03/05/23 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性部会議事録             薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会                   毒性部会                    議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性部会議事次第 1.日時:平成15年5月23日(金) 13:00〜15:05 2.場所:経済産業省別館第1014会議室 3.議題   (1) 審議事項       米に係るカドミウムに関する規格基準の改正の可否について   (2) その他       水産物に含まれるカドミウムの実態調査結果について 出席委員 井上達、香山不二雄、菅野純、鈴木勝士、津金昌一郎、長尾美奈子、林眞、      廣瀬雅雄、福島昭治、三森国敏(敬称略) 参考人  有澤孝吉(長崎大学医学部助教授)      池田正之((財)京都工場保健会理事)      石本二見男(東京慈恵会医科大学客員教授)      大前和幸(慶応大学医学部教授)      加須屋實(富山産業保健推進センター所長)      櫻井治彦(中央労働災害防止協会労働衛生調査分析センター所長)      遠山千春((独)国立環境研究所環境健康研究領域長)      事務局  遠藤食品保健部長、中垣基準課長、小出企画官、植村補佐、           太田補佐 他 ○事務局  定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性部会 を開催いたします。  本日はご多用のところ、お集まりいただきましてありがとうございます。  本日は、毒性部会が12名中10名の委員にご出席いただいておりますので、当部会は成 立しておりますことをご報告いただいております。津金委員は少し遅れられると連絡い ただいております。  また、参考人といたしまして、本日報告を予定しております厚生労働科学研究の主任 研究者であります中央労働災害防止協会の櫻井所長、分担研究者であります京都工場保 健会の池田理事、慶応大学の大前教授にご出席いただいております。また、カドミウム に関する疫学・毒性学の専門家として長崎大学の有澤助教授、富山産業保健推進センタ ーの加須屋所長、独立行政法人国立環境研究所の遠山領域長、千葉大学の能川教授、さ らに臨床医学の立場から東京慈恵会医科大学の石本先生におこしいただいております。  開会に先立ちまして、本来なら遠藤食品保健部長よりご挨拶申し上げるところです が、所用で出席できないとのことですので、代わりまして中垣基準課長からご挨拶申し 上げます。 ○中垣基準課長  基準課長の中垣でございます。  本日はお忙しい中、毒性部会にご参加いただきまして、まことにありがとうございま す。毒性部会の開催に先立ち、一言ご挨拶申し上げます。  一昨年のBSE事件などを契機にいたしまして、政府といたしましては食品安全基本 法あるいは食品衛生法の改正等につきまして、国会でご審議をねがったところでござい ますけれども、幸いにいたしまして、食品安全基本法並びに食品衛生法の改正は本日成 立ささせていただいたところでございます。  このような法律改正を受けまして、この7月にはリスク評価を専門に扱う食品安全委 員会が内閣府に設置されることとなっておりますし、厚生労働省におきましても従来 行っておりましたリスク評価の業務は食品安全委員会にお譲りし、リスク管理に特化し た上で、科学的知見にのっとった検討を行うというような体制がしかれるものというふ うに考えておりまして、先生方のこれまで以上のご協力をお願いしたいというふうに考 えております。  本日の部会は、昨年7月に審議会に諮問させていただきました「米に係るカドミウム に関する規格基準の改正の可否について」というものでございまして、昨年7月の部会 で疫学調査研究の最終的な報告を待って、まず毒性部会においてカドミウムの毒性評価 を重点的に議論するとされたところでございまして、本日は14年度に実施された報告書 が提出されたことを受けまして、そのご審議をお願いするという次第でございます。  このカドミウムに関する国際的な状況を申し上げますと、我が国から提出したデータ などをもとに、本年6月開催されますFAO/WHO合同食品添加物専門家会合(JE CFA)でございますけれども、このJECFAにおいてカドミウム毒性評価が行われ る予定となっております。  本日の毒性部会には、先ほどご紹介させていただきましたとおり、8名の参考人の 方々にご出席ねがっておりまして、まことにありがとうございます。また、関係省庁と いたしまして、水産庁からも会議に参加していただいているところでございます。各委 員、各参考人の方々、我が国としての評価につきまして忌憚のないご意見、ご提案を賜 れればありがたいというふうに思っておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げま す。  簡単ではございますが、これをもちまして挨拶とさせていただきます。どうもありが とうございます。 ○事務局  それでは、座長を部会長の福島先生にお願いしたいと思います。福島先生、よろしく お願いします。 ○福島部会長  大阪市大の福島でございます。  本日の部会の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。  まず、はじめに、事務局の方から配付されております資料の確認をお願いしたいと思 います。よろしくお願いします。 ○事務局  資料ですが、1〜5までございます。資料1でございます。これは毒性部会の委員名 簿というものでございます。資料2が、部会におけるこれまでの検討経緯等をまとめた ものです。資料3がコーデックス委員会等における検討状況です。資料4が平成14年 度、厚生労働科学研究報告書になっております。資料5が水産物に含まれるカドミウム の実態調査結果についてという具合になっております。  また、委員の先生のお手元には、前回までの部会で配付したカドミウム関係の資料を 参考までに置かせていただいております。資料は以上でございます。 ○福島部会長  ありがとうございました。資料の不足の方ございましたら、お申し出いただきたいの ですが、よろしいでしょうか。  それでは、議事に入らせていただきます。  本日の議題1「米に係るカドミウムに関する規格基準の改正の可否について」、ご審 議をお願いしたいと思います。  まず、資料1から3につきまして、事務局よりご説明していただきます。お願いしま す。 ○事務局  それでは、資料1から3について説明申し上げます。  資料1でございますが、毒性部会委員名簿ということでございます。今回、多くの参 考人の先生方にご参加いただいております。  次、資料2にまいりますが、部会におけるこれまでの検討経緯等をまとめたものでご ざいます。「米に係るカドミウムに関する規格基準の改正の可否について」という形 で、平成14年7月10日に諮問しております。それを受けまして、7月10日に議論が行わ れておりまして、平成13年度の厚生労働科学研究報告というものがその場で報告されて おります。それを受けまして議論が行われまして、現時点では緊急に規格基準を改正す る必要ないという具合にされておりますが、現在実施中の疫学調査研究というのがまだ 中間的な位置づけのものだったということで、最終的な報告を待って再度審議を行うこ ととされたということでございます。  その審議のやり方なのですが、平成14年7月に食品規格・毒性合同部会という形で やっておりましたが、まず毒性部会において疫学や臨床医学等の専門家を加え、カドミ ウムの毒性評価をまず重点的に議論し、そして結果が取りまとめられた段階で、食品規 格部会も含めた合同部会を開催し、米の基準値等の検討を行うということにされており ます。  そういった結果を受けまして、本日は毒性部会に多くの専門家の先生方におこしいた だきましてご議論いただければと思っております。  その後の経過でございますが、ことし6月にJECFAが開催されますので、それに 向けてのデータコールがかかっておりまして、それを受けまして平成14年11月29日に、 我が国で実施された疫学調査研究及び農産物等の実態調査の結果を提出しております。  14年12月25日には、食品規格・毒性合同部会においてJECFAへ提出した資料につ いてご報告させていただいております。また、平成15年5月2日には、水産庁の方で水 産物に含まれるカドミウムの実態調査結果について公表されております。  次に、資料3にまいります。資料2は国内における検討の動きだったわけですが、資 料3は国際的な検討の動きということでございます。  コーデックス委員会等における検討状況ということでございまして、コーデックス委 員会の中の下部部会になります食品添加物・汚染物質部会(CCFAC)と言われると ころで、今、カドミウムの基準値について検討が行われております。ことしの3月にタ ンザニアで開催されていまして、それで少し基準値案が変わっているということでござ います。  Step5として、総会に諮るものとして、果実、小麦粒、牛、鶏とざっと書かれており ますが、こういったものについてはStepを少し進めるという具合にCCFACの方では 結論が出されたということです。  また、精米、大豆、軟体動物、ピーナッツについてはStep3という形でStepを進めず に、関係国には回覧するという具合になったということでございます。これにつきまし ては、Step5として承認するかどうかという形で今後コーデックス総会に諮られるとい う予定になっております。  次のページにまいりますが、「これまでの検討状況」というものでございます。  コーデックスにおきましてカドミウムの議論がはじめられましたのは1998年というこ とで、デンマークが各国のモニタリング調査結果をもとにして、現行の食品の基準値原 案を提案しております。これを受けまして議論が行われていたわけですが、やはり食品 の基準値を検討するに当たって、その前提となるリスク評価が重要であるということ で、2000年6月にJECFAにおきましてカドミウムのリスク評価が行われておりま す。その際、評価を行うためのデータが十分でないという結論に至りまして、以下の1 〜7の疫学調査の実施を勧告したということでございます。