05/03/17 第3回政策評価に関する有識者会議             第3回政策評価に関する有識者会議 日時 :平成17年3月17日(木)15:00〜17:00 場所 :厚生労働省省議室(9階) 参集者:(五十音順、敬称略)     阿部 正浩、稲葉 康生、梅田 次郎、篠原 榮一、高橋 紘士、田村 誠、     堤 東太郎、野川 忍、堀田 力、森田 朗、渡辺 正太郎 ○高橋座長  若干時間が回りましたけれども、委員の皆様おそろいでございますので、第3回政策 評価に関する有識者会議を始めさせていただきます。大変お足元の悪い中を御出席いた だき、今日は全員の御出席をいただけたということでございまして、本当にありがとう ございます。  それでは初めに、井口政策統括官よりごあいさつをよろしくお願いいたします。 ○井口政策統括官  昨年の7月に社保障担当の政策統括官に就任いたしました井口でございます。よろし くお願い申し上げます。本日は皆様、大変御多忙中のところを、本政策評価に関する有 識者会議に御参集いただきまして、誠にありがとうございます。  御案内のとおり、政策評価制度につきましては、平成14年4月から全省庁で実施され ておりますが、厚生労働省におきましても、これまで主に夏の予算要求の時期に合わせ まして、政策評価を行ってきたところでございます。その後3年間ほど、政策評価の実 績が出てまいりましたので、それを踏まえまして、政府部内で政策評価制度の改善策と いうものの検討が行われております。また同時に、経済財政諮問会議の方からは、特に 総務省と財務省に対しまして、政策評価と予算査定の連携がよりなされるような取り組 みをせいと、こういうようなことで、この6月に予定されておりますが、いわゆる「骨 太の方針2005」の中でその具体的な中身について検討し、示せと、こんなような御依頼 をいただいておるところでございます。  このような状況を踏まえまして、私どもの厚生労働省といたしましても、来年度より 政策の企画立案、それと予算編成というものに、政策評価の結果がこれまで以上に反映 されるような仕組みを講じていきたいと考えております。そのため、今年は概算要求が まとまります8月もしくは9月に、大変恐縮でございますが、その結果をこの有識者会 議の皆様方にも御報告をいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げたいと存 じます。具体的な改善方法につきましては、後ほど資料で御説明をいたしたいと存じま すが、委員の皆様方におかれましては、厚生労働省の政策評価制度をより一層よいもの にしていただくという観点から、お気づきの点等につきまして率直な御意見をいただけ れば大変ありがたいと考えております。この場をお借りいたしましてよろしくお願いを し、ごあいさつにかえさせていただきたいと存じます。よろしくお願いを申し上げま す。 ○高橋座長  どうもありがとうございました。それでは、今日どんなことをやるかということで、 本日の議事についての説明を事務局の方よりお願いをいたします。 ○岩渕政策評価官  昨年7月より、政策評価官を務めております岩渕でございます。どうぞよろしくお願 い申し上げます。座って説明させていただきます。  本日の議題の(1)は厚生労働省における政策評価の取組の現状についてでございま す。用意しております資料1と参考資料の1系列でございますが、これに基づきまし て、政策評価の仕組み、現在の実施状況、それから3年度目が終わったところでござい ますが、これまでの改善点などを織りまぜながら御報告をさせていただきたいと思いま す。  議題(2)でございますが、平成17年度の厚生労働省のおける政策評価の改善方策に ついてということでございます。資料2以降になりますが、先ほど井口統括官のごあい さつの中でも触れておりましたけれども、政策評価制度は全般に今見直しの動きがござ いまして、そういった状況、あるいは当省における政策評価の課題を踏まえました、平 成17年度の改善方策案を御説明申し上げたいと存じます。改善方策案、最終的には省内 の政策評価の基本計画・実施計画の改正ということになるわけでございますが、そうい ったことを御説明申し上げまして、御意見をちょうだいできればと存じております。  それから、昨年度UFJ総合研究所に委託調査をしてもらいまして、「都道府県の政 策評価の施策への反映状況等に係る実態調査」というものを、前回の会議の際に御紹介 させていただいたところでございますが、その報告書がまとまりましたので、本日御参 考までに机上に配付しているところでございます。  本日の議事は以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○高橋座長  資料の御確認もあわせてお願いして、もし欠けるところがございましたら事務局の方 にお申し出をいただくことで、それでは議題(1)ということで、厚生労働省における 政策評価の取組の現状について、御説明をよろしくお願いいたします。 ○岩渕政策評価官  それでは、お手元の資料1をごらんいただきたいと存じます。「厚生労働省における 政策評価の取組の現状」となっております。  おめくりをいただきまして、まず政策評価の仕組みでございますが、これは政策評価 法、いわゆる行政機関が行う政策の評価に関する法律が、平成14年4月に施行いたしま して、そこから実施をしてきているわけでございます。具体的な進め方につきまして は、政策評価に関する基本方針という閣議決定がございまして、これを受けて当省では 「厚生労働省における政策評価に関する基本計画」というものをつくりまして、これに 基づき実施しているというところでございます。  基本計画では、評価の目的・観点、政策効果の把握の手法、事前評価及び事後評価の 対象とする政策など、評価の実施に関する基本的事項が書いてあるわけでございます。 この基本計画の別紙として、当省における事後評価の対象とする施策目標の体系という ものを定めておりまして、これに基づいて実施しております。また、評価予定表でスケ ジュールも定めています。  「政策体系」につきましては、参考資料1−1という1枚紙の、このような体裁の紙 をつけております。省全体としては12の基本目標を設定しておりまして、基本目標1が 「安心・信頼してかかれる医療の確保と国民の健康づくりを推進すること」、2が「安 心・快適な生活環境づくりを衛生的観点から推進すること」、3が「労働者が安心して 快適に働くことができる環境を整備すること」、4が「経済・社会の変化に伴い多様な 働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること」ということでご ざいまして、以下12の基本目標を設定しております。そして、この基本目標の中はさら に施策目標という単位で分かれておりまして、ここでは便宜的に基本目標1の中の施策 目標5という部分だけ抜いております。施策目標で、「感染症など健康を脅かす疾病を 予防・防止するとともに、感染者等に必要な医療等を確保すること」となっているわけ でございまして、さらに細かい項目といたしまして、ここに書いてあるような各項目を 掲げておるということでございます。この施策目標単位で数えますと144になっており ます。したがいまして、実績評価をいたしますとモニタリングを含めまして144の評価 書がまとめられるということで、今実施をしてきておるところでございます。  政策体系の説明にそれてしまいましたが、最初の資料に戻っていただけますでしょう か。以上が基本計画でございます。計画期間は5年間ということで、今実施していると ころでございます。  2ページに参りまして、評価の種類でございますが、事前評価につきましては事業評 価方式という方式をとっております。政策評価法で、公共事業等について義務づけられ ているものがあるわけでございますが、そのほかに新規要求事業については概算要求を 行う前に事前評価を行いまして、この評価書を公表するということをしております。対 象は、新規事業で重点的な施策又は10億円以上の費用を要することが見込まれるものと いうことでございます。平成17年度予算でいいますと35件、事前評価を実施いたしまし た。それから、その下に米印がついておりますが、新しい要素といたしまして、事業で はないのですが、規制についても事前評価をすべしという考え方がございます。これに ついては評価手法が政府全体としてまだ開発されていない段階なので、試行的にそれぞ れの省庁でやってみなさい、並行して総務省の方でも評価手法を研究するというような ことになっておりまして、今年度からこの規制影響分析というものも試行的に実施する ということになっています。まだ、実質的な評価書はまとまっておりませんが、今年度 着手ということであります。以上が事前評価であります。  それから事後評価であります。これは年度終了後に振り返って評価をするわけでござ います。最初の○に書いてございますのは、厚生労働行政全般について、基本計画の政 策体系に掲げる施策目標の事後評価を実施するということで、先ほど御説明いたしまし た144の評価書が、平成16年度には出されてまとめられているわけでございます。物に よりましては評価書という形ではなくて、指標のモニターということで、モニタリング という形で行っているものもございます。2つ目の○になりますが、各行政分野におけ る計画等の改定や法律改正など、主要な制度の変更を伴う場合には、総合評価方式によ る事後評価を実施ということでございまして、制度の改正の背景、そしてそれについて の過去の意見等を整理して、総合評価書という形でなっております。後ほど具体例は御 説明申し上げますが、そういう総合評価方式というものも実施しております。直近です と、今国会に介護保険の改正法案を出しておりますので、この介護保険の制度改正に先 立ちまして評価書をまとめて公表しておるわけでございます。  評価のサイクルといたしましては、この評価結果を予算要求や制度見直しなどの政策 に反映するということで、予算の関係では予算要求の締め切りの8月末までということ です。制度見直しということでいいますと、直近の介護保険の例ですと、国会に法律案 を提出する段階で評価書の公表というようなことになりました。  3ページをめくっていただきまして、これは先ほど申し上げたことの若干繰り返しに なってしまいますが、事後評価は施策目標単位で評価書をまとめて行っております。事 前評価につきましては、先ほど新規事業について行うと申し上げましたが、ここに書い てございますような、個別の事業単位で評価書をまとめているということの御説明でご ざいます。  4ページをおめくりいただきたいと思います。「政策評価の実施サイクル」というこ とでございます。この表の左上のところを見ていただきますと、「有識者会議の助言」 と書かせていただきましたが、こちらでの御意見に基づきまして、年度末までに翌年度 に向けた基本計画・実施計画の策定をいたします。この中でテーマの選定や、評価手法 の検討・分析に基づいて決定するということでございます。それで4月からスタートい たしまして、4月以降、ちょうど翌年度に向けまして予算編成の作業が本格化してまい りますので、ここと連携をしながら進めてまいりまして、7・8月の時期に評価結果を 取りまとめて公表をしておるわけでございます。