10/03/19 第6回へき地保健医療対策検討会議事録 第6回 へき地保健医療対策検討会【議事録】 日時 平成22年3月19日(金) 13:00〜15:30 場所 全国都市会館 ○馬場医療確保対策専門官:定刻となりました。ただいまから、第6回「へき地保健医 療対策検討会」を開催いたします。委員の皆さま方には、本日は大変お忙しい中、ご出 席を賜りまして誠にありがとうございます。  本日は澁谷委員、神野委員、高野委員、村瀬委員よりご都合によりご欠席のご連 絡をいただいております。高野委員の代理といたしまして、全国離島振興協議会の 渡邊東事務局長においでいただいております。  以降の進行は梶井座長にお願いいたします。 ○梶井座長:それでは始めたいと思います。本日は、今までの議論および前回検討会終 了後に、各委員からいただきました、ご意見を基に作成されました、「へき地保健医 療対策検討会報告書(案)」について、取りまとめに向けた意見交換を行ってまいり たいと思います。  今回が最後の検討会となります。この会合が6回にわたって「へき地保健医療対 策検討会」の最終会合となりますけれども、報告書について議論できる最後の機会 となりますので、委員の先生方におかれましては、活発なご意見の交換の場として いただきたいと思います。事務局から本日の資料について、説明をお願いいたしま す。 ○馬場医療確保対策専門官:では、資料の確認をさせていただきます。本日の資料は、 資料1としまして、「へき地保健医療対策検討会報告書(案)」およびその別添であ る「へき地保健医療対策において先進的な取組みをしている都道府県の事例集」、参 考資料といたしまして鈴川研究班の報告書。資料2といたしまして、事前にお送り いたしました報告書(案)について、委員からいただきましたご意見を整理させて いただきましたものという構成になっております。これに前回、第5回検討会の議 事録を付けております。 ○梶井座長:そうしますと、本日は、報告書(案)を見ながら書きぶり等について最後 の検討を加えていただくことになります。  それでは、報告書(案)につきましては、事務局より事前に各委員にお送りいた だいていたと思います。各委員の先生方は予めお目通しをいただいていたと思いま すが、各ポイントにつきまして事務局より説明をお願いしたいと思います。よろし くお願いいたします。 ○馬場医療確保対策専門官:まず資料1です。ご説明に当たりまして報告書(案)の中 で、黒字に下線が引かれている部分は、第5回検討会提出資料、資料2のへき地保 健医療対策検討会報告書草案と委員からいただきましたご意見について左側の報告 書草案につきまして事務局にて関係各省との協議を行った結果、修正を行ったもの となった部分となっております。  また、赤字となっている部分は、前回第5回検討会提出資料2の右側の欄にあり ました委員からいただきました意見について、組み入れた部分。また、赤字に下線 が引いてある部分は、報告書(案)に組み込みました上で、事務局にて関係各省と の協議を行った結果、修正を行った部分というご理解でお願いいたします。  まず、1頁では、「はじめに」です。要旨ですが、これまでのへき地保健医療対策 の経緯につきまして記述いたしまして、へき地診療所やへき地医療拠点病院の施 設・設備整備に対する財政支援や、へき地医療支援機構の創設により、県全体でへ き地医療支援に取り組む仕組み作りを行ってまいりました。  次の○では、一方、過去のへき地保健医療対策検討会の報告書で、へき地医療支 援機構やへき地医療の拠点病院の強化やキャリアデザイン等の検討につきまして必 要性が示されておりましたが、具体的な検討には至っておらず十分な連携が図られ ていない状況になっております。  次の○では、本検討会では、第10次へき地保健医療計画に引き続いて実施すべき、 へき地・離島保健医療対策のあり方につきまして、第10次へき地保健医療対策検討 会報告書を踏まえた、へき地医療を取り巻く様々な課題について、広範な視点から 今般本報告書を取りまとめました。これが「はじめに」のところです。  次に2の「へき地保健医療対策の現状と課題について」です。2頁から4頁まで です。検討会でも示しましたへき地医療に関する現況調査の結果では、特に変更点 は大きくはありません。(4)のところで「医師偏在の早期是正」のところを訂正して おります。(5)の地域医療再生計画のところでは、「地域の医師確保、救急医療の確保 などの」を付け足しまして、へき地・離島医療対策を重視いたしました計画につき ましては、他にも救急や周産期等々とで様々な計画とも重なっておりますので、94 計画からいくつか絞り込んで計画を示すのは困難なためこの表現に止めております。  次に4頁の3です。「へき地等における医療提供体制を構築する各主体の役割とし て求められること」。(1)では、「へき地医療を担う医師、医療機関等へき地医療関係 者に求められること」をまず持ってまいりました。まず2点です。へき地医療を担 う医師像と学会等の認定医制度等について、この2つの○にまとめさせていただい ております。次に(2)では、「都道府県の役割として求められること」では、前回資料 ですでにご意見をいただいておりました赤字の項目が1つ目の○と5つ目の○にそ のまま加わっております。  (3)では、「市町村の役割として求められること」。ここにおきましては、前回資料 の赤字の項目を4点、2つ目の○から5つ目の○に盛り込んでおりますが、上から3 つ目の項目の○におきまして、市町村の連合体についての書きぶりを「隣接する市 町村同士の協定や高知県などで行われている市町村の枠を超えた広域連合」と変更 いたしました。5つ目の○では、受入れに当たる指導医等の休暇の文言を組み込ん でおります。(4)の「国の役割として求められること」では、1つ目の○に具体的な フォローアップの手段を盛り込みまして、2つ目の○にはへき地医療支援機構等に へき地というところにへき地医療支援機構の専任担当官等としております。  次の6頁では、「大学の役割として求められること」。1つ目の○ですべての学生 への医学教育におきまして、地域医療・へき地医療につきまして充実させていく旨 をまず盛り込んでおります。2つ目の○では、この際、都道府県やへき地医療支援 機構と連携して、カリキュラムを作成し、学生とへき地、地域医療との親和性を高 める教育が望ましいといたしまして、3つ目の○では学生とへき地医療に従事した 経験のある医師等との接する機会についての意見があったといたしました。(6)の医 療の提供を受ける住民側に求められる意識等」は特に修正はありません。  