02/06/12 薬事・食品衛生審議会薬事分科会(平成14年6月12日開催分)議事録


           薬事・食品衛生審議会 薬事分科会 議事録


1.日時及び場所
  平成14年6月12日(水) 15:00~
  厚生労働省専用第22会議室

2.出席委員(19名)五十音順
  青柳  俊、 赤松 功也、 池田 康夫、 板倉 ゆか子、
  井村 伸正、 岩田  誠、○上田 慶二、◎内山  充、
  岡本  彰、 神山 美智子、首藤 紘一、 杉村 民子、
  長尾  拓、 広津 千尋、 松本 和則、 溝口 秀昭、
  溝口 昌子、 吉倉  廣、 吉田 仁夫
  (注) ◎部会長  ○部会長代理
  欠席委員(7名)五十音順
  河村 信夫、 木下 眞男、 桜井 靖久、 南部 鶴彦、
  望月 眞弓、 吉永 祐介、 渡辺 俊介

3.行政機関出席者
  宮島  彰(医薬局長)  、 田坂  治(総務課長)、
  池谷 壮一(審査管理課長)、 北條 泰輔(医療機器審査管理室長)、
  松田  勉(化学物質安全対策室長)、 
  黒川 達夫(安全対策課長)、 鈴木 英明(血液対策課長)、
  栗本 まさ子(農林水産省畜産部薬事室長)、
  豊島  聰(審査センター長)、姫野 孝雄(企画調整部長)、
  平山 佳伸(審査第一部長)、 橋爪  章(審査第三部長) 他

4.備考
  本部会は、非公開で開催された。

○内山分科会長
 それでは定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会薬事分科会を始めます。まず
委員の異動がございましたので、事務局から御紹介をお願いいたします。
 事務局の人事異動も一緒にどうぞ。

○総務課長
 昨日付けで総務課長に着任いたしました田坂でございます。よろしくお願いいたしま
す。それでは私の方から委員の異動について御紹介させていただきます。糸氏委員が御
退任されまして、新たに青柳委員に当分科会に御参加いただくことになりました。

○青柳委員
 よろしくお願いします。

○総務課長
 続きまして事務局の異動でございますが、5月1日付けで化学物質安全対策室長に松
田が着任しております。

○化学物質安全対策室長
 よろしくお願いします。

○総務課長
 以上でございます。

○内山分科会長
 それでは最初に資料の確認を事務局からお願いいたします。

○事務局
 それでは資料の確認をさせていただきます。資料1~20までがあらかじめ御送付して
いる資料でございます。本日は資料21につきまして配付させていただいております。そ
のほかに議事次第、座席表、それから名簿を配付させていただいておりますので、御確
認のほどお願いいたします。

○内山分科会長
 当日配付は一番最後の資料21というものだけだそうです。よろしいですね。それでは
議題に入りたいと思います。最初に資料1ですが、医薬品イレッサ錠の輸入承認の可否
等につきまして、池田先生から何かお話ありますか。よろしゅうございますか。

○池田委員
 それで結構でございます。

○内山分科会長
 では事務局に説明してもらいましょう。

○事務局
 それでは事務局の方から本剤の審査の概略について、御説明させていただきます。
 本剤の規格及び試験方法、毒性、薬理、吸収・分布・代謝・排泄に関して提出された
資料の内容は妥当であると判断いたしましたが、申請準備を進めていた当初の申請予定
製剤に問題があることが判明し、急遽治験で使用した製剤での申請に切り替えたという
事情から、安定性試験につきましては、規定のロット数での成績は提出されておりませ
んでした。しかし、「審査報告書」の53ページに記載しておりますように、申請後規定
のロット数での安定性が確認されている当初申請予定であった製剤と、今回申請された
製剤との相対比較安定性試験が実施されており、医薬品第二部会開催後にその結果が提
出され、今回申請された製剤の安定性を確認しております。また、本剤はpHが6.8以
上の溶液中では溶出しないことが示されており、実際ラニチジンとの併用による薬物動
態への影響を検討した臨床試験において、胃内pHの上昇に起因すると思われるCma
x及びAUCの低下が確認されていることから、添付文書の「重要な基本的注意」、
「相互作用」の項及び「有効成分に関する理化学的知見」の項で情報提供を行うととも
に、日本人高齢者において多いと報告されている無酸症への対策として、「用法・用量
に関連する使用上の注意」において、食後投与が望ましい旨記載いたしました。
 次に臨床試験について述べさせていただきます。プラチナ系抗悪性腫瘍剤による治療
歴のある非小細胞肺癌患者を対象とした第II相国際共同試験において、250mg1日1回
投与と500mg1日1回投与での比較が検討されており、欧米人250mg群では52例中PR5
例を認め奏効率は9.6%、欧米人500mg群では55例中PR5例を認め奏効率は9.1%であ
ったのに対し、日本人250mg群では51例中PR14例を認め奏効率は27.5%、日本人500mg
群では51例中CR1例、PR13例を認め奏効率は27.5%と、日本人において高い有効性
が示されております。国内外での奏効率の差に関しては、海外症例での前治療期間の中
央値が日本人症例での前治療期間の倍以上であり、本剤投与開始時におけるPerformance
 Statusに差があったためではないかと考えられています。なお、申請用量は250mg群と
500mg群において有効性に差が認められないことより、安全性の観点から250mgが選択さ
れております。また、「審査報告書」の33ページになりますが、プラチナ系及びタキサ
ン系抗悪性腫瘍剤による治療歴のある非小細胞肺癌患者を対象とした米国第II相試験に
おいて、250mg投与群で102例中PR12例を認め奏効率11.8%であり、非小細胞肺癌に対
する第三次治療における本剤の有効性も示されております。以上の臨床試験成績を踏ま
えて、化学療法歴のある非小細胞肺癌患者に対する本剤の有効性は認められると判断い
たしました。
 次に本剤の安全性に関してですけれども、添付文書の「副作用」の項を御覧いただき
たいと思いますが、本申請の効能及び用法・用量によって実施された臨床試験での日本
人副作用評価症例51例中98%に副作用が認められ、主な副作用は発疹、下痢、そう痒
症、皮膚乾燥等でありましたが、適切な処置を施すことで対応可能であると判断いたし
ました。
 なお、5月24日に開催された医薬品第二部会におきましては、本剤の臨床効果とEG
FRチロシンキナーゼ阻害作用との関連性について、現時点において明確ではないこと
が指摘され、審議の結果、作用機序解明の更なる検討を承認条件とすべきと結論されて
おります。
 以上のとおり、審査センターでの審査結果及び医薬品第二部会での審議結果を踏ま
え、化学療法歴のある非小細胞肺癌患者に対する本剤の有用性は認められ、「効能・効
果に関連する使用上の注意」において、化学療法未治療例及び術後補助療法における有
効性及び安全性は確立していない旨記載した上で、効能・効果を非小細胞肺癌(手術不
能又は再発例)と設定し、さらに本効能に対する本薬の有効性及び安全性の更なる明確
化を目的とした十分なサンプルサイズを持つ無作為化比較試験を国内で実施すること、
及び本薬の作用機序の更なる明確化を目的とした検討を行うとともに、本薬の薬理作用
と臨床での有効性及び安全性との関連性について検討することを条件に承認して差し支
えないと判断し、薬事分科会で審議することが妥当と判断いたしました。なお、本剤は
再審査期間6年、原薬、製剤共に劇薬に該当すると判断しております。御審議のほどど
うぞよろしくお願い申し上げます。

