10/01/26 第8回労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会議事録 第8回労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会 議事録 日時:2010年1月26日(火) 13:30〜15:00 場所:厚生労働省 共用第6会議室 出席者:  公益代表   今田部会長、奥田委員、鎌田委員  家内労働者代表   大久保委員、久保委員、佐藤委員、古川委員、三村委員  委託者代表   小林茂則委員、小林信委員、山口委員、山本委員  厚生労働省   香取審議官、美濃短時間・在宅労働課長、大隈調査官、廣瀬課長補佐 議題:  1. 部会長及び部会長代理の選出について  2. 平成21年度家内労働概況調査結果について  3. 第9次最低工賃新設・改正計画の進捗状況について  4. 第10次最低工賃新設・改正計画について  5. 平成22年度家内労働関係予算案の概要について   資料:  資料1 労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会委員名簿  資料2 労働政策審議会令  資料3 平成21年度家内労働概況調査結果  資料4 第9次最低工賃新設・改正計画進捗状況  資料5 第10次最低工賃新設・改正計画  資料6 平成22年度家内労働関係予算案の概要  資料7 家内労働関係資料 議事: ○美濃短時間・在宅労働課長  定刻になりましたので、ただ今より「第8回労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会」を 開催いたします。  本日は公益代表の相澤委員と石田委員、委託者代表の横山委員が御欠席ですが、労働政策審議 会令第9条の規定によります定足数を満たしております。  また、本部会は公開であり、その取扱いについては、以前、この部会で御承認いただきました 「労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会の公開について」のとおりとなっております。  あらためまして、私は短時間・在宅労働課長の美濃でございます。本日は家内労働部会委員改 選後の最初の会合であり、部会長、部会長代理を選任していただくことになっておりますが、そ れまでの間、進行を務めさせていただきます。  それではお手元の資料1「家内労働部会委員名簿」に沿って、御出席の委員の皆さまを御紹介 いたします。  公益委員の今田委員です。 ○今田委員  今田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○美濃短時間・在宅労働課長  奥田委員です。 ○奥田委員  奥田です。よろしくお願いいたします。 ○美濃短時間・在宅労働課長  鎌田委員です。 ○鎌田委員  鎌田です。よろしくお願いいたします。 ○美濃短時間・在宅労働課長  家内労働者側委員の大久保委員です。 ○大久保委員  大久保でございます。よろしくお願いいたします。 ○美濃短時間・在宅労働課長  続きまして、久保委員です。 ○久保委員  久保です。よろしくお願いします。 ○美濃短時間・在宅労働課長  佐藤委員です。 ○佐藤委員  佐藤です。よろしくお願いいたします。 ○美濃短時間・在宅労働課長  古川委員です。 ○古川委員  古川です。よろしくお願いします。 ○美濃短時間・在宅労働課長  三村委員です。 ○三村委員  三村です。よろしくお願いいたします。 ○美濃短時間・在宅労働課長  続きまして、委託者側委員の小林茂則委員です。 ○小林茂則委員  小林でございます。よろしくお願いします。 ○美濃短時間・在宅労働課長  小林信委員です。 ○小林信委員  小林です。よろしくお願いいたします。 ○美濃短時間・在宅労働課長  山口委員です。 ○山口委員  山口でございます。よろしくお願いします。 ○美濃短時間・在宅労働課長  山本委員です。 ○山本委員  山本です。よろしくお願いいたします。 ○美濃短時間・在宅労働課長  続きまして、本日の議題に入る前に、雇用均等・児童家庭局審議官より、一言御挨拶させてい ただきます。 ○香取審議官  本日は、お忙しい中を御参集いただきまして、誠にありがとうございます。  本部会は家内労働者に関する事項に関する審議をいただくということで、労働政策審議会の下 に置かれているものですが、本日の会合で8回目ということになります。  御案内のように、家内労働法が制定されまして40年経っております。制定当時は約200万人の 家内労働者がいらっしゃったわけですが、現在は約15万人、このうち5割の方が50歳以上とい うことで、大変高齢化が進んでいる状況でございます。また、御案内のように、非常に厳しい経 済情勢が続いておりますので、家内労働者あるいは委託者それぞれが、今、いろいろな形で大変 な御努力をされていると思っております。  このような環境の中で、やはり家内労働者の就業環境にかなりいろいろな影響が出ているとい うことが懸念されているところでございまして、その労働条件をきちんと確保していく、あるい は生活の安定を図っていくことについては、大変重要な課題となっていると考えております。  今年度は第9次の最低工賃新設・改正計画の最終年に当たっておりまして、この間3か年の実 績を踏まえて、次の第10次の計画を策定するという節目の年に当たっております。後ほど、平成 21年度の家内労働の概況調査の結果でございますとか、あるいは第9次計画の進捗状況につきま して御説明させていただきます。そういった報告等も御参照いただきながら、委員の皆さまから 御議論をいただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○美濃短時間・在宅労働課長  それでは、議事に入ります。お手元の議事次第に沿って、進めてまいります。  まず議題の1「部会長及び部会長代理の選出について」でございます。部会長の選任につきま しては、資料2「労働政策審議会令」をご覧ください。その第7条第6項に部会長の選出方法に ついて定められております。具体的には「部会に部会長を置き、当該部会に属する公益を代表す る委員のうちから、当該部会に属する委員が選挙する」とあります。この「委員」というのは、 労働政策審議会の本審の委員を指すことになっておりまして、本審の委員でこの部会に所属して いただいておりますのは、相澤委員と今田委員でございます。