10/05/31 第1回新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム議事録 第1回新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム(議事録) 1.日 時:平成22年5月31日(月)18:17〜20:18 2.場 所:厚生労働省 専用第21会議室(17階) 3.出席構成員:新垣構成員、岡崎構成員、小川構成員、河崎構成員、佐久間構成員、田尾 構成員、高木構成員、直嶋構成員、中島構成員、長野構成員、西田構成員、野澤構成員、野 村構成員、広田構成員、福田構成員、堀江構成員 4.議 事 (1)「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」報告書への対応状況について   [1]事務局説明   [2]意見交換等 (2)その他 5.議事内容 ○福田精神・障害保健課長 それでは定刻となりましたので、ただいまより「第1回新たな 地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」を開催いたします。  構成員の皆様方におかれましては、大変御多忙中のところ御参集いただきまして、誠にあ りがとうございます。  私、進行役を務めさせていただきます精神・障害保健課長の福田でございます。よろしく お願いいたします。  まず、議事に先立ちまして、足立厚生労働大臣政務官よりごあいさつを申し上げます。 ○足立政務官 皆さん、こんにちは。本日は、ちょっと名前が長いですけれども、「新たな 地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」、この検討チームに御参集いただきまし てありがとうございます。  もう皆様方には言うまでもないことでございますけれども、今この国の、特に気分障害、 中でもうつに関しては非常に大きな精神障害、あるいは精神科疾患の中でウエイトを占める ようになってまいりました。もはや国民病と言っても差し支えないような状況にあると思い ます。  私たちは、まず障害者の方々、障害を持った方々の全体の見直しを図る必要があるという ことで障害者制度改革推進本部というものがあったわけでございますけれども、それと同時 に、我々としてはうつ、自殺対策ということの中で、メンタルヘルスへの取組みがこの国に とっては非常に大きな課題であるという認識の下で、今回の検討チームというものを立ち上 げさせていただいたということでございます。  これは、簡単にメンタルヘルスという言葉で表現されますけれども、職場環境、そして私 は教育、並びに生活の中にそれがどういうふうに受け入れられるかということが極めて大事 だと思っております。今回の診療報酬改定でも、特に再診部門は30分以上かけて丁寧に診 察される場合の報酬を上げましたし、認知行動療法というものを新たに新設して評価する。 基本のキーワードは、やはりアウトリーチにあると思うんです。  ですから、皆様方にはその本人、または家族の方々の立場がどのような状況に今、置かれ ているかということをしっかり把握されていると思いますが、それぞれの方々の支援に何が 必要なのか、そして今、何が足りないのかということを現場に基づいてしっかり議論してい ただきたいということで、いろいろな会議等はありますけれども、ある意味、立場にこだわ らずに地域からどのようなことが必要かという観点に立って、本当に忌憚のない意見を交わ していただきたいということを切に私の方からお願い申し上げまして、まず開会のごあいさ つということにさせていただきます。ありがとうございます。よろしくお願いします。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。  それでは、本検討チーム構成員の皆様を御紹介させていただきたいと思います。お手元に 構成員名簿がございますので、詳しくはそちらを御参照いただければと思いますけれども、 五十音順に御紹介をさせていただきます。  まず、新垣病院、新垣元さんでございます。  東京都立松沢病院、岡崎祐士さんでございます。  社団法人日本看護協会、小川忍さんでございます。  社団法人日本精神科病院協会、河崎建人さんでございます。  あさかホスピタル、佐久間啓さんでございます。  社会福祉法人巣立ち会、田尾有樹子さんでございます。  たかぎクリニック、高木俊介さんでございます。  秋田県八峰町、直嶋京子さんでございます。  地方独立行政法人岡山県精神科医療センター、中島豊爾さんでございます。  特定非営利活動法人ハートinハートなんぐん市場、長野敏宏さんでございます。  財団法人東京都医学研究機構東京都精神医学総合研究所、西田淳志さんでございます。  毎日新聞社、野澤和弘さんでございます。  東京都精神障害者家族会連合会、野村忠良さんでございます。  精神科医療サバイバー、広田和子さんでございます。  国立大学法人群馬大学医学部、福田正人さんでございます。  特定非営利活動法人世田谷さくら会、堀江紀一さんでございます。  事務局の方の紹介は時間の都合上、省略させていただきます。  なお、本検討チームは公開のため、検討チームでの審議内容は、厚生労働省のホームペー ジに議事録として掲載される予定ですので、あらかじめ御了解くださいますようお願いを申 し上げます。  それでは、議事に入らせていただきたいと思います。まずは、本検討チームの開催につき まして、資料1「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チームについて」を事務 局より説明いたします。 ○本後課長補佐 事務局の本後と申します。どうぞよろしくお願いいたします。座って説明 させていただきます。  資料1をご覧ください。「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チームについ て」ということで、今回お集まりいただいた検討チームの概要、今後の進め方ということを まとめてございます。  「検討会の概要」でございます。昨年9月、省内の有識者の方々の検討会の報告書をいた だきました。そういったものを踏まえまして、今後の精神保健医療施策の具体化を目指すと いうことで、政務官からのごあいさつにもございましたとおり、当事者、御家族、あるいは 医療関係者、地域で実践されている方々、有識者の方々から御意見を伺うということで本検 討チームを設置することとさせていただいたものでございます。主担当は足立政務官、そし て事務局は障害保健福祉部ということにいたしております。  「スケジュール」といたしましては、本日を第1回としまして、6月中旬までに4回程度 開催するということを予定しております。既に御案内させていただいておりますが、今後は 6月3日、それから10日、17日と、これを今、予定しているところでございます。当面、 来年度の予算編成ということがございますので、この中でどう具体化していくかということ を目指しまして、アウトリーチ体制の具体化など、地域精神保健医療体制の整備に関する検 討に重点を置いて御議論いただくということになろうかと思います。  なお、認知症などの高齢の精神障害の方々の対策、それから精神病床者の在り方、そうい ったことに関しましては医療介護の改革ということの御議論もございますので、そういった ものと併せながら、また今後継続して検討していくということにさせていただきたいと考え ております。  「構成」につきましては、全部で16名の方々にお集まりをいただいております。  その他、別添で構成員の皆さんの名簿、それから開催要綱を付けさせていただいておりま すので、特に開催要綱については後ほど御参照いただければと思います。  説明につきましては、以上でございます。 ○福田精神・障害保健課長 続きまして、資料2「「今後の精神保健医療福祉のあり方等に 関する検討会」報告書への対応状況」につきまして、事務局より説明いたします。  なお、説明の後に質疑、それから意見といった時間の場を設けたいと思いますので、よろ しくお願いいたします。では、事務局からお願いいたします。 ○林課長補佐 資料2、「「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」報告書への 対応状況」という資料でございます。長い資料ですので、かいつまんで御報告させていただ きたいと思います。  このあり方検討会の報告書は、昨年の9月に取りまとめられたものでございますけれども、 大きく4つのパートからなっております。「1.精神保健医療体系の再構築」、「2.精神医 療の質の向上」、「3.地域生活支援体制の強化」、「4.普及啓発の重点的実施」、この構成 に従って左側に報告書本文で、改革の具体像として御提言いただいた内容を記載しておりま す。そして、右側に事務局として厚生労働省がこれまでに対応させていただいた状況を御報 告させていただいております。これを御紹介させていただきたいと思います。  まず、1枚おめくりいただいた1ページであります。「精神保健医療体系の再構築 [1]入 院医療の再編・重点化」という部分でございます。「報告書本文」に、精神病床の医療の質 の向上を図るために、段階的に人員基準の充実を目指すべきであるとされ、具体策をいろい ろ提言いただきました。  右側の「対応状況」といたしまして、「診療報酬」では重症者を対象とした精神病棟、入 院基本料の13:1の創設、10:1の平均在日数の要件の緩和。また、精神科救急入院料や救 急・合併症入院料、精神科急性期治療病棟の入院料の急性期の評価の引上げを行いました。  また、厚生労働科学研究の中で、入院患者の状態とケアにかかるコストの関連に関する調 査を現在実施していただいておりまして、今後、政策に活かすべく更に分析をしていただく こととしております。  2ページ目、「統合失調症」についてであります。統合失調症の入院患者数については、 平成26年までに15万人程度にまで減少させることができるようにすべき、そのためにそれ に向かって各般の施策を講じるべきという御提言をいただいております。  右側、「対応状況」でございます。この後、御説明するさまざまな施策を行うことで対応 することになりますが、特にこの部分では「その他」の1つ目に、平成21年からいわゆる 「630調査」において毎年統合失調症の入院患者数を迅速に把握するということを予定して おります。  続いて3ページ、「認知症」についてであります。認知症につきましては1つ目、認知症 の有病率や認知症に関わる医療・介護サービスの実態等に関する調査を早急に進めることや、 2つ目、BPSD、急性期の身体合併症を伴う患者に対応できるよう、認知症疾患医療セン ターの機能の拡充・整備の促進を図ること、また、その他に入院治療を要さない者が入院を 継続することのないよう、介護保険施設などの適切な環境を確保した生活の場の確保、適切 な医療の提供、また認知症に対応した外来医療及び介護保険サービスの機能の充実などにつ いて御提言をいただきました。  これまでの対応といたしましては、「予算」で認知症疾患医療センターの予算の拡充を図 るとともに、「診療報酬」におきましては認知症専門診断管理料の創設、認知症患者地域連 携加算の創設、または身体合併症管理加算の引上げや退院調整加算の創設などを行いました。  更に現在、厚生労働科学研究では、全国の認知症高齢者の患者数等の調査を実施しており まして、こういった調査を踏まえて、平成24年度以降の第5期介護保険事業計画の時期に 向けて準備を進めていくこととしております。  引き続いて、5ページであります。ウの「身体合併症」についてです。これにつきまして は、左側の「報告書本文」の方では、一般病床における身体合併症患者の診療体制を確保す るという観点から、さまざまな御提言をいただいております。例えば、総合病院精神科にお いて、精神・身体合併症への診療機能等の総合的な機能を要することを踏まえ、精神病床の 確保とともに、求められる機能の充実を図る方策について検討すべきであることなどを御提 言いただきました。  右側の「対応状況」といたしましては、精神科救急医療体制整備事業において、各地域の 消防と医療機関の合意によって、身体合併症の救急患者を必ず受け入れていただく。そうい った医療機関への補助の拡充を図ることや、「診療報酬」におきまして先ほどもお話しした とおり、入院基本料13:1、あるいは急性期治療病棟の入院料の算定要件の緩和、こういっ たことを行うとともに、身体合併症管理加算の評価の引上げも実施いたしました。  6ページ、ここからは「疾患等に応じた精神医療等の充実」ということで、まず「気分障 害」についてであります。気分障害につきましても、さまざま御提言をいただきましたが、 3つ目、特に海外でうつ病等への有効性が確認されている認知行動療法については、国内で の適応及び有効性の検証を進めた上で普及を図るべきであるとの御提言をいただきました。  「対応状況」としては、まず「予算」の方で認知行動療法の実施者養成研修を実施すると ともに、「診療報酬」ではこの4月から「認知療法・認知行動療法」という診療報酬の評価 を新設いたしました。  また、「研究」の中では、厚生労働科学研究において、うつ病の診療ガイドラインの作成 に向けたエビデンスの確立のための研究、あるいは「精神療法の実施方法と有効性に関する 研究」においてのマニュアルの作成等を実施しているところでございます。 