03/10/27 第5回社会保障審議会介護保険部会議事録          社会保障審議会 第5回介護保険部会議事録 1 日時及び場所    平成15年10月27日(月) 15時から17時    東条インペリアルパレス 2 出席委員    貝塚、上田、市川、漆原、大村、小川、木村、見坊、下村、田近、永島、中村、    秦、花井、矢野、山崎、喜多、京極、西島、山本の各委員    潮谷委員は欠席 3 議題 (1)論点整理 (2)その他 (貝塚部会長)  本部会では、第2回から第4回にかけて、介護保険制度の施行後の運営状況について 検証の議論をひととおり行った。そこで、本日は、これまでの議論で各委員から意見等 があった論点について、事務局に議論を整理させた。事務局から資料の説明をお願いし たい。 ○ 渡辺企画官より、資料1、3に沿って説明。 (貝塚部会長)   介護保険部会におけるこれまでの議論の整理ということで、それぞれの項目の立て方 に対する御意見、追加すべき論点があれば御発言願いたい。 (喜多委員)  「給付費が増大するなか、現行制度では国は負担に耐えられるのか」と書いてある が、「耐えられないでしょう」というのが本意であり、その辺は今後の議論の中で御理 解いただきたい。  また、「調整交付金を別枠にし、国の介護給付費負担金を25%定率とすべき」との意 見は、全国市長会の一貫した主張である。国は4分の1を負担するというのが当初の約 束であったが、法律上は負担金が20%であとの5%は調整交付金になっている。したが って、調整交付金が5%を割っている保険者にとっては、不足分は1号保険者の保険料 の上乗せをして取っていることになる。これは単に財政調整等という問題ではなく、介 護保険に対する国の負担の在り方という観点から議論いただく必要がある。書き方を直 してくれとは言わないが、当然そういう議論をしていただけるものと思っており、念の ため申し上げる。 (中村委員)  サービス給付の適正化・効率化が大きな論点項目になっているが、行政主導で改革せ ざるを得ないと思う。  介護保険施行後の積み残しとして、社会福祉法人改革がある。特養に対する指導・監 査にしても、老人福祉法と介護保険法の2法にまたがっており、一本化していただきた い。社会福祉法人は非課税法人でありながら、低所得者対策が動いていない。現行の届 出制を廃止し、全ての社会福祉法人に利用者負担軽減を義務付けてはどうか。同時に、 市町村からの助成を義務付けるとともに、減免基準を国が示して欲しい。また、1%控 除の枠を廃止して欲しい。社会福祉法人をもう一度洗っていただき、新しい介護保険法 改正の中に是非位置付け願いたい。  グループホーム、特定施設入所者生活介護、ケアハウスについて、住所地特例を早急 に適用することを検討願いたい。 (秦委員)  グループホームが急激に増えていることは大変喜ばしいが、中度の痴呆高齢者が重度 になっていくのは避けられないことなどを考えると、特養との関連も含めて、終の住み かとするためにはどうしたらいいかをきちんとやらないと、非常に中途半端な形態にな るおそれがある。 (矢野委員)  介護保険制度は、高齢者の介護サービスを給付するという制度の目的に沿って、基本 的な部分について保障する制度であることを改めて確認する必要がある。それを超える 部分は利用者が選択して自己負担でサービスを補うということができるようにする、と いう制度の性格付けを常にきちんと決めておくことが必要。  保険者については、保険者が効率化を推進できるようなインセンティブ機能、チェッ ク機能が働く仕組みを進めていく必要がある。これにより保険料が自動的に上がること を防ぐことができる。また、サービス内容と報酬の関係が明確にわかるような基準を検 討していく必要があると思う。そして、保険者の広域化を進めていくことが必要。  被保険者の範囲については、給付の在り方を見直さずに安易に被保険者の範囲を広げ ることには賛成できない。社会保障制度全般について言えるが、現役世代から高齢世代 への所得再配分の傾向が強まっている。一方、税制を見ると高齢者の優遇措置があり、 資産の高齢者への偏りもあることを考えれば、若年層は税金で納めているという考え方 ができる。  