○内山分科会長
 ありがとうございました。よろしゅうございますか。池田委員、特に御追加ございま
すか。

○池田委員
 特に追加することはないのですけれども、世界に先駆けて我が国で承認するという状
況であるわけですが、悪性腫瘍、特に非常に死亡率の高い難治性の疾患であるというこ
とで、それに対する効果がはっきり認められていると。基礎実験、そして臨床試験から
もそれが認められているということで、安全性がある程度担保できるようであれば承認
条件を付けた上で承認しても差し支えないのではないかというのが医薬品第二部会での
先生方の御意見であったように思います。先ほどもお話がありましたように、幾つか作
用機序の問題、あるいは国内外での成績、日本人の方がややいいという説明ができない
部分も確かにあるわけでありますが、患者の治療の緊急性ということにかんがみて、分
科会で御審議いただくのが適切であろうということでございます。よろしくお願いしま
す。

○内山分科会長
 ありがとうございました。概要の6ページに書いてある絵にあるように、新しい癌治
療の標的分子の一つだということで、EGFRを含むシグナル伝達によってこれが活性
化されて、増殖に働くところのチロシンキナーゼを阻害するということで、分子標的薬
剤としてかなり注目されてはいるようです。もっとも1,500もある候補の中からスクリ
ーニングで選んできたということは間違いありませんので、そういった方法とそれから
分子標的という新しい考え方の両方が融合したような感じだと思いながら見ておりまし
た。ただいまの事務局からの説明、それから池田先生のお話等について御質問等があり
ましたら、どうぞお願いいたします。溝口先生、どうぞ。

○溝口(秀)委員
 グリベックに続いて大変ユニークな分子標的療法を目指した薬だと思いますが、一つ
お聞きしたいのは、一般に抗腫瘍剤の有効性を単剤で見る場合に、何%くらいの有効性
があれば有効と考えるのでしょうか。

○内山分科会長
 要するにこれが10%前後だからということですか。

○溝口(秀)委員
 抗悪性腫瘍剤調査会に参加をさせていただいたときは、血液腫瘍などの場合ですと大
体20%超すということが一つの要件になっていたと思います。ほかの腫瘍ですとそこま
でいかないかもしれませんが、先ほど池田先生が御指摘された、国内では20%を超して
いるけれども国外では9%と低いということがありますけれども、それは市販後の調査
条件に入っていましたが、最近有効とする条件はどうなっているのか。あるいは血液腫
瘍以外の使用ではどうなっているかちょっとお聞きしたいと思っております。

○内山分科会長
 今事務局担当者から何か意見があるかもしれないので聞いてみますが、池田先生から
お話がありましたように、結局治療薬がないものだということがまず一つ条件になるこ
と。それから用法・用量ですが、条件的に必ずほかのもので治療した後で使いなさいと
いうのがありましたね。そういった条件を付けたのは、確かに今先生がお話しされたよ
うにほかのものでは効かないけれども、その上に上乗せしてこれだけ効くという意味で
はないかという気がしますが、事務局から何かございますか。

○事務局
 審査センターからお答えいたします。通常の非小細胞肺癌でありましたら、単剤での
抗腫瘍効果というのは、最近承認された薬の塩酸ゲムシタビンやタキソール、パクリタ
キセルとかドセタキセルなど、未治療例であれば25~30%ということが標準でございま
す。しかし、本剤のように二次治療あるいは三次治療、1回目の治療をfailureした、
あるいは2回目の治療をfailureしたケースに対しましては10%行けば非常にいいであ
ろうと。私どもが審査する場合には、単純に奏効率では審査しておりませんで、その中
身、前治療の強度とかサバイバル・ベネフィット、これは比較試験ではございませんの
で何とも言えませんが、一応過去の事例に比べてMSTの延長がどのくらいあるか、そ
れから1年生存率がどのくらいかというのを総合的に判断して見ます。先ほど内山分科
会長もおっしゃったように、本剤の場合は三次治療、0039試験ということで、非常にヘ
ビーな前治療が入った非小細胞肺癌というのは通常4か月くらいで亡くなるのですが、
その方々の生存が7か月ほどまで延びる可能性が高いということで、非常に有望な薬で
あると判断したという経緯がございます。

○内山分科会長
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○上田分科会長代理
 まれではありますが、本薬は心電図中のQTを延長して重篤な不整脈の発生もみられ
ますので、添付文書の注意の記載について再度御検討をお願いしたいと思います。その
不整脈についてですが、これは非臨床試験でIkr、カリウムチャンネルの阻害をする
ということは明らかであります。
 それからイヌの心電図のテレメータで、投与後2時間でQTcを延長したイヌが出て
おります。また、ヒトにおきましても1例か2例の延長例があります。そういうことか
ら考えますと、非常に優れた薬でありますが、副作用によって使用が障害されることが
あってウィズドローアルされることがあっても困りますので、「使用上の注意」のとこ
ろで心電図の検査が望ましいという記載をお願いしたいと思います。

