第1回労働政策審議会勤労者生活分科会 1.日 時   平成13年1月18日(木) 16:00〜17:30 2.場 所   富国生命ビル28階中会議室                          3.出席者 (委 員) 齋藤会長、新村委員、藤田委員、吉澤委員、大賀委員、              刀谷委員、杉浦委員、南雲委員、山口委員、伊藤委員、              奥村委員、倉島委員、              田沼委員、松井委員         (事務局)日比労働基準局長、奥田勤労者生活部長、村木企画課長、              本多課長補佐、丸山課長補佐 4.議 題 (1) 分科会長、分科会長代理の選出について (2) 労働政策審議会勤労者生活分科会運営規程について (3) 平成13年度財形関係予算(政府原案)について(報告) (4) 勤労者財産形成促進法施行令の一部改正について(報告) (5) 確定拠出年金法案の状況について(報告) (6) その他 ○企画課長 ただ今から第1回労働政策審議会勤労者生活分科会を開催します。本日は お忙しい中をお集まりいただき、どうもありがとうございます。私は本分科会の庶務を 担当しています、厚生労働省の労働基準局勤労者生活部の企画課長、村木でございます 。よろしくお願いいたします。  第1回ですので、最初の議題として分科会長の選出をお願いいたします。それまでの 間、私が司会進行役を務めさせていただきます。まず、事務局を代表して、厚生労働省 労働基準局長の日比から御挨拶申し上げます。 ○労働基準局長 御案内の如く、今月6日に新しく厚生労働省が発足し、10日余りたっ たところでございます。まだ、庁内もいろいろな引越し騒ぎ等をやっていて、落ち着か ない中であります。  本日、実は厚生・労働の両面から都道府県の方に集まっていただき、厚生分科会、労 働分科会、それぞれに分かれますが、厚生・労働、両方の関係で県の方々にお集まりい ただきました。厚生労働省ということで、次第に新しい役割を担いながら、少しずつ慣 れもし、また新しい政策展開もやっていくことになろうかと思います。ただ、現在はま だ、落ち着かないような状況が続いています。  審議会についても、これも御案内のごとく整理等が行われました。本日、「勤労者生 活分科会」の初めての会合でございますが、皆様方には分科会の委員をお引き受けいた だき、本当にありがとうございます。  この分科会では財産形成の話なり何なり、いろいろとお願いを申し上げることになり ます。行政の方も、新しい展開をできるだけ心掛けるつもりでいますので、どうぞよろ しくお願い申し上げます。簡単ですが、冒頭の御挨拶に代えさせていただきたいと思い ます。 ○事務局 日比労働基準局長は所用がございますので、誠に恐縮ですが、これで退席さ せていただきます。 ○労働基準局長 恐縮でございますが、失礼いたします。 (労働基準局長退席) ○事務局 まず、本日が第1回の会合ですので、資料に基づき委員及び臨時委員の方を 御紹介申し上げます。資料No.3に名簿がございます。まず公益代表、日本総合研究所主 席研究員の翁さんです。本日は御欠席でございます。全国銀行協会副会長・専務理事の 菅野さんは遅れてお見えになる予定でございます。日本労働研究機構理事長の齋藤さん です。住友生命総合研究所常務取締役主席研究員の新村さんです。中小企業金融公庫副 総裁の日高さんは、今日御欠席でございます。一橋大学大学院社会学研究科教授の藤田 さんです。全国建設研修センター理事長、吉澤さんです。日本経済新聞社論説委員の渡 辺さんは、ちょっと遅れてお見えになる予定です。  続いて、労働者代表でございます。日本商業労働組合連合会中央執行委員総合政策局 長の大賀さんです。労働者福祉中央協議会事務局長、刀谷さんです。労働金庫連合会専 務理事の杉浦さんです。日本ゴム産業労働組合連合委員長の南雲さんです。全国生命保 険労働組合連合会中央書記長の西山さんは今日御欠席でございます。日本労働組合総連 合会総合労働局労働条件対策局長の山口さんです。  続いて、使用者代表を御紹介申し上げます。ソニー・ヒューマンキャピタル株式会社 総務部長の伊藤さんです。三菱電機株式会社情報システム製作所総務部部長の奥村さん です。福島県中小企業団体中央会会長の倉島さんです。株式会社グリーンハウス代表取 締役社長の田沼さんです。株式会社伊勢丹人事部労務厚生担当長の前田さんは今日御欠 席でございます。日本経営者団体連盟労務法制部労務管理課長の松井さんです。以上の 方々でございます。今般の委員及び臨時委員の辞令については、席上に配付しています ので、よろしくお願いいたします。  引き続いて、事務局を御紹介申し上げます。御挨拶申し上げました日比労働基準局長 は、所用のために退席しております。同じ労働基準局の勤労者生活部長、奥田でござい ます。 ○勤労者生活部長 奥田でございます。昨年6月から勤労者福祉部長をやっております 。今回の省庁再編により、勤労者生活部長ということになりました。どうぞ、よろしく お願いいたします。 ○事務局 企画課で担当しています、補佐の本多でございます。同じく、補佐の丸山で ございます。以上です。よろしくお願いいたします。  早速、議題に入りたいと思います。議題1は、本分科会の分科会長及び分科会長代理 の選出であります。まず、分科会長についてですが、労働政策審議会令、政令にこの点 の規定がございます。分科会に属する、公益を代表する委員、本審の委員のうちから選 挙するということであります。本分科会の公益を代表する本審の委員は、日本労働研究 機構の齋藤理事長お一人ですので、齋藤委員に分科会の会長をお務めいただくことにな ろうかと思います。よろしいでしょうか。 (異議なし) ○事務局 それでは齋藤委員、よろしくお願いいたします。 (席を移動) ○分科会長 齋藤でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。  最初に、分科会長代理の選出という案件があります。分科会の会長代理の役割は、労 働政策審議会令第6条第8項に規定がございます。分科会長に事故があったときは、そ の職務を代理するということであります。分科会長の代理は、分科会に属する公益を代 表する委員又は臨時委員のうちから分科会長があらかじめ指名するという形になってい ますので、私から御指名をさせていただきたいと思います。一橋大学の藤田先生にお願 いしたいと思います。よろしゅうございますか。 (異議なし) ○分科会長 よろしくお願いいたします。続いて、議題2になります。勤労者生活分科 会運営規程を決めるということであります。案について、事務局から御説明いただけま すか。 ○事務局 まず、分科会運営規程そのものを御説明する前に、その前提である各規定に ついて、資料No.1からごく簡単に御説明申し上げます。  まず資料No.1の1頁目、言わば本審議会の根拠規定であります。