03/02/26 薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会 平成15年2月26日議事録       薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録 1.日時及び場所   平成15年2月26日(水) 11:15〜   航空会館701〜703会議室 2.出席委員(11名)    池 田 研 二、 小 野 哲 章、 鎌 倉 史 郎、 許   俊  鋭、   ◎桜 井 靖 久、 澤     充、 菅 谷   忍、 土 屋 利 江、   ○中 原 一 彦、 仁 田 新 一、 山 口 照 英 (注) ◎部会長 ○部会長代理    他 参考人2名   欠席委員(4名)    岡 部 信 彦、 富 田 基 郎、 橋 本 信 夫、 村 田   啓 3.行政機関出席者   鶴 田 康 則(大臣官房審議官)、 安 倍 道 治(審査管理課長)、   北 條 泰 輔(医療機器審査管理官)、    豊  島   聰(医薬品医療機器審査センター長) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○医療機器審査管理官 それでは医療機器・体外診断薬部会の方の審議に入らせていた だきます。なお、当部会終了後に引き続き医療材料部会の方の開催を予定している関係 で、医療材料部会の委員の先生方におきましては、参考人として御参加いただくという ことにさせていただきたいと思います。それでは桜井先生、以後の進行をよろしくお願 いいたします。 ○桜井部会長 それでは最初に資料の確認と、それから資料作成に関与された先生がい らっしゃったらお名前を御紹介いただきたいと思います。 ○事務局 それでは資料の確認でございますが、先ほどお伝えしましたけれども、配付 資料の目録に従って確認させていただきたいと思います。2の医療機器・体外診断薬の 部会と書いてあるところですが、資料4〜7でございます。資料4といたしまして「医 療用具メドトロニック InSync 8040及び医療用具アテインリードの輸入承認の可否及び 再審査期間の指定について」、それから資料5-1といたしまして「医療用具ベンタック プ リズム 2DR(他1販売名)の輸入承認の可否及び再審査期間の指定について」、それか ら資料5-2といたしまして「医療用具プリズム 2DR(他1販売名)の輸入承認の可否及 び再審査期間の指定について」、これが事前にお送りした資料でございます。本日この 資料をお持ちになっていない先生におかれましては少し余部がございますので、お申し 出いただければと思います。それから本日の配付資料でございますけれども、資料6と いたしまして「医療機器・体外診断薬部会報告品目一覧」と、資料7といたしまして「平 成13年9月から平成15年1月までに確認、制定、改正又は廃止された医療用具関係J IS(日本工業規格)について」という資料をお届けしております。それから、この後パ ワーポイントで御説明させていただきますけれども、その関係の打ち出した印刷資料を 席上に配付しております。以上でございます。なお、資料作成に関与された委員はいま せんので、その旨御報告させていただきます。 ○桜井部会長 ありがとうございました。それでは本日の議題は、審議事項がメドトロ ニックとベンタックプリズムの二つございます。それから報告事項が二件ございます。 では最初に審議事項の議題1でございますが、これは審査センターから御報告をお願い いたします。 ○事務局 それでは事務局より、お手元の送付した資料4の中の審査報告書の内容に沿 って、本日後ろにスライドを用意しておりますので、それで御説明させていただきます。  審査センターにおける審査では、ここに掲げさせていただいたように内山委員、小野 委員、笠貫委員、鎌倉委員、川田委員、北畠委員、永井委員、中谷委員の8名の専門委 員の先生方に御意見を頂きました。  製品の外観でございます。本日サンプルをお回しいたしますので、御覧いただければ と思います。通常のペースメーカに類似していますが、コネクター部が三つになってお ります。本品は通常のペースメーカと同様に皮下に埋め込みまして、三つのコネクター に三本のリードを接続します。うち二本のリードは通常のペースメーカと同様でござい まして、ピンク色といいますか、紫色で書かれている右心房及び右心室に入ります。三 本目の今回申請があったアテインリードを水色の方へ回して左心室の静脈に留置いたし ます。左右の両心室を同期して電気刺激を与えることによりまして血行動態を改善し、 重症心不全患者の病状の改善を図るというもので、重症心不全患者に対する新しい電気 生理学的な治療を行う専用の機器でございます。  本品は既に欧米で承認されております。米国では2001年承認でございますので、それ 以降□台が使用され、全体では□台が使用されております。  規格及び試験方法につきましてはここに掲げさせていただきましたが、それぞれに各 種の試験が設定されておりまして、これらについて適合することが確認されています。  安全性につきましては、電気的安全性について基準に従った漏れ電流試験が実施され ております。また生物学的安全性につきましては、今回の申請品はいずれも既承認品の 原材料と同一でございまして、生物学的な安全性試験のガイドラインに従った試験は省 略されております。  電磁干渉に対する安全性でございますが、実質的な国際基準であるprENの基準等 に基づきまして試験が実施されておりまして、それが評価されました。