その際、PTWI(週間耐 容摂取量)につきましては据え置かれたということでございます。  その後、CCFACの方において何回か議論が繰り返されまして、2002年3月のCC FACにおいては、寄与の小さい甲殻類、肝臓、腎臓等は基準値の検討を中断するとい うことが決定されたということです。それで、JECFAにリスク評価及び曝露という ものを要請したということでございます。  2003年3月の直近のCCFACでは食品分類のコード番号をつけることによって、そ の基準値の食品の対応がより明確化したということです。それから、一部、各国である 程度合意が得られたものについてはStepを進めていくというような方向がとられたとい うことでございます。  その次のページでございますが、今後の予定ということでして、来月になりますが、 本年6月にJECFAが開催予定になっております。また、本年6月末から7月にかけ てコーデックス総会が開かれます。先ほど言いましたStep5という形で一部のものにつ いてはこのコーデックス総会に諮られ、検討が行われるという流れになっております。 資料1から3の説明については以上でございます。 ○福島部会長  ありがとうございました。  ただいまの説明に何かご質問ございますか。  よろしいでしょうか。  それでは、次に資料4を見ていただきたいと思います。平成14年度厚生労働科学研究 報告書につきましては、きょうは主任研究者、分担研究者の先生方におこしいただいて おりますので、これからその内容についてご説明をしていただきたいと思います。  きょうは櫻井先生、池田先生、香山先生、大前先生の4人の先生方に発表していただ きますが、まず初めに櫻井先生に報告していただきます。よろしくお願いいたします。 ○櫻井参考人  内容につきましては、それぞれの分担研究者の方々から詳細にご説明いたします。私 は全体の経緯についてだけ簡単にご報告申し上げます。  当研究班は平成13年度から研究を開始いたしまして、その研究成果は平成13年度の総 括分担研究報告書、これは前回までに部会で配付した資料5に入っておりますが、これ を昨年7月10日の審議会でご説明いたしまして、ご審議いただいております。それか ら、平成14年度に入りましてからの研究成果につきましては、平成14年12月25日の審議 会でご説明いたしました。  きょうはその後の研究成果も含めて、全体を各分担研究者から後ほどご説明いたしま す。池田班員は13年度に4つの個別研究、これは13年度の報告書に入っております。そ れから、14年度に2つの個別研究、さらに14年度から15年度にかけて追加の個別研究も まとめておられまして、きょうは全体を総括するような形でご説明する予定でございま す。  それから、香山班員は13年度に1つ、14年度には3つの個別研究をまとめておられま して、14年度の3つ、それから池田班員の先ほど申しました2つの個別研究、以上5の 報告につきましてはきょうの資料4、お手元の14年度の総括分担研究報告書にございま す。  これらのものにつきましては、池田班員がその後追加しておられる研究と、それから 香山班員がこの報告書にまとめている3つのうち2つは前回の審議会ではまだ未報告で ございます。きょうは全体について、それぞれ両班員からご説明いたします。  それから、大前班員は13年度にヒトを対象とするカドミウムの吸収・排泄に関する実 験的研究を行い、その結果は既に昨年ご説明済みでございますが、その研究成果を補充 ・補完するために14年度及び15年度の2カ年にわたってサルを使う実験研究を実施して おられまして、きょうは既に行った実験の範囲内で説明があろうかと思います。  以上、経緯について簡単に申し述べさせていただきました。あとは個別の班員のご説 明にお任せしたいと思います。 ○福島部会長  ありがとうございます。それでは、池田先生、説明をお願いできますか。 ○池田参考人  京都におります池田でございます。前回7月10日の折には京都駅まで行ったのです が、新幹線が動かなくなりまして、突然欠席をして大変ご無礼いたしました。  お手元に資料4’という格好で、きょう話させていただくことの内容の主な部分を抽 出させていただきました。そちらをごらんいただければありがたいと思います。  行いました研究は、大きく分けて2つございまして、1つは、実態調査あるいはフィ ールドサーベイの部分でございます。もう一つは、文献検索を行いまして、その解析を 行いました。2ページをごらんいただきたいのですが、実態調査のうちの「大規模調査 」と書いておりますものが、一昨年度の調査の主体でございまして、この部分につきま しては前回、櫻井先生から代わってご説明いただきました。なおご質問など残っており ましたら、きょう直接承りたいと思いますが、説明全体は省略させていただきます。  全体的な結論としては、国内でいろいろなカドミウムの曝露程度がありますが、カド ミウムの尿中濃度をインディケーターにした場合に、その上昇があっても、α1あるい はβ2ミクログロブリンの上昇が明確に起こるというふうな所見は得ることができなか ったということでございます。α1−MGとβ2−MGは、ご存じのとおり、腎尿細管 のディスファンクションマーカーとして使っております。  そのすぐ延長で、ここからがきょうお話しさせていただく部分ですが、2以降でござ います。大規模調査を行いました段階では、尿だけしかいただけないだろうということ で、尿をいただくことを前提にして作業をいたしました。約1万名ほどの方からいただ きました。その結果、一部分では尿だけではなくて、具体的にインフォームドコンセン トを完全に行い、結果をそれぞれの個人に必ず戻す、データのプライバシーを保証する ということを完全にやりますと、血液もいただけそうだということがわかりました。そ れで、昨年度は追加調査の格好で、成人女性約1200名から末梢血と一時尿を頂戴しまし た。末梢血は型通り、貧血関係のインディケーターと尿は前回のカドミウム、α1−M G、β2−MGに加えまして、他のマーカーでありますレチノール結合蛋白、N−アセ チル−β−D−グルコサミニダーゼ、この2つもやってみようということで、貧血関連 のマーカーとtubular dysfunction marker4つを併用するということで解析を行いまし た。  一般女性の中に度々サブクリニカルなレベルでは貧血が存在しますけれども、その貧 血の程度だと、例えば尿中のカドミウム濃度が上昇するということは明確には認められ ませんでした。その傾向が若干ありますが、しかし推計学的に有意な段階には達しなか ったということでございます。  3つ目について申し上げます。我が国、韓国と台湾に特有ではないかと思いますが、 小・中・高校時に学校保健の活動の一環としまして、腎機能障害の有無をテステープで 見るという作業が広く行われております。それで有所見になった人を、これは学術用語 ではないと思いますが、「学校腎炎」という名前で呼んでおります。この学校腎炎を指 摘された方が大規模調査の中ではかなりいらっしゃいまして、後ほど割合を申し上げま すが、その人たちは実は大規模調査の解析からは除いてございます。学校腎炎がカドミ ウム負荷に伴う腎障害のリスクファクターになり得るかというのは、これは我が国でな いとできない調査だと思いましたので、1のデータベースを使って解析を行いました。  結論としましては、学校腎炎の既往歴の有無は、成人後の尿中のカドミウム、α1− MG、β2−MGのレベルに特に影響を与えませんでした。ただ、学校腎炎という概念 自体が、後ほど申し上げますが、やや広過ぎる部分がございまして、その部分で dilutionがかかっている可能性は除外できておりません。  ここまでの作業で次第に気づき出しましたことは、歴史的には、あるいは伝統的にと 言うべきかもしれませんが、尿中のカドミウム濃度あるいはα1、β2ミクログロブリ ン、その他のアナライトのレベルをクレアチニン補正して比較するというのが広く行わ れております。しかし、分かりはじめましたことは、尿中のクレアチニン濃度(Cr) 自体は実は加齢に伴ってかなり低下する。これは常識的には知られていたことですが、 数量的に解明出来ました。そうすると、尿中濃度をクレアチニン補正すると、仮に全く 変わらなかったとしても、クレアチニン濃度自体が落ちますから、見かけ上、尿中濃度 がクレアチニン補正値としては上がることになる。つまり、バイアスを生ずることがあ るのではないかということに気がつきました。このことについてもご報告させていただ きたいと思います。  最後に、ここまでの過程で4つのインディケーターを比べてみますと、β2ミクログ ロブリン、これは最も広く使われているインディケーターですが、tubular dysfunction markerとしては必ずしも良くないのではないか。可能性としては、α1ミクログロブ リンあるいはNAGの方が良いかもしれないということに気がつきはじめました。  ここまでの調査は、いずれも40歳代あるいは50歳代の方が主体でございます。例えば クレアチニン濃度が加齢に伴って低下するとしますと、もっと高年齢の方だとどうなる のかという検討が必要だと思います。今年度は60歳以上の女性に重点を置きまして検体 の収集、分析、解析を進めている段階にございます。  IIの方ですが、文献解析の一つで、非汚染地域あるいは汚染地域の住民を対象にした 既報の論文でみますと、どうも非汚染地域から汚染地域への移行、例えば尿中のカドミ ウム濃度は連続した格好で出てきますけれども、そのレスポンスとしての例えばβ2ミ クログロブリンの上昇は連続していない、あるところから急に立ち上がるもののようだ ということを示す所見を得ました。  それから、2つ目は、従来、我が国のカドミウムの摂取源としては、米が大きな意味 を持つということが知られておりました。最近、パン食が普及してまいりましたが、現 状でどうなのだろうかということを検討してみました。なお、米が非常に大きな意味を 持つということを見出しております。以上のことの詳細を3ページ以降から報告させて いただきたいと思います。  3ページ、4ページ、5ページは、前回、櫻井先生が代わってお話をくださいました 大規模調査の要約でございまして、もしご質問があれば承りたいと思いまして資料を添 付してまいりました。  きょう、直接お話しさせていただきますのは6ページ以降でございます。  6ページは、これは追加調査という格好で行いました。