○事務局
 事務局より補足します。添付文書の「その他の注意」のところにイヌを用いた試験に
おいて、「QT間隔の延長は認められなかった」という記載がありますが、これは先生
の御指摘のとおり不正確な表示でございますので、試験結果に忠実な記載に改めたいと
思います。
 また臨床におけるQT延長に関しましては、安全性情報の更新された情報も踏まえた
上で、再度検討させていただきます。

○上田分科会長代理
 その添付文書の「その他の注意」というところは余り医師が関心を持たないところで
す。ですから、医師がよく注意して読むところへきちんと書いていただきたいです。や
はり前の方の注意のところへお書きいただいた方がいいのではないかと思います。それ
からイヌの成績を書きましても、臨床医がどれくらいこれがヒトとつながるかというの
が分からないことがあるのです。ですから、そこを考慮していただいて、危険のないよ
うにお願いいたします。

○事務局
 一応添付文書の記載方法としまして、「その他の注意」といいますのは、要するに臨
床の方では明確ではないのだけれども、動物試験等の結果より今後可能性がある場合に
記載するということで、現状では申請者は臨床での危険性はないものと判断しておりま
すが、この辺の情報も再度検討させていただきます。

○上田分科会長代理
 臨床例でも出ているのですよね。ただ、分母の対象例の数がよく分からないのです。
何例のうち何例かというのがよく分からないのですが、とにかくQT延長症例が2例あ
ることは間違いありませんので、十分御検討をお願いいたします。

○事務局
 了解いたしました。

○上田分科会長代理
 「重要な基本的注意」のところに、肝臓の検査を1か月ないし2か月に1回すること
が望ましいという記載があったと思うのですが、それに似たような表現で心電図検査の
実施が望ましいという記載があったらいいのではないかと思います。これは御検討くだ
さい。

○事務局
 検討させていただきます。

○内山分科会長
 記載の案につきましては、上田委員とよく御相談ください。ほかにどなたかいらっし
ゃいませんか。どうぞ。

○松本委員
 本剤の適応症例につきまして、事務局のお考えをお伺いしたいと思います。「審査報
告書」の37ページには、EBMに基づいた判断を尊重するという意向のことが書いてあ
るわけですが、この薬剤の適応症例は手術不能、又は再発の非小細胞肺癌に限るという
ことを意味するわけでしょうか。

○事務局
 審査センターからお答えします。「効能・効果」で一応「(手術不能又は再発例)」と
書いてありますのは、そのような症例に限るという意図で効能・効果の設定をいたして
おります。

○松本委員
 そういうことになりますと、この「添付文書(案)」を見させていただきますと、「非
小細胞肺癌(手術不能又は再発例)」と括弧を付けてありますし、その下の「効能・効果
に関連する使用上の注意」の(1)、(2)でやはりこういう注意書きをされているという
ことは、本剤は場合によっては非小細胞肺癌全体に使われる、第一選択として使われる
ということを予想している書きぶりではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○事務局
 予想というよりも、これは確認済みではございませんが、むしろ従来のこういう経口
剤の場合、比較的安易に術後の補助化学療法でありますとか、単剤での低用量での治療
というのが一般医科で行われる事例もこれまで割と多くございました。その辺もこの薬
の毒性、特に角膜に対する毒性とか、先ほど上田委員がおっしゃいましたQT延長、長
期投与した場合の本剤の安全性なども依然確認しておりません。余り広い対象患者さん
に使うことがあってはいけないので少しくどくなったのですが、「効能・効果」でまず
手術後のアジュバントには使わないでくださいとして「手術不能」、又は「再発」とい
うのはきちんとした化学療法を受けた後の患者さんを対象にしてほしいということで
「再発」という言葉を入れました。これは従前の抗癌剤でも、種々の抗癌剤の「効能・
効果」でこういう表現で括弧をして、「手術不能又は再発」ということで使ってきた事
例がございますので、それを踏襲してそのような記載にして、更に「効能・効果に関連
する使用上の注意」の中で使用に関してなるべくこういうところに注意してくださいと
いう記載をさせていただきました。
 従前は「重要な基本的注意」のところでこのような表現をしておりましたが、先ほど
上田先生もおっしゃいましたように、なるべく医師の目に触れるところの方がいいだろ
うということで、「効能・効果に関連する使用上の注意」のところまで持ってきて、い
ろいろな情報提供という意味で書かせていただいた次第です。

○松本委員
 私は単純にすべての非小細胞肺癌に場合によっては使うかもしれない、使っていいか
使って悪いかは問題あるとは思うのですが、本当に使わせたくないという意味であれ
ば、「手術不能又は再発の非小細胞肺癌」とすればすべて済むことなのですが…。

○内山分科会長
 括弧の中に入れておくのはかえって良くないというお話ですね。

○松本委員
 そういうふうに書けば、こういう例もありますが、非小細胞肺癌全体でも場合によっ
ては使えるという解釈が成り立つのですね。

○内山分科会長
 括弧の中に入れますと、例えばという意味にとられるのではないかと。

○松本委員
 しかも(1)、(2)にこういうことが書いてあれば、こういうことになっても必要性が
あるから使いますということになるものですから、その辺はやはり統一した考えで書か
れた方がいいと思います。   

○内山分科会長
 そのとおりだと思います。ですから、「使用上の注意」のところはこれでいいのです
が、その前の本文を括弧の中に例示したと思われる内容にもっと限定して、その限定し
た中身を文章でそのまま書いてほしいと。

○松本委員
 こういう特殊な作用の薬の場合、いろいろなデータを集めたいという暗黙の意図があ
る、患者さんとの間のいわゆるインフォームド・コンセントで場合によっては使ってい
ろいろなデータを集めたいという意図があるのであれば話は別かとは思うのです。しか
し、本当の意味で有効性、安全性からいってまず最初はこういうことでデータをとりま
しょう、その後やりましょうと言うのであればはっきりした方がいいですし、そうでな
ければこれでもよろしいと思うのですけれども。

