03/07/25 厚生労働省独立行政法人評価委員会調査研究部会第4回議事録          厚生労働省独立行政法人評価委員会 調査研究部会                  第4回議事録 日時 平成15年7月25日(金)13:27〜17:03 場所 経済産業省別館第944会議室 出席委員 五十嵐委員、岩渕委員、大久保委員、黒澤委員、酒井委員、清水委員、      武見委員、田村委員、政安委員 1.開会 〇大久保部会長  ただいまから「第4回独立行政法人評価委員会調査研究部会」を開催させていだたき ます。委員の皆さま方には、大変にご多忙の中をお集まりいただきましてありがとうご ざいます。よろしくご協力のほどお願い申し上げます。  今回、欠席をしていらっしゃる委員は、安井委員、岸委員のお二人でございます。 2.審議 (1)国立健康・栄養研究所の個別評価に関する評価について 〇大久保部会長  本日の議事は、第1番目に国立健康・栄養研究所の個別項目に関する評価について。 2番目が総合的な評価書案などの起草委員の指名について。3番目が今後の調査研究部 会の進め方について、ご審議をいただく予定でございます。  では、はじめに国立健康・栄養研究所の個別評価を始めさせていただきます。評価の 進め方につきましては、前回と同様でございまして、個別評価項目を4つのグループご とにまとめて、法人からまず業務の実績をご説明いただくということになります。  各グループの時間配分でございます。これはあくまでも目安ですが、1グループにつ きまして法人からの説明時間に25分、説明に対する質疑応答10分、最後に評価シートに ご記入いただく時間を5分、計40分。前回同様に4グループで160分ということです。 最後に時間がございましたら、総括質疑の時間をとることにさせていただきたいと思い ます。よろしくご協力のほど、お願いいたします。  では国立健康・栄養研究所から、第1グループにつきましてお願いします。評価シー トでいいますと、評価シートの右下の項目番号1〜4までの実績についてのご説明をお 願いします。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  国立健康・栄養研究所の研究企画評価主幹の吉池でございます。よろしくお願いいた します。これから説明に使います資料について確認をさせていただきます。  まず資料2−5の評価シートですが、お気をつけいただきたいことがございます。1 ページをお開きください。右端には1−1、真ん中には、1となっております。ページ としての通し番号はセンターについているものでございます。項目に対応するものとし て、ここでは右下に1−1、次のページが1−2となっております。1つの項目が2枚 にまたがっているということで、評定をおつけいただくのが2ページになってございま す。このようにページのまたがるものが幾つかございます。  また2ページのところの真ん中が自己評定でございます。私どもの研究所におきまし ては、この評価委員会でご評価いただくような同様な枠で、外部の評価委員会からのご 評価をいただいて、コメント評定を同じ基準でいただいております。それについてもあ わせて記載をさせていただいております。私どもの自己評価は、むしろ外部評価委員会 の先生方のご意見を踏まえた上でのもの、というように考えていただければと思いま す。  また、今日、カラーのパワーポイントの資料をあわせて配付させていただきました。 主な説明は時間の関係もありますので、このパワーポイントの資料を使いたいと思いま す。また先生方の机上に分厚い綴じてあるファイルでございます。その1つ目のファイ ルの中の資料の2という耳がついている、そこからが私どもの研究所の関連の資料でご ざいます。後半の財務等にかかわる部分については、こちらの方を使って説明をさせて いただきたいと存じます。  途中であちこちの資料をご覧いただくようなことはなるべく避けたいと思いますが、 時々こちらの資料にもお移りいただくことになると思いますのでよろしくお願いしま す。  このような資料を使ってご説明をするわけですが、研究所の概要については、1回目 の7月17日に理事長から説明を申し上げたとおりでございます。  国民の健康の保持・増進に関する調査研究、健康づくり、健康増進という部分と、栄 養その他の食生活に関する調査研究、それが法律に明記されているものでございまし て、最終的には国民の公衆衛生の向上と増進ということを目指しているものでございま す。  また重点調査研究業務、後ほどご報告いたしますもの3つと基盤的研究業務4つ、こ の7つの研究業務をメインに行っているということは既にご案内したとおりでございま す。  ではパワーポイントのほうの1ページ目の下をご覧いただきたいと思います。最初は 4つのパートの1ということで、ここの1から4についてのお話をさせていただきま す。  実は私どもとしては、あくまで研究所ですから研究の中身についても、それなりにご 報告させていただいてご評価いただきたい。特に重点調査研究業務については、それぞ れ個別に項目を立てておりますので、もし部会長のお許しをいただければ、ここのパー ト2の部分を少し時間をかけて説明をさせていただいて、1と3についてはなるべく簡 潔と考えておりますが、いかがでございましょうか。 〇大久保部会長  結構です。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  5〜11がパート2で、12〜19がパート3ということになろうかと思います。また20〜 23につきましては、先ほど申し上げましたようなファイルに綴じてある資料を用いて、 特に財務関係を中心にご報告をしたいと思っております。  それでは第1グループの説明に移らせていただきます。評価シート1ページ、1−1 に対応するものがパワーポイントの2枚目右下にページをふっております。ここでペー ジをご覧いただきたいと思います。  まず効率的な業務運営体制の確立でございます。これについては17日に理事長からご 案内申し上げましたが、かなり抜本的な改革をしたつもりでございます。具体的には独 法化、平成13年の1カ月ぐらいたった時点で、旧組織を全部スクラップしまして、新た な組織を立てたということでごさいます。これは平成13年度の実績です。  14年度につきましては、国際産学共同研究センター、国際栄養協力、産学連携という ことをうたったセンターを設置をしたというところでございます。  もう1つは、いろいろな研究の活性化ということも含めまして、組織上の部長という よりは、むしろ仕事のリーダー、プロジェクトリーダーの位置づけを高めて意思決定に 参加させようということで、部長会議への出席ということを始めたところでございま す。  このような柔軟な組織体制、まず組織があってということではなくて、タスク・オリ エンテッドのものにすることによって、必要なプロジェクトがかなり立ち上げやすく なったという結果になってございます。その辺をイメージ的に書いたものが2ページ目 の下でございます。  国研時代は、組織がピラミッド型であったものが、独法になって水平型のプロジェク ト方式、13年度はプロジェクトリーダーには主に研究部長があたっていたわけでござい ますが、それが14年度におきましては、室長レベルでも新たなプロジェクト、行政対応 業務のリーダーに立っていただいて、部長会議に出席をする。  また、13年度はこの3つの研究系というものを、先ほど申しました3つの重点課題に 対応させてのものでございますが、さらにその研究系を超えた形のチームの形成という ことを行っております。その辺はかなり進んできたと自負しております。  次のページです。上のところですが研究職員の採用、これも非常に重要なところでご ざいます。国の科学技術政策の中でも研究者の流動化を図るということがございます。 この流れに沿った形で研究者の流動化計画というものを、昨年度、半年ほどディスカッ ションをして作ったところでございます。そこに要点が書いてあります。研究所が求め る人材、あるいはどういう形で任用していくかということを明文化して、ホームページ 等できちんとオープンにして、それに沿っていくということであります。  任期付きの採用を原則としてするわけですが、部長級の任期が7年以内となっており ますが、部長でも任期を付ける場合もある。あとは室長、主任研究員、これは招聘型と いうことになりますが、7年以内となっております。これは以内ということで、実際の ところの運用上は5年くらいが多く、また中期計画と連動した場合、実際に3年を割る 任期で採用しているということもございます。  また研究員については3年程度をめどとしております。  14年度につきまして、研究職員6名すべて任期付き公募、特に招聘型で室長クラス、 これは年齢からいうと35歳から40歳の間ですが、そういうレベルの方についても任期を 付けての採用というようなことで、非常に柔軟性のある組織作りを目指しているところ でございます。  その辺が評価シート1−1から1−2のところでございます。1−2の真ん中に自己 評価させていただいておりますが、このようなことから、私どもとしては「S」という ような評価を自己評価としてしているところでございます。  3ページです。(2)内部進行管理の充実、というところでございます。これにつき ましては、プロジェクト重視ということでご説明いたしました。パワーポイントの3ペ ージの下の絵にありますように、まず研究系ごとに報告、意見交換、指導等を四半期を めどに行うということのほかに、年度途中の中間報告会、これは12月のタイミングであ りましたが、総務省も含めて前年度の評価結果が出揃った時点でそういう評価を踏まえ ながら、途中でプロジェクトの見直しをしていくという意味で、ここでの中間報告会、 また年度の報告会ということで、評価の基準としては、その下に(1)から(4)にあるよう に、特に中期目標との関連での研究の方向性、あるいは研究成果の情報発信等について 評価をしている、ということでございます。  また下のところにありますが、評価といったときにプロジェクト単位ではなく、個別 的に研究費の配分を競争的に所内で行うという枠も設けております。そういうような 個々の研究テーマについても評価を行う。特に本年度より初めて研究所の外部の委員も 含めた形でのこういう競争的な資金の獲得に関する、あるいは研究成果に対する評価を 行ったというところでございます。  パワーポイントの4ページをお開きください。次に、評価、特に個人評価のところで ございます。  私どもの研究所は、幸か不幸か研究職員が40名弱という小さな所帯でありますので、 理事長が自ら全員に個別の面接をする。この意味合いとしては、トップマネージメント としてのこと、直接的に研究職員の意識改革をするという意味でも、非常に有効である と考えております。また部長を介する評価というときには、かなり旧態依然とした組織 の中での評価という意味合いにもなるため、部長というよりもむしろプロジェクト単位 でプロジェクトリーダーからの評価を一部入れます。逆にプロジェクトの構成メンバー からプロジェクトリーダーに対する評価という意味で、双方向の仕組みを少しずつ取り 入れているということでございます。  このように個別的に評価をすることによって、組織の中でのそれぞれの役割、特に主 に基礎研究を重視するのか、あるいは行政的な対応が主になるのか、というような役割 の部分もかなり明確になってきただろうということでございます。この評価において、 特に効率的な公正な評価、客観的な評価というものを目指しております。  4ページの下の絵をご覧ください。評価の高率化のための業績登録システム、と銘打 っております。これはいろいろな評価をたくさん行えば行うほど、するほうもされるほ うも、疲弊してくるというようなこともあります。これをいかに効率的に行うかという ときに、研究業績については所内LANから直接データベースを適時登録をする。この 登録のコンピュータ画面が左側のイメージですが、こういうデータベースを作りまし た。  登録すると研究員の名前が1クリックすると右のようなリストが出でくるということ です。普段から入れておけば、リストを叩けば、個人評価のための生材料のリストは出 てくるという仕組みになってございます。逆にいうと、この研究職のボタンは所内では 誰でも常勤研究職は見られるようになっているので、隣の人がどの程度の業績があるの かということも、結果的にわかるような仕組みになっております。  その他、ホームページへのマンスリーレポートとしての公開とか、研究所年報のリス ト、あるいはこの評価委員会のリスト等についても、一元管理をしながら、なるべく効 率よく評価作業をするというように務めているところでございます。  このような取り組みをしておりまして、評価シート上の3ページになりますが、自己 評定としては「S」というところをつけさせていただいております。かなり進んだ仕組 みになっているのではないか、と自分たちでは思っております。  次に評価シートの次の4ページです。パワーポイントは5ページです。業務運営の効 率化に関する事項です。それに伴う経費の節減ということでございます。これについて はいろいろな考え方があるのだろうと思いますが、私たちの特殊事情としては、独自の 土地建物ではないので、庁舎内の例えば清掃の外部委託など定型的なことについては、 直接扱ってないので、この辺についての効率化として簡単に示せる部分が少ないかなと 思っております。  その中でもいろいろな工夫をしております。あとで一つの例をお示しします。また経 費の節減だけではなくて、資源を有効に利用しようという視点も大事だろうと考えてお ります。要するに、同じ資源の中で最大のアウトプットを出す。アウトプットを出す部 分の努力をかなりしております。  その意味で、マンパワーが研究所では命ですので、平成14年度から新たに立ち上げた プロジェクト等に特別研究員を7名配置しました。これは常勤研究職員が人件費等の関 係から増やせませんので、特に外部からの受託研究等に対応するために、こういう若手 の研究職員を採っていく。規定の改定ということを黄色い囲みに書いてございますが、 以前はポスドク的な学位を有するものだけだったのですが、イメージ的には修士課程修 了者についてもこういう特別研究員ということで採用でできるような仕組みを整えまし た。これによって給与的にはそれほどたくさんは出せないのですが、バイト的に臨時職 員を雇うよりは、非常にインセンティブ、積極性をもって若い人が仕事をしてくれると いう結果となっております。  その意味では、コストパフォーマンスの高い人材がこういう仕組みを導入することに よって得られていると思っております。  5ページの下です。なかなかコストの削減というのは見えにくいところであります が、この絵は、あとでご説明する栄養所要量という、栄養士その他栄養業務に携わる者 が手にするバイブル的なガイドライン、それが5年に1回改定されるわけですが、その ための科学的根拠を整理するための大規模なレビュー作業、文献検索作業をの手順を示 したものです。  そういう時に、これは大学や研究所におられる先生方はよくご存じであると思います が、文献を収集整理というのは非常に手間のかかる作業です。こういうプロジェクトを するにあたって、一元的に文献管理をしよう。これは外部の研究者78名を含めたプロ ジェクトですので、個々ではなく事務局をうちに設けて、論文のリストのリクエストを 受ける。その後が肝心ですが、なるべくIT化を入れて、データベース化、効率化を 図って、真ん中の下あたりの黄色で囲んだ辺りですが、全文コピーをするものについて は、取り寄せるまでの所用時間、最終コスト等を勘案した作業の振り分けをします。  例えば、事務局スタッフが図書館にコピーに走るとか、PDFでダウンロードする。 図書館で申請をする。あるいは専門業者に依頼する。こういう振り分けを雑誌ごとにパ ターン化しまして、自動的に振り分けながら効率的に文献を取り寄せる、ということを しております。  昨年度、約半年弱のプロジェクトで、5,343件の文献についてこういう形での対応を しました。これは研究所としての機能としても重要ですし、効率化という意味でも、非 常に意味のあることだろうと思っております。  パワーポイントの次のページをお開きください。その続きで収入の確保ということで ございます。これについては評価シートは5枚目の3−2というところの右欄に具体的 な外部的な資金の獲得がございます。これについてはかなり実績が上がっているという ふうに考えております。  まず競争的研究資金です。前年度58件で2億9千万円あったわけです。これは独法前 の2倍以上の額でございます。更にこれより多く獲得しまして85件で3億6千万円とい う実績でございます。またこういう交付金以外の収入確保のためのいろいろな努力とし て、産学官連携推進会議等で研究所のブースを設けたり、プロモーションビデオも今回 はじめて作ってみました。またニューズレターの発行も開始したところです。  こういうことで、ただ単に費用を削るということではなく、収入の確保+効率的な運 用、ということを考えまして、かなりの努力をしているつもりでございます。  評価シートの6枚目3−3の中にありますように、このようなことを考えると、特に 自己収入の確保ということから、私どもは「S」という自己評定をしております。  次の4つ目のことです。評価シートは7ページ、パワーポイントは6枚目の下になり ます。これが効果的な研究施設及び設備の利用ということであります。後で研究事業に 関して説明致しますが、ヒューマンカロリーメーターというワンルームマンションの部 屋のようなところに被験者さんに入っていただいて、エネルギー代謝を測定する装置が 研究所にございます。その他、骨密度測定装置等があるのですが、これらについて、ど のように有効に活用するのかということの検討をしています。なぜ検討をしているのか というと、下の黄色いところにあります私共の研究所は、独自の土地建物を保有しない で、国有財産の無償貸与という形になっています。ですからその意味で、借りているも のを更にお金を取って貸す、という又貸しができない制度上の制約があります。こうい う制約の中で、どう実質的に施設の有効利用をするのか、ということの検討・議論をい ま進めているところでございます。  その中にあってのひとつの例を御紹介します。私どもには運動施設としてプール等が ございます。これは、私どもはネズミではなく人を使った実験研究をするということが 大事ですので、水泳を通じた中高年女性の健康づくり活動、研究への参加という意味合 いもありますが、ひとつ独立したネットワークにもなっているわけです。こういう方々 に対して、プールを開放しながら研究データも取らせていただくということもやってお り、「華の会」という名前でございます。コーチにはローマ五輪銅メダリストの田中聡 子さんをお迎えし、会員も60〜70人いるのではないかと思います。こういう健康づくり を研究に結びつけて、施設を有効に活用しよう、ということを行っているというところ でございます。以上が1〜4までの説明です。  4番目ですが、評価シートが7枚目にございます。その意味で大きな制約の中でかな り努力をしているという意味で、評定としては「A」をつけさせていただいておりま す。以上です。 〇大久保部会長  ありがとうございました。では委員の方から何かご質問あるいはコメント等がござい ますでしょうか。 〇岩渕委員  修士を終えられた方なども使っているということでした。例えばマスターを終えた方 ですね。そういう方は大体どのくらいの給与で働いておられるのですか。