01/10/12 第3回福祉部会議事録               第3回福祉部会議事録 1 日時 平成13年10月12日(金)10:00〜12:00 2 場所 厚生労働省共用第7会議室 3 出席委員:京極部会長代理、茨木委員、大山委員、岡田委員、岡部委員、        北野委員、佐口委員、鈴木委員、武川委員、根本委員、        長谷川委員、村田委員   欠席委員:岩田部会長、中村委員 4 議事 (1)関係自治体及び関係団体に対するヒアリング   ・ 都道府県 (兵庫県)   ・ 市町村  (愛知県高浜市)   ・ 市町村社協(水俣市社協) (2)地域福祉計画に関する自由討議 (3)その他   ・ 第2回福祉部会議事録(案)が全会一致で承認され、公表されること。   ・ (仮称)地域福祉計画策定指針の原案を取りまとめる委員として、大山、     岡部、武川、鈴木の各委員が選出されたこと。   ・ 第4回部会(12月目途に開催)及び第5回部会(来年1月目途に開催)    では、選出された委員が取りまとめた原案をもとに議論が進められること。 5 審議の概要   福祉部会に初めて出席する茨木委員より挨拶 (茨木委員) ○ 私の専門は障害者福祉であり、これまで幾つかの自治体の障害者福祉計画の策定に 参画したり、地域福祉計画の政策プロセスを拝見したりしている。障害を持った人も含 めて市民がどのように計画策定に参画していくか、また、計画策定のプロセスでどのよ うに自治体が成長していくかということに関心がある。 関係自治体及び関係団体に対するヒアリング (兵庫県(兼井氏)) 【これまでの取組み】 ・ 兵庫県では、これまで地域における福祉力の向上のための様々な施策を展開してい る。 ・ 平成元年には、民生委員等が福祉ニーズを有する者を把握し、それらの方と福祉事 務所、福祉関係者等が処遇を検討、適切なサービスを提供するという「地域総合援護シ ステム」を各市町に対して提案した。  また、このシステムに連動する形で、民生委員1人当たり2人の協力者を配置し、地 域の見守り体制を厚くする「民生協力委員制度」という兵庫県独自の制度を実施した。 現在も行っている。 ・ 平成7年に阪神・淡路大震災があったが、淡路では回りの人がおじいちゃん、おば あちゃんがどこに住み、何人おり、どこで寝ているかということを十分把握しており、 そのような家庭へすぐ救出に向かったため、崩壊した家の下で亡くなられた方が非常に 少なかった。このような地域の中での見守りが重要であるという震災の教訓から、ま た、少子・高齢化という視点の中で地域における保健福祉の連携ということから、兵庫 県は「地域安心拠点づくり」という構想を打ち出した。 ・ 地域安心拠点づくりは、「コミュニティ安心拠点」と「ケアシステム安心拠点」か らなる。コミュニティ安心拠点とは、地域の集会所などを拠点とし、高齢者や子どもが 歩いて行けるところ、概ね小学校区を単位として、自治会、婦人会、老人クラブ、NP O等が連携し、助け合い支え合う地域活動を実践するというもの。また、ケアシステム 安心拠点とは、在宅介護支援センター、デイサービスセンター、訪問看護ステーション 等を拠点とし、日常の生活圏に近いところ、概ね中学校区を単位として、保健・医療・ 福祉が連携したサービスを提供していこうとするもの。 ・ 兵庫県では、地域におけるコミュニティづくり、ネットワークづくりというものを 重点的に考えており、この構想自身は今後この委員会等で御議論される地域福祉計画と 基本的な考え方は同一ではないかと考えている。そのようなことから、兵庫県はこの地 域安心拠点づくりの理念を支援計画の中にきちんと位置付けていきたいと考えている。 【平成13年度の取組み】 ・ 地域安心拠点づくりを進めるため、推進委員会を設置している。来年度以降、地域 安心拠点づくりの一層の深化、発展を図っていく観点から、当該委員会において地域福 祉支援計画の策定等について検討いただくこととしている。  基本的な検討事項は、1つは住民に対するアプローチの仕方と盛り込むべき事項を考 えていく。なお、今回の推進委員会には社協、学識経験者のほか、民生委員、老人クラ ブ、障害者団体、NPOなどいろいろな方に入っていただき、来年の支援計画策定の1 つの方向づけ、指針をいただくことを考えている。 【策定にあたっての主な課題】 ・ 地域福祉の共通の概念を国によって示していただきたい。 ・ 地域福祉支援計画の性格(ねらい、目標)を明確にすること。都道府県には、市町 を指導、支援、説得する立場として、計画を策定することによって地域はどのように変 わっていくのか、市町において計画の必要性をどのように認識してもらうのかなど、市 町への動機づけ、インセンティブについて明らかにする必要がある。また、目標数値の 立て方についても示すべき。 ・ 政令市に対しての県のアプローチの仕方、また自治事務ということの中での市町へ のアプローチの仕方など、自治事務との関係で市町に対する支援指導という点について も課題である。 【地域福祉計画の策定に取り組んでいる大阪府の意見の紹介】 ・ 今後、福祉政策の総合化、統合化が必要。高齢者、障害者、児童などの対象者別の 施策がそれぞれで展開をされているが、地域福祉計画という流れの中でいけば統合化と いうのも1つの方向ではないか。 ・ 対象者別の3計画とこの度の地域福祉支援計画との関係の整理が必要である。各自 治体に任せらるのか、それとも統一されるのか、その点についての整理も必要。 ・ 地域福祉を推進する上で課題となるのが個人情報の取扱いである。これから積極的 に住民参加、福祉サービスの提供を進めていくには、個人情報の管理というものが1つ のネックになる。個人情報の提供の仕方について一定のルールを決めるべき。 ・ 要援護者の人権尊重の視点を明確にすべき。 (高浜市(岸本氏)) 【概況】 ・ 高浜市は人口約3万9,000人、面積は13平方キロ、名古屋市から南東に25キロ圏の位 置にある小さな町、高齢化率は人口の15%程度。 ・ 高浜市は、社会福祉事業法が改正され、平成15年度から施行されるということもあ るが、職員のスキルアップを図ること、地域力を高めることの大きな2つのねらいを もって地域福祉計画の策定に取り組んでいる。 【地域福祉計画策定のこれまでの経緯等】 ・ 高浜市の地域福祉計画策定のスケジュールとしては、まず本年度、これからご説明 するようなモデル的な計画づくりを地区を限定しながら進め、平成14年度に本格的にそ れを整理し、きちんとした計画に仕上げる予定。15年3月議会において、この計画の内 容を網羅した福祉の総合条例を住民とともにつくっていこうというねらいを持ちながら 計画づくりに取り組んでいる。 ・ 高浜市では、計画づくりのため「地域福祉計画モデル策定委員会」、「地域福祉計 画プロジェクトチーム」、「サポーター」及び「168人委員会(ひろば委員会)」の4つ のチーム・委員会を設置しているが、現在、3つの組織が同時に動いている。策定委員 会が計画を責任を持って仕上げることとしているが、現段階では、実質的にはプロジェ クトチームや、一番のコアとなるひろば委員会が支えているという形となっている。 ・ ひろば委員会は、本年6月、住民公募を行い住民主体の委員会をつくろうと言って 立ち上げたものであり、現在146名の方に登録いただいている。障害者、高齢者、障害者 の家族、それを支えるボランティアの方、年齢制限を設けていないので7歳から85歳ま での方、などいろいろな方が参加されている。子どもの関係では小学生、中学生が40人 ぐらい自主的に応募してきて自分たちのことを自分たちで一生懸命アピールしている。 委員会では、5つのグループが、5つのテーマ(“子どもから大人へのメッセージ”、 “「ピカッ」と光り輝く福祉サービスを求めて”、“いいじゃん!?ボランティアっ て”、“安心と人が支え合うまち「たかはま」”、“いっぺんみんなで「近所づきあ い」を考えまい!”)に積極的に取り組んでいる。  これまで毎月第2、第4土曜日を使い活動が行われてきたが、本年9月22日、ひろば 委員会が半年間行ってきた活動実績や課題、残りの半年間で行っていこうとする活動内 容などを中間発表祭という形で公表した。 ・ 策定委員会は、現在15名の委員で構成されているが、委員のうち、ひろば委員会か らの代表者6人、別枠で市民公募委員3名、つまり15名のうちの9名が市民となってい る。スケジュール的には、12月下旬から来年1月上旬あたりに、いろいろ形づくったも のをパブリックコメントも行いながら計画を住民に示し、双方向での議論のやりとりを していきたいと考えている。 ・ プロジェクトチームは、行政機関側の職員で構成されるが、基本的に前面に出ない ということをルール化している。ひろば委員会が中心となり計画づくりが今なされてい るが、プロジェクトチームの20名ほどの職員が、このひろば委員会の中に一住民という 立場で身を置き、一緒に議論をしていくという形をとっている。ひろば委員会の各グ ループのリーダーは、そのグループの中で自分たちで選定していただく、あくまでも住 民が自分たちの手でつくっていただくということとしているが、行政に対する質問、疑 問などがあった場合には、そこに入っている職員がそれに答えるというような関係と なっている。 ・ 地域福祉計画における大きな課題としては住民参加があげられる。これまで、住民 の方というのは不平・不満、要望・要求はされるが、自分たちが自分たちのことで議論 するということに慣れていないし、そのような場面がつくられていないということがあ る。  