相澤委員とも事前に御相談の上、 今回は、前回に引き続きまして今田委員に部会長をお願いすることとさせていただきたいと思い ますが、よろしいでしょうか。 (「異議なし」の声あり) ○美濃短時間・在宅労働課長  それでは、今田委員に就任の御挨拶をいただくとともに、これからの議事進行をお願いしたい と存じます。  今田部会長、よろしくお願いいたします。 ○今田部会長  誠に僭越ですが、部会長を引き受けさせていただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いい たします。  最初に、部会長代理の指名手続がございます。部会長代理については、労働政策審議会令第7 条第8項の規定により、部会長があらかじめ指名することとなっております。  部会長代理は鎌田委員にお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。  それでは、議事に入らせていただきます。議題の2「平成21年度家内労働概況調査結果につい て」、事務局より説明をお願いしたいと思います。 ○廣瀬課長補佐  それでは、資料3「平成21年度家内労働概況調査結果」について、御説明いたします。まず、 平成21年度家内労働概況調査につきましては、都道府県労働局におきまして、家内労働法第26 条に基づく委託状況届、監督指導結果、関係団体への照会等を通しまして、毎年10月1日現在の 家内労働者数、委託者数等を業種別、類型別、男女別に把握しまして家内労働対策における資料 としているものでございます。  まず「家内労働従事者」についてでございますが、総数は15万1,950人で、その内訳を見ます と、家内労働者が14万5,151人、また家内労働者の同居の親族であって、家内労働者とともに仕 事に従事している補助者は6,799人となっております。  次に「家内労働者の推移」でございますが、昭和48年の184万4,400人をピークとして、その 後減少が続いております。平成21年は前年に比べまして15.5%減少しております。  また、家内労働者を男女別に見ますと、女性が全体の90.2%を占めています。また、類型別に 見ますと、家庭の主婦などが従事する内職的家内労働者が13万6,541人で、全体の94.1%と大 部分を占めており、世帯主が本業として従事する専業的家内労働者は7,348人、農業や漁業の従 事者などが本業の合間に従事する副業的家内労働者は1,262人となっております。  家内労働者を業種別に見ますと、例年と大きく変わるものではございませんが、衣服の縫製、 ニットの編立てなどの繊維工業が4万9,327人と約3割強を占め、次いで玩具、人形、造花、漆 器などの「その他」が2万7,379人と2割弱、自動車用部品カプラー差し・チューブ通しなどの 電気機械器具製造業が1万5,910人で1割となっていまして、これら3業種で全体の約6割を占 めております。  これを都道府県別に見ますと、愛知県が1万456人と最も多く、次いで静岡県、大阪府となっ ており、家内労働者数が1万人を超えているのは愛知県のみとなっております。前年と比べまし て家内労働者数の減少幅が大きい都道府県は青森県で、対前年で791人減、前年比39.2%減とな っております。  また、危険有害業務に従事する家内労働従事者数は1万6,952人で、家内労働従事者数に占め る割合は11.2%となっております。業種別の家内労働者数が多い繊維関係の動力ミシンやニット 編機など動力により駆動される機械を使用する作業が1万2,988人と最も多く、危険有害業務に 従事する家内労働者全体の76.6%を占めております。  次に委託者の状況を見ますと、平成21年10月1日現在の委託者数は1万982です。業種別に 見ますと、家内労働者と同様に、繊維工業、その他の雑貨等、電気機械器具製造業が多くなって おりました。これら3業種で全体の約6割を占めております。また、1委託者当たりの平均家内 労働者数は13.2人で、これを業種別に見ますと、ゴム製品製造業が24.7人と最も多く、皮革製 品製造業が7.6人と最も少ない状況でございます。  最後に代理人についてです。代理人とは、委託者が多数の遠隔地の家内労働者に仕事を委託す る場合に、直接家内労働者に原材料や製品の運搬、工賃の支払等を行うことが距離的、時間的に 難しいことから、これらの業務を行わせるために、家内労働者との間に置いているものでござい まして、その数は平成21年10月1日現在738人となっております。また、代理人数を業種別に 見ますと、こちらも繊維工業、その他の雑貨等、電気機械器具製造業で多くなっております。  以上、駆け足でございますが、御説明とさせていただきます。 ○今田部会長  どうもありがとうございました。ただ今の説明について、御意見・御質問等がございましたら、 どうぞ。 ○奥田委員  (5)のところで説明された青森県の40%近い減少の理由がもし分かれば、お願いします。 ○廣瀬課長補佐  青森県につきましては、基本的には家内労働業務の委託量全体が減少しているという全体的な 傾向がありますことと、あとは家内労働者が高齢化しておりまして、新たに家内労働に就く方が いらっしゃらないという自然減もあると聞いております。  また、事業所の廃止や委託の廃止といったようなこともありまして、昨今の経済情勢の悪化に よる影響もあるのではないかと考えております。 ○奥田委員  他府県よりもそれが青森県でより強く出ているということですか。 ○廣瀬課長補佐  青森局にも確認したのですけれども、特別に青森県で他府県よりも大きな影響があって減少し ているというような特徴は見受けられなかったところです。 ○今田部会長  どうぞ。 ○山本委員  もう一つ、質問でございます。この従事者数が減っております原因が、今の経営環境全般の問 題もあるのでしょうが、例えば最低工賃などが一般の職種と比較して低いために従事者数が減っ ているというようなことも要因としてあるのか、ないのか。この辺は、どうなのでしょうか。 ○廣瀬課長補佐  基本的には家内労働者数というものは、ピーク時からずっと減ってきておりまして、家内労働 をめぐる工賃の相場などもあまり上がっていないのが現状だと思います。そういう意味で、家内 労働者を取り巻く環境は非常に厳しいものがございますし、海外への発注移転、流出というもの もございます。