02/12/25 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格・毒性合同部会議事録             薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会              食品規格・毒性合同部会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格・毒性合同部会議事次第 1.日時:平成14年12月25日(水) 10:00〜12:15 2.場所:厚生労働省専用第18会議室 3.議事   (1)審議事項      りんご加工品に係るパツリンに関する規格基準の設定について   (2)その他      カドミウムに関する疫学調査及び実態調査の結果報告等 出席委員 五十嵐脩、池上幸江、井上達、江崎孝三郎、小川益男、小沢理恵子、      香山不二雄、菅野純、黒川雄二、小沼博隆、品川邦汎、鈴木勝士、      津金昌一郎、長尾美奈子、中澤裕之、成田弘子、林眞、廣瀬雅雄、      丸山務(敬称略) 参考人  高鳥浩介(国立医薬品食品衛生研究所衛生微生物部長)      小西良子(国立医薬品食品衛生研究所衛生微生物部第四室長)      田端節子(東京都立衛生研究所生活科学部食品研究科主任研究員)      櫻井治彦(中央労働災害防止協会労働衛生調査分析センター所長) 事務局  尾嵜食品保健部長、中垣基準課長、植村補佐、太田補佐 他 ○事務局  定刻になりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会 食品 規格・毒性合同部会を開催いたします。本日はご多忙のところお集まりいただきまして ありがとうございます。  本日は、食品規格部会が10人中9人、毒性部会が13人中11名の委員に出席いただいて おりますので、当部会は成立しておりますことをご報告申し上げます。  また参考人としてパツリンの関係で、国立医薬品食品衛生研究所から高鳥部長、小西 室長、東京都立衛生研究所から田端主任研究員、また、カドミウムの関係で、中央労働 災害防止協会の櫻井所長にご出席いただいております。  それでは、開催に先立ちまして、尾崎食品保健部長よりご挨拶申し上げます。 ○尾嵜食品保健部長  おはようございます。年末のお忙しい時期に早朝からお集まりいただきましてありが とうございます。  本日、合同部会でご審議をお願いいたします案件につきましては1つでございます。 マイコトキシンにつきまして、国際的にはコーデックス委員会でその基準についての議 論が盛んになされているところでございますが、国内に入ってまいります輸入食品ある いは国内で生産されます食品の中のりんご果汁を使いました食品につきまして、かび毒 の一種でありますパツリンが検出されたといった調査結果も出ているわけでございま す。そういった実態あるいは国際的な動向も踏まえまして、合同部会の方にパツリンの 基準の策定についてお諮りをし、お願いをするというのが今日の案件でございます。後 ほど詳細については事務局からご説明をさせていただきますが、よろしくお願い申し上 げます。  それと本日報告事項といたしまして、既に公表はさせていただいておりますが、農林 水産省と私どもでJECFAにカドミウムにつきまして疫学あるいは農作物の実態調査 結果につきましてデータを提出させていただいております。来年のJECFAで本格的 な議論がなされるということで、日本としてのデータを提出したということでございま す。その中身についてご報告させていただきたいと考えております。  それと今お手元に急遽お配りをしておりますが、昨日ご承知のとおり、平成15年度の 予算、政府原案が閣議で了承されております。来年の通常国会に提出されるわけでござ いますが、ご参考に予算の政府原案の食品保健に係ります数字についてお配りいたして おります。また、組織定員につきましても、医薬局あるいは食品保健部に係ります定員 要求及び組織要求をしておりました。その内容についても後ほどこの合同部会の終了ま でには、ご参考にお配りをさせていただきたいと考えております。  いずれにいたしましても、食品につきましては、昨年来いろんな事案が出てきており ますし、解決しなければいけない課題もたくさんあるわけでございます。そういった中 で来年の通常国会には食品衛生法の改正案を提出いたしたいということで今作業も進め ておるところでございます。  先生方には、きょうのご審議は当然でございますが、今後もそういった私どもの食品 保健行政の推進に当たりまして、始終ご指導、ご鞭撻をいただきますようにお願い申し 上げまして、開会のご挨拶にかえさせていただきます。本日はよろしくどうぞお願い申 し上げます。 ○事務局  それでは座長の選出を行いたいと思いますが、議題が食品の規格基準設定に関するこ とですので、本合同部会の座長を食品規格部会部会長の小川先生にお願いしたいと思い ますが、異議はございませんでしょうか。               (「異議なし」と声あり) ○事務局  それでは、座長を小川先生にお願いしたいと思います。小川先生よろしくお願いしま す。 ○小川座長  小川でございます。本日の合同部会の座長を務めさせていただくことになりました。 どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、最初に事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○事務局  配布資料の確認をさせていただきます。  最初に議事次第というものがございます。本日の議題として2つ挙がっておりまし て、「りんご加工品に係るパツリンに関する規格基準の設定について」、その他とし て、「カドミウムに関する疫学調査及び実態調査の結果報告等」となっております。  資料は、資料1から資料12−2までございます。資料1が諮問書でございます。次の 資料2が「パツリンについて」というものでございます。資料3が「りんご果汁中にお けるパツリン汚染実態調査結果報告」でございます。資料4が「リンゴ加工品のパツリ ン汚染実態調査」でございます。資料5がJECFAの報告書になっております。資料 6がコーデックス委員会のCCFACという部会に提出されたポジションペーパーでご ざいます。次が資料7ですが、第34回CCFACの報告書の仮訳でございます。次、資 料8が「諸外国の規制状況等」というものでございます。資料9が「我が国におけるり んご及びりんご加工品の摂取量」に関するものでございます。資料10が「りんご果汁の 輸入量及び国内生産量の推移」というものでございます。資料11が「パツリンの分析法 について」でございます。資料12−1が、「食品中のカドミウムに関する疫学調査結果 及び実態調査結果のJECFAへの提出について」というものでございます。その次は 資料12−2でございますが、「農産物に含まれるカドミウムの実態調査結果の提出につ いて」というものでございます。  資料は以上でございます。資料は揃っておりますでしょうか。 ○小川座長  よろしいでしょうか。  それでは議事に入りたいと思います。本日の議題(1)「りんご加工品に係るパツリ ンに関する規格基準の設定について」、ご審議をお願いしたいと思います。  なお、資料12のカドミウムに関するものは後ほどご説明いただくことにして、まず資 料1から11について、事務局よりご説明いただきます。  なお、資料3につきましては、農林水産消費技術センターから、資料4につきまして は、田端先生から、資料11につきましては、小西先生からご説明をお願いいたします。  では事務局、お願いします。 ○事務局  それでは、資料1から順番に説明させていただきます。最初に資料1でございます が、諮問書でございます。厚生労働大臣から薬事・食品衛生審議会の会長あてのもので ございます。「りんご加工品に係るパツリンに関する規格基準の設定について」という ものでございます。  次に資料2にまいります。「パツリン(Patulin)について」ということで、 パツリンの概要をここにまとめております。パツリンはペニシリウム属やアスペルギル ス属等の真菌によって産生されるマイコトキシンである、ということでございます。そ れで、果実、野菜、穀類、飼料等から検出されるということで、その中で特に主要なも のはりんごジュース等であるということでございます。  動物実験については、急性毒性として消化管の充血、出血、潰瘍等が認められてお り、その他に遺伝毒性等に関する報告がある。発がん性については明らかでない、とい うことです。  資料3、資料4は後ほど説明いただきます。  資料5にまいります。資料5は、1995年にJECFAでまとめられた報告書でござい ます。1ページおめくりいただきまして、Patulinというのが下の方に出ており ます。2ページに行っていただきまして、ページ番号の4ページ目のパラグラフ2につ いて説明させていただきます。1990年と1995年の2回評価が行われておりまして、1995 年に最新のデータをもとに再度毒性評価が行われているということでございます。  そのパラグラフの2つ目のところにありますが、combined reproductive toxicity/ long-term toxicity/carcinogenicity studyがラットにおいて行われたということで ございます。0.1mg per kg of body weight per dayというものがNOELとなりまし て、それに1週間のうち3回投与ということでしたので、割り戻しまして43μgとなっ ております。  次のパラグラフの4つ目にまいりますが、その43に安全係数100を掛けまして、PM TDIという暫定的な最大TDIですが、一日耐容摂取量は0.4μg per kg of bodyと いうぐあいに定められております。  その後にモノグラフという形でそれの詳細が付いておりまして、31ページ以降に参考 という形でNOELのもとになった論文を付けさせていただいております。FDAが 行ったものでございまして、この研究の範囲では、このアブストラクトの一番最後に書 かれておりますけれども、tumorigenic effectというのが認められなかったというよう なことが書かれております。  次に資料6にまいります。「パツリンに関するポジションペーパー」ということでし て、1995年にJECFAで毒性評価か行われまして、それを受けまして、1999年にフラ ンスがポジションペーパーをまとめてコーデックスのCCFACという部会に提出して おります。そのペーパーがこれでございます。  3ページ目にまいりますが、最大耐容摂取量ということで、1990年、1995年にJEC FAで評価されたということでございます。先ほど説明いたしましたが、生殖、長期毒 性及び発がん性併合試験により43μg/kg体重/日は有害でない摂取量であることが示さ れた。それに安全係数100を用いてJECFAはPTDIとして0.4μg/kgを設定したと いうことでございます。  その次、曝露評価のところにまいりますが、11番目です。0.4μgということですの で、大人の体重60kgで計算しますと24μg、体重20kgの子供では8μg、体重10kgの子供 では4μgになるということでございます。  次、12にまいりますが、個別包装の果汁ジュースは125〜200ml入りであるということ でして、もし体重10kgの子供が1日に小売り単位125mlのりんごジュースを消費した場 合、PTDIを超えないためには、りんごジュース中のパツリン含量は32μg/mlを上回 ってはならないとなっています。  