そして、この評価結果を受けまして、 8月に概算要求を行うということでありまして、さらにそれが予算として認められて、 政策の実施に至ると。また、その実績を翌年度評価する、というサイクルで進めておる ところでございます。  5ページに参りますと、「有識者の知見の活用」ということでございまして、「政策 評価に関する有識者会議」を平成15年度から開催しているところでございます。有識者 会議では、これまで基本計画・実施計画の策定など評価活動全般にわたる基本的事項の ほか、具体的な評価手法などについて御意見を賜っているところでございます。政策評 価の制度自体は、政策評価法で定めておりますところでは、行政機関がみずから政策の 効果を踏まえて評価を行うという、自己評価というのが制度の仕組みですが、この自己 評価を行うに当たって客観性、あるいは厳格性を担保する上で、政策の特性に応じて学 識経験者の知見を活用するということが、政策評価法にうたわれておるわけでございま して、そういった考え方でこの有識者会議での御審議をお願いしているところでござい ます。  さらには6ページになりまして、同じ「有識者の知見の活用」でございますが、個別 の評価書につきましても、これはそれぞれの専門の審議会の御意見を使うことが多いわ けでございますが、「学識経験を有する者の知見の活用に関する事項」というものを盛 り込むという形で取り組んでおります。  7ページに参りまして、「政策評価のこれまでの改善点」であります。まず、実績評 価書の評価結果をなるべくわかりやすく示すという観点から、分類表示を2つしており まして、一つは目標の達成度合いというものを3段階で分類しております。「目標を達 成した」「目標をほぼ達成した」「達成に向けて進展があった」という3段階の分類で ありまして、今年度実施した結果でございますと、「達成した」が5、「目標をほぼ達 成した」が26、「達成に向けて進展があった」が77ということで、全般的には必ずしも 達成状況は思わしくないという評価結果になっております。  もう一つは、実績評価書の分析方法の分類で、具体的な数値等に基づいて評価を行う わけですが、「分析が的確に行われている」「分析がおおむね的確に行われている」 「分析があまり的確でない」ということを3段階で示しておりまして、こちらの方は 「分析が的確に行われている」が8、「分析がおおむね的確に行われている」が88、 「分析があまり的確でない」が12というような結果でございました。  これまでの改善点の2点目といたしまして、8ページでございますが、評価書の公表 時期の早期化ということで、初年度は11月に公表、翌年度は8月29日公表、一部遅れた ものもございます。平成16年度につきましては、7月と8月の2段階に分けて公表とい うことで実施をしておるわけでございます。  9ページでございますが、事業評価書の事後検証のための仕組みの確立ということを いたしました。これは、事業評価方式で予算要求をする前に事前評価を行っているわけ ですが、その結果がどうなったかということをきちんと評価しなくてはいかんというこ とで、一定期間経過後、これは3年というふうにしておりますが、3年たった後、この 事前評価したものをまたもう一度事後評価をするという、そういう仕組みにしておりま す。  4点目が、総合評価方式の在り方の見直しということでありまして、総合評価書につ きましては、従来、対象となる計画等の改定や法律改正などの内容の決定に合わせて実 施・公表するということで、すべて決まった後で振り返って評価書をまとめるようなこ とであったわけですが、国民に対してできるだけ早期に政策に係る問題点等を提示する という目的で、より早期の段階で評価を実施・公表する。そしてさらに、後日そのフォ ローアップをするということで、仕組みを変えたわけでございます。実は今年実施した ものもあまり早くはなっておりませんで、先ほど申し上げたようなタイミングの公表と いうことになっておりますが、今後こういった方針に沿って、より早期化してまいりた いと考えております。  10ページにつきましては、規制影響分析の試行的実施ということであります。これは 先ほど御説明したとおりです。まだ実績が上がっていないのですが、法律の改廃、ある いは政令の改廃などによって規制がつくられる場合に、その影響について事前に分析を して評価をするという試行に着手したところでございます。  以上が政策評価の取組の現状でございますが、続きまして、平成16年度に、実際どん なふうに実施しているかということの概況を御説明申し上げたいと思います。 ○政策評価官室山本室長補佐  室長補佐の山本でございます。簡単に御説明いたします。  まず参考資料1−2というのをごらんいただきたいと思いますが、今年度の「事前評 価の実施状況」を簡単にまとめたものでございます。先ほど御説明がございましたよう に、事前評価で今年度実施したものは合計35件でございます。  参考資料1−2をはぐっていただきますと、代表的な例として事例を2つおつけいた しましております。これが評価書そのものということになるわけであります。事業評価 書につきましては、事業を実際にまだ実施していないということもありまして、まず現 状の問題を分析した結果、その事業の必要性、有効性、効率性を事前に評価するという 形でつくられておるわけであります。  この事例1で申し上げますと、現状分析が1ページの下半分に書いてあるわけです が、障害者施策の中で、地域生活において就業は欠かせない要素であるという問題分析 をした上で、問題点としまして小規模作業所の実態が多様であることから、授産施設等 の福祉施設の体系をその機能に着目して見直す、というふうな問題意識を持って分析し たということになっておるわけであります。その後、この事業の評価としまして、まず 必要性につきまして、公益性の有無、国で行う必要性の有無、民営化や外部委託の可否 等々分析いたしまして、おおむね必要であるというふうなことを言っておるわけであり ます。有効性につきまして、政策効果が発現する経路、今後見込まれる効果などにつき ましても、一定の効果が見込めるのではないかということで評価をいたしておるという ことであります。効率性につきましては、手段の適正性、費用と効果の関係に関する評 価などを行っておるところであります。全体の評価としましては必要な事業であろうと いうことで、全体的に予算要求に反映させるということになっておるわけであります。  それで、全体の様子というのを9ページ以下におつけしておるわけであります。今申 し上げたような評価書が合計35件につきましてつくられておるわけでありまして、この 35件全部につきまして、ある一定の事業の必要性が認められるということで、平成17年 度概算要求に反映させるというような状況になっておるわけであります。以上が事前評 価の概要でございます。  次に参考資料1−3、こちらは「事後評価の実施状況」ということになっておりま す。こちらも、最初に事例1でその実績評価をおつけしております。7ページ以下、事 例2と3と4につきましては、総合評価の総合評価書そのものをおつけしておるところ であります。総合評価書につきましては、先ほどの説明にもございましたように、従 前、昨年度までは制度の改廃の検討がすべて終わってから、改めて振り返って、全体的 にどうであったかというような評価を行う、いわゆる旧方式というやり方でやっておっ たわけですが、この有識者会議などでも、それではちょっと遅いのではないかという意 見でありますとか、審議会の答申をそのままなぞるだけではないかというような御指摘 がありましたことも踏まえまして、事例3と4におつけしておりますが、新方式、ある 程度早い時期に評価を行って、問題点を国民に明らかにした上で、事後的にフォローア ップを行うというもので、そういう方式というのをつくったわけでございます。ちょう ど事例3と4はその新方式での総合評価書でございまして、事例3が介護保険制度の関 係で、事例4が障害者対策ということでまとめておるものであります。  それから全体の姿は42ページ以下におつけしておりますが、今年度実績評価書として 取りまとめましたのは、144の施策目標の中で108件ということになっております。それ ぞれがその評価書をつくっておるわけですが、大部になりますので、42ページ以下では その概要ということでおつけしておるわけであります。事後評価については簡単ですが 以上でございます。  次に参考資料1−4でございます。今年度から規制の新設に伴いまして、規制影響分 析というものを試行しようということになっておりまして、その試行の様式を資料とし ておつけしておるものでございます。試行を開始したのが年明け早々ということもござ いまして、まだ実際の事例というのが出てきてはないですが、イメージとしましてはこ この様式におつけしておるように、選択肢を幾つか示した上で期待される効果、あるい は想定される負担というものを比較して、全体的にどうなのかというような評価を行う 予定にしておるわけであります。  次に参考資料1−5でございます。1−5は少し性格が違うものでありますが、政策 評価と類似の評価のやり方として、実施庁の評価というものがございます。これは、施 策の実施に当たる機関というのを本省から切り離して、実施庁ということで設けている 場合がございます。厚生労働省で申し上げますと社会保険庁に当たるわけですが、実施 庁の評価を本省が目標を示して、その目標に対してどのくらい達成されたかというふう な評価を行うという仕組みになっておりまして、今年度、社会保険庁の評価を行ったと いうものでございます。御案内のとおり、社会保険庁の状況につきましては、年金改革 法の審議のときぐらいから、さまざまな問題というのが指摘されておりましたので、そ のような御批判であるとか、あるいは今年度社会保険庁におきまして「緊急対応プログ ラム」ということで、今後取り組むべき課題というのをつくったりしたところでありま すので、そういう状況も踏まえまして今年度の評価を行ったというような状況でありま す。  簡単でございますが、今年度の実績については以上です。 ○高橋座長  ありがとうございました。1回目から思っておりますが、大変多様な領域で、厚生労 働省は特にそうかと思いますが、政策評価法に基づきます評価ということで、どういう ことをやっているかについて、膨大な資料の中からかいつまんで御紹介をいただきまし た。なかなか全体像の理解は、テーマの多様性もあって難しいなと思いつつ、なるほど と思いながら聞いていたのですが、まずは厚生労働省における政策評価の取組につい て、今の御報告を踏まえながら、この会議は個々の政策評価というのではなく、評価の 在り方全体についてアドバイスをするのが役割だと承っておりますので、そんな視点か らそれぞれのお立場で御質疑をお願いできたらと思います。いかがでございましょう か。  基本的にはこの政策評価の結果は、厚生労働省のホームページで公開をしているとい うことになりますか。 ○岩渕政策評価官  はい。ホームページ上で公開しています。事前にその要旨についてはプレスの方にも 配布しておりますが、評価書そのものは大部になりますので、ホームページ上で手に入 れていただくような形になっています。 ○高橋座長  ということだそうでございます。はい、どうぞ。 ○梅田委員  参考資料1−2、事前評価で事例が1、2と出されていますが、事例2の場合は事業 の目標のところに一応目標の数値的なものが入っているのですが、事例1の場合は入っ ていません。