また、我が国で の携帯電話、盗難防止装置、それから最近国内でも事例の報告された電磁調理器などの 実際の電磁環境での影響評価について情報提供を指示しましたところ、携帯電話につき ましては国内全種類の実機で試験が行われた結果が提出されました。また、盗難防止装 置につきましては、今後統一的なプロトコールで試験を実施する予定ということで報告 がございました。それから電磁調理器につきましては、まだ統一的なプロトコールがで きておりませんが、独自の試験法による試験結果が提出されまして、また今後統一的プ ロトコールができた暁にはそれに従い実施するということで報告がございましたので、 国際的な基準に適合していることもあり、これを了承いたしました。  次に性能についてでございますが、電気的性能及び機械的性能につきまして、それぞ れ心臓ペースメーカ基準に適合することが確認されております。  それでは臨床試験の内容について御報告させていただきます。本品についての臨床試 験といたしましては米国、カナダの45施設で行われた多施設無作為化二重盲検比較対照 試験が提出されております。579例に植え込みが試行されまして、成功例536例のうち 532例について無作為化が行われ、InSyncのシステムをonにする治療群と、植え込み はいたしましたがInSyncシステムをoffにする対照群を設け、6か月間の無作為化期 間の観察を行いました。  臨床試験の安全性及び有効性に関する主要評価項目はこのとおりでございまして、そ れぞれについて引き続き御報告させていただきます。まず安全性に関する評価項目でご ざいます。植え込みの成功率でございますが、579例のうち536例に成功、92.5%とい うことで目標値80%をクリアしております。それから無作為化期間中の重大な有害事象 としての合併症でございますが、InSyncシステム全体で55症例に74件認められまして、 6か月後のカプランマイヤー推定値としては合併症なしの患者の確率が89.0%で、目標 値70%を上回っておりました。それから今回左心室の静脈に留置される新しいアテイン リードでございますが、この閾値について確認がされておりまして、平均双極閾値が2.22 ボルトでこれも3ボルト以下という目標値をクリアしていました。6か月後の生存率で ございますが、カプランマイヤー推定値で治療群94.3%、対照群91.8%で有意差は認め られませんでした。死亡例につきましては、二つの独立した評価委員会でそれぞれ詳細 に評価を行っておりまして、いずれの死亡例につきましても植え込まれた製品に関連し たものではないと評価されています。  ちょっと見にくくて恐縮ですが、ただいま御報告した植え込み後6か月間の重大な有 害事象である合併症の一覧でございます。一番上に掲げたアテインリードの関連の合併 症が大半で、リード移動が23件、高閾値が17件でございます。  次に、アテインリード植え込みの際の有害事象でございます。積極的な治療が必要で あった合併症を左側のカラムに、それからその他の要経過観察例を右のカラムにまとめ ております。ちょっと見にくくて恐縮ですけれども、これら合併症と要経過観察を合計 いたしますと、アテインリードの留置手技中に冠静脈洞解離が22件、冠静脈穿孔が11 件、冠静脈洞穿孔が1件、心嚢膜液滲出が4件報告されております。  続いて有効性についての主要評価項目ですが、まずNYHAの分類の推移でございま す。今回の治験はNYHAの3及び4の重篤な心不全患者に対して行われておりまして、 無作為化時点では両群ともクラス3でございましたが、治療群では3か月時及び6か月 時でクラス2に下がっており、有意な改善が認められています。  次にQOLですが、ミネソタ心不全QOL調査票のスコアによりまして両群で改善を 見せておりますが、治療群ではその改善に有意な差が認められました。  最後に6分間歩行についてでございますが、治療群におきまして有意に長い延長が認 められました。  続いて臨床試験での問題点について御説明いたします。まず海外臨床試験データの日 本人への適応の外挿性につきまして、特に問題と考えられたのは冠静脈の径に人種差が あるのではないかということで、日本人におきましては冠静脈がより細い可能性がある ことから、冠静脈の閉塞のおそれについて否定できないのではないかと。これについて 検討いたしましたが、冠動脈、冠静脈径では代償性の血管の発達がよく知られているこ となどから大きな影響はないと考え、専門協議の結果も踏まえまして審査センターとし てはこれを了承し、今回提出された海外での臨床試験データをもって評価を行ったもの でございます。ただし、冠静脈への植え込みには冠静脈造影を行うことを求めることと いたしました。  それから、今回初めて左心室静脈へのリードとしてアテインリードの申請があったも のでございますが、臨床試験では二種類のアテインリードが使われております。2187型 と2188型で、2187型は先端がより細く先の方の冠静脈用の単極リード、2188型は冠静 脈洞用の双極リードでございます。2188型は2187型の冠静脈用のリードがうまく留置 でいかなかった場合に、冠静脈洞用に設計されたものでございましたが、実際の臨床試 験では2188型の使用例が少なく、また2188型は冠静脈洞への留置というよりも冠静脈 へ留置された例がほとんどで、2188型の十分な評価ができないのではないかということ から申請者に見解を求めました。しかし、症例数が少ないこともあり、また冠静脈洞用 としての評価もできなかったことから、今回の申請は2187型の細い単極リードだけを対 象とするということで、それを了承いたしました。  