次に5ページ目の21にまいりますが、一定のりんごジュースの大量消費者を含めた、 大部分の子供を確実に保護するためにはりんごジュースにおけるパツリンの最大値25μg /kgが設定されるべきであると書かれています。  22で、しかしながら、りんごジュース製造者は常に25μg/kgの基準値に従うことは出 来ない可能性があり、国際流通に支障を来す恐れもある。最大基準値50μg/kgは飲料の 消費量にばらつきがある中で大部分の消費者の保護に十分であると思われる。ここでは 基準値50μg/kgを提案したということでございます。  次に資料7にまいります。  その後、コーデックスの中でかなり議論が行われまして、一度50μg/kgという形でス テップ8として、総会での採択を求めたということでございます。ただ、総会では合意 が得られなかったということで、ステップ6に差し戻すということで、再度CCFAC という部会で議論することになったということです。  116に行きますが、コンシューマーインターナショナル等の消費者団体等は、幼児で はりんごジュースの摂取量が相対的に高いということで、パツリンの濃度50μg/kgに懸 念を示したということでございます。  次に117ですが、別の代表団は、パツリンの濃度が50μg/kgであれば、幼児を含む影 響を受けやすい消費者も十分に保護可能であることを指摘した。アメリカ代表団は、 ヨーロッパの人口集団においてもTDIを超過していないことがECの予備的な調査結 果から示されたことを指摘した。  そういうことを踏まえまして、118ですが、パツリンの最大基準値50μg/kgをステッ プ8に進め、総会での採択を求めることで合意した。ただ、デンマーク、ドイツ、ノル ウェー、スペイン等は決定に対して留保を表明したということです。  119ですが、衛生規範をできるだけ早く仕上げるべきであることに合意しておりまし て、衛生規範が実行された後(すなわち4年後)に最大基準値を50μg/kgから25μg/kg に下げることが可能かどうかについて再検討することで合意したということでございま す。ですので、ひとまず50μg/kgという形で再度総会に諮ることになり、4年後にそう いった衛生規範等の実行の可能性等を見ながら、25μg/kgについても検討を行うという ことで合意されたという経緯でございます。  次は資料8にまいります。  「諸外国の規制状況等」ということでございまして、各国の規制状況が書かれており ます。りんごジュースで50ppbというのが大部分でありまして、ただ、その中でもチェ コとかルーマニアは若干違った形のものを取り入れております。  裏のページの2ページにまいりますが、コーデックス委員会ではりんごジュース及び その他の飲料中のりんごジュース成分について50μg/kgとすることで総会に諮ることで 合意しております。  次は資料9にまいります。  「我が国におけるりんご及びりんご加工品の摂取量」はどれぐらいあるかということ で平成10〜12年の国民栄養調査からとってきております。それで1年当たり対象人数等 の関係もありまして、3年間分をそのまま足し合わせたという形になっております。そ の表の中の一番下ですが、「全年齢」というところをごらんいただければと思います。 3万8849人について調査が行われておりまして、りんごの天然果汁それぞれあります が、こういった人数の方が摂取されておるということになっております。  りんごジュースの摂取量を考えるに当たりまして、りんご(天然果汁)というものは りんごの天然果汁100%と言われるものです。りんご(濃縮果汁)というのはりんごの 濃縮果汁ということで濃縮還元したもの。りんご(果汁飲料)と書かれているのは、50 %以上のものがこの中に入ってきております。りんご(果汁30%)と書かれております ところには、50%以下のりんごジュースがこの中に入ってきております。参考までにり んご(生)ということで、普通のりんごについてもここに掲載しております。  それで摂取量を考えますに、国民栄養調査は特定の1日の調査になっておりますの で、その日にりんごジュースを摂取すればカウントされるということで、通常1パック とかそういう量を摂取するのが多いのではないかと思われます。その際に天然果汁も飲 んで、濃縮果汁も飲んでというぐあいに横に飲み続けるというのは考えづらいと考えて おりまして、そう考えると、この中で一番摂取量が多いりんごの天然果汁を中心に考え ていけば、摂取量についておおむね把握できるのではないかと考えております。  ですので、全年齢の場合、全年齢のところのりんご(天然果汁)399人のところをご らんいただければと思います。平均値を見ますと2gということですので非常に少ない ものになっております。摂取者399人が摂取しておりますので、その摂取者の平均を見 ますと165g。90%tileをとりますと250gということですので、1パックがおおむね想 定されているのかというぐあいに考えられます。  その中で、次に1〜6歳、体重が少ないのでパツリン等の体重当たりの影響が大きく なるのではないかと考えられる1〜6歳を見てみますと、全年齢とほぼ同じようになっ ておりまして、摂取者の全体平均が8gで摂取者の平均値が141g、90%tileが210gにな っておるということです。  1〜6歳をさらに詳細に見てみますと、次のページにまいりますが、このような形に なっておりまして、りんごと天然果汁を見てみますと、1歳、2歳、3歳、4歳、5 歳、6歳とそれほど変わっておらずに同程度の摂取がされておるということでございま すので、体重当たりのことを考えますと、1歳という年齢について、摂取者の平均130 g、90%tileが210gということですので、ここら辺を中心に見ていただければと思いま す。  それでは前に戻りますが、資料3につきまして、農水省からよろしくお願いします。 ○独立行政法人農林水産消費技術センター  それでは資料3について説明させていただきます。私、独立行政法人農林水産消費技 術センターの佐藤と申します。直接分析を担当した者です。  目的等はごくありきたりのことが書いてあるだけなのですけれども、試料について は、市販のりんごジュースと原料濃縮果汁を用いました。市販のりんごジュースは現在 日本で流通しているものの4分の3ぐらいは輸入品だということなので、なるべく外国 産原料の表示のあるものとか産地表示のないものを多く買うように努めました。  それから、分析方法ですが、現在国内に公定分析法はありません。それでどういう分 析法を用いるか悩んだところなのですけど、2ページの表1、これは資料6にあります コーデックスの文書からそのまま引用したものですが、これによると諸外国では大体液 クロ法が主流ということなので液クロ法を選びました。そしてこの中で権威のある機関 の方法で、また分析法が簡便だということでAOAC法を採用しました。  実際に採用したのはここの表には書いてないのですけど、これは1998年につくられた 表なのですけれども、その後、2000年にAOACから2000.02という方法が出まして、 それは原理的には全くこの995.10と同じ方法で酢酸エチルで抽出して、炭酸ナトリウム で洗浄するという方法なのですが、この分析法の操作が我々の現状に合っているという ことと、あと液クロの分離が非常に良かったということで、こちらの方を採用しまし た。  その他、機器とか試薬とかについては書いてありますのでお読みいただければと思い ます。  それから、図1がパツリン分析のフローチャートです。ごく簡単な方法です。  あと、分析機関については、4ページの(5)のところですけど、農林水産消費技術 センターの本部、小樽センター、岡山センターと3つの試験所で分担して担当しまし た。それからGC−MSによる確認分析を行ったのですけど、そちらは都立衛生研究所 の田端先生の方にお願いいたしました。  あと、分析法の性能及び精度管理について示しました。クロマトグラムやスペクトル は8ページ以降に示してあるのでそちらの方をごらんください。  8ページの図2は、ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)とパツリンの混合標準 液のクロマトです。AOAC法では、HMFとパツリンが完全に分離しなければならな いと書いてあるのですけれども、非常によく分離しております。ヒドロキシメチルフル フラールというのは、りんごには必ず入っている、パツリンにとっては分析上の妨害成 分となるものです。  図3は、これは今回一番高い値を検出した試料の♯155、このナンバーは最後の一覧 表のナンバーと一致しているのですけれども、それについて分析したクロマトです。ヒ ドロキシメチルフルフラールよりもパツリンの直後に大きいピークがありまして、こち らの方の分離が問題となるのですけど、これもよく分離しております。  図4は、痕跡量、一応算出値は12ng/mlとなりますが、そのぐらい微量に検出した試 料のクロマトです。  図5は検出しない場合ということです。  図6は、標準試料のスペクトルです。  図7は、一番高い値を示したパツリンの検出試料のスペクトルです。  図8は、痕跡量を検出したスペクトルです。  図9は、パツリンの検量線ですが、ほぼよい直線性が得られております。  5ページの方ですけれども、検量線は先ほど見たとおりなのですけど、回収率につい ても、表2にありますように、濃度から考えればかなり良好な値と思われます。  それから表3は、今回定量限界を20ng/mlに設定していますが、それ以上検出した試 料については、3試験所でクロスチェックを実施しました。その結果です。多少ばらつ きがあるのですけど、濃度を考えればまずまずと考えられます。  それから、5ページの下に(参考)としてFAPAS技能試験試料の分析結果を示し ました。イギリスのセントラル・サイエンス・ラボラトリーで行っていますFAPAS 技能試験ですが、これは参加したのではなくて、その試験が済んだ試料を購入して分析 したものです。Assigned Value が22.5ng/mlですのでそれに近い値が得られました。 Satisfactory Rangeが濃度が低いこともあってかなり広いのですけれども、その中には 十分入っております。  それから、定量限界と検出限界なのですが、これはクロマトから判断すればかなり低 いところで設定できそうなんですけど、ただ、確認分析ということでスペクトルをとる と、かなり低い濃度だとスペクトルが乱れてきますので、ここでは定量限界を20ng/ml、 検出限界を10ng/mlとしております。  それから、GC−MSによる確認分析ですが、これは田端先生にお願いしたのです が、こちらの分析値が55ng/mlですが、都立衛生研究所のデータを換算すれば大体49ng/ mlとなり、ほぼ似たような数字と言えると思います。それから、もう一つの試料ですけ れど、こちらで20ng/mlという値だったものは、GC−MS分析の結果は11ng/mlとなり まして、こちらは濃度が低いせいもありますが、少々違う値となっております。  あと今回の調査結果の一覧表が12〜14ページにあります。まとめますと、そこに書い てあるとおりで、市販りんごジュースに関しては外国産果汁16件のうち1件から20ng/ ml、1件から痕跡量のパツリンが検出されました。