10/06/18 第49回先進医療専門家会議議事録 第49回先進医療専門家会議 議事録 (1)開催日 平成22年6月18日(金) (2)場所  全国都市会館 第2会議室 (3)出席者 猿田座長、吉田座長代理、赤川構成員、新井構成員、飯島構成員、加藤構        成員、金子構成員、北村構成員、笹子構成員、竹中構成員、田中(憲)構        成員、田中(良)構成員、谷川原構成員、辻構成員、永井構成員、福井構        成員        事務局:医療課長、医療課企画官、保険医療企画調査室長、歯科医療管理        官、薬剤管理官、高度医療専門官、平賀課長補佐 (4)議題  ○先進医療制度の概要について        ○第2項先進医療に係る新規技術の届出状況について         (1)4月受付分の届出状況         (2)5月受付分の届出状況        ○第3項先進医療(高度医療)に係る新規技術の科学的評価等について (5)議事内容 午後2時00分 開会 ○猿田座長  それでは、時間がまいりましたので、第49回の先進医療専門会議を始めさせていただ きます。  委員の先生方におかれましては、天気の悪いところをお集まりいただきまして、どうも ありがとうございました。  本日の会議の出欠状況でございますけれども、ちょっとまだ二、三の先生が遅れていま すけれども、坪田構成員、戸山構成員、樋口構成員、渡邊構成員が御欠席ということでご ざいます。  続きまして、資料の確認を事務局のほうからお願いいたします。 ○事務局  事務局でございます。  では、資料の確認をさせていただきます。お手元の配付資料を御覧いただきたいと思い ます。  まず、座席表がございます。その次に議事次第、次に先進医療専門家会議の構成員の先 生方の名簿がございます。  次に以下会議資料ですが、会議資料としまして、先−1は横表のホッチキス止めの6枚 紙になりますが、先進医療の概要という、ホッチキス止めの資料がございます。  次に先−2ですが、横表の資料、1枚紙でございます。こちらが第2項先進医療の新規 届出技術について、4月受付分というタイトルでございます。  次、先−3でございます。こちらは第2項先進医療の新規届出技術について、届出状況、 5月受付分という資料が1枚ございます。  次に先−4、こちらも横表の資料でございますが、高度医療評価会議において承認され た新規技術に対する事前評価結果等についてというタイトルでございます。その先−4の 別紙資料でございますが、別紙1から4でいずれもホッチキス止めの資料がございます。 こちらは先−4の技術に関します各技術の概要等が記載されております。こちらの内容は、 後ほど説明させていただきたいと思います。  説明は以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  資料の確認はよろしいでしょうか。  それから利益相反に関しまして、今回の技術に関しまして、特別に関与している先生は 特にいらっしゃいませんですね。  ありがとうございました。一応、確認させていただきました。  それでは、早速議事に入らせていただきますけれども、お手元の議題に従いまして第1 番目が先進医療制度の概要についてということで、企画官のほうから御説明よろしくお願 いいたします。 ○事務局(医療課企画官)  医療課企画官でございます。  この後、個々の技術に関しては御審議をいただきます。その前に、これはおさらいとい うことでお聞きいただきたいのですが、前回、前々回と高度医療あるいは先進医療で、ど ういった性質の技術を扱うのかというようなことが何度か御質問もございました関係で、 そのおさらいでございます。先−1の資料を見ていただきまして、制度の概要をあらかじ め御説明をしておきたいと思っております。詳細の御説明をするつもりはございませんで、 先−1という資料の表紙をめくっていただきまして、2ページをまず御覧いただきたいと 思います。  本当にこれはおさらいでございますが、今回、御審議をいただきますこの先進医療、そ れから高度医療という2つございますけれども、これを含めまして、従来、研究的な医療 については保険診療では認めない方向ではなかったのかというような御質問もございまし たので、改めましてこの2ページのところに明記させていただいておりますが、健康保険 法上、保険給付に至る手前の技術につきまして、健康保険法63条第2項第3号と書いて 下線を引いてございますが、適正な医療の効率的な提供を図る観点から、評価を行うこと が必要な療養ということで、保険適用の手前で評価をするというような医療について、保 険を併用しても良いと、そういう記載が明記され、このような規定がございます。  この法律の規定をもとに、今回、保険併用を行う技術を御審議いただいて、保険併用を 認めるか認めないかを御判断いただく。そもそもの前提がここにございます。ですから、 改めて申し上げますが、保険適用をするに適切かどうかということを評価するということ も含めて、保険の併用をするという規定がここにございます。これをまず今日申し上げた いことの第1点目でございます。  この規定に基づく技術としてどういうものがあるのかというのが、2ページ目の線を引 いてありまして、下に幾つか列挙してございます。Aと書いてある一番最初の規定にある のが、先進医療、御審議いただいておりますこのカテゴリーです。ちなみに、それ以外に 医薬品・医療機器の治験とかさまざまございますが、こういったものも保険併用できます が、あくまでもこのAの先進医療という一番最初にある項目をもとに、御審議いただいて いるということです。  資料を飛ばしまして、4ページ目をお開きいただきたいと思います。4ページ目、5ペ ージ目でございますが、先進医療とは何ぞやと、つまり保険併用を認めてもよいという評 価をする医療とは何ぞやという規定がございまして、まず4ページ目でございますが、一 定の施設基準を設定して、個々にそれを吟味していくという枠組みでございまして、その 規定は4ページ目、5ページ目にございます。  4ページ目は、今お話ししたことをどういうポイントを考慮するかということがまとめ てありますが、これは基本的考え方です。5ページ目を見ていただきまして、ここからか なり具体的な話なのですが、もう一度申し上げますが5ページ目、保険併用を認められて います評価をする療養とはすなわち―最初の四角になりますが―先進医療ごとに、つ まり個々の技術ごとにこうやって審議をしていただいております。施設基準に適合する施 設において行われているものに限定をしていますと、こういうことでございます。  その際、その下に線が引いてありますが、大きな広い意味での広義の先進医療の中は実 は2種類あって、1つ目の先進医療(第2項先進医療)と書いております。これは狭義、 狭い意味での先進医療でございます。もう一つ、高度医療(第3項先進医療)と書いてご ざいますが、この先進医療、高度医療と2種類あるということをぜひまず御理解いただい た上で、後ほど御審議をいただきたいと思っております。  どう違うのかと言いますと、1つ目の先進医療、すなわち第2項の場合には、これは個 別の技術を御審議いただくのですが、青字で書いてありますが、施設基準に該当すると、 あらかじめ設定した基準に該当すれば届け出できますというのが先進医療でございます。 その前提として、青で書いてはございませんけれども、黒い○で書いてありますが、薬事 法上の未承認とか適応外のものを使うものは扱いませんということでございます。  もう一つの種類のほうが高度医療、本日も高度医療の案件、何件かございますが、第3 項先進医療、この特徴は逆に言いますとさっきの反対なのですが、薬事法上、未承認・適 応外の機器・医薬品に係る技術を取り扱う場合に、この高度医療というのは適用されます。 そういったその未承認・適応外というものの性質上、個別技術を前提に御議論いただくの ですが、2つ目の○にありますけれども、評価を行うわけですから、やはり一定のプロト コール、試験計画等をきっちり吟味・評価をしていただきまして、評価ができるという技 術について個別に認めていただくという形になっております。  具体的にではどうなっているのかというのが、おめくりいただきまして7ページ以降に あるのですが、6ページの表が今のお話のほとんどまとめです。広い意味で先進医療には 2種類ございまして、第2項先進医療、狭い意味の先進医療ですが、その第2項先進医療 と第3項先進医療、すなわち高度医療があります。今お話ししたとおり、実施の要件が届 出なのか個別に認めるのかということと、薬事法上の取扱が違いますのと、それからこの 後見ていただきますが、高度医療というものについては、事前に高度医療評価会議で、試 験計画と安全性・有効性の観点から、吟味していただいた上でここに来ていますと、こう いうことでございます。  それを具体的に流れて見ていただけるのが、7ページ目、8ページ目でございます。ま ず7ページ目の流れ図でございます。医療機関から先進医療を行いたいという届出がござ いましたら、厚生労働省でまずはさまざまな事務的な整理をした後に、真ん中に書いてご ざいますこの会議でございますが、先進医療専門家会議におきまして、併用が適当かとい うことを安全性・有効性、さまざまな観点で見ていただきますということです。ですが、 これは高度医療ではございませんで、いわゆる第2項の先進医療の適用です。  おめくりいただきまして、本日も幾つか案件があります高度医療の手続はどうなってい るかと言いますと、こちらの先進医療専門家会議で御議論いただく前に、この表の上半分 でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、これは薬事法上の未承認・適応外 の技術に係りますので、そこの部分につきましては、逆に言いますと安全性・有効性が定 かでない。したがいまして、そこの部分をこの医療を実施することで評価をすることにな りますので、その評価の手法が妥当なのかどうなのかということを、あらかじめ高度医療 評価会議で御議論いただいております。その御議論をいただいた結果、この手法であれば 評価をすることができるであろう、妥当であろうという前提で、本日、この下半分の先進 医療専門家会議に上がってきております。ですから、保険併用との適否を御判断いただく 際に、2つ目のこの黄色の四角のところに書いてあるのですが、高度医療評価会議での評 価結果は、これを踏まえた上でさまざまな観点から御審議いただきまして確認をしていた だきたと、こういうことでございます。  一応、この2種類の技術がございますということを前提に、本日、御議論いただければ と思っております。  事務局からは簡単ではございますが、以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  今、御説明いただきましたけれども、先進医療と高度評価の委員会のこの2つの違いが ある程度分かっていただいたと思うのですけれども、私のほうからもう一つ補足させてい ただきます。今、先進医療の専門家会議のほうは、責任者の方、1人の方に全体的に見て いただいています。これに対して高度評価のほうは、先ほどの8ページの上のほうにあり ます高度医療評価会議において、技術の安全性、有効性、倫理性、試験計画等の評価、そ れから技術を実施する医療機関の要件等、この審査をするために、約4人か5人の方が審 査に当たっていただいております。ですから、技術に関しては技術に関する評価の委員を 決めていただいております。総括的な責任者と、プロトコールの責任者、それから倫理の 責任者という形で、大体4,5人の方が高度医療の方で担当していただいています。高度 医療評価委員会で認められると先進医療へ上げられるということです。それでどうぞ、御 質問をいただきたいと思います。   ○北村構成員  一つ、もう半年ぐらい前かな、議論になっていたここで言う先進医療のほうですね。第 2項のほうは、これは施設基準に該当すれば、届出によって施行可能というもの例えば使 う医薬品も材料も、皆すべて薬事承認が下りたものであって、そのときに問題になったの は、例えば下肢の血行再建に、細胞を分離してCD34陽性細胞を使うというのを、先進 医療で認められていると。今度、それと同じことを肝臓でやってみたいと。脳でやってみ たいというのが出てきたときに、やってもらうのは結構だけれども、至るところで同じ施 設基準になれば、やってよいのかと疑問に思います。やはり施設の限定が必要なのではな いでしょうかという議論がありましたけれども、それはその後、どうなっておりますでし ょうか。 ○事務局(医療課企画官)  北村委員の方から御質問、あるいは問題提起として以前お話があったように私ども記憶 をしております。  お話の中に多分2種類ございまして、まず前半のほうにございましたある技術で先進医 療の審査がなされて、保険併用が認められたと、施設基準が設定されているのですが、そ の技術につきましては、適応する現場の問題としましては、さまざまなバリエーションが ございまして、例えば今お話があったように、技術としては似ている同じようなものなの だけれども、別の例えば臓器とか、別の治療法とか、そういった場合についてはどうなっ ていくのかと。単に適応基準が合致すればできるのかと。まず、そこの部分につきまして は、基本的には別の技術というふうに我々はとらえておりますので、別途申請をしていた だいて、当然御審議いただいた後に適当であれば認められるし、適当でなければ認められ ないと、まずそういう仕切りがあります。  それともう一つ以前、同じコンテクストで御指摘があったのが、先進医療の中にはまさ に評価療養でございますので、エビデンスのレベルといいますか、その保険診療に至るま でにはまだまだ十分な評価ができていないものから、一定の評価はできているのだけれど も、例えば費用対効果とか、もう少し社会性、保険の観点から見なければいけないものと、 いろいろなものがあるということでございます。そういう場合に、その施設の限定の仕方 として、単に届出で適当であるものと、必ずしもそれでは十分ではないものとがあるので はないのかと、そういう御指摘がございまして、そこは事務局としては、今後どう考えて いくのかという課題といいますか、宿題として認識をさせていただいておりまして、今、 この先進医療なり、高度医療につきましては、そのほかにもいろいろな御指摘、御意見を いただいておりますので、あわせて今後の検討課題として議論を進めていきたいと認識を いたしております。  以上でございます。 ○北村構成員  覚えていただいておって大変ありがたかったのですけれども、随分時間がたっている印 象があります。やっぱりこういうものはどんどん日進月歩の医療の審査をしているのだか ら、そういう対応を私どもとしても早く決定してゆきたい。例えば肝臓に応用する十分な 知識等の集団であればやってもらいたい、やらせてあげたいと思う反面、いわゆる一般病 院でも同じことをやるには早すぎるという今のような、第2項先進医療に該当しながら使 う臓器を脳に使いたいというようなことを、特殊な施設ではないと無理だと思うのですよ ね。  それをやらせてあげたいけれども、先進医療にぽんと来ると、あとのほうの施設基準に 該当すると、こっちのほうでちょっと待てとなるという気持ちが起こるわけですよ。そこ を早く解決していただいて、できるだけやってもらいたいのだけれども、その施設限定と いうのが第3項のほうにはあるんですけれども、2項にはないという点をどう取り扱うか。 これは日進月歩の中ですから、できるだけ早くある程度の方向を出していただきたいと思 っております。よろしくお願いします。 ○猿田座長  どうぞ、永井先生。 ○永井構成員  もう一つの問題は、この技術の安全性・有効性の評価を先進医療専門会議では保険との 併用の適否の観点から議論せよということだと思うのですが、これは別に保険との併用の 適否にかかわらず、この安全性・有効性の評価というのはしないといけないわけですね。 それを高度医療のほうと先進医療の両方で行うということがそもそもおかしいわけで、そ こにも行き違いが起こったときにはどうするのだと思います。そこがまだこの体制として 十分対応がとれていないというふうに思いますが、いかがでしょうか。 ○事務局(医療課企画官)  永井構成員の御指摘の点は、特にここ数回御審議、高度医療の関係で御審議いただいた 中で、現実の運用の問題として御提起いただいております課題です。7ページ、8ページ、 先ほどお示しをしました資料、今回は特に資料をもとに御説明させていただきたいと思っ た趣旨は、まさに今御指摘のあった点も含めてなんですが、8ページを御覧いただきたい と思います。  最終的に先進医療専門家会議で、保険の適否を御判断いただくという考え方は、先進医 療も高度医療も基本的には同じです。そこで、この8ページの表に整理をさせていただき ましたが、永井構成員御指摘のとおり、当然先進医療専門家会議に最終的な判断をしてい ただく際にも、安全性・有効性の議論なり評価なりは当然前提とする必要がございます。 ですが、ここで現行制度の運用の考え方としては、そこを役割分担させていただくことに しておりまして、具体的に申しますと、高度医療評価会議においては、技術の評価手法と してこれが適当かどうか。つまり、今御審議いただく時点では、エビデンスのレベルは必 ずしも確定していない。ですから、今後この保険併用を行うことで得られた知見、あるい は成果、実績、これをもとに当然その先に評価をしていくことになりますので、この時点 ではなくて、将来的にその評価をしていこうという枠組みなのですが、ただ、評価をして いくにふさわしい―そのプロトコールも含めてですけれども―内容となっているのか、 計画となっているのかということを御議論いただく必要が当然ございます。そこをですか ら、2つの会議の枠組みで、役割分担をしていただいております。  当然、同じメンバーというわけではございませんので、別々のメンバーの方もおられま すので、別の会議体で議論する以上、多少、そこの部分で全く同じ結論ということはない のではないのかということは、御指摘のとおりなのですが、基本的にはさまざまな資料で ございますとか、議論の経過なりは、今日実際に高度医療を御議論いただく際に、その部 分につきましての資料提供をさせていただきながら、それから一定のその審査の状況につ きましては、現に本日も医政の所管課の専門官も同席をしておりますので、可能な限りそ この連携の運用に我々は工夫をさせていただき、適切に御判断いただけるようにさせてい ただきたいと考えて、制度を運用しているところでございます。 ○猿田座長  ありがとうございました。  永井先生、今おっしゃられたとおり、私もそこが一番重要で評価が重なってもしようが ないということで、議論してきました。  どうぞ。 ○永井構成員  ただ、その場合にもいろいろ行き違いが起こるのですね。つまり、医療技術というのは 道具と医療行為とセットになっているわけです。道具が薬事未承認のときは高度医療評価 会議に行き、承認されている場合には、先進医療専門家会議に直接来るわけです。そうし たときに、未承認のものについては、非常に甘い判断で評価されてゴーサインが出、そし て既に承認されている医療技術については、ここでもし厳しい基準が示された場合には、 行き違いが起こるわけです。ですから、我々ここではけっこう厳しく今までやってきたと 思うのですが、それが未承認のものについて甘い判断で来た場合には、非常に腑に落ちな い結果になるわけですね。そこをどう考えるかということです。 ○猿田座長  どうぞ。 ○事務局(医療課企画官)  実際にその判断の質的な問題については、むしろ座長のほうでもしかしたらコメントを いただくのが適切かもしれません。制度運用の考え方としまして、事務局が申し上げたい のは、御指摘の点は2つ論点がございまして、実はこの制度を発足するに当たって、御案 内のとおり経緯がございまして、以前、これらの前身となる制度、高度先進医療という制 度がございましたが、その運用をしていく中で、さまざまな御指摘がありました。例えば 審査に時間がかかる、それからさまざまな技術を幅広く導入することが、保険の技術導入 に促進されるのに、保険導入を前提とすることに余りこだわりますと、幅広く技術が拾え ないと、そういう御指摘がございました関係で、先進医療という制度をまず最初につくり まして、その後、薬事法の承認の有無の関係の整理もつけまして、高度医療というのを後 から導入したという経緯がございます。  永井構成員御指摘の点は、その経緯の中で、先進医療、高度医療の関係からいいますと、 高度医療は薬事法の未承認でございますので、文字通り、薬事法上の承認を得ておりませ んから、安全性・有効性についてまだ未評価だと言える技術は必ず混じっております。問 題は先進医療の中に薬事法承認を得られたとしても、技術自体の評価が定まっているもの もあれば定まっていないものもあって、未評価のものもありました。ですから、先進医療 の技術の中で、評価が特に定まっていない、未評価のものについての審議の仕方と、高度 医療の安全性・有効性の評価の部分の審議のレベル、考え方、これを可能な限り本来統一 をしなければいけないのだけれども、それが別の会議体で運用されているので、今の御指 摘の例のようなケースが生じるのではないのかということだろうと思います。  そこで、我々としては繰り返しになってしまうかもしれませんが、少なくとも先進医療 につきましては、今お話ししたような経緯がございますけれども、必ずしも保険導入を前 提としていない技術が入っていますということを明確に申し上げております。これが1点。  それからあくまで評価の途上でありますということですから、継続的に先進医療専門家 会議でフォローアップをしていただいて、例えば一定期間に成果を得ていただく。あるい は成果が得られないのであれば、どういう理由かということで、高度医療ほどではないか もしれませんが、一定の期間ごとにそこの評価をしていくことで、考え方の整合性を確保 していきたいというふうに考えております。  事務局からは以上でございます。 ○猿田座長  永井先生、よろしいですか。 ○永井構成員  個別の事例で一つ一つ議論すべきなのですが、やはり保険との併用の適否ということと は関係なしに、評価はやはり評価なのだということをきちっとそこは整理・統合しておか ないと、非常に大きな混乱が起こるわけですね。しかも、未承認のほうが甘い評価で来た 場合に、既に承認された技術をかなりきちっとやろうとしているときに、未承認のものの ほうが甘いのだということになると、非常にこれは大きな問題を生ずるだろうと、私は既 にそういうことが起こりつつあるということを懸念しております。 ○猿田座長  ありがとうございました。ほかにございますか。  実は高度先進医療をやっているとき、このときにはかなり厳格に、施設を評価し、施設 も特定機能病院とあと一、二の施設だけで施設の審査をしっかりしました。それから技術 に関しまして、2人の技術員で審査して、さらにそのほかに保険に関しても他の1人が審 査し、かなり厳格にやっていたのです。先進医療がつくられて、先進医療だけでやってい れば、割とすっきりしていたのが、今度は未承認あるいは適応外の機器や薬を使用した技 術が出てきたということで、高度医療評価会議が設立され、その結果高度評価会議とこの 先進医療会議との間がこれまでもう1つしっくりいかないように思ってきました。  片方は医政局でやっていて、片方は保険局でやっているということも関係しているのか もしれないと思っています。 ○永井構成員  ここで評価する、試験をするというのは、我々ももう納得しているわけですけれども、 やる以上はちゃんと結論の出るデザインにせよということはきちっと要求すべきなんです ね。