10/5/28 第3回 審査支払機関の在り方に関する検討会議事録 (1)日 時:平成22年5月28日(金)9:55〜12:10 (2)場 所:ホテルはあといん乃木坂 フルール(地下1階) (3)出席者:粟生田委員、足利委員、飯山委員、岩田委員、遠藤委員、高田委員、 高橋委員、田中委員、村岡委員、森田委員(座長)、山本委員、 横倉委員、渡辺委員、高智オブザーバー        〈事務局〉        外口保険局長、唐澤審議官、神田総務課長、吉田保険課長、伊藤国民 健康保険課長、佐藤医療課長、矢田保険システム高度化推進室長 (4)議事内容 ○森田座長 皆様、おはようございます。それでは、定刻よりも少し早いようですが、皆 様おそろいですので、ただいまから第3回「審査支払機関の在り方に関する検討会」を開 催したいと思います。  議事に入ります前に、まず、今回、新たに委員になられました方を御紹介いたします。  前回まで国民健康保険団体中央会から出席されていらっしゃいました稲垣委員の交代と して、同じく国民健康保険中央会常務理事の田中委員。今回から御出席いただきます。 ○田中委員 田中でございます。よろしくお願いいたします。 ○森田座長 そして、新たにもう一方御参加いただきますのが、日本医師会副会長の横倉 委員でいらっしゃいます。 ○横倉委員 横倉と申します。よろしくお願いします。 ○森田座長 それでは、本日の委員の出席状況につきまして、事務局の方から御報告をお 願いいたします。 ○吉田保険課長 本日の委員の御出席の状況でございますが、齋藤委員、長谷川委員が御 欠席という御連絡をいただいております。 ○森田座長 ありがとうございました。それでは横倉委員は本日が初めて御参加というこ とでございますので、審査支払機関の現状や課題についての御認識などにつきまして、一 言御発言をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○横倉委員 今、御紹介いただきました、日本医師会の副会長に4月から就任をいたしま した、横倉でございます。 審査関係につきましては、十数年私は福岡県の国保連合会の審査委員を務めておりました 。そしてまた支払基金の福岡県支部の幹事、最も大事なのは、私の地元の、当時は人口1 万5,000ぐらいの町でありましたが、その町の国保の運営委員会の委員を務めさせていた だいておりました。 国保の成り立ちから基本的な財政の問題等も議論しながら、保険料をどういうふうに決め ていくかというようなことから、審査の現場の状況、そしてまた支払基金の最近の状況等 々について、毎月毎月非常に支払基金も厳しい状況にありながら、日々努力をされている という現状を見させていただいておりましたということを御報告させていただきます。 今まで2回この委員会開催がされて、議論の中身につきましても第1回目の議論の中身は ホームページ上に公開がされておりましたので読ませていただいて、委員の先生方、本当 に大変御苦労な、いろんな御議論をされているという認識の下で参加させていただきます ことを、ひとつ医療の担当者としていろんな議論に参加をできればと思っておりますので、 どうぞよろしくお願いをいたします。 ○森田座長 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、議事に入ります。  第3回目以降の進め方につきましては、前回の議論におきまして、第1回、第2回の議 論を踏まえ、座長に一任いただいたところでございますけれども、そういう御了解をいた だいておりましたので、事務局とも相談いたしまして、今後の進め方につきまして整理い たしました。これを事務局の方から説明していただきます。よろしくお願いいたします。 ○吉田保険課長 保険課長でございます。お手元の資料2を御確認いただければと思いま す。  座長の方と御相談させていただき、事務局の方でまとめさせていただいた資料でござい ます。これまでオリエンテーション、フリートーキングを踏まえた上で本日を迎えており ますけれども、この会議におけるこれまでの御議論、大きく3つの柱ではないかと思って おります。 1つは審査関係、1つは支払及び保険者機能代行関係、そしてそれぞれの審査支払機関そ のものの法人としての運営問題。どのような切り口も、それぞれ錯綜し、重複してはおり ますけれども、議論を効率的に進めていただくために、あえて進行上の節目を設けさせて いただくという意味で考えさせていただきました。これから3回、今日を含めまして3 回を審査関係ということで、具体的には本日は「審査の実施体制」の関係、またその次 の固まりといたしましては、「審査の質の向上あるいは査定率の相違」の問題。次の固 まりとしましては、「審査手数料、コストの問題、あるいは審査の効率化」の問題というよ うな点を念頭に置いた議論立てでいかがなものだろうかと考えております。  また、この間にはそれぞれ通底するテーマとして、支払基金及び国保連の間の相互乗入 を含めた競争環境の整備をどうするか。あるいは統合という問題をどのように考えるか。 また、これまでもこの問題についての課題となっておりました、紛争処理ルールをはじめ とする問題をどう考えるかというところも、それぞれの場面で出てこようかと思います。 このようなことを念頭に置いて整理をさせていただいております。  この会をお願い申し上げるときから申し上げておりますように、事務局としては年内に 一連の御議論、一巡いただいて、その上でできるものは、それを待たずに改革に着手した いというスケジュール感でおります。  また、ゲストスピーカーにつきましても、1回、2回において話題になり、これまで御 提案をいただき、委員の方から個別にまた御推薦もいただいているところでございます。 本件につきましては若干私ども事務局の整理が不十分でございまして、これまでの進行に 一部御迷惑あるいは混乱をおかけしたことを申し訳なく思っております。  改めて整理を座長と相談させていただき、今、考えておりますのは、やはりこの会議の これまでの御議論からも、支払基金あるいは国保側をある程度それぞれ取り上げる。そし てまた内容によっては医科、歯科、調剤も含めて分野がございますので、その分野も念頭 に置きながら、全体としてバランスの取れたゲストスピーカーの方々のお話を委員の皆様 が共通として聞いていただいて、それを踏まえて御議論いただくような仕掛けというもの はいかがだろうかということでございます。既に繰り返しになりますように、一部御推薦 いただいているゲストスピーカーの方もおられますが、改めてこういう枠組みの中でどの ような方がおられるか、各委員の方から事務局の方にお寄せいただき、それをまた必要な 調整を経た上で座長とも御相談させていただき、この会にお諮りをさせていただきたいと いうことを考えております。  その意味では、今後委員の皆様方からの御推薦、ゲストスピーカーの方の日程の調整、 全体としての進行ということを考えますと、なかなかすぐにという訳にはいかず、時間を いただかなければいけないところもあろうかと思いますので、それについてはまた進行に 応じて御相談させていただく。ただ、なるべく審査というテーマでございますので、前の 方でお聞きいただくような段取りにしたいと事務局としては思っております。  ただいま申しましたようなご議論いただくテーマも、それぞれ議論の深まりによっては 時間が変わってくるということもあろうかと思いますので、進捗に応じての御相談という 形で考えております。  事務局からは以上でございます。 ○森田座長 現地視察の件はよろしいですか。 ○吉田保険課長 失礼しました。現地視察につきましては、別途調整をさせていただいて おりますので、また委員の皆様方の方からの御意向を伺いながら、具体的な日時が決まり ますれば御相談をさせていただきたい、あるいは御報告をさせていただきたい。 お忙しい皆様でございますので、途中参加あるいは前・後半だけというような形もあり るかと思いますが、その辺りも御相談させていただきながら進めたいと思いますので、よ ろしくお願い申し上げます。 ○森田座長 ありがとうございました。事務局と相談の上、今、事務局の方から御報告が ありましたような形で今のところ進めさせていただいているところであります。  ただいまの説明につきまして、どうぞ御意見がございましたら、御発言をお願いいたし ます。渡辺委員、どうぞ。 ○渡辺委員 確認ですけれども、今、吉田課長がおっしゃるのはいいと思うんだけれども、 一応まずスケジュールとして、年内に区切りと認識しているんだけれども、このペースで いくと、各項目ごとに議論していって、ヒアリングもスピーカーも入れて、今おっしゃっ たようにできるものは順次もう実施していくということですが、年内で全部終わるという ことなんですか。 それとも、このスケジュールに向けてほとんど審査だけで7月だったら、後でも大体年 内にいってしまいますね。そして更に何。例えば年明けに総合的な結論を出すというか、 どういうような具体的なスケジュールを考えていらっしゃいますか。 ○吉田保険課長 まさに「議論の進捗に応じて」ということであろうかと思いますが、こ の会議の設立を企画いたしました事務局としましては、今、渡辺委員がおっしゃっていた だきましたように、月1回ペースという形でお願いしておりますので、多少の議論の深ま りによって回数が増えることはあるとしても、ここにありますように7、8、9あるいは 10月ぐらいまで一通り御議論いただき、その後頻度に応じて「総合的な」といいましょう か、行ったり来たりの議論もあろうかと思いますので、その議論を深めていただくことに より、年内に一巡できないだろうか。その上でその後についてはその議論の進捗とそれを 踏まえた改革の取組み、あるいはその次のステップに向けての私ども事務局を含めた準備 段階なども御報告しながら、その先の展開をまたお諮りさせていただく。  そういう意味では、年内に−今あえて渡辺委員のお言葉を借りれば−「総合的な議論」 というようなことも踏まえて、含めてといいましょうか、一巡できればと思っております。 毎回毎回の議論の深まりの中でどこまでいくかということについては、日程も含めて御相 談させていただきたいと思っております。 ○森田座長 よろしゅうございますか。ありがとうございます。ほかに御意見はいかがで ございましょうか。特にございませんようですので、このような形で進めさせていただき たいと思います。 また、議論の過程で、委員の皆様から随時御意見をいただきながら進めていきたいと思 ますので、その点もよろしくお願いいたします。  それでは、早速次の議題に進みたいと思います。次に「第1回・第2回の議論と論点の 整理(案)」について、事務局より説明をお願いいたします。 ○吉田保険課長 お手元の資料は資料3「第1回・第2回の議論と論点の整理(案)」とい うものと、参考資料1「各委員の方々の御意見の概要(1回目・2回目)」というものが関 係するかと思います。 参考資料1にございます過去2回の委員の皆様方からいただいた御議論、ホームページに は委員の御確認をいただいた後、全文をアップしておりますけれども、その概要版とい う形で整理をさせていただいたのが参考資料1。これはそれぞれ御発言をいただいた方別 で整理をさせていただいておりますが、私どもとして内容的にと申しましょうか、ある程 度固まりごとに整理をし直したものが資料3ということでございます。  あらかじめ本日の会議に先立って各委員にはごらんいただいていたものとこれについて は変わってございませんので、少し説明をはしょらせていただきたいと思います。  大きくこの固まりは今後御議論いただくアジェンダ、論点整理の意味もございます。「審 査に関する論点」という固まりが1ページから。5ページのところから次に「審査以外の 業務」。保険者支援あるいは支払い。3つ目の柱として「組織の在り方」。最後に「その他」 という形で、まず大きく審査とそれ以外、そして組織と3本立てにさせていただいていま す。1ページ目に手戻りしていただきまして、審査に関するところも柱としては2つに立 てておりますが、1つは審査の質及び内容に関する論点というのが固まり。  具体的には「イ 審査の性格・目的についてどう考えるか」。1ページ目の下の方でござ いますが、「ロ 査定ルールの違い(支払基金と国保連間の違い、各支部や国保連のローカ ルルールの存在)についてどう考えるか」。2ページ目にいきまして「ハ 審査の質の向上 (均一性の確保)、査定率の差異(支払基金と国保連、支部又は国保連間)の評価について どう考えるか」。「ニ 支払基金と国保連の審査機能の共通化についてどう考えるか」。3 ページ目の「ホ 審査支払機関に蓄積された審査データの活用・公開についてどう考えるか」 というのが審査に関する内容かと思っております。  次に実施体制の問題。実はこの後御議論いただく本日の個別議論にも絡むんですけれど も、実施体制、効率性としましては「イ 審査委員会(専門家による審査、三者構成、審 査委員の確保)についてどう考えるか」。「ロ 審査手数料(コスト)の設定根拠、審査手 数料の差(支払基金と国保連、国保連間)についてどう考えるか」。4ページ目「ハ レセ プトの電子化、オンライン請求による審査の効率化について」という論点を立てさせてい ただいております。  5ページ目、審査以外の業務につきましても、例えば「イ 保険者機能の代行、支援の 機能について」。ロとして、レセプト電子化の進展による支払期間の早期化をはじめとした 支払問題というものがこれまでこの御議論にあったかと思います。  5ページ目の下、組織の在り方としましては、1つ目が組織あるいは運営の問題として、 財務、契約問題、業務の効率化。6ページ目、人材確保・養成の問題。大きな組織の問題 の2つ目として「組織形態(統合、競争の促進、民間参入)についてどう考えるか」とい うことを立てさせていただいた上で、これまでいただきました御発言の中、一部重複を含 めて私どもなりに整理をさせていただいたものを案として提出をさせていただいておりま す。  