10/03/19 第11回チーム医療の推進に関する検討会議事録 第11回 チーム医療の推進に関する検討会 日時 平成22年3月19日(金) 14:00〜16:00 場所 経済産業省別館944会議室 ○永井座長  時間になりましたので、ただいまから「第11回チーム医療の推進に関する 検討会」を始めさせていただきます。  ご多忙のところ委員の先生方には多数お集まりいただきましてありがとう ございます。今日は、取りまとめに向けてのご議論をいただきたいと思いま す。まず、事務局から出欠状況、資料の確認をお願いいたします。 ○石川(典)補佐  出欠状況をご報告いたします。竹股委員は少し遅れてご出席いただくと伺 っています。大熊委員からはご欠席と伺っています。太田委員も15分ぐらい 遅れてご出席予定となっています。  ここでカメラは一旦退室いただきます。 (カメラ退室) ○石川(典)補佐  マイクについてですが、おそれいりますが、この大きいほうのマイクをお 使いいただいて、ここで音量調整することを試みずに、できるだけ口を近付 けてお話しいただきますよう、よろしくお願いいたします。  資料の確認をさせていただきます。いちばん上が「第11回チーム医療の推 進に関する検討会」、2枚目が「チーム医療の推進に関する検討会構成委員」、 3枚目が「第11回チーム医療の推進に関する検討会配置図」です。  その後からが資料ですが、「チーム医療の推進について(案)」です。次が 参考資料1、羽生田委員からご提出いただいている資料で、両面の1枚紙です。 その次が、「チーム医療の推進に関する検討会団体要望一覧(3)」、次が「第10 回チーム医療の推進に関する検討会の議事」です。過不足等がありましたら、 事務局にお申し出ください。  永井座長、引き続きよろしくお願いいたします。 ○永井座長  議事に入りたいと思います。この検討会は本日で最終回となります。今日 は、これまでの議論の内容を踏まえて事務局が「報告書(案)」を作成してい ますので、お手元の「報告書(案)」をもとにして、委員の皆様にご議論いた だきたいと思います。  議論に入る前に、事務局から、本日配付されている資料のご説明をお願い いたします。 ○杉野医事課長  本日、お手元にお配りしています「報告書(案)」ですが、予め先生方にお 送りしようと思って作業を進めてきましたが、結果的に昨日の夜に入りまし て、お手元に送らせていただきました。直前になって大変恐縮でございまし た。  前回の会議において、資料1から資料4という形で、論点ごとの整理ペーパ ーをご議論いただいたわけですが、基本的には、その論点の整理ペーパーを ベースに報告書の形で綴じさせていただくことにしています。1つには、前回 の論点のうち総論などは変わっていませんが、特に「看護師の役割の拡大」 の部分、今回の素案で申し上げますと、2頁からの部分です。これは前回の論 点整理ペーパーの中でも、この部分が分量的に大変多かったということもあ りましたので、今回、「報告書(案)」としてのまとめに当たっては、全体の バランスをとって、結果的に「看護師の役割の拡大」の部分については、分 量的には半分から3分の2ぐらいにコンパクトにまとめさせていただいたとい う修正を施しています。  また関連して、前回まで論点整理ペーパーの本体に入っていました、いわ ゆる「特定の医行為」についての行為例ですが、報告書素案としては、14頁 から15頁にかけて別紙という形で、本体からは一応分けた形で整理をさせて いただいています。  そういった大きな構成の見直しをしましたが、基本的には、前回の論点整 理ペーパーに沿って素案の形にしています。加えて、当然ながら、前回のご 議論を踏まえての修正を施しています。本日、委員の羽生田先生からご意見 のペーパーをいただいていますが、これは事前に頂戴しましたので、この羽 生田先生のご意見のペーパーも踏まえて、必要な修正を施している状況です。 事務局の案については以上です。 ○永井座長  ありがとうございました。羽生田委員から意見書が出されていますので、 先生からちょっとご説明いただけますか。 ○羽生田委員  まず初めに私のほうから意見を述べさせていただきます。資料は全員に配 られているのですか。 ○石川(典)補佐  全員に添付させていただいています。参考資料1をご覧ください。 ○羽生田委員  前回の「報告書(案)」と言いますか、議論の叩き台が出て来たわけですが、 その中で、その当時も、かなり議論がされてないような文言があるのではな いかということで、異議を唱えさせていただきました。その中で、その時に も申し上げたことですが、1番目として、「看護師の役割拡大」ということが、 チーム医療のヒアリング等を行った上で、非常に大切であるということは、 委員の皆様方のほとんど一致した意見として、その当時、それぞれのチーム 医療のお話を聞いた上で、同じような議論で同じ方向を向いていたというふ うに私も思っています。  その時に、何が問題だったかと言うと、いわゆる「グレーゾーン」と称さ れる、医師法あるいは保助看法等のほうに抵触をするのではないかというこ とを心配しながら、業務を行っているのだということが、かなりヒアリング の中で出て来たというのも皆さんご承知のとおりだろうと思います。  まずは、いわゆるチーム医療として看護師業務の拡大を考えた時には、そ の部分をきちっと、変な言い方をしますと、白か黒かと、この業務はできる はずだ、この業務はやっぱり医師がすべきだとか、いろいろな線の引き方と 言いますか、分け方があるだろうと。それをきちっとしてあげれば、かなり の部分、看護師業務としてできるのではないかというように私も感じながら、 そのヒアリングを聞いていたわけです。まずそこをはっきりさせましょうよ ということを委員会のいろいろな所で私も申し上げてきました。まず、そう いうふうに考えています。  前回の報告書素案については、それと同時並行で、グレーの部分ができる ための法制化をすべきだという意見が、その文書の中に書かれていました。 これについては、そういう意見はもちろんありましたが、全会一致の議論で はなかったというように私は理解をしています。  「特定看護師」というのは仮称ですが、そういったものが法律上認定され、 特定看護師しかできない業務というのが決められた時に、それは業務独占に なりますから、特定看護師という資格をもっていなければ、その業務はでき ないということになるわけです。その時に、いままでチーム医療でいろいろ やられていたことが、これは特定行為だと、特定看護師という者でなければ できないとなった途端に、地域でのチームの、いままでやっていたことがパ タっとできなくなるということを非常に心配しています。  そこを私はいちばん心配したところで、そういったことがいわゆる特定看 護師という認定制度が法律上きっちり法制化されて、その人たちしか業務が できないのだよとなった時に、チームでいままでやっていたことが急にでき なくなる危険があるということで、その辺を十分議論をし、よく現場の声を 聞きながら、きちっと整理をしていかなければいけないのではないかと思い ます。  ですから、まずは、グレーゾーンをはっきりした上で法制化ということが 当然あり得るだろうということは申し上げましたが、まず法制化ありきとい う議論ではないのではないかということを申し上げてきました。  現場の声、麻酔科学会の山田副理事長さんのヒアリングの中で、いくつか 調査の結果が出ていましたが、看護師の業務を拡大すると言いますか、その 中で特に手術後の説明とか、説明に対する国民の方々の期待は非常に大きい というのが、その中にもありました。「特定の医行為」と言った時には、患者 さんたちも実際にどういう業務かということが分からないこともあったと思 うのですが、50%以下に広げていいという意見は減っているというのも、その 時のヒアリングから出て来た話です。  看護師に対するアンケート調査というのは、どこの病院のどういう方々を 対象にとったかということで全く違ってくる結果であろうとは思いますが、 その時も、やはり実際の業務については、責任の所在が不明確になる、ある いは、いまでも大変忙しい過重労働の中で、もっと過重労働になるというこ とが、その反対の理由として挙げられていたこともあります。その辺の整理 に当たっては、やはり現場の声、大きな病院は十分スタッフも揃っています ので、大きな問題は起きないだろうと思いますが、中・小病院あるいは診療 所でもチーム医療は行われていますので、その辺の業務についても十分な議 論、あるいは関係者の意見を十分尊重した上で決定していくべきだと申し上 げたいと思います。意見書としては、そういうことです。ありがとうござい ました。 ○永井座長  大変大事な点だと思いますので、全体のこの報告書(案)を議論する中で、 またいまご指摘いただいた個々の問題について議論をしていきたいと思いま す。よろしくお願いします。  それでは、既にチーム医療の推進についての報告書(案)をお目通しいた だいていると思いますが、いかがでしょうか。順番に「はじめに」あるいは 「基本的な考え方」あるいは「看護師の役割の拡大」、この辺りのところまで でご意見いただけますか。先ほどご指摘いただいた点もこの中に含まれてい ます。  事務局にお尋ねしますが、前回、いま羽生田先生がご指摘になられた法制 化のところは、今回の書きぶりとしては4頁でしょうか。「医療安全の確保の 観点から法制化を視野に入れた具体的な措置を講じるべきである」と、この 辺の考え方についてご説明いただけますか。 ○杉野医事課長  前回の検討会でも、法制化の問題をめぐりましてかなり時間を費してご議 論をいただいたと思っております。前回の資料では、全体として新しい特定 看護師の仕組みを説明する中で、まず医療安全の観点から法制化すべきであ るという整理がされた上で、しかし、いろいろエビデンスを集める必要もあ るし、現場の混乱を回避する必要もあるので、当面はトライアル、試行をや るんだという流れで、整理はされていたということだったと思います。  羽生田先生から今日ご説明ありましたように、まず法制化ありきという話 ではないだろうというご指摘もありました。今回の中では一応4頁をご覧いた だきますと、4頁の最初の○から3つ目の○がそのうちの流れです。最初の○ のところで、確かに、ここに言うところの特定看護師が従来では考えられな いような、考えられないといいましょうか、従来では一般的には診療報酬に 含まれないと思われるような医行為についてもできるような、そういう新た な枠組みを構築する必要があるであろうという形で、まず新たな枠組みが必 要なのであるということを言った上で、ただし、その枠組みを構築するため には、前回と同様ですが、特定の医行為の範囲であるとか、あるいは特定看 護師の要件をどう定めるかということなどについての実証的な調査・検討、 つまりエビデンスを集める必要があると。