06/03/22 第6回 政策評価に関する有識者会議議事録 第6回 政策評価に関する有識者会議 日 時:平成18年3月22日(水)             場 所:厚生労働省9階省議室 ○高橋座長  そろそろ時間になりましたので始めさせていただきます。今年度最後になりますが、 第6回政策評価に関する有識者会議を開催させていただきます。大変お忙しい年度末の ところ、御参集いただきましてありがとうございます。  事務局から、森田委員、渡辺委員が御欠席との御報告をいただいております。塩田政 策統括官及び村木政策評価審議官は、国会等の用務がおありだということで、事情によ っては出席の可能性もあるそうですが、御欠席になるというお話だそうでございます。 よろしくお願いいたします。  それでは事務局から、きょうの議事について御説明をお願いいたします。 ○吉田評価官  おはようございます。政策評価官でございます。今、座長からお話がございましたよ うに本日予定をしておりました塩田及び村木でございますが、国会の委員会の日程の中 で、こちらに来るよう努力はしておりますが、場合によっては到着しきれないことがあ るかと思います。お忙しい中、日程を繰り合わせていただきました委員の方に御無礼で、 両名とも大変気にしておりますがおわびを申し上げます。御理解のほど、よろしくお願 い申し上げます。  本日、有識者会議としてお諮りまたは御報告をさせていただきたいことにつきまして は、お手元の資料、議事次第にございますように3点ございます。1つは、前回のこの 会議において、これまでの政策評価について御意見をいただいたものを含めて、今後ど うするかということを御議論いただきました。その中からワーキンググループを設けて、 具体的に実務的な論点の整理をしたらどうかということについて御了承をいただきまし た。その後ワーキングにおいて精力的に御議論いただきました状況について御報告をさ せていただきたいと思います。  2つ目に、これは毎年度になっておりますが、年度末には基本計画あるいは事後評価 の実施に関する計画を行政としてまとめております。それに向けまして議事で申し上げ れば(2)(3)、私どもとしての基本計画、あるいは事後評価の実施に関する計画について 18年度はこんなことを考えるということを御披露申し上げ忌憚のない御意見をいただ きます。特にワーキングとも絡みますが、個別の実績評価という形で事業課、所管課が 自分たちの自らの評価を積み上げていくものだけではなく、より大きな視点で、もう少 し国民の視点に立って評価を進めるべきではないかという御意見。前回もございました ので、従来で言いますと「総合評価」という手法なども念頭に置きながら、重点的な評 価課題について整理をさせていただいておりますことについて、あわせて御報告をし御 意見を賜りたいと思います。以上、3点ほど私どもとしては議題として用意をさせてい ただきました。よろしくお願い申し上げます。 ○高橋座長  それでは、今評価官からお話があったとおりでございます。それでは資料に基づきま してワーキングの御報告をして、後の2つは一緒にやるということでよろしいかと思い ます。事務局から資料説明等をよろしくお願いいたします。 ○吉田評価官  お手元の資料1−1と資料1−2を御確認ください。また、この議題に関しましては、 資料1−3という形で実際に御参集いただいておりますワーキンググループの方々な り、前回ここで御了解をいただきました本有識者会議の設置要綱の最終版などもお手元 に資料として用意させていただいております。  前回この会議において、ワーキングの設置を各委員の皆様方ともお話をさせていただ きました。資料1−3、梅田委員、篠原委員、高橋座長、森田委員に御参集をいただき ますとともに、非常に実務的な問題を扱うワーキングとしまして、中央青山監査法人公 会計部社員公認会計士の清水涼子先生にも御参画をいただきました。清水先生は、私ど も別に行っております独立行政法人の評価の関係でも厚生労働分野についていろいろと これまで御指導をいただいております。また、ワーキングの事務局として三菱UFJリ サーチ&コンサルティング株式会社の方にも17年度の委託調査という形で御協力をい ただきながら、議論を進めていただいているところでございます。  資料1−2でございますが、これまで前回のこの有識者会議から2回のワーキングを 開かせていただくとともに、個別委員の方々とはメール等でやり取りをさせていただい ております。1−2に基づいて、いただいております議論を紹介させていただきます。  便宜5つほどの柱立てに整理をしております。指摘事項そのものは事務局の責任でま とめさせていただいております。もし不適切なところがあれば、後ほど御指摘をいただ ければと思っております。  1つ目は政策評価として、何のために評価をするのか、どのような政策評価を行って いくか。この親会議でも御議論いただきましたように少し頭の整理をする必要があるの ではないか。例えば前回、堀田委員からと思いますが「自己評価の限界を一方で感じな がら、総合的な評価をどうやっていくのか」という話がございました。またほかの委員 からは、政策評価についてのある程度の限界と申しましょうか、「何ができて、何がで きないのかをきちっと抑えて進めるべきではないか」といった御発言があったように思 っております。そういう中で、ワーキングでは、もう少しこの点について頭の整理をす るべきではないかということです。  2つ目は政策体系でございます。これまでやっておりました評価書を実務的に検証い ただきながら、よい評価書が書けない原因として、そもそも政策体系なり数量的な情報 がよくないのではないか。あるいはそれぞれのアクター、今は厚生労働省の施策立てと 申しましょうか、組織立てに沿った政策体系に現実的にはなっておりますが、そうでな く例えばアクターはだれか、違った切り口の分野も議論の中の念頭に置くべきではない かという御指摘もいただいております。  3つ目の評価書の関係で申し上げますと、評価書に記載する事項をわかりやすくする という意味から、最低限のものに限ったり、その中で最善を尽くすためにどういう改善 ができるのかということを議論をしたらいいのではないかということです。今の厚生労 働省の評価書の基本的な問題点としては、基本目標があってそれに対して個々の施策目 標があって、それをよりブレークダウンした実績目標を立てた上で、その実績目標ごと に数値目標なり指標なりで検証をし、最終的にそれがどのような形で施策目標として実 現されたかどうかということを評価するという形になっております。しかしなぜこの基 本目標から施策目標が挙げられ、施策目標を実現するための実績目標としてこれが選ば れたのか。今の評価書の体系となりますロジックが非常にわかりにくい部分があるので はないか。それがないと評価書を読んで、その政策にものを言っていただく国民の皆さ ん方にとって、何でこういう体系になったのか理解いただけないのではないかという御 指摘をいただいております。  4つ目、評価手法としましては、例えば介護において予定しておりますが、今後補助 金から交付金という形に変わっていく部分で、評価書をどうするのか。従来の補助金と いう形での評価ですら、単に「補助金が出ている」、「補助金が幾らだ」という問題だ けでなく、補助金の相手方としてどういう方が選ばれているのか、あるいはその出し方 なり効果性がいいのかどうかということも評価すべきではないかを親会議でも御指摘い ただきました。さらに加えてワーキングでは、交付金に変わってしまうと、いよいよ評 価というものがつかみづらくなる。直営事業と違うので、そこの部分をどう考えていく かを少し評価手法として工夫をしていく必要があるのではないかという御指摘をいただ いております。  5つ目、有効性あるいは効率性、そして(3)で総合的な評価ということについて御指摘 をいただいております。有効性という意味では、手段がどの程度効果を上げたのかをき ちっとわかりやすくするべきではないか。また効率性につきましては、コスト把握は無 理でも、例えば予算的な考え方をベースに評価するべきではないかという御指摘もいた だいております。親会議では、マンパワーについてもどれぐらいの人間がこれに携わっ たかという視点を持つべきではないかという御指摘をいただき、議論をしていただいた かと思います。これについても正直難しい部分があります。そもそもコストを切り取る こと自身難しい部分がございますが、その限られた現在の制約の中で何ができるのかと いうことについて、もう少しワーキングの皆さん方にも御指摘いただきながら事務局も 知恵を絞ってみたいと思っております。  効率性の2つ目として、定量的な指標をもっと積極的に立てなければいけないのでは ないかというお話。あるいは効率性を比較、評価するのはどういうことかという議論の 中から、結果的に絶対的な基準をもって効率性を評価するのは難しいので、現実的には 同種の施策をする、あるいは一定の前提のもとに立てた理論値と比較して現実がどうで あったか、時系列の中で今年度あるいは当該年度の効率性が上がったのか、落ちたのか ということを見るなど、効率性をどう立てるか、どういう指標ではかるか、と同時に結 果それをどうコメントするのかということについて、知恵を出す必要があるという御指 摘もワーキングでいただいております。  総合的な評価につきましては、実績目標が複数あるもの。先ほどこのペーパーで申し 上げれば3の2つ目のポツでも申し上げました。現在、厚生労働省の評価書、評価体系 そのものが「基本目標→施策目標→実績目標」の体系になってございます。1つの施策 目標に複数の実績目標がぶら下がっているものもあります。そういうものについては最 終的に施策目標単位で評価をするに当たって、ブレークダウンをした実績目標を分けて 頭を整理した上で最終的にどうなのかという総合的な評価を書いた方が、ロジックある いはどういう評価の仕組みだったのか、どういう視点であったのかということとも絡む 話かと思いますが、それがわかりやすいのではないかというお話もございました。  総合的な施策目標評価につきまして、結果的に実績目標の達成水準がどうなのかとい うお話もございました。これにつきましては、この親会議において複数の方から、「そ もそも役所は与えられた課題に頑張っていくが、頑張らなくてもいいことを頑張ったと いうものをどう評価するのかというのがある。