている量の完全な把握というのはなかなか難しゅうございますので、若干つかみになっ ているということはお含みおき頂きたいのですが、順番に申しますと、亜鉛、マグネシ ウム、銅の順番で出回っているだろうと思われます。特に最近、健康ブーム、サプリメ ントブームの中で一番出回っているのは、恐らく亜鉛だろうと思われます。亜鉛につき ましては、食品の表示というのも、薬事法の規制を受けている関係もございまして、そ のもの自体の表示というのは慎重に抑えられているのですが、世の中に出回っている色 々なサプリメントに関する小冊子とか辞典、バイブル本というものを見ますと、例えば 亜鉛などはセックスミネラルであるとか、免疫力を高めるコラーゲンの合成に関わる、 脱毛を防ぐ、これはテレビでも最近やっておりましたが、それから、食欲不振・代謝機 能に対する色々な影響を軽減するとか、色々なことが言われています。  それから、実際どれぐらいの成分量が1日当たりの摂取量として推奨されているかと いうのを色々インターネットなどで拝見致しますと、私が見た限りですが、15件中8件 が、今回、私どもが上限値として設定した15mgを超える量を推奨されていた。これは亜 鉛の例でございますが、そういう実態がございました。  ちなみに、亜鉛に準じて出回っているマグネシウムでございますが、これがやはり今 回、我々が案として提出している 300mgを超えているものは9件中1件でございまし た。  ちなみに、銅について同じものを見ますと、5件見ましたが、これを超えているもの はありませんでした。  しかしながら、それぞれ巷でどういう機能をうたわれているかと申しますと、例えば マグネシウムでありますと、高血圧や腎結石の予防であるとか、神経の興奮を静めると いったこと、副甲状腺ホルモンの合成に必要、かなり色々なことが言われております。 また、銅でございますが、皮膚や紙の色を保つ。これもテレビで最近やっていた番組で すが、白髪の予防になるというようなことも言っていました。貧血を予防する、そうい ったことも言われておりまして、そういうことが絶対にあり得ないという証拠が今ある わけではありませんが、科学的に見て、そこまでの根拠はまだ確立していないと思われ る実態があるということでございます。  ちなみに、また補足でございますが、こういう実態があるということに対して、一定 の表示のルール化というものを行いまして、販売業者による不適切な表示というものを 改善していき、消費者への正しい情報提供というものに向けていきたいというのがこの 制度の趣旨であります。先ほど申したとおりでございます。 ○小沢委員  実態について少しお話ししたいと思いますが、この制度ができて、特に食品に添加し た場合、表示は表示で守っていても、「保健機能食品(栄養機能食品)」という言葉を 使えるということがかなりあちこちで行われていて、例えば、単なるお茶にビタミンC を添加して、もちろん基準は守っているし、表示の事項も守っているが、お茶に「保健 機能食品(栄養機能食品)」と書いていることだとか、コラーゲンの飲料に「コラーゲ ン」と大きく書いて、下のほうに小さく括弧で「保健機能食品(栄養機能食品)」と書 いていて、ビタミンはちょこちょこと入っている。だから、実態は、法的には間違いな いのですが、消費者が誤認するような事態というのが非常にあきれるぐらい、例えばブ ルーベリーなども表示上は栄養機能食品になってしまっているのですね。  それで、たまたまこちらに入手したものをお持ちしたのですが、これはダイエット食 品の広告です。商品への表示ではありませんが、「お気楽ダイエット」で、真ん中に大 きな字で「保健機能食品(栄養機能食品)」と書いてあるのです。ですから、商品の表 示以外に、いわば拡大解釈的にというか、ビタミンがたくさん新配合されていますの で、「新配合」ということは今まで配合していなかったのに、ビタミンを配合してしま って、むしろ「保健機能食品(栄養機能食品)」とうたってしまっているわけです。こ ういういわば悪用という事例が非常に増えているので、単なるサプリメントだったら、 親が、マグネシウムにしても、銅にしても、うちの子にサプリメントを直接与えるとい う実態は極めて少ないとは思うのですが、色々な食品に取り込まれることによって、 「栄養機能食品」という言葉がひとり歩きしているという実態の方がむしろ問題だと思 っております。  それで、私も今、一般消費者にアンケートをとっておりますが、特保と栄養機能食品 の違い、あるいは一般的ないわゆる健康食品の違いを全然理解していない。