○内山分科会長
 先ほどの事務局の説明では、効能・効果は限定するという意思がありましたから…。
はい、どうぞ。

○池田委員
 実はただいまの松本委員のお話と同様の議論が第二部会でもございまして、これは現
時点では手術不能、又は再発例の非小細胞肺癌に用いるという格好で、それを更にはっ
きりするために未治療例では有効性も安全性も確立していないと理解していただくこと
がいいのだろうと私は理解しました。書きぶりについては、ある意味では松本委員がお
っしゃるような書きぶりの方が誤解がないということであれば、どうでしょうか。第二
部会ではそういう議論になったと思いますけれども。

○事務局
 松本委員の御指摘に従いまして、松本委員がおっしゃるような例示的な書きぶりに変
えさせていただきたいと思います。

○内山分科会長
 ではそのようにお願いします。ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それ
では御審議いただきましたこの資料1については、御承認いただいたことにさせていた
だきます。
 以下は報告事項でございます。資料は2からですが、報告事項の議題1から順に説明
をお願いします。

○事務局
 それでは事務局より報告事項の議題1の「副作用被害判定結果について」を、資料2
に基づき御報告させていただきます。本年5月23日に開催されました副作用被害判定部
会において、新規案件46件、継続案件8件、現況案件22件、計76件について御審議いた
だきました。その結果、支給決定することが適当と考えられるものが63件、不支給決定
することが適当と考えられるものが6件、追加情報を得て再度審議することが適当と考
えられるものとして保留となった案件が7件でございました。なお、支給決定すること
が適当と考えられるもの63件の中には、請求期間の一部について支給決定することが適
当と考えられるものが18件、及び請求内容の一部について支給決定することが適当と考
えられるものが1件含まれております。以上でございます。

○内山分科会長
 引き続いてお願いします。

○事務局
 続きまして、新薬関係の報告事項について簡単に御説明させていただきます。本日御
報告させていただきますものは、議題2~5までが4月26日及び5月31日の医薬品第一
部会において、議題6~8までが5月24日開催の医薬品第二部会において審議され、い
ずれも承認して差し支えないとされた7件についてでございます。
 では始めに資料3をお願いいたします。販売名ロラタジン原末、クラリチン錠10mg、
一般名はロラタジン、申請者がシェリング・プラウ株式会社でございます。ヒスタミン
H1受容体拮抗薬であり、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚
そう痒症)に伴うそう痒を効能・効果とする新有効成分含有医薬品でございます。再審
査期間は6年、毒薬及び劇薬には該当しないとされております。
 続きまして資料4をお願いいたします。塩酸ランジオロールTKS、オノアクト、注
射用オノアクト50についてでございます。一般名は塩酸ランジオロールでございます。
申請者はナガセケムテックス株式会社、小野薬品工業株式会社でございます。本薬はβ
1遮断作用を持っており、手術時の頻脈性不整脈に対する緊急処置を効能・効果とする
新有効成分含有医薬品でございます。原体製剤共に劇薬に指定することが適当とされて
おります。再審査期間は6年とされております。
 続きまして資料5をお願いいたします。販売名がボンアルファハイ軟膏20μg/g、一
般名はタカルシトール、申請者は帝人株式会社でございます。本薬は難治性の尋常性乾
癬を効能とする活性型ビタミンD3誘導体で、既存の製剤の10倍の濃度の軟膏剤でござ
います。再審査期間は4年とされております。
 続きまして資料6をお願いいたします。販売名はチオラ錠100、一般名はチオプロニ
ン、申請者は参天製薬株式会社、本剤は希少疾病用医薬品としてのシスチン尿症の効能
・効果の追加でございます。従前の効能は、慢性肝疾患における肝機能の改善、初期老
人性皮質内白内障、水銀中毒時の水銀排泄増加でございます。再審査期間は10年とされ
ております。
 続きまして資料8をお願いいたします。販売名はダラシンTゲル1%、一般名はリン
酸クリンダマイシン、リンコマイシン系抗生物質、申請者はファルマシア株式会社でご
ざいます。本薬は、尋常性ざ瘡を効能・効果とする新投与経路医薬品でございます。再
審査期間は6年とされております。
 続きまして資料9をお願いいたします。販売名はアロマシン錠25mg、一般名はエキセ
メスタン、申請者はファルマシア株式会社でございます。本薬は、アロマターゼ阻害作
用を持っており、閉経後乳癌を効能・効果とする新有効成分含有医薬品でございます。
原体製剤共に毒薬及び劇薬に該当しないとされております。再審査期間は6年とされて
おります。
 続きまして資料10をお願いいたします。リュープリンSR注射用キット11.25につい
てでございます。一般名は酢酸リュープロレリン、申請者は武田薬品工業株式会社でご
ざいます。本薬は前立腺癌を効能・効果とする12週持続製剤で、従前は4週毎投与製剤
でございました。再審査期間は4年とされております。

○内山分科会長
 もう一つお願いします。

○事務局
 ちょっと戻りますが、資料7の希少疾病用医薬品の指定につきまして御報告申し上げ
ます。成分名はエポプロステノールナトリウム、申請者がグラクソ・スミスクライン株
式会社でございます。肺動脈性肺高血圧症(ただし原発性肺高血圧症を除く)の効能で、
希少疾病用医薬品の申請されたものでございます。5月に開催された医薬品第一部会に
おいて、指定要件を満たすと判断されまして、指定して差し支えないとされたものでご
ざいます。以上でございます。

○内山分科会長
 それではクラリチンからリュープリンSRまでのところですが、お聞きいただきまし
て何か御意見、御質問ございましたらお願いいたします。
 医療用の持続型のこのDDSで、3か月というものは今までありましたか。期間だけ
の話ですが。事務局、どなたかお願いします。