「イ.依存症」につきましては、依存症患者の回復に向けた支援を強化すべきという観点か ら、現在までの取組みとしては、依存症のリハビリ施設職員に対する研修の実施であるとか、 「診療報酬」において重度アルコール依存症入院医療管理加算の創設、こういったことを行 ってまいりました。  続いて7ページ、「児童・思春期精神医療」の部分でございます。児童・思春期精神医療 の普及を図るということで、さまざま御提言をいただいております。研修の充実、病床の確 保、身体合併症への対応、発達障害の施策との連携といった部分でございます。  これまでの対応としては、「発達障害研修事業」において「小児医療に関する研修」、「精 神医療に関する研修」を行うとともに、関係機関との連携構築を目的とした「発達障害者支 援体制整備事業」、こういった事業を実施しております。また、思春期精神保健福祉に関す る研修を実施しております。  「診療報酬」においては、児童・思春期精神科入院医療管理加算の引上げ、強度行動障害・ 摂食障害の入院医療への加算の創設をこの4月から行っているところでございます。  8ページ、「早期支援体制の検討」の部分でございます。若年者が統合失調症を発症した 場合の重症化の予防等のために、さまざま御提言をいただきました。まず、我が国において 統合失調症を発症して2〜5年の臨界期の患者や、その家族等への標準的診療・支援方法の 確立、予後の改善、またそのための相談、普及啓発なども含めて御提言をいただいておりま す。  これまでの対応といたしましては、地域定着支援事業のメニューとして、自治体が早期発 見・早期支援の事業を実施できるようにといったメニューを加えるとともに、国といたしま しては普及啓発事業として普及啓発の資材やウェブサイトの開発等を進めておりますし、ま た、ここの構成員でもあります岡崎先生の下で研究を進めていただいているというところで ございます。  9ページ、「地域精神保健医療体制の再編と精神科医療機関の機能の強化」でございます。 精神疾患患者の地域生活を支援するための地域医療体制の整備・確保を図るという観点から、 医療提供体制をどのように構築していくかということでございます。2つ目は、重症の者も 含めて訪問看護等の在宅医療を提供する機能を充実させることや、診療所による在宅医療・ 救急医療への参画、訪問看護ステーションにおける精神科訪問看護の普及の促進など、地域 医療ということに関して御提言をいただきました。  また、下の10ページの方では、それ以外のさまざまな専門的機能、精神科救急、それか ら精神・身体合併症への対応、高齢者への診療、重症な患者に対する手厚い医療、その他児 童思春期、依存症等も含めた機能でございます。こういったものを医療計画で定めるべき医 療機能等として、更に検討すべきではないかという御提言をいただきました。  右側の「対応状況」でございますが、これまで「診療報酬」の中ではこれらは精神疾患だ けに限ることではございませんけれども、往診料の引上げ、それから訪問看護ステーション における複数名訪問の評価、こういったものが創設されました。  また、厚生労働科学研究の中で、地域医療及び連携体制のあるべき姿について検討を進め ていただいてきたところでございます。  続きまして11ページ、「地域における精神保健体制の強化」であります。御提言いただい たものは、市町村、保健所、精神保健福祉センターが適切な役割分担と密接な連携をすると いうこと。そして、地域移行・地域定着のための支援や、未治療・治療中断者等への訪問に よる支援等の質を向上し、機能の底上げを図るということ。市町村、保健所、精神保健福祉 センターのそれぞれの機能の在り方、強化について検討をすべきという御提言でございます。  右側、これまでの対応といたしましては、現在国会で審議されております、法律の名前は 長くなっておりますけれども、障害者自立支援法等の改正に関する法案におきまして、市町 村、保健所、精神保健福祉センターが密接な連携の下で相談に応じるよう努める義務を規定 するということについて審議をいただいております。  また、「予算」の中では、地域移行・地域定着支援事業において未受診・受療中断等の精 神障害者に対して、多職種チームの訪問による支援体制の構築を行うといった予算を計上い たしております。  下の12ページ、「精神科医療機関における従事者の確保」でございます。具体的には、長 期入院患者の病棟等に勤務する医療従事者と比べて在宅医療、救急・急性期医療、合併症に 関する医療など、今後需要の見込まれる分野に勤務する医療従事者が相対的に増加するよう、 施策を講じるべきという御提言をいただいております。  具体的に対応のところは白くなっておりますけれども、それぞれさまざまな他の部分で行 うような対応をもって対応をするということで考えております。  ここまでが1の「精神保健医療体系の再構築」という部分でございます。医療の中でも救 急医療や在宅医療、デイ・ケア等につきましては、3の「地域生活支援体制の強化」の中で 触れさせていただきます。   13ページ、「精神医療の質の向上」であります。まず「精神科における診療の質の向上」 というところで、報告書で御提言をいただいた内容としては、精神科の治療において、まず は標準的な治療が実施されるよう促すべきであるということ。そして、特に統合失調症に対 する抗精神病薬の多剤・大量投与について、その実態の把握に努めるとともに、例えば、単 剤投与、切替え・減量といった改善を促すために、情報公開や評価の方法について検討すべ きということでございました。  これまでの対応としては、「診療報酬」においてこの4月から抗精神病薬の投与が2種類 以下の場合に非定型抗精神病薬加算を引き上げるということで、3種類以上使った場合より も2種類以下の方が入院の報酬が高くなるといったような報酬の調整をさせていただいて おります。  14ページ、「精神科医をはじめとした医療従事者の資質の向上」でございます。報告書で の御提言としては精神科医の資質の確保ということで、精神療法、心理社会的療法、児童思 春期精神医療等も含めて研修をしっかりとやっていくという御提言をいただきました。  これまでの対応としては、認知行動療法に関する研修の実施を新たに行うこととしており ますし、精神科訪問看護従事者養成研修の事業費を今年度から計上いたしております。また、 関係団体にも御協力をいただいて、さまざまな研修を実施していただいているところでござ います。  次に、「研究開発の更なる推進・重点化」のところでございます。精神疾患、国民の疾病 負荷の軽減に資するよう、競争的資金を活用して活発に研究を行うという御提言でございま すが、障害者対策総合研究事業、厚生労働科学研究の1つの事業でございますが、この中で 研究を推進していくということでございます。  引き続いて、3つ目の柱であります「地域生活支援体制の強化」、これの「[1]地域生活を 支える医療機能の充実・強化」の中で「精神科救急医療体制の確保」についてでございます。 精神科救急体制の充実について、報告書の方ではさまざまな御提言をいただきました。  現在までの対応としては、精神保健福祉法を改正して、都道府県の精神科救急医療を提供 する体制の整備に関する規定を創設することでありますとか、4つ目に「通知」として「傷 病者の搬送及び受入れの実施に関する基準の策定について」、これは消防庁と厚生労働省が 連名で搬送、受け入れ態勢をしっかり整備していくということをうたっている消防法改正に 伴うものでございますけれども、この中で精神・身体合併症患者についても対象として例示 をして、しっかり取り組んでいただくようお願いをしております。また、救急医療体制整備 事業の実施要綱を改正いたしまして、救急患者を必ず受け入れることをしている医療機関へ の補助の拡充等を図っているところでございます。  17ページ、「精神科医療施設の精神科救急医療体制における機能」ということでございま す。これにつきましては、現在審議いただいている法案の中で精神保健福祉法を改正して、 夜間・休日における精神障害者等からの相談対応や、地域の実情に応じた体制整備の確保に 関する都道府県の努力義務、こういったものを創設しております。  また、「診療報酬」の中では、今回地域医療貢献加算といったものが創設をされました。 この他、機能評価等につきましても、さまざま研究を進めていただいているところでござい ます。  18ページ、「精神保健指定医の確保について」、これは都道府県等が措置診察等を行う精 神保健指定医の確保について、いろいろ課題もあるということで御提言をいただいたところ でございます。現在、御審議いただいている法案の中では、精神保健指定医の公務員として の職務の執行について、都道府県知事から求めがあった場合に、特に困難な事情がない限り は協力をいただきたいという努力義務を創設するということを御審議いただいております。  次に、「未治療・治療中断者等に対する支援体制の強化について」でございます。未受診 者や治療中断者等が強制入院を要する状態に至らないよう、在宅の患者への訪問診療、それ から家族への支援を行う支援体制を強化すべきという御提言をいただきました。  これまで「予算」の中では、「精神障害者地域移行・地域定着支援事業」において、未受 診・受療中断等の精神障害者に対して、多職種チームの訪問による支援体制の構築を行うた めの予算を計上いたしております。  また、「その他」のところにありますように、こういった事業をやるに当たって必要とな るような研究についても進めてきていただいているところでございます。  19ページ、「訪問看護等の在宅医療の充実について」でございます。具体的にいただいて いる御提言としては、地域を拠点として普及している訪問看護ステーションの活用を図りな がら、精神科訪問看護の一層の普及を進めるべきということでございます。  これまでに行った対応といたしましては、精神科訪問看護従事者養成研修授業費を計上す るといったこと。また、診療報酬の中で訪問看護ステーションにおける複数名訪問の評価の 創設といったことを行っております。  20ページ、「精神科デイ・ケア等の重点化等について」ということで、急性期や回復期な どに対象・利用期間・実施内容を明確にして、医療としての機能を強化したデイ・ケア等の 整備を図るべきであるといった御提言をいただいております。  今回の「診療報酬」では、地域移行や早期支援を推進するために発症・退院後早期、1年 の間につきましては、デイ・ケアの加算を設けるということで対応させていただいていると ころでございます。  21ページからが「障害福祉サービス等の拡充」ということで、福祉の方に話題を移させ ていただきたいと思います。報告書でいただいた御提言として、まず総合的な相談を行う拠 点的な機関の設置など、地域における総合的な相談支援体制を充実すべきであるというもの がございます。  これまでの対応といたしましては、現在御審議いただいている法案の中で障害者自立支援 法を改正し、地域における相談体制の強化を図るための中心となる相談支援センターを市町 村に設置するということの規定を検討いただいております。また、地域移行及び地域定着に 関する支援の個別給付化についても御検討いただいております。  2つ目に、「自立支援協議会の活性化」でございます。地域における支援体制づくりにお いて中核的な役割を担っている自立支援協議会について、その活性化を図る観点から制度上 の位置づけを明確化すべきであるという御提言でございます。  右側の、対応といたしましては、障害者自立支援法の改正案の中で、地域自立支援協議会 の位置づけを法律上明確化するということについて御検討いただいております。  22ページ、「ケアマネジメント機能の拡充」についてでございます。精神障害者の地域生 活支援のための基本的な体制ということで、医療機関と連携を図りつつ、ケアマネジメント を実施する体制の確立が求められる。2つ目でありますけれども、そのケアマネジメントの 対象者を更に拡大するなど、充実を図るべきであるといった御提言、また、下の方、5つ目 でありますけれども、極めて濃厚な支援が必要な重症な方については、重点的かつ包括的に 支援を行う仕組みの構築を図るべきである、こういった御提言をいただきました。  22ページ、右側の「対応状況」でありますが、現在審議中の法案において、サービス利 用計画作成費の支給対象について、入所施設または入院している障害者であって地域移行を 望む者等、生活環境が大幅に変化することが見込まれるような方にも対象を拡大するという ことを御検討いただいております。また、市町村による支給決定の前にサービス利用計画案 を作成して、これを勘案して支給決定を行う仕組み、すなわちケアマネジメントを強化する ということを合わせて御検討いただいております。  「予算」の中では先ほども申し上げましたとおり、多職種チームの訪問による支援体制の 構築、未受診や受診中断の精神障害者の方々に対して、こういったチームでの訪問を行う予 算を計上いたしております。  また、「その他」のところで、さまざまな検討、研究等を行っているということを記載さ せていただいております。  24ページ、「住まいの場の確保について」でございます。