02/09/19 第18回 厚生科学審議会生殖補助医療部会議事録            第18回 厚生科学審議会生殖補助医療部会                    議事録           厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課          第18回 厚生科学審議会生殖補助医療部会議事次第 日時  平成14年9月19日(木)14:00〜17:00 場所  経済産業省別館1020号室(10階) 議事  1.検討課題2について  2.その他について ○宮本生殖補助医療対策準備室長  定刻になりましたので、ただいまから第18回厚生科学審議会生殖補助医療部会を開催 させていただきます。  本日はお忙しい中、多くの委員にお集まりいただきましてありがとうございます。  出欠状況でございますが、本日は荒木委員、安藤委員、石井委員、澤委員、福武委員 がご欠席ということで連絡いただいております。それから、まだお見えでない加藤委員 、吉村委員、町野委員につきましては、後ほどいらっしゃることというふうに存じてお ります。  それから1つ、ご了承いただきたい点がございまして、本日この部会と同じ時間でご ざいますが、厚生科学審議会の本審全体の会議が行われております。そちらの本審の方 より、生殖補助医療部会を含めます各部会の進行状況について報告するように指示を受 けておりますので、一時、課長の谷口が退席させていただきます。この点につきまして はご了承いただきたいと思います。  それでは、早速議事に入りたいと思います。矢崎部会長よろしくお願いいたします。 ○矢崎部会長  それでは、議事に入りたいと思いますが、まず室長交代されましたよね。自己紹介 と、総務課長も代わられたので、来られたら自己紹介していただければと思います。 ○宮本室長  申し遅れました。生殖補助医療対策室長を桑島に代わりまして拝命いたしました宮本 でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○矢崎部会長  よろしくお願いいたします。  本日はお忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。まず資料の確 認をお願いします。 ○宮本室長  お配りしております資料といたしましては、資料1、2、参考資料の一部、机上配付 資料、平山委員よりご提出いただきましたものを机上配付資料1〜3、以上が資料でご ざいます。 ○矢崎部会長  よろしいでしょうか。  きょう机上配付の資料ございます。これは平山委員からの資料でございますが、簡単 にご説明お願いします。 ○平山委員  机上配付資料として3種類用意させていただきました。そろそろカウンセリングの内 容についての議論になろうかと思いますので、なかなかたたき台になるようなものがな いと難しいかと思いましたので、私なりに欧米の現状、ガイドライン等を踏まえてつく ってみました。  3の方から見ていただきたいのですが、この医療を実施していくためには、医師一人 でやっていくということではなくて、チームでやっていくということは皆さんの共通理 解だと認識しておりますので、チームでどう動いていくかというのを資料3に案として 、どういう動きになっていくのか、治療の流れをまとめてみました。もちろんこれは絶 対的なものでは全然ございません。  それを行っていく上での不妊カウンセラーのカウンセリングを行っていく主体として の役割と要件について簡単にまとめたものが資料1です。  そして、実際の提供された卵子・精子・胚における生殖補助医療の参加される方への カウンセリングの内容について、それぞれどういう内容があるか、スクリーニングとカ ウンセリングに分けて、これは主にアメリカのガイドラインを参考にしてつくらせてい ただきました。ただ、実は皆さんに1つだけ知っておいていただきたいのは、欧米では この医療を行うときのカウンセリングやスクリーニングにおいてレシピエント(被提供 者)に対するスクリーニングはほとんど行われていないんですね。ドナーに対してはス クリーニングはかなり盛んに行われているのですけれども、レシピエントに対しては行 われていないことが多いので、レシピエントのところは、私がドナーのものを参考にし てつくったような感じになっております。  とりあえず内容については、またそのときになりましたら適時説明させていただけれ ばと思っております。とりあえず資料の説明は以上です。お願いいたします。 ○矢崎部会長  貴重な資料をいただきましてありがとうございました。  それでは、引き続き検討課題2について検討を進めてまいりたいと思います。前回、 各委員のご議論いただきまして、今回の資料にそのご意見を盛り込ませていただいてお ります。一応カウンセリング以外のところは、委員の皆様の大体のご同意が得たと思い ますが、念のために前回の資料からの変更点について事務局からよろしくお願いいたし ます。 ○宮本室長  前回の資料から変更いたしました点を簡略にご説明させていただきます。  まずインフォームド・コンセントにおきまして、必要に応じて説明する事項から変更 すべきだという意見がございましたものについて幾つかございました。全体の変更点に つきましては、波線が引いてあるわけですが、そういったインフォームド・コンセント 変更につきましては、2ページ以降、4ページ、5ページ、6ページ、こういった点に わたりまして、そういった区分の変更というのが行われております。  そのほかの変更点といたしましては、同意と同意の撤回に関します議論の中で、幾つ かの議論が集約されたというふうに認識しております事項について記載しておりまして 、21ページ以降、生殖補助医療を受けるご夫婦の同意と撤回につきまして、22ページの 波線が引いてあります部分、「同じの生殖補助医療の施術が繰り返される際も熟慮期間 は3ケ月必要であるとこととする」、「同意書の保存は公的管理運営機関が行い、保存 期間は80念とする」、「胚を子宮に戻す前であればいつでも撤回できることとする」、 「文書の保存は公的管理運営機関が行い、保存期間は80年とする」。そういった部分。  それから、提供する側の同意と撤回ということで、引き続きまして24ページ、同様で ありますけれども、「同じ生殖補助医療の施術が繰り返される際にも熟慮期間は3ケ月 必要であることとする」、「提供者の同意書に関しても公的管理運営機関が保存を行う こととする」。この点につきましては、専門委員会の報告書には盛られていなかった部 分でありますけれども、ほぼ同様なのかということをこちら側で類推いたしまして、ペ ンディング(P)付きでございますが、このように記載させていただいております。  それから、同意の撤回についてでありますが、「提供者は、精子又は卵子の提供を行 った場合は受精させる前、胚の提供を行った場合は提供を受ける者の子宮に戻す前であ ればいつでも撤回できることとする」。  文書の保存につきましては、「提供者の撤回の文書に関しても公的管理運営機関が保 存を行うこととする。また、その保存期間を80年とする」。こちらは同意書の提出と同 様に類推いたしまして記載しているものでございます。  それから、「2 実施医療施設の施設・整備の基準及び人的基準について」のところ を、枠組みを一部変更してございます。この内容につきましては、ずっと続けて記載し てきたわけですが、3つに分けまして、(1)施設・整備の基準、(2)人的基準、( 3)倫理委員会の基準に分けてございます。  主な変更点としては以上ということでございます。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。ここに変更の点で、胚の提供というのは、余剰胚の ことでありますので、ご注意いただければと思います。  それと17ページに、「胚提供を行った夫婦のうち、一方が死亡した場合は提供された 胚は廃棄されることとする」というふうに議論があったのですが、一応結論させていた だきました。何かこの点についてご意見ございますでしょうか。 ○古山委員  18ページなんですけれども、下の方、「(3)予期しない生存児について」というの がございますが、生存児というのを「生産児」。その下の「予期しない生存児の生まれ る可能性について」を、「予期しない生産児について」というふうに直した方がいいの ではないかと思います。それは実は、2ページの下から10行目ぐらいのところに「( B)予想される結果について」というのがございますが、「◆ 妊娠率、流産率、生産 率」と、ここで「生産」という言葉を使っていますので、統一した方がいいのではない かと思いました。 ○矢崎部会長  これは小児科の領域ではどういうふうになっていますでしょうか。 ○松尾委員  私もこの言葉に違和感があってご指摘申し上げようかと思っておりました。「予期さ れぬ」という表現が不正確だと思います。生殖補助医療により、さまざまな子供が生ま れるリスクは高いわけですから、これは医学的には「予期される」という範疇に私は入 ると思いますので、予期されぬという形容詞自体が違っているのではないかと考えます けれども。 ○矢崎部会長  「生産児」というのはよろしいのでしょうか。 ○松尾委員  英語で言うとlive birthというものに当たる直訳だと思いますけれども、 一般的には余り使わないと思いますけれども、業界の中では定着していると思います。 ○矢崎部会長  生産児。 ○松尾委員  はい。live birthというのに当たると思います。 ○矢崎部会長  「生産児」というふうに一応直すということで。 ○才村委員  私も「予期しない生存児」という名前にこだわって、きょう言おうと思っていたんで すけれども、どのような子供が生まれる場合であっても、生まれた子供を責任を持って 養育すべきだと思いますので、予期する生存児というのは、例えば障害がないとか、そ ういうようなことに予期するのはおかしいですし、また生存という言葉も、今言われた 「生産」ということですけれども、生存の反対は死亡で、予期しない子は死亡したらい いのかという、そこまで勘ぐる必要はないかもしれないですけど、この言葉の裏にある ものが予期しない子供は、抹殺すべきみたいな形に考えられないかというふうに差別的 にも思いますので、むしろこの言葉を全部なくしてしまうか、どのような子供が生まれ た場合であっても、「子供を責任持って養育すべきである」とか、そんな言葉に私は変 えた方がいいと思いました。 ○矢崎部会長  なるほど。予期しないというのは随分マイルドになっているのですが、予期するとい うのもちょっと違和感がありますから、どのような生産児であっても、責任を持って養 育すべきという方が妥当かもしれませんです。 ○吉村委員  実はこの言葉は、日本語に訳すとき、マイルドな表現にしようということで、私たち はこれを考えたのですけれども、これは的確でないことは事実でして、wrongful baby の略なんですね。辞書を見ますと「不当な」になるわけです。「不当」は余りにも言葉 として適切ではないということで「予期しない」、2回ほど前の委員会でも、そのこと を、私はいい言葉がなかったので、こういたしましたと言ったんです。 ○矢崎部会長  そうですね、確かに。 ○吉村委員  ですから、いい言葉があれば。wrongful babyの意味です。 ○矢崎部会長  ですから、もう少しマイルドに、才村委員の言われたような、どのような場合でも、 責任持って養育するようにという項目に変えたいと思いますが、どのような文言にした らいいか、才村委員にこの会が終わるまでに、(3)の文章を考えていただければ大変 ありがたいと思いますが、よろしくお願いいたします。 ○平山委員  wrongful babyというのは、裁判などで今まで使われた言葉だと思うんですね。もし 法学関係の先生で訳語があるのであればと思うのですけれども。 ○金城委員  いい訳がないんです。 ○平山委員  ないんですか。 ○矢崎部会長  それは吉村委員がずっと言っておられたことで、ですから、今言われた才村委員に文 章を後でつくったのを読んでいただければ大変ありがたいです。 ○松尾委員  関連事項でよろしゅうございますか。 ○矢崎部会長  はい。 ○松尾委員  2ページの「(B)予想される結果について」というところに幾つかの事項が並んで おりますけれども、一番問題なのは、極小未熟児や超未熟児が生まれることであります ので、その事項をこの中にぜひ加えていただきたいと思います。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。ちょっと気がつきませんでしたですね。ぜひ入れさ せていただきたい。それは事務局の方でお願いします。 ○宮本室長  はい。 ○鈴木委員  関連なんですが、これも語句ですが、4ページ目の真ん中辺に、多胎の件ですが、( A)「◆ 1回に2個以上の胚を子宮に移植する場合、仮に双胎、三胎となってもそれ を受け入れること」とあるのですが、表現きつくないですか。何かもうちょっと工夫が ないものか、考えています。 ○矢崎部会長  そうですね。これはエッセンシャルではないと思いますね。確かにこれはなくてもい いかもしれないですね。 ○鈴木委員  あった方がいいと思うのですが、「受け入れること」という言い方ではちょっときつ い。その可能性があることは十分知ってないといけないわけですよね。 ○矢崎部会長  ですから、これは予想される結果の中に多胎…。 ○鈴木委員  「受け入れる」という表現がちょっとひっかかっているということです。 ○矢崎部会長  わかりますが、これは2ページの方に入ってもいいですね、一括して。よろしいでし ょうか。先ほど松尾委員が言われた超未熟児と多胎児というのを。これはそちらの方に 移動させていただきます。事務局の方、よろしいですか。おねがいします。  そのほかありますでしょうか。 ○松尾委員  今、事務局からご提案ございました28ページ以降の「実施医療施設の施設・設備の基 準及び人的基準について」という以下でございますけれども、1つは設備の基準、2つ は人的な基準、3つは倫理委員会ですが、子供の医療という観点が含まれていません。 項目を1つ立てていただいて、出産ないしその後の児のケアにかかわる問題に対応して いただきたいと思います。 ○矢崎部会長  これは先生、倫理委員会の中にそういう方が必ず入るとか、そういうことではだめで しょうか。 ○松尾委員  妊娠や妊婦の問題は産科の範囲だと思いますけれども、妊娠中いつ合併症や流・早産 がおこるかわかりません。それらの問題が包括された施設基準もぜひご遠慮いただきた いと思います。 ○矢崎部会長  その点については、きょうそこまで議論がいくかどうかわかりませんので、もし、そ こまで議論が進めましたら、そのときにご相談申し上げたい。  本日は、前回議論しなかった部分のカウンセリングの保障期間の問題と、それから、 今、松尾委員からご指摘がありました実施施設の基準以外の人的基準と倫理委員会、こ れは今後詰めていかなければいけないということで進めていきたいと思っています。  