本来は入るべきだと思いますが、入っていないのも結構あるのでしょう か。 ○高橋座長  そうですね。(4)事業の目標のアウトカム指標のところで、目標値/基準値という ところが空欄になっている。これに対して6ページの、これはマンモグラフィの話です が、これは数値が入っている。そこら辺の事情についての御質問でございますが、いか がでございましょうか。 ○岩渕政策評価官  数値目標を極力設定するという方針で臨んでいるのですが、実際には数値目標を定め ているものの方がかなり少なくなっているわけでして、一つはどういう指標でまずその 実績を見ていくかということを数値化するというのがあるんですけれども、それを決め たとしても、ターゲットとして幾つをクリアすればいいかという目標設定が、なかなか できない分野が多ございます。  この資料でいいますと、資料2−2というものがございまして、例えばの御説明にな ってしまいますが15ページをお開きいただきたいと思います。この基本目標1の施策目 標1という最初の部分ですね。ここで例えば「地域において適切かつ効率的に医療を提 供できる体制を整備すること」という施策目標がございまして、その下に「日常生活圏 の中で必要な医療が提供できる体制を整備すること」とございます。それで実績目標と して、「医療計画に基づき医療機関を整備すること」「へき地保健医療対策を推進する こと」としてございまして、評価するときの指標としては、「病床不足地域の数」「無 医地区の数」というもので評価をしていくことがうたわれているわけですが、その場合 にそれでは病床不足地域の数を幾つにしようとするのか、それから無医地区の数を幾つ にしようとするのかということ。本来そこを設定して目標ということになると思います が、なかなかそこを決めることが難しいという面がございまして、この場合には結局そ ういった数値的な目標は設定されていないということになります。   ○梅田委員  難しさはわかるんですけれども、今後の努力目標というのは入れるようにしないと。 空白でもいいということでずっと流していくのでしょうか。 ○高橋座長  これはなかなか難問というか、逆に言うと、数値目標が比較的なじむ行政領域と、な じむはずなのだけれども開発が進んでいない領域と。数値目標というのはそもそも理論 的、それからそれぞれの政策のバックグラウンドの状況もあろうかと思います。それと あとは評価論の問題と手法の問題と、そこの両方があって、そこら辺はどういうふうに 考えたらいいか。これはぜひここでも少し意見交換をすべき課題かなと思いますが、大 変重要な御質問をいただきましたが、どうぞそれぞれのお立場から何か意見を。どう ぞ、堤委員。 ○堤委員  評価のところで、言葉の最後の方を見ると、みんな「進展している」「進んでいる」 と書いてあるわけです。このレポートがありますね。これは神奈川県さんと大分県さん の事例が出ていますが、例えば神奈川県さんの場合、評価のときに「継続が適当である 」「改善を検討すべきである」「廃止を検討すべきである」と、かなり明確にこれはと いうことをはっきり言われているんですけれども、こっちの評価書を見ると何となく前 へ進んでいるというので、みんないいんじゃないかなというような感じがあります。そ れから、大分県さんの場合でも、かなり厳しい評価をみずから下して、「効率低下が著 しい」とかいろいろなことを言っているわけです。この辺のことを考えますと、この評 価書を見ると、何かみんなうまく、少しでも前へ進んでいるからいいじゃないかみたい な話になってしまうので、やはり最後のところをきちっとどうというのを示すべきでは ないかという感じはしますが。 ○高橋座長  いかがでございましょうか。逆に国の省庁の場合、そこら辺のはっきりした評価を避 けたがるのか、それは単に厚生労働省の行政の特性によるのか、他の省庁も含めてそう なのか、そこら辺も含めていろいろ御意見があろうかと。どうぞ、田村委員。 ○田村委員  今のと全く同じ議論ですが、参考資料1−3の42ページから「実績評価書要旨」とい うのが始まっていまして、この評価結果分類の中で今言われたように、(3)でも進展が あったとなっています。この評価結果分類を見ますと、(1)が「目標を達成した」、(2) が「目標をほぼ達成した」、(3)が「達成に向けて進展があった」ということで、でき れば(4)や(5)があった方が適切なのかなと思います。  あるいはもう一つは、(3)とついているものは、きっとその関係部局でも、いまひと つ進展がなかったなという感じで自己評価をされているのではないかという気がいたし ますが、その場合に、例えばいまひとつ進展がなかったという場合に、(3)なり「うま くいかなかった」を受けて今後こういうふうにしたいという、その将来に向かっての行 動計画みたいなものが入っているものも、この評価書の中にあるのでしょうか。 ○高橋座長  今のはいかがでしょうか。 ○岩渕政策評価官  事後評価の実施状況という、参考資料1−3でいいますと最後の評価結果の総合的な 評価の中で、こういった形で支援をしていくことが重要であるといったような、抽象的 な書き方では入っているのですが、具体的に事業をこのように変更すべきだというよう なのはあまりないと思います。 ○田村委員  今私が申し上げたのは、総合評価もそうですが、実績評価でせっかく144の評価をし ておられて、多分関係部局も数字をつくったりするのは大変だと思うんですね。これは (1)(2)(3)で、(4)(5)ができるにせよできないにせよ、これを何か生かしていかないと、 多分膨大な労力が費やされるだけなので、何かしら先に進むようなものが本当は望まし いのではないか。当たり前だと思いますが、そう思います。 ○高橋座長  やはり政策評価の評価と政策評価のコスト、それと政策評価法という大命題があっ て、それに従ってという、そういう議論と、それが現在の評価の文化と制度に今の中央 省庁が、これは地方もそうですしどこでもそうだと思いますが、そこら辺ここではなか なか議論しにくい、そういう議論もありつつ、しかし厚生労働省の評価のレベルを上げ ていくためにはどうしたらいいかという、そんな議論につながっていくかと思います が。どうぞ。 ○阿部委員  今の(1)〜(3)の点数をどう考えるかという問題とは別に、資料1の4ページ、「政策 評価の実施サイクル」の図の中で、「査定課との連携」という四角があって、それが 「評価結果の取りまとめ・公表」というところにつながってくるわけですが、今参考資 料1−2、1−3でやられている事前・事後評価の(1)〜(3)までの評価というのは、多 分やっている担当課、あるいは担当局の中で自己評価をされて、それが査定課と連携さ れて、何らかの点数を出してくるということなのではないかと思います。その際に、査 定課がどれぐらい評価結果に影響を与えているのか、そのプロセスがどうなっているの かというのは、ちょっと御説明がなかったと思うので、少し詳しくお話しいただければ と思います。 ○高橋座長  これは大事なポイントだと思いますが、よろしくお願いいたします。 ○岩渕政策評価官  3年実施したわけでございますが、現在の実態でいいますと、概算要求取りまとめに 向けた作業とこの政策評価書の作成の作業が、並行して行われているようなところが多 ございます。そうしますとその政策評価書の評価結果が、どの程度この要求内容に反映 されたかというところも、ちょっとあいまいな現状がございます。この辺は私どもも問 題意識を持っておりまして、これは議題2の方でございますが、予算編成作業との連携 といいますか、評価結果の反映の在り方については、改善のポイントだと考えていま す。  それから、今申し上げたのは省内の話でございますが、もう一つ、政府全体の話とい たしまして、財務省の方でも予算編成に当たって、政策評価結果を反映するということ が課題として認識されておりまして、省の外にこの概算要求が出ていく段階では、政策 評価調書という名前になっておりますけれども、各省の政策評価結果の内容を要求に添 付するということに、昨年からなっております。  そして、昨年末に予算案の編成を終えた後、各省の評価書のどれをどういうふうに参 考にしたかという結果を、財務省が公表いたしました。これも初めてのことでございま す。厚生労働省関係ではたしか5件だったと思いますが、例示をいたしまして、この評 価書をこのような形で反映させたというようなことを公表したということもございま す。 ○井口政策統括官  今ちょっとお話があって、大変大切なところで、この査定課というのは、大体会計課 と私どもの統括官室が予算編成のときにも相談をして決めているのですが、例えば昨 年、この評価書を一つ活用したという例で申し上げますと、三位一体改革というのがご ざいまして、地方6団体の方から9,400億円の補助金の廃止と税源移譲と、そんな議論 がございました。その中で9,400億円出さなければいかんということで、大変私どもも 悩んだわけでございます。そのときに、地方からも役割が終わったものは財務省の方か らは廃止をしろと。地方でどうにか定着したものはもう地方の方に全部任せて、一般財 源化したらどうだろうかと。政策的に国としてやっていくべきものがどれかというのを 絞り込んで、きちっと移管するものは移管しろと。こういう非常に強い御要請がありま した。そのときに私どもも会計課と一緒に作業をしたわけで、一種の査定作業をやった わけです。そのときの一つの材料として、各局、各課、予算要求官庁みたいなことで、 これはまだ必要だとか必要でないとかといういろいろな議論がありました。そのときに やはり自己評価が中心になりますが、各課、各局からの言い分を再度この評価書を見な がら再評価しろということで、材料にしたというような経緯がございます。  したがって、すべて細かなところまで1対1で対応できない面が、いろいろな政策的 な配慮に基づいて三位一体を決められた面もありますが、事務的にはこういう評価書が あったので、一つの切り口として大変作業がやりやすかった。そういう意味では、大変 こういう形のものが生かされてきた事例があるのだろうと思います。  予算要求そのものも全体的にそういうことで、もっと活用しなければいかんだろうと いうことで、ただ今御指摘があったように数値目標というのはなかなか。毎回数値目標 をどこまでやるのかと。私どもの行政は非常に息の長い、例えば年金でいいましても今 年やって来年というので、なかなか数字が出にくいものが多いものですから、大変数値 目標というのが設定しにくい。あるいは先ほど言ったへき地医療などは、道路が一本で きますともうへき地医療でなくなってしまうなどと、道路の影響なのか、我々の施策の 影響なのか、そこら辺も非常に仕分けがしにくいものもございます。そういう点で数値 化しにくいものはありますが、御趣旨はそのとおりで、なるべく数値化できるものは客 観的に数値化をしなければいかんだろうと思って努力をいたしたいなと。  後ほど御説明しますが、なるべく予算の中で議論しながら予算に反映したい。予算が 非常に厳しい折ですので、カットカットで来ていますので、逆に言いますと、カットの 対象はどういうものか、カットの対象にならないものはどういうものかというのを非常 に厳しく求められていますので、逆にこういう評価がありませんと納得をいただけない ような状況にはなりつつあるということで、さらに具体的に努力をいたしたいと。