01/07/16 第1回厚生科学審議会生殖補助医療部会議事録 第1回 厚生科学審議会生殖補助医療部会       議 事 録 厚生労働省 雇用均等・児童家庭局母子保健課 第1回 厚生科学審議会生殖補助医療部会議事次第 日 時  平成13年7月16日(月)13:00〜15:51 場 所  厚生労働省 専用第21会議室(第5合同庁舎)17階 議 事  1.委員紹介  2.事務局挨拶  3.部会長の選任及び部会長代理の指名  4.生殖補助医療部会の設置に至るまでの経緯・検討事項、今後の検討スケジュール    等  5.自由討議  6.その他 ○桑島生殖補助医療対策準備室長 それでは定刻になりましたので、ただいまから第1 回厚生科学審議会生殖補助医療部会を開催いたします。本日は大変お忙しい中、お集ま りいただきましてまことににありがとうございます。  私は厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課、生殖補助医療対策準備室長の桑島 でございます。部会長の選任までの間、議事進行を務めさせていただきますので、どう ぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、議事に入りたいと思います。まず初めに生殖補助医療部会の委員の御紹介 をさせていただきます。本日は相良洋子委員が御欠席となってございまして、本日御出 席していただいている委員のお名前を資料の3で五十音順に沿って御紹介をさせていた だきますので、各委員からお一言ずつ御挨拶をいただければと存じております。それで は資料3に基づきまして御紹介申し上げます。  荒木勤委員でございます。 ○荒木委員 日本医科大学の荒木でございます。ただいま日本産科婦人科学会の会長を 務めさせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○桑島室長 ありがとうございました。  安藤広子委員でございます。 ○安藤委員 岩手県立大学看護学部の安藤広子と申します。現在日本遺伝看護研究会の 会長を務めさせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○桑島室長 ありがとうございました。  石井美智子委員でございます。 ○石井委員 石井でございます。東京都立大学の法学部で家族法を教えております。昨 年末まとめた委員会の委員でございましたので、今回は被告席に座る方なのかなと思っ ております。 ○桑島室長 ありがとうございました。  加藤尚武委員でございます。 ○加藤委員 私も同じ被告席で、大学の名前は環境大学ですが、ここの席に参加させて いただいたのは生命倫理の関係で参加させていただきました。 ○桑島室長 ありがとうございました。  岸本佐智子委員でございます。 ○岸本委員 こんにちは。私は「ひまわりの会」といいまして、卵巣機能不全の女性た ちのターナー症候群の会の会長をさせていただいております。また、いろいろと教えて いただくことばかりだと思いますけれども、よろしくお願いいたします。 ○桑島室長 ありがとうございました。  金城清子委員でございます。 ○金城委員 津田塾大学で家族法、女性法律学などを教えております。生殖医療につき ましては、女性の人権、子どもの人権など、つまり人権という観点から考えていきたい と思っております。 ○桑島室長 ありがとうございました。  小泉明委員でございます。 ○小泉委員 日本医師会副会長でございます。併せて日本医学会の副会長も務めており ます。よろしく。 ○桑島室長 ありがとうございました。  才村眞理委員でございます。 ○才村委員 帝塚山大学の才村眞理と申します。児童福祉を教えております。私は大阪 府の児童相談所で長年児童福祉司をしていまして、子どもの権利擁護の立場から発言で きたらいいかと思っております。よろしくお願いいたします。 ○桑島室長 ありがとうございました。  新家薫委員でございます。 ○新家委員 日本母性保護産婦人科医会の副会長でございます。よろしくお願いいたし ます。 ○桑島室長 ありがとうございました。  鈴木良子委員でございます。 ○鈴木委員 鈴木良子と申します。このたびはよろしくお願いいたします。「フィン レージの会」というグループから参りました。これは不妊の問題を抱えた人たちのセル フヘルプグループで、大体会が始まってもう10年ぐらいになります。私も大体メンバー として7年ぐらい活動してまいりました。仕事の方はフリーの編集・ライターという仕 事をしております。 ○桑島室長 ありがとうございました。  高久史麿委員でございます。 ○高久委員 自治医科大学の高久です。前の厚生科学審議会のときに先端医療評価部会 長としてこの問題に関係を持たせていただいたことがあります。今回また新たに委員に 加えさせていただきました。 ○桑島室長 ありがとうございました。  平山史朗委員でございます。 ○平山委員 初めまして、広島HARTクリニックという生殖補助医療専門のクリニッ クで臨床心理学を専門とする不妊症専門カウンセラーとして常勤で働いております。こ のたびはよろしくお願いいたします。 ○桑島室長 ありがとうございました。  福武公子委員でございます。 ○福武委員 弁護士の福武と申します。昨年日弁連で生殖医療に関する提言をまとめま した。そのときのメンバーのうちの一人でございます。よろしくお願いいたします。 ○桑島室長 ありがとうございました。  古山順一委員でございます。 ○古山委員 兵庫医大の古山でございます。遺伝学を担当しておりまして、ことしの2 月から、日本遺伝カウンセリング学会の理事長を務めさせていただいております。  さらに先端医療技術評価部会の部会長であられた高久先生が同席しておられますが、 部会の下に、「生殖補助医療技術に関する専門委員会」と「出生前診断に関する専門委 員会」の2つが並行してできましたが、「出生前診断に関する専門委員会」の方の委員 長を務めさせていただきました。よろしくお願いいたします。 ○桑島室長 ありがとうございました。  町野委員はおくれてこられます。松尾宣武委員でございます。 ○松尾委員 国立小児病院の松尾でございます。小児科医でありまして、子どもの性の 異常の診断治療ということを専門にいたしております。どうぞよろしくお願いいたしま す。○桑島室長 ありがとうございました。  吉村泰典委員でございます。 ○吉村委員 矢崎先生が。 ○桑島室長 失礼しました。矢崎義雄委員でございます。 ○矢崎委員 国際医療センターの矢崎でございます。私、専門は内科でございますけれ ども、石井委員と一緒に法制審議会の親子法の審査委員をやっております。よろしくお 願いいたします。 ○桑島室長 ありがとうございました。  吉村泰典委員。 ○吉村委員 慶應大学の吉村と申します。生殖が専門でございます。昨年の専門委員会 にも参加させていただきました。そして、4月からは法制審議会でまた参加させていた だいて、親子法について、またいろいろ勉強したいと思っています。よろしくお願いし ます。○桑島室長 ありがとうございました。  渡辺久子委員。 ○渡辺委員 慶應義塾大学の渡辺久子でございます。小児精神科医として臨床しており ますけれども、同時に不妊治療の問題などのケアもしております。世界児童精神保健学 会のアジア地区の副会長という立場からも発言させていただきたいと思います。どうぞ よろしくお願いいたします。 ○桑島室長 ありがとうございました。  次に事務局の御紹介をさせていただきます。雇用均等・児童家庭局長の岩田喜美枝で ございます。 ○岩田雇用均等・児童家庭局長 岩田と申します。どうぞよろしくお願い申し上げま す。1月の中央省庁の再編成の中で体制が変わりまして、旧厚生省の児童家庭局と旧労 働省の女性局が統合しまして、このような形になりました。私どもの方でこの部会の事 務局を務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。 ○桑島室長 母子保健課長の藤崎清道でございます。 ○藤崎母子保健課長 母子保健課長の藤崎でございます。この部会の前身に当たります 生殖補助医療技術に関する専門委員会でも先生方に大変お世話になりましたが、また引 き続きこの部会において多くの先生方にお力をいただくことになろうかと思います。ど うかよろしくお願い申し上げます。 ○桑島室長 それでは、事務局の御紹介は以上でございますが、事務局を代表いたしま して、岩田雇用均等・児童家庭局長から一言御挨拶を申し上げます。 ○岩田局長 本日は先生方、大変お忙しい中、そしてまた猛暑でございますが、お暑い 中、また御遠方からも御参集いただきましてありがとうございます。第1回目の部会の 会合の開催に当たりまして、2つのことを申し上げたいと思います。  まず1つは、この生殖補助医療部会が設置されました経緯でございますが、かかわっ てこられた先生方も少なからずおられますので、御案内の先生も大勢おいでかと思いま すが、少し簡単にお話しをさせていただきたいと思います。  旧厚生省時代に厚生科学審議会の下で先端医療技術評価部会が設置されておりまし た。そして、生殖補助医療も先端医療技術の1つとしてそこで議論されていたわけでご ざいますが、平成10年10月から夫婦以外の第三者が提供する精子や卵子や胚を使った生 殖補助医療の在り方を集中的に御審議していただくということで、先ほど申し上げまし た部会の下に「生殖補助医療技術に関する専門委員会」が設置をされたわけでございま す。その後、2年2カ月、合計29回もお集まりいただいたそうでございますが、29回の 議論を経て昨年の12月に報告書をまとめていただきました。それまでの間、委員相互間 にも様々な御意見の違いもあったように伺っておりますけれども、御熱心に数多くの議 論を重ねていただきまして、昨年の12月にようやくといいましょうか、専門委員会とし てまとまった報告書をお出しいただいたということでございます。  その報告書の中身は、必要な条件整備を進めていくということを条件に、生殖補助医 療を拡大していくことを認めようという中身だったというふうに私は理解をしておりま す。そして、その必要な条件整備というのは大事なことが幾つも報告書に盛り込まれて おりますが、例えばインフォームド・コンセントをしっかりやるための体制、患者夫婦 あるいは精子や卵子や胚を提供する側の提供者の夫婦などに対するカウンセリング、一 貫したカウンセリングができるような体制を整備をしていく。あるいは親子関係を法的 に確立し整備をしていくこと、こういった様々な必要な整備を行うということを前提に 生殖補助医療の範囲を拡大することを認めようということでございまして、代理懐胎は 認めないということで当面結論をいただいておりますが、それ以外の精子・卵子・胚を 第三者が提供するというやり方を利用した生殖補助医療を認めていこうと。そして必要 な制度整備を法的な整備も含めて3年以内に行うべきである、こういう御提言をいただ いたわけでございます。  そういう背景がございまして、きょうお集まりいただいて生殖補助医療部会を設けさ せていただいたわけでございます。したがいまして、白紙からの議論ということでは必 ずしもございませんで、昨年末にまとめていただいた専門委員会の報告書が議論のス タートのベースになるというふうに思っております。したがいまして、報告書をベース にして議論を始めていただき、報告書の内容を具体化するために、まだ様々な検討項目 が残っておりますので検討していただきたいと思っております。  そうは申し上げましても、報告書のフレーム自体についても、もし様々な御意見の中 で、そのこと自体も再考した方がいいのではないかというような議論の流れになりまし たら、そのことを排除するつもりは事務局としては持っておりませんけれども、2年数 カ月に及ぶ大変な議論の成果の報告書でございますから、それは非常に貴重な御提言と して、まずはそこから議論をスタートしていただければと思っております。  2番目に申し上げたいと思いますのは審議の進め方でございます。この問題について は、近年大変な関心を国民の皆様方に持っていただいております。単に不妊治療という 医療の一環としてだけの問題にとどまらず、生命倫理ですとか、親子関係、ジェンダー の視点、様々な視点から議論をしていただく必要のある、大変難しくそして大きな課題 であると思っております。  そういうことでそれぞれのお立場から、広い観点から御議論していただきたいと思っ ておるわけでございますが、審議の進め方も、前回の専門委員会とは変えまして、広く 国民の皆様とある意味では対話をしながら審議を進めていけたらと思っております。  そういうことで審議はすべて公開を原則とするということで、きょうも大変大勢の方 に傍聴に来ていただいておりますが、審議は公開する。そして議事録も公開をするとい うことで進めてまいりたいと思っております。また、インターネットなどを通じました 意見募集も既に始めておりまして、意見募集を通じて出てきた御意見も毎回毎回この部 会で生の声を御披露させていただいて、それをその審議の素材の1つにしていただくと いうことでございます。  同じように国会の方でも大変関心が深まっておりまして、検討する場が今2つできて おります。1つは与党・自民党の中でございますが、自民党の厚生労働部会、もう一つ 自民党の脳死生命倫理及び臓器移植調査会がございますが、この2つの部会なり調査会 が、これまで合同で検討を何回か重ねてきております。また野党も含めた超党派の生命 倫理研究議員連盟というところがございまして、ここでも議論が始まっているところで ございます。したがいまして、必要に応じてそういった国会の動きなどともお互いに見 ながら審議を進めていくというような形になればというふうに思っているところでござ います。  とりあえずのスケジュールとして、そんなに遅くならない時期、来年の秋ぐらいまで には御提言をまとめていただきたいと思っておりますが、それまで相当回数会議を重ね ることになろうかと思います。御多忙の先生方、大変恐縮でございますが、どうぞよろ しく御協力のほどお願い申し上げます。どうぞお願いいたします。 ○桑島室長 続きまして、配布資料の確認をさせていただきます。欠落等ございました ら御指摘をお願いしたいと思います。  資料は1から資料8までございます。併せて1つの冊子がございます。「精子・卵 子・胚の提供による生殖補助医療のあり方についての報告書」関係資料集ということで 冊子を付けさせていただいております。よろしゅうございますでしょうか。  資料は1から8まで準備させていただいてございます。今確認させていただきました 配布資料のうち、資料2、資料7につきましては、本日の議事4の中で詳しく課長から 御説明申し上げますが、それ以外の資料につきましては、私から冒頭で簡単に御説明を させていただきたいと存じます。  まず資料1でございますけれども、これは厚生科学審議会の構成についてでございま すけれども、これは平成13年6月11日に開催されました第2回の厚生科学審議会におき まして、生殖補助医療部会が同審議会に直接設置される6つ目の部会として設置された ということを図示してございます。なお、生殖補助医療部会の詳しい設置目的、検討事 項、スケジュール等につきましては後ほど御説明をさせていただくこととしてございま す。  次に資料3は、先ほどごらんいただきましたとおり、委員の先生方の御紹介をさせて いただいてございます。  次に資料4でございますけれども、厚生労働省の設置法、厚生科学審議会の組織令、 厚生科学審議会運営規程でございます。これらに厚生科学審議会あるいは生殖補助医療 部会の設置・運営等に関する事項が規程されておるわけでございますけれども、幾つか めくっていただきますと、右側に線が引っ張ってございます。