01/03/23 第2回独立行政法人評価委員会議事録           第2回独立行政法人評価委員会議事録                       平成13年3月23日(金)                        於:東海大学校友会館 朝日の間 出席者 井伊委員、井原委員、大久保委員、黒川委員長、坂本委員、篠原委員、     中窪委員、古郡委員、堀田委員、渡辺委員 1.開会 ○ 黒川委員長 それでは定刻になりましたので、第2回独立行政法人評価委員会を開催いたします。 普段のスケジュールからいうと早めの開催時刻ですが、今日は少し長丁場ということ で、共通の理解を深めたいと思っております。まず、前回欠席だった委員の方をご紹 介いたします。坂本先生です。 ○ 坂本委員 坂本でございます。和洋女子大学の家政学部に所属しておりまして、専門は栄養学でご ざいます。よろしくお願いいたします。 ○ 黒川委員長 ありがとうございました。それから中窪先生です。 ○ 中窪委員 千葉大学の中窪と申します。専攻は労働法をやっております。よろしくお願いいたしま す。 ○ 黒川委員長 それから古郡先生です。 ○ 古郡委員 中央大学経済学部の古郡と申します。専門は労働経済学でございます。どうぞよろしく お願いいたします。 ○ 黒川委員長 それから堀田委員です。 ○ 堀田委員 さわやか福祉財団というところのボランティアの理事長をしております堀田でございま す。よろしくお願いします。 ○ 黒川委員長 その他に前回ご出席だった方も含め、今回、五十嵐先生、開原先生、岸先生、田村先 生、安井先生がご欠席ということですので、よろしくお願いいたします。 2.審議 ○ 黒川委員長 それでは前回お話しいたしましたけれども、いよいよ4月から始まる独立行政法人につ いて、実際4月になる前にということで、前回3つの各独立行政法人についてご説明い ただいたわけですが、その中期目標、中期計画、業務方法書についての審議をしていた だきたいということで、少し長丁場になるかもしれませんが、よろしくお願いいたしま す。それでは事務局の方から説明をお願いします。 ○ 唐澤政策評価官 おはようございます。まず最初にお手元の資料のご確認をお願いしたいと思います。議 事次第に1から15と並んでおりまして、まず番号の9までがそれぞれ国立健康・栄養研 究所、産業安全研究所、産業医学総合研究所の中期目標、中期計画に関する資料です。 10から15までが業務方法書関係の資料になっております。資料ナンバーが多くなってお りますけれどもご確認をいただきまして、もし脱漏などがございましたら、恐縮でござ いますが事務局にご指摘をいただきたいと思います。それでは今日の資料は15番までな っていますので、これに従って順次ご説明をしていきます。それから前回の資料でござ いますが、お手元にファイルで置いてありますので、必要な場合にはご参考にしていた だきたいと思っております。 今日のご審議をお願いする事項でございますが、まず、各研究所の中期目標、中期計画 についてお願いをすることにしております。中期計画、中期目標につきましては、前回 制度の概要をご説明いたしましたけれども、確認のためにもう一度要点だけを簡潔に申 し上げますと、独立行政法人の制度におきましては、所管の大臣、当省では厚生労働大 臣ですが、大臣がこの法人に対して達成すべき目標というものを示すことにしておりま す。ただし、目標の設定は、独立の法人格を有しているということ、それからあまり所 管大臣が細かい指示をいちいち出すということは控えて、法人が自分の判断で自主的に 事業を行い、オリジナリティーを発揮をしていくという観点から行うものですので、そ の目標はというものを大まかに厚生労働大臣から示すということが法律に示されている わけです。 それからこれを受けまして、法人のほうでは具体的な計画というものを作成いたしまし て、厚生労働大臣に提出をして認可を受けます。この認可の際、それから当初の大臣が 目標を示す際に、それぞれ評価委員会の先生方のご審議をいただくということが定めら れているわけです。それから、本日は業務方法書についてもご審議をいただきます。業 務方法書ですけれども、こちらのほうはこれまでは国の機関でしたので、どういう契約 の手続きをとるとか、あるいは入札の手続きですとか、そういうことは国の機関の一般 の法令の適用でよかったのですが、法人格が別になりまして、契約の主体も1つの独立 した主体として法人が位置づけられてまいりますので、その業務の方法を定める必要が あるということです。これも大臣に提出をいたしまして認可を受ける際に当委員会でご 審議をいただくこととなっております。 今日はこれらの案件をご議論いただきますが、後ほど改めてご説明しようと思っており ますけれども、次回には、それぞれの法人の事業実績を目標に従って、どういう評価の 基準で計っていくか、そういう事柄をご審議いただこうと思っております。いわば物差 しでございますけれども、そういう事柄をご議論いただく予定です。それでは少し長く なりまして恐縮ですが、それぞれの中期目標と中期計画の概要をご説明したいと思いま す。それでは最初に健康・栄養研究所の関係をお願いいたします。 ○ 佐柳厚生科学課長 厚生科学課長ですけれども、私のほうから健康・栄養研究所関係の説明をさせていただ きます。資料1に目標と計画についての概要、資料2、資料3にそれぞれ目標と計画の 現物がございます。概要で全体を少しご説明をさせていただきたいと思います。資料1 でございますが、左側に目標、右側にそれぞれ目標に対しての計画というかたちになっ てございます。いま説明のありましたとおり、目標というのは大臣の指示するものでご ざいまして、計画はそれを受けて法人が作成していくものということであります。た だ、まだ法人は正式には設立されておりませんので、今回は国の目標を大臣が指示した ということを念頭において、いまの現在の研究所でもってその計画に翻訳していったと いう前提でございますのでご了解をいただきたいと思います。 まず左側のその目標でございますけれども、これは独立行政法人法の通則法第29条第2 項に、この目標の中身についてこれこれを入れなさいということで規定されており、そ れに基づいて書いてあります。通し番号の大きな1から5まであるわけですけれども、 それがそれぞれ通則法の第29条第2項の第1号から第5号とに対応しているわけです。 まず1でございますけれども、中期目標の期間ということでございますが、3年から5 年の間ということになっておりますが、5年というかたちで目標を定めたいと考えてお ります。これは研究所でございますので、総じて科学技術に関する基本法や国全般、国 全体の動きの中での関連づけで業務を進める必要がございますが、ちょうど平成13年度 から17年度という5ヶ年計画で新しく科学技術基本計画が設定されることになってござ います。それに合わせてやはり5年というかたちで進めようという考え方でございま す。 2つ目は、業務運営の効率化に関する事項ということで、大きくその中で、まず効率的 な業務運営の体制の確立、それと次ページに効率的な研究施設・設備の利用がございま す。1の(1)が業務運営体制の確立ということで、まず、効率的かつ柔軟な組織編成 を行うということ。あるいは研究者の採用にあたっては、資質の高い人材を広く求める ということでございます。また2つ目には、進行管理が大切だということで、組織的か つ定期的にモニタリングをしていくべきということを書いてございます。それと3つ目 には、業務運営の効率化の伴う経費の節減ということでありまして、具体的にこういう 効率的な業務運営をすることによって、どこまでの経費の節減まで求めるかということ であります。特にここでは5ヶ年の間に新規の追加とか拡充部分を除きまして、運営費 交付金を充当する事業の中から、平成13年度の運営費交付金を基点にしまして、最低限 2%に相当する額を節減するという目標を立てたいということでございます。 次のページでございますけれども、(2)効率的な研究施設・設備の利用ということ で、具体的には共同利用を促進することなど有効活用を図るという目標を提示されたと いうことであります。 大きな項目の3つ目でございますけれども、国民に対して提供するサービスその他の業 務の質の向上に関する事項を定めなさいということとされておりまして、それに対しま しては目標として、1つ目が社会的ニーズの把握、そして2つ目にはそのニーズを把握 した上でニーズに沿った調査及び研究の実施、この研究所は調査及び研究の実施という ことが業務でございますので、それをするということ。そして3つ目には、その結果を 外部評価を受けなさいということが3ページにございます。そして公表をすべしと。4 つ目にはその成果の積極的な普及、活用を図るという項目を立てております。そして5 つ目には、4ページになりますけれども(5)として、国内外の健康・栄養関係機関と の協力の推進ということで、人材の活用を図っていくという主旨のことを目標に掲げた いという項目整理をしております。 まずちょっと元に戻りますけれども、2ページの(1)に「社会的ニーズの把握」とい うことで、これはもう当然のことでございまして、国民に対して提供するサービスとい うことの質の確保というのは、その有用度によって解釈しなければならない、評価しな ければならないということですので、まず社会的ニーズを十分に把握することが必要だ ということであります。2つ目に調査研究の実施でおりますけれども、この研究所の具 体的な所管事項というのは定められてございまして、(1)から(3)に書いたものが中心で ございます。まず第1点として国民の健康の保持・増進に関する調査研究、2つ目には 国民の栄養その他国民の食生活の調査研究、そして3つ目に食品についての栄養生理学 的な調査研究ということになっております。4つ目にはこれらをすべて包含するかたち で、創造的な将来を見据えた研究もしていく必要がありますので、基盤的研究をあげて おります。そして5つ目には3ページでございますけれども、具体的にこの研究所につ いて法、とくに栄養改善法でございますけれども、規定された業務がございます。その 1つが国民栄養調査の実施に関わる事務でございますが、それについてはこの目標とし ては、集計にかかる期間の短縮を図ることを定めたいということであります。また2つ 目には特定用途食品の表示の許可に関わる問題についての試験をやるわけでありますけ れども、これの検体受理から試験結果回答までの処理期間を迅速化するという目標を立 てたいということであります。そして3つ目は同様に、特定用途食品などを収去した場 合の試験でありますけれども、それも的確に実施するということであります。 そしてこういう調査研究を進めた上で、それは外部評価を十分受けなければいけないと いう目標を立てたいということでありまして、研究課題について第三者による事前評 価、中間評価、及び事後評価を実施していく、そしてそれを公表するとともに研究業務 への反映内容などについても公表するといったことを目標に立てたいということであり ます。そしてさらに国民へのサービスとして、成果の積極的な普及、活用ということで 学会発表の促進、インターネットなどを用いた情報の発信、講演会等の開催、さらには 知的財産権の活用ということで、知的財産権の取得に努めるとともに、その積極的な公 表ということも目標にしたいということであります。 そして(5)ではいろいろな健康・栄養関係機関との協力の推進ということで、若手研 究者の育成、研修の受け入れとか研究職員の派遣を進めるということ、あるいは研究の 協力ということで、国内外での研究協力のための研究員の派遣及び受け入れを進めてい くべしという目標を立てたいということであります。これが直接的な業務に関わる目標 でございます。 次に4で、これは通則法に定められている項目でございますが、財政内容の改善に関す る事項ということでありまして、この研究所は運営費交付金によって専ら活動すること になるわけでございますけれども、その運営費交付金以外の収入の確保についても目標 を定めて努めるべしということで、競争的研究資金、あるいは受託研究費その他の自己 収入を獲得すること。それと2つ目には運営費交付金の節減を見込んだ予算、先ほど2 %節減ということで目標を提案してございますけれども、それに基づいた予算によって 業務運営をするということで、具体的にそれに配慮した中期計画の予算を作成するとい うことであります。 最後に5つ目の通則法に基づく項目ですが、その他業務運営に関する重要事項というこ とで、ここではこの独立行政法人の組織の在り方の規制とか、あるいは拘束についての 記述というのは、微細に入らないことということが基本的にはございますので、そうい うことも配慮した表現ではありますが、新規事業の追加及び既存事業の拡充に当たって は、適切な人員計画のもとに実施することというような目標で進めたいと、こういう内 容になってございます。概要ということで説明をしましたけれども、実物の中期目標も ほとんどこれに近いかたちになってございますので、照らし合わせながら見ていただけ ればと思います。 そして、次に中期計画でございます。中期目標を受けて法人が定める計画ということで ございます。その実物は資料の3にあるわけでございますが、資料の1の概要で全般的 に見ていただきたいと思います。まず目標の業務運営の効率化に関する事項、これに対 する計画ですが、主なところを見ていきますと、効率的な業務運営体制の確立というこ とに対しては、具体的な組織体制は柔軟なものとして対応するという計画でございま す。また重点調査研究業務については、プロジェクトチームを編成して人員の配置を行 うということでございます。若干ここでちょっと字句の修正をお願いしたいのですが、 概要もあるいは計画本文も間違ってございまして、重点調査研究業務のなかのカッコ書 きで重点調査研究業務とは何かというところで、(事項2の(1)の(1)をいう。)と なっていますが、正確には(事項2の(2)の(1)をいう。)でございます。