グループホーム・ケアホームに ついて、整備費の助成制度や公営住宅の活用等を通じて、更に整備を促進すべきであるとい う御提言をいただいております。  右側の現在までの「対応状況」としては、障害者の住まいの場の確保のための国交省との 連携の連名通知といたしまして、公営住宅のグループホーム・ケアホームとしての活用、グ ループホーム・ケアホームの整備費の助成、公営住宅への入居の促進等について周知を図っ たところであります。  また、「障害福祉サービス報酬改定」の中では、医療観察法に基づく利用者、刑務所出所 者など、特別に個別の支援を有する方に関する支援についてグループホーム・ケアホームの 報酬に加算を設けて評価を創設したところでございます。  24ページ下の「公営住宅への入居促進」につきましても、御提言をいただきました。対 応としては、先ほど申し上げた通知の発出等によって対応に努めているところでございます。  25ページにまいります。「公営住宅のグループホーム・ケアホームとしての活用促進」、 これについても同様に通知の発出によって都道府県・政令指定都市に周知を図っております。  また、「民間賃貸住宅への入居促進」についても御提言をいただいたところでございます。  続きまして、「生活支援等障害福祉サービス等の充実について」でございます。地域にお ける精神障害者への継続的な生活支援を確保する観点から、訪問による生活訓練の評価の充 実ということでございますが、これにつきましては平成21年度の障害福祉サービスの報酬 改定において、その報酬を引き上げるという対応を行っているところでございます。御提言 を中間報告の際にいただきまして、最終報告の前に障害福祉サービスの報酬改定という時期 になっているものですから、少し書き方が奇妙に感じられるかもわかりませんけれども、こ のあり方検討会の中で御提言をいただいたものを踏まえての報酬改定でございます。  26ページ、「ショートステイ(短期入所)の充実」ということに関しても、精神障害者が 地域生活を継続して営む上で、入院予防またはレスパイトということで短期入所が重要だと いうことを御指摘いただきまして、平成21年度の障害福祉サービスの報酬改定を行ったと ころでございます。  就労支援につきましては、就労系の障害福祉サービスについての機能の充実、それから障 害者就業・生活支援センターについて、全ての圏域での設置等の御提言をいただきました。  対応といたしましては、社会適応訓練について障害者自立支援法上に位置づけることを検 討しているということ、また、3つ目にありますように、障害者就業・生活支援センターの 設置箇所数を拡充して、生活支援担当者を増員するといったこと、また、就労移行支援事業 所について、一般就労への移行定着をきめ細かく評価に反映するための加算の見直し、こう いったことを行ってまいりました。  続いて、27ページの「入院中から退院までの支援等の充実について」でございます。精 神保健医療福祉に従事する者について、地域生活への移行や地域生活への支援に取り組む責 務を明確化することや、自立支援協議会の機能の活性化、それから3つ目では、入院中の段 階から地域生活への移行に先立って、グループホーム等での生活の体験など、地域移行に向 けた体験利用の活用を進めること。そして、地域移行の際に必要となる経済的な支援を、よ り円滑に利用できるように周知を図るといった御提言をいただきました。  対応といたしましては、御審議いただいている法案の中で地域移行や地域生活支援に取り 組む責務といったものを明確化しております。  また、障害福祉サービスの21年の報酬改定では、グループホーム・ケアホームの体験入 居という報酬の評価を設けまして、これを評価することとしております。また、基金事業の 中で精神病院等から地域生活に移行する際に、新たに必要となる物品を購入するための資金 3万円を助成する。こういった制度も開始をいたしております。  28ページ、「精神障害者の視点に立った支援体制の充実について」ということであります。 1つ目に、国及び地方自治体における各種の審議会、委員会、協議会への精神障害者への参 画を一層促すべきといった御提言。また、2つ目に、精神障害者同士のピアサポートへの関 係者の理解を深めつつ普及を図るといった御提言をいただいております。  これまでの対応といたしましては、予算の事業の中でピアサポーターが入院患者を訪問し て、退院に向けた同行支援を行うための活動経費、こういったものを補助の対象とすること としているところでございます。  次に、カの「家族の視点に立った支援体制の充実について」ということで、効果的な家族 支援を一層推進すべきという御提言をいただいております。これまで述べてきた事業一つひ とつが家族の方々にも支援になるという気持ちでやってきておりますけれども、それに加え て精神障害者等の家族に対する支援事業として、家族が交流する場の整備費や交流活動に係 る経費について助成をするということを行っております。  最後の29ページ、4つ目の柱であります「普及啓発の重点的実施」でございます。報告 書で御提言いただいた内容として、1つ目は精神障害者同士のピアサポートの推進でありま す。2つ目は、精神障害者に接して交流する機会を増やすことが効果的な普及啓発になると いう観点から、住民との交流活動の推進など、精神障害者御本人から学ぶ機会の充実を図る べきであるということ。3つ目では、精神疾患の発症早期における適切な支援の提供による 重症化の防止といった観点から、適切なメッセージと媒体による普及啓発を行うべきである という御提言。4つ目では、インターネット等で正確でわかりやすい疾患の情報等を提供で きる情報源の整備。こういった内容の御提言をいただいております。  右側の「対応状況」といたしましては、予算の中でピアサポーターが入院患者を訪問して 同行支援を行うための活動経費を計上したり、精神障害者が地域住民と直接交流する活動費 についての助成を行うこととしております。また、「精神障害の正しい理解のための普及啓 発事業」において、若年者を対象とした普及啓発のためのウェブサイトの開発、またインタ ーネットで統合失調症を含む精神疾患の治療法や支援策等を合わせて情報発信を行う「メン タルヘルス総合サイト」、こういったものの開発を進めているところでございます。  説明が長くなりましたけれども、これまでの報告書への対応状況は以上でございます。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。  それでは、これまでの説明について特に御意見を中心に、御質問も含めて構成員の皆様方 からお願いをいたしたいと思いますけれども、構成員の皆さんの中にはこのあり方検討会の 検討メンバーであった方もいらっしゃるわけでございますが、その後、既に10ヶ月近くが 経ってございます。時点も変わっておりますし、ここに書かれている報告書で示されている さまざまな改革の具体像、そして今、御説明申し上げました対応状況の実態といったような ことを踏まえまして、構成員の皆様それぞれのお立場から御意見をいただければありがたい と考えております。  残りが75分ぐらいしかないので、各委員の皆様方にいろいろと御発言いただく場合、1 人で割ってしまうと4分半ぐらいにしかなりません。  ただ、一度に全部というわけにもなかなかいきませんし、全体は大きく3部に分かれてお りますので、まず最初は最初の部分ですけれども、「精神保健医療体系の再構築」という部 分、ページで申しますと12ページぐらいのところを中心にして御意見をいただければと思 っております。  その後、順次、次のパート、パートでいきますけれども、発言し足りない方はもちろん前 の方に戻って御発言いただいても結構というような形で、あまり最初から焦点が広がってし まうと御発言もしにくいと思いますので、まずは12ページぐらいまでのところを中心にし て、構成員の皆さんの方から御意見をいただければと思っておりますので、よろしくお願い いたします。  それでは、いきなり長い説明の後で恐縮ですけれども、御意見がございましたら。事前に 紙が渡っているのと若干の修正はありますが。  では、高木先生、どうぞお願いします。 ○高木構成員 私は、この前の今後の精神保健医療福祉のあり方などに関する検討会の方に は入っていませんでしたので、その経緯がよくわからないんですけれども、この再構築のと ころで一番私は問題だと思うのは、病床削減のことが書かれていないことです。  統合失調症を平成26年までに15万人程度までに減少、これはわかります。しかし、病床 全体の施設化のことを抜きにすると、次の認知症のことと合わせて病床自体は変わらない。 病床自体が変わらないことは何を意味するかというと、施設を支えるためのコストがかかっ て、それが人を支えるためのコストに回らない。そういうことがこの脱施設化の時代、この 高度成長が終わった時代に明らかなわけですね。それをそのままにしていては、老人認知症 の方の精神症状に関してやはり施設が請け負う。地域の力が上がらないということになりま す。  実際に老人医療、一般医療の方で在宅が言われても結局なかなか進まないのは、例えば重 症の精神障害者を一般医療で言えば支えること、一般医療で言えば在宅で看取れるものがど のぐらいあるかということですが、実際にはこれだけ在宅支援診療所が広がっても、在宅で 看取られる数は厚生労働省の見込みと違って全然増えておりません。全て門前在宅支援診療 所になって、最後は病院に頼るからと、そういう構造が出来上がっているからだと思うんで す。  そういう構造がまた同じ精神医療の中にも出てくるのであれば、何ら地域で支えるという ことが今後発展することは考えられないと思うんです。その辺、どうして最初のころの病床 をきちんと削減するという議論から、このような統合失調症の数を減らすという議論に矮小 化されたのか、どこかでお聞きしたいと思っております。 ○福田精神・障害保健課長 どうぞ、野村さん。 ○野村構成員 病院から退院してきて地域で暮らすのを支える事業だと私は思うんですけ れども、「精神障害者地域移行・地域定着支援事業」というのがございますが、これは退院 してきた方を支えるというよりも、もう既に前から地域にいて、家族が支えている方たちも きちんと見なければ、多職種チームで見なければいけないと思うんです。  それで、この移行支援ということと関係なく、地域全体が精神保健、精神医療でもってき ちんと全てカバーされるという体制をつくっていかなければ、退院促進に関する支援という ことでは前から地域で暮らしている家族、当事者が非常に支援を受けられない状況が続いて いくと思うんです。  ですから、これは退院促進に絡む地域の多職種チーム訪問ではなくて、前から地域に住ん で暮らしている方たちをその対象に入れた多職種チームを日本全国にきちんと配置すべき であると私は考えます。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。その他ございませんでしょうか。  田尾さん、お願いします。 ○田尾構成員 私は前の検討会に出ていましたけれども、高木先生の言葉に力を得て、私は スライドの方で見てきたのですが、スライドの方の最初に入院受診医療の施策の結果がある ことを行政は認め、関係者が反省し、入院から地域へというふうに書いてありますけれども、 その対象になっているのは統合失調症だけではないですね。先ほど高木先生もおっしゃった ように、認知症にまさに社会的入院が起こってきている。私は前も言いましたけれども、こ れを統合失調症のてつを踏まないということを改めて確認させていただきたいと思います。  この後、こころの健康政策構想会議の中でも病床をどう考えるかという提案が出てきます けれども、認知症のデータが出るのを22年度、この夏まで待って、それから一体誰がどん なふうに考えていくのか。この2枚目のスライドがそうですけれども、世界一の精神病大国 であることは変わらないですよね。だから、やるべきことはもうわかっているはずです。デ ータで分析するということの必要性もありますけれども、目指すべき方向性がわかっている はずなので、そこに向かって何をするかということをもう少し本当は具体的に検討できると うれしいなと思っています。  先にそんなことを言ってしまいましたけれども、これだけの期間の間にこれだけの成果と 言いますか、結果と言いますか、そういうものを出していただいたことは大変感謝しており ますし、少しずつ改革に向けて動き始めたなという印象は持っております。以上です。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。  河崎先生、どうぞ。 ○河崎構成員 今、田尾さんの方からも御発言がございましたように、やはりこれからは特 に認知症の問題をどういうふうに考えていくのか。多分、我々精神科医療が関わっていくの は、やはり主としてBPSDを主症状として出されている方たち、それと急性期の症状の方 たち、あるいは身体合併症をお持ちの認知症の方たち、そういうところに全力を挙げて専門 的な精神科医療を提供していく。多分、それが一番精神科の医療面では重要なことだろうと 思います。  ただ、そういうような症状が治まった方たち、あるいは精神科的な医療を重点的に行う必 要がなくなった認知症の方たちをどういうところで次にケアをしていくのか。