そのような状況の中で、新たに家内労働に従事される方が増えていないというよ うなことであろうかと思います。 ○山本委員  わかりました。ありがとうございました。 ○今田部会長  それに加えてですけれど、家内労働者の労働実態について、賃金とか労働条件について、家内 労働の人口が減少しているとか、ある業種で減少しているということがわかるような、家内労働 者の労働実態についての調査データというものはあるのでしょうか。 ○美濃短時間・在宅労働課長  過去におきましては、家内労働等実態調査というものがございまして、これは昭和46年度から 平成18年度までの間に家内労働対策を推進するための基礎資料を得ることを目的として実施さ れていたものでございます。これは委託者・家内労働者・在宅就業に係る実態を3年周期で調査 をする承認統計というものでありました。その後、平成19年度に在宅就業者の実態調査を行うこ とを予定して平成19年度の概算要求を行ったところでありますが、結果的に総務省の承認統計調 査を行うことを認められなかったという経緯がありまして、実施できなかったということでござ います。  この在宅就業の実態につきましては、平成20年度の委託事業として調査を実施したところであ りますけれども、平成21年度あるいは平成22年度におきましては、先程の家内労働概況調査は ございますが、大規模な家内労働等実態調査に匹敵するような調査は予定しておりません。今後 の家内労働等実態調査に当たるようなものの実施について、調査のあり方を含めて現在検討して いるという状況でございます。 ○今田部会長  わかりました。ありがとうございました。他に。 ○小林茂則委員  委託者側の(1)のところですが、委託者数が今1万982と表記されていますが、これは製造また は販売業者ということですが、販売業者はどれぐらいいらっしゃるのですか。 ○廣瀬課長補佐  製造販売業者ということで取っておりまして、1万521でございます。 ○小林茂則委員  これは製造販売業者ということですか。わかりました。製造業と販売業ということではなくて、 製造販売業ということなのですね。ありがとうございました。 ○今田部会長  よろしいでしょうか。 ○山本委員  先ほどの質問にも絡むのですけれども、従事者数が年々減っている状況で、どちらかというと、 この審議会も減っている状況を追認していくような形の審議内容になっているような気がするの ですが、国の政策的な問題とか、そういうこととの絡みでもっとこういうものは増やしていかな くてはいけないのだろうかとか、そう考えると、例えば今の賃金の体系はどうなのだろうかとか、 そのようなことにもう一度光を当てて、このまま追認型でどんどん減っていってもよいというこ とでしたら、それでもよいのですが、そこに国の進み方とか経済の進み方との関係で、今後この 家庭内労働の従事者がもっと良い環境下で仕事ができるようにしていかなければいけないという 課題があるとすれば、もう少しポジティブな意見を出していく必要もあると思いますので、その 辺の全体の流れと現状というものが、追認型でよいのか、それとももっと改善策を打っていく必 要性のある状況なのかというところ辺りは、いずれかの光を当ててみる必要があろうかという意 見でございます。 ○今田部会長  意見ということで、よろしいでしょうか。何かありましたら、お願いします。 ○美濃短時間・在宅労働課長  家内労働を取り巻く状況は非常に難しく、厳しいものがございまして、最近の経済状況を受け て、今年度はかなりの減少数ということになっております。  一方、例えば工賃を引き上げていくといったことも非常に重要なことだと思っておりますが、 そうしますと、逆に委託者側は価格の安い海外に活路を求めていくといった動きも出てくるわけ でありまして、そういう悩ましい状況の中で、どのような形で進めていくのが適当だろうかとい うことを考えながら行っているところだと思います。 ○今田部会長  他に、ございますでしょうか。  それでは、次の議題に移らせていただいて、よろしいでしょうか。  では次に議題の3と4、「第9次最低工賃新設・改正計画の進捗状況について」及び「第10次 最低工賃新設・改正計画について」、事務局より説明をお願いしたいと思います。 ○美濃短時間・在宅労働課長  資料4の説明に入ります前に、今回初めて御参画いただいている委員もおられますので、簡単 に最低工賃制度につきまして御説明申し上げたいと存じます。  お手元にお配りしております「家内労働のしおり」をご覧いただけますでしょうか。その1ペ ージをお開きいただけますでしょうか。「家内労働法のあらまし」ということでありますけれども、 家内労働法は家内労働者の労働条件の向上を図り、生活の安定に資するということをその目的と しております。この法律に基づきまして、家内労働手帳の交付ですとか工賃支払いの確保、最低 工賃、安全衛生の措置などにつきまして最低の基準を定めていくということになっております。  恐縮ですが、3ページの最低工賃の下段の方をご覧いただければと思います。最低工賃につき ましては、工賃の低廉な家内労働者の労働条件の改善を図るために、必要があると認める場合に 審議会の御意見を聞いて最低工賃を定めるということになっております。具体的には、都道府県 労働局に置かれています地方労働審議会におきまして調査・審議が行われた上で、その意見を聴 いて最低工賃の決定が行われているところでございます。平成21年12月末現在で、全国で130 件の最低工賃が定められているという状況になっております。  この最低工賃の新設又は改正を計画的に進めていくことが重要であることから、都道府県労働 局が最低工賃の新設・改正に取り組む具体的な業種を設定した計画を策定して、その計画に基づ いて最低工賃の新設あるいは改正が行われてきているところでございます。  この計画の策定は昭和58年度を初年度とします3か年計画からスタートしておりまして、資料 4が現在の第9次計画でございますけれども、現在の第9次計画は平成19年度から平成21年度 までの3か年の計画となっております。今年度がその計画の最終年度となっているわけでござい ます。  この第9次計画の進捗状況につきまして、お手元の資料4で御説明申し上げます。恐縮ですが、 資料4-2の2ページ目をご覧いただければと思います。A3の横長の資料です。そちらに平成19 年度、平成20年度、平成21年度の各年度の改正予定を記しております。