01/05/28 毒性・添加物合同部会議事録 薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会 毒性・添加物合同部会 議  事  録 日  時:平成13年5月28日(月) 14:03〜15:56 場  所:厚生労働省国際ビル共用会議室 国際ビル6F629, 630号室 議  題: (1) L−アスコルビン酸2−グルコシド、ビオチン、ヒドロキシプロピルメチルセル ロール及びリン酸三マグネシウムの食品添加物としての指定の可否について (2) グルコン酸亜鉛、グルコン酸銅、酸化マグネシウム及び炭酸マグネシウムの使用基 準改正の可否について (3) その他 出席委員(敬称略):   石綿肇、井上達、井村伸正、鈴木勝士、鈴木久乃、高仲正、中澤裕之、    西島基弘、林眞、廣瀬雅雄、福島昭治、米谷民雄、三森国敏、    山崎幹夫(添加物部会長)、 山添康 事務局:石井基準課長、坂本課長補佐、江原課長補佐 ○事務局  それでは、定刻となりましたので、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性・添加 物合同部会を開催させていただきます。本日は御多用のところを御参集いただき、まこ とにありがとうございます。 本日は、毒性部会12名中7名、長尾先生が遅れておりますので現在6名でございます が、添加物部会13名中11名に御出席いただいておりますので、本日の部会が成立いたし ますことを御報告申し上げます。  それでは、まず初めに、基準課長よりごあいさつ申し上げます。 ○基準課長  基準課長の石井でございます。本日は、御多忙のところ、また暑い中をお集まりいた だきましてまことにありがとうございます。  本日、添加物と毒性の合同部会ということでございますが、本年1月に省庁再編にな りまして、また食品衛生調査会も中身が変わりまして、中央薬事審議会と一緒になり、 薬事・食品衛生審議会という新しい審議会が設けられたわけであります。その中で食品 衛生分科会という分科会ができまして、その中に毒性部会と添加物部会、2つの部会が できました。本日はその合同部会ということで、新しい体制になっての初めての合同部 会ということで開催させていただくものであります。  本日の議題は、大きく決定をいただくというようなものはございませんで、これまで 食品添加物の指定をしてほしいということで要請のありました特にビタミン、ミネラル 類でございますが、そういったものについての今後調査会で議論をしていくということ に先立ちまして、部会の方からいろいろな御意見を賜れればということでございます。 また、既に指定されている添加物につきましても、使用基準の改正の要請がございます ので、それにつきましても、今後調査会で御議論をいただく上で、本部会にお諮りいた しまして御意見等をいただくということになっております。  今回、ビタミン、ミネラル類が多いというのは、この4月から新しく保健機能食品と いう新たな食品分類ができ上がりました。この中で、特にビタミン、ミネラルにつきま しては、一定の効能といいますか、栄養上の効能を表示することができるというような 分野ができまして、それに扱われる栄養素としてのビタミン、ミネラル類は、食品添加 物としての指定を受けることになってスタートいたしました。そういった関係も間接的 ではありますが影響を受けておりまして、今回幾つかのビタミン、ミネラル類が新たな 指定の可否について検討願う、あるいは使用基準の改正の可否について、使用の範囲を 広げることの可否について検討願うと、そのようなことになった背景がございます。  これから担当者の方から指定の中身につきまして御報告をさせますので、御意見をい ただければ幸いだと思います。本日はよろしくお願いいたします。 ○事務局  本日は、議題1及び2の2件につきまして御審議をお願いしたいと考えております。  それでは、まず資料でございますが、資料の2枚目をごらんください。ここに毒性部 会・添加物部会の委員一覧がございます。薬事・食品衛生審議会が発足して以来、第1 回の合同部会ということもございますので、事務局より委員の御紹介をさせていただき たいと思います。  名簿の上からあいうえお順に御紹介させていただきます。  国立衛研毒性部長、井上先生。  前大阪府立大学農学部教授の江崎先生からは御欠席との御連絡を受けております。  自治医科大学教授の香山先生からも御欠席との御連絡を受けております。  佐々木研究所長の黒川先生からも御欠席との御連絡を受けております。  日本獣医畜産大学の教授、鈴木先生。  国立がんセンターの臨床疫学研究部長の津金先生からは御欠席との御連絡を受けてお ります。  東京農業大学教授、長尾先生は遅れていらっしゃると思います。  それから、国立衛生研究所の変異遺伝部長の林先生。  国立衛生研究所病理部長、廣瀬先生。  大阪市立大学医学部教授の福島先生。  東京農工大学農学部獣医学科教授、三森先生。  添加物部会でございますが、国立衛生研究所添加物部第一室長の石綿先生。  北里学園常任理事、井村先生。  女子栄養大学教授、鈴木先生。  財団法人日本公定書協会理事、医薬品機構顧問、高仲先生。  星薬科大学教授、中澤先生。  実践女子大学生活科学部教授、西島先生。  国立衛生研究所添加物部長、米谷先生。  東京大学大学院の助教授山川先生からは御欠席との御連絡を受けております。  千葉大学名誉教授、山崎先生。  東北大学薬学部教授、山添先生。  国立健康・栄養研究所主任研究官の吉池先生からは御欠席との御連絡を受けておりま す。  本日の座長は、添加物部会長であります山崎委員にお願いしたいと思います。山崎先 生、どうぞよろしくお願いいたします。 ○山崎部会長(座長)  山崎でございます。今日、毒性部会の黒川部会長が欠席でおられますので、私が座長 を務めさせていただきます。  それでは、早速ですが、配付された資料の確認を事務局の方からお願いいたします。 ○事務局  本日は、議事次第などを1つの資料にまとめて配付させていただいております。  まず、一番上に議事次第、それから1枚めくっていただきまして、2枚目が先ほどの 委員名簿でございます。座席表は別途配付させていただいていると思います。その次の ページが配付資料一覧でございます。そこに九つの資料ということで一覧表にさせてい ただいております。次のページをめくっていただきますと、順番に資料1、食品添加物 の指定及び使用基準の改正の可否に関する薬事・食品衛生審議会への諮問について、そ れから、資料2といたしましてL−アスコルビン酸2−グルコシド、資料3はビオチ ン、資料4はヒドロキシプロピルメチルセルロース、資料5、リン酸三マグネシウム、 資料6、グルコン酸亜鉛、資料7、グルコン酸銅、資料8といたしまして酸化マグネシ ウム、資料9は炭酸マグネシウムについてでございます。  以上の資料につきまして、不備等ございましたら事務局までお知らせください。 ○山崎部会長 よろしゅうございますでしょうか。資料はおそろいでしょうか。  それでは、早速議題の方に入らせていただきます。議題は、先ほど基準課長からも御 紹介がありましたとおりでございまして、今日は、指定の可否と使用基準改正の可否に わたっております。  それでは、まず、議題1のL−アスコルビン酸2−グルコシドから御説明をしていた だきたいと思います。 ○事務局  まず、資料1でございますが、食品添加物の指定及び使用基準改正の可否に関する諮 問についてということをまず御説明差し上げてから、資料2のL−アスコルビン酸2− グルコシドの方を引き続き御説明させていただきたいと思います。  食品衛生法第6条に食品添加物の規定がございまして、御存じのとおり、食品添加物 の製造、輸入、販売などにつきましては、人の健康を損なうおそれのない場合というこ とで、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定める場合を除きまして、 原則として禁止されているという状況でございます。「原則として」と申し上げますの は、例えば、食品を添加物的な扱い方をした場合とかは例外となっているということで ございます。  また、食品衛生法の第7条第1項によりまして、食品添加物などの規格や基準が定め られておりまして、それらの規格や基準に合致しない食品添加物の製造、輸入、販売、 使用などは禁止されております。規格とは、御存じのとおり、食品添加物の純度や不純 物の限度値を定めたものでございまして、基準とは、食品添加物を使用することができ る対象食品や添加物の使用最大限度などを定めたものでございます。今回、議題2の方 にございます使用基準の改正となりますと、7条の第1項の使用基準の改正の要請とい うことになっております。  それから、2でございますが、この指定の手続でございます。前の食品衛生調査会の 答申に基づきました平成8年3月の生活衛生局長通知によりまして、指定要請をする者 は、有効性、安全性に関する資料を添えて厚生労働大臣あて要請書を提出するというこ ととされておりまして、今回、要請があったものでございます。