02/01/24 第9回 厚生科学審議会生殖補助医療部会議事録 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 母子保健課         第9回 厚生科学審議会生殖補助医療部会議事次第 日時  平成14年1月24日(木)14:00〜17:00 場所  厚生労働省共用第7会議室(本館5階) 議事  1.検討課題1について  2.その他 ○桑島生殖補助医療対策準備室長  それでは定刻となりましたので、ただいまから「第9回厚生科学審議会生殖補助医療 部会」を開催いたします。  本日はお忙しい中お集まりをいただきまして、誠にありがとうございます。  本日は金城委員、才村村員、高久委員がご欠席のご連絡をいただいてございます。石 井委員、小泉先生にからはお遅れになるというご連絡をいただいてございます。  それでは早速、議事に入らせていただきたいと存じます。矢崎部会長、進行をよろし くお願い申し上げます。 ○矢崎部会長  では、まず資料の確認をお願いいたします。 ○桑島室長  それでは、先生方のお手元に配付させていただいてございます資料の確認をさせてい ただきます。まず資料としては1つでございまして、第9回の本日付の検討課題1の事 務局でまとめさせていただいている資料でございます。  それから、机上配付といたしまして、医薬局の方で作成をいたしました「治験を円滑 に推進するための検討会」の報告が1つ。それから、その報告に基づきまして、厚生省 時代でございますけれども、国立病院部がこの治験に関します算定の要領につきまして 課長通知を出してございますので、その通知を1つ。  それから、鈴木委員からご提出いただきました資料が一部でございます。  資料につきましては、以上でございます。 ○矢崎部会長  鈴木委員から「フィンレージの会」のこのレポートで、一言何かありますか。 ○鈴木委員  きょうは卵子のシェアリング等に関しての実費相当分などのあたりがお話し合いの課 題だったと思います。一応参考までに、実は一回り目の議論をした第4回のときに私は 欠席してしまったものですから、きょうは私の参加している「フィンレージの会」とい うグループが調査しました具体的に体外受精などに幾らかかっているのかという参考資 料として、このコピーをお持ちしました。後でゆっくり見ていただければと思います。 ○矢崎部会長  ありがとうございました。  では議事に入らせていただきます。まず議題1の、まだ検討課題1でございます。委 員の皆様よくご確認されているところかと存じますが、これは検討課題1、2、3とあ りまして、1、2、3がそろった段階で1セットの報告になりますので、検討課題1と いうのは実際に医療として行った場合の具体的なプロセスをここに検討している段階で ありまして、2、3というのは、それを公平性あるいは透明性を高めるための環境整備 をどうしたらいいかということが検討課題2、3でございますので、全体の評価につい ては、検討課題1、2、3の全部終わったところで、またいただければ大変ありがたい と思っております。  前回も引き続いて委員の皆様方に幾つかの案に分かれていた項目についてご議論いた だき、大体まとまった案件に対しては「●」を付けてまいりました。本日はまず前回「 ●」を付けさせていただいた項目のご確認とそれが済みましたら、また次の課題につい て議論を進めていきたいと思っておりますのでよろしくお願いしたいと思います。  それでは、前回案が「●」になった時点につきまして、室長から改めて確認をお願い いたします。 ○桑島室長  それでは前回のご議論スタートいたしましたのは提供胚の移植のところでございます 。9ページから始まりますが、「●」をいただいてございますのは10ページになります ので、そちらからごらんいただければと思います。  要検討事項といたしまして「『胚の提供を受けなければ妊娠できない』ことの具体的 な判定はどのように設定するか?」ということでご議論いただいてございまして、10ペ ージでございますが、「●」でございます。「提供胚の移植を認める。その際の『胚の 提供を受けなければ妊娠できない」ことの具体的な判定は医師の裁量とする(国として 義務的な基準は示さない。)  ただし、実施に当たって医師が考慮すべき基準を国が法律に基づく指針として示す。  考慮すべき医学的基準の具体的な内容は、男性に精子の提供を受ける医学上の理由が あり、(これはp6の方で「●」をいただいているところでございます)かつ女性に卵 子の提供を受ける医学上の理由がある(これはp9の方でいただいている「●」でござ います。このミックスした形、プラスされた形)ことでよいのか?  医学的な基準以外の、子を安定して養育していけるか、生まれた子に対する真実告知 (これは関連でまた後ほど出てまいります)などの基準については、カウンセリングや インフォームド・コンセントで対応する(その内容については課題2でご検討いただき ます)とともに、個別の事例について、公的な第三者の審査を行うこととする。」(こ れも第3の課題でございます)  「胚の提供について優先順位を設けるか?」ということでございますが、これは前の テーマでも全て整理はされてございますが、繰り返しになりますが、この部分について は「●」をいただいておりますが、「医師の裁量とする」ということで、国として義務 的な基準は示さないということでございます。  それから、続けてまいりますが、次のところで要検討事項は「『卵子の提供を受ける ことが困難な場合』の具体的な判定基準をどのようにするか?」というところでござい ますがこれは「●」のところでございますが、「『卵子の提供を受けなければ妊娠でき ない夫婦』も、卵子の提供を受けることが困難な場合には、提供された胚の移植を受け ることができることとする。  その際の『卵子の提供を受ける』ことが困難であることの具体的な判定は?」、後ほ どの関連でございます。  次の検討課題のところでございますが、これは「●」をいただいてございませんので 飛ばします。  次のページでございます。(要検討事項)は、「『胚の提供を受けることが困難な場 合』の具体的な判定基準をどのように設定するか?」。  「●」をいただいてございますのは、「『胚の提供を受ければ妊娠できる夫婦』に対 する精子・卵子両方の提供によって得られた胚の移植は、認めない。」という結論をい ただいてございます。つまり新たな胚をつくって移植をすることはやらないということ でございます。  次にまいります。ずっと進んでいただきまして、12ページの下でございますが、「● 」をいただきましたのは、「『移植をする胚や子宮』がどのような状態にあれば、胚を 3個まで移植することを認めるのか?」ということでございますが、次のページの上に なりますけれども、これは「●」で「医師の裁量とする。」ということでございます。  関連といたしまして、「1回2個以上の胚を子宮に移植する場合における提供を受け る夫婦に対する三胎(双胎)を受け入れることについてのインフォームド・コンセント (検討課題2)」で検討いただく。  「未熟児の出生に備えた受入医療施設の確保等に関する実施医療施設の基準(検討課 題2)ということで関連となってございます。  次のページにまいります。ここからは「精子・卵子・胚の提供の条件」でございます 。 (2)真ん中のところでございますが、「同一の者からの卵子提供の回数制限」でご ざいますけれども、これは「採卵の回数を3回までに制限する」という「●」をいただ いてございます。  次のページにまいります。「精子・卵子・胚の提供者について、どのような感染症の 検査を行うのか?」ということでございますが、「●」で「精子・卵子・胚の提供者に ついて、現在のAIDにおける一般的な検査に準じた検査を行うこととする(血清反応 、梅毒、B型肝炎ウィルスS抗原、C型肝炎ウィルス抗体、HIV抗体検査等について 検査を行う。)」ということでございます。  次の検討事項でございますが、「感染症の検査を行う場合、卵子凍結が技術的に確立 していないため、検査により感染が判明しない期間(ウィンドウ・ピリオド)を考慮し た感染症の検査が困難であるが、これについては、提供を受ける者のインフォームド・ コンセントを得ればよいこととするか?」ということでございますけれども、「精子・ 胚の提供が行われる場合には、提供時及びウィンドウ・ピリオドが終了した後に、上記 の感染症について検査を行い、陰性が確認された提供者の精子・胚だけを使用できるこ ととする。」精子・胚についてはこういうことでございますが、「卵子の提供が行われ る場合には、提供時に上記の感染症についての検査を行い、陰性が確認された提供者の 卵子だけを使用できることとする。また、卵子の提供を受ける者からウィンドウ・ピリ オドに関するリスクについてのインフォームド・コンセントを得ることとする。」とい う結論をいただいてございます。  次でございますが、「感染症のほかに検査すべき項目はないか?」という検討項目で ございますが、「遺伝性疾患に関しては、日本産科婦人科学会の会告『非配偶者間人工 授精と精子提供に関する見解」及びその解説の当該部分に準じたチェック(問診)を行 うものとする。」ということでございます。  それぞれについては、下の「※」でお示しをしてございます。  次のページでございます。前回のご議論の中で、実は1つ検討項目が抜けてございま して16ページの一番上でございますが、「精液(精子)所見、卵子所見は検査すべき項 目ではないか?」ということで、実はこの議論少し抜けておりましたので、この項目を 入れさせていただいてございます。  それから、「上記の検査の結果を提供者に知らせるか?」ということでございますが 、「●」として「知らせることとする」。  次の検討のところでございますけれども、要検討事項として「『実費相当分」として 認められるものの具体的な範囲をどのように設定するか?」ということでございます。 この中で(案1)、(案2)に大きく分かれてございますけれども、(案1)「個々の 事例について、精子・卵子・胚の提供のために提供者が実際に支払った金額に一定額を 加算した額を『実費相当分』(の上限)として認める。  加算を認める具体的な額(の上限)としては、治験に準じた額とする。」。  (案2)「『実費相当分』という以上の具体的な基準は特に示さない。」  ここまでが前回の議論でございました。以上でございます。 ○矢崎部会長  どうもありがとうございました。それでは、今のご確認ですね。例えば、9ページの 最初のところにございますように、(4)「提供胚の移植」でございますが、要検討事項 で「『胚の提供を受けなければ妊娠できない』ことの具体的な判定基準はどのように認 定するか?」ということで、委員の皆様方の医学的な基準以外の、生まれてくる子に対 する真実告知、出自を知る権利とか、そういうものが今後重要であるということがこの 中に盛り込まれておりますが、考慮すべき医学的基準の具体的な内容についてはまだ十 分には議論してないというところがございますが、これはなかなかここで議論しても難 しいと思われますが、前回、荒木委員と吉村委員からいろいろご説明いただいたと思い ますが、何かコメントございますでしょうか。 ○吉村委員  いえ、特に。 ○矢崎部会長  よろしいですか。そうしますと、これは例えば男性の場合の精子の提供は6ページの 「●」、卵子の場合には医学上の理由というのは9ページの「●」に準じて行われれば いいということ理解させていただきます。  それから、もう一つ、前回ちょっとご質問があった15ページのどのような感染症の検 査を行うかということで、最初の「●」はよかったのですが、2番目の「●」でウィン ドウ・ピリオドが終了した後、完全に感染症を否定した精子と胚はそういうことを確認 して使用できるということでしたが、卵子の提供が行われた場合には凍結できないとい うことでウィンドウ・ピリオドが終了する前に実際に使われなければならないケースも あるといったことでございましたが、このときの議論で、十分な理解ができなかったの は、卵子の提供があったときに胚にして凍結してウィンドウ・ピリオド過ぎた後、感染 症を確認した後に用いるのが通常ではないかというご質問があったと思うのですが、そ れについて吉村委員からご説明いただけますでしょうか。 ○吉村委員  説明をこの前したつもりだったのですけど、なかなかご理解いただけなかった。もう 一回言わせていただきますと、精子と胚は凍結保存は可能なわけであります。現在AI Dに関しましては、精子を採りダブルチェックをして6カ月後にマイナスであった人の 精子をAIDに使用しているという現実があります。  卵子の場合には報告はございますが、まだ二十数例程度しか未受精卵の卵子の凍結は できておりません。生まれた子どもは20人ちょっといるという報告はございます。卵子 の提供を受けたときに、提供時にその卵子がHIVに感染しているかどうかということ は科学的にはわからないわけです。そういった場合に、この卵子をいただいて、夫の精 子を使うわけですから、卵子提供者、夫は精子があるわけですから、夫の精子との間で 受精卵をつくる。受精卵をつくって、それを6カ月保存しておいて、提供者がもしプラ スであった場合にはその受精卵は移植できないということになってしまうということな ので、あえて卵子に関してはそこまで検討する必要はないのではないかということなの ですが、それでよろしいでしょうか。 ○矢崎部会長  そうしますとウィンドウ・ピリオドという問題ではなくて、卵子の場合には提供いた だいたら、それはすなわち生殖補助医療に使うという。 ○吉村委員  ということにならざるを得ないのではないかと。要するに感染してないということを 抗体検査をしてマイナスであった場合に、そういった卵子をもちろん使うわけですから 、その卵子を提供していただいたら、夫との精子との間にすぐ受精卵をつくらないとい けないと思うんですね。それをまた6カ月保存しておいて、6カ月後に、いや、これは 感染しておりましたので移植はできませんということになってしまう可能性がある。  ただ、この場合に、精液中にはエイズウィルスが出ることはわかっておりますが、卵 子にエイズウィルスが付着したり組み込まれているという報告は私聞いたことないです し、科学的にそういうことを証明することは不可能、それは卵子を取り出すわけにいき ません。調べるためだけに取り出すわけにいきませんので、現実面として、そういった 検査は不可能であろうということなのですが。 ○矢崎部会長  よろしいでしょうか、ただいまの。 ○石井委員  今、後でおっしゃったように、卵子で感染することがないということがかなりの確率 で言える、だからいいというならいいのですけれども、そうでなければ、受精卵を6カ 月保存して確認することができるのであれば、そうしてもいいのではないかと思うので すが。