01/08/02 第5回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録 第5回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会 議事録 1 日 時 平成13年8月2日(木)14:00〜15:25 2 場 所 経済産業省別館E11会議室 3 出席者 [委   員] 奥平委員、刀谷委員、勝委員、菅野委員、齋藤委員、              桜井委員、笹川委員、佐藤委員、都村委員、中山委員、              長谷川委員、堀越委員、山路委員       [事 務 局] 奥田勤労者生活部長、南野勤労者生活課長 4 議 題  (1) 中小企業退職金共済制度の現状について  (2) 特殊法人改革の動向について  (3) その他 5 議事内容 ○部会長 それでは退職金共済部会を始めます。  今日の議題は、「中小企業退職金共済制度の現状について」と、「特殊法人改革の動 向について」ということになっております。  それでは最初に、勤労者生活部長の方から一言ご挨拶をよろしくお願いいたします。 ○勤労者生活部長 真夏に入って大変暑い中をお集まりいただきまして、どうもありが とうございます。  今日は皆様方に2つの議題でお集まりいただきました。  1つは、「中小企業退職金共済制度の現状について」ということで、平成12年度の 勤労者退職金共済機構の収支状況が明らかになってまいりましたので、皆様方にお伝え するものです。  勤労者退職金共済機構の決算については7月末までに行い、その後1ヶ月以内に厚生 労働大臣の承認を得ることになっており、私どもで承認作業を行っているところです。 公表は、承認後官報公告となりますので、正式な公表ではありませんが、数字が固まっ たので、皆様方にご報告させていただいて、これからの中退制度をどのようにしていっ たらいいのかということについて、率直なご意見を伺いたいと考えています。  それから、いま政府の中で特殊法人改革が進んでおり、6月22日に「特殊法人等の 事業見直しの中間とりまとめ」が行政改革推進事務局から出されまして、これを基にし て、8月10日を目処にに事務局から見直し案が発表されることになっており、各法人 ごとの事業の見直しについての議論を行っている最中です。これについて、現段階で皆 様方にご報告できることを報告させていただきます。  中小企業退職金共済部会は今日で5回目になるわけですが、皆様方のご意見をお伺い しながら今後の対応を進めていきたいと考えております。どうかご理解のほどよろしく お願いいたします。 ○部会長 それでは中小企業退職金共済制度の現況について、説明をお願いいたしま す。 ○勤労者生活課長 それでは資料1から資料4まで続けてご説明をいたします。  まず、資料1の「中小企業退職金共済制度の現況」です。1頁ですが、平成12年度 の収支状況及び事業の概況についてご報告いたします。  新規加入の状況ですが、一般の中退制度については、平成12年度は3万2,079 件の共済契約者、いわゆる事業主の方の新規加入がありました。被共済者数、つまり労 働者ベースで見ていくと、38万8,511名の加入がありました。前年に比べてもそ れぞれかなり伸びています。その要因として、1つは平成12年度から、勤労者退職金 共済機構において、新加入促進5カ年計画を立てて、これに基づいて、加入促進に積極 的に取り組んできた成果が現われたのではないかと考えています。  もう1点ですが、本部会でもいろいろとご議論をいただいたわけですが、掛金助成制 度が今年の4月から変わっています。これによって3月にかなりの加入が見られまし た。この点については後ほど詳しくご説明いたします。  この結果、2の在籍状況ですが、平成12年度末においては、共済契約者が42万 1,708名、被共済者が272万9,365名となっています。いずれも平成11年 度末と比べて増加しています。  次に、掛金月額等の状況です。掛金については、一般の雇用者については月額5,0 00円から30,000円までとなっており、短時間労働者については2,000円か ら4,000円までの特例があります。事業主が個々の雇用者ごとに掛金月額を任意に 設定できるという仕組みになっており、平均掛金月額で見ていくと、平成12年度は 9,173円となっていて、少しずつですがこのところ順調に平均掛金月額が伸びてい る状況にあります。  2頁の退職金等の支給状況の、平成12年度をご覧ください。退職金の支給方法には 一時金払と分割払がありますが、一時金払で見ていくと、支給件数が29万2,741 件、支給総額が3,635億7,100万円となっています。1件当たりの支給金額で 見ると、124万1,954円と、順調に金額は伸びています。  分割払の場合には、年に4回の支払となっていますが、その延べ支給件数が10,7 01件で、支給総額が18億6,800万円、1件当たりの支給額が17万4,528 円です。注4にありますように、平成12年度の退職金受給者の平均掛金納付月数、い わゆる平均加入期間ですが、これは113月となっています。前年比で1月ほど伸びて おり、10年弱の平均加入期間となっています。  次に、共済融資の代理貸付状況です。これは加入者還元ということで、事業主が労働 者向けに福利厚生施設、例えば社宅、寮、休養室、または食堂等を整備する場合に、低 利で融資をするという制度です。その件数は平成12年度においては、新規貸付が23 件、金額にすると4億2,400万円で、融資残高は223件で約26億円になってい ます。  