03/11/07 労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会第21回議事録      第21回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会 1 日時  平成15年11月7日(金)16:00〜17:00 2 場所  厚生労働省労働基準局第1会議室 3 出席者 [委員] 奥平委員、勝委員、小山委員、齋藤委員、佐藤委員、讃井委員、            田勢委員、辻村委員、中山委員、長谷川委員、堀越委員、            山路委員       [事務局]松井勤労者生活部長、蒲原勤労者生活課長 4 議題 (1)部会長及び部会長代理の選出について (2)勤労者退職金共済機構の平成14事業年度決算の報告等について (3)その他 5 議事内容 ○蒲原勤労者生活課長  ただいまから、第21回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会を始 めます。本日は委員の皆様の改選後初めての当部会の開催となりますので、部会長が選 任されますまでの間、私、蒲原が議事進行を務めさせていただきたいと思います。  最初に委員の先生方につきましてご紹介したいと思います。お手元の資料1の1頁 に、先生方の名簿が用意されております。名前の記載順にご紹介させていただきます。  勝悦子委員、齋藤邦彦委員、都村敦子委員、堀越達哉委員、山路憲夫委員。小山正樹 委員、佐藤正明委員、辻村義男委員、野澤雄三委員、長谷川裕子委員。奥平ミヱ子委 員、下永吉優委員。なお、下永吉委員は、これまで桜井征男委員が委員としてご活躍で したが、その後任としてご参加ということになっています。讃井暢子委員、田勢修也委 員、中山嘉彦委員です。本日は都村委員、野澤委員、下永吉委員の御三方が御欠席とい うことになっております。  会議に入ります前に、辞令について簡単に御説明申し上げます。労働政策審議会の本 審議会の委員をされております齋藤委員におかれては、既に本審議会の委員としての辞 令が出ているところですが、その他の方々につきましては、臨時委員として、厚生労働 大臣から辞令が出ています。その辞令につきましてはお手元に配付しておりますので、 よろしくお願いします。  なお、実は辞令がお手元にない方がおられるかと思いますが、その方は、既にこの部 会に先立って開かれました他の部会において、臨時委員としての辞令を受け取っておら れるかと思います。  引き続きまして、最初に「部会長の選出」に移らせていただきます。資料1にいくつ か資料を入れてありますが、労働政策審議会令によりまして、部会長につきましては、 部会に属する公益を代表する委員で、本審議会の委員になられている方々から選ぶこと となっています。当部会におきましては、公益代表である委員で、かつ本審議会の委員 ということですと、齋藤委員お一人ですので、審議会令の規定によりまして、齋藤委員 に部会長をお願いしたいと考えておりますが、皆様、いかがでしょうか。                  (異議なし) ○蒲原勤労者生活課長  それでは、以降の議事進行につきましては、齋藤部会長にお願いしたいと思います。 ○齋藤部会長  齋藤でございます。それでは次に「部会長代理の指名」があります。部会長代理の選 出につきましては、労働政策審議会令第7条第8項に「部会長に事故があるときは、当 該部会に属する公益を代表する委員又は臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名す る者が、その職務を代理する」と規定されています。この審議会令の規定に基づきまし て、これまでの中小企業退職金共済部会に引き続いて、勝委員を部会長代理に指名した いと思いますが、ご異議ございませんか。                  (異議なし) ○齋藤部会長  それでは勝先生、よろしくお願いします。  今日の議題につきましては、お手元にお配りしてありますとおりですが、続きまして 「(2)勤労者退職金共済機構の平成14年事業年度決算の報告等について」です。事務 局から説明をお願いしたいと思います。 ○蒲原勤労者生活課長  担当課長の蒲原です。お手元の資料2と3を使いまして、中小企業退職金共済での現 況及び平成14年度の決算の状況につきまして、ご説明いたします。  最初に資料2をお開きください。1頁目の横書きの資料は、現在の中退共への加入の 状況です。上のほうの1の表が、新規に加入した数です。左のほうが共済契約者数で事 業所ベース、及び右のほうが被共済者数で加入者ベースの数字になっています。そうし た新規加入を踏まえて、いま何人入っているかという状況が、下の2の在籍状況です。 当方でポイントだけ御説明します。  2の表の左のほうの共済契約者数ベースで、一般中退だけでなく、特退全てを含めま した合計が、「計」の所に書いてありますが、約60万事業所が、この中退共に入ってい ます。一方、加入者ベースですと右のほうに移りまして、すべての合計で約500万人の 方々が入っておられまして、そのうち一般中退が約260万人、建設業が約230万人、あと 清酒が3万人程度、林業が5万弱という数字になっています。全体の傾向はこれまでと 一緒で、一般中退は若干数が減り気味、建設業のほうは少し増加気味ということになっ ています。  1頁めくりますと、そうした状況を踏まえまして、具体的に掛金の額がどうなってい るかという資料です。一般中退につきましては、5千円から3万円の範囲内で掛金が決 まっておりますが、その平均月額は平成14年度に約9,200円、そういう数字になってい ます。大体ほぼ前年と同じ額になっています。ご承知のとおり、特退のほうは、掛金が 定額で決まっているので、この表には入っていません。  3頁に「退職金等支給状況」という資料が入っています。これも一番左の所に、すべ ての業態を合計した数字が書いてあります。