それから産地表示のないもの72件の うち、1件から26ng/ml、3件から痕跡量のパツリンが検出されました。  国産原料果汁についてはすべて不検出でした。それから、原料濃縮果汁については、 25件のうち、4件からパツリンが検出されました。検出されたのはすべて外国産で、そ のうち1件が、先ほど言いましたように、55ng/mlという少し高い値でした。 ○小川座長  ありがとうございました。では、引き続いて田端先生、資料4をお願いします。 ○田端参考人  それでは、私どもが行いました実態調査の結果についてご報告いたしたいと思いま す。お手元のものは、講演要旨集で非常に簡単にしか書いておりませんが、もう少し補 足して説明をしたいと思います。  目的等は先ほど事務局の方から申されたとおりの毒性とかが書いてあります。諸外国 では規制値がありますように、りんごジュースにパツリン汚染があるというのはかなり 事実として通っているのですけれども、我が国ではほとんど実態調査すら行われてこな かったのです。そこで1996年から最初は少しの数から始めてみたところ、特に初めの方 で高濃度のパツリンが検出されましたので、その後、継続して調査を進めていきまし た。  うちで分析を行いました試料についてご説明いたしますと、1996年から2001年にかけ まして、常に同じレベルでやっているわけではないのですけれども、一応継続的にパツ リンの汚染調査を行いました。その範囲といたしましては、市販の製品として売られて おりますジュース類、あとごくわずかではありますけれども、りんごジャムとりんごの 粉ジュースとりんご酢などについて行いました。  原料果汁といたしまして、様々な濃縮のタイプ、ほとんどが輸入のものですけれど も、そういうものについての調査を行いました。  始めましたときには、ほとんど国内ではやられているところはなかったので、こちら も分析法から検討に入ったわけですけれども、AOAC法というのが世界的にも認めら れている方法でありますので、まずそれに従って分析を行いました。今、農水の方から ご報告されたとおりの液クロ法で行ったのですけれども、だんだん液クロの条件を変え ていきまして、一応パツリンの定量が可能にはなりました。しかし、やってみたとこ ろ、かなり検出されるというか、ポジ検体、陽性の検体が非常に多かったので、こうな りますと、定量だけではなく確認の必要が出てまいりました。  液クロで分析を行いますと、確認法としては先ほどお示しになられたUVのスペクト ルの比較と、近年ですとLC−MS等が考えられると思うのですけれども、96年当時で は余りルーチン的に汎用できるようなLC−MSはありませんでした。そしてUVスペ クトルについてなんですけれども、パツリンのかなり近くに溶出してまいります、違う ピークなのですけれども、それのスペクトルとパツリンのスペクトルを比べますと非常 に似ております。吸収極大波長というのですけれども、その一番多く吸収するところの 波長は完全に一致しておりまして、それが混ざっていた場合とか、また違うピークであ る場合もかなり判定が困難でした。  ということで、判定というか、確認のためにGC−MSを用いることを考えまして、 そして、陽性率がその当時約30%くらいから出てまいりましたので、定量も確認もGC −MSでやってしまった方が早いということで、うちの方ではそれからGC−MSによ る分析に切り替えました。  分析法につきましては、そこの要旨にほぼお示ししてあるとおりで、抽出については 酢酸エチルで抽出するというところまでは同じで、その後にどこまでを検出するかとい うことを考えまして、諸外国での規制値が50ppbであり、普通は規制値の10分の1ぐら いまで検出限度とするのが望ましいとされておりますので、目標を5ppbまで定量でき るということにしました。そういたしますと、それまでの酢酸エチルで抽出しまして、 アルカリ洗浄を行いましても、溶媒を留去した後にかなり残渣が残りまして、それ以上 濃縮をかけると定量値に影響を及ばすくらいの残渣がありました。  また、確認試験におきましても、妨害のために確認が難しいことがありましたので、 さらにクリーンナップをかけて濃縮を可能にして、確実に確認を行うという方法を目指 しました。そこでちょっとややこしいクリーンアップ操作が入っております。  そこで、結局は一度酢酸エチル溶液にヘキサンを加えまして、一度溶液の極性をぐん と落としまして、酢酸エチルに抽出されてまいりました極性物質をまずそこでろ過して 取り除きました。その後にsep-pacのカラムに負荷いたしまして、ヘキサン・酢酸エチ ルの4:1混液である程度の非極性物質を洗い流しまして、その後に酢酸エチルでパツ リンを溶出するという方法を行いました。  これによりまして、残渣はほとんどなくなりまして、また、後の確認に用いますとき に、いろんなほかのピークについてもかなりの減少が認められ、良好なクリーンアップ 効果が得られました。  流出されたものについてガスクロにかけるためBSTFAでシリル化を行い、GC− MSまでの分析を行いました。そのときの検量線は試料当たりで約1〜100ppbまで良好 な直線性を示し、50ppbと500ppbで添加回収試験を行いましたところ、ほぼ100%でCV 値におきましても約2%と良好なものが得られました。  定量におきましては、SIMモードで、パツリンのシリル化物の分子量であります 226、このイオンで行いますと、かなりほかの妨害物の影響はほとんどなく定量を行う ことができました。そして、確認にはGC−MSのスキャンモードでパツリンのスペク トルをとりまして、そのスペクトルを比較することによって行いました。定量そのもの におきましては、SIMモードではかなり低いところまで、1ppb以下まではかることは 可能ですけれども、スペクトルによる確認が試料当たりにして5ppb以上ありますと可能 でしたので、この確認限度である5ppbをこの試験法の検出限度といたしました。  この方法に従って試料の分析を行いました。お手元の資料に簡単に書いてありますけ れども、全部まとめてしまいますと、検出率は22%、そして検出されたパツリンの量は 5〜670ppbということになります。これの内訳になりますと、市販ジュース、一般に売 られているジュース、これは果汁濃度が100%から10%ぐらいのものまでいろいろ含ま れております。その161試料中25試料から検出され、検出率が約16%でした。そして市 販の粉末ジュース4試料中1試料、これはベビーフードとして売られていたものですけ れども、それから12ppb検出されております。また原料果汁についてはそのままはかっ ておりますので、果汁濃度が多くなればなるほどパツリンの検出率は高くなる傾向にな りますので、検出率72%でパツリンが検出されております。  原産国が気になるところなのですけれども、市販品の場合にはほとんど原料果汁の原 産国の記載があるものが少なくて、輸入の状況を見ると、ほとんど原料果汁を濃縮還元 して売られているものと思われます。市販品については、特定してこの国が危ないとい うことは言えませんが、アジア、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、南米、アフ リカと、いろいろな国の製品からパツリンが検出されております。  そして、原料果汁におきましては、こちらの方が多分りんごの原産地に近いのではな いかと思いますけれども、これも全世界であり、よって世界的にパツリンの汚染が広 がっているというふうに考えられました。特にどの国が高いということはちょっと言え ないような感じで、いろいろな国から時々高いレベルのパツリンが検出されているとい うことです。特に最高値の670ppbですけれども、これは7倍濃縮果汁だったのですけれ ども、これをそのまま素直に100%の果汁にした場合には、諸外国の基準値である50ppb を超えてしまうということになります。  あと、ここにはお載せしてないのですけれども、年代別に汚染がどのくらい変わって いるかについてまとめてみたのですけれども、調査を開始しました1996年のときには、 この原料果汁の中の670ppbを含めまして非常に高い濃度のパツリンの汚染が認められま した。この最初の数検体が出たところで一度学会発表を行いまして、そのときにいろい ろ反応があったのですけれども、そのせいかどうかわからないのですけれども、それ以 降かなりいろんな原料果汁、製品におきましても汚染の程度の減少傾向が認められてお ります。ですので、努力していただくと汚染は押さえられるのかなというふうに思って います。  今コーデックスで議論されています基準値では50ppbか25ppbの可能性があるのですけ れども、50ppbを超えたものは市販品の中では1検体もありませんでした。そして、基 準値が25ppbになった場合はジュースを全部で161検査しましたが、そのうちの3検体が 25ppbを超えているだけで、ほとんどは25ppbもクリアーしているという結果が得られま した。この結果から考えて、例えば基準値が50ppbであれば、今の状態でもほとんどす べての製品はクリアー。そして25ppbになると少し抵触するものが出てくると、そうい う汚染実態調査結果です。  以上です。 ○小川座長  ありがとうございました。  それでは、引き続き、小西先生から、資料11についてお願いします。 ○小西参考人  パツリンの分析法について簡単にご説明させていただきます。  パツリンの検出法は一般的に抽出、精製あるいは不要成分の除去、濃縮、最後にクロ マトグラフィーの手法を用いる定性・定量的な検出法という手順をもって行われますけ れども、まず資料11の1ページにお示しいたしました表は、世界的に報告されておりま すバリデーションされた方法でございます。これは先ほど資料3のご説明された農林水 産消費技術センターの方もおっしゃっておりましたAOAC法とかヨーロッパなどで使 われている方法が主にリストアップされておりますが、これによりますとほとんど抽出 が酢酸エチルを用いております。精製には順相の固相カラムを用いたり、それから炭酸 ナトリウムで洗浄して不要成分をとったりする方法です。  分析法は液体クロマトグラフィー、そして276nmのUVで検出するという方法が主で あります。  検出限界に関しましては、これは非常に5〜17ng/gなど高感度に検出されていると報 告されているものもありますが、チャンピオンデータを書かれる場合と信頼できる範囲 を書かれる場合といろいろ文献によって違っておりますので、信頼度に関してはこちら でやってみる必要があると思われます。  2ページ目に進ませていただきます。  2ページ目は、バリデーションがまだされていない試験法といたしまして、これから の日本の公定法として決めるに当たって種々の検出感度のこともありますし、方法、手 順などのこともありまして、現在日本の公定法として使う候補として考えられるものを いくつか挙げております。  これによりますと、先ほど田端先生がご説明されました分析法としてGC−MSを 使った分析法がありますが、これはシリル化が必要であることと、それから定量確認が 両方一度にできるという利点もございます。  それから、次に穐山らが開発しております精製のところに非常にアフィニティーの高 いものだけをとってくる方法、不純物をとるためにケイソウ土カラム、逆相固相カラ ム、2つのカラムを連ねて使うという方法がございますが、コスト的な問題もありまし て、今後検討が必要だと思います。  そのほかにTrucksessが発表しておりますケイソウ土カラム、これは濃縮も兼ねてお ります抽出法でございますが、それと逆相固相カラムを連ねたものがあります。  