○事務局
 同種の製剤でございますが、アストラゼネカ社のゾラデックスという3か月持続製剤
が承認されております。

○内山分科会長
 そうですか。ほかにどなたかよろしゅうございますか。どうぞ、広津委員。

○広津委員
 多少テクニカルなコメントを含んでおりますので、適切かどうかちょっとよく分から
ないのですが、二、三気になる点をお聞きしたいと思います。
 三つほどあるのですが、一つは資料3で、最初の臨床試験の結果がややエビデンス不
十分で追加臨床試験が行われているのですが、その追加試験もここに書かれているデー
タの限りでは、特にアレルギー性鼻炎に関して余りすっきりしないような気が何となく
するので、その理由をお聞きしたいのです。一つには、III相では全般改善度をプライ
マリーにしていて、この追加試験では、どうも鼻症状スコアというものをプライマリー
にしているようですが、そのプライマリーが変わったことで例数設計がきちんとなされ
ていたかどうかということ。それからエントリーが340人くらいなのですけれども、逸
脱で外すと110何人がそこから除かれて、実際には大分減っているのですが、ひょっと
してその辺でサンプルサイズが不足したのか、あるいはこれでもともと期待したとおり
の結果だったのかということに関してちょっとお聞きしたいと思います。あと続けてよ
ろしいですか。切った方がいいですか。

○内山分科会長
 一つずつお答えいただきますか。どうぞ。

○事務局
 審査センターの方から今の御質問にお答えいたします。確かに先生がおっしゃるよう
に、特にアレルギー性鼻炎の追加試験で第2週目の5鼻症状スコアで非劣性が言えなか
ったということはございます。ただ、先生がおっしゃるように、この試験はプロトコー
ル上では1週目の解析が優先されているということで、恐らく2週目での解析で非劣性
が言えなかったのはベータエラーによるものであろうと審査センターでは判断しており
ます。ただし、2週目でもプラセボとの優越性は検証されているということで、有効性
については確認されているのではないかということ。それから長期の投与試験、これは
海外での成績でございますが、長期に投与した場合にもその有効性が減弱するという知
見は得られておりませんし、薬理学的にもレセプターのダウンレギュレーションが起き
るという結果にはなっていないと考えられます。ですから、この試験で特に2週目のス
コアで非劣性が言えなかったことが本剤の有効性を否定するものではないだろうと思い
ます。
 それから全般改善度からこの5鼻症状スコアへの変更ということでございますが、確
かに昔の古い臨床試験では全般改善度というものがかなりプライマリーエンドポイント
として用いられていたのですが、最近の治験ではより客観的なものということでスコア
化するエンドポイントが用いられておりまして、この5鼻症状スコア自体はほかの抗ア
レルギー薬のプライマリーエンドポイントとしてもかなり用いられております。それか
ら追加で実施しましたこの臨床試験でも、副次評価項目として全般改善度というのは見
ておりますが、それでも大体同じような評価ということになっておりますので、変わっ
たこと自体が何か特に問題を起こしたというよりも、2週目で非劣性を検証するための
例数設計に多少問題があったのかと考えております。

○内山分科会長
 次をどうぞ。

○広津委員
 要するにほぼ期待どおりの結果が得られているということですね。
           ── 医療機器審査管理室長着席 ──

○事務局
 期待どおりの結果が得られたかという点に関しては、2週目でも非劣性が検証できる
ことが申請者の期待であったと思います。その点についてはある意味で失敗だったので
すが、その結果自体が本剤の有効性を否定する方向ではないだろうと判断したというこ
とでございます。

○広津委員
 それからこの資料に関して非常に細かいことですが、両側信頼区間の90%と95%が混
在しているのですが、何か意図的に混在しているのか…。解析によっては90%でぎりぎ
り非劣性という表現も見えるので、これはやはり統一された方がいいのではないかと思
います。これはコメントだけで結構ですが、一つの中で90%と95%が混在しているの
は、やはりちょっとおかしいと思いますので。

○事務局
 その点については、既に審査センターからも指摘をしております。

○広津委員
 分かりました。それからもう一つは資料8ですけれども、これも結果に関して臨床試
験に逸脱例が非常に多いと、非常に信頼性に欠けると。しかしながら、十分評価できる
というので、それはそれで結構ですけれども、そのために追加の市販後臨床試験をやれ
と付帯事項が付いていますよね。これはいつも申し上げているのですが、もともと逸脱
例が多いとか、それから何かきちんと基準が守られなかったというものの追加試験は、
やはりそれを補うような精度でやっていただく必要があると思います。やはり単に市販
後臨床試験をやればいいという話ではなくて、それなりのきちんとしたレベルでやると
いうことをしっかり書いていただきたいという気がします。これもコメントだけで結構
です。
 もう一つ気になったのは資料10で、今説明があった最後のものです。これは純粋にテ
クニカルなコメントですけれども、結果で50/51成功、それから51/51成功という例に関
して、これはデータからいってもちろん非劣性、若しくは同等はいいと思うのですが、
そのときのここでの言い方が何か信頼区間を構成した形になっているのです。こういう
単一の母集団と違って、こういう差に関しては多分ニューサンスパラメータの存在のた
めにエグザクトができないと思うのです。そうすると、また正規近似がそれほどきちん
としたものがなくて実は10通りくらいあると。一個一個が大したことがないから10通り
くらいあるのだと思うのですが、そのどれもが多分スモールサンプルサイズを念頭に置
いていて、多分0アウトカムとか100%アウトカムに関してきちんと信頼区間が造れる
方法がないのではないかと思うのです。ここではきちんと信頼区間が造られていて、そ
れが非劣性限界を超えていると書いてあるのですが、もしそれに耐える方法が本当にあ
るのでしたら、やはり通常の正近似では駄目だと思いますから、その辺の精度に関して
はどういう方法を用いて言えるのかというのをやはりどこかできちんとしておいていた
だきたいし、多分私はそれに関してはいい方法がないと思うので、別の言い方でこれは
非劣性若しくは同等を言った方がいいのではないかと思っています。もし用いた方法や
何かがきちんと分かっているのであれば、御回答願いたいと思います。

○内山分科会長
 いかがですか。

○事務局
 担当がここに来ておりませんので、また後日この経緯を含めて先生に御説明を差し上
げたいと思います。

○内山分科会長
 恐れ入りますが、そういうふうにさせていただきましょう。そのほかに資料10までは
よろしいですか。首藤委員、どうぞ。
               ── 青柳委員退席──