真ん中にありますよ うに、厚生労働省設置法に労働政策審議会を設置すること、としています。さらに、2 頁目の労働政策審議会令の下の方の段にありますが、分科会として勤労者生活分科会を 置くこと、としています。なお、この勤労者生活分科会の所掌事務としては、その下に ありますように、一番大きなものは二の勤労者財産形成促進法、財形制度に係るもの、 もう1つは中小企業退職金共済法に係るものであります。ただし、このうち、中小企業 退職金共済法については、後ほどお諮りしますが、中小企業退職金共済部会を設けて、 そちらの方で専ら御審議をいただくことを予定しています。これに加え、一にあります けれども、賃金体系とか退職手当、あるいは退職手当の保全措置についても、本分科会 で御審議をいただくことがあろうかと思います。  4頁目を御覧ください。以上、法律、政令と決まっていまして、これに基づき先般、 1月12日に言わば当分科会の親審議会に当たる労働政策審議会の第1回が開催され、そ こで運営規程が決定されています。この中で、当分科会に関係があるものを御紹介いた します。まず、1つ目が第3条でございます。これは欠席の規定であります。「その旨 を会長に通知しなければならない」、これを第2項で分科会についても準用するという 規定になっています。また第4条、これは会長の規定ですが、これについても第4項で 分科会について準用するということになっています。  第6条は議事録についての規定、それから議事録及び会議の資料の公開の規定であり ます。これについても分科会において準用し、公開とするということになっています。  次の頁、第9条がいわゆる専決事項というものであります。分科会で所掌事務につい て議決をした場合は、それをもって審議会の議決に代える。改めて、審議会で議決をす る必要はないというものであります。ただし審議会が、「これは大事なことなので、審 議会の議決を特に必要とする」と決めた場合にはこの限りではないということがありま すが、1月12日の第1回審議会では特段、この「議決を特に必要とすること」というこ とは定められておりません。  第10条は任期であります。臨時委員及び専門委員の任期は、分科会長の任期が終了し たときであります。ちなみに、本審の委員の任期は2年と定められていますので、分科 会についても、原則として任期は2年となります。ただし、再任を妨げないということ ですので、2年ごとに見直しをしていくということになろうかと思います。これは昨年 までの審議会と同じようなことになります。  次に、第11条は委員及び臨時委員の両方でカウントをして、労働者代表と使用者代表 を同数とするというものであります。さらに、12条は分科会で、分科会の議事運営に必 要な事項について定めるという、言わば分科会運営規程の根拠事項でございます。これ に基づき、今から御説明申し上げる分科会運営規程を定めていただくことになるわけで す。  資料2、3を飛ばして、資料4に労働政策審議会勤労者生活分科会運営規程の案を掲 げています。これも逐条で御説明申し上げます。まず第1条は趣旨です。第2条は委員 の人数を定めたもので、労働者代表及び使用者代表が各6人、公益を代表する者8人、 合計20人でございます。20人については、先ほど御紹介いたしました方々にお願いをし ています。  第3条は幹事の規定であります。旧勤労者財産形成審議会においても、関係行政機関 の職員を幹事に任命しておりました。それを引き継いで、この分科会でも幹事としたい ということであります。具体的な幹事のメンバーは資料No.5にあります。ここにありま すような各省庁で財形制度等に関係の深い方々に幹事になっていただいています。本日 、こちらの後ろのほうにおられる方々が、言わば幹事候補の方々であります。  資料No.4に戻って、続いて第4条であります。第4条は会議の招集規定であります。 「会長の請求があったとき」、あるいは「分科会長が必要があると認めるとき」、「委 員等の3分の1以上から請求があったとき」に招集をすることと、7日前までにその内 容等を通知しなければならないということであります。  第5条は代理者の規定であります。「分科会長の許可を受けて、代理者を出席させる ことができる」。ただし書があって、「審議会令第9条第3項において準用する同条第 1項」、これは定足数の規定であります。「及び第2項」、これは議決の規定でありま す。これらの規定については欠席したものとして取り扱う。すなわち、代理者の方に御 出席いただき、自由に御意見を述べていただく。御議論には御参加いただけますが、定 足数を勘定する、あるいは議決をする際には、正規の委員あるいは臨時委員である必要 があるということであります。  第6条は部会の規定であります。先ほど、所掌事務のときに申し上げましたとおり、 この分科会は中小企業退職金共済事業も所掌していますけれども、その部分については 分科会に中小企業退職金共済部会を置き、そこで専ら御審議をいただきたいと考えてい ます。ちなみに、この部会につきましても実は委員の候補をお願いしています。資料No. 6に、部会の委員及び臨時委員候補の方のお名前を付けています。  資料No.4に戻って、第7条は部会についての専決規定であります。審議会の規定と同 様、基本的には中小企業退職金共済事業については、部会が議決をした場合は、改めて 分科会を開くことなく、それが分科会の議決となる。さらに、先ほど御説明したように 分科会の議決が審議会の議決となるということで上がっていくわけであります。  ただし、分科会が「議決を特に必要とする」と定めた場合にはこの限りではありませ ん。事務局として特段、この「特に必要とする」ということについて、現在のところ考 えてはおりません。  第8条は、基本問題懇談会の項であります。これも旧勤労者財産形成審議会に基本問 題懇談会が設置されていました。法改正等については、この基本問題懇談会で集中的に 議論をし、その結果を踏まえて改めて審議会で御議論いただくという形を取っていまし た。今回についても、やはり同様に分科会に懇談会を置いて、そこで議論をいただくこ ととしてはいかがかと思っています。懇談会に属すべき委員及び臨時委員については、 分科会長の指名であります。あとは座長等の規定であります。ちなみに、本日において は、懇談会の設置をお願いする予定はありません。  第9条は部会及び懇談会の庶務の規定、第10条、第11条はそこにありますようにこの 規程のほか部会の議事運営に関し必要な事項は部会で定めるという規定、規程の改廃の 規定であります。以上が労働政策審議会勤労者生活分科会運営規程の事務局で用意した 案であります。  この運営規程に併せ、一点、会議の公開・非公開についてお諮りしたいと思います。 この会議については自由な、あるいは闊達な御議論を行っていただくということ、それ から、会議の透明性自体については、議事録を後ほど公開することが既に準用規定で定 められております。