最後に私が今検討しておりますAOAC法のいいところと、逆相カラムまたはほかの 濃縮法などをミックスして、いいところだけとった方法を検討しております。  3番目に分析法を設定するに当たっての今後の問題点を3つ書かせていただきました が、まず今のところ検出限界、もし50ppbと基準値が決まった場合には、その10分の1 は検出限界としてディテクトされることが望ましいものですから、今の発表されている ものでは、検出限界が5ppbというのはなかなか難しいということです。  2番目といたしましては、りんごジュースに必ず含まれてまいりますHMFとパツリ ンが必ず独立したベースラインを確保できないといけないということで、カラムの選 択、移動相の選択が必要であるということです。  3番目として、パツリンの分析法と一緒に確認法というのも必ず付随してまいります ので、この適応できるものを決めていくということです。  この3つの問題があると思います。  3ページ目に移らせていただきますが、現在の検討状況を簡単にご説明させていただ きます。  検討課題といたしまして、精製法とクロマトグラフィーの手法として、今、液体クロ マトグラフィーを使おうと思っておりますので、そのHPLC法の条件検討、それか ら、最後に確認法がどの方法で適応できるか。この3つの項目に大きく分けられると思 います。 まず精製法ですが、これは先ほどの問題点の1番に挙げました検出限界の問 題がございますので、この5ppbというのを検出限界として持っていけることを目標に、 どの精製法また濃縮法が一番適切であるかということを現在進行中でございます。  次にHPLC法の条件検討では、スタンダードとそれからHMFを用いまして種々検 討いたしまして、どういうカラムがいいか、それから移動相がどういう移動相がいいか というのはほぼ終了しております。  次に確認法でございますが、右側に挙げました、現在までに報告されています確認法 といたしましては、LC−MSを使った方法、GC−MSを使った方法2つがございま す。この2つに関して、こちらでは未検討でございますので、検討していく予定でござ います。  以上です。 ○小川座長  ありがとうございました。 ○事務局  座長、よろしいですか。 ○小川座長  はい。 ○事務局  資料10をまだ説明しておりませんでしたので、簡単に説明させていただきます。  「りんご果汁の輸入量及び国内生産量の推移」ということでして、輸入果汁と国産果 汁について書かれております。濃縮還元の関係がありますので、直ちにこの比をとって 輸入量、国産というぐあいに分けることはできないのですが、7割強が輸入で国産が2 割弱ぐらいというような感じになっております。  その次のページですが、輸入果汁の輸入国はどこかということを見ますと、中国、ア メリカ、オーストリアというところが中心になっているということです。  国産について見ますと、青森、長野、山形というところが中心になっております。  以上でございます。 ○小川座長  ありがとうございました。  それでは、関係の資料のご説明をすべていただきましたので、ご質問等ございました ら、お願いいたします。 ○小沼委員  りんごでパツリンが出てくるというのは、どの程度になったときにパツリンが出てく るのかというのが知りたいのですが。例えばりんごがすれたり、ぶつかったりして色が 変わって、やわらかくなったところにかびが生えて産生されるのか、それとも無傷のや つでも、回りにちょっとでも、例えばかびが生えるとパツリンが出てくるのか、そう いったような実験をされた方がいらっしゃったら教えていただきたいのですが。 ○小川座長  事務局から。 ○事務局  資料6のフランスのポジションペーパーのパラグラフ2の中段でございます。「最も よくある汚染は表面が損傷した果実における青かびのような腐敗したりんごの一部にお いて見受けられるPenicillium expansumによるものである」というようなことが書かれ ておりまして、こういった形態のときにそういった汚染が起こるということです。「し かしながら、外観上は安全である果実におけるパツリンの存在を排除することは出来な い」というような形で書かれております。 ○小川座長  よろしいですか。 ○小沼委員  そうすると、今度確認ができないのですが、回りを水で洗うとパツリンの毒が表面上 は流れ落ちるかどうかとか、そういうのはデータとしてはないのでしょうか。 ○小川座長  どなたかいかがでしょうか。先ほど努力によって減らすことができるというご説明あ りましたけど、あれは具体的に内容はどういうことでしょうか。 ○田端参考人  あれは多分原料果汁をある程度選択して製品中から減らしているのだと思うので、パ ツリンを減らすということでいろいろ報告はあるのですけれども、そういうことで減っ たのでなく、多分輸入の原料果汁のパツリンのチェックをして、それできれいになって きているのではないかというふうに、私のデータの説明についてはそういうふうに思っ ています。 ○小川座長  常識的には傷がついたときに比べればそれほどではないということなんでしょうけれ ども、この辺、何かご存じの方はないようで、データがあるのかないのかちょっとわか らないようですが、どうでしょう。これはまた気をつけて見ていただくということで、 よろしいですか。 ○小沼委員  基準値は決めるというのは非常に大切なことですけれども、その前に、例えば目で見 てわかるような方法があるならば、そちらの方も指導というか、そういうものをやる必 要があると思うんですが、目で見てわかるのであれば、あるいは水で洗って落とせるも のであれば、対策としてはかなりいけるのかなと思っていますけれども。 ○小川座長  ありがとうございました。 ○田端参考人  今の水で洗っているというのは、多分りんごの表面に青かびが、みかんの皮の上のよ うに生えているという、そういうことを想像されていると思います。りんごにexpansum がついた場合、多分健全なりんごにはついたぐらいでは菌の生育とかパツリンの産生ま ではいかないと思うのですけれども、ちょっと痛んだり傷がついてときに入っていって パツリンを産生すると考えられます。これは菌をやっている方から伺った話なんですけ れども、expansumがパツリンをつくっている状態のときのりんごがどういうふうになっ ているかというのを聞きましたら、表面上はちょっと茶っぽく褐変していて、本当にか びの組織としては、その真ん中にポツといるくらいだそうです。かびに覆われていると いうイメージではないというふうに言われました。  かびの胞子の中にパツリンができているというよりは、多分りんごの組織の方にもあ る程度パツリンは行っていると思うので、表面を洗うぐらいではパツリンの除去はちょ っと無理ではないかと思います。 ○中垣基準課長  資料6をごらんいただきたいと思います。これは先ほど担当からご説明しましたよう に、フランスが作成した文書でございますから、このバックグラウンドデータがあるの だと思うんですけれども、関係のところを取り上げますと、まずパラグラフの2、序文 の中にございまして、6行目から10行目にかけて「しかしながら外観上は安全である果 実におけるパツリンの存在を排除することは出来ない。汚染の程度は腐敗の程度と関連 があり、パツリンは腐敗した組織からあまり広がらない。よって、人の汚染は加工果実 からのみであると考えられる」という表現がございまして、そのバックグラウンドとし て、4ページのパラグラフ14をごらんいただきたいと思います。  食品の原料となる固形のりんご(生)の話をしているのですが、「常に50μg/kgを下 回る汚染濃度である」。これはテーブルの3でございますから、原文の13ページにその データが載せられておりまして、イギリス、ドイツ、オーストリア、アイルランド、フ ランス等々の測定したデータがございます。これが引用されているところでございま す。また、訳の4ページに戻っていただきたいのですけれども、パラグラフの16、「か びた果実や野菜のうち、非常に高濃度のパツリンが含まれるのはりんごのみである。こ のようなりんごはそのままの状態で明らかに消費されないので、パツリンのリスクは加 工された製品に起因する」、「ジュース以外の製品(固形食品、あるいはコンポート) は技術的な加工により破壊されたり、高濃度に汚染された果実は感覚的な理由で製品か ら排除される」、とありますから高濃度になるのであれば、傷んでいるとか、そういう 状態にあるのだということなのだろうと思います。  ですから一応データとしては、生のりんごを測定したデータというのはここにあると いうことになるのだろうと思います。以上でございます。 ○小川座長  ありがとうございました。いかがでしょうか。 ○池上委員  今、議論の対象になっている食品がジュース類ですけれども、りんごの場合、もし傷 んでいるものを対象にしてつくられるものにジャムがあるのではないかと思うんですけ れども、ジャムのようなものでは、今配られた資料からは、どの程度汚染されているの か、検出できるのかがわからないのですが、いかがでしょうか。形がかなり崩れてきて いますし、ジュース類と同じような原料が使われる可能性もあり得るように思うのです が。 ○小川座長  いかがでしょうか、この辺のデータは。 ○田端参考人  りんごジュースに比べてやった数が非常に少ないのですけれども、一応ジャム類につ いて、ジャムを含めてペースト状のもの、ベビーフード等も含めてなのですけれども、 それについて38試料やっております。それからは検出されてはいません。やったジャム が割と高級だったせいもあるかというふうにも思うのですけれども、りんごが見えるよ うな状態のジャムとか、ベビーフードには余り変なものは使わないだろうというのもあ るのですけれども、数が少ないので、これで絶対とは全然言えないのですけれども、検 査した中ではそういう結果でした。 ○小川座長  ほかに。 ○長尾委員  パツリンと類似した化合物があるというふうに言われたのですが、そのことについて は、パツリンの問題とずれるのですが、この際にお伺いしたいのですが、その化合物に ついてわかっていることがありましたらお聞かせ願いたいと思うのです。 ○小川座長  どなたかお答えいただけますか。よろしくお願いします。 ○田端参考人  パツリンと類似しているのではなくて、パツリンと近いところに出てきて、しかもU Vスペクトルが類似しているということです。 ○長尾委員  ですからUVスペクトルが類似しているということで、化合物も類似しているのでは ないかと私は想像したのですが、そういうことではないのですか。 ○田端参考人  スペクトルが似ているということでかなりUV吸収の構造が似ているということなの です。パツリンを挟んだ2つのピークがありまして、1つはヒドロキシメチルフルフラ ール、もう一つについてはunknownの物質ということでちょっとわからないんですけれ ども、それの毒性がどうのというのはちょっとわからないですし、こちらとしては不純 物として考えていますけれども、結構パツリンも構造としてはかなり小さな分子の様で すので、そういう同じようなUV吸収を持つものはたくさんあると思います。 ○小川座長  ほかにございますか。ほかにないようでしたら、時間もかなり押してきておりますの で、ご質問はこのぐらいにして、次にまいりたいと思います。よろしいでしょうか。  それでは、「りんご加工品に係るパツリンに関する規格基準の設定について」、ご論 議をいただきたいと思います。