そこの真ん中に「支給総額計」という欄が ありますが、ここがいわば勤退機構を通じて支払われている総額がいくらかという数字 です。平成14年度は約5,000億円ということで、非常に大きな規模の給付がなされてお ります。その内訳は、それぞれ一般中退が約4千億強、建設業が1千億弱という数字に なっています。一方で個人の方々が受け取っている平均的な支給額がどうなったかは、 それぞれの欄の所の「1件当たり支給金額」に入っています。例えば一般中退を見ます と、平成14年度の所に書いてありますが、約130万円という数字が入っています。建設 業は約90万円、清酒が約120万円、林業が約90万円ということで、100万円前後という所 が、個人の受け取る平均的な支給額という状況です。  1頁めくって、「運用資産の状況」です。これも一般中退、特退全体を通じた数字 で、平成14年度は約4兆円ということです。そのうち、一般中退が約3兆円、建設業が 1兆円弱、その他清酒、林業という数字になっています。それぞれの給付の額が増えて いることもあって、少し減少傾向にあるという状況です。以上が、いまの中退制度の現 況ということです。  引き続きまして、平成14年度の決算の状況です。資料3をお開きください。頁で言い ますと、2頁の所からご説明します。4事業あるわけですが、最初に「一般中退」で す。上の表がストックベースの貸借対照表、下の表がフローベースの損益計算書となっ ています。下の表からご説明します。この平成14年度1年間を通しまして、費用の部が 左のほうにあり、一方で収益の部が右のほうにありますが、収益の部のいちばん下の所 に、当期損失金があります。ここに約170億という数字が出ていますが、ここが1年間 を通した、いわば一般中退のフローで生じた欠損で、赤字だということです。  実は皆様御承知のとおり、平成14年11月から、一般中退の予定運用利回りにつきまし ては、3%から1%に引き下げられました。もちろん引き下げた後、平成14年11月以降 は、赤字傾向が黒字傾向に転換しているのですが、その前、平成14年の4月から10月ま では、3%の予定運用利回りだったということもありまして、昔の赤字分を取り戻して はいますけれども、完全には取り戻せずに、約170億の赤字になるということです。そ れを前提に、上の貸借対照表に移ります。  右の欄の下の所に欠損金という太い黒字がありますが、その1つ下に繰越欠損金があ ります。この繰越欠損金といいますのは、言ってみれば平成14年度の前の平成13年度末 の段階における欠損金です。この段階で約2,400億円の累積欠損があったわけです。こ れを持って平成14年度に入りまして、先ほど申しましたとおり、年間で170億円の赤字 が、従来からありました2,400億円に加わるということです。その結果、この太字のと おり、約2,600億円という累積欠損の状況になっています。先ほど申しましたとおり、 平成14年11月から予定運用利回りが1%になっていますので、平成15年度はこれが満年 度化して、その効果が出てくることになります。したがってこれからは、年間のフロー でもプラスが出ることがほぼ確実に見込まれますし、その結果、貸借対照表上の累積欠 損も、これから徐々に減っていくと見込まれています。以上が一般中退の状況でした。  1頁めくりまして、「建退共」の状況です。同じく下の損益計算書のほうから見てい ただきたいと思います。費用と収益、その収益の欄の下の所を見ますと、当期損失金と いう項目で約30億円の欠損ですから、フローで年間約30億円の赤字が出ています。  一方で上の表の貸借対照表に戻っていただきまして、先ほどと同じように右の欄の利 益剰余金の所の、太い字の下に「積立金約300億」というのが細字で書いてありますが、 これがいわばこの年度の最初の段階における累積の剰余です。もともと300億の累積剰 余を持っている中で平成14年度に突入して、その年度では、先ほど言ったように約30億 円の赤字がある。その結果、平成14年度末では、約270億円の累積剰余を持っていると いう状況になっています。  建退共につきましては、単年度で赤字が出るということを踏まえまして、昨年から今 年の4月までこの部会で議論をいただきまして、今年の10月から、予定運用利回りを従 来の4.5%から2.7%に引き下げたところです。こうした予定運用利回りの引下げ効果が これから出てくると見込まれますので、こうした単年度の赤字という傾向は、これから は黒字傾向に変わっていくと見込まれています。以上が建設業の状況です。  4頁は、「清退」の状況です。清酒につきましては、下の表の損益計算書の所で、今 度は左の費用の部の下の所に当期利益金が出ていまして、単年度のフローではプラスが 出ました。もともと清酒については財政状況が非常にいいということで、上の貸借対照 表の右の欄の所の利益剰余金のすぐ下の積立金を見てもらうとわかりますが、既に累積 でプラスがあったということ、累積でプラスがあったところに年間でもプラスというこ とで、平成14年度末の段階で、利益剰余金が4億円のプラスという状況になっていま す。清酒につきましては、もともと現行制度のままでいっても財政的に安定していると いうことから、前回特退の予定運用利回りを見直す際にも、これについては現行のまま でよろしかろうということでありました。そのままでも引き続きこういう形でプラスが 出ているということです。  1頁めくって「林退」のほうに移ります。同じく下の損益計算書を見ていただきます と、右の欄の所に、当期損失金ということで、赤字が出ています。単年度で赤字が出ま した。その結果、上のほうの貸借対照表の右の欄ですが、もともと年度の始まりの段階 では繰越欠損金で、約23億円の累積欠損があったわけですが、ここに年間の赤字が積み 上がるということで、平成14年度末の段階で、約24億円の累積欠損という状況になって いるということです。