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  給与水準からいくと、例えば私ども臨時職員で管理栄養士の資格を持った人ですと、 大体時給相当で千円ぐらいになります。時給計算をするとそのぐらいの形になると思い ます。ただし、アルバイト的ですと、そこは時間の契約で働いた時間に対する対価とい うことになります。しかし、特別職員として勉強をしたり、研究的なものということに なりますと、結果的にその方々の勉強も含めて、多くのアウトプットを出してくれると いう結果になると思います。 〇岩渕委員  任期付きも随分やっていらっしゃるのですが、いいことばかりではないと思います。 困ったことであるとか、まずいことは何かありませんか。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  任期付きが切れた後の結果的な再任用については、これから事例が出てくるところで すので、今検討しているところです。これはトレードオフの関係にありまして、流動化 を図ると共に優秀な人材を確保したい。その中でいかに個人の成果を評価するのかとい うことで、個人評価はかなり定着をしておりますので、それに更に工夫を加えて、評価 をした上で、その後の判断をしていきたいと考えています。いまのところは大きな問題 は生じておりませんが、これから工夫が必要だと思います。 〇岩渕委員  優秀な人はそのまま引き止めて、そうでない人はそれなりにということですか。 〇国立健康・栄養研究所田中理事長  おっしゃるとおりでそれが本音です。この前も説明させていただきましたが、任期制 を導入すると、質的に落ちるのではないかという懸念があったのは事実です。幸いにし てかなりの人が公募に応じてきてくださっているので、それはOKであります。  任期制ですから業績は短期決戦、短期評価です。成果主義ですので、本当に地道に長 期にわたるような研究者が確保できるのかということが、いま一番懸念しているところ です。したがいまして、そういう人についても、永久就職というか、終身雇用にもって いく道を確保していかなければならないと思っております。期限の切れるのは、早い人 で来年ですので、今のところはその人たちを的確に評価した上で再雇用等を決めていき たいと考えております。 〇岩渕委員  よい職場だからそれ以上はないかもしれませんが、通常ですと、優秀な人材ほど外か らヘッドハンティングされたりして、連れて行かれたりするということが往々にしてあ るのですが、そういう心配はないのでしょうか。 〇国立健康・栄養研究所田中理事長  現時点ではございません。ただ私としては、研究者の流動化をはかっていくわけです から、優秀な人材が、例えば一流大学の教授に、そういう一流とか二流という言い方は いけないのですが、非常に優れた大学にハンティングをされるなら、私は引き止める気 はありません。どうぞそちらでまた発展していってくださいというのが、研究所の雅量 であると考えております。 〇政安委員  現場からの意見としてお聞きします。国研の時代と比べて、格段に栄養関係の現場と つながってきたように感じております。栄養士の職能の研修会とか、改善学会とのかか わりの中で、研究が分かりやすい形でアウトプットされているのではないかということ と、最近は私どもの現場の栄養士が研究調査をするときにサポートをしていただけるよ うな身近な存在として、研究調査のチェックと現場のリーダー的な方たちにサポートを していただけるのではないかと期待しております。  いま現場の栄養士のニーズ把握は、どのようになさっているのかということをお聞き したいのです。もしニーズ把握をされているとすれば、吸い上げた意見をどのように反 映されているのか、という工夫をお聞きしたいと思います。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  その辺についても、現場とのつながりが非常に重要なところです。例えば、組織の再 構築にあたって、厚生労働行政とか現場とのつながりのあるような室をつくっておりま す。まず組織を改編した時の気持ちとしては、そういうものがあります。  またパワーポイントの2ページの上にありますように、それぞれの研究系の中で研究 部に属さないリーダーというものを立てています。例えば栄養所要量とか、国民栄養調 査とか、健康日本21とか、特別用途食品、これはすべて行政あるいは地域の栄養士さ んとのつながりの中でのリーダーということであります。  先生がおっしゃいましたような、期待に応えるようなこういう組織上の改良と、それ を担当をする者、多くは人数の関係から併任になっておりますが、少なくともこういう 看板というか、コンタクトポイントを明示することが重要であると考えています。  また現場からのニーズの吸い上げ等については、次のパートでも説明をさせていただ きたいと思っております。 〇武見委員  パワーポイントでいうと5ページです。先ほど、業務運営の効率化に伴う経費削減と いうところで、データベース化の話が出ました。これはある意味では研究の質をあげる という、よい文献を効率よく収集するという意味では、むしろ研究の内容にかかわるこ とであるという気もするのです。これを経費削減というところで出していらしたという のは、こういうシステムを作ることによって、コスト的にもかなりそういうメリットが あるというようなことでここで話されたのでしょうか。その辺についてお願いします。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  当初は、研究者が作ったものですから、そういう視点よりは、よい研究をどんどん出 したいということでやって、研究者にとってはとにかく便利でした。他の研究機関から も問い合わせが来ているぐらいです。コストという点では、ちょっとはっきりした数字 はお出しできないのですが、例えば図書館に請求をするというのは、研究者は紙一枚出 せばやってくれそうに思うのですが、実は、そこでのアルバイトの人件費等を計算する と、1件当たり内部的な人件費だけで750円ぐらいかかる。それで外の施設に依頼する とコピー代とか郵送代でまた300〜400円かかって、さらに事務の経理処理を含めるとか なりコストがかかるだろうと思われます。  それに対して、外部業者への委託は、国内に蔵書のあるものは1,000円、海外からの 取り寄せは2,000円から2500円ですから、それだけ見ると高く見えるのですが、実質的 には外に出したほうが安いし早く、また文献がをまとめてきたときに、あわせてエクセ ルの一覧表のシートが来ますので、に幾らそれで節減できたのかという数字はお示しで きませんが、最終的にコスト削減につながっていると思っています。 〇酒井委員  今の説明でよくわかります。ぜひそういう費用的な面、時間的な面、そこも具体的な 数値になるようにしていただけると゛評価しやすいと思います。  それに関連します、4ページの業績登録システムです。大変に効率化にはよいアイデ アだろうと思いますが、上のスライドと含めて、例えば評価の視点はよくわかりました し、それを効率化するためにこういうシステムをとっているということもわかりまし た。それが実際の評価にどういうふうに反映していって、それが本当に効率化のために どう貢献しているのか、という具体例があれば教えてください。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  評価は、全員に対して理事長がしておりますので、理事長から答えさせていただきた いと思います。 〇国立健康・栄養研究所田中理事長  4ページのパワーポイントの下のところです。業績目録というのがございます。例え ばですが、本人がファーストオーサーであるか、あるいは指導的な立場、あるいはエン ドオーサーであるのか、ということもすぐにわかるわけです。各論文にインパクトファ クターも書いてくれておりますから、それによって点数つけします。4ページの上の2 のまるの一番上で(1)というのがありますが、こういうところが点数表示できるように プログラムを組んでおりますので、各項目の評点がグラフ上にぱっと表せているわけで す。  ですから私の先入観や主観なしに、あなたの評価点はここですというのが出てくるわ けです。また、点数評価だけでは偏りが生まれてくることもありますので全研究員と面 談もしておりますそれが1例であります。 〇酒井委員  出てきてどうされますか。 〇国立健康・栄養研究所田中理事長  今度はそれを生かすということですから、一応、全員を5点評価しております。5点 評価でありますがすが、何人かの優秀な人は100点ぐらいになる可能性もあります。し かし、一応は5点評価をしております。今度はそれをフィードバックするときには、研 究費を調整するということをやっております。それから特別研究員、広い意味のポスド クですが、それを付けるか付けないかということにも使っております。 〇清水委員  最初にご説明のありました外部評価についお伺いします。これは研究内容だけではな く、そうしますと組織ですとか、財務とか、すべて同じ項目にわたっての評価のようで すが、ここに書いてある「SS」とかというのは、これはその構成員の方の評点と理解 していいのでしょうか。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  委員の評点をそのままソートして並べて示しているという、いわば生の材料です。 〇清水委員  どういう方が構成員なのかということは。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  そこは後ほどご説明しようと思っておりました。パワーポイントの資料ですと、29ペ ージでございます。あとで詳しく説明させていただきます。 〇清水委員  わかりました。もう1点です。比較的努力したとか、検討したとか、インプット側の ことは書かれておりますが、先ほどもお話がありましたように、結果的にどのくらいの 節減があった、ということは記載が少ないように思います。例えば、4ページ目ですが 「印刷文書及び業務用紙の使用削減を図り」それで経費削減に取り組んだということが 書かれておりますが、具体的にこういう数値的な金額的な把握というものは、どういう 形で出されていらっしゃいますでしょうか。  それからもう1点です。最後に何カ所か出てくるのですが、相互利用の推進というこ とで、研究施設、設備の相互利用についても検討が行われたというふうにありますが、 こちらについても検討結果、あるいは促進状況、実績のアウトカムの部分についてはい かがでしょうか。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  まず1点目です。個々のケースについて、今までであれば紙で配っていたものを減ら すという点は見えていきます。ただし、総量でどうなのかといったときに、そもそもの 必要量が変わってくると考えられます。。例えば評価委員会の仕組みが変わりそこで紙 として出さないといけない資料の分量が変わってきたりすると、全体として100あった ものが80になったというあたりのとらえ方が難しいだろうと思います。そういうこと で、なかなか数値的にはお示しできてない部分があります。  あとは、中期目標及び計画で、2%の経費節減というのが数値目標ですので、その意 味での目標は十分に達成をしているというような意味合いでございます。個々について の財務的なことは、後ほどお話しさせていただきたいと思っています。 〇清水委員  そういうところでは、数値としてある金額として、枚数でもなんでもいいのですが、 そういうことを今後把握に務められていくというご方針はいかがでしょうか。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  できるところでは努力していきたいと思っております。  また共同利用等につきましては、これも歯切れの悪い表現になっているのは、先ほど 申しましたような特殊な事情があります。例えば賃貸が実質上で出来ないので、そこで 何件、あるいは幾らの収入、ということがお示しできないわけです。これも共同利用で 他の研究者による利用・活用ということを、企業からの受託研究も含めてやっているわ けですが、これもまた数値化しにくい部分で、こういう表現にとどめざるを得ない形 なっております。 〇清水委員  今のは、実績があるが数値として把握できないということですか。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  数自体、例えば、施設を使ってやった共同研究が何件あるとかということは、把握は しておりますが、その辺が果たして数値の指標として適正か、内容的が研究に絡んでき ますので、その意味であまり数値的なものは出していません。もともとの目標の中で数 値化されていれば別ですが、目標・計画も、「推進する」というような形になっており ますので、こういう表現になっております。 〇政安委員  施設利用のことです。私も何度か栄研に訪問させていただいた中で、いまご質問が あったように、感染研と同じ建屋にいるということでセキュリティがかなり厳しく、訪 れたときにチェック等が大変に厳しい印象を受けました。実際にスライドの6ページに 「華の会」ということで一般市民が訪問して出入りしているということを考えると、 エッと思うところがありますが、何か工夫されているのでしょうか。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  研究所にお越しいただいたことがある方はご存じだと思いますが、感染研と一緒です ので、紙に名前や訪問先等を書いていただき、面会者と確認してから入っていただくと いう、出入りが非常に厳しくなっております。病原体等を扱っている施設と、フロアも 同じところで同居している部分もあります。  その意味で、なかなか一般の方の出入りは難しいのですが、その中でこの「華の会」 については、登録メンバーですので、そのメンバーの方に仮の登録書のようなものをお 渡しして、入り口の警備のところでバッジをとっていただくという、少し出入りは簡略 化するようにはしておりますが、それなりの手続きを経て水泳教室に来るときには参加 していただかないといけない。そういう状況の中で何とかやっているというところでご ざいます。 〇大久保部会長  よろしいでしょうか。ではご記入お願いします。              (各委員、評価シートに記入) 〇大久保部会長  次に、第2グループの評価シート5〜11までの実績につきましてご説明よろしくお願 いします。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  パワーポイントは7ページ目になります。シートは8枚目です。  まず社会ニーズの把握、ということに関しましては、中期目標上、栄養・健康に関す る諸団体との意見交換会を行い、ニーズ等の把握をするということになってございま す。  パワーポイントの上にございますように、幾つかの団体と平成14年度も意見交換会を 行ったところでございます。  平成13年度には研究機関、大学、日本栄養士会、健康づくり事業財団さんと意見交換 会をもったのですが、それに対する評価委員会の意見としては、もう少し現場に近い人 の意見がほしいというようなご指摘がありましたので、今回は対象とする団体の選定に もかなり工夫をしました。  5団体と意見交換会を行いましたが、NPO法人ジュース、これは女性のスポーツ振 興に関わる団体でございます。この意見交換会をした後に、共催の一般向けの講演会を 実施するに至っております。  また民とのつながりということでは、ニューフードクリエーション、東京商工会議所 との積極的な交流というものも独法以前にはなかったことですので、こういうことを積 極的に行い、さらにWHOの日本での協力センターとの意見交換会を行ったわけでござ います。  これに対するアウトプットとしては、一般向け講演会のほかに、昨年度意見交換会を 行った成果でございますが、健康体力づくり事業財団さんがお作りになっている生活習 慣病予防のための健康教育教材、CDROMでこれは2千幾つかの全市町村に配付され るものですがその監修、かなり中身の細かい部分も含めて、この2つについて監修をし たというところでございます。  また先ほど政安委員からのお話がありましたように、現場の栄養士さんとのつながり という意味では、日本栄養士会との一昨年度の意見交換会の中で、卒後の研修等に積極 的に関わっていただきたいということがありましたので、昨年度については、栄養士さ んの卒後の研修会での講師が確か50数件あったと思いますが、そういう形での現場との つながりを行っているというようなところでございます。  評価シートの8枚目の自己評定は、そういう形ですので十分に当初の計画以上のこと をしているということで「A」という点数をつけさせていただいております。  評価シートの次のページです。ここからは研究の内容になります。ここで先生方のお 手元のファイルをご覧ください。個々について説明するつもりはないのですが、交付金 による研究事業の成果をどのように整理をしているのかということでございます。  ファイルの中の資料8、ピンク色のものですが、こういう形で交付金による研究をま とめさせていただいております。この報告書をもってアウトプットとは全く考えてない ので、これは経過報告です。なぜこれをご覧いただいたのかというと、ここにはプロ ジェクトの関連で出た論文が全部綴じてあります。我々はいろいろな業務が大事です が、研究所ですから、特研究成果としての論文としてのアウトプットが大事です。ただ その論文も研究者の勝手な興味ではなく、行政的なニーズ、ガイドライン等につながる しっかりした論文を出していく。そのためのプロジェクトであるという意識でやってお ります。  その意味で、今は、Evidence Based Medicine と言われておりますので、その Evidenceとなるものを作るべく努力をしているということをお伝えしたいと思います。  ではパワーポイントの7ページの下をご覧ください。重点調査研究の1番目です。エ ネルギー代謝に関する調査研究です。この目標としては、「栄養所要量」策定に資する ことで、5年ごとに改定されるですが、現実的には新たに作るぐらいの作業を行うわけ です。5年に1度、厚生労働省が行う次期の改定の時期は2004年ということで、着々と 準備を進めているところでございます。  この中に2つございます。平成14年度の主な成果についてです。ヒューマンカロリー メーター、これは次のページでお見せしますが、こういう特殊な装置の精度をきちんと 担保するということ、それを用いてプログラムに沿った実験測定を行う。また二重標識 水というこれまた特殊な水がございまして、自由に暮らしでいる方に対してこういう二 重標識水という非放射性の同位元素が入った水を飲んでいただいて測定をします。  ヒューマンカロリーメーターという機械は日本では私どもにしかないもので、世界で も10数カ所と聞いております。また二重標識水についても、日本では一つほかの大学で やられているのみです。こういう特殊な実験系を使って測定を行っております。今年度 は、成人65例、保育園児40例の測定データの蓄積をしたわけです。  ヒューマンカロリーメーターを少しご説明いたします。パワーポイント8ページの下 のところです。二つの部屋を作ってございますが、ここに24時間寝泊まりをしていただ いて、こういう中で生活する中で吐く息をリアルタイムに測定をする。それによってど のくらいのカロリーが消費されているか。