05/03/24 厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会第12回議事録          第12回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会                    日時:平成17年3月24日(木)10:00〜12:00                    場所:厚生労働省(9階)省議室 ○出席委員   石井みどり委員、加賀谷淳子委員、加藤陸美委員、河野順吉委員、菊田信子委員、   北村惣一郎委員、木村隆次委員、坂本雅子委員、笹月健彦委員、澁谷いづみ委員、   高橋滋委員、多田羅浩三委員、田中平三委員、土屋 隆委員、富永祐民委員、   中村丁次委員、久道 茂委員、松田晋哉委員、村田昌子委員(19名) ○厚生労働省出席者 (健康局)田中健康局長、岡島審議官、瀬上参事官、石井総務課長、      中島生活習慣病対策室長、横尾地域保健室長、野村保健指導室長他 ○次第  I  開会  II  議題   1 生活習慣病対策の推進体制について     ○生活習慣病対策における国の役割     ○生活習慣病対策における都道府県の役割     ○市町村、医療保険者等による保健事業の実施     ○国民健康・栄養調査等   2 その他  III 閉会 ○議事  瀬上参事官  おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから第12回厚生科学審議会地 域保健健康増進栄養部会を開催させていただきたいと存じます。しばし進行役を務めさ せていただきます、大臣官房参事官瀬上でございます。よろしくお願いいたします。  初めに本日の出欠状況でございますが、委員定数24名で、御連絡をいただいている方 全員御出席です。19名御出席ということであります。1月に委員の改選がございまし た。新たに御就任いただきました委員のうち、今回初めて御出席いただきました委員 を、私のほうから御紹介させていただきます。初めに高橋滋委員でございます。一橋大 学大学院法学研究科の教授でいらっしゃいます。次に松田晋哉委員でございます。産業 医科大学公衆衛生学教授でございます。  お手元にございます配付資料の確認をさせていただきます。議事次第、委員名簿、座 席表のほか、資料といたしまして「生活習慣病対策の推進体制について」一揃い、参考 資料といたしまして「市町村保健師・行政栄養士について」を用意させていただいてお ります。  以後の部会の進行につきましては、部会長久道先生にお願い申し上げたいと存じま す。よろしくお願いいたします。  久道部会長  それでは議事を進めたいと思います。まず議題の第1、「生活習慣病対策の推進体制 について」ということで、その中の、3つございますが、「生活習慣病対策における国 の役割」、それから「生活習慣病対策における都道府県の役割」、「市町村、医療保険 者等による保健事業の実施」、これを中島室長と野村室長から一括して説明をお願いし て、そのあと皆さんから御意見をいただくということにしたいと思います。では、お願 いします。  中島生活習慣病対策室長  お手元に用意しております資料、「生活習慣病対策の推進体制について」ということ で、本日は御議論をお願いいたしたく存じます。これまで本部会では、生活習慣病対策 の1次予防、2次予防について御議論をいただいてまいりました。1次予防、すなわち 「健康日本21」の9分野の暫定直近実績値に基づきます中間評価というのを12月と2 月にお願いをいたしておりまして、2次予防、健診及びその後の事後指導の現状、課題 につきましては11月に御議論をお願いし、その際には老人保健事業の見直しに関する検 討会の中間報告や保険者協議会をめぐる動きについても、関係局の方から御説明申し上 げたところでございます。  今回は、これら1次予防、2次予防に関わります、それを支える推進体制ということ で、1ページおめくりいただきますと目次がございますが、国、都道府県、市町村、医 療保険者等、それぞれの役割について説明をし、御議論をいただきたいと思っておると ころでございます。そして後ほど、改めまして生活習慣病対策を支えます基本的なデー タ収集となる国民健康・栄養調査等のあり方についても、併せて御議論をいただきたい ということを考えておる次第でございます。  それではまず、国、都道府県、市町村、医療保険者等の役割についての説明に移らせ ていただきます。赤い紙を1枚めくっていただきまして、まず国の役割ということでご ざいます。これまでも御説明してまいりましたように、国の役割といたしましては、大 きく3つございます。1つが、生活習慣病対策の推進体制をきちっと整備していくとい うことと、2つ目がエビデンスに基づく情報の収集・整理・分析・提供。この中にはプ ログラムのようなものも含まれると思っております。それから3つ目が、こうした対策 を講じていく基本となる調査研究の推進ということでございます。  推進体制につきましては、「健康日本21」ということで平成12年度から全国的な目 標を設定し、国民運動として展開をしていくということでございますし、健康増進法、 平成15年から施行ということでございますが、国による基本方針の定立、この中には、 後ほど御説明いたしますが、都道府県、市町村における健康増進計画の内容についても 盛り込まれておりますし、医療保険者等の各事業実施者に対しては、健診指針という形 での告示等を制定させていただいているところでございます。  そして、こうしたものに則りまして、各制度に基づきます保健事業が、老人保健法、 医療保険各法、労働安全衛生法等々に基づいて実施されている。そして、与党からの御 要請も受けて、平成17年度からは健康フロンティア戦略といったものを進めていくとい うことでございます。  2つ目の、科学的根拠に基づく情報なりプログラムというものでございますが、これ も説明してきましたように、まず食事、栄養食生活につきましては、食事摂取基準、食 生活指針の策定、さらには現在、フードガイド(仮称でございますが)を策定してお り、さらに運動については、運動所要量、運動指針といったものを作っているというこ とですが、これにつきましては、策定してかなり年月がたっておりますので、平成17年 度には見直しをさせていただく予定ということでございます。  そして3つ目、生活習慣病対策の基本となる調査、研究については、本日御議論いた だくテーマの1つでございます、国民健康・栄養調査等を実施しているということでご ざいます。  2ページに「健康日本21」ということで、御存知のこの概要ペーパー、そして次の ページ、3ページに推進体制といった形で、これまで何度か提出申し上げた資料でござ います。ただ、実は「健康日本21」、目標を9分野70項目の目標値を定め、国民運動 として展開をし、国民の行動変容を迫るという一大プロジェクトでございますが、その 「健康日本21」の中には、その目標を実現するためにどのような手法があるのか、そ して、そうした手法というのを誰がどのような役割分担で実施していくのか、というと ころについては、必ずしも盛り込まれていない恨みといったものがあるということでご ざいます。実はこうしたことが、後ほど申し上げますような都道府県における健康増進 計画の内容にも反映をせざるを得ないということになっているということ。これは、後 ほど説明をいたします。  4ページでございます。健康増進法でございますが、その真ん中より下ぐらい、「第 2章 基本方針等」というところの(2)でございます。今申し上げました地方自治体 における健康増進計画の根拠は、健康増進法に基づく計画でございます。都道府県計画 は、これは策定が義務づけられておりますので、当然、47都道府県で策定していただい ています。市町村健康増進計画は努力義務にとどまっておりますものですから、実は、 本部会でも委員の先生方から御意見をいただきましたが、都道府県間に策定状況にかな りの格差があるわけです。全国的に見ますと40%弱の市町村でしか策定いただいていな いということでございますし、都道府県ごとに見た場合に、青森県が95.5%の市町村で は策定済みに対し、高知では5.7%の市町村でしか作っていただいていないという、策 定状況にこれほどの格差があるということでございます。  5ページでございます。後ほど説明する国民健康・栄養調査というのも、実は健康増 進法に根拠を置いた調査であるということでございます。第3章の(1)というところ でございます。  6ページでございます。健康増進法を受けまして、厚生労働省の方では、国民の健康 増進を図るための基本的な方針といったものを提示をさせていただいているところでご ざいます。それで本日、特に説明いたしたいのは、第三というところに「都道府県健康 増進計画及び市町村健康増進計画の策定に関する基本的な事項」ということでございま すが、ここの(1)の1つ目の○でございます。「都道府県、市町村の計画策定に当た っては、住民の参加を求めるなど、地域の実情等に応じて策定する」ということに、あ る意味では国の方から要請している内容はこの程度にとどまっておるということでござ いまして、計画の中にどのような事項を盛り込んでもらいたいのかということについて は、具体的には示していないというのが現状でございます。  7ページの一番上でございますが、しかし一方で都道府県の役割といたしまして、一 番上、「都道府県は、計画の策定、市町村、医療保険者、学校保健関係者等の関係者と の連携強化について中心的な役割を果たしていただきたい」ということは、しっかり書 き込ませていただいているところでございまして、市町村、さらには医療保険者等のコ ーディネートをしっかり県には果たしていただきたいということは、申し上げていると ころでございます。以上が都道府県、市町村というところで、健康増進法に基づく基本 的な方針ということでございます。  8ページでございます。これも説明してきたところでございますが、いわゆる健康増 進法はもう1つ、それぞれの制度に基づく個別の健診とか事後指導のあり方について は、健診指針というものをつくりまして、各事業者が健診、保健指導を行うに当たって 準拠すべきスタンダードな留意点なりプログラムといったものを示させていただいてい るところでございます。  そしてこの健康増進法に基づく健診指針に則って、それぞれの制度ごとに各事業者が 準拠すべき指針等を定めていただくということになっているわけでございまして、9ペ ージでございますが、これも説明してきたところでございますが、健診指針というもの がございまして、昨年の6月に策定をさせていただいて8月から施行ということでござ います。ここでは、ある程度は論点は網羅されておりますが、それぞれの論点ごとにさ らに詳細な具体化というものが今後の課題になってくるのかと思っておるところでござ います。  11ページでございます。健康増進法に基づきまして、各医療保険者なり老人保健事業 を担う市町村等、制度ごとに健診のあり方について指針を個別に定めていただくという ことですが、11ページ、12ページでは、健康保険法に基づく保健事業、すなわち政管健 保、組合健保で行っていただく保健事業、さらには国保法に基づく国民健康保険の保険 者たる市町村なり国保組合で行っていただく保健事業の指針を掲げさせていただいてお ります。  その中では、12ページでございますけれども、「第四 事業実施上の留意事項」とい うところの3つ目の○でございますけれども、「より決め細やかな保健事業を行うため に、一定水準を満たす委託事業者を活用することも可能」だということで、医療保険者 が保健事業を行うに当たっては、いわゆるアウトソーシングというものを進めていくと いうことも、それが一定の基準をクリアーするものであれば可能だということを言って おりますし、一番下でございますけれども、「国保連は、保険者が行う保健活動を支援 する事業を行う」ということでありまして、これが保険者協議会といったものの根拠と いった形の書き振りになっておるというところでございます。  そういう形で、国の役割として健康増進法、それに基づいて都道府県、市町村には計 画をつくっていただく。そして各制度ごとに、健診、保健指導をやっていただく事業者 には、健診指針といった形で標準的なプログラムを提示すると、そういう役割というこ とでございます。  13ページ、14ページ、15ページと、17年度から本格実施をいたします「健康フロンテ ィア戦略」の概要をつけさせていただいております。  次にめくっていただきまして、赤い紙で都道府県の役割というところでございます。 