それによって、透明性が十分確保されるであろうことを考え合わせ ますと、全くオープンにして、傍聴自由であるということまでする必要はないのではな いかと、事務局としては考えています。昨年までの勤労者財産形成審議会と同様、引き 続き傍聴等による公開はしない、後刻の議事録の公開にとどめる、ということにしては いかがかと考えています。この点についても、御議論をいただければと思います。以上 です。 ○分科会長 ありがとうございました。今の御説明に対して、何か御意見、御質問等が ありましたらお願いします。 ○委員 今、御説明にあったのですが、私ども臨時委員は「その者の任命に係る当該特 別の事項に関する調査審議が終了したときは、解任されるものとする」ということがあ りました。今までもそうだったのですが、通常、臨時委員というのは何か特別の審議事 項があったときに任命される、というように理解しておりました。今回、特別の審議事 項というものが示されていないのですが、分科会の所掌事務と同一と考えるわけでしょ うか。 ○事務局 はい。所掌事務全体について審議をお願いする臨時委員というように考えて います。 ○委員 そうすると特別の事項が、調査審議が終了するということは、分科会の所掌事 務がなくならない限りあり得ないということでしょうか。 ○事務局 その点についてはそういう形ですが、先ほど申し上げましたように、基本的 には本審の委員と同様、2年ごとの任期と考えています。 ○委員 いや、それはいいのですが、ここに書いてあるものでちょっと理解ができなか ったものですから。 ○分科会長 どこのところですか。確かに審議会令には、臨時委員は「当該特別の事項 に関する調査審議が終了したときは、解任されるものとする」と書いてあります。今の 御説明だと、分科会の所掌事務はそもそも臨時委員にお願いする事務だという説明です ね。 ○事務局 はい。 ○分科会長 詭弁と言えば詭弁かもしれません。単に臨時委員という名前を使っている だけだと理解すればいいわけでしょう。結果として同じことでしょう。特段の事項につ いてお願いすると言って、区分していないわけでしょう。 ○事務局 はい。 ○委員 結構です。 ○分科会長 ほかに何かありますか。 ○委員 まず、勤労者生活分科会運営規程の第7条なのですが、分科会があらかじめ議 決に係る事項に関して、「特に必要とする」という部分を今の段階で決めておかないと 、今後、すべての項目が議決が必要だと言えないのか。あるいは問題が出てきた段階で 、これはやはり勤労者生活分科会できちんと見ないと駄目ですというようにできないの か。中退金の問題と言っても、これからいろいろな形での退職金の見直し等が行われて いくときに、本当は中退金だけでいいのかとか、そういう議論も場合によってはあり得 るかもしれません。ここで今決めないと駄目なのか、後でもそれは決められるのかどう かを教えていただきたいのです。  それから、第8条で懇談会を設置するということです。運営規程そのものにはあるの ですが、今、置かないという御説明が課長からあったような気がするのです。そうする と、財形の見直しはしばらくしないということなのですか。それでよろしいと言ったら 、認めたことになってしまうのかどうか。その点だけ教えていただきたいと思います。 ○事務局 まず1つ目ですが、今日、この場で決めなければ決められないというもので はありません。そういう必要性が生じたときにまた御議論いただいて、お決めいただけ ればいいかと思います。  2つ目の基本問題懇談会のところについては、今日この場では置かない、という御説 明をいたしました。ただ、当然ながら財形については、いろいろな情勢の変化の中で見 直していかなければならないというのは、私どもも非常に強く認識しております。その 辺、まず事務的な見直しに向けての作業がある程度固まってきた段階で、直ちに開いて いろいろ御議論をいただくというように考えています。 ○委員 ということは、設置はするけれども、今はまだ具体的な作業に入っていないと いう御説明だったのでしょうか。 ○事務局 形式論的に言うと、ここは「基本問題懇談会を置くことができる」という規 定になっています。今日この段階で設置をして、懇談会に属すべき委員はこの方々で、 かつ座長はどなたであってというところまでの手続は取らないということであります。 ○委員 わかりました。 ○分科会長 ほかに何かありますか。なければ、この勤労者生活分科会の運営規程につ いては、案文のとおり決定させていただきたいと思います。また、先ほど話がありまし たように、会議そのものについては公開をしないということで、これから進めさせてい ただきたいと思います。  次に議題3、平成13年度財形関係予算の政府原案について、事務局から御説明いただ きたいと思います。 ○事務局 予算に入ります前に、まず、今回初めて委員をお願いした方々もかなりおら れますので、資料No.7に基づき、財形制度全般について、ごく簡単に御説明申し上げた いと思います。資料No.7の14頁に、財形制度の概要図が出ていますので、これに基づい て御説明いたします。  財形制度は大きく分けて、3つの制度からなっています。左から勤労者による貯蓄制 度、事業主拠出による制度、それから財形融資制度であります。まず、勤労者による貯 蓄制度は、言わばサラリーマンが天引きでコツコツと貯めていく貯蓄であります。その 中がさらに一般財形貯蓄、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄の3つに分かれています。  一番左側の一般財形貯蓄は、特に使途を特定しない貯蓄であります。これについては マル優制度がなくて、利子について課税をされます。その隣、年金貯蓄と住宅貯蓄につ いては読んで字の如く、それぞれ年金目的あるいは住宅目的で貯めていくものでありま す。これについては税制上の優遇措置がございます。その下にありますように、両方合 わせて550万円まで、あるいは生保等については385万円まで、利子が非課税扱いであり ます。一番下にこれらの制度の実績があります。延べですけれども、3つの貯蓄を合わ せて大体1,500万人ぐらいの方が加入されています。そこにあるように、貯蓄残高は20兆 円弱ぐらいであります。  このように、勤労者による貯蓄が基本でして、2つ目の柱はそれに対する事業主の支 援であります。「事業主拠出による制度」と書いています。財形給付金、財形基金とい うことで、勤労者1人につき最高10万円を限度として、事業主が貯蓄努力を支援する仕 組みになっています。  3番目の制度が財形融資制度であります。このような財形貯蓄の原資を活用して、住 宅ローン、教育ローンを行う制度であります。当然、対象者は財形貯蓄を行っている勤 労者ということであります。  一番代表的なものは、左から2つ目の持家個人融資であります。財形貯蓄を行ってい る人に、財形貯蓄の10倍、または4,000万円を限度として融資を行うものでございます。 一番下に、この制度が実績として累計で出ています。