○首藤委員
 資料10までのものですけれども、審査報告書と申請の資料概要というのは公表される
のだと思うのですが、特にお願いしたいのは最初のイレッサ錠についてです。ほかにつ
いても同じですけれども、特にこのイレッサ錠は大変評価され、みんな興味を持ってい
る薬だと思うのですが、インターネットで公表されると思うのですけれども、それを来
年になってからというのではなくて、なるべく早いうちにする必要があるかなと思いま
した。特にイレッサ錠は、基礎の試験から臨床に入るところのタイミングとか…、その
辺が非常にうまくいったのかどうか分かりませんが、非常に短期間でやっていると思う
のです。そういう例はほかの薬を開発していくときにポジティブな参考になると思いま
すので、どうせ公表するものですからできるだけ早くしていただきたいと思います。

○内山分科会長
 審査管理課長、どうぞ。

○審査管理課長
 できるだけ早く公開したいと思っております。これは遅くなりますと公開請求が来て
かえって煩雑になりますので、我々としても早く出すということで努力したいと思って
おります。

○内山分科会長
 これは機構のホームページですね。今特に遅れていることはないのですか。

○審査管理課長
 ものによってはちょっと遅れたケースがございまして、御迷惑をおかけしたのはある
のですが、できるだけ早くするように努力させていただいております。

○内山分科会長
 資料を全部そのまま出すわけではないし、多少加工するでしょうから少しは時間は掛
かるでしょうけれども。

○首藤委員
 分科会長がおっしゃるから続いて聞きますけれども、資料をそのまま出さないわけで
すよね。いろいろな規格のところとか、企業秘密といったところ、あるいは個人の情報
に関するものは除かれるわけですが、聞くところによるとそれが多過ぎるという話を伺
っておりますので…。

○内山分科会長
 今首藤委員が言われたように、これから開発する企業にとっては随分役に立っている
そうですから…。

○首藤委員
 黒塗りか白抜きか知りませんけれども、消すところがあるわけです。それのやり取り
に審査センターと申請者との間でバッティングが起きて時間が掛かるということがある
のではないかと察するのですが、ある意味では審査センターが強い力を出せば、そこは
早くなるのではないかと思っております。

○内山分科会長
 そこのところはほどほどにお願いいたします。これは少なくともこういう意味での承
認審査をしている審議会の審議結果といたしましては、恐らく一番公開されていると思
います。しかも早く詳しく公開されていると思います。もちろん開発企業にしてみれば
出してほしくないところが随分あるだろうと思いますが、少なくとも製造、あるいは規
格に関するところ以外はほとんど出ているようですから、恐らく首藤委員の御期待に添
えるようになるでしょう。よろしくお願いします。
 それでは資料11からお願いします。

○事務局
 では続きまして、一般用医薬品関係の報告事項について簡単に御説明させていただき
ます。一般用医薬品関係の御報告は議題10~15まででございます。すべて本年4月24日
開催の一般用医薬品部会において審議され、いずれも承認して差し支えないとされた5
成分6件についてでございます。
 それでは始めに資料11をお願いいたします。販売名マイティアアイテクト等でござい
ます。一般名プラノプロフェン、申請者が千寿製薬株式会社でございます。本剤は非ス
テロイド性抗炎症成分であるプラノプロフェンを配合した一般用点眼剤としまして、涙
目、目のかゆみ、異物感、結膜充血、目やにの多いときの目のかすみを効能・効果とす
る新一般用成分含有医薬品、スイッチOTCでございます。承認に当たりましては、3
年間の安全性等に関する市販後調査の実施を承認条件とすることとしております。
 続きまして資料12をお願いいたします。販売名スコルバダッシュ、一般名が塩酸ブテ
ナフィン、申請者が前田薬品工業株式会社でございます。こちらは抗真菌成分である塩
酸ブテナフィンを配合した一般用外皮用エアゾール剤として、みずむし、いんきんたむ
し、ぜにたむしを効能・効果とする新一般用成分含有医薬品、スイッチOTCでござい
ます。
 資料12~16までは、いずれもみずむし、いんきんたむし、ぜにたむしを効能・効果と
しておりまして、成分がそれぞれ違ってございます。資料13の成分名は塩酸ブテナフィ
ンでございますが、クリーム剤と液剤でございます。資料14の成分名は塩酸ネチコナゾ
ール、こちらはクリーム剤、液剤、軟膏剤でございます。資料15の成分名が塩酸テルビ
ナフィンで、こちらはクリーム剤、液剤、噴霧液等でございます。資料16の方でござい
ますが、成分名は塩酸アモロルフィンでございます。こちらの製剤は、今御説明した効
能・効果のものについて、それぞれ全部承認に当たりましては3年間の安全性等に関す
る市販後調査の実施を承認条件とすることとしております。以上でございます。

○内山分科会長
 特定化学物質の方をどうぞ。

○事務局
 それでは化学物質の御報告をさせていただきます。資料17でございます。まず「残留
性有機汚染物質」と言われるものがございまして、自然環境中で分解し難く、また生物
体内に蓄積されやすく、長距離移動性があり、そして生物に対する毒性のおそれがある
ものをいいます。この残留性有機汚染物質に関しまして国際的に対処するため、「残留
性有機汚染物質に関するストックホルム条約」が昨年5月に採択されております。政府
としてはこの条約を締結するべく対処しているところでございますが、このうち日本国
内で法的担保を採られていない2物質について、化審法(化学物質の審査及び製造等の
規制に関する法律)における第1種特定化学物質への指定の可否を化学物質安全対策部
会において審議させていただいております。結果につきましては、資料17の1、2ペー
ジに記載させていただいているとおりでございます。審議の結果、化審法第2条第2項
に規定する第1種特定化学物質に指定することが適当であると結論されております。以
上でございます。

