02/05/09 第12回 厚生科学審議会生殖補助医療部会議事録           第12回 厚生科学審議会生殖補助医療部会                   議事録          厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課         第12回 厚生科学審議会生殖補助医療部会議事次第 日時  平成14年5月9日(木)14:00〜16:46 場所  厚生労働省専用第21会議室(第5合同庁舎)17階 議事  1.検討課題1について  2.生殖補助医療に関する有識者からのヒアリング  (対象者)  ・ 高橋克彦氏 広島HARTクリニック院長(クリニックにおける実施医療施設)  ・ 吉村泰典委員(実施医療施設の基準)  ・ 福田愛作氏 大阪IVFクリニック副院長(胚培養士(エンブリオロジスト)) ○桑島生殖補助医療対策準備室長  それでは、定刻となりましたので、ただいまから第12回厚生科学審議会生殖補助医療 部会を開催いたします。  本日は大変お忙しい中、先生方にお集まりをいただきまして誠にありがとうございま す。  本日は石井委員がご欠席のご連絡をいただいてございます。また、高久委員におかれ ましては、遅れられるというご連絡をいただいてございます。 それでは、早速議事に入りさせていただきたいと思います。矢崎部会長、どうぞ進行 の方、よろしくお願いいたします。 ○矢崎部会長  それでは、議事に入ります前に、資料の確認を事務局でお願いします。 ○桑島室長  それでは、先生のお手元に配らせていただております資料の確認をさせていただきま す。  まず1つ目は、先生方の委員名簿でございます。2つ目は、検討課題1をいつも先生 方にお配りしてございますが、整理をしたものでございます。3つ目はその中で一部抜 粋をしまして、先生方にお決めいただいたことをまとめたものがわかりやすくしてござ います。4つ目が、今回ヒアリングをさせていただきます先生方のそれぞれの資料でご ざいまして、1つは生殖補助医療専門クリニックの特徴ということで高橋先生の資料、 もう一つは、平成13年度の厚生科学研究の成果でございますが、吉村先生の資料でござ います。3つ目が、本邦での生殖補助医療におけるエンブリオロジストの役割とその現 状ということで、福田先生の資料でございます。  それから、机上配付でございますけれども、高橋先生のところのHARTクリニック のニュースレターの資料を付けさせていただいてございます。  以上でございます。 ○矢崎部会長  それではご確認のほどお願いします。まず資料1にございますように、今回から小泉 委員に代わりまして、澤委員がご出席になさっています。簡単にご挨拶をお願いいたし ます。 ○澤委員  医師会の澤でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○矢崎部会長  ちょっとバックグラウンドを何かお話しいただけますでしょうか。 ○澤委員  小泉先生の代わりということでございますが、この問題に関しましては、私、今、日 本産科婦人科学会の方の幹事、倫理委員会の方の筆頭幹事を2期ほどやっておりました ので、大体流れ的にはわかっておるつもりでございます。また、皆様の貴重なご意見を 参考にして、医師会としての対応というものをまたひとつ考えていかなければいけない というふうに考えております。  以上でございます。ありがとうございました。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。  それでは、議事の1の検討課題1についてに入りたいと思います。前回でこれにつき ましては2回り目の議論を終了しまして、一通りの検討が終了したということになって おります。前回のまとめを事務局からご説明お願いいたします。 ○桑島室長  先生のお手元にお配りしております検討課題1の資料に基づきましてご説明申し上げ ます。前回お決めいただいた部分、新たに変わりました部分は波線を引いて表記してご ざいますので、その部分について読ませていただきます。資料の20ページをお開き願い ます。  前回の議論は、精子・卵子・胚の提供者と提供を受ける者との属性をどの程度合わせ るかというところが議論がスタートしてございまして、「●」の下の部分に波線を引か せていただいてございます。「Rh型血液型に関しては、Rh不適合妊娠の可能性も含 めてインフォームド・コンセントで対応することとする。」ということで、この部分が 新たにお決めいただいたところでございます。  それから、ページは飛びますが、出自を知る権利のところ、21ページで、生まれた子 どもが知ることができる提供の個人情報の範囲というところで議論いただきました。こ こも非常に大きな争点ではございましたけれども、22ページの方に移っていただきまし て、前回の結論をこのようにまとめさせていただいてございます。「●」としてござい ますが、「提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療により生まれた子の出自を知 る権利を認める。出自を知る権利の範囲としては、提供された精子・卵子・胚による生 殖補助医療により生まれた子が開示を希望する場合、当該生まれた子に対して」、案が 2つに分かれておりまして、(案1)が、「精子・卵子・胚を提供した人に関する個人 情報のうち、当該提供した人が生まれた子に開示することを承認した範囲内の個人情報 (当該提供した人を特定できる個人情報を含む)を開示する。」  (案2)は、「当該提供した人を特定できる個人情報を開示する。」  それから、その下になりますが、波線の部分でございますが、2つ目の矢印のところ で、「提供された精子・卵子・胚の保存期間についても具体的な期間を決めなくてもよ いのか?」という問いに対しまして、「●」をいただきましたが、「提供された精子・ 卵子の保存期間は2年間とする。提供された胚及び、提供を受ける夫婦の精子・卵子と 提供された精子・卵子とを受精させて得られた胚は、ともに保存期間を10年間とする。 それ以上の具体的な基準は特に示さない。」とお決めをいただきました。  前回の議論は以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。今後の検討課題1につきましては、今まで大体意見が収束 したところが「●」で、ご意見が分かれているところは(案1)、(案2)ということ でまとめさせていただき、これからの検討課題2と3が終了したところで、また、さら に検討してまとめたいと思っております。  資料3に、ごらんになるように、事務局で今まで11回にわたる検討で大体まとまった ところとまとまってないところをまとめていただきました。ごらんになると、11回の議 論で随分いろいろ進んだと、一見そう思われるかもしれませんが、よく見ますと、一番 大事なところがまだ収束しきれないところがございますので、今後、検討課題2、3の 終了した後、また、この「○」の残っている一番大事なところを集中的に議論していき たいと思っております。それでよろしいでしょうか。                (「はい」と声あり) ○矢崎部会長  ありがとうございます。  それでは、次の議題で、検討課題2を検討するに当たりまして、今後、各委員の方々 の間で共通認識を深めるために専門家からのヒアリングを行うということをご提案させ ていただきました。そこで本日2番目の議事は、生殖補助医療に関する有識者からのヒ アリングということで、3人の先生方にお越し願ってご説明をお聞きすることになりま した。  今回はその第1回目で、最初は「クリニックにおける実施医療施設」について広島H ARTクリニック院長の高橋先生においでいただきました。  2番目が「実施医療施設の基準」について、これは吉村委員からご説明いただき、「 胚培養士」について大阪IVFクリニック副院長の福田先生にそれぞれ説明をお願いし てございます。  大変お忙しいところ、きょういらしていただきましてありがとうございました。時間 短くて恐縮でございますが、30分を目途にご説明お願いしまして、委員の方々からご質 問、コメントをお聞き願えればと思っております。  事務局から何か。 ○桑島室長  今回のヒアリングを行います前に、私どもこの部会の前に行われております専門委員 会の中で、本日のヒアリングに関するところ、どんなことが決められているか、議論さ れたかというところをご紹介申し上げたいと思います。先生方、お手元にこうした白表 紙の専門委員会のまとめた冊子(精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療のあり方 についての報告書)があろうかと思います。それをごらんいただきたいと思いますが、 この専門委員会の中では、決めたことはそう細かくお決めいただいたわけではございま せんけれども、51ページでございますが、(4)に、「提供された精子・卵子・胚による 生殖補助医療を行う医療施設の指定」というところがございまして、この箱の中を読ま せていただきますが、「公的審議機関の意見を聴いて国が定める指定の基準に基づき、 提供された精子・卵子・胚による生殖補助医療を行う医療施設として、国が指定した医 療施設でなければ、当該生殖補助医療を行うことはできない。」、この部分を専門委員 会の中で議論していただいたわけでございます。  事務局からは、以上でございます。 ○矢崎部会長  それでは、それを念頭に置きながら、早速、本日のヒアリングを行いたいと思います 。まず「クリニックにおける実施医療施設」について高橋先生から、よろしくお願いい たします。 ○高橋氏  高橋でございます。「クリニックにおける実施医療施設」ということで、非常にあい まいな漠然としたテーマ与えられて、さて、どういうお話ししようかと思ったのですけ れど、一応なぜクリニック、それも不妊症専門のクリニック、あるいは生殖補助医療を 行っているクリニックがどんなものであるかということを、一般のいわゆる皆さんが考 えられている、ご存じだと思う一般の公的病院の産婦人科との違いについて述べさせて いただくとともに、日常どういうことを行っているかということについてお話ししたい と思います。  最初に、私どものクリニックで体外受精を受けられる患者さんに説明をする前に見せ ているビデオ、8分ぐらいにまとめてありますので、生殖医療をクリニックではどうい うふうに行っているかということをご理解いただければと思いますので、まずビデオを お願いします。               (ビデオ映写)  1978年、世界で初めて体外受精による赤ちゃんが生まれ、人々を驚かせました。とこ ろが、それからわずか20年足らず、1994年の末までに日本だけでも1万人の赤ちゃんが 体外受精によって誕生しています。  体外受精は、もはや特別な治療法ではありません。体外受精や顕微授精は大きく生殖 補助医療という新しい分野の医療技術です。  生殖補助医療は英語でAssisted Reproductive Techno logiesと言います。頭文字をとってART。体外受精はARTの飛躍的な進歩に より確実な不妊治療として大きく発展を遂げているのです。  それでは、ここに簡単に体外受精の仕組みと方法をご説明しましょう。  まず卵巣から直接成熟卵を採取します。次にこの成熟卵を培養液の中で精子と一緒に してやります。このことを「媒精)と言います。  こうしてできた受精卵を子宮内に戻します。この方法が体外受精・胚移植法です。  体外受精はもともと卵管が詰まっていたり、あるいは癒着がひどい人、あるいは手術 などで卵管がない人などのために開発された治療法でした。つまり、女性不妊症のため の治療法として開発されたわけです。  しかし、今では男性側の精子が少ないケース、通常の不妊治療でも妊娠しない人など 幅広い分野で適用されるようになっています。さらにこれまで一般不妊検査ではわから なかった、例えば成熟卵の質、精子の受精能力あるいは受精卵の着床に必要な子宮の能 力などについても体外受精でわかるようになっています。こうして体外受精は新しい検 査法の1つとしても脚光を浴びるようになっているのです。  それでは、ここで広島HARTクリニックの高橋先生に体外受精の手順を具体的に説 明していただきましょう。  「体外受精を成功させるのに最も重要なことは、良質な卵を育てることです。その方 法ですが、基本的には自然排卵を抑えるエンビ薬を毎日続けながらHMGという注射で 卵巣を刺激します。そして、大体1週間後、卵が十分成熟しているかどうか、超音波診 断装置などで検査します。卵が十分成熟していれば、今度はHCGという注射で排卵を 促すのです」。  こうしていよいよ採卵となります。採卵はHCGを注射した後、36時間後に行います 。ここで採卵の様子を見てみましょう。  超音波診断装置を使って卵巣を映像モニターに写し、観察しながらこのような針を膣 から入れます。そうして成熟卵の漂う卵胞液をこうして針先から吸い取ります。吸い取 った卵胞液の中から顕微鏡を使って直ちに成熟卵を見つけ出します。採卵時間は約10分 間。針を入れるときは膣に局所麻酔をしますので痛みはほとんどありません。ましてや おなかを切ることもありませんので、その日のうちに帰宅できます。  なお、採卵が終わるまでに、ご主人には精液を採っておいていただきます。そして精 液から元気な精子だけを振り分け、培養液の中で採取した成熟卵と一緒にしてやります 。このとき、成熟卵1個に対して精子の数は約5万個。  この状態で1晩培養します。そして、明くる日、卵が確実に受精したかどうか確認し た後、受精した卵が4分割から8分割の胚になるまで培養します。この間、さらに1日 から2日。こうして胚となった受精卵を子宮内に戻します。このことを「胚移植」と言 います。  胚移植のときも採卵のときと同じように超音波診断装置で子宮内を観察しながら行い ます。針を子宮内に入れ、針先が子宮内膜に入ったことを映像モニターで確認。チュー ブに入れた胚を針先から注入・移植します。  胚移植が終わったら2時間程度安静にしておいていただきます。その後はすぐにでも 帰宅できます。  こうして体外受精のプロセスは一通り終了します。  ここでつけ加えておきたいことは、誰もが1回で成功するというわけにはいかないと いうことです。成功率は不妊の原因や女性の年齢によって違いますが、一般的には20% から25%。女性の年齢が高くなると成功率も悪くなります。  1回目で妊娠に成功しなかった場合、理由を調べ原因を明らかにした上で一定の期間 置いて再び体外受精を試みるわけです。  それでも成功しない場合は、次にどんなプロセスに進むのか、ここで高橋先生にもう 少しお話を伺ってみましょう。  「『顕微授精』という方法を用います。受精をしない原因は、精子が卵の殻を破るこ とができないからです。顕微鏡下でまず1個の精子をフペットに吸い込みます。それか ら、その精子を直接卵の細胞質内に注入してやります。これは『細胞質内精子注入法』 と言いますが、現在ではこの方法で95%以上の人で受精が可能となりました。  さらに精子の数が少ない場合はもちろん、精子が全く動いてない人『無精子症』と診 断された人でも、今ではこう丸から精子や精子細胞を直接採り出し顕微授精をすること で受精・妊娠が可能となってきています。  精子が異常であれば受精をしません。弱い精子とは、精子のしっぽの動きが悪いだけ で異常な精子とは意味が全く違います。弱い精子でも頭部が正常であれば、正常に受精 が起こり、卵の分割が進めば、それは通常の精子による体外受精と同じです。  