02/08/22 第17回厚生科学審議会生殖補助医療部会議事録           第17回 厚生科学審議会生殖補助医療部会                    議事録          厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課         第17回 厚生科学審議会生殖補助医療部会議事次第 日時  平成14年8月22日(木)14:00〜17:00 場所  厚生労働省省議室(第5合同庁舎)9階 議事  1.検討課題2について  1.その他について ○桑島生殖補助医療対策準備室長  定刻になりましたので、ただいまから第17回厚生科学審議会生殖補助医療部会を開催 させていただきます。  本日は大変、お忙しい中、先生方にお集まりをいただきまして誠にありがとうござい ます。  本日は、全員の委員の先生方にご出席を賜ってございます。  それでは、早速議事に入らせていただきたいと存じます。矢崎部会長、議事の進行を どうぞよろしくお願いいたします。 ○矢崎部会長  全員出席というのは、夏休みの間のため、行事が余り入ってないのでと思います。本 当にありがとうございます。また、お暑い中と申し上げようと思ったのですが、なぜ か、暑さも中休みになって、この二、三日過ごしやすい日が続いております。また、大 変な議論が待ち構えておりますが、よろしくお願いいたします。 それでは、資料の説 明をお願いします。 ○桑島室長  それでは、先生方のお手元に配らせていただいております資料の確認をさせていただ きます。資料としては、資料1、資料2、机上配付資料と3つになってございまして、 資料1と2につきましてはペアでございますけれども、今回、課題2につきまして、事 務局で整理をさせていただいたものでございます。資料1につきましては、修正を溶け 込ませた形で、資料2につきましては、前回との違いを赤で見え消しの形でお示しをし ております。  それから、机上配付資料といたしまして、平山委員からご提供いただきました資料を 配付させていただいてございます。  事務局からは以上でございます。 ○矢崎部会長  よろしいでしょうか。では、議題1であります検討課題2について入りたいと思いま す。今回もインフォームド・コンセントの部分を議論したいと思いますが、前回の部会 では事務局が作成しました資料についていろいろなご指摘を受けました。今回、事務局 で大幅な資料の修正をしましたので、まずその方から、事務局より説明願います。○桑 島室長  先生、恐縮でございますが、机上配付として、平山委員からご提供いただいてござい ますので、委員から一言。 ○矢崎部会長  カウンセリングの部分のコメントでございますよね。 ○桑島室長  よろしいでしょうか。 ○矢崎部会長  カウンセリングのところで検討させていただいてよろしいでしょうか。 ○平山委員  わかりました。 ○桑島室長  それでは、事務局でかなり訂正をさせていただいてございますが、前回の部会での指 摘を踏まえながら資料の修正をさせていただきました。できましたら、資料2の見え消 し、赤の文字がいろいろと入ってございますが、それをご参考にしていただきながら見 ていただければと思いますが、大体概略をまずご説明申し上げます。  大きな方針としては2つございまして、1つは専門委員会の報告書をそのまま書き写 した形で文章がわかりにくかった。提供を受ける側と提供者のそれぞれの立場に応じて 文章を直してはいかがというご指摘をいただいてございました。そうした趣旨に沿っ て、それぞれの立場に合った文章の修正を行っておるというのが1つの大きな点でござ います。  それから、2つ目は、説明のすべての内容をインフォームド・コンセントするのかと いうお話でございましたので、事務局の案ではございますが、説明をすることの必須の 項目と選択の項目ということで「◆」と「◇」と分けて記載をさせていただいてござい ます。主な基準としては、提供者が受けるべきということで重要と思われるところにつ いては、提供者のところで「◆」とし、提供する方として重要と考えられる部分につい てはそれぞれの部分で「◆」としております。また、物によっては共通して両者にとっ て重要だと考えられるものについては、ともに「◆」あるいは「◇」にしているという 使い分けをしてございます。  全体として提供を受ける方、提供される方、それぞれ大体60項目くらいございます が、大まかですが、3対2の割合で必須の項目ということで掲載をさせていただいてご ざいます。  あとは細かくそれぞれの修正がございますので、また、その折に触れましてご説明を 申し上げたいと思っております。  以上でございます。 ○矢崎部会長  今の説明にございましたように、枠組みとかいろいろ文言の順序とか、そういうもの を変えましたので、内容的には前回議論したところもあると思います。したがいまし て、議論したところは確認にとどめておいて進めていきたいと思っております。  今のご説明のように、今度は黒印、白印がダイヤ型になっております。「◇」は説明 しなくていいという意味ではなくて、必要があればする、あるいは必要の場合にはそれ が必須の項目に変わるということを十分ご承知の上でご議論を進めていただければと思 います。  進め方ですが、一応事務局に読んでいただいて逐次議論ということを考えましたが、 それではこの資料が大部でありますし、時間もかかりますので、私が一応説明しなが ら、もし何かコメントなりご意見がありましたら、その都度おっしゃっていただければ 大変ありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。まず、訂正した赤が入っ たものが見やすいと思いますので、資料2で議論を進めさせていただきます。  まず1ページの下のところの(案)ですが、このように言葉のわかりやすいようにし たことと、「説明を行う医師は、必要があれば他の専門職に説明の補足を依頼すること ができる」。この趣旨はインフォームド・コンセント、カウンセリングはまた後で議論 になりますが、インフォームド・コンセントをとるというのは主治医がとるべきだろ う。ただ、それに当たっては、それをサポートするような、提供を受けられる方、提供 する方がサポートを受けられるような専門職以外の方の説明も必要であれば補っていた だくという趣旨です。よろしいでしょうか。  第2ページ目でございますが、「説明の客体は?」というところで、これは前回の議 論もありましたので、一応このような形にさせていただきました。インフォームド・コ ンセントは、「当該夫婦は原則として同時に揃って説明を受ける」ということにさせて いただきました。インフォームド・コンセント・説明する内容について、以下のように 案がございます。先ほど申し上げましたように「◆」と「◇」でございます。  まず、「1.生殖補助医療の医学的事項について」ということですが、これは、第三 者提供配偶子による生殖補助医療を行う場合には、既に配偶者間の生殖補助医療を受け ておられるので、検査、治療その他の説明は大体受けているだろうということで「◇」 にしておりますが、これは必要であれば、このような説明を行うということで、大きな 点は、前回は提供される方と提供を受ける方が一緒に文言がありましたのでわかりにく かったので、それを分けさせていただきました。  検査については、提供を受ける方を中心に検査を羅列させていただいたということが 2ページ目でございます。  また、もし後でお気づきの点があったら、おっしゃっていただければありがたいと思 います。  3ページの下の方の部分は、提供者に対するものですので、これについては、特に提 供を受ける方にご説明する必要はないのではないかということで、ここからは省かせて いただいたのが、次のページの上段までであります。  4ページの中ほどは、特にわかりやすい字句に変更させていただいたということで、 内容については、検討課題1で検討された事項を改めて提供を受ける方にご説明すると いうことですので、これについては余り議論するところはないように思います。  5ページの赤文字のところは、胚の移植を受けることができるということを検討課題 1のときに皆様の一応コンセンサスを受けましたので、その文言を、下のところにあり ますが、これをこちらに移して、提供卵子による体外受精を受ける者に対して、胚移植 を受けることができるということもお伝えしようということです。  5ページの下の方の、「精子・卵子・胚の提供の条件について」ですが、これについ ても、こちらは提供される方に対するご説明ですので、これは提供を受ける方に対して は、その件については、必要であればお伝えするということで「◇」にさせていただき ました。それが6ページまで続いています。  赤文字は、提供を受ける方に必要な字句、あるいは部分を強調するためにさせていた だきました。6ページの(P)と書いてあるのでペンディングの部分でありまして、6 ページの後半の部分は、提供に対する対価の条件についてです。これは検討課題1のと ころで、幾つかの案にまとめさせていただいて、まだ決着がつかないということが波線 の中のものです。これについては、また後で議論を進めさせていただきます。  7ページに関しても同じく検討課題1のときに検討事項として残された部分で、特に 重要な兄弟姉妹からの配偶子の提供をどうしたらいいかということです。この「◇」に なっているのは、まず、配偶子あるいは胚の提供における匿名性の条件ということは、 匿名であるということですが、次の「◇」は、兄弟姉妹での配偶子の提供を受ける場合 には、これは当然説明しなければいけないところでありますので、「◇」はケース・バ イ・ケースで、全員の、例えば兄弟姉妹での配偶子の提供がない場合には説明する必要 がないということで「◇」になっているわけです。  あとは一番最後の属性の一致の条件についても、今まで検討課題1で検討していただ いたところでよろしいかと思います。  波線の中は、まだ検討課題の途中であるということを示しております。すなわち残り の配偶子、または胚を第2子のために使用することについてはペンディングになってい ます。したがいまして、波括弧の部分を今後詰めていかなければいけないということで あります。  それから、「提供された精子・卵子・胚の保存について」というのがございます。要 検討事項ですが、胚提供を行った夫婦にのうち、一方が死亡した場合は提供された胚は 廃棄されるこことするか?ということですが、これについては、前回は廃棄すべきだろ うというご意見が多かったと思いますが、この点について、今議論してよろしいでしょ うか。ご夫婦の一方が死亡した場合には、提供された胚は廃棄されるということでよろ しいでしょうか。  一応そういうことで、8ページの下の波線の括弧の中の検討事項はそういうことにさ せていただきます。  あとは、問題になるのは、8ページの最後の「提供者に関するその他の事項」です が、発生した副作用などによる補償の問題です。この補償の問題は、これから議論しな ければならない問題で、何か事件が起こったときに、これを補償するシステムを構築し なければいけないかどうかということで、これは吉村委員がメインに提案された。 ○吉村委員  これをはっきりしておいていただきたい。 ○矢崎部会長  今でなくて後でまたご議論していただいてよろしいでしょうか。 ○吉村委員  はい。 ○矢崎部会長  「提供者の権利について」は、前回までのご議論で、提供を受けた結果、子供が生ま れたかどうかについては、提供者の希望があった場合には知らせることとされるといっ た議論から、こういう結論にさせていただきました。  問題は、「提供により生まれた子について」、出自を知る権利と法的な地位ですが、 法的な地位に関しては、法制審議会の部会で検討中であります。  2番目の提供により生まれた子の出自を知る権利については、これは2番目の「◆」 が、要するに個人情報が開示される前であれば、自分の個人情報の開示される範囲を変 更できることと、出自を知る権利では、胚を提供した人がその子に開示することを承認 した範囲内で知ることができることがペンディングであります。  そこの波線の括弧の中にございますように、出自を知る権利の情報として、提供され た方が、開示することを承認した範囲内の個人情報を開示する。当然その中には提供し た人を特定できる個人情報も含むわけです。  (案2)は、提供された方を特定できる個人情報を全部開示する。  これも大きく議論が分かれるところでありましたので、これはまた最終的に議論をし たいと思います。  それから、予期しない生存児について、これはこの部会で一応議論を済まさせていた だと思います。  提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施、設備の基準については、イン フォームド・コンセント、カウンセリングの手続き等について。