関係のポイントとなると ころを幾つか線を引かせていただいてございます。かいつまんでポイントだけ御説明を 申し上げますと、1枚おめくりいただきまして、厚生科学審議会の中で第6条3項にご ざいますけれども、「部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選出を する。」、部会長を置いていただきますが、その委員の互選によって選出をしていただ くことにしてございます。  それから、もう一枚おめくりをいただきまして、厚生科学審議会の運営規程をごらん いただければと思いますが、その中の第4条でございます。分科会及び部会の議決とい うことでございますけれども、線が引っ張ってございますが、「部会の議決は、会長の 同意を得て、審議会の決議とすることができる。」ということでございます。  それから、第5条でございますけれども、「審議会の会議は公開とする。」、原則公 開ということでございます。併せまして、議事録のところでございますが、第6条2項 で、「議事録は、公開とする。」、こういったところが主に中で定められてございま す。  次に資料5でございます。「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療に関する御 意見の募集について」ということでございますけれども、本部会での検討事項とされて いる生殖補助医療に関して広く一般から御意見をいただき、適宜部会での御議論の参考 としていただくために、記者発表及び厚生労働省のホームページ上で6月29日から郵送 及び電子メールでの御意見募集を開始してございます。既に動いてございます。7月10 日までの数字でございますけれども、既に24件の御意見をいただいてございます。本日 その全文を資料8としてまとめて配布をさせていただいてございます。今後とも同様に いただいております御意見をすべてこういう形で皆様方の資料として配布をさせていた だく予定でございます。  最後に若干戻りますが、資料6、「『精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療の あり方についての報告書』に関する御意見の募集の結果について」という資料でござい ますけれども、昨年の12月に専門部会の報告書が取りまとめられたということで、専門 委員会の報告書に対する御意見募集を、本年の1月18日から4月18日までの間の3カ月 間募集をいたしました。その結果を取りまとめたものでございますけれども、26件の御 意見をちょうだいしてございます。その全文を載せさせていただいてございます。  資料につきまして、私の方から御説明させていただく分は以上でございます。  本日は最初の会合でございまして、今、御説明を申し上げましたように、厚生科学審 議会令の第6条の3項に「部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選 任する。」とございます。部会長の選任をお願いしたいと存じます。選任の方法につき ましては、委員の互選ということになってございますのでお諮りを申し上げます。いか がでございましょうか、よろしくお願いいたします。 ○吉村委員 よろしいですか。私も前、12月の専門委員会に入っておりましたけれど も、今後こういった具体的なプラクティカルなガイドラインを決めていくということに なりますと、法制審議会の進捗状況も非常に大切だと思われますので、厚生科学審議会 のメンバーでもあられますし、法制審議会のメンバーでもあられます矢崎委員が一番よ ろしいのではないかと私は思うんですけれども。 ○桑島室長 ほかに御意見ございませんでしょうか。ただいま吉村委員から矢崎委員に 部会長をお願いしたいという御発言がございましたけれども、いかがでございましょ う。               (「異議なし」と声あり) ○桑島室長 「異議なし」の声が挙がってございますが、それでは御異議がないという ことでございますので、矢崎委員に当部会の部会長をお願いしたいと存じます。それで は、以後の議事運営につきまして、部会長にお願いを申し上げます。どうぞよろしくお 願いを申し上げます。 ○矢崎部会長 ただいま部会長を仰せつかりました矢崎でございます。委員の皆様方の 御協力を得まして、この部会の運営を円滑に進めてまいりたいと思いますので、何とぞ よろしくお願いいたします。  それでは議事を進めていきたいと思います。厚生科学審議会令第6条第5項により 「部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員又は臨時委員のうちから部会長が あらかじめ指名する者が、その職務を代理する。」とされています。この部会長代理に つきましては、加藤尚武委員にお願いしたいと思いますが、よろしくお願いいたしま す。 ○加藤委員 よろしくお願いします。 ○矢崎部会長 それでは、これで手続事項が終了いたしましたので早速議論に入りたい と思います。本日は最初の会合でありますので、事務局から本部会の設置に至るまでの 経緯、そして本部会における検討事項、今後の検討スケジュール等につきまして説明を いただき、その後、自由な討議を進めていきたいと思います。それでは藤崎母子保健課 長よりよろしくお願いいたします。 ○藤崎課長 それでは座ったままで恐縮でございますが、これまでの経緯並びに今後の 進め方等につきまして御報告をさせていただきたいと思います。よろしく申し上げま す。  お手元に、ただいま説明させていただきました資料以外に関係資料集という白表紙が お配りしてあろうかと思います。ここに基本的な資料がございますので、これを使いな がら御説明させていただきたいと思います。  また、それが済みましたから、先ほど資料2、7につきまして言及をさせていただき たいというふうに思います。  この関係資料集のまず5ページをお開きいただけますでしょうか。これまでの経緯等 につきましては、先ほど局長より御説明申し上げたところでございますが、厚生科学審 議会先端医療技術評価部会に「生殖補助医療技術に関する専門委員会」を設けまして、 2年2カ月余りの御審議をいただいたわけでございます。その際の検討方針並びに検討 経過について、ここにまとめてあるところでございます。  検討方針、どのような形で行ったかということでございます。  「第三者の配偶子提供や代理母等生殖補助医療技術にかかる安全面・倫理面、法制面 における諸問題について論点を整理する。  論点の内容に関して専門家はもとより広く国民の意見を聞くため、意識調査を実施す る。  意識調査の結果を踏まえ、各論点ごとに集中的な議論を行い、2年以内を目途に委員 会としての意見を取りまとめる。」とこういうことでございました。  結果的には大変御熱心な審議をいただいて、2年以内ということではなくて、若干 オーバーして2年2カ月余を経て最終的なおまとめをいただいたということでございま す。  その経過でございますが、「作業スケジュール」とございますが、資料集ということ で表現不適切ですが、これは「検討経過」というふうにタイトルをお直しいただけると よろしいんですけれども、平成10年10月21日に第1回の専門委員会が開催されました が、これに先立ちまして親部会といいましょうか、厚生科学審議会先端医療技術評価部 会、高久先生が部会長をお務めいただいておりましたけれども、そちらの方でこのよう な生殖補助医療に関する議論が既にある程度なされておったわけでございます。  しかしその後、この分野の第三者の配偶子提供にかかわる問題というものが、皆様御 存じのように諏訪マタニティークリニックの根津先生の実施がマスコミ等に報告される ということがございまして、かなりその問題に対する社会的関心が高まってきた状況で ございました。そういうことを受けまして、親部会から集中的に専門家の先生方を参集 をして、この問題に関する専門的な議論をするようにと、こういう御指示でございまし た。  そういう経過の中でこの専門委員会ができたわけでございます。  専門委員会全体の審議といたしましては、この一番下にございます昨年12月28日の最 終報告書取りまとめまで29回の専門委員会としての御議論をいただきました。  それに加えまして、この真ん中にございますが、ワーキンググループによる議論とい うのがございまして、10人の専門委員会の先生方の中から5人の先生にワーキンググ ループを構成していただきまして、こちらの方でいわゆる議論のたたき台をつくってい ただいたと。最終報告のまとめの基礎になるようなたたき台をおつくりいただいたとい うことがプラス4回ございます。  この専門委員会の審議につきましても、ここにずっと経過を書いてございますけれど も、様々な情報収集といいましょうか、特別講演でありますとか有識者等からのヒアリ ングなどもございましたし、またイギリスにおきますこの問題を取り扱っております厚 生省の外局の局長さんとの意見交換なども実施してまいったということでございます。 昨年の10月以降は、最後集中的にワーキンググループのたたき台をベースに、また事務 局のいろいろな案なども含めまして、報告書案について集中的に御議論いただいたと、 こういう経過になってございます。  後先になりましたが、このメンバー、専門委員会の委員の名簿につきましては、この 少し先になりますが、1枚青いページをくっていただきますと、9ページとしてござい ますけれども、10名の先生方に専門委員をお務めいただいたということになってござい ます。慶應義塾大学名誉教授の中谷先生に委員長をお務めいただきました。このような ことでございます。  こういうことで報告書を取りまとめていただきまして、この報告書を親部会の方に御 報告してございます。この5ページにございますが、下から3行目に、12月22日に厚生 科学審議会先端医療技術評価部会への報告書案の報告と記載してございますが、こちら で御報告を専門委員の先生方、中谷先生をはじめ御出席いただいて御説明申し上げて、 この部会において了承をいただいたということでございます。  そういう意味で、旧厚生省としては、この第三者の配偶子等の提供にかかわります問 題につきまして、専門委員会での専門的御議論、さらにはその審議をするようにと御指 示のありました親部会であります先端医療技術評価部会において御審議をいただいて、 その提言のとおり、3年以内に制度整備を進めるようにと、こういう形での御指示をい ただいたというふうに私ども事務当局としては理解をしているところでございます。  ここに記載はございませんが、本年になりまして、先ほど局長からも御説明申し上げ ましたが、御意見募集ということで、広く国民の方々からこの報告書に対する御意見を いただいておりまして、その結果につきましては、資料として配布をさせていただいた ところでございます。  さて、そのような報告書でございますけれども、その内容についてかいつまんで御報 告をさせていただきたいと思います。資料集の1ページでございますが、こちらの方に 報告書の概要というものがございます。既に委員の先生方には資料をお送りしてござい ますので、報告書本文も含めて御覧いただいているかというふうに理解いたしておりま すけれども、一応事務当局として概要につきまして、今後の御審議の参考となるような 御説明をさせていただきたいと思いますが、詳しくはまた今後の審議に当たりましては 報告書本文をいろいろと御参照いただきながら進めていくことになろうかと考えており ます。  この1ページに報告書の概要がございます。これは結論としてどうするかということ の部分の概要を取りまとめたものでございますが、報告書そのものは、この部分に先立 ちまして、趣旨といいましょうか経過も含めて記載をしてございます。  ここの1.にございます「各非配偶者間生殖補助医療について」の結論が出ます結論 といいましょうか、方向が出ます前段の基本認識といたしまして、次のように御理解い ただければと思います。基本的な議論のスタートは、不妊症のために子を持つことがで きない夫婦に、子を持つ可能性を提供する生殖補助医療の役割を認識すると。その役割 を認識しつつ、しかしその利用が社会通念や生命倫理の観点から許容範囲を超えること なく行われることの重要性に鑑みということでございます。そういう点から6つの基本 的考え方を提示してございます。  それは何かと申しますと、これは専門委員会が各論の議論を行うときの前提となった 6つの基本的な考え方ということでございますが、1つは「生まれてくる子の福祉を優 先する」ということでございます。次に「人を専ら生殖の手段として扱ってはならな い」ということでございます。さらに「安全性に十分配慮する」ということ。「優生思 想を排除する」。「商業主義を排除する」。「人間の尊厳を守る」ということでござい ます。  後ほど御参照される場合に、22ページに四角の囲みがございますので、また御参照い ただければと思いますが、先ほど申し上げましたように、不妊症のために子を持つこと ができない夫婦に子を持つ可能性を提供する生殖補助医療の役割を認識しつつ、その利 用が社会通念や生命倫理の観点から、許容範囲を超えることなく行われることの重要性 に鑑みまして、今申し上げた6つの基本的考え方に沿って、それぞれの非配偶者間の生 殖補助医療の是非について検討したということでございます。  さらに1点、この各論の結論を申し上げる前に申し上げておくこととして、いわゆる この問題の根本にあります血縁主義的な考え方、つまり第三者の配偶子を使用するとい うことによる血のつながりの問題、これをどう考えるかということがこの議論の1つの ポイントになってまいるわけでございますが、この専門委員会の立場としては、血縁主 義的な考え方は絶対的な価値観ではなくて、それを重視するか否かは、専ら個人の判断 に委ねられると考えられることから、遺伝的なつながりをそれぞれの生殖補助医療の是 非の判断基準としては採用しないと、こういう立場をとってございます。  今、幾つかの錯綜する次元の事情を申し上げましたけれども、こういうことを踏まえ つつ、この報告書の結論というものが出てきておるわけでございます。  そういうことで、この1ページの報告書の概要について御説明を申し上げたいと思い ます。  まず第1に、「各非配偶者間生殖補助医療について」ということで、それぞれの生殖 補助医療技術をどう評価するのか。つまり認めるのか認めないのかという社会的な関心 事にどう答えるかということでございました。これにつきましては、種々の条件整備が できるということを前提にいたしまして、提供者あるいは提供を受ける側につきまして のいろいろな条件というものをきちんと定めることを前提としまして、それぞれの技術 について一定程度認めていくと、こういうような考え方に立っております。  まず(1)「非配偶者間生殖補助医療を受ける条件について」という受ける側の条件 について、これは概要でございますけれども、端的に申し上げれば、「子を欲しながら 不妊症のために子を持つことがてきない法律上の夫婦に限る」というふうにしてござい ます。法律上の夫婦が対象であるということ、あるいは不妊症のために子を持つことが できない。つまり加齢によって子どもができないというようなケースはここでは想定し ていない。こういうことも含めて受ける条件について、この報告書の中では定めてござ います。  その上で、ここが一番のポイントになろうかと思うのですが、(2)「各非配偶者間 生殖補助医療等の是非について」ということについての判断がなされております。「そ れを受けなければ妊娠できない夫婦に限って、以下の提供された精子・卵子・胚による 生殖補助医療(非配偶者間生殖補助医療)を受けることを容認する。」となっておりま す。  ・ AID(提供精子による人工授精)  ・ 提供精子による体外受精  ・ 提供卵子による体外受精  ・ 胚の移植  この4つにつきましては、繰り返しになりますけれども、前提となる条件整備が行わ れるということと、それから、生殖補助医療を受ける方の条件あるいは提供者の条件 等、こういうものが前提となって認められるということでございますが、この4つにつ きまして容認するという結論でございます。  そして、代理懐胎(代理母・借り腹)につきましては、「人を専ら生殖の手段として 扱い、また、第三者に多大なリスクを負わせるものであり、さらには、生まれてくる子 の福祉の観点から望ましくないため禁止する。」ということで、先ほどの6つの基本的 な考え方に照らしてみても好ましくないということで、これは禁止をするという結論で ございます。  次に(3)でございますが、「精子・卵子・胚を提供する条件等について」というこ とでございます。これは提供に当たっての様々な条件を書いてございます。  ・年齢の問題。卵子提供の場合には、「既に子のいる成人に限る」ということでござ います。個々の理由等につきましては、また報告書の中にそれぞれなぜそういう結論に 至ったかという理由も記してございますので、またゆっくり読んでいただければと思い ますけれども、それぞれに根拠を求めながらやってございます。  ・「精子・卵子・胚の提供に対する対価」ということでございますが、これはこれら の提供にかかわる金銭等の対価の授受を禁止するということでございます。ただし、精 子・卵子・胚の提供に必要な実費相当分については提供者に支弁してもよいということ でございます。  ・「精子・卵子・胚の提供による匿名性の保持」ということでございます。精子・卵 子・胚を提供する場合には匿名とするということで、これが基本原則であります。た だ、同時にこの点につきましては、・に特例を設けております。特例という扱いでござ います。これは「他に提供者が存在しない場合であって」と。提供者が存在しない場 合、「十分な説明・カウンセリングが提供する方、提供を受ける方について行われて、 金銭等の対価の供与がなくて、子の福祉や提供者に対する心理的な圧力の観点から問題 がないと公的管理運営機関が認めたときに限り」、これは事前審査という意味でありま す。この「・の特例として兄弟姉妹等の匿名性が保持できない者からの精子・卵子・胚 の提供を認める。」という結論になっております。この場合の「等」というのは、いわ ば親しい友人なども含むということでございます。個別に内容を審査するということで あって、範囲をあらかじめ限定はしないという立場でございました。この点につきまし ては、ある意味で最も議論が伯仲した部分でございまして、最後に御説明いたします が、3年以内に制度整備ができて、これが実施されたときには必要な検討、見直しを行 うようにという意見がついている部分でございますが、そのように結論としては報告書 では記載されております。  ・「書面による同意」ということで、インフォームド・コンセントを徹底するという ことで、これは提供、それらの実施に際しましては、当事者夫婦の書面による同意を得 なければならないということで、これは提供者、受ける側のそれぞれの夫婦の書面によ る同意ということでございます。  ・「十分な説明の実施・カウンセリングの機会の保障」ということで、これにつきま しては、十分なカウンセリングの機会をそれぞれ提供する方々、あるいは受ける方々に 保障しなければならないと。そして、そのカウンセリングのあり方について、いろいろ と整備をしていく必要があると。大変重要な問題であるという御指摘でございます。  2ページ目であります。  先ほど申し上げました条件整備という問題でありますが、2.「規制方法及び条件整 備について」ということになっております。  まず(1)の「規制方法」ということでございますが、この規制の考え方につきまし てもいろいろと議論がなされております。基本的には幸福追求権という中で、制限とい う、法に基づく規制というのは最小限であるべきというお考えと、もう一方で、しかし 実効性を担保すると。行われてはならない行為についての規制の実効性を担保するため にはやはりきちんとした法に基づく規制が必要だろうというような御意見の中での1つ の専門委員会での結論と申しましょうか、そういうことでございます。  最初の「○」でありますけれども、以下のものについては、罰則を伴う法律による規 制を課す。  営利目的での精子・卵子・胚の授受・授受の斡旋。  代理懐胎のための施術・施術の斡旋。  職務上知り得た人の秘密を正当な理由なく漏洩すること。  この3つに関しては、罰則を伴う規制というのが適当であろうというお考えでござい ました。それを除いたものにつきましては、基本的にはそのような形態での規制とはせ ずに、例えば法律に基づく指針等の規制などの何らかの実効性を担保できる他の形態を 目指すという御意見でございました。また詳しい内容につきましては、報告書本文をご らんいただければと思います。  続きまして、(2)「条件整備」でございます。  条件整備のなかに「親子関係の確定」というのがございますが、この点がこの間の生 殖補助医療技術、第三者の配偶子を用いたものを認めるに当たってどうしても必要な条 件整備であると、広く議論がなされてきたわけでございまして、従来の民法で想定して いないような技術の適用という中で、これを法律で明文化すべきであるという御意見で ございました。  具体的には以下の内容を法律に規定する。  非配偶者間生殖補助医療により子を出産した者を、その子の母とする。これを明定す るようにという御意見であります。  妻が夫の同意を得て、非配偶者間生殖補助医療により出産した子は、その夫の子とす る。  精子・卵子・胚の提供者は、非配偶者間生殖補助医療により生まれた子の父母とされ ない。  ということでございます。  後ほどの今後のスケジュールで御説明はいたしますけれども、この「親子関係の確 定」につきましては、既に本年4月より法務省の方で、民事局の法制審議会において、 この問題についての議論が始まっておりまして、既に3回の審議がなされております し、本部会の何名かの先生が法制審議会の委員として御参画をいただいております。  ・「出自を知る権利」でございます。これもかなり議論のあったところでございま す。2つここでは概要として記述させていただいております。  非配偶者間生殖補助医療により生まれた子は、成人後、その子にかかわる精子・卵 子・胚の提供者の個人情報のうち、提供者を特定できず、かつ提供者がその子に開示す ることを承認したものを知ることができる。つまり提供者が特定できる情報までは開示 しないが、それ以外のもので、その子どもに知らせてもいいと提供者自身が承認したも のについては提供できると、こういう考え方でございます。  もう一つは、非配偶者間生殖補助医療により生まれた子は、結婚した場合に近親婚と ならないことの確認を求めることができるということで、これは近親婚であるかないか の確認は必ず求めがあれば認めると、こういう立場でございます。  この点につきましても、報告書では、やはり実施された後に一定の期間を経て、検討 して、必要があれば見直しを行うようにという御提言をいただいております。現在の段 階としての専門委員会としての結論としてそういうことだということでございます。  次に非配偶者間生殖補助医療を行う医療施設の指定ということでありまして、このよ うないろんな条件、様々な前提というのがあった上での各生殖補助医療技術の容認とい うことでありますけれども、それを実施するためには実施する医療機関がしっかりした ものでなければならないという立場から、国が定める基準によって、国が指定した医療 施設でなければ、非配偶者間の生殖補助医療を行うことはできないというふうにしよう という御意見でございます。  そして、最後になりますけれども、この実施にかかわる体制の整備が必要だというこ とでありまして、各生殖補助医療の利用に関しまして、必要な提言を行う公的審議機関 を設けるようにということでございます。  また、この生殖補助医療につきましては日進月歩でございますので、今後どのような 新たな問題が出てくるかもわかりません。そういったことを適時審議をして必要な提言 を行うような体制をとるべきだと。  併せまして、この実施に当たりましては、様々な実施に向けての体制整備が必要でご ざいますが、そういうことの管理を行う公的管理運営機関を設ける必要がある、こうい う御提言でございます。  以上のような点を概要としてこちらの方でまとめさせていただきましたが、報告書本 体の方におきましては、それぞれもう少し詳しい規定がございますし、また、その理由 につきましての詳細な解説がついてございます。  最後になりますが、この3.「実施時期等」という部分でございます。2ページの一 番下になりますが、このような従来、産婦人科学会の会告においては禁止というか、認 めていなかった行為について、この生殖補助医療行為につきまして、専門委員会として は容認をするというものが幾つかあったわけでございますが、それは条件整備が前提で ありますので、その条件整備を早くやるようにということでございます。それがここに ありますように、必要な制度の整備を遅くとも3年以内に行われることを求める。  そして、その整備がなされるまでは、AID(提供精子による人工授精)以外の非配 偶者間の生殖補助医療は容認されるべきではないということでございます。その間、モ ラトリアムになるべきであると、こういう御意見でございました。  それから、一番下の「○」になりますが、先ほど申し上げたことでございます。本報 告書において容認することとされた非配偶者間生殖補助医療の実施の開始から一定期間 経過後に、その実施状況やその時点における国民世論等を勘案しつつ非配偶者間生殖補 助医療のあり方(特に「兄弟姉妹等からの精子・卵子・胚の提供」及び「出自を知る権 利」)について必要な見直しを行うべきである。ということでございまして、専門委員 会は限られた時間の中での大変御熱心な御審議いただきましたけれども、その中での1 つの結論というものをお出しいただいたということでございますので、また、その後の 見直しが必要であるということ。  また、枠組みをお示しいただいたわけですが、その詳細については、今後別な場で検 討するようにということもうたっておりますので、この場がそういう形での具体化に向 けての御検討いただく場という形になってございます。  また、後ほどの自由討議の中で、私の説明の至らなかった部分につきましては、専門 委員であられた先生方もおられますので、補足していただければとお願い申し上げま す。  さて、次に資料2と7を、本日配布したものでございますが、ごらんいただいて、生 殖補助医療部会の趣旨と今後のスケジュール等につきまして、簡単に御説明申し上げさ せていただきます。  資料2、「厚生科学審議会生殖補助医療部会について」ですが、これは去る6月11日 に、厚生科学審議会において、この部会を設置させていただけるかどうかということを お諮りしたときの説明の紙でございます。  「設置目的」とございますけれども、ここにこれまでの最初の「○」で経過が書いて ございまして、そして、2つ目の「○」で、早く必要な制度整備を行うようにと、3年 以内に行うようにという報告書を取りまとめたということでございまして、本部会はこ の報告書の要請を踏まえ、報告書の内容に基づく制度整備の具体化のための検討を行う ことを目的とするということで設置をさせていただいております。  「検討課題」でございますが、これは必ずしも網羅的ではございませんが、先ほど概 要で御説明いたしましたような事項について、具体化のためにいろいろと決めなければ いけないことがございます。法律で定めて、これを実施していくに当たりまして、ガイ ドラインでありますとか実施基準でありますとか、様々な細則が必要になってまいりま す。そういうことを含めてどのような事項が必要かということでございます。  3つカテゴリーがございますが、(1)が「提供された精子・卵子・胚による生殖補 助医療の実施、精子・卵子・胚の提供の条件」、ここをどう具体化するかということで ございます。受けることができる者の条件、提供できる者の条件、これを様々に具体的 に規定していかなければならないということでございます。  それから(2)で、裏側、2ページ目となっておりますけれども、「提供された精 子・卵子・胚による生殖補助医療の実施、精子・卵子・胚の提供までの手続や実施医療 施設の施設・設備の基準」ということでかなり具体的な実施をする際の手続的な部分の 細部にわたるものであります。  インフォームド・コンセントを具体的にどういうふうにやっていくのか。あるいはカ ウンセリングの具体的な内容をどのようにしていくのか。あるいはカウンセリングをす る方を、一体どのような方がどういう資格あるいはトレーニングを受けてやっていくの か等々を含めた具体的な中身を御議論いただきたいということであります。  また、併せて、医療施設を国が指定するというふうに報告書は御提言がありますけれ ども、この指定に当たっての施設・設備の基準、ハード、ソフト面の基準等についても やはり具体化をしていかなければならないということであります。  (3)が管理体制でありますが、2つ御提言あったと申し上げましたが、公的管理運 営機関をどこがやるのかということと、具体的な業務、これを決めなければいけない。  実施医療施設等の監督体制をどのようにしていくか。  また、生まれた子が知ることができる精子・卵子・胚の提供者の個人情報の管理方法 をどのようにしていくのかということでございます。  「構成」として、委員の先生方の構成ですけれども、「本部会は、医療関係者、法律 家、倫理学者、心理の専門家等の精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療に関する 幅広い分野の関係者を委員として参集する(おおむね20名程度)とこの時点で提案させ ていただきましたが、20名の委員の先生方から成る部会の設置ということに相なりまし た。先ほどそれぞれ御紹介いただきましたように、大変に幅広い分野からの委員の先生 方の御参加を得ていると考えております。  「検討スケジュール」としましては、この時点では平成14年中をめどにということ で、本部会としての検討を終了すると。大体それぐらいの目安で考えてございました が、その具体的なものが、それから今日に至るまでに、私どもの方でもう少し詰めさせ ていただきました。それが資料7でございます。  これはあくまでも事務局として作成したものでありまして、また審議の経過、委員の 先生方の御意向によりまして当然に変更があり得るものというふうに考えております が、一番基本となる部分が一番下になって恐縮でございますけれども、一番下に平成14 年11月〜平成15年初頭となっております部分がございます。ここのところが制度整備の 具体案に基づき法案検討ということになっておりますが、要は何を申し上げたいかと申 しますと、このスケジュールでまいりますと、平成15年の通常国会に法案を出さないと なかなか今まで御要望のあった形のスケジュールではできないということでございます ので、平成15年の通常国会に出すためには平成15年の初頭には法案が完全にできてない とならないということになるわけであります。そのためには11月くらいにこの部会での 検討を一応終了した形にして、こちらの方でも作業に完全に入っていくと。それを前提 にいたしますと、どうしてもおしりが切られてくるということでございます。  それで見てまいりますと、本日、上から2行目でありますが、7月16日(第1回目) の会合を持たせていただきましたけれども、この3つの検討課題をこのようなことで、 3カ月か4カ月ぐらいかけながら、それぞれ来年の7月ぐらいまでに御検討いただく と。