10/05/26 第1回チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ議事録 第1回 チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ 日時 平成22年5月26日(水) 10:00〜12:00 場所 厚生労働省5階共用第7会議室 ○島田課長補佐  ただいまから、第1回「チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググ ループ」を開催させて いただきます。委員の先生方におかれましては、ご多 用の中を当ワーキンググループにご出席いただきまして誠にありがとうござい ます。初めに、看護課長の野村よりご挨拶を申し上げます。 ○野村看護課長  看護課長の野村です。本日はお忙しいところをご参集いただきましてありが とうございます。また、当ワーキンググループの委員をお引き受けいただきま して誠にありがとうございます。  ご案内のとおり、昨年8月からチーム医療の推進に関する検討会を開催し、 今年の3月にチーム医療の推進のための具体的方策について取りまとめをいた だき、それを受けて5月12日に第1回チーム医療推進会議を開催いたしました。 そして報告書で提言されましたチーム医療を推進するための看護業務の在り方 について、この会議で検討を行うことになったところです。  今般、その具体的な方策の実現に向けた、詳細な検討を行うために、本ワー キンググループを設置することといたしました。チーム医療推進のための看護 業務検討ワーキンググループでは、チーム医療推進会議の検討方針に基づき、1 つ目に看護師の業務範囲、2つ目に特定の医行為の範囲、3つ目に特定看護師(仮 称)の要件、4つ目に特定看護師の養成課程の認定基準などについて、詳細な ご検討をしていただき、一定の結論をまとめていただきたいと考えております。 今後、委員の皆様方には現場の実情を勘案しつつ、幅広い観点からご議論を重 ねていただきたいと思っております。どうぞ、よろしくお願いいたします。 ○島田課長補佐  続きまして、本ワーキンググループの委員の皆様のご紹介をさせていただき ます。  ワーキンググループの議事進行・取りまとめをお願いしております座長は、 昨年度のチーム医療に関する検討会でも委員でいらっしゃいました、昭和大学 医学部救急医学講座教授の有賀徹委員にお願いしております。  ケアーズ白十字訪問看護ステーション総括所長の秋山正子委員です。  東京医科歯科大学大学院教授の井上智子委員です。  東京医科大学医学教育学講座教授の大滝純司委員です。  浜松医科大学附属病院教授薬剤部長の川上純一委員です。  社会医療法人財団董仙会理事長の神野正博委員です。  慶應義塾大学看護医療学部教授の小松浩子委員です。  東京大学大学院医学系研究科教授の真田弘美委員です。  亀田総合病院看護部長の竹股喜代子委員です。  財団法人星総合病院理事長の星北斗委員です。  東京大学大学院法学政治学研究科教授の山本隆司委員です。  防衛医科大学校外科学講座教授の前原正明委員です。  なお、英裕雄委員は本日欠席とのご連絡をいただいております。  続いて事務局の紹介をさせていただきます。  先ほどご挨拶をさせていただきました、医政局看護課長の野村です。  医政局医事課長の杉野です。  医政局看護課看護サービス推進室長の岩澤です。  医政局医事課課長補佐の石井です。  またオブザーバーとして、文部科学省高等教育局医学教育課の小山田看護教 育専門官です。  私は、看護課課長補佐の島田です。どうぞ、よろしくお願いいたします。  カメラ撮りはここまでとさせていただきます。  続いて資料の確認をさせていただきます。  議事次第、座席表。資料1「チーム医療推進のための看護業務検討ワーキン ググループ開催要綱」、資料2「今後の検討の進め方(案)」、資料3「モデル事 業について(案)」、資料4「特定看護師モデル養成課程実施要綱(案)」、資料5 「看護業務実態調査について(案)」です。参考資料1として、第1回チーム医 療推進会議の資料を一式お付けしております。参考資料2は、医療処置項目の 調査票の形式にまとめたものをお付けしております。これは平成21年度の厚生 労働省科学研究の報告書よりの一部抜粋です。  それでは、有賀先生に一言ご挨拶をいただいた後に、議事の進行をお願いい たします。 ○有賀座長  昭和大学の有賀です。このワーキンググループは、チーム医療推進のための 看護業務検討ワーキンググループということで、チーム医療推進会議の下に位 置づけられていると理解しております。チーム医療推進会議そのものは、昨年 度のディスカッションの延長線上にあると理解しております。これから、この ワーキンググループの趣旨などについて事務局から、その因って来る所以など の説明をいただくことになります。  私自身は先ほど紹介がありましたように、超急性期の舞台で働いているとい う立場です。看護師さんたちの働く場は、もちろん急性期でも大変活躍してい ただいていますが、去年の話などを聞きますと、むしろ慢性期のほうでより濃 く働いておられるということもありましたので、場合によっては急性期以外の 部分に話がどんどん展開することは十二分に想像されます。ここにおられる先 生方、皆々様におかれましては、私の脳味噌の足りないところをガンガン埋め ていただくということで是非ご協力を賜りたいと思います。  それでは、事務局から資料を含めて全体の景色を少し説明してください。 ○島田課長補佐  それでは、ワーキンググループの進め方などについてご説明させていただき ます。この会議は公開で行うこととしております。議事録についても、事務局 でまとめたものを委員にお目通しいただき、資料も含めて厚生労働省のホーム ページで公開することといたしますのでご了承ください。  発言の際には、このマイクを使ってご発言いただきますようお願いいたしま す。発言の際には、手元のボタンを押していただきますと、このランプが点灯 いたしますので、そうしたら発言をしていただき、終わりましたらもう一度ボ タンを押してマイクを消していただきますようよろしくお願いいたします。  資料1と資料2に基づいてワーキンググループ設置の趣旨と、今後の検討の進 め方についてご説明させていただきます。  資料1ですが、ただいま座長からご説明がありましたように、このワーキン ググループはチーム医療推進会議の中の1つのワーキンググループとして設置 されております。  「趣旨」は、昨年度に行われたチーム医療推進に関する検討会の取りまとめ の中で提言のあったものを、具体的に実現することに向けて、チーム医療を推 進するための看護業務の在り方についての検討を行うこととしております。  具体的な検討課題は、看護師の業務の範囲、特定の医行為の範囲、そして検 討会のほうで特定看護師(仮称)が提案されておりますのでその要件、その養 成課程の認定基準をご検討いただくこととしております。  「構成員」は、別紙でお付けしておりますが、先ほどご紹介させていただき ました皆様方で構成させていただきます。さらに、必要に応じて関係者の出席 を求めることができるとしております。会議の運営は医政局のほうで行い、議 事は公開とさせていただきます。  資料2は「今後の検討の進め方(案)」です。このワーキンググループの今後 の進め方の大きな流れとしては、推進会議のほうでご了承いただいているとこ ろですが、本日さらに詳細な部分についてご検討いただきたいと思っておりま す。  「検討方針」を1つ目に書いております。チーム医療推進会議の今後の検討 方針に基づき、看護師の業務範囲、「特定の医行為」の範囲、特定看護師の要 件、その養成課程の認定基準等について、詳細な検討を実施するとしておりま す。そして、適宜この検討の経過状況について、チーム医療推進会議のほうに 報告をすることを考えております。  これらの項目について、専門的・実証的な検討を行うために医療現場、そし て養成現場の関係者の協力を得ながら、以下の取組みを実施するということで 2点挙げております。1点目は、看護業務実態調査です。チーム医療検討会の報 告書において、「特定の医行為として想定される行為例」として、列挙された 行為の例。本日の参考資料の中に第1回推進会議の資料があります。その中に 報告書を挙げておりますので、後ほどご覧いただければと思います。その21頁 に行為の例を示しております。そういうものを中心として、一定の行為につい て医師、看護師、医療関係機関、関係学会を対象にした調査を実施するとして おります。  2点目はモデル事業です。既に特定看護師に類似した看護師の養成に取り組 む大学院の修士課程の関係者等の協力を得て、実態・実績に関する情報を収集 する事業を実施するとしております。  検討スケジュールは、本日このワーキンググループを開催してご議論いただ いた後に、第2回ワーキンググループは6月14日を予定しております。さらに看 護業務実態調査の調査項目、そしてモデル事業課程の選定基準等を決定するこ とを考えております。6月中に実態調査に着手するとともに、そしてモデル 事業の指定開始をすると考えております。  実態調査やモデル事業の進捗状況などについては冒頭に申し上げましたよう に、チーム医療推進会議のほうに適宜報告をしながら、11月ごろには実態調査 の結果、そしてモデル事業の実施課程から提供された情報などを踏まえ、詳細 な検討を実施することを考えております。実態調査は6月中に着手して、8月 中には取りまとめを予定しております。そして11月にはワーキンググループに おいて検討結果の取りまとめを行い、12月中にはチーム医療推進会議において、 その検討結果を踏まえて一定の結論を取りまとめることを予定しているところ です。以上です。 ○有賀座長  資料1と資料2の説明をされたことで、委員の先生方も粗方の全体の景色を 認識されたと思います。第1回チーム医療推進会議の資料が参考資料1として 付いております。その2頁に「検討課題」とあり、その下のほうの丸が私たち に関するところだと思います。  チーム医療推進会議の中での本件に関する議論をかい摘まんで言うとどんな 議論があったのですか。厚生労働省の対応とか、それなりのことは紙面を見る となんとなくわかるのですが、少なくとも私は日本病院会の、該当する件に関 する委員長をさせられています。チーム医療を推進するための看護師業務の在 り方についてという話は、比較的すんなりと、チーム医療推進会議の中で議論 されたのだと、私は会長の堺先生から報告を受けています。すんなりとと言う のですけれども、何がどうすんなりかよく分からなかったのです。その辺の取 っかかりでもいいですから教えていただけますか。  「チーム医療推進会議に状況を報告する」とあるのですが、チーム医療推進 会議のほうからこちらのほうに適宜メッセージが入ってくることもあり得るわ けですよね。つまり、親会でこうなので、これがこうだというふうになります から、こちらから向こうへ出すこともありますけれども、向こうからこちらへ もありますよね。