やってもこれでは結論が出ないというような試験デザインで来た場合には、これは断 固却下すべきだと私は思いますが。 ○猿田座長  ありがとうございます。どうでしょうか、ほかに御意見ありませんか。ぜひこういう機 会ですので、御意見をいただきたいと思います。  どうぞ、笹子先生。 ○笹子構成員  ちょっと遅れて来たのでピンぼけの話をするかもしれませんけれどもその際はご容赦く ださい。  要するに、第3項先進医療はもともとは医療技術評価だった、つまり未承認薬剤とか未 承認機器が含まれている医療技術ということと僕は理解していたのですけれども、何かだ んだん未承認薬の適応拡大みたいな格好になっている部分が少しあるのではないかなと感 じています。あくまで技術とコンバインした形で使われる特殊な薬剤の使い方があって、 そこの部分が未承認、それはいいと思うのですけれども、技術と離れて薬剤の投与法が違 うだけといった課題が出てくると、薬剤の承認はまた別の部署ですけれども、適応拡大の 抜け穴みたいな格好になると、要するに医師主導治験の代替えとして使えるとなると、薬 剤承認にこういうルートがあるとなると、複雑に絡んできて、どうも具合悪いなというふ うに感じています。 ○猿田座長  うまく処理する方法はございますか。 ○笹子構成員  それは確かに医師主導治験は物すごく大変で、余りたくさん出ていないと思うのですよ ね。それで高度医療、技術と結びついていればそれはそういう形でセンチネルとかうまく いったのもあるとは思うのですけれども、ちょっと厚労省の中の部署3つがよく相談され て、1つの方向性をきちっとつくらないと、多分、製薬会社等も適応拡大とか、いろいろ なものに対してどう考えたらいいかというのが混乱しているのではないかという気がしま す。 ○猿田座長  ほかに御意見ございませんでしょうか。  永井先生、実は私も感じていたのは、先進医療を1人で評価していますでしょう。1人 でいろいろな学会のことも調べて、いろいろなことをやるので、やっぱりもう少し人数を 先進医療のほうも増やしてはと思われませんか。どうですか。 ○永井構成員  私の場合には、いろいろな人に相談して、学会にも相談して、一応レポートを書くよう にはしておりますが、人がふえたほうがよろしいだろうとは思います。 ○猿田座長  そうですね。一番うまく運営していくために、いい方法があれば、ぜひ先生方からこう いう機会に御意見をいただくことが大切と思います。  動き出したらできるだけスムーズな形でできるようにしていくことが大切だということ でございますので、できるだけその形で思います。  どうぞ。 ○事務局(医療課企画官)  最後に一言申し上げたかったのですが、今日、さまざまな御指摘をいただいております。 すぐに解決できる課題ではないものも含まれておりますけれども、規制改革のほうからも、 保険併用についてはさまざまな御意見をいただいております。あわせましていろいろ検討 させていただいて、なるべく今日御指摘いただいたような課題なり、問題点は解決できる ような形で努力をさせていただきたいというふうに考えております。遅いとおっしゃって おられる部分もありますけれども、頑張っていきたいと思っております。  どうぞ、よろしくお願いいたします。 ○猿田座長  規制緩和はよいことですが、一方、余り安易に、何でもかんでもすぐ通していくことは 問題で、やはりかなりしっかりと議論した上で決定していくことです。安全性の問題は特 に重要です。余り何でもかんでも規制緩和ということで容易に許可していくことは問題だ と思っています。  その点、御了承いただきたいと思います。  ほかに御意見ございませんでしょうか。どうぞ。 ○事務局(医政局研究開発振興課)  医政局研究開発振興課でございます。  先ほど、笹子構成員から薬事との関係についてはどうかといった発言があったかと思い ますけれども、基本的に我々高度医療評価会議にかける前に、事前相談という枠組みを設 けております。その中で、いわゆる治験すべきもの、あるいはいわゆる二課長通知、公知 申請すべきもの、そういうところについては、医薬食品局とも必要に応じて相談をし、仕 分けているところでございます。  あとは、先ほど永井構成員から言われました高度医療評価会議の質の問題と、あと先進 医療専門家会議とのいわゆる会議の整合性についてですけれども、基本的には高度医療評 価会議の技術委員も、いわゆる胎児の案件については加藤構成員に入っていただいたり、 あとは薬剤に関しましては、谷川原構成員に技術委員として入っていただいたり、いわゆ るオーバーラップする形で工夫してきたところでございます。ですので、できる限り、高 度医療評価会議と先進医療専門家会議の質の均一性については配慮しているところでござ います。  もちろん、いろいろ問題がございましたら、御意見をおっしゃっていただければ、それ についてはできる限り対応したいと思っております。  以上です。 ○猿田座長  ほかに御意見ございませんでしょうか。 ○笹子構成員  せっかくの機会ですので別件について発言します。高度医療の場合に未承認の部分とい うのが個人で払えるような額で済むものであれば、粒子線治療とかはそれぐらい払われる 方はけっこういるみたいです。最近、保険でもけっこうそれを売りにしている保険が出て きていますけれども、そのようなもので、額的に到底無理というようなもの(補助化学療 法への分子標的薬の上乗せなど)とかになってくると、それが最初の薬事承認になる時点 では、一般的には高度進行・再発とかいうような形の対象を限定して承認をされて、いわ ゆる補助療法、アジュバントとしての承認というのは下りないわけですね。アジュバント で使うことになると、非常に高額になりますね。保険を圧迫するという点も見えてきます。 だけれども、それをでは高度医療で評価するような形を考えたときに、なかなかそれは研 究費とか個人の患者さんが支払える額ではもうありません。  それで、結局、製薬会社が無償提供という一つのオプションがあるわけですけれども、 そうなると、今度は製薬会社が一緒に上乗せするベースになる部分を指定してくるとか、 いろいろそういう問題も起こってきていて、高額な薬剤の補助療法をどうやって進めたら いいかというのが、非常に各分野で困難を極めているというのが現状であります。これも、 どういう形でしたらいいかと思うのですが、厚労省全体でよくお考えいただきたいという ふうに思います。 ○猿田座長  ありがとうございます。非常に貴重な御意見で、今これから出てくる高度医療も随分高 価なものが入っていますから、確かに大切な部分だと思います。  例えば重粒子線治療だとか、ああいったものは余りにも高いものですから、少しでも患 者さんが受けやすくということで、民間保険もでてきているということも事実です。  ありがとうございました。  ほかに御意見なければ、大体そういうところでまたもう少し事務局のほうでも整理して くださるということで、よろしいでしょうか。  貴重な御意見をいただきありがとうございました。  それでは、議題に従いまして、第2番目の第2項先進医療に係る新規技術の届出状況に つきまして、4月受付をまず事務局のほうから御説明お願いします。 ○事務局 では、先−2の資料を御覧いただきたいと思います。第2項先進医療の新規届 出技術について、4月受付分でございます。  記載しております4つの技術は、結論から申し上げますといずれも返戻となっておりま す。簡単に、返戻に至るまでの経緯を説明させていただきたいと思います。  まず整理番号210番、早期乳がんに対する術中放射線照射、こちらの技術に関しまし ては、昨年の12月4日に一旦申請をされましたけれども、書類不備で一度返戻となりま した。今年の4月14日に再度本技術を申請されましたが、本技術の中に乳腺センチネル リンパ節生検が含まれておりましたけれども、平成22年度改定より保険収載されました ため、本技術に関連する技術全体が保険診療下で施行することができるようになりました。 このような経緯から、申請医療機関より取り下げの申し出がありましたので、それを受理 いたしました。  では次に、整理番号211番、CRP遺伝子多型解析による食道がんリンパ節転移診断。 こちらに関しましては、申請医療機関から追加情報をいただきましたが、CRP遺伝子の 多型解析による転移診断に関しては食道がんのみならず、扁平上皮がんや腺がんでも陽性 を示すデータを申請医療機関が有しているということで、今後、食道がんだけでなく、肺 の扁平上皮がんや胃の腺がん等におきましても、同様の申請を検討しているということで ございました。  最終的には、考慮できる適応症の審査を可能な限り一度に処理するということを目指す ということとなりましたので、他疾患の追加提出データを今後待つということとさせてい ただき、返戻、追加書類提出待ちとさせていただきました。  次に整理番号212番、NKT細胞を用いた非小細胞肺がんに対する免疫細胞療法に関 してですけれども、こちらに関しましても申請医療機関からの追加情報といたしまして、 使用するNKT細胞は今後細胞製剤として企業が提供していくということを想定している というお話をいただきましたので、第2項先進医療ではなく、薬事承認につながります第 3項先進医療としての申請が適切ではないかとの結論に至り、申請医療機関より取り下げ の申し出をいただきましたので、受理いたしました。  最後に、整理番号213番、小児慢性炎症性疾患に対するFDG−PET検査に関して でございます。こちらも申請医療機関からの追加情報をいただきましたが、本技術は既に 保険収載されておりますFDG−PET検査と特に技術上の差異はなく、今回、適応症拡 大のために申請したということでございました。今後、学会を通じて、医療課のほうに保 険収載へ向けて要望をしていきたいということで、申請医療機関より取り下げの申し出を いただきましたので、受理いたしました。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  今、御説明ありましたように、一部取り下げ、一部は追加資料、あるいはもう保険に近 いところにあるという形での処理ということでございますが、この4つに関しまして、ど なたか御意見ございますでしょうか。  よろしいでしょうか。  それではそういう形で進んでいるということをお認めいただいたということで、続きま して、今度は第2項の先進医療の新規届出技術について、5月の受付についてよろしくお 願いいたします。 ○事務局  続きまして先−3の資料を御覧いただきたいと思います。第2項先進医療の新規届出技 術について、届出状況/5月受付分と記載がございます。  今回、2つの技術の届出を受けております。整理番号214番、遺伝子発現解析による 関節リウマチ生物学的製剤インフリキシマブの効果予測検査、並びにIL28Bの遺伝子 型測定によるインターフェロン治療効果予測、この2つの技術を現在受け付けております。 こちらは今後御審議いただく可能性があるものとしまして、現在事務局で処理しているも のでございます。  資料の説明は以上でございます。 ○猿田座長  ありがとうございました。5月の受付分はここに挙げた2つがあるということで、これ は先生方に係る可能性も大きいと思いますけれども、一応そういう状況だということで、 これもよろしいでしょうか。  ありがとうございました。  それではお認めいただいたということで、それでは続きまして、今度は第3項先進医療 高度医療の科学的評価につきまして、進めたいと思います。  これも事務局のほうからまず御説明いただけますでしょうか。 ○事務局  先−4の資料を御覧いただきたいと思います。こちらは高度医療評価会議において、承 認された新規技術に対する事前評価結果等についてという資料でございます。今回、4つ の技術を挙げさせていただいております。  