そして、8月ぐらいには、それらの検討を踏まえた全体の構成、法律としての構成 をトータルに細則なども含めた全体の絵としてどうなるのかというものをお示しさせて いただければと願っております。  そして、2カ月ほどかけて、その案について、つまりトータルの絵の中で、個々に議 論してきたことがどうなのだろうかということを、きちんとしたコンテクストの中で、 あるいはパースペクティブの中で位置づけられているかということを御議論いただけれ ばと思います。  それをしていただいた上で、1カ月程度、この具体案についての御意見募集をして、 それを踏まえて11月に再度、この制度整備の具体案についての御議論をいただいて、検 討が終了できればと。若干ウイッシュフル・シンキングで恐縮なわけでありますけれど も、若干ため息も出ておられるようですけれども、これはあくまでも事務局の、今申し 上げたことを前提にしたスケジュールでございます。  大変盛りだくさんな中身を1つの部会で御議論いただくということで大変なことは 重々承知いたしておりますけれども、やはりすべての先生方に、すべての分野の内容を 御承知いただき、多少技術的な事項で個々の専門分野として関与が薄い部分もあろうか と思いますけれども、トータルなものを幅広い分野からの御意見ということで御議論を たたかわせていただきながら、まとめさせていただくのが一番よろしいのではないかと いうのが私ども事務局の意向でございましたので、このような形にさせていただきまし た。  そして、あと、先ほど申し上げました法制審、法務省の親子関係確定の民法の方の関 係でございますが、あちらは既に審議が始まっておるわけでございますが、やはり基本 的には来年の秋ぐらいには、親子法をどうするという方向についてまとめたいという意 向を持っておられまして、こちらでの議論あるいはあちらでの議論、こういうものを相 互に、情報交換をしながら両方の委員をなさっておられるこちらの委員の先生方もおら れるわけですが、それを並行して進めながらやっていくと。平成15年の国会に法律案を 出すときには、それが一緒になった形で、親子関係の確定が民法の改正になるのか、あ るいはこちらの方に入って、特別法で親子関係を規定するという形になるのか、これは まだわかりませんが、今後審議の中で明らかになると思います。  いずれにしても、法制審議会での議論はそこで進めていただいて、方向が出たものを 一緒に取りまとめながら進めていくという形になっていくのではないかというふうに考 えておりますし、また、その状況につきましても適宜報告をさせていただきたいと思い ます。  先ほど局長からも御報告申し上げましたが、社会的にも関心の高い問題でございまし て、国会の関係とのいろいろなやりとりと申しましょうか、こちらでの部会での審議状 況の報告などもさせていただきたいと思いますし、また自民党あるいは生命倫理の議員 の懇談会、こういったところからのいろんなお考えなども示されることもあろうかと思 いますけれども、なるべくそういうことが公の形で議論されながら意見集約ができると 大変ありがたいというふうに願っております。  ちょっと長くなりましたが、第1回目ということですので、これまでの経過、報告書 の概要、また今後の進め方等につきまして御説明させていただきました。  どうもありがとうございます。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。生殖補助医療技術に関する専門委員会 の報告を大変わかりやすく簡潔に要点を御説明いただいたかと存じます。先ほど説明に ございましたように、この部会はこの報告に基づいて、実際の手続あるいは環境整備を どういうふうに進めたらいいかという検討課題になっております。  本日は自由な検討ということでございますので、もし、この報告書に関して、大変今 社会的にも注目されている関心の高い課題でありますので、改めて委員の方々から御意 見を賜れば幸いと存じます。どうぞ御自由に御発言いただければと思います。いかがで しょうか。 ○藤崎課長 部会長。 ○矢崎部会長 はい、どうぞ。 ○藤崎課長 今、町野先生がおいでになられましたので、一言御挨拶いただければと思 います。 ○町野委員 ちょっと時間を間違いましておくれて参りました上智大学法学部の町野で ございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。  いかがでしょうか。専門委員会で委員をやっておられました法律の方では石井委員、 倫理的な面からは加藤委員、医学的な面では吉村委員が御参加いただいておりますけれ ども、もし何か口火ということでお三方で一言、あるいは法制審にかかわるお話しでも 結構でございますけれども、どうですか、石井委員から。 ○石井委員 特に申し上げることもないのですけれども、一番難しいのは法制審との連 携をどうしていくかということがあるのではないかと思っています。報告書を前提とし て両方の委員会とも進められるということになっておりますけれども、最近また代理懐 胎の問題等々についてもいろんな意見が出されたりしてきておりますので、その点をど う取り扱うのかとか、親子問題を考える上では、この報告書では「婚姻した夫婦に限 る」ということにしてございますけれども、そこの前提が崩れてきますと親子法の決め 方は全く違ってしまうことになりますので、進めるとすれば、ぜひ報告書の原案に基づ いて進めるということの点について、最初のときにかなり議論をしていただいて、後に なってから、また異論が出てきてひっくる返ることになると進めるのが難しくなるので はないかと思うのでございますが、もちろん報告書をまとめる中でもかなり議論があっ て、妥協案として、ある意味で玉虫色的なところの内容の部分もありますので、その点 を詰めるということが求められる部分はあるのではないかと思うんですけれども、一般 からの御意見もいただいていますので、それを踏まえて、もう一度この報告書の確認と いうことは必要なのではないかと思っております。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。 ○加藤委員 私はこの最初の案をつくるときに、代理母を「全面禁止」という線を出し たときの経緯が少し拙速だったのかなというふうに思います。代理母は全面禁止なのか 条件つき許容なのかという議論が完全に詰め切ってなかったのではないかというふうに 反省しています。  それから、様々な技術的な問題としては、このとき未受精卵の凍結利用は不可能だ と、ほぼそういう前提で動いていたと思うんですね。ですから提供可能なものの範囲を 考えるときに未受精卵の凍結利用を除外して考えていた。ところが最近ニュースによる と、それが可能かということも出てきておりますので、もし可能だということになれ ば、技術的な細かい面ではいろいろな幾つかの点で修正が出てくるのではないかと思っ ています。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。吉村先生の方から何か。 ○吉村委員 私はこの専門委員会で報告書を出したときの一員ですが、この報告書に対 して意見募集が行われたわけで、私も一応全部見させていただきました。このような医 療を認めていくことは全くできないという方から、もっとやるべきだという方から、要 するに両極端が意見にあらわれているわけでありまして、この意見をどのような形で反 映していくのかということが大変より難しくなってきたというような感じがいたしま す。  ですから、せっかく国民の皆様から意見をいただいたわけですから、これをどうやっ て反映していくか。あるいはこの委員の中でも、この報告書に対してやはり賛成できな いという方も私は多々お見えになるだろうと思うんです。それを初めに話し合いを一、 二回いたしまして、どのような方向性で行くのかということを決めてから具体的なこと を決めていかないとなかなか収拾が難しいのではないか。  先ほど加藤先生もおっしゃいましたが、代理懐胎については、十分ではなかったかも しれませんが、かなり議論はしたのではないかと思います。その是非はともかくといた しまして。  それから未受精卵の凍結に関しましては、報告はよく新聞紙上でもありますけれど も、この医療に具体的に応用していくにはまだ5〜6年、10年位かかると思います。自 分の卵を人にあげてもよろしいという場合にあげてしまって、自分が妊娠できなかった から、やはり人にあげたのは間違っていたというような状況が必ず出てくるわけです し、凍結未受精卵をこういった医療に当てはめていくにはちょっと時期が早い。世界で も20例ぐらいは未受精卵の凍結によって生まれております。そういう報告はあるんです が、こういった医療にそれを結びつけていくのはまだちょっと早い。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。3人の委員の方々のお話しをお聞きま すと、さらにこの検討部会は先行きが大変難しいという印象をさらに私は受けるのでご ざいますけれども、それでは、我々の立つ基盤といいますか、よりどころとなる報告書 について、もう一度少し議論したらいいのではないかというお三人の委員の方々からの 共通の点ではないかと存じます。それについて委員の方々から御意見いただき、これか ら先、討論を詰める上で、委員の間である程度、不可能かもしれませんけれども、 60%、70%の共通認識といいますか、議論の土台をこの際築き上げたいと存じますの で、御自由な御意見をいただければ大変ありがたく存じます。いかがでしょうか。  それでは、小泉委員からよろしくお願いします。 ○小泉委員 意見というより質問ですが、先ほどの母子保健課長の御説明の前提として おっしゃったように思うのですが、血縁関係というものを絶対視しないというか、その ことについては、この報告書はどこかに記載しておりますか、教えてください。 ○藤崎課長 この報告書の24ページでございますが、24ページの上からいろいろござい ますけれども、4つ目の「○」で、このように記載がございます。「これのことから、 親子の遺伝的な繋がりを重視する血縁主義的な考え方は、絶対的な価値観として人々を 拘束するものではなく、それを重視するか否かは専ら個人の判断に委ねられているもの と考えられ、また、精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療により生まれてくる子 が父母の両方又はいずれか一方の遺伝的要素を受け継がないということのみをもって、 当該生殖補助医療がこの福祉に反するものとは言えないものと考える。」ということで ありまして、そして、「こうしたことから、本専門委員会においては、精子・卵子・胚 の提供等による生殖補助医療により生まれてくる子が父母の両方又はいずれか一方の遺 伝的要素を受け継がないことを、個々具体的には各々の夫婦が各生殖補助医療を受ける か否かを決定する際の判断基準とすることはともかく、各々の生殖補助医療そのものの 妥当性の判断基準とするのは適当ではないと考えた。」と、こういうことでございまし た。 ○小泉委員 どうもありがとうございました。ついでにもう一つ質問ですが、先ほど概 要で御説明のときに、裏の方の2ページ目に「出自を知る権利」のところで、「成人 後、その子にかかる精子・卵子・胚の提供者の個人情報のうち、提供者が特定できず、 かつ、提供者が開示することを承認したもの〜」、私はこの報告書を先ほどの概要の説 明で初めて系統的に伺って、本文をよく読めばわかるのでしょうけれども、この文章が どうもよくわからなくて、提供者を特定できず、かつその提供者が開示することを承認 した、それはどういうことを意味するのか。この文章としてわかりにくかったというこ とだけなんですけれども。 ○矢崎部会長 具体的な内容ですね。 ○藤崎課長 ちょっと文章がわかりにくくて申しわけございませんが、要は48ページで ございますが、・「出自を知る権利」ということで四角で囲っている部分がございま す。48ページ下の方に、ここの一番上の「○」の部分なんですが、ここの表現ですが、 2行目で「個人情報のうち、当該精子・卵子・胚を提供した人を特定することができな いものについて」ということで、つまりできないというまず枠をはめた上で、提供した 方がどこのだれであるということがわからないという前提だということです。その範囲 内でということで、「当該精子・卵子・胚を提供した人がその子に開示することを承認 した範囲内で知ることができる。」、例えば身長、出身地でありますとか、職業、目の 色でありますとか髪の色、何でもいいのですが、どういったことをこの場合の開示の中 身にするかということもこれからの御議論の中に入ってくると思いますけれども、いず れにしても、本人がそれはいいよと言っていただいた部分については、子どもの知りた いという要望に応えられると。しかし、どこのだれかということを特定できるものにつ いては認められないというのが、この御提言の立場でございます。 ○小泉委員 わかりました。要するにその情報から特定できないという意味の特定なん ですね。事実は提供した方の氏名等は事実はわかっているという前提があるのでしょう ね。身長等々ということであればですね。そういう意味と理解してよろしいのですか。 藤崎課長 その点についての基本的な情報について、本人が了承した場合には、公的 ○管理運営機関で情報を保存することになってまいります。それから、もしこの情報の基 本的なことについては、公的管理運営機関で持っているという意味においては、どこの だれからいただいたかということは情報の保護はございますけれども、公的管理運営機 関で把握はしていると。そういたしませんと、近親婚の情報の問題ですとかこういうこ とはできませんので、公的管理運営機関の方ではしっかり持っているという形になりま す。 ○小泉委員 公的管理運営機関については、まだ議論がなされてないわけだけれども、 そういうものがあるとすればと、そういう意味ですね。 ○藤崎課長 おっしゃるとおりです。 ○小泉委員 どうもありがとうございました。 ○矢崎部会長 どうぞ、鈴木委員。 ○鈴木委員 私も質問なんですけれども、自分の役目というのでしょうか、この委員会 の役目についてちょっと確認させていただきたいのですが、報告書のベーシックに基づ いて具体的な話をここでしていくというふうに理解していますけれども、となると例え ばこれについては、最終的なおとしどころというか、目標は法律をつくることというこ とでよろしいわけでしょうか。また、例えばカウンセリングのこととか監督機関のあり 方などをやると恐らく膨大な分厚い報告書になると思うのですが、そういうものをここ でつくるということでよろしいのかなということ。  それからもう一つ、ここでの話し合いがもとになって法案が出されるということは、 ここが最終段階というのでしょうか、法律の前の最終段階になるのか。前の専門委員会 の報告書を受けて今ここがあるわけですから、最初の専門委員会のものは最終報告では なくなったわけですよね。フレームはともかくとしても、場合によっては中身が変わっ てくる可能性もあるというふうにおっしゃっていたのですが、この委員会での報告に関 してはもうこれ以上覆される場所はないのか。だとしたら私自身も非常にプレッシャー だというふうに理解しておりますので、お願いいたします。 ○岩田局長 事実上こういう形で御議論いただくのはここが最後の場ではないかという ふうに思っておりますが、議論の展開次第ではそのこと自体を再考しないといけないと いうことがあるかもしれませんが、今予想しております検討の体制というのは、ここで しっかり御議論していただきまして、あと最終的には厚生労働大臣の責任で、もし政府 提案でいくということでしたら、法案については厚生労働大臣の責任で大臣として判断 すると。