その第1弾として、向こうからこちらへの話はどういうこと があったのかを聞かせてください。  それから、当面のスケジュールでなんとなくわかるのですが、「看護業務実態 調査に着手」、そしてこの後に「、」が打ってあって「モデル事業の指定開始」 とありますが、これは実態調査を先にやってから、モデル事業の指定を始めよ うという意味なのですか。その辺を議長がわからないことには、たぶんほかの 方もわからないかもしれませんので教えてください。 ○島田課長補佐  第1回チーム医療推進会議のほうですが、参考資料1にある資料で会議は進 めております。このワーキンググループに関連することとして、第1回チーム 医療推進会議の資料4、資料5に当たる部分が、こちらで具体的に議論してい ただき、進めていただくところになろうかと思います。その実態調査、それか らモデル事業について、本日もほぼ同じような資料を、さらにご議論いただき たいという趣旨でお付けしております。チーム医療推進会議の中で、こういう 実態調査を実施すること、それからモデル事業に着手することについて、特に 反対のご意見はございませんでしたので、これらをさらに実態調査項目、それ からモデル課程の認定要件といったところを、もう少し具体的にワーキンググ ループで詰めて着手をするというところで進んできていて、本日詳細なる議論 をお願いしたいと考えているところです。 ○有賀座長  議事次第には、「モデル事業について」が先に書いてあって、それで「看護 業務実態調査」とあります。頭の中の整理としては、看護業務の実態そのもの があって、なおかつその後にモデル事業かなとも思っていました。先にモデル 事業がありますが、その辺のところを秋山先生とか井上先生とかに、私たちの 仕事の展開についてのことでいま一生懸命聞いているのですけれども、私はこ う考えるというのがあったら教えていただきたいのです。実態調査のほうが先 かなと。 ○井上委員  座長がおっしゃるように、実態調査があって、ある程度項目が推定されて、 それに対してモデル事業というのがたぶん本来あるべき姿だと思うのです。3 月の報告書で速やかにそのモデル事業を実施し云々ということだったので、た ぶん時間的な問題で両方同時にスタートせざるを得ないのではないかと推察す るのですが、座長がおっしゃるように、確かに身のあるモデル事業をしようと 思うのなら、調査をやってからある程度一定の基準をこちらが示して、それに 対してと言ったほうがいいのかと思うのです。 ○有賀座長  最初の最初なので、本を編纂するときの目次立てを作るような作業があって、 その目次立てができれば、あとはパッパパッパと仕事は進んでいくのではない かと想像します。その目次立ての部分が、みんなで言葉にならなくても内的な 基準が共通なものとして存在すると話は早いのだと思うのです。私の理解を誘 うためにも質問しているのです。  看護業務の検討課題として業務範囲、「特定の医行為」の範囲、特定看護師 (仮称)の要件、認定基準とありますけれども、これらを検討するに当たり、 いま言った実態調査、並びにモデル事業があるに違いないのです。その辺の実 態調査、並びにモデル事業をどのようにしていくのかという話は、事務局の中 ではある程度おわかりだと思うのですが、委員の方たちはどういうイメージで、 これから先どうするか。 ○星委員  まさに、いちばん大事なところをいまお話されているのだと思うのです。本 日呼ばれて、現場の意見を話すようにという話でした。特定の医行為という範 囲を定めて、特定看護師という人をつくり、その人の養成の仕方まで、あるい はその施設の基準まで考えろというのは、私にはその行程表というか、道のり としてすごく遙か彼方のことをいま議論されているような気がして、大変違和 感を感じています。  この範囲の中でしか発言をしてはいけないというのではなくて、幅広いとい うお言葉が座長からもありましたので、まずそこをはっきりさせていただいて、 我々がやるのは特定看護師という、何かよくわからないけれども、そういう人 たちをつくるという前提でスタートするのか、その前に看護師の業務範囲をき ちんと確認して、どうなのかというところから始まるのか、スタート地点がよ くわからないのです。私は、少なくとも現場で認識している範囲では、特定看 護師の養成課程をどうしましょうかというような議論に進んでいるとは理解し ていません。  そもそものところのスタートの仕方を間違うと、書き物はできたけれども、 使いものにならないということでは前に進まないと思うのです。ですから、そ もそも先ほど、反対意見は出ませんでしたという話でしたけれども、この具体 的な検討の中身について、本当に現場を含めて、総意として理解されているの かということを考えてスタートしないと、検討会自体もかなりホワホワとした 中身になってしまうと思います。  一定の方向はわかりますよ。医者が忙しい、看護師さんたちにもそういう特 定のことをしてもらうようにしましょうというのはわかりますが、現場はそう いうことを意識してやっているわけではないのです。その辺りのスタートのと ころをしっかりと、みんなが共通の認識を持つところにきちんと時間を割いて 議論していただきたいということをお願いいたします。 ○有賀座長  去年のディスカッションにも私は混ぜていただいたので、いまのお話に少し 追加して、少なくとも前進したいと思います。もともと現場が忙しいので、み んなに助けてもらおうではないかと、助け合いをしようではないかという話で 出発したことはたぶん間違いないと思うのです。ただ、議論そのものはチーム 医療という、病院医療だけではないとは思いますが、在宅も含めて、極めて各 職種が相互乗り入れ的に自分たちの仕事ぶりをその患者さんのために発揮する ということでチーム医療があるのだろうと。それの在り方についての議論をし たことになってはいるのです。  最初はお医者さんが忙しいからとか、現場が大変だからという話で、議論の きっかけはどちらかというと不純とは言いませんが、やむにやまれなかったと ころがある。しかし、議論されている内容そのものは、急性期から慢性期、よ りもっと長い慢性期に向かって、医療者がその患者さんのためにどのように仕 事を織りなしながらやっているかという議論はたぶんできて、そのことを推進 するために、少なくとも1つの職種である看護師さんに関しては、こんなこと をやってもらってもいいのではないかという、その「こんなこと」というのが たぶん「特定の医行為として想定される行為例」と書いてあるこの辺に来たの だと。  ただ、これもこれだけが特別に存在するわけではなくて、私たち医師は、こ ういうことをやってもらう看護師さんとも既に一緒に働いているわけです。そ れは看護協会の専門ナースなのか、学会の認定する認定ナースなのかというこ とは横に置いておいても、そのようなことをやっています。そのことの延長線 上に、資格という形からみれば、少なくとも医療者にも、患者にもわかりやす いものを作っていこうというところなのではないかと思うのです。  したがって、いま言ったみたいに、業務についての範囲をどう考えるのかと いうことについて実態を見ましょうということは、そのことそのものはそんな にびっくりするほど間違っていない。私たちの現場をどのように表現するかと いう話なのです。だから、そのことを経て、次のステップへどう行くかという 話なので、私のいまの言葉でいけば、目次立てをある程度決めていけば、たぶ ん議論はできるのだと思うのです。ただ先生がおっしゃるように、極めて地面 に足を付けてバタバタ働いている人たちが、突然特定看護師と言われて、「えっ」 とか言って上を見たらミサイルが飛んできたというのでは困るのだと思うので す。  去年の議論はそのようなところで、一定の水準にいったと私は思っているの ですが、それをどう利用するかというところが立場によって少し違うのかもし れないというところがあるので、最初の部分について議論を始めたということ なのです。ここさえきちんとわかれば、あとは手練手管的なところが結構ある のだと思うのです。去年からおられる先生方もおられますが、いかがでしょう か。 ○竹股委員  昨年のチーム医療の推進に関する検討会で、看護職としては一定の業務、い ままで私どもが行っていた、特に医業の部分を役割拡大していくのだという、 そこの部分においては共通理解されているのです。ただ、それに対して実際に 何をどこまでというところは文言的にはあるけれども、現場的には大変ファジ ーな、グレーゾーンの広がりがあるのです。  今回の私の理解は、まず実態調査をしていま日本の病院の中で、実際の医行 為の実態はかなり格差があると理解していますので、そこの実態というのは知 っていなければいけないし、その中で私たちが今後役割拡大するところの、で きるかどうかわかりませんが上限の部分はどこなのかを見極めていくことだと 思います。もう既にかなりの内容をやっている所もあろうかと思うのです。そ ういう実態もわからないわけだから、まず私はそこを知りたいなと。  それが終わって次にというのは、時間が半年しかないので、その間に、既に ある程度合意を見ているわけですし、看護界としてはいろいろ基礎的な教育水 準も、それから大学であれ、大学院であれ、それだけの人材の数もかなり揃っ てきています。やはり、看護の専門性に見合ったようなレベルで、看護の視点 で医行為をどう拡大していくのかというところの話合いを、このモデル事業の 検討の中で話していただければ、と思っています。 ○神野委員  議事録しか存じ上げませんけれども、3月までの昨年度のチーム医療の検討 会で、一応各界の代表の方がいらっしゃって、こういう特定看護師というもの を今後考えよう、ということは合意されて報告書に載っているということです ので、その事実は踏襲しなければいけないことかと思います。  ただ、先ほど星先生もおっしゃいましたけれども、業務範囲はこれだけでい いのかとか、これは医師を助けていただくために、少し業務範囲を増やしてい ただくということなのですけれども、逆に看護師さんがこれを全部やってしま ったら、もっと業務範囲が増えてしまいますので捨てるものも必要ではないで しょうか。いままで看護師でなければできなかった事柄に関して、これは看護 師でなくてもできるのではないですかという、特に最初に座長から慢性期の話 もありましたが、捨てるものも業務範囲として議論していかなくてはいけない でしょう。おっしゃるとおり、それを設計した上で実態調査をしたほうが何回 もしなくて済む。1回でいろいろなことがわかるのではないかと思います。  想定される特定医行為ありきというか、これは前回のチーム医療の委員会で 決まったのかもしれないけれども、これだけではないという話も少し議論させ ていただければうれしいかなと思います。 ○有賀座長  これはこんな議論があったという話で、もっともっと山ほど出たような気が します。いまの話を聞くと、従前からのドクターの仕事にナースが参入してく るという話もあれば、ナースしかできないよねという話は、別の職種がその部 分に参入してくるということがある。織りなすように仕事は云々という話はそ の部分のイメージなのです。現場はそういうもので極めてダイナミックです。 