03/08/11 独立行政法人評価委員会医療・福祉部会第1回議事録          厚生労働省独立法人評価委員会医療・福祉部会                 第1回 議事録 日時:平成15年8月11日(月)14:00〜16:00 場所:厚生労働省 18階 専用第22会議室 出席委員 浅野委員、石井委員、遠藤委員、大石委員、岡田委員、川原委員、小林委員      白石委員、宗林委員、橋本委員、山村委員 1.開会 ○山田政策評価官  定刻になりましたので、ただいまから第1回独立行政法人評価委員会医療・福祉部会 を開催させていただきます。  委員の皆様におかれましては、お忙しい中をお集まりいただき、誠にありがとうござ います。  部会長を選出していただくまでの間、政策評価官の私、山田が議事の進行を務めさせ ていただきます。 2.議事 (1)委員紹介 ○山田評価官  それでは、はじめに、委員の先生方の御紹介をさせていただきます。お手元の資料1 の1ページに委員の名簿がございますが、五十音順に御紹介いたします。                  (委員紹介) ○山田政策評価官  山崎委員は本日は御欠席でございます。  続きまして、厚生労働省からの出席者を紹介させていただきます。                (事務局出席者紹介) (2)部会長、部会長代理選出 ○山田政策評価官  それでは、本部会の部会長を選出していただきたいと思います。  独立行政法人評価委員会令第5条第1項に基づき7月4日に開催されました独立行政 法人評価委員会総会におきまして、本医療・福祉部会他5部会が設置されたところでご ざいます。部会長の選出につきましては、同条第3項におきまして、当該部会の委員の 互選により選任することが定められております。どなたか御推薦いただけますでしょう か。 ○大石委員  医療、福祉行政全般にわたって幅広い御見識のある岡田委員が適任だと思います。 ○山田政策評価官  ただいま、岡田委員を部会長にという推薦がございましたが、いかがでしょうか。 ○各委員  (異議なし) ○山田政策評価官  それでは、岡田委員に本部会の部会長をお願いいたします。以後の議事進行につきま しては、部会長にお願いいたします。岡田委員は部会長席にお移りください。 ○岡田部会長  ただいま御指名をいただきました岡田でございます。大変責任の重い仕事でございま す。最善を尽くして努力をしてまいりたいと思いますので、諸先生方の御協力をお願い 申し上げます。  それでは、部会長代理を決めさせていただきたいと思います。部会長代理は評価委員 会令第5条第5項において部会長に事故があるとき、あらかじめ指名する委員がその職 務を代理することとなっております。部会長が指名することとされておりますので、こ れまでの御経験、御識見から、小林委員に部会長代理をお願いできればと思いますが、 よろしいでしょうか。 ○各委員  (了承) ○岡田部会長  それでは小林委員、よろしくお願いいたします。部会長代理席へお移りいただきまし て、一言御挨拶をお願いいたします。 ○小林部会長代理  小林でございます。部会長に事故が起こった時に代理をしろということですから、事 故が起こらないようにと切に願っております。どうぞよろしく。 (3)独立行政法人制度をめぐる動きなどについて (4)医療・福祉部会の今後のスケジュールについて (5)各独立行政法人の業務の概要について ○岡田部会長  それでは、次の議事に移らせていただきます。  独立行政法人制度の概要についてですが、すでに新任の委員の方々も事務局がセット した事前説明会に参加されて説明を受けているかと存じますので、独立行政法人制度を めぐる動きと医療・福祉部会の今後のスケジュールと併せて簡潔に事務局から説明をお 願いしたいと思います。 ○山田政策評価官  資料1の10ページに「特殊法人等から独立行政法人化への経緯」という資料がござい ますので、そこをお開きいただきたいと思います。本部会で御審議いただく3法人は特 殊法人から独立行政法人に移行する法人であり、特殊法人改革と関連が深いので、これ までの経緯等につきまして、かいつまんでご説明したいと思います。  行政改革会議最終報告(平成9年)というのがございます。特殊法人につきましては 、この時から経営責任の不明確性、事業運営の非効率性・不透明性等が指摘されており ました。こういったことにどう対応していくのかということで、特殊法人改革という流 れができているわけです。  平成13年1月には中央省庁等改革がスタートいたしまして、その一環として独立行政 法人通則法というものが定められて独立行政法人制度が創設されました。  また、特殊法人等改革基本法が成立し、特殊法人等整理合理化計画の策定が義務付け られ、内閣総理大臣を長とする特殊法人等改革推進本部が設置されました。  こうしたことを受けまして、特殊法人等整理合理化計画というものが平成13年末に閣 議決定されております。この中には特殊法人等の業務について、廃止も含めて見直すと いうことが書かれておりますし、組織の在り方についても民営化、独立行政法人化など 、それぞれの特殊法人について合理化の方針を決めております。  それとあわせまして、特殊法人等改革推進本部に参与会議というものが設置されまし た。これは、合理化計画で決められた実施状況のフォローアップを任務とする有識者に よる会議でございます。  こうした動きを経まして、特殊法人から移行する独立行政法人の個別法が昨年の臨時 国会で成立し、その中で、各法人の目的、業務の範囲が法定化されました。  「独立行政法人の中期目標等の策定方針について」とありますが、個別法に定められ た業務を法人がどれだけきちんとやっていくかということについて法人を所管する大臣 が中期目標を設定して、その実施状況をこの評価委員会でチェックする中で、独立行政 法人の適正な運営が行われていくように推進していくということでございます。  次に、参考資料をご覧いただきたいと思います。表紙をめくっていただきますと目次 がございます。先ほどの資料1−6と参照しながら、どういうものがこの中に入ってい るかということを御確認いただきたいのですが、2番目に独立行政法人通則法が資料と して入っております。これは、これから御審議いただく独立行政法人のバイブルのよう なものです。4番目に特殊法人等整理合理化計画の総論が収められております。  本日、このあと、この部会の審議の対象となります3法人について業務概要等を説明 させていただきますが、その中で、整理合理化計画においては、その法人についてこう いう指摘がされている、それに対してこういう対応をすることになっているという説明 があろうかと思います。そういう個別の法人の方向性についても定められたものです。  6番目、独立行政法人の中期目標等の策定指針について、7番目、中期目標(案)及 び中期計画(素案)に対する参与会議の指摘事項、9番目、小泉総理大臣及び石原国務 大臣発言要旨がございます。これについてはもう少し詳しく説明をさせていただきたい と思っております。  10番、11番に政策評価・独立行政法人評価委員会の意見がありますが、各府省の独立 行政法人評価委員会で行った評価について、さらに総務省に設置されたこの委員会で二 次チェックとして評価をしており、その意見を参考としてつけております。  それでは、まず29ページをお開きください。