確かにその受精卵を無駄にすることになるかもしれないけれども、感染の危険と どちらをとるかということを考えた場合に、もちろん別の意見もあるかもしれませんが 、私は感染の危険があるとするならば、6カ月保存するということをしてもいいのでは ないかと思います。 ○吉村委員  感染の危険があるということも言い切れないと。 ○石井委員  ないとも言い切れない。 ○吉村委員  ないとも言い切れないし、あるということは永遠にわからない。それを調べる方法は 、エイズに感染しておられるボランティアがおられ、調べてくださって結構ですという ことが起こらない限り、科学的に解明は不可能だと思います。 ○石井委員  動物ではわからないんですね。 ○吉村委員  動物にエイズウィルスを感染させて、そういったのはちょっと私は。だから、そこま でする必要があるのかということを言っているわけで、科学的に解明することが可能で あるならば、それはいいですけれども。 ○矢崎部会長  卵子の場合には受精卵にして凍結した場合でも、提供者を2回目に検査するというの が事実上困難であるという、そういう意味合いでしょうか。 ○吉村委員  そうではないと思いますが、それは石井先生おっしゃったように調べられると思いま すけど。 ○矢崎部会長  そしたら感染は否定できるように思われますが、いかがでしょうか。 ○吉村委員  そうすれば感染は否定できます。ですけれども、そこまで調べる必要があるのかとい うことを私は言っているわけです。 ○鈴木委員  男性の精子に関しては、6カ月、例えばきょう採取して、きょうの時点、6カ月それ をとって、もう一度チェックして、6カ月前、この精子を採取した時点で提供者はHI Vには感染していませんでしたということを確認してから用いようということを言って いるわけですよね。  卵子に関しても、卵をきょう採取して、もらいたい人のご主人の精子と培精して受精 卵つくって保存して、この胚ができた時点で、この卵提供者はHIVには感染していま せんでしたと確認されてから用いる。私も石井委員がおっしゃったように、それができ るのであれば、精子と同様、6カ月の保存、6カ月かどうかわかりませんけれども、確 認できるまで保存というのは十分可能なことではないかと思うのですが、いかがなんで しょうか。 ○矢崎部会長  どうでしょうか。卵子だけを特別に扱うのはいかがなものかというご意見だと思うん です。 ○吉村委員  おっしゃることは大変よくわかって、もし胚を凍結してからでしか使えないというこ とは私は構いません。ただし、何故こういうことを私は言っているかというと、精子と いうのは、あるいは精液の一部を調べればエイズウィルスの定量ができるような時代に なってきたんですね。卵子というのは、その卵子を使うかどうかということですから、 この卵子が大丈夫だったから次の卵子を使えるとかそういうことではない。卵子は1個 が全てですから、その辺が科学的に証明することは絶対に不可能。特にヒトを扱う場合 にそういったことに使えれば、その卵子で受精卵をつくることはできないわけです。で すから精子と卵子は違うというのは、やむを得ないのではないでしょうか。 ○鈴木委員  つまり吉村ドクターがおっしゃっている一番最初の精子の検査というのは、精液中内 のHIVウィルスの検査ということをおっしゃっているわけですよね。その人がHIV に感染しているか否かということではない検査のことをおっしゃっている。 ○吉村委員  いや、違います。例えば、エイズに感染されている患者さんがお見えになると。その 精液中にHIVウィルスはある程度血液中のウィルスの量に比例した形で検出されるわ けです。そのことは科学的にわかっているわけです。  ところが卵子の場合にはそれを科学的に証明することは今後も不可能なんです、ヒト においては。その検索のために卵子を採ってくるわけにいかないんですね。この辺は女 性と男性の違いがあってもやむを得ないと思うのですね。 ○矢崎部会長  例えばHIVに、その間で抗体が提供者で出た場合は、それでも卵子を使っても特に 感染症が伝わる危険性は極めて少ないのではないかというのが吉村委員のお話なのでし ょうか。 ○吉村委員  それが確認できないという意味です。感染する可能性の確認も、感染しないという確 認もできません。それはやった経験がないのでそういう検討をできませんので。 ○矢崎部会長  精子の場合にはHIVウィルスが入っている確率が高いので。 ○吉村委員  そうです。 ○矢崎部会長  ただ卵子の場合には、まだそれが卵子にまで及んでいるかどうかというのは、例えば キャリアーであってもわからないということ。 ○吉村委員  わからない。 ○矢崎部会長  だから必ずしもエッセンシャルにそういうことを規定しなくても、現段階ではいいの ではないか。 ○吉村委員  私が言いたいのはそういうことです。皆様が、いやそこまで考えなくてはいけないと いうことであるならば私はその意見に賛成します。この場合に、夫の精子との間で受精 卵をつくっておいて6カ月保存していくということですから、そして後からまた移植で きないといったケースはまずないと思いますけれども、万分の1か1000分の1かわかり ませんけれども、そこまで検討しなければいけないような問題ではないような感じはし ますけど。 ○矢崎部会長  この検討会はできるだけそういうリスクを除外して、皆さんが安心できるような医療 体制を構築していこうというのが皆さんのコンセンサスではあると思いますので、その 辺はクリアーになってないとなかなか。はい、どうぞ。 ○相良委員  たしかこの部分に関しては前回のご議論ではインフォームド・コンセントを得た上で 提供を受ける方の選択に委ねるという形になったのではないかと記憶しているのですけ れども、ですから今吉村先生がおっしゃったように永久にわからないということもイン フォームド・コンセントに含めた上ですぐに受精して移植していただくか、6カ月待っ て、もう一回提供者のHIV抗体を調べてから移植していただくかというのは決めてい ただいていいことなのではないかと思います。  それからもう一つ、確認したいのは、こちらの15ページのところ、胚の提供が行われ る場合もウィンドウ・ピリオドを終了した後に感染症についての検査を行い、陰性が確 認された胚だけを提供すると書かれていますので、これも卵子提供と通じるところがあ るのではないかと思いますので、その辺も確認させていただきたいと思います。 ○矢崎部会長  胚と卵子は同じかもしれませんね。ただ、胚は自動的に凍結できるということですの で。ただ、インフォームド・コンセントしっかりとるといっても、しっかりしたデータ というか、判断する基準が明確でないと、単にそういう可能性もありますけど、よろし いですかというのは余りインフォームド・コンセントにならない可能性もありますので 、その辺はもう少しクリアーにしておいた方が、次のインフォームド・コンセントの項 目を検討する際にやはりそこが極めて重要なポイントになるのではないかと理解してい ますので、ですから、どの程度まで科学的に、吉村委員のお話では、ズバリ言えないけ れども、状況証拠で科学的に感染のリスクはウィンドウ・ピリオドで起こったことが実 際にそこに反映する可能性は極めて少ない。しかし、可能性はあると。 ○吉村委員  そうですね。 ○矢崎部会長  そういうお話だと思いますが、なかなか判断するのは難しい。 ○古山委員  相良先生が今おっしゃったように、精子・胚の提供、特に胚の提供が行われた場合も 、提供時及びウィンドウ・ピリオドが終了した後に検査ということで、胚ができた時点 からウィンドウ・ピリオドの期間は移植できないんですね。胚をつくるには卵子提供が 不可欠ですので、精子・胚の提供の文章は、自動的に、精子・卵子・胚となってしまう のではないでしょうか。卵子だけを除外すると全く整合性がなくなってしまうと思うん です。この文章というか、内容としてもですね。 ○矢崎部会長  そこが問題なんですけれどもどうでしょうか、荒木委員は。もともとこれは学会とし て疑問を持たれている部分なので。 ○荒木委員  今、学会としては胚について議論しているところでございますので、私は結論めいた ことはちょっと言えない立場でございます。  吉村先生、将来卵子の凍結は可能になるような予測は全くないのですか。 ○吉村委員  ないというのはどうしてかと申しますと、卵子をそのために採り出すわけにはいかな いですよね。しかも、エイズに感染している女性から卵子を採ってこないことにはわか らないですから。 ○矢崎部会長  リスクのエビデンスが今後も明らかにはされないだろうと。ない可能性が、極めて大 きい。 ○吉村委員  高い。されることはまずないと思いますけど、卵子をそのために採ってくることは許 されることではないという感じがするのですね。ですから、ここまで気を遣うというこ とももちろん大切なのですけれども、これは今のことをお話しするという以外にない。 もしくは、先ほど先生がおっしゃっていましたけど、余り気が付かなかったんですが、 胚に関しても、提供してくれた人がいて、その現時点ともう一回ダブるチェックをして マイナスだったということを確認してからになりますから、そこまでしてまた胚を提供 してくれる人が本当にいるかどうかということも問題になりますね。 ○矢崎部会長  ですから精子はともかくとして、胚と卵子はそういう意味では同じような条件ですよ ね。 ○吉村委員  おっしゃるとおりだと思いますけど。 ○矢崎部会長  胚の方は自動的に凍結することができるので、物理的にもう一回チェックすることは 可能ですよね。 ○吉村委員  当然、胚の提供も、凍結してある胚だと思いますからそれは可能だと思います。 ○矢崎部会長  卵子の場合は……。 ○鈴木委員  多分ドクター・医療者の理解とそうでない人の理解というのが随分違う、違うことを おっしゃっているのかなと思いながら聞いていたのですが、多分吉村ドクターがおっし ゃっているのは、HIVに感染している人の精子感染による、精子によるHIVウィル スの感染、卵子によるHIVの感染ということを多分おっしゃっているのだと思うので すね。それがどのくらいのリスクがあるのかということをおっしゃっているのだと思う んです。唾液中にHIVウィルスがどのくらいあるのか。これによってどのくらい感染 するのかというようなことをおっしゅっているのだと思うんですよ。  ただ、普通、私などの感覚は、HIVに感染している人のものであれば、それは同時 に使えないだろうという感覚で私たちは今話をしていたわけです。その人たちの精子や 卵子を使うことによって、もらう人にどのくらい感染のリスクがさらされるのかという ことの評価を厳密にしていながら話しているわけではちょっとなかったんですよ。その 辺のギャップはおわかりいただけますでしょうか。  端的に言いますと、その人の血液中からも抗体があるのならば、それも自動的に使え ないものであるというふうな意味で私は考えていたのですけれども、そうではないとい うようなことだったのではと、違いますでしょうか。 ○矢崎部会長  ですから提供者が感染をした場合は、精子の場合は使わないと。 ○鈴木委員  血液検査でそれのことがわかった場合、精子はそういう意味では関係ないというか、 精子はさらに細密な検査になると思うのですが。 ○矢崎部会長  ですから卵子の場合も精子と同じように、精子の場合にはいろんなウィルスが精子の 中に一緒に入り込んでくる可能性があるので、ただ卵子の場合には、吉村委員はそうい う可能性が少ないので、卵子の提供者に血中に抗体が出ても、卵子にウィルスが持ち込 んでいるということが少ないので、精子と卵子は分けた方がいいのではないかというお 話なんですね。  鈴木委員は、気持ちとしてはそういう方から卵子いただいた場合に使うのはいかがな ものかという感覚的な……。 ○鈴木委員  いかがなものかというより、きっと今の議論を私なりにようやく整理できた、わかっ てきたということです。 ○矢崎部会長  どうでしょうか。 ○石井委員  それは感染の危険がある。私は感染というのは、受けたことによって母体がなるとい うよりは、生まれる子どもはHIVになることが問題なのではないか。先ほどだからイ ンフォームド・コンセントをすればいいと言ったけれども、親がいいと言えばいいのか という問題もあるのではないか。もし感染の危険があるとすれば。そこはどっちとも言 えないと吉村先生に言われると、私はさっきから判断に困っているので、危険率の問題 なのかもしれませんが、6カ月間保存することによって多分1つはつくられた胚が無駄 になると。でも無駄になるかもしれないけど、その胚によってHIVの子どもが生まれ ることがわかったら、それは使わないという選択も許されるのではないかと私は思って しまうので、それは仕方がないかなと思うんですね。 ○矢崎部会長  その場合に卵子で子どもがウィルス感染が起こるかというのが……。 ○石井委員  わからないという。 ○矢崎部会長  全くわからない。確率はうんと少ないのではないかというのが吉村委員のお話なので 。 ○吉村委員  そうですね。 ○矢崎部会長  どうでしょう。今、片一方では石井委員が言われたような、確かにインフォームド・ コンセントで、これから生まれてくる子どもに採らなければいけないという部分もある かと思いますが。 ○町野委員  実はまだよく理解できていないと思うんですけど、吉村先生がこだわられる理由は胚 ができた後にそれを抹殺するということにあるようなのですけれども、同じ問題は胚の 提供を最初から認めたときについてもあるわけですから、それは必ずしも理由にならな いと思います。ただ、感染の危険性という問題については、若干の危惧があるならやっ ぱりやらない方がいいのではないかということになるだろうと思いますので、その点で 私は石井委員のおっしゃるとおりだと思うんです。 ○矢崎部会長  吉村委員の代弁ではないのですけど、せっかくつくったからという意味ではなく、つ くった卵子の危険性が医学的には今は余り証明されていない。精子は証明されているの でということで、その見地からだと思うんですけれども、ただ、これは皆さんの、特に 医療関係者以外の方の意見も貴重ですので、余り誤解を招かないように、落としどころ というのもおかしな話ですけれども、わからないというのは、将来ひっくり返ったとき の責任もありますし、危惧され……、完全に否定できない場合には同列に扱った方が常 識的であるし、そういうケースがうんと多ければ新たに考えなければいけませんが、そ うケースが多くないということを考えれば。 ○吉村委員  今お話しているのは極めて稀なケースでありまして、検査は卵子提供者も術前の採卵 する場合にはHIVのウィルスの抗体化の検査をしているわけで、マイナスだというこ とをチェックしているわけですね。要するにそのチェックしたときの直近にエイズウィ ルスに感染した場合を想定して話しているんですね、ですからその辺を誤解されないよ うに。