また、先ほども御紹介いたしましたが、その後ろに本日御欠席の長谷川委員、齋藤委員 からも追加意見を一部いただいておりまして、長谷川委員からは審査の性格、目的あるい はデータの活用、コストの問題について追加の御意見を、齋藤委員からは大きく2点にわ たっての御意見をいただいていることを御紹介させていただきたいと思います。  事務局からは以上でございます。 ○森田座長 ありがとうございました。ただいまの御説明に対しまして、何か御意見はご ざいますか。高橋委員、どうぞ。 ○高橋委員 問題点の整理の仕方ですけれども、論点の立て方全体は大体こんなものかな と思いますけれども、5ページの「3 審査支払の組織の在り方に関する論点」の(1) と(2)の関係ですが、順番が論点の大きさと入り方の問題としては(2)が先だろうと 私は思います。  これは組織の形態の話がまずあって、そこをきちっと、何度も申し上げていますが、こ れはもう公共財だと言って、一種の独占を認めるような感じでオンリーワンにするのか、 あるいは自由競争にするのか、そこがまずあって、そのオンリーワンの場合に組織運営が 問題になるので、自由参入であればその中でどう運営しようが自分の勝手ということにな りますから、ここは順番が逆ではないのかなと思います。  自由参入は勝手というのは言い過ぎかもしれませんけれども、オンリーワンに比べれば はるかに規制は弱くていいだろうと思います。  3ページの(1)の「ホ 審査支払機関に蓄積された審査データの活用・公開について どう考えるか」は、審査そのものとは関係なくて、蓄積されたデータをどう公共政策上、 あるいは公衆衛生の観点で活用するかという話ですから、これは全然別の話ではないかな と。ですから、それこそ一番最後の4の方のその他で全く別途議論される話ではないかな と考えます。 ○森田座長 ありがとうございました。ただいまの点について、事務局の方、よろしゅう ございますか。それでは、ほかにいかがでございましょうか。では、足利委員、どうぞ。 ○足利委員 ただいまの論点整理ということではないのでございますが、これまでの論点 を踏まえまして、今日私の方で資料を用意させていただきました。いいですか。 ○森田座長 現時点でこの論点整理について御意見を伺って、その後でということを考え ておりますが。 ○足利委員 わかりました。 ○森田座長 岩田委員、どうぞ。 ○岩田委員 岩田でございます。今、私が理解していない可能性もあるんですが、高橋委 員が言われた最後の点で、データの活用についてで審査のところに入っているのはおかし いのではないかと言われたように思うんですが、私のイメージとしては、勿論4の部分に も関連するんだと思うんですが、審査の結果を公表することによって、例えば90%の人は これについてはこういう判断をしている。それを公表することによって、判断が収れんし ていく可能性があるので、ここにも関連するのではないかと思いますので、事務局がここ に置かれたのは、特にその意味では問題ないのではないかと私自身は思っております。 ○森田座長 ありがとうございました。高橋委員、いかがでございますか。 ○高橋委員 おっしゃるとおりかもしれません。このデータの活用は私がイメージしてい たのは、保健などでのデータ利用はいろんな保険者でやりますので、そちらのイメージが 強かったです。  データ活用には、2つの側面があります。審査そのものをもう一回チェックする際の参 照する基準として今まで蓄積されたものをどう使うんだという話が1つ。確かにそれはこ こに分類すべきと思います。もう一つは、まさに公衆衛生の観点から、そういったデータ をほかの施策でどう使うかということがあると思いますので、2つの話があるんだろうと 理解します。 ○森田座長 横倉委員、どうぞ。 ○横倉委員 今の論点ですけれども、いわゆる審査基準の公開という件であります。実は これが一番診療側についてはわからないという意見が多いところであります。と申します のは、いわゆるゴルフで例えるならば、OBラインがこの線に設定されたのが突然にあと 10ヤード右に入ったりというような感じがするという意見がときどき診療側の意見とし てあるわけであります。  というのは、どうしてもある一定の幅のグレーゾーンが審査の場合できてくるわけです。 そのグレーゾーンの線引きをここまではOKだよという線は明確にしてやらないと、なか なかいろんな診療行為に直接影響をするところでありますので、そういう意味では審査デ ータのある程度の公開ということについては、しっかり踏まえていただきたいなという思 いをお伝えしていきたいと思います。 ○森田座長 ありがとうございました。高橋委員の意見もこのこと自体ではなくて、むし ろこの意味と位置づけのお話だったと思いますので、その点は確認させていただいて、ほ かにいかがでございましょうか。渡辺委員、どうぞ。 ○渡辺委員 今、高橋さんの意見にも関連する、ここの活用と公開ということで、例えば 今、厚労省自身も検討していると認識していますけれども、医薬品の副作用を防止するた めのデータ活用、そういった意味なのか、公開と言っても、ここの活用と公開だから私自 身もここにくるのがいいのかなと考えたのだけれども、そういったことも含む、つまり審 査データを活用して副作用情報等をちゃんと取ってその防止に努めるといった発想。そう 考えると、また別の場所の方がいいのではないのかなという気もしないのではないので、 特に活用と公開ということをここで一緒にすることも1つは疑問だし、もう一つは活用と いうことの意味というものをもう少し明確にすべきではないかと思います。 ○森田座長 ありがとうございました。この点について、事務局の方のお考えはございま すか。どうぞ。 ○吉田保険課長 まさにこれまでの御議論を整理させていただいたというものでございま すので、整理不足の点、事務局は申し訳なく思いますけれども、先ほど来ここのテーマに してもお三方に御議論いただき膨らんだかと思いますので、私どもとしては委員の皆様方 の問題意識、あるいは事務局としてももし考え方があるならばそれも加えて、いただいた 指摘を整理したいと思います。おっしゃったこと一つひとつは事務局としても非常に納得 的で、いろんな要素がある、あるいは公開と活用というものについてもう少しきめ細かく いろいろな要素があるということですので、渡辺委員から御指摘があるように、既に何が 行われていて、何が課題となっている、何が今進んでいるというようなこともまたこの議 論を深めていくときには整理をして御議論いただくようにしたいと思います。  あとはその位置づけにつきましては、今後もほかの点も含めてでございますが、委員の 皆様方の御議論を聞いて、また座長とも御相談しながら場所を考えていきたいと思います。 ○森田座長 ありがとうございました。私の認識で言いますと、最初の審査に関する論点 の中に入れるべきかどうかという点が問題になっているという気がいたしますけれども、 今までの御意見を伺いますと、ここに位置づけること自体に特段反対をされるということ はないと思われます。そういたしませんと、その他になりますが、これはまた関連するこ とを後の方で議論するということにもなりかねません。これは適宜その都度関連があるこ とを御議論いただいて一向に差し支えないと思いますけれども、一応そういう意味で言い ますと、この審査に関連するところでの1つのトピックにさせていただくということでよ ろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○森田座長 ありがとうございま した。では、ほかにこのペーパーについていかがでしょうか。これからの審議を進めてい く場合の1つのロードマップではありませんけれども、論点のアジェンダになるわけです。 特に御意見はございませんか。  ないようでしたら、論点の整理案につきましても、議論の過程で更に肉付けしながら議 論を進めてまいりたいと思っております。  それでは、審査に関する論点の第1回目といたしまして、審査の実施体制についての議 論をお願いしたいと存じます。  これにつきましても、まず事務局から資料等の説明をお願いいたします。 ○吉田保険課長 お手元に資料4「第3回の議論のテーマ関係」という形で書かせていた だいたものと、これに関するものとして参考資料2、直接審査支払に関する資料、参考資 料3「診療報酬の請求ルールについて」というものを事務局の方から用意させていただき ました。  資料4でございますが、本日、先ほどの全体のアジェンダの中で申し上げれば、手戻り していただいて、資料3の3ページ目、審査に絡む議論の「(2)審査の実施体制、効率性 に関する論点」と整理させていただいたものの「イ 審査委員会について」という部分を 中心に、それと後ろの方にまいりますと、4ページ目「ハ レセプトの電子化、オンライ ン請求による審査の効率化について」というところにある程度念頭に置いた個別議論とい う形で論点を整理させていただきました。  まず、御議論いただく前段階として、現行制度について改めての御報告でございます。 資料4の1ページにございますように、この会、冒頭にも申し上げたように、我が国の審 査支払機関は法律上は支払基金と国保連、そして中央会というものが特別なものについて 扱うという位置づけになっておりますが、一義的に保険者はいずれにも審査を委託するこ とができるという仕組みになっております。 その上で、審査機関は保険者推薦、診療担当者推薦、学識経験者という三者構成からな る審査委員会において、すべてのレセプトを合議により審査をするということが今の仕組 みでございます。  また、3つ目の○でございますが、この仕組みを基本としつつも、審査機関に委託をし ないで保険者自らが審査を行い、あるいは第三者に委託をする、いわゆる直接審査と言わ れる仕組みが認められております。ただしこの直接審査については4条件、そこにござい ます関係医療機関の同意、あるいは公正な審査体制の確保、個人情報保護の徹底、紛争処 理の明確化というものを前提に、いわゆる直接審査が認められているということでござい ます。  これにつきまして参考資料2という別の資料で本日用意をさせていただいたものがあり、 具体的に健康保険組合におけるレセプトの直接審査支払についてまとめさせていただいて おります。  今、申しました、現行の直接審査の仕組みと申しますのは、参考資料2の資料で申し上 げれば、4枚目以降でございますが、平成14年に、いわゆるこの仕組みについての通知に よる枠組みができ、手戻していただく参考資料2の2枚目、平成19年度の保険局長通知に より調剤については一部変更になっていると言うのがまず法的なルールの源泉でございま す。  参考資料2の1枚目に戻っていただきますと、上の箱の中にございますように、(1)は 先ほど申しました法律上、それぞれ委託することができることになっておりますが、(2) にございますように、このような医療機関、保険者、審査支払機関を含めた全体は公法上 の契約として、この保険医療機関と保険者の間が行われているということでございますの で、この双務契約の下で(3)でございますが、保険者が直接審査を行う場合でも、被保 険者への療養の給付と保険者へのレセプト請求、審査が円滑に行われ、紛争を未然に防ぐ 観点ということから、先ほど申しました4条件が平成14年通知で求められているというと ころでございます。  現実に今行われておりますのは、(4)にございますように、調剤レセプトについて今年 の3月現在で11の健保組合さんにおいて、各健保組合それぞれがおおよそ370〜380の薬 局さんとの間の契約を締結した上で、ボリューム感で申し上げれば、月当たり200〜1,700 件の請求件数による直接審査を行っておられるということでございます。  直接審査については、その下、全体の取組み例の図が描いてございますが、先ほど申し ましたように4つの条件の下、健保組合と薬局さんの間がそれぞれまず合意をしていただ いて、紛争処理の取り決めをしていただいた上でこの仕組みに入っているわけでございま す。その図の左側の箱の点線の中をごらんいただきますように、調剤レセプトの場合、適 正な審査に関する意見を受ける契約、具体的には紛争処理といいましょうか、問題が起こ った場合には、健康保険組合が支払基金に対して改めて当該レセプトについての審査を行 うという形の内容を当該健保組合、そして対象である薬局さん、支払基金間であらかじめ 合意をしている。その契約をもってして、関係条項を満たしているというスキームの中で 今この取組みが行われているというところでございます。  直接審査について長くなりましたが、お手元資料の4に戻っていただければと思います。 全体のテーマの論点でございますが、そのような現行制度を前提にした上で、「審査委員会 について」ということで、1ページ目の下の箱にございますように、1つ論点といたしま しては、この会議でも何度か御発言がございましたように、医療には裁量権があるので、 システムチェックなどの機械的で一律な審査を経た場合にも、最終的には専門家による審 査が必要だということを今の仕組みの前提にしておるかと思うのですが、この点について より議論を深めていただきたいというのが1つ目でございます。  2ページ目、白い○でございますが、請求者と同業のプロフェッショナルの医師あるい は歯科医師で構成される審査委員会で御審査いただくことが、それ自体不適正な請求を抑 制する効果があるという御発言に対して、そうであろうかという逆の御意見もこの場であ ったかと思います。この点について、どのように考えるか。  2ページ目の2つ目の○でございますが、審査委員会においてすべてのレセプトを合議 で審査するという仕組みになっております。この現状についてどのような御議論があるの か。そして、この審査委員会という在り方1つにとって、統合あるいは競争という観点か ら、どのような議論があり得るのかというものが大きく審査委員会にして私どもが整理を させていただいた論点案でございます。  