16ページでございますが、市町村計画、市町村における健康増進計画の策定状況にばら つきがあるというお話を申し上げましたが、実は健診の受診率等を見ましても、かなり 都道府県間で格差があるということを、何ページかにわたって御紹介をしております。 まず、老人保健事業に基づきます基本健診の受診率ということでございますが、平成15 年度のデータでは、ここにお示ししたような形で、全国平均45%弱というものの中で、 こうした形で都道府県ごとに受診率に格差があるということでございます。  17ページから21ページまでが、がんの検診でございます。実はがん検診は、老人保健 事業の基本健診につきましては国3分の1、県3分の1、市町村3分の1という形での 財源手当てがなされておりますが、がん検診については平成10年度から一般財源化をさ れているという、異なる状況がございます。そういう状況の中で、がん検診の受診率と いったものは、全国平均の数字を見ていただいてもあれですが、かなり低迷しておると いうことで、1つの大きな課題となっておるわけです。そうした中で、さらに都道府県 間にも、ここで見ていただくようなかなり大きな格差があるというところでございま す。  22ページでございます。市郡別にがん検診の受診率を見ますと、この22ページの表で お示ししております一番濃い棒グラフが郡部でございますけれども、いわゆる郡部では 受診率が高いけれども、大都市、さらには都会というところでは受診率が低いというと ころでございます。こうしたがん検診のあり方については、現在、老健局の方で並行し て、がん検診に関する検討会といったことで検討をしておるというところでございま す。  23ページ以下は、疾病動向、さらには医療費の格差のデータをお示ししております。 23ページから26ページと、こういう形で糖尿病の患者率、高血圧疾患の患者率、心筋梗 塞による死亡率、がんによる死亡率ということで、実はこれ、年齢補正をしていないデ ータでございます。生の患者調査のデータでございますが、少なくとも疾病の発生状況 等には、こうした形で都道府県ごとに格差と言いますか、そうしたものがあるというこ とでございます。  27ページでございますが、こうした疾病動向の違いといったものも反映いたしまし て、国保における1人当たり医療費というものですが、こうしたことを背景に、実はこ のデータというのは年齢補正といったものをした上でのデータでございますが、都道府 県間でこうした大きなばらつきが、医療費といったものにも現れておるということでご ざいます。  28ページでございますが、老人医療費といった形になりますと、それが、格差といっ たものがより顕著になってくるということでございます。お年寄り1人当たりの医療費 の最大の県である福岡県と、最小の県である長野県の格差といったものは、1.5倍にも 及ぶということでございます。実は高齢者就業率といったものはこれの逆でございまし て、長野県の高齢者就業率、お年寄りが働いておられる率は全国第1位でございます。 沖縄県が47位ですが、福岡県は46位ということでありまして、一般的には元気なお年寄 りが長野県には多いということでありまして、そうしたことが医療費といったものの小 ささにも現れているということかと思っているわけでございます。  こうした形で、かなり都道府県ごとにばらつきがあるということでありまして、やは り今後の生活習慣病対策は地域特性に応じた形できめ細かく展開していただくことが大 変重要だということでございます。そうした中で、現在策定いただいている都道府県の 健康増進計画といったものの実態といったものは、どのようなものになっているのかと いうことが、29ページでございます。  実は、この1月に全都道府県を対象に、都道府県の健康増進計画の実態といったもの を把握させていただくアンケート調査をさせていただいて、その内容をここで紹介する ものでございます。かなり質問といったものが大括りになっておりますが、まず都道府 県の健康増進計画といったものはそれぞれ目標値を掲げて計画をつくっておられるわけ ですが、「そうした目標を達成するための具体的な事業計画という形の内容になってい ますか」ということについては、62%の都道府県からは「なっていない」という形の御 回答でございます。  また、「都道府県の健康増進計画と市町村健康増進計画との整合性を保つような連携 のようなものが図られていますか」ということに対しては、また奇しくも62%ですが、 連携といったものがとられていない状況にあるということでございます。  ただ、30ページでございますが、「管内市町村の市町村健康増進計画の策定に関し て、支援を行っているか」ということについては、大半の都道府県が「支援を行ってい ます」ということでございまして、具体的には「情報を提供しています」、それから 「基礎となる統計データといったものを提供しています」、それから「健康課題を抽出 したり、手法等は提示しています」ということにはなっているということでございま す。  そういう形で、市町村健康増進計画の策定について、支援は行っていただいているも のの、必ずしも整合性確保というものにはつながっていない。さらには県の計画そのも のが目標を定めて、言葉は悪いですが、「みんなで頑張っていきましょう」と、「関係 者が力を合わせて実現に向けて頑張りましょう」というものになっている嫌いがあるの ではないかということが伺えるのかと思っているわけです。  なお、本部会でも委員のほうから御質問が出ました、「市町村の健康増進計画、4割 弱にとどまっておるということはどういうことなのか」ということで、実は全市町村に アンケート調査をすればいいのですが、今回は「県の目から見てなぜ計画が市町村で作 られないのでしょうか」と、「どう感じておられますか」ということについては、31ペ ージですが、市町村合併というものの動向を見極めているから策定が進まないと。それ と、社会保障分野ではさまざま計画の策定といったものをお願いしているという事情も ございますので、なかなか業務が多忙だというような御回答といったものが上位を占め ておるということでございます。  32ページでございます。これもすでに提示しておるペーパーでございますが、今般の 三位一体の改革の中で、「国、都道府県、市町村の役割分担を見直していきましょう」 という中で、国民健康保険において都道府県といったものの役割の強化といったことを お願いしたところでございます。すなわち、医療費の適正化といったものの課題に対し て、都道府県がよりコントロールをしっかりしてもらいたいということでございます。  そして、一番下の図でございますが、まず予防段階では健康増進計画といったものが あるだろうと。それから、急性期から慢性期には、いわゆる医療計画といったものがあ り、介護段階になると、介護保険事業支援計画といったものがある。そして、こうした 健康増進計画、医療計画、介護保険事業支援計画といったものは、いずれも都道府県が 策定主体であります。したがって、こうした計画の策定をしっかり行っていただくこと で、疾病の予防、治療、介護といった段階できちっと計画を作っていただいて、それが 結果的に医療費の適正化といったものにもつながっていくという形の考え方のもとに、 都道府県の役割の強化といったものをお願いしたということでございまして。  33ページでございますけれども、大きな2のところでございますが、そういう観点か ら、財政的な御負担といったものも都道府県にはお願いするということで、話を進めて おるというところでございます。  次に、市町村、医療保険者による保健事業の実施というところでございます。34ペー ジでございます。34ページの図、人の一生における保健事業の適用対象ということでご ざいますが、実は40歳から定年退職時ぐらいのところになりますと、市町村による老人 保健事業というものと、医療保険者による保健事業、または労働安全衛生法に基づく事 業所による健診・事後指導といったものが、ある意味でオーバーラップしているわけで ございます。健康フロンティア戦略で言う働き盛り層においては、健診なり保健指導を 行う主体の重複といったものがあるわけで、ある意味でこれは責任の所在が必ずしも明 確ではないという部分があるわけであります。  少なくとも医療保険者による保健事業といったものは努力義務にとどまっているとい う背景もございまして、したがいまして、必ずしも健診の未受診者の把握といったもの がそう簡単ではないという問題がございますし、検診を受けた方の事後指導といったも のを徹底していくという際にも問題があるという状況になっているわけでございます。  35ページ。こうした医療保険者や老人保健法に基づく市町村の保健事業に要する費用 ということで、これは11月の本部会で提出申し上げた資料でございますけれども、老人 保健事業においては、国、都道府県、市町村が3分の1ずつ負担しあって904億円の事 業費規模、がん検診は地方交付税措置で一般財源化されておりますと。それから国保、 政管健保といった形は、保険料を主とした財源といたしまして、こうした形での事業規 模を設定しておるということでございます。  36ページでございます。医療保険者がカバーしておるものを図示したものでございま すけれども、被用者保険の場合はサラリーマン本人と主婦等の被扶養者という形で分け ていかれますが、少なくとも医療保険者の保健事業の実施は努力義務といったことにと どまっておるものですから、大きな課題としては、家庭におられる被扶養者、奥さん等 の健康づくりといったものをどうしていくのかということが、大きな課題として存在し ておるということでございます。  37ページは、老人保健事業においてはこのような流れだということをお示ししたもの でございます。  次に、38ページからは、先ほどの都道府県の役割とも関係しますが、ここでは特に市 町村のところもございますので、その関連で説明をいたします。実は、健康づくりの予 算というものは、多くがもうすでに一般財源化されておるわけでございます。個々、具 体的な補助金を都道府県、市町村にお配りをして「こういう事業をやってください」と いうことではなく、もう一般財源化をしているということでございます。  そうした1つの大きなものとして、平成14年度から地方財政措置の中で、当初650億 でございましたが、こうした形で内側に、地方交付税の中に点線を入れるような形で、 「この程度の事業費規模で、都道府県、市町村においては健康づくりの事業を展開して ください」ということで、地財措置を講じて、総務省のほうから各自治体の方にはヘル スアッププランとして、平成16年度の場合ですと550億。実は17年度、新年度予算も同 額を計上させていただいているようですが、そういう形で通知をしておるということで とございます。そうした形での地財措置が講じられているものの中で、では具体的にど のような事業に取り組んでおられるのかということを、このたび、都道府県と市町村に 調査をさせていただいた結果をまとめたものがこのペーパーでございます。  まず、自治体における事業の実施率というのと、39ページの下のほうにある事業費か ら見た事業費割合ということで、簡単に整理をさせていただいております。「総論」と いうところでございますが、自治体において実施していただいている健康づくり対策で 高い項目としては、県では健診の精度管理に関する研修事業みたいなものをやっていた だいている。さらには、たばこ対策といったものも、かなり県では積極的にやっていた だいているという感じがいたします。市町村では、ボランティア育成といったものと、 老人保健事業が40歳以上を対象にしておりますので、40歳未満を対象とした健診事業等 には市町村でやっていただいているのが窺えるということでございます。  これをもう少し分けて、都道府県、市町村に分けてみますと、まず都道府県において は、「地方健康増進計画の策定」のところの(3)でございますけれども、独自に住民健 康・栄養調査をやっていただいているというところが、約半分の都道府県では国民健康 ・栄養調査とは別に、県で独自に県民の健康度を把握する調査をやっていただいている ということでございます。ただ、2つ目のところでございますが、健診・事後指導に関 する医療保険者等との連携といったものを都道府県がやっていただいているかというこ とについては、2.1%という状況になっております。一方、たばこ対策というものは半 分以上、6割ぐらいの都道府県で取り組みをしていただいているということでございま す。  39ページでございます。