それから左心室リードの閾値についての評価でございます。通常の心臓ペースメーカ リードは心室又は心房内に留置されて心筋を直接刺激することになりますが、今回の冠 静脈に留意されるアテインリードは冠静脈内、血管壁を通しまして心臓を刺激するとい うことになりますので、その閾値がどうなるかということが問題とされまして、閾値の 変動について確認をしたところ、このグラフのとおりほぼ3ボルト以下で推移すること が確認され、これを了承いたしました。  それから有効性と対象についてでございます。本品は重症心不全としては初めての電 気生理学的な治療法となるものでございまして、本臨床試験では6か月間の短期の病状 の改善につきましては、先ほど御覧いただいたように明らかな効果が認められました。 しかし、6か月までのデータしかありませんで、最終的な予後については評価されてい ないということから、本品の適応患者は慎重に限定すべきであるというのが、専門協議 での大きな御議論でございました。このため、適応患者を重症心不全患者に限ること、 それから薬物療法から人工補助心臓による循環補助又は最終的な心移植に至る重症心不 全の医療体系全体の中で、本品を適切に位置付けて使用できる施設に限ることが重要で あると御意見を頂きました。また、本品の効果を期待するためにはアテインリードが適 切に留置されることが極めて重要でございまして、術中に血行動態の改善を確認できた 患者に対して本品を使用するということを求めるとし、次のスライドにありますように、 この四点につきまして添付文書の「警告」欄に記載することといたしました。  以上の審査の結果、使用目的を御覧いただきますとおり、十分な薬物療法にもかかわ らず改善の見られないQRS幅130ms以上及び左室駆出率35%以下を伴う重症心不全患 者に対して、病状の改善をもたらすということを目的として、審査センターとしては承 認して差し支えないと判断いたしました。なお、本品は重症心不全治療に対する全く新 しい電気生理学的な治療法の専用機器でございまして、新構造医療用具に該当すると考 え、再審査期間は4年、その間全症例につきまして6か月ごとに18か月以上のフォロー アップを行うことが適当であると考えております。  審査報告書の御報告は以上でございますが、事前に澤先生、勝呂先生、橋本久邦先生 から御質問を頂いている事項につきまして、併せて御回答させていただきたいと思いま す。  まず澤先生から、臨床試験において無作為化期間が最終的に6か月の評価でございま すが、当初プロトコールが3か月で始まっておりまして、途中で3か月から6か月に変 更されていますが、その点について御質問がありました。これは心不全の治療薬の治験 デザインが6か月で行われていることを踏まえて、途中でFDAとの協議の結果も併せ、 変更されたものということでございます。  それから同じく澤先生から、アテインリードがJ型成形のリードでございますが、過 去にJ型ペースメーカリードで心筋損傷等の事故が起こっていますので、その可能性に ついて構造上問題がないのか御指摘を頂いております。J型リードで問題を起こしまし たのは、テレクトロニクス社製のアキュフィックスJリードというものでございます。 このアキュフィックスリードには、J型の形を保持するためにJ型部分にJ型のワイヤ ーを埋め込んでおりまして、そのワイヤーが長期にわたる拍動の影響で断線を起こすと、 それが心筋に刺さるという事故が起こって問題になったわけでございます。本品につい てはリード材質全体をJ型成形したもので、内部にワイヤーを有していないからそのよ うな問題は起こらないということと、同一構造のJ型成形のワイヤーのないリードにつ いては、既に同メドトロニック社製のペースメーカリードで使用されておりまして、同 様の心筋損傷は起こらないと考えています。  それから同じく澤先生から、ジアテルミーなどの問題について昨年末FDAから通知 が出ておりまして、患者が医療機関において申し出るよう、十分な情報提供をしていた だきたいという御意見を頂いています。ジアテルミーにつきましては本品使用患者には 実施しないよう、使用上の注意の併用禁忌として記載させていただいておりますととも に、重要な基本的注意のところで患者への指導事項といたしまして、医療を受ける際に はもちろんペースメーカを植え込んでいるということを医師に伝えるとともに、ペース メーカ手帳を携行すること、植え込みの際医師から患者に対して種々の情報提供をして 注意喚起を求めることとしてございます。  同じく澤先生から、臨床試験の対照群と治療群で死亡例数に有意差がないが、これに ついては症例の病態又は原疾患の重症度のみに依存するものなのかということでござい ます。先ほど御報告いたしましたように、報告された各死亡例については医師による独 立の二つの委員会で詳細に検討されまして、いずれも本品との関連はないと評価されて おります。対照群、治療群共に心臓突然死、それから進行性心不全で死亡された方がほ とんどでございまして、これらの死亡の発生状況について、一般の心不全患者における 大規模調査の結果との比較も行いましたが、重症心不全という病態、またその重症度に よる死亡ではないかと考えております。  続いて勝呂先生から、本品の市販後の不具合として21例の報告のうち17例が感染に 関連するものであったということで、他のペースメーカの感染の報告率と比較してどう かという御指摘がございました。同メドトロニック社製ペースメーカでの出荷後の感染 の報告率と比較しておりまして、出荷数に対する企業への報告数の割合で見たものでご ざいますが、本品では約0.1%ですけれども、これまでの他のメドトロニック社製ペー スメーカでの感染率は、セラシリーズで0.12%、カッターシリーズで0.1%と差はあり ませんでした。  