この融資貸付事業は、ピーク時は200件を超えるほどの需要があったわけですが、 年々かなり減ってきていることもあり、、後ほど議題2でご説明いたします、特殊法人 改革においても、指摘を受けているところです。  3頁は、掛金助成制度の見直しによる影響についての資料です。これについては部会 でもいろいろとご議論をいただいて、今年の4月から改定したところですが、やはり3 月にかなりの加入増が見られたことがこのデータから伺えます。表1は共済契約者の数 字ですが、平成13年3月は4,372名の加入があり、前年に比べても約600名ほ ど増えています。ただ、その分4月、5月の加入者が、前年に比べると若干減っており ますが、3月から5月の3カ月トータルで見ると、ほぼ同数か若干増となっています。  4頁の2の表は被共済者のデータです。より傾向が明らかになっていて、3月の新規 加入が平成13年は3万2,531名です。前年が1万6,804名でしたので、ほぼ 2倍近く加入者が増えています。その分、やはり4月、5月の加入者が減っています が、3月から5月のトータルで見れば、前年度よりは増えております。  3の表は、短時間労働者の新規加入者の推移を見たデータです。短時間労働者につい ては新しい掛金助成制度において、助成を上乗せすることとしています。その結果、助 成額については制度改正前後でほぼ同額となっており、このデータから見ても、一般の 労働者ほど制度改正の影響は見られないという状況です。3月から5月を見ても、年に よって若干違いますが、傾向としては例年ベースの変化ではないかと見られます。この よに、掛金助成制度の影響ということで見ると、3月にかなりの駆け込みの加入があっ たのではないかと伺われます。その分4月、5月の加入者の数が若干減少しているとい うことが言えると思います。  次に5頁の特定業種の退職金共済制度の現況です。特定業種については、建設業、清 酒製造業及び林業の3業種がありますが、新規の加入状況を見るとい、共済契約者は建 設業が8,133件、清酒製造業が3件、林業が52件となっています。被共済者につ いては、建設業が15万4,953名、清酒製造業が362名、林業が2,152名と なっています。  その結果、2の在籍状況ですが、建設業については共済契約者が16万3,036 件、被共済者が217万773名ということで、建設業については順調に数を伸ばして おります。他方、清酒製造業と林業については、傾向としては、産業構造の問題もあっ て減少しており、清酒製造業については共済契約者が2,620件で、林業については 前年よりも若干増えて3,775件です。被共済者で見ると、清酒製造業が3万4,8 90名、林業が4万8,973名と、両方とも前年よりは減少しております。  次に6頁の退職金等の支給状況ですが、これも平成12年度の欄をご覧ください。建 設業は支給件数が8万5,104件、支給総額が725億6,600万円となっていま す。1件当たりの支給金額は85万2,677円です。清酒製造業が733件で、8億 9,000万円で、1件当たりの支給金額が121万5,059円となっています。林 業が同じく2,910件で、総額23億400万円、1件当たり79万1,786円と なっています。  特定業種の場合、それぞれ業種ごとに予定運用利回りは異なっていますが、1件当た りの支給金額に差があるのは、注2にあるように、平均掛金納付月数がそれぞれかなり 違っている影響がいちばん大きいものと思われます。ちなみに、平成12年度において は、建設業が109月、清酒製造業が200月、林業が142月となっております。い ずれも前年よりも伸びております。  次に融資事業の状況ですが、林業を除く建設業、清酒製造業には、この融資制度があ りますが、平成12年度はいずれも新規貸付は1件ずつということで、数が非常に少な くなっています。以上が資料1です。  続いて資料2は収支状況です。いちばん右側に平成12年度の状況があります。この 欄を中心にご説明いたします。まず1頁の一般の中退事業ですが、収益が3,797億 円となっています。内訳としては掛金収入、運用収入等になります。費用が4,004 億6,600万円です。差し引きの当期純利益の欄ですが、△が付いておりますので当 期の欠損金ということになりますが、207億2,000万円の欠損金となっておりま す。この結果、累積の欠損金が2,029億2,900万円となっており、2,000 億円を超えるような状況になっています。  その下に資産総額がありますが、資産総額は3兆1,147億1,800万円です。 平成12年度の実績が非常に悪かったわけですが、その理由としては、いちばん下の欄 にある、運用利回りが2.3%であったということです。現在、予定利回りは3.0% に設定されているわけですが、それをかなり下回る運用実績に留まったということが、 最大の要因ではないかと思います。この点については後ほどご説明をいたします。  2頁ですが、建設業の収支状況です。平成12年度の欄をご覧ください。建設業につ いては収益が847億円、費用が817億300万となっていて、差し引き29億9, 600万円の黒字です。建設業は従来から累積の剰余金があったわけですが、これが3 17億4,900万円となっております。資産総額は9,565億6,600万円で す。ちなみに運用利回りは2.54%となっています。  次に3頁の清酒製造業です。