修正をお 願い申し上げます。そして研究員の採用についても、資質の高い人材を広く求めるよう 工夫をするというようなことであります。それと内部進行管理の充実ということにつき ましては、役員だとか業務運営の責任者が進捗状況を十分に把握して、適切な指導を行 うための仕組みを充実させるということであります。またそのための適正な把握のため の指標を設けることも計画としてあげておりまして、それに基づいて職員の処遇に適切 に反映させるということも計画にあげております。 そして、具体的に2%の節減ということが目標に出ておりますが、それに対する計画で ございますけれども、具体的には適切な資源配分ができる体制を整備すること、あるい は適切な人員配置を行うこと、さらには予算の効率的な執行を行っていくこと、そして また、業務の運営実施にあたっては定型的なものについては外部委託等を導入して効率 化を図ることで対応していきたいということであります。また、運営費交付金以外の競 争的資金、あるいは受託研究費の獲得についても努力するということであります。次の 2ページですが、効率的な研究施設・設備の利用については、共同利用を図るととも に、研究スペースの再配分などについて有効利用を図っていきたいということでありま す。 次に国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上という目標に対しての計画 でございますけれども、これについては社会的ニーズの把握については、情報公開の場 を設けるということ、さらには調査研究の実施に当たっては、2(2)(1)にございま すように、重点調査研究業務として列挙しているようなことを進めていきたいというこ とであります。また基盤的研究についても、次の3ページに亘ってございますけれど も、そこに列挙しているようなことで進めていきたいということです。そして栄養改善 法の規定に基づく業務に対しては、具体的に国民栄養調査の集計にかかる期間の短縮 を、現在8ヶ月かかっているところを6ヶ月に短縮するという計画を立てております。 それと特別用途食品などの試験についての処理期間の迅速化、これについても具体的に 2ヶ月以内で処理できるものを、20%増やしたいということであります。また、職員の 質の向上を図るということであります。 それと外部評価の実施、評価の結果の公表につきましては、それぞれ研究課題に応じ て、事前評価、中間評価、事後評価を実施するということ、そしてその評価結果を具体 的にホームページなどで公表していくこととしたいということであります。それと4番 目に成果の積極的な普及、活用でございますけれども、学会発表等の促進、これについ ては具体的に年間学会発表は300回以上、それと学術誌への掲載は200報以上となるよう にしたいということであります。これとインターネット、これはその通りホームページ で実施する、講演会の開催も年1回、研究所の一般公開も含めて実施するということ、 それと知的財産権の活用もその取得に努めるということであります。それと国内外の関 係機関との協力ということですが、若手研究者の育成を積極的に進める、それと研究協 力の推進ということで、共同研究、研究員の派遣及び受け入れ、あるいは国際協力とい ったことで対応したいということです。 4、5の項目については、この概要のところにちょっと書いてございませんので、原文 の資料3を見ていただきたいと思いますが、資料3の5ページの一番下に予算があり、 そこ以降に書いてあります。予算については別紙1、収支計画については別紙2、資金 計画は別紙3となっております。別紙1は7ページを見ていただきたいと思います。予 算については5か年間の予算です。収入総計で47億円余でございまして、支出も同様に 47億円余であります。収入の大半部分は運営費交付金ということで、44億円で対応とい うことを考えております。 支出については人件費が約30億円ということであります。一般管理費が5億、業務経費 が約9億円、ここは主として研究に相当する経費です。とくに重点調査研究業務とし て、そこに列挙している内容について4億円ぐらいの研究費を充てるということであり ます。少し解説させていただきますと、その重点調査研究のところでは、まずかっこ書 きで内書きを書いてございますけれども、国民の健康の保持及び増進に関する調査研究 ということで、エネルギー代謝研究費が1億8,000万円となっております。これは第7 次「日本人の栄養所要量」の改定が大きな懸案事項になってございますが、それに対す る重点的な研究の推進ということです。 次の国民の栄養その他国民の食生活の調査及び研究のジャンルでは、国民栄養調査高度 化システム研究費ということで1億円をあげておりますが、これは国民栄養調査をこの 研究機関で受託してするわけでありますけれども、これをさらにまた体系化して、国民 の健康の増進のために有効に活用できるようなかたちにするためのシステム化を図って いきたいということです。それと食品についての栄養生理学的な調査研究については、 栄養補助食品などの適正な摂取基準を明らかにするということでの研究でございます。 基盤的研究費でそこにございますような、特に最初の創造的特別基礎奨励研究費という のは、奨励研究というかたちで設けたいということです。また、生活習慣病の予防に関 する自己学習システムの開発、さらには健康科学情報、これは健康科学についてのデー タベースをここに設けたいということです。それと栄養成分の生体利用についての評価 をきちんと確立しておきたい。こういうようなことが当面当研究所での大きなテーマに なってくるということでございます。それと設備整備費について約1億円、それと受託 研究費については2億5,000万円を考えてございます。トータルで47億円余ということ でございます。別紙1−1は運営費交付金の算定ルールということでございまして、2 %の経費削減という目標を掲げてございますが、それを織り込んだ算定ルールを示した ということであります。 9ページが別紙2で5年間の収支計画でございます。当初でございますので、収支計画 といいましても、予算とほぼ似たようなかたちのものになってございますが、費用の部 が約49億円、そして収益の部が同様に49億円で純利益はなしという収支計画を作ってご ざいます。また、減価償却を3億3,000万円をあげております。10ページに5ヶ年間の 資金計画を書いてございますが、これは資金支出47億円、その大半は業務活動による支 出ということです。それと資金収入は47億円で、大半は運営費交付金によるものでござ いまして、それが約45億円ということでございます。 次に目標でいけば5番目になるわけでございますけれども、6ページに戻っていただき たいと思います。いままでの説明が5ページの3の予算の関係でございまして、その他 の項目で6ページに4から7まで書いており、短期借入金の限度額は1億円に設定した いということであります。これは運営費交付金等の資金の出入りにタイムラグが生じた 場合の対応でございますが、それを1億円にしたいということです。それと5番目の、 重要な財産を譲渡、又は提供しようとするときの計画については、これはございませ ん。剰余金の使途については備品の補修、購入ということ、さらには特に職員の資質の 向上のための学会、研究集会への参加、あるいは研究交流の推進に充てたいということ です。そして、その他主務省令で定める業務運営に関する事項として、別紙4から別紙 5に書いてあります。11ページの別紙4に施設及び設備に関する計画ということで、施 設、設備の購入費の内容がここにあります。 次に別紙5の12ページに職員の人事に関する計画ということでありまして、基本的な考 え方は研究者は公募によって採用するということ、そして若手研究員とか任期付研究員 の任用を行うということ、そういう工夫をしたいということであります。また定型的な 業務などにつきましては、外部委託を推進するなどにより人員の抑制を図りたいという ことです。それと特に研究の質の向上をさらに図っていくという観点から先ほど細かく 説明しましたが、エネルギー代謝に関する調査研究とか、あるいは国民栄養調査高度化 システムに関する調査研究とか、あるいは食品成分の健康影響評価に関する調査研究、 こういう点での充実を図る必要があるということで、対応を図るということです。具体 的に人員に係る係数で、5年の期末でございますが、期の当初、この4月に比べて人員 は112%程度にしたいと。具体的には下に参考で書いてございますが、この4月には42 人の常勤職員でスタートをするという考えでございますが、5年後の期末には47人とい う見込みを立てたいということであります。5人増ということでありますが、これは来 年度、公衆衛生院ほか旧厚生省の関係の研究機関の再編整備をかなり進める年度になっ ておりまして、その中でとくに公衆衛生の中では栄養生理関係の専門エキスパートをこ の研究所に配属して、機能の強化を図りたいということで8人増ということが予定され ております。また、5年間に定員削減も当然の措置として行っていくわけでして、総計 で差し引き5人増という人員計画でございます。 最後でございますが、6ページに戻っていただきまして、積立金処分に関する事項とい うことでございますが、これについては設立時の計画でございますので、該当なしとい うことでございます。以上でございます。 ○ 黒川委員長 3つとも続けてやりますとかなり長くなりますから、ここで少し質疑をした方がよいの ではないでしょうか。 ○ 渡辺委員  基本的なことですが、目標期間5年というのは、5年間で達成するという意味の5年な のか、それともこの目標というのはとりあえず5年で毎年毎年評価するのか。例えば外 部評価にしても毎年受けるのか5年後に受けるのかということによって、われわれの要 望とか要求がかなり違うと思う。そこが第1点です。次に細かいことで言いますと、中 期計画の中で例えば国民栄養調査、重要な注目すべき調査なのだけれども、確かにこれ まで集計は非常に長かった。これがこの3ページのところの計画によると、現在の8ヶ 月から6ヶ月に短縮するとなっているけれども、これは集計業務でしょう。われわれ民 間の発想でいうと、8ヶ月から6ヶ月はたいした改善ではない。集計はもっとダイナミ ックに改善できないかという気がするのですが、このへんについて私は個人的にもっと 厳しくやってもいいのじゃないかと思います。それから、その下の事務処理件数20%増 という意味ですが、これは現行の件数をプラス20%にするのか、そういう意味に解釈で きるのですが、だとするならば今は2ヶ月以内で処理しているのはどの程度あるのかと いったことをとりあえずお聞きしたい。最後にもう1点だけ。その下の研究発表で学会 の発表300回以上、学術誌掲載200報以上とありますが、これまでの国立健康・栄養研究 所では、どのくらいやっていますか。 ○ 佐柳厚生科学課長 第1点の5か年間における評価でございますけれども、この目標そして計画というの は、5か年間毎年毎年努力していく積み上げでございますので、結果として5年後に経 費節減で2%ぐらいは達成したいということであります。研究評価についてはもちろん のこととして、これは研究課題についての評価でございますけれども、外部の構成メン バーによってそれぞれ毎年評価を受けていくということでございます。それと3ページ の関連でございますけれども、具体的に数値が出てございまして、それだけに非常に計 画としても具体性が必要かと思いますが、この8ヶ月を6ヶ月と。これは集計業務でご ざいますので、具体的には集計業務といっても、そのほとんどはこの研究所でやってい ただいて、最終的にはそれを国の方で発表するということでございますので、所要時間 全体についてそういう時間になるということであります。現在8ヶ月を6ヶ月であまり 短縮したことにならないのじゃないかというお話ですが、これはシステムを導入して も、この程度だということで、いままでも相当努力しているということでご理解いただ きたいと思います。それと事務処理件数20%増加ということで、これは現在、依頼件数 のうちで44%が2ヶ月以内で処理できているようでございまして、これを20%増やして 53%までに持っていこうということでございます。それと(4)のところの研究発表 でございますけれども、現在、学会発表が年間約280回、これを300に増やしたいという ことでございます。それと論文が現在年間175本出ているということで、これを200まで 上げたいということで、数だけで評価するのも何ですけれども、質も大変大事なことだ と思いますけれども、とりあえず数を増加させたいということであります。 ○ 堀田委員 中途退席しますので4点ほど。中身のことで第1点ですけれども、国立健康・栄養研究 所でありますけれども、ちょっと栄養のほうに片寄り過ぎていている。これは沿革的や むをえないところはあるでしょうけれども、もう少し栄養を摂取することと、それをエ ネルギーとして使うこと、そしてそれがどのように筋肉になるのかとか、生活の在り方 とどう関係するのかといったあたりまで視点を広げ、もう少し広く生活との関連まで考 察することが必要かなと思います。生活習慣病についての研究をされるということで、 これは大変社会保障の面からしても結構なことなのですけれども、単に高齢者の生活習 慣病ということだけではなしに、もっと広く妊産婦とか子供とか広める観点で、全部見 ることが必要じゃなかろうか。それが第1点ですね。 それから第2点は、特に子供たちの健康課題についての対応が不十分ではなかろうか と。これは社会的ニーズに応じて研究するとありますけれども、今の子供たちは例えば 背筋力なんかも非常に落ちている。高校生で腰痛がどんどん増えているといった、ちょ っと考えられない、いわば体の高齢化を起こしているので、これも子供たちの生活態度 と関係していることは間違いありませんし、そのあたりは非常に大きな国民的課題だと 思うのですけれども、そのあたりの着目点がどうもこの計画を見ていても取り上げられ ていない。