ということは、カウン セリングは後で、インフォームド・コンセントについては、今までご説明したことをも う一度ここで確認するということであります。  検討事項の1つは、もしここで検討できればと思うのですが、11ページの一番上にご ざいます「胚提供を行う夫婦のうち、一方の意思だけで提供の撤回ができることとする か?」ということでございますが、これはできないというご意見ございましたか。吉村 委員、できないでよろしいでしょうか。 ○吉村委員  私は個人的には、できないでいいのではないかと思うんですけど、皆さんの意見は ちょっとわかりませんが。 ○加藤委員  吉村さんの意見は、撤回できないという意見なんですか。 ○矢崎部会長  できるという。 ○吉村委員  撤回できる。 ○矢崎部会長  よろしいですね。「撤回できることとする」、それでよろしいですね。  11ページ目ですが、これにつきましては、できることとした上で、こういうことをイ ンフォームド・コンセントをとる場合に説明してくださいということです。  この中の「◇」は、当該生殖補助医療を受けた人が妊娠していないことを確認できた ときを除き、同意書を公的管理運営機関に提出すること。  これは何で「◇」でしたか。 ○天本主査 趣旨としましては、実施医療施設等、公的管理運営機関の中のやりとりの 話ですので、主に提供を受ける方へのインフォームド・コンセントというところでは必 ずしもすべての方に行われるべき内容というわけではないのではないかという観点で 「◇」にさせていただいております。 ○矢崎部会長  該当する方には必ず説明するということで理解してよろしいわけですね。○天本主査  といいますか、必ずその同意書を公的管理運営機関がすべて管理するのですというよ うな内容を、提供を受ける人がすべて知っておくべき内容なのか。聞かれた場合には、 ご説明してもいいかとは思うんですけれども、詳細な手続上のやりとりまで説明する必 要があるのかどうかというような観点でさせていただいております。 ○矢崎部会長  よろしいでしょうか。同意書を提出することになるわけですね、公的管理運営機関が できれば。これは後で議論させていただくということで。管理体制でございますが、こ れはこのままで事務局の方はよろしいのでしょうか。 ○桑島室長  一部修正を先生方にお願いしたいと思いますが、最初の「○」のところで、「生まれ た子が知ることができる」という条件をつけておりますが、内容からいたしますと、必 ずしもそればかりではございませんので、この文言は事務局としては削除させていただ きたいと思っております。つまり、生殖補助医療に係る公的管理運営機関の業務の具体 的な内容についてということでお願いいたします。  それから、次の「◆」ですが、これは後ろの方でもそうなっておるわけでございます が、この内容については、「提供された」云々と書いてございますが、ペンディング (P)が抜けておりましたけど、この内容についてもペンディング事項でございます。 よろしくお願いいたします。 ○矢崎部会長  最初の印のところもペンディングという意味ですね。 ○桑島室長  はい。 ○矢崎部会長  これは公的な機関で管理していただくというコンセンサスではなかったかなと思いま すが、いかがでしょうか。こういう提供配偶子・胚による生殖補助医療の透明性、公平 性を確保するためには公的管理運営機関の存在が欠かせないということでしたので、こ れは「されていること」とさせていただきたいと思います。  次の個人情報を、公的管理運営機関が管理せねばならぬ期間ですが、これは専門委員 会報告書で80年と、次のページの波線の中に載っておりますので、必要な一定の期間で 記しましたが、これは「80年間保存する」とさせていただきたいと思いますので、よろ しくお願いします。平均寿命80歳ですので、そこまで考えておくということではないか と思います。  最後に、「その他について」ですが、これは補足的なものでありまして、生殖補助医 療以外の選択肢があることを十分理解していただくということです。  問題は13ページ目にございます「認められない生殖補助医療について」、これは報告 書で述べておりますように、代理懐胎(代理母・借り腹)は認められないということ で、この部会で、さらに精子・卵子両方の提供によって得られた胚の移植は認められて いない」と一応議論されたと理解をしておりますが、ペンディングになっていますが、 大体こういう方向で、この部会では一応コンセンサスが得られたつもりではおりました が、また、ご議論があればもう一度ぐらい議論させていただければと思っております。 一応報告書にございます代理懐胎は認められない。報告書になかった精子・卵子両方の 提供によって得られた胚の移植は認められないということにしたいと思います。  その他は、括弧の中の、提供を受ける方のインフォームド・コンセントの最後のとこ ろの卵子のシェアリングの問題と、提供、配偶子・胚による生殖補助医療の生まれたお 子さんが、十分安定した環境で発育できるかということを、どういうふうなことでイン フォームド・コンセントをとるか、一番難しい問題、これが最終的にはペンディングに なっていますので、また委員の皆様であらかじめお考えいただければと思います。  13ページの次の提供する方及び提供する方がもし結婚された方には、配偶者に対する 十分な説明が必要であるということが、今度は前の部分と同じようなところが重なって おりますので、それについてご確認いただければと思います。  14ページは、これは提供を受ける方と同じところがある程度続いておりますが、これ は提供する方のものですので、一応前回は十分議論されてなかったので、念のために申 し上げますと、「説明の主体は?」は、インフォームド・コンセントで医師が行う。  その説明の場合に、他の専門職に説明を補足していただくということが主体と客体ど ちらかの方の希望があればできるということを補足させていただきました。  「説明の客体については?」、配偶者がおられる場合には、原則として同時に説明を 受けていただきたい。説明する内容についてはほとんど提供を受ける方と同じですが、 提供者の受ける検査については、提供を受ける方の検査とほぼ同じになっておりますの で、これは提供する方が受けなければならない検査については大分内容が違いますの で、これは後で専門家の吉村委員を中心にもう少し改訂していただきたいと思っており ます。  それから検査の過程における副作用や合併症のリスク、これは恐らく卵子を提供する 場合で、精子を提供する場合にはほとんど問題ないと思いますので、卵子提供の場合に どういうリスクがあるかということは十分説明しなければいけませんので、これについ てはそこにスペシフィックな特化した説明内容が必要だと思いますので、これについて は専門家の吉村委員を中心にもう少し具体的な項目をつくっていただこうと思います。  その下に、「(2)提供により実施される生殖補助医療について」でございますが、 その中で、15ページ目の「◆」の「提供をするにあたって起こりうる副作用や合併症の リスク」、これは恐らく卵子提供の場合ですね。そのことについて、ここに挙げられて おりますので、前項の検査の過程でというのと、実際に検査ではなくて卵子を採取する 際のいろんなアクシデントについてここで区分けして書かれておりますので、これは特 に「(※3)非配偶者間体外受精の方法と管理について」というところで、特に卵子提 供者にかかるいろいろなリスクが具体的に書いておりますので、これについては専門家 の、これは矢内原研究班のところからとらせていただいたものであります。  そういうことで、配偶子を提供される方、特にリスクについてはきっちりご説明申し 上げることがここに書かれております。  2番目の「提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療の実施及び精子・卵子・胚 の提供について」、これは繰り返しになりますが、検討課題1でやり、提供を受ける方 のインフォームド・コンセントに書かれているものと全く同じものを、提供者に対して も基本的な提供、配偶子・胚による生殖補助医療についてのご説明を提供される方にも それを説明しようという趣旨でここに載っております。  これについては、提供する卵子の数とかいろんな検査のことが書いてありますので、 重複しますので省略させていただきます。  18ページの対価の条件については、これは前からの検討課題ですので、これについて は、後ほどもう一度ご議論をいただこうかというところであります。  19ページは、兄弟姉妹からの提供された配偶子・胚による生殖補助医療についてご議 論のあるところで、これはこれからまたさらに案を詰めていただくということで、一応 4つの案が提示されたということで、改めてここに記憶を起こす意味で記入させていた だきました。  そして19ページの最後から次のページにありますように、これを提供された精子・卵 子・胚の残りを第2子のために使用することについて、これもさっきペンディングにし ておきましたが、もし可能であれば、ここで議論していただいて、可能な限り認める と。もちろんインフォームド・コンセントをしっかりとっておくという案と、認めない 案でございました。これについては随分長い時間をとって議論をさせていただきました が、これを可能な限り認めるということで意見が終息されたような印象だったのです が、これは吉村委員が声を大にして、可能な限り認めていいのではないかというご意見 でしたよね。 ○吉村委員  私は(案1)なんですけど。これはどうしてかと申しますと、卵子を提供受けて、自 分のご主人の精子との間に受精卵をつくって、それを保存しておくということになりま すよね。1子目が生まれた。2子目、1年後にもう一人産みたいと言ったときに、それ を使わないという状況を、要するにそれを認めないということはなかなか言い切れない のではないかと私は個人的には思うのですけど、この点については認めないという方の ……。 ○矢崎部会長  ですから提供する方に対してインフォームド・コンセントをしっかりとっておけば余 り問題にならないわけです。 ○吉村委員  私はそのように思いますが、(案2)の意見の方の。 ○矢崎部会長  後ほど議論をしていただくということであれば、後でまた提案していただいて、この 際には一応(案1)をとらせていただくと。  それから、「提供された精子・卵子・胚の保存について」ですが、これは「胚提供を 行ったご夫婦のうち、一方が死亡した場合は胚は破棄されることとする」とさせていた だきたいと思います。  20ページの「その他について」ですが、補償の問題、これについてはまたどうする か、これは行政的にどういうふうに対処するかという問題もあると思いますので、これ はペンディングにさせていただきます。  「提供者の権利について」、これは重要ですので、きっちりご説明していただく。特 に提供者が希望すれば、妊娠・出産に成功したか否かを提供した方にお知らせすること ができる。あるいは提供された方が知ることができるということが入っております。  21ページの3番目が新しいところで、「提供による生まれた子について」、提供され た方にご自分が提供した配偶子・胚による生殖補助医療によって生まれた子が出自を知 る権利を行使することができる。そういうことをしっかりインフォームド・コンセント にとっていただくということではないかと思います。親御さんが、生まれたお子さんに 対して提供によって生まれた子であることを告知することが重要であるというふうに決 まっているので、それを知った上で提供してくださいということを十分認識していただ くと。  それから、個人情報をどこまで開示するか。ですから幾つかの案があって、すべてを 知らせるということが決まれば、個人を特定する情報が開示されますよということを きっちり提供する場合のインフォームド・コンセントにとっておかなければいけないと いうことがこのところに入っております。  あとは大体検討課題1で、大きく違っているところはないように思います。提供を受 ける方と提供される方の違いだけで文章をわかりやすくしました。  24ページの6は「守秘義務について」でありますが、守秘義務については、厳しく秘 密を守っていただきたいということがここにあります。  提供される方にも、代理懐胎及び精子・卵子両方の提供によって得られた胚の移植は 認められていないことも説明する。  25ページの説明する方法としては、説明する医師は、説明した内容について記載され ている文書を配布した上で、それを用いて説明することになっています。  提供者が再度の説明を求めた場合、もしくは担当医師が提供された方の理解が十分で ないと判断した場合は、ご説明すると同時に、他の専門職の補足説明を繰り返して行わ なければいけない。  