では、市町村ではどのような事業をしていただいているのか ということですが、2つ目の●ですが、県については独自に健康・栄養調査をやってい ただいているということですが、市町村レベルでは独自の健康・栄養調査といったもの の率は低いと。これはなかなか、市町村の規模にもよりますし、財政の問題もあるのだ ろうということでございます。一方で、老健事業の対象外である40歳未満の健診につい ては、6割弱の市町村で取り組んでいただいているということでございます。  しかし、「健康づくり支援のための体制整備」というところでございますが、「健康 づくり施策を推進するために、庁内の関係部局との連携、さらには役所の外の関係団体 と連携した推進体制を整えていただいていますか」ということに関しては、市町村にお いては、都道府県と比べても連携の度合いがかなり低いというデータが出ております。 また、たばこ対策については、市町村で独自に取り組んでいただいているというのが7 %ということで、かなり低いということでございます。  総事業費から見た場合に、では550億の事業費規模ですが、どういうものに多くのお 金を使っているのかということですが、これについては、市町村では老人保健事業の対 象外となっている40歳未満の健診について、約3割という形で、総事業費に占める割合 がかなり高い。そして、そのあとの事後指導といったものも入れますと、約半分の事業 費を40歳未満の健診・事後指導に使っていただいているということでございます。  一方で、市町村ではなかなか住民健康・栄養調査といったものの実施といったものは 進んでいないという形が浮かび上がってくるわけでございます。  そのあと、42ページまでは、さらに詳細に個別の項目ごとに実施率をはじかせていた だいたペーパーでございます。  43ページ以下は、医療保険者がやっておられる保健事業の紹介ということでございま す。43ページからは国民健康保険でやっておられる国保ヘルスアップモデル事業という ことで、14年、15年、16年度と、3年間モデル事業を実施していただいて、45ページで ございますけれども、現在、そうしたモデル事業から導き出された教訓なり留意点とい うものを取りまとめた「個別健康支援プログラム実施マニュアル」といったもののバー ジョン1をつくって、こうしたものをさらにブラッシュアップしながらも、こうしたマ ニュアルに従って、市町村で独自の個別健康支援の取り組みをしてもらいたいという働 きかけを行っておるという状況でございます。  51ページから52ページは、中小企業のサラリーマン及びその奥さんを対象にした政管 健保における保健事業の流れでございます。  53ページでございます。健保組合における保健福祉事業ということで、平成14年度に 健保連が調査したものを紹介させていただいております。左の欄が、概して健診と保健 指導、それから右の欄が一般的にポピュレーションアプローチと言われている広い意味 での健康教育といったものに整理をしております。  健康相談という欄がございますが、そこの被保険者、サラリーマン本人対象の健康相 談の実施率が63.1%。それからずっと下がりまして、成人健康診査。健診についても、 被保険者本人、サラリーマン本人には75%の健保組合がやっておられる。それから人間 ドックについては、被保険者、被扶養者とも8割から9割の健保組合で門戸を開いてい るということでございます。  それから健診後の保健指導といったものについては、サラリーマン本人については6 割強、保健指導しておりますということでございますが、やはり今後、被保険者につい てしっかりした保健指導を拡充していきたいという割合が22.5%と高くなっております し、実はこころの健康づくり、メンタルヘルスの重要性の高まりに伴いまして、サラリ ーマン本人に対するこころの健康づくりの事業も拡充していきたいというのが4分の1 ぐらいあるということでございまして、被保険者本人に対する保健指導なり、健康づく りのほうに今後、力を入れていきたいという傾向が窺えるのかと。ただ、そうは言って も、このデータから窺えますのは、サラリーマン本人がどうしても対象となりがちで、 被扶養者に対する健診なり保健指導の充実といったものがやはり残されているのかとい う感じがいたしておるところでございます。  54ページでございます。本部会でも御議論をいただいたところでございますが、保険 者が集まり、連携して保健事業を展開していくという保険者協議会、11月の本部会でも 国民健康保険課長のほうから説明をいたしましたが、年度内では7府県で立ち上がり、 この4月から5月でさらに30程度の都道府県で立ち上げられることが見込まれるという 状況のようでございます。  そして、55ページでございますが、こうした保険者協議会として、保険者同士連携を して保健事業を展開していくということと併せて、今度はそうした保険者の取り組みと 市町村等がまた連携していくということも大変重要でございます。  そうした観点から、55ページでございますが、地域・職域連携推進事業といったもの でございまして、左の(1)でございますが、都道府県及び2次医療圏を単位に地域・ 職域連携推進協議会を設置をしていただくと。そうする中で、市町村、そして医療保険 者等が連携をして保健事業を展開していっていただくということでございまして、17 年、18年の2年度で全都道府県、政令市に整備をお願いしたいということを考えており ます。そうした中では、保険者協議会の設置動向といったものもにらみつつ、事業を展 開していくことになるのかと思っております。現在は、下から3行目ですが、地域・職 域連携事業ガイドラインといったものを策定させていただいているという状況でござい ます。  このあと、こうした市町村、さらには都道府県におけます保健事業の中心を担う市町 村保健師、さらには栄養士の役割については、野村保健指導室長のほうから説明申し上 げます。  野村保健指導室長  それでは私のほうから、57ページの表で御説明をしたいと思います。これは、市町村 における保健事業の実施状況について、この事業を担っている専門職、専門職には医師 を初めとしたさまざまな専門職がおるわけですが、最も多い保健師、それから栄養士に 焦点を絞って、生活習慣病対策における推進体制の課題について、御説明をしたいとい うふうに思っております。  この表の全体構成ですが、最初に左側の欄にありますのは、生活習慣病対策の問題点 解決策ということを、健康増進計画の策定などの全体にかかわること、それから2段目 には1次予防を中心としたポピュレーションアプローチに関すること、その下は健診後 の事後指導、ハイリスクアプローチ、これに関することを問題点解決策という形であげ ております。こういったことを解決するための保健師、栄養士のマンパワー施策と申し ましょうか、そういったものについては右側の欄に、人材の確保、資質の向上、体制づ くりと、こういった形で書いてございます。  これについて簡単に説明をさせていただきますと、このまず左側のほうにあります全 体のところでございますが、健康増進計画の策定は、先ほど中島室長のほうからも話が ありましたように、市町村ではまだ4割程度しか策定されていないことや、地方交付税 550億円がついておりますが、これが十分活用されていない。それから、こういったこ とは周知不足であったり、市町村における人材資源が不足しているのではないかといっ た問題点があると。これに対しての解決策は、ここに書いてありますように、計画策定 の支援ですとか、健康づくりに関する企画能力の向上ですとか、そういった保健師、栄 養士、管理栄養士が中核となった、こういった計画の策定をもっと推進していくことが 大事ではないかというようなことを書いてあるわけです。  そして、1次予防を中心としたこのポピュレーションアプローチについては、まだま だこの具体的な方法というのが明らかになっていないためということだとも思いますけ れども、いろいろな関係職種の連携がまだ不足していて、十分な効果的な事業ができな いとか、こういった中では効果がみえにくいというような問題。それから、手探りでや っている中ですが、なかなか単発事業で継続的にできないといった問題もございます。 こういうことに対しては、そういったポピュレーションアプローチの手法の開発、フー ドガイドを今策定を検討しているところでございますが、こういったようなことが重要 ではないかとか、効果を評価するツールの開発等々、こういった対策を進めていく必要 があるのではないかというところでございます。  そして3点目のハイリスクアプローチですが、これについてはかなり今まで、老人保 健事業をベースとしてやってきたわけですけれども、現在ではやはり個別対応、個々の 生活習慣に着目した対応が求められているわけですが、それがまだなかなかできないと いうような状況。これは特に市町村において、そういう状況があるというところでござ います。それから、この対象者が把握できないというのは、対象者が、把握したとして もなかなか呼びかけに来てくれない。そういった方々がたくさん、まだいらっしゃると いうようなこと。それから、個別指導の体制などの事後指導などにも、委託や直営など でいろいろ体制がありますが、その質にはかなりばらつきがあるといった、こういった 問題があるというところでございます。  こういうことを解決していくためには、今の市町村体制だけでは難しいので、さまざ まな民間機関が保健指導を行えるような体制整備が必要だとか、それから効果的、効率 的な指導方法、こういったものを開発していく必要があるのではないかと。それから、 行動変容につながるようなことも必要だろう。そして、事後指導に来ない層というのは 拒否層と、ちょっと言い方があれですけれども、なかなか来てくれない方々への、どう やって支援をしていくのかというようなことや、それからアクセスを改善していくとい うようなことも、今後の方策としてはあるのではないかというふうに考えているところ です。  そして、マンパワー対策として、この具体的な内容については、少しこの参考資料を 準備してありますので、それと併せて御説明をしたいと思います。参考資料として、 「市町村保健師・行政栄養士について」という別冊のものがついてございます。これを 少し、右でも左でもよろしいのですが置いていただいて、これを見ながら説明をしたい というふうに思っています。人材の確保についてでございます。まだなかなか、特に栄 養士の配置が進んでいないというところですが、配置がどのようになっているかという ところをごらんいただきたいというふうに思います。  それは保健師につきましては14ページ。少し行ったり来たりして申しわけございませ んが、14ページから配置の資料がついています。14ページは、これは保健師の就業者全 体を見たものですが、上から2段目が市町村保健師の年次推移になっておりまして、年 次推移としては順調に伸びてきていて、2万2,000人を超えたというところでございま す。ですけれども、少し詳細に配置状況を見てまいりますと……。  次の15ページをあけていただけますでしょうか。都道府県別にどのような配置になっ ているかというのを見ています。それは、一番右側の保健師1人当たり担当人口。ここ でその格差がはっきり出るわけですけれども、政令市、特別区においては、一番下が全 国の平均で人口9,000人に対して1人の保健師が配置されているというわけですが、神 奈川県が最も悪くて1万2,000人くらいに1人。香川県は割とよいというか、6,000人に 1人ということです。しかし、政令市以外の市町村の配置状況にはかなりの格差があり ます。東京が最も多くて、1万4,000人を超えていると。一番少ないところは高知で、 2,000人という、7倍近い開きがあります。このように配置は、都道府県によってかな りばらついています。  これは都道府県の保健所の保健師の配置との関係を併せて見ないといけないのです が、この総数で見ていただきますとわかります。これは歴史的に都道府県の保健所に多 く置いていた都道府県と、市町村が最初から多かったところとあります。ですので、ま だかなりばらつきがありますが、だんだんとここのばらつきは解消されてはきつつあり ますが、まだ市町村保健師にはかなり格差があるということでございます。  次の16ページをごらんいただきますと、それでは3,000か所の市町村でどのような人 数かと言いますと結構、左側、縦が市町村の人口区分、横軸が市町村保健師数ですが、 最も多い配置数というのは3人という状況です。5人以下が非常にまだ多いという、こ ういった配置状況になっております。  次に、栄養士の配置状況ですが、39ページをあけていただければと思います。