果たしてそれ だけの整備がしっかりと今、準備され、あるいはそういうことを構築しようというようなこ とが十分にディスカッションされているのかどうか。やはり、そこは非常に大きな課題だと は思っております。  先ほど、統合失調症のてつを踏まないということの御発言がございましたけれども、その とおりだろうと思っております。ですから、できるだけ医療、そしてその後、地域へという 流れをしっかりとこの検討チームの中でも現実的な形としてディスカッションしていきた いと思っておりますので、是非その辺のところもよろしくお願い申し上げたいと思っており ます。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。その他いかがですか。  堀江さん、どうぞ。 ○堀江構成員 私が多分、地域の精神障害者家族会出身というか、その分野の人間としては ここに1人しかいないようです。野村さんはもうちょっと大きい立場の方ですから。  私は世田谷にいるのですが、世田谷でその地域家族会をやっておりまして、1億円ぐらい 年間補助金をもらったりして事業をしていますが、このあり方検討会の今日の御報告は、一 定の努力は私も前から認めているのですが、地域におりますと大変な違和感があります。何 か一つひとつやられているかのように見えるのですが、地域で見ていますとほとんど引きこ もってしまいます。幾つかのところを回って、そして最後は何のサービスもきちんとした形 で受け止められないものですから、全部家に引きこもっていくという悪循環を繰り返してい ます。  まず、幾つも幾つも、100ぐらい言いたいことがこの御説明の中であったのですけれども、 1つだけ最初に言いますと、早期支援家族支援ということがここで所々に出てくるのですが、 本当に地域に根差したような形のものになっているのだろうか。世田谷で実際にやろうじゃ ないかといろいろな方たちが働きかけているけれども、とてもハードルは高いですね。その ハードルの高さというのは、精神保健についてまず皆でやろうよという第一の段階のところ が全然合意ができていない。そういう意味では、今までの方たちの検討の御努力は買います が、それは地域にまだ全然根付いていないよということだけをまず申し上げたいと思います。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。  長野さん、どうぞ。 ○長野構成員 関連してですけれども、地域に根付いていない。私もあり方検討会からずっ と参加させていただきながら、関心を持ってその後の施策の動向を見ていないわけではなか ったと思うんですが、今回初めて知ったものがたくさんありました。  勉強不足かなと思うんですが。本当にあの短期間の間にこれだけのパーツが用意されたと いうのは、ツールですね。地域にとって、私たちにとってはまたやれることが増えてきたな ということを思うのですが、おっしゃるように、まず政策の周知という点ではまだ動き出し ていないもの、県単位で動き出していないものがほとんどだと思うんですけれども、その周 知がどういうふうにされていくのか。  実は、私たちが地域でずっとやってきたのは地域支援、重度の方を地域で支えながら病床 も減っていくのをきちんと減らしていく。150から10年間で65床まできたし、アウトリー チもぼつぼつ田舎なりにやってきて、次の展開にいこうとしているところではあるんですけ れども、現行制度の中でも現場が踏ん張ればツールはたくさん用意されていると思うんです ね。  予算もそれなりに本当にたくさんどんどん出てきて用意されているんですけれども、それ をどう使いこなしたらいいのかとか、医療現場、介護現場で、また、家族、御本人への周知 という点ではとても地域に根付いているとは言えなくて、その周知、どう使っていくかとい うことに関してもっとエネルギーを使わなければいけないんじゃないかなと強く思います。  高木先生の意見に大賛成で、あり方検討会のときからずっと何となくもやもやしている部 分は、将来、結局私たちはどこを目指せばいいんだという将来像ですね。今回の検討会にな るのかどうかはわかりませんが、どこかで日本の精神科医療は将来こうなんだと。病床数も 含めて自ら現場が、地域が決めていけるような機会になればいいなと思います。以上です。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。その他、御意見ございませんでしょう か。  どうぞ、河崎先生。 ○河崎構成員 先ほどの精神病床の件で、高木先生あるいは長野先生のおっしゃられたこと、 私もその件に関しましては、確かにその将来像をどういうふうに構築していくのか。最終的 な理想像がこういう形であるということを、それなりにやはりしっかりと提示をしていくと いうことは必要だろうと思っております。  ただ、そこへ至るまでのロードマップがどういう形で本当に現実的なものとして提示でき ていけるのかどうか。やはりそこをしっかりと吟味をしていくことが重要です。理想像は、 これは理想と言うのか、現実と言っていいのかはわかりませんが、実際そこまでたどり着こ うというようなものは、それはあってもいいとは思うんだけれども、そこへたどり着くため のロードマップをしっかりと提示をしていっていただきたい。  それが現実的に、私は民間の精神科の病院の立場ですけれども、それぞれの病院の立場で 今も努力をしている中で、実際そういういろいろなメニューを選択できていけるということ を御提示願える。これが一番、私たちとすると是非お願いしたいというようなことが基本の 部分ではあるということだけはお伝えしたいと思って今、発言させていただきました。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。  中島先生、お願いします。 ○中島構成員 皆さんの御意見ももっともで、特に高木先生のおっしゃったアウトリーチを とにかくきちんと豊かに育て上げないと、全てが絵に描いたもちになってしまうということ ですね。  そのことはそれとしながら、厚労省としてこの間、13:1という世界をひとつつくられた。 全てがまだ十全ではないんですけれども、頭出しだけはしていただいたということは、よく 厚労省も頑張っていただいたと思います。  それから、河崎先生のおっしゃっているロードマップをきちんとしてということは確かに 大切なんですが、しかし、ロードマップをつくり、いろいろな施策を打っていても、現場が 感じていないということがやはり最大の問題だろうと思います。この現場が感じていないと いうのは、それに参加していこうとする人たちの数があまり増えていないということだと思 うんですね。あるいは、それをやっている人たちのグループがあまり大きくなっていない。  これはなぜか。これは、目標が極めて明確に設定されて、そしてそれに向かって皆がいこ うという気持ちになっていない。ここだろうと思います。この点を一応念頭に置きながら、 今後の議論に参加したいというふうに思っております。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。その他、御意見ございますでしょうか。  佐久間先生、どうぞ。 ○佐久間構成員 私はこういう会議に初めて参加していますが、精神科病院の中で極力その 地域での医療サービスと、地域での生活支援ということを一生懸命進めているつもりなんで すが、確かに現行サービスでいろいろできることはあるけれども、さまざまな地方自治体で のそういう資源というのは非常に限られているという現状がまずあって、かなりの部分で 我々医療機関がそれを結局つくらざるを得ずにやってきている。  それは我々の地域でもそうなんですが、その中でまず基本的には、では精神科医療はどう あるべきかと考えるときに、病院単体ではやれることは限られていますから、やはりきちん と病院と行政とタイアップしてやるべきだろうとは思うんですね。  ただ、そういう中でさまざまな目標値を設定したところで、実際には地域でそういう理解 をして、そういうものをつくっていくということ、他の部署で行政も含めて進めてくれると ころはほとんどないのが現状だということ。  トータルにやはり国のリーダーシップが絶対に必要ですし、私は精神科病院の在り方がど うあるべきかも含めて今、議論になったように、やはりグランドデザインをしっかりつくっ た中でそれこそそれぞれ地域の病院でやっていることで今、悩みを抱えている皆さんがどう いう方向に進むかということをきちんと検討すれば問題は解決していくんだろうと私は正 直思っています。  というのは、長期在院者の方々の問題は日本の社会的な問題であって、病院だけの問題と いうよりも地域で支援する体制がなくて、例えば地域移行のモデル事業をやったところで、 行った先で生活の質を上げるべきサービスとかいろいろなものがない中で、ただ出せばいい というような姑息的なモデル事業をやっても、これは解決にならないと思うんです。  皆さん、退院した後の生活をどうするか。生活の中の楽しみをどうするのか、あるいは就 労に向けてどうできるのか。長くなってしまうとあれですが、就労まで全てのサービスを全 体的に地域で整備する上で、私は一番大事なのは専門職種の働きだと思っているんですが、 そういう人たちは例えば職業訓練センターにもどこにもいなくて、精神障害者の就労訓練ジ ョブコーチというときに相談できる人はいません。結局、自分たちの組織で育てた専門職が ジョブコーチ的に関わりながらやるとか、病院にいる専門職が地域で何をすべきかをきちん と理解していればシステムはつくっていけるんじゃないかと全体には思っています。  だから、いろいろな意味で大きな流れを、では病院から医療サービスをどこにどういうふ うに移していって、それでまたなかなか年齢では区切れません。特に自立支援法と介護保険 を年齢だけで区切るのも非常に愚策だと思っています。65歳を過ぎても仕事をしている人 はいますし、いろいろな方がいらっしゃるので、そういう中できちんと自立支援法で受ける サービスをつくるべきだけれども、ただ、一方で高齢化した患者さんたちについては、やは り病院で診る必要がないならば、どこで生活の場をきちんと確保できるのかということが非 常に問題になってくると思うんです。  それが、今までなかなかグループホーム、ケアホームというだけでは政策的に対応し切れ なかった。場所の問題じゃなくてサービスの問題だと私は思いますが、ただ、逆に高齢化し た方でむしろ今、問題になっているのは、うちの地域で生活する高齢化した方々は高齢化す るけれども、介護保険のサービスは施設には入れないのでむしろ行き場がなくなってくると いう問題に今、直面していますので、その対策が非常に重要で、まず住む場所ですね。  今、長期入院されている方で、例えば医療的なケアがそれほど必要ではない方だとしたら、 どこでどういうふうに生活できるのか。むしろ本当に高齢になった方が単身で生活すること は非常に孤独でつらい場合もあるので、そういうことも含めてトータルに考えなければいけ ない。  すみません。話が長くなりましたが、総合的に言うと、では医療が何を担って、医療福祉 の中間的な役割として必要な部分が何で、あるいは生活支援の部分が何で、更に地域で生活 するためにはきちんとその方たちのQOLをどう高めるんだという視点まで、自立支援法で なかった部分を障害福祉サービスでちゃんとつくっていただきたいというのが私の考えで す。  ですから、そういう流れの中であれば、しかも長期に入院していた方々がちゃんと行き場 を確保できるのであれば、一般的に精神科病院で今、大所帯を抱えて大変だと思っていらっ しゃる病院も、医療サービスの質が急性期と慢性期では大分変わってきましたので、そうい う長期のサービスを地域に移行していくことは十分可能なんだろう。  ただ、今、河崎先生がおっしゃったように、そのためのロードマップというのは逆にちゃ んとその方たちにとっても住む場所が確保され、かつ、今まで貴重な医療資源である専門職 の人たちが地域で働けるシステムをきちんとつくる。この中にもありますが、現実的にちゃ んとつくっていくことが非常に重要なんじゃないか。  初めて出て、まとまりのない話になってしまいましてすみませんでした。 ○高木構成員 佐久間先生のお話は賛成ですけれども、1つだけ、常に高齢者の行き場の問 題のとき、気になっていることがあるんです。  大概は、積極的な治療がもう要らなくなった方の行き場をどうするかという話なんですけ れども、それが精神の関係、精神保健福祉の範囲内の施設にそのまま丸写しされるというよ うな事態が一番危ぶまれるんですね。積極的な治療が必要なくなった長期入院の方であれば こそ、年老いてからもっと一般の普通の老人と地域で交われるような場というのを考えない といけないですし、実際に介護保険ができる前は統合失調症の老人は結構特養に入れていた んですね。逆に、特養でうまく適応する人は多かったわけです。それが、介護保険の制度の 中でなかなかそういう人が入れなくなってきている問題がある。  ですから、精神保健の範囲内だけじゃなくて介護保険の中で考えていただかないと、高齢 精神障害者に対する新たな施設化を生むだけではないかと思うんです。そこはちょっと危惧 しておりますので、一言、言わせてもらいました。 ○堀江構成員 一言だけですが、体制がない、専門職がいない、これからつくっていかなけ ればならないというのは、世田谷から見ていますと、もうそれを待っていたらいつまで経っ ても多分地域の中で安心して暮らせるような体制というのはできないんじゃないかと思い ます。  そういう意味では、ベッド数を削減するならば削減するという計画の中で、そういう仕組 みをもっと強力につくっていくという、そういう話としてならば私も理解できます。 ○佐久間構成員 きちんとそういう目標値というのは必要なものとして、でも、実際にいる 患者さんがどこでどういう生活ができるかというのは、生活の場とむしろサービスの質によ って変わるんだろうと思うんですね。どのぐらいの方が生活できるか。確かに資源のないと ころに放り出すことはできないですから、いろいろな意味でそれを検討しながらやればいい んじゃないか。  もちろん、目標値を設定するのはいいと思いますし、逆に私が非常にそこで悩ましいのは、 今、高木先生のおっしゃったところは、実際は今、地域で高齢でなかなか一人で住めない方 は、行き場としては養護老人ホームに行かれる方が多いんですね。  ただ、これはうちの県などではもうつくる予定はないと言われていて、要するに完全な介 護保険施設ですと非常にハードルが高いか、介護度の高いものを要求されてしまうので、養 護老人ホームに入って、そこではかなり適応する方もたくさんいらっしゃる。  ただ、確かに決してその施設が一般の方にとっても高齢化して、介護保険施設に行く前に 一人で不安だという方はたくさんいらっしゃるので、これは共通に精神科の患者さんだけで はなくて考えられる問題だと私も思っております。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。その他、ございませんでしょうか。  岡崎先生、どうぞ。 ○岡崎構成員 高木先生が言われた問題が、一番大きな課題だと思うんですね。今までも自 然にも減るし、それから医療の在り方として入院医療ではなくて、やはり地域で生活しなが ら治療をしていくということを基本にすべきだということは繰り返し議論をされてきたと 思うんですけれども、なぜ具体的に進まないかということをしっかり考える必要があると思 います。  私も病院の管理をしていますのであれですけれども、ベッド数があればどうしてもある程 度以上の稼働率を確保しないと経営できないんですね。ですから、やはりそれより先に本当 に日本の今の患者数、その他から医療の水準が関わってくると思います。それから、人員の 問題を含めてどれぐらいのベッド数が必要なのか。あるいは、これだけマンパワーが増えれ ばどれだけ減らすことができるのか。現実にどれぐらいマンパワーを増やせそうかという見 込みを考え、その形態を変えますとマンパワーがまた活きてくるわけで、それで具体的に決 めて減らす。  やはり私は減らすべきだと思っているんですけれども、減らすということを決めないと進 まないと思うんです。削減をはっきりするということを決める。削減するということは機能 を落とすということではなくて、病院の機能は別の面でしっかり発揮するということが求め られているわけでありまして、形態を変えるということにすぎないと私は思うので、そこの 経営体などにおける規模の縮小とか、収入の減少とか、そういったものについては国、自治 体が今までの経緯を考えて責任を持って考えるべきことだと思います。  そういったことも含めてですが、やはりきちんと方針を決めて削減ならば削減と決めて、 そのためには何が必要かということを議論するというふうにしないと、なかなかこれは具体 化しないというふうに今までの経過を含んで思っています。ちょっと長くなりましたけれど も、それが1つです。  もう一つは、この間にいろいろな会に参加した中で感じたのですが、やはり当事者と御家 族のために精神科の医療はあるわけですので、その方たちの声が反映されている度合いが非 常に少ないと思います。ですから、例えば精神医療審査会にも当事者家族委員は入っており ませんが、そういったことも含めてあらゆる精神保健医療のシステムの中にそのサービスを 受ける方々の参加がやはり必要だということは当たり前の基本だと思うんですけれども、そ れを具体的に検討されるべきじゃないかと思っております。ちょっと長くなりました。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。その他、ございますでしょうか。  佐久間先生、どうぞ。 ○佐久間構成員 すみません。繰り返し、あまり長くやりまして。  ただ、私の言いたいポイントとしては、現実に今、精神医療をかなり担ってきて、かつ長 期の患者さんがたくさん入院されている精神科病院はたくさん日本にあるわけです。この精 神科病院がどういうふうに変わっていくかということをきちんと病院の、例えば我々も含め てですけれども、いろいろな考え方がある中でも、これはきちんとそちらに向かっていこう という道筋をつけていかないと進まない話だと思うんです。  私は、外からわあわあ言うよりも病院から対応していかないと、日本全国全ての病院でそ ういうふうに方向付けをするということはなかなか難しいと思うので、今までは病院の人を 置いておいて、厚生省の政策も外から言って誰か退院させましょうというような話でした。 これは病院としては結構屈辱的な感じで、病院のケースワーカーも一生懸命働いて退院の先 を探っているところに、外から来た人がちょっと外に連れ出して退院しませんかみたいな話 で退院できるのか。  実際にはそういう制度の問題ではなくて、病院自体からきちんとそういうふうにした方が いい医療もできるし、いい地域でのケアもできるという流れをつくらないと本当の意味で進 まないと思うので、精神科病院と仲よくそういう政策を考えていくということがポイントじ ゃないかなと、私は正直思っています。余計なことですみません。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。その他、ございませんでしょうか。  もし差し支えなければ直嶋さん、地域の関係もありますし、行政という関係、それから最 後に受け止めるという観点からするとやはり地域という話になると思いますから、御感想で も結構ですのでお願いできますか。 ○直嶋構成員 秋田県の8,500人の人口の小さな町、八峰町から参りました。遠くからわざ わざ来たので一言ということで、現場の声をということですので難しいことは申すことがで きませんが、現場のことを申し上げます。  なぜ八峰町の私がということになると、秋田県は自殺予防対策を頑張っております。その 中でも、秋大やら県の御支援やらをいただきながら、八峰町も一生懸命、地域、住民、町ぐ るみで頑張ってそれなりの効果を実感しているところですが、今日の会議で諸先生のお話を 聞いて、この精神保健分野は今、自分が福祉保健課の保健師としていますが、若い福祉の職 員は夕方になると疲れた顔を毎日しています。  何が起きているかというと、地域では小さな町ですのでどんどん一人暮らしの老人たちが 増えていて、統合失調やらうつやら認知症やらを患う人たちが地域では支え切れない中で、 私たちは福祉の人と保健師とそこのお宅に行って地域で唯一、能代市にある民間の入院ベッ ドを持っている精神科病院に行くのですが、そこに行くためには予約をし、更にその先生の 苦情、今の日本の精神科病院の置かれている苦しい実態を1時間は最低聞いて、はい、はい と、毎回そうです。  先生もおっしゃるところがなくて話をされていると思うのですが、あなたたち行政の者は 困るとこうやって入院させてくれと来るけれども、我々もまた減らさないといけないし、こ ういうときばかりで、他の病院の診療報酬は上がるけれども、精神科病院は見放されている という苦情を毎回聞きながら、ざんげして入院させていただくという繰り返しが現状です。  そうかといって地域で看られるかというと本当に看られなくて、地域では統合失調への偏 見やらがまだまだ普通にあります。長期入院されているところの病院の先生が、国の方針に 従い、計画的にひょこひょことお宅の町の誰それさんをもう出さないといけないからと言っ たときに、私たちは能代市でなくて秋田やら大館やらたくさんのところに電話をかけまくっ て、どこでも町が必死で連れて行ったり、その中に養護老人ホームやら特養で入れてくれる ところも頭を下げて何とか2週間ぐらいかけて見つけてということが実態です。  精神保健地域では本当に職場、行政の者も一生懸命はやっているけれども、もちろんまだ まだ啓発の部分が足りないからそうじゃないかと言われればそれまでですが、本当に助けて やれない保健師として、その分野が精神の問題だと思っています。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。そういうことのようでございますが、 その他にこの項目でどうぞ。 ○堀江構成員 大変な実態だということで、そのようでございますがという話になるのでし ょうか。  秋田の方が、大変な地域であるということはわかりますよ。しかし、異常なまでに高い日 本の入院率をそのままにしておくお話のように聞こえる。  そして、そのあなたが一生懸命苦労されている。それは、何にもないような状況の中で、 患者さんたちが地域の中で生きられないという実態がある中で、それで入院せざるを得なく なっているということをおっしゃっている。 ○直嶋構成員 もちろんそうです。 ○堀江構成員 しかし、これからやらなければならないことは、そのことを何度も何度も繰 り返していったら、いつまで経っても入院の高い比率というのは変わらない。そのことをお っしゃっていただかないと、そこからどういうふうにしていったらいいのかということをお っしゃっていただかないと、これから先もまだまだ続けて入院をずっとさせろということを おっしゃっているかのように聞こえるので、それはとても困る。  地域の中で、私の家族もそうです。その子どもたちが、このままずっと入院をさせていく のか。世田谷の周りの家族たちが、そのまま入院をさせていけばいいのか。それを何とかし て減らしていきたい。地域の中で暮らさせていきたいと思っているからここに参加している わけですから、先生方もそのおつもりでおっしゃっていただかないと、実態がこうだからと いう話だけでは困る。 ○福田精神・障害保健課長 ちょっと私の振り方が悪かったのであれですけれども、要する に実態も踏まえながら、家族の声、患者の声、全て実態を踏まえて今回はやっていこう。ま さに今、堀江さんがおっしゃるとおりです。  ただ、その際にはやはり自治体の実情はそれぞれ違うわけです。だから、そういうことも 含めて、やはり理解した上でどう進んでいったらいいかというところをやりたいという意味 で、今日とか次回はなるべく人を責めないで、もう少しすると責める方向にどうせ議論は放 っておいてもいきますので、そのときはそれぞれ今までの実力を発揮していただければと思 います。 ○直嶋構成員 精神科医療の実態、現状ということで言ったあまり、堀江先生に誤解された ように思いますが、保健師として本当に住民サイドに立った保健活動をしていると自覚して おります。そして、実際には社協のヘルパーやら、あるいはケアハウスのあるところを本当 に必死で探して、精神科病院に戻らなくてもいい方向はいつも探っておりますし、秋田県に は今村病院という稲庭千弥子先生のような御理解のある方もいらっしゃいますので、必死で それなりに住民サイドには立っておりますので、よろしくお願いします。 ○福田精神・障害保健課長 では、どうぞ、高木先生。 ○高木構成員 人は、参加の方は責めませんけれども、厚生労働省の方は責めてよろしいで すね。  そのような秋田の実態が出てきたことには、それだけ病院の偏在をつくり出してきて、そ こで単に収容するだけ、入院をするだけで成り立ってきた病院というものをつくった厚生労 働省の責任は、私は大きいと思います。  しかも、その病院を改築させて、更に借金を負わせてつぶせなくした責任というのもある と思いますね。本来ならば、その病院がちゃんとアウトリーチをするなどして直嶋さんの地 域を助けるべき動きをすれば、その病院だってちゃんと成り立つはずなんですね。その病院 の怠慢です。 ○福田精神・障害保健課長 西田さん、どうぞ。 ○西田構成員 こういった議論を進めていくときに、いろいろな職種の人たち、専門家が 我々は一生懸命やっているという話になっていって、そこで当事者家族の本来のニーズとい うところから離れたやり取りになっていってしまうということが、非常に今いろいろな問題 の根源になっているような気がするんです。  こういった会議に関しましても、今日は御家族の方がお2人、当事者の方がお1人いらっ しゃいますけれども、本来もっと当事者家族の人たちの意見をしっかりと組み入れていくよ うな会議体といいますか、そういう政策の構想プロセスというものが非常に求められていて、 そういうものを軽視してしまうとまたいつものやり取りになってしまう。そこは当事者家族 のニーズというところを一番重視して、そことの関係の中でサービスの在り方というものを 常に考えていかないといけないと思います。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。  だんだんと時間も過ぎていますので、御議論いただく範囲としては、次の医療の質の向上、 14ページまでを含めて、今までの12ページのところも含めて、今度は薬の使い方とか、そ ういったガイドラインとかというところも含めて御議論を進めていただければと思います。  