02/02/12 第13回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録    第13回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録 1 日時  平成14年2月12日(火)14:00〜15:05 2 場所  経済産業省別館1014号会議室 3 出席者 [委員] 奥平委員、刀谷委員、勝委員、菅野委員、齋藤委員、           桜井委員、笹川委員、佐藤委員、都村委員、中山委員、           長谷川委員、堀越委員      [事務局] 奥田勤労者生活部長、南野勤労者生活課長 4 議題  (1) 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案要綱について(諮問)  (2) 中小企業退職金共済法(昭和34年法律第160号)第10条第2項第3号ロ及    び中小企業退職金共済法の一部を改正する法律(平成10年法律第46号)附則    第7条第3号ロ(1)の支給率を定める件について(諮問)  (3) 部会の会議の公開について  (4) その他 5 議事内容 ○部会長  ただいまから、第13回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会を 開催いたします。本日の議題は、配付資料のとおりですが、最初に議題1の「中小企業 退職金共済法の一部を改正する法律案要綱」について、事務局から御説明をお願いしま す。 ○勤労者生活課長  資料1の1枚目が諮問書です。2枚目以降が中小企業退職金共済法の一部を改正する 法律案要綱です。資料2として、法律案要綱にかかわる関係資料を用意させていただい ております。  諮問書の説明は省かせていただきます。中小企業退職金共済法の一部を改正する法律 案要綱ですが、内容としては1月24日に当部会からいただきました建議の内容を、法 案要綱として私どもで取りまとめたものです。法案の内容についての内閣法制局の審査 もほぼ終了している状況です。要綱は、法律の条文に沿った書きぶりとなっておりまし て、ややわかりづらい面がありますので、関係資料と併せて御覧いただければと思いま す。  要綱の第一の退職金共済契約に係る退職金額についてですが、これは、現在法律で定 める、予定運用利回りに基づく基本退職金額を政令で定めることとするものです。  読み上げますと、「退職金共済契約に係る基本退職金額は、納付された掛金及びその 運用収入の額の総額を基礎として、予定利率並びに被共済者の退職の見込数及び退職金 共済契約の解除の見込数を勘案して、掛金納付月数の区分に応じ、掛金月額及び掛金納 付月数に応じ、政令で定めるものとすること」とされています。  関係資料の1頁の政令化の範囲についての現行制度のところを御覧下さい。現在中退 制度にかかわる退職金額については中小企業退職金共済法第10条で規定されています 。内容的には、加入期間によって給付額に差を設けるという仕組みになっております。  具体的に申しますと、掛金納付月数12月未満は掛捨となっており、この期間に退職 された方については、退職金の支払いは行われません。  12月以上23月以下期間の加入者については掛損で、実際の掛金よりも低い金額の 退職金額しか受け取ることができないことになっています。条文上は「区分掛金納付月 数に応じ、別表第1の下段に定める金額を合算して得た額」と規定されておりまして、 法律の別表第1に、12月から23月までのそれぞれの納付月数ごとの退職金額が規定 されています。  24月以上42月以下の場合には掛金相当額となっておりまして、実際に掛けた掛金 と同額の退職金しか受け取ることができないことになります。利回り分は付されないこ とになります。  43月以上になりますと初めてその利回りを加えた額を受け取ることができることに なるわけですが、具体的にはイ及びロに定める額を合算して得た額が支給されることと なっております。イの部分が、予定運用利回りに基づいて得られる基本退職金額、いわ ゆる確定給付の部分でして、現時点では3.0%とされているものです。法律上の書き ぶりとしては、「区分掛金納付月数に応じ別表第2の下欄に定める金額を合算して得た 額」となっております。法律の別表第2において、43月から1月ごとに500月以上 まで、その各月ごとに退職金カーブを基に給付額が規定されており、3.0%の運用利 回りを前提とした退職金額が各月ごとに規定されております。  ロは付加退職金です。付加退職金については(3)にあるように、その支給率につい ては、その前年度の剰余金を原資として、前年度末までに、労働政策審議会の意見を聞 いて、厚生労働大臣が定めることとなっております。以上が現行の法律上の規定ですが 、これをどう政令化するかというのが次の2の部分です。  