私どものクリニックでも顕微授精によって既に100 人を超える赤ちゃんが誕生し、皆 元気に育っています。  なかなか着床しない人は少ないのです。実は着床のメカニズムはまだよくわかってい ないのです。着床しない原因としては、受精卵、すなわち胚の質の問題、子宮の問題、 特に子宮内膜の問題があります。胚が異常ですと、移植後すぐに発育がとまり着床しま せん。また、人によっては体外受精のために胚の殻、これを私たちは「透明帯」と呼ん でいますが、この透明帯が異常に固くなり着床しにくくなるとも言われています。特に 高齢の人や卵巣機能の悪い人にこれが多いとも言われています。  しかし、だからといって妊娠をあきらめてはいけません。これらのケースでは移植す る前に殻に穴をあけて着床しやすくする方法、『人工補助ふ化法(AHA法)』が有効 で、この方法で既に多くの赤ちゃんが誕生しています。」  また、胚の質が良好でも子宮内膜の状態が悪ければ着床しません。例えば一般的に胚 移植のときに子宮内膜の厚さはホルモンの影響で10mm以上となりますが、人によっては 、これが8mm未満の場合があります。このように子宮内膜の薄い場合は着床が期待でき ません。  しかし、生殖補助技術、すなわちARTの進歩はめざましく、これまで不可能とされ てきた不妊症治療を次々と可能にしてきました。特に男性不妊症では、顕微授精の発展 によって、無精子症の人でも父親になれるようになりました。ですから現在不可能とさ れていることでも、やがては可能となることが期待されます。  しかし、よい卵をつくり、受精卵を育て、赤ちゃんを産むのは女性です。できるだけ 良好な環境で赤ちゃんを産む方が望ましいことは変わりません。高齢化すればするほど 条件が悪くなります。現在の進んだ生殖補助技術をもってしても解決の難しいのが現実 です。こうした意味でも、女性ができるだけ若いときに体外受精を受けることが妊娠へ の近道なのです。                (ビデオ映写終了) ○高橋氏  どうもありがとうございました。  つくったのは5年前なので少し古いところがあるのですけれど、こういう生殖医療と いいますか、体外受精の一連の過程をビデオで見ていただきました。  次に生殖医療のクリニックとは、普通の産婦人科医療とどういうところが違うのか、 なぜ、そういう専門クリニックが現在日本でも多くあるのかということについて説明さ せていただきます。                (パーポイント映写) 生殖補助医療(ART)専門クリニックの特徴 ◎専門クリニックの特徴 (1)診療内容。  まず不妊症という分野は産婦人科の中の1つの分野ではあるのですけれど、一般の産 婦人科といいますと、当然産科がありまして、一般の婦人科、不妊症といろいろあるわ けですけれど、不妊症の一番の特徴は対象が1人ではないということ。すなわち夫婦の カップルを対象として行わなくてはいけない診療部門であるということが大きな違いで あるわけでございます。  そして産婦人科というのは非常に矛盾に満ちた科でありまして、妊娠を望む人がいれ ば、また次の人は中絶を希望する、または避妊を希望する、そういう非常に相反する目 的で来院される科でもあることがほかの内科、外科、そのほかの科とは非常に違った点 であります。そこで不妊症治療にも、一般の病院、産婦人科で問題が生じるところであ ります。 ◎専門クリニックの特徴 (2)施設の違い  まず施設という面で考えてみますと、今も申しましたように、一般の産婦人科で待合 室におられる方というのは多種多様であります。しかしながら不妊症クリニックという ことでいきますと、当然不妊症患者のみでありまして、我々でも妊娠されても、一応妊 娠8週、すなわち胎児の心臓の拍動が確認できたところで希望される産科施設に行って いただくということで、おなかの大きい女性はいないということであります。  診察室におきましても、多くの病院、大学病院も含めまして、いまだに婦人科の主流 というのはカーテン1枚で仕切ったところで診察が行われている。でありますから、前 の患者さんが医者に話をしている声が全部次に待っている患者さんに聞こえるというこ とになりますと、その患者さんも本当のことは医者に言えないということも決して少な くないというところであります。  しかしながら、我々のクリニックでは全て個室である。採卵・胚移植という、先ほど ビデオでお見せしましたけれど、多くの病院では手術室とか分娩室などを併用している ところが少なくない。更に受精卵など培養する部屋もそれに付属しておりますので、後 からつけた施設が多いということでやはり狭いということであります。しかしながら専 門クリニックは当然これが基本でありますので、それを基本的に設計をしておるという ことであります。  そして採精室、当然男性の精子の検査をもろもろするのに、精液の提出を願うわけで すけれど、多くの一般病院であれば、いわゆる採精室としての個室を備えてないという ことで、いまだに男子のトイレを使えという病院が決して少なくないというのが現状で あります。 ◎専門クリニックの特徴 (3)システムの違い  次にシステムの問題であります。当然ながら病院であれば、従業員もろもろ病院全体 の労働基準の下で仕事をするわけでございますけれど、実際ART、生殖補助医療がい わゆるセミ・エマージェンシーであるということをなかなか理解してもらえない。すな わちいつ採卵をするか。一番条件のいいときに卵を採らなくてはいけないとなりますと 、土曜日、日曜日の業務を外すわけにはいかないということでありますけれど、病院と いう単位で勤務している医療従事者は、その認識は本当にないとやっていけないという ことであります。そういうこともスムーズに生殖医療をやっていけないというのが一般 の産婦人科で起こる。当然専門クリニックではそれを前提として仕事をしているわけで ございます。  それと次に問題としては、新規の医療器具、薬剤購入が遅れる。これは生殖医療、特 に過去10年急速な進歩をしてきたわけでございますけれど、先ほどの顕微授精のセット も、私ども10年前に購入したのですが、1セット当時1,000 万近くかかるのですけれど 、一般の公的病院が買おうとしますと、予算を組むどうのこうので早くても1年、それ 以上かかるわけです。それがスムーズにクリニックであれば購入が可能であること。  更に我々現在は新しく発売された新薬、これも日本で厚生省の認可になるまでかなり 時間かかる。しかしながら、不妊症の患者さんはそれを待っておれないという場合でも 新薬を購入することが可能な時代になっているという点であります。  そして一般の病院であると海外、特に生殖医療の場合、欧米にまだかなり遅れをとっ ている面もありますので、そういう学会に出席するということが必ずしも容易ではない ということ。  それとこの委員の皆様、中にはいらっしゃると思いますけれど、実は病院の中にでも 、いわゆる生殖医療に対する偏見というのは常に存在しておりまして、実のところ我々 の産婦人科で言いましても、例えば助産婦あたりの人たちにはなかなか理解してもらえ ない。女性はお産をしに来るのであるというような、そういう認識が強いもので、生殖 医療に対しては意外と産婦人科あるいは泌尿器科の内部、医者の中でも偏見が決して少 なくないという状況もある。間接的には患者さんの方にもそういう影響を与えていると いうことであります。 ◎専門クリニックの特徴 (4)医師  次に医師、我々産婦人科の医者の問題ですけれど、現状でもいわゆる生殖医療の専門 医というのは決して多くはないということ。これは過去の日本の大学を中心とする卒後 教育の課程におきまして、生殖医療という分野、それを専門とする分野が非常に少なか ったということも否めないのですけれど、現状でも決して多くはない。そういうことで 確かに一般の病院に産婦人科の医者は複数いても、本当に専門医がいる病院というのは そう多くはないということであります。  そして、先ほどからも言いますように、女性だけを診ていても不妊症の治療の解決に はならないのでありまして、男性も診なくてはいけない。ところが一般の産婦人科であ りますと、男性が産婦人科に来るということも難しいし、産婦人科の先生自体が男性の 精子の数を数えたりどうのこうのということもする先生が少ないわけで、結局泌尿器科 に送るというような二重手間がかかるということも現状ではございます。  そして一番の問題は、産婦人科というのはお産、普通の手術と違いまして、お産とい うのは常にいつ起こるかわからないという非常に緊急性の高い仕事でありまして、常に お産とかそういうことに追われておりまして、十分ゆっくりと患者さんと話をする時間 がとれないということも現状であります。そういうことで、産婦人科の医者の立場にお いてもなかなか十分に不妊症だけ、あるいはまた生殖医療に関して十分時間をかけて治 療を行うということはなかなか難しいということがあるのは現状でございます。 ◎専門クリニックの特徴 (5)看護スタッフ  続いて看護スタッフも同じでございまして、一般産婦人科においては、先ほど述べま したような分娩、手術、がんの末期の患者も含めていろんな仕事の兼務でありまして、 どうしても生殖補助医療という新しい分野に対しての知識はどうしても不足しがちでご ざいます。そして、生殖医療というのが、単に産婦人科の医者だけの医療ではなくチー ム医療であるということの認識が不足しがちでありまして、そういうことでなかなかス ムースに生殖補助医療を一般産婦人科あるいは病院では行われにくいという面がありま す。 ◎コーディネーターの役割  コーディネーターということが出てくるわけですけれども、これはいずかのヒアリン グであるそうなんですけど、一応ここで説明しておきたいのですけれども、いわゆる一 般の産婦人科というと、患者1人と産婦人科と看護婦、この3人で一応のことはできる わけです。しかしながら生殖医療の一番の問題点というのは、夫婦から精子と卵子とい うものを採り出すということ。これが一般の医療とは違ってくるわけです。これを誰が 扱うかということで、これは産婦人科医でありラボであり、ラボというのは、後で福田 先生がお話しになると思いますが、いわゆる培養室における検査室含めてなのですけど 、そういうところで行われる。そして、対象が産婦人科だけでなくて当然泌尿器科も入 ってくる。そして、また、平山委員が述べると思いますけど、カウンセリング、すなわ ち不妊症ということにおいて心理的あるいは社会的ないろんな問題も生じるということ を考えますと、いろんなスタッフ、医療従事者が関与してくるという現状において、産 婦人科の1人があれもしろ、これもしろということはなかなか難しいわけですね。そう した場合にコーディネーターと、一応看護婦で生殖医療をかなり理解した人が1人いて 、状況を含めてスムースに生殖医療を行っていくということが必要になってきます。そ ういうことを理解して、生殖医療というのはチーム医療ということで行われているとい うことがなかなか一般の病院レベルでは理解していただけないという面があるわけです 。 ◎専門クリニックの特徴 (6)ラボスタッフ  このラボスタッフについても、福田先生お話になると思うのですけれど、なかなか一 般病院ではスタッフの専用の雇用が難しい。すなわち病院において医療従事者というの は、何らかの国家試験の資格を持った人が従事するということが建前でありますので、 そういう人を雇った場合に、生殖補助医療だけに専任にするということはいろいろ経営 上も含めてでしょうけれども、難しいということで、一般の病院では医師の兼務がどう しても多くなってくるということになりますと、専門に行う人が少ない。更に生殖学を 専門の人材の雇用が難しい。これも今も言いましたように、資格の問題が入りますと、 給与の面などでなかなかうまくいかないということです。それによってスタッフの教育 が難しくなる。更にクォリティ・コントロールがなかなか難しいということが起こって くるわけで、この問題については福田先生に譲りますので、こういう問題もいわゆる一 般の病院ではなかなか難しい。しかしながら、我々のような専門クリニックては、これ を当然として行っているということであります。 ◎専門クリニックの特徴 (7)カウンセリング  カウンセラーの問題も出てきますけれども、一般の病院において、なかなかカウンセ ラーの常勤というのは困難であるということであります。  以上で、一般の産婦人科と専門クリニックの違いということを述べまして、私も含め てですけれども、多くの現在クリニックで生殖補助医療を行っている医師は、こういう 一般病院を経て開業しているわけですければ、今も言ったような、いわゆる矛盾点とい うことを解決することは難しいということで、こういうクリニックを始めているという 経緯があることを一応お知らせします。 ◎広島HARTクリニック 過去3年間の臨床成績(1999−2001)  現実にどのぐらいの症例でやっているかということなのですけれども、一応過去3年 間を見てみますと、約1,000 人に対して1,400 例ぐらいの体外受精、顕微授精を行いま して、この成績で見ますと、胚移植当たり40%が体外受精であって、顕微授精でいきま すと31%と若干低い。そして凍結胚の移植で24%ということで、大体30%やや超えるぐ らいの妊娠率であります。 ◎広島HARTクリニック 年齢別妊娠率(2001年)  これを年齢別で見ますと、先ほどのビデオにもありましたように、大体35歳ぐらいま では妊娠率はほとんど変わりません。ところが35歳を超える頃から暫時妊娠率は下がっ てくるということで、35歳を超えると妊娠率は悪くなるというのは、一番の問題は女性 の卵の室の問題であるということであります。 ◎ARTによる累積妊娠率  今までの妊娠率だけを見ると、皆さんの中にはどういう意味かよくわからないかとい うことがあろうかと思いまして、累積妊娠率ということをちょっとお見せしたいと思う のですけれど、もし10組のカップルが体外受精に入るとします。そうしますと、先ほど も言いましたように、卵巣を刺激するのですけど、卵が5つ以上採れる女性の場合です と、1回当たり30%を超える妊娠率なんですけど、3回行いますと約7割ちょっと、約 4分の3の人は妊娠します。残りの4分の1の方がしない。その後も余りしないという かほとんどしない。  なぜ、しないのかというと、先ほども言いましたように卵の問題もあるし精子の問題 があるということです。次に示しますこのライン、すなわち卵が採れない。実際30歳前 後でも卵はほとんど採れないという女性が決して少なくない。そういう現状で言います とほとんど妊娠をしてくれない、望めないということ。そういうことで、このあたりの 人たちは、この部会で行われています、いわゆる卵子提供の希望する人たちになろうか と思いますけれども、現状ではこういうことを知っていただきたいのですけれども、生 殖補助医療の進歩によって、10人のうち、要するに4分の3は妊娠できるのだけれど、 卵の採れない、卵巣に卵はほとんどないと思われる女性、これは決して高齢の人だけで はないのですけれども、そういう方の場合は妊娠が難しいということであります。 ◎広島HARTクリニックにおける過去5年間の業績(1997−2001)  そのほかにも、我々としては必ずいろんなデータの論文を発表するということで、こ ういうふうに必ずデータを発表するということで、常にクォリティ・コントロールを十 分保つようにしております。 ◎広島HARTクリニックスタッフ数  先ほどからも言っておりますように、いかにチームワークでやっていくか。