また、保健機能食品で ありまして、カプセル、錠剤など、通常の食品形態ではない食品の成分となる物質の指 定につきましては、先般、3月27日に食品保健部長通知によりまして、同様の資料を添 えまして、厚生労働大臣あて要請書を提出することとされております。ただ、若干資料 につきまして違いがございます。  3でございますが、今回はL−アスコルビン酸2−グルコシド、ビオチン、ヒドロキ シプロピルメチルセルロース、リン酸三マグネシウム、これらはすべて強化剤、今回の 保健機能食品に関するものでございます。それらの指定につきまして要請がございまし た。それから、次の4品目でございますが、グルコン酸亜鉛、グルコン酸銅、酸化マグ ネシウム、炭酸マグネシウムにつきまして、これは現在指定のあるものでございます が、その使用基準を改正いたしまして保健機能食品に使用することができるようにする 改正案で要請がきております。  その他でございますが、御参考までに、本年4月1日現在に指定されております食品 添加物の総数は338 品目でございます。  次に、資料2をごらんください。L−アスコルビン酸2−グルコシドの食品添加物と しての指定でございます。  1の品名はグルコシドということで、用途は強化剤ということで指定要請がきており ます。指定要請者などにつきましては、以下のとおりでございます。  食品添加物としては外国では使用は認められておりませんが、アメリカ、EUにおき まて、化粧品の成分として使用されております。また、EUでは飼料成分としての使用 が認められているところでございます。  構造式などは以下のとおりでございますが、左のアスコルビン酸に糖を結合させたと いうアスコルビン酸の誘導体となっております。L−アスコルビン酸は、現在、先ほど 申し上げた食品衛生法第6条の規定に基づきまして指定されておりまして、酸化防止 剤、強化剤として清涼飲料水、菓子、サプリメントなどに使用されております。  ところが、御存じのとおり、このアスコルビン酸は、熱や酸化的条件に対して極めて 弱いという欠点がございまして、この問題を解決するためにアスコルビン酸に糖を結合 させた本品が開発されたということでございます。このもの自体は酸化・還元性はあり ませんが、熱、酸化的条件、光に対して極めて安定でございます。  次のページをごらんください。  有効性でございますが、ラットにおける単回経口投与試験、アスコルビン酸の欠乏モ ルモットにおける反復経口投与試験を実施しましたところ、アスコルビン酸として体内 へ供給されまして、ビタミンCの作用を発揮するということが確認されております。  安全性でございますが、ラット及びモルモットにおける体内動態試験の結果、通常の 使用条件下では、消化管内で分解いたしまして、食品の常在成分であるアスコルビン酸 とグルコースになるということが示唆されております。  安全性試験は、単回投与毒性試験、それから28日反復投与毒性試験、変異原性試験を 行っておりますが、食品の常在成分、生体の常在成分ということでございまして、他の 部分につきましては省略されております。  使用基準につきましては、常在成分であるということもありまして、設定しないとい う案になっております。  以上、指定要請の概要でございます。 ○山崎部会長 ありがとうございました。本日、議題の1の方は、ただいまのL−アスコルビン酸2 −グルコシドを含めまして、資料で言いますと2から5までが指定の可否ということに なっております。  ただいまの御説明、L−アスコルビン酸2−グルコシドについて何か御意見ございま すでしょうか。 ○三森委員  事務局にお伺いいたします。2ページ目の有効性のところです。モルモットはもとも とアスコルビン酸が欠乏しているわけですので理解できますが、ラットはもともとビタ ミンCの合成能がある動物ですから、ラットにおける単回経口投与試験からどういう結 果が得られたんでしょうか。この有効性のところを読んでみると、「AsA欠乏モルモ ット」のところは意味をなさないと思います。 ○山崎部会長 いかがでしょうか。 ○事務局  申しわけございません。こちらにつきましては確認をさせていただきます。分解性を 見たものであるのか確認させていただきたいと思います。 ○山崎部会長 ほかに何か御意見。どうぞ山添先生。 ○山添委員  化合物のことについてお伺いしたいんですが、この一般名のところで、L−アスコル ビン酸2−グルコシドとなっていますが、図表のところを見ますと、立体の片一方のと ころだけ、αのグルコシドになっていますね。この薬物といいますか、この強化剤とし て使うものは、立体的にはどちらであってもよいとするのか、それとも片一方だけの指 定になるんでしょうか。 ○事務局  こちらにつきましては、物の方の確認を含めまして今後確認をさせていただきたいと 思います。 ○廣瀬委員  安全性の調査の4行目になるんですけれども、アスコルビン酸の単回経口投与等の試 験の結果はここに書いてあるんですけれども、グルコシドの試験結果が書いていないと 思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。 ○事務局  これは資料ミスでございまして、上から4行目の「アスコルビン酸」となっておりま すのは、「アスコルビン酸グルコシド」の誤りでございまして、アスコルビン酸グルコ シドの試験が行われております。大変申しわけございません。 ○山崎部会長 高仲先生。 ○高仲委員  安全性のところで、2行目、「AsAとグルコースになる物質であることが示唆され た」とありますが、これは、体内で完全にこういう形になって分かれてから吸収される のか、あるいは二糖類のままで吸収されるのか、その辺のところを十分お調べいただき たいと思います。と申しますのは、この前提が崩れますと、両方とも既にという安全性 の最後の結論のところに響きますので、その辺を十分にお調べいただきたいと思いま す。 ○石綿委員  使用基準のところなんですが、今、説明がはっきりわからなかったんですが、錠剤に 使わないことからということでしたか、錠剤に使うことから、どっちだったですか。 ○事務局  設定しない理由でございますが、生体常在成分であるということでございまして、錠 剤にも使い得ると、それから、通常の添加物として食品への添加もあり得るという案で ございます。 ○石綿委員  どっちもということですね。わかりました。  もう一つは、このままの形では、還元性その他はないということですが、体内に入っ てから分解されてということですが、使いようによっては、例えば、わかりませんけれ ども、生の肉のようなもの、あるいは発酵食品みたいに微生物の関係しているようなも の、使いようを工夫することによって、食品中でビタミンCを遊離させることが可能じ ゃないかと思うんですが、そうなると酸化防止剤的な効果も出てくるんですが、そうい うような使い方は、この案からするとできるんですか、できないんですか。あるいは目 的として、しないという目的なのか。 ○事務局  可能性としてはあり得るんだと思います。そちらにつきましても、実際にどのように 使うのかということも含めまして検討させていただきたいと思います。 ○高仲委員  もしここで書かれているように、消化管内で分解されて吸収されるとするとビタミン Cとして吸収される。ビタミンCに関しましては、御存じのように、我々は相当多量に これを摂取するような条件が備わっているように思うんですね。一方、これの毒性なん ですが、普通の健康人の場合にはそれほど影響が出るような結果というのは少ないんで すが、調べた文献の中では、腎透析をやっている患者さんが500 mg/日で作用が出たと いう報告がございます。これは文献としては信頼できるものなので、特殊な条件として は、ビタミンCといえども毒性を表すというふうにも考えられます。 それに対しまして、今、市販の錠剤としては1,000 mg、あるいは2,000 mgというよう なものが出ていますので、一日摂取量が、ここで言う補助食品の形でとった場合に、相 当量とる。さらに日常の食生活の中からビタミンCとしても相当量を我々は摂取してい るわけでございますから、したがいまして、このものだけではなくて、直接データでは とは言いませんが、できる限り国民が一日に摂取するビタミンCの量に関するデータを 集めていただけると助かると思います。 ○福島委員  二、三お聞きしたいんですが、まず、外国での使用状況のところですが、そこで「E Uにおいて飼料成分としての使用が認められている」ということですが、これはどうい う目的で飼料成分に入れられているのか、その目的がわかりましたらお教えいただきた いと思います。  それから2点目は、最初、三森先生からの質問がありましたラットにおける単回経口 投与試験のところのことですが、確かにこの点、ラットはビタミンC、すなわちアスコ ルビン酸合成能を持っています。ところが、モデル動物としてビタミンCを合成しない ラットもありますので、そういうラットを使った結果なのかということですね。そうい うモデル動物を使った結果、有効性のところの記載がなされているのかどうかというこ とです。これは三森先生の質問とも関連いたします。  