まず、整理番号010番、パクリタキセル腹腔内反復投与療法、こちらは事前評価を谷 川原先生に行っていただき、総評といたしましては適といただいております。適応症に関 しましては、胃切除後の進行胃がん(ステージII及びIIIの肉眼型分類3型または4型であ るもの、または腹膜転移を有するものに限る)を適応症としております。  高度医療の対象となっております医薬品、あるいは医療機器の未承認、あるいは適応外 のものといたしましては、パクリタキセル、こちら胃がんに関しましては適応ではあるの ですが、こちらを静脈内投与ではなく腹腔内投与するといったところに適応外として審議 の対象となるものでございます。  費用といたしましては、保険給付されない費用、高度医療にかかる費用は15万5,0 00円、こちらは※3を御覧いただきたいのですが、患者負担は7回投与で約7万1,0 00円でございまして、差額は企業が負担予定となっております。  保険給付される費用といたしまして、保険外併用療養費でございますが、108万8, 000円でございます。その他、技術の詳細に関しましては、別紙1を御覧いただきたい と思います。  次に整理番号011番、生体内吸収性高分子担体と塩基線維芽細胞増殖因子(bFGF) による血管新生療法、こちらに関しましては、事前評価は永井先生に行っていただき、総 評は適といただいております。適応症に関しましては、慢性閉塞性動脈硬化症、またはバ ージャー病(他の治療法による改善が困難なものに限る)を適応症と考えております。  高度医療の対象となっております適応外の医薬品に関しましては、一般名、トラフェル ミンで、製品名はフィブラストスプレーでございます。フィブラストスプレー自体は適応 症が褥瘡ないしは皮膚潰瘍で、用法としては噴霧が適応でございます。そちらをゼラチン のハイドロゲルに吸着させて徐放化し、下肢に筋注するというところで、高度医療の審議 対象となっております。  保険給付されない費用でございますが、こちらは110万9,000円、こちら※4と しまして、患者負担は約11万5,000円でございまして、差額は医療機関が研究費に より負担する予定というところでございます。  保険給付される費用しましては、保険外併用療養費ですが、61万2,000円、その 他の技術的詳細に関しましては、別紙2を御覧いただきたいと思います。 ○永井構成員  私、何かコメント書いていませんでしたか。 ○事務局  別紙のほうに評価に関しまして詳細を載せております。 ○永井構成員  別紙2、私、これ総評のところに何かコメントを手書きで書いてお渡ししたと思うので すが、4ページにです。ちょっと幾つか注文をつけたつもりだったのですが、抜けていま すので。 ○事務局  わかりました。確認をさせていただきたいと思います。  先生、よろしければ申しわけありません。記載が抜けておる状況でございまして、もし よろしければコメントをいただけたら。 ○永井構成員  私が出したものをここに出してほしい。これを書き写すから変なことになっている。ぜ ひ最初の原文をファックスでお送りしていますので、それを出してほしい。 ○事務局 わかりました。 ○猿田座長  もし分かればあともうちょっと見ていただければ。 ○事務局  失礼いたしました。  次は整理番号012番、経胎盤的抗不整脈薬投与療法に関しましてでございます。こち らは事前評価を加藤先生にお願いいたしまして、総評は適といただいております。適応症 に関しましては、胎児頻脈性不整脈、具体的には持続して胎児心拍数180bpm以上と なる心房粗動または上室性頻拍に限る、を適応症としております。  高度医療の対象となっております適応外の医薬品に関してでございますが、一般名とい たしましてはジゴキシン、製品名でございますが、ジゴシン注0.25mg並びにジゴシン 錠0.25mgでございます。またほかに、一般名でございますが、ソタロール、製品名と いたしましてはソタコール錠80mg、次に一般名でございますが、フレカイニド、製品名 ではタンボコール錠50mg、こちらを母体に対して錠剤であれば経口投与で、注射剤であ れば経静脈投与し、胎児の頻脈性不整脈の改善を図りたいということで、適応外投与とい うふうに認識しております。  保険給付されない費用、高度医療にかかる費用といたしましては、各薬剤の使用の量、 ないしは使用する種類によりまして、一人一人で違いが生じておりますので、保険給付さ れない費用、高度医療にかかる費用としましては、7万3,000円から9万2,000 円という形で、少し枠が広がってございます。  保険外併用療養費といたしましては、79万8,000円、その他の技術的詳細といた しましては、別紙3を御覧いただきたいと思います。  最後に、整理番号013番、低出力体外衝撃波治療法に関しましては、こちら事前評価 を北村先生にお願いしておりまして、総評といたしましては適といただいております。  適応症に関しましては、薬剤抵抗性の虚血性心疾患(経皮的冠動脈形成術及び冠動脈バ イパス術による改善が困難であるものに限る)を適応症としております。  高度医療の対象となっております医薬品、あるいは医療機器の未承認、あるいは適応外 のものといたしましては、体外衝撃波治療装置といたしまして、STORZ MEDIC AL AG製のModulith SLC、こちらが未承認機器となっておりまして、こ ちらが高度医療の対象となっております。  保険給付されない費用、高度医療にかかる費用でございますけれども、こちらは30万 2,000円で、こちらは※6を御覧いただきたいのですが、患者負担は約26万6,0 00円でございまして、差額は医療機関が研究費により負担をする予定でございます。  保険外併用療養費に関しましては、78万6,000円、その他、技術的概要や詳細等 に関しましては別紙4を御覧いただきたいと思います。  説明は以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  今、お話しありましたように、今日は4つのものでございますけれども、今、2番目の 011、永井先生のコメントがちょっと届いていない。  どうぞ。 ○事務局(医療課企画官)  永井構成員には大変御迷惑をおかけいたしました。私どもとのやりとりの中で、事務局 の認識が一部間違っておりまして、事前にこの別紙2に係る技術に関しましては、コメン トのところに書面で提出をいただいておりました。そこの部分の内容につきまして、今日 の会議に至る前に永井構成員に、確認をさせていただいているのですが、その際に私ども のほうの誤解で、ここの部分について記載がなされていなかったということでございます ので、今、いただいた書面の内容を霞ヶ関から急ぎ取り寄せる方向で作業しておりますの で、少しお時間をいただきたいと思っております。 ○猿田座長  永井先生、時間ありますか。そうしたらもし間に合わなかった場合には、この次にしな ければいけませんけれども。 ○永井構成員  ただ、そういうやりとり、電話でいただいてちょっと議論はしましたけれども、何かそ こで方向性を出した覚えは全くありません。いずれにしても、事務局がそういうコメント を操作してはいけないということです。やっぱりそういうことで我々出しているわけです から、その原文をまず出して、ここで議論すべきなのであって、電話でちょっと聞いてお いたから、これはなくていいのだというような判断をされては困るわけです。 ○猿田座長  ありがとうございました。  加藤先生。 ○加藤構成員  永井教授と同じことでございますが、私のところは別紙3にございますけれども、やは り若干私が書いたコメントが抜けておりまして、大きな問題ではないので、特に取り寄せ ていただく必要はないのですけれども、一応、胎児に対する治療を母体に行うということ ですので、母体に対する安全性の検討が必要であるということは加えてございますが、今 日配付された別紙3にはそれが載っておりませんでしたので、取り寄せるまでもございま せんけれども、そのようにコメントいたしているというところでございます。 ○猿田座長  ありがとうございました。  どうぞ、吉田先生。 ○吉田座長代理  結局、永井先生がおっしゃるのは、その別紙1、別紙2で、例の先進医療評価用紙第1 −2号というやつが載っていないのですよね。3、4にはあるわけですよね。だからそこ へこの先進医療に上がってくるときに、各委員の評価というやつを今先生はおっしゃりた いわけでしょう。本来ですと、別紙1、2も同じように、3、4みたいに、先進医療評価 用紙第1−2号というやつが載るべきではないですか。それが落ちているのではないです かね。  多分、そこへ先生がコメントを書かれたのでしょう。3、4を見ていただくと、先進医 療評価用紙第1−2号という用紙が必ずつくのですよ。これは先進医療の委員が評価した 結果ですよね。それがないのです。 ○永井構成員  コメントが空白になっているわけです。大したことではないのですが、ちょっと書いて おいたんです。それが落とされているのです。それを事務局の判断で落とすというのはお かしいということです。 ○吉田座長代理  そうですね。 ○猿田座長  例えば、今の別紙1番目の場合には、かなりコメントがいっぱい書いてございます。  どうぞ。 ○事務局(医療課企画官)  再度、まことに御迷惑をかけまして申しわけございません。念のため、確認でございま すが、私ども誤解をしておりましたので、そういう意味で落としたというのは事実ですが 基本的に構成員の御了解なく、操作をするというつもりは基本的にはございません。その 点は改めて申し上げさせていただいた上で、今後こういうことのないようにいたします。 ○永井構成員  何の了解もありませんでした。 ○事務局(医療課企画官)  そこの行き違いに関してはおわびをさせていただきます。 ○永井構成員  それであれば、やはりちゃんと原文の評価表をここに出して、ここでちゃんと議論すべ きだと思うのですよ。電話でやりとりして、もう削っても了解してもらったと思っていま したなんて、そんな説明ではなっていないではないですか。 ○猿田座長  よろしいですか。ですから、書類上でしっかりそのあたりのとことはやっていただくと いうことで、誤解のないようにしていただくことが大切かと思います。 ○永井構成員  あるいは、もう一回では出してくださいと言うとか、極めて事務局としては、これはお かしなことをやっていると誤解されますよ。 ○猿田座長  よろしいでしょうか。  どうぞ。 ○事務局(医政局研究開発振興課)  その辺につきまして、少し経緯について簡単にお話ししておいたほうが誤解がないかと 思いますので、説明させていただきます。  基本的にこちら側で一切そのような操作をするということは全くなく、加藤先生の胎児 の件に関しましては、さっきの話になりますけれども、胎児の治療で母体の安全性につい てのコメントというのは、医政局のほうでも認識しております。そこで医政局のほうにコ メントがありまして、そちらについては高度医療評価会議で母体については24時間心電 図モニタリングを行うといった形で、申請者に修正していただいて対応したところと、そ こについて保険局医療課のほうから加藤構成員に御説明をして、加藤構成員がそこで納得 されたというような話でしたので、そのような形になったのではないかと思います。  もちろん、我々高度医療評価会議では、評価表を直す際には最終確認として構成員に出 しているのですけれども、そこの運用についてまた課題があるのかなと思いますので、そ こについてはもちろん改善するべき余地があると思いますので、ぜひそこは医療課と研究 開発振興課で調整してやりたいと思います。  さらに、永井構成員に関しましては、基本的に前半の話にも関係しますが、臨床研究デ ザインに関してでございます。基本的にシングルアームの試験を許容するのか、それとも 比較試験、2群試験で早く結果が出るようにすべきかと、そういったところで議論があり ました。