「独立行政法人の中期目標等の策定指針 」ですが、本年4月18日に特殊法人等改革推進本部事務局から出されたものです。今後 、法人の立ち上げに際して中期目標を策定することになりますが、この委員会において 3つの法人の中期目標(案)について御審議いただくときの視点として参考になるもの であろうと考えられますので、簡単に説明させていただきます。  33ページをご覧いただきますと、中期目標を作る際の留意事項がいくつか書かれてお りますが、重要なところに下線が引いてあります。  定量的かつ高水準の目標設定のところでは、定量的な目標設定が非常に重要であると いうことが書かれておりますが、定量的な目標を設定する時にも「実現可能性を過度に 考慮した安易なものとすることなく、法人の努力を促すことが期待されるような、より 高水準なものとすべきである」ということが書かれています。  定量的な目標設定が難しい場合、「定性的な目標設定もやむを得ないが、その場合に おいても、単に抽象的な表現にとどまらず、当該事項について法人の達成すべき水準を 明確かつ具体的に示すことが必要である」と書かれています。  目標における各事項の均衡への配慮のところですが、独立行政法人の課題として、業 務運営の効率化及び財務内容の改善とともに国民に対して提供するサービスその他の業 務の質の向上の達成が求められております。  しかしながら、「業務運営の効率化の中で法人の経費の抑制を目標として掲げた場合 に、当該目標が、国民に対して提供するサービスその他の業務について本来あるべき量 ・質を低下させるおそれが生じるなど、各々の事項に関して定める目標がトレードオフ の関係となる場合もある」とあります。  このようなトレードオフの関係となる目標を各事項に関して設定する場合においては 、「その均衡に配慮する必要があり、各々の目標のウエイトや優先順位を考慮した上で 目標を設定すべきである」ということが書かれています。  以下、具体的なことについてもいろいろ書かれておりますので、のちほどお目通しい ただければと思います。  次に49ページをお開きいただきますと、「中期目標(案)及び中期計画(素案)に対 する参与会議の指摘事項」が書かれています。  10月から新たな法人が立ち上がりますが、各府省所管の10月設立法人について、参与 会議において、特殊法人改革の一環として、6月に中期目標(案)等に関する事前ヒア リングがありました。その中で指摘されたことがこのような形で整理されています。  「総論」では、「目標の設定が抽象的、多義的、定性的にとどまり、厳格な事後評価 が行い得ない法人もあった。具体的かつ意欲的な数値目標・計画の策定が切に望まれる 」ということが指摘されています。  次のページの中段に「経費削減」というところがあります。「経費削減については、 毎年度1%減とか目標期間中5%減といった目標が見られるが、最近の厳しい社会情勢 、社会通念を踏まえると、ほとんど誤差の範囲である。例えば、期間中で1〜2割の削 減等、より大胆で意欲的な目標とすべきである」という指摘もされています。  66ページ、67ページに、8月1日の石原大臣、小泉総理大臣の閣議における発言があ ります。まず67ページの石原大臣の発言を見ていただきますと、一の最後のところに、 「中期目標の期間や経費の内容に応じて1割から2割の削減を指示していただくようお 願いいたします」とあります。  「そうした石原大臣の発言を踏まえて、各大臣に先頭に立って作業を指揮していただ きたい」という小泉総理の発言もあったということです。  我々といたしましては、こうした閣議での発言については、厚生労働省やそれぞれの 法人において対応が必要になるであろうと考えております。この評価委員会の部会の中 での中期目標(案)、中期計画(案)についての御審議も併せて踏まえた形で、今後対 応していく必要があろうかと考えている次第でございます。  以上が最近の独立行政法人を取り巻く環境でございます。  もう一つの報告事項、今後のスケジュールですが、先ほどの資料1の最後のページの 資料1−7をご覧いただきたいと思います。  本日の第1回目では、このあと御審議いただく3法人の業務の概要について説明させ ていただき、御質問をいただくことを予定しております。  次回以降ですが、のぞみの園、福祉医療機構が10月1日に設立されますので、9月中 にこの2つの独法の中期目標・中期計画を定める作業をする必要があることから、第2 回、第3回においてはこの2法人についての中期目標案・中期計画案をお示ししまして 、これについて御審議をいただくことを予定しております。  第4回の9月18日につきましては、2回の御審議の中で積み残された課題等々につい て御審議いただいて、最終的に中期目標・中期計画案に対する意見案についておまとめ いただきたいと考えております。当面のスケジュールについては以上のとおりでござい ます。 ○岡田部会長  ありがとうございました。ただいま独立行政法人制度の動向、そして私どもの今後の スケジュールについて事務局から説明していただきましたが、御質問等はございますで しょうか。 ○大石委員  参考資料の33ページのところなんですが、下から3行目の「トレードオフの関係」と いうのがよくわからなかったので、お願いします。 ○山田政策評価官  一つは業務運営の効率化でコストを削減するという目標がある、一方では、できる限 り国民のニーズに応えて業務の質を向上していくという目標があるという場合、コスト 削減と業務の質を上げるという目標の両方が成立するのは難しい面があるので、その兼 ね合いをどういうふうにしていくのかということについて十分留意する必要があるとい う趣旨でございます。 ○小林部会長代理  同じく33ページの上から3行目の「実現可能性を過度に考慮した安易なものとするこ となく、法人の努力を促すことが期待されるような、より高水準のものとすべきである 」というのはどういうことなんですか。過度にしなかったから実現可能のところですよ という言い逃れもできるし、法人の努力を期待するんだから、でかいものを上げました よ、高水準のものにしましたよというのはわかるんですが。言葉はきれいなんですけど 、どういうことなんですか。 ○山田政策評価官  例えば、独立行政法人に移行する前にどういう実績が上がっていたかということを調 べた時に、それよりも低い目標を設定して、普通にやっていればその目標は達成できる 。目標が達成できたから高い評価を受けるというのはまずいのではないか。今までやっ てきたこと以上の努力が引き出されるような目標水準の設定が必要ではないかという趣 旨ではないかと思います。 ○岡田部会長  大石委員の発言も小林委員の発言も、私も質問させていただこうかなと思っていたも のでございました。おわかりいただけましたでしょうか。ほかにいかがでしょうか。よ ろしいでしょうか。  それでは、次の議事に移ります。  先ほど事務局から説明がありましたとおり、当部会の当面の課題は10月以降設立され ます新法人の中期目標・中期計画案の審議でございます。そこで本日は各法人ごとにそ の業務概要等について事務局から説明をいただき法人の全体像をつかんだ上で、次回か ら、各法人ごとに回を設けて中期目標及び中期計画等の審議を行うこととしたいと思い ます。  まず、次回以降審議を行う2法人について御説明願います。