それから3点目ですが、これは実は我々もビタミンC、アスコルビン酸のラット膀胱 発がんプロモーション作用というのをずっと前にやっておりまして、そこでの結果とし て、先ほど高仲先生が言われましたラットの高用量の結果ですが、一応、ビタミンCそ のものには発がんプロモーション作用がないけれども、それにナトリウム塩がつくと非 常に強いプロモーション作用があるということを報告しております。  そのことが有名なのはサッカリンでありまして、サッカリンのナトリウム塩もやはり 強い発がんプロモーションを有し、さらにサッカリンのナトリウム塩の場合には発がん 性もあるということで大きな問題になっております。それですったもんだいたしまし て、結論的に申しますと、たしか一昨年だったと思いますが、WHO、IARCでサッ カリンの発がん性プロモーション作用ということで会議がありました。結論的にドク ター・サムエル・コーエンらがいう、いわゆるサッカリンナトリウムのプロモーション 作用というのは、尿中に出てくるプレシピテートによるものであるということで、人に は外挿できないという、ラット特有の発がん機序であるということになって現在は解決 しているわけです。それでは、そのほかのナトリウム塩についてはどうなのかという と、そこまでの解決には至っておりません。基本的にナトリウム塩は、これは高用量の 場合ですが、発がんラットの場合にはプロモーション作用を出すということから見ます と、この場合も、先ほど高仲先生が言われましたが、アスコルビン酸とグルコースに腸 内で分かれると。その結果云々ということですが、そこら辺のところもしっかりさせて いただきたいと同時に、基本的には私自身は、いろんな面から見て、膀胱発がんを促進 するというようなことは人において起こらないだろうと思われますけれども、一応きち っとした形でそのあたりを検索しておく必要があります。それは文献的な意味も含めて で結構なんですが、一応そのあたりを頭に入れて、単にこの物質は常在成分になること が示唆されるから、安全試験項目としてこれとこれとこれだけでいいですよということ では済まされない。文献的にもそのところはきちっとしていく必要があるだろうと私は 思います。 ○山崎部会長 ありがとうございました。先生方から大変貴重な御意見をいただきました。本件につ きましては、それらの問題についてさらに詳細な検討をする必要があるかというふうに 思われます。したがいまして、調査会の方でまず検討をしていただいて、またこの部会 の方にその結果を持ってきていただくというような手続にしたいと思いますが、いかが でございましょうか。よろしゅうございますか。  それでは、調査会での検討結果を待ちまして、またさらに本部会で審議をするという 手続にさせていただきたいと思います。 ○事務局  先ほどの三森先生からの御質問でございますけれども、よろしいでしょうか。確認い たしましたところ、ラットにおける単回の投与試験では、アスコルビン酸の血中濃度を はかっておりまして、体内に供給されるのは、ちょっと誤解を招く表現で申しわけない んですが、体内に本品を投与したところ、体内にアスコルビン酸が供給されるというと ころが確認されたという結果でございますので御報告いたします。 ○山崎部会長  先ほどの三森委員の、ラットは合成能があるかという御質問ですね。よろしゅうござ いますか。  では、そういうことで。 ○事務局  次、資料3でございますが、ビオチンにつきまして概要を簡単に御説明させていただ きたいと思います。  本品目も用途は強化剤ということで、資料のとおり指定の要請がなされております。  ビオチンは、御存じのとおり、ビタミンH、補酵素Rとも言われる物質で、酵母の増 殖に必要な因子であるビオスの一成分として最初に卵黄から分離されたというものでご ざいますが、カルボキシラーゼの補酵素といたしまして不可欠なものでございまして、 脂肪酸の合成や糖新生の際のカルボキシル化を触媒する酵素の補酵素として有用という ことでございます。ビオチン欠乏時の症状といたしましては、結膜炎、剥離性皮膚炎、 皮膚や粘膜の灰色退色及び落屑、筋肉痛、疲労感などがありまして、それとともに血糖 値が著しく上昇したり、また、生殖機能や酵素活性への影響なども報告されているとい うところでございます。  この有用性でございますが、ビオチンは既に一般用の医薬品及び医療用の医薬品にも 使用されておりまして、一般用医薬品におきましては、ビタミンB2 主薬製剤、それか ら、ビタミンB2 B6 の主薬製剤に配合されております。医療用医薬品におきまして も、その他のビタミン類といたしまして、ビタミンの散剤やシロップ、その他のビタミ ンとの配合剤に使用されておりまして、たんぱくアミノ酸製剤や総合ビタミン剤にも配 合されております。  ビオチンは、第六次改定の「日本人の栄養所要量」におきまして新たに所要量が設定 されております。また、保健機能食品の制度におきまして、栄養機能食品といたしまし て機能に関する表示を行うことができる栄養成分とされており、規格基準として上限値5 00 マイクログラム、下限値10マイクログラム、表示基準といたしましては、「ビオチン は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」ということが設定されているという ところであります。  安全性でございますが、ビオチンは、天然の食物の中に微量ながら含まれているとい うこと、また、医薬品としての使用実績があることから、安全性試験項目のうち、単回 投与毒性試験、亜急性毒性試験、変異原性毒性試験を行っておりまして、それ以外は省 略されているところでございます。これらの試験におきまして、特段の変化は観察され ておりません。また、ビオチンの過剰症は知られておらず、医薬品としての使用におい ても過剰投与による副作用は報告されていないというところでございます。  使用基準案といたしましては、カプセル、錠剤等の通常の食品形態ではない、つま り、カプセル、錠剤など以外の食品には使用してはならない、カプセル、錠剤等の食品 であります栄養機能食品に使うという使用基準の案でございます。  なお、ビオチンにつきましては、先ほど申し上げましたように、食品中に微量に含ま れているということで、食品から水ですとか通常の方法で抽出したビオチンを含むもの につきましては、これまで食品として扱っているということでございまして、現在、そ のようなものも知られているところでございます。ところが、化学合成品などにつきま しては、当然食品衛生法に基づく指定が必要でございまして、今回指定の要請があった ところでございます。  以上でございます。 ○山崎部会長  ありがとうございました。ビオチンについては、御説明は以上のとおりでございます が、何か御質問はございますでしょうか。 ○林委員  これの安全性のところで一つだけお伺いしたいんですけれども、変異原性試験のデー タが一応あって、特段の変化は観察されていないということなんですけれども、どうい う試験がされたのか、おわかりになれば教えていただけますでしょうか。 ○事務局  サルモネラを用いましたAmes試験が行われておりまして、変異原性が認められなかっ たというところでございます。 ○林委員  そのほかの染色体異常試験等は特にはされていない。 ○事務局  こちらの要請書の中には特段ございません。 ○三森委員  今の林先生の意見に関係するコメントです。このような保健機能食品について安全性 を担保するのにどこまでの毒性試験が要求されるのかということについては、事務局で は決まっているんでしょうか。今のお話ですと、変異原性試験はAmesのみということで すけれども、通常の食品添加物の場合でしたら、いろいろな試験を提出させていると思 います。このようなものについては取り決めはないんですか、それとも、最低限これだ けはしなさいということは厚生労働省サイドから伝えているのでしょうか。 ○事務局  簡単にしか申し上げないで申し訳ございません。食品添加物の指定及び使用基準の改 正に関する指針ということで、通常の食品添加物のどのような試験が必要かということ を規定しているところでございますが、このような保健機能食品に用いる添加物につき ましても、同様の指針が3月に出されているところでございまして、今までの基準と近 いところがございますが、合理的な理由がある場合は、その添付を省略して差し支えな いということとされているところでございます。 ○福島委員  ビオチン欠乏症で1枚目に「結膜炎」以下云々と、こういうふうに報告されていると いうことなんですけれども、現実問題として、ビオチン欠乏症というのは一体全体どの ぐらい出ているのかなということと、そういう基礎的なこと、疫学的なデータがあった ら教えていただきたいと思います。  それからまた一方では、「ビオチンの過剰症は知られておらず」云々となっています が、欠乏症と過剰症との関係、そこら辺がもう少し何か文献的なものがあったらお知ら せいただけたらありがたいと思います。 ○事務局  こちらにつきまして調査いたしまして、また御報告させていただきたいと思います。 ○廣瀬委員  福島先生の前の質問事項に関係するんですが、合理的な理由がある場合は、2年間等 の試験が免除されるというようなお話でしたが、安全性の1行目にあります「天然の食 物の中に微量ながら含まれている」ということが合理的な理由になるのでしょうか。つ まり、我々いろいろ天然物の毒性、あるいは発がん性を担当してきていますと、その中 に微量成分であっても発がん性があったり、あるいは信じられないような強い毒性があ ったりというものがかなり出てきておりますので、これが本当に合理的な理由になるか ということをお伺いしたい。 ○事務局  先生御指摘のとおり、今までの食経験の中で微量に含まれているということだけでは ということでございますが、この品目につきましては、医薬品としての使用実績の方か ら安全性について今まで経験があるというところがメインでございます。 ○高仲委員  今まで医薬品として使う場合には、限られた条件で限られた期間使うのが一般的な医 薬品だと思います。それに比べまして、食品というのは相当長期、考えようによっては 生涯に近いような期間を使う可能性もあるわけですね。殊にこういうようなものの今後 考えられる使い方を考えますと、非常に長期間にわたって使用されるということが十分 考えられます。  そういたしますと、ここで一つ考えられることは、このものの過剰の症状がわかって いないということでございまして、今のトキシコロジーの考え方からすれば、何が出て くるかわからないために、相当の高用量を使ってどういう変化が出てくるかということ を認識して、そしてその変化が出なくなる量、出ない量というものを求めていくという のが今のトキシコロジーのやり方だと思うんですね。そういう考えからいたしますと、 この場合に出てくるものがわからないというのは、それをわからせる必要はあるだろ う。これは医師あるいはそれに関係するような専門家が間に入って使うような医薬品と は違いまして、食品として見れば、これは自由にどれだけでもとれるということになり ます。この前テレビを見ていましたけれども、これは食品だから絶対安全だということ を盛んに劇の中で言っていまして、もしそういう見方をし、また使われるとなれば、こ こで言われている単回投与、あるいは急性毒性試験だけで本当によろしいのか。  さらに、こういうビタミン類は、欠乏するときの症状というのはよくわかっているん ですが、過剰にとった場合に何が起こるかというのはわからない部分があると思いま す。そういたしますと、これはやはり一般的に妊娠されている女性、その他の方にとっ ても、繰り返しますが、医薬品と比べて自由に多量に摂取する可能性があるという点か らすると、そういう部分も十分に考慮した上で、試験法の必要性あるいはそのデータの 解析というものを行っていただければというふうに思います。 ○鈴木(久)委員  今のお話の続きでございますが、たまたま私、手元に六次改定の栄養所要量の報告が ございまして、ビオチンというのは日常的に余り関心を持たないでありましたけれど も、ようやく最近、食品成分比が出まして、ごく通常の献立の栄養計算をしてみると、 このビオチンなどは、普通の食事をしていて十分にとれる量でございます。  もう一つ、この所要量のところに書いてありますものは、必要量に関する科学的知見 が非常に限られていて、極端な偏食者や人工栄養を行っている人を除いては、欠乏の報 告はないということと、それから、多量に経口投与した報告が見られるが、毒性や副作 用についてのデータはない。それから、必要量や許容上限摂取量を正しく設定すること は困難であるということであるにもかかわらず、ビオチンというものが今回所要量の中 に入ってきたというあたりのところで、やはり慎重にお取り扱いになった方がよろしい かなと思います。 ○基準課長 先生方のおっしゃることは、すべてもっともなことだと理解しておりますが、先ほど もごあいさつのところで申し上げましたように、保健機能食品という分野が設けられま して、今のような話が随分と検討され、ビオチンについて言いますと、先ほどの資料で 申しましたように、上限値と下限値を定めて、多量に食さないようにする、それからま た、これは栄養素ですから下限値を設けてということで目安をつくった形で、議論の結 果、制度としてでき上がっておるものであります。それから天然型のビオチンのような ものは、もう食品として流通しているものも実はあるわけであります。したがって、あ る面では、私どもとすれば、いろんな服用経験、例えばOTCなんかではかなり長期に わたって飲まれている人もいるわけでありますので、ただ、きちっと成分たるものにつ いては、品質、安全性の観点から、必要な検討を行って明確にしておく必要があるとい うように考えております。  したがって、変異原性の試験が、例えばAmes試験しかないという点については、今 後、要請者とも議論し文献等でデータがあるものもあると思いますので、その辺につい ては調査会の中で検討させてもらって、結果的にどういうふうな位置付けになるかとい うことを検討させていただければというふうに思っております。 ○山崎部会長  ありがとうございました。私も一言申し上げようと思ったんですが、栄養機能食品と いうことがここ数年間検討されてきた過程で、今、先生方からいただいた御意見の全部 とは言えないんですが、かなりの部分にわたって、かなり深刻に議論された経緯がある わけでございます。この合同部会でまたそれを議論していただくのは貴重な御意見にな るかとは思うんですが、この部会の役割というのは、そこを前提にした議論ということ になりますので、時間の関係もございまして、こういうようなことについては慎重に調 査会の方で検討していただいた結果を、これを部会で間違いのないようにまた念を押す というふうな作業にさせていただきたいと思うんですが、よろしゅうございますでしょ うか。  もしよろしければ、本件に関しましても調査会の方で検討していただいて、その結果 をまたここに持ってきていただくというふうなことにさせていただきたいと思います。  それで、次の資料4のところの説明に移っていただきたいんですが。 ○事務局  資料4につきまして御説明申し上げたいと思います。  ヒドロキシプロピルメチルセルロースの指定の可否につきましてということで、ごら んのとおり、用途は、カプセル基剤、錠剤コーティング剤ということで、先ほど申し上 げましたように、本年4月より、規制緩和によりカプセル、錠剤などの通常の食品の形 態ではないものにつきまして、食品の新たなジャンルができたことによりまして指定の 要請があったものでございます。  こちらにつきましては、5の外国での使用状況でございますが、医薬品の添加物、そ れから食品添加物として使用されているというところでございます。  日本におきましても、下の方の概要の下から2段目のパラグラフですが、医薬品の添 加物として日本薬局方に収載されておりまして、錠剤・顆粒剤のコーティング剤、結合 剤などに使用されているところでございます。  有効性でございますが、こちらは、ゼラチンがカプセル剤の基剤として使われたとこ ろなんですが、含水率が高くて加水分解されやすい物質には使用が難しいというような 欠点もございまして、本品目がすぐれているというところでございます。  錠剤のコーティング剤としての使用におきましては、錠剤は、メチルセルロースコー ティング錠と比較しまして、速やかな溶出挙動を示すということが報告されているとい うところでございます。  安全性でございますが、こちらの品目は、2段落目にありますように、JECFA (FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)におきまして、ADIは「特定せず」、 安全であるというふうに評価されてございます。ただし、これらの化工セルロースを食 品添加物として使用する場合は、緩下作用を考慮に入れる必要があるということでござ います。  今回提出されました資料といたしましては、逆転して恐縮ですが、短期及び長期の毒 性試験などが行われておりまして、高用量投与下で下痢及び体重増加抑制が認められま したが、その他特段の変化は認められておりません。催奇形性、発がん性、抗原性試験 などにおいても特筆すべき毒性は認められていないという結果が出ております。体内吸 収に関しましては、消化管からほとんど吸収されず、未変化体として糞中に排泄される ことが示されております。この食品は、使用基準案といたしまして、カプセル製造用及 び錠剤コーティングに用途を限定するという使用基準案でございます。  以上でございます。 ○山崎部会長  ありがとうございました。本件はこれまでとちょっと違いまして、カプセル基剤、錠 剤コーティング剤でございます。何か御意見はございますでしょうか。 ○福島委員  いささか細かいことなんですが、安全性のところで、高用量投与で下痢が起こるとい う現象ですが、そして、そのパラグラフで先ほど説明がありましたように、未変化体が 糞中に排泄されることが示されているということで、ヒドロキシプロピルメチルセル ロースの高用量というのは一体全体どれぐらいで、そして、この高用量によって起こる 下痢というものの機序が化学的な機序なのか、未変化体ということで、何か物理的な機 序によって起こるのか、そこのあたり、下痢の機序を調べておいていただきたいと思い ます。 ○山崎部会長  これは、調査会の方に伝えることになりますか。  それでは、よろしゅうございますか。  それでは、本件も調査会の方の検討をいただきまして、その結果をまたこの部会に持 ってきていただくということにしたいと思います。よろしゅうございますか。  ありがとうございました。それでは、資料の5になりますでしょうか。 ○事務局  資料5、リン酸三マグネシウムにつきまして御説明いたしたいと思います。  本品目は強化剤ということで指定の要請が来ているところでございます。  外国での使用状況でございますが、欧米におきましては、食品・食品成分として使用 されておりまして、その定義上から食品添加物としての指定は必要がないということと なっております。  リン酸の三マグネシウム塩でございますが、こちらは難水溶性でございまして、飲ん だときに苦みが少ないということが特徴でございます。難水溶性ですが、概要の4つ目 のパラグラフ、安全性の部分ですが、胃内におきまして酸でイオン化して、マグネシウ ムイオンとなって腸管から吸収されるということがわかっております。  有効性に戻りますが、リン酸三マグネシウム、その他硫酸マグネシウム、塩化マグネ シウムをそれぞれ配合した食品試料を作成いたしまして官能試験を行った結果、すべて の食品群においてリン酸三マグネシウムが硫酸マグネシウム及び塩化マグネシウムと比 較して風味がよいことが確認されたというところでございます。  安全性につきましては、先ほど申し上げましたところですが、リン酸三マグネシウム としての安全性試験は、90日反復投与試験を実施しております。その結果、高投与量分 におきまして、軟便及び泥状便が認められております。  JECFAの方でございますが、国際的な評価では、リン酸三マグネシウムを含むリ ン酸塩を一括して評価いたしておりまして、リン酸塩の最大耐用の一日摂取量を、リン といたしまして70mg/kg というふうに規定しているところでございます。 こちらの使用基準案でございますが、設定しないとされております。栄養強化の目的 として、限定ではなくというところでございます。 以上でございます。御審議よろしくお願いします。 ○山崎部会長  ありがとうございました。何か御質問。 ○石綿委員 真ん中辺のところの構造式で8分子の結晶水というふうに限定されていますが、これ はこれの限定でよろしいんでしょうか。最近、結晶水の数を余り限定しなくなったよう な傾向もあるんですが、もちろん8分子で限定なら、それはそれで結構です。  それからもう一つ、マグネシウムの供給という点ではいいんですが、リン酸の摂取量 そのもの、もちろんADIは超えていませんが、比較的高い方に入っていたのではない かと思うんです。それで、リン酸三マグネシウムを使うことによってこのリン酸化合物 を使わないで済むというような期待ができるのかどうか、もしわかったら教えていただ きたいんですが。 ○事務局  結晶水の点でございますが、こちらにつきましては、要請者の方にも、どのようなも のを使われたのかという点も含めまして、こちらの方でまず確認させていただきたいと 思っております。  それから、リン酸の方で化合物の方でございますが、こちらにつきましてもまた確認 させていただきたいと思います。 ○三森委員  安全性のところについてのコメントです。第1パラグラフに90日試験が載っておりま すが、FAO/WHOのJECFAの評価で、どのようにMTDIを算出したのか、こ の文章からでは全然読み取れません。科学的正当性があると思いますが、90日試験のみ で安全性が担保できるという記述のところは、もう少しわかりやすくされた方がよいと 思います。 ○山崎部会長  ありがとうございます。そのほかに何かございますか。 ○福島委員  僕は余り詳しいことを知らないものですから教えていただきたいんですが、使用基準 案のところで、設定しないということになっていますが、最初の説明ですと、基準と は、最大使用量等を定めたものであるということで、この設定しないというのは、量ま でも設定しないという意味に解釈していいのですか。というのは、上の方で高用量投与 により軟便及び泥状便、要するに下痢が認められるというような、これは恐らくマグネ シウムによるものではないかと思っているんですけれども、そういう現象があって設定 しないということはいいのかなということですね。そのあたりはどうかということで す。 ○事務局  使用基準案でございますが、実際に使われる量は、御存じのとおり、どんな物質でも 大量に摂取すれば、毒性、例えばグルコースにせよ、食塩にせよということで、実際に どのぐらい使用して、どのぐらい摂取するかということが非常に重要だと考えておりま す。その点につきまして使用基準を設定しない場合でございますが、ここの部分は、実 際に添加される量というものは、実際の一日の所要量と比較してそれほど大きくない量 を使用されるということでございますので、あえて行政的な規制は必要ないのではない かという案でございます。実際に使うときは、当然製造される方のところで、どのぐら い設定したときに問題が生じるかというところはきちんと担保していただく必要がある というふうに考えております。 ○福島委員  わかりました。 ○中澤委員  ちょっと本筋から外れてしまうのかもしれませんが、教えていただければと思いま す。マグネシウムは強化剤として使うということに主眼があると思うのですが、マグネ シウムによる欠乏症とか過剰症は、実際にはどうなのでしょうか。というのは、これは どこにでもあるということで、恐らく強化しなくても、食事をとっている間においては これは不足することはないのではないかというふうに思うと、逆にマグネシウムが欠乏 した状態というのをつくることが非常に難しいのではないかというふうに思うのです が。人間は恐らく欠乏しないのではないかというふうに思うんですが、いかがなんでし ょうか。 ○鈴木(勝)委員  差し出がましいことのようなんですが、マグネシウムの欠乏症というのは、普通の状 況だと起こり得ないというか、葉緑素の中にマグネシウムはたくさん入っていますか ら、遺伝的にパラセリンワンというたんぱく質、ジャンクションたんぱくなんです。体 質ジャンクションのたんぱくなんですけれども、これを欠損している家系がありまし て、それで非常に重篤な腎障害等々が報告されております。 ○山崎部会長  今の鈴木先生の、そういう家系的な欠乏症のときにはマグネシウムを欠かさず供給す るというふうな……。 ○鈴木(勝)委員  難しいんじゃないかと。 ○高仲委員  これは強化剤というふうに書いてあるんですが、目的は何を強化するのか。マグネシ ウムなんですか、リンなんですか。 ○山崎部会長  これにはマグネシウム強化の目的というふうに書いてあります。 ○事務局  マグネシウムの方でございます。 ○高仲委員  その場合、下の方のJECFAで決めているのは、マグネシウムではなくてリンなん ですね。リンの方に問題があるからJECFAはリンを押さえているんだろうと思うん ですが、そうなりますと、同時にマグネシウムを強化しようとして摂取したリンによっ て、リンの過剰症が起きるという可能性があるんじゃないかと思うんです。その辺はど うお考えでしょうか。 ○事務局  そちらにつきましても御審議をいただければと思っております。調査会で御検討いた だく場合ですと、当然御審議いただきたいというふうに考えております。 ○山崎部会長  ありがとうございました。それでは、本件も調査会の方の検討を待って、また部会で 審議したいというふうに考えますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございま すか。  ありがとうございました。それでは、次は議題の2に入りますが、議題の2の方は、 使用基準改正の可否でございます。これには、グルコン酸亜鉛以下4品目が挙げられて おります。これは1品目ずつ、事務局の方から資料に従って御説明いただきたいと思い ます。よろしくお願いいたします。 ○事務局  資料6でございます。グルコン酸亜鉛でございます。恐縮ですが、次の資料7のグル コン酸銅と非常に近い使用基準の改正の要請でございますので、続けて御説明させてい ただけたらと思いますが、よろしいでしょうか。  グルコン酸亜鉛、グルコン酸銅、ともに強化剤としての使用基準の改正の要請でござ います。  外国での使用状況でございますが、5番にございますが、アメリカでは栄養成分とし て分類されておりまして、食品への直接添加が認められているというところでございま す。EUにおきましては、グルコン酸亜鉛は食品として扱われているようでございまし て、添加は禁止されていないという状況でございます。  グルコン酸亜鉛の概要でございますが、こちらは、食品衛生法第6条におきまして58 年の8月に指定された物質でありまして、強化剤として母乳代替食品、粉ミルクにのみ 使用が認められているところでございます。  亜鉛は、JECFAにおきまして評価されておりまして、一日耐用摂取量が、暫定値 でございますが、0.3 〜1mg/kg 体重と評価されているところでございます。