そのダイナミックな中で、モデル事業と実態調査のことを、どのようにしてい くのかというところが、どうしましょうかという話で、いま言った目次立ての 話になるのです。 ○井上委員  先生方の、特に医師の先生方のご懸念はよくわかりますが、報告書でここま で進んできたことであれば、それは推進会議でも決められたことがワーキング グループに降りてきているので、やはり粛々と進めていただきたいということ です。  それから個人的な意見なのですが、もちろん医師不足という現状があるのは わかっていますが、この検討会は決して医師不足のために、看護師がどこまで それを肩代わりするかなどというスタンスで私は参加しているつもりはありま せん。ご懸念はいろいろだろうと思うのですが、もう一回それを作るべきかど うかという卓袱返しのようなことをしていると前に進まないので。厚生労働省 もおわかりとは思うのですが、実態調査とモデル事業を同時に進めるというの は、さまざまな検討素材を出すという意味で、この報告書にも何カ所も「早急 に実態調査」とか、「現場の状況を把握する」とかいろいろなことが出ていま すので、まずは進めてみて、そこで素材として論議していったらどうでしょう か。 ○有賀座長  進めなければいけないことはみんなわかっているのですが、委員の方たちの 中に、よくわからないうちに進んだという話は決定的にまずいと思います。最 初は少しジリジリするかもしれませんが、去年の議論に直にかかわっておられ なかったたちもいます。共通認識というか、共通規範というか、その辺がない と最後までダッチロールになるというのはいやなのです。もともとそのような ことで、不純な理由で出発したかもしれないけれども、話し合っている内容は、 極めて患者さんのための医療ということで、よいことをやろうとしている。私 が申し上げたのはそういうことなのです。だから、井上委員が言われるように、 そんな矮小な話をしているわけではないことはわかっていただかないといけな いと思うのです。  先ほどから言っていますように、本日の会議ではモデル事業、並びに実態調 査についてということになっていますので具体的にはどのようにしていけばい いのだろうということを究極的には話をしていかなければいけないと思うので す。例えば看護師さんが自分で処方していくのもいいだろうという話は確かに あります。それは包括的にそのチームの中でうまくやっているということでい けば、大昔からやっているわけです。それをルールとして、社会のというか日 本国のルールとしてそれをやっていこうということになると、それはそれなり の勉強をしてくれよなという話になります。私たちのカンファレンスで言えば 「グッドマン・ギルマンにどう書いてあるか言ってみろ」と言ったときに、薬 剤師さんはグッドマン・ギルマンと言えばすぐわかりますけれども、看護師さ んは誰もわからないです。そのようなこともあるので、どのような形できちん と勉強プロセスを進めていくのかという話だって、ルールとして決めていくの は重要だろうということだと私は認識しております。実態調査といったときに、 事務局はどんな景色で、どのようにやってしまおうというわけですか。 ○島田課長補佐  本日の資料5「看護業務実態調査について(案)」です。この趣旨は先ほど来 出ております、看護業務に関する実態調査を、特定の医行為の範囲の決定など、 それから看護師の業務の範囲についても調査をするということで実施すること になっております。調査の内容としては、チーム医療の検討会報告書を先ほど ご紹介いたしましたが、そこにあくまでも例としてですけれども、特定の医行 為として想定される行為の例として示された行為とか、その他いろいろなもの があろうかと思いますので、そういうものを含めて一定の行為について、以下 にある3点の項目を調査することをいまは考えております。  3つあります。現在、看護師、例えば認定看護師や専門看護師が実施してい る行為かどうか。それから、今後、「一般の」と書いてありますが、一般の看 護師が実施することが可能と考えられるかどうか。それから、今後その検討会 の報告で提案されている、特定看護師が実施することが可能と考えられるかど うか、という点を調査することを考えております。  そして、その調査の対象とする一定の行為については、報告書にある行為の 例もありますけれども、そういうものを参考にしつつ、ここのワーキンググル ープでご議論いただいて、調査の「行為」について選定をしていただきたいと 考えております。  調査対象ですが、下に対象とする医療機関の種別などが書いてありますけれ ども、医療機関等に勤 務する医師・看護師に対しての質問調査を予定してお ります。例えば、特定機能病院、それから病院の病床規模別、それから有床診 療所、訪問看護ステーション、そして老人保健施設など約3,500ぐらいを対象 にして調査をすることを考えております。  質問調査とは別に、各団体や関係学会の方々に、先ほど申し上げたような内 容についての聞き取り調査も併せて実施したいと考えております。 ○有賀座長  先ほど神野委員から出た話ですが、こんなこと、あんなことをやろうという ことは、同時にこれとこれは別の職種にやってもらってもいいのではないかと いうのがありました。それは、おそらく現場感覚としては極めてそのとおりだ と思うのです。特定看護師の話がなくても、現場の忙しさを考えると、おそら くそのようなことはあるのだと思うのです。  例えば「現在」というところから3つのポツがありますけれども、付録のポ ツとして、ほかの職種の人にやってもらってもいいのではないかということも、 同時にディスカッションしてもいいという話になりますね。当たり前と言えば 当たり前なのだけれども、そのことを知らなくてもいいという話ではなくて、 そのようなことをやっていくのだったら、これも同時に考えてもいいよねとい うことではないかと思うのです。  つまりチーム医療と言っていますから、何はともあれ、チーム医療を推進す るための看護業務の在り方でしょう。チーム医療を推進するためのという形容 詞は、看護業務の在り方の部分でしょう。だから、看護師だけが1人で何かを やっているという景色ではありませんから、どんどんいろいろなことをやって いただくということについて、是非組織的にサポートしていこうと。例えば厚 生労働省がとか、例えば医師たちがという話になりますから、そのようなとき に看護師さんたちが、こっちはほかの人にやってもらってもいいのではないか という話は十分あり得ると思うのです。先ほどの神野先生の話ではないですけ れども。 ○秋山委員  私も、前回のチーム医療の推進の会議に出ていた者の1人として発言いたし ます。12日の資料の10頁の、2つ目に「『包括的指示』の積極的な活用」とい う項目があります。私としては、包括的指示の下で、既にかなり拡大した形で やられている一般の看護師が行える業務というか、そういうことも踏まえた上 で実態調査をしていただいて、それでもある意味法的な解釈を超えるというか、 そこの特定の医行為にも拡大することで、受け手の側の患者家族というか、患 者がより良いケアが速やかに受けられるというか、そこに特化した形での特定 の医行為という解釈が成り立つような形で、この作業が速やかに進めばいいか と考えています。  看護業務実態調査については、現状の実態をきちんとして、看護職の我々が どのぐらい包括的指示の解釈も含めてやっているか。その上でここの部分の医 行為をより拡大していくことで、国民のというか、患者サイドの益になるかと いう、そこを看護ケアとしても考えていく機会になればと思ってここに参加し ております。 ○星委員  いまの話は私も理解できます。既に行われている実態というのは、特定な領 域かどうかは別として、つまりそれの定義がわからない、報告書に示された例 示を見てもちっともわからないです。本当にストライクゾーンからかなりかけ 離れたものなのでよくわかりません。現実に行われている看護業務というのは 病院によって、あるいは特定のというのは、この場合語弊がありますので、あ る先生とある看護師さんの関係の中でだけ成立しているようなことを含めて、 相当程度ブロードなのだろうと思うのです。  この行為はどうですかと、例えば厚生労働省に問いただせば、もしかすると それは絶対的医行為で、この行為、つまり針を刺すという行為をすると医師法 違反ですよというようなことも、もしかしたら含まれているかもしれない。で も、現実には行われている。聞いてしまえば駄目だと言われるので、いままで は聞かないでやってきた。でも、そういうところから不安もあるので、脱却し たいという気持はよくわかるし、それから現場で行われているさまざまな医行 為が、いま申し上げたある先生と、ある看護師さんという関係で行われている ものも含めてどのようになっているのかという実態を、きちんと捉えた上で、 先ほど言った、これはさすがにと。  ある先生と、ある看護師さんと言っても、これはさすがに駄目なのではない のと。やはりそれなりの資格なり、あるいは教育なり、あるいはそういう責任 関係をもう少し明確にするようなことが必要なのではないかというのがもしあ れば、私は特定看護師というような話が出てくるのだろうと、順番からすれば そう思うのです。  ところが、先ほど井上委員が、特定看護師をつくることは決まったことだと おっしゃったのだけれども、私にとっては特定看護師というもののイメージは、 いま秋山先生がおっしゃったイメージから導き出されるものこそが、特定看護 師の業務の、もしあればですが、ないかもしれないしあるかもしれない、とい うことと私は理解しているし、その意味での議論に参加することに私は大変意 味を感じます。  調査の仕方は、こちらが想定している行為をやっていますか、やっていませ んかというようなレベルではないものでないといけない。この例示の書き方が 非常に悪いです。何とかの検査と書いてあります。例えば書いてありますけれ ども、何とかかんとかにおける何とかの検査と書いてあるけれども、この検査 というのは一体何を意味しているかわからないです。採血をする行為、あるい は針を刺す行為というように行為を特定してもらえばまだ話が一定程度わかる けれども、例示されているものも、その一部は確かに誰かにやってもらってい るけれども、そのうちのどれが危ないのかということがわからないように混在 していることが非常に多いので、これをそのまま例示として引いて、それに我々 が何かを加えて調査をして、出てきた結果で、現場はこうなっていますという 議論は導けないと思います。 ○前原委員  心臓外科医の立場で参加させていただいています。皆さんの意見はわかるの ですけれども、私は心臓外科医として、チーム医療の検討委員会が11回行われ て、ます。その中で1回か2回は欠席しましたがほとんど出席しています。流 れとしては、この答申に書いてあるようなことで決せられたのだと思うのです。 反対意見もいくつかあったと思います。だけど、特定看護師をつくるのだとい うことは決まっていないではないかというと、また後戻りすることになります。 