04/12/15 第10回医学研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会議事録     第10回 医学研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会                    議事録 1.日時    平成16年12月15日(水)12:15〜12:30 2.場所    経済産業省 別館 1028会議室 3.出席者    (委員) 位田委員、宇都木委員、大山委員、垣添委員(座長)、具嶋委員、         栗山委員、武田委員、廣橋委員、福嶋委員    (事務局)厚生労働省:松谷技術総括審議官               上田厚生科学課長               高山厚生科学課研究企画官 他 4.議題    (1)ヒトゲノム・遺伝子解析研究等の個人情報保護に係る措置について    (2)その他 5.配付資料  資料 1    医学研究等における個人情報の取扱いの在り方等について(案) 6.議事 【事務局】  それでは、厚生労働省医学研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員 会を始めさせていただきます。  議事に入ります前に、事務局より本日の委員会の進め方についてご説明をさせていた だきます。  本日はこれまでのご議論を踏まえまして、指針の見直し内容を含めた委員会の意見書 をご検討いただくこととしております。  なお、さきのゲノム指針、疫学指針及び遺伝子治療臨床指針と同様に、この意見書案 につきましては本日で取りまとめとさせていただきたいと考えておりますので、どうぞ よろしくお願いいたします。  なお、前回の専門委員会においてご議論いただいた臨床指針の告示案についてでござ いますが、幾つかペンディングの部分がございましたが、これにつきましては現在、事 務方で調整をさせていただいているところでございます。最終的には、座長ともご相談 の上まとめたものを官報に掲載することとしたいと思っております。  それでは、議事を進めてまいりたいと思います。以降の議事進行につきましては、座 長の垣添先生にお願いします。 【垣添座長】  それでは、臨床研究における個人情報の取扱いの在り方についての意見書について議 論を始めたいと思いますが、まず意見書の内容に関して事務局からご説明ください。 【事務局】  それでは、ご説明させていただきたいと思います。資料につきましては、前の委員会 で使用させていただきました資料1、医学研究等における個人情報の取扱いの在り方等 について(案)のIVの10ページ目でございますけれども、この部分に基づいて説明を させていただきたいと思いますので、お手元にあることをご確認ください。  また、委員の先生方には、ただいま前回の専門委員会の議事録案を配付させていただ きましたので、ご確認をいただきまして問題点等ありましたら、来週22日までに事務 局にご連絡をいただきますよう、あわせてお願いいたします。  それでは、ご説明をさせていただきたいと思います。IVの臨床研究における個人情報 の取扱いの在り方について、医学研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門 委員会ということで、意見書案でございます。  臨床研究は、医療における疾病の予防方法、診断方法及び治療方法の改善、疾病原因 及び病態の理解並びに患者の生活の質の向上を目的としており、国民の保健医療水準の 向上や医学の発展に大きく寄与するものでございます。  また、医学の進歩は、臨床研究に依存するところが大きいんですが、その際、被験者 の福利に対する配慮が科学的・社会的利益よりも優先されなければならない。このた め、研究者等が円滑に臨床研究を行うことができるようにするとともに、臨床研究の実 施に当たって被験者の個人の尊厳及び人権を守られるようにしなければならない。  これらのことを踏まえまして、臨床研究における個人情報の取り扱いについては、臨 床研究の実施に当たって必ずインフォームド・コンセントを行うこととされていること を考慮しつつ、基本的には、他の指針と同様に、個人情報保護法の趣旨を踏まえた見直 しを行ったところでございます。  他方で、臨床研究におきましては、ヒトゲノム・遺伝子解析研究とは異なり、診療情 報とみなされる個人情報を取り扱う場合が多いため、これにつきましては「医療機関等 における個人情報保護のあり方に関する検討会」での議論を踏まえまして、その開示の 手続について「診療情報の提供等に関する指針」に従って適正に取り扱う旨を規定した ところでごす。さらに、個人情報保護に係る各義務の実施主体については、研究現場の 利便性に配慮し、具体的に明示したところである。  また、法制化の議論についてでございますが、基本的にはヒトゲノム・遺伝子解析研 究等と同様な理由から、現段階において個別法を創設する必要性は薄いものと考える。  なお、臨床研究についても、遺伝子治療臨床研究や疫学研究と同様、研究の進展等の 観点からの指針の見直しについては、別途検討の場を設けるなどにより、現行指針の見 直し規定の趣旨を踏まえて速やかに対応すべきものと考えるという、以上のように取り まとめさせていただきました。  