では、どうぞ野村さん。 ○野村構成員 これを拝見していますと、患者さんというか、当事者と家族一人ひとりが社 会にとって大切な存在である。そして、対応の仕方によっては社会の戦力といいますか、社 会を支えていくパワーにもなり得るんだという見方がどうも足りないような気がしている んですね。これは、行政サイドから見てどう処理するかというような印象をとても強く受け ていて、入院の数を減らせとか、入院している一人ひとりの幸せとは何だろうかとか、それ から地域に出てきた場合の一人ひとりの幸せとか、その人たちが回復というか、社会にまた 貢献していける存在になるにはどうしたらいいんだろうかという一人ひとりの願いとか、立 ち直りとか、これから一般の国民と同じような人生を送りたいのに、それがなかなかできな いでいることへの配慮というか、思いが、私はこれを見ていると足りないように感じるんで す。  研究中であるとか、加算をしたとか、診療報酬を少し変えたとかという話ばかりが出てく るんですけれども、当の当事者と家族は日々、本当に死のうかどうしようかという状況の中 に追い詰められているのに、そのようなことはここに見られないんですね。  ですから、私はこれをどうしたらもっともっと温かいというか、血の通った政策になって いくのかなというふうに感じます。そして、失礼ですけれども、その場しのぎのつぎはぎだ らけの政策がどうもここに書かれているような気がしてしようがないんです。成り行き上、 仕方がないからこう変えたとかですね。もっと根本的に、国民全部が幸せになっていくため にはどうしたらいいんだろうかと皆が統一して考えることがここにはどうも足りないよう な気がしますので、今後の議論の中では皆でどうしたら一番いい体制になっていくのだろう かということを考えなければいけないというふうに感じます。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。大変、大事な視点だと思います。  その他、御意見はございますでしょうか。医療の質の方にも入ってまいりましたけれども。 ○小川構成員 福田課長と目が合ってしまいまして。  各論には入らないんですけれども、この間、繰り返しこういった検討会が開かれて、やは りなかなか進まなかったんですよね。岡崎先生もそのようなお話をしましたけれども、なぜ 進まないのかというところをまずきちんと押さえないといけないと思います。  そういう意味では、将来像を示して、理想論になるかもしれませんけれども、あるべき精 神医療の姿、あるいは福祉の姿というものをやはりきちんと示して、それでどうやって現実 的に向かっていけるかという枠組みをきちんと考えないといけないんだと思います。  どうしても国の予算が単年度主義で、ある意味、毎年の御苦労になってしまうわけですけ れども、そうではなくてビジョンとして示した限りは、そういう単年度の予算ではない大き な国としての方向性みたいなものをどう進めていけるかという、その推進力を持った枠組み がきちんとされないといけないのではないかと思います。  ただ、残念ながら、これは我々の努力が非常に不足していたということもあって、医療や 福祉の分野の中でも必ずしもきちんと評価されていないという問題もありますし、政治の問 題としても片隅に追いやられてきたのではないかと思います。  ただ、認知症、うつ、統合失調症、自殺なども含めて、皆さん兄弟とか家族、あるいは隣 近所の皆さん、そういう問題を抱えている方がたくさんいらっしゃるわけです。そういう意 味で、まさに国民的な課題なんです。本当は、国民一人ひとりの問題なんです。ただ、それ をどうしても覆い隠してしまう構造がどこかで働いてしまって、そこは自分自身の問題とし てなかなか考えないというか、ついつい考えられないような社会になっているのではないか と思うんです。  だから、やはりきちんと実態を明らかにしていくことも必要ですし、もちろん精神科病院 に置かれた長期入院や認知症の方がどういう処遇を受けているのかということも含めて、き ちんと実態をまず明らかにしていくことが非常に重要だと思っています。  そこから、やはり我々は反省すべきことをきちんと反省して、これからどういう対策を取 っていけばよいのか。恐らく、あるべき医療の姿というか、それぞれここにいらっしゃる先 生方はお持ちになっていらっしゃると思うんです。それをきちんと形にして、前に進める推 進力をどう付けていくのかということは、恐らくこの場だけでは難しいかと思います。もち ろん現場は個々の問題をそれぞれ抱えていて、それぞれ議論すると多岐にわたるんだと思い ますが、大きな方向性をきちんと示していくことが私は必要だと思っています。以上です。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。  河崎先生、どうぞ。 ○河崎構成員 先ほど直嶋さんからいろいろな地域での状況、現状を御説明願いました。確 かに、その地域、地域によって精神科医療の資源そのものに随分違いがあるというのも一つ の日本の国の特徴かもしれないというふうに思って聞いておりました。  ただ、高木先生がその問題に関してはその病院の怠慢だというふうに断じられましたが、 中島先生の最初の方の御発言で、病院の方がやる気がもうひとつないのが一番の大きな問題 だというようにもおっしゃいました。 ○中島構成員 国民全体のですね。 ○河崎構成員 多分、それは私の今、申し上げたいことで、やはりその地域の中の精神科医 療あるいは精神保健福祉に関わる人たち全員がもう少しそれをしっかりとその方向性も見 据えながら、あるいはそちらの方向に動いていくという機運がしっかりとまだ根付いていな いというところが一番大きな問題なんだろうと思っております。それの大きなところがいつ も精神科の病院の問題として取り上げられるということもあるのかもわかりませんが、それ は日本の精神科病床の8割以上を民間の精神科病院が担っているという状況からは致し方 ないところもあるんだろうと思っております。  ただし、こういうこと全般を、先ほど高木先生が厚労省を責めてもいいんだろうという御 発言がございましたが、やはり行政の方として、厚労省の方として、この問題をしっかりと 解決していくという方向に持っていくためには、しっかりとした財源論も含めて、あるいは その予算面も含めて、そういうことが動いていけるような原動力としては、行政が物心両面 を考えていっていただくことがまずなければ、ここでのいろいろな話し合いも机上の空論に 終わってしまうというようになるのでないかというおそれを抱いているということだけお 伝えしたいと思います。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。その他、御意見ございませんでしょ うか。14ページの医療の質くらいのところで特にございませんか。例えば、福田先生は大 学のお立場もあると思うので、精神科医療の質という観点から何かございますか。 ○福田構成員 その質ということではないんですけれども、全般的なことをお話させていた だきます。  皆様方の御意見をお聞きしまして、非常に勉強になりました。やはり、お聞きしています といろいろな当事者、家族、医療関係者、福祉の関係者、皆さん一生懸命やっていらっしゃ ると思うんです。一生懸命やっていらっしゃるんですけれども、しかしながらまだ当事者家 族の苦しみは解決できていないというのが日本の現状であるということが、今までの議論で も明らかになったと思うんです。  そのことを解決しようというのが今回のチームだと思いまして、一応アウトリーチ体制の 具体化などを重点に置いておくと書いてありますけれども、わずか4回の検討ですが、今の お話を聞いていますと、単にアウトリーチのことだけを具体化すれば、では今の日本の実態 が変わるかというと、これは変わらないだろうというふうに私はお聞きしていて思いました。  全体としてお話がありましたけれども、日本の精神の保健とか医療とか福祉、この全体像 ということをきちんと見直すことがないとだめなんだろうということは、恐らく皆さんの共 通の御意見ではないかと思うんです。実際にこの資料を拝見しましても、冒頭のところには 「精神保健医療福祉の体系の再構築」と書いてありますね。ですから、やはり全体像を変え なければいけないということをうたっているわけです。  それから、別の委員会ですけれども、自殺・うつ病等対策プロジェクトチームの報告が公 開されましたが、その中でも対策として5本柱として、柱の4にはアウトリーチの充実とい うものがありますけれども、それとは別件で柱の5として精神保健医療改革の推進というこ とが挙がっているわけです。やはり全体像を改革しないと問題が解決しないんだということ、 これは共通の認識であると考えていいんじゃないかと思います。  そういったことを踏まえて考えますと、先ほどから出ていますけれども、理想論と現実論 というのは矛盾するかというと、私はこれは決して矛盾しないと思うんです。理想論という のは、あくまでも当事者家族を始めとする国民のニーズに基づいて理想的な姿を描く。その 上で、その理想的な姿に達することができるための現実的な姿を描いていく。実際の現実か ら一歩一歩いくしかありませんから、その理想論と現実論というものを対立的にとらえるの ではなくて、まずはとにかく実態といいますか、ニーズですね。ニーズから出発して理想的 な姿を描く。それに基づいて、それに到達するにはどうすればいいかというふうな具体的な プロセスというか、それを恐らく単年度ではできないでしょうから、中期的な姿を描いて、 それでこういうふうに向かっていくんだというふうなプランを立てる。それを見れば、当事 者家族も勇気がわく。それから、医療関係者、福祉関係者も勇気がわいて、これだったらこ の方針に基づいて変えていこうというような体制をつくっていかないと問題が解決してい かないだろうというようなことを感じました。  そんなことですので、今の御質問から外れるかもしれませんけれども、この検討会は短い ですが、単にアウトリーチを実現するということだけ、細かいことを議論するだけではなく て少し全体像を改革する。その中でアウトリーチを位置付ける。あるいは、全体像の改革の 中の第一歩としてアウトリーチを位置付ける。そんなふうな議論をしていただければと思い ます。以上です。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。  そろそろ後ろの時間もあれになってまいりましたので、その後の3本目の柱ですけれども、 「地域生活支援体制の強化」、それから最後の先ほどもお話がありましたけれども、普及啓 発も含めてそういう意識改革の部分ですが、そうした点も含めまして最後に全体まで御意見 をいただければと思っております。こちらの方は救急医療や相談支援、そしてまたアウトリ ーチ、地域保健活動というようなことも含めましていろいろな内容が含まれておりますので、 今までの御議論も踏まえまして各構成員の皆さんから御意見をいただければと思います。い かがでしょうか。  では、野村さんお願いします。 ○野村構成員 28ページをご覧いただきますと、「精神障害者の視点に立った支援体制の充 実について」とありまして、下の方にカとして「家族の視点に立った支援体制の充実につい て」とあります。ここに、現在予算として組まれておりますが、「精神障害者等の家族に対 する支援事業として、精神障害者等の家族が交流する場の整備費や交流活動に係る経費につ いて助成」とあります。基金事業として、障害者自立支援対策臨時特例交付金とあります。  これは、現在家族会で大変問題になっておりまして、本当に使い勝手が悪いんです。家族 が交流すると言っても、ここには3年間で300万円でしょうか。その基金で交流する場の整 備とかということになっているのですけれども、とてもじゃないですが、整備する場などを 家族会は持っていないんです。整備すると言っても自分の家を整備するわけにはいかないし、 何も建物がないのに何で整備の場なんだと皆、怒っているんです。建物を持っていないのに、 何で整備することができるんだ。  それから、交流活動に係る経費というと、会場費が1万円とか、年に何回かですね。それ から、講師料が何万円かで、本当に家族はあまり助からないんです。むしろ家族会で一生懸 命やっているところは自分でアパートを借りてそれを事務所にしたり、相談室にしたりして、 年間100万円ずつくらい家族が自腹で出しているんです。または、家族はお子さんの世話と か家族の障害の方の世話で手一杯なのに家族会活動をやっているわけです。それで、他の新 しい家族になった方のお世話もしているわけなのですが、それを全部家族が介護をしながら も本当にくたびれ果てながら家族会の書類をつくったり、それを郵送したり、いろいろなこ とをやっているんです。  これは、やはりパート代として例えば年に幾らか使っていいとか、そういう人件費とか、 あるいは場所を借りる賃借料とかでいただけたら随分家族会はやりやすくなるのになとい う意見もあるのですが、多分そういうことにすると何か弊害が起きるのかなと私は思ってい るんですけれども、この辺はせっかくあるお金の使いようがないという非常に困った事態が 起きております。