02/08/20 第8回独立行政法人評価委員会議事録            第8回 独立行政法人評価委員会議事録                             平成14年8月20日(火)                             10:00〜12:00                             厚生労働省 省議室 出席者:黒川委員長、井伊委員、五十嵐委員、井原委員、大久保委員、開原委員、     篠原委員、中窪委員、古郡委員、堀田委員、渡辺委員 1.開会 ○ 黒川委員長  おはようございます。定刻になりましたので、第8回目の評価委員会を開催させてい ただきます。先生方、お忙しいところをありがとうございます。ほんとうに忙しいとい うか、今日は岸、坂本、田村、安井委員がご欠席ということで、中窪委員が少々遅れら れるということです。井伊委員もそろそろ来られると思いますが、始めさせていただき ます。  お手元に紙の山という感じなのですが、バインダーに今までの資料が綴ってあります が、今日の資料については、まず、審議の議事次第、座席表があります。  資料1は、前回、委員の方につけていただいた個別の項目に対する評価が出ています。 委員の名前のところには、自分の評価についてはわかるようになっておりまして、他の 委員は匿名ですが、みんなとどのくらいばらつきがあるかというのがわかります。 それぞれ縦を見ていくと委員の方々の視点とか性格とか、いろいろなところが解釈でき るかなと思います。それから平均がありまして、全体として、これはあとで説明してい ただきますが、A、B、Cとか、その+があるということであります。  資料2が個別の法人による自己評価表で、そのほかに資料3、資料4、これに沿って これから議論を進めさせていただきたいと思います。  あと、産業安全研究所と産業医学総合研究所の報告説明資料がございます。  さらにお手元に分厚い3部作のような大きな冊子ではさんであるものがあります。こ れは、最初のを見ていただくと、国立健康・栄養研究所の評価シートというのがありま して、最初の1冊は、それぞれの項目について、各委員のこのあいだのお手持ちの部分 でありまして、右下の評定欄に各委員のコメントがそれぞれ書いてあるのではないかと 思います。  2冊目は、同じく国立健康・栄養研究所の評価シートで、これは委員の方々の評価を 全部まとめたものが右下に書いてありまして、いろいろな人が書いたコメントがずうっ とここに書き込んであって、評定の平均が書いてある表であります。  3冊目は、このあいだ出していただいた国立健康・栄養研究所の自己評価が右下に書 いてあります。この研究所の場合は、独自に外部評価委員会を作られまして、それにつ いての評価コメントがここに書いてあります。三つの研究所のものがそれぞれ同様にバ インダーになってついております。  では、議事次第に従って進めさせていただきますが、よろしいでしょうか。本当に書 類が多くて大変だなと思いますが。このあいだは、個別項目についてプレゼンテーショ ンをしていただいて、いろいろ質疑応答があって、書いていただいて、それをまとめた ものがあるわけですが、今日は、この個別項目に関する評価のとりまとめをしたいとい うことが一つ。2番目に、それに基づいて全体の総合的評価を行うということがありま すので、この審議を行いまして、さらに残りの時間で財務諸表と剰余金の使途について の審議をさせていただくこととします。この三つについてご審議いただきたいというこ とであります。  そこで、まず個別項目の評価について審議をしていただきますので、事務局から資料 の説明を含めてお願いします。 2.審議 ○ 唐澤政策評価官  委員長から詳しくご説明をいただきましたが、資料についてご説明をいたします。  まず資料1は、個別項目に関する評価結果を全体としてとりまとめたものでございま す。一番右を見ていただきますと、S、A、B、C、Dに対応いたしましてそれぞれ5 、4、3、2、1をあてはめまして、その平均点を小数第2位まで出したものでありま す。一番下の欄外にありますのは、全部を単純に平均してみた点数でございます。  1ページ目の栄養研究所でございますと、3.93から始まりまして3.67までまいりまし て、それを単純に平均したものが3.53となっております。  それをS、A、B、C、Dに戻したものがその右側のものでございます。ただし、0.5 以上のものについては+をつけて表示をしております。例えば一番上の「効率的な業務 運営体制の確立」では3.93でございますので「B+」という形で表記をしてみたもので ございます。そういう形で全体の評定をしております。  2ページは、産業医学総合研究所でございますが、こちらについても同じ形で集計を させていただきまして、欄外には平均点、そして同じような形で表記をしたものでござ います。最終的には、S、A、B、C、Dと+をつけた表示でこの資料を公にすること にしてはどうかと考えております。  3ページが産業安全研究所でございます。  3研究所を見ていただきますと、今回の集計では全体としてB+くらいの評価になっ ているのではないかと考えております。  この表については、それぞれの先生がご記入いただいたご自分の点数については赤で チェックをしてございます。他の先生方の名前は匿名にさせていただきました。  資料2は、前回、最後にお配りをいたしましたが、それぞれの法人での自己評価を全 体としてまとめたものでございます。  厚い資料でございますが、委員長の説明にございましたとおりに、ご自身で記入いた だいたもの、全体としてのコメントをまとめたもの、それぞれの法人の自己評価、ある いは法人が固有に持っております外部評価委員会の評価を用意してございますので、そ れに沿ってこれからご質疑をお願いしたいと思います。  以上でございます。 ○ 黒川委員長  というわけで、資料がやたらと多いのと時間はそれほどないというのが大変なところ ですが、この集計結果とそれぞれの委員の方々がつけられた評価という資料があります。 これを照らし合わせると他の委員はどんなことを言っているのかということもわかりま す。前回の最後に、法人がどのように自分たちの業績を評価しているのかなというのと、 こちらはこの前のプレゼンからこんなふうに評価したのですけどね、という話がありま すので、比較の上、一応やりとりをしたいと思っています。  それから委員の方がたも、もう少し直したいところもあるなということがあるかもし れません。ご自分の評価シートがありますから、この前記入したところにさらに直すと か加えることがあれば、赤ペンで今日のあいだに、あるいは次回まででもけっこうです が、書いてここに置いておいていただければ、それを後でまとめさせていただきたいと いうことでやろうかと思っています。  そんなことで、これをどういうふうに進めていくかというのも、1回目でよくわから ないところもあるのですが、これは全く私の個人的な感想なのですが、それぞれの研究 所の理事長先生にしても理事の方々にしても、皆さんも、自己評価と評価委員の評価が あまりにも隔たりが大きいと、何もわかっていないんじゃないかな、気持ちが伝わらな いな、というご不満もあるかもしれません。しかしこれは、評価を何のためにするかと いうことを考えると、少し工夫が必要かなと思っています。  例えば、パッと見て、自己評価とこちらの評価がどのくらい隔たりがあるかないか。 隔たりがあるのはいいことなのかもしれないし、お互いにみている視点が違うことがわ かってくるかもしれない。これはこのあいだ、開原先生に行っていただきましたが、小 泉総理からも、しっかり評価してと言われているわけですが、それぞれの省庁の独法に 対する評価委員会があって、いろいろ皆さんも智恵を絞って、独法の方も智恵を絞って やっているわけですが、それを全体としてプラスにフィードバックしていくためには、 それぞれの視点とかやったことを、最終的に総務省がチェックするにしても、どんなこ とをやってどんなふうにしたのかなという話を持ち寄ると、評価委員会の智恵がだんだ ん出てきて、ある程度のフォーマットとかいろいろなことが出てくるのではないかと思 います。その辺はまたご意見をいただきながら工夫をさせていただきたいと思っていま す。  そういうわけで、これを見て、それぞれの研究所からは不満があるというか、反論し たいのではないかという気もしないでもないのですが、まず委員の先生方から、もちろ ん今でなくてもいいですが、一言ずつでも言っていただければと思います。何かありま すでしょうか。  では、ありましたらまた伺うことにして、研究所の理事長からでも追加説明などがあ りましたらお願いします。お互いに隔たりがあるのは悪いことでも何でもないので、そ れを使ってどのようにお互いにコミュニケーションを良くしていくかというのが一番大 事ですので、忌憚のないご意見をいただければと思いますが、そんな進め方でよろしい でしょうか。では、栄養研の田中理事長から。 ○ 吉池研究企画・評価主幹  では、代わりまして吉池が説明させていただきます。本日の資料のA3の横長のもの が私どもの研究所の「自己評価および外部評価委員会の評価」であり、その資料を使っ て説明いたします。  まず私どもは、自分たちの評価というよりも、むしろ外部評価委員の先生方にご評価 いただいたものをもとに自己評価をしたということでございます。  シートの1ページの評定の欄を見てください。その中ほどに外部評価委員の評価およ びコメントということで、これも本委員会の判定基準と同じようにSからDまでの5段 階でつけていただいております。このとき、数値として点数化、平均値化はしません で、ご評価をいただいた先生方の評点を高い順に並べまして、その中央値を外部評価委 員会の総合評価という形にしております。それをもとにして、私どもで少し独自の判断 も加えさせていただいてということでございます。  以上が、どういう形で評価をしたかという説明でございます。  時間が限られておりますので、今回、シートすべてについて個々にご説明するという ことではなくて、本委員会の先生方からいただいた評価と少し乖離がある、あるいは先 生方の評価の中でご質問を投げられたところについて、簡単に説明をさせていただきた いと思います。  では個別にまいります。  1ページ目は、効率的な業務運営の体制の確立です。これも前回、強調させていただ きましたが、私ども理事長が昨年4月に着任しましたが、その指名が2週間ほど前です ので、そこから数えて1か月半ほどの間に抜本的な組織の見直しをしたこと、これはむ しろ平成14年度の実績になるかもしれませんが、国際・産学共同研究センターの設置と いうことで常に新しい組織、要するに社会的ニーズに合った形での見直しをしていると いうことで、我々としてはかなりここについては自信を持っておるところでございま す。  以上が、評価シート1番目についての補足説明でございます。  少し繰っていただいて、評価シート4ページのご説明をいたします。これは、本委員 会の先生方から少し厳しい評価をいただいたいわゆる施設の共同利用等についてでござ います。これも評定、自己評価ともBとなってございますが、ここで外部評価委員会の 評価およびコメントというところを見ていただきたいのです。研究所自体が手狭である こと、また、感染症研究所との共用であり独自の土地建物を持たないため、計画どおり いかない面がある、ということで、その辺の工夫が、あるいは仕組み的、制度的なこと も必要ではないかということをご指摘いただいているところでございます。  