池田先生が 先ほどおっしゃって下さいましたが、それは消費者側にも問題はあるのですが、全然理 解していないというところを前提に考える必要があると思います。 ○田中座長  今の御指摘は制度に関わる検討会でも出されておりまして、栄養素以外の他の保健の 用途に使えるものを売るのが目的であるにもかかわらず、そこへビタミン、ミネラル 等、栄養機能食品と認められたものを添加して「栄養機能食品」と名乗っているという のは、比較的大きい食品の企業でもありまして、それはかなり問題視されておりまし て、今、制度に関する検討会で対応をどうすべきかということが出されると思います。 御指摘のとおりだと思います。  さて、時間も押し詰まってまいりましたが、一番の大きい問題は、「乳幼児・小児は 本品の摂取を控えて下さい」ということを付け加えたわけでありますが、これに対し て、「通常の食品から摂るべきである」という表現に変えたらいかがなものかという意 見がありました。「控える」、「避ける」という表現はさておき、本品は、本品という のは栄養機能食品の何かの商品ですが、それを強調した表現なのか、通常食品から摂る べきであるという一般論的な表現であるのか、大きく2つに分かれたようであります が、このあたりについていかがですか。 ○井藤委員  1つだけ。安全委員会からは、マグネシウムの過剰摂取に対する注意喚起をというこ とであったのですが、事務局の方で、銅は乳幼児・小児への安全喚起をしていると。で は、なぜ亜鉛にはそれをしなかったのかということが私には理解できないのです。とい うのは、上限値の決め方は全部、成人のUL値を用いております。ですから、当然なが ら、これでかなり上限に近いサプリメントを作られた会社があったとすると、乳幼児に は全く適さないわけですよね。また、銅の中毒の報告があったということから、銅には こういう注意喚起をされたのかもしれませんが、亜鉛も多量に摂ると、きっと乳幼児に は何かあり得るとは思うのです。ただ、今まで報告がなかったということであったかも しれないですが。ですから、そういう意味では、こういった微量金属の扱いに関して、 成人用のサプリメントを乳幼児で使うということに関しては、何らかの注意喚起をすべ きではないかと思うのですが、その辺はどうだったのでしょうか。 ○田中座長  それが、先ほど消費者側からの御指摘があったわけですね。そうすると、既に決めら れているものもみんなそうであるわけですから、それを全体的に今後見直していくべき であろうということですね。  亜鉛の場合は、もう1つは、いわゆる赤ちゃん用の粉乳、調整乳といいますか、そこ に亜鉛は添加されておりますので、そことの整合性も考えてなくてはならないだろうと 思います。マグネシウムと銅については、先ほど私が何回も申しましたように、乳幼児 ・小児については明確なデータがない、データが不十分である。よって、原則として は、通常の食品から摂るべきであるということを踏まえて、この商品を控えて下さい、 あるいは避けて下さいということをこの2つには付け加えたといういきさつがありま す。  「通常の食品から摂るべきである」というのは、ある意味では間接表現になってくる わけですが、栄養機能食品とちょっと離れるような表現になるわけですが、「乳幼児は 本品の摂取を避けて下さい」ということになると、直接的な意味合いになってくるわけ ですが、これはいがかですか。2つに分かれているわけですが。 ○合志委員  こういう関係の表示で例えば必要量なりが分かっていないという表現をとっているの が幾つかあると思うのです。ここで私が気になるのは、「摂取を控えて下さい」という 非常にシンプルな表現でいいのですが、これがマイナスのものだから控えろと導いてし まう可能性もまたあるわけです。ですから、乳幼児・小児については摂取量が確立され ていないので、本品を摂るのを控えてくれというような表示の方が実態を正確に伝えら れるのではないか、そんな感じがしております。 ○田中座長  ちなみに、マグネシウムは通常の食品から摂っている限りは、人体への影響が出たと いうことが全くないわけです。だから、通常の食品で摂っている限りは、ULを超えて も問題はないわけです。マグネシウムだけは、サプリメントから摂ることについて下痢 を起こすということであるわけです。だから、マグネシウムはそういう意味でもちょっ と特異的な存在ですので、上限値の設定もそのようにしたわけです。  ちなみに、日本のマグネシウムのULの設定は、他のミネラルのULの設定方法と同 じにするというようなことで、通常の食事プラス、サプリメントで合計 700mgという数 字を出していたのです。