その後、4月に設立する 医薬品医療機器総合機構について要点を絞って御説明願います。なお、御質問等につき ましては3法人の説明がすべて終了した後、まとめてお願いしたいと思います。  それでは、はじめに福祉医療機構についてお願いします。 ○村木福祉基盤課長  福祉医療機構の担当の基盤課長でございます。独立行政法人福祉医療機構というラベ ルが張ってあります封筒の中の資料をご覧いただきたいと思います。資料2−1を中心 にして、パンフレットも参照しながら御説明したいと思います。  まず資料2−1の1ページをご覧いただきますと、法人の全体像が簡単に整理してあ ります。  この法人は、社会保険料や税がベースになって運営されている非常に大事な分野につ いて、国の福祉政策・医療政策を補完し促進するためのいろいろな事業を行い、福祉、 医療の我が国における基盤整備をサポートしていく独立行政法人という位置付けにして おります。メインになりますのは、福祉施設、病院、診療所等を建てる時の資金の貸付 等の業務でして、それらの業務をはじめとして、事業概要として8つの事業が並んでい ますが、その8つの事業を展開する法人です。  社会福祉事業振興会と医療金融公庫を統合して昭和60年から社会福祉・医療事業団と なり、福祉・医療の両方をカバーしていましたが、これが今回、10月1日から独法に移 行することになります。  規模ですが、役員については、理事長1名、理事4名以内、監事2名です。職員数は 本年4月1日現在で264名の法人です。  予算規模ですが、平成15年度で335億円ほどです。特殊法人の時期と独立行政法人にな ってからの時期と分けて書いてありますので予算の全体像がつかみにくいかと思います が、335億円の中で大きいのは190億円ほど、福祉の分野で働く方の退職金として支給さ れるお金です。もう一つは100億円ほどですが、資金貸付をした時の国からの利子補給の お金です。このように運営費交付金で賄われる事務経費の部分が40億円強の規模の法人 と御理解いただきたいと思います。  業務が8つありまして、次のページから1つの業務について1ページずつで簡単にま とめてありますので、ご覧いただきたいと思います。  まず2ページは、この法人の一番大きい業務である福祉及び医療貸付事業の概要です 。  国の施策であるゴールドプラン21、新エンゼルプラン、新障害者プランの3本柱を軸 とした福祉政策や医療制度改革に即して、福祉・医療関係の施設整備と経営に必要な資 金の貸付を行う業務です。お金がたくさんかかる福祉・医療の基盤整備には国も大きな 補助金を出しておりますが、法人が自分でお金を調達していく部分がありますので、資 金貸付をして、国が目指す福祉基盤の整備が円滑に行われるようにするという業務です 。  貸付対象ですが、福祉のほうでは特養、保育所、障害者入所施設・通所施設、在宅介 護サービスセンターなど、医療のほうでは病院、診療所、介護老人保健施設などの施設 に対して貸付を行うことになっています。  貸付条件は施設の種別ごとに違っていますが、建物を建てるような大きなお金ですの で、20年、25年といった長期の資金をできるだけ低利で、しかも固定金利で貸付をする ことが原則になっていまして、そのための原資は主として財投のお金を使っています。 金利が高い時は利子補給をして、長期に低利で固定金利の貸付を行うというのが使命で す。  一番下に貸付実績が書いてあります。平成14年を見ていただきますと、件数が1,806件 、貸付が3,572億円、貸付残高が14年度末で約3兆円となっています。民間では調達でき ないような長期の資金貸付を行っている事業です。  3ページは福祉医療経営指導事業の概要です。  長期の資金貸付をしますので、この法人にとっても福祉や医療の経営がスムーズにい き、貸付をしてあるお金がきちんと返ってくることが非常に大事です。そうした観点か ら、福祉の事業者、医療の事業者に対する経営指導を行っています。経営指導の内容と しては、セミナー形式による集団経営指導と個別の経営診断・指導を行うものがありま す。  やや変わったところとしては、開業医継承支援事業というのがあります。「事業の譲 渡を希望する開業医」と「開業を希望する若手医師」の両者について、情報の登録・提 供・仲介を行うという事業です。  4ページは福祉保健医療情報サービス事業の概要です。  WAM NETという愛称で呼んでおりますが、福祉、保健、医療、介護等に関する 情報提供をする事業です。  この事業の内容は大きく2つに分かれておりまして、1つは、行政機関、社会福祉施 設、医療施設、介護事業者など利用機関の方々が情報を共有したり情報交換ができたり というために、会員登録をしていただいて、その方々に情報を提供する事業です。  もう1つは一般国民向けに福祉や医療の情報をインターネットを通じて提供する事業 です。例えば、介護保険を利用して在宅サービスを受けたいけど、この近辺にはどうい う事業者があるのかとか、遠く離れている親のために入所施設を探したい、何々県には どういう施設があるのかとか、医療や福祉に関する一般的な情報を幅広く登載して、誰 でもご覧いただけるような形で提供するという事業です。  会員システムどサービス提供者等に情報を提供する事業のほうは、登録している機関 か4万件ほどございます。一般的にインターネット等を含めて情報検索をしていただく ヒット数が月に600万件という数字になっていますので、幅広くご利用いただいている事 業かと思います。  5ページは長寿・子育て・障害者基金事業の概要です。  政府が何回かに分けて出資していますが、現在2,800億円の基金があります。金利が下 がっているので難しいところがあるのですが、30数億程度の事業ができるぐらいの運用 益がございます。この運用益を使って、社会福祉の分野で民間の創意工夫を活かしたい ろんな事業に対する支援を行い、高齢者や障害者の在宅支援、生きがい・健康づくり、 青少年の非行防止や健全育成、障害者スポーツの振興等の推進を図ろうという事業です 。  内容としては、長寿社会福祉基金、高齢者・障害者福祉基金、子育て支援基金、障害 者スポーツ支援基金の4つがありますが、最近大事になっておりますNPOの活動等も この基金を使って実施できる仕組みになっております。  実績ですが、14年度の数字を見ていただきますと、4つの基金を合わせて841の事業に 39億7,600万円ほどの助成金を出しているという状況です。  6ページは社会福祉施設職員等退職手当共済事業の概要です。  社会福祉施設及び特定社会福祉事業を経営する社会福祉法人の職員の方々に退職金を 支給する仕組みです。公的な措置制度の中で行政代行のような色合いがもともとあった わけですが、福祉施設の職員は労働条件が厳しく、よい人材が確保できないという状況 がありました。せめて退職金をきちんと払えるような職場にということで、昭和36年に 制度が発足しています。  退職金の財源ですが、現在は施設の経営者と国と都道府県がそれぞれ3分の1ずつ負 担をして、国家公務員並みの退職金が払えるようにということで制度をつくっておりま す。社会福祉施設職員等退職手当共済法という法律がありまして、その運営を独立行政 法人にお願いするという形になります。  下に実施状況の表がありますが、平成14年度を見ていただきますと、共済に加入して いる職員数が55万人ほど、14年度1年間で退職して退職手当の支給対象になった方が5 万人強、平均支給金額が約124万円という形になっております。  