5ページは、ご質問をいただいておりますので、それに答える形でコメントさせてい ただきます。  私どもは中期計画で、年に4団体との交流を持つという目標については十分達成でき たと思っておりますが、そこで、どこで会合を持ったのか、あるいはどういう運営形態 かというご質問をいただいております。  これにつきましては、独立行政法人食品総合研究所、これは農林水産省の独立行政法 人でございますが、これは従前から相互持ち回りでこういう会合を定期的に持っておる ものでございます。その他の団体についてはこのような試みは全く初めてでございまし て、私どもの研究所に場を設定して、こちらに来ていただいて意見交換をしたという形 でございます。  この成果については、前回ご説明いたしましたが、例えば大学であれば、特に管理栄 養士の養成、あるいは卒後教育に関する今後の連携等について具体的な話が出てきたと ころでございますし、日本栄養士会等については特に職能団体としての卒後教育、実践 教育についての連携ということができ始めたということでございます。  研究についてでございますが、これは、特に私どもの外部評価委員会の先生方、この 分野のエキスパートの先生方でございますので、十分な時間を割いてご説明をして評価 をいただいたものでございます。これについて少し本委員会との乖離が見られたところ を1点、ご説明いたします。7ページをお開きください。  これは、国民栄養調査の膨大なデータを処理するための高度解析システムの構築とい うことでございます。これにつきましては、前回、私の説明で、そもそも国民栄養調査 とはどんなものかということにかなり時間を割いてしまって、このシステム自体の説明 が十分ではなかったと、若干反省しております。これの私どもの自己評価はS、外部評 価委員会の総合評価は中央値をとるとAでございますが、Sも二ついただいておりま す。  こんなことは今の時代、あたりまえかと思われるかもしれませんが、今までマニュア ルですべてやっていた現場にこういうものを導入すべく、システムを構築した。これ も、当初3年ほどかけて構築する予定のものが、かなり前倒し的に初年度で達成するこ とができた。また、こうしてできました成果物については、研究としてとどまるだけで はなくて、「健康日本21」の地方計画を策定するにあたって、都道府県の調査がその 根幹になるものでございますが、そういうところで既に使われ始め、またそういう地方 計画の策定の基礎データを提供するようなところまできているということで、これにつ いては私どもはSと考えているところでございます。  次に、10ページをお開きいただきたいと思います。栄養改善法の規定に基づく業務と いうことでございます。二つありまして、国民栄養調査の集計業務および特別用途食品 等の試験業務でございます。これにつきましては、厚生労働省との併任の効果をどう評 価できるのかというご質問をいただいておりますので、お答えしたいと思います。  独立行政法人ですので、私どもの併任の考え方としては、あくまでも私どもに与えら れた業務を、あるいは任務を確実に遂行するために併任を出しているということでござ います。具体的には、業務を遂行するための連絡調整が非常にスムーズになるというこ ともございますが、職員の意識あるいはこういう行政的な業務に関する基本的な知識、 スキルの向上、そういう職員の資質の向上という意味でも非常に大きな効果があるので はないかと思っております。  特に食品の方につきましては、出身が薬学とか農学、いわば実験科学の者が多く、こ れまで必ずしも行政的な視点からの研究、あるいは業務というところが少し薄かったよ うに思っております。そういう中で併任ということで、半年ないし1年の交代で今、出 しておるところでございますが、行政の中での研究所の役割等を勉強させていただく。 それを私どもの業務に反映させるという意味で、非常に役に立っていると考えておると ころでございます。  13ページは、学会発表、研究論文等の数のことでございます。これにつきましては、 ご専門以外の先生方からは、数だけでは評価がしにくいというご指摘がありました。こ れについて、私どもの外部評価委員では論文のリスト、あるいは学会発表のリストをお 示しして、その内容の個々の細かい説明まではできませんが、ある程度、リスト上での クオリティの判断をいただいて、そこにあるような外部評価委員会のご評価をいただい ております。ほとんどがAという評価をいただいております。  また、ここで私ども、従来の学会発表の件数、論文発表の件数をもとに、それに上乗 せするということで中期計画目標を立てておりますが、昨年度、私どもは29人の研究者 でこれだけの数の発表を行ったことについては、ここで少し強調しておきたいと思いま す。これについては外部評価委員会のコメントでも、人数のわりにはよくやっていると いう評価をいただいておるところでございます。  15ページは、研究所主体の講演会ということでございます。これは、前回もご説明し たように、管理栄養士の職能向け、専門家向けと一般向けの講演会を行ったところでご ざいます。それについて、参加者からの評価はどうかというご質問をいただいておりま すので、簡単にお答えしたいと思います。  まず、11月に実施した国民栄養調査にかかわる都道府県等の管理栄養士を対象とした 研修会におきましては、これはただ単に参加者に対して知識、技術、情報を伝達すると いうことだけではなくて、参加者の中で希望者にプレゼン用のファイルを配付すること によって、それをさらに都道府県のある保健所、あるいはさらに末端の方々に伝えるよ うな仕組みを作ったということで、特にこのパワーポイントの資料を配付したことにつ いては、参加者からも良い評価をいただいております。  また、こういう研修会については次年度以降も実施の希望もいただいております。  一般向けの講演会は、参加者が224名でございまして、そのうち、99名の方に私ども が行いました評価のアンケートについてお答えいただきました。ここで一つ強調してお きたいことは、かなり幅広い地域から参加者を得たところ、東京以外のところからの参 加者が半分以上を占め、関東以遠からも8名の参加者があったということでございま す。また、このような企画については今後も実施してほしい、さらにこういう機会を深 めて、相談窓口のようなものを設けてほしい、あるいは地方開催を望むといった声がご ざいました。  16ページは、先生方からいちばん厳しいご評価をいただいた知的財産権の活用という ことでございます。私ども、平成13年の業務実績としては1件の特許出願でございま す。これについては従来、ほとんど特許の出願を行っていなかった。むしろ知識の抱え 込みよりはまず論文化ということでまいりまして、この辺は食品産業等の産学の連携が あって有機的に行い、初めて特許を出せる体制になるのかなと考えております。ですか らこの1件につきましては、他と比べると件数としては少ないかもしれませんが、常勤 研究員の数から申しますと、むしろ多いのではないかと考えられます。我々としては第 一歩と考えておるところでございます。  ちなみに、中期目標及び計画では知的財産権の活用で努力していくというふうには書 いておりますが、平成13年度の私どもの年度計画の段階では特許についてはあえて触れ ておりません。特許については、むしろ14年度に産学の体制ができてから積極的に考え ていこうという、ある意味での戦略的なものでございます。ですから、平成13年度の計 画に照らしてみれば、必ずしも計画を達成していないという状況ではないと考えておる ところでございます。  17ページは、研修生等の受け入れのところでございます。この数といたしまして、協 力研究員、研修生の計88名を受け入れておるわけですが、それについての実働というか パーソン・マンスのデータということでご質問をいただいております。  まず、細かい数字についてはさらに調査を進めておるところですが、概数としては、 このような研修生、パーソン・イヤーでいうと30.1です。パーソン・マンスですとその 12倍ということになりますが、88名のうち、週半分来る者、あるいは年度途中で加わっ た者がございますが、実働30名ほどの者が研究機関の中におるということでございま す。  以上が補足の説明です。どうもありがとうございました。 ○ 黒川委員長  どうもありがとうございました。委員の先生方から何かコメントはありますでしょう か。ございましたら、書き入れてくださってもけっこうですので、ぜひそれを加味して。  今の最後の17ページもそうですが、研修生66名、協力研究員22名、合計88名といって も、パートの人もいるしという話で、どのぐらいの付加があるのかなという話が、30パ ーソン/イヤーぐらいだから、実際は全体の中で正規29人、外からは30人ぐらいはいる かなという感じでやっているのだなという話で、いろいろなフィードバックをすること によってお互いの理解が深まっていく方がいいのではないかと思います。  そのほかに何か……。時間の関係もありますので、いろいろコメントはあると思いま すが次に進ませていただいて、産業安全研究所からよろしくお願いします。 ○ 鈴木研究企画調整部長  最初に、私どもがいろいろご評価いただいた結果ということで、非常に大雑把ですが 感想をひと言。  まず、委員の先生方に私どもの活動をご理解いただきまして、それなりの評価をいた だいたことは、非常に感謝いたします。私どもが自己評価して、自分たちで高く自己評 価した項目がいくつかございますが、基本的に先生方からもそういった項目については 高い評価をいただいたと考えております。その高くご評価いただいた項目の中で、もう 少し高く点をいただいてもよかったかなというところがいくつかございます。たぶんそ の辺は、私どもの説明不足でご理解いただけなかった部分なのだろうと思っております 。そういった意味で、今日はお手元に補足資料ということでスライドのコピーをお配り をしてございます。  この補足資料ですが、前回、私どもが7月25日にご説明申し上げたのですが、そのと きに先生方からいろいろご指摘をいただいたり、あるいはご質問をいただいた点がござ いまして、それは評価シートの方にも書かれているかと思います。ある意味では、そう いったご指摘の部分は私どもに対する今日までの宿題と理解をしておりまして、その宿 題の回答ということでスライドの資料を作っております。  それから、先ほどちょっと申し上げましたが、私どもの説明不足でご理解を十分いた だけなかった部分もあるかということで、資料をお作りいたしました。1ページめくっ ていただいて、スライドの2番になるのですが、これはどういう作りになっているかと いいますと、赤字で評価シート1ページ関係、「効率的な業務運営体制の確立」という タイトルをつけてございます。そこに対していくつかご指摘があったのですが、緑の枠 でくくった部分、これは先生方からご指摘をいただいた部分でございます。組織再編の 効果はどうだったのかというご指摘があったかと思います。  それに対しまして私どもの補足説明、あるいはその前後の事情といったものを説明す るために、ピンクで囲った部分、あるいは黄色で囲った部分をメモ書きして作っており ます。  本日の補足資料はそういった内容である、ということでご覧いただきたいと思います 。  