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。 ○広田構成員 私は今日ここで何をやるか知らないで、26階で御飯を食べてきたんですけ れど、この報告書を4回ずっとやるんですか。 ○福田精神・障害保健課長 それはまた御議論で、今日はこの報告書について御意見をいた だく。後ほど御説明させていただきますが、次はまた次のメニューになります。 ○広田構成員 お話を伺っていて、2001年から厚生労働省の委員をさせていただいている けれど、何も進んでいない。話はするけれど、進んでいない。いつも同じこと。医者は本音 を言わない。金が低いから出せないということも言わない。  日本の精神医療は牧畜業者と言われ、固定資産税と患者が言われていることに対しても、 私は去年の11月11日に民主党政権になって厚生労働省のヒアリングに出ていますけれど、 自民党政権のところで果たせなかった社会的入院の解放とか精神科病床の削減ですね。それ から、かつての精神科特例を廃止して医療法を改正して、他科並みのちゃんと人員配置をす る。そして、国民の精神科医療にするために他科並みに診療報酬を値上げしようというふう に発言しています。  これは、たまたまここにおられる障害保健福祉部で、精神医療サバイザーとして「国民に 向かって何か自由に言ってください」ということで、この4点セットを去年の秋から言った んですが、厚労省のユーチューブに出ています。去年の秋にやったことをまたここで言って いるんですけれど、何も進まないのでそろそろ皆で本音を言わないと、建て前ばかり言って いては何も進まない。  本当に9年間出ていて思ったんです。昔はとにかく厚生省が悪いと思っていたんですけれ ど、業界が悪いですよ。業界は本音を言わない。それから、シュバイツァーもいなければナ イチンゲールもいなければマザーテレサもいない。この13ページを見てください。「抗精神 病薬の投与が2種類以下の場合の、非定型抗精神病薬加算の引上げ」と、金を上げなければ 薬が減らない。これは患者のための医療じゃないです。これは医療機関のための医療です。  3回ほど韓国に行って参りましたけれど、韓国の精神病院は患者がすごく明るいんです。 河崎先生と佐久間先生と2人で行った方がいいと思います。韓国は、日本をばかにしちゃっ て「アメリカを見ている」と言うんです。精神医療について日本を見ている国はアジアでは ないんです。そのくらいばかにされているんです。私は、ばかにされた医療の被害者ですよ。 精神医療サバイバー。そうじゃなかったら、ここに来ていないんです。  5月6日に生活保護制度で、引っ越しをしたんです。会をつくって、駆け込み寺を月に一 部屋6畳キープできました。その手伝いを誰がやったと思いますか。サカイという引っ越し センターと、あとは全部障害者です。アスペルガーの子がごみを百何個出して、触法精神障 害者が掃除をして、障害者手帳1級の人もいたし、電車が来るので踏切が降りている中で、 殺すぞ、殺すぞと叫んで、交番に連れて行って交番を借りて泣かせて何とかなったとか、ち ょうど毎日新聞の記者が来てくれたから記録写真を撮ってもらったんですが、「障害者の障 害者による障害者のための引っ越し」だということで、参加した障害者が大喜びなんです。  そのくらい、障害者には可能性があるんです。知的障害者も来ています。それで、誘わな かった障害者は残念がる。引っ越しに参加したかった。このくらい社会参加をしたいという 思いが障害者にたくさんあるんです。それが社会的入院の仲間もいます。私はいろいろなと ころに呼ばれて、精神病院の患者さんとか作業所とか生活支援センターの仲間たちに人気が あるんです。  ところが、活動をしたり、運動をしている人にはすごくたたかれて、今回もふたを開けた ら、厚生労働省は複数ですと言うから来てみたら1人なんです。またたたかれるのは私と厚 生労働省ですね。  そういう形で、そこで涙が出たんですけれど、36年間入院していた患者が22年間、精神 病院から会社へ通勤していたんです。そういう話が出たんです。私はその旧作業所で司会を 毎月やっているんですが、それで私は聞いたんです。「生まれた子が大学を卒業するまでな ぜ精神病院から会社に通勤していたの」と聞いたら、ワーッと泣いたんですよ。初めて自分 の置かれていた状況を理解し、悲しみが込み上げてきたのか、こうなるとドラマですよね。 そういうことなんですよ。それで、そういう人はいっぱいいるんです。  ですから、私は日精協さんの旧会長、副会長に、前回のこの報告書をまとめる前に行って 全部言ってきました。首脳陣が集まった席で言うんです。「私は厚生労働省で、日精協をた たいているから、この4点セットをやりましょうよ。院長先生を支えてください。」と。な ぜ私がそこまでやらなきゃいけないのかなと思う。そうでしょう。何で日精協を私がそこま でやらなきゃいけないのかと思うんだけれど、私のような被害者を出しちゃいけないんです よ。  早期発見早期治療とか言うけれども、自分の子どもを早期発見したときに、私だったらそ んなところに連れて行かない。自分の二の舞はさせない。六本木のベルファーレに連れて行 ってうつを治した青年もいるし、私が行っているフィットネスクラブでうつを治している子 もいるし、12歳の子がうちにやってきた。強迫神経症だとお母さんが不登校で連れてきた。  ところが、その子は今、大学院を出ましたけれど、12歳のときにこう言いました。私は 普通、先生と呼ばせませんが、「広田先生、日本の精神医療で心の病は治らない」。子どもの 方が明快なんです。それで、一昨年聞きました。「お母さん、本当に強迫神経症でしたか」、 「いいえ、精神分裂病です」、「神奈川県の子ども医療センターから、縄をくくっても連れて こい。隔離室に入れる」。うちのかわいい子をそんなところに入れられないということで連 れて来たのが我が家です。  あまりにも家がきれいだから強迫神経症みたいにきれい好きになっていたけれど、我が家 の汚らしさの中で、それと何よりも私との信頼関係の中で、一晩で治ったんです。「こうい う生活が普通なんだな」と思ったそうです。引っ越して今は普通ですが。  そういうふうに何でもかんでも医療に、それは前回の構成を見てもそうです。やたらと仕 事に持っていきたがる専門家がたくさんいるわけです。それで、さっき言ったように何でも 金をつけるわけです。そうじゃなくて、国も地方自治体もお金がない。ないんですよ。だか ら、私たち一人ひとりが社会貢献をして私も駆け込み寺をやっているんです。それで、町の 人が皆、認知して応援してくれる。  昨日も、引きこもりの親と近所の居酒屋へ行きました。居酒屋はもうかるから喜んでいる。 そこにイケメンの男の子たちが2人いたわけです。「イケメンたちね」と言ったら「抱きま しょうか」と言うから、「抱くのは恋人で、ハグでしょ」と言ったら、「じゃ、抱きしめまし ょうか」と言ったから、「お互いに間に合っているんじゃない」と、そういう会話をするわ けです。それがコミュニケーションで、それが相談支援機関とかに行っちゃうと、やたらと 寝られましたかとか、食べられていますかとか、やれ今日は気分はどうですかと、こうなっ ていっちゃうんです。それで、お金のかかる話ばかり出てくるんです。  そういうことでなくもっと原点に返って、私は今、薬を減らしています。フィットネスへ 行くことによって、骨折をして、リハビリのために行き始めたら、睡眠時間が少なくなった。 昔は12時間でしたけれど、今は6、7時間になって熟睡し、薬を減らしていますが、1年 に本当に2ミリとか減らしています。それをこんな形で大なたを振るわれたら、患者は不在 ということです。  患者が不在のことはたくさんあるということと、それから自立支援協議会がどこかにあり ましたけれど、横浜市も自立支援協議会をつくっていますが、自立支援協議会の構成委員で ある人たちは皆、「要らない」と言っていますし、私も要らない。何でもつくれば事務局は 大変だし、そこの委員会にかける費用は大変だし、自立支援協議会でニーズを吸い上げて施 策すると言っても、施策するお金がない。横浜市で言ったんです。「花火がないのに何で花 火の発射台ばかりつくるの」と。花火がないのに、打ち上げ台ばかりつくっているんです。  だから、やはり委員会を1つつくるときは1つ、これはもう古くなって機能していないか ら、これを減らして新しくすると合理的に考えないと、どんどん委員会ばかりつくって、委 員の手当てを出して、委員会のことで職員はうつ病になっちゃう。厚生労働省もそうだと思 いますよ。フレックスタイムにすればいいものを、9時半ごろに来なきゃいけなかったり、 そういうことをして国を挙げてうつ病に持ち込んでいるわけです。  今日はマスコミの方がたくさん見えているけれど、やたら不安をあおりたてるわけです。 いろいろな面、いろいろなことはあるけれど、日本は世界一いい国だと私は思います。それ なのに、やたら大変だ、大変だと皆、追い込んでいく。  自殺でもそうですよ。報道しなければ止まる。この間も夜の10時半にうちの近所の警察 に行ったら、「ちょうどいいところに来てくれた、広田さん。今、自殺未遂者が来る。手首 を切って首を切った」と言うんです。警察官からすれば、精神医療サバイバーの視点で、本 人に寄り添いボランティアの危機介入相談員をやっている口の堅い私が来たから確かによ かったですよね。  それで、71歳の一人暮らしの女性が来ました。まず最初に私は聞きました。「御飯食べた の」と聞いたら、朝から食べていないと言うから、「じゃ、パンを買ってきましょう。カン パする」と言ったら、「いや私がお金を出す」ということで、1,000円預かって「何のパン がいいの」と聞いた。さっきニーズと言っていたけれど、ニーズですよね。そうしたら、「コ ッペパンがいい」と言うから、「今時コッペパンはないけれど、コッペパンみたいなものを 探してくる」と言ってハンバーガーの皮を買ってきたわけです。  それで、パンを食べているのを見ながら、「随分食べるのが早いわね」と言ったら、「この 程度の食べ方で早いと言われるのはいやになっちゃう」と笑ったから、「笑っていれば自殺 もしないよ」と言ったら、彼女は何と言ったと思いますか。「年間3万人も死ねているのに、 何で私は死ねないの」と。それで、「年間3万人も死んでいることを何で知っているの」と おまわりさんが聞いたら、「テレビとか新聞がやっている」と。  だから、死ねた話はもういいんですよということです。もう死ぬ話はやめた方がいい。昔、 読売新聞の南さんという人が心の健康の啓発の構成員をやっていた。その方は言っていまし た。「イラク戦争が始まって、紙面をイラク戦争にすごく割いて、結果的に自殺報道できな くなったときには自殺が減った。」と。日本のマスコミの皆さんに向かって言いますけれど、 日本のマスコミも自殺報道を見直さなきゃいけない。  鳩山さんは亡くならないと思うけれど、鳩山さんが亡くなったときは報道しなきゃいけな い。でも、私は報道しなくていいわけです。一市民だから、そのくらいに考えて。それから 絶対に自殺の方法は報道しちゃいけないんです。自殺したというテレビがかかった途端に電 話がかかってくるんです。「死にたい」と。「人はそんなに簡単に死ねないのよ」と言っても、 「今テレビでやった」と言うんです。自殺報道を見直した方がいいというのは、マスコミの 皆さんに向けてです。  そして、マスコミの皆さんも是非うつにならないように、私は早期発見早期治療ではなく て予防だと思います。お金のかからない予防。銭湯に行くとか、私のようにフィットネスに 行ったことにより、薬は減り、睡眠時間は減り、そして体重も4年間で16.5キロ落としま した。そしてすてきな家に住み、何と言われているか。「生き生きと輝いている」。  そういうことなんだから、物事をポジティブに考えて、前向きに考えて、さっき私が言っ た4点セットとか、それから誰でもいつでもどこでも全国各地で救急車で行ける精神科救急、 しかも安心してですよ。行ったら私みたいにサバイバーになるのでは。  そういうものが必要だとか、もっと格調高いもので、各論をごちゃごちゃやっているので はなくて、これはチームですよ。検討チーム。しかも、4回の短期決戦。だから、自分のテ リトリーばかり守るんじゃなくて、日精協さんも黒船が来ているわけです。  だから、言っているんです。日精協さんに、日比谷公園で診療報酬値上げの集会をやろう。 私が呼び掛け人になるよと笑いながら言っているんですが、そういうふうに全体的な精神医 療費を減らして福祉に持っていくとかではなくて、精神医療を大なたを振るって半分ベッド を減らして、国民の精神科医療にするために、診療報酬をきちんと他科並みに上げて、先生 が例えば統合失調症になっても安心していけるようにしないといけないとか、そういう格調 高いことをやらないといけない。  私は横浜市民として、この自立支援協議会が法定化されることに反対です。既に横浜市に は障害者施策推進協議会があるということで、大反対です。それから、11ページに精神保 健福祉センターとか何かで連携がどうのと書いてあるんです。1これも国会審議中です。障 害者制度のところで、右側のところです。「市町村、保健所及び精神保健福祉センターは、 密接な連携の下、精神障害者及びその家族の相談に応じるよう努める義務を規定」と言うん だけれど、かつて厚生労働省は保健所を統廃合して、また保健所をここで復活させていて、 これがいいというふうになっているわけですが、私は救急隊、警察署や交番にしょっちゅう 行っているんです。