貧血がカドミウム負荷に影響 するかということを検討したものでございます。ここでは、一番上の欄に書いています ように、血清中のフェリチン濃度とヘモグロビン濃度とをインディケーターにして貧血 を規定したいと考えました。フェリチンは20以下でかつヘモグロビンが10以下の人を貧 血と考える。フェリチンだけが下がってヘモグロビンは下がってない人は鉄欠乏と考え る。両方とも下がっていない人はノーマルというふうに考えて、ケース・コントロール のペアをつくりまして、そしてその2つの間で有意な変化があるかというのを見たので ございます。  ここでは、ケースの多い鉄欠乏群についての比較の結果を示しております。資料4の 方には、貧血群とノーマルとの比較例も示しております。血液所見としては、期待され たようにというか、予測されたようにフェリチンは20以下に下がっている、ヘモグロビ ンは10以上はあるのですが、しかし、なおコントロールに比べれば下がっています。赤 血球数は変化がございません。TIBCは当然、上がることになります。  こういう集団を比べてみますと、一番下のところですが、尿の部分です。カドミウム あるいはα1−MG、β2−MGについて、推計学的には有意な所見を得ることができ ませんでした。カドミウムは若干上昇しているように見えますが、変動幅が大きくて、 推計学的には有意なレベルに達していなかったということでございます。  比較は、ペアリングは行っておりますけれども、なお分布の形が正規あるいは対数正 規であるかどうかの部分について、必ずしも厳密な検定を行っておりませんので、2通 り行いました。対数正規を前提にしたt検定と、それからノンパラメトリックの Wilcoxonと2つとも行いましたが、いずれもほぼ同じ成績を得ております。したがっ て、普通の日本人の中で認められるような鉄欠乏状態ではカドミウムの影響はなさそう だと思います。ただ、大規模調査の中で、あるいは追加調査にも参加していただきまし たが、一人かなり強い貧血を持っている人がいまして、ヘモグロビン濃度は3.6g/100ml であったかと思います。この方は、後でわかりましたのは、胃潰瘍がありまして、それ の出血に伴う貧血だということがわかりました。そのレベルに達しますと、尿中のカド ミウム濃度は少し上がってまいりました。ただし、α1−MG、β2−MGは変化がご ざいませんでした。したがって、貧血の程度が強い場合には、カドミウムの吸収に影響 を与える可能性があると思います。  7ページをごらんいただきます。  これは学校腎炎についてのチェックでございます。先ほど少しご紹介申し上しました ように、学校腎炎というのは小・中・高校生を対象に一時尿を得まして、テステープで 尿所見を見、それでプラスになった人は、もう一度テステープで試みて、両方ともプラ スになった人は臨床診断に回す、そういうシステムで行われています。実際のパーセン テージは1回目にプラスになる人が2%くらい、1回目、2回目、続いてプラスになる 人は地域によって異なりますが0.5%くらい、臨床診断まで回る人はさらにその10分の 1くらい。ですから、クリニカルな意味での腎障害と学校腎炎と呼ばれているものとは 少し距離が大きくなりすぎている懸念があると思います。ただし、被験者の方が「自分 は若いころにそういう指摘を受けたことがある」という返事をされていますが、どの段 階で指摘を受けたのかわかりません。  実際に、十分な情報を得られた約1万名の方から「学校腎炎の指摘を受けた」という 人を引き出してみますと175 名ございました。1.7 %ですから、先ほどご紹介した割合 からいきますと、第1回目のスクリーニングでひっかかった方は、既に学校医から連絡 を受けておられるのだということがわかりました。その人たちを仮に学校腎炎群と考え まして、ノーマルなグループと比較を行いました。これはtable1の最初の2行がケー スとコントロールで、その次の2行がWilcoxonとペアード−tの検討の結果でございま すが、全く差がない。尿中のカドミウムはむしろコントロール側の方が高めになってい る。そのために有意差が認められたという結果を得ました。したがって、学校腎炎はこ のレベルでは明らかなリスクファクターとは言えないだろうというふうに考えました。  8ページに進ませていただきたいと思います。  8ページは、尿中のカドミウムあるいはその他のアナライトを評価する場合に、クレ アチニン補正をするには若干疑義があるということに気づいた所見でございます。一番 上の行、クレアチニンと書いたところをごらんいただきます。Y30と書きましたのは、 回帰から30歳で最もあり得るクレアチニン濃度で、Y60は同じく60歳の値でございま す。  その比率をとりますと、60歳では60%くらいに低下するらしい。比重補正もよく行わ れますが、比重は下二桁をとったFactorGというのがよく使われます。FactorGで比較 していきますと、やはり70〜80%に低下するということがわかりました。その下のとこ ろで、カドミウムあるいはα1−MG、β2−MG、RBP、NAGの値を30歳と60歳 で比較していきますと、クレアチニン補正をした場合にカドミウムとα1−MGが2倍 以上に上がります。また、β2−MG、RBP、NAGは1.6〜1.7に上がります。  測定値そのものを見ますと、β2−MG、RBP、NAGでは1前後でございまし て、ほとんど上がっていない。確かに、濃い尿と薄い尿というのは経験的にも気になる 部分でございまして、何らかの形で補正したいというのは願望としては分かりますけれ ども、クレアチニンを使うことが必ずしもベストではなさそうだと思います。  次のページをごらんいただきますと、4つのdysfunction marker につきまして、尿 中のカドミウム濃度との相関係数を比較しています。補正しない場合、クレアチニン補 正をした場合、二次補正をした場合、その3つの場合について相関係数を縦に見ていき ます。比重あるいはクレアチニン補正を行わない、測定値そのまま見た場合ですと、補 正をした2つの場合よりも、常に相関は良くなります。かつ相関係数同士を比較してみ ますと、β2−MGは必ずしも最良とは言えないですね。相関係数の大小を比較します と、まずα1−MG、β2−MG、RBPという順番になります。したがって、伝統的 にはβ2−MGがよく使われておりますけれども、必ずしもベストのインディケーター ではなさそうだと思います。  次の10ページも同じような批判の一つでございます。ここでOBと書きましたのはオ ブザーブドでそのままの値、非補正値です。CRはクレアチニン補正値、SGが比重補 正値ですが、それぞれの非補正あるいは補正値についてβ2−MGの上昇しているケー ス、ここでは400 をカットオフ値としました。提案されている値は、例えば野川先生が ご提案になっているのは400 μg/g crですが、この人たち全体のクレアチニン濃度の平 均がほぼ1でございますので、そのままμg/l の単位にも援用してもいいだろうと考え て、400μg/g crあるいは400μg/lをカットオフ値として頻度を見ています。  本来、β2−MG−uriaというのは尿中のクレアチニン濃度あるいは比重とは無関係 に頻度が決まるべきものだと思います。というのは、対象は一般人口ですし、腎障害の 明確にある人は含まれていないので、均等に分布することが期待されると思いますが、 クレアチニン濃度で割ってみる、あるいは比重で割ってみますと、クレアチニン補正を した場合には低クレアチニン尿の場合、頻度が高くなる。これは割り算するので、その ために見かけ上、値が高くなってしまうのだというふうに思います。比重補正してもほ ぼ同じことでございます。  比重補正を行った場合には、そういうクレアチニンのクラスによる影響あるいは比重 のクラスによる影響はあまり強く出ませんでした。測定値そのまま、一番左のカラムを 見てみますと、クレアチニン補正をした場合ほどではありませんが、クレアチニンの値 の高い尿ほど、あるいは比重の高い尿ほど頻度は高くなる傾向がございます。ここまで が現在行っております実態調査の結果でございます。  最後に、一、二分ちょうだいしまして、文献調査の結果を紹介したいと思います。  11ページには文献調査の一つ目でございまして、国内で行われました調査のうちで、 1977年以降、国際誌に発行されています論文、全部で12報ございます。うち汚染地域が 7報、それから数件にまたがっての混合報告が1報、非汚染地域についての論文が7 報、これは一つの論文で汚染地域と非汚染地域、両方とも扱っている場合かございます ので、延べ15報、重複を省きますと12報ということになります。  その地域で報告されている群につきまして、横軸にカドミウム濃度、クレアチニン補 正値、縦軸にはβ2ミクログロブリン、これもクレアチニン補正値ですが、をスポット してみますと、あるカドミウム濃度からそれを超えるとβ2ミクログロブリン濃度は急 速に高くになるという傾向がございました。ここでは仮に回帰曲線を計算してみます と、仮と申しましたのは、こういう現象はあるところから突然折れ上がって立ち上がる のではなくて、多分、飛行機の離陸みたいに少し上がり出して急速に上がるという形を とるのだと思いますが、計算の便宜上、2つの直線回帰で交点を求めてみたのがTable 1でございます。ごらんいただきたいのは勾配(β)の値です。コントロールでは、β がごくわずかマイナスで、私どもの単独の調査ではごくわずかにプラスになります。そ の程度の変化ですが、曝露群では勾配として6,000以上の強い角度に達するということ がわかりました。したがって、障害が起こりはじめる濃度があって、それを超すとかな り急速に変化が起こるものらしいというふうに考えております。  12ページをごらんいただきますと、それでは我々の国の中でのカドミウムの摂取量は どれくらいかというのを調べたものでございます。これは若干難点がございまして、報 告されている値が例えば幾何平均であるのか、算術平均であるのか、あるいはどのよう な分析方法なのか、あるいはそのもとになった食べ物をどのようにして集めたかという あたりが、特に古い報告では必ずしも十分な記載がございません。報告された値をその まま引用ということで集計をとりました。  かつて神通川流域、あるいは上4行の地域で明確な汚染が起こり、地域の住民の方々 に健康障害があらわれたと考えている地域では、数百μg Cd/日くらいの曝露があっ た。その後、表の下におりていくにつれて次第に小さくなりました。