基本的にそこの部分に関しまして、永井先生としてはそこのところは早く結果が 出るように2群試験に移行すべきと、そういうふうな趣旨がございまして、ただそれにつ いては適・不適の判断というところには関係しないというような発言があったかと思いま す。  それについて、保険局医療課のほうに報告しまして、そこでそういったコメントについ て、ちょっとそこは研究開発振興課と医療課のほうですれ違いがあったと思うのですけれ ども、コメントがそこで永井構成員が了解されたということで、なくなったものかなと思 いますが、最終的にはもちろん永井構成員に最終的な形の確認というものが必要であった のだろうと思います。ここはもちろん、研究開発振興課と医療課の事務的な運用の課題と 思いますので、ぜひそこは改善したいと思っております。御迷惑をおかけして申しわけな いと思っております。 ○猿田座長  永井委員。 ○永井構成員  その適・不適の最終判断に関係ないから削ったというんであれば、そうしたコメント覧 なんか置く必要ないわけですよ。適・不適は結論は同じであっても、どういうことを議論 すべきかということで書いているわけですから、それだったら初めからコメントなしにす ればいいじゃないですか。 ○事務局(医政局研究開発振興課)  それにつきましては、重々反省した上で、次回にはそういった構成員の確認を得た上で 評価表を出せるように、それで会議においてちゃんとした活発な議論ができるように運用 したいと、医療課と連携してやりたいと思っております。 ○猿田座長  ですから、各先生方のコメントをしっかりそのまま出していただくことが非常に大切で す。それで最終的にはここで議論することになりますから、その点だけしっかりやってい ただきたいと思います。  ほかに、御意見ございませんでしょうか。 ○吉田座長代理  たしか前回のときに泌尿器科部門で2個出たのですね。それでたしか前回はうちも学会 の専門部会で検討するものですから、そこで出たコメントを別紙でもってつけたので、そ れはたしか載っていましたよね。永井先生おっしゃるのは多分そうだと思うのです。一応、 この1−2の5ではこうだけれども、いろいろなこういう条件がありますよということを、 泌尿器科ですと、泌尿器科学会の特別委員会でもってコメントがあってつけるのですよ。 多分、それをつけていないので、先生ね、多分。 ○永井構成員  それを書いておいたわけです。つけたというか、実際にそれを書いておいたわけです。 それをもう一回ワープロで打つときに落としているわけです。 ○吉田座長代理  それをやっぱり提出して検討しないと、これでは早急にいい悪いなんて決められないで しょうね、多分。その意見を見ないとだめでしょう。 ○猿田座長  ありがとうございました。よろしいでしょうか。 ○笹子構成員  以前にあったような事例で、高度医療で修正をすることを前提に承認になったプロトコ ールが、ちゃんと修正されないまま先進医療にかかって、僕が何かおかしいとつき返した ことがあったと思うのですけれども、それ以降は高度医療のやりとりが何か議事録だか何 かで回ってくるようになっていて、わかりやすくなったとは思うのですけれども、どうい うことが議論になって、どう変わったのか、そして最終プロトコールがこれですというふ うなことが分かるようにしていただくと、先進医療の審査員は無駄なことは省けるし、ポ イントはきちっと分かるという。ちゃんと直っているかもチェックできるというふうに思 うのです。 ○猿田座長  ありがとうございました。  それでは、一応、今の順序に従いまして、010の谷川原先生のほうからまず御説明よ ろしくお願いします。 ○谷川原構成員  それでは、別紙1に基づきまして御説明申し上げます。  高度医療の名称は、パクリタキセル腹腔内反復投与療法というものでございます。適応 症はここに書かれた、胃切除後の進行胃がん、ただし、ステージII、IIIの肉眼型分類3型 または4型であるもの、または腹膜転移を有するものに限るということでございます。  この内容の先進性ですが、胃がんの腹膜転移は極めて予後が不良でございまして、標準 的な治療法はないのが現状です。胃がんに関して、術後の補助化学療法としてはS−1を 投与するということが標準治療法として確立してはいますが、腹膜転移のあるケースにど ういう治療法が適切なのかというのは、現時点ではまだ確立しておりません。  この高度医療のスタディーは、胃がんに効果を有するパクリタキセルを用いまして、そ の術後早期に静脈内でパクリタキセルを投与する群と、腹腔内に投与する群の2群を比較 して、そのどちらが有用かというものを検討する、そういうスタディーであります。  概要は1枚めくっていただきまして、3ページ目のこのシェーマが非常に分かりやすい わけですが、対象は腹膜転移がある、もしくはそのリスクが高い、その細胞診でがん細胞 を認める、あるいは腹膜転移を認めたという、そういうケースに限って、術中にそういう ことを確認して、この適応といたします。術中にランダムに2群に割り付けまして、左の A群がパクリタキセル60mg/平方メートルという、これは卵巣がんで用いられていました投与量な のですが、それを腹腔内に投与する、これをDay1、術直後から始まって、1、8、1 5で、あと2コース行うというのがA群です。  B群はその腹腔内投与のかわりに、静脈内投与を80mg/平方メートルという、これは静脈注の投 与量ですが、やはり2コース行って、その後、胃がんのアジュバントの標準化学療法であ るS1単独療法、もしくは必要に応じてS1とシスプラチンの併用療法というものに入る というものであります。  パクリタキセルの静脈内投与法は、保険適応なのですが、腹腔内投与療法が適応外とい うことで、今回この高度医療第3項先進医療として申請されたものです。  評価の結果は6ページでございます。先進技術としての適格性に関しまして、倫理的問 題に関しては、現在この腹膜転移のあるリスクの高い症例に対する標準的な治療法が確立 していないということで、より優れた治療法を模索する意味でのこの研究という意味に関 して、倫理的問題がないと判断いたします。  現時点での普及性ですが、この腹腔内投与はこの高度医療でも既に承認したスタディー もありますが、臨床研究は行われているのですが、保険適応ではないので、現実には普及 はしていないということで、Bということで、ある程度ということにさせていただきまし た。  効率性ですが、既に保険導入されている医療技術に比較して、Bやや効率的と期待する わけであります。これは現実にはこのスタディーの結果を見てみないと分からない面もご ざいますが、やや効率的と期待しております。  将来の保険収載の必要性は、このスタディーの結果で、もし本当に腹腔内投与の成績が よければ、将来的に保険収載を考えればよろしいのではないかと考えられますので、妥当 ということといたしました。しかしながら、このスタディーの後、すぐ保険収載というの はいろいろ専門家の方の御意見等もお伺いすると、まだまだ道のりはあるということで、 そこに書かれましたように、やはり静脈、この静注にしてもどちらのアームが優れている かというのがこの治験で分かるのですが、いずれにしましても、現在の術後の標準化学療 法の標準的な治療法とこの治療法との第III相比較試験が必要ではないかということです。  そして、もう一つはこの用量設定が海外で実施されました卵巣がんの腹膜転移の用量を、 そのままスライドで使っておりますので、その胃がんの専門の先生に御意見をお伺いしま すと、やはり卵巣がんと胃がんとで、やはりがんの反応性とか、治療の考え方が違うとい うことですので、この用量が本当に最適かどうかということに関しては、今後明確化が必 要であろうということでございます。  総評で、総合的にはこの高度医療、このスタディーを実施すること自体は適でございま す。その理由は現時点でエビデンスのない腹腔内投与を静脈内投与との比較によって検証 するという本試験は価値があるというふうに評価いたします。  ただし、安全性に関しては未知の部分がまだ多分にございまして、腹腔内リザーバーに よる合併症のリスクというのが加わると予想されます。そして、そのあたりが静脈内投与 に比べてどれぐらいそのリスクが加わるのか、また投与が本当に静脈内ポートと違って本 当の実施のフィージビリティーというものが、コンプライアンスというものがきちんと保 てるのか、そのあたりの詳細なモニタリングが必要であろうと考えられます。  将来、この試験に基づいて、次のステップに行く場合は、先ほど申し上げましたように、 現在の標準的な治療法との第III相比較試験の実施と、その用量設定根拠が求められると考 えますが、次相ではやはりGCP準拠の治験の実施が望ましいのではないかというふうに 考えます。と申しますのは、例えば卵巣がんの第III相試験は、The New Engl and Journal of Medicineに出ているのですけれども、そのぐら い非常に立派な臨床試験成績が出ても、日本ではまだ適応になっていないということもあ りますので、やっぱり治験を実施するのが薬事承認に一番早道ではないかと思います。ま た、安全性のモニタリングに関しても、やっぱりGCP準拠の場合は、非常に厳密に安全 性データというのをモニタリングという、その報告を求めておりますので、やはりそれは ぜひそういうことで、御考慮いただきたいなということで書かせていただきました。  以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。分かりやすく説明していただきました。  構成員の皆様、どなたか御質問ございませんでしょうか。  どうぞ、田中憲一先生。 ○田中(憲)構成員  安全性のモニタリングを十分にやる必要があると思います。というのは、卵巣がんでは 腹腔内投与のほうが成績がいいという報告がございますが、一般的な治療とはなっており ません。それは腹腔内投与は副作用が強いということで、現在卵巣がんの標準的治療には なっておりません。先回、先々回か、この会でも婦人科の卵巣がんのものが高度医療から 来たのを承認されましたが、その場合にはモニタリングを外部の機関、それを北里大学の ような力のある機関が確実に行うという条件で認められたと思いますので、今回も安全性 のモニタリングを十分にしていただきたい、このように思っております。 ○猿田座長  ありがとうございました。安全性の評価、非常に大切なところでございますので、あり がとうございました。  ほかに御意見ございますでしょうか。治療法として少しでも有効なものであればという こともございますので。今お話がありました安全性の評価のことはしっかりさせていただ いて、ほかに御意見がなければ、この委員会としてはお認めいただくということでよろし いでしょうか。  ありがとうございました。それではそういう形にさせていただきます。谷川原先生、ど うもありがとうございました。  それでは、続きで、永井先生、コメントよろしいでしょうか。  そうしたら、次の011でございます。永井先生、よろしくお願いいたします。 ○永井構成員  これは京都大学からの申請で、慢性閉塞性動脈硬化症、バージャー病、糖尿病性下肢壊 疽に対する血管新生療法であります。従来、遺伝子治療あるいは骨髄由来の単核球細胞治 療等が行われておりまして、現在のところ、それらの試験については本当に有効性がある かどうかは分からないという状況だと思います。  この研究では、これらの疾患に対してFGFの徐放化ゼラチンハイドロゲル200μg を腰椎麻酔下に40カ所の筋肉内投与を行う。そして、4週、24週後に安全性と下肢血 流改善、救肢状況の評価を行うということ、また、7例の先行試験では、特に有害事象は 認めなかったということであります。  この治療法というのは、今非常に議論が多いところで、一番の問題は評価がなかなか難 しい。