次に4では、「へき地保健医療対策に係る具体的支援方策の検討」です。6頁から あります。1)では、「新たなへき地医療支援機構の位置づけについて」。これは前回 資料でいただいております赤字のご意見を2つ目の○で載せております。2)では、「専 任担当官(医師)のあり方について」、1つ目の○では、専任担当官のあり方として、 自治医科大学卒の医師や地域枠の出身者など地域医療に意識の高い医師を中心に位 置づけることといたしました。3つ目の○では表現をわかりやすく修正いたしまし た。内容は特に変えておりません。次の3)では、「新たな支援機構の役割について」 は(1)から(12)の役割の前に看護師や保健師ら、医療スタッフについてのご意見を挿入 しております。  次に4)では、「へき地医療支援機構に対する評価について」につきましては、全国 のへき地医療支援機構が一堂に会する場を設けることにつきましてここに載せてお ります。5)では、「新たなへき地医療支援機構に対する支援方策について」です。1 つ目の○では、前回のご意見の表現をわかりやすく訂正をいたしまして、医師確保 の手段といたしまして、二次医療圏の拠点病院のみならず、都道府県全体の枠組み の中での医師確保、支援、連携、そういうことを重視する必要がある。2つ目の○ では、骨子案と前回のご意見を繋げまして、こういった一連の文章といたしてして おります。  (2)では、「へき地医療への動機付けとキャリアパスの構築について」です。1)の「医 師の育成過程等におけるへき地医療への動機付けのあり方等について」。これは4つ 目の○です。中学生も対象として、中・高校生としましたが、書きぶりを体験学習、 出前講座など地域医療やへき地医療に関する学習の機会を積極的に設けたらどうか という意見があったといたしました。5つ目の○では、医学教育における地域医療 実習(特にへき地医療)を充実させるとともに、この活動を財政的に支援するよう な取組みを求める意見もあったと修正いたします。2)では、「安心して勤務・生活で きるキャリアパスの構築について」。これは9頁の下から11頁まであります。ここ では、線がありますが、特にご意見の表現のニュアンスが残るように表現をやや変 えている点がいくつかありますが、変更点につきましては、都道府県の新機構の先 進事例が鈴川先生の研究班の報告書と2つ重なっておりましたので、島根県と鹿児 島県の例を加えました別添の資料で5つありますので、そちらのほうにまとめさせ ていただきました。  次に11頁の(3)「へき地等における医療提供体制に対する支援について」では、 11頁から14頁にかけてあります。1)では、「へき地医療拠点病院の見直しと新たな 支援方策について」。ここでは医師派遣に係る動機づけ、物的・人的・財政的支援、 補助金の仕組みのところです。4つ目の○では、医師派遣のみならず、看護師等医 療スタッフを含めまして、Iの拠点病院単位でへき地医療支援室(仮称)を設置し 必要な医療スタッフを登録し研修、教育も含めた関係者間のネットワークを構築す ることが重要という意見が前回もございます。ここに入れさせていただきました。5 つ目の○では、前段では、へき地医療拠点病院の分類がありましたが、後段での下 線の「Iの拠点病院のうち、」を入れまして、その後の説明、「へき地医療教育研修 支援病院(仮称)」についてわかるように修正しております。  2)では、「へき地診療所に対する支援について」です。ここは前回資料の骨子案で は空欄ではございましたが、ご意見がありまして、「へき地診療所の施設整備の拡充 について十分配慮する必要がある。現行の設備・施設整備の充実はもちろんのこと、 代診医や医学生、研修医などが宿泊するための施設の充実にも配慮する必要がある」 といたしました。 3)、「情報通信技術(IT)による診療支援について」です。2つ目の○では「へき 地医療における新しい通信技術を活用している地域の事例集を策定するべき」とい う意見がありましたので、ここに入れさせていただきました。3つ目の○では、ICT による遠隔医療は、これまで各地域で様々な取組がなされ、結果として有効に活用 されていない場合があること」についても、ご意見があり入れさせていただきまし た。  4)、「ドクターヘリの活用について」では、1つ目の○ではドクターヘリの活用は 積極的に推進していく必要がある一方、財政上の観点も含めて有効性について十分 留意する必要がある」といたしました。その他の○では、語尾等それぞれ書きぶり を修正いたしております。5)「その他」では、3つ目の○では、こちらもご意見があ りまして「加えて、この度の新臨床研修制度により、基幹型臨床研修病院において 研修医が3年間にわたって確保できない場合に取り消しとなるが、へき地医療を始 めとした地域医療の確保に積極的に取り組んでいる医療機関に対しては配慮しても らいたいという意見があった」と入れております。  14頁(4)、「へき地等における歯科医療体制について」では、特に修正はございま せん。(5)、「へき地等の医療機関に従事する医療スタッフについて」では、ここは書 きぶりにつきまして語尾等を修正いたしております。  15頁の下、5、「今後のへき地保健医療施策の方向性について」です。(1)、「へき 地医療を担う医療関係者に求められること」。「へき地医療を担う医師像として、総 合的な診療能力を有し、プライマリ・ケアを実践できる総合医を育成していく必要 がある」と入れております。 次に、(2)国、都道府県等が果たすべき役割について」 です。[1][2]に続きまして[3]「市町村が独自に大学と提携して医師を派遣してもらう システムや寄附講座を作っている事例があり、市町村は、このような取組を参考に、 様々な取組方策について検討する必要がある」を[3]に入れました。[4]「大学は医学 教育モデル・コアカリキュラム等を元に全ての学生に対する医学教育において、都 道府県やへき地医療支援機構と連携し、地域医療・へき地医療に関する教育を充実 することが必要である」と入れさせていただいております。(3)、「へき地医療支援機 構の強化と新たな役割について」については修正はありません。(4)、「へき地医療へ の動機付けとキャリアパスの構築に向けて」です。「また」の後で、前にへき地医療 への動機付けとして地域の医療を担う総合医の育成を促進する一方とありましたが、 ここは「へき地・離島での診療経験や機構での勤務を評価して、キャリアになるよ うな仕組み作りが必要であるが」という文章に修正いたしました。  (5)、「へき地医療拠点病院の見直しと新たな支援方策について」です。