同時に、非汚染地 域での値としては、かつてこれは有澤先生のグループの斎藤先生たちが調査された対馬 の値ですと、地域によって異なりますけれども、50とか30くらいの値、場合によっては もう少し高い値も報告されています。77年から80年にかけて、あるいは90年代につい て、以前に東北大学におりますときのものが70年代の値、それから京都大学に移りまし た後が90年代の値ですが、全国の女性を対象に陰膳方式で行いました。かつて40μg/日 弱で、比較的最近ですと30μg/日を割ったくらいというのが私どもの得た値でございま す。国立医薬品食品衛生研究所のトータルダイエットスタディによる値もほぼこの値に 近いので、大体、現在20〜30のところに、我々の負荷量があるのではないかと思いま す。  この負荷量は周辺のお米をたくさん食べる国に比べてどうなのかというのを見たのが 下半分でございます。ここでミスプリが1カ所ございます。地域の1行目に1955−56と いうふうに書いてございますが、これは誤りでございまして、数字を消していただきま して韓国に置き換えていただきます。韓国のソウル、そのほかの4カ所、あるいは中国 の北京、上海、そのほか4カ所、マレーシア、フィリピン、台湾の台南と我が国とを比 べてみますと、どうも我が国は高そうです。最近、だんだん低くなってきてはおります けれども、なお周辺諸国に比べると、例えばマレーシアに比べると2倍くらいありそう だというのがこの表の示すところだと思います。  最後に、では我々の負荷は主にどこから来るのかというのを見たのが13ページの下半 分でございます。これは新保先生が全国数十カ所からそれぞれの住民の方に自分の食べ ているお米あるいはパン、うどん、小麦粉を持ってきてもらい、全部で4,000検体ばか り集めて、カドミウムを分析されました。たまたま、私ども全国の大規模調査を10カ所 行いましたが、同じ地域が含まれておりましたので、その地域を拾い集めました。米あ るいは小麦製品の中のカドミウム濃度がわかることになります。国民栄養調査には、そ れぞれの地域の食品消費量が記載されておりますので、それを掛け算したものを米由来 のカドミウムあるいは小麦由来のカドミウムというふうに考えました。尿中のカドミウ ム濃度の相関を見てみますと、これは半対数の相関になりますが、尿中のカドミウムを 決定する要因として米が効いていそうだというのがわかりました。尿中のカドミウム濃 度を従属変数に、それから米あるいは小麦製品の中のカドミウムを独立変数にして、ス テップアップの重回帰をやりますと、米のPCCが大体0.8 くらいになります。そうし ますと、米単独で尿中のカドミウムの変動の大略60%くらいを説明することができそう だと考えております。  この数字自体が60であるか、あるいは55であるか、ということはさておいて、米が強 い要因であるという点は理解できるのではないかと思います。以上でございます。少し 時間をオーバーいたしました。  最後の2ページは、これまでの仕事をまとめて論文として印刷に付している段階の現 状報告でございます。失礼いたしました。 ○福島部会長  ありがとうございました。それでは、池田先生のご説明にご質問ございましたら、お 伺いしたいと思います。どなたかございますでしょうか。 ○井上委員  私、統計の専門ではありませんけれども、11ページのβ2ミクログロブリンとの相関 を男と女でごらんになったこのグラフについての読み方を教えていただきたいのですけ れども、ホッケイスティックタイプというのだろうと思うんですけれども、こういう ホッケイスティックタイプのdistributionはある意味では何を意味しているのかがわか らないところがあると思うのですけれども、これはthresholdがあるというふうに読む のか、それともnon-thresholdだというふうに読むのか、その辺の先生のお立場という か、あるいは読み方というか、その辺をちょっと教えていただきたい。 ○池田参考人  ありがとうございます。実は、その部分が私どもも非常に興味を持っていた点でござ いまして、前回、櫻井先生が代わってお話しくださいました後半の部分で、私たちが 扱った人たちは「非汚染地域に住んでいる人」ということになると思います。その人た ちの中で、尿中のカドミウム濃度とβ2−MGあるいはα1−MGの間の関係をとっ て、どこかから急に立ち上がる点があるか、それを知りたいと思いました。それをやっ てみますと、ほとんど閾値なしに上がってくるということがわかります。そうすると、 カドミウム負荷とβ2−MGあるいはα1−MGの上昇は閾値を伴わない現象であると いうふうにまず考えたのですが、その折り、あわせてカルシウムあるいは亜鉛、あるい はマグネシウムの尿中濃度を測っておりましたので、全く同じように、カドミウムの代 わりにカルシウム濃度で集団分けをし、β2−MG、α1−MGの変化をみるという作 業を行ってみますと、ほとんど同一に近い所見を得ました。ということは、尿中のα1 −MG、β2−MGが上がってくる所見というのは、一義的にカドミウムと言うことが 必ずしもできないのではないかと考えております。  その次の段階で、この文献検索をやってみました。この場合の非汚染地域は、一人の 方が何カ所もの調査をされたのではなくて、全部で二十数カ所ありますけれども、何人 かの先生方のデータをプールしたものです。それでやりますと、非常に小さいのですけ れども、勾配はマイナスになるのですね。私たちは非常に少ないのですが、しかしプラ スの値を得ました。その意味では、一義的に上昇するものだと非汚染地域でも言えるか というあたりなお判断しかねております。ただし、明確な汚染があったときの上昇の仕 方は、とてもそんな変化で説明できるような変化ではなさそうだというのが後半の結論 です。以上です。 ○福島部会長  井上先生、よろしいですか。  ほかにございますか。どうぞ。 ○加須屋参考人  私も今の11ページのところで関連してお尋ねしたかったのですが、事前にいただきま した先生の論文の方では、汚染地域と異なる所見だと、閾値があるのだというような表 現があって、本質的に違うのだということを示唆するような表現だったので、その辺を 確かめたかったのですが、それが一つ。  それから、もう一つ、今までのお話と関連があるのですが、富山の汚染地域、「イタ イイタイ病」の発生地域でいろいろ疫学調査をして、病理学者とも協力しながら仕事を してきたわけですけれども、この横軸が難しいのですね。実際には腎臓の尿細管にカド ミウムが蓄積しまして尿細管障害が起こるということは、機能的なβ2、その他のいろ いろな再吸収障害で見てきているわけですけれども、組織学的あるいは病理学的には尿 細管の内皮細胞の破壊と再生、これが繰り返されながらだんだん尿細管の消失、腎機能 の荒廃といいますか、そういう終末に向かっていくわけです。その過程におきまして、 尿中カドミウムはどういう形で尿中に出てくるかというと、全くフリーに出てくるのも 否定はできないのですけれども、実態としては内皮細胞、尿細管の細胞の破壊ととも に、簡単に言ってしまうと細胞とともに尿中に出てくる。  β2の排出が機能的な障害をあらわすのであれば、カドミウムの尿中の排出は組織学 的な破壊とかなりの関連を持っている機能ではないかと。その一つの手法といたしまし て、β2が上がるにつれて尿中カドミウムが上昇する、そういうふうにはならないので すね。尿細管障害が高度化するに従って、ある時期から尿中カドミウムの量は減少して まいります、それが二層性になるのです。普通のdose-responseというものは、池田先 生は低濃度から見ておられるからJ−シェープというふうに表現されていると思うんで すが、一般的にはシグモイド・カーブを描くはずなんです。ところが、このカドミウム の尿細管障害につきましては、シグモイド・カーブの上のところが見えないというの は、尿細管障害が進行するにつれてもはや破壊されて出ていくべき尿細管がなくなる と。腎臓全体としては数十%、場合によっては半分以下に縮小する、萎縮するという形 になるので、この図でいきますとβ2が上昇するにつれて、かえって尿中カドミウムの 排出が減少してくる、二相性を描くので上のところは見えないというふうに考えている のです。  後半は意見ですけれども、最初のところは、J−シェープで閾値が存在するというこ とを強調されるのはそのとおりだろうと思うのですけれども、カドミウム汚染地域と違 うというところを強調されているので、何か先生のお考えがあるのかなというのをお聞 きしたかったということでございます。 ○池田参考人  後半の部分のご指摘はまさにそのとおりだと思います。しかし、文献調査からは、そ の被験者が既に過去に、例えばですが、尿中のカドミウムが25μg/g crまで達していて その後、腎組織の破壊に伴ってカドミウムが逆に落ちてきたのかどうかという点は、調 査の時点でそれぞれの方についての記述もありませんし、調査を実際に行われた方もそ の被験者がどのステージにあるかというのを推定はできますけれども明確にはわからな い、少なくとも文献には書いてありませんので、ここの解析では一様に扱っておりま す。つまり、腎障害のステージ別に分けるというのは行われていません。  汚染地域と非汚染地域が明確に分けられるかというのは、尿中のカドミウム濃度から は分けられないと思います。少なくとも非汚染地域の一番高い報告例と汚染地域の一番 低い報告例とは連続しています。これはある意味では当たり前のことで、我々の摂取が 例えば米に代表される食べ物ですから、これは連続した変化として出てくるのが当然だ と思います。  ここでは2つの回帰直線の交点という形で出ていますけれども、どこから変化が起こ るかですね。シグモイド・カーブはおもしろいのですが、モデルとしては変曲点が求め られない点で不適切です。今考えていますのは、例えば三次曲線の右半分を考えると、 シグモイドの左半分と近似のものになるのではないかと思いますけれども、変曲点が求 められるような数学モデルを考えたいということでいろいろ勉強している段階でござい ます。以上でございます。 ○福島部会長  ありがとうございました。それでは、時間もちょっと過ぎておりますので、次の香山 先生の報告に移りたいと思います。香山先生、お願いいたします。 ○香山委員  ご報告いたします。最初は骨密度への影響に関するご報告であります。これは、イタ イイタイ病が非常に有名でありますが、低濃度及び中程度のカドミウム曝露が骨粗鬆症 や骨代謝にどのような影響を与えるかということを調査したものであります。