清酒製造業は4つの事業の中でいちばん規模が小さいわ けですが、収益としては4億8,200万円、費用は5億1,100万円で、差し引き 2,900万円の赤字となっておりますが、まだ累積の剰余金があります。平成12年 度末の累積の剰余金は3億4,700万円となっています。資産総額は88億1,00 0万円で、運用利回りは2.61%でした。  次に林業ですが、林業については収益が18億7,400万円で、費用が22億2, 500万円となっていて、平成12年度は3億5,100万円ほどの欠損金が発生して おります。累積の欠損金が22億4,600万円です。林業については、平成12年7 月に予定運用利回りを3.7%から2.1%に下げています。そういうことで平成12 年度はマイナスになりましたが、平成13年度以降はそれなりの収支の改善が期待でき るのではないかと考えています。資産総額が173億5,300万円で、平成12年度 の運用利回りは2.45%となっています。  次の資料3は、それぞれの事業ごとの資産運用状況です。1頁目が一般の中退事業の 資産運用状況です。一般の中退事業については、平成12年3月に基本ポートフォリオ を策定して、平成12年度はこの基本ポートフォリオへの資産の移行を進めたところで す。基本ポートフォリオにおいては、全体の資産のうち70%が債券、10%が株式、 社債が1%、外国債券が4.5%、外国株式が5.5%、生保が9.0%となってい て、それぞれの資産ごとの乖離許容幅は±2%ということで設定いたしました。  このうち、株式等のリスク性資産については、金銭信託という形で、信託会社あるい は投資顧問会社に委託して運用を行っているところです。真ん中より少し下に金銭信託 の欄がありますが、平成12年度においては資産全体の32.1%を金銭信託に投入し たところです。  有価証券等の債券については、満期保有を原則として、これはインハウス、機構自ら が運用をしております。細かい内訳は表のとおりです。  以下、2頁から4頁まで、特定業種、それぞれの事業の資産構成について資料として 整理しています。この点について詳しい説明は省略いたしますが、例えば建設業であれ ば、住宅・都市整備債で運用したり、あるいは林業であれば農林債で運用したりという ことで、それぞれの業種ごとによって若干運用方法は異なっていますが、細かな内訳は 資料のとおりです。  資料4ですが、先ほどご説明したように平成12年度の収支状況を見ると、特に一般 の中退事業について非常に厳しい状況にあるということが言えるわけです。そういう意 味で資料4として、一般の中退事業を取り巻く状況ということで簡単に資料を整理して います。  1頁が平成元年度以降の一般の中退事業の予定運用利回り、実績、当期の利益金ある いは欠損金、累積の剰余金または欠損金ということで整理しています。  平成元年の段階では予定運用利回りが6.6%だったのですが、平成元年度と平成2 年度に単年度で見て欠損金が出たという状況も踏まえて、当時はまだ累積で剰余金が あったわけですが、平成2年に法律改正を行って、平成3年度から予定運用利回りを 5.5%に引き下げたところです。平成3年度については単年度で黒字が出ています が、平成4年度以降は赤字となっています。  その後、5年後の平成7年に再度法改正を行って、平成8年度より予定運用利回りを 4.5%に下げております。このときは5年ごとの見直しということで対応したもので す。しかし、単年度で赤字を継続したこともあって、それから3年後の平成10年にも う一度法律改正を行って、平成11年度から予定運用利回りを3.0%に引き下げてお ります。  このデータを見ていただくとおわかりのように、平成3年度以降、3回にわたって予 定運用利回りを引き下げてきたところですが、結果として単年度で黒字になったのは平 成3年度と平成11年度の2事業年度のみで、あとは単年度で見て赤字という状況でし た。その結果、累積欠損金がかなりの増加を続けてきたということです。  下の注に書いているとおり、平成2年の法改正においては、平成2年法が平成3年4 月から施行されたのですが、施行される前の加入者については、従前どおり既得権を保 証するという意味で、6.6%の予定運用利回りを適用しています。したがって、平成 3年度以降は5.5%と6.6%の2つの予定運用利回りが併存した形となっていまし た。ただし、平成7年の法改正以降については、既加入者も含めて新たな予定運用利回 りを適用するということになっていて、平成8年度以降は4.5%に統一をする取扱い になっています。平成11年度についても同様の取扱いです。  2頁ですが、平成12年度の実績を平成11年度と比較という意味もあり、資産構成 別に運用実績を簡単に整理したものです。平成12年度の一般の中退の運用利回りは全 体で2.33%だったわけですが、資産別に見ると金銭信託が2.09%ということで 最も低くなっています。これは主として平成12年度に株価が右肩下がりであった影響 によるもので、次の頁に年度の株価指数の動きを表としてまとめていますが、一時、平 成13年になってからは少し上がっていますが、平成12年度中はほぼ右肩下がりで株 価が下がったため、その結果金銭信託の運用利回りに影響を及ぼしたと言えます。ちな みに平成11年度については金銭信託が3.73%ということで、ここの資産に比べて も運用実績がよかったわけです。これは株価が11年度は非常によかったということも あり、平成11年度については金銭信託が全体の運用利回りの底上げを行った、という ことが言えるわけです。  有価証券について見ていくと、平成12年度は2.56%でした。