それで、現場に非常に詳しいし、駆け込み寺がありますから警察から保 護された人を預かったりしますし、いろいろなことをやっていますが、きちんとこういう公 的機関が本当の意味の相談を受けていれば警察や救急隊に行かなくて済むという事例はい っぱいあるんです。  そのくらい、やはり人材の確保ができていないんです。ただ聞いて、それを傾聴と言い、 「そうですね、大変ですね、そうなんですか」と言って、私にこの前聞いてきましたよ。相 談員はやたら「大変ですね」と言うけれど、「何が大変なんでしょうね」と言うから、「聞い ていてみたらどうですか、相手に何が大変だと思いますか」と。そうしたら、全然とんちん かんだった。  だから、傾聴、共感と言うけれど、私などは全然違うやり方をしていますが、本当の意味 の相談ができるようなコミュニケーション能力のある受信機と、それからいわゆる相手に伝 える両方ですよ。それができていない人があまりにも多過ぎる中で、何で密接な連携をする のか。  私が田尾さんに相談したものを中島先生と連携されたら私は困るわけです。相談はその人 だけに話したい。この機関だから安心して話しているわけだから、密接な連携とか、やたら とネットワークと言ってもたれ合いをやりたがるんですけれど、こんなものは全く要らない ということで、これまた次回もやるそうですから、もっと格調高くきちんとそろってやって ほしい。  足立さんという政務官はいなくなったけれど、さっきまでおいでになっていたじゃないで すか。そういうことなんだから、木倉さん、厚生労働省も本腰を入れてやろうとしているわ けですね。だから、佐久間先生、私たちも本腰を入れて本音でやりましょう。そういうこと です。  自立支援協議会の法定化と、それから密接な連携の下、これは大反対です。密接な連携の 下と言ってプライバシーが流れてしまう。それと、格調高くやっていきたいということです。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。  残り時間も少なくなってまいりましたけれども、救急医療とかの話も出ておりますので、 沖縄で大変いろいろやっておられる新垣先生、いかがでしょうか。 ○新垣構成員 沖縄から来た新垣と申します。私も単科の精神科の病院の院長です。  最近ですけれども、精神科の急性期ということで基本的には365日、夜も入院も受け入れ る。措置も受けるというようなことをやっているわけですけれども、そういう中で医療とい うことでやっていく。それからまた、限られた病床の中でやっていくために退院促進をして いくということ。それから、最近の統合失調症の治療で、特に単剤化とか、その辺りをやっ ていくと、随分今までの医療とこれからの医療、最近の医療は大分変わってきたんだなとい うことを感じております。  そういう中で医療の部分、民間の精神科の医療でできる部分と、そこから先は福祉でしょ う。福祉を医療費で担っている部分があることに気付いたんです。ですから、やはりそこは きちんとここからは福祉でしょう、ここからは医療でしょうということで精神科の病院に医 療をきちんとさせていただきたいと思うわけです。  あとは今、広田さんがおっしゃったように、例えばそこのネットワークが何とかというこ とでありますけれども、沖縄市の保健所は大体那覇市とそれ以外で分けるわけですが、60 万人に対して3人くらいしか人がいないわけです。無理ですよね。そんな人が親身になって 答えが出るわけがないです。そうなってくると、ダイレクトにうちの病院に連絡がくるとい う形になったりしております。  また、沖縄は去年、一昨年、非常に有名になったんですけれども、県立の精和病院という 単科の病院があるんですが、日本で一番赤字を出している自治体病院ということで、なかな かうまく進まない。うまく進まないと士気が落ちて人もいなくなる。それで、どんどん崩壊 していく中で、更に寄ってたかってというか、頑張らないといけない。  そういうことからすると、確かに頑張っていてひとつ医療が変わってきたところと、その こともあって医療と福祉が分けられる。大きくそれをロードマップにしてやっていただける と、民間の精神科も変われるのかなと感じているのが1つです。  それから、そういう保健所など、地域ということでいろいろな施策をおっしゃっておりま すけれども、田舎の方に来るとやはりそうは言ってもということで答えていただけない部分 がまた反射して民間の病院に来ているというふうな現状があるということは言ってもいい のかなと思いました。以上です。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。  野澤さん、お願いします。 ○野澤構成員 今日は聞くだけにしようと思っていたのですけれども、広田さんに挑発され て、どうして地域で暮らせないのかと言われると、偏見があるから、それはすごくわかるん です。私は千葉県に住んでいて、千葉県で障害者の差別をなくす条例などというものを4年 前にできてやったのですが、それでも今、地域で何か事業を立ち上げようとすると住民から 反対が起きます。説明会をやれ。何時から何時までは外に出すなとか、いろいろなことを言 われるんです。確かにあるんです。  でも、いろいろなマスコミがどうのこうのとあるし、ちゃんと差別をなくすような教育を すればいいのかとか、いろいろありますけれども、やはり一番偏見をなくすのは障害のある 本人に慣れてもらうことというか、本人と一緒にいることが一番偏見をなくすのに効果があ ると思っているんです。だから、本人が地域にいることが一番その地域で偏見がなくなって いくんです。最初は大変ですけれども、そこをやはりいろいろな人たちが頑張ってやるしか ないんです。それしか地域の偏見をなくしていくというか、少なくしていく方法はないと私 は思っているんです。それを、偏見があるからと言って病院とか施設に入れてあるのでは全 く解決になっていないというか、ますますひどくしていると思うんです。  広田さんが言うように、マスコミの報道は悪いところももちろんある。でも、果たしてそ れだけかなと、後でまた広田さんに怒られるかもしれませんけれども、敢えて言います。私 はこの前、イギリスに行ってきたんです。イギリスは、精神医療はよくわかりませんけれど も、障害者の地域生活はもう60年代、70年代ぐらいから当たり前のようにやられています。 さぞマスコミはいい報道をしているのかなと思ったらとんでもなかったです。ひどい偏見に 満ちた報道が、割と上等な一般紙に堂々と載っています。被害者の人権もなければ、加害者 の人権もなければひどいものです。  日本の新聞なんてはるかにまともだと私はそのときに思いました。週刊誌ですら載ってい ないようなものが載っているんです。それで、お医者さんに行ってもマスコミの悪口を言わ れ、法律家に会いに行ってもマスコミの批判を言われ、どこに行っても私はぼこぼこに批判 されてきたんです。  では、どうしてイギリスはそんなことなのに障害者の方たちが地域で暮らしていけるのか なと思っていろいろ考えたんです。予算も結構付いているんです。そうすると、当事者団体 とかNPOとか行政とか、そういうところがマスコミに負けないようにということでいろい ろな活動をやっているんです。それは、マスコミが報道すればするほど彼らは頑張るわけで す。日本は、マスコミはどんどん引いてきちゃって、本人もどんどん施設や病院の中に入れ てしまって、議論すらなくなっているわけです。それがその場のその当事者にとっては批判 しているからいいかもしれませんけれども、何か時代を変えていくとか、大きく制度を変え ていく、意識を変えていくという面ではどんどん後退しているような、そんな気すらしてい ます。  ちょっとそれを言いたかったのと、あとは病院の中に入っている認知症の方のことを考え たときに、ここだけのこの検討チームだけの議論では全然済まないような気もして、これま での高齢化と今、起きている高齢化とは全く違って、これまではむしろ地方の方での高齢化 で、今は都市部でものすごいスピードでものすごいボリュームでどんどん高齢者があふれ出 してきちゃって、今、東京だって山谷の方に行けば認知症のホームレスなんてごろごろ出て くるようになりました。  これから先を考えたら、もっと出てくるわけです。では、果たしてそういう人たちは一体 どこに行くのかということを本気で考えていかなければいけなくて、200万人、300万人と か、もっとそれ以上に出てくるわけで、とてもじゃないですけれども、特養なんてつくって いっても間に合わないわけです。  それで、今いろいろ考えていくと医療と介護と住宅政策と、それから経済的な支援みたい なものをもっときちんと分けて、それが住宅政策がないものだから医療に押しつけている。 これは最悪な政策じゃないかという気がしているんです。今、高専賃などはいろいろ議論は ありますけれども、住宅は住宅できちんとやって、そこに外付けで介護とか医療だとかを付 けていく。むしろそちらの方がコスト的にも、本人のアメニティにおいてもいいんじゃない かと思っているんです。だから、せっかくなのでこのチームだけで考えるというよりはむし ろ老健局だとか、障害の方とか、そちら側とも連携しながら横断的に認知症の人の地域生活 という切り口で検討していった方がいいんじゃないかという気がします。  せっかくなので、ついでにもう一つ手短に言いますと、さっきの早期発見早期支援という のは全くこれも広田さんに刺激されたのかもしれませんけれども、発達障害者のことを考え ていくと、私も発達障害の子どもがいますのでその関係で言いますが、早期発見早期支援と いうのは私は必要だと思っているんです。それがないために、混沌として、自分は何なのか わからなくて軽度の発達障害の人たちは大変な状況になっている人をいっぱい見ています。  ただし、今、早期発見が必要だし、早期支援も必要だけれども、では一体どんな支援を誰 にしているのかというのを私は問いたいと思っているんです。療育機関、それから学校現場 でどんな支援をしているのか。というのは、普通の穏やかな子たちがそういうところに行っ て大変な状況になって地域の児童、デイサービスだとか、日中支援などに来るわけですね。 一体どんな支援をされているんだろう。むしろそんなものがない人の方が穏やかなまま、ナ チュラルな人になっているわけですね。  本人に生半可な下手な支援をしているからぐちゃぐちゃにしちゃって、結局、あとは面倒 を見ないわけじゃないですか。それで、追跡なんか誰もしていないので、もともとの原因と いうのを誰も知らないまま本人のせいにされちゃっているわけです。そうじゃなくて、むし ろ家族だとか、学校の現場だとか、環境を変えるような支援をしていくべきじゃないかと思 います。ついでなので、それだけ言わせていただきます。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございました。  大体時間になりましたので、今日の議論はここら辺と思っておりますが、ではどうぞ、お 帰りの方もいらっしゃるので手短にお願いします。 ○中島構成員 マスコミについて、一言。最近のマスコミの傾向として、どちらかを向いた ら同じような方向の報道ばかりなんです。皆、違う報道をしてください。皆、自分で考えて、 自分勝手に報道してください。その方がはるかにマスコミとしては役に立つと思います。以 上です。 ○福田精神・障害保健課長 ありがとうございます。  今の御発言も含めて、非常に多様な御意見をいただいたと思います。ここはやはり次の議 論に活かしていきたいと思っていますので、今日は言いっ放しの形にしていますけれども、 実は最後は言いっ放しにならない形で持っていきたいと思っておりますので、そういうこと で御理解いただければと思います。  事務局の方から、次回の検討チームのテーマ及び次回以降の日程等について御説明をさせ ていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 ○本後課長補佐 次回の日程につきましては、6月3日、今週の木曜日になりますけれども、 18時からを予定しております。  本日に引き続き御議論をいただきたいと思いますけれども、岡崎さん、福田さんから、先 日取りまとめられましたこころの健康政策構想会議の提言について説明をしたいという御 依頼をいただいておりますので、次回のときには岡崎さん、福田さんから御説明いただきま して御議論をいただきたいと考えております。 ○広田構成員 これはもう終わったということですか。 ○福田精神・障害保健課長 それはまた次の議論のときにしますので、次のメインとしては 今お話がありましたように、構想会議の報告書について岡崎先生、福田先生の方からお話を いただく。それを踏まえて、今日の議論も含めて更に議論を深めていただきたいということ でございます。  福田先生、何か補足はございますか。  特にないですか。わかりました。  では、本日は大変お忙しい中、長時間にわたりありがとうございました。これをもちまし て、第1回の検討チームを閉会いたします。どうもありがとうございました。 (了) 【照会先】 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 精神・障害保健課企画法令係 電話:03-5253-1111(内線3055)