これまでたくさんの試験が行われていますが、果たして有効かどうかというところ はまだ結論が出ていないということかと思います。ただ、このFGFを用いた治療という のは、それなりに有効性が期待できる、また既に7例の先行試験がございますので、私と しては特に倫理的問題、あるいは有効性は分かりませんけれども、もし効くのであれば将 来的に有望な治療であろうということで、総合的には適ではないかというふうに考えてい ます。  しかしながら、問題はこの治験が10例で、しかも組織の酸素分圧を指標として有効性 を確認するというのは、本当にそれで評価できるのかということで、もう少し試験として 工夫が必要ではないかということをコメントとして書かせていただきました。特に10例、 今まで既に7例行っていて、さらに10例行うということで、一体何が明らかになるか、 これはかなり症例をきちっとふやして、やはり群間比較をしないと結論は出ないだろうと 思います。そういうものを漫然と試験として、あるいは高度医療として行うということに ついては、我々は社会的な妥当性という意味から、いろいろ考えないといけないのではな いかということをコメントさせていただきました。  以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  ただいまの御意見に、どなたか御質問ございませんでしょうか。  それから今永井先生がおっしゃいましたこのQOLの面の反映ですが、これはどういう 形をとればいいですか。 ○永井構成員  ですから、何分歩行ができるようになったかとか、いろいろな指標が工夫されてしかる べきであろうというふうに思います。ですから、これはまだデザインとして私は未熟だと いうふうに思いますので、ぜひそれは申請者のほうに返して、10例終わったところでど うするのだと、それをさらにだらだらとやるのか。やっぱり結論が出るのが試験であって、 出ないようなデザインを初めから組むというのは、倫理的にも問題があるのではないかと いうことです。 ○笹子構成員  今、おっしゃっていることはまさにそうで、基本的に10例の中で何例に効果がないと いうことが分かったら、もう先へ行く値打ちがないだろうというようなジャッジを、その 大まかな仮説ということと、その期待値と閾値という形で、何らかの設定をしてここへ行 かないときはもう先の研究をしませんというようなものを決めておかないと、だらだらと やって、7±10例の中でどうというのは具合が悪いと思いますね。これ多分、高度医療 の統計の専門家から何かコメントあったのではないですか。何もないようですが、書いて あるのですよね。 ○事務局(医政局研究開発振興課)  こちらの統計的な数に関しましては、これはこの大学での臨床研究、臨床試験センター といいますか、そういうところの生物統計家の先生が、きっちり計算して書いております。 お配りの資料には詳細な資料がないとは思うのですけれども、そちらのほうできっちりと 標準偏差や有意水準や、いろいろな数字に関しましては、もちろん最低ラインというのは 設けてありまして、基本的には有効でないと判断されれば、そこで高度医療としての実施 は終わりというような形になっております。  以上です。 ○猿田座長  よろしいですか。  ほかに。赤川先生。 ○赤川構成員  ちょっと聞き漏らしたかもわからないのですが、このゼラチンハイドロゲル自体は、薬 事承認が得られているのですか。 ○事務局(医政局研究開発振興課)  ゼラチンハイドロゲルに関しましては、あくまでも添加剤ということですので、基本的 には効果のある薬剤と組み合わせた上で、それについて薬事承認の対象となるというよう な理解になります。ですので、基本的には今回のb−FGFとゼラチンハイドロゲルのあ わさったものが、新たに未承認医薬品としての対象になり得るというような理解でござい ます。ですので、これを一体として、将来的にもし有効であれば、企業が薬事承認に向け て検討されるものというふうに理解しております。  以上です。 ○猿田座長  よろしいでしょうか。  どうぞ。 ○笹子構成員  この固有の問題ではなくて、一応みんなに配られるこういう資料の中で、先ほどの臨床 仮説が何で、統計学的事項としてどうだというのは、これは治験の段階でも非常に、一番 大切で、そこを僕なんかはまず見るのですけれども、それが入るような何かフォーマット に少し工夫していただいたほうがいいかと思います。 ○猿田座長  ありがとうございました。貴重な御意見です。  ほかに御意見ございませんでしょうか。  福井先生どうぞ。 ○福井構成員  私も群間比較ができるデザインにするのが望ましいと思います。ちょっとよく分からな いのですが、この薬を投与しようという時点で、従来はそこから先は何もやることがない のか、また何か行う治療があるのでしょうか。全く何もしないのであれば、新しいことを 試してみるということでワンアームでも仕方ないと思いますが、従来も何かしらやってい るのであれば、それと比べるという形にしないと評価が難しくなるのではないかと思いま す。 ○猿田座長  ありがとうございます。評価法ですね。非常に重要な点だと思います。  どうぞ。 ○事務局(医政局研究開発振興課)  先ほどの笹子構成員のフォーマットにつきましては、医療課ともちょっと協力して、分 かりやすいようにつくりたいと思います。  先ほどの福井構成員と永井構成員の、2群試験のようなことに関しましては、お配りし た資料の一番最後ですけれども、b−FGFゼラチンハイドロゲル開発ロードマップとい うものが提出されております。  基本的にこの治療のエビデンスに関しましては、申請医療機関でもまだ未確立というふ うな理解でありますので、まずはシングルアームでPOC、いわゆるプルーフ・オブ・コ ンセプトを確認した上で、次には2群試験というような、治験という枠組みを含めて考え ているという状況でございますので、御考慮願いたいと思います。  さらに、エンドポイントに関しましても、基本的にこの疾患は今回の選択基準は、放置 すれば25%以上は下肢切断に至ると、そのような重症例が選択されておりますので、基 本的にはなかなか治療法がないという患者さんです。  もちろん、QOLに関しましても評価する必要があるだろうということでございますが、 先行する臨床研究では、そのようなQOLの指標はあったということです。それを確認し た上で、今回に関しましては、あくまでQOLのエンドポイントが入ると、主観的になっ てしまうということもあって、あえて外されているような状況でございますが、6分間歩 行とか、あとは安静時疼痛、VASスケールのようなものも、セカンダリーエンドポイン トにも入っています。もちろん、QOLの指標もいろいろあるでしょうから、医療機関は その辺に関しましてもセカンダリーエンドポイントで検討したいというようなコメントを いただいております。  以上です。 ○猿田座長  では特にそのあたりのところも考慮に入れていただいて、セカンダリーエンドポイント で結構ですから検討していただきたいと思います。  永井先生、ほかにコメント、よろしいでしょうか。  そうしたら、今言った形でその評価方法に関してはちょっと検討させていただいて、特 に今のQOLの問題はセカンダリーエンドポイントとしての検討ということで検討してい ただいて、全体としてはお認めいただくという形でよろしいでしょうか。  それではそういう形で、副次的な評価方法に関しては医療機関内でもう一回、しっかり 検討していただいて、少しでも評価できるようにする。それから、笹子先生がおっしゃい ましたように、もうあるところまでやってだめだったらやめていただくということも当然 考えていただくということでございます。  ありがとうございました。  それでは続きまして、今度は012ですね。抗不整脈薬投与に関して、これは加藤構成 員、お願いします。 ○加藤構成員  別紙3に書かれております高度医療の名称は、経胎盤的抗不整脈薬投与療法でございま す。適応症はここに書かれているとおりでございます。  御承知のように、胎児頻脈性不整脈は大体全妊娠の約0.1%に見られまして、これを 放置いたしておきますと、胎児水腫になる確率が30%から40%に達するということで ございまして、場合によっては放置いたしますと胎児死亡率が35%と高率であるという ところでございます。  従来よりこれらに対しまして、抗不整脈薬を母体に投与していたところでございますが、 近年になりまして、厚労省の科研費等を用いまして研究がなされた結果、一定の抗不整脈 剤を使用することによりまして、これらを未然に防ぐことができるということが判明いた しましたので、これが先進的な治療方法であろうということでございます。  概要は、そこに書かれているとおりでございますが、従来は一定のプロトコールで行わ れているとは限りませんでしたのですが、今回出されたプロトコールによりますと、一定 のプロトコールによってこれを治療しましょうということになったというふうに読めまし たので、これについて評価させていただきました。その評価用紙ですけれども、技術名称 はここに書かれているとおり、倫理的な問題はないと考えました。  現時点での普及性は、AとBの中間ぐらいのところかと思いますけれども、これは産科 の専門医と、循環器科の専門医にいろいろと御相談を申し上げました。AとBの間ぐらい、 隠れて治療されている方もございますので、Aでよろしいかということでございます。  効率性に関しましては、これは従来、保険に導入されている技術ではございませんので、 保険医療の技術の比較はできないという評価であります。  また、将来の保険収載の必要性でございますが、これは必要であるということでござい ますけれども、先ほど申し上げましたとおり、その際にはやはり母体に対する安全性の検 討が必要ではなかろうかというふうに考えます。  総合判定は、適でございます。ここにありますように、希少な疾患ではございますけれ ども、胎児の致命率が非常に高い疾患に対する治療方法でございまして、予後の改善が期 待できる治療方法であるというところから、先進性が高いと、そういうように評価いたし ました。先ほども申し上げましたが、しかしながら特に母体の安全性には十分留意するこ とが必要ではなかろうかということでございます。  以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  ただいまの御説明にどなたか御質問はございませんでしょうか。胎児の致死率が非常に 高い疾患でありますが、それに対する効果がある程度期待できるということで。  どうぞ、竹中先生。 ○竹中構成員  倫理性は問題がないというふうにおっしゃったのですが、僕はよく分からないんですけ れども、胎児治療をするときの倫理性のガイドラインみたいなものというのはあるのでし ょうか。 ○加藤構成員  胎児そのものに治療を加えるという概念が今のところありませんで、胎児にはカルテも ございませんし、したがいましてこれは全く新しい試みというふうに考えてよろしいかと 思います。  それから倫理的な問題ですが、例えばコントロールを置いて行うというようなことも考 えられますが、これはもう現在この治療を行えば、かなり致命率が高いということが判明 していますので、ここにおいてコントロールを置くということは逆に倫理的に非常に大き な問題になろうかということでございます。 ○竹中構成員  そういういわゆるデザイン上の倫理性ではなくて、胎児治療一般に対する倫理指針のよ うなものがあるのかということと、もしなければこれをこのままもっていくと、多分、そ の保険診療で可能な治療にもっていった瞬間に、倫理上の手続き論という問題があろうか と思います。 ○猿田座長  例えば、胎児のときの手術がありますね。今、かなりやられている。そういったことで も同じことだと思うのですが、倫理性の問題がどうかと。 ○加藤構成員  その件に関しては、ちょっと私、ただいま正確にお答えする資料を持っておりません。 ○竹中構成員  多分、ここで同意書のことをかなりきちっと検討されているのですけれども、将来の親 権者は別に母体だけではないわけで、同意書の取り方も含めて、いろいろなケースがある ように思うので、ということでの質問でした。 ○猿田座長  ありがとうございました。その点は事務局のほうは特に何かございませんか。  どうぞ。 ○事務局(医政局研究開発振興課)  胎児医療に関しましては、構成員おっしゃるとおり、まだ新しい領域ということで、そ のようなガイドラインがはっきりとはないというふうにきいております。ただし、申請者 からはやはりこういった胎児医療についても、やはりこういった整備をしていく必要があ ると認識しているときいております。あとは、従来高度医療におきましても、先進医療に おきましても、こういった胎児治療はもう既に入っております。このような意味では、決 して胎児治療というものは、全くデータがないというようなことではございません。かと いって、もちろん何も問題がないかというとそうではなくて、ただし、こうして放置する と非常に致死率が高いということもございますので、こういった臨床研究を進めていきな がらも、こういったガイドライン等についても整備していきたいというふうに申請者から は伺っております。  以上です。 ○猿田座長  ありがとうございました。  どうぞ、田中先生。 ○田中(憲)構成員  承認以降の実施体制は、多施設共同臨床試験だけで行われるのですか。これはすでに有 効なことが認められている手技でかつ、多数の施設で行われています。ある程度使い方な んかを決められたら、もっといろいろな施設でできるようになったほうが、私はよろしい ように思います。 ○加藤構成員  ありがとうございます。  その件に関しましても、当センターの循環器の者たちと相談いたしましたけれども、思 っているほどこの方面におきまして、小児循環器の専門医が余り多くないという情報も得 ておりますので、その辺のところは慎重にしていただきたいと存じます。 ○猿田座長  ありがとうございました。  ほかにございませんでしょうか。  どうぞ、吉田先生。 ○吉田座長代理  ちょうど胎児に対して保険請求が出るのですが、今の保険制度上、胎児に対する治療は 適用外になっているのです。この間、審査が問題になったのは、胎児仮死、このままでは 死んでしまうという患者に対して、母体に対して酸素療法をやったのですが、それは適応 外使用だという意見が出まして、とてもではないけれども困るので、これをきっかけにし て、胎児に対する治療をきちんと保険で認めてあげないと、生きてくる胎児まで殺してし まう現状があるのです。そういう議論があったので、私は中医協で一回発言したのですが、 胎児の心エコー、本来あれは保険導入するとだめだといったのですけれども、その心エコ ーで診断つけないと、胎児の生死にかかわる問題がありますよね。今の日本の保険制度で、 産まれてくると個体なんですよ。産まれてこないと個体でないという変な議論があるので、 ぜひこの例をきっかけに胎児に対する治療というものをやっぱり国として認めていく方向 でいってほしいと思うのです。 ○加藤構成員  つけ加えさせていただきますと、胎児の治療のみならず、胎児におけます診断、例えば MRI、そのほか、CT、エコーも当然ですが、それらのことも胎児を中で診断ができる ような時代になってまいりましたので、それが今のところ胎児というものはまだカルテす ら―私どもはつくっておりますけれども―全日本ではつくっておりませんので、対象 外になっていることはもう座長代理もおっしゃっているとおりでございまして、また後ほ ど恐らく胎児に対するMRI、CT等の高度医療に対する申請等も出てくる日も近いとい うふうに考えておりますので、よろしく御理解のほどお願いいたします。 ○猿田座長  ありがとうございました。  ほかに御意見ございますでしょうか。先生のところは成育センターですから、厚労省側 とも相談して、よくそのあたりのガイドをしっかりつくっていただけたらと思います。  ではこういう形で治療法としては価値があるということと、今の評価方法、それから特 に倫理的な面は御考慮いただいて、お認めいただくということでよろしいでしょうか。  ありがとうございました。  それでは、お認めいただいたということにさせていただきまして、最後が013でござ います。これは北村先生に見ていただいております。よろしくお願いいたします。 ○北村構成員  それでは、別紙4に沿って御説明申し上げます。  これは通常行われております経皮的なPCIと言われていますが、冠動脈のステントの 治療と、それからバイパス治療を行っても、あるいは行うことができない、改善が困難で ある症例に対して、しかも薬物、薬だけでも抵抗性の冠動脈疾患、虚血性心疾患に対して、 行おうとするものです。有名な尿路結石粉砕に用いられております体外衝撃波の弱いもの ですね。それから結石破砕の10分の1ぐらいのエネルギーで、心臓に向けてそれを打ち まして、数十カ所を打ち、1カ所につき200回ですから、かなりの数を心臓に衝撃波を 与える方法です。動物実験では同施設が行っておられますが、血管増殖因子のサイトカイ ン類とかタンパクの増加が認められたという形で、血管新生が虚血心筋の中で起こり、そ れによって狭心症の改善を得ようというものであります。  東北大学はこの基本的実験から始め臨床で15例を今回の申請以前に経験しておられる というわけです。その中での判定におきましては、多くの症例と書いてありますが、15 例中、どのくらいか詳細には分からんのですが、負荷心筋シンチグラムでも血流改善が客 観的に証明できた上に、頓用するニトログリセリンの量に関して狭心症ではこれが減った ということです。その減ったというニトログリセリンの頓用量で効果を認めてきたという ことです。したがいまして、今度はそれを一番最後のページにロードマップと書いてあり ますが、治験前の有効性、安全性をもう一度今度は50例ばかりでやる。かなりの数では あるんですけれども、一種のフィージビリティテストをもう一度やり直すというような感 じにも見てとれるんですが、そこの50例を行うに当たって、高度医療として申請をした いということで出てきているわけです・  この治療法の有効性については、バイパス手術もできない、ステント治療もできない、 さらに狭心症があると、通常そういうバイパスもできない、ステント治療もできないとい うのは、むしろ心不全を主体としまして、狭心症は余り強くない症例も少なくないです。 それが主体なのですけれども、それに狭心症がある例というと、決して日本人の冠疾患で 多いものではありません。当初、この研究は130例をもって行うということになってお りましたが、だんだん数も減らされてきております上に、臨床研究のスタイルはシングル アームで、対照群がございません。  こういったことから、結果として何を導けるかということは、先ほどの御議論の研究の 在り方も同じ感じでありますが、15例でやってみた感触をもって、今度はもう少し程度 を上げたレベルであるけれども、臨床研究としてエビデンス結果と結論を導くものではな いと思いますが、50例でそれを行いたいということです。  ただ、安全性につきましては、非常に安全だと。ほとんど何も問題が発生しないという ことが、一つのこの本法の救いでありますが、実際、どういう症例でそういうのがあるか ということで、少し3ページのところにコメントもさせていただきましたが、この治療法 を余りに優先的にやりますと、やはり生命予後にも関係する。つまりバイパスとかPCI ができる部分があるにもかかわらず、この方法を優先するという危険性もあると思います。 その点について、もう一度問い直したところ心臓外科医と循環器内科医がよくディスカッ ションをして適応を決めるということでした。そうすると、症例数で50と書いたのです けれども、実際、こういうのは心臓の前面とか側面においては、既に保険収載され、認め られている治療法が行えるけれども、後面においてのみこれが行えないというのが多いん ですね。領域においてそういうのを追加したいという症例です。ですが、これは症例とな っているのでどうするのかといいますと、御回答では、医政局等を介してお聞きしたとこ ろでは、PCIとか、あるいはバイパスを手術した後に狭心症が再発してきて、検査して、 それをやり直すということができない症例であろうということでございました。そういう 症例はないわけではありませんので、それを主に対象にされるようであります。  もう一つ、その臨床研究のエンドポイントが、ニトログリセリンの使用量の減少という のが、プライマリーエンドポイントになっておりまして、これは患者さん任せのところが あります。人によって同じレベルの狭心症があったとしても、たくさん飲む人もあれば、 飲まないで辛抱する人もあるかもしれませんし、いろいろあるので、その辺のところがあ いまいさが残っています。しかし、投与している薬の変更は行わない、つまりβブロッカ ーの量を変えて、あるいは持続性のニトロール系統の薬を変えることは一切ないという判 断で、ニトログリセリンの量で評価するというのがエンドポイントになっています。  したがいまして、結論としてはやはり効きそうだなというのが少し明確になるレベルの 臨床研究かと思いますが、安全性が非常に高いということと、基礎的研究も踏まえて実行 したいということでございますので、適とさせていただきました。将来の保険収載につい ては、これはあくまで補助的手段にしかなり得ないだろうと、これは私の勝手な想像かも しれませんが、何でもかんでもこれを加えたら点が取れるというようなことにならないよ うに、どういう工夫をするかということが将来問題かなと思いますが、保険導入というこ とを前提としてよいのではないかと考えました。  以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  今、御説明いただきましたとおりで、あと先生のコメントがここに書かれてございます けれども、結局、症例の選び方が非常に難しいということで、これは今、北村先生がおっ しゃったように、外科の先生、内科の先生とで、ちゃんとした症例を選んでやっていただ きたいと思います。  それから、効果の判定方法に関して確かにニトログリセリンだけではなくて、ほかの形 での評価を検討していただきたいと。それからもう一つは今まで15例やられていて、あ とこれから50例のうちに本当にこれがいけるのかいけないかということを、そこを結論 として出していきたいということを確認して......。  どうぞ、御質問をお願いいたします。  どうぞ、永井先生。 ○永井構成員  私、この件、厚労省から意見を求められて、申請者とも話しました。一つ疑問に思った のは、申請者はこれはもう既に確立された医療で、ダブルブラインドももう既に行ってい るので、普及させたいという意図でこの高度医療、先進医療に申請しているのだという説 明でした。そのダブルブラインドテストの論文を送ってもらいましたが、N=4、4例ず つの2群プラスダブルブラインドで、一応有効であったと。ただ、ヨーロッパでは既に申 請者らのプロトコールに基づいて、かなり普及した医療であるとの説明でした。それなら ばそちらの論文、発表された資料を拝見したいということで、厚労省の担当の方にはお願 いをしました。  問題は、高度医療を通過してきたときに、これはその申請者が言うように有効性がもう 確立した医療としてこちらに回ってきているのか、あるいはさらに試験が必要であるとし て回ってきているのか、そこが不明であるなというふうに思いました。  それからもし有効性がまだはっきりしないというのであれば、本当にシングルアームの 試験でいいのか、むしろ早い時期にもっときちっとした群間比較試験を行うべきではない かと。その辺のデザインの問題について、もう少し議論が必要だろうというふうに思いま した。  