あなたに卵子を提供していただきますよと言ってからしばらくたってエイズウィ ルスに感染するという、極めて稀なことを話していることをわかっていただければと思 います。 ○矢崎部会長  そうしますと、逆に同列に扱ってもこういうものとしては慎重を期した方が。 ○吉村委員  結構です。 ○矢崎部会長  よろしいでしょうか。それでは、15ページの中ほどの……。 ○鈴木委員  先ほど相良委員もおっしゃったように、前回は「胚」という文面は1つも入ってなく て、胚について私は話したというふうに実は理解していなかったんです。きょう、確か に胚もその検査をするのかというふうにイメージして驚いてしまったのですが、そのこ とについてももう一度だけご確認をお願いしたいのですが。 ○矢崎部会長  精子と胚は凍結できるのでウィンドウ・ピリオドパスできるということでこうなって いるのです。 ○鈴木委員  これは提供胚、提供された胚についてもかかっているわけですよね。 ○矢崎部会長  そうです、当然。提供胚のことですから。 ○鈴木委員  はい。夫婦が自分たちの……。 ○矢崎部会長  提供胚というか、これは言葉は悪いのですけど、余剰胚。 ○鈴木委員  いわゆる余剰胚のことも入っているわけですよね。 ○矢崎部会長  はい。 ○石井委員  ことですよね。 ○鈴木委員  私は前回のときに、そのことを念頭に置いておらずに話をしてしまったんです。つま り、これは……。 ○矢崎部会長  問題は余りそんな複雑ではなくて、ですから精子・卵子・胚等にウィンドウ・ピリオ ドが終了した後に行って陰性が確認された提供者の精子・卵子・胚だけを使用できるこ ととするということにすれば。 ○鈴木委員  確認ですけれども、先ほど吉村ドクターがおっしゃっていたように、ここで私たちは 自分たちのためにはこの胚は使いません、この胚をどなたかに提供しますというふうに 決定した時点で、その胚というのが管理機関なりに管理を委託というのでしょうか、委 ねられるわけですよね。例えばその時点で、では提供者のご夫婦2人に検査をしますと いうことになるということで、という理解でよろしいわけですね。 ○矢崎部会長  それでは15ページ、そういうふうに文言を直して、後半の「卵子の提供が行われた場 合には」を削除していただくということで。 ○松尾委員  15ページでございますが、「上記の感染症」という表現2回出てくるのですけれども 、上記の感染症が何を意味するかというところの上を見ると、梅毒とか何かを意味して いるのかと思うのですが、「……検査等について検査を行う」ということで、検査を行 う疾患が必ずしも限定されてないかと思うんです。「上記の感染症について」という定 義が少しあいまいかと思うんです。 ○矢崎部会長  何か委員の方でありますでしょうか。 ○松尾委員  これは梅毒とB型、C型肝炎とHIVと4つに限定して考えていいかどうかというの を決めればいいのではないかと思うんです。 ○加藤委員  この15ページの上の方の括弧の中の日本語が非常に混乱しているような感じするので すが、もうちょっと正確な日本語に直すとどうなるんですか。例えば最後の「HIV抗 体検査等について検査を行う。」というのは非常に変な日本語なんですよね。何につい て検査を行うという表現がいろいろ混ざってきて……。 ○矢崎部会長  ここの「検査」は要らないですね。「HIV抗体等について検査を行う」ですね。ダ ブって文言が。 ○加藤委員  この「検査」をとればいいんですね。 ○矢崎部会長  そうです。 ○石井委員  松尾先生の趣旨はそういうことではないですよね。 ○矢崎部会長  違います。 ○石井委員  私はわからないのですけど、今の時点では4つかもしれないけれども、必要な検査と いうものはあり得るので「等」というのが入っていてもいいのかなと簡単に思っていた のですが。 ○矢崎部会長  ですから、ここに言う「上記の感染症」というのは、ここの括弧等を含んだ括弧とい うふうに理解していただければありがたいのですけど。検査の内容なのに感染症という 病気の名前が下に出てくるので……。 ○加藤委員  上記の検査を行えばいいわけなんですよね。 ○矢崎部会長  感染症がちょっと、上は検査のことを言っていて、下は感染症という病気の名前にな っているので、「上記の検査を行い」ということにさせていただきます。どうもありが とうございました。 ○谷口母子保健課長  部会長ちょっとよろしゅうございますでしょうか。 ○矢崎部会長  はい。 ○谷口課長  松尾先生のご質問なのですけど、前回も実はこの議論があったんですよね。事務局の 方としましても、「等」というのを本当に活かしておいていいのかという疑問があった ものですから、その辺の問題提起をさせていただきましたときに、吉村先生からだった と思うのですけれども、個別の患者さんの状況とかそういうこともあるので、臨床の現 場現場に応じて検査項目等についてもプラスアルファもあるだろうから、「等」があっ た方がいいのではないかということでたしか付いたやに私は記憶しておるんです。 ○矢崎部会長  ですから、それは「等」を入れるんです。例えば松尾委員からサイトメガロウィルス の抗体が出ても、過去の感染なのか感染性のある病気のサイトメガロウィルスの陽性な のかというのが判断できないのでケース・バイ・ケースでその辺はよくドクターが判断 しましょうということで、ですから「等」は入れさせていただいて、下の段落は、「上 記の検査を行い」というふうに直させていただきたいと思います。 ○谷口課長  今の3行目の「HIV抗体等」についての「等」は、だから活かしておいてもいいと いうのは松尾先生もその辺は。 ○松尾委員  はい。 ○谷口課長  私、勘違いしました、ごめんなさい。 ○矢崎部会長  「検査」という文言だけを除くということです。  次に、16ページの「精液(精子)所見、卵子所見は検査すべき項目ではないか?」と いう、これは議論してなかったので、これもいかがでしょうか。吉村委員、これは当然 入ってくるわけですね。 ○吉村委員  そうですよね。精液が悪い方は提供者になっていただくわけにいかない。 ○矢崎部会長  これは前提条件で……はい、どうぞ。 ○平山委員  すいません、「卵子所見」て何でしょうか。卵子を見ることは不可能だと思うんです けど、採る前に。 ○矢崎部会長  これは余り項目としては適切でないですね。当然こういうこともバッググラウンドで 考えるので、観察もしますし、これは削除してよろしいですかね。いいですよね。 ○天本主査  すいません、私、書かせていただいたんですけれども、私念頭に置いてましたのは委 員の皆様方とちょっと違うのか、結局奇形率が高いとか運動率が非常に悪いという方を 除外するべきなのか、それともやはりそういう方でも提供者の資格としてあると。それ は問題にならないのだというものなのか、その辺を一度意見としてご整理いただきたい なと。  といいますのは、やはり奇形率が高いと、もしくは精子の運動率が悪い。その提供に よって生まれる子どもを同様にそういう遺伝形質を受け継ぐという可能性が高いという ことを非常に情報として耳にしたものがあるものですから、そのあたりを一度お願いし たいなと思った次第であります。 ○吉村委員  配偶者間というか、夫婦間であればそういうようなことが問題になると思うんですけ れども、例えば精子をいただく場合、AIDの精子に奇形精子症が何%の人を使ってい るかというのはWHOの基準を満たしているものを当然使っているわけです、これは正 常精子(精液)所見でなければ使えないわけですから。平山先生のおっしゃったように 、卵子所見というのは大変難しくて、格好がいいのか格好が悪いのか、それしかわから ないわけですよね。例えば成熟した卵子というのは第一極体が放出されて、そういった 卵を示しているんですけれども、だから卵子所見というのは非常に難しい。これは卵子 の受精能を表しているわけではないし、精液所見についてはそういう意味でWHOの基 準を満たしている正常の精液所見を有する人がキャンディデートになるわけですから、 余りこれは問題ではないのではないかと私は思うのですが、どうでしょうか。 ○荒木委員  この項目を残すとすれば、「専門医の裁量に任せる」とした方がよろしいのではない でしょうか。これは当然成功するのか、奇形が生まれるのか、毎日やられている専門医 が判断すべきことだと思う。こういう文言にちゃんと書くべきことではないと思います けど。 ○矢崎部会長  事務局のご質問はAIHとAIDの違いで、AIHの場合には精子、乏精子症の人も 探してやるということありますけれども、AIDのドナーの場合はなるべく健全な精子 を用いるというのが精神ですので、これは当然欠陥のあるものは避けましょうという意 味ですので、特別に、当然万全を期した提供配偶子であるということが大前提ですので 、夫婦間のAIHの場合と違うので、これは入れなくてもいいのではないかと思います 。 ○町野委員  ちょっと確認させていただきたいのですけれども、これは一回受精胚をつくってそれ を凍結しておいて、ウィンドウ・ピリオドが終わってから検査したところやっぱり感染 しているということがわかったときには、それを棄滅すると。簡単に言いますと使わな いということですね。 ○矢崎部会長  はい。 ○町野委員  そのことは報告書では想定してないようですが。何が問題かというと、つくられてし まった生命、受精胚であっても、それを抹殺することを認めるということです。要する に出生前のスクリーニングをやるということをここで認めるわけですね。HIV感染の 子どもが生まれてきては困るから、そこから切ってしまうと。  私は吉村先生はそこを一番こだわっておられたたのかなと思いましたけれども、しか しこのように決めますと、結局報告書の方はそこまでおそらく想定していなかったこと をやるということだと思います。私はそれで仕方がないと実は思いますが、議論があっ てもしかるべきでなかったかなと思います。 ○矢崎部会長  ありがとうございます。そこでちょっと念を入れて、これは4度目の、今度5度目で すかね。 ○町野委員  長いこと休んで申し訳ございません。 ○矢崎部会長  議論していますので、ただ、これは吉村委員が言われるようにレアケースであって、 レアケースでも将来起こり得ますよね。そのときの胚の処置はどうするのかということ もまた今度は違った視点で議論をしないといけませんですよね。だから命の始まりがど こでどういうふうに認定し、それをどういうふうに取り扱うかというのは極めて大きな 、また違った時点で問題が起こるところですね。  ただ、この委員会の視点ではリスクがあった場合には避けましょうということで、あ と胚をどうするかというのはまた議論を改めてしていただかないといけない極めて重要 な課題だと思いますので、よろしいでしょうか。  では、16ページのこの間一応議論を終えたと思ったのですが、議事録を読み返すと、 事務局が必ずしも「●」にならないのではないかということで、「実費相当分」の(案 1)、(案2)でございますが、いかがでしょうか。トータルの印象としては、実費相 当というのに、特に卵子の提供者の場合には、骨髄移植が全く無償で行われているとい うお話が大きなポイントだったと思いますが、吉村委員のお話をお伺いすると、骨髄移 植の負担とはとても比べ物にならないぐらいの負担が加わっていると、特に卵子ですね 。そういうものに対して一定額を加算した額を「実費相当分」の上限として認めてはど うかというお話が大勢であったような感じいたしますが、石井委員は全て無償にすべし という確固たるご発言があったのですが。 ○石井委員  いや、「確固たる」と言われると困るのですけれども、私もこの(案2)の方が、私 の趣旨とはちょっと違うのかなと思って発言をさせていただこうかと思ったのですが、 実費以外には認めないという意見もあるというところは残しておいていただきたいと思 ってはいるんです。(案2)というのは読み方によっては裁量に任されているというふ うに読めるので、これで私の意見が入っていると言われるとちょっと困るなと思ってい るんですね。  今回のこともありますけれども、骨髄のこともそうですけれども、今まで治験以外で は臓器提供も無償で行われている。それをここで変えてしまうということを合意できる ほど、この問題について私たち議論したのだろうかということがあるので、私自身はこ こで「実費相当分」として上乗せというところまでに合意はしがたいということです。 ○矢崎部会長  骨髄移植と臓器移植とまたこれちょっと……臓器移植の場合、脳死臓器移植とかそう いう場合にはまた違うところで、生体部分肝移植は親族間でやっていますよね。ですか らそこは報酬が入る、入っているかどうか、外からわかりようがない。いかがでしょう か。 ○桑島室長  私どもの方で準備させていただいた資料、若干ご参考になるかと思いまして説明をさ せていただきたいと存じますが、机上配付でお出しいたしました平成11年に医薬局の方 がまとめました「治験を円滑に推進するための検討会」という資料をお出しをいたして おります。右肩のページで申し上げますと45ページ、1335になってございますけれども 、よろしゅうございますでしょうか。その一番下から2つ目の「○」にこの治験の費用 のところが若干書いてございます。  それから、その下に(注2)でもその費用に関するところが書いてございますが、若 干読ませていただきますけれども、下から2つ目の「○」ですが、「基本的に被験者が 治験に参加することは被験者の善意という要素によるものではあるが、治験参加により 生じる被験者の負担につき、実際にかかった費用を勘案しつつ治験審査委員会の承認を 得た上で社会的常識の範囲内において適切な金銭等の支払いが考慮されることが適当で ある。」、この部分は具体的ではございませんが、その下、(注2)では、「例えば」 ということで、「一部の医療機関約 200施設の現状を見ると、外来における治験につい て1来院当たり 3,000円から1万円(平均で約 7,000円) 支給されているとの報告があ る。」ということでございます。  これを受けまして、国立病院部の方が平成11年7月2日の通知でございますけれども 、下の留意事項のところでございますけれども、(1)で「被験者への来院1回当たり の支給額については、上記検討会の報告における被験者への支給の現状を踏まえ当面 7, 000円を標準とすること。」、国立病院では 7,000円ぐらいを標準として、1回当たり (1日当たり)支払うというのを標準にしております。この中には交通費等を全て含ん だ額でございまして、実際に支払われた額と謝礼等別々に払っているわけではございま せん。一緒にした額が 7,000円ということでございます。  