保険給付の内容・水準については、要支援・要介護度1の軽度のところでだんだん悪 くなっているというのは大変心配。現行の介護サービスの効果を検証して内容を見直す べき。  利用者が付加価値のある質の高いサービスを求めた場合は、追加的な費用を払うよう な制度とすべき。  利用者の選択によって競争原理が働けば、サービスの質が全体的に高まることも期待 できる。  いわゆるホテルコストなど基礎的生活費については利用者負担として、在宅介護の場 合の費用を基準にして公平を図るべきではないかと考える。  サービスの質の問題については、グループホームの第三者評価はまだ緒についたばか りだが、他の施設でも評価を行うことが必要。その評価の結果を生かす工夫を検討すべ き。  遺族年金からも保険料を徴収することを検討してもよいのではないか。 (西島委員)  小規模・多機能という言葉が、ほとんど議論されないまま独り歩きをしている。高齢 者介護研究会の報告書はあくまでも1つの報告書であって、この委員会での議論の下敷 きにならないことを確認したと思うが。介護保険がスタートする前に、突然グループ ホームを介護保険に入れるという考え方が示され、今これが大きな問題になっている。 きちんとした議論の中でこういう言葉は出してくるべきであり、安易に行政がこういう 言葉を使うべきではない。  ケアプランの問題については、介護支援専門員が非常に多くの数を必要としているこ とに問題がある。施設ケアの場合は歴史があり、看護計画、介護計画、更にはソーシャ ルワーカーというマンパワーがいるわけで、介護支援専門員は居宅介護支援に特化して いくべきだと思う。そうすることでケアプランの充実につながっていくと思う。  痴呆の問題については、ほとんど今まで対策を練ってこなかった。2020年には痴呆老 人が270万人に増えるという推計があって、平成元年に痴呆疾患センターができたが、 ほとんどが公立病院にあるが、全くこれを活性化しようとしないまま来たところに、痴 呆の対策が全くなされてこなかった原因があるという気がする。  要介護認定が6段階になっているが、これをスリム化していく必要がある。6段階で あるために要介護認定が非常に複雑化していることがあるので、これは考えるべき。  要介護者が健康維持をする上で口から食べるというのは、非常に重要。その点で、口 腔管理という意味での考え方も非常に重要。  意見書を出しているので御一読いただきたい。 (永島委員)  痴呆の人のケアについては、介護する側、ケアする側の視点ですべてが語られている 気がする。例えば、ショートステイは、本人がどういうふうになるのかというよりは、 むしろ家族が休養するためのケアということでしか現状ではあり得ていない。痴呆の人 の本人の感じ方ということを、もう少し全体のケアの中に取り入れて考えなくてはいけ ないのではないか。  本人の思いを知るというアンケート調査をしているが、それを見ると初めの頃に本人 がどんなに悩み、心細い思いをしているかがよく分かる。いわゆるグレーゾーンという ところで非常に悩んでいることが多い。介護保険の中で介護予防から要支援を含めた段 階辺りのところで、何らかの支援策を講じなければいけないのではないか。グレーゾー ンということで介護予防から要支援段階にどのようにわたっていくか、どういうケアが 必要なのかを考えていただきたい。 (花井委員)  保険者の在り方については、現在、都道府県知事が行っている指定権限に対して、保 険者が何らかの形で関与できるような仕組みが検討できないものだろうか。  要支援を給付から外したらどうかという意見が強くなっている気がするが、まだ制度 発足3年半であり時期尚早ではないか。もう少し要支援の在り方、介護予防の在り方を 検証していいのではないか。  家族介護への現金給付については行うべきでない。ドイツと違い、現金給付を入れな かったからこそ、今日まで介護サービスの量と利用が増えてきたのだろうと思うし、家 族介護の悲惨さというものは、これまでも相当語られてきている。もう一度現金給付を 行う議論に対しては、賛成できない。