高浜市はもともと住民力が強いまちではなく、どちらかというと行政に頼ってきたと いうところがあるが、そのようなカラーを打ち破る1つのツールとして、私どもは地域 福祉計画づくりを持ち出したともいえる。  住民参加ということでは、介護保険が1つの切り口になっている。介護保険をつくっ た時、住民公募、パブリックコメント等の手法をとったが、パブリックコメントでは100 人ほどの方から意見をいただき、住民公募で4人の方が委員となるなど、住民と非常に 大きな関わりをもったといえる。  今回の計画に関わる146人の方は、半分の方は私どもが呼び掛けたが、残り半分の方は そこから広がったものであり、これまで全く行政に関わったことのない方が入ってきて いる。これこそが私どもがねらっていたことの一番大きな成果であると実感している。 【高浜市地域福祉計画素案】 ・ 住民の方々が真摯に議論し、アウトラインという形で整理したものは次のとおり。 ┌────────────────────────────────────┐  │ 前文                                 │  │ 地域福祉の計画活動          ○基本理念づくり        │  │                    ○地域福祉の計画活動      │  │                    ○計画活動を進める3つの原則  │  │                    ○計画活動を進める組織主体   │  │ 地域福祉の理念と体系                         │  │ 地域福祉の「活動ひろば」づくり    ○ボランティアひろばセンター  │  │                    ○事業者による地域福祉     │  │                     「起業ひろば」        │  │                    ○世話やき活動 福祉コンビニ  │  │                    ○心のバリアフリー会議     │  │ 地域生活サポートサービスの開発・利用 ○地域生活サポートサービス体系 │  │                     「居場所づくり」       │  │                    ○福祉資源づくり        │  │                    ○地域生活志向のケアマネジメント│  │ 福祉でまちづくり           ○主体             │  │                    ○各種計画との整合性      │  └────────────────────────────────────┘  ・ まだ、たたき台のたたき台であり、これから大きく変わる可能性もあるが、先ほど お話しした9月22日に行った中間発表祭というものから取り出して整理するとこのよう なフレームになる。これはプロジェクトチームでの整理の段階でまとめたものなので、 これからひろば委員会とすり合わせをしながら、策定委員会の中でこれが練られてい く。 ・ これらの項目の中で、今年度一番意識して取り組みたいと思っているのが、4つ目 の『地域福祉の「活動ひろば」づくり』である。やはりこれからの地域づくり、ノーマ ライゼーションを広げていく場合、いろいろな方たちがきちんと自主的に生活できるよ う、様々な仕組みづくり、仕事づくりのようなものを計画に書き込む必要がある。  5つ目の「地域生活サポートサービスの開発・利用」の中で「居場所づくり」という ものをあげているが、要は障害を持った方たちを1つの枠にはめるのではなくて、地域 の中にすべて出していこうという考え方を仕事ということと居場所ということで整理す る。このようなねらいを中心とした計画素案となっている。 (水俣市社協(田代氏)) 【概況】 ・ 水俣市は人口が3万2,000人弱、高齢化率が約26%。 【社会福祉協議会の地域福祉への取組み】 ・ 社会福祉協議会の活動には、援護活動、ボランティア活動などいろいろあるが、大 きく2つに分けるならば、困っている方々に対して相談・援助などを行うケアワーク関 係と、ボランティア・まちづくりなどを行うコミュニティワーク関係の仕事がある。 ・ ケアワーク関係としては、在宅福祉サービス活動などいろいろなサービスを実施し ており、この中の一部を介護保険の事業として現在展開している。 ・ コミュニティワーク関係では、「ふれあいネットワークの推進」という、地域住民 による訪問活動や安否確認、訪問対象者との交流などが実践されている。現在、この見 守り、安否確認というような活動に登録している「ふれあい活動員」という名のボラン ティアの数が約2,000人、市の有権者の11人に1人にものぼっている。  またアンケートを取ったら、この活動のボランティアをしている人たちが、自分自身 が変わったというふうにおっしゃっていた。