まず初めにJECFAにおけるパツリンの評価結果につ いて検討を行い、その後に規格基準の設定の検討に入りたいと思います。  それでは、まずJECFAにおけるパツリンの評価結果、JECFAで設定されたT DIについてご議論をいただきたいと思います。これは0.4μg/kg bw/日ということだ ったと思うのですが。よろしくご討論お願いいたします。どなたかご意見ございません か。 ○廣瀬委員  この0.4μg/kg bw/日ということに対しては特にコメントはないのですけれども、こ のパツリンは、現在のところ発がん性ははっきりしないというような記載があります。 今回いただいた資料をよく読んでみますと、資料5の13ページの2.2.3でLong-term toxicity/carcinogenicity studiesというのがありまして、その中にラットの実験が 3つ載っております。その中の、一番下が設定の根拠になっているわけですけれども、 その上にパツリンを1mg/kgで4週間投与して、その後、2.5mg/kgを70週間投与したと いう実験が載っておりまして、その結果を見ますと、50匹中2匹でglandular stomach (腺胃)にadenomasができたという記載があります。この腺胃のadenomasというのは、 自然発生腫瘍としては非常に珍しい。50匹中2匹にこういうものが見られたというの は、何らかのパツリンの影響を考えないといけない。  それで急性毒性の方を見ますと、やはり腺胃に高頻度に潰瘍ができたり炎症が起こっ たりということが見られております。そういうことを考えると、非常に長期に持続した 潰瘍があって、その潰瘍の2次的な影響で腫瘍ができたということを考えざるを得ない のではないかということを思っています。  ですから現在のところ発がん性ははっきりしないということでいいのですけれども、 条件として若干用量を高くしたり、期間を長くしたりするということをすれば、腺胃に 発がん性が出てくる可能性は十分考えられるというように考えております。  以上です。 ○小川座長  ありがとうございました。何かこれについて、ご意見がございますでしょうか。毒性 部会の方ではこの点はどうだったのでしょうか。どなたかご意見ございませんか。 ○黒川部会長  今のことに関して、資料6の5ページの25に1行だけですが、今後の研究が推奨され て、特に発がん作用についてということなんですけれども、これはもちろん訳した方も それと同じですけど、今、廣瀬委員の言われたようなことなのか、胃の腫瘍についての ことなのか、ラット以外でやれというようなことも少し書いてあるけど、その辺がちょ っとわからないですけれども、いかがですか。 ○廣瀬委員  いただいた資料が概略しか書いてないのでよくわからないのですけれども、ロングタ ームでの影響というものははっきりと出ていないのです。高用量で生存期間が短かった ということも書いてあるのですけれども、それは肺炎が起こったために生存期間が短く なったということで、毒性としては割と短期間で潰瘍ができるということですので、恐 らくそれに関連した発がん性ではないかなとは思っております。そういう意味で、今後 そういう発がん性のデータというのはやはりやっていかないといけないなと思っており ますけど、ただ、このパツリンというのは非常に高い物質で、きのう値段を調べたら、 25mgで6万円もするということですから、なかなか買って、発がん性の試験をするとい うわけにもいきませんので、共同研究等で手に入れないとなかなかやっていけないとい うことを感じております。 ○小川座長  まだ、ちょっとぼんやりしたところがあるということかもしれませんが、いかがで しょうか。この辺は今後の検討課題としてここにも書かれているということで、その上 で作業が進められているわけですね。 ○中垣基準課長  廣瀬委員ご指摘の発がん性の点については、このJECFAのレポートにございます ように、90年にラット以外で発がん性を調べるようにというような要請がなされており まして、JECFAの場合は、後でご説明しますカドミウムについて、日本から資料を 提出したように、提出した国に対して要請がなされるという制度でございます。  したがいまして、今回の場合には、これは恐らくほかの資料から見てアメリカから出 されているのだろうと思いますので、アメリカのFDAとも連絡をとってみて、どのよ うな研究情勢にあるのか、全く同じのを日本で繰り返しても仕方ございませんし、そこ はアメリカFDAとも連絡をとってみたいと思います。 ○小川座長  ありがとうございました。そういうことですので、アメリカなどの情報を入手してか ら、また考えるということで、ここのところはよろしいですか。ほかにご意見ございま せんでしょうか。  ないようでしたら、JECFAの設定した暫定的な一日耐容摂取量0.4μg/kgという ことで妥当であるということでよろしいでしょうか。ご異議がないようでしたら、そう いうことで次に進めさせていただきます。  それでは、次に規格基準の設定の検討に入りたいと思います。ただいまご議論いただ きましたJECFAで設定されましたTDIとりんごジュース摂取量から、パツリンの 実態調査結果を踏まえて、現状で直ちに健康被害が生ずる可能性があるかどうか。すな わち緊急的に対応する必要性があるかどうかということについて、まずご議論をいただ きたいと思います。まず事務局の方で、この摂取量等についてご説明をお願いいたしま す。 ○事務局  参考という形で1枚紙で配っている資料です。タイトルは、「パツリンの体重当たり 1日摂取量の推定」というものですが、ございますでしょうか。それで、農林水産消費 技術センターの方で行われました実態調査の結果で、NDが大部分だったわけですが、 NDにある程度数値を設定いたしまして、それで平均的な値をとって、そうした場合に 1歳〜6歳、全年齢でどれぐらいの体重当たりの摂取量になるかというものを試算した ものでございます。  それでNDについて0ppbと見るのと、検出限界10ppbということでしたので5ppbと 見るのと2つのシナリオを用意しております。3つ目のシナリオとしては50ppbという、 仮にそういった規制をとって、50ppb以上が市場に流通しなかった場合というので想定 しています。  そうしますと、NDを仮に0ppbというぐあいに置きますと、1.3ppbという平均値で 非常に低い値になっております。NDを5ppbと見ますと、6ppbというような形になる ということです。仮に50ppbというのが市場に出る段階で排除されたと考えますと、平 均5.7ppbになるというようなことでございます。あと、シナリオとしまして、25ppbと いうものと50ppbという5つを設けております。  それで見てみますと、JECFAの方で0.4μg/kgということですので、0.4μgとの 比較という形になると思いますが、一番体重当たりの摂取量が多くなる1歳児で見てみ ますと、6.0ppbというのを仮に見てみますと、6.0ppbで1歳児の例えば90%tileでも 0.12μgということです。平均では0.08μgということになっておりますので、0.4μgと 比較すると、4分の1程度というような形になっております。  それで、25ppb、50ppbという最大の基準を当てはめてみますと、0.5μgであったり、 0.65μg、1.0μgという形で1歳児において、0.4μgを上回るような場合が出てくると いうことになっています。  全年齢で見ますと、50ppbという形に計算しても、90%tileで0.25μgということです ので、0.4μgと比較してまだ6割程度になっておるということになっております。  以上でございます。 ○小川座長  ありがとうございました。今、参考資料についてご説明いただきましたけれども、こ のようなデータも踏まえて、ひとつご討論お願いいたします。まずとりあえず緊急的に 何かする必要があるかどうかということでございます。何かございませんでしょうか。 このデータから見ると、すぐに何かやらなければならないということになるかどうかと いうことですが、いかがでしょう。特にご意見ございませんか。  特にご意見ないようでしたら、事務局何かお考えがありますか。 ○事務局  平均濃度6.0ppbというところを見ますと、1歳児の摂取者平均が0.08μgということ になっておりまして、0.4μgと比較しますと20%であるということで、1歳児の平均の 摂取を見ると、いわゆるTDIの5分の1であるということですので、そういうことか ら考えますと、平均的に見ましても、直ちに問題になるようなものとは考えづらいのか なというぐあいに事務局としては考えております。 ○小川座長  ありがとうございました。いかがでしょうか。 ○田端参考人  基準値の設定というのがどういうふうに考えられているのかは詳しくはないのです が、この基準値の設定について、平均値で議論していいのかなというのが今疑問に思い ました。例えばうちでアフラトキシンとかを分析しておりますけれども、いろいろな食 品をやりまして、ほとんどNDなんですね。時どき、ピスタチオとか、そういうものか ら基準値の10ppbを超えるということがあります。アフラトキシンも市販品について平 均してしまえばかなり低い濃度になってしまうのではないかと考えられるので、平均値 で議論するというのがどうなのかなと思います ○小川座長  いかがですか。これは平均値で議論するということではないわけですね。 ○事務局  平均値で議論というよりも、まず平均的に見てどうかということで、その中で、今 回、20、26、55ppbというのがあったわけですが、限定されているということで、例え ば25ppbを超えるような製品を継続的に摂取する可能性を考えると、少し考えづらいの かなというような印象を持っているということでございます。 ○小川座長  ただいま事務局からは、現状として、直ちに健康被害が生ずるということはちょっと 考えづらいということではないかということでしたけれども、そのように考えてよろし いでしょうか。特にご意見がないようですので、今、事務局の見解を伺ったわけです が。  それでは現状としては直ちに健康被害が生ずるというようには考えづらいということ にいたしまして、しかし、そのままでよいのかどうかということで、次に基準値を設定 する必要があるかどうかについて議論をいただきたいと思います。設定する必要がある ということであれば、基準値についてもご討論をいただきたいと思います。いかがで しょうか。  ご意見が出にくいようですが、何か事務局ありますか。 ○事務局  先ほどの直ちにそういった緊急的な対応が必要であるかどうかということでご議論い ただいたわけですけれど、パツリンの今回の実態調査結果から、直ちにそういった健康 被害が発生するということは考えづらく、現状としては問題ないというような形で結論 していただいたと考えているところですけれども、多くの諸外国は基準値を設定してお りまして、またコッデックス委員会においても基準値案の検討というのが最終段階まで 来ております。今回、そういったコーデックス委員会の基準値と照らし合わせますと1 検体55ppbというのが1つ出ております。コーデックス基準値案を上回るものもあった ということです。以上のことから考えますと、我が国においても健康被害を未然に防止 する観点から、諸外国レベルの基準値を設定するという考え方があるのではないかと事 務局では考えております。 ○小川座長  ありがとうございました。ご発言がなかったので、事務局主導型の感じで申し訳ない のですが、事務局のお考えを伺ってみました。