グルコン 酸塩類につきましては、ADIは「特定せず」と。 本要請は、次のページをごらんいただきたいと思うんですが、現行の使用基準と要請 されている改正案が上下に対照表となっております。現行は、先ほど申し上げましたよ うに母乳の代替食品ということだけでございますが、改正案では、下にありますよう に、清涼飲料水、乳飲料、乳酸菌飲料、はっ酸乳、あめ類、清涼飲料水、それから粉末 の清涼飲料水、チューインガムに添加ができるように使用基準の改正が要請されており ます。 それから、わかりにくくて恐縮なんですが、使用制限という一番右のカラムをごらん いただきたいんですが、ここに「この限りではない」と非常にわかりにくく書いてあり ますが、特定の保健機能食品につきましては使えるようにするという案でございまし て、結局、母乳代替食品にプラスして、これらのチューインガム類ですとか清涼飲料水 類と、それに加えまして、特定用途食品などの保健機能食品というものに使えるように してほしいという要請でございます。 次に、グルコン酸銅でございますが、資料7をごらんください。こちらも強化剤とい たしまして指定の要請がきているものでございます。  5番でございますが、外国での使用状況といたしましては、アメリカでは、GRA S、一般的に安全と考えられる物質というふうに評価されておりまして、栄養成分とい う分類になっております。食品への直接添加が認められているところでございます。ま た、EUにおきましても、グルコン酸銅は食品として取り扱われておりまして、添加は 禁止されていないという状況でございます。  グルコン酸銅も、先ほど申し上げましたグルコン酸亜鉛と同じように58年に指定され ております。JECFAにおける評価でございますが、銅の一日耐用摂取量は0.05〜0.5 mg/kg 体重と評価されているところでございます。 次に、使用基準の改正案の対照表でございますが、次のページをごらんください。先 ほど申し上げましたグルコン酸亜鉛と最大使用量だけ異なっているところでございます が、それぞれの清涼飲料水などの品目、保健機能食品に添加をできるようにしたいとい う要請でございます。 以上でございます。御審議よろしくお願いします。 ○山崎部会長  ありがとうございました。 それでは、グルコン酸亜鉛とグルコン酸銅をあわせて御検討いただきたいと思います が、何か御質問、御意見ございますでしょうか。 ○米谷委員 これは昭和58年に硫酸亜鉛、硫酸銅と一緒に指定されたものだと思います。当時、乳 児において腸性肢端皮膚炎様の症状が見られまして、粉ミルクに限って亜鉛と銅を入れ ようということになったんだと思いますけれども、当時も既に一般人についても亜鉛と かそういうのが必要だという話があったんだと思います。そこで事実経過を調べておい ていただきたいんですけれども、当時、どうして母乳代替品、粉ミルクだけに限った か、申請がそうなっていたのか、あるいは一般的に認めると何か不都合なことがあるの で母乳代替品に限ったのか、その辺を調べておいていただければと思います。当時、食 品化学課がどういう判断をされたかというのがどこかに残っておりましたら調べておい ていただきたいと思います。 ○山崎部会長  よろしゅうございますか。ほかに何かございますでしょうか。 ○米谷委員 もう一つ使用制限の方ですが、これは特保と、保健機能食品であってカプセル、錠剤 等の通常の形態でない食品の場合を除くということですけれども、これ以外のもので現 在どういうものが考えられているんでしょうか。保健機能食品の中のカプセル、錠剤等 の場合に限っては使えるというのは、保健機能食品であってカプセルとか錠剤の形をし ていないものに対しては使えないということでしょうか。読み方の話なんですけれど も。 ○事務局  先ほどの御質問の2点目でございますが、特定保健用食品でそれぞれ個別の審査を受 けた場合に、例えば使用できるですとか、そういうこととなっているところでございま す。非常にわかりづらいので改正案をもう一度読み上げさせていただきますと、グルコ ン酸銅は、母乳代替品、清涼飲料水、乳飲料、乳酸菌飲料、はっ酸乳、粉末清涼飲料、 あめ類及びチューインガム以外の食品並びに保健機能食品であってカプセル、錠剤など 通常の食品形態でない食品以外に使用してはならないということで、あめ類ですとかこ ういうものに使用していいということと、カプセル及び錠剤などの保健機能食品の方で も、例えば特定保健用食品でその認定を受けた場合などに使用されるという理解でござ います。 ○石綿委員  この文章は、法律用語としてはこれでいいのかもしれませんけれども、我々が読んで いても、二重否定になっていていいのか悪いのか。それから、文章が途中で切れて「ま た」となっているので、「この限りでない」というのがどこまで引っかかるのかよく理 解できない面があるので、もうちょっと考えていただけたらと思います。  それでもう一つ、今ここで私が言いたいのは、使用制限がこういうふうについている ということは、ほかの添加物、ほとんどのものが使用制限というのはついていないんで すが、これに関して使用制限がついたということは、ほかの添加物ではこういうような 使用制限はついていないということでいいわけですね。当然のことながら。グルコン酸 亜鉛とグルコン酸銅についてこういう使用制限がついているということで、ほかの添加 物、要するに使用制限という欄が空欄になっているところは特段の使用制限は何もない というふうに考えてよろしいわけですね。 ○事務局  使用制限の部分が空欄となっているものにつきましては、法律といいますか、行政規 制上の使用基準はないということでございます。 ○西島委員  この最大使用量の根拠というんでしょうか、要するに摂取量からきているのか、何で この量なのかというような、これだけでもないんでしょうけれども、根拠があれば教え ていただければと思います。 ○事務局  こちらは栄養所要量の方から算定したものでございまして、成人男子の亜鉛所要量が 1日9〜12mg/日ということで、そこから亜鉛の不足量を算出いたしまして、飲料など をとった場合にどのぐらい亜鉛の強化で十分かということから算定されている量的な設 定というふうに要請者はしているところでございます。 ○三森委員 そうしますと、今のお答えからですと、最大使用量をすべて摂取した場合は、一日耐 用摂取量(MTDI)の何%になるという計算は既になされているんでしょうね。清涼 飲料水、乳飲料、はっ酸乳、あめ類やチューインガムを毎日私たちが食べた場合、これ らが全て摂取されるわけです。これについては、JECFAでは亜鉛としてMTDIを 決めていると思いますが、その辺の計算はなされているんでしょうか。 ○事務局  その資料につきましては、概要で資料の方に添付されているところでございます。調 査会の方で御議論いただければと思っております。 ○高仲委員  ちょっとくどいようですけれども、重金属、この辺は単品で安全性を見ても、それ以 外に組み合わせることによって非常に変化しますから、今まで我々は単品でもってその 安全性を評価してきたんですが、現実には、亜鉛は比較的量をとると、ほかの金属の毒 性をやわらげるとかそういうような作用もあるわけで、できればそこまで調べていただ きたいというふうに思うんですね。  なぜかと申しますと、こういう形で保健機能食品として自由に摂取されるような状態 がこれからどんどん起きてくるわけですけれども、そうなると、できるだけこのものは 摂取したときにどういうことが起きるかという、これを情報として公開していただきた い。ですから、こういう調査会でよく議論されて、そこでまとめられた資料というの は、できるだけ早くこれを消費する方に公開していただきたいというふうに思います。 その段階で重金属系統は相互作用が非常にあるということと、もう一つは、セイフ ティーマージンがほかの化学物質に比べて非常に狭いんですね。3倍から5倍とります と、有害反応が出てくることがあります。そういう点から使う方に十分に使い方が判断 できるようになるまでの情報を公開するということが必要だろうというふうに思います ので、そういうことを目指して調査会で十分な資料を集め、なおかつ解析していただけ ればというふうに思います。 ○山崎部会長  ありがとうございます。よろしゅうございますでしょうか。  それでは、本件に関しましても、調査会での検討結果を待ちまして、さらに本部会で 審議をしていただきたいというふうに思います。  それでは、あとは酸化マグネシウムと炭酸マグネシウムが使用基準の改正で残ってお りますが、これはまとめて2件御説明いただけますか。よろしくお願いいたします。 ○事務局  では、資料8、引き続きまして資料9につきまして簡単に御説明をさせていただきた いと思います。  まず、資料8でございますが、酸化マグネシウムの使用基準の改正ということの要請 でございまして、用途といたしましては、同じく強化剤ということでございます。  5番の外国での使用状況でございますが、米国、カナダ、EUなどにおきましては、 強化剤は添加物の扱いではなく、食品の成分として取り扱われて、自由に添加できると いう状況となっております。  