○内山分科会長
 動物用医薬品の方をどうぞ。

○事務局
 農林水産省でございます。それでは動物用医薬品等部会関係の報告事項を御説明させ
ていただきます。まず議題17、資料18になりますが、日生研鶏コクシ弱毒生ワクチン
(Neca)でございます。申請者は日生研株式会社です。成分といたしましては、アイ
メリア・ネカトリックスの早熟オーシストを主成分とする生ワクチンでございます。3
日齢から4週齢の平飼いの鶏を対象といたしまして、その飼料に混合して1回投与する
ものでございます。効能・効果としましては、アイメリア・ネカトリックスによる鶏コ
クシジウム症の発症抑制でございます。本剤は5月22日開催の動物用医薬品等部会で御
審議いただき、承認を可とし薬事分科会に報告して差し支えなく、再審査期間は6年と
するという結果でございました。
 続きまして議題18、資料19のアドバンテージ ハートでございます。申請者はバイエ
ル株式会社でございます。この成分はそれぞれ単味として承認がございますが、イミダ
クロプリド、それからイベルメクチンを含有する液剤でございます。イヌに1か月に1
回、肩甲骨間の被毛を分けて皮膚に滴下するスポットオン製剤でございまして、犬糸条
虫症の予防、それからノミの駆除を効能としております。動物用医薬品等部会では5月
22日に御審議いただき、承認を可とし薬事分科会に報告して差し支えなく、再審査期間
は6年とするという結果でございました。
 続きまして議題19、資料20のバソトップ錠1.25とバソトップ錠2.5でございます。申
請者は三鷹製薬株式会社です。主剤はACE阻害剤であるラミプリルで、イヌに体重1
kg当たり0.125~0.25mgを1日1回経口投与する用法になっております。効能・効果は
イヌの僧帽弁閉鎖不全による慢性心不全の改善でございます。同じく5月22日の部会で
御審議いただきまして、承認を可とし、薬事分科会に報告して差し支えないとの結果で
ございました。以上でございます。

○内山分科会長
 資料11~20までの部会報告でございますが、これについて何かございますか。どう
ぞ。

○溝口(昌)委員
 二つほど伺いたいのですが、まず一つは資料11のプラノプロフェンのOTCですが、
これはNSAIDですのでアスピリン喘息が誘発される心配があるかと思いますが、皮膚に
使うより目の粘膜に使った方が吸収量が多いのです。これはOTCですから2分の1の
濃度になっているそうですが、次のページの「指示事項」を読みますと、5)に医療用
製剤で呼吸困難が出たと記載されております。ですから、これがアスピリン喘息である
可能性は非常に高い思うのです。もし今までほかのNSAIDで点眼薬があって、しかもも
う既にOTCになっているものがあるのでしたら、この呼吸困難の副作用があったかど
うかというのをお教えていただきたいのです。もしそれもOTCになっているのでした
ら、次のページにある「使用上の注意」はこの程度の注意でよろしいのかどうか…。例
えばアスピリン喘息、薬誘発の喘息になったことのある人は自分で知っていますので、
「してはいけないこと」の四番目に「アスピリン喘息のある人」と書く必要はないかど
うか、お教えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○内山分科会長
 いかがですか。重要な御指摘だと思いますが…、安全対策課長どうぞ。

○安全対策課長
 既存の非ステロイド系の点眼剤、一般用も含めてこういったアスピリン喘息を疑わせ
る症例の有無ということだと思いますが、一度データベースでそういったキーワードで
検索してみたいと思いますので、その結果をお知らせするということでいかがでしょう
か。

○内山分科会長
 そうですね。そのことと、それから「してはいけないこと」というところに、もし例
があるようでしたら書いていただきたいですね。

○安全対策課長
 そこは適切にこれまでの例を倣ってやりたいと思います。アスピリン喘息そのもの
は、他の内服の一般用医薬品といったものの「使用上の注意」に適切に書いてございま
すので、それを横におきまして検討させていただきたいと思います。

○内山分科会長
 そうですね。ありがとうございました。もう一つどうぞ。

○溝口(昌)委員
 次の議題12~15ですが、これはいずれも白癬に対する外用薬のスイッチOTCです
が、医療用医薬品と濃度が全く同じですので、有効性が高いのは当然だと思いますけれ
ども、その基剤まで全部同じかどうかお教えいただきたいです。
 それからもう一つ、医療用医薬品にない噴霧のものが含まれていますが、スプレーに
なりますと大体刺激が多くなるのが皮膚科医にとっては常識的なことなので、その効果
よりもむしろ安全性の方が大切だと思います。もちろん市販後に3年間安全性を見るよ
うにという指示は出ているようですが、この治験のときに特にスプレーの方で刺激の症
例がなかったかどうかお聞きしたいのと、あとパーセントが全く同じですが、ほかのク
リーム、液、基剤まで全部医療用のものと同じかどうかお教えいただきたいのですが。

○内山分科会長
 フォーミュレーションは…。

○事務局
 センターからお答えいたしますが、一応医療用と同じ剤型のものについてはほとんど
医療用の臨床データを流用しておりまして、基剤についても同じものがほとんどでござ
います。医療用でないスコルバのエアゾールといったものについてはもちろん新しいも
のになりますし、データの方もスイッチOTCのためにデータを取り直したという形に
なっております。スプレー及びエアゾールについての詳細な臨床データはちょっと持ち
合わせておりませんが、「使用上の注意」に反映するまでの刺激性などというものにつ
いては、一応今のところ見られない形で今の「使用上の注意」ができております。以上
でございます。

○溝口(昌)委員
 ありがとうございます。

○内山分科会長
 少なくとも3年間の安全性等に関する市販後調査を実施すると付いているものがあり
ますから、それは何かそういったものを付けた根拠が恐らくあるのでしょう。審査管理
課長、どうぞ。

○審査管理課長
 一般薬についても当然市販後の調査というのは必要ということで、この手のものは一
律3年付けさせていただいております。

○内山分科会長
 新しいものはということですか。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それで
は御確認いただいたということにいたします。
 最後に「その他」といたしまして、薬事分科会における確認事項の一部改正等という
のがあるようです。お願いします。