戸数累計で27万9,000戸です。  実は11年度に、この融資について調達方法、あるいは金利の水準を大幅に改定し、か なり魅力的な融資制度としています。例えば金利について、現行金利は5年固定で1.92 %となっています。住宅金融公庫が、固定金利でありますけれども2.8%であることに比 べると、かなり低い金利になっている。11年度、制度改善直後で戸数が3倍弱、12年度 も上半期で倍近い伸びということで、まだまだ戸数としては少ないですが、最近かなり 好評を博してきています。  もう1つが財形教育融資になります。これは本人又は子供の高校、大学等への進学の ための融資であります。非常に簡単ですが、以上が財形制度の全体の概要です。  それを踏まえて、資料No.8を御覧ください。13年度予算の政府原案について御説明申 し上げます。まず、15頁は全体の姿であります。13年度予定額で21億8,900万円強の予算 額になっています。融資関係の業務費、それから助成金の関係費が主なものであります 。  次に16頁以降、13年度については制度の改善を助成金の関係について1点、融資の関 係について2点行っています。まず第1点が、16頁の財産形成貯蓄活用助成金制度の改 正であります。その次、17頁を御覧いただくと、財産形成貯蓄活用給付金・助成金制度 の概要が出ています。まず、これについて御説明いたします。これは、平成8年度の法 改正によって出来た、比較的新しい制度であります。財形年金貯蓄、あるいは財形住宅 貯蓄については利子非課税の恩典があるのに対して、一般財形貯蓄についてはそのよう なものがない。ところで、「概要」の2行目にありますけれども、年金や住宅以外に育 児や教育、介護といった、生涯の節目となる大きな支出を伴うものがある。それに向け て、計画的な財産形成を行うことを支援しようという趣旨の助成金であります。  具体的には、2の「仕組み」にありますように、勤労者が育児、教育等の特定事由の ために一般財形貯蓄からの払出しをしたときに、事業主がそれを支援する意味で給付金 を支払う。それに対して、国が雇用・能力開発機構を通じ、事業主に対して助成金を支 払うというスキームになっています。  具体的な額がその次の頁、18頁にあります。やや複雑な制度となっていますけれども 、右から2番目、「現行」と書いてあるところまでを御覧ください。例えば、一番左に あるように、勤労者が介護等のために50万円以上100万円未満の一般財形貯蓄の払出しを 行った場合に、中小企業の事業主がその勤労者に対して1万5,000円以上3万円未満の給 付金を支払った場合に、国が中小企業に対して1万5,000円の助成金を支払うというもの であります。さらに、3万円以上の給付金に対しては、3万円の助成金ということにな ります。それから、中小企業の事業主以外の事業主、言わば大企業の事業主に対しては 、1万5,000円以上の給付金の支払をした場合に、1万5,000円の助成金の支給ということ になっています。  その次の頁に、この制度についての実績があります。中小企業について実績累計で200 件、それから中小企業以外の企業、大企業について1,375件と、中小企業の活用が特に低 調であるという状況になっています。  この助成金制度について、制度が発足してから3年たったということ、さらに重要な こととして、言わばこの制度の原資である雇用保険について、財政的に非常に厳しい状 況が生じてきています。雇用保険を原資とする助成金について、雇用関係、能力開発関 係、あるいはここにありますような福祉関係、すべて抜本的に見直す作業を行っている ところであります。見直し作業を行っている中で、特に大企業について、1万5,000円の 給付に対して1万5,000円の助成金の支払という、言わば満額支給のような考え方があり ます。通常の助成金の場合は、事業主の努力に対して何分の1かを助成するという仕組 みが多い中で、そうしたものと考え方が少し違う制度になっているということもあり、 雇用保険全体の見直しの中で、この制度についてもやはり見直しが必要だろうと考えた わけであります。したがって、「改正後」にありますように、大企業については、ある 程度企業の方にも御負担をいただく形でこの制度を運用していきたいと考えています。  一方、中小企業については、なかなか負担余力がないということ、それから先ほど申 し上げましたように、中小企業への普及が進んでいないということがあり、基本的なス キームについては、中小企業については変えておりません。ただ、より多くの援助をす る中小企業に対してより多くの助成金を支給する、より魅力のある制度にしようという ことで、区分額をもう一つ余分に設けてより魅力的な制度にしたいと考えています。以 上が財産形成貯蓄活用助成金についての制度改正です。  第2点目の制度改正が20頁になります。第2点目及び第3点目は、いずれも融資制度 についての改善事項であります。まず、財形持家融資制度については、多目的住宅融資 の制度改善を行っています。多目的住宅融資というのは、我々はいわゆる「セカンドハ ウス融資」と俗称しているわけですが、別荘融資でございます。現在、主に居住をして いる所ではない所に住宅を建てる場合に、若干利率を高めに設定して融資をするという 制度です。現行の制度については、「経緯」のところにありますが、大都市圏、具体的 には東京・大阪・名古屋の三大都市圏に居住している方が、三大都市圏以外に住宅を建 てる場合に利用できるというように限定されていました。これを今、地方中核都市等で もセカンドハウス需要が増えていることを踏まえ、三大都市圏居住という枠を外して、 全国どこでもセカンドハウスをつくりたいという場合に、この融資が利用できるように するというものであります。  3点目、財形教育融資制度の方の改正は償還期間の改正であります。現在、財形教育 融資については償還期間が最長で8年間ですが、最近の経済状況の悪化等もあって、8 年のところに5割以上がはりついています。また、償還期間をさらに延長することによ って、借りやすく、返しやすい制度にしてほしいという要望もありました。そこで、こ の償還期間8年以内を10年以内に延長するという制度改善を行うことを予定しているわ けであります。以上3点が13年度予算について行う制度改善の概要です。 ○分科会長 ただ今の御説明について、御質問、御意見がありましたらお願いします。 ○委員 いくつか質問、また場合によっては意見等を申し上げたいと思います。最初に 「財産形成貯蓄活用助成金制度の改正」ということですが、各種助成金等については全 面的に見直しをするということを今おっしゃったと思います。中央職業安定審議会の建 議「雇用保険三事業に係る各種給付金の見直しについて」ということで、どういう形で 見直すかということがいくつか示されているわけです。その関係から言うと、今度の財 産形成貯蓄活用助成金制度の改正において、給付金の見直しについて示されているとこ ろは、どういうところで改正をするということになったのかをまずお伺いしたいと思い ます。  