7ページは心身障害者扶養保険事業の概要です。  この制度は、障害のある方の保護者が掛金を納付することにより、保護者が死亡した あと、障害のある方に終身一定の年金が支給されるようにという親御さんたち自らの相 互扶助の精神を基調として創設されたものです。  本事業は、地方公共団体が実施している心身障害者扶養共済制度が主体ですが、その 地方公共団体が加入者に対して負う共済責任を独立行政法人が保険という形でバックア ップしている仕組みです。  保険の内容ですが、ア.知的障害者、イ.1級から3級までの身体障害者、ウ.精神 又は身体に永続的な障害のある者で、その障害の程度が上記ア又はイと同程度の者。こ の3つの条件を満たしている保護者が加入して保険料を納めていただき、保護者の年齢 によって保険料が決まる仕組みになっています。  不幸にして保護者が亡くなったあと、1口加入ですと月額2万円、2口加入ですと月 額4万円が終身支払われるという仕組みです。  14年度で加入者が10万人程度で、年金の支給対象になっている障害者は36,000人程度 になっています。  8ページは8つの事業の最後、年金担保貸付事業の概要です。  年金受給者のお年寄りに悪質な金融業者がつけ込んで、年金を担保にしてお金を貸し て年金証書を取り上げてしまうといった事件が社会問題化しているため、これに対応す る形でできた制度です。年金受給権を譲り渡したり担保にしてはいけないということが 法律で決まっておりますが、社会福祉・医療事業団が例外的に年金受給者に対して年金 受給権を担保にして小口の生業資金を融資することができるというものです。悪い事業 者から借りずに、ここで借りてくださいということです。  年間の年金支給額の1.5倍、250万円が限度です。本人に生業資金を貸付けたあと、年 金が支払われますと、それを独立行政法人が回収するという形になります。年金を全部 返していただく仕組みと、半分は本人の手元に残して、半分を返済にあてていただくと いう仕組みと2つで実施しております。利率1.1%という低い利率でお貸ししています。  事業の実施状況ですが、下の表にありますように、最新の平成14年の実績で見ますと 、195,000件の貸付総額が2,327億円で、1件当たり平均120万円ほどの貸付額になります 。平均年齢が67.9歳ですから、70歳前ぐらいの方が1回120万円ぐらいお借りになる。1 回だけではなく、同じ方が平均で2.4回という数字が出ています。  以上のような8つの事業を実施する団体でございます。  9ページは、先ほど山田政策評価官から話がありました平成13年12月19日の特殊法人 等整理合理化計画において、社会福祉・医療事業団に対して指摘された事項を整理して あります。大きな事業として、これを廃止しなさい、これはもういりませんという指摘 は受けませんで、先ほど説明させていただいた8つの事業を引き続き実施することにな っていますが、いくつか御指摘の点がありました。左側が指摘事項ですので、左側をご 覧いただきたいと思います。  1.社会福祉事業施設融資については、貸付資産等のリスク管理及び引当金の開示を きちんと行うようにということで、14年度から適切に実施しております。  2.病院の融資に関して、「民間でできることは、できるだけ民間に委ねる」という 原則の下に、融資の対象を少し絞るようにという指摘がされました。  これにつきましては、民間でやりやすい短期資金の部分についていくつか貸付をやめ たり、貸付条件を見直したものがありまして、すでに対応が終わっております。  3.2.800億の基金があって、これで助成をしておりますが、ばらまきになってしまわ ないように、きちんと政策目標を定めることと、助成をしたお金がきちんと使われたか どうかの評価をするようにという指摘をいただいております。  これについては15年度から評価委員会を設けて実施しておりますが、これから御審議 いただく中期目標や中期計画の中でも大事なことになってくると認識しております。  4.退職手当共済については平成17年を目途に行われる介護保険制度の見直しに合わ せ、介護保険における民間とのイコールフッティングの観点から助成の在り方を見直す べきであるという指摘がなされています。  退職手当共済は社会福祉法人を対象にした制度になっておりますが、介護保険の世界 には民間の株式会社等々が参入してきておりますので、そういったところに公的なお金 で退職金が払われる仕組みが入ってくると、株式会社等々の民間事業者と社会福祉法人 との間でそこの扱いが違っている、競争上イコールフィッティングではないのではない かという御指摘もあったところでございます。  これについては助成の在り方を見直すため、これから検討いたします。先ほど申し上 げましたように、退職手当については法律で枠組みを定めておりまして、大きな制度の 企画立案部分は国の仕事ですので、これは国の宿題ということで見直しをしていきます 。見直しが終わりましたら、新しくできた制度の運用はこの法人がやっていく。そうい う役割分担になろうかと思います。  以上、簡単ですが、福祉医療機構の事業の概要でございます。 ○岡田部会長  ありがとうございました。  続きまして、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園についてお願いします。 ○高原障害福祉課長  障害福祉課長の高原でございます。のぞみの園の概要につきまして御説明させていた だきます。のぞみの園というタイトルを張った封筒の中に資料3−1から3−4までと 、資料番号を振ってありませんが、「国立コロニー独立行政法人化検討委員会」報告書 という資料と、色刷りのパンフレットが2部がございます。今日は資料3−1をメイン に、適宜、報告書とパンフレットをご覧いただきながら御説明させていただきます。  まず資料3−1をご覧いただきたいと思います。昨年成立した法律によりまして、「 国立重度知的障害者総合施設のぞみの園」という正式名称をつけていただきましたが、 現在の特殊法人心身障害者福祉協会が10月1日に独立行政法人に移行する形で設立され ます。のぞみの園は、重度の知的障害者に対する直接処遇サービスを行う施設経営を行 っております。  「国立コロニーのぞみの園」というパンフレットをご覧いただきたいと思います。表 紙に航空写真をつけておりますが、この施設の所在地は群馬県高崎市でございます。東 京駅から新潟や長野方面に向かう新幹線に乗っていきますと、高崎駅の近くで左手に白 衣観音といわれる白い観音様が見えますが、そのあたりに所在している施設でございま す。  表紙をめくっていただきますと、園の概要のところにありますように、心身に重い障 害をもち、一般社会で生活することが困難な人達がより豊かな生活を送れるよう、援助 している総合的な福祉施設ということです。  沿革を見ていただきますと、昭和46年1月に心身障害者福祉協会が発足し、同年4月 に開園しております。  入所対象者ですが、年齢15歳以上の知的障害者で、知的障害の程度が著しく重いため 、あるいは身体障害を併せもつため、一般社会において適応が著しく困難と認められる 方ということになっております。  現在、約500名の方がここで暮らしておられます。平均年齢が53歳ですから、入所者の 高齢化が進んでおります。  