03/03/24 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会議事録       薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会議事録 日時 :平成15年3月24日(月)  16:30〜17:20 場所 :経済産業省別館1020会議室 出席者:熊谷部会長、塩見委員、清水委員、西尾委員、丸山委員、山本委員 議事 :乳及び乳製品の規格基準の改正について ○中垣基準課長  ただいまから、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会を開催いたし ます。  合同部会に続いてお疲れのところを申し訳ございませんが、よろしくお願いいたしま す。  本日は、11名中6名の委員が出席していますので、当部会は成立しておりますことを 御報告申し上げます。  それでは、部会長の熊谷先生、お願いいたします。 ○熊谷部会長  早速、議事を進行させていただきます。  今日は、乳及び乳製品の規格基準について、先日諮問を受けておりますので御審議を お願いいたします。  まず、配付資料についての確認をお願いします。 ○事務局  資料について御説明いたします。  配付資料は6点ありまして、資料No.1が諮問書でございます。3ページ目に資料No.2 として、現在の乳等省令の抜粋を付けてございます。資料No.3として「生乳中の乳脂肪 分等について」ということで、その推移のグラフ等を付けてございます。資料No.4とし て、25ページ目になりますが、各国の規制の概要について付けてございます。資料No.5 として、26ページですが、こちらに乳等の監視状況ということで表を付けてございま す。最後に、一番後ろに参考資料として、今回の改正について、乳業協会から要請が出 ておりましたものを参考資料として付けてございます。 ○熊谷部会長  よろしいでしょうか。  それでは、資料について事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局  資料に沿って御説明をさせていただきます。  資料1の2ページ目にございますように、諮問内容としては、生乳、生山羊乳、牛 乳、特別牛乳、殺菌山羊乳についての、乳脂肪分、無脂乳固形分、比重の規定の削除に ついて御検討をいただくものでございます。  諮問の背景といたしましては、乳牛の育種改良、飼養管理、畜舎環境の改善等の状況 の変化によって、現在の規定が必ずしも衛生上の必要性が認められなくなってきたとこ ろから、その見直しを行うものであるということでございます。  現在の乳等省令の規定が資料2にございます。乳等省令の第3条に、食品衛生法第5 条に規定する疾病、食品衛生法第7条に規定する成分規格、7条の3第2項の総合衛生 管理製造過程、10条に規定する器具・容器包装の規格基準でございますが、これらすべ て、乳に関しましては、ここの省令の別表の定めるところによると規定されておりま す。  その下に別表の抜粋をしております。まず、生乳ですが、比重は、ジャージー種以外 のものからということで 1.028−1.034。ジャージー種からということで 1.028−1.036、 そのほか、酸度、細菌数の規定がございます。bとして、生山羊乳、比重としては 1.030 −1.034 、そのほか酸度、細菌数の規定がございます。  (2) の1として牛乳の成分規格がございます。無脂乳固形分として 8.0%以上、乳脂 肪分として 3.0%以上、同じく比重の規定、酸度、細菌数、大腸菌群、それ以外に、製 造方法の基準といたしまして、殺菌に係る規定であるとか、保存方法の規定がございま す。  4ページ目に参りまして、特別牛乳、同じく、無脂乳固形分に関する規定、乳脂肪 分、比重、酸度、細菌数、大腸菌群に係る成分規格の規定がございます。それから、製 造方法に関する基準、保存方法による基準がございます。   (3)として、殺菌山羊乳、無脂乳固形分、乳脂肪分、比重、酸度、細菌数、大腸菌群 の成分規格の規定がございまして、2、3として、製造方法、保存方法の基準がござい ます。  