我々はもともとこの制度の導入であるとか、それから勤労者拠出型年金制度、いわゆ る日本版401(k)創設により、年金財形をそちらのほうに衣替えしていくというような ことの議論の中で、財形の普及、さらに中小企業への普及ということについては、これ は非常に大事なことであると、いろいろ議論をいたしました。今、平成8年度に財産形 成貯蓄活用助成金という制度の創設についていろいろ議論したとき以来、かなり時間が 経っておりますが、実際、特に一般財形が普及しているのか。これはもともと、助成金 を導入することにより一般財形に魅力をつけようという趣旨で起案されたものと理解し ていますが、その一般財形が普及しているのか。さらには、中小企業に普及するという ことがねらいであったわけですが、そういったねらいがどういう形で実現しているのか 、していないのかということを具体的に御説明いただきたいと思います。  この点はまた後で意見を述べますが、活用助成金制度の改正というのは、確かに額の 水準の改正等からすれば、中小企業については魅力があるというようになっているわけ です。そういったことと、実際の制度の普及、導入、促進ということとは少し違うだろ うと思っています。実際、平成8年改正を検討する段階でいろいろ議論が始まっている わけで、そこからかなりの時間がたっていますから、そこを実績としてお示しいただき たいと思います。資料には直近の加入件数、貯蓄残高というのは確かに書いてあるので すが、これがどういう推移になってそうなっているかということは、今の資料からは読 み取れないと思っています。  我々のところは大企業、中小企業以外というところにくくられると思います。これは 世の中一般で言われていることなのですが、いわゆる企業の福利厚生費、特に法定外福 利厚生費については、トータルの人件費総額という中で見ていくという流れになってい ます。各種の福利厚生費の調査、統計によっても、実はここ数年、法定外福利厚生費は 伸びるどころか、下がっている状況にある。実は今、1万5,000円という最低水準のとこ ろが、8,000円という水準に切り下げられるのですが、これもいろいろなところの資料等 を見れば、言わば給付金というものを助成金とイコールにしている企業がこの制度を導 入している大半なのです。そういうことからすると、実際に今まで1万5,000円の助成金 をいただいていて、社員にも1万5,000円の助成金を渡していたというところが、例えば8 ,000円に切り下げられるとなった場合、企業とすると持ち出しになる。これは当然制度 が普及するという前提でお話しているのですが、そうすると、あらかじめ企業としては 予定していなかった制度改正が一方的に行われることになり、その制度自体を存続・継 続、維持・運営するのかという議論にもつながるのではないか。もしくは、差額分の負 担増というものが発生するとなれば、福利厚生制度自体の全体的な見直しをして、他の 制度を運用する原資をここに充てるという動きにもなってくるだろう。場合によっては 、制度廃止ということにもなりかねない。  もともと、この助成金制度自体がなかなか浸透していないのではないかというように 思っております。御異論があれば御説明ください。もともと導入が進んでいない中でそ のような制度改正が行われた場合には、その制度自体を維持・運営するのかという議論 にもなりかねない。そういうことを考えると、今ここには「報告」ということで御提議 いただいていると思いますが、このような制度の決め方ということでよいのだろうかと 思います。  繰り返しになりますが、一般財形なり財形制度というのは、中小企業も含めて、勤労 者がいろいろ自分なりの生活設計をする上で、有効に使うという意味では良い制度だと 思います。したがって、問題はこれを更に運用しやすい制度にして、あまねく中小企業 の勤労者の方も含めて、うまく活用できるという仕組みを作ることが大切だろうと思っ ています。助成金を創設するときの議論以来、こういった助成金を設けるとか、そうい うことではなくて、もっと大事なことがあるのではないかということを今までいろいろ 議論してまいりました。実際には、これからまた中小企業の普及状況や、助成金制度全 体の導入等がどうなっているかを御説明いただいた上で、改めて議論したいのですが、 財形制度というものをもっと良くするためには考えるべきことが他にあるのではないか と思っています。それについて、そういうことのベースを質問いたしました。よろしく お願いいたします。 ○事務局 まず第1点、どういうところというのが、ちょっと御質問の意味が分かりに くかったのですが。 ○委員 いわゆる、雇用保険三事業に関しての給付金見直しが中央職業安定審議会で議 論され、報告されている。そういったものが、助成金等の見直しという流れにつながっ てくると思うのです。報告の中で、こういった考えで見直しますということが示されて いるわけですが、そこで示された考え方と今回の改正というのは、どういう関係にある のかを教えていただきたい。これが第1の質問です。 ○事務局 中職審の建議の中に、この活用助成金についても見直すとあります。見直す 方向性というのは、当然、今回、雇用保険の財源が非常に厳しくなっている中で、助成 金をできるだけ整理する方向、財源の圧迫をなくす方向で全部の助成金について見直さ れ、かつそういう形で書いてありますので、その方向で見直すということであります。 ただ、中職審の中で、活用助成金の具体的な見直しの中身についてまで議論をしたとい うことはありません。そこは全体の方向性の中で、私どもとして見直しの具体的な中身 を考えたというものであります。  2つ目は財形制度の状況であります。いま、手元にありますので簡単に申し上げます 。まず、一般財形貯蓄については、平成9年の3月で契約者数が1,071万人、貯蓄残高が 9兆7,000億円でした。これに対し、もう1年近く前になりますけれども、平成12年の3 月末現在では契約者数が973万人に減っています。貯蓄残高については、これは累積で積 み上がってきますので、10兆3,700億円に積み上がってきています。私どもとして、財形 貯蓄について、大企業と中小企業に分けて契約者数、あるいは貯蓄残高を採った統計は ありませんので、そこは申し訳ありませんがお答えできかねます。  3点目ですが、活用助成金の改正により、そもそもの活用助成金の改正の目的が、特 に大企業のところについては「更に一層の普及を図る」というよりは、先ほどから申し 上げていますような、非常に財源が厳しくなっている中での改正となっています。です から、大企業のところについて、多少改正の影響が出て減少してくるということはある 意味でやむを得ないというか、逆に言えばそれをある程度、頭に置いた改正になってい ると思います。  中小企業については基本的に変えずに、かつ区分をもう一つ設けて、若干なりとも使 いやすい制度にしました。