「へき地医 療拠点病院等に対して、医師派遣に係る動機付けを与えるような一層の支援が求め られる」という文章をここに挿入しております。  (6)、(7)の「情報通信技術(IT)による診療支援について」と「ドクターヘリの活 用について」です。ここはそれぞれ「有効性・効率性も考慮しつつ、引き続き支援 していく必要がある」という文言を入れております。(8)の「歯科医療、看護職 等への支援方策について」は、修正はございません。最後に、6、「終わりに」です。 終わりは3つの○です。それぞれ読ませていただきますと、「本検討会では、今後の へき地保健医療対策のあり方について昨年7月より6回にわたり検討を行った。今 後、国、都道府県及び関係機関は、本報告書において指摘した内容に基づき、十分 な対応を行うことが求められる。これらの対応については、適宜評価・分析を行い、 必要に応じて計画の見直しを行うなど、へき地医療を取り巻く状況の推移に応じた 対応が必要である。なお、医療計画については、平成22年度にあり方に関する検討 会を実施した上で、平成24年度に各都道府県において見直しを行うこととしており、 国や都道府県は、医療計画を含めた今後の医療提供体制のあり方を検討するにあた っては、本報告書を踏まえ、医療提供体制全体の枠組みの中で、へき地保健医療体 制をどう位置づけていくか考えていくことが望まれる。」このように最後結んでおり ます。簡略でございますが、今回の「へき地保健医療対策検討会報告書(案)」につ きましてご説明させていただきました。 ○梶井座長:ありがとうございました。前回案に対する修正点、そのポイントをいまご 説明していただきました。それでは報告書本体の中身について意見交換をさせてい ただきたいと思います。  最初に資料2をご覧ください。事前に委員の皆さまからいただいた意見について、 一覧表になっております。まず、この点から検討を始めたいと思います。第1点目 は6頁の大項目3「へき地等における医療提供体制を構築する各主体の役割として 求められること」の「大学の役割として求められること」の修正前のところが、「こ の際、都道府県やへき地医療支援機構と連携して、へき地・離島医療の現場を経験 できるようなカリキュラムを作成し、学生に対して地域医療やへき地医療に対する 親和性を高める教育を行うことが望ましい」。この「親和性」という言葉がいかがな ものかということでご意見がありました。これについて。 ○渡邊委員代理:恐縮でございます。実は事務局にコメントとして送りましたので、ま さか意見に載せていただけるとは思わなかったものですから、この意見と、11頁の 下のほうの2つご意見がありますけれども、案も出しておりませんので、この意見 は下ろさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○前田委員:大学の役割ということでご意見をいただいているわけですが、大学の使命 というのは、地域医療だけではなくて、社会ニーズに応じて、研究であり、高度先 進医療であり、投薬であり、多様な部門にコミットできるようないろいろな人材を 育成していく使命があるわけです。この地域医療人を育成するというのは、その使 命の中の一部であるわけです。ですから、この文面を読ませていただくと、「親和性 を高める」ということが義務化されるような読み方もできますので、できれば「地 域医療やへき地医療に対する理解を深める」とか、その辺の表現のほうが望ましい かなと考えています。以上です。 ○梶井座長:その他の委員の方、いかがでしょうか。 ○中村委員:理解プラス意欲みたいなことが入ると、もうちょっと良いかなと思います。 ○梶井座長:理解、そして意欲という2つのキーワードが必要ではないかというご提案 でしたが、そのほかございませんか。前田委員、いかがでしょうか。意欲という言葉は。 ○前田委員:意欲。もっといい言葉があれば。後段のほうの表現が「行うことが望まし い」という、非常に柔らかな表現になっていますので、そこに「理解を深め、動機 づけを行うような教育」というような表現でいかがでしょうか。 ○梶井座長:よろしいでしょうか。続きまして、11頁の4「へき地保健医療対策に係る 具体的支援方策の検討」。修正前は(2)「定年退職した医師にへき地勤務をしてもらっ てはどうか」。このようなご提案があり、これが盛り込まれたわけですが、これに対 してここの表現について修正案が提案されております。「年齢や診療科の経験を問わ ず、へき地医療に意欲を持つ医師を幅広く受け入れる意識や体制作りが必要ではな いか」。その理由としては、消極的な対策の印象で、かつ定年のある勤務医に対して 配慮を欠く表現であると考えます」というような理由が付記されております。これ についてご意見お願いいたします。 ○吉新委員:協会では国の補助をいただいて、この6年間、再研修を8人ほどやってき ましたが、お一人以外は、離島ですとか、へき地に勤務していただいています。そ の中には例えば製薬会社の研究所にずっといた40代の医師、臨床の現場を離れてい たとか、そういう方もいらっしゃるので、例えば表現としては「定年退職」という のは1つの理由でしょうけれども、例えば臨床をしばらく離れていた方が、再研修 をしてへき地に勤務してもらうというのは、8人いらっしゃいましたので、こうい うような表現がいいのではないかなと思います。一定期間、離れていたという、臨 床からですね。 ○梶井座長:実は先ほど渡邊委員代理から、この意見は取り下げますということだった のですが、別の方からも意見が出ております。もう1つの理由については、「『一線 を退いたのだからへき地でも行って見たら』と提言しているような気もしますし、 色々と誤解を招くのではないでしょうか」というようなことで、お二方の委員から こういうような意見が出ました。それに対して、いま吉新委員のほうから意見が出 ましたが、どうでしょうか、このような修正案の書きぶりで修正させていただくと いうことで、ご異論ございませんでしょうか。                (異議なし) ○梶井座長:どうもありがとうございました。第3点目です。12頁の4「へき地保健医 療対策に係る具体的支援方策の検討」。(3)の1)の「へき地医療拠点病院の見直しと 新たな支援について」。「へき地医療を担う医師たちの基地となる機能を有する施設 を『へき地医療教育研修支援病院(仮称)として」というところの、「病院」を「へ き地医療研修支援拠点病院」、病院に拠点を入れるということで、これに関してはい かがでしょうか。 ○吉新委員:私が書いたのですけれども、いままでへき地医療の拠点病院群という考え 方がありましたよね。