2つ目、具体的にその構成についてということで、審査委員会が先ほど申しました三者 構成ということについて、この場でも幾つか御発言がございましたので、これについてど のように御議論を深めていただくのか。  資料4の3ページ目でございますが、審査委員の確保が難しい。小規模な県について、 これまで御発言がありましたけれども、審査体制について、現状どう評価し、あるいはど のような御議論があるのか。そして、この問題についても、統合あるいは競争の観点から、 審査委員会の構成についてどう考えるか。  3つ目でありますが、都道府県単位の審査についてということで、審査業務が都道府県 単位で行われていること、あるいはこの問題について、統合、競争の観点からどう考える かということも、この流れの中からは出てこようかと思いますが、私ども事務局としては 便宜、今後都道府県ごとによって差定率が異なるなどの議論も別途お願いしておりますの で、今日はこういう論点がつながっているだろうということを問題提起させていただき、 次の機会により深めていただくのかなと思っております。  4つ目にIT化に伴う審査業務の見直しといたしまして、1つ目は電子レセプトのシス テムチェックを強化することなどにより、業務の効率性あるいは業務プロセスの見直しが あるのではないかという論点について、どのようにお考えいただくのか。  4ページ目でございますが、そもそも保険診療のルールについても、システムチェック を活用しやすいように改善すべきではないかという論点。そして、このIT化に伴う業務 の見直しについても、統合あるいは競争の観点からどのように考えるかということを整理 させていただいております。  また、引き続き参考資料3、診療報酬の請求ルールについて、事務局の方から御説明さ せていただきたいと思います。 ○森田座長 お願いします。 ○佐藤医療課長 それでは、医療課長でございます。資料で申しますと、第3回の参考資 料3と右肩に書かれました横長の資料でごらんください。診療報酬の請求ルールというこ とですが、御存じのように保険者に請求することができる費用の額というのは厚生労働大 臣が定めるところにより算定することとなっております。したがいまして、どういうふう に算定をするのかというルールにつきましては、大臣告示の形でお示しをしておりますし、 大臣告示で必ずしも明確でない部分については、関連通知とか、Q&Aなどの形で明確化 しているところでございます。 先ほどの吉田課長の説明との関連で言いますと、資料4の最後のページにもありますが、 恐らくはIT技術等を活用して、できる限り合理的に効率的にこの審査をしてはどうかと いうことにも絡むのであろうと思いますけれども、注2のところにございますように、算 定ルールに関して医療機関の理解を促進し、また審査上も効率化をするという観点から、 診療報酬の併算定、つまりAという点数を取ったときにはBという点数は取れませんとか、 Aという点数の中にはBCDEといった項目は含まれますといったような関係をロジカル にといいますか、論理的にアルゴリズムのような形でつくりまして、これは言ってみれば 参照テーブルのような形で準備をして、通常のレセプトコンピュータの運用の際にそのテ ーブルを読みに行くというようなことをしております。  しかしながら、実際にはもう先生方御存じのように、患者さんの状態というのは千差万 別でございまして、こういう明文化された、あるいはロジカルな整理だけでうまくいかな い場合もありますので、個々の症例ごとの医学的な判断は、審査委員会の審査委員の先生 方に委ねざるを得ないという部分もあるということです。  せっかくですから、資料の2ページ目をごらんいただきますと、今御説明をいたしまし たけれども、いわゆるレセプトコンピュータのようなものを使った診療報酬点数の項目の 入力をしますと、審査支払機関に提出されるという1つの流れがあるわけですけれども、 その中で先ほども申しましたように、電子点数表による入力情報を参照テーブルのような 形で準備をしておいて、必要に応じてエラーがあれば再入力をしてまた調整をするという ような形にしておりまして、できるだけ間違いのない形で審査支払機関に提出するという ことになります。  3ページはそれももう少し具体的に明らかにしたものです。左側と右側が分かれていま すけれども、左側は包括関係ということで、先ほど申しましたように、ある診療行為に幾 つかの診療行為が包含される場合があります。例えばここで例示をしているものですと、 診療行為コードの一番上にありますけれども、160027710というような診療行為コードの 中には、血液ガス分析といったものが含まれているということになります。血管内視鏡と いうところに含まれるということになります。  一方、背反関連。Aという行為をしたらBはできませんよというようなことについて、 まず1つ目は、同一月内にもう一回はできませんからねというのが右側の上の方になりま す。右側の下の方には、Aという診療行為をやったら、Bという行為はもう同時にはでき ませんということになりまして、こういったことが一定のアルゴリズムといいますか、ル ール化されてテーブルが準備をしておりますので、先ほども申しますように、レセコンの 内部でこのまま作業を進めようとするとエラーですといって、また最初の手順に戻ってい くということになります。  4ページ以降は先ほども御説明しましたことの例示ということで、診療報酬の項目は医 科だけで4,000項目ぐらいありまして、その4,000の項目すべてが必ずしも論理化されて 1対1対応ではありませんけれども、それぞれのルールがすべて明確化され、もうだれが やってもきちっと判断できるようにというわけではありません。  例えば最初の例で言うと、HbA1cのようなものについては、月1回に限り算定です よと。妊娠中の患者とか、6か月以内の患者については、月1回に限り別に算定できるよ となっているんですけれども、実際には6か月を超えた患者さんについてもなかなかコン プライアンスが悪いとか、血糖がいつまで経っても安定しないというようなことがある程 度レセプト上に症状表記のような方で書いてあれば、別算定を可能とするような審査が行 われている場合があるということです。  またくどくどとは説明しませんけれども、次の例2にありますように、経皮的冠動脈の ステント留置術の場合も、右下の※印に書いてありますように、実際に使えるカテーテル の数あるいはステントの数といったようなものは、完全閉塞かそうでないかの区分ごとに 何本までしか使えませんよとはなっております。ただ、実際には病変が想像以上に大きか ったということでステントが1セットだけでは足りなかったということもあるでしょうか ら、やはりそういうところはきちっと適応欄に明記をしていただければ、認められる、費 用の算定が可能になる場合もあるということを書いております。  医科歯科についてもお示しをしておりますが、このようにルールというのは大多数には 当てはまるルールはつくっているんですけれども、患者さんが何万人も何十万人もいらっ しゃる中で、個々のケースをすべて網羅的にあらかじめ明記しておくことはできないので、 実際には審査委員会の委員の御判断に頼っているということです。  なお、補足をいたしますと、こうしたことで実際には支部間格差のようなものが出てい る場合もあるようですけれども、現状においては審査情報提供検討委員会のようなものが 置かれまして、支部間格差というのはできる限りなくすように、先ほどから何度か議論に なっておりますけれども、そうした情報はある程度中央に集まってくる形になっておりま すので、その中で意見交換がなされて、大きな支部間格差はできる限り排除していこうと いうことで議論が進んでいると承知しております。以上でございます。 ○森田座長 ありがとうございました。 それでは、続きまして、次に前回の検討会で御説明いただきました支払基金の足利委員 と、東京都国保連合会の飯山委員から、特に審査について前回の補足の説明についての資 料の提出がございましたので、ポイントを絞ってこの点について御説明をお願いいたしま す。よろしくお願いいたします。 ○足利委員 支払基金でございます。資料5をごらんいただきたいと思います。 前回の資料に引き続きまして出させていただいているものもございます。そもそも審査 の意義ということで、改めて診療行為が保険診療ルールに適用するかどうかを確認する行 為ということで、その下には今、事務局の方からも御説明がありましたけれども、裁量の 余地が認められており、機械的に判断することは不可能なところが多いといった具体的な 例が3ページで私どもとしてまとめてあるものでございます。  今日の議論にも通じるかと思うんですが、審査委員会の位置づけということで4ページ にまとめさせていただいていますが、私どもの都道府県単位で設置いたしております審査 委員会、これはそれぞれ独立して審査決定をする権限を有しております。  その決定につきましては、支部長ですとか、本部の理事長という指揮に服するものでは ないというのが、国の方からも解釈で示されておるところでございます。  審査の決定というのは、審査委員会の合議で決定をされる。実際に会期としましては、 毎月10日までに受け付けまして、末日までに審査をするということで、大変限られた時間 で審査を実施しなければいけない。したがって、その限られた時間で審査委員、医科歯科 のそれぞれの医師による審査がきちんと実施できますように、職員がその審査を補助する という体制になっているということでございます。  5ページ、審査委員長の役職。審査委員会を代表する審査委員長の方につきましては、 こういった公的医療機関等に勤務している、あるいは過去に勤務していたといった医師の 方、病院長の方などが多く就任をされておりますが、一方で地域医療に貢献している開業 医の先生も就任をいただいておりまして、そういう中で医師会等の公的な役割を果たされ ている方も数多くいらっしゃるということを御紹介させていただきます。  実際に審査に当たる委員の状況でございますが、6ページにございますように、私ども は4,476名4月1日現在で就任をしておりまして、年齢構成等を見ますと、左にございま すように、50歳台、60歳台が合計83%を占める。臨床医として最も脂の乗っている時期 のドクターが審査をしておるということがおわかりをいただけるかと思います。  また、本業の勤務形態別には病院勤務医、開業医であり、勤務医の先生は50.4%と半分 以上を占めているといったことで、第一線の先生方に同僚としてのピアレビューをしてい ただいているということがおわかりをいただけるかと思います。  このほか薬剤師さんにつきましては、ここに示しておりませんが、調剤専門役というこ とで、調剤レセプトについての審査を非常勤でお願いしているということを付け加えさせ ていただきます。  そういった現役の先生方に従事をしていただいているものですから、実際に月曜日から 日曜日まで審査委員会、これは3月の審査の例でございますが、これで見ますと土曜日、 日曜日に出席をいただいている。本業がございますので、臨床の合間をぬって土、日に審 査に従事をしていただいている。あるいは平日でも夕方勤務、診察が終わった以降という 形での出席が多いということを御説明させていただいて、大変ボランティア的な活動とい いますか、勤務の合間をぬってということで、昨今の医師不足でこういう先生方を確保す るのも地域によってはなかなか厳しい、困難であるという状況もあることを御理解いただ きたいと思います。  あと、8ページにつきましては、先ほどそういった審査委員の先生方をアシストする職 員の役割ということで示させていただいておりますが、職員が原審査の過程で疑義と、こ れは疑わしいのではないかということを付せん貼付して、それに基づいて先生方が査定と いうことにつながったものが全体の69%ということで、それ以外の先生方が独自に査定を していただいているのが31%といった状況になっている、職員のアシストによってこうい った査定が実施されているということを御理解いただきたい。  先ほども少し事務方からございましたが、9ページ、支払基金におけます電子レセプト の審査の流れでございます。これは電子レセプトがもう既に7割以上という状況になって いるわけでございますが、その分につきましてオンライン請求あるいは電子媒体請求、左 から上がってまいりまして、基本的な記載漏れ等の点検については、機械的なチェック、 ASPといったチェックで一旦お戻しをするとか、それを受けたものを今度はマスターチ ェックをするということになっており、すべての電子レセプトについて機械的チェックを 行っておりまして、更に保険診療ルールに適合しない可能性のある診療行為の抽出という ことで、あらかじめ条件を定めまして、それに該当するものについて、コンピュータによ って電子付箋が付されまして、それに基づいて職員、審査委員と審査していくもの。電子 付箋が貼付されなくても、職員の知識、経験に基づいて審査をする。更には審査委員が独 自で御自身の知識、経験に基づいて審査をしていく。  もう一つ、下に審査する余地のないレセプトというのがございまして、これは単純な再 診料と処方せん料だけとか、そういった中身が基本的に審査する余地のないもの、そうい ったものにつきましては、もう自動的に機械的に審査をするという流れになっているとい うことでございます。  このコンピュータによるチェックの1例として、医薬品チェックということで、これも 前回御説明をいたしております。前回は3月診療分を御説明しておりますが、4月分では もう少し件数が伸びているというようなことでございます。  事務費単価も前回申し上げましたように、こういった電子化の進展とともに、経費の節 減を図りまして、点数の引き下げを保険者さんと協議した上でこういった価格設定をさせ ていただいている。