ただ、骨 密度、骨代謝に非常に多くの交絡因子がかかわっておりまして、栄養、運動、筋力、B MIなどが多く交絡いたしておりますので、精密に調査いたしました。  すぐに結果に入らせていただきたいのですが、56ページから表1がはじまっておりま す。この調査では1,407 名が参加したのですが、この中で解析に不適切と思われる方を 除いております。次に、それぞれの地域で比較検討を行っておりますが、特に閉経の影 響が大きくかかわりますから、血清中のLH及び閉経の問診から年齢を調整するため に、年齢を分けて解析をいたしております。大体、同じくらいの人数になっておりま す。  次に、地域ABCDEの順番にだんだんとカドミウムの曝露量が増えていきますが、 それにあわせて血中のカドミウム濃度も上がってまいりますし、尿中のカドミウム濃度 も上がってまいります。これは年齢で見ていただきましても、年齢階層で分けたものを 見ていただきましても、年齢が高齢になるほど各地域で尿中カドミウムは上がる傾向が ございまして、地域間で比較していただきましても、AからEに行くほど尿中カドミウ ム濃度が高くなるということで有意の差を示しております。  次に59ページの表4でありますが、これは骨密度は年齢とともにだんだんと下がって まいります。それはどの地域でも同じでありますが、地域間の比較をした場合、閉経期 早期で地域B及び地域Eで有意に骨密度が低いということがわかりました。  次のページの表5を見ていただきますと、これは骨粗鬆症の日本の診断基準によるも のですが、若年期の骨密度の80%以下になったものを骨粗鬆症とするという比率から評 価いたしますと、やはり地域BとEで低いということが有意の差として出てまいりまし た。  これで地域の比較を行ったのですけれども、確かにいろいろな交絡因子があるという 中で、最もここで大きな解析の対象といたしまして、尿中カドミウム濃度によりまし て、4群に分けてみようと。もちろん、地域差が非常に大きいわけでありますが、例え ば九州から東北までですので、日照時間も違いますし、それから食事もやはり若干異な りますし、遺伝的素因も違うし、習慣も違う、運動量も若干違う、気温も違います。そ ういうことで、その地域差をダミー変数として解析に取り込んで行っていこうというこ とを考えました。  それで、今回は尿中カドミウムで、この2.5 、3.5 、5.0μg/g crをカットオフポイ ントといたしまして、これを4群に分け解析を再度行ってみました。このようにいたし ますと、年齢に関しては、もちろんそのように分けますと、尿中カドミウムが高い群に なれば年齢が高くなっていくこととなりますが、これを年齢階層別に分けますと表6に 示してありますように、それぞれの階層で同じくらいの平均年齢になるということがわ かりました。  次の表が血中カドミウム、尿中カドミウムですが、尿中カドミウムで分けたわけです ので、これは当たり前でありますが、血中カドミウムの方もこのように上がっていくと いうことです。  次に、いよいよ骨密度への影響を評価するために解析したものですが、まず63ページ ですが、全年齢で見ますともちろんだんだんと尿中カドミウム濃度が上がれば低い骨密 度を示します。これを各年齢で調整していきますと、高齢の閉経後早期及び晩期で、特 に尿中カドミウム濃度が高い群、すなわち5μg/g cr以上で有意な差があり、全体的に も下がっていく傾向、回帰係数が有意に低下するということを示しております。  ところが、骨密度に非常に大きな影響を与えるといわれるBMIも見ていただきます と、一番下の方のカラムで閉経後早期及び晩期でこのようにだんだん下がっていく傾向 があるわけです。尿中カドミウム濃度が高い方にいくほどBMIも低い傾向がある。こ れは回帰係数で有意の差をもって、下がっていくということがわかります。  次に、表10ですが、握力の傾向も見ていきますと、握力も手首で測っておりますが、 閉経期に下がっていく傾向があると。そういう方々の集合体の評価を全体としている と、そういう交絡因子も背後に隠れているということがわかります。  次に、表11になりますと、これは腎機能の方で尿中カドミウムを分けたもので尿中の α1とβ2の変化を示しておりますけれども、これでも有意の差が見られるところはカ ドミウム濃度が5以上のところで、一番下のβ2で閉経後後期、一番高齢の部分で上昇 する傾向が見られるということであります。  表12に行きますと、これは尿中カドミウムのカルシウム濃度の変化を見ております。 こちらでは、それぞれの群で差があるというのが閉経期にも見られますし、高齢の方で も見られます。すべての年齢層で、だんだんとカドミウム曝露が増えますと、上昇する 傾向が見られます。骨代謝マーカーに関しましては、表13ページに見られますけれど も、NTxがカドミウム曝露が上がれば上がっていくように見えます。  次に、血中カルシウムとリンに関しましては特に差は見られません。  その次に栄養の方ですが、カルシウムあるいはビタミンDの摂取量に関しても、特に この群に大きな差異があるというような、栄養等の摂取に偏りがあるということは見ら れませんでした。  これでいろいろ相関のあるものを一部見てまいりますと、表16で見ますと、まず骨密 度と関係が高いものとしては年齢、握力、BMIなどが非常に高く、その他に骨代謝マ ーカーとかがあります。それで、我々は4つの重回帰モデル解析を行ってみました。そ こで、カドミウムの曝露指標として対数の血中カドミウム又は尿中カドミウム、対数変 換いたしましたα1ミクログロブリン、β2ミクログロブリンを腎機能への評価として それぞれ一つずつ組み合わせをして、モデルをつくって行ってみました。  見ていただきますと、実際には一番大きな変化が見られるのは、やはり年齢、それか らBMI、それから地域E、このような順番で有意の差があり、寄与が高いということ がわかりまして、骨密度に対するカドミウムの影響はないということがわかりました。  次に、18、19は飛ばさせていただきまして、最後に表20です。カルシウムの排泄がカ ドミウム曝露と関係があって上がるのではないかということで、これはJECFAに調 べるようにということで要請されました6番目の項目ですが、カドミウムの代謝と骨粗 鬆症へのカドミウムの影響ということを調べたわけですが、ここで尿中カルシウムをク レアチン補正したものを従属変数といたしまして、独立変数として以上の項目で解析し ていきますと、それぞれのモデルで同じなんですけれども、α1、次に地域Eというも のが大きな標準偏相関係数を示しておりまして、ここでもカドミウム曝露の指標は何ら かかわってこないということがわかりました。  以上、前の年齢階層等で分けた表でカルシウムの排泄が上がっているように見えたの は、腎機能との影響が一番強いということがわかりました。以上が骨の代謝のところで ありまして、これは骨の骨密度及び代謝マーカー及びカルシウムの排泄は、特にカドミ ウムの曝露に影響するものではないという結論となりました。  特に、この被験者群では、年齢BMI、地域E、握力、尿中カルシウム濃度の順に寄 与しているということが明らかとなりました。以上です。 ○福島部会長  ありがとうございました。どなたかご質問ございますでしょうか。どうぞ。 ○加須屋参考人  骨量が減るということがわからなかったのですが、骨密度と関連のある4つが、ペー ジでいうと72ページですが、結論として骨密度に地域の影響というか、地域性が非常に 大きく関与しているけれども、カドミウムの影響がないという結論だったと思います が、しかし地域ABCDと分けた、地域はなぜ分けられたかという、最初の説明とつき あわせるとそれがちょっとわからなかったのですが。  血中カドミウム、尿中カドミウムとの関係はないからないのだというご理解だろうと 思うんですけれども、血中カドミウム、尿中カドミウムの曝露指標として閾値が割と難 しいように感じて、最近の曝露量をあらわしているとか、しかし、それは日々変化する わけで、統計的に処理すると案外見えてこなくなると。しかし、地域特性で見ていく と、カドミウムならカドミウムの影響が、体内に蓄積が起こるという形で、ある腎機能 なら腎機能という形で蓄積してきているというので目安となっていくと、そういうイメ ージを私は持っていたのですが、その辺、どうなんでしょうか。 ○香山委員  お答えさせていただきますと、これはすべて1,243 名を一緒にいたしまして回帰分析 をやっているわけでありまして、それぞれの個々人のカドミウのこれまでの曝露の評価 といたしまして、血中カドミウムであるか、あるいは尿中カドミウムという形で代表さ せているわけであります。  最初の地域別に分けて、骨密度が集団として低かった地域というのは、地域Bと地域 Eだったわけでありまして、特に閉経後、早期の時点だけで他の地域と差があったとい うことで、もっと高齢になれば全然差は見えなくなってしまう。ですから、それを地域 で囲むような生態学的な解析ではなくて個々人で比べるということで考えてみて、地域 Eというダミー変数を加えたわけでありますが、これは食生活であるとか、その他いろ いろな要因をカドミウム曝露以外のものであろうと。もちろん、加須屋先生のご指摘の 血中カドミウムあるいは尿中カドミウム以外のカドミウム曝露が何かあるかと言われれ ば、今の我々の知識では表現し得ないだろうと思います。以上、私の答えです。よろし いですか。 ○福島部会長  加須屋先生、よろしいですか。  それでは、次にもう一つ、香山先生お願いします。 ○香山委員  吸収率の部分をお話しさせていただきます。その次の部分であります。  我々は、全体の中でカドミウムの曝露量の高い地域Eの中で、長年この地域に住んで いらっしゃって、かなり高いカドミウムの曝露を受けられた597 名の中から糖尿病の方 と貧血のある方を選び、それに年齢をマッチさせた方を選びまして、これはこう言うと すぐ1行で済むようですが、特に貧血がある方は30代から40代の方が大部分でありまし て、生理がまだある方ということで、そういう方々を7泊8日にわたって、監禁ではあ りませんが、すべて食事をコントロールし、かつ便と尿をすべて集める、もちろん、食 事も陰膳でカドミウム量をすべて測定するという非常に膨大なエネルギーを使う割に は、吸収率というデータが出るのみという、出てくるデータは非常に少ないという、あ まり割に合わない仕事なのですけれども、これを一生懸命行いました。