私は、この技術自体は昔から知っていますので、できれば推進してあげたいと思うので すが、やはりきちんとした評価ができるような体制で推進していただきたいということで あります。 ○猿田座長  先生、伺いたいのですが、外国のほうのプロトコールでは、しっかりした......。 ○永井構成員  それはどうだったのですかね。結局、論文を取り寄せていただきたいということをお願 いしたのですが。 ○事務局(医政局研究開発振興課)  永井先生のほうから、ヨーロッパで承認があるということで、ヨーロッパでの論文はど うかという形で問い合わせまして、それはつい昨日の深夜ぐらいに資料を拝読させていた だいたんですけれども、基本的にヨーロッパの学術論文についての資料ではありませんで、 500例以上にわたるヨーロッパでの使用実績と、あとは、学会での発表は何回かしてい るというような状況でございます。  ですので、基本的に医療機器の審査に関しまして、ヨーロッパと日本とアメリカで個々 の運用面でが異なる場合があります。今回のヨーロッパのCEマークの取得の際には、ど ちらかというと、比較試験による評価を重視するというよりは、今回の医療機器そのもの 自体がベースになっているというような現状もございますので、最初、我々高度医療のと きに、事前相談で企業と研究者と両方来ていただくわけですけれども、ただ、企業からす るとやはり日本で承認を取っていく上では、もう少し臨床試験の成績がほしいというよう なコメントがありました。  実際、高度医療評価会議においても、これは臨床研究として、評価可能なデザインにす ることが重要であろうと。特にこの難しいのが、狭心痛というものが、冬には頻度が多い けれども、やっぱり夏、暖かいときにはそれがおさまるとかで、そういう部分でなかなか 実際に評価が難しかろうと思います。最初はこれもシングルアームでするのであれば、1 0例、20例で、最小限でやればいいではないかというような話もあったのですけれども、 やはり狭心痛発作を見る上で、なかなかそこの部分は評価が難しかろうということで、最 終的に統計的にも50例というふうなことでございます。  ただ、もちろん、将来的な治験として早くそういった2群比較のようなものが可能であ れば、評価を進めるべきという点に関しましては、もちろん同じ認識でいます。  以上です。 ○猿田座長  どうぞ、北村先生。 ○北村構成員  この機械自身は、もう既に外国製の物が販売状況に入っているものがあるのですが、こ れを検討させていただいたときに思い出したのが、炭酸ガスレーザーによる心筋に穴を開 ける治療法です。これはもう米国でもたくさんの一流誌に有効であると報告されました。 日本でもその大きな機械なのですが、それが日本にも幾つか、何台か導入されておりまし たが、結局は薬事承認も取れないままに終わってしまって、もう消えてしまいました。ま だやっておられる方も外国にはおられるようです。  ですから、この効能が違うのか、理論が違うのかもしれませんが、米国でもFDA承認 ができたのだろうと思うのですが、レーザーによる、やはり同じように血行を再建する治 療法が日本では結局実現しなかったこともありました。衝撃波のほうも同じように外国で は有効であると。日本でも有効になるかどうかということを見られるのであろうというふ うに思いましたので、やっていただいたら、安全性が高いものですから、いいという というふうに思います。 ○猿田座長  ただ、これ比較試験というのには難しいですね。どうやってやるのですかね。 ○北村構成員  もう一遍、治験をやるみたいですね。実際には。それから今、永井先生に申された方の 考え方では、この最終ページのプロトコールのやり方でいいですかね。普及させたいとい うのであれば、保険医療にもっていきたいということですかね。そうしたら、この機械の 薬事承認を取りたいということですよね。炭酸ガスレーザーの場合はそれができなくなっ てしまったのです。日本では。 ○永井構成員  ですから、やっていただくのはいいですが、早く分かる試験を組んでいただきたいとい うことです。ですから、本当に50例も必要なのか。 ○猿田座長  そこのところですね。 ○北村構成員  余り数ないですよ、こういうの。 ○永井構成員  ですから、早くからきちっとした比較試験をしないと、50例やっても分かりませんよ ということなのです。 ○福井構成員  先ほどの永井先生のケースもそうですが、外国ではおそらくこの時点でランダマイゼー ションしたツーアームにもっていくと思います。日本では残念ながら、文化的に、あるい は今までの経緯もあって、すごくRCTを行うのが遅くなり、結局、エビデンスレベルの 高い論文は外国からばかり出て、日本は後追いになるということがまさにここに反映され ているように思います。7例であれ、15例であれ、ここまで来たら次はランダマイゼー ションのツーアームでやろうと思うかどうかです。臨床研究の論文について、日本から数 は多く出ても引用されることが少ないというところにつながっているのではないかと、今 のディスカッションを聞いて思いました。 ○猿田座長  例えば、こういう治療法の場合に、どういうふうに比較試験を組んだらいいですかね。 ○永井構成員  今の治療で、ベストの治療と思われるものを一方でやって、もう一方で追加をして予後 を比較すると。 ○猿田座長  ありがとうございました。  では、そこのところは一応コメントさせていただいて。 ○永井構成員  ただ、申請者がもうそこは済んだと言っておられたものですから、行き違いが起こって いるなということなのです。ヨーロッパでは比較試験は行われていないということですよ ね。論文にはなっていないという、使用経験だけの話で、日本は4例、4例の8例をやっ ている。それで済んだと申請者が言われたので、もう済んでいるのだったら、では先へ行 きましょうかということに、私は思ったのですが、もしそこの評価が不十分であるという のであれば、これはもうちょっときちっとした組み立てをしないといけないのではないか と思います。 ○猿田座長  よくわかりました。御意見ございますか。  どうぞ。 ○田中(良)構成員  ちょっと専門外からの質問で恐縮ですけれども。この体外衝撃波で血管新生を促進して、 血流を増大させるということは、結局その側副血行路からの血流をふやすということです よね。もともとある狭窄しているところはもちろん狭窄のままでふえませんから。という ことは、側副血行路からの血管新生が起こりやすいようなバックグラウンドがある人によ く効くのではないかと思っているのです。ですから、何か背景にそういうふうなレベルと いうか、そういうものをそろえたほうが、例えば糖尿病患者さんとか末梢血管が非常に細 い人とか、それから冠動脈が三枝病変にまで狭窄があるとか、いろいろなところがあると、 この治療法もなかなか効果が出にくいのではないかと思ったのですけれども。 ○北村構成員  それは適応の中に、糖尿病性の疾患があるような場合、まあ網膜症ですからかなり重度 のものですけれども、そういったものは除外するとか、2ページに適応基準と。ただ、通 常こういう何もできないぐらいのところは、梗塞から瘢痕が混ざっていますので、狭心症 が出にくい上に、確かにバイパスもPCIもできない領域というのはあるのですけれども、 そこが大変強い狭心症の発生源になるというのは、非常に少ない。  それから今さっき言いましたレーザーによる心筋血行再建する方法でも、もうマニアッ クな人はアメリカではやっているのかもしれませんが、通常の内科、外科の領域では、そ ういう方法はもうほとんど消えてしまっています。行われていないですね。論文の内容に ついても信じていない。これは信じないと言っている人もたくさんいますね。ランダムス タディーもやられているのですけれども、サーキュレーションとかああいう雑誌にも載っ ているんですけれども、こんなの信用しないという人がほとんどです。 ○永井構成員  狭心症ではなくて、虚血性心疾患というふうになっていますから、恐らく三枝病変のイ ジェクションフラクションが低下した心不全症例を対象にするのだと思います。 ○北村構成員  でも、ニトロールの追加量で判断、エンドポイントがね。 ○永井構成員  ですから、息苦しさをそれでちょっと改善させるかどうかとか。ですからこれは要する に非常に評価は難しい試験だと思います。有効かもしれないのですが、かなりよくデザイ ンして、症例数もきちっとふやしてやらないといけない試験で、シングルアームで50例 で本当に結論が出るのかということについては、もう少し統計家の意見を聞くべきだろう というふうに思います。 ○北村構成員  高度医療ですから1施設なのですよね。本来は多施設でやるべきスタディーだと思いま す。 ○猿田座長  今、永井先生おっしゃった評価のところ、しっかりもう一回検討していただき、一応、 技術としてはここは認めるけれども、評価のところはしっかりしていただくということで、 よろしいでしょうか。 ○事務局(医政局研究開発振興課)  もちろん統計的な部分に関しましては、高度医療評価会議でもかなり議論になりまして、 そこのところは基本的には高度医療評価会議では、十分に検討されたものと思っておりま す。  ただし、福井構成員のおっしゃるとおり、一般論として、なかなか薬事申請につながっ ていかない、あるいはエビデンスが欧米の一流論文に載ってこないとか、そういった話が あろうかと思うのですけれども、日本の現状として、臨床研究でやっていて、研究者がこ れはいいというふうに言う状況でも、一方で企業から見ると、もうちょっとこれは信頼性 のあるエビデンスがほしい、なかなかこれでは薬事承認に手が出ないといった状況があり ます。その中で、高度医療評価制度というのができまして、間をつないでその道筋をスピ ードアップして、もちろん2群試験のような比較試験に早く移行していくと、そのような ことは非常に重要と思っております。  以上です。 ○猿田座長  本来は企業治験でしっかりやっていただければいいのですけれども、なかなか企業は乗 ってこないということもありますので、その間の橋渡しという形になりました。  ほかに御意見がなければ、今の最後のケースに関しましては評価のところをもう一回、 しっかり確認させていただいて、一応技術としては認めるということでよろしいでしょう か。  それでは、そういうことで認めさせていただきます。ありがとうございました。  ほかに、事務局のほう、何か御意見ございますか。 ○審議官  審議官でございます。  今日は用意させていただきました資料につきまして、先生方のコメントが脱落しており ましたことにつきまして、永井先生と加藤先生におわびを申し上げたいと思います。次回 以降、十分気をつけたいと思います。  それからもう一つ、本日も大変いろいろな御議論をいただきましたけれども、先進医療 の在り方でございますとか、あるいは未承認・適応外の医薬品・医療機器等の在り方につ きまして、ちょうど今が議論の時期になっております。そういう時期に差しかかっており ますので、引き続き先生方からいろいろな御意見をいただきたいと思います。よろしくお 願いをいたします。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。 ○事務局  次回の開催に関しましては、現時点はまだ未定ではありますが、候補としまして、7月 12日の月曜日を検討しております。  事務局からは以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。  ほかに委員の先生方から特に御意見なければ、これで49回の先進医療専門家会議を終 わりたいと思います。  どうも御協力ありがとうございました。また、貴重な御意見、今日はありがとうござい ました。 午後3時51分 閉会 【照会先】 厚生労働省保険局医療課医療係 代表 03−5253−1111(内線3276)