さらには、特定看護師の養成の状 況が不明確な中では、現場の混乱をできるだけ少なくしていくと、そうした 配慮も必要である。これも、前回同様の配慮ですが、そうしたことが必要な ので、したがって、当面は現行の保助看法の下において試行を行うのである という整理になっております。  しかし、その試行の中でいろいろ検討した上で、最終的にはやはり医療安 全の確保という観点から法制化という議論は避けられないだろうと私どもも 理解しております。「医療安全の確保の観点から法制化を視野に入れた具体 的な措置を講ずるべきである」と、こうした形で若干の組立ての修正をさせ ていただいたところです。以上です。 ○永井座長  これは羽生田先生がご指摘になられている(1)の問題、看護師の役割拡大こ そ最優先にすべきであるという、そのこととも関係してくると思うのです。 特定看護師以外の、まず看護師の役割をしっかり決めていくことが重要であ ると、そのご指摘はごもっともだと思うので、この報告書(案)でも(3)に取 り上げられております。「看護師の実施可能な行為の拡大・明確化」というと ころ、まずそれを押さえて、同時に、今度よりグレーゾーンで踏み込んだと ころをどうするかというような構成にはなっていると思うのです。現実には かなり表裏一体のところはあろうかと思います。考え方の上では、まず看護 師の役割、普通のというのは変ですが、まずは現在の保助看法で言われてい る看護師の役割を明確化しましょうという流れになっているように思われま す。  ただ、そのグレーゾーンの扱いをどう考えるか、この辺はもちろん当事者 としては何もうるさい規制がないほうがいいというのはそのとおりだと思う のですが、山本先生のご意見を伺いしたいのです。法律家からご覧になって、 この辺をどう整理するかというところ、考え方を踏まえてご意見いただけれ ばと思います。 ○山本(隆)委員  大きく問題はまず2つに分かれるだろうと思います。つまり、特定看護師の ような制度をトライアルするのかどうかという問題と、それから次に特定看 護師のような制度を作るということになった場合に、そこでその法制化をし なければいけないかどうかという問題だろうと思います。  あとのほうから申しますと、私が自らの意見を強く主張するつもりはない のですが、私はやはり法制化をしないと、それは難しいのではないかと思い ます。つまり、ある人がやれば、それは許されて、ある一定の条件を満たし た人が行えば許されて、しかし、一定の条件を満たしていない人がやると許 されないということが、現在の医師の指示ですか、要するに、包括的指示と いうふうに読んだとしても、読み込めるかというと、ちょっとそこまではや はり法律上は無理だろうと思います。ですから、制度化するということにな った場合には、私はやはり法制化という問題は避けられないだろうと思いま す。少なくとも十分検討はしなくてはいけない。法制化をどうするかという 点を検討しなくてはいけないだろうと思います。  それから前のほうの、この特定看護師の制度をトライアルするかどうかと いう話なのですが、私もいま永井先生が言われたように、一般的な看護師の 行為の拡大という(3)のところの話と、(4)のところの話というのがやはり切 り離せない話であって、トライアルという以上は、それは両方トライアルを せざるを得ないのではないか。つまり、既に条件が備わっているから、かな り踏み込んだ行為まで看護師がしているという現実があって、その上でトラ イアルをするという以上は、両方これは一緒にやらざるを得ないというか、 一定のところまでで切ってというのは、あまり理由がないのではないかとい う印象を持ちます。ですから結論的にといいますか、ここの報告書の中で書 かれたような、「法制化を視野に入れた具体的な措置を」というのは、これは 私の先ほどの個人的な考え方から言うと、少しこれでも甘い感じはするので すけれども、ぎりぎりこういう表現になるかと、そういう印象です。 ○西澤委員  山本先生にちょっと質問なのですが、先生のおっしゃる法制化というのは、 例えば現存のどの法律をいじるということとか、あるいは新たな法律のこと を言っているのか、もうちょっと具体的な法制化の中身を教えていただけれ ばと思います。 ○山本(隆)委員  これも私の全く個人的な考え方になりますから、あるいは違ういろいろな 考え方はあると思いますが、私は新法まで作る必要はおそらくないだろうと 思います。形としては、結局、特定看護師の要件というのも、ガチっと定め るというよりは、いろいろやってみながら柔軟に変えていけるような仕組み にしておく必要があるだろうと。あるいは、そういう特定看護師ができる行 為の幅というのもかなり柔軟に考えられるようにしておく必要があるだろう と思います。私もこれは全く具体的にどうなるかわかりませんが、イメージ としては現在の医師法とか、あるいは保助看法の中に、この報告書で申しま すと、12頁から13頁に「公正な第三者機関」の記述がありますが、特定看護 師の条件であるとか、あるいは特定看護師であれば許される行為の範囲を柔 軟に見直して決めていくための機関をとにかくはっきりさせる。ですから、 この第三者機関の規定がおそらく中心になって、そして特定看護師である条 件とか、あるいはその許される行為については、これはかなり概括的な一般 的な規定、現在でも診療とか非常に一般的な書き方がされているわけですが、 この程度の規定を置いておくというようなイメージになるのではないかと、 いまのところはそのように考えております。 ○西澤委員  ありがとうございます。いま具体的に、新法を作る必要はない。現在の法 律の中で、保助看法と医師法とありましたが、いままでは保助看法の中でと いう議論であって、医師法は出てこなかったと思います。もし、医師法も絡 む議論であれば、私たちもそこまでの検討はしてないと思うのですが、いか がでしょうか。 ○山本(隆)委員  具体的には保助看法だけで足りるのではないかと、保助看法の範囲ででき るのではないかと思います。 ○永井座長  ほかにどなたかいかがでしょうか。 ○竹股委員  私としましては、今回が最後になりますので、いままで話合いをしました、 元々の意味を、ひとつ自分の中でまとめておきたいと思って発言いたします。  まず、今回のそもそもの話合いというのは、現行の、あるいは近い未来か 遠い未来かといいますか、いまの特に医師の数がこれからの高齢化社会の中 でどのくらい総体としての現行の医療を担っていけるのかということなので はなかったのかと思います。そういう中で、川嶋みどり先生がいつもおっし ゃっていますように、本来、看護職も自分の看護のお仕事をするだけで、も う精一杯なぐらいあるのです。しかし、私は非常に現実的に割り切って、優 先順位があるだろうと思っておりました。  ですからその中で、もう議論し尽くしていますので申し上げませんが、看 護職が力をそれなりに、いま医行為の部分を担うだけの知識とか技術をさら に学び得る土台はあるということで、看護職に対してそのような期待を国民 の皆様がするのではないかというように私は思ったわけです。ただ、さはさ りとて私どもも専門職ですので、単にこの医行為という意味で、いわゆる行 為をただするのだということはあり得ないわけです。それでは看護職に対し ては魅力がなくなってしまいますから、今度は看護師の不足を招きかねない というように思います。  そうやって考えましたときに、この法制化というのは前に意見を申し上げ たのですが、あくまでも質の担保だと思っています。大袈裟な言い方になり ますが、医療の最前線というのはやはりまさに何でもあり状態になりますか ら、必要に迫られればやれる人はそこでやることになるやもしれません。そ うなってきましたときに、14頁の一つひとつの検査、処置等、たったこれだ けでも、現実的に見て、これはきちんとした深い知識とか実践とか技術とか を持ち得なければ、大変リスクの高いものばかりです。これを、もし現場で グレーでやっているのだとすると、むしろその部分の実態調査をすべきだと 思います。これらを看護職が担うということは、羽生田先生がおっしゃられ た、多くのナースが殺到するほど、ここに到達するのは安易なものではない と思っております。ですから、その法制化の議論というのは、あくまでも質 を担保するために、誰でもやれないよと、ある一定以上の知識、技術、実践 を備えなければここまではできないよという意味として、私は一貫して捉え ておりました。 ○永井座長  標準化とか普及ということで、いままで繰り返してきた議論だろうと思い ます。背景にいま医師不足というのもあるのですが、あくまでもこのチーム 医療推進というのは「基本的な考え方」の最初にありますが、患者さん中心 にした医療の実現ということがあるわけです。そのために医療スタッフがど う分担して、かつ連携するかという、そういう問題ということでいま整理さ れていると思います。医師不足がメインの話では、私は必ずしもないと、そ こは皆さん共通認識としてお持ちだと思います。 ○有賀委員  昭和大の有賀と申します。山本先生に、法的なことでもうちょっと付加的 な質問をさせてください。従来の議論では「包括的な指示のもとに」という 括りみたいな枕言葉がついて、それでもって看護師たちにいろいろな仕事を していただく。その「包括的な指示」と言ったときに、平たく言うと、ちょ っとおちょくっているわけではないのですが、いわゆる、よきに計らえとい うようなことで、例えば救急救命士に対して包括的な指示を与えて云々とい うときには、「もう除細動までやってくれや」と、こういう話になるわけです。 したがって、「よきに計らえ」と、言いますなら、そこには限りなく信頼関係 が成り立っているというようなことがあります。いま言われたように、現場 においては本当にやらなくてはいけないときにいろいろな人がいろいろなこ とをやっているというのは、全くそのとおりでいいのですが、それでもやは り包括的な指示のもとにというような整理の仕方をしながら私たちはやって きたと思うのです。  新しい法制化をしなくてはいけないと言ったときに、「包括的な指示」の位 置付けというのはどういうことになるのか。だから、新しい職種が出来ると、 包括的な指示を受けずにその者の裁量によってとか、その者の医学的な判断 によってとかということを意味しているのか。法律の素人からすると、わか りにくいところがあるので教えてください。 ○山本(隆)委員  「包括的指示」と言っても、行為の種類とかによって、あるいは条件によ っていろいろな段階がおそらくあるのだろうと思うのですね。