それから、橋本久邦先生から本品の不具合につきまして、特にアテインリードの位置 の問題による高閾値、それからペーシング不全が多く報告されているが、これについて 不具合の起こる要因、それから不具合が起こった場合に患者が自覚できるか、又は患者 はどのように対処すればいいか、又はこの不具合の発現に際しては日本人の体格が影響 しないのかということについて、御指摘を頂いております。  問題の左心室に入れるアテインリードでございますが、静脈内に血管に沿ってリード を入れますので、これまでのペースメーカのように心筋を直接刺激しないということと、 心筋に直接接触しているわけではないといいますか、血管に並行してリードの電極の先 が向いておりますので、電極全体が心筋に接しないということもありまして、心筋に対 する閾値がどうしても高くなることが考えられます。そのために、このような高閾値な りペーシング不全が起こってきているということだと考えております。  このペーシング不全が起こった場合には、一拍目に直ちに自覚症状が出るということ はございませんが、徐々に心不全状態が悪化していくことは予想されまして、早ければ 数日で息切れ等の症例が現れてくることも考えられます。患者に対してはもちろんその ような症状が現れた場合には、原因のいかんによらず医院に来院するよう指導を徹底す ることとしておりまして、そのような対応をしたいと思います。  それから日本人の体格の影響につきましては、この閾値の問題は冠静脈内の電極の部 位と心筋との接触状態によるもので、一人一人の患者さんの静脈内にどのように留置さ れたかということが最も多く影響するファクターでございますので、恐らく体格の影響 はほとんどないのではないかと考えております。  それから最後に橋本久邦先生から御指摘頂いておりますが、重症心不全患者のうちの どの程度が本品の適応対象となると考えられるのかということでございます。本品の対 象はNYHAの3以上の重篤な心不全患者でございまして、さらに先ほど御覧いただい たようにQRS幅等の条件が付いております。正確な統計的な数字はございませんが、 単純に考えると恐らく4,000人ぐらいがこの適応の対象に当たるのではないだろうかと いうふうに、非常に大ざっぱな予想をしております。恐らく米国での使用状況等を勘案 いたしますと、事務局としては当初日本では多くても500人くらいが使用対象となるの ではないかと推定をしております。以上でございます。御審議をよろしくお願いいたし ます。 ○桜井部会長 どうもありがとうございました。御質問の先生方はよろしゅうございま すか。それでは専門協議委員として小野先生、鎌倉先生、北畠先生が御参加になってお りますが、何か追加のコメントあるいは御意見がございましたらお願いいたします。 ○小野委員 特別にはございませんけれども、私は今まで電気的、機械的なところは見 させていただきました。日本にはペースメーカ基準があるわけですけれども、一部はメ ドトロニックの自社基準でされております。その自社基準がペースメーカ基準と同等、 若しくはそれより厳しいということは確認しております。以上です。 ○桜井部会長 ありがとうございました。鎌倉先生、どうぞ。 ○鎌倉委員 通常、ペースメーカは徐脈、すなわち脈の遅い人に対してその脈拍を補う ものなのですが、このInsyncペースメーカは心機能を改善するという特殊な目的を持つ ペースメーカと言えます。心不全の患者さんに対しては、当初は経口薬ないしは注射薬 で治療しますが、だんだん心機能が落ちてくると薬が効かなくなってきます。その場合 弁膜症や虚血性心疾患例では、冠動脈バイパス術や人工弁の置換術を行いますが、さら に末期の心不全になってくると治療法が限られてきて、あとは補助人工心臓とか心臓移 植ということになるのですね。ところが御存じのように、心臓移植はなかなかドナーが 現れません。また、60歳以上の方でこのような重症の心不全になると、年齢の点でそう いう新しい治療法の適応外となりますので、あとは点滴をつながれたままずっと入院し ている、ないしは死を待つという状況になってしまうわけです。そういう状況を打破す るために、両室ペーシングないしは左室ペーシングという方法が新たに開発されたわけ です。  当初は、通常のペースメーカを用いて両室ペーシングを行っていたのです。ところが これまでのペースメーカはそもそも両室ペーシング用に作られておりませんので、特殊 なコネクタを使ったり汎用のペースメーカリードを冠静脈洞に入れる必要があって技術 的に大変難しく、また不具合も出やすかったのです。そこでいわゆる両室ペーシング専 用のシステムとしてこのInSyncが開発され、ほかのメーカーからも同じようなものが出 ているのです。今のところ、このシステムを待ち望んでいる人は非常にたくさんいらっ しゃいます。心不全の治療がどうしても行き詰まったときに、これで何とかその予後を 改善しようとして期待しているわけで、それぞれの施設が心不全の患者さんをリストア ップして、これが承認されればできるだけ早く入れたいと考えているところです。 ○桜井部会長 ありがとうございました。では北畠先生、どうぞ。 ○北畠委員 重症心不全に対して今までにない治療法の一つであるということと、それ から先ほど臨床試験でお示しいただいたように、6か月のターゲットでありますけれど も、非常に予後が良くなっているということが挙げられます。