逆にやらなければいけないことをやって いないという場合、それをどう評価するかというのも難しい」というお話もございまし た。ワーキングでも、その後どういうふうに議論をするのかいろいろ御議論をいただい ておりまして、1つのものでまとまっているわけではまだありません。これまでのワー キングの議論ではそういうのは個別の実績評価書の中で書くというより、別の指標とい いましょうか、それは別のところでやらなければいけないのではないかというお話もい ただいております。そういうものと絡めて個別の実績施策目標あるいはそれをブレーク ダウンした実績目標についても、達成水準というものの適否という視点からの評価が要 るのではないかという御指摘をいただいております。  その後は形式的な話といいましょうか、書き方の問題で幾つか、ここについては具体 的な御指摘をいただいているところでございます。  その他としまして、私ども今、評価書という形で評価をしております体系が政策評価 法の文言といいましょうか、必要性というもの有効性とか効率性を分けて書いてござい ます。必要性を当事者に書いてもらうということ自体、当事者の仕事ではないのでない か、また当事者が適切に書けるかどうかということについて御議論をいただいておりま す。三菱UFJさんでは、他省庁の政策評価の手法についても横並びで分析をしてアド バイスをいただいております。きれいに書き分けることは総じて難しいようでございま す。このあたりどう扱うかということも施策評価法にありますが、もう少し詰めて考え たいと思います。  最後に評価を踏まえた今後の方向性という形で、それぞれの所管課としての方向性に ついて記載をする形になっております。ある意味でこの予算を充実します、こうします といったある程度方向の見えたものについて書けるものの、とりあえず評価をしてみま したが「今後、考えます」という実態のものについては明確に書いてないといったばら つきがございます。このあたりどうするのかという話についても少し詰めて御議論いた だくことになっております。  いずれにしましても、最後にございます、評価指標と現状を示す参考指標が混在して いるとか、個々の評価書について技術的な実務的な御議論をいただくとともに、今御紹 介させていただきましたように全体としての実務的な検討を通じて政策評価のあり方の 議論、あるいは評価体系について、政策体系についても御議論をいただくワーキングと なってございます。本親会議での議論とワーキングでの議論、それぞれに御報告あるい はそれを踏まえた形での御議論をいただきながら進めさせていただければ、ということ でございます。  それ以外にこの機会に申し上げさせていただきますと、前回のこの親会議において、 例えば政策評価全体について、自己評価というものをやっていくにしても個別の課がや っていることだけでなく、もう少しテーマを絞ってもいいから総合的な、広い仕上がり の、国民の目から見た固まりとしての評価が必要ではないか。あるいは逆にテーマを絞 っていったとしても、とりあえず全体をやらなければいけないということは制約として あるので、重点化した先でわかりやすいものをきちっとやってほしいという御意見もい ただいたと思います。後ほど述べますように、重点化ということを今回掲げさせていた だきながら、19年度の政策体系の見直しを進めていこうと思っております。こういう御 意見は十分、中に織り込みながら進めさせていただきたいと思います。  またこれまで厚生労働省の取り組んできました政策評価について、私ども事務局なり の考え方を御報告したときに、省としてのトップあるいは幹部はどのように認識してい るのか、あるいはその政策評価の結果こうなったということを余り省内から聞かないが という御指摘までもいただいたところでございます。前回の有識者会議からきょうまで の間で、まだすべてやり切っているわけではありませんが、省の幹部などに対して政策 評価の現状でありますとか、この会議でいただいた内容についても御紹介をしながら問 題意識を持つ、という言い方を私が幹部について言うのもおかしいですが、省全体とし てどういうことになっているかということを改めて踏まえるような機会もつくってきて いるところでございます。今後とも有識者会議あるいはワーキングなどで御意見をいた だくことにつきましては、省にフィードバックをする努力を事務局としてさせていただ きたいと思います。  それを踏まえまして資料1−1でございますが、前回お示ししました今後の基本的な 政策評価の見直しの方向について多少手入れをしてございます。特に2枚目でございま す。前回のものに書き込みまして、その後の議論でいただきました内容に基づいて当面 の課題としては3点ほど、「評価書を説明手段として活用する意識・インセンティブの 低さ」、「評価の実施上の構造的問題」、「この会議についてどうするか」を出しまし た。真ん中の「評価の実施上の構造的問題」は、この過程を通じて、19年度からの次期 計画に向けた作業に実質的につなげていくことを意識して、今後とも作業をさせていた だきたいと思います。  大きくワーキングについて、御報告をさせていただきますのは以上でございます。続 けて、資料を紹介させていただきます。  資料2ということで、18年度以降の厚生労働省における重点評価課題(案)を用意して おります。その下には資料3−1、私どもが今基本としております政策評価の基本計画、 これは省として決定をしているものです。次に別紙として政策体系及び評価予定表。3 −2として事後評価の実施に関する計画(案)を用意させていただきました。  3−1から御説明いたします。「政策評価に関する基本計画」が、今の私どもの基本 計画でございます。これが19年度に別紙も含めて見直すに当たって御議論をいただいて いるところでございます。18年度におきましては、試行期間といいましょうか移行期間 でございますので大幅な改定は行っておりません。気持ちを入れたという意味では、3 −1の2ページに「評価の対象を重点化、対象化する」という変更部分にアンダーライ ンを引いております。重点化という方向をある程度明確に出させていただいたというこ とです。  8ページに、社会保険庁につきましては、従来も政策評価という体系とは別に実施庁 としての評価という形で議論を別途させていただいております。その実施庁評価につき ましても、大所高所からこの有識者会議にも結果を御報告するなど、これまでも情報提 供に努めてきたところでございます。指標ですとか具体的な事業の進捗につきましては、 別途社会保険庁の方に、運営評議会という形の有識者の方々に入っていただいた会議も ございます。そのあたりできちっと御議論いただき、そしてまたこちらの方に最終的な 形の御報告をするというつながりを明確にしながら進めさせていただくという意味で、 若干文言、位置づけについて整理をさせていただいております。そのほか幾つか形式的 な、といいましょうか文言整理などを行っております。  いわば全体計画の中で、特に重点的にどういうものをするかというのが資料2でござ います。基本的な考え方として重点化を図らせていただくという形で進めさせていただ くとすれば、何に重点化するのかが議論になるところです。正直私ども省内で詰めたも のではありません。またかつ19年度以降完全にルール化するというより、これまでの議 論を踏まえ、18年度ではこんなことをやってみようかということで(案)としておりま す。  要するに資料2の2つ目の丸にありますように、特に評価のタイミングを見ながら大 きく柱は3本。内閣の重要政策という形で直近の施政方針演説で示されたものなど、内 閣あるいは総務省の方からもこういう考え方が重要ではないかといった御指摘をいただ いております。2つ目に、複数の省庁が関係する政策。3つ目に、厚生労働省としての 制度改正あるいは制度改正に至らないところであっても、国民からの関心の高いものに ついて挙げることが必要ではないかと思っております。  2ページに、今申しました大きなカテゴリーの中で、例えば18年度において総合評価 または事後評価という形で行う重点的な政策評価課題としましては、医療制度改革ある いは最低賃金、能力開発基本計画の策定、均等対策という既に行った総合評価を、その 後どうなったかというのをフォローアップする。例えば労働者派遣事業について大きな 制度改正が今後考えられるのかどうか、そういう議論が今後必要だと思いますので取り 上げていく。あるいは雇用について、総じて改善しているとはいえ、地域的に非常に大 きなアンバランスが出ているというのがつとに指摘されているところです。地域雇用が 今のままでいいのか、これまで何をやってきたのかということについて見直してはどう か。昨年暮れのIT新改革戦略の中で、特に医療、健康、介護、福祉、障害者につきま しては自立支援法のもとに雇用との関係も含めて地域で自立する方々に対してどういう 支援策があるのか、それに対して行政が何をしてきたのかという視点が指摘されている ところです。そういうものをある意味で各部局横断的に、役所的に言いますと手間のか かるところですが、進めさせていただけないかと思っております。  2ページ目の下の方ですが、例えば労働契約についての見直しです。労働時間制度の 見直しといったものについても議論の対象にできないだろうか、重点評価の対象にでき ないだろうかという形で議論を進めているところでございます。  3ページ目ですが、政府全体との取り組みもありますので18年度にやるのか、19年 度にやるのかということを踏まえた上で、18年度は何をするかを整理したいと思いま す。問題意識という意味では、若年・長期失業者についての雇用の問題。人口減少社会 における少子化対策をどう考えるか。実務的には、18年度より感染症の問題、食の安全 の問題、アスベスト、公的年金、確定拠出あり確定給付も企業年金制度についても実績 評価という形で事後評価をしたらどうかといった議論をしております。  2ページ、3ページ、それ以前に書いてございますものは、手法としてこういう課題 をまず省内である程度整理した上で、総合評価という手法を取るのか、あるいは実績評 価の手法を取るのか。そもそも重点評価課題としてどのようにするかといったものに次 いで、評価手法についても議論を詰めてまいりたいと思います。現時点におけるある意 味で評価官室としての(案)ということで考えておりますことを、御紹介し御意見を賜れ ればと思っております。  