本当にもう事 前にまかせる形でやるようなものもあれば、例えば、一定の条件を付けて、 あるいは文書を作るというようなことが必要な場合もあれば、あるいはそれ こそ緊急のときに連絡できる体制がちゃんと出来ていなくてはいけないとか、 いろいろな条件があるだろうと思います。ですから非常に細かいところはお そらくガイドラインのような形で、例えば、こういったものであればこうい った条件が必要ですねという形で、もう少し細分化をしていくような形にな らざるを得ないのではないかと思います。  ただ、規定としてはどういう文言になるか、具体的にちょっと私もいま思 い浮かびませんが、要するに「安全を確保できるような条件のもとで」とい った、法律の上ではわりと一般的な書き方にならざるを得ない。ただ、それ を先ほどの協議会等々の所で、ガイドラインのような形でもう少しブレーク ダウンするというような形になるのではないかというふうに思います。 ○有賀委員  そういう意味では、いま救急救命士の話を出しましたが、メディカルコン トロール体制ということで、医師がどういうふうな、易しい言い方をすると、 「どういうような作法で対処しろ」というようなことをある程度順を追って 決めておく。それに従ってよきに計らえと。こういうようなことを言えば、 それは包括的な指示のもとにこの手のことが展開しているという理解でいい のですね。 ○山本(隆)委員  いまは包括的指示ということで。 ○有賀委員  だから、身分に関する新しい法制化の議論があったとして、私の理解とに は齟齬なく進むのですよね。 ○山本(隆)委員  そういうことで、よろしいのではないかと。要するに、一定の条件が揃っ ているということが必要だということです。 ○有賀委員  ありがとうございました。 ○朔委員  いまから日本は訴訟社会になっていくと思います。医療訴訟がどんどん増 えていくと思うのです。そうした場合に、曖昧模糊とした「包括的指示」と いう言葉のもとで、高度な医療行為をした看護師が訴えられるというような 事態も想定出来ると思います。このような場合における法律との兼ね合い、 法制化というものをもう少しきっちり考えておかないといけないのではない でしょうか。保助看法の中で看護師の医療行為をちゃんと法律的に保護して くれるのかという問題をちょっと教えてほしいのですが。 ○山本(隆)委員  ですから、現在は「指示」というだけの規定しかなくて、そこが非常に曖 昧なわけです。だから、現場の方は恐る恐るというか、心配しながらやらざ るを得ない。確かに、非常に細かいところまで法律で定められるかと言うと、 おそらくそれは無理だろうと思うのです。現実的な線としては、「一定の条件 で」というような書き方を法律の中ではしておいて、ガイドライン等の形で それを具体化する。ただ、そのガイドラインを作るという部分も、現在の法 律にはおよそその根拠がないわけです。ガイドラインの位置付け等が何も書 いてないわけですので、そこのところを法律上もう少しはっきりさせる。要 するに、ガイドライン等の形で具体化された条件のもとで、こういうことが できますということを、法律に書いてというようなイメージになる。 ○朔委員  そうしますと、裁判の場ではガイドラインと法律とは同等の力を持ってい ると考えてもよろしいのでしょうか。 ○山本(隆)委員  具体的にこれが働くのは、直接には刑罰の問題になるのだろうと思うので す。要するに、保助看法等に、あるいは医師法に違反した場合には、これは 罰則がつくので、そこのところの問題になるだろうと思います。おそらくそ の法律の中に、ガイドラインの根拠を置いておいて、それでガイドラインに 従った場合に処罰されるということは、おそらくないのではないかと。だか ら、そこは保護されると考えて、よろしいのではないか。 ○川嶋委員  私も法律の専門家ではございませんが、長年看護師をしていて、2例非常に 印象的な例があるのは、静脈注射はナースの仕事になっていますが、その是 非が論議されている時代、昭和23年鯖江事件というのがありました。そのと きに指示を出した医師は無罪で、結局行為を行ったナースが有罪になってい ます。その2年後か1年後か忘れましたが、東北大学でやはり麻酔のラボナー ルの静注をして、指示を出してそばで見ていた医師は無罪で、行った27歳の ナースが有罪になっているケースがあるのです。  そういう過去の判例を思い出しますと、法制化するかしないかの論議はし てもいいのですが、内容にあまり深く立ち入るつもりはないのですが、その 法制化の前に、私がとても気になっていたのは、この4頁のいちばん上の○の、 やはりここに「医師の指示を受けて、実施できる新たな枠組みを構築する必 要がある」ということで、資料の13、14が出ていると思うのです。この場合 の「医師の指示を受けて実施できる」といったときに、恐ろしいというか、 私たちナースが見たらかなり高度のいろいろな、現場ではもう既にやってい るという方もあるのですが、そうしたことをやったときに、一体誰が責任を 取るのか。やった人がやはり責任を取ることになるのか。その自由裁量とか 裁量権の範囲の拡大とか、権限とか、責任とか義務とかいろいろありますが、 その辺のところを拡大すればそれだけリスクを負わなければならない。責任 が生じるわけですから。その辺の論議を抜きにやたらに法制化というように は言えないのではないかという感じもしたりしていました、伺っていて。い かがでしょうか。 ○山本(隆)委員  大きく言うと、現在のように法律上非常に簡単な書き方しかされていない、 およそ診療行為とかその補助としか書いていない状態のほうが、処罰とかさ れるリスクは大きいだろうと。要するに、それだけでは事前には一体何をや っていいか、何をやってはいけないかということがわからないわけですね。 そこをもう少し細かくはっきりさせる。それが、現在は厚労省等のその都度 のといっては申し訳ないのですが、ガイドラインのような形で断片的に、あ るいは部分的に出てきている。そうではなくて、もう少し恒常的にブレーク ダウンできるような仕組みを作っておく。そうしたほうが、少なくとも現在 よりはリスクは少なくなるのではないかということです。ですから、法制化 したからそのリスクが増すというよりは、むしろリスクが小さくなるのでは ないか。リスクを小さくするために法制化するということなのではないかと 思います。 ○島崎委員  いままでのお話を伺っていて思ったことを申しあげます。最初の頃、私も 「指示」について事務局に尋ねたことがあります。看護師がある医療行為を するときにどういう縛りがかかっているかといえば、1つは医師の指示があ るということで、これが大前提になっています。もう1つは、保助看法上、「診 療の補助」でなければいけないということです。この2つが条件としてかぶ さっていますが、それぞれの解釈の範囲はかなり曖昧というか、多少グレー な部分があるということだったと思います。  先ほどからのお話を伺っていると、包括的な指示の「包括」とは一体どこ まで認められるのか、たとえば「よきに計らえ」といのが果たして包括的な 指示になるのかということに関して言うと、この報告書案の説明はなるほど という気がしました。この報告書案は、前回も配られていたものと基本的に 同じですが、包括的指示の積極的な活用等、2頁にかなり具体的に書かれて います。つまり、なぜ包括的な指示というものが必要なのかということから 始まって、具体的に包括的な指示が成り立つための要件等がここに書かれて います。私は、この記述は、少なくともこれまで指示の必要性や具備すべき 条件の説明が曖昧だったのに対し、率直に言って、相当明確にされたのでは ないかと思います。もちろん、個別に見ていったときに、それぞれの態様・ 中身に応じさらに具体的にブレークダウンすることができれば、それに越し たことはないかもしれませんが、基本的なものの考え方としては、報告書案 の記述はいいたい趣旨がきちんと通っていると思います。  2つ目は、診療の補助というものの範囲に関しては、いろいろと議論があ ると思います。前回申し上げたことと重なってしまうのですが、戦後間もな い時期は、失礼な言い方になりますが、看護師のレベルも高くはない、ある いは医療の水準そのものが高くはなかったわけです。その時代と50以上年た った今日の時代とでは、全然医療の内容が違うわけです。そこで、いまの保 助看法の建て立て方についてみると、すべて看護師であれば一律に同じレベ ルの網をかぶせていくということになっている。このような体系は果たして 本当にいまの今日の医療の実態、あるいは今後あるべき方向に合っているか と言うと、やはり、そこはそうではないのだと思います。また、グレーのと ころについて明らかにするということは、一般の看護師でもできる範囲を明 確にするというのは当然のことですが、ある意味では高度な範囲を明確にす ることと裏腹の関係としてあるわけです。そういう観点からいえば、先ほど 羽生田先生がおっしゃるように、それから私も前回申し上げたように、先に 法律改正ありきだということはどうかと思います。ですが、やはり、そうい う方向を打ち出して行ったときに、法制化が議論の対象になることは少なく とも避けられないということだと思います。今回の報告書案では、少なくと も前回のペーパーに比べれば、先に法制化ありきというニュアンスはかなり、 和らいでいるのかなという、そういう印象がいたします。 ○永井座長  そうしますと、この辺の書きぶりについていかがでしょうか。「法制化を視 野に入れた」という、ほかにもいろいろ検討することはあるし、そのバラン スの中で考えないといけないというニュアンスは出てきていると思いますが。 ○海部委員  私は全く外側の立場というか、医療受け手の側の立場から見て、がんの医 療の現場のときなどですと、例えば、使える薬剤なんかの制限が非常に厳し かったので、本当はこの患者さんに対してこの薬剤が有効であるというのは 世界のエビデンスでわかっているのに、日本の法律上というか、あれで使え ないというようなので、先生方が法を犯すというか、いろいろな怖い地雷を よけながら一生懸命治療をしているような現場があったのです。要するに、 そういう現場を見ていて私が感じたのは、日本の医療現場って、いいことを するためにすごく怖い思いを先生方や看護師がしなくてはいけないという、 悪しき風習がすごくあって。逆に言うと、法令遵守ということをぎちぎちに やろうと思うと、違反しないと良い行為が行えないというような矛盾があり ます。すごく法令遵守ということに対して、道路交通法などもそうですが、 日本は非常に希薄になっているような気がします。  それで、ここら辺で怖い部分で良いことを行うための整理をするのかと思 っていたのです。それで何か私はこの書きぶりによって現場がどうなるとい うのを、私はそちらの方面のプロではないのでわからないのですが、だから 私からの願いは、患者が受けたい医療を受けるために、先生方が良いことを するのに、怖い思いをしなくていいようになってほしいというだけです。