ただし、現実に痴呆の方を抱えて家族で介護を担 っている方たちに対しては、現金給付ではない形での支援の在り方を検討していくべき ではないかと思う。  これは別の制度になると思うが、介護保険ができる前に介護休業法ができている。介 護保険ができたにもかからず、介護のために退職する人の数は全然減らない。これは休 業制度の問題なのか、その辺のことも一度取り上げていただければと思う。  ヘルパーの医療行為の範囲が、最近、在宅ALSの方についてだけ、痰の吸引に限っ て認められるようになったが、例えば、血圧測定や爪切りぐらいは実際的には行われて いることが多いという話も聞く。もう一度ヘルパーの医療行為の範囲について検討して はどうかと思う。  虐待に対する法的な救済措置がないのではないか。児童虐待防止法やDV法というの はできたが、要介護者に対する虐待は、連合が一昨年調査した中でも1996年に行った調 査とほぼ変わらない虐待の実態が出ている。一度その問題についても取り上げていただ きたい。救済措置の在り方も検討すべきではないか。 (山崎委員)  本日は意見ということでペーパーを提出させていただいた。在宅重視という辺りでど んな見直しをするかということと、介護予防と医療ニーズに対応したサービス提供の仕 組み、この2点は急がれるのではないか。  在宅重視というところでは、どこまでを在宅でやるのかということも含めて、家族の 負担をいかに軽減するかというところで、24時間365日ケア体制を今回の見直しでもき ちんと議論していただきたい。  在宅と施設で整合性がとれるよう、利用料負担、ホテルコスト等の問題は大事。ま た、ケアプランの問題が指摘されているが、質の向上のための研修とともに、介護支援 専門員の受験資格も見直してはどうか。  医療ニーズに対応したサービス提供の在り方では、医療と介護の一体的な提供が大事 であり、特に医療ニーズのある利用者への看護と介護の連携や業務の在り方は、きちん と検討しなければいけない。また、訪問看護師によるケアマネジャーやヘルパーへの指 導体制というものを強めていただけるとスムーズにいくのではないか。  医療系サービスでは訪問看護ステーションの量的整備が進んでいないが、この要因分 析とともに地域偏在の解消や、基準該当サービスに訪問看護を認めていただくこと、グ ループホームへの訪問看護、老人福祉施設等の入所者がターミナルのときにスポットで 訪問看護が算定できるようにすることなども、見直しのアイデアかと思う。  小規模・多機能については、訪問看護ステーションでレスパイトやデイケア、ナイト ケア等のモデル事業を検証してきたので、医療ニーズのある方の訪問看護ステーション で強化していくようなことも、1つのアイデアではないかと思う。  痴呆ケアについては、痴呆のケアの在り方、指導者の育成等も大事だが、人間の尊厳 にかかわる排泄のケアは大変重要であり、各論ではあるが重視していきたい。 (京極委員)  論点については、大変きちんとまとめられており、ほとんど不満はない。  保険者の在り方については、規模の問題だけで議論するのはいかがなものか。住民に 一番身近な団体である市町村が、基本的に責任を持っていたからこそ介護保険が非常に うまくいったし、国民の評価も得ているということもある。  また、地方自治の発展にとって介護保険はかなり意味があった制度ではないか。た だ、市町村が十分に力量を発揮するように国や県がやっているかどうかというのは別の 問題であり、その点をもう少し強調していいのではないか。その意見が規模の議論の中 に吸収されると、原則論がやや消えてしまうきらいがある。勿論、市町村の御苦労は大 変なものであるが、医療の場合と違って広域化ということのみの観点で図るのはいかが なものか。  介護労働者の需給調整あるいは質的アップ等の問題については、新しい段階を迎えて いるのではないかという気もするので、少し検討を要するのではないか。  ケアマネジャーに関しても、退院計画や退所計画はすごく大事なので、特に施設でや る場合は、それがなければ点数はつけないぐらいの感じでやらなければならないぐらい に思う。  福祉器具が発達して不適切な利用もあるかも知れないが、適正化するためにも、ハー ドケアマネというか、住宅改修と福祉予防を両方できる人が必要。