こちらの御結論とは別に大臣として判断するということはあり得ますけれど も、基本的にはこちらの検討結果を最大限尊重して厚生労働大臣が判断して法案を国会 に提案をするということが一番可能性として高いのではないかと思います。  先ほど担当課長の方から説明をした中に出てきましたけれども、どの部分が法案にな るのか、どの部分が法案以外のガイドラインなり予算措置なり、違う次元のものになる のか、そのあたりは、まだ今議論をスタートする時点で、そのことは頭から決めかかっ て議論しているわけではございませんので、例えばカウンセリングの中身のあり方と か、カウンセラーの養成のあり方、提供のあり方、そういうものはどういう形で法案に のるのか、あるいは法案ではない次元でそういうことを進めていくことになるのか、そ れは検討しながらまた考えていきたいということでございます。 ○矢崎部会長 よろしいでしょうか。 ○鈴木委員 はい。 ○荒木委員 私、産婦人科学会の代表して参ったような立場でございますので、学会の 今まで非配偶者体外受精に関して検討したことをちょっと御紹介させていただきたいと 思います。  私どもは厚生科学審議会の専門委員会の報告書を十分尊重するということには変わり はございませんが、学会独自に1999年と2000年2年間にわたりまして、学会会員以外の 方を交えた学会倫理委員会の横に倫理審議会というものを設けまして、ここで非配偶者 間体外受精について検討していただいたわけでございます。その結果がまとまりまし て、倫理審議会から我々が出した非配偶者体外受精に関する諮問に対して答申が出てま いりました。これが本年の3月でございます。  3月その答申をもとに学会といたしましては、学会内の倫理委員会で検討して、さら に学会としての見解をまとめました。これを日本産科婦人科学会倫理委員会見解とし て、本年の3月16日に坂口厚生労働大臣にお目にかかりまして、学会の見解を説明させ ていただいたわけでございます。  学会の見解と厚生科学審議会の報告書の一番違うところは、私どもは今までAID、 つまり非配偶者の人工授精は認めてまいりましたけど、その他の生殖補助医療に関して はほぼ学会の会告として認めてなかったわけでございますが、本年度の5月に行われま した理事会で非配偶者間の体外受精、すなわち卵子、精子の提供による体外受精を認め ましょうということになりました。  ただし、厚生科学審議会と大きな違う点は、第三者の匿名者に限るということが強調 されているところでございます。厚生科学審議会は特例として、特に卵子ですけど、姉 妹からの提供による非配偶者体外受精も認めようとなっております。それは提供者、つ まりドナーがない場合は認めてもよろしいのではないかということになっていると思い ます。学会としては、たとえドナーの確保ができなくても卵子の提供は第三者の匿名者 に限るとしました。したがって、姉妹から、あるいは精子も含めまして兄弟姉妹からの 提供は認めないという見解を出させていただいているわけでございます。そこが大きな 違いでございまして、その他、私どもの倫理委員会におきましても法の整備に関しては ほぼ厚生科学審議会の専門委員会の内容と同じでございます。  ただ、そこで私どもの学会として強調させていただきたいのは、あくまでも生まれて きた子どもの福祉を重点とするために早急にカウンセラー、特に生殖遺伝カウンセリン グ制度を立ち上げてほしいということを要望書に盛り込みました。カウンセリング制度 と一括して言いますと非常に幅が広くなります。遺伝カウンセリングあるいは出生前カ ウンセリングいろんなカウンセリングがありますが、特に生殖遺伝カウンセリング制度 を立ち上げようとして、早速本年の8月15日に第1回講習会に向けて準備を始めたとこ ろでございます。  これが大方の学会としての今までの流れでございます。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。学会のお決めになった事項についてお 伺いしましたけれども、後半の生殖カウンセリングにつきましては、検討課題の2番目 に予定に入っていますので、そのときにまた議論させていただくとしまして、1つ第三 者の匿名者に限るということの違いについての、この報告書との相違点、何か学会の中 で御議論がありましたでしょうか。 ○荒木委員 この点に関しましては、厚生科学審議会と多分大きな違いですので、十分 時間をかけて検討いたしました。大きな理由は、身近に提供者がいる、いわゆる姉、妹 に提供者がいるということは、これは非常にいろいろな問題点があることが挙げられて きました。大きな問題点は、家族・親族だから、家族の一員だから、あるいはきょうだ いの一員だからという心理的な圧迫ですね。それを重視させていただいたわけです。例 えばインフォームド・コンセントに対してもいろいろな心理的圧迫などの障害が出てく るのではないかと思います。スムースな正しいあり方のインフォームド・コンセントが 果たしてとれるかどうかというようなことも検討されました。やっぱり一番は心理的な 圧迫です。提供しなければいけないのではないかというような、姉妹(提供者)に与え る影響を重視したのが一番大きい理由です。だから第三者、匿名の第三者がいいという 結論になったわけです。 ○矢崎部会長 心理的圧迫の排除という点で、そういう条項が入ったというお話でござ いますけれども。 ○高久委員 確かに荒木委員がおっしゃったように心理的圧迫ということはあり得ると 思うのですが、生体肝移植はほとんどが親子間ですね。本来なら第三者でも良いのです が。生体肝移植の場合には脳死肝移植の場合と違って家族、特に母親に心理的圧力がか かるのではないかということが議論されましたが、現実にはほとんど母親、たまに父親 もありますが、ですから必ずしもその問題は、生殖補助医療だけに限らない。ほかの分 野ではそれが行われているということで、心理的圧迫だけで家族や親族間の体外受精を 禁止することはなかなか納得が得られないと思います。 ○荒木委員 少し舌足らずでございましたけど、例えば心理的圧迫の中に、今、私ども の学会としては、着床前診断に関する委員会ができて、症例症例で着床前診断の申請が あれば検討していくことにしております。ただし、その着床前診断の場合におきまして は、染色体異常に関する診断は着床前診断としての審査対象には入ってないわけです。  例えば兄弟姉妹から、もらった卵子、精子によって染色体異常の子が生まれた場合、 家族であれば非常に複雑な関係になるわけです。妊娠が成立して10カ月(40週)の間に 流産あるいは早産、前置胎盤とか異常妊娠があった場合、提供する側、される側が身近 にいるわけです。そういう異常事態が起こったときには非常に複雑な心理状況が生じま す。そういう家族関係、きょうだい関係が崩れていくのではないかというような議論に はなりました。 ○矢崎部会長 渡辺委員に、今の心理的圧迫の排除という意味では、両親の立場ですけ れども、生まれてくる子の立場として何か先生お話しございますでしょうか。 ○渡辺委員 全体のテーマそのものだと思うのですけれども、残念ながら生殖医療は大 いなる人間の実験なわけですね。人間が生き延びてきたサバイバルシステムをいじくっ ていくわけですから、例えばそれが遺伝学的なレベル、身体的なレベル、心理的なレベ ル、家族的なレベル、社会的なレベル全部に響くと思うのですね。既に人類は歴史的 に、例えば戦争のときに兵士に父親がとられた後、例えば弟と結婚するとかいろんなこ とが起きながら、それぞれの家族が生き延びているわけですね。  ですから私たち自身、過去において、生殖医療の問題とよく接しているいろんな人類 の複雑なドラマというものが既に文学や歴史の中にあるわけですね。そういったものに 私ども臨床家は日々携わっているわけです。例えば自分の夫が亡くなったために、夫の 弟と結婚したその家族が、家族システムがやはり壊されていく。心理的な家族システム は壊されていくけれども、その地域の中に家という形を残すために母親は拷問のような 結婚の中で次の子どもを産んでいくわけですね。その子どもたちががりがりの骨のよう になった拒食症の子どもたちとして、私たちの病棟に入ってくるわけですね。  そのときに、小児科医が循環器や内分泌やすべての先端医療を駆使しまして体を治し ても、それだけでは子どもは幸せになっていかない。何の問題を扱うかというと、お母 さんの家族システムを無理に歪められたと、そういう体験に関しての拷問の体験を何時 間も聞いていかなければいけない。それに類したことが臨床の現場で起きていて、です から、恐らくきょう私がお話を伺っていて一番違うなと思ったのは、「カウンセリン グ」という言葉は、実際のルーツに関するカウンセリング、どこに進学するかとか、ど んなことをするかといったカウンセリングとではレベルが全然違います。日本はそうい うカウンセリングを行い得る臨床家を養成し損なった形で精神医学や心理療法の今日が あるわけですね。  ヨーロッパの場合は、そこの問題をクリアーしなかったら生き延びれない人たちの集 団が、特に第2次世界大戦後、ユダヤ人の迫害という形で世界じゅうに散らばったわけ ですね。結局そこで生き延びているユダヤ人の人たちが自分たちのトラウマを生き延び てアメリカの精神医学、イギリスの精神医学、フランスの精神医学をつくったのですけ れども、そこで言っているカウンセリングというのは、ほぼ毎日1時間ずつ、そして約 20年間、最低20年間本当のプロでやっていかなければ、このトラウマは、つまり戦争と か社会的な状況によっていじくり回された家族システムのトラウマはそう簡単には変わ らないというのが1つの現実です。  ですから、この生殖医療の問題を扱うときには、これは壮大なる実験をしているか ら、どういう失敗が起こり得るかということをきちんと、少なくとも過去における生殖 医療以前の、例えば養子縁組とか離婚とか再婚の犠牲者になっている子どもたちの痛ま しいいろいろな心理療法の症例をきちんと出して、そして、その渦中に置かれる子ども たちが納得するかどうかという線を私は出すべきだと思うんですね。ですから子どもた ちがもしこのように生んでほしくなかったと。これは人権に対する児童虐待だと言っ て、40年後、50年後に世界を訴える。私たちを国をこういう専門家を訴えるということ はやっぱりあり得ると。あるいはいじくられた子どもが、新しく21世紀に発達したテク ノロジーを今度いじくり回して、この地球を爆破するということはいくらでも起きるん ですね。  というのは、私の見ている子どもたちは、例えば父親がいないとか、それから自分が お母さんと接していきたいのに、今5歳の子どもですけれども、自分の父親との離婚の 関係でおばさんをお母さんと呼ばされて、そしておばさんに育てられているというだけ でも、子どもたちは地球を爆破したいというふうにはっきり言うんですね。それを取り 組んでいく場合は、一人のカウンセラーがくたくたになりながら何年もやって、やっと クリアーしていくという現実があるのですね。  ここら辺に欧米の、特にヨーロッパの精神分析や精神科の治療からきちんと学んで、 子どもが一人の人間としてどのような体験をするかということをもう少しリアルに、国 民が把握していく、そういうものが必要だと私は思います。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。大変重たいお話を伺いましたけれど も、松尾委員から。 ○松尾委員 前回の報告書がまとめられた委員の中には子どもの立場の方がいらっしゃ らないので、子どもの福祉という観点から申し上げたいんですけれども、条件の中に、 公的管理運営機関が子どもの福祉は担保されたというふうに判断するという項目がござ いますけれども、果たしてこんなことが可能であろうかと。かなりこれは無理な考え方 ではないかと思います。  今、渡辺先生が言いましたけれども、果たしてそれが子どもにどういう影響があるか というのは、少なくとも思春期になるまでわからないわけでございますので、少なくと も15年とか20年というタイムラグがございますので、子どもの福祉をどうやって担保す るかということについてもう少し議論をしていただきたいと思います。 ○金城委員 その点についてなんですけれども、いろんな問題があると危惧され考える ことはあるわけです。既に慶應義塾大学では提供された精子を使って1万人近く生まれ ている。その人たちがどう育っているかということは非常に重要なことだと思うんで す。ですからそういうことについての実態調査をきちんとやる必要があるだろう、そう いうことがあって初めてある程度のことが言えるのではないか。中には非常に苦しむ方 もいるでしょう。でも私は何人かの方から、実は私はあそこで生まれました、そして遺 伝的な父がお父さんと言っている人ではないということもわかっている、けれども非常 にあの医療を感謝していますと伺ったことがあるわけです。ですからわかる部分はきち んと実態調査をした方がいいのではないかと思っております。 ○高久委員 私も賛成です。この報告書の中にある、妻以外の女性からの卵子の提供と いうことの反対がAIDですし、AIDには長い歴史があります。成人になっている人 もたくさんいるわけですから、その調査をきっちりすれば、ある程度のことはわかる。 それは必要なことではないかと思います。 ○福武委員 福武です。日弁連でずっと議論をしていたときに、私は人権擁護委員会な んですが、それ以外に入っていたのが両性の平等に関する委員会、これは男女の平等の 関係なんです。それともう一つは、子どもの委員会からも参加していたんですね。  その3つがどうしてやってきたのかといいますと、1つは今のAIDにしても、みん な実子としての届け出になっているわけです。そうすると生殖補助医療を使ってやって いた子どもたちが一体どういうような地位になるのかというと、今の養子、実子という 枠組みのうちの実子の方に押し込まれているのだろうと思うんですね。ところが実態は それとは違っていると。そして、その実態と違っているということがわかったとき、あ るいはわかる可能性も十分あるわけですけれども、その場合にその子どもの地位をどの ように保護するのかという問題と、あと精神的な問題をどう保護するかという2つがあ るのだろうと思うんです。  私は法制審議会の方のメンバーでもあるのですが、新たな生殖医療によって生まれた 子どもというのは、実子、養子以外の第三の類型としてつくるのかどうかという問題が あるのだろうと思うんですね。どうも全体の流れとしては、実子のうちの一部に入れて いるというのはそのまま変えないような方向で動きつつあるように私には思うのです。 そして、それが実態とは違うということの問題をどうやってとらえるかということだと 思うんですね。  日弁連自体は、医学の発展によって夫婦の、あるいは何らかのカップルがそれぞれの 遺伝子を持った子どもたちをつくること自体については何も言いようがないわけなんで す。それは技術の進展としてとらえていくことですから、それが全く第三者の、例えば 精子を使う、卵子を使う、それから胚を使うということになると、それは不妊治療とい う治療の枠を超えた問題だろうと思うんですね。  やはり特別養子の制度ができたということも実子特例法をつくりたいという菊田医師 の願いがああいった形でなっていったのだと思うのですが、今回新たに生殖補助によっ て生まれた子どもをどういった形でつくるのかということまで考えていかなければ、生 まれた子ども、インターネットを見ているとちゃんとマークをつけるべきだ、戸籍に記 載すべきだという意見の人もあったのですが、ちょっと難しいのだろうと思うんです ね。  