こ の書き方が、その目的にかなっているのであれば、私はもう何も申し上げな いのです。プロの先生方から見て、これが法令遵守、この法令遵守をした上 で、怖い思いをしなくていいものになっているのかどうかというのをはっき り宣言していただけたらと思うのですけれども。 ○永井座長  この一文だけですべて決めるわけにいかなくて、これからいろいろ議論を 固めないといけないと思うのです。ただ、いろいろな可能性はここにきっち り踏まえて、書かれているように思うのですが。 ○井上委員  前回は、法制化すべきというところでいろいろなご意見をいただいて、確 かに法制化が先にすると決まって、いろいろなことを進めるというのはなか なか無理があるというか、いろいろなご意見ということも納得してきました。  ただし「視野に入れて」という書き方が、視野に入れたら、見てるだけで 終わる可能性が非常にあるのではなかろうかと。例えば、「前提に」とか、確 かに「法制化すべき」にはきついにしても、視野に入れて見ましたで終わる のではと非常に懸念します。  羽生田先生が出された資料の裏に、ナースは「これ以上の」と、これを当 然この人たちが答えたときにはそういう法制化とか、ガイドラインとか、そ ういうもので守られるという前提なしに、いまのままだと誰もやりたいとは 思わないです。  ですからできれば少なくとも、ここでどの程度その言葉の拘束力があるの かわからないのですが、大丈夫かなと。それこそ山本先生にお聞きしたいの が、「視野に入れました」で終わる可能性はないでしょうか。 ○山本(隆)委員  もうこれは日本語の問題になってしまうと思いますので、別に私が専門的 に答えられるというわけではございません。おそらくこの特定看護師の役割 とか、あるいは条件をどの程度のものと考えるのか、それはまさにトライア ルをしてみて、これぐらいのことは認めるべきだというその範囲が、おそら くトライアルによって決まってくるだろうと思うのです。その範囲がどの程 度かということによって、法制化もどの程度詳しい規定を置かなくてはいけ ないかも変わってくるでしょう。場合によっては、ぎりぎり法制化まではし なくとも、これぐらいなら大丈夫だという結論になるかもしれません。  ですから、この書き方を正当化するとすれば、要するにトライアルの結果 によってどの程度の特定看護師の行為の範囲とか、あるいは条件が適当かと いうことがわかってくる。それがわかってきた段階で、法制化をする場合の 具体的な姿を考えるということになってきます。いちばん極端な場合には、 おそらく法制化をしなくとも、ぎりぎりできるかなということもあり得ると 思います。その辺の意味合いを込めた表現だと読めば、要するにトライアル をすれば、必然的にやはり法制化するかどうかということを検討せざるを得 ないだろうと思います。法制化を視野に入れるということは、当然それをす るかどうか、どのようにするかどうかを検討する必要が少なくともあるとい う意味だと思いますので、ぎりぎり何とかなるような気がしています。 ○永井座長  私の印象は、視野の端のほうにあるのか、どちらかというと真ん中にある のかです。「法制化も視野に入れて」と言うと、何か端のほうにある感じです ね。「法制化を視野に入れて」と言うと、少し真ん中のほうに寄ってくる、そ んな印象は持ちます。かといって、前提としているわけでは必ずしもない、 そういうことを十分に踏まえてということだと思います。 ○坂本委員  いまおっしゃられたように、どの様な行為の範囲や条件であれば、任せて 安全なのかどうなのかというのは、まだわかっていないわけですので、是非 その試行をきちっとやっていただきたい。そしてやはり安心と安全というこ とにおいて法制化を、というところは、「視野」という言葉でも結構だと思い ますが、視野に入れていただきながら、それを検証し、検討していきながら、 良い方向に持っていくという形で是非お願いしたいということです。とにか く試行ということをやらなければ、わからない点が多くあると感じます。 ○瀬尾委員  診療の補助というところの拡大のところと、それから特定看護師というと ころを何か行ったり来たりしているので、ちょっと理解がわからないのです が。まず羽生田先生が言われるように、看護師の看護拡大のところで、「包括 的指示」というもので、守っていくということがまず第一です。そこをまず して、それがうまくいけるかどうかであって、それ以上に医療行為になるよ うなものは、まだそれができるかどうかの先の話であって。それができない 限りは、それがきちんとできない限りは無理なような気がします。やはり最 初に、この「診療の補助」でできるところをきちんと包括的なことで、こう いう形で指示をして、これはたぶん局長通達か何かでやっていくのでしょう。 たぶんそうです。いろいろな文言があって、明確化するというのは、厚労省 が明確化してきたというか、だからこれは厚労省のたぶん通達でできるとい うような感じではないかと思うのです。  そういうことで、まずグレーゾーンのどこまでをきちんとこういう形です ればいいんだということをして、それがうまくできるかどうか、その先に医 療行為になるようなものをやっていくものであって。それができていないの に医療行為に近いことをやるというのは、ちょっと無理ではないかという気 がしたのですが、どうでしょうか。 ○永井座長  ですから、グレーゾーンをはっきりさせるという意味では、ある行為につ いては同時に検討しないといけないと思います。すぐに実践する必要はない かもしれませんが、教育とかいろいろなことがあると思います。  考え方の整理としては、まずいまできることをしっかり明確化して、それ と同時にグレーな部分をどうすればよいかという検討をする、そういう意味 だと思います。そのほかの部分についていかがでしょうか。どこでも結構で す。 ○羽生田委員  医師という国家資格、看護師という国家資格という意味では、医師は医師、 看護師は看護師で、同じ資格ということはもう大前提であるというように私 は思っています。  ただ、医師であっても、というのは私は専門が眼科ですから、お腹を切れ と言っても、これは切れません。永井先生は内科ですから、目の手術をしろ と言ってもそれはできない。それはやはり自分たちでその専門のところを努 力してやってきているから、別に決まったわけではないけれども、自分の専 門についてはきちっとやりますよという体制を取っている。ですから、看護 師だって看護師という国家資格からすれば、看護師の業務は全部できて当た り前だけれども、自分たちはもっとここで勉強したから、これは私の専門で あるという形であっていいはずであろうと、基本的には思っています。ご意 見いろいろあると思いますけれども。  そういう中で私が最初に申し上げたように、いちばん心配しているのは、 特定看護師というものが出来たときに、いま現在チーム医療でやられている、 実際に行っていることが、心配はしながらも行っているというところが全く 出来なくなったときには、チームでは、いわゆる業務独占ですから、その特 定看護師しか出来なくなってしまう。そうすると、チーム医療でいままで回 っていたところが回らなくなってしまう。非常に地域に影響があるので、そ ういった意味も含めて、このグレーゾーンを考えるときにもやはり考えてい かなければいけない。ですから、看護師にどこまでやっていただくべきかと いうことも今後含めて、そのためにいろいろヒアリングしたわけですから、 特定看護師しか出来ないということになったときに医療現場が非常に混乱す るということを、非常に強い懸念をしているという。そこが私のいちばんの 懸念なのです。私1人の意見としてでもいいのですが、そういう文言は全然こ こにないので、私としてはこういう意見があったぐらいで入れていただけれ ばと思っております。  もう1つなのですが、後ろのほうでもいいですか、いままでのところまでで。 ○永井座長  いまの点はいかがでしょうか。それは私は構わないというか、非常に結構 なことだと思うのです。そういう強い懸念が表明された、特に特定看護師し か実施できないとした場合に医療現場が混乱することに対する恐れ、懸念が 一部の委員から表明されたということを、ここに加えておく。先ほどの視野、 あるいは(5)の前ぐらいのところに、それはよろしいでしょうか。 ○竹股委員  ちょっと繰り返しになってしまうのですが。 ○永井座長  いまの点を先に。 ○竹股委員  いまの話のことです。私の先ほどの意見の繰り返しになってしまうのです が、今回論議になりました、この医行為の中身というのは、日常的に、ある いは日常的ではなくとも、臨床現場で看護職が通常行うものではないと思う のですね。お薬のところはもしかしたらちょっとあろうかと思いますが。で すから、これが例えば、特定看護師としてしか出来ないとなったら、できな くなってしまうものがどのくらいあるのかということをむしろきちっと調査 すべきではないかというようなことを思いました。 ○永井座長  おそらく特定看護師という概念もいろいろなものが含まれている可能性が ありますね。特定の行為だけする特定看護師と、もっとオールラウンドにす る看護師など、たぶんいろいろな検討が必要だと思うのです。そういうこと も含めて、これからの議論だろうと思います。 ○川嶋委員  特定看護師と、先ほど診療の補助との行ったり来たりとあるとおっしゃっ たので、ちょっと診療の補助についての考え方を1つだけお話したいと思いま す。  それは診療の補助という範囲が、さっきグレーゾーンという言葉を使って いらっしゃるのですが、いわゆる補助、準備をして、ドクターが仕事をしや すいように整えるのも診療の補助ですし、ドクターが何か行為をなさる場合 に、手を出して手伝う診療の補助もあります。一部もしくは全部を医師に代 わって代行するという補助的な業務もあります。特定看護師の問題を論じて いるのは、この代行の部分をどれだけ医師が看護師のほうに譲り渡すのかと いう辺りのところの論議ではないかと思うのです。  その場合の医師の代行のときに問題になるのが、法制化とも絡みますが、 権限の委譲です。どこまで権限を委譲してくださるかとしたときに、さっき 言った指示というのがあるので、指示がなければできないのだったら、全く 行為者になってしまうわけです。もちろん行為する場合にも判断とか、いろ いろ考えておかなければいけませんが、その辺のところの整理を少ししない と、いつまでもグレーゾーンという形で残すのはいかがなものかと思います。 ○永井座長  それを明確化しましょうというのが、今回の議論の1つの方向なのですが。 ○川嶋委員  実態は、これはナースができるという領域、例えば、その人の個人の能力 もありますし、それからマンパワーとか、医師と看護師との関係、長い間の 歴史的なその職場の関係性とかがあって、できることをできなくしていたり、 できない人をやらせたりしているような、危い人にやらせているような状況 もあるということを頭の中に入れて、やはり考えていかなければいけないの ではないかと思います。 ○山本(隆)委員  先ほどの現場の話ですが、この報告書(案)で申しますと、4頁の上から2 つ目の○に、特定の医行為の範囲や、あるいは特定看護師の要件をどう定め るかが重要となるが、それを十分検討して決定する必要があると。また、そ のときに現場の混乱をできるだけ少なくしていくような配慮も必要であると いうことです。  先ほどの現場が混乱するのではないかというご懸念は、要するに特定の医 行為の範囲がどうなるかということによっても、おそらく変わってくるだろ うと思います。それから特定看護師の要件をどう定めるかということによっ ても変わってくる。場合によっては、特定看護師といっても、さらに何か細 分化する可能性もないわけではないので、それをどう設定するかによってた ぶん混乱が起きるか起きないか、あるいはどの程度起きるのかは変わってく るだろうと思いますので、この報告書で言うと、現場がどうなるかというこ とも見ながら、特定の医行為の範囲あるいは特定看護師の要件を考えていき ましょうというニュアンスだと思います。もしご懸念があるとすれば、いま のところの「また配慮も必要である」というところを、もう少し強い表現に する、あるいはここにさらに意見があったということを付すことが考えられ ると思います。 ○井上委員  14頁に例が出ているのを、先ほど羽生田先生が非常に懸念されたのですが、 例えば血圧測定、血糖測定は特定看護師しかやってはいけないとなったら、 もちろん現場は大混乱になると思います。ただ、ここに例を挙げているもの は第5回のヒアリングでデータを出したのですが、例えば人工呼吸器のウイニ ング開始などは全国調査によると5.3%、カニューレ交換でも2.9%、気管挿 管チューブの挿入で1.0%、ドレーンの抜去ですら0%という状況でした。で すから、先ほどここに何がというのを、第三者機関で検討したらいいという ご意見も出たと思いますが、そういうことも含めて、もちろんこれを定めた ために現場が混乱するというのは、私たちナースがいちばん混乱するわけで す。もちろん医療や地域が混乱するのも困るのですが、そこら辺は私たちも 誠実にやっていきたいと思いますので、ただ懸念される、懸念されるではな く、試行や調査で何をするべきか。その中でも単なる医師の代行とか、医師 が来てぽんとやるというものではなく、これは生活上の援助の中で是非、ナ ースがすることを希望する。そのことによって患者のQOLが上がるとか、そう いうものをたぶん看護の側から希望していくと思います。ですから、そこを 是非、それほどご心配なさらずにと私一人で保障してもしようがないのです が、そこら辺は誠実にやっていきたいと思いますので、ここにやたらなもの を思い付きのように入れることは決してしないと思います。 ○海辺委員  この報告書(案)で気になった点というか、チーム医療の推進という大目 的があって、この検討会があったわけですが、この報告書ができたらチーム 医療は本当に推進する方向に向かうのかどうか、まずそこら辺が、これを見 ていてよくわからないというのが私の率直な感想です。今後、いろいろと出 てきた問題を新たに次年度からの検討課題として、いろいろなことの検討を また進めていくというふうにも読み取れますけれども、そうも書いていない 感じなので、このままこの報告書が上がって終わりという可能性もあるなと 感じたのが1点です。 ○永井座長  そこは、きちんとしておいたほうがいいと思います。当然、モデル事業と いうことになれば予算の話も出てくるわけですね。 ○杉野医事課長  一応、原案を作った者の思いとしては、いくつかの点で繰返し出てきてい る言葉があります。それは今後、実証的な調査や検討を関係者の協力を得て やっていきましょうという形にしていまして、その中には、いま座長からご 指摘のあったいわゆるモデル校的なものの指定、あるいは現場の調査も含め て、次の大作業が待っていると思っています。今日、もしこの報告書をおま とめいただければ、それを受けて今までと同じか、それ以上の作業を先生方 にお願いしながら、やっていくことになっていくだろうと思います。 ○永井座長  検討会で終わる話ではないのだと、まず理解してください。 ○海辺委員  あと、この報告書の12頁に公正な第三者機関というのも書いてあるのです が、これについてもスタートすると理解してよろしいのでしょうか。 ○杉野医事課長  これは第三者と言ったときに国ではないという意味ですから、私ども国が、 大丈夫ですと言うわけにもいかないところもあるのですが、それこそ医療関 係者あるいは養成関係の関係者のご理解とご協力をいただけるならば、私ど もも協力して、こういう公正な第三者機関のシステムができるだけ早く動く ような準備を、この報告書がまとまれば、すぐにでも進めていきたいと思っ ています。 ○海辺委員  もう1点ですが、このまとめ方を見ていたら、結局医師の包括指示の下とい うので、それは全然いいのですが、例えば先ほども羽生田先生がおっしゃっ たように、羽生田先生は眼科の専門でいらっしゃるという感じですと、この チーム医療の包括的指示を出して、看護師の力量を見極めたり責任を持って 行う医師の先生像が、全くここに書き込まれていない中で、誰がどのように 責任を取るのか。要するに私が患者の立場ですと、とにかく現場任せで、安 全が全く担保されていないような現場もあるなということを非常に感じたり、 受け皿が非常に不十分で患者が右往左往しなければいけないことがあったと きに、必要な医療を十分に受けられることが満たされるために、こういうチ ーム医療という概念もあるのだと思います。  例えば歯科医師の先生なんかも、チーム医療でいろいろな役割を果たすこ とがあまり書き込まれていないのは、医師と歯科医師の資格については裁量 権があったり、いろいろな縛りがあってここから外されている関係上、こう いう書き方になったのだと思います。患者の立場から見ていて何かしっくり こなかったのは、誰がどういうふうにやっていくのかというところが、実は 書き込まれていないと強く感じました。 ○永井座長  それについては、前文のところの「基本的な考え方」をよくお読みいただ けると、これは医療現場のチーム医療の推進だけではない、それを踏まえて いますということが実はここに書かれてあります。医療機関の間の役割分担 あるいは連携の推進、必要な医療スタッフの確保の問題、総合医を含む専門 医制度の確立など、こういうものが一緒に動かないと新しい職種を作っても 解決しないと、これは繰り返し私が言っているところです。これを基本的な 考え方にしていますので、いまの海辺委員のご懸念はこれをお読みになれば、 少しご理解いただけると思います。 ○羽生田委員  いまのチーム医療は、2年前の診療報酬改定でチーム医療という言葉が出て きて、診療報酬上の評価がされているのです。これはがんの緩和ケア医療で チーム医療というのができて、その中に医師については研修を修了している とか、いろいろな項目があるのです。施設基準に医療機能評価機構の認定を 受けているというのも、この緩和ケアではあるのです。今回、4月からの診療 報酬改定でも、今度は栄養サポートチームと呼吸ケアチームというのがチー ム医療として認められたのです。これについても、そういった研修を受けて いるというのはきちっと書き込まれていて、看護師についても研修を受けて いるというのが全部書き込まれて、そういう意味で評価はされている。  ただ、こういうチームに入らないチームが、全国にいっぱいあることも認 識していただきたいので、診療報酬上のチームが認定されるための要件をき ちっと揃えることのほうが、むしろ難しいのです。全国ではここまで至らな いチーム医療がずいぶんあるということも是非認識していただきたい。そう いった評価はもう既にされているということだけ覚えておいていただければ と思います。 ○永井座長  ですから、これは単独の話ではないのです。羽生田委員のご懸念ももっと もだと思います。いろいろなシステムが同時に整備されていかないと、何か 新しい制度を作れば解決のような話ではない。そういう意味で、こういう特 定看護師の導入について懸念が表明されたということを書いても、私は不思 議ではないと思います。この案の基本的な考え方の中に実は懸念が表明され ているのです。そういうふうにご理解いただきたいと思います。 ○山本(信)委員  薬剤師がこれだけたくさんチーム医療の中で記載されていて、今後の方針、 方向も含めて示されたことについては大変ありがたく思っています。また口 腔ケアチームの中に追記もしていただき、関係者並びに事務方のご努力には 大変感謝申し上げます。  その上で今までの議論を拝聴していて、本日提示されてるペーパーは医事 課長のお話にもあったように、これまでの議論の流れが整理されて、そもそ もこの検討会がどんな目的で作られたのかを含めて、かなり明確になった気 がします。その一方で今日も議論になっていますし、また突然という意見も ありましたけれども、仮称特定看護師についてどうするかということが議論 になりました。  今回、4頁には特定看護医師にかかわる試行をしてはどうかというご提案が あります。なぜ試行するかと言えば、今まで議論がありましたように、診療 の補助として現在行っている行為の中だ、グレーゾーンだったところや、問 題点や課題等をよりはっきりとさせて、効果的にチーム医療を進める上で解 決すべき問題を明確にする。そのためのトライアルと私は理解しました。そ ういった視点で見れば問題点を掘り出す、あるいは解決するために必要なも のを拾い出していくためにトライアルをしてみるということであれば、それ を進めることについて特段、私としては異存はありません。  ただ、その際に是非お願いしたいのは、医療安全という観点からするとあ らゆる場所に薬が出てきます。先ほど課長から、この先いろいろ議論してい くというお話がありましたけれども、そうした場合に薬に関わる部分それぞ れに当然、薬剤師が関わらなければならないだろうと思っていますので、是 非、そうした議論する場合には薬を扱う者が参加できるようにしていただき たいと思います。先ほど山本隆司先生も、たぶん保助看法の中で何とかでき るのではないか、医師法、歯科医師法は触わらなくても大丈夫かなというご 意見でしたが、薬に関しても薬剤師法が絡んできます。そういった意味では、 私どもがきちんと意見を言える場所を作っていただくよう是非お願いしたい と思います。  もう1点、これはとても些末な問題なのでお恥ずかしいのですが、この報告 書の中で職種を並べて書いているケースがあります。