○事務局
 では議題20、資料21、本日の配付資料でございます。資料といたしましては、資料21
に枝番を振りまして、21-1、21-2、それから参考資料として参考資料21-1をお手元に配
付させていただいております。本日の議題は「『薬事分科会における確認事項』の一部
改正について」ということでございます。資料21-2をお開きいただきたいと思います
が、「薬事分科会における確認事項」におきましては、1ページにございますように「
医薬品等の承認申請等のうち審議会に諮問するものの取扱い」について確認事項の中で
決められております。1に記載されておりますように、承認申請された医薬品等につい
て審議会への諮問の要否の判断については別添の表に示すとおりということで、事務局
において行うこととされております。この表の中に、どういうケースの場合に審議会に
諮問するのかどうかということが記載されております。また3でございますが、審議会
に諮問を行ったものについての部会、分科会での審議又は報告の扱いについても別添の
表に示す例によるとされておりまして、各分野ごとに別添の表の中で整理されていると
いうところでございます。
 今回の一部改正の説明におきましては、医療用具関係でございますが、再審査及び再
評価に係るこの取扱いについて医薬品に比べ再審査、再評価制度の導入が後になったと
いうこともございまして、これまでその取扱規定は整備されてきておりません。そうい
う関係で今回その関係の規定を医薬品に並べて整備させていただきたいというものでご
ざいます。
 具体的には資料21-2の8ページでございます。別添の表として「7の2 医療用具の再
審査及び再評価」を付けさせていただいております。ここに記載されておりますよう
に、再審査期間の延長、再評価指定につきましては原則部会の審議、諮問をさせていた
だき、それについては分科会へ報告と。なお、再審査及び再評価対象品目の審議につき
ましては、基本として承認事項の一部変更が必要なものについては部会審議で分科会報
告、また特に必要と認められる場合、若しくは承認の取消しが必要と認める場合につい
ては分科会までの審議とさせていただければと思っております。そこまでに至らないも
のについては事務局の方で処理させていただきたいということで、この8ページにござ
います7の2を追加させていただきたいというものでございます。これにつきましては、
既に医薬品の方の表が5ページにございます。「1の2 医療用医薬品(体外用診断薬を除
く)の再審査及び再評価」ということで、そこに表がございますが、この医薬品の扱い
に準じて今の医療用具についても同様の取扱いを決めさせていただければということで
ございます。本日御了承いただければその部分の表を追加させていただき、この確認事
項の改正をさせていただくものでございます。以上でございます。

○内山分科会長
 医療用具の再審査、再評価の分科会における取扱いについてですが、よろしゅうござ
いますか。医薬品と横並びになっておりますから、特に問題はなかろうかと思います。
よろしければ御了解いただいたということで、一部改正をいたします。ほかに全般にわ
たりまして御意見ございませんでしょうか。どうぞ。

○神山委員
 資料2の「副作用被害判定結果について」というものの中に、「医薬品の使用が適正
であったと認められないため、不支給とすることが適当である」というものが4件あり
ます。これは当然申請者に不支給という回答を出すのだと思うのですが、そのときに不
支給の理由として医薬品の使用が適当であったと認められないためということも申請者
に伝えられているのかどうかを伺いたいと思います。

○内山分科会長
 いかがですか。不支給の理由がはっきりと伝えられているかどうか…。

○事務局
 今の件でございますが、請求があった事例については支給、不支給、特に不支給につ
いても医薬品機構の方から理由をきちんと明記しまして、結果通知書の中で伝えており
ます。

○内山分科会長
 よろしいですか。ほかにはよろしゅうございますか。どうぞ。

○板倉委員
 資料19でイヌに対してカプセルで塗るというものがありまして、これの場合に子供に
対する影響はないということで安全性が確認されているということが書いてあります
が、これは商品としてはイヌの飼い主が月に一遍使うものということでございますよ
ね。その場合に、使用者の方がイヌに塗った後にそのイヌを4時間くらいは洗ってはい
けないことになっているようですが、散歩や何かのときに子供がイヌに触ったりした場
合に、そういうものが付いているということを知らずに触るということについて、触っ
たときにどう対応するかといった部分に関する取扱い上の注意事項なり何なりを記載す
る必要はないものでしょうか。使った人は確かにこのお薬を塗ったということが分かっ
ていますしいいのですが、やはりイヌというのは場合によっては放し飼いではないです
けれども、飼い主の目の届かないところ、あるいはそばについていても塗った人と違う
人が散歩に連れていってそれをかわいいと言って触るという場合もあります。塗ったと
いうことが分からないけれども、原因不明でアレルギー症状が出ることがあるようなこ
とがありますと、やはり飼い主の責任にもなる部分が出てくるのではないかと思いまし
たので、お聞きしたいのです。

○内山分科会長
 この種のものについてはどういうふうに…。

○事務局
 一応この薬剤は要指示医薬品ということになっておりまして、獣医師の指示によって
使用すると。そのときに飼い主さんには十分な注意が行くと思うのですが、飼い主さん
が要指示によって薬を受け取って、それを1回塗布するわけですけれども、その場合に
十分注意するようにということは言っていただいているとは思うのですが。

○板倉委員
 一般的に獣医師さんによって言い方が違うようなことになっているよりは、一定の文
言については使用者の方に伝えられるように、添付文書なり何なりである程度対応され
ていた方がいいのではないかと思うのです。

○事務局
 分かりました。その点をちょっと検討させていただきます。

○内山分科会長
 使用者に対しては、24時間は投与部位に触れないことと書いてあるのですね。それで
使用者の目や口に入らないようにということも書いてあるのです。ですから、使用者に
対しては投与後24時間は投与部位に触れないというよりも、むしろ他人が触れないよう
にと書けというお話ですね。

○板倉委員
 使っている人は自分たちに付いたら気持ち悪いということが分かっていていいのです
が…。

○内山分科会長
 ここでいいのではないですか。「使用者に対する注意」というところに24時間触れな
いようにと書いてありますから、これは使った人は触れないようにと間違いなく読めま
すが、ほかの人に触れないようにと書いた方が親切だという御意見のようです。

○事務局
 検討させていただきます。

○内山分科会長
 ほかにいかがでしょうか。全体を通じてでも結構です。比較的早く進みましたが、よ
ろしければ本日の分科会はこれで終わりにしたいと思います。
 次回は今のところ9月の中旬を予定しているそうでございまして、また事務局から先
生方の御都合をお伺いした上で決定してお知らせすると思います。それでは活発な御意
見ありがとうございました。これで終了いたします。
                                   ( 了 )


       連絡先:医薬食品局総務課 課長補佐 渡辺(2714)