栄養士 の配置状況は、3,000か所あるうちの未配置市町村が1,000強ということでございます。 まだまだ栄養士が配置されていないところがたくさんあるという状況です。100%配置 しているのは宮城県1か所だけで、千葉県や石川県は未配置率は、ここはかなり低いわ けですが、非常に高いところもございます。大分県などでは63%というふうに、かなり 未配置率も差が、都道府県によってございます。  このように非常に配置にまだばらつきがありまして、特に栄養士については、未配置 市町村を解消していくということが、今後、健康づくり対策を進める上での大事なポイ ントではないかと思っております。  またこの57ページの資料のほうに戻っていただきますと、2点目が、市町村、都道府 県の保健衛生各部門への配置ということでございます。保健師はある程度人数がおりま すので、衛生各部門への配置はほぼされていると思われますが、栄養士につきまして は、母子保健ですとか老人保健事業への配置状況がまだまだ少ないというような状況に なっております。資料は41ページでございます。また後ほど見ていただければと思いま すが、健康増進、生活習慣病対策関係、それから食品保健関係にはそれぞれかなり多く 配置されておりますが、母子保健以下になりますと、ぱらぱらというような状況になっ ております。こういった関係部署への専門職の配置というのも、健康づくり対策を総合 的に進める上では重要なことだと思っております。  それから3点目には、こういった専門職を養成する施設で、公衆衛生に関する教育内 容を今後もっと充実させるべきではないかといったことがございます。当然のことなが ら、栄養に関する内容、教育ですとか、それから保健師が保健指導を行う上で必要な内 容はされているわけですが、まだまだ運動ですとか、最近の行政保健師、行政栄養士に 求められている内容が十分とは言えない状況だということです。  しかし、保健師や栄養士の育成がどうなっているかというのを少し見ていただきます と、17ページに保健師の育成のことが出ております。一番右側の平成16年を見ていただ きますと、学校数は168、1万人が定員となっております。ざっと見ていただいても、 もう年々伸びてきていると。昔は3,000人前後でしたのが、その3倍強になってきてい るわけです。こういった多くの保健師がこのように教育されているわけですが、18ペー ジをおあけいただきますと、では保健師はどの程度、保健師として就業しているのかと 言いますと、非常に細かくて申しわけないのですが、この総計のところの16年のところ を見ていただきますと、卒業者数が9,463人、このうち保健師として就業したのが986人 と、10.4%。ですから、1割が保健師として就業しているという状況で、多くが看護師 として就業したりしているという状況でございます。  栄養士につきましては、44ページにありますが、栄養士の免許交付は平成15年では1 万7,000人、管理栄養士も4,000人と、かなり多くの方々が卒業されているというような 状況でございます。就業についてのデータは、栄養士についてはございませんので、今 回はつけてございません。  こういった人材の確保については、かなり卒業生というか、免許を持った人材は育成 しているわけですが、まだまだ配置状況、こういったような仕事についている方々が、 今現在ではそう多くはないという状況でございます。  次に、57ページにもう1度戻っていただきまして、資質の向上についてでございま す。資質の向上についても、先ほど基礎教育のところで少し申しましたけれども、運動 指導に関する教育が十分されていないのではないかと。それから、企画、調整などに関 しても、基礎教育の中ではまだ十分ではないのではないかというようなことがございま す。それですので、そういった研修事業の現任教育を充実させていくべきではないかと いうことで、企画、立案、連携、調整に関する能力を習得させることや、運動指導士の 養成など、こういった知識の習得、保健医療科学院などのを活用したもの等々、研修体 制を今後もっと充実していくべきではないだろうか。国レベルでの研修の予算も充実す べきではないかというようなことが考えられるわけです。  研修の、現在どのように行われているかというところでございますが、19ページに保 健師の分がついてあります。これは生活習慣病に限った研修だということです。ほかの 研修はたくさんやっておりますが、限ってみるとこの程度だったというところでござい ます。特に国や関係団体の研修はぱらぱらというところでございます。都道府県は、保 健師のほうは、十分把握できておりませんが、かなりのところで行われているのではな いかと思いますが、まだ国レベルのところではそんなに行われている状況ではないと。  同じようなものが、栄養士は45ページにつけてありますが、同様の状況でございま す。後ほどごらんいただければと思います。  それから、最後に体制づくりのことでございますが、体制づくりとして今後、保健 師、栄養士が市町村でこういった健康づくり、生活習慣病対策を行っていく上で重要に なってくることは、企画・立案業務の重点化、プラン・ドゥー・シーでしていくという ようなことを、仕事としてもっと重点化していくべきではないかということです。計画 の策定にかかわることや、健康増進事業全体の企画運営、そして事業の評価をしていく といったことが重点化されていくべきだろうということです。  こういったことにつきましては、平成15年度に出しました保健師の活動指針、栄養士 の活動指針、これらの、局長通知で出しておりますが、冒頭に書かれていることでござ います。活動指針につきましては、この関係資料では1ページからつけてありますが、 1ページ、2ページは本当に概要を図にしたものでございますが、3ページをおあけい ただきますと、これは保健師分でございますが、こういった局長通知の中に書かれてお ります。  下から8行目くらいですが、サービスのことを書いてあるのですが、「今後は直接的 なサービスの活動に加えて、保健活動を効果的に展開するために、地域保健関連施策の 企画、立案、実施、評価を行うとともに」というような書きぶりで書かれております し、栄養士の活動指針の中にも、同様の内容で書かれております。ちょっと御紹介をし ますと、栄養士の指針については27ページにあります。栄養士の場合は「記」の1のと ころの下の3行などに書かれておりますが、「企画立案、予算化などの具体的な施策を 推進することに積極的に参画し、等々」というふうに書かれております。これは平成15 年に出されたものでございますので、まだこういったことが十分徹底されているという ような状況ではございません。こういったことを今後、より推進していく必要があるだ ろうというところでございます。  そして2点目に、また57ページのほうに戻っていただきますと、先ほどハイリスクア プローチのところで申し上げましたけれども、個別対応が求められていることや、今後 の生活習慣病対策をより重点的に進めていくためにはかなりの量の保健指導が必要な方 々が出てくるということが予測されるわけですので、民間事業者の活用、行政と民間事 業者との役割分担をどう明確化していくのか、そういったことの体制整備やシステムづ くり、こういったことを今後、体制づくりとしてはやっていくべきでしょう、というふ うに考えております。  それから3点目には、他職種や関係機関とのネットワークの確立。健康づくりといっ た仕事は専門職を中心としたものというよりは、多くの方々、多くのセクターと共同し てやっていくものだということですので、こういったところとどうネットワークをつく っていくのかということが、今後、重要です。そして、専門職としては当然のことです けれども、最新の情報に基づいた、エビデンスに基づいた保健指導をしていくというた めにも、こういった情報を収集、または保健所が市町村に情報提供していくような、こ ういったルートの確保というようなことも重要になってくるのではないかというふうに 考えているところでございます。大変参考資料が入り組んでいまして、説明がわかりに くかったところもあるかと思いますが、以上で私からの説明は終わらせていただきま す。  久道部会長  どうもありがとうございました。今、お2人から、生活習慣病対策に関する国の役 割、都道府県の役割、それから保健事業実施についての説明がありました。皆さん、ど うぞ御意見、あるいは御質問をいただきたいと思いますが。きょうは時間がたっぷりあ ります。30分ぐらいありますから、どうぞゆっくり御意見をおっしゃっていただいて結 構です。ございませんか。はい、どうぞ。  加賀谷委員  御説明いただいた資料に、横書きのほうの57ページのところで、これからやっていく ことで、人材の確保とか資質の向上とはなっておりますが、その資質の向上のところ で、運動に関する知識の習得というのがございますが、それは縦の資料のほうの19ペー ジの、どのくらい講習会に参加して資格を取ったかというのが出ているのですけれど も、現在、都道府県あるいは市町村で運動の知識等の専門的なスタッフがどのくらい満 たされているのか。最初にいろいろ、栄養士のパーセンテージとかがありましたけれど も、その中で運動のそういう専門的な資格を持った方がどのくらい入っているのかとい う資料はありますでしょうか。もしありましたら、教えていただきたいと思います。  久道部会長  はい、どうぞ。  中島生活習慣病対策室長  実はここの資料、保健師・栄養士ということでございますので、あえて落としたわけ ですが、実は運動については、加藤理事長のところで所管していただいている健康運動 指導士、それから健康運動実践指導者というのがございます。その中で、特に健康運動 実践指導者につきましては、公務従事者については先生御存知のように、特別なコース を用意させていただいて、都道府県が講習会もしていただき、試験も都道府県でしてい ただいてという、一般的な講習会を経た人のルート、公務員用のルート、それから短 大、体育系の専門学校を出た、指定校を出た方のルートというのがございます。  その中での公務従事者につきましては、これまでの個別のデータは出していません が、平成15年度だけを見ますと、137名の方が都道府県の公務従事者として新たに資格 をとっておられるということで、ちょっと登録している者の中で公務員、公務従事者の コースを選ばれた方がどうかはわからないのですが、今のところ、15年度の合格者数で は137名が、健康運動実践指導者として合格されているということでございます。  加賀谷委員  それが、都道府県とか市町村のそういう行政の中で何%? すべてのところに入って いるのか。ということは、まあないと思いますけれど、何%配置されているのかと、そ ういう状況がわかればありがたいと思います。  中島生活習慣病対策室長  今の時点では、データを持ち合わせておりませんので、ちょっと調べさせていただい て、次回にでも回答させていただきたいと思います。  加賀谷委員  ありがとうございます。  久道部会長  はい。ほかにございませんか。それでは高橋委員。  高橋委員  高橋でございます。先ほど、初めてと御紹介いただきましたが、留学前にこの部会、 所属させていただいておりまして、2年ぶりということになります。ただ、2年ぶりで すので黙っていようかと思いましたが、国と地方の役割分担という話で、地方分権の制 度設計にかかわった人間としてはホームグラウンドでございますので、少し発言させて いただきます。  ほかの省庁でも、計画策定の問題についていろいろと議論に参加しておりまして、特 に市町村のこういう基本的な計画の策定について、他のお役所もお悩みのようでした が、ここでも非常に悩んでいらっしゃるということがわかりました。ただ、ほかの役所 にも申し上げたのですけれども、現在の地方自治体制度というのは、戦後当初に出発し た都道府県・市町村制度と違いまして、やっぱり行財政能力の違いというものを意識し た形での権限分配ということを意識しているわけです。  したがいまして、こういうものの策定を、地方で向上させていただこうというふうに 国が考えていらっしゃる場合については、行財政能力の違いに応じた適切なアドバイス と言いますか、力の重点の入れ方ということを意識した戦略的な働きかけというのが、 重要なのではないかというふうに思います。  そういう意味では、保健師、行政栄養士についてはかなり人口別の統計とかいろいろ 出していらっしゃいまして、その中からターゲットをどこに絞るかということもおのず と見えてくるのだと思いますが、他の問題についても人口規模別であるとか、当該市町 村が置かれている地域的な状況、都市であるとか、さらには山間部であるとか、そうい うものを少しモデル化して、どういう市町村にはどういうふうな働きかけが有効なのか という、戦略的なターゲットを持っていただいくべきだと思います。