身近なボランティア活動をすることによっ て自分が地域に目を向けるようになった、町の中であいさつをする人たちが増えた、こ の活動に生きがいを感じるようになったとおっしゃってくれた。このふれあいネット ワークが、すごいパワーがあることに今更ながら驚いている。 【地域福祉活動計画の策定】 ・ 水俣市社協では地域福祉活動計画(「福祉でまちづくり2001」との名称)を策定 中。まだ8割方しかできていない。このような計画を策定する場合、通常、策定期間を 設けるのだろうが、水俣市社協では策定期間を最初に設定しなかった。平成7年に、 「とにかくやりながら考えよう」という姿勢で策定に入った。いろいろな団体のヒアリ ングをしたり、調査をやっているうちにどんどんニーズが目に見えた形で挙がってき て、策定委員会でそのニーズに合わせたサービスをみんなで考え、すぐにできるものは 着手するというふうにやってきた。 ・ 「福祉でまちづくり2001」では、『水俣市社会福祉協議会は、水俣市に住む人々 が、安心して暮らせる環境整備を行い、質の高い「福祉文化」を持ったまちづくりと住 民とともに進めます』ということを基本理念とし、在宅福祉サービス関係、まちづくり ネットワーク関係、ボランティア関係、社協の基盤強化関係というようにわかりやすく 4つに大きくまとめた基本目標を掲げている。そして、それぞれの目標ごとに、活動方 針、活動展開を細かく示す、という構成になっている。 ・ この計画を策定するに当たり、まず約30名の策定委員会を設置した。その運営方法 の工夫としては、まず1年間かけて委員の共通認識づくりを徹底してやった。共通認識 づくりをしていくうちに委員会が生きた組織になっていった。組織のための活動ではな く、活動のための組織として成長し、どんどんみんながいろいろなことを考え、自主的 にやってくれるようにもなった。司会者を輪番制で変えるなどの工夫もした。机の配置 もロの字型とすると発言力のある人ばかりしゃべっていたり、声の大きい人の意見ばか り通ってしまうということがあり得るのでワークショップ形式、大体6人ぐらいの小グ ループに分かれてワークショップを積み重ねて、会議に出たけれども一回も発言しな かったということがないような工夫もした。介護保険が始まったことにより、昼間忙し くて欠席というような委員も多数出てきたことから、昼夜2回、昼間1時半から3時半 の部、夜間の7時半から9時半までの部に分け、同じ議題で出席できる時間帯に出ても らうというような工夫もした。 ・ また、策定委員から児童関係、障害者関係、高齢者関係の作業班をつくった方が能 率的ではないかとの提案があったことから、それぞれ作業班の設置ということも行っ た。 ・ 調査活動は、団体ヒアリングをし、委員と事務局が班に分かれて、市内33か所の施 設、さまざまな団体も含めたいろいろな団体の方にヒアリングを実施した。 ・ 丹精込めてつくった計画が絵にかいた餅にならないよう、「地域福祉推進委員会」 というチェック機関を設けた。計画の策定委員会に入っていたメンバー半数に、新しい メンバーを加え、組織を作ったということも非常に大きな特徴であると思う。 【地域福祉計画へ期待するもの】 ・ 地域福祉計画に期待することとしては3つある。1つ目は『生存の「生」から生活 の「生」への対策』である。生活の質を高めるための環境整備というのが地方自治体に よって大きく異なっているので、最低保障の底上げというのを是非考えていただきた い。また、生きがいというのは、人によって仕事であったり、家族であったり、趣味で あったりと異なるものであるが、だれもが「生きがい」を持って生活できるまちづくり を進められるような計画となってもらいたい。 ・ そして2つ目、これはかなり重要なことで、「行政の施策と福祉現場の格差是正」 に努めていただきたい。現場の声というのが施策にどの程度反映されているのだろうか と疑問に思うことがよくある。現場がすごく使いづらい施策がたくさんある。福祉現場 から施策をつくり出せるようなボトムアップの施策づくりができればいいなといつも考 えている。 ・ 3つ目は「社会福祉協議会の活動強化」。社協にはいろいろな可能性がある。行政 から見ると下請というふうに言われてしまうこともあるが、決してそうではない。社協 にはこれまでいろいろなことをやってきた活動のノウハウがある。  例えば、障害者基本計画について水俣市社協で調査したことがある。ダイレクトメー ルで悉皆調査をやったのだが、もちろん視覚障害で目の見えない方もおられるので、そ のような方には在宅介護支援センターの職員が聞き取るなどにより、つぶさに調査をし たのだが、それでも30%の人からは返信がなかった。この調査では本当に切実な声がた くさん挙がってきたが、その延長線上に30%の無回答者がいるということを考えたと き、このような声を出せない・声に出せない、「声にならない声」を代弁していくこと が社協の使命の1つであると改めて感じている。