1つは支援病院と巡回診療などをやる旧来のへき地医療の中 核病院です。それが今度拠点病院群になったので、それと右にならえということで、 原案は基地と書いてあったのですが、いままで拠点病院群とあったのですが、そち らのほうが整合性が取れているかなということです。 ○梶井座長:基地のところも修正案としては拠点と提出されておりますが、いかがでし ょうか。ご異論なければ、いまの提案のように両方とも拠点という言葉にさせてい ただくということで、後者の「病院」の前の「拠点」は、変更ではなくて入れさせ ていただくということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。  ご提案がありました第4点目です。14頁、先ほどの大項目4の(3)の4)「ドクタ ーヘリの活用について」のところです。これはジェット機の活用も検討されるべき との意見がありました。これに対して、ジェット機や飛行艇の活用も検討されるべ きとの意見があって、飛行艇も入れてほしいということでのご意見です。 ○吉新委員:これも私でございます。へき地の現場にいると、本当に空飛ぶ絨毯とか、 金斗雲があると非常に便利かなと。へき地はやはり遠いということが問題ですし、 いま実際離島で問題になっているのは、ドクターヘリで寝たきりになっている人が 運ばれて、島に帰るときに、船ではちょっと帰りづらいというような状況で、たく さんの方が救急病院に運ばれて、どうしたらいいか困っているというような話をよ く聞くのです。それを戻すのには、ヘリではものすごくお高いので、飛行艇ならい いのではないかという簡単な発想で書いたのですが、飛行艇についていろいろ調べ てみましたら、小牧と須磨とか、串本、紀伊半島沿いは昭和30年代に定期便があり ましたし、大村から五島列島にはいまの福江島の空港ができる前は、定期便があっ たのです。もちろん就航率はすごく低かったのですが、いまは相当性能が良くなっ てきて、こういったものが使えるかなということで書いたところです。ただ、いろ いろ聞くと、空を飛ぶということに関しては、規制がたくさんありまして、飛行艇 を簡単に飛ばすことは容易ではないということがわかりましたが、この委員会で是 非撤廃していただいて、へき地医療に関しては、日本の空を自由に飛行艇が飛ぶと いうようなことも異議がないと思いますが、鈴川委員はその辺の専門ですのでお伺 いしたいと思います。 ○鈴川委員:2つあるのですが、飛行艇の話とヘリの話です。まず飛行艇からいきます。 これは防衛省とかそういう絡みを考えないと飛べないというようなところもありま して、手は付けてみたけれども、非常に大変だということを、もう既にやっていら っしゃる先生方がいらっしゃるので、その方々と一緒に研究会を作って、どのよう にうまくできるかというのを、いま模索中です。救急でヘリと違っていいことは、 海面に着陸できて、そのまま斜面を上がって、例えばそこに臨時の手術室をそのま ま持ってくることができると。そのぐらい大型なんです。そういうようなこととか、 いろいろメリットがないわけではないというのは承知しているのですが、少なくと も現在旅客を乗せるという基準にはまった飛行艇は私が聞いている限りではまだな い、というようなことがあって、いろいろ問題が山積していますが、いずれという ことで、皆さんがよければここに入れて、あと何年後か何10年後か知りませんが、 吉新委員の言っているドクターヘリだけでは不十分だと。もっとドクターヘリが飛 ぶ要件でない、骨折しているが、状態が安定しているという人はドクターヘリの適 用ではないのです。そういう人はへき地または離島から、ものすごい時間をかけて 何度も何度も階段を上ったりとか、そういう感じで行くよりは、ヘリでいけばいい と思うのです。そのようにもう少し要件を緩和したヘリコプターの運用を今後考え る。それが吉新先生のおっしゃった金斗雲とか、そういうものに当てはまると思う のです。もっともっと楽に都会までいく手段。ヘリコプターだからもう無理だとい うようなところは、少しずつ緩和していく方向でいくのがいいのではないか。ドク ターヘリがあればそれが全部解決するということとは違うということをご理解いた だくか、どこかに入れていただけると非常にありがたいと思います。 ○梶井座長:ありがとうございました。飛行艇について、私もほとんど存じ上げなかっ たものですから、事務局にいまの現況について調べていただけませんかということ をお願いしましたので、現状について、わかる範囲で教えていただければと思いま す。 ○馬場医療確保対策専門官:現在のところ平成21年度の患者輸送回数ですが、先月まで 14件と。海上自衛隊が基本的にはやっているもので、特に小笠原諸島や遠隔な離島 に対する救急搬送のみやっています。実際に飛行艇自体が民間機ではなくすべて自 衛隊機として製造されているようで、民間機等として飛行するのに必要な型式証明 を取得しておりません。防衛大臣の使用承認で飛行しているのですが、実際に民間 会社、地方自治体で運用することはできないとなっております。 ○梶井座長:確かに先ほど委員の方から意見が出ましたように、ハードルはまだ高いと いう状況のようです。しかし救急分野でもそのような実際のご検討がなされている ということで、検討はそちらのほうに引き継いでいただくということで、どうでし ょうか。あえて「飛行艇」という言葉を出すのか、飛行機ということであれば、固 定翼機とか、そういうような文言でも、というように考えるのですがジェット機だ けではなくて、いわゆるプロペラ機もあるでしょうし。吉新委員、どうでしょうか。 ○吉新委員:これ、検討されるべきと書いただけなので、それも大きな意味で。ジェッ ト機等の飛行機でもいいと思います。「等」で入りますのでね。 ○梶井座長:ありがとうございました。予め委員の先生方からご提出いただきました4 つの案件に関しましてはこれで終わらせていただきたいと思います。先ほど事務局 より修正案についての全体像、ポイントについてはお示しいただきましたけれども、 意見のご提案はなかったにせよ、今日このようにお集まりいただいておりますので、 報告書の内容について、委員の先生方のご意見を伺えればと思うのですが、これが 最後の機会となりますので、よろしくお願いします。 ○鈴川委員:せっかく最後ですので。1つのポイントはいま言いましたが、「ドクターヘ リの活用」というところに、何か1つ「ヘリコプター等も」と慣用づけというよう な形で、もっと楽にへき地・離島から住民、患者、またはそこに行くドクター、派 遣のドクターとか、専門診療のドクター、または機材がもっと自由に行けるように しようという道をという言葉があると、私としてはいいかなと思います。  