私のよう な小さなクリニックでも、常勤を含めると18名でやっているわけでありまして、これで すと、普通のクリニックと比べるとかなりの人数であります。そして、非常勤の先生方 も含めて総勢で22名でやっております。               (パーポイント映写終了) ○高橋氏  以上が、私どもが行っておりますクリニックの現状と生殖医療の内容をビデオで紹介 させていただきました。以上でございます。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。ただいまのご説明に委員の方々から何かご質問ある いはコメント、どうぞ。 ○金城委員  難しいのかもしれませんけれども、妊娠率はわかったのですが、どのぐらいの子ども が生まれているかということはどうなんでしょうか。妊娠率の何%ぐらいが生まれてい るかということです。 ○高橋氏  妊娠率に対して、いわゆる流産率ということがあるのですけれど、大体流産率が約20 %です。例えば100 人で、先ほど見ましたように、1回の妊娠のあたりで約40人妊娠し ますと、そのうちのやはり10人近くは流れるということですので、25人前後になるので はないかと思います。全員がフォローできないので、一応流産のところまでは我々はフ ォローできますけれど、最終的に一応生まれたら連絡くださいと申し上げているのです けど、妊娠するとHARTクリニックは忘れたいという方が決して少なくないので、そ れ以上の追跡は不可能な面もありますけど、流産率が約20%と考えていただければ、現 状では先ほどの採卵数が5つ以上の人であれば、25%ぐらいが出産にたどり着いている と考えてよろしいかと思います。 ○矢崎部会長  そのほか、いかがでしょうか。 ○松尾委員  出生した児の健常児と何らかの異常を持った児の比率というようなデータをお持ちで しょうか。 ○高橋氏  まず身体的な異常云々に関しまして、私どもでは詳細なデータを全て把握しているわ けではありません。しかしながら、これは過去において欧米も含めて相当のデータが出 てきておりますけれど、基本的には自然妊娠で出産した子どもに比べて、いわゆる異常 児の率が高いというデータは出ていません。一応は当然ゼロというわけではありません ので、それ以上でもないけど、それ以下でもないと、そういうデータは出ております。  問題は、恐らく今もこの部会で問題になられたと思うのですけれど、いわゆる精神的 な発達面、これは今後の問題になるとは思うんですけれど、我々も3年前に、私どもで 出産された方にしたアンケートなどのデータによりますと、両親といいますか、親が高 齢で出産している場合が多いことが1つ。それとひとりっ子である例が多いということ において、親のいわゆる子離れができてないということを本人たちも認めているようで ありまして、精神面での発達が今後どういうふうになっていくかということに関しては 一抹の不安がないわけではありませんけれども、そういうことが私は知り得ているとこ ろであります。 ○矢崎部会長  そのほかいかがでしょうか。 ○安藤委員  私は看護職として助産婦の資格を持っているものなんですけれども、それで参加させ ていただいておりますけれども、一般の病院、産婦人科と専門クリニックと違いを説明 していただきまして、妊娠を希望される方たちが外来に来たときの環境は非常にいいの だろうなというのはよく理解できますけれども、不妊治療のためのカウンセリングを医 師又は看護婦が兼務かというところになっておりますけれども、コーディネーターの役 割とカウンセリングをする医師、看護職の役割を、そちらの広島HARTクリニックで はどんなふうに行われているのかを教えていただきたいと思っております。 ○高橋氏  まずカウンセリングについてですけれども、カウンセリングというのは内容がかなり 広くなりますので、一言で言えませんけれど、基本的に患者さんに対する、いわゆるイ ンフォームド・コンセントも含めまして、そういう分野では基本的には医師あるいは看 護婦がしております。しかしながら、中には背景に家族問題いろんなそういう生活の面 、バックグラウンドを持っているということ。そういう人の話になってきますと、我々 では手に負えないといいますか、時間的な余裕もないと、そういう場合には専門のカウ ンセラーにお願いをするということでありまして、こういうことはあれなんですけど、 産婦人科の医者というのはとにかく、あなたも助産婦で、おわかりでしょうけど、結果 オーライというか、とにかく妊娠してもらえばいいのだ。お産がうまくいけばいい、赤 ちゃん元気に生まれてほしいということが当然最大の目標でありますので、そういう精 神面においてはなかなか我々自身もそういうトレーニング受けておりませんし、必ずし も我々が医療の当事者が、我々の偏見を持って、偏見といいますか、我々の立場でもっ て患者さんに説得するとか話を聞いて説明することは本当に正しいのかどうかというこ とが問題だと思うんですね。  そういう場合に中立的な立場をとれる、そういうカウンセラーの必要性というのがあ るわけで、赤ちゃんのできない人が必ずしも赤ちゃんができてから、それで幸せになる という保証はないわけでありまして、そういう精神的な面については産婦人科の医者と いうのはむしろ不向きであり、中立的な立場におけるカウンセラーの必要性はあると思 います。○安藤委員 続いてもう一つお願いしたいのですけれども、一般の産婦人科と クリニックの違いというところでは、先生、ご説明の中で看護職・助産婦は偏見持って いらっしゃるということを言われたのですけれども、一般の産婦人科のところでは妊娠 をされた方と、これから希望される方と一緒ですので、その中で看護職、特に助産師の 場合には妊娠された方の方に数が少ないですので、そちらにかかわる部分が大きいから ではないだろうかと思います。  私も助産師の教育に携わっているのですけれども、不妊に関する講義内容も大分深め ておりますし、看護職も皆さんもご存じかなと思いますけれども、認定の看護師の教育 も今度始まりますので、余り偏見というものがだんだんなくなっていくのではないかと 思いますので、先生は今回一般の産婦人科と専門クリニックとの違いからそんなふうに 見られているのかなというところを私は感じましたので、助産師が偏見を持っていると いうのはどうかなというのをちょっと感じましたのでつけ加えさせていただきたく思い ます。 ○高橋氏  言葉足らずですいません。いや、そういう方もいらっしゃるということで、今言いま したのも、5年、10年前の時代の話からの続きでありまして、最近は私どももそういう 助産学校に行って講義などもしておりますので、ないと思うのですけど、病院全体でい きますと、不妊症という患者さんはマイノリティーにどうしてもなりますので、その対 応というのはどうしても不十分であるということで、言いたいことの1つは、日本の病 院というのが大きな建物の1つに全科を入れておくということ自体、無理があって、老 人科と若い女性が入る産科が同じというか、次のフロアーで一緒ということ自体が無理 であるわけでありまして、現在の日本の病院と医療システムに先端医療、不妊治療とい うのは適さないということを言いたかったわけでございます。 ○加藤委員  高橋先生のところで赤ちゃんを産む人はいないんですか。 ○高橋氏  私のところに産科施設はありません。全部外来だけで行っております。そういうこと で、先ほど言いましたように、一応赤ちゃんの心臓が動くのが見えるのが、大体妊娠の 7週ぐらいなんですけれども、そういうことでそれが確認できた段階で、希望される産 科施設に紹介しております。先ほども言いましたように、お産もする、手術もする、不 妊症治療もするというのは現状では無理だと私は思っております。 ○澤委員  高橋先生のところもそうなんですけど、日本の不妊治療の一番の特徴は、高橋先生も ちろんご存じだと思うのですけど、顕微授精が異常に多いですね、ほかの国に比べて。 先生のところも非常に顕微授精が多いのですけれども、これはそうせざるを得ない何か があるのでしょうか。 ○高橋氏  顕微授精というのは、本来、精子が悪いというカップルのために考えだされた技術で はあるのですけど、実際やっていきますと、卵の質によって受精をしにくい卵の存在と いうのが非常に出てきております。すなわちいわゆる男性の精子を見る限り、男性に全 く問題がなかった人たちを体外受精しますと、そういう原因不明の人たちを体外受精し ますと、4分の1ぐらいは全く受精しないかほとんどしないカップルが存在するわけで す。そうしますと、中には精子が数とか形態学的に見たところでは正常であっても、受 精ができない能力の精子しかいない人もいるのですけれども、女性の場合、先生も産科 の先生だとお聞きしたのですけど、子宮内膜症や多のう胞性卵巣などの女性については 、いわゆる卵の質に非常に問題があるということで、通常の媒精法、精子と一緒にして やってもなかなか受精をしてくれないという卵の致死が多いということで、そういう意 味で、現在では原因不明の受精障害ということでも多く顕微授精をするようになってい ることが1つ。  それと欧米と違うのは、日本の場合、ドネーションがまだ認められていない以上、40 歳前後になっての体外受精が非常に多いわけです。そうした場合に卵が2つ3つしかせ いぜい採れないとなってきますと、普通の体外受精法でやりますと、精子が3匹、4匹 入ったりとか、異常な受精の確率も高くなって、せっかくの卵が使用できなくなるとい うことが少なくないということで、顕微授精で1個の精子を注入させてやる方が確率は 高いということで、高齢者の体外受精を全て顕微授精にするというのも我々の間ではほ ぼ一致した意見になっております。  そういう面も含めて顕微授精の率は高いということで、がゆえに顕微授精の妊娠率が 低いというのも逆にそこがあるわけで、卵の質の問題が根底にあると思います。 ○鈴木委員  高橋ドクターきょうはありがとうございました。2つ質問させてください。入院施設 がないということで腹腔鏡等はおやりになられているのかということが1つ。  もう一つ、排卵誘発における卵巣過剰刺激症候群が万が一というか重症化のおそれが あって、入院治療が必要ではないかと考えられるときにどうなさっていらっしゃるのか 。 ○高橋氏  まず腹腔鏡ですけれど、これは以前はしていた時代があるのですけど、現在では腹腔 鏡の専門の先生に全てお願いしております。  2番目の卵巣過剰刺激症候群については、これも一応必要であれば入院施設を常にお 願いしているということで、一応24時間態勢で連絡はとれるようにはしております。 ○鈴木委員  つまりそちらの医院ではなくて他施設に転院紹介、転院させるということですね。 ○高橋氏  さようでございます。 ○相良委員  私、東京都内で一般の産婦人科を開業している者なんですけれども、きょうは専門的 なお話ありがとうございました。先生のような形で専門的に不妊治療されるのが、私は 不妊の患者さんにはとってはいいだろうと考えています。先生のような形で経験を積ま れている方にお聞きしたいのですが、難しい問題かと思いますが、今回テーマになって います第三者の配偶子を用いた生殖補助医療を行うような場合、技術的にどういう形で できるかというのはともかくとして、提供する方と提供を受ける方が同じ施設に同じ時 間に行って、そして治療を、片方は治療ではないわけですけれども、提供するわけです が、同時にいるという形で行うことでお互いのプライバシーを守りつつやるということ は難しいというふうにお考えになるか、提供精子を例えば凍結した形で使った方がいい とか、そういった技術的なことに関する印象というのをお伺いしたいというのが1つと 、もう一つは、余剰胚、余剰胚という言葉は余りよくないかもしれませんが、胚を既に 子どもができて、要らなくなったというか、そういった場合の胚を提供されるという可 能性が、先生の印象としてはどのくらい提供する気に患者さんがなるか。そういったこ とを先生の印象としてお聞きしたいのですが。 ○高橋氏  まず最初のご質問ですけれども、私も欧米のクリニックいろいろ見てきておりますけ れども、基本的にはそこまで提供者とレシピエントが一緒になって、秘密が漏れるので はないかということはないと思います。といいますのは、基本的には提供者は採卵をす るわけで、そこにレシピエントの方が入るわけでありませんし、その日はレシピエント の方は別に病院に来る必要はないわけで、その日から黄体ホルモンの注射を始めればい いわけであって、そこにいる必要はないので、ただ、来るとすれば、ご主人の精子を持 ってきていただくだけであるので、まず当事者同士がはち合わせるということはまずあ り得ません。  2番目のいわゆる余剰胚の問題ですけど、実は以前に2組ぐらいから、もう要らない と。しかし、これ、どうされるのですか、と聞かれたときに、一応我々としては研究な どに使った後、破棄すると申しますと、もったいないですね。誰かもらってくれる人い ませんかね、という話を受けたことはあります。しかしながら、これは私の考えであれ なんですけれども、日本の場合、どうしても血筋といいますか、血縁ということを考え た場合に、全くカップルとは遺伝的なつながりのない余剰胚を果たして希望するかとい う面もちょっとありますので、当然それはあれなんですけど、そういう申し出が2組か らあったということはありまして、私もほうとは思ったことがあります。 ○矢崎部会長  その他いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、高橋先生、もしこの後、 ほかの方々のお話を聞いた後、またコメントがあるかもしれませんが、その節はよろし くお願いいたします。 ○高橋氏  はい。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。  それでは、「実施医療施設の基準」について、吉村委員からよろしくお願いいたしま す。 ○吉村委員  それではご説明申し上げます。この基準は、平成13年度の厚生科学研究で、主任研究 者の矢内原先生を中心としてまとめたものでありまして、これは理想的には、現在行わ れている生殖医療全ての実施施設においてこういった基準が望ましいということであり ますが、非配偶者間の第三者の精子・卵子・胚を用いた生殖補助医療においては、こう いった基準が最低限必要であろうといった基準を示したものでありまして、全ての今体 外受精を行っている施設がこういった基準を持たなければならないといったものではあ りません。  先ほど高橋先生もご説明ありましたけれども、我が国で体外受精の妊娠・出産例が報 告されてから15年が経過いたしまして、毎年1万人以上が生まれているわけでありまし て、1999年の日本産科婦人科学会の報告の統計では全出生の1%を超えたということで あります。あと4〜5年たちますと、50人に1人の時代はもうすぐに来るのではないか と、こういった状況にありまして、第三者の配偶子、胚提供による体外受精をここで検 討しているわけでありますが、こういった検討に当たって、最低限度どういった基準を 持っていなければならないかということを決めたものであります。  これは施設基準と一番大事なことは、倫理委員会の設置ということが2番目に設けて あります。それから、高次ART施設に必要なスタッフという3つの項目から分かれて いるわけですが、施設基準は、今、高橋先生が随分詳しく説明してくださいましたので 、よろしいかとは思うのですが、体外受精の培養室、前室、これはIVFのラボと申し ますけれども、こういったラボとは、採卵された卵子の観察とか媒精とか、顕微授精の 手技とか精子の処理、胚操作、いわゆるIVFの胚の取扱いをする部屋である。