もしできたら事務方に お願いしたいのですが、最終報告書になるときに、医療法第1条の記載はたし か医師、歯科医師、薬剤師、看護師と並んでいますので、できましたら、こ の報告書でも並び方は法律に沿った書きぶりをしていただければありがたい と思います。これは全く事務的な問題なので事務方にその点だけ、よろしく お願いします。 ○有賀委員  いま薬剤師の方から薬に関して、また医療安全に関してお話がありました が、各論に入り込むと全くそれは正しいと私は思います。ただ、各論に全部 入り込んでいくと、すべての職種の方たちについて、例えば今日の資料の中 にもある診療情報管理士などは、まだそういう意味ではリスティングに入っ てきませんね。だけど非常に大事なことをしている。だから、そういう意味 でトライアルと言ったときに、特定の職種にある程度重みづけはするにして も、全体像としてのチーム医療が理解できるような、そういうトライアルで ないといけないのではないかと思います。  したがって、その中から薬剤師がいなくなることはまずあり得ないので私 はいいと思いますが、チーム医療と言ったときに、もし医師の包括的な指示 という話でいけば、たぶん医師が全体をまとめる、野球で言うと監督みたい な形で、なおかつプレイヤーとして現場にいるわけです。南海の野村とかヤ クルトの古田とか、ああいうふうな感じでプレイングマネージャーとしてい て、ピッチャー、キャッチャー、セカンド、ショートとみんないる。だから 盗塁を阻止しようと思うと、ピッチャーがちゃんとしたモーションで投げて くれないと、いくらキャッチャーの肩が強くても盗塁は阻止できません。セ カンドだけうまくてもダブルプレーはとれないわけです。そういう意味での チームプレーなんだという話です。  今回のこの件に関して言うと、チームとしての有機的な連携が濃ければ濃 いほど、いま言ったみたいに、各ポジションの人たちの高い専門性が要求さ れていくので、おそらく相互乗入れ的な連携作業があればということで、こ れは近森病院の絵で相互に矢印がありましたね。だから、そういうものがチ ーム医療としてある。それはある病院のICUもそうだし、ある病院の救急外来 もそうだろうし、一般の外来もそうでしょう。手術場でもいいと思います。 場合によっては地域社会で言うならば、プレイングマネージャーは開業され ている先生だろうし、社会的な資本を動員するときにそれぞれの専門職種が いる。そこには役所の方も入ってくるのかもしれません。そういうチーム医 療だということがわかるトライアルが、おそらく国民にとっても私たちにと ってもわかりやすいのではないか。  ついでに言いますと、先ほど来、出たり消えたりしている(5)「専門的な臨 床実践能力の確認」というのがあります。その最初の○のところで、後ろの ほうにも大きな「第三者機関に関する」プレゼンテーションがあります。そ れはそれでまとまりとしてはいいのかもしれませんが、公正・中立的な第三 者機関というのは極めて耳触りが良いのです。ただ、病院薬剤師たちと救急 医学会のスタッフが合作して、救急の分野で活躍する薬剤師たちを特別に認 定していこうという議論が、いま進行しています。それはプロ集団とプロ集 団が合作しながら、そういうものを認定しようとしている。公正・中立的な 第三者機関と言ったときに、我々の活動は公正・中立的でないとは言いませ んが、第三者機関と言うとき、ああいうものは一体何だろうと思ってしまい ます。救急医学会と薬剤師会がそうですし、放射線科の技師たちとも一緒に やり、そういう特殊技能を認定する仕組みを作りたいとして、ようやく合作 の仕組みができているわけです。  そういう意味では、第三者機関と言ったときに、既存の仕組みそのものを 元気が付く形で上手に利用してやっていかないと、ある日、ある時、突然第 三者機関がパッとできて現場を困らせることとなる。現場で極めて濃い、有 機的なチーム医療をやっている人たちのパフォーマンスそのものが、理解で きない第三者がバンとできることが起こると、これまた何のためにやってい るのか分からなくなる。ここのところは悪い言葉を使って申し訳ありません が、厚生労働省の天下りの第三者機関を作るような、そういうのだけは是非 避けていただきたい。これは書きぶりについても、そっちになってもいいか もしれないという表現は是非避けていただきたい。 ○山本(信)委員  何が何でも薬剤師を入れろという話ではないのです。 ○有賀委員  黙っていれば入って来るのです。 ○山本(信)委員  とりあえず一言、言っておかないという思いがあって申し上げたのですが、 先生がおっしゃるとおりで、いまのこの議論からすれば抜けることはないこ とは、よく存じ上げています。そういった意味で薬剤師の立場ということを 殊更に主張するわけではなく、議論を進めていく上では、チームとして今お っしゃったようなことができないと、やりにくいだろうと思って申し上げま したので、誤解のないようにお願いします。 ○永井座長  ほかに、いかがですか。 ○海辺委員  今回の報告書に間に合わないので、この次の段階のお願いとしてなのです が、先ほど竹股先生がおっしゃっていたように、きちんとした実態調査をも っと本格的にやっていただきたい。本当にどのぐらいの現場が困るのかなど、 いろいろなことを見た上で段階的にどうやっていくとか、そういう姿が見え ないと、いつまで経っても似たようなことをやっている形に、私は何回もこ の検討会で申し上げていますが、なりはしないかなと思うのです。結局、検 討の中で、どうしても国民の負担増の話とかいろいろなことに話が及んでい くときに、きちんとしたデータがあって、この現場で本当にこんなに困って いるために、こういう資源投入をしなければいけないとか、いろいろな話を もっとちゃんとしていかなければいけない。大変だ、大変だという感情論み たいなのが先行してしまうと、実態が見えない形になるような気がしますの で、是非、今度、これを受けての次の検討の場では、もっとたくさんの調査 に予算をとって、きちんとしたデータとしていろいろな人が活用できるもの になってほしいと思いますので、その点を申し上げたいと思いました。 ○永井座長  ほかに、いかがでしょうか。 ○秋山委員  今回のまとめの文章の中で、(3)の「看護師の実施可能な行為の拡大・明確 化」というところを、3頁のところですが、特定看護師の論調の前に○が3つ 挙げられて、しかも4つ目に、「このため、看護師が『診療の補助』として安 全に実施することができる行為の範囲を拡大する方向で明確化することが適 当であり、その具体化に必要な看護業務に関する実態調査や試行等を早急に 実施すべきである」と、ここではっきり明言されている点を私は大変評価し たいと思います。  つまり、看護師が実施可能な行為の拡大・明確化を、現状を踏まえてきち んとした上で、特別の医行為を含むところの特定ということで、専門性を新 たに模索してきちんと法制化も視野に入れていく。そのベースに多くの看護 師の実施可能な行為の拡大・明確化を、ここできちんとして、調査もしたい という意思表示がきちんとされているところが、今回のこのまとめは評価で きると私は考えています。 ○永井座長  ほかに、いかがでしょうか。 ○太田委員  海辺委員の意見と近いところがあるのですが、1年間かけて非常に深い議論 ができたわけで、これが成果物ということですけれども、1点、我々がいま住 んでいる日本がどういう状況にあるかというと、高齢化の問題もそうですし、 人口構造の変化で疾病構造が変わり、島崎先生に言っていただくほうが説得 力があると思いますが、要するに時間がないのだと思います。今後を視野に 入れて検討するのは非常に素晴らしいことですが、もうちょっと具体的にタ ームというか、5年後なのか10年後なのか、スピード感ある仕事であるという 文言をどこかに盛り込んでもらいたいと強く思います。 ○永井座長  事務局、いかがですか。この後の作業はどういうことになるのでしょうか。 ○杉野医事課長  これは、いま私の頭の中にあるスケジュール観ですけれども、1つは、この 報告書を3月の段階でまとめていただければ、新年度に入って早々、この報告 書を受けてトライアルのための準備作業に入れると思っています。具体的に は秋山先生からもご指摘いただきましたように、さまざまな実態調査に着手 しなければいけませんし、先ほど座長からご指摘のあった、関係する大学等 に協力いただきながらのモデル的な取組みについての検証など、こういった 作業に入れると思っています。こういった取組みを通じて、ここに書いてあ りますように具体的な行為の範囲や、それを担う看護師の要件の具体的な姿 を詰めていく作業に、並行して取り組めるだろうと思っています。  焦点になっている法制化の議論ですが、そもそも法制化を視野に入れると いう表現ですので、法制化を必ずする前提で進めるわけではありませんけれ ども、言い換えれば、国会に法案を提出して、国会の審議に十分耐えられる だけの内容を持った法案を準備することになると、そのためには、トライア ルの期間をどのくらい取るべきなのかになってくると思います。トライアル という形でやりながらも、実際にはそういう高度な医行為をやっていただく 看護師の方々の取組みが、現場で見えるわけです。いちばんわかりやすく言 うと、ここに修士課程ということも一部出ていますが、修士課程で2年間勉強 し、それから現場に出て現場での取組みも検証する。そういった形でエビデ ンスを集めて制度化に至るとすれば、単純に言うと3年ぐらいかかるのかなと いうイメージは1つあり得るかと思います。  それで本当に十分なのかというご指摘もあるでしょうし、それではスピー ド感が足りないという指摘もあるかもしれませんが、いま私の頭の中では、 単純に考えれば少なくとも3年ぐらいのトライアル期間が必要だと思ってい ます。 ○永井座長  よろしいですか。ほかにいかがですか。 ○宮村委員  ずっと出席していて、看護師の業務を拡大していくことがメインであった という気がしていましたので、歯科がどうこうということは申し上げなかっ たのです。先ほど薬剤師会から、歯科が入っていないと言われましたけれど も、私は入っていないとは全然思っていません。よく報告書の中に歯科を入 れていただいたと思って感謝しています。というのは、実は歯科というのは 患者さんを中心にして、特に食べることは十分にチーム医療の一員になれる と思っているので、今後も自分たちの受け皿としても、きちっと作ってチー ムの中に入りたいし、チームの中に入れてほしいというのは思っています。  したがって、11頁に素案が作られていて、院内横断的な部分では、医師と 歯科医師を中心にチームを作っていくという文言が入っていますし、下から2 番目で地域横断的な部分でも、退院時のカンファレンスに歯科も参加するこ とが書いてありますので、今後、こういう議論が十分進めば、もっと発言も させていただきたいと思います。  