以上でございます。 【垣添座長】  ありがとうございました。意見書の取りまとめをご説明いただきましたが、ご議論を お願いしたいと思います。ゲノム指針のところは十分ご議論いただきましたから、あま りご意見はないかもしれませんが、いかがでしょうか。 【位田委員】  2点なんですが、1点目は上から4行目の一番最後、「被験者の福利に対する配慮」 ですけれども、これは被験者の人権に対する配慮だと思うんです。福利と言ってしまう と病気を治すのも福利だと思うので、むしろ臨床研究は進める必要があるんだけれど も、その際には人権に配慮をするという言葉遣いのほうが妥当かなと思います。  それからもう1点目は、その次の段落の「こうしたことを踏まえ」で始まる2行目な んですが、「インフォームド・コンセントを行うこととされていることを考慮しつつ」 という文が入っている趣旨がよくわからないんですけれども、個人情報の取り扱いとい う問題とインフォームド・コンセントを行うこととされていることがどういう関係でこ ういう形になっているのかちょっとご説明いただければと思います。インフォームド・ コンセントを書かなくてもここは通るんじゃないかと思うんですけど。 【事務局】  まず、1点目の被験者の福利ではなくて、「人権」という言葉を入れるべきではない かという点についてでございますか、この点につきましては検討させていただきまし て、先生のご意見の趣旨を反映した形に直したいと思っております。 【事務局】  2点目につきましてですが、ここでインフォームド・コンセントを必ず行うこととす るということをあえて書かせていただいたのは、3番の疫学指針と比較して、疫学指針 の場合はインフォームド・コンセントをすることがない場合があるということの比較 で、まず入れさせていただいたということが1点ございます。  あと、例えば利用目的の通知等については、あえて規定は設けていない部分が実はあ るんですが、そこについてはインフォームド・コンセントをするので必ず行われるので ということで規定していない部分が一部ございますので、そういう意味を含めてこうい った表現にさせていただいております。 【位田委員】  そうだろうなとは思いながら、前の疫学研究のほうは、要するに個人情報保護につい て本人が同意しているかどうかという話で出てきているので、ただ単にインフォームド ・コンセントを行うという一般的な話ではないと思うのです。もしインフォームド・コ ンセントをお書きになるんだったら、そこのところをもう少しはっきりと書いていただ いたほうがいいと思います。個人情報のほうは連結可能匿名化とか、そういう話がこれ までの議論では中心になっていたと思うんです。インフォームド・コンセントの過程で 個人情報をどういうふうに使っていいですかという話はあんまり出てこなかったと思う んです。だから、もう少し具体的に書いていただかないと、個人情報の保護とインフォ ームド・コンセントがどうつながるのかなというのがちょっとわかりにくい気がしま す。 【事務局】  そのように検討させていただきます。 【廣橋委員】  3つ目のパラグラフの4行目で、「一方で、臨床研究においては、ヒトゲノム・遺伝 子解析研究と異なり、診療情報とみなされる個人情報を取り扱う場合が多いため」とい うふうに書いてあるんですけれども、ここで「ヒトゲノム・遺伝子解析研究と異なり」 と書く必要があるかどうか。ヒトゲノム研究でも結構診療情報を使うんですよね。なく てもいいんじゃないかなという気がします。 【事務局】  ご指摘のとおりにさせていただきたいと思います。 【具嶋委員】  今の廣橋委員と同じような意見ですけれども、臨床研究の中に3つの指針があって、 他の指針との関連がややわからない先生方もいるようなので、フォローアップ別途検討 の場でその辺のことについて混乱している先生方に懇切に指導していただきたいという のと、世界的にも臨床研究というのは非常に盛んに行われているので、ぜひ検討の場 で、特に欧米の臨床研究の件についても比較検討しながら、日本とのハーモナイゼーシ ョンを含めて検討してほしいと思います。  以上です。 【栗山委員】  今のお話にもちょっと関係するんですけれども、見直しを速やかに対応すべきという ことが書かれているので、ぜひそうしていただきたいときに、1つ1つの見直しという よりは、先ほどご議論があった中でちょっと感じたのは、医学界というか、医学研究の 世界というのはものすごく特殊なものがたくさんあって、一般の社会の法律だけでは縛 れない部分があるやに感じました。  それで、この間から黒木先生をはじめとしてご意見を出されている生命倫理基本法の ような大きな枠だけが1つあって、その中で指針を出していかれたほうがいいような気 がするんです。個々の指針についての法制化ということは大変難しいけれども、そうい う特殊な医学研究とか、疫学とか、いろいろと医学界に関する、それから人の命とか、 ゲノムの情報とか、そういうものに関するとっても特殊な事柄が多いように思うんで す。だから、ぜひそういう法律を1つつくられて、その中での縛りを考えていただけた らと思いました。  