説明する時期につきましては、期間をあけないで使用される場合には一度の説明でよ いこととする。しかし、1年以上の期間をあけて使用される場合には、再度説明する必 要があることとする。この「1年以上の期間をあけて使用される場合には」というに、 まだ1年という理論的な根拠が余りはっきりしたものがなかったのですが、1年という のは事務局が1年というふうなあれでしたか。25ページの説明する時期、報告書にあり ましたか。○谷口母子保健課長  必ずしも報告書に記載されておるものでございませんのですけれども、事務局の判断 で専門家の先生からお聞きいたしまして、この程度というのが、たたき台としてはお出 ししてもいいのかなという判断のもとに書いたものでございます。 ○矢崎部会長  これは専門家の先生のご意見によるわけですよね。 ○吉村委員  決まりは欧米でもないんです。それを皆さんが、コンセンサスを得られれば、私は1 年くらいか、もっと短くてもいいのかなと思ったりもしたのですけれども、あえてもう 一回同意をとらなくてはいけないというのは大変な作業ですね。ですから1年以内であ ればよいということですけど、今のAIDは2年が精子の保存期間なんです。使い出し てから1〜2カ月でなくなってしまいますので、そういった意味では、1年をとってお けばいいのかなという意味なのですけど、これは別に2年でも構わないと思います。イ ギリスの場合は1カ月でしたですね。 ○矢崎部会長  どのくらいの期間がいいかというのはなかなか議論しにくいと思いますので、1年以 上の期間をあけて使用される場合には再度説明するということに一応させていただきま す。 ○鈴木委員  これはイコール同意書をもう一度取り直すという意味ですか。 ○矢崎部会長  インフォームド・コンセント。 ○鈴木委員  ではそのように、説明だけではないですよね。 ○矢崎部会長  そうです。インフォームド・コンセント。 ○鈴木委員  説明とここの(案)の上にある同意書をとる必要があるというような表現になるので しょうか。 ○矢崎部会長  そうですね。それが上の「書類に記名押印もしくは自署による署名を行うことによっ て説明を受けた確認を行う」と。 ○平山委員  これは説明を受けたという確認であって、同意とは違うと思うんですが。同意につい ては、この後の項目で検討することになっているように思うんですが、あくまで、これ は説明の確認の署名であって同意ではないと考えますが。 ○矢崎部会長  そういう理解もできますね。 ○平山委員  私は説明に関しては、確かに1年以上あかないで使用される場合には説明は必要ない だろうと思いますが、同意に関してはまた意見がいろいろあるのではないかとちょっと 思いますので、それは後の項目だと思います。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。1年というのは、今いろいろな技術を開発していますし、 いろんなことが間に起こりうるので、そういう情報をきっちり伝えることも必要でない かということです。  では同意の取得について、その項目がなかったか、あったか、もし、なければ、今。 ○吉村委員  あります。 ○矢崎部会長  ありますか。ここは再度説明する必要があるということにしたいと思います。同意書 の取得については、主体は、「提供を受けることを希望する法律上の夫婦」、これは検 討課題1で議論終わっているのですが、「当該夫婦は原則として同時に揃って同意を行 う」。  同意する内容は、「説明する項目と同じ」。  同意する方法は、これは検討課題1でいろいろ現実に行われている生殖補助医療で問 題になっていた点で、説明し、同意をするとき夫婦に対し、確実な本人確認、今でも税 務署の納税証明書は、本人を確認しないとなかなかとれない時代ですから、これは当然 だと思うのですが、そういうことを行う。  説明から同意の取得の間には、3カ月の熟慮期間を置くということで、この3カ月の 妥当性ということがあるかと思いますが、これは夫婦間の生殖補助医療をなかなかでき ないと。繰り返されていた後でも、第三者からの提供による生殖補助医療ですから、3 カ月として一応よろしいですか。  同意書の保存については、保存期間は80年とする。先ほどの報告書にもありました80 年ということを基準にしたいと思います。  撤回は、ご夫婦の双方またはいずれか一方ということであります。これは書面でしっ かり、公的管理運営機関に提出していただく。  撤回する時期は、提供を受ける前であればいつでも同意は撤回できる。  撤回の文書の保存。これも同じように80年とします。  シェアリングについては、まだ議論が残っていますので、後でまた議論いただくとい うことであります。  それから、提供する方の同意書も同じように、ご本人の確認を得る。  提供される方も3カ月の熟慮期間を置く。  あとは大体同じでございます。  31ページのカウンセリングについてでございますが、平山委員からいろいろなご意見 を配付資料でいただきまして、まだ十分に整理ができていないので、これは次回以降に もう一度議論させていただくということで、最後の32ページの「実施医療施設の施設・ 設備の基準及び人的基準について」、これは専門的でございますので、矢内原班の報告 書に従って、こういうような基準で国が指定する施設として、こういうものを挙げさせ ていただきたいということで、設備だけではなくて倫理委員会の設置、倫理委員会の審 査事項などを詳しく述べられております。  以上が、今まで議論されてきたインフォームド・コンセントに関する、施設基準のヒ アリングを踏まえたまとめで、事務局でまとめていただき、前回お見せしたものに比べ ると随分提供を受ける方と提供される方のインフォームド・コンセントの進め方、それ をどういうふうに同意書として得られるかという具体的な方法をわかりやすくまとめて いただけたと思います。  私が一方的にまとめを説明させていただきましたが、恐らく委員の方は早く進みすぎ ではないかというご意見があると思いますが、大部分は検討課題1で議論した結果のこ とをご説明申し上げることであって、倫理的な問題は検討課題1で議論していただいた 結果をこちらで反映するということで、これに関してはきっちり説明をするということ が担保されれば大きな問題ではないと思います。  問題は、これから主治医とクライアントのご夫婦、提供される方の間だけの取り決め でなくて、このような生殖補助医療の透明性を高めるとともに、治療を受ける方々をサ ポートするためのシステムをこれからつくっていかなければいけない。また、お子さん の問題、先ほど出てきました生殖補助医療で生まれたお子さんが十分安心した環境で 育っていくことができるか、そういうようなことを担保するものはカウンセリングとい いますか、そういう方々が、インフォームド・コンセントをとる過程でどう関与して いったらいいかというのが今後の大きな課題ではないかと思います。  そのカウンセリングの課題につきましては、これは31ページに簡単にまとめてありま すが、これは専門の方々のお知恵を拝借して問題整理して、事務局である程度の素案を つくっていただくということでよろしいですか。  それでは、カウンセリングの平山委員、ソーシャルワーカーの立場、いろいろな立場 からのサポートを受けながら、あるいは心理学の先生方のご意見を参考にしながら、カ ウンセリングの内容を詰めていただければ大変ありがたいと思います。よろしいでしょ うか。お願いします。  平山委員から、配付資料いただきましたが、そういうふうに理解してよろしいでしょ うか。 ○平山委員  たたき台のたたき台というつもりで書かせていただきました。議論の方向として、ま ず当該医療に関する「カウンセリング」というものに必要な内容の検討を行って、その 上でそれを受ける人はだれか、行う人はだれがやるべきかという方向で議論を進めた方 がスムーズではないかと思ってこういうふうに書いてみました。  というのは、「カウンセリングとは何か」とか言い出しますとまたややこしいことに なると思うんですね。それよりはこの医療において必要なケア・サポートとはどういう ものかを考えた上で、それに必要な人材はどういうものかといった検討の仕方がいいの ではないかと思って、ごく簡単にですが、まずはと思いましてまとめさせていただきま した。 ○矢崎部会長  そうしますと、これを1つの枠組みとして、実際のことに関して専門の委員の方々に ご意見をいただいて、もう少しインフォームド・コンセントのような形で文章化してい ただければ大変ありがたい。大変でしょうけれども、すみません、よろしくお願いいた します。  今、インフォームド・コンセントの概略をお話申し上げましたが、何かございますで しょうか。 ○石井委員  余り頭がついていってないのですけれども、気になった点を幾つか申し上げてよろし いですか。1点目は、「精子・卵子・胚の提供の条件について」、5ページのところの 部分は「◇」になっているのですが、受ける側にとってどのような精子・卵子・胚が提 供されるかということは重要な情報ではないかと思うので、それについては十分な説明 が必須でなされるべきなのではないだろうかということが1点気になりました。  先ほどの説明は1年ごとにということと、保存期間が2年ということとの関係がどう いうことになるのかというのはもう一つわからない点でございます。  3点目は、先ほどの吉村先生、20ページのところで、(案1)だというときに、一回 提供された精子で、自分の卵子とでき上がった胚で第2子を認めるということの例をさ れて、私はそれならいいと思うのですけれども、そうではなくて、精子、全く新たにも う一度同じ人から提供してもらう、そういうことも同じように考えていいのかどうかと いうことは、情報をさかのぼって、公的機関か何かに求めなくてはならないという手続 が入るので、それも同じように認めるということでいいのかどうかということが疑問が あるということでございます。  それと26ページの「当該夫婦は原則として同時に揃って同意を行う」ということです が、もちろん夫婦仲よく同意できるような夫婦でなければ提供を受けられないことは当 然なのですけれども、その前のページにありますように、それぞれの書面による同意と いう、それぞれが本当に任意に同意していることの確保も重要なので、その点に十分な 配慮が必要なのではないか。夫婦2人になってしまうと、声の強いというか、ぜひ望む 人に引っ張られてという危険があるので、その点を配慮していただきたいと思う点であ ります。  それと提供を受ける側の3カ月間の熟慮期間というのはいいと思うのですが、提供す る側についても確かに提供というのは大変重要な決定なのだから、熟慮期間があった方 がいいとも思えるのですけど、本当に同じ3カ月間というのが適当なのかどうか。すい ません、私この点について議論した記憶がないものですから、その点についてお教えい ただければと思いました。  今のところ、気がついた点、以上です。 ○矢崎部会長  ありがとうございます。ほかの委員の方、私が大分マイペースで言ってしまったの で、お気づきの点がありましたら、石井委員のようにお話し……。 ○福武委員  よろしいですか。 ○矢崎部会長  今の石井委員の課題から……。 ○福武委員  できたら追加したいと思ったのですが。 ○矢崎部会長  石井委員の問題が終わってから。 ○福武委員  今おっしゃったもののうちの1つ。 ○矢崎部会長  わかりました。 ○福武委員  1つは同意のことですが、ここで書かれているのは、医師の面前による同意、いわば プライベートな同意書面という意味だと思うのですが、それで足りるというような合意 がここでできたと考えていいのですか。  私がちょっと気になっているのは、例えば公的管理運営機関が関与して同意すると か、あるいは公証人の面前における同意、裁判所の関与した同意、いわゆるプライベー トでない意味での書面が必要ではないかという気がするんですね。というのは、実際に は遺伝的な関係のない子供を実子として育てていくという意味ですから、本当にプライ ベートだけで済むのか、そこが疑問になったのです。ですから石井先生がさっきおっ しゃったのにもうちょっと追加しておきたいということです。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。まず最初、提供を受ける方ばかりでなく、提供される方も 説明を受ける必要があるので、「◇」ではなく「◆」になるべきではないか。5ページ ですね。これは提供を受ける方が提供される方の条件をきっちり説明を受けた方がいい のではないかという石井委員のご意見で、これはしないでいいという意味ではなくて、 先ほど申し上げたように、必要な場合には絶対しなければいけないということで、手を 抜いていいという印ではありません。