特に若い方は生 理がありますので、その間、生理の期間に重ならないということで1カ月以上にわたっ て我々は辺鄙な山の中に住みまして、この尿と便を集めておりました。  この解析結果でありますが、表1には、この方々のヘモグロビンレベルであるとか、 それから貧血の場合を示しますフェリチンでありますとか、糖尿病でありましたらヘモ グロビンA1cなどを示しております。結果は表2に示されておりまして、本文の中に も書いてありますが、これがそれぞれの方の吸収率、非常にばらつきの大きなものであ りますが、平均値が第1回目は糖尿病群の調査ですが、対照がマイナス11.1、糖尿病群 がマイナス2.8、第2回目は貧血群の調査でありますが、平均値が27.4%、貧血群の平 均値が13.6%というとであります。これは95%CIが示されておりますけれども、これ では特に有意の差がないという結果になりました。  これを全体的に平均して見ますと、全参加者の平均が6.5 %ということになります。 対照者だけを集めますと7.4 %くらいで、平均してしまうとこのような状況になりま す。  これで表3に全員38名の単相関の相関を見てみますと、吸収率にはやはり年齢が一番 大きなファクターとして働いているということ、それから血清のフェリチンであると か、尿中カドミウムなどが非常に効いているということがわかります。  そういうことを念頭に入れまして、表4に重回帰モデルを4つほどつくりまして、ど のように関連があるかということをやってみましたところ、明らかに影響があったの は、寄与が有意にあるというものは年齢だけであるということがわかりました。ですか ら、それぞれが年齢という交絡因子に隠れているということがわかりました。  表5を飛ばしまして、図1を見ていただきますと、それぞれの個人の年齢のところ で、縦軸に吸収率をとりましてプロットしますと、年齢とともに吸収率が下がっていく というものが見えてまいりまして、この回帰直線からそれぞれの年代のカドミウムの吸 収率を求めますと20代では52.1%、70代とだんだん高齢になるほどネガティブになって いくという結論が出ました。  それで、図2に示されていますように、カドミウムの消化管からの吸収というのは、 このような形でだんだんと年齢とともに見かけ上にはマイナスになり、ネガティブにな りまして排泄の方が増えてくると。特に、このようなカドミウム汚染地域ではこういう 結果になるということがわかりました。  最後の図3ですけれども、それぞれの方が、この合宿期間中に尿中に排泄したカドミ ウムは特に変わりがないということであります。  ですから、若い方の吸収率が高く、年齢が高くなると下がるというのが我々の結論で あります。以上です。 ○福島部会長  香山先生、もう一つの方も続いてやっていただけますか。 ○香山委員  これは去年報告いたしましたデータをいろいろな専門家の先生方、特に能川先生から のご指摘に従いまして解析し直してみました。  まず重回帰モデルを見ていただきますと、表1に示していますように重回帰モデルが ありまして、いずれのモデルにおきましても、年齢の標準偏回帰係数が最も高くて、血 中カドミウム濃度に関しては大変低い偏回帰係数しか示しておりませんでした。  尿中カドミウム濃度を独立変数とした場合には高めですけれども、これは0.2 以下で あるということでありまして、これは関係ないではないか、有意ととらない方がいいの ではないかと考えました。あるとしても、3分1くらいの寄与かということですね。  p値に関しましては、このように検体の数が増えてくればあまり当てにならないとい うふうに統計の教科書には書いてありますので、ネガティブといたしております。そし て、一番下のカラムにありますように、自由度調整済みの重回帰係数が0.4 から0.3 を 示しておりまして、かなり良い回帰モデルであるというふうに評価をいたしました。  次に、ロジスティック回帰モデルに関して表3に示しておりますけれども、これはモ デル2及びモデル4で、年齢が0.7 と非常に高い標準偏回帰係数を示しております。  次に、尿中カドミウムが0.28程度の高い値を示しておりますけれども、一番下のカラ ムを見ていただきますと、自由度調整済みの重回帰係数は0.07と大変低くて、回帰モデ ルとしてはあまり良くないだろうというふうに考えられました。実際には、クロスセク ショナルスタディには、あまりロジスティック回帰モデルは使いませんので、重回帰モ デルの方がいいかなという結論でありました。  次に、尿中カドミウム濃度によります被験者分類による比較を行いました。飛ばしま したけれども、表2には表1の解析に地域差というものでダミー変数を与えまして、地 域Aに比較して寄与があるかどうかということを見ておりますが、骨密度とは違いまし て、腎機能に関する影響は地域差はほとんどないということがこの表2からわかりまし た。全員を一緒にして解析しても、地域差の影響はここでは考えなくていいということ がわかりました。それで、尿中カドミウム濃度で4群に分けて検討を行っていったわけ であります。  ここで見ていただきますと、表4、5は骨密度のときと同じものであります。表6に α1とβ2の変化が示してありまして、ここで有意な上昇が見られるのは、α1では5 以上、それから50歳から59歳という年齢層でおるということがわかります。β2ミクロ グロブリンの一番下のカラムでだんだんとカドミウムが上がるにつれて、上がっていく ということがわかります。  では、最終的にこの評価をどういうふうにしたかと申しますと、実際には重回帰モデ ルでは年齢が最も大きな寄与をしておりまして、尿中カドミウムの寄与が非常に低いと しか考えられない。特に、尿中カドミウム濃度が高い群では、α1とかβ2とか、50代 で有意に上昇しておりました。ここら辺のこのような尿中カドミウムと低濃度の低分子 タンパク尿との量反応関係がどういう生物学的な意味があるかというところは皆さんい ろいろ議論があると思うんですけれども、実際に安全域を見込んで、便宜的なカットオ フとして使われております1,000 とかに比べても非常に低い値でありまして、平均値が せいぜい200 μg/g crというくらいでありまして、それからクレアチン補正の影響とか そういうことも考えあわせますと、ほとんど生物学には意味がないと評価いたしまし た。以上であります。 ○福島部会長  ありがとうございました。何かご質問ございますでしょうか。どうぞ。 ○能川参考人  表1と表3について、重回帰モデルとロジスティックモデルはもともと意味が違うわ けでして、表1は重回帰モデルですが、この場合は尿中のα1とβ2が有意の相関が あったと。それが標準偏回帰係数でいくと年齢が0.4あるいは0.3くらいで、尿中のカド ミウムが0.1かそのくらいだと。  それから、表の3でいきますと、先生は触れなかったのですが、血中のカドミウムは モデルとモデルに挟んで見てみますと、両方とも有意になっておりまして、血中のカド ミウムが上昇すると年齢等固定しても、β2ミクログロブリンが上昇するということが 出ていると思うんですが、当然、尿中のカドミウムについても同じようなことが出てい ますけれども、このことが僕は大事だと思うんです。  もう一つ、全体で1,300 例ですか、大きいとp値はないということをおっしゃったの ですが、それはちょっと違うのではないかと思います。やはりp値はp値で統計的に見 合うから、SPRCと表現している標準偏回帰係数ですか、これについておっしゃるの はわかるのですが、これも決して例えば尿中のカドミウムの場合やロジスティックの場 合は半分近くはあるわけですから、そんなに低いわけではないですね。我々は年齢はど うしようもないわけですから、少なくともβ2を下げる上昇機序を我々が制御できない 年齢ではなくて、制御できるもので何とかしようと考えておられるのですから、このデ ータに関していえば、年齢の影響を考慮しても、β2ミクログロブリンと尿中カドミウ ムは関係があるというふうに結論づけるべきではないかと思います。以上です。 ○香山委員  お答えします。まず、表1の方でp値の問題、特に表1のモデルCとかDで尿中カド ミウムに対して検討したものは0.000 と非常にp値が高いというご指摘でありますけれ ども、例えば30とか40の検体数で解析した場合、p値というのはあてになりますけれど も、1,000 を超えるような場合はp値は本質的な意味を全然なさず、標準偏回帰係数が 0.2 というものでも、散布図を見ますとほとんど差がないようにしか見えませんし、こ れは統計学の本の最初の部分に書いてあることでございます。  第2点のロジスティックの件に関しましても、一番下のカラムがモデルとしてぴった りしていれば1なわけですね。ぴったり直線上に乗っているモデルでありますと1にな るわけですが、それが0.051 とか、0.063 という非常に低い値を示しているわけであり まして、ここでつくったロジスティックモデルは非常に良くないという証拠なわけであ ります。  特に、また重回帰ではそれぞれのβ2、α1の値は数値として連続変数として使って おりますけれども、このロジスティックにおきましては300 μg cr以下と以上という形 になっておりますので、ある意味ではデータの精度を失っているということで、さらに 精度の高い解析ができるということはあり得ないということでありますので、このロジ スティックモデルよりも重回帰モデルの方が圧倒的にこの場合はいいということが言え ると思います。 ○福島部会長  時間が相当押していますので、香山先生の今の報告を終わりまして、大前先生のとこ ろに入りたいと思います。お願いいたします。 ○大前参考人  102 ページでございます。私どものところは14年度、15年度、2年間の研究でござい まして、13年度にボランティア実験を行いまして、吸収率の定義の問題は別にしまし て、いわゆる吸収率と言われるものが40%くらいということで、きょうの香山先生の若 い方も40%に非常に近いわけでございますけれども、そういうデータが出ました。  それで、文献等調査しますと、カドミウムを含む水で溶かした小麦でやったヒトの実 験ですけれども、これはそんなに数は多くなかったのですが、これだとやはり四十数% になっている。それから、塩化カドミウムを添加したタイプの実験ですと、1桁とかあ るいは2桁くらいの数字になっているということがございました。  