このことに関する認識としては、やはり、いまの日本の医療というのがどうな っているのかということを考えますと複雑で、高齢化社会にもなりましたし、 そして高度になったり、専門的になりました。そこの状況において、いま日本 の医療を維持するためにはどうするのかということで、医師と看護師との間の 中間職種、それが特定看護師という名前がよくないという人もいますが、そう いうものをつくって、なんとか医師の過重労働、看護師さんの過重労働、その ほかのコメディカルの過重労働もあるのですけれども、それをなんとか解消す るためには、どうしてもチーム医療が必要だと。チーム医療をするためには、 そういう中間の職種をつくりましょうということです。  最終目的は何かというと、いまの日本の医療が崩壊し、いまの維持ができな くなることは、国民と患者さんにとってよくないわけですから、国民と患者さ んにとっての医療の質を担保し、それから透明性・安全性等々に関しても維持 をするということで、この推進委員会では答申が出されて、そしてワーキング グループとして、それを粛々とやりなさいということだと認識しています。  外科医の立場からしますと、外科医の週間スタディというのを、外科学会と 胸部外科学会等々でやらせていただきましたけれども、週80時間から90時間 労働しています。その労働している人たちはどういう状態かというと、アメリ カの医師会のデータでありますけれども、週80時間から90時間というと、日 本でいうと酒気帯び運転をしている医師ということです。その人にもっと気合 いを入れて、もっと頑張れという状況では、もう今これは続かないだろうと。 そうした場合には、その看護師さんとドクターとの中間の職種はやはり必要だ ろうと。これは、いろいろな所からの経験的なもので行われていると思ってお ります。そうなるので、是非とも前に進めて、また後戻りをするような議論は、 このワーキンググループではしてほしくないと思います。 ○有賀座長  別紙に、特定の医行為として想定される行為例ということで並んでいますけ れども、現場でこれに多少関与している人たちからすれば、あの景色ねという ようなことでそれなりのことはわかりますので、その行為そのものの中に、針 を刺すなり、針を抜くなり、場合によってはレントゲン線を浴びせるなりいろ いろあるのでしょうが、あの一連のあれだねということは大体わかりますから、 それはそれでいいと思うのです。  確かに現場が大変なので、だから、したがってチーム医療が必要だという話 ではないですよね。チーム医療というのは、もっともっと広い概念になります ので、現場を助けるという観点でのチーム医療があることは認めますけれども、 もっと広い意味でこうなります。外科の先生から見ると確かにそのとおりです けれども、慢性期だとか、在宅だとかというところに向かっていくと、そこの ところでもチーム医療をしたほうが、現状よりも患者さんにとっていいことな のだよねという議論だったと私は理解していますので、それでこれを進めたい と。 ○前原委員  言葉足らずでごめんなさい。外科の代表としてそう言ったわけですけれども、 ここにメンバーとして出ているのは、もちろん中間職種、特定看護師という職 種をつくろうと思ってやっているのは、もちろん急性期のところもありますし、 もちろん慢性期もあります。外来もあるでしょうし、介護老人、訪問看護、そ ちらのほうが特に必要ではないかと思っております。あとは周術期、急性期、 救急、小児、産科のところも、そういう特定看護師さんは必要なのだろうと思 います。 ○有賀座長  先生のお立場が専ら外科だという話でいくと、私の立場は専ら救急になって しまいますので、できれば立場を超えて、より高みから議論していきたいと思 います。 ○星委員  戻ってほしくないというのは、別に私も卓袱台をひっくり返して、そもそも こんな議論をするべきでないということを申し上げるつもりはありません。私 がこの報告書なりその議論の議事録を読んだところでは、あるいはその後の記 者会見などでも聞いていますが、法制化ということを含めると0から100まで あるという話でありましたし、業務独占という話になると、そういうところに みんなが合意をしてこの議論が始まったと私は認識していないのです。  ただ、確かにそういうゾーンがありそうだねと。そのゾーンというのがどん なゾーンなのかなという話の調査をしてみましょうということに私は全く反対 をしていないので、この調査をワーキンググループできちんと調査票を作り、 きちんと分析をして、実態をつまびらかにするということに反対する意思は全 くありません。 ○有賀座長  先生が反対するとは思っていませんから。 ○星委員  もう1つ申し上げますと、実態調査は資料5なのです。その前に3、4のとこ ろはモデル事業が先なのです。先ほどの秋山先生の議論を踏まえると、実態調 査をしてからでないと、全く違うターゲットを狙うことになるかもしれないよ うな気がします。大学院がどうかというのはよくわかりませんが、あるいは特 定のところでいろいろ目指して、こういう所がありそうだなといって先行的に やっている所が、どんなことを、どんなふうにやっているのかというレベルで あれば見ておく必要があるのだろうけれども、それをベースに例えば基準を決 めるみたいなところにいくと、これは3段ぐらい飛躍があるのだろうと思うの です。ですから、順番からすれば、きちんとした調査をして、先ほど言ったゾ ーンがどんなゾーンがあって、そこについて言えばどんな特別な教育なり、評 価が必要なのかということを導き出すことは全く問題ないし、それはむしろし てもらうべきことだと思います。  1つ先に申し上げておきたいのですが、例えば感染管理の認定看護師がいま す。この認定看護師とは違うものだと認識されているのだと思うのですが、一 時病院にはすべからく感染対応の認定看護師を置いて感染管理をさせるべきだ という議論が一時ありました。一体年間何人ぐらい養成できるのですかと聞い たら、当時で確か40人でした。それでは200年かかって8,000人だと、その間に みんな死んでしまうねと。これはどうするのですかという議論を私は投げかけ て、その後随分増えたと聞いていますが、私どもの病院でも配置できたのはご くごく最近の話です。多くの病院は、そういう認定を持った、専門性の高いと 言われている認定を持った看護師さんたちの配置は、養成の規模の大きさ や、あるいはその後いろいろなところから言ってかなり難しい。  ですから、その行為を決めるのもいいし、いろいろなことを考えていくのも いいけれども、全体の制度として、本当にそういう人たちを病院の中に過不足 なく配置できる状況にならないと、今度は特定看護師不足が起きてしまい、特 定看護師不足をどうやったら解消できるか、という馬鹿な議論を招かないよう なきちんとした議論をすべきだし、そのことを任されているワーキンググルー プだと認識しています。 ○有賀座長  有り体に言いますと、先生の感性としては共有します。去年の特定看護師の ときの議論もそうでしたけれども、そのようなハイレベルで頑張りたいと思っ ている看護師さんたちがいて、それで全体としてよくなろうというのはよくわ かる。ただ、少なくとも私が働いている現場で言えば、確かに救急看護につい て看護協会が認定している資格の人もいますし、それから他の資格の人もいま す。昭和大学というのは、その手の看護師さんが非常に多い大学なのだそうで す。そのような中で働いているときの自分の感性として、特定といったときに どうなのかというと、普段働いているあの人たちと一緒に働いているという感 覚でもって、ああいう人たちが特定になるのだというイメージです。  そうすると、そういう人たちが頑張れるというのは、もっともっと頑張れる ような素地ができるのかという話になっているのです。おそらく、それぞれの 場面で働いている人たち、先生たちや私たちは、自分たちの周りの景色を見な がら、こういう人たちがそのようになるのだろうと思うのです。たぶん慢性期 の施設で働いているドクター、院長先生たちからすると、看護部に任せて、こ んなことまでやってくれているなと。それがきっとこれに入るのかなと思って いるかもしれないし、在宅などでは相当程度にやってくださっています。場合 によっては最後の看取りまでしてくださっているのかもしれませんが、そのよ うなことも含めて、確かにやっていることはある程度わかっていますから、そ れをどのような形で、強いて言えば法体系の中にとか、私たちの活動規範の中 に位置づけていくかという話だと思います。  突然これができてしまって、この資格を持った人がどこにもいない、一体何 なのだというような逆転現象みたいなことは是非避けたいと心から思う次第で す。感染管理のナーシングスタッフに関して言うといまは相当程度に、だから 40人よりもっとたくさん出てきていますので、一旦その手の話ができて、社会 のニーズがそうだよねということになった途端に、多くの病院が「勉強に行っ てこいや」という話にたぶんなるのだと思います。だから、単純に200年とい うような計算が、今回もそうかという話になると、それは議論としては面白い のですけれども、話を進めるということでいけば、200年を20年にするか、2 年にするかなどという話はこの実態調査と、場合によってはモデル事業の展開 のプロセスの中で考えていくというようなことになるのではないかとは思いま す。 ○小松委員  私は、今回初めてワーキンググループに参加いたしました。私は、がんの領 域の看護をしています。いま星先生がおっしゃったことというのは、実際に実 態調査の中で、さまざまな一般看護師、認定看護師、専門看護師がどのように 包括的な指示の下に働いているかということはつまびらかにしていくことであ り、実態を知るという意味では必要だと思うのです。  一方で、私は大学院の学生の教育にかかわっており、ここで特定看護師の要 件の中にある大学院を修了している活躍する実践家の活動をよく知る立場にあ ります。実践で活躍している人たちが、包括指示の下でやっている医行為に関 して、処方の変更などに大きな役割を果たしています。がんのチーム医療の下 での包括的な指示の中で医行為を果たす役割というのは、本当に患者さんたち から切実に期待されています。今回このようなモデル事業も含めて、大学院教 育の中でより社会の中で望まれている特定医行為というものをはっきりさせな がら教育に反映していくことがすごく重要と思っています。  もう1つは、私は大学院教育でがんプロフェッショナル養成プランにも関わ っています。チーム医療に関しては、厚生労働省も文部科学省も双方で活動は 進んでいると思います。がんの領域の看護に関しての大学院の修了要件を持っ ている人たちがどんどん増えている実態があって、いろいろなところが活性化 されながら、チーム医療は進んでいると私は肌で感じているところです。 ○有賀座長  大学院を出た方にどんどん働いていただいて、社会の役に立つことは、総論 的にそのとおりで私は問題ないと思うのですが、現に地場の景色はどうなって いるかと言えば、星先生もそうでしょうし、私たちのところもそうですが、大 学院を出ていなくて、それでチームとして患者さんのためにやっている人がた くさんいるわけです。