こうしたこともありまして、先ほどの建設と同じように、この林 退共につきましては、この審議会において、予定運用利回り見直しの議論をいただいた わけです。その議論を踏まえて、林業につきましては、今年の10月から予定運用利回り を2.1%から0.7%に引き下げたということです。そうした結果、これからは財政は単年 度プラスという方向になっていくものと見込まれています。  以上、この4つの事業につきまして、決算の状況を御報告しました。本日のメインの 資料は以上のとおりですが、若干補足的な資料を付けています。6頁以降の「行政コス ト計算書」です。実は少し細かな資料がたくさん入っていますので、7頁の横長の資料 のみ、簡単にポイントだけ説明します。  もともと行政コスト計算書というのは、この事業に一体どのくらいの費用がかかった か、民間の企業ベースで考えてどのぐらいの費用がかかったかを計算したものです。こ れは、特殊法人であればどこでもこういう数字を出せということで、約2年前から作成 を義務づけられているということです。この計算の仕方ですが、大きく分けると、上の 「業務費用」の部分と、下の「機会費用」の部分に分かれています。  業務費用ですが、業務的にかかった費用が真ん中の黄色いマーカーの所で、「仮定損 益計算書上の費用小計」と書いてあります。費用としては、例えば退職金の給付金がい ちばん大きな項目になると思いますが、かかった費用の合計が、この真ん中の所のいち ばん右の欄で、約5,300億円という数字が書かれています。一方で、そうした費用を賄 うための収益がどうなっているかが、その下の所です。これも同じく下のほうの黄色い ラインマーカーの所を見てもらいますと、「業務収入小計」があるかと思います。これ の一番右の欄の所を見ますと、約3,600億円という数字が入っています。言ってみれば、 掛金収入等でこうした業務収入が入ってきているということです。  先ほどの上のほうの「仮定損益計算書上の費用小計」から、下のほうの「業務収入小 計」を引いて、ピンクのラインマーカーの数字が、「業務費用」としてかかったものと いう数字になっています。これに、若干「機会費用」と言って、例えば公務員から出向 している職員につきましては、実は本当の企業会計の計算でいえば退職金給与の引当金 相当を、企業であれば計算しなければいけないので、そうした機会費用をオンして、最 終的に一番下の欄の赤いラインマーカーの数字の約1,700億円が、いわばこの事業のた めにかかった経費、すなわち行政コストとなっています。基本的に、この計算は、時価 ベースで行っているために、こういう数字になっているということです。その他、いく つか後ろのほうで細かい資料が付いていますが、説明は省略させていただきます。  もう1つ付属の資料ですが、13頁以降に「資産運用の状況」を入れてあります。14頁 は「一般中退の資産運用状況」です。いちばん下の欄に平均運用利回りが書いてありま すが、平成10年度以降全体的な金融情勢を反映しまして、低下をしてきています。平成 14年度においては1.60%という利回りでした。なお、運用の対象ですが、例えば国債が 約2割だとか、そういう形で主として債権を中心に運用しているということです。  次の頁に「建退共の資産運用状況」が書いてあります。同じくいちばん下の欄にあり ます平均運用利回りを見ていただきますと、平成10年度以降低下をしてきておりまし て、平成14年度には1.68%という状況になっています。次の頁が「清退の資産運用」で す。これについても低下をしてきておりますが、平成14年度において2.14%という、 ちょっと高めの数字になっています。次の頁の「林退」ですが、同じように低下してお りまして、平成14年度には1.89%です。  清酒と林業の平均運用利回りは、ちょっと気持ち高めに出ていますが、清酒と林業に つきましては、既に運用、投資しているところから償還されたものが、ほぼ全て給付に 充てられているということで、いわば残っているのは昔の高い債権であるため、少し高 めに出てきている。一方、一般中退と建設業のほうは、償還された分の一部を再度運用 に回すということで、いわばそのときにどうしても低い利回りのところに行かざるを得 ないため、平均的に下がっているという状況にあります。以上、平成14年度の決算の状 況及びいくつかの関連する状況について御説明申し上げました。 ○齋藤部会長  ただいまのご説明につきまして、何かご質問なり、ご意見なりございましたらどう ぞ。 ○堀越委員  先ほど課長さんが、一般中退については平成15年度に黒字が期待できるとおっしゃっ ていましたが、当期その他の評価、棚卸しと言いますか、有価証券の評価は、平成15年 の3月にはいろいろな意味で低かったわけですが、現在はずっと3割、4割上がってき ているわけで、課長さんがおっしゃられたのは、それらを含んでの黒字という意味なの か、それは関係ないということなのか。 ○蒲原勤労者生活課長  それについては、このたび予定運用利回りを一般中退も建設も引き下げましたので、 まずそれにより、そもそも払うべき退職金の額、あるいは積み立てるべき責任準備金の 額が減ることになります。支出が押されるという効果で、単年度のフローは基本的には かなり改善すると考えています。  なお、いまおっしゃった資産運用のところで結構大きいと思われるのは、実はいまま での決算はいわば簿価会計、簿価ベースで計算されています。ところが、実は独法にな ったあとは、時価会計にしなければいけないということです。そうすると例えば、いま 一般中退等で持っている資産の7割ぐらいは債権ですが、これは持ちきり状態になって いますから、時価会計になっても基本的には買った額でいいのですが、金銭信託が3割 ぐらいありまして、その部分というのは、やはり時価か簿価で大分評価が違ってくるの です。そこの部分については、おっしゃっているように3月以降、どちらかというと株 もよくなってきていますから、金銭信託のいわば含み損という部分がいま縮まってきて いて、時価会計になるとそこの財政効果も出てくると考えています。 ○堀越委員  非常に健全であるということですね。 ○蒲原勤労者生活課長  健全になるものと見込まれます。 ○辻村委員  企業年金から中退に移るということはできるのですね。 ○蒲原勤労者生活課長  できるのは一定の場合ですね。適格退職年金のことをおっしゃっているのですか。 ○辻村委員  はい。適格年金から中退への移行というのは進んでいるのでしょうか。それと、そう いう形でどんどん入ってきていただくということになるのは、中退としてはいいことな のかどうか、そのへんのところをちょっと教えていただきたいと思います。 ○蒲原勤労者生活課長  適格年金からの移行は、実は平成14年の4月から始まっています。適格年金は平成14 年度以降10年間で廃止されるということになっていまして、その行き先として、実は確 定拠出年金も、確定給付年金もあれば、わが中退もその1つの移行先として位置づけら れたという状況です。  実態を見ると、やはり確定給付ですと手続的に非常に難しいことのようで、我々がい ろいろ承知しているデータでは、確定拠出なり確定給付年金に比べると、中退が一番多 いという状況になっています。だいたい平成14年度で、約3万件弱入ってきています。 ○辻村委員  それは共済としては、喜ばしいことなのですか。 ○蒲原勤労者生活課長  新規加入が入ることは、基本的には財政上プラスです。といいますのは、一般中退に ついては、予定運用利回りが1%に下げられています。そうすると、予定運用利回りで 払うべきものは1%、一方で世の中で稼ぐものは1%を超える、先ほど申しましたよう に、実績は1.6%ありまして、1%を超えると見込まれるので、言ってみればそこで利 ざやがプラスのほうにあるのだということ。そうすると、加入者が多ければ多いほど、 利ざや分がより多くなるので、加入者が増えることは非常に財政的にもプラスになると 思っています。 ○山路委員  いちばん最初の中小企業退職金共済の現況で、新規の共済契約者数を見ると、平成14 年度が、一般が相当前年より減って、建設業だけ増えているのです。トータルでは共済 契約者数がやはり減っている数字が出ています。これはどういうわけですか。一般が減 っているのは、おそらくリストラ、人減らしが進んでいるからだと思うのですが、建設 業だけなぜ増えているのでしょうか。 ○蒲原勤労者生活課長  それは、全般的に経済の状況が悪いことで減っているということがありますが、一方 で、実は建設業の場合は、公共工事について、建設業関係のある法律ができまして、一 定の建設業の事業所では、きちんと建退共に加入している事業所ですということを確認 しなければいけないというのが義務づけられているところなのです。そうしたことをか なり徹底して、建設業の監督官庁がそういうことをやっているということがありまし て、それに伴ってかなり建退共への加入が進んでいると我々は把握しています。  ですから全般的には厳しいのですが、まさに加入促進の効果が、そこに出てきている ということです。 ○佐藤委員  もう平成15年度も半ばを過ぎているのですが、平成14年度の状況はこの時期にしか出 ないものなのか。この間の議論の中で、もう少し近々というか直近の状況について、委 員会に報告をしていくという話がありました。これではもう過ぎたことであって、過ぎ たことを報告する必要性はあると思うのですが、半年も過ぎないと会計の閉鎖ができな いのか、そこを説明してください。 ○蒲原勤労者生活課長  特殊法人の場合には、まず事務的に機構でそういう会計決算をすることと、併せて関 係省庁、具体的には財務省なのですが、財務省との間で、決算についてこれでいいのか どうかと、最初に確認する作業があります。  これまでも決算が終わったあとその作業が終わるのが、やはり9月ぐらいになってい たのです。例えば昨年の決算も、同じようにやはり8月、9月までかかっていまして、 去年はこの部会が開かれたのが、10月の半ばごろだったと思いますが、そういう状況で した。今回、ちょっと独法の作業などがあって、少し作業が遅れたということや、開催 時期の調整上、この時期の御報告となったのですが、これまで特殊法人の決算体制の下 では、関係省庁との協議ということがあったので、どうしてもそのくらいかかったとい うことです。  ただ、これから独法になって、若干そこのところは早くなる可能性が十分あると思い ます。 ○小山委員  先ほど、辻村委員からお話があった適年からの移行の問題なのですが、適年はあと10 年ほどでなくなるということです。各企業団体で、労働組合も含めて一緒に相談をしな がら、どうしていくのかという議論の中で、私どもの労働組合でも、これは中小企業で あったら、とにかく中退共へ入れろということを積極的に進めているわけですけれど も、まずそういう加入促進のための努力なり、取組みというのをどうされているのかと いうのが1つです。  もう1つは、適年から移行するに当たって、中退共で移行できる限度が10年分という ことを含めて、非常に限られているわけであります。丸々適年を解約して、移行するの に、それだけの財源があるにもかかわらず、中退共のほうに移行できないというような 事例がいくつか発生しています。そういうことに対する的確な、いまの制度改定なり法 改正が必要なのかどうか、そのへんも含めて、御説明をいただきたいと思います。 ○蒲原勤労者生活課長  1つは、適格退職年金からの移行の、まさに加入促進のところなのですが、実はそれ は、次にこれから御説明します独立行政法人の中期計画とも関係してきます。中期計画 については、後ほど御説明しますが、いくつかある柱の中の1つとして、加入促進とい うのが入っています。一定期間に総計で何人新規加入をしてもらうという目標を掲げ て、これから一生懸命頑張っていきたいと思っています。