そういうことができるのが社協ではな いだろうか。  地域福祉活動計画の中にも、社協への支援強化策を是非とも入れていただきたい。 (大山委員) ○ 水俣市社協に伺いたい。私も社協の計画等の策定に関わっていて、社協基盤の強化 という点で一番頭を痛めてるのが自主財源の確保であるが、その辺はどういう工夫をさ れているか。 (水俣市社協) ○ 以前は月10円、年間120円の会費を全戸からいただいていたが、他の費用と一緒にさ れており、よく理解されていなかった。それで、財源確保ということと、住民の方に少 しでも社協を認識していただきたいということから、会費を月10円から50円に値上げさ せていただいた。その時に区長会では非常に問題になったのだが、水俣市社協は目に見 える形でいろいろな活動をやっていたこともあり、住民の方は会費の値上げを受け入れ てくれたということがある。 ○ 確かに財源確保という面では非常に厳しい面があるが、例えば国庫補助事業、ふれ あいのまちづくり事業では、「誘い」水と考えて5年間の国庫補助事業が終われば事業 全てが終了ではなく、あとは市からの補助をもらえるだけの実績を作るという目標を定 めて事業展開したことなど、工夫はしているが、なかなか厳しいのが現状である。 (武川委員) ○ 兵庫県に伺いたいことが2つある。1つは、地域安心拠点づくりを基準にして地域 福祉支援計画を策定していくということであったが、老人保健福祉計画、障害者プラ ン、エンゼルプラン等の他の計画と地域安心拠点づくりはどのような関係にあるのか。 もう1つは、地域安心拠点づくりを県の方針として出しているが、県内の各市町はこれ をどういう形で受けとめて計画づくり等を行っているのか。 (兵庫県) ○ 最初の3計画と地域福祉支援計画との関係は、私どもも非常に頭を悩ませている。 支援計画と安心拠点は直接にはつながらず、基本理念という位置付けとなる。その支援 計画が3計画を横に貫くのか下支えになるのかは、これから所管する関係課と議論し、 皆様のご意見を聞きながら詰めていく必要があると思う。 ○ 地域安心拠点構想についての各市町の認識だが、基本的にそれぞれ個別に取り組ん でいただいている。それぞれの地域でそれぞれの形で地域の福祉力を高める取り組みを していただいている。 (長谷川委員) ○ お三方にお伺いする。地域福祉の人材育成、発掘あるいは組織化という点に関して どのように考えているか、また今後どういう計画があるかをお伺いしたい。もう1つ は、高浜市の事例に啓発されたのだが、その中で新たな文化の創造と伝統的な文化の継 承、発展という意味で、村おこしや町おこし等の関連が計画の中にあればお伺いした い。 (兵庫県) ○ 最初に地域福祉の人材育成は、専門的人材を含めて1つの大きな県の役割だと認識 しており、地域の見守りという部分で、現在1万2千人を超える民生協力委員が県内に いる。2つ目としては、ボランティア等支える方の育成ということで、県としても従前 から積極的に取り組んでいる。 ○ 今後については、老人パワーをいかに地域の方に結びつけるかが私どもの1つの大 きな課題となっている。もう1つが地縁型のボランティア、いわゆる社協のボランティ アセンターを中心としたボランティアとNPOとの連携をどう進めていくか。大都市で は並行していけるが、中都市になるとそこをいかに連結させていくか、NPOと地縁型 のボランティアの連携について結論づければ、社協を中心としたネットワーク化という 部分について、意を用いていきたいと考えている。 (京極部会長代理) ○ 特段そういう点で、県の研修計画はあるのか。 (兵庫県) ○ 研修については、県社協にお願いしてやっている。また、NPOの経営基盤の強化 という部分についても研修をやっている。 (高浜市) ○ 人材の発掘について、特にボランティア関係については平成4年よりヘルパー養成 講習会を継続してやっている。その講座を終了するごとに呼びかけてできたグループが 10グループあり、それが今は地域の中の1つの大きなコアになっている。 ○ もう1つの作り方は、高齢者施策のなかで宅老所というものを市内に5か所設けて いるが、その運営がボランティアによって支えられている。これは先ほど申し上げた10 グループの方も自主的に関わっているが、残りは実はお願いボランティアであり、やら せボランティアとも言われている。しかし、始めはやらされてると言ってるメンバーで も、年を追うごとにやっていきたいというように変わるメンバーが、半分ぐらい出てき ている。 ○ さらに、もう1点のやり方であるが、高浜市にはものづくり工房、IT工房という ものを高齢者の自立支援の居場所づくりということで設けているが、これを支えるのは リタイア者が中心となり、障害者の方も入っている。