もう1つは、あとから気がついたので、いま言うのは誠に申し訳ないとわかりつ つ、最後だからとおっしゃっていただいたので言わせていただきますが、2頁の下 から3番目の段落のいちばん下「29.4%」これはどこから出てきたのかなというの をお聞きしたかったのです。これはもしかして自治医大の「卒業生の現状」という 文章から出されているのでしょうか。まずちょっとお聞きしたかったのですが、ど こから出てきたのですか。 ○梶井座長:事務局いかがでしょうか。 ○鈴川委員:いま持っているのが、自治医大が出した「卒業生の現状」という文書で、 平成21年7月1日現在のものなので、これがいちばん新しいと思います。ここで、 同じものについて29.5%ということで、0.1%高くなっていますが、それはともかく として、自治医大の「卒業生の現状」のほうは、29.5%であると書いてあるだけで す。ここでは29.4%にとどまっているという言い方をされていると思うのですが、 これは読めば少ないと受け取る表現だと思うのですが、これは必ずしもそうではな いのではないか。特に私としては、へき地医療をきちんとやっていくためには、現 地の診療所、それを支える拠点病院、そしてそれを研究等も含めて広く支える大学 の3つが必要だというようなことから、論を起こした者としては、3分の1ずつで もいいかなと。33%でいいかな、ちょっと少ないだけじゃないのというのもあって、 ここは29.5%であると。ここは現状報告の場所ですから、これは「とどまっている」 という、どちらかというと寂しげな表現ではなくてもいいのではないかと思うので すが、いかがでしょうか。 ○馬場医療確保対策専門官:こちらですけれども、第1回検討会資料の別紙7というと ころが、こちらにはございませんが、ここで29.4%の数字を出させていただいてい るのですが、自治医科大学が調べていただいた平成20年7月1日現在の資料でご ざいます。 ○梶井座長:数値自体はいちばん最新のものがよろしいと思いますので、そこは29.5% ということで。委員の皆さまにお伺いしたいのですが「とどまっている」という文 言を「29.5%である」というように修正してはいかがかという鈴川委員のご提案で すがいかがでしょうか。 ○中村委員:全くそのとおりで同感です。私の思いとしては「へき地にとどまっている 者が29.5%にも上る」というのが適切ではないかと思いますが、あまり感情を出し てはならないので、そこはさらっと流していただいていいと思います。 ○梶井座長:中村委員の思いが出ましたが、現状という意味では、あまりそのような感 情的な部分は組み入れないということで、「である」という表現でよろしいでしょう か。どうもありがとうございます。鈴川委員、よろしいでしょうか。そのほかござ いませんでしょうか。 ○中村委員:近いところなので確認だけさせてください。いまの同じ頁の下から7行目。 「医師免許取得後にへき地で勤務することを義務づけた地域枠」というものが本当 かどうか。例えば都道府県内の勤務を義務付けているのか、へき地を義務付けてい るのか。県内に勤務することを義務づけているなら「へき地等」とか入れたほうが 無難です。この「地域枠」というのはへき地勤務を必ず義務づけているのか、そう でないのか。そこをはっきりさせたほうがいいのではないでしょうか。 ○事務局:地域につきましては、委員がおっしゃったように様々な設定の仕方、もしく は診療科別に設定をするという形もありまして、この拾い方としましては、その中 にへき地が入っていると。それを含めた形での設定とさせていただいていますので、 拾った結果、このような形になったということです。へき地だけに行けということ が11あったということではございません。 ○梶井座長:よろしいでしょうか。そのほかございませんでしょうか。 ○前田委員:ちょっと、灯台下暗しというか、うっかりしていたのですが、6頁の「大 学の役割として求められること」ですが、地域医療教育をいろいろなところと連携 して推進するという機会が充実してまいりましたが、教育体制にも注目する必要が あるとあらためて考えました。いま大学の中で地域医療教育を担当する部門という のは、かなりの部分寄附講座が担当していることがあるわけです。寄附講座は時限 つきの講座ですし、それが継続されるか否かというのは、自治体の財政状況あるい は地域の医師の供給状況によって変わってくるわけです。ですから、これは閉じる かもわからないという危険性をいつもはらんでいるわけです。なおかつ寄附講座に 担当する教員というのは、有期雇用職になるわけです。大学を一旦退職して再雇用 になりますのでキャリアがなくなります。ですから退職金の上積みもないわけです。 そのような不安定な職に良い人材が集まるというのは非常に難しいと思います。か なり意欲的な方ではないとなかなか入ってこない。有期雇用職であるということは、 キャリアデザインを全く描きにくい。へき地に赴任するドクターのキャリアデザイ ンをどうしようかという議論はたくさんしてきたのですが、それを教育する教員の 話は全くなされていなかったということをいま気づきまして、その点を意見として 申し上げたいと思います。ですから、地域医療教育の担当教員が安定して地域医療 教育に携わる、専念できるように、長期的な展望に立った仕組み作りを大学に対し て求めていくべきであるということです。それを国が支援するというような文言が。 そういう意見があったという文言でも結構ですが、そういう文言がいるのではない かと思います。大学、特に地方大学、国立大学はスクラップアンドビルドで新しい 講座を作り上げるというのは、非常に困難です。ですから、どうしても大学だけの 取組みでは足並が全く揃わないと思います。そういった地域医療教育の部門に国が 支援するというようなところも盛り込んでいただきたいと思います。 ○梶井座長:ありがとうございました。ただいまの意見についていかがでしょうか。オ ブザーバーとして文部科学省の高等教育局医学教育課からいらしていますが、前回 もご意見を伺いましたがいかがでしょうか。もしよろしければお願いいたします。 ○文部科学省:いわゆる地域医療講座が寄附講座という形で開かれていることが多いこ とは確かです。ただ、寄附講座の教員の指導体制のあり方は、さまざまな自治体の 中での工夫によっていろいろな形態がありまして、必ずしも全てが3年なら3年に というわけでなければならないというようなことでもない。そのような考えでもあ ったのだと思います。