いろいろと細かい指針が出てきて、細かい部分について検討がなされたわけですけれ ども、もう少し大きな部分での検討をお考えいただいて、その中で指針というものを持 っていかれたらいいのではないかと思います。  それから、今、具嶋先生がおっしゃったように、国際化の時代に対応できるようなも のをぜひつくっていただきたいと思うし、国内の価値観だけでなくて、外国に対して相 手側の価値観も踏まえた感覚での成果を考えられたらいいのではないかということを感 じた次第です。 【垣添座長】  ありがとうございました。本日ご議論いただきました4つの指針すべてにかかわるこ とかと思いますが、承っておきたいと思います。  ほかにいかがでしょうか。 【位田委員】  先ほどの2省合同の委員会で申し上げたことと同じことを申し上げるんですけれど も、臨床研究の指針の遵守状況のフォローアップをつけ加えていただければと思いま す。 【事務局】  検討させていただきます。 【垣添座長】  よろしゅうございましょうか。それでは、ただいまちょうだいしましたご意見は座長 に一任いただきまして、適宜修文その他、事務局と打ち合わせしながら進めさせていた だきたいと思います。  それでは、本日はここまでにしたいと思います。  今後の予定等について事務局から説明をお願いします。 【事務局】  ありがとうございました。これまで個人情報保護に係る個別法の必要性等につきまし ては、精力的にご議論いただきましてありがとうございました。意見書につきまして は、本日いただきましたご意見を踏まえまして、修文が必要な箇所につきましては座長 の垣添先生とご相談の上、対応させていただきたいと思います。  また、告示につきましてでございますが、先ほどもタダシのところでご説明させてい ただきましたように、若干、前回ご報告した時期よりおくれまして、12月28日の官 報にて告示することを予定しております。  なお、厚生労働省の医学研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会 につきましては、今回をもちまして終了とさせていただきたいと思います。  最後に、事務局を代表いたしまして、松谷技術総括審議官よりごあいさつをさせてい ただきます。 【松谷技術総括審議官】  委員の先生方には大変お忙しいところ、大変タイトなスケジュールにもかかわりませ ずご審議を賜りましてほんとうにありがとうございます。  今、ここは医学研究における個人情報の取扱いの在り方に関する専門委員会でござい ますが、このほかに文部科学省、経済産業省のそれぞれの委員会との合同の委員会もあ わせましてご検討いただいたわけでございます。厚生労働省の専門委員会につきまして は、本年7月14日の検討開始以来、非常に厳しいスケジュールでございましたけれど も、本日まで10回にわたる大変ご熱心なご議論をいただきまして、ほんとうに重ねて 御礼申し上げる次第でございます。  本委員会では来年4月の個人情報保護法の全面施行に向けまして、医学研究において 個人情報の適切な取り扱いを図るため、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針 など4つの指針についての見直しの検討を行ったわけでございますが、さらに医学研究 における個人情報保護のあり方についてあわせてご議論をいただいたわけでございま す。検討の過程において各分野の皆様方から大変貴重なご意見をいただきまして、委員 会の意見書として本日おおむね取りまとめさせていただいたわけでございまして、厚く 御礼申し上げたいと思います。本日、また重ねてご意見をいただきましたので、それも 踏まえて最終的な調整をした上で、意見書をいただく形にしたいと思いますので、よろ しくお願い申し上げます。  厚生労働省といたしましては、今後、取りまとめていただきました指針の見直し案に つきまして、各都道府県、関係団体などに周知するなど、本委員会における成果を広く 周知、普及させるとともに、これまでちょうだいいたしましたご意見を踏まえまして、 今後とも適切な研究の推進に努めてまいりたいと考えている次第でございます。  これまでの垣添委員長をはじめ、各委員の皆様方のご協力に重ねて御礼を申し上げま すとともに、今後ともさまざまな機会におきまして引き続きご指導、ご鞭撻いただきま すようお願い申し上げまして、ひとまずのご議論の終結に当たってのごあいさつとさせ ていただきます。大変ありがとうございました。 【垣添座長】  それでは、本委員会はこれで閉会とさせていただきます。厚生労働省の委員会の委員 の皆さんは一番長時間拘束されまして、まことにご苦労さまでございました。これまで ご検討いただきました4つの指針に関しまして、大変率直なご意見、貴重なご意見を賜 りまして厚く御礼申し上げたいと思います。  これで終わらせていただきます。ありがとうございました。                                 ── 了 ── 【問い合わせ先】  厚生労働省大臣官房厚生科学課  担当:鹿沼(内線3804)  電話:(代表)03-5253-1111     (直通)03-3595-2171