それでは、25ページ、「提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療におけるカウ ンセリングの機会の保障について」の部分を、事務局が作成いたしましたので、まず説 明していただけますか。 ○宮本室長  25ページからでございますが、カウンセリングの点につきましては、これまで25ペー ジの四角の中に書いてありましたような内容で暫定的に記述しておったわけであります が、このたび、私どもでその内容を若干展開いたしまして、26ページ以降にありますよ うな内容に整理をしております。  簡単に内容を申し上げますが、カウンセリングの主体は?  不妊治療に関する十分な知識を持ち、精子・卵子・胚の提供をうける夫婦、精子・卵 子・胚の提供者及びその配偶者に対して医学、心理、福祉等の観点から十分な支援を行 うことができる者。こういった者が主体となり得るという(案)でございます。  カウンセリングの客体は?  カウンセリングの対象といたしましては、(1) 精子・卵子・胚の提供を受ける者。  (2) (1)の配偶者。  (3) 精子・卵子・胚の提供者。  (4) (3)の配偶者。  こういった方々であろう。  参考事項でありますけれども、精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療によって生 まれた子に対するカウンセリングは、時期のずれといいますか、この中で整理をすると いうよりは、出自を知る権利についての検討の際に併せて検討するということで整理を してございます。  カウンセリングの内容は?  非常に簡略ではございますが、提供を受ける夫婦、提供者及びその配偶者が自己決定 を行えるよう、以下のようなものをカウンセリングの内容とする。  HFEAのマニュアルにございますような、そういったものをこちらで簡単に省略し た形で4つのカウンセリングということでまとめてございます。  続きまして、27ページにまいりますが、そのほかのカウンセリングに関します論点と いたしまして、カウンセリングの機会の保障ということをどのように理解するのか、そ れから、独立性ということについてどのように理解するのか、そういったことでござい ますが、こちらに書いてあります(案)といたしましては、提供を受ける夫婦又は提供 者及びその配偶者は、インフォームド・コンセントの際に、専門団体等による認定等を 受けた生殖補助医療に関する専門知識を持つ人によるカウンセリングを当該施設以外で 受けることができるということについて、十分説明されなければならない。  そういった機会があることについて、インフォームド・コンセントを十分行うという ことでまとめております。  それから、担当医師は、提供を受ける夫婦や提供者及びその配偶者からカウンセリン グを受けることの希望があった場合、希望者が適切なカウンセリングを受けられるよう な手配しなければいけない。  また、担当医師が提供受ける夫婦や提供者がカウンセリングを受けることが必要だと 判断した場合には、当該夫婦や当該提供者に対し、カウンセリングを受けることを勧め ることとする。  このようにまとめてございます。  参考といたしましては、専門委員会報告にございました記述を記入しておりまして、 そういったカウンセリングを受ける機会を与えなければならないというものを下敷きに といいますか、その記載した内容をもとに上にまとめておるということでございます。  それから、カウンセリングの質をどのように保つのか?ということですが、こちらも 論点ということになろうということですが、参考といたしまして、専門委員会報告書に もともと書いておりました記述といたしましては、専門団体等による認定等を受けた専 門知識を持つ方によるカウンセリング、そういった専門団体等による認定という点にお いてカウンセリングの質を保つのだというような記述になっておったということでござ います。  それから、もう一つ、留意事項として申し上げますのは、検討課題1の際に、検討課 題2で対応することとしておりましたような論点が幾つかございまして、そういうのを まとめますと、子供への福祉、養育、そういったものを担保していくのかという内容が 、後で検討するこはになっておりました。こういった点につきましても、議論の際にご 留意いただければと思っております。  簡単でございますが、以上でございます。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。事務局が専門委員会の意見具申に従って、簡単に骨 子をまとめていただいたわけですが、まず順々に議論を進めたいと思いますが、カウン セリングの主体は?ということでございますが、このようなことでよろしいかどうかと いうことですが、いかがでしょうか。 ○平山委員  この報告書をつくられたときは余り心理的支援であるとか、ましてや生まれた子の福 祉という観点は抜け落ちていた少なくとも、余り省みられてなかったように思います。 その時点でつくられたものを参考にしてつくってくださったと思うんですね。私たちは これまで議論してきた中で、医学的なところだけでなくて、心理学的な問題や福祉的な 問題というのがもっと考えなければいけないのではないかというふうな共通理解を得て きたわけですね。  ですから、ここでは、カウンセリングをどうとらえるかというのは難しいのですけれ ども、医学的なところではないものをフォローしていくためのカウンセリング、単にイ ンフォームド・コンセントの補助とかそういうことではないカウンセリングが必要で、 そのことを決めていくというのが多分今からのところだと思うので、そこについて、そ ういう点を理解していただいて、より心理学的な観点や福祉学的な観点を強調したもの を主体としてのカウンセラーとしてもいいと思うんですね。カウンセラーという言葉が もし心理的なものを強調しすぎるのであれば、福祉的な専門家であるソーシャルワーカ ーの役割を別に立てていいと思うんですね。それぐらい重要だと思うので、カウンセリ ングのカウンセラーということであれば心理学の専門家であることは必須条件にしてい ただきたいというのが私の希望です。 ○矢崎部会長  この主体は、今、平山委員のお考えも十分配慮して、「医学、心理、福祉等の観点か ら十分な支援を行うことができる者」の中に含まれるというふうに一般的には理解でき ますが、こういう心理学者がカウンセラーだとか、そういう決めつけることはなかなか 、こういう報告ではなじまなくて、それはもう少し違うところで議論していただかなけ ればいけないので、一応そういうことを、平山委員から強くおっしゃられていただいて 、それはちゃんと記録に残すということで、そういうことを配慮しながら、「医学、心 理、福祉等の観点から十分な支援を行うことができる者」ということで、主体を一応こ ういう方にお願いするというふうにまとめさせていただきました。 ○松尾委員  会長の意見に賛成でございます。カウンセラーの業務は非常に広いと思いますし、医 学の中でも遺伝という問題、生殖補助医療のカウンセリングというのを2つこなすとい うこと自体も大変難しいことでございますので、今のような考え方でよろしいのではな いかと私は思います。 ○才村委員  私は平山委員の意見に賛成なんですけれども、カウンセリングの意味がちょっとあい まいになっているような感じがしてしようがないといいますか、カウンセリングという のは、あくまで臨床心理の分野の専門的なアプローチだと思いますし、福祉は、先日言 いましたソーシャルワーカー、福祉の立場でのかかわり方というのはまた別にあると思 うんですね。だから、どの時点で、どこにカウンセラーという人を置いて、そして例え ば私が言っているソーシャルワーカーを置くのかというのはまだまだこれからの議論だ と思うのですけれども、公的管理運営機関なのか倫理委員会なのか、それとも医療施設 に置くのかというのはちょっとわからないのですけれども、単にカウンセラーという名 前自身がすごく誤解を招くような感じがしまして、カウンセラーの中に福祉的なものが 入っているか、もちろん重なり合うとは思うんですけれども、私の理解ですけれども、 カウンセラーというのはその人の心の中に入り込んで、その人を端的に言えば強くする 。福祉の方は、もっと子供が大きくなっていく上で、親子をサポートしながら、例えば 家庭訪問したり、そして子育てのところが問題があるならば、地域へ出かけて行って、 地域での調整もするという役目、だから、カウンセラーと福祉というのはちょっと違う というのもありますし、そういう意味では、ここのカウンセリングの中身をある程度明 らかにした方が概念のとらえ方の違いみたいなことがないかなと思うんですけれども。 ○矢崎部会長  はい、わかりました。これはどういう方がカウンセリングの主体になるかということ で、今のご議論はその後に入ると思いますので、どういう方がということをもう少し幅 広くとらえた方がいいのではないか。ですから才村委員が言われたこと、平山委員が言 われたことをすべて主体の中に入りますよという意味でとらえていただければよろしい かと思います。ですから主体はこういうことということでご了承いただかないと、これ がいろんなことまで含まれると大変なので、一応ここでそういう意味も含めてまとめさ せていただいた。 ○金城委員  次に出てきます。 ○矢崎部会長  だから、その後、出てきますので、順次ご議論いただければと思います。次はカウン セリングの客体でございますが、(1)、(2)、(3)、(4)とございます。これは余り問題な いと思いますが、生まれた子に対するカウンセリングというのは、これはこの生殖補助 医療の場面でなくて、もう少し後にいろいろ起こってくる問題で、それこそいろんな心 理的な方、ソーシャルワーカーの方がサポートしていただかないととてもうまくできな いような場面が、インフォームド・コンセントの場面よりももっと後のときに非常に重 要な意味合いが起こってくると思います。したがいまして、出自を知る権利についての 検討が、検討課題1で、私自身はおおよその枠組みができたと思いますが、それについ ては、今の委員のご意見も十分勘案して、この件は、宿題ばかり残しちゃうと大変です が、一応出自を知る権利のところで検討させていただきたいと思います。 ○鈴木委員  客体の件で、平山委員からも提出していただいた資料2、最初のところに、ほとんど 客体として同じことが書いてはあるのですが、最後に大事なこととして、「その他、申 し出があれば提供を受ける者、提供する者の家族も対象となりうる」とありまして、や はりこれは加えておいた方がよかろうと私は思います。絶対受けなければいけないとい うことではないですけれども。 ○矢崎部会長  配偶者を超えたですね。家族ということでしょう。かかわる配偶者ではなくてそれ以 上の家族のメンバー。 ○鈴木委員  例えば卵子ドナーの方にはお子さんがいらっしゃるということが前提になっています よね。その場合、お子さんも場合によっては話を聞きたいと思われることもあるかもし れません。 ○矢崎部会長  では(5)にして入れますか。どうもありがとうございました。それでは、(5)をつけ加 えさせていただいて、平山委員の文言を入れさせていただくということにします。どう もありがとうございました。  それでは、カウンセリングの内容についてでございますが、事務局で一応流れとして (1)、(2)、(3)、(4)という項目を挙げていただきましたが、これも内容その他を議論し ていきますと膨大な量の内容になるかと思いますが、もしご意見を承れば……どうぞ。 ○金城委員  訳語なんですけれども、情報カウンセリング(giving information) 、これは「情報 提供カウンセリング」の方がいいのではないかと思います。それから、含意カウンセリ ング、これはちょっとわかりますか。もう少しいい訳語ないですか、平山さん。 ○平山委員  これは、私、事務局でないので答えていいのかわからないですけれども、ヨーロッパ 生殖医学会のガイドラインに出てくる4つの分類をそのまま持ってきてくださったのだ と理解しております。implications は、私もずっと悩んでいるんです。どういうふう に訳そうか、むしろ皆さんに教えていただきたいぐらいなんですけれども、多分悩まれ て「含意」としたのだと思う。ある本で訳語があったのですが、きょうたまたま持って くるのを忘れましたので、次回、訳語の案というのをもしあれでしたら持ってまいりま す。違う言葉であった文献がありましたので、「含意」というのは私もわかりにくいな と思いますので。 ○矢崎部会長  難しいでしょうね、きっと。説明カウンセリングというのもおかしいですしね。十分 に生殖補助医療が、ご本人だけでなく家族に与える影響、お子様に与える影響などを十 分、先ほどから心理学的、あるいは小児心理学的な方とか、そういうことがここに挙が ってくるような領域ではないかと思います。これは平山委員、ちゃんと考えていただけ るんですか、責任持って。 ○平山委員  できるだけ。定訳というのはもちろんないのでちょっと考えたいと思いますが、文章 をそのまま読みますと、 implications counselling ……ということがありますので、 治療のすべてのいろんな結果を理解できるようにと。  それからimplications counsellingと並行して、同じ括りでdecision making counselling というのもありますので、意思決定カウンセリングとした方がわかりやす いかもしれないです。 ○矢崎部会長  下の支援カウンセリングとその場合にかなり、下は何か落ち込んだときにサポートす るということですね。上はそういうことではなくて、何もまだ問題ない時期から必要… …。 ○平山委員  この4つの分類というのは、実はすべてが専門家によるカウンセラーによって行われ るものとは限らないんですね、定義上実は。 ○矢崎部会長  そうですね。 ○平山委員  ヨーロッパでは医療チーム全体でケアしていくものと専門家がよりかかわっていくも のがありまして、上の2つぐらいまでは、医療チーム全体でかかわっていく部分が大き いというふうにはなっています。もちろん専門のカウンセラーも(1)から(4)までやって いくんですけれどもということです。 ○矢崎部会長  はい、わかりました。それでは今言われた言葉も含めて、どういう言葉がいいか、後 で事務局の方に連絡していただければよろしいかと思います。  次の支援カウンセリングでございますが、これはちょっと問題があったときにきっち り……これは「情緒サポート」というのは何となくインフォームになじまないですよね 。ここのところは文言が自分たちがつくった言葉でなくて外国の文章を訳しているので ……。 ○高久委員  「精神的」な方がいいですね。 ○矢崎部会長  そうですね。ありがとうございました。原本はメンタルとかそういう意味なんですか 。 ○平山委員  エモーショナル・サポート。 ○矢崎部会長  エモーショナル、精神的でいいですね。どうもありがとうございました。(4)の治療的 カウンセリング、これはちょっと内容と表題が少し乖離があるように思いますですね。 ○松尾委員  これは医学的な問題の範囲を超えているのでしょうか。ここに書いてあるのは医学的 カウンセリングみたいに聞こえますけれども。 ○平山委員  そうですね。