だから、ここでモデル事業が大学院も含めていることに ついては、全く私は問題ないと思いますが、そうではなくて現場で頑張ってい る人たちもいますので、そういう人たちをどのように巻き込んでいくかも是非 大学院の先生方には考えていただきたいと思います。学歴だけで患者の役に立 つなんていうのは大嘘ですから。 ○真田委員  いま先生方のご討論を聞いて思ったことは、資料1の「検討課題」の中に、 特定の医行為の範囲を決める実態調査と、養成課程の認定基準などを決めてい くモデル事業に関しては、ここの議論に入っていると思うのですが、「特定看 護師の要件」というところで、先生方が大学院云々という話をされていると思 うのです。そう考えたときに、参考資料1の12頁にある、(5)専門的な臨床実 践力の確認の2番目の○の特定看護師の要件の中で、1つはもちろん大学院、 新しい職種を使うことには大賛成ですが、一方いま行っている業務を速やかに 遂行しながら移行していくという意味では、ア)があります。修士修了の代わ りに比較的短期間の研修等を要件にする、つまり、それだけのマンパワーも必 要ですし、それだけの領域の人たち、いままでチーム医療をしてきた実践の方 々の活躍をどのように管理するかも含めて考えていかなければいけないところ に、いまの議論があったのではないかと思います。  そう考えたときに、この要件に関してはどこで検討されるのか。いまのワー キンググループの議題に入っていなかったので、そこをはっきりさせていただ くと、議論が進むのではないかと思います。 ○有賀座長  とにかく実態調査をやらなければいけないという話はわかったと思うので、 そちらについてけじめをしておきたいと思います。本件の実態調査に関しては、 先ほど事務局に資料5を説明いただいたのですが、各医療機関に勤務する医師 やナースにいろいろなことを聞こうとなったときに、いろいろなことを聞こう という叩き台になるものは、事務局に考えていただけるのですよね。 ○島田課長補佐  はい。先ほどご案内しました資料5で、大枠はこれを基にご議論いただこう と思っていますが、具体的に本日ご議論いただいたものを、もう少し調査のイ メージをしていただけるようなものをお作りして、次回のワーキンググループ のときにさらに叩いていただきます。 ○有賀座長  次回のワーキンググループまでにメールでばら散くわけにはいきますか。も ちろん、見て2時間ぐらいのうちに決めるというのも、1つのやり方だとは思い ますが。 ○島田課長補佐  事前にということですか。 ○有賀座長  私が言っているのは、実態調査といったときに、こんなものも、あんなもの もという意見が出てきて、だったらもう一回みんなで集まりましょうという話 になるかもしれないので、できれば1回回していただいて、意見をメールでグ ルグル回りにしておいて、そこでやったほうが時間の無駄にはならないかなと。 やはり考える時間が必要なので。この間の最後の永井先生の時はひどいのです。 ここで最後に文言を考えろというのです。覚えていますよね。そんなことがで きるわけはないのです。自分で作った文書なら直せますが、人の作った文書を この場所でフィックスする、お前しゃべれというのです。そういう激しいこと をやってもらっては困るので、できれば回していただきたいと。 ○島田課長補佐  ご議論したものでお作りして、事前にご覧いただくことは可能です。 ○有賀座長  先ほどの要件についての話は、私の頭の中では、モデル事業の中に入ってく るのではないかと思っていたのですが、本件のモデル事業に関しての議論を進 めていきます。これは井上委員は、このようなモデル事業をすると、急性期の 看護師はこんなことでこのようになりそうだという、イメージはお持ちですよ ね。モデル事業のイメージです。 ○井上委員  いや、全面的に特定看護師へいけというつもりはないですし、特定看護師全 くありきというわけではなくて、このプロセスでいろいろと意見をいただいて、 そうしないとやはりチーム医療ですし、看護師だけがというのはもちろんない のですが、モデル事業の位置づけを確認してほしいのです。このモデル事業は、 ある意味で実態調査と並ぶようなデータ収集の位置づけで、私が最初に申し上 げたのは、ある程度要件とかカリキュラムができて、それの有効性を検証する というようなモデル事業もあれば、厚生労働省の方とお話をしたところによる と、幅広いいろいろな意見がほしいということをおっしゃっていたので、実態 調査に近いような、いまいろいろと教育している大学院教育の情報提供みたい なところかと思うのです。ですから、そこから出た人が、イコール特定看護師 では決してないですし、大学院教育というのは本当は2年間なのですが、これ で見ると8カ月か9カ月で何かの成果を出せということになっているので。 ○有賀座長  これを見るとというのは、資料3ですか。 ○井上委員  資料4の2「実施方法」です。募集期間が6月、7月で、実施期間が採択日だか ら8月ぐらいで、3月までなので、ほぼ半年です。そうすると、本当に部分だろ うと思うのです。  ですから、ある大学では例えば在宅が出てくる、ある大学では急性期が出て くる、ある部分ではいわゆる診断処置に重きを置いたところが出てきたり、あ るいは看護ケアの中でのケアの拡大のようなところが出てくる。そのようなイ メージであって、カチッとしたものではないと思います。だから、「モデル事 業」という名前より、教育の実態調査ぐらいのつもりで。モデル事業というと、 それで御墨付のようなイメージを与えかねるので。そのような意味で、やはり 早くいろいろなデータがほしいと思いますので、それから要件も現状ありきで はなくて、例えばいろいろな学会レベルでのエビデンスが必要だと思います。 現場の人がやれると言っても、なかなかそういうものでもないと思うので、い わゆる実態調査だけではなく、聞き取りとありますが、単なる聞き取りではな くて、看護学会とか医学会レベルにいろいろと協力を求めたり、現状でやって いる看護系大学院で、手挙げしてくれたところで、いわゆるモデル事業に該当 する部分のデータを出してもらう、そのぐらいのイメージだと思っています。 これをやったところの人が特定看護師とは全然思っていないです。 ○有賀座長  というように、その道のプロもそうではないかとおっしゃってくださってい るのですが、何となく大学院ありきという話になってしまうと、わけがわから なくなってしまいます。資料3と資料4をもう一回説明してもらえますか。「モ デル事業」という言葉に引っ張られるとよくないのかもしれないということは 思いました。モデル事業というものですから、モデルというと、何がモデルな のかがよくわからなくなって、いまの井上先生のようになってしまっています。 お願いします。 ○島田課長補佐  資料3と資料4を説明します。まず資料3です。「モデル事業」となっていま すが、趣旨としては、チーム医療の推進に関する検討会の報告書で、特定看護 師の要件については、類似の看護師の養成に現在取り組んでいる大学院修士課 程の関係者等の協力を得て、専門的かつ実証的な検討を行った上で決定する必 要があると提言されています。   それを受けまして、すでに類似の看護師の養成に取り組んでいる大学院修 士課程の実態と、実績に関する情報を収集するために、この課程の関係者等の 協力を得て、この事業を実施したいと考えています。原則、実施期間は今年度 中と現時点では予定しています。  実施内容です。資料4で細かく説明させていただきますが、モデル課程を選 定します。○の2つ目で、このモデル事業の実施課程においては、一般的には 「診療の補助」に含まれないと理解されてきた行為についても、実習を実施し て問題ないと整理したいと考えています。  3番目に、このモデル課程の報告事項を書いています。その開始当初に、こ こで先ほど申し上げたように、実態や実績に関する情報を収集する観点からす ると、ワーキンググループにいろいろな事項を報告していただくことが考えら れるわけですが、例えばその養成課程における到達目標、教育カリキュラム、 実習施設概要、単位認定者・実習指導者がどのような方か、単位の認定方法、 認定する際の基準といったものについて、例えば報告していただいて、議論を する材料にしたいと考えています。  モデル事業の開始の際には実施状況、例えば安全面の課題、学生の履修状況、 実習時のインシデントやアクシデント、一般の看護師でも実施可能な行為とい ったものについて、随時ワーキンググループに報告していただくことを概要と しては考えています。  資料4でさらに細かいところを書いています。モデル事業の目的として、○ の1つ目は先ほど説明 したところです。2つ目の○の後半にあるように、こ のモデル養成課程の大学院が、すなわち将来特定看護師の養成大学員として認 められると考えているものではなく、あくまでもいまの養成されているところ の実態・実績を分析するために、情報をご提供いただくという趣旨です。  実施方法です。先ほど井上委員からお話がありましたが、募集期間は6月か ら7月、事業の実施期間はモデルとして採択した日から、今年度末と考えてい ます。  モデル課程の審査については、このワーキンググループの委員に行っていた だくということと、モデル課程の審査については、従来よりも幅広い医行為を 実施できる専門的な臨床実践能力を有する看護師の養成に適切な教育がなされ るか否かについて、実施要綱の基準に沿って、書面での審査を考えています。  3番目ですが、提出書類としては、先ほど事前に報告をしていただくことと いうところと似ていますが、養成課程の申請書、シラバス、大学院の概要、実 習施設の概要を提出していただくことを考えています。  4番目です。モデル養成課程の基準ですが、○の2つ目で、臨床実践能力を習 得する科目を必修としていることで、そこに3つほど挙げています。例えばフィ ジカルアセスメントに関する科目、臨床薬理学に関する科目、病態生理学に関 する科目といったものを必修としていることを考えています。演習・実習科目 を必修とするとともに、実習場所を病院などとして確保していること、演習・ 実習科目が設定されており、専門的な臨床実践能力を習得できる実習場所を1カ 所以上確保していること。  ○の4つ目で、教員や指導者に相当数の医師が含まれていることで、専門的な 臨床実践能力を習得することに必要な医師が確保されている、病態生理学に関 する科目や実習等に適切に医師が配置されていること、専任や兼任の区別や職 位は問わないが、臨床研修指導医と同程度の経験があることが望ましいと考え ています。さらに実習科目においては、安全管理体制が整備されていることを、 モデル課程の基準としてはどうかと考えています。  モデル事業実施報告の提出書類については、先ほど資料3でご説明しました けれども、現時点ではそういったものを考えているところです。 ○星委員  2つ教えてください。1つは、これは予算立てをして、一般会計から支出する のでしょうか。  