普通ですとバックのついたマスクを着けて測 定するわけですが、すると日常からはかなりかけ離れた動作しかできないし、食事がで きないということになってしまいます。こういう部屋の中で生活することによって、食 事の後の熱の産生がどのくらいか、そういうものの高低によって肥満になりやすくなる という話もございます。そういう非常に特殊な実験をすることができるものでございま す。  9ページをお開きください。この辺は私どもが特に強調したいことです。例数が40と か45とかでは少ないのではないかと思われるかもしれませんが、上のほうの図をご覧下 さい。どのぐらい研究への協力をいただくかというと、2週間をいろいろな意味でお付 き合いをいただきます。1日目は説明を行い、二重標識水を飲んでいただく。2日目に 尿を採っていただき、その間は自由に生活していただき、1週間ほどたった後に3日間 食事の記録をつけていただいて、食事の把握をする。その後に研究所のほうに来ていた だき泊まっていただく。これだけのことをお願いするという実験なわけです。  また部屋の中でどういう動作をするのかというと、カロリーメーターの部屋に滞在中 のプログラムがありますが、これだけのことをやってはじめて一つの測定データが得ら れるというようなことであります。  10ページです。こういう形で成人については先ほど65名といいましたが、若い方を中 心に、近頃では高齢者を増やすようにしておりますが、被験者さんにご協力いただき やっております。  二重標識水というのは、下にありますように、部屋の中に入っていると動作が限られ ますので、自由に暮らしている中でエネルギーを測定するのですが、これは簡単そう で、非常に難しいものです。それが正確にできるのです。これは日本では従来はほとん どやられてなかったのですが、米国とカナダでの栄養所要量で初めて採用され、もうす ぐ世界の標準的なものになるだろうという予測の下で、先行的に行っているものであり ます。  11ページです。データとして出るのは年齢別に何キロカロリーということで、ある意 味では非常に極端な話ですが、この1点を取るのに非常に苦労をしながら、しっかりと したデータを集めしているということです。  またこういうプロジェクトにあたっての効率的な運用ということで、1つは二重標識 水については、東京近郊だけではなくて、全国の数カ所、地方でも協力いただきデータ 収集を開始したところであります。外部の研究機関のご協力をいただき、フィールドを 確保していくのですが、こういう実験というのは、協力してくださる方を確保するとい うのが非常に難しいわけです。そこでホームページを介してお願いすると、結構お問い 合わせもあって参加してくださっています。  また二重標識水等はかなりコストのかかる実験でありますので、既にほかの大学で蓄 積されたデータについては、生データをお借りして、そういうものも統合して栄養所要 量の次の策定、今年度から来年度が中心的な作業になりますが、それに間に合わせるよ うな形で行っているというようなことでございます。データとしてはたいへん順調に集 まっているところでございます。  これが1番目の重点調査プロジェクトの説明でございます。評価シートの9ページに ついては自己評定としては「A」ということでつけさせていただいております。  次の重点調査研究の2番目でございます。パワーポイントでは11ページの下になりま す。これは国民栄養調査の高度化システムに関する調査研究です。何度かこの言葉は出 てきていると思います。  国民栄養調査というのは、全国5,000世帯、約15,000名に対して毎年11月に全国300の 地区で行われる調査です。これは単純なアンケート調査と違いまして、何をどれだけ食 べたのかということを細かに秤量記録していただくというようなものでございます。全 国の保健所で調査をされたデータをいかに効率的に処理し、集計・解析をするのかとい う部分と、あとはそういう蓄積されたデータをどう活用するのか、またさらにソフト的 な部分としては、都道府県や保健所等で栄養調査の実務を担当される方に、いろいろな 情報提供とかトレーニングの機会を提供する、マニュアルを提供する、そういうものも 含めての総合的な意味での高度化ということでございます。  平成14年度の実績としましては、これも非常に大きな変化がございます。平成13年11 月実施の国民栄養調査から、食品成分表というのは、約1,800ぐらいの食品があるので すが、その栄養素成分のデータベースが全部かわり、それに対してすべてのデータ処理 解析を切り換えないといけない。独法1年目は旧システムで動かせたのですが、そのあ たりの切り換えを行い対応を行いました。  また都道府県等におきましては、国が行う国民栄養調査以外に、これは健康日本21 という厚生労働省が推進する健康づくりの施策がありますが、その中で都道府県、市町 村等が独自に、栄養・健康に関するモニタリング評価をして、計画を立てるという、そ ういうたいへんに重要な要素があります。  そういうことから、国民栄養調査を行う時期にあわせてこの大変な栄養調査をさらに 客体数を増やして県独自の調査としてされる県がかなり多く、今までは47都道府県のう ち独自調査は43県ぐらいでなされていると思います。  そういう県での調査に役に立つように、国のデータだけではなく、県でのデータ処理 ができるような、ネットワーク対応のコンピュータシステムの開発を継続実施している ということです。またシステム導入による効率性、精度管理に関してはあとでご説明を いたします。  4番目としては、近ごろ問題となっているいろいろな食品中の化学物質、例えば農薬 添加物などの評価のために食べ物の摂取実態についての詳細なデータが必要になってき て、その活用のためのデータベースづくりや、そのほかには現場への技術支援を行って いるところでございます。  もう少しプロジェクトとしての全体像を、12ページの上のところでご覧下さい。大変 に小さい文字で恐縮ですが、基本的に2つのフェーズで考えております。  1つは13年度・14年度・15年度で、高度集計・解析システムの研究開発ということで す。こういうコンピュータシステムについては、平成14年度でかなりの部分ができまし て、すでに幾つかの都道府県では活用いただき、15年度で完了を予定どおりできると思 います。  またいろいろな食品が出回る中で新しい食品のデータベースづくりについても計画ど おりに進んでいます。また16年・17年についても、さらにこれを維持・更新し、得られ たデータをどう活用するのかというところにシフトしていきたいと思います。  施策等の関係では、いろいろな施策に関連するところですから、こういう施策とのつ ながりを重視しながら、全体のプロジェクトを進めていっているということでございま す。  このシステムの効率性でございます。平成13年11月の時点で、これは先進的に県民栄 養調査等で取り入れたところですが、左側がどのくらい調査票が集まるか、300単位で 約250保健所から調査票が集まってまいりまして、1世帯で平均55食品ずらりと食品名 が並んでいる。それが4,224世帯分あります。するとシステムを使って現場で確認しな がら入力していただくと、右側にありますように過誤の発生率というのがございます が、1世帯当たり0.003、それに対して紙ベースで従来どおり行いますと、栄養士さん が分厚い食品番号表というリストを見ながら食品に対して番号やグラム数をあてはめて いくということをします。そうすると0.22%ぐらいの過誤がある。この辺のところが約 80分の1のエラー率になるという、精度の向上についての確認をしました。  またこうすると、ほとんどその後はチェックをしなくても済むので、全体的な効率性 というものにもかなり寄与すると考えております。  次のページです。個別的に都道府県等への対応ということでいろいろな情報提供、技 術支援等を行っております。また効率的な運用体制ということで、これは私どもの中で 全部を抱えてはいけないものであり、むしろ外とのつながりの中で効率的にやっていこ うとことで、研究系の中の研究員だけではなく、厚生労働省の国民栄養調査を所轄して いる生活習慣病対策室との連絡・協力をしながら、またシステムの開発の方は、共同研 究という形でNTTデータという会社とのつながりで行っています。  一番大事に思っているのが、都道府県等の栄養行政の担当者とのつながりで、こちら からも十分な情報提供等をしますし、そうしていくと現場からのいろいろなニーズと か、そういうことが返ってくるし、何かトライアルをしたいというときに、現場のフィ ールドを提供していただける、そういう関係を築きながら、このプロジェクトを進めて おります。  14ページです。上ですが、中期計画に対する達成度、というようなことでございま す。その意味でハード面ではシステムはほぼ完成をして、あとはデータベースの充実を 平成15年度、今年度ですがやっているというようなことです。幸い自治体では幾つかの 都道府県等で、こういうシステムとしての活用もされ始めてきたということでございま す。  今日は時間の関係で詳しい説明をしませんでしたが、食品安全のための評価のための システムという対応も本格的に始めたところでございます。  このようなことから、また外部評価委員会からの評点等も踏まえまして評価シートの 真ん中では、自己評定としては「S」をつけさせていただいております。  次は重点調査研究の3番目でございます。これはパワーポイントの14ページの下で す。食品成分の健康影響の評価に関する調査研究ということで、かなり漠然としたタイ トルです。大事なこととしては、市場に氾濫をしている健康食品等について、いま一番 重要な科学的知見をに関して、実験的に検証していくというようなことでございます。 平成14年度の主な成果ですが、幾つかの健康食品、「桑の葉」「ウコン」、そして「ガ ルシニア」というのは、ダイエット食品で一時期精巣毒性があるということで問題に なったものですが、その他にはコラーゲン等についての検討が書かれております。  大事なことは5番目です。いままで実験を重ねてきたわけですが、学会での発表、学 会誌への投稿に加えて、ホームページにも周辺情報を加えて情報提供を実施しました。 実験的にはネガティブデータが多く、研究者としてはあまり面白くないデータが積み上 がるわけです。論文を出してもなかなか受理してくれないという状況も生じますので、 学会にも出すし、一般にもオープンにしていこうというようなことでございます。  結果としては、有用性については摂取量との関係で必ずしも標榜する効果が得られな い、これは動物実験でかなりかけ離れた用量まで食べさせると、効果が見られるものと いう意味合いでございます。  15ページの上のところがこのプロジェクトの全体像でございます。なぜそういう食品 を選定したのかということですが、できることは恐らく予算的にもマンパワー的にもか ぎられているので食品を絞ろう。そういう時に、左にあるように生活習慣病をターゲッ トとし、疾患頻度の多い循環器、肥満、糖尿病、骨・関節疾患と、あとは国内外の状況 と社会的関心等があります。要するに、非常に多く流通して、たくさんの人が飲んでい るが、どうも科学的根拠が充分ではない。そういうものを選んできているということで ございます。食品を選定して、情報収集して動物実験を重ねてということを考えると、 1.5年を1クールとして、こういう実験をそれぞれの担当者が行っています。平成14年 度については平成13年度当初から開始したものの実験が終わり、その結果がまとまり、 情報発信を始めたというところでこざいます。  最終的には一般への情報提供の部分がありますが、行政施策あるいは指針の策定のた めの基礎資料となる、そういう目的で行われているものでございます。  15ページの下と16ページの最初は個々に説明すると面白いのですが、ここでは省略を させていただきます。それぞれについて非常に興味深い結果が得られております。  16ページの下です。先ほど申しましたように、アウトプットとしてはミニレビューを 行っております。今はプロジェクトとしての成果をこのような形で出すということです が、あとで説明する健康食品についての情報ネットワークというものも構築し始めまし たので、その辺とのリンクも考えていきたいと思っております。  17ページの最初です。中期計画に対する達成度ということについては、いまお話した ようなことで1年半のサイクルについては予定どおり行われて情報発信もできるように なったということで、次のフェーズに進んでいます。これは計画どおり、あるいはすこ し上回るという形で進んでいるということで評価シートでは、自己評定は「A」をつけ させていただいております。以上が重点調査研究でございます。  次は基盤的研究でございます。これは4課題あります。個々について説明すると時間 が不足しますので簡単にしたいと思います。評価シートの12枚目で9−1でございま す、左から2番目の中期計画にありますアイウエというのが4つの課題でございます。  アについては、萌芽的、独創的な調査研究ということで、これは特に若い研究者での 研究を伸ばそう、将来に備えて基礎的な研究を伸ばそうという意図でございます。パワ ーポイントの17ページの下です。  これは所内公募をしまして、14課題の中から7課題を選択しておりますが、採択率は 50%です。1研究課題あたり約400〜500万円の研究費に相当します。毎年評価して、駄 目なものは継続研究でも落としていくという形にしました。グラフは今回試みたことで す。これは平成13年度は内部評価委員、研究系長と研究企画評価委員4人で評価をしま したが、14年度からはじめて外部の先生4名に加わっていただいて評価をしたときの、 内部の評価委員の点数と外部の評価委員の点数との間の相関を見たものです。その結 果、内部での判断は間違ってなかったということを確認できました。その意味でのこの 辺の評価のあり方については、さらに検証しながら行っていきたいと思っています。研 究の中身は省略させていただきます。  18ページの下です。この分野は日進月歩ですので、インパクトファクターの高い雑誌 に出すというのが目的です。幸いなことに、平成14年度、そこにありますようにインパ クトファクターが2.6から4.5のものを6つ出すことができました。これは大きな成果で あったと考えております。  次の19ページです。これは基盤的研究の2番目になります。タイトルとしては生活習 慣病予防に関する調査研究です。これは何かというと、国民の個々人の食生活等の生活 習慣改善を支援するための自己学習システムということです。主にはコンピュータ及び メール等を使ってのシステムですが、ここでの特徴は、コンピュータにまかせっ放しで はないということです。基本的にプログラムに参加する人がいて、それを支援する管理 栄養士、医師、保健士等になると思いますが、そういうヒューマンインターフェースの 部分もあり、face to faceの指導があって、そういう健康教育をする人たちを支援する ための補助的なシステムということです。  商業ベースではいろいろとホームページだけの仕組みはすでにかなりできております が、我々としては、きちんとした検証のされたものを作りたいということと、専門職を サポートするという視点で行っております。そのあたりが19ページの下にあって、参加 者は一般の方で、それと支援者、それを繋ぐものとして今は研究所のインターネットの 仕組みがあるというようなことでございます。  上のところで5年間の計画があります。平成13年度モデルシステムを作成して、14年 度システムのチェック・修正、これも予定どおり行われまして、15年と16年で試用と評 価、研究所がやることですから、ここをかなりきちんとやっていきたいと思っておりま す。このとおり順調に進んでいます。  イメージ的には20ページからですが、ここはさっとご覧いただきたいと思います。 ウェーブ上のもので最初のアンケート的なものでのアセスメントから始まって、フィー ドバックして、いろいろな目標を示ししながら、インタラクティブにやっていくという ことでございます。  22ページの上にございますように、大事なのは機械に任せっぱなしではなくて、栄養 士側のトップページ、とありますが、これを管理するヘルスプロフェショナルが、その 対象者がどこのフェーズまで進んでいるのかということを一覧できるようなページを用 意しながら、必要なタイミングでface to faceのサポートをしていくという仕組みでご ざいます。  次の基盤研究の3つ目でございます。パワーポイント22ページの下のところでござい ます。いろいろな健康・栄養情報をどのように整理・発信していくのかというデータベ ースの構築と情報発信、これは我々の研究所の研究テーマということを考えると、こう いう情報発信の方法、その基盤となるデータベースを構築し、さらに評価するというこ と自体が重要研究でもあり、また情報発信の成果でもあるわけです。  特に今日お伝えしたいのが、大きな1〜6までふってある中の「健康日本21」地方 計画データベースと、個人ニーズ対応データベースというものでございます。  次のページです。「健康日本21」地方計画データベースというのは、先ほどご案内 しましたが、47都道府県でいろいろな工夫をされた計画が紙の報告書で出されておりま す。しかし、特にこれについて系統的に、どういうような目標をたてて、どう整理した のかという検索システムはこれまで無く、検索をしようと思うと紙をくらないといけな いということがあります。イメージ的には、例えば北海道をクリックすると、その中で どういう健康づくりの対策が構築されているのか、またその下のところではテーマを選 ぶと、例えば健康日本21というのが国では9つのテーマを上げているわけですが、そ の中で栄養・食生活では、都道府県ではどういう計画をたてているのか。例えば、女性 のやせの割合について、それをどうしていくか。そういうテーマに沿った形でのこうい う一覧が検索できるような仕組みとなっています。またライフステージ別の整理もされ ております。これは関連のヘルスプロフェショナルには非常に有用であろうと考えてお ります。  24ページです。個人ニーズ対応データベースですが、これは私ども、一般の方やマス コミ関係の方からいろいろな質問を受けるわけですが、こういう頻回な質問に対して データベース化して、Q&Aコーナーを構築したというようなことで、百幾つのデータ ベースを昨年度は構築しました。  25ページです。4番目ですが、これはごく簡単に説明をします。基礎的な研究で、食 品科学の中でも非常に基礎的なものとなります。食品中の栄養成分の生体利用性の評価 に関する調査研究ということで、こういう栄養素については今や分子レベルでその機能 を見ていくというのが、最先端のサイエンスとしてあります。こういう最先端の実験系 を利用しながら研究を行っています。  最終的な視点としては、データの蓄積をしながら、栄養所要量、食事摂取基準への適 用とか、いろいろな食品保健機能制度への資料提供ということも考えております。また 論文についても順調に出ています。  評価シートに戻っていただきまして13枚目、9−2のところで、私ども外部評価委員 会の先生方には、このあたりの研究、基盤研究についても、研究担当者・プロジェクト リーダーが説明をして、個々にディスカッションをして点数つけをしていただきまし た。その辺のところが載せてありますのでかなり長くなっております。次のページにま たがっております。それらを踏まえまして全体としては我々は非常に大きく進捗してい るということで、自己評定の「S」をつけさせていただいております。  次に評価シートでは15ページです。パワーポイントの資料は26ページです。栄養改善 法に基づく業務として2つございます。  