スライドの一つ一つをご説明する時間は到底ないと思いますので、飛ばさせていただ きまして、スライドの6ページをご覧いただきたいと思います。これは私どもの主要な 業務の一つであります災害調査の関係の部分でございます。この項目は、先生方からも 非常に高い評価をいただいていると理解をしております。それであっても、もう少し点 をいただいてもいいのかなというのが私どもの正直な感想でございます。ということで 、ちょっと補足説明をさせていただきます。  そこに、安研意見ということでピンクの四角で書いてありますが、私どもとしては、 この業務に関しては、質、量、内容、その反映についても、S中のSではないかと自負 をしているところでございます。私ども研究所は、災害調査に専任のスタッフがいるわ けではございませんが、研究員がプロジェクト研究、あるいは基盤的研究の研究業務の 合間に災害調査に対応するということでやっております。というよりは、むしろ災害調 査の必要が生じた場合に、ある意味ではプロジェクト研究、あるいは基盤的研究の研究 業務を、ちょっと言葉はおかしいかもしれませんが、ほったらかしで現場へ向かって対 応させていただくという状況でございます。  したがって、災害調査に携わった場合は、本来の研究業務の進捗にもある意味で遅れ のようなことを生じるわけですが、その辺、13年度は各担当の研究員の非常な努力と負 担といいますか、そういった中で本来業務の遅れがない形で何とかやりおおせた。その 辺はぜひお酌み取りをいただきたいと思っています。そういった中で、実際に13年度に は規則改正という形になって現れた成果を得ておりますので、この辺、もう少しご評価 をいただいてもいいのかなと思っております。  それから、スライドでは13ページ、評価シートの関係では15ページの知的財産の活用 促進、この辺につきましても、先生方からは私どもに対して非常に高い評価をいただい ていると思っておりますが、戦略性が重要であるとか、これ以外にもいろいろコメント をいただいております。  これは、私どもが説明不足の点があったかと思うのですが、先日のご説明の際にも申 し上げたのですが、私どもの研究所は特許取得を目的とした研究をやっているわけでは ない。たまたま成果の中で特許に結びつくようなことが出てくる場合もあるというのが 基本の業務内容でございます。そういった中で、私どもは特許の実施というのは、ある 意味では成果を普及するという面でも有効な手段であろうということが一つ、それから、 当然ながら自己収入の道でもあろうということで特許実施が初めて実現いたしましたし、 国際特許の出願も行った。  この辺は私どもは職務発明規程と関連の規程、あるいは特許審査会という所内の体制 はきちっと整備をした。それに基づいて出願、取得、実施ということをやってきて、独 法以前と比べて大幅にその実績を上げたのではないかと思っております。実際の実施の 関係は、戦略ということからいきますと、私どもの直接の安全関係ということのみなら ず、幅広い分野で実施の要望があればこれを許諾していこうという方針でやっておりま す。  もとへ戻っていただいて、スライドでいいますと11番、講演会の関係の部分です。私 どももアンケートをやっておりますということを申し上げたのですが、先生方からアン ケートの調査票を示してほしいというご指摘がありました。そこにお示しをしたのが実 際のアンケート用紙のコピーでございます。何をアンケートしているかといいますと、 講演会に対する要望とか意見、講演内容に対する質問、研究所に対する要望とか意見、 講演会をどこで知ったか、この三つだけでございます。  といいますのは、われわれはこれまで何回かこういう経験をいたしまして、多くの項 目なり複雑なアンケートをしますと回答は返ってこない。一番この程度のアンケートが 歩留りがいいというのがなんとなくわかっております。そういったもとでアンケートを とっております。  12ページは、実際にアンケートの中身を少しまとめたものでございます。おほめ、お 叱り、ご要望ということでまとめさせていただいておりますが、役に立った、満足し た、有意義だった、というおほめの言葉をいただいていますし、お叱りとして、実際の 現場にもっと直結した話をしてほしい、あるいは、あまり専門的すぎるとか、専門的な 話が少なすぎるとか、いろいろなお客さんがいますので、その辺をどう対応するか、非 常に苦労しながらやっているということでございます。  あと、スライドはいろいろ準備いたしましたが、時間の関係もありますので省略をさ せていただきます。以上でございます。 ○ 黒川委員長  ありがとうございました。何かコメントその他ございますでしょうか。見ていると、 コメントにしてもそうなのですが、確かに災害があったときにすぐ出動されていろいろ 調査するというのは非常に大事だということで、皆さんは高く評価しているのだけれ ど、研究所だからといってそれも一応業務じゃないの、という認識と、これは研究所で あってそれは業務じゃないんだと、という認識の隔たりがあるのかなという気もしたの ですが、どうでしょうか。  実際にお手元の配点を見てもそうですが、これは1回目だからでしょうが、全般に厳 しめの人と、自己評価と非常に整合性のある方と、いろいろな委員がいるのがよくわか るわけだし、こういうことで、どのようにするとお互いにプラス・プラスになるのかと いうのがあり、一つの経験かなと思います。  それから、これはもう一つの研究所に聞いてから言う話かもしれないけれど、これを フィードバックさせて、研究所のスタッフの人たちが気持ちよくポジティブに、論文の 評価もそうですが、私どもも皆さんもよくやっていますが、研究の論文は非常にシビア に見えますが、研究者には、否定意見にしろ修正意見にしろ、いろいろなコメントをす るけれど、常に前向きのコメントをすることが非常にいい評価には大事なことなので、 今回はだめだと思うけれど、こういうところを直したらいいのではないのか、という話 をするこういう場があってもいいのではないかなと思います。論文でもそうですが、常 に建設的な批評というのはすごく大事ではないかと思っています。そういう点でまた委 員の方から書き直しがあればしていただくし、そのほかのご意見、いかがでしょうか。  B+のところも、点をみるとAに限りなく近いB+もあり、Bプラスで一律に 3.5か ら3.99までつけていますのでそうなっているのかなと思いますが、その辺はどうしても 幅があるから、何かで補足しなくてはならないところがあるかなと思います。  そのほかに。 ○ 開原委員  今、委員長の最初に言われたコメントが、私自身も悩んだところなのです。先ほどの 災害調査についてはS++でもいいのではないかという話なのですが、私も本当にS+ でもいいなと思ったのですが、一方で考えてみると、それがあたりまえではないか、そ れが研究所のむしろ本来の役割なのではないかという意見もあります。普通の業務をお やりになっているのだから、それは特に評価するべきではなくて、むしろあたりまえの ことなのではないかと思い直して、実は私はSでない評価をしてしまったのですが、そ の辺は研究所としてはどういうふうにお考えでいらっしゃるのでしょうか。 ○ 鈴木研究企画調整部長  この辺は正直申し上げますと私どもも研究所の中で、独法の前は災害調査は雑用だと いう認識を持った研究員も大勢おりました。実際に自分の研究業務が妨害されるわけで す。長い場合には半年ぐらいそれにかかわり合うわけです。あと、調査結果がそのまま 世の中にすぐ出せる内容のものでは当然ないわけです。研究業績からいいますと非常に ハンディがあるという意識がある研究員が、現在もまだおります。独法前はもっとおり ました。雑用だと。  ただし、私どもの使命、役割を考えた場合に、災害調査の業務というのは、もしかし たら一番上におくべき業務かもしれません。そういう意識の改革は、独法化以降、だい ぶ浸透してきたと思っております。そういう意味で、13年度は研究員は非常に頑張って いただきました。これからも重要な業務だと思っております。 ○ 尾添理事長  調査研究活動につきましては中期目標の中で、先ほどの論文の発表数ではないです が、いろいろな目標が掲げられております。これは、今までの実績をみて、さらにそれ プラスアルファをして、さらにそれのプラスいくらいくらという格好でやってきてい る。  一方、独法以降は、もちろん中期計画の中にも入ってきているのですが、災害調査の 関係に特に力を入れていこうとしています。我々が災害調査に業務を割きながら、なお かつ内容を良くして、かつ迅速にやりながら、その成果がきちんと世の中に役立てるよ うにするためにどう取り組むかということで、特に独法の初年度はそういった観点で、 研究活動の調整等に力を入れながら、いろいろな規程類を整備しながら、所内体制を整 備しながら、職員の意識改革を図りながらこの災害調査に取り組んできました。現実に 行政からもいろいろな要請があり、厚生労働省から要請があったのみならず、警察とか 他省庁からの鑑定依頼とかそういったことについても前向きに取り組んでいこうという ことで、従前と比べると非常に一生懸命やってきたということで、こういう我々の自己 評価になったということでございます。 ○ 黒川委員長  確かに事故の調査をサイエンスのバックグラウンドがある方がやられることが、また 新しい疑問の発見になるわけだから、災い転じて福となすではないけれど、新しいテー マにもなり得るわけなので、それを委員のコメントを見ていると、みんな非常にポジテ ィブに評価しています。しかし、S++というのは、普段の研究もやめてまでやってい るのを高く評価するというのがみんな納得がいかないのは、そのへんのすり合わせの問 題があると思います。むしろ所員には、独法としてはそういうのは非常に大事な業務で 、新しいテーマが見つかったりいろいろなメリットがある、ということで評価していく 方向ではないかと思うのですが。 ○ 尾添理事長  回数とかそういうことではなくて、災害調査というのは、事故が起きたときに研究所 が事業所に入る権限はないので、これはあくまでも行政から要請があった場合にしかい けない格好になっているのです。警察とか検察庁とか向こうの権限に基づいてやるとい うことで、我々自身がいろいろと選んでやることはできないのです。  そうした中で、災害調査の内容をさらにもっと高度化していこう、そしていろいろな 再現実験なり報告書の内容をきちんとやって、その成果がさらに活用されて実績をあげ ていきたい。今までも、もちろん要望に応じた災害調査などを進めておりましたが、独 法を契機に、いかに産業安全研究所が世の中に役に立っていくのかという過程の中でこ ういったことをさらに高度化していこう、そこで初年度は非常に力を入れて体制を整備 しながらやって、これを今後継続できるようにやってきたわけです。  その過程で研究業務との調整とかそういうことは当然出てくるということで、研究業 務をほったらかしでやったとかそういうことで評価とかそういうことはさらさらないわ けで、そこをいかに調整をしながら、今までより、より効率的に効果的に仕事をしてい くことが大切だということで、我々としていろいろなことを考え、体制を整えながらや ってきた、そういうことで自己評価はSということでございます。 ○ 黒川委員長  そのほかに……。またあるかと思いますが、時間がたっぷりあればいいのだけれど、 その次にまいりましょうか。ありがとうございました。  では、産業医学総合研究所にお願いいたします。 ○ 斉藤企画調整部長  では、産業医学総合研究所からご説明申し上げます。評価委員の先生方にいただいた 評点と私どもの自己評価は若干の隔たりは確かにございます。それは、私自身の説明不 足あるいはプレゼンテーション技術のこともあると反省しております。本日は補足説明 資料ということで、お手元にA4縦長のものを用意いたしました。同時に、スクリーン にプロジェクションしてございます。  最初はページをふっていない部分がございます。それ以降、1から21ページというこ とで、評価シートのページにそのまま対応した番号がふられております。  初めに、ページをふっていない独立行政法人と国研時代の比較ということで、これは この評価委員会で委員長初め複数の先生方からどういう違いがあったのかというご質問 がしばしばございました。独法化で何が変わったのかということを、私ども産医研の観 点から、この資料に書きましたように6個のポイントにまとめてお示しいたします。も ちろん個別の項目で、委託研究とか自己収入という独法化で初めて可能になった個別事 項はございますが、ここに書いた6項目は大くくりで制度的に私どもの実感としてこう いうことだという整理でございます。  まず、中期目標と計画の明確化ということで、これは文書という形で定められている ということで、職員、研究員全員がこういう目標を与えられてこういう計画で実施して いるということが非常に明確に示されたという、非常に大きな特徴でございます。  次に、実行予算の弾力的運用です。予算的には渡しきり交付金ということで、運用は 独法が自律的、主体的に決定できる仕組みでございます。結果としては、費目を超えた 運用が予算的、法的に可能になったということで、具体的には、試行錯誤でございます が、学会発表を促進する旅費を支援するということがあります。現実には不足して発表 に障害が出ているという現実がございますので、そういう形で予算運用を弾力的にする ことができたというのも、一つ、独法の特徴かと理解しております。  3番、4番、5番の項目はかなり共通の部分でございます。外部資金を獲得するとい うことで研究費が多様化してきた。これは中期目標で、他省庁等の競争的資金を獲得す ることになっています。趣旨は財務内容の改善ですが、結果的には非常に多くの別の側 面があらわれてまいりました。それは、競争的資金導入により意識改革ということが一 つございます。具体的には、科学研究費補助金であるとか厚生科学研究費、現在は厚生 労働科学研究費になっておりますが、それに対する応募が明らかに増えております。例 えば科研費では、平成12年度は3件であったのが13年度7件、14年度13件という具合に 倍々で増えております。厚生労働科学研究費もしかりでございます。  その結果ですが、基礎的、長期的な観点から研究が奨励されることになります。 ちょっとわかりにくいかもしれませんが、運営費交付金というのは17年度まで労働者の 健康確保の観点からの課題が既に設定されております。それに対して外部研究資金を導 入というのは、当該年度に、より一般的な課題に取り組むことが可能になるということ で、結果としては研究員の研究能力の涵養あるいはレベルアップ、あるいは他の研究者 との競争力の強化といったことにつながっていると思います。  最後に書きましたのはプロジェクト課題重視の研究体制ということで、大型の資金を 投入してチームを構成して、いわば個人商店であったのが企業化してきたという側面が ございます。  以上6点で、独法による国研時代と変わった点を、産医研としてまとめてみたもので ございます。  以降、下にページがふってある部分がございますが、これは時間の制約もございます ので、私ども独法自身で目標を大幅に上回ったと自己評価をしたものについて主にご説 明いたしたいと思います。  まず1ページは、書き方としては、上にアンダーラインを引いた効率的な業務運営体 制の確立というのが項目でございます。それに対して四角で囲ったダンゴが二つござい ますが、組織編成、公募による職員採用、これが問いかけられたQでございます。  それに対して下向きの矢印でダンゴが二つございますが、これは実績、つまり回答で ございます。こういう上の問いかけに対して13年度実績としてこういうことだったとい うことで、特に公募による資質の高い職員の採用ということは、6名の学位保持者を採 用したという即戦力で、これは私どもとしては格別にSと評価した事項でございます。  3ページは、これはSではなく、私どもはAをつけさせていただいておりますが、こ の評価委員会の席上でいろいろ質問があった項目です。例えば外部委託というのはコス ト増になるのではないかということでございますが、3ページの一番下の追加説明とい う欄で書きましたが、データ集計等の定型業務の外部委託により人件費の時間単価は 1/2程度と、むしろコストダウンになって、その空いた時間を研究者は有効に本来業 務に費やすことができたということでございます。  5ページは、現場ニーズの把握、業務への反映ということでございます。これは、労 働衛生重点研究推進協議会ということで、スケールの大きな国家プロジェクトとして日 本全体のニーズを把握して、産医研としてはそれを産医研の研究課題設定に有効に活用 させていただいたということで、研究所としての成果、さらに日本全体への情報提供と いうことも含めまして、格別にSと自己評価した事項でございます。  時間の関係でかなり飛ばさせていただきますが、9ページで、国際、国内基準の制改 定への貢献ということで、参加状況、あるいは成果の提供、反映はどうかということで ございます。これは回答部分に二つ書かせていただきましたが、国内外のいろいろな会 議へ役職員を派遣して、具体的な成果としては、行政上のガイドライン策定、あるいは 国際的な委員会の会議で委員長、座長、幹事といったものを務めさせていただいていま す。これも国内外で高く評価されていると自己評価したものでございます。  13ページは、Aとして自己評価したものでございます。研究成果の発進ということ で、ホームページでの公開はどうかということで、前回の評価委員会の席上では私は データを持っておりませんでした。ここで私どもの研究所では、LAN運営委員会いう のを設置していまして、継続的にアクセス数とか、どういうところからどういう内容コ ンテンツに対してアクセスが来ているかというのを常時解析しております。その結果を 簡単に、回答欄の一番初めには、ホームページへのアクセス数は月平均5万1290件であ り、これは平成13年度の年間の実績を12で割った数字でございます。  その内容は、追加説明の欄をご覧いただきますと、月5万回というのは、約6000人が 1人当たり 8.5回アクセスしている。もちろん、ホームページの中でそれぞれ別のコン テンツをご覧いただいているということです。  ご覧いただいている内容は、今のページの下から3行目に書いてございます。過去2 年間の累計、2000年8月から2002年7月末までの過去2年間の累計として、『インダス トリアル・ヘルス』誌という私どもが発行している国際学術誌が一番多く、1位にアク セスされている事項でございます。以後、いろいろ情報提供している内容をご覧いただ いているという実績でございます。  14ページで、研究状況の把握と情報提供ということで、私どもでSと自己評価した項 目でございます。それは、ここに書いてあります四つのポイント、労働衛生分野で発表 された研究課題概要を分析し、報告書として出版したということです。ここに持ってき ていますが、こういう資料を今年の3月、つまり13年度末に報告書として出版しており ます。  21世紀の労働衛生研究戦略の課題、実施と展望いうことで、広範囲の方々に情報を提 供しました。つまり、わが国として実施すべき優先18課題を具体的に提示した成果でご ざいます。  さらに、先ほどから申し上げている『インダストリアル・ヘルス』誌はこういう雑誌 でございますが、年間4回、私どもの研究所で非常に人的、時間的、形式的にもそうで すが、努力を重ねて40年間出し続けている国際雑誌でございます。さらにこれは、アジ ア、欧米等との情報交換に寄与していると自負しております。  『インダストリアル・ヘルス』誌について、この評価委員会でもいろいろご意見がご ざいました。有償頒布をすることを私どもは財務上の都合で計画しておりますが、むし ろそういうことではなくて、逆に無償で頒布することに意義があるのではないかという コメントもいただいております。独法の評価委員会として『インダストリアル・ヘル ス』誌の有償頒布に関してぜひご意見をいただけたら、14年度以降、私どもの研究所の 考え方を整理する上で非常に参考になるということで、勝手なお願いですが、もしご意 見をまとめていただけたらありがたいと思っております。  18ページは、最も自負しているSですが、研究協力の推進ということで、私どもの研 究員が米・韓・スウェーデンの国立研究所、これは長期の在外研究員として滞在した り、あるいは相互に行き来したりした結果、13年度の実績としてこの3か国の研究所と 協定を結んだということでございます。今後とも具体的な課題、職業ストレス、ダイオ キシン、人間工学といった観点から共同研究を実施しようということでございます。  以上でございます。 ○ 黒川委員長  どうもありがとうございました。何かコメント、ご質問はございますでしょうか。確 かに三つの研究所ともそうですが、資料の膨大なこともあるし、プレゼンテーションも かなり限られた時間でやっていただいて、こちらもどんどん聞かされたのだけれど消化 できないというところもたくさんあります。しかしこれから毎年やっていくと、だんだ んお互いにスムーズになっていくかなという気はします。また、そういったコメントが 行ったり来たりということは、お互いの立場がわかっていいのではないかと思います。 ○ 開原委員  先ほどの安全研究所への質問との対比で大変興味があるのですが、そちらにも8ペー ジに労働災害の原因等に関する調査研究という項目がありますね。そこのところは、産 業医学総合研究所の場合には似たような形で社会からこういう調査を緊急にしてほしい とか、こういう対応をしてほしいとか、そういう要請は現実に今まであったのか、また は、今はないけれども将来はあり得るのか、また、それに対して研究所としてはどのよ うになさっていこうとされているのか、その辺はどんな感じなのでしょうか。 ○ 斉藤企画調整部長  まず、私どもは制度的に災害調査実施要綱というのを13年度に定めまして、そこでは 二つ記載してございます。一つは、厚生労働大臣から命令されたときです。これは、個 別法に書かれておる法的な事項でございます。あと一つは、災害が起こって、格別の大 臣からの要請はなくても、私ども自身、ぜひ調査したいということで、厚生労働省等へ お願いをして、可能な場合は調査を実施したいということです。研究所の実施要綱とし てはその二つのやり方を定めてございます。  具体的には13年度、代表的なのは硫化水素の災害なのですが、当日はもちろん緊急な 連絡が入りまして、それに対して翌朝、可能な限り早く、およそ3名程度のチームを組 みますが、健康障害の観点からの専門家、環境測定の専門家といった数名のチームで現 場へ駆けつけるといったことが、ここ数か月でも3回ございます。  これは、私どもが実験室の中で試験管を振っているだけではつかめない貴重な現実の 世界を直接見ることができる。