こういう計画の策 定については重点を、要するに個別に対応する配慮をしていただくということが求めら れると思います。国が強制的にいろいろとやれば地方が踊っていくという時代では、も はやございませんので、その辺を少し意識した働きかけというのを考えていただきたい ということが第1点でございます。  それから第2点ですが、私も国立健康医療科学院などで、保健婦の方であるとか、栄 養士の方であるとか、看護師の方であるとか、研修させていただいているわけですけれ ども、行政マンとしての知識をもう少し向上させていただきたいということがございま す。例えば、先ほど、アクションプランに関連して、地方交付税でという話がございま したが、地方交付税と国庫補助金、どういう違いがあるのかということについて、手を あげていただくと、要するに奥ゆかしいのかどうかわからないのですが、手が全然あが りません。これでは、予算当局に対してどういう働きかけをしていいのかということも 皆目見当がつかないまま、計画に対する必要な予算財源はつかないということになって くるのだろうと思います。  そういう意味で、法律的な知識だけではなくて、コミュニケーション能力であると か、地域との連携の手法論であるとか、幅広い行政マンとしての知識、これは重要だと いうお話がありましたが、それを今以上にぜひ向上させていただくということが、地域 における保健事業の推進には極めて重要なのではないかというふうに思いました。以 上、2点でございます。  久道部会長  はい。どうもありがとうございます。何か御意見ありますか、事務局? 特になし、 ね。では中村委員、どうぞ。  中村委員  2つだけお話しさせていただきたいと思います。かつて成人病と言っていた非感染性 の慢性疾患を生活習慣病ということに言い改めたわけですが、この名前を変えたという 趣旨は、このような疾患は日常の生活習慣でできる限り予防しようという国民的合意、 そして趣旨があったのだろうと思います。この基本は絶対貫くべきだろうと思います。 特に1次予防や2次予防においては、安易に薬に依存しないで、食事、運動、ストレス のあるような生活習慣の改善をしていくということを、あらゆる場面で基本として据え ていかなければいけないのではないかということを、私、つくづく感じました。今回、 詳細な説明をいただきまして、大変心強く思っております。  第2点が、先ほど御指摘がありましたように、このような食習慣の改善というのは重 要なのですが、何せ市町村の栄養士の配置率が100%ではなくて、厳しい状況にありま す。これは栄養士会としても、もう数年前からことあるごとに「市町村に栄養士」とい い続けているのですが、なかなかうまく進んでいきません。ぜひ、皆さん方の御協力を お願いしたいというふうに思っております。そして、栄養士の質の向上に関しては、栄 養士会としても生涯学習を通じて、より厳しく教育を進めていきたい。特に今回、指摘 されました企画、立案、評価の能力があるような栄養士をつくっていきたいというふう に思っております。  久道部会長  はい、どうも。それでは加藤委員。  加藤委員  加藤でございます。ただいまちょうど中村さんのほうからお話が出ましたので。私、 民間の立場で「健康日本21」推進のお世話役を5年前からやってまいりました。現在 の様子を見ますと、データも中間見直しに向けて調査も進んでいるようですが、目標達 成、非常に難しい状況にあると。ちょっとオーバーかもしれませんが、危機意識さえ持 っております。私ども、車の両輪の民のほうでございますけれども、一生懸命にやって いる割に……、ということで、ちょっとがっかりしている面もあるのでございますが。  しかし、そんなことを言っている段階ではないとは思います。ただいま、中村委員の ほうもおっしゃっていただきましたので、多言はやめますが、生活習慣病というものに はやっぱり食事と運動と休養、非常に俗な言い方ですが、これをうまく組み合わせて実 行するだけ、それだけでいいのだというふうに確かに感じますが、ただ実際難しいの は、生活習慣を少しずつでも改めなければならないと。これは実はやっぱり大変。しか も、個人一人ひとりが実行してもらわないとならないということでございます。何とな く、どこかでやってくれるだろうというのでは達成できない。ですから、ちょうどこの 中間評価の機会をとらえまして、具体的行動に結びつくような対策をひとつ、ぜひ立て てほしいと。  きょうのお話を承りまして、お役所のほうの詳細なデータもあり、相当これは使わせ てもらい、かつ行けるのではないかという気持ちにもなっております。私ども、民の立 場で、幸い120余りの民間団体、いろんな形で連携をつけて動き出していると申し上げ るべきか、後半に向かって必ずや役に立てるのではないかと思っておりますので、むち を入れ直して頑張りますが、公のほうも、車の本体と言いますか、肝心のほうもよろし く、頑張っていただくようにお願いしておきたいと、これは併せて要望を申し上げてお きます。  久道部会長  はい。それでは坂本委員、どうぞ。  坂本委員  先ほど高橋委員が、市町村の現状に合わせた、ターゲットを絞った戦略をということ に関連して市町村の現状について申し上げますと、他の市町村も同じでしょうが、政令 市では、「健康日本21」と「健康増進法」が出来たということで、大きな力で後押し されて進んでいると思います。しかし、県と市町村の関係では、県の保健所が地域保健 法になってこの10年間で非常に大きな変化を遂げております。この中で県が「健康日 本21」を推進し、市町村支援していくためには、地域保健法の検討の中で、もう少し 健康づくりの保健所の力をつけていく新しい方向に持っていくことが、キーになると思 います。また、市町村の保健センターでは、保健福祉の現場でたくさんの事業や課題が 課せられております。特に現在福岡では、非常に大きな災害に見舞われておりますが、 その中で日頃の健康づくりのノウハウを生かした支援をしておりますが、やはり日頃の 健康づくり活動が中断されている厳しい状況があります。  久道部会長  ほかにございませんか。はい、多田羅委員。  多田羅委員  近年、規制緩和、権限委譲、地方分権ということが、この間ずっと言われてきて、そ のこと自体は非常に重要なことであり、21世紀、そういう方向で進むかと思いますが、 そういう中で一番懸念されることは、各地域、あるいは各団体、そうしたところにおけ る格差の発生というか、生まれてくるということが一番懸念されてきたと思いますし、 していると思います。  そういう点で、例えばこの18ページの生活習慣病対策の、私は最も身近で大きな課題 はがん対策であり、がん検診受診率などは非常に大事な指標だと思いますけれども、す でに室長さんのほうからもその格差については御指摘いただいておりますが、特にこの 肺がん、この前の胃がんもそうですけれども、特にこの肺がんなどでは、すでに非常に 大きな格差がみられるわけです。  それは室長さんのほうも非常に強調されたので、深く認識いただいているということ はそのとおりかと思いますが、この静岡の50%を超える状況に対し、奈良とか、東京、 大阪、こういう大都市とか、いろんな事情があるということはあるかと思いますけれど も、例えば一番低いように見える奈良などの数%という格差を見る場合、やはり公衆衛 生の観点から見ますと、これはただ地方分権、権限委譲ということばかり言っておれな いのではないかと思います。  それは大きな哲学としては大事なことではありますが、これだけ大きな現実の差とい うものがある場合、そして各都道府県においても、国の平均値などを見ながら推進して いくということが大きな方向として示されながら、これだけ大きな差がみられるという ことに対しては、やはりこの生活習慣病対策の体制の推進に対して、それを支える、い わゆる地域保健のほうの推進ということがこれを支えていかないと、この地方分権とい う名の中にますます格差が隠れてしまうということが懸念されると思います。  そういう点で、一応、もう先ほどの御説明で格差については強調いただいております し、難しい問題だということは私もよくわかるのですけれども、一応現段階で厚生労働 省のほうでこういう格差に対して、特に分権とか権限委譲とだけ言っておれない、これ は実態ではないかと思いますので。特に地域保健体制の推進などの関連で、何か手を打 っていただくような、あるいは何か具体的な認識をお持ちでしたら教えていただきたい と思います。  久道部会長  はい、どうぞ。  中島生活習慣病対策室長  多田羅先生の御指摘のように、がん検診全体として大変受診率が低い、その中でこれ だけの格差があるということであります。それで、なぜこれだけの違いがあるのかと言 うと、先生も御指摘されている地方分権、権限委譲で、ある意味ではもう一般財源化を しているので、基本的には市町村長の御判断だというのが最後のあれでございます。そ こにどれだけ県が関与していけるのかということもあるわけですが、今後、本部会等で の御議論を踏まえて、実は18年度に医療制度改革といったものも予定されております。 そうしたものの中で、生活習慣病対策、どれだけ充実・強化していけるのか。  その中の、やはり1つの課題としては、健診、事後指導のあり方みたいな問題点もご ざいます。すでに老健局の方では、老人保健事業のあり方の見直しということで、これ も本部会で老人保健課長のほうから説明させていただいたところでございますが、いく つかの課題が提示されて、全省的に検討していく必要があるのではないかというふうに も言われておりますし。また老健事業の、一般財源化されたとは言っても、いわゆるが ん検診は老人保健事業の枠の中でやっていくということでございまして、現在、がん検 診のあり方に関する検討会ということで、地域格差の是正の話、それから検診について の精度管理といったものも議論されておりますので、この部会での御議論や関係審議 会、委員会での御議論を踏まえながら、そこら辺の、今、多田羅先生が御指摘されたよ うな危惧を少しでも払拭できるような形での生活習慣病対策の充実、強化といったもの に知恵を出していきたいと思っております。  久道部会長  では多田羅先生、どうぞ。  多田羅委員  そうだと思いますけれども、もう少しというか、具体的にこの格差に対して、それこ そ、達成目標はもうすでに昔から示されているので、その手法ではちょっと無理なのか もわからないのですけれども、やはり権限委譲、規制緩和という中における格差の発生 に対して、国からの。県の立場もあるかと思いますが。難しいという感じもしながら、 私も質問しているので、申しわけないのですけれど。何かやっぱり、ちょっとこれだけ の格差というのは、この部会としても看過すべきでないような気がするんです。これは もうしかたないのだとは、ちょっとこの部会として承認できないのではないかという気 がしますので。  中島成人病対策室長  まさに由々しき事態だということですが、いずれにせよ、結局、がん検診の受診率向 上を含めてですが、国としてどうすべきなのか。それから、県と市町村がどういう形で するのか。それから、本日提示申し上げていますが、「医療保険者が取り組んでいただ くような保健事業のあり方というのは、今後どうしていくのか」というような中で考え ていかなければならない、大きな問題だとは認識しておりますので、また本部会での御 意見も参考に、全省的に考えていきたいと思っております。  久道部会長  渋谷委員。  渋谷委員  3点ほど、意見や質問をお願いをしたいと思います。1つは今のに関連ですけれど、 平成10年に一般財源化されたがん検診ですが、これは確かに今、受診率も差があります けれども、がん検診そのものはやられているのですが、やはり精度管理ということが非 常に重要だというふうに思っています。これは受診率の差だけでなく、今回、マンモグ ラフィーがかなりの市町村で導入されることになりましたね。こういうようなことを考 えますと、やはり一般財源化されたがん検診等の様なものの精度管理は、ある程度重点 的に、今回のマンモグラフィーのようなそういう対策をとらないと、是正ができてこな いのではないかというふうに考えていますので、またその辺の御配慮をいただければと いうふうに思います。  それから先ほど57ページのところで御説明がいろいろあった中で、私たち公衆衛生の 立場では、ポピュレーションアプローチというのを非常にこれは重要だというふうに考 えているわけです。  