最後に先ほどごらんいただきました資料3−1の次に「別紙」という比較的分厚い資 料があります。具体的なそれぞれの評価体系、まさに評価体系そのものの見直しは19 年度以降に考えようと思っております。今申し上げました総合的な評価あるいは実績評 価、場合によってはそれとセットとなってのモニタリングという手法を、それぞれの事 項について立てていくことを考えていけば、それに呼応して内容的なもの、今までの記 載内容について形式的な変更をさせていただく予定をしております。  2点ほど例をあげてコメントさせていただきます。35ページ、施策目標8、労働保険 適用徴収業務の適正かつ円滑な実施を図ることという実施施策目標のもとに、8−Iと して、労働保険の適用促進及び労働保険料の適正徴収というものを掲げ、そのもとに実 績目標として労働保険の適用対象事業場を適正に把握し、適用促進を図る。あるいは労 働保険料の適正徴収の確保を図り、労働保険料収納率が前年度以上となることを掲げて、 これまで進めております。その中でも、見え消しにしています労働保険が適用事業場を 適正に把握して、適用促進をちゃんとするというのについては、「新規適用事業場」が 幾つ新たになったか、逆に「適用廃止」で幾つ出ていったかということをもってして、 ある意味で本当に適正に把握されているかどうかということを指標として扱ってまいり ました。改めて全体指標なりが適正かどうかということを、この会議での御指摘も踏ま えて見直しますと本来未適用であって、未手続であって、そこで労働保険が成立したと いうものが本当は必要な指標であって、そういうものをきちっと抑えていくべきではな いかということで改めさせていただく。いわば従来の枠組みは変えませんが、その中で 用います評価指標、目標についてはより適切なものにするという視点から直させていた だこうというものがありました。こういったものがほかにも幾つかあるということです。  ワーキングでもデータについての議論をいただきました。政策評価の指標なり評価書 をきちっとすることによって、業務統計として非常に多くの数値を厚生労働省は把握を しておりますが、こういうデータを取っておかなければいけないのではないか、こうい う部分が把握されていないこと自身が問題でないかという御指摘をいただく、そういう のに我々事務当局として気づかせていただく議論、あるいは気づいていくために政策評 価を使うということも大事だという御指摘をいただいております。この一連のプロセス の中でそういう問題意識を強く持っていきたいと申し添えたいと思います。  長くなりましたが、前回この会議でいただきましてからワーキングでいただいた御議 論を踏まえて、18年度私どもこんなことを事務局としては現時点で考えているというこ とです。今後、省内の調整等で変わることもありますが御紹介させていただきました。 よろしくお願いします。 ○高橋座長  ありがとうございました。私の理解ですと、大きな作業が19年度に待っていると。そ れを踏まえながら18年度に何をするか、そこら辺の整理の議論。とりわけ18年度に新 しい試みをワーキングの議論を踏まえながらやって、19年に持っていくという中での御 議論をきょういただきたいという理解をしました。ワーキングに御参加いただいている 梅田委員、篠原委員から、今の御報告について補足なりコメント等がありましたらよろ しくお願いします。 ○梅田委員  特にありませんが、頭の整理として、評価手法には総合評価と実績評価と事業評価の 3種類があるということです。各省庁が一斉にこの3年間やっているのは、実績評価が メインです。どちらかといいますと、やや実務的なレベルで政府の活動を、有効性、効 率性を評価していくということをやっています。それの改善についてワーキンググルー プでは議論したということです。先ほど、事務局から説明がありました総合評価につい てはまだ検討を行っていません。そこを少し混同して議論すると話がややこしくなりま す。ワーキングでまずそこをやっているということを御理解いただきたいと思います。 ○高橋座長  ということでございます。少し重層的な話になっていますので、整理をしながら御意 見、御質問がありましたらどうぞ。 ○篠原委員   この資料1−1の右に、「評価書の量的膨大さによる徒労感」という言葉があります。 地方公共団体での評価でも、検討していくと、だんだん精密化して評価書が充実してま すます大変な方向に行きます。やはりこういう評価をする場合に、従来の業務にプラス となります。最後の説明にありましたように、自分の行政の必要なデータと評価がかな りダブってきます。その辺の整理をうまくされて、なるべく徒労感をなくしてやる方向 が必要かと思います。  1つは、情報化でコンピュータ化がされていますが、基礎データは自動的に集まるよ うにされているのか、それとも評価ごとに資料をひっくり返してやるのかです。その辺 をすると、基礎データを集めるだけで疲れてしまうのかという気がします。地方公共団 体の評価ではかなりコンピュータ化したシステムができましたが、それほどではなかっ たのかという気がします。そういう意味で、評価の情報化といいますか基礎データを自 動的に集まる仕組みをつくっていただいて、それが最後の説明にありましたようにある 種の有効なものであれば、評価だけでなくいろいろな形で使えます。決して徒労感にな らないだろうと思います。  最近予算化だとか、会計検査院の検査など、国会で問題になっている「やっています」 という基礎データで出せる話になると思います。自己目的でやっているだけでなく将来 だんだん活用されてくるかという気がしていますがどうでしょうか。   ○高橋座長  評価官からコメントをいただけたらと思います。 ○吉田評価官  おっしゃるように評価のための作業というものと、実際日々の行政を行うための作業 が本来は1つなのかもしれませんが、現実必ずしも完全一体化はしておりません。ダブ りを大きくしていくことは、政策評価を何のためにしているかという議論を、省内で、 私どもの位置づけを考え直すことを通じて徹底していけば、ある意味で実際の作業はど れだけ減るかというのと徒労感といいますか、思いとしてどれだけしんどいと思うかと いう2つの部分で、特に後者については減らせるのではないかと思っております。  前者につきましても新たな政策評価作業を通じて、業務把握という手法を改善するこ とになるのだと、一連の作業を通じて私個人で改めて「なるほど」という考えたりある いは気づかせていただいている実感があります。その筋から見れば当たり前だというこ とかもしれませんが、こういうことが順番に省内でふえていけばいいと思っております。  別途、今のIT化等といったものについては、業務・システムを最適化するというコ ンピュータシステムを含めた見直しが政府全体、省全体でも進んでおります。そういう 議論とも絡む、ある意味で霞ヶ関の役人の仕事の仕方の見直しということだと思います。 そういうのにもこの政策評価という作業のプロセスが寄与できる。といいましょうか、 重複していけるように政策評価を担当している私としては、省内の意見を聞きながら進 めたいと思います。 ○安部委員  勘違いした質問をするかもしれません。ワーキンググループで議論されている範囲で す。今、評価官のお話を伺う限り、どちらかというと評価そのものに焦点を置いたよう な気がします。それはそれでいいと思います。ただ評価をするためには、その前に施策 目標をどう立てるかといったところが非常に重要かと思います。例えば先ほど評価官が 出した別紙の35ページですが、施策目標8の8−Iの実績目標というところに2つの項 目があります。上は労働保険の適用対象事業場を適正に把握し適用を促進すること。下 が、労働保険料の適正徴収の確保を図り、労働保険料収納率が前年度以上となること。 この2つは大きく違っているのではないかと思います。下は、数量にコミットメントを している。上はそうではない。ただ、事後的に評価指標が変更された結果、実はこの表 記の仕方も変わっていいはずだと思いますが、それで数量的にコミットメントできると 思うのです。  そういった評価指標の見直しが、例えば実績目標の変更につながるといったフィード バックがどんどんあると思います。そういったところもどういったガイドラインでやっ ていくか、あるいは評価指標の変更、見直しといったものに対するガイドラインも非常 に重要な問題ではないかと思います。これからワーキンググループでどういう話し合い になるかわかりませんが、こういったところについても議論された方がいいのではない かと思います。質問というかコメントです。 ○高橋座長  今のレスポンスをいただけますか。ある程度その議論を含んだ議論が進んでいると私 は理解していますが、いかがでしょう。 ○吉田評価官  座長からお話をいただきましたように、私の言葉が足りなかったかと思いますが、先 ほどごらんいただきました本日の資料の中で、ワーキングのこれまでの進捗状況につい て御報告をさせていただきました。これまでワーキンググループで指摘いただきました 事項についてまとめた資料、政策評価のあり方あるいは政策体系、評価書の様式、評価 指標など項目を立ててございます中に、今阿部委員の問題意識も少なくとも事務局で拝 見している限りでは、委員の皆様方には共有をされていると思います。ただ、手順とし て順番がございます。まずは評価の実務的なところから入って、そういう形に還元して いくという形でワーキングの皆様方には御議論いただけているかと思います。そういう 意味では、5本の柱、評価のあり方、体系の再編、評価書の様式、評価手法、評価書の 記載方法という項目につきましては、最後の評価書の記載方法については既にいただい たワーキング、これがすべて終わったというわけではありませんが、18年度以降の作業 の中にマニュアルですとか所管課に対する徹底という形で、私どもの評価官室でいただ いた御意見を踏まえて対応させていただこうと思っております。評価のあり方あるいは 体系については、年度末作業が終わった次の段階として、ワーキングでは御議論いただ くことにしております。さらに、様式や手法というところになれば、それに続いてとい う形で御議論をいただきます。ある意味で、段階的に委員の皆さん方の御意見もいただ きます。またそのたびにこういう形で親会議でも御議論いただきます。