それと、資料3の2の2つ目の○に、一般的には「診療の補助」に含まれない と理解されている行為も実施して差し支えないとありますが、これは特区か 何かでやるのでしょうか、それとも目をつぶってやるのでしょうか。厚生労働 省に聞けば駄目だという行為を、やっていいと解釈しているのですか。すごく 違和感、不安があります。どういうことなのでしょうか。 ○有賀座長  これは最初に聞こうと思ったのですが、もともとチーム医療が現場で行われ ているときに、より看護師さんたちに難しい話にも乗ってもらおうではないか ということになっていたと仮定して、包括的な指示の中での話が展開すると私 は理解していたのです。包括的な指示だとか、チーム医療だとか、そういう比 較的普段私たちが肌でわかっていることと、「『診療の補助』に含まれないと 理解されてきた行為」という言葉の乖離が、極端に私の脳味噌をギリギリと締 め上げて立ち止まってしまうのです。これは一体どのような意味なのですか。 診療の補助に含まれていることをやっているか、診療の補助に含まれていない ことをやっているのかといっても、例えば私が手術場にいて、全く救急外来に 出られなくても私がいたのと同じようなことを、15年以上前に実は救急外来の 看護師さんが前の病院でやっているわけです。そして、クリニカルパスという 言葉がない時代から、梅のコースとか、松のコースとかいって、点滴の内容が 壁に貼ってあって、それに従ってやってもらうわけです。いま入院時一式とい う言い方をしているか知りませんけれども、外科系だと大体パターンが決まっ ていますので、どのような検査をするかについても、クリニカルパスのように してやっているわけです。これは先ほど先生が言ったように、チクッとやった のがまずいのか、針を抜いたのが悪いのかは私はわかりませんが、現場の景色 は、ドクターとナースたちの組合せによって、かなり幅があります。幅があっ ても患者さんのためにやっているわけです。  それを思えば、モデル事業の実施課程において、一般的に包括的な指示とし てやられているものに関しては、そのとおりにやってくださいとなっているの ではないかと私は思ったのですが、ここら辺は特殊なことを考えている人に、 特殊なことをできるようにするための絡繰りを作っているというか。  先ほどの話でいきますと、これは大学院の先生方はこれでいいと思うのです が、参考資料1の12頁に「比較的短期間の研修等を要件とするなど、弾力的な 取扱いとするよう配慮する必要がある」とありまして、このようなことで、私 たちのパートナーとして、比較的一生懸命やってくれていて、できれば社会の ルールとしてちょっと持ち上げてあげたいという方たちを、このモデル事業の 中で反映させようと思うと、どのような景色になるのかがわからない。このよ うにすればいいのではないかということがあれば、どなたか教えていただけま すか。 ○星委員   お金の出所はどこですか。 ○有賀座長   私にはまるでわかりません。 ○島田課長補佐   特にこのモデル事業に伴う予算措置はありません。 ○星委員   予算なしでモデル事業をするのですか。 ○島田課長補佐  モデルと言いますか、ご協力をいただいて、いま実際に養成されているとこ ろの実態と実績に関する情報収集にご協力をいただくことを考えています。 ○星委員  そうだとすれば、「モデル事業」という言葉は使うべきではないと思います。 実態調査ですよね。これでモデル事業に採用されたからといって、特定看護師 の要件とはしませんと取って付けたように書いていますが、それはどうなので しょうか。  ですから、むしろいまやっている自分たちが、特定看護師の養成課程に類似 していると思っているものは前広に出してもらって、どのような課程があって、 どのような教育が行われているかを見てみましょうというなら、私も賛成です。 しかし、モデル事業をやらせて、金は出さない、何もしないで、これから何か 考えてやってみてください、その上一般的には診療の補助とは考えられないこ とをやっていいのですという御墨付を与えたような誤解を、養成課程といって も患者さんが相手ですから、そのような人を相手に何の裏づけもなくやらせる というのは、私はとんでもない話だと思いますが、いかがでしょうか。 ○川上委員  今回から参加させていただいているのですが、目的と手段を取り違えてはい けないと思います。実態調査というのはゴール設定をするための方法なので、 それは看護師業務の実態調査、看護学教育の実態調査です。実態調査をきちん とやって、ゴール設定をするというのが本来の筋で、そのゴールにどうやって 行くかというところが、モデル事業かと思います。モデル事業はゴールへ行く ための手段です。  モデル事業として書かれている資料3と資料4では、目的と手段の両方がご ちゃごちゃに書かれているので、このワーキンググループでは切り分けて議論 したほうがいいように思います。 ○有賀座長  看護業務の実態調査についての資料5というのは、先に議論すべきだという ことで議論させていただいて、メールでグルグル回しながら、次のときに、こ のようなことでいこうと。それはそれでいいと思うのですが、例えば大学院教 育ではこのようなことをやっていて、この特定看護師の候補になり得るような ことをやっているということを私たちが知ることは、非常に意味があると思う し、これはそのようなことをやっている方たちにしても、いずれは国家資格に なったほうがいいとお思いになっている可能性はあるわけです。例えば救急救 命士の資格も、いまは病院の中では働けませんが、病院の中で働いてもいいの ではないかという議論と全く同じように、あちこちでいろいろあるのはそれは それでいいのですが、このモデル事業という名前はクオーテーションマークを 振ったとして、それで許していただいたと仮定して、例えば現在の認定看護師 さんや専門看護師さんも、どのような教育を受けて、どのようにして現場で働 いて、このように役に立っていますという話は、同じ水準でお聞きするのが私 は筋だと思うのです。現に働いている方たちがいて、例えば井上さんのところ の医科歯科大学でも、そのような方が活躍しているわけですよね。活躍してい る人たちの背景について、このような教育を受けて、このようなことをやって いる、いま現在このようなところで、こんなにたくさん働いているという話が あることが、いま言った‘モデル事業’の実態になり得ると私は強く思うので す。 ○井上委員  そのご意見は非常にありがたいです。いまやっているところのデータプラス、 こんなことも考えられるとか、これがあればもっといいという意見も、是非広 く集めると。だから、本当に情報収集という形で、いくつかの種類でやってい くと、いいかなと思います。実態調査と大きく2本立てで、どちらかではなく て、全部まとめて、実態調査も含めての情報収集ですね。 ○有賀座長  そうすると、実態調査その1と、実態調査その2ですかね。その1というの は、広く働いている諸君にいろいろとお聞きすると。実態調査その2は、資格 を求心力にして切磋琢磨している団体にいろいろ聞くという話で、実態調査そ の2に関して言えば、いろいろなところがこんなことをやっていますと言って くると思います。だから、そういう話だと、このモデル事業は位置づけが少し わかりやすいのかなと思うのですが、ご意見をいただきたいと思います。 ○前原委員  まさしく井上委員と座長の意見に賛成です。私も3年ぐらい前からかかわっ ていますが、NP/PAというコースで大学院教育をしている施設は、登録してい るのは6、7施設あります。それからその先にもということで。その中では、地 域医療、糖尿病の外来や助産師外来、訪問看護、それが慢性期。急性期であれ ば救急外来、手術後の周術期等のコースを持っているところがありますので、 そこがどのようなことをやっているのか。座長がおっしゃられた実態調査2を やって、平行して、どのようなことで、どのような状況で動いているのか。実 態調査1は、現時点はどうかです。  この間のチーム医療の会にも出させていただきましたが、やっているところ は絶対的医行為のようなこともうちではやっているというような施設もあり、 あまりそれが出ると問題になります。ある大学では、ほとんど何もやっていな い。この間、点滴さえ確保していなかったというのが、医政局長の通達でやれ るようになってきた。かなりの幅があるので、その辺のところは、実態調査を して、どこまでできるのか、どこまでやっているのかということをはっきりし て、グレーゾーンを少しでも、看護師さんができるボトムアップも必要でしょ うし、そのグレーゾーンのところができるような方向で動いていければいいの ではないかと思います。 ○星委員  看護団体もそうですが、病院団体、病院の中には、自分たちのプログラムを 作って、認定書のようなものを渡しているようなところも相当数あります。そ の課程が、最初から大学院と比べてどうだという議論をしないで、先ほど先生 がおっしゃった、資格なり何かサーティフィケートみたいなものを求心力とし て行っている教育課程や、その人たちの資格、誰がどのように教えているのか、 その人たちがどのように活躍しているかというのが、実態調査1に反映するこ とです。これはごくごく関連している話だと思うので、今回はいいチャンスで すから、私は前広に調べていただきたいと思います。 ○小松委員  実態調査2の部分で、星先生もおっしゃっていたように、教育がどのように 能力を担保して、実際のところで、特定の医行為に関する実践がなされている か。アウトカムもきちんと、修了生などに、エビデンスとしてフィードバック が返ってくるよう、修了生に対してどのような活躍をしているかというデータ も入れていければいいのではないかと思います。 ○有賀座長  言うは易しく実は難しいです。臨床研修の初期の2年間のアウトカムを出す となっても、どのようにすればそれが出るのかという話もありまして、評価と いったときにはアウトカムはなかなか難しくて、ストラクチャやプロセスにど うしても寄っていってしまうことが往々にしてあります。  それに比べると、体系的な教育をしている大学院は、場合によってはそうい うことに耐えられるということなのかもしれません。そういうことも含めて、 ワイドな感覚で、大学院から院内の特殊な資格までカバーしてもいいのではな いかと思います。 ○川上委員  実態調査1ですが、前原先生が言われたように、グレーゾーンがあって、現 にそれをやっているという現状があったときに、すごく先進的な教育に基づい て、整った体制で取り組んでおられるところと、本当に医師不足で厳しい環境 で、もうやらざるを得なくてやっているところというのは、実態としてやって いるといっても、全然背景が違うと思います。ですから、どのような背景に基 づいて、現場の人が実際にどのようなことをやっているのか、その状況はどう あるのかということも含めて調査して頂きたいと思います。そうでないと、実 態調査をやって、既に実施している、あるいは実施していいと回答を得たとき に、本当に先進的な教育に基づいてやってほしいという人と、単純に労働の肩 代わりとは申しませんが、そのような感じでやってほしいという人と、両方と も「やってほしい」という回答になってしまいますので、背景についても実態 調査ではうまく調べる必要があると思いました。 ○有賀座長  どちらにしても、実態調査1はグルッと回しますし、実態調査2も、いまの 議論を踏まえながらどうするかということを、私はしていかなくてはいけない と思います。 ○神野委員  どちらが実態調査1でどちらが実態調査2でしたか。 ○有賀座長  資料5にあるものが、もともとの実態調査です。モデル事業の議論をしてい るときに、それは実態調査ではないかという話になったので、モデル事業は超 右翼の大学院の話ですが、何とか看護学会の認定している専門ナースという話 も、このような教育プロセスでやっているということを出していただけば、そ れは‘モデル事業’というクオーテーションを振るよりは、実態調査2とした ほうが、話としては成立するのではないかという話です。 ○神野委員  賛成です。実態調査2ですが、不適切な例を言って申しわけないのですが、 特定看護師というのは自衛隊のような話で、軍隊なのかそうではないのかとい う憲法論議のような話です。実態調査2の話は、保助看法の範囲内・範囲外の 話が出てくるわけです。前原委員が最初におっしゃっていたような、NPとか PAの話が付いて回るわけで、それをうやむやにしながらこれをやっていくのは、 法的にどうだという話が出てきます。   実態調査はおやりになっていいと思うのですが、最終的には、このワーキン ググループの範囲内か範囲外かはわかりませんが、NP/PA論に私は賛成派です が、きちんと法的な整備をして、いまの保助看法の範囲内ではなくて、法的に きちんとやれることを整備した上で、NP/PA論を提言するような設計もあって いいのではないかと思います。 ○井上委員  前原先生のご意見と、いまの先生のご意見に足したいのですが、参考資料の 12頁にはっきりと書いてあって、○の2つ目ですが、報告書の段階では、包括 指示の下で実施することが大前提なので、ナースプラクティショナーについて は異なる性格を有しているということがはっきりと書いてあります。  それから、「日本版NP」とか、皆さんがいろいろな言葉を使われているので すが、出発点を確認したいのですが、報告書は「包括指示の下にどこまでやれ るか」ということなのです。だから、PA/NPと称している大学からデータを取 ることはいいと思うのですが、それはいま先生がおっしゃったように、NPはい まの保助看法から外に出て、自分で自立的に考えてやれる人なので、それをこ こに入れるとややこしくなるのです。  案外知られているようで全然知られていないのですが、医科大学80、薬科大 学80弱のところ、看護系大学は200近くあり、修士課程は120あり、いわゆる専 門看護師を養成しているところは、60大学160課程近くあります。そこが、ある 意味ここのいちばん近い人たちで、すでに臨床に500人近くいます。先駆的なと ころも含めていいとは思うのですが、そこを是非ベースとして情報提供したい と考えています。 ○前原委員  NP/PAという言葉を出しましたが、委員の方は知っていると思って出しまし た。この特定看護師ということに関しては、井上委員がおっしゃるとおり違う ものです。医師の包括指示下でやるわけですから、ある意味ではその中間的な、 その前の段階ということで、ステップ・バイ・ステップで、私の意見としては、 目指すところはNP/PAの肯定派ですから、最初の発言でわかるだろうと思いま す。その段階で、この特定看護師というものを作るに当たって、チーム医療推 進の検討会でも何回となくその議論はなされていると思いますが、確かに看護 大学協会の専門看護師、認定看護師ということに関しては、非常に有能で素晴 らしいと思いますが、いま行われている6、7大学の地域医療、外来等でナース プラクティショナーと称してやっていますが、その前段階での行動と、大学協 議会でやっているものとの違うところはどこかというと、より実践というか、 ここに書かれているように臨床のプロというか、一般看護師さんが臨床のプロ として働けるような教育が必要だと思っています。データを広く集めることは 必要なことだと思いますし、目指すところは患者さん、国民のために医療の質 を担保できる、安全性、透明性を高める職種を作りたいと思います。それがい ま喫緊の問題だと思っています。 ○山本委員  先ほど、資料3の真ん中ほどに、「一般的には『診療の補助』に含まれないと 理解されてきた行為の実習を実施して差し支えない」とあって、この意味はど ういうことだという話がありました。これは説明をしようとすると非常に難し いところがあると思います。すごく単純に言ってしまうと、実態としては診療 の補助かどうかわからないグレーゾーンがあって、その範囲で、あるところで は絶対的医行為に近いこともやっていれば、そうではないところもある。グレ ーゾーンがあり、なおかつ現場もいろいろであるということがあります。  ただ、厚労省の立場としては、保助看法は「診療の補助」としか書いていな いものですから、その場合に、この看護師さんならできるけれども、この看護 師さんはできないという行為を、診療の補助に含めることはできない。いわば 普通の看護師さんであればできることの範囲でしか診療の補助だと正面を切っ て言えないわけです。だから、厚労省には言わないで、このようなこともやっ ているという話がときどき出ていますが、厚労省の立場としては、できるだけ 控え目な線のことしか言えないのだろうと思うのです。  ただ、今回のモデル事業というのは、現実にグレーゾーンになっている部分 を整理しましょうと。必要であればそこは法制化を含めて、つまり診療の補助 を特定の医行為と、そうでないものに分ける形の法制化まで考えて、グレーゾ ーンを調べてみましょうということで、いわば厚労省の立場としては微妙なと ころがあるのですが、現実にグレーゾーンがあることを認めて、グレーゾーン がどうなっているかを調べるためにこのモデル事業をやるということだと思う のです。  だから、この中では厚労省の文書としては、このようにしか書けないのかと 思いますが、長く説明しようとすればそのようなことになると思います。 ○有賀座長  長く説明するとそのようになることを理解した上で、現場の人が読んでも理 解できないようなことは書いてもらっては困るということはあり得ますよね。 ○山本委員  表現に工夫の余地はあると思います。この表現は、こちらの報告書の中にも 2カ所出てきて、私もやや抵抗があったのですが、表現を工夫する必要はある と思います。 ○有賀座長  これだけの分量で2、3回出てくるのと、この行数を使って出てくるのでは、 全然意味が違うので、 その意味では働いている諸君から見ると、えっと思う 言葉だというのはそのとおりだということを言っているのです。 ○山本委員  働いていない私から見ても、えっと思った部分がありますので、そこは表現 の仕方を工夫していただく必要があるかもしれません。 ○有賀座長  いろいろな意見が出ましたが、モデル事業というのが違うのではないかとい うことは、そういう意味ではそのとおりだと思いますので、実態調査2という ことでやりましょう。いま先生が言われた看護系大学の大学院で、相当程度に アクティブにやられているという話がありましたから、そういうところからも どんどん情報を出してくださいという話で、取りこぼしなくいきたい。その方 がワーキンググループとしては安心できるのではないかという気がします。  安心の中で、私の頭の中では包括的な指示の範囲内だということで、私もや ってきました。つまり、法を犯してまでも患者を助けるほど勇気のある人では ありませんでした。そういう意味で、私たちの仲間は、包括的な指示というこ とで一緒にやってきました。だから、何か困ったことがあれば、自分が責任を 取るということで、いままでもやってきたし、これからもやっていきたいと思 うのですが、その議論の先に、いま言われた保助看法から先に出るような話が 出てきたとしても、それはそのほうがいいということがあれば、またここで議 論して、親会に上げるなりはあっていいと思うのです。  ただ、最初からそうするという話をすると、現場の景色と乖離したところで 脳味噌を使ってくれということになりますから、少なくとも私が座長をするに は、それはとても無理です。つまり、それを先に出せということになるとです。 だから、じわじわと地面が上がって、あるときこちらがポンと噴火が起こると いうのは、私は理解できますが、最初からあそこに向かって打ちまくれという 話にはならないと私は思いますが、神野先生、それでいいのですよね。 ○神野委員  そういうことです。 ○有賀座長  私はこうだと最初に先生がおっしゃったものだから、一気呵成に突っ込めと いう話ではないですよね。 ○神野委員  いや、実態調査の上で、必要ならば提言すべきだということです。 ○有賀座長  先生のお考えは、先生のあの地域で、先生がずっと病院をやってみえていま す。そこには患者さんがいて、医療があるわけですから、そのような方もいた ほうがいいのではないかと思っていると先生がおっしゃっていると私は思うの ですが、そういうことですね。 ○神野委員  ええ。私は能登半島の病院ですが、例えば麻酔NP、心臓のNPとか、そのよ うな思いはたくさんあるわけですが、なかなか実現できないところもあります。 ○前原委員  先ほど星委員から、感染症専門ナース、最初は何名、10名、20名、それを 何千人にするのに200年かかるという話がありましたが、この特定看護師も、 なぜ「モデル事業」と書いているのか。試行というか、パイロットスタディと いうのでしょうか、そういうものをやるべきだろうというコンセンサスは得ら れていると思います。大学院でそういう教育をやっているところは、10人で6 つとしても、年間60人です。ですから、感染症看護師さんと同じようなのかも しれませんが、そこの部分でやって、そういうドクターとナースの中間の職種 のメディエータのような人が少しずつ増えてくれば、日本の医療も少しずつ変 わってくるのではないかということですので、その意味からして、全国津々浦々 どこでもやって、特定看護師ができてしまって、それが足りなくなってという 奪い合いをする状況ではなくて、年間50名か60名の人たちをどのように教育 し、安全を保ち、そして医療の質をアップするものを、教育して作っていきま しょうということで、「モデル事業」という名前が付いているのだろうと思うの です。  ですから、そこでどこまでやるかということで、実態調査2でやられて、み んなで情報を共有することは、非常に大事なことだろうと思います。 ○竹股委員  いまいろいろな議論が出て、流れとしてはそれに対応していないかもしれま せんが、私は医療の現場で長年看護職をやって思うことは、過去と現在と未来 があって、例えば過去ですと、医師が偏在して数の少ない、例えば地域の民間 病院など、ナースがものすごい働き方をしているのです。例えばウィーニング は当たり前など過去系でいうと、そのような話を聞きます。  ただ、現在となると、昨今の非常に厳しい医療の安全性に対する国民の目線 に、それに伴う責任は誰かというところで、この10年間ぐらいは相当厳しく叩 かれているわけです。