5ページ目に、こういった種類別にこういった基準があるという一覧表のようなもの を付けてございます。今回御検討いただく部分が網かけをしてある部分に当たります。  次に資料3です。「生乳中の乳脂肪分等の推移」ということで、右下に出典が載って おりますが、これは酪農乳業情報センターのホームページからとったもので、財団法人 日本乳業技術協会さんの資料によるものです。  細かくて見づらいのですが、次の7ページ目にそのグラフを掲載してあります。「生 乳中の乳脂肪分の推移」ということで、皆さん御存じのとおり、当然、夏場には乳脂肪 分が下がってくるし、冬場には高くなります。無脂乳固形分も同じように上下しており ます。比重に関しましては、乳脂肪と無脂乳固形から計算によって算出したものになり ます。  次の8ページ目は、平成13年1月から12月までの詳細なデータになります。同じく、 財団法人日本乳業技術協会さんの資料です。工場数は延べになりますが、年間 688工場 について検査をしております。これもわかりやすくグラフにしたものが、次の10ページ にあります。  「地域別F」が脂肪分、「地域別SNF」が無脂乳固形分になります。図5「Fの分 布」、図6「ANFの分布」ということで、3.5%以下のもの、実際は 3.4〜 3.5%と いうことですが、これが実際のところ、全体の0.1 %、3.5 〜3.6 %のものが全体の 0.6%であった。無脂乳固形分ですが、8.2 〜8.3 %の間のものがほとんどなくて、8.3 〜8.4 %のものが0.6 %であったということでございます。  具体的な分布が次の11ページに記載されております。  12ページは乳脂肪分の変動のグラフ、13ページが無脂乳固形分の変動のグラフになり ます。具体的な数値は、14ページから15ページまで掲載されております。  16ページに参りまして、乳用牛群能力検定ということで、個別の牛ごとに検査をして いるものを家畜改良事業団が集計したものです。先ほどの15ページまでは、工場に入っ てくるローリー単位で検査をしたもので、こちらは個別の牛ごとに検査をしたもので す。残念ながら、こちらの方は詳細なデータ等はありませんで、グラフのみございます ので掲載しております。これを見ますと、若干ではございますが、3%を切っているも のもあります。無脂乳固形分では8%を切っているものもあるということになっており ます。  17ページに参りまして、乳脂肪等の変動に係る主な要因を簡単にまとめさせていただ いております。もちろん、乳成分の変動自体は、ケトーシスなどの代謝障害や乳房炎な どの病的要因によることもございますが、育種改良などの遺伝的要因、年齢や出産など の生理的要因、飼料的要因、環境などによる要因、それぞれによって変動が起こりま す。  18ページ目以降に、それらの資料といいますか、簡単な抜粋を添付しております。18 ページ左側の1・2「牛乳組成の変化」ということで、牛乳の組成は品種、年齢、搾 乳、泌乳期、飼料、季節、環境等の要因によって異なると書いてございます。また、そ の下にもございますが、品種によっても各成分中で最も差があるものが乳脂肪分である と書いてございます。右側の表2・4のところに、牛乳の組成として、過去のデータな ども掲載されております。  19ページに参りまして、1・2・2に、年令または産次によっても、泌乳量及び脂肪 量は増加し、6歳から8歳で最高に達する。乳脂肪分等は、脂肪率は著しい変化を示さ ないという記載もございます。1・2・3では、搾乳過程の変動ということで、たん白 質、無脂乳固形分の搾乳過程による変動が、朝とったり夕方とるだけでも変わってく る。  右側に行きまして、1・2・4のところですが、実際に産後何日たったかによって も、もちろん乳成分の割合は変わるということ。それから、右下に「飼料」と書いてあ りますが、濃厚飼料を与えるか粗飼料を与えるかによっても、乳成分の割合は変わって くると書いてあります。  20ページへ参りまして、左上の表がございますが、粗飼料不足の場合、乳量は増加す るが乳脂率は低下する。逆に、無脂乳固形分は増加するといったようなことが、簡単に まとめた表になっております。  