資料3−1に戻りまして、事業概要ですが、法律によりまして、次の5つの事業を行 うことになっております。  ア.重度の知的障害者に対する自立のための先導的かつ総合的な支援を提供するため の  施設の設置・運営。  イ.知的障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するための効果的な支援の方法 に  関する調査、研究及び情報の提供。  ウ.知的障害者援護施設において知的障害者の支援の業務に従事する者の養成及び研 修。  エ.国内の他の類似の施設の求めに応じた援助及び助言。  オ.上記ア〜エの業務に附帯する業務。  アがメインですが、このような5本立ての事業を行います。  2ページに、のぞみの園の概要がございます。左の欄を見ていただきますと、1号業 務、2号業務、3号業務、4号業務、5号業務とありますが、法律にこういう形で規定 をされた業務を行う。内容的には先ほど申しましたアからオに該当するものです。  1ページに戻りまして、役職員数ですが、今年10月1日の発足時点で315人で、内訳は 、役員5人、職員310人でスタートする見込みでございます。  平成15年度の予算規模は、一般会計から支出される国費ベースの数字で見ますと28億5 ,000万円となっております。全体の運営費の規模で見ますと約46億円という数字になっ ております。  国立コロニーのぞみの園が独立行政法人化するにあたり、今後どういう方向で事業を していったらいいのかということについて昨年の夏以降、約1年間にわたって、外部の 有識者の先生方にお入りいただいた検討委員会を開催し、17回にわたって議論を進めて きまして、先週、最終レポートがまとまりました。これがお手元の「国立コロニー独立 行政法人化検討委員会」報告書です。  検討委員会の委員には、本部会の岡田部会長、白石委員、山村委員のお三方にもお入 りいただいて議論を重ねてきまして、今後の方向性が出ておりますので、これについて 若干説明させていただきたいと思います。  1ページの(2) 国立コロニー設置の経緯と設置後の経過のところをご覧いただきます と、昭和35年に精神薄弱者福祉法という法律が制定され、知的障害者のための施設が整 備されるようになりました。しかし施設の絶対数は少なく、日常生活に様々な困難を抱 える重度・重複の知的障害者を受け入れる施設は極めて少なかった。このため、重度・ 重複障害のある本人や家族の生活は深刻な状況に置かれており、親なき後も安心して任 せることのできる施設、いわば「終生施設」の場としてのコロニーの施設が切望された ということです。  当時、障害者をもった家庭の心中事件とか親が子どもを殺すという悲惨な事件もあり 、社会問題化する中で、昭和40年9月、厚生大臣の諮問機関として、学識経験者や関係 者からなる「コロニー懇談会」が設けられ、国が設置するコロニーについての検討が行 われました。懇談会の報告では、コロニーは「障害の程度の重い人が長期間居住し、そ こで社会生活を営む生活共同体であり、また、各種の機能を備えた諸施設が有機的に連 携した総合施設」として位置付けられました。  昭和46年4月に国立コロニーが開設され、それ以降、地方自治体においても地方コロ ニーの建設が進められまして、現在、地方コロニーも合わせると全国で20のコロニーが 運営されています。  一方、北欧においては1950年代から、知的障害者をコロニーのような大規模施設から 地域のグループホームなどに移行させ、他の市民と同じような普通の生活を目指すノー マライゼーションの考え方が提唱され始め、それが世界的に広がってきました。  我が国においても知的障害者がコロニーのような大規模で一生終わるのではなくて、 地域で生活することが当たり前だということが共通理解になってきた。こういう時代の 中で、今後、国立コロニーは、重度の知的障害者が地域で普通の生活を支えていけるよ うな方向に事業を転換していくべきではないかという指摘をいただきました。  7ページの6.のぞみの園に対する政策目標というところで、いくつかの柱をまとめ ていただいております。  1つは、(1) 入所者の地域への移行についての一番下の○ですが、のぞみの園の運営 においては、今後、新たな入所者を受け入れないことを基本とし、現在の入所者につい ては、効果的かつモデル的な処置を行うことにより、地域への移行を進めていかなけれ ばならない。具体的には平成19年度末までの期間を想定した中期目標期間中に、現在の 約500名の入所者数を3割から4割に縮小させるべきであるとしています。  入所者の地域への移行というのは福祉行政サイドでの今後の方向性ということですが 、行政改革の流れとしては、9ページの(2) 運営の合理化・効率化のところで、経営努 力をどんどんやっていくべきではないかということがうたわれています。  運営費の8割強を占める人件費については、本検討会においても厳しい見方が示され ました。このため、事業の内容や規模に応じた職員の適正配置、非常勤職員の活用等を 進めるとともに、給与水準についても大方の国民の納得が得られるよう見直すなどの経 営努力をしていくべきではないか。運営の合理化・効率化については具体的な数字は盛 り込まれておりませんが、こういう経営努力を前提にした具体目標を中期目標に設定す べきであるということが検討会の最終報告で出ているわけです。  平均年齢53歳という重度の知的障害者にお入りいただいておりますので、中期目標期 間中に3割から4割という規模の縮小につきましては、この報告書をもとに、いろいろ 条件整備をしながら積極的に進めていきたいと思っております。ただ、この数字がひと り歩きして、なんでもかんでも施設から追い出してしまうんだということではなくて、 保護者の御意見も聞きながら丁寧に進めていきたいと思っております。  資料3−1の最後のページをご覧いただきたいと思います。整理合理化計画における 指摘事項と、これに対する措置状況と措置予定について書いています。  国立コロニーのぞみの園については、心身障害者の保護・指導に関する調査研究とい う項目で、国内の同種の施設との関係で重度知的障害者のモデル的な処遇を行う施設と 明確に位置付け、より小規模の集団に分けた処遇が行えるような内部体制の整備を図る とともに、国の政策目標の明確な設定、事後評価、成果・評価の公表を強化する。  任期付き、外部委託の拡大などにより職員の流動化や合理化を推進するとともに、単 純業務は競争入札を実施する。こういう指摘事項をいただいております。  右側に書いてありますように、これらについては14年度から順次実施を始めておりま すし、今後とも実施をしていこうと考えております。以上です。 ○岡田部会長  ありがとうございました。以上2法人が、次回以降の当面審議する法人となります。  続きまして、医薬品医療機器総合機構についてお願いします。 ○田坂総務課長  医薬食品局総務課長の田坂でございます。よろしくお願いいたします。  医薬品医療機器総合機構という封筒の中に4つの資料がございます。最初に資料4「 独立法人医薬品医療機器総合機構の概要について」というものがございます。この独立 行政法人は、現在3つある組織を一本化するものですが、パンフレットは現在の医薬品 機構に関するものです。