後ほ どまた御説明をさせていただきたいと存じます。 ○高橋座長  ありがとうございます。はい、どうぞ、堀田委員。 ○堀田委員  最初から気になっていたことで、その政策目標を達成するための官民の役割分担とい いますか、民でもっと違う方法でやれないのだろうかという、そういう視点からの検討 がどこまでできるのかという点つまり方法論について疑問があります。  例えば参考資料1−2に具体的な事例が出ておりまして、「小規模作業所への支援の 充実強化事業」とあります。これは基本目標が、「障害のある人も障害のない人も地域 でともに生活し、活動する社会づくりを推進すること」、それで施策目標がその下にあ ります。これは当然行政がやることでもありますが、地域の人々がやることでもあり、 あるいは企業もこれに協力すれば大変好ましい。当事者本人も頑張ることが望ましい。 そういう基本目標を達成する、あるいはその下の施策目標を達成するにしても、いろい ろな主体が、営利・非営利等民間サイドからもいろいろ協力できる方法があるわけで、 そういういろいろな状況の中でその基本目標を達成するために、どこまで国としてやる べきなのかという判断は非常に難しいと思います。国ももちろんやるべきことはいろい ろあるけれども、民間の方でこういう方式で営利事業として、あるいは非営利事業とし てやれそうなので、ここはもうやらないとか、あるいはやるにしても協働でやることに して、なるべく行政としては最小限度にとどめるとか、あるいは行政が財政面では全面 的に責任を持ってやるけれどもPFI方式でやるとか、そういった基本目標達成、ある いは施策目標達成のいろいろな選択肢がある。そこのところの評価をどの部分でやるの かと。  この事例でいいますと、2ページに進んでいきますと、評価の中の(1)の必要性 で、これは官民の役割分担の観点から公益性を判断するというわけでありますが、この 公益性の判断と官民の役割分担というのは必ずしも一致するわけではない。公益性があ る、つまり不特定多数のための事業ではあるけれども、民の方で営利または非営利でや れるという事業もいろいろあるわけで、まさにそのあたりがどこまで、大きな政府、小 さな政府、でやるかということが社会全体として問題になっているわけですから、公益 性があるけれどもほかの方法があるという、そこのところの検討をしっかりするような 項目立てになっていないというか、そういう発想を検討するような様式になっていない というか、どうもそういうふうに思われます。  その下の国で行う必要性の有無は、これは国と地方との関係であります。その下の民 営化や外部委託の可否というのは、これにはPFIを含むのかもしれませんが、当該方 法、この場合ですと小規模作業所をつくるというその特定した方法についての民営化の 可否が論じられるだけで、小規模作業所以外のいろいろな方法による就労支援という方 策との比較は、もうここでは行われないことになっていると思います。緊要性のところ でも書けないわけではないけれども、どうも必ずしも問題意識がなくても書ける。  3ページに進んでいただきまして、(3)の効率性のところで、他の類似事業がある 場合の重複の有無とありますが、これは類似事業でない違う方法によっても、同じ施策 目標をより効果的に、例えば民間の方で達成することも可能であるといった、そのあた りまでは検討がどうもいかないのではなかろうか。そうなってくると結局行政の方で、 これが必要で、よし、やろうと。特定して書いていけば、実際に民間の方で営利または 非営利のいろいろな方法で達成する方法があっても、結局その特定の方法に着目してし まえば、公益性も言えるし、国がやる必要性も言えるし、緊要性も言えるし、類似事業 がないということも言えるので、そうすると結局国の方でやろうと思って予算をとろう と思えば書けるという、そういう様式になりがちであり、そこのところのチェックがど このところでどういう検討で果たされるのか、その辺がまだどうも疑問が残ります。 ○高橋座長  政策評価原論、原理みたいなところですが、やはり自己評価でやるという話と、それ から予算要求時の査定に資するということになると、どうもゴルフみたいなもので、穴 に入れるためにどういうふうに表現するかみたいなそういう世界になりがちで、これは 全体のセッティングがそういうふうになっているところがあって、その辺をどういうふ うに、より本来の政策評価の目的に資するような形に変えていくか。これは多分エビデ ンスというか、証拠書類の提出の仕方を見て、それこそ評価を評価するという、そこを どう考えたらいいかという議論だと思います。  一方で、これはすべての事業について共通フォーマットで書いてもらっているところ が、逆に言うと大変意義があるのでしょうね。恐らくこれは、それぞれの政策は特殊性 だとかいう話が出てくると、ちっとも比較可能にならない。そうすると、先ほど井口さ んがおっしゃった三位一体改革の議論の材料になった最大のところは、やはり共通フォ ーマットで全部整理をされて書かれている、そういうことかなとも思いました。ただ、 それが機能を発揮するためにまだまだやるべきことはいろいろありそうだと、そういう 御指摘であったような気がいたします。  何かこれをしておりますと、やはり時間の不足をいつも感じるのですが、なお何かこ のテーマで。どうぞ、渡辺委員。 ○渡辺委員  我々経済界にいて、こういう評価というのは民間とは全然違うわけです。民間はやは り政策、あるいは戦略に対する達成というものは、当然売上高とか利益とか、今はやり の言葉でいえば企業価値と、こういうことで最終的にステークホルダー全体の評価を受 けるわけです。それで、政策評価の基本は、それはいろいろ行政上、総務省がいわば省 として管理しているということもありますが、最終的にはやはり国民ではないのかと。 そうしますと、今日ここには出ていませんが、例えばエンゼルプランがあるとします ね。恐らく厚生労働省の評価では、やることは全部やったと。要するにこれもやりまし た、プランは全部達成したけれども、現実にそのとき目標にしていた出生率からする と、大幅に下がってしまっていると。そうすると民間だと、やるべきことはやったのだ けれども、しかし実際にそれが政策意図に反映していないなら、その政策だけが何も子 供の出生率に関わっていないわけですが、いわばそれに対するアカウンタビリティーと いうのはやはり非常に重要であって、それが中期計画や、要するに年度年度において的 確な説明と、次年度における政策への対応の修正とか、そういうものが行われているか どうかというのは、私なんか一番興味を持っています。  ですから、社会保険庁の評価はこれからやられると思いますが、世間では非常に問題 になってしまったと。そうすると問題は、14年、15年、つまり前の評価というのは、社 会保険庁はどういう評価をしていたのかと。つまりそこら辺のきちっとした評価トレー スがないと、いくら労力をかけて細かいことをやっても……。これはいろいろ今独立行 政法人の評価体系なども恐らく問題になっているんですけれども、一方ではそれは核心 をついた評価というのか。あるいは決められた、例えば保養所を幾つつくるかと。要す るに100つくるのを100つくれば、それは政策目標達成であって、そのつくった結果、一 つの国民生活の意図しているものにどういうふうに反映しているのか、というのが我々 の一番知りたいところで、全部そんなことです。つまりそれが一番重要なことではない のかなと。  だから、こういうふうにいっぱいあってやられるということも、これは結構かもしれ ませんが、肝心なところの説明責任というのを一体どういうふうにしてやるのかという こと。これは政治の問題なのか国会の問題なのかわかりませんが、ちょっとそこら辺が 我々実業でずっとやってきた人間からいくと全く理解ができない。だから、学校を幾つ つくるか、介護施設をどうするか、そういう決められた予算と決められたスケジュール に基づいて物事をやるのは、これは非常に簡単な時代になったわけです。しかし、その やった結果が、目的どおりに何かを達成できているのかどうかと。こういうことについ て、こういう評価とどう関係しているのかというのをちょっとお聞きできればなと。 ○高橋座長  やはり初心忘るべからずの話かなと。予算を執行したかどうかというのはお金の話で 毎年やっているわけで、それがいかなる意味があるか。だから政策評価という仕掛けが 入ったのだろうけれども、それがやはり既存の行政執行プロセスの中にどうものみ込ま れているのではないかという、そういうような視点でもあったかと思います。そこら辺 は大議論になるような話でございますが、またどうも時間的なこともありまして、なお もう一つこちらの改善方策の方の議論でもしていただけるテーマかと思いますので、ち ょっと時間が押しておりますが、次の第2の報告をいただきながら、この議論を継続さ せていただければと思います。  それではよろしくお願いいたします。 ○岩渕政策評価官  それでは、資料2−1をごらんいただきたいと思います。「平成17年度の厚生労働省 における政策評価の改善方策」でございます。  1ページおめくりいただきまして、「政策評価制度を取り巻く状況」でございます が、政策評価制度につきまして、法の施行から3年経過ということで、現在、経済財政 諮問会議においてもさまざまな問題点の指摘がなされております。ここに御紹介してお りますのは、昨年10月の有識者議員の提出資料で指摘されている点ですが、事前評価が 予算要求の正当化に使われやすい、事後評価も既存施策の拡充に結びつきやすい、評価 指標が予算増の方向で設定され、コスト意識が欠如している、評価結果を予算の作成に 活用する仕組みが有効に機能していない、評価結果について国民へのわかりやすい説明 がなされていない、というようなことでございます。  それからさらには、各府省の評価をわかりやすく、横断的に比較検証できるよう、様 式の統一というものをすべきだということ。達成目標の定量化を徹底するとともに、ど のデータで評価を行うかも予め明示させる。科学技術関係予算の優先順位付けのよう に、優先度を明らかにする仕組みを採用する。各府省の評価結果に対し、第三者評価を 実施し、その結果を公表する。こういうようなことが言われております。  また、次のページに参りまして、今年、最近3月の会議では、評価と、それから予算 への反映に取り組む必要があるということで、そのために政策評価法に基づく政策評価 が実効性をもつこと、政策評価と予算査定が連携をもつこと、予算書・決算書が「施策 」単位で記載・議決されるようにすること、というようなことが議論されています。  そういったこともございまして、今、総務省の政策評価分科会におきまして、政策評 価制度の全般的な見直しの作業をしているというような段階でございます。  3ページに参りまして、そういった状況でございますが、厚生労働省におきまして も、来年度に向けてどういうふうに改善していくかということでございます。私どもの 認識でございますが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、予算要求作業を含む 政策の企画立案作業と政策評価の作業が、実態上、別個に行われておりまして、途中段 階での連携に欠けているという面がございます。