政令化の範囲については、法律第10条の規定をすべて政令に委任するということで はなく、掛捨、掛損、掛金相当及び利回りを付加し付加退職金を支給する掛金納付月数 の区分については、これまでどおり法律に規定し予定運用利回りに基づく掛金納付月数 の区分ごとの具体的な退職金額については政令で定めることとしたいと考えております 。  具体的に申しますと、1のところの掛損のところにある別表第1、あるいは43月以 上のところにある別表第2について、現在法律で規定されている部分を政令で規定する というふうにしたいと考えております。  (2)退職金額設定の際の勘案事項ですが、これは、新たに設けることとしたいと考 えているものですが、具体的な退職金額を政令で規定することになるため、その際の勘 案事項について、法律で規定をしたいというものです。具体的にはカッコ書きにありま すように、納付された掛金及びその運用収入の総額を基礎として、予定利率並びに被共 済者の退職の見込数及び退職金共済契約の解除の見込数を勘案するという内容となって おります  (3)の付加退職金に係る規定については現行どおりとしたいと考えております。以 上が第一の部分です。  要綱に戻っていただきまして、第二の特定業種の退職金共済契約に係る掛金日額の範 囲の引上げについてです。特定業種の退職金共済契約に係る掛金日額の範囲を現行の1 20円以上450円以下から、300円以上800円以下に引き上げるものです。関係 資料の2頁を御覧下さい。特定業種の掛金日額の範囲は法律で規定がありまして、現在 は120円以上450円以下とされています。昨年9月から、林業にかかわる退職金共 済制度の掛金日額が450円と、法律で認められている範囲の上限に達したということ です。今後必要なときに、この掛金日額の引上げが可能となるように、あらかじめ、法 律で定める掛金日額の範囲を引き上げておくものです。  具体的な引上げ幅についての考え方については、前回掛金日額の範囲が引き上げられ たのが昭和55年で、それ以来20数年にわたって改定がなかったわけですが、その間 の一般の賃金水準の上昇率を勘案し、掛金日額の上限については、現行の450円から 800円に引き上げるというものです。掛金日額の下限については、現在建設業と清酒 製造業が300円ですので、それに合わせて300円としたいと考えております。  要綱に戻っていただきまして、第三の勤労者退職金共済機構の理事長等の義務等とい う部分は、資産運用に関する役員の行為準則を定めるものです。関係資料の3頁の2の 改正案の(1)に相当する部分です。要綱では、第三の一号勤労者退職金共済機構の理 事長、副理事長及び理事は、余裕金の運用(資産運用)の業務について、法令、法令に 基づいてする厚生労働大臣の処分等を遵守し、勤労者退職金共済機構のため忠実にその 職務を遂行しなければならないものとすることとされています。いわゆる役員の忠実義 務を規定する部分です。  二号として、勤労者退職金共済機構の理事長、副理事長及び理事は、自己又は勤労者 退職金共済機構以外の第三者の利益を図る目的をもって、特別の利益の提供を受け、又 は受けるために、余裕金の運用に関する契約を勤労者退職金共済機構に締結させること 等の行為を行ってはならないものとすることということです。これは、利益相反行為の 禁止に関する規定です。  要綱の第四ですが、法律の条文の順に書いておりますので、一部前後しますが、勤労 者退職金共済機構の業務の縮小についてであり、これは、行政改革推進事務局からの指 摘を受けております、特殊法人等整理合理化計画の中にも盛り込まれているわけですが 、勤労者退職金共済機構が行う保健施設等の設置及び運営の業務並びに従業員福祉施設 の設置等のための資金の貸付けの業務を廃止するものとすることです。保健施設等の設 置、融資業務については、法律上機構の業務から削除するというものです。  第五は余裕金の運用方法の範囲の拡大等ということで、資産運用に関する部分に戻り ます。一号は、関係資料の3ページの2の(2)の金銭信託による運用制限の撤廃に相 当する部分です。勤労者退職金共済機構が余裕金を運用する際の方法として、信託会社 への信託を認めるものとすることであり、現在は、資産運用の一形態としての信託での 運用は金銭信託でしか認められておりませんが、これを、より幅の広い包括信託での運 用についても認めるというものです。  二号の部分は、関係資料の2の(4)の特定金銭信託等による運用に係る厚生労働大 臣の事前承認の廃止の部分です。勤労者退職金共済機構が投資顧問業者との投資一任契 約の締結による運用方法を特定する金銭信託で余裕金を運用する場合の厚生労働大臣の 承認を廃止するものです。これも以前から御説明申し上げておりますが、現在、勤労者 退職金共済機構がその資金を特定金銭信託に投入する場合には、その度に、事前に厚生 労働大臣の承認を必要とするわけでございますけれども、より機動的な資産運用ができ るようにという観点から、投資一任契約によって特定金銭信託による運用を行う場合に ついては、厚生労働大臣の事前承認を廃止するというものです。  