平成11年度は 2.86%で、0.3ポイントほど下がっています。これは過去に購入した高い利回り の債券が順次償還期を迎えており、新しい債券を買う場合は低い利回りの債券に置き 替っていかざるを得ない、という状況からくるものです。  資料としては4頁にありますが、上の表は有価証券全体の運用利回り実績について過 去5年間を見たものですが、平成8年度の3.84%以来、毎年低下を続けており、平 成12年度については2.56%となっております。  下の表に主な新発の有価証券の利回りを載せていますが、全体的には低下傾向が続い ており、特に最近低下が著しいと言えます。  こういうことからすると、過去、高い利回りで購入をしていた債券が、順次新しい債 券に振り替わっていくことによって、ここしばらくは債券全体の平均利回りが低下して いくのではないかと見込まれます。そういう意味では、株価や金利が今後急上昇でもし ない限り、平成13年度以降は平成12年度以上に厳しい状況になることが見込まれま す。以上です。 ○部会長 それではいまの説明について、御質問、御意見をどうぞ。 ○委員 いろいろ詳しい説明をいただいたわけですが、近年の日本経済の状況も関連し て、中小企業を取り巻く状況がいろいろ変わってきていると思うのです。1つは倒産数 が増えているということ。それからもう1つは、就業ニーズの多様化もあるし、労働の 需要側の状況、例えば労働費用の割合が中小企業の場合は高くなることもあって、パー トとかバイトとか派遣労働者とか、そういう人たちが占める割合が増えてきているわけ です。それから、最後にも説明があったように、金利や運用利回りがどんどん下がって きていること。そういういろいろな厳しい状況が出てきているので、当然、中小企業退 職金共済事業も厳しくなってきているし、今後も決して明るくないと思うわけです。  ですから、1つは勤労者の福祉対策というものを、全体としてどのように改善してい くかということを考える必要があるし、その中で中小企業の退職金共済事業をどのよう にして位置付けるか、ということを考える必要があるのではないかと思うわけです。  収支状況をよくするには当然収益を増やすということで、掛金収入を増やすというこ とが1つであるわけです。実際の契約者数は、厳しい状況の中で増えてきているわけで す。先ほど言ったように若者を中心に、中小企業に限らず、全体として労働移動が激し くなってきています。確定拠出型年金は中小企業にも簡単に導入できるということと、 ポータビリティがあるということで転職する際に全部自分の実績を持って行けるという メリットがあったわけですが、中小企業退職金共済制度についても、ポータビリティを 持たせるという点での検討も必要なのではないかと思います。  それから、掛金収入を増やす。即ち、共済契約者とか被共済者を増やすためには、普 及というのは、今のような厳しい状況の中ではなかなか進まないと思うのですが、やは り中小企業の問題としては有能な人材を確保して、中小企業の収支状況もよくしていく ということがあるでしょうから、人材確保を可能にするような人事制度とか、福利厚生 とか、育児休業、介護休業、あるいはもっと広く言うと住宅支援とか、子供がいる場合 の教育の支援とか、そういったことも全体の対策としては考えていって、中小企業が安 定してくれば、共済者、被共済者の数も増えてくる。そうすると、大いに勧誘して普及 を図るということで、掛金も少しプラスの方向にいくのではないかと思うのです。  それにしても勤労者の福祉対策というのを、どのように今後改善していくかというの は、特に中小企業においては大きな課題ではないかと思います。以上です。 ○部会長 他にございますか。 ○委員 資料4の1頁の平成3年度、平成4年度の予定運用利回り、運用利回り実績は 同じ数字が載っていて、平成4年度のほうは短期の利益が損失になっているのですが、 運用利回りのほうが上だったとすると損失になっているのがおかしいので、数字の間違 いかもしれないと思うのですが、どういうことでしょうか。 ○勤労者生活課長 この数字で間違いはありません。ただちょっと複雑なのですが、平 成2年の法律の改正時に、これは今後の加入状況がどう変わっていくかというようなこ とで、定期的に脱退率調査というものをやって、それに基づいて責任準備金の積み方を 新しい調査に従った形で見直しをしております。  平成2年に法律改正をしたわけですが、平成3年度のときに新しい調査に基づいて責 任準備金の評価替えを行った結果、従来よりも責任準備金の積み方が少なくて済んだと いうこともあって、平成3年度についてはかなりの黒字になっているということが言え るわけです。  平成4年度については、平成3年度と責任準備金の積み方が同じになっている関係 で、その責任準備金についての差が出なかったために、こういう結果になっています。 主として平成3年度の黒字が大きかったのは、責任準備金の評価額が変わったという影 響によるものです。 ○委員 平成4年度は運用利回りの実績のほうが予定利回りより高くなっているわけで す。当期が230億円超の損失というのは、何となく違和感があります。 ○勤労者生活課長 実は先ほどの注のところで少しご説明したことに関係するのです が、平成2年の法律改正は平成3年度以降の加入者を対象にしています。平成3年度に 新しい法律が施行されるまでの加入者というのは、既存の6.6%の運用利回りを適用 しています。そういう関係で、平成3年度と平成4年度に新たに加入した方について は、5.5%を適用しているわけですが、古い利率の6.6%を適用した方の数のほう がかなり多いということもありまして、これだけの欠損金が出ているということです。 ○委員 先ほど委員がおっしゃったことを全体的に議論する必要があると思うのです が、一般的に考えて、この中退制度に入っている事業所というのは、自社退職金を持っ ている事業所に比べれば企業の力も非常に弱いところだと思うのです。そういう勤労者 についてのいろいろなデータを全部出していただいて、比較検討するということも必要 かと思います。先ほどの労働移動の問題も、中小企業の労働者が自らの意思で移動して いるかどうかというのは疑わしいと思います。  先が見えている議論をしてはいけないけれども、私はこの審議会委員を長くやってい る関係から言わせていただくと、こういう説明がされると、先が見えている議論にどう してもいってしまうわけです。結論から言えば、非常に条件の悪い、中小企業の中でも 比較的力のない事業所がこういう国の制度に乗って入っている。それがこの経済の右肩 下がりに合わせて状況が悪くなっていくということが、ここの数字で見てもわかっての とおりで、何回も我々は議論してきたのですが、こういうことを続けていていいのかと いう気持ちがあるのです。  3%にするときに、人は替わっているから言った人の責任はないのかもしれません が、5年くらいはもつのではないかということをおっしゃったと思うのです。そういう ことからすると、経済状勢に合わせていくら一生懸命に運用をやっても、これだけしか 出ませんでしたという報告を聞くのは、単純に言って何だか納得できない。そういう印 象を持つので、最も条件が悪く、倒産等の中に巻き込まれていく労働者の状況というこ とを私たちは念頭に置いて考えますから、この辺りについてはかなり慎重に議論をして いただきたいと思っています。 ○委員 委員が言われた経済環境の厳しい中で雇用者の生活条件の一端を担っているこ ういう制度が、また厳しい状況に置かれているのは大変だというのも言われるとおりだ と思います。雇用者だけではなく、倒産が増えているということから見ても事業者も大 変な状況だと思うのです。  だから、痛みを我慢してくださいということはある分野では必要なのでしょうが、や はりマクロの経済運営をデフレ的な環境でないようにするというのは、国の政策として 非常に重要でもあって、そこは厚生労働省もやはり厚生労働省の所管の立場から、国の 中でそういう意見をどんどん発言していくことが必要だと思うのです。  ただ、一方で、この制度は共済制度ですから、いずれにせよ制度をどちらかというと 安定的に運用しないと、結局、ツケが先に送られることになって、逆に言うと、今もら う人は何とか今の条件でもらえますが、累積赤字をずっと増やしていけば、先に加入す る人にそのツケがいくということになるので、やはりそういうことも考えながら見直し はしていかなければいけないと思います。  特に、年金制度でも確定拠出年金の話も出ましたが、先の国会で確定拠出年金と新し い確定給付型の年金ができて、逆に言うと今まであったいろいろな制度、中退制度は変 わりませんが、いわゆる税制適格年金とか、そういう企業が独自に導入しているような 制度については、5年ごとの財政再計算ではなくて、毎年チェックをしろという仕組み で、しかも10年以内に新しい制度に切り替えるという感じの流れが出てきているの は、それだけ経済環境が厳しい中で年金制度の健全な運用を考えていかないと、こうい う異常な金利状況が続く状況で5年間放っておけないという考え方がベースになって、 そういう議論になっているのだと思うのです。  したがって、この中退制度を将来的にも魅力あるものにするために、現実的な累積赤 字を増大させないための見直しは必要なのではないか。むしろこの制度を将来的にも、 従業員あるいは力の弱い事業者対策の一環として、健全に運用していくということを考 えないといけない状況にきているという気がいたします。 ○部会長 他にいかがでしょうか。 ○委員 いまのお話と関連するのですが、やはり中小企業を取り巻く環境が非常に厳し いというのは、皆さんここでコンセンサスがあると思うのですが、その中で、外部積立 であるこういった制度を安定的に運営していくということが、やはり中長期的に見れば 中小企業で働く人たちの福利厚生を向上させるというためにも、非常に重要であると思 います。そういうことを考えると、資産規模が3兆円で、積立て不足はその10%ぐら いになってきてしまっているということは大きな問題だと思います。  先ほど委員が、先が見えている議論ということをおっしゃいましたが、そういった結 論もあるかもしれないし、もう1つは運用の責任の部分を明確にしていくということも 重要な課題になると思います。  もちろん株式がこういう状況になっているので、金銭信託の利回りの低下が全体の利 回りの低下を引っ張っているのは確かなのですが、もしそうであれば、例えばそれに委 託している信託銀行であるとか、あるいは投資信託会社の運用を競争で替ていくような 形で利回りを向上させるような方策も取ることができると思うし、そういった形の責任 体制を強化していくことが前提としてあるのではないかと思います。 ○委員 非常に切羽詰まっているという話はよくわかるのですが、問題は持続可能な制 度にしていくためにどうしたらいいのか、という話になりつつあるのだと思うのです が、その見極めがこの表を見るところ、利差損は相当深刻な状況になっていて、これが なかなか好転する見通しはないと思います。