1つは、国民栄養調査の集計業務です。先ほど研究プロジェクトとして、この基盤づ くりに対応しているという話をしましたが、こは実務作業の部分でございます。先ほど 申しましたように、この年は12,481名の調査票が集まってまいりました。新しい食品成 分データベースに切り換えをしながらという、かなりしんどい作業でありました。これ は13年11月に1カ月かけまして調査が行われまして、都道府県等から調査票が送られて くるのが12月末から一部は年明けになって、1月中頃から我々は調査票の作業をします。 段ボールに40箱ぐらいで、右に写真が載っております。  一部は作成したシステムで現場で処理していただいてそれで送っていただく、という ようなことでございます。  入力をしてデータチェック、栄養価計算をして、粗集計をするのが8月ということ で、8カ月です。この部分を少しずつ減らして6カ月を目途にするというようなことで ございます。この年は、システムの切り換えとか、栄養素の数にしても今までは10程度 であったのが26ぐらいに増えて、非常に作業量が膨大になったにもかかわらず、13年度 と同じ形で粗集計結果を8月に提出することができ、7カ月半くらいの形で処理をした ということで、これも合格ではないかというふうに思っております。次に向けては少し ずつの短縮を目指していきます。  さらに14年11月については、これは糖尿病の実態調査、上乗せ調査を含めての集計を 行っていく。実際にはこれは年度がまたがった作業になってございます。  もう一つは特別用途表示許可等に係わる試験です。要するに厚生労働省が認可する特 別用途食品等についての食品分析を行うということで、企業さんから申請があったもの について、私どもが検査をしてお返しをするということでございます。  昨年度14年度の実績は105件受け付けて70件を年度内に検査を終了したということで す。これは目標上では、2カ月以内に成績表を発行する件数を増やすということで、14 年度については70件中65件で92%でした。平成12年度の独法前が71%、翌年が85%、次 が92%ですから、母数を最初の71%とすると、これも十分にクリアしたということでご ざいます。その他、機器の有効活用のための工夫をしていますが、詳細は省かせていた だきます。  このようなことから評価シートのところは、今の検査のほうは16ページの10−2にな りますが、私どもの評価としては、17ページのところで「S」とつけさせていただいて おります。  最後は行政課題への対応ということで評価シートは18でございます。これについては 今までお話をしたまとめの部分が多いのですが、第一は栄養所要量に対応するためのも のです。パワーポイントについては27ページの上です。従前は厚生労働省の検討委員会 がスタートしてはじめて作業に取りかかるということであったのですが、我々はこのエ ビデンスを整理する、中核的な機関であるべきということから、先ほどお話をしたよう な担当リーダーとして、1名採用しまして、対応しているわけです。6000にも及ぶ文献 を収集・整理するという作業を開始し、備えているというところでございます。  また健康日本21に対するさまざまな対応は、お話をしたとおりでございます。  次の2つでございますが、これは健康食品等に係わるいろいろな問題への対応という ことです。3番目のところは、これは運用が平成15年度からということですので、主な 実績としては、平成15年度で説明をさせていただきたいと思います。厚生労働省のほう の通知を受けて、私どもの研究所が認定をする栄養情報担当者、これは薬ですとMRと いう言葉、それのMをNに変えたものですが、そういう仕組みの創設を14年度に行った ということでございます。簡単には下に絵がございますが、詳しい説明は省かせていた だきます。  あともう1つ、一番下です。これは食品・栄養を専門とする職業人で共有できるネッ トワークシステムということで、1番目としては健康食品の過去・現在の危害情報。2 番目としては種々存在する食品の種類、あるいは利用方法を含めた情報、科学的な情報 の整理ということです。これについては新たな新規プロジェクトとして、対応している ところでございます。  イメージ的にはパワーポイントの28ページの上に書かせていただいておりますが、こ れは私どもの中でただデータを集めてということではなく、ネットワークという言葉に ありますように、一般消費者に近い現場の栄養士さん、さらにその栄養士さんたちをと りまとめる具体的には都道府県等の栄養士会にあたると思いますが、そういう栄養士の グループ、こういうところの末端から、いろいろな情報を私どもの方に登録をしていた だく。ただし、これはいろいろな情報、はっきりいえばデマのようなものが飛んでもい けませんから、登録してセミクローストの仕組みの中でこういう情報の収集をしてい く。その情報を吟味したあとで、必要なものについては公開をするなり、必要な対処を する。こういう仕組みを作っております。  また一般に公開できるものは、どんどんホームページを介して公開をしています。こ ういう仕組みは、去年の8月にダイエット食品にかかわる様々なことが起こりまして、 本評価委員会でも栄研の対応はどうかというご指摘もありましたので、はじめたところ でございます。  厚生労働省の行政的には、一部は国立医薬品食品衛生研究所で対応している部分もあ りますが、私どもとしては栄養士さんとのネットワーク、一般的な食生活の中でこうい う健康食品をどう考えるか、そこの部分について十分に対応していきたいと考えて仕組 みを作ったところでございます。  このような対応を全般的に考えまして、自己評価のところでは「S」ということでつ けさせていただいております。以上です。少し長くなりまして申し訳ございません。 〇大久保部会長  ありがとうございました。各委員から何かございましたらご質問あるいはコメントを お願いします。 〇酒井委員  ひとつプロジェクト研究に関してです。目標の期間が書かれてないのですが、これは それぞれの課題をこうやっているということはわかりましたが、それについて、それを いつまでにやるということは、専門が違うのですが、普通はそういう形でやったほうが 成果の出し方、そこでの実績の評価が非常にしやすいと思うのですが、その辺はいかが でしょうか。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  ご指摘ありがとうございます。基本的にはすべて5カ年の計画で行っております。先 生がおっしゃいますように、できたら数値的なメルクマールということがあったほうが いいかと思いますが、これは目標・計画をたてるときに、設定ができていないという か、研究の性格上なかなかできにくい部分もあって、このような形になっているという ことでご理解ください。 〇大久保部会長  関連で1つよろしいでしょうか。5カ年ということでもちろんおやりになっているの ですが、いまずっとご説明いただきましたような内容につきましては、これはかなり長 期にわたるというか、ずっと継続的にやらないといけないような研究・調査もかなりあ るように思います。その辺りはどのようにお考えになっているのでしょうか。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  もちろん長期的な視野に立って行っていかないといけないものがかなりあると思いま す。ただし独法の仕組みとして、5カ年のサイクルということがあります。こういう目 標・計画が設定されたのも、施策上、特して重要であるからということで3つの課題が 設定されたと思っておりますので、まずそこを一生懸命やっていく。その次について は、その時のニーズ等の変化にあわせて一部変わるところは変わっていくし、継続的に 行われるところは行う。次の中期目標をいただくのは厚生労働大臣からですので、その 辺の行政的な判断に委ねられるのだろうと考えます。  ただ気持ちとしては、継続的に見るべきものは見ていきたいと考えております。 〇武見委員  いまの期間のことです。一方で、例えば栄養所要量関係であれば当然17年から新しい ものが出るとか、健康日本21であれば2000年に策定されて中間評価が2005年とか、行 政のほうで動いている。そういう流れに沿ったような研究の流れになっていたというふ うに私は聞いたのですが、そういう理解でよろしいでしょうか。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  そのとおりです。例えば健康日本21であれば、2000年から10年間ということがあり ます。今は中間評価に向けての取り組みが中心的で、また健康増進法が今年の5月から 施行されまして、その辺に合わせ、途中で軌道修正しながら、行政ニーズに最大限フィ ットするような形に、結果的にもなっていると思います。 〇田村委員  先ほどのお話を伺いますと、こういう食品成分などの健康に対する影響に関するデー タというのは、なかなか簡単にはとれませんよね。そういう意味で、情報の国際共有化 という辺りはどうなっているのでしょうか。これは各国によって、人が違うからなかな かそういうことはできないのでしょうか。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  食品においての情報の共有化、あるいは施策的にいうとハーモナイゼーションという のは非常に重要であります。そのためにFAO・WHOが合同会議を開いて、WTOの 下で、世界標準の食品表示をどうするかとか、成分をどうするのかについて議論がなさ れています。そういうものについて、我々は個々の研究を視野に入れ、またそういう研 究成果とか今までの経験を生かしながら、そういう会議にも出席して、研究の成果や研 究所の機能を、国際的な整合性をはかる場で、情報発信するように務めております。国 際的な対応でも、お話をさせていただきたいと思います。 〇政安委員  私のほうでは、現場で、日本人の栄養所要量について大変に基礎データが十分でなく て悩んでいました。ヒューマンカロリーメーターと二重標識水によるデータ解析という ことで、大変に期待しております。このデータを時期の17年の改定に役立てていただけ たらと思っておりますが、実際にはそのデータ解析したものを、私たちがどのように活 用できるのかということを、ご検討いただいているのでしょうか。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  先生のご質問は2つあるかと思います。1つは、基礎的なデータがどう所要量に反映 されるのかということだと思います。これは二重標識水のほかにヒューマンカロリーメ ーターの話をしましたが、二重標識水については、フィールドで対象者を拡大しての調 査を、昨年度末から今年度重点的に行っております。特に次期改定の所要量に向けて、 約200人程度のデータが二重標識水だけでもいいわけですが、必要であり、外の大学か らのデータをお借りする部分も含めて、必要なデータが間に合うように行っております ので、フルに次の所要量には活用できると思います。  先生のもう1つのご指摘は、では科学的なエビデンスに基づき数値が出たあとにどう するのだという現場の視点だと思います。これは先ほどレビューのところで申し忘れま したが、科学的な知見の集積だけではなく、現場のニーズを吸い上げるために、栄養改 善学会、これは会員が8千人ぐらいで、主には現場の方で、大学等の研究機関にいる栄 養士さんが多いわけですが、千名にアンケートを送付し一部は、栄養所要量は次はどう いう形が望ましいのかというニーズアセスメントもいたしました。そういう意味で現場 でのニーズと、サイエンティフックな視点を組み合わせながら行っているつもりです。 〇政安委員  国民栄養調査は、現在保健所の栄養士が大変苦労されてデータ集積をしているわけで す。システムを使った場合と使わない場合で、大分差があるようですが、この辺は何年 度をめどに全国的に解決していくということを考えておられますか。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  いまは試験開発段階ですので、今年度をめどに開発が一段落がついたときに、あとは 全国で、これは費用的にもネットワークシステムを含めてメンテの部分とか、データ ベースの更新の部分にも係わるので、また費用的な調整はしないといけないのですが、 来年度あたりから更に広がりをもった、できれば全国の保健所で使っていただきたいと 思っております。  ただ問題点としては、システム自体は十分によいものであると自負をしております が、現場で比較的コンピュータに慣れておられない栄養士さんたちが使いたがらないと いう、若い方はすぐにこれは便利だという形で使っていただいているのですが、その辺 もあって、100%にはなかなか難しいのかなと思います。ただ、そういうことを目指し て行っております。 〇政安委員  現場の栄養士の教育も含めてよろしくお願いします。パワーポイントの19ページにな りますが、生活習慣病に自己学習システムというものをお作りになっているようです。 これは実際、いまオープンをどの程度されているのかということと、栄養士を介してで はなく一般市民も直接使えるのかということをお尋ねします。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  全く栄養士さん等を介さずに、一般の方に勝手に使ってくださいということについて は、十分にいろいろな検証をしたあとで考えたいと思っています。一番は、保健医療従 事者がいる中で、例えば保健医療従事者がすべてface to faceでやったとき5時間かか るところが、仮にこれが2時間で済み、3時間は機械に任せられるとなったら、非常に 大きなことだと思います。  その意味では、実はこれは職域にいいのではないか、特にIT化等が進んでいる職場 の健康管理の中で、産業医とか産業保健師が指導しながら、こういうシステムを取り入 れながら、効率的に生活習慣改善、生活習慣病予防を展開していけるのではないかとい うふうに思っております。その辺の展開も目指したいと考えております。 〇黒澤委員  今の政安委員のご質問に関連します。コンピュータ活用の問題です。非常に成果をあ げておられるようです。これはテストの結果ですか、モデルでは過誤発生率が非常に少 なくなっている。これは非常に効果があるということをいっているのです。先ほどのご 質問にありましたが、これは全国的なベースではないということですね。そういうこと で今後、だんだんと普及してまいりますとセキュリティ問題が相当に出てくると思いま す。この辺はどうお考えでしょうか。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  そこは健康増進法の方でもこの調査についての情報保護が条文にうたわれておりま す。クライアントのシステムとインターネットは全く切り離して、クライアントでは栄 養素をどのくらい採りましたか、というようなことを個人にお返しをしないといけない のでそこの部分については、名前を登録するわけです。一方集団データとしてはそうい う個人情報は全くいらないので、集団情報を処理する時には、そういうものを消してま た暗号化した形でのやりとりをするということを、当初から仕組みを作っておりますの で、基本的には問題はないと考えております。 〇黒澤委員  もう一つです。これはデータベースが公開されるものでしょうか。それとも特定の 方々のためのものでしょうか。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  国民栄養調査の最終的なデータについては、これは私どもは厚生労働省からの委託を 受けて集計業務をしていて、生活習慣病対策室に提出をして、統計情報部に登録されま す。そこでデータの貸し出しをしていて、私どもはその後を二次的にデータベースを作 るときには、また統計情報部から許可を得る、お借りをするということで、その辺の判 断は行政に委ねられております。 〇武見委員  同じく国民栄養調査関係です。パワーポイントでいうと11ページです。この重点調査 研究業務のところで、最後の下のところに5番として健康増進法への対応を考慮したと いうことで出てきています。健康増進法によって国民栄養調査が国民健康栄養調査とか わりますね。恐らく調査項目も食生活中心から食以外の健康習慣まで含めた形で広がっ ていくということで、そこのことが14年度にわかっていたわけですから、そういう対応 も含めたこのさまざまな対応と理解していいのか、というのが1点です。  もう1つは、そうなっていくことによって、当然、データ量が場合によっては増えて くる。先ほどこれは評価項目でいくと10番ですが、栄養改善法の規定に基づく業務のと ころで、国民栄養調査のアウトプットが出てくるのは、かなり時間的に短縮されてきて おりますね。私たち使うものにとってはとてもありがたいことですが、これが更に早ま る方向でそういうことが整備されていくという形でいま進められていらっしゃるのかと いう辺り、使う立場としては非常に興味のあるところです。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  第1点目に関しましては、これは特に地域とのかかわりの中で現場の管理栄養士さん が栄養のところだけではなく、より幅広に健康のアセスメントをすることが非常に大事 であると思っておりますので、そういうつながりの中で少しずつ対応をしてきていま す。実際に国民健康・栄養調査としての調査の姿が、検討会で具体化してきたのがこの 6月ですから、いままさにうちのスタッフの寝ずの徹夜で対応しているというところで あります。2点目につきましては、すみませんがもう一度お願いします。 〇武見委員  要するに、この国民栄養調査の結果が出でくる、結果が出てくるまでの期間が短縮さ れるというのは、非常に重要なことだと思います。それとの関係ということです。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  そのお話を聞いたときに、私は頭の中が真っ白になりました。実は、項目数が大幅に 増えました。先ほどお話をしたように、平成14年度の作業もデータベースとか栄養素が 大幅に拡大をしたので、短縮をしろといいながら、作業量だけは増える一方であるとい うことで、私の個人的な泣き言としては、目標をかえてくれというのが本音であります が、そこはがんばってとにかくやっていきたい。  ですからそういう作業量がどんどん増大していく中で、まずは現状を少しずつ縮めて 最終的に6カ月というところができれば、これは数字だけで見る以上の大きな成果であ ると考えております。 〇清水委員  シートの18ページです。年度計画の中で、行政課題への適切な対応というところで右 のほうの実績で5つのポツがついていて5項目書いてあります。これはいずれもそれ以 前に出てきた中期目標、あるいは年度計画等に関連する項目であると思いますが、それ らに関連する項目でさらに今年度、プラスαといいますか、業務が拡大した部分と理解 しておりますが、そういう理解でよろしいでしょうか。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  そうです。特に5つある中の3番目と4番目については、これは完全に新規のものと して行っているものです。1番目も当初から予想はついていたのですが、これも新規で す。1、3、4については新規です。その意味で、前のほうに他の項目については整理 できなくはないのですが、やはり行政ニーズへの対応というのは、ひとつまとまった形 でご議論、ご評価いただいたほうがいいだろうということで、こういう形で出させてい ただいております。 