ただ、歯科が入っていないというのはなかなか微妙な問題があって、5頁の 3.「看護師以外の医療スタッフ等の役割の拡大」に、歯科が入っていないの はわかっていたのですが、実はここに歯科医師を入れると、私たちの気持で すけれども、医師の先生の指示といった気持を持っているわけではなくて、 医師と歯科医師というのは少なくとも同列だと思っているものですから、こ こに歯科医が入ると、入れてほしいけど自己矛盾になるので、スタッフの中 に包含されてしまうのだったら、ここに入れてもらわないほうがいいかなと 思い、あえてチームのほうに歯科が入っているから、何も申し上げませんで した。そういう点では歯科もこれから頑張ろうと思っていますので、よろし くお願いします。  特定看護師のことについては、私は現場を知りませんのでどうこう言えな いのですが、いま現在、チームが存在していて、患者さんがいて、そのチー ムの監督はおそらく医師であろうと思う。そのチームに新たなスーパールー キーが入って来たら、どっちかというと便利なのだろうと思いますが、混乱 してしまうということならば、これは大きい問題だと思いますけれども、ど うして混乱してしまうのかなというのは素朴にわからないのです。現状のチ ームにいい者が入って来たら良くなると思うけれど、そこは内部の複雑な問 題があって、余計ごちゃごちゃになるのか。そうだとすれば問題だと思うけ れども、普通はやれる人が入って来ればいいのかなと、素人としてはそう思 います。 ○羽生田委員  私が混乱すると申し上げているのは、例えば特定看護師(仮称)というも のができたとして、その人がチームに入って来ることが混乱するのではなく て、特定看護師という業務独占なのです。こういう業務は特定看護師しかで きませんよと言ったときに、今まで普通の看護師がチーム医療で一緒にやっ ていたことが、できなくなることが混乱を生ずるということで言っているの で、特定看護師が入って来るから混乱を生ずるという意味では全くありませ んので、その辺は誤解をされないようにお願いします。 ○宮村委員  よくわかりました。 ○西澤委員  2点あるのですが、1点は法制化です。法制化というのは現場がそれによっ て動きやすくなる法制化であり、患者のためになる法制化だということなの で、いまは法制化ということで言うと余計それで縛られて、羽生田先生が言 ったように逆にやりづらいということがありますから、議論する時にはそう いうことに十分にと思います。  もう1つ、4頁か5頁にかけてですが、特定看護師の要件で例えば第三者機関 が認定した大学院修士課程とあります。片方では(ウ)に、養成では「質・ 量ともに充実した臨床実習」と書いています。大事なのは臨床実習で、特に 上の行為を見ると、これは誰が教育するのかなと思うと、私の目から見ると これは医師だということで、そうすると実習病院が非常に大変だろうと思い ます。それでなくても疲弊している医師が更に大変になる現実がある。その あたりは考慮していただきたいと思います。  それと「なお」書きに書いてあるのですが、「現在、多くの看護系大学院修 士課程において、専門看護師の養成が行われている」とあります。一部で聞 いたのですが、実は大学院修士課程に行っていてもほとんどが実習であり、 実習先の病院でも実は職員ではないから、ほとんど見学で終わっているとい うことです。それだったらその病院に勤務していたほうが、よりいい専門看 護師ができるという話はちらっと聞いたことがあります。そういうことにな らないように、場合によっては大学院修士課程が本当にいいのか、それより も現場の研修がいいのか、それも今後の議論のひとつとしてお願いします。 ○永井座長  これは、前回よりもだいぶ踏み込んで書いてあります。いまのご懸念に対 しては細かく書いてあると思います。 ○山本(隆)委員  これは表現の問題ですが、先ほどの第三者機関というところです。12頁の いちばん下の○のところの表現が、やや誤解を招くと申しますか、「多様な医 療スタッフから公平な立場で、また、国と医療現場との中間に位置する」と 書いてあるものですから、確かにどこからも離れた機関がボンと出てくるイ メージが、これだけ読むとうかがわれます。後まで読めばそうではないとい うのはわかるのですが、これはむしろ、要するにいろいろなスタッフが、ま さにチームとして協力して推進する機関だというイメージだと思いますので、 例えば国と医療現場あるいは医療関係者が協力して、国民に対して説明をし ながら、あるいは国民の意見を聞きながら検討する場というふうに、むしろ みんなで協力してやるんだよというイメージの表現を使うべきではないかと 思います。ですから、「公正な第三者機関」というのも「公正な専門的第三者 機関」とか、表現をもう少し工夫する必要があるという気がします。 ○永井座長  ただいまのは12頁のいちばん下ですね。「多様な医療スタッフから公平な 立場で、国と医療現場が協力し、国民の意見を聴取しつつ、こうしたシステ ムを担い得る機関として」とか、そんなような感じですか。 ○山本(隆)委員  日本語として通っているかどうか検討しなければいけませんが、そんなよ うなイメージです。 ○永井座長  いまのようなニュアンスで。 ○有賀委員  いま山本先生がおっしゃったのは、検討する場とおっしゃったのですよね。 何々の機関と言うと、どうしても何とか財団みたいになって何か気持悪いの です。ですから、いま山本先生がおっしゃった検討する場という感じで、緩 やかな連合体のようなニュアンスです。現場の本当にホットな連携の様その ものが移動してきて、看護師たちの景色を表現していけるような感性です。  したがって、いま現在は、例えば看護協会がやっていたり、看護学会がや っていたりというのを、もうちょっとチームの仲間を増やしながらやる。そ ういうものではないかと私はつくづく思います。別個のものって、どう考え ても本当にわかっているのかというのが、究極の気持、意見です。 ○永井座長  いかがでしょうか。第三者機関という言葉は使わないほうがいいと。 ○有賀委員  使ってもいいのかもしれません。よくわからないですが、何となくそうい う感じです。 ○永井座長 そういう感じのことが、ここに盛り込まれるようにしてほしい ということですね。当事者たちが参画できる検討の場として第三者機関を設 けると。いちばん下の「関係学会等が参画できる検討の場として第三者機関 が必要である」としておけば、少しご懸念が減るかと思います。 ○太田委員  11頁の「地域横断的な取組として」のところの3行の文言についてです。「在 宅医療における」という言葉があって、ありがたいのですが、在宅医療とい うのは医療保険と介護保険のある意味でハイブリッドなのです。そうすると、 ここに書かれているのは病院、診療所、ステーションなどで、チーム医療の メンバーを書くというよりは、チームを構成する要素みたいなものが羅列さ れているのです。そうすると、医療と介護のチームということも非常に重要 なので、介護保険制度のところも連携の仲間としてみなしているという一言 があったほうが、いいのではないかと思います。 ○永井座長  どういうふうに書いたら、よろしいですか。 ○太田委員  「退院時カンファレンスに参加するなど」も、介護保険を視野に入れるの でしょうかね。介護保険制度のさまざまなサービスとの連携を推進すること も重要だと思います。 ○永井座長  介護保険制度のサービスを推進。 ○太田委員  役割分担という言葉があるので、そうなると生活を支える機能との役割分 担も重要になってくるのです。 ○永井座長  案文をおっしゃってください。 ○太田委員  文章ですか、ちょっと待ってください、考えますから、後で申し上げます。 ○瀬尾委員  11頁の上の横断的な医療チームの具体例の中に、周術期管理チームという のを入れていただきたいと考えています。 ○永井座長  上の。 ○瀬尾委員  具体例のところに、周術期管理チームとして医師、歯科医師、看護師、薬 剤師、臨床工学技士、理学療法士等ということで、我々が全身麻酔をかける ときに虫歯の人があったらどうするか、疼痛管理や呼吸管理、それからいま は機械を使って静脈に薬を入れていますが、その機械のチェックや術後のリ ハビリも考えて、横断的な周術期管理で早く回復できるチームが必要ではな いかと思います。 ○永井座長  周術期管理チームで医師、歯科医師、看護師、薬剤師、臨床工学技士、理 学療法士等、これはよろしいですか。 ○坂本委員  今回、試行ということで、エビデンスをどのように取るかということに大 変期待しています。試行を続ける中でよい結果が見えてきたら、看護師の業 務拡大については更に動向を踏まえながら、発展させていっていただきたい と思います。  これまでの検討会で、4頁に書いているナースプラクティショナーの議論が 出てきました。ここの慎重な検討が必要だという姿勢については賛成します が、是非、検討をしていただきたいと思っています。この特定看護師におい ても、一般の業務を行っている看護師についても、業務拡大においては先ほ ど羽生田委員が言われたように、現場に混乱を来さないよう留意しつつ、エ ビデンスを取ったら、それを使っていけるかどうか検討し、発展的な状況も 検討していただきたいと思っています。 ○瀬尾委員  先ほど言いました4頁のところで、「法制化を」ではなく、これを「も」と いうことで隅っこのほうにというのが私の提案ですが、まずグレーゾーンを きちんとすることが重要なことであって、何か特定看護師ありということだ と、では特定薬剤師もあっていいのだろうか、特定何とかもあっていいのだ ろうかも検討すべきことだと思います。何で特定看護師だけがここで強調さ れるのか、私はわからないです。 ○永井座長  「を」か「も」か、でも、かなり視野の端にいく可能性があると思います。 ある程度真ん中に置いたほうがよいと思います。前提ではないけれどもとい う意味で「を」を理解できると思いますが、山本委員、どうですか。 ○山本(隆)委員  いずれにしてもトライアルの結果によって、結果的に視野のどこにいくか 決まってくるところがありますので、私は「を」でもいいのではないかと思 います。ただ、ご異論が強いのであれば、「も」にしたらどうですかね、必ず 端っこにきますかね。 ○島崎委員  法制化に関して、結論から言うと、あらかじめこういうことになるだろう と決めつけないほうがよいと思います。つまり、先ほどからいろいろ議論が ありますけれども、例えばどういう要件にするとか、特定看護師にしても経 過的な措置をどうするかなどは、いろいろ工夫の仕方があるわけです。