どちらかしか大体知 らないが、そういうものの評価をきちんとする。ケアマネの水準アップというのは21世 紀の最大の課題だと思うので、抜本的に見直す必要がある。 (漆原委員)  意見書を提出しているので御参照いただければありがたい。  保険者については、サービス提供体制の問題や住民の身近な生活圏を考慮した範囲と いったことで地域保健という概念でスタートしているので、当初の考えのすぐれた点を そのまま残す考え方も必要ではないか。  居宅サービスの見直しについては、短期入所サービスが短期間の施設利用といった観 点で整理される方が、今のショートステイの別立てになっているよりも、利用者にとっ ても施設にとっても利用しやすいのではないか。また、施設からの在宅への復帰につい ては、家族がいるいないよりも、食事がどう提供されるかという問題が非常に大きい。 現在、ホームヘルパーの火事援助以外にはそういうサービスはないが、配食の仕組みに ついて考えていただければと思う。勿論、食事を給付の対象にするということではない ことは申し添えさせていただきたい。  施設と在宅の均衡の問題については、介護老人保健施設では介護保険が始まる前まで は、入所であっても在宅で必要な費用は原則として利用者の自己負担という形で運営し て、問題なくこれまで経過してきたと思っている。施設サービスにかかわる費用につい ては、介護にかかわる費用、生活にかかわる費用、医療を受けるための費用といった区 分した観点から、もう一度再構築していただく必要があるのかなと思っている。  施設利用者の専門医療の在り方、リハビリテーションの考え方について。介護予防、 自立支援の理念達成のためには、いかに継続的にリハビリテーションが提供されるかが 大事。地域リハビリテーションの視点での提供体制の構築が是非必要。  施設類型の見直しについては、それぞれが担っている機能そのものを生かしながら も、機能別に類型化して再整理するという議論だと思う。なぜなら、現在の施設サービ スの利用者の状況を直視すると、必ずしも障害の状態や生活環境から適切な場で療養さ れているとは限らない。また、各地域・地方にあっては、介護保険3施設が必ずしもバ ランスよく整備されていると言えない状況にあると思っている。  今後、施設サービスの在り方を検討する中では、例えば、意見書に書いたA、B、C の機能の3類型のようなものを現在の療養所を分けた上で、各類型ごとに施設基準、人 員基準などを定めることによって、より効率的で弾力的な施設運用ができないかといっ たことも考え始める必要があるのではないか。 (小川委員)  要介護1、要支援の問題を論ずるときには、介護保険外のサービスをどこでつくるか という問題は不可欠。介護保険が始まるときに、在宅介護支援センターはもう要らない とか、市町村の独自の福祉施策は余り力点を入れないということで、社会福祉法人等、 既に地域にあったさまざまなサービスが縮小したのが平成11年、平成12年だったと思 う。在宅介護支援センターは、いろいろな地域ニーズを掘り起こして、行政施策の中に いかに入れるかという窓口であるので、この在り方に対して市町村、県あるいは厚生労 省の意見をいただきたいと思っている。  コストの問題については、古い調査だが、県や市の予算を調べてみると、ヘルパーを 1時間出すのに1万円のコストがかかっている。そのときはまだ介護保険前で、市場の 株式会社等が出している価格で言うと6,800円。それに対してNPOは産直のようなも のだから1,000円で済む。行政で請け負ってきたあるいは社会福祉法人や社協を軸にし てつくってきたものが、どれだけコストがかかっているか、無駄がないかということを 考えないといけない。財源の問題の前にコストパフォーマンスの問題を考えなくてはな らない。  この問題は、介護に携わっている人の労働問題にかかわってくる。財源がないのでと いうことで介護報酬を下げられるということは、福祉の仕事に従事している人の労働条 件にもはね返ってくる。介護保険はもともと社会化しようと言っていたわけだが、市場 化の方が勝ってしまい、市場競争の中に福祉労働が振り回されている。