〇清水委員  それで内容的には詳しいことは存じませんが、仮に4番目の健康食品に関する事項を とらえてみたときに、今回この実績として書いていらっしゃる事項は、中期目標、中期 計画との関係でいきますと、恐らく12ページ目の生活習慣病予防に関する調査・研究と いうところの関連なのかと自分なりに解釈していたのです。そういうところで、従来 やっていらした業務からさらに付け加わる、広がっていくところの判断というか、その ところが必ずしも年度計画からは、ネットワークづくりというところがはっきりと見え てこない部分があります。  その意味でそれが本当に必要な新業務なのかどうかというところの、恐らく、研究所 の見極めというものがどうなされているのか、という合理的なご説明をいただきたいと 思うのです。 〇国立健康・栄養研究所田中理事長  これは前回私も悩んでいるところであるという言い方で説明をさせていただきまし た。いま見ていただきておりますこの大きいA3の紙の真ん中にある18です。、そこでい まご指摘のありました、例えば健康食品のアドバイザリースタッフ、NR、あるいは健 康食品に関する安全性情報ネットワークシステム等ありますが、これらはいずれも、社 会的ニーズを知るために諸団体と話をしておりますが、そういう団体からそういう要望 が出てまいりました。  また1番目の所要量ですと、実際には厚生労働省側では今年から検討が始まり、始ま って6カ月以内くらいで策定するというような話です。あまりいってはいけないのかも しれませんが、いつも未消化的な策定であったわけです。ですからそれに対して我々が 積極的に早いうちに対応することにしたのです。先ほど、吉池から説明がありましたよ うに、1年以上も前から6000の文献を、全部を100人あまりの研究者で読んで整理してい くことにしました。そうしないと国際的にも認められるものが策定できない。そういう ニードに応えたということであります。  それから、情報ネットワークですと、これは当然きっかけは中国の例のダイエット食 品、あれは食品ではなく医薬品であったのでしょうが、ダイエット食品による健康障害 事件です。安全性に関する問題が起こってきたときに、リスクコミュニケーションが重 要である。そういうことで行政的にも社会的にもニーズが湧いてくるわけです。  中期計画を広義にとらえますと、これらは中期計画に合致するものであると思いま す。広い意味では、合致するものであるという認識で、これらは健康増進、栄養、食品 に係わることですから、あるという見解をとり、やっていきたいと考えております。独 立行政法人が、社会的なニーズに即座に対応していくことは、国民の健康増進に貢献す るものであるということで、積極的にやらなければならないと思います。  しかし、中期計画にはこういう細かいことまで書いてないので、やる必要はないとい う評価をされる方もあります。そこで板挟みになるわけです。実際にそういうニードに 応えて対応していかなくてもいいのか、やはりやっていくべきなのか。交付金は自由に 使える、枠内であれば使えるというものであれば、その中でやり繰りをして、そういう 対応をしていくのがよいだろう、ということでこういうことをやっております。  ですからそういう余計なことはするなという評価がここで出されるなら、そういうこ とはこれから止めていかざるを得ない。私もやるべきか、やってはいけないのか非常に 悩んでおります。両方の評価があります。ここに並べた特に上4つのことについては、 私としてはよくやったという評価をしていただければ非常にありがたい。 〇清水委員  ありがとうございました。恐らくこれは委員の先生方のご判断に委ねられる部分であ ると思いますが、いまおっしゃいましたように緊急性ということもあると思いますし、 ニーズのあるということは間違いないと思いますが、そのニーズに対応してどこの機関 がやるべきであるのか、という見極めということも、多分合理的な説明が必要になると 思いますが、そういうところでの、検討プロセスというか、ここは年度計画にも書いて ないような事項について、どういう機関決定でもってこれをするということで、プロセ スが生まれているのでしょうか。 〇国立健康・栄養研究所田中理事長  私どもの独立行政法人の個別法に所掌が書いてあります。それに合致するかどうかで 決まります。食品の安全性につきましては、厳密にいいますと、これは厚生労働省のほ かの研究所が対応することになっております。微生物の問題であれば感染症研究所のほ うでしょうし、化学物質になれば医薬品食品衛生研究所でしょうし、私どもの研究所 は、その中間に位置づけられているのかもしれません。いつも健康食品をどうするのか という話になります。食品なのか医薬品なのかという狭間で揺れるわけです。  しかし、健康食品は我々の所掌であろう、そして、健康食品の有効性と安全性につい てのリスクコミュニケーションを重視するのが我々であろう。そういう判断でやってお るわけです。 〇清水委員  確認させていただきたかったのは、この事業に乗り出すにあたっての意思決定といい ますのは理事会でしょうか。 〇国立健康・栄養研究所田中理事長  そうです。最終的には独立行政法人ですから理事長の裁量権に任されています。 〇清水委員  この件について理事長のご判断ということでしょうか。 〇国立健康・栄養研究所田中理事長  はい最終的には私が下しました。 〇清水委員  わかりました。 〇酒井委員  今のことに少しかかわります。当然ニーズのあるものについて対応していかれたい。 一方、この評価の中に効率的な運営をしなさいという話です。そうしますと、いまニー ズのあるものへの対応に対して、リソースです、特に研究者の問題としての適正配置が どのくらいうまくいっているのかどうかというところが、かなりポイントなのではない かと考えます。いま皆さんのお考えですと、今の業務量というか、ニーズのあるものに やっていくものに対して、いま全体の研究者の配置並びに人数的なものは、かなり適正 なものであるとお考えになっているのでしょうか。 〇国立健康・栄養研究所田中理事長  それは研究の本質に係わることかもしれませんね。私の出身の大阪弁でいうと、ボチ ボチやろかというと、ボチボチできるわけです。一生懸命やろうと思えば、研究という のはすごくできると思います。いわゆるサラリーマンのように、そうでないことが多い のでしょうが、9時から5時までの勤務であるということに徹するのも一つでしょう。 土曜、日曜日に出てくるのも、本人が興味があるから出てくるというのは、これは学問 の世界ですね。  これも最初の日に申したのですが、栄養、食品に係わる課題、あるいは健康増進に係 わる課題は、山積しているわけです。その中で私たちの研究所はわずか40人です。です からどれをどう見ていくのかというのは非常に難しいところです。人的にも予算的にも 非常に苦しいと思います。でもやる限りは、精一杯やりたいという研究者の情熱に頼ら ざるを得ないのです。  ですからこういうものにニーズが出てきますと、やはりやらないといけないという研 究員が少なくありません。もちろんこれについては、厚生労働省の所管課とも相談して おります。諸団体から社会的なニーズが示され、国民の方からも電話が非常によくかか ってまいります。そういうことに応えるには、しんどいがやろかという形でやっている のが現状です。  ですから、何人の人数でどれぐらい研究して、どのぐらいの予算をどう配分してとい うのか、もし数的にできるなら、逆に教えていただきたいというのが本音であって、結 論的には、研究者の情熱的なものに頼り、社会に還元していく科学であるべきであると いう考え方に基づいております。学術研究は社会に返していくべきものであるという情 熱に頼っているのであります。  ですから、40人でこういうことをするのは無理だといわれたら、それもそうかもしれ ませんが、そうであっても私どもの研究員はやる気でおります。やらないといけないこ とはしないといけないのではないか、そういうところでご勘弁願いたいと思います。 〇五十嵐部会長代理  何かということですね。研究所というのはそれでもっているわけです。社会に奉仕し ない研究所というのは必要がありません。特に独立行政法人になって、そういうことが よく強調されるわけです。栄養所要量にしても、健康食品の問題でも、すべて社会から の要請でできているわけです。もちろん行政ニーズもあります。行政というのは健康食 品で変なものをたくさん売られると困るわけですから、取り締まらないといけない。で はどこでどうやってバックグラウンドであるサイエンスを作っていくか。エビデンスが ちゃんとあればいいのでしょうが、十分にないとできない。それはバックを作っていく のは研究所だから、私は理事長がいわれたとおり、きちんと対応していくほうが、先取 りしてでもやったほうが、研究所にとっては非常に重要なことであると思います。  それがないなら、僕は研究所などはいらない。どこの研究所もすべて、そういうこと では要らなくなってしまうと思います。  今までは仕事だけをやっていればいいという国研のところがいくつもあったと思いま すが、そうではなく、これからは国研が独立行政法人になったということは、社会に対 して先取りをしながら研究をやっていく、これが外部評価委員会に任されたところでは ないかと私は思います。 〇大久保部会長  ありがとうございました。ほかにはいらっしゃいませんでしょうか。 〇国立健康・栄養研究所田中理事長  もう少し言わせていただきます。こういうことは恐らく国研時代であれば私はできな かったと思います。積算方式ですから、このことについてこういう予算でやれという話 でありますから、非常に迅速な対応は無理であったと思います。独立行政法人にしてい ただいたから、交付金の枠内でいろいろな社会ニードに応えられるということで、うち の研究所が独立行政法人になったからできたのだと、むしろ利点を生かせたということ で喜んでおります。決してしんどいとは思っておりません。研究者はひょっとしたらし んどがっているかもしれませんけどね。そういう視点であります。 〇大久保部会長  ありがとうございました。多分大変なワークロードであると思いますが、多面的に構 成を変えていらっしゃいますので、その辺が多分有機的に働いているのかなと思いま す。データベースをとるというのは大変なことでありますので、その辺最後にいかがで しょうか。IT化をされるとか、いろいろところで努力をしていらっしゃることが、実 際に機能して、そのあたりは非常にポジティブに働いている気はしますが、いかがで しょうか。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  私ども研究所としての役割は、いろいろな情報、幅広い意味での本当の学問的、知的 なものを蓄えていく。それが大事だと思いますので、こういうデータベースの構築にし ても、あるいはいろいろな文献を収集しそれを整理することを行っています。そういう 意味で、情報のリソースとして、社会から頼られるような存在になるべくがんばってい るということでございます。 〇大久保部会長  ありがとうございました。では評価をよろしくお願いします。              (各委員、評価シートに記入) 〇大久保部会長  では、次に進みます。評価シートの12〜19ページについてご説明をお願いいたしま す。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  先ほどの研究の中身で随分と時間を使ってしまいましたので、ここはなるべく簡潔に と思っています。  パワーポイントシートの28ページの下でございます。職員の質の向上ということで、 これは独法の発足当時からやっておりますが、月に2回程度、研究所内のセミナーを実 施します。1人1回は、全体の中で発表を行うということでございます。また当然外部 講師によるセミナーも、8回オフィシャルなものとして開催しましたし、研究者が個人 として呼んでくるものも含めると、かなり多くこういう機会を用いています。  学会の参加及び発表ということにつきましても、昨年度は、アジア栄養学会議という のがございまして、5名が参加し、このあたりも交付金のやり繰りの中で経費の範囲の 中で旅費等も支出できるような形を整えております。また関連学会の参加ということも 推進をしています。  事務職員につきましても必要な研修を行いまして、そこにありますような人事院、特 許庁等の研修を受講させました。必要なことは十分に行ったと考えておりまして、自己 評定としては「A」を付けさせていただいております。  次の外部評価についてです。評価シートは20枚目です。パワーポイントは29の上でご ざいます。  評価委員会の構成メンバーは、そこにございますように栄養学、食品科学の学識経験 者、公衆衛生学、またマスコミの関連の方にお入りいただいてご評価をいただいている ということでございます。当然、事前評価と事後評価を行うわけですが、実はとかく評 価というと事後評価の点数つけがかなりクローズアップされるのですが、事前評価は非 常に大事ではないかと考えております。そのプロセスとしては、例えば平成13年の独法 初年度のことを考えますと、事後評価を内部、この外部評価委員会、この厚生労働省の 委員会、それが9月に昨年度は終わりました。そして総務省の評価が11月と12月に出て きて、年度途中でこういう評価の結果で、所内の研究業務等の運営、舵取りが当然変わ ってくるわけでございます。  先ほど、年度計画に書いてないものをなぜ行ったのかということも、そういう理由で あります。評価の結果が年度を半分以上超えてからでしか出てこない。それに対応する となったら、次の年度計画を作るまで待つのかという判断の中で、かなり迅速に対応す るようにしています。そういう中にあって、一部は前倒し的に計画には明記されていな い部分も、先進的に取り組むわけですが、それが明文化されるのは次の年の年度計画に なります。  15年度の年度計画をたてて、その事前評価を受けるわけですが、それが評点以外のと ころでのいろいろと役に立ちます。個々の話ではないのですが、例として29ページの下 にありますように、業務の評価及び運営について、あるいは人的資源について、いま先 生方からご指摘いただいたようなことも含めて、こういういろいろなご意見をいただい ております。  30ページの昌頭にありますが、基礎研究と応用研究の調和、外部研究機関との連携と か知的財産権をどう考えるか、こういうことを年度計画に沿った形でご議論いただくこ とによって、年度当初から評価を受けた形での活動ができるという意味で、非常に有用 であり、なにも点数つけの事後評価だけがすべてではないと思っています。  当然、評価結果については、ホームページ等に掲載をして進めております。  その意味で20ページの評価シートでは、自己評定は十分に対応しているということ で、「A」ということをつけさせていただいております。  次に学会発表等の推進でございます。パワーポイントは30ページ目の下になります。 これはまず年度計画としては、国内外の学会の発表を100回以上ということですが、実 績としては、国際学会が40回、国内学会72回の計212回ということで、常勤職員1人当 たり5.3回ということになります。前年が166回です。ただし前年は国立公衆衛生院から の定員8名が来る前ですので、1人当たりが5.18ですからやや増えたということであり ます。  いずれにしても、年度の計画・目標、あるいは中期目標について、大幅に上回る件数 であります。ただい件数だけではいけないわけで、招待講演、特別講演、シンポジウム については、国際学会が11回、国内学会40回ございました。  さらに重要なことは、学術誌への原著論文、これは私どもは原著に限っております。 ほかの総説とかプロシーリングス的なものは全く入れておりません。英文が73報、和文 が14報、合計が87報で英文の割合が大きいのが非常に大きな特徴でございます。計画上 では50報という目標でございます。  さらに質的なものを表すものは、私どもはインパクトファクター2以上が国際的な一 流誌ととらえております。その基準に従うと、その該当数は37報ということになりま す。常勤研究員1人当たりは2.15報ということで、これはかなりよい実績であると考え て、評点のほうは「S」をつけさせていただいております。  評価シートの次のページです。インターネット等での情報の発信ということでござい ます。パワーポイントが31ページの上になります。まずホームページでございます。ア クセス件数が9万4千件です。前年度比で130%ということでありますが、これは実は また研究所の建物云々の話ですが、サーバーがうちは独立したサーバーが持てないもの で、ドメインは感染症研究所のぶら下がりになっております。ですからページのところ でのトップのカウントはできるのですが、ドメイン上での管理ができないのです。実は トップを通らない裏からすぐに入るほうが、恐らくはアクセスは多いと思いますが、そ ういうものが仕組み上ではカウントができないので、かなり過少評価されている可能性 があります。その中での件数です。これも仕組み的には、今のところはどうしょうもな い物理的な制約でございます。  先ほど申しましたようなQ&Aコーナーは、これは108件をデータベース化して収載 しております。  健康・栄養ニュース、これは、平成14年度に機関紙としてはじめて創刊したもので す。またテレビ・新聞・雑誌等でのものということについても、対応をしていろいろと 食に関する報道をしていただいております。  また外部団体等からの依頼による講演会等の講師派遣、総件数は195ですが、一番大 事なのは、現場の栄養士さんたちに、必要な情報、最新の情報を提供することなのだろ うと思います。日本栄養士会、都道府県栄養士会、あるいは自治体が主催する栄養士の 講演会で、これは学会を含まずに53件ありました。この辺を重視しながら進めていると いうところでございます。この辺も十分にできたと考えて「S」いう評定をつけさせて いただいております。  評価シートの23枚目でございます。講演会等の開催でございます。これについては主 催の講演会として2回行いました。「健康食品の功と罪」、テーマ的に非常にタイムリ ーであったというふうに思っています。これを東京以外でははじめて、研究所始まって 以来であると思いますが、大阪で行いました。それぞれ来場者数が160、265名で、特に 東京では立ち見が出るほどでございました。  評価シートには書いておりませんが、アンケート調査もしてございます。例えば大阪 では百数名の方からアンケートをいただいております。驚いたことに、大阪市・府内の 方が30%ぐらいで、県外から70%の方が来られていて、南は宮崎から来られていたとい うこともございます。  アンケートの結果で、今後あれば是非とも参加したいというのが90%、アンケートで すからお世辞半分かもしれませんが、非常に好評をいただいているところでございま す。そういう意味で、大成功に終わったと自負しております。  またその他、他の機関との共催ということで幾つか講演会を開催しています。また中 学校、高校等の総合的な学習時間による見学、8校で55名の生徒さんを受け入れて、こ の辺も研究者は当初は慣れない部分もありましたが、対応しているうちに、非常に大事 なつながりであるという認識も新たにしているところでございます。  評価シートが16−2のところです。