こうい ったところでありますから、当然のことながら、胚に直接影響を及ぼしたり、配偶子に 直接影響を及ぼしたりすることがございますので、この運用における機能面からもこの ラボの設計、配置には細やかな配慮が必要であることは当然のことでございます。  逐一ご説明申し上げませんが、衛生環境、空気、広さ、出入口、照明、温度、湿度、 そういったことが書いてございます。「クリーンベンチ」と申しますのは、配偶子、胚 の操作の際に培養液の調整、操作の際、顕微授精などこういったことは全てクリーンベ ンチ内で行うのが普通でございます。こういったところを消毒するということも当然の ことであります。  それから「インキュベーター」というのは、簡単に申しますと胚を入れておくところ でございます。そこで培養するわけです。2日、4日、5日と培養していくわけでござ います。最近では胚盤法の移植が行われるようになりますと、4日、5日と培養しなけ ればならないということになってくるわけでございます。こういったものは、例えば何 台具体的には必要であるかとか、そういうことが書いてございます。  それから、採卵・移植室、回復室でございますけれども、採卵する場所は手術室に準 じた設備とする。高橋先生のところでは、特別にそういう部屋がつくってございまして 、恐らく手術室に準じた設備になっているということでございます。当然のことながら 、そのときに救急事態も当然起こるわけでございます。静脈麻酔で行っている施設が多 いと思いますが、そういったところには麻酔とか救急時の蘇生器、バイタルサインのた めの酸素分圧モニター、心電図のモニターを含めまして常備しておくことが必要となり ます。  それから、当然のことながら、これはどこでもこれがないと採卵できないわけであり ますが、超音波装置とかその他が必要である。  採精する場所でございますが、恐らく大学病院などでは男性はトイレになってしまう ということでありますが、先ほどのように採精室が必要なのではないか。  それから、こういった医療は、基礎的な研究ももちろん大切なのでありまして、基礎 研究室を持ち合わせていることが大切であろうと。そのためには産婦人科医のみならず 、胚培養士、その他、農学系のラボの充実が必要であるということでございます。  基礎の研究室の室内の整備、必要な機器につきましては、具体的には述べませんが、 ここに列挙されております。  そういった設備を持った施設で、本来なら全ての生殖補助医療は行われるべきでござ います。非配偶者間の体外受精、こういった医療を行っていく施設にはこういうものは 必ず必要なのではないかと考えたわけでございます。  そして、2番目が倫理委員会の設置ということでございます。この点につきましては 、通常の生殖補助医療機関では余り倫理委員会が設置されていることが少ないわけでご ざいますが、精子・卵子・胚の提供などによる生殖補助医療を実施するためには、医療 機関は倫理委員会を設置することが当然のことながら必要になってくるわけであります 。この倫理委員会の基準は、大変厳しい基準にしましたけれども、これはES細胞の受 率に関する倫理委員会と同じような規定にいたしまして、医療機関の倫理委員会は次の 各号に掲げる要件を満たすものとすると。  それは生殖補助医療で医学的妥当性及び倫理的妥当性を総合的に審査できるよう、生 物学、医学及び法律に関する専門家、カウンセラー、生命倫理に関する意見を述べるに ふさわしい識見を有する者、あるいは一般国民の立場で意見を述べられる者、こういっ た者から構成されていること。  委員の2人は、医療機関の関係者以外の者が含まれていること。これは女性も非常に 深くかかわることですので、委員のうち2名以上は女性が含まれていること。  倫理委員会の構成、組織及び運営並びに議事の内容の公開、その他生殖医療計画の審 査に必要な手続に関する規則が定められておって、それが公開されていること。  こういった基準を持った倫理委員会の設置が必要であろうということでございます。  3番目は、高次ART施設に必要なスタッフでございますが、高橋先生のところもた くさんのスタッフがお見えになりましたが、中心的になるのは、実施の責任者が1名、 これは全員が高い倫理観と責任感を持つことが必要であるということでございますが、 実施責任医師は全てのスタッフに対してその責任を負うということです。  それから実施医師が数名、これは1人でなかなかできませんので、2名、3名の実施 責任者を補助する医師が必要なのではないかと。  それから、3番目が胚培養士ということでございます。配偶子・胚の取扱いに携わる 技術者、こういった胚培養士がどうしても必要になってくるであろうということでござ います。その他といたしましては、先ほども話がございましたが、臨床心理士みたいな 方が必要なのではないか。心理カウンセラーが必要なのではないか。それとは違って、 IVFコーディネーター、不妊カウンセラー、こういった方が必要なのであろうという ことでございます。  一番この中で大切なことは、私が思いますけれども、2番目と3番目、要するに倫理 委員会の設置とスタッフの充実が必要であろうと、こういったことでございます。よろ しいでしょうか。あとは読んでいただければおわかりになると思います。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。いかがでしょうか。少し専門的なお話で、我々には わかりにくいところがございますが、どこまで整っていれば、安全に生殖補助医療がで きるかということですが、これは理想的なレベルということなのでしょうか。必要最小 限というやり方。 ○吉村委員  これは理想的なレベルでございます。こういった基準をクリアーするような施設にお いて、今我々が話し合っているような医療をやっていただきたいという提言でございま す。ですから生殖補助医療をやっている施設に全てこれを要求しなさいということでは ありません。 ○荒木委員  高橋先生のHARTクリニックは倫理委員会というのはお持ちなんですか。 ○高橋氏  いや、正式なそういう倫理委員会はありません。一応私の判断で行っているのが現状 でございます。 ○荒木委員  そうすると、今吉村委員からのご提案で、こういうことはクリアーできる施設はどの くらい我が国にあるのか。といいますのは、日本産科婦人科学会が登録施設では倫理委 員会があるか、ないかというようなことをチェックして、それで審査しているわけです けど、ほとんどが倫理委員会は「ない」の方にマルが付いているわけで、そういうとこ ろで生殖補助医療が行われているのですけど、今後の見通しとしてはどういうふうにな るのでしょうか。 ○高橋氏  まず、今、吉村先生のご発表の内容でしますと、私も全く賛成でございまして、ただ 、問題は倫理委員会という点でございますけれど、実はこれは私も現在のクリニックを 始める前に一般の民間病院に勤務しておりましたときに、初期の方でありましたので、 倫理委員会ということを日産婦の方からも一応するようにという通達もありましてやっ た時期があります。そうしましたときに、なかなかまとまらないということがまず1つ 。それと弁護士の方とかほかの方が入っていただいたのですけれども、その方々にも説 明するのにも時間かかるということで、1年たっても結局結論が出ないという状況。と ころが患者さんは待っている。  そういうことも含めて、先ほど倫理委員の問題出しませんでしたけれど、いわゆるそ ういう民間病院とか一般の公的病院、結局患者さんはそこで待っているのだけど、なか なか決まらないという状況がどうしてもありまして、倫理委員会というもの自体がなか なか日本の場合、欧米とは違って時間もかなりかかるしなかなか決まらないということ に正直言いまして業を煮やして開業したいきさつもありますのであれなんですけれども 、ただし、基本的に私の倫理観が低いと言われればそれまでなんですけど、少なくとも 夫婦間において体外受精を行う場合に、果たしてそこまで、卵を単に採り出すという操 作において問題が果たしてあろうかというのがその当時でありまして、当然今回のこの 部会におけます第三者が入ってくるということになりますと、問題は当然出てくること でありますけれど、少なくとも私も含めて、我々の仲間も少なくとも夫婦間において行 われている不妊治療において、そこまで倫理的な問題があろうかということから、倫理 委員会の必要性が必ずしもあるとは考えておりません。 ○才村委員  私もこの倫理委員会についてどんなものなのか、この文章だけではイメージがちょっ としにくいのですけれども、例えば社会福祉の分野では、第三者の評価というものが入 るということになっておりますし、私がもといた児童相談所では措置をするときに、措 置審査部会というのがありまして、都道府県の設置する措置審査部会の意見を聞かない と措置が適正であるかどうかというのがしにくいというようなことがあるのですけれど も、この倫理委員会というのは、例えば有識者とかそういった方の審査を行ったり、そ れから、そういう調査もやるということになっていますし、例えば透明性の確保みたい なものがここにはあるのかなと思うのですけれども、こういった審査をやる倫理委員会 がどの程度の権限みたいなものが与えられるのかということと、調査を行って、不正な のかどうかわからないのですけれども、なったときに、そういう意見を出したときに、 そこの病院はどの程度従わなければならないというものが存在するのかどうなのか。従 わなかったときに、その倫理委員会はどんなふうな動きになるのかというイメージがも し描かれているようでしたら、ご説明をお願いいたします。 ○吉村委員  決して描かれているわけでありませんで、今後、第3のカテゴリーで話されるかもし れませんが、公的審議機関というのがあるわけですね。私が想像しているものですけれ ども、公的審議機関が、例えばAという病院で、卵子・精子・胚提供による生殖補助医 療をやろうといった場合に、恐らくそのAという病院の中で倫理委員会がこういった基 準でもって倫理委員会が開かれる。そして、それを公的審議機関に、それは我々の倫理 委員会ではこういった審議の後にこのクライアント夫婦に対してこういった医療を行い ますという上申するというか、言うわけですね。そしてその公的審議機関がやる、やら ないということを決めるというような私はイメージでおりましたので。 ○才村委員  その倫理委員会の上部機関なのか、そういう公的審議機関は国で設置されるというも のを想定して倫理委員会があるという形。 ○吉村委員  そういうのを私は想定しておりますし、またもう一つの方法としては、例えば公的審 議機関とは関係なく、病院の施設でこういった倫理委員会の基準を持っていれば、その 病院で行ってもいいという、そういった選択肢も私はあると思いますけど、それは2つ あると思います。それは私が決められることではなくて、ここでお決めになればいいこ とではないかと思います。 ○才村委員  わかりました。 ○鈴木委員  とても基本的なことの確認なのですが、これはあくまで提言プランだということで、 現状は日本産科婦人科学会の方で、体外受精や顕微授精やる施設は登録制をしいてまし て、今500 ぐらい病院が登録されていますね。その登録基準とこの提言プランはどの程 度違うものなのかということをちょっと確認させてください。  それから、もう一つ、荒木ドクターからもご質問ありましたが、その現状の500 の登 録施設の中で倫理委員会を設置しているところというのは本当に幾つぐらいあるのでし ょうか。そこを教えていただきたいのですが。 ○吉村委員  あくまでも、この私たちが言いましたのは、見据えているところは非配偶者間の体外 受精があったわけです。非配偶者間の体外受精を行うためにはこういった基準をクリア ーしていてくださいといった基準でこういったものをつくり出した。ですから今現状に 行われている生殖医療が、高橋先生もおっしゃいましたけれども、夫婦間において行う 場合に、不妊治療の延長として生殖補助医療を行う場合に、こういったことが必要なの かどうかということについては言及はいたしておりません。それで答えになっています でしょうか。  ですから、どのくらいがこういった基準をクリアーしているかということについては 、私はこの基準を全てクリアーしているところは大変少ないのではないかと思います。 ○高久委員  私も第三者の場合にはこの倫理委員会必要だと思うのですけれども、細かいことです けれども、言葉の中で「厳格な審査」とか、いつも問題になるのですがそれでは厳格で ない審査があるのかというので、こういう表現は余りふさわしくないだろう。  もう一つ、今までいろんな倫理委員会の構成というのが話題になりましたけれども、 普通は医学、法律、生命倫理という方が出てくるのですけれども、生物学というのは今 まで余り倫理委員会の構成要員として挙げられたことがなかったんです。このときに、 特に生物学を専門家と挙げられた理由はあるのですか。 ○吉村委員  生殖補助医療のもとと申しますか、畜産生物学というのが非常に大きなファクターを 占めておりまして、ヒトに応用する、あるいはいろんな新しい技術をヒトに応用すると いうことが大変よく行われるわけですけれども、それが本当にヒトに応用していいのか どうかということは、生殖補助医療においては生物学的な知識というものが、我々はす ぐ動物畜産学で行われていたことをすぐやりたがるわけですけれども、それが本当に正 しいかどうか、そういった知識を聞くためにも、私はこういった人もお見えになった方 がいいのではないかということでございます。  「厳格」なこと、この点については反省いたします。 ○金城委員  ここに出ているような施設基準、私はこのぐらいのことは全てのお医者さんが施設を 整えておいていただかなければ患者としては安心して治療を受けられないという気はす るんですよね。でも、非常に少ないということでしたが、大体何%かというようなこと を教えていただけたらと思います。  3つ伺いたいのですけれども、次は倫理委員会なんですけれども、私も幾つかの大学 の倫理委員をやっているのですけれども、そこで非常に問題になるのは、インフォーム ド・コンセントが果たしてあるかどうかということなんですね。それはこういう治療の ときには、特に提供者のインフォームド・コンセントが果たして本当のものなのかとい うこともこの倫理委員会で検討する対象とお考えになっているのでしょうかということ が第2点です。  第3点といたしまして、提供者から提供受けて精子や卵を使って医療を行うというこ とになると、これは事務的にきちんと記録をつくらなければいけないとか、それを更に 上部の機関に移送しなければいけないとか、そういうことが入ってくるわけですね。で すからそういう事務的な面についての基準もある点では必要なのではないかと思うので すが、その点についてはいかがでしょうか。 ○吉村委員  まず第1点ですが、私は何%かわかりません。全てをクリアーしている施設がどのく らいあるか私はわかりませんが、極めて少ないだろうと思います。 ○金城委員  数%と伺ってよろしいですか。 ○吉村委員  10%はいってないのではないか。 ○金城委員  はい。 ○吉村委員  インフォームド・コンセントにつきましては、当然のことながら、この倫理委員会で やられるべきことだと思います。  もう一点、最後の事務的なデータの保存ということについては非常に大切なことだと 思うんですね。これは各施設ごとにはできるものではない。