その目標を中期計画に書いて いるだけではありませんで、それを具体的にやるための方策について、今のような適年 からの移行の促進だけでなく、例えば加入促進月間だとか、あるいはいろいろな関係省 庁や関係団体との連携といったものを従来以上にやっていくということを、中期計画の 中に細かく具体的に盛り込んでいます。  実は、独法制度において、中期計画というのは、毎年その状況が評価されるととも に、計画が終わる4.5年経った段階で、本当にどうだったかを評価される形になります。 したがって、そういう計画を立ててやっていることは、これからまさに機構としては、 外との関係でそういう約束をしているというに等しい状況になっているので、これから その達成に向けて一生懸命やっていくことになろうかと思います。それが1点です。  もう1つ、適年からの移行の関係で、そういう制限があるということは我々も承知し ております。そうした制限が何とか撤廃できないかどうかについては、内部でいま議論 しています。一方、これは税制とも関係してくるので、そういうことができないかをい ま関係省庁にお願いをしています。ただこれも、制度創設時に一度整理がされているも のであるということと、どういう基本的な考え方、あるいはどういう条件下でそれをや るのかとも関係してきますので、そのへんを整理しなければいけないと思います。さら に、当の中小企業の方々がどういうふうに思われているかということをよくよく把握を した上で、おっしゃるようなことを検討していきたいと思っています。 ○山路委員  資料3の7頁、先ほど課長から説明があった勤労者退職金共済機構の結合行政コスト 計算書ですが、この説明を受けた限りでは、何のことだかよくわからない。もう少し、 わかりやすい表示の仕方を工夫してもらいたいと思います。特に、例えば民間と比べて どうなのかとか、1人当たり人件費コストがどうなのか、そこらへんを言わないと、こ こで言っている退職金給付費用とか賞与引当金繰入などを総額で出されても、これでは 評価のしようがないわけです。  そういう工夫はいくらでもできると思うのです。できなければ、例えばこれがどうな のかということを第三者の専門家に評価してもらうとか、そういう形で表示しないと、 何のために情報公開しているのかわからないわけですからね。そこらへんのところは、 もうちょっと考えていただきたいと思います。 ○蒲原勤労者生活課長  これ自体は、このようなフォーマットで作成し、公表になっているわけですが、説明 のときに、もう少しわかりやすくお示しするということをこれからやっていきたいと思 います。一方で、この行政コスト計算書以外に、その後ろに入っていますが、民間仮定 で計算した場合の損益計算書だとか、あるいは民間ベースと仮定した貸借対照表といっ たもの全体も公表していますので、そうした中でいろいろな評価を受けていくべきもの だというふうに考えています。いずれにしても、委員御指摘の点につきましては、今後 もう少しわかりやすい資料を考えていきたいと思います。 ○齋藤部会長  それでは次の議題に移りたいと思います。その前に、この前の人事異動で勤労者生活 部長に松井一實さんが就任されましたので、御挨拶をお願いいたします。 ○松井勤労者生活部長  8月29日付で勤労者生活部長に着任いたしました松井でございます。本日、委員改選 後初の部会で遅れて参り、非常に恐縮でありますが、活発な御議論、御意見をいただい ているところでございます。勤労者退職金共済機構では、いままで、いわゆる特殊法人 という形で運用もされてきていまして、そういう意味では相当、政府部内のルールを適 用しながらやってきたこともあり、ある意味で皆様方も隔靴掻痒の感がおありになった のではないか。相当、政府部内で丁寧にチェックして、時間をかけて、ほとぼりが冷め た頃、皆さんに御審議願ったということかもわかりません。しかし、今度独立行政法人 になりますと、相当、法人が主体的に、民間的なノウハウも入れて、チェックも行う。 しかも、そこでの運用の出来、不出来が、今後の法人の運営に関わるというシステムに 変えておりますので、たぶん今までより以上に迅速に、また今指摘がありました、もう 少しわかりやすいチェックをしていただくということを、当然やると思いますし、我々 もそういう目で見ながら、皆様方の御審議の促進をお願いするようにしていきたいと思 っています。よろしくお願いいたします。 ○齋藤部会長  それでは「議題(3)その他、勤労者退職金共済機構の独立行政法人への移行につい て」に移りたいと思います。資料の説明をお願いします。 ○蒲原勤労者生活課長  お手元の資料4をお開けください。「独法への移行」という資料で、1頁に「独立行 政法人勤労者退職金共済機構の概要」という資料を付けています。独立行政法人勤労者 退職金共済機構といいますのは、以下述べますような中小企業退職金共済事業の運営を 目的とする法人として設立するということです。具体的な業務の中身は3に書いてあり ますが、基本的にここは従来と変わっていません。一般の中小企業退職金共済事業及び 特定業種退職金共済事業というところです。ただ、後で申しますが、基本的には独立行 政法人ですから、自分で自主的に自立性をもってやると。それに対して、政府は中期目 標という形で事前の規制を大枠でかけます。その大枠の中で自主性、自立性をもってや っていくと。その代わり、きちんと評価を受けるという仕組みに変わっていくというこ とです。役員数については8名から6名になり、職員数については3名減ということに なっています。予算規模は記載のとおりになっています。  では、中期目標、それから中期計画がどうなっているかということについて、2頁を お開きください。中期目標につきましては、1つは「期間」の問題があり、これは平成 15年10月から4年半というふうに設定しています。  中身については、3つの柱があります。1つが「業務運営の効率化」ということで す。ここは、具体的に一般管理費やいくつかの経費につきまして、この4.5年度内にど のくらい削減をするかということを中期目標で示しています。