縦の平成19年度の欄に、 平成19年度に改正を計画したものを並べております。同様に、平成20年度に計画したものは平 成20年度の欄に記載しているということでございます。  諸般の事情によりまして、なかなか計画通りにいかなかったものもございますが、その結果を 色で表示させていただいております。平成19年度に公示あるいは諮問見送りを決めたものにつき ましては青色の文字になっております。平成20年度中に決まったものは緑色、さらに平成21年 度中に決まったものを桃色で表示しております。黒文字は未決着のものでございます。このよう に、3か年計画に従いまして最低工賃の見直しを進めてきたところでございます。  このような状況を総括的にまとめたものが、恐縮ですが1枚戻っていただきまして資料4-1と なっております。最上段にありますように、第9次計画期間中における改正等の予定件数は138 件となっております。改正等予定件数のうち、26件(18.8%)が改正等公示されておりまして、65 件(47.1%)が諮問見送りとなっております。それから、8件(5.8%)が諮問中、35件(25.4%)が着手 済み、4件(2.9%)が未着手となっております。この4件のうち3件につきましては年度内に何ら かの対応が予定されておりまして、残りの1件につきましても年度内は予定はございませんけれ ども、次に説明させていただきます第10次計画の最初の年度に盛り込まれている次第でございま す。  それから、諮問見送り件数は65件で全体の47.1%ということになっているわけでござます。 これは改正諮問に先立ちまして工賃相場その他に係る実態調査を実施して、どの程度、工賃の改 正を行えるのかというものをあらかじめ調べております。その結果、改正を行える状況ではない と都道府県労働局長が判断した場合に、関係の公労使の皆さま方にその旨を御説明し、今回は工 賃額の改正を行わないという了解を得られた場合に改正諮問見送りとして件数を計上しているも のです。  その理由につきましては、労働局にも確認したところ、やはり昨今いわれておりますように経 済情勢が厳しく工賃がなかなか上がっていない、あるいは仕事量が減少しているといった回答が 挙げられております。  こうした中で、最低工賃の改正にかかる平均周期が長くなる傾向にありまして、その資料にも ありますように、第9次の計画期間における平均周期は5年5か月となっております。  なお、昨年の本部会におきまして、未着手ということで整理されているものの中にも、さまざ まなものがあって表の作り方についてあらためて整理すべきという御指摘がありました。その御 指摘を踏まえまして今般、着手済みと、文字通りの未着手とを分けさせていただいた次第です。 以上が第9次の最低工賃新設・改正計画の進捗状況です。  続きまして、資料5をご覧ください。甚だ恐縮ですが資料5-3を先にご覧いただければと存じ ます。これまでの最低工賃の決定状況について簡単にご説明申し上げます。最低工賃の決定件数 は、第6次計画の策定時の平成10年3月の183件から平成21年の130件まで減少してきている ということです。一番上のグラフです。  続きまして委託者数と最低工賃適用の委託者数の推移です。中段のグラフにあるとおりで、委 託者数につきましては、第6次計画の策定時の平成10年3月の3万2,345から平成21年には1 万982ということで減少しております。最低工賃の適用委託者は第6次計画策定時の平成10年3 月の1万5,316から平成21年につきましては4,414ということで、こちらも減少している状況で す。  一方、家内労働者数と最低工賃の適用家内労働者数の推移は下段のグラフのとおりになってお ります。家内労働者数につきましては、第6次計画策定時の46万2,280人から、平成21年につ きましては14万5,151人ということで減少しています。最低工賃適用の家内労働者数につきまし ては、第6次計画策定時の18万8,099人から平成21年の4万1,123人ということで減少してい ます。最低工賃の決定件数、委託者数、家内労働者数の推移はこのような状況になっているとこ ろです。  恐縮ですが資料5-1にお戻りいただければと存じます。「第10次最低工賃新設・改正計画方針」 です。この第10次の最低工賃新設・改正計画は、平成22年度を初年度とする3か年の計画とな っております。引き続き最低工賃の計画的な改正を進めて、工賃が低廉な家内労働者の労働条件 の改善を図ることを目標としております。  1の「改正について」の(1)ですけれども、「計画的な改正」ということです。現在の第9次計画 においては適用家内労働者数300人未満のものにつきまして、改正の予定年度を期初に設定して いないものもあります。第10次の計画につきましては現在決定されている最低工賃につきまして、 3か年の計画期間のいずれかの年度において必ず見直しや検討を行うことにしております。  次の(2)の「改正諮問の見送り」をご覧いただければと存じます。諸般の事情によりまして、改 正を行う状況にないと判断する場合に、必ず地方労働審議会又は同審議会家内労働部会におきま してその旨を説明し、公労使三者の了解を得た上で、最低工賃についての改正諮問の見送りを行 い、意思決定の透明性を確保するということにしております。  続きまして3の「廃止について」をご覧いただければと存じます。適用家内労働者数が100人 未満に減少し、将来も増加する見通しがない状況で実効性を失ったと思われる最低工賃につきま しては廃止することも検討をすることにしております。もちろん、先ほど申し上げましたように、 最低工賃の廃止につきましては、地方労働審議会等の御意見を十分に聴いて尊重して行っていく ということです。以上の方針を基に作成したものが次のページの資料5-2です。こちらのA3の表 になります。130件ある最低工賃の改正等を平成22〜24年度までの期間中のいつに行うかという ことをこの表で示しております。平成22年度におきましては45件、平成23年度におきましては 48件、平成24年度には45件の改正等が予定されている状況です。以上が第10次計画策定につ いての説明です。 ○今田部会長  どうもありがとうございました。御意見・御質問をどうぞよろしくお願いいたします。どうぞ。 ○佐藤委員  第9次計画でいきますと、平成21年度はまだありますので最終ではないと思いますけれども、 実際上、第9次の計画中で改正がされたのは27件ですよね。