それから、基本計画改定時に、本日の ように有識者会議の御意見をいただいておるわけでございますが、また評価書において も、学識経験者の知見の活用ということで記載をしているんですけれども、評価結果に ついて事後的に第三者、有識者の御意見を聴く仕組みができておりません。それから、 規制につきましても、国民への影響の大きさを考慮すれば、これは評価体系に組み込む ということが必要ではないかと。ただ、現在は試行的な段階でございます。それから、 厚生労働行政の特性に配慮しつつも、P(Plan)・D(Do)・C(Check)・A(Action) サイクルの実現という本来の政策評価の目的を考えれば、可能な限り達成目標・評価指 標の定量化、それからただいま委員からお話がございましたが、事業を消化するという ことでなくて、その結果どうなったかという、アウトカム化ということに取り組む必要 がある。それから、評価結果の国民へのわかりやすい説明や、評価自体の質の向上に取 り組む必要がある、ということを課題と考えております。  次のページに参りまして、来年度に向けてでございますが、政策評価と政策の企画立 案・予算要求の連携の強化ということで、甚だ実務的な内容ではございますが、省とし て翌年度の予算編成の作業が左側に書いてございます。5月ごろ予算担当部局も含めた 部局ごとの新規施策の検討をいたしまして、6月以降、予算担当部局、会計課になるわ けですが、そこに予算要求をしてまいりまして、査定を受けて、8月末に省の要求内容 というのが固まるわけでございます。平成17年度につきましては、この5月の各局にお ける新規施策の検討の段階で、前年度の実績評価書を取りまとめて、これをまず反映さ せるということを徹底したいと存じます。そして、この実績評価書につきましては、7 月に公表するということであります。それからさらには事前評価、新規事業そのものに ついての評価書、この予算要求案を各局から会計課に持ち込む段階で、この評価書その ものを査定の資料として出すということを徹底することをして、評価内容を予算内容に 反映させるということを進めてまいりたい。いずれにしましても、こちらの方も8月末 にその内容を公表するということを進めてまいりたいと存じます。  第2点といたしまして、5ページでございますが、本日お集まりいただいております こちらの有識者会議でございますけれども、評価結果の取りまとめが夏、8月ごろまで に予定されておりますので、この段階でお集まりいただいて、評価結果について御説明 申し上げて、これについて御意見を賜るということを今年実施させていただきたいと考 えているわけでございます。  6ページに参りまして、新たな評価で、規制の新設についての規制影響分析というこ とですが、まだ私どもは経験がないわけでございますけれども、平成16年度、17年度に 入っても、この規制影響評価というものについて評価結果をまとめて公表してまいりた いと存じます。  7ページでございますが、達成目標・評価指標の定量化・アウトカム化について、な かなか思わしくない現状でありますが、引き続き取り組んでまいりたいと存じます。そ の施策の特性から、どうしても達成目標や評価指標の定量化・アウトカム化が困難な場 合もあるわけでございますが、その場合に、より適切な目標・指標の設定や評価手法の 工夫により取り組んでまいりたいと存じます。  それから、評価結果の国民へのわかりやすい説明、評価自体の質の向上ということで ございまして、今ホームページ上で評価書を公表しているのですが、工夫が足りません で、説明責任という点では不十分なものと認識しておりまして、まずそういったところ から改善に取り組んでまいりたいと存じます。それから、平成16年度から導入したこの 新方式の総合評価につきましても、来年度、より多くの施策につきまして総合評価書と いう形で、早期かつ適切なタイミングで公表してまいりたいと存じます。それから、評 価につきましては、それぞれの担当部局と私どもの職員で実施しておるのでございます が、専門的な技能の蓄積は実はないわけでありまして、今総務省の方でそういった技術 の研修も始めていただいていますが、そういった機会も利用して、関係職員の評価技術 の向上ということもテーマだと考えております。  以上のような方針で、平成17年度に改善してまいりたいと考えています。経過等につ きましては、また山本の方から御説明申し上げます。 ○政策評価官室山本室長補佐  それでは、資料2−2に基づきまして、今の改善方策が基本計画の中にどういうふう に表現されているかということを、簡単に御説明したいと思います。  少し分厚い資料ですが、資料2−2のまず4ページのところであります。下の方の (3)「事前評価の手順」というところですが、改正いたしますのは下線を引いている ところで、手順の中で評価書を取りまとめて会計課などに提出するという表現はあった のですが、いつまでにというところが抜けておりましたので、このたび「査定前の適切 な時期に」と。これは具体的には、先ほどの説明の中でありました、6月以降の予算担 当部局への新規予算要求の説明までに提出をお願いしたいというのを記載したものであ ります。  大きなところでいいますと次は7ページであります。(3)「事後評価の手順」のイ の(ロ)のところでありますが、真ん中ほどのところで、ここも下線が引いてあるとこ ろですが、「(1)又は(3)により事後評価を実施することとなった政策に関するものにつ いて」と。(1)又は(3)というのは、いわゆる実績評価を行うものということでございま す。これも「査定前の適切な時期」、具体的に言えば5月の新規施策の検討会議のとき までに、査定課と当室に提出をいただきたいということで、この基本計画に記載させて いただくことにしたものであります。大きいところはその2点であります。  次の8ページでありますが、またちょっと性格の違うものですが、(4)の「社会保 険庁の実績の評価」の点であります。この点につきましては、実際の事務が何か変わる というところではありませんで、従前、社会保険庁の実績の評価の手順というのは、4 行で消してあるところに書いてあるように、非常に簡単にしか記載を行っておらなかっ たわけですが、実施庁の実績の評価の手順についても、ほかのところとあわせて、どこ が何をやるかということをちゃんと書いてくれという指摘が総務省の方から参りました ので、それを受けまして書き下したというほどのところであります。したがいまして、 この部分につきましては、特に事務的に何かその作業を変えるということではございま せん。  それからこの文章編の後に、基本目標と施策目標の一覧というのを14ページ以下でつ けさせていただいております。ここの部分につきましては、実はまだ部局によって提出 をいただいていないところであるとか、まだ調整中で最終的に固まっていないところも 幾つかございますので、とりあえず今日お出ししているものは暫定版ということになっ ておりますが、ここの部分につきましても、先ほどのできるだけ指標を定量化するとい うような観点から、担当課の方に作業させておる段階であります。部局によっては、例 えば46ページ、基本目標4のところで、これは大きな目的として「経済・社会の変化に 伴い多様な働き方が求められる労働市場において労働者の職業の安定を図ること」とい うところで、ここは例えば来年度はどのくらいの目標を立てるというようなことが、具 体的に数値として比較的出ているところではないかなと思っております。ほかのところ につきましても、ここまでいくかどうかは今後の作業次第ではありますが、できるだけ 実際のその定量化に取り組むという方向で作業いたしたいと思っております。  基本計画の関係は以上です。 ○高橋座長  ありがとうございます。先ほどの議論も、これからの改善についての御意見をいただ いたわけでございますが、今資料2−1を中心に、これはとりわけ経済財政諮問会議や 総務省サイドからのいろいろな動きを踏まえて、厚生労働省として政策評価をどういう ふうに改良していくかということが中心の御説明をいただきました。どうぞ御意見、あ るいは先ほどの議論を踏まえた御意見も含めましてよろしくお願いいたします。 ○渡辺委員  先ほどの議論と続くんですけれども、例えば今基本政策目標といいますか、基本目標 という、これは参考資料1−1でも、あるいは今の資料2−2の14ページでもどっちで もいいですが、これを見ますと基本目標は何かと。最初に出てくるのは、「健康づくり を推進すること」「衛生的観点から推進すること」「環境を整備すること」、次の5も 「環境を整備すること」、6が「推進すること」、7が「提供等を図ること」、8も 「推進すること」、9も「推進すること」。この「推進する」というのが、政策評価な のだけれども、推進できたかどうかというのは何ではかるのですか。  だから、さっき言った保育所を幾つつくったと、これも推進ですよね。だけどそれに 多額な税金が毎年投入されていくということは、最初にあるコンセプトがどれだけ達成 されたかということのいわば評価なのであって、この評価を何でやるかということは、 施設が幾らだとか何人おるということも必要かもしれませんが、これは本来の基本目標 の達成を評価する。だから日銀、金融庁であれば、金融システムの安定化といえば不良 債権を半分にするとか、そういう大きな、それは政策目標として約束しないまでも、何 かそういうものをはかることがないと、もうこれはみんな推進するとか、少しでも先に 進んだら推進すると。それから整備するというのは、お金さえあれば整備はできるわけ ですね。だから、この辺がもう大きく変わらなければいけない時期で、政党でいえばマ ニフェストがどこまで浸透するかわかりませんが、そういうものと、いわば今度は行政 官庁がやる政策基本目標が、それは1年ではなくて、例えばこういう期間にどこまで国 民に満足度を与えたかという、それをしっかりしてくれないと困るのではないかなとい うのは思います。  あとは細かいことは、もう逆に言えばそれさえ達成されていればどうでもいいと。あ とは生産性の効率の問題になりますから。しかし、それを達成するためには、民にも協 力してもらわなければ、官だけではできないわけですよね。こういう財政。だから介護 のあれで国民の満足度を高めるためには、国がやる政策と、さっき堀田さんが言った民 がやる、それが一体になって全体のこういう行政の政策評価を上げるわけですから、そ ういうところをよく考えないと、官は自分の予算の範囲でやったじゃないかと。一向に そのとおり実態はやはり効果を持っていない。これは民が反抗しているのかもしれませ んが。ちょっとその辺が一番重要で、これは何も厚生労働省だけの問題ではないと思い ますが。 ○高橋座長  常にインプット指標だけ並べて、それがアウトプットであるかのように言ってしま う。それを識別するために多分アウトカムという言葉ができたのに、相変わらずアウト カムということの意味がなかなかとらえられていないという、それが多分この基本目標 の方に反映して、インプット評価をすればアウトカムになるんだみたいな、これはある 種の調和を、そういうことがダイレクトにつながっているはずだというのが一昔前の考 え方。これは官民の多元化が進むとそうはいかなくなっているという、そういうこと。 ○渡辺委員  端的なことを言えば、これの目標達成の評価を国民投票でやるとか、これは本来の民 主主義でやればそういうところにきっとなるに違いないですね。