一方で、先ほど御質問に いろいろございましたようにコロナリーサイナスの損傷などという問題がありますが、 この点は原則造影を行ってその部位を確認するということで対応すると。それからあと は、効果があるということは分かっておりますので、今後小さな問題が幾つかございま すけれども、最新の6か月ごとの報告という過程の中で、そういうものの見直しを図っ ていったらいいのではないかと思います。よろしくお願いいたします。 ○桜井部会長 ありがとうございました。仁田先生、どうぞ。 ○仁田委員 大変不勉強で申し訳ないのですが、急性期に植えた場合に例えば心拍出量 が恐らく従来のものよりも増えるのだろうと思うのですけれども、そういうデータがち ょっと漠然としたNYHAの表現でしかないのです。例えば直後に比較することによっ て上がったものはそのまま入れるとか、あるいは直後で余り変化がないものは従来の方 法で止めるとか、そういうことの御指導は何かなさったのですか。 ○北畠委員 術中に確認したものという項目を入れておりますので、先生が今おっしゃ ったような御懸念はクリアできていると思います。 ○仁田委員 分かりました。ありがとうございました。 ○桜井部会長 ほかはいかがでしょうか。許先生、何かありますか。 ○許委員 この種の問題に我々心臓外科医が関与するのは、感染を起こして抜去する場 合なのです。普通のペースメーカでも抜去するのに苦労しますけれども、このアテイン リードはその辺の経験はアメリカではいかがでしょうか。 ○鎌倉委員 このシステムではないのですけれども、通常のペースメーカとアテインリ ードを用いて実際の患者さんに植え込み、その後患者さんが亡くなられたケースを経験 しています。剖検時にリードを抜去したのですが、リードは冠静脈洞の中、つまり血管 の中に留置され、心筋に付着しておりませんでしたので簡単に抜去できました。これは 一例だけの経験でして、ほかの症例がどうなのかはよく分かりません。 ○仁田委員 もう一つすみません、まとめてお聞きすればよかったのですが、ずっと慢 性的に埋め込んだときに、その電極がやはり冠静脈の中で固定されて壁と一体化するこ とが大体予想されるわけですけれども、そのためにそこが狭くなって、例えば冠静脈の 解離の障害が起こるという心配はないでしょうか。冠静脈に入るということで、これは どのペースメーカでも同じことですけれども。 ○鎌倉委員 血流が常に保たれているので、割と血栓ができにくいと聞いています。 ○桜井部会長 よろしいでしょうか。北村先生は何かありますか。ほかは特にございま せんか。私はちょっと全然違うことなのですけれども、これは申請年月日が「平成13年 6月29日」となっているのです。これは平成14年…、1年半間隔ぐらいたっているの ですが、それは大体このぐらいが相場ですか。 ○事務局 日数を正確に数えてきませんでしたので、審査期間としてはこのうちのどの ぐらいを使っているか分からないのですけれども、恐らく実質の審査期間はそれほど掛 かっていないのですが、企業の方で資料の整備なりデータの整理にかなり時間を掛けて おりまして、その辺については今後申請者の指導も強化していきたいと考えております。 ○桜井部会長 ほかは何かございますか。もし御意見がなければ、この部会ではこの件 について承認を可とするということでよろしゅうございますでしょうか。ありがとうご ざいました。  それでは議題2、これはICD、ベンタック プリズム 2DRとプリズム 2DRの御 説明を審査センターからお願いいたします。 ○事務局 それでは資料5-1〜5-2につきまして、事務局より御説明させていただきま す。なお、本日御審議いただく申請品目につきましては全く同一製品でございますので、 二品目併せて御説明させていただきます。  審査センターの審査におきましては、スライドにお示ししたように内山委員、小野委 員、笠貫委員、鎌倉委員、北畠委員の5名の専門委員の方々に御意見を頂きました。  本品は心室頻拍と上室性不整脈の鑑別をより確実にし、不適切な除細動治療を減少さ せる機能を有する国内第二番目の第5世代のICDでございます。既承認の第5世代I CDとは、上室性頻脈鑑別機能のアルゴリズムが異なっております。  スライドは本品の外観図をお示ししたものですが、本品は従来のICDを小型、軽量 化したものでございます。本品はICD用リード、徐脈ペーシングのための心房用リー ドとともに、植え込み型除細動器の一般的な植え込み方法の手技に従って体内に埋め込 まれます。本スライドはICDの開発経緯をお示ししたものでございますが、詳細につ きましては時間の都合上省略させていただきます。  本品は既に欧米でも承認・使用されておりまして、諸外国における承認・販売状況は スライドにお示ししたとおりでございます。  規格及び試験方法、性能試験につきましては、電気的安全性試験も含め各種の規格が 設定され、適合することが示されております。電磁干渉に対する安全性につきましては prEN等への適合性が示されておりますが、さらに本邦での携帯電話、盗難防止装置、 電磁調理器による影響評価を要求いたしました。国内での実機による各試験を今後それ ぞれ予定していること、また国際基準に基づく影響評価が行われており、使用上の注意 にもEMIの影響について注意喚起が記載されていることから、これらを了承いたしま した。  臨床試験成績につきましては、本品を用いた39例のオープン試験及び本品と同一の機 能とアルゴリズムを有する本品の前機種であるベンタック プリズム DRを用いた47 例のオープン試験が提出されました。