職員の定数につきましても、そういったことを踏まえて順次削減をし てきておるところでございます。  その他、コスト構造、これは今後の議論になろうかと思いますが、こういったこれから システムの開発、維持管理の必要、そういった人でできない審査も存在するということで 考えていただければと。更には日本と韓国の審査機関の比較ということも若干補足をさせ ていただいています。韓国の健康保険審査評価院(HIRA)というところは、審査だけ を実施しておりますが、支払基金においては請求支払という業務を実施している。  それぞれの取扱い、医療の額も異なるといったことも勘案をしていただければというこ とで資料を付けさせていただいているところでございます。  以上でございます。 ○森田座長 ありがとうございました。それでは、飯山委員、お願いいたします。 ○飯山委員 国保連といたしましては、前回御説明したことに若干付け加えるという意味 合いで資料を御用意いたしました。  まず、おめくりいただきますと、ここに文字で書いてございますけれども、国保連合会 が担当しておりますレセプトは診療情報の多いレセプトが多うございます。そういった意 味で件数が急増する中で早くからIT化に取組みまして、組織のスリム化を行っていると いうことを申し上げたいと思います。  下の○に書いてございますように、限られた職員で効果的、効率的な審査を行っている ということでございまして、レセプト審査件数の増加につきましては、平成11年度、5億 9,000万枚でございましたのが、これは医科、歯科、調剤合計でございます。21年度には この10年間で9億3,000万枚になっております。 その趨勢は2ページにグラフで書かれておりますが、四角い縦の棒がレセプト件数の増 加でございます。その中でも、特に高齢者のレセプトは診療情報が多いために審査の留意 点が多くて難しくなっております。  レセプト1件当たりの費用、一般の国保で申しますと、2万2,750円なんですが、後期高 齢者医療の場合には、3万7,050円ということで、これは平成20年度の平均値でございま す。こういうように高齢者のレセプトの方が診療情報が多うございます。  審査担当職員数は、表を見ていただきますと、パートを含めまして平成11年度には合計 3,691名でありましたものが、平成21年度には3,474人という具合になっております。審 査件数100万件に対する審査担当職員数を比例で出してみますと、平成11年度には6.2人 かかっておりましたところ、平成21年度は3.7人に減少しております。  表を見ていただきますとおわかりのとおり、11年度のグラフから比べまして、21年度の グラフ、本当に伸びているわけですけれども、この間、国保連合会といたしましては、平 成12年度には介護保険法が施行されまして、これの審査支払を担当することになりました。 また、19年度は年度途中から障害者自立支援給付の支払事務を区市町村から受託しており ます。20年度に後期高齢者医療が始まりまして、全国47の国保連合会で後期高齢者医療 の審査支払の担当もいたしましたので、ここはいわゆる社会保険関係から後期高齢者に移 った方が私どもの対象になっておりますので、棒グラフを見ていただきますと、レセプト 件数が急に伸びております。21年度になりましては、出産育児一時金等の直接払いも全保 険者分を異常分娩を除きまして実施しているというような状況になっています。  こういった状況の中で、審査委員につきましては、▲が付いている折れ線グラフであり ますが、若干の増加はございますけれども、それほど大きくは増えていない。逆に審査担 当の正規職員については、平成17年度辺りからずっと減らしてきているという状況になっ てございます。  正規職員全体を通しましても、先ほど申し上げたような介護でありますとか、障害とか、 後期高齢、出産育児、こういった他の事業を行っていながら、全体的に正規職員数も横ば いないし微減という状態が推移しているという状況でございます。  このように国保連合会といたしましては、全体的に組織のスリム化を図りながら保険者 の負託に応えようとしているところでございます。  そのほか、細かい点につきましては、もし議論の進行過程の中でいろいろ御質問があれ ばお受けしたいと思っております。 ○森田座長 ありがとうございました。  それでは、ただいまの足利委員、飯山委員及び事務局から御説明をいただきましたので、 事務局の説明を含めまして、審査の実施体制についての論点について、忌憚のない御意見 をお願いいたしたいと思います。  なお、今回ですと、審査委員会について、審査委員会の構成について、都道府県単位の 審査について、IT化に伴う審査業務の見直しについてと、4つ大きく論点は分かれてい るかと思います。どの論点から取組んでも構わないんですけれども、かなり論点は多岐に わたると思いますので、一応ここではこの順番で少しずつ御議論いただければと思ってお ります。  後でまた関連するところ御発言いただいても差し支えないと思いますけれども、まずそ の意味で言いますと、審査委員会についてということから御発言をいただきたいと思いま すけれども、いかがでございましょうか。高田委員。 ○高田委員 済みません。その前に1つ、今回の論点の中で現行制度についてのところで 「(2)全レセプト合議により審査する」ということがありますけれども、私も基金の監事を 2年以上やらせていただいておりますし、国保連さんなどはわかりませんけれども、全レ セプトを合議によってやっているというのは、言葉的な誤りというか、これは先ほどの時 間もない、あれもない、重点的に審査をしているというのは全体のときにプレゼンがあっ たと思うんですけれども、これは現実的に時間的にも無理だと思うので、ここは多分訂正 していただくことになるのかなというのが1点ございます。  審査委員会についてでございますけれども、先ほど基金の方からも御説明がありました けれども、審査委員会についての独立性の根拠というのが昭和二十何年の厚労省の解説の 中であるということはありますが、法令上に明確にはされていないということがまず1点 あろうかと思います。  この審査委員会による審査が私ども保険者もすべてコンピュータでやることができると はとても思っておりません。そういう意味で一次的なスクリーニングをもっときちっとや るべきではないかということを考えているわけでございます。  審査につきましては、いわゆるレセプトの書面審査。ですから、面白い言葉で「レセプ トを読み解く」とかという言葉がこの世界にはありますけれども、要は1枚のレセプトを 読み解くわけでございますので、先ほどのある程度必要な情報は記載していただくという ことはございますが、カルテとかを見ているわけではございませんものですから、ある程 度のグレーゾーンの割り切りはあると思うんですけれども、実際の医療内容に踏み込んだ までの内容審査の権限もないし、そこまではできていないと考えております。  基金の方で前回いただいています報告書の中でも、原審査の査定理由がそれぞれどうい うものがあるかという中で、「医学的に不適当」というのは大体3割、それ以外の7割は 「過剰とか過量」、「適用外」とか「算定ルール」、そういうところがあるということも また後々の議論で踏まえていただければと思います。以上です。 ○森田座長 ありがとうございました。ただいまの高田委員の発言も含めまして、ほかに いかがでございましょうか。横倉委員、どうぞ。 ○横倉委員 審査の委員会で合議かどうかということですが、これはいつも私どもの診療 側からも審査の責任を追及することがあるんです。この査定はだれがやったのかという意 見がときどき審査委員に突きつけられてまいります。  特定のある審査委員がやったということはなかなかできないという点があって、あくま でもこれは合議で決めたんだというような説明をして納得をさせるという方法をとってい るのも現状にあるということも言及させていただきたいと思ってございます。  合議ということの意味合いですね。これは事務局がどういうことで法律的にこういう合 議という表現にされたのかということをもし御理解があれば、私も少し教えていただきた いなと思うんです。 ○森田座長 事務局、どうぞ。 ○吉田保険課長 今の横倉委員の御発言、その前の高田委員の御発言、2つ合わせますと、 「全セレプトについて合議で」という点かと思います。2つの要素を合わせて、実はこれ は保険課と医療課とまたがる話ではありますが、便宜私の方から御説明させていただきま す。  全レセプトについてというのは、この会、冒頭から御説明申し上げておりますように、 今の法律構成といたしましては、保険者は審査の上支払うという形になっており、保険者 は審査をしていただくことになっておりまして、その審査というものが−勿論これまでの 御議論にあるように濃淡はあろうかと思いますけれども審査はそういうスクリーニングは かかっているということの中で、その審査にどのような濃淡を付けるのかという議論、あ るいはどのように技術的にだれにやっていただくかという議論はあろうと思いますけれど も、健康保険法あるいは国民健康保険法の考え方からすると、審査というものを通ってい るということを念頭に置いて、全レセプトという書き方をさせていただきました。  ただ、今、高田委員からお話がございましたように、審査の現場において濃淡がある、 あるいはこれまでの御報告からもありましたように、それなりに扱いにいろいろな工夫が されているということは我々も事務局も承知しております。  合議についてという点につきましては、これも昭和23年、この支払基金の制度ができた ときからの省令でございますけれども、審査委員会に関して、具体的には社会保険診療報 酬請求書審査委員会及び社会保険診療報酬請求書特別審査委員会規定という省令でござい ますが、その第2条において「審査委員会が決定をなす場合には審査委員の2分の1の出 席がなければ審査の決定をすることができない」という規定がございまして、これをもっ てして私どもとしては、審査委員会がお一人おひとりの審査委員としての判断というより も、審査委員会としての決定の中で行われているということが背景であろうということを 理解の上、このように書かせていただきました。それについていろいろ御議論があること は、この検討会においてまた御意見を承りたいと思っております。 ○森田座長 どうぞ。 ○高田委員 今、事務局がおっしゃられたのは重々わかりまして、法律的な建前というの は別に決まっていることという枠組みはわかっているつもりです。ですから、要は言葉と いうのは独り歩きしてしまいますので、ここだけ今の表現だけを見て一般の方がどう思わ れるか。それならば注釈を入れるべきだと思うんです。  ですから、私も別にいちいちかみつきたくはないんですが、やはりこの言葉だけ書いて あると、これを見るとぱっと知らない人が見るとすべて合議でやっている。合議と言った ら一般的なイメージはわいわいがやがややっている、1件1件これを進めている、査定す るときにやっていると思われるので、そこはもう少し注釈なりを加えていただかないと、 関係者はこの文字面だけでは違うのではないかというのはわかりますけれども、一般に正 しく理解されない恐れがあるので、あえて申し上げました。 ○森田座長 ありがとうございます。少しよけいなことかもしれませんけれども、制度と か法律を研究している者から言いますと、これは要するに審査委員会が審査委員会の名に おいて決定についての責任を負うという趣旨であって、実態として個々の審査委員の方が やっていらっしゃるかどうかは関係ないとは言いませんけれども、別の問題である。その 方がやったとしても、審査委員会として結果について責任を負うという趣旨だと思います し、確かに御存じない方にはその辺少し丁寧な説明をする必要があろうかと思いますけれ ども、制度上はそういうことでそれほど不思議ではないような気がしますけれども、これ は岩田委員、いかがでしょうか。 ○岩田委員 私が付け加えることは特になくて、今、委員長が言われたとおりだと思いま すし、法律上例えばこれは言い方が難しくて、合議で決定しているということなので、決 定は絶対にしているはずなんです。これは合議で決定していないという話になったらそも そも法律の要件を満たさないので、その意味では説明は間違っていないと思いますけれど も、今言われたようにもう少し一般に出すときには何か注釈があってもいいかなというこ とだと思います。 ○森田座長 ありがとうございました。ほかにいかがでございましょうか。審査委員会、 またその審査委員会の構成についても、これはかなり関連することだと思います。田中委 員、どうぞ。 ○田中委員 横倉先生、審査委員をやっていてこういったことがないかということ、要す るに合議についての関連なんですが、私はかつて審査委員会の実態をお聞きして、こうい ったことで対応しているという話を聞いたことがあるのは、審査委員の先生の中には特異 な先生がいらっしゃって、極めて審査内容が常識を欠いているわけではないでしょうけれ ども、異常な審査をやられた事例があって、それを合議にかけることによって、いわゆる 一定の国が示されたようなルールに基づいた、要するに世間が納得するというのかな、そ ういう決定に結びついたという話も聞きましたけれども、そういった意味での合議の有効 性というのはあるような気がするんですけれども、そこら辺りで実態はどうですか。 ○横倉委員 実際、一応審査委員の中にも内科の審査委員、内科の審査委員の中でも特に 循環器の専門の審査委員のグループとか、消化器のグループ、また血液疾患のグループ等々 に幾つか小さく区分けをいたします。それと外科の審査委員、眼科、耳鼻科等々診療科ご との複数の審査委員がおられるわけです。  今、田中委員がおっしゃったような、少し毛色の変わったといいますか、我々の一般通 念と少し違うような審査基準をお持ちの方がたまにおられることは事実なんです。