1つは、そういうことで、カドミウムの形態、米あるいは小麦という、本来の自然の 形態で存在するカドミウムと、それから塩化カドミウムを添加するという、そういう形 ではひょっとしたら吸収率に差があるのではないかということを一つ確かめたいという こと。それから、もう一つは前回のボランティア実験はヒトを使った実験でございます ので、胆汁のところのカドミウムの状態がよくわからない、もともと調査できないとい うことで、そこの部分は結構重要なファクターではないかということですね。その2つ を目的といたしまして、実験計画を立てました。結果的には、サルを使えば人間に外挿 できる可能性が大きいのではないかということで、サルの実験を計画したわけでござい ます。  大学ではサルは飼えませんので、サルを扱っている施設にお願いいたしまして、それ で実験をはじめたのですが、まず最初にお米でサルを飼うということはとても大変なこ とでございまして、お米でカロリーはとれるのですが、そのほかの栄養バランスがお米 ですととれません。もう一つは水分の問題、食べる形状の問題もありまして、どういう 形の形状にしたらサルは食べるかと。彼らに「食べろ」と言っても食べてくれませんの で、彼らが食べるようなものをつくらなくてはいけないという、そういうトライ&エラ ーをやっておりまして、それがようやく平成14年度末くらいに何となくわかってきた と。  それから、もう一つは胆汁をとるということで、胆管の中にカテーテルを留置しまし て、それで胆汁をとるという手技、それからそこで使うカテーテル等の選択等、そうい うことをやりまして、これはなかなか見つからなかったり、うまくいかなかったりして おりました。現段階では、本番ではなくて予備実験の段階でカテーテルがようやく入り まして、胆汁をとることができるようになったという段階でございます。食べる方は、 先ほどいいましたように、一応、つくり上げたのですが、カテーテルを留置することが ようやくできた段階ということで、現在の段階では、残念でございますけれども、特に ご報告できる結果はございません。以上です。 ○福島部会長  ありがとうございました。  まだ実験の途中段階ということですが、ご質問ございますか。 ○石本参考人  胆管に入れたチューブは胆嚢をインタクトにする目標ですか。つまり、胆嚢内の胆汁 は、この実験では測定から除外してあるということなんでしょうか。 ○大前参考人  場所としましては、胆嚢の外の胆管部分に入れておりますので、胆嚢から出てくる胆 汁も多分とれることになるのではないかと思います。胆嚢をとらない予定でやっており ます。 ○石本参考人  胆管は必ず入るとY字型になって2本になりますね。 ○大前参考人  はい。 ○石本参考人  そこまであげたということなんでしょうか。人間ですと、十二指腸に近い方でしょう か。それは後でまた。  もう一つ、これの中のCdはどういう形で存在しているのか。つまり、金属のCdC l2と米のCdとでは吸収が違うのだろうということは大変いい着眼点だと私は思うの ですけれども、では、米の中でCdはどんな形で存在しているか。前にもちょっと報告 があったんですけれども、検討なさいましたでしょうか。 ○大前参考人  それが実はよくわかりませんで、我々もできる範囲で文献を探してはみたのですが、 具体的にはどういう形になっているか、実はよくわかりません。それから、我々自身が 米を何らかの形で分画して、特定の分画にCdがあるということを測定する能力は実は ございませんものですから、オーバーオールで考えようということでやっているわけで ございます。  ただ、間違いなく、過去の実験を見ますと塩化カドミウムを添加したり、そういう実 験では非常に吸収率が低いという結果が出ております。ひょっとしたら、違う可能性が あるかもしれませんので、それも確かめてみようということでやっております。本当は 米の中のカドミの形態がわかっていると一番いいのですけれども、残念ながら私どもの 手元にデータはございません。 ○福島部会長  ありがとうございました。  それでは、今、4先生に報告していただきましたが、これまでも含めまして、もう一 度、ご質問がございましたらお聞きしたいと思います。よろしいでしょうか。どうぞ。 ○遠山参考人  池田先生にお教えいただきたいのですが、先生のご説明の中でα1ミクログロブリン とN−アセチルβ−Dグルコサミニダーゼの方が場合によってはβ2ミクログロブリン よりも優れた指標の可能性があるというコメントをなさったのですが、私の理解ではα 1ミクログロブリンとβ2ミクログロブリンは両方とも低分子なので、再吸収障害の指 標であると。だけれども、β2ミクログロブリンはpHが酸性側で壊れやすいので、そう いう点ではα1の方がいいかもしれない。それから、NAGは、尿細管の上皮のライソ ゾームの中に入っている酵素ですから、尿細管が壊れると出てくるので、むしろダメー ジをあらわすような指標、つまり再吸収ではなくてダメージをあらわす指標として優秀 かもしれないという理解をしているのですが、それでよろしいですか。 ○池田参考人  私の考えている根拠は、9ページをごらんいただきますと、それぞれのインディケー ターの組織学的レベルでの局在とか細胞障害に伴う尿中へのリリースだとかいうメカニ ズムにまでは立ち入らなくて、カドミウム負荷とよく相関し、かつ他の要因、例えば年 齢とかで修飾を受けないものは何か、非常にプラクティカルな立場から考えています。  この場合に、β2−MGは確かに先生のご指摘のようにpHが5.5 あるいは6の低いpH では壊れやすいというのはありますが、私たちの調査では、尿の容器にアルカリを入れ ておいて、すぐにほとんど中性に近いところまでpHを持っていくという方法を取ってい ますので、不安定さの問題は除外できると思います。以上です。 ○福島部会長  津金先生、どうぞ。手短にお願いいたします。 ○津金委員  香山先生に質問ですが、年齢とともにというのは、腸管からの吸収率は同じで、血液 の中に入ったカドミウムが、既に十分年取られている方はすぐに出ていってしまう、と いうふうに解釈できるのでしょうか。 ○香山委員  それはよくわかりませんが、我々が調べられるのは見かけ上の吸収率でありますの で、吸収はしているはずなんですけれども、これを見ると排泄の方がこういう地域に住 まれている方では多いということであります。  大前先生の胆汁からの排泄などがわかるようになってくれば、より精密な評価ができ るのではないでしょうか。 ○福島部会長  ありがとうございました。それでは、次にいきたいと思います。  ただいまお聞きいただきましたように、おおむね研究成果も出ましたので、これから カドミウムの毒性評価につきまして、議論をいただきたいと思います。  そこで、JECFAで暫定的な週間耐容摂取量(PTWI)が7μg/kg/weekと定め られておりますけれども、この暫定的な週間耐容摂取量について、ここでディスカッ ションをいただければと思います。  どなたかございませんでしょうか。 ○三森委員  前回の審議会で説明がありましたように、PTWI算出法として、JECFAではシ ナリオが3種類あったと思います。この参考資料の中にあります資料6に第55回のJE CFAのPTWIの算定方法が載っておりますけれども、今回、厚生科学研究で得られ たデータがPTWI7μg/kgの計算法にどのように反映されてくるのでしょうか。どな たにお聞きしていいかわかりませんが、ここが一番議論になるのではないかと思いま す。 ○福島部会長  事務局、何かその点についてどうですか。 ○事務局  研究班長の櫻井先生からお答えいただいた方がいいかと思いますが。 ○福島部会長  櫻井先生、お願いできますか。 ○櫻井参考人  参考資料の中に入っている資料6のtable は幾つかのアサンプションがあるわけです けれども、シナリオ1、2、3と書いてあるところの内容をごらんいただきますと、ま ず食事中のカドミウムの生物学的利用率が1のときには10%、2のときには10%、3の ときには5%というふうに仮定しています。これはその時点までのさまざまなレビュー で大体5〜10%くらいではないかというふうに言われているものを使ってこのように取 り入れているわけですが、今回の研究成果を聞いていただいたのではっきりしたことは 大前班員のヒトの曝露実験で30〜40%、それから香山班員も若年の場合には30%とかそ れくらいというふうになっております。  これは見かけ上のものでございますが、実際にはそれに消化管への排泄が加わってい るにもかかわらず、それだけ吸収しているということですから、もし消化管への排泄を 考えないとすると、吸収、それを何というふうに表現したらいいのか、いっぺん消化管 から生体内へ取り込まれる率は40とか50とか非常に高いということがわかったと言える と思うのです。この場合は10%とか5%というのを仮定しておりますので、このtable は成り立たない。  それから、もう一つは吸収されたカドミウムの尿中排泄率が100%とか50%と書いて あります。これはこの表現が正しくなくて、尿に排泄される量と消化管へ排泄される量 がもし同じであるならばというのがこの50%ということです。だから、100%というの は消化管へ全然排泄しないで、尿だけという仮定です。これも今回の実験で出たものか ら非常にかけ離れているということがわかりました。尿は数μで、消化管へはその十数 倍でないと話が全く成り立たないということですので、このtable は到底こういった議 論には使えないという状態になったと言えると思います。 ○福島部会長  よろしいですか。そのほかございますか。香山先生、どうぞ。 ○香山委員  実際に、ほとんど純粋に経口曝露だけのデータがなかったと。特に中レベルとか、低 レベルが無かったわけですね。非汚染地域での池田先生の調査から我々のようなだんだ んと中等度までの曝露が連続的なヒトのデータが出たというので、それを基盤にしても う一度ここら辺のシナリオをつくり直さざるを得ないうことになると思います。  これはやはりコンパートメント・モデルから計算で出してこようということでやっ て、大分無理なアサンプションばかりを詰め込んだ上でできていますので、これで疫学 データを参考にして再度シナリオをつくらないといけないということになると思いま す。 ○福島部会長  三森先生、どうぞ。 ○三森委員  香山先生、そうしますと、今のPTWI7μgという値ですが、今回、6月のJEC FAにおきましてはもう一回計算のし直しということになりますね。どの辺に落ち着く ということになるのでしょうか。 ○香山委員  私が答える立場には全然ないのですが、我々の疫学データのことをお話しさせていた だきます。それから判断したという私の個人の見解を述べさせていただきますと、E地 域は7μを超えた方が40%位いらっしゃったという地域であります。それで明らかな腎 機能障害あるいは骨密度あるいはカルシウム排泄の増大がないということは、ここら辺 でもある程度は安全域もあるかなと。若干ですけれども、あるのではないかというふう に我々は考えております。  E地域の平均が尿中カドミウム濃度が2. 5μg/g crですので、それから考えても10か ら比べると随分低い部分にあるので、少しは現状のPTWIは安全域があるかなという ふうに私は評価しておりますけれども、それをどのように評価して、大筋の、これは疫 学データとも合うし、論理的にも合うということを考えております。 ○福島部会長  よろしいですか。ほかにございますでしょうか。  今の話を聞いていますと、PTWIの設定に当たりましてはサイエンス根拠をもう少 し明確にするというようなことが結論として必要ではないかということであります。  三森先生が「PTWIはどれくらいですか」ということで、今、香山先生の「個人的 な見解ですが」という答えがありましたが、このPTWIをここで今いきなり決めると いうのは少し困難だと思います。きょうの議論を踏まえまして、今後、このことも含め まして検討を進めていきたいと思いますので、事務局の方から今後の検討につきまし て、進め方について何かお考えいただけるとありがたいと思います。 ○事務局  本日、議論を聞かせていただきまして、やはりかなり検討すべき点が多くあるのだな というふうに思っております。まず、毒性評価をするに当たって検討を要する点を整理 するということが大前提にあって、その点について、それぞれについて既存の関係の研 究成果が相当ありますので、そういうものを各先生方にお持ち寄りいただきまして、そ れでそういったポイントごとに重点的に議論いただくというのが方法としてあるのかな と思っております。  仮に、毒性評価に当たって検討を要する点をとりまとめるということになった場合で すが、やはり事務局だけでは困難な部分がありますので、作業グループのようなものを つくっていただきまして、そういうところである程度まとめていただいて、それでこう いった部会に提出するという方法でやっていただけたらということもあるかと思います が、いかがでございましょうか。 ○福島部会長  今、事務局から検討会というような提案がありましたが、いかがでしょうか。               〔「はい」という声あり〕 ○福島部会長  よろしいでしょうか。ありがとうございました。  それでは、毒性評価にあたり検討を要する点ということをまとめていただくわけです けれども、櫻井先生を中心に検討班でお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。  よろしいでしょうか。櫻井先生、お願いできますでしょうか。 ○櫻井参考人  はい。 ○福島部会長  よろしくお願いいたします。ありがとうございます。  それでは、櫻井先生にとりまとめをしていただきまして、次回の部会に提出していた だけると思います。よろしくお願いいたします。  では、議題1を終わりまして、議題2に入りたいと思います。 次に、「水産物に含まれるカドミウムの実態調査結果」につきまして、これは資料5で すが、事務局より説明をお願いいたします。 ○水産庁  水産庁増殖推進部からまいっております長畠と申します。今日配られました資料5を ごらんください。  昨年12月25日の会合で、JECFAに送付いたしましたもの、農産物、畜産物、水産 物の一部につきましてご紹介いたしますけれども、水産物につきましてはそれまでの コーデックスの検討を頭に置きながら、カドミウムの濃度の調査を進めてまいりまし た。プレスリリースの2ページをごらんいただきたいと思いますけれども、1336検体と いうことで、エビ、カニが含まれます甲殻類、イカ、タコ、二枚貝、巻貝が入ります軟 体動物、そして棘皮動物はウニ、ナマコなどでございますが、そして軟体動物、甲殻類 の内臓、そしてまたこれを原料としている塩辛類について、平成7年度から14年度にか けまして調査いたしました。このほど結論がまとまりましたのでご報告申し上げ、あわ せまして厚生労働省にご提供した状況でございます。  具体的な分析方法、調査方法につきましては72ページの次からの3枚でございます が、調査方法や分析手法についてそこに載せてございます。  そして、要約でございますが、前に戻っていただきまして、別添1「水産物に含まれ るカドミウムの実態調査について」が出ておりますけれども、それをおめくりいただき ますと、先ほど2ページで見ていただきました魚類、甲殻類、軟体動物、棘皮動物、魚 介類内臓、これは軟体動物と甲殻類でございますけれども、その内訳が書いてございま す。そのデータにつきましては、右側のページ、下に1ページとふってございますけれ ども、度数に分けまして頻度がわかる形でまとめてございます。これは12月25日にここ でご報告したものと同じ様式でございます。そして、その際には、軟体動物の可食部を 含んでおりますので、今回その部分だけ重複して含まれているということです。  中身を見ていただきますと、一連の資料の1ページ目を見ていただきますと、これは 先ほど時系列データでございますけれども、5月2日に公表いたしました。概要につき ましては、厚生労働省医薬品食品衛生研究所で行われておりますトータルダイエットス タディなどの状況なども説明しておりますし、あとこの調査結果を6月中には厚生労働 省にご提供しておりますけれども、専門家のご意見、この中で諮っていただけるという ことも事前に伺っておりますので、その旨、書いてございます。以上でございます。 ○福島部会長  ありがとうございました。ただいまの質問に対しまして、どなたかご質問ございます か。 ○池田参考人  ちょっとお伺いしてよろしゅうございますか。例えば、2ページを拝見しますと平均 値が出てきますが、これはJECFAの習慣とも対応しているのではないかと思います が、カドミウムのように汚染物質は正規分布しないで、多分、対数正規になるのではな いか。そうすると、平均値として算術平均を使うのは若干問題があるのでないか、値と しては高めに出てしまいます。ただし、JECFAとして、算術平均を使う習慣かもし れません。そのあたりはいかがでしょうか。 ○水産庁  見開き2ページ目の算術平均値が一般的ではないのではないかというご指摘と承りま したけれども、これは種ごとにそういった傾向にあるかということをいちいち別添資料 を見ていただくとなかなかわかりにくい面もあろうかということでまとめた形のもので ございます。  具体的には、別添1の個数分布をごらんいただきたいのですけれども、この中では各 種ごとに最小値、最大値、最小値は検出限界以下のものはそう書いてございまして、そ してまた平均値を書いてございますし、あと濃度階層ごとにどういった分布になってい るかということは別添資料の中身を見ていただければわかるようににしてございます。 ○池田参考人  私がうかがっているのは、算術平均値か幾何平均値かどっちがJECFAの習慣なの か、そのあたりいかがかということですが。 ○福島部会長  三森先生、このあたりどうですか。幾何平均ですか。 ○三森委員  幾何平均だと思いますけれども、私は汚染物質についてのJECFAは知りません。 ○福島部会長  櫻井先生、どうでしょうか。 ○櫻井参考人  実際、どうなっているか知らないんですけれども、論理的には生物学的な意味からい えば、算術平均ということになると思っています。幾何平均できいてくるわけではない ので。 ○福島部会長  事務局の方からございますか。 ○事務局  JECFAでintakeのestimateがintakeの評価に当たってやられておりまして、それ に当たって食品のデータがこのカドミウムの中に直接書かれておりませんので、算術平 均か幾何平均かというのがはっきりしないのですが、ただestimated average intakeと いう言葉がございますので、そういうものを使う際には算術平均を用いてきているので はないかと思います。 ○福島部会長  ありがとうございました。そのほかご質問ございますでしょうか。 ○津金委員  平均値以外の情報もサマリーでぜひ知りたいですね。見れば後でわかるのですけれど も、特に最大値はどのくらいであるのかとか、そういうことも非常に重要だと思いま す。 ○福島部会長  津金先生が言われるのは表2のところですか。 ○津金委員  そうですね。ただ平均値がポツンと出ているよりも、範囲みたいなものがあるような 方が非常に情報としては有用だと。 ○福島部会長  事務局の方、どうですか。 ○水産庁  個別の表にはその旨、最大値、最小値で書いてございますので、それを抜き出してい けば、そのような資料になると思います。 ○福島部会長  津金先生が言われるのは、ここへ入れられた方かもう少し親切だという意味ですね。 ○津金委員  はい、一目でわかるように。平均値も、算術平均であろうが、対数平均だろうが、後 ろの表を見れば出せますからわかりますけれども。 ○福島部会長  ほかにございますでしょうか。  よろしいでしょうか。  それでは、ないようですので、本件に関する検討の進め方について、事務局の方から 説明をお願いいたします。 ○事務局  本件につきましては、昨年12月に合同部会の方にお送りいたしました農産物調査結果 というものがございますので、それもあわせまして消費者への情報提供等について検討 いただく必要があると考えております。6月3日に食品規格部会、乳肉水産部会さらに この毒性部会の3部会合同部会を予定しておりまして、そこで検討いただければという 具合に思っております。 ○福島部会長  それでは、この件に関しましては6月3日に検討を行うことにしたいと思います。こ れで本日の議事はすべて終了しましたが、何かほかにございますでしょうか。よろしい でしょうか。  特にないようでしたら、以上をもちまして毒性部会を終了したいと思います。本日は どうもありがとうございました。                                    (了) 照会先 :医薬食品局食品安全部基準審査課 太田・横田 電話  :5253−1111(内線2484・4280) ファックス:3501−4868