もちろん、委員 の皆さん方だけでなくまず我々役所の人間が汗をかき、知恵を出さなければいけないと 思っておりますので並行して作業を進めさせていただきます。そういう意味では、今い ただきました問題意識に沿ってこれからも取り組ませていただきますし、委員の皆さん 方にもお願いをしたいと思います。 ○堤委員  違う話になりますが、事後評価を政策立案者が自己評価するのはすごく難しいと思い ますが、実際に実績を出すのは実行部隊がやるわけです。そうすると今までの指標の中 で、各実行部隊それは自治体であったり機関、団体であったりするかもしれません。そ のばらつきというのがどうなっているのかさっぱりわからないわけです。それで同じ機 関でもやっているところとやっていないところで差異があると思います。その差異が課 題になるわけです。政策の的確性が欠けていたのかもしれません、地域性の問題、人、 予算の問題、制度、規制の問題がネックになっているかもしれません。その差異を出し ていただかないと、丸まった数字だけでポンと言われて、事後評価というのは難しいと 思うのです。この差異を見たときに、本当に政策がよかったのか、よくなかったのかが もっとはっきり出てくるのではないかと思います。  ましてこれからスリム化や分権化という話が出てきます。こういう政策を出したとき に本当に自治体なり機関なりが、ちゃんと的確にやってくれるかどうかといった受け皿 になるわけです。遠い将来を前提に置いたら、やはりその差異分析をきっちりやること が重要になるのではないかと思います。 ○高橋座長  大変大事な御指摘かと思います。この議論も少しなっています。政策手法ごとにそう いう議論があるだろうということについてお願いします。 ○梅田委員  少し現状といいますか、別に弁解ではありませんがタッチしている立場から状況説明 をさせていただきます。要は、都道府県、政令市、大きな市ではかなり取り組んでいま す。今自治体では小さな市・町では、合併が一段落して取り組み始めたところです。後 4、5年すればかなりの自治体が、別に法律で義務づけられているわけではありません が自主的にこういう制度によくも悪くも取り組むだろうと思います。逆にいいますと、 少なくとも4、5年はかかるだろうということです。  それから国においては3年前に法律ができ、やっと実績評価を2回、3回やっただけ です。だけという言い方はおかしいですが、先ほど御指摘ありましたように目標の設定 の仕方など、今はまだ試行錯誤といいますか登山で言いますと1合目か2合目、3合目 に上ったぐらいのレベルです。当初からわかっていますのは、例えば補助金、交付金の 問題です。連結しないとだめなのです。国と地方が連結決算ではありませんが評価も連 結しないと本当の成果の評価にはならないわけです。もっと言いますと、役所から地域、 住民の民間部門です。そこへの連結も成果を見ようと思うと、補助金を幾ら交付して、 補助金を受けた団体が民間とする場合、そこがどういうふうにやったかというところま で連結していかないといけない、つまり財務と一緒かと思います。御指摘はまさに当た っているわけです。  私が言いたかったのは、時間がかなりかかることは御理解いただきたいということで す。国でもまだ3年目です。データの話も出ましたが、実は評価をやり出すと新しい統 計が要ることになります。つまり価値観が変わるわけです。過去の価値観をあらわして いるのが既存統計と、少し言い過ぎかもしれませんが、そう言えるわけです。新しい価 値観が生まれてくると、新しい統計業務がふえます。これは多分国でも自治体でも行政 の価値観が変われば、新たな統計業務がふえざるを得ません。ですから作業量というジ レンマに陥らざるを得ないのです。  統計そのものの取り方が変わるというところでございます。国のレベルでは今までも 政策議論、大いに法律などつくって制度をつくっているわけですから、統計数字もちろ ん取っています。真剣にやればやるほど新しい統計数字を取らなければいけないという レベルにやっと今来たところです。そういう議論が国でもやっと出たところです。です ので、おっしゃるのはまさに当たっていると思います。国、自治体の連結に至るまでか なり時間がかかるというのが現状です。言いわけではありませんが、そういう方向でも ちろん進めなければいけないと思っています。 ○高橋座長  大分先の峰を見るか、今どこを上っているかという両方の議論をやらなければいけな いということはおっしゃるとおりです。これは森田先生が大分指摘されていたと思いま す。できるだけシンプルにしていく、それから政策評価のことも相当過大な期待という 議論をして、何をするべきか少しターゲッティングをきちんとしながら議論をしろとい うことを強調しながら言っておられたのが大変印象的でございました。そこら辺難しい 議論をしながらということになるかと思っております。 ○堀田委員  まだ頭がまとまっておりませんが、ワーキンググループからいい問題点の御指摘があ りました。これを設けたことは大きな前進だと思っております。18年度の話は実質的に 決まっていて今さらどうこう言ってもと思いますので、少し評価のあり方の基本のこと について話をします。  実際に評価をやって、それが何の役に立つかといいますと、やった政策について1つ は「こんなことはやらなくてもよかったね」といった反省が評価から出てくる。もう1 つは、「ここはもっとやらなければいけなかったのでないか」という反省が出てくる。 3つ目に、「やったことはよかったけれどもやり方が余り上手でなく、もう少し人でも お金もかけずに効果を上げるやり方をするべきであったね」という反省が出てくる。そ ういった点に役立たないと、お金と人手をかけて評価することの意味がなくなってしま うと思います。そう思うのですが、これが難しいのです。実際に会社でも、私のささや かな財団でもやって、次の事業に生かしています。個々の企業などは、日本全体のこと は考えなくてもいいわけです。ところがこれは国ですから、全体でどうあるかというこ とまで考えなければいけない。そこが個々の企業等の評価と違って大変難しいところだ と思います。  それから今の3つの点で役に立たなければやる意味がないと申しましたが、このやり 方はもう少しうまくやれるのではなかったかという反省につながる役立つ評価、これが 一番簡単です。それも難しいことは難しいのですが、実際にやったことで効率的にやっ たかどうかということを見るのは3つの視点の中では簡単です。だからそこから機械的 に入ろうということはよくわかります。その点は大事です。ただこれは危険性がありま す。今まで何度も申し上げておりますが、そのことを100%やることが必要である、100 %うまくやることが、国民にとって最もいいことであるという前提に立って初めてこの やり方にはもっとこういうやり方があったのではないか、もっとこうやるべきではなか ったかという議論になってくるわけです。  しかしながら1つの政策を100%やることがいいかどうかというのは、違う判断が要 ります。例えば「高齢者ができる限り自立し」といった大きな目標を掲げますと、定年 制を廃止して、就業意欲のある高齢者はどんどん雇えという話につながるのですが、そ んなことは現状ではできません。その辺でどういう政策をとるのがベストであるのかと いうそこの抑制判断が必要になってきます。この抑制する判断は、政策目標や基本目標 にも書いていない。別の原理でそこへ抑制が働いてくる。この別の原理が出てくるとこ ろが非常に難しい。この別の原理は、結局どこから出てくるかというと、一番基本の先 ほど申した国としては全体を見て、「これは別にやらなくてもよかったのではないか」 という判断基準、これは高度な政治判断にならざるを得ないのです。そこの判断にかか ってくるから行政がやるこの評価方法の中で、そういう要素を入れることが非常に難し いということにどうしてもなってきます。しかし、これは適正に要するに国民の役に立 つ評価をしようとすれば、どうしても入れざるを得ないのです。そこが非常に難しい。  ワーキンググループの意見の中で、3の評価書の様式の2つ目に、「基本目標→施策 目標→実績目標」に至る説明欄がなくわかりにくいという意見があります。その上の政 策体系の再編では、アクターはだれか等の施策類型を考慮すべきという意見もあります。 いずれも私は賛成ですが、これも非常に難しいことです。そこまでやるべきではなかっ たのではないか、あるいはもっとやるべきだったのではないかという判断とここの議論 とがまさに関連しているといいますか、同じことを議論していると思います。  例えば基本目標から施策目標が出てくる。そしてそこに実績目標が出てくる。そこの 説明をたどろうとするとどうしても全体を考えて、国というのがどれだけすべきなのか ということの判断をせざるを得ない。これはすべての基本目標についてそうです。例え ば上にある「安心、信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること」、 この基本目標から種々の施策目標が出てくるわけです。安心して信頼してかかれる医療 を確保して国民の健康づくりを推進するという基本目標をやるのは国だけでない、地方 自治体も当然やる、企業も、国民自身も、NPOも、お医者さんもやる、あらゆる主体 が安心して信頼できる医療を確保したいと思っているし、国民の健康づくりを実現した いと思っている。その中で国がどれだけの役割を果たすのが適切なのか、そこの分析と 論理づけがないと、基本目標から施策目標が適切に出ているかどうかということが判断 できない。だから全体を見てやるべきかどうかという議論がどうしても避けられない。 そこのところをどうするかという大きな問題が残っているだろうと思います。 ○高橋座長  大変大事な問題を、原理的な問題と言っていいかと思います。御指摘いただきました。 少し意見交換ができたらと思います。 ○稲葉委員  私も全体の感想を述べたいと思います。そもそも政府、官が政策評価を全くこれまで してこなかったというと多分そうではなくて、毎年の予算要求の前にこれまでとってき た政策がどうだったのか、それを踏まえて新しい予算をつくろうというときに政策評価 はされてこられたと思います。それが国会で審議されて予算になって、それで国民の理 解を得られたということでこれまで長い間きていました。しかしそれが国民の目から見 ると、どうも官が自己に有利な評価をして、予算をつけて配分しているのではないか。 