ですからそれは公的審議機 関がやるべきものであって、これは専門委員会でも非常に問題になったのですけど、50 年にするか、70年にするか、80年にするか、はたまたということが問題になったのです けれども、50年以上の保存は必要になってくるということになりますと、一般の医療機 関ではその保存が非常に難しい。となると、この実施施設に公的審議会が依頼されるの か、それは私はこの会で決めることなのでわかりませんが、データの保存に関しては公 的審議機関がやるべきだと思います。一括して行うべきだと私は思いますけど。 ○金城委員  私もそう思うんですが、そういうデータを出す段階できちんとした記録をつくらなけ ればいけないわけですよね。ですからそれをつくるについてはきちんと責任者というの を置いて、万が一間違った記録などをつくったときには、というようなことも必要なん ですね。 ○吉村委員  そうですね。先生がおっしゃるように、データを保存する場所があっても、そのデー タを登録する場所がなければいけませんので、実施機関は必ず公的審議機関に知らせる 義務があるということは当然私は必要になってくると思います。そうしないとデータが 一括して集められなくなるということになります。ですから出自を知る権利を認める、 認めないという以前にデータがなければわからないということになると思います。 ○鈴木委員  施設についてなんですけれども、先ほど広島HARTの高橋ドクターにも伺ったので すが、これは入院施設は特に必須条件になっていませんね。私が常々気にしているのは 、卵子提供の場合、卵提供者が万が一、卵巣過剰刺激症候群あるいは採卵時に出血など を起こして入院治療ということが必要になったときどうするのかという点なんですが、 結局、排卵誘発なりを施したドクターがその後は診ないのかという、それは余りにも無 責任ではないかという気もしてはおります。その辺はこの提言ではいかがになっている のでしょう。 ○吉村委員  その点については、ARTにとって必要な施設で入院施設が必要かどうかについて、 私たちは検討しなかったのですが、おっしゃるように、当然のことながら入院施設は必 要になってくるだろうと私は思います。それは私たち考慮に入れておりませんでした。 抜けていたかもしれません。 ○安藤委員  施設基準のところなんですけれども、ここの中にカウンセリングルームとか相談室と かそういうところが基準のところに入ってないのですけれども、そこら辺はどのように お考えでしょうか。 ○吉村委員  この研究におきましては、ほかにカウンセリングという3班がございまして、一緒に やったわけでありまして、私たちは実質面のハード面だけを言いましたので、そこにお いてはそういった基準は決められております。ですからその辺は抜けております。それ はわざと抜けているわけであります。 ○矢崎部会長  そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。施設としてのハードの面の基準は 比較的決めやすいのですが、スタッフの問題、カウンセリングの問題を含めた問題、倫 理委員会を含めた組織の問題は大変難しい課題だと思います。倫理委員会そのものも個 々の、例えば高橋先生の医院で、独立した委員会を持たれるというのもなかなか難しい ので、もしかすると倫理委員会の位置づけをもう少しきめ細かな配慮といいますか、そ ういうのをしていただくと大変ありがたいと思います。  これはどういう医療機関を対象にイメージされたのか、大学病院とか大きな病院をイ メージされた。 ○吉村委員  倫理委員会の設置に関しては、特に書いてありますが、精子・卵子・胚の提供などに よる生殖補助医療を実施するためにはこういった倫理委員会が必要であるということで ありまして、通常の生殖医療にこういった倫理委員会を設置する必要性はないのではな いかと私は思っています。 ○矢崎部会長  よろしいでしょうか。それでは、吉村委員、この後、ご議論になるかもしれませんの で、その節はよろしくお願いします。どうもありがとうございました。  それでは、最後に、胚培養士について、福田先生からよろしくお願いします。 ○福田氏  ではスライドをお願いいたします。              (パーポイント映写) ◎本邦での生殖補助医療(Assisted Reproductive Techn ologies:ART)におけるエンブリオロジスト(胚培養士)の役割とその現状  私、きょう胚培養士について、生殖補助医療におけるエンブリオロジストの役割とい うことで話をさせていただきます。どうして私がこの話をするように言われたかと思い ますと、まず、私、日本で1985年ぐらいから体外受精の臨床と研究をしておりました。 それで、1990年からアメリカに行きまして、98年まで向こうで大学に勤めながらエンブ リオロジストとして働いていたということで、日米両面のそういうことをしているとい うことで今回話をするように命じられたと思っております。きょうは日本のエンブリオ ロジストの現状をアメリカの状態と比較をいたしまして、よりわかりやすくご説明させ ていただきたいと思います。 ◎これはエドワーズ博士が初めて撮りましたヒトの胚の写真です。先ほど高橋先生がお 示しになりましたように、既にありふれた写真になっておりますけれども、これが4細 胞で8細胞、それから早実胚、胚盤法初期の中期の胚盤法からハッチング、いわゆるふ 化をした胚盤法まで、これはエドワーズが初めて撮りました人の胚の写真でございます 。 ◎これがルイーズ・ブラウン、日本でも話題になりましたけれども、ルイーズ・ブラウ ンが1978年の7月25日に誕生いたしました。このお母さんは両側卵管が子宮外妊娠で亡 くなっているということで、この方法しかないということでエドワーズとステップトー が取り組んで妊娠・分娩したというルイーズ・ブラウンの生まれたときの写真と、彼女 が18歳のときの写真であります。定期的にルイーズ・ブラウンの写真をリリースする理 由といたしまして、初期の頃には試験管ベビーとは一体どんなものであるかと、ちょっ と変わった人間じゃないかとか、そういった危惧がございましたので、ルイーズ・ブラ ウンもそれに応じまして定期的に写真をリリースしております。  ルイーズ・ブラウンが生まれたときにはステプットーがミドルネームをつけてくれと 言われて、ルイーズ・ジョイ・ブラウンと。ジョイというのは喜びということで、これ から全世界の人々に喜びを分かち合うのだということでステップトーがつけたのがルイ ーズ・ブラウンさんで、ルイーズ・ブラウンは現在、78年ですから24になっております 。ただ、この方はまだ独身でして、子どもを産んでおりませんが、この人の妹がナタリ ー・ブラウンというのが、4歳半年下でその方が普通に結婚をされて子どもさんを産ん でおられます。2年ぐらい前に生まれております。  ということで、体外受精の子どもでも普通に赤ちゃんは産めるという、初めての人間 の証明というと変ですけれども、証明されたというのがこの人の妹になっております。 ◎これが歴史的な記者会見、ルイーズ・ブラウンが生まれたときの記者会見であります が、これがパトリック・ステップトー博士、これがエドワーズ博士であります。この大 事なことはといいますと、世界で初めての試験管ベビーが生まれた。それはもちろんな のでありますけれども、医者と科学者が共同して医療をやると、そういう医療の初めて の誕生であるということで、これが非常に大事になるかと思います。そういう意味で、 このエドワーズ博士というのが世界で初めてのエンブリオロジスト、エンブリオサール :科学者ということになると思います。ですからこの方が元祖のエンブリオロジストと いうことになると思います。 ◎きょう私、このような順番で話させていただきたいと思うのですけれども、なぜエン ブリオロジストは必要なのか。それからエンブリオロジストの定義、エンブリオロジス トにはどのようなことが求められるのか。そしてどのような施設でこういう方々は働い ているのか。そして、医師とエンブリオロジストの関係はどうなのか。その資格認定、 社会的地位、最後に将来像をお話しさせていただきたいと思います。 ◎なぜエンブリオロジストが必要なのか。従来の医療と生殖補助医療を比べてみますと 、先ほど高橋先生言われましたように、従来の医療は男性、女性を問わず男女の患者さ んを診るということであります。そして医師がそれを診る。そして基礎科学、基礎医学 者などはそれを間接的にサポートする。例えば人工関節をつくるとか、新しい素材をつ くるとか、そういうことで直接はタッチしない。間接的にバックアップするということ で基礎科学者がここにおりました。ARTいわゆる生殖補助医療では、高橋先生言われ ましたように、患者さんご夫婦がまず対象になります。それから、直接触る相手として 、患者さん以外に配偶子、精子、卵子、受精卵、胚、こういうものも登場してまいりま す。  医師は患者さんを主に担当する。そうしますと、ここを担当する者が必要になってく るわけです。それがエンブリオロジストと言われる人々であります。ですから今までと 対象が1つ増えましたので、その部分を担当する人が要ると、それがエンブリオロジス トの誕生であります。 ◎従来の医療ではいろんな治療法をいたします。それで医師が直接患者さんに治療をい たします。そしてその目的は、健康回復であったり、機能回復であったり、生命の維持 であるというふうなところがその目的であります。ところがARTでは、体外受精、顕 微授精、胚移植など治療を行います。それで患者さんに関しましては、我々医師が担当 いたします。ところが胚とか受精卵に関しましてはエンブリオロジストが担当します。 両方が分担をいたします。そして、一番大事なことでありますけれども、その結果、目 標は「生命の誕生」ということであります。ここが今までの医療とは全く違う新しい生 命の誕生。ですからいかにエンブリオロジストが大切になってくるか。直接生命の誕生 に従事する新しい職種が生まれたということで、その重要性がわかると思います。 ◎エンブリオロジストの定義でありますけれども、日米で比べていきたいと思うのです けれども、日本では、日本産婦人科学会の会告には「実施協力者」となっております。 そして生殖医学に関する高度の知識と技術を有する者、もしくは本邦の技術に十分習熟 した者、というふうなことが書かれております。ですけれども、免許、学歴、資格、学 位、経験、訓練、思想など具体的な要件は全く書かれておりません。ですからどなたで あっても、私は知識も技術もありますと。技術に十分習熟しておりますという方であれ ば、今までは実施協力者になれたわけであります。ですから、そういう具体的な要件が 全然書いてない。  それに反しましてアメリカでは、次に出てまいりますけれども、ABBという委員会 が認定をいたします。そして、その認定を持った人に対しては州が免許:ライセンスを 交付いたします。そういうことで、こういうABBで認定された者、いわゆるボード・ サーティファイドと言われる方がエンブリオロジストになれます。 ◎これはABB(American Board Bioanalysis)というと ころの、いわゆるHCLDというのは、体外受精のラボの室長の認定でありますけれど も、それを取るための具体的な要件を求めております。それによりますとまず学位があ ること。そして、その学位はケミストリーとかフィジカル、バイオロジカル、クリニカ ルラボラトリー、こういうことに関する学位であります。もちろん学位、文学博士であ るからエンブリオロジストやりたいと言われても困るということで、こういう関連領域 の学位を持っている。それから、生物学とか化学、それを32単位以上修得しているとい うふうにかなり具体的にそういうことを求めております。  それで、なおかつ4年間のラボのトレーニングもしくは経験があると。それから、更 に2年間で60以上の体外受精を自分で自らやっていないとできないと、そういうことも 具体的に示されております。そして、その上、試験(ペーパーテスト)に通らないとい けない。そして、アンドロジー、男性いわゆる精子学、エンブリオロジーの試験と、そ れから一般の法規の試験、この3つに通らないとラボの長はできないですよということ を具体的に米国では求めております。 ◎では、どのような人がエンブリオロジストをして、今現在日本では働いているのであ ろうかと言いますと、日本の場合は90%以上の人が臨床検査技師であります。それで臨 床検査技師といいますのは、以前は3年制で現在4年生のいわゆる大学医学部の臨床検 査科というのもできておりますが、多くの方々は現在のところ、まだ3年の臨床検査技 師学校を卒業した方がほとんどと言っていいと思います。その中に最近はいわゆる農学 部とか理学部とか、いわゆる薬学部・薬剤師の方ですけれども、そういう学士の方がお られます。それから修士の方も一部おられますし、少し最近いわゆる博士:農学博士や 医学博士を取られたいわゆる農学部、理学部出身の方でそういう学位を取られた方も参 入されてきております。  そのところでアメリカを見てみますと、いわゆるラボの室長と言われる人は99%はP hD。PhDといいますと、日本で言いますと農学博士、いわゆる博士ですけれども、 そういう人になります。ほとんどがPhDが長をしております。PhDになるには、日 本でも一緒だと思うのですけれども、大学4年と博士課程4年を出ないといけないと。 ですから8年の学位を持った方がほとんどやっている。それ以外にテクニシャンとして はいろいろな方がおられます。これはいわゆる臨床検査技師ですけれども、そういう方 がおられます。 ◎それでは、どのような施設でどのように働いているのか。日本の場合は、先ほど高橋 先生言われましたように、ほとんどが私的病院であります。私的病院、私的医院。現在 公的病院とか大学病院でやられている体外受精の件数というのは非常に少なくなってお ります。大半が私的な病院でやられております。それからエンブリオロジストの方々は 通常は体外受精業務、それプラス通常の検査業務もされております。といいますのは、 先ほどお話ありましたように、日本では500 施設以上、体外受精の施設ございますけれ ども、150 件から200 件以上やっているところは10%か20%前後でございまして、ほと んどの施設は非常に少ない件数をやっている。ですからエンブリオロジストの方・検査 技師の方がこの業務だけで専任になるということはなかなか難しいということで、通常 の検査業務もしているのが普通でございます。給料に関しましては、普通どおり固定給 プラス超過勤務手当というのが一般的なところではないかと思います。  それに引きかえまして、アメリカでは体外受精の施設というのはほとんど大学に関連 した施設でありまして、これは私向こうで働いたときの名刺なのですけれども、私の名 前とHCLDという資格は私取っていたのですけれども、アシスタント・プロフェッサ ーと、大学の産婦人科のアシスタント・プロフェッサーとして教育・研究にも従事して おりましたし、それと同時に体外受精のラボのディレクターをするということで、通常 はこういうふうに2つの職種を持ちます。ですから日本とその辺が全く違うところなん ですけれども、アカデミックなデューティーとARTのデューティーを持ちます。です からサラリーの方も、いわゆる大学のアカディミックなファカルティーのいわゆる職員 のサラリー+体外受精のパーセント、いわゆる野球選手などインセンティブとか言って いますけれども、そういうふうな収入が入ってまいります。ですから体外受精が増えれ ば収入も増えるといったところもございます。 ◎それで医師とエンブリオロジストとの関係、これが日米で非常に異なるところなので すけれども、収入を見てみますと、医者と検査技師ということで、医師のほうが多いの は、これはある意味で当然かと思うのですけれども、外国で見ますと、もちろんアメリ カの医師は非常な高給でありますから、日本人のようにかなり大きくしておりますけれ ども、ただ、このエンブリオロジストも有名なエンブリオロジストになりますと、年間 数千万という人はいわゆるごろごろおります。中には医師の給料を超えるような人も何 人かおります。というのは、日本でも産婦人科学会、不妊学会等で招請されます体外受 精関係の方はほとんどPhDなんですね。ああいう方は年間数千万収入を得ております 。それで各国から招請講演をされております。  そこで学術面ではどうかといいますと、日本では学術面でも医師のウエイトが非常に 大きい。エンブリオロジストはいわゆる労働力といった面が非常に多い。ですけれども 、学会発表などになりますと、最近はエンブリオロジストにも大分学会発表してもらっ ていますけれども、どうしてもやはり医師が多い。ところがアメリカでは反対で、医師 はラボのラの字も知らないということが非常に多い。ですから学会発表などはアメリカ 不妊学会でも大半がPhD、いわゆるエンブリオロジストがやっております。医師は学 術的にはほとんど力を持たないような状況もございます。もちろん一部立派なMDもた くさんおられますけれども、全体としてはそういった流れで、日本ではすべて医師が取 ってしまうと。アメリカではそれぞれ棲み分けができているというのがエンブリオロジ ストの医師の生殖医療における関係ではないかと思います。 ◎資格認定ということでありますけれども、日本ではいまだ公的に認められたエンブリ オロジストの認定資格というのはございません。先月の4月の27、28日と日本哺乳動物 卵子学会が初めて「認定胚培養士」というのをつくるということで、27日に講習をしま して、28日に面接試験を行いました。それで6月1日の哺乳動物卵子学会でその合格発 表の予定でありますけれども、学会がいわゆるバックアップした初めての認定胚培養士 というのは、この認定胚培養士がことしの6月から認定されます。それ以前に2001年か ら「臨床エンブリオロジスト研究会」といいまして、エンブリオロジストの集まり、集 団のような会が独自に認定、臨床エンブリオロジストというのを認定しております。こ れは講習を受けて実習に何回以上参加すればもらえるということで試験等はしておりま せんけれども、そういう認定もされております。  それにひきかえまして、アメリカでは先ほど言いましたように、ABBというちゃん とした委員会が認定しておりまして、必ず筆記試験をしております。その認定証があり ますと、州のライセンスももらえるし、培養士も認可が要るんですけれども、この申請 もHCLDがあれば行えるというふうに公的に通用する認定制度というのができており ます。 ◎エンブリオロジストの置かれている社会的地位・立場といいますと、日本では永久就 職であります。検査技師としてどこどこの病院なり医院に勤めるということになります と、ほとんど永久就職に近いと。ですからここは英語になっていますけれども、チャン スが少ない(Less Chance)。リスクも少ない。(More Risk)。 日本の昔からの投資と同じでリスクも少ないけど、チャンスも少ない。  ところがアメリカでは非常に競争的です。何でも一緒なんですけれども、私もアメリ カにおりましたときに、学会へ行くときは履歴書を持って行けと。1,000 ドルでも給料 が高ければそこへ行ったほうがいいというふうに非常にチャンスが多い。ですけれども 、例えば成績が落ちたら1カ月以上の猶予があれば、いつでもクビにできますから、君 は来月から要らないと、新しいいいのがいるからというふうになることもあります。で すからリスクも多いと。  それと同じことになるとは思うんですけれども、日本では医学社会自体が非常に保守 的でありますので、エンブリオロジストの転職というのは非常に難しいわけであります 。例えば広島HARTにいいエンブリオロジストがいるから、君、給料たくさん出すか ら、うちへ来ないかというようなことは言えないんですね、日本では。そういうのが日 本の社会でもありますけれども、となりますと、同じようにチャンスが少なくなります 。  それともう一つは、エンブリオロジスト自体の所属長というのが医師になりまして、 多くの場合は医師がそのクリニックのオーナーでありますから、なかなかオーナーには 刃向かえないといったいわゆる従属関係の構図がある程度できております。これは好む と好まざるかかわらずそういう構図ができております。  ところがアメリカのクリニックといいますのは、医師がクリニックが保有していると いうことはまずありませんでして、ほとんどメディカルオフィスをやっているところに 医師も就職している。それから、エンブリオロジストも就職している。ですからどちら もCoとか、そういう上の人に対して給料を上げてくれとか、何をしてくれとか言える わけですね。ですから医師=オーナーではございませんので、お互いに独立して自由に 意見が言える。ですからいわゆるそういう社会の流動性も高いので医師も次々動いてい きますし、エンブリオロジストも動いていきます。ですからMore Chanceで More Riskになるのだと思います。  そうしますとどういうことが起こってくるかといいますと、永久就職で文句も余り言 えないと。どうなるかといいますと、創造性の欠如、日本発の新しい技術がなかなか生 まれて来ない。その点、アメリカでは新しい技術を生めば、それが自分のいわゆる名声 にもつながりますしお金にもつながるということで、創造性がますます増してくる。そ れがまた競争にもなるということで、現在日本ではエンブリオロジストというのはこう いう傾向にあると言わざるを得ないかと思います。 ◎これは最後になるのですけれども、ではエンブリオロジストは将来どのようにすれば いいのか。やはり認定資格の認知ということが必要になると思います。これは公的であ れ、非公的であれ、ある種の認知ということが必要になると思います。そうしますとど うしても試験とかが出きてきますと数が減ってきますし、数が減りますとやはり質も向 上してまいります。質も向上してきますと、だんだんいわゆる学位のある方、4年制、 学位を取った方が増加してまいります。そうしますと結局は患者さんに還元されて妊娠 率の向上につながってくる。そして、また新技術の開発も行われてくるだろうと。  そして、こういうことがどんどんしてきますと、自分のクリニックも妊娠率を上げた いと。新しい技術がほしいとなりますと、社会的地位も上がってきますし、エンブリオ ロジストの収入も上がってきますし、エンブリオロジストという職業が確立されますと 老後も安心して暮らせるような職業でないと人はなかなかつかないと私は考えるのです けれども、そうしますと同様に一般的な競争原理の導入ができてまいりますし、それか ら閉鎖社会もかなり開放されてきて、人がほしいところには行けるといった状況、それ と資格がありますとそういうことになります。  先ほど高橋先生も触れられましたように、日本ではPhDの方というのは、例えば厚 生省関係の病院に行きますと、検査技師とか医師とか看護師とか助産師とかの免許があ りますと職はもらえるのですけれども、ただ、単に農学博士で病院に勤めるということ はできないんですね。ですから現在農学博士とかそのような方が勤めておられるのは100 %プライベートのクリニックであります。ですから日本ではなかなか技術の開発も難 しいのではないかと思います。そのようなことで、それが日本の現状でありますけれど も、将来的にはこのようなことが起こればエンブリオロジストの地位も向上して、最終 的には患者さんに福音が増えるのではないかと考えております。             (パーポイント映写終了) ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。ただいまのお話にどなたかコメント、あるいはご質 問ございませんでしょうか。 ○加藤委員  日本でもしもエンブリオロジストという職業が成り立つとした場合、医師の免許を持 たないで、不妊治療に参加するということが医師法に抵触するということはないのでし ょうか。 ○福田氏  エンブリオロジストと医師とは全く業務が違いますので、エンブリオロジストだけで 体外受精の臨床をやるということはできませんので、エンブリオロジストだけで臨床す るということはございませんので、そういう可能性は起こってまいりません。 ○矢崎部会長  そのほかいかがでしょうか。今回は提供された配偶子による生殖補助医療を検討する ということでございますが、本邦ではずっと夫婦間の生殖補助医療は歴史がございます ですね。その間に、この資料にございますが、今臨床エンブリオロジストの会員数が350 人と。 ○福田氏  それは臨床エンブリオロジスト研究会というところの会員が大体400 人でありまして 、そのうち350 人ぐらいが臨床検査技師がなっているということです。 ○矢崎部会長  この資格基準とはそういうのは何かございますでしょうか。 ○福田氏  臨床エンブリオロジスト研究会というのは資格基準も何もございません。入りたい方 が入る。ですから医師もおりますし、いわゆる製薬会社の方もおりますし、一般の方も おられます。ですから臨床エンブリオロジストというのは、先ほども言いましたように 、日本ではエンブリオロジストということに関して全く基準がないというのが現状であ りまして、それこそ文学部を出ていても入れますし、ただ、それができるというわけで はないですけれども、臨床エンブリオロジストという会にはいくらでも入れます。 ○矢崎部会長  特にアメリカの場合にはどのぐらいの資格を持った方がおられるというのと、それか ら施設に専属でおられるのか、あるいは幾つかの施設を担当しておられるのか、実態は どうなんでしょうか。 ○福田氏  数に関しましては詳しい数を忘れたのですけれども、たしか400 人ぐらいだったと思 うんです。それで私のような海外というか外国人の人が7人ぐらいだったと思います。 施設にはほとんど専属ですけれども、アメリカにはまたコンサルト会社というのがあり まして、エンブリオロジストを派遣すると。ですからある施設は年に50しかしないとい うと、採卵は医師がやりまして、そのときにエンブリオロジストに来てもらいまして、 顕微授精とかもセットアップがありまして、それで顕微授精とかも来たエンブリオロジ ストがやって、それで1週間ぐらい滞在して、また違うところへ行くと。もちろんエン ブリオロジストは自分のクリニックなりに所属しておりますけれども、コンサルテーシ ョンの会社がありまして、そういうこともしております。 ○鈴木委員  先ほどの施設のこととも関連すのですが、エンブリオロジストの仕事として配偶子・ 胚の記帳管理というのがありますね。例えば提供などの場合の情報管理というのは、結 局誰が責任者ということになるのでしょうか。 ○福田氏  ここに書いておりますのは現状の話ですので、提供胚とかになってまいりますと、そ の辺は医師なり、先ほど吉村先生も言われましたように、公的機関への報告義務などが 生じてまいりまして、もちろん医師が絡んでくるのは間違いないと思います。 ○矢崎部会長  そのほかいかがでしょうか。 ○高久委員  日本哺乳動物卵子学会の認定胚培養士と臨床エンブリオロジストの資格というのが、 これは将来統一されないと困るのだろうと思うんですけれども、どういう方向に、2つ あったら混乱しないですか。 ○福田氏  それは私ももう一つわからないのですけれども、ただ、日本哺乳動物卵子学会の胚培 養士に関しましては、かなりきちんとした要求をしております。先ほど言いましたよう に、臨床検査技師があるとか、薬学の学部、どこの学部を出た。成績証明を出すとか、 そういうことをかなり厳しく要求しているのと、それと講習と小テスト、それから、面 接ということで試験をしておりますので、かなり臨床エンブリオロジスト研究会の方は 、自分のところがやる講習会に参加して実習会に出てくれれば、自動的に何回出れば申 請すれば認定書を渡すということで試験をしておりませんので、将来的には学会主催の 方が強くなるのではないかと思っておりますけれども、現在のところはどうなるかわか りません。 ○金城委員  そもそも体外受精というのがエンブリオロジストであったエドワーズさんがなさって 、そして非常に新しい技術として発展してきたというお話を伺ったのですけれども、具 体的な例として、アメリカなどでいろんな技術が発展してきていますよね。具体的にど んなことをエンブリオロジストが関係して発展したというお話を伺えたらと思うのです けれども、いかがでしょうか。 ○福田氏  先ほどエドワーズのお話に出ましたように、もともとはこれはエドワーズがヒトの卵 を卵巣から採りまして培養して胚盤法までいくと。だから、これを臨床に使えないだろ うかということで医者を探してそこにステップトーが腹腔鏡をやっていたということで 、生物学主導の技術なんです、これは。ですから医学から発展したよりは生物学から発 展した技術でありまして、ですから日本では、ところが医者が海外とかに行きましてラ ボの技術まで学んできてたので日本では医者が主導なんですけれども、ちょっと戻りま すけれども、エンブリオロジストがどのような仕事をしたかということなんですけれど も、例えば先ほど高橋先生が言われましたように、透明帯にあなをあけて着床をよくす るようにというのは、これはジャッコーエンというアメリカのエンブリオロジストがし たのですけれども、この人もPhDであります。ジャッコーエンなどは日本に何回も講 演に来ております。PhDであります。それから胚盤法移植ということを考えついたの はデビット・ガードナーというオーストラリア人で現在アメリカにおりますけれども、 これもPhDであります。  体外受精の世界で、例えばアメリカなどの本を見ますと、著者はほとんどPhDなん です。日本は体外受精の本といいますとほとんどがMDです。ですからもともとはそう いう歴史的な経緯が日本とアメリカで違いますので、アメリカに限りませんけれども、 ですから、そういうふうに有名な技術というのはすべていわゆるPhDによって開発さ れたといっても過言ではないと思います。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。確かに新しい技術を生み出す、あるいはブレークスルーをすると きには確固たるそういう研究者がおられて実施されるということですが、実際の生殖補 助医療の現場で、もしこういう方が今後どういう技術評価という問題と、生殖補助医療 は医療の中の1つの流れの、もし確固たる一部分のプロセスを任しなさいと言った場合 に、その責任をどういうふうに対処するかとかいろいろ難しい問題があると思いますが 、それに対する先生のご意見はいかがでしょうか。 ○福田氏  技術評価に関しましては、基本的には生殖補助医療では妊娠ということが一番の目標 でありまして、そのほかには先ほどもありましたように、例えば奇形をつくらないとか 、いわゆる副作用がない健全な妊娠を増やすということが技術評価になると思うのです けれども、ただPhDの方が入ってきたときに、例えば生殖医療がここ10年でさびれて しまって、PhDの人は生きていく道がなくなるわけです。我々医師は体外受精なくな ってきたから、また、お産でも始めようかとか更年期とかいろいろあるのですけれども 、そういう方はこの世界に入ってきて、10年やったけれど、何もなくなってしまったで は、やはりそういう人がまた入ってこない。  