また、要綱はすべての改正項目について規定するということではないため、要綱の中 では具体的に規定はありませんので、関係資料で御説明させていただきますが、資料2 の3頁の(3)と(5)の部分です。  (3)については取得した有価証券の運用方法の一部廃止についてであり、現在、勤 労者退職金共済機構が取得した有価証券については、運用方法の一形態として証券会社 への預託による運用が認められておりますが、実際にこの方法による運用は現在は行わ れておらず、実質的に手数料等もかかって非常に非効率であるということもあり、この 際運用方法として廃止することとしたいというものです。  (5)は、四半期ごとの運用計画の認可の廃止です。勤労者退職金共済機構の資産運 用計画については、年度ごとに認可予算という形で、厚生労働大臣の認可を行っており ますが、それに加えて、現在、法律上、四半期ごとの認可も必要となっておりますが、 他の公的な運用機関については、このような運用計画の認可についての手続をとってい る所はほとんどないということもあり、できるだけ勤労者退職金共済機構の方で機動的 な資産運用を実施するという観点から、四半期ごとの運用計画の認可については廃止を したいと考えております。  要綱の第六、余裕金の運用に関する基本方針等ですが、これは関係資料3頁の2の( 6)機構による資産運用の基本方針策定の新設の部分です。一号は、勤労者退職金共済 機構は、余裕金の運用に関して、運用の目的その他厚生労働省令で定める事項を記載し た基本方針を作成し、当該基本方針に沿って運用しなければならないものとすることで す。勤労者退職金共済機構が、現在は内規等で定めている運用の基本方針の策定を法律 上の義務として規定するということです。  具体的に基本方針に盛り込む事項については、厚生労働省令で定めることとしており ますが、その内容としては関係資料の一番下の参考のところにあるように、運用の目標 に関する事項、運用資産の構成に関する事項、運用受託機関の選任に関する事項等の、 事項について厚生労働省令に規定をし、勤労者退職金共済機構が策定する基本方針に必 ず盛り込むようにさせたいと考えております。  第六の二号では、勤労者退職金共済機構は、余裕金の運用に関する契約の相手方に対 して、協議に基づき余裕金の運用に関する基本方針に沿って運用すべきことを、厚生労 働省令で定めるところにより、示さなければならないものとすることとしており、契約 の相手方、即ち信託会社や投資顧問会社に対して、基本方針に沿って運用すべき旨を提 示する義務を勤労者退職金共済機構に課すこととしております。以上が資産運用に関す る規定です。  要綱の第7のその他については説明を省略させていただきます。第8の施行期日等で すが、施行期日については、法律上は要綱にあるように、公布の日から起算して9月を 超えない範囲内において、政令で定める日から施行するものとすることととしたいと考 えております。法案を国会に提出した後、いつ成立するかについては国会の審議次第と いう面があるものですから、法案が通った後、政令を策定して、一定の周知期間を置く と同時に、勤労者退職金共済機構のコンピューター・システムの修正を行いつつ、施行 の準備をするという段取りになるわけでして、現時点で施行期日を明示するというのは なかなか難しい面があります。そういう意味で、このように、公布の日から起算して9 月を超えない範囲内という書きぶりにしております。  仮に最速で4月に国会を通ったとしたら、遅くとも平成15年1月には施行できるよ うにするという考え方に立ち、9月としております。二号以降は経過措置に係る部分で すので、説明は省略させていただきます。以上です。 ○部会長  ただいま、諮問について説明がありましたが、御質問、御意見がありましたらお願い します。 ○委員  ここまで来ておりますので、異論を申し上げるつもりはありません。当審議会に必ず かけると、必ず調査・審議をするという建議をしたわけです。付加退職金の問題などは 、わざわざそういうことを書いているのに、こういう重要な問題はなぜ書かないのかを 説明してください。 ○勤労者生活部長  これまでにも、そのことについては何回か御説明申し上げてきておりますが、早い段 階でそういう御指摘もございましたので、法律を改正して基本利回りの改定についても 必ず付議するという規定を入れたいと考え、入れられるかということについて総務省と も相談をした結果、新たに付議事項を追加することは困難であるという解釈がありまし た。  先般の建議の中に、必ず審議会で御議論いただくということを明記いただき、また、 現行の法律の中でも中小企業退職金共済法の運用に関する重要事項について調査審議す ると書いてありますので、私どもといたしましては、仮に、予定運用利回りを改正する 場合には、必ず審議会で御議論をいただいた上で行いたいと考えております。 ○委員  そう言われてしまえば終わりで、「ああ、そうですか。」と言わなければしようがな いのですが、ちょっとすっきりしないですね。他の運用の例も引いて説明されています から、それはそれでわかるわけです。そんなに難しいことではないように思うのですが 、いまの説明をよしとしておかなければいけないだろうと思います。 ○委員  関係資料の2頁に、改正する場合に一般の賃金水準というのがあります。それが55 年に比べて1.8倍ということですけれども、こういう場合に賃金水準と言ったときに 、労働者の範囲とか、どの統計の賃金を取るのかということです。厚生労働省で、例え ば労災などでは賃金スライドしますが、そういう場合に使う統計と同じなのかどうか、 その基の実態調査について教えていただきたいのです。 ○課長補佐  厚生労働省で調査している、毎月勤労者統計調査の全産業の労働者の給与水準につい て見ております。 ○委員  労災なども、賃金スライドする場合は同じ統計ですか。 ○部会長  賃金スライドは毎勤だったと思いますが、正確ではありません。 ○委員  後で教えてください。 ○部会長  ほかに何か御発言はございますか。  ないようですから、了承ということにして、大臣宛に答申をいたしたいと思います。 答申文を配付してください。            (事務局より答申文案配付) ○部会長  こういう形で答申をさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。               (異議なし) ○部会長  それでは、労働政策審議会長に代わって、私から、厚生労働大臣の代理として部長に お渡し致します。よろしくお願いいたします。 ○勤労者生活部長  ただいま中小企業退職金共済法の改正に係る法律案要綱の答申をいただきましてあり がとうございました。本日頂きました答申を基に、中小企業退職金共済法の一部を改正 する法律案を取りまとめ、今後政府部内で調整をした後、順調にいけば3月上旬に閣議 で決定いただき、国会に提出をしたいと考えております。  今回の中小企業退職金共済法の改正に当たりましては、本部会の委員の皆様方には、 熱心に御審議いただき、改めてお礼を申し上げますとともに、今後とも中小企業退職金 共済制度の運用に当たりまして、皆様方の一層の御支援、御協力をお願い申し上げます 。どうもありがとうございました。 ○部会長  続きまして、議題2の付加退職金の支給率の件に移ります。 ○勤労者生活課長  資料3及び資料4に基づいて御説明いたします。平成14年度付加退職金の支給率に ついての諮問です。資料3は、平成14年度の付加退職金の支給率の諮問書です。いち ばん最後にありますように、平成14年度の付加退職金の支給率は0としたいという諮 問をさせていただくものです。  資料4を御覧いただきますと、付加退職金の支給率について御説明しております。最 初の3行で、支給率を0とすることとしております。付加退職金の仕組みについては、 これまでも繰り返し御説明しておりますけれども、前年度の剰余金の見込額等を勘案し 、前年度末までに、労働政策審議会中小企業退職金共済部会の意見を聞いて、厚生労働 大臣が決定するということになっております。したがって、平成14年度の付加退職金 の支給率は、平成13年度の剰余金の見込額等をベースに検討することになるわけです 。  説明のところにありますように、平成13年度の予定運用利回りについては3.0% と規定されているわけです。実際の資産運用利回りの見込みは1.68%と、3.0% を大幅に下回る見込みです。このため、平成14年度の付加退職金の支給率を0とさせ ていただきたいと考えているものです。  具体的には4頁に収支状況の資料があります。いちばん右の欄にあるとおり、年度が 終了しておりませんので、あくまでも平成13年度の見込みの段階ではありますが、上 から3つ目の当期純利益の欄にあるとおり、単年度で470億円の赤字の見込みです。 平成12年度の赤字額は207億円でしたので、その倍以上となります。  下から2段目に運用利回りがありますが、1.68%の見込みでして、この結果累積 欠損金は2,499億円に達する見込みです。以前、当審議会においても、経済シナリ オに基づく将来推計を提出させていただきましたが、その経済シナリオに基づく将来推 計によると、平成13年度単年度の赤字見込額は485億円となっております。したが って、その見込みよりは15億円程度改善される見込みではありますが、かなり多額の 単年度の赤字が見込まれる状況です。こういう状況を踏まえ、平成14年度の付加退職 金の支給率については0といたしたいということで諮問させていただくものです。  3頁に、付加退職金の支給率の決定方法について、簡単な概念図があります。