確かにこういうしっかりした提供者の基準の上で なっているのですよということであれば、説明していただくということでもよろしいで すよね。何か問題ございますか。 ○吉村委員  これは私も石井先生がおっしゃらなければ言おうと思ったことで、これはぜひともす るべきことだと思います。それと5ページの(2)の(@)と、患者さんが一番気にな さるのは7ページの最後ですね。このABO型とか、この辺のことは日本の方は大変気 にされますので、Rhは完全に合わせることができないということも言っておかない と、どうして合わせてくれなかったのとか、また問題起こりますので、これはやはり 「◆」の方がいいのではないかと思います。それはぜひとも言うべきことなのではない かと感じます。 ○矢崎部会長  それでは今のご指摘のところは必ず説明するという範疇に置かさせていただきたいと 思います。 ○鈴木委員  もし「◆」追加ということであれば、2ページ目の、結局提供を受ける方が一番知り たいのは、これによって、私たちは本当に子供が得られることができるのですかという のも非常に気になるところだと思いますので、予想される結果については「◆」ではな いか。もしくは必ずしも妊娠に至るわけではない現実もあるわけですね、これをやった ところで。これも「◆」ではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○矢崎部会長  そうですね。これは事務局としては、何回も生殖補助医療を受けているのでというこ とですが、これは第三者提供の配偶子なら100 %妊娠できるかもしれないという期待の もとで来られる可能性もありますので、繰り返しになると思いますが、一応いいです か。  議論していくと、「◇」はなかなかつけにくいところがあって、事務局が大胆につけ ていただいたのですが、提供される方と提供を受ける方の説明の仕方が重きが違うの で、その点、「◇」、「◆」を一部つけたところがありますし、当然逆転しているとこ ろもあります。本当は全部説明しましょうというのが基本的にあれなんですが、必ずし も全員必要でない部分がありますのて、それは「◇」を残しておきたいと思いますが、 今ご指摘のところでは、特にご異論がなければ「◆」に変えさせていただきたいと思い ます。  それと2番目は、20ページの上、胚以外のものを第2子のために使用するのは、胚以 外ではいかがなものかということですね。これは吉村委員いかがですか。確かに胚であ れば、第2子に用いられるということもありますが、石井委員のご趣旨はまた同じ人の 精子と卵子を第2子のために欲しいということ。 ○吉村委員  それは無理だと思います。 ○矢崎部会長  これは文章を、「胚を提供する際に」にということにしましょうか。 ○吉村委員  そればかりではなくて、卵子を提供受けた場合に、ご主人の精子を使って受精卵をつ くった。 ○矢崎部会長  提供された場合。 ○吉村委員  そういう場合ありますので、その場合に、卵子をまた同じ人からもらうことは不可 能、難しいですね。だから、そういったことに対しては希望には応じられないと。しか し、それでつくっておいて、例えば6つできたとする。それを2つ使って、1年後に4 個残っているものをまた使いたいと言った場合は、通常の夫婦間で行っている体外受精 と同じように残しておいて、第2子に使ってもよろしいのではないかということですけ ど、これは書き方は難しいと思うんですけど。 ○矢崎部会長  提供された精子・卵子・胚を使用して第1子が生まれた後、胚の残りを第2子のため に使用することについては可能な限り認めるということでいいですか。 ○吉村委員  そういうことです。 ○矢崎部会長  そのようにさせていただきます。 ○鈴木委員  今の確認なんですが、よろしいでしょうか。保存と同意と撤回というところで、私、 この話、混乱しているのですけれども、今、ここに書いてあることを整理すると、も らった精子・卵子で、自分たち夫婦に使うための胚をつくって余ったものは保存します ね。まず、それを実施前であれば提供を撤回できるとなっていますね。 ○矢崎部会長  どうでしたか、微妙なところがありましたよね。 ○鈴木委員  その辺を確認したい。 ○矢崎部会長  鈴木委員の言われたのは何ページに当たりますか。 ○鈴木委員  両方に関して、もらう側もあげる側も実施前であれば、基本的に撤回できるというよ うな文章になっていると思います。提供する側が何ページでしたか。 ○岩田児童家庭局長  27ページです。 ○鈴木委員  いや、これは同意書の中身ですので、その前に提供する人が受ける説明について… …。 ○矢崎部会長  これは議論のときに、例えば卵子を採り出して受精して、せっかく胚にしたものを精 子提供者から撤回すると言われたときに、でしたよね。 ○鈴木委員  という話になっていて、そこをもう一回確認させていただきたいんです。 ○矢崎部会長  それはどういうふうになりましたか。 ○鈴木委員  それで今ここで1年でもう一回説明をするという話もぽんと今入り込んでいますよ ね。逆に言うと、説明受けて、1年前に私は同意書を確かに提出したけれど、今、同意 書を撤回したいと、例えば1年後にチャンスがある。あるいは、これは2年後に、例え ば1年後に更新するか否かの意思を確認するという意味の説明なのか。あるいは2年、 保存過ぎたときには更新が可能なのかどうか、有無を言わせず廃棄となるのか。その辺 が、私この文章を読んでいて、どういう話になっていたか混乱しているのですけれど も、どなたか教えていただければ。 ○矢崎部会長  まず問題を整理しますと、胚の問題はどうでしたでしょうか。たしか胚のときは、 せっかく胚をつくって治療を継続している方に対して大きなダメージを与えるのでとい う議論が検討課題1のときに吉村委員からあったような気がしますが、いかがでしょう か。 ○吉村委員  すいません、先生のご質問の意味が。 ○矢崎部会長  今、鈴木委員のご質問、そういうことですよね。 ○鈴木委員  いえ、というより、それは理由で、あのときの議論で出ていた背景であって、結論と して、私たちはどのようなところで合意をしたのか、していないのか、そこを確認した い。あるいは、もしかしたら、まだこれはペンディングだということなのでしょうか。 ○矢崎部会長  胚の段階……。 ○吉村委員  胚というのはもらった胚ですか、それともつくった胚ですか。 ○矢崎部会長  つくった胚。 ○吉村委員  つくった胚というのは、一方に夫婦の遺伝子が入っている。その点については(案 1)なのではないですか。私はそういうふうに理解していますけれども。 ○矢崎部会長  だから廃棄しないということですね。 ○吉村委員  そうです。 ○矢崎部会長  たしかそういう議論だったですよね。 ○鈴木委員  すいません、(案1)というのは8ページのことですか。 ○吉村委員  8ページも20ページも同じです。 ○鈴木委員  一方で同意の撤回はできるとなっているということですよね。実施前であれば。では この実施はいつだったのか。 ○吉村委員  実施前というのは、卵子を提供してもらう前、精子を提供してもらう前という意味で す。 ○鈴木委員  ということでコンセンサスはできていたのでしょうか。それが1つ、逆に確認です が、あと、もう一つ、要するに1年後にもう一度説明をする必要があるのではないかと いう意見が今事務局案として出てきたわけですよね。これをどのように考えるべきなの か。前の議論のときに、私も常々気にしていたのは、例えばでき上がった胚は保存期間 10年まではいいですよと。現実に10年になるかどうかはともかく、例えば5年前の同 意、8年前の同意でいいのかというのが1つ疑問です。もちろんそれは最初にそのよう に、そういうものなのだとインフォームド・コンセントをとっておけばよいではないか というご意見が結構多数だったとは思うのですけれども、ここで1年後にまた説明をし なければいけないという意味は何なのでしょうか。事務局がこの案を出したことを批判 しているわけでは決してないのですけれども。 ○矢崎部会長  保存期間というのは決めてありますよね。そういう意味ではよろしいかと思います が、1年以上保存してあって使わない場合にはもう一度説明し直しましょうというの は、やはり人ですから、1年の間にせっかく胚を保存していても、我々はやりませんと いう、考え方の違いというのを、養子を選択しようかとかいろんな方法があると思うん ですね。ですから保存はしていても、そういう意味では撤回はできると考えてよろしい のでないかと思います。  それと時代とともに医療も変わってきますので、ですから1年ぐらいでもう一度説明 を聞いて考え直す機会があってもいいのではないかと理解しています。 ○相良委員  今の点なんですけど、たしか私の記憶では、どの時点で胚の所有者が決まるかという ことはかなり議論になって、結局ペンディングになった気がするのですけど、参考資料 に入っている検討課題1の20ページのところで、一応(案1)と(案2)でそのままに なっていますので、やはりペンディングだったのではないかと思いますが。 ○矢崎部会長  これは最終版でしたか。そうするときっちりペンディングされた課題をもう一度、 きょう波線のところで、課題1のところがほとんど拾われたと思ったのですが、今お話 のようなところがありましたら、ちょっとリストアップしていただければ。  今のご意見は、何か特別なお考えがあってのご発言なのでしょうか。 ○相良委員  胚の所有権がいつ発生するかということの問題だと思うのですけど、個人的には卵子 をいただいて、夫の精子と一緒につくった胚はそのご夫婦の所有でいいのではないかと も思いますが。 ○矢崎部会長  そうしますと、結局実施というのは、精子と卵子を受精させたときに実施というふう に考えて……。 ○相良委員  まだペンディングになっていたようなので何とも言えないのですけれども。○矢崎部 会長  わかりました。今、私が申し上げたような受精したときには、卵子を持たれた方の問 い詰めれば所有になるということになるわけですか。これは法律的にどうなのかわから ないのですけど。 ○石井委員  所有という言葉は別の方がいいと思います。 ○矢崎部会長  所有でなくて何て言ったらいいですかね。要するにせっかく卵子で胚をつくったの に、突然、いや私はと言ったときに、特に精子の提供者からストップがかかったときに どうするかという問題が議論のメインですね。それは精子の提供者の同意の1年以内な ら。 ○吉村委員  現実的にそういうことはちょっと難しいですけど、第2子を持つということは。 ○矢崎部会長  あるいは第2子でなくて、1回目うまくいかなくて次というときに、残った胚を使え なくなりますよね。 ○吉村委員  そうです。これでもうたってないですね。ですから使えるということですね。 ○矢崎部会長  使えるということですが、今のご質問は。 ○吉村委員  1年以内であれば使えるということです。 ○石井委員  撤回を、実施前というのを子宮に移植する前と考えれば撤回できるという考え方にな るという、使えないということ。 ○吉村委員  実施前という理解が正しいんですか。提供前という意味ではないんですか。○金城委 員  私は、受精させた段階でもう生命が始まるわけですから、ですからそれが実施だと。 したがって、提供したということを後になって撤回することはできないというふうに主 張したと思う。それに対して、提供者の意思を尊重するべきだから、子宮に移植する前 は撤回できるのだという考え方が強くて、私は非常におかしいと思いましたけれども、 そういうふうに、この間はなって思います。 ○矢崎部会長  私は逆のように思ったんです。 ○金城委員  そうですか。それが私の納得なんですけど、すごくひどい審議会だなと思って、私は 帰ったんです。 ○加藤委員  合意の撤回は、大体制限ないというか、いつでもいいというか、つまり実際着床前で あれば撤回可能なんですね。 ○金城委員  着床前。 ○加藤委員  着床というか……。 ○石井委員  着手前。 ○加藤委員  着手前であれば。だから撤回できる期間はいつも可能だというのが、同意の撤回につ いての常識というか……。 ○矢崎部会長  ですから実施前の撤回はいつでもできる。 ○加藤委員  胚になっていて、冷凍保存されている段階であれば撤回できるのではないですか。 ○金城委員  この間の、皆さんの大多数の方の意見。ただ、着手ですから、着手をいつと見るかと いうことで、受精の段階でも着手したのだというふうにすれば、受精以降は撤回できな い。受精と同時に生命は誕生しているわけですから、私はその方がいいと思って主張し たのです。 ○矢崎部会長  きっちりインフォームド・コンセントをとって、要するに実施前であれば撤回できま すが、実施後は撤回できないと。