ただ、実際には遠くから来られた方とかそういうようなことを実際に配慮しておりま せんで、多くの場合が近くの方を想定しているというふうには担当の方からは聞いてご ざいます。以上でございます。 ○矢崎部会長  いかがでしょうか。 ○福武委員  今の治験の話はわかったのですけれど、ただ、それは1つの治験という研究のための もので、実際にお金を受け取る人とそれの利益を受ける人の直接的な対応関係がないの だろうと思うんですね。ただ、卵子の提供とか精子の提供というと一番気になるのは直 接Aさんが誰かに精子・卵子などをやって、Bさんが直接受け取ると。その中では売買 に近いようなものが入るのではないかという印象がするのです。  そうすると医療機関がそこに介在するというだけでもやはり足りないのではないか。 むしろ本当に管理機関が、例えばAさんから精子または卵子をもらって、それに対して 何らかの形の実費を払うと。それで実際にそこから受け取る人はそれなりに別の実費を その公的機関に払うという形になれば、そこでは中立性というか薄められる面というの があるんですけれど、そういう意味で、前から、どこが、誰がどのような形で払うのか というのも決めないまま「実費」云々と言われてもやはりおかしいのではないかという 気がするのですが、どんなものでしょうか。 ○矢崎部会長  おっしゃるとおりですね。治験の場合は研究とは言いながらも、患者さん自身が利益 を得るわけで、提供者とは全く違って、薬の提供を受ける人は自分自身が、一応研究の 対象にはなりますが、今は全然患者さんにプラスにならない治験というのはまずありま せんので、ですから治験の場合には、むしろ患者さんにプラスになるので、さらに礼を 取るのは、私自身はいかがなものかなという感じがいたしましたけど、私、この委員の 中に名前が入っていますので、ちょっと矛盾しますけれど、そのときに私が思ったのは 、今、福武委員がおっしゃったように、医療機関が例えば製薬会社が直接患者さんにお 金を渡すとかそういうことはなるべく避けたいと。  今、冒頭に私お話しましたように、唐突にこういうふうなことが出てくるとお感じに なるかもしれませんが、これは検討課題2とか3で、こういうものが単に報酬というこ とにならないようなしっかりした仕組みをつくらない限り、おっしゃられるような危惧 があると思うんですね。  ですから、そういうのをまた戻って、どういうシステムをつくるかというのが検討課 題2と3にございますので、もしこの場合に何か、本当にボランティアですので、ボラ ンティアだけでいいのか、例えば卵子提供の場合には、20日ぐらい通って、しかも相当 リスクの高い手術を受けないといけないということもあるので、ただ、それで金銭でど うのこうのというとまた問題になりますので、その辺の理解の仕方が難しくて、単にそ うしたから、そういうことによってこういうお金を差し上げますよという形にならない うまい方法があればいいのですけれども、ただ、この設問にはそういうプラスアルファ のことを今後トータルで考えるということで、一応検討課題1でどうするか、ここで一 応対応をできるだけいただきたいということなのですが、この問題については、そうい うシステムの問題とかかかわりますから、これは(案1)、(案2)で置いておきます かね。 ○桑島室長  (案3)が石井先生の。 ○加藤委員  原案どおりで。 ○矢崎部会長  原案どおりでやれという話ですね。実は(案2)にまとめた張本人は私なんです。幅 を持たせて、原案どおり(案1)、(案2)、(案3)出すと、前回あんなに1時間以 上も議論したのに原案どおり(案1)、(案2)、(案3)と、また出てきたというこ とで議論か詰まらなかったということで当然同じでも構わない。  それではもともとの案を3つ挙げて、状況を検討課題1、2、3までやった後で、ま た議論いただくと。最初にお金ありきの議論になるといろいろ問題がありますので、こ こでなかなか判断しろというのも難しいかもしれません。これはもうちょっと猶予を置 いて、後で。ただ、議論の経過は、そういういろんな、無償にすべしという議論まであ ったということで進めさせていただきたいと思います。では(案1)、(案2)、(案 3)ということで。 ○石井委員  私の案を入れておいていただいてこういうのも何なんですが、私は(案1)は治験み たいに交通費まで含めた一定金額、そういう案があると思っていたんですね。実費+幾 らかというのではなくて、幾らかの中に交通費が入っていて、まさしく「実費相当分」 ということも。 ○矢崎部会長  (案1)と(案2)で、2はあいまいもこではなくて「実費相当」ということで原案 どおりにかかった医療費といいますか、コストと交通費ということで(案1)、(案2 )でよろしいでねす。 ○安藤委員  この(案2)でないですね。「実費相当分」ということですね。 ○矢崎部会長  そうです。 ○安藤委員  ここに書かれている(案2)は、「『実費相当分』という以上の具体的な基準は特に 示さない」ということになりますと、もっと高く支払うようなニュアンスも感じられま すので。 ○矢崎部会長  わかりました。そうすると(案2)を今のような、(案2)は「実費相当分」という のを、今お話になった提供にかかるコストと交通費、要するに実費ですね。提供者が支 払わなければならない費用を交通費を含めて「実費相当分」とすると。 ○加藤委員  石井さんのおっしゃっているのは提供者の金銭的な資質に見合う分を実費相当分とみ なすと、そういう考えなんでしょう。 ○石井委員  はい。 ○加藤委員  だから金銭的な被害以外の苦痛だとか煩わしさだとか個人的なプライバシーについて 言及されることの不快感に対する対応分というのはないということなのではないですか 。 ○石井委員  ただ、今言ったのはそういう意味ではなくて、治験の方は実費相当分という、つまり プラスアルファを含んだ実費相当分的なものですね。交通費まで含んだ額として出され ている。そういう決め方もあるということは、排除した趣旨ではなかったのではないか という趣旨です。 ○加藤委員  石井さんのはプラスアルファ抜きだということなんでしょう。 ○石井委員  そうです。 ○矢崎部会長  それでは(案2)にしておきます。 ○天本主査  蒸し返すようで申し訳ないですけれども、そうしますと、手持ちの資料で、治験等並 べてご議論いただいているのでちょっと理解がまだできてないのですけれども、治験と いうのは基本的に病院から近いというところを想定されているのですが、おそらくこの 生殖補助医療というのは、30カ所も40カ所もということは少なくとも想定してないもの で、そうしますとかなり交通費だけで、例えば往復3万円、4万円かかることもあり得 るのかなと。そういう場合、おっしゃっている「実費相当」というのは、2万円、3万 円かかったら、それは含むと。例えば治験みたいに1万円までとなるとオーバーしてし まうので、おそらく提供者はあらわれないんですね。ですからそういう場合はそういう 場合でまた想定して実費相当というのはまた決めることもやぶさかではないと、そうい う案というふうに理解してよろしいのですか。 ○石井委員  実費相当。 ○天本主査  実費相当。 ○矢崎部会長  九州から来られた場合には往復の飛行機賃で4万円とか、それが実費になるわけです よね。含まれるわけですよね。 ○石井委員  それを考えて、システムを考えなくちゃいけないということになるのではないでしょ うか。それは金銭的な問題だけでなくて提供する人の負担ということですよね。交通費 がかかるだけではなくて大変なことは大変になるわけですから、その提供のために。 ○天本主査  それは今回資料に出させていただいた(案1)とはまた違う意味だということでいい のですか。これでしたら、まず領収書主義ありきで、それにプラスアルファ、例えば 5, 000円だったら 5,000円、1万円だったら1万円、それが今の治験のガイドラインの「 治験相当分」といったことで書かせていただいたのですけれども、そうではなくて、そ こまで限定したくないと、「実費相当分」だと。要するに実費にかかったのに加えてい ろんな苦痛だとか足労というのも含めて、限定しないのだけれども、そういう表現でと どめたいというふうに理解してよろしいのですか。 ○矢崎部会長  それは違うのでしょう。ちょっと誤解があって、(案2)がそういうものを排除した 、要するに提供にかかったコストと交通費、要するに提供者が自分で支払ったお金をそ っくりそのまま戻すというのが(案2)なんです。加藤委員が言われた少し大変な負担 がかかるので、それにプラスアルファというのが(案1)だと思うのです。  よろしいでしょうか、そういう理解で。 ○小林主査  すいません、ちょっと今のを整理すると、(案1)が完全領収書主義で(案2)が完 全領収書主義プラスアルファという。 ○石井委員  逆です。 ○矢崎部会長  (案2)は元どおりだけど、(案2)は「実費相当」というのをきっちり規定すると 。要するに今言われた領収書であるものだけをお支払いしますというのが(案2)なん です。いいですか。 ○小林主査  領収書にあるものとなると、また領収書主義という。 ○加藤委員  領収書がなくたって、金銭的な支出に対応するものというのは、例えば駅でかけそば 食ったら、領収書もらい損なったって、それは払ってやるというぐらいになるのではな いですか。だから実際に金銭的な負担になった分については出すと。 ○石井委員  それは違うのではないですか。 ○矢崎部会長  だから、それは絶対クライテリア決めましょうよ。だからかかった病院に払わなけれ ばならない費用と交通費と。 ○石井委員  病院に払う費用はないですよね。 ○加藤委員  病院に払う費用はまた別でしょう。 ○石井委員  提供者が病院に払うということはないですね。 ○矢崎部会長  それはないです。 ○古山委員  旅費だけですね、(案2)は。 ○吉村委員  旅費ですね。 ○古山委員  交通費。 ○吉村委員  泊まるのだったら宿泊費。 ○加藤委員  食費は出ない。 ○石井委員  出ないんじゃないですか。献血はビスケットとか。 ○矢崎部会長  これは結構泊まらなければならない場合だってあり得ますよね。 ○吉村委員  それは十分あり得ます。 ○矢崎部会長  それは誰が払うんですかね。 ○吉村委員  それは依頼者本人じゃないですか。病院が払うわけないですから。 ○石井委員  病院に泊まるわけではないですね。 ○吉村委員  クライアント夫婦になると思います。それ以外にどこも払うところはないと思います 。 ○矢崎部会長  クライアント夫婦が提供者の宿泊費まで払うと。 ○吉村委員  クライアント夫婦しか払う人はいないんじゃないですか。 ○矢崎部会長  だから払わないと言ったら……。 ○石井委員  それは福武先生がおっしゃるように、相対のものなのか一般的にそういう、結局は基 準で決めざるを得ない。この卵は幾らです、この卵は幾らですという問題ではない。 ○加藤委員  例えば1つの需要者に対して3人ぐらい候補者を決めておいて、1対1でもってやり とりするのでなくて、3つの提供物を混ぜこぜにして、誰だかわからないようにして匿 名化するという、そういう措置はとれなくなりますね。だからAさんの提供をBさんに あげると。そのAさんのかかった費用をBさんが払うという形になると、複数の提供者 の卵子をいわばシャッフルして、誰が提供になったかわからないようにするということ は不可能になるんですよね。 ○石井委員  シャッフルはしない。誰が提供しているか必ずわかるのですけれども、その卵をもら った人は、その卵にかかった費用を負担するという、そういうシステムを想定を、私は 想定してないのですが、その部分がまだ全くわからないで言っているから問題ではない かというのが福武先生の意見です。 ○矢崎部会長  これに関してはここで議論しても不確定要素がたくさんありますので、ちょっとこれ は、すいません、宿題にして、お金のことは一番大変なんですよね。これはもう一回課 題1で検討するのではなくて、全部トータルにしたときに、また残しておいてください 。  17ページですが、これは「●」で、これは以前に「●」になったんですよね。 ○桑島室長  確認のために読みましょうか。 ○矢崎部会長  はい。 ○桑島室長  それでは17ページのところを読み上げさせていただきます。(要検討事項)の1つ目 のところでございますが、「他の夫婦が自己の体外受精のために採取した卵子の一部の 提供を受けて提供卵子による体外受精を行う(卵子のシェアリング)場合に、卵子の提 供を受けた人が当該卵子を提供した人に対して負担する『当該卵子の採卵の周期に要し た医療費等の経費』の具体的な内容はどのように設定するか?」ということですが、「 ●」をいただいたのは、「『当該卵子の採卵の周期に要した医療費等の経費』とは、提 供者が当該卵子のシェアリングに係る採卵の周期に、排卵採卵誘発と採卵のために実際 に支払った金額とする。」ということでございます。  それから、2つ目でございますが、「卵子のシェアリングの際に、提供した人に対し て負担して支払う、『医療費等の経費』の額は、誰が決めるのか?」ということでござ いますが、「卵子のシェアリングに関する基準については、提供を受けた人が提供した 人に対して負担する『医療費等の経費』の額は、当該採卵の周期に要した医療費等の経 費の半分以下とする以外は、基本的に、個々の事例における提供する人と提供を受ける 人との間での契約に委ねることとする。ただし、契約は提供する人と提供を受ける人と の間で、直接行うのではなく、医療機関に仲介させるなど、当事者の匿名性が担保でき る方法をとる。」ということでございます。  ここまでがお決めいただいたところでございます。 ○矢崎部会長  そうですね。何か格段のご意見ございますでしょうか。 ○鈴木委員  このあたりのことは、第4回の最後と第5回の最初のあたりにかかっていたんですね 。第4回、私お休みしたので、第5回議事録で確認したところ、排卵誘発から採卵まで というふうに確認されたわけですね。胚移植以降の分は含まれていないということで、 それはわかったのですけれども、実際に支払った額はすごくあいまいで何のことを指し ているのだろう。要するに誰に支払った額のことをおっしゃっているのか。ごめんなさ い、単純に言うと交通費はどうなっているのでしょうということなんですが、つまり、 青森から東京、あるいは東京から福岡など飛行機を使って受診というか通院なさってい る方もいらっしゃるわけですね。この前の項目では、文面の問題もあるのですけれども 、前の項目、16ページの項目のところで、実際に支払った金額ということが、イコール 交通費を指しており、ここでは実際に支払った金額というのは、おそらくこれは医療機 関に支払った金額のことを指しているのではないかと思ったのですが、その辺がちょっ と非常にわかりにくいと感じているのですけれども、ここの確認をまずお願いします。 それこそ宿泊なさる方もいるんですけれども。 ○矢崎部会長  これはちょっと実際に行われないと、経費とかそういうのはなかなかここで決めるの は難しいですよね。これも大体こういう方針でいって、何か大きな問題起こりますです かね。 ○鈴木委員  ですから先ほど申し上げましたように、飛行機などを使うケースも実は非常に多いと 思うのですが。 ○矢崎部会長  そういうのも当然含まれるというふうに考えては、いかがなものでしょうか。 ○福武委員  この点につきましても、結局は誰が直接に卵をもらうのかという問題に全部かかって くる話だと思うんですね。そういう意味では、何かこれですと、物すごく金のかかる方 からもらう人とか、余りかからない人からもらう場合とかパラパラと差が出てくるよう な気がするのです。専門委員会の報告書を見ていて、具体的に何かというのがよくわか らなかったものの1つなんですね。ですからそれについては、もう少し管理機関をどう するかなどそういうことを考えながらこのお金のことを決めていかないと進まないので はないかという気がするのですが。 ○矢崎部会長  これはなかなか想定できないので、実際に動いていかないといけないので、どうもこ の対価の条件についてはなかなか今議論しても難しいですね。最終報告書もなかなか難 しい。ですから先ほどの実費相当をどうするかということに尽きるかもしれませんです ね。卵子のシェアリングの場合にはどう考えるかということで、ここで細かい規定まで つくれない、実際は。吉村委員、何か想定して模範回答を。 ○吉村委員  いや。鈴木さんのおっしゃったようにいろんなところからお見えになるので、シェア リングに関してはこれはかかった医療費ということで、交通費とかは通常は含まない。 例えばAというご夫婦が自分の体外受精のため北海道へ行かれた。北海道へ行ってされ て、それをシェアリングするときに北海道へ行くまでの飛行機賃を持ってくれというの もこれはおかしいので、私はシェアリングに関してはこういう程度でいいだろう。しか し個々の事例があるわけですから、これは提供を受ける方とシェアリングする場合には わかることもあります。わかることが許されるならば契約でやるしかないのではと思う んですけれども。ある程度これはやむを得ないのではないか。  ただし、医療費などの経費に関しては、排卵誘発と採卵まででよろしいのではないか と私は思いますけれども。それに交通費を含むとか、個々の事例がありますから、それ はちょっと大変なのではないかと思いますけど。 ○新家委員  実際に私ども医療機関で発行できる領収書は、医療行為だけです。交通費であるとか 、今抜けている話は、例えば働いている人が提供する場合の日当はどうするのだという 話も抜けていると思うんですけれども、それは医師が直接行うのではなくて、どこか別 の、例えば公的な運営管理機関とか何とかに領収書を提出してやるような形をとらない と、提供者と提供受ける人とがわかってしまうような気がするのですけど。 ○矢崎部会長  そうしますと、今のお話のように、採卵の周期に排卵誘発と採卵のための実際に支払 った、要するに医療機関に支払った金額ということに限定して、プラスほかの費用に関 してはまた別個議論するということで、この項目はまとめさせていただきたいと思いま す。  次の(案1)、(案2)、18ページ、これはちょっと10分間ぐらい休憩した後、また 、3時45分をめどに休憩とりまして、またリフレッシュしてご参加いただきたいと思い ます。ちょっと念のため、私申し忘れましたが、専門委員会と我々の結論が違っている 部分が、12ページにある「●」で、専門委員会は一応パスだったのですけど、我々とし ては「胚の提供を受ければ妊娠できる夫婦に対する精子・卵子両方の提供によって得ら れた胚の移植は認めない。」、要するに別々の精子・卵子を生殖医療のために組み合わ せて受精卵をつくるという行為は行わないということが専門委員会と我々の結論と違っ ているということをここで改めて申し上げたいと思います。  それでは45分から、18ページの検討を始めさせていただきたいと思いますので、よろ しくお願いいたします。                   休憩                   再開 ○矢崎部会長  後半の議論に進めさせていただきたいと思います。18ページの設問からお読みくださ い。 ○桑島室長  それでは18ページの検討事項でございます。多少長いわけでございますけれども、2 つに大きく分かれてございまして、1つ目が「卵子のシェアリングの場合に提供する卵 子の数(又は割合)はどうするか?」という大きな問題と、2つ目の矢印のところが、 「卵子のシェアリングの場合に提供する卵子の選別を認めるか?」という大きな2つの 課題でございます。中身は省略をさせていただきます。  (案1)のところでは、「卵子を提供する人は、採取された卵子の中から、提供する 卵子の数、質を選別することができることとする。」  2つに分かれております。「それ以上の基準を示さない。」という(案1−1)と( 案1−2)では、「提供を受ける人が負担する額については、実際に提供を受ける卵子 の数(割合)に比例させることとする。卵子の質により、提供を受ける人が負担する額 に差異を設けることも認める。」  (案2)は、「卵子を提供する人が、採取された卵子の中から、提供する卵子の数、 質を選別することを認めない。提供を受ける人が負担する額については、実際に提供を 受ける卵子の数(割合)に比例させることとする。  この2つに分かれてございます。 ○矢崎部会長  この負担の額も、最初の根底のところが少し整理できていませんので、これも大変恐 縮ですが、医療費等の経費、これは医療費の経費だけに限って言うからいいですか、こ れは議論しても。プラスアルファのところはないですからね。これは医療費に限った、 医療費等というのは医療にまつわってかかった経費ということに限定させていただきま す。先ほどの経費とは全く別の実質的な医療費の経費ですね。これについて、気がつか なかったのですが、(案1)は、卵子の数を選別できることとする。(案2)が選別す ることを認めないという2つの案ですよね。まず、それから議論していかないといけな いのではないかということですが、いかがでしょうか。 ○鈴木委員  ちょっとページを戻っていただけますでしょうか。2つ目の「●」、「医療費等の経 費」の額は半分以下とする以外は、要するに本人同士の契約に委ねるというふうにここ はなっているわけですね。具体的な中身として、今、(案1)、(案2)というのが提 示されているということになっているのですが、私はさっき途中で休憩になっちゃった ので言いそびれたのですけれども、この「●」自体がむしろ大きな問題ではと考えて… …。 ○矢崎部会長  先ほど申し上げました金額についてはもうちょっと整理する。 ○鈴木委員  金額の問題ではなくて、私は本人たちの契約に委ねるというところが問題であるとい うふうに考えております。 ○矢崎部会長  その事項ですね。 ○鈴木委員  はい。 ○矢崎部会長  これもやっぱり考えさせていただきたいということで、「●」ではなくて「○」に変 えます。 ○鈴木委員  そうするとこの(案1)、(案2)ということはどうなっていくのでしょうか。 ○矢崎部会長  これは採取された卵子で提供する卵子の数、質を選別できるかできないか。額のこと はまた後ほどにしてということで、その2点を整理させていただきたい。 ○加藤委員  質を選別するとはどういうことなんですか。 ○矢崎部会長  そうですね。 ○吉村委員  質は全てわかるわけではないですが、例えば未成熟卵も成熟卵もあります。それから 成熟卵でも細胞質がしっかりしているものも悪いものもある。それが全ての受精能を表 しているかどうかわからないのです。しかし未成熟卵よりは成熟卵の方がいいし、とい うような簡単な分け方だというふうに理解してくださって結構です。厳密な意味での質 の選別はできません。 ○矢崎部会長  提供する人は格好のいいものだけ自分に使って、ということですね。それがいいのか ……。 ○加藤委員  提供者は選択権があるけど、もらう人は選択権がないというのでいいのではないかと いう気がするんですけれども、提供者はいいのと悪いのと両方あるのに自分に悪い方だ け取るというのは気の毒で、提供者の方はいいものを取る権利があると。もらう人はい いものをもらうとか悪いとか文句を言えないというのがいいのではないかと思います。 ○石井委員  (案1)というのはそういうことですね。 ○加藤委員  はい。 ○矢崎部会長  提供者には一応優先権を認めると。 ○岸本委員  質問なんですけど、シェアリングということで、不妊のカップルの卵子をたくさん採 って、例えば10個採れるとしますね。吉村先生にお聞きしたいのですけど、10個採れる としますね。ご主人とかけて受精卵をつくっておいて、Aランク、Bランク、Cランク とできるのですけど、当の不妊症の本人は、例えば胚を戻すと。残りを妊娠が着床しな いとか妊娠しなかった場合に予備のために幾つか置いておきますよね。 ○吉村委員  卵を? ○岸本委員  ご主人との受精卵を冷凍保存しておいて、例えば妊娠成立しなかったときにそれをま た再度使うという形になると思うのですけれども、そんなにたくさん、卵がシェアリン グしてもらえるほど余るのかなという質問で、私の知っている方で、例えば卵を10個い ただいたと。13個採れて9個が受精して3つ戻したんですけれども、残りは自分が例え ば流産したときのために冷凍保存しているとおっしゃっていたので、それほどもらうほ ど数がたくさん余るのかという質問なんですけど。 ○矢崎部会長  ちょっと今のは余剰胚と卵子と一緒に話されているので、卵子だけのこと。 ○吉村委員  今の質問だと13個採れたと。9個受精したということで3個戻してあと6個残ってい るということだったですね。それをまた次のときに使う、もちろん岸本さんのおっしゃ るように、そういうことあるのですけど、13個採れたら、13個を例えば7個と6個に分 けるということです。7個と6個に初めから分ける。そして7個はもともとのご夫婦が 受精させる。6個をシェアリングしたご夫婦にお渡しする。初めから分けてしまう。 ○岸本委員  それはわかるんです。そんなにたくさん分けたときに……。 ○吉村委員  もちろん。だから欧米でのシェアリングで結構問題になっているのは、あげた方は妊 娠できなくて、もらった方が妊娠する。体外受精を受ける人は妊娠できないから体外受 精を受けているということなので、もらう人は卵がないからもらう。卵がない、という 原因がはっきりしているので、原因がクリアーできれば不妊症というのは結構治療しや すいですよね。  そういうことを納得して、そんなにたくさんあるのでしょうかという問題点をその夫 婦がクリアーして、でもなおかつシェアリングしようということです。 ○矢崎部会長  ですから(案1)は、今おっしゃられた、例えば10個あったときに、私は10個とも受 精卵にしてほしいということもできるし、今おっしゃられたように、いや、私は7個の 卵子を受精卵にして、あと3つはほかの方に差し上げますと。そのかわり、費用のこと は別というふうに言いましたけれども、そのときに例えば医療費、かかった費用は30% はもらった側から出していただくと、そういうことになるのではないかと思うんですけ れども、それがこの(案1)だと思います。 ○平山委員  すいません、教えてください。そこで契約というのはどの時点で成立するものという ふうに想定しておられるのでしょうか。今の話だと採卵をした後で数が確認できてから 幾つ分ける。あるいは幾ら分けるというふうに想定しておられるようですけれども、確 かに実際採れてみないと数はわかりませんよね。10個採れるかもしれないし、1つも採 れないかもしれない。わからない時点で、とりあえず採れたら半分、奇数の場合は少な い方をとか、そういうふうに決めておくのか。あるいはそういうふうに採卵をして採れ たというときに契約を結ぶのか。  そうなると契約を結んだときに、卵子を採ってからすぐに培精と言って精子をかけな いと受精は成立しないわけですね。となると精子、被提供者、レシピエント夫婦のご主 人の精子はその日に契約というのはなかなか難しい。凍結をしていれば別ですけれども 、だから、そういうケースの流れというのを想定しておられるのか。どういうふうな流 れなのかなというのがいまいちこのシェアリングについて、実際ふだん生殖医療やって いる人間としてはわからないので、どう想定しておられるのかと思っているんですけど 。 ○矢崎部会長  平山委員が想定できないとほかの人はもっと想定できないと思うんですけど。 ○吉村委員  このシェアリングは当然やる前ですね。過排卵をかける場合、体外受精をやる前、本 人が体外受精をする前になります。ですから従来は15個採れている、あるいは13個採れ ているかもしれないけど、今回は4個かもしれないし5個かもしれない。それはわかり ませんね。この周期は。 ○平山委員  となると数での契約は難しいのではないか。 ○吉村委員  もちろんそうですね。だから半分以下ということに。 ○平山委員  そうですね。割合としての契約になる。もらう方としては、先ほど加藤委員がおっし ゃったように文句は言えないという形の契約にしておかないとなかなか難しいだろうな というふうには思いますね。 ○矢崎部会長  そうしますと4個採れた場合には提供者は2個しか。 ○吉村委員  そうですね。シェアリングという。 ○矢崎部会長  50%ということになりますね。 ○吉村委員  こういったシェアリングの場合には、例えば3個しか採れてないのにシェアリングし ますというのもおかしな話になってくると思うんですね。ですからその辺は非常に、シ ェアリングに対しては基準はできていませんので、欧米でも、先ほどの妊娠できないと いうことと同時に、これが根づいてないというところもあるのです。文章で書くには「 半分以下とする」ということでしかないですし、契約は当然体外受精というものに、過 排卵を刺激を与える前に契約をするということになると思います。 ○鈴木委員  私がずっと考えていたのは、例えば何個以上採れたら半分こにしましょうということ もあり得るのかなと。先ほどの医療費のことを入れますと、その場合は医療費も半分こ ねと。例えば4個しか採れなかったときはあげられません。というようなあげる側優先 の契約であるなら、そういうことも十分あり得るのかなという気もしたのですけれども 、例えば逆に選別とお金の話をからめると、これはあげた卵の数や質で負担してもらう お金も変わってくるわよ、というのを当事者同士でどうやってそんな契約ができるのだ ろうと私はすごくある意味では商業化につながりかねないえげつなさも感じるのですが 、この話に関しては、非常に難しい問題ではというふうに考えています。 ○石井委員  具体的なイメージはなかったですけど、私もイメージとしては、鈴木委員が言われた ように、一定数確保した上で余った、余ったのを半分とすれば、余ったものをあげると いう、そういう趣旨だろうと思うし、先ほど鈴木委員のあれで、これは「●」とれたの はよかったのですが、当事者同士の契約ということは考えないことを前提として、第三 者が受け取って、それに対して、要するにシェアリングの場合にはその卵子が必ずしも 卵子提供のような保証がないということを認めた上でもらうという、そういうことにな るのではないかと思うんですけれども。 ○矢崎部会長  そうですね。これは提供を受ける側としては胚にして受けることできますので、そう いう意味では余裕がありますよね。いかがでしょうか。 ○吉村委員  胚にして受けるというのは? ○矢崎部会長  違います。今の卵子で数がある程度限られた場合には、今回はあげられませんよ、と 言っても、受胎のための準備をずっとしてきたのがキャンセルになるというのとはちょ っと違う。胚にして保存できるから、そういう意味では提供受ける側の負担は少ないか ら、ある程度の数があった場合に、提供する卵子の数はマキシマム半分ぐらいというよ うなことで、そういう意味で卵子の数を提供者側が決めることができると。  質も選別できると。これもいいんですかね。 ○平山委員  そこは難しいと思うんですけど、いい方からとっていくというふうに今の話ではなっ ていますよね。となると、これは吉村先生に伺いたいのですけれども、PCOタイプの 方なんかは未成熟卵が半分を占めている場合には、採卵された全体の中の、体外受精に 使えない卵が半分以上占める方もいらっしゃるんですね。純粋に割合で分けてしまうと 、こっちから採っていくわけですから、初めからほとんど受精可能性のない卵しかもら えなくなってしまうということなので、どうなんでしょう。成熟卵をというふうにした 方かいいのか、そこまで書くのはあれだからどうしたらいいのかというふうにすごく悩 むところだと思うんですけど。 ○吉村委員  おっしゃることは大変よくわかります。20採れましても10個ぐらい使えない人幾らで もいますから。10個・10個ですよといって、10個は受精できないような卵子の場合もあ るわけですから、これは大変難しい。だからシェアリングはなかなか……理念としては 大変いい理念なんですけれども、それから、最もこの方法は商業主義チックに見えます ね。実費相当分より商業主義チックに見えますけど、医療費を半分出すから卵を下さい よというのは。 ○加藤委員  半分出すから半分権利があるということは成り立たないのではないかと思うんです。 あくまでも提供者の善意によって、本来なら無料で提供するけれども、無料では余りか わいそうだから負担するというだけのことであって、半分出したから半分権利があると いう、そういう関係では本質的にないのだろうと思うんですね。ですから提供者の方に は選択権を認めて、需要者の方には選択権認めないと言えば、ある意味で対等の権利で ないような形にしても構わないのではないかと思いますけれども。 ○矢崎部会長  それを言葉にして……。 ○町野委員  だけど、文句を言わず受け取れというわけにはいかないのではないでしょうか。選択 権がないというのは、今のような意味ですね。 ○吉村委員  そうですね。 ○加藤委員  これでは無理だとなれば、要らないということにもなるでしょうけれどもね。 ○町野委員  「品質」に問題があるときは、どうしても受け取れというわけにはいかないでしょう 。 ○石井委員  シェアするのは、受精の可能性のある卵でなければ対象にはならないでしょうね。あ と一つ、教えていただきたいのですが、私は顕微授精のような場合に、妻側は卵子問題 ないけれども、体外受精をする。そういう場合に卵子提供の可能性というのはあるので はないかと思ったりもしたのですけど、そういうことはないんですか。 ○吉村委員  顕微授精の場合、妻側に問題がない場合、シェアリングの可能性が高い。そういう方 はシェアリングになるだろうと思うんですよ。今おっしゃったのは、男性不妊がもとも とあって体外受精をしなければならない。あるいは体外受精、顕微授精をしなければな らないような女性の方がシェアリングの対象になるのではないかということをおっしゃ った。 ○矢崎部会長  卵子提供。 ○吉村委員  そうです。 ○加藤委員  顕微授精の方が成功率は高いんですか。 ○吉村委員  日本産科婦人科学会のデータでは、妊娠率は顕微授精の方が高いです。 ○荒木委員  圧倒的に高いわけではないんですけど、統計的に高いことは高いです。 ○加藤委員  百発百中というわけではないんですね。 ○吉村委員  3%ぐらい高い妊娠率を示しています。 ○矢崎部会長  専門家のお話ですと、見た目ではわからないと。容姿と中身は必ずしもパラレルでは ないというお話で、ですから、ただ、本当に最初からだめだということがあるので、そ れは数に入れないと。そして、ある数以上、採卵したときに初めてシェアリングが可能 になると。そのときは卵子を提供する人は採取された卵子の中から提供する卵子の数を 決めることができると。だけど、この場合、100 %といったら、それで終わりなわけで すよね。何も法的に何%シェアリングしなさいというわけではないですから、ですから 提供する卵子の数を決めることができる。  いいものだけを選ぶということに対しては、心情的にそれがあってもいいのではない かというのと、さっきの話ですと、明らかに受精できないという卵子はもう排除するの ですよね。その上での話でいかがでしょうか。さっき選別を反対された平山委員は何か 。 ○平山委員  選別に反対ではなくて、実際臨床医の先生方は非常に苦労されるだろうなという部分 ですね。本当に受精ということが難しいというのをよくわかっているつもりですし、受 精あるいは妊娠もそうなんですけれども、未熟卵と成熟卵、当然未熟卵は非常に可能性 低いというのはわかっていて、成熟卵でも本当に何割というぐらいしか妊娠可能な卵で はないわけですね、実際的には。単純に全部採れた数でやるのか、それともそういうの をどれだけ排除した数の中で割合というのを考えていくのかということをどう考えてい くのかと思いまして質問させていただいたのです。 ○矢崎部会長  この文章だけではいいのだけ全部提供者が取っちゃうという文章ですので、少しそう いう意味も加味して、(案1)を事務局の方で、例えば採取された卵子のうち受精可能 な卵子の中から提供する卵子の数を決める。質に関しては、既にスクリーニング終わっ ているので、質は委員の皆様の意見では、質まで言う必要はないのではないかというこ とで……、先ほどの負担する額は、これは後でまたやりますか。金銭的なものはややこ しくなりますから。  それでは、一応そういうことで、金銭的な部分につきましては、事務局と私どもでも う一度整理して、契約の問題とか誰が介在して、誰が払って、誰が受け取って、そうい う商業主義が入り込まないような仕組みをどう考えたらいいかということで検討してい きたいと思います。 ○町野委員  要するに今質ということは入れないということですね。 ○矢崎部会長  はい。 ○町野委員  これは現場の方の話だろうと思うのですけれども、実際に指定を認めないということ にするとかなり難しいわけでしょうか。質の点についてもですか。 ○吉村委員  明らかに卵細胞の透明体というのが薄いとか厚いとかそういったことはわかります。 通常、普通の方が体外受精される場合7〜8割の卵子は成熟した卵子になっていまして 、受精も、低くても60%から70%ぐらいの割合で受精しますので、質の悪さ、その60% の中でも、60%か70%受精いたしますけれども、その中で妊娠できて着床できるという のはまた幾つかということになります。その60%で、要するに受精可能であった卵子の 中から妊娠可能な卵子を見つけるということは、これが本当の質の選別になってくると 思うんです。それは不可能だと思います。 ○渡辺委員  平山委員に伺いたいのですけど、今のお話を伺っていますと、やはり卵子を採取して 妊娠しようとするご夫婦自体の心理的なストレスが多大な状況であって、確実に自分が 大丈夫だということがわからない段階でシェアリングという、自分のプライバシーをあ る意味では攪乱されるような状況が入ってくるということは心理的にどうなんですか。 つまり、何か私たちが勝手に何対何で分けていいというふうな論議にちょっと聞こえる んですけれども、ご本人自身が自然に妊娠できないところに人工的に卵子を採取すると いう形のリスクをかけて、可能性にかけているときに、これはご夫婦の自己決定、プラ イバシーですけれども、似たような状況の方が自分の可能性ということをかけて、ほか の人のプライバシーの中に入ってきて、その人の非常にリスキーなところに、ほかの人 のプライバシーがまた入ってくるということをサイコロジカルな側面を見ているプロフ ェッショナルとしてどう思われますか。 ○平山委員  非常に難しい問題であろうと思います。現実的にIVFに対する心理的なケアという のが十分でないのは、今、日本では明らかですし、私も十分できているとは思いません ので、難しいところなのですが、それにさらにシェアリングということになると、他人 のプライバシーということにまで入ってくることには、そうですね……。 ○渡辺委員  私も平山委員ほどこの領域は知りませんので、本当によくわからないから教えていた だきたいし、それからおそらく平山委員もおわかりにならないと思うんですね。つまり シェアリングという状況を強いられて体験した本人たちの意見というのが、当面今のと ころ一番私たちに何か教えてくれる可能性があると思うんですね。  そういう意味で、今、月曜日から、月、火、水、木と、皆さんごらんになっていらっ しゃると思いますけど、NHKの教育番組でやっている生殖医療の番組見ているのです けれども、あそには例えばAIDで生まれて、38歳になって初めて教えられて、そこか ら自分のルーツ探しをしている五十何歳の方たちがのっているわけですよね。ですから 、ここら辺のことは商業主義的なベースというニュアンスも私も同じように感じるので すけれども、当事者がこういうことをどのような実感でくぐり抜けているのか、自分が 苦しいから同じようにシェアリングしようという気持ちでやっているのだろうと思いま すけれども、それにしても非常に大変なのではないか。  そこら辺で、たまたまきょう最後の日なので、ぜひ部会の見ていらっしゃらない方た ちにもお知らせしようと思ったのですけれども、NHKのディレクターの方が、この委 員会を傍聴しながら、NHKという報道者の立場、そして国民の立場からつくろうとし たプログラムというのがありますので、ぜひ、それはこの部会の資料として手に入れて 見てみるとか、そこら辺の論議がないと……私、驚いたんですけれども月曜日にあった 番組では、もうインターネットでAIDの大人たちの会ができていて、そしてその人た ちは、日本ではそういうことないと思いますけど、こういう部会にもいて、自分たちの 方がもっと発言権があるのではないかというふうに言う時代に数年以内になると思うん ですね。あの番組を日本全国の方が見ているわけですから、すぐにそこにネットでコン タクトをとって、そしてその人たちの動きというのは早晩できると思うんですね。  ですから私たちがわからないところは、実体験をした人たちの百人百様の意見をやは りオープンに聞いていくという、そういうことをもう少し考えながらやった方がいいと 思うんですけれども、私も急速にいろんな流れが動いていて、私たちがもっともっとそ ういうことを考えて、オープンな感じでやっていかなければいけないなと思っておりま す。 ○平山委員  そうですね。実際、私もオーストラリアでAIDで生まれた人が発表者として、自分 がルーツ探しをしたいと思っているとか、実際しておられる方だったんですが、そうい う話を聞いて感銘を受けたりしていたのですけれども、そういう動きが確かに日本でも 出てくると思います。急速に進んでいるというのは事実ですし、それをそのまま受け入 れていくことの是非というのを議論するのがこの場なんだろうというふうに思いますが ……。 ○渡辺委員  例えば卵子はその母親のものなんだと思うんですね、私は。その母親のものであると いうものをどのような形……。 ○平山委員  今、母親とおっしゃったのはどちらの? ○渡辺委員  卵子の。 ○平山委員  遺伝的なという、もらった方ですね。 ○渡辺委員  卵子自身を生み出している人が持っている卵子を、その数をどうのこうのというのは 、私たちが医療者として言うにしても、どんな正さが科学的にあっても、それは自分の 卵子なんだという1つの、ご本人の主張というのは、これはゆるぎないものがあると思 うんですね。それはそのとおりというふうにして、フルに尊重した上で、でも医学的に は、例えば確実にあなたの場合は成功するから、だから何分の1は分けていただけない かということをかなりの高い確率で出していけるような医療になっていかなければ、こ れは机上の空論になっていくと思うのですね。  ですからご本人が自分が不妊の問題を解決しようとしている方なんだ。その方の卵子 なわけですから、まずご本人自身が自分の問題を解決しようとしているところに、別の 方のプライベートな願望が入ってくるわけですよね。ですからプライバシーを大事にし ていくというために不妊治療を、不妊ご夫婦のプライバシーを大事にしていくというこ とでやっていくという1つの共通項がありながら、こういう矛盾したことが実際には起 きていくということを時どきは確認していかないと、数のことをいろいろ議論していて も、そんなに簡単にいくのだろうかと思うんですね。  それから、子どもの側の視点も、私は月曜日の番組見て、子どもの側の視点を入れて いかなければいけないと思ったのですが、子どもはどうして10個のうちの3個あげたの だというふうに必ず言うと思うんですね。どうして3個は人にあげたんだ、どういう人 なんだと。そのときに、その母親がちゃんと答えうるだけのものをケアとして、特にカ ウンセリングでやらなければいけないと思うんですね。そこら辺がすごく難しくなるな というふうに実に思いました。 ○平山委員  そこに関しては確かにそのとおりだと思います。ですので、検討課題2で話し合う部 分のところも私なりに今まとめつつあるところで、カウンセリングはかなり綿密な項目 で期間をかけてやるべきであろうと、必要であろうと思っています。 ○矢崎部会長  ちょっと議論が、これは何も卵子のシェアリングしましょうということで、この委員 会を検討を進めるということではなくて、そういうボランティアで、卵子を提供してく ださるという方がいた場合には、どういうふうに問題を設定するかということで……。 ○平山委員  ただ、今、渡辺先生がおっしゃったのは、ボランティアというところの問題設定です よね、言っておられるのは。