そうしますと、サプリメントから 500摂って、通常の食品か ら 200摂ればいいかといったら、それは絶対下痢を起こすわけです。そういうことから、 また米国のDRIとの整合性から、今回はサプリメントのみに絞ったといういきさつも あるわけです。そういう御理解をお願いしたいと思います。ですから、マグネシウムは ちょっと特異的で、極端な言い方ですが、通常の食品であれば 700mg摂っても下痢を起 こしたというデータはないわけです。これは非常に特殊な存在ですので、サプリメント に限っての話になっているわけです。そういう意味でも、「乳幼児・小児は本品の摂取 を控えて下さい」という直接表現のほうが妥当ではないかというのが私の考えですが、 先生方の意見で決めたいと思います。「通常の食品から摂るべきである」という表現が よろしいですか。この商品から摂らない方がいいですよ」という方がいいですか。 ○池田委員  座長のおっしゃるとおりだと思います。もし「通常の食品から」ということをうたい 上げていくということになれば、ビタミン、ミネラルというのはみんなそうです。それ は当たり前の話であって、こういうサプリメントが出ているから初めてこういうことが 言えるのであって、消費者は、これを購入して自分の意思で摂取するわけですから、自 分の残りものを子どもにあげるとか、そういう発想というのはそもそもおかしいわけ で、そういうことも含めて、この表現以外はあり得ないと私は思います。 ○田中座長  どうでしょう。「通常の食品」という表現がいいと言われた方はいかがでしょうか。 これでよろしいですか。 ○井藤委員  私が懸念しているのは、要するに、サプリメントを控えて下さいということで、堂々 とマグネシウムは非常に体にいいということが書いてある。そうすると、乳幼児はマグ ネシウムは摂らない方がいいのかという逆の情報にならないかということがこの文面だ けからは懸念される。そういう意味で、池田先生がおっしゃるのはよく理解しますが、 何らかの誤ったメッセージを訴えないための歯止めが要るだろう。そういう意味では、 例えば「本品による摂取を避け、通常の食品から摂るようにして下さい」という、2段 構えの表現であってもいいのかもしれない。ただし、それは表示委員会で決められれば いいかなと思います。 ○池田委員  通常の食品からマグネシウムや銅を積極的に摂れと言う必要は全くないわけです。そ ういうことを喚起する必要はない。ですから、あくまでも本品を乳幼児に与えることは 控えるべきだということで、非常に単純なことだと思うのですが、議論の余地はないの ではないですか。 ○長尾委員  色々議論を聞いていまして思いますが、「控えて下さい」というのはどういう根拠で すか。当然、根拠があるから控えろと言ったと思うのです。実際は根拠がはっきりしな いから控えろという論法のようです。ビタミンAのときは、「過剰摂取しないように注 意して下さい」とある。これは、有名な催奇形性のあるものだからよく分かる。根拠が はっきりしないから控えて下さいというのでしたら、それに近い表現があってもいいの ではないかという気がします。 ○田中座長  例えばどういう表現ですか。 ○長尾委員  要するに、乳幼児については根拠が十分でないから控えて下さいと。 ○田中座長  そうすると、長尾先生のような専門家は理解できますが、一般の人々は余計混乱が起 こる可能性もあるのではないかとは思いますが。 ○池上委員  私は、端的に短く書くというのが注意喚起のルールだと思うのです。色々なことを書 くことによって注意喚起が注意喚起でなくなってくるという可能性もあるし、先ほどの 食事から摂るというのは、これは池田先生も言われたように、ここに書かれているマグ ネシウムや銅だけではなくて、ほかのビタミンも全部にかかってくることで、ここだけ にそれを書くというのはすごく不自然な表現だと思います。それは注意喚起ではないと 思います。ごく普通の人だったら、基本的には食事から栄養素は摂るということを食生 活でされているわけで、ですから、それにプラスα、もっと健康になりたいという願望 がある中でこういうものが利用されていくわけだと思うので、ここでは子どもにそうい うことを親が考えるとしたら、これはやはり危険というか、これは避けたほうがいいと いうことを親にはっきり伝える。そこがポイントだと思うので、私も、「控える」が曖 昧だったら「避ける」でもいいと思いますが、ここは端的に表現する方がいいように私 は思います。 ○田中座長  いかがですか。色々あるでしょうが、一応「乳幼児・小児は本品の摂取を避けて下さ い」という表現でよろしゅうございますか。絶対駄目だという方があれば・・・。