もう生命として生まれていますので、そういう理解 で。 ○金城委員  ですから実施をいつにするかですよね。 ○矢崎部会長  受精の時点で、胚がつくられた時点で実施。 ○金城委員  その方が納得的だと考えて、この間、言ったんです。 ○矢崎部会長  吉村委員もそれを主張されていたんですよね。 ○吉村委員  私はそう思います。 ○鈴木委員  今、初めて金城委員が、あのとき、なぜそういうふうにおっしゃっていたのか逆にわ かったんです。あのときは、受精が生命の始まりであるからというふうには、私受け 取っていなかったんですね。だから、そこで実施の前と後を線引きするのだというのは 1つの考え方として成り立つだろうなと今思いました。私はそういうふうに考えていな かったものですから、ずっと胚移植なのかと思っていたわけですね。  もう一つ、ずっと気にしていたのは、変に議論を吹っかけてしまうようですですが、 こうして提供によってでき上がった胚を凍結保存していいのかどうかという問題もあり ませんか。 ○矢崎部会長  凍結保存しないでどうするんですか。 ○鈴木委員  残ったものですよ。残ったものを凍結保存してよいのかという問題。逆に、なぜ凍結 保存するのは常識だ、当たり前だというふうに皆さんお考えになっているのか。○矢崎 部会長  今、受精卵が胚になったら生命が芽生えているのだというお話ですよね。○鈴木委員  私は別に今そういうふうには主張していません。そういう意見もあるだろうなという ふうに伺っただけですから。 ○矢崎部会長  私は最初から受精して胚ができたとき、生命の始まりだから、言葉は悪いのですが、 余剰胚というのは貴重な生命ですから、それを育ててあげたいという意味で、胚の移植 は前向きに検討すべきだというふうに思います。 ○鈴木委員  凍結ですよね。 ○矢崎部会長  ですけど、胚移植の場合には凍結しない限り、どうされるんですか。 ○鈴木委員  といいますと。 ○吉村委員  鈴木さんがおっしゃっていること、私もよくわからないのですが、質問なのですが、 例えば貴重な卵子を8個採れました。提供者からいただきました。その胚で、ご主人の 精子で6個受精しましたと。2個はその周期に返しますと。残りの4個は捨てるんです か。凍結をしないで、これは捨てるということですか。逆に質問です。 ○鈴木委員  私はそれを進めているわけではないのですが、逆にグレードのいいものを、例えば2 つだけ戻して、残りを廃棄という考え方もないとは言えないだろうと。結局問題になる のは、さっき言った凍結で、いつまで保存できるのかといったら、その同意と絡むと思 うのですけれども……。 ○矢崎部会長  ちょっとそれは現実的な議論ではないと思いますよ。 ○鈴木委員  そうですね。 ○矢崎部会長  2つ返して、別に妊娠するわけではないんですから。 ○鈴木委員  だから、私もちょっと吹っかけるようですが、と言ったんです。 ○矢崎部会長  それは凍結というのは、今常識的な医療の手段ですから、それを否定されるというの は、ちょっとこの議論から外れますので。  それでは、私としては、個人的な思い入れもあって、金城委員から反対だと言われた ら心外で……。 ○金城委員  私はそう思っていたのに、多くの方が反対なさって、着手というのは、子宮に入れた ときだと言われて、私の意見は通らなかったんですよ、この間。私は非常に憤慨して家 に帰ったというのを覚えている。 ○矢崎部会長  そうしますと、強く言われるのは加藤委員から、何かそれに対して。 ○加藤委員  同意の撤回については、例えば自然死、安楽死の場合、なるべく当人の意思を尊重す るという点では期限を決めないという考え方の方が強いのではないかと思うんですね。 だから、例えば胚の場合の、凍結保存されている胚について、精子の提供者が、おれ、 嫌だ、と言い出した場合には、その不同意を認めざるを得ないのではないかと思うんで すけど。 ○高久委員  精子の提供の場合が問題になると思うのですが、卵子を採るときにはある意味で危険 を冒すわけですね。それを終わってから撤回するのは非倫理的だと思うので、実際には 卵子の採取を始めたときから撤回をしては困るわけです。そうでないと、場合によって は犠牲を受けるということになりますから。倫理的な問題があり、そう簡単には撤回し ては困ると思います。必ずしも受精をしなくても、卵巣ホルモン打って採るというとき から、既に実施になるわけですね。そのときから撤回しては困ると思います。 ○矢崎部会長  そうしますと、加藤委員のを尊重してインフォームド・コンセントのときに、しっか りその点は、こういう……。 ○加藤委員  確かにそうなんですけど、ただ、撤回という自由意思を尊重するというのは、ぎりぎ りいっぱいまで尊重するという考え方が採用されるのではないか。 ○矢崎部会長  だからぎりぎりいっぱいは、実施のときまでなんですよ。 ○加藤委員  例えば実際に凍結保存している胚について、提供者の一方が拒否するという意思表示 をちゃんと表明したときどうするんですか。もうあなたは今から言ったって遅いです よ、と言えるんですか。 ○安藤委員  そのことに関しては、前にも加藤委員が、それを言われて、ここの部会ではそれが 通ったと思うんですね。でも確かに高久委員が言われたように、やはり採卵のときに非 常にリスクを伴うのでというところで、ここの11ページのところにそこら辺が反映され た内容のものが書かれているのではないかと思って、私はこれを見ていたんですけれど も、11ページのところで、インフォームド・コンセントの際に、「同意の撤回により提 供するものは何ら不利益を被るものではないこと」ということで、次のもう一つの 「◆」のところで、OHSSの発生のリスクなどに伴うものについてのものが書かれて いるということで、インフォームド・コンセントの際にしっかりここら辺も話をすると いうところで、お話が決まっていたように思うんですけれど。 ○矢崎部会長  卵子を採る危険性とかそういうのを説明して、撤回はいつでもできるのが本筋です が、こういう生殖補助医療の非常にリスクの高いものであるので、一方では倫理的にも 極めて重たい問題で、その点がはかりにかけると物すごく難しいのですが、でも命は何 よりも重いということで、少なくとも受精が実施された場合には撤回は認められません よということをインフォームド・コンセントしっかり申し上げて、できれば高久委員の 言われた、卵子を採るときから、そういうところに入ってくると思いますが、精子の場 合は、前に撤回されたほかの方の精子という……。 ○鈴木委員  高久委員がおっしゃったのは、排卵誘発の段階での撤回の問題ですよね。1つは。 ○矢崎部会長  実施ということで、整理させていただくと、受精されてからという……。○鈴木委員  物理的な場面のイメージとして、まずもらう側・もらう女性、あげる女性が、どちら も例えば準備のために排卵誘発しているときに、どちらかが例えば撤回になると、それ は非常に相手にとってリスキーな行為になるよということをまず十分話しておこうとい う話ですよね。  もう一つは、それをしてでき上がった胚についての撤回がどうなるのかという、この 2つだったということでよろしいのでしょうか。 ○矢崎部会長  私は含めてというふうにとりましたけど。 ○町野委員  やはり、2つは全然別の問題だと思います。採卵するときにこういうようなことがあ る。だから、あなたはノーと言ってはいけないよ、と言わないといけないと思うんです ね。説明することと、ノーということができないということとは全然別の問題だと私は 思います。  受精したときから撤回できなくなるという議論はわかりますが、そうすると加藤委員 が言われましたとおり、受精胚もらったときにはどうするかということで、全然どうし ようもなくなるわけですね。それで受精胚をもらったときについても、パートナーの片 一方がノーと言えば、先ほど撤回を認めるという議論をしたばかりですよね。それは理 屈としてなかなか難しい。むしろ直截に見て、提供する側の権利と提供を受けた側、そ れはある程度期待するわけですね。そのときに期待が高まっているきに、やっぱりやめ たというのではちょっとこれはひどいではないだろうかということだろうと思います ね。受精したかどうかということでは、私は直接関係ないように思います。 ○加藤委員  ちょっと哲学的な議論で余りしたくないのですけれども、撤回について期限を設ける というか、撤回が不可能になるというと所有権が発生しているということになるのでは ないかと思うんですよ。そして胚とか受精卵はあくまで自発的な提供によって子供が生 まれるということを認めるという考え方で、もらった側に所有権が発生する。だから処 分権について、あなたの処分権でなくて、こちらの処分権に処分権が移るという考え方 を採用するわけですから、言葉は所有権でなくても、実際所有権が成立しているという 考え方になってしまうと思うんですね。だから、それを避けるためには撤回を無制限に 認めるという以外にしようがないのではないかというのが私の考えです。 ○石井委員  ちょっとよろしいですか。話をますます混乱させることになると思うのですが、提供 というのはだれに提供すると決めて提供するわけではないわけですね。だから、その事 実が、だれかに起こったときという考え方をとるのがいいのかどうか。提供した時点 で、もう既にその人の行為は終わっているという見方もできるのではないか。個別に実 施が行われかどうかということを見るということは、提供というのはだれかにという特 定の、そういう形になってこないかという疑問なのですが。 ○町野委員  今のご趣旨ちょっとわからなかったのだけど、要するにもう行為が終わっているから 撤回できない、そういう趣旨ですか。そういうことではないだろうと思いますけれど も。 ○高久委員  ただ、精子の場合には撤回しても、ほかの人のを使えばいいわけですね。どうせフ リーズしているわけですから、そうでもない。 ○鈴木委員  いただいた精子でできた胚……。 ○高久委員  また別だと思うんですけど、精子だけの場合には排卵をしたときに撤回されれば、嫌 だと言えば、別の人の、恐らく凍結保存しているでしょうから、それを、そうですね、 吉村先生。 ○吉村委員  そうですね。 ○高久委員  定めていませんから、だれにあげるということは。 ○矢崎部会長  30ページの「撤回する時期は?」で、「提供者が行った同意は、同意に係る当該生殖 補助医療の実施前であればいつでも撤回できる」、これでいいのではないかと思うんで すが、これをきっちりインフォームド・コンセントで、実施前で、あとは撤回でません よということをきっちり説明して。 ○金城委員  ですから、そうすると実施はいつかと。 ○吉村委員  この文章だと提供にならない。提供はいつでも撤回できる。 ○矢崎部会長  当該生殖補助医療の実施前。 ○金城委員  実施がいつになるか。 ○吉村委員  そうしますと、排卵誘発剤かけて採卵する。受精させる、胚移植する、そういうス テップがありますね。そうするとその実施前というのはいつに、先生のお考えではなる んですか。 ○矢崎部会長  私の考えでいいですか。そしたら受精ですね。受精して胚をつくると。 ○金城委員  これはこの間は、子宮に移植だったんです。ですから、いつでも撤回できる。まさに 加藤先生がおっしゃるように、その本人の意思を最大限尊重するという議論だったんで すよ。 ○矢崎部会長  3時間も及ぶので、うっかりしてました。私は金城委員のだと思っていました。今の 今まで。 ○金城委員  ですから、これをこのまま書いておいたのではまた議論が始まりますので、実施とは いつかとか、受精前だとか、そういうことできちんと書かないと、またわからなくなる のではないかと思うんです。 ○矢崎部会長  受精……。 ○吉村委員  これは撤回することが実際に排卵誘発のときに起こりうると思うんですよ。毎日通わ なくてはいけませんし、こんな苦労嫌だということは当然起こりうるんです。そのこと については撤回してもいいと書いてあるんですね。そうしますと現実的にはこの撤回は いつでも、加藤先生からまた怒られるかもしれませんが、提供はいつでも撤回できると いうことは、卵子を採卵するという操作なんですね。受精とかそういうことは関係ない という理解です。  そうしないと、受精させてしまいますと、また生命の誕生はいつかなんて、ここで議 論するような問題ではないと思うんですね。受精が生命の誕生か否かということはもう 少し全国民的なレベルでやっていただく問題でありまして、ですから提供はいつでも撤 回できるということは、卵子をあげるということです。そういうふうにせざるを得ない のではないですか。 ○矢崎部会長  卵子の場合ですよ。 ○吉村委員  精子の場合も。 ○矢崎部会長  精子の場合が困るんですよ。 ○吉村委員  それはどうして困るんですか。精子は凍結してありますよね。