官の非効率性とか中がよく見えませんねといった反省から第三者の意見を聞こうとか、 目標を立てるということになってきたのだと思います。その背景には、官は間違わない 「官の無謬性」とよく言います。官がやっていれば絶対間違いないのだからそれに従い なさいと。  もう1つは、ほかの部局に対する批判をしないわけです。同じ厚生労働省でもいろい ろ局がありますが、例えば介護をやっている人たちが年金局を批判するということは雑 談ではありますが公の場ではしない。ほかの部局の人についての批判もしないというこ とです。とにかくつくった予算を何とか国会の議員に説明してうまく通ればいいという ことできたと思います。そういう中で、国民の目が大事だよということと、政策目標を まず立てて、それを数値目標で示して、その結果を数値で示しましょうということでこ の流れが来ていると思います。  先ほどから出ていますが、新しい18年度、19年度で大きく変わろうとしています。 ようやく試行錯誤を経て、形は整ってきましたが中身になると議論が本当にできるのか ということになってしまいます。政策をつくる人が事後評価をする。データの話も出て いましたが、データもその政策をつくる人が取るわけですので、そのあたりのところの 出てきた資料が果たして客観的な指標になるのかどうかという疑問が出ます。そこをワ ーキンググループなりこういう会議で補てんしようということになると思いますが、そ の場合に果たして政策の当局者が自己評価を公平にできるか、あるいは透明性をもって できるかというところが一番ポイントになると思います。  ですから当然自己評価をして自分のやってきたことがバッテンということになれば、 その責任問題と人事評価の問題が出てきます。そこのところどう整理するかというのも 内部では大きな問題になるというのが私の問題です。  それからもう1つは、これから何をするかというので、資料2に労働者派遣事業の見 直しから医療制度、男女均等の見直し、それぞれに相当テーマが大きくてこれをどのよ うにして処理していくのかとなると、こんなにたくさんできるのかという気がしており ます。このテーマを網羅的にやるとなると、恐らく評価の深まりが一定程度でとどまっ てしまうのではないかという気がします。あるいはこれを重点的に、例えば昨年ですと 介護保険が大きな社会的な関心を呼びました。ことしは医療制度改革ですが、それだけ をやるとなると議論は深まるけれども施策全体に広がらないという問題もあります。重 点施策課題についてのテーマ選びみたいなものの工夫をすることも必要ではないかと思 います。  資料2のところで(1)、(2)、(3)とあって内閣の重点政策、複数の省庁という整理でいい と思いますが、これを評価する側、この会議もそうですが、にとって相当テーマを整理 をしないと中途半端に終わってしまって、果たして国民が期待するようなものが提起で きるかどうかの疑問があります。そこをうまく整理をしていただきたいということを申 し上げたいと思います。 ○篠原委員  今稲葉委員が指摘されましたが、データの客観性、公平性、透明性ということでは海 外の先進国では、こういう政策評価に関する監査が導入にされつつありますが、評価結 果をどうのこうのより、決められたとおりにデータを集めて政策目標が有効かどうかと いうことでやります。今後日本も恐らく入ると思いますが、今この段階ですと早すぎて 10年後ぐらいが目標であって、それに対する今は準備だという意味で、いろいろな問題 があるなという前提でやっていかなくてはいけないかと思います。  もう1つ、この評価に対して国民に対する説明責任ということで言っています。もう 1つは、政策、施策、事務事業をワーキンググループでも検討されるようになっている と思います。こういう言い方は悪いと思いますが、従来予算は分捕ってくるものだと、 ところが今の先進国、地方公共団体ですと金がない、この金でやってくださいという方 向になったときに、任された局、部、課が事務事業を幾つかやって、その中で一番有効 なものを選択をせざるを得なくなってくるのではないか。全部というより10億の中でこ っちをやらないと、こっちはできないねという切り捨てをせざるを得ない段階が来るの ではないかという前提で、この政策評価というのは今後そういう形で使われてくるので はないかという気がしています。やはり自己評価も外に対するのが多いと思いますが、 そのうちにどれが本当に効果があるという目で見ざるを得なくなってくると見ています がどうでしょうか。 ○稲葉委員  そうなることを期待していますが、やはり予算をたくさん取ってくる課が評価が高い わけです。これはもうなくてもいいですよというお役人の話を聞いたことがありません。 担当者が去年の予算は100億だったけれど、ことしは102億なった「力がありますね」 というのが評価になっていると思います。そこの評価のシステムを変えて、この政策は 要らないからもうやめましょうと言う官僚の評価がされるようなシステムになるかどう かです。まだ少し時間がかかりそうです。   ○阿部委員   皆さんの意見を聞いていて私もそのとおりだと思っています。ワーキンググループの 出自を見ますと、公認会計士あるいは行政学の先生といった方が多いのではないかと思 います。私は経済学を専門にしております。日本経済学会を春と秋にやっていますが、 そこの中でどういう論文が出てくるか、もちろん理論的なものはありますが実証研究と いったものはすべて政策評価をやっているものです。ただ我々の観点からいいますと、 政策評価をする際にデータがなかなかないというのが問題です。政府の研究会の委員を やった際にマイクロデータ、いわゆる小表をいただいて分析し、かなり詳細な政策評価 を行うことができると自負しております。ところが小表は現在の統計法上、役人しか使 えません。役人以外では政府の研究会、審議会などの委員を務めている方しか使えない。 これ一般公開もされていません。一方ほかの国ではいろいろな条件をもとに、一般とは いえませんが公開されています。それを使って各研究者がさまざまな手法で、さまざま な視点から政策評価を行っております。ここの場の政策評価はこれはこれでいいと思い ます。行政自らが政策評価をするという意味ではいいと思います。  一方、みずからの手でやるのは問題だとか、あるいはさまざまの手法上、例えば先ほ ど梅田委員もおっしゃられていましたが国がやっているだけでは見えない、地方自治体、 地域の人たちがどんなことをやって結果的に最終的な評価ができるのだと言われまし た。そういうことをするためにもやはり統計を人々に使わせて、そこからいろいろな意 見を国でも役所でもいいですが受け入れて、それをさらに政策評価に生かせるか、フィ ードバックにかけるかという視点も非常に重要ではないかと思います。この会議でこう いう議論をしていいのかわかりませんが、外部のいわゆる有識者あるいは学者といった 人たちをうまく活用する、そのために統計をどのような形で渡していくか、見せていく か、公開していくかといったことも今後議論していく必要があるのではないかと思いま す。  実際、先ほど申しましたが多分アメリカ、カナダ、イギリスなどは一般的にマイクロ データを公開して、やりたい人に評価してもらうということをしています。こういった こともこれは10年先の話かもしれませんが、考えておく課題かと思います。 ○高橋座長  今の議論は多分ワーキンググループのプロセスですね。政策評価法に基づく政策評価 のプロセスを少し精査しながら、できるだけ合理的なものにしていこうといった議論を 中心にしながら議論が展開をしているかと思っております。逆に言いますと、政策のコ ンテンツの話が一方であって、これは要するにウルトラスーパー評価者でなければでき ない話です。多分野にわたる。これはある種の競争的にいろいろな形で資源導入しなが らという話になっていくので、そこら辺の分業の話は恐らく議論がもう少し成熟した段 階でいろいろな課題提起ができるのかと理解しています。今までの議論の中で評価官か らレスポンスすることがあればどうぞ。 ○吉田評価官  ありがとうございます。いただきました御意見、例えば堀田委員からお話がありまし たように、基本目標から施策目標に変えるときに、そもそも国が目標の中でどのポジシ ョンを占めるかというところを議論しなければ、あるいは明らかにしないとという御指 摘はそのとおりであります。そこが一番評価という手法からいうと難しい。ただこれは 評価ではなく国の職員という立場に帰れば、それを十分説明しきれずにやっていること に対して国民の皆さん方に理解を求めるのは無理なことです。それが本当に万人に御支 持いただけるかどうかは議論をしていただくにしても、それぞれ仕事をするに当たって こういうところが自分の位置づけだと思うということをどういう形で明らかにしていく のかということは、大きな課題として改めて思いたいと思います。  稲葉委員からありましたように、評価に当たっての文化の部分あるいは無謬性の部分 はそのとおりだと個人的に思っております。その中で実務をさせていただこうと思いま す。若干私の説明に至らないところがあるとすれば、きょう資料2でお諮りした重点評 価課題につきましても、基本的には今の評価法の体系の中で行わせていただく実績評価 であり、事後評価であり、あるいは総合評価です。一義的にはこの枠組みを使って担当 者がみずからやるというのが基本ですから、それぞれ同時並行的に多くの重い課題が進 むことそのとおりだと思います。それをつかさ、つかさがそれぞれ課題を背負ったとこ ろ。逆に言いますと厚生労働省、多くの部局が重い課題を同時に背負って走っていると いう状況をあらわしている部分かとも思います。それをきちっと評価の形でまとめた上 で世の中に問う。この有識者会議の皆様方にもごらんいただく機会を設けるということ だと思います。  その上で、評価につきましては昨年の経験、座長とも御相談をしながら具体的な会議 の持ち方を御相談しなければいけませんが、大きな課題ではなく108の個別の事業実績 について幾つかを選んでこの場で御議論をいただく試みをさせていただきました。あれ がどういうふうにあったのかというのは、委員の皆様方個別にかつて私が伺ったときに も御意見があるようでございますが、少なくともこういう重点評価課題につきましては、 評価の枠組みを御議論いただく、評価のあり方を御議論いただく有識者会議においても 全体的な大所高所からの御議論というのも、この会議の位置づけとして必要ではないか ということを前回の整理の中で申し上げました。  