これもまた、多少なりとも普及を進めていけるのではないか と思っています。  ただし、この改正で、この助成金についての改正がもう事足れりとは、私ども事務局 としても思っておりません。この助成金制度のスキーム自体は、実は財形法という法律 に直接書き込んでいる関係で、根本的なスキームを見直すためには法改正が必要であり ます。今回はそれが間に合わなかったので、金額のところの改正にとどめております。  今度、先ほどお話がありましたが、財形制度の抜本的な見直しが当然必要になってく る。その中で、この活用助成金についても法改正も含め、抜本的な見直しをしていく必 要があるという認識であります。 ○委員 質問のもう一つは、いわゆる企業の実情等をどの程度お調べになったのか。制 度が一方的に変わってしまうことによって、企業自身が場合によってはいろいろな制度 全般を見直さなければいけないとか、制度の維持をもうやめてしまうということもある だろう。その点については、例えば企業の実情等をお調べになったのかということを質 問したと思います。 ○事務局 この助成金を使っている企業に、「例えば、このようになった場合にどうな るのでしょう」とお聞きしました。そこは「すぐにはどうするか分からない」というお 話でした。 ○委員 それが大事なことだと思うのです。この活用助成金制度自身が、もともと一般 財形に魅力をということで作られたわけです。今回、大企業、中小企業の区分のところ で制度が改正されるわけですが、今のお話にありましたように、中小企業と大企業の別 で、活用助成金制度がどうなっているのか分からないとおっしゃること自身が、大企業 、中小企業の区分のところで、今度制度が改正されるとこういうようになるわけですが 、それでいいのかなと、素朴に疑問に思います。実際、企業の実態とか、本当に一般財 形を魅力的なものにして普及するためにどうするか。特に、中小企業の加入率が低いと いうことがあります。その辺、なぜこうなっているのかとか、今後どうなるのかという ことをもう少し企業の実情をお調べになって、施策を検討していただきたいと強く思い ます。 ○事務局 活用助成金そのものの中小企業、大企業の別については、先ほど御説明した 資料の19頁にございます。 ○委員 推移はわかるのですね。 ○事務局 推移についても、19頁の表に9年度、10年度、11年度と、累計という形でお 出ししています。 ○委員 失礼しました。 ○事務局 分からないと申し上げたのは、一般財形貯蓄そのものについて、大企業の勤 労者が何百万人で、中小企業が何百万人というのが、いま手元に資料がないのです。 ○委員 加入者数が徐々に減って心配しているわけですが、一般財形に魅力を付けると いうことと考え併せてどうなっているのかという点は大事なところではないかと思いま す。 ○分科会長 平たく言えば、この助成金制度によってどれぐらいインセンティブを持っ てきたか。こうなったことによって、みんなが現実にどういうショックを受けるか。そ ういう調査というのはやってないですよね。 ○事務局 先ほど申し上げたように、お聞きして、「すぐにはどうするかよく分からな い」というお返事が返ってきたわけです。 ○委員 分かりました。 ○事務局 先ほど、財形制度そのものについての普及状況を事務局からお答えいたしま した。財形制度に入っている方の数は1,000万人を割って、徐々に減っているというのが 実態です。それについて、どういった原因があるかということについては、私どもも金 融機関の方にお話を聞いたり、企業の方にお話を聞いたり、今いろいろ原因を探ってお ります。1つ言えることは、どうも若い方の加入率が極めて低い状況があるようです。 私どもが役所に入ったときには、すぐに財形に入りませんかということで、勧誘の方が お見えになったような記憶があり、私も入ったのです。それがどうも、最近はそういっ たこと自体が減っているということもあるようです。年代別に見ると、若い方の加入が 減っていることが、数がずっと減ってきていることの1つの原因にもなっているのかな と思います。  もう一つ御指摘がありましたように、中小企業の加入が非常に悪いというか、普及が 遅れています。もう30年やっていますから「遅れている」という表現自体がおかしいの です。制度を作ったときに、そもそも中小企業の方ほど税制の恩典を使っていただくこ とが骨子だと思っていたわけですが、実はこれがなかなかそういったようにいかない。 その反省も踏まえ、8年の改正のときに事務代行制度というものを入れて、事業主がや れない場合については、中小企業が商工会議所、ほかの団体等に財形の事務をお願いを して、その部分を補っていこうという仕組みを入れているわけです。  事務代行団体については、現在46ぐらいのところでやっていただいていますが、やは り、財形の仕組みそのものの中に、中小企業の方が非常に取り組みにくい部分があるよ うに思います。  その辺、我々もまだ十分な勉強が足りないと思っています。こういった助成金を付け ること以前の問題として、財形の仕組みそのもののところでもう一回、中小企業の方が やれるような仕組みを考えなければならないのではないか。これは本当に遅ればせでは ありますが、原点に返って、その辺の制度を考えてみたいと思います。  それから、助成金制度の改正について、「報告」という形でされていることについて は非常に問題である、という御指摘がありました。その点については、私どもももう少 し慎重に、こういった形でこの制度を改正したい、ということを前もって皆様方に御相 談しながらやるべきところでしたが、その辺、皆様方へのお諮りが不十分のまま、今回 は「報告」という形でやらせていただきたいという形でお話をさせていただいておりま す。  今回の制度改正によりどういった効果が出てくるか。これは今まではいわゆる満額助 成というか、実は企業が助成をしている形にはなっているけれども、実際にはその分全 部国が穴埋めをしておりますので、企業の負担は何もないという仕組みになっています 。  制度制定のときにそういう仕組みを作って、財形制度の魅力付けをしようという議論 がされたわけですが、今回の改正により、企業からの支援もいただき、そこに国が支援 をするという姿にする必要があるのではないか。  それから、実績を見ますと、1万5,000円のところにほとんどがはりついています。従 業員の方が例えば50万円以上、もっと高い金額を引き出されたときにも、助成金は1万5, 000円ではりついてしまっています。国からもらえるお金は1万5,000円ですので、それ以 上出せばより負担が出るということで、どうも1万5,000円のところに制度がはりつくと いう傾向が相当強くありました。  それについては、今回の改正により、より高い金額を引き出された方については、100 %ではありませんが、国の助成金は1万5,000円以上のところでも出る仕組みとしていま す。