そうし た場合に、それを何とかある一定の枠の中に収めるために、やはり複数で審査をするとい うことが当然起こり得るわけであります。  確かに医療費は非常に複雑化をしてまいりました。と申しますのは、1つのレセプトの 中に複数の専門の審査委員が審査をしなければいけないようなケースが大分増えてきてい るというのも事実であります。ですから、いわゆる狭心症で入院をしていて、先ほど佐藤 課長からお話がありましたようなステント留置をする、その同一のレセプトの中に消化管 出血が併発して、内視鏡的な止血術を行わなければならないというような場合、そういう 場合には複数の審査委員がレセプトのチェックをしていかなければいけないということで、 かなり審査の現場では複雑なレセプトについては、複数の審査委員がチェックをしている というような体制で今は取組んでいるという状況であろうと思います。  その中で特異な審査例についてはチェックをしながら、できるだけ一定の方向性に導い ていくということとしているものでございます。 ○森田座長 ありがとうございました。遠藤委員、どうぞ。 ○遠藤委員 私の歯科の方は単科ですので、一応全部の審査委員が全部のレセプトを見る わけですけれども、審査上は当然算定ルールがございます。これは共通の算定ルール。あ とグレーゾーンに関してどう判断するかというのは、審査会の中で審査委員全員で日ごろ 協議していますので、大体の内規といいますか、このようにしたいというような判断がご ざいます。当然、レセプト上で問題のないレセプトはそれぞれ各審査委員がそのまま見ま すので、それはそれでいいと思います。  あと、明らかにだめなもの、査定のものは査定する、そのほかはいいんですけれども、 グレーゾーンの中でもやはり各審査委員でちょっと意見がどうかなというものは、歯科の 場合ですとそう大きな審査会ではございませんので、お互いその場で全員で協議して決め るという形を取っています。  あともう一つは、再審査で当然挙がってくるわけです。そうすると、どなたが審査した か一応わかるので、どうも状況が共通認識と違う場合もあるわけです。そうした場合には、 お互いにどうしようかともう一度協議して、合意するというようなことをとっております。 そういった中で、全体ですべてのレセプトを合議の上というか、明らかに通るものは通る し、だめなものはだめで、グレーゾーンは協議しながらというのを通して合議という形を とっているのではないかなと我々は理解しております。 ○森田座長 ありがとうございました。ほかに。山本委員、どうぞ。 ○山本委員 この審査委員会と審査委員の構成の件なんですけれども、多少ひがみっぽく なりますのでそこは御容赦願いたいんですが、そもそもの審査体制について公平性を保っ てとか、差が出るよという議論があった中で、そういう意味でいきますと先ほど全レセプ トを見ている方は合議制かという問題からすると、この資料にありますように、少なくと も支払基金については先ほど補足的に調剤報酬専門役がいるんだというお話がありました けれども、恐らく審査には関わっていないのではないかと認識しているんですが、その辺 はいかがでしょうか。 ○足利委員 調剤レセプト自体の審査は調剤専門役の方にお願いをしているということで す。 ○山本委員 それは一次審査というんですか。 ○足利委員 一次審査です。 ○山本委員 1人の方がやっていらっしゃるんですか。2人の方がやっていらっしゃるん ですか。 ○足利委員 支部によって複数配置をしているところもございます。 ○山本委員 そうであればよろしいと思うんですが、少なくとも審査という場所に出てい るとは認識しておりませんので、そういった意味からしますと、支払基金と国保連合会な どでは、全レセプトを合議で決めるというときに、先ほど高田委員から全部見ているのか という言葉の問題がありましたけれども、少なくとも合議の中に薬剤師はいないという状 態で審査が進んでいる。 併せて言えば、この論点の中に同業のプロが中を見ることで透明性が担保できるのかと いう指摘がありますけれども、そもそもプロがいないところで決まっていればなおさらの ことではないかという気がしているんですけれども、その辺りが1点。 国保の立場で申し上げれば、たしか2万8,000人ぐらい1人当たり見ていると思うんで すが、医科と比べるとやはり半分ぐらいの量、倍以上の量を見ているので、しかも国保の 方についてはここに医師、歯科医師、薬剤師と書いてありながら、審査委員を置いていな い地域がある。 その中で今の議論は医科歯科については十分な体制を取っておられるので、支払基金な りあるいは連合会なりの論点というのは正しいのかもしれませんけれども、いずれこの 議論の中で、私は第三者でどういう感じがいいのか今後の議論だと思うんですが、少なく とも専門家でなくては大丈夫かという議論にもかかわらず、専門家がいない状態で事が決 まっていることを放置されるのはいささか薬剤としては納得できない気がしますので、そ うした意味でいえば、この議論を進める中で、委員会構成に法の問題があろうかと思いま すが、きちんと審査の中に関与できるような体制を是非組んでいただきたいのをお願いし たいと思います。  それができませんと、ここで幾ら審査の実施体制について議論しましても、調剤はたま たま分業が進んでいる関係で処方箋の発行が進んでおりますから、結果としてレセプトは 増えている。多分多いところは9人ぐらい、少ないところは1人という人数の問題はそれ ぞれありましょうけれども、合議をするにしましても、合議をする相手は医師の方などは 既にやっておりますので、合議ができておりますので、少なくとも同じような合議はして おりますけれども、そもそもする人がいないという状況が放置されるのはこの議論になじ まないと思いますので、是非その辺りも含めて今後どうするかということも議論いただき たいと思います。 ○森田座長 今の点で何かありますか。 ○足利委員 支払基金は調剤レセプトについての体制ということでございますが、申し上 げしましたように、非常勤で調剤専門役という形で薬剤師の方に全支部基本的にはお一人 というところが多いのでございますけれども、配置をいたしておりまして、調剤レセプト 自体の審査につきまして見ていただいているわけでございますが、おっしゃいますように 審査委員会としての決定ということについては、調剤レセプトについては、審査委員会で の審査対象から外しておりますので、基本的に医科歯科のレセプトだけが今の審査委員会 という組織の中で決定をしているということになっております。  したがいまして、今、山本委員から御指摘がありましたように、今後こういう調剤レセ プトの審査というものをどう考えていくかということにつきましては、私ども今後の検討 課題ということにさせていただきたいと思います。  調剤レセプトと医科歯科レセプトとの突き合わせについて、23年度から電子レセプトに ついてはそういう突合ということも予定をいたしておりますので、そういうものとの関連 も今後考えていかなければいけないのかなと思いますが、現状ではそういう仕組みである ということを御理解いただきたいと思います。 ○森田座長 ありがとうございました。田中委員、どうぞ。 ○田中委員 もう一点だけ。審査委員会についてです。私、医療保険者の団体なんですが、 この会議の検討そのものの基本的なスタンスとして1つ申し上げたいんですが、我々は医 療保険の世界において、基本的に医者と保険者は対立軸にあるのではないということです。 国民皆保険体制を維持していくためには、両者の協同があってこそこのシステムが生かさ れるわけですので、そういった基本的な視点で議論していきたいと思っております。  そういった意味でも、この審査委員会で最終的でそういった医科の審査体制があるとい うことは必要なことだとは医療保険者としてもその必要性は感じるわけであります。  この整理の中で抑制効果という言葉があるわけでございますけれども、私はこの抑制効 果というものは、いろんな審査だけではなくて、安保体制も1つの抑制効果だとかという ことがありますけれども、要する抑制効果というものを定量分析に求めるということの困 難さはひとつ承知しておかなければいけないのではないかと思っております。  どの程度定量的な分析で抑制効果を図ることができるかということは学者先生はみんな いらっしゃいますので、そこはお知恵を拝借しなければいけないと思いますけれども、や はり私は一定の社会的な認知度の高い審査機関で選ばれたといいますか、要するに一定の 見識のある医療人がチェックするといったこと自体が関係者の心理面に大きな影響がある のではないかと。やるのだったら定性的な分析も併せてやった方がいいのかもしれないな と思います。以上です。 ○森田座長 ありがとうございました。ほかにございますか。村岡委員、どうぞ。 ○村岡委員 質問を含めてお伺いをしたいのですが、この議論というのがそれぞれ支払基 金と国保の組織の違いと併せてコストの違いだとか、そういったところが出発点になって いると思うんですけれども、審査委員会の体制を見た場合に、国保の方は3,500人ぐらい ということで資料を見せていただきましたが、基金の方が4,500人ということで、それぞ れ都道府県を単位として47の地域の中で成り立っているところですから、ここで1,000人 ほどの差が出てくるというのは非常に大きい差ではないかと思います。  そういう意味で、国保連さんの方は、9億3,000万ぐらいのレセプトのチェックをされ ているということで、私も市町村国保ですから、当然後期高齢者など高額のレセプトが非 常に多いという実態がありますので、相当手間をかけているのではないかと思うんですけ れども、そういった辺りのチェックについて、基金さんと国保さんの方でそれぞれが効率 的に行われているのかどうかということをきちっと検証するということが非常に大事では ないかなと思います。  委員構成については三者構成ということになっているんですけれども、前のお話の中で もあったんですが、委員の任命形態の違いといいますか、国保の方は知事の、都道府県の 首長の委嘱ということになっていると思いますけれども、基金の方はそれぞれの理事長さ んの委嘱だったと思うんですが、そういった違いによって基金さんの方はコストが高くな るという御説明もいただいたと思うんですけれども、その辺りのところが現実的にどうな のかというところの比較というのもきちっとしておくべきではないかなと思いますので、 発言させていただきました。 ○森田座長 ありがとうございました。高田委員、どうぞ。 ○高田委員 済みません。先ほどの田中委員の意見に関連してなんですけれども、請求書 と同様のプロフェショナルの医師、歯科医師等で審査をやっているから不適正な請求を抑 制する効果があるということについて、定性的な部分も見るべきだという御意見は重々わ かるんですけれども、例えば韓国のHIRAなどでは、医療機関が誤った内容で請求しな いように予防のために医療機関に情報提供をいろいろされているわけです。そういった意 味で、先ほど最初のときに話もありました、そういう情報公開が行われてない中で、果た してそれが定性的なとか、定量的な部分が本当にあるのかどうかというところは疑問があ るなと。  紛争処理にも関連してくるんですけれども、今の仕組みで審査結果について紛争が少な いということは、個々の保険者とか医療機関に対してそういう情報を与えられていないわ けですから、それぞれの審査支払機関委員のみ情報を持っていますので、そもそも紛争に なっていないというところもあると思いますので、そういった意味で不適正な請求を抑制 する効果があるということについて本当にエビデンスがあるのかどうかというのはもう少 し掘り下げて議論をしていただきたいなと思います。 ○森田座長 横倉委員、どうぞ。 ○横倉委員 その不適正な請求の是正を審査会がどう関与するか。レセプトが上がってき て、本当に算定ルールの根本が間違っているようなものがときどきあるわけです。ルール 上の問題。それについてはかなり事務サイドでもチェックをしていただいて、該当医療機 関に対してレセプトを返す、返戻をということでやっておりますが、そのときに審査委員 の意見として、このレセプト請求についてはこういう点でおかしいんだと、だからこのレ セプトを返すからそこを訂正していただきたいということでの指導的な返戻をいたします。  レセプトを返すということは、その請求した月に支払いが行われないという医療機関に とってはある程度ペナルティー的なものがどうしてもあるわけでありますが、そういうこ とで是正を図っていくという効果はかなりあるのではないかなという思いがございますし、 また審査委員も福岡の場合ですと、各地域医師会に必ず審査委員が1人はいるのでありま すけれども、その審査委員からも余り著しい請求のミスがある会員に対しては、ある程度 の指導をしていくというようなことも行っております。そういうことでかなり抑制的な効 果は出ているのではないかという認識は持っております。 ○森田座長 足利委員、どうぞ。 ○足利委員 支払基金からも補足をさせていただきますけれども、そういう不適正な請求 の多い医療機関につきましては、審査委員会の方で当該医療機関を文書で指導する、それ でもなかなか直らないような場合には、事務方が訪問するか、審査委員の先生と事務方と も一緒に訪問する、あるいは審査委員会の方に来ていただくというようなことを指導いた しまして、そういった訪問懇談ですとか、面接懇談とか、そういった手法によりまして不 適正な請求を改めていただくという努力をしておるということを付け加えさせていただき ます。 ○森田座長 どうぞ。 ○飯山委員 国保連合会の方も同様に、査定結果が出れば減点通知というものを個々の患 者さんごとにこれは認められなかったということで出しておりますから、当然医療機関の 方としてはそういう請求についてはだめだったということがわかりますので、それは1つ の是正の根拠になるかなと思います。  