この会議で少し試みにということがあれば、これの中で全部ではありませんが稲葉委 員からも御指摘がありましたように、特に関心の高いもの、必要度の高いもの、特に注 意を有するものについて取り上げていただくことも今後あり得るかと思います。そのタ イミングは、昨年の場合ですと個別の実績評価は8月の概算要求の前にという締め切り がございました。それに合わせて波が来るように作業をお願いしたわけです。ここにご ざいます総合評価等々の手法になりますと、必ずしも来年度の概算要求が即この評価の 締め切りといいましょうか、区切りになるかどうかというところもありますので、タイ ミングも見ながらこの会議としてどのように扱いいただくかの相談をしていきたいと思 います。  まず議論をするにしても、その結果人事ですとか内部のけん制ですとかどのようにつ ながっていくかというところに御関心をお持ちだという御意見もいただきました。我々 も正直厚生労働省1つの問題でなく、もっと大きな話であろうかと思います。そこは政 府全体の動き中できちっと見ていきたいと思います。  最後に阿部委員からございました外部評価も含めて、要するにデータソースといいま しょうか公開するという話はあちこちで御指摘をいただいております。役人がものを言 いますと若干言いわけめきますが、統計法の敷居の中でもかつてに比べれば、例えば厚 生労働省の統計情報部などが集めております統計についてもAさん、Bさんのところは マスキングした上で小表というダイレクトの形ではありませんが、それなりのデータの アクセスしていただける環境をつくりつつあります。実際の実践家の方から御意見を伺 いますと、私は片方で政策研究を担当していますから、やはり使い勝手が悪い、時間が 遅いという声を聞かれます。申請をして提供を受けたデータを研究なり評価を進めてい る間に、もう少しこれをやってみようと思うと、もう一度ゼロに戻ってやり直さなけれ ばいけない、なんとかしてくれないか極めて硬直的だという批判も至るところで聞いて おります。統計審議会など政府全体の取り組みもありましょうし、省としてやれる範囲 でのデータの正式名は忘れましたが、「何とか使用申請及び許可書」みたいな話をなる べく早くに、弾力的にやるという話も改めていただいたということで、担当部局にきち っと伝え何ができるのか努力をお願いしたいと思っております。それも合わせて評価と いうもののベースとして御議論いただければと思います。 ○堀田委員  評価官が最初におっしゃった国の組織自体の基本にかかわることであるということ、 やはりこの評価が一番ベースにありますので、そこをしっかりやってほしいと特にお願 いをしておきたいと思います。重点目標としても内閣の重要施策案にかかわるものとか、 複数省が関係する政策というのは、どうしてもそういう視点がないとやれないものだと 思います。  座長と私がおります分野が同じですから介護保険の例で言いますと、介護保険がスタ ートして、今回の改正で一番反省した点は要支援、要介護Iが広がり過ぎて、介護を受 ける人たちの依存症、甘えを招いてしまったということです。今度の改革でその点を総 和無病性ですから誤りはしませんけれども、違う形でそこのところを外して改めようと しています。介護保険制度が始まって、まもなくこちらの評価委員会も始まりました。 あれを評価という視点から見ますと、介護保険制度が始まってデータを見ていくと「こ こがまずい、依存症を生じている、改めなければいけない」というのが評価委員会で出 てきたのか、少なくともそういう視点があったか、そして今度改正するときにここは制 度のまずかった点だから改めようということは評価委員会で言って、それで改まったの かというと全くそういうことはありません。これは現局がいろいろ調べて、ここがまず いぞと気がついて改めているわけです。だからああいう大きな制度でどこがまずいか。  実は評価委員会がきちんと評価できているかというと、できていません。では我々が まずかったのか、そうではない。自己評価ではありませんが、現局が一番わかっている わけですから、現局がそういう目で改めてくれれば一番いい。またそういうデータも集 めやすいしそういう意思も現局にはあるだろう。それに加えてこの評価委員会で何を言 うかというと、現局はそれに気がつかない、一生懸命に進んでいるということになりが ちです。もう少し別の面、高い面から見て問題提起するということが一番求められてい ることではないかと思います。そのような視点からしても、個々の政策全部に我々の責 任でのめり込んでデータを集めてやるということはできません。そういう大きな視点か ら気づいたところについて言うといった態度しかないのかなという気がいたします。 ○堤委員   政策がたくさん書いてありますが、民間でいきますと政策を出すときに日常業務と重 点業務があります。この中に書いてあるのは、素人が読むとこれは当たり前ではないか と、日常業務ではないかという部分もあるわけです。日常業務は生産性なり効率性をど んどん上げて合理化していくという話だろうと思うのです。重点施策というのは、別に 新しく取り組まなければいけないということで、予算もつけてやるということです。そ の日常業務と重点業務が混在しているのではないか。その辺で今度は3つのスクリーン をやったときに、政策課題が大ざっぱに言うと半分になってしまうのか、どういった感 じでしょうか。 ○吉田評価官  まさに重点評価としての部分と日常業務の部分、率直に言ってきれいに整理ができて いるとは思っておりません。どういう切り口で切り分けていくか評価の手法としての課 題だと思っております。その上で今回1つの試みとして整理をしたのが資料2だとしま すと、別紙に書いてございますのは、それぞれ関連施策目標として4−1−IIとか4− 2−IIに書いております。数を数えますとこの数が分子として、堤委員がおっしゃった 重点だとして、分母が108ということになります。108から比べてこれだけが評価とい う視点で言いいますと重点、もちろん評価を重点的に行ったものでも政策にうまくつな がらない、新規展開につながらない部分もありましょう。堀田委員から御指摘いただき ましたように、評価委員会というよりも、それぞれの審議会なり事業をみかじめていた だいている役所あるいは関係者の方々、専門家の方々からの指摘です。もっと言えば昨 年のアスベストのように、急遽世の中の流れの中で早急に取り組まなければいけない問 題として重点になるもののありますので、必ずしもきれいに仕切れているわけではない というのが実態でございます。あえて幾つぐらいということになれば、ここに書いてご ざいます関連する施策目標という数が分子で分母が108です。それが多いか少ないか、 例えば1つの委員会、ボードでみかじめるにしては多いかもしれないけれども、それぞ れ現局、現課、これだけの大世帯の厚生労働省が仕事をしていく中で、逆に言うと「あ そこは何もないのか、重点が」というのも逆にあって、それがまたそういう見方をする こと自身の是非というのもあろうと思いますが、そういう形ではもう少し私ども整理し なければいけないと思っています。 ○高橋座長  堤委員の御発言に私なりにコメントしますと、多分108は日常業務ではありません。 これがもう重点課題です。日常業務といいますと厚生労働省は膨大にあってどういうふ うに数えたらいいかという世界です。それぐらい厚生労働省はでかいので、それをハン ドリングするのが大変だと。これ企業の場合はかなりそこらへんが特化して重点化して、 業態が多様化しているとはいえ相当絞り込まれています。公共サービスの特性かと思っ ています。そこら辺の問題、なかなか苦労しているところはそういうところなのかと思 っています。いかがでしょう。 ○吉田評価官  今の座長の御指摘で、言葉を足しますと。先ほどの前段の議論のように日常業務とい う意味で言いますと、行政というラインの中でも都道府県あるいは市町村の方々が住民 サービスであるとか、まさにそれぞれの関係者の方々とのやり取りという意味で動いて いる仕事は山のようにあります。もちろんそれも根拠は何かといえば国がつくった法令 であったり、ルールであったら、それに基づく予算、リソースが流れているわけです。 正直それ全部を国の霞ヶ関の人間が日々負っているかというと、先ほどの実施主体とア クターとその国の位置づけの問題に絡む話でして、ある意味で任せている。業務統計だ けある程度いただいているに過ぎない部分もあります。ただ、それがある日突然といい ますか、あるところからその日常業務が政策課題化するという、いわば変局点をうまく とらえているのか、とらえ損なっているか自身が我々問われているところだと思います。 座長がおっしゃられますように、108が日常業務でもないという意味で言えば108も日 常業務をすべてカバーしているわけではないということになりましょう。  では一体厚生労働省として何が日常業務だというと、例えば何とか課何とか担当企画 法令係長の日常業務としては、所管しております法律がこれぐらいあったときで、今意 識しているのは、これと、これと、これぐらいというのがあります。意識していなかっ た法律に対しての解釈なり何なりを示さなければいけないというと、急に意識するのも 実態としてあります。そういう意味で座長からおっしゃっていただいたように、少し事 業体とは違う部分があろうかと思いますが、その中で問題意識として、特にどこを重点 化し、ここはある程度オンゴーイングでいくのかというところを意識する。あるいはそ の切りかえを意識するということについては、御指摘を踏まえて心したいと思います。 ○梅田委員  この有識者会議で議論すべきといいますか問題としては、総合評価方式による評価で す。各省庁とも法律で一応3種類の評価の骨子は決まっていますが、先ほどの実績評価 はある程度よくも悪くもベースというか、それなりの形ができていて後はより改善して いくといいますか、堀田委員が言われたように全体の中での位置づけ、それも当然入る べきですがある程度の限界もあるわけです。総合評価方式に至ってはほとんど試行状態、 最大の課題といいますか、法律で評価方式として実績評価だけではだめだから総合評価 方式を決めましたけれど、全くのフリーというか白紙状態です。