そういった意味からは、労働者の側からすると、企業の負担が出てくるから、すぐ にそれが制度になるかどうか分かりませんが、仕組みとしては国としても更に負担をし て、より高い水準での活用の方法を作りたい。こういったことを考えて、こういう制度 改革をしているわけであります。  是非御理解をいただいて、財政状況厳しき中、財形制度の助成金を改正させていただ き、末長くと言うと変なのですが、私どもとしてはこれが永続するようにしたいと思っ ています。その辺、御理解をいただけたらと思っています。 ○分科会長 ほかに何かございますか。 ○委員 今出ていた御意見と、ほぼ重なる部分があるのですが、19頁の表において中小 企業の支給実績が非常に低いという実績が出ているわけです。今まで、労働行政全部を 見ても、助成金などに頼っていろいろな行政が行われておりました。そういったものに ついては、先ほどお話があった、いろいろな見直しの方向性というのは中職審その他で も出ていますが、やはり再考すべき時期に来ているのだろうなと考えます。だから、中 小にもっと魅力を付けようということで、今回こういう形での改正をされるという理解 です。  しかし、ただそれだけで、本当に中小が魅力を感じるのかどうかというのは、やはり 原点に返って議論をしないと何もならない、と言うと語弊がありますが、根本問題とし て捉えるべきだと思います。中小の利用率が低いから、それを区分してもっと中小に手 厚くしようということでは、根本的なものの解決にはならないと私どもとしては感じま す。 ○分科会長 いまの御議論は、次の財形の施行令の説明とかが終わったあとに、改めて もう一回考えてください。 ○委員 一点だけ質問いたします。15頁の「予算額」で、貯蓄活用助成金事業はかなり 減るようですが、8,898万ということでした。しかし、今まで出ている実績からすると、 なぜ8,000万円なのでしょうか。累計でもまだ3,000万円ぐらいなのです。どうしてこう いう差があるのか。もう一つ、今、御指摘がありましたが、こういったものを維持する ために別の運営費用も結構かかっているのかもしれない。そうすると、本来、これをそ のまま小手先で変えることを続けていいのかどうか。それならば、本当にスパッとやめ てしまうのかという議論もしていかないといけないのではないかと思うのです。12年度 でもいいし、11年度でもいいのですが、実績はどのぐらいで、運営費用もどのぐらいか かっているのか。その辺を教えていただきたいということと、どうして8,000万、ほとん ど、9,000万円なのでしょうか。これだけ離れていて、どうしてやるのかよく分からない のです。 ○事務局 この助成金については、15頁と19頁を比べていただくと分かりますが、予算 で出された額と、実績で実際に支出された額が12年度についてかなり食い違っていると いうことがありました。ただ、かといって、予算を上回って実績が出てしまったら支払 えなくなりますので、ある程度のアローアンスは持たなくてはならない。そのアローア ンスをどの程度にするかという議論の中で、まず実績が出ているのは11年度ですが、11 年度について大分予算と実績が離れていて、アローアンスがかなり大きいということで 、次第に減らしていこうということから、13年度についてはかなり減らしたというもの であります。これは業務費がそれぐらい大幅にかかっているので違うという意味ではな くて、むしろアローアンスをどの程度に見込むかという意味で、ギャップが生じている ということでございます。 ○委員 ちなみに、12年度の集計はまだ済んでいませんが、11年度より増えているとい うことなのですか。11年度では1,700万円ぐらいですよね。 ○事務局 今、手元に12年度の集計がございません。 ○委員 増えている傾向にあるのか、そういうことも分からないでしょうか。 ○事務局 支給額の実績から言って、それからこういう助成金ですから、1回採用する と、言わば累積をしていくことから考えると、おそらく増えたであろうとは思います。 ただ、そこを裏づける資料をいま手元に持っておりません。 ○分科会長 いずれ機会を見てというか、時期を見て、少しこの制度そのものの原点に 立ち返ったような、これからの方向を踏まえて少し議論をすることにしたらいいだろう と思います。組織の方が落ち着いたら見直し議論を始めて、「基本問題懇談会」なども 置いて、その場でも少し議論をすることにしたいと思います。よろしいでしょうか。 ○事務局 非常に重大な指摘をいただいたと思っています。財形が出来上がってから30 年たったわけです。その間に何回かの法改正をして、いろいろな制度を積み上げてまい りました。  現在、雇用保険の見直しの基本的な方向としては、使用実績のないもの、あるいは減 っているもの、使われていないもの、使用状況の悪いものについては、廃止の方向で検 討することが強く出されています。その意味でも、この財形制度については、いろいろ な助成金制度がこの財形制度を支えてきているわけですが、財政全体の中から効率の悪 いものはなくしていくという大きな流れの中で、なかなかそれに対して抗し切れないと いうことが出てくることを非常に心配しています。その意味では、もう一度制度の原点 に返って、皆様方のお知恵をお借りしながら、財形制度の建て直し、見直しを進めてい きたいと思っています。 ○分科会長 それでは、その点はそういうこととします。次に施行令の一部改正につい て、事務局より御説明をお願いします。 ○事務局 資料No.9「電子商取引促進のための勤労者財産形成促進法施行令の改正につ いて」であります。いわゆる電子商取引、電子メールやウェブ等を使った商取引を促進 しようという政府全体の流れに沿ったものであります。  24頁に政府としての全体の方針があります。実は、これは先の臨時国会で成立した法 律です。書面の交付等について、書面に加えて、例えば電子メールで交付をする。ある いは、ウェブで見られるようにすることでいいというように、書面の交付を必要とする 様々な取引について、そういうものを一括して認めることにしたものであります。  その中で、財形について具体的には23頁の(2)「内容」のところを御覧ください。 (1)の「対象」、金融機関から勤労者に対する情報提供について、2つ書面を渡さな ければならないという項目がありました。1つは財形貯蓄の残高の通知について、毎年 書面をもって通知しなければならないというものであります。2つ目は財形持家融資の 要件、例えば限度額などについて書面で明示しなければならないということがありまし た。  この2つについて、電子的手段でいいことにしたものであります。例えば、財形貯蓄 残高の通知については、封書ではなくて電子メールでいい。あるいは、持家融資の要件 についても、ウェブにこういうように書いてあるので、そこを見てくださいということ でいいというものであります。  ただし、条件がございます。これは法律全体にかかっている条件です。1つは金融機 関が勝手にできるものではなくて、あくまで勤労者の承諾が前提である。