だけど、そんなことは 今はできっこないので、だからこの基本政策目標の達成をどういうふうにしてはかっ て、アカウンタビリティーを裏づけるかということがやはり一番今重要な点で、あとは それを構成するいろいろな要素が必要だと思います。 ○高橋座長  ありがとうございます。どうぞ、稲葉委員。 ○稲葉委員  今のお話はもっともだと思いますが、今の状況を見ますと税収がものすごく落ち込ん でおりまして、多くの国民の中には国がこんなにたくさんの大きな予算を使っていろい ろな仕事をしていいのかという、厳しい目があります。そういう中で国も政策評価をし て、自分の組んだ予算がちゃんと執行されているか、あるいはそれがどのような成果を 生んでいるかについて、施策について評価するという狙いで評価制度が始まったと思う のです。  先ほどから出ていますが、自分たちが組んだ予算について自分たちが評価するという のは、なかなか難しいところである、。それは予算をつけたわけですから、予算を執行 すれば当然政策が推進したということになるわけです。しかし、例えば社会保険庁の評 価を見ただけでも、我々の感覚とはちょっと違う評価になっていると思います。おりま して、国民一般はもう社会保険庁は解体的に出直しをしろと考えている訳です。私たち もそう言っていますけれども、そういう見方からすると、社保庁の評価とはちょっと違 う。先ほどの資料で経済財政諮問会議の民間議員から事前評価が予算要求の正当化に使 われているとか、予算をそのまま引き継いで拡充していくために使われている、という 指摘があるのは、予想されるわけです。  ですから、ここにも書いてありますが、そもそも行政がみずからの手で評価をすると いうことについて、それをどうやるのか、またこういう有識者会議のような形で第三者 機関をつくってチェックするかを考える必要がある。政策をチェックするのは国会だと 思いますが、その国会の場で、例えば決算委員会をもう少し前倒しに充実させるとか、 参議院から先にやるとかなど、仕組みの問題を考える必要があると思います。政策評価 の制度は3年たっているわけですから、その辺についても議論が必要だ。社会保険庁に しても去年の介護保険制度の見直しの段階における、これまでの5年間の実績評価につ いても、私たちが取材をしている中では、厚生労働省の方から的確な評価が出たとは、 私たちは見ていないわけで、そのあたりをどう考えるかということだと思います。です から、第三者評価にするにしても、これにはまた膨大な時間とコストがかかるわけです から、そこをどこまで、どういう仕組みで進めていくかというのはこれからの重要な議 論ではないかと思います。  以上です。 ○高橋座長  ありがとうございます。どうぞ。 ○堀田委員  先ほどの渡辺委員の発言に関連して、大きなアウトカムがあって、それとの関係でど れだけ役立ったかの評価をするという、それはもうそのとおりで、それが最も国民にと って求められていることで、そういうふうにするための一つの方策として、私が申し上 げた、大きな目標を達成するためのほかの民間や営利・非営利の活動を含めた、どれが 最も効率的でかつ民間の方でやれるのかやれないのかと、そういった観点の評価を入れ るというのが、最終のアウトカムに向けての政策評価の一つの方法になると私は思うの です。  もう一つ同じように、目標とするアウトカムを得るための政策評価の問題として、こ れも厚生労働省だけではとても解決できないとは思いますが、つける予算との関連で、 その政策の意義を評価するということが必要だろうと思います。経済財政諮問会議が指 摘している点は全部私は賛成ですが、もう一歩進めて、結局国のやることが国民にとっ て好ましいかどうかというのは、その中身の公益性とかいろいろな要素だけでなくて、 それにどれだけのお金を使うのか。もっと国民の立場で言えば、どれだけ少ないお金で それを実現するのかというそこの効率性、これは当然そういう視点で国民は見るわけで す。ところがこの評価は政策の中身と予算とが全く別にされていて、予算と結びつけろ と言ったのはそこは大変いいのだけれども、私はもう一歩進めて予算とあわせて評価す るような仕組みにしないと、そこはわからんじゃないかと。そういうふうに予算とあわ せて評価することによって、結局そのアウトカムとの関係でそれを評価するということ に近づいていくだろう。  そういうふうに考えていくと、国の予算要求というのはまさに予算の話で、例えば非 常に国民にとって好ましいのは、予算を全然使わずに国がなすべきことをしたと。人件 費はもちろん別で、これは国の場合は一般管理費でついていますから、予算を全然使わ ず民間に示唆したり、いろいろと知恵を出すことによって、事業経費を使わないでその 政策目標を達成するのにプラスになること、これは大変好ましいわけですよね。ところ が予算がつかないものはもう全然政策としても出てこないし、大体事業で予算と結びつ かない事業というのはないわけですから、結局それはもう国会の審議からも国民の目に は全く触れない。これはやはりおかしいので、大きな政策目標があって、事業がある。 それになるべくお金を使わない。場合によってはゼロである。その方がむしろ国民にと っては好ましい。そういう方向で物が判断できるような評価の仕方、つくり方というと ころまで一歩進めないと、これはもう厚生労働省だけの問題ではないですが、渡辺さん のおっしゃるようなアウトカムに向けての有効な施策というのは、なかなか出てこない だろうと思います。 ○高橋座長  ありがとうございます。どうぞ、堤委員、それから森田委員。 ○堤委員  関連していますが、もともと森田さんが言われたとき、評価の対象となる政策に基づ く具体的な活動の実施主体が、厚生労働省以外だということになっているわけです。自 分で直接やっていれば、何が問題で何をフィードバックしなければいけないかわかるけ れども、これが自治体であったり、医療機関であったり、財団であったり、センターで あったり、各省庁との連携であったり、全部あるわけです。それはみんな外でやってい るわけです。それをどう評価するかということだと思うんですよ。  政策がうまくいかないというのは、今たまたま各省庁さん皆そうでしょうけれども、 政策と予算はもうタイトに結びついているわけです。だけど、政策が実現できるかでき ないというのは、予算だけではないと思うわけです。そのために、今回規制に関する調 査もされるということで、結局政策がうまくいかないということは予算もあるでしょう し、規制制度もあるでしょうし、それから指導者や実施者のマンパワーですね、質、量 の問題もあるでしょうし、それから省庁間の問題もあるでしょう。それは第一線でやっ ている人に聞かないと、本当の話は聞けないわけです。それを解決しないと、予算だけ つけてもできるという、今の話じゃないですけれども、予算がなくてできることだっ て、規制を変えればものすごく変わるかもしれないし、民間にやらせればできるかもし れないと。そういう話で、全部複合的な要因で政策が実行されないと。結局政策は最終 的には実行されなければいけないですよね。民間でもそうですけれども、嫌な情報や言 いにくい情報を本社や中央に言うと、何か削られるんじゃないかとか。だから、自治体 なり民間なりいろいろなところから本当の情報を上げてもらうということが、一番政策 を実現するための要になるんじゃなかろうかと、その辺はやはり気をつけてもらいたい という感じです。 ○森田委員  いろいろとお話を伺いまして、ごもっともなところが多々あるかと思います。ただこ の議論は大分前にも同じようなことをしたような気がいたしますが、私自身はちょっと 皆さんの印象と違っていて、この政策評価制度を私自身は地方自治体でもやらせていた だいておりますし、かねてこういうこともかかわってきたことがあるんですけれども、 基本的にこの評価制度そのものに過剰期待をされているのではないかなと思います。し たがって、アウトカム指標でもって国民の満足度をはかり、財政の効率化をはかり、資 源の有効利用をはかり、それをみんな一つの指標でやってしまおうということ自体が、 そもそもそれはできるしそれに近づくべきだという前提でこの評価制度を運用いたしま すと、残ってくるのはまさに幻滅とむだということになりかねないという気がいたしま す。  そういう言い方をするとちょっとショッキングな印象を与えるかもしれませんが、そ ういう意味で言いますと、この政策評価というのは何のためにやるのかということと、 ここで具体的に動かす政策評価制度というのはどういう機能を持っていて、どういう限 界があるのかということを認識して、その中でいいものをつくっていくという、そうい う発想が必要なのではないかという気がしております。  そもそも大きな意味での政策で、少子化対策をどうするかとか、昔の経済学で言いま すと大砲とバターのどちらがいいのかというのは、こうした政策評価のレベルの話では なくて、これはまさに政治的な決定の話ですから、その中で例えば少子化対策を非常に 重要な問題であるというふうに政治の方でお決めになったら、それを達成するためにど の方策がよくて何が効率的か。ということはある意味で言いますと、それぞれの省庁で おやりになる政策の問題になると思いますが、それを含めてここで評価をしようという のは、それを期待されるとしますと、厚生労働省も大変お気の毒だという気がします し、現実にそれがうまくいくとも思えないんですよね。  その意味で言いますと、一体どのレベルでもってやっていくのかと。合計特殊出生率 を幾ら上げるとか、どれぐらいにする、何年以内にするというのは、それは一つの目標 になり得ると思いますし、その数値目標というのはそういうものでいいと思いますが、 問題は次に何のためにやるかという、その政策評価の機能といいましょうか、目的の問 題もあるわけでして、一つはこれも前にお話ししたかもしれませんが、やはり顧客満足 度を図る。これはアンケート調査とか何とかでやって、どういう形で本当に政策が国民 の期待に沿っているかどうかです。ただ、これ自体アウトカム指標だけをみますと、国 民の期待というのはどんどん上がっていきますから、なかなかその設定が難しいという ことになります。これはベンチマーク方式で横に比較するという、オレゴン州で始まっ たようなやり方もあろうかと思います。  もう一つは、梅田委員のいらっしゃるところですけれども、三重県のおやりになった のはそういうふうに理解しておりますが、職員の方の自己啓発と組織目的意識を持たせ るという、一種の人事管理といいますか、組織管理的なツールとしてこれを使える。こ の場合には、自分で目標を設定して、達成するかしないか。少なくとも組織目標と自分 の仕事の目標を結びつけて理解させるということが、自己啓発効果を持つであろうとい うことです。ただ、これも何回か繰り返しますと、目標の設定が操作されるという可能 性がございます。  3番目は、多分これは我が国の政策評価法がねらっているところだと思いますが、組 織自体の政策イノベーションをうまくつくり出すメカニズムを入れられないかと。した がって今の例を挙げますと、合計特殊出生率を少し上げるようにするというのでいろい ろ施策を打つ。ところがそれがうまくいけばその施策はいいし、もっと効率的にそれが できないかという議論に進むと思いますし、うまくいかなかったとしたらなぜそうだっ たのか、なにゆえに今度は違う施策を打っていくのか。