その後ろに国立の審査センターの現状に関する2枚紙、最後に (財)医療機器センターに関する1枚紙がございます。  それでは、資料4に基づいて御説明申し上げます。  まず2ページをご覧いただきたいと思います。冒頭に御説明申し上げましたが、この 独立行政法人も平成13年の閣議決定「特殊法人等整理合理化計画」に基づいて方向性が 定められました。「現在ある医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構を廃止した上で 、国立医薬品食品衛生研究所医薬品医療機器審査センター等と統合し、新たに医薬品等 に係る研究開発業務、医薬品調査等業務及び救済給付業務を行う独立行政法人を設置す る」ということです。  左下に組織の名前が3つ書いてありますが、医薬品医療機器に係る審査、被害救済・ 研究振興、安全対策を行っている組織、この3つを一本化して新しい独立行政法人にす るというものです。従って、新しい独立行政法人は医薬品医療機器に係る研究開発と審 査、被害救済制度、安全対策を総合的に行う組織になるということです。  1ページに戻りまして、1.設立目的ですが、医薬品の副作用又は生物由来製品を介 した感染等による健康被害の迅速な救済を図り、国民の健康の保持増進に寄与する医薬 品技術等の研究・開発を振興するとともに、医薬品の品質、有効性・安全性の向上に資 する審査等の業務を行い、もって国民保健の向上に資することを目的とするとしていま す。  2、設立時期ですが、この法人は来年4月1日の設立となります。  3.業務概要ですが、大きく4つのカテゴリーに分けられるかと思います。  最初の2つは被害救済関係ですが、1つ目の医薬品副作用被害救済業務は、現在医薬 品機構で行っている薬の副作用による健康被害に対して給付を行う制度です。  2つ目の生物由来製品感染等被害救済業務ですが、昨年の薬事法改正によって、ヒト や動物の組織・細胞等を使って作られた医薬品はウイルスに感染しているおそれがあり 、それによって被害を受けるおそれがあることから、新たに副作用被害救済制度になら って、被害を受けた方を救う制度ができております。この制度は、昨年の独立行政法人 の法律と同時にできまして、この法人の発足の来年4月1日からこの事業が始まります 。  次の研究開発振興業務ですが、いくつか種類がありまして、1つは基礎研究をやる。 もう1つは財投のお金を利用して外部の人に委託研究をさせて、その成果を普及する。  3つ目は利用者が少なく商業ベースに乗らないような医薬品・医療機器を開発する企 業に資金提供する。  これらは医薬品機構が行っている業務をそのまま引き継ぎますが、財投関係の業務に ついては見直しをした上で引き継ぐことになっています。  3番目は審査関連業務です。これは医薬品と医療機器と両方ありまして、医薬品のほ うは現在、医薬品機構と国立医薬品医療機器審査センターで行っている審査業務を引き 継ぐ。医療機器に関しては国立医薬品医療機器審査センターで行っているものと医療機 器センターで行っている医療機器審査部門の業務を併せて行うということで、独立行政 法人で医薬品医療機器に係る知見から最終的な承認審査の段階まで一貫して扱うことに なります。  4番目は安全対策業務です。医薬品・医療機器等の品質、有効性及び安全性に関する 情報を収集し、整理し、インターネット等を通じて公表する。そういったものをベース に、新しく医薬品・医療機器を作る場合の規格基準等の参考にするという業務もこれか ら行います。これは主に医薬品機構で行っている業務と、一部、本省で行っている業務 をここに委託して行うということです。  法人の規模ですが、4のところに役員数が書いてあります。職員は3つ合わせて250名 ほどです。この独立行政法人は普通の独立行政法人と違いまして、整理合理化というよ りも、従来、医薬品医療機器の審査体制が外国と比べて脆弱じゃないかということで、 強化し充実させて迅速に審査ができるようにということですので、将来的には職員数も 5割増しを目標にしろと国会でも言われております。発足時は250名から300名弱になる と思います。事業費も国からの国庫補助を若干受けますが、大部分は医薬品や医療機器 の審査を依頼してくる企業から徴収する手数料等で行います。まだ予算ベースで、決ま っているわけではありませんが、年間50億程度の規模になるかなという感じでございま す。  3ページをご覧いただきたいと思います。医薬品医療機器総合機構の業務は、国がや っている業務と入り組みがありますので、それを簡単に説明するための図ですが、左に 国の業務、右に国以外の機関の業務を書いています。  国の業務は、基本的政策の企画立案、承認・命令等の各種行政措置等の部分で、その 他の行政判断を伴わない業務は独立行政法人に任せるということです。  その下に各分野ごとに書いてありますが、健康被害救済業務は基本的には独法でやり 、その人に救済の給付を与えるかとうかという最終的な判定は国でやる。  審査関連業務は基本的に法人がやるんですが、承認についての最終的な判断は大臣権 限ですので本省でやる。  安全対策業務については、医薬品副作用等報告の収集・整理、安全情報提供は独法で やるんですが、回収命令等の安全対策の実施は国で行う。このような感じで業務の分担 を書いています。  来年の4月1日に向けて事務方としては、将来的に新しい独立行政法人に統合される 関係機関と相談しながら準備を進めているところでございます。以上です。 ○岡田部会長  ありがとうございました。  それでは、ただいまの3法人の説明について、御質問、御意見がありましたら活発に お願いしたいと思います。  最後に御説明いただきました医薬品医療機器総合機構というのは3つのものを統合す るということですが、物理的な建物・設備も統合されるという形ですか。 ○田坂総務課長  1カ所に集めるのが理想なんでしょうけど、それがどこの場所になるのか、来年の4 月1日から1カ所に集められるのかどうかはまだ決まっておりません。 ○小林部会長代理  国立コロニーの件ですが、これを縮小していくんですね。それは可能なんですか。縮 小というか、今いる入所の人たちをどこかに分散する、あるいは家庭に帰す。平均年齢 が53歳ということは、その人たちで詰まっちゃったから、定員が上がってきたというこ とですね。 ○高原障害福祉課長  国立コロニーも地方コロニーも含めてですが、重度の知的障害者、あるいは身体障害 と知的障害をもつ重複障害の重い方を大規模な収容施設で、それも一般的には町なかか ら離れた施設で終生暮らしていただくという考え方でコロニー政策がスタートしたわけ です。しかし時代が変わって、重い障害をもってる方でもできるだけ地域で普通の生活 をしていくことを支援する方向に切り替えていくべきじゃないかという流れが出てくる 中で、私ども厚生労働省としても、今のような形で重度の知的障害者を大規模な収容施 設でずっと世話するというのは、将来に向けて施策を切り替えていく必要があるだろう というのが基本的な考え方でございます。  本当に入所施設としての規模が縮小できるのかというご指摘ですが、まず入所施設と しての規模を縮小していこうということでございます。4〜5年の間に3〜4割程度、 入所施設としての規模を縮小させていこうということですが、それが最終目標とは思っ ておりませんで、中期目標期間以降も引き続き地域へ移行させる努力を進めていきたい と思っております。  