ですから、全体の中からいっても2 割に満たないものしか実際上改正できなかったということです。先ほどお話があったように、多 くは諮問見送りということで、いわゆる公労使の委員会が招集される際に、議論がされないまま、 さまざまな各地方局による事情等があるにしても、そのような事情に至っているということは、 いわば労働側からすれば残念な結果になっているかと思います。やはり、平均周期が5年や6年 という形になっていますから、先ほど美濃短時間・在宅労働課長から見送りの理由ということで、 経済状況が厳しい問題や仕事量が減少している問題というお話がありましたけれども、この問題 は全体的な問題ですから、単に家内労働者の仕事量が減少してきている、経済状況がこのような 状況というのは日本経済がこのような状況ですから、そのような理由だけで家内労働者、とりわ けここの対象になっているのは恐らく未組織の形での家内労働者という形になると思いますので、 そういう点では最低賃金にも引っ掛からない、いわば最低工賃が家内労働者の労働条件の本当の 最低限の下支えになるものだと思いますので、当然安易に見送りということにはならないと思い ますし、今後も透明性を高めていくということですけれども、今まで以上にこのような実態を踏 まえていけば、一つはもう少し改正に踏み切ることを強く促すような指導が必要ではないかとい うことです。  第10次の計画のところでも出されていますけれども、計画的な改正の中で、工程・規格等の見 直しを行うということをいわれているのです。私も東京などで最低工賃の専門部会にも参加させ ていただいたことがあるのですが、実際上は規格・工程で最低工賃を決めていますから、現状で はほとんど改良しているものが出てきていると。例えば東京でいっても、電気機械器具などがあ りますけれども、その中には半田付けをやるような工程があるわけです。トランジスタラジオで はありませんから、そういった半田付けの作業は現実的に存在しないというような問題もありま すので、そういう点では家内労働者が減少しているという問題もあるのだろうと思いますけれど も、積極的な工程・規格の改正を促進するような指導ももう一つ必要になるのではないかと思い ます。ただ、その点も現実問題でいきますと、この規格・工程を見直すことになると額の改正よ りも極めて労力が要る形になりますので、そのことも含めてきちんと見据えて指導などもしてい く必要があるのではないかと思いますので、ぜひそのことも含めて御検討いただければと思いま す。 ○美濃短時間・在宅労働課長  まず2点目の工程の改定、工程・規格等の見直しの関係ですけれども、御承知のとおり、最低 工賃は品目・規格に応じまして、作業工程ごとに決定されているものが多いです。実態と合わな くなったものにつきましては、佐藤委員の目から見ればまだまだ不十分かもしれませんけれども、 労働局において最低工賃見直しの際に作業工程を実態と合わせるように、実態に応じた見直しを 行うようにということで工夫を行っているところです。  それから1点目の改正を促すような指導が必要ではないかという御指摘ですけれども、これも 申し上げるまでもないかと思いますが、それぞれの都道府県労働局の労働審議会家内労働部会に おいて公労使三者で十分に話し合って、実態を踏まえつつ結論を出してきている状況かと思いま す。そういった審議会の仕組みが十分に機能するように今後ともこちらとしても指導を行ってい きたいと思っております。 ○大久保委員  ありがとうございます。二つお伺いいたします。まず第9次と第10次の新設・改正計画を見比 べたときに、第9次の方で未着手となっているものが4件あると伺いました。この4件はどれが 該当するかということを以前伺ったところ、青森県、山形県、埼玉県の電気機械器具と沖縄県の 縫製だと伺っております。こちらの方が第10次でどうなっているかを今ざっと見たのですが、青 森県、山形県、沖縄県につきましては平成22年度、つまり初年度に改正する、もしくは廃止とい う言葉も入っておりますがそのようになっているのですが、埼玉県につきましては平成23年度と なっております。平成23年度ですと、当然のことながら平成22年度に改正するよりは、さらに 改正されない期間が延びてしまうわけです。こちらの方は埼玉労働局の御意向とは思いますが、 なぜ平成22年度ではなく、平成23年度に送ったのかを御説明いただければと思います。  2点目です。今も美濃短時間・在宅労働課長から御説明がありましたが、この改正諮問見送り につきまして第10次の計画の方針で、わざわざこのようにきちんと説明を行って公労使三者の了 解を得た上で改正諮問の見送りをするとされています。一つは手続きの透明化がより進んだとい う点で、これはこれで進歩だとは思いますが、私どもからすると、例えばこれは1回諮問したら、 必ずプラスの額で改正しなければならないものなのか。そこが少しわからないのです。確かに改 正ができない、工賃を上げられない状況があるのは理解します。けれども、それはあくまで審議 会を開いて、公労使で十分に審議を尽くした上で、そのような判断をすべきものだと考えており ますので、説明だけで労働局長の判断により諮問の見送りをしてしまうのはかなりの違和感が残 るということを申し上げます。以上です。 ○美濃短時間・在宅労働課長  1点目の埼玉県の電気機械器具製造業の関係は、埼玉県におきまして順次最低工賃の改定を行 っていくスケジュールになっているかと思います。具体的には電気機械器具製造業の関係につき ましても平成22年2月に実態調査を実施した上で、平成23年におきまして改正を行っていこう ということです。埼玉県は最低工賃の件数が5件ということで他と比べても多くなっております。 そのような状況の中で、今申し上げたようなスケジュールになっているということかと思います。  それから改正の関係ですけれども、改正諮問を見送るよりも審議した上で見送り答申の方がと いう御指摘かと思いますが、先ほど御説明した中でも若干触れさせていただいたのですが、地方 労働審議会で最低工賃の決定、改正、廃止につきまして諮問する場合には、適正な諮問を得るた めの事前の検討を行うことが合理的であると考えております。調査も踏まえまして、検討の結果、 最低工賃の決定、改正又は廃止を行うべきと労働局長が判断した場合に諮問を行っているという ことで、実態調査等の結果を踏まえて事前の検討を行った上で諮問しております。