パワーポイントは作っておりませんが、図書等 に関しても、実績のところで幾つかの本の企画等を行ったということで、例えば、 Oxford University Press の‘Textbookof Public-Health ”の編者として、あるい は幾つかの栄養関連の本の監修ですとか、毎日ライフの「保健機能食品のすべて」とい う特集については、内容はすべて研究員が対応したというような形で、積極的なアウト プットを行っていました。そういうことで評定としては「A」をつけさせていただいて おります。  評価シートの次のページです。17番目です。知的財産権の取得及び活用ということで ございます。これは冒頭に申しましたように、国際産学共同研究センターというのを4 月1日に発足をさせたということがございます。これは小さな研究所ですので、センタ ー長は併任で置いておりまして、室長が1人専任で、任期付きで採用しました。また特 別研究員が1名ということです。  この結果、いろいろな意見交換会その他の交流等につながっているわけです。特許出 願については、平成13年度と同様に1件の特許出願を行ったというところでございま す。また研究者が知的財産権の取得の意義や特許申請に関する実務への理解を深めるた めの情報提供や相談会、こういうものは平成14年度になってはじめて本格的に取り組ん だというようなことでございます。その意味で国研時代から比べて、いろいろな意識の 面でも変わってきて、今後は期待できると考えております。そのようなところでござい ます。  それで評価点としては、実績云々もさることながら、取り組みとしてはかなり先進的 に行っているということで「A」をつけさせていただいております。  次の26枚目の18番目の項目でございます。パワーポイントが33ページです。  若手研究者の育成ということでございます。最初にご説明しましたように、これはマ ンパワーの確保ということプラス、若手をトレーニングするという意味で、特別研究 員、マスターレベルの方を受け入れることをかなり積極的に行っています。これはいわ ば実験的なラボの研究と違いまして、管理栄養士の資格をもって実務的なつながりを 持ってというときに、必ずしもドクターの方で研究に加わっていただくよりは、マスタ ーで実務とつながりを持ちながらということが非常に大事だということで、この仕組み を作りまして、かなり現場に近い形での研究ニーズに迅速に応えられるようになったと 思っております。  また研究者の受入れ体制としまして、( )内に前年度の実績を書いておりますが、 特別研究員が7名、協力研究員が25名、協力研究員というのは若手で、いわばビジティ ングスカラーとして週何回か来て一緒に研究をするというものでございます。研修生は 大学と大学院等からの依頼を受けてお預かりをするということで、合計94名となってお ります。  他機関への若手研究者への支援として、大学、大学院での特別講義に29件対応してお ります。また1件は海外です。これはベトナムでございますが、公衆栄養トレーニング コースに講師として派遣をすることができました。、大学、大学院との連携、特に管理 栄養士の養成に係わるこういう仕組み、卒業後の研究及び職業人としてのトレーニン グ、そういうことについては仕組み的な検討も必要ですので、このあたりは検討を行っ ているというようなところでございます。  この辺を考えますと総合評価としては、「A」ということをつけております。  次の評価シートの27枚目で19番でございます。  研究協力の推進、パワーポイントは33ページの下です。一つはこれも繰り返しです が、 国際産学共同研究センターの設置でございます。国際協力ということをメインに 書かせていただいておりますが、これは特にこの評価委員会の中で、中期計画等をご検 討いただく中で、国際協力というのは非常に大事である。特に栄養の分野でアジアとの つながりが大事であるというご指摘を受けてのことでございます。  マレーシア、フィリピンといったところの共同研究、あるいは住民の健康調査を一緒 に行う、そして先ほどのトレーニングコースへの対応。また行政的に非常に大事である と考えているものが、日本国としての十分な対応をするための国際的な機関とのかかわ りです。WHOの専門家会議、先ほども少し申しましたがFAO・WHOの合同食品規 画委員会について、それぞれ2回です。また途上国を対象としたワークショップ2名の 職員を派遣したというところでございます。  またアジア太平洋事務局への訪問等を実施して、これは南太平洋の領域で、栄養に関 するWHOの協力センターというのがどこにもないので、そういう設置を視野に入れな がら、進めているところでございます。  また共同研究につきましては、民間企業、研究機関との共同研究及び受託研究が33件 ということになってございます。前年が28件でございました。また研究員の派遣受入れ でございますが、外部研究員としていろいろな団体からの受入れを18名、前年度は14名 でございましたが行ったということです。  これらを総合的に踏まえまして、評価シートでは28ページになっておりますが「S」 ということです。  そこの28ページの右側のところは情報の公開ということで、これは評価項目あるいは 目標にはないのですが、これは情報公開法に伴ってあとから派生したものです。このあ たりは整理しておいたほうがいいだろうということで、ここに入れさせていただいてお ります。恐らくこれはここの評価の範囲ではないだろうと思っております。以上が説明 です。 〇大久保部会長  ありがとうございました。では委員の先生方から何かございますでしょうか。 〇武見委員  評価シートでは22ページです。成果の積極的な活用のところです。さまざまな形で情 報発信をなさっていて、電話・インターネットでの相談への対応とかいろいろとなさっ ている。先ほど前半のほうの説明のときに、そういう電話の質問のデータベースのとこ ろで、誰から問合せがくるのかというところで、テレビ関係者、いわゆるマスコミ関係 からも随分と問合せがこういうところに入っているようです。栄養研から出された情報 がマスコミを経ると、もう一回間が入って一般の国民の方に出ていきますよね。そうい うあたりで、マスコミからもう一回出されているような情報への質の保証という辺りに ついても、いろいろとご苦労があるのではないかという気がするのですが、その辺につ いてはこのシステムを進める中でどうでしょうか。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  ひとつ悩みがございます。岩渕委員もマスコミの関係の方でおられるので、いろいろ とよいご示唆をいただければと思います。取材にみえて、かなりデータに基づいてご説 明をして、その取材記事等についてもいろいろと調整をしながら出していただけるとこ ろは、本当にありがたいと思っています。正しい情報を非常にタイムリーに、しかも研 究所の研究成果を生かして出していただける。  これは食ということの特殊性であると思いますが、あまりにもいろいろな形で報道が されています。場合によっては電話などで簡単に応対をすると、一部分だけが切り取ら れて、何か当初お話をしたのと違う形で出されていくということが、特に食のところで は多いのかなと思います。また電話もかなり頻繁にかかってきます。  その辺はまだ内部で、いろいろと考えないといけないという議論はしているのです が、機関としてどうしていくのか、逆にどう使われるのかわからないような一部のマス コミへの対応については、こうしたほうがいいのではないかというようなことも、もし かしたら考えないといけないのかと思っているところでございます。非常に大きな悩み です。 〇岩渕委員  マスコミが食い散らかすという話をして、申し訳ないような気もしないではないので す。ただきちんと認識をしていただきたいのは、テレビも新聞もそうですが、基本的に はいいところ取りというか、自分たちの価値観に基づいて、場合によっては都合のよい 内容だけを切り取って使う。こういう性格のものであるということは、きちんと認識し ておくべきであろうと思います。  それが比較的国民の興味の有り様というものを反映しているわけでして、専門家の意 味でいえは、それは最も正確であろうと思われる、例えば、研究論文をそのまま流して 国民が理解できるのかということになれば、それこそ、今度の食学委員会でも問題に なっているリスクコミュニケーションをどう考えるのかという問題です。これも組織内 で考えないといけないというふうな認識があるのでしたら、もっとみっちり考えていた だきたいと思います。  方法としては、要するにどれだけのスペースなり放送時間をとれるのかということか らまず入っていくべきだと思います。それに対してある程度のそれ以上のものを喋るの は結構なんですが、当然ながらバックラウンドまで説明しないといけないわけです。そ れの理解を得るためには、それはそのとおりですが、最終的にはこの範囲内でというと ころを、最後にもう一回確認するべきです。そうしないと、役所の普通の取材でもいつ も問題になっているのですが、3時間喋って30秒ぐらいを切り取られて、ろくでもない ことを放送された、ということはしょっちゅうあります。そういう嘆きはよく聞きま す。  それも含めていえば、マスコミというのはその意味では通訳ですから、皆さまの難解 な言葉を分かりやすく国民に伝えるというのは、だからこれをどう言えばどう伝わるの かという若干の判断を含めて、あるいはネゴシエーションもきちんとやるべきだろうと 思います。それでなければ、最初からちゃんと、チェックさせろということを条件にし て取材に応じる。それくらいの自衛策は当然ながらとるべきであると私は思います。  それでついでながら申し上げさせていただきます。ここで外部評価の委員会の評価及 びコメントまでたくさん書いてありますが、要するに今日我々がやっているのと同じ項 目について、外部の評価をいままでやってきたわけですね。これは全くもし同じである とすれば屋上屋を架すというか、効率性に大変に問題があるのではないかというふうに 思いますし、しかもなおかつ我々がやっている評価の前に、こういう評価を既にいただ いているというお墨付きぜんとした格好で出てくるというのは、何か、釈然としないと いうか、ある意味では誘導的なものを感じます。  少なくともマスコミの人間であれば、こういうものを見たら、カチンときますね。出 し方をもうちょっと工夫なさったほうがいいのではないか。書く場所を、例えば、大き な中に入れるとか、こういうように評価シート、我々が評定をつける、その前にSがつ いているというのは、やっていることは非常に評価できることは多いのですが、だけど この手法はいかにも非効率的であるし、しかも誘導的であって感心しない、ということ だけ申し上げておきたいと思います。 〇国立健康・栄養研究所田中理事長  仰せのとおりですが、去年は書いてなかったのです。 〇岩渕委員  我々もこういうのを見ることは興味があるのです。興味があるが隣に書かれることは 非常に問題があるのではないですかね。 〇国立健康・栄養研究所田中理事長  ですから去年は書いてなかったのです。そうしたら書けという話でした。 〇岩渕委員  そうしたら去年の委員が不見識であったのですね。 〇国立健康・栄養研究所田中理事長  その辺りはちょっとわかりません。ですから、評価の先生によっていろいろと意見が 分かれてくるので、我々も非常に判断に苦しいのも事実でありますので、その点はご理 解お願いします。去年は書いてなかったのです。そして書けと言われたから後から提出 したのです。お前らの自己評価はどうかということでね。そうしたら先に書いておけと いう話にもなってきたわけでございます。評価委員会で出すのか、出すべきでないのか 統一していただきたいと思います。 〇大久保部会長  その辺りにつきまして、事務局といいますか、我々側としましても、いろいろと試行 錯誤しながら改善する点は改善していくということで、今のご意見は貴重なご意見とし て承っておきたいと思います。 〇武見委員  前半のことについてです。マスコミのことですが、私の言葉がもしかしたらいけなか ったのかもしれません。私たちも、つまり栄養という看板を出せば、食とかは凄い問い 合わせというのは、いずれもどこでも多いと思います。そういう中で責任をもってそう いう情報をきちんと出してくださるところがあれば、忙しい中で完全に私たちが対応で きないようなケース、それからいろいろな方が対応できないときに、非常に大事である と思います。  でもそういう時に、もうひとつ出ていくときのチェックの仕方も含めて検討して作っ ていただければ、もっと正しい情報が国民に届くだろうという意味でお聞きした、とい うことを言わせていただきたいと思いました。 〇黒澤委員  ページではシートの25ページです。知的財産権のところです。これは一応1件だけ出 願しておられると書いてあります。ほとんど今のところはお持ちではないというもので すね。これは独立行政法人になって、一応、いろいろな消費者行政に係わることをいろ いろとやっていらっしゃるので、特許を取るというのはいろいろな意味で難しさもある と思います。ところで、独立行政法人になるという意味は、知的作業を何らかの形で客 観的な評価指標として出す必要があると思います。  なぜかというと、これは仮に今後国際的協力をする場合に、外国の国に対して我々が 提供するいろいろなノウハウ、知識データベース、そういうものがどれだけ価値がある のかということを、相手に説得する必要がある。そういう意味合いでも特許権というも のを非常に重要視するべきです。こういうふうに私は思います。ぜひそういう方向でご 検討賜りたいと思います。 〇国立健康・栄養研究所田中理事長  それは重々認識をしております。やりたいのですが、私の研究所の所掌からは、非常 に出にくいのです。これも私は前回申しましたように、オリンピック選手ではなく一般 の人々がどのような運動をしたら健康増進になるか。どういう食生活を営めば健康増 進、あるいは長寿に結びつくのかという話ですから、技術開発ではないわけです。その 中で、何が特許に結びつくのかということを探すことに、非常に努力をしてきたわけで す。そのために産学連携室を作ったわけです。  どうかして所掌としている研究の中から特許に結びつくものがないのか、いわゆる シーズを探すという役割を産学連携室にさせて努力はしているのですが、私どもの研究 の所掌上、非常に出にくいというところです。それを探し出すために、わざわざ研究者 と1人、また特別研究員もつけて、また何回もいいますが、40人の中から1人割くのは非 常に辛いのですが、専属のものをつけたわけです。  今までの国研時代には特許申請はなかったのですが、独立行政法人になって1年に一 つではありますが、見つけ出しました。しかしそれが申請、登録までいっても、実施ま ではなかなかいかない。その維持費を今度はまたどうしていくのかということでも悩ん でおります。  技術開発の研究ですと非常にやりやすいのですが、私どもは、そういう苦しさをもっ ております。そのためにもう一つの策を考えております。産学共同研究をどうかしてい こうという方が、我々はやりやすいのではないかということで、開発に比重をおいた客 員研究部門の設立をしようと思っております。今のところは設置できそうな状況には なってきました。要するに寄附研究部門ですね。新研究部門の増設は不可能ですから、 それを企業から提供してもらう。そういうところの評価をお願いしたいと思っておりま す。  従来の研究からは、これからもこの特許に結びつくようなものは非常に出にくいとい う認識であります。1件登録できたというところで理解していただきたいと思います。 〇黒澤委員  おっしゃる意味はよくわかります。その点はよくわかります。市場経済性に馴染みに くい研究であるということだと思います。基本的にですね。企業ベースで買ってもらえ ないということですね。  でも私は、この知的財産というのは違う意味の切り口がある。国家としてバーゲニン グ・パワーとして使えるのです。今や国際化はそういう時代になっているのです。  ですから例えばディファクトスタンダードというものがどんどん出ているわけです。 それが国際的な標準、スタンダードを制してしまう。先行的に規制されてしまう。する と他の国に全部征されるという時代になっているのです。  日本は長寿命国の代表でございます。ビジネスモデルとして考えると、すばらしいノ ウハウのビジネスモデルをもっているわけです。これを権利化しておくということは、 日本の国有財産と考えた場合にも非常に意味があると思います。  ですから特許というものが企業の利益に貢献するためのものである、というふうに理 解してしまうと、それは問題があるのではないか。むしろ国の大きな安全文化の資産で あるという考え方で保有していくべきである、ストックしていくべきである、というふ うに私は考えるわけです。ぜひそういう方向でお考えいただきたい、というのが私の希 望でございます。 〇国立健康・栄養研究所田中理事長  ちょっと話がずれるのかもしれませんが、そういう意味で研究所監修という形で幾つ かの業績をいま残しつつあるわけです。先ほど吉池がいいましたが、「Oxford Textbook of PublicHealth 」というのは、世界的な公衆衛生学の教科書です。医学では各分野 で標準的な世界的な教科書というものがございます。公衆衛生、予防医学の分野では、 それが世界の標準教科書になっていて、それの編集をもさせていただいたわけです。  私どもの知的財産は、書籍の監修、編集という形でしか残せないかなと思っておりま す。一生懸命にいろいろと考えてはいますが……。 〇黒澤委員  著作権も実は最近はソフトウエアがどんどん広がってまいりますと、実は全く特許権 と似たような効果をもたらし始めているわけです。したがいまして、論文で提出すると いうのは確かに著作権ですね。ですからこれはそれなりに保護されておりますが、しか し現実問題として、ハードウエアを作ったり、物の形になったり、そういう時には必ず 具体的な権利が有効になってくるということがありますね。そうすると日本が知らない うちに他の国がそれを権利化している。当然、国際的にみまして、それはあまねく人類 のためのものであるという感覚ですが、私なども人類のための貢献であるとは考えてい るのですが、現実はそうなってないということです。それがどんどん進んできている。  したがいまして、日本の国としても、国の財産としてですね。これから国際的なバー ゲニング・パワーとして保有するというのは、非常に大事になってきているということ だと思います。 〇国立健康・栄養研究所田中理事長  自己評価システムというものを開発しました。あれもそういう形で知的財産としてお くことが可能であるというサジェスチョンもいただいているわけです。いろいろな形で 先生のご指摘のように努力をしていきたいと思います。ありがとうございました。 〇政安委員  ただいま特許の話が大分出ておりましたが、私たち現場で働く栄養士にとっては、む しろ現場に対してのアウトプットをもっとしっかりお願いしたいということが一つにあ ります。その辺を理事長さんのほうでどのようにお考えでしょうか。  貴重な人材を40名のうちから特許にお出しになっておりますが、特許というよりそれ 以外のところで現場の栄養士がいろいろな情報をほしがっていると思いますが、そうい うことに対するアウトプットをぜひがんばってやっていただきたいと思います。 〇国立健康・栄養研究所田中理事長  それは先ほどから幾つか申しておりますように、ホームページを使ったり、ニュース レターを使ったりしております。あるいは変な言い方ですが、現場の栄養士から依頼が あったときには、例え無料であっても私は講演にいっております。私は無料であっても 行くというぐらいの姿勢をもっております。講演会という形でも、現場に対して情報発 信をやっております。  