今こ のままこれらミネラルを含む健康食品を放置しておきますと、この3つのミネラルが非 常に大量に含まれたものが出回っていきますし、かつ、色々な表示がされているものが あるのも事実でありますので、上、下限値、機能表示等を守って「栄養機能食品」とい う表示をしてもらったら、それこそ先ほどの表示部会長からの御指摘もありましたよう に、無茶苦茶と言ったら失礼かもしれませんが、余り科学的根拠がないような機能表示 をしたり、あるいは、かなり大量に含まれていっているものが少しでも少なくなってい くだろうというのが、こういう栄養機能食品の趣旨であるわけです。その代わり、ここ に書いてあるような栄養素機能表示を認めましょう。しかし、注意喚起もやって下さ い、こういう趣旨であるわけですので、一応「本品の摂取を避けて下さい」という表現 でいかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。色々御意見があって、辛いと ころですが。 ○板倉委員  質問が2つございまして、1つはマグネシウムですが、今日、資料として出して頂い たところでは、マグネシウムについて、ステアリン酸マグネシウムということで、添加 物としてこういうものを使うのだろうということでの案が載っておりますが、実は今、 にがりというのが非常にブームでございまして、あるいは塩化マグネシウムそのもので あっても、にがりと呼べるということ。それから、使い方としても、強化剤として使っ てはいけないという表示がないと聞いておりますので、それを使用するということにつ いてはどう考えたらいいのかということです。こういうところで使用する場合は、そう いう直接の問題が出てくるような添加物については使用しないと判断していいのかどう かについて確認させて頂ければと思います。多分、資料はそういう意味で付けて頂いて いると思いますが。 ○田中座長  まず、それに答えて頂きましょうか。それから、次の御質問をして下さい。 ○事務局  ただ今の添加物のお話でございますが、添加物につきましては、ステアリン酸マグネ シウムの例示が出ておりますが、ステアリン酸マグネシウムは栄養機能食品の製造に限 るということで使用基準が設定されておりますので、それ以外の目的で使用がなされれ ば、食品衛生法の7条に違反するということで取締りがなされることになります。ただ 今、にがりということで色々な物質をお話し頂きましたが、それらにつきましても、使 用基準が限定されているものにつきましては同じ扱いです。ただし、使用基準の制限の ないものにつきましては、仮ににがりということで使用されているものを栄養強化で使 用しても違反にはならない。ただ、表示上の問題で、にがりとして使用する場合と、栄 養強化で使用する場合で違ってくるということはあるかと思います。 ○板倉委員  今よく分からなかったのですが、要するに、水に塩化マグネシウムを入れて、にがり 状態にして売れるし、それから栄養機能食品として表示もできると読むのですか、でき ないと読むのですか。そこがよく分からなかったのですが。 ○事務局  塩化マグネシウムにつきましては、使用制限がございませんので、栄養強化の目的で 使用が可能でございます。 ○板倉委員  ということは、「にがり水」みたいな形で食品としてうたって、栄養機能食品でこの 要件を満たせば使えると。 ○新開発食品保健対策室長  私の方からお答えしますが、この案をお認め頂ければ、この規格・基準を満たす形で 販売されるのであれば問題はないということになります。 ○板倉委員  300mgという基準を満たしてあれば問題ないという判断ですか。 ○新開発食品保健対策室長  そうでございます。1日当たり 300mgです。 ○板倉委員  分かりました。それと、食品由来のマグネシウム量は含まないということですが、例 えば豆腐にステアリン酸マグネシウムを入れたような場合の扱いというのはどちらで読 むのでしょうか。食品添加物の塩化マグネシウムというのは別という判断でよろしいの でしょうか。実際に問題になるとは思いませんが。 ○新開発食品保健対策室長  要するに、豆腐そのものについてもマグネシウムというのは、結局、添加物として加 えられるわけですね。ですから、添加物という見方での切り口もあれば、こういう形で 機能を表示して栄養機能食品という形で売られる、そういう栄養食品としての切り口も あるわけです。両方の観点から、食品衛生法上の規制が色々かかっているということに なります。両方ともクリアしていれば問題ないのですが、どちらか引っかかっていれ ば、そこでアウトということになるわけです。 ○板倉委員  もう1点よろしいでしょうか。銅ですが、先ほどのお話ですと、 0.9mgで乳幼児の肝 障害が出たということですが、そうしますと、例えば5mgを乳幼児が飲んだという場合 には 4.5mgということですので、上限値としては5mgより少ない量でもそういうことが 発生すると解釈してよろしいでしょうか。 ○新開発食品保健対策室長  ですから、乳幼児は避けてくれということでございます。 ○板倉委員  そう表現されれば十分だと思いますが、その辺のところについて確認させて頂きまし た。非常に危険だということがやはりあるのではないかと思いましたので。 ○田中座長  0.9mgですか。 ○板倉委員  0.9mgとおっしゃいましたよね。数字がもし間違っていたらあれなので、この辺のと ころは消費者の方は、特に乳幼児のことについては非常に心配をされますので。 ○新開発食品保健対策室長  私が先ほど引用したコメントは、先ほど来、色々なところで紹介されております栄養 所要量第6次改定版の銅の部分の許容上限摂取量というところをそのまま読んだわけで ございますので、これは座長にも御認識を共有して頂きたいのですが、ここの中で「イ ンドでの乳児肝硬変は、調理器具や飲料水からの銅過剰摂取が一因とされて、これは 900μg/kg/dayの銅を摂取していることになり、WHOの80μg/kg/dayの10倍以上の摂 取である」、この部分から申し上げたところでございます。 ○田中座長  それは1日当たりの話ですね。ただ、日本とアメリカとでは、銅についての食事摂取 基準の根拠がちょっと違うのですね。日本の場合は、銅については健康者の摂取量の平 均値といったようなところを採用しているようです。アメリカの場合は、血漿中の銅を 基準にして、マーカーにして、いわゆる所要量、あるいは推定平均必要量といったもの を決めているようです。そういったところをも勘案して、この5mgという値、それから 下限値は 0.5mgということを出して頂いたということでありますが、山田先生、何か追 加ありますか。 ○山田委員  銅の10mgというのは、例えば、この夏に出ましたUKのアッパーセーフティレベルと いう考え方では16mg/day/kg だったと思いますが、それで動物実験で出た量を10で割っ ております。そして、インディビデュアルな安全率で10で割って、ファクター 100で割 って、0.16mg/day/kg というので、60kgの人という意味で9mg/dayが通常摂取して安全 な量であろうという値が出ております。それは、日本でまた別の考え方が出たもの、あ るいは、アメリカの場合はたしか10だったと思いますが、そういう値から比較すると、 日本の値で9を考えている。それから、幾つかのデータで平均摂取量プラス2SDと申 しますと、日本の場合は 2.3mgぐらいにしかならないのですが、過去の多くのデータか ら見て、最大出ているのがたしかここに書いてあると思いますが、 3.6mg/dayというデ ータの最大値をとって安全性を考慮したというデータでしております。 ○田中座長  ありがとうございました。  時間も大幅に過ぎてまいりましたので、他になければ、「摂取を控え」を「摂取を避 けて」という表現にして、事務局提案を了承することにしたいと思います。  なお、今後のスケジュールについて事務局より説明をお願い致します。 ○事務局  ありがとうございました。今後は、今の御意見等を組み入れて、パブリックコメント を行いまして、食品衛生分科会において審議し、御了承頂いた後に告示等を改正する予 定となってございます。これは、最後に事務局からお知らせしますのでお待ち下さい。 ○新開発食品保健対策室長  済みません、既に議論は終わっているという位置付けではございますが、先ほどの板 倉委員の御質問に関して補足させて頂きますが、銅の問題につきましては、いずれ添加 物の指定の申請というのがあがってきた場合、添加物の安全性の問題として、もちろん 薬・食審にもかかりますし、その前に食品安全委員会のほうでリスク評価を受けるとい うことになっておりまして、そこでまたADIの議論が必ずございます。そういうこと で二重にも安全性の議論は確認されると思いますということを補足的に付け加えさせて 頂きます。 ○田中座長  それでは、部会として御了承したことと致します。  長時間の御審議、誠にありがとうございました。本日の審議はこれで終了致します。                                   ――了―― 照会先:医薬食品局食品安全部 基準審査課調査表示係(内線2921) 新開発食品保健対策室(内線2458)