ご意見ございませんでしょうか。  先ほどのデータで50ppbという国がかなり多かったですね。子供用に少し低い基準を 設けているという国があるというデータもございました。 ○中垣基準課長  よろしゅうございますか。 ○小川座長  はい。 ○中垣基準課長  資料8をごらんいただきたいと思います。オーストリア、チェコ、フィンランド、フ ランス、ギリシャ、イスラエル、ノルウェー、ルーマニア、ロシア、スウェーデン、ス イス、ウルグアイ、イギリス、アメリカと正直申し上げて、これは事務局も怠慢だった のだろうと思いますけれども、かなり多くの国々で基準が定められておる。大半は、先 生方、ごらんいただきますと、50ppbとなっておりまして、50ppb以外の基準をつくって おりますのはチェコが子供向け食品、この子供向け食品というのはどういう定義なのか よくわかりませんが、それと幼児向け食品についてそれぞれ30と20ppb、さらにはルー マニアがすべての食品で30ppb、それ以外はすべて50ppbという数字でございます。  また、先ほどもご説明しましたように、コーデックスについては最終段階に来ており まして、50ppbというところでございまして、これを端的に申し上げると、諸外国との 貿易も考えて基準をつくった方がいいというのは先生方そのとおりだと思いますし、基 準を50ppbでない、50ppbよりも小さい基準をつくる必要があるかどうかというご判断を 賜ればいいのだろうと考えております。  そのときに、一応参考までに申し上げると、先ほどの摂取量あるいは諸外国はこう なっておるということなのだろうと思います。 ○小川座長  ありがとうございました。端的に言いますと、もしつくるとなれば、国際的にも50ppb ということが提案されつつあるし、諸外国でも50ppbを設けているものが多いというこ とで、設けるとすれば、50ppbでよろしいかどうか。それ以下にするということであれ ば、そのことについて討論をしなければならないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○中澤委員  ただいまの基準課長のお話をベースにしまして、50ppbというのが妥当な線ではない かと思います。先ほど分析の方法についてもご説明を受けましたけれども、現時点で方 法論的にクリアーできそうなのが、5ppbということですので、一番妥当な数字ではな いかと思います。 ○小川座長  ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。 ○廣瀬委員  この50ppbですけれども、私も基本的にそれでいいと思います。と申しますのは、先 ほどちょっと触れましたけれども、毒性の方でも高用量で急性毒性では主に消化管に限 られるというようなこと。それからNOELの根拠である0.1mg/kg、これも若干体重の 減少が見られるということで、毒性学的にも重篤な毒性はないということですので、特 に子供でも下げるというようなことは考えなくてもいいのではないかと考えています。 ○小川座長  ありがとうございました。ほかにございますか。今までのところ、国際的あるいは諸 外国の動き等に合う形での50ppbでよろしいのではないかというご意見が出ております。 ○廣瀬委員  もう一つ。ただ、遺伝毒性の結果を見ると、若干どうも疑われるような点もあります ので、その辺がちょっと気になるかなということですので、その辺、林先生の方から何 かあればと思いますけれども。 ○小川座長  よろしくお願いします。 ○林委員  今、ご指名ですので、遺伝毒性について少しコメントさせていただきます。このもの の遺伝毒性試験結果にはプラスがあったり、マイナスがあったりというようなややこし いデータなので、発言をひかえていたのですけれども、今回の資料5の16〜19ページぐ らいに大きなテーブルがございます。それを見ていただければ細かいことがわかるので すけれども、一言で言いますと、非常にバリデートされた試験、たとえばAmes試験と呼 ばれるようなものではほとんどマイナスです。  しかし、一方、哺乳類の細胞ですとか個体を使った染色体異常試験ではポジティブに なる傾向にあります。しかしながら、染色体異常より、さらに高感度にポジティブに なってくると思われる姉妹染色分体交換試験(SCE)という方法があるのですけど、それ では今回はネガティブであったというような、かなり交錯したデータが得られておりま す。  これをどういうふうに考えるかというのは非常に難しいところはあるのですけれど も、総合的に見まして、遺伝毒性がないということは言えない。しかし、あるのはある とは考えられるのですけれども、全体的から見た強さというのは、これで何か基準値を 動かさないといけないほど強いものではないだろうというのがこのデータから考えられ る結論ではないかと考えます。  以上です。 ○小川座長  ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。 ○菅野委員  フランスの資料の急性毒性のところを拝見すると、低分子であるということもあっ て、細胞障害性が非常に強そうであるということがわかります。毒性の立場から言え ば、小児の毒性というものが大人の毒性とイコールかという問題になると考えます。1 歳児での25ppbのときに運悪い方は90%tileのところで0.4μgを超えるかもしれないと いうことが気になります。  フランスの17パラグラフのところに、りんごジュースはgood agricultural/ manufacturing practiceの働く全くの典型的なケースであるということがありますの で、現在は50ppbでいいと思うのですけれども、将来的には25ppbに下げるということが 考慮されてもいいのではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。 ○事務局  コーデックスの方も4年をめどにもう一度検討すると言っておりまして、考えており ますのは、これを機会にというか、ここで終わってしまうのではなくて、この後も小児 の摂取量であったりとか、パツリンの汚染実態を調べてみて、仮に平均的な汚染が増加 するとか、20ppb以上のものがかなり高頻度に出るようであれば、その時点で再度検討 するというような対応が考えられるのではないかと思います。 ○小川座長  よろしいでしょうか。ほかにはいかがでしょうか。いろいろご意見が出ましたけど、 50ppbということでよろしいのではないか。ただし、ちょっと心配な点もあるので、デ ータが出た段階で見直すという条件がついているということですが、事務局の方から も、それはコーデックスでもそういうことになっているということでございますので、 ここでは、りんごジュースに含まれるパツリンについて、基準値を50ppbとするという ことでよろしいでしょうか。ご異議がなければ、そういうことで合意をいただいたこと にさせていただきます。 ○事務局  よろしいですか。 ○小川座長  はい。 ○事務局  それでは事務局の方から確認させていただきたいのですが、コーデックス並びという ことでして、りんごジュースと原料用果汁としてのりんごジュース等に含まれるパツリ ンの基準値で、あと濃縮されているものは基本的に還元した状態でということで、50ppb とすることでよろしいでしょうか。 ○小川座長  よろしいですか。よろしいですね。                (「はい」と声あり) ○小川座長  どうもありがとうございました。  それでは、基準値を設定するということになったわけですが、こういうことになりま すと、当然分析法を提示する必要があるかと思います。事務局の方で何かございます か。 ○事務局  先ほど小西先生の方から説明いただきましたが、分析法についてでして、今、検討い ただいているところでございまして、分析法について設定でき次第、部会長、それから 分析の関係する先生方と相談した上で分析法については決定したいと考えております。 ○小川座長  ありがとうございました。よろしいですね。よろしくお願いします。  それでは、パツリンの基準値設定の今後の予定につきまして、事務局の方から説明 を。 ○事務局  この後、50ppbという形でパブリックコメント、それからWTO通法等の手続を行っ た上で、分科会の方からの答申を経まして、告示の改正手続というような所要の作業に 入りたいという具合に思っています。 ○小川座長  よろしいでしょうか。ありがとうございました。  それでは、次に議題(2)に入りたいと思います。その他として、「カドミウムに関 する疫学調査及び実態調査の結果報告」に移りたいと思います。事務局からご説明をお 願いいたします。 ○事務局  資料12−1でございます。  JECFAからデータコールがかかっておりまして、それの提出期限が11月末という こことでしたので、11月末に疫学調査結果と実態調査結果というものを併せてJECF Aへ提出したということでございます。  3ページ目でございますが、「JECFAに提出した疫学調査結果の一覧」というの がここに出ておりまして、論文数にしまして12の論文をJECFAに提出しておりま す。7月に食品規格・毒性合同部会において提出させていただきましたのは、調査研究 1の1〜4、調査研究2の1、調査研究3についてはすべてという形なございまして、 7月以降新たに出てきましたのが調査研究1の5、6、調査研究2の2と3というもの になっております。  それで、これにつきまして、論文を投稿中というようなものもありましたので、これ につきましてアブストラクトという形で今回提出いただいております。それにつきまし て、詳細を櫻井先生の方からお願いします。 ○小川座長  お願いいたします。 ○櫻井参考人  ご説明いたします。  今、簡単に今までの経過の説明がありましたように、本日は前回に続いて7月以降新 たに出てきたものについてご説明いたします。調査研究1−5、1−6、これは分担研 究者池田正之氏によるものでございます。  それから、調査研究2−2と2−3、これは本日ここにご出席でございますが、分担 研究者香山不二雄氏、によるものでございます。  まず1−5につきまして、お手元にある資料を使ってご説明いたします。  これは貧血と鉄欠乏状態、いずれもカドミウムの消化管からの吸収を促進すると考え られているために、特に貧血状態にある方々を対象として、実際にカドミウム曝露指標 がどのようになっているかということを調べるということでございます。  2/15というのところの「対照および方法」の最初のパラグラフにございますが、2002 年に国内の6府県に在住する成人女性20〜74歳の1,482名の協力を得て、血液と午前中 の一時尿を採取して既往歴等の自記式調査、喫煙歴等をとりまして解析したということ でございます。表に基づいてご説明いたします。10/15のところでございます。  まず1,190名の方々の年齢が平均44.6歳、20〜74歳までとなっています。これはすべ て非喫煙女性で、喫煙の女性は解析の対象から除かれております。  測定項目は左にありますように、血液/血清のフェリチン、鉄、総鉄結合能、ヘモグ ロビン、赤血球数を貧血の指標として測定し、カドミウム曝露の指標としては、その下 にありますように、Cd-Ucrというのはクレアチニンで調整した尿中のカドミウム、α1- MG-Ucr、これも尿中のクレアチニンで調整したα1-MG、同様にその下は、β2-MG-Ucrと なっています。