10/03/26 第15回高度医療評価会議議事録               第15回高度医療評価会議 (1)日 時: 平成22年3月26日(金)16:30〜 (2)場 所: 経済産業省別館8階825会議室 (3)出席者: 猿田座長、山口座長代理、飯沼構成員、伊藤構成員、        金子構成員、川上構成員、佐藤構成員、柴田構成員、        関原構成員、竹内構成員、田島構成員、藤原構成員、        堀田構成員、村上構成員、山本構成員       (事務局)        医政局研究開発振興課治験推進室長        保険局医療課企画官   他 (4)議 題 1 新規申請技術の評価結果 2 継続審議の評価を受けた技術の評価結果 3 その他 (5)議事録:以下 ○猿田座長  それでは時間になりましたので、第15回の高度医療評価会議を始めさせていただきます。 委員の先生方におかれましては、年度末で大変お忙しいところを、また、学会等もあって大 変なときにお集まりいただきましてどうもありがとうございました。  本日の構成員の出席状況でございますが、田上構成員からはご欠席とのご連絡を承ってい ます。金子構成員がちょっと遅れておられますけれども、時間が過ぎますので始めさせてい ただきたいと思います。  それでは早速、事務局のほうから説明をお願いいたします。 ○事務局  配布資料について確認させていただきます。まず、議事次第から始まりまして、座席表、 開催要綱、構成員、技術委員名簿と続きます。その後に、新規申請技術についての資料1-1、 1-2と続きます。その次に、第10回会議にて継続審議の評価を受けた技術の評価結果につ いての資料2-1、2-2と続きます。最後に参考資料として1〜4まで付けております。なお、 議題2の継続審議案件について、ペプチドワクチンの具体的な名称については、開発段階で あるため、企業より公表を控えていただきたい旨、申し出がありましたのでご配慮願います。 また、会議資料に個人名が記載されておりますが、公開の場ですのでご配慮いただきますよ うよろしくお願いいたします。本日の資料は以上でございます。過不足等ございましたら事 務局までお知らせください。  それから、利益相反についてでございます。対象となる医薬品及び企業のことについて資 料1-1と2-1に記載しております医薬品・医療機器情報をご覧ください。対象となる製造販 売企業又は競合企業に関して事前に確認をさせていただいております。事前の届出以外に、 特別に関与するような事例はございませんでしょうか。該当なしということでよろしいでし ょうか。以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。ただいまご説明がありましたように、後ほどの議題2 でございましょうか、開発段階にあるため、企業から「ペプチドワクチンに関する具体的な 名称は公表を控えていただきたい」ということと、もう1つは、会議資料に個人名が記載さ れていることで、これに関しましてもご配慮をお願いしたいということでございますので、 ご了承いただきたいと思います。  それでは早速、議事に入りたいと思います。最初は議題1の「新規申請技術の評価結果」 でございますが、まず事務局のほうからご説明お願いいたします。 ○事務局  事務局よりご説明させていただきます。なお、撮影されている傍聴者の方はここまでとさ せていただきますのでお願いいたします。  では、資料1-1をご覧ください。新規技術の評価結果としまして、整理番号023、高度医 療名は下肢末梢血管疾患に対する、生体内吸収性高分子担体と塩基性繊維芽細胞増殖因子 (bFGF)を用いた血管新生療法です。適応症は、慢性閉塞性動脈硬化症、バージャー病、糖 尿病性下肢壊疽が対象となっております。申請医療機関は京都大学医学部附属病院です。審 査担当構成員としまして、主担当に山本構成員、副担当として金子構成員、佐藤構成員とな っております。以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。それでは、いまお話にございましたように、主担当が山 本構成員、副担当が金子構成員、佐藤構成員ということで、ちょっと金子構成員が今日まだ 遅れておられますけれども、山本構成員のほうからご説明をよろしくお願いいたします。 ○山本構成員  高度医療の名称としましては、先ほどありましたように下肢末梢血管疾患に対する、生体 内吸収性高分子担体と塩基性繊維芽細胞増殖因子を用いた血管新生療法ということでござ います。概要としましては、対象者は、慢性閉塞性動脈硬化症又はバージャー病による重症 下肢虚血患者ということでございます。  薬剤としましては、薬理作用を示す医薬品はもう既に販売されておりますフィブラストス プレーでございまして、それをゲル化して投与するという、全く新規の成分ではないという ことでございます。それと、もともとフィブラストスプレーは外用剤ですけれども、これも 外用剤として使用しておられますので、基剤が違うといいますかそういうことで、売ってい るものと非常に大きな違いがあるわけではないというふうに考えております。  実施体制の評価は金子構成員にしていただきまして、すべて「適」と判断していただいて おります。コメントとしましては、「既に第I-II相臨床試験が行われて有効性、安全性が示 唆されている。今回は更に客観的に評価を行おうとするものであり、実施体制には問題な い。」といただいております。  それから、倫理的観点からの評価は佐藤構成員にしていただいておりまして、こちらも 「適」といただいております。「臨床研究であること、この方法の(予想される)効果及び 副作用、この方法以外の治療法、補償内容など、きちんと説明されている。また、補償内容 も適切である。更に、患者相談の対応についても、CRCが上げられており、適切である。」 といただいております。  プロトコールの評価でございますが、こちらは私が担当いたしまして、全項目「適」とさ せていただきました。コメントですが、研究計画は全般に適切に記載されておりました。実 施体制やモニタリング体制等も、適切に整備されている。と思いました。  患者負担について、最初の提出書類では申請書と研究計画書の記載に齟齬がございました。 内容は、申請書では、高度医療にかかる費用を患者負担と記載されておりましたが、研究計 画書及びIC文書では、研究費で負担と書かれておりましたので、そちらにつきまして事務 局より指摘していただいたところ、申請者により適切な形に修正されまして、研究計画書の とおりになったと聞いております。ですから、齟齬は直っておりますので問題はないと判断 いたしました。  ということで総合評価としては「適」でございまして、既に整備事項は整備されておりま すので特に問題はないと考えております。以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。佐藤構成員からご説明お願いできますでしょうか。 ○佐藤構成員  いま山本構成員からご説明があったとおりです。別冊の資料のほうの真ん中辺に同意説明 文書が付いてございますので、ご参照いただければと思います。とても詳しく分かりやすく 書いてあると思いました。特筆すべきこととしては、健康被害があったときの金銭補償があ るというところです。今回の資料に付いていないのですが、この説明文書の後に、補償につ いての説明文書というのが2ページぐらいで実際には付いておりまして、そちらによります と、これは記憶を頼りにいま話していますが、患者さんから金銭補償の申し出があった場合 には、京都大学の附属病院がその因果関係の判定をする。患者さんが因果関係の立証をする 必要がなくて、むしろ京都大学のほうが払いたくないという場合には、因果関係がないとい うことの証明をするというような取り扱いであったかと思います。私からは以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。いまご説明いただきましたけれども、全体としても、適 切な文書ということで「適」ということですが、どうでしょうか。  今度の場合の適応症のところなのですけど、一応10例で、慢性閉塞性動脈硬化症とバー ジャー病で、糖尿病性網膜症が治療中の患者さんに対しては、今度の適応症には入れていな いということですね。それでよろしいですね。  どなたかご質問ございませんでしょうか。いろんな、こういった形の疾患に対したやり方 がございますけれども、この方法は割と効果的であるということでございます。安全性も高 いということですが。特にご意見がなければ、お認めするということで皆様方よろしいです か。ありがとうございました。それでは認めていただいたということにさせていただきます。 どうもありがとうございました。