目標の方では基礎研究がありますから、そういう研究が十分できると思いま すので、そういう観点がひとつ欲しいなというふうに思います。これが第2点です。 第3点は、同じく社会的ニーズからの研究ということで、精神系の症状に対する研究科 目がまったくない。これもまた沿革からするとやむをえないかなと思いますけれども、 いま鬱とか、これは大学生、高校生から中年まで大きな現象になっているけれども、社 会的に何となく隠れている。しかし、これの基礎研究に対する社会ニーズは非常に高い ので、どうも健康・栄養研究所以外にやるところもなさそうですから、そういう観点か らの研究が必要ではなかろうか。これも基礎研究として当然やれることだと思います。 第4点は人事に関してですけれども、人事で資質の高い研究員を採用するというのは大 変結構ですけれども、資質が落ちてきた研究員を外部へ出すという態度がないといけま せん。民間ならいいのですけれども、公務員の場合というのは一旦採用すると辞めさせ ることがなかなか難しい。それから仕事のインセンティブが非常に少ない。研究に対し てもそれが営利と結び付きませんので、いわばやる気のない、能力も若いときはあった のだけれども、能力が落ちて年がいって月給だけ高くてブラブラしているというのは、 これは別にここの研究所は私は具体的には知りませんけれども、法務省で人事等を担当 しておりまして見ておりますと、どうしても公務員というのはそういう人が溜まりがち でありまして、こういう年がいったけれども能力のない人たちを、どんどん出していく という仕組みをこの中に取り入れていかないと、全体の体力が落ちていくだろうと思い ます。ですから外との交流とかそういった人事の仕組みをどんどん作っていくことが大 事かなと。若干これは計画の中にありますけれども、もう少し明確に能力主義を徹底す る、それを管理職であろうと評価をしっかりして、駄目な人は出す、月給を減らすとい うぐらいの強い管理体制をつくることが独立行政法人になったときに必要ではなかろう か。これが第4点目です。 ○ 佐柳厚生科学課長 全部当研究所の問題になってきそうな気がしますけれども、1点目、栄養に片寄ってい るというのは当研究所はもともと栄養研究所からスタートしたということもございまし て、主眼が、主体がそこにあるということが、確かに歴史上もございまして、ご指摘は 大変ごもっともだと思っています。ご指摘の中にございましたように、生活習慣病とい う大きな視点の中で栄養だけではなしに、運動、栄養、休養、特に休養というのは極め て大切だという観点がいま出ていますけれども、それを研究テーマにしようということ を生活習慣病というところで、書かせていただいているかたちでございますが、ご指摘 の点は踏まえた上でやらせていただく必要があろうかと思います。 それと子供たちへの問題でございますけれども、ここに書ききれない問題があるわけで すが、7部編成で当面スタートするわけでございますけれども、母子健康・栄養部とい う部を1つ設けてございまして、そこでこれを主眼的に取り組んでいくということにな ってございます。 それと鬱の問題ですけれども、心の健康という広い意味でこの研究所でもそうした観点 を踏まえた上で対応が必要だと思いますが、別途独立行政法人になりませんけれども、 精神保健研究所というのがございます。科学研究機関との連携を図りながらということ が書いてございますが、そことの連携を進めていかなければいけないと、このように思 います。ごもっともだと思っています。 それと研究員を採用することではなくして辞めることということもありますが、任用制 を設けることが書いてございますので、当然のことですが独立行政法人化することの主 眼というのは、能力を最大限発揮することにあるわけでございますので、こういう任用 制の問題とかいうことを最大限活用するかたちで、ご指摘のような運営をしていくべき だと、このように考えております。 ○ 堀田委員  ちょっと1点だけ。母子健康・栄養部があることは承知していたのですけれども、私が 言っているのは高校生とか大学生とか、そのあたりの健康問題がおかしくなっていると 思いますのでもう少し広く、そういう主旨です。 ○ 坂本委員 ここに示されております計画の中で、少し感じたことを申し上げたいと思いますが、大 きく3つの重点調査研究業務が提案されております。これを実際に具現される場合に、 ソフト面をもう少し本質的にディスカッションする必要があるのではないか。例えば、 組織であるとか重点課題についても、具現にあたっての本質的な検討が、特に新しく独 立行政法人になる場合には具体的な検討が必要ではないかと思います。それからもう1 つ。これはソフトの面ではなくてハードの面なのですが、こちらの研究所は新しく建造 物が建ちます前は、国立栄養研究所の敷地に建っていたと思うのですが、そこへいま新 しく3つの研究機関が入っておりまして、その中の2つが国立で、1つが国立健康・栄 養研究所で独立行政法人になるという、ちょっと私どもから見て不思議な環境だなと思 っておりますが、ぜひこれはハードの面で、建造物その他、研究設備などをどのように 配備していくべきかお考えいただく必要があるのではないかというふうに感じます。 ○ 佐柳厚生科学課長 研究テーマについては当面これからのスタートということで。いままでの素地の上でこ れからの重点的な方向性ということをこういうかたちで検討して、内部で練ってきたと いうことでございますが、ご指摘のとおりだと思います。研究を進めていくに当たって は、研究テーマについて、事前評価あるいは事後評価を外部の委員会を設けてやってい くことになってございますので、そういうところで十分いろいろな意見を賜っていきな がら、個々の重点調査項目についてもさらに練っていく必要があるのではないかと思い ます。それとハードの話は将来はなかなか展望がどこまで行くか分かりませんけれど も、当面独立行政法人といっても、これは行政にかかる仕事をやっていくわけでござい まして、会社ではございませんので、他の研究所と連携をとってやっていくという意味 では、逆に一体的なものの方がまだ動きやすいのではなかろうかと思います。それと新 しい施設でございますので、研究所としてもまだ活用すべきところは相当ございますの で、それを最大限活用するというのが当面の対応かなというように考えております。 ○ 黒川委員長 一般的に共通した問題もあると思うのですが、1つは堀田委員のおっしゃったような人 事についての時限の雇用とかいろいろあるかもしれないけれども、なかなか難しいです よね。他の大学でも、私立でも国立でも、年功制の下で勤続年数に応じた大きな退職金 でつられているという実態がみんなあるから、これはなかなか難しいのではないかな。 やっぱり退職金をどうするかという話があるから、もう少し他のレベルで大きく変わっ ていかないと流動性は出てこないでしょうね。時限、時限といっても、大学でも若い助 手の時限雇用はするけれども、教授の時限雇用はしていないという話は普通だから。 ○ 大久保委員 質問をしたいのですけれども、1つは海外との協力研究ということでございますけれど も、これはアジアが中心になっておりますけれども、実は高齢者の問題等については、 日本がある意味では先進国でございまして、そういう意味で欧米も中に入れた方がいい のではないのかなと思います。アジア等と書いてございますと、当然これは欧米も入っ ているということはよく理解できますけれども、いろんな国際会議で、やはり日本の高 齢化に係わる高齢者の栄養問題を含めたいろんな問題というのは、これはかなり国際的 に注目を浴びているといったようなことがございます。それから、堀田先生がおっしゃ いました能力のない者をどうするかということですが、自分とも比較しまして非常に言 いにくいわけでございますけれども、これからいろんなご討議があると思うのですけれ ども、いろんな研究所等についてはかなり現場のことをよく知っていらっしゃる方が、 やっぱり中高齢者といいますか、40代50代の方々にはたくさんいらっしゃるということ で、ひとつの活用方法といってはおかしいのですけれども、そういったような方々はぜ ひ大学に移っていただいて、現場の知識を大いに教育の場で活かしていただくといった ようなことも、これも活用方法の1つでございますので、そういったようなこともぜひ その中に入れていただきたいと思います。 それからもう1つは、この中には、実はいろんな機器をプロジェクトとの関係で、十分 お考えの上で計画を立ててお買いになっていらっしゃるのでしょうけれども、エネル ギー代謝等についてかなり大きな問題としてお出しになっているのでございますけれど も、私は実はまだ研究所を具体的に見せていただいたわけではございませんので、そこ のあたりのコメントは差し控えておこうかなとも思ったのですけれども、そういったよ うなエネルギー代謝系の測定機器というのは、非常に最近高度化をしていますし、いろ んな点で良いのがたくさん出ているのですが、そこのあたりは従来のものを使って十分 やれるのだといったようなことを前提にしていらっしゃるのでしょうか、いかがでしょ うか。 それからもう1つ。強いて言わせていただきますと、体力面も基礎代謝系ももちろん大 切でございますけれども、もう1つは持久性で、ある時間の中での体力といったような ものも最近かなり話題になっておりますけれども、ここのあたりも研究所の方でお取り 組みになろうといったような計画がございますでしょうか。ちょっとそのプロジェクト の中での問題で少し具体的すぎますけれども、できましたらお進めいただきたいと思い ます。以上です。 ○ 佐柳厚生科学課長 1点目でございますけれども、交流の話はアジアといいますか、当面はアジア、環太平 洋ということでアメリカまで含めてということを考えていますけれども、欧州も含めて 当然のこととしてやっていくべきことだと思います。当面アジアについて重点的に進め ていくことが、この研究所の貢献かなということで、こういう形にあげさせていただい ているわけであります。それと40歳50歳代の方の活用は、これはぜひともお願い申し上 げなければいけないことが相当あろうと思いますので、ここを利用させていただければ と願っております。それと機械の話と持久力の話は、ちょっといま現在の研究所で練り 上げてきたものがこれだということでございまして、もしよろしければ理事長に指名さ れております田中先生が研究所の方から来ておりますから、ご発言いただければと思い ますけれども。 ○ 田中成人健康・栄養部長 田中平三と申します。東京医科歯科大学の教授をこの3月いっぱいまで務めることにな っておりまして、現在はこの研究所の成人健康・栄養部長を併任しております。 4月1日から理事長ということで指名を受けておる者ですので、今の研究面について若 干コメントさせていただきたいと思います。このエネルギー代謝につきましては、いわ ゆる消費エネルギーのゴールドスタンダードがございませんでして、昨年、日本で初め てメタボリックチャンバーというものが設置されまして、これが稼働するように鋭意準 備中であります。これが稼働いたしましたら、これをゴールドスタンダードといたしま して、簡単なカロリーメーターとか、あるいは歩数、脈拍等で推定するものの妥当性及 び再現性をも検討できていくのではないかとかように考えております。 それから先ほどご指摘の持久力、体力という話ですが、これにつきましては、健康増進 部というところがありまして、そこに専門家が室長としておりますので、積極的に研究 を進めているところで、今の先生のおっしゃっていることに十分対応しているのではな いかと考えております。確かにご指摘のように、それが若干この中期計画には見えにく いといったことがあるのではないかと思っております。 もう1つ。ちょっと先ほどの国民栄養調査の8ヶ月から6ヶ月ということですけれど も、昨日朝から晩までいったい何を食べられたかということを思い出していただきたい と思うのですね。つまりこの国民栄養調査というものはマルバツ式じゃないわけです。 各個人によりまして答がすべて違うわけです。これは自由回答方式といいまして、膨大 な答で、同じ人が2人としてないという非常に特殊な調査であるわけですね。ですから これをコンピューター化してやっていくというのも多大の労力またソフトの開発という ことが要るわけです。私としてはこの2ヶ月も短縮ということでも相当大変だと受けと めています。それが何万人という人が種々様々な膨大な答を持ってきているわけです。 直前この24時間を思い出していただいても結構ですが、朝から晩まで間食も含めて何を 食べてきたかということを評価するわけです。要するに1万人を対象にしましたら、1 万人すべて違うわけです。しかもマルバツ式でない、記述式である。そういった非常に 特殊な調査であるということを御理解いただきたいと思っております。ですからこの目 標を6ヶ月にするということは、非常に重いように私としては感じております。ちょっ と研究面から追加させていただきました。ありがとうございました。 ○ 井伊委員 毎年その調査は行われているのですか。 ○ 田中成人健康・栄養部長 そうでございます。これは毎年やってきているということで、世界的に非常に評価され ているのです。だから国民の栄養素及び食品分別摂取量の経年数を持っている国は日本 が唯一であります。ちょっと余談かもしれませんが、日本人の食事摂取というのは先進 国でも非常に特異的であります。つまり日本の伝統型の食事を維持しながら、欧米化を 図ってきた。あるいは中国や韓国や東南アジアの食事もやってきたということで、非常 に評価されているわけですね。おそらくこういう主食をもってこれだけの多様化を図っ た国はないのではないかと。平均としては非常に高く、ある意味では評価しています。 いろんな問題点があるのは事実でありますが、平均としては非常にいいのではないかと 思います。そこで先ほどの国際協力の場合も、アジア諸国が日本を見習うというかたち で非常にたくさん研修しにきているのです。