本当にそこまでシェアリングの場合であれば、本人も自分 が不妊であるということをきちんとどれだけ受容して治療しながらでも、分けてもいい というふうに思うまでの心理的なプロセスをきちんと本人も……。 ○渡辺委員  そのとおりだと思います。 ○平山委員  よく理解していないのに、こういうことを制度としてパッと進めていくのが問題であ ろうというふうな趣旨ですね。 ○渡辺委員  プロセスとして、例えば私たちはトライしてもだめかもしれないけれども、3つ、例 えばあげたときにうまくいけば、それはそれで納得できるというプロセスがあるときに 、初めて成り立つと思うのですね。 ○平山委員  それには全く同感です。 ○鈴木委員  関連して、ずっと気にしていたことなんですけれども、このシェアリングが実際にど のような手順で行われていくであろうかということをイメージしていたわけですね。例 えば今シェアリングはオーケイですよ、できますよというようなポスターが病院内に貼 ってあると。ドクターの方からシェアリングを、例えばシェアリングしましょうという ふうに強引に勧めるサゼスチョンというのでしょうか、するということは、私はないし 、しないであろうと、まずそこは大前提だと思うんです。無理無理ということはないと 。  そうすると自発的に、私、今度体外受精するのでシェアしてもいいですよという人が まず登場するということが前提になるわけですよね。自分の主治医にそう伝えて、その 主治医から、待機している人に連絡が行ってというようなことになるかと思うんですが 、ではそれでシェアしてもいいですよという方がどういう方なのかと言えば、当然この 方たちは不妊でずっと治療なさってきて体外受精なり顕微授精に行き着いているカップ ルですので、仮にそれが初めての体外受精の場合というのも多分ないだろうとまず思う わけです。おそらく何度か繰り返してきて、自分の場合、いつも2個、例えば3個しか 卵が採れないという方もおそらくシェアしようとは言い出さない。  考えるに、先ほど男性不妊で女性の方には問題がない。例えば卵が女性の側で常に両 卵巣から20個ぐらい採れる方、実は私の知り合いにもそういう方がいたんですけれども 、その方も体外受精何度も繰り返していていつも20個ぐらい採れるそうです。よい受精 卵も同時に20個ぐらいできると。割といいものができると。それを戻してもなかなか妊 娠なさらないわけですね。この間、16個戻したとおっしゃってましたけれども、それは 事実です。             (「16個?」という声あり) ○鈴木委員  16個1回に子宮に戻したと。 ○矢崎部会長  ですから、そういう医療が行われないようにするためにやっているのであって……。 ○鈴木委員  いや、その話ではなくて、例えばそういうたくさん卵が採れる方いるわけですよ。多 分そういう方しかシェアしてもいいよというふうにはおっしゃらないだろうということ を今言いたかったんです。  もう一つ、そのシェアの動機は何かというときに、それは外国の事例でもそうでしょ うけれども、金銭のファクターが私はかなり大きいのではないかというふうに見ますの で、これは3回り目の議論のときに、きょう金城先生いらっしゃらないのですが、やは り議事録読み返していて、お金をちらつかせながらシェアリングを進めることになりか ねないのではというとても大事な指摘をなさっていたんですね。そのことがこの検討会 の中でまだ十分話し合われているというふうには言えないのではないかと思いますので 、とにかく何が何でもシェアリングまずありきで進めていくのは、逆に部会長、ともか く絶対やるのだという前提ではないというようなことを今おっしゃっていただいたので はないかと思うのですが、よくよく考えた上で、慎重にスタートを切るべきではという ふうに考えています。 ○矢崎部会長  部会として意見をまとめていただければいいので、ただ、シェアリングというものを 認めないというふうにしていいのかどうか。だから、そういうチョイスもあってもいい のではないかというのがこの部会であって、これを決めたから、シェアリングしましょ う、大運動するとか、そういうことではないし、ですから、そういう金銭的なものでは なくて、本当にボランティアで不妊で悩んでいる方で、もし卵子の提供を受ければ、お 子さんに恵まれることもあるのだということもやっぱり皆さんに知っていただくという ことの意味であって、何といいますか、余りいろんなことを考えていくと、実際に生殖 補助医療ができなくなってしまう。  こういうことをやっても、実際にシェアリングというのは本当に起こりうるかどうか というのはまた別問題だと思うんですね。ただ、そういう選択肢をできるだけ残してさ しあげるというのが、選択肢の1つではないか。  私が個人的に一番恐れているのは、こういう議論で、日本の中でそういうこともあっ てといってどんどん選択肢を狭めたときに、本当に悩んでいる方がどういう手段をとら れるかということを考えると、やはり我が国の中でしっかりした透明性と公平性を高め た中で、商業主義を廃しながら生殖補助医療をどういうふうに医療として位置づけるか というところが重要であって、本当に厳しくきっちり決めちゃえば、それはそれで皆さ んのサポートが物すごく得られると思うんですよね。だけど、そうした場合に、医療の 現場でどういうことが起こるかということを非常に私個人は憂慮しているので、そうい う例えばシェアリングしていいですよ、と言った方に、ちゃんとその誠意に応えられる ような仕組み、選択肢を残しておいた方がいいのではないかということで、おそらく専 門委員会もそういう立場でこういうことが出されたのだというふうに思います。  したがいまして、シェアリングというケースがありますよということを示し、そうい うケースがあったときにはどういうことが考えられるかということを一応この部会で議 論して、ある程度皆さんの考えをまとめていけたらというふうに思っているわけです。 ですからこの生殖補助医療のために卵子のシェアリングをしましょうとか、そういうこ とを何といいますか、特に国としてそういうことをやるということではないというふう に理解していただければ大変ありがたいんですね。 ○福武委員  よろしいですか。 ○矢崎部会長  はい。 ○福武委員  一言だけです。これを読んでいてすごく気になったのは契約だという書き方をして、 シェアリングだというものですから、そうするとワークシェアリングみたいな形ですね 。 ○矢崎部会長  すいません。ですからこれはちょっと……。 ○福武委員  AさんとBさんの契約というふうに読めるんですよ。ですから部会長がおっしゃった ようなことだったら、本当の意思、単独の意思、寄付をするというような意思なのだと いう感じがするんですね。 ○矢崎部会長  ボランティアということですね。 ○福武委員  そうすると全体のこのトーンが、自分が妊娠するつもりでなくて卵子をあげるのだっ たら医療の実費相当分だと。だけど、自分が妊娠するつもりでついでにシェアリングす るのだったら半分ですよ、というとやっぱりそこには金の要素がどうしても入ってくる のだろうと思うんですね。  ですから、そういう意味で私がすごく気になったのは、シェアリングをするという話 を出していて、契約に委ねるということも出されると、どうしてもそれは権利義務関係 が発生するので、実際に妊娠をしたいという人に対する圧力にならないか、金銭的な意 味の圧力にならないかという気がするんです。 ○矢崎部会長  すいません、これは「○」にしまして「●」を撤去させていただいたんです。ですか らシェアリングに関するここの部分はもう少しそういうニュアンスをなくしてまとめた いと思います。 ○福武委員  そうすると全く自分が妊娠するつもりでなくて、卵子の提供するのと変わらないだろ うという気もするんですけれども、違うのですか。どうしてそれを分けてやっているの かというのがよくわからない。 ○吉村委員  ちょっと質問がわからなかったのですけど、卵子提供をする人とシェアリングは変わ らないのではないかということですか。 ○福武委員  そうです。先ほどの初めの議論の、精子・卵子・胚の提供については金銭的な対価を やらないという話になりますね。そういう意味では、そこでは妊娠するつもりではなく て、アメリカでやっている、お金はもらわないけれど卵子を提供するだけの話だと。だ けど、シェアリングがどうこうという話になってくると別の要素が入ってくる。ただ、 実際に受け取る人から見ればそれは同じことなのではないか。そうやって分けて議論す るのは何故なのだろうかという、そういった話に戻ってしまう気がするんですが。 ○矢崎部会長  そうですね。 ○福武委員  実際に私の印象としては、自分が妊娠するつもりはないのに卵子を提供するというよ うな純粋なボランティアの人はそんなにいないだろうと。体外受精をするから余ったの を差し上げる、というぐらいの人はいるかもしれない。  ただそこでは、渡辺先生がおっしゃったような非常に難しい問題が入ってくるのだろ うという気がするので、何かそこで金の差をつけているというのがすごく気になったん です。 ○矢崎部会長  おっしゃることは、よくわかりました。 ○石井委員  ただ、分ける必要があるのか私は整理できていないのですけど、ボランティアで提供 する人の場合は、自分のためではないから医療費の全部を自分では負担しないわけです よね。あげる場合は自分も使うのだからその医療費を全部自分で払いなさいという、そ のうちで余った分をあげなさい、という考え方ももちろんあり得るとは思うけれども、 半分というかある程度あげるのだから、かかった医療費は自分のためであると同時に人 のためでもあるから、自分のためとしてその医療費の半分を負担し、半分は提供のため 払わなくていいですよという、そういう趣旨のものだろうと思っています。 ○福武委員  ただ、先ほどシェアリングにするケースは一体どこの時点で、意思の合致といいます か契約が成り立つかというと、治療を受ける前の話だという話が出ていたものですから 、そうすると実際に治療を受けていて卵がどのぐらい採れるのかわからない時点で契約 が本当に成り立つのかという大きな疑問があったものですから。 ○加藤委員  厳密な意味で民事契約ではないと思いますね。民事契約の場合には契約の提供者の側 に権利が発生するわけですけれども、そういう性質のものではなくて、あくまでも提供 者の自発的な提供についての申し合わせというか、何日に集まってくださいとか来てく ださいとかということになるかもしれませんから、契約という言葉は……。 ○石井委員  「○」だけでなくて、「契約」という言葉は取っていただくという方がいいのではな いかと思います。 ○加藤委員  そう思いますね。 ○矢崎部会長  おっしゃるとおりで、今、福武委員が言われたのは、石井委員が言われたようなこと でも、負担が少なくなるというのが誘導になってしまう。だから商業主義に陥ることは ないけれども、誘導の一因になるから、不純な部分が入るからいかがなものかという。 ○福武委員  「不純」と言われると、えっ、と思えてちょっと言葉としてどうかなという気がする んですが……、かかわりは感じます。 ○矢崎部会長  ただ、それで商業主義になるかどうかというのはまた別かもしれませんですね。だか ら、善意で提供した場合に負担を一部いただくのでという、契約ではないですね。善意 の交換みたいなものではないかと思いますね。だから、そこに例えばある程度経費を負 担することによって、商業主義は入らないと思いますが、経済的なインセンティブ与え て、そういうことをするという……。 ○石井委員  危険性がある。 ○矢崎部会長  危険性は否定できないですよね。そこを十分考慮して卵子の提供とともにシェアリン グについても、そういう点を十分留意してほしいという福武委員のご意見で、それは我 々も十分。  ただ、案として、どこまで皆さんの合意が得られる案ができるかどうか。 ○町野委員  結局費用についての特則を設けてということでこういう話になっているんですが、そ れは本当に必要なのかということだと思います。もし特則を設けないということになる と、提供を受ける側が負担すべき費用は低くなるわけですね。それで何の具合が悪いの かと思いますが。自分の出産のために卵を提供する場合この特規によって、ちょっと計 算できないのですけど、費用としてはおそらく安くなるということですか。 ○矢崎部会長  そうですね。 ○町野委員  もし好意で提供されるのならば、これは当然のことではないかと思いますが。シェア リングの場合だけ提供者側の経済的負担を少なくするということは必要なのかというこ とですが。 ○加藤委員  提供者はどっちみちかかる費用だと思ったっていいわけですよね。 ○町野委員  そうですね、提供は本当に好意ですから。 ○矢崎部会長  それが本当の筋かもしれませんね。 ○町野委員  それがどれだけのお金かはわかりませんけど、経済的なインセンティブを与えている と見られるのは避けた方がいいように私は思います。 ○矢崎部会長  それはそうですね……、悩ましいところですね。 ○吉村委員  このシェアリングがどうして出てきたかということについては、卵子提供者というの が、石井先生がおっしゃるように、無償で、そしてボランティアベースで本当にいるの だろうか。卵子に関しては、商業主義で行われているアメリカ以外には卵子の提供者と いうのは大変少ないわけですね。フランスのように、匿名の、自分はわかったドナーを 連れて行くのですけど、自分が受けるのは全く関係のないドナーから受けるという制度 がちゃんとできているところ以外は、非常に卵子提供というのは難しいだろうと。  であるならば卵子提供を認めるということにしても、これは全く実際に行うことがで きないような医療では意味がないだろうと。それで、では欧米で今行われているような シェアリングという制度はどうだろうかということになったわけです。  それで金銭額的なことについては全てのところにおいて基準がありませんので、一応 これはイギリスとかそういうところで行われている方法に準じたと。これは半分以下で 、費用も半分を負担するというのが欧米のやり方であるということから、このシェアリ ングというのは出てきたわけです。このシェアリングが本当にできるかどうかというこ とについては全く疑問ですし、ただ、シェアリングも含めておいた方が、卵子が提供者 が少ない状況を考えると1つの方法になり得るのかなと。  ただ、渡辺先生のおっしゃるように、本当にシェアリングするでしょうかと言ったら 、私も非常に疑問に思います。ただし、匿名の第三者が全く商業主義でなく卵子を提供 してくれる人の可能性よりは少しはあるのではないかというように私は考えます。それ は兄弟姉妹、親戚とかそういったものを除いたところで、卵子提供者としてはシェアリ ングも1つの可能性として残しておいた方がいいのではないかと私は思います。 ○矢崎部会長  ですから可能性として残すのはいいのですけれども、そこに卵子提供と同じように経 済的なインセンティブを与えないというのを原則とすると。福武委員は卵子提供の場合 には(案2)ですよね。(案1)がかかった実費プラス、経済的なインセンティブとい うほどのあれではないんですけれども、ある程度時間も拘束するし苦痛も与えるので、 危険性もあるので、何か商業主義にならない程度のプラスアルファの、直接に金銭をお 渡しするのではなくて、何かうまい方法でできないかというのが(案1)だと思います 。  ですからシェアリングも、1つは(案1)として、商業主義に陥らない、経済的なイ ンセンティブでシェアリングを促進させようということではない意味の案と、それと経 済的なインセンティブ全くなくしてボランティアでやるという(案2)と、2つの案で また議論を進めますかね。 ○町野委員  私はこれを規定しないということになるのではないかと思いますが。要するに特則を つくろうとしているわけですね、シェアリングについてだけ。 ○矢崎部会長  特則……。 ○町野委員  シェアリングを認めるというのは、おそらく絶対反対という人はいないと思うんです ね。そのときに経費の負担について、特別な規則をつくろうとしたわけですね。 ○矢崎部会長  そうです。 ○町野委員  だから、それをとれば全てかたがつくわけですよ。 ○矢崎部会長  ただ、何もつけないと……。 ○町野委員  それが少しなければ具合が悪いと考えるかどうかと思うんですね。 ○矢崎部会長  そうですね。というのは……。 ○町野委員  私はそれは必要がないように思います。そうだとすると、これは規定しないというこ とだろうと思いますね。 ○矢崎部会長  ですからさっきの卵子の提供も規定しないという案もあったんですよね。卵子の提供 の場合も、卵子の提供だけで対価とかそういうのは一切……。 ○町野委員  対価について規定するのは、それは妥当なことだろうと思いますけれども、シェアリ ングの場合についてだけ特別のそれをつくる必要はないのではないかと。 ○福武委員  町野先生がおっしゃっているのは、要するに卵子提供という中に全部含まれるのだと 、そういうことで一本化すべきだということですね。 ○町野委員  それで必要経費についても基本的な考え方は、どういう格好で一般の原則でするかど うか別ですけれども、相当な対価ということで全部同じだということだろうと思います ね。 ○矢崎部会長  そうしますとシェアリングの場合のことについては卵子提供に準ずると。 ○町野委員  卵子提供そのものということですね。 ○矢崎部会長  卵子提供そのものに準ずる。 ○町野委員  卵子提供のうちの1つであることは間違いないわけでしょう。やっぱり費用のことで しょう。経費をどれぐらい負担するかということだけで、ここでつくろうとしたのでこ ういう問題になっているわけですから。 ○矢崎部会長  そうですね。確かにおっしゃるとおり。 ○石井委員  ただ、その場合、卵子提供が(案1)になったら、シェアリングの場合も報酬をもら えるという可能性が出てくるという……。 ○町野委員  (案1)というのは18ページにある(案1)という意味ですか。 ○石井委員  16ページの(案1)になったら、シェアリングの場合もそうなるということも含むと いうことですね。 ○町野委員  そうです。だから、こちらの総論的な、総則的なところをどう書くかということは問 題としては残りますね。 ○矢崎部会長  わかりました。今言われたことを整理しますと、卵子、シェアリングは選択肢として 一応認めて、提供する卵子の数というのは提供者が決めることでもいいと。提供者の権 利を認めるということですよね。 ○町野委員  いえ、それも規定しなくていいのではないかということですが、ここのところは全部 いらないと。報告書の中でシェアリングという方法もあり得るということでしょうね。 それを認めないということではないことは当然のことでしょう。 ○矢崎部会長  ちょっと対価のところから入ってしまったから……。 ○町野委員  だから対価の問題として議論し始めたからでしょう。 ○矢崎部会長  ちょっとまずいですね。どうしてかな。 ○町野委員  ここは規定しないという案をもう一つ加えていただければ結構だということですね。 ○矢崎部会長  対価の条件というのをちょっと。 ○町野委員  だから対価の条件としてシェアリングについて。 ○矢崎部会長  もっと後で検討すればいいんですね。 ○町野委員  長いことお休みしていたのに突然いろんなことを言い出して、恐縮してはいるのです が。 ○矢崎部会長  いやいや、貴重なご意見ありがとうございます。  兄弟姉妹の議論は次にあるんですよね。シェアリングについては、卵子の提供を認め るからシェアリングは当然認めてということで、もう直接対価に入っちゃったんですね 。だから先生の言われるように、卵子の提供のところにシェアリングを加えさせていた だいて、対価についてはまた後で全体的に見通しが立った上でまた議論するということ でよろしいですか、事務局の方で。 ○谷口課長  確かに私どももその辺のところを少し整理する必要があろうかというふうにちょっと 考えておりまして、シェアリングをいきなり卵子提供の方に入れるかどうか、ペンディ ングとしましても、少なくとも対価のパート、16ページ以降、この分については部会長 ご発言のように検討課題2、3踏まえてもう一度整理をさせていただければと思います。 ○矢崎部会長  検討課題2、3で、全体的な透明性、公平性をどう保つかということまで含めて検討 した上で。治験のときもそれが一番大きな問題で、誰が患者さんにお支払いするのかと いうことですごく議論があって、そこをシステムとしてつくるのになかなか苦労しまし たので、今回もそういうシステムをまず確立してから対価の話をしたいと思います。  それではきょうは延々と時間を費やしましたけど、対価のところでつまづきまして。 ただ、マスコミの方には強引にどんどん話を進めていってしまうというご批判もいただ いていますので、ちょうどきょうみたいな議論をするのが、また信頼を獲得する1つの ステップになるのではないか。  ただ、私としては極めて何というか大変なお仕事を引き受けてしまったなと。そうい うことで、本日はご議論いただいて、ただ内容的には随分進歩したと思います。認識も 新たにできまして、町野委員のように長らくお休みいただくとまたフレッシュな目で問 題点を指摘いただけるので貴重なご意見を賜って、本当にやっぱりやっていきますとの めり込んでしまってなかなか後で振り返るということができませんので。そういう意味 では大変きょうは貴重なご意見をいただきましてありがとうございました。  では、次からまたさらにいろいろ問題のある「兄弟姉妹からの精子・卵子・胚の提供 」という議論に進まないといけないと。あと次にまた胚の問題がありまして、一旦つく った胚をどうするかということも非常に大きな問題になるかと思います。別にタイムリ ミットはないわけですから、十分……。 ○吉村委員  タイムリミットはありますよ、12月までじゃないんですか。 ○矢崎部会長  いやいや、だからまだまだあるじゃないですか。私は楽観主義ですから、ですから毎 月1回やっていきますので、次回、その後ぐらいに検討課題ですか、3月までに一応検 討課題1、一番大変なところをやって、検討課題2、3をやって、全体にまたもとに戻 ると。  だから個人的には、できればもう夏休み前にある程度の骨子案ができればというふう に、もう皆さん毎回出席されてお疲れになると思いますので、そんなことで事を済ます ということはまた不謹慎だと怒られそうですけれども、議論を十分尽くした上で、納得 された上で進めたいと思います。  議事録は全部インターネットでオープンになっていますので、一般の方々からのコメ ントいただきながら慎重に進めていきたいというふうに思います。 ○福武委員  1つお聞きしたいのですが、いずれ胚の問題が入ってくると生命倫理がどうこうとい う問題が出てくると思うんですね。生命倫理法を検討している総合科学技術会議がある と聞いているんですけれど、それが一体どうなっているのか教えていただきたいです。 ○矢崎部会長  それについては専門委員で、石井委員。 ○町野委員  生命倫理法を検討しているという話は、私、ここのところあちらも出ていませんので わかりませんけど、聞いたことないです。 ○矢崎部会長  ちょっと簡単にどうですか、お話しできますか。今後検討するのですよね。 ○福武委員  心配しているのは、クローン人間の方もそうなんですけれど、あれは科学技術庁がや ったんだと、こちらはこちらで厚生省は別にやるのだと。本当はオーバーラップしてい る話だろうと思うんですね。特に胚の問題がどちらにも絡んでいるのに、また別の会議 で生命倫理法を検討するとなると、一体ここでやっているのとどういう関係があるのか というのが私はよくわからないんです。 ○矢崎部会長  それは当然整合性を保っていかないといけないと思います。 ○福武委員  それでどうなっているのかを教えていただきたいんです。 ○矢崎部会長  まだ、これから議論されることだと思うんですね。 ○加藤委員  何か、いつも同時多発的審議ですね。 ○福武委員  先生のようにおっしゃるといいんですが、てんでばらばらに。 ○町野委員  私がそれを言う立場にあるかは疑問ですが、私の理解している範囲では、結局今まで のやり方の問題は、それぞれの部署で分けてやらざるを得ないことは確かにあります。 しかしバラバラにならないように、総合科学技術の中の生命倫理の調査会に案件は必ず 上がってきて議論するということになっております。ある場合には、例えば今度のクロ ーン指針のように、そちらの意見によって大幅に決めるということもこれはあり得るわ けですね。これがそうなるかは私はわかりませんけど、必ずや報告が上がってくるとい うふうに理解しております。 ○矢崎部会長  よろしくお願いします。 ○谷口課長  個別の総合科学技術会議の中身につきましては、ご担当がお見えになっていますので 、個別の話はそちらでご発言いただければと思いますが、福武先生の方の、こちらの方 の関連という意味で一言だけご説明をさせていただきますと、部会長おっしゃいました ように、向こうの総合科学技術会議の専門調査会とこちらの部会というのは、今後そう いった生命倫理につきまして十分な情報のやりとり、検討状況につきましてのやりとり させていただこうということで事務局同士で話をしております。近々私どもの方の検討 状況もご説明をさせていただくということになろうかというふうに思っております。そ れを踏まえまして、おそらく向こうの方では、全般のご議論はされるやに伺っておりま すけれども、少なくとも生殖補助医療につきましては、こちらの方の検討状況を最大限 考慮していただけるといいますか、配慮していただけるというか、そういう形になるの ではなかろうかと我々は考えております。 ○矢崎部会長  石井委員と町野委員が入っておられますので、よろしくご議論のほどお願いしたいと 思います。それで、胚というとクローン、ES細胞というふうになりがちですけれども 、この委員会では、先ほど申し上げましたように、12ページの「胚の提供を受ければ妊 娠できる夫婦に対する精子・卵子両方の提供によって得られた胚の移植は認めない」と いう、それが我々の根本的な認識でありますので、これは胚というのは、要するにそう いう目的で適当ということではありませんけれども、配偶子を受精させてつくるという のではなくて、不妊治療をするためにご夫婦がつくった胚を中心として我々は考えてい るということをちょっとご説明していただかないと、いわゆる胚というとすごく広い範 囲で、それだけで、さらに生命倫理から反するという議論になってしまう可能性もあり ますので、その点を十分我々も生命倫理というのを尊重しながら議論を進めているとい うことをお伝えいただければ大変ありがたいと思いますので、よろしくお願いしたいと 思います。 ○岸本委員  1ついいですか。 ○矢崎部会長  はい。 ○岸本委員  12ページの「●」のところなんですけれども、「胚の提供を受ければ妊娠できる夫婦 に対する精子・卵子両方の提供によって得られた胚の移植は認めない」という文章が、 精子・卵子両方の提供によって得られた胚というのはつくらないんですよね。その胚は 移植は認めないのでなくて、胚はもうつくらないとしておいた方がここはわかりやすい のではないかと思うんですけれども、移植でなくて。 ○矢崎部会長  そうですね。これは生殖補助医療から見たもので、生命倫理委員会はそういうことを 決めていただいた委員会の方針に従って、我々はこういうことをします、誓いますとい うことですので、生殖補助医療でなくて、それは生命倫理の方ですので、つくらないと いうことを向こうの方で言っていただいて、こちらはこういう……。 ○岸本委員  これでいいんですか。 ○矢崎部会長  文章でないとちょっと。 ○石井委員  「夫婦のために胚をつくらない」でもいいのではないですか。そういう夫婦のために 。 ○岸本委員  「胚をつくらない」方が、移植を認めない、にしたら。 ○矢崎部会長  わかりました。提供による胚はつくらないというのは、何て言ったらいいですか。 ○町野委員  言葉の問題として、私はどちらでもよろしいと思うんですけれども、これは結局報告 書と違うことを言ったわけですよね。 ○矢崎部会長  そうなんです。 ○町野委員  ですから、そうだとするとこの書き方の方が私はわかりやすいと思います。 ○矢崎部会長  これは唯一ひっくり返したんです。 ○町野委員  だけど、シェアリングについての費用についてももしかしたらひっくり返すことにな るかもしれないわけです。 ○矢崎部会長  それでは、事務局から何かありますか。 ○桑島室長  それでは次回の当部会の日程をご連絡申し上げます。次回は2月28日(木曜日)の14 時から17時までの予定となってございます。場所は厚生労働省の17階共用第21会議室で ございます。なお、先生方に毎回お願いしてございますけれども、ご意見等をいただけ ましたら、メール、FAX等で、締め切りは2月26日、2日前でございますけれども、 午前中までとさせていただきたいと存じます。 ○矢崎部会長  午後2時から5時でございます。できれば次回は検討課題1の最後までいければ大変 ありがたいと思いますが、次回、高久委員に久しぶりにご出席いただければ、また新し い目でご議論いただけるかもしれません。  本日は本当に長時間にわたってご熱心にご議論いただきました。本日の部会はこれで 終了させていただきます。どうもありがとうございました。 照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課 03−5253−1111(代) 桑島(内線:7933) 小林(内線:7939)