本品臨床試験の有効性評価は、植え込み時又は退 院時における誘発試験時の除細動治療適切性評価、植え込み3か月後までの自然発生エ ピソードについての除細動治療適切性評価、植え込み3か月後までの徐脈センシング/ ペーシング評価、及び退院時までのショック後徐脈センシング/ペーシング評価が行われ ました。安全性評価としましては、植え込み時、退院時の充電時間評価、植え込み3か 月後までの臨床観察所見・合併症評価が行われました。  除細動効率の評価につきましては植え込み時に39例全例に、退院時の25例について、 心室細動/多形性心室頻拍の誘導試験が行われました。131エピソードが本品の治療対象 となり、このうち128エピソードは本品による治療により除細動されましたが、3エピ ソードは体外式除細動器による治療が必要となり、本品の除細動治療効率は97.7%であ りました。自然発生エピソードについては単形性心室頻拍が8例に、心室細動/多形性心 室頻拍が6例に確認されました。これらすべてのエピソードは本品により除細動され、 治療効率は100%でありました。スライドにはお示ししておりませんが、DR臨床試験 における除細動効率につきましてもほぼ同様の評価が行われ、誘発試験時の除細動治療 効率は98.4%、自然発生エピソードに対する除細動治療効率は100%でありました。  本品臨床試験において、経過観察期間中の徐脈センシング/ペーシングの作動状況を、 体表心電図並びに心内電位図により確認いたしました。1か月、3か月の経過観察時に それぞれ1例の不適切作動が確認されましたが、これは心室電位振幅が著しく低値を示 した同一患者で確認されたものであり、この患者を除くすべての症例で適切に作動して いることが確認されました。ショック後徐脈のセンシング/ペーシングの作動状況につき ましても、体表心電図並びに心内電位図より確認しましたが、1例で不適切なショック 後徐脈ペーシングが確認されましたけれども、これは心房不応期が長過ぎたために不応 期内センシングが起きたものであり、一過性のものでございました。  以上のとおり、本品臨床試験において本品の除細動治療効率など、ICDとしての基 本的機能については確認されましたが、第5世代ICDとして特徴的な性能である上室 性頻脈性不整脈鑑別機能の評価は本品では行われておらず、また前機種であるプリズム DRでのデータにおきましても不十分であったことから、本品と同一のSVT鑑別アル ゴリズムを有するベンタック AVのSVT鑑別機能の評価データを評価いたしました。 これらの評価はICDを植え込まず機能評価を行ったAV急性臨床試験と、ICDを実 際に植え込んで評価を行ったAV植え込み臨床試験が提出されました。  AV急性臨床試験におきましては、33例のうち心房細動誘発が可能であった21例の エピソードに対し100%の治療抑制効率が確認されました。また、AV植え込み臨床試 験におきましては、心房細動誘発が可能であった20例に29エピソードが誘発され、26 エピソードにおいて適切に除細動治療の抑制が行われ、治療抑制効率は89.7%でありま した。さらに、心房細動誘発後に心室頻拍、心室細動を誘発し、心房細動を適切に鑑別 して治療抑制を行うとともに、心室頻拍、心室細動が確実に治療されることを確認する 試験も実施いたしました。評価可能であった18例に対し33エピソードが誘発されまし た。それらのすべてのエピソードにおいて心房細動が適切に鑑別されるとともに、心室 頻拍、心室細動に対し適切な除細動治療が行われ、SVT鑑別機能の適切治療率は100 %でありました。  心房リードを追加したことによる除細動治療への影響がないことを確認する目的で、 比較対象として第4世代ICD、ベンタック MINIを用い、心室細動検出時間の評価 を行いました。その結果、統計学的有意差は確認されず、第4世代ICDと比較して除 細動治療の遅延が起こることはないことから、心房リード追加による除細動治療への影 響はないことが確認されました。  本品の安全性についての評価ですが、臨床試験と合併症に分けて報告されております。 まず臨床観察所見は、観察期間中に発現したすべての事象と定義されております。本品 臨床試験の全観察期間において、39例中に44件の臨床観察所見が認められましたが、 これらすべての所見は重篤なものではなく、ICDを使用する際に予期されるものであ り、本品の安全性に問題を示すものではないと評価されました。  次に合併症とは、患者に対する侵襲性のある医療行為を必要とする事象と定義されて おります。本品臨床試験の全観察期間におきましては、11例に14件の合併症が確認さ れましたが、これらすべての所見はICDを使用する際に予期されるものであり、本品 の安全性に特に問題を示すものではないと評価されました。なお、本品臨床試験におい て急性心筋梗塞による死亡例が1例認められましたが、試験担当医師により本品との関 連性はないとされております。  スライドは充電時間評価の結果をお示ししたものでございますが、本品臨床試験の心 室細動誘発試験中に、心室細動を検出してから充電を終了するまでの時間を測定し、除 細動エネルギーの充電時間に対して、小型・軽量化が影響を与えていないかについて評 価いたしました。本品の充電時間は、前機種であるベンタック プリズム DRと同様で あり、小型・軽量化に伴う本品の充電時間の延長は確認されず、心室細動に対する治療 の遅延は起こらないことが確認されました。  本スライドは、各臨床試験で実施した評価項目をまとめてお示ししたものでございま す。除細動効率、徐脈ペーシング機能など、基本的機能については本品臨床試験及びD R臨床試験で評価を行い、第5世代ICDの特徴であるSVT検出強化機能、VF検出 時間評価につきましては、同一のアルゴリズムを有するベンタックAVによる臨床試験 成績で評価を行いました。  