もし欧米諸国のあとを追随しますと、心臓 病や大腸がんの多発につながるといったことで、主食を持っているアジア諸国は日本を お手本にしたいということで、非常に重視しております。そういったところからも、わ れわれはそういうアジア諸国への期待に応えるべきであるし、先進国で応えられるのは 日本が唯一であるという誇りを持ってやっている次第であります。 ○ 井伊委員 ちょっと細かい点かもしれないのですけれども、私は世界銀行という国際機関で主に途 上国のそういうミクロ的な栄養ですとか家計調査に携わってきたのですけれども、かな り今、国際比較もできるように簡素化されたりコンピューター化されたりしていますの で、質問の内容なり記述式の部分など、特に分析の対象にしにくいものであるとかにつ いてもそういう見直しをするとか、あとアジアの他の国々との比較ということからも、 比較性を重視するなり、やはり、中身の質問の見直しのようなことも考慮されて、集計 の期間を短縮するということは重要な事柄ではないかと思います。 あともう1つ細かい点なのですが、学術誌の掲載数というのですが、これは査読が必要 な学術誌というように決められているのでしょうか。 ○ 田中成人健康・栄養部長 もちろんそうでございます。 ○ 井伊委員 外部評価などでもそれは重要だと思います。 ○ 田中成人健康・栄養部長 今のところはやはり、学術雑誌として欧米の国際雑誌といったことを念頭に入れており ます。そうでないと他の研究機関あるいは大学との対応はできないと考えております。 ○ 井原委員 研究所の一般的な流れというのは、まず社会的ニーズを把握して、それに応じて研究計 画を立てて、それで研究を実施してそれを途中何回かモニタリングをやって、研究成果 を外部に公表し、また役に立つようなかたちにしていくという、そういう一般的な流れ ですね。その流れというのはこの中にずっと書いてあるわけです。問題はその流れをよ り効率的に、より成果のレベルを高めるのにはどうすればいいかという話だろうと思う のですね。その時にどうも2つの問題が浮かび上がってくるかなという感じを受けてい るわけでございます。 1つは柔軟性の問題なのですけれども、社会的ニーズを把握して、それが今のような世 の中ですと、しょっちゅうニーズが変わるわけなのですが、その前に研究資源というの は研究員という資源とそれから施設・設備という資源があるのですが、施設・設備とい うのはここで共同利用をすることによって柔軟性を高めるという、そういう要素が相当 盛り込んであるわけですけれども、問題は研究員のところで起こるのじゃないかと。私 も大学におりますのでよく感覚が分かっているのですが、研究課題というのはどうやっ て決まるかといいますと、存在している研究員の専門性で決まる傾向が非常に強いので すね。だから社会的なニーズがあって、それに応じた研究課題があがってきたときに、 常勤ばかりの研究者であれば、研究課題と専門性の間にミスマッチが起こってしまうと いうことはよく生じることなのです。そこの1つの解決の方法として、ここでは外部と の研究の連携ということがあがっているわけですけれども、それにしても常勤の方が コーディネートするのでしょう。そこで本来だったら新しいテーマがあがってきたとき に、それに応じた専門家をその度ごとに、例えば1年とか2年とかを限って、他から出 向してもらう、要するに研究者の共同利用です。これは大学のところでは結構柔軟性が あるのではないかと思うのですが、つまり出向できるようなかたちになっているのじゃ ないかと思うのですけれども、これを一般に進めていただくと、この社会的ニーズとの ミスマッチが1つ避けられるのではないかという感じがします。 それからもう1つは研究資源のインセンティブの話なのですけれども、これは先ほどか らいくつか出てまいります。設備・施設のインセンティブというわけにはいきませんけ れども、研究員なのですが、そのときの動機づけというのは研究員というのはだいたい 2つの要素で動くのだと思うのですね。1つはモニタリングをして、おまえ駄目じゃな いかという、だからやるという、要するにそれは恐怖解消動機というふうに呼んでいる のですけれども、それの要素はここにあがっているのですが、研究成果というのは恐怖 でやりますと、あるレベルまで行けばいいやと、それで止まっちゃうのですね。 もう1つは前向きのいわゆる一生懸命にやれば、いい思いができるという話です。損得 動機といってもいいのですが、それがないとなかなか高いレベルのところまでやらない のです。その動機といえば1つはたくさん処遇が良くなることもありますし、それから 自分のもともと持っていた好奇心をそこで満たすこともできるというのがありますし、 好奇心を満たすということになりますと、これはさっき言ったことと重なってきまして 、強制的に「社会的ニーズがこうだから、おまえこれやれ」ということになると、そこ が満たせなくなって、効率が落ちていまうのですね。だから、「どうしても自分のやり たいことをやりたい」ということが、実は効率性と非常に密接に係わってきているとこ ろなのです。あとは研究所よりも大学に行けばいいや、いい成果を出せば大学で引っ張 ってくれるよと。これも1つの大きな動機になっているのだろうと思うのですが、そこ らのところの恐怖解消動機じゃなくて、前向きのいい思いをできる動機のところをうま く組み込まないと、どうも非常にレベルの高い研究はできないのかなというふうに感じ ております。 ○ 中窪委員 いまとの関連で国から独立行政法人になったわけですけれども、やはり公的な立場で何 が成果として世に貢献できるかというときに、教育との関連を1つ考えたらいいのでは ないかと思うのです。先ほど堀田委員から若い人の栄養問題が指摘されましたけれど も、本当に若い人たちはカップラーメンばかり食べて何も考えていないということがあ りますけれども、そういうところに学校を通じて教育をする必要があると思うのです ね。しかもそれは科学的知識に基づいているのだけれども、退屈な道徳みたいなもので はだめなので、何とかインパクトのあるかたちでこの教育を変えていかないといけない と思うのです。そういう点をぜひ成果の普及というところで注意していただきたいとい う気がいたします。それからこれだけは言いたいのですけれども、禁煙教育の方も、ぜ ひそこで力を入れてお願いしたいと思います。 ○ 大久保委員 話はたぶん他の2研究所にも共通していると思うのですけれども、もう1つ気がつきま したのは、この中にデータ管理といったような項目がないのですね。実はこういったよ うなデータは非常に貴重なものでございまして、長期的にデータを蓄積して、それを有 効に活用していくためには、やっぱりデータの管理とプロテクトでございますね、ここ のあたりのものがこの中で見えてきていないというのは問題であると思います。 ○ 古郡委員 先ほどの井原先生のお話をとても興味深くうかがったのですが、恐怖動機と損得動機の バランスですね。それで交付金以外の外部からの収入の確保というところで、1億 5,000万円という収入の予算があげられていますが、こういったところは自己収入を獲 得するということですから、そこのところを損得動機に結び付けて、何らかのインセン ティブを与えるようなシステムを考えられるといいのではないかと思います。 ○ 黒川委員長 これはこの間も議論したのですが、いまは科学技術基本法でこれから第2次の5年間で は24兆円も出してくれるというわけだから、ここが独立行政法人になりますと、厚生科 学の人も他省の研究費を取れることになるので、この1億5,000万円はそういうものに 期待しているということなのですよね。 ○ 渡辺委員 身分は国家公務員ですよね。非公務員型は別とすれば、賃金は人事院勧告準拠でしょ う。 ○ 唐澤政策評価官 制度が移行したときにすぐに大幅に取扱いが変わるということではありません。 ただ交付金は総額で渡すだけですので、中で実際はどういうふうに配られるかは理事会 で決めていくことになります。 ○ 渡辺委員 そうするとさっきのお話じゃないけれども、成果が上がったと、そういったお金につい ては賃金等に反映することは、これは法律上可能なわけです。 ○ 唐澤政策評価官 可能です。 ○ 黒川委員長 それではあと2つの研究所をうかがいまして、さらにご意見を御願いします。かなり共 通の問題があると思いますので、そういう話を聞かせていただきたいと思います。 ○ 奈良調査官 私は安全衛生部計画課調査官の奈良と申します。産業安全研究所、産業医学総合研究 所、両研究所の中期目標、計画につきましてご説明申し上げたいと思います。まず最初 に産業安全研究所の中期目標、計画につきましてでございますが、資料4から6までに 関係資料がございます。私の説明は基本的にはこの資料4の概要に従いまして行いたい と思っております。まず中期目標でございますが、この基本的な構成は健康・栄養研究 所と一緒でございます。当然、研究課題に関する部分はそれぞれ研究所の目的が違いま すからその部分は異なっておりますけれども、他の効率化でありますとか、それから質 の向上に関する一般的な事項、財務内容の改善に関する事項は、ほぼ同様の目標の設定 となってございます。中期目標の期間でございますが、同様に5年といたしてございま す。その次の業務運営の効率化に関する事項でございますが、健康・栄養研の場合とま ったく同様の目標設定となってございます。 それから3番目の国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項 でございますが、こちらも1番目に労働現場のニーズの把握をきちんとやって、それを 研究業務の推進に反映してくれということで、それを一番最初に目標として持ってきて ございます。続きまして(2)に書いております事項は、これまで産業安全研究所が厚 生労働省の研究所として実施してきている事項を確実に実施してほしいということで、 ここの部分にそれに関する業務を書いてございます。(3)の外部評価の実施、評価結 果の公表も健康・栄養研の場合と同様でございます。(4)の成果の積極的な普及・活 用についてでございますが、この成果を外部に対して普及していくという意味でのベー スとなると考えられます研究成果のとりまとめといたしましての学会発表、学術雑誌へ の論文発表、論文の中に行政に提出する災害調査報告書を含むということにしてござい ますが、それらについての目標数を掲げてございます。災害調査報告書をここに含んで おります理由は、産業安全研究所の場合、大きな災害が起きたときに現場に出かけてお りまして、その業務量がかなりの負担になってきております。同時にまた、専門的な実 験ないしは解析等を行って、専門的な報告書を行政サイドの方にこれまでは出してきて おりますので、そういうものもこの中に含めるべきであろうということで、この論文発 表数の中のところに災害調査報告書を含むというかたちの記載をさせていただいており ます。(2)から(4)までは健康・栄養研と同様でございます。(5)の国内外の産業安全 関係機関等との協力の推進でございますが、これも基本的には健康・栄養研と同様でご ざいます。ただ(2)の研究協力の促進というところでございますが、産業安全研究所に つきましては、現在すでにイギリス、韓国の産業安全関係の研究機関と研究協力協定を 締結してございまして、そういうところとの協力関係の拡充について目標としたいとい うことでございます。 4の財務内容の改善に関する事項でございますが、これも健康・栄養研と同様でござい ます。ただこれはあとの計画のほうでご説明を申し上げたいと思いますが、産業安全研 究所につきまして申し上げますと、競争的研究資金は過去の実績を見ますとかなり獲得 が厳しいものがございます。他の研究所ほどにはそういうことで中期計画の中では、多 くの金額はここの部分に関しては残念なから見積もっておらないという状況がございま す。 恐縮でございますが資料5の産業安全研究所の中期目標案、これは全文掲げてあるほう でございますが、そちらをごらんいただきたいと存じます。5枚目以降のところに別紙 1としてプロジェクト研究、それから一番最後のページに基盤的研究領域ということ で、それぞれやや詳細な目標をここの中に書いてございます。まずプロジェクト研究に つきましては、4つの重点研究領域ごとにそれぞれ複数の研究課題を定めまして、それ ぞれの研究課題ごとに研究の目的、さらに研究の到達目標、それと研究の予定期間とい う格好で整理をいたしてございます。例えば重点研究領域1の2でございますが、情報 化技術を援用した中小規模掘削工事の安全化、これは中期目標の期間中に開始をいたし まして、ただその期間内ですべてが終わらず、次の中期目標の期間への継続を予定する ものでございますが、このような研究の到達目標につきましては、そこの欄の中にござ いますように、中期目標の期間中にはどこまで実施します、参考事項といたしまして、 この研究が最終的に終了した段階での到達目標はこうですよというかたちの書き方で整 理をいたしてございます。 このプロジェクト研究全体といたしまして10本ございます。まず重点研究領域1の建設 工事における構造物等の倒壊・崩壊災害の防止というところでございますが、1つ目の 研究課題といたしまして、これはよく街角の工事現場で見掛けます足場にものが落ちて くるとかそういうことを防ぐために、ネットとかメッシュみたいのを貼り付けておりま すが、強風時の倒壊事故が結構発生しておりまして、そういう災害を防ぐための研究を やろうというものでございます。 2番目の情報化技術を援用した中小規模掘削工事の安全化ということでございますが、 非常に小さな掘削工事の場合ですと、本来ですと土砂の崩壊を防ぐために、きちんとそ れを止めるための設備を施した上で掘削工事をやっていくというのが正しいやり方なの ですが、安直に機械でポコポコと掘ってしまって、そこで小規模な土砂崩壊災害が起き て人が怪我をしたり亡くなったりするというのがかなり多発しておりまして、そういう ような中小規模の掘削工事の施工方法安全化、実際使ってもらえるような施工方法の安 全化を図りたいというものでございます。 