どのくらい削減するかに つきましては、政府部内あるいは機構ともいろいろ相談する中で、最終的には一般管理 費等の経費につきまして、4.5年の間で13%の削減するということを目標として示して います。2つ目の柱が「サービスの向上」に関する事項です。これについては、機構が 新規加入者の数値目標を定めますといったことを主たる内容として決めています。3番 目の柱が「財務内容の改善」ということです。  こうした国から示す中期目標を踏まえて、具体的に機構が作ったのが、3頁以下の 「中期計画」です。1つ目の柱が「業務運営の効率化のための措置」ということです。 その中の2の所に「業務運営の効率化に伴う経費節減」ということで、ここは先ほど中 期目標で国がお示ししました、4.5年の間に一般管理費などの経費について13%削減す るということを、機構としてきちんと計画に盛り込んでいます。具体的にそれをどうや ってやるかということです。1のほうに戻ってもらいますと、いくつか主な内容が書い てありますが、例えば上から3つ目にありますように「定期的な事務の点検」あるいは 「オンライン化の推進」といったようなことをやっていきたいと思います。また、「シ ステム開発業務を外注化する」といったこともやっていきたいと機構として考えていま す。  大きな2つ目の柱が「業務の質の向上」です。その中で、「サービスの向上」に関し て、1つの数値目標として、勤労者退職金共済機構の支払の日数が、今まで一定の期間 かかっていたわけですが、これをできるだけ短くするということで、具体的に数字を書 いています。☆印で書いてありますが、例えば、一般の中退ですと、現行30日以内かか っているところを25日以内に短くすることにしています。  「業務の質の向上」の2つ目が、「加入促進対策の効果的実施」です。これは先ほ ど、議論になった点に関係することです。具体的には、機構がこの4.5年に何人の新規 加入を入れるかを書いています。一般中退でいえば約160万人、建設業、清酒、林業も それぞれ数字を書いています。この数字の設定の考え方は、単に過去のトレンドを延ば すということではなくて、過去の状況を踏まえて努力部分を入れ込んで設定するという 考え方を取っています。  以下、「財務内容の改善」に関する事項ということで、例えば、掛金収入につきまし ても、先ほどの加入促進の推進といったことを前提にして、一定の額を確保することを 目標としています。  以上のような中期目標、中期計画を少しわかりやすく、関係する図にしたのが次の5 頁です。この中退共という制度に一体どういう目的があるかを考えてみますと、「中小 企業労働者の退職後の生活の安定」というのが最終目標だと思いますが、そこに至るた めには、大きい2つの柱があろうかと考えます。1つが、入った人が「将来にわたって 確実に退職金給付をもらえる」ということ。もう1つが、そもそもそうした制度になる だけ入ってもらう、「確実に退職金制度に入ってもらう」という部分です。  先ほど、中期目標、中期計画に3つの柱があると申しました。3つというのがこの下 のほうの四角の箱に書いてあります。順不同ですが、「財務内容の改善」「業務運営の 効率化」「業務の質の向上」という3つの部分があります。それぞれの関係をこういう 絵柄で整理しています。  「将来にわたる確実な退職金給付」のためには、「財務内容が改善されること」が必 要でありまして、そのためには新規加入者の増によって掛金収入を増やさなければいけ ない。一方で、経費節減によって支出を抑えるといったことが必要となります。具体的 な経費削減のところは、先ほど来申しました一般管理費等の経費について13%削減いた しますし、その他具体的ないくつかの方策を構じているということです。  一方で、業務の質の向上のほうに書いてありますとおり、「加入促進対策の効果的実 施」ということで、具体的な数値目標及びそのための対応を書いています。適年からの 移行についても、加入促進対策の具体的対応の1つとして位置づけています。併せて、 こうした退職金給付については、きちっと事務処理をするということも必要ですので、 先ほど申しましたように、処理期間を短縮して、迅速かつ確実に処理するという体制を 作っていくことにしています。このような中期計画の中身をこれから着実に実現してい きまして、その結果を、毎年毎年、独立行政法人評価委員会から評価していただき、 4.5年経った後については、この期間全体でどうだったかということを評価していただ くことになっております。以上、独法についての状況、主として中期目標、中期計画に ついて御説明しました。 ○齋藤部会長  それでは、いまの御説明について何かございますか。 ○堀越委員  2,600億の赤字があると。これは借入金なのですか、それとも出資なのか、将来どう するのですか。棚上げになってしまうものなのか、そのあたりをおうかがいしたいので すが。 ○蒲原勤労者生活課長  2,600億というのは、会計上の累積欠損ということです。一方で、現実の資産として は、先ほど申しましたとおり、一般中退につきましては約3兆円の資産があります。し たがって、一般中退として、何か借入れをしているということは全くありません。まさ にそういった意味では、お金はきちんとあります。ただし、計算の上ではそういう数字 でありますので、この2,600億という赤字については、先ほども申しましたように、予 定運用利回りを適切に設定し、併せて加入促進をするということで、毎年少しずつ黒字 を出していって解消していく必要があると考えています。 ○勝委員  先ほど、加入促進対策の効果のお話があったのですが、加入促進というのは非常に重 要なことだと思います。数値目標がここで出されていまして、中期計画期間中に、中退 共に関しては159万人と、かなり大きな数字だと思うのですが、もしこれが達成されな かった場合には、どういったことがなされるのかということをお伺いしたいと思いま す。