以上の各試験の成績より、本品のICD治療に対する有効性並びに安全性が評価され ました。審査センターは使用目的として心臓突然死の危険性の高い症例に対して、心室 性頻拍性不整脈の治療を目的として使用されるとした上で、承認して差し支えないと判 断いたしました。なお、本品は新性能医療用具であり、再審査期間を3年とし、使用成 績調査を行うことが適当であると考えられます。  審査報告は以上でございますが、続いて事前に頂いている御意見について事務局より 御説明させていただきます。まず一番目としましては、勝呂先生より頂いた御指摘です が、ベンタック プリズム 2DR及びプリズム 2DRの臨床試験の症例数の妥当性につ いてでございます。本品臨床試験における評価症例数は39症例と少数ですが、ICDと しての基本的機能の有効性、安全性の評価につきましては、本品と同一の基本アルゴリ ズムを有する第5世代ICD及び第4世代ICDにおいて、総計約200症例で評価され ておりますので、問題はないと考えます。  次に二番目としまして、先ほどのInSyncの場合と同様にジアテルミーに関するFDA の通知への対応について、澤先生より御指摘を頂いております。その対応としましては、 添付文書案に併用禁忌として記載させておりますし、患者には植え込み型除細動器手帳 及びICDペイシェントハンドブックを携帯していただくことにしています。  次に三番目としまして橋本先生より、SVT鑑別機能の評価が示されているが、この 試験では心房細動又は心房細動と心室頻拍、心室細動を誘発させ、満足な結果を得られ ているが、心房粗動、心房性頻拍の場合も同様に鑑別されると考えてよいでしょうかと いう御質問でございます。本品のSVT鑑別機能は心房レートが心房細動レート閾値を 超えているか、また心室レートと心房レートを比較、確認することでSVTを確認する ものでありますので、評価は可能と考えられます。  続いて四番目としまして橋本先生より、ベンタック プリズム 2DRとDRについて、 臨床試験観察所見数が小型の2DRで多いのはどのような理由か、また従来の第4世代 のものと比べてその所見数に違いはあるのかという御質問でございます。2DR、DR いずれも観察された所見は重篤なものではなく、通常ICDに見られる種類のものでご ざいました。ベンタック プリズム 2DRで多く見られた所見は、プログラム関連とリ ード関連でございました。プログラマが新しい機種であったために、ソフトウェア上の 問題が多く発生したことが原因であり、ソフトウェアの改定により解決されております。 一方リード関連についてでございますが、振幅インピーダンス閾値等の推奨値を満たな いことが原因であったことから、本品の添付文書案に振幅インピーダンス閾値等のリー ド植え込み設定推奨値を記載することといたしました。また、第4世代のICDとの臨 床観察所見の比較では、大きな違いはございませんでした。  また橋本先生より、今回DRと小型の2DRが申請されているが、この二つは例えば 体格の違いなどにより使い分けされるのか、小型の方が患者のQOLに対する影響が少 ないように思うけれども、二つの申請が出ている意味は何かという御質問でございます。 御指摘のとおり、小型軽量化された2DRの方が患者のQOLに対する影響が少ないこ とが予想されます。2DRが承認された後はDRの販売予定はなく、申請の取下げを予 定しております。  次に桜井先生からの御指摘ですが、同一製品を日本ガイダント社とインターメディク スジャパン社で申請している理由についてでございますけれども、両社の歴史的な背景 を持った商取引上の契約関係によるものと聞いております。以上でございます。よろし く御審議のほどお願いいたします。 ── 説明途中、北村委員退席 ── ○桜井部会長 ありがとうございました。それではこれも小野先生、鎌倉先生、北畠先 生が専門協議委員として御参加になっていますが、何かございますか。 ○小野委員 ペースメーカ機能もありますのでその試験もございまして、その辺は先ほ どと同じようにクリアしているものです。ただ、取扱説明書の原案がかなり不備でした ので大分コメントを出しまして、その部分が直ってきておりましたので承認して差し支 えないと思いました。 ○桜井部会長 ありがとうございました。 ○鎌倉委員 ICD又は植込み型除細動器は致死性不整脈、例えば心室頻拍とか心室細 動という非常に怖い不整脈を常に監視して、それが起こったときに自動的に止めてくれ る機械と言えます。これまで第4世代のICDが日本ガイダント社とメドトロニック社 から出ており、2年前には第5世代のICDがメドトロニック社から出ているのですが、 第4世代と第5世代の違いは心臓の中にリードが1本入るか、2本入るかということで す。2本入ることによって、心房と心室の両方から頻脈を感知できますので、心房性の 不整脈か心室性の不整脈かを鑑別できます。このため、第5世代では心房性不整脈と心 室性不整脈とを取り違えて作動する誤作動が第4世代に比べ少ないという特長がありま す。  ところが第5世代のICDも、やはり一定の頻度で誤作動が起こり得るのです。今回 申請されているプリズムという機種は、鑑別のアルゴリズムがメドトロニック社のPR ロジックよりも少し改善されていることもあって、上室性不整脈を誤認識する率が少な いと言われています。しかし、先ほどの質問にあったように、特殊な上室性不整脈の場 合はどうしてもまだ鑑別できないところがあって、数パーセントから10%程度の誤作動 は生じるかと思うのです。