これは私どもとしてはNPO化を 目指して仕掛けをしている状況がある。また、先ほどの宅老所の1か所は、5つの町内 会のリーダーの呼びかけによって始まり、この6月にNPO認証を取り、一地域がNP O化したという流れがある。 ○ 文化との関係については、市内の鬼瓦の若手青年グループの会がものづくり工房と タイアップして、仕事とは別に支えてくれている。そこで鬼瓦を通じて、地域の中でい ろいろな展開が始まっている。 ○ 今回の一番の目玉として、高齢者の給食サービスというのがある。これは市内のお 店屋さんに、そのお店で食べれば1,000円するものを450円で自分で配達してもらうとい う条件で地域を支えていただいている。新しい計画の中にもモデル地区を1つやり、市 内のお店や企業に呼び掛けて、そこで隙間産業を拾い出し、そこへ障害者、高齢者の力 も結び付けていく発展的なやり方を考えている。 (村田委員) ○ 水俣の地域福祉活動計画について伺いたい。この部会でもそうだが、よく福祉文化 という言葉が出てくる。水俣では基本理念に質の高い福祉文化を掲げているが、福祉文 化をどのように捉えているのか。 (水俣市社協) ○ 一言で言うには非常に難しい質問だが、文化というのは、その地域を特色づけるも のではないだろうか。そして、ここでいう福祉文化とは、あらゆる分野に福祉の視点を 入れる。つまり福祉の視点を中心に見据えたまちをつくるということである。 (根本委員) ○ 兵庫県の話を伺って気になったことが2つある。第1は、地域福祉計画の策定とい う事務の性格が自治事務であるというなかで、支援計画の推進や効果という観点で市町 に対してどのようにアプローチしたらいいか難しい部分が予想されるのではないかとい うこと。もう1つは、県と政令指定都市の関係で行政上の問題もあると伺い、その辺に ついて、具体的にどのような部分が予想されるかお伺いしたい。 ○ 高浜市については、住民参加を前面に押し出した形で地域福祉計画を作りつつある わけだが、そういう中で県の支援計画にどのようなものを期待されているかについて伺 いたい。 (兵庫県) ○ 国の法律の立て方の趣旨から言ったら、市町が福祉計画をつくり、それに基づいて 県が支援計画を作るという考えが根底にある。そうした部分で県内の市町半数以上がつ くってから支援計画をつくると、時間的にどうかなという部分で、やはり国のガイドラ インを示していただき、県の考え方を入れて支援計画をつくりたいと思っている。 ○ 政令市との関係において、福祉の世界では県と政令市は同格なので、兵庫県の障害 者プランでは、神戸市や姫路市は県の計画の枠外という位置付けになっている。また、 老人福祉計画、介護保険計画も基本的には枠外だが、国の通知で示された部分において 県の計画に入っているという整理。福祉行政の中に政令市または中核市の関係が分離さ れているので、県のサジェスチョンの仕方をどうしていくかを国に整理をしていただき たい。 (高浜市) ○ 実は愛知県では支援計画らしきものがもう出来上がっているのだが、全体的に見て 県にお願いしたいことは、まず地域福祉計画自体が法律で義務付けになっていないの で、絵に描いた餅にならないように地域福祉計画の必要性の啓発、PRを徹底してやっ ていただきたいというのが1点。 ○ 2点目として、ある程度の規模の市町村になると力量のある職員がなかなかいない ため、どうしてもシンクタンクなどに丸投げしてしまう。そういうところを実務的に支 える協力体制を、国、県を通じてお願いしたい。 ○ 3点目として、いろいろな政策の中でどうしても縦割り行政になってしまうが、実 は我々は横断的に行えることを常に意識しながら作っている。ですけれども、国、県へ と上げるとどうしても縦割りになってしまう。なかなか事業が市ひとつの財源では賄え ないが、アイデアとしては全部1つにすればいいではないかというものがあるので、そ ういうところを組織的にも連携をとっていただき、考え方を持ち込んでいただきたい。 地域福祉計画に関する自由討議 (京極部会長代理) ○ 前回の部会で委員の方々から地域福祉計画に関する基本的な考え方を明らかにすべ きとの意見があったので、事務局から考え方を簡単に説明してもらう。 (総務課長)  (資料2を説明) (佐口委員) ○ 地域の福祉計画を、まちづくりだとか新しい自治体を作っていく上でのコアとして 積極的に位置付けることが非常に大事だと思うが、そのなかで注目しなければいけない のが地場の企業である。まちづくりをしていく福祉力を支える力のなかに、地場の企業 や産業をどう組み込んでいくかが1つの大きなポイントとなる。 (京極部会長代理) ○ 従来の社会事業法というのはややもすると社会福祉事業を経営する者の視点という 性格が強く、地域の方々の参加が明確にされていなかった。