電子メールで いいと言った場合に限って、それができるというものであります。もう一つは、一旦い いというように言っても、そのあとの状況の変化、例えばメールを受けられない環境に なるということは生じてくるわけです。その場合に撤回をして、再び封書にしてくださ いという場合は、封書でやらなくてはならないというものであります。以上が今般の施 行令の改正内容でございます。 ○分科会長 ありがとうございました。この件について、何か御意見、御質問はありま すでしょうか。 ○委員 セキュリティについては、何も条件を付けないのですか。要するに、何もセキ ュリティをかけないまま、メールで送るという規定になっているのでしょうか。残高と いうのは結構プライベートな、プライバシーにかかわるものだと思うのですが、その辺 はどういう議論になっているのか教えていただければと思います。 ○事務局 当然、そういった意味でセキュリティが必要になると思っています。ただ、 今回の法律及び施行令については、「書面」と書いてあるところを「書面又は電子的手 段で」と変えたということにとどまっています。それ以上に、具体的にセキュリティを どうするかということについては、直接今回の法律及び政令ではなくて、具体的にそれ を進めていくところにゆだねられているということであります。 ○委員 そういう議論は、これを議論する段階ではなかったのでしょうか。 ○事務局 法律全体の議論の中で、セキュリティが大変大事であるという議論はありま した。その中で、特にセキュリティが重要なものについては、勤労者の承諾が前提とな っていますので、承諾を得る際、当然にこういう形でセキュリティが担保されているこ とが確保されると考えています。 ○委員 分かりました。 ○委員 承諾を得る方法というのは、具体的にどのようなことを考えているのですか。 勤労者からの承諾がないとできないということですが、よく分かりませんが署名捺印な どをやるのでしょうか。 ○事務局 まだそこまでは具体的になっておりません。例えば、財形貯蓄の契約をやる ときに、契約書なり申込書の欄として、残高の通知をどういう形で受け取りますか。郵 便がいいですか、あるいは電子メールでいいですかということで行います。電子メール で「はい」と言った場合には、それによって勤労者から承諾を得ているという形になっ ていくだろうと思います。 ○委員 新たな契約をするときはそうだと思いますが、既にある契約についての承諾の 取り方というのは具体的に決められているのでしょうか。 ○事務局 そこはまだ決めておりません。何らかの形で、書面によってきちんと承諾が 得られたというところは方法が残されていないと、次のステップには進んでいかないだ ろうと思います。 ○委員 この場で申し上げるべきことではないというのは十分認識しているのですが、 「趣旨」に「電子商取引の促進を図るため」うんぬんとあります。私は根本的に、残高 の通知などをやることが電子商取引の促進を図るという趣旨ではないと思うのです。本 来であれば、電子商取引というのはもっと大きな問題なのです。サイバーモールの問題 だとかいろいろな問題があります。そうではなくて、国はもっと根本に立って考えるべ きではないか。電子商取引、ITと言われるとすぐ、労働条件その他書面で交付すれば いい。それには今、お話があったようにいろいろコストがかかるわけです。  むしろ、金融機関はコンピューターによって一覧で出していますから、それを出して 一発で郵送するほうが、よほどITが進んでいるわけです。いちいち労働者ごとに分け て、この人は書面、この人は電子メールと分けていたら、よほどその方が手間がかかる わけです。この場で言うべきことではありませんが、私は国として考えるときは、商取 引の促進が書面ということではないという点は、事務局に申し上げてもしょうがないこ とだと思いますが、やはり認識するべきだと思います。 ○事務局 そういうお話ですので、必ずしもお答えするのが適当かどうかと思いますが 、基本的には、電子商取引促進のために規制を緩和する。それを採用するかどうかとい うのは、まさにコストでペイするかどうかで、行為主体の方が考えるべき問題である。 ただ、採用するかしないかは分からないけれども、とにかくひょっとしたらこういうと ころで障壁になっているかもしれない規制については、一つ一つ、きちんとチェックを していって緩和をしようということで、こういった関係のものすべてを包括的に、全体 を見直したという趣旨であると理解しています。 ○委員 わかりました。 ○分科会長 次に資料No.10について、御説明をお願いします。 ○事務局 資料No.10は確定拠出年金法案であります。これについては、実は昨年、前身 に当たります勤労者財産形成審議会で内容をかなり詳しく御説明し、いろいろ御議論も いただいたところであります。したがって、今日、改めてお出しをした趣旨は内容その ものではなくて、一番下の審議状況についての御報告であります。  ごく簡単に御説明すると、企業年金について、確定拠出年金というものを作ろうとい うことになっています。一番上にありますように、確定拠出年金は掛金を個人ごとに明 確に区分して拠出し、その運用については個人の自己責任である。その運用額によって 給付額が決定されるという仕組みであります。(1)、(2)にあるような中小零細企業、あ るいはポータビリティに優れている制度として1つ、企業年金等についての選択肢を増 やそうということで出来ているものであります。  これについては、先ほど申し上げましたように去年も御議論をいただきました。一番 下ですが、昨年の3月に通常国会に提出しましたが、国会が解散になりましたので、そ れに伴って一度廃案になり、全く同じ法案、施行年月日だけが違うものについて、11月 の臨時国会にさらに再度提出、継続審議となっています。1月末に開かれる次期通常国 会で、もう一度御審議いただく予定になっていることを御報告するものであります。 ○分科会長 ありがとうございました。本件について、何かありますか。ないようでし たら、本日はこの辺で閉会とさせていただきたいと思います。  最後に一つだけ、議事録についてであります。先ほどもありましたように、議事録は いずれ公開をするということになります。労働政策審議会運営規程第6条の規定により 、議事録には会長の私と、私の指名する委員お二方が署名することになっています。今 までの審議会の慣例を踏まえ、署名委員には労働者を代表する方から1名、使用者を代 表する方から1名ということにしたいと思います。今回、署名委員には、杉浦さんと奥 村さんにそれぞれお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。 (異議なし) ○分科会長 それでは、そういうことにさせていただきます。今日はどうも、いろいろ とありがとうございました。また、よろしくお願いいたします。 照会先 労働基準局勤労者生活部企画課企画係  木原・中村 内線5352