当然のことながら、懇談とまではいかなくても、いろいろ請求上に問題があれば個々に お話をしていますので、これも1つの抑制効果になると思います。勿論、注意の文書を発 送していることもありますけれども、これについてもこれから情報公開というお話もござ いましたので、できるだけ具体的に細かく記載して、医療機関が理解しやすいようにして いかなければいけないかなというようなことは課題だと思っています。 ○森田座長 ありがとうございました。 ○遠藤委員 先ほどの紛争の多いか少ないかという点、また抑制にかかるという点、いろ いろあると思うんですけれども、紛争そのものは審査会は被保険者というか、患者さんと の紛争を扱うところではないと思っているんです。審査会は医療機関と保険者、請求する 医療機関、または支払う保険者、その中でのレセプトのやり取りの中、多分紛争というの はそういうことだと思うんですけれども、それに関してですと、先ほどからお話があるよ うに、各保険者には当然請求内容で行っているわけですし、医療機関には返戻、査定等で 問題があれば行っているということで、問題の内容が公開されてない、当事者間ではない と思っております。  紛争が少ないのは、医療機関の方も余り審査会に文句を言いたくないというような個人 的な事情もあるかと思いますけれども、内容が公開されないわけではなくて、個々のレセ プト上でそれぞれのやり取りがあるのでそれはあると思うんです。あともう一つは、審査 会の中で先ほど言ったように算定ルール上明らかなものは当然皆ルールブックに載ってい るわけですけれども、グレーゾーンになりますと、確かに医療機関も保険者も分かりづら い点がある場合には、審査上問題があった点とか、医療機関からの誤りの多いような点に ついては、大きなところは通報等にも出てくるわけですけれども、そうではない部分につ いてもとりまとめて年に1回程度は都道府県単位でやっていますので、都道府県の歯科医 師会等に通知、協議して各医療機関に伝達してもらうというような形での審査上の問題は 取り扱っているというところでございます。 ○森田座長 ありがとうございました。山本委員、どうぞ。 ○山本委員 薬剤の方もそうですけれども、高田委員がおっしゃった紛争というのは提訴 関係に入るかということであればまた別なんですが、少なくとも再審査請求自身はもう既 にそこで紛争という認識をしておりますので、更にそれを再審した後、もうひと戻り、ま だ再審に上がってきますので、そうした意味では私も審査に行っておりますけれども、会 期中2日くらいはそうした再審査に取られていますので、恐らくお考えのようなことは起 きていないでしょうし、十分に調剤レセにしましても、かなり詳細に書きませんと理由が わかりませんので、多分十分なことができているのではないと理解しております。 ○森田座長 では、高田委員。 ○高田委員 済みません。私の言葉足らずでございまして、私が申し上げたかったのは2 点ありまして、1点は個々のレセプトの問題です。私どもが再審査で出したりしても原審 どおり返ってくる。それについての中身の説明が足りない。これはずっと従来から。それ は先ほどいろいろお話があったことでわかるんですけれども、もう一つの紛争というのは、 最初に横倉委員様がゴルフに例えて、グレーのところの話、その基準が医療機関にも保険 者にも公開されていないから、そこがもっと公開されれば入り口のところでもっとそうい う事務というか、そういう審査の部分ももっと効率化できるのではないかということを申 し上げたかっただけでございます。 ○森田座長 ありがとうございました。どうぞ。では、簡潔にお願いします。 ○遠藤委員 グレーゾーンの部分の考え方なんですけれども、要はグレーゾーンになって いるということは、一律に決められないからグレーゾーンになっているケースが結構ある と思うんです。要は個々のレセプトで見ないと良いか悪いかわからない。ですから、判断 がレセプト毎に分かれるようなケースが結構あると思うんです。  ですから、ルールとしてこうだと言ってしまうと、全部のレセプトに適用されてしまう わけですけれども、それが好ましくない場合があるということも含まれているということ だけ御理解いただきたいと思います。 ○森田座長 ありがとうございました。この審査委員会と審査委員会の構成について、い ろいろな論点について御発言があったと思います。  私、座長を離れて個人的に感想といいますか、むしろ御質問させていただきたいんです けれども、実際問題として、なかなか全レセプトが難しいとか、合議というのもある意味 で言いますと制度的なフィクションであるということであるとか、実際には専門の委員の 方が入っていないところもあるというようなお話もございまして、現実はなかなか難しい と思った次第です。 行政の制度とか、法制面の研究をしている者からいいますと、この三者構成の構造とい いますのは、利害が対立する関係者がどうやって1つの結論を得るかという、これは岩田 先生に後でコメントしていただきたいと思いますけれども、いわゆる対審構造の仕組みを 採用しているものだと思いますし、例えば賃金に関して雇用者側と労働者が調停する労働 委員会であるとか、医療関係を見ますと、まさに中医協の支払い側と診療側は利害が対立 するものですから、そこで合意を得るための仕組みである。 あそこはルールを決めるところですけれども、こちらの方はルールが適用されているかど うかということを確認する仕組みとして三者構成の仕組みができていると思います。  先ほどから紛争がどれぐらいあるかということもございましたけれども、基本的に支払 う側はなるべく少なく支払いたいし、診療側はなるべくたくさんもらいたい。これはそう 言い切ってしまうといけないのかもしれませんけれども、そのように理解しておりますが、 そういう構造の中できちんとルールに従って支払われているかを審査するのがその機関だ としますと、基本的にルールは全国一律ですし、それがどのように適用されるのか。 勿論、グレーゾーンの話がありますけれども、そうした関係でこの仕組みというのを見 ていった場合に、ここで議論するというのはその仕組みが本当にそういう制度の趣旨どお りに機能しているのかどうか。 レセプトの数が多くなりますし、非常に専門分化してきている。しかも金額も大きいこ ともありますし、専門家の調達も非常に難しい。それを全国で47都道府県で異なった 形でそれが運用されているのではないかとか、実際に専門の方が全部きちんとチェックす ることが難しいのではないか。そして、その方たちが合議でもって結論を出すということ が難しいのではないか。 そういう問題定義と理解したんですけれども、そもそもそういう私の理解がどうなのか ということで岩田先生のコメントをいただきたいと思いますし、その後で、その理解につ いて、御議論、異論、反論でも結構ですし、コメントをいただければと思います。  それが明らかになりますと、その後、都道府県単位の問題、これはまた後で審議すると いうことになっておりますけれども、それとIT化の問題というのもそこからつながって くるのではないかと思っております。  よけいなことを申し上げましたけれども、岩田委員、コメントをお願いできれば。 ○岩田委員 座長が言われたとおりだと思いますので、そのまま進めていただければと思 います。済みません。 ○森田座長 座長の立場で余り特定の意見を言うのはよくないと思いましたから、サポー トをお願いしたいと思います。横倉委員、どうぞ。 ○横倉委員 三者構成の意義がいかがかということなんですが、多分多くの県では、学術 代表については大学病院を中心とした診療担当者から、保険者側の代表審査委員について は、いわゆる社会保険病院や済生会等の公的医療機関を代表するもの、診療側委員には、 医師会に推薦をお願いしているというような状況からの三者構成でつくられていると思い ます。  しかしながら、その三者とも医療に携わる人間に変わりないわけです。今お話がありま したように、対立軸なのかと言われると、多分審査をする上でよりよい医療提供をするた めに、そしてまたそれが保険ルールに則って請求が行われていたという観点では、余り対 立軸はないだろうと思いをしておるところであります。  ただ、その中に、以前ですと先ほどの冠動脈のステントの本数等々のところで、ある程 度実際は1本でしたかったけれども、3本いったんだという場合に、それを認めるか。実 際にはそれはルール上は1本しか決められていないので1本しかだめという立場をとるか というようなことでの違いがときどきある程度であろうかと思います。  三者構成ではありますけれども、過剰な請求に対してはみんな厳しく対応しているとい う状況であろうと思っております。余り大きな対立軸ではあり得ないのではないかという 思いがしますので。 ○森田座長 高田委員、どうぞ。 ○高田委員 審査委員会の構成につきましてお話があった中で、三者構成のみで中立公平 な審査が担保できているというお話がずっとあるわけでございますけれども、今、横倉委 員の方からどういう先生方が出られているというのは了解いたしました。  ただ、実態といたしまして、三者構成ということで診療担当者の方は勿論、医師会、歯 科医師会から出るのはあるかと思いますけれども、保険者推薦というは、結局保険者の方 もこの先生が本当に審査に向いているのかどうかという情報はどこも正直持ち合わせてお りません。それは健保だけではなくて、ほかの保険者もそうだと思います。  今回、健保連の方で、健保連から出している審査委員について全国的に調べました。47 支部基金がございますが、その中で41支部は、要は支払基金さんの方がこの先生でという のを持ってこられて、それを各健保連の連合会が事務代行のような形で名前は健保連で承 諾書をもらっていますけれども、要はノウハウというか、実際に本当にその先生が正しい のかというのはないわけです。  残りの6支部が145名審査委員を出していますけれども、実際健保連の方で何とか汗を かいて見つけてきた先生というのは17名。ですから、11%ぐらいということでございます。 それが1点あります。  学識経験者、公益の委員のところでございますが、これは支払基金が前の特殊法人だっ たときは、社会保険事務局などがそれなりに委員の候補を見ながらいろいろチェックもさ れていたということを私も聞いていますけれども、今は各県の支払基金支部に学識経験者 審査委員会、選考委員会で実質的に決定されるんですけれども、そこの座長は基金のたし か幹事長。それ以外の構成は委員長が医師で、副委員長が医師と歯科医師等々で、全部医 師、歯科医師でやられる。 その場合に学識経験者ということになると、本当に中立というかそういう立場の中に保 険者が全然関与するあれがないといったことになると、実質的に本当にこれで今の実態と して、建前と実態が本当にイコールなのかということを私どもの保険者としては非常に不 満というか疑問を持っているのは確かでございますし、そもそも基金の場合でいきますと、 審査委員は医師と歯科医師しかできない、これは法的ではないと思いますけれども、その 辺も踏まえて、要はきつい言い方になりますけれども、診療担当者はなるべく医療費は多 く支払っていただきたいというバイアスが働くのはあると思いますので、それが厳しく見 ているということになると、そこを厳しくやっているというところをもう少し同じ中に入 って見させていただくようなことがないと、本当にこれが担保されているかどうかという のはわからない。  これは厚労省内の事業仕分けの中で原審査の中の裁判所の裁判の第一審だという御説明 があったんですけれども、裁判の方も御存じのとおり、いろいろ専門家だけではなくて、 国民の声ということで裁判員制度のようなものも入ってきていますから、必ず医師、歯科 医師でないとだめなんだと、審査委員会は100%医学的判断が全部。それであるならばま だ理解はできますけれども、そうではないルールとか過剰とか、そういう部分もあるわけ ですから、そういった意味でいきますと、今の構成で本当に中立公正が担保されているか というと疑問というか、正直そう思っていない保険者としては多いと思います。 ○森田座長 ありがとうございました。高橋委員、どうぞ。 ○高橋委員 これはあくまでも建前論なのでしょうけれども、今の三者構成と先ほどの全 レセの合議による審査が制度の建前としてつながっていて、保険者側と診療側と学識、こ の三者で委員を構成して、その三者から選ばれた合議体で審査をするから公正なんだと。 ロジックはそういうことになると思います。  ただ、現実はどうかというと、確かに委員のそれぞれ1人ひとりは保険者推薦、診療者 側、公益側というふうに出てきますが、審査の現場は、例えば支払基金でも審査の在り方 の検討会などでずいぶん話は聞いていますけれども、現実には何側かどうかは別にして、 ほとんど1人の人が担当していて、ほとんど最終決定はそこで行っているわけで、最後は 形式的には審査委員会に上がりますけれども、実際には一種の独任官的になっていて、ほ とんどそこで決定審査をされているわけです。 別にそうした現実をおかしいと言うつもりはありませんけれども、そうすると、最後の 出口までほとんど1人だったら、現実はここに書いてある公正な審査を担保する仕組みと いうのは根っこから実態はないわけです。そういった意味ではむしろ本当に新しいものを 議論するなら、そんなにこだわるつもりはないんですけれども、現実にもし新しいものを 本当につくるのであれば、三者構成でちゃんと審査委員会で全部の案件を最終決定するか ら、三者の立場から見てフェアですねというようなロジックだけで処理をするのではなく て、独任官ならば独任官であるという現実を認めて、その代わりその人間はきちんとフェ アな立場で審査をしますと、外からチェックをかけられる仕組みにしますという方に持っ ていった方がはるかに現実に即した合理的なやり方だとは考えます。 ○森田座長 ありがとうございました。