この辺りがこれりから21世 紀の展望として非常に重要になってくると思う。 (北野委員) ○ 高浜市の岸本さんがおっしゃった一定以下の規模の市はコンサルタントに丸投げす るという話だが、一定の市町村どころか、多くの今までの長期計画がコンサルタントに 丸投げだったというのが実態。地域福祉計画はそれではだめで、一緒に作っていくプロ セスの中で地域住民をどう巻き込んでどんなふうにエンパワーメントするかが目的の中 心なので、そこの戦略を各市町村がどうつくり上げるかが一番大きい。 ○ あと私が気になっているのは、たとえば障害者の場合で言うと、各市町村が障害者 計画を立てるときに数値目標を立てて、何ヶ所グループホームを作ろうとプランニング するのだが、実施主体の問題で行き詰まってしまう。NPO、ボランティア団体等のい ろいろな団体が作ろうとするが、そこまでの力量が足らないというか、どうやっていい かわからない。だから、数値目標のある市町村計画、障害、高齢、児童を地域福祉計画 の中で実行させるための戦略をきっちりできれば、各3計画と地域福祉計画との連携が できるのではないか。これまで立てた数値目標が実行されるために、地域福祉計画はど う展開されるべきかという視点があったらいいのではないかと思う。 (茨木委員) ○ 特に社協の地域活動と市町村の福祉計画の関係をいろいろな所で見ると、いろいろ なパターンがあるので統一する必要はないのでは。住民参画ということで言うと、いく つかのパターンを示して、その結果どんな住民参画が得られたのかということは示す必 要がある。 ○ 計画を立てることが目的ではなく、プロセスを大事にするということを盛り込む必 要があるとヒアリングを聞いて感じた。コンサルタントに丸投げせずに市町村でつくる ということを明確に書いておくぐらいのことが必要ではないかと、障害者計画等に参加 して感じている。住民参画についても、どう住民参画を盛り込んで、その結果どんな地 域福祉の推進があったかというプロセス重視の住民参画のあり方がすごく大事なので、 それを盛り込むべきと思う。 (岡田委員) ○ 今日のお話を伺って、高浜市の岸本さん、水俣市社協の田代さんがそれぞれ仕掛人 になっているなと痛感した。地域の中で住民と一緒に活動しようとするときには、そう いうキーパーソンがいて、その人の考え方や行動を支持してくれるものがあってあれだ けのものができると感じ、改めてそういう人の存在意義を考えさせられた。 ○ 障害者についても、我が国の障害者福祉というのは、昭和24年に身体障害者、昭和 35年に知的障害者、精神障害者に至っては障害者基本法ができた平成5年、というふう に歴史の違いがあって、それぞれの障害者の考え方や価値観がばらばらになっている。 そういうことまで含めて市町村レベルでわかってもらうためには、ソーシャルワーカー のような人が必要ではないか。そういう意味で、水俣のようなコーディネーター、ソー シャルワーカーと言ってもいいと思うのだが、そういう人の存在を大切にすることを計 画の中でうたうべきと感じた。 (京極部会長代理) ○ 資料2を見ると、一番下に「地域福祉の推進役となる人材の養成」と位置付けてあ るが、これまで地域福祉計画で人材の育成をうたっていないきらいがあったので、すご く意味があると感じた。 (岡部委員) ○ 資料2で出された地域福祉計画の基本的考え方のキーワードになるところで、障害 の有無や年齢等に関わらず社会参加できるといったときに、年齢、障害の有無、所得の 多寡あるいは企業等、いろいろな層のなかで考える必要がある。地域住民の計画の構成 要素をどう規定していくのかということが大切である。更には、それら各層の社会参加 を保障する仕組みを考えなければならない。 ○ もう1つは情報という視点が重要である。参加のプロセスを地域住民に情報公開す る仕組みと、個人の情報を保護するという両面から考える必要がある。あとは、プラン ニングした後の評価をどう考えるかということも、この議論の中で考えていただきた い。 (鈴木委員) ○ 私はもともとボランティアから福祉の世界に入ったので、住民参加には非常に関心 がある。高浜市のように学生を策定委員に入れることは、市町村の将来を支える方たち の声を反映させるということで有効ではないか。子育て後の女性や子供を入れること は、学校教育も地域福祉計画の中に組み入れられるということで重要だと思う。 ○ 地域福祉支援計画というよりも、地域福祉指令計画のような感じがするので、数値 目標というのは、余り県で厳しく出すものではないのではないか。先ほどの高浜市や水 俣市のように下から数値目標が上がってきて、緩やかに都道府県が見守り、支援するの がいいと思う。 ○ 住民参加の人的資源としては、県などが行ってる講座を受けたレベルの高い住民が たくさんいらっしゃるので、そういう方が策定委員になり、行政及び専門家と溝がない 関係ができるといい。