これで本当に福 祉の質が確保できるのだろうか。そういう意味では、先般の介護報酬見直しの積算根拠 が明らかになっていないとも思っているので、資料として出していただきたい。  介護保険後、現場の離職率・退職率については、どうなっているのか。看護師も介護 職も非常に流動的に職を転々としている。その辺りもとらえていかなければいけないと 思っている。  多様な住み方というのは重要だと思うが、小規模・多機能と言われて一体それが何な のかという議論がないまま走っていることは、やはり懸念される。特別養護老人ホーム を建てるのに個室ユニットになれば20億円くらい掛かるのではないか。すると1人に対 して2,000万円かかるような建物をこれからどんどん建てていくわけにはいかない。し かし、特別養護老人ホームに求められる機能は無視できない。そうすると、社会福祉法 人の在り方、経営する施設の在り方を根本的に見直さない限りは、小規模・多機能だけ が走ってしまい、コスト問題は横に置いたままになってしまう。特養や小規模・多機能 の建設コストは誰がどのように負担し、利用者の負担になっていくのかということも、 ここで検討していただきたいと思う。  サービス評価の問題については、オンブズマンでも、家族介護は虐待問題として多く 出てくる。施設の職員の問題もあると思うが、本当は家族の都合によってということは とても多い。その意味で外部評価が入ってくることは非常に重要と思っているが、第三 者評価の在り方について行政主導になることは賛成できない。むしろ市民を巻き込ん で、市民評価というものが市町村あるいは県の中でつくれるかどうか、このことを是非 考えていかなければいけない。介護の社会化と言うからには、高齢社会の認知の問題と も思う。高齢者福祉、障害者福祉に関心を高めるためにも、第三者評価の在り方につい ては行政主導でない方が望ましい。 (下村委員)  議事の進行について、まず論点の確認をお願いしたい。  1つの問題点は給付が非常に高いスピードで伸びており、このままいくと、平成16年 は何とかなるのかなと思うが、現在の介護保険料で平成17年が赤字にならないかと非常 に気になる。あるいは第三期に入るときは相当大幅な保険料の引上げになるのではない か。そういう意味では、その前提があってそこをどう見るかによって、介護保険の将来 をどう考えるかというところはかなり違ってくる。平成17年やその後の見通しを早急に 出して欲しいと言っても出ないだろうが、それが出ないと目途がはっきりしないと思 う。そういう意味では、平成16年度予算が済んでからでないときっちりした議論もでき ないように思う。ただ今の勢いでいくと、平成17年に保険料引上げか、平成18年には相 当保険料の引上げになるのではないか。  一方、年金の議論から言うと、年金も保険料を上げるのではないかという話が出てお り、健保は今年上げているから平成16年の引上げはないが、平成17年の引上げはあるだ ろう。  また、ホテル代は、本当は年金と絡む話。その辺のいろいろな制度との絡みの点はど こかで議論できるだろうかという点が、この論点では多少あいまいな気がする。  全体としての論点整理は、私はほぼこれでいいと思う。ある程度論点を決めながら進 めていかないと、話があっちこっちへ飛んで、今から結論についての注文まで出てきて いる。ある程度論点を決めて議論していただきたい。 (山本委員)  保険料を決めるときの苦痛というのは、お分かりかどうか分からないが、大変なも の。下げるならいいが、少しでも上げるとなると大変。給付が足りないという意見があ るが、保険料を決める立場からすれば、何を言っているのかという気持ち。保険料をど どん上げていくということになれば、介護保険制度は破綻するよりも破滅する。だか ら、これは皆さんがよく理解をして検討していただくことが必要。  確実にサービスがされて適正な請求がされているかどうかを知るため、ICカードを 導入したい。このため、規則等を改正してもらわないといけない。現在の料金の支払い は一方的で、サービス業者が請求して国保連合会が払っているだけであり、保険者はサ ービスがきちんと行われているか分からない。