もちろん行政への貢献、社会貢献ということもございま すが、結果としては研究に直接的に生かせるのではないかという視点から実施している 業務でございます。 ○ 開原委員  研究所の方の意識としても、むしろ、そういうのは雑用ではなくて喜んでやられるよ うな感じで……。 ○ 荒記理事長  この問題は非常に大事だと思います。基本的に災害調査というのは、独法の法律で大 臣命令でやらなければいけない項目なのです。ですから、私どもとしては試験管を振る ような研究よりもっと大事な研究、これをやらなければ研究所は存在しないという研究 で、その辺をどうやっているかという視点からの評価をお願いしたいと思うのです。  もう一つ、開原先生の、私どもの研究所がどの程度災害調査をやっているかというこ とですが、基本的に災害調査でも二つのタイプがあるのです。一つは人間の健康に絡む 災害、これは全部、私どもの研究所でございます。人間の健康に絡まない、むしろ事業 場のいろいろな機械とかほかの項目の問題は安全研究所でございます。そのすみ分けは きっちりできているわけで、それが起こった場合、どちらに調査の依頼が来るかという のは明らかなことでございます。安全の方が非常にわかりやすいですし、確かに安全の 方はまず第一に大事ですね。企業の営利性という面からも安全の方が大事でございます 。ですので、健康というのはなかなかご理解いただけない面があるのです。  でも健康に絡む労働災害というのは、前回申し上げましたようにダイオキシンの問題 、この1年間ではホスゲンの問題、たいてい化学工場の爆発とか地域住民への影響とか いう問題がございます。あとは硫化水素。最近でもそういう古典的な災害、中毒ですね 、日本中で起こるわけです。そういうことが起こった場合に、本省の専門家と一緒に私 どもの研究官が行って、専門的なアドバイスをしながら、あるいはデータを揃えたり、 技術的な支援をさせていただくという形でございます。 ○ 渡辺委員  やや総論的なことでございますが、今までずっと伺ってまいりまして、かなり私の評 価と認識が違うなという部分がずいぶんございました。そういった意味でのお答えがあ ればありがたいのですが。  まず、独法あるいはこれまでの国立研究所に対して、私たちの立場からすると、非常 に世間の目が厳しいからこそ独立行政法人になったというのは、私たちのとらえ方であ りますし、小泉内閣もそのようにしてこうなったわけでありましょうから、世間の目が 非常に厳しいと、どうしても評価の基準といったものがいわゆる民間会社と比べてどう だといった比較を私たちはせざるを得ない。ですから、今までよりは進歩といった表現 は直接ございませんでしたが、独法以前よりは良くなったろうといったことで評価する ということは、少なくとも私はそういった立場をとっておりません。また、とるべきで はないと思っています。  ここにいらっしゃる委員の多くの方もそうだと思うのですが、私などもはっきりいっ て新聞社というかマスコミを代表して来ているわけでありますから、他の新聞社の連中 に、おまえはどういう責任でそういう評価をしたのだ、マスコミ全体の責任であると実 際に言われたこともありましたが、そういう立場で世間に説明できる評価をしなければ いけない。となりますならば、今までよりは良くなった、ああそうか、とういことで高 い評価を与えることは絶対にできない。あくまでも、独立行政法人は完全な民間ではあ りませんが、民間企業、特に良くやっている民間企業との比較という目で見るのが、こ の評価委員会の仕事であると感じておりますので、そういったことにかなりずれがある のではないかという率直な気がいたしました。  その一つとして、このあいだも申し上げましたが、今の3研究所のご説明を聞きまし ても、努力した、あるいはもっと高い評価を得たいという表現もございましたが、その ためには、民間との比較もそうなのですが、目に見える形で、実際、なるほどというも のが伝わって来ないことが非常に多いのです。ですから、特に私の評価は比較的厳しい のかなと思ったのですが、それは私が素人なるがゆえに厳しくなったのかもしれないと いう反省はあったのですが、素人は素人なりに、目に見える形でこれまでの努力が伝わ ってこないと評価できません。  あるいは先ほども斉藤さんから、海外とこういう提携をしたというご説明があって、 斉藤さんのご説明がどうのこうのではなくて一般的にいっても、例えばこれからこうい うチームを作って海外との研究協力体制をやる、これは大変すばらしいことはよくわか るのだけれども、そういったこれからのことにつきましても、では、例えばこれは国民 生活でどういったことが期待できるのかということが良くわかりません。  それは斉藤部長のところだけではないですよ、全部の研究所に共通するのだけれど も、これからということについても、こういったことをやるのだという具体的なものが 伝わって来ないといいましょうか、それがまた実際にどういうふうに役に立つのかと いったことが非常にわかりにくいのが、私自身、評価としては低くなるのではないかと 思わざるを得ませんでした。  そういった意味では、確かに先ほどもご指摘がありましたが、三つの総合評価ととり あえずのペーパーをみますと、安研の評価がかなり高いわけです。これは、先ほど荒記 理事長のおっしゃったような理由、人間ではなくて機械というのでしょうか、そちらの 方がわかりやすいという側面もあったのかもしれませんが、目に見えるような形をもっ と出していかないと、そういった厳しい評価には耐えられないのではないだろうかと思 いました。  とりあえず以上であります。 ○ 堀田委員  私も、いま渡辺さんがおっしゃったのと同じようなことを感じておったのですが、評 価を見ておりますと、自己評価は非常に大切なものだと思うのですが、自己評価の方が この委員会の評価よりも総じて高い。大体1点以上の差が出ている。それはなぜだろう か。ご説明を聞いておりますと、自分たちはこういう目標を立てて一生懸命頑張ってき たと、いま渡辺さんがおっしゃったようなお気持ちが大変あって、一生懸命やったとこ ろがSになっている、これは自己評価としては当然だと思うのです。  でも私どもの立場で評価する場合には、もちろん形式的には中期目標をどれだけ達成 したかという基準が立てられているのですが、中期目標そのものが非常に抽象的なこと が多いですから、結局は納税者の視点に立って期待することをきちんとやってくれてい るか、そういう視点が基本にならざるを得ない。そういう観点に立ちますと、たとえ一 生懸命やっても、同じような成果が民間の研究から出て来るのであれば、それはゼロと 評価せざるを得ない。だから、栄養研究所の評価が全般的に低いのはお気の毒だなと思 うのですが、健康とか栄養についてはずいぶんと情報が出てきておって、なかなかその 辺の独自性をいうところが難しい面があるのだろうという気がします。  たとえそれが民間から出ない研究であっても、やはり税金を入れてそれをきちんとや ってもらわなければいけないほどの緊急性があるのか、必要性があるのか、そのあたり が納得できればまた高い点になる。でも、その辺ももう一つわかりにくかったという点 があると思います。  そういう研究その他を進めるための体制の問題としては、まさにいま渡辺さんがおっ しゃったように、少なくとも民間並みかそれ以上ぐらいのことはやってほしいなと思い ます。納税者の立場からすればそういうことになりますので、その点もどうしてもこの 委員会の評価が厳しくなるのではなかろうかと思いますが、私はそれが基本的にこの委 員会のあるべき評価の態度であろうと思いますし、次の議題になりますが、総合的評価 をどうするかということについても、そういう視点からきちんと総合評価をつけなけれ ばいけないのではないかと思います。 ○ 荒記理事長  関連したことでございますが、今、堀田委員から、あるいは渡辺委員からおっしゃら れましたことはそのとおりで、私どももそういう努力をしているつもりですが、例えば 私どもの研究所が自己評価でSを与えた項目、これは全部で五つあるのですが、そのう ちの主要なものは、一つは、それぞれの大学なり民間の研究所なり、あるいは組織がで きないことを全部とりまとめて、国全体として研究をどう進めていくか、どうやって実 際に実行に移すかということをやったものでございます。  例えば5番目の労働現場のニーズの把握、これは21世紀研究戦略協議会を作りまして、 これは実際は旧労働省が作ったのですが、私ども事務局を中心にして作って、今の日本 で何の研究をやらなければいけないかということを3年間かかって洗い出しまして、国 全体の専門家の意見を聞きまして、さらにそのあと、現在、引き継いでやっているのは、 それをどうやって進めていくかということです。それは、基本的にはそれぞれの民間の 機関ができないことでございます。独法の研究機関でなければできないことをやったつ もりでおります。  それから14番目でございます。労働衛生研究状況の把握と、それぞれの研究機関への 情報の提供でございます。  もう一つは、先ほどの国際協力協定の件でございますが、それを結んでも、それ自体 では効果がないのというのは、私どもの理解としては逆でございます。私どもは、国内 で起こっている主要な問題、今、日本の労働衛生でストレスの問題と化学物質の国民へ の影響、これが基本的に行政の重点項目でございます。そのことを私どもの研究所はい ろいろな面で研究を進めまして、それが国際的に評価されて対等な、アメリカを代表す るNIOSHという研究機関とか、あるいはスウェーデン、あるいは東南アジアの韓国 で評価されて研究協力協定ができて、さらに研究を進めているというふうになったわけ でございます。  それは、単にそういうことをやったという形では効果がないと評価表でいわれていま すが、話は逆でございまして、むしろ研究成果の結果であり、私どもの研究の成果が国 際的に評価されたという理解も片方では得られると思っております。  また、実際にその証拠がないといわれていますが、例えばアメリカの国立のNIOS HもNORAというのをやっています。アメリカが国全体としてどういう研究を進める か、そういうシンポジウムを2年に1回やっているのですが、そのシンポジウムに私ど もの研究所の代表が招待されているわけです。そして日本の状況を説明するために、招 待講演に行っているわけです。  ですからその辺のご理解をお願いします。単に何かをやることは意味がない、それは わかるのですが、だったら、どの程度やっているかという内容までご理解いただきたい とお願いする次第でございます。 ○ 堀田委員  今のご発言、大変よくわかりました。この評価の正しいあり方は、その分野について 非常に専門的な知識があることが一つ、そしてもう一つは、全く外部の、納税者なら納 税者の目で独立行政法人の年間の活動ぶりをしっかりウオッチしていることが二つ。そ れだけの要件が揃えば、しっかりした評価ができると思うのですが、残念ながらどちら の要件もはるかに遠い、満たしていないわけですね。そういう立場でどういうふうに評 価すればいいのか難しいと思います。  それは、今までのやり方を聞いて評価するしかない。しかも、少なくとも私は、聞い たこと以外に独自の材料は持っていないわけです。ですから、これはやり方の問題に絡 むのですが、前回も申しましたが、できれば自己評価とその理由を最初に説明してもら って、Sだとおっしゃるなら、なぜそれがSなのか、そういう質問をすれば、今のよう なお答えが出たと思いますし、そうすればそれが正しいか、客観的にどうなのか判断し てできるのではなかろうか、そういう感じがしました。 ○ 黒川委員長  これは全体としてのやり方の問題もあるわけで、各省庁のやり方がいろいろあって、 これは初めてですから、例えば所によってはそれぞれの独立行政法人も工夫していると 思うのです。自分たちで自己評価をし、自分たちの外部評価委員会をそれぞれ作り、そ の専門家に見てもらった上でどう仕上げてくるかというのもあるし、その辺が何年かや っているうちに総務省に上がっていって、それぞれの省庁の独法がどんなことをやって 、どんなふうな話をして、ということがだんだん全体の智恵ですかね、国の機関として 必要なのか、納税者から見て必要なのか、国民はどうなのかという話が最終的には出て 来る。今年は今年でこうやっていきますが、2年目、3年目となって総務省にみんなあ がってきて、それぞれの省庁がどういう視点でやってきたのかという話が出てくると、 それぞれがお互いにポジティブな評価の仕方は何かという話が出てきて、全体としてプ ラスになっていくのではないかということを期待したいと思っています。  1回目は、評価する側とされる側としては意見の隔たりがあるのはあたりまえの話で すから、隔たりのそこをなるべく少なくするのがいいのかどうかは別として、そんなふ うなプロセスが始まっているのではないかと位置づけたらいいのではないかと思いま す。  そのほかに、今、荒記先生のところから『インダストリアル・ヘルス』についてはそ ういう説明を受けました。vol40 までいっているので、有償にするのか無償にするのか ということです。実際に学会などでも英文誌を作ると非常にコストがかかって、会費は ほとんどそれに使われてしまうということが多いのですが、これについて何かご意見は ありますか。  無償で配るとなると全部コスト持ちということになるし、有償もあるし無償もあると いうのもあるかもしれないし、最近は世界中の学会がそうですが、出版のコストがもの すごく高くなっていますし、図書館などでも、買うとものすごく高いので、だんだん買 わなくなってしまったというのもあります。  例えばこういうデータも、今は家にいてインターネットで必要なものはみんな見られ てしまうのですが、紙に書いてあるのを見るのと画面で見るのは全然違うことは確かだ し、だけどダウンロードできるようにしてあれば、CD−ROMとかEパブリケーショ ンというのが進んでいますから、そういうことも考えるのが必要なのかもしれないなと 思います。全体として予算の問題もあるし、趣旨を喧伝するのには情報を発信したいけ れどお金は少なくしたいというのは確かにあるのかもしれない。  その辺をまた考えられたらどうかと思いますが、有償、無償だけではなくて、媒体の あり方が変わってくるのかなという気がしないでもないですね。確かに本になっている と格好もいいし、CD−ROM1枚にされると安いのだけれど、すぐ無くなってしまう というのもよくある。 ○ 開原委員  一つだけ質問なのですが、今の『インダストリアル・ヘルス』というのは、投稿され るのは中の方だけではなくて、もちろん世界中の方が投稿されるのですね。現実に外か らの投稿の割合とか外国からの投稿の割合とか、その辺はどんな感じになっているので しょうか。 ○ 斉藤企画調整部長  アジア、ヨーロッパ、アメリカを含めて、かなり国際的な投稿がございます。 ○ 荒記理事長  数値は、主にアジアと欧米、先進工業国を含めたものが1/3、国内からが1/3、 所内からが1/4から1/3くらいだと思います。これは大雑把なところで、場合に よってはよく調べて修正いたしますが、私の今の理解ではそのくらいです。 ○ 斉藤企画調整部長  ここに持ってきていますのは、4月に発行した今年の5号なのですが、例えばこれに はドイツ、スウェーデン、米国等からの論文が掲載されています。 ○ 黒川委員長  という位置づけだそうですが、これについて何かありますか。これはかなり専門的な 分野の話なので、個々に伺っておくことで評価いただきたいのですが、時間のこともあ りますし、もう一回やりますので。実は先生方のお手元にそれぞれ個人票があります ね。それについて赤い字で直すとか、コメントについての追加等がありましたら、書い て事務局に出していただく、あるいは点数が、先ほどいったように辛めの人、そうでも ない人、意見が違うなということもありますし、それについて、もし評価委員の方々で 直したいというところがあれば、直していただいて事務局に出していただければと思い ます。  もし間に合えば、今日、再集計した点が出るということがあるのかもしれないと思い ます。  そのほかに、今度、全体として総合的評価の草案を作って何か書いて、全体として、 これはこういうふうになりましたという話をしなくてはならないわけで、これも各省庁 からどんなものが出てくるか、予測がつかないところなので、それぞれの評価委員会が それなりに頑張って努力しているところだと思いますから、こちらとしてもできるだけ 良い総合的評価を作りたいと思っております。  そこで、最終的な総合的評価のドラフトを書かせていただきたいのですが、その起草 委員ということでこの委員会の中から何人かの先生に、この資料と、もちろん事務局と 一緒にやっていただきたいのです。しかし、皆さんお忙しいから、だれかお願いできま すかと言っても、手を挙げる人などいるわけないかなという気もしますが、しかし、そ れでもやってもいいよという方はおられますかね。  事務局と相談しまして、それぞれの立場、いろいろな意見があるとは思いますが、委 員長代理ということで開原先生には起草に参加していただく。それから井原委員、渡辺 委員、篠原委員に起草のことをお願いしたいと思うのですが、よろしいでしょうか。 内々にはご承諾いただいていると思いますが、よろしくお願いします。  では、総合的評価ということですが、評価シートはいろいろ作っていただいていると ころですが、起草委員にお願いするということですが、個別の評価は少なくとも今日の 終わりまでにもらっておいて、それをフィードバックしながら起草委員会の中で何かそ の話は入れたいと思いますが、そのほかに総合的評価にこういうのを盛り込んだらいい のではないかという話がありましたら、コメントをいただきたいと思います。  私としては、今までの議論を伺っていると、今日の議論もそうですが、研究所という 名前からいうと、研究という感覚が人によってかなり違うと思います。一般に研究者は 研究所といわれると、なにかクリエイティブな研究をするという認識があると思うので すが、私は独法化するときにずいぶんいろいろ場所によってはコメントしたのですが、 それで評価のニューメディカルな数が見えるようなベンチマーキングとしては、論文の 数とか学会の発表とか何とかというけども、実際は研究所といっても、内容によっては 業務的なものがすごく多いわけですね。  災害があったら調査する、そこから何か新しいシードとかいろいろなものが出てくる わけで、これが素人ではなくて研究者の目でそういうことを見るのも大事だし、それか らいろいろなものを測定していくということは、クオリティのいい測定を続けることが すごく大事になる。そういう評価というのは別の格好で、なかなかこういうのは論文と か学会発表には出にくいものもあるし、出しやすいものもあるけれども、論評をするよ うなジャーナルに出すよりは、むしろ報告書として出てくるのが非常に大事だというも のがありますから、その評価の視点が違うのだろうと思うのです。  同じ研究でも、研究者によってそのミッションが、時期時期によって、またキャリア の途中によって違うと思うので、この辺をどういうふうにメリハリをつけながら評価の 対象にしていくかというのは、研究所自身としてもそういうプログラムを作らなくては いけないでしょう。つまり、論文とか学会の発表は数ではわかりやすいけれど、内容を 把握しにくいところもあるけれども、例えば今日の話でもそうですが、災害があれば、 別に全部行くわけではないにしても、そこから何か新しいシードが出てくる精密な調査 が大事なので、報告ということもあるし、そこから新しい研究のテーマが出る、それが 一つですね。  2番目に、今回の資料1、2の差異の問題も、先ほどいろいろな委員からもお話があ りましたように、それぞれの評価委員も、どういう立場で評価委員をしているのかとい う話がありましたが、表現がどうしても点数になってきて、最終的にはA、BとかSと かなってくると、隔たりがあるとムッとされている方も多いと思います。これをどうい うふうに表すかという話と、その意味ですね。つまり、先ほど言われたように、ここの 評価委員がそれぞれの立場で考えたことと、評価される側がそれぞれの立場で考えたこ とのディスクレパンシーは、プラス・マイナスあるのは当然といえば当然なのだけれど 、面白いことに産業安全研究所は自己評価よりこちらの方が高い項目がいくつかあるの です。これまた不思議といえば不思議なのかもしれないけれど、こういう話をパッとみ てビジュアルにどういうふうに表せるかという話も、事務局と工夫してもらえればと思 っています。  つまり、こちらの評価を真ん中にすると、自己評価でどのぐらいブレるかとか、そん な話をするとビジュアルに見えるかもしれないけれども、しかしその意味は何なのかと いうことを考える方がもっと大事です。それについて両方で健全な関係を築きながら、 堀田委員がおっしゃるようにこれは何のためにやっているかというと、パブリックに対 してどういうことが行われているのだよという話を何らかの格好で出していくというこ とではないかなと思います。  3番目は、全体として各省庁の評価のフォーマットがだんだん出てくると、どういう のがより適切な評価なのかという各省庁の皆さんの議論の集積が出てきて、よりよい建 設的な評価システムができてくるのではないかと思います。  私ばかりしゃべってすみませんが、全体として評価について、どういうふうに業務の 質の向上をプラスにしていくかという話について、何かコメントがありましたら、ご意 見をいただければと思います。  急に言われてもまた問題があるかもしれませんので、評価のシートにいろいろ書いて いただくとか、その他にありましたら事務局にファクスなりなんなりをいただければと 思います。  そのほか、起草委員の先生方には申し訳ないのですが、今日の審議、また個別項目で もし何かあれば、事務局からそういうのをまとめておきますので、草案を作成していた だくことをお願いします。それをもとにして総合的評価というのを次回にやらせていた だければと思います。  次の議題に移らせていただきます。財務諸表、各事業年度でそれぞれの法人で努力し てお金が余ったら返す必要はない、他のところで何か有益に使ってもらったらいいので はないか、この辺についてどうかという話です。また財務諸表の作り方というのは各省 庁の法人も同じになるのかどうかちょっとわかりませんが、これについてこの委員会の 意見を聞いたうえで、厚生労働大臣が承認することになっていますが、これについて事 務局から説明していただいて、それから、特に篠原委員からいろいろ意見をいただけれ ばと思います。 ○ 唐澤政策評価官  では資料4、財務諸表に関するポイントの整理という4枚紙の資料をご覧いただきた いと思います。  財務諸表については、当委員会で意見を言うことになっておりまして、ある基礎的な 項目をチェックしていくということが基本でございます。