曝露指標が尿のカドミウムであり、α1-MG-Ucrとβ2-MG-Ucrはそれによ る影響の指標ということで測定されております。  次のページ、表2ですが、貧血群と対照群をマッチさせて調べております。この1,190 人の中から、フェリチンが20ng/ml未満、ヘモグロビンが10g/100ml未満という人が36人 おられた。その方と年齢及び居住歴、住んでいる県をマッチさせた対照群36例、1対1 のマッチでございます。  その方々の、先ほど申し上げた検査項目のデータが示されておりますが、貧血群であ りますので、ここに見ますように明らかにフェリチンが非常に下がっている、鉄も下が っている。総鉄結合能は上がっている。ヘモグロビンが下がり、赤血球数も下がるとい うふうになっております。これはそういう人を選んでおりますから当然です。  尿のカドミウム曝露指標である、尿のカドミウムは一見やや上がっているようではご ざいますが、有意とまではなっておりません。また、それによる影響指標であるα1-MG -Ucr、β2-MG-Ucrについてもごくわずかに数字が高いようにも見えますが、これは正常 データでございまして、また有意差もございませんでした。  それから表3は、もう少し鉄欠乏群という切り口、つまりヘモグロビンは10g/100ml 以上ではありますが、フェリチンが20ng/ml未満の方を280例、この方々とマッチさせた 対照群280例。当然のことながら、年齢は完全に一致しておりまして、先ほどと同様に フェリチン、鉄、総鉄結合能、ヘモグロビンが有意の貧血性の変化を示しております が、尿のカドミウムあるいはα1-MG-Ucr、β2-MG-Ucr事実上ほとんど差がないというこ とでございます。  あと、1ページ飛んで表5には、重回帰分析の結果も示されております。表5に5つ 行がございますが、その下の3行が尿のカドミウムに対して貧血、尿のα1-MG-Ucr、 β2-MG-Ucrがどのように影響しているか調べています。従属変数を尿のカドミウムとし た場合、年齢が最も効いていて、フェリチンとかヘモグロビンというような貧血の指標 は、ここは有意であるかどうか、ここに明記してございませんが、非常に低い偏相関係 数である。α1-MG-Ucr、β2-MG-Ucrも同様でございます。  こういったことから、事実上この研究では、5/15というところに書いてありますが、 「日本人女性に広く認められる程度の貧血あるいは鉄欠乏がCdの吸収上昇をもたらす危 険性は極めて小さいと判断される」という結論になっています。ただし、治療を要する ほどに強い貧血の場合については、そういう例が1例あって、尿のカドミウムは高いと いうようなことも記載されておりますし、文献等から考えて、強い貧血の場合にはカド ミウムの吸収が高いということもあるかもしれないという結論になっております。  次に進ませていただきます。2/10というところをごらんいただければと思います。従 来、前回もご説明したわけでございますが、曝露指標として、尿のカドミウムを考え、 それと腎臓に対する影響の指標であるα1-MG-Ucr、β2-MG-Ucrの濃度の関係を見てみま すと、多変量解析等を行いましても、完全にすべての交絡因子を分析できているわけで はないのですが、非常に低濃度の尿中カドミウムであっても、その関連を否定できな い。有意の相関が残ってしまうということから、一見閾値がないというようにも見える 結果がしばしば報告されています。一方、曝露が高く、尿のカドミウム濃度が高い領域 では明らかな強い関係が出てまいりまして、その両方の領域での関連は異質ではない か、そしてその中間に閾値が存在する可能性が考えられたために、既存のデータ・ベー スを使って解析しております。  2/10の2.1のデータ・ベースというところ、これはいずれも尿のカドミウムとβ2-MG- Ucrの関連を定量的に示した論文の数でございますが、日本国内の汚染地域について7 論文、非汚染地域について7論文ございます。これらのデータを解析しております。  次のページ、3/10の3.1の男女別のデータ・ベースということですが、女子について は、28汚染地域群、これには慢性カドミウム中毒を疑わせる患者の3群を含みます。そ れから、30の非汚染地域群についてのデータがある。男子については、それよりも少な いのですけれども、ここに書いてあるようにあります。  その下、男子合計32群に比して、女子合計58群の方のデータが多い。しかも患者数も 多いということで、この解析は女子に重点を置いて解析し、男子の解析はその所見を確 認するという形になっております。  最終ページの図1をごらんください。この図1の左が女子のデータ、右が男子のデー タであります。つまりそれぞれの群の平均値、それぞれの示された群における尿中カド ミウムの平均値とその群の尿中のβ2-MG-Uの平均値の一対のデータがございます。それ をプロットしてあるわけです。  左の図で見ていただいていますが、β2-MG-Uが5万、10万、15万、20万、25万μg/g crというふうに非常に高いです。通常の人は100とか200μg/g crで、400とか1000を超 えると異常と言われております。ところがこのように尿のカドミウムが10を超えるよう なグループでは、少しばらつきがございますが、数万から20万というようなデータが現 実に報告されているわけでございまして、それに比べますと10未満のところでは低いと ころにはりついているのがごらんいただけると思います。「○」は非汚染地域の住民、 「●」はイタイイタイ病の患者、「▲」は慢性カドミウム中毒が疑われる方、「◆」は 汚染地域の住民でございます。  これをもうちょっと拡大してみれば、わずかに右上がりに上がっているので、閾値が どこにあるのかわからないと言われるわけでございますが、このようになっておりま す。それで2本直線が引いてありますが、実線はβ2-MG-Uが400μg/g cr以上の群と、 それ以下とに分けたとき、400以上の群の方々のみにおいて回帰直線を引いてあるわけ です。点線の方は400でなくて1000μgで切っておりますが、大して違いません。このよ うに一見10μgのところに閾値があるように見えます。  右の男子の場合もほぼ同様でございます。  1ページ戻っていただきますと表1がありまして、これは回帰直線Y=α+βXを計 算してあるわけですが、女子の非汚染地域群では回帰直線の勾配が−25、切片(α)が 176、有意の線の相関が0.35、非汚染地域ということではあるけれども、勾配が−25と いうことで、これはそういうふうに個人をとらないで集団の平均値をプロットするとむ しろマイナスになっているということです。これは非常に重要な点だと思います。  一方、汚染地域群は、勾配が6194ということでありまして、そして非汚染地域群と汚 染地域群のそれぞれの直線の交点の尿Cd値は右に計算してありますが、11.0μg Cd/ g crです。このあたりに事実上の閾値、つまり明瞭な腎機能障害があらわれるかあらわ れないかの閾値があるように見えるというデータでございます。  次に進ませていただきます。調査研究2−2「カドミウム生涯摂取による一般住民に おける腎機能障害と骨粗鬆症の関係の全国調査研究」です。  これは、きょう香山先生も同席していらっしゃいますし、これらのデータは非常に大 量のデータを解析しておりまして、必ずしも最終の解析結果でないという性格もあると いうことを申し上げておきまして、まず1ページをごらんいただきますと、先ほどは池 田グループで鉄欠乏性貧血がカドミウムの吸収を促進するかどうかについて調べて、そ のようなデータにはなっていない、その事実は認められないという結果でございまし た。  この研究では、いずれもそれぞれカドミウムの吸収を促進させるリスクファクターと 文献上は言われている鉄欠乏性貧血及び糖尿病の方を選び出して、1週間合宿していた だき、実際のカドミウムの摂取量と糞便中の排泄量を定量いたしまして、その差から吸 収率を測定した研究でございます。  2ページ目の真ん中に、その対象者はどのようになっているかということが書いてご ざいます。これは前回もご報告した全国5カ所のうち、カドミウム曝露の最も高かった 地域、そこでは597名の対象者があったわけですが、その中から糖尿病を有する被験者 10人、年齢をマッチさせた対象者14名、貧血の方6名(ヘモグロビン濃度:11.0g/dl未 満)と年齢をマッチさせた対象者12名、計42名を選び出して泊まっていただいたという ことです。  実際には若干脱落等もあって、少しデータの数が減っておりますが、8ページの Table1をごらんください。Aがfirst studyでBがsecond studyとなっており、Aは 糖尿病の方7人と対照群の方13人を比べています。Bの方は貧血の方6人と対照群の方 12人を比べています。  これで見ますと、それぞれ記載されている項目の比較がしてありますが、右のp-value で有意差があったのは、Aの方ではHematocritがControlで少し低く、Diabetesの方が 少し高いということです。それから、当然のことながら、ヘモグロビンA1cが5に対し て7.2で有意に高い。血糖が89.7に対して169.3で有意に高い。にもかかわらず尿のカド ミウムは5.16に対して4.9で特に上がってなく、むしろ低い。血液のカドミウムも糖尿 病患者さんの方が低いということで吸収が高くなっているという証拠は得られませんで した。  2番目は貧血の患者さんの場合です。これは右のp-valueを見ていただきますとわか りますように、当然ですが、ヘモグロビン、Hematocrit、血清鉄、フェリチンが有意に 低い。カドミウムの方はどうかというと、一番下の2行で有意ではない。ちょっと高い ように見えますが、貧血で2.72に対して2.92、血液が2.71に対して3.56。ちょっと高い ように見えますが有意ではございません。  その他も解析しておりますが、このデータ群からは糖尿病あるいは貧血の傾向のある 方、貧血の方は患者とまでは言い切れないレベルであるかもしれませんが、これらの方 においてカドミウムの消化管からの吸収が高いという結果にはなっていないと結論され ております。  それから、吸収率の問題ですが、次の9ページに吸収率がダイレクトに測られており ます。左Aが糖尿病、Bが貧血ですが、このIntakeとExcretionからRateが計算されて おります。吸収率です。そうしますと、13人の平均が-11.1ということですから、この 方々では食べた量よりも排泄した量の方が多い。それから、糖尿病の患者さんの方も同 様で-2.8となっており、この間には有意の差はございません。  なお、この方々の年齢は高く、その前のページでありますが、63.7歳と58.9歳という ことで、およそ60歳前後となっています。  次に9ページのB、これは貧血の方々ですが、controlの12人の平均吸収率が27.4%、 一方、貧血の方の吸収率は13.6%であり、これも貧血だから吸収率が高いというわけで はなく、むしろ逆に低い数字になっております。  なお、年齢によって、このようにして測られた吸収率が非常に違うということは、13 ページに図で示してございます。左の図だけ見てください。20〜30歳のグループで約44 %の吸収、40〜50歳で1%ぐらい、60〜70歳では−5.9というふうに吸収率がなってお りますが、これは事実上納得のいくデータではないかと考えられます。つまり50〜60歳 で平衡に達するわけで、そうしますと吸収量と排泄量がほぼ等しくなっているわけでご ざいます。