ですからいろいろなや り方があります。ある意味では1冊の本ができるくらいの評価書になってもいいくらい の自由度と深みと広がりがあります。  それを実務として、ただここは研究機関ではありませんので行政機関として行う総合 評価なのです。その制約はずっとつきまとっています。実務をやっている中で、総合評 価をいかにやるかというのは各省庁最大の課題といいますか、総務省を含めてあります。 そういう意味では毎回出る全体との問題、政策議論はどちらかというと、この総合評価 の中でかなりきちっとやっていかないといけない部分があると思っています。実績評価 では若干限界が個別具体になりますので当然入れなければいけませんが、ややその辺は 満たないところが出てこざるを得ないと実務的に思います。総合評価は、まさに正面か ら取り組む評価方式です。かつ各省庁模索中といいますか完成本がない状態です。これ を見ていると17年度一応やったのがありますが、公表がされていますか。   ○吉田評価官  すべてではありませんが、まとまったものはホームページなどで公表を逐次これから する。ちょうど法律改正などの関係もありまして、今から順番にといいますか多少やっ たものもございますが、というようなタイミングです。 ○梅田委員  やったものでないと議論できないです。皆さんの意見がまさに、そこでどういう展開 があるかというのは非常に……、今までかみ合わなかった部分が、ここはかみ合わない といけないという部分だと思います。 ○高橋座長  残りの時間、この議論をしていただこうと思っていました。ちょうど梅田委員に御発 言をいただきました。重点評価課題、一応テーマとして御提示をいただきました。ここ について少し具体的にこれからどういう話になるのか、それからここの有識者会議との 関係をどのようにお考えかを補足していただけたらと思います。 ○吉田評価官   資料2で先ほど、今こんなことを考えているということを申し上げました。別紙のと ころ重点評価課題(案)として大きく4つのカテゴリー、それぞれ総合評価方式あるいは 総合評価方式、または実績評価方式ということで18年度に取り組ませていただきます。 形式的に言いますと、繰り返しになりますが資料3−1で御確認いただきました基本計 画などに別紙としてつけて、18年度はこういうことをやるということをある意味で明ら かにした上で取り組ませていただこうと思っております。それぞれ最終的に、それが総 合評価方式になるのか実績評価方式になるのかです。もう1つ言えば今ここで案として 提案させていただいていますので、多少省内の調整なり関係方面との調整で落ちること もあろうかと思いますが、とにかく18年度進めさせていただくということです。梅田委 員からお話がありましたように総合評価がどうあるのかということについては、3枚目 に17年度に行うことにしておりす。あるいは一部行っております総合評価のようなもの も、この会議で次回かいずれ機会をとらえて、御披露しながら評価結果といいましょう か評価の内容についてのコメントをいただくとともに、こういう評価手法が総合手法で いいのか、こんなことを総合評価と銘打つならばチェックするような仕組みにするべき ではないかということも18年度御議論いただく。少なくともきょうお諮りいたしました 各項目については、こういうことを取り組む方向で調整させていただきたいということ です。結果、例えば派遣事業ということになれば、これが総合評価として行われたもの をまた17年度に行ったものと1回おくれで御議論いただくなり、そのときは評価手法と してあるいは評価内容という形でコメントをいただくという機会になろうかと思いま す。  そういう意味では、本日は18年度ではこんなことを考えておりますということです。 例えば、これについてはという御注文があれば今回承って18年度に実施する中で、いわ ば事後行ったものを振り返っていただくだけでなく、心して入れるものは入れて取り組 みたいと思っております。 ○堀田委員  いつも基本的なことを申し上げて申しわけないですが、重点を選ぶ基準ですが別紙の 重点政策課題とあるのを重点評価課題とお変えになった、ここにまさに象徴的にあらわ れていると思います。厚生労働省の政策として重点があるものについて評価しようとい うことなのか、もうその政策としての重点があるかないか関係なく、違う視点でこれを 選ぶのか、その視点が何かということがわからないのです。評価官の説明では1つのモ デルのやり方を全部はやれないから、モデルを選んでしっかりしたやり方を確立したい というようなこともおっしゃったのですが、モデルなら別にモデルになりそうなものを 選べばいいわけです。そういう視点でお選びになったのか、その基本視点を教えていた だけますか。 ○吉田評価官  前段の部分、重点政策か重点評価というところがいかにというお話でございますが、 そこが私どもも率直に申し上げて悩ましいところです。基本は(1)、(2)、(3)特に(3)という 形で厚生労働省として重点的に考える、今後大きな課題なるだろうというものに1つの 節目を評価という切り口からも設けるというのが私どもの基本スタンスです。そういう 意味では重点政策というものを念頭に置いて、重点政策という形でストレスが置かれる ものを評価という意味からも一区切り置こうというのがある意味で基本形でございま す。ただ、役人的に言いますと言葉が気になります。ここにないのは重点政策ではない のか、あるいは重点政策でないものを評価してはいけないのかという話があります。こ こで評価したら逆に重点になるのかと、あらぬという言い方も不穏当かもしれませんが、 議論にならないように評価の切り口で見たときに、1つのウエートを置くべきものとい う意味で集聞をさせていただければ重点評価というものを考えております。意味してい るところ、思いは内閣全体あるいは複数省庁間に次ぐカテゴリーとしては、特に意識し なければいけない重要な政策課題というものとイコールでなくニアリーイコールである という基本でございます。  後段、私の言葉が不適切だったと思いますが、稲葉委員の方から全部を例えば評価委 員会、この場で御披露をしていろいろコメントをいただくということかと思った発言が あったものですから、そこまでこの評価委員会にお時間をいただくことは考えていませ ん。もちろん先ほど来の御議論の中で、過去の評価手法がどうであったかという御議論 をいただく意味からは、どんな評価が総合評価の名のもとに出ているのかもお示ししな いで総合評価のあり方について御議論いただくというのは不適切であろうと思います。 また全部とは言わないけれども、特に国民の目線から評価のあり方あるいは評価結果に ついて御議論をいただくという意味で、この有識者会議でお時間をいただくことをお許 しいただけるとすれば、全部とは言わないけれども特に何かあれば、問題意識の高いも のについてはこういうものを出しましたという御報告の前に、例えば御議論をいただく 機会も考えられるのかという意味で、稲葉委員の御発言を踏まえた中でモデル的にとい う言い方をさせていただきました。意味するところは、ある程度評価手法のあり方とし ては終わったものは御議論いただくべく供します。あるいは18年度の総合評価なりを進 めていくプロセスの途中で、特にというものがあれば、またこの場でも途中経過を御報 告するようなことを考えたいという意味でございました。 ○梅田委員  議論の混乱を避けるための確認です。厚生労働省として18年度に評価をやるものは、 総合評価は毎年やるものでなく、それこそ5年に一度か10年に一度やるもので総合評価 がありますから、まず新しいテーマだろうと思いますのでそう受け止めればいいと思い ます。毎年同じテーマについて、総合評価するのは制度上あり得ません。実績評価はあ る程度画一的にといいますか、全体的にやるのが制度上なっています。一応全部やった わけです。18年度は、ここに書いてあるものだけを重点的に取り組むという意味なのか、 そこのところが少しあいまいです。要するに、有識者会議にかける、かけないという次 元でなく、厚生労働省として18年度やる総合評価はこれを考えているというのはすべて 新規です。実績評価はどう理解すればいいでしょうか。 ○吉田評価官  今整理をしていただいたので答えれば、総合評価についてはおっしゃることです。フ ォローアップというのは、毎年ではないにしても一度やったものはどうだったかという のは後を見るという意味で総合評価に置いてあるのもございますが、基本的に総合評価 というのはそのとき、そのとき、節目を求めたものです。実績評価というのは、それ以 外の108をベースに行わせていただく。ただしその108の中から総合評価化するものも あります。そういうものについてはダブってやるというのもいかがなものかと思ってい ますから、場合によってはモニタリングのような定点観測の数字だけ把握するというも のに整理する。あるいは実績評価の108項目について、基本的にはこの議論にありまし たように全部目くばせをしなさいというのが今の政策評価法の前提ですので、そこから 安易には逃げられませんが、ものによって例えば実績評価の中でもモニタリングですと かある意味でチェックはするけれど、評価書のような形で全部画一的な対応はしないと いうものが幾つかできないか、単純に下がってくる、言葉が不穏当ですが手を抜くとい う意味でなく、片一方でやるべきことをやっているので、こっち側はそれとのバランス で改めさせていただくということは幾つかありますが、108という枠組みは基本的にや るということで考えています。   ○稲葉委員  そうしますと総合評価は新規のものであるということでいいですか、5年に1回とか。 例えば医療などでいきますと、診療報酬改定は2年に1回ずつやります。年金はこれか ら毎年やります。例えば少子化について、これも相当大きな総合評価の対象になると思 うのです。これも毎年その施策が大きく変わったりします。内閣府の新しい大臣ができ ると、例えば出産無料化みたいなことを言い出したり、行政は企業の総合評価と違うと 思います。国というか社会が動いていれば、弾力的に対応するということですから、そ このところの位置づけを新規あるいは5年に1度としてしまうと、少し違うのかなとい う気がしますがそこはどうですか。 ○吉田評価官  今の御質問の中にありますように、前段梅田委員が5年に1度と例示的におっしゃっ たと受け止めましたが、別に5年たたないとやらないという硬直的に考えているもので はありません。