この次に出てくるバイタリティーという機種が、その誤作動 を完全になくすことができると聞いています。プリズムは現在使用しているメドトロニ ック社のものよりもやや機能がいいということで、私は承認した方がいいと思います。 ○桜井部会長 北畠先生、どうぞ。 ○北畠委員 ただいまの鎌倉先生の御発言ですべて押さえているように思いますので、 私はこれで結構かと思います。 ○桜井部会長 それではただいまの御発言を踏まえて何かございますか。 ○仁田委員 今本体を見せていただいたのですが、これはモルドで作ったところにへこ みがあって、そこを配線して上をシリコンゴムでカバーしているのです。何か非常に薄 くて、いかにもここからリークカレントが流れそうな気がするのですけれども、そうい う報告は余りないのでしょうか。 ○鎌倉委員 今のところは聞いていません。先ほど2DRとDRの差を言われたのです が、DRの方がサイズが大きいために電池寿命が少し長いのです。確かに2DRはサイ ズが小さくてQOL的にはいいのですが、電池をできるだけ長くもたせたいという人、 ないしは除細動を頻回に用いる必要があって電池が早く消耗しそうな人の場合は、あえ て大型の機種を選択するということもあるのです。ですから今までのメドトロニックが 大小のサイズをそろえているように、今回のプリズムもひょっとしたら小さい機種の2 DRだけでなくて大きい機種のDRを必要とされるかも分かりません。 ○桜井部会長 ほかはいかがでしょうか。どうぞ、勝呂委員。 ○勝呂委員 全く専門外なのでちょっと教えていただきたいのですけれども、先ほどの 製品もそうなのですが、リード線とのコネクターをスクリュードライバーでねじでとめ る形になっているのです。そうしますと要するにトルクのストッパー、ある一定のトル ク以上かかるとそれが空回りするようなドライバーが付いていますけれども、そのコネ クター部分でスポンと抜けてしまったようなことはないのでしょうか。というのは、生 体内に埋め込んだものは、ものを押さえるのにかなりの圧力で押さえない限りある程度 マイクロモーションによってメタローシスということが起きるのではないかと。分から ないので、その辺のところがちょっと気になりました。 ○鎌倉委員 その可能性は否定できないかと思います。実際には完全にねじで固定した と思っていても、1週間後ぐらいにペーシング不全が起こってくる場合がございます。 一般に締め付け方が不適切なために生じますが、コネクタの不具合が生じていることも あるのではないかと思われます。 ○仁田委員 実際に臨床でやっていますと、締めるスピードがものすごく速いとそうい うことが起こるので、じっくり少しずつゆっくり念を入れながらという感じだとほとん どないようです。それから2か所ありますので、やはり締める順序がきちんと守られて いるとほとんど大丈夫なようです。早期には数が大変多うございましたから、御指摘の ほど…。 ○桜井部会長 ほかはございませんか。それではもしよろしければ、この件も当部会の 御承認を得たということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。それではこ の部会では前のものとこれの二つの承認を可ということで、薬事分科会に報告するとい うことにさせていただきます。どうもありがとうございました。 ○事務局 InSyncの方につきましては、全く新しい電気生理学的な機序による重症心不 全の治療器ということで、新構造医療用具に該当いたしまして、審議会のルールといた しましては分科会で御審議いただきたいと思いますので、よろしいでしょうか。  それではお手元の資料6、「医療機器・体外診断薬部会報告品目一覧」でございます が、昨年2月1日以降承認になった機器につきまして、ここに体外診断薬も含めて一覧 にさせていただいております。もし何か御質問等がございましたら、後日事務局の方へ 御連絡いただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○事務局 それから簡単でございますが、医療用具関係のJISにつきまして平成13年 9月〜平成15年1月までに確認、制定、改正、廃止されたものを資料7にまとめており ますので、後ほどでも御参照いただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○桜井部会長 それでは報告は以上だそうですが、何か今の件で御意見はございますか。 特にございませんようでしたら、次回の日程はまた事務局の方でお願いします。 それでは一応この医療機器・体外診断薬部会はこれで閉会とさせていただきます。どう もありがとうございました。 ○医療機器審査管理官 どうもありがとうございました。大変恐縮でございますけれど も、引き続き医療材料部会の方の御審議をお願いしたいと思います。なお、医療機器・ 体外診断薬部会のみの委員となっておられる先生におかれましては、お時間もございま しょうし御退席いただいても、引き続き参考人として御出席していただいても構いませ ん。よろしくお願いいたします。それから本日の医療材料部会の審議品目に関しまして、 専門協議にかかわっていただいた国立病院東京医療センターの茅野先生に参考人として 今日は御出席いただいております。それでは土屋先生、以後の議事の方をよろしくお願 いいたします。 ── 許委員、澤委員、仁田委員退席 ── ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 医療機器審査管理室 室長補佐 束野(内線2912) - 18 -