先ほどの健康食品の安全性に関するリスクコミュニケーションのためのネットワーク づくり、あれも栄養士及び管理栄養士が主体になっていくようにやっております。先ほ ど触れました自己評価システムも、それのアセスメントをして、プラニングを立てるの も、コンピュータを通じてですが、人間も介在しないといけないということで、その主 役は栄養士に置いております。  来年度から正式に発足してきますが、健康食品のアドバイサリー・スタッフも、私ど もでいうNRも一般の栄養士さんのために考えたものであります。ある養成機関では20 万円で2週間続けて講習を受けろという話でありますが、それでは時間的にも費用的に も参加できないという要望が日本栄養士会等からありまして、それに応える制度でもあ ります。  先程もいま言いましたように、書籍の監修、それから栄養、食品、健康増進に関する CD等も役に立つものを出していくということで、一般の人のために、そして栄養士の ためにということで研究成果のフィードバックはさせていただいております。 〇大久保部会長  ありがとうございました。他にご質問はございませんか。では評価をご記入いただき ます。              (各委員、評価シートに記入) 〇大久保部会長  その間に一つだけです。昨年、国際指導が非常に多かったといった記憶をしているの ですが、今年はCDのほうもかなりやっていらっしゃいますね。これは国際産学共同セ ンターを設置されたというようなことで、支援活動というものが増えているということ でございましょうか。過年度の比較という点ではこの辺りはどうなっているのでしょう か。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  例えば、WHOコーデックス、コーデックスへの対応を定期的に行うようになったの が独法の初年度である平成13年度の途中からです。今までは何かあると厚生労働省から 要請があると単発的に対応していたのですが、うちの方の旅費を用いてでも定期的に人 を送ろうということをはじめました。  またWHOからの専門家会議というのは、先方からの依頼があってのことですから、 その意味でいろいろな形での情報発信をして、また国際産学というコンタクトポイント を作ることによって、そのへんの連携というか、声がかかりやすくなったのかなと思い ます。専門家会議も年によって開かれたり、いろいろ変化があるわけですが、前年度は ほとんどなかったものが、14年度になってこういう形になっております。 〇大久保部会長  非常に増えているような印象を持ちましたので、ありがとうございました。 〇国立健康・栄養研究所田中理事長  よろしいでしょうか。これこそアジア諸国の日本はお手本であるということを非常に 感じているわけです。と申しますのは、私などは小学校に入る前後ぐらいには飢えて死 ぬのではないかというようなことを経験してきているわけです。魚の切り身を兄とどち らが大きいかといって喧嘩してきた世代であるわけです。  そういうことを経験してきて、かつ今は過剰摂取ということが問題になってきてい る。だから先進国の中で、両極端的なことを経験しているのは日本が唯一です。なおか つ、その中で日本はご飯を中心とした主食を維持してきて、いろいろと副食の多様化を 図ってきた。栄養失調と過剰摂取の両者を克服したのです。その結果として日本は世界 一の長寿国になったのだという評価がアジア諸国では行われております。  欧米諸国の二の舞をすると、心臓病が増えていく。だから日本を見習えということ で、アジア諸国からの要請が多いので、研究者が行くことも多いですし、当研究所にそ ういうことを勉強しに来る研究者も多い。  国民栄養調査を毎年実施しているのは、ここでも申し上げたかもしれませんが、世界 では私どもの国1カ国です。国民栄養調査を毎年やっているのはね。それは私ども研究 所がきちんと科学的にサポートしてきたからであるという自負をもっています。  アメリカにおいても5年に1回ぐらいしかやられていません。日本がアメリカに堂々 と胸を張って自慢できるのは国民栄養調査だけであると、私はいつもアメリカの学者に いって笑しれております。そういうことで国際的なニードが非常に大きいということで あります。  WHO側はアジア諸国のための、できたらアフリカ諸国を含めて、国際栄養コウ・ラ ボレーティング・センターを設置してはどうか、というが要請されてきておりますが、 これも中期計画にございませんので、また入れますと別の意味の批判が出るかもしれな いということもありますが、しかし準備は進めております。 〇大久保部会長  ありがとうございました。  評価は終わっていらっしゃると思いますので最後のところでございます。第4グルー プの評価シート項目は20から23までの実績の報告をよろしくお願いします。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  では評価シートについては29枚目の20番からになると思います。これはパワーポイン トは用意してございません。またすべて財務諸表と係わるところがありますので、私が 簡単に説明をした後に、事務部長から財務諸表を中心とした説明を行いたいと思いま す。  まず自己収入の確保ということです。これは繰り返しになりますので簡単に述べたい と思います。  14年度の実績としては、競争的研究資金の中での獲得が前年にも増して85件で3億 6,700万円ということになったということ。また種々収入を確保するための取り組みを しているということについては、すでにお話をさせていただいたとおりでございます。  もちろん、監事2名より監査意見書が提出されて、財務内容は適正であるという評価 を受けております。特に自己収入が大きく伸びているということを勘案して、「S」と いう自己評定をつけさせていただいております。  評価シートの次のページです。これは財務のところで詳しく説明します。年度計画が 別紙となって評価シートに入らない形になっておりますので、ここからはお手元のファ イルで綴じてあるところをご覧いただきたいと思います。資料2という耳がついている 最初に資料2−1、平成14年度業務報告書という報告書の本体がございます。事業報告 書です。  この辺の細かいことの年度計画については別紙でつけさせていただきますので、その 確認だけをさせてください。本編がずっと終わりまして、49ページをお開きいただきた いと思います。資料2−1の49ページ目に年度計画の予算、次に収支決算の計画、次の ページに別紙8で資金計画というものがございます。これについてはページのご案内だ けで説明は後ほど財務とあわせてしたいと思います。  評価シートだけのご説明をしますと、予定額の範囲内において、年度計画以上の事業 を実施しアウトプットを出したと考えておりますので、自己評定は「A」とつけさせて いただいております。  次の評価シートの31枚目です。22番の評価項目でございます。これも設備・備品の計 画で、これも計画として掲げられているものを行ったかどうかという判断ですので、特 に評価シートには書いてございませんが、資料2−1の別紙9の52ページにございま す。平成14年度整備・施設に関する計画ということで、年度計画でこれを購入して、備 えつけるということ、中期計画の中でもそれぞれ個々に書かれているものですが、これ についてそのとおり購入し、執行したという、設備を備えたというご報告だけになると 思います。その意味では予定どおりのことをしたということで、評定としては「A」を つけさせていただいております。  また評価シートの最後のページです。32ページでございます。これは人事に関する計 画ということで、資料2−1の次のページをお開きいただきたいのですが、別紙10とい うことで職員の人事に関する計画ということで、公衆衛生院から8ポスト移管され、 云々ということは最初の組織運営のところでご説明したとおりでございます。それに対 しての必要な対応を行ったということと、特に若手の任期付き研究員6名を採用したと いうことについては、研究員が採れるかどうかというのは、いろいろな人の動きによる わけですが、すべて任期付きで採れたということについては、非常に大きな成果である ということで、これも「S」ということをつけさせていただいております。  その後の財務諸表については、資料で、事後報告に関連する資料がたくさんついてい る仕切り紙で青いものがついているものがあると思いますが、資料2−2でございま す。今の資料の特に資料1とか2とか書いてないで、資料2というインデックスの中で 分厚い資料をくっていただき、次の資料2−2からが財務関係でございます。そこにつ いて、評価シートと関連することを含めて、事務部長から説明をさせていただきます。 〇国立健康・栄養研究所事務部長  事務部の片倉でございます。では平成14年度の財務諸表につきましてご説明をさせて いただきます。  1ページ目が貸借対照表でございます。資産の部が普通預金と未収金を合わせまして 2億4,206万3千円。固定資産の部が3億336万7千円。無形固定資産につきましては、電 気の施設利用権ということで243万2千円。合わせまして資産合計が5億4,786万3千円で ございました。  負債の部です。未払金、短期リースの債務等々が1億2,724万3千円。固定負債としま して3億363万4千円。合わせて4億3,087万7千円でございました。  資本の部でございます。13年度の積立金は1億1,585万7千円。当期の総利益が112万 7千円で。合計1億1,698万5千円でございました。  2ページ目が損益計算書です。経常費用としまして、研究業務費の職員給与等々を合 わせますと10億2,749万5千円でございました。一般管理費、役職員の給与等々でござい ますが、2億248万1千円でございました。合わせて12億2,997万6千円でございます。研 究業務費の占める割合は約83.5%、一般管理費の占める割合が16.5%でございました。  経常収入でございますが、運営費交付金と資産見返運営費交付金戻入でございます が、8億7,726万7千円。受託研究収益が3億4,637万3千円。寄付金・受取利息等を合わせ まして計上収入合計が12億2,436万7千円でございました。  経常費用から、経常収入をさっ引きますと、−560万9千円でございますが、13年度の 目的積立金を取り崩しますと、その額が673万6千円でございますので、当期総利益を 112万7,457円という形で処理をさせていただきまして、その当期総利益を資料の4ペー ジの利益の処分に関する書類のところで計上させていただきました。  資料2−3に移っていただきまして、14年度の決算報告書でございます。収入の部で ございますが、運営費交付金が9億5,462万7千円。手数料が1,737万2千円。受託収入が 3億5,123万7千円。寄付金その他収入のトータル、合わせまして13億2,396万3千円でご ざいました。  前年度からの繰入がありまして、1億1,654万7千円でありますので、合計額としまし て14億4,051万円という形の収入にさせていただきました。  支出でございます。運営費交付金は9億6,232万3千円でございました。これは予算額 よりも約769万円オーバーしたわけでございますが、そのオーバーは目的積立金と受託 経費から補てんをいたしまして、支出の合計が13億2,157万5千円。翌年度への繰越額は 1億1,893万5千円で、キャッシュベースでは238万8千円の残が出たという形での決算報 告をさせていただきました。以上でございます。 〇大久保部会長  ありがとうございました。ではただいまのご報告に対しましてご質問等がございまし たらお願いします。 〇清水委員  ご質問につきましては別紙でまとめておりますので、それのご回答をお願いしたいと 思います。この席では2点だけご説明をいただけたらと思います。  1つは、損益計算書のほうの当期純損失の要因でございます。これの研究所の分析を お伺いしたいと思います。もう1点は、決算報告書で14年度の人件費といいますのは、 前年度の決算額が4億6,000万円程度であったと思いますが、それに対して5億9,000万 円という大幅な増を見込んでいらっしゃるということです。冒頭にご説明がありました ように、人数の研究員の増加等を見込んでいるということであると思いますが、この傾 向というのは今後も続けられるご予定であるのかということをお伺いできますか。 〇国立健康・栄養研究所事務部長  損益計算書の当期純損失が560万9千円でございます。この損失は、私どものほうでは 減価償却のキャッシュベースにはない減価償却費が損益計算書上で現れておりますの で、その分の560万円がマイナスで出たと理解しております。 〇清水委員  今のことに関連します。減価償却につきましては、損益計算書上ではよくわからない のですが、資産見返運営費交付金戻入という形で、通常運営費交付金で購入された分に ついては、同額の収益がたつと思いますが、それ以外の要因でなったということでござ いましょうか。 〇国立健康・栄養研究所事務部長  受託の分で購入した設備等もございますので、その分は増加しております。  もう1点目の人件費ですか。人件費につきましては、13年度に比べまして14年度は大 幅な増になっておりますが、それは13年度に独立行政法人になったときに、予算定員に 満たない人数でございましたので、13年度はそこで補充をしたのですが、補充をするに は相当な期間が必要になります。公募、任期制で採用していく方式をとっておりますの で、最低でも3〜4カ月はかかります。その分、13年度は若干少なかったということで す。  14年度につきましては、国立公衆衛生院から8名の分の人件費が私どものほうに計上 されたわけでありますが、それもすぐに採用はされたわけではないのですが、最終的な 金額としては、今の金額が大体次の年度にも推移していくのかなと思っております。た だ、研究の内容が変わっていけば、それでまた人数も弾力的ににかえざるを得ない可能 性も出てくると思います。 〇清水委員  では人数としては、14年度の実績、人件費ベースとしてはほぼ推移するということで ございましょうか。 〇国立健康・栄養研究所事務部長  費用でございましょうか。人数でございましょうか。 〇清水委員  費用でございます。 〇国立健康・栄養研究所事務部長  費用は、私どもは国家公務員型でございますので、基本的には国家公務員の給与に準 じた形でやっております。ここ数年、国家公務員の給与は下がっておりますが、基本的 には定期昇給という分がございまして、その分は多分増えていく。その分の金額は約 500万円から600万円ぐらい、職員全員の分ですが、そのように理解しております。 〇清水委員  若干増えるということで理解してよろしいでしょうか。先ほどの1点目の減価償却の 件につきましては、受託収入という話であったのですが、それについての会計処理は後 日確認させていただきますが、よろしいでしょうか。 〇国立健康・栄養研究所事務部長  後日ご報告をさせていただきます。 〇酒井委員  受託研究収益ということですが、これは競争的研究資金との関連はどのようになるの でしょうか。 〇国立健康・栄養研究所事務部長  基本的には競争的資金と理解しております。 〇酒井委員  すると競争的研究資金がこの損益計算書の中に入っていると理解していいですか。そ うしますとそれの経費ですが、例えば、この業務委託費であるとか非常勤の職員の手 当、こういうところにそういう競争的研究資金で使われたものが入ってくると理解して よろしいでしょうか。 〇国立健康・栄養研究所事務部長  そうでございます。 〇酒井委員  この辺は、前回、ほかの研究機関のときに競争的研究資金は別扱いであったような、 これは今伺っているわけではなく、その辺の処理はどうなっているのでしょうか。 〇清水委員  いまお答えされた受託研究も競争的資金の一部である、とおっしゃったと理解してい るのですが、受託研究は確かにオンバランスになるというか、損益計算書に載ってくる のですが、科研費とかについては、恐らくこの機関も、研究所も預り金扱いとされてい るのではないかと思います。そういう処理が、会計基準では正しい処理となっておりま すので、その意味では何とか費という形では出てこないはずであると思います。 〇大久保部会長  そういうことで理解してよろしいでしょうか。 〇国立健康・栄養研究所事務部長  文部科研費とか厚生科研費につきましては、私どものほうは機関として経理をすると いう形にしております。この中で私どもの機関経理の中で全部を盛り込んで処理をして ございます。 〇清水委員  この受託研究収益の中に、それも入っているということでございますか。 〇国立健康・栄養研究所事務部長  そうでございます。 〇大久保部会長  ではこの議論はここまでということで、後日、ご質問書等を委員会から出させていた だきますので、それに対してのご答弁等をよろしくお願いします。そういうことでこれ につきましてはよろしいでしょうか。 〇酒井委員  全然違う視点ですが、非常にがんばっていらっしゃって、受託研究というか競争的研 究資金を85件もとっていらっしゃって、このこと自体はすごくすばらしいことであると 思いますが、そのこととプロジェクトを進めるというとか、基盤研究をやるということ との兼ね合いというか、どういう実態にあるのでしょうか。 〇国立健康・栄養研究所田中理事長  そういう受託研究、あるいは競争的資金で確保してきた場合には、それに応じて当該 研究をやってもらわないといけないわけです。原則的にはね。 〇酒井委員  例えば文科省の科研費ですと、個人研究という位置づけですが、そういうことと所内 でのプロジェクト研究、基盤研究を進めるということで、1年間の中に競合しないのか ということです。 〇国立健康・栄養研究所田中理事長  1人の研究者はプロジェクト研究をしつつ、文部科学省でもらった研究補助金に基づ く研究もするというように、うまく調整.両立させております。また、プロジェクト研 究と科研費の課題とが相互補完するような形にもなっています。それは当然です。費用 的にはこれは機関管理です。それは個人で管理してはならないようになってきたからで あります。いろいろと不詳事件が起こってきましたからね。ですから事務部を通しての 備品、消耗品等の購入ということをやっております。文部科研費等をもらったときに は、それはその研究者の研究に使っていくというのは原則になっております。  ただ一部そういう管理をしていくために、何%かは中央経費として、光熱費等とし て、預かっております。それはその全体でやり繰りしていく。こういうシステムです。 〇大久保部会長  よろしいでしょうか。ほかにどなたかご質問ございますか。ではご記入をよろしくお 願いします。              (各委員、評価シートに記入) 〇大久保部会長  最後に、先ほど評価を、前回の2研究所でございますが、産業医学総合研究所と産業 安全研究所のことで何かご質問等がありましたらよろしくお願いします。特にございま せんか。 〇田村委員  全般的なことでお伺いします。独立行政法人の研究機関としては、将来に向かっての 先導的な研究というものを、ぜひやっていかないといけないということがあると思いま す。中期計画の中では評価の対象という観点からは出しにくい面があると思いますが、 研究というのは一長一短でできるものではありませんから、将来を見越していろいろな 形でやっていくということか大事ではないかと思います。そのあたりでどういう工夫を していらっしゃるのか、ご意見をお伺いしたいと思います。 〇国立健康・栄養研究所田中理事長  私からでよろしいでしょうか。それが一番辛いところです。5年ごとに、また毎年毎 年評価されていくという短期間成果主義ですからね。  