ですからそういった意味で、生まれた子どもをどうするかということまで考えない と、ここの議論はなかなか進まないのではないかと私は思うんですが。 ○才村委員 「出自を知る権利」についてのところで、議論が飛んでしまうのかもしれ ないのですけれども、私もやはり子どもは自分の父母を知る権利を有し、その父母とは 生物学上の父母を指していると思います。児童の権利に関する条約というのが日本でも 批准されていますけれども、そこの7条の1に「児童は出生の後、直ちに登録される。 児童は出生のときから氏名を有する権利、国籍を取得する権利を有するものとし、また できる限りその父母を知り、かつその父母によって養育される権利を有する」となって います。もちろんこの解釈なんですけれども、許斐さんという方が解釈、私もそれがい いのかなと思うんですけれども、ここで言う父母とは自然的な親、つまり血のつながっ た実親のことではないかと。子どもには可能な限り親を知る権利が認められるというふ うに載っておりますし、それが子どものアイデンティティを保全することにつながっ て、これをもう少し、いろんなことを論議されたと思いますので、その辺が私もこの報 告書だけ読んで感じているところで、まだまだ論議する必要があると思うんですけれど も、子ども自身が自分の出生について説明を求めたり、自分に関する記録の開示を要求 したときに、これを拒否する理由はない。もしあるとすれば、子どもの年齢とか成熟の 度合いなどを考慮して、子どもの最善の利益に反すると考えられる場合とか、他者のプ ライバシー、ここが提供者のプライバシーの侵害との兼ね合いをどうするのかというと ころかなと思うんですけれども、その侵害するおそれがある場合などであるということ にされているわけで、子どもの権利条約というのは、もちろん18歳未満といったことを 指しているわけですし、子どもは未成熟な存在ですから、保護の客体としての側面と、 自ら権利を行使するという権利の主体としての側面の両方があると思いますので、その 辺ではもう少し子どもが出自を知る権利について論議をしていただけたらなと思うんで す。  私自身、児童相談所で里親委託の業務をしている中で、もちろん今言われた、最近は 小さい子どもさんの場合、特別養子縁組の方を薦めるということでしているわけですけ れども、昔の普通養子に限らず特別養子であっても、里親さんにはできるだけ早いうち に真実告知をするというふうな指導というか、その方が後々の親子関係にも良好な方向 性が認められるのではないかということで、できるだけ早く里親さんから打ち明けると いったことで今まで指導を進めてきたわけなんです。  養子縁組をした養親と養子の関係とこの生殖医療とはまた違うと思うんですけれど も、少し関係するところもあるかなというふうに思います。だから、ここで言う、未成 年ではなくて成人というふうに規定されているのですけれども、子どもの年齢について はなかなか難しいところがもちろんあるのですけれども、子どもという一個の人格とし て認めるという意味では、子どもの年齢は未成年である時期に知る権利があると思いま す。その知る権利については、どの程度のことを、氏名まで知るのか、それとも提供者 が開示してもいいという内容におさまるのかというところについてももう少し論議は要 るかと思うのですけれども、ただ、そのときに開示する場合には必ず、ここでは提供者 とか提供される側のカウンセリングがかなり強調されているのですけれども、子どもに 対するカウンセリングが必ず私は必要と思います。カウンセリングだけに限らず、カウ ンセリングだけで解決できるとは思いませんので、先ほどトラウマを回復するにはすご い長い道のりが要るというふうなことで言われましたけれども、そういうサポート体制 といいますか、例えばお医者さん、弁護士さん、ソーシャルワーカー、心理職の方々、 その他の方もおられると思うのですけれども、その方々のスタッフをそろえてサポート 体制がしっかりなければと、子どもに対するサポート、そして親子関係の調整、親子関 係をサポートする、そういったサポート機関が必要なのではないかと思いますが、その 辺については、子どもというのは難しい、年齢的にもまだまだ十分成熟してないし、た だ、その辺で子どもが知りたいと思うときというのは、こういうのは隠していても、例 えばだれかほかの他人からそういうことを本人が聞くというようなこともあったりしま すし、親から知らされずに、ほかのところからそういうふうな形で情報が入るとなる と、かなり不安定になってきたりしますし、その辺で子どもが知りたいといったときに は、サポート体制をしっかりしながら告知していくといった方向も必要なのではないか と思いました。 ○鈴木委員 私もきょう来るに当たって、先ほど金城先生がおっしゃったようなAID に関しての実態調査をぜひ今からでも遅くないからやってほしいということはお願いし ようと思って来たのです。今回、提供に関してはほとんどどれでもオーケイという形 で、前回の報告書になっているのですけれども、AIDに関しては特段問題がないとい うような結論になっちゃっているわけですが、一体何を根拠にこうなっているのかとい うのが非常に疑問。もちろん議論なさってきたということは承知しておりますけれど も、具体的に彼らがこれで50年こうして生きてきて、もちろん喜びもあったと思います が、どんなところに困難があったのか、いろいろ夫婦の危機を抱えた方もきっといらっ しゃったと思うんですね。それがどんなところで逆に乗り切れたのか乗り切れなかった のか。  逆に私たちがこれをもしオーケイということにして、彼らがそれこそ幸せになってい くためにはどういうサポートがあれば幸せになっていけるのかというのが、何かデータ がないところで、私たち想像だけで何か物を言っているような気もしなくはないんです ね。50年間の実績というものはちょっと重いと思いますし、それから、もう一つ、もし 調査というか、ぜひやっていただきたいのですが、提供者の側の心理ということももう 少し考えるべきではないかというふうに思っています。  前回の報告書は割ともらう側の都合というのでしょうか、優先されているような気が 少ししていまして、先日一人の男性と話をしました。学生のころ、精子提供をなさった と。その方は40代を過ぎているのですけれども、非常にそのことがつかえとして心に 残っていて、もちろん連れ合いの方にも話していないと。その方自身のお子さんはい らっしゃるんですね。だけど、僕、子どもが生まれたかどうかも聞いてないんだよ。そ れはそうなのかもしれませんけれども、例えばそういう形で提供者が受けるメンタルな 部分、その後で、その家庭が揺らいでいく部分もかなりあるのではないかというふうに 思います。その辺も含めて、ぜひ調査をお願いしたいと思います。 ○吉村委員 ではお答えします。皆さんいろんなことを言われることは非常に大変よく わかります。この調査はどうして難しいのかということを御理解いただきたいと思うん ですね。現行のAIDは完全な匿名です。出自を知る権利を全く認められてないわけで す。実際に私の前任の飯塚教授などは昭和40年頃に膨大なデータをとっておられます。 これは学会でも発表していますし雑誌にも載っています。その際に調べたことは、社会 的適応がどうであったか、学業の成績がどうであったか、身長、体重、発育はどうで あったか、こういうことについてはデータはあります。  どうしてこのような統計をとるのが難しいかということは、クライアントの夫婦がA IDをしたということを知られたくないわけです。私たちも3年前に父親に対して統計 をとりました。これは学会発表もいたしましたし論文にもなっておりますから読んでい ただきたいのですが、父親に出すときも大変な苦労をして出すわけです、慶應病院とし て出せませんので。個人の名前でアンケートを出す、こういったことをやっているわけ です。  初めにクライアントの夫婦がお見えになるときは当然住所も言われてきますし、クラ イアント夫婦に対しては妊娠したという報告を必ずしてくださいということを初めにお 約束をするわけです。インタビューする時に御両親とも来ていただいて。しかし、それ がなかなか実行されない場合があるということです。全部が把握できるわけではありま せん。  高久先生もおっしゃっているように、この統計をとることが大事だということは非常 によくわかります。恐らく非常にうまくいったケースはお返事はくださるでしょうし、 うまくいかなかったケースはお返事をくださらないかもしれない。それをこれから先ど うやった形でアンケートをとるかということは非常に難しいことだと思うんです。クラ イアントの夫婦はAIDということをわかってほしくないわけです。先ほど言われたよ うに実子として育てています。  私たちもお話しする場合に、当然のことながら、完全匿名ですよ。このドナーはだれ かということをお知らせすることはできませんよということを必ず言っておりますし、 そういうことを患者さん自体もこのAIDだということを知られたくない。という状況 下でやってきたわけですね。  表立って問題になったことが2例か3例ほど裁判になったことがありましたけれど も、これは子どもにとってはそれほど大きな問題にはなっておりません。夫婦両方とも が親権を要求したというケースでありまして、自分の子どもではないよといったケース はないと思います。それはAIDをやるときに同意をしてなかったケースだけでありま す。これから先、今おっしゃったようなことは大切ですけれども、新しいデータをとっ ていくというのは大変難しいと思います。例えば私たちは、子どもが今3歳から5歳ぐ らいに成長した父親に調査をいたしました。今までは母親の調査はあったかもしれない けど、父親の調査が世界でもなかったということで、父親に対して、どういうふうに本 当に考えているのかということを調査して、わかる130名ほどの方にお手紙を出しまし て、80%ぐらいの回収率がありました。  そういった調査もちゃんとありますので、そういった論文をしっかり読んでいただい て、その辺から理解していくしか私はないのではないか。改めて調査するということは 極めて困難ですし、受ける側が、要するにそういった状況で受けてないわけですから、 「今さら何を」と非常に憤慨されるケースも出てくるのではないか。それをまた見つけ るということは非常に困難である。それが一応現実だと思います。 ○鈴木委員 ずっと昔に飯塚先生がお出しになった「子どもたちのIQ」を発表した論 文、それから何年か前の男性というか父親への手紙のアンケート、論文は読んでおりま す。ただ、それでも本当にというか不可能なのか、あるいは例えば吉村先生もこの新規 データもとるのは不可能だという前提で私たちはここスタート切るべきなのでしょう か。その辺逆にどう思われますか。今までのデータ、私たちが読み込むのは大事だと思 いますが。 ○吉村委員 どういった質問項目でどういうようにしてやっていくかということは、た だその患者さんを見つけるというのも大変なことなんですね。もちろんカルテはありま すし、戸籍謄本もとってあります。しかし、どうやって電話番号探すかとか、どうやっ て子どもさんが生まれたかとか、それをまた聞いていかなくちゃいけない。私たちのと ころで妊娠したということで来ていただけた方は把握できると思うんですけれども、そ れでどういった項目を調べればよろしいかということを私はお聞きしたい。  私は別にやらないと言っているわけではなくて、大変だけれども、もしそういうこと が本当に必要ならば、10歳ぐらいの人を何とか探してやりたいと個人的には思っていま す。 ○鈴木委員 それは可能ですか。10歳ぐらいというのは物理的に可能なのでしょうか。 ○吉村委員 50人ぐらいだったらできるかもしれませんね。 ○加藤委員 数を集めて統計をとるというような調査ではなくて、そういうことを受け た方の典型的な事例について、例えばここへ来ていただいて事情を説明していただくと か、そういうふうな、むしろ数よりも典型的な極端な事例、いい場合と悪い場合と出し ていただくとか、そんなことはできないのでしょうか。 ○吉村委員 マスコミの方もよくそういうことをおっしゃるんですね。先生もそうおっ しゃるのはよくわかるんですけれども、そういった方が出て来られるかどうかというこ とは大変難しいのではないでしょうか。例えばほかへ病院を紹介しますと言いますね。 この患者さんが妊娠いたしまして、ほかの病院を紹介しますときに、その医師にはAI D児だということは知らせるわけですね。例えばいろんなことがあるといけません。も ちろん血液型の間違いがあってはいけません。そういうようなことでAIDだというこ とをお知らせするわけですね。そうすると「じゃ、結構です」ということをおっしゃっ て、では遠くても私のところで産みますとか、そう言われる方が多いとなると、1例、 2例の方に来ていただいてお話ししていただくと大変いいことだと思うんですけど、私 はこれは非常に難しいことだと思います。 ○安藤委員 私は助産学を担当しておりますので、臨床の方にも出かけるわけなんです けれども、体外受精した方のほとんどは体外受精で妊娠したということを隠したいとい う方がほとんどですので、出自を知る権利というのはなかなか難しいのではないかと思 うんですね。  今、吉村先生がおっしゃられたように、AIDの問題も同じだろうと思います。です ので、この「出自を知る権利」というところは、私はどのように把握していって、どう いうフォローをするのかというところは非常に難しいのではないかと思います。それか ら、あとアンケート調査ではなかなか出てこない部分というのはあるのではないかと思 います。先日も不妊治療の方にお会いしまして、不妊治療するところに立ち会わせてい ただいたんですけれども、その方も御主人の方が精子減少症で何回か体外受精を試みて いたんですけれども、なかなか難しくて、御本人の方が、もうこれ以上自分がつらい思 いをしたくないのでAIDを希望するということになったのですけれども、その後、非 常に苦しんでいらっしゃいました。私がもう少し頑張れば、もしかしたら同じ血のつな がった子どもを持てるのかもしれないのにということを言われていましたように、非常 になかなかこういう問題というのはアンケートで一様に出せるものでもないし、難しい 問題ではないかと思います。 ○才村委員 初歩的な質問で申しわけないんですけれども、この出自を知る権利の中 に、「非配偶者間生殖補助医療により生まれた子は、結婚した場合に近親婚とならない ことへの確認を求めることができる」というふうに書いてありますが、近親婚は法律で 禁止されているんですね。その場合に、例えば恋愛とかして結婚したいと思って調べて 近親婚に、まれだと思うんですけど、なるのがわかったとしたら、そこはそこからその 結婚もできない形へ、何か法的なしばりでもかけるような形になっているのでしょう か。  それとも調べたいと思う人が調べて、そして調べた結果を近親婚がわかったけれど も、結婚するかしないかはその人の自由といったらおかしいですけど、その辺は実態的 には、この文章からいくとどんなふうなことになっているのでしょうか。 ○矢崎部会長 それはどうでしょうか、法律上の立場で何かコメントできますでしょう か。 ○石井委員 法律上の婚姻ができない近親婚というのは、法律上の身分関係に基づいて 近親婚に当たるかどうかということが決められるので、法的にきょうだいとかそういう ものでないということにすれば、それはできる形になるということが1つの答えです が、もう一つは、特別養子の場合は実子因子関係は切るわけですけれども、近親婚の範 囲は残すということになっていますので、ここで決めてというか法制審議会で決めるこ とになるか、そこはわかりませんけれども、AIDとかそういう場合についてきちんと 調べて、それもだめにすると、そういう形をするという可能性はあると思いますけれど も、そこまでする必要性があるのかどうか。