支給率 の計算方法としては、分母に仮定退職金の総額を置きます。これは、掛金納付月数が4 3月以上、いわゆる付加退職金の支給対象者の方々がすべてその年度に退職すると仮定 した場合の、退職金の総額を分母に置きます。分子に当該年度の前年度の利益見込額を 置いて計算します。先ほど申しましたように、平成13年度の見込みについては約47 0億円の赤字ということですので、平成14年度の付加退職金の支給率の基礎となる算 定においては0ということになります。このような結果を前提として付加退職金の支給 率を、平成14年度については0とさせていただきたいということです。 ○部会長  いまの説明について、御意見なり御質問はございますか。  特段の御発言もないようですので、了承ということにさせていただき、大臣宛の答申 をさせていただきます。           (事務局より答申文案配付) ○部会長  「厚生労働省案は妥当と認める。」ということで答申させていただきます。 ○勤労者生活部長  ありがとうございます。 ○部会長  議題3「部会の会議の公開について」、事務局から説明をお願いいたします。 ○勤労者生活課長  資料5の部会の会議の公開について御覧ください。一枚めくりますと趣旨が書いてあ ります。労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会の会議は、原則とし て公開として、これを運営規程に明記したらどうかという御提案でございます。審議会 については、議事も含めてすべて公開というのが原則でございますが、当部会におきま しては昨年1月に開催いたしました第1回の部会の際に委員の方々の申し合わせにより 、議事については非公開という取り扱いとさせていただいております。ちなみに議事録 及び資料については全て公開という扱いです。  しかしながら、審議会については先ほど申し上げましたように、政府全体で原則とし て公開をしていくという方針がありまして、厚生労働省においても、現在議事が非公開 と扱われているものについても、可能な限り公開していくという方針があります。また 、先般1月24日の審議会において、労側の委員の方々から意見書が提出されているわ けですが、その中でも、基本退職金の予定運用利回りについて政令化するに当たり、審 議会の議論をより透明化するために議事を公開すべきであるという御意見もいただいた わけです。  こういうことを踏まえ、議事についても原則として公開という扱いにしてはどうかと いうことです。参考のところにあるように、労働政策審議会の本審については、当初か ら運営規程により、原則として公開という扱いになっています。これに倣い、次の頁に 中退部会の運営規程がありますが、この中に第7条という条項を1つ追加し、本審と同 様に「会議は原則として公開する」という規定を入れてはどうかということです。  いちばん最後の附則のところですが、「この規程は平成14年2月13日から施行す る」としており、、明日からの施行となります。即ち、次の中退部会から議事を原則と して公開という扱いにしてはどうかという御提案です。  1頁に戻っていただきまして、原則の考え方ですが、これについてはただし書きにあ りますように、公開することにより、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれ のある場合、又は個人の秘密、企業の知的財産等が開示され、特定の者に不当な利益又 は不利益をもたらすおそれがある場合については非公開という扱いにすることとしたい と考えています。  具体的にどういうふうにするかということですが、中小企業退職金共済部会を開催す る場合には、これまでも厚生労働省の記者クラブに、開催について案内を出しておりま す。ただし、その案内の中では非公開という案内を行っておりますが、その非公開とい う部分を公開にするということです。したがって、プレス関係者の方々が、必要に応じ てこの中退部会の議事を傍聴することができるということになります。  また、一般の方々についても傍聴が可能となるような手続をとるのが一般的でして、 具体的に申し上げますと、厚生労働省のホームページで傍聴の希望者を募るような形に なります。一定の人数制限をした上で、一般の方々で本部会を傍聴したいという方につ いては傍聴をしていただくという扱いにするものです。当然のことながら、その一定の ルールの下に傍聴を認めるということでして、私語や発言等を慎んでいただく、静かに 聴いていただくことを前提に傍聴を認めるという扱いになります。以上です。 ○部会長  いまの御提案について何か御意見、御質問はございますか。 ○委員  わかりきったことですが、「ただし」あるいは「原則」というのは誰が決めるのです か。 ○勤労者生活課長  基本的にはこの部会で決めていただくことになります。