現実、私どもとしても、地域医療教育の体制というのは大事 だということで、支援が必要ではないかというので、支援していないのではないか と言えば、審議していただいている予算案の中で、私どもが国立大学の地域医療教 育の充実に資する、常勤の教員の手当てを新たに付していますので、そこは、大学 にもう少しご確認をいただければ、おわかりになると思います。私学についても同 様の助成をしておりますので、そこはこの予算案の中で、私どもが打ち立てたこと ですので、そこはご確認いただければと思います。 ○梶井座長:前田委員、いかがでしょうか。 ○前田委員:我々の経験を言うと、寄附講座を存続させるために、相当なエネルギーを 使うわけです。ですから、少なくとも安定して医学教育、地域医療教育に専念でき るという長期的展望に立った仕組み作りが必要であるということは是非、盛り込ん でいただきたいと思います。 ○梶井座長:私もまさにそのように思います。安定して地域医療教育に専念できる教員 の環境体制を作るということを盛り込んではいかがかということでご提案がありま した。国の支援に関しては、いまお話がありましたので、そこのところはどうでし ょうか、よろしいですか。そういう体制作りを推進するということでよろしいでし ょうか。では、これについては確定版の中に盛り込ませていただきます。そのほか ございますか。 ○奥野委員:4頁の「総合医」のところですが、総合医の説明として、「へき地医療を担 う医師像として、総合的な診療能力を有し、プライマリ・ケアを実践できる、いわ ゆる総合医」ということで、臨床の能力、それだけを問うているわけです。そうし ますと、プライマリ・ケアやいわゆる総合診療、家庭医などといっても、差異がわ からないということが1つと、我々がへき地でやっているということは、臨床能力 だけではなくて、地域というものに立脚して地域というものを深く考えて医療を実 践しているというのが、非常に大きな総合医としての役割であったり、要素であっ たりすると思いますので、地域に立脚して地域のことを考慮して行動しているとか、 医療を実践しているとか、そういった表現で地域というものを入れた中での総合医 の説明をしていただければと思うのですが、いかがでしょうか。 ○梶井座長:この点についていかがでしょうか。 ○吉新委員:全くそのとおりだと思います。へき地医療というのは基本的にリソース・ マネージメントですから、地元の保健とか医療とか福祉とか住民の団体ですとか、 行政との関係で、自分たちのリソースを最大限に活用するというのが、基本的に総 合医の役割だと思うのです。ですから、この文章で言うと、「医師像として地域を背 景とした」といいますか、「地域の医療資源を最大限に活用する能力も重要だ」とい うことを入れてもらえればいいのではないかと思います。奥野先生、そんな感じで しょうか。 ○奥野委員:そうですね。 ○梶井座長:その後、ほかの方いかがでしょうか。 ○中村委員:全く賛成です。あと、実際にやっていることに関して言うと、「初期救急、 二次救急、諸々を以て、最後の看取り等を総合的に行う医師」と言われますが、「総 合的に行い、リハビリ・介護にも積極的に関わる」というのを追加して入れていた だくと、実際にやっていることのイメージとしては捉えられると思います。いま2 人の委員がおっしゃったことに全く賛成です。 ○梶井座長:そのほかの委員の方いかがでしょうか。 ○内田委員:私はこの書きぶりでいいのではないかと思いますが。 ○梶井座長:前者のところで「医師像」のところで、地域のリソースを積極的に活用し、 というのは入れなくてもいいということでよろしいでしょうか。 ○内田委員:最初の段のところですか。 ○梶井座長:はい。総合的な診療能力を有し云々というところに、それはそれとしてと いうことで意見が出たように思うのですが。 ○内田委員:別にこれ加えても結構です。 ○梶井座長:それからもう1点が、具体的にはということで、総合的に行い、リハビリ 介護にも積極的に関わる医師ということでしょうか。ここのところを加えるという ことのようです。これについてはいかがでしょうか。 ○澤田委員:あまり文章が長くなってもいけないとは思うのですが、私はあともう1つ、 「生活」という言葉。「住民の生活」というか、そういうのを何か入れてほしいなと いうのがあります。「生活を支える」とか、「生活に寄り添う」とか、「生活に密着し た」とか、いわゆる住民の日常生活を支援する、支えていく、そういうことも総合 医としては非常に大事な部分だと思うので、文言はどうするかは別にしても、地域 というもので包括されるのかもしれませんが、少し考えていただければとご提案し たいと思いますが、いかがでしょうか。 ○梶井座長:またあらたな追加案が出ました。 ○内田委員:この報告書の中で、へき地における総合的な診療能力を持つ医師の完璧な 姿を描くところまで詰めなくてもいいのではないかと。大体のことが盛り込んであ れば、そういう方向性で、現場で動いていただくということがあればいいのではな いかと私は思います。 ○梶井座長:確かにそうですね。当初は総合医ということを入れる、入れないというと ころから始まって、こういうような形になって、しかも総合医を使うからには定義 という言葉もありましたが、たぶんここでいま内田委員がおっしゃるように、完全 な説明、定義を述べることはなかなか難しいのではないかと私も思います。いまの 議論の中には、総合医の像として、やはり多くの方に伝わるような像、イメージと いうのが大事なのではないかと思います。    その一方では、例えば「生活に寄り添う」という部分は、どちらかというと地域 医療そのものを言っているような感じがするのです。どこまでここに盛り込むかと いうことを、今日、皆さまのご意見を伺っておきたいと思います。そういう観点で はいかがでしょうか。 ○内藤委員:いま座長がおっしゃられたように、総合医の定義というのは、実はそれぞ れの団体がイメージしている部分であって、へき地医療における総合医の重要性。 例えば都会でも総合医の必要性が現在言われておりますが、必ずしもその定義がは っきりしていないというのが現状だと思います。内田委員もおっしゃいましたよう に、あまり細かくここで規定するよりは、この場合にはへき地で総合診療のできる 総合医。こういったイメージではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○梶井座長:いかがでしょうか。私自身はこの報告書で、全体に総合医という言葉も何 度も繰り返して使われていて、5番の最後のまとめのところに、総合医のことをま た書かせていただいています。これはたぶん国の報告書としては初めてではないか と。