本人が調べなければ、問い合わせなければ わからない形に、私たちの報告書はそういう前提で考えていますので、いちいち国家が 資料を持っているからといって、婚姻について調査をするつもりは全くない前提ですの で、本人が知った上であえてするというときに法的に禁止すると、そういう意図ではな かったと私は思っています。 ○矢崎部会長 法的な特に親子法とかそういうものにつきましては、法制審議会とこの 会で十分検討しながら進めていきたい。最終的には法制度的なものは法制審議会で一応 検討していただくということで、今回は親子関係以外の、今までそれを除きますと3点 ぐらいに集約できるかと思いますけど、1点は学会という専門家集団からの答申と、そ れから、もう少し幅広い視野から立った厚生科学審議会の報告書との少し、まだ代理懐 胎までいかない前に意見の齟齬があるということが1つと、もう一つは、子どもの権利 の保護という立場から出自を知る権利、これをどういうふうに対応していくかというこ とで、これは検討課題の中で、この情報に関して、公的管理運営機関というものを検討 していくということになっていますので、そこで議論を再びできる可能性があると。  こういうコンセプトに関しては、社会の意識が進むにつれて変わっていく可能性があ りますので、この報告書に基づいて、また我々の報告書が出ますけれども、これはまた 3年たったら見直すということになるわけですか。 ○藤崎課長 こちらの報告書ですか。この部会での報告書ですか。 ○矢崎部会長 というか、最終的には国会を通るわけですね。ですから、国会を通っ て、ある程度法的に環境整備された段階のそのものが、先ほど3年余で見直すと。その 段階のことがまたさらに社会の意識に従って変わりうるということなのでしょうか。 ○藤崎課長 それはこちらの部会での御議論の中でどのような御要望が、この部会とし ての検討を終了した段階でこちらに示される過程が1つございますし、また、国会で審 議をしていただいて、法律が仮に通るとすれば、いろいろと何年後に見直しをするよう になんていうのがよくつくわけですね。そういうようなこともあり得ますし、そこはい ろいろな形があろうかなというふうには考えております。 ○矢崎部会長 そうしますと出自を知る権利については、検討課題の3番のところでま た新たに議論をさせて…… ○福武委員 よろしいですか。 ○矢崎部会長 はい、どうぞ。 ○福武委員 提供の条件というときに、では提供する方と親子関係が切れるのかとか、 提供されて子どもを生んだ人の母親がだれになるのかとか、そういったものとか、生ま れた子どもにどの程度までインフォメーションを与えるかということが完全にリンクし てくるのだろうと思うんですね。  というのは、報告書を見て思いましたのは、子の出自を知る権利をかなり制限する理 由として、子どもに出自を知る権利をすべてオープンして与えると、こういった技術そ のものがそもそも使えなくなる、つまり提供者がいなくなるというようなこととのバラ ンスで書かれている面がとてもあったように私には思えたんです。ですから、検討課題 の3における生まれた子が知ることができるというのは、管理の方法に関する話だけで あって、その内容についてではないのではないかと私は思ったんですが。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。それについては、また。 ○石井委員 話が先に行かないうちに、せっかくAIDの調査の話があったので、でき れば、私は前の委員会のときには、吉村先生に説得されて調査は不可能ですよというこ とに納得はしたのですが、それでほかの方とも話したときに、もう少しやりようがある のではないか。その方などは、先ほども金城先生も御自身で何人かの方から、自分は生 まれたという話を聞いているとおっしゃっている。ほかにも何人かそういう方も伺って いるので、ここの委員会としてぜひそういう人から情報が欲しいという形で名乗り出て もらう。もちろん匿名性は守るし秘密は厳重に守ると。しかし、今度の審議を進める上 で、そういう人の体験というものが大変重要なんであるということで、何らかの形で情 報収集する。そういうことをやっていただけないかどうかということをお願いしたいの ですけれども。 ○矢崎部会長 それは私、3番目に実態調査についてお諮りしようと思ったんですけれ ども、とりあえず出自を知る権利について、これについては、また議論をさせていただ きたいということで、ここで区切りではないですけれども、何か御意見ありますでしょ うか。もし何か、きょうは自由討論ですので、別にこの検討課題に限らず御提案いただ いてもよろしいかと思いますが、いかがですか。 ○金城委員 申しわけありませんが、出自を知る権利については絶対必要だということ で、この報告書についても一番問題はここだと私思っているものですから、一言だけ言 わせていただきたいと思います。  今、養子の実態でテーリングを進めていらっしゃるということを伺ったんですね。そ ういうことも加味すれば、やっぱりこれは提供受けたときでも、真実は言うようにとい う指導をして、今までのように秘密秘密ではなくて、そういうことの上に出自を知る権 利というのを保障していくのがいいのではないかと思います。  そして実態調査をするとかなりわかってくるのではないかと思うんですけれども、 やっぱり危機的な状況で、実はAIDだったというようなことが一番子どもを傷つける ことになるのではないかと思うんですね。非常にいい関係の中で、実はこうなんだよと いうことが知らされれば、これは余り大きなトラウマにはならないのではないかと、そ んなこともございますので、ぜひこの点については詳細な御検討をお願いしたいと思い ます。 ○矢崎部会長 いかがでしょうか。委員会である程度制限すると。先ほど小泉先生か ら、ちょっと内容がわかりにくいというお話がありましたけれども、その状況をもう少 し。 ○加藤委員 さっき福武さんがおっしゃったように、委員会では出自を知る権利は完全 に認めろという意見と、出自を知る権利を完全に認めたならば提供者はゼロになるとい う意見が両方出たわけですよね。それで出自を知る権利というのを、私の頭の中では2 つに分けて、どうしても合理的な判断のために必要な範囲内で知る。例えば近親婚を避 けるためには知る権利があると。しかしながら、どういう髪の毛をしていたとか、どう いう趣味であったかということについては、厳密な意味での権利までいかないのではな いかと。だから合理的に必要な範囲と提供者が認めた範囲内では出自を知る権利を認め るけれども、しかし全面的な出自を知る権利は認めなくていいという、これは折衷案 だったと思います。○石井委員 ここで言うことがいいかどうかわからないのですが、 私は出自を知る権利を認めるべきだという論を主張していた立場なんですけれども、最 終案で、私も一応納得して、これで合意して1つの案にはなっているのですが、1つは 養子とはやはり決定的に違う。養子というのは、実子因子関係が一回生じた上で、その 関係を切って新たに養子因子関係をつくる。だから一たんできた実子因子関係は否定で きないわけです。それを子どもに伝えることは絶対必要な事柄だろうということが1 点。  もう一つは、真実の親、真の親ということなのですが、最初に課長さんからも説明が あったと思うんですけれども、親子関係において血縁を絶対的なものと考えない。遺伝 的なものが絶対ではない。どちらかといえば、親子、養育していく関係、それが親子と して重要である、そうい考え方。委員会全体がそうだったかどうかわからないんです が、私はそこのところを考えると、この場合にはまさしく生まれたときからその人が親 として育って、だから、その人こそが、そういう意味での親なのであってという前提で あるから、血縁的なことが必要な場合はもちろんある。だからそれをなるべく開示され る方向には持っていきたいけれども、養子のときのほどの絶対性を持った出自の知る権 利の保障ということにできないのではないかということ。  もう一つ、3点目は、諸外国を見ても完全に知らせるという方向になかなかいってな い。この問題の難しさということがあるわけですし、スウェーデンのように認めた国で も、現実にはまだ行われていないわけですから、知らせるということがどういうことに なるのかということがわかってないということもありますし、3年の見直しということ が入っているということは、現実にこういう医療が行われている中でいろんな問題が出 てきて、それを踏まえ、また諸外国の状況というものも踏まえて考え直す時期というの があるのではないか。妥協案であったところもあるから、検討事項に入っているという こともあるのだと、私は思っています。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。 ○吉村委員 よろしいですか。出自を知る権利についてですが、私が父親に「AIDの 事実を知らせますか」との統計をとったときに、クライアントの父親は80%は「絶対に したくない」。そして、19%は、「できればしたくない」。1%がしてよいのではなく て、「しても仕方がない」だったですか、そういうような感じなんですね。  社会というものが大きなファクターだとはもちろん思うのですけれども、こういった 医療が本当に行われるようになるのかどうかということはわかりませんけれども、こう いった医療をやる場合には、クライアントがとにかく出自を知る権利があるということ をまず認識しないとできないんですね。  福武先生のおっしゃっていることは私大変よくわかるのですが、日本人のクライアン トがそこまでして、例えばこういった医療を受けない。そうであったら、それはしなく てもよろしいという意見であれば、それはそれでいいと思うんですけれども、クライア ントの夫婦が本当にそういったことになじんでいるかということですね。そこまで考え てこういった医療を受けようとしているのか。私はいつも思うんですけど、これは踏み 絵か試金石かわからないんですが、出自を知る権利はクライアント夫婦にとっては大変 大きな問題だと私は思うんですね。  そういった点で、出自を知る権利とは認められないような専門委員会の報告書になっ てしまったのでは、私はないのではないかと思います。確かに出自を知る権利、全部に 特定するまで認めようということをおっしゃった先生も1〜2名はお見えになったと思 いますけど。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。あと課題がまだ幾つか残っていると思 いますが、実際に実態調査といいますか、それがどの程度、どういう様式で、疫学的調 査みたいなものではなくて、何かそういう方のお気持ちを知りたいということがあっ て、ここに見えられるかどうかは別として、何かそういう手だてというのはあるんです か。 ○吉村委員 父親からデータをとったときには必ずいろんなことが書いてあるんです ね。熱心に書いてある。別に名前は書いてありませんのでお見せしてもそれは全然構わ ないと思いますが、例えば、それは石井先生がおっしゃったように、だれか本当に子ど もが生まれてきた人にここへ来ていただいてお話を聞くということの方が意味があるの ではないか。 ○石井委員 今おっしゃってくださったことが可能であるならば、その資料を何らかの 形でもう少し具体的にお示しいただくだけでも随分違うと思うんです。 ○吉村委員 私はその資料は別にこの委員の方にお見せしてもそれは構わないと思いま す。この資料を使うことがありますということを、患者さんに対しても言ってありま す。ただ、これはどうなんでしょうか、公開されるということについてはどうか。そこ までは同意をとっておりませんので、その点についてはちょっと。 ○矢崎部会長 何か。 ○藤崎課長 今の扱い方については、もし吉村委員の方で、それは提出可能だと、仮に クローズドならクローズド、この委員会として、そういう形でなら提出可能であると か、あるいは先生方もそういうことを望むということであれば、机上配布のような形で の扱いは可能かと思いますし、またあるいは委員にお配りして読んでいただくという形 のものも可能なのかと思います。 ○吉村委員 ただ、いろんなことが書いてありますので、事務局の方に箇条書きにでも 書いていただく。かなりたくさんありますので、それは70名か80名ほとんどの方が何か 書いていますので、そのようなことをやっていただけるならばそれは私は構わないと思 いますけど。 ○藤崎課長 作業的な問題もありますので、例えば全部になるのか、あるいはランダム に抜かせていただくのか、やり方幾つかあろうかと思いますけれども、委員の先生方が それが不可欠であると、この中の議論として、そういう御要望であれば、事務局として はそれに応えるように努力はしたいというふうに考えております。 ○金城委員 でもあれはお父様の御意見ですよね。子どもはまだ小さいわけですから、 子どもについてAIDがどういう影響を及ぼすかということについては、何も出てこな いといっても過言ではない。 ○吉村委員 それは可能性があります。3歳から5歳ぐらいだと思ったんですけど。 ○松尾委員 私もその調査の意義には懐疑的です。というのは、30年前と現在では家族 機能とか親機能というのは全く変わっているわけですね。ですから現在の親と30年前の 親という異なる条件の下で育った子どもにどういう影響があるかということを考えます と、単なる参考資料にすぎないというふうに思います。 ○矢崎部会長 意見が少し分かれましたけれども。 ○高久委員 よろしいですか。私も参考資料にすぎないとは思いますが、事務局でうま くまとめてくだされば、ないよりはあった方が良いのではないか。 ○矢崎部会長 それでは申しわけないですけど、室長さんにちょっと吉村先生と資料を うまく委員の皆様に御理解いただけるように、現状を、限られた範囲内ですけれども、 それは一応お願いすると。  それでもう時間が終わりに近くなってきましたけれども、そのほか、この報告書の中 で、例えば「非配偶者間生殖補助医療等の是非について」という項目がありますけれど も、それについては御意見ございますでしょうか。 ○鈴木委員 ごめんなさい、ちょっと戻って、提供者の調査も私お願いしたつもりなん ですけれども、提供した方々の調査に関しては何か資料はございませんか、吉村先生。 吉村委員 ありません。 ○ ○鈴木委員 あるいは調査は不可能ですか。それこそ学生にほとんどお声をかけてきた 経緯があるわけですから、卒業生名簿なりでも実はできるのではないかと、そちらの方 が本当は調査可能だと正直思っています。ぜひしていただきたいと思うんですが。 ○吉村委員 それは依頼をするときにそういったことがあるということは当然予想して おりませんので、そういったことによって、提供してくれと言ったことは私たちはあり ません。完全匿名ということで言っているので、それはちょっと難しいのではないかと 思いますけれども。それを知るとどういうことが言えるのでしょうか。 ○鈴木委員 私は先ほど言ったように、提供者のその後も非常に気にかけているわけで す。では提供する人に対してどのような説明が必要なのか、あるいは彼らにもフォロー が必要なのではないかというふうに考えておりますので、その辺のもし資料があればや はり欲しいと思うのですが。 ○吉村委員 それはもし可能となるならば、そういったことがあり得るということを前 提に提供していただいて、そして、それからでないとちょっと不可能だと。 ○鈴木委員 今まではそういうことは全然お話しなさってなかったのでしょうか。 ○吉村委員 そういうことは話しておりません。提供していただく場合には、あなたは 完全匿名ですということでやっております。