酸化マグネシウムの概要でございますが、食品衛生法第6条の規定に基づきまして、 昭和57年に指定された添加物でございまして、食品の製造または加工上必要不可欠な吸 着剤として用いる場合に限って使用が認められてきたというところでございます。こち らは、JECFAでは、ADIに関しましては「制限しない」と評価されているところ でございます。今回の要請は、酸化マグネシウムを栄養強化目的で通常の一般食品へも 使用することができるように改正の要請がなされたものでございます。  以下に使用基準の対象が現行と要請がございますが、改訂案は下線部分でございます が、「及び栄養強化の目的以外には使用してはならない」ということで、栄養強化の目 的を付け加えるという改正案でございます。  次、資料9を御説明させていただきたいと思います。炭酸マグネシウムでございま す。こちらも強化剤でございます。  5番の外国での使用状況ですが、米国では、固結防止剤、小麦粉処理剤などの目的で 添加物として、こういう目的で使うときは添加物ということで認められておりまして、 使用量の最大量などは設定されていないところです。EUにおきましては、未加工の食 品などの一部を除いて必要量を添加することは認められているところでございます。こ ちらは、食品成分として取り扱われているというところでございます。  概要ですが、こちらは昭和32年に指定された添加物でございまして、膨張剤、固結防 止剤などの食品の製造、加工上必要不可欠な場合に限り使用が認められてきたというと ころでございます。JECFAでは、ADIは制限しないというふうに評価されており ます。本要請につきましては、使用基準の改正ということで、先ほどの酸化マグネシウ ムと一緒で、栄養強化の目的を付け加えるという改訂案となっております。  以上でございます。御審議よろしくお願いします。 ○山崎部会長  ありがとうございました。いかがでございましょうか。何か御質問はございますでし ょうか。 ○西島委員  基礎的なところを教えてほしいんですが、通常の食品を分析しますと必ずマグネシウ ムとか何かが入っているような気がするんですね。添加物として許可して、今までの製 造、加工上必要な場合というのはよくわかるんですが、栄養強化の目的というのは、不 足な人たちがいるのか、許可する根拠というのがわかりやすくなっているといいのかな と思うんです。そこら辺を教えていただければと思います。 ○山崎部会長  先ほどの中澤委員の御質問と共通していますが、マグネシウムの問題ですね。どうで しょうか。 ○事務局  こちらは、申請者の方からの有効性といいますか、栄養強化剤としての要請の資料の ところからでございますが、マグネシウム、カルシウムの比率ということで、カルシウ ムが2、マグネシウムが1の比率でとった場合に、疫学的に見て虚血性心疾患の死亡率 などが相関しているというような報告がなされているということでございまして、日本 人はカルシウムの摂取量がマグネシウムに比して2.5 であると言われておりまして、そ この部分を改善したりして、栄養強化といいますか、虚血性心疾患などの防止、低下と いうことが期待できるのではないかというようなこともなされているところでございま す。  それから、マグネシウムの方でございますが、摂取量の調査の方では、現在、日本人 では、マグネシウムの摂取量は、平均的に見ますと必要量を満たしているということで ございますが、範囲がばらついておりまして、少ない人もいるというところでございま す。  以上でございます。 ○山崎部会長  何か御質問がありますか。 ○井村委員  先ほどから同じような気持ちでずっと会議に参加していたんですけれども、こうい う、ほとんど欠乏症が我が国では考えられないようなものをわざわざ強化剤として認め るという必要が本当にあるのかということでございまして、これは基本的なことなの で、それはここでやるべきなのかどうかわかりませんけれども、真剣に議論をした方が いいんじゃないかという気がするんですね。例えば同じマグネシウムにしましても、先 ほどから幾つもマグネシウムが出てまいりましたけれども、それぞれが食品添加物とし て新しく出てくるときに、前に使われたものに比べて何か有用性があるかどうかという こともたしか条件になっていたような気もするし、そういう基本的な部分でちょっと問 題があるのではないかということがまず一つです。  それからもう一つは、ここの審議のやり方が順序がおかしいのではないかと思われる 節がありまして、そう言ってはまことに申しわけないですけれども、ここで誰でも疑問 に思うような質問が次から次に出てくるわけですけれども、それを全部調査会にという ことで片づけているんですけれども、そんなことは、例えば最初に調査会に、こういう ものが申請されていますと言って出せば、調査会は当然そういうことを不思議に思うで しょうから、そのことについて文献調査なり何なりするはずでございまして、そういう データが出そろったところで、この部会で認めるか認めないかということをやるのが筋 なんじゃないかという気がするんですけれども、ここでは順序は違うんですか。 ○山崎部会長  これは多分手続上の問題だと思うんですが、基準課長から。 ○基準課長 食品添加物の今回おかけしておりますのは、いわゆる、これから議論がスタートする という段階であります。先ほど私が冒頭のあいさつで申しましたように、これから調査 会の方でもっと具体的な詳細な資料をもとに議論が始まるということです。このような ものがこれから議論されるということを、公開の場で議論が始まるということを皆さん に知っていただくし、それから今日の目的は、調査会で議論を進めていく上で、こうい う点について問題点があるからそういうところを指摘していただきたいというふうに申 し上げたのはそういう意味でありました。したがって、今日の御意見をもとに、これか ら調査会の場で個別品目ごとに議論を進めていきますし、その際に、今日いただいた御 意見を調査会の方に御紹介をして議論を進めて頂きます。  それからもう1点は、今回、ミネラルがものすごく多いわけです。マグネシウムとか そういうものについて。この辺は、実はここにもいろいろ書いてありますように、外国 ではもう食品としてある面では広く流通してしまっている。今後そういうものが日本の 方に輸入をしたいという話が当然くるだろう。そういう中で、食品の中でも医薬品に近 いような、食薬区分の話が実はずっと前からございまして、その点について保健機能食 品という新たな分野を設けて、その中でミネラルについて言えば、カルシウムと鉄につ きましては一定の上限値、下限値をつけて、例えば骨の発育にいいんだというようなク レームを入れることを許し、医薬品ではなくて食品の中でそういうような流れになって きております。マグネシウムとかはそういうものがまだできておりませんから、即この ものがそういうふうな食品になっていくことにはなりませんが、今後の流れの中ではそ ういったような、国際的な流れを見ますとそういうものが出てくることがあるというふ うに思っております。ここで即指定を、議題が「指定の可否」と書いてあるものですか ら、そういうふうに誤解を受けるような表現になってしまったと思っておりますが、事 務局は、今日すぐに可否をお聞きするという意味でお出ししてはおりません。それにし てはデータは何も出しておりませんので、こういった内容で今後議論が流れていきます ということを御承知いただきたいということで今日お集まりいただいたというものでご ざいます。 ○井村委員  そうすると、もう一回、部会で可否を決めるんですか。 ○基準課長 もちろんそうです。調査会で議論を行いまして、調査会の場というのは、多分このも のの製造方法とかいろいろな企業秘密みたいなものが出てまいりますので、そういうよ うなところも全部見て議論を進めて、調査会から部会への報告がまいります。この部会 では、いわゆる可否について、今度はそれに基づいて部会の報告書をつくっていただき ます。そこで問題がないというこの部会の報告書をもって、さらに上の分科会に上げ る、そういうふうな手続になりますので、これは私どもの手続上の順番、こういうもの について諮問をいたしましたので、諮問の内容はこうだということを最終的に御議論を いただく部会にまずもって議論のスタートをするということを今日御説明し、重要な意 見があれば、それをお聞きし、調査会で議論をこれから進めていくということでござい ます。その辺が、当初もう少し御説明を詳細にしていれば、今、先生のおっしゃったよ うな御疑問はなかったかと思いますが、私も議論を聞いていまして、その点について最 後に申し上げようかなと思っておりましたけれども、最後のあいさつに代えて今申し上 げてしまいました。申しわけありませんでした。 ○山崎部会長  最後のごあいさつでもいいんですけれども、今、課長から御説明があったとおりで、 審議会の食品衛生分科会に諮問がされた場合にはまず部会にくるわけですね。そうする と、この部会としては最初のところで先生方の御意見をいただいて、その御意見を付記 して調査会の方でこれを検討していただく。