それで、今回は国の役割ですとか、それから都道府県、自治体の役割ということで御 説明がありましたが、この中でも、ポピュレーションアプローチの中の、ここで言いま すと要するに住民ですね、住民の役割というのがこの「健康日本21」の推進、あるい は生活習慣病対策という中では、住民そのものの役割も非常に重要だと考えておりま す。したがいまして、この中で例えば「住民主体の活動の推進」という文言が1行ござ いますけれども、ここで、実際に市町村で住民と一番接しているところで考えますと、 ポピュレーションアプローチの具体的な手法、住民を動かす手法、そういったものをも う少し広めていく必要があるのではないかというふうに考えています。  それからもう1点は、同じページの中の、行政の栄養士確保についてということが載 っておりますけれども、市町村の栄養士というのは、例えば栄養の事業がありますと、 そのときに地域の就業していない栄養士を雇い上げて栄養の事業をするというパターン が多いと思います。しかし、それではその自治体の栄養に関する企画とか評価というの はなかなかできにくい。その場限りの指導になってしまうということがあります。です から、ぜひこの辺も、常勤の栄養士の体制整備を図っていく必要があると思います。栄 養士がいればいいということではなくて、企画や評価ができる体制をつくって、栄養士 を設置していく方向で考えていただければというふうに思います。以上、3点です。  久道部会長  木村委員が先だったね。  木村委員  3点ほど。57ページの上から順番に少しお話をしたいのですけれども。ヘルスアップ プランの650億円、600億円、550億円ついての話で、県の保健師とか、市町村の保健師、 それも地元の青森県だけではなくてほかの県の方々とも話をすることが多いので、お話 をさせていただきますが、「この地方交付税、一般財源化されたということなのだけれ ども、目的としてはこういうことですよ」と説明を私はして歩いたのですが、予算担当 の人間が「ほかの財源をカットされてしまっているから、この分をつけても、もとのと ころをカットしてこのことをオンしている。結局、出入りでいくと減るという問題で、 全く新しいプログラムなんか組めませんよ」ということが、まずあります。ですから、 前年度の予算の中のメニューがどうなっていて、オンするのがどれなのかという形をは っきり出さないと、ほかの財源に全部振られてしまうということであります。  保健師の皆さんは、企画能力がありますし、非常に一生懸命やる気があります。とこ ろが、何しろ事業を展開するには予算がつかないので、結局、実現できないというよう なことです。現場の声であります。  それで、その予算当局の人たちと、私はそちらもよく話をするのですけれども、「健 康づくりを進めるということが、最終的に適正な医療費の使い方と、介護の給付費の適 正な使用のほうにつながるんですよ」と言うのですけれども、そのことが全然わかって いないです。橋をつくるとか、建物をつくるとか、そういうほうが地域住民には大変見 栄えがいいものですから。しかしながら、最終的に健康づくりをきちんとやらなけれ ば、介護保険の65歳以上の1人当たりの保険料も上がっていくし、国保の運営そのもの もすごい厳しくなっていくというようなことです。結局は、市民というか、一人ひとり の負担に置きかわっていくということです。  これは目の前ですぐ、健康づくりの運動を1年やったから変わるというものではない のですが、5年とか10年のスパンできっちりそれを進めていくということで、結果的に その地域の方がそこに暮らしてよかったという形になるのだと思いますので、やはり予 算を持っている人たちにもっときっちり言ってもらえないかと思います。  それからポピュレーションアプローチのところでありますけれど、先ほど渋谷委員が おっしゃったのですけれども、これもまた、確かに保健師たちは、さっき企画力がある と言ったのですけれども、従前の事業を続けるんですね。「健康日本21」の9つのこ の項目があって、70の目標値があるのですけれども、それ1つ1つに対して、地域の方 が参加して、「ああ、これはおもしろい」と、「これは続けたい」というようなパッケ ージを見つけられないでいるということもわかります。  ですから、前回からお話しているのですけれども、この部会でかなりいろんな情報を お持ちの方が多いので、「科学的にこういうことをやったらすごく健康づくりにいい し、行動変容するんだよ」というようなメニューをパッケージ化して、お示しするほう がいいと思います。それは、特に写真つきでですね。そうしないと、市町村の保健師さ んたちはものすごく忙しいのだと思うんです。ですから、企画するところからとなって いるけれど、なかなか難しいのかなと。ですから、テキスト、文字で並べるのではなく て、ビジュアルパッケージで「こういうのをやったほうがいいですよ」みたいな、そう いうのをやってあげたらいいのではないかと思います。もちろん、「健診を受けましょ う」とか「事後指導を受けましょう」というのもいいですね。  それと、最後ですけれども、ハイリスクアプローチのところで、今、介護保険改革が 進んでいく中で、きょうは松田先生がおいでになるのでコメントいただければと思いま すが、介護予防のところのことで、ちょっとここの健康づくり等のところで、ちゃんと リンクをしていかなければいけないということで、地域包括支援センターというものが できて、いわゆるハイリスク群をスクリーニングをかけていって、もう早め早めに健康 な状態に戻してやるというようなアプローチが当然されていくわけですけれども、そこ の仕組みをやはりこの健康づくりの……、もうちょっと言うと、市町村の中の健康づく り担当と介護予防担当と介護担当とが常に連携をとって話し合いをして、「あなたはど こまでですよ」ではなくて、常につながっていないと、財源を投入しても効果的になら ないのでしょう、ということであります。  ただ、ここで、先ほど室長から説明がありましたとおり、イメージ的に40歳以上の人 たちはそこでひっかかってくるかもしれませんが、やっぱり20歳あたりから39歳ぐらい までの人たちにはどうひっかけていくかということは、さらにここでもっと検討を深め なければならないのかと思います。  情報ですけれども、地域でやるいわゆる介護予防体操みたいなものに参加するとき に、いきなりだと危険なのでということで、ある公的な病院なのですが、結局運動する 前に健診をするところがあります。そのときに、例えばそこに40人来ていたら、30人ま で検診を受けたことがないという現状があります。そういうことで、多分この介護予防 のことをやっていくことによって、健診の受診率がかなり上がっていって、病気が早く 見つかってくるのかなという期待感もあります。ちょっとあちこち行って申しわけあり ませんが、財源のことと、それからイベントのパッケージのことと、それから介護保険 というよりも、新しい仕組みの中との連携というところですね。そこのところをもう1 回整理して進めていただければと思います。以上です。  久道部会長  まず、河野委員。それから、もう1つ議題をやってから最後に質問を受けますから。 まず河野委員、どうぞ。  河野委員  すみません、貴重な時間の中で。先ほどから市町村の役割ということで、私も首長と いう立場から、何となく皆さん方の中でお話しする機会が少のうございました。ただ今 般、私自身も出てくるときに、やはり保健婦や栄養士、みんなにいろんなことをちょっ とお伺いをして見ました。「健康21」、これはもう私のところだけではなくて、わた しのところは小さい市ですからですけれども、やっぱり近郊を交えて21の医療、健 康、そして福祉、すべてを打った21づくりを実は進めているところであります。  ここで、今、こういうときですけれど、先ほど高橋先生がちょっとおっしゃっていた のですけれども、やっぱり財政能力の差と、そしてまた地域の差というものは、これは かなりあることはもう事実でありますので、そのとおりだと思います。  そこで、私がここで申し上げたいのは、やっぱり今、国が言っている官から民、ある いは国から地方という、いわばそれは地方が自立をしていかなければいけない、そこに 地域の皆さん方がやっぱり支え合うという、こういう意識というものの改革を、いろい ろの場面で今、進めているところであります。ですから、少子化時代、高齢化時代とは 言っているけれど、やっぱり真に専門的な立場の人、これがいわば生涯学習かな、こん な感じをしております。ただ私、「健康21」づくりを保健婦さんがどれだけみんな知 っていたのだといって、アンケートで調査してみたい。それからいろいろの場面で行っ てみると、本当に実はごく一部の人だったという、ですね。これはもう残念だ。  だからやっぱり市長、お話をしていただけるのであれば、公共公告機構なんかを利用 して、ぜひひとつ、やっぱり「健康21」は大切なのだということを、ちょっとテレビ の画面なんかで見せていただくというと、「ああ、あのとき保健婦が言っておった、栄 養士さんが言っておったことかな」ということがわかるので、という。確かにもうイン ターネットや何かでこうきめ細かに、きょうの会合の状況なんかも、もう出してくれて いることはわかっているんです。ここらあたりも、事務当局にもう本当に感謝していま す。ですから、おっしゃっていることすべてがもう、さすがにやっぱりお役人の皆さん 方の英知と、先生方が専門的にここにアドバイスをいただいていることに、私自身は感 謝しています。  もう1つですが、先ほど、資質の向上ということでお話がありました。なかなかやっ ぱり、我々も研修に出したいけれども出せなくなってきた。しかし私は、自費で東京へ 勉強に来る職員がいるんです。このときには、もう5月1日に市制施行の記念日になっ ておるものですから、ずっとボランティアで、自分でこういう免許をとってきた、こう だといったときには、表彰してあげることにしています。それが励みで、やっぱり東京 に自費で出てくるということだと思うので、ぜひこの大切なことがですね。出てきた ら、習得証か何かを差し上げていただいだいて、そういったやっぱりやる気を起こす栄 養士さんや保健婦さんをぜひひとつ育ててやっていただきたい。こんなことをちょっと 申し上げて。貴重な時間、どうもありがとうございます。  久道委員  はい。どうもありがとうございました。ほかにも質問があろうかと思いますけれど も、もう1つの議題を説明したあとに時間がとれると思いますから。もう1つは、国民 健康栄養調査等についての説明を、中島室長にお願いします。そのあとに、残っている 質疑をやります。はい、どうぞ。  中島生活習慣病対策室長  資料の58ページでございます。生活習慣病対策の基本となります国民の健康状況及び 意識の把握という点で、国民健康・栄養調査というものを実施させていただいていると ころでございます。58ページからでございますが、本調査は健康増進法の第10条に基づ く調査でございまして、無作為抽出、300単位区内の約6,000世帯を対象に、約1万9,000 人の方を調査客体として毎年実施しておるということでございます。  59ページでございます。従来は国民栄養調査ということでございましたが、健康増進 法の制定に伴いまして、国民健康・栄養調査と改めまして、「健康日本21」の推進に 資する基本的なデータをとるという形に、いっそうの内容充実を図ったところでござい ます。(2)でございますが、具体的には採血をさせていただくことも含む身体状況等の 調査、2つ目に栄養摂取の状況の調査、3つ目に生活習慣に関する事項についての調 査、ということでやらせていただいておりまして、基本的に毎年把握する項目と、サイ クルで何年かおきに、5年おき、10年おきに調査をさせていただくテーマに分けて実施 をさせていただいているというところでございます。  60ページでございますが、直近、15年、16年の栄養調査の調査内容はお示ししておる とおりでございます。  61ページでございます。具体的にこの健康・栄養調査の実施につきましては、省内 に、(1)でございますが、国民健康・栄養調査企画解析検討会ということで、本日御出 席の田中平三先生を座長に検討会を設置させていただいて、御指導いただきながら展開 をしておるということでございまして、具体的には都道府県、政令市及び特別区で調査 をお願いをし、保健所が中心になって調査を実施していただいている。そして集計につ いては、独立行政法人の健康・栄養研究所の方でやっていただいているということでご ざいます。平成17年の予算案としては、1億2,400万円を計上させていただいていると いうところでございます。  