例えば、株価が非常に上がるとか、そうい うことが期待できればともかく、こういう状況が続いていくとすれば、制度はもちろん 持続させていかなければいけないわけですから、5年に1回の見直しではなかなか難し いのではないか、というシミュレーションをそろそろ具体的に出して、論議の俎上に乗 せていただいたほうがいいという気がするのですが、その点についていかがでしょう か。 ○委員 いまのご意見に基本的に賛成いたします。多分この運用利回りは、昨年に株の 下落等もあって2.33%ということですが、生保さんとかやっている終身年金とか、 そういう仕組みだと、いま予定利回りが1.5%で、若干配当があっても2%にいくか いかないぐらいのレベルがいいところだと思うのです。制度運用をしている方の運用が 必ずしも悪かったということではなくて、やはりいまの経済状況がそうで、また超低金 利状況が少なくとも、不良債権の処理等が片づくまでの間は、なかなか好環境になると いうことが期待できないとすると、やはりそういう状況を見て、5年経たなくても見直 さざるを得ないというのは、やむを得ないのではないかという気がします。  それもあまり間を置くと、1年間で300億円くらいの赤字を累積させることになり ますから、周知期間なども考えると、やはりなるべく早いタイミングで見直し作業をや るほうが、制度の安定的な運用という面で、非常に重要な問題をはらんでいるのではな いかと思いますので、そこをご検討いただければと思います。 ○委員 関連しての意見ですが、この資料だといままでの債券、あるいは株式の推移が 書いてあるわけですが、今後の見通しというのはいろいろなシンクタンクで経済成長見 通しを出しているのと同じように、その債券の金利見通しであるとか、あるいは株式の 見通し等が出ると思うので、それをベースにして、累積欠損金がいろいろなシナリオの 下でどのくらいになるのか、という具体的な数値が出てこないと、実のある議論ができ ないと思うのですが、その点はいかがでしょうか。 ○勤労者生活課長 今回は平成12年度の収支状況がまとまったということで、これま での実績を中心にご説明をさせていただきましたが、今日のご意見を踏まえて、私ども としても、将来推計のきっちりした数字を出していくのはかなり時間がかかるのです が、出せるものから資料として出して、また部会でご議論をいただければと思います。 ○部会長 他に何かあるでしょうか。  では今日は現況を伺って、それについての一般的な感想を議論したということで、次 回までに皆さんから言われたことも踏まえて、もう1回議論をしたらと思います。 ○委員 3%を決めたときにこういう議論をやって、それなりにいろいろな見通しなり を出された資料があると思うのです。もうそれは過ぎたことだから責任はないというこ とにはならないので、この事業そのものは継続性のある問題ですから、当時3%のとき にも労働者側としては一定の意見を付けて、3%もやむを得ないという結論になったの ですが、今日はまだそれ以上いかない議論だからそれでいいのですが、当時出した資料 等をもう一度参考に出してもらいたいと思うのです。  前の説明のとおりにどうしてうまくいっていないのか。利回りが悪くて、一般の金融 情勢がこんなに悪くなると思いませんでしたと言えばそれまでなのかもしれませんが、 その理由も含めて説明できるようにしてもらいたいと思います。 ○委員 多分前のときも景気がいつまでも悪い状況ではないのではないか、そのうち上 向いてくれば金利情勢も少しは好転するのではないかという感じの見通しの言及があっ たような気がするのですが、その際に私が申し上げたのは、金利を一番いいところを睨 んで、それで設定するということではなくて、中退制度は利益が出た場合には付加給付 という制度があるわけなのです。やはりある程度リーズナブルに加工できるラインの水 準に予定利回りを置いて、それを上回って実績があったときには、付加給付という制度 をうまく活用しながら加入者にも分配できるという仕組みになっているので、そういう ことを踏まえて予定利回りの設定を考えていただいたらいいのではないか、という話を 申し上げた経緯があるのですが、若干そういう予定を超えて下回ってしまったというこ とだと思うのですが、今回見直すに当たっては、そういう制度にあえて制度設計してあ るわけですから、そこの制度の自由度の幅ということも是非念頭に置いてご議論いただ いたらいいのではないかと思います。 ○委員 将来推計をする場合の1つの要因になると思うのですが、支出のほうの、例え ば退職金等の支給状況で3,600億円くらい1年間に支給されているわけですが、こ れは定年退職とか、中途退職とか、この中身はわかるわけですか。 ○勤労者生活課長 退職事由別の内訳ですか。 ○委員 事由とか年齢です。あるいは定年まで勤めて、定年の年齢に近いところで退職 されたのか、それとも中途で退職されたのか。あるいは倒産した場合も出るわけです ね。そういう内訳ですね。これからの収入と支出の伸びを推計する場合にちょっと関連 してくると思いますので。  それから、大体データが平成8年度からなのですが、もっと前からのトレンドみたい なものがおわかりになれば、それも知りたいと思います。いろいろなデータですね、そ れでおわかりになる部分があったら出していただきたいと思います。 ○勤労者生活課長 ちょっと検討してみたいと思います。 ○部会長 ではそういうことで、次回にそういう関係の資料を調整していただいて、ま た議論をしてみたいと思います。  それでは次に第2の議題で、「特殊法人の改革について」です。 ○勤労者生活課長 資料5ですが、最近の「特殊法人改革の動向」についてご説明いた します。  