ここのtherapeutic はサイコセラピー(心理療法)という意味なんです ね。 ○矢崎部会長  そうですね。そうすると治療というのが、何となく治療的が問題なんですね。 ○平山委員  例えば、現在の状況の受容であるとか不妊の影響の意味を理解するとか、グリーフワ ークをしていくとか、そういうことの支えていくカウンセリングということになってい ます。 ○金城委員  3番目はサポートをして、そういう病気にならないようにする。ところがなっちゃっ たときに治療的カウンセリングみたいになるのですか。 ○平山委員  治療というと、非常に医学モデルですので、心理モデルというのは医療モデルとはち ょっと違いますので、治療といってもちょっと違う面があろうとは思いますけれども、 サポートというのはできるだけ苦痛に直面している人を支えていこうと、本当に支える ということですね。治療的カウンセリングになると、渡辺先生がされるようなサイコセ ラピーの理論や技法というのを用いて、その人をもちろん病気になった場合もそうです し、支えていく、癒しをしていくとか、そういうことになろうかと思います。 ○才村委員  これは心理療法カウンセリングではだめなんですか。 ○平山委員  もちろんいいとは思います。 ○矢崎部会長  内容は心理的なあれですよね。 ○平山委員  はい。 ○矢崎部会長  そうすると心理療法ですかね。 ○金城委員  私の感じとしては、心理療法だと3番も4番も当たっちゃうような気がする。 ○矢崎部会長  そうですね。 ○金城委員  ですから、できるだけ3番で解決するのだけれども、それだけでは解決しないときに は治療的が必要だということだから、私はこれでよろしいと。ただ、次に書いてある文 章をもうちょっとわかりやすくした方がいいかなとか思うんですけれども。 ○矢崎部会長  そうですね。もう支えきれなくなった場合の、渡辺委員が前から支えきれなかったケ ースをいろいろお話いただいたので、これは渡辺先生のレベルということですよね。 ○金城委員  そうですね。何て定義したらいいですか。先生にちょっとここの文章を考えていただ ければと思います。 ○矢崎部会長  日本語ですと、「心理療法」というとまた広く使われてしまって、3番と区別がつか ない場面ありますね。ですから渡辺先生のところにお伺いするような方々を……。 ○平山委員  そこまで深刻なケースじゃないといけないことはないんですよ。 ○矢崎部会長  もちろんそうですけど。 ○金城委員  スポットでやっちゃえばいいわけだから、その前は。 ○矢崎部会長  前は、十分ね。ありがとうございました。1番は情報提供、これは鉄則だと思います 。2番は、少し平山委員に考えていただくと。3番は高久委員がおっしゃっていただい た精神的サポートを行うこと。4番目は、一応治療的ということで言っていきますが、 言葉が医学的なタームでございますので、これを関係ない方が読まれると、下のとどう 結びつくのか疑問に思われるかもしれません。したがいまして、もっと適切な言葉があ れば、ぜひ委員の皆様から、渡辺委員、平山委員、その他の委員がぜひ提案していただ ければ大変ありがたく思います。  それから、27ページ、これがポイントになるかと思いますが、要するにカウンセリン グを受ける機会を保障するという立場から、カウンセリングのセカンドオピニオンを施 設外から受けられますよということを十分説明しなさいということでありますし、平山 委員、才村委員からご意見があると思いますが、希望があったら、ですから専門委員会 のカウンセリングを得る機会を保障しますよということを受けて、こういう形になった わけです。ですから希望があったらカウンセリングをしっかり受けていただけるように しなければいけないことと、それから、こういうサポートシステムがあるから受けたら いかがですかと、こういう文章になっています。  先ほどの生まれてくる子供の福祉に対するカウンセリングというのは、これは先ほど 主体のところでちょっとご議論ありましたが、これは生殖補助医療のところの場面での ことでございますので、恐らく子供の福祉に関しては、将来いろいろな問題が起こりう るということをしっかり情報提供としてカウンセリングの前にそういうことは遺漏のな いようにやるようにという指導が書いてありますが、そういうことを踏まえながらご議 論をいただければと思いますが、いかがでしょうか。 ○鈴木委員  きょうは平山委員がとてもいい資料を出してくださったなと思って、まだちゃんと読 んだわけではないんですけれども、例えば今平山委員のご提案だと、これは義務という ふうになっていますよね。機会を保障するというのは当然ですが、これを義務づけるの かどうかということは非常に大きな問題であろうということ、そこはちょっと確認をい ただきたいということです。 ○矢崎部会長  どうでしょうか。それを議論として投げかけて……。 ○鈴木委員  義務づけざるを得ないのではと、結論からいえば、私は思っておりますが、それとも う一つ、これは全体の話なんですけれども、今はこれを実施前とかやっている最中のサ ポートというふうに考えているわけですよね。子供が生まれた後の、子供に対するカウ ンセリングは後で話しましょうということになっちゃっているのですが、そうではなく て、例えば子供が生まれた後、1年、2年、3年というときに、それらの家族に対する サポート体制というのは何らかの準備が必要ないのかなということはちょっと確認いた だきたいというふうに思います。 ○矢崎部会長  1年、2年、その後の……。 ○鈴木委員  いや、10年でも20年でもいいですが……。 ○矢崎部会長  生まれた子に対するカウンセリングということは、出自を知る権利を含めて、そこの 点はもう一回議論するということを先ほど申し上げました。 ○鈴木委員  ええ。では、そのときに、生まれた子に対してではなく、そのことを、例えば告知す るかどうかという迷いを持っていかざるを得ない家族、その夫婦をどのようにサポート していくのかということに関して何らかの提案をしていきたいというふうに私は思いま すが。 ○矢崎部会長  当然、ですから出自を知る権利で、本当に個人を同定できる情報まで知らせるかどう かというのはやはりちゃんとしたところで議論をする場を、場というのは何ていったら いいですか、そういう判断を決めるような仕組みは必要じゃないかというふうに思って いるわけです。  それから、生まれてしばらく、いろんな問題が起こったときは、先ほど申し上げまし た3番、4番の、特にこれは治療を受けた方ですね。ただ、治療を受けたというのは、 単に生殖補助医療だけではなく、子育てとかそういうところを含んだ支援のサポートシ ステムというふうに考えていただければと思いますが。 ○鈴木委員  ドナーに対してもです。 ○矢崎部会長  えっ? ○鈴木委員  ドナーに対しても。ドナーが後で揺れるということも当然あり得ますので、その辺の 受け皿を何らかの形で用意していくシステムも必要だろうと。ちょっと具体的にどうい うのがいいかということではないのですけれども。 ○矢崎部会長  提供者ですね。 ○鈴木委員  はい。 ○矢崎部会長  そのほか、何かご意見ございますでしょうか。今、カウンセリングを受けるのを1つ は保障という考え方がありますね。もう一つは義務というお話がございましたね。 ○才村委員  インフォームド・コンセントとカウンセリングと別になっていますね、今。 ○矢崎部会長  そうです。 ○才村委員  インフォームド・コンセントは必ず受けなくてはいけないと思うんですね。同意を得 るということで説明しなくてはいけない。本来カウンセリングというのは、本人のニー ズがあって始まるものであると思うんですね。だからこのカウンセリングを必ず受けな くてはならないというふうにするというのがどうなのかなと。カウンセリングの中身は 、さっきに戻るのですけれども、先ほど私が言うようなカウンセリングであれば強制し てはおかしいものだと思うんですね。ただ、そのカウンセリングが広い概念でとらえろ というふうな形で先ほどおっしゃいましたので、単に心理治療的な意味でのカウンセリ ングだけでないとしたら、それは強制もあり得るかなと思うんですけれども、その質、 内容によってそこが変わってくるのかなと思うことと、また、これは話が飛ぶかもしれ ないですけれども、例えばこのご夫婦が育てることができる健康状態とか精神的な安定 度とか経済状況など生まれてくる子供を安定して養育していける状態の夫婦に限って提 供を受けられるということにしましたよね。これをどこがインフォームド・コンセント 、カウンセリングの段階で実施に次なるわけですから、どこでそれを見きわめるのかに かかわってくるのかなと思うんです。  そこで、インフォームド・コンセントの中で、そういうふうなことも見きわめるとい うことで、例えば倫理委員会にかけるというふうな形になるのか、カウンセリングの段 階で、その辺がじわじわわかってきて、この人はちょっと問題だろうと。そしたら倫理 委員会の方へカウンセリングの段階でちょっと言ってくださいと。でもどうしても倫理 委員会の方で審査するということができないとなれば、公的管理機関へ上げるとかとい うふうなところへ全部にかかわってくるのかなと思います。 ○相良委員  同じようなことなんですけれども、平山委員が提出された机上配付資料2というのに カウンセリングの内容としてかなり細かく書いていただいていて、この中にスクリーニ ングというのも入っているんですよね。資料の26ページの方の4つの分類の中にはこれ が必ずしも含まれていないのかなと思って今聞いていたのですけれども、そうなるとこ のスクリーニングというのをどういうふうに位置づけるか、これをカウンセリングの一 部と考えるのであれば義務づけということになるでしょうし、また、カウンセリングと はまた別に1つカウンセラーの役割として独立させるのであれば、またちょっと考え方 も変わってくるのかなと思って聞いていたのですが。 ○矢崎部会長  カウンセリングの意味が物すごく、今言われたように広いんですね。内容も膨大なの で、これは義務づけるというのは、なかなか今ご議論があったように難しいのではない か。ですからこういう包括的なカウンセリングに関しては必要に応じてある程度の濃淡 があって、こういう問題を特に集中的にカウンセリングするというようなこともあり得 ると思うんですね。ですからカウンセリングをインフォームド・コンセントの条項のよ うに、こういう条項、条項で、こういう人でなければいけないとか決めるのはなかなか なじめないのかなという感じがいたしますね。  そうした場合に今非常にご関心の深い、実際に本当に適正に生殖補助医療が行われて いるかということを誰が判定してどうするか。先ほど才村委員から経済的な安定度とか そういうものがこの委員会で生殖補助医療を行う上で重要だというふうに最終的に決定 したと言われましたが、私は必ずしもそうではないのではないか。それが望ましいけれ ども、じゃあ、どういう、年収が幾らだったらできる、あるいは年収幾ら以下だったら できない、そういう経済的判断、そういう線切りとかはできないと思うんですね。です から余り項目ごとに細かく決めるようにはやはりなじまないところがあって、それはそ れこそ包括的に判断していただくということになるのではないかというふうに思います が、いかがでしょうか。 ○才村委員  経済的というより、むしろ精神的な安定度の方が重要だと思っています。 ○矢崎部会長  そうですね。親子関係とかね。 ○才村委員  経済的なことはもちろん最低限の生活ができればいいわけで、ただ、兄弟姉妹のとき に審査があるというようなこと、これはまた後に論議になるのですけれども、そこで審 査をされるということが、親子関係を見ながら、ちゃんと安定して精神的に、育てられ るかということが、そこでは審査されるような案が出ていますね。そういうことも関連 しますね。ここの場合の精神的な安定度を誰が見るのか。ある程度こうでなかったらだ めということはないにしても、子供が欲しくて、卑近な例を出しますと、例えば夫婦と しても離婚しそうで、子供でも来たらという形で、子供が来たらうまくいくものではな くて、子供が来て離婚されるような、そういう里親さんもいるわけなんですね、実際に は。だから、ある程度、精神的な安定度、夫婦としての精神的な安定度というのは割と 大きい要素だと思います。 ○矢崎部会長  でも、それもなかなか判断は難しいですね。夫婦の中の状況。 ○才村委員  その辺では、私は児童福祉の専門家をどこかに入れてもらって、そういう判断を、な かなか難しい方だなと思うときには、どこかの機関につなぐとか、調査、嘱託みたいな 形で、例えば里親でしたら、家庭裁判所か児童相談所に特別養子縁組するときに調査嘱 託というのを置きまして、夫婦を面接しながら、その辺を見ながら意見を出すというこ とをしているんですね。だから、そういうふうなものがないのかなと今回も思いました 。 ○矢崎部会長  そうですね。今、委員の言われたことは、余り血縁関係がないところで、特別養子と か養子をいただくときのいろんな条件があるのではないかという、大義だと思います。 もしかすると、例えば胚の提供とか、要するに血縁関係がない、あるいは兄弟姉妹の間 という、極めて将来精神構造的にサポートが弱いようなケースと、余りそこまで考えな くてもいいケースというのがあるのではないかと思いますので、ですから、そういう意 味ではある程度ケース・バイ・ケースで分けてもよろしいですね。全く血縁関係のない 胚の提供、兄弟姉妹の提供と、今まで従来行われていたAIDみたいなものと同列にや るかどうかというのは、今回は出自を知る権利がすごく重大な観点で、従来どおりのA IDはできないということになりますが、そういう幾つかのケース・バイ・ケースとい うことがあるので、全部一緒に決めるのはなかなか困難なように思います。  整理しますと、そういう胚の提供とか兄弟姉妹のところはきっちり透明性を高め、い ろんな影響で左右されないような仕組みを考えてあげるということではどうでしょうか 。 ○平山委員  確かにカウンセリングは義務というのはなじまないというのは、私もそのとおりだと 思いますが、実際ある文献で読みましたが、イギリスなどでも、実際カウンセリングを 受けてほしい人ほど受けないと、こういうケースにおいて。 ○矢崎部会長  そうですね。 ○平山委員  そういうのがあるということを聞いております。それが1点と。  それから、私も実は初めこの部会が始まる前は、そこまでいろいろ養育する能力とか そういうことを考えなくてもいいのではないかと思っておりましたけれども、委員の方 々のお話、特に才村先生もそうですし、松尾委員や渡辺委員のお話を伺って、やっぱり ちゃんと生まれてくる子の、本当のその後のその後もずっと考えていかなければいけな いと思い始めたんですね。そのときに心理学の専門家として、この医療の中でどういう 役割が果たせるかということを考えて、もし、この人に本当に治療を受けても大丈夫か という判断の一部を担えるかなということでスクリーニングというのを入れたのが意図 です。  それでは当然福祉的なものは足りないだろうなと思ったのでソーシャルワーカーの介 入もあった方がいいかなと思ってつくったのが今回の机上配付資料3なんですね。