委員の方々の中で、ある回の 中退部会については議事の内容からして非公開が適当である、というふうにお考えにな られる方がいらっしゃいましたら、事前に事務局に御連絡をいただいた上で、委員の方 々にお諮りをさせていただいて、公開か非公開かという扱いを決めさせていただくこと になろうかと思います。  具体的な手続としては、部会の開催の冒頭に、委員長から委員の方々にお諮りをいた だいて、非公開の場合はそういう手続を踏むことになろうかと思います。 ○委員  それは、委員の誰かが、本日の会議は非公開とすべきだと言ったときに限りですか。 ○勤労者生活課長  原則公開ですから、そういう御提案がない限りは公開という扱いにさせていただきま す。 ○委員  具体的には、これは相当前に提起する必要がありますよね。会議の開催をホームペー ジで通告して、それに対して一般の傍聴者を募集することになるわけです。委員に対し ては、次回の審議内容といったものは、どの程度事前に開示されるかということによる と思うのです。「原則公開」なら公開でわかるのですが、その辺りの区別として、一方 で公開を前提としておきながら、委員の要請があったときにはお諮りしてということに なると、これはかなり日数が要りますよね。 ○部会長  審議会の日程を決めるときには無原則に決めているわけではなくて、こういう議題に ついていつやりましょうか、という御相談をあらかじめさせていただいていますから、 この議題から見て、非公開が適当だと思われる方は、その時点で言っていただければ、 当然間に合う話です。外部に公開するに当たっては、そういうものが全部決まった上で 外部に出ていくわけですから、いま言われたようなことは、そう支障があることにはな らないと思うのです。 ○委員  いま、議事録がホームページに掲載されるのにどのぐらいの期間を要するのですか。 部会によっていろいろ違いまして、半年ごとに出てくるのもありますし、ここは真面目 なところがあるのかなという気がします。 ○勤労者生活課長  本来の趣旨であれば、できるだけ早くということなのですが、私どもの事務の作業量 の問題もありまして、議事録本体そのものは、最終的にセットするまでにやや時間がか かっております。ただ、その議事要旨については、できるだけ早く公開することにして おります。議事要旨については、大体1週間を目処に公開しております。 ○部会長  議事録はどのぐらいで公開しているんですか。 ○事務局  原則は1か月になっているのですが、今回は会議が連続しているため、2か月ぐらい 時間を要しています。 ○委員  ホームページに公開されている議事要旨は非常に簡略化されていて、はっきり言うと 発言した本意が必ずしも伝わらないような内容になっている。結論はそうなのだろうけ れども、こういう会議というのは、それなりの雰囲気というものがあります。正確に再 現しないと、発言の要旨だけ書いていくだけでは公開しているということにはならない のではないかという疑問を持ったのですが、そこはどうですか。 ○勤労者生活課長  委員の方々の御発言には、それなりの背景やニュアンスが含まれていることは当然の ことでして、それをできるだけ活かすような形で議事要旨をまとめたいという気持はあ るのですが、議事要旨という性格上、かなり凝縮した意見の骨格といいますか、主たる ポイントについて簡単に整理をしてまとめるという要請も片やあります。確かに、必ず しもきちんと全てのニュアンスをお伝えできない部分もあろうかと思います。今後はで きるだけそのようなところも斟酌しながら議事要旨はまとめたいと思うのですが、必ず しもその御要望に全てお応えできない部分もあるかもしれません。その際には御容赦い ただきたいと思います。 ○委員  そんなにこだわりませんが、あの公開されている議事要旨は、部会長は事前に御覧に なっているのですか。 ○部会長  見ていますが、これからもよく気をつけて見てみます。 ○委員  例えば議題が三つあって、二番については非公開にしたいというような場合にはその ときに退席してもらえばできないことはないような感じがします。ただ、退席する場所 がないとか、失礼だという問題はあるのかもしれません。一つが非公開のために、あと の二つも非公開にしてしまうということだと、非常に不合理だと思うのですが、その辺 はどういうふうに解釈するのですか。 ○勤労者生活課長  議事の中身によっては、一部公開するものと、一部非公開とするものという扱いが出 てくることは十分あり得るのではないかと思います。その場合には、議事の順番をうま く工夫するような形で、前半に公開の議事をやって、それが終わった段階で傍聴の方々 には退席していただいて、非公開という形で部会を続けるという扱いになるのではない かと思います。 ○委員  質問なのですが、会議は原則として公開するということになるわけですが、厚生労働 省にはいくつかの審議会や分科会、部会があると思うのです。これは、政策的に一斉に 全ての会議を原則として公開するのか、あるいはこの部会に関してのみするのでしょう か。 ○勤労者生活課長  厚生労働省関係の審議会はたくさんあるわけですけれども、既に最初から公開してい るものと、原則として公開という扱いのものと、非公開という扱いのものがあります。 特に行政処分にかかわるような問題の審議会については非公開という扱いが多いと聞い ております。また、個人とか特定の企業のプライバシーや企業秘密にかかわるような事 項について主として審議をするような審議会については非公開という扱いになっている ものが多いと聞いております。  原則として、できるだけ公開という扱いに持っていくようにというのが、政府全体の 方針でして、厚生労働省においても、現在は非公開という扱いの審議会についても、可 能なものはできるだけ議事を公開するという扱いに持っていこうという動きはあります 。 ○部会長  1年ぐらいやってきましたけれども、公開してもそれほど困るような事態はあまりな かったのではないかという感じがしますし、どうせ議事録が公開されてしまうわけです から、そういう意味では同じことだという気もしますので、とりあえずこのように原則 として公開ということで、これから議事運営していって、もしどうしても具合が悪いと いうことになれば、それはそのときに考えることにさせていただきたいと思います。  次は「その他」の議題で、行政監察についてです。 ○勤労者生活課長  議題では「その他」となっておりますが、資料6を御覧ください。勤労者退職金共済 機構の業務のうち、建設業退職金共済事業につき、平成12年度から総務省の行政監察 を受けておりました。その結果が今年1月に厚生労働大臣に対する勧告という形で示さ れたわけです。その中身について御説明させていただきます。  建退事業については、具体的な退職金の掛金の納付方法については、期間雇用者が対 象ですので、1日働く度に証紙を1枚ずつ共済手帳に貼付していくという方法をとって います。以前、共済証紙がきちんと貼付されていないのではないかという指摘を受けた 経緯があります。  こういう経緯を踏まえ、2頁にあるように平成11年3月に、当時の労働省、建設省 、勤労者退職金共済機構の三者によって建退共制度改善方策を取りまとめました。10 項目ほどあるわけですが、これに従って、手帳の貼付が確実に行われるように、関係業 界等の協力も仰ぎながら、対応を進めているところです。今回の行政監察の指摘につい ては、この改善方策をより積極的に進めるべきであるとの観点からの指摘であると私ど もは理解しているところです。  3頁以降に本文がありますが、これはかなり長くなるものですから、説明は省かせて いただきますが、勧告の要旨を1枚目にまとめてありますので、この要旨のほうで御説 明いたします。大きく分けて3点ほどあります。  第1は、就労日数に応じた掛金の納付の確保についてです。厚生労働省は勤労者退職 金共済機構に対して次の措置を講ずるよう指導することが必要であるとの指摘です。共 済契約者、いわゆる事業主に対して、被共済者の共済手帳への共済証紙の貼付を励行す ること、2つ目は、下請事業主への共済証紙の交付を励行すること。建設業の特性とし て、元請の事業主が証紙を一括購入し、下請事業者へ交付するというようなケースが往 々にしてあるわけですけれども、元請事業主から下請事業主への共済証紙の交付をきち んと行うべきであるとの指摘です。3つ目は、被共済者に建退共制度への加入の事実、 あるいは、退職金の受給要件等の周知を徹底することについて要請をするようにという 指摘です。(2)にあげられている、共済証紙の確実な貼付を確保するための共済契約者 に対する点検については、共済証紙の購入高に応じて現在行っているところですが、共 済証紙の購入高で限定することなく、幅広く行うようにという指摘です。  第2は、長期未更新者に対する退職金の確実な支給です。建退共加入者は先ほど申し 上げましたように、期間雇用者ですので、いろいろな事業主に期間を定めるような形で 雇われて、工事現場を移動するというケースがよくあるわけです。そうした場合に、事 業主ごとに重複して共済手帳の交付を受けて、共済手帳が証紙でいっぱいになる前に次 の手帳の交付を受けて、複数の手帳を所有するというケースが実際にあるわけです。こ ういった重複加入の確認については、被共済者にすべて委ねるのではなく、勤労者退職 金共済機構の方で名寄せができるようなシステムを構築できないかという指摘です。た だ、建退共の加入者は220万人ほどおりまして、新たなシステムを追加することにな ると、相当コストがかかるということもありますので、こういった面も含めて、この指 摘については検討していきたいと考えております。  もう一点、共済手帳が一定期間未更新状態にある者については、働きかけを行い、受 給資格がある者については、退職金の請求をするように、あるいは、期間雇用者から常 用雇用者に変わっているような場合については、建退共から一般の中退制度への移行に ついて、通知をするようにという御指摘もあります。  