羽生 田先生が言われるように、何も現場を混乱させることが目的ではなくて、医 療の質を高め、こういう質を確保することが目的なのですから、具体的に法 律の書きぶりをどうするかというのは、いろいろな「応用動作」なり何なり があるのは当然だと思います。  その上で「を」がよいか「も」がよいかですが、イメージとしては、私は 別に看護側の肩を持つということでは全然ありませんが、視野とという言葉 は、今まで霞がかかっていて先がまったく見えなかったのが、山の姿がおぼ ろげながらでも出てくるようなイメージだと思います。先ほど山本委員がお っしゃったように、あえて臨界的なところにトライするのはきわどい話です。 つまり、全く先も見えずに何かやってみるのは、それはそれで結構ですが、 法律的に言えばきわどい議論なのではないのでしょうか。先ほど山本委員が おっしゃったのは、そういう意味だと理解したのですけれども、違いましょ うか。 ○山本(隆)委員  既にかなりきわどいと思います。だから法制化を視野に入れないで、これ だけワッとやるのは非常に危ないと思います。 ○島崎委員  私も、そこはそういう感じがします。そのときにオプションとして持って いる1つというよりも、そこは真ん中か外かはともかくとして、法制化がと にかく対象として入っているというニュアンスは出したほうがよろしいので はないかという感じがします。 ○永井座長  かといって、前提ではないと。 ○島崎委員  もちろん、先に法制化ありきということではないし、法制化したから必ず こうなるとか、そういうことを全部決めつけているわけではない。そういうこ とではないかという気がします。 ○永井座長  そういうご理解で、よろしいでしょうか。 ○朔委員  前回の会議のときにも坂本委員が言われていましたが、チーム医療の中に 保健師が全然入っていないのです。具体的にどういうふうに入れるかという ことは私にはよく判りませんが、具体的に言えませんけれども、保健師とい うのも医療チームのスタッフとして必要なので、言及することが必要なので はないでしょうか。 ○永井座長  この例の中に入れるか、あるいは本文のほうに入れるかですが、どこに入 れたらよろしいでしょうか。 ○朔委員  助産師や臨床工学技士と同じウエイトで、入れるべきではないか思います が。 ○永井座長  何頁ですか。 ○朔委員  5頁から6頁の中にですね。6頁の助産師の次に保健師というのが入らなくて もいいのかという質問です。 ○永井座長  事務局、いかがでしょうか。 ○野村看護課長  これはチーム医療の検討ということで、医療の部分には、もちろん保健師 も入っているところもありますけれども、診療の補助といったところに焦点 を当てると、そこの部分については保健師と言っても看護師の資格で行為を 行っていることもあります。それで今回は整理として、保健師も大事なプレ ーヤーだという部分もありますので、11頁の在宅医療における役割分担の推 進の1プレーヤーとして、保健所(保健師等)に保健師を明示したところです。 ○永井座長  よろしいですか。西澤委員、どうぞ。 ○西澤委員  先ほど太田委員が言ったところですが、介護関係をということで11頁のと ころです。「地域横断的な取組」のところに入れるとすれば保健所(保健師等) の後に、例えば介護保険事業所(ケアマネージャー)とか、日本語がよけれ ば介護支援専門員という言い方になります。 ○永井座長  ちょっと待ってください。「保健所(保健師等)、介護保険事業所(ケアマ ネージャー等)」とする。 ○西澤委員  それともう1カ所、その下の行の「在宅医療における」も、「在宅医療・介 護サービスにおける」と入れるといいと思います。 ○永井座長  太田委員、よろしいですか。 ○太田委員  はい。 ○永井座長  ではそういうことにさせていただきます。ほかにご意見はございますか。 もしご意見がございませんでしたら、基本的には今日の原案を踏まえて、い まご議論があったように、訂正した文章を入れて、なおかつ4頁の(5)の前あ たりに、「なお、一部の委員から、特定の医行為は特定看護師しか実施できな いとした場合には、医療現場が混乱する恐れがある」として、「特定看護師の 導入については懸念が表明された」と、そこは入れておいてもよろしいかと 思います。 ○海辺委員  先ほど申し上げたことに付け足しというか、3頁に「看護業務に関する実態 調査や試行等を早急に実施すべきである」というのはあるのですが、実態調 査は他の部門にもあったほうがいいと思います。それがあまり他のところに はかかってこないと思いますが、要するにこの実態調査は看護の業務だけし かしない印象を持つのですが、その辺は他の部分に関して実態調査をしない でいいのかなというのが1点です。  あとチーム医療の部分で、本当はいろいろな責任を取っていくところでの 決定に関しては、患者や患者家族もすごく重要なポイントを占める部分があ るので、そこら辺に関しては別に今回は書かなくてもいいかなとも思います が、そこら辺は今まで議論が重ねられていないので、突然入れるのもどうか と思いますけれども、次の段階ではそのあたりも議論を深める必要があると 感じています。 ○永井座長  先ほどの実態調査は、どう書きますか。「看護業務等」ととりあえず入れて おくか、あるいはもう少し具体的に書くかですが、いかがですか。 ○野村看護課長  12頁のところに、これは「医療スタッフ間の連携の推進方策」の部分です が、上から4つ目の○です。「チーム医療の認定基準の策定に当たっては、今 後、医療現場の関係者等の協力を得ながら、医療現場の実態を踏まえた上で、 安全性の確保等々から専門的な調査・検討を行った上で」と書かれていると ころで、何らかのそういった他の職種の関係も含めた調査を考えているとこ ろです。 ○永井座長  そこがあれば、よろしいでしょうか。 ○有賀委員  いま海辺委員がおっしゃった、患者さん又は患者さんのご家族のチームに おける役割というご発言に関しては、何回目の検討会か忘れましたが、私自 身はそういう観点もこの中に含まれていますね、みたいな発言は実はしてい るのです。基本的な考え方のところで「チーム医療とは一体何か」という部 分に、いま言われたような内容について入れておきたい。わかっているけれ ども今回はこの議論なんだよというものを、というのが私は必要なのではな いかと思います。  先ほどの地域横断的なと言うときに、例えばMSWは書いていないけどいいの かみたいな、そういう一つひとつの職種について、ああでもない、こうでも ないという話は各論的にはもちろん大事ですが、「とは何か」というところで、 いまおっしゃったようなことを基本的な考え方の中にさらりと入れる。この ことによって、チーム医療に関しては奥の深い、広い観点を理解した上で議 論していることを、読み手がわかるように是非していただきたいと私は思い ます。 ○永井座長  何かいい文章はありますか。 ○有賀委員  また考えます。 ○永井座長  今日は最終回ですので、何かご提案いただければ。 ○有賀委員  いま言ったことを、そのまま入れればいいですね。 ○永井座長  例えば最初の○の括弧の終わりの前に、「医療を患者あるいは患者家族と ともに提供すること」とか。 ○有賀委員  そんなのでいいと思います。自分でこれをみんな作ったわけではないので、 どこにどんなふうにと言ったときに、言葉の並びと私の脳みその並びがいつ もシンクロしているわけではありません。つまり、読みながら考えていると いうのが実態ですから、早速、文章を作れと言っても詰まってしまいます。 ○太田委員  既に1頁の○の3つ目に、「患者を中心とした」という言葉があるのですが、 患者・家族を中心としたという言葉を、さりげなく入れておけばいいと私は 思います。というのは、例えばWHOのパリエーションの定義の中には、対象者 はpatient and their familyと書いてあるのです。だから「患者と家族に対 して」という文言できれいではないかと思います。 ○永井座長  4つ目の○ですね、患者・患者家族。 ○瀬尾委員  個人的な意見ですが、「中心とした」という言葉があまり、「対して」とい うだけでいいのではないか。「患者・家族に対して、より質の高い」としたほ うがいいのではないか。「中心」と言うと患者・家族が一番でというので変に 医療がぶれて、「患者様」というところまでいった反省があって、中心という か、それはどうなのですかね。 ○海辺委員  患者様と言われたり、中心かどうかということは私はあまり問題にしない のです。だから、これに関しては医療界の方々が違和感のない書き方にされ ればよろしいと思います。思うのは、要するにいろいろな責任を誰が、どう 取っていくかというお話が今日も随所に出てきたと思います。例えば最後ま で口から物を食べたいということがあったときに、ついこの間も窒息死が不 慮の事故の死因の第1位と出てきて、そういうリスクがあっても私は最後まで 口から食べますということがないと、今度は医療事故扱いになったり、介護 施設が事故を起こしたとなってしまう。要するにいろいろなリスクがある上 で、医療だったり介護だったりということがあるので、医療の枠の中の責任 は医師や看護師がここまで取るけれども、最後の決定に関する責任は本人が 取りますというのが、結局、あり方だと思います。今回、別にそこまで踏み 込んだ話でもない部分があるのですが、そういうことも次のステップでの話 合いでは、出てくる話なのではないかと思ったのです。 ○永井座長  より質の高い医療の中に汲み取っていただければ、よろしいかと思います。 ○川嶋委員  「患者・家族とともに、より質の高い」というふうにすれば、家族と一緒 にという意味で患者参加が読み取れるのではないでしょうか。 ○永井座長  「患者・患者家族とともに、より質の高い」。 ○川嶋委員  後段は専門職のことになっていますので。 ○永井座長  よろしいでしょうか。熱心なご討論、ありがとうございました。あと細か い字句の修正は座長にお任せいただきたいと思いますので、よろしくお願い します。最後に事務局からご挨拶をお願いします。 ○阿曾沼医政局長  医政局長の阿曾沼でございます。本日は年度末でご多忙のところ、当検討 会にご出席いただきましてありがとうございました。昨年8月からこの検討会 はスタートしましたが、11回にわたり大変精力的なご議論をいただきました。 今日は検討会でもお話がございました実態調査の問題あるいは試行の問題 等々、医療現場の実情に即して速やかにモデル事業なり試行事業、あるいは 全体の大幅な実態調査を実施したいと思っていますので、今後とも先生方の ご協力をお願いしたいと思います。本当にありがとうございました。 ○永井座長  ではこれで終了させていただきます。ありがとうございました。 以上 (照会先) 厚生労働省医政局医事課 石川義浩、石川典子 (代表)03−5253−1111(内線2564、内線2563)