それが1つです。あと、もう1つは運用のほうですが、効率的な運用を図るという のは非常にいいことだと思うのです。最後の資料の4頁で「財務状況の適宜の情報提供 」というのがありますが、例えば運用利回りに関しては、いままでは簿価ベースで見た 運用利回りだったと思いますが、これからは時価を基にした運用利回りの公表がなされ るのかどうかも、併せてお聞きしたいと思います。 ○蒲原勤労者生活課長  1点目の、数値目標が達成されなかったときにどうなるかということですが、制度の 仕組みとしては、先ほど申し上げましたとおり、各省ごとに評価委員会というのがあり まして、ここでどうだったかをチェックされます。その結果、評価委員会において、こ れはこう改善すべきだというような評価がなされるということがまず1つあります。そ れを踏まえて、政府として、数字が高かったのかどうだったのか、あるいは目標はよか ったが、やり方がおかしかったのかということを最終的に判断するという趣旨になって います。  もう1つは、財務状況の情報提供ですが、これは独法になりますと時価会計になりま すので、基本的には時価会計ベースでいろいろな資料を出していくということになろう かと思います。したがいまして、今後財政状況の中で予定運用利回りをどうするかとい う議論のときには、そうした情報を基にこの場でも議論していくということになろうか と思います。 ○佐藤委員  全体で経費を13%削減ということですが、普通こういうことを書くときには、13とい う数字は「約」とかにして、具体的にはしない数字ですね。ということは13%という数 字が出てくるという根拠はいったいどこにあるのかですね。努力をするんだということ だと思うけれども、例えば、常勤役員が2人減ると。あるいは職員がこの10月の時点で 3人減っている、あるいは予算規模も減っている。しかし、数値目標で、先ほど勝委員 がおっしゃったけれども、加入については、これは根底的にいえば、ものすごい数の加 入を得ていくわけです。当然そのための経費はかかるわけで、13%減らすというのは、 ある程度目途が立って「実はもうこういうことでできているんですよ」というような数 字なのか。こんなにきちんと書かれると、私どもも労働組合をやっていて、書記局の経 費を節減するについても、こんなに細かくは書きません。約1割削減しましょうとかそ んなことであって、そこまでおっしゃられるのなら、中身を言ってくださいということ になります。 ○蒲原勤労者生活課長  これについては、わが勤労者退職金共済機構だけではなくて、今回、独立行政法人に なるに当たっての中期目標の考え方を政府全体で議論する中で、政府全体の仕掛けであ る有識者の集まりがありまして、そこで相当いろいろな議論がされていました。それも 踏まえて、関係の担当部局から、各省ともできるだけ具体的な目標を立てろという指示 が来ました。それと、もう1つは有識者の会からも、4.5年なり、5年間で1、2%ぐ らいの削減では、それは民間からいえば、ある意味では誤差の範囲で、やはり効率的、 自立的にやるためには1割から2割ぐらいの削減をきちっとやるべきだという意見が出 されました。  言ってみれば、経費削減について、ある程度大幅かつ具体的な数値目標を設定しろと いう政府全体の取組みの中で、勤退機構につきましても、具体的な数字を設定せざるを 得ないという状況になっていたわけです。13というのは非常に具体的ですが、これは目 標として示しているので、それ自体具体的に決めたものでは正直ございません。ただ、 有識者会議のところから、1割から2割程度という指示があって、それを踏まえて、サ ービス向上を図りながら、しかし自立的に効率化すべきところはどのくらいなのかとい うことを我々いろいろ議論しまして、最終的にこの数字であろうとなったということで す。いろいろ当時の議論を思い起こしてみますと、おっしゃるとおりです。フワフワと 1割とか、何とか程度というのが、政府全体として、ほかの法人も同様ですが、許され るような状況にはなかったということです。具体的に目標を設定しろというのが、政府 全体を通じての議論でした。 ○佐藤委員  その趣旨はわかりますが、何だか13というように縛るような、そういう根拠が明確に あるようにも思えないですしね。 ○蒲原勤労者生活課長  それは多分、この独立行政法人制度に由来するのだと思います。この制度は、目標は 具体的に設定し、しかしどう取り組むかというのは、各独立行政法人が自分で具体的に 考えていくという制度なのです。したがって、中期目標を設定する国の段階で、ある程 度の整理の下に示して、あとは具体的に機構がどう中期計画を作るかという策定の仕方 になります。独法制度の趣旨から、そういう制度になるということでご理解いただけた らと思います。 ○松井勤労者生活部長  いま聞かれた点は、当該法人だけではなくて、独法化する全ての特殊法人について議 論されて、担当者が皆、悩んだ点なのです。いままでの役人的なやり方ですと、言われ るように具体的に積み上げられない限り、数字は示せません。ですから「概ね」という のが、役人が正直にやるための仕事のパターンであったわけです。しかし、そういうや り方をいままでやってきたから、役人はいいかげんな仕事をしてきたんだと。それはき っと、真面目に積み上げて説明しているようだけど、逃げに使うんだと。こういうロジ ックだったのです。  そこで、責任を全部、独立行政法人に任せるんだから、1等賞になる、2等賞にな る、3等賞になるというのをまず言えと。それをできるかどうかを争って、相当程度権 限も委譲するんだと。だから、これまでと発想が全く違っていまして、ある意味では、 我々にとっても初めての経験なのです。4年半やってみて、どうなるかということを見 ないとわからないし、そこで先ほど言われた、これができないときの責任問題をどうす るかについても、評価委員会でチェックすると言っていますが、実はそれもやってみな いことにはどうなるか十分言える状況ではないのです。  