いま内藤委員がおっしゃったように、どういう言葉を使うか、総合医にするの か、家庭医にするのか、総合診療医とか、諸説紛々ある中で、ここの中では皆さま のご了解が得られて、総合医という言葉を報告書に盛り込ませていただいたという のは、私としてはこの報告書の中では特筆すべきことかなというように思います。 そういう意味では、あまりたくさん盛り込まないで、皆さんにわかりやすく伝わる ような形に押えてもいいのではないかなと思うのですが、この辺りのことも含めて、 ご意見いただければと思います。 ○吉新委員:地域医療医ですとか、家庭医ですとか、総合医など、何種類かの言葉で対 立していたみたいなところがあると思いますが、やはり総合医に大体まとまってき たと。家庭医というのはどちらかというとファミリーオリエンテッドで、こちらは どちらかというと、地域オリエンテッドなのです。地域というと、また非常に難し いので、いつの間にか総合医という言葉が、家庭と地域の間にあるような感じに落 ち着いてきたのではないかと思います。そういう自治医大の定義付けの背景があっ たと思いますが、これですと、臨床家的なイメージが強いので、奥野委員が言った ように、「地域の特性を理解し」とか、「地域の持つ資源を最大限に活用する能力を 身につけた」とか、そういったソーシャルな部分のほうが弱いのかなというように 思いました。社会学的な、と言いますか「地域の医療資源」や「地域と密着してい る」とか、先ほど「寄り添う」と言われましたが、地域の特性を理解しとか、そう いった単語がいいのではないかなと思いますが、あまりギスギスときちんと定義づ ける必要はないのではないかなと思います。 ○梶井座長:地域の特性の部分は、皆さん入れてもよいのではないかというより、積極 的に入れたいということのようですので、これは「医師像」のところですね。そし て、どういうようなことを行う医師かという具体的なところに関しては、「看取り」 のあとに、「リハビリ介護」というのを入れて、「等」ということで結んでもよろし いでしょうか。そうすると、澤田委員が、「生活に寄り添った密着した」という言葉 もおっしゃいましたが、それは先ほどの吉新委員の意見を踏まえて、その中に包含 されているということでよろしいでしょうか。 ○澤田委員:はい、私も先ほどの吉新委員がおっしゃった「地域の特性を理解し」とい うところで、包括されると考えられるので、それで大丈夫です。 ○梶井座長:よりコンクリートになった感じがします。その他の部分に関してご意見を 賜ればと思いますが、いかがですか。 ○木村委員:特に意見ではありません。12頁(調べる)の2つ目の○のへき地医療拠点 病院の指定要件に関してです。この検討会に参加していて、「指定要件については見 直すべきであり」というのは、IとIIに分けて、へき地医療拠点病院にもっとメリ ットがあるようにと理解してまいりました。ところが、この検討会と外れるかもし れませんが、2月26日付けで医政局指導課から、平成22年4月より必須要件を設 ける、すなわち、指定基準を厳しくするといった内容の文書が出ています。  いま地域医療確保が厳しい中で拠点病院は地域医療支援をしたくても、なかなか マンパワー的に余裕がなく、充分にはできません。拠点病院の指定要件を厳しくす ることといままでのこの検討会での話しあいの整合性をどう理解して帰ったらいい のかというところが質問です。 ○梶井座長:事務局、いかがですか。 ○事務局:いま先生がおっしゃいました通知については、2月26日の各都道府県の主管 課長会議で発出した事務連絡です。この意図するところですが、今までへき地医療 拠点病院に関して、やるべきことは決まって位置づけはされていたのですが、少な くともこれだけはやらなければいけないといったことは特に定めはありませんでし た。そうですので、263ある拠点病院の中では、ほとんど最近活動ができていない 病院も非常に多々ある、といった実態が一方でありました。  今回、社会保障審議会の診療報酬改定等でDPCの関係でへき地医療拠点病院であ りさえすれば、ポイントが1つ付くという新しい改正があり、これを踏まえたとき に、全くへき地医療に関して支援も貢献もしていない病院が、そのポイントを取得 するというのは、頑張ってやっている病院とそうではない病院と全く同じであると いうのは差支えがあるのではないかという考え方から、少なくとも必要最低限のへ き地医療支援事業を実施しているようにしてくださいという形で、要件を厳しくす るというよりは、へき地医療拠点病院に指定されている病院においては、へき地医 療支援事業をきちんとやっていただくように、また都道府県においてはそれをきち んと支援していただくように、という意味合いでのへき地保健医療対策事業要綱の 改定です。いま先生がおっしゃった、できていない病院を落とすという観点に立っ た要綱の改定ではございません。 ○木村委員:DPCのことを私は最近あまり勉強していなくてよくわからないのですが、 これは結果的にはある程度大きい病院が対象となるのではないですか。島根県内で はDPCの対象となる病院はおそらくほんの一握りしかなく、そういった病院は地域 医療支援を充分にして下さっています。へき地を抱えた、過疎地域を多く抱えた県 においては、DPC対象病院はそう多くないと考えます。 ○内藤委員:ただいま事務局からもご説明がありましたが、これはDPCの対象病院につ いて、今般、評価係数、これが機能係数として位置づけられる。地域医療の貢献度 については、私の記憶が間違いなければ、今年の8月からそういった機能係数を各 DPC病院ごとに算定する。その要件の1つとして拠点病院があったと思うのですが、 事務局、それで間違いないですか。 ○事務局:地域医療に関してはそのとおりです。へき地医療拠点病院であること、もし くは社会医療法人でへき地医療拠点病院になる場合の基準がありますが、その要件 を満たしているか、どちらかを満たしていればポイントが1つ付くという形の改定 になったということです。 ○木村委員:いまの件は、今回の検討会や文章にかかることではありませんので、この 話はまた別の機会にしたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございま した。 ○中村委員:いま気がついたのですが、先ほどの4頁の3(1)の2つ目の○の所、「認定制 度」の所ですが、「社団法人全国国民健康保険診療施設協議会」のあとに全自病協(全 国自治体病院協議会)も加えてください。その2団体での地域包括医療・ケア認定 制度なので、全自病協を入れてください。 ○前田委員:小さい所で申し訳ないのですが、7頁の2)の「専任担当官のあり方につい て」の2つ目の○です。