後で金子構成員が来てから何かご意見があれば、金子構成 員に言っていただくということで、特になければ、次の013-1ですね、再評価に関しまし て、まず事務局のほうから説明をお願いします。 ○事務局  事務局よりご説明させていただきます。資料2-1をご覧ください。第10回会議にて継続 審議の評価を受けました、進行食道癌に対するペプチドワクチン療法につきまして、会議で の指摘事項を修正いただきまして再度提出がありました。適応症は食道癌が対象となってお ります。申請医療機関は山梨大学医学部附属病院です。審査担当構成員としまして、主担当 に藤原構成員、副担当として猿田構成員、山口構成員、田島構成員となっております。以上 でございます。 ○猿田座長  ありがとうございました。それでは最初に、主担当の藤原構成員のほうから概略的によろ しいでしょうか。 ○藤原構成員  お手元の資料2-2が今回再評価というので行った資料でございます。当初の1回目は第 10回会議のときにかかっているのですが、お手元の資料に太いほうの耳が付いているもの の最後のほうに、第10回の最初のときの評価表が付いておりますので、それを受けて、今 回申請者の山梨大学から回答がきましたので、その回答を踏まえて評価を行った次第です。  資料2-2の14ページまでは再評価の流れが書いてありまして、15ページ目のところには、 山梨大学からいただいた最初の回答書があります。この回答書の後にもう1度やり取りをい たしまして、今回の再評価表をまとめたという時間経過でございます。  手元の10ページから見ていきますが、実施体制のほうは猿田構成員にご評価いただきま して、問題ないでしょうというところです。それから山口構成員にも実施体制のご評価をい ただきまして、問題なしで「適」という判定をいただいております。それから倫理的観点の ほうは、初回の指摘事項を踏まえていろんな整備がされているということで、田島構成員か ら「適」というご判断をいただいております。  次は私のプロトコールの評価でございます。細かく書いてあるので詳細は読んでいただけ れば分かるように書いてあります。これは初回の審査のときにも問題にしました HLA-A*2402群とそうではない群に予めブラインド下で分けて、HLA-A*2402群にこのペ プチドワクチンを投与していくというデザインなのですけれども、その辺り、最初の去年の 審査のときにはランダム化比較試験のような曖昧な記載がされていましたので、そういうデ ザインとは全然違うものですという話を、もう1度念を押したコメントを、最初に11ペー ジにしております。  次の12ページのところですが、今回の評価で初回との1番大きな相違というのは、初回 のプロトコールと今回のプロトコールが全く別物というものが出てきておりまして、初回に 私どもが評価したものと使っているペプチドワクチンの種類が少し異なるのです。初回のほ うは、山梨大学の倫理審査委員会で通った後に粛々と症例の集積をしておりまして、今回は そのときに使っていたペプチドと少し異なるペプチドで、新たに山梨大学に出し直したもの を今回の高度医療評価会議にかけてきたという内容でございます。  2)でコメントしているのは、ペプチドワクチンをカクテルで実施する場合には非常に難し いというのは了解可能なのですけれども、あまり何度も何度もペプチドのカクテルの内容を 変えていると、いつまで経っても最終評価に至らないので、そろそろ腹をくくって治験を目 指して次の段階ではランダム化比較試験を実施していただければというところをコメント しております。  それから、やり取りの中で気付いたのですけれども、ペプチドワクチンの名称がいろいろ ありまして、同じ名称に別の名前を使っていたり、私の頭の中でも混乱しましたし、多分、 山梨大学の倫理委員会の先生方も自分が何の審査をしているのかよく分からなかったので はないかということを危惧したのですが、その辺は回答をいただいてクリアに整理できまし たので、いまの時点では問題ないと思っています。  3)、これは初回のときに1番私はおかしいなと思ったところでございまして、症例選択基 準ですね、臨床試験の中で1番大事なところです。