ここでは、まず総論として、 通則法、独法の会計基準等に基づいて処理されているかどうか、あるいは業務の遂行状 況が的確に把握できるか、わかりやすいか、適正な業績の評価に資するものになってい るか、監事の監査を受けているか、という事柄が総論の項目でございます。  個別には、貸借対照表の項目、損益計算書の項目、その他となっております。  貸借対照表につきましては、当然でございますが、重要な資産、負債についての著し い増減の理由の明示でありますとか、固有の表示項目でありますとか、あるいは必要に 応じてセグメント情報が開示をされているか、という事柄をみていく必要がございます し、通則法に基づいて短期の借入金がある場合にはその借り替え、重要な財産の処分の 仕方、財務面からの全体的な健全性という事柄をご覧いただくことになろうと思います。  損益計算書につきましても、基本的には同様の視点でございますが、重要な費用・収 益の著しい増減、固有の表示項目、セグメント、中期計画および年度計画の内容と費用 の表示が対応しているか、固定的経費の節減、あるいは積極的な外部資金の導入、自己 収入の増加という事柄、今後の法人の業務に影響を及ぼすおそれのあるものはないか、 というような事柄です。  4のその他では、運営費交付金債務の収益化基準があります。これは篠原先生からも ご指摘がございましたが、法人の業務内容等に照らして適正に採用されているか、会計 方針の変更があった場合の理由の明示や、その目的、業務内容等が適正なものであった かという事柄でございます。  剰余金の使途に関する事柄でございますが、通則法の44条第3項の規定によりまして 、大臣の承認を受けようとする額が法人の経営努力により生じたものであるか、またそ のことが十分に説明されているかということです。中期計画に定められた剰余金の使途 に関して、目的積立金が正しく設定されているか、ということが剰余金の処分に関する 関連事項でございます。  なお、剰余金の処分につきましては、それぞれの所管大臣から財務大臣への協議をす ることが法律で定められております。  次のページは、参考で別紙となっております。いま申し上げました点で特に留意して いく必要がある事柄について申し上げますと、一つはセグメント情報の開示でございま す。これは中のいろいろな業務の要素を区分をして、費用や収益の表示をどのようにし ていくかということになるわけでございます。下の枠にございますように、「セグメン トの区分については、一律かつ統一的に設定することが逆にその意味を失わせることに もなりかねないため、運営費交付金に基づく収益以外の収益の性質や複数の業務を統合 した法人における業務の区分を参考にしつつ、各法人において個々に定めていくことと する」となっております。  この3研究所では、区分の必要性はそんなにないわけですが、具体的には受託研究で ありますとか、基本的な本業とは別の柱になるような業務の費用あるいは収益の処理の 仕方の関係になってくるわけでございます。  運営費交付金の収益化基準につきましては、運営費交付金を法人が受領したときは債 務として整理をされるわけでございますが、それをどういう段階で収益化していくかと いうことでございます。  次のページをめくっていただくと、篠原先生からあとでコメントをお願いしたいと思 いますが、業務の進行に応じて収益化をしていくという意味での成果進行基準、あるい は業務の実施と運営費交付金財源とが期間的に対応している場合には期間進行基準、そ れから業務と交付金との対応が示されない場合ということで、これは業務のために支出 額を限度として収益化するということで費用進行基準、この三つの基準がございまして 、どれを採用していくかということになりますが、こういう点も財務諸表に関する一つ のポイントであろうと思っております。  以上でございます。 ○ 黒川委員長  ありがとうございます。こういうのはなかなかわかりにくいですね。 ○ 唐澤政策評価官  少しまた中身を整理していただいて、議論していただければと思っております。 ○ 黒川委員長  そうですね。総論になって、国民にわかりやすく説明されているかというと、大体わ かりにくいですね。 ○ 唐澤政策評価官  いつも見慣れている方はわかると思いますが、そうでない方はわかりにくいと思いま すので。篠原先生にずいぶんご覧になっていただいていますので、篠原先生とご相談し ながら原案を作成していただいて、起草委員の先生にもご覧をいただいて、次回、この 委員会でご議論いただけるようにしたいと思っております。 ○ 黒川委員長  これは篠原先生のような専門家に見ていただいてどうだというコメントをつけていた だきまして、それを議論し評していただくということがいいのではないかと思います。  何かその他についてコメントはありますか。篠原先生、そういうことでよろしいでし ょうか。 ○ 篠原委員  結構です。 ○ 唐澤政策評価官  最後に書類を1つ忘れました。栄養研の利益の処分に関する書類という2枚紙がつい ております。これは、前回お配りしたものとほぼ同じですが、次の2ページ目に利益の 処分額の発生事由というのを法人の方から整理してもらっております。これはご覧をい ただきまして、次回、ご議論をいただければと思っております。 ○ 黒川委員長  それも篠原先生の解釈をわかりやすく示してもらい、議論のポイントは何かというこ とを明確にしていただければいいわけですね。なかなか難しいなとは思いますが。  ということなのですが、起草委員の方には大変恐縮しておりますが、よろしくお願い します。  その他にまたコメントがあるのではないかと思いますが、どうぞ。まとめてでも個別 でも、起草委員会あるいは総合評価、あるいは財務、全体のあり方について、何かコメ ントがありましたらお願いします。 ○ 井原委員  総合的な評価をして書かなければいけないことになりますが、そのときの方向性はき ちんとしておく必要があると思うのです。そのときに、なぜこの評価委員会をやるのか といったら、これは先ほど渡辺委員がおっしゃっていたように、普通の民営企業だった ら市場で評価しますよ。しかし、独法でやっていることは公共財またはそれに準ずる財 の提供であって、これは市場評価にはなじまない。したがいまして、こういう機会を設 けて評価を行うのだというのがこの会の存続理由だろうと思うのです。  そのときに、評価の形としまして、普通、市場で需要者が商品を買う場合には、これ は短期的効果なのです。要するにそれが自分に利益になるかどうかという形で買うとい うことなのですね。ところがもう一つ、市場の場合の評価で長期的評価というのがある のです。これはどういうところで行われるかといったら株式市場がそうでありまして、 今、仮に損失が出ていても、組織をきちんとしたりそういうことをやりますと株が上が るのです。これは、組織をきちんとしたということは、将来にわたっていい商品を提供 して利益が上がるだろう、という評価なのです。  そういう意味で評価というのは、一つは、そのときは国民の満足を高めるためにどう いう貢献をしたかというのが基準になると思いますが、短期的にこういう成果を出して おります、これが短期的な評価でありまして、もう一つは、組織をきちんとしてこうい うことをやっていますよ、したがいまして将来、この研究所はこれだけ立派な成果を出 しますよ、ということを我々は見込んで長期的に評価するわけです。  それと、もう一つの財務はどういう位置づけになるか。ここで放漫経営をやられます と、国民が出資者になっているわけですから、それが大損害になる。だから経理をきち んとやっているということは、国民にとってのコスト負担を下げる要素をもっているわ けです。そういう意味で、コストの面と長期的な評価と短期的な評価が全体のまとまり になるような気がするので、そういう方向でもしコンセンサスが得られるのだったら書 きやすいのではないかという気がしたものですから、ちょっと言ってみました。 ○ 黒川委員長  ありがとうございました。その他にコメントはございますでしょうか。今の井原委員 に対するコメントでもいいし、何回か議論してきたこの評価委員会のミッションに沿っ た総合的評価が一回目として出てくるといいのではないかと期待するわけですが。 ○ 渡辺委員  起草委員になるらしいことも含めて、今まさに井原先生がおっしゃったけれども、長 期的な評価の場合、先ほど例を言いましたが、こういうことをやった、それで何が期待 できるのだ、その部分は、先ほど荒記理事長の話も聞いてわかったところもあるのだけ れど、今まではそれがないのが多いのですね。そうすると、これから起草委員をやって も、本評価というのか総合評価をやるにしても材料が足りない。これは出していただき たいと思うのですが、間に合うのでしょうか。29日に全部やるわけではないでしょう。 ○ 唐澤政策評価官  そうではないです。 ○ 渡辺委員  それがないと、特に今おっしゃった長期的な部分が、わかりにくいと思います。 ○ 唐澤政策評価官  少し整理しまして、特に長期的なものに関係しそうな項目は、どういう事柄に影響し てどんな成果が実現できるのかというようなことについて検討してみたいと思います。 ○ 黒川委員長  その他に。 ○ 開原委員  今の議論は私も非常によくわかるのですが、もう一つ、この評価委員会に課せられた 課題は、中期目標というのが既に与えられてしまっているわけですね。その中期目標が 達成されたかどうかということを評価しろというのがこの委員会の、ある意味では公式 の要請ではないかという感じがするのです。その場合に、中期目標の中に今言われたよ うに長期目標や短期目標がちゃんとうまく盛り込まれていれば、そこのところは非常に 整合性がいいのですが、中期目標というのが非常に抽象的に与えられていて、私自身も いまひとつ釈然としないところがあるのです。  そうすると、その中期目標の達成度ということを離れて、今のようなもうちょっと国 民的視点からあるべき論をやってしまってもいいのかどうか、そこのところは、ここで ある程度方向性を決めておいていただいた方がいいのではないかという感じがいたしま すが。 ○ 渡辺委員  いま開原先生がおっしゃったこと、私も先ほどもちょっと考えて同感なのですが、例 えば、目標として質の高い人材を集めるというのがありますね。質の高い人材を集める といっても、一般の人たちはといったら言い過ぎかもしれませんが、そうはいっても大 したことなかろうという目でどうしても見る。特に公的機関に対しては。そのときに、 こういったことを期待してこういった人物、こういった研究者を云々みたいなことは書 けるのではないかという気がするのです。あるいは、こういう目的のためにこういった ことをするのだと。これについても、その範囲の中で何が目的だということは、それが どういう意味を持つかということをもう少し踏み込んだ表現で書くといいましょうか、 それは可能なのではないかという気がしておりますが。 ○ 開原委員  私も渡辺委員に同感なのです。ですから、ある意味では中期目標をもう少しわれわれ なりの解釈を入れることをある意味ではお許しいただきたい、私の気持ちとしてはそう いう感じではあります。 ○ 黒川委員長  その他に。大久保委員、何かありますか。 ○ 大久保委員  ご指名がありましたので、一言だけ。このSD法というのは専門性が非常に色濃く出 てくる方法だということは、皆さん、全員の方がおわかりです。したがいまして個人に よって大きくばらついてしまうという意味では、これは今、平均値でお出しになってお ります。