22ページ以降にも、違う文献ですが、同じようなことが記載されております。生乳成 分の変動要因ということで、乳質の低下、低無脂固形分乳、無機成分異常乳などの低成 分乳の防止対策として遺伝的育種改良であるとか、老齢牛の排除、環境の改善、牛の衛 生管理、飼養管理の改善、ストレスの回避、牛乳の生産、管理の改善などをいろいろ農 家の方は努力をされているということでございます。  23ページに参りまして、乳成分の変動要因として、先ほどから申し上げているとお り、要因としては、一般に、乳牛の品種、個体の遺伝的要因、乳期、産期、産地、年 齢、搾乳感覚、生理的要因、飼料の種類、餌などによって変わってくるというものでご ざいます。以降、24ページにそれぞれの関係が書かれております。  24ページの左下になりますが、乳房炎や乳腺機能を阻害する、乳牛の最も重要な病気 として乳房炎が挙げられるわけですが、乳房炎にかかると乳糖が減少して塩類が増加す る。その他、たん白質、脂肪にも、質的・量的にも変化が起こる。肝機能障害では、乳 脂率、無脂固形分、産乳量の低下を来すということも挙げられております。  25ページへ参りまして、資料4ですが、各国の状況でございます。例えばアメリカで は、連邦食品医薬品化粧品法(FDAAct) の中で、乳脂肪分とか無脂乳固形分に関するこ とまで記載されております。カナダであれば、食品及び医薬品法、カナダ農産物法、そ れぞれの法律に書かれています。EUであれば、上段の、生乳・加熱処理乳・乳製品の 製造及び販売にかかる衛生規定を制定する閣僚理事会指令、下側の、飲用乳のための乳 及び乳製品の共通市場化についての追加規定に関する閣僚理事会規則というものに記載 がされております。オーストラリア、ニュージランドもそれぞれ規定がされておりま す。ただ、これが衛生上の法規によるものかどうかは、それぞれ法律の目的が違うもの があります。  国際基準コーデックスには、生乳、牛乳等の成分規格に関する規定はございません。 言葉に関する定義はございますが、規格に関する成分規格はございません。  資料5に参りまして、平成13年度の衛生行政報告例ということで、厚生労働省の大臣 官房統計情報部が毎年とりまとめている、都道府県ごとの収去検査違反事例になりま す。この中で、左側半分が生乳、右側が牛乳になります。無脂乳固形分、乳脂肪分、比 重の不適格の例として、網かけをしているものがございますが、無脂乳固形分で、1件 で1県。乳脂肪分は3件となっていますが、同一食品で3検体とったということで3件 になっています。比重では1件、いずれも各自治体に確認したところ、製造工程上で押 水がございますが、そういった水の混入が原因ではないかと考えられているということ でございます。  次のページは、政令市等の指定都市であります。  28ページが、部分脱脂乳、加工乳、  29ページは政令指定都市になります。  30ページ目の右側に、「その他の乳」ということで、乳脂肪が1件ございますが、こ れは低温殺菌をしている特別牛乳です。事情等を確認しますと、時期的に搾り始めの時 期で、乳脂肪分が規定に合わなかったのではないかということが想定されるそうです。  最後に参考資料として、社団法人日本乳業協会さんから要請書をいただいております が、部会開催に伴って、このような要請書も提出されているということでございます。  以上でございます。 ○熊谷部会長  どうもありがとうございました。  ただいまの御説明に対して、御質問あるいは御意見がありますか。 ○丸山委員  細かいことで申し訳ないのですが、7ページを御説明いただいたときに、比重につい ては、計算上こうなるというお話でしたが、これは実測値ではないのですか。 ○事務局  この比重は計算値です。前の表の一番最後のところに注釈を付けさせていただきまし たが、比重については、参考として計算値を掲載しております。 ○丸山委員  私はあまり詳しくないのですが、比重というのは、比重計を使ってやっているという ことは、今はないのでしょうか。 ○事務局  参考資料の乳業協会さんからは、生乳の比重につきましては、原料の衛生的水準を判 断するにおいても重要な項目であり、受入れ時に生乳の原料としての適否を判断するた めに使用しているということですが、私どもが最初に調べた限りでは、比重の実測値を 見つけられませんでした。