62ページでございますが、こうした国レベルの調査と並びまして都道府県、先ほどの ヘルスアッププランの中でも説明をしましたが、都道府県においても、上乗せ、さらに は横出しで調査を実施していただいているところでございます。今般、過去5年間、都 道府県において国民健康・栄養調査以外、どうした調査を実施したのかについて、聴取 をいたした結果をまとめさせていただいております。いわゆる国民健康・栄養調査以外 で何らかの上乗せなり、別途調査をしているという都道府県が45でございます。その内 容は、上乗せをしているというものと、全く別個に独立した調査としてやっているとい うものに分かれるわけであります。国民健康・栄養調査をする際に、上乗せをしておる というところが30県、31調査ということでございまして、世帯数を追加して独自に集計 できるようにする。さらには、62ページの右の方ですが、調査項目を追加して調査をす るというものでございます。  63ページでございますが、国民健康・栄養調査とは別に独自に実施しておられるとい うのも29都道府県、51調査ということでございまして、この場合は個人を対象とする調 査というものと、たばこ対策等につきましては、関係機関や事業所等を対象に調査をし ておられるというものもあるということでございます。以上でございます。  久道部会長  はい。それでは今の説明に対する質問、あるいは御意見ございますか。はい、それで はどうぞ。  富永委員  ちょっと変わった視点から発言させていただきます。ちょうど60ページの国民健康・ 栄養調査のこの表がありますのでよくわかるのでございますけれども、一般に健康づく り、あるいは生活習慣病予防対策というのは、20歳以上、40歳以上、あるいはもう少し 年をとってからやっているのが通常でございますけれども、子供のときに生活習慣がほ とんどでき上がってしまいますので、特に小中学校の生徒などを対象にした、食生活だ けではなくて生活習慣全体の実態調査などがあると、非常にいいのではないかと思いま す。  ここで、60ページの例えば一番右の栄養摂取状況調査の一番下のところに、食物摂取 状況については世帯員ごとの案分比率になっておりまして、1歳以上を対象になってお りますけれど、これはかなり画一的に案分されるのではないかと思います。ですから、 小児の時代からかなり食生活や生活習慣、相当個人差があると思いますので、まず実態 調査をした上で、小児期から生活習慣病予防対策を開始するべきではないかと思いま す。  久道部会長  今の意見は、文科省との関係で、何かうまくいかないんですか。  中島生活習慣病対策室長  富永先生の御指摘を受けて、もう1度内部で詰めてみますが、1つは小中学生ですの で、文科省との連携もございます。それからまた、国民健康・栄養調査につきましては 1歳以上を対象にしておりますので、その限りにおいて把握できるものもある。それか ら、私共の雇用均等・児童家庭局の方では、「健やか親子21」で、母子保健の観点か らの健康づくりというのもやっているものがございます。ただ、ある意味では、先生お っしゃるようにばらばらになっている嫌いもあるので、一度本日の御意見を踏まえて内 部で整理をさせてください。  久道部会長  ほかにはございませんか、この問題に関して。なければ、では北村委員、どうぞ。  北村委員  ちょっと前のほうに戻ってよろしいですか。先ほどからいろんな委員の方々の御意見 を拝聴してきましたが、私は生活習慣病の中でも特に、エビデンスとして確立している たばことか高度の肥満とかいうようなものに対する予防健診業務を、やはり保健医療の 中に取り込んでいくべきではないかと思います。御存じのように、介護保険のほうでは 介護予防という項目が出てまいりまして、重症化するのを食い止めようという試みが介 護保険の中で取り組まれている。  一人ひとりの予防健診業務を、自治体に依頼するというやり方にも限界があるという のは、何度もいろんな方がおっしゃっておりましたけれど、今度は一人ひとりのそのリ スクを持った患者側から言うと、やはり保険医療の中に予防というものを、特に明らか なエビデンスを持った、先ほど申しましたが高度の肥満とか、あるいはたばことかを包 含していく必要があるのではないかと思います。  もちろん、保険医療の財源がますますふえるのではないかという問題もあろうかと思 いますけれど、しかし結果として未然に防ぐことができれば、バランスがとれる可能性 はある。糖尿病も肥満との関係はもう明らかでありまして、肥満を抑制するというのを ある程度、医療保険の中でカバーする。あるいは禁煙対策もカバーできるということ が、日本の国民に対しては最も理解しやすいし、最も普及させやすいし、医療機関が今 度は一生懸命になりますし。  自治体が叫んでも、そういう人が保健所を訪れて栄養の指導を受けるというのは非常 に少ないと思います。やはり医療機関がそういうことをやれば、はっきり言いますと開 業の先生のところでも相談を受けられるようなシステムができれば、それはもう普及率 は圧倒的に高くなると思う。土屋先生がどう言われるかわかりませんけれども、やはり 生活習慣病の危険因子の予防中で重要なものは保険医療へも組み込むということ。これ は保険局の問題だと思いますけれど、保険局も少し考え始めているのではないですか。 僕はやっぱり、それが一番普及率を上げると。反対もあるかもしれませんが、私はそう いうふうに感じています。  久道部会長  はい。それではあとで土屋先生、あれしますけれど、菊田委員から。  菊田委員  この57ページの部分に戻りますけれども、私は生活習慣病予防対策の中の第1次予防 のほうのボランティア活動をしていますが、皆様方、いろいろともう御発言なさったと ころで、重複している部分もあるかと思いますが、このいわゆる栄養士の企画立案の部 分でございますけれども、私、地方の中で大変、栄養士さんは頑張っていると思いま す。しかし、効果の評価というのでしょうか、私どもも活動したり、この栄養の、食の 部分では、数字が出ないということ、数値が出ないということが。  行政の上のほうでは数字の出たものにはお金がかけられると。これはやはり財政が豊 かでないから、これしかないものは数字が出てみんなが納得できる部分にはお金は出せ るけれども、それは大切だということはわかっていても数値の出ない部分はなかなか。 栄養士さんは相当頑張ってはくださっていても、そういう部分で私たちにも悩みを打ち 明けているという部分がございます。それで、この効果の評価というのは、先ほど野村 先生が発表したように、この評価がきちっとできる部分というのがわかれば、もっと違 う部分で、行政との活動もうまくいくのではないかと思うことと。  それから、まだ栄養士の数が少ないという。北海道あたりも保健師さんが多くて、栄 養士さんが少なくて、この栄養の部分も保健師さんがしているという部分がございま す。そうすると、そういう部分がおざなりになる部分。そういうことはないとは思いま すけれども、仕事が忙しくて、栄養士さんとは違う部分であります。そういうことで、 この未設置の市町村に対して、国が定める健診の義務とかそういうのに、保健師、栄養 士は配置は絶対しなければならないという体制づくりはできないものかという。基本的 にそういうことをしていただければ。できないものかどうかということと。  それからもう1つ、たばこの対策の部分で申し上げたいのですけれども、この生活習 慣病、先ほどからがんのお話をしていましたけれども、お酒はいくらかは体に効用のあ る部分はありますが、たばこは絶対的に体に悪いというのであれば、自販機がまだ備え られているという。お酒は取り払われているという話なのですけれども。そういうこと で、分煙だけをしていたのではこの対策というのは全然。  私も健康づくり対策委員になっていますけれども、最後はイタチごっこではないかと いう部分で、どうしてもこのたばこの部分の禁煙をしていただきたいのであれば、国の 対策として、たばこの生産者もいらっしゃる、それから税金が地元に入るという部分 と。これはただ飲まないように、飲まないようにと何ぼ運動しましても、基本的にもと からきちっと国のほうの政策として考えていただかないことには、うまくいかないので はないかと思って。我々のこの部会だけ頑張っても、どうにもならない部分ではないか と思って。  委員会にいつも出まして、お医者さんもそこに入っていらっしゃいますけれども、 「ああ、もうここで終わりだね」という話になってしまうんです。そういう声を聞い て、縦割りで難しいでしょうけれども、どうにかこの対策を考えて、もう少し違う方向 の対策をすると、もっと効率的になるし、地方のほうも頑張ると思いますけれども。そ ういう部分でお願いしたいと思っております。  久道部会長  では、中島室長。そろそろ、簡単に。  中島生活習慣病対策室長  はい。まず、栄養士の配置の義務づけについては、これは実は保健師・栄養士とも交 付税措置の中で、配置をしていただくということが算定根拠の中に入っております。で すから、その限りにおいては配置をしていただくことを、当然我々は期待しているとい うのが1点です。  それから、たばこ対策については、なかなか、たばこを吸う方もおられますので、こ れも本会議で申し上げましたけれども、たばこ条約の発効に伴って関係省庁連絡会議を 設置して、各省庁連携して取り組む体制を整備いたしましたので、今後、そうした場を 活用して取り組んでいきたいと思っています。  石井委員  ちょっと1つ教えていただきたいのですが、先ほど河野委員のほうから、「健康日本 21」は保健師さんもあまり知らないということでしたのですが……。  河野委員  いや、違うんです。市民が。  石井委員  ああ、市民が。市民によく知られている「8020」運動は、アンケートではかなり 知られているのですが、知られているにもかかわらず、目指す成人歯科保健の対策とな ると、私どもの努力もあるのですが、なかなか実施率が低いというところがあって。健 康増進法の中の地域・職域の連携というのは非常に重要なところなのですが、そのため に56ページのほうに1つ、地域・職域連携推進協議会を都道府県のほうに設置される と。  そして今年度からガイドラインもできるということですが、私どもの歯科保健という ことは、安衛法の中ではキン疾病というところでしか健診が保障されていない。それか ら老健法の中では、40歳、50歳、本年から60歳、70歳の節目にまで拡大されましたけれ ども、非常にそういう機会が少ないという現実がございますので、その地域・職域の連 携というところが、私どもにとってはいっそう重要なところなのですが、この中のガイ ドラインの中で、歯科保健対策、あるいはこの地域・職域の連携推進協議会のところを 見ますと、医師会は入っているのですけれど、これが「医師会等」になっていれば少し 安心はするのですけれども、ここに歯科医師会も入れていただいているのかどうかとい うようなところを、ちょっと教えていただければと思いますが。  野村保健指導室長  歯科衛生のことについては、連携協議会の中でも非常に重要だと思っておりまして。 今策定しておりますガイドラインの案の中で、どういった方々がこの協議会に加わるか というの中には、医師会も入っていますし、歯科医師会もきちっと明示してございま す。2次医療圏などでは「等」になっていますが、都道府県レベルの会ではそれぞれ入 っていただくというような位置づけにしております。  河野委員  2次医療圏でも入っていますよ。  石井委員  ああ、そうですか。はい、ありがとうございます。  久道部会長  では松田委員、どうぞ。  松田委員  松田でございます。いろいろとお話を伺っていたのですけれども、そのハイリスクグ ループを見つけるにしても、ポピュレーションアプローチをするにしても、それからそ の評価をするにしても、やはり情報が必要だろうと思います。今、地方自治体のレベル で、そういうことをちゃんとできる情報がやっぱり整備されてないということが問題だ ろうと思います。  例えばこの健診の関係で言うと、労働安全衛生法に基づく検診というのはある意味で 1つのリファレンスになるのかと思うのですが、安衛法における検診というのは、事業 者の責任においてすべての従業員が受けなければいけない。その健診結果に基づいて、 異常があった場合には、その事業者がちゃんとその事後措置をする義務があると。それ から受けたほうもそれに従わなければいけないということがあるわけですが、個人に対 するインセンティブがちゃんとついている。例えばある企業の場合には、生活習慣など も調べて、それに基づいてヘルスリスクアプレイザーで、どのくらいのリスクを持って いるのかと評価して、それに対して、非常にリスクの高い人に対しては就業制限をかけ るわけです。