若いときには食べたもののうち四十数%を吸収しているというのも何ら不思 議はないと思います。ですから吸収率それ自体は、一度吸収したものと排泄されたもの のバランスで見えているのだろうと思いますので、高齢においては事実上50%ぐらい吸 収されたとしても、同じようなレベルが腸管に排泄されているから差し引き0になって いる。若いところでは50%吸収され、10%排泄されているので、40%というような概念 で説明がつくのであろうと思いますが、いずれにいたしましても貧血と糖尿病はリスク ファクターであるという結果にはなっておりません。  最後の研究2−3でございます。  これは骨密度がカドミウム吸収によって減少しているのではないかということを示唆 するいくつかの報告が見られることもございまして、実施したものでございます。 Table1をごらんください。  A、B、C、D、Eと全国5つの地域で、それぞれ175人、191人、189人、186人、503 人という方々について、骨密度の測定と骨代謝マーカーの測定を行ったものでございま す。Table1はそれぞれの地域のトータルと年齢で分けてありまして、35〜48歳、49〜55 歳、56〜65歳、66〜75歳、これは閉経前、閉経の周辺、閉経後前期、閉経後後期と4つ に分けて、それぞれの年齢と血清の黄体ホルモン(LH)が測られておりまして、閉経 とともにLHが増えているのがわかりますが、こういうグループについて、Table2は、 血液のカドミウムと尿のカドミウムが測定されております。  上を見ますと、血中カドミウム、尿中カドミウムいずれも若干のでこぼこはございま すが、E群が最も曝露の高い群であり、Aが曝露の低い群で、真ん中のB、C、Dは中 間でございます。  Table3は、Bone mineral densityでありますが、TotalでB群とE群でやや低い。そ れからYounger post-menopauseのところで「*」が付いているのをごらんいただきます と、B群とE群でやや低いというような傾向が認められますが、必ずしも一番高齢のグ ループでは有意の差としては検出されていません。  次のTable4、Table5は省略しまして、Table6、7にまいります。  Table6を見ていただきますと、これは重回帰分析しております。そうしますと、一 見、先ほど曝露との関連がありそうに見えましたが、年齢、BMI、握力、血液のCd、Ca intake、Vit.D intake、上の半分は血中Cd、下の半分は尿のCdを独立変数とし、従属 変数に骨密度をとっておりますが、そうしますと、血液のCdのところをずっと右を見て いただきますと、P valueが0.8、0.8というふうに有意の独立変数としては効いており ません。それから下の尿のCdについても同様です。ただ、1つ、Allというところ、血 液のカドミウムがP valueが0.036となっております。ちょっと気になりますが、全体と して、この曝露指標である血液のカドミウム、尿のカドミウムが独立変数として骨密度 の低下に影響しているという結果ではないと思われます。最後にTable8と9でござい ますが、これは骨代謝マーカーを調べております。  調べてありますのは4種類、Bone Al-Pというのは、血清の骨型アルカリフォスファ ターゼであり、次が血清のオステオカルシン、尿のNTx、一番下が尿のデオキシピリジ ノリン、いずれも骨代謝マーカーです。  これを見ましても、散在的に有意の差が出ておりますが、結論といたしまして、今回 観察された地域でのカドミウム曝露が骨密度に影響を与えるという証拠はなく、また骨 代謝マーカーに対しても影響を与えていると判断することはできませんでしたが、他の 交絡因子の影響等も含め、今後の調査・解析が必要と考えられるという結論になろうか と思います。  以上です。 ○小川座長  ありがとうございました。 ○櫻井参考人  ちょっと時間が長くなりまして、申し訳ございません。 ○小川座長  時間もちょっと過ぎてしまいましたけれども、農水省の方から、資料12−2について ご説明いただいて、それからご質問があればお受けするということにしたいと思いま す。よろしくお願いいたします。 ○農林水産省生産局農産振興課   それでは、資料12−2に沿って説明させていただきます。農林水産省の月山と申しま す。よろしくお願いいたします。  農林水産省ではJECFAの要請に基づきまして、農作物などに含まれますカドミウ ムの実態調査をいたしまして、このたび提出をしたということでございます。それで データにつきまして、4枚目をめくっていただきますと、「提出データ一覧表」という のがございます。ここにございますように、全体で73品目、延べ4万2000点余りの分析 をして提出をしてございます。実際JECFAに送付したものにつきましては、試料の 採取方法ですとか分析方法も添付してございますが、ここでは省略させていただいてお りますので、必要があれば、後日いつでも提出させていただきます。  それで、サンプリングの概要をご説明いたしますと、一番点数の多いコメにつきまし ては、全国の水稲作付けの50ヘクタール当たりに1点のサンプルをとるような形で全国 をカバーしたような調査でございます。小麦や大豆につきましてはほぼ全国で作付けさ れておりますけれども、面積に差がございますので、各県の作付けに応じた割合で点数 を配分するような形でサンプルをとっております。野菜や果物につきましては、産地が 特定されているようなところもございますので、全国の主産地からサンプルを入手する ような形で行っておりまして、おおむね全国の実態をとらえるような形で調査をしたと いうことでございます。  それでは、時間もないようでございますので、データの全体は説明を省略して、見方 だけご説明させていただきます。  1枚めくっていただきますと、コメにつきましてのデータが載ってございます。全体 で3万7千点の調査をしてございまして、最小値が0.01未満から最大が1.2ppmというこ とで、これは1点だけ、コメの規格基準1ppmを超えたものもございましたけれども、 秋田県のこの地区につきましては、既に農用地汚染防止法に基づきます対策計画が策定 済みでございまして対応がとられております。下に分布ごとの数値が載ってございまし て、見やすくするために右にヒストグラムをつけてございます。  それと参考までに左側の下に想定基準値に対する超過率ということで、あくまで参考 ということでございますが、現在コーデックスの方で検討されております基準値原案、 これが0.2ppmでございますけれども、これに対応すると超過したものが3.3%であるし、 仮に0.4ppmであれば、0.3%でありますよと、見やすい形で表にしてございます。  あとはほとんど同じような形になっておりますが、もう一つ、土について載っている のがございますので、両面コピーになっていますが、4ページを見てください。ここに 大豆がございます。資料の構成は同じような形でございますけれども、全試料462点の うち、収穫前調査と収穫後調査というのか書いてございますが、これはほ場段階でとっ たものが収穫前でございまして、収穫後というのは乾燥調整施設に置いてサンプリング をしたものでございます。なぜ2種類とったかといいますと、ほ場につきましては、下 に土壌試料とございますけれども、土も同じようにサンプリングをしてございまして、 そういうことで2種類とりましたけれども、統計的な処理をした結果、同じ分布という ことで、合わせた形となってございます。  念のため、土壌試料を見ていただきますと、こういった分布になっておりますが、我 が国の土壌の平均的な濃度が0.3〜0.4ppmと言われておりますので、おおむねそういっ た範囲に入ってございまして、明らかに汚染されたようなところからのサンプリングは ないということで、通常の地域での実態であるということでございます。  あと、同じようなデータでございますので省略させていただきますが、念のため、こ の資料の一番最後60ページ以降の3点につきましては、60ページにこんにゃくというの があると思いますけれども、実はこれはJECFAでの評価対象にはならないという想 定で提出しなかったのですが、参考として分析いたしましたので、こんにゃく以下、う どとお茶につきまして、今回JECFAには提出しておりませんけれども、参考という 形で付けさせていただきました。  以上でございます。 ○小川座長  ありがとうございました。時間が足らなくて十分ご説明いただけないで申し訳ありま せん。  それでは、ちょっと時間が過ぎておりますけれども、せっかくの機会ですので、2〜 3ご質問受けてもよろしいでしょうか。何かご質問ありましたら、いかがでしょうか。  ご質問ないようでしたら、カドミウムの疫学研究に関する今後の予定などについて、 事務局の方からお願いいたします。 ○事務局  食品のカドミウムの規格基準については、本年7月の食品規格・毒性合同部会におい てご審議いただいております。疫学研究の結果がすべて出揃った段階で、毒性部会でま ず重点的に毒性評価を行うこととなっております。疫学調査の結果については、本年度 さらに報告される予定になっておりますので、その段階で毒性部会を開催したいと思っ ております。 ○小川座長  ありがとうございました。そのほかに何かございますか。 ○中垣基準課長  カドミウムにつきましては時間が足りなくて申し訳ありません。先ほど申し上げまし たように、今年度末に報告される報告書を踏まえて、たっぷりと時間をとって議論して いただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  最初に部長が少し言及いたしました予算と組織について簡単にご報告させていただき たいと思います。今、組織の紙を配っておりますが、予算の紙を1枚めくっていただき ますと総括表がございます。  合計で15%あるいは19%の伸びということで、政府全体の予算の中では異例の伸びを 示しております。  項目別に見ますと、I 食品衛生法の抜本改正に伴う基準・体制の整備でございますけ れども、これが400%弱の伸びを示しております。II 食品の安全対策の強化、これが 5%強の伸びでございます。また、研究費が31%の伸びで、トータルとして15%あるい は19%の伸びという形になっております。  今お配りいたしております組織の点でございますが、1枚めくっていただきまして、 2枚目を見ていただきたいと思います。現在「医薬局」となっているのを「医薬食品 局」にする。さらには医薬品部門と食品部門を調整するために大臣官房参事官を置く。 また、食品保健部は「食品安全部」という名前に変える。現在、その下に3課ございま すけれども、この所掌を若干変えまして、企画課を「企画情報課」、基準課を「基準審 査課」、監視安全課は「監視安全課」のままでございますが、その中に、「輸入食品安 全対策室」を設けるということで、来年の7月1日付でこのような方向で国会でご審議 の上、体制を再編をするという方向になっておりますので、簡単にご報告させていただ きます。 ○小川座長  ありがとうございました。そのほかにございますか。  ないようでしたら、以上をもちまして、食品規格・毒性合同部会を終了したいと思い ます。どうも今日はありがとうございました。                                     (了) 照会先 :医薬局食品保健部基準課 太田・横田 電話  :5253−1111(内線2484・2487) ファックス:3501−4868