例えば、乳用牛群検定成績などでは比重は測定していないと いうお話でした。その実測値はデータがありませんでした。 ○丸山委員  実際に比重を計測するということはやっていないんですか。 ○事務局  ただ、乳の受け入れの際には、その目安として測定しているようですけれども、今日 はちょっと間に合わなかったというのが実情です。 ○丸山委員  わかりました。 ○熊谷部会長  ほかにございますか。  諮問の背景として、乳の乳脂肪分の規定が必ずしもその必要性が認められなくなって きたということがありますけれども、資料の16ページの図ですが、これは乳脂率3%未 満のものが、頭数としては小さいけれども、存在することはするという読み方でいいで すか。  それから、無脂固形分率も8%未満が、頭数としては少ないけれども、あるという見 方でいいですね。 ○事務局  確かに、3.0%未満とか 8.0%未満というのは、わずかなパーセントで存在するので すけれども、それが必ずしも、そのパーセントを下回るからといって衛生的に問題があ るかと言われますと、そこは、飼料、季節、気温、採取方法など、いろいろな要因が働 いて若干、データ的にわずかな割合で出てきております。 ○熊谷部会長  そうしますと、例えば今までは3%以上にしていましたけれども、2.5%以上にする とか、国際的な基準とはかけ離れてしまうかもしれないけど、そういうことは考えがた いということですかね。 ○事務局  健康な牛かどうかという判断として、乳脂肪分と無脂固形分でそれを確実に判断でき るかというと、それはなかなか言えない部分が出てきているのではないかと思います。 ○熊谷部会長  ちょっと漠としたお話をしたいのですけれども、肉もそうですが、家畜家禽由来のも のの安全性は、もちろん科学的にわかっている部分もありますけれども、実はわからな い部分も当然あるわけです。しかし、家畜家禽が健康であることは、安全性と健康は ぴったり重なりはしないのですが、健康であるものは、かなりの部分の安全性がカバー されているということもあると思います。ですから、病畜を排除したいということが食 品衛生法にありますけれども、それはそういう考え方が1つあると思います。ですか ら、乳の場合、それをどう考えるかということになると思いますが。  具体的なデータを離れてしまった話をしてしまったのですが、いかがでしょうか。 ○清水委員  そもそも諮問の背景で、必要性が認められなくなってきたから見直しを行うという意 味は、今の数値が現状に合わないからと理解していたのですけれども、そういうわけで はないのでしょうか。要するに、乳脂肪3%というのは、今の乳質から考えると、一般 的には低くて、もっと高くすべきであるということで見直しをしろと理解してよろしい のでしょうか。 ○中垣基準課長  今回御諮問をさせていただいて御議論をお願いしているのは、食品衛生法に基づく規 制を行っているわけでございますから、ある一定の基準、例えば3でも 3.5でも 2.5で もよろしいのですけれども、それが牛乳の衛生を守るために必要だという論拠があれば ぜひ教えていただきたいし、その数字をお決め願いたいと考えております。  衛生の問題ではなくて、これが消費者の牛乳の選択であるとか、そういう問題である とすれば、それは食品衛生法の外の問題であって、実態的に乳脂肪分コンマ1%につい てはいくらとかいう取引もなされていると聞いておりますし、それは食品衛生法が、い わゆる強制規制として立ち入るような分野でもないだろうと。いま一度、現状の科学的 知識・知見に則って、必要なのか、必要だとすれば幾らなのか、必要ではないのか、御 議論願えればと考えております。 ○熊谷部会長  いかがでしょうか。 ○塩見委員  課長さんのお話だと、食品衛生法からいくと、こういう成分のことに関しては必ずし も必要ではないと言われるわけですね。ただ、これはもともとは食品衛生法に基づいて 規格基準が決められたものであって、そのときには、食品衛生の観点からどういう経過 でこういうものが決められていったのか、その背景を私たちはわからないので、急に、 現状に合わないからと言われても、何となく違和感を感じるところがあるわけです。 ○中垣基準課長  御理解いただきたいのは、私が要らないと言っているわけではなくて、食品衛生法の 本旨に則るとそういう意見があって、それは至極御正当な意見であると。要するに、食 品衛生上必要か、必要ではないかという御議論を賜らなければいけないという問題でご ざいます。  また、いつ設定されたかについては、今、データがあれば御報告します。 ○事務局  この乳等省令が制定されたのは昭和26年で、当時からこの規定はございます。もっと さかのぼりますと、別のところでの規制上で、明治時代からこのような規制は、どこか しらの役所でとられていたという状況です。それを引き続いて乳等省令で受けた形に なっているのではないだろうかと思います。推測ではございますが、栄養的な面も含め て、当時はいろいろと規定する必要があったのではないかと推定しております。 ○山本委員  この乳脂肪分とか無脂乳固形分が何%かという議論は別にして、それをなぜその中に 入っているのかということを考えてみますと、やはり動物が健康かどうかの指標の1つ になっていたのではないか。ちゃんとした乳が出るかどうか。それが、3%で切ってあ るのか、3.25%で切ってあるのかということは、その辺がその時々の実情といいます か、それがあったのかもしれません。ただ、それがあることによって、逆に農家の方 は、それを努力目標として、健康な牛をつくって、乳脂肪分を確保するようなことを やってきたということで、現状は、それがあたかもこれを超えるような状況で推移して いるということになっているのではないかと考えております。  ただ、比重の方は、それを測定することは非常に簡単ですので、規定にとっていない 国も多々あります。簡単であるので、日本では、計測しやすいということでそれが入っ ているということもあるでしょうし、もう1つは、これは食品衛生と絡んでくるのかど うか、例えば水の混入という問題であれば、それがちゃんとした水を使ってもらってい ればいいのですが、どういう水を使っているかという問題にも波及するということがあ ります。やはり、比重をとるか、無脂乳固形分とかそういうもので担保するのか、それ はわかりませんけれども、どちらかは最低限残さなければいけないだろうと思います し、実働を考えると、比重計で測定することは非常に簡単ですので、そちらも基準とし て残っていても別段問題はないと考えてはいます。  ですから、改正の意図として、衛生と関係ないかどうかという問題もあるでしょうけ れども、人の健康という点を考えたものも食品衛生法の中に入ってくるとしたら、それ はあくまでも残しても構わない問題ではないか。それから、衛生と全く関係ないのかと いうと、そうではないでしょうし、人の健康のためにということで何かあるのであれ ば、この食品衛生法がそこの意図をもってその目的の中に入っているのであれば、残し てもいいと考えます。だから、両面あるのではないかと思います。 ○熊谷部会長  乳質低下を招くというのは、恐らく、消耗性の疾患のときには、その中には人畜共通 の感染症もありましょうし、いろいろな要因があるだろうと思います。それを簡単に見 るという点では便利なインジケーターではあります。ただ、非常に大きな部分をカバー するのは、確かに品質の部分であることは間違いないと思いますけれども、安全性の部 分も無視できないという御意見ですね。 ○山本委員  はい。 ○中垣基準課長  先生、教えていただきたいのですけれども、牛の健康あるいは非健康という手法だと すると、今、規定がかかっている乳脂肪分・無脂乳固形分は牛乳にかかっていまして、 個別の牛にかかっているわけではなくて、何十頭なら何十頭とまとめたものにかかって くるものですから、そこで必要かどうかを御議論願わないと、恐らく、牛舎に30頭いる とすると、その中の1頭が消耗性疾患にかかっていても、そこから出てきた牛乳全体と しては、全くそういった指標にならないでしょうし。そういった議論を賜ればありがた いと思っております。  