そういった実 態調査の結果を踏まえて改正を行う状況にないと判断する場合には、改正諮問の見送りについて はこれまで公労使三者の委員に御説明を行って了解を得てきたところですけれども、先ほども御 指摘がありましてお話がありましたように、今般、改正諮問を見送る過程をより透明化するとい う趣旨の下に地方労働審議会ないし家内労働部会におきまして諮問を見送ることについて説明を 行って、公労使三者の皆さま方の了解を得た上で改正諮問を見送ることにしたところです。 ○今田部会長  他にありますか。 ○久保委員  勉強不足で恐縮ですが、教えてください。資料5-1の3の「廃止について」のところですけれ ども、「実効性を失ったと思われる最低工賃については、廃止することも検討すること」というこ とですが、これは例えば廃止になった場合に、100人未満といいながらそこに家内労働者がいた 場合、その人たちの最低工賃はどのようになるのか教えていただければと思います。 ○美濃短時間・在宅労働課長  最低工賃が廃止されることになれば、その裏表だと思いますけれども、最低工賃についての適 用は受けないという形になります。 ○久保委員  適用はなくなるというだけですね。わかりました。その場合の基準はどうなるのでしょうか。 通常は「地域別最低賃金などを勘案しながら決める」となっていると思いますけれども、その辺 を参考にということになるのですか。特に縛られないというだけですか。 ○美濃短時間・在宅労働課長  御指摘のとおり、特に制約はない形になります。現行法上におきましても、例えば先ほどご説 明した資料5-3の中にもありましたように、実際に最低工賃が適用される方はかなり限定されて います。これはどのような状況かと言いますと、逆に申し上げれば、非定型業務が非常に増えて きているということもありまして、実際には最低工賃が適用されない。多様なニーズに即時に応 えられるようにということで、なかなか定型的な最低工賃の適用が受けられない状況が出てきて います。 ○久保委員  わかりました。 ○今田部会長  この資料5-3のグラフによると、全体で家内労働者が減っている以上に、委託業者においても 適用者が減っているし、労働者の方も適用家内労働者の割合も減っていますよね。これは今言っ たような事情、要するにそのような最低賃金のある種のルールに守られない人たちが増えている 状況ですよね。 ○美濃短時間・在宅労働課長  そうです。最近の流れとしましては、やはり少量・多品種・短納期といいますか、かなり多様 な、非定型的なニーズに応えていく必要があるということで、なかなか既存の最低工賃の枠に当 てはまらないようなものが非常に増えてきているところがあると思います。 ○今田部会長  要するに仕事の中身によるのであって、最低工賃が適用されている職務ではないような仕事が 増えていることによるということですね。その結果として最低工賃が設定されていない、つまり、 これは、最低工賃よりも高い工賃の仕事と考えていいわけですか。 ○美濃短時間・在宅労働課長  非定型業務はニーズが高いので、一般論として申し上げるならば最低工賃的なものよりも高い ものが多いと受け止めております。 ○今田部会長  そのように理解してよいということですね。 ○山本委員  また話題が違うのですが、食料品などの場合に、パーセンテージは低いですがその従事者がお りますけれども、昨今の衛生管理などを考えると、食品衛生法上の問題や絡みで、その辺の管理 がきちんとできている状態での家内従事であればよいのですが、最近はそのようなことが消費者 から非常に厳しい目で見られるようになりつつある状況の中で、その辺の環境整備がどうなって いるかについて、チェックを入れていただいているのかどうかということはいかかがでしょうか。 ○美濃短時間・在宅労働課長  家内労働法に固有のといいますか、そのようなチェックということよりも、むしろ先ほどお話 がありましたように、例えば食品衛生法なり、そういった衛生環境を規律する法律に基づいて様々 なチェックが行われていると理解しております。 ○山本委員  ということは、そのことはなされていると考える。消費者が不安を持ってはいけないからとい う意味で申し上げるのですけれども、その法律のはざまの中で、事実的に管理監督が行き届かな い状況の中で出来上がっていくことがないようになっていれば問題はないですけれども、家内従 事ということになりますと若干目から漏れるようなこともないとは言えないので、食品衛生法上 の規制や管理監督できちんとなっているのでしたら問題ないと思いますけれど。 ○美濃短時間・在宅労働課長  そこは食品衛生法なり、そういった規制によってきちんと指導がなされるべきものだと思って おりますし、あとは委託者との関係においてもやはりきちんとした物を納品することが求められ る。今の厳しい状況の中で逆に厳しい状況だからこそ、きちんとした製品を納めることが求めら れる中で、そのような面からもチェックされているところがあるのではないかと思っております。 ○山本委員  そうですね。推測の域を超えて確認を。特に食料品の場合にはアレルギーの問題もあれば、あ るいは細菌の問題などいろいろとありますので、ある程度きちんと管理できている、実際に行わ れているという裏付けがないと、「やっているのではないか」ということではいけなくなる場合も あるのではないかという気がします。 ○今田部会長  他にありますか。 ○奥田委員  先ほど今田部会長がおっしゃったことに関連して5-3についてもう一度だけ確認させていただ きたいのですが、先ほどの御回答では、要するに最低工賃が適用されない家内労働者があって、 適用される率が減ってきているのは非定型業務の増加によってということが一つの原因として考 えられる。その場合に非定型業務の増加している部分というのは通常の最低工賃よりも高い工賃 を全体としては得ているだろうと考えられるという御説明だったと思います。そこは理解できる のですが、そうではないところで最低工賃が適用されている家内労働者とそうではない家内労働 者の工賃の違いは調査などでわかるものが何かあるのでしょうか。例えば先ほどご質問があった 100人未満になってくると適用しないということで外していくとなると、そこで従来の定型業務 でも最低工賃が適用されない層が出てくると思いますけれど。もしあれば御指摘ください。 ○美濃短時間・在宅労働課長  先ほど今田部会長からご指摘いただいたことにも関係するのですけれども、平成18年度までは 実態調査がしっかりとできていた状況にあるのですが、最近はそういった広範囲な実態の調査が できていない状況があります。現状を把握することは非常に大事だという御指示を大臣からもい ただいておりますので、現状把握が少しでも正確にできるようにということで現在検討している ところです。まずは、そういった実態調査を行うべく努力をしていくところかと思っております。 ○廣瀬課長補佐  今の補足ですけれども、最低工賃を廃止する場合、最後の1人がいらっしゃらなくなった段階 で廃止する所もありますし、御指摘のようにまだ何人か残っている段階で廃止するという所もあ ります。廃止となってしまった場合に、残った方に対する法的な担保は制度上はありませんが、 廃止については、公労使三者の了解の上決められるものですので、その後は多くが紳士協定のよ うな形で、最低工賃を廃止されたからといって、突然工賃額が激減することがないような取扱い がなされていると考えているところです。 ○今田部会長  よろしいでしょうか。それでは一応議論はされたということで、最後の議題に入りたいと思い ます。議題5「平成22年度家内労働関係予算案の概要について」事務局より説明をお願いします。 ○美濃短時間・在宅労働課長  それでは資料6をご覧いただければと思います。資料6は「平成22年度家内労働関係予算案の 概要」ということで、現在の予算案の中に家内労働関係で盛り込まれています予算の概要です。全 体としましては平成22年度予算案の中に盛り込まれている額としては2,900万円となっていま す。内訳ですが、一つ目として「家内労働行政の推進に要する経費」としています。この経費とし ては家内労働者に対しまして家内労働法の周知を図るという観点からパンフレット等の作成経費 がこれに含まれています。2番目の「家内労働に係る安全衛生管理の指導等に要する経費」は2,200 万円となっていますが、これは家内労働者あるいは委託者に対しまして、安全衛生指導員が巡回 して指導を行う経費となっています。3番目は「家内労働者の健康相談会の実施に要する経費」で す。こちらが200万円となっています。この事業につきましては平成20年度より実施しています。 危険有害業務に従事しておられます家内労働者の方を対象としまして、健康相談会を開催すると いうものです。  なお、家内労働法の適用対象ではありませんが、類似の働き方ということで、在宅就業関連予 算についても参考情報として載せております。在宅就業は物の製造加工の関係ではありません。 インターネットなどの情報通信機器を使った在宅での仕事ということです。  その1点目「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」の周知・啓発です。これは情報通 信機器を使った在宅での就業を安心してできるように、それとともに紛争が起こることを未然に 防止する観点から、発注者あるいは在宅ワーカーに対しまして、「在宅ワークの適正な実施のため のガイドライン」、これは平成12年6月に策定していますが、それの周知を図るものです。こち らの予算が100万円となっています。なお、「在宅ワークの適正な実施のためのガイドライン」に つきましては、改定について検討しています。ガイドラインの改定につきましては、まとまった 段階でそれをどう取り扱うか、部会長とも御相談申し上げて御連絡させていただきたいと考えて います。  続きまして2点目の「在宅就業者総合支援事業」についてです。こちらは在宅就業に関する相談 対応ですとか、セミナーの開催等を通じた在宅就業者のスキルアップの支援を行うものです。あ るいは在宅就業を仲介する機関による安定的な仕事の確保の支援等を行うことによりまして、適 正な在宅就業の環境の整備を図っていこうというものです。こちらは6,200万円となっています。 来年度の家内労働関係、参考として在宅就業関連予算を含めまして、以上簡単ですが、概要です。  恐縮ですが、続いて資料7をご覧いただければと存じます。資料7-1は「家内労働監督指導実 施結果」です。平成20年におきまして監督指導実施事業所数は58、違反事業所数は32、違反率 は55.2%となっています。  恐縮ですがもう1枚おめくりいただきまして、資料7-2「家内労働者等労災保険特別加入状況」 です。こちらは都道府県労働局を通じて把握した昨年7月末の加入状況ですが、加入団体数が65、 加入者数が675人となっています。保険料の負担者別に見ますと、委託者の全額負担が51人、委 託者の一部負担が78人、自治体の全額負担はなし、自治体の一部負担は212人、家内労働者の全 額負担が339人となっています。以上です。 ○今田部会長  この予算案について、御意見がありましたらどうぞ。 ○佐藤委員  資料7でもよろしいですか。 ○今田部会長  資料7の説明は、6との関係は。 ○美濃短時間・在宅労働課長  資料7でも結構でございます。 ○今田部会長  資料6と7の関係は。資料6は平成22年度の予算案ですよね。 ○美濃短時間・在宅労働課長  資料7-1は昨年の家内労働に関係の監督指導の実施結果で、資料7-2が家内労働者の労災保険 の特別加入の状況です。 ○今田部会長  わかりました。資料6と7は直接関係は。 ○美濃短時間・在宅労働課長  直接は関係ありません。もちろん予算に基づいて監督指導は行われていることになりますが、 直接の関係はありません。 ○今田部会長  わかりました。どちらでも結構です。どうぞ。 ○佐藤委員  昨年も申し上げたかもしれないのですが、資料7の監督指導結果ですが、平成20年については 違反率が55.2%ということで、前年よりは少しは下がりましたけれども、依然として高い違反率 といいますか、通常の労働の現場ではあまり考えられないような違反率です。この辺は実施事業 所数も58事業所という極めて少ない事業所数でこういう実態ですから、そういった点でいえば 10年前の事業所数で比べてみますと、相当な形になるわけです。この辺をどのように本省として お考えになるのか。これの改善策についてはどうお考えになるのかが一つ。  もう一つは、欄外にあるのですが、「第26条(届出)については集計なし」ということですが、先 ほどからいろいろなやり取りがある中で、家内労働者の実態を把握するということでは、基本的 に家内労働法で法律上明記されている委託者の届出義務です。届出をきちんとしなくてはいけな い。