その こともありますので、先ほどケース・バイ・ケースと部会長がおっしゃった。じゃあ、 そのケース・バイ・ケースを判断するのは誰なんだと。その担当医師がすべて判断する のか……。 ○矢崎部会長  ケース・バイ・ケース、私の言っているのは胚の提供と兄弟姉妹。 ○平山委員  いや、片方だけが血がつながっていれば簡単かというと決してそうではないはずです 。片方しかつながっていないからこそ夫婦関係が非常に複雑になることを私は経験して います。ですから片方だけつながっている、夫婦の力動というのは物すごく崩れるわけ ですね。そこまで考えると一概に胚の方が……。 ○矢崎部会長  それは先生のカウンセリングで解決できるんですか。 ○平山委員  解決する……。 ○矢崎部会長  要するに予断ができるんですかという意味ですね。だから、恐らく何か問題が起こっ たときに心理的にきっちりサポートしてあげてするのですが、例えば今いらっしゃるご 夫婦に、将来そういうことが起こるとか、あるいはこうだといった……。 ○平山委員  少なくとも情報提供はできるはずです。 ○矢崎部会長  だから情報提供はやっぱりしないといけないと思いますね。 ○平山委員  情報提供もその中に……でもこのカウンセリングは義務ではないということは、それ さえもなくなってしまうということではないですか。 ○矢崎部会長  ちょっと私ばかりしゃべっているとまずいかもしれませんが、全員に全部そういうこ とを義務づけるかどうかということの重大な問題なんですよ。だからそこをよく考えて いただかないといけない。ですから全部、心理学の先生、ソーシャルワーカーの先生に 、家庭事情まで調べて、夫婦の間柄というのも調べて、それでサジェスチョンするとい うことは、一応実施は可能かもしれませんが、全員にスクリーニング的にしなければい けないというふうにすべきかどうか、いかがですか。 ○渡辺委員  非常に難しい問題なので、私も本当に頭を抱えてしまうのですけれども、1つ子供の 側の観点から言いますと、生殖補助医療というコンテキストにおいて生まれるというこ とに対するインフォームド・コンセントは子供にとっていない形で行われるわけですよ ね。そして子供というのは、最初は胚ですけれども、あっという間に普通の人間の体に なっていって、そして発現して私たちの社会を担うことになるわけですね。  生殖補助医療をお受けになって大変なストレスの中で子供を育てるご両親の最終的な 幸せというのは、自分が育てた子供がそのご両親に向かって、本当に生まれて育ってよ かったというふうな雰囲気になることですよね。ですから、やはりそこがうまくいかな かったら、どんなに匿名性で守ってしまっても、匿名性の中でうまくいかないものが、 誰にも助けられなくていったりするとか、それから形だけ、子供が体大きくなっても、 その子供が発する言葉が、「何で勝手に生んだんだ」となったときには本当に悲惨なこ とになるのですね。それは普通の家庭で起きているわけですから、私はやはりリスクは 高いと思うんです。そうなりますと、誰がそのご夫婦の大変なプロセスと子供の大変な 人生をともに同じ人間として担うかということになりますと、私はそこに1つ、例えば 人間的な形での緩やかな義務化というのですか、誰かが関与し、少なくとも専門家と自 称する人たちが、その個人に一回でもいいから会って、私は一度会いました。あなたの 中には、私から見てそのときリスクはあったけれども、自分たちでやりたいと言ったの でどうぞ。ただ、私はここにいます。何かあったら、私のところに来てください。ある いは私の一回会ったことに関してはちゃんとファイルされていますから、本当に困った ら、匿名でプライバシーが守られてきちんとした継続的なカウンセリングはそこから開 かれますという、そういうコンテキストはつくるべきだと思うんですね。  つまり、これは人類のすごく新しい物語で、精神分析とか深い精神療法でも、今、普 通の人がわかる言葉で言っている治療は、自分の生まれて生きていく物語づくりだとい うことなんですね。先ほどのインプリケーションというのもずっと考えたんですけれど も、納得していく意味合いというものをきちんと確認するという、そのあたりがないと 物事はうまくいかなくなったときにすごく大変なことになって、誰かを責めたり、犯人 捜しをしたり苦しくなると思うんですね。ですから納得して、何か起きたというコンテ キストをつくっていくことが、ご夫婦とそれからご夫婦の間に育っていく子供にとって 絶対に必要だなと私は思いますので、そういう意味では、私は義務化という言葉を一方 的に誰かが押しつけるのではなくて、やはり担うという意味で誰かかが関与して、ご夫 婦の思いを一回でも聞いて、それはベテランがいいと思うんですね。  例えば、具体的には、先ほど才村先生がおっしゃったような養子縁組の場合もお話を 伺いますけれども、私は身近に自分で経験していることは、障害児を結局は手術もしな いで、自然に任せて、成り行きに任せて、結局は死という選択をしたご夫婦に対して、 新生児室ではカウンセリングをしているのですけれども、そのときは、その方が不健康 なのではなくて、その方の置かれている状況が非常にリスクが大きくて、その方が予想 もしなかった不健康なコンテキストであるから、そこに誰かがかかわってあげることに よって、ご夫婦がお互いのトラウマをすごく変な形で担わずに先に進んでいけるように するためだと。それから死産もそうですし、流産のご夫婦の場合も。その方たちに私が 聞かれるのは、「先生、私がおかしいからカウンセリングですか?」と言われるんです ね。私はそうじゃないと言って、昔は女性の輪があったから、村の女性がみんな応援し て、そしていろんなことがある、お産はという話をしながら、みんなつらいんだけれど も、あなたもつらいだろうから、今は私たちの知恵が役に立つかもしれないという形で やるものが、今の都会にはないから、私たちでよかったらどうぞと。これは普通の方の 、健康な方に対して一回はやらなければいけないものとして、慶應の小児科では考えて いるのだというふうにお話しするんですね。  ですから、そういった流れというんですか、状況が非常にストレスフルであるために 、どなたにも一回は受けていただいて、そこでご自由にというふうにするんですね。 現実には、例えば死産、流産の場合には何回来たいですか、どれくらい来たいですか、 というふうに聞くと、自分でお決めになって、「一回でもう大丈夫です。先生、自分た ちでできると思います」と言ったら、「はい、結構です」と二度と会わないわけですね 。それから、「毎週会ってほしい」と言われたら、1カ月、2カ月ではなくて毎週1年 間ぐらい会っていくわけですね。ですから、その方のニードというものを決めていく、 やはりプロがきちんと一回は会ってという、そういうものがないと、心理学の領域でも 、この領域に対するカウンセリングは絶対に育たないと思うんですね。  それから、これはカウンセラーとか心理学だけではなくて、社会がこのようなコンテ キストの中で暮らしていく家族を守っていって仲間にしていくという上でやはり大事な 情報ですし、教えていただかなければいけないことだというふうに思うんですね。です から義務化の語彙がニュアンスとしてきついのですけれども、何らかの形で誰かがかか わっていくという形のものとしてないであろうかと思います。 ○矢崎部会長  ありがとうございます。私、渡辺委員の話聞くと随分落ち込んで、いつもこういう医 療はいけない医療なんじゃないかなんて罪の意識で感じるのですが、これは大事な医療 の1つであると。ですから医療の1つであるということを基本にしてぜひ考えていただ きたい。その治療の上でいろんな場合が起こることをサポートしていくシステムをつく ってあげたい。ですから余りがんじがらめにというよりは、私はサポートシステムの整 備が一番重要ではないか。そういうことで公的機関できっちりそれをサポートしましょ う。それは例えば情報管理とか、あるいはいろんな施設のときに、そういうサポートが できるような体制をぜひ、次に人的な基準とか、そういうところでカバーするような仕 組みにやっていった方が自然ではないかというふうに私自身は思うんです。 ○金城委員  これはオーストラリアのビクトリア州なんですけれども、あそこでは独立のカウンセ ラーのカウンセリングを受けたことを生殖補助医療を受ける前提条件ということなんで すね。それは自己決定権といっても、きちんとカウンセリングを受けていなければ自己 決定権もなかなか一人一人が自分でできるかどうかわからないということでなったのだ と思うんですね。  日本の現状なんかを見ていますと、今病院がいろいろカウンセラーをやっていらっし ゃるというのは大変いいことだと思うんですけれども、どうも独立ではない場合には、 カウンセラーというよりはリクルーターになってしまっているケースが多いと。ですか ら、そういう意味でも私は独立性というのは非常に重要だと思うんですね。  そういうことを考え合わせると、カウンセリングを受ける機会が与えられなければな らないではなくて、やはり必ずカウンセリングを受けるぐらいのことでやっていただき たいと思うんですね。ただ、それが私は最初そういう主張だったんですけど、どうも難 しそうなので黙っていたんですけれども、やわらかな意味での義務化というようなお話 も出ましたので、書き方はいろいろとあると思うのですけれども、誰でも一応カウンセ リングは受けて、ただ、嫌なことをいちいち言われるのは嫌ですから、30分たって、「 そんなこと結構です」と言って席をお立ちになるのは自由だと思うんですね。だけど、 一応カウンセラーに会って、いろんな情報提供してもらうのは、単に権利ではなくて、 そうしなければ生殖補助医療は受けられないというようなことにすることによって、本 当の意味での自己決定権の保障というのができるのではないか。  もう一つは、独立性の保障なんですけれども、平山先生に伺いたいのですが、単にき ちんと資格を持った専門家によるカウンセリングということで、独立性を保障できるの かどうか。もしそうであれは構わないと思うんですけれども、そうでなければ実施機関 とは別のところに属するカウンセラーというようなことが必要なのではないかなと思い ます。 ○平山委員  私も結局この医療にかかわる、どのカウンセラーでも、本来はカウンセラーというの は独立した立場にいなければいけないと私は考えておりますし、だからこその専門性、 専門家としてのカウンセラー、つけ焼き刃の訓練ではないちゃんとしたカウンセラーで あれば、それは担保されるものであるとは思いますが、そういうふうな危惧というのは 、実際今の日本の医療現場にいるカウンセラーたちと話してみましてもなかなか難しい のは確かにあるので、そういう意味で、私は決める段階、つまり、この医療を受けるか どうか迷っている段階でのカウンセリングというのは、公的管理機関なりが派遣制度を つくっていただいて、そういう派遣された、独立したカウンセラー、派遣というか、そ こに行きなさいでもいいのですけど、そういうのをつくった方が皆さんには理解してい ただきやすいかなと思います。  ただ、実はこの医療というのは、医療を受けている最中もずっとプロセス、このプロ セスへのサポートも必要なわけですね。そのときにはこの医療機関の中にいた方が非常 に有利の面もたくさんある。そういうのを考えたとに、派遣カウンセラーと病院内にい るカウンセラーが連携していくとか、そういうことも考えることが可能かなというふう には今イメージしているのですけれども、というとりあえずの回答です。 ○矢崎部会長  また私が言って申し訳ないんですが、私の意見は金城委員に非常に近いんですよね。 前から申し上げていますが。カウンセリングというのは、ご夫婦をサポートしてあげる というのが本来のカウンセリングであって、金城委員が言われた、私は提供配偶子によ る生殖補助医療の透明性とか客観性、公平性をどういうふうに担保するかという仕組み はきっちり残さないといけない。ですから医療機関の中でご夫婦と医師が方針決定する 、そういうことはこれからはぜひやめてもらいたい。そういう意味の何か保障システム を築くのが我々に課せられている大きな目的で、じゃあ、カウンセラーがいるから、カ ウンセリングを受ければ透明性、公平性が担保できるかというとちょっと違うような感 じがするので、カウンセリングというのは、ご夫婦あるいはお子さんに何か問題があっ たときにきっちりサポートしてあげるというのがカウンセリングの主な目的で、平山委 員が言われているスクリーニングとかそういうことは、恐らくカウンセリングという前 のきっちりした情報が伝わっているかどうか。インフォームド・コンセントがきっちり とらえているかとか、そういうことを確認する仕組みをどこかでつくって、その第一歩 は、ドクターサイドが勝手にいろいろ自分の裁量権でやらないようにいろいろガイドラ インで定めると同時に、ちゃんとした施設を、施設基準とかそこにいるドクターとか、 それから平山委員が言われる医療チームがどう構成されているかとか、そういうことを 十分配慮することが医療として定着する極めて重要なポイントだと、私はこの部会を引 き受けたときに感じたのが、そこが一番重要なポイントではないかというふうに感じた のですが、そういう意味で、カウンセリングを専門としている委員の方々と、実際にお 子さんのカウンセリングをしておられる方と少し私のニュアンスが違うかもしれません が、その辺の区分けをどうしたらいいかということで、実際やっておられる吉村委員と 、きょう加藤委員がいらっしゃいませんが、町野委員からちょっとコメントをいただけ れば大変ありがたいのですが。 ○吉村委員  まだこういった医療はAID以外しておりませんので、先生の質問に答えられるかど うかわからないのですが、私の個人的な考え方は、このカウンセリング業務に関しては 我々医療サイドでは全くできないだろうと思います。私たちの日常の、我々がもし実施 機関となった場合に、こういったカウンセリングをすることはまず我々が能力的にもで きませんし、それだけの時間的余裕はないと思います。それはどうしてかと申しますと 、我々は心理学を学んでおりませんし、このカウンセリングというのはしばしばインフ ォームド・コンセントと間違えられるのです。我々はインフォームド・コンセント、情 報を提供することはできるかもしれません。その結果がどうであるということはできる かもしれませんが、ここに並べられたようなカウンセリングは我々は全くできないだろ う。そうするとある一定の方が、ある一定のカウンセリングマインドを持ち、カウンセ リング学に精通した方がやられるのがいいだろう。主体はそうなるだろう。これはこれ でいいと思うんです。  そして、そのときに、例えばこれを義務化するかどうか。金城先生がおっしゃったの は、通常の生殖医療も義務化するというような意味を込めておっしゃったのかもしれま せんが、これは現実的に極めて困難ではないかと思います。こういった今後始まるであ ろう新しい医療に対しては、スクリーニングでも結構ですし、そういった医療を受ける 方はこういったものを一回受けていただくということを一応すすめることがよいではな いかと思います。 ○矢崎部会長  先生、さっき申し上げましたが、今、配偶子を用いた生殖補助医療全体ということで はなくて、私はある程度、先ほど区分けはできないのではないかと言いますが、先生の 場合には、例えばAIDの場合はどうですか。 ○吉村委員  AIDはかなり時間をこの中でかけているつもりです。私たちはAIDで初診で来ら れた方は大体30分はかけていますね。それで一回では絶対にAIDの同意は、要するに AIDをするということにはしないようにしているんですね。そしてある一定の期間を 置いて、奥様が不妊の検査をされてないということもありますと、2カ月から3カ月不 妊の検査にかかりますから、その期間もう一回考えてくださいと言って、その後にもう 一度来られて戸籍謄本を持ってこられるという感じにしております。  ですから私たちができるのはインフォームド・コンセントぐらいしかできません。例 えば子供がどうなる。子供が出自を知る権利がどうだとかをお話しする、そういう暇は ございません。今は匿名性で全く出自を知る権利が認められてないということだけをお 知らせして、自分の子供として育てるのですよと、こういった最低限のインフォームド ・コンセントだけをとるのにやはり20分から30分はかかります。その後、あるAIDの 専門の女性が3人ほどおりますので、そこへ行って書類の手続、そういった方に様々な ご質問を患者さんがされるということで、患者さんは恐らくこの同意をしようと思って から、医療行為を実際にされるまでには恐らく2〜3時間ぐらいの、我々を含めた人た ちからお話を……コーディネーターと我々は呼んでいますけど、AIDコーディネータ ーの方からお話を聞くということですね。それぐらいしかできませんので、渡辺先生が おっしゃったように、生まれた子供がどうなるかとか、そういうようなことについては 、我々としては自分の子として育ててくださいということしか言ってない。現実的には そういう状況です。  ですから、初めの段階でこういった医療、AIDもこういった医療に含まれることに なりますから、そうなりますと、全員に対して義務とするというのは、初めのレベルで スクリーニングと同時に、そういったことをするというのは、一応一回はカウンセラー と会っていただくというのがプラティカルではないかなと思います。 ○矢崎部会長  そうしますと、吉村委員としては医療の担当医として、そこまでとても日常の医療か らやるキャパシティーがないと。 ○吉村委員  全くありません。 ○矢崎部会長  ちょっとレベルは違いますが、今、臨床試験というのがあって、患者さんからインフ ォームド・コンセントをとる場合に外来でドクターがインフォームド・コンセントをな かなかとる時間もないというので、いわゆる臨床試験ができない状態ですね。そこにそ れをちゃんと説明する人を各病院で……。 ○吉村委員  CROみたいな方がいますね。 ○矢崎部会長  そういう方がいることによって、患者さんに治験に参加していただくというシステム が徐々に動き出しましたね。 ○吉村委員  そうですね。 ○矢崎部会長  私はそういうことは施設とか、必ずしも施設外の人がスクリーニングするということ ではなくてもいいかもしれませんが、施設として、そういうサポートをしないと、この 医療は実施できないと思うんですね。 ○吉村委員  おっしゃるとおりですね。 ○矢崎部会長  そういう意味は、私がカウンセリングということに違う理解していたかもしれません が、人的な基準の中に、ですから生殖補助医療をサポートする仕組みを実施施設の中に きっちり整えるということになるので、漠然とカウンセラーにスクリーニングさせるべ しとか、こういうことでいった場合に現実としてどういう仕組みを考えたらいいかとい うと、私なんか病院を見ていますと、現実問題として非常にいいんですが、実施すると きにどうしたらいいか、実施面が極めて問題があるので、確かに平山委員、才村委員が 言われる趣旨は物すごくよくわかるのですが、現実プラクティスにどう移したらいいか ということも含めないと、余り義務化でぼんといった場合に現場では物すごく困ってし まうと。 ○吉村委員  現実的に誰かそういう人がどこからか来ていただかないとこれは一切できないだろう と思いますね。例えば、特に一番困るのが、これは皆様方ご存じないかもしれないけれ ども、AIDだと思いますね。AIDというのはかなりの頻度の方がお見えになります 。卵子提供などより圧倒的に多いと思います。精子提供による体外受精より圧倒的に多 い。こういった方は先生がおっしゃるようにできるかもしれませんね。そんなに多くな らないと思いますので、しかし現実にAIDなどに関しまして、実際に全員AIDに関 してもやらなくてはいけないということになると、現実的に今までやってきたAIDは できないということになりますね。 ○矢崎部会長  それは出自を知る権利という大きな方向転換ですから、従来のAIDは絶対できない と思いますね。ですから、そういう意味では何か確かめるところは必要であるし、ただ 、先ほどの話のように、この方のご夫婦だったら大丈夫、この方のご夫婦だったらだめ だとか、そういうのはなかなか決めにくいので、吉村委員が言われたようないろんなケ ースで、こういう場合もこういう場合もありますよ。そのとき、あなたはどういうこと を考えますかとか、時間をかけてきっちり説明する人を、施設で、そういう方面でサポ ートした方が、治験のときもいろいろ考えたんですが……。 ○吉村委員  先生がイメージされているのも看護協会なんかがよく考えておられまして、そういう のが、例えばIVFコーディネーター、体外受精コーディネーター、生殖医療コーディ ネーター、これがサポートにいこうと。そういった方は当然のことながら生殖医療にも よく精通されておると。そういったシステムはあるのですが、ここで問題にしているカ ウンセリングというのは、それよりももうちょっと渡辺先生に近いような人、あるいは そういうふうにならないようにどうサポートしていくかということですから、これは大 変難しいことだと思います。  ですからそういったカウンセラーの方は、私はどのくらい日本にお見えになるかどう かもわかりません。例えば臨床心理士という人がこういうのに当たるとすると、何千人 という臨床心理士の方はお見えになるかもしれないけれども、生殖医療を全く知らない という方もお見えになるでしょうし、知っている方の方が珍しい。となると、こういっ た方を50人、100 人養成していくということは、これは先生がおっしゃるように大変… …。 ○矢崎部会長  現実的に難しいですね。 ○吉村委員  はい。 ○矢崎部会長  だから施設を決めてある程度どやらないと現実的ではないし、そうしないと、例えば 渡辺先生がカウンセラーのところは、行った途端、ここではといって、ほかのところに 、もっと前向きにするカウンセラーの方のところに行って受けちゃうということも、従 来の医療ではあり得たので、これからはそういうことのないようにしっかりフォローす るシステムを何とか構築しないといけないということ。  しゃべりすぎました、町野先生、何か。 ○町野委員  カウンセリングの機会を与えるだけで足りる、カウンセリングを受けるかどうかはご 本人の自由であるというのが案だろうと思います。問題はこれで済むかということだと 思います。今までのお話をいろいろ伺ってみると、どうもこれでは済まないということ だろうということだと思いますね。しかし全部一遍に義務化したらどうかというと、恐 らくその実行は難しいだろうということでしょう。しかしもしカウンセリングを受けな ければ、このような生殖補助医療をやるべきでないということだとするならば、現在実 行が不可能だからといって、カウンセリングの義務付けを見送る理屈は私はないだろう と思うんですね。  そこで、主治医の方が判断して、この人はカウンセリングが必要だと判断したときは 義務づける。受けてくれなければうちでやりません、そういう方法が可能なのだろうか 。今、吉村先生の話を伺っていると、主治医としてはそこまでは判断できないかのよう なことを言われるのでそれもできないのか。そこら辺のことをちょっとお伺いしたいと いうぐあいに思います。 ○矢崎部会長  恐らく町野委員の医師の裁量でカウンセリングというのはこの文章だと思うんですね 。医師がすると。 ○町野委員  勧めることとする、としか書いてないですね。 ○矢崎部会長  その辺は文言は直さなければいけませんが、なかなか難しいですね。 ○岸本委員  これは卵子提供をされた方の話を聞いたんですけれども、同意するまでの間に、カウ ンセリングといったら、生殖補助医療を受ける者に対して義務というのはなかなか難し い面がある。もちろん情報提供をするとか、26ページの1番、2番でしたら、情報提供 するのは必要と思うのですけれども、心理的なこととかフォローをカウンセリングの方 にお願いするというのはすごく必要なことなんですけれども、家庭訪問に2回ほど実施 する前に来ていただいたと。家庭訪問に来ていただいていろいろ、病院では医学的なこ とはドクターにいろいろ話はできても、自分のいろいろ迷うこととか、どうしていった らいいのかということを具体的に時間がないということで家庭訪問に2回ほど来ていた だいて、そこでじっくりと話をされて、後日、また同意書を書くときも家に来ていただ いたと。そしてその知っている方はすごく、自分から足運んで、どこどこにカウンセリ ング受けなさいというのではなくて、訪問に来ていただいたらすごく心安くて……同意 するときも、実施するまでに2回……同意書を書いたと言っていたんですけど、訪問す るということも、私はカウンセリングの1つの方法としていいのではないかというのは 個人的な意見で思います。 ○矢崎部会長  それは卵子提供の場合ですね。今言われたのは提供ですね。 ○岸本委員  そうです。卵子提供の場合に、間に仲介……。 ○金城委員  日本ですか。 ○矢崎部会長  それは日本ですか。 ○岸本委員  日本です。日本というか、アメリカ、海外でするときに、間に入ってくれている人が もちろん日本にいてて、その人に家へ来てもらって、生殖補助医療、卵子提供いいです か、気持ちが変わらないですか、そういう話をいろいろ、状況とかいろんなこと説明あ りますね。幾らかかりますよとか、そういうのを訪問してくださって、本当に膝詰めで 話しする中で、受ける方も安心して話が聞けるし、足を運ぶというのはちょっとどうな んでしょうね。私も経験ないのであれなんですけど。 ○矢崎部会長  でも受ける方でしょう。 ○岸本委員  受ける方です。自分が提供受ける方の……。 ○矢崎部会長  でも受ける方が、治療ですから、家庭訪問までというのはどうでしょう。 ○岸本委員  医学的なことはもちろん病院に行くんですけど……。 ○矢崎部会長  ですから家庭まで来てくれたのはありがたいということであって、そういうシステム をつくった方がいいというわけではないですね。 ○岸本委員  それじゃなくて、こういう例がありましたよということで、精神的にすごくよかった というふうにおっしゃっていたので、ちょっと参考までにと思いまして。 ○矢崎部会長  それはそういうこともあり得るし、その方が親切ですよね。  ちょっとまた水を10分ぐらい入れて、トイレタイムで3時50分から1時間ぐらいで、 この議論はある程度終息させたいと思いますが、50分まで休憩にさせていただきます。                  (休憩)                  (再開) ○矢崎部会長  それではお約束であと1時間よろしくお願いします。  今のカウンセリングの問題ですが、内容は非常に包括的にカウンセリングさせていた だく。一番議論のきっかけをつくりました機会の保障の意味、それが必ずしなければい けない義務規定なのか、あるいはそういう機会を与えることが望ましいのか、そういう ところのものと思います。この案の文言が、町野委員の言われたように、そういうこと に対して少し引いた形になっているのではないかということで、もう少し積極的にカウ ンセリングを受けなさいというような文言に、だから受けなければならないということ はちょっと、というのは、どういう方がどういうふうなカウンセリングするというのは 、まだ実質的には全部、平山委員、才村委員、渡辺委員が3人揃ってカウンセリングで きるようなシステムがあればすばらしいのですが、現実問題として、誰がどういうふう にするかというのはなかなか今のところは難しくて決まっておりませんので、その辺、 今後の残された課題ではあるというふうに理解しています。  そういうことで、この文章をならないということではなくて、もう少し前向きの文章 に、今申し上げたような文章に変えていただいて、そういうことで、それを実際に行う ときにはどうしたらいいかということは、次の課題のところで議論できればと思います 。ですから実施施設の内容にも重要な課題になると思いますので、実施施設の施設基準 と人的基準についてということで、28ページの項目に議論を移したいと思います。  実施施設の施設基準、これは矢内原研究班で十分検討された結果ですので、それに準 じて……。 ○才村委員  すいません。もとに戻してもう一回話ししたいんですけれども。 ○矢崎部会長  すいません。ちょっとそういうことで、施設基準について、一応これをお認めいただ いて、その次の人的基準の次の議論を始めさせていただきたいと思います。その前に、 今、才村委員からご発言があったように、どうも失礼しました。 ○才村委員  今まで議論のし尽くしていると見られたのかもしれないのですけれども、もう一度意 見を言わせてもらいたいんですけれども、このカウンセリングについてなんですけれど も、本来のカウンセリングはニーズのある中でやるべきものだと思うんですけれども、 今の中で、ご夫婦が今後も子供を育てる上で秘密の中で進められたりすることもあった りして、子供の問題でいろんな困難なことが私は起こってくるというか、どうしても里 親さんの養子縁組された親子を見て比較をしてしまうのですけれども、なかなか告知さ れなくて、ほかのところから情報が入ってきて子供さんにばれたりとか、いろんなとこ ろで今後長い子育てをしていかれる中でいろんな困難なところが後でわかるという、そ のときにはわからないということが、やっぱりご夫婦としてあるという自体が目の当た りにしてきた中では、私はカウンセリングを最低一回、本当はもう少しと思うんですけ れども、義務づけるべきだということをもう一度思います。  インフォームド・コンセントももちろんあるんですけど、それとは別に、平山委員が 出されたスクリーニングとしての機能のカウンセリングがやっぱり必要なのではないか 。子育ての本当に精神的に困ったときに、どういうところに行って、どういうふうなサ ポートをしてもらうのかを具体的なイメージで、どんなふうな子供になってきたときに 、どんなふうに親子が苦しむと。子供だけが苦しむのでなくて親御さんが苦しむという ようなことも具体的に、将来困ったときにはこんなふうにサポートできます。もちろん サポートがベースにあっての、切り捨てではなくて、サポートするためにはそういう情 報でいろんなことをわかってもらえる、そういう幅の広さみたいなものがご夫婦に私は 必要だと思いますので、そういう意味では最低限一回はカウンセリングを受け、そして その中でその考え方を、もし狭い人があれば広げてもらうということが、私はそれが生 殖補助医療の親子が子供を健全に育てられる最低限の底上げをすることに、そういうこ とが必要なのではないかなというふうに思います。 ○矢崎部会長  ちょっと誤解されている点があるのではないかと思いますが、これは議論が終わった ということではなくて、ですからひと回り目の議論として案を少し変えていただいて、 その上でもう少し、先ほど申し上げましたように、実際にどうするかという、今のお話 ですと、カウンセリングというよりは、吉村委員が言われたように少しドクター以外の 人がきっちり話を聞いてあげて、それでいろんな情報を伝えて、こういう場合もありま すよということを伝える仕組みをつくっておかないといけないということですので、カ ウンセリングのところは全部終わりということではなくて、そういうふうに理解してい ただければいいと思います。  先ほど実際にそういう情報提供とかご夫婦の状態を本当に正確に把握できるかどうか わかりませんが、一応面接していろいろ情報を得るという仕組みをどうつくるかという ことが1つあると思います。そういう意味でちょっと理解していただいて、ひとまずこ こはそういう結論ではないということで、一度事務局、先ほどの文言の含意のカウンセ リングと言葉のあれをもう一度直していただいて……どうぞ。 ○鈴木委員  もし文言ということであれば、多分「カウンセリング」という言葉が随分人によって イメージが違うのだろうということがまず1つ。私たち、「スクリーニング」とかとい う言葉が出てきちゃったので誤解を生じがちなのですが、決してふるい分けとか蹴落と したいというためにこのことをやるわけではないと。十分にこの技術の持つことの意味 を理解してもらってから進めようよということなわけですよね。  先ほど吉村ドクターがおっしゃっていたように、今これだけ説明しなさいという項目 があって、これを医師が一人でやるのは当然無理な話で、私は単純なイメージとして、 平山委員がここで出してくださった4人が会うのだろうなというふうにむしろ思ってい ました。子供の例えば今後のこととか、告知のことなどに関しては、最後ソーシャルワ ーカー的な方が出てきても当然いいし、要するにこの4種類くらいの場面がどうしても 必要になるだろうと。これを30分や1時間で話して1日で話しているうちに頭真っ白に なっちゃって、結局わからないわということの方がほとんどだと思うんです。やっぱり 何回かに分けれるということにもなるでしょうし、個人的なイメージとしてはそんなふ うに思っています。  だとすると、情報提供カウンセリングという、ここがカウンセリングになっているの がちょっと何か変なのではないかという気がするんですね。giving information、これ は私はドクターがまずやって、その後にいろんな心理の方とか、お子さんのこと、生ま れてからどうなさいますとか、いろいろな話をしていって、ようやくそのことの意味の 理解、(2)が終わって初めて同意書ができるのではないでしょうかというふうに考えてい ますが。  あともう一つは、先ほど平山委員からの提案で、夫婦同席なのか、別個にするのかと いう話も、後の検討課題の当然出てくると思います。最初ドクターのところへご夫婦で 揃って、やりたいんですと来て、後で例えば別にゆっくり話聞いたら、夫婦で全然実は 気持ちがずれていたなんていうことはざらにありますので、逆にそういう意味でも心理 の方、あるいはメンタルな意味で話を聞く方というのは絶対不可欠だというふうに私は 思っております。以上です。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。そういうご意見もあろうかと。なかなか仕組みとし てどうするかといった場合に、いろんなことで、先ほど4人のそれぞれの専門の方がや るべきだという話、それは確かにそうかもしれませんが、現実としてどういうふうにし たらいいかということも、仕組みとしてそれが無理だということではなくて、実際にど うしたらいいかということを具体的に考えていかなければいけないというふうに思いま すので、その議論は一応施設とか倫理委員会が終わってから改めてしていただければと 思います。  実施の施設基準もそうですが、人的基準、私は今の委員の皆様のお話をお伺いして、 特に実施面をやっている吉村委員からお話聞きますと、医療面だけの体制だけではなか なかサポートできない。人的基準に関しては、生殖補助医療の実施ということに対する 担保として、これは研究班のあれですね。 ○吉村委員  はい。 ○矢崎部会長  生殖補助医療の視点から言っておりますので、一番最後の項にありますような「その 他」のところでもうちょっと文言を、例えば、最後に「実施医師は必要に応じて患者が 速やかにカウンセリングを受けられるようにしなければならない」と。ですから、これ は実施医師ではなくて、施設ですよね。これは実施医師そのものがカウンセリングをす るのではなくて、カウンセリングを受けられるようにしなければならないと、このあた りの文言をどなたか、先ほどの危惧を抱かれたような問題をここで解決できないですか 。解決の1つの……この人的基準は、今までご指摘のあったように、生殖補助医療の実 施についての医療としての質を担保をここで確保するということが主な趣旨なんですね 。ですから私はその中に医療として行う以外に施設としてある程度、本当に「カウンセ リング」という言葉が正しいかどうかわかりませんが、しっかりとした情報提供を時間 をかけてやる仕組みがここに入ってくるのではないかというふうに私は思いますが。 ○高久委員  それは必ずしも実施施設でなくてもいいのではないかと思うのは、どこかにそういう ところがあれば、そうしませんと、ケースによるとは思うのですけれども、余りやらな いところでそういう人を維持するのはかなり難しいから、それはちょっと別個に考えて もいいのではないかと思うんですけど。 ○矢崎部会長  わかりました。そうしますと実施施設の人的基準としては、実施される医療の質的担 保を得られるということに限らせていただきます。それでは、いかにチェックをするか 、きっちりインフォームド・コンセントも倫理的に担保できるのかどうか、あるいは後 の子の福祉、あるいはご夫婦にこれからの育児に対するサポート、そういうものをどこ で、どういうふうに実施するかというのが極めて難しいですね。今の高久委員の話で、 各施設でするのか、横断的な仕組みをつくって、そこでやるのかという議論があります 。36ページの倫理委員会で、ある程度こういうところで担保することができるのかどう かということも絡んでいるので、倫理委員会について議論をしたいと思いますが、ちょ っと説明いただけますか。 ○松尾委員  先生よろしいでしょうか。 ○矢崎部会長  はい、どうぞ。 ○松尾委員  議論を戻して申し訳ございませんが「実施医療施設の人的基準」というところに子供 の問題に関する要素が抜け落ちているわけですね。 ○矢崎部会長  そうなんですね。これは医療としての質の担保ですから。 ○松尾委員  不妊治療が地域の新生児医療の人的、施設資源との調和なく進められている状況を改 める必要があります。今、日本の新生児医療は非常に混乱しているのですけれども、最 大の要因が生殖補助医療ですので、この施設基準の中にぜひ小児の問題を取り込んでい ただきたいというのが我々の強い希望でございますけれども。 ○矢崎部会長  実施施設で、そういう場合はすべて成育センターで……。 ○金城委員  ちょっと伺いたいのですけど、そうすると実施施設というのは単に不妊治療する施設 だけではだめで、例えば総合病院のようなところで、そして新生児室を持っているよう なところでなければ、提供された配偶子を使った生殖補助医療というのは実質的にはで きないということになる、それでよろしいのかなと。 ○松尾委員  子供の幸せということを考えるとそうなると思いますけれども、ぎりぎり妥協点どこ にあるかと考えますと、十分な人的な配置があるNICUと不妊治療を実施するところ がうまいコーディネーションをしていただくということが前提になると思うのですけれ ども、現在それは行われていないんですね。 ○矢崎部会長  わかりました。そうすると施設基準の第3の点ですよね、そういうのは。 ○松尾委員  はい。 ○矢崎部会長  ですから、これは持つ施設、機器、非常に端的に生殖補助医療の必要なものだけを述 べていますが、今のNICUと綿密な連携を持っているということを条件。とういうの は、今まで生殖補助医療で、先生、超未熟児ができたりなんかするということは、提供 配偶子だけの問題だけではございませんですよね。一般的な問題ですよね。だから、提 供配偶子の場合、もっとシビアな問題があるので、特に気をつけてほしいという松尾委 員のご意見だと思いますので、この場合は施設が限られていますが、限られて、その基 準の1つとして、そういう綿密な連携が必要とするというような条項を入れるというこ と、それは非常にリーズナブルなご意見だと思います。 ○平山委員  NICUとの緊密な連携ということには全く賛成ですが、1点だけ言っておきますと 、生殖補助医療で超未熟児が多いということは必ずしも正しくないと思います。という のは、それは多胎妊娠が多いからの結果です。多胎妊娠がなぜ多いかというと、きちん とし生殖補助医療が行われていないクリニックが余りにも多いからです。今、良心的な 生殖補助医療施設というのは多胎をいかに防ぐか、いかに健康な赤ちゃんを産んでいた だくかということに腐心しています。ですけれども、単に妊娠率を上げようとして卵を 日本産科婦人科学会の会告を無視した形で5つも6つも戻しているようなクリニックが 実際にあるようです。そういうところで生まれてきたお子さんは確かにそういうことに なると思いますけれども……。 ○矢崎部会長  ですから、これはここで一応戻す数は決めていますので。 ○平山委員  この場ではなくて一応……。 ○矢崎部会長  ただ、そんなにたくさん胚を入れてはいけないということになっています。だけど、 その過程で多胎が生まれることもあり得るということを情報として伝えるというのは、 先ほどもお話し……。 ○松尾委員  今の平山委員のご発言は必ずしも正確でないので補足させていただきます。生殖補助 医療により超未熟児がたくさん生まれるのは、ご指摘のように多胎という理由によりま すが、多胎を介しないメカニズムでも超未熟児が生まれることが明らかにされています 。生殖補助医療自体がリスクを伴っていると考えないといけないと思いますけど。 ○矢崎部会長  多くの原因は多胎だ。しかし、それだけでは説明できない部分もあるというご意見だ と思います。原因はともかくとして、施設の基準としてNICUとの密接な関連がある ということをちょっと施設を決めるときに、そういう条項を事務局の方で後で入れてい ただけますでしょうか。また、もう一度振り返って議論しますが、いつも振り返ってば かりになるといけませんので、ある程度これは最初の事務局案ですので、もう一回、前 回のインフォームド・コンセントと同じようにもう一度議論したいと思います。  倫理委員会について事務局から……。 ○鈴木委員  戻っていいですか。 ○矢崎部会長  余り戻らないでほしいんです。 ○鈴木委員  いや、大事なことです、そうは言っても。分娩ということは別にしても、最初の施設 ・整備基準に関して入院というのはないわけですか、確認です。つまり例のOHSSの ときどうするんですかということなんですが。 ○吉村委員  人的基準、施設基準を考えたときには、当然のことながら病院を意識しておりました ので、私たちは、松尾先生おっしゃるようにNICUを持っているところでなくてはな らないと思いました。入院施設も当然持ってなくてはいけないし、自分のところでお産 をすることが原則に私たちは考えておりましたので、鈴木さんがおっしゃるようなこと も、私たちもよく考えましたので、一般的なクリニックというものを連想していたわけ ではありません。ですから入院施設も当然あるというふうにご理解していただいていい のですが、その辺は全く書かなかったのですが。 ○矢崎部会長  そうしますと、先ほどのようにNICU、これは吉村委員のお考えは施設に今密接な 連携が、確かに救急車で運んでも一刻を争うということありますね。だから、ちょっと 2時間離れたところとか、そういうのは余り意味ないですね。 ○吉村委員  おっしゃるとおりで、施設・設備の基準といったときには、これは生殖補助医療、A RTを行うという本当の技術的なことですね。これだけのクォリティをどう担保するか ということだけに主眼点を置いて厚生科学研究は始まりましたので、鈴木さんが言うよ うにOHSSだったらどうするかとか、当然のことながら入れなかっただけでありまし て、私たちは、もしそういったものを施設基準ということにするならば、入院施設とか 分娩施設とかNICUとかそういったことも必ず出てくると思いますから、もしそうい ったことが必要であるということであるならば入れてもいいと思います。 ○矢崎部会長  ぜひ次回までに、そういうことまで入れたものを、吉村委員と、これは吉村委員の常 識のところをちょっとつける、ただ、余りにも細かいことまで入れる必要なくて、一応 生殖補助医療をやる場合の、今までは生殖補助医療をやっても、出産までフォローアッ プはできてないですよね。 ○吉村委員  8割ぐらいから9割はできてないかもしれません。 ○矢崎部会長  できてない。 ○吉村委員  はい。 ○矢崎部会長  これからはちゃんとフォローするということですので、そういう意味からもきっちり 書いていただくということになりますですね。 ○町野委員  確認ですけど、そうすると、クリニックではこれからはやってはいけないということ をここで決めるということですか。 ○矢崎部会長  そうですね。 ○町野委員  そうですか。 ○新家委員  非配偶者間に限るのではないです? ○矢崎部会長  そうです、それは非配偶者。 ○新家委員  限るんでしょう。 ○町野委員  もちろんそうです。 ○新家委員  だから配偶者間はいいんじゃないですか。 ○町野委員  もちろんそうです。しかし非配偶者間の生殖補助医療はクリニックではやってはいけ ないということなのですね。 ○矢崎部会長  そうですね。要するにある程度のきっちりした審査で、提供胚の……。 ○町野委員  いやいや、先ほどの病院も前提としていると、入院施設もそうだと、そういうことな んですね。 ○矢崎部会長  はい。 ○金城委員  いいですかという感じで、ほかの皆さん。 ○町野委員  それを法律で決めることになるかどうか私は知りませんけれども。 ○矢崎部会長  でも実施施設をたしか専門委員会は、どこかにありますよ。ありませんでしたか、文 言が。 ○吉村委員  そういうのはなかったと思いますね。あえて、私がそういうことを入れなかったとい うことは、純医学的な基準だけにとどめたという、こういうご理解の方がいいと思いま す。専門委員会では、加藤先生そのことはなかったですね。 ○加藤委員  法律で規定するなんてどこにも書いてないと思います。こういうのが望ましいという ことは書いてあっても。 ○矢崎部会長  でも、先生、国が指定した医療施設でなければ当該生殖補助医療を行うことはできな いというのが……。 ○吉村委員  そう書いてありますのは、別にクリニックを指定すればいいということですよね。 ○矢崎部会長  だから、それは指定基準があるわけですよね。だから指定基準を、国が定める指定の 基準に基づきだから、指定基準のところにきっちりそういうことを入れればいいのであ って、ですから1つは、施設の面で縛るというところありますよね。もう一つは、人的 な基準で縛るというところがありますよね。 ○吉村委員  だから、私たちがあえてこれを書かなかったという意味が、先生に理解していただけ れば。今まではどうして厚生科学研究ではそういうことまで言えないだろうと。クリニ ックではやってはいけませんよと、それを言えないだろうと。言外にそういうことはあ ったかもしれませんが、入院、分娩、NCIUと書きますと、そういうふうになるとい う、町野先生のご心配ですよね。 ○町野委員  心配といいますか、そこまで考えて皆さん議論されておられるのか、かなりドラスチ ックなことだろうと思いますから。現状を私は完全に理解しておりませんけれども。 ○矢崎部会長  私はドラスチックな意味で、生殖補助医療をいかに国民の皆さんの理解を得て医療と して定着するには、例えば臓器移植のときも随分議論しましたが、ある程度あった上で 、皆さんの信頼を得た上で見直すということはあり得ると思うんですが。 ○金城委員  わかります、それは。ただ、やはりクリニックは全部排除するのだというような形で 入れるのはまずいと思います。ですから先ほど松尾先生がおっしゃったように、NIC Uについては提携していればよろしいとか、そういうことを入れておく必要があります 。とにかく書いたのを見たらば、総合病院でなければだめというのはやはり問題ではな いかと思うんですね。  そして、また国民の選択の自由もあるわけですね。クリニックの方が妊娠率が高いと かいろいろあるから、国民の中にはそちらを希望する人もいるかもしれない。ですから 、それを全部排除するような書き方は私は問題だと思います。  きょうは産科婦人科学会の方は来ていらっしゃらないので、そこいら辺もご意見がお ありになるのではないかと思いますが。 ○矢崎部会長  クリニックがだめだという、ちょっと差別的なことではなくて、私が言っているのは 、要するに透明性、公平性ということをきっちり担保する仕組みであって、そういう仕 組みが担保されるのが重要ではないかということで、端的にクリニックがだめというふ うに申し上げたつもりはないんですが。 ○金城委員  ただ、書き方によっては明らかにそうなってしまうので、そうならないような、あく までも先生がおっしゃるような透明性や公平性、それが担保できるような形で書けばよ ろしいのではないかと思います。 ○吉村委員  先生、初めに私が4〜5回前に説明したときに、非常に倫理委員会がここに何で突然 入ってくるというのは違和感があったと皆さん思われたと思うのですが。クリニックを 排除するものではないということではあるが、しかし、そのクリニックにおいては、こ れくらい厳しい倫理委員会は持ってくださいよという意味合いがあったんです。確かに 入院の施設はあった方が鈴木さんおっしゃるように私は大切なことだと思いますし、そ うしますと、分娩NICUが入りますと、かなり限られた施設になってくる可能性はあ りますし、それほどたくさんの施設で行うということはないだろうとは思いますが。そ れはよく皆様方のご意見を伺ってから、この項目を入れるということにしたいと思いま す。 ○鈴木委員  質問なんですけれども、OHSSが例えば起きたときに入院施設なくても大丈夫なん ですか。あるいはどういうふうにすれば、そのことを重症化させなかったり……。 ○吉村委員  例えばOHSSが起きたときは、クリニックなんかの場合はどこかの病院に送ってい ると思いますね。大体提携できていて送るということだと思います。すぐ送るという感 じではあります。 ○鈴木委員  では、仮にNICUも今綿密なということで連携という言葉で、今表現したように、 入院施設に関してもそういう同じような表現は可能なんでしょうか。 ○吉村委員  NICUに関しては結構難しいところがあるのではないでしょうか。例えばクリニッ クだとしますと、恐らく8週ぐらいでどこかの病院に行くということになりますから、 その病院が探すということになりますよね。ですからNICUに関しては、そういうと ころを皆さん今確かに苦労されているところです。例えば32週で破水とか28週で破水と か、そういった場合に一生懸命探さなくてはいけない。それは実際にそれを受けられた 病院が苦労されているのではないでしょうか。 ○高久委員  AIDを例にとりますと、カウンセリングとか非常に重要だと思うんですけれども、 お産のときの超未熟児とかそういう問題はAIDの方が体外受精より少ない。そうする とこのAIDに対して特別にNICUを持たなければならないという基準は全部持つの とちょっと力学的に矛盾するような気がするんです。これは当てはまるのは体外受精全 体に当てはまらないとおかしなことになりますし、そうすると現実的ではなくなるので はないですか。 ○矢崎部会長  そうですね。ですから本当は繰り返しますが、透明性、公平性を保って、医療として のクォリティがしっかりと保てるところということで、確かに国が指定するという言葉 がありますが、国が指定するものでもないかもしれないということで、本当は臓器移植 のように、ある程度学会とかそういうところで、そういう仕組みで、決定するのは国が サポートするけれども、もうちょっとアカデミックなところで、アカデミックというの は医療だけではなくていろんな意味で判断するということになるんですか。 ○吉村委員  今まではAIDしか行われてなかったんですけれども、これからいろんな卵子提供、 胚提供、精子提供の体外受精が行われていくことになると、これはかなりのデータを保 存していかなくちゃいけないということがありますよね。そうしますと、そのデータを 、今までは我々実施機関が保存していたわけですね。そうするとそれを公的審議機関に 依頼することになると、公的審議機関とのかかわり合いができるところということにな りますね。そうしますとそれはある意味で、その公的審議機関をどこに置くかというこ とも問題になりますけど、ある程度公的機関が依頼するというところになりますね。そ れが国という感じにイメージ的になっていたのではないでしょうか。 ○矢崎部会長  それが専門委員会の議論のことですね。 ○町野委員  すいません、何か議論を滞らせたようで申し訳ないんですが。問題は、そもそも今ま で生殖補助医療技術とがかなり自由に行われてきた。そのために医療のクォリティその ものについてもいろんな問題が生じてきているし、何よりも生まれてくる子供の福利、 両親の問題、それらについてかなりの問題が生じている。このままでは進めないという ところから、始まっているということですね、原点は。しかし、医療は、基本的には、 お医者さんと患者さんとに委ねられたもので、自由な領域がなければならないわけです 。両者を調和するためにどの範囲まで規制するかということが問題だろうと思うんです ね。私は透明性というのも、結局はそういうことに尽きるだろうと思います。その基本 的な議論が最初にないまま来ていますので、恐らくしょっちゃうこういう問題が起こり ます。先ほどのカウンセリングの問題も恐らくそうだろうと思います。  私が提案するのもおかしいのですけれども、最後まで一応今のことを意識して議論し た上で、一回見直すというふうにやった方がいいのではないでしょうか。問題を今出し 尽くしていただくのは結構だろうと思いますが、ここで結論とることはかなり難しいだ ろうと思います。特に問題はこの出自を知る権利ですね。これがどうなるかということ は、まだ多くの人が決定してないのではないかというぐあいに思いますので、それにか なりかかわってくるところがあると思います。 ○矢崎部会長  私が部会の最初にお話したのは、この部会は、提供配偶子による生殖補助医療がいか に国民の皆さんに信頼されて医療として定着する仕組みをつくるということが我々のタ スクフォースであって、その基本としては医療のクォリティと医療の行われる町野委員 が言われたドクターと治療を受けるご夫婦との間だけではない。透明性、公平性を確立 するにはどうしたらいいかということを実質にシステムとして、制度設計として私たち はこういう作業を依頼されたんですということを申し上げたと思うんです。ですから、 そういう視点が全然ないということではなくて、最初からそういうことで委員の皆様方 にそういう視点から議論してくださいと申し上げたので、私自身はそういう基本概念は 、ですから座標軸は動いていることはないと思いますが、ただ、個々の議論において、 基本のコンセプトがブレークダウンして実質に実施された場合にはどういうふうに進め るかという具体的なプロセスになると結構難しい問題があって、議論が一見錯綜したよ うな意見ですが、皆さんやはり心配しておられて議論されているので、私自身は各委員 の方々のご意見を真摯に受けとめながら、しかし、今、町野委員が言われたような本質 はどうなのかということをきっちりとらえながら議論を進めないといけない。  基本的な原点はそこにありますが、実際に医療を行うときに、その座標軸をきっちり 押さえながらプロセスを決めていくかというのは意外と難しくて、ですから座標軸が狂 わないように、町野委員とか加藤委員に常にそういう専門的なシェアからサジェスチョ ンをいただけると大変我々としてはありがたいというふうに思いますので、よろしくお 願いしたいと思うんですが。  倫理委員会というのも、そういう基本概念の1つとして、チェック機構としてこうい うものをつくったらどうかということを、私は必ずしも唐突ではなくて、1つの重要な ポイントではないかということなんですが、それでは透明性、公平性、医療の質の維持 という意味で、担保する1つの手だてとして倫理委員会というものが提案されたと思い ますが、これについては極めてまだご意見が多いと思います。きょう議論はなかなか進 まないかもしれませんが、一応事務局からこの案を一応読んでいただいてということで よろしくお願いします。 ○宮本室長  この倫理委員会の部分につきましても、それ以前の施設整備や人的基準と同様、研究 報告に基づきまして、そちらから主に入れさせていただいているものでございます。内 容といたしましては、倫理委員会の必要性につきましては、倫理委員会を実施医療施設 に設置しなければならないというふうにまとめてございます。  それから、業務といたしましては、精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療につい て審査を行い、その適否、留意事項、改善事項等について意見を提出すると。それから 審査の過程を記録し、保管をするということで、個々の事例についてそれぞれ判断を行 うということを示しております。  それから、生殖補助医療の進行状況及び結果について報告を受け、必要に応じて調査 を行い、その留意事項、改善事項等について意見を提出すると。そういった内容になっ ております。  それから、審議事項といたしましては、精子・卵子・胚の提供による生殖補助医療を 受けるための医学的適応の妥当性。  手続としまして、適切な手続の下にそういったことが行われているかどうかについて 。ご夫婦の健康状態、精神的な安定度、経済状況など夫婦が生まれた子供を安定して養 育することができるかどうかについて審議、判断を行うという内容でございます。  それから、倫理委員会の人的要件ということでございますが、医学的妥当性、倫理的 妥当性、その結果として生まれるお子さんの福祉についてを総合的に審査できるように 、生物学、医学、法律学及び児童福祉に関する専門家、カウンセリングを行う者、生命 倫理に関する意見を述べるにふさわしい識見を有する者並びに一般の国民の立場で意見 を述べられる者、そういった総合的に構成されるということでまとめられております。  それから、委員会は10名程度で構成され、委員のうち2名以上は、医療機関の関係者 以外の者が含まれること。  それから、同じく委員のうち2名以上は、女性が含まれること。  倫理委員会の活動の自由及び独立が保障されるよう適切な運営手続が定められている ということ。  倫理委員会の構成、組織及び運営、その他生殖補助医療の審査に必要な手続に関する 規則が定められ、公開されていること。そういったものでございます。  これは事務局からの蛇足になるのかもしれませんけれども、1つ女性に関する会議の 中で含まれる女性の数という点がございますが、今全体に女性の参加ということがうた われるようになっております。例えば審議会等の構成につきましては、3割以上の女性 の参画を基準ということで現在検討されているものでございます。  一方で、この研究報告をまとめられる際には、また参考とされる資料といいますか、 他の委員会の運営の状況というのがあるというふうにも伺っておりますし、そういった いろんな状況というのをまたご配慮いただければというふうに思っております。  それから、点線以下はちょっと蛇足になりますが、ここで、それまでにまとめられて おります流れといたしましては、精子・卵子・胚、それぞれにつきまして、一件一件審 査をするということで前提としてまとめられておるわけですが、結果といたしまして、 胚の提供・余剰胚の提供及び兄弟姉妹等による提供による生殖補助医療は、倫理委員会 の審査によって実施を認められたのち、公的管理運営機関により実施に関して審査が行 われるということで、この部分に関しては2段階に審査が行われることになるというこ とでございます。以上です。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。この倫理委員会の性格づけは、研究委員会の位置づ けはどういうふうに。 ○吉村委員  一例一例やるかどうかということについては、一例一例やる症例とやらなくてもいい ような症例、書類審査でいく症例があると思いますので、それは余り一例ごとにという のは兄弟姉妹とかそれ以外には書かなかったと思うんです。そういう特定な場合を除い て、例えばAIDを一例一例やっていたら大変なことになってしまいます。倫理委員会 を何時間開いても、何日も何日も毎日倫理委員会をやらなくちゃいけなくなってしまい ますので、これはある程度まとめてとか、そういうことになると思うんですけど。 ○加藤委員  私の個人的な意見だけれども、例えば生殖補助医療を行うことによっていろいろ不幸 な事例というのも起こり得ると。だから、例えば100 例のうち1例、不幸な事例がある から全面的に禁止するとなると、幸福になる事例にまで禁止を及ぼすことになるので、 どうしてもケース・バイ・ケースの審議をする必要が生じてくる。そういうときの救済 策としてケース・バイ・ケースの審議機関をどこかにつくっておかないと、全面禁止か 全面自由かという選択になることを避けるために、この倫理委員会があると、そんなふ うに理解しています。 ○矢崎部会長  今、倫理委員会には2つ性格があると思うんですね。