3番目が橋梁架設中の不安定要因の解明と安全施工技術の開発ということでございま す。いま橋梁の仮設・解体工事の工法がだいぶ変わってきつつございまして、そこで使 用されております橋梁の橋げたを持ち上げる装置でありますとか、吊り上げるような装 置について不具合から事故なり災害が発生しているという例が出ておりまして、そうい うことを防ぐための研究を行って、現在これらについての構造要件でありますとか、使 用方法が確立されておらないというようなことがございますので、そういうようなもの を明らかにしていきたいというのがこの研究でございます。 次が重点研究領域の2番目でございますが、化学物質処理プロセスにおける爆発・火災 災害の防止というところでございます。一番目の化学プロセスにおける爆発災害防止技 術に関する総合的研究でございます。これは平成10年度からの継続研究でございまし て、実はこの中期目標の期間の初年度中に終了を予定しているものでございます。 最終的には研究到達目標としてございますように、化学プラントプロセスシミュレータ ーの爆発・火災危険性事前評価への応用、化学プラントにおけるフェールセーフな安全 制御技術の提言、災害発生防止対策の策定を支援するソフトウエアの開発というような ことを最終的な目標といたしてございます。13年度はこの(3)番でございますが、これは 特に今化学プラントも含めてという言い方のほうが正しいのでしょうけれども、会社の 中でこういう安全管理化に関しての十分な経験を持っている方が非常に少なくなってき ているというようなことが問題になっております。このソフトウエアの中では、これま での災害の発生状況でありますとか、それに関与した化学プロセス、物質、また使用条 件というものを、ソフトウエアというかたちで加工いたしまして、こういう経験が少な い安全管理者の方が、どういうようなプロセスについての安全対策が必要かということ について問いかけると、コンピューターの方からこのような対策をとるべきであるとい うようなことを答えてくれるような、そういう支援ソフトを作りたいというのが今年度 の目標でございます。 次のページに移りまして、産業リサイクル過程における爆発・火災災害防止、これは4 月から家電リサイクル法が適用されてございますけれども、そういうような中で非常に 産業廃棄物を介しての爆発火災が起きているということで、それに対する防止対策をと りたい、研究したいというものでございます。3番目が液体噴霧時の静電気による爆発 ・火災の防止ということでございまして、従来、これは粉塵爆発というもので広く知ら れているのですが、こういう微小な液体粒子による爆発・火災の発生の機序というもの が解明されておらないということで、それに関しての研究を行うものでございます。 3番目の重点研究領域は、機械等の安全制御技術の開発及び破損災害の防止でございま す。この中では特に今回新しく始めるものといたしましては、2番目のところでござい ますが、建設機械の保守管理システム高度化のための損傷評価技術の開発というものが ございます。現在、いろんな機械設備の性能基準化という国際的な流れがございまし て、その中で負荷のモニタリングの合理化とともに、機械設備の保守管理技術の合理化 が求められているということを背景としたものでございます。3番目でございますが、 これは人間・機械協調型作業システムの基礎的安全技術に関する研究でございますが、 これまでどちらかといいますと人と機械を分離するかたちでの安全対策がとられてきて いるわけでございますけれども、そういうことではなくて、人と機械が共存協調するよ うな中での安全対策はどうあるべきなのかということについての研究を行おうとするの がこの部分でございます。 最後でございますが、不安全行動に基づく労働災害の防止ということで、ヒューマンエ ラー防止に関する研究というものに取り組もうとしております。これはまさしく人間側 に着目をして、そのヒューマンエラーをどうやったら防止できるのかということをやっ ていこうという研究でございます。これまでの研究ですと、ヒューマンエラーが起きて も、機械側からどういうアプローチをすれば災害が起きないかという研究がメインでご ざいましたけれども、この部分は人間側そのものに着目をしようという研究でございま す。 別紙2に基盤的研究領域ということで、全部で13の領域を示してございますが、いずれ にしてもこの基盤的研究領域に関しましては、いわゆる研究員のクリエイティブな研究 という要素が強うございますので、具体的な研究の到達目標というものは、中期目標の 中では示してございません。 それでは引き続きまして中期計画に関しましてご説明を申し上げたいと思います。ここ も基本的な流れは健康・栄養研と同様でございます。ただ、それぞれ研究所の考え方が 違うところもあるというところで、多少表現ぶりは違っているところがあろうかと思い ますが、考え方としては基本的に一緒だということでご理解をいただきたいと存じま す。 ○ 黒川委員長 しかし、プロジェクト研究については、現在行われているものについてのある程度の継 続があるので、時限、5年以内に終わってしまうものも結構あるということですね。そ ういう目標でやっているということですね。 ○ 奈良調査官 はい、そういうことです。資料6にこの安全研究所の中期計画の案の全文がございま す。そこの4枚目以降にこの概要では記載していない部分がございます。まず予算、収 支及び資金計画でございますが、そのあと2枚おめくりをいただきますと、中期計画の 予算、そのあとに運営費交付金の算定ルール、さらにその次に収支計画、資金計画とい う順番に資料がついてございます。中期計画全般の予算でございますが、産業安全研究 所につきましては、運営交付金で約63億円、施設整備費補助金ということで3億3,000 万円、その他受託収入が2,400万円、その他の収入が600万円ということで、総合計で66 億6,000万円程度の収入を見込んでございます。 支出に関しましては、人件費がほぼ収入の半数でございまして、32億8,000万円程度、 一般管理費が約6億円、業務経費、これは調査研究に関する経費ということでございま すが、こちらのほうが24億円程度を見込んでございます。産業安全研究所、産業医学総 合研究所とも同様でございますが、この予算が一般会計と労働保険特別会計労災勘定の 中の労働福祉事業費というところから折半するような格好で、これまでの予算の経緯も ございまして、運営費交付金が充当されているというような状況になってございます。 収支計画のほうもこの予算計画と同様となってございます。 先ほどのところにお戻りいただきたいと存じますが、4枚目のところです。短期借入金 の限度額でございますが、1億5,000万円ということで、単年度の予算の10%の数字を 5,000万円単位でまとめると、このぐらいになるかなということで、非常に大掴みな数 字でございますが、1億5,000万円を限度額といたしてございます。想定される理由に つきましては、健康・栄養研の場合と同様の理由でございます。それから重要な財産の 譲渡、又は担保に供しようとする計画はございません。それから経営努力によって剰余 金が発生した場合の使途に充てるものとしては、そこに書いてありますようなものを予 定してございます。 7番目の人事に関する計画でございますが、人員の指標といたしましては、期末の常勤 職員数を期初の98%、具体数でいきますと参考事項として書いてございますが、49名を 48名ということで、1名削減するということを予定しております。それから施設・設備 に関する計画といたしましては、そこの下の表にありますような研究設備の更新、整備 というものを予定いたしてございます。産業安全研究所に関しましては以上でございま す。 続きまして産業医学総合研究所の中期目標及び中期計画の概要についてご説明申し上げ たいと思います。資料7、8、9がそれに関するものでございます。中期目標に関して 申し上げますと、産業安全研究所と比較いたしまして異なる点は1ヶ所のみでございま す。概要のほうでごらんいただきますと、3ページ目の(4)成果の積極的な普及・活 用の中の(3)でございます。国内の労働衛生研究の状況の把握及び労働衛生研究機関へ の情報の提供というところでございます。これは、これまで3年間、21世紀初頭におけ ますわが国全体としての労働衛生研究の戦略について各研究者の間で検討がなされまし て、その報告の結果を受けまして、この産業医学総合研究所はこういう関係研究機関の 最新の研究の情報をきちんと集めて、他に提供することによって、この労働衛生研究が 効率的になされるような役割を果たすべきであるというようなお話がございまして、そ れに応えようというものがこの(3)のところでございます。それ以外の部分につきまし ては、産業安全研究所の場合と同様の目標設定といたしてございます。といいまして も、当然、研究所が違いますから研究課題は違ってございまして、その研究課題そのも のは資料8の後ろから3枚4枚のところに、プロジェクト研究という格好でまとめてご ざいます。また一番最後につきましては、基盤的研究領域ということで整理をいたして ございます。書き方は安全研究所の場合と同様です。 続きまして中期計画につきましてご説明を申し上げたいと思います。中期計画の構成そ のものは、これも健康・栄養研究所、産業安全研究所の場合とほぼ同様でございます。 書きぶりは確かに若干違っているところがございます。それから予算等の関係でござい ますが、資料9をご覧いただきたいと存じます。後ろから4枚目に予算がございます。 運営費交付金収入につきましては、向こう5年間で約73億7,000万を予定しておりま す。その他に施設整備費補助金ということで、約17億円。これは特に産業医学総合研究 所も現在の地に移ってから25年を経過しているということで、建物でありますとか研究 施設の老朽化がかなり進んでいるということで、この5年間でそれらを計画的に改修・ 整備してまいりたいというための予算でございます。受託研究といたしまして、これは 主として競争的研究資金を目当てとしておりますが、向こう5年間で3億3,500万円程 度を考えているということでございます。これらを合わせますと収入の合計が約94億円 でございます。それから支出のほうでございますが、人件費が約42億円、一般管理費が 約8億6,000万円、研究関係の業務経費が約23億4,000万円、施設費が16億9,000万円、受 託経費3億3,500万円となってございます。 今のページから2つお戻りいただいて4ページですが、短期借入金の限度額につきまし ては、産業医学総合研究所につきましては2億円ということを計画いたしております。 これも単なる予算の10%を5,000万円単位でまとめると、2億円になるので、そのくら いということで大掴みで設定したものでございます。重要な財産の譲渡云々について は、計画がございません。それから剰余金の使途でございますが、そこに書いてありま すようなもので、研究員のインセンティブを少し高めようかという方向に使おうという 姿勢が見られております。 それから7番目のところは、人事に関する計画でございます。人員の指標といたしまし ては、期末の常勤職員数を期初の96%とする、具体的には職員の数としては、期初の76 名が期末には73名ということでございますが、ただこの期初の76名の中には、現在JI CAの専門家として海外に派遣されている人間が1名含まれておりますので、実質的な 研究員といいますか、研究所の実員の数としては75から73ということで2名の減を想定 いたしてございます。施設・設備に関する計画でございますが、先ほど申し上げました ように、現行の施設の改修・更新のために、ここに表に掲げられているようなものにつ いて計画的に進めたいと考えております。以上です。 ○ 黒川委員長 どうもありがとうございました。最初の産業安全研究所というのは産業のいろんな分野 に関する安全の調査研究がいろいろありますが、特に調査とか実験ですね。そうなると 企業では非常にやりにくいけれども、建設現場でものが落ちるとか、液体噴霧時の静電 気による爆発災害、それから他の労働災害もそうですが、なかなか会社ではできない基 準とかいろんな安全対策の基本になるような事項についての研究が必要です。そういう ことになると、外部の例えば、文部科学省の科研費とか、そういうのはなかなか取りに くいかもしれない。業務的な内容、実験が多いからでしょうね。それから産業医学総合 研究所につきましては、もっと広く、対象が人ということもあるわけですが、そうなる といろいろなオリジナルな研究分野の面も結構強いし、全体の安全政策にも資すること が多いのではないかということで、これについては論文の数とか学会の発表数もかなり レベルを高く設定してあって、しかも外部の資金もかなり取れそうかなという見込みと いうか、そういうような位置づけにしているということだと思いますが、この両方につ いていかがでしょうか。 ○ 古郡委員  産業安全研究所というのは職場における労働者の安全の確保に資する目的で造られたと いうことなのですが、工事現場における災害だけではなくて、例えば過労死の問題とか 精神障害、ストレスの問題などあると思うのですが、それはどうも産業医学総合研究所 で行われるという、そういう棲み分けができているのでしょうかという質問と、それか ら健康・栄養研のところでも出てきていたのですけれども、学術論文への掲載200以上 というのは産業安全研究所の場合も同じなのですね。今、委員長がおっしゃられた産業 医学総合研究所はもっと研究の発表数を多くしている。研究員の数が違うと思うのです ね。私は前のところの研究所でも質問したかったのですけれども、産業安全研究所の方 は、研究員の数は何名いらっしゃるのですか。研究員が何名いて、それで5年間に200 ということですから、1人当たりの研究員が1年に何部ずつ発表しているのか、ちょっ とお聞きしたいと思います。 ○ 奈良調査官 産業安全研究所でございますが、平成13年度以降の研究員の実員は38名を予定しており ます。