新たな入所者の受け入れは基本的にやらないということが一つございます。今お入り いただいてる平均年齢53歳ぐらいの方で、施設を設立した昭和46年当初からずっと入っ ておられる方もおられます。青森と沖縄を除くすべての都道府県から入所者が集まって いるというのが実態でして、これらの方を地域での生活に移行させていくのは容易では ないと思っていますが、親御さんも非常に高齢になったり亡くなってる方も多いもので すから、家族のもとに戻すという可能性は現実的にないだろうと思っております。  各地域でグループホームという4名から7名程度の定員で集団生活をしていただく、 それに世話人を派遣するようなグループホームの施策というのを平成元年以降、地域生 活を支える施策の柱として進めておりますし、ホームヘルパーを派遣する事業を進めて おりますが、各地域のグループホームで生活していただいたり、出身地に近い施設にと りあえず入っていただいて、そこから地域に出ていくトレーニングをしていただく。大 きくいうとその2つのケースを想定しまして、これから幅広い関係者の御協力をいただ きながら、かつ入所者の御意向を聞きながら地域への移行を進めていきたいと考えてお ります。 ○小林部会長代理  これは大変重要な事業だと思うんですね。ノーマライゼーションという言葉のもとに 障害者が普通の社会にアプローチするということだろうと思うんですが、それが本人に とって幸せなんですか。 ○高原障害福祉課長  知的障害のある御本人の意向をどういう形で正確に把握するかというのは必ずしも容 易ではないと思っておりますが、全国で入所施設から地域での生活に移行されているケ ースがかなりあることは承知しております。実際に地域に移行された方は個人差があり まして、適応できなくて施設に戻られたケースもありますが、かなり多くの方から地域 で生活してよかったという声は聞いておりますので、私どもとして努力をしてみる価値 は十分にあるのではないかと思っております。  濃密な医療ケアの必要な方とか、行動面で強度の障害をもっておられる方とか、そう いう方も含めて、すべての方が地域生活になじむかというと、必ずしもそうではないと 思いますので、慎重に見極めながら進めていく必要があるのではないかと考えておりま す。 ○橋本委員  のぞみの園ができたころのことを思い出しますと、日本が高度経済成長をしていた60 年代後半に、重い知的障害のある人のケアを各都道府県ではできかねているということ で、重い知的障害をもってる人のコロニーとして白衣観音のところにできた。収容保護 を大切にする時代にできたものです。  その後、地域で暮らし続けることのほうが御本人にとっても望ましいことだというこ とがだんだん明確になってきましたし、財政的な事情もあってこういうふうになってき ております。御本人や御家族にとってもつらかろう、高い意義をもってこういうところ に働いておられる方もつらかろうと思うんですけど、多くのことが変わってきましたか ら、可能な限り望ましい方向でいかに政策を展開していくかということを考えざるを得 ない。とすれば、御納得いただくためにはいろいろ比較検討できるようなデータが必要 なんだろうと思うんです。  総支出に対して人件費比率が80%というのは、それもそうだろう。職員の方も大変長 期に勤務しておられるはずでして、一般の社会福祉法人の職員の給与水準に比べるとど ういうことになってるのかということですとか、退職金の問題も先ほど御説明いただき ましたけど、そういうことを比較検討するデータが御納得いただくためにも必要なんだ ろうと思います。  いま高原課長が御説明くださいましたように、地域で暮らすといっても、家庭へ戻っ ていくということじゃなくて、こういう様々な具体的な政策をやっていきますよという ことをお知らせしていかないと御了解いただけないんだろうと思います。  そのことに関連しまして、先ほど御説明がありました社会福祉・医療事業団のことで すけど、退職手当のところで民間事業とのイコールフィッテングということが出てきま したね。このことも整合性という意味では考えなくてはいけないと思うんですが、介護 保険になりましてから、社会福祉法人における給与がものすごく落ちてきています。  サービスの質の高さと人件費の高さは比例するところがあるものですから、イコール フィッティングというのも整合性という意味では不可欠ではありますけど、定性的な目 標ではなくて定量的な目標を立てていこうといっても、具体的にどう検討していくのか 。介護保険のサービス、人件費がものすごい勢いで落ちてることを考慮しますと、ちょ っと怖いなという感じがします。  のぞみの園のことを考えますと、あまりにも不整合であるというのはまずいんですけ ど、営利を目的にするような法人も実際にやっておられるわけですから、それと整合性 を持たせようというところに合理的な整合性というのがあるんだろうなと感じておりま す。これは感想でございます。 ○岡田部会長  今の御発言に関してコロニーの問題と、村木課長さんから後で何か御発言いただけれ ばと思います。 ○高原障害福祉課長  データに基づいた議論なり整理をしていく必要があるという御指摘については、その とおりだろうと思っております。高崎市のコロニーができる際の法律案の審議の過程を たどってみますと、困難な業務につくということから、そこで働く方の給与水準につい ては国家公務員の給与水準よりも一定程度上乗せをしてしかるべきじゃないかという御 議論があり、現にそういう形でスタートしたわけです。  先ほどの報告書の6ページを見ていただきますと、民間の障害者関係の入所施設であ れば支援費というもので賄われるわけですが、のぞみの園につきましては支援費にプラ スして約30億円のお金がかかっているということです。一般の施設にはない診療部門と か、そういうものを除いていきますと、19億円ぐらいのプラスになってる。民間の施設 に比べて職員の経験年数が長いということが傾向としてはっきりしているものですから 、経験年数の差によるもの等々いくつかの要素に区分して、分析はしております。  先ほど御紹介した検討委員会の中でも、民間の施設が増えてくる中で、民間の同種の 施設と比べた場合の給与水準の差をどう考えていくのか。今後の方向性としては、大方 の国民の皆様に御納得いただけるような、給与水準の見直しも含めた経営努力をしてい くべきではないかという御指摘をいただいておりまして、私どももそういう方向で、の ぞみの園にもそういう経営努力を求めていく必要があるのではないかと思っております 。  実際に地域での生活に移行する場合のいろんな条件整備ですとか、御本人や御家族に 納得していただくための丁寧な努力が必要だというのはそのとおりだと思いますので、 地域での生活の現場をできるだけ早い機会に見ていただくとか、グループホームのよう な施策を積極的に進めていくことで、受け皿整備という面でも努力をしていきたいと考 えております。 ○村木福祉基盤課長  橋本先生から御指摘がありましたように、福祉の分野は労働集約的な分野ですので、 サービスの質と人件費はリンクしております。これは大きな問題ですので、福祉を担当 する部局全体でこれからも一生懸命考えていかなければいけない分野だと思っておりま す。  