「専任担当教官の勤務内容としては、へき地医療に専念する ような工夫が必要であり」。これは実績を提出して、実績調査が最初の会議であって、 そのときにたしか「専任担当教官は実際にへき地で勤務する必要はない」ではなく て、実際にへき地に勤務することが主体の勤務ではないという議論があったと思う のですが、ここを「へき地医療に専念するような」ということになると、実際、専 任担当教官がへき地に赴く、赴任して定着するというニュアンスにも聞こえるので、 「へき地医療に関する職務に専念する」ということに換えていただけたらどうかと 思うのですが、いかがですか。 ○梶井座長:はい、内容としてはまさにそのとおりだと思いますが、いかがですか。皆 さまのご同意が得られれば、そのように変更ということにしたいと思います。よろ しいですか。                  (異議なし) ○梶井座長:前田委員、よろしいですか。皆さまのご同意は得られたようです。どうも ありがとうございました。その他ありませんか。よろしいですか。大体おおむね皆 さま方のご意見は出尽くしたように思われますが、よろしいですか。いまの皆さま のご意見を踏まえて、内容的には一致を見たと思われます。そのように理解してよ ろしいですか。                  (異議なし) ○梶井座長:ありがとうございました。本日の検討会でもいろいろなご意見を賜りまし た。それを踏まえて必要な加筆や表現ぶり等の修正については、座長預かりとさせ ていただければと思います。それらを踏まえて報告書の確定版として取りまとめた いと思います。取りまとめた確定版は、再度、皆さまのお手元にお送りして、ご確 認いただいた上で公表に持っていきたいと考えています。何卒またその節にはよろ しくお願いします。    さて、これで7月から8カ月間続いた本検討会も終了となります。最後に一言、 座長として申し上げさせていただくお時間をいただきたいと思います。本当に感慨 深いの一言に尽きます。私自身、いろいろ地域医療やへき地医療などのことを考え たり、あるいはいろいろな地域に赴かせていただいて現状を拝見したり、住民の方 とご意見を交換したりさせていただいています。  一方、「地域医療の崩壊」などという言葉も挙げられていますが、そういう中で検 討会のメンバーの1人として加えていただいたことを、大変光栄に思っております。 20名の委員の先生方とともに8カ月間にわたっていろいろ検討させていただきまし たことを、私は本当にありがたく、光栄に存じている次第です。  いろいろな検討がなされました。皆さまが本当によくいろいろな意見をお出しい ただいたと思います。その中には、たぶん私が普段議論してない、いろいろな分野 に広がっていった検討が行われたと考えています。正に縄を綯うように知恵が綯わ れていったと思っています。  私たちが検討会で議論しましたこと、それを今度報告書として最終版として取り まとめて報告させていただくのですが、是非、それがへき地保健医療対策に有効に 活用されていくことを切に願っている次第です。そして、へき地保健医療の充実・ 発展に期していくことが、今後、私の大なる期待でございます。皆さまとともに検 討会で検討したことがどう生かされていくか、今後、是非見守ってまいりたいと思 います。  こうやって皆さまとのいろいろなチームといいましょうか、仲間の輪ができまし たので、今後ともいろいろな意見交換をいろいろな場で皆さまと私はさせていただ ければと思います。突如として皆さまの所に電話やらメールを送らせていただくか もしれませんが、そのときにはどうぞ知らないではなくて仲間の1人だと受け止め ていただいて、またご意見を賜ればと思っています。  なかなか十分に座長としての任を果たせたかどうか甚だ不安ではございますが、 いずれにしましても一応最後の日を迎えさせていただきました。本当に皆さまのご 協力、私に対する温かいいろいろなご指導を感謝して、座長の一言とさせていただ きたいと思います。本当にどうもありがとうございました。進行を事務局にお返し したいと思います。よろしくお願いします。 ○馬場医療確保対策専門官:梶井先生、誠にありがとうございました。事務局を代表し て唐澤審議官よりご挨拶申し上げます。 ○唐澤審議官:最後に一言ご挨拶を申し上げます。へき地保健医療対策検討会につきま しては、昨年の7月以来、6回にわたりまして検討会を開催いただきました。座長 の梶井先生をはじめといたしまして委員の先生方には、へき地保健医療対策に関す る様々な問題につきまして熱心にご議論をいただいたことについて、厚く御礼を申 し上げたいと思います。  検討会報告書(案)につきましては、先ほどございましたように本日のご意見・ ご議論を踏まえまして、梶井座長のもとで必要な加筆等を行いました上で、へき地 保健医療対策検討会報告書として公表させていただきたいと考えております。また、 厚生労働省におきましては、報告書を踏まえた第11次へき地保健医療計画の策定指 針を作成し、各都道府県に通知する予定としております。  平成22年度におきましては、報告書および策定指針を基に、各都道府県において 平成23年度から開始する第11次へき地保健医療計画を策定いただくことになりま す。厚生労働省といたしましても、各都道府県の作業をしっかり支援してまいりま すとともに、報告書でご指摘をいただきました、へき地医療担当者の全国会議をな るべく早い時期に開催したいと考えております。報告書にもありますとおり、各地 の先進事例を学び合いながら改善策の策定、および地域の実情に応じた実効性のあ るへき地保健医療計画を策定することが、できるようにしてまいりたいと思います。  最後でございますが、私も実は長野県の村の出身でございまして、へき地医療問 題につきましては親和性のある人間でございます。改めて御礼を申し上げたいと思 います。ありがとうございました。 ○馬場医療確保対策専門官:最後に、報告書(案)の取扱いですが、先ほどのお話のと おり本日のご議論を反映させた確定版を座長預かりという形で作成いただき、委員 各位のご確認のあと公表という形で進めたいと思います。なお、本日の議事録につ いても、これまでと同様に委員各位のご確認をいただいた上で、厚生労働省ホーム ページに掲載します。その他ご不明な点がありましたら、事務局までお問い合せく ださい。これでへき地保健医療対策検討会を閉会します。大変ありがとうございま した。 (了) 照会先:厚生労働省医政局指導課      救急・周産期医療等対策室         助成係長 田川 幸太 電話:03−5253−1111(2550)