これを続けていると、例えば循環器の疾患になってしまうと。  そういうことで、個人に対するインセンティブがかかるわけですが、今の老健法に基 づく健診のやっぱり一番の大きな問題点は、そういう個人に対するインセンティブが多 分ないということだろうと思います。しかも、個々の事業の評価というものができない 形になっている。これはなぜかというと、老人保健法でやられている事業と国民健康保 険法、これが分断されているために、例えばその検診を受けた方が、そのあと例えば何 らかの介入を受けて、それが本当に医療費とか介護保険の費用に対して効果的であった のかということが評価できない仕組みになっています。やはりそういうものが評価でき るような仕組みというものもつくっていかないと、なかなかいけないだろうと思いま す。  では、これができないのかと言うと、今のその限られた情報の中でも、今、自治体は やろうと思えばできる情報をかなり持っています。例えば国民健康保険法のデータとい うのは、例えば、確か5月だと思いますけれども、5月に関しては電子化されて、それ が都道府県レベルで集計されているはずです。それと、例えば介護保険の情報をつな ぐ、あるいは健診の情報をつなぐことによって、いろいろな評価ができる。例えば福岡 県で、ある自治体がこの3つをつないで、実際に個人別に総医療費、総介護費みたいな ものを集計して、それがベースとしてどういう病気を持っているのかということを時系 列で評価できるような体制をつくっています。これは、今ある、それぞれの自治体が持 っているデータを使えばできることですので、そういうところはやはりやっていかない と、なかなか総合的な対策というのはできないのではないかと思っています。  それからもう1つ、その情報の活用という点では、介護保険事業計画に関しても、そ れからいろんな老人保健福祉計画にしても、例えば高齢者実態調査とか、いろんな調査 を各自治体がやっているわけです。ところが、これが標準化されていない。あるいは電 子化されていないので、1つの県の中ですべての市町村がやっているにもかかわらず、 お互いに比較することができない。ここがやはり非常にお金のむだ使いだと思います し、それも何かフォーマットを定めて自治体レベルでお互いに評価できるような仕組み というのをつくっていくと、こういう「健康日本21」とかそういうものも進んでいく のではないかと思います。  そういう意味で、今ある、各自治体が持たれている情報をもう1回見直してみて、そ れをやはりこの「健康日本21」につなぐ形で使うということが、非常に大事ではない かと思います。その意味で、安衛法でやっているようなものを地域でやるということは 非常に難しいとは思いますが、私は介護保険というのが1つ、その基盤になり得るだろ うと思っています。介護保険というのは、基本的には介護サービスを受けたい方が認定 審査を受けて、非該当になるとそれに対して介護予防的なサービスをやるわけですが、 そこでハイリスクグループがつかまえられているわけです。そこに介入する。その介入 したことによって、その人たちがどうなるかということが、実は評価できるような仕組 みになっています。  そのもう1つ手前に来ると、ではそういう人たちの多くはどういうものを持っている かと言うと、実はもう病気を持っていて、開業医の先生のところで受診しているわけで す。そうすると、国民健康保険法の受診のデータを使えば、例えば筋骨格系の疾患を持 っていて介護保険に入っていない人たち、そういう人たちに対して、例えば運動予防、 運動支援ですか、そういうことをすることができる。だから、そういう介護保険のデー タベースみたいなものを1つの中核にして、地域で総合的なシステムというのはつくれ るのではないかと思います。以上でございます。  久道部会長  予定の時間が来ましたけれど、ではどうぞ。  村田委員  保健師は長年、小児から老人まで一般的なライフスタイルに沿って活動をしてきたわ けですけれども、その中で保健指導なり健康教育をしてきた中で、なかなかそれが行動 変容につながってくるということが見えないというような部分が非常にあるのではない かと思います。  しかし、いろいろな市町村なり県なりが、住民の力をいろいろ活用しながら、いろい ろな行動変容をもたらしているというところがたくさんあるかと思いますので、そうい うようなところの情報を提供していくということが非常に大事なのではないのかと。先 ほど、住民への情報の話がありましたが、今、御近所の底力みたいな形で、住民の力と いうのはすごいパワーがあると思いますが、住民と協同体制をとらずに、行政だけが空 回りをして動いていっているというようなことが、健康づくりの中には多少あるのかな と。一方、たばこ対策のように禁煙運動を非常にやってきた中で、住民の意識が定着し てきているように思います。このように、やはりその住民とどのような連携をとり、住 民自身の行動が変容していくというような情報を提供していかなければいけないのかな ということが、1つございます。  それから、地域の職域の問題ですけれども、その中で中小企業の問題があります。零 細企業であればあるほど、もう病気であろうが、とにかく働かなければいけないという ような自分たちの生活に直結する問題もあると考えます。そういう中で、その人たちに どういう保健指導をしていくことによって、少しでも健康づくりに役立っていくのか を、だれがそこの部分を担っていくのかということを、きちっと明らかにしていくとい うようなことも、1つあるかと思います。  そういう意味では、市町村をやはり支えていくというような部分では、都道府県によ って非常に差はあるかと思いますが、県の役割というのは非常に大きなものがあると思 う。人材の育成の問題にしても、いろんなものについても、県の役割というのが非常に 大きなものになってくるかと思いますので、その辺のところも考えながら組み立ててい かなければいけないのかというふうに思っております。以上です。  久道部会長  先ほどの北村委員のことで、土屋委員、何かございますか。  土屋委員  もう終了の予定時間が来ましたのに発言の機会を与えていただきまして、ありがとう ございます。一口で申しますと、全く北村先生のおっしゃるとおりで、私も同感であり ます。ナショナルセンターの長である方が、こういう現場の状況に即したお考えをなさ っていらっしゃるということに、心から敬意を表したいと思います。  日本医師会の立場として申しますと、禁煙運動を推進してまいりました。これは直接 国民の皆さんに訴えてまいりましたけれども、それだけではございません。生活習慣病 の代表選手と言われる糖尿病に関しても、糖尿病学会等と一緒になりまして、糖尿病対 策推進会議なるものを立ち上げました。過日、その設立総会には、ここにおいでの局長 以下、皆さんのご出席をいただきました。御祝辞の中で、国としての糖尿病対策の重要 性というようなことについてもお話いただいたわけであります。  生活習慣病の予防、具体的に健診業務を診療の中に入れることの是非についてです が、今でも保険医療の中にちょっぴり入ってはおるのでございます。理想的には保健・ 医療・福祉というのは、制度的には別々になっています。それを利用する患者さんな り、国民の立場から考えますと、裏側から見たら、それはやっぱりシームレスにつなが っておるべきでございまして、それぞれ得意分野、専門分野はあるだろうと思います が、保健と医療を切れ目なく連携していくことが必要だろうと考えております。  これに関連して、医療保険制度改革に関する基本方針という中で、保険者の再編・統 合、これは今や大きな問題になっています。再編・統合の中で、今言われていますの は、都道府県単位でやるとか、いろんな案が示されております。そうしますと、保険料 率が都道府県によってこんなに格差が出るであろうということが、十分に想像がつくわ けであります。  きょうのお話の中で、この医療費の格差の説明がございました。この1人当たりの老 人医療費の地域格差は、長野県が最小で福岡県が最大であると。その格差は1.5倍であ るというようなお話がございました。では、北海道はどうなのだということにもなりま す。要するに、医療費が少ないのが善で、高いのが悪であるという視点から、これを単 純にとらえてはならないのではないか。もっと言いますと、「長野県は大変優等生であ る。だから長野県に見習え」というような話ではないのではないかと言いたいのです。 低い要因は何なのか。医療費が高いというならば、その理由はどういうことなのかとい う、それぞれの地域の特性、高齢化の状況あるいは疾病構造その他も違うかもしれませ ん。  例えば、長野県で言いますと、在院日数は大変短うございますし、それから受診回数 も少ない。しかし、いったんかかったその日1回の医療費は、決して低くないわけであ ります。というのは、相当重症化してから受診しているのかもしれないとも言えるわけ です。あるいは、65歳以上の就業率から言いましても、これは日本一だと、先ほど室長 からお話がございましたけれども。ひょっとすると、働かなければならないという事情 があるのかもしれません。それが結果的に、お年寄りがみんな自立していらっしゃる。 何しろ、勤勉な県民性でもあります。そんなことが、結果として健康づくりに役立った のかとか、いろんなことが考えられるわけです。この表を1枚見せていただいて、「だ から長野県は大変結構ですね」などと軽々しく言っていただかないようお願いしたい。  医療費の地域格差は、何が理由なのかということの、やっぱり分析が必要ですね。学 者の先生方おいでですので、久道先生あたりに解析していただいた上で、それをもと に、保険者の再編・統合について、検討していただく必要があるのではないかと。ちょ っと余分なこともつけ加えさせていただきました。  久道部会長  どうもありがとうございました。ぴったりやめるのが私の主義だったのですが、笹月 先生だけ1人残っていたのですが。  笹月委員  よろしいですか。  久道部会長  ええ。どうぞ、簡単に。  笹月委員  生活習慣病ですから、当然、生活習慣と、それからもう1つ遺伝要因があるわけで。 ところがその生活習慣そのものがまた遺伝で決まっているという部分が非常に大きいわ けです。ですから、生活習慣を変えればと言うけれども、遺伝で決まっていることです から、やっぱりなかなかこれが難しいわけです。だから、きょうはシステムづくりと か、あるいは人材養成、あるいは法制化ということが議論されましたけれど、私はやっ ぱりその中身ですね。どう指導するのか。そのグローバルスタンダードと言いますか、 それをサステイナブル、それからエフェクティブ、フィージブルと。要するに継続して やれるし、本当に効果が本人にも目に見えてくる。それから簡単にやれるという、そう いう中身をもっともっと進化させることが非常に重要ではないかと思います。  それともう1つは、完全に遺伝で決まっているわけではありませんが、好みも遺伝的 な寄与が非常に大きいので、やはり私は栄養士とか運動指導士のほかに、行動心理学の 専門家ですね。生活習慣を改めさせるためにはどのような工夫が必要かという、そうい う専門家も加えたガイドラインづくりと、これが非常に重要だと思いますので、ぜひ御 検討いただければと思います。  久道部会長  はい。どうもありがとうございました。時間が超過しましたけれども、大変貴重な御 意見をいただきました。これでこの会を終わりにしますが、今後のスケジュールを事務 局からどうぞお願いします。  中島生活習慣病対策室長  本日はありがとうございました。次回につきましては、現在のところ4月21日木曜 日、10時からの開催をとりあえず予定をさせていただいております。本日で一応、1次 予防、2次予防、推進体制、一通りの1回目の議論というものを終えていただきました ので、次回はこれまでの議論の論点整理をさせていただいて、提示申し上げるというこ とと、平成15年度の国民健康・栄養調査の結果がまとまりつつありますので、それを報 告するとともに、たばこについては実は中間評価の分析、いまだ報告申し上げておりま せんので、15年の国民健康・栄養調査に基づいてデータが出てきた、たばこについての 中間評価といったもの等をお示しして御検討いただければと思っております。以上で す。  久道部会長  はい。きょうはこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。 ○問合せ先  健康局総務課生活習慣病対策室  調査総務係 主藤・松浦  電話 03−5253−1111     内線2346・2342