種々雑多な患者さんを臨床試験に入れて しまいますと、ノイズが非常に大きくなって結果がわけが分からなくなってしまうので、な るべく臨床試験の段階ではどのインベスティゲーターが見ても分かりやすいような、症例選 択基準を設定するというのが王道なのですけれども、「通常こういう進行食道癌で何か臨床 試験を実施する場合には、こんなデザイン、こういう症例選択基準ですね」というふうにア ドバイスさせていただきまして、回答のほうでは「そのアドバイスに従った症例選択基準に 変更します」ということをいただいたので、問題ないと思っています。  13ページの4)です。ここも初回の申請のときにかなり問題視したのは、安全性のいろん なハンドリングがプロトコール中に規定されていない、詳細に書かれていないというのが、 普通のプロトコールとかなり違うことを感じました。臨床研究に関する倫理指針はもう既に 改正指針が発行していまして、それに従うことは皆さん普通のようにやっていることなので、 山梨大学でも十分SOP等は整備されているでしょうから、それに従って粛々と安全性情報 のハンドリングをしますと、その山梨大が決められているSOPの記載をそのまま転記して いただければいいので、そういうプロトコールの内容にしてくださいというお願いをいたし ました。  5)はモニタリングです。これは多施設共同研究で実施する場合に、どうやって臨床試験の 質を継続的に担保して行くかというのはなかなか難しい問題なので、治験ほどではないにし ても、何らかのいろんな方策を使って多施設をしっかりコントロールしていただきたいとい うことで、もう少し詳細な手順を書いてくださいねというお願いをしております。 6)、これは利害の衝突が少し曖昧に書かれていましたので、公開をする必要はないですが 開示はちゃんといろんなところにしたほうが良いので、それはきちっと書いてくださいとい うお願いをしました。  最後は、いくつか用語の使い方とかの話をしまして、最後の14ページにありますように、 初回に比べたら中身的には向上しておりますので、条件付き適でもいいのではないかなと判 断をいたしました。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。いまご説明いただきましたが、実は藤原構成員と山梨大 学のほうのやり取りで非常に詳細にしていただいて、いかにいろんなところが訂正されてき たかということで、いまのお話にございましたように、最終的には「条件付き適」でという 形でございます。私のほうとしていちばん心配になったのは、やはり、前のときも言ったの ですけれど、果たして安全性と効果の問題ですね、これをどう取るかということですが、こ ういった食道癌の末期の状態というのは、もう治療法がない状態でありますから、その状況 において、安全性がしっかりしていてある程度の効果が読めるということであれば、更にこ ういった高度医療評価を使って行くのは良いだろうということで、やはり非常に難しいのは その辺りの判断だと思います。  それからもう1つは、特にこれから高度医療評価会議の後に、今度、先進医療専門家会議 のほうに進んで行きますと、そちらの先生方もやはり有効性の問題と、それからもう1つは、 やはり先進医療の先生方がいちばん気になさいますのは、患者さんの負担がどうかというこ ともございます。そういったことが、今度の場合には、患者さんには高度医療の費用につい て負担をかけないで実施するという形でございますので、そういったことから見ると、施設 は非常にしっかりしています。ただ、これは10施設で実施するのですね、そういったこと での、きっちりした連携をしっかりしていただくことが大切でございますけれど、そういっ た面から見ると、こういう形で高度評価として実施して行くのは、特に治療法がないような 患者さんの場合には良いのではないのだろうかということで、私としては、この技術と、そ れから施設に関しては許可して良いだろうという形で「適」とさせていただいた次第でござ います。 ○山口座長代理  藤原構成員によく見ていただいたので特にコメントはありませんが、この研究のミソは、 10例あって1例CRが出たということだろうと思うのですけれども、文献をよく見ますと 解釈がなかなか難しい症例があり、1例については、他の部分はコントロールできず、肺転 移だけ小さくなったように見える症例があったということです。現時点では、これは素晴ら しいといえる段階まではまだ行っていないと思うので、是非60例実施して、そういう例が 何例か出れば、評価できると思いますけれども。これは国民の皆様の期待に沿って、厳密に、 藤原構成員にいろいろ指摘していただきましたので、ある程度評価できると言うか、これは 良いと出るか駄目と出るか分かりませんが、いろんな意味できちっとそれを評価してあげる という意味で、良い試験ではないかと思います。 ○猿田座長  田島構成員、いかがでしょうか。 ○田島構成員  補償に関する説明と相談窓口の点で修正をお願いしておりましたところ、補償に関しまし ては、金銭的な補償がないということ、それから過失がある場合には病院の責任、賠償保険 が使われる場合があるということで、きちんと書き分けていただきましたので、これで問題 ないと思いますし、相談窓口が責任管理者の連絡先以外にも設けられましたので、これも修 正なされたと考えております。 ○猿田座長  ありがとうございました。以上のような形で、藤原構成員に全体的に見ていただいて、あ と他の先生方も、「条件付き適」ということで良いのじゃないかということでございますが、 他の構成員の先生方からご意見を是非いただきたいのです。これは非常にこれからも重要な ところだと思うのですけれども、高度医療の評価のやり方をどういうふうに実施して行くか というときに、これは1つの良い例だと思うのです。どなたかご意見ございませんでしょう か。 ○柴田構成員  エンド・ポイントの評価ですとか、この試験が終った後にどのように判断をして次に進め るかというところの部分については、「条件付き適」ですので、先進医療に上げる前にきち んと記載を厚くしていただく必要があるかとは思っております。  具体的に挙げますと、例えば、前回の1回目の評価のときにも藤原構成員からのコメント にありましたけれども、OSやTTF等の、どのようなタイミングでどういうふうにデータを 取るのかという話については、現在提出いただいているCRFの中にもきちんとそういう項 目というのが入っていないですので、今回の結果に基づいて、例えば生存期間が延びる可能 性があるという解釈をすることも現状では厳しいと思います。  もう1つは、CRFの書き方が緩いというだけではなくて、もともと陽性と陰性に分けて、 両方同じ治療を受けていて、差があった場合も差がなかった場合もそれぞれやはり解釈困難 です。先ほど山口構成員がおっしゃったように、CRが出るとかということがあれば、それ なりに効果があるだろうということが期待できる傍証にはなるかもしれませんが、この場合 は、バイオマーカーで分けたものに関して出た目の治療成績だけを比較するようなことをし てしまうと、仮に本治療法に効果があっても、間違って治療法に効果がないと捨ててしまう 間違いを犯す可能性もありますし、逆に、効果がないのに効果があると間違って判断を下し てしまう可能性もあります。それは、バイオマーカー陽性と陰性の間で、予後が一緒かどう かが分からないからです。ですので、この結果に基づいてこの臨床試験の結果をプレゼンテ ーションするときに、この臨床試験の結果から生命予後が延びたという主張をされるのはま ずいと思います。現状のデザインであれば。そこのところについては明確に、この結果をど う解釈するのかというところを常に明らかにした上で進めていただくべきかなと思ってお ります。 ○猿田座長  柴田構成員、それから、この例数はどう考えますか。 ○柴田構成員  例数については、ここのところは基本的には、例えば、陽性の分と陰性の分でどのぐらい 予後が違うかという情報がいまのところありませんので、ざっくりとした見込みとして、こ ういう決め方というのはあり得るとは思いますが、それを探索するためには、この試験で結 論を導くのは難しいと思いますので、次に臨床試験を行うときにきっちりとした検証的な試 験を組んでいただく必要があろうかと思います。回答の中では、予後因子、予後の違い等に ついては検討する予定であると書いてはありますが、現状のCRFでは、通常患者さんの予 後に影響を与えると思われる因子を取るようになっていません。ですので、このままでは解 析するつもりだとは書いてあるものの、具体的な解析は不可能な状態の臨床試験結果が出て くることになりますので、そこも解析できるような形にして、次のステップに進むための当 たりを付けることができるデータが得られるような形で進めていただければと思います。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。貴重なご意見をいただきました。 ○竹内構成員  実は全く同じ意見でございまして、後でこれ、陽性か陰性かが分かるので、仮に、ひょっ とすると全部陽性かもしれないという可能性もありますので、一体そこら辺をどうするのか という疑問もございますし。