1つは、本来の倫理委員会で今 言われた提供配偶子の生殖補助医療のあり方と、それから実施されて幾つかの問題点が あったときにそれをフィードバックして判定すると、そういうような各施設にそれぞれ にあるのではなくて、横断的なそういう倫理的な問題を議論するような倫理委員会と、 もう一つ、きょうずっと議論がありました個々のケースをしっかり見守るようなシステ ムがあっていいかなと。ここの10名で云々というのは、結構相当な重みのある倫理委員 会で、ただ、個々のケースをしっかり見守っていくというのは各施設……。 ○加藤委員  事後にですね。生殖補助医療を行った後という意味ですか。 ○矢崎部会長  前も含めた……。 ○加藤委員  もちろん前も後ということですね。 ○矢崎部会長  後もですね。ですから、後に大きな問題が起こったときはもう少し、倫理委員会の親 委員会みたいなところで議論するかもしれませんが、一番今カウンセリングとかそうい う問題で、町野先生が言われたように、生殖補助医療の本当のしっかり押さえていなけ ればいけないポイントをどういうふうに押さえるかということで議論があって、1つは 「カウンセリング」という言葉が適当かどうかわかりませんが、少しスクリーニング的 にどなたか担当医以外の方が面接してどうこう、あるいはそれを判定する委員会みたい なのが各施設にあってもいいのではないかという、私個人はそういう意見を持っていた のですが、それをこの倫理委員会というところで一括りになるかどうかというのはちょ っと難しいものがありますですね。 ○高久委員  先生、個々のケースでやるのはAIDなんか大変だと思うんですね。ですから、前か ら記録を保持するとか、そういう第三者機関がありましたが、そこにもどうしても必要 だと思うんですが、そこがかなりのことをやればいいのではないかと思うんですね。例 えばその施設でこの医療をやっていいかどうかということとか人的基準を満たしている とか、そういうことはどこかで決めなければならないとすれば、この倫理委員会ではい いのではないかと思うんですけれども。 ○矢崎部会長  これが親元の倫理委員会ですね。 ○高久委員  それでいいと思うんですよ。そうでないとなかなか、10人で来られても大変だと思い ます。それから、あとこういう構成は結構なんですが、ただ、生物学というのはなかな か適当な方はおられないので……。 ○矢崎部会長  これはちょっとね。 ○高久委員  ちょっとそれは必ずしも要らないのではないかと思います。 ○矢崎部会長  わかりました。どうもありがとうございます。高久委員が言われたように、ここで言 う倫理委員会は親委員会みたいなもので……。 ○高久委員  そうだと思いますね。 ○矢崎部会長  倫理委員会というのは規定がありまして、出席者が半数ないといけないと。個々の審 査をそれでやっていると、とても審査の遅れとかがありますので。そうしますと、倫理 委員会で、私、最初に申し上げたように、例えば兄弟姉妹のケースとか胚の提供とか、 相当AIDと違うというのを最初の方で申し上げたんですが、そういうのをしっかり見 るのとAIDのようなものをちゃんとカウンセリング、スクリーニングしてやるという のとまたニュアンスが違いますから……。 ○高久委員  AIDでもその施設でちゃんとやっていいかということは倫理委員会でも検討する必 要あると思いますね。カウンセリングを義務的にするか、あるいは要望に応じるかは別 にしましても、そういう体制がそこでできているかとか、設備も整っているかというこ とはきっちり決めなければならないと思いますし、それから非常に特殊な場合は、当然 特殊なことですから、ここの委員会に施設から出せばいいのであって、そんなたくさん は私は要らないと思うんですけれども。 ○矢崎部会長  そうですね。そうしますと倫理委員会というのは、親委員会みたいなもので、これが 国に代わって、高久委員の言われるように、施設の指定とか……。 ○高久委員  施設の認定もするし、認定というか的確かどうかという判定もするし、特殊な場合に それをそこでやっていいかどうかという判定もすると、それでいいのではないかと思っ たんですけれども。 ○矢崎部会長  どうぞ。 ○金城委員  ただ、ここで出ている倫理委員会というのは、あくまでも施設内倫理委員会のことで すよね。 ○矢崎部会長  そうです。だから、これはちょっと違って……。 ○金城委員  これはなしにしちゃう。 ○矢崎部会長  なしじゃなくて……。 ○加藤委員  施設内としては大げさですよね。 ○矢崎部会長  ですから親委員会ですよ。 ○金城委員  親委員会は親委員会でいいんですけれども……。 ○矢崎部会長  ですから、その次のことを考えないといけない。 ○金城委員  ですから、これは施設内で、ですから親委員会の下に各施設に置かれている委員会が 出ているわけですよね。 ○矢崎部会長  それが委員会にするか、先ほど申し上げましたスクリーニングで第三者的な方が入る 、例えば10名ぐらいでいちいち検討するよりは、第三者的な立場の方がそこに入って来 られた方がいいような気がしますが、いかがですか。それを倫理委員会というのか、実 際に吉村委員としてどうですか。 ○金城委員  施設内倫理委員会、「施設内」を入れればいいと思うんですけど、やはりそういうの は……。 ○矢崎部会長  例えば、実行上ケース・バイ・ケースで、平山委員ではないのですが、カウンセリン グというか、カウンセリングということが適切かどうかわかりませんが、ちょっとドク ターだけでは情報提供できないものを入れるという仕組みを、それを入れてほしいと。 それをちゃんと入れているかどうかというのは親委員会の倫理委員会で決めているのか 、あるいはここで一応担当医と患者さんの関係だけではない、透明性、公平性を担保す る仕組みを、最終的には今まで抜けていましたよね。ここで何か入れる仕組みはないか なというふうに。 ○才村委員  今の医療機関内の倫理委員会と、先ほど言われた親委員会とは全く別の組織になると 思うんですね。 ○矢崎部会長  そうですね。 ○才村委員  また、里親のことばかり出して申し訳ないんですけれども、里親さんの認定とか児童 相談所が子供を施設に預かるときに児童福祉審議会の意見を聞かなくてはならないとい うことになっていまして、そこで意見を聞いて、大阪府の例えば知事がどうするかとい うのを決断すると。もしここが生殖補助医療を実施していいかどうかという審査する機 関だとしたら、それは施設の医療機関内ではなくて、公的管理運営機関の例えば分室み たいなものが各ブロックごとにあって、そこへ出して聞くというふうなシステムでしか 、この倫理委員会の審査する権限というのは一体どの人が最終決断を出すのでしょうか 。例えばだめだとか、そういう審査というのが決断して、そして、その人が生殖補助医 療を進めることはだめだということで返すことができるほどの権限を持つのか、それと もただ、こうですよという意見を聞いて、あとは例えば実施機関自身が判断に任せるの か。公的管理運営機関がそこにどう関与するのかにもよって、ここの倫理委員会の位置 づけが決まってくるのかなと思うんです。  私は公的運営機関の、例えば分室みたいな形で、それが幾つかの医療機関、ここの10 個の施設はここですとかという形で、そこでやってもらって、10人ぐらいの審査委員会 を設けて、書類審査もあれば、実際に難しいような事例はかなり詳しく言うとかして、 それを返して実施できない人も中にはあるかもしれないというふうにするのがいいのか なというふうに思ったんですけど。 ○町野委員  ちょっとわからないですけど、親委員会と言われたのは今の趣旨なんですか。結局そ れぞれの個別の施設の中にあるIRBのようなものとは違って、その上にあるものを親 委員会とおっしゃっているわけですか。 ○矢崎部会長  はい。 ○町野委員  要するに二段審査を採用するかどうかということですね。 ○矢崎部会長  二段審査ということではなく……。 ○町野委員  それとも直接そちらに行くということですか。 ○矢崎部会長  いや、高久委員が言われたのは二段審査という意味ではなくて……。 ○高久委員  私はむしろ公的機関の中にちゃんとしたものをつくれば各施設は要らないのではない かということを言っているわけです。 ○町野委員  問題は幾つかあって、まず施設内にそもそもつくる必要があるかということが1つで す。これもかなり私は問題だろうと思います。10人のメンバーを集めるというのは恐ら く大変だろうと思うんですね。第2に、そうではなくて外部につくるかと。外部の中に 公的管理委員会ですか、そちらにつくるかという考え方がいろいろある。それから、第 3に先ほど言いました二段階という考え方もあり得るだろうと思います。  そして私は高久先生のように言ってしまっていいのかどうか、ちょっとわからないと ころがあります。各施設内につくって、しかし、それをさらに審査しなければならない 場合を決めるとして、限定するのが私が妥当ではないかと思います。それは今まではガ イドラインといいますか、ずっと議論してきた中でかなり問題の部分があるわけですね 。胚の提供だとかそういうところ全部あるわけですから、そういうようなものをリンク させて、これについてはこの委員会の審査にかけるという格好にやるのが私はいいので はないかというぐあいに思います。さらにその上に公的管理運営機関による、それをの っけるということなら、ますます先ほどのような議論ではないですけど、医療の裁量性 の枠をかなり超えたものになってくるだろうと思うんですね。それぞれの施設のそれに 任せられないということを意味しますから、そこまでやるのがいいのかというのは、そ れは議論の余地がありますので、かなり慎重にお考えになった方がいいだろうと思いま す。  つまり、今のような各施設の外部にもう一つ倫理委員会をつくるということになりま すと、今まで行われてきたのは二段審査がほとんどですけれども、例えば遺伝子治療だ とか、それから現在のいろいろ……。 ○加藤委員  臓器移植。 ○町野委員  臓器移植はそうかな。 ○高久委員  臓器移植は違います、ES細胞。 ○町野委員  ES細胞だとかそういう特殊なものですよね。そのようなもので、これは同じなのか ということでしょうが。私はそれがやっぱり……。 ○金城委員  それは38ページに出ていたんですけれども、胚提供及び兄弟姉妹等による提供による 生殖補助医療、これを公的運営機関によってさらに審査をするということですね。です からこれだけですね。 ○矢崎部会長  高久委員が言われる親委員会として施設の認定と特殊な例についての数少ない症例を ……。 ○高久委員  AIDまでやると大変じゃないかと。AIDに関しては施設の認定だけでいいのでは ないかと思っています。 ○加藤委員  振り分けて、各施設ごとでやっていいのと、非常に前例のないケースについては、ま ず全国的な倫理委員会で認可するというケースもあり得るんじゃないですか。 ○矢崎部会長  そういう意味の公的機関に付随した倫理委員会で、例えば出自を知る権利で個々のケ ースでいろんな問題があったときには親委員会でどうでしょうかという……。 ○宮本室長  申し訳ございません、親委員会というのはどういったイメージなんでしょうか。 ○矢崎部会長  公的機関に。 ○宮本室長  公的管理運営機関のことをおっしゃるわけですか。 ○矢崎部会長  はい。 ○高久委員  当然それは責任は委員会ができれば委員長が持つわけですし、責任がありますから権 限もあると思うんですね。ノーと言うこともできると思いますし、ですから委員会の議 論はオープンにしなければならないことは当たり前のことだと思いますけど。 ○矢崎部会長  そういう権限のある委員会が複数あって、判断のレベルが違ってくると、これは極め て大きな問題になりますよね。先ほど幾つかのブロックごとにそういう公的な倫理委員 会で、例えばある委員会の判断とほかの判断と違ってきちゃうと大きな問題になります ので、どこかで絶対基準みたいなのをつくっていただいて、それで何かそこで問題があ ったときは、そこに相談して判断を伺うということで、一応公的機関のそういうものを つくって、各施設で倫理委員会をつくるかどうかというのは次回に議論させていただい て、私は二段審査というよりは、何か医療の質の担保と公平性、透明性を担保するもの を、それから出自を知る権利とか、生まれた子のトラブルその他について、何かどこか でサポートするシステムが必要ですし、それからそういう情報をきっちり伝えてやるシ ステムは重要ではないかと思うんです。それで担当医だけでは問題が解決できないとい うときに、どういう……。 ○加藤委員  担当医だと泣きつかれて断れないという意見が出ましたよ。 ○矢崎部会長  そうですね。 ○加藤委員  だから、どうしてもなあなあになっちゃうので、担当医として断りたいときには倫理 委員会にこれをかけなければいけませんからといって、倫理委員会に断ってもらうと。 ○矢崎部会長  ですからそういう意味合いのものですね。それと本当の親委員会と、泣きついてとい うのでなくて、本当に公平な判断をしてもらうというところがあってもいいのではない か。ですからそれが施設ごとの倫理委員会がいいのか、あるいは担当医と治療を受ける ご夫婦の間にどなたかが介在するシステムで済むのか、その辺を宿題にして委員の皆様 に次回お聞きしたいと思います。それを踏まえて、また最初のインフォームド・コンセ ントとカウンセリングの問題をもう一度議論させていただきたいというふうに思います 。そういうことで、次回までまた事務局に案をつくっていただいて、また議論を進めさ せていただければということで、一応きょうは議論を終わりたいと思いますが、次回以 降の予定を。 ○宮本室長  次回ですけれども、既にお知らせさせていただいていますように、10月24日(木曜日 )13時から16時となっております。場所ですが、厚生労働省の17階、専用第21会議室で ございます。  また、各委員の皆様方からのご意見などにつきましては、メールやFAXなどで事前 にお送りいただければ配付させていただきますので、10月22日(火曜日)の午前中まで にお寄せいただきたいというふうに思っています。以上です。 ○矢崎部会長  いいアイディアを議論する前にいただければ、議論する時間が少なくなっていいと思 いますので、できるだけいい案を。それから、事務局案をできるだけ早くつくっていた だいて、それでフィードバックしていただければ、委員の方に。  それでは、きょうも本当に長時間ありがとうございました。非常に秋晴れのすばらし い日に午後3時間も拘束しまして申し訳ありません。また、傍聴しておられるメディア の方々も、この状況を十分判断されて理解いただきたいというふうに思います。  それではきょうの議論を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。                    照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課                          03−5253−1111(代)                              宮本(内線:7933)                              天本(内線:7939)