また私がよけいなことを申し上げて恐縮ですが、 三者構成の場合には、先ほど申し上げましたようにこれは基本的に人間の知恵が生み出し た制度でありまして、利害が対立する場合に両者がきちっと公開の場で話し合う、そして 合意に達すればいいし、達しない場合には中立的な形での学識経験者が裁定をするという 構造で、まさに中医協などはこうなっていますし、これはどうか知りませんけれども、多 くの場合には両者の側の数のバランスもかなり配慮されている制度だと思います。  もう一つは、それに関連してお医者さんのプロフェッション(専門性)ということです。 前回ピアレビューというお話も出ましたけれども、これは専門的なことは専門家の方でな ければできないということですけれども、先ほどお話がございましたように、あくまでも 保険者が推薦するという形になっておりますように、専門家ではありますが、代表してお ります利害の立場は違う、それがチェックし合うというのが本来のピアレビューの在り方 だと私は理解しておりまして、そこがある意味で言いますと同じ立場ということ、立場の 違いを明確にした形で公開の場で御議論されないというところから先ほどもありしました ようないろいろな疑惑といいましょうか、そういう疑問が出ているのではないかなという 気がしておりまして、これはこの制度を考えるときには、そうした制度の原点といいます か、どうも制度をつくられたときの設計の意図と大分現実の運用の実態との間で乖離が生 じているような気がしております。そこで現実に併せて制度を変えるとしますと、制度そ のものの合理的な意味合いというのをきちんと確定しなければなりませんし、そうではな いとしますと、制度に合わせて実態の方を改革する必要もあるのではないかなという気も いたしております。  今日の場合には、制度の運用の在り方もさることながら、現実問題としてこの全レセプ トを合議でということ自体が実際には不可能だとしますと、それに代わる仕組みというも のを考えていかなければいけない。それを運用の段階で合理的と言えるかどうかしりませ んけれども、きちっとした形で外に対して説明できるような理屈がないとここの検討会も そうですけれども、外に対して発信といいますか、こうしたという意見を述べられないの ではないかなという気もいたしております。  よけいなことを申し上げましたが、思ったより時間が経っているので、整理をさせてい ただいたわけです。関連して申し上げますと、その後の都道府県の差もございますし、実 質的な審査を効率的に進めるという意味で、IT化に伴う審査業務の見直しについてとい うことで、これは一応進められているということでそういう仕組みというものは考えられ ているようですけれども、実質的にはいわゆる情報を集めて審査をする前の段階までのI T化が進んでいるわけでして、ここで議論されておりますのは外国はそうだと思いますし、 ここで多分議論すべきことは、審査そのもののIT化ということです。 そうしませんと、専門の方がいないとか、実質的に時間がかかって全部できないとか、 そういうことに対しまして解決策になり得るような技術、これをどう考えるかということ だと思います。 もう時間が残り少なく、あと15分ぐらいでしょうか、こちらの方についての御発言も いただければと思います。いかがでございましょうか。 どうぞ。 ○渡辺委員 今日もそうなんだけれども、次回、更にその次もこの問題をやるというので すが、そもそもこの検討会というのは、事業仕分けで支払基金と連合会の統合ということ を言い出され、それに対して検討するというのが御承知のとおりであるので、今日の資料 を伺っていると、例えば基金と連合会の審査体制をとっても、もう少し違いがわかるよう な格好を私たち言わば素人に、あるいは共通部分があるのか、はっきり言えば、大変お忙 しいところ失礼ですが、連携をとったような資料みたいなものが出ればもっと望ましいか なと思いますので、次回以降、それをできればお願いしたいと思います。 ○森田座長 あとどなたか。 では、高橋委員、どうぞ。 ○高橋委員 確かに渡辺委員の今のお話のとおりと思います。多分ここの議論はほとんど 支払基金の話に終始していると思いますので、国保連はよくわからないので、その辺をよ くお願いしたいと思います。  都道府県別の審査の関係で。前にも申し上げましたが、今の支払いは、国保連そのもの はもともとそうですけれども、支払基金も結局その中においては各都道府県の審査委員会 が審査に関する最終決定権を持っています。それで支払側が審査内容についてこれはどう かといったとして、都道府県の審査委員会に対して再審査の請求を出して、答えとしては イエスかノーと来ますけれども、同じ都道府県のレベルをやっています。ですから、不服 審査をしているだけで、上級がないものですから、そうすると、同じ都道府県段階の審査 のところでいつもキャッチボールをしていて進展がないのです。  そういう意味では一種の上級の処理機関、とすると例えば支払基金のシステムの中であ れば、支払基金の本部にもう一回裁定がちゃんとできるような処理機構を設けてほしいな と。多分国保の場合も中央レベルという話ができるかもしれませんが、そういうものがな いと、いつまでも各都道府県の段階で堂々巡りをしているだけという感じもいたします。 ○森田座長 それは都道府県の中で統合を進めるべきという。 ○高橋委員 そうではなくて、上級ですから、各都道府県で差異もありますし、中央レベ ルだとか、支払基金であれば、支払基金の本部に更に何か委員会を設けて、そこに再々審 査請求に持っていけるようなシステムをできたらありがたいということであります。 ○森田座長 どうぞ。 ○足利委員 冒頭の私の方からの資料でも示しましたように、今の仕組みといいますか、 制度的には各都道府県単位で審査委員会をこしらえて、そこで最終の審査決定をするとい う制度的な仕切りになっておりますので、そういう高橋委員の御指摘のような方向という ことであれば、制度的な対応というのも検討いただかなければいけないかなとは思ってお ります。  私どもとして、これまでそういった支部間の取扱いの違いについての今の枠組みの中で 取り組めることということで、本部に審査に関する支部間差異、支部間の取扱いの違いで ございますが、その支部間差異の解消のための検討委員会というのをこしらえまして、支 部でそういう扱いの違いのものをまずはブロック単位での審査委員会の委員で集まってい ただいて、検討いただく。それを更には本部に上げていただいて、年に原則2回といった ペースでありますけれども、やってきておる。 そういう取組みはしてきておるわけでありますけれども、先般御紹介しました審査委員 会の在り方検討会では、もう少しそういうことをやるにしてもスピード感を持って取り組 むべきではないのかという御意見もいただきまして、これを踏まえましてもう少し今の枠 組みの中で決定というのは基本的にはそれぞれの支部における審査委員会が決定する にしても、それを本部で協議をしてそういった取扱いができるだけ平準化されるように本 部で迅速に対応できるような専門家チーム、審査委員の方の有志によるWGですとか、そ ういった体制は今そういうのが基本的には年2回の仕組みしかございませんので、もう少 し迅速な対応をすることで、そういった支部間の取扱いの差異をできるだけスピーディー に解消できるようにということを実は先般の審査委員会在り方検討会の報告を受けまして、 近々に取り組んでいこうということを今考えているところでございます。 ○森田座長 どうぞ。 ○飯山委員 再審査の件について申し上げますと、これは同じ審査委員会の中であります が、再審査に関しては再審査の部会を設けておりまして、全く最初の原審査と同じレベル で再審査をしているわけではございませんので、そこのところは違った観点でもう一度審 査をしているということを御理解いただきたいと思います。  地域差の解消等の問題につきましては、前回の私どもの説明資料の19ページ以降に記載 してございますので、説明は重複しますので申しませんけれども、もう一度ごらんいただ ければと思います。 ○森田座長 どうぞ。 ○横倉委員 再審査の在り方で上級審というお話がありました。大体各都道府県は支払基 金も国保もでありますが、専任審査委員は支払基金の場合専任ですね。国保の方は常務処 理という常勤審査委員に近いような形での審査委員がおられます。この専任及び常務処理 に携わる人は、学識代表ということになってということで、かなり審査のベテランの先生 が多いということで、再審査の場合は必ず専任もしくは常務処理の方との合意の中でやっ ているという状況もあります。 たしか支払基金の方は中央審査の方も、高額の場合は国保も社保も中央審査に上げるわけ でありますけれども、その中央審査の中で一定の方向性が出た事柄については、それぞれ の各支部にも通知が行って、常勤の常務処理や専任審査委員がそれを理解してそれぞれの 審査委員に一定の審査レベルで方向性を付けるということが行われているということでご ざいますので、確かに支払側が再審査請求あってまた返ってくるのはしけからぬとおっし ゃるのはよくわかるのでありますが、それなりに理由があって返ってきているのだろうと 思いますが、それぞれの支部で差があるというのもまた事実だろうと思うんです。  ですが、その中には一応一定の方向性は中央の方で付けられているというような認識を 私ども持っているということもお伝えをしていきたいと思います。 ○森田座長 どうぞ、岩田委員 ○岩田委員 ありがとうございます。自分で言いたいことがうまくまとめられるかどうか よくわからないんですが、どういうふうに申し上げればいいんでしょうか。先ほど座長か ら制度目的と実態がうまく一致していないとか、さまざまな制度をつくったフィクション が現実としてうまく働いていないという話があったと思うんですが、そもそも論から言う と、私も法律の分野にいるので、法律というのはルールがあってそれを解釈するというこ となのですが、私のイメージから言うと、ルールがあれば、しかも専門家がそれに関与す れば意見が違うのは当然だという感じがそもそもとしてあります。  だから、別の法律家に意見を聞けば異なる意見が返ってくるというのは普通のことだと いう感じがあるんです。だから、それでいいかという話ではなくて、それをいかに外から 見たときに公平性を担保するというか、統一性を担保するかという制度的枠組みが必要だ という話があったんだと思うんですが、現状が先ほど高橋委員が言われたように、例えば 支払基金にせよ国保にせよ、組織の内部では別の人たちが担当しているけれども、外から 見ると結局同じところで同じレベルでやっているのではないかという透明性というか、う まく説明責任が十分果たされていないのではないかというのがきっと問題ではないかと思 うんです。  裁判所との違いを見ると、個々の県にも地方裁判所があって、その上に高裁があって、 最高裁があるみたいな手続になっているので、これもフィクションですけれども、何か争 いがあれば最終的には争うと思えば最高裁で統一的な意見が出るというのと比べると、今 の支払基金にしても、国保にしても、そういう制度的な枠組みにはきっとなっていないの で、どこか争いがあったら統一的に最終的に意見を言うという形にはなっていないので、 その意味では説明責任の部分で少し劣るところがあるようには思います。  ただ、裁判所の三審制みたいなものも結局はフィクションでしかすぎないので、すべて が最高裁まで争えるかというと、争えないですし、結局最高裁で全部の事件を扱おうと思 ったら扱えないですから、そうするとやはり限定せざるを得ないので、一部については勿 論統一的なルールはできますけれども、必ずしもどこまで資源を投入すればいいかという となかなか難しい問題で、結局はフィクションにならざるを得ないと思うんです。 そうすると、やり方としては先ほど高田委員とかがずっと言われていたことだと思いま すけれども、透明性とか説明責任とか、審査結果を公表するとか、実際に今支払基金がや られている中でもすごく努力されている部分があると思うので、そのお医者さんたちが審 査委員に関わってボランティア的にやっていることが外に十分出てこないということは事 実だと思うんです。 私も支払基金の検討会に出て初めてわかったことというのもいっぱいあるので、その部 分については大いに努力していただくことが重要だと思いますので、そういうフィクショ ンならばフィクションでしようがないので、現実の部分で何とか説明をうまくとか、もし くは反論、可能性みたいなものを担保するようなことを考えていかれる方向しかないのか なというのが今私が思っている直感的なことです。まとまらなくて申し訳ありません。 ○森田座長 ありがとうございました。これについて高橋委員、何かございますか。よろ しいですか。では、手が挙がっていますので、山本委員、どうぞ。 ○山本委員 この議論がそうなるのだろうと思うんですが、先生のお話を伺って、確かに そうだなと納得しているんですけれども、自分でフィクションにもかかわらずフィクショ ンでない審査会へ行っている立場になると、とても悲しい気がするんですけれども、一体 何をしているんだろうな。 ただ、今おっしゃったように、さまざまな査定率の差があるとか、問題点があり、ある いは透明性がないというのは、片方では扱っている情報が極めて公表しにくい情報である ということも当初言われていますし、そもそも三者構成の中で担保されるのかということ で言えば、最低3人はいないと三者構成ができないということになりますので、そのこと も含めてなるほど難しいとは思っていますけれども、少なくとも審査会に行くときに教え られることは、例えば薬から見ることは同じだろう、ただそのときにあなたは保険者を代 表している、だからそういう目で見ろ、あなたは診療側だからそういう目で見ろ、あなた は公益だとなると、では薬剤師はどうするかというと、診療側にいる者は何とか通したい と思う、保険者にいる方は何とかお金を安く終わらないかなというのが実はぶつかり合い が起きるわけで、確かに1人で完結しているという問題はありますけれども、そこはそれ ぞれ議論されているので、ちゃんとできているんだろうかと、余りフィクションだろうと ノンフィクションだろうといささかつらいなという気がします。  