地域福祉計画をきっかけとして住民が連携して融合して、地域の ために活躍できるような仕組み、仕掛けを作っていただきたい。 ○ また、計画については立派な冊子ができなくてもいいのではないか。そういうもの を作るためにシンクタンクが出てくるわけで、地域にいろいろな活動グループやネット ワークができればいいのではないかと思う。 ○ 最後に、ネーミングについて高浜市のネーミングに非常に啓発を受けたが、やはり 大事ではないか。住民の夢や希望がそこに総括されるという感じを持った。 (京極部会長代理) ○ 資料4(第2回福祉部会において岩田部会長より提示された、地域福祉計画をまと めていく上で討議する必要があると思われる点に、「市町村地域福祉計画と都道府県地 域福祉支援計画との関係」という事項を加えた資料)においてこういう論点があり、私 の印象で申し上げると、かつての地域福祉計画は地域福祉活動計画との境がはっきりし ない。計画論で言うと、基本構想、基本計画、実施計画の3段階があるが、実施計画が ぼけていて基本計画止まりという感じがあるので、これからの計画はそこでいいかどう か。かと言ってあまり細かく詰めていいか、このあたりの議論がスタンスとしてあると 思う。 ○ それから、他計画との関係について組み込むのか、連携するのかを整理すると結構 難しい議論がある。今ここで結論を出すのではなくて、議論する中で最終的にはある程 度スタンスを決めないと、市町村段階ではばらばらになってしまう。地域特性や自治体 の主体性が入った方が地域福祉計画らしくていいというが、あまりばらばらになりすぎ てもおかしいので、その辺のバランスをどうとるかが課題。 (長谷川委員) ○ 資料4の第1番目の事項、地域福祉計画の意義及び期待される役割という、その根 本に関わることが、策定プロセスそのものにいかに住民や福祉従事者及び行政等が関 わっていくかということで、福祉文化も話題になってきている。私はそのプロセスを重 視するということは、そのプロセスを通して福祉を共通の価値とする、あるいは福祉価 値の共有化といってもよいが、そういう福祉意識をどう地域の中に浸透させていくかで あって、そのことが福祉文化に関わる問題と理解している。そういう意味で、このプロ セスに関わらなければ福祉意識は醸成しないと思うので、この点を地域福祉計画の意義 の第1番目に取り上げていただけるとありがたい。 (武川委員) ○ 地域福祉計画に対して1つには統合化とか総合化という要請があり、もう1つには 住民参加がある。この2つは論理的には両立するが、実際にはなかなか両立させること が難しい。地域福祉計画の範囲を広げた場合、福祉制度というのは複雑なため理解する のが難しいからだ。その辺の事を考えて総合化と住民参加のバランスをどう取るかとい うことをもう少し詰める必要がある。 (京極部会長代理) ○ それぞれの計画が法制化されてきたのは歴史的に大きな進歩だが、現時点で総合福 祉計画をつくる段階になっているかと言うと、無理があるのではないか。それぞれの計 画をきちんとやって、そして地域福祉計画はそのなかでどういう位置を占めるか、全体 を見て21世紀のある時点で、それをやりましょうという話が出てくる気がする。 ○ 総合福祉計画を作るということで、地域福祉計画を置き換えて、理念的にはすばら しいアドバルーンは打ちあがるが、足下を見ると何かよくわからないということがない よう、落としどころを考える必要がある。 (岡部委員) ○ 1点だけ、先ほどの住民の構成ということにこだわるが、障害の有無や年齢等とい う話がでたが、「等」のなかに是非女性、すなわち、性別の問題を含めていただければ と思う。 (根本委員) ○ 地域福祉計画の守備範囲の中に気になっていることがある。これまでは3プランの 関係の対象者と、もう1つは前々回あたりに出たと思うが、制度の狭間や谷間にある人 を忘れてはならないということがいわれてきたと思うが、それだけでは足らない部分が あるのではないかということ。例えば、生活保護受給者は3プランの対象でもなければ 制度の狭間にある人々でもない。また、対象者のなかに占めるシェアは必ずしも小さく ないので、そこもきちんと踏まえた形で対象に加えていただければと思う。 ○ それともう1つ思っているのは、地域福祉とその計画策定の目的の1つに、個々の 住民それぞれの自立生活を支援するということがあるわけだが、例えば生活保護法にみ られるようにそれぞれの諸法にも一般的には自立を助長するとか自立を支援するという ことが法律の理念の中にあるわけである。その地域福祉計画の考え方とそれぞれの法律 との関係をどういう具合に考えていったらいいかということも整理していただければと 思う。 【照会先】  厚生労働省社会・援護局総務課 堀  03(3595)2612(直通)