そのような中で、現場の管理では、重要なことは質をど う担保するかになってきます。  そうすると、実際には医師と看護職がチーム医療でやれば、やれることはた くさんあるのだけれども、特に人命にかかわる侵襲性の高いこと、人命にかか わらなくてもとてもあるレベルの侵襲性の高いものが、結果として医療事故・ 過誤に結び付いたときに、誰が責任を取るのだと。有賀先生は「私たちが」と おっしゃるけれども、どの医師もそういうわけにはいかないのです。  そうすると、例えば薬を渡す行為があります。これを看護職が間違えて渡す のと補助者さんが間違えて渡すのとでは、これはただの渡す行為なのですが、 間違えたというのは同じであっても、問われることは全く違うのです。ですか ら、未来に向かっていくときには、質の担保がどうできるかを、きっちりと国 民に対して示す必要があります。そうなってくると、いままでの話し合いであ ったようにきちんとしたレベルでの教育が必要になります。これは普遍性があ りますから、どこのどの病院、どのナースではないわけだから、そのような方 向に向かっていかなければならないだろうと思っています。  ですから、いまの議論というのは、未来と現在がかなり混在しているので、 私もとても悩ましいことではあるのですが、未来を見据えながら現在のディス カッションはすべきだと思っていますし、一方でこの調査を通じて私たちはリ アリティで生きているわけですから、未来だけを向かっているわけにはいかな いので、現在はどうできるのかということを現実的に考えてゆかなくてはいけ ないと思います。そのようなことでいまのワーキンググループの実態調査は賛 成です。 ○真田委員  いまの議論でわかることは、特定看護師イコールモデル事業になってしまう ことを懸念していることが、1つあると思います。モデル事業の内容はこれを このままやっていただいて、それで評価していただくのも方向性かとも思いま す。そして、いま現場で実際にやっていただいている方々の、従来のチーム医 療の実態も含めて考えますと、モデル事業の要件を特定看護師としての要件に しないということさえ担保していただければ、ぜひ、この事業もやっていただ いていいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○有賀座長  モデル事業という名前は、瞬間的に出た話でいけば、実態調査2と言いまし たが、「モデル」という外来語よりも、「実態調査」という日本語、もともとは 漢語なのでしょうが、私たちが普段使っている言葉により近いほうで表現した ほうが、私はいいと思います。 ○真田委員   そうですね。賛成です。 ○有賀座長  そういう意味では実態調査2だと仮定して、いま言った大学院の先生方のア クティビティも是非入れたい。それから、私たちと一緒に働いている人たちで、 専門看護師、認定看護師と言っている人たちの姿も、一緒に把握しておきたい。  そういう中で、「特定看護師」という言葉がすごくポピュラーになってしまい ましたが、そのような方たちの要件などについて、少し議論して、本当にモデ ル事業をしていかなければいけないとなれば、場合によっては能登半島のAP ではありませんが、そのようなものを目的にして、どうするかという話が出れ ば、そのときに本当にお金を掛けてモデル事業としてやってもいいのではない か、という構えではないかという気がします。 ○大滝委員  関連して確認したいのですが、実態調査2は審査はしないと。 ○有賀座長  審査もクソもなくて、私たちはこのようなものを作っているという話をルー ルに従って上げていただいて、場合によっては手分けをして読んで、これはこ うだというような話で、先ほどの話でいけば、医療安全という観点からすると、 松竹梅に分けて、これは松だけれども、これは竹だという形で、みんなで読合 せをしてもいいと思います。そのようなことをしないと、未来といっても突然 未来が出てくるわけではなくて、今日があるから明日があるとなりますので、 いきたいと思います。  ということで、いま言ったモデル事業は実態調査2ということで、全体の景色 をもう一回事務局で、改訂版を出していただこうと思いますが、よろしゅう ございますか。 ○島田課長補佐  いまいただいたご意見は、幅広い情報をいろいろ集めるということだと思い ますので、そういったことを含めて、もう一度計画をご提案したいと思います。  その際に、いまお話のありました審査とか、そういった手続きもどうするか も併せてご提案した上で、再度ご議論いただきたいと思います。 ○有賀座長  審査というのは、まさに目的を持って、このようなことという話で、場合に よっては次のステップなのかもしれませんね。それは審査に応じて、アプライ する人たちは、そのようなことをやるのだったら先立つものがほしいという話 になるはずです。そのようなことも含めて、ご勘案くださるとありがたいと思 います。 ○前原委員  大滝委員の質問と同じなのですが、ここに書いてある「モデル事業」という 言葉が悪いのでしょうけれども、実施要綱の基準に沿って書面で審査を行うと いうのが、要綱案ですから、これが全部否定されたわけではないとは思うので すが、情報収集する、全委員が情報を共有するということで、現に走っている 何病院か、大学院の情報と、そのほかのやりたいというところの情報を集める のであれば、それはこのテーブルに是非乗せてもらいたい。そうしないと、ま たここから1歩戻ってというより、そういう中間職種の人をいまの医療で200 年は待ってられませんので、少しずつ前に進みたいと思うのですが、いかがで しょうか。 ○有賀座長  前を向いて進むことは当たり前なのですが、前がどこかという話です。大学 院はいくつあるのでしたか。 ○井上委員  看護大学は200近くで、(専門看護師の教育)課程は160近くです。 ○有賀座長  看護協会の認定ナース、専門ナースというのがありますが、あれは全体では 何種類ですか。 ○井上委員  11分野です。 ○有賀座長  少なくとも、そのような方たちに情報を出してくださいと言えば、200弱は 集まってくると。 ○井上委員  そういう人たちからも情報がほしいし、教育している側もどういう教育をし ているかという情報を出していきたいです。 ○有賀座長  そのような形で、実態調査2をやってという形で進めたいと思うのですが、 そういうイメージはOKだと思います。前原先生、それでいいですよね。 ○前原委員  いいと思います。情報を共有するということですね。モデル事業のアプライ しようとしている施設があると思いますから、その方たちにはもちろん出して いただいて、看護大学協議会の人たち、どなたのも分け隔てなく情報が出てく れば、ここで議論をするのにいいのではないでしょうか。 ○有賀座長  そうしないと、今日と明日の結び付きがわからなくなってしまうので。 ○星委員  1つだけ申し上げておきます。整理が必要だったということだと思います。 いまの保助看法の領域を超えてという話は置きましょうというのは、本則にも 書いてあるわけですから、それでスタートすべきです。  それから、大学院というのがメジャーになってしまっていますが、ほとんど の我々と一緒に働いている人たちは、3年制専門学校卒で、大学院に入ること のできない人たちですから、現実にやられていることと、目指していることと の間には、制度的にもそうだし、いろいろなギャップがある前提で、とにかく 一定のものだけを押すということではなく、まず確認をして、その上で議論を して、次のステップに進むという有賀座長の組立てに賛成です。 ○杉野医事課長  私は席を外していたのですが、熱心にご議論をいただきました。私は議論の 様子はよくわかりませんが、モデル事業については、ある意味では実態調査で あるということは仰せの通りだと思います。資料5の実態調査が、医療現場に おける実態調査であって、資料3のモデル事業というのは、養成の現場で実態 が動いていますから、それを把握するという意味では、実態調査だと思ってお ります。  モデル事業という名称も、本当はどのような名称がいいのかは事務的にも議論 をしました。「モデル」というと、それが模範的なものであるイメージがあります が、本当はそうではなくて、あえて言えばパイロット的な事業をやっているとい うことなのかと思っています。いずれにしても、その実態を把握した上で、その 情報を汲み上げて議論をすることが大切だということで、ご提案申し上げました。  実態調査は、おそらく夏には集約できますから、それを踏まえて、モデル事業 と絡めて議論していただくということで、十分議論できると思っております。  1点だけ医療現場の実態調査と違うところがありまして、このモデル事業の場 合は、どこの大学院のことかがはっきりわかった上で、それをある意味では継続 的に把握するという話になるのですが、この資料3の2の「事業内容」の2つ目 の○ですが、そこは衆人環視の下でモデル事業になっていくわけですが、そこで いまチャレンジしようとしている、実施しようとしている行為については、これ までは厚労省は○とも×とも言っていなかったような話に取り組まれようとする 部分が多いので、そこはある意味ではこのワーキンググループとの協力の下、そ こはトライアルとして許容されるのだということを明らかにした上でお取り組み いただいて、マイナスの情報もプラスの情報もこちらにいただくことが必要です ので、そういう意味では単なる実態調査に、プラスアルファした試行の部分の性 格も持つことを踏まえまして、要件の部分はいろいろとご議論あるかもしれませ んが、次回までに事務局で整理をして、改めてご議論していただきたいと思って います。 ○有賀座長  いまの医事課長の言われたことで問題ないと思うのですが、このワーキング グループで従来から思っているところと少し違うところをやっていることにつ いても、わかっていただきたい。そんなことはわかっていただいていることを 前提に、現場の当事者である患者さん、患者さんのご家族と、ナーシングスタ ッフ、この話でいくと、その後ろ立てでいる指導者たる医師を含めて、そのよ うな人たちが納得して、そこで医療が行われていることをわかっているから、 このような議論が行われていると思っていなくてはいけないと私は思いますが、 それでいいですか。それがいま言ったように、法律に触れるかどうかという話 は、ギリギリと神学論争をやろうと思えばいくらでもできると思いますが、神 学論争ではなくて、現場の当事者たちの納得の上で医療が展開していることを、 いま医事課長さんの言っていることに追加します。 ○杉野医事課長  それが前提であり、その上に立って、法制面も含めた制度をご議論いただく ということかと存じます。 ○島田課長補佐  次回は6月14日の16時からを予定しています。詳しくは正式にご案内申し上 げますので、よろしくお願いいたします。 ○有賀座長  どうもありがとうございました。終わります。                                  以上 (照会先) 厚生労働省医政局看護課 島田(陽)、藤田 (代表)03−5253−1111(内線4167、4171)