そこのところをきちんと、まさ に説明可能な形で理論化していく、そうするためのツールとして、この政策評価という ものがあり得るのではないかと思います。  そういう意味でいいますと、過剰期待をしないで、ちょっと言い方をかえますと、評 価情報を何のためにつくっていくのかということで、少し絞り込んだ形でこの制度の運 用といいましょうか、使い方を考えませんと、私の印象としましては、これはずっとこ の議論が続くのではないかという気がしています。特に、今の政策評価の場合、そもそ も出発点は財政上の問題があるというのはおっしゃるとおりで、いかにして効率化する かというところが全体としてあると思いますが、少なくともこの自己評価のユニットそ のものが課である限りは、課の事業自体は要らないということはまず出てこないわけで すから。したがって、課の中で同じ事業をしながらいかにそれを効率化するか。そうし た観点から評価がいかになされているか。これを予算と結びつけるという話もございま したけれども、それぞれの事業ごとにどう総枠として当てはめるかというのは、これは 予算編成とは別の話だと思います。私の印象としましては、予算にこの評価情報を直結 してしまうのは非常に難しいわけで、つくられた情報そのものがかえって使えない情報 にしかならないのではないか。その意味でいいますと、あくまでも予算査定のときの客 観的な指標にするといいましょうか、そういう意味での参考情報をつくるというのが有 効ではないかと思います。  ちょっと長くなりましたけれども、この制度の在り方というものをもうちょっと絞り 込んで、使える範囲でこういうものをやってこういうふうに評価する。それをそもそも 宣言をされて、評価制度を動かしていかれた方がいいのではないかというのが私の意見 でございます。 ○高橋座長  ありがとうございました。大変我々の理解をもう一度整理する上で……。はい、どう ぞ。 ○堀田委員  一言だけ。森田委員のおっしゃることは全部大変よくわかりますし、実質そうしてい かなければいけないと思いますが、アウトカムに結びつけてほかの民間の選択肢をいろ いろいうと、非常に大きな大変なことであり、結局政治判断、そんなものは議会のその ための民主主義じゃないかという話にいきそうで、前も通った道だと思いますが、ここ で申し上げていることはそんな大それたことではなくて、実際に予算を組むときに課が 立ててきて局で調整する、あるいは局から省で調整するなどの作業のときに、「しかし それはどうしてあなたのところでやらなければいけないの。ほかに民間でこんな方法が あるんじゃないの」とか、「こういうことをやればいいんじゃないの」とか、それはや はり必ず発する問いでありますし、それからもう一つ、「何でそんなにお金がかかる の。もっと安いお金でやれないの」ということも必ず問う。それによって現に削ってい って、概算要求がまとまっていくわけであります。その予算と結びつけると、そして一 般的な視点でやるという以上は、その2つの問いを評価の中に入れてもいいんじゃない か。それだけのテクニカルにも解決できるんじゃないかという、そういうことです。 ○森田委員  今、私の言い方が悪かったかもしれませんが、予算と切り離すという意味ではなく て、予算査定のときの非常に有効な情報になるということです。それは、今までの予算 過程が、国ではどうか知りませんけれども、よくわからない理由で有力者の発言でもっ て変わるとか、それに比べますときちんとした形で根拠があることになる。したがっ て、これは評価が低いから要らないのではないか。また逆に言えば、高いときにつける 場合には、こういう評価に基づいてこうなんだという、そのための情報がつくられると いうことですので、ちょっと言い方が悪かったかもしれませんが、堀田委員のご意見と それほど違っていないと思います。 ○渡辺委員  今、森田先生の御発言で、私なんかはそれはやらないよりやった方がいいという、こ ういう解釈になるわけです。それで、合成の誤謬とかいろいろあって、それなら小さな 内部統制なんだから、そんな有識者まで集めてこんなことをやる必要はないんじゃない かと。要するに、幾つ何をつくって何%進んだかなんていうのは、それはもう内部統制 でやる範囲じゃないかと。ですから、政策評価なんていうのはそれは言うのではなく て、要するにもっと違う言い方を求めた方が誤解を避けると思います。  だから、さっき堤さんが言ったことはもう民間なんか当たり前で、そのすぐれたやり 方の競争に民間はもうなっているわけですよね。ですから、今私は日本を見て、金が早 くなくなった方がいいと思う。早くなくなれば、いずれもうこういうところへ追い込め られると。しかし、頑張って一生懸命国債発行して、ちょろちょろしか減らないからこ ういう状態になっている。そうすると、毎年3%予算を減らしなさいと。まあ、3%ま で減っていないかもしれません。そうすれば当然その中で、いわば選択と集中はやはり 嫌でも考えざるを得ない。ですから、要するに予算と政策立案のときに評価をやれば、 あとはそのとおり使って、その効果をどう図るかというのは、常に予算のときにフィー ドバックすればいいのであって、それを使ったか、幾ら完成させたかというのは、一向 に評価としてはそう大したことは。それは作業というのではないかと。というのが我々 の感覚だと。  だから、経済財政諮問会議の民間議員の方々はどう思っているか知りませんが、しか し一気にはそこまではいかないから、何とかやはり今の政策評価をむしろ政策評価らし い姿に少しでも移していけないかと、こういうことなのではないかと私は理解していま す。 ○高橋座長  ありがとうございました。どうぞ田村委員、野川委員。 ○田村委員  今のに続きますが、政策評価という言葉自体はあまり外国にはなくて、外国では多分 パフォーマンス・メジャーメント、ここでいう業績評価というのと、あとプログラム・ エバリエーションというのが基本だと思います。ですから、渡辺委員が言われるような 大きな意味での政策評価というのは、もちろん違う形ではいろいろあると思いますが、 今回日本で導入しているような自己評価で政策評価というのは、極めて難しいのだろう と思います。ですからおっしゃっているように、民間企業がもう既に取り入れたマネジ メントの手法の一つとして、評価制度を入れているというのが多分、今の限定された範 囲でそういうことだろうと思います。それで意味がないというのなら全然別の議論だと 思います。  だから森田委員の言われる、もう少し限定された意味での政策評価ととらえた方が私 もいいと思います。第三者評価というか、通信簿をつけるみたいな評価にして、アメリ カやイギリスで起こったことは、行政が情報を隠すということで、なかなか通信簿のよ うな形で行うのは難しいと思います。アカウンタビリティーであればいいんでしょうけ れども、あまり外部評価を中心にするとこの種のものはうまくいかないというのは、多 分外国での経験だろうと思います。  それからもう一つ、限定された政策評価でいいのだろうと思いますが、その場合にち ょっとこの中で欠けているかなと思うのは、先ほど、これも渡辺委員が言われた、保育 所は数ができた、ところが出生率は上がらなかったという場合に、なぜこの関係が見え なかったのかというのを学ぶ、あるいは理解するというのがやはり評価の一つだろうと 思います。評価というのはやはり改善に結びつける、そのために何が起こっているかと いうのを評価することで、こういう指標を幾つかつくって、例えば今言った保育所がな ぜ合計特殊出生率に結びつかないかというようなメカニズムを把握するというのは、多 分もともと品質管理の分野から来たのだろうと思います。そういう考え方が評価に入っ てきたと言われていますが、その辺がこのペーパーでは少し抜けているかなという気は いたします。 ○野川委員  先ほど森田委員のお話を伺って、ちょっと私も似たような印象を持っていたので、孤 立しているわけじゃないなと思ったのですが、一つはやはり今、中央官庁はほとんど現 業は法人化されてしまいましたので、要するにもうかる仕事はもう何もやっていないん ですよね。結局、官庁がやることはお金は使うだけで、決してそれに利潤がつかないこ とをまずやっているので、その中で評価をするというのと、民間企業が利益が上がるか 上がらないかということで評価する、まずそこの違いというのが非常に大きくて、いろ いろな波及効果をもたらしてくれるだろうと思います。  それと、省庁が何かクリエイティブなことをするということ自体が、実はあまり本来 的な姿ではなくて、やはり国会などの政治が立法して、あるいはいろいろな閣議決定を して、政令を立てて、それに基づいて省庁はそれを、具体的にはここでいう実施という のはいわばさっきの実施庁みたいなものよりもうちょっと広い意味ですが、実施してい くと。そういうことなので、あるクリエイティブな目標を立てて、それが達成できたか ということは、かなり限定的に考えなければいけないのではないかと思っていましたの で、そういう中での政策評価というのは、一つのチェックですね。ということ以上の意 味がどれだけ持てるのかというのが、総論的な私の印象です。  その上で各論的には、実は前も申し上げたのですが、やはり厚生労働省の政策という のは、定量的な結果をアウトプットすることになじむ部分が、恐らくほかの官庁に比べ て少ないのではないか。それは、一つには先ほど座長が言われたように、そもそもその システムがまだうまく構築されていないということもあるでしょうけれども、そうでは ない、もともとやはり無理に何らかの数値化をすると、若干その本来の意図から離れて くるという部分もあるだろうと。そうすると、だからいいというのではなくて、定量化 や数値化にかわるような、いわば定性的な評価の明確な手法というものを少し考えてい ただきたい。その具体的な姿を何かモデル化していただければ。こういうことだと例え ば数字そのもので出すわけではないけれども、これは客観的であるというようなものが あればいいというのが一つです。  それと、政策の基本目標が12と施策目標が144あるのですが、ちょっとすごくプリミ ティブな御質問ですが、この基本目標や施策目標の例えば12と144というような数は、 何か目安みたいなものがあるのですか。例えば厚生労働省とか国土交通省とか、一つの 官庁でこれぐらいの基本目標とこれぐらいの施策目標が必要だとか。 ○岩渕政策評価官  数のガイドラインはございません。 ○野川委員  そうですか。そうすると、それはやはり必要なものをセレクトして、当然施策目標等 にして出すと思うのですが、例えば企業などで今度こういうような事業に打って出るの だけれども、どういうことをやったらいいかと。例えば社内で、私も聞いたことがある んですけれども、コンペみたいなものをやって、いろいろな提案を出してもらう。もち ろんそれをセレクトする。それで使えるものをえりすぐって、じゃ、それにどうやって それこそお金をかけてやっていこうかと、こういうことになるわけですが、恐らく役所 がやることは初めから税金でもって運営されていますから、国会にこれを予算をつけて やろうかという段階では、相当なセレクトがされた段階だと思うんですね。つまり先ほ どこの35が出てまいりましたが、それが出てくるときには既に、かなりセレクトされた 後、要するにある意味での評価を受け終わって、これだったらまず予算がつくだろう と。