ですから、先ほど言いましたように、アメリカではいわゆる医学部でも教官の職とそ ういう職と両方持つわけですから、体外受精がなくなったって、今度は教授を目指せば いいとか、そういうことがありますので、そういう方も行きやすいような状態がありま す。日本の場合ですと、先ほど言いましたように、PhDの人は公的病院には制度的に 勤められないようなところがありますので勢いクリニックになってまいります。そうし ますと、クリニックは、例えば学位を持ったような人を働かさずに給料を払うことはで きないわけでありまして、例えば体外受精なくなったから検査してもらおうかと、検査 の資格はないと。そうするとお手上げになるわけです。ですからその辺を、先ほど言い ましたように、資格とかそういうことできちんとしていかないとなかなかそういう人が 飛び込んでくるような状態にはできないのではないか。  ですから、それは例えば大学病院でそういう職があれば、教職も兼ねているのであれ ば、これはアメリカと同じように、どちらでも力を発揮できると。体外受精がなくなっ ても、ほかの仕事がちゃんとあるということで、その辺がなかなか今後難しい問題では ないかと思っております。 ○矢崎部会長  よろしいでしょうか。  どうもありがとうございました。これからどういう位置づけにするかというのが今後 の課題だと思います。本当にご意見、ご説明いただいた3人の先生方に厚く御礼申し上 げます。今の先生方のご説明で、大分私どもも施設基準と申しますか、生殖補助医療を 安全に行えるような仕組みはどういうものであるかという理解が得られたと思いますし 、一方では、非配偶者間の生殖補助医療の場合には透明性と公平性が要求されるという ことで、そういう2つの面から今後検討していかなければいけないということで、1つ はインフォームド・コンセント、カウンセリングの問題が大きな問題ですし、それから 、倫理委員会といいますか、公平にジャッジを行うような仕組みも必要ですし、先ほど からご指摘がありました、これはかなり身体的リスクのある医療ですので、それに万全 な対応をとらないといけないということもあります。  きょうは、そういう意味では第1回でフリートーキングで行っていきたいと思います が、今後のヒアリングというのは、前回は2回ぐらい行ってということですが、それは よろしいですか。 ○谷口母子保健課長  前回提出した資料の中に今後の簡単なスケジュールがございましたが、今、私も準備 してきてないので慌てているのですけれども。 ○矢崎部会長  結構です。 ○谷口課長  よろしゅうございますか。きょうはお三方の先生方にレクチャーいただきましたけれ ども、次回は23日の日に「心理カウンセリング」ということで平山委員からお願いをす るのがまず1点、それから同じく心理カウンセリングでございますけれども、「発達心 理・女性学」のお立場から恵泉女学園大学の大日向先生からヒアリングをさせていただ きます。もうお一方、渡辺先生から、「児童精神医学について」をお願いをしておると いう状況にございます。  その次、6月14日におきましては、これは「諸外国の生殖補助医療をめぐる現状につ いて」のヒアリングということで、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツそれぞれの 状況につきまして、それぞれ状況にお詳しい先生方からお話しを伺うという予定になっ ております。  あと、6月27日は、遺伝カウンセリングについてのヒアリング」ということで、横浜 市立大学の平原先生、「コーディネーションについてのヒアリング」ということで、こ れは蔵本ウィメンズクリニックの福田先生、「インフォームド・コンセントについての ヒアリング」ということで、これまた吉村先生にお願いをいたしておるところでござい ます。  ヒアリングについては、大体そういう予定で今進めようかと思っておりますけれども 。 ○矢崎部会長  そうしますと、ヒアリングをお聞きして、委員の方々からご議論いただいて、それを 総括して一応まとめていくという、また同じようなたたき台をつくって、さらに検討す るという筋道になるわけですね。 ○谷口課長  イメージとしてはそういうイメージでございます。総括的に今申し上げました数回の 後でもちろんやっていただくわけでございますけれども、各回ごとに、今、部会長おっ しゃっていましたように、フリーな立場での、きょうお聞かせいただいた部分でもご議 論いただいた上でフリートーキングしていただければ、我々としては大変助かる部分が ございますので、それには活発なご議論いただければと思います。 ○矢崎部会長  そういうことですので、いかがでしょうか。まず、施設基準について、きょうご説明 いただきましたが、メインにハードの面、スタッフの面からご説明いただきましたが、 これも一通りヒアリングを受けないとなかなか議論が進まないところがあるかもしれま せんが、いかがでしょうか。 ○松尾委員  施設基準の議論の中に、生まれてくる子どものケアをする施設がバックアップとして あるかということをぜひどこかで入れていただきたいと思うのですけれども、この医療 というのは超未熟児や極小未熟児を非常に多数生み出すことは社会的にわかっているわ けですので、新生児医療のコーディネーションなしに不妊治療だけをやっているという 、今の日本の現状にどこかでブレーキをかける必要があるわけですね。ですから、この 施設基準の中にぜひそのことを入れた議論をしていただきたいということと、そして、 果たしていろいろなクリニックでNICUのコーディネーションなしに不妊治療を独自 に進めることが社会的にこれから可能かどうかということも機会がございましたら、小 児科側からデータを出させていただきたいと思います。 ○矢崎部会長  新生児医療との関係というのは、今までの生殖補助医療と非配偶者間のとでは本質的 にはそう大きな差はないというふうに理解してよろしいでしょうか。 ○松尾委員  先生のご質問の趣旨がよく理解できないのですけれども。 ○矢崎部会長  従来は夫婦間の生殖補助医療が行われてきましたよね。新たに今非配偶者間の生殖補 助医療といったときに、今、新生児医療NICUの位置づけというのは、特にそれで変 わってくることはない。先生のご意見では、体外受精を含めた生殖異常の場合には新生 児医療、生まれてきた子のその後の非配偶者間の生殖補助医療で生まれた子に対するケ アというのは今後検討していかなければいけないわけですが、いわゆる医療としての新 生児医療は。 ○松尾委員  子どもだけに限定すれば、先生のおっしゃることだと思いますけれども、非配偶者間 の生殖医療というのは、母親とか家族のケアという問題も入ってきますし、それを介し た子どもに影響という問題もございますので、より広範なコーディネーションが必要に なってくるのではないかと思います。 ○矢崎部会長  わかりました。そうしますと、そういう視点からも少しお話を伺うと。 ○松尾委員  はい。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。そのほか、何かご意見ございますでしょうか。 ○鈴木委員  もう少し踏み込んだ話をしてもよろしいのでしょうか。きょうのお話を伺っていて、 提供等のこの技術を行われる施設がある程度の基準を持った施設であるというのは当然 だと思うのですけれども、これから先の議論のイメージとして、基準に達しているとこ ろはすべてオーケイというふうにしていくのか、それとも例えば全国何カ所かセンター 化して、あらかじめばらつきのないように設置するというような考え方でやっていくの では随分違うなという気はするのですね。  逆に、私、さっき実は入院施設のことで随分こだわっていたわけですけれど、現実に 入院施設を例えば条件としてしまうと、それこそ高橋ドクターの病院もこれは実施でき ないということになりますし、現実に今年間の胚移植数が1,000 以上とか2,000 超えて いる不妊の有名なクリニックは軒並み提供によるこの技術は実施できないということに なると思うんです。というか、そういうクリニックのほとんどが入院施設を持っていま せんので、その辺も実は矛盾があるなとは私などは思いながら、一方で質問していたの ですね。  先ほどの新生児の例えば医療が充実しているかというような条件も、そういう意味で は現状の不妊の専門クリニックはほとんど軒並み多分だめということになるわけですし 、この辺、もし円滑な運営ということで考えるのであれば、どのように皆さんお考えな のかというふうに、きょうは施設基準のことを思いながら聞いていました。 ○高橋氏  よろしいですか。部外者で申し訳ないのですけれども、私の話とも関連するのですけ ど、こういう部会ですと、どうしても理想論にいくことは当然なことだと思いますし、 これから起こりうるあらゆる可能性に関しての設置基準というのは当然だと思うのです けれども、先ほども言いましたように、日本の医療というと、大学病院をどうしてもイ メージをすると。すなわち1つの箱の中にすべてに入っていて、入院もできるし、不妊 治療もするし、赤ちゃんも面倒見るのがいい病院だという考え方というのは日本だけで あって、例えばアメリカなどへ行きますと、チルドレン・ホスピタルとウーマンズ・ホ スピタルとすべて違うわけですね。箱がまず違います。  理由は専門の何を持っているかによって設計の段階から違ってくるわけです。である から、医者が間を走り回っているわけなんですね。そういうことから、専門性を持った 場合、体外受精をする医者が生まれてきた赤ちゃんまで面倒見ろという自体が無理であ って、また、腹腔鏡も含めて一連の不妊治療すべてすればいいではないか。理屈は理屈 なんでありますけれども、今のように先端医療が進んでいきますと、最近の日経新聞な どにも出ていますように、アメリカの保険会社が調べますと、症例数が多い施設ほど成 功率といいますか、あらゆる面の医療の質は高いというのは明らかなんですね。そうい うことで、そこにすべてを求めてしまうと、医療の質が当然低下してくるということも 考えなくてはいけないということで、いろんな部会のときも考えていただきたいと。  理想論としてはあるのですが、イメージはどうしても日本の現状の医療を考えますと 、すべてをすべてをとなりますと膨大な組織でしかできないと。そうなりますと本当に 限られた大学病院でしかできないと。それでやりますと、先ほど私がお見せしたような 矛盾が起こると。患者さんにとっては悲劇であります。そういうことを念頭に考えてい ただければと思います。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。 ○高久委員  よろしいですか。 ○矢崎部会長  はい。 ○高久委員  私は施設、倫理委員会は別にして施設に関しては普通の夫婦間でも第三者提供でも要 求される医学的なレベルというのは同じであってしかるべきだと思うんです。ただ、提 供の場合には、倫理委員会とかカウンセリングは非常に重要になりますけれども、倫理 委員会も共通というか、それはすべての施設が全部持つ必要があるのか、あるいはどこ かでこういうセントラルの倫理委員会みたいのがありまして、そこがプロトコールの審 査するという体制をとらないと現実的ではないと思うんですね。  ですから最近もちょっと話題になっていましたけど、アメリカでもナショナル・キャ ンセイ・インスティチュートがやるがんの治験というのは1カ所でやるんですね。そし て、各施設のは非常に簡単な審査をするというふうに、ですからこの場合でも、例えば 1つの町でもいいし、あるいは学会でもいいし、どこかで共通の倫理委員会、しっかり したものをつくって、各施設からのヒアリングをして、それを認める、認めないという 施設をする方が現実的ではないかと思うんですけれども、それから、繰り返しますけど 、カウンセリングはまた別な非常に重要な問題で、これは夫婦間とは別なシステムをつ くっておかないとうまくいかない。ですけど、医療的な基準に関しては基本的には同じ でいいのではないかと思いますけれども。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。この基準の報告書で、先ほどの倫理委員会というのは、こ の報告書はどういう施設をイメージして言われているのか。見ると、先ほど高橋先生言 われるように、総合病院とか大学病院とか、それを対応して、これを施設基準つくられ ているのか。高橋先生のような私的の医療施設まで含んでこれをつくられたのか。今、 高久委員のご議論では、倫理委員会というのは、個々の医療施設に置かなくても、統轄 的な倫理委員会なりプロトコールが確立できればよろしいのではないかというご意見で はなかったかと思いますが、いかがでしょうか。 ○吉村委員  非常にこれは難しいですが、この目指しているものは、例えばハードの面で要求され ることにおいては、ここが理想であるということを書きました。そして倫理委員会とか 、こういった設置に関しては、あくまでもこれは非配偶者間の体外受精を念頭に考えま した。ということでありまして、これの全体の流れを目指すものは不妊センターみたい なものであります。ですから、例えば児のことについてはここでは触れませんでしたし 、入院施設のことについてもここでは触れなかったと、そういう認識で見ていただけれ ば結構なんですけど。 ○矢崎部会長  そうしますと、先ほど鈴木委員が質問されたような、従来の生殖補助医療が続けて非 配偶者間の生殖補助医療を取り入れるということではなくて、新たに国で認定した施設 でそういうことは行うと。 ○吉村委員  国で認定するのか、それはわかりませんけれども、こういったセンターで、ARTに 必要なスタッフもおり、倫理委員会も設置されており、そしてハードの面ではこういっ た施設を持っている。こういったところで非配偶者間の体外受精は行われるのが理想で はないかというようなイメージでつくったのですけど。  高久先生がおっしゃるようにハードの面におきましては、夫婦間でやればどうでもい いかという問題ではなくて、同じであるべき、理想的にはそうだと思いますが、恐らく こういったものを備えられているのは、現在生殖補助医療を行っているセンターの一部 ではちゃんと行われているのではないでしょうか。ただ、倫理委員会のセントラル化と いうのは、どこかで倫理委員会をつくりまして、これを一括してやる、そういったイメ ージというのは公的審議機関と言われるようなイメージでも、私はそれはそれでいいの ではないかと思います。例えばAという病院が、こういった患者についてやりたいのだ けれども、公的審議機関の倫理委員会でどうですか。それはそれでもいいと思いますし 、あるいはそれは一定の実施機関に任されてもそれはいいかもしれませんし、それは皆 さんでお考えくださればいいことだと思います。  ただ、これをクラアント夫婦に対してやっていいのかどうかというのは医学的な基準 というのは医師が出すわけですけれども、それに対して社会的な様々な基準とかそうい ったことについては、こういった倫理委員会みたいなところで審査されるのがしかるべ きではないか、そういうイメージです。 ○矢崎部会長  ほかの委員の方。 ○高久委員  私も第三者がこういう外部というか内部でも構わないのですが、倫理委員会が最終的 にゴーサインを出すことは必要だと思うのですね。その場合には当然家庭的な問題から 、そこでやるカウンセリングのシステムとか十分に検討する必要があると思います。