その中には家内労働者数もきちんと届け出なくてはいけないと毎年なっているのですが、こ の辺をきちんと本省としても集計し、当然監督署・地方局・本省できちんと掌握する中で、なか なか予算がないということであれば、そういったところからも家内労働者の実態なり数というも のを正確に厚生労働省もつかんでいく必要がある。そのためにも、この26条の集計を全体として もやっていく必要があるのではないかと考えていますので、何か御意見があればお聞かせいただ ければと思います。  最後に、直接は短時間・在宅労働課の所管ではないことは重々承知しているのですが、資料7-2 の家内労働者等労災保険の特別加入の問題です。昨年もいきなり家内労働者の労災特別加入が 1000分の1掛金が引上げられるということをこの部会の中でも問題にさせていただいて、その後 対応はしていただいたのですが、当然労災保険の保険料率等については本省の中でもそれなりの 別の組織で議論されるというのも承知しているのですが、家内労働者の問題については、この部 会が第一義的に様々なものを議論しているということがありますので、労災保険という労災勘定 の問題があるのは十分承知していますが、今後の家内労働者の労災保険の引上げ等の問題につい ては、先ほどからいろいろ議論をしている家内労働者の実態、底辺に置かれている実態の問題も 当然あるわけですから、そことの掛金料率の問題も連動してくる問題もあると思いますので、今 後はその辺も部署としては別になると思いますが、労災保険に関してはぜひ省内のところでも連 携していただいて、部会としても連携できるような仕組みづくりをしていただくことを要望させ ていただきたいと思います。以上です。 ○美濃短時間・在宅労働課長  まず1点目の監督指導の関係ですが、非常に高い違反率ではないかという御指摘だと思います。 この監督指導の実施事業所の関係ですが、各労働基準監督署がその管轄の事情に応じて監督を実 施しているところですが、労働基準監督機関におきましては、法定労働条件の履行の確保を図る という観点から、例えば家内労働者からの相談ですとか、先ほどの予算でいいますと2点目の家 内労働安全衛生指導員の報告等から法令の遵守に問題があると考えられる事業所を把握した上で、 重点的に監督指導を実施しているところです。そういったところもあって、違反率としては相当 高い、昨年度を見ますと55.2%という高い数字になってきていると思っています。  3番目の労災保険の特別加入の関係ですが、これは昨年の部会において佐藤委員から御指摘を いただいたところですが、現実問題として平成21年4月1日から労災保険料率が改定されたとい うことで、有機溶剤等を用いて行う革製の履物やかばん、グラブ等、木製の漆器の製造などの加 工の作業につきまして1000分の6から1000分の7に引き上げられたというところです。その一 方で、研削盤を使用して行う作業を伴います金属製の洋食器ですとか刃物・バルブ・コルクの製 造・加工の作業につきまして、逆に1000分の17から1000分の16に引き下げられたという状況 になっています。その余の作業につきましては据置きとなっております。  佐藤委員から御指摘もいただいたところですので、こうした部会の状況につきましては、担当 部局にもきちんとお伝えした上で、例えば労災保険料率が改定される場合に、この場の議論をき ちんと担当部局にもお伝えしていきたいと思っています。 ○廣瀬課長補佐  それから、26条の届出について集計がないという件についてですが、26条の届出をいただいて 委託状況等を把握した上で、そちらの委託者なり家内労働者に監督に行ったりしているところで すので、実態論として、この26条がそもそも遵守されている状況であるかどうかというものを集 計するのが難しい状況だと考えています。 ○今田部会長  よろしいでしょうか。 ○佐藤委員  実際上は現場に近いところの各監督署になると思いますが、届出をされているのは実態として ほとんどないですよね。ましてや家内労働者の死傷病届を業務にかかわって家内労働者が事故に なったとか病気になったということに関して届出をしているという委託者、事業所はほとんどあ りません。労災の特別加入の団体を持っているところでは当然集計をしていますが、いちいち事 業所が家内労働者が例えば病気になった、つまり労働災害になったことについて、私の知ってい る限りの事業所では届けていないのが実態だと思います。ですから、本当にやる気があるのであ れば、率直に言わせていただければ、26条を本格的にやらない限りは、家内労働者の実態もつか めないし、委託者の実態もつかめないと思います。ですから、26条をどうしていくのかというこ とは、それこそ家内労働行政の根本に関わる問題だと私は思っていますので、その辺の実態がで きないかどうかの議論以前の問題にこの26条をどうしていくのかは、ベースが26条でしかつか めないと思うので、委託者状況届を出してもらうということでやっているにしても、毎年更新し ている実態が本当にあるのかどうか。継続して変化がなければそのままと思っている部分が非常 に多いのではないかと思いますし、相当労働基準監督署も人がいなくなってきて、こういう経済 状況がもう一方でありますから、仕事が大変だという状況もありますので、その辺も重々承知し た上で私は申し上げているのですが、その辺については本省としてもこの26条をどうするのか。 課長が何回も繰り返されていますが、家内労働者の実態把握を今後どのように進めていくのかを 検討していくということですが、それとの兼ね合いも含めて、予算措置の問題もあるでしょうけ れど、ぜひ今後も含めて検討していただければと思います。これは要望ですが、よろしくお願い します。 ○今田部会長  他にございますでしょうか。御意見も出尽くして、大変真摯な御熱心な議論をいただきまして、 ありがとうございました。以上をもってすべての議事を終了させていただきます。本日の部会は これで終わります。どうもありがとうございました。  本日の議事録の署名委員は、家内労働側の古川委員にお願いします。委託側は小林茂則委員に、 よろしくお願いします。議事運営に御協力いただきまして、ありがとうございました。終わらせ ていただきます。 (照会先)厚生労働省雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課家内労働係      電話 03-5253-1111(内線7879)