ただ、このうち2名に関しましては、研究の企画調整部に専属ということで、実 際の研究活動には従事しないということを予定していると聞いておりますので、実際に 研究業務そのものを行う人間は36名ということになってこようかと思うのです。ですか ら200本ですから、1年間に1人が1.1ぐらいの感じでございます。 ○ 黒川委員長 ただ研究員といっても、ある程度リーダーがいるグループ、機関に所属している人たち も研究員として勘定しているわけでしょう。 ○ 奈良調査官 ええ、そうですね。 ○ 黒川委員長 なかなかそういう人たちが1人の研究員だとは認めにくいところもあるから、あるグ ループ、日本の研究者の数というのは70万いることになっていますけれども、大学院の 学生の2年目も入っているのですね。アメリカは制度が違いまして、研究者の定義は博 士号を持っている人なのですね。正規に資格を持って研究者としてグラントの申請がで きる人というのが向こうの研究者の数なので、頭割りでは日本よりはるかに少ないので すけれど、日本は誰でも「研究している」と自分でいえば研究者になってしまうという ところの違いはあります。 ○ 奈良調査官 最初の質問ですが、産医研と産業安全研究所の役割の違いでございますが、先生がご指 摘のとおりでございまして、安全研究所の方はいわゆる災害といいますか、人が怪我を するというような類いの災害を対象としております。 ○ 古郡委員 特にブルーカラーの問題を扱うという、工事現場の問題が多いということですが。 ○ 奈良調査官 そうでございますね。どちらかといいますと、そういった建設業とか製造業であります とか、機械設備を直接人間が操作することによって生ずる災害をいかに減らすかという ものについて研究をやっておりまして、産業医学総合研究所につきましては健康障害で ありますとか、有害物質の有害性そのものの研究でありますとか、有害性の生態影響で ありますとか、そういう人の内部に発生する問題、そういうものについての研究をやっ ております。先ほどちょっとお話がありましたメンタルケアの問題とか、産業ストレス とか研究所ではいっておりますが、そのことに関しては産業医学総合研究所のほうでこ れまでも研究をやってきてございます。 ○ 下田技術総括審議官 もう少し簡単にいえば、安全研究所は物による労働災害、クレーンとかビルの工事現場 で発生するものです。それから産業医学総合研究所は人の素因に由来する労働災害を対 象としています。大きくいえばそういう分け方ではないのかなと思います。 ○ 黒川委員長 例えば、この両方の間の交流というのは今までもあるのですか。研究所は学会とか大学 の人も含めて、交流の場をいかにするのかが大事ですよね。お互いに刺激があるし情報 の交換があって、それぞれの役割によって1+1=3になるというようなことを研究者 が工夫すればいいわけだから、それがモチベーションですよね。 ○ 奈良調査官 これまででも両研究所の間では、定期的にそういう研究者間の交流会といいますか、研 究発表会の場のようなものを設けております。ただ、正確な意味で人をお互いに出向さ せるというようなところまでの交流は、これまで実績はたぶんないと思います。 ○ 中窪委員 今の交流の点でちょっと思ったのは、例えばビルの解体現場でアスベストが出てきたと いうときに、どちらが担当するのかなということですけれども、そういうところはぜひ 積極的に交流して、重なってもいいと思うのですけれども、ぜひ推進していただきたい なという気がいたしました。それから学会発表の促進で、先ほど行政に提出する災害調 査報告書も含むというふうにありましたけれども、これは一般の人は見ることはできる のでしょうか。もしそうでないとしたら、研究員としてはそれは成果として何本という ことにカウントして仕事してるぞということにはなると思うのですけれども、それを世 に一般に知らしめてこういうことがあったのだと、だからこういう対策を学ぶ必要があ るのだということには、必ずしもならない気がするのですけれども、いかがですか。 ○ 奈良調査官 ここに関しては行政側として、目標提示する側として、研究所の業務として災害調査の 非常に重要さといいますか、われわれ行政に対しての大切さは、われわれ自身もよく認 識していますので、その目標を提示する中で論文だけにしてしまいますと、逆に災害調 査そのものに対しての研究員の方々の感覚的な比重が低くなってしまうこともありうる ものですから、あえて災害調査を含むというかたちの、目標ではそういう記述をさせて いただいているということでございます。ただ先生がおっしゃいましたように、災害調 査報告書すべてが世の中に出ていくかということになりますと、必ずしも全数が出てい く、また、そのままの姿で出ていくというという性格のものではないと考えておりま す。 ○ 中窪委員 私がむしろ言いたいのは、せっかくこういうのを作って、プライバシーとの関係で微妙 なところがあると思いますけれども、こういう活動をやっているのだということを世に アピールする意味で、できるだけアベイラブルなかたちにインターネット等も通じて、 ぜひ世に普及するような努力をしていただきたいなと希望するわけです。 ○ 小山計画課長 ちょっと補足させていただきますと、災害調査報告というのは大規模な労働災害が起き たときに、厚生労働大臣からの依頼に基づいて研究所に現地に行っていただいて、専門 的な調査をやっていただく。そして、その結果を行政側に報告していただく。行政側と しては、その災害の原因ですとか再発防止のための施策の確立にそれをつなげて、そう いうかたちでは間接的に社会に還元されるという性格のものでございます。いまお話が ございましたように、プライバシーの問題、あるいは災害が事業者の法違反に起因する ようなものがあれば、それは今度は刑事訴訟との関連とかそういった問題もありますの で、生の姿ですべてが必ずしも公表できるという性格のものではないということで、従 来そういう取扱をしてきているのです。基本的にはその災害報告が行政に提出をしてい だくものでございますので、むしろそのものをどういうかたちで国民の皆さんに提出あ るいは提供するかというのは、行政側の問題として考えていきたいと思っております。 ○ 渡辺委員 この3研究所とも私は見ていて、足りないというのか、載っていないのは広報体制とい った問題なのですね。従来は完全な国立だったから、例えば厚生省の広報室を通じて新 聞発表をするとか、つまり役所の広報を通じてやってきたわけです。しかし、特に他の 役所も含めて研究機関というものが独法になるといったときに、どうやって今のお話の ように情報を公開していくか、あるいはもっと言えば、こんないいことやっているんだ ぞということも含めて、広報というものを考えていってはどうか。特に栄養研について はこれまでもずっと注目されてきているので、もっと早く集計処理とかをするようにな らないかと思うのですが、例えばさっきの理事長のご説明もあったけれども、処理期間 が6ヶ月であっても大変なことだということは、なぜ大変かという説明は従来はなかっ たわけですよね。何人の職員でどれだけ集計をやっていて云々ということもなかった。 そういうことが非常に誤解されていた、理解されなかった点だと思うのです。だからそ ういった細かいことも含めて広報体制をどうするのか。従来通り、いわば親元である役 所の広報に依頼するのか。そのへんについては現実論としてなかなか各研究所が広報体 制を組むということは人員の面でも難しいかもしれないけれども、広報ということを、 広い意味で積極的に世の中に情報を出していくんだという姿勢というものも含めて、十 分お考えいただきたいと思います。 ○ 篠原委員 会計関係というか費用について5つぐらい質問させていただきたいのですが、まずコン ピューターとかパソコンの活用に係る経費についてなのですが、3つとも業務運営の効 率化に伴う経費節減ということで、平成13年度の運営費交付金の最低2%を節減すると いうことになっていますが、産業安全研究所と産業医学総合研究所では中期計画のとこ ろに情報化経費等があがっているのですけれども、国立健康・栄養研究所の方は見る限 りこれが具体的に中期計画に書いていないし、費用もあがっていないような気がするの ですけれど、これはもう国立健康・栄養研究所のほうは十分に電算化されて、パソコン だとかインターネットの活用は十分なのでしょうかということと、それから2つの研究 所、産業安全研究所と産業医学総合研究所は電子計算機システム経費と研究開発情報化 推進経費というのは両方それぞれあがっているのですけれども、私どもで考えるとこれ は共通にやったほうがいいのじゃないかということで、このへんの検討をされた上での 費用か、されていなければ、これは、例えば、2億4,000万円をもらえるのであれば、 お互いにやればかなり益が浮いてくるかなという感じもするんです。この点ちょっとご 質問したいなと。 2番目は、まず資料3の国立健康・栄養研究所の9ページの収益の部で下から2つなの ですが、資産見返物品受贈額戻入、2億4,600万円、この内容をちょっとご説明してい ただきたいのと、その下の資産見返運営費交付金戻入というのは、おそらく、節減した 費用が8,400万円かなという気もしているのですが、これを説明していただきたい。 それと他の産業安全研究所及び産業医学総合研究所では、このあたりがないのですが、 その違いというか、何でこちらの場合は例えば運営費交付金戻入がないのかという部分 を教えてください。 3番目が職員の資質の向上ということをうたっているのですが、研究員の資質の向上 は、この独立行政法人化することによって経営とか管理とか、従来あまり気にしなくて もよかった部分がかなり重要になってくると思うのですが、そのへんの担当職員の資質 向上はあまりうたっていないような気がするのですけれど、このへんはどう考えている のでしょうか。 4番目が減価償却費なのですけれども、先ほどの資料3の9ページに減価償却費が3億 3,000万円あがっているのですけれども、他の産業安全研究所と産業医学総合研究所で はこの減価償却がゼロになっているのですね。これはおそらく独立行政法人会計基準の 減価償却の取扱いがいくつかあると思うのですが、その違いによるのかなという気もす るのですけれど、そのあたりの、なぜあがっていないかという説明をしていただきた い。 5番目として質問したいのは、先ほど出てきたのですが、産業安全研究所では、中期計 画の予算の中に産業安全研究体制検討費というものがあがっている。それと研究所広報 及び研究成果普及経費というものがあがっているのですけれども、これは国立健康・栄 養研究所の方ではあがっていないのですが、当然いろいろとホームページに載せるとか いろんなことを言っているのですけれども、そのへんの予算の手当はどんなものになっ ているのかということをお聞きしたい。この研究体制の検討というのは1,400万円で大 したことはないのですが、これは当然、国立健康・栄養研究所だとか他でも活用できる ので、そのへんのことも考えられているのかなという5点です。 ○ 佐柳厚生科学課長 まず先ほど渡辺委員からの広報の関係でございますけれども、おっしゃっているとおり でございまして、書き振りは、いろいろございますけれども、基本的にはホームページ を開設して、そこでできるだけダイレクトな情報を伝えていくというかたちのものが基 本にございます。それと研究所を開放するというのをここに織り込んでいるわけでござ いまして、人口1億いくらもある中で、来ていただけるのはどの程度になるかもしれま せんけれども、できるだけそういう主旨のものも、また一般の方からそういうときに意 見を聞かせてくれれば、どういうかたちで対応するのかということも含めて、行政の一 部分というのではなくして、やっぱり独立行政法人として、これからの広報というのは 心して務めていかなければいけない思っています。 それと篠原委員からご質問いただいた件、コンピューターの活用については、すでにこ の建物には3研究所が一体になってございまして、それを一体で進めているということ でございます。すでに織り込み済みであるとご理解いただきたいと思います。それとあ とは担当の補佐の方からそれぞれ説明させていただきたいと思います。 ○ 佐野厚生科学課長補佐 それでは厚生科学課の佐野といいますが、若干実務的な話になりますので、私のほうか らご説明をさせていただきます。まず、「コンピューター関係の経費が健康・栄養研究 所について計上されていないのではないか」というご指摘がございました。一般管理費 という費目がございまして、7ページの中期計画予算の表でご説明を申し上げますけれ ども、支出の一般管理費のなかに光熱水料、移転検討経費等の等の中に、実はそういっ たコンピューター関係の経費が計上されております、大変細かくなりますので詳解はい たしませんけれども、例えば広報関係経費でありますとか、企業会計のシステムの関係 経費でありますとか、細々した経費が計上されております。旧労働省の両機関との歴史 的な経過が違っておりまして、計上の仕方が若干違いますが、一般管理費の中にそうい う経費がございますし、併せてその下の業務経費のそれぞれの調査研究業務費の中に所 要の経費が積算されているということでございます。 それから9ページに収支計画書がございまして、資産見返物品受贈額戻入ですが、私ど もの考え方をご説明させていただきます。ここの部分で2億4,600万円を健康・栄養研 究所につきましては計上させていただいておりますが、独立行政法人移行時に国の設備 を無償で譲渡を受けることになっております。その額が2億4,600万円ということであ ります。機械機器の類いでございます。それから資産見返運営費交付金戻入でございま すけれども、先ほどご説明に機械器具、研究機器の購入計画で1億6,400万円ほど実は 総額でございました。11ページにございますけれども、そのうち計画期間中、5年間に 償却する分が8,400万円というように計算をしてございます。1億6,400万円のうちの8,4 00万円が計画期間中の償却分という考え方でございます。 ○ 奈良調査官 それでは、産業安全研究所と産業医学総合研究所のコンピューター関係の経費について ご説明申し上げたいと思いますが、両研究所ともコンピューターシステムが大きく分け て2つ稼働しております。1つは分かりやすくいいますと所内のLANを動かすための ものですね。所内LANですからそれが当然外部のコンピューターともインターネット を通じてつながっているものがございます。それともう1つはいろんなシミュレーショ ン実験に使っているためのコンピューターがございます。そのコンピューターの中には 研究データでありますとか、研究所にとって財産になるようなデータが全部保管されて いるというコンピューターシステムを持ってございまして、今回のこの予算の計画にあ たりまして、そのへんについて素人目で見ても本当に2つのシステムが要るのかどうか ということを含めて、金額的にも本当に大丈夫なのかということについてずいぶん私自 身からも強く言って検討してもらった結果として、こういうものが出てきているという ことでございます。いずれにしましてもコンピューターそのものは日々刻々とその性能 なりが変わってきておりますので、当然のことながら向こう5年間を見た場合、いま含 んでいる予算よりもさらに節約できることであれば、当然節約していただけるものと考 えてございます。 それから収益の関係で、当方の研究所の中に資産見返云々という項目がないのでござい ますが、これは運営費交付金の収入による施設等の整備を予定していないものですか ら、そういうものが収益の中に出てきていないということでございます。 それから減価償却の考え方でございますが、これは独法の会計基準の77で収益を想定し ないものという扱いで、減価償却費は積まないという整理をしてございます。それから 研究員の資質の向上はあるけれども、一般の職員のほうの資質の向上ということでござ いますが、これは私どもの2研究所の事務部門の人間は、本省サイドといいますか厚生 労働省からの出向の人間でまかなっておりまして、たえずそういう意味で人がもう新陳 代謝されるようなシステムが出来上がっておりますので、その研究所としてずっとプロ パーとしてやっていくような方に関しての資質の向上という意味での資質の向上を考え る必要は、ないのではないかと考えてございます。 ○ 篠原委員 5年間で2%節減するということになっていますが、そのへんの予算との関係で、それ は織り込みしているのですか。それとも織り込んでいないのでしょうか。 ○ 事務局側 これは織り込んでいます。 ○ 井原委員 特に安全研の方なのですが、おそらく建設会社でも化学メーカーでも安全というのは非 常に重要なニーズがあると思うのですね。そうすると、どうもそういう企業の研究所で も何か似たようなことをやっているのじゃないかという想像ができるのですが、そこの 棲み分けというのは完全に行われているのか、それとも競合しているのか。競合してい ても、それはレベルとか視点が違っているのか。そのへんのところをちょっと教えてい ただきたい。 ○ 奈良調査官 研究的にいいますと、私も申し訳ございませんが、直接研究をやっている人間じゃない のですが、たぶんそのへんは競合してはいないのだと思います。実際に、例えば、建設 関係ですと、新しい工法とか、例えば、今ですと全天候型の自動施工システムとか、そ ういうものが開発されて、その中では当然1つの要素としてその中で働いている方の安 全という面は考慮されるとは思うのですけれども、例えばこちらの研究テーマにござい ますように足場そのものの崩壊をどうやったら防ぐかとか、掘削工事をやるときに土砂 崩壊をどうやって防いだらいいのかとかいうような研究については、基本的には民間レ ベルではなされていないのではないかと考えております。 ○ 黒川委員長 例えば民間だと1つの企業があることについての安全なんかを研究所で当然やりますよ ね。やるけれども、それを公共のものにするという議論は全然ないわけです。だから、 ある研究をどういうふうに公共のものにするのかというのであれば、こういう研究所の 研究が必要だし、さらに学会で公表するとか、ある程度の共通の資産として提供すると いうことになると、プライベートのコーポレートではやる必要があるかないかという話 になってくるのではないですか。そのメカニズムとして、どうもこの研究所がかなり共 通の問題の基礎的な研究をやってきたという経緯があるようですけれども。 ○ 井原委員 もう1つお願いしたいのですが、受託研究というのがありますよね。仮に企業が、どこ の研究所でもいいのですが、そこに研究を委託したとします。その成果なのですが、そ れはこのタイプの研究所の場合には公表する義務は負っていないのですか。それは企業 秘密を守ることを前提としてお金が払われているのですか。 ○ 唐澤政策評価官 義務は負ってません。 ○ 井原委員 負っていないのですか。では、そういう受託経費が入ってくる可能性はあるわけです ね。 ○ 唐澤政策評価官 はい。 ○ 黒川委員長 これはディーテイルはまだまだあると思うのですが、その次の事項に少し移らせていた だいて、まだ質問がある方はまたあとで御願いしたいと思います。よろしいでしょう か。では、その次に業務方法書についてのご説明をお願いします。 ○ 佐柳厚生科学課長 それでは健康・栄養研究所の業務方法書について、資料では10番、そして11番に現物が あります。10番にその概要というかたちで載せてございますけれども、通則法の中で業 務方法書を作成して厚生労働大臣の認可を受けなさいということになっておりまして、 概要の下に書いていますが省令が出ております。この省令の中に、業務方法書の中に記 載する事項というかたちで、第1条で第1項第1号から第7号までが規定されていると いうことでございます。この国立健康・栄養研究所につきましては、第1号の関係が調 査研究に関わること、そして第2号が試験に関わること、そして第3号については国民 栄養調査に関すること、そして第4号については特定栄養食品の許認可の際の試験に関 すること、あと第5号、第6号、第7号はそれぞれ業務委託と契約とその他業務、とい うことになってございます。それを受けて、この業務方法書を作っているわけでござい ます。内容は概要に沿って説明させていただいた方がいいかと思います。1つ目とし て、第1号から第4号の国立健康・栄養研究所の業務内容に関わるものとして、第2章 で業務の方法ということで受けてございまして、ここでは国民の健康の保持増進に関す る調査研究、並びに国民の栄養及びその他国民の食生活に関する調査研究を行うことと しています。その業務を行うに際しては、実施計画を策定し、そして遂行状況について 定期的にモニタリングを実施するというような内容をそれぞれ織り込んでございます。 また調査研究の課題については、外部有識者による評価を行うということもこの中に織 り込んでおります。それと2つ目には、下の第5号に相当する業務委託に関わるもの を、この方法書では第3章で受けてございまして、そしてそこの中に業務の委託に関わ る定めを入れております。一般にこの方法書全般につきまして参考にしておりますの は、いろいろございますけれども、特殊法人の理化学研究所が一番オーソドックスであ ろうということで、それを念頭に置きながら参考にして作成しております。そして3つ 目には、第6号の競争入札その他の契約に関することで、これを受けまして、この方法 書の中では第4章で第14条から第21条に亘るわけでございますけれども、そこで競争入 札その他の契約に関する事項を受けてございます。第14条のところを見ていただければ 、書いてございますが、研究所は売買貸借請負その他の契約を締結する場合には、第16 条、第17条の指名競争契約と随意契約にする場合を除いて、一般的に公告して申し込み をさせることによって、一般競争入札により締結するものとするということで、原則は 一般競争入札だということを出しているわけでございます。第15条では一般競争入札、 第16条では指名競争入札、第17条では随意契約の場合、第18条では落札と、こういうこ とを書いてございます。 その他として、まずこの省令でいきますと第7号で、その他研究所の業務の執行に関す ることということで、方法書のほうでは第5章以降にそれを規定してございまして、方 法書を見ていただきたいと思います。4ページに第5章で業務の成果の普及等の方法と いうのがあげてございまして、健康危機管理情報については報告しなさい、それと国と 協力をしなさいというのが第23条、それと第24条には成果を普及させるということ、そ して第25条にはこの知的財産権の確立、これもしっかりとすることを書いております。 そして第6章では、研究施設の活用ということで、第27条にはその研究所の業務に支障 がない範囲において他の者に使用させることができるとしております。そして第7章で は、業務運営に関する事項の公表の方法ということで、第28条で研究所の業務の運営に 関する重要な事項については、官報への公告、研究所ホームページへの掲載その他当該 事項の性質により適当と認められる方法により公表するものとするということを記載し たということでございます。 ○ 奈良調査官  それでは私のほうから産業安全研究所と産業医学総合研究所の業務方法書につきまし て、ご説明申し上げたいと思います。基本的な考え、流れは健康・栄養研と同様でござ います。産業安全研究所、それから産業医学総合研究所の業務方法書につきまして両研 究所間ですり合わせをしたようでございまして、研究業務に関する書きぶりのところが 違うだけでございまして、他は全く一緒のものとなってございます。健康・栄養研は今 ご説明がございまして、健康・栄養研の業務方法書との違いだけで申し上げますと、産 業安全研究所の業務方法書の案、資料13で申し上げますと、2枚目の第5条以下で、共 同研究というものを直接ここに明示的に記してある点がちょっと違うのかなというとこ ろでございます。それと第8条で、研究機関等との連携活動ということで、国内外の研 究機関、大学等と連携して、調査研究のための協力を積極的に実施し、また必要な取決 めを締結することができるという規定がございます。その他の部分につきましては、基 本的に健康・栄養研の業務方法書と同様の内容になってございます。非常に簡単な説明 で恐縮でございますが、以上でございます。 ○ 黒川委員長  どうもありがとうございました。何かございますでしょうか。 ○ 篠原委員  いわゆる独立行政法人化して、いままでの国の機関と比較しまして、自由になった部分 というのでしょうか、できるようになった部分というのを説明していただけますか。あ まりないのでしょうか。 ○ 小山計画課長 例えばこの業務方法書をご覧いただいても組織とか定員というのは一切出ていないわけ なのですが、これはあるいは勤務状況も含めてですが、これはそれぞれの法人の自由裁 量で決めていただくということで、大臣認可で例えば組織なんかについて大臣の認可に 関与させるというのは適当でないということで載っていないわけです。例えば今ありま す特殊法人などですと、そういった組織なんかも業務方法書に載っている場合もござい ます。 ○ 黒川委員長  この資料11の国立健康・栄養研究所の第5条のところなのですけれども、最初の1で は、「当該試験の依頼者から別に定める額の手数料を現金で納付させるものとする」と ありますが、こういうのは普通の言い方なのですか。第2もそうなのだけれども、手数 料を現金で納付させるものとするというのは、いかがなものですか。 ○ 唐澤政策評価官 これはあまり一般的ではないかもしれませんが、文書審査というものを受けましてこう いうかたちになっています。出来るだけわかりやすいものとなるよう今後考えていきた いと思います。 ○ 黒川委員長  制度は変わっても精神が変わっていない。まあ、よろしくお願いします。他にどうでし ょうか。 ○ 渡辺委員  産業安全研究所等に関して、例えば労災保険がありますよね。労災保険はいうまでもな く危険な職場ほど保険料は高い、こういうことになっています。例えばこういったこと は、業務方法書ではなくて目標・計画の方で先ほど縷々ご説明があったけれども、こう いった現場等々で危険を非常に少なくしていくことが目標になっているわけなのだけれ ども、そういったことと労災保険の保険料の関係みたいなものというのは何か言えるの でしょうか。つまり、危険な職場ほど高いという、何十種類か保険があってそういう仕 組みになっていますね。労災保険料というのは年金や医療に比べれば、企業の負担はそ れほど多くないかもしれないけれども、やはり企業負担としてあるわけです。そういっ たことを目標に盛り込むことは難しいかもしれませんが、何か説明というのはあるんで すか。 ○ 小山計画課長 これは法人ではなく、むしろ政府側の問題になるのかもわかりませんが、労災保険は今 お話がありましたように業種別に料率が定められていて、災害発生率の高い業種ほど保 険料率が高いわけですが、これについては大体3年に1回の料率の見直しをして、実績 に応じた料率の改定をやっているということ。それからメリット制というのがございま して、事業場ごとに災害防止といいますか無災害での実績をあげた者については、個別 に保険料の減免が一応制度化されているということでございます。 ○ 渡辺委員 事実関係はそうだけれども、この研究所としての役割として、何かそこにうまく成果を 反映できるような仕組みがあると、もっと望ましいなと思っているから、そういうこと を聞いただけなのですけれども。 ○ 小山計画課長 そうですね。直接料率に反映するという制度化の仕組みとしてはなかなか難しいかと思 います。間接的にこうした災害防止対策が世の中に普及することによって災害が減っ て、結果として料率が下がる、あるいは政策に反映されるということを通じた、そうい った間接的な効果ということになろうかと思いますが。 ○ 黒川委員長 確かに委員がおっしゃるとおりで、あまり直接的な関連がわからないとすると研究成果 が上がったからといって、その次にまた新しい研究プロジェクトが出るとか、そういう 対応をしたときに、労災のほうから半分予算が出てくるとなると、ちょっとそれについ て正当化するのは難しいかもしれない。いつまでもそんなことをやっているというの は、何をやっているのかということになりますからね。そのへんはこの委員会で総括さ せていただくということになるかと思います。 ○ 中窪委員 目標のところに戻りますが。 ○ 黒川委員長 どうぞ。では前に戻ることも含めてご議論いただきたいと思います。 ○ 中窪委員 法律がこうなっているから仕方がないといえば仕方がないのですけれども、目標にして も計画にしても、期間はともかくとしまして、まず最初に業務運営の効率化に関する事 項というのが来て、何か2%削減しますとかどれも同じように始まって、そのあとで国 民に対して提供するサービスその他業務の質の向上というのが出て、そこでいろんなな るほどこんなことをやっているのか、世の中に役に立っているのかとようやく分かるわ けですね。もし私が本当に人に読んでもらいたいのであれば、まず後者の方を書いて、 われわれはこんな業務をやって世の中の役に立っているのだということをアピールし て、それからそれをやる上で、こういうかたちで効率化をやる、そして財務内容につい て云々とそういう順序で書いた方が、少なくとも親切だと思うのです。ただ法律の順序 がこうなっているので、それの順序でやってきちんと確認しやすいという意味ではこう だと思うのですが、その点、どの程度われわれの方でこれを変えられるものなのでしょ うか。 ○ 唐澤政策評価官 先生のおっしゃることは誠にごもっともだと思います。変えられるものなら変えたいの ですが、法律に従って順番が決まっているとおりになっております。私はいつも申し上 げているのですけれども、独立行政法人制度というのは器ですので、いわば器そのもの は食べられませんけれども、料理にとっては器は重要な部分なのですね。だからどうい うふうにこの枠組みというのを活用していくかということが、これからの問題だと思い ます。特に先生のおっしゃるのは、新しいせっかく法人ができたのに、国民の人達に対 して何をするのかという前に、いの一番にお金を節約しろと書いてあると。これはどう いうことだろうと私も思いますけれども、やっぱり新しい法人に取り組んでいただきた いのは、文章自体は法律の順番なので変えられないのですけれども、広報体制ですね。 先ほどもご指摘がありましたけれども、パブリシティーとか広報ということは、とても 重要なことだと思っております。特に学会とかあるいは同じ研究者の皆さんの間での評 価ということももちろん重要なのですけれども、公的な機関として国民の人たちにどの ように知ってもらうかと、できるだけ分かりやすく伝えるにはどうしたらいいかという ことは、どうしてもこれからは重要に考えていっていただきたい。そういうところで先 生方のご意見を反映させていきたいと思っております。 ○ 篠原委員  先ほど中期目標、中期計画の予算書なんか見ると、各省の経緯があって差があるのです けれど、われわれ公認会計士は何か評価するというか、常に比較するとか分析するので すけれど、これは他省にも調査研究機関があって、当然われわれは1年後、あるいは中 期計画終了後の評価のときに他省と比較する可能性があるのですけれども、そういうこ とを考えると、科目などを共通化する要望とか動きはあるのでしょうか。 ○ 唐澤政策評価官 まだありませんが、いずれ実績が出てきますので、お話しのようなことは出てきて、ど んなかたちになるか分かりませんけれども、おそらく総務省の方で全体を1つの冊子と いうか資料にすることになってくると思いますから、そのときには財務諸表ですから突 き合わせすれば、どこがどう分かりにくいかということは、自ずと議論になってくるの ではないかと思っております。 ○ 黒川委員長  特に会計監査の方は、これから国際基準になってきますから、そういうファジーな部分 をいかにクリアにするかということから言うと、ぜひ総務省がやるのではなくて、やっ ている監査法人ががんがんものを言ったほうがいいのではないか。ものを言うのはこう いうところで言っていても外に出ませんから、パブリックにがんがん言うのが一番よい だろうと思います。 ○ 坂本委員 国立健康・栄養研究所の中期計画の中の4ページに、成果の広報といいますか、積極的 な普及、活用というところがございまして、その中で「行政関係団体、地域等を通じて 広く国民に提供し」という言葉があるのですが、(1)、(2)、(3)、(4)を見ていきます と、この地域等を通じて広く国民に提供するというところが何も見えてこないような気 がするのですね。それで実際に研究所でやっておられる研究成果というのは、当然、研 究者の間への広報とか、あるいはインターネットによるしかるべき知的階級の人に対す る公開であるとか、この(3)の講演会等になりますと、これは研究者、あるいは大学の 教員、あるいは中間の教育者に対する広報活動だと思うのですが、研究所自体としてい わゆる社会のニーズによって情報を集められたわけですから、その情報を直接に市民へ 返すというようなことは、研究所としてはやらなくていいのでしょうか。つまりここで 得られたものは、行政を通して地域社会、あるいは国民へ返すというようなシステムに なるのでしょうか。 ○ 佐柳厚生科学課長 いまの4ページに「講演会の開催」なら「講演会等の開催」になって「等」が付きまし て、それは研究者の一般公開で、これでできるだけ研究者一般についてご理解も賜ると かそういうようなことも含めていこうと。ホームページというのも先ほどちょっとお話 しさせていただきましたが、これはもう個々人のところに行っているわけでございます ので、それ以外にもいろんな方法があれば、それは当然のこととして姿勢としてやはり 独立行政法人として、もう行政そのものというわけではございませんので、やはり国民 とともに歩いていただき、その効率化、そしてさらに最大限の効果をあげるということ に努めていかなければならないとこう思います。 ○ 坂本委員 先ほど堀田委員からございました非常に問題の多い世代階層というのは、ホームページ を見てそれで学習しようという階層の人たちではないわけで、もっと底辺に栄養とか健 康に関してニーズのある人たちがいるだろうと思うのです。そういうレベルの人へ、も うちょっと積極的にこういった効果を公表し、かつ啓発し、普及教育をされるというシ ステムも、どこかにあっていいかなというふうに考えました。 ○ 黒川委員長 一般にそういうことについては、日本ではどうなのでしょうね。諸外国と比べるという ことは必ずしも望ましいことではないけれども、参考にするとして、どういうふうにそ のパブリケーションが行われているでしょうか。 ○ 佐柳厚生科学課長 基本的には行政にそのような必要な役割とがありますし、そしていまのお話はだいたい 地方自治体の役割が非常に大きいと思います。保健所だとかそういうところで、かなり 細かな作業がすでにやられて、それに対して情報を国から提供しているというかたちに なっていると思いますが、独立行政法人もそういう意味では専門性の高いものとして、 そういうところに資料を提供していくとか、場合によってはそれに対して、必要な経費 も委託を受けてやっていくといったことも必要だろうと思います。 ○ 唐澤政策評価官 それから厚生労働省の話で恐縮なのですけれども、私はこの1月の新省発足前まで広報 室長をしていたのですが、広報室に1月から技術広報官という、医学的な技術面とかそ ういう事柄を広報する職員を新しく置くことにいたしました。これは医系技官を充てて いるのですけれども、そういう体制を組んでおりますので、法人の方でもタイアップし て、研究の中身が一般の皆さんに伝わりやすいような体制を組んでいただきたいと思っ ております。 ○ 黒川委員長 確かに田中先生がさっきおっしゃったように、日本の国民の栄養調査なんていうのは、 なかなかユニークでしっかりしたデータが出ているわけで、それが『健康白書』なんか に出ていますし、例えば「健康日本21」なんていうのはそういう話をトランスレートさ れたかたちで出ているのではないですか。これも1つのアプローチだったのではないか なと思います。その他に学会とかいろんなところで先生方が話をすることがあるのでは ないかなという気がしますけれども、ただそれが空想ではなくて、データに基づいて話 しているということで、研究所にそのデータを作っていただいているという気もしま す。食塩は13グラムだよなんて言っているのは、毎年調査が出ているから言えるのであ って、ここ10年また増えてきましたねなんていう話をできるのも、そういうのがあるか ら確かに助かっているわけです。せっかくの税金をいかにできるだけリターンするかと いう視点で考えていきたいと思います。その他にどうぞ。 ○ 大久保委員 研究成果の活用でございますけれども、これはとくに産安研、産医研等につきまして は、現在ISOでのいろいろな基準作りのなかに日本からの情報を発信していく、ある いは日本のいろんなデータを組み入れさせるといったことをやっているのでございます けれども、そういった活用も大いにやっていただかなければいけないと思います。 1つ関連事項で言いますと、人体計測値でございますけれども、研究内容でいいますと 、こういったようなものもどちらかの研究所でやはり基盤研究といったようなかたちで 、中・長期に亘ってやっていただきたい。といいますのは、文部科学省等でおやりにな ってますのは、ご承知のように栄養が中心でございまして、労働現場で例えば重いもの を持つとか、あるいは何か特別な作業姿勢でといったようなことの、いろんな条件が入 ってきまして、ちょっとそういう面でのデータの発信がなかなかできないという状況で ございまして、そういう意味ではどちらかの研究所の中でそういったようなものをきち んと整理していただく。それも全国的なネットを持っておりませんと、なかなか日本全 体としてのデータベース作りにもなりませんし、従いましてそういったようなことも、 どういうかたちになるか分かりませんけれども、ぜひともしていただかないと、国際的 になかなか発信できないということもございますので、これは要望でございますけれど も、よろしくお願いいたします。 ○ 黒川委員長 こういう新しいテーマが出てくる出方というのはいろいろあると思うので、やはり学会 や何かの交流で、新しいアイデアとかいろいろなニーズが想起されてくるわけですの で、ぜひそういう意味でわれわれの役目もそうだけれども、実際の研究所のレベルです ね、やっぱりいかに広い人たちと会うかというのが大事でしょうね。それをぜひ研究所 にがんばってもらいたいなと思います。それからこの予算の細目が、おおまかな枠組み で予算を計上していますが、予算が通った後ではまったく自由ということになるんです か。 ○ 唐澤政策評価官 一応この予算の費目の中で運営をするということです。ただし移流用は弾力的にできる ことになっていますので、そこは国の予算とはずいぶん違うということです。交付金と いうかたちでもらいますので、この計画というのは、もらった交付金をベースにして、 それを何に使うかということを法人の方が独自に立ててきたということになります。 ○ 黒川委員長  予算表を出すというのは、一定の予測に基づいて計画をたてているわけだから、勝手に は変えられないのですよね。 ○ 唐澤政策評価官 はい。それはいくら民間になったからといって、企業も好き勝手にしているのかという とそうはなりませんので。 ○ 黒川委員長 その他にいかがでしょうか。国立健康・栄養研究所の理事長となる田中先生もおられま すけれど、それから産業医学総合研究所の荒記先生は、今日はおられないけれども、か なり意欲的に臨床の先生が取り組まれるような雰囲気がありますので、ぜひリーダーシ ップを発揮していただくというのが、ひとつ大事なことなのかなと思います。理事長の 任期はこの法人の場合、何年ですか。 ○ 唐澤政策評価官 任期は4年です。 ○ 黒川委員長 4年任期。再任はいかがですが。 ○ 唐澤政策評価官 再任はできます。 ○ 黒川委員長 その他に。もしありませんようでしたら、一応今日はいろいろな審議をしていただきま したが、これがスタートですから、ぜひこれからあまり細かいことの縛りを付けるより は、むしろポジティブに見ながら、フィードバックをしていただいて、できるだけ新し いミッションをいかに役に立てるようにするかという観点を大切にしたいと思います。 基本的には理事長のアカウンタビリティーは非常に大事かと思いますが、やっぱりミッ ションについてどれだけのゴールを設定しながら、1年ごとのマイルストーンを作って いくか、それによっていかに次のステップを考えるかということを一緒に作業できれば いいのではないかなと思います。その他にあくまでもミッションオリエンタルの研究所 ではありますけれども、ぜひ関連の学会とかいろんな人たちと情報の交換やいろんなこ とをしながら視野を広げながらやることが重要です。ルーティンの仕事をされる研究者 といえども、そういう人たちと交流することが、お互いに刺激があっていいのじゃない かなということを、ぜひエンカレッジしてもらいたいなという気がします。その場合に せっかくペーパーを出しても、趣味で出していては仕方がないし、ぜひ関連の学会と共 同で成果を挙げるというのも、大事ではないかと思います。それでは今日の会議はこれ で終わらせていただきまして、次回の予定等について、事務局からお願いします。 ○ 唐澤政策評価官 長時間のご審議、大変ありがとうございました。次回は4月中旬以降に評価基準という ことで、いわばどういう物差しで評価をしていくかということについてご議論をいただ きたいと思っており、日程については再度お伺いをして調整をして、ご連絡をしたいと 思っております。                                    <了> 照会先 政策統括官付政策評価官室 政策評価第1係・第2係 代)03−5253−1111(内線7784・7780) ダ)03−3595−2160