1頁目は機構の概要で、平成10年に中小企業退職金共済事業団と建設業・清酒製造 業・林業退職金共済組合が、これはそれぞれ別の特殊法人だったわけですが、統合され て、現在の勤労者退職金共済機構になっています。ちなみに、さらに以前は建設業の退 職金共済組合と、清酒製造業の共済組合が別でした。これは昭和56年に統合されて、 建設業・清酒製造業の退職金共済組合となりました。その後、林業の退職金共済制度が 昭和57年に始まって、建設業・清酒製造業・林業退職金共済組合という形になってい ます。したがって、これまで都合2回ほどの統合を経て、現在の勤労者退職金共済機構 ができているということです。事業内容はご承知のとおりです。  定員は常勤の役員が8名、職員数が278名となっております。  2頁にいきます。特殊法人改革の動向については、3月の部会の際にそれまでの動向 についてご説明をしたところですが、全体的に小泉総理の指示もあってスケジュールが 前倒しになってきています。今年の2月に特殊法人ベースで行革推進本部からヒアリン グがありました。これは主として事業内容等についてのヒアリングがあったわけです。 その後、4月3日に「論点整理」というものが出されています。これは事業類型別の論 点整理で、特殊法人をいくつかの事業に分類をして、それぞれの論点を書き上げたもの です。この時点では個別法人名は出ておりません。  その後、4月と5月にそれぞれ1回ずつ、今度は役所ベースで行革推進本部との間で ヒアリングがありました。  その後6月22日に「中間とりまとめ」が出されています。それが3頁で、機構につ いては事業類型別に3点ほどの指摘を受けています。  1つ目は公的な資金運用です。ここでは明確な運用目標を設定、その適切な事後評 価、運用管理・チェック体制の充実強化、あるいは適切な情報公開と、こういった点の 指摘を受けています。  2つ目が政策金融です。いわゆる融資業務に係わるものです。1つ目の○印の1行目 の後段のほうからですが、「専門的・効率的な実施及び利用者利便の観点から、金融を 主たる業務とする法人の行う事業への統合等を検討する」と、他の政策金融等を行う法 人への事業の統合等を検討するという指摘を受けています。下の3つは、政策金融を行 う法人すべてについて共通で指摘をされた点です。リスク管理や引当金の開示は適切に 対応する。それから金利の決定については、責任主体を明確にするといったようなこ と。あるいは政策金融について評価手法を検討し、その結果を事業に反映させる仕組み を検討すると、こういった点の指摘を受けています。  それから共済という観点からは「積立金の運用体制について、運用担当者の充実等所 要の整備を検討する」と、こういうような指摘を中間とりまとめの段階では受けている わけです。  このほか、行革推進事務局とのヒアリングのやりとりの中では、2点ほど指摘があり ました。資料がなくて恐縮ですが、1つは役職員の縮減によって、より効率的な業務運 営を行うべきではないかという点です。もう1点については、かなりの累積欠損金が出 ているという状況を踏まえ、累積欠損金が出ないような制度設計とすべきではないか、 また、この累積欠損金については計画的に解消すべきではないかと、こういった指摘も 受けているところです。  また2頁に戻って、今後ですが、8月頃とありますが、8月10日頃に、先ほど説明 いたしました「中間とりまとめ」よりもさらに突っこんだ内容の見直し方針案が公表さ れる予定になっています。その後、組織の見直しの検討を進めていきまして、当初は年 度内ということでしたが年内、即ち、予算編成前に政府全体で「特殊法人等整理合理化 計画」を作るという段取りになっています。また、今後の動きについては適宜、この部 会へも報告をさせていただきます。 ○部会長 いまの説明に何かご質問はありますか。よろしければ、次の「その他」につ いて、どうぞ。 ○勤労者生活課長 資料6「行政コスト計算書の作成について」です。実は行政コスト 計算書を作り、平成12年度の決算について今年の9月末までに公表するという段取り で進んでいます。この点について経緯も含め、説明いたします。  「経緯」にあるように、従来その特殊法人の財務諸表については、「特殊法人等会計 処理基準」に従って、官庁会計に基づいて作成をしてきたところです。しかしながら、 昨年12月の行革大綱において、「透明性の向上、説明責任の観点から、特殊法人等が 民間企業同様の活動を行っていると仮定した場合の財務諸表を企業会計原則に従って作 成することに関する検討を行い、1年程度を目途として結論を得る」と、こういう閣議 決定がなされています。  これを受けて、財務省の財政制度等審議会の小委員会においていろいろ検討が進めら れてきたところですが、今年6月に報告書がとりまとめられ、行政コスト計算書を作成 するということになったものです。  この行政コスト計算書については2にあるように、「特殊法人等が民間企業として活 動しているとの仮定に立って、企業会計原則に準拠した財務書類として作成する」とい うものです。  全特殊法人が対象となるということで、冒頭申し上げたように、平成12年度決算か ら作成することとしています。これは全特殊法人同じですが、平成13年9月末までに 公表するということになっています。  主な変更点です。いくつか係わりのある部分だけ列挙しています。従前の会計基準と の主な変更点としては、退職給付引当金の必要額を計上するといったようなことです。 