先ほど、猿田構成員がご指摘されましたように、60例という ことで、全部60例実施してしまって安全性はどうなのかと。なので、先ほど山口構成員が おっしゃいましたように、10例あって2例あったということがありますので、やはり定期 的にモニタリングしていただいて、本当に進んでいいのかどうかと。そういうときには、陽 性か陰性かを開示、中で独立的に実施していただいて、しっかりとこの試験をモニタリング していきながら、安全性かつ有効性を検証していく、検証という言葉は良くないと思います けれども、観察していくような試験計画にしていただければと思っております。 ○猿田座長  そうですよね。途中での確認が非常に重要だと思います。ありがとうございました。 ○藤原構成員  せっかくですね、去年かけたプロトコール、既に来年の3月まで実施すると言っていらっ しゃって、それを60例ぐらい実施する、同じデザインなのですよね。それは高度医療では ないですけれど、これから進むであろう高度医療評価のプロトコールの安全性を担保するの であれば、ペプチドの種類は1種類違うだけなので、例えばHLAのタイピングの状況とか 安全性等を、集積が終っても半年もすればデータはフィックスできるでしょうから、そのと きに1遍報告していただくと、安心感を持って次の60例を見ることができるのかなと、い ま思いましたけれども。 ○猿田座長  それは確かに、今度の場合、非常に重要なところにあるところなので、いま先生がおっし ゃったように途中経過というのはものすごく重要だと思うのですね。その辺りは十分注意し てというご意見があるということで。他にご意見ございますか。 ○堀田構成員  私もちょっと最初の審議に参加していなかったのですが。通常の従来の治療法では生命の 延長が期待できない末期の食道癌という対象でですね、ワクチンをやって、ワクチン自体の 評価をどうやったらいいかというのは非常に難しい問題であって、レスポンスではなかなか 見れないということで、最終的にプライマリー・エンド・ポイントをオーバーオール・サバ イバルということにするのですが、もとの疾患が大変厳しいので、本当にオーバーオール・ サバイバルを延ばすパワーがあるか、もちろん期待するのですけれども、もしそれが証明で きないときは、全く意味がないというふうになるのかどうか、その辺はどのように考えたら いいのかというのはちょっと疑問に思いました。 ○猿田座長  こういうワクチン療法の場合には非常に難しいですね。藤原構成員、何かありますか、そ このところは。 ○藤原構成員  お手元の資料2-2の11ページの下から12ページの上のほうに書いてあるのですけれど も。私はこのプロトコールは仕掛りのプロトコールであって、これで有効性・安全性を断定 的に評価するのはもともと不可能な話なので、次のステップが大事だと思いまして。次は多 分、本試験の次のステップとしては治験を行うのは当然でしょうし。ワクチンの評価という のは、こういう進行癌で評価できるわけがないのですね。これはFDAのガイダンスのドラ フトでも言われてますけれども、別にドラフトで言われなくても誰が考えても当たり前のこ となので。実施するデザインとしては、アジュバントのセッティングで体内に癌細胞が少な い状況で、抗癌剤等もそんなには使わずに本人の免疫力をしっかり担保した状況で、このワ クチンをプラセボと比較してあげるというのが王道だというのは誰もが理解できることな ので、次のステップとしてはそれを行うのでしょうねという話はここに書いております。そ れは術後のアジュバントにするのか、術前の治療にするのかというのは論を待つところなの ですけども。こういう指摘をしておりまして、この後の回答で申請者さんは、こういうデザ インで当然次は行いますとおっしゃっていますので、ここには書いておりませんでしたけれ ども、次のステップで、いま堀田構成員がおっしゃったようなご懸念、本当の有効性の判断 は、そういうランダム化比較試験でやられますので。世界の他のペプチドワクチンを実施し ている企業の治験は、皆そのデザインでやって最終コーナーに来ているわけですから、申請 者の方たちは当然それを念頭に置いて考えていらっしゃると思います。 ○猿田座長  ありがとうございます。他に構成員の方でどなたかご意見ございますでしょうか。