現在、勤労者退職金共済機構において、5年間手帳の未更新状態にある者については 、現況調査を行うこととしておりますが、5年前の事業主に被共済者の所在を確認して も、なかなか所在がはっきりしないようなケースもあります。そういう意味で、5年未 更新者に対する調査というだけではなく、より現況調査の範囲を拡大するようなことで 、長期未更新者についての対応も図っていきたいと考えております。  第3は、共済証紙による掛金納付方法の見直しについてです。現在の掛金納付方式、 即ち証紙の貼付方式については、ある意味でかなり原始的と言えば原始的な部分がある わけですが、その見直しを検討してはどうかという指摘です。現在、勤労者退職金共済 機構では建設業退職金共済制度の掛金納付の方法として、ICカード化等について検討 を行っているところです。しかしながら、ICカード化をすることになると、事業現場 ごとにICカードを読み取る機械を設置しなければならない等、相当コストがかかると いうこともあり、建設業界が大変な状況にある中で、果たしてそのようなコスト負担が できるのかどうかといった問題、あるいはICカード化することによって、きちんとそ の履行確保ができるかどうかといった問題、そういった点については十分検証の必要が あるのではないかということで、検討委員会を設けて検討を進めているところです。私 どもとしては、これは将来の検討課題として認識をしているところです。以上です。 ○部会長  いまの御説明について、何か御質問なり御意見はございますか。 ○委員  これで何か新しく議論しようというわけですか。 ○勤労者生活課長  いいえ、御報告という形で説明させていただきました。 ○委員  非常に重要な問題なので、これで議論するのかなと思ったのですが、いいんですね。 検討委員会が建設業退職金共済事業本部に持たれていまして、設置してから相当時間が 経っていると思うのですが、なかなか終わりが見えない。検討の進捗状況も今お話にな ったのだと思うのですけれども、課長が把握している範囲で報告してください。 ○勤労者生活課長  勤労者退職金共済機構において、関係者の方々に加わっていただいて検討委員会を開 催しております。現在のところ、ICカード化することによって、確実な掛金納付、確 実な履行が確保できるかどうか、そのためのシステムとしてはどういう仕組みを導入す る必要があるのかといった検討を行っています。  あるいは、先ほどもちょっと申し上げましたが、今の仕組みをICカードに変えるこ とによって、相当な運営コストがかかってくるのではないかといった問題、あるいはそ の仕組みとしては、今は事前に証紙を買って、被共済者が働く度に手帳に貼付するとい う仕組みをとる、前払い方式になるわけですが、これを事後の精算方式にすることにつ いての是非等の観点も含めて、もうちょっと時間をかけて検討する必要があるのではな いかというのが、現段階での状況であると理解しております。 ○部会長  他に御発言はございますか。ないようですので、本日はこれで終わりにさせていただ きます。次回は来年度になってからだろうと思いますが、開催する場合には改めて御連 絡を差し上げます。どうもありがとうございました。 6 配布資料  (1) 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案要綱について(諮問)  (2) 「中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案要綱」に係る関係資料  (3) 中小企業退職金共済法(昭和34年法律第160号)第10条第2項第3号ロ及    び中小企業退職金共済法の一部を改正する法律(平成10年法律第46号)附則    第7条第3号ロ(1)の支給率を定める件について(諮問)  (4) 「中小企業退職金共済法(昭和34年法律第160号)第10条第2項第3号ロ    及び中小企業退職金共済法の一部を改正する法律(平成10年法律第46号)附    則第7条第3号ロ(1)の支給率を定める件」に係る関係資料  (5) 部会の会議の公開について  (6) 特殊法人に関する行政評価・監視結果に基づく勧告 (注)配付資料については多量のため省略しておりますが、厚生労働省(大臣官房総務    課広報室又は労働基準局勤労者生活部勤労者生活課)において供覧しております    。    ┌───────────────────────────────┐    │照会先 厚生労働省労働基準局勤労者生活部勤労者生活課     │    │    担当:河野・武村                   │    │    03(5253)1111(内線5376)       │    └───────────────────────────────┘