退職金に関しましては、整理合理化計画の御指摘はイコールフィッティング論でした けど、それを受け止めた上で、それだけではなく、制度ができた時には、福祉の現場で 働く人たちの労働条件の確保とか、この分野にいい人材が集まれるようにという視点が あったわけですので、イコールフィッティング論だけではなく、いくつかの視点から検 討した上で、必要があれば法改正という形でやっていきたいと思っております。  法律改正となりますと、審議会とか、いずれは国会とか、いろいろなところで御議論 いただく形になりますので、関係の方々の御意見をよく聞きながらやっていきたいと思 っております。 ○岡田部会長  ほかにいかがでしょうか。 ○遠藤委員  福祉医療機構の融資業務に関してお伺いします。最後のほうにコストを反映した金利 を設定するとか、リスクの管理をしっかりするということが書かれていますが、これは 一つの組織としては当然のことかもしれません。医療を見ますと、診療報酬も上がって いないということもありまして、民間医療機関の立てかえ資金もなかなか大変な状況に あるわけです。しかも高い収益性のある医療機関がその地域のニーズにうまく応えてい るかどうかということとは必ずしも一致してないようなところがありまして、そういう 中で、公的な性格をもった融資というのは、それなりの有効な意味をもっていると私は 理解しております。  少なくとも補助金よりは、返済しなければいけないということで一定の規律が借り手 に働きますから、非常に有効ではないかと思っております。公的な性格の融資というの は意味のあることだと思うんですが、市中銀行的な方向になっていくことを求めている のかなという印象がありまして、そこについては私はちょっと違った感想をもっていま す。  いろいろ細かいデータを見てみなければ何とも言えないところだとは思いますが、最 近の市中銀行の与信の態度とWAMの与信の態度はどう違うのか。これを見てみますと 、融資額が年々減っておりますね。平成15年からは短期は市中金融機関に任せると書い てありますが、それ以前から減ってきてまして、これはどういう理由によるものなのか 。他の金融機関との兼ね合いからみてどうなのかなというところも知りたいところです 。  長期の固定金利というのは魅力的なものだと思いますが、今後どういうふうに金利設 定の方式が変わっていくのか。計画の評価の段階で出てくる話だと思うんですが、関心 のあるところです。  先ほどありましたトレードオフの問題はここではきっちり出ている話でして、独立採 算的な市中銀行的なものに近づけていきたいのか、そうではなく、あくまでも公益性を 重視したいのか。私はトレードオフが出ていると思いますので、そのへんのところを見 極めて評価をしていきたいと思っているわけです。  最後の質問ですが、福祉医療機構の財源はほとんどが財投と一般会計からということ で、市場からの調達はしていないのでしょうか。もう1点は、財投原資に頼らないとい うことであると、一方で保証業務ということも考えられるわけですね。保証をして、金 利の一部を補填するというやり方はあるわけですが、そのようなことをやっているのか どうか。制度的に保証業務はできるのかどうか。そのへんも含めてお願いします。 ○岡田部会長  資料がないといけないものもあるかもしれませんが。 ○村木福祉基盤課長  基本的な考え方だけ申し上げたいと思います。まず市中銀行寄りになっていくのかと いうことですが、独法でやる業務の本質は政策金融、公的な金融だと思っております。 そういう意味では、あくまでも民間とは違う福祉・医療の基盤を支える公的な融資とい う基本スタンスが一番大事なこの法人のよって立つところだと思っております。  ちょっと乱暴な言い方かもしれませんが、ほっておきますと、損失が出て逆ざやにな ったら国からお金をくださるんですねということになると経営の自立性とか業務の効率 性というところでマイナスが出てきますので、ある種のバランスというのがいるだろう と思います。  貸付対象である医療や福祉の経営状況を見ますと、福祉の分野も経営の自立性が出て きました。そういう世の中の動きに合わせて金利なども見直していく。ただ、基本は公 的な融資というところに置く。そうでなければ市中銀行に譲って撤退すればいいわけで すので、公的な役割を十分に果たしていく形で、経営の自立性をきちんと頭に置いてや れるような仕組みを作っていきたいと思っております。  融資の量そのものは国の政策ですから、国の補助金等々で、その年の整備量がどうな るかで左右されます。非常に膨らんでいる年は、例えば介護保険が導入されて、その時 のつなぎの資金を大量に貸付をしてる。それはまさに公的な役割の一つです。そういう ことがありますので、大きく撤退してきているということはないと理解しております。 一部短期のところは撤退してきておりますが、もともと圧倒的に長期のものが多うござ います。  財源については、財投が圧倒的ですが、一部財投機関債の発行を少しやっております 。先ほど申しましたように非常に長期の資金ですので、20年の機関債というほどのとこ ろまで事業団の業務が成熟しておりませんので、短期のものを中心に一部財投機関債で やっております。これから財投資金はどんどん減りますよということを言われておりま すので、公的な性格を失わない中でどういう原資を調達してやっていくかというあたり は中長期の課題として大事な課題であると受け止めております。  保証業務も含めて、民間との協調融資とか債務保証とか、ほかの手段についてもこれ から検討していかなければいけないと思います。債務保証そのものは今の法律の枠組み ではできるようにはなっておりませんので、融資からそういう形へシフトということに なれば法改正が必要になると思っております。 ○岡田部会長  あと数分ございますが、いかがでしょうか。 ○白石委員  独立行政法人になるということは、公的に行うべき事業の費用対効果を見るかどうか というか、効率的に事業を行っていただくために独法化するというところがポイントだ と思います。今日御案内いただきました3法人は多彩な事業をしているということです が、それぞれの独立法人の業務ごとに、どのくらいのコストをかけてやってらっしゃる のかというのを次回以降、ぜひ教えていただきたいと思います。今日は事業の内容を把 握するだけで精いっぱいですので、次回以降、そういうことをお願いできたらと思いま す。 ○岡田部会長  そういう点に留意しながら資料なり御説明をいただくようにしたいと思います。  時間になりましたので、本日の会議はこれで終了とさせていただきます。  では、次回の予定について再度事務局から説明してください。 ○大塚補佐  次回ですが、8月26日・火曜日の午後3時から2時間、場所が本省ではなくて経済産 業省別館の11階の1111号会議室というところで開催予定でございますので、よろしくお 願いいたします。  テーマとしましては、のぞみの園の中期目標案、中期計画案の御審議、余裕がござい ましたら福祉医療機構の中期目標案等も少し御審議いただければと思います。 3.閉会 ○岡田部会長  今日は初めての会議でしたが、皆さんの御協力によりまして時間内で終わることがで きました。これからもよろしくお願いいたします。ありがとうございました。                                       以上 照会先:政策統括官付政策評価官室 政策評価第二係 電話 :03-5253-1111(内線7780)