特 にそれは非常に重要だと思うんですけれども、ただ、技術的にといいますか、これが夫 婦間と提供とで非常に特殊に提供の方がはるかに難しいとか、そういうことはないわけ ですね。  そうしますと問題は、社会的なバックグラウンドとかカウンセリングができるかどう かということが一番重要なことであって、特定の施設でなければ、これをやってはだめ だというのは少し違うのではないか。非常に技術的に難しければ、施設を限らなければ ならないと思うのですが、例えば心臓移植とか、肝臓移植のように、しかしながら、技 術的に夫婦間と変わらないとするならば、むしろ倫理委員会の役目の方が重要であって 、施設が特に重装備である必要はないのではないかと私は思うのですけれども。 ○金城委員  吉村先生はこれは理想的だとおっしゃったのですが、患者の立場として見れば、やは りこれぐらいのものはきちんと整えておいていただかなければとても心配だと思うんで すね。ただ、そういうことを余り表面に出しても難しいということであれば、提供配偶 子を使うときにはこうだ。そして、きちんと施設を持ったところだけがそういうことが できるということを国がきちんと示すことは、一般の夫婦間の体外受精しかやらないと ころでも、そういう方向に向かって施設を向上させていく1つの契機になるのではない かと思いますので、余り理想でなくてもある程度の妥協はいいと思うのですけど、非常 に重要なところだと思います。そこはきちんと出しておいていただたいと思うんですね 。  それから、倫理委員会についてなんですが、これはセンター化でもいいと思うんです 。先ほど高橋先生から、なかなか結論が出ないというお話が出たのですけれども、セン ター化できたら、1カ月に1回は必ず開くと。そして開いたときにはきちんとその間に 開いたときに十分議論して、その場で結論を出すと。もし、どうして改めて確認をした いということであれば、その確認をした後、委員長に一任するとか、いろいろ工夫をす れば、倫理委員会があるために、患者さんが急いでいるにもかかわらず、いつになって も実施ができないということはないと思います。倫理委員会の運営の仕方を工夫すれば いいのではないかと思います。 ○加藤委員  吉村さんに聞きたいのですが、吉村さんの案は、倫理委員会の問題と準医学的な基準 の問題と2つ含まれているように思うのですね。これは全然別の問題ではないかという 気が私はします。この準医学的なレベルで考えたときに、これもかなり厳しい理想案で 、現在ほとんどのクリニックがクリアーできないというぐらい厳しい案なんですか。 ○吉村委員  ほとんどとは言いませんが、この1番の施設基準であれば、どのくらいクリアーでき ますか、半分ぐらいクリアーできますか3分の1ぐらいですか。 ○高橋氏  日産婦の毎年の統計が出ていますので、年間200 例以上やっている施設はほぼいって いるのではないですか。そうしますと50施設弱、10%、200 例ぐらいになりますと、こ れぐらいやらないとできませんので、そのあたりで1つの評価をされたらどうかと思い ます。 ○矢崎部会長  ちょっと非配偶者間の生殖補助医療やる場合には、少し病院の設計とかそういうのも ある程度基準が満たさないとなかなか困難なところがありますね。 ○高橋氏  先ほどもどなたか委員の方がおっしゃったように、実は配偶子を第三者のを使った医 療は、恐らく一番簡単だと思います、ある意味で。そういうことで技術的な問題よりも ソフト面、人が重要になってくると思います。私も含めてですけど、正直第三者の配偶 子を提供する医療というのは正直余り興味がないと。これはできて当然といいますか、 医者としてのおもしろ味がないというのも確かにあると正直言わせてもらいます。当然 家畜と一緒ですので、こういったら失礼ですけど、いい受精卵をもらって、いい子宮に すれば、恐らく妊娠率は80%超えて当たり前なんですね。そういうことで、技術的な問 題は余り重要ではないのではないかと思います。むしろそういう人、そういう登録制の 問題も含めて人的なバックアップが重要ではなかうか、私はそう思います。 ○矢崎部会長  私申し上げたのは、診察室とかカウンセリング室、そういうところは相当重きを置く ようなハード面も備えなければいけないような感じを受けましたけれども、確かにきっ ちり出入口が管理ができるようにとか、そういう面もあるかと思いますが、ただ、医療 的には先ほどからご議論のように医療技術的には差がないというお話ですが。  あとカウンセリングの問題、コーディネーションの問題、インフォームド・コンセン トの問題など附帯する事項がたくさんありますが、きょうは施設の基準ということでお 話いただきましたが、金城委員はなるべく安心できる施設を少なくとも非配偶者間の生 殖補助医療にするときには、施設の面でもスタッフの面でも充実したところでやってほ しいというご意見だったと思いますが。 ○金城委員  非配偶者間で許可を得たということになれば、そういう病院に多くの人が行くだろう と思うんですね。ですから施設が整わないところはどうしても淘汰される。全体として は医療の水準は上がっていくと思うんです。ですからある程度厳しいところで私はいい と思っていますが。 ○矢崎部会長  吉村委員よろしいですか。 ○吉村委員  はい、特に。 ○矢崎部会長  ほかの委員の方、いかがでしょうか。そうしますと、この矢内原班の報告の施設基準 について、これは倫理委員会の議論ございましたが、そのほかカウンセリングの問題と かコーディネーションということはこの中に含まれてないと。 ○吉村委員  この施設基準の中には含まれていませんが、カウンセリングに関しては、矢内原班で 1班ございまして、それで詳しくやっております。 ○矢崎部会長  それはまたご説明いただけるわけですね。 ○吉村委員  もし必要であれば。 ○矢崎部会長  はい。それは先ほどのヒアリングの予定の中に入っているインフォームド・コンセン トについてのお話しという中に入ってくるわけですね。 ○吉村委員  はい。 ○矢崎部会長  そうしますと、一応施設基準の特にハードの面については、この委員会としては細か い具体的なディスカッションはできませんが、ここで出された基準になるべく沿うよう な基準にしていただきたいというふうな委員会の総意ということでよろしいでしょうか 。実際にやっておられる高橋先生、福田先生、この施設基準について。 ○高橋氏  私は先ほど申しましたように結構だと思います。非常にリーズナブルだと思います。 ○矢崎部会長  こういう施設基準でやってほしいという、部会での結論になるかと思いますが、また 、最終的な結論につきましては、ご議論いただくということで、そういう方向でいきた いと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、きょうご議論いただいた実施施設の基準、特にハードの面と、福田先生に はエンブリオロジストという方の資格が今後日本で認められるべきだというお話を伺い まして、今後の検討の課題にさせていただきたいと思います。  何かつけ加えることございませんでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、高橋先生、福田先生、本当にお忙しいところ、きょうはありがとうござい ました。  それでは、事務局の方から今後の。 ○谷口課長  1点ちょっと確認をさせていただきたいと存じますけれども、今の厚生科学研究の吉 村先生ご発表いただいたものにつきまして、部会長から先ほどご発言ございましたけれ ども、倫理委員会のくだりがございました。これも含めてこの方向でというふうに理解 をするのでしょうか。それは別という理解。 ○矢崎部会長  それは別でハードの面という。 ○谷口課長  ハードの面ということでございますね。 ○矢崎部会長  ええ。 ○谷口課長  わかりました。 ○矢崎部会長  それでよろしいですね。倫理委員会については、また議論していただきたいというこ とと、高久委員のご発言でも、個々の施設で議論されますと、全然違う倫理委員会の答 えが返ってくることもあり得るのではないかということで、ある程度の基準が倫理的に 決まって、そこで個々のケース、問題があったときに議論するような、そういう形に倫 理委員会は今後なるのではないかと思います。それとまた本当に非配偶者間の医療が公 平に透明性高く行われるという仕組みをまた別に考えないといけないと思います。  それでは事務局の方から。はい、どうぞ。 ○町野委員  すいません、終わりそうなところで申し訳ないのですけれども、倫理委員会の件とい うのは、これは結局どういう実施体制をとるかということと関係しておりますから、こ れだけを切り離してやるというのは非常に不適切であろうと私は思います。といいます のは、1つのイメージは、ES細胞のときのように、2段階のことを考えるというのは 1つの考え方ですけれども、そういうものを当然やるというぐあいにここは考えるかど うかですね。恐らくそうはならないのではないかということを私は思いますけれども、 そこらの議論がまず最初ではないかと思います。  もう一つは、それと関係いたしますけれども、要するに実施体制の問題なんですから 、ハードの面ももちろん重大な問題ですけれども、同時に先ほど加藤先生言われました ように、医師法の問題は私は避けて通れないと思いますね。エンブリオロジストの方は 臨床やられないということですけれども、先ほどのお話では、特に着床させるときに関 与されたりいたしますし、あるいは患者を直接診なくても、果たしてこれは医業に当た らないのかということはもう一つ議論すべき問題だろうと思いますから、そこが法律の 方でも、余り私は十分しっかりしてないところだろうと思います。  ですから、どのような体制でこれから実施していくか、この倫理面も含めた上、それ をまず全体の設計図がないと、この先、議論はかなり進みにくいのではないかと私は思 います。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。それを含めて少しまとめていきたいと思いますので、よろ しくお願いいたします。 ○金城委員  そこで私も気がついたのですけれども、医師法の問題、大変重要なんですね。アメリ カではそこら辺はどういうふうにクリアーしていらっしゃるのか伺いたいのですが。 ○福田氏  例えば胚を触る人が胚を間違えたらどうなるか。ヨーロッパなどでは白人の夫婦が黒 人の子どもを産んだことがございました。私はアメリカで働いているときも、デパート メントが、学部が私に対して保険をかけておりました。ですから訴えられた場合にはそ の保険が賠償金を払うというふうなことをしておりましたので、直接医師法とは、私は アメリカでも全く絡んでないと思うんですけれども、胚の間違いとか、そういうことに 関しては法律がもちろん訴訟などになりますと絡んでまいります。ですけれども、医者 と同じ法律で、それを規制することは向こうでもなかったと思います。 ○金城委員  日本の場合は医師法で、医業は医師でなければいけないと言っているんですね。です から医業がどこまで入るかということなんですね。ですから胚だとか配偶子をいじるの は、これは全く医療に入らないと言えるのか。将来、人間になるのですので、しかも、 移植のときには患者さんにタッチする。 ○福田氏  いや、タッチしません。 ○金城委員  そうですか。それはお医者さん。 ○福田氏  胚移植のときも患者さんにタッチするのは医者です。 ○矢崎部会長  先ほど申し上げましたように、技術の評価と責任の所在が一連の流れの中であります ので、責任の所在を明確にしない限り、なかなか位置づけは難しいと思いますが。  ありがとうございました。それでは、今のご意見も踏まえて、次回以降、事務局とち ょっと議論まとめさせていただきまして、またご検討いただければと思います。 ○鈴木委員  きょう私もうっかり持参しなかった私も悪いのですが、きょうは要するに検討課題2 に入るためのヒアリングだったわけですね。検討課題2の方の用紙がきょうきっとある のだろうなと思ってきたのですが、ここになかったものですから、きょうのお三方の話 がどこと関連するのかななんて思いながら、照らし合わせるのが困ったものですので、 次回のときは検討課題2の整理をしたものを用意しておいていただければと思いますの で。 ○矢崎部会長  余り1の条件ほど詳しいことなくて、先ほど室長が読まれた専門委員会は、51ページ から52ページにかけてのことで、それを詳しく内容を決めるというのが検討課題2では ないかと思います。ただ、ここで決めている文言は少ないのですが、今ご議論のように 非常に包括的な議論をしなければいけないということで、検討する内容は極めて広く、 細心の注意をしながら検討していかなければいけないと思います。何か事務局の方でい ただけますか。 ○谷口課長  申し訳ございません。事務局の方で、確かに不親切なところがございまして、次回ち ゃんとその辺の検討課題2の内容がしっかりわかるようなものを準備させていただきた いと存じます。 ○矢崎部会長  お願いします。 ○桑島室長  それでは次回のご連絡申し上げます。次回の生殖補助医療部会は、先ほど私どもの課 長からもご説明申し上げましたが、カウンセリングに関してのヒアリングをさせていた だきたいと存じます。次回の日程は、5月23日(木曜日)でございまして、時間帯が今 までと異なってございまして、朝の10時から昼の1時までということで、非常に変則的 な時間になってございますが、よろしくお願い申し上げます。朝の10時から昼の1時ま でと。場所につきましては、この17階の専用18会議室、隣の会議室でございます。次回 の終了後には事務局の方でお昼ごはんをご用意させていただくことになってございます ので、よろしくお願い申し上げます。  それから、毎回お願いしていることでございますけれども、ご意見等ございましたら 、メールあるいはFAXで事務局にお寄せいただければと思います。締切りにつきまし ては、5月21日の火曜日午前中までということで事務局で受けさせていただいてござい ます。 それから、本日、先生方に今まで通行証をお渡ししておりましたけれども、今 年度の新しいものをお渡しできますので、後ほど事務局から配付させていただきますの でお引受けいただければと思います。  事務局からは以上でございます。 ○加藤委員  その次、6月14日以降は決まってないのですか。 ○桑島室長  それ以降の日程につきましても、前回の資料で、加藤先生いらっしゃらなかったでし ょうか。決まってございまして、確認をさせていただきますが、次回が5月23日、その 次が6月14日(金曜日)、その次が6月27日(木曜日)という日程でお願いしてござい ます。よろしゅうございますでしょうか。6月14日と6月27日ということで、月に2回 のペースでヒアリングをさせていただくことにしてございます。よろしくお願いいたし ます。 ○矢崎部会長  よろしいでしょうか。  それでは、本日も長時間にわたり、ご熱心にご討論いただきましてありがとうござい ました。それでは次回もよろしくお願いいたします。高橋先生、福田先生ありがとうご ざいました。                     照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課                          03−5253−1111(代)                              桑島(内線:7933)                              小林(内線:7939)