いまお 話がありましたように、非常に厳しい状況であるけれども、やはり高度医療評価ということ で実施するのがこの委員会のメリットであるというふうに考えますので、こういった例をこ れからも実施して行くことになるかと思うのですけれども。 ○村上構成員  事務的な話になりますが、「国内外未承認の取り扱いについての留意事項」の項目の中に も、試験物概要書はちゃんと取りまとめ提出してもらいましょうということが記載されてい ると思います。そうすると、内容そのものを、もう少し本来必要な項目の情報を足したもの にしていただいたほうが、よろしいのではないかと思いました。その辺の配慮も、次のステ ップのことも考えますと必要になってきますので、よろしくお願いしたいと思います。 ○猿田座長  ほかにご意見ございますでしょうか。一応、この委員会としては、いま藤原構成員からお 話がありましたように、次のことも考え、いまの段階では条件付きの「適」ということで、 藤原構成員、結局それでよろしいですね。 ○藤原構成員  やり取りをして進めれば。 ○猿田座長  そうですね、詰めていただきたいところはありますが。施設の問題とか、その辺りのとこ ろもしっかり詰めてもらいたいと思います。それから、もう1つは途中経過でやっぱり見て 行かなければいけないということもあると思います。他にご意見がございませんようでした ら、この委員会としては、こういった形でお認めして、もう少し詰めていただくところは、 藤原構成員と施設のほうとでやっていただくということで。もちろんその途中過程のところ は委員の皆様方にもまた報告をさせていただくという形で、一応そういったことであります れば、条件付きで認めるという方向で行きたいと思います。  ちょっと1歩進んだ形で高度医療評価会議ができるようになったということで。それでは そういう形で進めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。  金子構成員がお見えになったので、最初のほうですね、一応皆様方いいんじゃないかとい うことで。金子構成員、何かご意見ございますでしょうか。 ○金子構成員  特にございませんけども、この薬は2001年に外用のスプレー剤としてもう出ているわけ ですけれども、10年経ってだいぶ熱狂が冷めたというような感じがあるのですが、それで も慢性潰瘍や熱症等でかなり有効性が確認されています。ただ問題は、この水溶性で体内に 注射してもすぐ希釈されて効果を発揮できないという問題点を解決するということで。これ は有効で期待されているものですので、このプロトコール自体も問題ないというふうに判定 しました。以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。今日審議するのはこの2つの案件だけでございますけれ ども、全体として、構成員の先生方のほうから何か。 ○山本構成員  今回ですね、私、1つ目のほうの担当をさせていただきまして、全体の資料を見たのです が、この資料につきましては非常に良く書かれています。全体的に、研究計画書だけが良く 書かれているという問題ではなく、説明同意文書もですし、CRFですね、CRFの出来が格 段に違います。これは京都大学附属病院でされるのですが、その探索医療センターという京 大の中のそういう臨床試験を支援する部門の方々が、多分全力を挙げてなされたのだろうと 思うのです。ですから、やはりそういう専門の支援部署があって、そこにある程度プロフェ ッショナルの方々がいらっしゃる施設では、このぐらいのものができます。そういう人たち がなかなかいらっしゃらない、あるいはコンサルトをかけるにもするところがないというよ うな施設では自ずと、計画書は何とか作ったとしても、説明同意文書も何とか書いたとして も、その後の、よく柴田構成員がおっしゃるような、CRFをきちっとデータが取れるよう な形まで作り込むこと、そういう辺りのことがやはりできにくいという現状があります。も ちろん申請者になられる方は、そこを自分の責任でやらないといけないのですけれども、や はり手厚い支援があるところとないところで、ハードルの高さが全然違うなという気がいた しました。これは、そういう支援の部門が、日本の国内にもう少したくさんできないと、な かなかここに良いアイディアも出てこないという問題があります。今回この資料を見まして、 やはりそういう意味で、国の中にかなり格差ができているなと思いましたので、ちょっと申 し上げたいと思いました。 ○猿田座長  ありがとうございました。実際ですね、京都大学のほうは、山本構成員がおっしゃられた ように、探索センター、いちばん最初から伝統を持ってやっておりまして。トランスレーシ ョナルリサーチの拠点の7つの大学を見て回って、やはりまだ温度差があるのですね。しか しながら、各所の拠点がそれでどんどんレベルアップしていただくと。いま共同の会議もや っておりまして、そういった形で、全体にレベルアップしないと意味がない。今度はそうい った各施設のところへ、やはり皆さん方が勉強しに行って、覚えてレベルを上げていかない と、いつまでも日本の臨床研究はこういった形で進まないということです。いま拝見してい ると、やはり京都はもともと力を持って実施しておられまして、いま各施設も着実に上がっ てきているということで、必ずその方向で行きたいと。それに対して国のほうも、それをし っかりと支援していただく形でなくては困るだろうという形で実施しておりますので、これ からもご支援をお願いしたいと思うのです。  全体的に、他にご意見ありますでしょうか。 ○関原構成員  いまの話に関連しまして、ペプチドワクチンというのは、第四期の末期の癌のいろんな臓 器でいろんな大学がやっておられますけれども、いまの山本構成員のようにですね、これも かなり施設によってやり方と言いますか、トータルとしての力は相当違っているわけですか。 私など患者から見て、よくこの話は出るんですね。例えば、この山梨大学でこれが出ると。 食道癌で困っている人はたくさん全国に散らばっていて、あそこは進んでるんじゃないかと、 こう思うわけですね、みんな。それで何とか行こうとかそういう話になるわけですけれども。 特に、全国で様々行われている、非常に似ているような、患者から見るとですね、治療とい うものにもかなり差があると考えてよろしいのですか。 ○猿田座長  確かにいま重要な点で、それは日本全体として、特にこのペプチドワクチンに関しまして は、例えばいま中村祐介教授のところで中心となって、スーパー特区として動き出しており まして、全体的に日本として組織的に実施して行こうという形で動いておりますので、もう ちょっと先を見ていただくことではないかと思うのですけれども。 ○藤原構成員  私も、この高度医療評価でペプチドワクチンをやる利点というのは、今回も10施設ちょ っとの施設が参加しているのですね、山梨大学以外にもですね。それが同じようなプロトコ ールで、きちっとしたプロトコールの下で試験を実施していくと、きちっと評価ができると いうのがあって。他の癌種でも上がってくるのですけれども、それで良い試験を実施してい ただいてペプチドワクチンを評価していただくというのは、とても大事なことかなと思いま す。ただ、先生のご懸念のように、私も外来で診ていると、むしろクリニックさんとか、結 構、自家ワクチンとか、ああいうのはペプチドワクチンと全然違うワクチンも、いま診療の ほうで実施されていますので、そちらのほうは今回こういうところに上がってきません。本 来であれば、そういうペプチドワクチン以外のワクチンのところも、この高度医療評価でや ったらどうかなというのはありますけれども、そこまでの強制力は私どもはないので、そこ をどういうふうにされるかというのは、国の問題なのかなとは思います。 ○猿田座長  特にこの委員会としては、やはり、施設が非常に重要でございまして、しっかりした認め られた施設で実施すると。これは他の技術に関しても同じでございますので、その点で特に 私どもとしては注意しているということかと思います。  他にご意見がございませんようでしたら、ちょっと早いですけれど、これで第15回を終 りたいと思います。事務局のほうから次の予定をお願いします。 ○事務局  次回の日程ですが、4月27日16時半〜18時半を予定しております。詳細等決まりまし たら追ってご連絡させていただきます。また、本日の議事録については、作成次第先生方に ご確認をお願いしまして、その後公開させていただきますので、併せてよろしくお願いいた します。以上です。 ○猿田座長  ありがとうございました。それでは、もし他にご意見ございませんようでしたら、これで 第15回の高度医療評価会議を終ります。どうもご出席ありがとうございました。 照会先 厚生労働省医政局研究開発振興課 TEL 03−5253−1111 高度医療係 松本 内線2589