これはそれなりに評価されると思うのですが、それと同時に、委員長もおっし ゃっていましたが、SD、標準偏差をこの表の中に入れていただきますというと、いっ たいそれは何が偏差値が大きくなっているのか小さくなっているのか、どういう要因で 大きくなっているのか小さくなっているのかといったことの分析を、たぶんある程度は できるのではないかと思います。  言い換えますと、質問項目によって、例えば専門性の高いようなものについては非常 に良い評価をしているとか、あるいは悪い評価をしているといったようなことが、細か く出てくるとは思いませんが、ある程度のところは類推できるものもあるのだろう。そ こらあたりは委員長のほうで詳しくご評価いただいて、全体的な評価の中にぜひコメン トとしてお入れいただければ、先ほどおっしゃっております隔たりの理由が埋められる 部分もかなりあるだろうと思いますので、よろしくそこのあたりはお願いいたします。 以上です。 ○ 黒川委員長  これは、平均プラスを入れて、変動係数か何か入れてパーセントを出しておくと、な ぜばらついたのかなという話も、見る一つの資料になってくるかもしれない。それは、 ちょっとやって、また考えさせていただきたいと思います。  その他に、五十嵐委員、どうですか。 ○ 五十嵐委員  難しい点は、中期目標と比べての評価というので始まったのですが、実際にはそうで はないところもたくさんあって、お話を聞いていると、現在、ここまで進んでいてとい う話になって、それを我々が聞いていますから、それで評価してしまうということがあ る。もう一つは、これは5年間の目標ですから、その中で3年間でここまで来ましたよ、 今後どうなるのかということが割とよくわからないのですね。そこのところで今後の展 望というのをもう少し出していただけると、今後、長いですから、5年間のうちで1年 間しか終わっていないわけで、4年間でどこまでやるのだということが何となく見えて こないところが全体的にあるのですね。そこがちょっと気になるところです。 ○ 黒川委員長  これは全体の問題かもしれないし、確かに新しい研究所の方がたも非常に苦労してい るところなのではないか。独法化のあり方が5年の中期目標などといろいろなことが言 われて、それに合わせて書いて、その中期目標が妥当かどうかなどという話はやってい るわけではない。この辺の問題が初めてのシステムということもあって出始めているの で、各省庁の評価委員もそういう会話をキャッチボールしていると思うので、これのあ り方そのものが、中期目標5年でどうだこうだという話が本当にいいのかどうか、研究 所によってもミッションのウエイト、内容によっても違いますから、その辺をもう ちょっとフィードバックして、もうちょっといい格好に収まってくるのではないかと思 います。そういう方向で評価委員会でもプラスになるような議論ができればよいなと思 います。そういうのが、どういうふうに入れるかは別として、総合評価の中にコメント として反映できればいいのではないかと思っています。  では、一言ずつどうでしょうか。 ○ 古郡委員  評価には、辛い人もいれば甘い人もいるし、無難に平均的なところで評価するとか、 一つの項目の印象で全体を評価してしまうとか、これを見ますと、全部平均で出てくる ところは、大体のところAとBとB+と、大して変わらないなという感じがいたします から、大山鳴動して出てくるのが同じような評価かという感じがしますが。  一つ気になっているのは、国立健康・栄養研究所のが一つだけC+になってしまっ た。これが確かに前回の委員会のときに目立ってしまったのですね。評価シートを見ま すと、平成13年度計画が全然書いていないということで、説明の仕方とかそういうのに 影響されて、評価委員もそういうところがあったのではないかなと、非常に不幸な結果 かなと思っております。  ですから、評価シートの書き方や説明の仕方で違いが出るし、評価する方の能力も問 われますので、そういう影響も受けやすいという感じがします。 ○ 黒川委員長  これがフィードバックの一つのステップになってくれればいいわけで、問題点を指摘 しないとお互いに前に進まないということで非常に大事なことではないかなと思いま す。 ○ 古郡委員  今後の評価シートの書き方を工夫していただいた方がいいと思います。 ○ 中窪委員  前半、別の用で遅くなって申し訳ありませんでした。  最初に議論があったのかもしれませんが、私は、これは13年度にきちんと目標があっ て、それを達成したかどうか、ここが一番のポイントだと思ってつけました。そういう ところで、Bというのはこれはきちんとやっているということですから、あと、特に優 れているとか優れているのがあればよろしいですし、逆に劣っているところがあれば問 題ですが、そういう意味でBとか3とかというのが決して悪いものではなくて、それは 節目はきちんとやっているのだ、このことを基本に全体の評価としても書いていただく べきではないかと、当然ですが、その点を確認しておきたいと思います。 ○ 黒川委員長  いろいろな議論がありましたが、その他に発言はありますか。 ○ 田中理事長  何回もここでご説明申し上げましたように、全国の独立行政法人の中で唯一私どもが 自前の建物と土地を持っていないのです。1か所だけなのです。要するに間借りなので す。ですから、物理的にも機器を十分備えることができないのです。通常の機械は持っ ております。例えば分光光度計とか、あるいは原子吸光とか、液体クロマトとか、ガス クロとか、それは持っております。しかし、そんなものを他の大学や研究機関の研究者 が使いに来るかということなのです。しかも、使用料を払って使わせて欲しいと言って 来るでしょうか?一般にわかりやすい言い方をしますとパソコンレベルの話ですね。パ ソコンというのは備品でありますが、実際上は消耗品です。ですから、パソコンを使う ために他の企業の方が別の企業に使用させて欲しい、料金を払って使用したいと言って 来ることがあるでしょうか?そんなことはあり得ないわけです。だから、機器を他の機 関と共同で使うということは私どものところでは非常に難しい。そういうご理解をして いただきたいのです。  もう一つ、今後、共同で使える可能性があるのはメタボリックチャンバーでありま す。この装置は部屋の中に人間一人が入って、その人の酸素の消費量、炭酸ガス産出量 評価していくもので、利用が非常に難しいのもですが、やっとそれが使えるようになっ てきた。しかも、通常は3ないし5年かかるものを1年半余りで達成して、これから本 格的稼働だということであるわけです。だから、共同で使えるものはそれ一つなので す。だから、いくらCをつけられても、現時点では共同研究者を全国各地から集めてそ れを増やしていくことは不可能であるというご理解をしていただきたいのです。  知的財産権、すなわち特許出願数は、吉池主幹が申しましたように、国研時代にはな かったのに1件出たこと、研究員数が非常に少ないことを御考慮の上、評価をしていた だきたいと思います。 ○ 黒川委員長  中期目標に「それは不可能である」と書いておくのもね、そうするとそれはいらない のかという話にもなりかねないですね。そういういろいろな話を、各省庁の独法でもそ れぞれの問題点はたくさん抱えていると思うので、この点をどうやって反映させていく のかというのが、総務省の全体の評価になってくるのかなと思います。  今日は時間が長いのですが、これもやっと船出を始めるというところなのかなと思っ ております。結局、こういう話は日本の国のあり方と社会のあり方の根本に関わる問題 なので、日本は近代国家だと思っていても、実は明治維新からまだ 140年も経っていな いのですね。今の国の体制が1940年体制、挙国一致体制だという話はよく知られてきま したが、そこから60何年しかたっていなくて、まだ半分以上が戦後みたいな感じですよ ね。そういう意味で今日本で問題になっているのは、明治維新からはどうしても官主導 というか、政府主導ですべて産業も興し教育もやりと、国がやたらと大きかったという 話で、そのまま戦後にも入ってきて、冷戦構造と日米安保護送船団ということで、冷戦 と日米安保があったから経済成長したような気もしないでもない。今はそれが日本の国 のあり方そのものの考えになっているわけで、だから、なんでも政府が面倒をみなくて も、民でできるところはなるべくした方がいいのではないのという話が出てくる。  そういう意味では、国のあり方としては、ある程度成熟してくると、政府というセク ターとプライベートセクターとそれがお互いにあるわけだけれど、もう一つは、NPO とか税制の問題もものすごくあるのだけど、プロフェッショナルコミュニティ、例えば 学会の先生とか大学の人、教育に関わる人、医師会もそうだと思うのだけれど、そうい う人たちが自分たちでいかにクオリティコントロールをしながら透明で、公共に対して 説明責任があるかということを常に考えているという社会を構成していかなくてはいけ ないのだというのは、日本の歴史にはないのですね。その辺が西洋の何百年の歴史とい うのはなかなか難しいので、その辺への移行期の一つのステップとしてこれをとらえる のが大事なのではないかと思います。  そうなると、NPOとか税制もそうだけれど、国のあり方の基本的な軋みが次へ移る というところの移行期で、既得権のある人たちとない人たちとのせめぎ合いとかいうこ とをやっていて、大きな借金を抱えて、さあ、どうなるのでしょうか、という話もある わけです。そこで、それぞれのお立場はあると思うのだけれども、全体として国のあり 方の移行期にこういうことをパブリックと会話をしながらキャッチボールして、どんな 国になりたいのかという話をできるような格好で総合的評価、それですぐにそういうメ ッセージが出るかどうかは別として、そういう話がだんだん出てくるようになってくる のが、もうちょっと成熟した国への一歩なのではないかと思います。  そういう意味からいうと、今までの国研のあり方、大学のあり方もそうですが、全体 の社会のあり方へどのようにこれがメッセージを発せられるかという格好になってくれ ばいいのではないかと思います。それぞれのお立場は十分わかりますが、こういうこと ができるようになってきたこと自体が一つの成長なのではないかととらえて、この評価 委員会の役割が務められればいいのではないかと私も思っていますので、またよろしく お願いします。  そんなことでぜひ、特に起草委員の先生方、よろしくお願いします。  では、これからの予定を説明してください。 3.閉会 ○ 唐澤政策評価官  手短に申し上げます。次回は、8月29日の午後3時から午後5時までの予定で、経済 産業省の別館の専用 944会議室で開催をする予定にしております。  次回は、先ほどまでお話がございましたように、総合的評価、財務諸表、剰余金の使 途に関する意見について起草委員の先生方にドラフトを作成をしていただきまして、そ れをベースにしてご議論をいただくということでございます。よろしくお願いいたしま す。 ○ 黒川委員長  今日は、3研究所の理事長先生、スタッフの皆さん、ありがとうございました。また 評価委員の方がたもありがとうございました。また、事務方もよろしくお願いします。 ありがとうございました。                                     −了− 照会先 政策統括官付政策評価官室 政策評価第1係・第2係 代)03-5253-1111(内線7784・7780) ダ)03-3595-2160