もう一点、都道府県単位の審査なんですけれども、ここにあるように格差が出るのはお かしいと思う。明らかに車は右側を走れというのに左を走っていいという人はいないわけ ですから、それはだれが見てもわかるわけですから、では1cm外れたらいけないのかとい うのはなかなか難しい。そうしたことが実は差になってきているとすれば、その整理が一 定要るのではないか。そのときにではそれを競争させたり、統合したらうまくいくかとい ったら、やはり結論は同じではないかなと思いますので、その辺りを十分に御検討いただ きたいのと、仮に県単位の審査あるいは全国で統一にした場合に、前回はたしか御報告の 中で地域を変えて同じレセを見てもらったら、余り大きな違いがなかったというようなこ とがたしか出ていましたね。  そういうことから考えますと、基本的に変わらないのでしょうけれども、例えば薬の面 で言えば、使い過ぎているという議論が出たときに、その地域に極めて病気が多いとか疾 病構造によっては当然差が出てくるわけでありまして、そのことをもって薬剤費が高いぞ と、だから審査会はまともに仕事をしていないというようなことが起こってしまうと、ま さに必要な医療が提供されなくなってしまいますので、できることならば県単位の一定の 最低レベルは当然そろえるべきだと思います。 あるいはIT化が進めば、事務的に済むような部分については、極めて簡単。先ほど足 利さんがおっしゃったようにシステムでできるのでしょうけれども、疾病構造やら医療者 の数とかそういったものを十分に検討しませんと、単純に都道府県で同じでなければいけ ないという議論はなかなか成り立ちにくいのではないかなと思いますので、その辺りも含 めてこういう議論は要るのではないかと思います。 ○岩田委員 私の言い方が悪くて、フィクションというのがあたかもいいかげんなことを やっているともしかすると聞こえたかもしれません。私の趣旨はそうではなくて、フィク ションというのは制度的に組織をつくったから現実がすべてうまくいくということはなか なか難しいので、フィクションであってもきちんとやられているという場面は十分あり得 ると思うんです。だから、それを説明するということだけですので、決してそういう趣旨 はありませんので、そこだけ誤解のないように。 ○森田座長 課長から手が挙がっていますので、どうぞ。 ○吉田保険課長 議論に水を差すようで恐縮です。事務局から事実関係だけ1つ。今、山 本委員の御発言の中にありましたように、交換した場合にどういうことが起きたかという ことについては、改めてこの会議の場でいろいろな関係資料を提出させていただき、ファ クトファインディングをし、御議論をいただこうとは思います。事務局の認識している限 りでは、前回お示した資料などでは結構幅があった。それをどう評価するかというところ で御議論があると認識しております。 ○山本委員 済みません。誤解をしておりましたので、そうであればまた別に議論があり ますので、失礼しました。 ○森田座長 ありがとうございました。だんだん時間がなくなると議論が活発になってま いりますけれども、あと一言一言で、まだ御発言をされていない方もいらっしゃるかと思 いますので、その方にもお願いしたいと思います。田中委員、どうぞ。 ○田中委員 先ほど渡辺委員から極めて基本的な話があって、比較資料をつくるというこ とですか。要するにそもそもがこの会議だという話であったんですが、私はその場合に比 較資料をつくることはできる。事業をやっている機関が2つあります。そのときになぜそ の差異が生じるかということについての原因、背景、これを見定めることも決して悪いこ とではないと思います。 基本的には基金の60年の歴史の中で本部、支部の関係できちんと仕事をやって見えた と思います。国保連合会は、いわゆる47県がそれぞれの責任を持ってそれぞれの端的にい えば47の正義の中でやってある。昭和34年から50年間です。こういった60年、50年と いうそれぞれの組織の中で、また県単位、本部、支部単位こういったことでやっていかれ る中で、どうしてそういった差異が生じてきたのかということをここで検証することは決 して悪いことではないんですけれども、この差異をなくす方策というものをここで議論さ れて、その方策があるのかどうなのか、その方策を実現するために統合や競争というもの で解決するのか、そういったことではないかと思いますけれども、その場合、手数料とか 査定率ということの差異が主要な関心事でありますけれども、こういった手数料とか査定 率というものの、特に査定率の話ですけれども、では一定のルール基準というものがどこ まで精度高くつくられているかということは別としまして、要するに査定率の許容範囲と いうのを国はどういったふうにお考えになっているのか。  都道府県間の査定率の許容範囲、組織間の査定率の許容範囲、これから1人当たり扱い 件数とかというのも審査委員とか職員とか出てくると思いますけれども、ではそこは標準 的な数字があるのか。1人当たり審査委員の取扱い件数の標準数値は幾らだろう。そうい ったことを意識して議論していかないと、統合、競争というものがいかにも審査問題のす べての解決方策だといったようなことでは、今ある基金と国保連合会というのは先ほどの フィクションではないんだけれども、何をやってきたんだと言われんばかりのことであっ て、そこら辺りのことは論理万能の分断的知性というのは危険だと思っているんです。論 理性を持って一定の検証をすることも大事なんですけれども、やはりすべての事象という のか長い間の経験数、経験値の知見に基づいてよりよく、いいという形で存在していると 思うので、そういったことを基本的な考えといいますか、そういった思いを持っていかな いと、いたずらに方向性を誤るのではなかろうかと思いますので、一言。 ○森田座長 では、どうぞ。 ○高智オブザーバー 済みません。健康保険組合の加入者あるいは患者の視点等から見ま すと、もう少し実態論に踏み込んだ、生意気な言い方ですが、事実を見計らった上での議 論が大切だと思います。  1つは支払基金さんの方からの情報開示によりますと、いわゆる効率化分レセプトでご ざいます。効率化分レセプトといいますのは、医療機関の中でもABCといった区分けが ございまして、ときどき御指導等が必要な場合の医療機関、そうでない医療機関、そうい う区分けでございますけれども、それによりまして結果として裏返して言えば、重点審査 をしているということになるわけでございますが、事実関係といたしまして、常に3割の レセプトが効率化分レセプトとしてそのまま下へ落としていると理解しておりまして、健 康保険組合の経営者の方からは、常に非常に不満の声が聞かれるわけでございます。  勿論、この重点審査が悪いということを申し上げているわけではございませんで、今日 も諸外国の関係の資料が出ておりますけれども、いずれの先進国におきましても、効率化 を目指した審査体制が組まれて、実効が上がるようなことが組まれていると思いますけれ ども、この辺の加味要素等につきましても今後の議論の中に入れていただきたい。  そういたしませんと、3割という数字は常にタクシーの料金、卑近な例かもしれません けれども、深夜料金を払っているような形で流れている感じです。この辺の事情につきま しても是非御議論をいただければありがたいと思います。 ○森田座長 ありがとうございました。  それでは、あとはお一人、粟生田委員、御発言をお願いします。 ○粟生田委員 専門的審査委員会の話になりますので、なかなか私、行政の立場ではわか りづらいんですけれども、実際に審査委員会が統一するような形になった場合に、ITの 関係が当然出てくるわけなんですけれども、そういうとITがどのような形で町に影響し てくるのか。そういった具体的なところが確認できると私の方としては非常に安心すると いう感じがいたしました。以上です。 ○森田座長 ありがとうございました。予定した時間を少し過ぎましたので、そろそろこ れくらいにさせていただきたいと思います。次回は審査の質の問題とか査定率の問題、今 日も積み残したことがあるかと思いますので、議論させていただきますが、最後に一言だ け座長の特権で印象めいたことを言わせていただきますと、私もこの問題は素人ですけれ ども、研究者ですので、方法について若干こだわるところがあります。今回の査定率の違 いというのを何となく印象として申し上げますと、中医協で診療報酬のルールが決まるわ けです。勿論、幅があるわけですけれども、それを適用する場合、例えば高校野球などで 言いますと、47都道府県で2つあるわけですから、94通りのストライクゾーンがあるよう な気がいたしまして、それでゲームをしているとやはり不自然ではないか。そこは統一す べきではないか、そういうそもそもの疑問を持っております。違っていいんだという理由 があればまた教えていただきたいと思います。  もう一つは、仮にそうだといたしますと、ルールの一本化の話と競争一元化の話が若干 混乱しているような気もいたします。要するにストライクゾーンを全国統一するという話 と、必要な能力があるというのが前提ですけれども、いかにアンパイアを安く雇ってくる かというのは別な話だろうと思っていまして、アンパイアは一元的にしてルールも1つに 自動的になるかどうか。ルールをきちっと一本化して、しかもアンパイアはそれぞれのと ころから、一定の質が確保できる限り、安くやってくれる人を雇うというのが効率化に結 びつくのではないかなという印象を持っております。 その点で言いますと、ITの話が出ましたけれども、私も専門ではございませんけれど も、今のIT技術は相当進んでおります。グレーゾーンはたくさんありますけれども、一 定の幅の中では当然のことながらある程度の正規分布をするはずですから、その幅の例え ば標準偏差かその倍か知りませんけれども、そこからの外れ値についてはきちっとチェッ クをするということは必要かと思いますけれども、その範囲の中で許容するということに よってもかなり統一化とか効率化が進むのではないかと思っていまして、これは機会があ れば専門の方にお話を伺った方がいいのかもしれませんし、私がそういうふうに生意気な ことを申し上げますのは、外国ではそうした形での技術が随分入っているということを聞 いておりますので、日本だけなぜ入らないのかという、これはまた科学的に説明しないと 説得力を持たないと思われます。  要するに学者といいますのは、自分がきちんと筋を通して納得できれば説を改めること はそれほど嫌ではないんですけれども、納得できないことには理解できるまで固執します ので。失礼しました、よけいなことを申し上げました。  それでは、これで予定の時間を過ぎましたので、本日の議論は終了とさせていただきた いと思います。 ○高田委員 済みません。1点だけ事務局へお願いでございます。次回は審査の質とか査 定率とか出ますので、査定率だけが非常にクローズアップされているというところがある ので、是非資料をとりまとめていただきたいのが1点だけございまして、支払基金と国保 連の方の審査委員が1,000人ぐらい違うという話もございましたが、査定率だけではなく、 その参考の資料として、審査委員1人当たりの例えば査定点数、金額、そういうパフォー マンスを見る意味でも5年程度の推移を資料でまとめていただけないかなというのが1点 と、資料をもう少し早くいただきたいです。  私などは地方の人間なので昨日から来ておりますものですから、いろいろ追加があって も見れない部分がございます。日程調整のところを締め切った後、なるべく早めに決めて いただいた方が、私以外の委員さんは大変お忙しい方が多いと思いますので、この日、日 程が決まらないとほかの日程も決まらないと思いますので、場所は別として、日程はなる べく早く決めていただきたい、それだけです。 ○森田座長 それでは、これで私の司会は終わりにいたしまして、あとは事務局より次回 の日程等についての御説明があるようですので、よろしくお願いいたします。 ○吉田保険課長 ありがとうございました。次回の開催日程につきましては、御連絡申し 上げておりますように、6月25日金曜日の午前10時からのお時間をいただいております。  また、次々回の日程につきましては、今、高田委員からも早めに決めるようにという話 で、鋭意いただいて調整をしております。7月末を軸に調整をし、なるべく早くに御案内 を申し上げたいと思っております。  また、御議論いただくテーマにつきましても、今、6月につきましては、先ほど資料2 でお諮りしたようなことを中心に、座長の方から今日の残り分というお話も先ほど出まし たので、その辺りも含めて相談をさせていただきたいと思います。  また資料につきまして、幾つか御要望もありましたし、そもそも早くということもご指 摘いただきました。早くということについては最大限努力をいたしますし、内容につきま しては率直にできるものできないものもあるのかなと思いながらも、いろいろ御要望があ れば事務局にいただいたものをできる範囲で準備をし、なるべく早くにお手元にお届けす るという形にさせていただきたいと思います。  また、今日、委員の皆様方には別途御配付させていただきました、この正式な会議とは 別に現地視察ということについても併せて調整をさせていただきたいと思いますので、よ ろしくお願いいたします。  事務局からは以上でございます。次回は6月25日10時からということでよろしくお願 い申し上げます。 ○森田座長 それでは、少し遅くなりましたが、どうもありがとうございました。またよ ろしくお願いいたします。 〈照会先〉 厚生労働省保険局保険課 03−5253−1111(内線3249) 厚生労働省保険局国民健康保険課 03−5253−1111(内線3265)