また、水で薄めるという話がありましたが、言語道断でございますし、乳等省令上で 申し上げますと、他物混入禁止という別の規定がございますから、それは別の規定で当 然のことながら規制はやっております。 ○熊谷部会長  これは生乳にはかからない規定ですか。 ○事務局  生乳は比重のみです。 ○熊谷部会長  そうすると、比重は、今言われたルールに引っかかるわけですね。 ○事務局  5ページに、ちょうど見やすく、今回の改正案として出しておりますところがこの網 かけの部分で、生乳、生山羊乳、牛乳、特別牛乳、殺菌山羊乳ということで、乳脂肪 分、無脂乳固形分、比重ということで、この○印がついている部分が規定がある部分で ございます。 ○丸山委員  私も、なぜこれが無調整の3つの項目だけを、今、衛生上の必要性が認められないか らこれを削除してもいいのではないかということが、なぜそうなのかよくわからないで す。衛生ということから言えば、確かに、先ほどからお話がある、動物の健康というこ とではかかわってくるのですけれども、直接には、衛生と乳脂肪分とか無脂乳固形分と はそうかかわらないと思います。  そうすると、この乳等省令は衛生のことだけを言っている省令ではなく、トータルと して牛乳の安全性とか品質とかを考える。言ってみれば、これはちょっと変な法律です よね。僕もこれは変な法律だなと思っていたけど、これがトータルにあるから、この乳 等省令は特徴があるし、品質確保とか何とかいうことで、誠に別の見方からすれば、い い法律だなという感じがします。なぜここのところだけを、衛生上の必要が認められな いからという理由でここだけを見直しをするのか、その根拠がどうもよくわからない。  衛生上のことを言うのであれば、細菌数を見直した方がかえっていいのではないか。 細菌数からいくと、今、牛乳の5万以下というのも、5万に外れてしまうような牛乳な んてないですよね。そういうところで、逆に、規制になってしまうかもしれませんけれ ども、衛生のことをちゃんとして、この乳等省令はそこだけをちゃんとしていこうとい うことであれば、細菌数とか総菌数とかいうところを規制した、あるいは、それを見直 してもいいのではないか。この3つのところだけを見直そうということが、どうもよく わからない。この背景の説明だけではわからないです。 ○中垣課長  丸山委員が御指摘のとおりで、細菌数、生菌数、大腸菌、製造基準、このあたりの牛 乳を取り巻く規制と申しますか、規定が十分なのかどうか、実は見直そうと考えており ます。ただ、それには一定の時間がかかりますから、その点は研究班を組んで、ある程 度の素案をつくって、また部会等に御相談をしようと考えております。  一方、我々が考えておりますのは、この規制を見てみますと、細菌数であるとか、酸 度であるとかであれば、これは食品衛生上必要であることは当たり前の概念として言え るわけでございますが、では、ここにある乳脂肪分、無脂乳固形分などというものは、 一体何のためにあるのだろうと。先生が今御発言いただいたように、乳等省令が食品衛 生法を超えてユニークな存在としてあるということを言えればよろしいのですが、法律 的にはあくまでも食品衛生法の下にある規定ですから、その点で、我々は先生方のお知 恵を拝借しようということで御議論願っております。  牛乳の、5万ということをおっしゃいましたけれども、そういった規定についても、 実は見直すべく研究班をつくって議論しようと考えております。 ○丸山委員  ですから、乳等省令を全部見直していこうと、あるいは食品衛生法の改正とか、基本 法の制定とかいうところにかかわるのかもしれませんけれども、もし、そういう延長上 にあるのであれば、ほかのところもやらなければいけないのだろうと思います。これだ けを取り上げてやるということが、今、それだけの必要性があるのかどうかというこ と。  先ほど事務局から、全国のデータを見せていただいたけど、これは乳等省令があるか らこういうものを守ろうとしてやってきているのであって、こういうものがなくなって しまって、仮に、この3項目を取ってしまったらどうなるのかということもあるのでは ないかということを強く感じるわけです。 ○清水委員  私も、衛生という点はよくわかるのですけれども、私の今までの理解だと、やはり乳 脂肪分、無脂乳固形分というものは、衛生というよりは食品としての価値あるいは栄養 という観点から、これをより高いものにしていこうという努力で向上してきたものだと 思っております。これをもって、ここから衛生状況を評価しようとすることはちょっと ギャップが大きすぎて無理があるかなという気がします。  確かに、健康状態が悪い牛からは、こういう成分の少ないものが出てくるわけですけ れども、それは、単なるそういう結果であって、こちらから衛生状態を評価することは やはり無理だと思います。それから、先ほど言われたように、実際には、これはそれぞ れの個乳として扱うわけではなくて、ある程度集乳してバルクで扱っていくと、この辺 の値は現時点ではかなり高いものになってしまうので、ここから個々の衛生状態を評価 するということは、少し論理的ではないかなという気がいたします。 ○熊谷部会長  安全性の面からいきますと、むしろ、乳脂肪分も比率によって殺菌条件が変わってく るおそれがあることが1つあります。ですから、あまり乳脂肪の濃度に差があります と、今の殺菌条件でいけるかどうかということは、もう一度調べないと具合が悪いなと いう気がしています。  その部分は安全性にかかわるかなという気がしますが、だったら、それも今、ラボの 試験管内の、脂肪を入れた場合、入れない場合という基礎的な実験から推し量っての話 ですので、本当に牛乳で、この範囲内で、つまり実際にあり得る乳脂肪分の量の範囲内 でそういう変動がどの程度起こるのかということは、実際に調べてみないとわからない のですけれども、丸山先生が言われた、細菌数に加え、もし検討をするとすると、そう いう部分もあるのかなと。  ですから、今、3%以上となっていますけれども、本当は何%から何%とあった方 が、殺菌条件はクリアしやすいだろうなという気がします。それも原料の段階になのか な。ちょっとよくわからないです。  ほかにありますか。  いろいろ御意見をいただいて、これらは大部分、衛生じゃないだろうということと、 やはり衛生的な部分の基本になる部分という認識です。  乳業協会からの要請についての文書、参考資料を見ますと、衛生と品質を切り離すこ とは難しいというお考えで、特に生乳の比重については、原料の衛生的水準を判断する ことに重要な項目であるというお考えですけれども、これらのバックデータが、今日、 事務局が用意していただいた限りでは、乳業技術辞典という辞典の部分が大きなバック データになるのでしょうかね。  これは、あまり急ぐ問題ではないように思われます。つまり、本日は時間が押してき て、いろいろ御意見がある中で、今日中に決めることは結構難しいと思います。これは まだ時間が許されますか。 ○中垣基準課長  確かに部会長がおっしゃるとおりでございますし、今、部会長におまとめいただきま したように、乳業協会も要望書を出しておりますので、ぜひサイエンティフィックな バックグラウンドデータが欲しいと思いますし、先生方からも今いろいろな御意見をい ただいたわけで、本日が初めての御議論でございますから、準備もあれでございましょ うし、ぜひ、バックグラウンドデータが見つかれば事務局にも送っていただいて、次回 の資料にさせていただきたいと思います。次回、また御議論を賜るということにさせて いただければと思います。 ○熊谷部会長  それでは、次回さらに議論をということで、もしあったら、事務局でさらにデータを 集めていただけるとありがたいのですが。 ○中垣基準課長  事務局としても努力させていだきますし、先生方にも御協力願えればありがたいと思 います。 ○熊谷部会長  それでは、ほかに特段の御意見がございませんようでしたら、審議はこれで一応終わ らせていただきます。  事務局からほかに何かございますか。 ○事務局  特にございませんが、次回の部会までにいろいろこちらでも資料を調べまして、日程 についてはまた改めて調整させていただきます。 ○熊谷部会長  それでは、以上でこの部会を終了させていただきます。  どうもありがとうございました。 (閉会) 照会先 :医薬局食品保健部基準課 電話  :03−5253−1111(内線2488、2489)