今申しましたように、今回重点評価課題として考えておりますのにも、 3つのカテゴリーがあります。極端に言えば稲葉委員が例示として出された少子化は、 毎年、毎年、国の重要課題として施政方針演説の中で触れられると思いますが、一定の ウエートを占めるとか、刻々と変わるような場合に何年という間を置かずにある程度続 けて行うことも場合によっては考えられる。それを排除しているものではありません。  ただ逆に言いますと、重点のものはあれもこれも毎年やるのだということになります と、まためり張りがつきません。それぞれ例示されているものが重要政策という言い方 を普通にイメージすると、そうそう毎年、毎年1丁目1番地が同じものというわけにも いかないので、多少の出入はするだろうということを置いております。逆に「少子化」 みたいなものを、具体的な例として御指摘いただきますとやはり少子化はここ数年ある 程度継続的にストレスを置いて取り組まなければいけない緊急課題、重点課題だろうと いうことにもなろうと思います。そこは5年というものに限りがあるわけではないとい うことを、まず申し上げたい思います。  もう1つ、そういう中で定点観測という言い方がいいか、重点施策目標といいましょ うか、実績評価いたしますのも108と今申しておりますが多少組みかえてまいりますの で、目標数108がいつまでも同じものではありません。それからモニタリングみたいな もっとウオッチするというものを、バランスよく重点化という言葉の中で私どもは受け 止めていきたいと思っています。 ○阿部委員  また勘違いのコメントになるかもしれません。実は厚生労働省は、2つの白書をお書 きになっていると思います。この白書は、ある種の総合評価をされているのではないか と思います。そのところに今後の総合評価方式のやり方というものに種があるのではな いかと思います。実績評価はこれでいいとしても総合評価は、どちらかというと白書の ようなものが望ましいのではないかと思います。白書も、例えば労働経済白書というの でしょうか、労働市場が現状どうなっていて、それに対して政策がこんなことが行われ ました。その結果どういう効果がありましたというのを毎年、毎年お書きになっている と思います。あれこそ総合評価ではないかと思います。  ただそれを今回のように重点評価課題というように、個々の柱に下ろしていったとき どういう評価をされるかというのは、まだまだ研究をする余地があると思います。梅田 委員がここは研究機関ではないということをおっしゃいました。 ○梅田委員  やるのは厚生労働省で、それは。 ○阿部委員  ではないとおっしゃいました。実際には白書は相当レベルの高い研究所ですから、あ のようなことはできると思っております。 ○高橋座長  ちょうど吉田評価官は、白書も所管していらっしゃいます。 ○稲葉委員  私は白書は毎年読んでいますが、これをこういう現状でこういうことをやりましたと いうところまではものすごく緻密に書いていますけれど、それを評価する段階のところ は非常に甘いです。それは自己評価ですから、そこのところは先生がおっしゃる意味で 評価書になっていないと、白書はあくまでも現状報告とそれに伴う結果は出ていますが、 この評価はないというふうにいつも受け止めています。 ○阿部委員  いやそれは、多分自前では評価できないと思います。ですから自前での評価と外部の 評価を組み合わせて評価をするというのが最も望ましいと思うのです。ただ、ここでは 自前の評価についてお話をしているので、自前の評価である総合評価方式であるなら白 書があるのではないかということです。プラスやはり外部評価はどうしても必要だと思 います。                                          ○梅田委員  追加させていただきます。御両人の発言はおもしろいというか、まず評価は白書を排 除しているものではないです。白書というのは、伝統的な様式としてずっと綿々とこれ からも続くわけですから、それはそれとしての機能もあります。今回、法律ができて総 合評価という一応白書の延長線上みたいなというか、白書の中でも特定の分野を取り扱 って政策評価法の中で総合評価をやりなさいということを法律で義務づけるというか、 書いたからこそ稲葉委員がおっしゃったような現実も若干あります。ダブっている部分 もありますが、白書とは違う総合評価をいかにやるかというのがまさに今各省庁が試行 錯誤しているところです。そこが難しいということです。  もう1つは、外部評価をまた排除しているものではない。特に実績評価でも外部評価 を排除しているものでは基本的にありません。つまり外部評価者によるいろいろなデー タをそこへ使うということを別に排除しているものではないけれど、実績評価は行政機 関が行う。その行政機関の責任において行って発表している。その評価の過程の中へ外 部の分析者を導入して、その結果を入れるということは自由ということになっています。 ということを御理解いただきたいと思います。  それと総合評価においては、研究者による研究成果というのを導入すべき範囲は実績 評価よりも多くなると一般的には予想されています。行政機関だけではなかなか総合評 価ができませんので、実績評価よりは、かなり外部の研究者を含めて分析結果を導入し なければいけない。入れない限り総合評価になり得ないということになっているという ことです。 ○高橋座長  私の理解としては、やはり政策評価法に基づく評価の仕組みを。有識者の立場からど う厚生労働省がやっている実績評価を中心に改善をしていくかということについてアド バイスをするか。これが多分有識者会議の第1のミッションだと思います。にもかかわ らず常に評価というのは、きょう出てきたように常に外部評価とかあるいは政策判断と 合わせた評価が出てくる、そことの往復運動をやりながらということにならざるを得な いというのは、そういうことかなと私も理解をしております。しかしながら、焦点は政 策評価法に基づく自己評価のクオリティを高める。とりわけプロセスだと思うのです。 プロセスをきちんとやっていただくという形で改善をする。  それからもう1つはこれが公表されるということもありまして、アカウントアビリテ ィの関係で言えば、きちんと国民に理解をしていただける簡明でわかりやすいものをつ くっていただく方向で、できるだけ改善努力をしていただく。まさに、お話は先ほどの 2合目が大変印象深くて、まだ政策評価というのは成熟しておりません。そうするとど うしても2合目の議論と、はるかかなたの山の話がいつも交錯しながら出てこざるを得 ないという、その中でやはりいろいろな形で多面的に行きつ戻りつしながら議論をして いかざるを得ないのかなというのがきょうの議論の結論かと思っています。いかがでし ょうか。 ○堀田委員  厚生労働省で考えておられる総合評価と実績評価の理解をしたいので質問をします。 資料2の別紙のところで、いろいろな政策を区分けされています。「総合評価方式によ る事後評価」、それから中ほどに「総合評価方式または実績評価方式による事後評価」 と、3ページに「実績評価方式による事後評価」、それぞれ対象を分けておられます。 これはどういう基準でこれらの政策をこのように区分けされたのか、その区分けの基準 を簡明に教えていただくとわかりやすい。 ○吉田評価官  いろいろと悩ましく複合要因ですが、簡明にということで端的にお答えするのに努力 をすれば、先ほど梅田委員もおっしゃいましたように、特に総合評価という場合は審議 会、検討会ですとか外部の方々も一緒に入ったプロセスの中で、これまでの施策事業を どのように評価するかというものを、複眼的にという言い方がいいのか、やった結果が ある程度世の中に出て行く。実績評価というのは比較的数字と担当者が向き合いながら 組織の中で議論をしていくというのが多いのかとあえて申し上げれば、そのようなこと を念頭に置いて区分けをしております。 ○高橋座長  17年度については、次回また総合評価方式のここにある御説明があるものだと思われ ますので、そこでまた深めていただくということでいかがでしょうか。とりあえずこう いう案が出ているということを了解をしたということで整理をさせていただきたいと思 います。  時間でございますので、今後の進め方、ワーキンググループ等の進捗状況、これから の予定も含めまして事務局の方からお願いします。 ○吉田評価官  ありがとうございました。この会議そのものは、「総合評価はどんなことをやってい るのだ」という御指摘もございましたので、そのあたりの事実関係を含め、また18年度 に17年度の事業評価を行います。実績評価マターでございますが、概算要求につなげて いくこともございますので、17年度の事業をどのように年度の実績として考えているの かということを御報告するような機会というものも考えなければいけない。7月、8月 になろうかと思いますが、ここのところ立て続けに頻度高く議論をお願いしました。な るべく効率的にうまく事前の資料提供など含めて調整をさせていただき、お願いをした いと思っております。  それまでの間には、ワーキングの会議での状況を御報告させていただきました中に、 いよいよ政策体系ですとか、政策評価をどう位置づけていくかという御議論も、ワーキ ングとして議論を積み重ねていただければと思います。その議論状況についてもお諮り をして、この場でいろいろな形で御議論をいただく。そういう意味ではワーキングでの 報告、それからきょう出ました総合評価がどうなっているのか、それと19年度概算要求 なども念頭に置いた17年度の実績評価ということについて御報告あるいは御議論をい ただく機会をやりたいと思います。大変暑い時期でもありますので、なるべく早くに皆 さん方のスイートポイントをいただき、御出席いただける形でスケジューリングをして まいりたいと思っております。よろしくお願いします。 ○高橋座長  ありがとうございました。ワーキングはなお、4月続くということで適宜御報告をい ただくような形でよろしくお願いします。きょうもワーキングにとっても参考になる意 見をちょうだいした気がいたします。今後とも引き続きよろしくお願いいたします。ど うもありがとうございました。 (終了) (照会先)  政策統括官付政策評価官室政策評価第2係  電話:03−5253−1111(内線7780) - 1 -