凍結したものを使うわ けですから。 ○矢崎部会長  凍結して、そういうプロセスで卵子を採って受精して、後、精子の方が撤回しますと いったときにどうしますか。 ○吉村委員  それは高久先生がおっしゃったように違う精子を使うしかないですね。 ○矢崎部会長  受精した後ですよ。 ○吉村委員  受精した後ですか。ですから、この撤回を提供にすればいいわけでしょう。○金城委 員  提供の方が撤回できない。 ○吉村委員  提供以降は1年間は撤回できないということですね。提供するという意思があって提 供したならば、1年間は撤回できないということで矛盾はないような感じするんですけ ど。 ○矢崎部会長  でも胚をつくって保存して、せっかく保存して、だけど妊娠できませんよね。同じ胚 を使って、ご自分の卵子を使ってやるときに、いや、撤回しますと言ったら使えないん ですか。 ○吉村委員  使えますけど、1年間は。 ○矢崎部会長  1年以上かかる場合ありますでしょう。そんなことないんですか。1年でもう勝負は つくというふうに。 ○吉村委員  大体。ただ、6個受精卵ができたと。精子をだれかからいただいた。妻の卵子を使っ ている。受精卵は、クライアント夫婦のものだと思っていますから、そういった医療を 受けたいと言って、この人たちは受けているわけですね。 ○矢崎部会長  それは1年間で一応治療は終わるわけですね。 ○吉村委員  そうですね。例えば6個採れても10個採れても、妊娠しなければ、これは何回も使う わけですから、2回、3回と凍結受精卵を使うわけですから。 ○矢崎部会長  その点、金城委員どうですか。1年間でそういう意味で、だから生命の始まりという 観点がもっと現実的に、大体卵子を採取して精子で受精卵をつくったと。そうした場合 に、ご夫婦はいいのですが、胚が残りますよね。もし妊娠された場合には残った胚がい わゆる余剰胚になりますね。それは使えないということですか、撤回すれば。 ○吉村委員  それは今考えていてくださって結構ですけど、私は1年以内だったら使えると。妊娠 して第2子を設ける場合ですか。 ○矢崎部会長  いや、そうではなくて、余剰胚としてほかの方が使う場合ですね。余剰胚、撤回でき る。 ○岸本委員  1つの例を申し上げたいと思うんですけど、ある方がアメリカで卵子提供受けて出産 されました。残りの、例えば10個採れて、3つ戻して子供を出産しました。それで残り をまだ今アメリカの方に保存していると言っていました、この間。保存していて、第2 子も欲しいと思うということをお聞きしたんですね。それは自分の主人の精子と提供者 の卵子を受精させたので、ご夫婦のものだとおっしゃっていたんですね。その1年後な り、2年後なりに、保存期間が半年みたいなんですね。一応保存期間は半年で、半年し たら保存料を払わなければ破棄されるけれども、例えば1年置いておいてくれと、2年 置いておいてくれということで、1年幾ら、2年幾らという形でお金を払うと保存して くれておいて、自分が例えば1年後に第2子、同じ胚で子供が欲しいので、また海外に は行きたいなというふうにおっしゃっていた人がいるのですけれども、その場合、片方 は第三者のものですけれども、片方は夫婦の1つのものなので、それは私の個人的な意 見としては撤回できない、自分の夫婦のものになるということで。今、吉村先生がおっ しゃったように、精子配偶子、卵子配偶子、採るまではもちろん撤回できるということ で、受精させた後は自分が望めば、片一方がかかわっていたら撤回できない。  多分前の議論のときに、余剰胚、余剰という言葉はあれなんですけれども、余剰胚の 場合にどうするかということは、撤回できるのではないかというふうにおっしゃってい たのではないか。この間の金城先生が意見を以前言っていただいたときに、夫婦のどち らかがかかわっていたら撤回できないと。 ○矢崎部会長  なかなか議論が枝分かれしてしまって、細かい議論になって収拾がなかなかつかない ので、10分間休憩いただいて、10分間で少し頭を整理して議論していただきたいと思い ます。                   (休憩)                   (再開) ○矢崎部会長  10分たちました。今の同意の撤回についてのご議論がいろいろあったかと思います が、ご夫婦どちらかが関係してできた胚に関しては、またどちらか一方は提供配偶子か らできた場合は撤回はできないと。それはいかにというのは、生命が大事であるという ことと、もう一つは、大きな損害を当該のご夫婦に与える。特にご婦人に与えるという ことで撤回はできないですよということです。  もう一方、胚の問題ですが、余剰胚の場合にはそれはご夫婦に全く関係のないところ でできた胚ですので、どなたかがその胚は使わないでほしいと言われたらやむを得ない というまとめでいかがでしょうか。すごいグレーゾーンのまとめ方ですが、よろしいで しょうか。加藤委員よろしいですか。 ○加藤委員  はい。 ○鈴木委員  すいません、どうしてそういう結論になるのか、私にはちっともわからないですけれ ども、ちょっとだけ整理させてください。今、多分2つの意見があったのかと思うんで す。まず提供して、精子・卵子単体のことはちょっと置いておいて、それで胚をつくる 場合ですね。例えば卵子提供したときは、もう提供が一応済んだ時点というのでしょう か、そのご夫婦の方で胚をつくった時点で卵提供した人は権利放棄というのでしょう か、その人は口出すことではないよというような話になるのだという考え方。  きっと岸本委員がおっしゃっていたアメリカの契約は多分そんなタイプなのだろうと 思うんです。一応私ここで採卵したから、はい、私の役目はここでおしまいよという感 覚なのだと思うんですね、提供する側の女性たちも。  もう一つの考え方は、そこからずっと保存されたときに、先ほど加藤委員がおっ しゃったように、提供者の権利として、いつでも同意は撤回できるということを原則に しておかないといけないのではないかというご意見だったと思うんです。この2つでよ ろしいですよね。 ○矢崎部会長  ちょっと違うと思うんです。だから、これは皆さん十分理解していただくのは時間ば かりたって、要するに私が申し上げたのは、ご夫婦が関係してできた胚に関しては、提 供者側がその胚をなくしてほしいと言った場合にはそれはできませんよと。これは何も 所有権とかそういう問題ではなくて、いろんなプロセスがあって、特に女性の場合には 相当大きな危険を冒してそういうところまでつくっているので、それを配慮しましょう ということと、もう一つは、既にそこでご自分の生命が芽生えているという感覚の2つ の意識で撤回はやめていただきたいということがあります。  ご夫婦と全然関係のないところでできた胚、余剰胚の場合には、もしどなたか一方の 方が、これは使わないでほしいと言った場合には、それは希望をかなえて差し上げよう というのが今の案です。 ○町野委員  私は一応理解したつもりですけれども、要するに全然ご夫婦と関係のない、ご夫婦の 産物とは言えないものについては別だろうということですね。ご意見として。だから受 精ということではないわけですね。 ○矢崎部会長  そうですね。だから、それをちょっと、でも、そういうふうに区分けしたのは鈴木委 員の発議でなったのですけど、ご理解いただけなかったので……。 ○鈴木委員  そうではなくて、私は提供胚、胚提供の話は今ちょっと置いておいたつもりでお話し ていましたので、今、部会長がおっしゃったのは、何度も言いますが、岸本委員がおっ しゃったアメリカ風の、例えば諸外国の多くはそうなのかもしれませんけれども、やり 方、提供の時点で一応ここでお仕事おしまいというやり方を採用しようというふうに今 部会長おっしゃったわけですよね。 ○矢崎部会長  それはまたちょっと違います。 ○鈴木委員  違うんですか。 ○矢崎部会長  これはまた後で議論するということで、鈴木委員には個別的に納得していただくよう に……一応そういうふうにまとめさせていただきたいと思います。石井委員から、まだ 幾つかの宿題が残っております。それは同意書ですね。それを取得する場合に、夫婦の 双方又はいずれか一方といったときに、例えばご主人とかいろんな方が強く言って、奥 様の、女性の側がそれに引きずられてというケースをお考えになったと思うのですが、 それぞれいずれか一方の場合……。 ○加藤委員  うちだったら逆だな。 ○石井委員  どちらでも。 ○矢崎部会長  男性の70%はそう思っていますから、大丈夫です、加藤委員。  それぞれのという、何かそういう趣旨がこの文章に加わればよろしいわけですね。事 務局よろしいですか。要するにご夫婦が平等できっちりお互いの意思を尊重し合ってと いうことだと思いますので、それがわかるような。  それと説明した医師の面前で同意することということは、先ほど生殖補助医療がクラ イアントのご夫婦と主治医の間に行われてしまっているのではないかということを排除 するため、すなわち生殖補助医療の透明性、公平性を担保する意味で、私はそのプロセ スとしてやはりカウンセリングとかそういうものは極めて大きい位置を占めるのではな いかということを思っていましたが、石井委員はもっと一歩進めて公的機関が関与すべ きだというお話をいただいたような……。               (「福武委員)と声あり) ○矢崎部会長  ごめんなさい、福武委員ですね。石井委員につけ加えてというご発言ですが、これに ついてはいかがですか。そこまで公的管理機関が関与……外国では社会福祉何とか委員 会というのが提供生殖補助医療についていろいろ出自を知る権利とか、そういうものを ケアしている国のお話がありましたが、今、提供配偶子による生殖補助医療で生まれる お子さんは、既に1%ぐらいになるんですか。 ○吉村委員  普通の生殖医療ですか、提供。 ○矢崎部会長  提供。 ○吉村委員  提供は全然少ないですよ。AIDは250 人ぐらいじゃないでしょうか、1年間に。日 産婦の報告では、それぐらいしかありませんけど、日本では。 ○矢崎部会長  でもトータルしますと1万人ぐらいいるという。 ○吉村委員  1万人ちょっとです。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか、公的関与をこの部会として要求すべきかどうか。そうしますれ ば、これに関しては、平山委員のつくられたカウンセリング……。 ○石井委員  多分医療行為としての同意の側面ではなくて、法的親子関係の問題というか、親子関 係が自分と血のつながらない子供を自分の子にするということについて、公的な関与が 必要なのではないかという福武先生の意見なのではないかと思うのですけれども。○福 武委員  そうですね。 ○石井委員  カウンセリングというのと必ずしも同じようにいかない問題。 ○矢崎部会長  そういう意味ですか。そうしますと、それは法的な整備が整っていれば、そこに法的 根拠に基づいて考えればいいことではないかと思いますが、いかがでしょうか。そうい う提供生殖補助医療で生まれたお子さんの親子関係については、いろんな方程式がある でしょうから、それに従って決まるのであって、そこに公的機関の関与しなければなら なという理由はないのではないでしょうか。 ○石井委員  それについてきちんとした同意がなされているということを担保する必要があるとい うことですよね。 ○福武委員  同意というのは治療を受けるための同意というふうにここでは読めるのですが、新し い親子関係を形成するということについては、ここの部会では議論はしないのだという のだったら、それはそれでやむを得ないのかなとは思いますが、同意というのは法律的 に言えば、本当に同意があったのか、その同意の証明とか、あるいは撤回の方式などに ついて議論はあるのだと思うんです。ですから、それを個々の担当医師+ご夫婦という ことだけで済まされるのか、そういった問題なんです。 ○矢崎部会長  それは法的に何か問題があるのでしょうか。 ○福武委員  結局遺伝上の親でない人を親とするという効果を生み出しますので、このレベルの同 意と少し違うのではないか、そういう意味なんです。 ○矢崎部会長  それは親子法に関する説明はすることになっているのですよね。それではだめなので しょうか。 ○福武委員  例えば法制審のやっている方に全部任せるというのだったら、それはそれでも私はや むを得ないと思いますが、あっちはあっち、こっちはこっちで、それぞればらばらに やってしまっているように思えるんですね。 ○矢崎部会長  親子関係については法的地位は法制審で定めていただく以外にないのではないでしょ うか。ばらばらにやるという意味ではなくて、ただ、それに従って法を整備していただ いて、それに準じてやるという理解ではいけないのでしょうか。 ○福武委員  法制審の議論が今どうなっているか、何とも言えないのですが、同意というものの内 容については、ここの同意とは異なってくるような決まり方をされる可能性はないわけ ではないと思ったということです。つまり、もう少し公的なものが関与したような同意 書面のとり方が少なくとも……。 ○矢崎部会長  21ページの3.提供により生まれた子について、(1)親子関係について、◆ 出生 する子の法的地位について、これをしっかり説明するということではだめなのでしょう か。 ○町野委員  私の理解したところではこういう趣旨なのでしょうか。結局医療行為についての同意 だけの問題ではないと。親子関係が生ずることについての同意というもう一つの別の側 面があると。これは非常に法的な側面であるし、そういうことも考慮するならば、当事 者だけに任せておいていいものだろうかということだろうと思います。そのところでい わば公的な、裁判所とまではいかないけれども、こういう公的な機関が立ち会って、そ の有効性を確認すべきだ、それによって法律関係が生ずるというご趣旨では、ご趣旨で ございましょうか。 ○福武委員  先生がおっしゃった、そのとおりです。それを親子と推定するとか、みなすとか、い ろんな議論がまだまだ相変わらず法制審の方では続いているようですけれど、その前提 として、本当に親子の、社会的な意味でも、現実に育てていく意味でも親子関係が発生 するのだよというのは同意がこれで足りるのか、それで疑問なのです。 ○高久委員  確かにそういう議論もあるとは思うのですけれども、これは第三者の提供を受けて夫 婦で体外受精をするというのは、ある意味ではプライバシーの問題というか、夫婦の非 常に微妙な問題がありますね。そこに第三者の人がその現場に立ち会うとすると難しい 問題というか、嫌がるのではないかという気がしますけれども、どうなんでしょうか。 それは産婦人科の先生方がよくご存じだと思いますけれども。 ○金城委員  配偶子の提供を受けて子供を生むと言えば、遺伝的な関係がない子供が生まれるのだ ということは、むしろ進んで遺伝的な関係がないけれども、自分の子供として生むのだ という意思は明確だと思うんですよ。ですから、そういうときにまで改めて公的機関が 入って意思表示をきちんと確認しなければいけないとまでは言えないと思うんですね。 ですから医師が確認をするということだけで私はいいと思います。 ○才村委員  ちょっと話が違うかもしれないのですけれども、養子縁組のときは、里親委託の同意 書とか児童相談所という公的機関がとって、それで後で何かトラブルあったときにも、 その同意がどうだったのかということが争いになったりするのですけれども、今回で、 例えば同意がうそだったのではないかとか、そんなことないでしょうけれども、何か同 意書が法的なところで争いになるというのはどんなような事態が発生する可能性がある のでしょうか。それがあるのならば、そういう民間のところだけでとるということが、 後々の争いのためには望ましくないということになるでしょうし、その辺が親子の確定 として、いや、これは提供者の方も同意書をとるわけですね。  だから、その辺の親の出自を知る権利というところで、親の同意をとっているという ことでの、親を知るというところで、戸籍には出ないにしても、遺伝子提供者の親を知 るための証拠みたいになる可能性もあったりとか、何かほかにもあるのかどうかわから ないのですけれども、その辺が後々の子供の福祉を考えて一番望ましい形がいいと思う のですけど、何か争いになるようなことがそのことが発生するのでしょうか。 ○矢崎部会長  恐らく具体的にどうこうということではなくて、今まで親子関係というのは、親子法 とか養子をとるときのいろんな定め、法的な手続ありますよね。だから、そういう手続 をバックグラウンドに法律の方は考えて親子関係をインフォームド・コンセントをとる ときに確立しておかないといろいろ問題がありますよというご示唆ではないかと思いま す。それにつきましては、提供者には親権がないとかそういうことを今このインフォー ムド・コンセントの中で全部来ていますので、ある程度そういう問題をなるべく排除す るようなインフォームド・コンセントをここでつくったつもりですが、やはり問題が生 じることもあり得るということで、その場合に、21ページの3の(1)の親子関係につ いてということをもう少し、これは法制審で検討中ということになっていますが、ここ をもう少し、今、福武委員の言われたようなことも加味して、ご心配のないようにでき ればということで少し考えさせていただきたいと思います。  しかし、養子縁組のように、公的な関与で親子関係をそこで確認するというのは、こ こでは決められないのではないかと思いますので、出生する法的地位については、当部 会は全然関与しませんよという意味ではなくて、そういうことは起こらないようにきっ ちりプロセスを踏んでいくということでご理解いただけませんでしょうか。 ○福武委員  それで結構だと思います。ただ、法制審の方でやっているのをできるだけここに反映 させていただきたいと思いますが。 ○矢崎部会長  ですから21ページの3の(1)のところをもう少し法制審の検討中となっていますの で、ここについて幾つかの、例えば出産した女性が母であるとか、そういうまとまった 検討課題についてはこの中にきっちり入れて誤解のないようにしたいと思います。 ○鈴木委員  また、私の勘違いでなければいいのですが、私、今のお話、私たちは受けたいという ことで、例えばいろいろわかりましたということで同意書、医学的なことで同意書を書 いて、その後、たしか審査があるというような話も出ていたのでは思うんです。本人た ちはやりたいと言って、必要な手続は済んだけれども、本当にこのご夫婦に実施してよ いのか審査が必要なのではないかというお話が何度も、特に胚提供に関しては、それこ そ受精卵養子という考え方もあるではないかというふうに何度も言われていましたし、 ちゃんと一応事務局の方で審査のことは書いてくださっているわけですよね。今探した のですが、40ページ、「倫理委員会の設置」というふうに今なっているわけですが、同 意の後に、でも、これはそのケースへの適否の審査ではないのでしょうか。よくわから ないのですけれども、ただ、その話ももう一度後で検討すべきではないかというふう に、今の意見だけ言わせてください。 ○矢崎部会長  これは公的機関が審査するのではなくて施設で。 ○鈴木委員  だから事務局案では公的機関ではなくて倫理委員会となっていますが、その審査機関 を、例えば審査をするのか否か。どういう審査機関であるべきなのかという話は、まさ にこれからしようとしているわけですよね。 ○矢崎部会長  ケース1つ1つを倫理委員会で審査するということではなくて、今言われたような問 題については、カウンセリング、ソーシャルワーカーの方々にいろいろ判断していただ くプロセスが恐らくあるだろう。ですからカウンセリングのところで、また、それにつ いてはご議論いただければと思います。 ○石井委員  今、鈴木さんがおっしゃった、胚提供については公的機関が関与するという話は第1 検討課題の方ではあったと思うのですが。 ○矢崎部会長  それはいわゆる余剰胚に関することですね。余剰胚でない場合のことは、今まででよ ろしいでしょうか。余剰胚の、これは一元管理というのはなかなか難しいですよね。余 剰胚といえど、いかがでしょうか。情報の一元管理は。 ○吉村委員  情報の一元管理ですね。例えば精子のドナーの情報を管理する。ここに80年と書いて ありますけど、その情報を管理する。卵子提供者に関しても80年にする、そういうこと ですね。 ○矢崎部会長  胚のご夫婦に関係のない、いわゆる余剰胚のマッチングについては、たしかどこで行 うかという議論があったと思いますが、それについてはいかがでしょうか。 ○吉村委員  それは実施機関ではないのではないでしょうか。そうじゃないとなかなかそれは大変 だと思うんですけど、実施機関がどうなるかどうかはちょっとわからないのですけれど も。 ○矢崎部会長  国の指定した実施機関でやるわけですから、公的機関が全部そういうのを……。 ○加藤委員  吉村さんが言った実施機関というのは、病院という意味でなくて国の全国共通の情報 管理を兼ねた実施機関という意味ですか。 ○吉村委員  いいえ、違います。公的管理運営機関でしたか、運営機関は国に準ずるところでい い。そこで指定された施設が実施機関になるのではないでしょうか。そうでないと、現 実にどういう胚があるかどうかというのは公的管理運営機関ではなかなか難しいと思う んですね。ですから、そういった場合に胚を提供してもいいですよという人があらわれ た場合には、それを公的管理運営機関に登録するというような感じになってくるのでは ないかと思うんですけれども、実施機関が。 ○矢崎部会長  ですから情報の一元管理というのは、保存はいいのですが、余剰胚そのものを凍結保 存とかマッチングというのは、国が指定した機関で責任を持って、しっかりした倫理委 員会のコントロールの下で行われると理解してよろしいのではないかと私は思っていま す。それで、今まで公的管理運営機関というのはどういう権限があって、どういう機能 をして、どういう施設を想定するかということをもうそろそろ具体的に明らかにしてお かないと、公的管理運営機関で全部行いますということになってしまいますので、その 線引きをある程度事務局で、行政として公的管理運営機関としてどういう機能を付与し 得るかという大きな枠組みをつくっていただいて、次回にでもたたき台みたいなものを 出していただければ、それをもとに議論がもう少し進むのではないかと思います。  概念としては、私自身は、施設指定というものがございますので、その施設施設が責 任を持ってきっちりやっていただくということが本筋ではないかと。それは今までの医 療とは随分違った、脳死臓器移植と同じような位置づけになるので、それぞれの責任は 極めて重くなると思うので、そういう意味で各機関が責任持っていただく部分が極めて 大きいのではないかと思います。よろしいでしょうか。  それで、石井先生の宿題は大体よろしいですか。提供する場合の3カ月の熟慮は必要 かどうかということですが……。 ○加藤委員  3カ月たったら忘れちゃうのではないですか。熟慮期間というのは、ちょっと質問な のですけど、同意書を書いて3カ月間たって、もう一遍リコンファメーションみたいに して、やっぱりいいですと言わないとその同意書に有効にならない。 ○矢崎部会長  説明から同意書の期間です。 ○加藤委員  説明してもらって、3カ月たってから同意書を出すということなんですか。○矢崎部 会長  ええ。それをもっと短くしていいのではないか。受ける方は3カ月でもいいのですけ ど、提供する方はそんな3カ月も置く必要がありますかというのが石井委員のご質問で はないかと思います。 ○石井委員  ただ、さっきのあれで、かなり提供の撤回が制限されるとするとかなり慎重にしてい ただく必要あると思います。 ○矢崎部会長  そうですね。そういう意味で3カ月くらい熟慮してください。だから3カ月がいい か、2カ月がいいか、1カ月がいいかというのはあれですが、片一方も3カ月ですか ら、この際、非常にアバウトな議論で申し訳ありませんが、一応3カ月と。何か特別2 カ月にしろという積極的なご意見があれば2カ月に。 ○加藤委員  熟慮期間と決めてある法律あるんですか。 ○矢崎部会長  ないと思いますね。 ○鈴木委員  期限はともかくとして、今の加藤先生、説明が始まってからというか、説明とおっ しゃっていましたが、これは説明が終わってから、すべての説明が終了してからがとい うところが基本ではないかと私は今思ったのですが、1つには、多分検査でかなり時間 もかかる、1カ月以上かかるわけですよね。結果が出るまで。例えば最初に話だけ ちょっと聞かせてくださいと来て、次、検査をしましょうといってもまた1週間ぐらい かかって、それで検査の結果が出るまでにまた何日かかかってとか……。 ○矢崎部会長  それは説明には検査の結果まで話さないといけませんので、ですから当然終わってか ら。 ○鈴木委員  逆に検査を始める前のということですか、これは。つまり説明がすべて終わって… …。 ○矢崎部会長  終わって3カ月というふうに理解しています。だって、説明は全部検査とか終わらな いと説明が終わらないじゃないですか。 ○鈴木委員  その間にいわゆるカウンセリングとかも終わっているということになるのでしょう か。 ○矢崎部会長  それは当然です。説明の中にはすべてインフォームド・コンセントで。 ○鈴木委員  心理テストを例えばするとかという話などもありましたよね。スクリーニングをやっ た方がいいのではないかとか、そういうメンタルの、要するに体に侵襲は何もないとい うところが終わって、初めて同意書というか、物理的な医学的な検査なりに入るという 意味。 ○矢崎部会長  そう理解していただいてよろしいのではないかと思います。 ○鈴木委員  なるほど。 ○平山委員  私が描いていたイメージとして、この説明、インフォームド・コンセントのうちの説 明部分があって、その3カ月の熟慮期間にある程度のカウンセリングのプロセス、そう いうのをやっていくのが自然なスケジューリング、流れとしてはいいのではないかと考 えていたんですね。 ○矢崎部会長  それは当然そういう、3カ月間、お宅に帰ってじっと考えていなさいということでは なくて、随時いろんな疑問があったときにカウンセラーの方に疑問をQ&Aでやってい ただいて、最終的に合意をいただければということですので。ですからそういう意味 で、一応3カ月ということで期間を置かせていただくと。ただ、撤回については始まっ たから、提供される方には撤回はできませんよということをよく理解していただくため には熟慮期間を置いてもいいのではないかということで、もし3カ月が長過ぎるという ことであれば2カ月でも、積極的なご意見がなければ、このままにさせていただきたい と思います。  きょう大分時間が過ぎてまいりまして、もう終わりの時刻になりました。一応イン フォームド・コンセントについては、きょうこれで、あと施設基準について、これは専 門的なものですから、厚生科学で行われた慎重な研究の結果である施設基準、その他を 尊重してここに挙げさせていただきましたので、これは一応部会でもお認めいただけれ ばと思っております。  繰り返しになりますが、カウンセリングの具体的な内容、あるいは公的管理運営機関 のどういう機能が期待されるかということで、行政的にできることとできないところが おありでしょうから、その辺をまとめていただくと。部会の意見としては、公的機関と いうのは、物の一元管理とかそういうものは無理だろう。あるいは胚のオールジャパン でのマッチングというのも、それはちょっと現実離れしているので、国で認めた実施施 設がそれについては責任持って胚の例えば破棄とかそういうものは実施機関で慎重審議 の上で対応していただくと。公的機関は恐らく情報の一元管理について、あるいは出自 を知る権利が起こった場合にそれをどう対応するかというのは、その公的管理運営機関 が、外国の例もそういう例が多かったと思いますので、個々の医療機関ではなかなか対 応しきれないところを公的機関でやっていただくと、そういうようなとらえ方で公的管 理運営機関をまとめていただければ大変ありがたいと思います。  きょうはもしかすると1時間で終わっちゃうのかと思ったのですが、また時間がたっ てしまって、あと余すところわずかですが、前回あるいは前々回にこの部会のスケ ジュールがどうなっているのかということでございます。最初にこの部会は専門委員会 の出された報告の中で議論が十分でなかったところはここで議論し、そして実際の生殖 補助医療を行うときの制度設計的なことをここで議論したらということでスケジュール が立てられていたと思いますが、やはり実際に開かれますと極めて重たい問題でありま すし、国民全体の生殖補助医療に対する考え方もいろいろ方針がぶれているところもあ りますし、なかなかスケジュールどおりにいかなかったことは事実であります。  最初のスケジュールですと、11月に大体検討を終了して、来年の初頭にかけて法制審 と足並み揃えて法案検討ということになっていました。ところが議論で随分スケジュー ルが遅れております。これはただ、この審議会は委員の方々の出席率が極めて高くて、 それだけ重要な問題を議論しているということで、委員の皆様は非常に真摯に検討して いただいているというふうに私自身はとらえていますが、事務局の方で大分スケジュー ルの齟齬が出てきた場合に、事務局としてどう対応されるかということを、きょうは時 間がありますので、この機会にお伺いできればと思いますが、よろしいでしょうか。 ○谷口課長  なかなか事務局として大変悩ましい問題でございます。今、部会長ご説明のとおり、 当部会が発足をいたしましたときには、当初の予定といたしまして、ことしの11月ごろ には部会の結論を出していただいて、来年初頭に法案の方の検討をして、しかるべき対 応をしようという心づもりでご了解をいただいた上でスタートさせていただいたのです けれども、きょうも聞かせていただいております中で、ますます悩みを深くしたわけで ございますけれども、議論がこれほど難しいというふうなことも事務局としても最初想 定していなかった状況もございまして、既に半年近く、実は現状予定からずれてきてい るというのも事実でございます。  確かに専門委員会報告の中で、3年以内の制度整備ということをうたわれております ので、これに則った形でやるのがもちろんベストなわけですけれども、スケジュールそ のものは実は報告を受けまして、3年後ということであれば15年だなと。15年であれ ば、さかのぼってみまして、こういう手順でやっていけば、14年の11月には検討を終了 していかなくてはいけないのではないかということで目安として定めたものでございま して、そういう意味からいたしますと、何が何でも議論が進まないのにスケジュールに 縛られてどうのこうのということを我々事務局としてこの部会の先生方にお願いすると いうことはなかなかつらい部分も確かにございまして、そういう意味からしますと、こ のスケジュールに何が何でも100 %従ってやってくださいというのは事務局としてはな かなか言えない状況であるというふうに考えているところでございます。 ○矢崎部会長  そうしますと、最初に当初のスケジュールどおりいかない場合でも、事務局は耐え忍 ぶというご覚悟なんでしょうか。 ○谷口課長  先ほども申しましたように、事務局としてはそれは専門委員会の報告のご提言のとお り、淡々と進めば一番ベストなわけでございますけれども、議論が十分深まらない、煮 詰まらない、コンセンサスが得られない、こういう状況の下で、はっきり言いまして、 従来の行政主導型の審議会運営、最近非難されておるのですけれども、そういう形を とって、まずスケジュールありきでそういうことを進めるということは我々としては慎 むべきではないかと考えております。  したがいまして、部会のきょうの状況を見ていましても、なかなか進捗、大変議論が 難しゅうございますので、我々の当初の願いどおりにはいかないという感じもいたして おります。その辺を踏まえますと、意見の集約ができて初めて次のステップ、すなわち 制度整備・制度設計ということに進めるというふうに考えますと、私どもといたしまし ては、まずここで十分議論を深めていただきまして、意見を集約をしていただくという ことをまず第一考えるべきであろうというふうに、覚悟を決めなければいけないのでは ないかということで、必ずしも来年の法律の話ということにつきましては、結果として 来年法案に間に合わなくても仕方がないのではないかと我々としては考えているところ でございます。 ○荒木委員  事務局にお尋ねしたいのですが、カウンセラーの養成はどのように考えられているの ですか。といいますのは、来月か再来月に「日本不妊カウンセリング学会」というのが 立ち上がることになっているんです。これはある一部の不妊を専門にしている方々の集 まりです。そのような学会ができてしまいますと、これは国民にとって非常に誤解を招 くような結果になるんですね。その学会のメンバーに、日本産科婦人科学会の方は何名 か入っているのです。平山先生はご存じだと思いますが、広く会員を募集して、「日本 不妊カウンセリング学会」というのができてくる。それに対する誤解が生じやすいのを 私どもは危惧しているのですけれども、国としてはカウンセリングの養成はどのように 考えられているのでしょうか。 ○矢崎部会長  ちょっとその問題は別問題ですので、次のカウンセリングの議論のときに、また荒木 委員からご指摘いただければと思います。何かご意見。 ○平山委員  特に意見ということではないのですけれども、「不妊カウンセリング学会」というふ うな、私は実は全くかかわっていないことなんですけれども、今、荒木先生もおっしっ たように、産科婦人科学会の会員さんも非常に少ない。そして心理学をバックボーンと する方というのはゼロに近い学会です。ですので、そういう意味での誤解を危惧されて いるのは私も実はありますので、こういう場で言うのはどうかと思いますが、同じよう な危惧を持っていると私も発言させていただきます。 ○矢崎部会長  それについては、私自身も情報を十分入れてございませんので、軽々に判断はできま せんので、これについては、また次回のときにご議論いただければいいと思いますが、 今事務局からスケジュールの問題で大分遅れて、法制審の方はうまく法案に向かってあ る程度議論最終的に行きますでしょうか。 ○石井委員  こちらが進まないので少し中断をするという話をちょっと聞いたのですけれども。 ○矢崎部会長  そうしますと福武委員のご懸念の、てんでんばらばらにやっているということではな くて、連絡をとってやっておりますので、そういう意味で、法制審の方にもご迷惑をお かけしていると思いますが、やはり皆さんの意見を十分にお聞きした上で、ただ、私自 身はコンセンサスを十分に得てというのはなかなか難しい問題で、委員の方々それぞれ のお立場もありますし、ただ、共通の土俵の中で議論していただかないと、これこそ幾 ら議論しても時間が過ぎるだけでありますので、やはり同じ土俵というのは、第1回目 から3回目まで、私、繰り返し申し上げましたように、これはあくまでも専門委員会の 報告を土台として議論するということでございまして、専門委員会の議論が十分尽くせ なかったところを改めて議論しましょうということでございます。  したがいまして、幾つかの点で専門委員会報告と違う部分もございますが、大枠は専 門委員会の報告に沿って具体的な制度設計を進めているという理解で私どもやっており ます。ただ、こんなに熱心に議論いただいておりますし、委員の方々も大変な責任感を 持ってこの議論に参加していただいておりますので、委員の皆様の個々のご意見は貴重 なご意見だと思って真摯に私ども受けとめて、できるだけ皆さんの意見を取り込んだよ うな結論をできるだけ早い機会にまとめたいと私個人は、事務局は非常に寛大に言って おられますが、ある程度のめどをつけて進めて、時間を空費することのないように頑 張って、私もいろいろ勉強しながら効率的な会の運営に努めさせていただきたいと思い ますので、委員の皆様方には格段のご支援をいただいて、最も皆様の意見の取り入れら れた具体的な報告にしたいと思いますので、今後とも毎月1回の間隔で行います。  できれば私個人の、事務局は延びても結構ですとお話になっていますが、少なくとも 3月には私自身としては結論をつけたいと思っておりますので、大変難しいペンディン グの課題が残っておりますが、それについてもインテンシブに議論を進めてまいりたい と思いますので、今後ともなにとぞご支援を賜りますように平に平にお願いいたしま す。 ○鈴木委員  その中に、きょうも結局既定のこととしてさらっと飛ばされてしまったのですが、や はり代理懐胎のこと、この委員会では一度も話し合っていませんので、いろいろな要望 も来ていますし、賛成か、反対かはともかくとして、一度ちょっとその時間はきちんと とっていただきたいとぜひお願いいたします。 ○矢崎部会長  はい。一応少し議論しましたけれども、言われるとおりに十分に議論していませんの で。  それでは、きょうは長時間にわたりましてご議論いただきましてありがとうございま した。次回の予定をよろしくお願いします。 ○桑島室長  それでは次回の当部会の予定をご連絡申し上げます。次回は9月19日(木曜日)、時 間は14時から17時でございます。場所につきましてはまだ未定でございますので、追っ てまたご連絡を申し上げたいと思います。それから、先生方からのご意見等をいただけ ますと思いますが、9月17日、2日前でございますが、2日前の午前中までに事務局ま でいただければと思います。よろしくお願いいたします。  以上でございます。 ○矢崎部会長  先の12月までの、これは皆さんに配っていただいているのですか。 ○桑島室長  先生方のお手元に配付してございます。 ○矢崎部会長  ごらんのように、21回まで決まっておりますので、ぜひ予定を今からあけてご出席い ただければと思います。  どうもありがとうございました。                    照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課                          03−5253−1111(代)                              宮本(内線:7933)                              天本(内線:7939)