そういったことについては私たちはその提 供者に対して話しておりませんので、それは今からとれというのはちょっと難しいので はないかと。これから先、そういったことで提供していただいて、ということであるな らば、私はとれると思うのですけれども。 ○矢崎部会長 そのほかいかがでしょうか、どうぞ。 ○古山委員 AIDの話はこれまでにしていただいて、これからの部会の討議は、報告 書の原案に基づいて進めていくということでございますが、それですと代理懐胎につい ては一応禁止という方向ですから、これについては審議しないということになります。 先ほど石井委員、加藤委員から、もう少し慎重に専門委員会でも全面禁止については 扱った方がよかったのではないかというような、そういうニュアンスの発言がありまし たが、この委員会で代理懐胎については審議しないのでしょうか。 ○矢崎部会長 これはもしそういう御意見があれば、この報告書の後、いろいろ社会的 にもこの問題が注目されていますので、それもちょっと視野の中に入れてもいいのでは ないかというふうに思います。それで残された時間をちょっとその問題で、先ほど委員 会で全面禁止ではなくて条件禁止でもよかったのではないかとおっしゃられましたけれ ども。 ○加藤委員 この前の委員会では、代理母も認めたいという意見の人も多分いたと思う んですね。実際に代理母を推進したいという人々の意見を聞いたならば、その人たちが アメリカでいろいろ事例を調べた結果、非常にいろいろな弊害があるので自分たちはあ えて推進しないという考え方をとると。そういうふうにおっしゃったので、何も我々が 無理してぎりぎりいっぱいのところでガイドラインをつくるよりは全面禁止でいいでは ないかと、そんなに簡単に決まったわけではないけれども、大体議論の流れがそういう 雰囲気だったと思うんです。  しかし、その団体以外の人々は一体どういう意見を持っているのか。それから日本で そういうことを求めている人がもしいるとすれば、その人たちはどういう意見を持って いるのかということを聞いて、全面禁止でいいのか、それともこういう症例については ある条件をよく吟味してカウンセリングをして認めるという方向づけにした方がいいの かという議論は完全には詰めていなかったと私は思います。 ○荒木委員 日本産科婦人科学会といたしまして新しい倫理審議会を立ち上げまして、 まず一番初めの諮問事項として代理懐胎を取り上げて8月から始まる学会倫理審議で検 討する予定でございます。会員からも代理懐胎でもう認めようという意見が数件参って おりますので、それを尊重して学会も検討しようということになって、倫理審議会に諮 問させていただくことになったわけです。 ○石井委員 加藤先生との認識の違いかもしれません。詰めてないと言われれば確かに 詰めてないのかもしれませんけれども、委員会で積極的に認めるべきだという議論は出 てこなかったものですから詰められなかったというべきであって、全面禁止に反対する 意見というのはなかった。そして、先ほど加藤先生がおっしゃったように、ヒアリング をしたときに、薦めてきた人も否定的な見解を述べられたということがあったので、一 層そちらの方向で異論がなくまとまったのではないかと私は思っておりますが。 ○吉村委員 矢崎先生、よろしいですか。その前にちょっといいですか、代理懐胎のお 話ももちろんいいと思うんですけど。この中にはいろんな方がお見えになるわけですか ら専門委員会でこういった案をつくりましたが、精子提供の体外受精はだめだとおっ しゃる方だってお見えになるかもしれないし、卵子提供もだめだということもおっしゃ る方もお見えになるかもしれない。  またもとに戻ってしまうということもあるんですけど、初めにその辺だけは、この 案、要するに最低限代理母に行く前に、精子提供による体外受精あるいは卵子提供によ る体外受精、胚提供による体外受精を本当にやってもいいのかどうかということについ て皆さんがそのような方向性でいかないと、次からの話し合いが成り立っていかないよ うな感じがするのですが。 ○高久委員 精子提供による体外受精はAIDと非常に似ていますから、その点は余り 問題ないと私は思います。卵子提供の場合の、先ほどの産婦人科学会の会則とこの報告 書との差はかなり大きな問題になると思います。  それから、代理母の問題は、この報告書の22ページに、本専門委員会の基本的考え方 として合意の6項目がありますね。その合意の6項目の中の2項目目が代理母に該当す ると思います。この専門委員会の基本的な考え方をこの部会で認め、ここからスタート するならば、代理母まではいかないのではないかと思います。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。 ○福武委員 よろしいですか。 ○矢崎部会長 はい、どうぞ。 ○福武委員 すいません、日弁連の方では、精子・卵子・胚という形でセットで考えて はいなかったんですね。精子提供とか卵子提供については、それは男女の平等だとかい ろんな問題として、それは可能ではなかろうかと。ただ、技術的な問題とかいろんな問 題もちろんあります。ただ、胚については全く実際に育てる父親とも母親とも違う人に なるわけですから、それまでについて同じような形でオーケイなのかというと、私はか なり疑問を持っています。ですからどうしてこの報告書で並列になってしまったのかと いうのはかなり疑問は持っています。 ○新家委員 私が発言するとまた吉村先生じゃないけど、もとへ戻っちゃうような気が して今まで実は黙って先生方の御意見を聞いておったわけでありますが、まずドナーの 権利と子どもが親を知る権利とどちらが大事なのか、その辺もよくわからなくなりまし た。  それから、この非配偶者ということを導入したためにこの論議が起こっているわけで すね。さらに非配偶者は一歩譲って、生んだ人がその子の母親だということであれば、 もうここでとめておくべきなんです。代理懐胎を認めるということになってくると、親 子に関わる法的整備が大変な事業になります。また親子法がおかしくなってくる。です から、どこかで歯どめをしておかないと、私にはわかりませんけれども、将来これによ り更に、想像できないような問題が付随して出てくるのではないかという気がします。  不妊症の方の子どもが欲しいという気持ちは非常によくわかるんですが、私に言わせ ますと、とにかくどんな方法でも良いから子どもができればいいということしか考えて いない。  例えば公的審議機関で、ここにドナーのデータが残っているから、子どもが何かのと きに私の父親とちょっと違うぞ、母親と違うぞと疑問を持った場合、簡単に親子という のは判別できてしまう。で、そうなったときに、じゃあ私の本当の母親は誰なんだとい う問題が出てきて最終的には開示することになると思います。  たまたま吉村先生の大学にAIDのデータが今あるので吉村先生が苦労されているけ れども、どこまで開示してよいかを契約時に提供者に提示してもらい、開示してほしく ない情報は記録として残さない方法をとることができれば、将来子どもが出自を知りた くなっても提供者の匿名を保持することができます。あまり子どもの権利を認めすぎる と、提供者が減ってしまうと思います。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。これはなかなか2年2カ月物すごい年 月で議論して、さらにまたこの委員会で議論して結論にいくというのはなかなか難しい と思います。それで、今後の方針ですけれども、基本的にはこの報告書に、我々ある程 度ベースを置かざるを得ないと。その上でいろいろ御議論いただいた点を今後ももう少 しインテンシブに、具体的に今お話のあった、実態はどうなのか、その結果はどうなの かということについても可能な限り議論を詰めさせていただければというふうに思って おりますけれども、この部会長であられた高久先生、何か、すいません。 ○高久委員 矢崎部会長、本当に御苦労さまです。以前の専門委員会の方、特に中谷先 生が一番御苦労されたのですが、この部会もなかなか大変と思います。専門委員会の 方々が非常に苦労されてつくってこられたこの報告書、これを基本にして始めません と、またもとに戻りますと2年わずかという期間に間に合わないと思います。私として はぜひこの報告書を基本として議論を始められ、もし直す点があればそこは議論する。 そのことが、差し当たって必要なのではないかと思います。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。恐らくこの委員の20名の皆様が一点に 集約して 100%アグリーメントというのはなかなか困難だと思います。したがいまし て、2年2カ月で29回ですか、お集まりいただいた議論の結果、これをもとにしまし て、今後も議論を進めていきたいと思いますけれども、ただ、最初に私申し上げました ように、社会はどんどん動いていますので、そういういろんなパブリック・コメントを 議論に生かしながら進めていって、最終的な、今からギブアップ宣言みたいなことを 言っていたら大変恐縮なんですけれども、とても全会一致の御意見が得られないかもし れませんけれども、私どもとしてはある程度具体的な方策とか手続を示さないと、現実 の医療としてはどんどん、こういう手続なしに行われた場合に、やはり社会的にも問題 が大きくなると思いますので、一応なるべく早い時期に生殖補助医療のあるべき姿とい いますか、我々が社会に受け入れられる医療として、実際的に実施面で工夫していった らいいかということを議論し、どうしても結論的に一致しない部分は、またその御意見 をつけながら、この検討会を進めていきたいと思っております。  もし何か、また委員の方々から御意見がありますれば、事務局の方にお申しつけいた だければ、また私、事務局と相談の上、どういうふうにこの委員会の検討にフィード バックさせるかを考えていきたいと思いますので、何とぞ御協力のほどよろしくお願い したいと思います。  きょうは大体大変長い時間、3時間近く御議論いただいて、大変ありがたく存じま す。今後も大変なスケジュールでございますけれども、委員の皆様方には今後とも御協 力のほどをよろしくお願いいたします。  きょうは第1回目で自由討論ということでございましたので、今後はもう少し具体的 な課題を検討していきたいというふうに思っております。最後に事務局の方から何かご ざいますでしょうか。 ○平山委員 すいません。 ○矢崎部会長 はい、どうぞ。 ○平山委員 すいません、終わりの時間になって申しわけありません。特に混ぜ返すつ もりは全くありませんので、少々時間を下さい。先ほどカウンセリングの話が出ました ので、そのときに部会長は、これは第2課題なので置いておいてくださいと言ったので あえて黙っておりましたが、私は不妊症の専門カウンセラーとして、この部会に呼ばれ たというふうに考えております。カウンセリングというものに対する認識、恐らく先生 方、20人のメンバーでもかなり違っておるというふうに理解しております。  今の議論をずっと聞いておりますと、本当に専門家による専門的なカウンセリングが 継続的に必要であるという認識はかなりのメンバーが持ってくださっていると私は理解 しております。その点は非常に私も同意見であって、単に何回か研修会をして、はい、 認定みたいな、そういう単純な話ではないという理解をしております。少なくともアメ リカ、私はアメリカで生殖心理学の専門的なカウンセリングの勉強をしました。そこで 聞いた欧米の現状なども、これから詳しくまた御紹介したいと思いますが、第三者利用 による生殖補助医療を実施する際には、生殖補助医療に詳しい心理学者、カウンセラー によるドナー、レシピエントの専門的なカウンセリングが私の例ではアメリカですけれ ども、行われております。特にスクリーニングですね。ドナー、レシピエントに対する スクリーニングというもののガイドラインもできつつあります。  そういうものもこれから適時、欧米の心理学者とのネットワークを通して皆様に御紹 介できればと思っておりますし、我が国の第三者生殖、第三者利用による生殖補助医療 にも必ず必要だというふうに考えておりますので、その点で貢献できるのではないかと 思っております。  ですので、心理学のおくれというのは、渡辺先生がおっしゃったように非常に深刻な わけですけれども、少なくとも生殖補助医療に関するカウンセリングというものを心理 学会等と連携をとって、うまくつくっていければなというふうに考えておりますので、 またその議論の際にはよろしくお願いいたします。 ○矢崎部会長 どうもありがとうございました。貴重な御意見をいただきまして、実は やはりそういうことを環境整備しないで、こういう医療が行われることに対する危機感 で、この検討部会があると思いますので、また平山委員にはぜひその点については、今 後ともよろしくお願いいたします。  はい、どうぞ。 ○鈴木委員 質問です。議事録は全部オープン、公開ということですが、前回のときは ホームページにアップするまで6カ月ぐらいかかっていたこともあるので、今回はどの くらいで大体アップするのかなという、もちろん大変だということはわかっているんで すが。また、私、会の方に、きょうはこんなふうに言ってきましたというように報告を するつもりでもおります。そういう、ホームページで議事録を完全にアップする前に、 自分たちの会の会報あるいは関連団体のミニコミなどに自分なりの感想とか報告を出し てもいいものなのか、マナーとしてこういうときはどういうふうになっているのでしょ うか。 ○矢崎部会長 3時間の討論の議事録は大変だと思いますが、これはなるべく早くやっ ていただきたい。 ○藤崎課長 前回の専門委員会のときにそういう御指摘ありまして、我々もなるべく早 くしたいと思っておりますので、1カ月半から2カ月ぐらいの間は出せるように努力を したいと。一応議事録を打っていただいたやつを、先生方に間違いないかどうかごらん いただきますので、それがどれぐらいで返ってくるかということにも当然かかわります ので、その辺の御協力もぜひお願いをしたいと思います。  それから、今のマナーの点ですけれども、基本的には概要とかそういうことはよろし いのかなと思うんですが、どの先生が何を言われたかとか、そういうことはきちんとし た形でとらえられるとは限りませんので、その辺のところは良識的にお願いできればと 思いますが、どんな感じの議論がなされたとか、そういう概要は差し支えないのではな いかと思っております。 ○矢崎部会長 議事録の訂正に関しましては、ごく細かな数字の違いとか、それぐらい にとどめていただいて、即刻事務局にお返しいただかないと時間がかかりますので、ほ ぼ訂正なしでいっていただければ早くなりますので、よろしくお願いいたします。  それでは、次回の予定その他よろしくお願いします。 ○桑村室長 ありがとうございました。それでは次回の当部会の予定でございますけれ ども、8月15日(水曜日)でございますが、非常に設定としてはあれですけれども、14 時から17時を予定してございます。場所は本日と同じ場所でございます。厚生労働省17 階の21会議室ということでございます。よろしくお願い申し上げます。 ○矢崎部会長 すいません、お盆の中日で大変恐縮に存じますが、何とぞよろしくお願 いします。  きょうは本当に長時間にわたりまして、御熱心に討論いただきましてありがとうござ いました。  何か局長さんの方でありますか。 ○岩田局長 長時間、どうもありがとうございました。 照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課     03−5253−1111(代)     桑島(内線:7933)     小林(内線:7940)