今後、独創的な、基礎的な研究を実際上育てていくのは、いま言いましたように、短 期決戦主義、成果主義ですから非常に苦しいです。それをどう育てていくのかというの は、大きな課題であると思います。むしろ先生方から何かサジェスチョンをいただけた らありがたいと思います。  私として、組織としては、旧来からの部という縦割り的なものは、将来はなくしてい ってプロジェクト研究という横断的なものとしていきたい。その横断的なもののなかに 長期的展望をもったプロジェクト研究をたて、そこから独創的な、基盤的な、先導的な 研究が育っていくようになるようにしていかないといけないだろう、そのように思って おります。  しかしおっしゃるとおりに毎年評価、5年評価ということですから、短期間成果主義 というのが非常に気になっております。 〇大久保部会長  これは栄養研だけの問題ではなく、最初の産業医学総合研究所のご担当の方からもご 答弁いただきたいと思います。 〇産業医学総合研究所斉藤企画調整部長  企画調整部長の斉藤と申します。田村先生のご指摘ですが、私どもの研究所の場合に は、独法化して非常にある種の危機意識をもったことが一つございます。それは中期目 標において平成13年度から17年度までの5年間、重点領域特別研究ということで毎年度 6課題が明確に定められて、もちろん期間・目標を定めた文書で記載されたものが平成 12年度内に完成したわけです。  産業医学、労働衛生の分野におきましても、社会経済情勢の変化、国内外ともに変わ る中で、迅速に対応するということは当然求められるわけで、既に17年度まで定められ た中でどう対応するべきかということで、機動的に中期目標の中の課題もかえ得るとい う文言を入れてはいかがか、ということを議論したのです。  結果としては、それは中期目標の変更で対応できるという制度的な枠組みで記載をさ れておりません。  所内特別研究という制度を独法化に伴って整えまして、先ほど申し上げた情勢の変化 に対応すべき時点で、所内において自律的に提案して、所内の内部評価委員会で承認し た上で、さらに外部評価委員会にも諮って実行することとしています。  当然予算はないわけですが、所内の実行予算を独法ですから自律的に使用することは できるわけです。そういうことで金額規模としては1年間で上限は1千万円ということ は設定しておりますが、所内特別研究という研究所独自のシステムを作っております。 それが将来的には重点領域特別研究という形で表に出せることもあり得るという前提で ございます。 〇大久保部会長  ありがとうございました。最後に産業安全研究所お願いします。 〇産業安全研究所本山研究企画調整部長  産業安全研究所の研究企画調整部長の本山です。本日、私どもの理事長が所用のた め、私が出席させて頂いております。  まず、ご質問の件ですが、私どもの研究所では災害の予防と防止が非常に重要な項目 です。これは国立研究所時代、それから今の独法になっても、かわらないと考えており ます。評価委員会の委員の先生方のご意見にも、災害というものは時と共に変化すると いうことが示されておりますので、その災害の変化をきちんと把握しながら、つまり現 場のニーズを十分に把握しながら、これから研究をすすめていきたいと考えておりま す。  研究の方法としましては、どういう分野が重要かということを、きちんと把握するよ うな形で研究を進めていく。これを次期の中期計画におきましても同じような形で進め ていきたいと考えております。  理事長がおりませんので、言葉足らずかもしれませんが、災害の悲惨さをできるだけ 減らしていく、というのが私どもの研究所の基本方針ではないかと考えております。以 上でございます。 〇大久保部会長  ありがとうございました。そのほかにどなたかご質問ございませんが、では前後しま したが、本日、種々ご説明をいただきました栄養研究所のいろいろなご説明につきまし て、総括として何かございませんか。 〇岩渕委員  一つ確認だけします。さっき評定の脇に書いてあるものを若干私は問題にしました が、問題にしたのは、自己評定を問題にしているわけではないのです。自己評定は当た り前にあって構わないわけです。外部評価委員会というものを別途やられていて、その 一人ひとりの評定まで全部入って、コメントまで全部そこの脇に入るのはいかがという ことをいったのです。そこだけは誤解のないようにお願いします。  それと、確かに最初の1回目のときに、どこかで話が出ておりましたが、評価という ものが5回も6回もあるようです。逆にいうと、そんなに必要なのかということも非常 に評価・評価で明け暮れるということもいかがかと思いますし、逆にいえば、例えばこ この評価などは、私などが出てきてなんですが、素人が見て、栄養研究所のほうは比較 的取材で縁がありますから馴染みはあるのですが、ほかの知らないところの話というの は、なかなか雲をつかむような話で手がかりがなかなかないのです。自画自賛という か、そういうご説明を伺ってやるということも、これもやや難しい面があるという感じ を受けております。だからいずれ辞任せざるを得ないと私は思っているのです。(笑)  それはそれとして評価ということについては、手法も含めて、もう少し考えるべき時 期、それは皆さんに対して言うべきことではないのですが、たまたまこの間、誰かが5 回も6回もという話がありましたので、その5回も6回もということであれば、今回 やった外部評価がなぜ我々がやるのと全く同じことを同じ項目でやって、しかも我々の 評定の前にずらりと出てきているのかなというのが、これが私が一番申し上げたかった ことです。  ほかに去年の委員はそこまで想定してものをいっていたわけではないと思いますの で、先ほど不見識といったのは、私の言葉の言い過ぎであったと思いますので取り消し ます。取り消しますが、もしそれを承知の上で言ったのでれば、明らかに不見識である と思います。以上です。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  状況としてのご説明をいたします。我々は自己評価をするにあたって、外部の評価の 先生方のいろいろなご意見を踏まえて、自分たちで最終的に評価しようというのが、去 年からのスタンスでした。  去年は同じ形で、この評価委員会での採点づけが終わって、最後のところでの自己評 価の開陳ということで同じ形で出させていただきました。それを踏まえて、それと同じ 形で、今回は当初から自己評価を出すということで、我々としては自己評価の中に外部 の評価委員会の意見も踏まえての自己評価という認識を持っていますので、その意味で セットで去年と同じ形で出しました。ただタイミングとして最初から出しましたので、 岩渕委員がおっしゃるような違和感をもたれたのかなということです。 〇岩渕委員  同じことを2回やるというのはどういうことか、そっちのほうが詳しくて、どのくら いの時間をかけて、どういうふうな評価をあげられたのか。 〇国立健康・栄養研究所田中理事長  ひとつは、自分たちによる自己評価があります。もうひとつは研究所内に外部評価委 員会を作れということで、それがここにあるわけです。そして、この厚生労働省の評価 委員会、さらに総務省の評価があるという形になっているので、我々は、まな板の鯉で すからそれに従ってやらざるを得ないのです。 〇岩渕委員  評価項目が全く同じというのでは、効率化という意味では効率的であるということで すね。 〇国立健康・栄養研究所田中理事長  評価のあり方を決められるのは、研究所以外の組織です。研究所側が評価のあり方や 効率性を論ずることはできません。しかし、評価をうまくしていただきたいというのが 私の本音です。そういうシステムになっているのですから、評価さらる側、すなわち私 どもはそれに従わざるを得ないのです。 〇大久保部会長  今回のように独法化をされた研究所もそうですが、大学も最初から最後まで評価・評 価・評価でして、またこのように非常にレベルの高い評価者のいらっしゃる評価と違い まして、学生それも学部生などに評価を何回もやらせるということも、最近は本当にご く当たり前になってきております。その意味ではここの場だけではなく、もっともっと 広げまして、全体としての評価の方法ですとか、あるいは評価のタイミング、改善する べき問題はたくさんあると思います。その中で徐々に改善をしていく必要があります し、当然、していっているというふうに理解しております。そのあたりはまた将来的に 検討を、この委員会ということではなく、全体的に評価をしなければいけない。検討 し、議論をしないといけない問題だと私は理解をしております。ありがとうございまし た。そのほかにございますか。 〇清水委員  いまのご質問との関連です。ほかの研究所のほうでも研究の外部評価というお話はお 伺いしました。こちらの栄養研のほうは、今の話ですと、自己評価の前段階としての参 考となるための外部評価という位置づけで、研究そのものの内容とかという評価という のを、別途やられているということではないのでしょうか。私は、通常やられている外 部評価というのをあまりよくわからないのですが、ほかの研究所でそういう話があった のです。 〇国立健康・栄養研究所吉池研究企画評価主幹  両方をしております。重きの置きかたとしては個々の研究についてでございますが、 その辺は研究だけを取り出しての評価ではないということです。我々の研究は、研究プ ロジェクトの枠内で収まるものではなく、それがどう効率的にアウトプットされるのか というような、項目からいうと3番目の項目につながるもの、あるいはよい研究をする ためには、どういうマネージメントが必要かという、1番に係わる部分も含めて、外部 評価でもしていただいております。ただ重きの置きかたとしては、個々の研究プロジェ クトでございます。  また年度計画については、事前に外部委員会での評価を受けるという形で定めており ますので、当然年度計画を事前評価を受けるということは、こういうこともご議論いた だくということではないと、研究の個々のプロジェクトについてのみではそこは吟味を していただけないわけですので、結果としてこの評価委員会に近い形での項目の評価を していただいているということです。 〇田村委員  評価に関しましては、恐らく外から見られた場合と、あるいは中にいらっしゃる方が 見る場合と、違いがあるのではないかと思います。むしろ違いがあって、そこでそのあ たりを踏まえてどうするのかというのが重要であると思います。この評価を見ますと、 非常によい傾向があります。しかも高い方の評価を自己評定は利用していらっしゃる。 そういうものかなという感じがしました。  むしろ、違いがあっていろいろと意見もおありになるのではないかと思いますが、そ ういうことはないのでしょうか。 〇国立健康・栄養研究所田中理事長  相関図にそれが出ております。よくみますと微妙な点がありますので、難しいのです が、内部評価は良くても外部評価が悪いということもあるわけです。その逆ももちろん あります。内部では、ダメと思っていても、外部の評価委員が良いとおっしゃるものが あるわけです。しかし、私たちは外部評価に対して謙虚にそれを見て、生かしていくと いうことは当然やっております。  ただ評価でも、委員の先生によって非常に大きな差があることもあります。もちろ ん、委員間に評価の差があるのは当然ですし、それを否定するのではありません。しか し、これは言わないほうがいいのかもしれませんが、どっちにしていったらいいのか、 非常に迷ったということがあるのも事実です。ですから評価のシステムをもう少し工夫 していただけたら、我々もお応えしやすいという気が致します。昨年、全く正反対的な 評価があったということも事実でございます。 〇五十嵐部会長代理  栄養研究所の場合には、私ははっきりいいますと学問的によく知っている部分が多い ものですので、どういう研究員の方がどういう研究をされているのかということも、か なり把握しているわけです。ですからそこで聞いたことだけで私は評価をしておりませ んから、全体的に論文を見たりとか、ほかで発表しているとか、そういうことも全部頭 の中に入って評価をするわけです。  その辺がこの中にいらっしゃる先生でも、多分そこまでは見ていらっしゃらない方が いる。それは私も他の研究所はそこまではわかりません。ですからそういう評価の仕方 が違ってきます。視点が全部外部評価委員というのは、どのくらいまで知っているのか 知っていないのか、個人的にもよく知っているかどうか、そこまでみな入ってきますの で、それは理事長がいわれたように、個人的に差が出てくるのは当然ながら当たり前の ことでしょうがないと思います。  評価というのはそういう宿命をもっていると私は思います。委員が自己責任で評価を するより仕方ないだろうというのが私の感想でございます。 〇大久保部会長  もう一つです。先ほどおっしゃいましたように、多少、評価委員によってバイアスが かかっていますが、全体的にみますと、多分、ご専門ご専門で何らかの形でよくご存じ の分野にうまく分散されていると思いますので、相対的に、最終的にみれば、その辺り は非常に公明・公正に評価されていると私は思います。 〇国立健康・栄養研究所田中理事長  今年は、公正に評価されたと私も思っております。しかし、昨年のように、こっちで はこう、あっちではこう、ということになると、どっちに対してもきちんと答えたいと いうことになって、自己矛盾を起こしたということも事実です。しかし、全体的非常に 謙虚に承っている、そしてその評価に充分応えていこうとしているのは事実です。 〇岩渕委員  もう一言言わせていただきます。先ほどから随分に遠慮がちに、素人だから辞めると かといっておりますが、実はかなり遠慮してものをいっているわけです。皆さんからす れば専門家ですから、何も知らない素人が、的外れなことを言っているというのは当然 なことです。それは僕が逆の立場であれば、絶対にそう思うと確信をもって言えます。  でも外部評価というか、こういう評価委員会がなぜあるのかといえば、そういう評価 にも耐えられるように、しかもなおかつ、きちんと説明できるようなシステムという か、やり方にしないといけないということで、設置されているわけです。そのためにわ ざわざ素人を入れているわけです。逆にいえば、それだけでは糸の切れた凧のようにど こに飛んでいくかわからないから、業界というか研究所に通じた委員の人もいるので しょうし、それも含めていえば、評価がばらばらになれば、なったほうがごくまともで ある。  こっちの外部評価委員会はどういうことか、けっこう随分と揃っていて、皆さんよい 子というか、飼い馴らされた評価委員ではないかと思ったし、実をいえば去年のものを 見て、これだけ調子のよいコメントが並んでいるのは、これは評価委員会の体をなして いないと私は実は内心思っておりますので、その点だけはぜひご理解いただきたい。ば らばらになるのは当たり前であって、厳しく評価するのは当たり前である、そのために わざわざこれだけ時間をかけて、これだけ金をかけて、皆さんもそうでしょう。そこは 間違いないようにしていただきたいと思います。 (2)起草委員の指名について 〇大久保部会長  いずれにしましても評価につきましては透明性、それから公正・公平ということを旨 にしておりますので、その辺りは各委員の諸先生もぜひ厳正にご評価をお願い申し上げ ます。ほかにご質問がなければ先に議事を進めさせていただきます。  では3番目の議題で起草委員の指名についてでございます。個別項目に関する評価の 最終日に、各法人の総合的評価書案などを起草する委員を部会長が指名することになっ ております。これは第1回の部会において決定済みでございます。  皆さまのご了解を得た上で決定したいと思っております。資料1−11として起草員 名簿を用意しておりますので、これにお目通しいただきまして、担当とお名前を読み上 げることは省略させていただきます。  なお、マル印をしています委員につきましては、第6回の部会において、起草案につ いてご報告をお願いしたいと存じます。この名簿のとおりでご了解いただけますでしょ うか。ではよろしくお願いいたします。  最後になりますが、今後の調査研究部会の進め方について、ということで資料を用意 しておりますので、事務局からご説明をお願いします。よろしくお願いします。 (3)今後の調査研究部会の進め方について 〇山田政策評価官  資料1−12でございます。1枚の紙がございます。熱心なご審議をいただいており ますが、あと2回で14年度についてのこの3法人の評価書というものをおまとめていた だくという日程になってございます。8月4日と8月12日ということでございます。  それで次回の第5回の部会の進め方でございます。基本的な事柄につきまして、非常 にかみ合って議論をしていただいているというふうに、事務局からみてもいたしており ますが、ただ財務内容の問題につきまして、若干まだ未消化な部分があるのかという感 じがしております。  次回は個別的評価というものについて、一応、確定ということをしたいわけですが、 その前段として、財務内容について、もう少しご審議をいただいたほうがいいのではな いかということで、ここの1のところでございます。先ほどらい清水委員のほうからも いろいろとお話がございますが、少し質問票を清水委員のほうでまとめていただきまし て、来週中に清水委員、できれば岩渕委員にも加わっていただいて、もう少し詳しい内 容につきましてヒアリングを各法人についてしていただいた上で、その内容をある程度 整理していただいたものを、まず清水委員からご報告をしていただく。それに加えて各 法人から補足説明等をしていただいて質疑をしていただく。こういうことを前半の60分 でやっていただいたらどうかということでございます。そういう作業を踏まえまして、 後半の60分では、個別的評価の確定をしていただきたいと考えております。  資料としましては、第2回から第4回、熱心にご議論をしていただいた結果、個別評 価シートに書き込みをしていただきましたが、その集計したものを事務局でお出しをし たいと考えております。  それをご覧いただきますと、いろいろとここは甘すぎたとか辛すぎたとか、そういう ことが出てくると思いますので、それについてフリートーキングをしていただいた上 で、必要に応じて各委員のほうで個別評価シートを修正をしていただく、こういう作業 をしていただいたらということでございます。  それで一応、個別的評価についてはこの第5回でとりまとめということを考えてござ います。  なお、さらに第6回の最終回につきましては、個別的評価につきましていろいろとご 議論をいただいた、財務の問題についてもいろいろとご議論をいただいたということを 含めまして、先ほど部会長からもお話がございましたが、それぞれの担当の起草委員の 方々に総合的評価書それから財務、剰余金の使途に関する意見について、おまとめをい ただきまして、その案につきましてご報告をいただいた上で、できれば第6回でその3 つについてとりまとめをしていただくということで考えてございます。 3.閉会 〇大久保部会長  ありがとうございました。ただいまの事務局のご説明に対しまして、何かご質問等ご ざいますでしょうか。よろしいでしょうか。では今後の部会の進め方につきましては、 先ほどご説明のあったとおりで、ご了解いただけますでしょうか。ありがとうございま した。  本日は3時間半と時間を延長をさせていただきました。長時間にわたりまして熱心な ご議論をありがとうございました。本日は以上とさせていただきます。                                      以上 照会先:政策統括官付政策評価官室 企画係 電話 :03-5253-1111(内線7783)