なぜかというと、例えば予算をつけるためのものを国会に出したり、財務省に持っ ていったりするときに、それこそそこではねられるようなものは出すわけないですか ら。そういうことが少しでも予想されるものは。そういう意味からいうと、最終的な段 階でのもの、これを出せばまず大丈夫だと、そういうものについてであると思いますの で、それは先ほど森田委員がおっしゃった、ちょうどこれができなかったらこの課の存 在自体がなくなるのではないかというような、そういうようなものであったとすると、 そこのところについてどういうふうに評価として意味のあるものを出すのかというのが 非常に難しいというのが2点目です。  それから最後は、例えば先ほどのいろいろな御意見の中にも、民間との比較、あるい は民間の部門の広い意味でのいろいろな活用ということのお話もございましたが、他方 でやはり日本はまだまだ国民が何かあったときに、「厚生労働省は何をしているんだ」 「国土交通省は何をしているんだ」という、役所にそういう不満をぶつけることになる ので、結局、「予算がないのでなかなかこういうことができません」というようなこと が一方では言いにくい状況になっている。だから、そういったようなことも含めて、使 うだけでもうからないという予算の使い方で出てきたものを、どういうふうに評価する のかというのが大変難しいんじゃないかと思います。  ちょっと抽象的なお話ですいません。 ○高橋座長  ありがとうございました。はい、どうぞ。 ○阿部委員  先ほどから査定課のところに注目しているのですが、皆さんのお話はそのとおりだと 思いますが、この政策評価のプロセスをどのようにしたらもう少しよくなるかというこ とを考えていきますと、やはり自己査定だけではどうしても鉛筆が滑ってあらぬ方向に 行ってしまったり、いい方向だけではなくて、行くんじゃないかと思うんですね。ある いは自分の立場を守るとか。そうならないためにも、やはり査定課がどれだけうまく査 定するか。特に二次査定、三次査定ですね。そういったところも厚生労働省の中でまず やっておく。その後、財務省に行くなり、国会に行くなりするのは別にいいのですが、 その前に厚生労働省の中で一次査定だけではなくて、二次査定、三次査定。  それで、もし次のこの会議が開かれるときにあったらいいなと思いましたのは、自己 査定の(1)(2)(3)という数字と査定課が出す(1)(2)(3)という数字がどれぐらい違ってく るのか。あるいは予算要求、概算要求したときに、当然要求額どおりにいくわけではな いと思いますが、どれぐらい下がるのか、上がるのか。そういうことを見ていくことに よって、自分の中でどれだけちゃんと査定をしているのか、評価しているのかというの が見えるのではないかと思います。そういうのをこの会議に出していただけると、もう 少しこの先どういう政策評価をしていけばいいのか、あるいは政策評価のプロセスをど ういうふうにしていけばいいのか、というのが見えてくるのではないかなと思います。  もう一つあるのは政策評価の仕方ですが、これは非常に難しいと思います。何度も出 てきますけれども、アウトプット、アウトカムという指標をどうつくるかというのは相 当難しい。ですから、それはそれでやるべきですが、そこにあまりコストをかけないと いうことも必要なのではないかとも思います。  以上です。 ○高橋座長  ありがとうございました。それではそろそろなので。はい、どうぞ。 ○渡辺委員  政策評価というのは予算を幾ら使うか、幾らつけるかではなくて、例えば一つの推進 を試すために、どういう組み合わせの政策試行をするかということですよね。だから、 本来は政策のコンペティションが民間とあっていいはずなのです。だから官がやる部分 と民がやる部分、いや、これはもう民がやればもっとこんな安くていいことができると いう提案は、僕は民だってかなりこれはできると思います。要するに、なぜ政策を官だ けが独占して考えるのか。そこに官から民へということがあって……。昔は民は利益を むさぼるから民のやることは高いんだと言ったんですけれども、今は民間人は、官のや ることはみんなコストだって高いし硬直的だと思っています。それは利益を出すといっ ても、物事には生産性というのがあるんだよと。要するに生産性の追求を評価するわけ でしょう。  だから、政策評価をやるときに、政策のアイデアに対するコンペティションがまずあ って、そこには民間もある程度参画させて、それでそれを実施するときに、もうこれは 民間のマーケットを開放すると。これは官でやると。官でやるから国の予算がつくと。 しかし、それをアウトソーシングする場合がまた再びあるかもしれない。こういうこと をやらなかったら、今の財政事情を基本的に柔軟的に突破できないのではないか。だか ら、政策評価と言わない方がいいのかもしれない。僕みたいな誤解になってしまいます ので。すいません、長くなって。 ○高橋座長  ありがとうございました。どうぞ、森田委員。 ○森田委員  先ほど申し上げたことは、皆さんと大体同じかなという気もしてきましたが、もう少 し補足させていただきますと、先ほど田村先生がおっしゃったこととも関係しますが、 やはりプログラム・エバリエーションというのとパフォーマンス・メジャーメントとい いますか、そちらの方の仕組みというか概念というのは、やはりきちんと分けた方がい いと思います。  そして、政策評価という言い方をしてしまいますから、一体化していますし、そこは いろいろな経緯があって、日本の官庁の場合、各省の場合には、政策と実施と切り離せ ないという前提で仕組みができてきたものですから、そういう言い方をしていますが、 基本的な政策そのもののプログラムの是非というものと、それを実施するときにどれく らい上手に目標を達成したか、効率的にやったかということは分けて、むしろここでき ちんと比較的手堅く評価をするとしたら、後者の方をちゃんとやるというのがあり得る ところかと思います。もちろんプログラムそのものの評価もありますけれども、これは 第三者とか、今おっしゃったように民間とか、いろいろなアイデアをどうやってコンペ をして選んでいくかという話になると思います。むしろ後者の場合はもう一ついいます と、アウトカム指標とかアウトプット指標とかありますけれども、これもまた細かく言 うと大変難しくなっていきますが、私は学習していくためにもなるべく数値目標を挙げ て、その数値目標がなぜだめなのかということをみんなで検討していった方がいいので はないかと思っています。  それはともかくとして、一つはやはり今の財政のことを考えた場合には効率化をして いく。それを考えたら、今やっている仕事を来年度はどれくらい少ない予算でうまくや っていけるか。それがある意味でいいますと一つの評価のときの重要なシンボルという か、考え方になるのではないかと思います。ですから、いろいろなお仕事をしていると きに、同じ仕事の成果を生むためにどれくらいコストをかけるのか。こういう例を例え で使って申し訳ないんですけれども、この机の上に並んでおります情報をつくって、多 分私たちにその情報を伝えるということですが、ここでお伝えになりたい情報のため に、これだけのペーパーとこれだけのコストが要るかどうか。そういう観点から評価を していく仕組みというのがあり得るのではないかという気がします。  いろいろ申し上げましたが、要するにもう少し手堅くきちんとこういう評価をして、 政策といいますか、中のパフォーマンスを改善していく仕組みを厚生労働省は持ってい るんだと。それをきちんとおつくりになってお示しになるというのが、私はいいのでは ないかと思っております。 ○高橋座長  ありがとうございます。いろいろな角度から出てきましたが、多分政策選択にかかわ る議論が一つあったかと思います。これは政策評価の理念の問題ということにもなるの かなと思います。それから、与えられた政策過程の中でそのパフォーマンスを改善す る、これが多分森田委員がおっしゃったことかと思います。それから、日本の文脈での 制度としての政策評価プロセスの話が一つあったかなと思います。それからさらに、こ れは当然技術論というんでしょうか、政策のプロセスの中でどういう材料、素材、情報 を提起しながら精度を上げていくか、それから政策評価そのもののパフォーマンスを上 げていくかという、そういう議論もあったかと思いますが、これはどうもこの次に8月 ぐらいということで、少し素材つきで議論をしていただく機会があると伺っておりま す。恐らくこれはかなり期間を置いてですので、どうしても前の議論は何回も、大事な 議論は繰り返しやらざるを得ないから、その中でだんだん蓄積ができていくということ もあろうかと思いますので、また次回に忌憚のない御意見をいただきながら、積み重ね ていただきたい。  先ほど統括官がおっしゃったことがちょっと一つあれで、三位一体改革の中で予算以 外のをしようとして、これがやはり標準フォーマットで、とにかくすべての事業につい て情報があったということが、これはある種の政策過程を改善するのに、この政策評価 の仕事が役に立ったという一つのエビデンスであったかと思います。そういうような局 面がこれからいろいろな場面で、恐らくこれからますます金がなくなるということに有 無を言わさずという世界が起こってくるとすれば、そこでこういう共通フォーマットで きちんとして情報が網羅的に、しかもこれが大事なのは、アクセスする気があるかどう かは別としても、国民に公開されて利用可能になっているという、それは大変重要なこ とかと思います。そんなことも含めまして、また次回この議論を進めることができれば ありがたいなと思っております。  もう予定の時間をオーバーいたしましたが、事務局の方にお返しをして、次回等のお 話をいただいて、散会ということにさせていただきます。 ○井口政策統括官  一点だけちょっと補足を。先生方の御意見は至極ごもっともですので、これから十分 検討したいと。一点だけ、保育所の話が何人かの先生方から出たのですが、ちょっと補 足をさせていただきますと、保育所というのは実は、少子化対策というのは、出生率を 上げるというのを直接的な目標にはしておりませんで、結果として出てくるという言い 方をしております。そこが非常にあいまいだといえばあいまいで、これだけの出生率が 上がったから成功したというのではなくて、基本的にはやはりそれぞれの子供の福祉と いいましょうか、保育に欠ける児童に対してサービスを提供するというようなところに 置いているものですから。若干いろいろなところでそういう議論が出てきて、どっちが 目標なんだと、答えにくいところがあるのですが、政府とするとその辺は若干不明瞭な ところがございます。一点だけそういうことで、直接の目標としては置いていないもの ですから。置くべきだという議論は十分あります。  ちょっと一言だけ補足させていただきました。 ○高橋座長  ありがとうございます。それでは事務局の方から。 ○岩渕政策評価官  どうもありがとうございました。本日の御議論も踏まえまして、これから今年の評価 書の取りまとめの作業を行いたいと思います。次回の開催につきましては、その公表後 の秋ごろを目途に、また日程調整をさせていただきたいと思います。どうもありがとう ございました。 ○高橋座長  どうもありがとうございました。                                     <了> 照会先:政策統括官付政策評価官室 政策評価第二係 電話:03-5253-1111(内線7780)