先ほどから話題に出ておりますように、そ の結果を待って、我々がまたここの部会で最終決定といいますか、審議を行うという手 続としての順番があって、今日は第1回ですから、それを詳細に確認してからこの審議 を始めればよかったのかもしれませんけれども、これはそういう手続です。 ○井村委員  いや、いや。最初に部会でこういうスタートをするというのがむだなような気がして しょうがないんです。詳細なデータを検討する調査会が最初にあって、その結果、部会 に出てきて、部会でそれでは認めるか認めないかということを審議する、そういうこと でいいんじゃないかという気がするんですけれども。 ○基準課長 食品と医薬品の違いだと、簡単に言うとその違いかもしれません。それと、食品の中 でも残留農薬の基準とか、もう方向が決まっているようなものはいちいち部会には報告 いたしません。これは事務局の判断で進めます。また、肉の中の抗生物質なり、そうい った残留する医薬品の基準をつくっていく、これは大きな方針が決まっておりますの で、これも報告をいたしません。ただ、食品添加物、食品のこの辺の分野というのは、 医薬品と違いまして、昔から消費者、国民の方々が非常に関心を持つところでございま す。したがって、ある面では、こういうものを審議を始めるというところから、できる だけ公開の場でのこういった部会にまず御報告し、食品添加物は申請があれば必ず承認 するというものではございませんし、方針が決まっているものではありませんから、そ ういったものを個別にこういうところで調査を始めますということでいろいろ御議論を もらってから、具体的な中身の専門的な審査に入っていった方が、今の情報開示のよう な場ではよりいいのではないかと我々は考えて、これまでの慣行でやってまいりまし た。  したがって、これから余りむだなことはしない方がいいのであれば事後報告のような 形で、報告をしながら調査会と並行して進めるとか、そういうこともこれから考えてま いりたいと思いますし、添加物がこれまでもそれほどたくさん指定要請があるものでは 今までなかったものですから、そういう形で進めてまいりました。ただ、今回は何度も 言いますように、保健機能食品という形で、ビタミン、ミネラルといったものが一定の 新しい食品分類ができまして、そういう中にこれからいろいろなミネラル類が入ってい くだろうということが予想されますので、そういうものに使われる食品添加物というも ののきちっとした位置付けと安全性を再度見ておく必要があるだろうということでの調 査をするということで、要請もたまっていたものですから、こういうたくさんの品目が 出ましたが、そのような考え方でやっておりますので、この点はこれからの将来の取り 扱いについてはまた御議論をいただければと思いますが、これまでの医薬品とは違う食 品添加物というものの特殊性があるのかもしれませんが、そういう考え方で今回もやら せていただきました。 ○山崎部会長  という事の次第でございますので、また話題を元に戻しまして、酸化マグネシウムと 炭酸マグネシウムですが、これについて何か御意見、よろしゅうございますでしょう か。  もしよろしければ、この件に関しましても、さらに詳細な検討ということを調査会の 方でしていただきまして、その結果をまたこの部会に持ち上げて、ここで先生方に審議 をしていただくという手続にさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございます でしょうか。  ありがとうございます。それでは、よろしくお願いいたします。今日の議題はこれで よろしゅうございますね。 ○事務局  はい。ありがとうございました。 ○山崎部会長  3番のその他というところで何かございますでしょうか。 ○高仲委員  今、井村先生からいろいろ御指摘がありましたけれども、伺っていて感じたのです が、元来、食品というのは規制のないものであって、それが消費する方の自由度と自分 の考えで食べていくものだったわけですが、保健機能食品というのが出てまいりまし た。その中には、見た目は食品でないようなものが使われるようになり、とられるよう になりますと、どうしてもオーバードーズの問題が出てまいります。  それともう一つは、今までお話になった農薬にしても添加物にしても、それが食品の 中に入ってくるときは、好むと好まざるとにかかわらず生涯を通して摂取する可能性が あるということで、全く別の形での規制がありました。今回の場合は、保健機能食品と いうのはそういうものでもない。摂取される消費者の方は、自分がそれを欲しい、ある いは必要だと思えばとる。そのかわり、そのところにきちんとした規制はないわけです から幾らとってもいい。それは食品としての考え方だと思います。そうなりますと、今 までのように、国がこういう形で調べ、規制しということではなくて、これは摂取する 方が自分の責任において自分の安全性を考えながらとるということだと思うんです。こ の問題は、アメリカがDSHEA(Dietary Supplement Health and Education Act)をつくっ て、こういうものを食品としてダイエタリーサプリメントとして出した。その裏で彼ら の言うのは、そのために国民が選別できるだけの十分の情報を我々は与えるということ をベースにしてDSHEAをつくったと言っています。同じことが今ここに起きてきているわ けですから、我々としては、これを消費する消費者が自分の判断で安全にかつ有効に使 えるだけの十分の情報を流していかなければいけないというのが、これから新しい、こ の問題に対する我々の立場だろうというふうに考えます。  そういたしますと、今までの調査会でデータを読んで、何ミリグラムでどういう反応 が出たとかというようなことだけで果たしていいのかということをちょっと考えます。 それだけでは、専門家が見て判断することはできるかもしれませんが、このものを実際 に消費される方がそのデータを見て判断できるとは考えられない部分があるわけです。 先ほど出ていたような変異原性が1種類しかやっていないといっても、じゃ、何かとい うことがあるわけですから、十分に消費者に対しての情報を提供し判断してもらうとい う、そのためのスタートは私はまず調査会にあると思うんです。ですから、調査会がそ ういう立場で十分な情報を集めて、なおかつ、それを十分理解できる形で出してもら う。それはこのルートから言えば、部会を通り、分科会を通り、そして厚生労働省のア クションになるだろうと思うんですが、その後で十分に個人の方が選別できるような情 報としてそれをどんどん公開していただくということがまず大事だろうと思います。そ ういたしませんと、こういうように科学的に、あるいは人工的に濃縮したようなもの、 そういうものを我々が専門家の介在なしに使うというところにこれからの進んでいく道 があるわけですから、そういう点ではその点を十分に留意されて、調査会でそういう形 でのデータを集めていただきたい。  ですから、全体的に見て、先ほどから何回も申しましたように、例えば、幾つかのミ ネラルを混ぜ合わせた場合にどうなるかということも含めて、単一のミネラルだけでは なくてということだろうと思います。そういう点を留意して調査会で御検討いただける と非常に幸せだと思います。 ○山崎部会長  ありがとうございます。大変貴重な御意見だと思います。 ○井村委員  もう一つだけ細かいことでいいですか。私がもっと早くから気がつけばよかったです けれども、あるいは御説明があったのかもしれないんですけれども、亜鉛と銅のところ で表がありますよね。その中に清涼飲料水とか乳飲料とかそういう項目がありまして、 それに対して何mg/kg という数字がついているんですけれども、この御説明はいただい たんでしょうか。これはどういう意味なのか。つまり、10mg/kg というのは、例えば清 涼飲料水から10mg/kg はとってもいいとかそういう意味なんでしょうか。それとも、何 かほかに意味があるんですか。上の方ははっきりしていまして、濃度だと書いてあるわ けです。 ○事務局  御説明が悪くて申しわけございません。これはその物のキログラム当たりこれだけと いう意味で、上の方は、量といいますか、1リッター当たりというふうに書いてあるん ですが、こちらにつきましてはキログラムそのもの、例えばチューインガム1kg当たり2 5 mgですとか、そういう書き方で書いております。わかりにくくて申しわけございませ ん。 ○山崎部会長  それで、この量は根拠があるのかという御質問もさっき出たんですね。そのことも含 めて調査会の方でということになったんです。よろしゅうございますか。 ○井村委員  わかりました。 ○山崎部会長  そのほか、先生方よろしゅうございますか。  もし先生方がよろしければ今日の部会はこれで終了させていただきますが、事務局の 方、よろしゅうございますでしょうか。  ありがとうございます。  それでは、これをもちまして本日の部会を終了させていただきます。どうも御協力あ りがとうございました。                                     (了) 照会先:医薬局食品保健部基準課 吉田、中井     電話(代表)03−5253−1111       (内線)2489、2453