しかし、スタートしなくてはいかんということがありまして。これこれを積み上げて カチッと出来るとなれば、役所で設計したことをやるのだから、あと責任者がやる仕事 がないではないかとなるわけですね。そうすると、やや高い目標で、具体性を目ざし て、どこまでできるかで勝負しましょうと。そういうすごく原則的な議論で決まってし まいました。ある意味で、政府内部の強い議論の流れの中で出てきた13%という数字 は、積み上げがないところですが、この目標に向けてみんな頑張ってやると。そのため に、責任権限を相当当事者に委ねると。壮大な実験と見ていただきたいと思います。1 サイクルすれば、もう少し状況もわかってくると思いますが。 ○佐藤委員  もう1つだけ言わせてください。もう前の議論は繰り返しませんが、建退の掛金日額 は310円になったわけですね。日額の話はこの部会の権限ではないということだけど、 私は310円の1日の証紙の値段についても議論すべきだということを言っていたのでね。 その前は3円くっついていたのです。これは事業主から徴収していた。ところが今回 は、もう310円で、3円分徴収しないということになった。そんなことは当然ご存じで すね。  だとすると、その3円分は各県支部なり、あるいは事務組合に対して、一定の事務手 数料として交付していた額に相当するものだと思うのです。その部分についても、いま 聞くわけですが、たぶん国費からは出ないのではないかと。そういうことを考えると、 勤労者退職金共済機構、あるいはそれぞれの事業本部制の中で、相当な合理化を図らな いと、10%以上の削減というのは、相当きついはずです。職員を減らすともどこにも書 いてないです。  そういうことを考えると、そんなに簡単にできるのかなと思います。それが、ひいて は加入者、あるいは新規加入しようとする人に対する、ここでは「サービスの向上」と なっているが、言葉の書きようだけであって、実際はそういう方向に向かわないのでは ないかという懸念をしているわけです。その3円の問題をここで議論すべきかどうかは 疑問ですが、事実ですから、申し上げました。少しお答えいただきたいと思います。 ○蒲原勤労者生活課長  13%は、確かにそう簡単ではないと思いますが、一方で人をどう減らすというところ までは、具体的な数字は入っていません。しかし、例えば先ほど申し上げたシステムの 外注化や、あるいはオンラインを整備すると、いろいろ紙媒体でやりとりするのに比べ れば、サービスも向上するし、人件費もそれだけかからないということになってくるの で、やはりそういうサービスも維持しながら、あるいはサービスを向上させながら、し かしコストを削減できるという方策を具体的に盛り込んでいます。そうした方法をいろ いろ使って、できるだけ経費の削減をやっていくと。おっしゃっているようにサービス が下がるという心配があると思います。だからこそ、この計画の中には「サービスの質 の向上」という項目があって、実際の中期計画では、サービスの向上についていろいろ なことを書いているわけです。  ですから、一方でコストが削減されて、サービスのほうが落ちてしまうのではないか というご心配について言えば、そこはそうならないように、サービスの向上についても きちんと書いているので、それを図りながら、どう13%の経費削減ができるかというこ とを、これから本当に機構で知恵を絞って実行していくということではないかと思いま す。 ○小山委員  いまの経費の削減もそうなのですが、加入の数値目標もかなりきつい数字というか、 思い切った数字を出していますね。これは何と何と何と、どういうメニューで、何をす るかがよくわからないのですが、そういう詳しい資料がもし中期計画としてあるのでし たら、教えていただきたいと思いますし、エイヤッと出した数字だとすると、これま た、ちょっと心配だと思うのですが。 ○蒲原勤労者生活課長  これは細かな積算というよりも、考え方としては過去の状況に一定のオンをして計算 しています。実はこれは、まさにここまではできるだろう、国に対して数値目標を決め なさいということで機構で作った部分です。 ○辻村委員  関連して、新規加入は大体30万から50万くらい増えていますね。ですから、4.5年で すと、決して無茶苦茶な数字ではないと思います。ただ、問題は脱退で、もれるところ がどうなるかが問題です。だから、真水としてはどのぐらい増えていくのか、それが本 当の計画ではないかと思います。 ○蒲原勤労者生活課長  新規加入と脱退とをどう考えるかというのは、我々も議論したのですが、実は脱退の ほうはほとんど退職ということになります。退職というのは、事情は本人もわかってい るし、わかった上で脱退する。一方、新規加入のほうは、そもそもこういういい制度が あるということを知らないで入っていない人がたくさんいるのではないかと思われま す。そうやって考えると、新規加入というのは、目標を設定して、知らないで入ってい ない人に情報を提供して、作業をやっていくのにふさわしい領域です。脱退のほうは 「あなたは脱退するのはやめましょうよ」と言っても、なかなか難しいというというこ とで、そういう性格の違いもあって、ここでは脱退ではなくて、新規加入を書いたとい うことです。 ○齋藤部会長  ほかに何か御意見、御質問はありますか。では、今日はこのへんにさせていただきた いと思います。今日の議事録の署名委員は、長谷川委員と奥平委員にお願いしたいと思 います。次回の開催日は、改めてご都合を伺ってご連絡を差し上げます。今日はどうも ご苦労様でした。 6 配付資料 (1)中小企業退職金共済部会委員・臨時委員名簿 (2)中小企業退職金共済制度の現況 (3)勤労者退職金共済機構の平成14事業年度決算等 (4)勤労者退職金共済機構の独立行政法人への移行について 照会先:厚生労働省 労働基準局 勤労者生活部 勤労者生活課調査係(内線5376)