一般の企業においても、新会計基準により退職給付債務の計上が義務付けられたところ で、それと同様に退職給付引当金の必要額を計上する必要が出てきます。  資産の関係です。機構は全体で4兆円弱ぐらいの資産を有しているわけですが、売買 目的の有価証券については時価評価を導入する。ちなみに満期保有を原則とする有価証 券については、これは従来どおり簿価を基準とすることになっています。それから キャッシュフロー計算書の作成・開示といったことも求められています。  (5)にあるように、現行の財務諸表との関係で見ると、行政コスト計算書は、特殊 法人等の特性を捨象し、民間企業として活動していると仮定した場合の財務書類である ということで、現在作成・開示されている特殊法人の財務諸表が、法人設立法及び国の 予算との関係から本来必要とされる財務諸表である。こういうことからして、行政コス ト計算書については、これに添付される性格のものであり、両者は並列的に作成される という位置付けになっています。  こうした流れを受け、機構についても本年9月末までに行政コスト計算書を公表すべ く、現在、平成12年度決算に係る行政コスト計算書を作成作業中です。また、この行 政コスト計算書については今後部会にもご報告いたしたいと考えています。以上です。 部会長 いまの件について、何かご質問はありますか。 ○委員 この前から私は何回も、簿価表示ではなくて時価表示に切り換えてもらいたい ということを申し上げてきまして、それが今回ようやく変更する見通しになったという のは結構なことだと思うのですが、ただ、特殊法人一般に足並みをそろえるというの は、大変遅すぎたのではないか。すでに厚生年金基金では、確か3年ぐらい前に時価表 示に切り換えているわけです。我々の審議会というのは、利率をいかに設定するのかと いう最も重要な審議会なわけですから、それを簿価ではなく時価にするというのは当た り前の話だと思うのです。それがなぜ、事ここに至るまで出来なかったのか、その説明 を改めてお願いしたいと思います。 ○勤労者生活課長 なかなか厳しいご質問で、どうお答えすればいいのか非常に戸惑っ ています。確かに、おっしゃるとおり年金福祉事業団、現在の年金資金運用基金につい ては、3年ぐらい前から時価評価を公表しているということで、我々もそういう動きに ついては認識をいたしてきたところです。  審議会においても、委員から過去何度か、機構の資産についても時価評価を公表すべ きではないかというご指摘を受けてきたということも承知しているところです。政府全 体で、特殊法人の財務諸表についてもう一度見直しをしようという動きもあったもので すから、そういう動きがあったということを踏まえ、機構としてどう対処しようかとい う考えもあったのではないかと思われます。確かに、時価評価についてかなり遅くなっ てしまったという点については、我々自身としてももうちょっと早い時期で出来なかっ たかどうかということについて、検討すべき余地はあったのではないかと思います。 ○委員 いま御説明いただいたのですが、結局一番最後の頁の真ん中辺に「貸借対照 表」ということが初めて出てきているのです。それまでは、一般的な「財務諸表」とい う表現になっているのです。このバランスシートというか、貸借対照表はすぐ出来るの ですか。貸借対照表ができないと、時価評価云々と言ってみても、これはちょっと意味 があまりないのだろうと思いますが。 ○勤労者生活課長 従来の特殊法人の財務諸表、会計基準に基づく貸借対照表等は、い ま決算処理中で、作成中ではありますが、最終的には8月末の承認を経て、確定をする という形になります。中身としては、ほぼ出来ているという状況です。 ○委員 現況で捉えているものなのか、過去からずっと継続的に出来ている貸借対照表 なのか。どこでも難しいのだろうとは思いますが、市町村や何かでもいまやっている所 はありますから。東京都もいま当然出来て、継続的な貸借対照表が出来ているのだろう と思います。にわか作りなものなのか、ちょっと言い方は悪いのですが、きちっとした ものを作っていただけると、過去も将来も読めるというか、見えると思うのですが、よ ろしくお願いしたいと思います。 ○部会長 民間企業用の貸借対照表とはちょっと作り方が違うのかもしれませんが、貸 借対照表自身は、前から特殊法人は民間企業経営と同じようにやれということで、作っ ていたはずです。 ○委員 私も新しいもので見させていただいたものですから、もし間違いがあればお許 し願いたいと思います。 ○部会長 ほかになければ、次回以降、先ほど申しましたように資料をいろいろ出して いただき、また議論を深めていきたいと思います。次回の予定はいつですか。 ○勤労者生活課長 次回は9月中旬ないしは下旬ごろを目途にして、また開催させてい ただければと思っています。具体的な日程については、またご相談したいと思います。 ○部会長 それでは、今日の審議はこれで終わらせていただきます。どうもありがとう ございました。 6 配布資料  (1) 中小企業退職金共済制度の現況  (2) 中小企業退職金共済事業の収支状況  (3) 中小企業退職金共済事業の資産運用状況  (4) 一般の中小企業退職金共済事業を取り巻く状況  (5) 特殊法人改革の動向  (6) 行政コスト計算書の作成について (注) 配付資料については多量のため省略しておりますが、厚生労働省(大臣官房総 務課行政相談室又は労働基準局勤労者生活部勤労者生活課)において供覧しております 。 照会先 厚生労働省労働基準局勤労者生活部勤労者生活課     担当:河野・武村     03(5253)1111(内線5376)