ICカードでサービス提供者と受ける者 の両方とも情報を見ることができるようにしておけば、適正にサービスをしたかどうか 分かる。e−Japanをつくるならば当然やるべきだと思うので、新たなものとして検討 願いたい。  規模の問題ではないという意見があったが、非常に心外。自分のところは71市町村で 広域連合を組んでいるが、1ヶ所にまとめることにより間接的な費用は非常に削減でき る。適正規模の大きさであれば、それだけの非常に大きなメリットがある。  また、広域連合の中でも地域差があるので、地域ごとに保険料を決めていくことがで きれば皆さんが納得して、広域連合の運営がうまくいく。我々のところは16支部ある が、16に分けるという意味ではなくてA、B、Cの3ブロックぐらいに分けて保険料を 決めることができれば、非常に運営がやりやすい。制度改正に追加して検討いただきた い。  グループホームが全く規制がないので、どんどん作っていくことになる。要らないと 言っても、文句言うなら裁判で訴えると言われる。ある程度の法規制が必要。法規制の ないようなことをやるから、介護費用がどんどん上がっていく。このままでは破滅の時 期があと2〜3年で来る。新しい時代の新しい介護制度を真剣に検討いただきたい。 (貝塚部会長)  社会保障制度というのは、持続可能な形で運営していくということが一番重要。 (田近委員)  端的に言えば、保険料が5,000円を突破しているところもあり、制度がサステインで きるかどうかは非常に厳しい。厳しい財政の中で、今やるべきことは何か。そして、も っと根本的にやらなければいけないことは何か。その辺の仕分けが必要だ。  今やるべきことは何かと言えば、負担とサービスの見直し。負担については、1割負 担のままでいいのか。1割でモノが買えるなら、どんな財政だってもつわけない。そし て負担をどうやって増やしていくか。ホテルコストについては、かなりのコンセンサス を得られた。給付の中で丸めているものはやめて、本人が負担すべきものは払ってもら う。それから、要支援・介護度1の需要が増えたということは悪いことではなくて、そこ をどうやって予防につなげるかといったいい意見も出ている。  居宅と施設という区分が適切だったのか。施設に入ると丸めるというやり方がまずか ったのだろう。施設に入ってもホテルコストは除く。また、施設に入っても、ある人は リハビリが重要だろうし、ある人はほかのことが必要ならば、それは項目別に費用を立 てればいい。  保険者については、介護保険になってから、民間の参入に関して、保険者がどれだけ 競争を阻害してきたかという公取の報告書が出ている。ここの場でも提供されるべき。  非常に重要なケアマネの中立性が保たれていない。評価に関しても議論が非常に弱 い。悪いやつを叩くだけでなく、よくやっている人を褒めたり、取り上げることがあっ てもいい。  そして、保険者の範囲について、広域化も含めてどうするか。自治体の方が苦しいと 言っていたわけで、長期的には市町村が保険者をお辞めになるオプションを与えてもい いと思う。幾ら費用がかかったかチェックできないのであれば、辞めればいいと思う。 新しい保険者の組織を考えればいい。保険者である以上、責任はある。きちんとしたマ ネジメントが困難であるならばお辞めになればいい。健保組合も是非参入されてマネー ジするとか、新しい保険者の在り方について長期的には議論すべき。  医療と介護を同時に考え、社会的な入院をどうするかという問題も長期的にはある。  アメリカではメディケイドで死後に資産を売却して回収する仕組みもある。日本で も、生きている間に払えない方が多いわけで、死んだら資産がある方からは徴収する仕 組みにすべき。高齢者自身に負担していただかなければ、年金にせよ、医療にせよ、介 護保険にせよ、日本の社会福祉、社会保障がもたないことは事実なのだから、国民にも きちんと言うべき。  財政破綻が避けられない中で、今やるべきことは何なのか、長期的に考えていくべき ことは何なのか、ということを踏まえていかないと収拾がつかない。ただ、今やるべき ことに関しては、ここの場でもかなりのコンセンサスは得られるのではないかという気 はしている。 (木村委員)  老人福祉法上の在宅介護支援センターと、介護保険の居宅介護支援事業所の二枚看板 を仮に持っているとすれば、相談に来れば利用者として要支援認定に申請させた方が、 後々お金になるというようなことに現場はなっているのだと思う。このため、在宅介護 支援センターの特に基幹型については、その地域のケアマネジメントを統括的に見れる 役割や機能をはっきりさせ、その財源もつけて、老人福祉法と介護保険法の間、グレー ゾーンのところで悩んでいる相談員、ケアマネジャーを助けてあげるような論点を加え ていただきたい。 (西島委員)  公的保険制度は継続性が重要であり、やれなければやめたらいいという議論は、非常 に荒っぽ過ぎる。アメリカはそういうやり方をやって無保険者が5,000万人も医療保険 の中にいる。そういうことが本当に起きていいのかどうか真剣に議論しないといけな い。 (見坊委員)  利用者の声が、いろいろと具体的に分かってきたので、いずれまとめて発表したい。  強調したいのは、職員の勤務形態と資格の問題。利用者は、せっかくいいサービスを 受けていると思ったら、どんどん人が変わると言っている。常勤と非常勤がどういう割 合になっているのか。非常勤を増やして採算を取るということがあるようなので、是非 取り上げたい。  資格問題がはっきりしない。特に施設関係その他の資格制度が非常にあいまい。医療 施設関係の利用者は、医療関係の職員に対して非常に信頼をおいている。介護保険関係 の専門施設については、その辺に不安を感じているという点があるので、是非取り上げ ていただきたい。  施設設備の問題で、どんどんいろいろな施設が増えており、利用者が不安を持ってい る施設がある。非常口が玄関の1か所しかないような建物まで利用して、ニーズに答え ようとしているが、実際に利用している人は不安を感じている。  福祉用品・用具、改修の問題については、点検していただく必要があると思う。  サービスを受けている中で身障手帳を持っている方がかなりいて、介護保険のサービ スと身障手帳によるサービスの両方を受けている。利用者同士で情報交換しているが、 知らない人も多い。身障手帳との関係は他制度との関係になると思うが、保険給付の問 題を論じるときには論点の1つかと思っている。  利用者は、要介護度が変わったが納得できない、ケアプランが納得できない、ケアマ ネジャーが変わったなど、いろいろ要望しても取り上げてくれないことがある。その要 望をどこに持っていくかという問題があるが、利用者と事業者の契約だからという逃げ 方をする市町村も多い。県に不服申立ができるというが、そんなことはできるわけな い。保険者の中にきちんとした窓口を作って欲しいという声がかなり強い。 (貝塚部会長)   論点の整理案については、多少拡充すべき点は御意見があったが、こういう形で論点 を分けて今後議論を始めたいということでよいか。では、今後の審議の進め方につい て、事務局から説明をお願いしたい。 (山崎総務課長)  今日いただいた御意見は、論点に含めさせていただき、次回からは各項目ごとに議論 を深めていただきたい。11月においては、まず保険者の在り方と給付の在り方について 議論いただき、その後、順次、それぞれの項目ごとに論議を深めていただきたい。  なお、高齢者介護研究会の報告については、私どもも研究会の報告書がまずありきと 言っているわけではない。あくまでもこの部会で制度論について議論していただいてい るわけだが、当然いろいろな御意見があり、この高齢者介護研究会の報告も1つの重要 な考え方だと思っている。それをいろいろな所で紹介することもあるが、その場合に も、制度論は当部会で検討している旨をお話しているところであり、その点は御理解い ただきたい。 (貝塚部会長)  資料2にあるような順番で、これから毎月1回ペースで項目別の議論を行いたいと思 うが、よろしいか。では、次回は保険者の在り方及び給付の在り方について議論した い。 (秦委員)  介護移送について各省庁で検討しており研究会ができると聞いているが、その都度ど ういう案になっているか報告して欲しい。 ※貝塚部会長より閉会のあいさつ 照会先  老健局総務課企画法令係  TEL03-5253-1111(3909)